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1970-11-09 第63回国会 衆議院 社会労働委員会 28号 公式Web版

  1. 昭和四十五年十一月九日(月曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 倉成  正君    理事 伊東 正義君 理事 小山 省二君    理事 増岡 博之君 理事 田邊  誠君    理事 大橋 敏雄君       有馬 元治君   小此木彦三郎君       梶山 静六君    唐沢俊二郎君       小金 義照君    斉藤滋与史君       田川 誠一君    中島源太郎君       別川悠紀夫君    松山千惠子君       向山 一人君    山下 徳夫君       小林  進君    後藤 俊男君       島本 虎三君    山本 政弘君       古川 雅司君    渡部 通子君       寒川 喜一君    寺前  巖君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 内田 常雄君         労 働 大 臣 野原 正勝君  委員外の出席者         文部省大学学術         局長      村山 松雄君         厚生省薬務局長 加藤 威二君         厚生省社会局長 伊部 英男君         厚生省児童家庭         局長      坂元貞一郎君         厚生省年金局長 廣瀬 治郎君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 秋富 公正君         郵政政務次官  小渕 恵三君         郵政省簡易保険         局長      中田 正一君         郵政省人事局長 北 雄一郎君         労働省労政局長 石黒 拓爾君         労働省労働基準         局長      岡部 実夫君         労働省職業訓練         局長      渡辺 健二君         自治政務次官  大石 八治君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  労働関係の基本施策に関する件  厚生関係の基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 倉成正

    ○倉成委員長 これより会議を開きます。  労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田邊誠君。
  3. 田邊誠

    ○田邊委員 きょうは郵政省の労働政策についてお伺いしたいと思うのでありますが、当委員会でも郵政省の労務政策、労使関係についてはたびたび取り上げてまいりました。私もある程度事情を知っている者として非常に憂慮してまいっておるところであります。きょうまたこの種の問題を取り上げることについてはきわめて遺憾でございまして、私自身も気持ちの上ではたいへん重たいものがございます。しかし、えりを正すという意味で御質問を申し上げるわけでございまして、ぜひひとつ関係の皆さん方も――私の話は決して事をかまえたり、事を荒立てたり、事を公にすることによって済まそうという考え方では毛頭ございません。郵政省の業務が正常な運行ができ、そしてまた労使関係が円滑にいくことを望んでいる立場から質問を申し上げたいと思います。  もちろん私は、社会党の立場から、労働者の権益を守るということを主として考えておるものでありまするから、あるいは業務を遂行するにあたってその管理体制を確立する、そういう立場を特に重点にするところの郵政省なりあるいは政府なりの考え方と基本的に違う点はありまするけれども、しかし、いま申し上げたように、事業の円満な運行をはかりたいという気持ちにおいてはごうも変わらないものと受け取っていただきたいと思うのであります。特に郵政事業の中で郵便事業は、いよいよ年末の繁忙期を控えておるわけであります。すでに年賀はがきが売り出されているという時点の中で、間もなく最繁忙期に差しかかるわけでありまして、そういった点から見て、この年末首の繁忙を乗り切るためにも、やはりいま言った労使関係の円滑さということがより叫ばれるのではないか、このように私は考えるわけであります。  そこで、質問に入る前に、突然のことでございますのでたいへん恐縮でありまするけれども、あらかじめ調査をしておいていただきたいことがございます。私は、きょう主として郵政の労使関係の基本にかかわる問題、それからつい最近全国で軌を同じくして郵政の職員が自殺をするという事件が相次いで起こりました。三人の自殺者を出したのでありますが、その自殺者を出した問題について私はお伺いいたしますので、その質問をいたしておる間にぜひ御調査をいただいて、私の次の質問までにその内容について確認をしていただければ幸いだと思うわけであります。  それは去る十月十七日の土曜日でありまするが、午後二時ごろから午後八時ごろまでにかけて、群馬県の前橋市、群馬県庁の前にありまする群馬会館という、県庁が管理をしておる会館がありまするが、これの地下食堂において会合が持たれました。そこには東京郵政監察局前橋支局の監察官補、それから東京郵政局の前橋駐在の労務連絡官並びに県下の各局からの郵便、保険、庶務の主事が集まって会合を開きました。そこで、この会合というものは一体どういう目的でなされたか、これが第一番。会合をした者の氏名は一体何であるか、これが第二番。それから、酒食をいたしておりまするけれども、この飲食の費用は一体どこから出ているか、これが第三番。この三つについて至急御調査をいただいて、私が三十分程度ほかの質問をいたしておりまするから、その間にひとつ御回答をいただきたい、このように思います。
  4. 北雄一郎

    ○北説明員 さっそく調べまして御返事いたしたいと思います。
  5. 田邊誠

    ○田邊委員 それでは最初の質問に入りたいと思います。  政務次官お見えでありまするが、郵政大臣にしろ、あるいは政務次官にしても、冒頭に私が申し上げたような郵政事業を円滑に運営したいという気持ちにおいては人後に落ちない方々であろうと私は思うわけであります。そういった点で十分な理解を郵政事業に寄せていらっしゃると思うのでありまするが、どうも郵政省と全逓組合との間における労使関係は、ここ数年来きわめて険悪でありまして、あるいはまた十分な意思の疎通がはかられておらないということが非常にございます。この春においても、郵政省の労働政策、労務対策について、組合のほうからいろいろと要望する点が出ておったのであります。これを受けて、四月の八日、九日に郵政大臣と全逓の宝樹委員長との間でいろいろと労働政策についての取りきめをいたしたのは御案内のとおりであります。私は、この取りきめは、今後の郵政の労務政策なり労使関係にとってきわめて重要な意味を持つ確認であると思うのであります。一々その中身について申し上げませんけれども、大臣が言われているように、今日の労使関係の問題は十年来の根深い問題である。私は、大臣在任中にぜひひとつ改善、前進の実績をつくっていきたい。そのために紛争解決のための当面の応急措置は必要だと考える。しかし問題は、お互いの信頼感を回復させていかないと、文言だけで解決しても、あとで反則をやるようでは改善に向かない。そのためのアフターケアが重要であるので、在任中に改善実績をつくりたいということを前提にして、全逓に対する敵視政策、組織介入をやめようということの問題、あるいは主事会、主任会を解散させよという問題、あるいは人事権乱用による不利益、差別扱いを救済せよという問題、不当な労務管理を行なった管埋者の責任を追及せよという問題、これらの基本的な問題とあわせて、具体的な問題について取りきめをいたしました。  私は、いま申し上げたように、これは今後の労使関係の正常化のために非常に重要な基本的な原則をお互いに確認したと思うのでありますが、この四月九日に取りかわされた大臣と全逓委員長との間における確認事項、この確認事項についての基本的な考え方は今日も私は生きていると思うのでありますけれども、この基本的な態度に対して、現在もそのとおりであるかどうか、政務次官からお伺いしたいと思います。
  6. 小渕恵三

    ○小渕説明員 今春四月九日に行なわれました大臣と全逓委員長との会談における話し合いにつきましては、その取りきめられました条項につきましては、役所といたしましても、それ以降各種の会議等におきましてその徹底をはかってきておる次第でございますので、その趣旨は継続しておるものでございます。
  7. 田邊誠

    ○田邊委員 いま基本的な考え方についてはごうも変わりないという政務次官のお話でありまして、私もそのとおりに考えておるのであります。いま回答がありましたように、この確認については、その後会議等を招集して指導と徹底をしたという御発言がございましたけれども、ほんとうに郵政局長会議なりあるいはその他の会合を開いてこの趣旨を徹底したかどうか、そしてその実効が実際にあがっておるのかどうか、この点に対して、その後の実施の状態について政務次官、あなたが把握されたとするならば全体的にどのように実行されておるのか、実施にほんとうに移されておるのか、その点に対してあなたの考え方なり現在の把握のしかたをひとつお示しいただきたい。
  8. 小渕恵三

    ○小渕説明員 今春行なわれました会談以降、直ちに三局長会議を今春招集をいたしまして、その趣旨を下部に徹底するように申し伝え、そのことは各下部管理機関におきまして十二分に徹底しておると確信しております。
  9. 田邊誠

    ○田邊委員 これは政務次官でなくて人事局長からでけっこうですが、いま政務次官のお話では、三局長会議を開いてこの趣旨を徹底した、こういうお話であります。徹底しておるとするならば、具体的に実行がはかられておる、こういうふうに思うのでありますが、その実施状況というものをあなたのほうでは正確に把握をされ、点検をされておりますか。いわば大臣回答の前提にありましたような、いかに文言でもってそういったものを取りきめをしても、あとで反則をやるような事実があるならば何にもならぬじゃないか。したがってアフターケアが必要である、こういうことを大臣は言っておるわけであります。いわばこの実施の状況の点検というものが私は重大だと思う。一体、反則はないのかあるのか、そういったことに対する点検が必要だと思いますが、これをおやりですか。
  10. 北雄一郎

    ○北説明員 ただいま政務次官がお答え申しましたとおり、当方の中では郵政局長会議、それを受けまして普通局長会議、あるいは特定局長会議等で完全に末端まで徹底せしめておるわけであります。また、その取りきめの中で地方及び中央段階に六人委員会というものを設けまして、具体的な問題につきましてはそこで一応処理をしようということになっておるわけであります。その後各地の六人委員会を見ますと、地域によりまして若干件数の多い少ないということはございますけれども、これが動いておりまして、その中でいろいろ組合側から指摘されたようなこともたくさんございます。そういったことにつきまして、当局側といたしましてもいろいろ調べたりしておりまして話をいろいろ進めておる、こういう状況でございまして、当方といたしましても、当方の出過ぎというものを指摘された場合は、真摯な態度でもってこれを調べまして、その結果、出過ぎであるということであればこれを是正するというようなことをやっております。将来ともなおそういうことで進めてまいりたい、かように考えております。
  11. 田邊誠

    ○田邊委員 いま人事局長、そういう一応の答弁はありましたけれども、現実に四月以降全国各地でもって相も変らず全逓に対するところの組織介入なり、あるいは組合脱退の勧奨なり強要なり、あるいは第二組合づくりをやっておるという、こういう事実を私は耳にしておるわけです。これは火のないところには煙は立たないと思うのでありますけれども、一番問題なのは、四月にもくれぐれも言われたいわば相互の信頼関係の回復が重大なんだ、こういうことを言ってきたわけです。いわばいままで労使双方にありますところの根深い不信感を取り除くことが何といっても重大なことである、こういうふうに私は考えておるわけでありますけれども、一体、省は相互の信頼感、いわゆる組合に対する敵視政策をやらぬ、こういうこと。いわば全逓という組合にしても、あるいはその他の組合にしても、これはいまの近代的な労務政策からいえば当然のことですよ。協力を求めていかなければ仕事は円滑にいかぬ、こういう考え方、したがって、その上に立てば、当然不当労働行為のようなことはやらぬ、こういうこと。これに対してほんとうに郵政省は腹を据えて、腹の底から、この考え方の上に立って事をやっておれば、その後における全国に起こっておるような事例は私はなくて済むのじゃないか、少なくともいまのようなひんぱんな事例というのはもっと減少していいはずじゃないか、こういうふうに私は思っておるわけです。  私は、こういう事実を一々きょう申し述べる時間がございません。ございませんけれども、名古屋郵政を中心とするところのこの夏から秋にかけてのいわば問題、こういったことを私は聞くにつれて、一体省の考え方というのが、いま政務次官のお話があり、人事局長の答弁があったような四月九日のいわゆる大臣回答を起点として――前にもありましたよ、前にも何回かそういったことを指摘をして、それは改めるということだった。そういう確認もした。しかし、その後においてそれに類似するような行為がやはり起こっているというこの事態は、国会の場所でもってあなた方が答弁をするというそのことだけではどうにも信頼を取り戻すことができないのじゃないかと思うのです。実効があがれば別ですよ。一体いま事実問題として起こっているこの種の問題は、これはいま人事局長はいろいろと努力を尽くしていると言うけれども、実際には省の方針がまだ十分徹底をしておらないということなんですか。そういうことになるのですか。それとも、あるいは省の方針の二面性ということがあるんじゃないか、こういうことを私は聞くのであります。表ではきれいなことを言います。労使関係は正常化しなければならない、不当労働行為はやりません、組織介入はやりません、そう言っているけれども、それはあくまでも国会を通ずるわれわれに対するところのあなた方のいわば回答であって、実際には裏では第二組合をつくれ、組織介入をしろ、分裂をしろ、ひどいことをいえば、仕事の円滑な運営よりも労務政策が優先なんだという前提に立って考えることが現場の管理者にとっては一番重大なんだ、こういうようなことを言っているのを私は耳にする限りにおいて、省の考え方はあくまでも表と裏と違うじゃないか、こういう私の疑問に対して、あなた方一体どう答えられるか。あるいは省の方針は変わりない、しかし下部の管理者が、この十年来に及ぶところのいろいろな不信感なり、いろいろな問題の惹起から、いわば省の方針を理解せずして、省の親心というものを十分に理解しないために起こる分派的な行動、あるいははね上がりの行動、こういうことなのかどうか。この点に対して私は、この際非常に言いづらいことであるけれども、あなた方のほんとうの真意を聞きたいのです。私はくれぐれも言っているのです。声を大にして委員会でもってあなた方を追及するけれども、腹の底では、何とかひとつ労使関係の正常化を取り戻しなさい。いまの自民党の近代的な労働政策というもの、いまの佐藤内閣のいわば二十世紀における近代的な労働政策は、一つの労働組合を分裂させ、あるいは脱退させ、あるいは幹部の威力をもってそれに口入れさせる、そういうことではないと思う。あくまでも労使協調の上に立って、いわゆる円滑な事業運営をはかる、それを私は基本に据えているのです。私の認識が誤っておれば――あとで労働大臣にお聞きしますけれども、そういう考え方の上に立ったときに、郵政省の考え方は、この現象面からとらえたときに、どうも私は理解できない面がある、こういうようにとらえているのですけれども、いま私が聞くところのいろいろな考え方、これに対してあなた方は一体どう考えますか。
  12. 北雄一郎

    ○北説明員 ただいま省の指導は二面性があるのではないかということでございましたけれども、そういうことは決してございません。大臣が、御説のとおり、過去においても郵人管七五号というものの通達がございました。ことしの四月九日にございました大臣と全逓との間の話、こういったものも、実はその直後に郵政局長会議が開かれましたけれども、そこでずいぶんの時間をかけて詳細徹底をはかってございます。誤解の筋というものは一つもございません。それを下部へおろしておるわけでございまして、大臣の御意図というものに即して全体が動いておるということにつきましては、私もう間違いのないところでございまして、二面性というものはさらさらない、かように存じます。  それから、そういうことであるならば、現にいろいろトラブルがあるのは末端の一部の者にそれが届いておらぬのではないか、こういう御指摘でございますけれども、私どもといたしましては、そういったことであらゆる機会をとらえまして下部にまでこの話を定着せしめる努力を払っておるわけでございまして、そういったことは万々ないと思います。  それならばなぜ現にいろいろトラブルがあるか、こういうことだと存じますけれども、四月九日の大臣と全逓間の話にもございましたように、この労使関係というものを改善していく必要がある。そのためには労使双方がそれぞれの立場においてそういう考え方に基づいて努力をしていかなければならぬだろう、こういうことでございますが、労使それぞれの立場においてこういった努力をなしておる。その場合に、当局側といたしましても、やはり職場の日々の業務運営というものを確保する上に職場に秩序を立てる、そういった関係におきましていろいろ問題がございまして、現にいまいろいろ遺憾ながらトラブルがある、こういうことでございまして、そういったトラブルは繰り返しておりますけれども、省の指導の二面性あるいは完全な不徹底というようなことに基づくものではない、かように存じます。しかしながら、こういった省の施策の徹底ということにつきましては、これはいかにその徹底をはかりましても過ぎるということはございませんので、今後とも十分に徹底をはかってまいりたい、かように考えます。
  13. 田邊誠

    ○田邊委員 私は、郵政の現場の状態というのはかなりに繁忙をもってやっていると思うのです。私はあなた方と同じように郵政の職場についてある程度の知識を持っています。郵政の職員はかなりな働き者だと私は思うのです。そう言ってはならぬですが、公務員全体の他と比較をするということはいかがかと思うけれども、しかし非現業の職員なりあるいはその他の官庁に比べてみて、決して郵政の職員は遊んでいるものじゃないと思うのです。働きバチのように働いていると思うのです。そういうことから言ってみても、郵政のいままでの職場というのは、きわめてなごやかな、いわば親子づき合いをするというそういう職場だったろうと思うのです。私どもの承知している郵政の職場、電電の職場、そういうものは非常になごやかな、いわば郵政一家なんといわれるような、そういう職場だったと思うのです。それがいま一体どうです。いまはきわめて暗い職場環境ですよ。私自身は郵政の職場に入ることをちゅうちょしますよ、あまりにもとげとげしい状態です。  この間、私は群馬県の郵便局にお伺いいたしました。私もちょっと道を覚えておりませんから組合の役員が案内してくれた。たまたまそこに、局長室へ行く前に現場の職場に働いている人がいるから、その課長も私は知っておる男であるから、ようと声をかけた。そうしたら、私と一緒に行っておった案内しておった組合の支部の役員の目の前に来て、おまえ出ていけ、問答無用、おまえ出ていけ、こう言うのです。私は中へ入って、きょうは局長に会いに来たんだ、あなたの顔を見たから郵便の職場に入ったんだ、この人は私を案内してくれていた男だ、理由も聞かぬで出ていけとは一体どういうわけだ、きょうはおれに免じてやめてくれ、こう言って私は中へ入った。東京やその他の事情は私は知りませんけれども、小渕政務次官も私と同じ群馬県、よく知っていらっしゃる。いわば非常になごやかな職場環境だったものが、どうしてそういうとげとげしい余分な紛争をしなければならないような状態になってきたのかということに対して、私はどうしてもこれを了承するわけにいかない。群馬県に来たある郵便局長は、地方に来て郵便局員が働かないのに驚いたと言っているのです。いいですか、今日の若年労働力の不足の中で、郵便局の中で営々として働いておる若い職員の気持ちを察しようともしないで――地方に来たら、確かに東京と比べたら幾らかのんびりしているでしょう。しかし、営々として働いている職員に対して、あまりにも遊んで暮らしているようなそういう言い方をするような局長がおって、郵政の労使関係が円滑にいけるはずがないと私は思うのです。  このような状態の中で、この若年労働力の不足を補い、年末繁忙を切り抜けるという自信がおありであるかどうか。労働指揮権を言う、人事権をうたう、管理運営事項であるから口ばしを入れては困ると言う。あなた方が職場の秩序を確立したいという意味は私はわかります。しかし、何でこれらの問題を大上段に振りかぶって余分な管理体制をしがなければならぬか。レクリエーション一つとってみても、これは組合と関係ない、官のやることだ、こういうことでもってやろうという精神がほんとうに郵政の職場を救うことなのか、こういうふうに考えたときに、これは私は決してそうではないと思うのです。レクリエーションの問題にしてもそう、あるいはその他の問題にしても、いわば管理運営事項であったとしても、なぜ組合の意見を聞く雅量を持たないのかということに対して私は非常に残念に思います。もちろん私は、労働組合についても不必要な職場闘争をやっていいとは思っていません。あるいは必要以上の能率ダウンをしていいとは思っておりません。中央において約束したことは、省も守ると同時に、やはり組合も守るべきものだと私は思います。組織統制上当然行なうべきことは行なわなければならぬと思います。しかし、もし数多くの職員のうちに、そして組合から見た場合、組合員のうちに、組合の組織統制が及ばない、あるいは省との約束が守れない、こういうことがあったとすれば、それは現場においても、あるいは中央、地方においても、管理者と組合の代表者の間においてそのことの解決のための話し合いをすればいいと思う。ところがどうですか。いまあなた方は、組合員がそういったことをやった場合には、局長室に呼びつけて、おまえは職員としてまじめにやっていないじゃないか、能率ダウンをやっているじゃないか、おまえはヤマネコをやっているじゃないか、こういうことを言う。私はルールを守ってもらいたいと思う。もしあなた方のほうでもって意見があれば率直に言ってもらいたい。組合に対して言ってもらっても、あるいは国会を通じて私たちに言ってもらってもけっこう。しかし、それには私はルールを守ってもらいたい。職員個々に対して、頭からどなりつける、頭から抑圧をする。そして組合を脱退しなければ昇給させない、昇格させない、あるいはまた役付にさせない、こういうようなことを言うような現場の管理者が横行している今日の事態の中で、郵政の労使関係は決して正常にならない、こういうふうに私は考えております。これに対して所感があったら言ってください。
  14. 北雄一郎

    ○北説明員 私ども常に職場の秩序というものは正していかなければならない。しかし職員に対しては愛情を持っていかなければならないということを、人事管理の縦横の糸として心得ていくべきだということを考えております。また、先生御指摘のように、私どもも郵政の大部分の職員、大部分の職場というものはよく働いてくれておると常々感謝をしておるわけであります。ただ実情を申し上げますと、たいへん遺憾でございますけれども、ごく一部の職員あるいはごく一部の局におきましては、非常に職場秩序が乱れておる、秩序に従わない、こういうことでございます。したがいまして、業務運営が正確にいっておらぬ、こういうようなケースがあるわけでございます。こういった場合にこれを正すということをいたしております。(発言する者あり)
  15. 田邊誠

    ○田邊委員 いかぬよ。与党のほうでもってわれわれの言っていることに挑発するなら、委員会運営について考えがあるよ。事情を知らないでもってそんなことを言うなら私は考えがある。
  16. 倉成正

    ○倉成委員長 続けてください。
  17. 北雄一郎

    ○北説明員 そういうことでございます。
  18. 田邊誠

    ○田邊委員 いま人事局長から愛情を持って対処しなければならぬという話があって、私は胸にこたえてきました。やじがあったから、あなたの一番いい答弁がよく聞き取れなかったけれども、いいですか、ここが一番重大な点です。重大なところでやじを飛ばすから、私は言っている。(「重大だ」と呼ぶ者あり)ふざけたことを言うなよ。われわれはなまやさしく言っているんじゃないよ。委員会でそんなふざけたようなことを言うのだったら、私は与党に対してあらためて抗議しますよ。私が最初から言っていることを聞いているわけじゃないだろう。具体的な問題の中であなたの答弁が生きているのかどうか、私は聞きたいと思う。  名古屋郵政の管内でもって良識者グループというのをつくらせるそうですね。具体的には名古屋市内普通局良識職員連合会という名前のものがあるそうですが、どういうような意図をもってそういう良識者グループをつくらせるのですか。
  19. 北雄一郎

    ○北説明員 良識者グループというのをつくらしておるということは聞いておりませんが、名古屋管内のみならず各地におきまして、主事、主任というものがいろいろな名称をもちまして主事、主任会あるいは主事会あるいは主任会というようなものを自発的につくっておるという事実はございます。
  20. 田邊誠

    ○田邊委員 あなたのほうは自主的につくっているというようなことを言うけれども、実際にはそこが問題なんです。この良識者グループといわれる主任クラスが、いわば全逓脱退を強要するような事実がある。実際にはその陰で現場の局長なり課長というものがそれをそそのかしておるという事実があるということを、私は何としても残念に思います。あなたのほうでもしそれを否定されるならば、あとで具体的な問題の提起をいたします。このいわば良識者グループというのが、特に名古屋の場合には、組合費の臨時徴収の不払い問題、こういったことを中心として脱退を働きかけておる、こういう状態なんです。もちろん、中にはいろんな手段がありますから、直蔵に脱退を強要する場合もありましょうし、あるいは脱退を暗示するというような場合もありましょう。問題は、名古屋郵政の場合に、この臨時徴収の不払い問題についていわば事実を報告しろという面では文書を出しておるじゃありませんか、名古屋郵政は。これは官の指導でしょう。名古屋郵政局の指導でしょう。これは一体どうなんですか。そういういわば官の労働政策の中でもってこの種の指導をやっておるというこの事実に対して、いまあなたは、愛情をもって対処しなければならぬ、みだりな組織介入はやらぬということを指導しておるという、そういった本省の意図と全く逆な現象が下部において出ておる。この事実を一体あなた方は正確にとらえておりますか。
  21. 北雄一郎

    ○北説明員 臨徴に応じない者の数を報告せよというようなことを指導したとは聞いておらないわけでございます。ただ郵政局といたしまして、各局における労務事情あるいは具体的な業務情勢というようなものについては常時報告するように、これは一般的に指導しておりますので、そういった情報はとりますけれども、そういった特定の問題につきまして特に指導したということはないはずでございます。また、主事、主任会に対しまして管理者が働きかけまして、そして組合を脱退しろということをやっておる場合があるじゃないかという御指摘でございますが、私どもはそういったことはないと存じます。万一、万々一あれば、それはやはり不当労働行為であると私どもは思っております。のみならず、そういったことは不当労働行為になるぞということで下部、末端まで徹底さしておるつもりでございます。四月九日の場合でも、大臣と全逓と話しました中に、主事、主任会というものはそれなりの自主的な存在なんだ、これは別だけれども、この主事、主任会に、たとえば労務担当の主事というものがおりますけれども、主事ではありますけれども、労務担当という場合に、これがリーダーシップをとって、組織を脱退しろとか新しい組合をつくれというようなことはよろしくないことだ、それも十分指導します、こういうことも言っておるわけであります。いわんや純然たる管理者がそのようなことをすることはよろしくない、してはならぬことであるということは十分に徹底しておる、かように存じております。
  22. 田邊誠

    ○田邊委員 私はあまり具体的な事実を話したくないのであります。しかし、あまりにも顕著な例について、ただ一つだけあげておきたいと思います。  名古屋郵政局管内に豊田という局があるそうですが、私はこの管理者が、局長がこう言った、庶務課長がこう言ったというのは聞いておりますけれども、私はそれを言いません。その区別をあえて言いません。しかし、いずれにしてもその管理者がこういうことを言っておるのです。自主会――自主会というのはいわば主事、主任会であります。有志会といっておるそうですけれども、自主会への加入は出世の早道である、こういうようにすすめておる。ある者に対して、君は主任の資格はあるけれども、候補者の一人だけれども、自主会に入ったらそれが容易になる、あるいは、このままでは主事になれない、郵便局にいても見込みがない、ここで自主会に加入しないかと言っておる。あるいは、ある者に対しては、三回にわたって局長室に呼びつけて、実際に自主会に入れといって説得しておる。あるいは、ある者は何回言っても自主会に加入しない、それでは主任としてだめだ、こういうことを言っておる。逆に、おまえはここでがんばってもらいたい、こういうふうに言っておる。あるいは支部長に対して、長く支部長をやっているのだからもうそろそろ職務に専念したらどうかと勧告している。あるいは組合の役員と主任をしておるのは二足のわらじだ、うまくいきようはずがない。組合の役員をそろそろやめたらどうかと言っておる。このことはあるいは誇大に私の耳に入っているかもしれません。あるいはある程度尾ひれがついて入っているかもしれません。しかし、これだけの事実を言っている限りにおいて、一体これが全部うそである、全部虚報であると信ずることは私はできないと思う。こういったことを陰でやっている限りにおいて、主事、主任会が自主的にやっているといっても、決してそういうふうに世間は受け取らないと私は思う。私どもは受け取ることができない。その陰においては管理者が糸を引き、いわば主事、主任会をリードし、組合の脱退を強要して、あるいはまたこういった自主会に入ることを説得をする、こういう立場をとっているとしか思えないのであります。ひとつあなたのほうでもって調査をして正確な回答をいただきたいというように思います。
  23. 北雄一郎

    ○北説明員 これもさっそく調べてみたいと存じます。
  24. 田邊誠

    ○田邊委員 そこで、時間がありませんから、非常に不幸な、愛知県の稲沢市の稲沢という局の吉田重一さんという人、この人がつい最近なくなられました。みずから生命を断たれました。私は、この長く郵政省に奉職しておった人が、もうあと一、二年でもって退職をされるまぎわに、みずから命を断たれたことに対して心から哀悼の意を表したいと思うのです。私はこの種の問題を取り上げることは実は暗然たる気持ちがあります。しかし、この稲沢の局におけるなくなられた前後の事情を見たときに、私はこのままでは済まされないものがあると思う。私も行ってまいりました。局長からいろいろと話を聞きました。私がまず遺憾に思ったことは、私がこの局に行きまして局長にお会いしたときに、この局長さんは私に対していわば暗然たる気持ちで面を伏せて沈痛な気持ちで相対するだろうと思って私は行きました。ところが、あにはからんや、そういうような面持ちはございませんでした。あるいはもう時間が過ぎたからそういうことにならなかったのかもしれません。しかし、私の質問に対して、どうやって言いのがれをするか、どうやっていわば証拠をつかまさないか、こういうことにきゅうきゅうとしているということがもう明らかにわかった。私は非常に残念に思いました。いま人事局長が言われた愛情をもって対処しようというそのことばとうらはらに、現場の局長は、いかにしてこの種の問題に対して自分が身ぎれいであり、自分が関係をしてなく、あとで責任をとることのないような姿勢をとりたいということに奔走している姿を見て、私はきわめて残念に思ったのです。二十四日にこの局から全逓脱退が行なわれました。その前の二十三日までの間に脱退の動きがひんぱんとして行なわれました。私がいま話したように、大体主事主任クラスが中心でもってやられておる。この中の数人が吉田さんに対して脱退の勧奨をしたことも事実であります。そして二十四日に脱退をした。驚いたことに、二十五日に全逓の支部長あてに脱退届けが出されておるその日に、名古屋郵政局の労務情報には稲沢の局に職員組合が結成されたということが掲載されておる。実際には職員組合が結成されておらない。大会もやっていない。会合をやって役員をきめておるという事実はない。その後また全逓に復帰した人たちの証言をもってしてもそういう事実はない。全逓は脱退したけれども、職員組合に加入した覚えはないと言っておる。にもかかわらず二十五日に、労務情報には職員組合が結成されたと掲載されている。いかにあなたが強弁をしても、これは私が先ほど来るる申し上げたような、組合に対するところの不当な介入というものが名古屋郵政の指導のもとに行なわれたという事実は、私は無視することはできない、こういうふうに思うのであります。  吉田さんは二十九日の朝家出をされて行くえ不明になって入水自殺をされた、こういうことであります。そこで私は局長にお聞きをした。吉田さんが自殺をされる前の状態というもの、自殺をされるところの主要な原因について局長さんは一体どうお考えですか、こういうふうに私は質問をいたしました。私のほうから予断を持っていろいろなことを言わなかった。それに対して局長の答弁はこういうことであります。二十四日に新労に吉田さんは加入した。二十六日に全逓の組合員が家庭訪問をしたらしい。このときに全逓に復帰をしろと説得した模様である。彼は、自分自身はつまびらかにしないけれどもと言った。しかし、そうした模様である、こう言った。そして二十八日の午後一時二十分、吉田さんは郵便課長に対して主事をやめさせてくれと申し出をした。そして二十九日に家出をして自殺をされた。こういうことを局長は私に話をした。そして私のいろいろな質問の中で、一体原因は何かと言ったら、おそらく二十六日に全逓の組合員が家庭訪問をしなければ、吉田さんを自殺に追いやることはなかったと思うと彼は言っている。これは重大ですよ、あなた。最初に私に対するところの局長の話では、二十六日に全逓組合員が家庭訪問をしたらしいと言う、説得をした模様である、私はつまびらかでないが、こう言っている。つまびらかでないものが、具体的にその様子を知らないものが、この二十六日の全逓の家庭訪問に吉田さんの自殺の主要な原因があったのではないかと言う。新聞記者に語り私どもに話をしているという事実は一体何ですか。私はこの局長の態度は人間的に許すことはできないと思った。自殺の原因は一体何ですか。直接の原因は何ですか。  われわれがこの中で一番問題にしなければならぬのは、二十八日の午後一時二十分に、郵便課長に対して主事をやめさせてもらいたいと言っているこの事実です。吉田さんは二十七日まではいわば正常な状態であった。二十七日は日曜日だったけれども、出勤している。正常であった。しかし二十八日に主事をやめさせてもらいたいと彼は訴えている。私はこの事実は重大だと思うのです。しかも、この主事をやめさせてもらいたいということは重大だけれども、これに対して郵便課長が事情を詳しく聞いていない。二号便の出発のまぎわだったから聞けなかったと局長は言っている。しかし、もう何十年もつとめて、集配主事を四十二年四月一日からやっている吉田さんが、主事をやめたいと言うことについては、これはたいへんな申し出じゃないかと私は思う。聞くところによると、前に一度あったからあまり奇異に感じなかったようなことを言っておる人もいるけれども、私はそんなことはないと思う。その前後の事情、吉田さんのいろいろな話しぶりを聞けば、これは重大なことだと気がつくのが管理者の当然の成り行きじゃないかと思う。これを気がつかなかったとすれば――気がついておってもあえてそれに対して説得をしなかった、事情を聞かなかったとすれば、私はこの郵便課長の態度もまたたいへんな手落ちじゃないか、こういうふうに思っておるのです。こういった中でもって吉田さんは自殺をされた。人事局長、あなたはこの自殺について一体どうお考えですか。自殺をしなければならなかったような原因は一体どこにあったとあなたはお考えですか。そして、あなたの報告のもととして、その直前に吉田さんが自殺をするような状態というものをはたして管理者は受け取っておったのかどうか。そういう状態についてあなたは知っておったのか、様子についていわば異変を認めなかったのか、これに対してあなたは一体どういうふうに報告を受けておりますか。
  25. 北雄一郎

    ○北説明員 とにかく、御本人がすでになくなっておられる、そして、御本人がなくなられたことについて、たとえば遺書でありますとか、そういったものはございません。したがいまして私ども、自殺の真の原因が何であったかということにつきましては、これに違いないと断定し得るものはただいまのところ残念ながら持っておらないわけでございます。ただ、そういう場合に、その不幸な自殺という事実が発生いたします前に、それにつながるある期間内の前の間に、御本人についてどのような事件があったかということにつきましては把握をいたしておるつもりでございます。その内容につきましては、ただいま、先生は稲沢局へおいでになりまして、そこの局長から聞かれた、大体そういったような事実につきましては承知をいたしておるわけでございます。したがいまして、これは単に推察と申しますか、しいて考えればということになろうかと思いますけれども、そういった一連の事柄というものが作用したのではなかろうか、かように考えるのでありますけれども、最初に申しましたように、とにかく真の原因がそれであるのかどうかということにつきましては、断定は私としていたしかねておる次第であります。
  26. 田邊誠

    ○田邊委員 これは私、局長の口を割ってしゃべらしたわけではない、そのときの状態は、名古屋郵政の管理課長が一緒に行っておるから御案内のとおりだと思うのです、私が現場に行った話は。いわば私のほうからこういったことじゃないかということは何も言わない。局長から自発的にその原因についての主要なことを聞いたのがさっき申し上げたところであります。  一番重大なのは何かというと、直接的には、何といってもなくなられる前の日の吉田さんの言動であります。その中で、いま話の出ておるのは、主事をやめたいという吉田さんの申し出であります。これは何といっても職場における吉田さんの異変といえば異変、異常といえば異常な発言であろうと思うのです。私はこの三つの、現場の局長から話を聞いたことをすなおにつなぎ合わせれば、吉田さんは全逓のいわば脱退の問題、あるいは再加入の問題について、板ばさみになっておったことは事実だと思う。これは衆目の一致するところだと私は思う。全逓を脱退をした。また全逓復帰の勧誘があった。吉田さんは全逓復帰に心が動いたのではないかと私は思うのです。しかし彼は、主事、主任に相談をしたいし、研修所に行っておるのも、三日の日には帰ってくるから相談をして返事をしたい、それでいいでしょうと言って、二十六日の家庭訪問をした人たちは、いわばなごやかに懇談をして帰ったと実は言っておるのであります。そういう中で、二十八日の主事をやめたいということは、全逓復帰に心が動いた、彼は全逓復帰をしたいという気持ちになった、しかし全逓に復帰するには主事をやめなければ全逓復帰はできないと言っておる。それが吉田さんが主事をやめたいという申し出になったと私は思うのです。私のこの推測が大きな誤りであれば、これまた反論してもらってけっこうです。私は平常に考えたときに、この主事をやめたいという吉田さんの心情は、いわば全逓におる限りは主事、主任にならぬぞ、全逓に復帰するようならば主事を剥奪するぞ、こういったいわば前々からの強要なり暗示なり、そういったものが彼の脳裏に深く刻まれておったからこそ、死の直前に主事をやめたいということを吉田さんがもらしたと私は思うのです。実はこういったことに追い込んだ管理体制、これを私は非常に重大に思うのです。二十五日に、吉田さんは脱退をしたあと、主事主任会議でもって、気持ちをほがらかに打ち明けておられた、こういうように局長は、管理課長の入れ知恵でもって私にまた追加して言いました。しかし問題なのは、全逓脱退の当時に、こんな暗い郵便局になってしまった、一人になって考えたいと吉田さんが漏らしておるこの事実は一体何ですか。私はこの吉田さんを死に追いやったものに対して、この見えない暗いものに対して、大きな憤りを感ぜざるを得ないのです。しかし、人事局長が言ったように、なくなられた、したがっていま吉田さんの口からその真相を明らかにすることはできない、したがってこの問題は水かけ論だ、こういうふうになりがちでありますから、私はこの九月、十月の間に――あとでもって島本委員から、遺書があるところの自殺問題についての発言があると思いまするけれども、しかし遺書がないにしても、吉田さんのこの前後の行動を見たときに、私は、やはり彼は何といっても苦しみ抜き、そして死ぬという道を選んだというように思っておるわけであります。その原因に対して、管理者は何らの責任がないか、何らのこれに対するところの反省もないのか、反省する必要はないのかということに思い至りますならば、私はそういうことではないと思うのであります。何といっても、とうとい人命がなくなったことで、それに対して真摯な態度でもって私は死者に対して弔わなければならないと思うのです。そういうことの上からいって、私はこの稲沢の局におけるところの管理者の態度について非常に残念に思います。警察の捜査に対しても協力したと言っている。しかし通り一ぺんですよ。二十九日の日に何をやりましたか。三十日の夕方になって、有線の一斉放送をお願いをした、こういうのであります。局員に対しても、時間外にできるだけ捜査に協力するようにと言った。しかし、局員の中には、いたたまれないでもって、少しぐらい募集の仕事があと回しになっても何とか捜索に当たりたいと言って申し出た者がいるけれども、おまえは仕事をやっておればいいんだ、こう言った。まさに通り一ぺんですよ。あなたの言った、愛情の一かけらもないというように私は思わざるを得ない。こういったことの中でもって、この職員がなくなられた。私はこの厳粛な事実を踏まえて、ぜひひとつ郵政当局は今後の事業運営と労使関係に当たってもらわなければならない、こういうように心から期待をするわけであります。  政府はいまの話を聞いておられて、事の真相の究明もさることながら、こういうことが起こったという事実、これをどうあなたは考え、今後の事業運営にこれを踏まえていこうとされるのか、ひとつ簡単でけっこうですからあなたの所信を承りたいと思います。
  27. 小渕恵三

    ○小渕説明員 なくなられました吉田さん並びに御家族に心から哀悼の意を表する次第でございます。  省といたしましては、事業の円滑な運行のためには適切な管理体制をしいていくことは当然でありますけれども、個々の職員の問題につきましては、管理者としても、お説のように愛情を持って対処することが必要だと思いますので、そうした観点に立ち戻ってこうした問題の起こらないように対処してまいりたいと存じます。
  28. 田邊誠

    ○田邊委員 このなくなられた吉田さんに対して、一体郵政当局はどういった措置をとられたのですか。事件の事後の処置について、本人、遺族に対して一体どういうような措置をとられたのですか。病気でなくなられた方々もおりましょう。その他事故でなくなられた方々もおりましょう。それらと相対比して――あなた方の規程もありましょう。しかし、何といってもみずから生命を断った職員に対する措置について、やはり心のこもったものが必要であると思うのですけれども、どういう措置をとられましたか。
  29. 北雄一郎

    ○北説明員 もとより深く哀悼の意を表しまして正規の政令による措置は遺憾なくやっておるわけであります。  なお、御本人が行くえ不明になられました二十九日の朝、おたくと連絡をとったのでありますが、御家族のほうで内密にしてほしいというたってのお話がございまして、また家族のほうでも必ずしも自殺というふうには考えなくて、あるいは知人、親戚のところへ行っているのじゃないかということで、そっちの心当たりのほうを探しておられたようであります。三十日になりまして、こちらのほうからこれではいかぬから捜索願いを出したらよかろうというようなことでいろいろしておるわけであります。なくなられましてからあとの措置につきましては、先ほど申し上げたとおりであります。
  30. 田邊誠

    ○田邊委員 そんなことじゃ私の質問に対する答弁になりませんよ。しかし、具体的な問題については、事後の措置については、私はあなたと相対でもってもっと詰めたいと思うので、あえて質問をしませんけれども、やはり通り一ぺんの形式的なきまったものだけでないいろいろなものがあると思うのです。金銭的な問題という意味だけじゃありませんよ。家族に対する事後のいろいろな手当てについてもとるべきものがあると私は思うのですよ。そういうことをやっていないじゃないかというのだ。どれくらいの慰めを家族に対して与えていますか。そういうことに対するあなたの言う愛情というものがほしいと言っているのですよ。あとで詰めますけれども、時間がないから、きょうはこの問題については後ほどの島本委員の質問に譲り、また後日山形県で起こった自殺の問題についても、私は当委員会で取り上げる際に付随して質問いたしたいと思います。  さっき冒頭にお願いをしておきました十月十七日の群馬県前橋における会合についての調査の結果はおわかりですか。
  31. 北雄一郎

    ○北説明員 判明いたしました。お答えを申し上げます。  ご指摘の日時にご指摘のような会合が開かれた模様でございます。場所は前橋会館というところであったのではないかということであります。この目的は、中央研修所に高等部というコースがございます、この高等部の卒業生が県下に六名おりまして、この日高等部卒業生六名が自主的に会合を開いた模様であります。この席上に自分らだけで集まっても何だから、いろいろ話を聞こうということで、労務連絡官を呼びまして、県下の労務情勢ということで話を聞いておるわけであります。講師として招待された者であるということであります。この六名の卒業生の中に、先生の御指摘になりました前橋支局の監察官補が一名含まれておったということであります。  それから会費でございますが、卒業生で各自分担した模様だということであります。労務連絡官は、会費の徴集をされなかったので、会費相当分として封筒に二千円入れて渡した、こういうことを言っております。  取りあえずこれだけ調査いたしましたので、そのほかに詳細申し上げることがありましたならば、別途調査してお答え申し上げたいと思っております。
  32. 田邊誠

    ○田邊委員 とんでもない間違いです。私は大体そういう報告を受けるだろうと予期しておったけれども、先ほど来私がるる言っておった話というものが、ここにきてあなたのいまの報告でもって、全くくずれました。非常に残念です。一体どんな話をしておりますか。私は知っておるのですよ。私は、いままで全国各地でもってこの種の問題に対して実情を調査したけれども、いままでのは直接私が知り得た事実じゃないのです。北は北海道石狩深川から、南は福岡中郵ぐらいにわたって、私は当委員会や逓信委員会でたびたび取り上げてきた。これは事後における実情調査だから、私はその実情調査の中に組合は組合らしい報告がある、官は官らしい報告があるだろう、こう思って、いわば自分の中ではそれを仕分けしながら質問したつもりであります。今度は違うのですよ。私は知っておるのですよ。だめですよ、そんなことでは。そんな言い分けは聞きません。群馬会館の地下食堂でもって八名が集まった。あとで氏名の報告をしなさい。私はわかっておるのですから。あらかじめあなたのほうに資料をあげるから、これと違うかどうか。私は顔を見ておるのですよ。しかし、人事局長、速記録に残るために名前をあげないのです。あえて私は個々の問題について触れようとしない。それは一番最初からくどいように言っておるように、この種の問題で事を荒立てたり、事をあからさまにすることによって問題の解決をはかろうという意図が私にないからです。  それからもう一つは、この種のことを国会で取り上げたりあるいは第三者機関に出すと、必ず反動がある、必ず報復手段があるということを問いているからです。これは小渕政務次官もおられますけれども、私はいままで全国各地の問題を取り上げてきた。しかし、少なくとも自分がいる群馬県の前橋でもってこの種のことが行なわれていることに対して、私は腹の中が煮えくり返る――何のために何百ぺんこの委員会でもって郵政当局に対して労使間の正常を願って質問してきたかわからない。明らかに組織介入をし、第二組合をつくるような会合を開いておって、私はこれはきわめて残念であります。しかも名前や、だれが何を言ったか、全部わかっておる。私はあえてここでは言わないけれども、この種の会合が開かれて、しかもいまあなたは、講師として労務連絡官が出たと言ったが、これは第二組合づくりのための講師ですか。あなた前橋会館と言ったけれども、正確に言えば群馬会館というのです。食堂――やった部屋はここだよ。ここにだれがおったかもわかっておる。私は言わないけれどもわかっておる。  いいですか。こういう発言をしておる。ある局の主事であります。「先輩、一言いわしてもらいたい、私たち〇〇局には、九名の良識派グループがいるが、この間も会合ももったが、昨日まで私は、そのことを全然知らなかった。こんなことでいいんだろうか。  局長に会ったら、局長から「この間のグループの会合に、君は顔を見せなかったじゃないか」とおこられた。「こういった良識派グループの先導を君がとらなくてはいけないではないか。俺がやったのでは、不当労働行為としてやられてしまう。この良識派グループのために、いろいろ郵政局等を呼んで、会議などを開催してやっているんだから、これをうまく利用してしっかりやれ」」そういうことを局長に言われた。「そう言はれても〇〇局九名のグループはまとまっていない。この間、会合を開催した時も「九名のうち三名しか集まらなかった、一体どうなっているんだろう。私は全然出席したことがない。しかし私なんか出なくても、はっきりしているんだから、」こういう発言をしておる。  いまの私の書いた一番最初のやつ、どこの局だかわかるでしょう。これがあなたの報告された会議の内容ですか。証拠を出せと言うんなら出しますよ。いいですか、そういうことが明らかにやられておるんですよ。いかにあなたが口でうまく言って四 九の大臣回答を下部に徹底せよ――徹底してないじゃないか。現場の局長がちゃんとこういうふうに使嗾して、良議派グループをつくらせ、第二組合をつくらせ、扇動しているじゃないか。それを怠っている者に対して局長はいわば叱責しているじゃないか。一体これをこのままにおいていいのですか。こういった事実が私の足元で行なわれた以上、私は断じて許すことはできない。私はあなたに直接会っていろいろと話したこともある。私の気持ちは知っておるはずだ。その私の気持ちを知っている足元でもって、小渕政務次官の同じ県ですよ、そういったことが現実に行なわれているこの事実を、一体あなたはどういうふうにお考えですか。私はもう考え方を改めなければならない。答弁してください。
  33. 北雄一郎

    ○北説明員 御指摘の群馬会館の問題につきましては、実は先ほどお尋ねがございまして、それまで私承知いたしておりませんでした。比較的短時間の間に問い合わせまして、その結果が先ほどお答えしたことなのであります。したがいまして、ただいま先生から、内容はそういうことではないというお話でございました。目的、内容がはたして先ほど私が答弁したことで間違いないのかどうか、なお詳細に調査をいたしたい、かように思います。
  34. 田邊誠

    ○田邊委員 報告をしなさい。
  35. 北雄一郎

    ○北説明員 報告いたします。
  36. 田邊誠

    ○田邊委員 私は、最初に申し上げたように、この種のことを私どもが言うと、必ずその個々の人間に対してせっかんが行なわれる。そして、そういったことが漏れた経緯についての徹底的な調査が行なわれる。こうやられたんだから、一つ思い切って旗上げしろという、そういうことが行なわれる。裏に隠れておった局長が表に出るような状態があっちゃ困るから、それに対して身を守るようなことが行なわれる。それを私はいわばおそれて、そういったことに対してあえて私は具体的に申し上げなかった。私の真意をあなたおわかりだろうと思うのです。おわかりであれば、それに対する適切な処置をとって下さい。私に連絡なしに、今後において群馬県におけるこの種の問題が起こり、これが発展するようなことがあったら断じて許しませんよ。いいですか。  もう時間がありませんので、私はそれじゃあと一問だけで終わります。  前橋の郵便局において、「局情改善施策の実施について、」というものを局長が出しました。  「その主なものは(1)会見の場合、事務に支障のある者、関係のない者の出席は認めない。(2)組合活動の集会は、休憩時間中でも許可を得て実施すること。(3)病休の承認を求める場合は、病気で勤務できないことを診断書、または薬袋、その他なんらかの方法で、証明してもらいたいこと。(4)生理休暇は生理日の就業が著しく困難な人、日に限って認められるものを理解して特別休暇を濫用しないこと。(5)職責を果す自信と勇気のない役職の辞退は、いつでも認められること。(6)勤務成績抜群の者はつとめて抜てきする方針であること。」  私はことばの中身について言うんじゃないんですよ。こんなことを出さなきゃいけないんですか。そうしなければどうにもならぬ局ですか。前橋の郵便局、私の地元だ。まことに温和な局ですよ。何らの紛争もないところ、はね上がりもないところ、混乱もないところだ。なぜこんなものを出さなきゃいけないのか。  次、館林でもって、八月の二十五日に、集配の者が集配をする際に、それに対して軽自動車でもって課長と代理が一緒に回っておる。親切に回るというのもあるでしょう。あるなら自転車で回りなさいよ。しかし問題は、これは監視労働である。若い局員のいわば胸ぐらをつかまえて、おまえは働いていないぞ、おまえはサボっているぞ、というようなことを言おうとするいわば監視労働です。そんな必要があるんでしょうか。館林でもって十日前に休暇の承認願いを出したところが、前日にならなければわからない。早く出したほうが計画的にとれるんじゃありませんか。なぜこれを認めないのか。  この局長は、郵便の外務に来て、九月三日現在の郵便の職場で、頭にきた者は職業選択の自由がありますので、いつでも新しい職場をさがしてやめてけっこうですと言っている。なんでこんな挑発をしなければならないのですか。  もう一つ、これに対して答弁をしてもらいたい。女子に対して降格の承諾書を出させている。他局へ転勤してもいいか、他課へ転勤してもいいか、いやなら降格承諾書を出しなさい。二人の女子に対して降格承諾書を出させている。これは一体不当労働行為じゃありませんか。そんなことが許されるの。まじめに働いておって、何の支障もない者を、いざ転勤というときに、一体そこへ行けるのか行けないのかと聞くならいいですよ。転勤や転課がしたくなければ主任をやめるような承諾書を出しなさい。こんなことがあなたのほうでは許されているの。  いま私が申し上げたような二、三の事例、実はこれを突き詰めてきょうは質問したかったのだけれども、お約束の時間だからやめますけれども、こういったことに対して一体あなた方はどう考えていますか。小渕さん、私のところで、つい最近現場の課長が、私は課長をやめたいと言っていた。優秀な男ですよ。研修所の何とかいうところを出てきて、仕事ができる。おまえは仕事ができるじゃないか。いや、私は仕事の面じゃない。いまの労務政策は私にはどうにもできない。陰でもって糸をあやつって全逓を脱退することを強要させる、いわば業務の運行よりも労務政策のほうを優先させる、こういうような考え方に対して、私はどうもついていけない。仕事の問題じゃないのだ。何とかしてやめたいのだと言ってきた。そういう者があらわれているというこの現実を一体どう踏まえていますか。  最後に、いまの私の具体的な問題に対して人事局長からお答えをいただき、そうして、そういった暗い職場を明るくするためには一体どうしたらいいのか。労使関係の正常な運営に対して、いままでのような、いわば通り一ぺんの考え方だけでなくて、この際、続発する問題にピリオドを打つために、いわゆる郵政当局の断固たる決意を私は承りたいと思います。  首席監察官の方にお伺いしたいと思ったことがあるのだが、あえて質問しないけれども、私の質問の趣旨はおわかりのとおり。監察官がこんな場所に出ていいの。こういう第二組合づくりのところに監察官が出ていいの。そんな役目を郵政監察官は持っているの。しかし、きょうはこれに対する質問は留保しておきますけれども、心を新たにしてもう一度私は対処したいと思うのです。答弁を……。
  37. 北雄一郎

    ○北説明員 労務管理の実際の手段、方法と申しますのは、先生も御承知のように千編一律になすべきものでなくて、それぞれの実情に最もよく適合した方法でなされなければならないものだと私どもも考えておるわけであります。したがいまして、先生御指摘の個々の具体的な問題につきましては、それがいかなる局情の場合にいかなる問題をとらえて出されたかということにつきまして、私ただいま承知いたしておりませんので、十分調べました上でまたお答えを申し上げたい、かように存じます。
  38. 小渕恵三

    ○小渕説明員 郵政におきまする労使関係を見ておりますると、若干民間その他の状況を見ておる立場から考えますと、その職場の中などにおきましては、御指摘のように風通しの悪い点が多分に目につくところがあると思います。全体的に考えますれば、郵政職員は全力をあげてその職務の遂行に当たっておるわけでありますが、一部そうした問題になる点もあるかと存じております。しかしながら、この問題につきましては、いま一度四月の組合との話し合いに立ち返りまして、今後ともそうした問題の起こり得ないように全力をあげていくということだと思います。
  39. 田邊誠

    ○田邊委員 ひとつ信賞必罰、あなたのいま言われた精神が生きるためには、私は組合に対して注文すべきことは注文しろとさっきも言った。それと同時に、やはり管理者に対して、もしあなた方の意図が通じないような、相反するような行為があるとすれば泣いて馬謖を切るべきだ、私はこういうふうに思うのです。したがって、あえて私がきょう突き詰めて質問しなかった意図というものに対してあなた方十分おわかりだとすれば、それを体して正確な報告をしていただくと同時に、今後に対して十分な対処をしていただかなければならないというように思います。いよいよ年末に差しかかった、そういう状態において労使関係の正常化がいかに業務の運行上重大であるかということに対して思いをいたして、これらの問題に対して誤りのない対処を私は心からお願いすると同時に、この具体的な問題はあらためてまたあなたのほうから御報告のあった時点において委員会で取り上げるなり、その他の方法をもって対処するなり、私の考え方を明らかにしていきたいというように思っておりますので、きょうはきわめて中途はんぱでありますが、一応約束の時間を過ぎましたから、これをもって次の島本委員に質問を譲りたい。ぜひひとつ一そうのこれに対するところの正鵠な対処を心から要望いたします。
  40. 倉成正

    ○倉成委員長 島本虎三君。
  41. 島本虎三

    ○島本委員 さっそくでありますが、私もいままでの質問を全部聞いており、答弁も全部熟知しております、その上に立って新たに、この際でありますから、私もぜひひとつ解明していただきたいことがあるのであります。もちろん、小渕政務次官のほうからは愛情をもって対処するということばがございます。また人事局長のほうからも、不当労働行為であるならば、そんなことは断じてさせないのだというようなこともあった。しかし、これはことばだけで済まないということであります。  私はそういうような点からして、北海道で、いみじくもいまのこういうような状態の中から、名寄郵便局の保険課外勤の兵藤勇君という人が十月七日の朝に自殺しているのです。官側のいわば圧力と申しますか、耐え切れなくなってついに自殺しているのです。その遺書もあるのです。私はこういうような問題に対して、五日に直接行って、自殺の現場並びに家族並びに組合員、それに官側の要路にある人たちと全部懇談してまいりました。この事態は、私は知っているつもりでありますけれども、はたして上部のほうにどのような報告が来ておるのか。兵藤男君が自殺しなければならなかった経過について、ひとつこの委員会にはっきり解明願っておきたいと思います。
  42. 北雄一郎

    ○北説明員 兵藤という局員が、十月の八日と推定されますけれども、自殺しておられる事実はございます。その原因でございますけれども、遺書があったわけでございますが、その遺書によりますれば、上司が憎いということがあるわけであります。それ以外に、上司が組んでやったのだ、上司であるならば少しぐらい部下の味方になってもよいだろう云々という項がございます。そのこと以外に遺書にも手がかりはないわけでございますが、そのなくなられる前に、これまたどういった顕著な事象があったかということについて調べてみたのでございますが、保険の外勤の職員でございまして、主として保険料の集金をしておった、若干募集もしておった、こういう職員でございます。その職務に関連いたしまして、契約者から保険料を受け取った日にその契約に入れていない、こういう事実がございまして、そのことに関しまして数日間、局並びに監察官の取り調べを受けておる、こういう事実があったわけでございます。その取り調べに当たりましたのが、あるいはその取り調べに関連いたしましていろいろ付随的な調査を局課長に命ぜられてやったのがその上司、遺書の中にいう上司にたまたま符合いたしておりますので、そういったところに関連があるのではないか、しいて推定すればそういうことでございますが、的確にそれであるというふうに断定しておるわけではございません。  以上でございます。
  43. 島本虎三

    ○島本委員 その程度の報告でしょうか。もしその程度の報告だとするならば、これは業務の点なら保険部じゃありませんか。ところが、三十日、三十一日、札幌郵政局の人事部管理課から出張命令が出されて――業務の関係だといまあなたが言ったけれども、人事部管理課が出張発令して、この二人を二日間にわたって札幌に呼んで事情聴取をしているのです。純然たる事業のことなのに、何のために組合関係でこれを調べなければならないのですか。こういうようなのも、人事部管理課でそもそも第二組合、第一組合並びに業務の点とあわせて、特に何らかの意図をもって行なっているということははっきりしているのです。知らないのはあなただけなんじゃありませんか。何ですか、これは。
  44. 北雄一郎

    ○北説明員 私ただいま申しましたのは自殺があったという事実、その原因は何かということに関連いたしまして、その以前に、直前にあった顕著な事実を申し上げたわけでございますが、経緯という点で申しますと、これが調査の段階で、この問題につきまして、これは省側の不当労働行為によりまして本人が自殺をしたのだ、こういうことで組合のほうから話が起こったわけでございますので、そういった意味で組合問題になったわけでございます。その関係で、課長と主事をそういった経緯からいたしまして人事部が呼んで、どういうことなんだというふうに聞いた、こういうことでございます。
  45. 島本虎三

    ○島本委員 一つの組合の中に別な組合を導入しようとしたり、それに郵政もからんだり、その分裂をさせる行動、こういうようなものがある場合には職場全体が暗くなります。そして組合員相互の間に疑心暗鬼を生ませています。そして腹の探り合いをしております。こういうようなことは、結局は官側主導による分裂工作である、官側主導による不当労働行為の疑いがある。はっきり言えるじゃありませんか。今後は労働大臣並びに小渕政務次官も、ある程度までいったら、今度は官僚だけじゃありません、皆さん自身、今回だけはしっかりしてもらわなければなりませんので、この点について所感を承りたいと思うのです。  まず、これは不当労働行為によるものであるのか、またはもう解約防止のための事業的な行為であるのか、これはいずれと見ておりますか。
  46. 北雄一郎

    ○北説明員 先ほども申しましたように、組合のほうから不当労働行為の結果である、こういう提起があったわけでございますが、そういったことがあったのかないのかということにつきましては、十分に調査をしたつもりでございます。でありまするが、そういったことは断じてない、あるいはさらに、全逓に入っておれば出世をせぬとか、あるいは全逓に入っておるから非常にきつく調べられたとか、あるいは全逓に入っていなければうやむやにしてもらえたのじゃないかということは一切ないわけでございます。
  47. 島本虎三

    ○島本委員 どうも皆さんの場合には下からきたものを金科玉条にして信じておるようですが、もう少し的確に事態をつかんでもらいたい。小渕政務次官、絶対もうないと言った。しかし、私は調査してきた。その結果、名寄の庶務課長伊藤清、それが庶務主任谷津という人に対して、主事になりたければいまのままではだめだ、それはおまえの腹にある――何ですか、全逓組合員ですよ。これはどういうことでしょう。それだけじゃない。これまた原充という人、その人に対しても他に転勤した奥山清治という主事が、全逓に籍を置いている限り主任、主事にはなれないぞ、後輩が主事、主任になっているのだ、わかるだろう。こういうようなことは知らないのですか。私は本人から聞いておるのです。このこと、上告してないでしょう。それだけじゃない。庶務課の非組合員、課長代理です、その人のうちへ集まって、そこで、いまのままの状態ではだめだ、全逓はストばかりやるし、スト資金、こういうようなものばかり取られているじゃないか、この際何とかしようじゃないか、この人のうちで打ち合わせをしておる。こういうようなことは不当労働行為になるのですか、ならないのですか。どうも、ないないと言いながらこういうことを――現に行ってみればちゃんと出てくる。労働省の労政局長、こういうようなことが行なわれているのですが、もしやったとしたら、これは不当労働行為、不当干渉、こういうようなことになりますか、なりませんか。いままで絶対ないと言っているのですが、こういうようなことがある。これはもうまともなことでしょうか、どうでしょう。見解を承りたい。
  48. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 具体的な事実につきましては私存じておりませんけれども、官側の指示によりまして、たとえば組合を分裂させて第二組合を結成するというようなことが行なわれれば、これは不当労働行為に該当するものと考えております。
  49. 島本虎三

    ○島本委員 やればなんといったって、やられているのをどう思うのだと言ったのだから、もう少しはっきり言ってもいいじゃありませんか。どうもだめだな。それでもしかし、現にそれが行なわれているという事態、それを言わざるを得ません。  じゃ、これはどうですか。ある郵便局長のメモです。全部読み上げざるを得ません。  「1、その局の管理体制をよく見る必要がある。(組合から云われない体制)2、職員がやるようにする。3、その局のリーダーを選ぶ必要がある。4、管理者が会合するときは別にはっきりした目的をもつ必要がある。(出来れば資料も作る)5、メモはなるべくとらない。6、酒を飲んだときは話さない。7、連絡上注意すること。(いつでも盗聴していることを考えて話しをする。)8、手紙で連絡する場合でも同じ方法はよくない。9、リーダーは少いほうが危険がない。(一〇人に一人)10、連絡するときは一人にする。11、リーダーには管理者(自分)が責任を負うから心配するなと云わないと動かない。12、リーダー等との話し合うときは別件の目的を作っておく。13、一対一でやること。14、条件が必要なときは人管と話し合ってからやる。15、一般的には酒を飲みながらやることはよくない。16、命令的な(上部から云われたとか云うようなこと)話の仕方はよくない。17、メモのようなものは渡してはならぬ。18、出来あがる近くではあまり逢わない方がよい。19、一週間か十日間の短期間がよい。(一気にやる)20、〇〇(マルマル)一度にやると云うことは無理であるから過半数に近かったらやる。21、サブリーダー(リーダーの補助)は若いものが積極的でよい。22、脱退届が出たらすぐ加入届を出させること。23、はっきりしないものは深追いするな。24、局長から云われたとは云わせない。25、良識者対策の話し合いはすすめてゆくこと。(不当労働行為に注意)26、いつまでにやれと云。27、結成大会は急がない方がよい。28、脱退届、加入届は局長は受取らないこと。29、出来たら上部役員とは逢わない方がよい。30、不自然なやりかたは考えること。31、労務情報も知り得たら焼却すること。32、人管の係長及各部長以上、以外は話をしなくともよい。」  こういうメモがちゃんと局長のふところの中にあるのですよ。政務次官、口ではいろいろ、いままで田邊委員の質問に対してもやっていないとまことにりっぱなことを言っている。やったなら不当労働行為じゃないか、そんなことはやらせないと言う。こういうメモを持ちながら、これによって的確に、やっているのが実情じゃありませんか。何もこれは不当労働行為じゃないと言う。これはどこから出たメモですか。あとで見てください、人の名前も書いてありますから。  次官、これは考えないといけません。官僚はいい答弁をしている。しかし、実際やっていることはこうだ。この際あなたがはっきりこれを今後は指導して体制を改めさせない限り、はい、わかりましたじゃ絶対これは直りません。こういうようなのもあるのですよ。これに対して、次官、どう思いますか。
  50. 小渕恵三

    ○小渕説明員 型どおりの答弁になりますが、不当労働行為にわたるようなことのないよう、上部の意向を徹底させるように努力をはかってまいります。
  51. 島本虎三

    ○島本委員 型どおりの答弁ですね。しかし、型どおりの答弁でいままでずっとやってきても、依然としてやられているんですね。これでまた型どおりの答弁をする。じゃ、従前と同じだということですか。いま大臣は来ておられない。したがって、あなたが大臣を代行してここにいる。いま官僚は、官僚として、せめて事務次官が最高のとまりでしょう、その人たちは何をねらっているのか知りませんけれども、やはりこういうような体制のもとにいるのです。それを是正できるのは、省内ではあなたじゃありませんか。いま型どおりのことでやったならば、また型どおりに終わる。この際このような事実を前にして、田邊委員からの指摘もあった。ほんとうに乾坤一てきというか、ここではっきりした態度をとるべきじゃありませんか。やはりいままでと同じだというふうに解釈していいでしょうか。もう一回ひとつ答弁願いたい。
  52. 小渕恵三

    ○小渕説明員 答弁は型どおりになりますが、その実行においてなお十二分に留意した上で努力をはかってまいります。
  53. 島本虎三

    ○島本委員 そうして兵藤さんが死にました。遺書もちゃんと残して死にました。しかし、その原因に対してどういう報告が来ておりますか。不当労働行為じゃないということ、それはいまあなたの口を通してわかりました。原因はどういうことですか。取り調べになった焦点は何ですか。
  54. 北雄一郎

    ○北説明員 お答えを申し上げます。  先ほども一部申し上げましたが、結局このためだと断定するわけではございませんけれども、なくなられました前にどういう顕著な事実があったかということについて調べたわけでございます。なお遺書の中に、特定の人間を恨むというような、憎むというようなことばもございましたので、その点もあわせて調査をしたわけでございます。その結果につきましては、これまた先ほど概要に触れましたけれども、あるお客さんから託された保険料を、その人の契約にすぐ払い込まないでいた。その結果、そのお客さんが満期の保険金を受け取ったのでありますが、その中から、一カ月分の保険料が納めてないということで、その金額を控除された金額を受け取った。そこでそのお客さんが、おかしいということで局へ親告をなされたわけであります。そこで、どういうことになっておるのかということで、上司が担当の故人にいろいろ聞いたわけでございます。聞いた中で、いろいろ本人の釈明はあったわけでありますけれども、その釈明が実際のお金の出入りと符合しない、あるいははっきり本人が言わないものでありますから、どういうことになっておるのかわからない。少なくとも違則の経理をしている、あるいはどうも自分のために一部費消したのではないだろうかというようなことがございました。そういったことで、当該局ではそういった事案の場合には、別途これは監察局へ連絡しなければならぬことになっております。したがいまして、当該局で若干事実を調べました後、監察局へ通報いたしまして、監察官がある日参りまして、当日実際の調べた時間は三時間程度でありますけれども、御本人について事情を聞いた。なお、その中でもはっきりしなければいけない問題につきまして、本人にどうなんだと聞いたわけでありますが、本人の答えがないものでありますから、ひとつあしたまでによく思い出してまた言ってくださいということで、夕方その日の事情聴取を終えたわけでありますが、そのあとで御本人がなくなられた、こういうようなことがあったわけであります。それが事前の問題としては一番大きな特異な問題ではなかったろうか、かように考えておる次第です。
  55. 島本虎三

    ○島本委員 失効防止のために――いま言った人は翁さんという人です。その人とは親戚関係、友人関係以上の深い仲であって、その人の通帳を本人が持っておって、そうして本人が二回、三回――一回で受け取ることもあり、また本人が立てかえることもある、そういうようなことで、失効の防止に協力しておったわけです。そうしていろいろ監察からあがったその案件によると、件数は十二件だという。そして金額は一万九千四百七十五円で、最低五日間、最高は九十六日間も払い込んだものを納めていないという。これは何人かといったら、たった一人じゃありませんか。翁さんという人。そういうような関係にある人だった一人の問題で、他に累は及ぼしていないのです。五日に行って調べたらそういうようなこともわかった。一人の失効防止のために本人が自分の金を立てかえたりしてやっていた結果なんです。失効防止のためには、名寄局では四十四万円相当のものは、これは失効させないように協力せよということは、努力目標の中に、管理目標の中に入っていることなんです。本人が、それを特定の関係の人のためにやっておった。それをこれくらいの問題たいしたことはないのだ、こういうふうにいって、一日から五日間の間あっためておった。その間全逓をやめて第二組合に入ったらどうだ、そうしたならば問題にならぬのだという勧誘が行なわれたらしい。本人は死んで口をつぐんで、だれも言う人がない。あるのは遺書だけなんだ。そうしてそれをいよいよ落ちないと見て、ついに監察のほうにそれを持っていった。親告なんかあったら直ちに監察にあげてやるべきなんだ。そういうようなものに対して現場で、監察にも言わないで、五日もあっためておった、その間またこれが行なわれておった。一体これはどういうことですか。それで同じようなことが局内になかったのかあったのか、こういうようなことが下からあがってきておりますか。   〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕
  56. 北雄一郎

    ○北説明員 同様なことは局内ではありませんでした。御本人の場合、ことしの七月八日にただいまおっしゃいました翁というお客さまから保険料を本人が受け取っておるわけであります。本来ならば七月八日に翁さんの契約に払い込まるべきものであります。ところがそれがずっと払い込まれていなかったのであります。その結果、満期保険金をもらうときに、一カ月分欠があった、こういうことであります。じゃその翁さんからお金を受け取っておって、それをなぜ翁さんの契約に払わなかったかといいますと、御本人は、それは新規に本人が募集した契約、その第一回の保険料をこれで立てかえたんだとおっしゃいましたけれども、その金額は実は合わないわけでございまして、七月、八月、両月間に御本人が募集された新規契約の第一回保険料はたしか一千七十円、翁さんから七月八日に領かった金が七千円余りであります。ですから、それでは勘定が合わぬじゃないかということで、それは別の人の契約で失効しかかっていたものがあったからそちらのほうへ回しました、こういう本人の答えでありました。それならば、その期間にだれだれのどの契約に回したのですかということを聞いたわけでありますけれども、それが思い出せないということで、一件もおっしゃらなかったのであります。それで他人の失効しておる契約へその金を回す、これ自体も違則の扱いでありますけれども、現にそういうことをしてはならぬと指導しておるところでありますけれども、それも言われるようなものが実際あったかどうか、具体的な問題については口をつぐんで語られませんので、局としては非常に弱ったわけであります。しかも、七月八日に翁さんが払い込んだということも、実は親告の時点――本人が親告したのが十月の一日でありますけれども、その時点でいつ払ったかということについて翁さん自体記憶がなかったのであります。翁さんのおっとめの関係あるいは翁さんが小切手で当時払われたというような関係がございまして、小切手帳を調べるあるいは本人に直接会うというようなことで手間を食いまして、十月の五日になりましてはっきり七月八日に払った、これだということを翁さんが言われたのです。それで日時が非常にはっきりした。そういう段階にくる前に、監察にどうもちょっと怪しいというだけで言いまして、もし何にもなかった場合には局としてもはなはだまずいわけでありますので、問題の要点だけを確めまして、それが十月の五日、その時点で監察へ通報した、こういうことであります。そういったことになりますと、結局違則の扱いないしは横領という形で――自分で使っておれば横領になります。したがいまして、横領という犯罪の疑いがあるということになりましたので、遺憾ながら監察へ通報せざるを得ない、こういうことになったわけであります。決してその間故意にあたためておった、あるいはその間何か組合をかわればどうのこうのというようなことは、断じてなかったわけであります。そういう経緯がありまして、翌十月の六日に監察官の取り調べが――取り調べといいますか、それも取り調べというようなきつい調子のものじゃなくて、事情聴取というようなことがあったのでありますが、この事情聴取にあたりましても、その日の夕方四時五十分に済んでおりますけれども、その間、四時五十分の時点におきまして監察官から、その預かった金を振り込んだとすれば一体だれのどの契約に振り込んだか、具体的にひとつ思い出してきてあしたの朝話してくれ、こういうことで終わっておるわけであります。その後、監察のほうでいろいろ調べたわけでございます。いままで当該名寄郵便局には保険の契約が一万件以上ございまして、中には団体契約と申しまして、数件一本になっておる契約もございます。ですから、集金を要する契約としては六千百件余りあるわけでございますが、これ全部についてはまだ調査を終了しておらないそうでございます。七月、八月段階のこの兵藤さん個人が集金しただろうと思われるものについて、四十件ほど調べたそうでございます。その四十件に関する限りは、直接それぞれの契約の当該本人からのお金をそのまま入れておるのでありまして、この翁さんから預かった金をそこに入れたというような形跡はなかったわけでございます。そういう状況でございまして、正直申しますと横領の疑いが現在でも非常に濃い、こういう状況でございます。
  57. 島本虎三

    ○島本委員 この問題に対して、このとおりなのかどうか、保険局長に聞きたい。私の調べたところによると、現に監察の調べた結果は、他に累を及ぼしておりません、翁さん一人の問題です、こうはっきりしているのです。いま聞いたら、何かおかしいようなことを言っている。保険局長、これはどうなんですか。
  58. 中田正一

    ○中田説明員 人事局長が説明申し上げたとおりに私どもも報告を受けております。要するに簡易保険の立場からいたしますれば、集金人たる者は契約者から――領収書に対して領収の印を押すと同時に、局内手続も直ちに受領の手続、その後の現金の処理をすることになっておるということでございます。
  59. 島本虎三

    ○島本委員 局内手続によってとかいろんなことを言っていますが、これをはっきり監察が調べた結果、件数と金額と最低、最高のこの日にちを入れて、翁さんという特別な関係にある、友人並びに親戚のような親しい人、この人のために一回、二回、三回分くらい一回目に払っているのもあり、また立てかえのもあった。この人以外には及んでおらないということははっきりしておるのです。解約の防止のために本人が協力しておるのです。自腹も切ってやっておる。  そんなことを言うならば、これはどうですか。同じ局で四月に、保険課の内務主事が旅行の積み立て金というものを各自から全部集めておった。そして解約防止のために、本人に無断でその通帳から金をおろしてそれにつぎ込んでおった。これに対してはどういうようなことになるのですか。本人には無断でやっているのですよ。これが発覚しているのですよ。それに対しても監察のほうでは、個人的なサークルの問題であるから関与すべきじゃないと言っているのです。みんなやっているのは第二組合の人がやっているのです。そういうようなものは、人の通帳から金をおろしてやっても関与すべきじゃないのですか。どうなんですか、これは。
  60. 北雄一郎

    ○北説明員 当該局の旅行貯金の関係でございますが、この名寄局に組合が二つになりましたのはことしの四月のようでございます。旅行貯金の団体はそれ以前からございまして、いずれにいたしましても、その責任者といいますか中心の人間がいたわけでございます。むろん御指摘のようにこれは私的な団体でございまして、貯金をしておいてくれということであったのでありますが……(島本委員「だれがしておいてくれと言ったのだ」と呼ぶ)それは、その団体の人々がある人に金の取りまとめを頼みまして、その人が貯金をすることになっておったのでありますが、その人がそういうことでお金を預かってみますと、たとえば土曜日でありますとかあるいは給料前でありますとかというときに、きょう自分の分の金を戻してくれというような人が非常に多かった。それで、貯金にしておくと非常にめんどうなのでという気持ちで貯金にしないで現金で持っておった、こういう事象があったようであります。しかし金はその後、六月ごろでありましたか結局みんなにそれぞれ返しまして、その団体も現在では解消しておるようであります。そういうことでありまして、この問題はその私的な団体の中でその当時解決がついた問題のように聞いておるわけであります。
  61. 島本虎三

    ○島本委員 これはいまあなたがおっしゃったとおりですか。そのときになって発覚したけれど、以前からこれは何回かにわたって流用されていたのですよ。第二組合の人であるならば、監察もちゃんとそれを見のがすのですか。  それともう一つ、同じこの窓口で募集の手当、こういうような問題の不明朗な事件もそこにあるのですよ。御存じですか、これは。窓口の当人が募集した、こういうようなことに当然なるのに、関係のない主事のほうにその手当がよけいいっておる。こういうような事態さえも調査した結果わかってきた。みんな第二組合の人じゃありませんか。そういうような人たちのやっていることは、これは当然だとして監察も手を加えない。局内的な問題だから、人の通帳からかってにおろしても、そしてその一人一人の通帳に入れるべくして金をやってあるのに、入れないで個人がそれを持っておって解約防止のために使っても、何ら監察も手を入れない。あなたのほうもそれであたりまえだと言う。こういうようなことで一体いいのですか。同じ解約防止のために本人は自分の金を出してやったりして、ただ一人のためにこれがもう拷問のような責め苦にあったでしょう、本人にしては。決して死んだ兵藤君は人の金をどうこうしたのじゃない。自分で立てかえてやったやつなんだ。解約防止のためにやっているんだ。同じ防止のために、局内であるといえども人の貯金からおろしてやって、それをまた当然であるかのように言われている。それだけじゃない。その人は栄進しているのですよ。片一方は自殺しているんだ。一体これはどういうことなんですか。  それだけじゃありません。自殺したこの人が、あんまりじゃないか。「上司(課長、主事二人、主任三人)組んでやったのだ。上司であるなら少し位下部の味方になっていいだろう。とくに外務主事、幼ななじみではないか、口だけうまい事いっていて、自分のことだけは棚上げし、自分だってやっているだろう。」遺書の中に書いているのです。「もう少し課員仲良くなければい」職場になれないよ、皆で仲良く楽しい職場になる事を祈っている。」いまわのきわに書いた遺書ですよ、これは。そしてこの外務主事、この人の場合は何でしょうか。こういうようなことはいいでしょうか。たてかえてやった金――解約防止のために努力目標、管理目標が定めてある。自分が金を貸してやった。その貸してやった金を返せない。その保険を解約さして、その主事のだれだれ様方というのを入れて、その金は自分のほうへ落ちてくるようにしてある。そして自分の分はとってしまう。こういうようなのがまた栄進している。ここに言っているその外勤主事です。  それだけじゃない。いま現に札幌市北二十一条西四丁目にいる安藤政勝という人の、昭和四十六年二月七日に満期になる十五万円の簡易保険、これが昭和四十五年二月二十四日に、その佐藤という外務主事の奥さんの名義に変わっている。これは任意継承であるという。こういう方法も認められているという。もしそうだった場合には、やはりはっきりしたこの行為ですから、それを上司も知らなければならないはずだ。その町へ行って聞いてみると、金貸しをやっているという。その利息のためにある人の奥さんとの間でいさかいが起きた、こういうようなことさえも言われておる。そういうような外勤主事、幼なじみだというこの人がまた栄進コースに乗っているじゃありませんか。これはさもしいきわみじゃありませんか、管理者。こういうようなことが堂々とはびこっておって、自分の金を出して解約防止のためにやる人が追い詰められて自殺しなければならない。全逓をおりない以上、五日間もこういうような目にあってついに自殺した。そして片や解約防止のために、局内の当然預金しなければならない金をおろしてそれに充てたその人が栄進した。そして現に遺書にあまりひどいじゃないかという人の実態を見たら、いまのようにして解約防止どころか、解約さした金を自分のほうにおろそうということをしている人が栄進コースに乗っている。これはみんな第二組合です。一体これがいいのですか。これは具体的に調べてきたことです。こういうようなことはあってはならないことです。大臣、小渕さん、こういうようなことは許されません。この点についてはもっともっと厳密にあなたのほうで指導してやらぬとだめです。ことばでは不当労働行為はやらないと言う。そして一つ一つの問題については民主的なことをやると言う。ことばはきれいだが、実際やっているのは全部、第二組合に対する誘導じゃありませんか。こういうようなことではわれわれほんとうに了承できません。
  62. 北雄一郎

    ○北説明員 ただいま二、三の事柄について承ったわけでありますが、私どもその点につきましても調査したつもりでございます。ただ佐藤という主事でございますが、その外務主事の二件、二つあるように私伺ったのでございますけれども、私ども調べましたのでは、それは同じ件じゃなかろうかというふうに存じます。すなわち、昨年の秋でございましたか、佐藤が親類以上につき合っておるうちがございまして、そのうちが倒産しかかった。したがって先方から二十万円ほど金を貸してくれという話がありまして、奥さんが貸した。その際に、立ち入った話になりますが、何かチクロ倒産だそうでありまして、普通では払えぬかもしれないから、自分の四十六年の二月に満期になる簡易保険がある、この名義をあなたの奥さんに書きかえて、あなたがとってください。その額面金額は十五万円だそうであります。ただ、すでにその人が六万円貸し付けを受けておりますので、当然満期支払いのときには九万円に割り増し金がつくという形になると思いますが、そういうこと、それからその後その証書とそれから現金三万円というものを本人が受け取ったということになっております。したがいまして、二十万円というものを貸して、金額的には十何万円かのものをもらった、こういうことだそうであります。しかもそれは保険の手続といたしましては全く合法的なものである、かようなことに聞いております。  それから先ほどの旅行貯金のことでありますが、森木という人だったそうでありますが、先ほど申し上げましたように、その会員と申しますか仲間の中にときどき金をおろす人間がいた。それにはもちろん払ってやっておったわけでありますけれども、そういった失効しそうな解約にその金から持っていったということは、当時の調べではなかったというふうに承知しております。  以上であります。
  63. 島本虎三

    ○島本委員 もう時間もなくなったから結論を急がなければならないのですが、私どもが現に調べてこないで人の言うことを聞いただけならいい。私、現に行って調べてきているのです。あなたたちへ上がってきておるやつはみんな同情的じゃありませんか。そして死んだ人に対しては、当然これは横領だということを言外に含めて言っておるじゃありませんか。しかし、みんな解約防止のためにやっておること。自分の金でやれば自殺、人の通帳をおろしてやれば栄進。そして現に今度は、解約させて自分のふところに入れるような人がエリートコースに乗っている。一体これは何ですか。  そのほかに、こういうことがあるのです。葬儀は十日の日でした。これは当然、局長が主になってやりました。私は、それはいいと思う。全員参加して、心から哀悼の意を表した。私自身も、行きませんでしたけれども、哀悼の意を表しておきましたが、この経過を知っていますか。そういうような場合には全逓で葬儀をやりたい。そしてこれを計画した。ところが第二組合といわれる人が、全逓が葬儀をやれば退職金は出ないぞ、懲戒免職になるおそれもあるぞ。そして、ついに局長が葬儀委員長になり、それを行なった。しかし一号俸特別昇給させ、退職金も出て、ちゃんとこのとおりだというのです。なぜ第二組合の人たちはそういうことまで言って、葬儀の中にまで干渉しなければならないのですか。少しぐらい自分の身になって――涙ぐらい出ませんか、あなたは。冷酷無比じゃないか。こんな指導をしちゃいけませんよ。
  64. 北雄一郎

    ○北説明員 ただいま第二組合がとおっしゃいましたが、そういった事実があったかなかったか私存じませんが、かりにあったとすれば、それはまことにけしからぬことだと思います。ただそういった、管理者が組合にこう言えといったようなことはもちろん全然、皆目ないことであります。その点はもう間違いないことであります。  それから、これも私どものほうの調査では、当該名寄町の場合、普通の場合は町内会長が葬儀委員長になるということだったそうでありますが、葬儀の当日、町内会長が遠くへ行っておりまして不在であった、それで郵便局長が委員長になって、全逓の支部長が副委員長になった、こういう経緯であったようであります。
  65. 島本虎三

    ○島本委員 私はもうことばもありません。いい報告だけきているのです。それだけじゃありませんよ。「名寄すゞ石」という名寄郵便局の幹部回報が出されているのです。これはお読みになったでしょう。この中で「札幌郵政監察局の調査によれば兵藤さんの自殺の原因はほぼ次のようなものと推定された。」と、死んだ人のことを推定して、これは有利に展開させています。「ア、監察局に報告され調査されたことにより問題が大きくなったことを苦にしたこと。」これが自殺の原因だ。どうなんですか、これは。死に追いやった原因だというが、追いやらなくても、内々でやるぞと初め本人に言いながら、大きくしたのは管理者側じゃないですか。こんなこと知っていますか。次に、「イ、本人は本件により懲戒免職になると思い込み免職後の生活を心配したこと。」これが自殺の二番目の原因だというのです。本人は、自殺するその朝の一時ごろまで仲のいい組合員の人に激励されながら、あんたはほんとうのことを言えばいいんだし、やっていることを思い出して言ったって、これは何にもないんだよと勇気づけられて、本人もその気になっているのです。懲戒免になるというような犯罪的な意思は、一緒に飲んでいた人たちも一人も感じなかったと言っているのです。それなのに、懲戒免になることをもう予想して、生活を苦にして自殺した。「ウ、課長以下が本件について真相を調査している状況を局幹部が組んで自分を落し入れようとしているものと誤解し思い込んでいたこと。」遺書に書いてあることは全部誤解だといっているのです。こういうようなことをこの幹部回報によって堂々と流しているじゃありませんか。こういうようなことを平気でやりながら、死んだ人にまでむちうつどころか、死んだ人の遺書も全部誤解だといっている。誤解だったら、誤解に基づいて死ななければならないように追いやるというのはあたりまえのことなんですか。どうなんですか、これは。――あなたはもういい。次官、あなたは大臣の代理で来ている。こういうようなことまで回報に書いてやった、またやらなければならない。暗い職場じゃありませんか。当然こういうようなことは書くべきじゃありません。それもまた「推定された」と、死んだ人の原因まで全部推定によって、かってに死んだんだといっているのです。同じじゃありませんか。暗い職場で、私としてはほんとうに残念です。  最後に、次官、私はこの遺書を読んでおきたいと思う。「皆様にお世話下さいまして有難うございます。翁さんにご迷惑を掛け申訳ありません、悪しからず。同志の皆様お心配戴きうれしかったです。千恵子」――奥さんです。「これから大変だろうが、負けず頑張って二人をくれぐれもたのみます。父さんは弱かった。強く強く生きて、三人力合せて頑張れ。にくいのは上司(課長、主事二人、主任三人)組んでやったのだ。上司であるなら少し位下部の味方になっていいだろう。とくに外務主事、幼ななじみではないか。口だけうまい事いっていて、自分の事だけは棚上げし、自分だってやっているだろう。もう少し課員仲良くなければいい職場になれないよ。皆で仲良く楽しい職場になる事を祈っている。他の契約で不払のはない。重ねて書く。友子、紀之ごめんなさい。元気で三人、同志と力を合せ暮して下さい。皆様御世話有難う。さよなら」こうなっているのです。これも誤解だといっている。これほど切実なのも誤解だといっている。局の、この「すゞ石」に書いてある冷酷無比な扱い方、これが成績をあげるための方法ですか。葬式にまで関与し、同じようなことをやっても、一方は自殺に追いやり、一方は栄進する。これほど冷たい職場はないでしょう。私はこれだけではまだ済みません。答弁全部不満です。次回あらためてもう一回この点を追及させてもらいます。  委員長、先ほど言った中で、「名寄すゞ石」という名寄郵便局の幹部回報、これがあります。この中に書いてあることは全部私は不満であります。いかなる事実に基づいてこれをやったのか、この責任だけは明確にしておいてもらいたい。次回までこの問題を留保いたしまして、私はきょうはこれで終わります。
  66. 増岡博之

    ○増岡委員長代理 寒川喜一君。
  67. 寒川喜一

    ○寒川委員 限られた時間でございますので、職業訓練等について若干御所見を承りたいと思います。  まず第一点は、私自身委員会にかなり出席しておると思っておりまするが、アジアで初めて開催されます技能オリンピックが明後十一日に迫っております。そういった面で、委員会でこの問題について御質問もなかったせいか、大臣からあまりお聞きをしておらないので、私の一番心配をしておりますのは、準備の状況に万全な配慮が払われておるかということに質問の要旨は尽きるのですけれども、日本が最初に参加いたしまして、もうかなり回数を重ねております。競技の成績の模様は必ずしもしり上がりによくなっておるということは言えないのではないか、こういう感じを持っておりまするが、今回の参加者の技術水準と申しましょうか、ことばを変えて申し上げますならば入賞の見通し、そういった点について予測を漏らしていただければ幸いかと思います。  加えて参加国、人員、職種等についても御説明いただければ幸いかと思います。
  68. 渡辺健二

    ○渡辺説明員 ただいま御質問がございました国際技能五輪大会は明日が開会式でございまして、競技自身は十一日から開催されまして、十九日に終了いたす予定になっております。お話ございましたように、今年初めてアジアで開かれまして、わが国で開かれるようになったわけでございます。本年の五輪大会の参加国はオブザーバーを入れて十五カ国、競技職種は三十種目、選手は約二百七十人ほどの規模でございます。  準備につきましては、前々から国内に技能五輪日本組織委員会というものをつくりまして、これがわが国の側における責任者という形で準備を進めておりまして、諸般の準備は完了いたしております。場所は雇用促進事業団の千葉にございます中央技能センターで行なうことに相なっております。これはすでに到着いたしております外国の技術代表等も下検分をいたしまして、非常にりっぱな施設であるという好評をいただいておるわけでございまして、順調に運営されることは心配ないのじゃないか、かように存じておるわけでございます。  成績等については、これは競技でございますからやってみませんと的確に申し上げることは困難でございますけれども、わが国は過去八回参加をいたしておりまして、その間金メダル数につきましては、二度二位になったことがございますが、おおむね一位で、前回も九種目について金メダルをとっております。ただ今回は三十種目の全種目につきまして、わが国は主催国であるということから参加をいたすことになっております。したがいまして、これまで日本が参加をしていなかった理容、美容だとか宝石細工だとか、わが国が従来あまりやっておらないような職種もそういう意味で初参加をいたしておりますので、そういう点につきましては従来と全く同じ率で入賞できるかどうか申しかねるのでございます。従来から参加をいたしております種目につきましては、特に今年見通しが悪いというようなことはない、従来とほぼ同様のところまでいくのではないか、かように考えておるところでございます。
  69. 寒川喜一

    ○寒川委員 関係者の御努力で準備が完了しておるということで安心をしておりまするが、さらに一段の御配慮を賜わりたいと思うのです。  そこで三十種目全部にエントリーをしておられるということに関連をいたしまして、明年以降の開催について参加種目の問題でおそらくまたいろいろ議論が出てこようかと思いまするが、そういう点についてどういうお考え方を持っておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  70. 渡辺健二

    ○渡辺説明員 明年度の開催につきましては、この会期中にわが国におきまして、来ております各国代表で相談をいたしまして、明年の計画がきまるわけでございます。現在のところまだ明確になっておりません。したがいまして何種目になりますか、その開催国の準備等もございまして、若干は毎年変わるわけでございます。わが国といたしましては、従来からできる限り技能五輪大会に参加してまいる方針でございますので、今後もできる限り多数の種目に参加してまいりたいと思っております。   〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕  ただ、ことしはわが国でこれまで選手選抜のための全国大会を従来やっていなかったような種目につきましても、主催国だということで多少無理をいたしまして、業界の推薦等によりまして選手を選んで参加したというようなこともございますので、今後ことしと同じすべての種目にエントリーできるかどうかということは、今後の種目の内容あるいはそれぞれの極目に関する関係者等とさらに相談をして検討してまいりたい、かように考えております。
  71. 寒川喜一

    ○寒川委員 一ぺん出てまいりますと、いろいろな面でまた実績にして出たいというようなこと等で、私の心配しておりますのは、国の援助というような経費上のことも関係がございまして、トラブルが起こるというようなことのないように、お答えは要りませんが、ひとつ十分な配慮をお願いしておきます。  技能オリンピックのことにつきましては以上でございますが、次は職業訓練に対する考え方について一、二お伺いをしておきたいと思います。  その第一点は、先般も皆さんと一緒に国政調査で地方に参りまして、県の御説明等を通して職業訓練の実際の模様等を拝見をいたしたわけでございますが、いまだに大工、左官などを中心とした職業訓練がそのままの形でやられておる。加えて若干、機械の種目を一つふやすとか、あるいは都内で鋳物工がなかなか得られないから鋳物の職種を一つふやすというような程度の状況であるわけでございますが、技術革新の時代でございますので、なかんずく都市の過密、地方の過疎というような面からの対策で、産業が地方に分散をしていくというような条件などを考えれば、職業訓練の科目、こういったものについて思い切って積極的に再検討されて、時代に即応するような配慮をされておるかどうか承りたいと思います。
  72. 渡辺健二

    ○渡辺説明員 職業訓練の科目につきましては、お説のとおり、技術の革新に即応いたしまして産業界の実情に合うように鋭意われわれも考えておるわけでございますが、非常に技術の革新が速いだけに、場合によりますと、お説のようにそれにおくれているではないかという御指摘があるような事態もあるかと存じまして、この点につきましては今後とも十分新しい技術に即応するよう訓練科目、訓練内容等を絶えず進めてまいりたい、かように存じておるわけでございます。そうい観点から、われわれも単に規模の拡大だけでなくて、各訓練校におきます訓練の内容、訓練科目の増加等をはかっております。技術の進展に即応いたしまして最新の要請される技術でございます電子計算機だとかあるいは合成樹脂の製品射出成型科目であるとかあるいは情報処理科といったような数職種、ことしから新たに始めた科目があるわけでございまして、特に大都市の大産業地帯にはそういったような最新職種の需要というものが非常にあるわけでございますので、ただいま申しました電子計算機科等も大阪に設け、あるいは合成樹脂製品の科目も東京に設けるといったように、地域の実情に応じましてそういうふうにいたしておるわけでありますが、今後も十分そういう努力をいたしてまいりたい、かように存じております。
  73. 寒川喜一

    ○寒川委員 都会の問題はまたあとで申し上げたいと思うのですが、若干ニュアンスの違うことは、私この間委員長さんなんかとも一緒に見せてもらった範囲内でも長崎、熊本等いわゆる新しい型の大型産業が進出をする。大企業の場合には事業内の職業訓練ということで相当な配慮をされると思いまするけれども、やはりそれをささえる中小の下請が広範にわたって技術者が必要になってこようかと思います。そういう面でやはり感覚を変えてもらってやっていかないとなかなか追っついていけないんじゃないかというような気がいたしますので、積極的な御配慮をわずらわしたいと思います。  そこで、関連をして、私も実はこういった仕事に関連をしておりまして、在職中に養成をしておったのが、数年たって大きな施設ができる。できた時代にはもうその土地では、訓練を受けるよりもストレートに事業内職業訓練のあるところに就職をしていくといったために、大阪だけの例を見ましても、施設がフル回転をするような形で運営されておらないことは御存じだと思います。相当なスペースがあるわけなんで、これの活用についてお尋ねをしたいのです。  私自身も府から委託をされまして職業訓練のお仕事を預かっておりまするけれども、やはり一番問題になっておりますのは、すでに就職をし作業と取り組んでおる諸君が、設備の近代化に伴って新しい作業環境の中で作業をしなきゃいけない。ところが見よう見まねで先輩がアドバイスをして作業を行なうというようなことから出ておらない中小企業というのが非常に多いわけなんで、そういう面でいわゆる技能者の再訓練といった問題が大きなウエートになっておるわけなんです。  たびたび大阪の例を申し上げて恐縮でございまするが、社団法人の大阪職業訓練協会がセンターを持っておりまするけれども、そこではやはり教室での勉強という以外に一歩も出ないわけなんで、実習その他の面について既設の公立職業訓練校の場所を施設とともに活用をさしていただくような、訓練校の運用と申しましょうか活用というような問題がこれから課題になってこようかと思います。労働省御当局としてはそういったことに対して明年度以降どういう施策をお持ちかお聞かせをいただきたいと思います。
  74. 渡辺健二

    ○渡辺説明員 職業訓練施設が必ずしも十分フル回転していないんじゃないかという御指摘につきましては、確かにそういう面があることは私どもも承知しております。最近の技術革新で非常に技能の開発向上が要請される反面、労働市場の変化からたとえば失業者に対する能力開発訓練等については入職者が非常に減ってきておる。それから若い人たちに対する養成訓練につきましても新規学卒者という数が非常に減りましたところからいたしまして、全体で見ると決して養成訓練等はそう大きな欠員があるということはございませんけれども、地域によりますと御指摘のような点が出ておるところがございます。もちろんこういう施設につきましては十分な活用をはかるわけでございますが、なおそれにつきましては、いまもお話ございましたように、単に養成だけじゃなくて、技術革新が非常に進んでいるから、在籍の労働者に対する再訓練あるいは技能の向上訓練、こういうものをやる必要があるのではないかということは御指摘のとおりだと存じておるわけでございまして、去年改正をしていただきました新法も、まさにそういう観点から成人訓練ということを非常に大きな重点として新しく取り上げておるわけでございます。したがいまして私どもも、今後は職業訓練施設を単に養成だけじゃなしに、そういう在籍者に対する成人訓練、こういうことのために十分に活用してまいりたい、かように考えておるところでございまして、そのためには在来の施設だけでは必ずしも十分でない点もございますので、来年度予算につきましては、一部につきましては成人訓練のための施設あるいは機械等を新しくそれに補強、設置するといったようなことも含めまして、全訓練校で成人訓練の課程を行なうような予算要求もいたしておりますし、また民間でやっております事業内訓練につきましても、従来のように養成訓練だけではなしに、成人訓練につきましても補助の対象とするよう、そういった方向で予算要求をしておるところでございまして、もし民間がそういうようなことで積極的に事業内において再訓練、能力向上訓練等をやる場合には、公共訓練施設等もそれに十分活用してもらう、これに協力していく、こういうようなことで今後進めてまいりたい、かように考えております。
  75. 寒川喜一

    ○寒川委員 私は遠慮して申し上げたのですけれども、大阪の実例からすれば昼夜間平均して考えますならば、五〇%程度が利用しておらないのではないかと私は思います。そういった意味で、この種のものは知事と交渉しても、労働省のお考え方によるのだというようなウエートが非常に強いのです。したがってまた、具体的にそういうことを夜間も含めて整備をするということになると、府県の負担というものもかなり大きくなると思います。したがって法的な団体等とタイアップしてそういう問題を積極的にやっていこうという意思について、労働大臣はどういうお考え方を持っておられるのか、御所見を承りたいと思います。
  76. 野原正勝

    ○野原国務大臣 技能者の訓練、養成ということは、今後の日本の経済成長に不可分の関係がございます。そこで公共的な訓練校の設置、内容の充実等ももちろん必要でございます。それに対しても今後積極的にやってまいるということでありますが、同時にやはり事業内訓練というか、共同訓練の施設などもより一そうこれを拡充強化して、それに対する施設の補助であるとかあるいは融資であるとかあるいは管理運営にあたってのいろいろな助成であるとか、そういう問題につきましても、従来非常に不足しておりましたそういった予算規模なども思い切ってふやしまして時代の要請にこたえてまいりたい。要するに職業訓練という仕事は、技能者を大量に養成していくという点で非常に重視しなければならない。しかし同時に、いままでは技能訓練といえば大体において若年であったのでありますが、やはり技術革新が非常に急テンポで進んでおりますから、したがって技能を持った方々といえども時代の進展におくれないようにするためには生涯訓練という思想も必要であろう、かようなわけで成人訓練も無視できない。これに対しても今後はできるだけ進めていこう、こういうようなことで、省をあげて職業訓練にはひとつ積極的に取り組んでいきたい、こういう気持ちでございます。
  77. 寒川喜一

    ○寒川委員 ひとつことばの上でなしに、積極的に御努力願いませんと、これから貿易の自由化が進んでまいりますと、技術で勝負をしなければならぬ時代が必ず来ると思うのです。そういう意味から、在籍者というおことばを使われましたが、広い意味の再訓練というか、そういう意味で格別の配慮をお願いをしておきます。  補助その他につきましても云々というおことばがございましたので、最後に職業訓練校に対する補助の問題について若干触れておきたいと思います。  御承知のように訓練校に対する補助の場合、指定職種とその他に分けて補助額がきめられております。しかも推移を見てまいりまするとだんだん格差があくようなシステムを、四十四年度と四十五年度の実績を見てもそういうことがいえるのではないかと思います。すなわち四十四年度の場合に、指定職種の場合には六千四百円、その他が四千八百円、四十五年度になりますると指定職種が九千六百円でその他が六千円、むろんこれの二分の一国が御負担になるのだと思いまするが、そこでその指定職種というのは、鉄鋼、機械、建築、塗装等二十職種近くおきめになっておられると思いますが、どういう御方針で指定職種というものをおきめになったのか、聞かしていただきたいと思います。
  78. 渡辺健二

    ○渡辺説明員 確かに、お話しのように、共同職業訓練に対する補助につきましては、指定職種と指定職種以外のものに補助の額に差が設けられております。これはすべての職種につきまして職業訓練の必要なことは申すまでもないわけでございますが、限られた財源の中でそれをどう活用していくかということから、特に産業的見地から見まして必要の度が高いというだけではなしに、さらにその職種について技能労働力の不足が調査等によって特に著しいといったような職種、さらに訓練経費等から見まして、他の職種に比べてその経費が割り高になっておるような職種、こういうものにつきましては、民間に対して訓練をするようにすすめましても、なかなか実際に民間の企業で訓練をすることは困難度が高いだろうということで、指定職種といたしまして訓練の補助の単価を高くいたしておるわけでございまして、御指摘のように、確かに金属とか機械とかそういった職種がその中に非常に多いわけでございますが、これは私どもの調査いたしましたところによりますと、やはりそういう職種につきましては、訓練をいたしますにつきましても機械等の設備が要るといったような関係から、調査の結果では非常に所要訓練費等が他の職種に比べて割り高になっている、こういったようなことでそういうものが指定の中に多数入っているわけでございます。しかし、そうだからといって決してほかの職種を必要度がないといっているわけではございませんで、そういう指定種職等につきましてある程度までいきましたならば、これは他の職種につきましても当然補助額を上げまして、できるだけ指定職種に近づけ、その差を少なくしていく、かような方向で将来は進めてまいりたい、かように考えております。
  79. 寒川喜一

    ○寒川委員 指定職種をおきめになったときの時点で、いま御説明のあったような理由でおきめになったと思います。しかしながら、近年著しい、言うならば産業構造自体までも急激な変化を遂げております。加えて後進国で新しい産業の形で生まれたものと競合するような産業、たとえば繊維の二次産業、縫製工業等、これは後進国と競争していくということは、賃金の差のためになかなかたいへんな問題なんです。したがって技術で勝負をしていくという以外に今後東南アジアの市場で競争するということは困難でなかろうかと思います。そういう意味でもう一ぺん指定職種というものを再検討する意思がないかどうか。私はあると思うのですが、大臣いかがでしょうか。従来のような感覚だけで引き続いて、陳情が強くあったら若干考慮しようというのじゃなしに、いまの時点でもう一ぺん指定職種というものを再検討して、実態に合ったような形で補助金というものが有効に活用され、産業界の発展に寄与していくという労働省の姿勢というものを示していただくようなお考えはないか、承りたいと思います。
  80. 野原正勝

    ○野原国務大臣 御指摘の点、その必要があると考えます。したがって今後十分に実態を調査しまして御要請にできるだけこたえたいというように考えております。
  81. 寒川喜一

    ○寒川委員 お約束の時間が参りましたのでこれで終わりますが、いずれにいたしましても日本は加工工業国でございます。そういった面で技能の水準というものを何としてでも引き上げない限り、他面、貿易の自由化、資本の自由化等積極的に進むわけでございますが、これの裏打ちになりますのはやはり技術水準の向上でなかろうかと思います。そういう意味で、従来からも御配慮をいただいておりますけれども、さらに一段の御高配を賜わり、業界に対して積極的な御指導をいただくようにお願いをして質問を終わります。
  82. 倉成正

    ○倉成委員長 寺前巖君。
  83. 寺前巖

    ○寺前委員 産業の高度化に伴って、ここ十年の間、いわゆる公害なる社会的に大企業が大気の面において、あるいは水の面において、土壌の面において、ほとんど私たちの生活を送る環境を破壊するという事態が一方では非常に大きなものになりました。その環境がそういうことになってきているということ自体は、同時にまた生産するところの分野における安全性の問題においても非常に大きな被害をもたらす結果になってきていると思うのです。  最近の労働災害の死亡事故の情況を見ても、死亡者というのは明らかにふえてきておる。事故が非常に大きな段階になってきておる。こういうことを考えてきたときに、労働基準法を尊重させる労働省の基準局の仕事というのは、単に労働者のみならず、地域住民全体に対する責任をもたらすところまでその使命は非常に大きなものがあるというふうに私どもは思うわけです。そういう意味において、今日労働省の労働基準行政あるいは生産場におけるところの安全性の問題について幾つかメスを入れなければならないところにきているのではないかというふうに思うわけです。  そこで、具体的な例を通じて検討したいと思うわけですが、最近起こった問題の中で、何といっても大きな問題は――GNP世界第三位とかいわれ、そして特に造船産業なんというのは世界最大の生産規模をあげている。特に三菱の造船関係というのは、その設備の面においても、安全性の面においても、すぐれた施設を持っている、こういうふうにいわれてきたと思うのです。ところが、その三菱の長崎の造船所で地域住民を含めて四名の死亡者をはじめとして六十三名に及ぶところの被害を及ぼし、その被害は単に工場の中だけではなくて、千三百五十メートルも離れたところにまで八トンに及ぶところの鉄片が飛んでいったというような大事故が起こっていると思うのです。同時に、その十月二十四日の前日の二十三日ですか、佐世保の造船所において火災を伴う大爆発が起こっている。造船界のこの事実というのはたいへんな事実だと思うのです。そういう事実が一方で起こっているかと思うと、一方ではここ十年の間に無災害の表彰を二十一回も受けてきたというところの川崎製鉄所が、実態を調べてみたら、内部から労働者が告発しているように、それはとんでもないうそであったという問題が発生している。見るとそこにはたいへんな災害が個人の責任において処理されているという問題が発生している。長崎の造船所の問題にしても、あるいはその無災害記録の問題にしても、いずれも大きな日本の大資本が行なっているところの結果だけに、私どもはこれは中小の問題ではなくて、ゆるがせにすることのできないところの労働行政上の問題であるというふうに思いますので、この二つの例を通じて皆さん方の見解を聞きたいというふうに思うわけです。  まず最初に、時間がありませんので全面的な展開はできないというふうに思うわけですが、長崎の造船所の問題について聞いてみたいと思うのです。長崎の造船所の生産のタービンそのものがどうであったかというような問題については、これは別の調査機関で検討し、また通産省を含めて検討する場でやりたいと思うし、また罹災の結果の処置の問題についても別の機会に譲りたい。問題は、要するにあそこでタービンの大きな実験が行なわれておる。あの実験のやり方が適法であったのかどうか。もしも適法であのようなことが起こっているとすれば、その法律そのものが問題になるじゃないか。一体あの事故を安全性の問題から見てやり方に重大な問題があったんではないだろうか、その点について会社はどういうふうに見ているのか、監督行政機関はどういうふうに見ているのか、その点について最初に聞きたいというふうに思うのです。
  84. 岡部実夫

    ○岡部説明員 ただいま先生御指摘のタービンの問題につきましては、私ども調べましたところ、新しい製品の試験運転をしてその回転数の試験をやっておったところが、三千回転以上に上がったところで爆発した。この事故そのものの原因につきましては、目下調査団をつくりまして調査しておるところでございますが、実はこのような試験回転をやるための必要な予防措置については現在的確な規制は残念ながらないわけでございます。現実には、諸外国の例等見ますと、あるいは防護壁を設けてその中でやるのだ、あるいは地下室に所要の設備をつくってやるのだというようなことを事実上実施しておるところもあるようでございますが、今後私どもは、この事故を通じまして、そういうような試験をやる環境なり何なりについてもあるいは規制をしていく必要があるのではないかというようなことも考えておりますが、なおいま調査団が鋭意調査をいたしておりますので、その結果を待ちましてその辺について十分検討を進めてまいりたい、こう考えております。
  85. 寺前巖

    ○寺前委員 いまのお話だと、そうするとその予防措置が的確なものがないというのは、技術的にないから法的にもない、こういうふうに解釈したらいいのですか。そういう意味ですか。
  86. 岡部実夫

    ○岡部説明員 それはそういう趣旨ではございませんで、こういうような試験をやるとき、具体的にこういう設備のもとでやれということがいまのところ明確な規制措置がない。
  87. 寺前巖

    ○寺前委員 規制措置の問題ですね。
  88. 岡部実夫

    ○岡部説明員 そうです。
  89. 寺前巖

    ○寺前委員 そうするとどうなんでしょうか。いままでにこういうようなことは予想されないところの事故であったということで、およそ今日まで検討をする必要がなかったのだということだったのですか。
  90. 岡部実夫

    ○岡部説明員 実は専門家等の意見もいろいろ聞いてみたのでございます。このようないわゆるローターの試験中に破壊災害が起きたということは、従来諸外国におきましてもたしかわずか一、二件かつてあったという程度のことであったようでございまして、実はほとんどこういう試験の最中に爆発するというようなことが常時予想されるという事態ではなかったように聞いております。たまたまこういう問題についても、工場の試運転中のローターがそのように破壊されて飛散したというのが三千四百回転のときにかつて一回あった、こういうことが記録に残っております。
  91. 寺前巖

    ○寺前委員 諸外国の例を出さなくたって、日本の国内においてもこういう問題があったのではないですか。たとえば私のところに、この事件を契機にして幾つかの問題が手紙なり何なりで報告されてきているのですよ。おそらくこれは基準局なりあるいは通産省のほうには違う形で報告されるのではないかと思いますけれども、現場の人の手紙を見ても、たとえばこういう手紙がありますよ。ことしの春に三菱重工業の東京製作所の丸子工場で長崎の十分の一の大きさのタービンですけれども、事故が起こっておるという問題がやはり手紙できているのですよ。それから、たとえば昭和三十七に千葉の火力発電所においてローターの回転の異常が生じた事故がやはり起こっているということを、これは私のところの国会の秘書をやっておる人から直接この具体的な例が出されているのですよ。これは通産省の人の説明と若干違いますけれども、やはりこの分野における事故というのはいろいろ起こっているようです。もう少し小さい規模の問題を見ても、三菱電機で――これは戦前の話ですけれども、長崎でやはり小規模のタービンの実験で爆発が起こるという問題も起こっているわけです。こういう一連の事故が起こっていながら、今日までこの分野について、労働基準法の四十二条の危害防止、四十三条、四十六条に基づく処置を労働省が行政措置としてとらなかったということ自身が私は問題だと思うのです。しかも、この造船所に対して直接基準局が――ここは最近まで基準局が直接監督をやっておったようですね。現場の長崎の監督署じゃなくして、長崎の基準局自身が直接ここに、四十四年度中だけでも八回にわたって造船所の点検をやったとか、あるいはタービンテスト用の四基のボイラーについて、圧力容器安全規則によって係官が行って調査をするとか、それなりにいろいろ工場に行っていると思うのです。それが行っておって、過去に幾つかの似たような例もあり、この大規模の実験が行なわれているということについて、監督署として別に気にならなかったのか。あるいは現地の人の話によると、この問題をめぐって三つの疑問があるということがいわれているのですね。  たとえばその一つの例を言いますと、「まず一番に問題になるのはタービンの回転試験を組み立て工場でやっていたことだ。そしてまた第一機械工場までが同じむねに同居していた。事故は毎分三千五百回転のテスト中に起こっている。何十トンという鉄のかたまりが毎秒六十回という高速で回転しているのである。危険なことはしろうとでもわかる。工場側も当然タービンの回転方向から遠ざかるよう指示が出ていたのである。そういう危険なテストであれば当然コンクリート壁などで遮断された場所でやるべきだ。電機メーカーなどは地下ごうでやっているそうだ。ところが同造船は第一機械、組み立て工場が同居し、四十トンクレーンがその上を移動するようになっている。部品から組み立て、製品から実験まで同じむねでできる。いわば安全性が輸送の合理化の犠牲になっていたともいえる。会社側発表だと当時十三人がテストをチェックしていた」云々といっていますが、これは現地の新聞を見ても、現地の人が全体を通じて印象として持っているのは、あの三菱の造般所が町のまん中にある。あんな町のまん中で、自分のところは生産からテストまで一貫工程で便利か知らぬ、しかし、あんなテスト、危険なものが、退避命令まで出して会社の中で退避させているか知らぬけれども、一歩外へ出たらめちゃくちゃになるじゃないか。そんなことはだれが見たってわかる話だ。何でそんな危険なものはしかるべきところへ退避してやらなかったのか。一体監督署が見に行っておって何を感じておったのか、会社の諸君も何を思っているのかというような疑問というものは、しろうとでもわかる疑問だということは、行った人がみんな言っている。私は、監督署として、労働基準の監督行政に携わる側として、安全規則の中にこのことをちゃんと行政措置の命令の項の中にしっかりと入れなかったという問題、今日大事故が起こるまでこの実施がやられてなかったということは重大な問題だし、会社自身が非常に危険な要素を持っているということを知っていながら処理をしなかったという問題については、私は重大な責任があると思うけれども、その点についてどういうふうに思っていますか。
  92. 岡部実夫

    ○岡部説明員 ただいま御指摘の点につきまして、実は私どもも、一流のこういうメーカーの試験運転中にこういう事故が起きたということについて、非常にショックを受けておるわけです。いまお話のいろいろなこれに類似の事故が従来起きておったということにつきましては、たとえばタービンの羽根が飛ぶ危険性とか、そういうようなことはいろいろあったようでございますが、ローターそのものが破裂するということの危険までは実は予見はしておらなかったように聞いております。ただ、御指摘の点は、こういうことが現実に起こっておるわけでございますので、こういう問題について今後どういう適確な防護措置を講ずる必要があるか、この点については十分慎重に検討してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  93. 寺前巖

    ○寺前委員 この種のやり方をやっているところが各所にあると思うのです。これに対して、あの事故が発生して以後どういう処理をとられましたか。
  94. 岡部実夫

    ○岡部説明員 実はいまこの原因調査その他を実施中でございますので、それに基づいた適確な措置はいまだいたしておりませんが、全般的に安全の問題については、現地の事例を直ちに各監督署に知らせて、それでその一応の予防体制についての注意を喚起いたしました。
  95. 寺前巖

    ○寺前委員 ぼくはそれではお粗末なんじゃないかと思うのです。こういう事故が発生した。そうしたら、それと同じような工場が各所にある。直ちに同じようなテストは中止させなければいけないのじゃないですか。一定の防護措置ができ上がるまではそのテストは待て、これこれの工場については特にあぶないのだと、すぐに監督署を派遣させて全部総点検させる必要があるのじゃないですか。すぐに総点検さして、同じような条件のところ、周辺に家があるというような条件の中でこのようなテストをやっておるところがあるならば、ちょっと待てと全部とめる必要がある。法的規制の問題まで入るまでに緊急措置の問題としてやらなければならぬじゃないですか。やったですか。
  96. 岡部実夫

    ○岡部説明員 実は正式に権限に基づいて停止の措置は事実上できないわけでございますが、非常に大きなタービンの試験等は、ごくわずか、限られたところしかやっておらぬようでございまして、日立等について具体的にやっておりますのはいま取りやめさせておるところでございます。
  97. 寺前巖

    ○寺前委員 それじゃ文書で要請の処置か何かしたわけですね。それではその文書を出してください。要請だったら要請で、文書を出してください。
  98. 岡部実夫

    ○岡部説明員 文書ではいたしておりませんで、監督署長から申し入れたそうでございます。
  99. 寺前巖

    ○寺前委員 それじゃ大臣に聞きます。  非常に事態は重大なんです。世界一の造船王国、こう自負し、安全性の問題についても、この造船所はすぐれた安全性のところだといわれておったのです。ところが、この造船所で行なった結果は、あとから見たら、たいへんな、しろうとが見ても危険な状態であることがわかった。これがものごとの事実なんです。そしてそれは工場の中の労働者に対する安全性の問題では済まない。一キロ半にわたるところまで鉄片がぱっと飛んでいったわけです。そして寝ている人にまで被害を与えてしまった、そういう事態まで起こった。そうすると、それと同じような工場の配置がなされているところについてすぐに調査をして、法的に規制がなければ要請でもすぐ出して、そうしてしかるべく法的規制を直ちに準備するのが私は政府の責任ある処置じゃないかと思うのだけれども、大臣はそういうふうにお考えになりませんか。これは大臣に聞きたいと思うのです。
  100. 野原正勝

    ○野原国務大臣 今回の事故は非常に重大な事故であって、これは貴重な一つの体験として、今後の日本の造船のみならず、産業界はこれに反省も必要だと思います。したがって、こうした事故を十分に防ぎ得る体制、すなわち、タービンの試運転等については、やはり完全に厳重な防護壁を設けて、必ずその地区内でやるということが必要だと思います。これが一キロ以上の遠隔の地に鉄片が飛んでいって、全然知らない部外者にも被害を与えるというふうなことはまことに遺憾でありますから、今後はそういう面についてもひとつ思い切った対策を講じていく必要がある。したがって、これに対しましては十分に検討いたしまして、何らかの結論を出してこれを実施するということにいたしたいと考えております。
  101. 寺前巖

    ○寺前委員 それで大臣にお聞きしたいのは、緊急にそれはいますぐ検討会でやってください。処置してください。それまでの緊急措置、再びこういう事故がどこかで起こったらたいへんだから、したがってすぐに監督署を派遣させて実情を調査し、そして同時に、しばらく暫定期間でよろしいが、その規制が明確に確立するまでの間、そのテストは全部やめろということを、私は大臣の名前において要請してもらう必要があると思うのです。どうでしょう、その点について。そうでなかったらあぶなくてしようがないですよ。大臣も責任持てぬでしょう。
  102. 野原正勝

    ○野原国務大臣 御指摘のような方向で、ただいま造船工業会と十分に打ち合わせましてそうした要請をしたい。したがって今後は、そうした災害等は絶対に起きないように体制を固めたいということでございます。
  103. 寺前巖

    ○寺前委員 それじゃ責任をもって措置をした結果についてまた知らしてください。そのことを要望して、第二の川鉄の葺合工場の問題について聞いてみたいと思うのです。  ここで発生している問題は、ここ十年の間に、労働省が二十一回にわたって表彰をやったというのですよ、無災害工場だというので。労働災害一回もなかったんだというのだ。ところが、今度そこの労働者から訴えが出て、何と最近の間に、またたく間に労働災害がこんなにあったという事実が出てきたのです。それが全部個人の責任で処理されておった。振り返ってみたら、これは基準局自身が言っているのですね、十四回はでたらめの表彰であった。これはふっ飛ばさんならぬことになりました、ということを言っているのですね。ということになってくると、この労働省が進めてきた無災害表彰制度、何かそういうものをふだんやっていますけれども、これ自体がきわめて権威のないものになったということは明確なんですよ。単に権威がなくなったという問題では私は済まぬと思うのですよ。しかも大工場が十年間にわたって、これまさに組織的、計画的にやったといわざるを得ないと思うのですよ、こういう長期にわたってやっているということになると。きわめてこれは悪質な、災害を届け出しないところの基準法違反だと思うのですね。だから、当然私は、こういうようなことをやった工場に対しては、これは送検して処置しなければいかぬと思うのですけれども、これはどうです、局長。
  104. 岡部実夫

    ○岡部説明員 ただいま御指摘の無災害記録の表彰が、よく調べましたところが実は事実と反しておったということについて、非常に私も驚いておるところでございます。無災害記録の制度自体は、やはり工場、事業場に働く人、あるいはその経営、あるいは監督に当たっている人たちに安全衛生、特に安全でございますが、安全問題についての関、心を深めさせ、あるいはそれに向かって努力するという一方のやはり取り柄といいますか、利益はあるんだろう。ただ、この無災害記録が、御指摘のように、申請がございますと、死傷者の報告あるいは労災保険給付状況等の資料とあわせて審査いたしまして出すというところにちょっと問題があるんじゃないか。そこは報告が間違っておったり、あるいは故意な報告がありますとそこでチェックができないわけでございまして、その点を今後どうしていくかというところに問題があるのではないかということで、この制度そのものは、これが趣旨にかなって運用されますれば、安全の面についても非常な効果があるものと思っております。ただそれがどういうふうにこういう事態に対してチェックする方法を考えていくかということが問題であろうと思っておるところでございます。
  105. 寺前巖

    ○寺前委員 私の言うておることと答弁が違うのだが、その川崎製鉄の葺合工場がこういう長期にわたって届け出の義務を怠ってきたわけでしょう。その結果がうその表彰とこうなったわけでしょう。だから、長期にわたって届け出の義務を、これは労働基準法に基づいて百十条でやらなければいかぬ、それをやってないのだ。しかも長期だ。それで表彰を受けて万歳万歳と喜んでおる。こういうやり方、こういうことは悪質だ。そうして、事もあろうに、新聞記事に工場長の談話が載っており、こう言っておる。労働災害に対する工場側の判断と監督署の判断に食い違いがあったわけで、決して事故を隠していたわけではない、こう言っておる。これは隠していたわけじゃないのですか、どうなんですか。
  106. 岡部実夫

    ○岡部説明員 ただいまの点について、実は現在調べている範囲におきましては、例の無災害という場合に、要するにどこまでを災害に入れるかというところに関連いたしまして、身体障害者の例の身障の基準に該当するようなものも含むということに一応なっておるわけです。本来は休業を伴うような災害がない場合に無災害、こういっておるわけで、その辺の取り扱いが誤っておったのではないかというふうに判断しております。ただそれが、先生のおっしゃるように、故意に悪質に偽りの報告をして、それをもとに無災害記録の表彰を受けようという意図があったのかどうか、その辺は実はまだはっきりとつかんでおりませんが、現実にいま無災害と間違って、あるいは結果的には誤った、そこについては、いまのような基準について、要するに休業がない災害でも一部その災害に入るというところを、休業等だけにして報告をしたというところに問題があるのではないか、こういうふうに思っております。
  107. 寺前巖

    ○寺前委員 そんな程度ではないでしょう。これはことしの二月四日から九月十四日までですか、何か圧延関係の無災害の最高記録をつくるのだということで無事故運動を内部でやっているのですよ。それでなかったといっていばっておるわけですよ。ところが実際は、その中で二十四件にわたるところのものが、具体的に名前まであげてこれは基準局に出ております。これは全部私傷扱いになっておるのですね。こんな私傷扱いにしておって何だというのです。しかもその中から、特にこれは会社自身が安全衛生課長名で出してきておりますが、その中で七月十一日のH氏の問題、四月二十一日のW氏の問題、三月二十二日のM氏の問題、その事故はこうこうだ、その休みはこういうふうにとらせましたというやつを見たら、この表を見ただけで、何とえげつない、年休と休暇で連続して休みになっております。この事実を見たら、はっきりと会社が全部個人の責任の休みにしてしまっているということです。これは個人の休みにしてしまったら届け出はしません。個人の責任にしてしもうたというところにきわめて悪質性があるわけですね。やはり正直に労働災害を明らかにすることによって労働災害は防げるのだ、将来よくなるのだ、隠してしまうことによってよくなるはずはないのだから。とすると、これはきわめて悪質なやり方だ。しかも職場の中でこれはみんな知っておるわけでしょう。会社が、私どもの工場は無災害だと言われたって、みんな笑っているわけですよ。その笑っていることをあえてやってるから悪質だといわなければならぬのですよ。そういうふうに思ったら、私はこの事実だけでも明確に――こういう問題、不届きな問題ですよ、災害を防ぐ立場じゃない。だから、こういう事件が起こった場合には、明確にちゃんと法規に照らして送検措置をとるべきだ。そういうき然たる態度を私はとってもらいたいと思うのですよ。ところが、基準局へ行って聞いてみたら、従来この種の問題で送検というのはあまりしたことありませんな、こう言うのですよ。だから、そういうことでは労働災害を真に防いでいくという労働基準局の姿勢は仕事にならぬ。断固としてこういう不正については、特に悪質な、この二十一回にわたって表彰されながら、事実は全然違ったという、長期にわたる問題が出てきているこういう工場に対してき然たる態度をとってもらいたいし、ぼくは、労働災害を防ぐ上において当然のことだと思うのだけれども、どういうように思いますか。
  108. 岡部実夫

    ○岡部説明員 御指摘のような点につきまして、無災害表彰の制度は非常に本来の趣旨に照らして間違った方向で活用されるということはきわめて遺憾でございまして、いま御指摘のような点が悪質であり、これを是正すべきであるということになりましたら、至急厳正な措置をとってまいりたいというふうに思っております。
  109. 寺前巖

    ○寺前委員 これは、あなた、それだけじゃ済まぬことになるんじゃないですか。労働災害の届け出の義務だけじゃなくして、今度は、労働災害が個人扱いになったら――健康保険のあれでもって見ているんでしょう、健康保険では労働災害の問題は適用できぬはずですですよ。使えぬはずです。健康保険給付者の不正な行為を行なっているという問題にもこれはいくと思いますよ。それから、有給休暇を――個人で休みにさせてしまうわけでしょう、有給休暇権に対する侵害でもあると思いますよ、この問題は。私はそれだけじゃないと思う。さらにもっと重大な問題を含んできているのは、基準局に対して、就業規則というものは全部ちゃんと届け出しますわな。それは労働組合とちゃんと協定に達した内容が出ていくわけでしょう。ところが、この就業規則と全然違うところの内規が労働課長名で所属の部課長に対して、「出勤不良者の取扱い改訂について」という文書がことしの十月三日出ているのですよ。それの三項の事故欠勤のところを見ると、こういうことが書いてある。「一週間以上に亘る欠勤で病気診断書のないものおよび診断書はあるが、所属長において病気によると認められない欠勤」、これは事故欠勤とするんだと書いてある。これは労働基準局で出ている就業規則の内容と違うんだ。それはあたりまえだと思うのですよ。労働災害の問題についてだれが判定下すかというたら、申告者本人が選ぶところのお医者さん、これによって届け出されて、労働災害になるかどうかきまっていくわけでしょう。所属長が、おまえは病気かこうか、おまえの休みは何日しか与えられないんだという、そういうことによって決定されるべき性格と違いますやろ。これ自身も、とんでもないところの重大な不法行為ですよ。こういう文書が所属長に対して出されている、労働課長名で。これはまた届け出に対する違法行為でもあるし、内容そのものも違法行為じゃないか。私はこれはきわめて悪質だといわざるを得ない。そういう面から、直ちに当該工場に対して全面的な調査を基準局で行なって、そうして、これは悪質として全面的な、他の面からの送検も考えなければならないというふうに思うのです。  それからさらに、私はこれがどういうことになるか知りませんが、現在の労災法によると、メリット制が採用されています。そうすると、メリット制によって、労働災害の安全度の掛け金は少なくて済むということになるでしょう。そうすると、私はここでは詐欺行為が行なわれているということになるといわなければならないのです。ここには重大な刑事上の問題を含んでいる。この問題についても労働省はもう少し責任をもってやらなかったらどうもならぬ。大工場であるだけに、私はよけい重大だというふうに思うのです。この点はひとつ明確にしてもらいたいと思うのです。  それからもう一つ問題を提起しておきます。そこで私は、同時にさっきから局長が言っておられたところの問題を最後にしたいと思うのですけれども、無災害表彰方式というものがとられているわけですね。表彰する。ところが結果は、こういうようなとんでもない災害を隠すという、そして個人のあれにしてしまうという結果を生んだということはまぎれもない事実です。そこから私はむしろ今日、基準行政において考えなければならない問題点は、労働者の権利として、労働災害にあったときには、まず本人が、自分が選択するお医者さんに見てもらって、それに基づいて労働災害の申告をするという権利があるのですよということを教えるということが、ぼくは基準局の重要な仕事だと思う。第二に、ところが本人がやろうと思ったって、この人の事例にあらわれているように、全部個人の責任に転嫁するやり方を会社自身がやるわけですよ。やられたことに対して、やはり使ってもらっているという立場から、乗り越えられない。そこで、そのときにおいて次に問題になってくるのは、使用者自身の姿勢が問題だ。そこで使用者自身に対して、労働災害は本人の申告と、本人が選ぶ医者、これのあれによって決定される、慎重にやるべきものだ、このことこそを無災害運動の基本にしなければならない、この宣伝活動を、というふうに思うのです。そういうふうに改善する必要がある。いまの無災害運動のやり方は改めるべきだというふうに思うのですが、労働大臣、どうですか。
  110. 野原正勝

    ○野原国務大臣 非常に重大な問題だと思います。いやしくも基準行政の立場において、無災害ということは、災害をなくすということは非常に重大であります。そして無災害記録ができたことに対しては、これを表彰するという規定もあります。しかし、いやしくもこういうものが、無災害記録を無理につくり上げる、そのために働く人たちが犠牲になるというようなことは許されない、そういう点で、今回の問題は非常に反省を要する問題である。したがっていままで無災害記録によって表彰等をしておったものについては、そういう事実が明らかになれば、当然これは表彰を取り消すということにしたいと思います。あくまでも無災害記録は非常に大事なことでありますから、今後もやっていくとしましても、いやしくもこれがつくり上げられたものであってはならぬ。厳正にみんなが一致協力して無災害の記録をつくったものはとうといけれども、あえてこれをつくり上げるようなことは、これはもう本意ではございません。そういう事実につきましては、ひとつ厳重に対処をいたしたい。調査の上でこれは返納させることも考えるというふうに考えております。詳しいことは、基準局長とよく相談いたしましてこの問題の対処の方法を考えたい。厳重にやっていきたいというふうに考えております。
  111. 寺前巖

    ○寺前委員 最後に、再度大臣にお尋ねしますけれども、厳重に調査をしてもらって、返すべきものは返させるというお話でした。それは当然やってもらわなければならないし、行政機関としても必要なんですけれども、この無災害表彰の方式のあり方について、私が言ったように、本人の申告の権利、本人が選ぶ医者のその判定を尊重するのだ、このことの権利を重点にするのだ、そうしなかったならばだめだという問題について、前の基準局長のときに、この態度は答弁されている内容ですよね。ところが、その内容が、事業主の側に明確に理解されてないし、すべての労働者に自覚されてない。そういう意味で、労働省が積極的に労働者の権利の問題として取り上げてもらうという点を再度質問したいと思うのです。大臣、いかがです。
  112. 野原正勝

    ○野原国務大臣 ただいまの御指摘のような点を十分尊重いたしまして、法規に基づいてこれを行なわしめるということで進めてまいりたいと思います。
  113. 寺前巖

    ○寺前委員 終わります。      ――――◇―――――
  114. 倉成正

    ○倉成委員長 次に、厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。小林進君。
  115. 小林進

    ○小林(進)委員 厚生大臣にお伺いをいたします。  「国を誤るものは、大蔵省の金貸し根性と厚生省のフヌケだと思っている。厚生省は、生れてから死ぬまでの人間のすべてを預かっている大事な役所だ。それなのに理念と指導性がない。どうしてそうなったかというと、劣等感があるからだ。成績が良い者は、ほかの省庁へ行ってしまう。だから、厚生省の役人は、予算もよう取ってこれん。だいたい、政府が指導性に欠けている。」以上でありますけれども、こういうようなことを堂々と天下の一流紙にはたかれて、大臣は一体どうお考えになりますか。これは三文新聞ではないのですよ。天下の朝日新聞という一流紙にちゃんと報道せられているのであります。私の知り得る国民に電話で聞いてみたら、大体の人が同感を表した。私に共感を与えてくれた。これは世の一人の声ではないのでありまするから、そういう意味で、国民にこれほどふぬけの省だと思われているようなイメージをなくするように、私は大臣からがんばってもらわなければいかぬと思います。  そこでお伺いいたしますが、いま予算の編成期に入っているようであります。厚生省の役人に、予算の編成期だから説明に来いと言ったってだれも来ない。まじめさを欠いてますよ。来年の年金の問題であります。厚生白書の中でも老人問題を特に取り上げたようでありまするが、それを一体予算面でどういうふうに具体化されているのか。私に与えられた時間三十分ですから簡単に申し上げまするけれども、福祉年金を来年は大体幾らにお引き上げになりますか、承りたいと思います。
  116. 内田常雄

    ○内田国務大臣 新聞の囲みのお読み上げがございました。まことに心外千万でございます。しかし世の中には、柔よく剛を制す、こういうことばもございますので、そのつもりでもやりまするし、また小林さんよく御承知のとおり、来年あたり大学卒業生の本年の上級職合格者の官庁志望者は、成績の優秀な人がほかの官庁より以上厚生省に殺到しておる、こういうような同じ新聞の記事をごらんいただきましても、厚生省に対する国民の期待と関心が集まっている。それだけにいまの新聞のようなことになってはたいへんだと考えまして、皆さま方の御支援のもとにひとつ大いにがんばってまいりたいと思います。  老人に対する福祉年金の引き上げのことでございますが、ことしの厚生白書はまだ正式の印刷はでき上がっておらないかもしれませんが、私どもが老人問題を総論に取り上げている、こういうことからも御想像いただけますように、これから日本の社会福祉に対する施策の中で、老人に関する施策は私は量的にも質的にも非常に大切な部門を占めるものと考えております。そこで年金につきましては、福祉年金につきましても本年に引き続きさらに明年はその支給の金額を引き上げたいということで大蔵省に要求を出しておるのみならず、従来は一定の金額を出すたてまえにいたしておりましても、所得制限などがかなりきびしいために、同居または別居の家族がある程度の所得があるということで、福祉年金の制度も全く絵にかいたもちで終わっておるというような状況も私はあったと思いますので、少なくとも両面から昭和四十六年度におきましてはさらに改善を期しております。  さらにもう一つ。福祉年金はもともと掛け金なしの年金だということで、いま支給年齢も一律七十歳以上ということになっておりますが、これは当国会における与野党の諸先生の御激励や御要望もございますので、これらの年齢につきましても、ある資格、ある要件に該当しております方々につきましては、支給年齢を引き下げる、こういうことで実質的に老齢福祉年金の改善をいたそうということで、大蔵省に概算要求は出しております。いよいよ日が詰まるに従いまして私も全力をあげてその達成に努力をいたすつもりでおります。
  117. 小林進

    ○小林(進)委員 厚生省へ優秀な諸君が集まるというなら、それは非常にけっこうであります。また、現在の厚生省の役人もひとつ腹をきめてやってもらいたいと私は思います。ともかく七〇年は内政の年、この資本主義の行き過ぎの中で、いま日本人は命さえ奪われようとしております。それを防いでくれるのは厚生省以外にない。ひとつほんとうに腹をきめて、いまおっしゃった大臣のおことばにうそがないならば、腹のあるところを事実で見せてもらいたいと思います。  それから、いまの御答弁は私はいただきかねる。もはや予算編成に入っておられるのですから、抽象論ではなくて――時間もないので具体的にひとつ承りたい。来年の福祉年金は一体幾ら引き上げることを要求せられたか、数字をお聞きしたい。それから、厚生省は年金局長が来てないようでありますけれども、大体私は年金局長からみんな呼んでいる。不謹慎きわまる。  そこで私は、今度は資料で要求をいたします。来年の四十六年度から七十歳以上の福祉年金を一体幾ら引き上げになるのか。それから今度は一般の年金であります。厚生年金でありますが、満六十歳から二万円の年金を支給する、これは欧米先進国に比較して少しも劣っていないとおっしゃるけれども、一体二万円の年金をいま何%の人がもらっているのか。国民の大多数が六十歳以上は二万円年金、厚生省のおっしゃるキャッチフレーズどおり事実上もらうとして、年数が一体何年かかるか。六十歳以上の退職者の中で何十%の人たちが何年目にもらえるのかという、これはひとつ数字を書面でお示しをいただきたいと思います。時間がないですから。  第二番目にまいります。第二問といたしましては、これも来年度の予算に関係いたします。いま社会保険がまた非常に赤字になっておる。特に政府管掌保険が赤字になっておる。三千億円とか三千百億円の赤字になるということで、また来年度からは一部負担の制度を設けるか、あるいはこれを増額するか、あるいは千分の七十を比率を上げて千分の七十五にするとかいうことが社会に伝えられております。これに対して厚生省は、この赤字を解消するためにいまどういう大蔵省との折衝を続けているか。片方は三千億の赤字だといいながら、今度一方には何か政管健保等の家族の医療を五割を七割にする、こういうこともおやりになろうとしているらしい。その七割はなかなかけっこうですけれども、さらに一方には赤字がふえるだけだ、こういうこともどういうふうに理論的に整理をしていま折衝を続けているのか、これも具体的な数字をあげてひとつお聞かせを願いたいと思います。
  118. 内田常雄

    ○内田国務大臣 第二点としてお尋ねの点につきましては、ただいまのところ具体的な数字の煮詰まりもございません。これはもう小林先生よく御承知のとおり、いわゆる医療保険の抜本改正の一環として財政上の処理をもいたす、こういうたてまえにいたしまして、私どものほうでは、昨年の八月以来関係の審議会に抜本改正についての御意見を諮問をいたしておる最中でございます。予算の概算要求というものは言うまでもなく八月末日でございまして、その時期はすでに過ぎておりますので、先般来私もときどき該当の審議会に出席をさせていただきまして、何とか明年度の予算措置に間に合うようにこの抜本改正に対する御答申をいただくようにお願いを申しておる、こういう最中でございますので、その審議会の答申を待ち、あるいはこれからぎりぎりまでの状況を待ちまして、私どものほうは大蔵省に最終的の折衝をいたすつもりでおります。しかし、私どもの耳にも新聞などを通じて伝わることがときどきございますが、それは私に直接申し入れがあるわけではございませんが、大蔵省は、いま小林さんが言われますように、保険料の引き上げをもって赤字対策の柱とすべきであるというような意見があるやに聞いておりますが、私は、少なくとも厚生省を預かる責任ある大臣として、いままでのところ何らそういう話も聞いておりませんので、私はその千分の七十を何十%に上げるというような具体的の数字をもって腹もきめておりませんし、大蔵省と折衝もいたしておりません。審議会に御諮問をいたしました線に従いまして給付を改善したい。一方また、事実問題として、春闘その他の結果、職員の報酬が引き上げられて、その最高限の高いにもかかわらず、標準報酬の最高限というものが十万四千円に押えられていることは事実に反する、事実に違いますので、その辺、非常に高い給与をもらっております方々の最高限度を引き上げるというようなことは、これは厚生省も考えまして、当該審議会にそういう点をいかがいたすべきかというような御諮問をいたしたことはございます。要するにまだこれは具体的には全くきまっておりません。
  119. 小林進

    ○小林(進)委員 もはや来年度予算が迫っておるときに、大臣のお話を聞いてみますと、やはり何にもつかみどころがない。実に情けないです。でありまするから私は、おそらく社会保障制度審議会や社会保険審議会に諮問中ということで逃げられるんじゃないかと思って私は聞いてみました。残念ながら社会保障制度審議会は中がこんなになっておりまするから、答申をするには少なくとも一年半は最低限かかるだろう、二年くらいかかるだろうと言っております。大臣、そんなことで答弁なすっていたって、制度審議会の答申は出ません。腹切ってもいいです。来年の予算期までに社会保障制度審議会の抜本改正の答申が出るという確信があるなら――私は出ないと断言します。社会保険審議会だってそのとおりでありましょう。中間報告を求めた。その中間報告もできないじゃありませんか。できないでそのまま流れた。これは一週間ばかり前の話でありましょう。そういう状況の中で、こういう答申を待ってこの赤字解消の問題等を考えようなどということは、私は単なる答弁の遊戯にしかすぎないと思っております。  そこで、腹をきめてやってもらわなくちゃならぬと思いますが、この三千億の赤字、これは人によっては第二の食管制度、いわゆる健保の三千億円の赤字は第二の食管制度といわれておる。この問題に対して、主管官庁たる厚生省が、まだ審議会等の答申を待つまでは腹がきまらぬというのでは、これは問題の解決にならぬ。結局これは大蔵省に追い込まれて、また一部改正、一部負担の増額改正以外にはないのじゃないかと私は思う。御承知のとおり、この社会保険の一部負担の問題は、社会党の委員長、書記長の首まで切った重大問題でありますから、われわれはこの問題に対して、党の運命を決するほどの痛みを感じておるのでありますから、今度は大臣の首ぐらいもらいますよ、こっちのほうで。いまからひとつ腹をきめて真剣にやっていただいて、これもどうやるのか、早急に私は書面でひとつ回答をいただきたい。もう厚生省――あなたが書かなくたって、幕僚もいるんだから、来年度の予算にどう処置するか。  第三問に行きます、時間がないのでありますから。――答弁ありますか。それでは答弁してください。
  120. 内田常雄

    ○内田国務大臣 第二問についての書面の御答弁という御要求でございますが、これは私が当の責任者として関係の審議会に、最終的予算のぎりぎりまでに間に合うように御答申をいただきたいとお願いしておる者が、どうせ答申はいただけないのだからかってにやりますとは私は申せるはずがない。私はほんとうに閣議で、児童手当についての予算概算要求とそれから医療保険についての予算概算要求は、これは八月末日までにはとうてい間に合わない、したがって予算の編成のぎりぎりまでには持ち出すからということで留保を閣議でとっております。いよいよになるまでは、私はやはり審議会からお考えをもらう努力を続けまして、それでもお答えが得られないという、小林さんが腹を切るというようなそういう段階になりましたら、これは私どもの責任で、大蔵省といいますよりも、自民党の内閣でもございますので、自民党の最高幹部とも十分相談をいたしながらこの問題に処していく、こういうことでございますので、書面の答弁は、いま私が申し上げたとおりということで御了解をいただきたいと思います。
  121. 小林進

    ○小林(進)委員 ひとつ大臣のお手並みを拝見いたしましょう。書面のほうはわかりましたけれども、がんばってください。  第三番目に、社会福祉の問題でありまするけれども、いまともかく婦人の労働者は急速にふえております。パートタイムはふえております。いま切実に困っているのは保育所の問題であります。特に乳児の保育所の問題であります。これが、七〇年が内政の年というならば、四十六年度の予算編成期であります。この乳児保育所、一般保育所の整備、増加の問題について、いまどういう予算の要求をおやりになっておるのか、お聞かせ願いたい。
  122. 内田常雄

    ○内田国務大臣 細目はあるいは関係の部局長から答弁をさせていただくことにいたしまして、保育所全体が、昭和四十二年ごろの厚生省の計画あるいは見通しがございますが、それが世の中が私どもの想像以上に変動いたしておりますために、保育所に入れることを待機しておる乳幼児が、当時の数字で想定した以上になっております。今日、保育所は一万三千幾つかございます。約百十六万人ぐらいの乳幼児が入所をいたしておりますけれども、とうてい足りませんので、私の気持ちでは、少なくとも昭和五十年までにはその入れる必要のある子供の全員入所というような、そういう私の意欲をもちまして、明年度につきましても保育所の増設の予算、それに対する助成予算を要求いたしております。なかんずく乳児につきましては、一番手もかかるし、また保育の要員などのパーセンテージも高いわけでございますので、それだけ措置費もよけいかかるわけでありますが、そういう事態をも頭に置き、もう一つは、おことばにもございましたが、従来厚生省が保育所としては必ずしも扱わなかったところの一種の企業付属の託児所というようなものまでも、厚生省は労働省と相談の上手を伸ばすべきだというようなことで、必要な措置を講ずべくその予算の要求をし、また制度整備につきましても明年度からさらにその構想を進めてまいるつもりでおります。
  123. 小林進

    ○小林(進)委員 大臣のおことばの中で一つちょうだいいたしたいものがあります。それは来年から五十年まで五年計画で入所希望者の幼児を全員希望どおり入所せしめる計画で進めるとおっしゃった。そうすると四十六年度は初年度になりますが、その五年間の計画をぜひひとつ具体的にお示し願いたいと私は思います。これは部職員に言っていただければすぐちょうだいできますから、ひとつお願いをいたします。  それからなお、いま事業所というお話がありましたけれども、無認可保育所に対する処置等もこの際いかようにお考えになっておるか、これもあわせてお聞かせを願いたいと思います。  それから次にいきます。次はいまおっしゃった児童手当です。これも有澤委員会から答申が出ましたが、最近聞きますと、自民党のほうでそれを若干手直しをする。けっこうでしょう。その手直しを見てみますと、少し進歩しているようでありますけれども、そのかわり来年度の実施はだめだ。何でだめだ。企業側から絶対反対だから。いま、日本の富をつくりあげてうけに入っている黒字経営をしている大企業のほうから、児童手当は実施することは相ならぬという苦情が出ておるので、政府もそれに屈服したかのように報道をされておりますが、これも大臣、余分なことは言いませんが、四十六年度実施をされる腹がまえなのか、その予算要求をやられているのかどうか、お聞かせを願いたいと思うのであります。
  124. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私は、十年近くもやれやれといってやれなかった児童手当実施のことにつきましては、無力な大臣ではございますけれども、私のおります時代にぜひやりたいという意欲をもちましてこれまで進んでまいりました。まことに幸いにも審議会のほうからも大筋の御答申がございました。しかしこれを実施に移すということになりますと、いまの大筋の答申だけではなかなか割り切れない点がございますので、それを、ただいまお尋ねにもございましたように、関係方面と折衝をいたしておりますが、必ずしも最終的にまだ折衝の結果はきまっておりません。しかし私は、四十六年度から制度はぜひ発足させたい。これは来年度はやらないのではないかというお尋ねでございますが、私は四十六年度からぜひ制度は発足させたい。ただし現実にお金が渡りますのは、これは法律事項でもございますから、次の通常国会に法律案、制度案等を提出をいたしますので、恩給あるいは扶助料その他国民年金、厚生年金なんかのいかなる場合もしかりでありますが、実際上制度は実施するがお金が該当者に渡るのは四十六年度の終わりに近くなるということはやむを得ない。しかし、それはやむを得ないが、少なくとも制度としてはぜひ出発させたいということで全力を尽くす覚悟でおりますことを御理解いただきたいと思います。
  125. 小林進

    ○小林(進)委員 これも私は厚生大臣の腹と厚生省の取り組み方と思っております。世論はあげて支持しているのでありますから。厚生省の意欲にたえかねて、革新的の地方自治体においては、わずか五百円とはいいながら、もはや児童手当を実施しているもの数カ所あるという情勢でございます。いかに政府側が国民を欺瞞し、今日までだましてきたかという何よりの証左ですから、ひとつ大いにがんばってやらなければならぬ。それにいたしましても、大臣もああやって新聞で言っているように、大蔵大臣と自民党の政調会長もあわせて年末には予算の編成を終わるということをきのうあたり言っているのです。もはや十一月の九日です。十二月の終わりになれば予算の編成は全部でき上がるというのです。それにしてはどうも作業の進め方がおそ過ぎるのじゃないか。いまごろ、もはやこういう重大な問題は、イエスかノーか、きちっと省内にはきまっていなければならないと私は思う。また、関係方面と折衝中なんという非常に情けないような気がしますが、大いにがんばっていただきまして、お手並み拝見と私ども申し上げたいと思っています。  次に、ひとつ老人ホームの問題、これも老人対策の一つでありますが、老人ホームは大いにつくってふやしてもらわなければならぬ。老人対策の一環としてやってもらわなければならぬが、いま私がお聞きしたいのは、老人ホームに関する限りは一般論じゃないのです。厚生年金か何かでつくる財団法人――太宰、前の次官か何かされておって理事長か何かやっておるあの老人ホームで、急激に入園料かなんかを引き上げられてわれわれはたまらないという、年寄りが団結をし、訴訟問題を起こすような、まことにわが日本に恥ずべきような事件がいま起こっておるけれども、大臣はあの問題に対してどうお考えになり、これをどう処置せられるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  126. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私は、厚生団が経営する老人ホームの入居料と申しますか、それの引き上げはでき得る限り急激でないほうがよろしいと思います。現在厚生団経営の有料老人ホームが十二あるそうでありますが、正直に申しまして、そのうちの十くらいは話し合いがつきまして、二つぐらい残っておりましたが、この二つにつきましても、話し合いがついたということを聞きまして、一応私は表向きはああよかったと思っておりますが、しかしこれは有料老人ホームでございまして、特別養護老人ホームとか、養護老人ホームとか、あるいは軽費老人ホームといったような老人福祉法上の社会福祉施設としての老人ホームとはいささかものが違うにしても、厚生省の傘下にある老人ホームでありますから、いろいろ人件費その他の関係で値段を引き上げなければならぬ場合でも、一ぺんに二千円も二千五百円も上がらないほうがよろしい。自後この問題については、すべて私に相談して処置するようにしたい、こういったことで戒告をいたしております。今回の問題は曲がりなりにも片づきましたが、これは今後の私は指針にいたしたいと考えております。
  127. 小林進

    ○小林(進)委員 これなんかも解決したとおっしゃいますけれども、この物価値上がりの中に、血の出るような生涯をかけてもらう年金、この年金でやっと入って細々と暮らしておる老人が、一カ月千円も二千円も引き上げされれば、これは命を取るのと同じですよ。同じだけれども、老人は若い者じゃないから、戦う意欲もないし、うまく私はだましたのじゃないかと思いますが、それは今後の問題といたしまして、こういう残酷なことはなるべくひとつ大臣から、いまおっしゃった、おれに相談しろ、これは所管ですから、かってなことをやらないようによく訓戒、戒告をひとつ与えておいていただきたいと思います。  次は例のこの前の委員会でお願いいたしました、厚生省、文部省、自治省の三省の間に、この医師不足の問題をどう解決するかというその一環としての医系大学の設置の問題であります。そのことを新聞紙上では何か三省三大臣の間に一致点を見出されたように聞いておりますけれども、その点についてお聞かせを願いたいと思います。
  128. 内田常雄

    ○内田国務大臣 これは私も合理的な解決をぜひはかりたい、ことに医師の絶対数の不足の問題のみならず、医師の地域的偏在、僻地医療等の問題を考えます際に、自治大臣の身にも私は厚生大臣としてなってやるべきだ、かように考えます。ただ一方、安直な、三年間でございましたか、あるいは中学校の上に六年間の速成コースのような形で医師を養成するということは、今日の日本の医学技術のレベルに追いつけないという問題もございますので、その辺の調整につきまして、三大臣一ぺん会おうということを関係大臣にも申し入れました結果、二週間ないし三週間前に三大臣並びに三省の当局幹部も加えまして話し合いをいたしました。その話し合いの結果が着々と進んでおりまして、それぞれ各省が他省の関心する問題の立場も理解し合って、これは私の見方では、私どもが期待するような形で私立医科大学が自治大臣の要望をいれつつ、またあの私どもの構想をいれつつ、これは大学認可は文部大臣の所管事項でございますが、文部大臣も御承認下さるものと期待をして、所期の方向に進み得るものと考えております。
  129. 小林進

    ○小林(進)委員 文部省来ていますか。――君か、大学学術局長の村山というのは。君じゃだめだと言ったのだ。君じゃ用をなさぬから、いま少し気のきいたのをよこせ。君だとこの前と同じ答弁を聞く以外にない。それだから私はだめだと言っているのです。この前も文部省が一番問題になっている。いまの話は、三省大臣が会って、私立大学が、自治大臣の要望も入れ、自治大臣は、八年制だ、そして出たら二年か三年の拘束期間を設けて僻地にしばりつけるなどという、人権を無視するような話をしているのでありますし、あなたのほうは、大臣だけれども、付属病院だけは国立のほかの病院で間に合わせよう、あとはいままでの医科林学の形で持っていこう。文部省は、原則的には何も医師は不足しない。若干不足するかもしれませんけれども、それは医師が偏在している、厚生行政が悪いから、医師の偏在でどうも国民は医師の不足に悩んでいる。全く三者の間には一致点はないのですよ。ないんだから、一番の元凶は文部大臣だから、私は文部大臣を連れてこいと言うのになかなか連れてこない。この問題は留保です。留保だけれども、しかし、予算編成期に来たって、いま医師の不足のために国民は毎日毎日泣いているのですが、四十六年度の予算の中にあらわれてくる自信が大臣ありますか。
  130. 内田常雄

    ○内田国務大臣 これは、いま申し述べましたように、私立大学の形でやりまして、私立大学の設立主体としては、私のほうにも若干の構想がございまして、その構想と結びつけながら、地方公共団体の期待する私立大学をつくる、こういうことでいきますと、私は主としてその財源は起債にまつことになると考えますので、したがってその話はできるだけ進めまして、でき得るならば私は、四十六年度の起債などにおきましてそういうことが一歩踏み出せるようなことを期待をいたしております。しかも、いまお触れになりました付属病院につきましても、必ずしも付属病院は一切要らないとは申しません。しかし、小規模の大学付属病院に今日あるところの国公立の病院をさらに整備をし、それらを教育病院とすることによりまして、資金なども大幅な節約ができるということにもなります。それらの点も自治省並びに文部省とも理解をせられまして、これは順調にそういう方向の実現の過程に進んでおる。いつからということになりますと、いまとっさのお尋ねで、私だけ先走り出してしまって、あと文部省や自治省のほうが、あれは厚生大臣がかってに走り出したと言われてもなりませんので、この点につきましては、また三大臣よく相談をいたしましてお答えをいたしたいと思います。
  131. 小林進

    ○小林(進)委員 私は、この問題は何十回となく繰り返している一番重要な問題だと思っておりますけれども、きょうは残念ながら文部大臣おりませんから、これは留保しまして、また次の機会の委員会において徹底的にひとつやらしていただきます。  最後の一問でありますけれども、それは黄害の問題であります。この前やった黄色い害の問題です。私はこの問題もやったんですよ。やったときに言ったんだ。運輸省にあるいは国鉄総裁に言ったんだ。予算編成期だから、この黄害問題に対する予算を幾ら組まれたか、その数字をおれのところに報告しろ。まだ来ないじゃないか。私は十分審議されていると思うのだけれども、来ないからけしからぬ。しかも、きょうは運輸大臣はどうしたんだ。私はたまたま黄害を考えながら、この本館のトイレへ行きました。トイレへ行って、自分のをつくづくながめた。こういう黄害を国鉄は日本じゅうに振りまいているんだと思いながらわきを見たら、わきでやっぱり放尿しているのがだれだと思ったら橋本運輸大臣だ。何だおまえさんもここでやっているじゃないか。おまえさんに質問をやろうと思っているんだが、日本国民の頭に年百年じゅう黄色いおまえのやっているようなやつを振りまいて歩いて、これに対する答弁をどうするのか。委員会に何回あんたを呼んだかわからないが、何べん呼んでも委員会に来ない。小林君、大きな声を出さないでくれ。黄色い害も公害だけれども、君の大きな声も公害の一つだ。なるほどそれは騒音防止法に若干影響するかもしれないけれども、おれの大きな声も公害だが、国鉄が国民の頭の上にふん尿を振りまいている公害と公害の本質が違う。そういうことをやっている。それをいま国鉄が赤字だからやらない。私は、これは政務次官に聞くんだが、一体国民の頭に一日何ぼのくそを振りまいているか、その数字を出せと言ったが、まだ持ってこないじゃないか。一体何百万リットルの小水を振りまいているかというその数字を持ってこないじゃないか。私が計算したら、大便において二千トン、小便において百四十五万リットル、それくらいのものを振りまいておいて、何らの処置をしないで、国鉄が赤字だからそれはできませんという理屈なのか。政務次官、それで来年度の予算の中に……。
  132. 倉成正

    ○倉成委員長 ちょっと速記をやめてください。   〔速記中止〕
  133. 倉成正

    ○倉成委員長 速記を始めて。
  134. 小林進

    ○小林(進)委員 それじゃ速記を始めたからやりますけれども、いまの問題は国鉄では何ぼ予算を組んだか。あなたの答弁なんか要らないから書類で答弁しなさい。来年度予算の中にこの黄害を防止するために幾らの予算を大蔵省と折衝中であるか、国鉄総予算の中でこの黄害対策のための予算が一体幾ら含まれているか、それが総予算の中で何%占めているか、それを早いところ出してください。  ひとつ大学問題をあなたに……。
  135. 大石八治

    ○大石説明員 辺地医療の確保のための医師の養成施設ということでございますが、三省大臣の間で話がだんだん煮詰まってきているように私も聞いております。自治省といえども、最初たしか高知で医専ということばが出ておりましたけれども、必ずしも専門学校でなければならぬというのが大臣のお気持ちではないというふうに考えられますし、いわゆる医療の担当にたえられる医師の養成ができればいいわけでありますから、そういう柔軟な態度でいま三省間で話が進められておりまして、かなり煮詰まってきているように聞きます。しかも学校法人という形でいくわけでありますから、それについては都道府県というものが入ってくるようになるだろうと思いますし、かなり明るい見通しの中で三省が進められておるという状態であります。
  136. 小林進

    ○小林(進)委員 私はこれで終わりますが、そういう医系の大学の、それは自治省でありましょうけれども、国からの補助金をやるなり何らかの予算措置が必要だと思いますから、それはどこで担当して、どこの省で予算措置を講ぜられるのか、お聞かせ願いたいと思います。  いま全般の話を伺いまして、ともかく今年じゅうに予算を編成されるのですから、期間的に考えてももはや四十五日ぐらいしかないのですから、その中で、いま聞いていますと、この予算にからまる重大問題がまだ厚生省においても自治省においても固まっていないということは、私は実に慨嘆にたえない。どうかひとつ固めるべきは特に急いで、早く予算的措置を講じていただきたいと思います。  これで私の質問を終わります。
  137. 倉成正

    ○倉成委員長 山本政弘君。
  138. 山本政弘

    ○山本(政)委員 生まれてくる幼児の千人のうちの八人が先天性の心臓病にかかっておる。その効果的な治療というのは心臓の手術しかないけれども、しかしこれには二つのネックがある。一つは、ベッド数が少ないということがあると思います。もう一つは、手術に多額の費用がかかる、こういう点があると思うのであります。それで、これは野田さんというお子さんですけれども、昭和四十一年の六月に、心臓が悪くて福岡の中央病院で精密検査を受けた。そのときには体力が不足で手術が不可能だという診断を受けて、四十四年に第一回の手術をしました。ボタロ氏管開存症、これは成功した。四十五年二月二日に第二回の手術をして、これは心室中隔欠損症という病名でありますけれども、これは成功いたしました。ただ問題は、一回目の手術から全部で十カ月入院加療したということであります。そして、その費用が二百四十一万三千五十九円。この半分は健保ですから、五割の自己負担になります。同時に、育成医療というものが十六万円入っておる。結局自己負担は百十一万円何がしかになる。問題は、そこでお伺いしたいのですけれども、育成医療というのがあるけれども、県によって所得の制限がある。そして、給付額の打ち切りなどもあるということで、制度がありながら、これは実はばらばらである。給付を受けられないために手術ができないという面もあるだろうし、手術を受けた場合に、その借金を返すために走り回るというようなことも実は聞いております。そういう意味で、せっかく育成医療という制度がありながら、それが県によってまちまちであるということになると、これは、そういう言い方はたいへん荒っぽい言い方になるかもわかりませんけれども、ある地域においてはそういう制度というものは有名無実の存在になっているのじゃないだろうか。一体そういうことに対して厚生省当局はどういうふうにお考えになっておるのか、まずこの点をお伺いいたしたいと思います。
  139. 坂元貞一郎

    ○坂元説明員 先天性の心臓疾患に対する育成医療の制度が三十九年以来今日まで、逐次内容ともに充実はしてきておるわけでありますが、いまお述べになりましたように、各県の一部で給付制限をしているということは私ども承知しております。これは何と申しましてもやはり急速にこの制度が伸びてきた、制度が伸びてきたといいますか、需要がふえてきた。ところが私どものほうでやっておりますいわゆる公費負担の制度というものが、この需要になかなか追いついていっていないというところに原因があるわけであります。したがいまして私どもとしましても、毎年毎年心臓疾患の育成医療の制度につきましての予算獲得については最大限の努力をやっているわけでありますが、医療技術が進歩したり、あるいはこういう心臓疾患を取り扱う医療機関というものが数もふえてきたということと、それからいまお述べになりましたように、非常に希望者がふえてきたということがありまして、国の予算というものが絶対額において需要に合わないというところに、この都道府県がやっております給付制限という一つの原因があるわけでありますので、したがいまして私どもとしましては、何といたしましても行政に即応するだけの予算の獲得というものを今後目標としまして、努力をいたす必要があるかと思うわけであります。現在の状況におきましては、希望者がありながらなかなか予算的にまかない切れないというために、いたし方なく各県においてこのような給付制限というやむを得ない措置をやっておるというのが実情であろうかと思いますので、今後私どもとしましては、この種の予算の獲得につきましては、できる限り最大限の努力をいたしたい、かように思っておるわけであります。
  140. 山本政弘

    ○山本(政)委員 所得税額による階層区分と自己負担というものがありますね。そこでお伺いしたいのは、東京とか富山とか大阪市とか、そういうところはほとんど厚生省の基準どおりにやっている。これは都道府県あるいは特別市なりが負担をしていると思うんですけれども、そういうことが妥当かどうかは別としても、過重負担をしている。ところが、たとえば秋田のような場合にはそうじゃない。ここに一つ、秋田の六つになるお子さんがやはり心臓が悪いということで、心室中隔欠損それから肺高血圧症のため、この二つの病気のために手術をしなければならぬということで、手術費というものはざっと八十万円くらいかかる。その人が県に育成医療申請をした。ところが月平均の所得税が三千二百五十円だということで、D階層ですか、それで秋田県は規定によればD階層であるからということで、これは月の所得税額が八百円までになっておるから、そういうわけでその人は育成医療を受けることができなくなってきた。東京都におる人はそういう病気があるときは手術を受けられる、しかし秋田におる人はそういう意味では受けられない、こういう実態が出てきますわね。これは私は厚生行政としては非常に公平を欠く行政ではないだろうか。少なくとも東京都とかあるいは富山県とか大阪市ではそういう恩恵をこうむっておる人たちが、ほかの県では恩恵をこうむれないような、そういう厚生行政というものがあるだろうかどうだろうか。しかもその人はこう言っている。手術費のほかに東京までの旅費、そして三カ月にわたる親の付き添い費などを考えると、一体どれくらいかかるのか、その準備のために私どもはぎりぎりの暮らしをしている、こう言っておるのです。育成医療というのはまさにそういう人々のためにある。多額納税者には私は育成医療は要らぬと思う。どうも厚生行政というのは、そういう意味では公正を欠いているのか、あるいは――単に予算が少ないということだけに問題が解消されてほしくない。つまりあなた方の指導という面も都道府県に対してあるのじゃないだろうか、その辺は一体どうなっているのだろうかということが一つ。もう一つは、局長のお話しのように、たいした数じゃないのですよ。私をして言わしむるならば、心臓病の患者というのはたいした数じゃない。あなた方がその気になればもっと育成医療に対する予算がとれるはずだ、こう思うのだが、一体その点についてどうお考えなのか、これは大臣からお伺いいたします。
  141. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私がお答えいたすのがよろしいのでしょうが、児童の先天性心臓疾患の手術に対する育成医療の処置等につきまして、私は実はつまびらかにいたしておりません。が、先ほど来先生とわがほうの局長との質疑応答を伺っておりますと、せっかくこの育成医療という制度がつくられ、不満足ではあっても予算に盛られるような仕組みになっておりながら、それが地方公共団体によって取り扱いに差異を生じ、またせっかくの制度の趣旨が生かされていないというようなことがあることはいかにも残念でもあり、適当でもないので、これは私もよく局長からも実情を聞いたり、厚生省の意見を先生がおっしゃるように前向きの方向に引っぱっていくような努力をすべきではないかと私は思っております。十分なお答えができなくて申しわけございません。
  142. 山本政弘

    ○山本(政)委員 これは私の計算ですからあるいは正しいかどうかわかりませんけれども、要するに三千二百六十円という所得税を取られる人の月収というのは、大体十万円あるいは十万円を欠くかもわからぬと思うのですが、その辺の見当じゃないかと思うのです。そうすると、標準家族で十万円の人たちがたとえばの話秋田におって、東京に子供さんを入院させて、そして片一方手術治療をさせながら、片一方生計を営んでいくということは、これは常識からいったってやはり無理があるだろう。いまのこういう高物価、そういう中で生活が――そのための育成医療だと思う。これは秋田だけではありません。秋田はこれからいけば悪いほうですけれども、もっと悪い県があるわけです。たとえば埼玉とか石川とか奈良とか三重とか鳥取とかいうところは所得制限ということであって、もっと条件が悪い。つまり所得税の非課税世帯にしか育成医療を適用しないという考え方ですから、条件からいえばはるかに悪いわけです。そういうところにも心臓病の患者がおると思うのです。もしその人たちが、勘ぐっていけば、たとえば条件のいい隣の県に行って、便法的にそういう生活の居を移して手術を受ける、そういうことも出てくるのではないだろうか。要するにそういうことを監督官庁としてそのままに放置していいかといえば、やはりいけないと思うのです。その点で、育成医療予算は年々ふえております、年々ふえておるけれども、もっとふやすという考え方をひとつ貫いてもらいたいと思うのです。これは私のお願いであります。このお願いに対して一体どういうふうに皆さんお考えになっておるか。
  143. 内田常雄

    ○内田国務大臣 いまの局長の説明によりましても予算は毎年ふやしてきておる。本年度も昨年度の倍程度にはふやしているが、とうてい足りないということで、これはやはり毎年前向きで処理ができるようにふやしていくべきだ、こういうことを局長自身も言っておるようでございますので、私もそれはぜひそうしたいということでお答えを申し上げておきます。
  144. 山本政弘

    ○山本(政)委員 ぜひそうお願いをいたします。  それで、育成医療の制度ができたというのは、昭和三十九年の児童福祉法の二十条の適用で心臓病も適用された、こう思うのですけれども、育成医療というものがなぜ先天性の心臓病だけに適用されて、後天性、つまりリューマチ熱による後天性の心臓病者に対して適用されてないか、この点についての理由をお聞かせいただきたいと思います。
  145. 坂元貞一郎

    ○坂元説明員 育成医療という制度の最初のスタートのときの趣旨は、身体障害児につきまして、比較的短期間の入院治療等を加えることによってその障害が除去できる、あるいは機能の回復ができるというようなはっきりした見通しの立つ対象の者に対して、育成医療という医療的な処置を加えることによりまして機能回復をはかっていこう、こういうのが最初のスタートでございまして、したがいまして現在、育成医療の対象の障害といたしましては、普通の肢体不自由児なりあるいは心臓疾患なりあるいは臓器等の障害というようなものが入っておりますが、いまお尋ねの後天性の心臓疾患、心疾患ということになりますと、これはむしろ医学の専門家のほうの議論の問題になるかもしれませんが、外科等の手術を加えることによってもこの後天性の心疾患というものはなかなかなおりにくい、回復ができないというのが一般の医学の常識になっているようでございます。したがいまして、いま申しましたように先天性の心疾患、心臓疾患だけを対象にしているわけでありますが、今後医学、医術というものが飛躍的に進歩してまいりますと、後天性の心疾患につきましても何らかの医療的な手段を講ずることによって明るい見通しが得られるというような段階がまいりますならば、この育成医療の対象にしていく時期が来るのではなかろうか、私どももこういうふうに思っておりますが、現在のところ、やはり後天性の心疾患というのはそういう外科的な手術等によっては機能の回復はできないというのがいわば一般の医学の常識になっておるように聞いておりますので、育成医療の対象にはしていない、こういうことになっておるわけでございます。
  146. 山本政弘

    ○山本(政)委員 大阪大学医学部第一外科の曲直部教授の「心臓弁膜症の外科的治療(弁の外科手術の現況について)」という講座のあれがあります。これによりましたら、私は専門家でないからよくわかりませんけれども、非直視下交連切開術の手術成績は、教室における手術例五百例の経験では死亡率六%となっております。手術後五年以上経過した症例について術後アンケートで調査してみると、日常生活を普通に営むことのできる人は生存例の七六%になっておるというわけです。もう一つ、僧帽弁置換術の成績というものについてもこれに書いております。症例の約七〇%が術後四年を経てなお生存することができるようになった、症状の改善とあわせて内科的療法の予後よりすぐれていることは言うまでもないと、この心臓の手術を高く評価するようになってきている。そして、その是非は別でありますが、札幌の医大ではありませんけれども、心臓を置きかえようというようなことまで出てきておる。医学の進歩というのは、私はあなたがおっしゃるよりもはるかに進んでいると思う。むしろ厚生省の認識のほうが、進んでおるまい、おるまいという態度を――極言すれば、そのほうが予算に関連があるから、そういう態度でしかないというふうに私は考える。ちゃんと数字が例証しておるじゃありませんか。これが第一点。医術が進んだならばというのならば、医術はそこまで進んでおります。  第二点は、おそらく症状が固定していないからだ、こういうお話かもしれません。そうですね。そうすると、もし手術をしなければ、固定をしないでよくなるということはあり得ない。悪くなるということはあり得ても、よくなるということはあり得ない。そうして、手術をすれば、いま申し上げたように、常人と変わりのない作業ができるということになれば、なぜあなた方が前向きにそれをとることができないのだろうか、それが第二点であります。あなたのおっしゃることに対する私の反論であります。   〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕  もう一つある。心臓をかりに人工弁によって取りかえるということは、たとえば手が悪くなった、切断をしてそこに義手をつける、そういうことと何ら変わりがないじゃありませんか。  私はいま三点申し上げた。二点については局長に対する反論として私は申し上げたのであります。三点については、弁をかえることによってかなりの部分が固定をするということであります。しかも、ほっておけば悪化をするものが固定をする、その可能性が非常に大きいということであります。そして人工弁に取りかえる。かりに弁を取りかえるということは、義手をつける、あるいは義足をつけるのとどう違うのか、その辺をはっきりしていただきたいと思います。
  147. 坂元貞一郎

    ○坂元説明員 これは学問の問題になるかと思いますが、私どもが現在まで承知しておるところでは、先ほど私申し上げましたように、後天性の心疾患、特にその大部分はリューマチ熱等によるものでありますが、たとえばそういう心臓弁膜症等の疾患につきましてはっきり外科的手術で見通しがつくというところまで現在日本の医学の常識としては行っていないというふうに、実はいま承知をしておるわけであります。もちろんお述べになりましたように、一部の、大阪大学の先生とか何かあるいはそういう症例をお持ちになっていられる方があるかもしれませんが、私どもとしましては、そういうような現在の状況を踏まえましてこの問題の結論を出しているわけでございますが、もちろんいま最後にお述べになりましたように、人工弁膜等の開発というものが今後急速に発展していく、進んでいく、もちろんいま人工弁膜の開発も行なわれているようでございますので、そういうものが今後明るい見通しを得られるという段階がもし近く参るとしますならば、私どももこの問題についてはうしろ向きに、消極的に扱うつもりは全然ございません。したがいまして、これはやはりもう少し私どもも、学問の問題としましてあるいは医術の問題としまして、専門家等の意見を十分拝聴しまして、そして結論を出すつもりでおりますが、私どもは過去三年間後天性の心疾患の診断等についての研究もやってまいりました。若干明るい結論を得ておりますが、まだ確証を得るところまで至っていないというのが大かたの先生方の意見でございますので、これは私もしろうとでございますから、決して山本先生と議論するつもりはありませんが、もう少しこの問題は学界自体の問題として、私どもも専門家の方の御意見を十分拝聴し、そして見通しが立つという確証が得られますならば前向きに考えていく必要がある、私はこういうように思っております。
  148. 山本政弘

    ○山本(政)委員 ことばを返すようですけれども、局長は大阪大学の先生はそうおっしゃっておるかもしれぬ、こう言っているが、東京大学の名誉教授である木本誠二さん、現在は三井厚生病院長でありますけれども、この方も心臓に関する外科的な手術というものが、つまり心臓外科の発達というものが非常に進んできている、こうおっしゃっているのです。そして代用臓器の時代、それも夢ではないということまで言われている。もう一つ、日本大学医学部の大国助教授、この方も心臓外科の発達ということについて述べられている。そして同時にこの方は、僧帽弁閉鎖不全には自然治癒もあると言われている。つまり手術によって固定をする方法もあるだろう、自然治癒の可能性もあるだろう。そして私は専門的なことはわかりませんけれども、狭窄の手術はきわめて安全であるとも言っているのですよ。そうすると、どれ一つとってもあなたのおっしゃるように、つまり悲観的とは申しませんよ、しかしまだまだというふうな態度で過ごすべきじゃない、もっと前向きになぜお考えにならぬ、こう私は思うのです。なおかつ、育成医療というせっかくできた制度によってかりに後天性の人たちも手術を受けるということができるならば、少なくとも悪化をする人たちがかなりな程度防げるということも事実でしょう。そうじゃありませんか。厚生省の態度としては、問題は病気にかかった人をよくなる方向へ――つまり病気にかからぬようにというそういう政策はありますよ。しかし、かかった人には治療する方向へ方向へ、そしてよくなる方向へ政策的にもっていくというのが私はあなた方の政策じゃないかと思うのだけれども、そういう可能性の道というものが展望として開かれつつあるならば、なぜそういうことに目を向けないのか。どちらでもけっこうでございます。大臣でもけっこうだし、局長でもけっこうですが、もう一ぺん御答弁願いたいと思います。
  149. 内田常雄

    ○内田国務大臣 これも私は、山本さんと局長の質疑応答を聞いておりますと、おのずから山本さんの言われる方向をたどらざるを得ないことになると思います。厚生省はそれを阻止すべきではない。ただこれ学界、臨床界の諸説もあることでございましょうから、またこれ、すぐそういうことを言うとおしかりを受けるかもしれませんが、客観性といいますか、納得性の問題もございましょうから、その辺突破すべき時期なり態度なりというものはあるかもしれませんが、いまも述べますように、私はそういう方向に参ることだろうと思いまして、これをやはり前向きに厚生省としては取り上げていくようにいたしたいと思います。
  150. 山本政弘

    ○山本(政)委員 たいへん大臣の御答弁というのはありがたいのですけれども、なぜ、取り上げると、こう言っていただけないか。たいした予算、じゃないでしょう。それなら、なぜあなたがたは身体障害者手帳というものをお出しになっているのです。そう言うと、これからは出しませんと言われては困るけれども、身体障害者手帳というものは、先天性の心臓疾患にもそれから後天性の心臓疾患にも出されているわけでしょう。身体障害者としてあなた方お認めになっているわけですよ。現実にはもちろん身体障害者手帳を出すことについてのいろいろな基準があって、それが全国的には、私をして言わしむるなら、確たる基準になっていない。たいへん基準というものがあいまいだから、凹凸はあるかもしれない。だけれども原則的には、あなた方は先天性、後天性を問わず、身体障害者手帳を出している。あなた方自身が身体障害者と認めているのなら、なぜ手術についても、後天性の子供さんたちに対してそういうことを認めてやらないのか、あるいはおとなの人に対しても認めてやらないのか、これが私わからないのです。片一方では認知しながら、よそのほうに顔を向けたら、私は認知していませんというのと同じじゃありませんか、その点もう一ぺん……。
  151. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私は、お説ごもっともでありますので、育成医療の対象としては、後天性の児童の心臓疾患手術については適用しますと言ってしまいたいのはここまであるのでございますが、これは私が同時に大蔵大臣を兼ねておりますと、私はほんとうに言ってしまうかもしれません。しかし、山本さんも苦労人でいろいろ御承知と思いますが、いまの障害者手帳の問題にいたしましても、これはおそらくやはり視覚とか聴覚とか肢体不自由とかいう外的の障害から出発して、そして内臓疾患に及んできた。そうして、あるいはまたいまのお尋ねと同じような意味で、未解決の特別児童扶養手当というようなものも中途はんぱの形になっている問題等もございまして、これは私が意地悪でとめたわけではありません。私が厚生省に来てみたらそうなっているわけでありますが、私はきょうの議論を聞いてみまして、大いに得るところもございますので、大臣の答弁としては、先ほどお答えを申し上げたとおり、御議論の応酬もよくわかりましたので、そういう前向きの努力をいたします、こういうことでひとつ御理解をいただきたい。
  152. 山本政弘

    ○山本(政)委員 私は、これで大臣のいいことばを得れば、次の質問全部やめてもいいんですよ。と申しますのは、要するにこれは後天性のことですよ。リューマチ性の心臓病で、僧帽弁膜症あるいは動脈弁膜症というのは、これは障害でしょう。病気じゃないでしょう。障害だからあなた方は身体障害者手帳を出しているのだと思うのですよ。奇形なんだからね。弁そのものが普通の弁ではなくて奇形の弁だから、これは障害でしょう。先天性のことを言っておるのではありません。リューマチ性の熱による後天性のことを言っているんですよ。それは病気か障害か、その辺をはっきりしてください。
  153. 坂元貞一郎

    ○坂元説明員 障害です。
  154. 山本政弘

    ○山本(政)委員 障害なら、何で障害に対するあなた方のそういう態度をおとりにならないのか。身体障害者ということをお認めになれば、リューマチ熱による後天性の心臓疾患者というのは、病気でなくて障害者でしょう。障害者なら何で適用をやらないのです。それをちょっと聞かしてください。
  155. 坂元貞一郎

    ○坂元説明員 障害者であることは事実であります。先ほど私育成医療という――これは先生御存じのように、育成医療の趣旨からそういうことに現時点においてはなっておるわけなんです。つまり短期間の入院治療等によって、外科的手術を施すことにより機能が回復できる、障害がある程度除去できる、こういう見通しのあるものについて、育成医療という制度で国が公費負担をしている、こういうかっこうになっているわけでございます。ところが、先ほど来先生からも言われましたように、後天性の心疾患につきましてはっきり現段階において外科的手術というものが確実に可能かどうか、この点が問題点になって育成医療の対象になったりならなかったりする、その分かれ目になるわけであります。したがいまして、先生おっしゃるように、育成医療の対象になり得る外科的手術というものが後天性の心疾患についても十分可能である、医学的にそれが可能である、こういう見通しがはっきり立つということであれば、先ほど来御答弁しておりますような方向で考えたい、こういうことを申し上げているわけであります。   〔増岡委員長代理退席、伊東委員長代理着席〕
  156. 山本政弘

    ○山本(政)委員 だから言っているでしょう。だからあなた方のおっしゃっていることは、一つは、障害が固定しないということが一つの理由であります。第二点は、医学の発展がそこまでいってないというのが第二の理由。第三点は、子供について少ない、そうしておとなについて多いということが第三点の理由です。  その中で、医学の発展がそこまでいってないということについて、たとえば僧帽弁不全並びに狭窄という病名で、人工弁の移植をやった人に私は会ったことがある。このオペというのは、四十年ごろまではたいへんだったけれども、いまはオペとしては一般化している、こういっているんですよ。あたりまえの手術になっているわけです。何で坂元さんは前進をすることを好まれておらぬのか、そこまでなっていたらなぜそれをお認めにならぬのか。認められるならば、なぜその措置をおとりにならないのかということが私の疑問です。
  157. 坂元貞一郎

    ○坂元説明員 決して結論は違っているわけではございません。したがいまして、そういう学会なり現在の日本の医学技術というものの進歩の程度というものが、先生おっしゃるような状況のところまで、レベルのところまできているということでありますならば、私どもとしましては、大臣もお答えいたしましたように、この問題については前向きに考えていきたい、こういうことを繰り返し申し上げているわけでございます。
  158. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それじゃ前向きに考慮していただくということで次の問題に移りたいと思うのですけれども、育成医療というのは十八歳未満の児童を対象にしているのですね。そうですね。――そうすると、おとなになってからの人たちにはそれは適用されてはおらぬということですか、どうでしょうか。
  159. 伊部英男

    ○伊部説明員 ただいま児童局長が答弁いたしましたのは十八歳未満の児童に関するものでございますが、十八歳以上は児童福祉法の対象ではございませんで、身体障害者福祉法の対象になるのでございます。これにつきましては、従来育成医療は児童に対して行なわれておりましたが、おとなに対してはまだ行なわれておりません。本年度、関係者におきましてもいろいろ相談をいたしまして、十八歳以上の心臓機能障害者につきましても、身体障害者手帳を有するこれらの方々につきましては、更生医療を適用し、その福祉をはかることとした次第でございます。  本年度から、先月社会局長通牒をもちまして、先天性心臓疾患による心臓機能障害者に対する更生医療の給付を始めるということを明らかにした次第でございます。
  160. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうするとそれは通達だけで、きちんとして予算に出てくるわけですか、予算に出てこないのですか。
  161. 伊部英男

    ○伊部説明員 更生医療に関する予算があるわけでございますが、その中においてまかなうという趣旨でございます。
  162. 山本政弘

    ○山本(政)委員 つまり、実質的な適用を考えているということですね。
  163. 伊部英男

    ○伊部説明員 ただいまお答え申し上げましたとおり、去る十月二十一日、先天性心臓疾患による心臓機能障害者に対する更生医療を始めるということを明らかにした次第でございます。
  164. 山本政弘

    ○山本(政)委員 局長の答弁で一応納得いたしておきます。しかし、私の希望を言わせていただけば、私の言いたいことはよくおわかりだと思いますから、ひとつ前進をするように取り計っていただきたいと思うのであります。  そうすると、残るのはやはり後天性になりますね。おとなの場合にも後天性になる。そうすると心臓病については、おとなも子供も通じて後天性というのはどうにもならぬということですか。今回についてはどうにもならぬということなんですか。
  165. 坂元貞一郎

    ○坂元説明員 どうにもならぬということではございませんので、先ほど来から申し上げているようなそういうレベルというものが、日本の医学技術に現在確保できているというこの判断が立ちますならば、私どもとしては後天性の心疾患については前向きにやっていく、こういうことでございます。
  166. 山本政弘

    ○山本(政)委員 では判断を立てるあなた方の方法は、どういうふうにして今後判断を立てるのですか。つまり私がお伺いしたいのは、そういうものに対する、よく知りませんよ、審議会があるのかどうか、そしていつごろそれをおやりになるのかどうか、そういうことをひとつ聞かせてください。
  167. 坂元貞一郎

    ○坂元説明員 審議会ももちろんございますが、やはりこの方面の専門家、つまり学会等の専門家というような方々の御意見が一致するということをわれわれはすぐに考えながらこの制度を前向きにやっていく、こういうことに段取りとしてはなると思います。
  168. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そういうことになると、あなた方の意図とは別に非常に時間がかかるのじゃないか。学者なんというのは、そういうことを言ったらおこられるかもわからぬけれども、学会でいろいろな意見がありますよ。たとえば十人のうちの二人の人たちがそういうことに対して反対の意見、つまりあなたがおっしゃるように外科手術というものがそこまで発展していないということになったら、なかなか結論は出ませんよ。学会というものはおそらくそういうものだと私は理解しております。そうしたら、何をもってそういうことに対する基準にするのだろう。つまり悪く解釈をすれば、意見がまとまりませんから、まとまりませんからといって、毎年毎年そういうことになっていったらどうなるんだろう。三年たっても四年たっても、そういうあなたのお答えのとおりになっていくんだったら、いつまでたってもできないということにひとしいですよ。そうでしょう。
  169. 坂元貞一郎

    ○坂元説明員 できないか、できるかということは問題外としまして、やはり現実にこのような高度の心臓手術という外科的な手術をやってもらうわけでありますので、もしそういうような高度の外科手術ということになりますと、専門家というものはおそらく限られてくるだろうと思います。日本の現状からいってこのような外科手術をやれる医療機関というものも、おそらく当分の間はそう数は多くないというようなことが片一方においてあるわけでございます。したがいまして、そういう専門家なりあるいは専門的な医療機関、高度の医療機関というようなところでもしこの問題を前向きにやるという場合は、当然医療なり手術がなされるわけでありますので、そういう方面の専門家あたりの御意見というものは、これはわれわれ行政機関として当然御意見を聞きながらやっていくということにしなければ、ただ役所が行政的に考えてものごとを運ぶということにつきましては、この問題、やはりちょっとむずかしい問題がある。私はこう思いますので、先ほど来からこう山本先生からいろいろ御注文をいただきながらも、やや煮え切らない、歯切れの悪い答弁をしているようでございますが、この心臓外科手術というのは非常に高度な技術を要する手術だということが言われているわけでありますので、そういうやはりその方面の専門家の御意見というものがこの問題をきめるきめ手となるのじゃなかろうか、私はこういうふうに思っているわけでございます。
  170. 山本政弘

    ○山本(政)委員 つまりこれは両方にかかわるけれども、更生医療についても実は自治体のほうが先行しているところがあるのですよ。厚生省よりも前向きに考えているところがある。四十四年に愛知県でそういう予算を計上したことがあります。これは国のほうで予算化しないので適用されなかった。四十五年は愛知県、富山県が予算化しているのですね。更生医療の場合には、厚生省より地方自治体のほうが先に行っている。それは確かに心臓の手術がたいへんじゃないとは言いませんよ、先ほど申し上げたように百万をこえるような、平均して四十万くらいの金がかかる手術ですから。だけども厚生省のほうでお考えになっていただきたいことは、問題は心臓の手術が必要である人が受けられないということなんですよ。その手術というものが可能であるけれども、その手術自体を受けられないということが問題なんだと私は言っているわけです。だから私はそういう意味では、坂元さんは医学的な問題だけでお逃げになっているような気がする。実態は、ちゃんと手術をすれば問題によってはなおる人がおるわけです。たいへんむずかしい手術があるかもわからぬ。しかしいまさっき申し上げたように、手術としてもうすでに一般化して一〇〇%近い治癒例というものがあるし、そして何年かたった後の調査によっても常人と変わらないという例が出てきているという場合に、そういう人たちがなぜ手術が受けられないのだろうか。ただそれは心臓の外科手術というものがたいへんだということで、あなたの答弁がまともだとは私は理解できないのですよ。その点、一体どうお考えです。  これはむしろ大臣にお聞きしたほうがいいかもわからない。つまり坂元さんは、非常にむずかしい手術であるから検討してくださいと言う。しかし現実に手術をしたら、つまり程度の問題があるかもわからないが、非常にむずかしくない手術で、手術をすればこれは確実になおるという場合に、実はその人たちまでも結局手術を受けられないということなんでしょう。だから、少なくともそういう人たちにだけでも適用するということがあっていいじゃありませんか。それだって私は一歩前進だと思う。
  171. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私はよく知りませんが、経過的には育成医療というものはやはり先天性の疾患についてこれが取り上げられ、漸次また医学技術の進歩というようなものが、山本さんが御指摘になるようにプレベールしてきて、そうなってくるとこれは後天的の心臓の手術についても、あるいは人工弁というようなものは補装具と同じように取り上げられていいものだというような時代にだんだん入ってきているようなふうに私は承っておるわけであります。承っておるわけでありますが、これは役所が決して不親切というわけではございませんけれども、いろんな経緯や経過や発生の順路から考えまして前向きに処理しますという御答弁をしておるわけなんでしょうが、私はおっしゃるとおりであればおっしゃるとおりになりましょうし、またここまで私は申し上げ得ると思いますが、おっしゃるとおりであればしていいと私は思います。しかもこれは十八歳未満の児童のみならず、もはやその段階においては成人についても同じだと私は考えます。それでひとつ御理解をいただきたいと思います。
  172. 山本政弘

    ○山本(政)委員 いまさっき私は、外科手術の中では比較の問題として難易の問題があるだろう、その問題で、要するに比較的容易な手術で治癒する人さえ適用ができないということに問題があるだろう、こう言ったわけでしょう。  もう一つの議論からいえば、先天性の手術というものは育成医療で手術ができるわけで、これだってたいへんな難易があると思うのですよ。そうしたら後天性のほうだってやれるはずだ。先天性にやれて後天性にやれないということはないんじゃないですか。これはすでにあなたの議論の中から解消されている。それで問題は一点だけでしょう。坂元さんのおっしゃるのは、医学上の難易という問題だけでしょう。障害というのはあなたもお認めになったし、固定という問題についてもあなたは異論を申されなかったように私は理解している。しかも考えなければならぬことは、手術をする場合に体力の問題があるから、心臓疾患の人たちは十八歳くらいまで待たなければならぬという問題があるのですよ。そうすると手術というものはそういうところに焦点を当てて、予算上の問題とかあるいはそういう医療の問題というものをあなた方もお考えになるのはあたりまえじゃないですか。理屈から言えばそのとおりだと私は思うのですよ。大臣そうじゃありませんか。
  173. 内田常雄

    ○内田国務大臣 ところが、いままでそうなっていない。いないが、なぜそうなっていないのか私はよく知りませんが、私などしろうとで聞かされているところによりますと、先天性の心臓疾患については手術して治癒の可能性が十分ある、後天的な心臓疾患については手術をしても必ずなおるかどうか、また手術がむずかしいというような問題もあって、相当巨額のお金を使ってもむだ金になってしまうというような事態もあると考えられて、この育成医療なり更生医療の出発点においては後天性のものを取り上げてこなかったのであります、その時点においては。しかし山本さんがいろいろ御研究になってじゅんじゅんとお説きになっていることは、根拠に基づいて言っておられるのだからそうなるだろうと私は考えております。しかし私は医者でもないし、また山本さんも医者でもないし、この坂元局長も医者ではないのにこの場においてそうしますと言わさないでも、速記録をごらんになりましてもあなたの議論が十分効果を発揮することは私はそうだろうと思いますから、先ほども最後に、そうなることと思いますのでそれをひとつ私の答弁とすると申し上げておるわけでございます。行政の限界の問題がありますので、その辺でひとつおおさめいただければと思います。
  174. 山本政弘

    ○山本(政)委員 大臣は引き続き厚生大臣の職務を行なわれるわけです。だから私申し上げているわけです。そして、おそらくそうなるであろうということじゃなくて、積極的に――積極的にというのはあなた方がそれを取り上げなければならぬという、ある意味では責任がおありになるだろうと思うのです。ここで大臣おやめになるのなら話は別だけれども、引き続き――私にとってたいへん幸運だと思うのです。引き続き大臣がおやりになるからお願いをしているわけです。何でこのときに、最大限の努力をいたしますということをあなたがおっしゃれないかということです。
  175. 内田常雄

    ○内田国務大臣 それでいいのでございますか――最大限の努力をいたします。ただ、ここでやることにいたしましたとは申し上げられませんが、専門のサークルもあることでありましょう、最大限の前向きの努力をいたし、この議論がたいへん実りあるものであったことにいたしたいと思います。
  176. 山本政弘

    ○山本(政)委員 最後に、時間があまりありませんけれども、献血は一〇〇%軌道に乗りつつあると思うのですけれども、絶対量が足りない。そのことによって不当に患者並びに患者の家族にしわ寄せをされているという事実がある。そして、これは私の聞いたことが間違いかもわかりませんけれども、輸血をしてもらう場合に料金を上げるという話も実は聞いておるのです。そういうことに対して厚生省は一体どうお考えになっているか。つまり赤十字が、二百CCに対して千五百五十円ですか、この値段をさらに上げるというような話を実は仄聞しているわけです。その事実があるのかどうか。そして厚生省は一体そのことに対してどうお考えなのか、それをひとつ。
  177. 加藤威二

    ○加藤説明員 血液の問題でございますが、血液につきましては四十四年度におきまして集めました血液が約四十七万リッターでございます。そのうちの大体九〇%を献血でまかなっております。四十五年度は目標五十万リッターということでございまして、献血のパーセントも最近非常に上がってまいっておりまして、約九六%ぐらいまで献血でまかなっておる、こういうことでございます。ただ地域的にあるいは時期的に血液が不足しているという事実もございますので、これで十分というわけではございませんので、さらに献血の促進をはかって血液の確保をしていきたいというぐあいに考えております。  それから血液の値段でございますが、これは先生いま御指摘のように、現在二百CC千五百五十円でございます。これは保険で、点数といいますか、各都道府県できめておりますが、それが一応全国的に千五百五十円ということになっております。これにつきましては、もちろんこの千五百五十円というのは――これは献血をされる方の善意によって無料で血液が集められておりますので、これは血液それ自体の値段ではないわけでございます。ただ血液を集めます場合、それに要する人件費、お医者さんとか看護婦あるいは献血車を動かすいろいろ事務的な費用、これが二百CC当たり千五百五十円、こういうことになっておるわけでございます。それでこれが最近の人件費、物件費の値上がりで非常に不足している。それで四十四年度の決算で日赤のこの血液関係で約一億三千万の赤字が出ている、こういう実態でございますので、この血液の値段を上げてもらいたいという要求が確かに出ておるわけでございます。その問題につきましては、私ども現在保険局と慎重に協議をいたしておりまして、そのアップの要求をのむかどうか、のむとすればどのくらいの程度のむかということはまだ未定でございますが、事実は確かに、値上げの要求というものが出ておるということは事実でございます。
  178. 山本政弘

    ○山本(政)委員 つまり局長のおっしゃるのは、千五百五十円は血液の管理調整費だということでございますね。決して売買の値段じゃない。そうしたら何で――これは関西のできごとですね、まくら元輸血の血液二百CCについて日赤が八百円から千円のお金を徴収しようとした事実がある。それが反対によって取りやめになった事実もあります。そういう事実が現にここにあるのです。資料としても私持っております。そういうことに対する厚生省の考え方は一体どうなんです。
  179. 加藤威二

    ○加藤説明員 その点については私詳細に承知いたしておりませんが、おそらくただいま申し上げました千五百五十円というのは、これは保存血液のために要する経費でございます。まくら元輸血と申しますのは、まくら元に直接献血者、献血をされる方に来てもらって、そこで輸血をするということになりますと、これは保存血液ではないわけであります。保存血液と申しますのは、日赤で集めまして四日の間にいろいろ検査をいたします。必要な薬物を入れましてそして輸血用の血液といたしますのが保存血液、これは医薬品でございます。それが千五百五十円ということでございます。いま先生御指摘のものは、おそらく新鮮血というもので、四日前のものでない。したがってこれは千五百五十円という拘束はないわけでございます。したがって医薬品でもない、こういうことでございますので、おそらくそういうような事態が出てきたのかと思いますが、しかしこういうものについて、そういう値段をさらに八百何十円取るということは、私どもとしては適当ではないと思いますので、そういうことのないように指導してまいりたいと思います。
  180. 山本政弘

    ○山本(政)委員 適当であるとかないとかという問題もあるでしょうし、それから、たとえば技術料として点数の中にこういうことが入っているのか入っていないのか、それはどうなんですか。
  181. 加藤威二

    ○加藤説明員 この千五百五十円の中は、先生御指摘のように管理費的なものでございまして、お医者さんが採血をする、看護婦が手伝う、それからいろいろなところから集めてくる輸送費とかそれから保存する経費とかそういう一切の、要するに血液それ自体の値段以外のものが一応全部入っているということでございます。
  182. 山本政弘

    ○山本(政)委員 ちょっと私の質問が悪かったかもしれない。つまり関西でそういうことがあったその八百円から千円という値段については検査料として取った、そういう検査料として取った値段、価格というものが検査の技術料として保険なり何なりの点数の中に入っているのかどうか。
  183. 加藤威二

    ○加藤説明員 この千五百五十円にはそういうものは入っております。
  184. 山本政弘

    ○山本(政)委員 千五百五十円とは別の、関西でまくらもと輸血の際に血液検査代として八百円から千円取ろうとしたわけでしょう。その八百円から千円というのが、局長のおっしゃることは、それは不適当だと思う、こうおっしゃっておったけれども、検査代として、技術料として、要するに点数になっているのかなっていないのか。
  185. 加藤威二

    ○加藤説明員 それは保険の点数に入っているそうでございます。
  186. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それは、八百円から千円という値段で入っているのですか。
  187. 加藤威二

    ○加藤説明員 金額については私承知しておりませんが……。
  188. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それじゃこれはもう一ぺんきちんと調べて、そしてあとでけっこうですから、ひとつ私にお知らせいただきたいと思います。  もう一つ、福岡県で、献血をするということで百五十人が集まった。そうしたら日赤が、三百人集めなければ採血車は回すことはできませんといって断わったという事実もある。献血と預血という場合に、献血というものが一〇〇%にだんだんなりつつあるということは、これはいいことでしょう。しかし絶対量が足らぬ場合に、善意の人たちが百五十人も集まって献血しましょうといったときに赤十字が、三百人集まらなければ採血いたしません、そういうばかなことが一体許されるかどうか。
  189. 加藤威二

    ○加藤説明員 おそらく福岡でそういう措置になったというのは、百五十人では採算といいますか、そういうものが赤字が出るということで、もう少したくさん集めてから献血車を回す、こういう措置をとったと思うのでございますが、これは私、いま先生御指摘のように血液それ自体が不足しておるときでございますので、赤字黒字の問題じゃないと思います。そういう措置は不適当だと思います。現在は大体百人以上集まれば車を回すという指導を日赤本社のほうでもやっておるようでございます。
  190. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そういう事態が起こることについて、一体どこに問題があるかということを実は私は申し上げたい。国が何でもう少し補助を出さないのか、厚生省としてはその他の方面に補助を出しておると思うのです。だけれども、そういう問題が起こらないように、献血とか、要するに血液の保存とかいうことについて今度は予算を組んでおるのですか。
  191. 加藤威二

    ○加藤説明員 この血液の問題につきましては、国といたしましては、たとえば採血のための血液のセンター、出張所を設けるとか、そういう設備費については補助金を出しております。それからいろいろな献血車とかそういう自動車をつくるというようなことにつきましては、自転車振興会の金とかあるいは船舶振興会の公益的な金、これをできるだけ回すようにいたしております。ただ、いまのような日赤の運営費につきましては、これは日赤法でも国の補助の規定がございまして、これについては日赤の事業の施設と設備については国が補助できる、こういう規定がございます。運営費について、一応日赤法の所管といたしましては、運営費の補助という規定がないわけでございます。(「直せばいいじゃないか」と呼ぶ者あり)そういう意味で、確かにこの法律を直せばいいということでございますが、いま法律がそういう形になっておりますので、予算が非常にとりにくいというかっこうで、そこまで手が回っていないという現状でございます。
  192. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それじゃ大臣、そういう不備な点について、ひとつそれも努力をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  193. 内田常雄

    ○内田国務大臣 もちろんけっこうなことだと思います。私も大いにやりたいと思います。しかしこれはこういうところで申すことばとして適当でないかもしれませんが、いろいろの方面で公費で、国庫負担でやりたいことを厚生省といたしましてたくさんかかえておりますので、一ぺんにできないという問題がございますので、したがいまして私どもができる範囲で、またいままでできないことでも突破してやらなければならないことはやるということで進んでいくよりしかたがないという点はひとつ御理解をいただいて、この点については皆さんからもまた御鞭撻もいただきたいと思います。
  194. 山本政弘

    ○山本(政)委員 時間がありませんので、最後に質問したいのですけれども、東大の輸血部の副部長の村上さんという方がおられる。その人が東大病院の入院患者二百名を対象に、輸血について調査をしたことがあります。血液を集めるのに苦労しないか苦労したか、どういう人から血液をもらったか、どのくらい謝礼をしたかという調査でありますけれども、その中で、血液の五本まではほとんどの患者が困難を感じなかった、十本までの分では困難を感じた、そしてその比率がだんだん、これはあたりまえのことですけれども、二十本になったときには約半数の人がたいへんな苦労をした、こういっております。そして血液の供給源というのは、都内の場合、親きょうだいが四%、親類が一一%、知人一九%、勤務先の同僚が五一%、その他一五%、こういうふうになっておる。そしてこの数字によって意外なことがわかったと、こういっているわけであります。それは家族や親類にたよるのではなくて、勤務先の同僚というようなものにたよることが非常に多い。その場合に、交通費とかあるいはその他のことで供血者のために謝礼を出すということが非常に多いというふうにいっておるわけであります。一人についてやはり千円から三千円くらい費用がかかると、こういっておるのです。そうするとまさに、献血というものは一〇〇%に近くなってきたけれども、絶対量というものは足らぬ、しかもそういう献血をする処女地というものがだんだん減ってきておる、こういうこともいわれておる。とすれば、それを補うには一体どうすればいいかといえば、先ほどの議論に戻るわけじゃありませんけれども、血液を集めるための費用というものについて、やはり国が配慮しなければならぬのじゃないか、そして血液センターというものが十分の費用をもって採血ができるような、そういう政策というものをやっていかなければならないのじゃないだろうかという感じがするわけです。その点について、ひとつぜひ厚生省のほうでもお考えをいただきたいし、それから従来の赤字についても、そういうことについての配慮というものをしていただく必要があるのではないか。もし国でやらなければ、先ほどの自転車振興会というものもあるでしょう。それをもっと大幅に回すという手も、暫定的にあるのではないか、私はしろうとですからよくわかりませんけれども……。そういうことについても、ひとつぜひ配慮していただきたいと思うのですけれども、最後に大臣の御答弁をひとつお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  195. 内田常雄

    ○内田国務大臣 献血、採血のことは国が直接やるものではないからといって、日赤にすべてをまかしておるからといって、私どもはこれを遠い対岸の事件として見送っておくべきではないと思います。ことに私は、血液需要あるいは供給の九七%以上は献血でまかなわれている、四十数万キロの血液がほとんど一〇〇%に近く集められているというのは実際と違うので、それだけしか集まらぬからそういうことになっているので、実際血液の需要はさらに政府なり日赤の発表しておる数字以上にあるのではないかと私は直感をいたしておりますので、それらがスムーズに集まって、血液の供給さえ順調にいけば人の生命が助かる、手術が順調にいく場合も多々あろうと思いますので、いずれの方法をとるかは別といたしまして、今後一そう大きな関心をもって善処いたしてまいりたいと思います。
  196. 山本政弘

    ○山本(政)委員 終わります。
  197. 伊東正義

    ○伊東委員長代理 大橋敏雄君。
  198. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 私は老人問題についてお尋ねしてみたいと思います。  先月のことでございますが、四十五年度版の厚生白書が、たしか十月二十三日だったと思いますけれども、その内容とともに一般新聞に紹介されていたのを私見たわけでございますが、その記事を基本としまして、いまからいろいろとお尋ねしてみたいと思います。ですから、私がいまから申し上げるのはその新聞に発表になりました厚生白書の内容でございますので、あるいは記事の間違いがあるかもしれません。もしそのときには遠慮なく指摘してもらいたいと思います。  今度の白書の内容を見た場合、非常に特色ある内容になっているなと感ずるのは、従来の厚生白書の総論を見ますと、厚生行政の役割りというものは広範であり、多岐にわたっている関係上、どうしても総花的な内容が盛り込まれて、焦点がぼやけていたという感じを受けざるを得なかったわけですけれども、今回の総論の中身はほとんどといっていいくらいに老人問題を取り上げているわけでございますが、その白書の記事の中に、いまから二十五年たった昭和七十年になると、現在の欧米並みの老人人口になる。つまり、老人社会が訪れるのである。このようなことを差し示しておりますけれども、これはぼやぼやしていくと、現在の公害問題あるいは医療保険問題、これと同じように大きな禍根を残していくのではないか、ここが厚生省の老人対策に対するふんばりどころである。つまり、本腰を入れてやるべきスタートである、このようにつくづく感じたわけでございます。  私の個人的なことを言っては申しわけないのですが、私はまだ気分的には二十そこそこの青年並みの気分を持っておりますけれども、これでも十一月で満四十五歳となりました。そうなれば、あと二十五年ということは、まあ私もそこまで生きられる可能性が十分にあるということになるわけですね。切実にこれは他人事ではないぞというものを感ずるとともに、老人対策についてはこれは本気になって考えていかなければならない、このように思うわけです。先ほど言いましたように、とにかく一九七〇年代における老人対策というものは、これは重大なる内容を持っているということをあらためて認識しましたし、また厚生省としてもそういう立場で検討なさっていると思います。  この白書の内容を見ていきますと、確かに老人問題は掘り下げ、検討されているということを感じられるわけでございますが、私どもがかねがね心配しておりました、あるいは不安に思っておりました事柄が、調査資料といいますか、そういうものですべて裏づけられているような感じを受けるわけでございます。ちょうど厚生省といたしましても来年度の予算編成に当たっている時期でもありますし、このような厚生白書を出された以上、老人対策についても格段の配慮が払われていくものと私は思うわけでございますけれども、この来年の予算の中に、厚生行政としての総予算が幾らで、そして老人対策の占める予算が幾らで、前年度対比がどのようになるのだと、ここではっきりした内容が予算的に説明ができなければ、これは後に資料として出してもらってもけっこうでございますけれども、まずそういう点をお尋ねしてみたいと思います。
  199. 伊部英男

    ○伊部説明員 老人関係は、社会局のみならず老齢年金等、多数多岐にわたっておりますので、資料を調製いたしまして、後ほど提出させていただきたいと思います。
  200. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いまお年寄りが日ごろ何を最も心配しているか、そういうことについても意識調査ではっきりしてきました。白書にも示しておりますように、まず健康上の問題、それから戦後の家族構成の変化、核家族化による老人の孤独感の問題です。すなわち、病気と孤独の不安に悩む老齢者が今後ますますふえていくということであります。そこで私は、率直に申し上げるのですけれども、もっと気軽に医者にかかりあるいは治療が受けられるようにしてほしい、こう言いたいところなんですね。孤独感や、あるいは家族に迷惑をかける、また医療費のかさむことを気がねをして、こういうことを理由としてどんどん自殺していくお年寄り、このことが統計にもあらわれております。御承知と思いますけれども、病苦につながる自殺者等を含めていきますと、その自殺率が女性では日本が世界一だ、また男性は世界第七位であると、ほんとうに深刻な統計が出ているわけでございます。  まず第一に、大臣にこれは相談でございますけれども、現在の老人福祉法の中には老人の定義が明確ではないわけですね。ほかの、児童福祉法にしろ、あるいは身体障害者福祉法にしろ、「児童とは」とかあるいは「「身体障害者」とは」という定義がはっきりしております。ところが、老人福祉法の中にはその定義は示されておりません。ただ健康診査のことがうたわれておりまして、それは六十五歳からだということになっております。  そこで、まずお尋ねしたいことは、そのように老人福祉法の中に、ある程度、たとえば老人を六十歳以上とするというように定義づける必要があるのではないか。これは公明党が常々主張していることでもあります。その点が一点でございます。  それから、その六十歳となった場合、老人福祉手帳というようなものをそういう人に交付いたしまして、これから練られるであろういろいろな特典あるいは恩典が十分受けられるような体制をしくべきではないか。  この二つの点でございます。
  201. 伊部英男

    ○伊部説明員 老人福祉法には、ただいま先生御指摘のように、老人の定義が設けられておりません。したがいまして、老人というものは、一般的な社会通念で考えておりまして、個々の制度ごとに対象となる老人の年齢を規定をしておる、こういう行き方でございます。この点につきましては、いろいろ御議論もあろうかと思いますが、昭和三十八年に老人福祉法を制定しました際に、通常の法律のスタイルであれば、御指摘のように、老人とは何歳以上といったような定義をするのが普通なのでございますけれども、ただ老人というものにつきましては、老化現象は非常に個人差が大きゅうございますし、またそれぞれのお年の方は、第一線で御活躍の方は、おれは老人じゃないという非常に強い意識もまた一面にはあるのでございまして、そういういわば社会に参与していく、社会に活動されていくという気持ちは、老人福祉の上におきましても非常に重要なことでございますので、特に老人福祉法におきましては、他のスタイルとは違いまして、老人という定義を設けていないのでございます。この点は、アメリカ等におきましても、老人福祉の問題を取り上げる際に、オールドエージと言わないで、エージングということばを使っておるようでございまして、あるいは同様な配慮があるのかもしれないと思うのでございます。  そこで、老人福祉手帳を発行してはどうかという御意見でございます。この点につきましては、今後の各種の施策を進めます上におきまして、そういう必要が出てくるということも考えられるのでございますが、ひとつ御意見として承りまして、今後十分検討をしてまいりたいと思います。
  202. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 初めに定義の問題ですけれども、いまいろいろな状況を説明されました。そういう立場から、何歳からということは定義づけていない。またあるいは、幾ら年をとっても元気な人は、おれは老人じゃないんだ、こういう人もおるのでという話も中に入っていたように思うのですけれども、それも一理あろうと思います。私は、何も老人というものをよぼよぼした方だというのではないわけで、要するに言わんとするところは、いわゆる晩年ですね、あるいは人生の功労者に対する政府としての当然の優遇措置といいますか、それを与えていく何らかの規定を示したほうがいいのではないか。老人という定義が無理ならば、いま言ったように晩年優遇措置として、あるいは人生福祉云々というような立場でもいいですよ。それを、たとえば六十歳になれば、これはあとでも、年金問題とからみますので、私が六十歳と言っている理由は申し上げますけれども、そういうことから、とにかく六十歳というものを一つのめどとして、それから優遇措置を講じていく。これがまた老人福祉法の目的あるいは基本的理念、そういう中にうたわれている趣旨と合致するのだ、私はこう思うわけです。  そこで大臣、いま局長は、確かに定義はないけれども、ないことのほうがいいような言い方をしました。その反対に、福祉手帳の問題は大いに検討すべき事柄であろうというようなことを言ったわけです。いま私が局長に再び尋ねたわけですけれども、老人福祉法の中における、いま言わんとする定義というものは、いま言ったような気持ちでございます。要するに、六十歳から健康診断を受けられるような、そういう方向に持っていくべきではないかというようなことをいま言わんとしているのですけれども、それに対して大臣の所信といいますか、考えを聞かしていただきたいと思います。
  203. 内田常雄

    ○内田国務大臣 大橋さんのおっしゃること、私もわかりますが、実は私が厚生省に参りまして、いささか勉強を始めました過程におきましても、老人福祉法については老人の年齢定義がないので不審に思いました。全く御説と同じような立場から、この伊部局長等に尋ねましたところが、ただいまのお答えと同様の趣旨でありました。実は私は六十数歳でございますが、いまは大臣などをさしていただいておりますから、しらがのままでおりますから、見方によっては、あれは老人だとおっしゃる方なきにしもあらずですが、私はゴルフをやらしても衆議院の中で一番強いぐらいなつもりでおりまして、老人だと思っておりません。大臣やめましたら、またもとのように頭を染めるつもりでおりますが、少なくとも私が在職いたしております間は、私の年齢をもって老人の定義づけをすることはまことに迷惑千万と、こういう立場を考えておりますが、そのかわり個々の所要の施設につきましては、私はむしろ年齢を引き下げたほうがいいと思いますことは、大橋さんの御所論と同じものはたくさんありますので、個々の福祉施設ごとに、できる限りこれらのエージドピープルの福祉のための努力をしていくのがよかろうと私は考えております。
  204. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 なかなかそういう考えはいい考えだと思います。そのとおりだと思います。  もう一つ。いま老人福祉法の中では健康診査のことがうたわれておりますね。六十五歳からになっているわけですよ。ところが、今度の白書に見ますように、非常に病人が多いわけですね。私は、六十五、七十歳になって、ほんとに病気で苦しむ人の実態をまのあたりに見てきましたけれども、全くかわいそうなものですよ。そういうものを防ぐためには、やはり健康である六十歳ごろ、そういうころからとにかくしっかりと健康に留意させていくべきである。そういう意味でその六十五歳の健康診査は六十歳に引き下げるべきである、こう思うのですけれども、その点はどうですか。
  205. 内田常雄

    ○内田国務大臣 これはよけいなことを申しますが、たとえば福祉年金の支給年齢は七十歳ということになっております。この点につきましても当委員会で御所論がすでにございまして、下げるべきだというような御意向も各党からございましたので、それにつきましては私は、全部ではないが、ある要件に該当するような方につきましては七十歳の年齢を引き下げるべきだというような同じ考えを持ちまして、予算折衝も始めております。それと同じような意味におきまして、健康診断、予備診査、あるいはそれに基づく精密検査というようなものの必要性も、いまは法令上六十五歳になっているようでありますが、私は、この点につきましては全部を下げる必要があるかどうか、あるいは、その人の状況によりましては、一般論としては六十五歳だけれども、しかしその人の状況によって、本人の希望によって年齢を引き下げ得る道を講ずる等の方法は研究に値することだと私は考え、今後研究を進めたいと思います。
  206. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 とにかく六十歳以上の老齢者は、総人口の一割をこえているといわれております。平均寿命も今日では男が六十九・二歳、女が七十四・七歳、このように大きく伸びているわけですね。これは御承知のとおり今度の資料で出ております。また六十五歳以上の老齢者の約一八%が病気がちである。これは病人だというわけですね。あまり健康でない、弱いなあという人まで加えると、もう四〇%以上がそういう状態にあるんだと厚生白書に明示されておりますけれども、これは私はゆゆしき問題だ。年とって病気するほど悲しいものはない。いま言うように予防的な立場からいっても、六十歳ぐらいからがっちりと健康診査をやって、老後のそうした健康状態のために寄与していかなければならない、このように思うばかりに、私は健康診査の年齢を六十歳に下げるべきである、これは統一したほうがいい、このように主張しているわけでございます。いま、個々に考えてみればそういうことも考えられるというような話がありましたので、もう一歩これを掘り下げて研究してもらいたい。  もう一つ、それでは老人福祉手帳はどうかという問題ですよ。なぜ私がこのようなことを言うかといいますと、案外市町村でも老人の個々の状態についてはあまり掌握していないわけですよ。その員数くらいは一応掌握していても、個々の老人の状態、たとえば働ける状態でありながらまだ失職しているとか、あるいはあそこのお年寄りは寝たきりであるとかいうようなことはつまびらかではない。そういう意味からも老人福祉手帳というものを――これはことばが悪ければ変えていいですが、掌握するためにもそういうものを交付しまして、その手帳を持っている人は、いまからいろいろと出てくるであろう恩典、特典を十分受けていかれるというような福祉手帳を交付すべきではないかと私は思うのですけれども、その点はどうお考えになるでしょう。
  207. 内田常雄

    ○内田国務大臣 これも局長から御答弁申し上げたとおりでありまして、私どももその必要性を認めるものでございます。ことに老人医療制度というようなものが始まるようなことになりますと、私はそういうものをめどにする一つの方途としても、その手帳の検討は一つの価値ある手段であると思います。身体障害者手帳あるいは母子健康手帳等すでに幾多の方面におきまして実施の実績もございますので、これらを参照いたしつつこれは検討をいたしたいと思います。ただ私ども野心を持っておりまして、これから先日本の老齢者問題というものは、大橋さんが先ほどから御指摘になっておられますように、わが日本の社会におきましては、量質ともに社会福祉の課題として大きな転換と重要性を増してまいりますので、それらに応じまして老人福祉の施策をさらにいろいろ充実をしたいという野心を持っております。そこで、手帳をつくります際には、それらの具体的な福祉施策と結びつくようなことも考慮して手帳をつくりたい。手帳は持っておるけれども、こういう手帳ではあんまりごりやくがない、意味がない、こういうこととも見比べながら考えております。
  208. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 その時期が早からんことを切望します。  それからもう一つ、いま幾ら手帳を持っていても実際の実益がなければ何にもならぬことだ、そのとおり、だと思います。したがいまして、たとえばその手帳を持っている者に対しては、老人の医療等は十割公費負担であるとか、こういうふうな中身を盛り込んでもらいたい、そのように実益のある手帳にしてもらいたいわけです。  手帳の問題はそれとしまして、先ほど厚生白書が示しておりましたように、老人の医療問題というものは最大のものだと思います。非常にお金がかかるので、やはり診査を受けたくとも、その結果で治療しなさいということになってみても、お金がないために、いわゆる経済問題のために、もう受ける必要もないとあきらめている人がおるとか、そのほか幾ら療養をしなければならぬと言われてみても施設がないのじゃないかというような事柄から、もうあきらめた立場で健康診査を受けないという人がかなりおるということでございます。こういうことも私は大きな問題だと思いますので、そういう点について今後どのような考えで進まれるのか。先ほど言った公費負担の問題ですね。老人の医療については十割公費負担という声が非常に高いわけですけれども、それについてはどのような方針で進まれようとしておるのか、お答え願いたいと思います。
  209. 内田常雄

    ○内田国務大臣 ここにいろいろ局長がそろっておりますが、私からお答えを申し上げます。  もう大橋さん御承知のとおり、老齢者医療につきましては特別の保険の制度を案出をするのがよかろう、こういう検討が進みまして、昨年来、医療保険の抜本改正の一環といたしまして老齢者医、療保険制度というものを関係の審議会に試案として提案をいたしておるわけでございます。しかし医療保険の抜本改正は大きな課題でありますために、なかなかこれらに対する御答申がおくれている点もございますし、また、いまの大橋さんの御所論をはじめ、他方においては、特別の医療保険制度もさることながら、公費負担をもって処理すべしという意見も多くある、こういう事態もございますので、私どもはこの両方の立場をかまえながら、いずれの方法によるかは別といたしまして、老人の医療というものについては特別の措置、対策をでき得る限り早く進めてまいりたい、こういう意欲を持っております。十割給付がいいのか、十割公費負担がいいのか、あるいはその状況によりまして、入院とか通院とかによりましてその負担制度を変えるのがいいのかというような細部の問題等いろいろございますが、いずれも検討中でございます。また一般的医療を対象とするか、特別の手術等の医療、たとえば本年度から始めました老齢者の開眼手術などもその一つでございますが、脳卒中の後遺症として残る疾患のリハビリテーションなどを公費医療の対象にするとか、いろいろの対象についての考え方もございますが、それらのものをも含めまして、とにかく縦になったり横になったり、寝たり起こしたりしましても、いまおっしゃるような老人医療の問題をできる限り前進さしたい、こういうことでございます。
  210. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 確かにいま審議会で老人医療の問題等もあわせて審議されているわけでございますが、要するにきわめて根本的な問題としてその審議の重要性からその結論は早急に出ないという見通しのようでもあります。しかしながら、老人の現実は、審議会の審議が進もうと進むまいと、現実にはあらゆる問題が着々と進んでいくわけですね。そういう立場から、老人医療の基本的なあるいは抜本的な対策あるいはそうした内容が確立するまでは、臨時的にいわゆる臨時措置法といいますか、そういうものでも出しながら当面の老人の窮乏を救っていく、特に医療問題等、そういう考え方もあるのではないか。たとえばいま定年五十五歳でやめたとします。やめるまでは、被用者ならば本人十割給付ですね。やめてしまえば今度は国民健康保険に移らざるを得ない。国民健康保険に入ると今度は七割給付だということで、そういうところに非常に不安な問題があるわけですね。いよいよ年をとり、これから特に健康に必要な治療を受けたいときに、お金の問題でぶつかってくる。こういうことになれば、ほんとうに不安が一ぱいでございます。ということも含めまして、いま、抜本対策は抜本対策として、何らかの姿で老人のそうした健康を守るための措置を講じられる考えはないのかどうか、くどいようでございますけれども、もう一度お答え願いたいと思います。
  211. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私どもは抜本対策について諮問をいたしておりますので、抜本対策はあれはやめにした、むずかしそうで御答申がないからやめにした、こういうわけにはまいりませんが、お説のような、どうしても抜本対策が間に合わない場合は、あれやこれやつなぎの方法も考えたいと私は思います。
  212. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それでは老人の住宅問題についてでございます。これに対しても強力な推進を望むわけですが、わが党としては、かねがね老人の専用住宅を建設すべきである。専用住宅ですね、原則的にいえば六十歳以上の老人夫婦が入る専用住宅になるわけでございますけれども、これには例外として単身の場合だとか、満二十歳以下の児童をかかえている場合だとか、あるいは配偶者のいずれか一方が六十歳未満の場合等について条件をつけて利用を認めるというようなことをいろいろわが党としては考えております。この専用住宅の問題、あるいは今度の白書の中に示されておりますように、六十歳以上の老齢者がいる世帯を調べたところが、約二五%が老人専用の寝室を持っていない。したがいまして、ほんとうに安定した老後の生活をさせるためには老人専用の居室を設ける必要があるぞ、そのために公営あるいは公団、公社の住宅が早急に建設されねばならないと、このように指摘しているわけでございますけれども、老人の住宅問題についてはどのように考え、四十六年度に対処なさろうとしているか、お答え願いたいと思います。
  213. 伊部英男

    ○伊部説明員 住宅問題プロパーは建設省の問題になると思いますが、ただいま御指摘のいろいろな老人のニードもございますので、建設省との間に事務的なレベルでの懇談会を数回持っておりまして、建設省におかれましても、いろいろいろ問題意識を持って取り組んでいただいておるように承っておるのでございますが、厚生省といたしましては、すでに世帯更生資金の中におきまして老人専用の居室をつくる方に対する貸し付け制度を設けておるのでございます、また、各種の事情によりまして一人暮らしが困難な方がおられますが、一方、施設収容といったような形ではなくて、御自分の自主性をなお保っていくという二つの要素をかみ合わす必要もあるように思いますので、新たに老人世話ホームといったような形での、若干の世話をしつつ、施設でもあり住宅でもあるといったようなものを、ただいま財政当局と折衝いたしております社会福祉施設緊急整備の一環として考えたいというふうに思っておるのでございます。なお、この資金といたしましては、年金の積み立て金をも活用させてもらいたいというふうに関係の局課にお願いをいたしておる段階でございます。
  214. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いま、住宅問題は、これは確かに建設省で、建設省と数回にわたっていろいろとお話し合いをなさったと聞いたわけでございます。とにかくそのお話し合いの中に、いま言われているような内容は当然主張なさっていると思いますけれども、それをもっと具体的に、たとえば、それでは四十六年度は老人専用の居室を伴う住宅がどのくらいできるのかとか、老人専用住宅としてどのようになるか、いま言われました老人世話ホームとかいうようなものがどの程度できていくのか、あるいはそれが年次的にどうなっていくのかというように、具体的にそういうものは煮詰めていかないと、事が建設省の問題になりますので、その内容が明確に示されない限りは、ある程度了解点に達したといえどもその実現はなかなかおくれるであろうし、あるいは不可能ではないだろうか、こういうふうに心配するわけでございます。だから、そういう計画的な内容を示しての相談をなさっているのかどうか、その点をお答え願いたいと思います。
  215. 伊部英男

    ○伊部説明員 厚生省側といたしましてはいろいろな問題点を指摘してお願いをいたしておるのでございますが、建設省におかれましても、具体的なその後の内容につきましては、ただいまおそらく財政当局の間で折衝中だろうと思いますので、まだ確定的な数字はつかんでおりませんが、老人世話ホームにつきましては厚生省の問題として考えておるのでございます。これにつきましても、ただいま財政当局の間に、五十年の目標を定めましていろいろお願いをしておる段階でございます。したがって、この場におきましてこうであるという数字を申し上げる時期に立ち至っておりませんが、ぜひ相当数を実現したいというふうに考えておるのでございます。
  216. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いま大臣がちょっと席をはずしましたから、労働省の方にお伺いしたいと思います。  いまいろいろと老人問題を話しているうちに大体おわかりになったと思いますけれども、老人の生活期間というものが非常に長くなってくるわけですね。白書の中にもこう書いてあります。「老齢者問題のもつ意味と背景」の中に「現在の六十五歳以上の老齢人口は約七百万人だが、二十五年後の昭和七十年には千五百万人を越え、欧米並みの老齢人口比率と同様の高齢者の多い社会となる。この結果、十五歳から六十四歳までの生産年齢人口に対する老齢者の比率は現在の十対一から六対一までになり、増加した老齢人口の扶養が国民経済的課題となる。」というように示しております。そして、さらにずっと続いて、途中飛ばしますけれども、「このように健康な老齢者の定年後の生活がこれまでになく長期にわたるため定年制延長に対して強い国民的関心が集まろう。」と、こうあるわけですね。これは当然のことだと思います。いま定年制問題がほんとうに社会の話題を呼んでいるわけでございますけれども、労働省としてはこれに対してどのようなお考えを持っているか、説明願いたいと思います。
  217. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 定年制の問題につきましては、御指摘のごとく、最近世間の関心も非常に高まってまいっております。私どもといたしましては、五十五歳の定年というのは明治年間以来の慣行でございまして、以来、御指摘のごとく、国民の平均寿命は非常に伸びております。昔ですと五十を越せば老人といわれたのでございましょうけれども、最近におきましてはまだびんびんしておる。労働能力も十分にある。この人たちは、やはり自分の能力のある限りにおいては仕事をすることによって社会に貢献する、そしてそれに応ずる報酬を得るという形で生活することが、ただ隠居してしまうよりもはるかに生きがいのある生活ではなかろうか。かたがた、また最近労働力不足ということがいわれておりますが、これは若年層に非常に片寄った雇用形態で、五十歳以上の高年齢者につきましてはいまだ再就職が非常にむずかしいという状態にございます。こういう状態に対しましては、一方で高年齢者の再就職の促進をいたしますが、それよりも前に、まず五十五歳というような、現在の社会におきましては若きに失する定年をさらに延長することが望ましいというふうに考えておりまして、いろいろな方法をもちまして世間並びに労使の関心を惹起するようにつとめ、そしてまた、定年が実情に応じて徐々に延びるという方向に誘導いたしたいと思っていろいろ努力しておるわけでございます。
  218. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 この厚生白書の中に「老齢者の生活について一つのモデルを設定してみると、」と、こうあって、いかに老後の生活期間が長くなるかという例を引いてあります。たとえば昭和四十五年に五十五歳で定年退職したサラリーマンは、昭和五十一年に末子が結婚し、そして老夫婦だけの生活が昭和六十三年まで続く。この年に夫が七十三歳で死亡する。妻は寡婦として九年間を過ごして七十七歳で死亡することになるという一つの例をモデルとして設定してあるわけですね。してみれば、早く死んだ夫のほうはそれでも十八年くらいですか、あるいは奥さまのほうはそれ以上、要するに二十年を境としてその前後が老人という立場の生活を送らなければならぬわけですね。  これはあなたも御承知だと思いますけれども、最近の新聞に、労働省が定年制問題の見解を発表した云々ということがあったけれども、労働省に問い合わせましたら、そういう見解は発表しておりませんというようなことでございますが、いずれにいたしましても、一般的にいえば現在の定年五十五歳という考え方は、これは低過ぎますね。当然これは延ばさなければならない。私先ほど厚生省の方に申し上げたのですが、六十歳ということばを出したのは、厚生年金の老齢年金の受給開始年齢が六十歳なんですね。五十五歳でやめますと五年間、国民年金になれば六十五歳ですから十年間のブランクができて非常に不安定な生活に入らざるを得ないというようなことから、年金受給開始の時期と定年制を合わすべきであるというようなこともかつて主張したことがあります。こういう立場から考えただけでも、私は六十歳定年はもう時代の趨勢ではないか、このように考えるわけでございますけれども、この点労働省としてはどのような考えをお持ちですか。
  219. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 御指摘のごとく五十五歳の定年制というのは若きに失するという考えを持っております。このことは、実は労働省としては数年前からそのような見解を持って公にいたしております。いま御指摘の新聞記事は、最近において急遽そういうのをまとめたということではございません。五十五歳定年を延ばすべきであるというのは数年来の見解でございます。  そこで何年まで延ばしたらよろしいかという問題でございますが、厚生年金の受給年齢に合わせるというのも一つの方法であると存じます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、高年齢者といえども労働能力のある限りはその能力を発揮するということに人生の幸福がつながるという考え方もございます。その場合に、六十歳になったら無条件に定年でやめてしまうのがほんとうに幸福であるかどうかという問題もあるかと存じますので、当面六十歳を一応のめどにするという考えが多いのはこれはけっこうでございますけれども、私ども六十歳でなければいけないとか、あるいは何歳がよろしいとかということはなかなか申しにくい実情です。外国なんかでは御承知のように六十五歳あるいは七十歳という定年もございます。私どもといたしましては、急にそう飛躍的にいくものでもあるまいから、実情に合わせて徐々に延ばすことが望ましいという見解を持っております。
  220. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 確かにいまおっしゃったとおりだと思います。カナダとかノルウェーは七十歳ですね。それからフランス、アメリカ、西ドイツ、イギリスは六十五歳。しかも定年制のない企業もずいぶんある。いわゆる働きたい者はいつまでも働きなさいというような広い立場で老齢者を優遇している感じを受けるわけでございますけれども、そういう点から見ていきますと、日本の場合まだまだ劣っているのではないか。これはやはり労働行政の重要な課題であろうと思います。  四十二年度の内容を調べた労働省の定年到達者調査というものを見れば、定年退職した者の七・四%くらいが再就職をした。このうち六五%が従来の勤務先と変わっているのですね。しかも収入が下がっている、こういうことでございますので、私はここに二つの大きな問題があるのではないかと思うのです。というのは、働きたいという意思があっても働けないのですね。もう一つは、かりに働いてみても定年退職したときの賃金はもらえない。収入がぐっと下がっている。こういうことで、これは厚生省とも大きな関係を持ちますからあとで聞きますから、聞いておってくださいよ。これは大きな問題だと思うわけです。そういう意味から、労働省としてもこの定年制あるいは定年の延長問題については強力なバックアップをなすべきである。また具体的に今後どうしようかという方法があるならば、ここで説明願いたいと思います。
  221. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 定年の延長の問題につきましてはまことに御指摘のとおりでございます。現実に定年延長という問題をいたします場合にぶつかります問題は、日本の賃金制度というのが非常に強い年功序列給であるということが一つ。それからもう一つは、同じく昇進等も年功序列によっているために、高年齢者が長くそのポストにおる場合には人事の梗塞をきたす。こういう二つの点が問題点として指摘されておることは御承知のとおりでございます。これをどういうふうに打開するかということにつきましては、政府がああせい、こうせいというふうに指図する筋合いではないと思います。労使の話し合いによりましてそこを解決して、定年の延長を逐次実現してもらいたいと考えておるわけでございます。  その具体的な方法といたしましては、やはりPRということに尽きるかと思います。PRの方法といたしましては、いろいろ調査をし、その調査の結果を世間に発表するという方法もいたしておりますし、また御承知かと思いますが、労使のトップレベルをもって産業労働懇話会という会合を持っております。その懇話会の席上におきまして、労使のトップレベルの人たちの御意見を伺いまして、定年延長をすべきであるという労使の意見の一致を見た。これなんかはかなり強力な手段になる。来年度におきましてはさらにそういったものの専門的な懇談会というようなもの、あるいは研究会といったようなものもつくりたい。いろいろな方法で世の中の啓蒙宣伝ということによりましてこの機運を醸成いたしたいと考えております。
  222. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それでは時間も迫ってまいりましたので、結論的にお尋ねいたしますが、とにかく定年退職になって、それからまた働く意思もあり、健康である、そういう人が働きたくても働けない。そういう人に対しては、十分働く機会を与える強力な体制をしいてもらいたいわけでございますが、不幸にして働けない人がいま多いわけでありますけれども、要するに老後の生活を保障している一番大きな中身は何かといえば、おそらく私は老齢年金であろうと思うわけですね。この老齢年金の中身が表面的には二万円年金ということになっておりますけれども、中身がまだ非常に貧弱であると感ずるわけです。来年度もまた多少の改正はなされるであろうと思いますけれども、多少ではなくて大幅な改善を私は要求するわけでございますが、この年金の改善方策について厚生省としては何か具体的にきまったかどうか、そういう点について説明願いたいと思います。
  223. 廣瀬治郎

    ○廣瀬説明員 ただいまお話しのとおり、年金制度は老人対策といたしましても非常に重要な制度でございます。ただご指摘のように、わが国の年金制度の発足がまだ日新しく未熟でござしまして、必ずしもその内容が十分であるとは言えない状況でございます。従来は、いわゆる財政の再計算期というものがございまして、そのときに財政の再計算をすると同時に、そのときそのときの情勢に見合って大幅な年金額の引き上げを行なってきたわけでございますが、大体その間に四年ないし五年のギャップがあったわけでございます。したがいまして、明年度におきましては、最近の物価上昇等を考慮いたしまして、相当年金受給者も出ております厚生年金につきまして、物価程度の引き上げをやりたいと考えておるわけでございます。なお、福祉年金につきましては、これは毎年情勢に応じて金額も引き上げ、あるいは所得制限の緩和を行なってきたわけでございますが、ただいま御指摘のような状況にもかんがみまして、まだ予算要求の段階でございますが、厚生省としては金額の引き上げ並びに所得制限の緩和につきましても、従来以上の努力をしたいと考えておるわけでございます。
  224. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 時間が来ましたので、最後に大臣に答えてもらいたいですが、新聞の解説の中にも私の気持ちそのままが出ておりましたので、それを申し上げまして、大臣の決意を伺いたいのです。  これからの厚生行政の上で老人対策をどのように進めていくか、今度の厚生白書では、老人問題の位置づけなどには全く触れられていない。つまり老人対策をどのように進めていくかという、その老人問題の位置づけがあいまいである、これが一つの指摘ですね。あるいは、老人問題はいずれ最重要課題になるという将来予測を前提にはしているけれども、今後の老人対策の基本路線を明示していない、ここに大きな問題がある。つまりこれを明示しないくらいの内容であるならば、これはただ単に意欲だけ先走った厚生白書ではないかと批判されてもしかたがないでしょう。このような解説の記事もありました。私もそれは同感なんですよ。確かにもっと踏み込んだ内容で具体的に基本路線を明示し、あるいはその老人問題の位置づけなどを明確にしていかなきゃならない。この白書の中にはうたわれておりませんけれども、少なくとも次の国会に入ったときにはそういう点を明示なさるかどうか。これを最後に大臣に答えてもらって終わりたいと思います。
  225. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私も、老人を対象とする社会福祉施策、それからもう一つは児童を対象とする児童手当に対する世論、なかんずくマスコミの批判は注意深く実は心にとめてまいりました。老人対策につきましてはまた、今度の白書が総論の全部をあげて、いまだかつてないような試みをいたしまして、それが大橋さんの目にもとまり、冒頭にこれを取り上げての、あるいはまたこれを評価されての御発言であったと私は思うわけでありますが、いずれの面からの批判であれ、とにかく老人福祉施策についての批判が方々から出てまいってきておるということは、私は私どもの厚生白書における老人施策の取り上げの意図が半ばは達成せられたと考えております。私は、先ほども触れましたように、外国では一世紀もあるいは場合によっては二世紀もかかって達成されたような人口構造の変動が、わが国におきましては二、三十年間で達成されるというような、そういう量的変動と、もう一面におきましては扶養意識あるいは家族関係の崩壊といったような、したがってそれに基づいて老人福祉の問題が家庭福祉の問題から社会福祉の問題としてその質を変えていく、こういう量質両面の問題が近い間に大きく起こることの警鐘乱打をさせるような意味におきまして、今度の厚生白書の総論もああいうことをいたしましたので、ただいま御批判の一端にもございましたように、取り上げられるだけ取り上げてはいるけれども具体的な計画的な路線がはっきりしていないというお説があったことは、むしろ私は、私どもの意図が半分は達成された、あとは皆さま方の同調のもとにこれに肉をつけていく、血液を流していく、こういうつもりでございます。  一方におきまして、白書とは別に、お手元にもお届けをいたしておるかとも思いますが、厚生行政の長期計画、これは省内の研究的な成果をまとめたもので、厚生省として正式に、あるいは政府として正式に出したものではむろんございませんが、これにおきましても老人対策には力を入れて触れてあるわけでございますので、私は、せっかく厚生白書の総論に取り上げ、また厚生行政の長期目標に取り上げられたこの問題というものを、単なる作文や思いつきに終わらせることなく、諸先生方の御鞭撻のもとに、着々これを予算の上にあるいは法律制度の上において実現をさせていきたい、こういう前向きの決意を持っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  226. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 終わります。
  227. 伊東正義

    ○伊東委員長代理 寒川喜一君。
  228. 寒川喜一

    ○寒川委員 だいぶ時間がたっておりますので、医薬分業の問題に限って簡潔に質問を申し上げたい。特に数点にわたって大臣の御心境並びに御所見、特に実際の行政事務を直接担当されておられます薬務局長のお考え方を承り、若干この機会に御提案を申し上げてお考え方を承りたい、かように思います。  そこで、この問題が非常に重要でございますことは私も承知をいたしております。さきの特別国会でも、社会党の久保さんが予算の分科会で御質問をされておられる内容等を承りましても、どうもことばの上のやりとりだけだというような感じを実は受けておるのですが、前の大臣の斎藤さんは、予算を取ろうというおつもりもあったのか、機会あるごとに医薬分業について積極的な発言をされておることを私は活字で承知をいたしております。したがって、内田厚生大臣はこの問題に対してどういうお考えを持っておるかということがまず第一点。  それから第二点は、前大臣の御方針として五カ年計画でやっていくのだ、こういうふうに承知をいたしておりまするが、基本的なお考え方としましては、そういう方針を引き続いて実施していくというお考え方を持っておるかどうか。それから第三点は、三十一年の法改正後において日本医師会のお考え方がかなり柔軟になってきたというようなことで進めやすいというようなことも承っておりますけれども、現在、日本医師会のそういったお考え方は今日もなおかつ変わっておらないかどうか。  以上、三点についてまずお伺いしたいと思います。
  229. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私は正直に申しますと、医薬分業のことはこういう手順でこうやるんだということの腹ぎまりがまだ現段階においてはいたしておりません。しかしいろいろの経緯を経まして医薬分業のたてまえというものが、たとえば医師法におきましてもあるいはまた薬剤師法におきましてもできておることは承知をいたしておりますので、これは既定の路線に従って進めるべきだという考え方はございます。しかしそうは申しましても、これは結局医療行為に関連する問題であって、医師と薬剤師との間の完全なる協力、了解、また医薬分業がなされた際の薬剤師の受け入れ体制の整備、さらにそれよりも現、実的に重要なのは、医療保険の適用を受けておられる患者の方々が医薬分業を欲しておるのかどうかということとも関連してきめなければならない。私はこれを強行するという腹がまえも持っておりません。  また私と同じような考え方だろうと存じますが、つい一週間くらい前に医療保険の抜本改正について諮問を申し上げております社会保険審議会がその保険制度改正の前提案件として意見書を私あてに出してまいりましたが、これも医薬制度のことに触れておりながら、原則的には医薬分業は進めるべきであるが、現実には私がいま申し述べましたような課題があるので慎重に処理すべきである、こういう意味。これは必ずしもお医者さんの意見でもございません、保険の被保険者あるいは保険を実施する事業者等の意見を主といたしましてそういう御意見がございますので、私はこの問題は、なるほど五カ年計画という考え方もこれまでございましたが、無理せずに実態を見きわめて、情勢を十分完熟させた上処理するのがよかろう、こう考えておるものでございます。これは私の正直な見解でございます。
  230. 寒川喜一

    ○寒川委員 日本医師会のお考え方、局長からでもいかがですか。
  231. 加藤威二

    ○加藤説明員 日本医師会のこの問題に対します態度は、絶対反対とかそういうことじゃないわけでございます。その方向に向いていくべきだということを否定はいたしておりませんが、しかし医薬分業に踏み切るためにはいろいろな前提問題がある。そういう問題を解決した上でなければ、いま直ちに医薬分業に持っていくということには必ずしも賛成ではないようでございます。たとえば薬局側の処方せんの受け入れ体制とかあるいは薬局の管理方式が、医師及び国民の信頼を、完全に満足を得るものになるということが前提条件になるというようなことも言っております。  それからなお、医学、薬学の進歩と製薬業の技術的な進歩に伴いまして、調剤の意義が医薬分業の法制定当時と違っている。したがって医師、薬剤師とも検討すべき問題が多いということを指摘いたしております。たとえば薬の型が、昔はいろいろな薬をこね合わせて調剤という行為があったけれども、いまはみんなカプセルみたいになっていて、いろいろな薬をこね回してやるという調剤というものはあまり必要なくなっているんじゃないか。そういうような点も法制定当時と違っておる、そういう点も考え合わせて慎重にやるべきだ、こういう態度でございます。したがって方向としては別に反対ということではないけれども、いろいろなまだ解決すべき問題があるので、それを解決した上でないと簡単には踏み切れない、こういう態度であると承知しております。
  232. 寒川喜一

    ○寒川委員 医療の、製薬技術が進歩した、あるいは省力化のためにカプセルを非常に普及させるというような考え方からすれば、むしろ医薬分業のほうにいきやすい条件を他面的には持っておると私は理解します。ただ受け入れ体制の問題等については別の角度で当然措置しなければならない問題でございますが、そういうこと等から関連をいたしまして次にお尋ねをしたいのは、最近御承知のようにテレビの問題で製造原価、正価、小売り価格というような問題で物価問題として非常に大きく取り上げ出したわけでございます。したがって医療保険の問題の側面から見ましても、近い将来そういう問題がやはり基本的な問題として論議される段階に移行すると私は思うのです。そういった意味合いからも、もう今日では薬代でお医者さんがもうけておるというようなことが一般的な見方になっております。そういう面で、日本の医療にとってこの医薬分業という問題はほっておけない大きな問題だと思うのですが、局長はどういう見解をお持ちかお聞かせいただきたいと思います。
  233. 加藤威二

    ○加藤説明員 いま先生の御指摘の点については、私も全く同感でございます。私も薬務局に参ります前に四年ばかり医療保険をやっておりまして、いま先生の御指摘の点をつくづく痛感したわけでございますが、やはりお医者というのはお医者さんの持っておる技術で報酬を得られるべきでございます。したがってこれは医療保険の抜本改正の一番の眼目の一つになると私は思いますけれども、やはりお医者さんが薬のマージンによって相当の収入を得られるということは、やはり日本の医療というものをスポイルしていくという点にもなると思いますし、それから国民のお医者に対する信頼なり尊敬というものに決してプラスはしない、むしろマイナスしていく問題であろうと思います。そういう意味で医薬分業の問題は薬局それ自体の、それから薬剤師それ自体の機能の発揮という問題も根本にございます。と同時に、いま先生御指摘のように、日本の保険医療というものを是正するためにも、これは必ずそういう方向で進んでいくべき問題だという考えでおります。
  234. 寒川喜一

    ○寒川委員 それに関連をしまして、最近お医者さんから薬をいただくとカプセルにほとんど入っておりますけれども、その端を全部切り取ってあるわけです。要するに製薬会社の名称、薬品の名前のある部分を切り取ってございますね。そういうような実態を見てまいりますと、前段に申し上げましたような、お医者さんが医術で収入を得るんじゃなしに、薬屋になっておる、こう言われても過言でないと思いますが、あなたはそういう面で、切るなという指導をする勇気があるかどうかお尋ねしたいのです。
  235. 加藤威二

    ○加藤説明員 先生の御指摘の、薬のメーカーの名前を切り取るというのは私は承知いたしておりませんけれども、一部に例外的と申しますか、おそらくそれは、相当似たような薬がたくさんございますから、したがって保険に対して請求する薬とそれから実際に使う薬が違っているとか、そういうようなこともあるのかもしれません。しかしそれが一般的な問題というぐあいには私ども考えておりませんで、むしろ私どもといたしましては、そういう切るとか切らぬとかいうのは、医療保険の請求というのが、保険の問題とも関連いたしますが、私どもといたしましては、やはりそういう個々の問題よりも、むしろできるだけ早い機会に医薬分業というその根本問題のほうで問題を解決すべきじゃないかというぐあいに考えておるわけでございます。
  236. 寒川喜一

    ○寒川委員 あなたはあまり知らないとおっしゃられますが、それは立場上言えないと思うのですけれども、これはもう普遍化しておる現実の事実だと私は思います。そういう意味で――私も医者にかかった経験がございます。そういうことで、私はこういうことを議論するのは本筋ではないのです。したがって、前向きで積極的にやはり解決してもらいたいという側面から結局言っておる。それはやはり医療保険とも重大な関係があるからこそ申し上げておるわけなんで、先ほど大臣が患者さんの気持ちという問題をお話しになったんですが、患者さんのその気持ちというものについて、最近たとえば大病院になりますと、診察を受けて薬をもらうのに半日もかかるわけですね。それを処方せんをもらって近くの薬局へ行けば、用事を片づけておってあとでもらいに行くという方法等のことがかなり可能だと思います。したがって一部提案を申し上げるということを申し上げたのも、たとえば大阪の国立病院あるいは大阪の府立病院なども、私の前在職地でございます関係上いろいろとこの事情を話をすれば、やはりそういう面で積極的に協力をして、医薬分業へのスタンダードといいますか、そういうものをつくっていくということの間接的な効果といいますか、そういう面で協力をしようというような空気がございます。特にきょうは私、医務局長さんに御出席願わなかったのは、薬務局長さんと医務局長さんと顔を見合わして答弁をするようなことでは本物にならぬという意味で、医務局長の出席を要請しなかったのです。大臣はそういうような事態に対して、積極的にやはり利用者の便というような問題に配慮して、そういう側面から、処方せんを出すことによって、患者の気持ちで二重手間になるであろうとか、いろいろいままで医薬分業の実現しないファクターとしてあげられてきた問題がだんだんとやはり解消していくんじゃないか、私はそう理解をするのですが、大臣はどういうお考えか、お聞きしておきたいと思います。
  237. 内田常雄

    ○内田国務大臣 御承知のように私も初めてそうかと思ったぐらいなんですが、医薬分業は法制的には行なわれておる、たてまえとしては。しかし現上実には行なわれておらない一環として患者の気持ちがあるということを申しましたのは、たとえばどうも私どもはもう旧式の人間かもしれませんが、やはり患者が薬はお医者さんからもらうのが、普通の治療を受けるのに一番何かきき目があるような道だと考えていることは別といたしましても、いまお話しのように大病院で、処方せんをもらって薬局に行って何時間か待たされる。それを外の薬局に処方せんを持っていけば、これは直ちに調剤されるようにも思われるのですが、もしそれが完全に医薬分業をしてしまって薬局に処方せんが集中するということになりますと、いままでは一つの病院の中で処方せんをもらって、病院の中の薬局で何時間か待たされたのを、今度は外の薬局に行って、中では調剤しないということになりますと、やはり数時間待たされるような結果にもなるおそれなしとしない。どんな薬局でもいいということなら別でございますが、やっぱり相当の、病院が処方する薬の全部を直接あるいは間接――間接と申しますのは、薬局の方々が一つのシステムをつくって、中央センターのようなところにどんなむずかしい薬でもまとめておいて、連絡次第で直ちにどこの薬局の店にも現場にも配達するというような仕組みを考えておられることも聞いております。けっこうなんですが、それにいたしましても、やはり相当の薬局に処方せんがみな集まるということになると、患者さんとしては同じような待機の時間を必要とする。また病院なんかのお話がございましたが、病院なんかにおきましては、もう身分的にも機能的にも医薬分業は完全にできておるのではないか。病院の中の同じ屋根の下、病院の中の薬局に行くと、もうそこには薬剤師さんしかいなくて、そこで調剤をしてくれる。こういうことで医薬分業が行なわれておる。むしろこれは外の薬局に行きますと、いまの保険のたてまえですと、家族などにつきましては、家族がやはり医療給付費の一部を自己負担することになっております。被用者保険では五割、国民保険では三割を自己負担いたしますが、今度は薬剤師のほうに対して調剤費の自己負担分というものが、当然いまの医療保険制度のままでは出てくると思う。向こうに行ったらただかと思ったら、何だいままで病院や医師のところでとられなかった調剤費の一部負担をとられたというような問題も生ずるわけであって、その辺の患者さんとの関係、そういうことが私は実は多少心にかかります。これはことに私が先ほど申しましたように、数日前に社会保険審議会から私あてに出されましたこの「医療保険の前提問題についての意見書」という中に、わざわざ第四に「医薬制度」というのがございまして、そこでこう書いてございます。「医薬分業は未だ十分に実施されていないが、その完全実施を図ることは医師が投薬により利益を得ようとする誘惑を断ち切る意味において是非とも必要である。しかしながら現時点では、医師と薬剤師との間に正しい協力関係が得られるような条件が整備されていないことおよび肝心の患者の側に一般に医薬分業を歓迎しない風潮がみられることから、今直ちに医薬分業を完全実施すると大きな混乱を招くおそれがあるので、政府としては診療報酬体系の適正合理化、薬価に関する諸制度の合理化、薬局側の受入体制の整備等医薬分業実施のための条件の整備に努め、その実現を待って実施に踏み切るべきである。」こういうことがわざわざ私あての意見書として申し入れが実はございまして、私もこの点は重税を実はいたしておりまして、やはり条件の整備を一方においてつくりながら、法律制度上の医薬分業というもの、あるいは保険制度がこれにマッチするようなことをやるべきだ、こういう考えを持ちつつあるわけでございますが、これは私がいろいろな方々の御意見、国会の御意見、あるいはまた省内の専門家の意見等によりまして、柔軟な態度をもって一番合理的な方法をとっていきたいと考えております。
  238. 寒川喜一

    ○寒川委員 ただいま大臣に対する審議会の報告の点については私も承知をいたしております。しかしながら全部が整わなければというような形であれば、ぼくは日本の体臭といいますか、この種の問題に対する角度からいたしますと、百年河清を待ってもできないと思います。そういう意味で、大阪地方等においては医師会もかなりの出費を要するけれども、そういう面で努力をして将来に備えていくテストケースにしていきたいのだというようなことで、当事者間に話が進んでおるやに承知をいたしております。したがって、そういうものを育成していくという考え方、そういうものがやはり積極的にございませんと、ことばの上あるいは活字にして意見発表するということは至って簡単でございますけれども、実際問題としては実現不可能なことで、一城をいい意味においてほふることによって実績ができ、かつ利用者もそのことによって非常に便利だというようなこと等を積み重ねない限り、この問題はなかなか至難だと思います。加えて一般の医師ということになりますと、収入の問題にも重大な関係があり、他の診療報酬制度の問題が解決しませんと、なかなか至難な点でございます。したがって、国並びに公立の病院においても独立採算制という立場はとっておりますけれども、将来の布石のために利用者の便とあわせて医薬分業推進への基礎固めをするというような面で、若干の犠牲を払ってでもそういうものをつくり上げていく。繰り返しで恐縮でございますけれども、ことばで医薬分業を唱えてみましても実現は至難なものだと思うのでありますが、私のこういった考え方について大臣はどういうお考えをお持ちか、再度お聞かせいただきたいと思います。
  239. 内田常雄

    ○内田国務大臣 これは、私がほかの社会福祉に対する欠陥を充足してまいるというようなことのように、断固やるとかというようなことばをもって言える問題とも少し違うものですから、私が、そういう情勢を逐次馴致しつつと申しますか、積み上げながら、また各方面の意見に耳を傾けて弾力的に現実的な措置をすると申しておりましたのは、私の気持ちが、寒川さんの御意向も十分伺って、そしてやり得ることを、一歩でも二歩でも前進させるために、やったがいいことはやってまいるという趣旨にほかなりません。ここで私が断固医薬分業をやると申しましたところでできるものではございませんし、むろんそれを避けて通ってしまうことがいいことであるとも思えませんので、いま申し述べたような趣旨で御理解をいただきたいと思います。
  240. 寒川喜一

    ○寒川委員 了解しましたが、ひとつ私の趣旨を大臣から医務局長によく伝えて、このことが少しでも前進するように配慮していただきたいと思います。  それから、先ほどの社会保険審議会からの報告の中で、私も読みましたが、薬の誇大広告の問題が触れられておったように記憶をいたしますが、間違いございませんか。あればいいのです。
  241. 加藤威二

    ○加藤説明員 ございます。
  242. 寒川喜一

    ○寒川委員 そこで私の申し上げたいのは、厚生省は厚生白書の中で医薬分業の制度について触れられています。そこの中で「専門家に分担して行なわせる」ということばがございますね。「医薬分業の制度は、医療のうち、患者の診療治療は医師に、医師の処方に基づく調剤は薬剤師にと、」云々とございまして、専門家に分担さすのだ、こう書いておる。専門家とは何をさすのか、お聞かせをいただきたいのです。
  243. 加藤威二

    ○加藤説明員 たとえば調剤については薬剤師にやらせる、医療はお医者さんということだと思います。
  244. 寒川喜一

    ○寒川委員 そこで、誇大広告の問題も、報告書にございますように、毎日の新聞、テレビ、出版物の広告で寧日なくPRされております。そこで薬の専門的な知識を国民に植えつけるという普及の施策というものはどういう形でおやりになっておるか、お尋ねしたいわけです。
  245. 加藤威二

    ○加藤説明員 薬につきましては、毎年薬と健康の週間というのを大体十月に行なっております。非常に短期間ではございますけれども、ある意味では薬というもののこわさと申しますか、それから使い方、それは一々の薬を銘柄別にやるわけにはまいりませんけれども、薬というもの全体について、どういうぐあいに使うべきかというPR運動をする週間を設けまして毎年やっておるというのが実情でございます。
  246. 寒川喜一

    ○寒川委員 そういう点で、私が先ほどことさらお尋ねしました専門家の活用といいますか、そういう面では至って不十分ではないかと思います。むろん都道府県に薬務課等専門のセクションを置いておりますけれども、専門家は至って数少のうございます。そういう面で薬の知識の普及あるいは具体的な相談というようなことどもにつきまして、たとえば日本薬剤師会の組織をフルに活用をして、薬事相談所というようなものを各行政単位とかに配置をするとか、そういうことで片方で専門家をクローズアップしていくという措置を講じない限り、これまた前にさかのぼりますが、やはり医薬分業の布石にはなかなかなっていくまいと思います。  たとえば、御承知のように最近大阪等では、大気汚染の問題等で薬剤師会が大きな役割りを果たしております。これは全く自主的な活動だろうと思いますけれども、食品添加物の分析の問題にしましても、消費者団体がそれぞれの立場でおやりになるとかということじゃなしに、こういうものを含めて、もっと薬務局中心で掘り下げて、場当たり的でない考え方をお持ちになって――それは厚生省が何ぼ逆立ちしてみましても、全国になかなか手が届くものでは私はないと思います。そういう面で、私が提案しておるようなことについて、これはなかなか直ちにできるものではないと思いまするが、積極的に検討してみて、いろいろな側面から、薬というものに対して国民が知識を持つ、そうすれば広告なんというものは意味がなくなるわけなんで、それぞれの薬局のうちで相談所の看板をあげて、それだけの能力の人を配置してもらうと、そこへ行って相談の結果に従って薬を求める、あるいは用意をするなどの方途が講じられるのではないか、こういう感じを私は持っておるのですが、このことについて薬務局長はどういうお考え方でしょうか。
  247. 加藤威二

    ○加藤説明員 全く先生の御指摘の趣旨ごもっともだと思います。そういうことで、私ども非常におそまきでございますけれども、来年度の予算要求におきまして、医薬品の検査並びに情報センターというのを、これは将来全都道府県に設けたいと思いますが、来年度はとりあえず八カ所くらいということで、約三千万の予算要求をやっております。  そういうぐあいに、都道府県別に一つの拠点を設けまして、そこでいろいろな医薬品の情報を各方面に伝える、あるいは必要な医薬品について積極的な検査を行なうというようなことをやりまして、そしてまたそこの県内の薬剤師のいろいろな再教育とかそういう問題も取り扱っていくということで、各都道府県にそういう情報と、それからいろいろな再教育とか検査というものの拠点を設けていきたいということで、来年度の予算要求をいたしておるというのが実情でございます。
  248. 寒川喜一

    ○寒川委員 せっかくそういう御配慮がございますならば、これは都道府県に一カ所では、一般住民自身が生活の知恵としてまで薬の問題について高めていくということは、なかなかたいへんだと思います。したがって、関係の薬剤師会と連絡をとっていただいて、たとえばブランチを何らかの方法でつくるとか、創意くふうの中で、薬が誇大広告によって売れたり売れなかったりするようなことのない配慮を、ぜひともこの機会に要望をいたしておきます。  最後に、先ほど少し触れましたが、前の大臣のときに医薬分業五カ年計画ということで方針をお立てのようですが、もうこれは一年終わるわけなんですが、どういう計画の進行状況なのか、局長からお答えをいただきたいのです。もし省議の中で決定を見ているというようなものがなければ、事務当局の段階ではどういう配慮をしておるというようなこともあわせて聞かしていただければたいへんけっこうかと思います。
  249. 加藤威二

    ○加藤説明員 本年度におきましては、これは初めてでございますが、医薬分業についての予算が初めて計上されまして、保険薬局の実態調査ということで非常にわずかな、六十万くらいの予算でございますが、そういうことで保険薬局の実態を調査する。これは近く調査票をつくりまして実施に移すという予定になっております。  それから、そのほか私どもといたしましては、薬剤師会の中に医薬分業推進のための組織を持っておりますので、それと絶えず連絡をいたしまして、やはり薬剤師さんの中にもいろいろございまして、この医薬分業に非常に熱心な向きもございますけれども、現状のままのほうが楽でいいというような薬剤師さんもあるようでございますので、むしろ薬剤師さんの中に積極的な動きをつくっていくということが何よりも必要だと思います。そういう意味で役所側と薬剤師会とが絶えず協議をいたしまして、そして薬剤師会が自主的に薬剤師の再教育、そういう問題と取り組んでいくというのが現状でございます。
  250. 寒川喜一

    ○寒川委員 一応御質問申し上げることはこれでおきたいと思いますが、せっかくの機会なので、先ほど山本委員から血液センターの問題で大臣に御質問がございました。実は私も日赤大阪支部のお世話をしております関係で、同じ党でございましたならば関連質問という形ですべきが筋だと思いますが、おそくなって恐縮でございますけれども私の考え方を若干述べたいと思いますので、大臣からお答えをいただきたいと思います。  と申しますのは、人間の生命の貴重さは私がここで申し上げるまでもないと思います。輸血を必要とする治療ということになりますと、やはり生命にストレートに関係を持つ性質のものだと私は理解をいたしております。そこで、当初血液センターが発足した当時において議論をしておくべき筋のものが、御承知のように民間の血液銀行を廃止せしめて移行した後、御答弁にございましたように、経世がかさんできて値上げをしなければいけないという空気がありますことは私も承知をいたしておりますけれども、私はこれは全く本末転倒だと思います。当初においてやはりこういう重大な問題は国あるいは都道府県等が責任をもって対処すべき性質のものであり、実施機関として日赤に委託をするというような形をとっておれば、今日具体的な施設以外のものに金は出せないとかいうような議論には発展はしないし、そういうことでこの問題を議論すること自体がやはり問題でなかろうかと私は思うわけなんです。加えて、御案内のように、二週間の保存期間のうちで四日程度は検査にかかって、あとほんとうに使える期間というものは十日ぐらいだと私は理解をいたしております。したがって大都会の場合には非常に波があろうかと思います。したがって血液の確保の問題なども将来課題にしていかなければいけない性質であるわけでございまして、現在の日赤に対する補助ができない制度になっておるからということでなしに、もっと前向きに取り組んで、この問題こそ何とか国の責任において解決してやろうという意思がおありかどうか、大臣からお聞きをしたいと思います。
  251. 内田常雄

    ○内田国務大臣 血液の問題は、売血とか預血とかいろいろな御承知のとおりの経過を経、閣議決定にまで持ち込みまして、先年献血制度というものを推進してまいるというような経緯で進んでまいってきております。今日におきましては、もうこの献血あるいはその保存血液による輸血というようなものは、人の生命の救済あるいは医療業務上欠くことのできない医薬品中の大きな要素を占めるものでありますので、それは日赤の独立採算にまかせておけばいいものだと観念すべきではないと私も思います。平素、日赤のほうでこの仕事を一元的に処理しておりますので、何となく対岸の事項のようなふうに取り上げられているような点なきにしもあらずのように思いますが、これは本来ならば国自身が直接タッチで処理すべき事項とも考えて、国の助成等の方策につきましても、単にいまの法律上の制度を言いのがれにすることなしに、前向きの方向で取り組んでいくようにいたすべきだと私は思っております。私は、ここで大上段にかまえて、こういたしますと言うことは、私がきわめて自信のあることでもございませんので申し得ませんが、いま私が述べましたことは、これは大臣としての正直な気持ちでありますので、厚生省の関係の諸君の頭をそういう方面に向けるようにいたしまして、そして世間の御期待や御批判にこたえたいと思います。
  252. 寒川喜一

    ○寒川委員 先ほどの医薬分業のことに関連をして、国立病院あるいは大阪の公立病院等で医薬分業への一つの地ならしと申しましょうか、いい芽が育ちつつございます。そういう面で厚生省当局としてもひとつぜひ育てていただくように強い要望をいたしまして私の質問を終わります。長時間ありがとうございました。
  253. 伊東正義

    ○伊東委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十二分散会