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1971-02-15 第65回国会 衆議院 予算委員会 12号 公式Web版

  1. 昭和四十六年二月十五日(月曜日)     午前十時六分開議  出席委員    委員長 中野 四郎君    理事 小平 久雄君 理事 田中 正巳君    理事 坪川 信三君 理事 藤田 義光君    理事 細田 吉藏君 理事 田中 武夫君    理事 田中 武夫君 理事 鈴切 康雄君    理事 今澄  勇君       足立 篤郎君    相川 勝六君       赤澤 正道君   稻村左近四郎君       植木庚子郎君    大坪 保雄君       大村 襄治君    大野 市郎君       奧野 誠亮君    川崎 秀二君       小坂善太郎君    田中 龍夫君       登坂重次郎君    灘尾 弘吉君       西村 直己君    羽田  孜君       福田  一君    松浦周太郎君       松野 頼三君    森田重次郎君       木島喜兵衞君    阪上安太郎君       辻原 弘市君    中村 重光君       楢崎弥之助君    西宮  弘君       原   茂君    細谷 治嘉君       安井 吉典君    相沢 武彦君       坂井 弘一君    瀬野栄次郎君       松尾 信人君    岡沢 完治君       河村  勝君    土橋 一吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 愛知 揆一君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 坂田 道太君         厚 生 大 臣 内田 常雄君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         通商産業大臣  宮澤 喜一君        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君         労 働 大 臣 野原 正勝君         建 設 大 臣 根本龍太郎君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)保利  茂君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)         (行政管理庁長         官)      荒木萬壽夫君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 中曽根康弘君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      佐藤 一郎君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      林  信一君         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         公正取引委員会         委員長     谷村  裕君         経済企画政務次         官       山口シヅエ君         経済企画庁調整         局長      新田 庚一君         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君         経済企画庁総合         計画局長    矢野 智雄君         経済企画庁総合         開発局長    岡部  保君         外務省経済協力         局長      沢木 正男君         大蔵省主計局長 鳩山威一郎君         大蔵省主税局長 細見  卓君         大蔵省理財局長 相澤 英之君         大蔵省銀行局長 近藤 道生君         大蔵省国際金融         局長      稲村 光一君         文部政務次官  西岡 武夫君         文部大臣官房審         議官      西田亀久夫君         文部省初等中等         教育局長    宮地  茂君         文部省大学学術         局長      村山 松雄君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省薬務局長 武藤き一郎君         農林大臣房長  太田 康二君         農林大臣官房予         算課長     松本 作衛君         農林省農林経済         局長      小暮 光美君         農林省農地局長 岩本 道夫君         農林省蚕糸園芸         局長      荒勝  巌君         食糧庁長官   亀長 友義君         林野庁長官   松本 守雄君         水産庁長官   大和田啓気君         通商産業省通商         局長      原田  明君         通商産業省貿易         振興局長    後藤 正記君         通商産業省企業         局長      両角 良彦君         通商産業省重工         業局長     赤澤 璋一君         通商産業省鉱山         石炭局長    本田 早苗君         中小企業庁長官 吉光  久君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         労働省労働基準         局長      岡部 實夫君         建設省住宅局長 多治見高雄君  委員外の出席者         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   篠原 武司君         予算委員会調査         室長      野路 武敏君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十五日  辞任         補欠通任   笹山茂太郎君     羽田  孜君   辻原 弘市君     木島喜兵衞君   安井 吉典君     中村 重光君   小川新一郎君     瀬野栄次郎君   樋上 新一君     松尾 信人君   竹本 孫一君     河村  勝君 同日  辞任         補欠選任   羽田  孜君     笹山茂太郎君   木島喜兵衞君     辻原 弘市君   中村 重光君     安井 吉典君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十六年度一般会計予算  昭和四十六年度特別会計予算  昭和四十六年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 中野四郎

    ○中野委員長 これより会議を開きます。  昭和四十六年度一般会計予算、昭和四十六年度特別会計予算、昭和四十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括議題とし、一般質問を続行いたします。木島喜兵衞君。
  3. 木島喜兵衞

    ○木島委員 私は、去る二月八日に人事院総裁が衆議院議長、参議院議長、内閣総理大大臣に、義務教育諸学校等の教諭等に対する教職調整額の支給等に関する法律の制定についての意見の申し出がありました。このことについて、まず人事院総裁を中心にお聞きをいたしたいと存じます。  この質問に入る前に、たいへん恐縮でございますけれども、きわめてあたりまえのことでありますけれども、私の質問の前提となりますので、労働省から、必ずしも労働大臣と申しませんが、労働基準法の解釈について若干お聞きをいたしたいと思うのであります。  労基法の第一条は、憲法の第二十七条に基づいて労働者の生存権的基本権として労働条件の最低の基準を規定したものと理解をいたしますが、そのとおりでよろしゅうございますか。
  4. 野原正勝

    ○野原国務大臣 そのとおりでございます。
  5. 木島喜兵衞

    ○木島委員 労基法第三十二条は労働時間を一日八時間、一週四十八時間を最低の規定として、労働時間はそれ以下でなければならないという原則をうたったもの、したがって三十六条の時間外のものは、時間外勤務あるいは休日労働は本来的には禁止すべきものであるけれども、例外措置として認めたものと理解をしてよろしいですか。
  6. 野原正勝

    ○野原国務大臣 そのとおりであろうと考えます。
  7. 木島喜兵衞

    ○木島委員 その例外措置は、たとえば三十三条のごとく災害時の時間外労働でも基準監督署長の許可を必要とし、さらに罰則規定等もあるごとく、例外措置に対してはきわめてきびしい措置をとっておると理解をしてよろしゅうございますか。
  8. 野原正勝

    ○野原国務大臣 そのとおりだと思いますけれども、この問題につきましては、基準局長が参っておりますので、事務的な問題でございますから、基準局長にお答えいたさせます。
  9. 木島喜兵衞

    ○木島委員 大まかでいいですよ。
  10. 野原正勝

    ○野原国務大臣 おおむねと申しますれば、そのとおりでよろしいと存じます。
  11. 木島喜兵衞

    ○木島委員 その三十六条は、元来禁止的例外措置でありますけれども、その時間外労働は労働者が労働を売るか売らないかという問題であるから、労働者の同意が必要である。そういう意味で、過半数をもって組織する組合なり、あるいはその他の代表をもって交渉をし、協定を結ぶ。その協定の内容は、施行規則第十六条によって、その必要とする事由とか業務の種類とか時間とか人員等をこまかく規定するほど、労働者の同意といいましょうか、協定でありますから、労働者の同意を必要とすると理解してよろしゅうございますか。
  12. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 法律の解釈等の問題でございますので、私からお答え申し上げます。  先生おっしゃるように、労働時間その他の労働条件は、基本的には労働者と使用者との間の契約によってきまるということでございますが、基準法は、契約自由の原則に対しまして、ある例外と申しますか、それに対する規制をかぶしておりまして、いま仰せのように、労働時間等については、最低基準を法律で明定いたしまして、それを越える場合には所定の手続をとることを規定いたしました。  それで、いまお話しの三十六条につきましては、労使が自由にきめる場合の一つの例外的な規定といたしまして、労働組合あるいは労働者の代表の意向を十分反映させながら、基準外超過勤務の労働についての規制を行なう、こういう趣旨でございます。
  13. 木島喜兵衞

    ○木島委員 人事院総裁にお聞きしますけれども、いま私が労働省に聞いた、そのような労働基準法の精神を十分に理解され、それを前提としての今回の意見の申し出と理解してよろしゅうございますか。
  14. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 御承知のとおりに、私どもが直接お預かりしております国立学校の先生方については、すでに二十数年前から労働基準法を離れて公務員法系統でこれを処置しておるわけでございます。ただいまその関係の規制は、公務員法及びそれに基づきます人事院規則で定めておるわけでございまして、これはいま仰せになりました、基本的には労働基準法の精神に沿ったものと考えております。
  15. 木島喜兵衞

    ○木島委員 いま総裁は、労働基準法の精神に沿って出されたと申されましたけれども、今回の意見の申し出については、その第三、「時間外勤務の規制」の中で、勤務を命じ得る業務の範囲を指定する等の基準を定めるのには、文部大臣は人事院と協議して定めるとして、労働者の意向が反映されないように読み取れます。いま労働省の労働基準法の中でいうならば、労働者の意向が反映されねばならないという精神であるという説明がありましたけれども、そしていま総裁はその精神にのっとると言っていっらしゃいますけれども、これは、この時間外勤務をするにあたっての文部大臣と人事院の協議であって、労働者の意向が反映されないとするならば、いまあなたがおっしゃったような、労基法の精神にのっとるとはいえないのではないのでしょうか。この点をなぜ除外されたかを御説明願いたいと思うのです。
  16. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 労働者の側の意向ということになりますと、もっと端的に申し上げられるのは、私どもがお預かりしております公務員の給与勧告でございます。給与問題というのは、民間では、団交権に基づいて、あるいは場合によってはストライキまでも背景にして、そして労使双方がぶつかってきめられる、それが賃金である。公務員につきましては、それがないわけであります。したがって、そのかわりに私ども中立機関として人事院が、公正な立場から適正なる給与を公務員のためにつくり上げる、そのことが大きな団交権の代償機能ということばでいわれておるわけであります。私どもは、それをきめるにつきましては、それは使用者側の要望も聞きますし、組合側の要望も十分伺った上でわれわれが公正と信ずる判断を下し、勧告を申し上げておる。その精神は、いまお示しの具体的の条項についてもまさに発揮せられるべきだと私は思います。したがいまして、組合の方々の意向というものは十分察知し、あるいは聴取した上でこれに臨む、これは、給与勧合の場合と同じ態度で貫くべきだと私は思います。
  17. 木島喜兵衞

    ○木島委員 私は先ほどから聞いておりますのは、労基法三十六条の精神、元来給与と違う点は、給与は一定の量において労働を売ることになっておる。だから労基法三十二条によって一週間四十八時以内という最低をきめておる。したがって、それ以外は、労働者が売るか売らないかというものであるだけに、労働者の同意が必要である。たとえば、公務員の賃金は、それは労働者の同意がなくても支給できます。けれども、その労基法の精神は、労働者が労働を売るか売らないかというところの性格である限りにおいては、だから三十六条は協定を必要とし、その協定も非常にこまかいものまできめておる。その精神を考えるならば、文部大臣は人事院と協議するだけでなしに、労働者の意向を反映しなければならない。それが先ほど労働省が労働基準法三十六条の精神がそれだと言っておるのと、それを踏まえておるかと言ったら、あなたは踏まえておるとおっしゃるけれども、踏まえておらないじゃありませんか。その点をもう一回御答弁願います。
  18. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 おことばを返すわけでもありませんけれども、労働を売るか売らないかという場合に、一番根本は、労働の対価を幾らにするかという問題であると思います。私が先ほど来給与のことを申し上げましたのは、その最も根本的な事柄を例にあげて申し上げたのでありまして、その精神をもって今度の場合も貫きますということを申し上げておるわけでございます。
  19. 木島喜兵衞

    ○木島委員 いま私は労働の対価だけを言っておるのじゃありません。量の問題を言っておるのです。量を売るか売らないかということは、労働者の意向が三十六条に反映されなければならぬ。対価は賃金の一二五%の割り増し賃金にきまっておる。だからその問題ではない。それを聞いているのです。もう一回御答弁してください。
  20. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 どうも論争を申し上げるようでたいへん恐縮でございますけれども、私どもは一番根本的なことを申し上げておるのでありまして、労働を提供する、それに対して賃金が対価としてもらえる、一番根本はそこだろうと思うのです。その対価である賃金というものは、そういう意味では非常に重要な意味を持っておる。賃金が安ければもう労働者は、おれはこの仕事をやらぬぞ。私どもが公務員を募集する場合でも、たとえば初任給をどうするかということが一番大きな問題になって、それが一番基本だろうと思いますから、最も基本のところから申し上げて、その精神をもってすべてに貫きますと、こう申し上げておるわけであります。   〔委員長退席、坪川委員長代理着席〕
  21. 木島喜兵衞

    ○木島委員 労働条件の最大なものは、どの法律でも賃金、労働時間、その他の労働条件と規定されているように、確かにあなたのおっしゃるとおり、賃金はそれは基本でありましょう。しかし、どの法律でも賃金と労働時間その他のといっておるごとく、私は、その意味で二つに分けておるのです。あなたは賃金だけでそういうことを言ったって、それでは労働基準法の三十六条の精神が生かされておらないということは当然じゃないですか。その点どうですか。
  22. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 ちょっとお答えが不行き届きであったと思います。確かにおっしゃるとおり、労働時間というものと対応させて考えなければ意味がないじゃないか、それはそのとおりです。したがいまして、私どもとしては、労働時間というものも給与法、法律の中ではっきりきめておる。四十八時間ですが、そのワクの中で人事院規則で四十四時間ということをはっきりきめまして、そうして特殊の場合の超過勤務のことを規定をしておる、そういう体制をとっておるわけであります。
  23. 木島喜兵衞

    ○木島委員 だから、総裁の言っておることは、ちっとも首尾一貫しないのですよ。三十六条の時間外の問題については、労働基準法三十六条の精神というものは、文部大臣と人事院の協議だけでは生かされないでしょう。なぜ労働者の意見を聞かないのか。あなたのおっしゃるとおり、賃金と、並ぶ大事な労働時間でしょう。それを言っておるのです。どうして聞かないのですか。
  24. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 先ほど申しましたように、賃金をきめます関係のことも、団交権の代償機関、代償機能として私どもがやっておりますと、いま、これに対応いたしますところの労働時間の関係も、法律にこそ規定はありますけれども、さらにその法律に基づいて人事院規則でこまかいことをきめておる。これも、われわれとしては、たとえば三十六条の協定その他の団交によってきまるべき事柄を、人事院が中立的な立場から団交の代償機能としてそういうものをきめておるというわけであります。したがいまして、その場合について、きめるについては、労働者の御意向あるいは使用者側の御意向も十分承知した上で、公正と信ずるところを定めておりますと、こういうことでございます。
  25. 木島喜兵衞

    ○木島委員 同じことをやりとりしても始まりませんからね。しかし、あなたはいま、われわれが労働者のかわりになってというようなおことばがありましたね。――じゃないですか。あなた方が、もしも労働者の意向というものもそんたくしながら反映しなかったならば、労働者の意見を反映する場所がないわけでしょう。人事院の存在というのはそういうところにあるでしょう、一つは。しかも、この中によると、人事院が中心じゃないんです。「文部大臣は、人事院と協議して時間外勤務を命ずる場合の基準を定めるべきものとする。」文部省が中心で、文部省が人事院と協議をするとなっているでしょう。使用者が中心になって時間外勤務を一方的にきめて、方針をきめて、そして人事院と協議するという形になっているでしょう。この中には労働者の意向というものが反映できるのですか。それでは労働基準法という、いわば労働条件の憲法である労働基準法の精神というものは、ちっとも生かされないということを先ほどから申しているのです。
  26. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 文部大臣から申し出があるという形は、これは実際上教育の運営に当たっておられます国の機関でありますからして、使用者側ということよりも、文教をお預かりしておる国の機関としての文部省の立場から、こういうことはどうだろうという形で、超勤を命じ得べき場合を人事院に対して持ち出される。その場合に私どもが承認をするという立場におりますから、承認、不承認は私どもがその良心に基づいて、信念に基づいていたすところでございますから、悪いものは承認しない、認め得るものは承認する。そこのわれわれの立場を先ほど来懇々と申し上げている。――懇々とは失礼でございますから取り消しますけれども、切々と申し上げておる。
  27. 木島喜兵衞

    ○木島委員 もう同じことを繰り返しても始まりませんけれども、少なくともあなたの、労働基準法の精神を踏まえて、理解をしてこの意見書を出したとおっしゃることは、いまの御答弁の中には生きておらない。少なくとも労働基準法三十六条の精神を全面的に否定するとさえ私は言っていいんだと思うのです。出されてしまったことだからいまさら一歩も引けないということでなしに、私はいまからでもこの場でもって、労働者の意見というものを聞くことが必要である、より好ましい。たとえば一歩下がってですよ、あなたのおっしゃることが正しいにしても、一歩下がっても労働者の意向というものが反映されることがより好ましい。それは、いま言いますとおり、文部大臣が中心で人事院に協議するのですから、そのときに一方においては労働者の意見というものを聞くことは望ましい、少なくともより望ましいと私は思うのです。その点は、総裁どうですか。
  28. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 それは、私どもの従来のあり方をよく御承知いただければ、御心配は要らぬことだと思います。たとえば、給与勧告のときでさえも、私自身が組合の代表者に何べん会いますか。ほとんどもう毎週一回ずつぐらい会っています。今度の場合についても、御承知のようにもう人事院がいよいよ勧告を出すげなということが新聞に出てから、組合関係、教員の代表者の関係、もう引きも切らずにいらっしゃる。給与局長にもお会いになる。私自身も何べんお会いしたことですか。そのつどわれわれはその御意見、御主張を心からこれを拝聴して承っておる。要するに、われわれの態度に対して大きな参考に資しておる。おそらく今後もまだ続々いらっしゃることだろうと思いますが、これは謙虚な態度で承る。正しいと信ずるところは、そのとおりの趣旨でわれわれも臨まなければいかぬというふうに考えております。
  29. 木島喜兵衞

    ○木島委員 さっきから言っているのは、総裁、文部大臣が中心になって人事院と協議するんですよ、文章上は。あなたのところは中立的性格を持っているのです。中立的性格というものは、労働者と使用者があるから中立が存在するのだ。この場合、労働者というものの意見を聞かなかったら、中立的存在はないわけでしょう、この場合。そういう計算でしょう。そこであなたが聞くということは、中立的な立場でもって労働者の意見を聞いておるし、同時に使用者の意見も聞くわけです。あなたは両方聞く。ところがそのうち、文部大臣はそれをあなたに、両方聞く人事院総裁の意見を聞きますね。しかし労働者は聞くことができない。三者がないでしょう。それを言っておるのです。文部大臣が人事院の意見を聞く。しかしそのほかに労働者の意見も聞く。しかし中立的な、労働者と使用者の中間的にある人事院の意見も聞く、協議をする、このほうがより望ましいでしょう。望ましくありませんか。より望ましいでしょう。どうですか。
  30. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 何だか文部大臣の地位が非常に強い地位のように承るので丈けれども、(木島委員「ここに書いてある」と呼ぶ)書いてあるといったって、ただ文部大臣と書いてあるだけで、これは強いとも弱いとも書いてないわけでございます。この文部大臣は先ほど申しましたように文部行政を預かっていらっしゃる方ですから、その方がもう超過勤務の命令を出す必要がないというなら黙っていらっしゃればいい。こういうことについては超過勤務の命令を出したいとおっしゃる場合に、それをわれわれのほうへお持ちになる。私どもはそれを厳粛な態度で査定をしていく。これは無理でしょう、これは思いとどまってください、ここまでいいでしょう、というようなことを、先ほど来申しました強い立場でこれに臨むということであって、これはもう行政の法律的な手続でありますから、組合の意見をお聞きするとかしないとかということは、その法律上の問題とは違った、もう一つその次の実質的な大きな問題である。したがいまして、文部大臣も教員の代表者の方々の意見を十分お聞きになるはずです。お聞きになるでしょう。私どもも教員の方々の御意見を、いま申し上げたように聞いておるわけですから、そのいまの法律の手順の問題と実質的な意見を反映するかどうかの問題は、これは二つに分けてお考えいただきたいと思います。
  31. 木島喜兵衞

    ○木島委員 文部大臣が重いとか軽いとかでなくて、あなたのところの意見は、「文部大臣は、人事院と協議して」とあるのですから、文部大臣が主体でしょう。文部大臣が主体で聞くという表現になっているから言っておるのです。しかしまあそれはいいです。ただあなたがいま、文部大臣が、しかし労働者の意見も聞かれるでしょうとおっしゃいましたね。だから、文部大臣が労働者の意見を聞くことは、より好ましいことでしょうということを言っておるのです。さっきから聞いておるのです。それはそうですね。そう理解してよろしゅうございますか。
  32. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 何ごとでも独善、独走はよろしくないと考えますから、関係者の意向は十分お聞きの上善処されるのが望ましいこと、私どもは少なくともそれをやります。
  33. 木島喜兵衞

    ○木島委員 それから先ほど、それは法律的には人事院は国家公務員を対象にしてこの意見を出されたことは、これは法律的にそのとおりであります。しかし実際的には、この措置は地方公務員である教員にも準用されるということは、いままでの、先ほどおっしゃった給与その他でも十分御理解があることで、そういう自覚のもとになさっていらっしゃるだろうと思うのです。だからこそ、たとえば今回政府の四十億の、地方公務員である教員を含めた四十億のこの予算が出てから、この意見書を出していらっしゃるのですから、そういう自覚が十分にあったろうと思うのです。形式的には国家公務員でありますけれども、実質的には及ぶという理解のもとに、自覚のもとにこの意見書を出されておると思うのです。そうしますと、地方公務員法第五十五条は、勤務時間は職員との交渉事項であります。規定しております。そしてそのことはまた五十五条九項において書面による労使の協定もきめております。また勤務時間は、地方公務員法第二十四条第六項によっての条例事項でもあります。そうすると、地方公務員の場合は交渉事項であり、協定事項になっておる。直接的にはあなたの場合には国家公務員を対象になされておるかもしれませんけれども、これが地方公務員に及ぶ場合、この場合、労働者の意向というものはこの地公法の法律どおりやってかまわないと御理解になっていらっしゃいますか。
  34. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 お察しのとおりに、私どもは直接には国立学校しか持っておりませんから、地方の学校の先生方について話を及ぼしますことは、実は権限逸脱になるわけでございます。しかしながら、実態は、いまおっしゃるとおり、これは当然波及する形になるであろうという推測はつきます。私どもの立場から言いますと、意見書の中に十分書き込んでおりますように、学校の先生方の職務あるいは仕事の特殊性ということを深く勘案した結果、今回の措置が適当であろうと考えたのでございますからして、同じ仕事に同じ特殊性をお持ちになっていらっしゃいます地方の先生方について、もこれは及んでいくということは、まあ自然な形であろうというふうに考えております。
  35. 木島喜兵衞

    ○木島委員 そうすると、いまの総裁の御答弁で言うと、地方公務員法第五十五条なり、あるいは第二十四条なりの協定事項というものは、削除する、あるいは条例事項であることは削除する、勤務時間は条例事項になっております。勤務時間は交渉事項であり、協定事項になっておる。その他公法の改正もこの場合においてあなたは意味していらっしゃるのですか、いかがです、実態論として波及するとするならば。どうなりますか。
  36. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 地公方そのものの改正がどうなりますか、これは私どもの意見書の中には全然触れておりませんし、政府側から、どういう法律案の形で、どういう条文でそれが出るかということは、私どもとしては知り得ません。また、知りません。しかしながら、考え方の筋といたしましては、国の公務員である国立学校の先生方についてわれわれの考えておりますところは、先生方のお仕事というものが当然同じ性質である以上は、地方の先生方にもこれは及ぶということは自然であろうということを考えておるわけでございます。私どものお預かりしております国立学校の先生については、先ほどもちょっと解れましたように、労働基準法関係というのは二十何年前に訣別をしているわけです。労働基準法から離れておるわけです。そうして、われわれが一手にこれをお預かりして、そして今日まで御承知のように何のトラブルもなしにきておるというわけでありますから、これは地方の先生方に及んだからといって、そうたいへんなことになるというふうには実は考えていませんけれども、それから先のことは、私としてはよけいなことなんで、これは寝言としてお聞き取りいただいてけっこうであります。
  37. 木島喜兵衞

    ○木島委員 先ほど私は、労働基準法三十六条の精神というものを十分に理解をしてこの意見書をつくったか、-国家公務員はおっしゃるとおりでしょう。けれども、地方公務員は実態として及ぶことをいまの御答弁のとおり自覚していらっしゃる。そうすると、地方公務員は、地方公務員法第五十五条によって交渉事項であり、協定事項であるという勤務時間のことをきめておることは、少なくとも労働基準法三十六条の精神がここにうたわれておるわけでしょう。とするならば、実態は地方公務員の教員にも及ぶことを知りながら、それを私は知らない、そんなことまで実際に知らないで勧告をしたとおっしゃいますけれども、それでは済まされないのではないですか。実態は及ぶことを知っておる。地方公務員の教員にも実態が及ぶ。しかも、その地方公務員の教員には、労働基準法三十六条の交渉なり協定を法律にうたっておる。それが実態として国家公務員と同じようになくなっていけばこの法律がなくなってくる。すなわち基準法三十六条の精神というものが、いや精神だけじゃない、実態というものが、地方公務員法の改正をしなければならなくなってくるということを知らないで出したということは不見識になりませんか。
  38. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 知らないでというのもこれはちょっと不見識で、確かにおっしゃるとおりでございまして、推測しつつ、ただこの法案がどういう形になるかその内容は知りませんということを申し上げたわけです。まだ出ておりませんから、知らないことはちっとも恥ずかしいことではないと思いますけれども、しかし、いずれにせよ、私どもとしては、及ぶ可能性というものは十分意識しながら意見書をお出し申し上げておる。及んだ場合に、非常な御迷惑がかかるか、たいへんなことになるかどうかといいますと、先ほど来申しましたように、国立学校の先生といえども、これはやはり憲法上の保障を持っておられる二十八条の勤労者であります。その意味では私どもは公立学校の先生と国立学校の先生と、その立場においては全然変わらない大事な方々であると考えております。それにもかかわらず、すでに労働基準法の三十六条とは前に分かれておる。労働基準法から分かれてしまっておる。それで、そのかわりに中立機関として私どもの人事院が公正の立場からこれをお預かりして、諸般の規制をしておるということでございますから、そしてその間たいした不祥事も起こらないでできておるということを踏まえますと、これが公立学校のほうへ及びましても、そうどえらいことにはならぬのじゃないか。国立学校の先生についてはいままで無事にきておるのです。全然無事にきておるのですから、そう思うのも間違いはなかろうというふうに考えます。
  39. 木島喜兵衞

    ○木島委員 この際、労働大臣あるいは労働基準局長にお聞きしたいのでありますけれども、実は中央労働基準審議会の石井照久会長から二月十三日付で労働大臣あてに本問題についての建議がなされております。本日参考人として呼んだのでありますけれども、何か卒業期を控えておる大学の都合でもってどうしても出席できないというお話であります。それで、その建議の解釈について、私、実は昨日電話でもって直接お聞きいたしました。そのことは、同趣旨のことを労働省にも話してあるからというお話でありましたので、その点は確認の意味でお伺いしたいと思うのであります。  この労働基準審議会の建議は満場一致でもって通っておりますので、実は本日、私の会長に聞いたことが正しいか正しくないか、私が正しく表現しているかいないかということを含めまして、実はこの審議委員の一人に傍聴に来ていただいて、私を証明しようと思って、実は来ていただいておるのでありますが、その点について、昨日私がお聞きした範囲においては、「勤務を」「命じうる職務の内容及びその限度について関係労働者の意向が反映されるよう適切な措置がとられるよう努められたい。」と建議の第二項ではいっておりますが、その解釈は、労働基準法三十六条の精神を踏まえて、三十六条の規定どおり、ないしはそれに近い方法という意味である。労働者の意向が反映される適切な措置とは、政府にまかせるが、その措置は法律を含めて何らかの根拠を持たせるべきであると考えるというお答えを、きのう石井会長から電話でもってお受けいたしました。そのことはまた労働者にも伝えてあるというお話でございますけれども、そのとおり理解をしてよろしゅうございますか。
  40. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 お答えを申し上げます。  ただいまの先生の御指摘の第二項は、まさにお読みになったとおり書いてございます。それは、審議の過程におきましていろいろな議論がございまして、労働省といたしましてはこの問題は……(木島委員「労働者じゃありません。審議会の……」と呼ぶ)労働基準法を審議する基準審議会といたしましては、超過勤務制度がなじまない、これをはずすという場合に、実質的に、しかし基準法のたてまえは勤労者の保護をはかるというたてまえであるので、その精神がたとえ法律的にはずされても生かされるようにしなければならない、そういうたてまえから、いま仰せのような趣旨で審議会としては御決定になった、こう理解いたしております。
  41. 木島喜兵衞

    ○木島委員 さらに、石井会長から、いま人事院総裁にお聞きしたような、地公法との関係については、人事院の意見の申し出は、国家公務員たる教員についてのみ出されたものであるが、実際には地方公務員である教員にも効力は及ぶ。したがって、法律の出たとき、その関係について審議会として、考えねばならぬ場合がある、よろしゅうございますか。法律が出たとき、その関係について審議会として考えねばならぬ場合があるという石井さんのお電話でございましたが、それもそのように確認してよろしゅうございますか。
  42. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 審議会は十二日に行ないましたので、その段階ではまだ正式な法律案が出ておりません。したがって、その段階においての審議でございますので、法律が出た暁には、その段階でもう一度どうこうせられるかは、それは審議会の御判断によると思います。そのときに、一部の委員の方からは、法律が出た段階において、また審議会としてどうするか考えようというような御意見がありました。それを会長がおっしゃったと思います。
  43. 木島喜兵衞

    ○木島委員 次に、調整額を四%にするという、四%という根拠について承りたいのであります。
  44. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 お答えいたします。  前回に、文部省が国公立を通じまして調査を一年間にわたって行ないましたが、その結果といたしまして四%という数字が出ておるわけでございます。その後において、そういう大きな調査は行なわれておりませんが、私どもが一部について調査しました結果は、大体それと似たような形になっております。もっとも、その後裁判所等で認めました修学旅行、学校行事、それから入学式、そういったようなものだけを摘出いたしますと〇・四%という数字になります。で、私どもとしましては、やはり前回の文部省の大きな調査、信頼すべき調査を参考といたしまして、四%ということにしたのでございますけれども、教員の勤務の態様の特殊性というものを考慮いたしまして、これを本俸で評価するというふうにいたしたのでございまして、そうすればいろいろはね返りがございますので、結果として手当水準とすれば六%になる。これは地方における事務職員の超過勤務手当の予算とほぼ匹敵しているということも考慮してございます。
  45. 木島喜兵衞

    ○木島委員 これはあまり論争するつもりはありませんが、少なくとも時間外労働に関する限りは、文部省は使用者であります。その使用者の調査を基準として、そこから四%をはじき出すということは、いささか不見識であろう。いま人事院も一部の調査をしたとおっしゃるけれども、人事院は昭和三十九年の八月の給与報告のときに、すでにこの勤務時間の問題を触れていらっしゃる。それが今日、八年間たっておる。とするならば、その間に最も科学的であるということを目標にされている人事院が、なぜ人事院独自の調査をなさらないのか。そして使用者側のデータをもってきめるということは、いささか人事院というものの任務について私は疑義を持たねばならぬと思う。このことは、あえて論争いたしません。そういう意味で労働者側はたいへんな不満を持っております。そういう不満の中から発してはならないと思っております、きめ方について。時間ではありません、四%ではありません、データであります。科学的にもっと低いか高いかは別、使用者側のデータに基づくものについては、疑義を持っておるということだけ申し上げておきます。  次に、限度であります。超過勤務をする限度であります。先ほど申したとおり、この意見書には「文部大臣は、人事院と協議して、命じ得る業務の範囲を指定する等その基準を定めなければならない」といっておりますけれども、「命じ得る業務の範囲を指定する等」というその「等」とは一体何が含まれるのですか、最初にまず承っておきます。
  46. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 「等」は、これは基準でございますからして、なるべく詳しく、いろいろなことを十重二十重にきめることが望ましいだろうという含みも持ちながら「等」という字を入れたので、この「等」の字は、決して害のある「等」ではないので、非常にためになる「等」だというふうに御了承願いたいと思います。
  47. 木島喜兵衞

    ○木島委員 業務の範囲というのは、すなわち時間も含まれておるわけですか。
  48. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 これは、文部大臣がどういうことからお考えになって、どういう形のものをわれわれのほうへ持ち込まれますかよくわかりませんけれども、私どもとしては、先生方の勤務は、普通の行政の役人あるいは工場の労働者のように、何時間働いて幾らというような時間計測にはなじまないという前提でおりますからして、非常にきっちりした時間の面からの制約は出てくるかどうか、これはまた文部大臣の御一存によることではありますけれども、私どもの立場としては、そこまでは考えてはおらぬと申し上げてよろしいと思います。
  49. 木島喜兵衞

    ○木島委員 そうすると、いまの最後の御答弁で、超過勤務を命ずることができるけれども、その命ずる量については考えていらっしゃらない。すなわち、無制限の超過勤務命令が出し得る可能性をも含めたものであると理解できますか。
  50. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 それはまた、とんでもないことでございまして、そういうことは許すべからざることだと、これはもう確信しております。
  51. 木島喜兵衞

    ○木島委員 ということは、四%なら四%が、時間外勤務手当のかわりに調整額を出すのだから、その四%が見合う時間を基準として時間外勤務をさせることを人事院は考えておると理解してよろしいのですね。
  52. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 そこがつぼどころでございまして、前に御記憶でありましょうか、昭和四十三年に、政府案がその問題で出たことがあるのです。そのときにはいまのお示しのような考え方で、四%――これは特別手当の形の四%ですから、本俸との関係からはね返りの問題のない四%、このときにはたしかそういうお考えだったと私は思うのです。今度のわれわれの意見の申し出は、そういう趣旨じゃなしに、もっと先生方の勤務の態様、実態というものを深く堀り下げた結果四%、しかもそれは、本俸に対して水増しをする、基本的な水増しとしての四%、したがいまして、先ほど局長が答えましたように、はね返りを入れれば六%というたいへんな額になる。前の政府案よりよほどよくなっているわけで、したがいまして、また、その根本の考え方が前の政府案のときとは違うので、はみ出た分だから何%ということでなしに、先生方は大事な仕事をやっていらっしゃる。勤務そのものの評価をも入れてこの四%、だからはね返りの六%、非常にいいことになった、よ過ぎるという話もありますけれども、私はよ過ぎるとは思いません。
  53. 木島喜兵衞

    ○木島委員 教員の勤務時間を包括的に考え、考えるけれども、勤務時間は一週四十四時間というものを前提にするのでしょう。だからこそ超過勤務の命令をすることができるのでしょう。その命令が無制限に、制限がなかったら無制限になるわけでしょう。制限がないのを無制限というのですね。そうしたら無制限の超過勤務命令が出せるということになりませんか。
  54. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 勤務時間四十四時間というのは、一応のけじめとしてこれはございます。現在も踏襲されております。これは、一般の行政職の場合と同じけじめになっておる。しかし、勤務の実態を先生の場合について見ますと、普通の行政職の人とは違う。たとえば放課後でありますとか、あるいは長い夏休み、春休み、冬休みの間、勤務の密度というようなことから申しますと、しょっちゅう窓口にくぎづけにされておる一般の行政職の人とは断然違う性格のものであります。そういう勤務時間内の問題、それから外の問題、さらにそれに加えて先生の仕事の重要性、専門性というものに対する評価を加えて、すべてを総合した結果が調整額の四%という結論になりましたので、はみ出した分がどうのこうのという立場にわれわれは立ってはいないわけです。
  55. 木島喜兵衞

    ○木島委員 はみ出した部分がどうのこうのということでないと言っても、はみ出す部分があるから超過勤務命令を出すことができると言っているわけでしょう。はみ出すものがあるかないか、そんなものは問題ないと言うなら、超過勤務命令を出す必要はない、この意見書は必要ない。それをはみ出す部分があるから命令をする。その命令を出すことが無制限である、制限がない、ということでは無制限になるじゃありませんか、それを言っているのです。そして、そうなると、無制限に命令を出した校長は制裁を受けないけれども、その命令を拒否したところの教員は、業務命令に違反したといって制裁をされる、処分される、これでは一体どういうことになるのです。この点についてお伺いいたします。
  56. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 大事なところがちょっとすれ違っておるように思いますけれども、私どもは、たとえば超過勤務手当に当たるべきこれだけの額を盛りつけたから、だからその時間はたっぷり働いてもらおうじゃないかというような、そういう根性からこれをつくっているわけじゃない。先生方の仕事の特殊性からいえば、必ずしも、勤務時間の中でも学校内にくぎづけにしなくてもおできになる仕事というのはあるでしょう。お宅に持って帰っておやりになっていい仕事はあるでしょう。夏休みの研修などは、まことにその適例だといえる。夏休みの間、学校におい出になるのは大体三分の二か半分ぐらいで、あとは自宅で研修をしていらっしゃる。そういう勤務時間の有効な、あるいは適切な活用方法ということを片や考えながら教育の実績をあげていただきたいという気持ちでございますから、何時間はみ出したからその分何時間、と同時に今度はそれを翻訳すれば、この分だけ上げてあるから何時間分は絶対働いてくれよというような、そんな根性から出てきておる手当ではないのであります。
  57. 木島喜兵衞

    ○木島委員 総裁のおっしゃることを言うならば、教員には勤務時間というものはないんだという考え方、だから、いまあなたがおっしゃったように、授業を終わったらうちへ持って帰ってもいいとおっしゃっても、それはおっしゃるとおり「承認の下に、学校外における勤務」をすることができる、「承認」でしょう。だから、承認するということは、一日八時間、一週四十四時間というものを前提にする。その週四十四時間を前提にするから、だから超過勤務命令を出すことができるということにつながる。だから、調整額を出す。その調整額は、必ずしも時間とイコールではないかもしれません。とすれば、その命令し得る者は四十四時間をいかにこえてもいいのか、どこかで歯どめが必要であろう、その歯どめがなかったら無制限にできるだろう、そうしたら無制限に命令ができるじゃないかということを聞いておるのです。
  58. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 ある意味の歯どめが必要であろうということは、特にいまの三十六条がかりにはずれるとすれば、その関係からいっても私は大事なことだと思いますから、特にこの意見書にうたったわけです。その点では非常に重要視しておりますけれども、しかし、先ほど来たびたび申し上げますように、従来二十何年来の国立の先生方の勤務の実態、ものすごい超過勤務をしていらっしゃいますけれども、しかし、それはみな自発的にやっていらっしゃる。訴訟になった例もございません。また、無理な超過勤務命令を校長さんがお出しになった例もありませんから、そういう実績からいえば、私どもはそれほど心配することではないかと、少なくとも国立学校の経験からは申し上げられますけれども、しかし、先ほどお話のように、これが地方にも波及する、地方にはまたいろいろな事情があるだろうということから、歯どめはやはり必要だ。ことに、前の政府案についての御審議を承っておりますと、非常に歯どめのところに重点を置いて御議論がありましたから、われわれは誠実にその意を受けて、行き過ぎのないようにちゃんとした歯どめをつくりたい、そういう気持ちのもとにその条項を加えておるということは御了承願いたいと思います。
  59. 木島喜兵衞

    ○木島委員 歯どめが必要である、しかし、時間の制限をしないということでは、全く意味をなさない。ことに労働基準法の六十一条では、女子は超勤は一日二時間をこえてはならないことになっておりますね、これとの関係はどうお考えになりますか。
  60. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 これは文部省で、どういう案でどういう方向にお扱いになりますか、これは今後の法案の問題になると思います。
  61. 木島喜兵衞

    ○木島委員 労働省にお聞きしますが、先ほど言ったとおり、石井会長にお聞きしたところ、この建議の中でもって超過勤務を命令することのできる「職務の内容及びその限度について」という、この「限度」について、会長はきのう電話でこのように言っていらっしゃいます。超勤手当に該当する調整額の四%は六%にはね返るにせよ、その額に相応する時間の限度が法律に含まれない場合も、関係労働者の意向が反映されることを建議は前提としておるとお答えになっていらっしゃいますが、そのように理解をしてよろしゅうございますか。
  62. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 その「限度」ということばを入れましたときの委員会の各委員の御発言の中のいろんなことばを集約されて会長はおっしゃったと思いますが、私どもの総体的な理解といたしましては、職務の内容が一定しても、その内容に該当すれば無制限にいつでもやれるということでも歯どもにならないじゃないかというのが共通の考え方であったと思っております。
  63. 木島喜兵衞

    ○木島委員 それから総裁、これはたいしたことではないのですけれども、「説明」の(一)の「勤務時間の管理」の中でもって「業務の種類・性質によっては、承認の下に、学校外における勤務により処理しうるよう運用上配慮を加え、また、いわゆる夏休み等の学校休業期間については」云々とありますね。これは「説明」にあるけれども、「意見」にはありませんね。これはどう理解したらいいのですか。
  64. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 これは制度的にどうこうという問題よりも、私どもとしては運用の問題だと思っております。しかも運用となりますと、実は文教行政の文部大臣の所管事項にもなりますからして、あまり大げさにそれを意見書の本文の中で書くのもどうだろうか。しかし、いまお目にとめていただいて非常にうれしいと思うのですけれども、「説明」をつけておけば必ず「説明」はお読みになるだろうというほのかなる期待を持ちながら書いたので、目をつけていただいてたいへんうれしく思います。
  65. 木島喜兵衞

    ○木島委員 したがって、このこともできれば法律その他の措置に盛られることを希望していらっしゃいますね。
  66. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 そこまでやぼなことは実は考えておりません。
  67. 木島喜兵衞

    ○木島委員 では、要するに精神規定ですな。法律ないしはその他でもって規定されることを望んでいらっしゃるかというのに対して、それは望んでいないとおっしゃるならば、いわばこれは精神規定ですね。「説明」だけで、何にも影響ないわけですね。
  68. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 これは天下に公表して、議員の先生方のお目にも触れておることであります。いわんやわれわれが自信を持って書いたことでありますからして、何の役にも立ちませんねということは、これはわれわれとしては毛頭考えておらない。相当影響力があるだろうという自信を持っておるわけであります。
  69. 木島喜兵衞

    ○木島委員 そういうのはうぬぼれ過剰になるかもしれません。  いま諸外国では、教員の勤務時間については授業時間だけを拘束するという行き方と、一週四十四時間というものを拘束するという二つの道がありますね。人事院総裁はそのどちらを指向すべきがしかるべきとお考えになりますか。
  70. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 私どもは昭和三十九年の勧告の際に、勧告と同時に報告を出しまして、いまの教員の超勤問題に触れたわけです。実はその延長が今日の意見書になっておるわけでありますが、その報告書の中では、勤務時間そのものの問題もわれわれとしては研究の必要があるだろうという一石をそこに投じておるわけです。しかし、これはなかなか根本的にはむずかしい問題であって、なお、かすに時日をもってしていただきたいということで、なお、われわれとしては懸案にたいしておりますけれども、私のほんとうの個人の気持ちを申し上げることを許されるならば、これはたいへん復古調だといっておしかりを受けるかもしれませんけれども、昔の明治憲法時代の先生方は、大体授業時間というものを中心に働いていらしたように私は思います刀したがいまして、先生の仕事の特殊性、勤務の態様の特殊性ということからいえば、授業時間を一応の限度にするというのも一つの方向ではないかとひそかに思ってはおりますけれども、これはまだ遠い将来の結論に待つべきことであって、いま軽率にここで申し上げるべき階段にはなっておりません。
  71. 木島喜兵衞

    ○木島委員 まだそこまでいっていないということは、今回の意見も暫定的なものだと理解してよろしゅうございますな。元来、教員の勤務の特殊性、特殊性といいながら、まだ十分に検討せねばならない幾つかの問題がある。そういう中でもって出されたんだから暫定的な感じがいたしますが、まあ、時間を急ぎますから……。  総裁、いまの制度の中では、正規の時間外勤務を直接的なり間接的に命じた場合には超過勤務手当を支給せねばならないということをお認めになりますね。
  72. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 これはいま申しました昭和三十九年の勧告の際の報告書でつとに指摘しておるところでございまして、正規の超過勤務命令を出した以上は、それに伴う超過勤務に対しては超過勤務手当を出すのは現行制度であるとはっきり申し上げておるわけです。
  73. 木島喜兵衞

    ○木島委員 おっしゃるとおり法律的にはきわめて簡明なものであります。ところが、現行制度では、支給せねばならないというきわめて簡明なものについて、現実的には行政当局によって無視されて、対価なき労働がしいられてきたというのが現状だろうと思う。だからこそ、文部省の四%の基礎になったところの調査も、そういう超勤をやっておるという事実に基づく。そういうものを人事院も認められたからこそ、また今回調整額の――これはすべてであるかどうかは別としても、超勤を現にやっておるという事実を認めて出されたんですから、今日までの、現在の法律の中では、超過勤務手当を出さねばならないという仕組みの中でもって出しておらないという行政当局に対して、人事院とすればどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  74. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 これはたてまえ論としてはきわめて簡単明瞭でございまして、超過勤務命令を出さない、自主的、自発的に働いてくださったのだといってしまえばそれっきりのことなんですね。しかし、御承知のように裁判では、超過勤務命令は、正規のものは出ていないけれども、実質的には、こういう場合については確かに超勤命令があったと見るべきだというのがいままでの判決。これは最高裁でどうなるかわかりませんけれども、そういう見方も確かにある。幸いにして、私どもお預かりしております国立学校の場合においてはそういう深刻な問題はございませんから、そう深く考えたことはございません。
  75. 木島喜兵衞

    ○木島委員 この説明に、「とりわけ超過勤務手当制度は教員にはなじまないものと認められる。」と断定をしていらっしゃいます。この断定をしていらっしゃる根拠をお聞きしたいのでありますけれども、少なくともなじむものとなじまないものがある。すなわち測定できるものと測定できないものがある。したがって、測定できないもの等も含めて、それは四%がしかるべきか、あるいは三%であるか、六%であるかは別として、なじまないものは、先ほど総裁がたびたび言われるように、そういう本俸的な調整額にして、そして測定できるもので四十四時間をこえるものがあったならば、それはそれなりに、一日八時間をこえる場合は超過勤務手当を出すということがなぜできないのですか。その点をお聞きしたいと思うのです。
  76. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 普通の勤務時間からはみ出した分だけについて、ストップウォッチを片手に持って、そして何時間になったというようなことで、それははかれないことはないと思います。職員会議のごときは五時から七時まで続いたというようなことで、はかれないことはないと思いますけれども、そういう区々たる、片々たる現象をとらえてこれは論ずべき問題ではないと思う。先生の特殊性、勤務の特殊性ということから申しますと、勤務時間の中にわたってもいろいろと特殊性がある。内外にわたっての特殊性ということを考えなければならない。そういう大局的な立場から見れば、先生のお仕事というものは、普通の工場労働者がコンベヤーがとまるときまで、コンベヤーがとまったあとまでというような、そういう時間計測などで処理すべきものではないんだ。そういう専門性を持った特殊の勤務であるというふうに把握するのが正しいので、片々たる事象をとらえて、これがどうだ、あれがどうだということではっきり話のつくような性格のものとは言えないというのが基本でございます。
  77. 木島喜兵衞

    ○木島委員 いまおっしゃる、そういうことだから、だから無制限に超過勤務命令が出せるという可能性をまた秘めておるということになる。少なくとも、文部省の調査でも、あるいは今回のきめられるであろう超過勤務命令を出す項目等は測定できるものが命令されるのでしょうから、そういうものは測定できる。できるのだったら、それをなさることが正しいのだと思うのです。  長い時間、あるいは多くの労力、あるいはたくさんの金をかけて、実はいま多くの裁判が行なわれております。そして、その結果、たとえば先ほどおっしゃったように、職員会議あるいは文化祭、体育祭あるいは修学旅行、遠足というように、裁判もそれを認めてきておる。そのように認めてきておる、測定できるものにはなぜ超過勤務を出さないか。そして測定できない、なじまないものは調整額として出す。そういうことが一番科学的だと思うのですが、それがなぜできないのだろうか。なぜかと申しますと、先ほどちょっとおっしゃいましたけれども、昭和二十三年ですか、教員には二号俸加増して、そしてこの超過勤務を命じないことにした。それ以来教員というものには時間外勤務はないのだという前提に立っているけれども、また、一方においては、家庭であるとか、校外へ出るとかいう、そういうことだけに目を向けられて、いわゆるあなたのおっしゃる測定できないもの、なじまないものだけに目を向けて、そしてそれが教員の勤務の特殊性だというほうにきておるところに私はむしろ問題があると思う。そういう意味では、私は、そういう二面を考えるべきだという主張をしておきます。  時間がありませんから最後を急ぎます。  総裁、この問題は、一つは教員の勤務条件の問題でありますけれども、長い期間、ある意味では政治問題になってきております。これは、時間的に言うならば、四十一年に、先ほどおっしゃったとおり、文部省は超過勤務手当を出すという前提のもとに超過勤務の調査をしました。そして四十二年には、当時剱木文部大臣だったけれども、衆参の文教委員会の中で再三にわたって、四十三年度から超勤手当を支払うということを言明をし、そして四十三年度の概算要求に、超過勤務手当として六十三億を要求した。それは支給をするという前提に立っておった。つい三、四年前であります。ところが、その後に聖職論が出た。そして、このことが――四十三年の国会のときに先ほどお話の教特法が出た。そのところから、実はこれが政治問題化してきておる。もちろん総裁は、そのことは別として純粋にこれを考えたとお答えになりましょう。けれども、そういう背景があって、これが政治問題化してきておる。このことを十分に理解しなければならぬだろうと思うのです。だから、私は、そういう意味で、今回の意見書というものがなぜこの時点に出されたかということについても疑問に思うのです。一つは、元来、人事院から勧告なりが出て、それによって予算づけがされる。ところが、今回は予算が出てからこの意見書が出た。しかも、それは政府の考えている内容とほぼひとしい。その四%というものをまた文部省の調査に基づいてなされておる。そういう意味では、内容的にも文部省に追従した意見という印象はどうしてもぬぐえない。そうなったのでは、人事院というもののあり方にまで問題が出てくると思うのです。そういう一方におけるところの聖職論に人事院はくみしたのだろうか。あるいは、労使の中立的な立場にある人事院がその一方にくみしたのだろうか。政治的な紛争の中に巻き込まれて政府の方針に一致さしたのだろうか。いま裁判が行なわれております。そして静岡での裁判は、やがて最高裁の判決が出ようとしている。それはまた、超過勤務手当を支払えという命令が出ることがほとんど確実だと言われておる。そういう中でなぜ出たのだろうか。文部省とすれば、つい三、四年前までは超過勤務手当を支払いたいと考えておった。それがいま裁判になる。裁判は争いであります。争いでありますから、それは支払わないでいいという理屈をつけるでしょう。そういうことは、いま、しかし、その文部省が負けておる。負けそうになる。そういう敗者が、気持ちからすれば、判決が出たときには、教員には超勤がなくなったというところのものをつくっておけば、判決が出ても実害がなくなってくる。そういう計算もあるのではないかと予想することも無理はないのだろうと私は思うのです。とするならば、そういうことまで、敗者の感情にまでくみしたのだろうかという気がするのです。そういう点、そのようなことがないんだとはっきりとおっしゃいますか。
  78. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 たいへんわが意を得た御質問で、うれしく思いますけれども、確かにそういう見方も可能であると思います。ある新聞にはそういうことらしいことを書かれた新聞もあります。また、しかし、一方においては、これは聖職論と労働者の中間をうまいところをとったなというような社説も批判も出ている。そういういろいろな批判のあるところがわれわれの商売のいいところでございまして、給与勧告にしましても、組合の方々は不満だと言われる、大蔵大臣は失神をされるというような、これは常にそういう波乱はつきもので、大蔵大臣が失神されようと何しようと、われわれは正しい勧告は申し上げるということで立場を貫いておるわけです。  これは最初にだれが手をつけたかということをいえば、たびたびさっきから申し上げておるように、一番先に手をつけたのは私どもなんで、昭和三十九年につとにその問題を指摘している。検討の要あり。そして、さっそくそのときの文部大臣の中村さんのところへ私が行って、こういうことをぶち上げた。ひとつ教員の勤務状態の実態を調べてほしい、われわれは国立学校しか持っておらぬので、多くの地方の先生方のことはわからぬから、文部省でうんと予算をお取りになって、徹底的に調べてくださいということを頼みに行ったのも私なんです。それによって、先ほどお話しの四十一年の文部省の調査が出た。この調査についても、文部省の独善だとはおっしゃいますけれども、われわれのほうとしてもしょっちゅう注文をつけて、こういうことをこういうふうに調べてくれ――しかし、また、それでなおかつ足りないものですから、私どもは、先ほど触れたと思いますけれども、国立学校に関しては私ども独自の調査をやった。先ほど調査についての御批判がありましたからついでに触れておきますが、言い出しっぺは私どもである。そのあといち早く政府案が出ましたけれども、その政府案をさらに抜本的に根本から検討した結果、先ほど来るる申しましたように、形は四%という形、似た数字が出ておりますが、基本的な考え方は全然違うということを御了承を願いたいと思います。
  79. 木島喜兵衞

    ○木島委員 たとえそうであろうとも、今回は、少なくとも予算が出てから勧告をされた意見書を出された限りにおいては、文部省の方針を追認されたという印象はぬぐいがたいと私は思うのです。私は、もしもそうであるとすれば、教育基本法第十条とも関連すると思いますけれども、これらについてはもう申しません。  そこで、労働省にお聞きしたいのでありますけれども、先ほどから繰り返して申しますように、石井会長は、先ほど出ましたところの建議の第一項について、「労働基準法が安易にその適用が除外されるようなことは認めがたい、人事院の意見であるから人事院の権限外とは言わないが、法律が出たとき、建議の二項が生かされているかいないかを見守りたい」と言っていらっしゃいますけれども、その審議会の意向はそのように間違いございませんか。
  80. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 いま御指摘のように、審議会では実態的な問題と手続の問題とを議論がございまして、いま御指摘の第一項は基準審議会に対する手続上の問題でございました。そのときの大勢の意見は、ただいまおっしゃいましたように、基準法が実質的に適用になっているのが他の法律でいろいろはずれていくということについては、審議会としては重大な関心を持つ。そこで、この問題につきましても、現段階においてはいまのようなことで意見を出すが、それがどういうふうに実現されていくかは重大な関心を持っていく、こういう趣旨の御意見が大勢でございました。
  81. 木島喜兵衞

    ○木島委員 労働大臣、あなたの諮問機関である中央労働基準審議会が、先ほど何回か私が聞いたところのような結論を出していらっしゃいます。その点をもとにして、これが法律化される立案過程において、あなたは、その趣旨を十分に理解して、閣僚の一員として努力なさることをわれわれは信頼してよろしゅうございますか。
  82. 野原正勝

    ○野原国務大臣 その考えで進めたいと思います。
  83. 木島喜兵衞

    ○木島委員 ちょっと時間がありますけれども、あとの問題は少し別の問題に入りたいと思いますけれども、時間が中途はんぱになりますので、ちょっと早いですけれども、以上でやめます。  どうもありがとうございました。
  84. 坪川信三

    ○坪川委員長代理 これにて木島君の質疑は終了いたしました。  次に、河村勝君。   〔「要求大臣が来ていない。」と呼ぶ者あり〕
  85. 坪川信三

    ○坪川委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  86. 坪川信三

    ○坪川委員長代理 それでは速記を始めて。  河村勝君。
  87. 河村勝

    ○河村委員 私はきょうは、非常に立ちおくれている社会資本のおくれをどうやって取り戻していくかということについて、政府の基本的な考え方を伺いたいのと、いま一つは国鉄再建問題をお聞きしたいのでありますが、その前に、社会資本の問題に関連をいたしますが、いま問題になっております国有農地の旧地主に対する払い下げについて、農林大臣並びに法制局長官にお尋ねをしたいと思います。  もうすでにこの委員会でも同僚議員から取り上げられております。また世間のごうごうたる非難は十分農林大臣もお聞きであろうと思います。われわれの感じでは、最高裁の判決がなるほど出たけれども、それを奇貨として、もうさっそくああいう措置をきめて閣議決定したと、何かそういう感じが非常に強いわけであります。その点を非常に怒りを覚えるわけであります。  問題は三つありまして、大切な国有財産である土地を安直に処分をするということが一つと、二つ目は、それが公共目的に使われるという保証がない。しかも二円六十銭というような非常な安い値段で、ただ同然に払い下げられる、この三つが問題なのであります。そこで、まず先に農林大臣から、もう閣議決定などというものに拘泥せずに、この辺でもって、この三つの問題点があるわけですから、どれかでも一つ片づけて国民の期待にこたえるという気はおありにならないかどうか、それを最初に伺います。
  88. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 お答えいたします。  この事件につきましては、もうすでに伝えられておりますように、昭和四十一年にも同じようなことにおきまして、政府で政令についての決定をいたそうとしたときもございますが、ただいま河村さん御指摘のように、いかにも二十数年たって事情が変化しておるのにおかしいではないかという空気も世間にもたくさんありましたし、一般の市民感情もそうでございましたので、慎重に検討をしようということで、当時私農林大臣でありましたが、政府としてはさらに検討を重ねるということをいたしておったわけでありますが、その間、政府を相手にいたします当該案件に関する訴訟が提起されて係属いたしておりました。それが本年一月二十日に最高裁の判決が下ったわけでございます。そこで、あとで法制局からお話があるかもしれませんが、政府といたしましては、この最高裁の判示の中で、われわれが法第八十条に基づいて行なっております政令に対しては、「令一六条四号の場合にかぎることとし、それ以外の前記のような場合につき法八〇条の認定をすることができないとしたことは、法の委任の範囲を越えた無効のものであるというのほかはない。」と、こういうきわめて明確な判示をいたしておりますので、行政府といたしましてはやはりこの判示は尊重しなければならない。  そこで、ただいま御指摘のように、私どもも、一般の市民感情といたしましても、何となくあと味が悪い感じがいたしまして、何とか手はないかと一応われわれとしても考えてみたのでありますが、ただいま申し上げましたような経過でありますので、この趣旨を尊重して従わざるを得ないということでありますが、そこで実は、農林次官を中心にいたさせまして関係各省の事務当局に集まってもらいまして、最高裁の判決が出たのでこの土地については旧地主に売り渡しせざるを得なくなったが、こういう性格の土地であるので、これをひとつできるだけ公共の用に供し得るように各省研究をいたして、その考え方が出たならば、われわれのほうから旧地主にその旨を伝えて、そして国全体の公共の用にひとつ出してもらうようにしようではないかという方針をきめました。どうもいろいろ努力いたしてみましたけれども、行政府としてはやはりこの程度のことが最善のやり得る手段ではないかと、こう考えていたしておるわけであります。
  89. 河村勝

    ○河村委員 法制局に伺います。  この最高裁の判決は、なるほど国に対して売り払い義務は認めているけれども、少なくとも価格については触れていない、そういうことでよろしいですね。
  90. 林信一

    ○林政府委員 お答えいたします。  判決の文書におきましては、価格の点については触れておりません。   〔坪川委員長代理退席、委員長着席〕
  91. 河村勝

    ○河村委員 価格の問題には触れていないのです、法制局の解釈からいっても。よろしいですか。時間の節約上、農林大臣に対する質問はあとにして法制局に続いて伺いますが、あなたは土地収用法百六条の三項というのを御存じですか。
  92. 林信一

    ○林政府委員 承知しております。
  93. 河村勝

    ○河村委員 この土地収用法の百六条というのは、これはやはり国または国に準ずるものが強制的に土地を買い上げたものですね。それで、やはりこの農地法の八十条と同じように、支払った補償金に相当する金額を土地の所有者に提供してその土地を買い受けることができる。要するに収用したときの価格ということに一応なっていますね。だけれども、第三項に参りまして、「第一項の場合において、土地の価格が権利取得裁決において定められた権利取得の時期に比して著しく騰貴したときは、収用地の現所有者は、訴をもって同項の金額の増額を請求することができる。」こうなっていますね。これはいわゆる事情変更の原則を法律に明示したものだと考えてよろしいですね。
  94. 林信一

    ○林政府委員 お答えいたします。  事情変更の原則と申しますのは、通常契約法上の理論として論ぜられておることでございまして、公法の関係におきましては、それを類推といいますか、援用いたしましたような特別な立法がされておるという例はございます。ただ原則は、あくまで事情変更の原則というのは契約法上の議論である、あるいは国際法――これは条約でございますが、契約に準ずるものとして大体同様な議論がある。ただ、おっしゃいますように、百六条の場合におきましては趣旨は似ておるということは申し上げられると思います。
  95. 河村勝

    ○河村委員 この最高裁の判決は、この国の売り払う行為は私法上の行為である、こう判決が言っていますね。ですから、明らかにその事情変更の原則が適用されてしかるべきものですね、最高裁の判決は。どうですか。
  96. 林信一

    ○林政府委員 最高裁の判決が事情変更の原則を取り上げておるわけではもちろんございませんが、いまの土地収用法の百六条の規定が、本件の場合、買収しました農地を売り戻す場合に適用があるかどうかという問題はあると思います。しかしながら、農地法と土地収用法の規定を比べてまいりますと、農地の買収も一種の収用でございますが、農地法自体で相当完結した規定を持っておるという点からいたしまして、特に百六条と八十条と比べてみますと、どうも百六条に対して特異な規定と思います。したがいまして、百六条の三項のような規定が、はたして農地の場合に類推適用といいますか、直接適用はないと思いますが、されるかどうかについては相当疑問があるというふうに考えております。
  97. 河村勝

    ○河村委員 あなたのような返事が、それは三百代言と、こういうのですね。国が強制的に買い上げたという点においては、土地収用法の土地収用の場合においても、この農地の強制買収においても、何ら変わるところはない。しかも最高裁は、この売り払い行為は私法上の行為だと言っている。それで土地収用法には、この事情変更の原則に該当する条文が明示をされておる。しからば農地法の八十条においては、この事情変更の原則というものは明示はしてなくとも、信義誠実の原則に基づいて当然類推解釈をしてしかるべきものだ、そう解釈できますね。どうですか。
  98. 林信一

    ○林政府委員 私どもも、百六条が類推適用があるかどうかといろいろ検討はいたしましたが、百六条は「訴をもって」ということになっております。したがいまして、この訴えということになりますと、はたしてそういう特別な訴訟制度そのものを類推適用というようなことでいいのかどうか。特に裁判所法は、裁判所は、裁判所法に定めた権限のほかに特に他の法律できめた権限を有する、というふうに言ってございます。また、この訴えは実は形成訴訟でございまして、形成訴訟は特別の法律の規定が要るということでございますから、もし同じようなことを規定するならば、特別な法律の規定が要るのではないかというのがわれわれの考えでございます。
  99. 河村勝

    ○河村委員 では、少なくとも八十条を改正をして、時価あるいは時価による、あるいは時価を考慮してきめるというようなことを書くことは最高裁の判決と矛盾をしない、これだけは間違いありませんね。
  100. 林信一

    ○林政府委員 八十条を改正いたしまして、事情変更の考え方を援用いたしまして、土地の値上がりに応じた価格で売り戻すというようなことは考えられると思います。ただし、その適用におきまして、すでに権利が発生したものに対してまでこれを適用し得るかどうかということについては相当問題があるのではないかというふうに考えております。
  101. 河村勝

    ○河村委員 事情変更の原則というのは法律を改正しなくとも存在をする。ただそれを明文化をするというだけですから、現在の権利者に対する権利の侵害にはならない、そう考えるのは当然でしょう。そうじゃないのですか。
  102. 林信一

    ○林政府委員 先ほど申し上げましたように、事情変更の原則は契約法上の原則でございます。私法上の行為だと――売り戻しは私法上の行為には相違ございませんけれども、それ自体が契約というわけではございません。国が義務づけられて売り戻さなければならない、こういう関係になりますので、その条件その他は法律できまるということでございます。したがいまして、事情が変わりましたので法律を変更いたしますということになりましても、それは今後売り戻しの請求権を取得する者についてはいえることでございますが、すでに権利の発生した者、最高裁の明らかに判示されますような意味におきまして、すでに権利の発生しました者に対して、はたしてさかのぼって事後法でそういう関係の修正ができるかどうかということにつきましては、若干疑問があるというふうに存じております。
  103. 河村勝

    ○河村委員 そんなばかな議論があるものですか。事情変更の原則というのは、すでに権利の発生している者に対して適用があるのですよ。これからの問題じゃありませんよ。それは土地収用法の場合でも同じでしょう。あなたと議論しても、幾らやってもしようがない。結局、苦しまぎれにああいう答弁をしている。これは閣議で決定したから、閣議の決定にはさからえないという運命にあるからしかたがないのでしょうけれども、農林大臣、いまお聞きになっていても、少なくとも、法律を改正して、それで時価ないしは時価を考慮してきめるということはできるのですよね。ひとつおやりになる、提出する気はありませんか。それでなければわれわれのほうがつくってもよろしいわけですけれども、いかがですか。
  104. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ただいま伺っておりましたが、農地法第八十条二項の「その買収の対価に相当する額」と申しますのは、国が売り払いを行なう場合に受ける対価の金額について規定いたしておるのでございまして、国が買収をするわけではないので、売り払いの場合の対価の規定のしかたといたしましては、「買収の対価に相当する額」これは御存じのようにそういう文言があります。この「相当する額」という文言を用いたのは、そういういま私が申した趣旨であって、つまり額において買収対価と同額の金額をさすものと私どもは理解をいたしておるわけであります。このことは、御存じのように八十条同項のカッコ書きに、「耕地整理組合費を国が負担したときは、その額をその買収の対価に加算した額」と、こういうふうに書いてありまして、カッコ外の「買収の対価」という文言をそのまま引用しているところから、文理的に明白であると考えられるのでございます。  したがって、ただいま事情変更の原則等についてのお話がございました。しかし私どもは、先ほど申し上げましたように最高裁が、私どもが法に基づいて決定いたしておりました令第十六条について、これは無効のものであるという趣旨の判断をいたされた直後でございます。したがって、これに違った趣旨の法律をここで立法するかどうかということは、これはきわめてむずかしい立法政策上の問題でありまして、政府といたしましては、ただいまそのようなことを考えておりません。
  105. 河村勝

    ○河村委員 大臣、あなたの答弁は違うんです。私はいま価格の問題を言っているのでして、最高裁の判決も、価格については触れていないと法制局でもはっきり言っていましょう。土地収用法の百六条の三項には、ちょうど同じような場合に、やはり前提は、昔支払った補償金に相当する金額ということにしておいて、しかし、その後に著しい地価の騰貴があった場合には増額を請求できる、こういう明文があるのですよ。ですから、同じことがなぜ農地法だからできないのですか。そんな理屈はないでしょう。
  106. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 この裁判所の判示にあります対価といっておるのは、当時の対価と同じと私どもは理解いたしておりますので、したがって、もし先ほど来お話しのようなことを考えますとすれば、事情変更の原則等盛り込んだ、つまり価格の変更を生じるような法制をつくらなければならないことになるんだと思います。そういうことは、この判示の趣旨とは違うと考えられますので、私どもといたしましては、ただいまそのようなことを考える余地がないわけであります。
  107. 河村勝

    ○河村委員 あなた、何べん言ってもわからないのですか。法制局がちゃんと、最高裁の判決は国に対して売り払い義務は認めたが、だけれども、価格については何ら触れておらないと返事しているでしょう。法制局と農林省とは意見が違うのですか。
  108. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 最高裁の判示の趣旨は、買収した当時の対価で払え、売り渡せというふうに指示いたしておると私どもは理解いたしておるわけであります。
  109. 河村勝

    ○河村委員 これは総理大臣がおられないから結論が出ませんけれども、じゃ法制局と農林省と完全に意見が違って、法律の専門家のほうがうそを言っている、こういうことになるわけですか。
  110. 林信一

    ○林政府委員 先ほど最高裁の判決が、文書の上においては価格に触れておらないというふうに申し上げたわけでございますが、ただ、最高裁の判決によりますと、自作農創設等の目的に供する必要がなくなった農地につきましては、もう法律上当然に政府に対しての、自分に売れという権利が生じているんだ、政府はそれを拒めないというふうに示してございます。そういたしますと、その権利の発生、つまり現時点におきましてすでに発生いたしました権利は、何によって生じたかということになりますと、八十条といわざるを得ないわけでございます。それも権利発生当時の八十条、こう考えるのがすなおでございます。したがいまして、判文そのものには触れておりませんが、最高裁の判決を適用いたしますと、その結果としていまのように相なる、こういうことでございます。
  111. 河村勝

    ○河村委員 もしあなたの言うとおりだとするならば、土地収用法百六条は、これはやはり無効とみなすべきものだということになりますが、そういうことですか。全く同じ性格でしょう。
  112. 林信一

    ○林政府委員 土地収用法の百六条は、いまの収用法ができましたときに新たに設けられた規定でございまして、その前にさかのぼるというような規定ではない。その後生じた買い戻し権につきまして、起業者が増額請求の訴えを起こすことができる、こういう制度をつくったわけでございます。今回農地法を改めてそういうと規定を入れるいたしますと、それはやはりその改正後権利が生じた者に対して適用されるべきものであるというふうに考えます。
  113. 河村勝

    ○河村委員 あなた方は、とにかく理屈に合わなくても何でも、もう変えないんだという態度でここに出てきているわけですね。それじゃ一体何のためにここで議論しているんだかわかりませんよ。国民世論はごうごうたるものがある。いま法律論をしたって、これはほかの方が聞いていればすなおに納得できるだろうと思うのです。土地収用法にはちゃんとこういう事情変更の原則が明示してあって、地価が騰貴したら増額請求できると書いてある。事情変更の原則というものは元来明示がなくても、それは信義、誠実の原則のもとに生かされるものだから、農地法八十条は改正しなくたって、これを類推適用すべきものなんですよ。だから現に生きているんです。私は、あなた方が法律を改正しないとできないようなことを言うから、妥協的に法律をつくってもということを言いましたが、これは常識的に明確でしょう。それすらもやらないということになったら、これはもう完全に旧地主と何かくされ縁でもあってやっている以外に何ものもないと言う以外にありませんよ。もう一ぺんひとつ考えてください。農林大臣いかがですか。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕
  114. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 冒頭にも申し上げましたように、私どもといたしましては、今回の判決をそのままに実施していくということになりますと、今日の状況から見て、市民感情としてもまことにあと味の悪いものが出てくるんではないかということについて、それなりにわれわれはいろいろ苦労してみたわけでありますが、やはり先ほど来申し上げておりますように、私どものやっております法八十条に基づく政令十六条が、無効であるというような明確な判決を最高裁がいたしました限りは、やはりこの趣旨を尊重せざるを得ない。  そこで、何とかしてやはり実質的に目的を達成する方法はないかということで、先ほど申し上げましたように、政府側から旧地主に向かって、こういう状況になったが、公共用に供するように協力をしてもらいたいということの努力を続けようではないか、こういうことにせざるを得なかった。それが最大の努力のでき得ることでありまして、河村さんの御指摘になりましたような法改正の必要あるいはその他のことについても、いろいろ考えてみておりましたけれども、今日ではそういうことについてはなかなかむずかしいと、こういうふうに判断をいたしておるわけであります。
  115. 河村勝

    ○河村委員 幾ら押し問答をしてもしかたがないからやめますが、しかし、最高裁はおそらくおこりますよ。最高裁は売り払い義務は確かに認めたけれども、価格のことは何も触れてないのですから、最高裁はたいへん迷惑すると思うのです。最高裁が、政府が変に解釈したおかげで、国民の恨みを買うということになるのですからね。ですから、もう一ぺんあなたは御検討をいただきたい。あなた方、いままで土地収用法百六条御存じなかったでしょう。こういうものがちゃんとあるのですよ。もう全く同じ性格のものにちゃんと、少なくとも価格については時価でやれるような規定があるのですからね。ですからもう一ぺん考えてください。もう答弁はいいです。われわれはわれわれで、別の行動によって政府のこういう悪政を阻止することに努力をいたします。  それじゃ、時間の都合もありますから本題に入ります。初めに大蔵大臣にお伺いいたします。  社会資本が、日本の場合たいへん立ちおくれて、それをどうやって整備をするかがこれからの大問題と思います。ところが、ことしの総理大臣の施政方針演説を聞いておりますと、私は、何か政府が急に土建屋になっちゃったんじゃないかとうい気が非常にするわけであります。というのは、所信表明の中で、日本列島の未来図というものを描き出して、新幹線鉄道網をつくります、青函トンネル、本州四国架橋、それから空港、港湾、通信のネットワークをつくります、それによって日本列島の再編成をやるんだということを高らかにうたい上げております。もちろんそのあとで、住宅の第二次計画それから下水道計画なども触れておりますが、どうも全体のウエートが大きなプロジェクトをつくることに、それ自体が目的なような感じでありまして、私も、今後公害なき成長をやろうとするからには、高速交通、通信網を整備して、それによって日本列島の時間的距離を短縮をして、それをもとにして国土全体の有効利用をはからなければならぬ、それが前提であるということは、私も同様の考えであります。だけれども、それには、前提として住宅とかあるいは下水道とか、そういう生活関連の社会資本の充実をおくらせないで、それをきちんとやって、それと並行してこうした大きなプロジェクトを遂行するという計画性がなければならぬ。もう一つは、単にこうしたプロジェクトをつくるだけでなしに、全国土を有効利用しようとするからには、ほんとうに計画的に土地が利用できる体制がなければならぬ、そう思うわけです。  そこで大蔵大臣に伺いたのですが、今年度の予算を見ておりますと、公共事業費が、一般会計で対前年一九・七%増、それから財投でも一九・五%増、確かに昭和四十年度以来の伸び率であるし、中身もかなりのものだと思うのです。ただ、その打ち出し方がいかにも景気対策、不況対策ですね。景気刺激ということに非常に重点が置かれている感じが強くて、本気にこれから先中期的な目標に向かって、ほんとうに社会資本の充実を進めていく気持があるのかないのかということについては、従来の実績からいってもきわめて疑わしいわけであります。そこで大蔵大臣に、一体これから五年ないし十年ぐらいの目標に向かって、社会資本の充実ということについてどういう考えをもって本年度の予算をお組みになったのか、それをまず伺いたいと思います。
  116. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 社会資本の整備充実は、これはわが国が当面している非常に大きな問題だと思うのです。わが国はいわゆるフローというか、国民総生産、その年々の総生産におきましてはとにかくアメリカ、ソビエトに次ぐ、こういわれているところまできましたが、これらの経済大国に比べますと、基本的に違いますのは、社会資本が足りない、非常に立ちおくれをしておる、こういうことかと思うのです。特に生活環境、また輸送、そういう方面の社会資本がかなりの立ちおくれをしておるのであります。   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕  たとえば、いま御指摘の住宅の問題にしましても、あるいは下水道の問題にしましても、道路の舗装というようなことにいたしましても、計画的に社会資本の整備、推進ということが考えられるようになったのは、やっと戦後になってといって私は過言でないと思うのです。私どもは、そういうことを考えますと、社会資本、これには非常に力を入れなければならぬ。現に力を入れておる。目標も立っております。これは新全総、昭和六十年をにらんで大きなスケールの展望を持ち、それからさらにそれを具体的に少し掘り下げようというので経済社会発展計画、これは昭和五十年までの展望でありますが、これを持っておる。それらをにらみながら、その年々の経済環境の中で社会資本整備計画を進めていく。四十六年度という年は、この数年来初めてというか、景気が落ち込みそうな年である。そういうようなことで、それが逆に社会資本の整備、政府が中心になってそれらの計画を進める上に条件のよろしい年になりますので、先ほどお話がありましたような多額の公共事業費を計上するということにいたしたわけです。  私は、経済社会発展計画あり、新全総がある、こういう中において、それをにらみながらそういう軌道を追っていきますと、大体このビジョンというか、展望が実現できるのじゃないかと思うのです。いま御指摘の公共事業費の量にいたしましても、これはアメリカに次いでわが国では第二の額を投じておるわけです。それから経済力また財政力、その中におけるシェアというか、公共事業費、つまり社会資本のための配分、これは飛び抜けてわが日本は世界第一なんです。伸び率においてはなおさらというか、もうそれ以上に他の諸国を追い越しておるという率で伸びておるわけなんです。ですから私は、いまはおくれておりまするけれども、年次計画を着実に進行していけば、必ずそう長くない時期にわが国の産業環境、生活環境というものは、これはきれいになっていくのじゃあるまいか、われわれの夢は実現されるのじゃないか、さように考えております。
  117. 河村勝

    ○河村委員 絶対量あるいは伸び率はかなり高いでしょう。ですけれども問題は、相対的な問題なんですね。経済成長率あるいは特に民間設備投資との関係でどれだけふえていくかということでなければ、ただ目的のパーセンテージずつ伸びたというだけでは済まないはずですね。政府のいままでのやり方というものは、いまあなたもおっしゃったように、経済社会発展計画をにらんでとおっしゃったが、にらんでおるだけで、全然沿ってはいないのですね。  山口さんにお伺いしますが、第一次経済社会発展計画、ことしで終わった、ここでもっての計画では、民間設備投資の伸び率を九・五%の伸び、それから公共投資、政府の固定資本形成は一〇・九%の伸び率で計画をしてありました。実績はどうなっておりますか、その民間設備投資と公共投資との関係は。
  118. 山口シヅエ

    ○山口(シ)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大蔵大臣のほうからお答え申し上げましたように、新経済社会発展計画では、申し上げるまでもなく充実してまいりました経済力に……
  119. 河村勝

    ○河村委員 数字だけ言っていただけばけっこうです。第一次経済社会発展計画の実績……。
  120. 山口シヅエ

    ○山口(シ)政府委員 失礼いたしました。旧計画では一〇・七、実績が九・八に相なっております。それから名目は一二・五の実績一三・五という数字になっております。
  121. 河村勝

    ○河村委員 どうも何を答弁していただいているのかよくわからないのですが、昭和四十二年から四十五年までありますね。ずっと続いています。そのときに、毎年の民間設備投資はどれだけの伸び率で、公共投資はどれだけの伸び率で進んできたかということを伺っております。かわりでもいいです。
  122. 山口シヅエ

    ○山口(シ)政府委員 計画局長にお答えさせてよろしゅうございましょうか。
  123. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 旧計画におきましては、ただいま先生実質値で申されましたが、実質値のほうは実はまだ実績が出ませんので、名目値で答えさせていただきます。それによりますと公共投資は、計画では年率一二・五%の伸びを見込んでおりました。それに対しまして実績はほぼ同じ、年率一三・五%であります。念のためここの部分は実質値が出ますので申し上げますと、計画では一〇・七%、実績は九・八%、いずれにしましても公共投資のほうはほぼ計画と大差ない実績になっております。  一方、民間投資でありますが、民間の設備投資は、計画では、名目値でありますが年率一〇・六%の伸びを見込んでおりましたが、実績のほうは、経済の成長率が予想外に高いことも反映いたしまして、年率二五・二%になっております。
  124. 河村勝

    ○河村委員 大蔵大臣、いまの数字は大蔵大臣も御存じないわけではなかろうと思いますね。民間設備投資は年率二五・二%で伸びて、公共投資は一三・五%ですね。これだけ開いちゃっているのですね。これでは、経済全体のスケールが大きくなるのですから、社会資本のおくれがますます広がるのは当然ですね。ですから、大蔵大臣は非常に積極的にやられているようなお話でしたけれども、佐藤内閣ができてから今日、経済社会発展計画は公共投資を民間設備投資よりも少し高くしているのですね。それが逆にこんなに広がってしまっている。こういう事実は大蔵大臣もお認めになりますね。
  125. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 そのとおりに見ております。そこを私は問題にしているのです。つまりそれはどういう結果になったかというと、非常な超高度成長という姿になってくる。これでは資源の問題、労働力の問題、輸送の問題、いろいろな隘路に突き当たる。のみならず、公害であるとかあるいは物価問題とか、そういう副産物が出てくる。ひずみ現象が出てくる。そこで一昨年の秋から景気調整政策、これをとっておるのです。まさに河村さん御指摘のような状態をいま是正しよう、こういうふうに努力しておるところであります。
  126. 河村勝

    ○河村委員 建設大臣、本来ならば四十六年度で終わる第二次下水道計画ですね。これの昭和四十五年度までの達成率は何%ですか。
  127. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お答え申し上げます。  四十五年度末における進捗率は六九%程度と推定しております。
  128. 河村勝

    ○河村委員 六五%くらいですね。最後の一年度だけ残して六五%。だから全然計画に対する大おくれですね。これを見ても生活関連社会資本投資を今日まで熱心にやってきたとは言えない模範的な数字であろう、そう思うわけです。  そこで大蔵大臣、第二次経済社会発展計画では、民間設備投資は実質で一二・五%、それから公共投資は一三・五%、やはり民間設備投資よりも公共投資の伸び率を高く目標を設定していますね。これでもほんとうは公害という問題が起きてきましたから、もうちょっと公共投資をふやすべきだと私は思いますけれども、あなたのおっしゃったようにいままでは悪かったのですから、それをこれからコントロールしてそういう線に持っていくというはっきりした決意がおありですか。
  129. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 大体新経済社会発展計画をにらんで、その線で財政経済の運営に当たっていきたい、こういうふうに考えているのです。ただ、それが毎年毎年ぴしっとそういうふうな状態に出てくるかというとそうはいかない。そのときの経済情勢というものがありますから、それは多少の波は打ちます。しかし五十年までの長い期間の間におきましては大体そこへ持っていくようにというので、かじとりをいたしていきたい、こういうふうに考えております。
  130. 河村勝

    ○河村委員 私が非常に不安に思いますのは、今度たまたま第二次経済社会発展計画がスタートした時期、去年からことしですね、それと昭和四十年ごろとが非常に事情が一致しているのですね。昭和四十年、四十一年は非常な不況期です。不況期なもんだから、大体これからの成長の圧力も低くなるであろう、そういうことを予想して、それで公共投資を民間投資よりも上回る目標を設定したらしいですね。結果は、経済成長力が強くなってきたらそれは野放しにしてしまって、結局公共投資はおくれるばかりですね。今度もちょうど同じようなところにあるのですね。おそらくいま大蔵大臣も内心、下村さんみたいな高度成長の教祖みたいな人までが、これからやや経済成長は鈍化するであろうなんと言っているから、安心して言っておられるのじゃないか、これは想像ですけれども。だからそういうことを言っておられるが、従来の実績から言うと、一たび潜在成長力が顕在化して、もうちょっと勢いが強くなったら、また設備投資を野放しにして、それで公共投資はそのつどスローダウンする、削除をしたりあるいは繰り延べしたりする。そういう面で景気調整をはかっちゃう。公共投資を押えることによって景気調整をやろということをいままで繰り返してきたわけですね。それをもう一ぺんおやりになるんじゃないかという懸念を多分に持つのですが、いかがですか。
  131. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いままでのようなああいう超高度成長という日本の経済状態、これは絶対に繰り返すということはいたしたくない、さように決意をいたしております。つまりああいう事態になると、もうあのころはあれで行けたかもしれませんけれども、これは何といっても、第一非常に大事な問題は、鉄鉱石と原油ですよ。この入手、これでとにかく問題が起こってきます。それから労働力。加速度的に需給が逼迫してくる。賃金の引き上げ競争というような悪循環が起こってくる。そういうことを考えると、もうあの一三%、また一四%にもなろうというああいう成長の経済状態、これは復元しようと思ったって復元できないし、再びああいうことをすべきものではないというふうに考え、とにかく安定した速度、つまり過熱もなく、また不況もないという、その中間の線をねらった経済運営指導をしていきたい、これはまた実現できる、かように考えております。
  132. 河村勝

    ○河村委員 いまお話を伺っておりますと、たぶんこれからは労働力逼迫あるいは資源その他の問題で、もうほうっておいても成長力は鈍るから、たいてい安定成長でいけるだろう、そういう口吻がやはり非常に見られるわけですね。もしかりにこれがそうではなくて、また日本の成長力というものがもっと強まってきた場合、その場合にははっきり、国全体の資源の中から民間設備投資を押えて公共投資は確保するというだけの覚悟がおありかどうか、それを伺いたいと思う。
  133. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 さように考えております。
  134. 河村勝

    ○河村委員 私はまだほんとうは不安でありますけれども、大蔵大臣がはっきりそう言われましたから、それを期待いたします。  ただ、一つ伺いたいのは、かりに民間設備投資が相当な勢いで膨張し始めたときに、もはや金融だけでこれを押えることは不可能に近い状態まで来ておりますね、最近の実績を見ましても。そうなりますと、いざ民間設備投資が暴走を始めたならば、財政の面で、たとえば法人税を二%なり三%なり上げれば、これが景気、民間設備投資の抑制には非常に即効的な効果があるというのは定説ですね。そうしたものの運用をはっきりやるという覚悟でなければ、私は、もし成長力が今後もう一ぺん回復して強くなった場合に、またもとのもくあみに戻って、やはり民間設備投資暴走の姿に戻るのじゃないかと思いますが、その点についての大臣の所見を伺いたい。
  135. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私が景気調整というか抑制政策を始めたころは、産業界あたりでも、少し不可解だとこういうような考え方を持っておった人もあるようです。つまり私どもにまかしておいてくださればどんどん日本の経済は発展させることができます、おまかせくださいというような空気ですね。その中で私どもは、まあとにかく景気調整が必要だ、これはあなた方、一、二年はそんなことでいけるかもしらぬ、しかし三、四年たったらこれはたいへんなことになるのですよ、もうあなた方の事業の基盤が崩壊するようなことになるかもしらぬよ、こういうことで景気調整政策というものを始めたわけです。その始めてから一年半になるわけでありますが、その間にだんだん企業側におきましても、そういうことに対する理解というものが深まってきておる。鎮静ムードという、押しつけられた、やむを得ない立場に追い込まれた鎮静ムードでなくて、さあ資源の問題も心配だな、労働力も心配だな、これはまあある程度腰を落とさなければいかぬのだなという空気が出てきておる、こういうふうに見ておるのです。でありまするから、私は先ほど申し上げましたような安定成長路線というのが、これはまあまずまず円滑に定着していくのではあるまいか、そういうふうに見ておりまするし、またそれがそういう背景がありますので、金融政策の運用ですね、過熱の気配がそれにしてもあるというような際には、金融引き締め政策あるいはいまお話しの税の問題いろいろ検討しなければならぬ。こういうふうに思いますが、まああらゆる手段を尽くしまして、過熱が復元するというようなことのないように努力してまいります。
  136. 河村勝

    ○河村委員 それではもう一つの問題に移ります。  先ほど、土地の有効利用をするためにはそれだけの体制がなければならないはずだということを申し上げました。通産大臣、いま公害問題を契機に、今後公害なき成長を遂げていくためには、やはり新しく産業を立地するところ、これはどうしても遠隔立地をしなければならぬ、そういうことが国土総合開発計画の中でも当然考えられているわけですね。ただその前提に、いま都市計画法とかあるいは農業振興地域整備法ですか、そういうような部分的な土地の利用計画をつくれる法制はありますけれども、広域的な土地の利用計画を法的につくる根拠はないのですね。そうしますと、今後公害型コンビナートでなくて、緑と空間を十分にとった産業都市をつくっていかなければならぬ。そうなると、これは建設大臣とどっちかわからないのですけれども、相当広域的な土地利用計画というものを、法的拘束力を持ったものにしてあらかじめ押えてしまわないと、新しいスプロールがまた地方に起こってくる。結局は公害なき成長という目的が達成できない。そういうことになりはしないかと思うのですが、そういうものをつくっていくというお考えはございませんか。
  137. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のとおり新都市計画法とかあるいはまた市街地再開発というような法的根拠に基づいて土地の高度利用をやっておりますけれども、御指摘のような全体の国土の総合開発については、そうした非常にかっちりした法的根拠はまあやっていないわけでございます。   〔委員長退席、小平(久)委員長代理着席〕 しかし、御承知のように、新全総の構想に基づきまして首都圏あるいは近畿圏、中部圏については相当これは広範囲な総合開発計画をもちまして、これはもとより政府だけではなく、関係自治体あるいは民間の委員をも含めまして、これは相当、中期並びに長期の見通しのもとにやっております。法律は直接的に土地の総合開発を規定しておりませんけれども、法律に基づく一つの行政機関的なものができておりまして、これでやっているわけでございます。  それからもう一つ、われわれは一つの道路政策なりあるいは治水、利水、さらには住宅政策等も、そうしたところの一応の構想のもとに連関づけて進めておるということでございます。しかしこれも時勢とともに相当変わってきまするので、具体的に申し上げますれば、首都圏のいままでの構想をいま大きく変更しつつあります。これは通産にも、それから運輸にも自治省にも、連携しながらやっておるのは、従来は東京湾にすべての貨物が集中するような形に、道路も鉄道もそうなっております。そうして東京の一番の中心地、それから千葉、埼玉、神奈川のほうに集中するために、過密現象、公害ができておる。しかも水の手配がほとんど昭和六十年になると絶望的だ。そこで今度は北関東に重点を置いて総合的な開発をするという構想をいま現実にやっている次第でございます。
  138. 河村勝

    ○河村委員 私が心配しておりますのは、ほんとうは首都圏とか近畿圏とかということではないのです。たとえば下北半島、いまあそこが将来はおそらく広域的な産業都市にしなければならぬだろうと思いますね。ところがもう現実にいろいろな利権屋がどんどん入っちゃって土地を買い占めして荒らし回っている。ああいうものを規制しないでほうっておけば、またもう一ぺんあの地域でほんとうにスプロール化して、公害なき新しい産業立地なんというものはできっこない。そういうものを規制することをお考えにならないかということを私は言っているのです。
  139. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 これは私から申し上げることが適当かどうかは存じませんが、私も国務大臣の一人として、特に国土総合開発に重要なファクターになる建設関係でありますから、申し上げるのでありまするが、御指摘のようにへたに先行投資をしてどこそこに大きなプロジェクトをやるということをいいますと、それ自体で土地を値上がりさして利権がそこに発生し、実質上できなくなるということは御指摘のとおりであります。これは新産都市で苦い経験をいたしております。そこで私は現在、むしろまず土地を入手しなさい、そうしてそれが確定したならば、その次に初めて道路なり鉄道なりやっていかないと、かえって一つの国家計画がスプロールを、逆説的にいえば、むしろ推進するということになるということで、そういう点は各県の知事にも十分に話をしておるのであります。いずれそういうような問題については経済企画庁長官ともよく話し合いの上、必要とあればいまそうした立法措置がはたして適切にできるかどうかについても検討すべきだと存じます。
  140. 河村勝

    ○河村委員 企画庁長官おられないので、ほんとうは企画庁の所管だろうと思いますが、ひとつぜひ御検討をいただきたいと思います。  それから建設大臣、一つだけ関連して伺っておきますが、さっきの農地の払い下げの問題なんかでも、結局は最後は政府が地価政策をなまけて地価の暴騰を野放しにしていることが根本悪なんですね。これはもう再三土地問題については議論もしましたし、ここで私は、まだきょうはほかに問題がございますので、問題を広げようと思いませんが、ただ一点だけ、せっかく地価公示制度ができて基準価格がことしもだいぶふえるようであります。しかし最大の欠点が、その基準価格と、それから固定資産税あるいは相続税、都市計画税等の税のもとになる評価額とが一致してないことが一番の弱みですね。ですからこの辺でもって、いつ一致させることができるか、それについてあなたの考えを伺いたいと思う。
  141. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のとおり、構想あるいは理論的にあなたの御指摘のとおりだと思います。ただ、しかしながら、公示制度をやったのは昨年ようようでございまして、まだその密度が非常にに荒いのと、それから個所が非常に少ないのでございます。したがいまして、まずそれを充実させてしかる後、これは公共用地の取得については現在でもそれを標準としますけれども、それと同時に課税の一つの評価のときにそれを取り入れるところに行きますれば、非常にこれが効果があがると思います。その意味で、大蔵省、自治省とも十分連携をとりながら公示制度のまず普及、拡大をはかり、それに応じて御指摘のような方法に持っていきたいと考えている次第でございます。
  142. 河村勝

    ○河村委員 いいことだとわかったら、それはちょっと手をかければ、基準価格の範囲を広げることぐらいはことし一年だってできるはずですね。大蔵大臣、もし基準価格が、ほんとうに公示価格がある程度の範囲に広がったら、これを相続税なり固定資産税なりに結びつけて、ほんとうに機能を発揮させるというお考えがおありかどうか、大蔵大臣にちょっと伺います。
  143. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 そのように考えております。まあ、いま非常に価格網の網の目が荒うございますものですから、そういう状態下では一つの参考資料だというにとどまっておりますが、だんだんその公示価格の基準とするそのとり方を集めていきたい、そういうふうに考えておりまして、終局的には公示価格を中心にしたいろんな行政が行なわれるようにと、かように願っております。
  144. 河村勝

    ○河村委員 税制の基礎にできるだけにするのはいつまでにできますか、建設大臣。
  145. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 現在私、いまの段階でいつということは、確信をもって申し上げることは困難でございます。ということは、どの程度までこれがスピーディーに密度と範囲が広げていけるかということは、もう一つの点は実は不動産鑑定士が非常にに足らないんです。この養成がなかなかむずかしくて、いまのところではやはり五、六年はかかるじゃないかという、これはほんの直感的な気持ちでございます。いま、実は国会のほうからの御要請もありまして、土地鑑定士のある意味における実績の経験者を、ある程度まで条件緩和をして、養成して、それに基づいていかなければ、なかなか観念的にこれはきめられません。人の財産に関することであり、たいへんなことでありますので、まずそっちのほうの充実からはからなければならないと思っている次第でございます。
  146. 河村勝

    ○河村委員 五、六年なんていっておればその間にどんどん地価は上がるわけですね。もちろん地価公示制度がきめ手じゃなくて一つの材料でありますけれども、それくらいでも五、六年といわずに、もっと早くやってほしいと思います。  次に国鉄の再建問題に移ります。  それに入る前に国鉄総裁、先般の東北本線の事故ですね。これはもうすでにいろいろな角度から取り上げられていますから、くどく申しませんが、機関士、酔っぱらって居眠りしていた機関士というのは、これはほんとうにどうしようもない、たいへんなことでありますが、それだけでなくて、車掌までが、二人もおりながら、車掌弁を引いて汽車をとめるというようなことはおそらく念頭にもなかったのじゃないかという感じがするわけですね。そうなりますと、国鉄再建といってもその前提に安全という問題についてのしっかりしたしつけがなければ、再建なんかできっこないと思います。その点について、どういう指導をされ、今後どういうふうにされるのか、まずそれだけを国鉄総裁から先に伺ってみたいと思います。
  147. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 一昨日も申し上げましたとおり、過般の事故につきましては、全く申しわけなくつつしんでおわび申し上げます。  ただいまの御質問の、やはり国鉄再建の一番の基礎は安全である、これは私も肝に銘じてそう思っております。実は、けさ緊急に全国の管理局長を集めまして、いまお話しのような点につきまして具体的にいろいろ現在検討中でございます。機関士はもちろん言語道断でございますが、やはり車掌が手をこまねいていたということは、もちろん非常なな職務懈怠によるものと思いまして、いままで若干車掌につきましてはそういう点の関心は薄かったと思います。十分その点につきましては、今後機関士と車掌の連係動作によってああいう異常事態の確保をするのだということについて徹底させていきたいというふうに思っております。
  148. 河村勝

    ○河村委員 国鉄の昭和四十六年度予算について大蔵大臣にお伺いいたしますが、当初八百億をこえる償却前の赤字が予想されるということが一般の常識になっておりました。ところが予算案ができ上がってみますと、何となくつじつまが合っているようなかっこうになっております。だけれども、その中をちょっと洗ってみますとおそらく二百億ぐらい収入の水増しがあるであろうし、   〔小平(久)委員長代理退席、委員長着席〕 それから国鉄財政再建債三百四十三億ですか、こういうものが損益勘定の中に入っていわば長期債務で経常費の穴埋めをするかっこうになっておる。さらに六十億円の資産充当をやっておる。普通、決算には粉飾決算というのがあるけれども、どう考えてもこれは粉飾予算という感じが非常に強いのですが、一体、大蔵大臣、こういう予算案をどういう気持ちでおつくりになって、一体これをどうされるつもりなのか、それをまずお伺いしたいと思います。
  149. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 四十六年度の国鉄予算につきましては、ずいぶんこれは苦労が多かったわけであります。いまいろいろな粉飾をしたというようなお話しがありますが、粉飾はいたしておりません。しかし国鉄当局とも話し合いまして、何といってもこれだけ壁に突き当たろうとしておる国鉄財政でありますから、自己努力が中心にならなければならぬじゃないか。そういうようなことで、当初国鉄当局、運輸省が考えられておった自己努力、それを多少大蔵省と相談の上修正をするとか、あるいはその一つでもありましょうが、不要不急の資産の売り払いを考えるとか、いろいろきめこまかい自己努力というものをしていただくことにいたしたわけであります。それと並行いたしまして、財政再建補助金も増額するなど政府においても当面できる限りのことをする、こういうようなことでとにかく四十六年度はこれでひとつ安全運転ができるようにしよう、こういうことになったわけなんです。しかしこの国鉄の問題というのは国鉄だけでこれを論ずることができないような、輸送体系全体の中における国鉄の地位というものを考えますと、他の輸送手段との間における位置づけ、こういうことが問題になってきておるわけであります。そういう総合交通体制といいますか、それが実は四十六年度予算編成までに検討が済んでおると、この予算の問題の処理は、これは御批判を受けるような状態になかったかと思うのですが、それが間に合わない。そこで、なお一年間かけまして総合交通体制というものを整える。その中において基本的な国鉄の諸問題を処理していくのが筋である、そういうふうに考えておる次第でございます。
  150. 河村勝

    ○河村委員 運輸大臣、総合交通体系というものがいままで運輸省になかったというのは、きわめてふしぎに思います。その問題、いずれ運輸委員会でいろいろお伺いすることにいたしたいと思いますが、一体その総合交通体系、いま大蔵大臣も言われたように、これがないということが抜本的な対策がつくれない最大の原因であるかのように聞いておりますが、これから一体どのようなスケジュールで、どのような方向でおつくりになるのか、それをお伺いしたいと思います。
  151. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 お答え申し上げます。  運輸省としましては、昨年、運輸政策審議会に総合交通体系について諮問をいたしております。総合交通体系の主力になりますものは、これは鉄道、飛行機、港湾等がなりますけれども、ことに鉄道関係では道路が非常に関係が深いわけであります。したがって、総合交通体系ということになりますと、運輸省だけでこれを決定するわけにもまいりませんので、ただ運輸省といたしましては、運輸省の観点から見た総合交通体系をまとめたい。その中で、たとえば鉄道にいたしましても新幹線、在来線あるいは大都市交通圏における通勤線、こういう多種多様な軌道を持っておりますので、それらの位置づけが交通体系の中でどうあるべきかという問題も入ってくると思います。いずれにせよ、関係学識経験者を集めまして、少なくとも七月までにはこの答申を得まして、そして建設省とも相談をいたしまして、本格的ないわゆる総合交通体系というものをつくり上げたい。かように考えております。
  152. 河村勝

    ○河村委員 どういう内容のものができ上がるかわかりませんが、そういうものを前提にすれば――ことしの予算、いろいろ御苦心になったかもしれないけれども、いわば開腹手術を要する病人にビタミン剤を飲ませたくらいの感じであろうと思うのですが、そういうものでなしに、ほんとうに抜本的な対策ができると大蔵大臣はそうお考えでございますか。
  153. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 そういう方向で努力をするつもりでございます。
  154. 河村勝

    ○河村委員 大蔵大臣、粉飾ということばを使って失礼だったかもしれませんが、どうにもやはり納得できないところがありますね。たとえば、資産充当というような資産の食いつぶし、貧乏会社はときにやるから、絶対にいかぬことはありませんが、だけれども一方で六十億というような資産の食いつぶしをやらせておいて、片方で五十億という金を国鉄から建設公団に出資をさせて、それでAB線、いわゆる赤字ローカル線をつくる。片方で資産の食いつぶしまでさして穴埋めをさしておきながら、一方ではわざわざ自己資金を公団に出さして、それでこれからまた借金をふやす赤字ローカル線をつくらせる。このくらい矛盾はなかろうと思いますが、それはいかがでございますか。
  155. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 これは、なかなか考え方のむずかしい問題なのです。つまり、AB線、その多くが採算上思わしくない、そういう部類に入ります。ですから、そんなものはやめたらどうだ、こういう一方においては意見がある。しかしさて、国鉄のAB線というもの、これは地域開発という面においては非常に役に立っておる、こういうことから考えまして、そうAB線をむげに整理するわけにいかぬじゃないか、こういう議論もあるわけです。ですから、国鉄再建推進会議におきまして、出資問題、これを問題にしましたが、これは中間的な考えというか、推進会議なんかの考え方、これの線にも添いまして、少し減らしていこうというので、四十六年度におきましてもこれを減額するにとどめる、こういう考え方をとったわけです。私はその考え方というものは、それはすっきりはしません、甲か乙か、こういうふん切りをつけませんからすっきりはしませんけれども、まあまあその辺かなあという御理解はいただけるのじゃあるまいかとも考えておるのです。一方、国鉄の財政は非常に苦しい、これは御指摘のとおりであります。そこで資産の食いつぶしというような問題もあります。ありますが、そういう問題があればこそ、出資問題につきましても、ただいま申し上げたような中間的な措置をとった、こういうことなんでありまして、非常に苦しい措置であるということだけは私も率直にそう考えております。
  156. 河村勝

    ○河村委員 AB線そのものをどうするかという問題を一応たな上げにして議論をしましても、これだけ苦しいやり繰りをしている中で、なおかつ国鉄に赤字線をつくるための資産をさせるというのは、これはどう考えても矛盾以外の何ものでもないと思うのですが、これはおやめになったらいかがですか。そうすれば、その売り食いする資産というものはもっとほかに有効に使われるはずですね。その程度のことは大蔵大臣の決意いかんによってできると思いますが、いかがでございますか。
  157. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 この問題は相対立する二つの立場がありまして、結論を出すのは非常にむずかしい問題ですが、なお、総合交通体系という問題もあります、今後ともよく考えてみることにいたしたいと存じます。
  158. 河村勝

    ○河村委員 どうもそういう御答弁をなさるから、けさの新聞みたいに福田駅だとか中曽根駅なんというのが出るような原因にもなりかねないわけです。  もう一つ、非常に矛盾している問題がございます。それは自動車新税ですね。自動車新税そのものの議論はきょうはいたしません。ただ、自動車新税から、やはりこれもAB線、赤字ローカル線建設のために二十億の国が出資をしておりますね。大体、AB線というのは今後自動車輸送にかえていく路線ですよ。そこに自動車から税金を取って、それで自動車にかわるべき線路をつくる、これこそなおさら矛盾であろうと思いますが、これはいかがでありますか。
  159. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 自動車新税はその使途を特定をいたしておらないのです。これは特定財源という方式をとらないで、一般財源としてこれを一般会計に受け入れるという措置をとったわけであります。いまAB線のために出資というお話でありますが、それはこれとは別の話でありまして、自動車新税がどうであろうとそういうことになったかもしれないし、あるいは自動車新税という増収がないからそういうことはやめたかもしれません。いずれにしても、全体としての関係はありますけれども、特定してAB線に新税の増収額の一部を充当という考え方は全然とっておらない、さように御承知願います。
  160. 河村勝

    ○河村委員 まあ金に色がついておりませんから、そっちの金でなしにあっちの金を出したのだといえば、それはそれで通るかもしれませんが、常識的に聞いた範囲では、やはり自動車新税が創設されることによって、とにかく公団に二十億加わったということだけは間違いないのですね。私はその辺非常な矛盾だと思うのです。  もう一つ、運輸省の予算に国鉄合理化促進特別交付金というものがございますね、今度つきました。運輸大臣、あれは何に使うお金でございますか。
  161. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 これは河村さんも御承知でしょうが、国鉄としては、いわゆるローカル線のうち一部分を将来廃止もしくは地方公社といいますか、地方の経営にゆだねたいという考え方があるわけであります。そこで、それを国鉄の財政――従来はわずかでありましたが、国鉄の問題でありましたので、国鉄の中で一応それを処理してまいったのですが、それでは国鉄の赤字がふえるのみならず、ある程度積極的にこのようなことを進めるとなればやはり国の考え方としてやっていく必要があろう。したがって、この中では、もし廃止するようなことがありますれば、その廃止に対する一種の補償といいますかそういうものを含めておる、あるいはまた地方線として何か公社のようなものができると仮定すれば、それらに対するところの出資の助成の役割りもしたい、こういう意味で側面的にいわゆる国鉄の考えておる地方交通線のうちの道路にかわるべきもの、もしくはあるいは全く地方的な仕事としてやっていくべきもの、こういうものに対する助成金といいますか、あるいは補償金、こういうものを含めて一括して十六億円を計上しておる、こういう状態であります。
  162. 河村勝

    ○河村委員 いまお話しを伺っておりますと、この十六億が全部でないかもしれませんが、その大部分が赤字ローカル線を廃止をすることを容易にするための予算ですね。片一方で国で赤字線廃止を促進するための予算を運輸省につけておいて、片方で赤字をつくるための予算を出している。これくらい矛盾した話はないのですね。これからつくるものがみんなやはりAB線である限りは、これはみんなこれからやめようというものと同じ性格のものですね。それで片方でもってやめろやめろといっておいて片一方でもって国が金を出してつくる。それで一体赤字ローカル線が整理できると運輸大臣はお考えですか。
  163. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 おっしゃるように、なかなかむずかしい問題だと思います。御承知のように、やはり自分の村に鉄道が通っておるとか駅があるとかいうことは、村の士気といいますか気持ちの上からいっても大きな士気高揚にもなっておるというところをやめるということになれば、これをやめさせることは非常にむずかしい。ただ世界的な情勢、これは私よりあなたのほうが専門家ですから御承知のとおりに、イギリスあるいは西ドイツ等におきましても、最近いわゆる赤字線の廃止をやっております。イギリスのごときは約一万キロを廃止しておる。ドイツにおきましても三千五、六百キロを廃止しております。これは一つには、西欧諸国はかなり古くからして道路等の整備が進んできておる。日本の場合は最近においてかろうじて一部分が整備しつつあるという状態で、まだ日本の場合、はたしてローカル線を道路にかえ得るかどうかという問題は――もちろんこれは個々の事情によっては違います。場所によってはそういう可能性があると思います。しかし、全体的にいってはたして国鉄が考えておるような思い切った路線の転換ができるかということになりますと、政治家としては国全体を考えなければなりませんからして、国鉄の企業ともにらみ合わせてそこで考えていく。しかし、そのためには、今度は国鉄に対して国がどうしてやったらいいか。先ほど来から河村さんの御意見はそこに重点があると思いますが、そういう点をほんとうに国も考えていかなくてはいかぬ。国鉄の使命、単なる企業としての国鉄ということではなく、国の開発に対する大きな役割りを持っておる、こういう場合に、そうなれば二万一千キロのうちの一万キロというものはとんとんでやっていける。あとの一万一千キロはどうしても国鉄の現状をもってしては解決がつかない。しからばこれに対して国なりあるいは地方団体なりがどう考えていくべきかという問題がさしずめ重大な問題であろうと考えて、それを中心にして目下検討を重ねておるわけであります。
  164. 河村勝

    ○河村委員 大臣のおっしゃること、わからないわけじゃありませんが、私がお聞きしたかったのは、片一方で赤字線をやめることを促進する予算を出して、片一方で同じようなものをつくる予算を別に出している、こういう矛盾をそのまま今後もお続けになるつもりですか、そういうことを伺いたい。
  165. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 いま申しましたように、地方ローカル線、地方交通線もその地域に関する開発の任務があるわけですね。ただ、これを国鉄がやるかあるいは地方開発の目的をもって地方公社なりあるいは特殊の形態を持っていくべきかという問題はあります。しかしながら、何もかも国鉄にこれをやらせるべきかどうかという問題があるので、AB線を建設をしてまいることといわゆるこれに対するローカル線を道路に移す問題とは、一見矛盾があるようでありますけれども、私は調整が可能であろう、こういうように考えておるわけであります。
  166. 河村勝

    ○河村委員 一点だけ伺います。  赤字線廃止の場合、実際国鉄も企業ですね。企業が自分のところの仕事をやめるというのは容易じゃありませんね。ですから、諸外国では廃止するかしないか、大体国がきめているのですね。国鉄がどうしてもやめたいというものを国が判断して存続すべしと認めたならば、国が赤字を補償する。やめるかやめぬかは国がきめる。それによって実行が可能になっていくわけですね。国鉄にやれやれというのじゃなしに、やっぱりこういうのは国民経済的に判断してどうするかという問題なんですね、しょせんはいまあなたがおっしゃるように。そうなれば、赤字線を廃止するかしないかというのは国が決定ということにすべきだと思いますが、いかがですか。
  167. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 一つは、アメリカの例は別でありますけれども、ヨーロッパの例でありますと、国有国営になっておりますので、当然これは手続上も国がきめることになると思います。日本の場合におきましても、そう直接に法律的にはつながってはおりませんけれども、しかし、これを廃止する場合、あるいは移譲する場合、いずれを問いましても、運輸大臣の認可がなければできないということになりますので、間接ではありますが、これに国が関与しておる。しかし、一歩進んで、いまおっしゃるように、いわゆる国鉄のやるべきものはという一つの総合交通体系ででき上がった場合に、この他をどうするかというような問題で将来法律的な措置が必要であるかどうかという問題もありましょうけれども、ただ、いま日本の場合は、いわゆる国鉄という特殊の公社をもってやらしておりますので、一応案自身、申請自身は国鉄が申請する、こういうたてまえをとっておるわけであります。
  168. 河村勝

    ○河村委員 ヨーロッパも国有国営じゃないのですね。やっぱり企業体なんです。ドイツでもフランスでもイギリスでも公共企業体です。ですから、日本の場合と同じなんです。それでやはり国鉄がやめたいといった場合に、それをいいか悪いかを国がきめて、国が存続せよといったら補償する、そういうふうになっておるのです。よくお調べをいただいて御検討をいただきたいと思います。  時間がありませんので、事業範囲の拡大について詳しくお開きしたかったのですが、一点だけ石油のパイプライン輸送のことについてお伺いをいたしたいと思います。  いま国鉄では、京浜地帯の石油を関東内陸部に輸送するのにパイプライン輸送を計画しておるということを聞いておりますが、どのような需要に基づいてどういうふうに計画を進めているのか、またその経済性はどうなのか、そういう点について伺いたいと思います。
  169. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 実はパイプラインにつきましては、数年前に新宿でタンク車が火事をやりまして、あのとき以来非常に私のほうでは研究いたしておりまして、今後油の需要がふえましたときに、この東京地区をいま以上道路をタンクローリー輸送も不可能だし、また鉄道のタンク車輸送も不可能だ、どうしてもここで輸送の転換をしなければいかぬということで、実は数年前から外国にも人を出し、いろいろ勉強してまいりました。  いまさしあたり私のほうといたしましては、京浜地区の製油所から大体横浜線を通りまして八王子から南埼玉という関東内陸部の輸送、これは現在ほとんど鉄道が一〇〇%輸送しておるところでございます。そこにパイプラインをつくりまして、そうして関東内陸部に対しましてはタンクローリーなりあるいは貨車輸送を極力やめたいという私どもの計画でございます。  それからコストにつきましては、いまいろいろ計算いたしておりまして、大体土地は線路のちょうど横側ののり面の下約二メートルくらいの下を掘ることに考えております。そういたしますと、土地代はほとんど要りません。大体コストにおきまして現在のタンク車の運賃の二〇%から二五%くらいは下げられるというふうに計算いたしております。
  170. 河村勝

    ○河村委員 経済性においてもコストが安くなる。そういう計算で安全性さえ確保できれば、これはもうコマーシャルベースで普通の事業として進めていかれる、そういうふうに了解してよろしいわけですか。
  171. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私のほうは、何も全国全部パイプライン輸送するとは言っておりませんで、非常に輸送の逼迫したところをやりたいということで、いま申しました計画につきましては、予算もございますので、ぜひ来年度以降着手いたしたいというふうに考えております。
  172. 河村勝

    ○河村委員 運輸大臣はその点についてはどうお考えですか。
  173. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 このパイプラインにつきましては、国鉄財政再建の場合の閣議決定の中にも入っておりますし、かつまた、パイプライン輸送事業というものは、やはり付帯事業として国鉄がやり得る範囲内と理解いたしておりますので、それらの点の準備ができますれば、私としてはこれに対して調整をとった上で認可する方針でおります。
  174. 河村勝

    ○河村委員 これは新聞等で伝えられるところによると、実際、計画ができても運輸省と通産省とが何かけんかをしておって、ためになかなか進まないというようなことが伝えられておりますが、通産大臣、そういった事情は御存じですか。
  175. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 石油業界にも前からそういうことを考えてみたというプランがあったものでございますから、いま運輸省、私ども、国鉄一緒に御相談をしておるわけでありまして、別段伝えられるように争いがあるとかなんとかいうことではございませんと思います。
  176. 河村勝

    ○河村委員 閣議決定までして進められておるものが、官庁のなわ張り争いみたいなことでなかなか進まないということじゃ、現実の問題に対処できないわけですね。ですから、その辺通産大臣は詳しいことは御存じないかもしれませんが、どうも実際、計画がいつでもやれる体制にありながら、しかも仕事が進んでいかない。だけれども、パイプライン輸送というのは別段どこの許認可事項でもないから、普通ならどんどんコマーシャルベースで進んでいくべきはずのものが停とんしているということだけは間違いないようですね。その点通産大臣は全然実情は聞いておられないわけですか。
  177. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 建設主体でありますとかあるいは運営の主体でありますとか経済性でありますとか、そういうことをいろいろ各省御一緒に研究することがいい。また、現に外国にも御一縮にいま技術的に見に行っておるようであります。何ぶんにも、だれが考えましても、これは非常に急ぐ、早く始めれば早く始めるほどよろしいのでございますから、つまらないことでけんかなどあまりしないように、一緒に結論を出していきたいと思っておるわけです。
  178. 河村勝

    ○河村委員 時間がなくなりましたので、これでやめますが、運輸大臣と通産大臣と両方に要望したいと思うのですが、やはり事務当局まかせでなしに――事務当局同士になりますと、いろいろな雑音が入ります。ですから、両大臣が直接に大きな立場で御相談になって、早急に軌道に乗れるようなことにしていただきたいと思います。いかがでございますか。
  179. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 御承知のように、京浜地区の油の輸送は四十七年度末でもうレールが一ぱいになります。したがって、本年度に着工いたしませんと間に合わないことになりますので、お話しのように、なるべく早い機会に通産大臣との間で話し合いをつけまして、円満に処理をしてまいりたい、かように考えおります。
  180. 河村勝

    ○河村委員 終わります。(拍手)
  181. 中野四郎

    ○中野委員長 これにて河村君の質疑は終了いたしました。  午後は二時より再開することとし、暫時休憩をいたします。    午後零時五十五分休憩      ――――◇―――――    午後二時二分開議
  182. 中野四郎

    ○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際おはかりをいたします。  日本鉄道建設公団総裁篠原武司君を参考人として出席を求め、意見を聴取することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 中野四郎

    ○中野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  184. 中野四郎

    ○中野委員長 一般質疑を続行いたします。  この際、田中武夫君から発言の申し出がありますので、理事懇談会の話し合いにより、十五分の範囲内にてこれを許します。田中武夫君。
  185. 田中武夫

    ○田中(武)委員 中村委員の質問に先立って、緊急に一言だけ御質問いたしたいと思います。  それは、同僚の久保三郎委員が提起をいたしまして、本日の毎日新聞にも出ておりますいわゆる政治駅の問題についてであります。本来ならば一問一答でやりたいのですが、与えられた時間が限られておりますので、一括して私の質問事項を申し上げます。そうして各関係の閣僚、政府委員等から、それぞれの立場の御答弁をいただきない。参考人も含めてそうお願いいたしたいと思います。  御承知のように三月七日から開業することになっております国鉄吾妻線に関してでありますが、この線では最初三つの駅、こういうことであったようですが、途中から二つの駅が追加せられております。それを俗に福田駅、中曽根駅などといわれており、このことが国鉄の赤字に拍車をかける無責任な政治の産物ではなかろうか、このようにいわれておるのでございます。吾妻線では当初、駅と駅との間隔は四キロないし五キロとすることがきめられておったようであります。ところが福田駅、すなわち群馬大津駅、中曽根駅、すなわち袋倉駅が有力な閣僚の政治力によってできたために、当初の駅間隔は四キロメールないし五キロメートルといわれていた原則がくずれまして、人家密集地並みの駅間隔が二・二キロあるいは二・九キロとなっておるのであります。鉄道建設公団では地元の陳情に対して、駅間の距離が短いこと、利用者予定が少ないことなどをいいまして、一たん納得さしたようであります。ところが、次の総裁選挙のダービーの本命であるといわれる人、あるいはダークホースであるといわれるような有力な二閣僚の申し入れというか仲介によって、この二つの駅を設置しなければならないようになったそうであります。そこで鉄建公団では、路線の変更と開業設備変更を運輸大臣に提出いたしまして、一括認可されたそうであります。そのため一千二百万円をかけて突貫工事をやったと聞いております。このようなことは、国鉄の危機といわれ、赤字線を撤去したり、現在の駅すら店じまいをして合理化しておるところの国鉄の赤字解消とは相矛盾するものである。かつて急行をとめて大臣を棒に振った人もあります。このようなことについて関係者はどのようにお考えになっておるのか。  なお、この際申し上げておきたいのでありますが、地元の陳情に議員は協力するのが当然ではないかという考え方もあるようでありますが、そこはそれ予算執行権を持つ有力な閣僚でありますので、そういった狭い視野でなくて、高所大所から国全体のことあるいは天下国家のために考えていただきたいと思います。  いま申し上げましたようなことにつきまして、一体どのようなことになってこうなったのか、そのことをいまから申し上げる各位に、それぞれ御答弁をいただきたいと思います。まず、当事者である福田、中曽根両大臣には、その経過と所信、さらに運輸大臣、国鉄総裁、鉄道建設公団総裁からは、その経過等につきまして、さらに、幸い荒木長官も見えておるようでありますので、行政管理庁としての上からこういうことはどうかという御所見を、あわせてそれぞれから伺いたいと思います。
  186. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 田中さんの御質問にお答え申し上げます。  吾妻線の工事実施計画につきましては、当初羽根尾、万座鹿沢口及び大前駅の三つを設置することで、四十年の四月七日及び四十一年十二月十五日付で認可をしたものであります。その後、地元からの群馬大津駅及び袋倉駅設置の要望がありまして、国鉄と鉄建公団との間で協議をいたしまして、四十五年九月十六日付で変更認可の申請がありましたのを同年同月二十九日認可をいたしたわけであります。  駅間の距離の問題は、いろいろ事情があって変わっておりますが、地元の事情等、あるいは通勤線といいますか、地方交通線におきましては通勤等の仕事もありますので、ことに昨年は、御承知のように無人化駅の設定ということも出てまいりました市町等もありまして、そこで国鉄及び鉄建公団等、両者が協議いたしまして、それぞれの申請書に事情を添付されてまいりましたので、これを審査をした結果、妥当である、かような点でこれを認可をいたした次第であります。
  187. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ただいま田中さんのお話を承っておりまして、まことに異なことを承るものかなというような感じを持った次第です。  事実地元から新駅を設けられたい、こういう陳情がありました。それを私は国鉄総裁におつなぎ申し上げました。それだけの話なんです。何かその間に私どもが圧力でも及ぼして、どうかというようなお話でございますが、この話は、その後聞いてみますと、きわめてすんなりと、国鉄当局においても何の抵抗感もなくきまったようです。地元から陳情がある、それを当の行政当局につなぐ、これは私はあたりまえのことじゃないかと思うのです。田中さんがもし私の立場にあったらどうされただろう、こんな感じすらいたす次第です。私は決して不当なことも不正なこともしていない、正しいことをしている、かように信じております。
  188. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いろいろお騒がせいたしまして、まことに恐縮に存じます。私は善意で地元の陳情を受け継いだつもりでございましたが、もし行き過ぎが起こったとすれば、遺憾の意を表します。事情は、地元の村の者が参りまして、ぜひとも無人化駅をつくりたい、片っ方のほうではできそうだ、自分のほうの村だけ取り残されるということは村の人に申しわけない、そういうような話がございました。私はいろいろ調べてみますと、なるほど距離は短いようでした。私も運輸省に関係しておりましたので、大体四キロが原則のようでありました。私どもの場合は二・九キロに実はなっております。しかし、いろいろ考えてみまして、無人駅と申しますのは、大体定期券の所有者がおりるときに、車掌がパスをあらためておりるというところで、人も置きませんし、プラットホームをつくる程度でいい。あの辺は非常な過疎地帯で、通勤客がわりあい多いわけです。学生とか鉱山に出入りする者とか、そういう者が多いわけです。そういう人の便宜も過疎地帯で、はかってもらえてもいいのじゃないか、そう思いまして、私も秘書に鉄監局長のところへ案内してお願いをしなさい、ただし距離が短いというので文句があるならば、やめるなら両方やめなさい。それでもし片っ方やるということになると、片っ方の村の者も困るだろうから、そのときは両方やったほうがいいでしょう。そういうことを実は秘書に言わせました。そういうことですべて終わっておったと思ったのです。その後村の人から、駅ができました、ありがとうございましたということばが来て、ああ駅ができたのか、よかったね、そういうことを言ったのが実際のところであります。私は、できるかできないかはわからなくて、まあできるなら一緒、むしろ両方やめたほうがいいのじゃないかというのが、私の腹の底にあったのでございます。  以上でございます。
  189. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 吾妻線の開業は来月の七日にいたすことになっております。その間でいまの二駅、これは二つとも無人駅でございます。フラットホーム一面だけの無人駅でございます。これにつきまして、実は私はそのどちらの大臣からどういうお話を受けたか、私自身記憶がないくらいの程度のものでございまして、あるいはそういう御紹介があったかもしれませんが、片一方はたしか長野原町という町、片一方では嬬恋村という村で、行政区域の違った駅だったというふうに記憶いたしております。これはいろいろ数字を調べさせた結果、大体駅勢人口が千三百から千五百、それから通勤者が二百人、このくらいならば現在ある無人駅、現在無人化しておりますが、その無人駅と比べてそれほどひどい駅じゃない。全部やりましても営業係数が一六六ぐらいでございますので、いまやっているAB線の中ではまあまあいいほうでございます。そういう意味で、私どもといたしましては両駅をつくることをきめたわけでございまして、私は、両大臣から圧力を受けた覚えは何らございません。
  190. 篠原武司

    ○篠原参考人 ただいまの件についてお答えいたします。  公団といたしましては、両大臣から何らの陳情も受けておりません。地元の方々からは何回か陳情を受けております。しかし、この線区につきましてはほとんど無人駅でございまして、新しくできます万座鹿沢口、これは前に三原駅といっておりましたけれども、これは国鉄のお話では委託駅にするということで、国鉄の職員はおりません。それから羽根尾の駅につきましては、貨物設備が長野原にあったのをここに移しますので、貨物要員だけがここにかわるということを聞いております。したがいまして、旅客としては置いてないということで、ほとんど職員は置かないということを聞いておりますので、赤字の問題はそうないんじゃないかというふうに思います。  それからもう一つの問題としまして、無人駅でございますので、なるべく地元の住民の便利なようにとまっていくことも、サービス上当然じゃないかというふうに考えておりまして、この問題につきましては、すべて開業関係の設備は国鉄と協議いたしまして、密接な連絡のもとに仕事を進めることにいたしておりますので、国鉄と十分協議してこういうふうになったので、そういうような設備を整えたわけでございます。
  191. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お答え申し上げます。  私の守備範囲は国家行政組織と定員のことでございまして、国鉄そのものには直接及びません。したがってノーコメントでございます。
  192. 田中武夫

    ○田中(武)委員 荒木さんにはもう一度お伺いしますが、守備範囲でない、こういうことでなくて、こういうことが国家行政の立場から見て一体好ましいかどうかということです。  それから国鉄総裁と公団総裁にお伺いしますが、大体普通の、そう人家密集地帯でなければ四キロから五キロまでの駅間隔を置くという原則は、それではくずすのですね。陳情があれば駅をつくるということに解釈していいのですか。さらに無人駅だからと言っておられるが、現在有人駅というか、ちゃんとした駅を無人駅にしようとか、あるいは廃止しようとかしておられるじゃないですか。いわゆる合理化とは逆行し、これから幾ら国鉄が赤字だと言われても、私は、国民はこれを見て納得するだろうか、こう思うわけなんです。  さらに、先ほど来福田、中曽根両大臣から伺っておりましたが、はしなくも中曽根大臣のほうが申されましたように、やめるなら双方やめろ、やるならこちらもという、こういう発言の中にはっきりと、まあお二人の関係と言えば失礼でございますが、あらわれておるのではなかろうかと思います。  さらにもう一つ、福田大臣、あなたは大蔵大臣です。陳情があったからということで、普通の国会議員が陳情するのとは違うと思います。少なくとも予算の執行者である。しかも、次期総裁、総理に一番近いところにおられるとかいわれております。したがって、もっと高所大所に立って、天下、国家のためにものごとを判断していただきたいと思います。  いろいろとお伺いしましたが、私は満足いたしません。しかしながら、与えられた時間もありませんので、本日はいま申しましたそれぞれの方から御答弁をいただいて、残余の質問は留保いたしたいと思います。したがいまして、御答弁の上に立って、場所を改めまして、同僚議員あるいは私が、続けてこの問題をお伺いし、追及することを申し上げておきまして、時間の関係上、二問だけで終わります。  それでは、いまの三人の方から御答弁をいただきます。
  193. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 新線をつくります際の駅間の距離、これは必ずしも一定しておりません。場所によりまして四キロあるいは八キロくらいのところもございますし、また短いところもございます。やはり部落の散在の模様あるいは利用者の状況等によってきめるわけでございまして、必ずしも一律にはなっておりません。したがって、今後ともそういう問題が起きる可能性はあるわけでございます。(田中(武)委員「じゃ、おれのところへも駅つくれと言うていくぞ」と呼ぶ)これは状況によりまして考えることにいたします。
  194. 篠原武司

    ○篠原参考人 ただいま国鉄総裁からお話しのありましたようなわけでございますが、当公団としましては、工事をやる場合に、必ず国鉄と協議してやるということになっておりますが、特に開業関係の設備につきましては、国鉄の意向を十分取り入れてやるというたてまえにしております。これは先ほども申し上げましたとおりでございます。しかし、もう一歩考えてみまして、将来の合理化と申しますか、鉄道の合理化を考えました場合に、ほんとうの、バス輸送のような便利なものがローカル線ではできるのじゃないか、したがいまして、駅間距離ももっとひんぱんにとめ得るようなりっぱな鉄道ができるのじゃないかということをいま真剣に考えておりますので、これはいまここで申し上げる段階じゃございませんけれども、一言つけ加えておきます。
  195. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お答えいたします。  両総裁が真剣に考えて結論を出したことだから、やむを得なかったことかと思います。
  196. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それでは、本番質問の中村君に御迷惑をかけてもどうかと思いますので、御答弁はきわめて不満であります。したがいまして、あらためて追及することを申し添えまして、終わりたいと思います。  失礼しました。
  197. 中野四郎

    ○中野委員長 次に、中村重光君。
  198. 中村重光

    ○中村(重)委員 大蔵大臣にお尋ねします。  先般の委員会で田中委員から、インドネシア援助の問題で資料の要求があったように伺っております。それとの関連もあろうと思うのですが、スカルノ時代に貸し付けをしました額が、御承知のとおり膨大な額になっているわけですが、その内容について伺ってみたいと思うのです。  貸し付けの総額は大体どの程度であったか。それから、回収もいたしておろうと思いますから、回収額、それから、これは現実にこげつきになっておろうと思います。そのこげつき額は大体どの程度になっておるか。
  199. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 政府委員から答弁いたさせます。
  200. 稲村光一

    ○稲村政府委員 ただいまの御質問でございますが、インドネシアのスカルノ時代の債権でただいま問題になっておりますのは、九千三百万ドルぐらいになるかと思います。
  201. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまの答弁では、ただこげつきになっておる額だけを言われたのではないかと思うわけです。そうではなくて、総額、それから回収額ですね、それからいまこげつきは九千三百万ドルと、こう言われたわけですが、その貸し付けの内容についても伺ってみなければならぬと思います。それから、政府がこれに対してどのような措置を考えているのかということもあわせてひとつお答えをいただきたい。  大蔵大臣からお答えいただきましょう。
  202. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 スカルノ時代の貸し付け、またそれが幾ら回収になったか、いま幾ら残っておるか――残っておる額は九千万ドル。民間のものが多うございますものですから、なかなかこれがつかみにくいのでございますが、いま国会から資料提供の要請がありますので、それの調査をいたしております。  さて、その九千万ドルという残っておる債務を一体どういうふうにするかということにつきましては、一昨年でありましたか、それを何とかたな上げみたいな形を中心にした債務償還計画はできないものだろうかという話が国際間で持ち上がりまして、アプスというドイツの銀行家がその案をつくることを頼まれたわけなんです。それで、アプスがその案をつくりまして、各国にアプス案というものを提示いたしましたところが、大体においてある程度の繰り延べをしなければ、この問題は片づかぬのじゃないかという方向が出てまいりました。一番むずかしかったのは、共産圏がどういう態度をとるか、こういうことでありましたが、まあ大口の債権者であるソビエトロシアのほうでも、大体共同歩調をとるというようなことになりましたので、その方向でこの問題の処置をいたしたい、こういうふうに考えてまいりまして、この国会でその債務処置の問題につきまして御承認を得たいという段階までこぎつけたわけでございます。
  203. 中村重光

    ○中村(重)委員 民間の額はどの程度になるのか、非常に大きいのでわかりにくいのだとおっしゃった。民間の資金にいたしましても、これは輸銀であるとかその他政府資金というものがいろいろな形において出されていることに変わりはないのです。しかも、相当長い期間かかっておるのでしょう。それが今日に至るまで民間の分が把握できないということは、私は無責任だと思うのです。当然そのことも明らかにしてこなければならぬ。民間の分は民間の責任という形で処理しようとしておられるのかどうかということも問題でありましょうし、その民間が政府に対して支払いができない、いわゆる投融資に対するところの支払いができないという場合は、それでは政府はそれをどう処理するのかということも問題ではないでしょうか。したがって、今日まで民間の分であるからというような形でその調査を怠っておったとするならば、私は職務怠慢もはなはだしいと申し上げなければならぬと思うのです。それから、約九千三百万ドル程度のこげつきの問題にいたしましても、債権国会議等々においてたな上げの方法についていろいろ話し合いをした、今度の国会においてその処理に対するところの法律案等の提案をし、その処理を進めていきたい、こう言っておる。私は、その貸し付けというものがはたして健全に行なわれておったのかどうか、しかも、その貸し付けというものがインドネシアにおいて有効に使われておったかどうかということは問題ではないでしょうか。国民の税金から貸し付けが行なわれた。その貸し付けが相手国において有効に使われてなくて、雲散霧消していった、あるいは特定の者のふところの中にこの金が消えていったという形になるならば、私はこれはたいへん問題であろうと思うのであります。相手の国民に対してもそうであるし、日本の国民に対しても、私は重大な政府の責任というものが追及されなければならないのではないか。そういう無責任なことがなされて、しかもその処理は、しかたがないから法律案を提案してこれを処理していこう。またぞろ、要するに、国民の税金によってこれを処理するということになってまいりますから、問題はそう簡単なことではないと私は思うのであります。それに対してどのようにお考えになりますか。
  204. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 対外経済援助につきましては、ただいま御指摘のような諸問題があります。これはもう慎重の上にも慎重を期さなければならぬわけでありますが、何しろインドネシア債権問題は、スカルノ政権時代にこのスカルノ政権が幅の広い借金政策をとった。わが国といたしましても、借金の要請を受けまして、これに応ずるというようなことになり、巷間いろいろ報道等が行なわれておりますが、この貸し付け自体は適正に行なわれた、こういうふうに見るのです。  ところが、スカルノ政権下のインドネシア経済、インドネシア財政が非常な難局に立つに至りまして、それでそれにかわったスハルト政権、これがいま再建のために苦慮しておるわけなんです。今日のスハルト政権というものが財政、経済の再建に非常に真剣に取り組んでおる、また真剣に取り組んでおる成果があがってきておるというのが、共通した国際社会の見方でございまして、あれくらい真剣にやるならば、またそれだけ効果があがってくるならば、インドネシアの経済、財政について援助をしてやるべきであるというのが、アプス報告の中心をなしておる考え方であります。  そこで、何としてもスカルノ政権下においてでき上がったこの負債が重荷になっておる。この負債を処置してやるということが再建の前提として必要である、こういう国際先進諸国間の了解が成立してきた、こういうことなんです。  お話しのように、対外経済協力、これはやらなければならぬことではありましょうが、しかし、やるについては再びこういうようなことにならないように、念には念を入れて対処しなければならぬ、かように考えております。
  205. 中村重光

    ○中村(重)委員 大臣がいまお答えになったような援助というものが、有効適切にその国の経済の発展、国民の福祉につながっていくということであるならば、私は、日本の援助に対してこのような相手国から、あるいはその他アジアの諸国から非難というものは受けないのではないか、そう思うのです。御承知のとおりに、日本がいま援助しておるところの総額は膨大な額にのぼっておるわけでしょう。ところが、それに対して相手国は少しも喜ばないですね。そしてまた、援助効果というものもあがっていないのではないでしょうか。いまのインドネシアの問題にいたしましても、いま経済企画庁から出ておりますところのこの資料を見てみますと、これは賠償の資金によって事業に着工したというものの施設がほとんどなんです。ところが、計画のとおり進まなかった。それで今度はインドネシアに対するところの新たな借款、いわゆる援助という形の中で、続いて三Kダムの問題においてもしかり、あるいはその他工場、いろいろの施設がそういう形において進められておる。そして海外に進出しておるところの日本の企業というものも利潤本位、非常にがめついもうけ方をやるから、日本に対しては御承知のとおり非常に悪評さくさくとしておる。私は、そこらに今日までの日本の海外援助の進め方ということに問題があったのではないか。無責任な態度があったのではなかろうか。いわれるところの計画性もない、総合性もない、いわゆる場当たり的、自動的になされた。そういう形の援助であるから、相手国の中におきましても、その援助が有効に使われてなかったという形になってきたのであろう。それが今日の姿を生み出した。エコノミックアニマルなんというようなかんばしくない日本に対するところの批判というものが出てきたのだと私は思うのであります。その点に対しては、私は政府としては強い反省をしなければならないのではないか。  したがって、これからどのような姿勢をもってこの海外援助に取り組んでいこうとしておるのか、まずその点について外務大臣からお答えをいただきたいと思うのであります。
  206. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 従来行なってまいりました経済協力についていろいろの角度から御批判をいただきまして、政府としてもそういう御批判を十分胸に体して反省をし、また今後のやり方について十分検討しなければならないと考えておるわけでございます。  同時に、わが国としては、もうすでに御承知のように、GNPに対しまして七五年には一%程度の海外協力をいたしたい。これはわが国の国益からいいましても適切な考え方であるとかねがね考えているわけでございますが、実際上のやり方の問題としては、まず第一に、二国間の経済協力につきましては、ただいまお話もございましたが、十分このプロジェクトを吟味いたしまして先方の国でも喜ばれるように、またいやしくも政治的その他の面から誤解を受けることのないようにということで、かっちりしたやり方をしてまいりたい。  同時に、条件等につきましても、従来とかく他国の援助に比して高利、短期であるというような批評もございましたから、そういう点についても改善を試みていきたいと思っております。  それから次は、いわゆる多数国間の援助でございまして、これは御高承のように、たとえばアジア開発銀行設立以来各国が協力しているわけでございますが、これは与えるほうの国々が協力して資金をつくり、そして国際的な陣容によって十分各国の地域協力の上に即した計画を審査して融資、投資をいたしておりますだけに、いわば中立的なやり方であり、経済的でもあるということで、相当の成果をあげ、かつ与えられるほうの国からも評価が高くなっておりますので、今後ともこのアジア開銀を通ずる多数国間の援助というような点、これはあえて開発銀行だけに限りませんですが、与えるほうの国々の協力、そして与えられるほうの地域的協力体制の上に援助をする。これに対して日本側として積極的な協力をする。これは私はいろいろの点からの過去の教訓から申しまして、日本のような国柄からいいまして、誤解を起こさずに、また喜ばれるやり方ではなかろうかと考えております。  それからもう一つの点は、従来ともすると東南アジアというような方面に対象の地域が限定されておったという傾きがございますので、これをいま少し広く、たとえば南米にしましてもアフリカの諸国にいたしましても、あるいはまたインド、パキスタン、トルコというようなところもあげられると思いますけれども、最近のたとえば石油問題にいたしましても、経済協力、そして後進地域における産油国への援助というようなことは、これは日本の国益にも役立ちますし、また与えられる国のほうからいっても、これは適切なことだというふうにも考えられますので、そういう面におきましてもくふうをこらしてまいりたい。大ざっぱなところで、時間の関係もございまして恐縮でございますが、そういった考え方で進めていきたい。  また、先ほどちょっとお話がございましたが、インドネシア等につきましては、常識的にいう追跡調査でございますね、どういうところにどういうふうに使われ、どういう点が喜ばれどういう点が批判されているかというような点につきましても、専門家にいろいろお願いをいたしまして、過去の実績からしての教訓をさらに具体的に生かしていこうという努力も続けておりますことも、御承知のとおりでございます。
  207. 中村重光

    ○中村(重)委員 私は端的に申し上げれば、日本の海外経済協力というものに対する姿勢というものが非常に悪かった。それはいろいろあろうと思います。あとで私は一つ一つ提案という形で申し上げてみたいと思うのですが、それとより根本的な問題は、この海外援助に対する理念というものがなかったんじゃないか。当然海外援助には理念がなければならぬと思う。人類愛の上に立った人道主義、あるいは政治的な理念、あるいは純経済的な理念、いろいろ海外援助に対するところの理念というものがまずなければいけない。そして援助に対するところの基本的な方針というものが確立されていなければならぬということ。外務大臣は、海外援助に対するところの理念というものはどういうことで進めていこうとお考えになっていらっしゃいますか。
  208. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 政治的に申しますと、何といっても国際緊張の緩和ということ。日本がほんとうの平和国家としてのイメージに基づくところの協力であり、援助であるという姿勢が一番根本に必要なところではなかろうかと考えるわけでございます。そういう角度から申しましても、諸国の民生の安定ということ、そして国民所得が着実に上がるようにしていって、人心が安定するようにやっていくということ。それには、いやしくも日本がエコノミックアニマルとかあるいは経済帝国主義とかと言われないようなビヘービアが絶対に必要ではないだろうかということを一番大事に考えております。  それからもう一つは、経済協力といわれますと、技術協力という面がともするとあと回しになるおそれがありますが、今日の状況におきましては、技術協力ということにできるだけの重点を置きたい。そういう面で、四十六年度予算におきましても、ある程度のくふうはこらされてておりますけれども、技術協力をし、そして開発途上国の人たちにも技術を十分に覚えてもらいまして、そして進んではこれがジョイントベンチャーなりあるいはまた国際的な企業の分業主義ということで、与えられるほうの国々にも積極的に得意とする産業が伸びるようにしむけていくということも、常に考えていかなければならないことではなかろうかというふうに考えております。
  209. 中村重光

    ○中村(重)委員 いままでの援助の総額が十二億六千三百万ドルですね。実はこういう膨大な数字になっている。ところが、外務大臣がいまお答えになりましたような基本的な方針――あくまで相手の国の繁栄、それから緊張の方向ではなくて、その緊張を緩和する方向、そうした面にこの援助というものが効果的に適切になされていなかったというところに問題があるのではなかろうか。  そこで、いま大臣がお答えになりましたような一つの理念を持って援助を進めていくということになってまいりますと、相手国の政治体制ということによって援助というものを左右すべきではないのではないかと私は思います。共産主義国家であるから援助はしないのだ、自由主義国家であるから援助をするのだ、そのような態度というものは、私はあってはならない、そのように考えます。大臣としてはどのようにお考えになりますか。
  210. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 日本の外交の姿勢として、外国のイデオロギー等にはとらわれないということを基本にしております関係から申しましても、各国の政治体制その他にはとらわれないという考え方を現に持っているわけでございますが、ただ、従来二つの面から言えると思いますのは、一つは、援助の予算というか資金源というものが十分にはなかったから、自然先ほども申しましたように東南アジア諸国というようなところに限定される結果になったということ、あるいはまた特に友邦関係というようなところにどうしても比重が多くなったということ。それからもう一つは、賠償関係が戦後相当続いておりまして、これが大体終了の時期になったわけでございますけれども、その賠償関係などで手がけてまいりましたものを、やはり今後とも伸ばしていかなければならないというような関係もありまして、そういう点から申しまして、客観的にごらんになりますと、政治体制が異なるところにはほとんど関心がなかったではないかというような御批判も受けがちだと思いますが、しかし、現にこの経済協力というものをもう少し範囲を広めて見ますれば、ソ連との間の関係も相当に進んでおりますし、また東ヨーロッパの関係なども近年におきましてはかなりいろいろの関係が改善されております。また経済協力、技術協力の面でも、先方からも積極的な要請を受けておりますので、逐次これらの要請にこたえてまいりたい、かように考えております。
  211. 中村重光

    ○中村(重)委員 私は、いま大臣のお答えになりました点があると思うのです。賠償に関する限りは、日本の援助というものが、相手の国の考え方というものを認めていかなければならなかった。したがって、そこにどうしても相手の国本位になり、受動的になってくるという面があったということは、ある程度私は認められると思うのです。賠償関係であったから、共産国家というものに対する援助というものがなされていなかったという一面は、賠償に関する限り、そのことのよしあしは別といたしまして、現実の問題としてはあると私は考えます。  だがしかし、政府がとっておる姿勢全体を見てみますと、残念ながら、そうした点がすべてであるというふうに見るわけにはまいらぬ。端的に申し上げますならば、分裂国家、反共諸国家に対するところの援助というものに政府の考え方は一貫しているのではないかということであります。それは大臣が援助をしておるその姿をお考えになればおわかりになるであろうというように私は考えるわけであります。  したがって、日本の援助の性格というものが、経済援助の性格から軍事援助の性格に変わりつつあるということ、このことが強く指摘されておる事実を大臣はお認めになるかどうか。でないとするならば、そうした批判を打ち消すために、この後は具体的にどのような態度をもってお進みになりますか。
  212. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 その点の御意見はごもっともだと思います。そういうことに政府としても十分関心を持ちまして、一例をあげますと、たとえインドシナ半島のカンボジアに対する問題などにいたしましても、これは戦乱の渦中にある人道的な難民の救済という立場で、御案内のように、赤十字社を通じて二回にわたって援助をいたしましたが、これははもう純粋に人道的立場でございました。そして、何しろ現状のような場合におきましては、なかなかそれ以上は進みませんので、これは今後治安状態が回復し、また政情が安定するというようなところに見合いまして、積極的な姿勢を出すべきものであって、ただいまのような騒乱の渦中にあるようなところに対しては、人道的な援助ということに主力を置いて考えていくべきものである、かように存じますし、いまお示しのような点は、今後におきましても十分配慮してまいりたいと思っております。
  213. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまあなたはカンボジアの例をおあげになりました。南ベトナムに対しましても、御承知のとおり、当初医療援助という形の援助もなさった。しかしながら、人道主義的立場から援助をするのだとおっしゃるならば、南であろうとも、北であろうとも、平等に、あらゆる方法をもって援助というものが進められていかなければならないのではないか。しかし、そうしていないところに、私はいわゆる日本の援助というものが、援助という名における軍事協力、そういう形になっておるということを否定することはできないと思います。しかし、時間の関係もありますから、まあこれ以上議論はいたしません。ともかく私は強く反省を促しておきたい、このように考えます。  大蔵大臣は、昨年でございましたか、国際会議に御出席になりまして、日本の援助の倍増、七五年にはGNPの一%の援助をするのだということを、あえて宣言と申し上げてよろしいと思うのですが、そのことをはっきり表明をしておられるわけです。しかし、それは大蔵大臣だけではなくて、もうすでにこれは国際会議において決定をしておることでもあるわけです。日本はこれを守っていこうとする考え方であろうと思うのでありますけれども、やはりその国の特殊性というような点もこれはある。また、時期的にも必ずしも同時に行ない得るというものでもないであろうと思う。日本の場合においてはどのような計画で、内容的にはいろいろ――私は、GNP一%ということになってまいりましても、その間に非常におくれておる政府援助をどうするのか、民間の投融資も含まれておるのか、いろいろあろうと思いますので、それらの点に対しての具体的な考え方をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  214. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 対外経済協力の基本路線といたしましては、一九七五年にGNPの一%に相当する額まで到達せしめたい、これは政府として一致した統一的な見解でございます。それを達成することはかなりの努力が必要なんですが、大体毎年毎年二一%くらいずつ伸ばしていかなければならないということになりますが、これはできる限りその努力をいたしていきたい、また大体可能であろう、そういうふうに見ております。  さて、そうしたらその内容はどうだ、こういうお話かと思いますが、これはいま愛知外務大臣からお話がございましたが、何といっても第一には、これは相手国の民生安定に役立つ、そういうものでなければならない、相手国の事情というようなものをよく調査し、また聞いて、その相手国の経済発展計画の中の一環としてなじみ得るものでなければならぬ、さように一つには考えます。  それからもう一つは、やり方でございますが、これは日本とどこそこという二国間というような形、従来それが中心になって行なわれてきたわけでございますけれども、だんだんとこれを国際機関を経由する方式に切りかえていく必要があるのではあるまいか。つまり、日本が二国間の形で経済協力を進めるという際には、日本の経済進出である、経済侵略である、こういうようなことで、いろいろな摩擦を起こしがちである、なるべく国際機関を通ずる援助ということが必要である、かように考える次第でございます。  それからさらに、いまも外務大臣が触れられましたが、アジア近隣諸国、これが中心だ。従来ともそうでありまするけれども、だんだんとその幅を拡大することも考えていかなければならぬかと思います。  それからさらに、経済協力をする場合の条件の問題でありますけれども、日本では条件がきびし過ぎるという国際社会での批判があるのであります。それから援助を与える相手国からもそういう批判があるわけでありますが、これはだんだんとその条件をゆるめていくという方向をとらなければなりませんけれども、これには財政資金が必要なんです。そこで問題があるのです。つまり、国内では公害の問題だとか、住宅の問題だとか、道路の問題だとか、いろいろの問題が山積しておる。そこへ財政資金を投じてまで条件の緩和、そういうことをやることが妥当であるかどうかという国民の感情、そういうものもあろうかと思う。しかし、今日になると、もう日本は海外に対してよほど大きな協力をするという態勢でなければ、日本自体の発展にももう大きな壁ができつつある。やはり世界とともに繁栄するという姿勢、これがぜひとも必要な段階になってきている。そういうことを考えますときに、条件の緩和、つまり財政資金を海外協力に投入するということについて、広く国民のコンセンサスというか御理解を求めるために大きな努力をしなければならないという段階にきておるように思い、せっかくさような努力を始めておる最中でございます。
  215. 中村重光

    ○中村(重)委員 大臣おっしゃるように、日本はそうした条件の面においても非常に批判が強いわけですね。昨日の新聞でも、西独の経済援助の方針を大転換する、政府援助はGNPの〇・七%にもっていく、内容的に相当前進したものであります。この考え方に対して、日本としてもやはりこういった援助の条件というものを打ち出していかなければならぬというように、外務大臣は考えになっておられますか。
  216. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 先ほどもちょっと触れたのでありますが、国際会議等で日本の条件がきびし過ぎるということはしばしば聞くわけでございまして、大蔵大臣にもいろいろと御協力をいただいて、これをソフトにする、緩和するということについては、政府としても努力いたしております。  同時に、これは多少私見を交えて恐縮なんでございますけれども、合理的な援助でなければならない。これを無利子、無期限などというところまで含めて援助の条件を緩和するというのは、これはさしむきのところは喜ばれるかもしれませんけれども、ほんとうの意味で、長い目で見て、誤解を防ぎ、また経済侵略的でないというその立場をとる日本といたしましては、合理的な経済的なベースのものでなければならない。条件を緩和するにしてもおのずから限度がある。そのことは、私といたしましても、援助を受ける国々に対しても常によく言っていることでございます。たいへん俗なことばで恐縮でございますけれども、ただほど高いものはないというようなことも、こういう際にも、相互信頼関係のある、まじめな問題の取り上げ方の場合には、十分注意していかなければならないことであるということを率直に訴えているような次第でございます。
  217. 中村重光

    ○中村(重)委員 官房長官にお尋ねをいたしますが、お聞きのとおり、また官房長官よく御承知になっていらっしゃるわけですが、日本の援助のあり方が好ましいものでない、ともかく改めなければならぬというのは、いまの両大臣のお答えによってもおわかりでございましょうし、政府の姿勢であろう、いまの考え方であろうというように実は思っているわけです。ところが、いま外務大臣がお答えになりましたように、この援助に対しは国民のコンセンサスが必要なんです。国民の合意を得るためには、いま批判をされておる、いわゆる経済援助ではなくて軍事援助というように性格が変わってきているんだとか、反共国家群にだけ援助をしていくんだ、そういったようなことは当然改めていかなければならぬし、そういうような批判が起こらないようにしていきたいということは、いまのお答えの中からも出てまいりましたが、いま一つ、私は、日本の援助が非常に有効的でなかった、総合性、企画性に欠けておったということは、機構にも問題があったんじゃないかと思うのです。御承知のとおり日本の援助というものは、基金というものを中心に考えてみますと、経済企画庁が所管をいたしております。しかしながら、大蔵、外務、通産、この四省の共管でありまた問題によりましては、もっと広い省にわたってこの援助業務を進めていかなければならぬという形になっておるということであります。ですから、先進国家にございますように、援助というものは一元化していかなければならない。経済援助省というものがある国がある。あるいはアメリカは、国務省の中の一庁として独立した援助業務をやってきているということであります。ともかく、いまのように共管であるから、事務の渋滞あるいは非常に繁雑、それが無責任という形にもなってこようと実は思うのであります。したがいまして、援助の機構の統一をこの際はかる必要があるのではないか、そのように考えますが、官房長官、いかがでございますか。
  218. 保利茂

    ○保利国務大臣 お話を伺っておりまして、私どももそういう認識をだんだん深くしておりますが、海外経済協力の問題については、三つの面から考えていかなければならぬのじゃないか。第一は、国内に内政上の多くの課題をかかえておる中でかなりの経済協力を行なっていくということは、やはり国民の方々に理解をしていただくということが第一じゃないか、そういう点において努力いたさなければならぬということを第一点に考えます。第二は、経済協力をいたします相手方の国民の方々に日本の海外経済援助というものの精神がよく理解されるような努力が必要であろう。第三点は、日本が海外経済協力に努力していくについて、やはり一つの国際競争社会でございましょうから、同様の先進諸国が日本の海外経済援助に誤解を持たれないように、したがって国際的な協調の関係を重視していかなければならぬ。そういう三つの面があるようでございまして、その点は、十分注意を払っていかなければならぬと思います。  なお、この機構上の問題についても、まさに御指摘のとおりでございましょうけれども、現在のところは関係各省、非常に有機的な、緊密な連絡をとって援助の目的を達するように十分の効率をあげておられるようですけれども、しかし、お話しのように、だんだん援助額が大きくなってまいりますと、そういう機構上の問題についても十分検討していかなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えております。
  219. 中村重光

    ○中村(重)委員 総理も、高橋議員の本会議における質問のときでございましたか、いわゆる閣僚会議というものがある、それで調整をやっていくんだ、そうして、その下で各役所がやるんだとおっしゃったが、そんなことは話になりませんよ。経済協力閣僚会議というものはいままであった。ところが、現実にどうにもならないですね。ともかく、今日の官僚組織というものはそんなに弱いものじゃありません。権限の問題その他なわ張り、どうにもならないじゃありませんか。効果があがっておると官房長官はお答えになりましたが、効果はあがってない。これは率直にお認めにならなければならぬと思うのです。私は、いま御提案申し上げておることは一昨年も御提案した。それに対しまして、いろいろ検討するというお答えがあったように私は記憶をいたします。このあとで申し上げることとあわせて御提案をいたしました。それから政府の、総理の諮問機関である対外経済協力審議会、これは永野重雄さんが会長ですが、ここでも経済協力庁設置を求むる答申をしようということをおきめになったやに伝えられているわけです。その機構の一本化ということは当然やらなければならない。相手国も、どこへ相談したらいいのかもうさっぱりわからないというのが現状ではないでしょうか。福田大蔵大臣のお答えにもございましたように、これは近く一兆四千億ぐらいの援助額になるのですよ。だから、これははっきり機構の統一をはかっていく必要があると思うのです。これは行政管理庁長官、いかがでございますか。
  220. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お答えいたします。  大体は官房長官からお答えいたしましたことと同じ意見でございますが、申すまでもなく、海外経済協力は、その性格上貿易産業政策、外交政策、財政政策等、多面的な配慮を要する分野のものでありますが、現在は、御指摘のとおり、関係省庁が集まりまして相談をする、その中心は経済企画庁長官でありまして、これは職権をもって総合調整権がございます。ですからうまくいくはずでございますが、御指摘のような点がありとすれば、その機能の運営の問題でもあろうかと思います。機構の一元というのは、まあ言うことはやすいと言っては失礼ですけれども、一つの構想ではありましょうけれども、原則的に、縦割り行政の中にいわば横割り行政というものを創設すること、そのことがたいへんな混乱を招くというおそれがございますので、当面、いま申し上げましたような、御承知のようなやり方で運営を適確にやることによって事態に即し得るんじゃなかろうか、かように思います。
  221. 中村重光

    ○中村(重)委員 官房長官と行管庁長官がお答えになったあとで、外務大臣にもっと前向きの答弁を期待できるのかどうかわかりませんが、何といったって外務省が外交を所管しているわけですから。そうした審議会の答申も近くなされるであろう、それから先進国家の姿等々を見られて、いままでの経験からして、ここでやはり機構の統一というものが必要だ、そのことを積極的に検討しなければならぬというようには外務大臣はお考えになりませんか。
  222. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これはかねての御熱心な御提案でございますし、私もいろいろ検討いたしてはおりますけれども、現在のところ私としてはこれで十分やっていける、こういうふうな感じを実は持っているわけでございます。何ぶんにも機構の改正ということはそれ自体なかなかたいへんな問題でございますが、先ほど官房長官も言われましたように、最近の状況をずっと振り返ってみましても、関係各省の間の有機的な連携は十分にとれているように思いますし、たとえばかりに外務省に経済協力庁というようなものでも付置されたといたしましても、やはりこれは政府全体として見れば財政権の問題、国内の産業政策あるいは景気その他の経済政策全体の問題とも密接に関係のある、またそれぞれの所管の省が最高の責任を持っておりますから、単に機構を、看板だけつくって集めてみましても、かえって十分な成果はあがらないのではなかろうか。私はせっかくの御提案に対して、消極的なお答えをして恐縮に存じますが、実は私もさように考えている次第でございます。
  223. 中村重光

    ○中村(重)委員 審議会の答申もありますからあとでお困りにならないようにひとつ……。まああとでこれはまた議論をいたしましょう。  それからもう一つ、これもいま申し上げましたように、一昨年御提案申し上げました。いわゆる資金の面ですが、いま経済援助の窓口というのが経済協力基金とそれから輸銀と二本立てでおやりになっておられる。ところが内容を見てみますと、基金はこれは別といたしまして、輸銀の場合ですね。一般案件という形において合弁会社等に対するところの投融資等いろいろやっておられるわけですね。同じようなことをやっておられる。私はこれは適当でないと思うのですよ。もう政府ベースのものは基金に一本化する。輸銀はコマーシャルベース、商業ベース一本でいくというように、私はここで区切りをつけなければならぬと思うのです。いろいろそれは事情はあるでしょう、金利を引き下げてこなければならぬ、基金と輸銀の条件が違うんだからそこの調節もしていかなければならぬといったような、またいろいろ二つあることについての便利というようなものもあるのかもしれません。しかしそのことが非常に混乱を来たしておるということも事実ではないでしょうか。もう輸銀は純粋に商業ベース一本でいくということが、これは輸出銀行法の目的でもあるわけなんです。なるほど業務を見てみますと、これは外国の政府に対しあるいは地方団体に対して借款もすることができるというようになってはおるですね。しかし本来のあり方というものはそうではないのじゃないでしょうか。ここで区切りをきちっとつけるというようなお考え方はございませんか。これは大蔵大臣……。
  224. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 基金と輸銀との関係につきましては、お話のような割り切り方、これも一つの考え方だ、かように存じます。ところが実際の運用を見てみますると、輸銀に商業ベースのものとまた政府の多少の息のかかった輸出業務、これが混在をするわけなんです。どっちか一つに片づけちゃって、一つずつ別個の考えをすることが非常にむずかしいケースが多いわけなんです。そういうようなことで、対象は一つだけれども、一部はこれは純粋なコマーシャルの輸銀の機能を生かすのだというものと、それから多少政治的配慮を加える輸出業務だ、こういうものと相並行していかなければならぬ、こういうケースが多々あるのです。そういうことを考えまするときに、いまの輸銀で何もかもやるのだ、非常にはっきりしたものを基金でやる、こういういまの仕組み、これが必ずしも当を得ないのだというふうな割り切り方もなかなか困難なんです。そこで先ほどの政府機構の問題とこれは同じ問題があるわけなんですが、これも少し支障が激し過ぎるというような状態が出てくるか出てこないか、その辺もよく見なければならぬのではないか、さように考えております。いずれにいたしましても問題がある。理論的な問題と実際的な問題との乖離がある。こういう点があることはあるのです。ですからこれも検討問題にいたしたい。検討はいたしております。
  225. 中村重光

    ○中村(重)委員 私はいま基金は別にして申し上げたのは間違いでして、基金で一般案件という形で投融資等をやっている。だから基金も直接借款、それから一般案件でもってそうした民間ベースのものに投融資という形のものがなされていく。輸銀も今度は本来商業ベースであるべきものが、これが政府借款等に使われていく。大臣がお答えになりましたように、それはいろいろ使い分けをするといったようなことだってある。しかし私は、はっきり区切りをして、その中で画一的に、利子は五%なら五%あるいは輸銀は六%なら六%ということではなくて、やはりその相手の国の条件、それから援助をするその中身、いわゆる事業の性格と申しましょうか、そういうものに応じて処理していかれるならばよろしいのじゃないでしょうか。何のために基金と輸銀というものに、政府ベースもやり、民間もやる、そうして輸銀にまた両方やらせるというような複雑なことをやらなければならないのでしょうか。聡明な閣僚陣においてそういうことができないはずはないじゃありませんか。プラスマイナスとどちらが大きいのか、どちらが筋かということをお考えになって行政を進めていくということが正しいのだ。また輸銀に対しまして、先ほど申し上げたように、業務の中におきましては、それは政府に対しての借款がかりにできるといたしましても、本来輸銀の目的というものはそういうものではないということを考えますと、本来の姿に戻るべきである、私はそのように考える。そうなさらぬから中国に対する延べ払いにいたしましても、それは蒋介石さんから、中国に対する経済協力を日本がやるのだというような内政干渉を受けるのじゃありませんか。受けるようなことをあえて何のためにやらなければならないのでしょうか。私は、一面から申し上げますならば、輸銀法は、これは御提案によって国会が議決をしてまいりました。したがってこれは国会の意思すら無視しておると指摘してもよろしいのではないか。それから先ほどインドネシアの焦げつきの問題にいたしましても輸銀法の改正という形で特例法でおやりになろうとしておるようでありますが、そういうものを輸銀でやらせる、そのこと自体が私は問題であると思うのです。そういうところは輸銀はやるところではありますまい。だからこの際そういう便宜主義的なことをおやめになって、画然としておやりになる必要がある。荒木行政管理庁長官、いかがでございますか。これはあなたの守備範囲でないということでもないでしょう。時間がありませんから早く……。
  226. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お答え申し上げます。  ちょっと縁遠いことですけれども、検討いたしたいと思います。
  227. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまのはお答えになりません。これは私は、通産大臣が一番中間だから通産大臣にお尋ねすればよかったのでしょうが、通産大臣も、大蔵大臣がこう答えてしまうと答弁がしにくいのだろう、こう思うのですが、進んでお答えをいただければ、私はお答えをいただきたい、こう思うのです。しかし時間の関係もございますから……。
  228. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この問題は、いろいろございますのですが、中村委員は全部御承知でございますから、そこをすっ飛ばしまして、結論しとては、やはり中村委員の言っておられるような感じを私自身は持っておるわけです。ただ自分の所管でもございませんし、大蔵大臣がこの問題は一番よく御存じでございますから、しばらく御検討におまかせしたい、こんな感想でございます。
  229. 中村重光

    ○中村(重)委員 それからもう一つ指摘しておきたいと思うのです。この海外協力基金を経済企画庁に――これは佐藤長官の前でちょっと言いづらいのだけれども、経済協力基金をなぜに経済企画庁に所管させるのでしょうか、日本の経済企画庁というものは外国の計画をなさるのでしょうか。私はおかしいと思うのです。中身は知っていますよ、なぜ持っていったかということは。それはなわ張り争いの結果、外務省もおれのほうに、あるいは大蔵省も、あるいは通産省も奪い合いをやって、まあまあ経済企画庁あたりでひとつ持っておってもらおう、こういう形で経済企画庁に持っていった。これはその当時審議に当たりましたので、中身はある程度通じたのですが、ともかくその当時はそういうなわ張り争いだったでしょう。しかし縁の遠い経済企画庁にいつまで経済協力基金を所管させるのでしょうか。あやまちを改むるにやぶさかであってはならない。これはともかく本来の姿に戻す必要がある。経済協力基金を大蔵省が所管するのが、あるいは適当であるのかもしれません。そうすると、輸銀は大蔵省の所管ですが、これも私はいかがなものであろうか、これは外務省に持っていくか、通産省に持っていくか、ともかくこうもっとぴったりするようにおやりになったらいかがでしょう。私はどうもいまの姿は適当でない。これもどの大臣からお答えになればよろしいのか、行管長官は縁の遠いというふうに答えられるでしょうから、この点はこれも中間的でございますから、通産大臣からひとつお答えをいただきましょう。
  230. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 やはりこれもいろいろいきさつがございますので、ともかく私の意見はどうかというお尋ねがありましたら、輸銀と基金との業務の内容は、これから先の対外関係を考えますと、きちんとしておいたほうがいいし、その所管についてももう少しすっきりさせたほうがいい。私は御指摘の点は、問題をさすがによく御存じの上での御指摘だという感じがいずれもいたします。ただ先ほど申しましたように、大蔵大臣も経済企画庁長官も、よく本件は御存じでございますから、しばらく御検討にゆだねたいというのが、私の結論になるわけであります。
  231. 中村重光

    ○中村(重)委員 時間の関係がありますから、佐藤長官もおられるのに、肝心の基金の所管をしておられるあなたにお尋ねをしないことは非礼であろうと思うのでございますけれども、あまり縁のないことで苦労なさらないで、日本のほんとうの総合計画を佐藤経済企画庁長官、情熱をもって進めていかれることが私は本来ほんとうだろうと思う。進んでこれを返上する、そして本来の最も適切な省にこれを持っていく、そういうことにひとつ閣僚会議等で勇断をもって進言されるというようなことを私は期待をいたしたい、そのように考えます。  しかし最後に、この問題については大蔵大臣から、私の指摘は間違っておるとお考えでございましょうか、検討に値するというようにお考えでございましょうか。
  232. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 先ほどから伺っておりますが、まことに理論的に筋の通った御所見と承っております。ただこれは機構いじりしただけでも問題の解決にはならない、運営がうまくいくかどうか、こういう問題とにらみ合わせる必要がある。今日御指摘のような機構上の問題は多々あります。ありますが、今日の状態においては、閣僚間において、また各省間において、非常に緊密な連絡のもとに、一糸乱れず統一的な行動がとれるような動き方になっておるわけでありまして、差し迫った機構改正の必要はどうか、こういうことになると、私はその必要は感じないのです。しかしこれから先々どうするかというような長期展望に立つときはいろいろ問題があろうと思いますので、これは十分検討させていただきたい、かように考えます。
  233. 中村重光

    ○中村(重)委員 時間がないのにこれでばかり時間をとるのは、私もどうかと思うのですけれども、外務大臣、先ほどお答えになりましたように、あなたのほうでは海外経済協力五カ年計画をお立てになって、先ほどお答えになりましたような理念でこれから進めていかれようとする。私が指摘いたしましたこの二つの問題は不可分の関係であると私は思うのです。切り離すことのできないものである。したがって、あわせてこれらの問題を検討し、適切な措置をとるというようにお考えになりますかどうか、あらためてあなたからもお答えをいただきましょう。
  234. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 海外経済協力につきましては、先ほども私の考えの一端を申し上げたわけでございますけれども、やはり中村委員の御指摘のように、できれば五カ年計画というような、かなり長期のこれからの理念をもとにした考え方を、政府としてまとめて持ちたいと思っておりますわけで、世上にはすでにできたかのように伝えている向きもございますが、実はなかなかむずかしい問題でございますから、現在いろいろと作業中でございます。ただいま積極的な御提案もいただきましたので、その問題も含めて今後鋭意勉強させていただきたい、りっぱな五カ年計画をつくる際に、この問題もあわせて検討させていただきたいと思います。
  235. 中村重光

    ○中村(重)委員 次にお尋ねをいたしますが、これは通産大臣にお答えいただきましょう。  財団法人アジア貿易開発協会というのがあると思います。この設立の目的、事業、政府との関係についてお答えをいただきます。
  236. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これはたしか昨年の春早く設立をいたしましたもので、東南アジア等の地域から主として農産物を開発輸入いたします。そういたしますと、実際かなり高くもつくわけでございますが、しかし開発輸入が、片貿易をやめる意味からも、またこれらの国にとっても大切なことでもございます。それから開発輸入をいたしますと、そのための埠頭の施設とか、関連の施設というようなものがございませんと、なかなか輸入がむずかしいという問題もございますので、こういうことをいわば金融をする、そういう目的で民間から金を出してもらい、たしかジェトロからも一部金を出しまして設立をいたしたものであります。
  237. 中村重光

    ○中村(重)委員 一次産品の開発輸入をするためにこうした機関が必要だということでおつくりになった、民間が金を出して、たしかジェトロからも一部出ておるかもしれん、こうおっしゃった。それではアジア貿易開発協会はどの程度の資金運用をやっておるのでしょうか。その中で民間が出している金は幾らでございましょう、そうしてジェトロが出しているのは幾らでございますか。
  238. 後藤正記

    ○後藤政府委員 お答えいたします。  現在、アジア貿易開発協会の資金の内訳は、四十六年度の総計が三十五億三千百万円、こういうことに相なっております。そのうちジェトロの自己資金からアジア貿易開発協会に回しておりますものが四億円、それから政府出資にかかるものが四十一年度から四十六年度の案まで含めまして八億八千百万円、合計いたしまして十二億八千百万円、こういうことに相なっております。
  239. 中村重光

    ○中村(重)委員 このアジア貿易開発協会に対して政府の金がどういった形で幾ら出ておりますか。
  240. 後藤正記

    ○後藤政府委員 お答えをいたします。  合理化施設の資金として十三億円、輸入促進の資金として十二億八千万円、それを除きましてそれ以外に基本財産として民間各界の寄付金によるものが一億円、かように相なっております。
  241. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは私のほうから確認をいたしますが、ことしの日本貿易振興会、いわゆるジェトロ、これに対しまして予算が五十四億八千四百五十一万六千円、こういう形で予算が計上されているのです。別に上記のほか発展途上国産品開発輸入促進特別基金出資金として九億五千万円が認められたとこう書いてある。なお調べてみますと、昨年も八億五千万円、こういうことでジェトロに計上をされておりますが、これは予算の中に入ってない、いわゆる別にこういう金があるということを書いてある。よくよく調べてみると、ジェトロはトンネルなんです。大蔵大臣、お聞きになってください。そしてこの財団法人、これも永野重雄さんが会長をしておられるのですが、アジア貿易開発協会にジェトロをトンネルしてこの政府資金というものが流されておるということです。それだけではなくて、通産大臣お答えになりましたように、ジェトロにありました余裕金と申しましょうか何と申しましょうか、その金も出て、いまアジア貿易開発協会が運用しておりますものは三十五、六億、そしていま出しておる金が三億八千万円でございますか。  そういうようなことでございますが、このジェトロをトンネルして、財団法人アジア貿易開発協会に金を出すということが、財政法的にこれは正しいのかどうかということです。よろしいですか、補助金ならわかります。補助金は、これは出すことは可能でしょう。しかし、融資というものが、実質的にはこのような民間法人に対して財政資金というものを融資をしてよろしいのかどうかということです。これはいかがでございますか。
  242. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 法律論といたしまして、財政資金が投融資の原資と貸し付けの原資を支出しては相ならぬ、こういうことはないと思うのです。私は、いまのアジア開発基金ですか、これの実際の動きは知りませんけれども、法律論として何ら支障はない、かように考えております。
  243. 中村重光

    ○中村(重)委員 法律論として支障はないということは、財政法のどういうところにはっきりしているのでしょうか。法律論として差しつかえないという根拠を明らかにしてください。
  244. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 大量の支出をしておるものにつきましては、たとえば産業投資特別会計に対して国は金を出して、産業投資特別会計からいろいろな支出をしておる、こういうこともあるくらいでありまして、法的にこれが財政法に違反する、こういうふうには考えません。
  245. 中村重光

    ○中村(重)委員 出してよろしいという規定はないじゃありませんか。出していけないという規定がないとおっしゃるならば、出してよろしいという規定がございましょうか。補助金はわかりますよ、規定もある。現に幾つものそうした財団法人に出しておられます。しかし、投融資をしておるという事実が今日ございましょうか。だから、そうされないから特殊法人であるところのジェトロを通じて、これをトンネルさして、この民法人であるところのアジア貿易開発協会に金を出しておるのじゃありませんか、回り道をして。こういう変則的なことをどうして便宜主義におやりになるのでしょうか。  時間の関係がありますから、私はあえて申し上げますが、しかもこのアジア貿易開発協会に対しては長期無利子の融資をしておるという事実であります。十年から三十年であります。民間はわずか一億金を出して、これをつくったのです。あとは全部、三十五億程度の金というものが財政資金というものでもって運用されておるということです。そして、先ほど外務大臣は、私が基金の問題に対して、貸し付け利率の問題等々についても、これをもっと引き下げられるものは引き下げていくという形であってよろしいではないかとこう申し上げました際に、いわゆる合理的に経済協力というものは進めていかなければならない、無利子ということは適当ではないのだとおっしゃったのです。そうした御答弁が外務大臣からございましたが、現実には財政資金というものが、こういう変則的なやり方をもって、三十年という長い間無利子で金を出しておるという事実とは矛盾しないのでしょうか。何のためにこのように、いわゆる財界に対して手厚い措置を――法的に疑義があるのにもかかわらず、そういう手厚い措置をしなければならないのでしょうか。
  246. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは財界云々ということではございませんでしたので、まあ東南アジアの国との片貿易をなくして、向こうからできるだけ売りたいものを買いたい、買ったほうがいいという気持ちから、いわゆる開発輸入を始めたわけでございますけれども、何ぶんにも先方が未経験でございますから、どうしても現在のところ、まだ採算的には、正直を申しますと、合いかねるところが多い。それでもまあ私どもとしては、同じものを買いますなら、アメリカから買うよりは東南アジアの国から買ったほうが、やはりお互いのために将来を考えるといいという気持ちがございますから、それで多少高いもの、あるいは幾らか無理をしてでもそういうものをできるだけ買いたいという立場をとっております。そういたしますと、これは高くもありますし、それから桟橋とか道路とかいうものもつくりませんと実は船積みになりません。いわゆる集荷のそういうための施設でございますが、そこまでひとつやらなければなかなか開発輸入というものはうまくいかない。そこで、ある程度のことを覚悟いたしまして、ただいま御指摘のような長い金、無利子の金を貸しておるわけです。正直を申しまして、採算的には、なかなか、桟橋をつくったり、道路をつくったりしますことは、採算としては乗りませんのですが、まあ開発輸入を進めていくという意味からは意義のあることであろう、こう考えておるわけでございます。
  247. 中村重光

    ○中村(重)委員 大体二、三年前から特殊法人をつくって、そうして特殊法人の事業団をつくる、事業団でもってこうした業務を直接やらせようということで大蔵省に予算折衝を通産省は続けてきておったはずなんです。しかし、大蔵省はどうも好ましくないということでこれをお認めにならなかった。そこでこうした法的にも疑義がある便宜主義的なやり方を実はおやりになっておられる。そういうことは私は断じて許されないと思うのです。なぜに基金なら基金、輸銀なら輸銀ということでおやりにならないのか。堂々と特殊法人なら特殊法人をつくって、ぜひこれがなければならないならば、そうした措置をおとりにならないのか。ジェトロを巧みに利用して、そうしてただトンネルをさせて、そうした民間人で、これはいわゆる財界ではないとおっしゃいましたが、これはもうすべてそうした事業家でもって組織をいたしておりますが、それ全部で一億金を出しておるにすぎないのです。そういうことで、しかも三十年という長い間無利子でおやりになっておられる。ただ二%の利子をつけて三年間で償還させる、いわゆるトウモロコシであるとかあるいは砂糖であるとかというものを輸入をしておるケースが二件ぐらいあります、私の調査によると。それは三年で償還される。いま通産大臣がお答えになりましたことは、これは三十年間も現実にただでくれてやるという形なんですよ。だから、こういうあいまいなことはおやめになってもらいたい、すっきりしてもらいたいということを私は申し上げたいのです。  時間の関係もありますから、あらためてこの問題は、大蔵委員会と申しましょうか商工委員会と申しましょうか、適当な機会においてやらなければいたし方がないと私は考えます。非常に問題であるわけです。幾らでもあるのです。こういうケースは。たとえば財界が海外に進出しておるところの日本の企業が、現地で現地人を採用して、そうして今度は日本に連れてきて、そしてその本社で技術研修をやらせる。そしてまた現地に戻して、その会社が、それをそのまま使っていくのです。それに七五%国から助成をしておるではありませんか。政府が招請しておるところの留学生にはわずか三万五千円。アルバイトをしなければ生活をすることができないというようなことをやっておきながら、そうした財界人に対して手厚いありとあらゆる措置をおとりになるということが、私は今日の佐藤内閣の姿勢であるということをあえて指摘して、この問題は重要な問題でありますから、このことも追及をしてまいりたい、明確にしていきたいと考えます。  時間の関係がございますから、管理価格等の問題に入っていきたいのです。  そこで、公正取引委員長お見えですか。管理価格の問題が非常に大きく取り上げられてくるようになってまいりましたが、政府もそれから公取委員長も、この管理価格に対するところの監視体制を強めていく、調査をする、監視をやっていくというような方向に独禁法改正をするというような考え方がまとまりつつあるようであります。あるいは政府の中におきましては、いわゆる政府部内に、公取ではなくて政府にそういう新しい機関を新設することがどうであろうかという検討をしておるということが伝えられております。官房長官がおいでになれば、官房長官にお答えをいただくつもりでございましたが……。外務大臣どこへ行ったのですか。だれにこれはお答えをいただくのがいいですか。――それでは公取委員長から先にお答えをいただきます。公取委員長はそうしたことを検討しておられるのかどうか。これは私は新聞記事によって見たのでありますが、あなたのほうもそれから――総務長官お見えじゃないでしょう。それではともかく公取委員長、先にお答え願います。
  248. 谷村裕

    ○谷村政府委員 御指摘のとおり、いわゆる管理価格といわれるものについての調査は、私どもも従来もやってまいりましたし、それに対して何が問題であり、どういうふうに対処したらいいかということも、たとえば独占禁止懇話会等の会合を通じまして御議論いただき、また、私どもとしての考え方等も表に出したことがございます。これについて、もちろんよく中村委員は御承知のことでございますが、今後政府としてどういうふうな体制をとっていったらよろしいかということは、独占禁止法の問題でも当然ございましょうし、また、それを越えたいろいろな問題もあるかと思います。さような点については、先般当委員会におきまして、総理が新しい情勢に対応して問題を検討したいというふうに御答弁になっておりますので、私の立場といたしましては、その御意向を受けて、政府部内のそれぞれのところとも御相談申し上げて、今後の問題の処理に当たってまいりたい、かように考えております。
  249. 中村重光

    ○中村(重)委員 まあ政府も公取もそういう前向きな姿で取り組んでいこうと、こういうことでございます。ところが、財界はこれに反対しておる。かつて公害罪法をつくろうとしたときに、御承知のとおり財界から反対されて、これが骨抜きになったというなまなましい事実を、私どもは記憶いたしております。今回は、財界の反対にあって後退することがないようにひとつしてもらわなければならないというように考えますが、これを明確にお答えをしていただく大臣がいないようでありますが、これはまあ公取委員長、あなたはそうした考え方をあくまで貫いていくというような決意なのかどうか、もう一度私がただいま申し上げましたようなことを含めてお答えをいただきましょう。
  250. 谷村裕

    ○谷村政府委員 私の立場は、現在の独禁政策の上に立ち、独禁法を忠実に執行することでございますが、今後あるべき問題等につきましては、政府部内それぞれの方々と御相談申し上げて、またその御意見もいろいろあろうかと思いますが、政府全体としてこの問題を考えさしていただくことになると思います。
  251. 中村重光

    ○中村(重)委員 経済企画庁長官にお尋ねいたしますが、政府もそうした調査、監視を強化していくということは、物価対策上の面から必要であるとするならば、私はそれはそれなりにけっこうであると思うのです。しかし、公正取引委員会を中心にしてその体制は強化していくことが筋であるというように考えますが、長官、いかがでございますか。
  252. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 いま公取委員長が答弁されましたように、管理価格というものが一体存在するかどうかということについても、いま公取委員会等でも調査検討を進めておるところでございます。いわゆる寡占体制もしくは独占体制、そうしたものの存在が経済のいわゆる自由主義的な運営にとって阻害的になっておるかどうかという観点からは、公取委員会のもちろん問題でございます。いわゆる管理価格は、ただ寡占もしくは独占の存在だけではございませんで、その結果として価格の運営というものが硬直化しておるかどうか、下方硬直化の現象があるかどうか、これらの非常にむずかしい問題を含んでおりますので、そこいらを目下公取委等でも調査をしておるところでございます。そうした問題がはっきりと指摘できる、こういうとこになったときに初めて、これをどうするか、政府としても価格対策上その弊害というものをいかにして阻止するか、こういうとこになろうと思います。もちろん、今日の政府の機構を見渡しまして、率直に申しましていま御指摘のような機能を担当し得るに至る部門はございません。したがいまして、もしそれを考えるとするならば、当然中村さんの御指摘のように、相当の機構も持っており、また独占問題も扱っておるという意味において公取委員会に扱わせるということは一つの考え方であろう、こういうふうに考えます。
  253. 中村重光

    ○中村(重)委員 機構は強化していかなければならぬ。当然もう公正取引委員会のこの管理価格に対するところの調査、監視というものは、現行法の中においては限界であるということは明らかになってきたわけです。ですから、それはそうしなければなりませんが、法律をいかに強化いたしましても、石橋書記長がここで指摘いたしました公害の法律と同じなんですけれども、これをどう運用するかというところに問題があるのではないでしょうか。どうしてもそうした運用をしていくところの姿勢、同時に、私は人と金というものが必要であろうと思うのです。公正取引委員会の予算を見てみますと、残念ながら伸び率等は非常に少ない。わずかに一四%、しかも大蔵大臣、これほど物価対策の面から公正取引委員会が大きくクローズアップされ、大きく期待をされておるのに、公正取引委員会が九名の新規増員を要求いたしましたが、四名削減、五名の純増なんです。これは行管長官、よく聞いておっていただきたい。  そこで、私はこれを比較して申し上げたいのでありますが、環衛業者に対しまして融資をする環衛金融公庫というものができております。ところが、この環衛金融公庫に対しますところの中身は、この法律を私どもが制定をいたしましたときの附帯決議というものが全く生かされていない。資金の貸し付けワクの増大の問題、あるいは利率の引き下げ、あるいは対象設備の拡大等々あるのでありますが、それは生かされておりません。ところが、環衛金融公庫の公庫自体を大きくするというようなことについては、現在四十六名でございましたが、五名の増員であります。一名削減で四名純増であります。それでは環衛金融公庫は何をしておるとお考えでございましょうか。附帯決議にありました、いわゆる代理貸しというようなものではなくて、民間金融機関に対しても直貸しをしろということも附帯決議の中になっておりますが、いま離島僻地に対して国民金融公庫の代理貸しというものがなされておる。しかし、離島だけをやるためにそのことの弊害もあります。時間の関係がありますから私はあらためて申し上げますけれども、いまの環衛金融公庫というものは開店休業と申し上げてもよろしいくらい何にも中身はありません。ただ統計をとるだけであります。八五%は国民金融公庫が金を貸しているのであります。残り一五%が中小企業金融公庫が融資をするのであります。ただ一千五百万円以上の金を中小企業金融公庫が審査をして、環衛公庫に書類を送って、書類審査をして判こを押すだけが触資業務の環衛公庫の仕事であります。理事長四十六万円、理事三十万五千円が二人、二十六万円が監事、四十六名おりました職員が、いま申し上げましたように、ほとんど仕事らしい仕事がないのに四名の純増、公正取引委員会が何と五名の純増であります。これが正しい政治の進め方でありましょうか。姿勢でありましょうか。こういうことに対して行管長官と大蔵大臣はどのようにお考えになりますか。
  254. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お答え申し上げます。  政府としましては公衆衛生の見地から国民の日常の生活に密接な関係のある環境衛生関係の営業について、衛生水準を高め及び近代化を促進するため、これと直接関連する施設設備の融資について特に独立の金融機関を設けたものでありまして、現在のところこの制度のもとで融資の円滑化につとめることが適当ではないかと考えております。
  255. 中村重光

    ○中村(重)委員 そういうことは答弁にならないのです。環衛金融公庫は環衛金融公庫らしい、国会が附帯決議をつけたならそれを尊重するという態度がなければならない。そしてその中身において、どうしても人が必要であるという場合に人をふやすようになさることが筋ではありませんか。いまのような状態にしておきながら、現実にはなわ張り争いでがたがたやって、そしてそうした開店休業の状態に置いておいて、人だけをふやしていく。環衛公庫法というものは、また私どもがこの法律案を審議いたしますところの附帯決議というものは、環衛業者に手厚い措置をしなさいという附帯決議はつけておりますが、役所だけをふくらませなさいという附帯決議はつけておりません。何にもやらないものにそのような人をふやしておいて、そして公正取引委員会のような重要な機関に対して、いまのようなわずか五名の純増というようなことで何ができましょうか。いかに法律を強めても何をしても、金と人がない。これを充実し姿勢をはっきりさせるということにおいて、初めて政府が国民に公約したものが実現をするのだということを強く私は指摘をいたしまして、時間がございませんからあらためてまたこの問題は質疑を進めていくことにいたしまして、これで終わります。(拍手)
  256. 中野四郎

    ○中野委員長 これにて中村君の質疑は終了いたしました。  次に、瀬野栄次郎君。
  257. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政府に対し、物価問題の中で、野菜問題について、流通機構の合理化について、さらに食管、次に森林政策と自然保護等について質問をいたします。  そこで農林大臣、さっそくでございますが、質問の本論に入る前に、私はすでに出しております質問項目のほかに、緊急な問題として、国有農地売り戻しの問題について若干質問を最初に申し上げたいと思います。  この問題は、御承知のとおり佐藤政府の政治姿勢の問題として国民が大きな関心を抱いております。   〔委員長退席、坪川委員長代理着席〕 一昨日、同僚の相沢議員が質問いたしましたが、渡辺政務次官は法律を守るための措置である、すでに四千ヘクタールを売り払い、うち旧地主には二千五百ヘクタールも払い下げており、今回もそれにならって三百ヘクタールを払い下げるものであるとお答えになっておりますが、これに間違いございませんか。大臣から最初に御答弁をお願いします。
  258. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 政務次官がお答えいたしたようでありますが、その中にあります三百ヘクタールのお話がございましたが、これはまだ数字が三百ヘクタールとはっきりはいたしておりません。推定であります。
  259. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 三百ヘクタールは推定であるという答弁ですが、そのときの払い下げの単価が幾らであったか。四千ヘクタールのうち、旧地主に払い下げた二千五百ヘクタールの最高単価と最低単価は幾らであったか、お尋ねしたいのであります。また、旧地主以外に売り渡した千五百ヘクタールはどういう理由で、またその単価は最高、最低どのくらいの単価で売られたか、御答弁をいただきたいのであります。
  260. 岩本道夫

    ○岩本政府委員 すでに払い下げました二千五百ヘクタールについての単価は、個別の土地ごとに違っておりまして、ただいま最高、最低の値段の実績を持っておりませんので、後ほど調べた上で御答弁申し上げたいと思いますが、この前以来問題になっておりますように、旧自作農創設特別措置法によりまして、また農地法によりまして買収されました水田の買収当時の単価を平均いたしますと、十アール当たり七百八十円になるわけでございます。したがいまして、今後払い下げますそれぞれの国有農地につきまして、実際にこの買収した当時の価格によって払い下げるわけでございまして、地片ごとに、一筆ごとに値段は違ってまいりますが、一応の目安といたしましては、買収価格の総平均の十アール当たり七百八十円というのがものごとを判断する目安になろうかと存じます。
  261. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 実績については後ほど調べて報告するということで、十アール当たり七百八十円で払い下げるということがありまして、一筆ごとに違うということでございますが、後ほど報告をしていただくことにいたしまして、もう一点角度をかえてお伺いいたしておきます。  その当時の買収価格を売り渡しの際の時価に換算して払い下げた事例は一件もないのかどうか。私が仄聞するところによりますと、そういう例があるように承っておりますが、それをひとつお示し願いたいのであります。大臣からひとつ御答弁いただきます。
  262. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 政府委員からお答えいたさせます。
  263. 岩本道夫

    ○岩本政府委員 農地法八十条第二項は、自作農創設特別措置法または農地法によりまして、強制的に買収をされました農地等の売り払いにつきましては、買収当時の買収対価に相当する額というふうに法律上明定されておりますので、お尋ねのようにこれを時価に換算して払い下げることはあり得ない次第でございます。
  264. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ただいま答弁いただきましたが、質問の答えになっておりません。  そこで、私は委員長にお願いをいたしますが、はっきりしたことが――これは急な質問でもあった関係から即答ができないようでございますので、これについては資料を要求しておきたいと思うのです。すなわち、すでに払い下げされた四千ヘクタールの払い下げ年度、年度別払い下げ面積並びにその最高、最低の単価を資料として御提出いただきたい、かように思うわけです。委員長、ひとつよろしくお願いします。
  265. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 できるだけ調査を早くして、報告いたします。
  266. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 払い下げ農地については、できるだけ早く資料を提出するという大臣の御答弁でございますので、本論に入りまして質問をいたしたいと思います。  まず最初、私は野菜についてお尋ねをいたしたいと思います。  今国会は、御存じのように内政問題特に物価問題等が問題となってまいりましたが、野菜については、需要に対し供給が不足し、野菜の高騰によって国民の生活上重大なる問題となっております。これが追跡調査を農林省はいたしたようでありますが、この追跡調査のその後のことにつきまして、いかなる対策を講じ、今後見通しを立てておられるかということと、野菜生産出荷安定法によりまして、野菜指定産地が昭和四十五年度六百十カ所、ことしは三十カ所ふやして六百四十カ所、すでにでき上がったものが五百九十一カ所、こういうふうになっております。私が聞いておりますところでは、実際、この指定個所のうちに、百カ所近いものがほとんど休んでいる、こういうふうにいわれておりますが、これらの実態と原因もあわせてひとつ御答弁いただきたい。これは経済企画庁長官並びに農林大臣からひとつ簡潔にお答えをいただきたい、かように思います。
  267. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ただいまお話の野菜価格の動向にかんがみまして、調査をいたしております。この調査結果から見ますと、野菜の反別の価格構成は、これまでの同種の調査に比べまして、たいした違いはございませんでしたが、最近の野菜価格の上昇には、生産から消費に至る価格構成におきまして、特にこれまでの動向と違った動きがあるとは判断されません。これから見まして、やはり価格上昇の基本的要因は、需要に供給が十分対応していないことにあると判断いたしておるわけでありますが、これらのために、野菜価格の安定をはかりますために、基本的には、いま申し上げましたように、需要に見合った供給ができるように努力をすることが必要であると存じますが、なお、御存じのように、これらの詳細な調査につきましては、さらにわれわれのほうでも、学識経験者、消費者代表などによる特別調査を実施することといたして、鋭意これに取り組んでおる次第でございます。  それから、ただいま指定産地のお話がございましたが、瀬野さん御存じのように、指定産地はなるほど四十六年予算で六百四十指定をいたしておりますけれども、これは当初計画に三年間を要し、完成までさらに年月を要するような次第でありまして、幾多指定をいたしましても、野菜のことでありますから、なかなかおいそれと成果をあげてきておりません。逐次そうなっておりますがいま十分に活動しておらないではないかという、そういうようなことにつきましても、このごろから私どものほうで鋭意調査をいたしておりますが、現在指定されております指定産地には、最近指定したものもございますので、これらは育成中のものが多いわけであります。しかし、中には社会、経済条件その他の変化によりまして、資格を十分満たさない産地も一部には見られます。これらの産地につきましては、今後指導を強化いたすことによって、産地体制の整備をはかってまいりたい。また新産地を育成増加していく過程で、これまでの産地のうち指定産地として不適格なものにつきましては、やむを得ず指定の解除をもただいま検討いたしておる次第であります。
  268. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 いま農林大臣から答弁がございましたが、御存じのような緊迫した事情でありますから、従来の考え方を一てきして、本腰を入れてこの野菜の生産対策に取り組む、このかまえが一番大事だろうと思います。そういう意味においては、農林省においても、最近本格的にその方面に対する対策を考えてきておると思います。いろいろと政策の数はたくさんございます。いまの指定産地の問題等も実効をあげなければ何にもなりません。そういう意味におきまして、私たちも、その実効を期するように今後十分に考えてまいらなければならない、そう考えております。
  269. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 両大臣からいま答弁がございましたが、結局、需要に見合う供給ということに尽きるという御答弁でございました。また、経済企画庁長官も、本腰を入れてやる、実効を期するということでございますが、これだけ国民が真剣に心配をし悩んでおります。米に次いで第二の重要ないわば主要食料であります。ひとつ真剣なる対策をさらに進めていただきたい、かように思います。  そこで、野菜問題についてもう一点、野菜の生産、出荷につきましてお尋ねをしておきますが、指定卸売市場の価格というものが補償基準額を割った場合に、出荷した生産者に補給金を交付するようになっております。われわれは普通不足金払い、こういうように言っております。ところが、この生産者補給金制度の基準価格というもののきめ方が欠陥があるように思うわけです。現在の基準価格のきめ方は過去一定限度――普通七年間とされています。京浜キャベツなんかは八年、こういうふうなことになっておるようでありますが、中央卸売市場の平均のいろいろな数字から見ましても、この過去一定限度の平均というものは、現在のような物価の上昇率が高いときにおいては、現時点と基準価格との差があまりにも現実的でない、いわば遊離しておるわけです。こういったことから、今年の価格とはかなり隔たりがあるのを是正するためにも、もっと基準価格を出す基礎というものを短縮すべきではないか、これはいろいろいわれております。四年周期でとれるものもあるし、いろいろある。おそらく農林省は、期間が長いほど農家に渡るのが多いということもいろいろ言っておられるようですが、いずれにしても、農家が安心して野菜出荷ができるように、不安のないようにするために、これを検討していく必要があるのではないか。すなわち、この基準を改めるべきではないか、こういうように思うのですが、この基準の検討について大臣はいかなる御見解を持っておられるか、お伺いしたいのであります。
  270. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 たいへんむずかしいと申しますか、大事なことをいまお話しございました。野菜の価格安定のために、われわれは価格補てん事業の充実をはかる必要がある、これは常に考えておることでありますが、四十六年度におきましても、対象品目の追加をするとか、対象地域の拡大をはかるなど、価格政策について努力をいたしておるわけでありますが、ただいまお話しの価格補てん事業の補償基準額につきましては、これまでの単純な過去の平均市場価格ばかりではありませんで、年次別の平均市場価格を、食料用農産物の卸売物価指数で修正して計算するなどのくふうをこらしておるところでありますが、ただいまお話しのようなことも念頭に置きまして、最近年次に重点を置いて計算方法を改定すべきであるという御提案につきましては、野菜対策全般の検討と合わせて、私ども今後真剣に検討をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  271. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣から前向きの発言がございまして、今後慎重に検討していくということでございます。おそらくいろいろと検討がもうすでに進んでいるのじゃないかと思いますけれども、ぜひこれはひとつ御研究いただいて、早く基準の改善をはかっていただきたい。そして農家が安心して野菜の生産にいそしみ、供給できるようにしていただきたい、かように強く要望をいたしておきます。  野菜問題については以上で終わりまして、次に、国民の生活上重大なる影響のある問題と思いまして、私は次の問題を提案いたして、いろいろと御質問申し上げたいと思います。  最初に問題を提起するためにいろいろと申し上げてみたいと思います。流通機構の中で主として水産物の流通機構の問題にしぼって質問をいたします。  現在、農林水産委員会に卸売市場法案が付託されております。この法案には種々問題点があるのであります。そのおもなものをあげますと、一、卸売人の定数、手数料の問題。二、卸売人の兼業の問題。三、せり人の問題。四、仲買人の定数問題。五、転送の問題。六、種々の取引の問題などなどがございますが、この問題のうち、流通機構について順次お伺いをしてまいりたいと思います。  政府は、昭和三十八年七月九日閣議決定事項ととして生鮮食料品流通改善対策要綱を作成し、中央卸売市場における流通の合理化に対する基本姿勢を示している。また、数年前から、政府として今後とるべき流通に関する諸施策を民間人に委託し調査研究したものを、中央卸売市場については中央卸売市場審議会、地方卸売市場については地方卸売市場審議会から、昭和四十四年十二月に答申が出ておるのであります。この答申に沿って卸売市場法が今国会に提案されておりますが、これは大正十二年以来四十八年ぶりに現行中央卸売市場法を廃止して新しい流通制度とするものであります。  現今の市場状況を見ると、取り扱う品物も、時代時代の進歩とともに昔と変わり、魚類においては、東京の場合、取り扱い量の半数以上が、約六割ともいわれておりますが冷凍品で、いわゆる鮮魚以外のものは、規格化され、保存もできるし、価格の変動も少ないのであります。六大都市もほとんど東京の市場と同じように六割近いものがいわゆるせりにかけない規格品あるいは冷凍品になっておるのであります。したがって、今回の法案にも、これらの物品を「特定物品」として鮮魚と区別して規定し、取り扱いについても道を一応は開いてあります。中央卸売市場審議会の答申に、「取引ルールの改善」といたしまして、「今後の取引のあり方」に、「生鮮食料品は委託せり方式を原則とすることが適当と考えられるが、冷凍魚、塩乾魚」――塩サバなんかのああいった魚になります。「練り製品」――これはかまぼこ、ちくわ、てんぷら、はんぺんとか、たくさんこういった品物がございますが、「等の加工品、バナナ、レモン、冷凍エビ等の輸入品については、価格変動が少なく、生産者ないし輸入業者のコストが明確化しており、また、現実に買い付け、相対売りによる取引が増加していることにかんがみても、より広範囲に、買い付けによる集荷、相対による販売の方式を認めることが合理的であろう。」と審議会は答申をいたして指摘をいたしております。  現在でも買い付けは知事の許可を受ければできるようになっております。このことも十分承知しております。先ほど答申の中で、現実に買い付けを行なってるいという指摘は、東京の場合、中央卸売市場業務規程に、卸売人について第二十三条で、また仲買人については第三十一条で知事の許可を規定しておるのであります。さらに輸入品については第三十六条の許可の規定に、輸入を除く、こういうふうに規定し許可を要しないこととなっております。したがって、輸入については仲買人は原則としてできるわけであります。  そこで、卸売人は御承知のごとく荷受け機関であります。いま卸売といいますけれども実際は荷受け機関、産地から入った荷物を受けてせりにかけるところのいわば荷受け機関であります。生鮮食料品等を集荷し、卸売市場内で仲売人と売買参加者を通じ小売業者や消費者に販売しておるのでありまして、一方仲買人は、小売業者の必要な品物を小売人にかわって、せり等で品ぞろえをしていくのが業務になっております。したがって、小売人は仲買人から買って、それを消費者に渡しているということになります。このようなルートはもう皆さん方もよく御承知であります。  そこで私がお尋ねしてまいりたいことは、こういう状況から、現状では市場において卸売業者からでないと仲買人は買うことができない制度になっております。いわゆる業務規程によってそういう制度になっております。仲買人に、直接そういったせりにかけない特定物品、今度の法改正で「特定物品」、従来は規格品、冷凍品といいます。御存じのように最近、公害によって沿海における魚がだんだん少なくなって、とれなくなってきた。魚はだんだん遠洋漁業となって遠い海にとりに行く。そして市場に持ってくるということで冷凍品が多くなってきたわけです。だから市場の中には、せりでやるものと、せりを通さないで冷凍で通すという、いわゆる冷凍物品並びにかん詰め、びん詰め、さっき言ったかまぼこ、ちくわ、はんぺんとか、ああいった練り製品、それからいろいろな干し魚とか、たくさんの国民の生活に欠くことのできない日用品が一ぱいあるわけです。そういった、せりにかけない特定物品が六割近く六大都市では売られている。また、せりにかけるものは現在六大都市で四割だが、これがだんだん少なくなっていく傾向にあって、重大なる関心が持たれておるわけです。  そういったことから、大臣にまず最初にお伺いするのは、仲買人に直接、いま申し上げましたようなせりにかけない特定物品というものの買い付けの道を大幅に開くべきだと思うのです。道は開いてあると、こういうような答弁では私は納得しない。現に開いてはいるけれども、小さい窓口で、ほんとうにあまり品物が豊富にない、もう市場にかけても利益にならないような品物が開いてあるわけでございますので、これは国民の重大な関心であるがゆえに、大臣からまず最初に大幅にこの道を開く、こういったことについてひとつ御答弁をいただきたい、かように思うわけであります。
  272. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 瀬野さんよく御存じのように、ただいま継続審議になっております政府提案の市場法につきましては、いまるるお話のありました政府に対する答申等の考え方も盛り込んでああいう法案を提出いたして御審議を願っておるわけであります、が、あれが成立いたしますことによって、かなりの改善ははかられると思いますけれども、ただいま御指摘のような特別な品物等につきましての取引につきましては、十分私どももそういうことを念頭に入れまして、同時にこの取引の改善をはかってまいることにやぶさかなものではありませんが、現在の状況から判断をいたしまして、私どもといたしましてはどの品物というふうなわけにも申し上げられませんけれども、十分そういうことについて能率のあがるような取引ができますように、さらに検討をいたしてまいりたい、こう思っております。
  273. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣からただいま答弁をいただきましたが、かなりの改善ははかられているということが冒頭申されましたけれども、今度の卸売市場法案を見ますと、かなりの改善ではなくて、ほとんど変わらないと私は言いたいわけであります。現在は中央卸売市場法、今度の新しい法案は中央という字が抜けて卸売市場法、こうなっておりますが、たとえば仲買人が仲卸業者と、こういうように名前は変わっております。もちろん内容も若干は変わってはおりますけれども、中身はほとんど変わらないといっていいぐらいに私はいえるわけであります。そこで、こういう特定物品、先ほど申しましたせりにかけなくてもいいかん詰め、びん詰めとか、練り製品、塩乾魚とか、たくさんあるこういった特定物品については、卸売業者から買わなくても、場外、すなわち市場の外から買ってきていい道が一応開いてあるわけでございますので、現実には、これらの特定物品の取引というものは、現在でも仲買人が大部分直接仕入れておるわけであります。そうして小売業者に販売をしているわけです。しかしながら、現行法律では卸売業者以外から買っていけない、こういうようになっておるものですから、仲買人が直接仕入れても、卸売人が名目上仕入れたことにして、何割かの手数料を払っておることになっております。大臣はこのことについては御承知であるか、そのことをまずお伺いします。
  274. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 中央卸売市場におきましては、先ほどお話のありましたように、卸売人はもっぱら集荷を担当いたし、仲買人はもっぱら荷分け、つまり分荷を担当いたしておるという、卸、仲買いの機能的分化が行なわれておることは御存じのとおりでありますが、いろいろお話がございましたように、市場によりましては、卸売人が現実に集荷いたさない物品、先ほど御指摘のありました、たとえばコンブ、シジミ、アサリなど、それからもう一つは輸入品、加工品などで市場外にも流通して、卸売人のみから集荷することが困難な品物もございます。お話のありましたバナナであるとか冷凍エビなどはそうでありますが、こういう事情にかんがみまして、またただいまお話のありましたような事情にかんがみまして、卸売市場法案の第四十四条ただし書きにおきましは、一定の条件のもとで仲買人の直接集荷の道を開いていこうとしております。卸、仲買いの協調のもとで中央卸売市場全体としての集荷、販売機能の充実をはかれるようにと、こういう考えでその四十四条ただし書きを設けておるわけでございます。
  275. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣もいろいろ御承知だと思うのですけれども、どうも答弁がぎごちない答弁でございますが、私も農林水産委員として、昨年八月、国政調査によって九州のほうへ調査のために行ってまいりました。第一班は北海道のほうへ行って市場その他を見てまいりました。昨年来、私もしばしばこのことを地元からも調査要求その他がございまして、実は八月からずっと検討してみましたが、何しろどうも流通問題、野菜問題、こういわれるけれども、どこかに何かがあるのじゃないかと思って、国民のために何としてもこたえにやならぬ、こういう気持ちで私はずっと見てまいったわけです。そしてまた政府の方も、これは何とか方法はないものかという声を聞く。それで今回私も提案をして、いろいろ問題提起をしているわけでありますが、何しろ問題が複雑になっております。そこで私はたびたび現場にも行ってまいりましたが、大臣、大臣は忙しいからだですからなかなか行っておられぬかもしれないけれども、最近どこかの市場を見られたことがあるか、過去にも見られたことがあるか、それをひとつちょっと承っておきます。
  276. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 最近は予算委員会等でなかなか出られませんが、築地、神田等直接に見てまいりました。それから小さな小売り店の集まっておりますマーケット等には、たまに出て役所の者と一緒に視察をいたしております。
  277. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣もわかっておられると思いますが、私はここで一つ例をもって流通の問題を掘り下げてお話ししてみたいと思うのです。  なぜこれを私言うかというと、これが改善されると、日本じゅう全国民の消費者の物価に、ものすごい重大な影響を及ぼすということもいえるわけです。それは現在市場が全国にたくさんあります。東京にも八つ市場があって、支場が野菜の場合は十三もあります。魚市場が二、それから大森支場を入れて三つある。いわば日本国民の台所をまかなっておるわけであります。先ほども申しましたように、市場は全部が全部せるのではなくて、いわゆる魚なんかいたみやすい、早く処分しなければならぬもの、野菜または魚等については、いわゆる野菜市場、魚市場、あるいはくだものについては青果市場でもせってやるわけです。これは急ぐわけです。鮮度が落ちるから、急ぐから、これを早くせっておろすわけであります。ところが、最近は沿海が不漁が多くなったり、公害によって日本列島がけがされてきたり、よごれてきまして、なかなか沿岸物が少なくなってきた。特に最近の輸入品の中で冷凍エビがものすごいウエートを占めてきた。しかもマグロの冷凍物もふえてきた。こういうことから、いわゆるせりにかけないもの、もうすでに値段も標識も――箱を見ますと一等、二等と等級が書いて、これはマグロの大きいの、小さいのだと標識してあって、ほとんど規格化されて、値段も大体もうわかっているという品物、かん詰め類、びん詰め類から練り製品、ちくわ、てんぷらというように、たくさんの消費者に欠かせないものが一ぱいあるのです。一つの例をとりますと、かまぼこの場合、ちくわの場合、この東京の市場なんかは焼津あるいは小田原、これは有名なかまぼこの産地ですが、ここからいわゆる品物を受けるわけです。仲買人は、きょうはどうしても、これは年末でかまぼこの需要が多いから、かまぼこをとりたいという場合は、まず卸のほうにこんな品物を引きたい、こう言う。そうすると、卸のほうではオーケーということで、卸のほうから焼津のほうに電話を入れて、どこどこの仲買人からこのような品物をほしい、こういう注文があったから、何時までに入れてくれ、こういうようなことを言う。すると、向こうは、いわゆる夜行便等を使ってトラックに積んでくる。普通のトラックですと、大体カマボコの場合は四百八十万ぐらい、それは粒、量、注文によって違いますけれども、一本が約二百円しますから四百八十万円くらいの品物を積んでくる。それを持ってきますと、市場の中に広いところがございまして、そこにかまぼこをおろすわけです。おろしたならば、今度は卸売人の事務員の人から仲買人のほうに電話をして、今度荷物をおろしたから見にきてくれと言って、立ち会いの上で荷物を渡す。そこで赤伝といって、伝票を切っていろいろ取引がある。その中の取引のいろいろな問題その他については、これは極秘の中の極秘になっていまして、われわれにはわからない。また、それまで私は言おうと思いませんが、世間一般にいわれているものは、鯨については四%の手数料を取っている。これを一般ではいわゆる卸売市場のピンはねといっております。またトンネル口銭だ、こういうふうにいっておるわけです。そうすると、それ以外のものは普通五%から六%、多いのは一〇%取っておるというのです。そういう取引がいわゆる相対でされている。そこで仲買人はその品物を受け取りまして、今度は小売人におろし、また地方送り、それから店売り、いろいろとおろすわけですが、いわゆる卸売人、これはさっき言いましたように、荷受け機関でございますので、ただそこでいわば伝票を切ってその取り次ぎをするというだけのことでございます。それが市場の業務規程によってそういう規定になっておるわけです。実際は、仲買人が直接現地へ注文して品物を引いたり、また荷主からとることは自由にできるんだけれども、わざわざ遠道をしているわけです。  で、私が言いたいのは、近道があるのに、わざわざなんで遠道をするんだ。デートとか散歩なら、それは遠くてもいいが、近道があるのに、なぜやるのだ。これがいわゆる流通機構の問題の中で、私が一年かかって調べてきた、これこそ革命をしなきゃならぬ、流通機構の一段階いわゆる合理化という問題でございます。  それで、実際には、市場の外から仲買人はどんどん品物をとっているわけです。また、場内に持ってきて卸して、またとっているものもあれば、直接とっているのもある。ただ伝票を卸を通すだけでありまして、そこに卸が、さっき言ったように、鯨であれば四%という――これは大体公表さたておりますけれども、それ以外は四、五%から一〇%取っておる。そのいわばトンネル口銭が取られるために、結局はそれが卸、小売りともやはり影響を及ぼして、消費者にそのようなものが加算されている、高いいわゆる規格品を買わされている。だから、せりでやる、公開の席でやる。これはもう御存じのように、一般公開でやるのは、御売人は手数料として、水産物は五・五%、野菜では八・五%、果実については七%、つけものについては八%、卵は一・五%、肉は三・五%、肉の加工品は一・五%、このように定率がきまって、これは取っていいことになっているわけですから、卸のほうもこれで十分まかないができるわけです。ところが、卸に買えない品物をわざわざ市場を通すということになって、実際には、国民の手に入るときには相当高いものになる、こういうわけです。  そういうことから、焼津からかまぼこを持ってきます。そうすると、一台が四百八十万としますと、それの四分か七分か、一〇%か知りませんけれども、それをまず取っちゃうわけです。その中にまた今度はいろいろと問題はありますけれども、それは差し控えることとして、そういったことから、今度は結局、その手数料を取られるために、ずっと消費者に影響してくる。そういうことで、最近は卸売り業者が、東京の市場なんかでも、マンションあるいは寮がどんどん建ち出したということで、相当もうかっているのじゃないか、また、これにいろいろ疑惑が向けられるということにもなりかねない、かように私は思うわけであります。  そういったことで、一つの例をもってちょっと示しましたが、そこで、大臣にお尋ねしたいのですが、仲買人が直接仕入れるものに対してはその道を開く。開くといっても、ちょっと開いてやるわけです。もうはっきり申しますと、いわばウニだとかフグだとか、あまり品物がよけいない、そんなに影響ないようなものだけ開いて、あとはがっちりきめてやる。ところが、実際は、もう仲買人はどんどん取引しているわけですから、そういうことから特定物品についてその道は開いてあるので、もっと大幅に広げてもらいたい。ところが、それはこの卸売市場法案によって知事に、東京であれば東京都知事、地方であれば地方知事に委譲して許可権限を与えてあるために、知事がやればいいようなものだけれども、政府の姿勢というものがはっきりしなければ知事はできないのです、いろいろと圧力があったり、いろいろしますから。  それでそういった姿勢を改めて、大いに買え、こう言う。そうすると今度は、仲買人はなかなか金がないとか信用がないとかいうようなことになって、買えないとかいう話も出てくるけれども、そんな人もあるだろう。そんな人は道さえ開いていけば、当分は卸売人からとるということもできましょうが、力のある人はどんどん開いていく、どんどん自分で取引していく。こうなれば、日本の国民全体に相当な物価の値下げになる、いわゆる水産の市場において一段階流通の合理化、こういうことになるわけです。もうこれを絶対にひとつ政府の姿勢で攻めていただきたい。これが国民の声として私はきょうはここへ立っております。  そういうことから、この仲買人が直接買い付けして、または輸入することは、前にるる申し上げたように、一段階流通合理化になりますので、このことについて価格の引き下げになる、こういうように私は思うのですが、大臣は、そうやっても価格の引き下げにはならぬと思われるか、なると思われるか、その点をひとつ国民の前にお答えいただきたい、かように思います。
  278. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 御熱心に御研究なさいました結果をいろいろお教えいただきまして……。私自身のようなものが市場にたまに行きましても、もうそれは大ぜいの者がついて歩いて、何もたいしたあれもできませんが、農林省のそれぞれの担当者は、非常に熱心にいろいろな方面から追跡調査を研究いたしまして、かなりのデータを持っておるわけでございます。そういういろいろな知識の上に立って、市場法案等を構成しておるわけでございますが、ただいまお話しのような問題につきましては、私どもも法案作成の過程でいろいろ考えまして、ちょっと一言申し上げました四十四条のただし書きに一定の基準を置いて規制を設けて、卸、仲買いの協調のもとに、ただいまお話しのようなことができるだけできるようにという考えを持っておるわけでありますが、ただいま御指摘のようなこともございますので、私どもとしては、この市場法というものが物価安定のためにかなり裨益するものであるという考え方のもとに御審議を願っておるわけでありますから、十分にひとつただいまの御趣旨のようなことを参考にいたしまして、物価安定のために、国民全体のために考えてまいるように検討を掘り下げてやってまいるつもりでございます。
  279. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣のおっしゃることはわかりますが、いまぼくがるる言ったことにつきまして御承知であるかどうかということと、そうやれば確かに国民の消費にプラスになる、物が安くなるということについてはどうですか。ずばりひとつお答えいただきたい。
  280. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 法案の御審議も願っておる最中でございますので、私がいろいろ申し上げることにつきましては、慎重に申し上げなければいけないと思いますが、要するに、これは魚だけではございませんで、先ほど鯨のお話がございましたけれども、メーカーから直接にフリーザーで消費者のフリーザーに持ってまいるということが行なわれて、だいぶ中間のロスが避けられておるという、先ほど御指摘がありましたようなこともわれわれはじかに聞いておる次第であります。そういうような長所をあらゆるものにどのようにしたら取り入れられるであろうかということも、当局といたしましてはいろいろ検討しているわけであります。もちろん御指摘がございましたように、中間にいろいろなロスをされるような段階が省けることからいきますならば、それは非常に効果のあがることではあろうと存じますので、そういう関係につきましても、御趣旨のような点について十分検討をいたしてまいるつもりであります。
  281. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いま大臣が最後に、省けることならば考える、また一段階抜くことによって効果があがることならばということで答弁がございましたが、もうぜひそのようにしていただきたいし、そういったことについて真剣にひとつ検討をしていただきたい、また政府の姿勢を正してもらいたい、かように思うわけです。  そこで、もう一つそれに関連してお尋ねいたしますが、いまの流通機構の中でバナナとかレモンとか、こういったものでございます。いまの輸入はバナナ、レモン、冷凍エビ等が相当なウエートを占めておりますが、これのほうも輸入の道は一応開いてあるわけです。ところが、仲買人はなかなか道が引けない。これについては河野農林大臣が当時この道を開いたというように私は聞いておりまして、輸入組合を通じてこれは輸入して、いるわけですね。それだから、このバナナとかレモンとか、こういったものはまたさらに一段階流通がややこしくなっております。現行制度では輸入品は仲買人が直接輸入できるようになっておるけれども、新しい法案でも直接輸入することになるのかどうかということを私はお尋ねするわけですが、実はバナナの問題は、まず外国から入ってきますと、輸入業者がこれを受けて、そしてさらに卸へおろすから、一段階これはまた多いわけですね。そういうことで、法ではいろいろどこを見ても――中央卸売市場法というのは四十八年も前の法律でございますから、なかなか問題点が多い。それで、結局市場の中の取りきめみたいなことでこういうふうになってきておりまして、仲買人が直接引こうと思っても引けないという、これまたたいへんな問題があります。このことについて、大臣、あわせて新しい法案でも直接輸入する道は開けていくことになるのかどうか、ひとつ御答弁願いたい、かように思います。
  282. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 御存じのように、台湾は出口が向こう側の政府一本でありますので、たぶんこちらもそういう荷受けの仲買人組合というものをつくらせておるのではないか。実はこれは私のほうの所管でないものでございますから、その他の国のことはそれぞれ取り扱いの状況が違うようでありますが、その点政府委員からお答えいたさせましょう。
  283. 小暮光美

    ○小暮政府委員 バナナにつきましては、ただいまもお話ございましたように、台湾のように窓口が一本化しておるものについては、輸入組合を通じて輸入側の体制をつくろうということで一つのあれがございますが、それ以外の地域は全く自由でございまして、だれでも輸入できるという形になっております。  なお、市場の仕組みとの関連につきましては、先ほど来いろいろお話ございますように、輸入原価がはっきりとしておって、しかも卸からだけでは手に入らないというような形のものにつきましては、先ほど来御議論のございました新法における仲買人が一定の準則のもとに直接取引ができる品目というものを指定いたします場合に、当然輸入物につきまして原価、規格等がきわめて明快なものにつきましては、その指定の方向に検討すべきものというふうに考えております。
  284. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いま局長から指定の方向に検討すべきものと、こう言われましたが、おそらく当局もそのように考えておられると思うが、こんな不合理は私はないと思うのですね。当然これは大いにだれでも輸入できるようにすべきであると思うのです。それがいろいろと制約を受けまして実際に行なわれていない。こういったことでは、これはいわゆる魚のさっきの特定物品よりも、もう一段階そういった問題があるわけです。   〔坪川委員長代理退席、委員長着席〕 だから、バナナ、レモンとか、こういった輸入品については、これがいま答弁があったようになれば、二段階流通合理化になるわけです。そうすると、安いものがもっと国民にたくさん行く。政府は、この物価問題、流通機構に名案はないか、名案はないか――私もこの委員会にずいぶん来まして、ここでいろいろその質問も真剣に聞かしてもらいましたが、なかなかのらりくらりとして、ない。こういうところにからくりというか、名案というか、こういう道が開けてある、これこそ国民のために英断をもって私は姿勢を正すべきである、かように思うのですが、この輸入の問題について二段階流通機構のいわば合理化になる、この点について大臣、ひとつ決意のほどを述べていただきたいと思います。
  285. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ただいま事務当局にお答えいたさせましたような経路でございますので、十分にひとつ検討いたしまして、皆さん方と政府とは同じ目的で、つまり国民の物価安定を考えておるわけでありますから、十分効果のあがるようにさらに掘り下げて検討してまいりたいと思っております。
  286. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 先ほどから何回も申しますように、十分検討してやるということでございますが、ぜひそうしてもらいたい。いわゆる特定物品については一段階流通機構の合理化、バナナ、レモン等の輸入品については二段階流通機構の合理化、こういうことがなされれば、どれだけ日本国民あるいはまた市場の人たちも喜ぶであろう、かように思うわけです。働かないでももうかる制度をいつまでも残す必要はない、私はこう言いたいのであります。国民もおそらくこれを聞いたならば、これはそんなことになっているのかといってびっくりするだろうと思う。よくぞ国会でこれを取り上げてくれたと言うのじゃないかと思うのです。私は、当然卸売りの中にも一生懸命特定物品で働いている者もあることは知っていますが、それはごく一部でございます。そこで、私は、さっきから言うように、どうかひとつ遠い道を渡らずに、近い道があるのだから近道を通って、そしてよけいな一段階、二段階の手数料を払って物価の高騰につながるようなことをなくして、国民に安いものを売って、国民に少しでもプラスになるようにしてやる、もとから改めていただきたい、これこそ名案であると、かように思って、あえてきょうはくどい説明をいたしまして提案をいたしたわけでございます。  そこで、私は、この市場の問題で最後にもう一点お伺いしておきますけれども、監視体制の問題でございます。現在の市場は、荷主から卸売人が――卸売人といいますけれども、実際はこれは荷受け人です、荷受け人が品物を受けますと、受けた品物はせりにかける、こういうことになるのですが、せりにかけたならば、三日以内に荷受け人は荷主に売り上げた金を払うということになっているわけですね。野菜の場合なんかは、特に農家が値段を定めるのじゃなくて、市場できめて、市場から清算してやるということで、全く農家の人たちはかわいそうです。野菜の場合はそういうシステムになっていますが、魚の場合でも、みんな三日以内に金を生産者に払うということになっています。ところが、その荷主に金を払う場合に、これを四日も一週間も、長いのは一月も一月以上もとめ置く。それを長く置くほどいわば金利がつくわけです。その金利がまたばく大な金利になるわけです。そこで、結局いろいろ調べてみますと、なるほど三日以内に行っているのもあるけれども、たいていおくれぎみであります。こういったことでは生産者も現金を早く手にすることができない。しかも市場の中でその金利がばく大になってくる。だから、寮とかマンションが建つのだとかなんとかいうわけです。こういったことについて、もっと正確に一刻も早く規定どおりに農家なり生産者、かまぼこ業者とかかん詰め業者に金が行くようにしなければならない、こういうふうに思うわけですが、そういった問題についてひとつ監視体制をつくれということでお伺いするわけです。かつて数年前、東京でもとめ置いたために金が問題になって事件が起きたことがございますが、そういったことにならないように、私はあえて市場の明朗化のために、今回大正十二年から四十八年ぶりに、これは一部改正でなくていわば単独法、抜本改正の法案が出るわけでございますが、こういった機会に、しっかりひとつ政府の姿勢を示してやってもらいたい、かように思うがゆえに、大臣にお尋ねしたいのであります。
  287. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ただいまのことは私、実はあまりいままで承っておりませんで、ただいままでいろいろ市場と生産者及び卸、仲買い等の取引の状況を聞いておりますというと、きわめてスムーズに、しかも決済が合理的に行なわれておるというふうに聞いておったわけでありますが、ただいま御指摘のようなことにつきまして、事務当局が知っておりますならば、ひとつお答えいたさせたいと思います。
  288. 小暮光美

    ○小暮政府委員 ただいまの点に関連いたしまして、ちょっと事務当局から御説明申し上げたい点がございます。  先ほど来御議論のございましたせりであるか買い付けであるかということの利害得失の中に、もちろんせりだけが唯一の方法でなくて、買い付けの利点があるということは御指摘のとおりでございます。ただ逆に、買い付けには買い付けのまた別の問題もございます。ただいま私どもといたしましては、市場の卸売り業者、特に水産関係の卸売り業者におきまして、先ほど来御指摘の冷凍ものあるいは塩乾魚といったようなものの扱い高が急激にふえてまいりましたために、せりによって手数料主義に徹するという業態からむしろ冷凍もの、塩乾ものの買い付けによってこれを商う、いわば差益商人的なものに変わりつつある要素がございます。このことが適切に行なわれました場合には、卸売り業の業態は安定いたしますけれども、これが万一誤りますと、むしろ産地に対して非常に長期の代金の掛けを生ずる、売り掛け、買い掛けの状態を生ずることがございます。しかも相手が大手の漁業会社であります場合には、むしろ売り手のほうが強いというようなケースもございまして、こういったものが水産関係の卸売り業の経営内容にしばしば問題を生ぜしめるような事態がございまして、昨年、私の名前で関係の業界に非常に詳細な指導通達を出したことがございます。  なお、産地に対する代金の決済につきましては、青果、水産ともそれぞれ市場の業務規程で、日数を三日ないし四日と定めてございまして、これをこえました場合には、所定の利子を付するということになっております。  なお、まことに蛇足でございますが、先ほど来バナナ関係でいろいろお話のございました場合に、働かずして卸が何か取っておるじゃないかという御指摘がございましたけれども、ただいま御指摘になっております代金決済の問題、この面におきまして卸売り業者を通して、仲買いが荷を買ったという場合には、荷を提供した者に対する支払いの責任はその卸売り業者にございます。したがいまして、卸売り業者は代金を回収して荷主に金を払うという商取引上の責任を持つわけでございますので、その点は経済行為としてそれに見合ったしかるべき手数料というものが生ずるということは、経済の実態として必ずしも全面的に否定すべきものではないというふうに考えております。  なお、過去において特にバナナにつきましては、今日と違いましてバナナを黄熟するための施設が中央市場の中にしかなかったという時代がございます。今日は、御承知のように、必ずしも地下の室でなくて、ビルの高いところにもバナナを黄熟する施設ができるような技術になってきておりますれども、以前にはすべて市場の中に地下室を掘って、そこでバナナを黄熟するというような現実がございました。したがいまして、輸入という形で入りましたものでも、ものとしてはどうしてもあの市場の混雑の中に割り込んできざるを得ないというような実態がございました。  そのほかに、ただいま申しました代金の決済というものをだれの責任でやるかというような問題がございまして、形の上で卸売り業者を通すというようなことが慣行となっておったような市場もございます。また、そういう慣行をとらなかった市場もあるということでございまして、これらの点は今後逐次施設が整備し、流通の実態が整備されるに従って合理的な方向に変わるべきものというふうに考えております。
  289. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長がそういうことを言うから、またぼくは言われなければならぬことになってきたが、何も私は、働かずしてもうかっておるというのではない。働かずして口銭を取っておるというようなことをよく言っておるからというような意味で言ったわけで、実際調べてみると、そういうように感じられるわけです。先ほどもそのことについて、もちろんごく一部ではあるが、よく働いてやっておる者もあると、こういうように言いました。実際に荷物は市場に来ないで、ストレートで仲買人から直接行っておるのもあるし、市場が狭いところでは、市場に持ってくるのではなくて、品物を産地からわざわざ自分で倉庫へ持って行く、伝票だけ通るというようなことになっておる。伝票、紙一枚ぐらいですから、これを持って行ったり来たりする。こんな働きがあるわけですよ、電話一本で受けるというような。そういうようなことで取っているというようなことも含めて申し上げるわけです。だから、もちろん働いてやっておる者もある。しかし、ごく一部である、こういうことでございます。  それから、おっしゃったように、売り掛け、買い掛けのことがある。また慣行となっているとかか、差益商人に変わる云々というようなことがさっき答弁がありましたがなるほどそれも私はよく承知しております。ところが、市場というのは長い間あそこにしみついておりまして、長い間おると、卸と仲買いは、やはり困ったときにはどうしても品物をもらいたいために、言いたいことも言えずにがまんしている。金を貸してもらわないとどうにもならぬ人もおるわけです。ところが、自力で輸入品を入れたりどんどん品物を引ける人もおるわけです。だから、道を開けば、すぐにできない人はと、さっきも言いましたが、できない人はまだ当分卸にお世話になる人もおるだろう。自分で買いたい人は場外から、市場のそとからどんどん入れてやって、消費者に安く、一段階、二段階、流通機構を合理化してやることにもなるのではないか、こういうことをぼくは言っておるわけですよ。  それで、市場の中には一つ人情というのがありまして、あそこはまた特にいろいろつながりが深いのです。だれかがこれを言って提案して、そうしてこれで大きな流通革命の口火を切り、やっていかなかったならば、これは何ぼ物価だ流通機構だといっても、何にもならぬといっていいくらいに私は思うのです。こういったことから一つの突破口を開けば、国民に対して影響が大きい、かように思って、きょうは申し上げたわけでございます。局長がおっしゃったもんですから、あえてそれだけ私もつけ加えて申し上げる。  大臣、そのことで監視体制云々ということ、これはどんなふうに言われたか、おっしゃらなかったと思うが、そういう金を現地へ送ったりなんかする問題があるが、こういったことについてどういうふうに考えておられるか、やはりきちっと明朗を期するために何かそういったことを考えなければならぬと思うのですが、市場の問題の最後に一言おっしゃっていただきたい、かように思います。
  290. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 先ほど私が申し上げましたように、大体私が報告を受けておりますのは、荷主に対して、市場の問屋との間は非常にスムーズにいっておる、こういうふうに報告を受けておったので、ただいまお話のありましたようなことについては、ちょっと意外に感じましたので、事務当局にもお答えさせたわけでありますが、十分これも御存じのように、長い間の歴史的伝統、風俗、習慣等で結ばれておる人たちでありますので、さらに今度の市場法改正にあたりまして、できるだけ相互信頼が、安心していかれるような行政指導はさらに私どもはしてまいらなければなるまい、このように思っておる次第であります。
  291. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣から、相互信頼を受けるように行政指導していくという決意が述べられましたので、いずれこの問題は当該委員会で詰めていくことになります。当該委員会で、最初に申しましたように、たくさんの問題が、せり人の問題とかあるいは定数の問題とかございますので、これらを含めまして、さらにこまかく追及をいたすことにしまして、この問題は一応こういったことで打ち切りまして、あと余す時間で、食管問題に関連しまして物価統制令の問題について関係大臣に質問をしてまいりたいと思います。  昭和四十六年度予算編成の最終段階において、大蔵大臣もきょうはおいでのようでありますが、消費者米価について物価統制令の適用を廃止する取りきめが行なわれておったのでありますが、あらためて物価統制令廃止の理由を農林大臣に最初に伺いたいと思います。
  292. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 御存じのように、ただいま政府保有米は七百万トン以上持っております。こういうように需給の潤沢になりました、緩和されましたときに、従来消費者立場の行政から考えましても、国民の主食である米につきまして、できるだけ消費者の選択が行なわれるようにすべきではないか。これはほかの物資についてもみなそうでありますけれども、なかんずく大事な米についてはそうではないか、こういうことで物統令を廃止することが適当である。ただし、よく御存じのように、実際にそういうことを取り扱い、決定をいたしますためには、やり方につきましては、四十六年度の米が出回るまでにきめればいいことでありまして、したがって、それまでの間にわれわれはずっと研究はいたしてまいりましたが、御存じのように、たとえば小売り人の買参人を規制を緩和するとか、あるいはまた、最近いたしたことで一、二ありますけれども、たとえば近隣地方で非常に急速に人口が伸びましたような地域については、スーパー等に小売り人の免許を出しておるところもありますので、そういうようなことで、できるだけ多くの競争原理を取り入れることによって、消費者に喜んでいただくような競争をやってもらおうではないか、そういうことは、やはり今日のような、ストックがたくさんあるときでこそできることではないであろうか、むしろそういうようなおもんばかりから私ども物統令の廃止ということをいたしたわけでございます。
  293. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣から競争原理を取り入れて消費者が喜ぶようなことをしたいということがありましたが、これは後ほど関連してまたいろいろお尋ねすることにしまして、次に、昭和四十四年産米から実施されたところの自主流通米、これはその制度の趣旨から物価統制令適用を排除したわけであるが、その当時、食糧庁試案という形で、これはまあ試案ではありました、試案という形で、政府管理の配給米価格について、物価統制令廃止の構想が示されたいきさつがあったのであります。当時物価問題が内閣の重要施策の一つであったために、経済企画庁の反対でこれはついに押しつぶされた、こういうふうにわれわれは聞いております。こういういきさつから見ると、政府は腹の中では、消費者米価は必ず上がると考えていたのではないか、こういうように思うのですが、まず経済企画庁長官に、そのときの食糧庁試案に対してどのような態度をとって反対されたか、明らかにしていただきたい。
  294. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 当時の状況は、今日とはまだだいぶ様子が違っておりましたが、当時の米の情勢を見まして、やはりだんだんと需給の緩和傾向が出てきつつある。そのために、したがってまた物価統制令の撤廃問題がやはり検討するに値する、こういうことでもって取り上げられるようになったわけであります。しかし、そのときも一応の検討という程度で議題になったわけでありまして、非常に激しい論争と、その反対があった、こういう経過ではございません。まあ議題になりましたけれども、当時の状況としてまだ時期尚早であろうということで、そのままになったような経緯であります。
  295. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 長官からいま答弁がございましたが、私は、ここに米穀自主流通についての試案と、それから実は当時の新聞から関係記事一切持っておるわけですけれども、もっと明確に答えてもらいたい。重要施策の物価値上がりという問題と関連して、おそらく値上がりするということが心配だったから、これは経済企画庁はものすごく反対した。現に私の知っておる友だちがたくさんおりますので聞いているわけですが、その点ひとつはっきりと、もう一度長官、御答弁いただきたい。もう少しおっしゃらんと、これは理解できません。
  296. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 当時の状況でありますので、私も調べてみましたところ、先ほど申し上げたような状況のようであります。
  297. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それでは農林大臣に、さっきから言いましたように、これは腹の中ではやはり消費者米価が必ず上がる、こう現在考えておられるのじゃないかと思うのですが、その点、大臣はどうですか。
  298. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 これは御懇意な仲ですからあれですが、米をとにかくどう処置すべきであるかというほど、たんとかかえておるわけでありまして、物がこういうふうに豊富なときに、物統令というものの適用を廃止いたしましても、もしそういうおそれのあるようなときには、とにかくそれの圧力になるものは私は大きなストックではないかと思います。しかもなおかつ、先ほど来申し上げておりますように、われわれとしては大口精米を育成してまいったり――現に、御存じのように、東京は乏しいですけれども、関西は非常によく大口の精米ができておりまして、そういうものが活用されることになっておりますので、種々われわれは手を打ちまして、十分そういうおそれのないように措置をいたしてまいるつもりでありますから、そのために消費者米価が上がるということは毛頭考えておらないわけであります。
  299. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これは十一月、あと七、八カ月すればわかることでありますが、大臣、物統令適用廃止問題を提起しまして食糧庁試案というものが出たいきさつがあるわけですが、そのときには、これを配給米も自主流通米もということで相当検討されて、これはもう諸物価が上がるということから、ひとつこの試案は取り下げになったということでわれわれ聞いておりますが、それでは大臣、この物統令を夏までに検討して秋に廃止する。じゃ、もう絶対に上がらぬとあなたは断言できますか、お答えいただきたい。
  300. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私は、絶対に上がらぬと断言ということは、これはなかなかむずかしいのでありますが、こういう施策を講じてまいります当の責任者でございますからして、上がることのないように、しかも私は、ついでに申し上げますけれども、いま米というものについて、おあがりになる方の選択が自由でないことは御存じのとおりであります。これは私は不合理ではないかと思う。銘柄によって昔のようにあそこの米を食いたいな、こうおっしゃる方がたくさんおります。そういうような方の選択に応じられるようにしようという考え方が先行しておるわけでありますので、物価は上がらないようには全力をあげていたす決意でござまいす。
  301. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 断言はむずかしい云々と、こういうようにおっしゃいましたが、それでは、さっき大臣、大型精米所をつくって袋詰めにして云々ということをおっしゃいました。小さい問題で恐縮ですけれども、大型精米工場はまだ全国で二割か三割です。おそらく物統令廃止を考えておる政府としては、だんだん全国的にふやしていこうという考えもあることもうなずけますが、この大型精米工場でいわゆる袋詰めにする米は、袋が今度ビニールに入るわけですね。いままでは紙の袋に入っております。こういった袋に入ったものは、回収してやる場合も業者のサービスもあります。東京の場合は自主流通米のごときは約二千円何がししますので、袋は、値段が高いということで、サービスでやっております。回収してまたそれを使っている場合もあります。ところが、大型精米工場になりますと袋は全部サービスとはいかない。ビニールだと何回も使えない。袋一つに十円かかりますと、一俵六十キロとして六十円。これは消費者の負担になるのではないか、この分だけでもこれは絶対私は負担が多くなると思うのですが、その点見解はどうですか。
  302. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 そういうような問題について、すべて私どもとしては実施までの間に十分検討をして、値上げにならないように努力をいたしたい、ただいま鋭意勉強している最中でございますと、こういうことを言っているのでございまして、自主流通米につきまして、先ほど来お話しがありますように、これは物統令を廃止されている。ところがその自主流通米につきましては、もうすでに消費者の選好がかなり行き渡っておることも御存じのとおりでありますので、私どもとしては、やはりできるだけ消費者の納得のいくようなものが手に渡るようにするためにということでございますので、いまお話しのようなことも考慮いたしまして、十分にひとつ措置を講じてまいりたい、こう思っております。
  303. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いま申し上げましたように、十分措置を講じていきたいとおっしゃるが、現時点でもそれはわかると思うのですよ。もうすでに大型精米工場をつくっていく、そして銘柄云々とおっしゃいます。そうおっしゃると、今度は倉庫事情というのがあります。いま卸と米の仲買い人等には、これは銘柄の選択権がございません。消費者に対しては、いわゆるおいしい米を、ササニシキとかコシヒカリとかいう銘柄をということをおっしゃる。なるほど、これはけっこうだ、国民には銘柄によって選択権を与えているが、実際には現在卸、仲買い、こういった人に対しては選択権がないのですよ。政府は与えてないのですよ。だから、いい米を選べるとおっしゃるけれども、実際には、倉庫が一ぱいだ、古米も詰まって一ぱいだという倉庫事情というのがあるのです。また、自分の好みの米をとろうと思っても、いま強制的に政府が米は押えてありますので、たとえばある米屋さんが、おれは宮城のササニシキがほしいとかこう言えば、いや北海道の米じゃないと困るということで、北海道の米をやる。それでしかたなしにそれをもらって混米して売っているということになっていますが、実際問題、自分がほしい米は入らないように、いま食管はなっているわけですよ。もちろん食管法の十条の中には、これは物統令が廃止になると十条の規定によってこの米をまた押えるわけだけれども、この十条で押えますとまた物統令と同じことになりますので、これは簡単に適用できない。こういう関係になりますから、食管法十条では、これは簡単にまいらぬ。そこで、私はどうしても、その銘柄がほしいといったって、倉庫が詰まっている、銘柄によって倉庫に一等二等と標識をして種類ごとに入れなければならないということになりますが、そうした場合に、倉庫事情が許さない、そういったこともひとつ含んでおっしゃるのか。ただ消費者が好む好むというけれども、実際は好みで選ぶことはなかなかたいへんなんですよ。だから好みがあるから、混米にしてやらないとなかなか消費者も喜ばぬ。ただササニシキだけでいいというのではなくて、多少古米を混ぜてやったりなんかしてやっていますね。去年はあまり古米を混ぜたから問題が起きたので、十二月の二十日ころから新米に切りかえて、二月は二割、三月は三割か、七月までは古米でいく、ことしはどうも手持ちが少なくなるから、端境期前にもうおそらく食糧庁は早く古米を出さなければ困るのじゃないかというような問題が起きて、たいへんな問題になっている。そういったことから、私は、消費者に対して、袋に詰めてやるとなると十円上がるし、さらにこういった倉庫事情の関係から銘柄を選択することができない、こういうように思うのですが、その点どうですか。
  304. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 たいへん専門的に大事なことを御指摘いただいております。そういうことも十分参考にしなければなりませんが、申し上げるまでもないことでございますけれども、銘柄、銘柄と申しましても、一般的に言い古されておりますそれぞれの銘柄はございます。たとえばいまお話しにありました宮城県のササニシキであるとかコシヒカリ、そういうようなものの銘柄はありますが、これは政府がそういうことを特定することはできませんので、結局味わっていただく方の味覚によってきまることでございますので、やはりそういうようなことも勘案いたしまして、同時に、実施までにはひとつ物価の上がるようなことのないように、十分な措置を講じた上で措置をいたしたい。  倉庫の問題を御指摘になりましたが、それらもたいへん大事なことでございますので、私どものほうでは、農業団体等ともそういうことについて十分に打ち合わせをいたしてまいるつもりでおります。
  305. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いまさっきの問題に関連して、さっき申しましたことで大臣にさらにお尋ねいたしますが、今回マージンを四十六年四月一日から八・四%アップする、これは御承知のように公務員のベースアップに対応して、米屋さんのいわゆる使用人に対して事務費、人件費とか器材、施設の償却費、こういったものを見てあげるということでアップをしておられるわけですが、この中には袋代の経費等は入っていないと私は思うのですが、現在の事情を確認しておきます。どうでしょうか、大臣。
  306. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 食糧庁長官から……。
  307. 亀長友義

    ○亀長政府委員 現在のマージンの中に特に袋代というようなことは計算をいたしておりません。ただ従来の消費者価格では袋代というものは除外をいたしております。したがいまして、袋代はサービスの場合もあるし、消費者が特別に払う場合もあり得ても差しつかえないということに相なっております。マージンの中に一般的な営業の消粍品というようなものは見てございますので、そういう形で袋代の消粍率というものはある程度入っておると考えれば考えられないこともございませんが、特に計算はいたしておりません。
  308. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 長官、出てきたついでにまたもう一つ聞くが、そこでさっき大臣に聞いたけれども明確な答弁はなかったが、米は上がらぬようにする、こういうふうにおっしゃるけれども、これはそういう袋代を十円ずつやると、一俵について、六十キロだから、十キロずつ詰めても六十円です。その袋代だけは消費者に加算されますね。それについて、時間がないから急いで……。
  309. 亀長友義

    ○亀長政府委員 袋代は、ビニールが非常に普及をするということに相なりますが、大型精米をやりますと、非常に精米コストというものが従来とまるきり変わってまいります。私どもとしては、大型精米コストの中に吸収されるということを期待をいたしております。現在でも、大型精米でつくられておるものは特に袋代をとっていないという慣行がありますので、私どもとしてもそういうことで今後もやっていけるように希望をいたしております。
  310. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いまおっしゃることはわかるけれども、実際に一俵について、十キロずつ詰めますと六つ要るわけですから、六十円かかるわけですよ。それは消費者負担になると思うのですよ。いわゆるお米屋さんがいまサービスでいろいろとやったり何かしておりますけれども、今度大型化になってどんどん袋詰めで売るとなると、一々それを米屋さんが引き受けるわけにはいきません。すなわち米屋も、今度は小売りをふやすというのだから、ふやすならば結局過当競争になって、米屋さんも今度は売る量が減退する、そうするとどうしても、生活上もうけなければならぬから、たくさん米屋ができるために売れない、高く売らなければならないという問題が起きてきます。そうして、そこへ袋代までかかってきますと、これはまた、袋が一俵につき六十円だけれども、今度は相当量を扱うから相当な負担になる、これが問題だ、この分だけでも上がると思うが、食糧庁長官答えてください。
  311. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私ども先ほど来申し上げておりますように、本年産米が出回るまでの間に諸般のことを検討いたしておるわけでありますが、先ほど来ここで御指摘ございました、ことにいま袋の問題などはたいへんいいことの御示唆をいただきましたので、そういうこともあわせてひとつ十分検討してまいりたいと思っております。
  312. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いろいろ大臣は検討、検討と言われますけれども、世間一般にもうみんな見ているんだ。大臣のような頭のいい立場の人が、世間が米は物価統制令をはずすと上がるというのに、もう一回ぼくは聞くが、ほんとうに絶対上がらないとあなたは言われますか。国民のためにもう一度はっきり答えてください。
  313. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 御存じのように、このことが発表されまして以来、新聞あるいは雑誌等で専門家の諸君、学者の諸君もいろいろ論評されております。あとう限り、われわれはそういう方々にもお目にかかって検討いたしておりますが、十分にその措置を講じて御心配のないように、むしろ先ほど申し上げましたように、消費者サイドに立っても私はこういうことは大事なことであるという考え方に立っていたしておるのでありますから、断じて御期待にそむかないようにいたしたいという決意でその施策を進めてまいりたいと思っております。
  314. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 あと二、三分ございますので、それでは残った質問ははしょって、二つだけ聞いて、あと答弁を伺って質問を終わりにします。  大手商社等の米販売が、いわゆる目玉商品として、あるいは投機的売買として行なわれる心配がある、この点はどういうように対処するかという問題が一つ。  それから総理が答弁した、政府みずからが販売もするぐらいの決意をもってやる、そういうことは、いわゆる政府の直売方式の考えだが、現在の食管法のもとで可能であるのかどうか。農林大臣は、第四条の「販売業者又ハ政府ノ指定スル者ニ売渡ス」という規定の活用でやれると、こういうふうに答弁しておられるが、消費者との直結という問題はどういう形で行なおうとするのか、具体的に説明をいただいて私の質問を終わることにします。
  315. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 大型の問題につきましては、私どもといたしましては、そういうことを十分考慮に入れて御心配がないようにいたしたいということで、検討の資料にいたしておるわけでございます。  それから政府の直売ということ、これは私が御説明申し上げたように、法律的にはあり得ることでございます。けれども、たとえば歴史で申せば米騒動のような、ああいう非常事態的なことをたぶんあの法律は考慮いたしておるんではないかと思っておりますが、そのようなことは万あるまいとは思いますが、あらゆる手段を講じて消費者に御不安なからしめるようにいたしたいという精神を、総理が御説明申し上げたわけでございます。
  316. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  317. 中野四郎

    ○中野委員長 これにて瀬野君の質疑は終了いたしました。  明十六日は午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十四分散会