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1970-04-23 第63回国会 衆議院 農林水産委員会 19号 公式Web版

  1. 昭和四十五年四月二十三日(木曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 草野一郎平君    理事 安倍晋太郎君 理事 丹羽 兵助君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 芳賀  貴君    理事 山田 太郎君 理事 小平  忠君       赤城 宗徳君    鹿野 彦吉君       亀岡 高夫君    小山 長規君       澁谷 直藏君    瀬戸山三男君       田中 正巳君    高見 三郎君       中尾 栄一君    中垣 國男君       松野 幸泰君    森下 元晴君       角屋堅次郎君    田中 恒利君       千葉 七郎君    中澤 茂一君       長谷部七郎君    瀬野栄次郎君       鶴岡  洋君    合沢  栄君       小宮 武喜君    津川 武一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 倉石 忠雄君  出席政府委員         厚生政務次官  橋本龍太郎君         農林政務次官  渡辺美智雄君         農林省農政局長 池田 俊也君  委員外の出席者         議     員 芳賀  貢君         厚生省年金局企         画課長     山下 眞臣君         農林水産委員会         調査室長   松任谷健太郎君     ――――――――――――― 四月十七日  林業種苗法案(内閣提出第一〇一号)(参議院送  付) 同月二十日  中国産食肉輸入禁止解除に関する請願(阿部未  喜男君紹介)(第三五〇七号)  同(松浦利尚君紹介)(第三六〇四号)  同(横山利秋君紹介)(第三六〇五号)  同(武部文君紹介)(第三六九〇号)  同(横山利秋君紹介)(第三六九一号) 同月二十二日  中国産食肉輸入禁止解除に関する請願(松平忠  久君紹介)(第三七六八号)  同(山本幸一君紹介)(第三七六九号)  同(横山利秋君紹介)(第三七七〇号)  同(横山利秋君紹介)(第三八七二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十日  農業者年金対策に関する陳情書(栃木県塩谷郡  塩原町農業委員会長君島一清)(第一三六号)  農業者年金基金法の早期制定に関する陳情書外  一件(栃木県河内郡南河内村農政対策協議会長  楠島重治外一名)(第一三七号)  高屋町内ため池の復旧工事等に関する陳情書  (広島県賀茂郡高屋町杵原六〇四宅見淳三)(第  一三八号)  農業近代化資金の融資制度改善に関する陳情書  (中国五県議会副議長会議代表山口県議会議  長近間忠一外四名)(第一三九号)  ミカン振興対策に関する陳情書(川之江市金生  町下分八六五山之江市農業委員会長太田辨次)  (第一四〇号)  米の生産調整に関する陳情書(防府市議会議長  久和勘治郎)(第一四一号)  同(秋田県雄勝郡皆瀬村議会議長佐藤六右エ門)  (第一八七号)  同外三件(行橋市議会議長石丸松翁外三名)(第  二〇四号)  同外二件(山口県議会議長近間忠一外二名)(第  二二九号)  米の生産調整反対に関する陳情書外二件(新潟  県北蒲原郡水原町農業委員会長鈴木鈴一外二  名)(第一四二号)  同(京都府議会議長檀嘉次)(第二三〇号)  米の生産調整反対等に関する陳情書(宮城県遠  田郡田尻町長山村健吾外十一名)(第一四三号)  総合農政の推進に関する陳情書(四国四県議会  正副議長会議代表徳島県議会議長七条広文)(第  一四四号)  同(仙台市定禅寺通櫓丁四八宮城県町村議会議  長会長佐藤一男)(第一六三号)  米の生産調整に伴う各種施策の拡充強化に関す  る陳情書(宮城県議会議長村松哲治)(第一六四  号)  日本海における栽培漁業促進に関する陳情書  (東海北陸七県議会議長会代表福井県議会議長  笠羽清右衛門外六名)(第一六五号)  都市近郊の農業育成に関する陳情書(近畿二  府六県議会議長会代表和歌山県議会議長下西岩  吉外七名)(第一六六号)  林業労務者の共済制度確立に関する陳情書(東  海北陸七県議会議長会代表福井県議会議長笠羽  清右衛門外六名)(第一六七号)  食糧管理制度の堅持に関する陳情書(岡山市西  大寺一四五の一西大寺農業協同組合長理事土井  武良)(第一八六号)  同(徳島県議会議長七条広文)(第二〇五号)  同外四件(佐賀県神埼郡千代田町議会議長香月  徳太郎外四名)(第二五五号)  農業構造改善長期計画の策定に関する陳情書  (東京都千代田区永田町一の一一の三五全国農  業構造改善対策協議会長河津寅雄)(第一八八  号)  総合農政に関する陳情書(香川県議会議長遠藤  太郎)(第二〇二号)  米の過剰問題解決に関する陳情書(兵庫県朝来  郡和田山町議会議長笠谷稔)(第二〇三号)  食糧管理制度の堅持等に関する陳情書(綾部市  議会議長野々垣亨)(第二〇六号)  農業者年金基金法案の成立促進に関する陳情書  (富山市新総曲輪二富山県農業議会長内藤友  明)(第二三一号)  農地法の一部を改正する法律案等の成立促進に  関する陳情書(富山市新総曲輪二富山県農業会  議会長内藤友明)(第二三二号)  基本農政の確立に関する陳情書(飯田市議会議  長近松宗一)(第二三三号)  農業振興対策に関する陳情書(新見市議会議長  小割盛太郎)(第二五三号)  過剰米の処理に関する陳情書(岡山県久米郡中  央町議会議長関秀虎)(第二五四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農民年金法案(芳賀貢君外十四名提出、衆法第  一五号)  農業者年金基金法案(内閣提出第七八号)      ――――◇―――――
  2. 草野一郎平

    ○草野委員長 これより会議を開きます。  芳賀貢君外十四名提出、農民年金法案及び内閣提出、農業者年金基金法案の両案を一括して議題とし、順次趣旨説明を聴取いたします。芳賀貢君。     ―――――――――――――
  3. 芳賀貢

    ○芳賀議員 ただいま議題となりました、芳賀貢外十四名提出にかかる、農民年金法案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  わが国農業は、国民食糧の安定的供給という重要な国家的使命を通じ、社会経済の発展に大きく寄与してまいりましたが、そのにない手である農民に対する社会保障制度は、ほとんど見るべきものがないというのが実情であります。  すなわち、国民総生産は、世界第二位と誇示しながら、大事な国民所得水準は第二十位であり、社会保障水準において第十四位と立ちおくれ、まさに、高度成長下の資本主義経済の矛盾と欠陥を物語るものであります。  しかも、農民の多くのものは、国民皆保険のしんがりとして発足した国民年金制度加入しておりますが、国民年金の欠陥として、年金財源の負担区分が、加入者負担三分の二、国庫負担三分の一と、保険料が高率であること、老齢年金は保険料を二十五年間納付して、六十五歳から月額八千円と低劣な給付内容であり、国民の老後の生活を保障する年金制度にはほど遠いものがあります。  最近の政府自民党の農政に対する農民の不安と不信に加えて、農民に対する社会保障制度がこのような現状では、農村の優秀な青少年が、農業に一生を託する希望と情熱を失なって、なだれのごとく他産業へ流失するのも、当然の帰結といわなければなりません。  このような実情に対処し、わが党といたしましては、日本国憲法第二十五条に規定する国民の生存権保障の理念に基づき、さらに国民年金法第七条の指向する、二十歳以上六十歳未満の日本国民は、国民年金の被保険者とする原則規定を踏まえつつ、いわゆる各種公的年金制度を改善の上、これらを統合一元化し、国民ひとしく老後生活が保障されるべきとする立場を堅持しつつも、当面、農民の老後保障の充実を中心とした農民独自の年金制度の必要性を強く主張してまいったのであります。  今回、政府から農業者年金基金法案が提出されましたが、おそらくこれは去る昭和四十二年一月の衆議院選挙の際に、佐総総理が「農民にも恩給を」という呼びかけで、農民の老後保障を公約をしたことに対する実現措置と思われるのでありますが、はたしてしかりとすれば、これこそ全国の農民を愚弄し、その期待を裏切るものと断ぜざるを得ません。  政府案による年金制度は、給付内容が劣悪な上に、経営移譲と離農政策のみに力点を置き、国民食糧の生産と供給に挺身した、農民に対する老後保障の充実という、農民側の願望とはあまりにもかけ離れたものであり、その名は農業者年金とはいえ、その実は構造政策の一環をなす政策年金以外の何ものでもありません。  このような制度に、はたして農民が魅力を持つでありましょうか、これが「農民にも恩給を」という佐藤総理の公約に対する実現措置であるとするならば、政府自民党の公約とはまさに、羊頭をかかげて狗肉を売るようなものと言わざるを得ないのであります。  しかも、農民の社会保障制度充実の美名をかりて、農民の最も大切な資産であり生産手段である農地等を手放すことを奨励するような政府政策に対し、われわれとしては断じて同調するわけにはまいらないのであります。  この際、かねてからのわが党の主張に従い、みずから農業に従事するすべての農民を対象にした農民年金制度を創設し、国民年金の給付と相まって、農民の生活の安定及び福祉の向上をはかり、農村の次代をになう青年に希望を与え、農業の振興と長期の発展に資することをねらいとして、ここに本案を提出した次第であります。  以下本案のおもな内容について申し上げます。  第一に、農民年金制度は、農民の老齢、廃疾または死亡について必要な給付を行ない、国民年金の給付と相まって、農民の生活の安定及び福祉の向上をはかり、もって農業の振興に資することを目的としております。  第二に、農民年金事業は、政府が管掌することとし、その事務の一部は都道府県知事または市町村長に行わせることができることとしております。  第三に、農民であって、国民年金の被保険者である者は、農民年金の被保険者となることとしております。なお、ここにおいて農民とは、農地等を使用してみずから耕作、養畜または養蚕の事業を営む者、これと生計を同じくする親族であってもっぱら農業に従事する者、及び農業生産法人の常時従事者をさし、その具体的な基準については政令で定めることとしております。  第四に、本制度による給付は、農民老齢年金、農民障害年金、遺族年金、脱退一時金及び死亡一時金の五種類とし、それぞれの支給要件、年金額等を定めております。  まず、農民老齢年金については、保険料納付済み期間が二十年以上である者が、六十歳に達したときに支給され、その額は、七百五十円に保険料納付済み期間の月数を乗じて得た額としており、すなわち、年額で十八万円、月額で一万五千円の老齢年金を給付するものであります。  次に、農民障害年金については、保険料納付済み期間一年以上の障害者に対し、保険料納付済み期間を乗じた額を基準として、障害の度合いに応じ一定額を支給することとしており、なお、この農民障害年金には、最低保障額を設け、保険料納付済み期間の二十年に満たない者は二百四十月として最低保障額を定めることとしております。  その他、遺族年金、脱退一時金、死亡一時金については、他の公的年金に準じて支給することといたしております。  なお、制度発足の当初においては、年金受給に必要な拠出期間を年齢に応じ、五年まで短縮するとともに、年金の額についても優遇措置を講ずることとしております。  第五に、農民年金の給付の額は、国民生活水準その他の事情に著しい変動が生じた場合には、これに対応して、すみやかに改定の措置を講ずることといたしております。  第六に、経過措置として、昭和四十六年一月一日現在において、六十歳をこえる者で、連続して十年以上、もっぱら農業を営み、または農業に従事した農民に対しては、無拠出により、月額千五百円の農民福祉年金を支給するとともに、同日において五十五歳をこえる者は、この制度の被保険者とはしませんが、その者が六十歳になり、その日において連続して十年以上、農民である場合には、その者に対しても、同じく無拠出による月額千五百円の農民福祉年金を支給することとしております。  第七に、農民年金の給付に必要な財源としての保険料については、被保険者一人につき月額七百五十円の保険料を納付することとしておりますが、年金給付に要する費用の百分の七十五に相当する額を国の負担として補助することとし、なお、経過措置としての農民福祉年金の給付に要する費用、並びに本制度運用に必要な事務費については、全額を国の負担とすることとしております。  第八に、附則において、農民年金制度の実施に必要な諸規定を設けておりますとともに、われわれは、かねてから農民、漁民のすべてを対象にした特別の年金制度の創設を主張してきた経緯にかんがみまして、特に本法の附則において、政府は漁業または林業に従事する者に対する年金制度について、すみやかに検討を加え、本案による年金給付と同一水準の給付が行なわれるよう、措置しなければならないことを規定いたしております。  最後に、この農民年金制度は、昭和四十六年一月一日より発足させることといたしておりますが、本制度が国民年金制度との併用で運用される趣旨にかんがみ、国民年金制度の抜本的改正をはかり、国民年金においても、保険料納付済み期間を二十年に短縮し、満六十歳で月額一万五千円の老齢年金の給付が行なわれ、国民年金と農民年金の併給により、六十歳で一人月三万円、夫婦が六万円の老齢年金の実現の緊要なことを特に強調いたすものであります。  以上、農民年金法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。  何とぞ慎重審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。(拍手)
  4. 草野一郎平

    ○草野委員長 倉石農林大臣
  5. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 農業者年金基金法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  近年におけるわが国経済の高度成長のうちにあって、農業がその生産性の向上をはかりつつ国民食糧その他の農産物の安定的な供給を行ない、農業者に他産業従事者と均衡のとれた所得と生活水準を実現し得るようにすることは、農業と農政に課せられた基本的課題であります。  農業がこの要請に十分にこたえるためには、資質のすぐれた経営担当者による規模の大きく生産性の高い農業経営によって、農業生産の相当部分が担当されることが必要であり、このため、農業の構造改善のための各般の施策を総合的に推進し、次代をになう優秀な後継者が将来に希望と自信を持って安んじて営農にいそしめる基盤を確立することが必要であると考えるのであります。  ところで、優秀な経営担当者の確保、経営移譲の促進、経営規模の拡大等は、農業者の老後生活の安定と密接に関連している面があるのでありまして、このような観点から、農業者年金制度を創設するとともに、これを補完するため、この制度の対象とならない老齢または零細経営主に対し離農給付金を支給することとし、また、離農を希望する者の農地等の買い入れ及び売り渡し並びに融資の措置を一体的に講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。  次に、法律案の主要な内容について御説明申し上げます。  第一に、農業者年金基金目的は、農業者の経営移譲及び老齢について必要な年金等の給付の事業を行ない、並びにこれに関連して農地等の買い入れ及び売り渡し等の業務を行なうことにより、国民年金の給付と相まって農業者の老後の生活の安定及び福祉の向上に資するとともに、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与することとしております。  第二に、基金の業務は、農業者年金事業を行なうこと、農地等の買い入れ及び売渡し並びに農地等の取得に必要な資金の貸し付けを行なうこととしております。また、一定の期間農業者年金の被保険者以外の者が経営移譲をした場合に離農給付金を支給する業務を行なうことができることとしております。  第三は、農業者年金事業に関する規定であります。  まず、被保険者につきましては、国民年金に加入している一定規模以上の農業経営主を当然加入とし、このほか、一定の要件に適合する者は、任意加入し得ることとしております。  また、農業者年金の被保険者は、国民年金の所得比例に加入するものとしております。  次に、給付される年金額につきましては、経営移譲をした者に対しては、六十歳から六十五歳までの間は保険料を二十五年納付した場合月額二万円、六十五歳以降は国民年金の給付と合わせてややこれを上回る額としております。  また、経営移譲をしない者に対しても、六十五歳からは一定額の年金を支給することとしております。  なお、制度の発足当初においては、年金受給に必要な拠出期間を年齢に応じ五年まで短縮するとともに、年金の額についても優遇措置を講ずることとしております。  第四は、農業者年金事業に関する費用についての規定であります。  まず、国庫は、毎年度、経営移譲年金の給付に要する費用の三分の一に相当する額を負担することといたしております。  次に、保険料の額は、当初は一月につき七百五十円とするとともに、国庫は、毎年度、基金に対し、この当初の保険料一月分につき三百二十一円の割合で算定した額を補助するものとしております。  第五は、基金が行なう農地等の買い入れ及び売り渡し等の業務に関する規定であります。  基金は、離農しようとする者から一定の区域内にある農地等を買い入れることができるものとし、その売り渡しは、農業経営の規模の拡大、農地の集団化その他農地保有の合理化に資することとなるようにしなければならないものとしております。  また、基金が行なう資金の貸し付けは、農業者年金の被保険者等が、離農しようとする者から、一定の区域内にある農地等を取得しようとする場合に行なうものとしております。  以上のほか、基金の財務及び会計、基金に対する監督等について所要の規定を置いております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに可決いただきますようお願いいたします。
  6. 草野一郎平

    ○草野委員長 引き続き内閣提出、農業者年金基金法案について補足説明を聴取いたします。池田農政局長。
  7. 池田俊也

    ○池田政府委員 農業者年金基金法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。  第一章は、基金の目的、事務所等について定めた総則的な規定であります。  第二章は、基金の組織に関する規定でありまして、基金に、役職員のほか、被保険者等のうちから任命された評議員三十人以内で組織する評議員会を置き、理事長の諮問に応じ基金の業務の運営に関する重要事項を調査審議することとしております。  基金が行なう業務につきましては、第三章に規定しておりまして、その一は、農業者年金事業についてであります。  まず、農業者年金の被保険者でございますが、農地等につき耕作または養畜の事業を行なう国民年金の被保険者でその事業に供する農地等の面積の合計が政令で定める面積以上であるものは、当然に被保険者となるものとしております。ただ、年金受給権の取得に必要な拠出期間を満たすことができないことが明らかな者は、被保険者から除外することとしております。  任意加入の被保険者につきましては、第二十三条に規定しておりまして、農地等の面積が当然加入の被保険者の農地等の面積未満であっても作目の構成等からみてこれらの者の経営の規模に準ずる者、農業生産法人の組合員等で一定の要件に適合する者及び耕作または養畜の事業を行なう者の直系卑属でその事業の後継者として指定された者は、基金に申し出て農業者年金の被保険者となることができるものとしております。  また、脱退につきましては、第二十七条及び第二十八条に規定しておりまして、その者が耕作または養畜の事業を引き続き行なうことが著しく困難であるとき、その事業にかかる農地等の面積が一定規模を下回ることとなったとき等の場合には、被保険者でなくなることができるものとしております。  次に、農業者年金の給付につきましては、第三十二条から第六十三条までに規定しておりまして、給付の種類は、経営移譲年金、農業者老齢年金、脱退一時金及び死亡一時金とし、それぞれ、支給要件と支給額を定めております。  経営移譲年金は、保険料を二十年以上納付した者が後継者または他の農業者年金の被保険者等に経営移譲をした場合に六十歳から支給することとしておりますが、その者が廃疾の状態にある場合には六十歳未満であっても支給することとしております。  農業者老齢年金は、経営移譲年金の受給権者のほか、六十歳まで被保険者であった者で保険料納付済み期間が二十年以上であるものに対して支給するものとし、その額は、保険料納付済み期間が二十五年の場合月額四千五百円としております。なお、これらの年金額につきましては、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、所要の改定措置を講ずることとしております。  また、脱退一時金及び死亡一時金は、保険料納付済み期間が三年以上である者が中途脱退し、または死亡した場合にその者または遺族に対して、保険料納付済み期間に応じて、一定額を支給することとしております。  経営移譲年金の支給要件としての経営移譲につきましては、第四十二条及び第四十三条に規定しております。経営移譲の相手方は、その者の直系卑属で一定の要件に適合する一人の者すなわち後継者であるか、農業者年金の被保険者等でなければならないものとしておりまして、後継者に移譲する場合には、その経営にかかる農地等のすべてについて所有権または使用収益権を移転しなければならないものとし、農業者年金の被保険者等に移譲する場合には、その経常にかかる農地等のうち一定規模以内の自留地を除いたすべてについて所有権または使用収益権を移転するか、使用収益権を設定しなければならないものとしております。なお、農業生産法人の組合員等である者が経営移譲をする場合には、その持ち分のすべてを譲渡しなければならないものとしております。  さらに、これらに関連して、その被保険者の資格に関する決定、給付に関する決定等についての不服を審査する機関として、委員九人からなる審査会を置くこととしております。  次に、基金が行なう第二の業務である農地等の買い入れ及び売り渡し等の業務につき申し上げます。  基金は、農業者年金の被保険者等が離農しようとする場合に、その申し出を受けて、農用地区域内にある農地等を買い入れることができるものとし、また、農業者年金の被保険者等が、離農しようとする者から、農用地区域内にある農地等を取得しようとする場合に、農地等の取得に必要な資金の貸し付けを行なうことができるものとしておりますが、経過的措置として昭和五十年三月三十一日までの間は、農用地区域に準ずる一定の地域内の農地等であってもこれを買い入れ、あるいはこれの買い入れに要する資金を貸し付けることができるものとしております。  第四章は、基金の財務及び会計に関する規定でありまして、区分経理、予算、事業計画等についての主務大臣の認可、余裕金の運用方針等について定めております。  第五章以下は、監督その他の規定であります。  附則におきましては、基金の設立手続、所要の経過規定、関係法令の改正規定を設けるほか、離農給付金の支給業務に関する規定を置いております。  離農給付金の支給業務は、この法律の施行の日から十年をこえない間行なうこととし、その給付金は、一定規模以上の農地等について耕作または養畜の事業を行なう者で農業者年金の被保険者となっていないものが、農業者年金の被保険者等に対して農地等を売り渡して離農した場合に支給することとしております。  なお、この財源につきましては、基金は、国庫から交付金の交付を受けることとしております。  以上をもちまして農業者年金基金法案についての補足説明を終わります。     ―――――――――――――
  8. 草野一郎平

    ○草野委員長 引き続き両案の質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森下元晴君。
  9. 森下元晴

    ○森下(元)委員 ただいま農林大臣よりの提案理由の説明がありました農業者年金基金法案について、農政の基本問題に触れながら若干の御質問を申し上げたいと思います。  昭和三十六年に近代農業憲法といわれております農業基本法ができまして、戦中、戦後二十年余にわたった米麦中心の食糧増産一本の農政が大きく転換いたしまして、食糧の安定供給のかたわら、経済の発展に伴って農業近代化のための構造改善、また選択的拡大、こういう方面に農政の方向が向いてきたわけでございます。しかし、農業は土地が生産資本であるし、また自然条件の制約、風土的な特殊性、流通機構の複雑な内容をかかえておるために、身軽な他の産業のように簡単に急転換できず、その間に貿易自由化、また急速な経済成長による農村より他産業への人口流出、また食生活の変化等、農業を取り巻く環境はめまぐるしく変わりまして、その上慢性的な豊作によりまして米作の生産調整が迫られる事態となり、事ここに至りましては、農業の構造改善の要急を告げたのでございます。佐藤総理も去る四月二日本会議提案の際に、社会党の田中議員質問に答えまして、次のように申されております。「七〇年初頭における農業の課題は、何をおいても、古くからの米麦中心の日本農業からの脱皮である」、「また、困難な転換期を無事に乗り切って、」「産業としての国際競争にも耐え得る近代農業の確立をはかり、そうして新しい、住みいい農村社会建設を推進してまいりたい、」と申されており、非常に強い決意であすの農政、すなわち総合農政に取り組む決意を示されております。いま国会の焦点は農政問題であると思います。先般通過いたしました農協法とか農地法、そうしてただいま大臣より説明がございましたこの年金基金法案は最重要法案であります。農業団体の方々、また農家の方々は、この法案が一日も早く施行されんことを待ちに待っておるように思います。  私はまず最初に、ちょうど農林大臣がおいでになりませんので、農林政務次官にお尋ねをしたいと思います。この法案の立法精神と申しますか、年金制度のねらいについて、まず御説明を願いたいと思います。
  10. 渡辺美智雄

    ○渡辺政府委員 農業者年金制度のねらいは何か、こういうことでありますが、まあ一口で言えば、ただいま森下委員がお話しになっているような農業情勢に対処するためだ、こう言い得ると思うのであります。つまり、それは農業の規模の拡大をはかっていくというためには、たんぼや畑の二階建て、三階建てはできないのでありますから、どうしてもだれかがだれかに土地を割譲するというようなことが、規模拡大にとっては当然行なわれる措置であります。そういうような場合に、つまり離農をするというような方のことも考え、また農業近代化をはかっていくためには、これはどうしても経営の若返りということも大切なことであります。ところが、身上全部渡してしまうのもいいが、小づかいにも困るというのでは困るのでありまして、六十五になれば国民年金はもらえるけれども、もう少し早い時期に、経営の若返りをはかろうというような点から、六十歳ぐらいから年金を支給するというようなことで、経営の若返りを促進をする、こういうことが農業近代化につながる一つの道であります。それと同時に、やはり、農業をやってこられた方が子供に経営を移譲いたしましても、老後の生活安定というようなことは大切なことでありますから、その生活の安定に資するための年金ということで、国民年金にさらに上のせをした年金をこしらえよう、まあ要約すれば大体そういうふうに言えるだろうと思います。
  11. 森下元晴

    ○森下(元)委員 ただいまの御答弁によりまして、農民の方々の老後の生活の安定という課題に加えまして、日本農業の当面する緊急かつ重要問題である農業の構造改善推進のため、必要な優秀な経営担当者の確保、そうして経営移譲の促進と経営規模の拡大という農政上の要請にあわせこたえる、きわめて適切な制度であると思います。  なお、社会党から提出されました農民年金法案、非常にけっこうな内容と思いますけれども、一方的に社会福祉面から農政のてこ入れを示されておるのに比べまして、政府提案のものは非常に多目的な内容をかかえておると思います。まあ、新しい農政の前進をはばむ問題は数多くあります。たとえば価格が国際的に見ると非常に高い、それから保有面積が非常に小さいために、機械化、省力化の時代にございまして労働生産性がきわめて低い、また自立経営農家、専業農家が減少しておりまして、二割にも足りない。つまり営農いたしましても、豊作貧乏でありましてお先まっ暗であるというのが現在の農業でございます。この法案は、これらを解決するための適切なる特効薬的な内容を持っておるように思います。  そこで厚生省にお聞きしたいと思いますけれども、国民年金制度目的は、先ほども申しましたように社会政策のみでございまして、この農業者年金のほうは、その上に農業政策推進のいわゆる政策目標をあわせて盛っておるところに意義があるわけでございます。そういうことで、将来他産業においても政策目的を掲げたこのようなケースが出てきた場合に、同じような取り扱いをなさるかどうか、この点について厚生省にお伺いしたいと思います。
  12. 山下眞臣

    ○山下説明員 一般的な老後保障といたしましては、昨年国民年金の大幅な改善もございまして、一応の御要請にこたえられるように相なっておると思うのでございますが、ただいまお話ございましたように、農業につきましてはただいま非常にその近代化が叫ばれる特別な事情があるということで、このような基金が制定せられることになったわけでございますが、私どもただいまのところは、同じような事情のあるものが他に特別存在するというふうには、ただいまのところは考えておらないわけでございます。
  13. 森下元晴

    ○森下(元)委員 この法案は、農業構造政策上、また社会保障の面から見た場合に、まことにけっこうな内容であると思いますけれども、現在の民法上、また税法上から見た場合に多少の疑義があるように私は思います。  それで、まず最初に農政局長に、この年金の適用対象者、すなわち被保険者は農業経営者ということになっておりますけれども、三ちゃん農業と言われております今日、どういう資格が要るか。これをまずお尋ねしたいと思います。
  14. 池田俊也

    ○池田政府委員 この年金の加入者の資格といたしましては、国民年金に加入しておるということが一つでございますが、そのほかに、一定面積以上の規模の耕作または養畜を行なうということが一つの原則になっているわけでございます。一定面積以上の規模と申しますのは、これは政令で定める予定にいたしているわけでございます。お手元にも政令見込み事項をお配りしてあるかと存じますが、大体現在私どもが考えておりますのは、都府県におきましては五十アール以上の、それから北海道の場合は、いろいろ問題があるわけでございますが、原則的には二ヘクタール以上の面積につきまして、耕作あるいは養畜のいわゆる農業を行なうもの、こういうふうに考えているわけでございます。なお、生産法人の構成等につきましても、非常にこまかい規定を置いてございますが、大体趣旨はいまのようなことに準ずるような扱いをいたしておるのでございます。
  15. 森下元晴

    ○森下(元)委員 非常に私は対象者の資格と申しますか定義づけがむずかしい点がかなりあるんじゃないかとも思っております。それと、現在の憲法、民法、税法、この基本的な考え方が、昔の家督相続を認めない、いわゆる財産は均等に分割するのが現在のそういう法の精神でございます。これが、農地は細分化してはいけない、ますます経営規模を広げなければいけないという趣旨に非常に逆行する場合がございまして、それとの調整をいかにするか、この問題が私は出てくると思います。たとえば子供が数人あった場合に、昔でございましたならば、後継者に譲る場合、簡単に隠居の届けをすればそれで家督相続ができたし、また税金もほとんど要らなかった。第一次産業、特に長期生産の産業にとりましては、非常に合理的な方法であったとも思うわけでございますけれども、そういう点で、この税金問題とこの法案とのかね合い、また解釈、運用に非常に私自身も疑義を持っております。  この税金の問題につきましては、ちょうど渡辺政務次官がおいでになるし、この方は大蔵委員をされておりまして、非常に税金関係のベテランでございまして、あえて国税庁に来てもらわなくても私はけっこうだと思います。それで、ずばりひとつ政務次官にお答えを願いたいわけでございますけれども、いわゆる適用対象者が後継者に譲る場合の意思表示と申しますか、いわゆる農地登記によって移譲が行なわれたかどうかというその判定、それから口頭の意思表示でいいかどうか、それから実質的に経営をしておるかどうか、この解釈につきましてお尋ねをしたいと思います。
  16. 渡辺美智雄

    ○渡辺政府委員 これは権利の移転ということでありますから、この確認ということにつきましてはやはり登記、こういうことになろうかと存じます。  なお、所掌外のことについてお尋ねがございますが、これは大蔵省から聞いていただけばいいわけでありますけれども、私はこの森下先生のおっしゃる意味がどういう意味なのかよくわかりませんが、要するに土地の登記をする、すると、むすこに登記をするのだからこれは贈与税がかかるのじゃないか、こういうことだと思います。これは実は農地問題と非常に関係のあることでありまして、特別措置法の七十条の四で生前贈与ということをきめたことがあります。これは先ほど森下先生がおっしゃったように、農村の非常に強い要求があって、土地が細分化をして困る、だからおやじさんの生きているうちにあと継ぎに農地を書きかえたい、そのとき税金がかかっては困るから何とか税金がかからないようにならぬかという、農業団体をはじめわれわれもそういうことを主張してきたわけでありますが、それが生前贈与の規定としてつくられたわけでありまして、その場合がやはり準用されるであろう。これはつまり要件は、農地の全部を一人の後継者、自分のむすこに生前に贈与をした場合、あるいは採草放牧地の三分の二以上を贈与をした場合、こういうふうなことであって、しかもそれを受け取る人は相続権のある成人者の一人ということになっておるわけであります。この場合は税金を取らないというのではありませんが、贈与税の計算はいたしますが、相続開始まで税金を取ることを猶予する、したがって相続税のときに相続税として計算をし直すということですから、まあ現実的には贈与税は取らないということになるわけであります。その規定がやはりこの場合は適用される、こういうふうにわれわれは解釈をいたしております。
  17. 森下元晴

    ○森下(元)委員 現在の税法では相続税の解釈は大体その人一生の所得税の精算である、これが相続に対する考え方であるようでございまして、いわゆる後継者に贈与する場合、相続税という贈与税よりは低率の税金で恩典はあるわけでございますけれども、現在の相続税でもなおかつかなりの税金が取られるであろう。ここにこの農地の後継者への移譲というものをためらう障害が出てくるのじゃないだろうか。これも一つでございますし、いま政務次官から御説明がございましたいわゆる生前贈与というようなことで相続の開始まで納税は待ってくれる、この場合にその対象は、われわれが聞いておる範囲では農地のみでございまして、農業に付随するいろんな農業的な道具、それから養鶏の場合なんかはこれは当然除外されます。そういう場合に、後継者に移譲すると申しましても、税法的な障害がかなり出てくるのじゃないかというところに、私はこの法案の隘路があると思うわけでございますけれども、ひとつその点の御見解、政務次官にお願いします。
  18. 渡辺美智雄

    ○渡辺政府委員 これは大蔵省の所管でありますから、私がお答えをするのではなくて、農林省としてはこういうふうな考えで今後とも大蔵省と折衝していくという気持ちをお話しするわけですが、いずれにせよ、これは、成立しても支給の時期に五年間という時期があるわけでありますから、その間においてもっと生前贈与の規定を適用していただくつもりですが、そればかりでなくて、もっとこの法案にしっくりするような解決策というものをはかっていくことが大切だと私は思います。ただ、森下先生のおっしゃることは、たとえば鶏の話等が出ましたが、畜産などをやっている場合には、土地は全部生前贈与の対象になりますが、減価償却資産それからたなおろし資産は生前贈与の対象にはならない。事実でございます。したがって、果樹等を営んでおる場合に、農地は空前贈与の対象になるが、みかんの木やあるいは牛や馬や鶏は生前贈与の対象にならない。非常に困るじゃないか。年金をもらおうとすれば、それらのものを贈与しなければならぬ。贈与すれば贈与税がごそっと来る。それでは困るじゃないかということだと思いますが、われわれの知っている範囲では、取り扱いとして牛や鶏あるいはそういうふうな果樹のようなものはおやじさんの所有物であってよろしい、それを子供が借りて、そうして農業を営むんだから、その減価償却資産に対しては、おやじさんに賃借料を払って、自分が農業を経営すれば、これは支障なく農業ができて、現実的に経営権というものは一人の、長男に、余分な税金を取られないで移っていく。ですから、現実の問題としては支障なく行なわれておるのでありますから、これらについては今後この年金についても同様な扱いをしてもらうように今後大蔵省と折衝をしていくつもりであります。
  19. 森下元晴

    ○森下(元)委員 税金関係の問題は所管が違いますので、また機会を見て、国税庁に質問する機会を与えていただきたいと思いますけれども、贈与税の問題、また農業をやめて他業に転出する場合、いわゆる農地を売った場合にかなりの所得税もかかる。そういうことで、せっかくのこの法のねらいでございます農地の流動化、後継者への移譲、こういう面で、いわゆる民法の問題、税法の問題がかなりの隘路になるということの疑義がございます。  次の質問に移ります。  後継者の加入につきまして、二十年間の資格期間を満たせるように経営の有無にかかわらずいわゆる任意加入ができるかどうか。これは農政局長にお伺いいたします。
  20. 池田俊也

    ○池田政府委員 原則的には当然農業経営主が農業者年金の加入者の大部分であるというふうに私ども考えているわけでございますが、いろいろな場合に、経営移譲が非常におくれて、資格期間が満たせないというような問題もいろいろございますので、そういうことから経営者が一人の後継者を指定いたしまして、その人が一定の要件を満たしております場合には任意加入ができる、こういう道を開こうというふうに考えておるわけでありますが、その場合には、大体現在考えておりますところでは、三年くらい農業に従事していた、そういうようなことの要件を満たすならば、いま申し上げましたような後継者が任意加入できる、こういうふうにいたしたいという考えでございます。
  21. 森下元晴

    ○森下(元)委員 次の質問に移ります。  この制度の対象外になっております五十五歳以上の農業経営主が、後継者に経営を移譲した場合に、これに対する何らかの措置を講ずることができるかどうか。大体五十五歳以上の方々は、戦中戦後一番食糧増産の必要であるときに、いわゆる苦労をしたにない手であったわけでございますけれども、これらの方々を無視することはまことに片手落ちであると思います。離農の場合は給付金がいただけますけれども、そうでない場合には何の恩典もない。一番苦労した方が一番恵まれないということに対する御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  22. 池田俊也

    ○池田政府委員 五十五歳未満ということが一つの農業者年金の加入の限界になっておるわけでございますが、これは拠出制の年金制度でございますので、一定期間拠出をしておりませんと年金の受給を受けられない、こういう仕組みでございますので、少なくとも五年程度は拠出をしていただかないと制度としては非常に仕組みにくい、こういうことでそうなったわけでございます。しかしいまお話がございましたように、かなり五十五歳以上の農業経営者という方があるわけでございますし、いままで農業にずっと従事してこられたわけでございますので、この方に対する措置をどうするかというようなのは実はかなり苦労したわけでございますが、いま若干お話がございましたが、私どもとしてはその方が離農をして、そして農業経営の近代化といいますか、農業構造の改善に寄与をした場合には、それに対して離農給付金の支給をするというふうにいたしたいと考えましてそういう制度にいたしておるわけでございます。そういう離農給付金の給付ではなく、年金制度の中に組み入れるということにつきましては、先ほど申し上げましたように、非常に制度の仕組みとしては困難であるわけであります。
  23. 森下元晴

    ○森下(元)委員 最後に厚生省のほうにお尋ねしたいと思います。  これは農業者年金だけではございませんけれども、いわゆる所得比例の給付、これが現在一段階でございますけれども、将来これは幾段階にもされる意思があるかどうか。それと所得比例の分につきましては非常に国庫負担が少ないわけでございます。わずか四分の一の低額負担である。これは改正の御意図があるかないか。  もう一つの問題は、この掛け金、いわゆる積み立て金の運用でございます。農業者の拠出する掛け金は大体年間百七、八十億、このように聞いておりますけれども、これの運用をどのようにするか、御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  24. 山下眞臣

    ○山下説明員 まず国民年金の所得比例制につきましては、昨年暮れの国民年金法の改正によりまして定められまして、ことしの秋から発足をするわけでございますが、何ぶんにも国民年金制度で所得比例制が入りますのは初めてのことでもございますので、まだ国民の皆さん方、被保険者の皆さん方の御理解が必ずしも十分ではないだろうということで、当面は単純な一段階制ということで発足をいたしたわけでございますが、次第に今後年金制度が成熟いたすに従いまして、将来は社会経済上の進展ともにらみまして、これをさらに段階をふやすというような問題等について十分検討を進めてまいりたいという気持ちを持っているわけでございます。  国庫負担につきましては、現在四分の一ということに相なっておるわけでございますが、今後十分研究をいたしてまいりたいと思っております。  それから積み立て金の問題につきましては、年金の積み立て金一般につきまして、将来の給付に備えておく金でございますために、基本的な原則といたしまして安全な運用、効率的な運用ということが大原則でございまして、これを中心に考えていきたい、その原則にのっとりながら、その有効な使い方等につきましては、十分関係当局等と御相談をいたしまして、今後きめてまいりたいと、このように考えておるわけでございます。
  25. 森下元晴

    ○森下(元)委員 以上で私の質問を終わりますが、とにかく多少おそきに失した感はあると思いますけれども、農業基本法の考え方というものが今回の農地、農協法の改正と、また本日年金の法案が上程されまして、転換期の農政の危機を救うべく登場してきたわけでございます。この農業者年金制度が社会政策的意味と農業構造政策推進の切り札として総合農政の推進のため活用されまして、他生業との格差がなくなり、明るい近代農業に生まれかわらんことを願いまして、私の質問を終わります。(拍手)
  26. 草野一郎平

    ○草野委員長 長谷部七郎君。
  27. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 まず最初に、今度の農業者年金基金法案は、今国会においても重要法案の一つになっておるわけであります。したがいまして、関係の大臣が本委員会に出席をされまして審議に加わるのが当然だろうと思うのでありますが、農林大臣の場合は、提案理由の説明が終わるともう間もなく退席をする、こういう状態ではきわめて不満でございます。したがいまして、委員長において大臣の出席がどうなるのか、この審議中に、いろいろお仕事もあるでしょうが、どういう出席の予定になっておられるのか、この点をまずひとつ明らかにしていただきたいということと、それから、いろいろ仕事があっても、この重要法案の審議には責任を持って出席をするという態度をひとつ明らかにしていただくように要請を願いたいと思うわけです。  さらにこの基金法案は国民年金の付加年金でありますから、当然厚生大臣あるいは次官、関係の局長が出席をして審議に当たっていただきたい、こう思うわけでありますが、この点につきましてもひとつ委員長から明確にしていただきたい、こう思うわけであります。
  28. 草野一郎平

    ○草野委員長 長谷部君にお答えいたします。  農林大臣は趣旨説明を終えて退席をいたしましたが、きょうは午前中参議院本会議があり、それと内閣委員会において農林省設置法の採決があるようであります。それと午後の本会議等の関係がありますので出席されておりませんが、本法案審議の一定の時期に出席を求めまして、そこで大臣と直接の質疑応答を繰り返していただく時間を持ちたいと思っておりますから、したがって大臣に対する分はひとつ一括残しておいてもらって、あとで要領よくまとめてもらえばけっこうだと思いますが、どうぞそのつもりで進めてください。
  29. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 一定の時期に出席を求めるということでありますが、いつになるものやら……。
  30. 草野一郎平

    ○草野委員長 いや、二十七、八日にやりますから――あしたの午前中に出席するそうです。
  31. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 では、そういうことでありますれば、大臣にかかわる質問については留保させていただきまして、その機会にあらためて委員長からお許しをいただく、こういうことをぜひお約束をいただきたいと思います。  それから第二の厚生省関係はどうなんでしょう。
  32. 草野一郎平

    ○草野委員長 厚生省厚生政務次官が参っております。
  33. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 厚生大臣は、私の本会議における質問に対する答弁でいろいろ納得のいたしかねる答弁があったわけであります。したがいまして、ぜひ厚生大臣にもこの審議期間責任を持って出席をしていただく、こういうお取り計らいを委員長が責任を持っていただきたい。
  34. 草野一郎平

    ○草野委員長 厚生大臣は、きょうは国民年金法案を社労でやっているのだそうです、そういうことでこちらへ呼びがたい事情があって、橋本政務次官が見えておりますから、ひとつ政務次官に御質問をいただいて、どうしても大臣でなければならぬのは、またそのときの理事会でも相談をし、あるいはその他の審議の申し入れ等も受けておる場合がありますから、そうしたときに御質疑いただくようなこともできるかと思います。
  35. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 それではひとつあとで理事会で御相談いただきまして、適当な機会に必ず出席をしていただいて審議に参加をしていただく、こういうぐあいにぜひお取り計らいをお願いしたいと思います。
  36. 草野一郎平

    ○草野委員長 はい。
  37. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 それでは、まず最初に事務当局に対する質問を行ないたいと思います。  第一番の問題は、この農業者年金基金制度の対象となる加入者の問題でございます。いま御説明がありましたように、この制度は当然加入しなければならないものと任意の加入が許されるものと二つのケースがあるわけであります。それで、この対象人員を事務当局はどの程度に推定されておるのか、まずこの点をお伺いしたいと思います。
  38. 池田俊也

    ○池田政府委員 当然加入の対象者と、それから任意加入の対象者を含めまして、これは非常に概算でございますが、約二百万人、こういうふうに想定をいたしております。
  39. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 当然加入者を、あるいは任意加入を含めて概略二百万というきわめて大ざっぱな答弁でありますけれども、この際、強制加入になるものはおよそ幾ら、任意加入の対象と考えられるものは幾ら、こういうぐあいにはっきりお示しをいただきたい、こう思います。
  40. 池田俊也

    ○池田政府委員 実は、御存じのとおりでございますが、一定の面積以上のものは当然加入、それからまた任意加入につきましては、これも下限の面積を定めておりまして、それ以上のもので一定の要件を満たすものは任意加入ができる、こういうような形になっているわけでございまして、実は従来の統計から確実にこれだけが当然加入、これだけが任意加入ということがなかなか申し上げにくいのでございますが、しいていろいろなデータから計算をいたしてみますと――これは全くの試算でございまして、はたしてそのとおりになるかどうかは若干問題はございますが、御参考に私どもが試算したものを申し上げますと、大体当然加入になりますものは百七十五万くらいではなかろうか、それから、したがいまして残りの約二十五万程度のものが任意加入ということに相なるわけでございます。もちろん任意加入の場合には、ただいま申し上げましたように、五反未満で、また耕地一定面積以上のものというようなものもございますし、あるいは先ほどの森下先生の御質疑にも出てまいりましたが、後継者の問題でありますとか、その他のいろいろなものがあるわけでございます。ごく概略だけ申し上げますと、その程度ではなかろうかと想定をいたしております。
  41. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 当然加入が百七十五万人、任意加入が二十五万人、当然加入の場合は経営面積が〇・五ヘクタール以上、しかも五十五歳以下で経営主でなければならぬ、こういうぐあいに法並びに政令で定めようとするようでございますが、それで参りますと、いま政府が出しました資料によりまして四十三年の場合、全国で総農家数が五百十八万一千戸、このうち第一種農家は三百五十一万五千尺、第二種が百六十六万六千戸となっておるわけでございます。この第一種の農家中〇・五ヘクタール未満の二十八万八千戸を差っ引きましても、いわゆる〇・五ヘクタール以上の農家は三百二十万をこえる数字が出ておるわけであります。その中で、いま局長の答弁によりますと、百七十五万人しか見込んでおらない、こういうことのようでございますけれども、これは一体どういうことになるのですか。日本の農家全農家中五反未満の農家を差っ引きましても四百八十万戸程度は農家として存在しているわけであります。そのうち半分しか農業者年金基金加入対象にしておらないというのはいかなるお考えに基づくものか、ひとつ明らかに願いたいと思います。
  42. 池田俊也

    ○池田政府委員 いま御指摘になりました数字はそのとおりでございますが、三百何十万と、先ほど私が申し上げました百七十五万との関係いかんということでございますが、三百数十万の数字の中には、年齢的に農業者年金の加入対象となれない五十五歳以上の方があるわけでございますので、それをまず一応除外しなければならないわけでございます。それからさらに、農業経営主の中におきましても、他の恒常的な勤務をやっている方がありまして、そういう方は他の被用者年金に入っております。厚生年金でありますとかあるいは農林年金であるとか、そういう被用者年金に入っているという方もございます。そういう方を除いていきますと先ほど申し上げましたような数字になるわけでございます。
  43. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 五十五歳以上の者は除く、さらに他の産業に従事しておってそれぞれの関係年金制度加入している者も除く、そうなると二百万という数字が出てくるのだ、こういう御説明ですけれども、それではそのようにはっきり試算をした経緯があるとするならば、この際資料として御提出をいただきたい。二百万という数字が出た根拠を資料として御提出をいただきたいと思うわけであります。なるべく早くお願いをいたしたい。  次に、〇・五ヘクタール以上とそれ以下というぐあいに線を引いておるわけであります。これは明らかに農業の選別政策のような感を禁じ得ないものでありますが、〇・五ヘクタールというところに線を引いた根拠は一体どこにおありでありますか、この点をお尋ねいたしたい。
  44. 池田俊也

    ○池田政府委員 基礎的な考え方といたしましては、農業者年金の加入者は、将来も農業に精進するといいますか、農業経営を継続いたしまして、さらに望ましい形といたしましては規模拡大をやっていく農家というふうに一応想定をいたしておるのでございます。そうでございませんと、経営規模拡大というような観点からいたしまして、将来農業経営を継続し、さらには発展していく可能性のない農家を包含するといろことになりますと、これはむしろ日本の将来の農業構造の改善をはかっていくという見地から必ずしも十分でないのではないか、こういう基礎的な考え方があるわけでございますけれども、それならば具体的にそれを当然加入資格として都府県の場合五十アール以上というふうに予定をしております理由といたしましては、いろいろな点を私どもは検討してみたわけでございますけれども、やはり一般的に農家らしい農家というふうに考えられますのは、農林統計の上では一種農家ということを一つつかまえておりますが、これは農業従事者から見ますと、一人がほぼそれに専従できるような規模ということが一つあるわけでございます。さらに、一体そういう農家が日本の農業の中でどういう面積を占めておるかというようなこともいろいろ検討してみたわけでございますが、たとえば農地面積の点、それから農業生産額の中でどの程度のウエートを占めるかというようなことをいろいろ検討してみたわけでございますが、大体そういう五十アールくらいで線を引きますと八五%ないし九〇%くらいをいま申し上げたような点でカバーする、こういうことに大体想定されますので、そういったようなことをいろいろ勘案いたしまして、絶対的な理由があるわけではございませんけれども、そういうような点をいろいろ勘定いたしまして、まずそのところあたりが妥当ではないだろうかというふうに考えたわけでございます。ただ、現実的には、それ以下の規模の農家でありましても、将来農業経営として発展する可能性のある農家もございますから、そういう者も希望がある場合には任意加入者として認める、こういう道もあわせ採用しながらそういうふうにした、こういうことでございます。
  45. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 御承知のとおり、この農業者年金というもののそもそもの発想は、昭和四十二年の一月総選挙において、佐藤総理が「農民にも恩給を」というキャッチフレーズで、農民に特別に年金をやるんだ、こういう触れ込みで動き出した経緯があるわけであります。したがって、全国の農民は、一種と二種とを問わず全農民が恩給の、いわゆる年金の対象になるであろうという期待を持っておるわけでございます。しかるに三年経過した今日「農民にも恩給を」というこの発想というものは大きくねじ曲げられまして、今度は五百数十万戸ある農家のうち二百万戸そこそこしか年金の対象にもなれない、こういうようなことに変質をしてきておるわけであります。私ども勘ぐるわけではありませんけれども、この二百万ということに押えた根拠というものは、政府自民党の総合農政という観点から、将来の日本の農家の戸数というものは大体二百万戸という程度を想定をしておる、それ以外はいわゆる他産業へ離農させるのだ、こういった思想がこの年金制度発足にあたって考えられておるのではないか、こういうぐあいにも考えられるわけなんです。しかも、あとでも触れまするけれども、今度の年金は経営移譲が主たる要件になっています。老後の保障という性格はきわめて薄れていると言わざるを得ません。ですから、この二百万戸に押えたという点の根拠をもっと明らかにすべきではないか、〇・五ヘクタール以上の経営主、しかも五十五歳未満、こういうぐあいに押えた根拠というものは、これはいまの総合農政と大きくかかわり合いがあるのではないかと私は考えておるわけでありまするけれども、この点、これはあとで大臣への質問でも触れたいと思いますけれども、事務当局からひとつ御見解を承っておきたい、こう思うわけであります。
  46. 渡辺美智雄

    ○渡辺政府委員 決してそういうような首切りとかそういうことを考えた法律案ではありませんで、やはり大臣の趣旨説明の中で触れておるとおりであって、われわれとしては厚生年金並みの年金というものを農業者に与えていこう、こういうような目的があるわけであります。もともと国民年金のほうが厚生年金よりも支給条件等が悪いといわれておったのですが、同じく町工場につとめる人と自分のうちで働く人の間に差があったのでは困るではないか、少なくとも厚生年金並みに、農業に従事する方々の年金というものを上げていこうというようなことがあるわけであります。それで、数が少ないと言いますが、これは結果論であって、現に、農家の方の中でも、やれ役場へつとめておるとか、やれ工場へ行っておるとか、やれどこそこへつとめておるというような、相当規模の農家でもそういう農家はたくさんあるのであります。これはそれぞれのつとめ先での年金で老後の保障というものが受けられておりますから、そういう人はこの農業者年金の中には入ってこない、したがって、厚生年金農業者年金とをダブって支給するということはありませんから、そういうことのために人数が少なくなっておる、こういうふうにすなおに御解釈をいただきたいと思います。
  47. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 政務次官は、いや決してそういう離農促進というようなことは考えておらない、首切りなんということは考えておらないと、こう言われますけれども、それでは昭和四十二年に佐藤総理が発表したように、少なくとも農業を主としておる第一種の農家を全員対象にすべきではないのですか。第一種農家は三百五十一万五千戸ありますよ。これはほとんど農業を主として経営しておる農家ですよ。役場へつとめておるとか、教員をやっておるとか、あるいは鉄道へつとめておるとかいうものは、これは第二種兼業であって、それは論外なんです。ですから少なくとも、私は、三百数十万を数えるこの第一種農家を加入対象者にすべきではないか、こういうぐあいに考える。そういうところへ持ってきて百七十五万戸しか見ないということはどうしても納得できないではないか、こういうことなんです。事実が物語っておるじゃありませんか。選別しておるということはもうはっきりしておるじゃありませんか。この点いかがお考えになりますか。
  48. 渡辺美智雄

    ○渡辺政府委員 これは結果的にそういうことになっておるという数字であります。これは統計をとった数字でありますから、われわれとしてはそういうような数字をやはり基礎にする以外にはないわけであります。  それで、私が首切りの法案でないと申しましたことは、強制的に農業をやめさせるというようなことは一つも考えていないのであって、規模の拡大を一方においてしたい、そうすると他方において離農をしたいという人がある場合に、規模の拡大がしやすくなるように、また離農をする人が離農がしやすくなるように援助をしてやる。それによってそれぞれの人が現在の生活よりもよりよけいな所得が得られる道ができるならば、これはそれぞれ御本人の意思決定によってやることでありますから、ただそういうような希望が遂げられやすくなるために政府としてはお手伝いをしていくのだ、こういうようなことでありますから、決して一種農家を入れないとかなんとかいうことではなくして、いま言ったような条件等から見て拾ってみると、大体まあ二百万程度の農家ということになる、こういうわけであります。
  49. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 きわめて抽象的な話で理解に苦しむわけでありますが、結果として強制加入は百七十五万人、任意加入は二十五万人となった、こう言われましたが、それでは、そういうぐあいにはっきり計算の結果、試算の結果そういう数字が出てきたといういまの渡辺政務次官の話ですから、ではその計算の基礎を明らかにしてください。
  50. 渡辺美智雄

    ○渡辺政府委員 ですから、条件にかなう農家は全部入れるのですから、条件からはずれておる人は別だけれども、条件にかなう人は全部入れるのですから、決してワクをつくっておいて、その中に入れないのだということを言っておるわけじゃありません。その点はひとつ――かりに再計算をしたらそれがもっとふえたというようなことはあるかもわかりません。わかりませんが、現在のところ想定される数字は、結果的に見て百七十五万人が当然加入の農家になるという数字が出てきておる。したがってその百七十五万に一人でもふえてはいけないというのではなくして、条件がそろった人ならばそれは全部吸収するのでありまして、決して排除をするという意味では毛頭ありません。
  51. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 そんなことを私は聞いているのじゃないのです。いま日本には農家戸数が四十三年度現在で五百十八万一千戸ある。その中で五反歩未満のものを除くと四百八十九万戸なんですよ。本来はこれをやはり農業者年金の対象にすべきだと私は思う。当然加入にすべきだと思うのですよ。それを先ほど池田局長が言われたように、当然加入は百七十五万戸で、任意加入が二十五万戸になったということはどういう経過でそういうぐあいになったかということでただしておるのであって、もしその積算の基礎がありましたら、この委員会でひとつ明らかにしてください。そうすれば、私も納得できるかもしれませんから、お願いします。
  52. 池田俊也

    ○池田政府委員 先ほど御要請もございましたし、資料を整備いたしまして、御提出申し上げたいと思います。  ただ、いまのことに関連いたしまして、若干手元にある数字を申し上げますと、先ほど第一種兼業農家とおっしゃったわけでございますが、これは農業を主とする兼業農家でございますが、これは百六十万戸程度でございます。さっきは一種農家ということで三百五十万戸という数字をおあげになりましたが、農業を主とする第一種兼業農家ということでございますと、その程度の数字でございます。先ほどの二百万の根拠につきましては御提出を申し上げます。
  53. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 それではその資料を午後の審議までにちょうだいできますか。──なるべく早くして、午後の審議に間に合わしていただきたいということを要請しておきます。  次に、私、お尋ねしたいのは、掛け金の問題、いわゆる保険料の問題と国庫補助の問題についてお尋ねをいたしたい、こう思うわけであります。  御承知のとおり、この農業者年金制度は国民年金の上積みの制度でございます。したがって、国民年金に入っておらなければ加入できない、こういうことになっておるわけでありますが、今度新たに農業者年金として一カ月当たり七百五十円、それから国民年金の定額部分として、従来は三百円でございましたが、今度法改正が行なわれまして、四百五十円に値上げが行なわれる、そうなりますと四百五十円。それから国民年金に新たに所得比例部分が出てくるわけであります。これが約三百五十円。合わせますと、一経営主は一カ月当たり一千五百五十円。しかも経営主の妻の国民年金の定額部分を加えますと、ちょうど二千円になる。一カ月二千円、非常に高額な掛け金になるわけであります。現在の年金から見ると、大体五倍近い掛け金になる、こういう模様でございます。ところで、私考えますことは、国民年金の場合この七月から四百五十円になるわけですけれども、もうすでに十年間も拠出しておるわけであります。あと二十年拠出をした場合に六十五歳から九千六百円の年金がもらえる、こういうことになりますね。ところが、農業者年金の場合は七百五十円で二十年掛けましても、三千六百円の給付しかないわけであります。掛け金が七百五十円ですから国民年金の定額部分から見れば約二倍であります。ところが、年金の給付額は約三分の一、こういうぐあいにきわめて低いわけであります。こういった高い保険料を掛けて給付がきわめて低い、こういうのはちょっと例がないように感ずるわけでありますが、一体これはどういうぐあいになっておるのか。私どもの試算によりますと、七百五十円で二十年間掛け金をかけてそれを戻してもらう場合は月額大体四千円程度に計算上なるようでございます。それに対して給付額が三千六百円しかならない。約一割、四百円ぐらい掛け捨てになっておるような感を受けるわけであります。一体これはどういうぐあいに農林省厚生省では御検討なされたのか、この点をまずひとつ伺っておきたいと思います。
  54. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)政府委員 お考えのような考え方もあるいは一つの考え方かとも思いますけれども、私どもは必ずしもいま先生御指摘のような考え方をとっておりません。確かに数字の点、いまおっしゃいましたとおり保険料七百五十円ということはそのとおりでありますし、また給付三千六百円という数字もそのとおりでありますけれども、いわゆる経営移譲年金であるとかあるいは農業者老齢年金でありますとか、あるいはまた死亡、脱退等の際における一時金の給付でありますとか、こういったものをこの保険料と同時に国庫助成でまかなっていくわけであります。その場合にいままでの国民年金の場合に、農業者年金のような経営移譲年金、特に六十歳から給付を開始する経営移譲年金というようなものではないわけでありまして、そうしたもの全体を計算をしてまいりますと保険料七百五十円というものは私どもはやむを得ない金額だと考えております。  なお、御指摘に対して的確なお答えになるかどうかわかりませんが、現在国民年金の場合の国庫負担は定額部分に対しては三分の一、所得比例部分に対しては給付費の四分の一を国庫負担をいたしております。しかし、農業者年金の場合国庫負担の比率は四二・二一%を占めておるわけでありまして、むしろ従来の国民年金よりは国庫はより高い負担率を負担しておるという状況でありますので、この点については私どもは必ずしも先生の御指摘のような考え方はとっておりません。
  55. 池田俊也

    ○池田政府委員 ただいま厚生省政務次官からお答えがありましたが、そのとおりでございますが、なお、いま長谷部先先の御比較になりましたのは、私どもがいっておりますいわゆる老齢年金の関係につきましては、そういう比較が一応できるかと思うわけでございますが、私どもの今回の農業者年金で七百五十円でカバーいたしますのは、このほかに六十歳からいわゆる経営移譲年金というものを支給する、これは二十年の場合一万六千円、二十五年の場合二万円でございます。この農業者年金の仕組みをいろいろ考えますときに、一つ、一番の焦点になりましたのは、国民年金では六十五歳からの支給でございますけれども、農業者の実態からいたしますと六十五歳ではおそきに過ぎる。こういうことで五年間繰り上げをしよう、こういうことになったわけでございまして、実はここが非常に大きなウエートを占めておったのでございます。でございますから、七百五十円の保険料というのは、先ほどおあげになりました老齢年金とこれを合わせたものでございますから、一がいにそういう比較をすることは困難ではないか。こういうふうに考えるわけでございます。
  56. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 いま農政局長の答弁でもそれはわかりましたが、問題は、やはり農業者年金である以上は、農民の老後保障にウエートを置いた考え方を、実は私どもの立場からとっておるわけですよ。したがって、第一に掛け金と給付の関係を見る場合でも、掛け金の割合にしては老後保障に回る給付金が少ないではないか。こういう感を深くしたわけであります。ところで、この老後保障の問題に加えるに経営移譲、離農促進という問題が新たに政策目的としてつけ加えられておるわけです。本来の年金の姿は、やはり老後保障でなければならないはずなんですが、途中からいわゆる経営移譲、離農促進の政策目的を抱き合わせた、つけ加えた考え方がとられたわけなんですね。もしこの経営移譲促進あるいは離農促進という政策目的を遂行するとするならば、国の政策としてやらなきゃならぬのですから、それはそれで国が全額見るべきである。少なくとも農民の掛け金から、この経営移譲促進のためにお金を回すというようなことはとるべきではないじゃないか。あくまでも掛け金は老齢年金、いわゆる老後保障に振り向けるべきであって、新たに出てきた政策目的遂行のためには、全額国の責任で措置すべき性格のものではないか。それを経営移譲しない者が、経営移譲した者の分まで見ていかなければならない、負担していかなければならないという考え方は、どうもわからない。こういう考え方なんです。この点いかがでしょうか。
  57. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)政府委員 確かにそういうお考えも成り立つかもしれません。しかし同時に、これはお考えをいただきたいのでありますが、老後保障ということだけに目的をしぼりました場合に、これは実は従来の国民年金のみではいけないという考え方は成り立たぬわけであります。国民年金は農業者であるとないとを問わず、国民の老後保障のための年金制度であります。その場合に現在の社会の趨勢から見て、あるいは経営移譲、離農給付というものを加えた一つの考え方を打ち出すとすれば、やはり私どもとしては現在御審議を願うような方向を目ざすことは、必ずしも間違いではないと考えております。
  58. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 いわゆる老後保障と、いま一つ経営移譲促進、この目的を二つ兼ね合わせたいわゆる制度にしようという趣旨はわかりますよ。しかしながら、考え方として老齢年金の分についてはこれは掛け金で見ていくのだ。しかしいま一つつけ加えた経営移譲促進という部分については、これは本来国がやらなければならない政策なんですから、当然国が全額負担をして被保険者には迷惑をかけない、こういうような考え方がとられてしかるべきではないか、こういうぐあいに思うわけでありますが、この点いま一度農政局長の御見解を承りたい。
  59. 池田俊也

    ○池田政府委員 特に農業者の場合に、老後保障ということとそれから経営移譲の促進ということと、二つ、確かに考え方の違いがございますけれども、これは非常に密接に結びついている、こういう考え方を私どもは持っているわけであります。老後保障が充実されますと、それが経営移譲が促進されるということにもつながるわけでございます。そういうようないろいろな結びついた考え方があるわけでございまして、そういうような観点からいたしまして、この二つをはっきり制度的に切り離すのではなしに、結びつけてやるのが、農業者年金の制度の趣旨として最も合うのではないか、こういうふうに考えてまいったわけでございます。
  60. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 それで本来年金制度ですから、これは全農民に老後の保障をするのだ、こういうことで出発したのがそもそもの構想なんでしょう。ところがそれが途中になって、いまの離農促進、経営移譲促進を、ひとつ国の政策としてもやらなければならない時点にきたので、これをひとつ年金制度にからませて、そうしてその目的を遂行していこう、こういう考え方が出てきたわけです。しかもその政策目的を遂行するために、経営を移譲した者のために移譲しない者が掛け金を負担していかなければならぬという理屈は、これはどう考えてもおかしいのではないか。もし国でやらなければならない政策ならば、当然これは国の全額負担において、そうして農民には負担をかけないでやったらいいじゃないですか。それを月々四百円ずつ経営移譲しない者が移譲した者のために負担をしいられる、強制されるということは、これは筋が通らないじゃないか、こういうぐあいに考えるわけであります。これはひとつ明確な御答弁をいただきたいのです。
  61. 池田俊也

    ○池田政府委員 経営移譲ということは、これは加入者の方は特定の方だけができるということではございませんで、どなたもできる可能性を持っているわけでございます。そういう経営移譲をいたしました場合には、先ほども申し上げましたように六十歳から相当額の年金を支給するわけでありますから、加入者の方がそれに対して一様に掛け金の負担をするのは当然である、私どもはそういうふうに考えております。
  62. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 これはどこまでいっても平行線のようでありますが、いろいろ私どものほうの関係もありますので、午前はひとつこれで打ち切らせていただきまして、午後また続行させていただきたい、こう思うわけであります。お取りはからいいただきたいと思います。
  63. 草野一郎平

    ○草野委員長 本会議散会後再開することとし、これにて休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ――――◇―――――     午後三時五十二分開議
  64. 草野一郎平

    ○草野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前の会議に引き続き質疑を続行いたします。長谷部七郎君。
  65. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 午前中に掛け金の問題についていろいろお尋ねをしたわけでありますが、引き続きお尋ねいたします。  先ほどもお話しいたしましたように、七百五十円の掛け金を二十年間拠出をしてまいりまして、さらにまた五年間この基金が運用になるわけであります。そうしますと、私どもの計算では、経営移譲しない者に対しても、老齢年金の場合四千二十六円の給付がなければ掛けただけの分が支払われない、こういう形になるようであります。それに対して政府案によりますと三千六百円、どうもこの月当たりにいたしまして約四百円が掛け捨てといいますか、他の方面に使われる、こういう形になるようでありますので、この点いま一回ひとつ積算の基礎からいたしまして御説明をいただきたい、こう思うわけであります。
  66. 山下眞臣

    ○山下説明員 それでは保険料七百五十円の算出基礎になっております数字を申し上げます。  現在、農業者年金基金において考えられております給付を計算いたしますと、大体一人当たりの月当たりの総所要経費と申しますか、全部保険料でいたした場合の金額が千二百九十八円というような数字に相なっております。  その内訳を申し上げますと、経営移譲を要件とする年金に充てる分が約六百八十円でございます。それから経営移譲分ということを問わずに六十六歳以降出しますいわゆる農業者老齢年金の分でございますが、その部分が五百二十六円という数字になっております。それから死亡、脱退の一時金という制度をとっておりますが、その分の経費が九十二円ということに相なっておりまして、合計いたしまして千二百九十八円でございます。この千二百九十八円につきまして、まず法律におきまして経営移譲を要件とする給付に対しまして、給付時に三分の一の国庫負担をするということが案で固められてございます。それに相当する金額が二百二十七円になるわけでございます。したがいまして、千二百九十八円から二百二十七円を引きました残りの千七十一円が本来保険料で負担すべき金額になるわけでございます。しかしながら、この制度の趣旨等にかんがみまして、七百五十円程度の負担にとどめる必要があろうということで、七百五十円と千七十一円との差額、三百二十一円でございますか、これを全員について補助をするということになりまして、それで結果的に保険料が七百五十円という数字に相なっておるわけでございます。
  67. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 いまの七百五十円が出てまいりました基礎につきましては、一応説明によりまして了解したわけでありますが、いまのお話しの中では、いわゆる老齢年金に振り向けられる分は五百二十六円だということですが、この金額で計算してまいりますと三千六百円でも全部お返しできるのだ、こういう御説明のように私は受け取っておるわけなんです。ところが、掛け金を掛ける農民の立場に立って考えれば、七百五十円を掛け金として掛けたのだからその分が全額老齢年金として給付金として支給を受けるのだという考え方に立っておるのではないかと私は思うのです。いまの課長の説明でいくと、五百二十六円分については、確かに掛けただけのものは三千六百円で全額給付されるようになりますが、加入者にしてみますと、実際掛けているものは七百五十円で、しかも経営移譲をしようがしまいがそれは自分の自由でございます。したがって、経営移譲しない場合の老齢年金が幾らもらえるか、こういう立場で計算をいたしますから、そういうことで計算してまいりますと、三千六百円では、掛けただけのものが全額もらえないということになるような感じがするのですが、この点はどういうぐあいに整理されたのでしょうか。
  68. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)政府委員 先ほども同様の趣旨を長谷部委員にお答えをいたしたと思いますが、その経営移譲年金また老齢年金の制度を分離してお考えいただくと、どうしても議論がかみ合わないのではないかと思います。最初に申し上げましたように、率直に申し上げれば、老齢保障ということだけであるならば、国民年金というものがすでに現実にあるわけであります。そうしてその上に特に種々問題の多い農業者の老後の生活の安定を考えていく、その場合に経営移譲というものはその場合の一つの切れ目として私どもは考え方の基礎にどうしても取り入れざるを得ない。むしろ先ほど担当課長から申し上げましたように、数字の積算の中でも申し上げたとおりに、もしこれを加入者御自身全額をお払いをいただくとすれば、はるかに大きな金額になるわけでありますが、そうした農業の特殊事情、現在置かれている状況等も考えて、いままでの国民年金における国の助成措置をはるかに上回る四二・二一%という費用負担を国がしておるわけでありまして、経営移譲年金と老齢年金というふうにこの農業者年金自体を分離してお考えをいただくとどうしても議論がかみ合わないんじゃないだろうか、そういう感じが私はいたします。率直に申し上げるならば、この制度においては農業者の老後の生活を安定させるための年金の支給要件として経営移譲というものを一つ定めておるわけでありますから、そうした観点からお考えをいただきますならば、十分御了解がいただける形になっておるのではないかと私どもは考えておる次第でございます。
  69. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 今度の農業者年金制度が老齢年金と経営移譲年金と二つの目的を抱き合わせた形として出てきておるということについては、私はわからないわけではないのですよ。しかもいま課長の説明によりましても、千二百九十八円の保険料の中身を分類してみると、経営移譲が六百八十円で、六十五歳以上の老齢保障部分は五百二十六円だ、死亡、脱退一時金は九十二円だ、合わせて千二百九十八円が構成されておるんだ。内容的に見ると明らかにこれが区別されているわけですよ。したがって私は、この経営移譲を要件とする六百八十円についてはいま触れません。触れませんが、経営移譲の有無にかかわらず六十五歳以降支給する、いわゆる老齢年金と称される五百二十六円の計算でまいりますと、六十五歳以降三千六百円で、掛けただけのものは全額給付になりますけれども、掛け金は七百五十円ずつ納めなければならないのです。したがって、掛ける側、被保険者の側から見ると、この七百五十円が全額将来返してもらえる、給付してもらえるという考え方に立つのが私は当然じゃないかと思うのですよ。そこいら辺をはっきりさせてもらいたいというのが私の主張なわけなんですよ。
  70. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)政府委員 いまの御質問を簡単に要約してしまえば、いまの数字の算出基礎自体は了解をした、しかしそれでは農業者老齢年金のみを受ける方にとっては掛け損になるのではないかという御心配が一つその底にあるような感じがいたします。しかしこれは掛け損には私どもは断じていたしません。これは別に農業者老齢年金ばかりではございませんで、経営移譲年金であるとか、あるいは死亡、脱退についての一時金等も支給することになっておるわけでありまして、その範囲内においては、これは保険料の七百五十円というものと国庫の助成においてこれらのすべての給付をまかなうわけであります。その場合において掛け損という事態は私どもは絶対に起こす意思はございません。これを最初に申し上げた上でお聞きを願いたいのでありますが、先ほど企画課長から申し上げましたとおりに、数字の算出基礎を示せというお話でありましたから、内部の構成を申し上げました。しかし、この年金制度自体の考え方というものは、何度も繰り返して申し上げますとおりに、農業者の老後の生活安定というものを柱にしておるわけでありますから、その支給開始要件として経営移譲というものを一つの節にとったというふうに御理解を願いたいわけであります。
  71. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 わかってきましたが、いずれにいたしましても、掛け捨て、掛け損にはならない。掛け損にはならないけれども、そのいわゆる四百円相当分というものは経営移譲の年金のほうに回されておる、こういうことだと私は思うのですね。私はそこが問題だと思うのです。先ほども申し上げたように、経営移譲並びに離農促進という政策は当然政府政策として行なわなければならないものですから、それを、農民の掛け金からその財源を取るということは、少し行き過ぎではないか、経営移譲に対してお金を出さなければならないとするならば、これはひとつ全額国の責任で出すべきではないのか、こういうことなんですよ。私は二つの目的を抱き合わせた制度になっているということについてはわかりましたので、経営移譲という政策目的を遂行する部分についてはこれは国の責任で処置すべきであって、農民の掛け金からその財源を出すべきではない、もっと言うならば、経営移譲した者のために経営移譲しない者から強制的に掛け金を徴収するということは少し行き過ぎではないかということを申し上げているのであります。この点に対してひとつ明快にお答えいただきたい、こう思うわけであります。
  72. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)政府委員 どうも私の日本語がまずいのか、十分御理解が願えぬようでありますが、率直に申し上げまして、先生は老後保障というものと経営移譲というものをはっきり分離して御議論なさっておるわけでありますけれども、むしろ私どもはその老後保障というものについてこの農業者年金というものを支給していく、その一つの要件として経営移譲というものをとっておると先ほどから何回も申し上げておるわけであります。その点、私どもはいま先生がお話しになりましたような考え方は実はとっておらぬわけでありまして、あくまでもこれは農業者の老後の安定のために資する年金制度でありますから、その支給開始の要件として経営移譲というものをとっておる、こういう考え方をこの制度の中では貫いておるわけでありますので、その点は御了解を願いたいと思います。
  73. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 まあいまの問題については私どもの考え方が逆に御理解をいただけないようでございます。ですから、これはいつまでやっても平行線だと思うのですが、そこで問題は、いま、経営移譲分に対して三分の一の二百二十七円、それからその二百二十七円を差し引いた千七十一円に対しては三〇%の三百二十一円の国庫補助がなされる、こういうことでございます。この三百二十一円というものは、いわゆる掛け金を当分の間減額するために国庫補助を出していくのだ、こういう考え方のようでございます。これは国民年金審議会の農民年金専門委員会でいろいろ意見を出しておられるようでありますが、将来はこの三百二十一円という掛け金軽減のための補助金はなくすのだ、いわゆる本来的な保険料に移していくんだ、こういう答申がなされておるようであります。いまのところは三百二十一円という補助金になっていますが、将来はこれがなくなった場合、かなり大幅に保険料が引き上げられるという危険が含まれておるわけであります。この点はいかがお考えでございますか。
  74. 渡辺美智雄

    ○渡辺政府委員 附則七条のことをいっておると思いますが、農業者年金制度の発足の当初、七百五十円の保険料というものは年金財政の均衡を保ち得るものとして定められておるわけでありますから、その前提となっている条件が変わった場合には年金財政の均衡の見地から所要の調整措置がとられることになると思います。しかし現段階では、この保険料額の改定時期はきまっているわけではありません。また保険料についての三百二十一円の国庫補助は、最初の七百五十円の保険料が適用される期間行なうこととなっております。
  75. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 そうしますと、将来とも七百五十円ということは当分続けていくと解釈してもよろしゅうございますか、抽象的じゃなくて、はっきりしてもらいたいのですよ。
  76. 池田俊也

    ○池田政府委員 これは財政再計算というのを五年ごとに行なう、こういうことになっておるわけでございまして、その五年間については全く問題がないといいますか、七百五十円であることははっきりしておるわけでございます。それで、再計算をいたしました場合にどうなるかということがあるわけでございまして、これは政令で保険料を定める、こういうことになっておるわけでございますが、先ほど政務次官から御答弁がありましたようなことで、そのときにどうするかということは私どもといたしましては慎重に検討をする、こういうことになるわけでございます。
  77. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 それからもう一つお尋ねしておきたいことは、いまの老後保障の問題にまた戻るわけでありますが、国民年金の場合のいわゆる定額部分は、今度四百五十円になるわけですが、二十年間四百五十円掛けまして、いますでに発足以来十年掛けていますから、これから二十年掛ける、そうしますと、九千六百円の給付が行なわれる。それから、農業者年金の場合はいわゆる老齢保障部分が先ほどのお話のように五百二十六円、これを二十年間掛ける、五分五厘で元利を計算してまいりますと、三千円そこそこになると思うのでありますが、国民年金に比べまして、農業者年金の場合の老後保障の給付額がどうも極端に格差があるように感ずるわけなんです。そうしますと、この点はいかがお考えなんですか。
  78. 山下眞臣

    ○山下説明員 国民年金の定額部分九千六百円というのは三十年でございますから、二十年でございますれば六千四百円くらいの金額になるわけでございます。この農業者年金の経営移譲年金を抜きにして、老齢年金だけの額でございますと、いまの御指摘のとおり、二十年でございますと三千六百円ということになるわけでございます。しかしながら、その部分だけを取り出して考えれば、おっしゃるとおりになると思うのでございますけれども、先ほど数字を申し上げましたように、経営移譲年金というものは六十歳から支給されるわけでございますし、かつまた一時金につきましても、国民年金制度の場合におきましては脱退一時金というのはございません。それから死亡一時金が出ますけれども、これは元本すらも割るかもしれない程度の低いものに押えているわけでございます。ところがこの農業者年金の場合は、脱退一時金それから死亡一時金というものにつきましてもある程度の利子をつけまして、法律の付表に書かれておりますような程度の給付を確保いたしておる。そういった趣旨の事情がございまして、やはり給付の全体の内容というものが差がございますために、ストレートにその額だけを比較をいたしまして、その当否、高低ということを論ずるのはやや早計かと思うわけでございます。ちなみにうちの政務次官からもお答え申し上げましたように、国庫負担の割合ということになりますと、これはもう圧倒的に農業者年金基金に対します国庫負担の割合のほうが高くなっておることは御承知のとおりだと思うわけでございます。
  79. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 それから承るところによりますと、六十五歳以降の老齢年金については、いまは三千六百円になっていますが、当初農林省は四千円という額で大蔵要求を出した、こういう経緯も聞いているわけであります。それが今日二千六百円になっておる。おそらくこれは国庫補助の減額に伴う関係でこういうぐあいになったのではないかと推定されますけれども、その辺の経緯をいま少しく明らかにしていただきたい、こう思うわけであります。
  80. 池田俊也

    ○池田政府委員 予算折衝につきましては、御存じのとおりでございまして、要求をいたしました額が必ずしもそのまま認められないのは通例でございますけれども、いまお話がございましたように、確かに当初の案では、二十年拠出の場合に現在三千六百円になっている六十五歳以降の老齢年金の部分を四千円で要求したのはそのとおりでございます。それで国庫負担が、ちょっと私正確に記憶いたしておりませんが、たしか要求額は国庫負担の率といたしまして五〇%をこえていたと思います。それはそういうことでございましたが、やはり大蔵省との折衝の経過で、現在の国庫補助率に落ちついた。現在の国庫補助率も先ほど年金局のほうからお話がありましたが、他の年金に比べますと、かなり高率ということになっているわけでございます。ただ、その場合に三千六百円にして掛け金を七百五十円で押えるのがよろしいか、あるいは三千六百円というのを四千円を確保する、こういうことにいたしまして若干掛け金を上げるということがよろしいかということにつきましては、実は非常に迷ったのでございます。それで農業団体等の意見もいろいろ伺ったのでございますけれども、やはり国民年金の保険料の負担と合わせまして二千円以内に押えてほしいという御要望が非常に強かったものでございますから、その観点から若干、四千円の額が一割程度落ちた、こういう経過でございます。
  81. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 いままでの御答弁で、いわゆる老齢年金とそれから経営移譲年金、この経営移譲年金のほうはあとからついてきた問題でありますけれども、これを抱き合わせた制度にしておるということについては、これは政府政策上から出てきた問題だと思いますので、この点につきましてはあとで機会を得まして農林大臣からも見解をお聞かせいただく、こういうことにいたしまして、先に進ませていただきます。  この基金の運用の面についてこれからお尋ねをいたしたい、こういうぐあいに思います。  法案にも出ておりますように、この基金を運用するにあたって、いわゆる特殊法人とする。理事長につきましては主務大臣がこれを任命するのだ、理事については理事長が大臣の同意を得て任命をするのだ、それから評議員についても任命をする、こういう制度になっておるようであります。私これを一見いたしまして、非常に官僚統制官僚支配という感を深くするわけであります。大臣が任命をするようないわゆる特殊法人、こういうものは政府の方針としてはあまりふやさないのだ、今後は新設は認めないのだ、こういう方針をとっておるように承ってきたわけでありますが、またまたこういう組織がつくられようとしておる。一体これはいままでの政府の考え方と反するのではないか、こういうぐあいに考えますが、これにつきまして次官の御見解を承りたい。
  82. 渡辺美智雄

    ○渡辺政府委員 農業者年金制度というものは内閣の大きな政策でございますから、新しく発足するものであります。したがって、これを任命制でなくしたらいいじゃないか、特殊法人をつくらなくたって別の方法でもいいじゃないかということの御議論でありますが、この年金基金というものはもちろん年金の給付というようなこともいたしますが、そのほかに農地の買い付け、売り渡しあるいはそれに必要な資金の融資というようなことなど、非常に公的な性格を持っておるわけであります。それと同時に、やはりばく大な資金量にもなりますし、そういうような公的な機関でも準公的な機関でもございますので、その監督等についても万遺漏のないようにする必要があります。それらのことを勘案いたしますと、やはりこの際は特殊法人として出発をさせ、また理事等の人事についても、適当な者を大臣が任命をするということのほうがいいだろうという結論に達したのであります。そのときに、大臣任命だから、天下りで役人なんかばかり任命してしまうのじゃないか、民主的に行なわれないのじゃないかというような御懸念があっての御質問かとも一方存じますが、これにつきましては、たとえば被保険者の代表を相当多数評議員に任命をするというようなことなど、運用の面において民主的に行なわれるようにしたい、かように考えておるわけであります。大臣の任命だからといって、被保険者である農民の意向を無視していろいろかってな運営をいたすようなことは、この組織の将来の発展のためにも好ましくないので、これはちゃんとそういうふうな意見が十分反映できるような任命のしかたをやっていきたい、かように思います。
  83. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 いわゆる官僚支配にならないように、十分被保険者の民意が反映できるように留意をしたいという気持ちはわかるけれども、それが一体何で保証されるかということです。何で保証されるのですか。これは過去のいろいろな経緯から見ましても、そういうことにはなっておらないわけです。ですから、その場限りの御答弁では私ども納得することはできないのです。何かそれを保証するものがございますか。
  84. 渡辺美智雄

    ○渡辺政府委員 これはやはりきわめて円滑に運営しなければ発展しないわけでありますから、円滑に運営をさせるためには、やはり被保険者がみんな反対するようなことばかりやっておって円滑に運営できるわけがないのであります。これは被保険者の方も年金基金がりっぱに円滑に安全で確実に運営されるようにしたいと思うだろうし、それは監督官庁の農林大臣にしても同じ気持ちでありますから、そういうところで十分に保証もされますし、またわれわれがそういうような答弁をしておって、それと違うようなことになれば、国会もついておることでもあるし、保証する機関はたくさんついておりますので、そう脱線するようなことはない、私はかように信じております。
  85. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 こういう公社、公団等の特殊法人については新設を極力押えていくのだ、こういう方向を明らかにしておる政府としては、みずからの方針を曲げるという事態になることは当然でございます。しかも私ども懸念されますことは、すべてが任命制である。もっと民主的に被保険者の意思を反映させることができるような機関を設置する必要があるのではないか、こういうぐあいに考えるわけなんです。この法律の内容からいくと、評議員も任命制なんです。これではあまりにも一方的に過ぎないか。もっと選挙等で被保険者代表が選ばれてくるような組織をなぜつくり得なかったのか。この辺いろいろ検討したのだろうとは思うのだけれども、少し手が抜けておったのではないか。たとえばいまの農林年金のように、民意が十分反映できる代議員を被保険者みずからの手で選んでいく、こういうような形になぜできなかったのか、この点ひとつ承っておきたい。
  86. 池田俊也

    ○池田政府委員 特殊法人の設立を抑制するという方針の中でこういうのが認められたということに関連いたしまして、いろいろ御指摘があったわけでございますけれども、私どももこの制度をつくります場合にいろいろ検討をしたのでございます。ただその結論としてこういう形になりましたのは、午前中にもいろいろ御議論がありましたように、加入の対象者といたしましては私どもは二百万程度を一応想定しておる。それで二百万の人が一応加入者ということで、いわば組合員的な性格を持っている団体、こういうことになりますと、そこからいわば選挙でございますとかあるいは総会でございますとか、そういったようなものを考えて役員をきめるとかいうようなことは、全く不可能とは申し上げませんけれども、実際問題として非常にむずかしい、こういうことでございます。  それから一方ではまた、この年金制度の性格から、そういう資格に該当する方には全部入っていただくというのがやはり本来の目的を達成するために必要である、こういうことになりまして、当然加入制をとる、こういうことになったわけでございますが、そういうことからいたしますと、当然、そういう団体の設立というものを必ず予定する、こういうことになるわけでございますし、そういうかっこうで特殊法人ということにならざるを得ないのではないか、こういうことになったわけでございます。  ただ、いまお話がございましたように、たとえば評議員の選任につきまして、まあ農林大臣が任命するというのはいかにも役所が支配するような感じではないかという御指摘は、私どももわからないことはないわけでございますけれども、一つの考え方として理事長が選任をするというかっこうはあり得るかとも思うわけでございますけれども、理事長が選任しておいてまたその人に諮問するというのもはたしてどうであろうか、制度として多少問題があるという考え方も政府部内にございまして、結論といたしましては、最も公正な立場にあるはずの農林大臣が選ぶ、しかもその実態は先ほど政務次官からお答えがありましたような運用方法で選ぶということであれば、一番目的に合致をした構成ができるのではないか、こういうふうに考えたわけでございまして、検討の経過といたしましてはそういう考え方であったわけでございます。
  87. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 この特殊法人はいわゆる農民から集まった掛け金を運用していくわけなんです。しかもこの基金の運用に当たっては、法案でも書いておりますように、農地の流動化を促進するために離農者から土地を購入するための融資をやるんだ、あるいは買い集めていくんだ、買い取り、売り渡しをやっていくんだ、こういう重大ないわば国の政策目的を遂行するために、一方的に特殊法人の考え方で運用されるという非常に重大な問題が含まれているわけであります。したがって、政府がこの基金に対して出資をする、こういうような条文でもあれば話もわからないわけじゃありませんけれども、基金は、いわゆる国の補助はありますけれども、大部分が農民の掛け金によってまかなわれる、こういうことですから、私は、そういう意味からいっても、もっと民主的な、民意を反映する仕組みにすべきではないか、こう思うのです。他に見られるような、公社、公団のように、政府が法律に基づいて毎年毎年出資をしていく、こういう筋のものであれば特殊法人もわかりますよ。しかし国から受けるものは補助金だけなんです。大部分が農民の掛け金によって基金が運用されるのですから、他の公社、公団と違うと私は思うのです。したがって、もっと一方的にならないように、そういう民主的な機関が必要ではないのか、こういうぐあいに考えるわけであります。この点どういうぐあいにお考えになっていますか。
  88. 渡辺美智雄

    ○渡辺政府委員 これは先ほどお答えしたことと結論は同じことになるのであります。やはり運営の問題でありますから、じょうずに運営をしていくためには、皆さんが納得するような人事をしなければうまく運営できないのでありますから、その衝に当たる人が全く適当だ、だれが見ても適当だと思うような人を任命していくということで、私は決して不当なことが行なわれるとは思っておりません。
  89. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 それでは他の年金制度の場合には、農民のあるいは被保険者の掛け金というものが適正にしかも効率的に、その被保険者の福祉という問題も考えて、適正にこの基金は運用されなければならないということを厚生省指導方針として出しているわけです。ところがこの農業者年金の場合は、いわゆる農地の流動化あるいは離農の促進という、一つの国の政策目的を遂行するために農民の掛け金が運用される、こういうことになりまして、従来の厚生省の年金基金の運用方針とは異なっておるように私は見受けるわけなんです。はたしてこれで適正なものであるかどうか、この点ひとつ御見解を承りたいと思うのです。
  90. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)政府委員 御指摘のとおり、確かに他の年金基金のあり方とこの農業者年金基金の場合には多少異なっておる点はございます。これは御指摘のとおり異なる事情があるわけでありまして、農政上の特別な要請にこたえるために、一定の農業経営者というものを対象にし発足をいたす年金制度でありますから、これはむしろ、この年金業務だけであるならば、私どもも従来そのほかの年金制度で行なっておるのと同様の形態をとることが望ましいと思います。しかし、先生すでによく御承知のとおりに、年金事業以外にあるいは離農給付金の支給でありますとかあるいは農地の買い入れ、販売、融資、こうした従来あります年金の業務とは多少形態の異なった業務がこの農業者年金基金にはございます。そういう状況の中でやっていきます場合には、他の年金制度とはこうした異なる点があるわけでありますだけに、この形態というものを私どもは認めることに決して異議はございません。  なお補足して申し上げますならば、あるいはなぜ国が直接行なわないのかというような御議論もあるかと思いますが、農地の買い入れでありますとか売り渡し、融資等の業務の場合、この年金の積み立て金の一部を運用するわけでありますけれども、国の会計原則の上からまいりますならば、これは直接に国が行ないますよりは、こうした特殊法人の形態を持った一つの機関がその責めに当たるほうが運用上はるかに円滑に事業も行なえる、私どもはかように考えております。  そうした点からまいりますならば、私たちはこの形態というものに何ら異存はありません。そうして、従来からの厚生省の方針に多少異なるのではないかという御指摘でありますが、異なる点は、確かにいま申し上げましたような事情があるので、これは私どもも認めますけれども、むしろこの農業者年金基金というもの自体が、従来から国として行なっております国民年金の制度の上に付加されて行なわれるものでありますから、従来厚生省としてかざしてまいりました社会保障一元化の方向にも決して食い違うものではないと考えておる次第であります。
  91. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 私はいまのお話を聞いておりまして、非常に話が矛盾しておると思うのです。本来の農民年金というものはいよいよ影が薄くなって、いわばこの年金制度というものは、いわゆる経営移譲促進のために、あるいは離農促進のために、さらには農地の流動化を促進して経営規模を拡大するために、そこに重点を置いて制度が創設されるような感を強く受けざるを得ません、いままでのお話を聞いておりまして。これでは本来の農業者年金という、真の意味の年金制度とは私は受けとめることがなかなかできないのでございます。むしろこういった政策目的を遂行するためにつくられる制度であるとするならば、これは老齢年金部分は従来の国民年金でやっていただいて、何も経営移譲の分は年金などと言わないで、これははっきり経営移譲年金、離農年金と銘を打って出したほうがより明確になるのじゃないか、こういう感じすら私はするのであります。佐藤総理が国民に向かって打ち出した「農民にも恩給を」というようなキャッチフレーズはもうほとんどその性格が薄れてきておる。いまのいわゆる構造改善、構造政策を進めるための一環として、これが出されておるように思えてならないのであります。ここいらはいずれ責任者が参りました際にお尋ねいたしますけれども、政府はこれで矛盾を感じないのかどうか。年金制度と銘打てるようなものではないじゃないかという感じを私は持つわけでありますが、これに対してどういうぐあいにお考えになっておられるのか、ひとつ承りたいと思うわけです。
  92. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)政府委員 また先刻の御質問に対することと同じものに戻るわけでありますけれども、どうも先生、先ほどから老後保障というものと経営移譲というものを非常に分離して御議論になるわけでありますが、私どもが最初に申し上げましたとおりに、この老齢保障というもの、農業者の老後保障というものをむろん考えてこの年金は創設をするものでありますし、その要件として経営移譲というものをとったという考え方を先刻から実は繰り返し申し上げておるとおりなのであります。またこの積み立て金を運用してまいります事業も、結局農業従事者自体の福利につながるものであります。そうしてその運用の方法について、現行の国の会計原則の上からまいりますならば、弾力的な運用をしてまいりますのには、国が直接これを行なうよりは、この特殊法人の形態をとったほうがはるかに実際有効な措置がとれるということから、私どもはこの形をとったわけでありますし、矛盾をしておると言われますけれども、私は決して矛盾はしておらないと考えております。年金制度自体につきましても、従来の国民年金制度の上に付加されたものでありますし、その意味では、私どもは従来からの方針に何ら変更を加えておるとは考えておりません。
  93. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 次にお尋ねしたいのは、業務委託の問題でございます。この法案を見てまいりますと、いわゆる掛け金の徴収事務あるいは領収書の作成とかこういうものは農業協同組合に委託をする。それから会員としての資格の認定、こういうものについては農業委員会に委託をする。これは従来の国民年金の付加年金ですから、市町村一本で取り扱っていったならば、最も合理的なものじゃないか、こういうぐあいに考えるものでありますけれども、掛け金事務、徴収事務については農協、資格の認定については農業委員会、こういって二つにも三つにも分けて業務を委託していかなければならない、これは非常に繁雑になるのではないか、こういうぐあいにも考えられますが、この辺はいかなる検討の結果、こういう結論になったものか承りたい。
  94. 池田俊也

    ○池田政府委員 確かに市町村に全部一元的にやらせるやり方も私はあり得ると思うわけでございますが、私どもがいまお話しのようなことを実は当初想定をいたしましたのは、やはり資格の認定というようなことになりますと、これは市町村あるいはその一つの機関でございます農業委員会、こういうようなものが、決定は基金がいたしますけれども、その基礎的ないろいろな資料の整備というようなことは、そういう機関にお願いするのが最も適当ではなかろうかというふうにまず考えたわけでございます。  それならば、掛け金の徴収でございますとかあるいは年金の支給でございますとか、そういったようなものは、なぜ市町村ということのほかに農協というものを考えたかと申しますと、やはりこれは御存じのとおり、農協にはほとんど全部の農家が加入をしておりまして、そしてそこに預金の口座を持っているということでございますから、掛け金の徴収をしたり年金の支給をするのは、やはりそういう機関を利用するのが一番農家としても便利なのではなかろうか。また農協としても、農家のために事業をやっている農協でございますから、そういうことを希望するのではないかというふうに実は考えまして、私どもはそういうふうに一応予定をしてまいったわけでございます。  ただ、これにつきましては、いろいろ御議論があるようでございまして、もちろん委託でございますから、基金とその相手方の農協なり市町村なりが契約を結んでお願いをするということでございますから、引き受けようということにならなければ、それは幾ら予定をしてもそのとおりにはならないわけでございます。私どもは今後農協なりあるいは市町村なり、そういうところの具体的な御意向も十分伺いまして、最も適し、かつ希望するところに委託をするということになるのは当然なことでございまして、それぞれの農家の方の希望あるいはそれぞれの団体意思というものを十分尊重いたしましてきめていく、こういうことになろうかと思っておるわけでございます。
  95. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 しかもこの業務委託の問題は、農協にすべての農民が加入しておるから、また農協には農民の預金口座があるから、そこで掛け金徴収をやらせると非常にスムーズにいくではないか、こういうような便宜主義的な考え方からこういうぐあいになっておる感もあるわけであります。しかしこれについては、一元的に農協でその資金を運用させるのであれば、これは話は別ですけれども、単なる掛け金の徴収事務、これだけを委託するというのであれば、いろいろ農業団体自体にも問題があるように私ども聞いておるわけであります。しかもこの業務を委託する場合に、今度の農林省の予算を見てみますと、四十五年度予算の中には、わずかに三カ月分の、一農協当たり五万五千円の賃金しか見ておらないのですね、業務委託に伴う経費として。四十五年の場合は、これは三カ月分しかないわけですから、一カ月当たりにしますと約一万七、八千円ですね。こういったもので、はたしてこの業務を押しつけて、単協が非常に迷惑を受けるんじゃないか、こういうぐあいに考えます。この辺いかがなものでしょう。
  96. 池田俊也

    ○池田政府委員 たしか当初年度の業務委託の一農協当たりの経費は七万円弱であったかと思いますが、これはいろいろ積算をいたしまして、他の年金等で市町村等にお願いしているものの例もございますので、そういうものをいろいろ比べてそういうところに落ちついたわけでございますけれども、私どもそれが非常に十分であるとはもちろん考えておりませんので、それにつきましては今後ともさらに十分な経費が計上できるように努力はしたい考えでございます。  なお、いまあまり希望しないものをというお話しございましたが、私どもは、農協が先ほど申し上げましたような理由で、単に便宜論ではなしに、やはり農家の金庫みたいなことになっておりますし、私どももそういうところを利用するのが一番筋道ではないかということを当初考えたわけでございますけれども、まあいろいろ事情があるようでございますし、あるところでは市町村がいいということになれば、もちろんそういうところにお願いをするつもりでございます。要するに、いずれにいたしましても一方的に基金のほうから無理押しをすると、こういうつもりはございませんわけで、そのように指導をいたしたいと思います。
  97. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 それからもう一つ、私非常に心配しておりますことは、これは国民年金にも当初発生した問題でございます。いまの段階では、この農業者年金基金法案については、「農民にも恩給を」という発想で宣伝されていますから、非常に内容的にも農民的だ、こういうことで歓迎をされる向きが強いわけであります。しかしこれが実施段階に移されて、いよいよもってその真の内容を農民が理解した場合、一つの反発というものが、抵抗というものが出てくるのではないかと私は心配するわけです。必ずしも農民も求めておるものとは違った、期待しておったものとは内容が非常に違うものであるということを知ったときに、はたして掛け金を円滑に納入するかどうか、場合によっては掛け金の滞納という問題もこれは出てくるんじゃないかという心配があるわけです。しかもこれは強制加入でありますから、いずれは徴収をしなければならない。そういう場合に農民の利益を守る農協が、今度は強制執行をしなければならない、掛け金の強制取り立てをやらなければならない、こういうような事態にもなりかねないのであります。農協本来の目的からいっても、そういった仕事ははたして適切なものであるのかどうか、大いに疑問を持たざるを得ないのであります。現に国民年金が発足当時も、各県、各町村によって非常にこの掛け金の徴収歩合というものが、でこぼこがあった。こういう経緯から考えましても、当然そのことが予想されるのでございます。そういう意味合いからいたしまして、私はこういう農民の利益を守る機関にこういうものを委託するということは適切なる考え方ではないのではないか、こういうぐあいに思うのでありますが、この辺のことについても御検討されたかどうか承っておきたい、こう思うわけであります。
  98. 池田俊也

    ○池田政府委員 ただいまの滞納の場合の処分でございますが、これは制度といたしまして当然加入ということでございまして、もしかりに滞納いたしました場合には国税徴収の例によって徴収をする、最終的にはそういうことになるわけでございますが、もちろんこの運用については私どもは十分実情に合った運用をするようにいたしたい考えでございます。ただいまのお話しの農協の性格とそぐわないのではないか、こういう御指摘でございますが、これはそういうことにはならないのでございまして、農協に強制徴収をお願いするということではございません。かりに農協が掛け金を扱うということになりましても、滞納の場合におきましてはこれは農協が強制徴収をするということはできないわけでございまして、基金が市町村にお願いをいたしまして市町村がその処分をする、こういうことになるわけでございまして、俗に申し上げますと、そういう悪い役は市町村にお願いをするということで、農協にそういうことをお願いするつもりはございませんし、法律の上でもはっきりそういうことに相なっております。
  99. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 それからいま一つ、午前中の資料要求に対して出てまいったわけでありますが、これでまいりますと、農業経営主の年齢別国民年金に加入しておる状況が書いてあります。これを見ましても、五十五歳未満の農家総数は三百三十九万四千人、そのうちの第一種農家だけでも二百三十七万人、これだけあるわけであります。これに対して今回当然加入の適用対象となるものが百八十三万人、約五十四、五万人の方々が対象外になっておるわけであります。これはどういうことを意味しているかということをひとつ御説明いただきたいのです。
  100. 池田俊也

    ○池田政府委員 お配りいたしました資料をちょっとごらんいただきたいのでございますが、一番上の表でいまお話しがございましたように一種農家、これは都府県につきましては〇・五ヘクタール以上の耕地を持つ農家というのが原則でございますが、これはそれ以下でございましても農産物の販売額が十万円以上でございますと一種農家に入るわけでございます。そういうような農家が、五十五歳未満、これは年齢的には年金加入資格がある農家でございますが、二百三十七万あるわけでございます。その中で国民年金の加入者が百九十九万七千、この差額の約三十八万ぐらいでございますか、その農家というのが国民年金に入っておらないわけでございます。で、そういう農家は、この農業者年金のたてまえといたしまして、国民年金に付加して給付をするというのが農業者年金でございますから、一応対象にならない、こういうことで百九十九万七千が年齢的あるいは国民年金の加入者という意味におきまして一応加入の対象として考えられるわけでございます。ただ、その中で、これはちょっとこまかい話で恐縮でございますが、先ほど申し上げましたように五十アール以下の農家が一部あるわけであります。そういうものをいろいろ整理してみますと、下のほうの試算でごらんいただくと、当然加入者の中で当然加入の適用対象となるものは百八十三万人、それから任意脱退者七万人というのは、これは資格がありながら将来農業経営を継続できないということで入りたくないという方が七万人ぐらいあるのではないかということで、その差の百七十六万人が当然加入の対象になる、こういうふうに一応想定をしたのでございます。  それから、いま御質問がございませんでしたが、ついでに御説明申し上げますと、下のほうの任意加入者の中で、一定面積未満のものというのは、都府県の五十アール以下で一定の資格のあるものは任意加入を認めるということになっておりますので、そういうものが十四万人程度、それから後継者が十万人程度ということで、全部合わせますと、概算でございますが、二百万人程度ということで上の表とほぼ合うわけでございます。そういう事情でございます。
  101. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 昭和四十五年度の予算折衝の段階で農林省が出しました対象人員は、当然加入の者が百三十五万二千人、それから任意加入の者が五十七万六千人、こういうぐあいに数字が出ておるわけであります。今回局長の説明によりますと、当然加入者が百七十六万人、任意加入者が二十四万人。予算折衝の段階において出された数字とは大きな食い違いがあるわけです。これは一体どういうことなんでしょう。
  102. 山下眞臣

    ○山下説明員 ただいま出ました数字の百三十五万二千人、それから五十七万六千人でございますが、これは実はいまの資料の中の一種農家の百九十九万七千人という、五十五歳未満の人が農地の経営主であって法律的に権利名義人になっておるものの数字が厳密にどのくらいになるかというと、一応百三十五万というように参考までに出しておるわけでございまして、これは農林省からお答えになることかと思いますが、農林省御当局の予算要求の際の基礎数字は、当初からいまお出しになりました二百万人で要求をされ、そのままセットになったというふうに承知をいたしております。
  103. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 そうしますと、第一種農家の五十五歳未満が二百三十七万人だ。このうち今後農業をやろう、五反以上のもので農業経営の規模を拡大していこうというものであれば、これは加入できると解釈するわけで、数字はもっとふえていくという可能性も出てくるわけですね。それから五反未満の方々は任意加入になっているわけでありますが、この任意加入と当然加入の給付の面において非常に格差があるような感を受けるわけです。この点はどうなんでしょう。
  104. 池田俊也

    ○池田政府委員 前段の問題でございますが、これは一応想定した数字を御参考までに出したわけでございまして、資格人さえ合致いたしますならば、さらにこれよりか増加をすることもありますし、私どもはもちろんそれを希望しておるわけでございます。  なお、後段の任意加入者と当然加入者と給付内容等が違うのではないかということがございますが、これは全く差異はありません。全く同じでございます。ただ、入りましたあとに脱退等をいたします場合に取り扱いが若干違う点はございますが、給付内容としては全く同じでございます。
  105. 長谷部七郎

    ○長谷部委員 それでは、政策上の問題については非常にたくさんの問題があると思うのですが、これらの点については、いずれ農林大臣が参りました際にあらためてお尋ねをする、こういうことにいたしまして、きょうはこれで終わりたいと思います。
  106. 草野一郎平

    ○草野委員長 次回は明二十四日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時六分散会