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1970-04-08 第63回国会 衆議院 法務委員会 16号 公式Web版

  1. 昭和四十五年四月八日(水曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 高橋 英吉君    理事 小澤 太郎君 理事 鍛冶 良作君    理事 小島 徹三君 理事 瀬戸山三男君    理事 細田 吉藏君 理事 畑   和君    理事 沖本 泰幸君       石井  桂君    江藤 隆美君       永田 亮一君    羽田野忠文君       赤松  勇君    黒田 寿男君       中谷 鉄也君    大野  潔君       林  孝矩君    岡沢 完治君       松本 善明君  出席国務大臣         法 務 大 臣 小林 武治君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         任用局長    岡田 勝二君         人事院事務総局         職員局長    島 四男雄君         警察庁刑事局長 高松 敬治君         警察庁警備局長 川島 広守君         法務政務次官  大竹 太郎君         法務大臣官房長 安原 美穂君         法務省刑事局長 辻 辰三郎君         法務省入国管理         局長      吉田 健三君         公安調査庁次長 内田 達夫君         外務省アジア局         長       須之部量三君  委員外の出席者         外務省アジア局         外務参事官   金沢 正雄君         外務省条約局国         際協定課長   山田 中正君         文部省大学学術         局審議官    清水 成之君         運輸省航空局監         理部長     川上 親人君         法務委員会調査         室長      福山 忠義君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  法務行政検察行政及び人権擁護に関する件  (日航機乗っ取りに関する問題等)      ――――◇―――――
  2. 高橋英吉

    ○高橋委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人の出頭要求に関する件についておはかりいたします。  ただいま本委員会において審査中の、内閣提出、裁判所法の一部を改正する法律案審査のため、参考人の出頭を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高橋英吉

    ○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人より意見聴取の日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高橋英吉

    ○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  5. 高橋英吉

    ○高橋委員長 次に、法務行政検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。瀬戸山三男君。
  6. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私は、御承知の、問題の日本航空「よど号」乗っ取り事件についてきょうは質疑をいたしたい、こういうことで、関係閣僚の皆さんに御出席を求めておりました。なぜ政府の各閣僚の皆さんの御出席を願ったかというと、私はきょうはこの問題のいろいろな技術的な問題をお尋ねするという考えでなしに、この問題はなるほどいわゆる赤軍派といわれる一群の暴力主義者の連中が非常な残酷な、不法行為をしたということでありますが、わが国の現状を私なりに見ておりますと、この問題は結局突き詰めていきますと、私も含めてこれは政治家責任に帰する、あるいはもっと突き詰めていくと、長い間わが国の政治を担当しておるわが党政府責任に帰するところが非常に多い、こういう感じを私は持っております。したがって、そういう根の深いものであるから、そういう点について別に政府を追及するとか、あるいは、こうしたらよかった、ああしたらよかった、そういうことでなしに、もう少し深刻に、こういう事態を契機にして、もちろんこういう事態が発生することは今後二度とあってはなりませんけれども、わが国の社会経済あるいは政治全般についてもっと深く反省しながら、お互いによい知恵を出し合おうじゃないか、話し合ってみたい、こういうつもりで、あえてきょうは時間をさいてもらったわけであります。しかし、残念ながらきょうは法務大臣だけしか出ておられません。まあいまいろいろ多忙な時期でありますからやむを得ないと思いますけれども、そういうつもりで私はきょうの時間をさいてもらったんだということを、法務大臣はとくと政府代表してお聞き取りを願い、今後に処してもらいたい、こういうことを私はまず冒頭に申し上げておきます。  それから、最初に申し上げておきますが、きのうの本会議でもいろいろ政府の報告もあり、各党のお話もありました。それについては触れませんけれども、いずれにしてもああいう「よど号」を操縦する皆さんたちの心労、あるいはああいう飛行機という特殊な状況の中で長い間心労された皆さんの非常な御苦心、政府あるいは航空関係者、それから関係の各国の非常なあたたかい苦心と御協力によって、とにかく非常な不幸な事態が起こらなかった、こういう点については全くよかったということで、それぞれの皆さんに感謝を申し上げておきます。  この問題をめぐっていろいろ御意見があると思います。まずこの種犯罪の予防及び取り締まりの問題、航空行政やあるいは航空技術上の問題、あるいは外交措置、あるいはこれに関連する諸問題等があると思いますけれども、ここは法務委員会でありますから、韓国に飛んだのがよかったとかあるいは平壌になぜ直接行かなかったか、そういうことはこの法務委員会では私は無関係であろうと思いますから、問題にいたしません。これは私の見方が違っておるかもしれません、あるいは観察が間違っておるかもしれませんが、これは一つの事件としてあらわれましたけれども、そしてああいう問題を犯罪として取り締まる、あるいは予防措置を講ずる特別立法政府は考えておられるようでありますが、われわれも考えておりますが、それだけで事態が解決するような簡単なものじゃないと私は思っておるのです。  そこで、法務大臣の御感想を聞いておきたいのですが、いま日本は御承知のとおり、非常な経済の発展を遂げました。なるほど自由世界においては第二位である、GNPはどうだとか、経済大国である、こういうことを政府も言い、世間も言い、国民もそういう感じを持っておる人々が大部分であろうと思います。それは非常にけっこうなことなんです。けっこうなことなんですけれども、国内の諸問題を一々申し上げませんけれども、静かに見ておると、当たるか当たらないか、たとえ話で言いますと、何かウドの大木みたいなような感じが私はしておるのです。あるいはもう一つ表現すると、日本の国は非常に栄えておる。なるほど亭々たる大きな樹木がたくさん繁茂しておるけれども、その日本社会は何か一つのジャングルみたいな感じがしております。非常に経済大国で、一面においてはこれを謳歌しておりますけれども、そこにはライオンもおればトラもおる、あるいはウサギもおればネズミもおる、ヒョウもおる、ハゲタカもおればハトもおる。まあたとえば悪いかもしれませんけれども、何となくざわめいておる。国民の中にも不満も相当ある。あるいは一面においては経済大国を謳歌しておる部面もある。そういう一つのあらわれが、ほかにもいろいろあらわれておりますけれども、こういう極端な全く全世界を震撼させた不幸な事態にあらわれている、こういう感じがしておるのです。時間があまりないそうでありますから、そうこまかいことは申し上げませんけれども、それについて、内閣を構成されておる法務大臣の御所感をまず承っておきたいと思います。
  7. 小林武治

    ○小林国務大臣 私は簡単にお答えいたしますれば、いま瀬戸山議員のお話しのようなことに同感の意を表したい、かように考えます。
  8. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 きょうはさっき申し上げましたように、政府を責めるとか追及するという立場じゃありません。国民がどうも非常なずぶのしろうと一というと私が専門家みたいに見えますけれども、何といいますか、いわゆる国民の立場といいますか、どうもわからぬというような感じがしておる国民の立場において、もっと何とかこの経済大国に応ずるような内容を、国民が喜々として喜んで、日本の国の国民であることを誇りにするような国にしたいのだ、そうならないものか、簡単にはいきませんけれども、こういう考えで、それにはどうすればいいか、どうあるべきか、政治家はどうしなければならぬか、それを集約して行政の上で実行していかなければならない政府はどうあるべきか、どうしなければならないのか、こういうことを、かどばらないで話し合って、みんなで力を合わせて、そういうことでもっと努力しようじゃないかというような気持ちで申し上げますから、かどばらないで、そういうっもりでひとつざっくばらんに御所見を出していただきます。きょうは各省大臣見えておりませんけれども、お忙しいと思って代理者としてありますから、かわって出られた皆さんもそのつもりで真剣にざっくばらんにお答えを願いたいと思います。  きょうは、法務委員会ですから経済の問題やその他は申し上げませんが、まず当面のいわゆる赤軍派と称する犯罪者といいますか、この一団のグループ、これが今度の事件を敢行したわけですから、私はまず問いたいのは、これは法務大臣お答えくださればけっこうですけれども、ややこまかくなっていきますからほかの担当の皆さんでもけっこうです。赤軍派の実態というものはどういうものであるか、どういう連中が赤軍派を構成し、どういうことをもくろんでおる団体であるか、これをまず聞いておきたいと思います。   〔委員長退席、小島委員長代理着席〕
  9. 小林武治

    ○小林国務大臣 私が簡単に申し上げますれば、赤軍派と申すものは、昨年の九月、共産主義者同盟、要するにいまの反代々木派の共産主義者同盟というところから分派したものであって、これらの中では最も狂暴と申すか過激と申すか、要するに端的な共産革命と申しますか、暴力による社会革命を目ざしておる団体である、こういうことでございまして、直接行動によってそういうことを実現しようというふうなことを考えておる君たちであるのでございます。最初のうちは同調者が大体二百名とか三百名とか聞いておりましたが、昨年の十一月の山梨県における検挙等を含めまして、もう三百名近い者が検挙された、こういうことでございまして、大体これらの組織の中核的なものが崩壊しておる、かように見ておるのであります。また、ことしの一月以来、これが再建を目ざしてある程度の勢力の拡張、あるいは組織ができてきておる、こういうことでありますが、何ぶんにもこれらの団体というものが非常に不明確でございまして、組織等もまだあまりはっきりしない、また綱領とかそういうものも不明確である、こういうことで、個々に非常な狂暴性を持った者の集団であるということはわかっておりますが、組織としての解明が十分に行き届いておらない、こういうような状態であります。これをしっかり組織のできた団体と見るべきかどうかということにつきましても、まだ多少の疑問があるのでありまして、これらにつきましてもいま一生懸命で調査を進めておる、こういうことでございます。  警備当局等におきましても、これらによって勢力が大きく阻害されたというふうな見方も多少あったのでありまして、そこへいきますれば、あるいは多少の手抜かりとか油断もあったと言わざるを得ないと思うのでありますが、要するに、最近における調査におきましては、私どもまだ正確な報告は受けておりませんが、これの委員長も逮捕された、こういうことで、彼らのおも立った者に対する追跡というものが相当厳重に行なわれているために、口には外国に拠点をつくるとかいろいろ言っておりますが、これはもう一種の日本からの逃亡ではないか、こういうふうな見方もされておるのであります。いずれにいたしましても、現に勾留中の者も相当多数おるのでありますから、これらの調べも進めておるが、何ぶんにも口がかたいと申しますか、調査がきわめて難渋しておる、こういう状態であります。  いずれにしましても、いま申すように、赤軍派と称しておるが一つの団体としての全貌をつかむことがきわめて困難な状態にあるというのが現状ではないか、かように考えておるのであります。
  10. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 そういうものであろうと思います。いま革命というお話があったように思いますけれども、共産主義革命を指向しておる、これは伝え聞きですけれども、われわれはこういうふうに承知をしておるのですが、そういうことでしょうか。
  11. 小林武治

    ○小林国務大臣 それを直接的な暴力行為によって実現しよう、こういうことを一応考えておるものと言わざるを得ないのであります。
  12. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 これは公安調査庁でもあるいは警察庁でも、どちらでもけっこうですが、私どもある程度承知しておるところによると、一昨年以来、いわゆる全学連というものを中心にして学校を中心にした騒ぎといいますか、いろいろ問題がありました。   〔小島委員長代理退席、委員長着席〕 それにいろいろな分派ができておる。おおむねこれはいまお話しのように、わが国を共産主義の社会にしたい、いわゆる革命をしなければ住みよい日本にはならないのだ、こういう思想といいますか、志向をしてあれらの団体が騒いだ。しかもそれが、いま法務大臣は赤軍派というものの組織が、人員その他が明らかになっておるわけではない、こうお話がありましたが、これに類するというか、新聞等によりましてもいろいろな名前がたくさん出ておりますが、この種の団体をどういうふうに公安調査庁はキャッチしておられるか、これをひとつここで御説明を願いたい。
  13. 内田達夫

    ○内田(達)政府委員 お尋ねの共産主義理論を信条とする、言いかえますといわゆる左翼系の学生団体の状況について御説明を申し上げます。  この学生団体の中で一番中心となっておるものは全学連でございます。正式の名前は全日本学生自治会総連合、これを全学連と略称しておりますが、この全学連が学生団体の中の指導的な組織体でございます。この全学連は戦後間もなく結成されましたが、その後内部分裂等を繰り返しまして、ただいま非常に多数の派閥に分裂しております。この経過につきましてはきわめて複雑で、分裂または結集、統合を繰り返しております。ただいまの状態では、この全学連が四つあるわけでございます。その四つの全学連は、いずれも自分の派が正統な全学連である、おのおのが自分が本家である、ほかのものは違っておるのだ。それで全学連と申しましても、かように全く組織体、構成員の違った全学連が四派あるわけでございます。  その四つと申しますのは、一つはいわゆる日共派全学連あるいは代々木派の全学連、これは日本共産党の支配下にある日本民主青年同盟、民青同と略しておりますが、それの支配、指導を受けておる全学連でございます。その二つは革マル派全学連、その三つは中核派全学連、それからもう一つは解放派全学連。大体全学連はこの四つの大きな派閥に分かれておるのでございます。  この全学連は日本における各大学の学生自治会の全国的な連合組織でございます。日本における学生自治会は全部で八百数十ございます。
  14. 高橋英吉

    ○高橋委員長 ちょっと、瀬戸山君、小林法務大臣から参議院本会議に出席のため退席させてほしいとの申し出がありますので、御了承願いたいと思います。
  15. 内田達夫

    ○内田(達)政府委員 自治会の全国の総数は八百三十幾つかございます。学生の総数が百六十万余り、そのうちで、この四つの全学連を含めまして、全部の組織に入っておる者が約半数、学生の数にして八十五万名がおります。自治会の数は、八百数十のうちの五百三十ばかりがその全学連の組織の系統に入っております。これは左翼でございます。そのほか補足的に申しますと、左翼でない右派系の学生団体、中立的な学生団体もあるわけでございまして、全学連の組織のもとにあるものが八百のうちの五百幾つ、かようになっております。  この全学連の勢力でございますが、代々木系、日共系の全学連に属する者が全体の約六五%、百七十一大学、三百五十一自治会。その中の学生の活動家の数が約二万ぐらいであろうと推定しております。それから革マル派全学連は十九大学の三十一自治会。これは全体から申しますと、大体六%弱でございます。活動家の数は千五百名くらい。それから中核派でございますが、これは二十七大学四十二自治会、大体八%弱でございます。活動家は約千七百名ばかり。解放派の全学連は、大体活動家が千三百名くらい、十四大学の十八自治会パーセンテージから申しますと三%余り。その他ML派あるいは四トロ派といったような、いずれもこれらに属する分派がございます。かような状況でございまして、この四つの全学連のうちの代々木系、まあ日共系というものと、その他の三つ、これを反代々木派あるいは反日共糸、そのように呼称しております。  これらの学生団体の活動でございますが、これはいずれも共産主義の革命理論を信条としておるものでございます。そして日共系以外の、いわゆる反日共糸といわれるこの三つの全学連、これがきわめて過激な運動を展開しておりますことは、この二、三年来の幾多の事件を通しまして、いずれも皆さんのよく御存じのところでございます。一昨年来のこれら学生運動によるところの紛争……(「簡明にやってくれ」と呼ぶ者あり)学園あるいは街頭における活動等によりまして、その検挙者の数だけを見ましても、四十二年が九百九十名、四十三年が五千七百名、昨年四十四年は一万四千名余りを検挙しておる、かような状況でございます。  この赤軍流も、これは昨年の九月、社学同と称する共産主義学生同盟、これから分裂して結成されたものでございます。  この赤軍派の結成の経緯を簡単に申しますと、この社学同の内部には関西派と関東派というのがありまして、従来から絶えず主導権争いを繰り返しておったのでございます。昨年の四月二十八日の沖繩闘争の総括をめぐって内部的な論争が激しくなりまして、それで過激な関西派の一部が武装蜂起を主張するということになりまして、左右分裂したのでございます。これが昨年の七月ごろのことでございます。そして、その内部分裂の際に内ゲバと申しますお互い同士の衝突がありまして、同志社大学の望月という学生はそのために死亡をしております。かような事件を経まして、九月になって共産同赤軍派というのが大阪で正式に発足することになったのがいまの赤軍派の始まりでございます。  最初は二百名くらいの勢力でありました。これが昨年九月三十日、本富士警察署を襲撃する、また同じ日に大崎警察署管内の西五反田交番を襲撃する、こういったような幾つかの事件を起こしまして、さらに十一月五日の大菩薩峠の軍事訓練中を大量検挙される。かような事件によりましてその大半が検挙されて壊滅したのではないかと思われておったのでございます。ところが、本年に入りまして、本年の一月十六日にお茶ノ水の電通会館で赤軍派の集会が初めて本年になって開かれた。その際、五百六十名ばかりの者が集まった。それで、われわれといたしましても赤軍派は壊滅したと思ったが、相当に勢力を回復してきたということがうかがわれたわけでございます。その後も何回か赤軍派の集会が行なわれております。その集会におきまして赤軍派の主張の中に、いわゆる国際的根拠地をつくる。これはどういうことかといいますと、たとえばキューバとかあるいは北鮮とか中共とかに同じような目的の赤軍の根拠地をつくる、そこへ要員を送り込んで、そこで軍事訓練をやる、あるいはそこでまた武器弾薬の集積をする、そうして日本国内における赤軍派と海外におけるさような赤軍派とが相呼応して革命政権を樹立しよう、こういったような国際根拠地の設定というようなことが、この「赤軍」と称するこういう雑誌の中にも示されております。これは機関でございます。  さようなことで、赤軍は本年に入りまして漸次勢力を盛り返して過激な行動を行なおうという様子はうかがえてまいったのでございます。しかしながら、何しろ結成して間もない団体であります。全部のその構成メンバーは日々新顔が入るといったようなことで、全部その構成メンバーを把握するというようなこともなかなか困難で、目下私たちのほうとしましても、鋭意その実態について調査を続けてまいっておる、かような状況でございます。
  16. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 そういうことをこまかく御説明願っていると、いまほかの委員からも発言がありましたように、長くかかりますから、まあ概要でいいと思います。そこで、ちょっと文部省の方に聞いておきたいのですが、これはいま説明が、学生集団ということになっております。そのほかにもあると思います、学生以外の方もあると思いますが、思想は自由でありますが、こういう暴力をもってわが日本の革命をしなければならぬ。しかもいま概観したところでも、ほとんどの大学、相当数の学生、しかもこれが武器をつくり、現にその武器を使用して、今度のハイジャックを実行した。その他にもたくさんの事件がありました。文教行政を担当しておられる文部省というか文部大臣に、私はきょう所見を伺いたいと思っておったのですが、どうしてこういうふうなことになるんだ、これはいろいろありますから、そうこまかくはおっしゃらないでけっこうですけれども、これはどこかに原因がなければ、こういうことはないと思うのです。当初に申し上げておりますように、素朴な国民感情の立場で聞いておるのですが、どうもふしぎでたまらない。文部省、きょうは清水審議官ですか、どういうことなんですか、これは。
  17. 清水成之

    ○清水説明員 いま先生も御指摘のとおり、いろいろ要素はあろうと思いますが、教育の面からいたしましても、非常に残念なことでございます。私ども単に大学だけの現象としての問題ではなしに、戦後教育を、大学、高等学校以下あるいはまた家庭教育全部を含めまして、教育のあり方というものについて反省をしなければならない点があるというふうに痛感をしておるわけでございます。その場合に、やはり戦後におきまする一つの価値観の崩壊、転倒というような問題も教育上大きな問題があろうと思います。それからまた教育上知識偏重の面で、自分で十分思考をして責任をもって行動するという、人間形成の点に欠陥が今日出てまいっておる、こういう点を反省しなければならぬとも思うのでございます。  なお、一部、青年意識あるいは青年心理からの分析もございますけれども、それをもってかかる暴力行為を青年だからということで是認するということは絶対相ならないし、すべきことではない、かように思っておる次第でございます。
  18. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 実際どこの社会でも、いつの時代でも、わが国にも過去にありました。やはりどうしても多くの人々――人間は十人十色ですから、いろいろな考え、いろいろな不満が出てくるのは現代ばかりではありません。当初に申し上げましたように、きょうは閣僚の皆さん方がおられませんけれども、あまりにいまの日本の現状は乱雑である、こう私は感ずるものですから、いわゆる素朴な国民感情の立場からこういう問題を提起しておるのですが、これは当初に申し上げましたように、いろんな戦後の複雑といいますか、まだまだ満足でない日本の経済、社会、文化情勢が大きく原因しておると思いますけれども、いまことばの中に、学校教育といいますか、社会教育も入るのでしょうけれども、人間形成ということばを使われました。従来から人間形成、人間形成ということが文教政策のいろいろなことばに出ておりますが、素朴な国民感情からいうと、一体人間形成とはどういうことか。どういうことを教育の基本とすると人間形成ができるのか。どういうことなんでしょうか、それをひとつお伺いをしておきたいと思います。
  19. 清水成之

    ○清水説明員 非常にむずかしい問題でございまして、いろいろ説はございますけれども、ただいまの問題と関連づけて考えました場合に、やはり人間尊重ということを基本にいたしまして、自立的な精神を養っていくということである、こういうふうに考えております。
  20. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 これはわかりませんよ。わかりませんが、今度の事件を起こした連中は、最も自立的な精神だと思ってやっておるのじゃないかと私は思うのです、率直にいって。その自立的というのはどういうことなんでしょうか。
  21. 清水成之

    ○清水説明員 先ほども申し上げましたように、やはり基本には人間尊重ということがございますので、自分だけのことではなしに、他人、社会のことも十分考えて、自分でこの社会規律、社会道徳に合致するようにみずから判断をして行動することである、かように考えます。
  22. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 そういういわゆる人間形成あるいは人間尊重、特にいま人間尊重――今度の事件でも、何か人道主義、人道主義ということがきのうの本会議でも、政府の発言の中にも、各党代表の発言の中にもそれが多く言われた。ちょっと聞いておると、人間形成、人命尊重、人道主義――わかったような、なかなかわからない問題だと私は思うのです。それで人間形成をするために、人間形成をねらいとして教育をされる。どういうことを教えるといいますか、あるいは子供のときからやらなければいかぬのでしょうが、大学になってから人間形成なんと言ったってちょっと間に合わないのじゃないかと思うのですが、どういうことを――白紙の状態の子供から教えれば、いまよりも人命尊重あるいは人間尊重という――自分だけでなくて、社会といいますか、他人のことまで考えて活動し、行動する人間になるというのは、どういうことを教えるといいますか、監督するといいますか、どうすればいいという考えを持っておられるのですか。私、いまの教学の内容に問題があるのじゃないかと思うから、そういうことを聞いておる。
  23. 清水成之

    ○清水説明員 いまの点非常にむずかしい問題を含んでおるわけでございますが、やはり発達段階に応じまして、その指導、教育の内容あるいは方法もそれぞれあろうかと思うわけでございまして、幼稚園の指導要領なりあるいは小中高等学校の指導要領で、発達段階に応じましてそれぞれのことを指導要領としてそれを教育課程に盛り込むようにいたしておるわけでございます。したがいまして、いまお話がございましたように、大学の段階でもう人間形成というのは必要でないのではないか、こういうこともございますけれども、やはり青年期には青年期の問題があろう、かように存ずるわけでございます。
  24. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 ちょっと誤解があったようですが、大学の段階で人間形成の教学といいますか、それは必要ではないのだと私は言うのじゃないのです。大学になってからでは不可能じゃないけれども手おくれじゃないか、こういう感想を私は持っておるのです。  そこで、これは非常に唐突なお話を聞きますが、私は率直に申し上げましていまの教学の内容は存じません。どういうことをいま人間形成の観点から指導し、教えられておるのかわかりませんが、なるほど科学技術は非常に発展をいたしました。それによって宇宙のあらゆる物質を分析して、それを総合して、そして科学技術が発展し、それが産業、経済の発展になり、一面の人間のしあわせをつくる状態になっておると思いますが、その前提に欠けておるところがあるのじゃないかと思う。法律の研究は文理解釈、法理論、そういうものでなるほどすぐれた学生ができるけれども、その法理論、法律制度、そういうものがある前提についてのいわゆる人間形成が欠けておるのじゃないか、こういう感じがするのです。  まあ余談に入って恐縮ですけれども、「よど号」のハイジャックの問題で、乗客がほかの飛行機で韓国から羽田に帰ってきたそのときに、安心した乗客の中で、学生は非常にスマートで、なかなか知恵がありそうな人で、はきはきしていた、こう言っていたが、その面においては一面すぐれた素質を持っておるのじゃないかと思うが、残念ながら人の生命なんか問題にしないといういわゆる人間形成ができていない、そこに問題があると私は思うのです。そこで、科学技術が非常に発展して、いまの日本ばかりじゃありませんけれども、人類が非常に苦労をする状態が出ておるのが現代だと思うのであります。何のために宇宙の物質を分析総合して新しいものをつくり出して、そして人類のしあわせにするのだ、その前提が、日本ばかりじゃありませんが欠けておる。現代社会は、世界全体を見て何となくこんとんたるざわめいた状況が出ておるのじゃないか。これはいつでも大戦のあとは、そういう状況が第一次大戦のあとに出ましたが、第二次大戦が終わって四半世紀過ぎてもそれがあらわれておるのだと思うのでありますが、その根本はやはりおっしゃたように人間形成といいますか、そこが欠けておるのじゃないか。人間形成のもとで科学技術を発達させ、それがまた人命あるいは人間の健康その他にどういう影響をするか――そういうことじゃ科学技術の意味がないんだ、そういうことじゃ産業発展の意味がないんだ、こういうことで、そのような人間形成がなされておらないというふうに私は感じ取るわけでありますから、こういう問題をお聞きするわけです。  そこで、そういう意味において、人間形成、人命尊重あるいは人道主義ということばはよく使われますが、一体その根本をなすものは何だ、この点についてあまり究明されておらないような気がいたします。そこでお尋ねしますが、人間とは何ぞやという教育をわが国ではしておるのですか。小学校から大学まで入れて、人間とは何ぞやあるいは人間が宇宙に生まれておる目的というのは何だ、こういうことを教育するといいますか、考えるといいますか、教学の内容はどこにあるのでしょうか。
  25. 清水成之

    ○清水説明員 頭から人間とは何ぞやというような科目等を設けておりませんけれども、本来は各種の科目が総合されて人間とは何ぞやということを問うことになろうと思うのでございます。大学の場合に例をとりまして、ねらっております一般教育の目標というものも、先生御指摘のとおり究極的には人間とは何ぞやということを問い、かつまたみずから学習すべきものでございますが、遺憾ながらそれが十分目標のとおりにはいってない、こういうのが実態でございます。
  26. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私の観察の間違いかあるいは認識不足かわかりませんけれども、さっき申し上げたようにいろいろ話し合って――同じことを言って恐縮でありますが、それぞれの立場のものがお互いに話し合っていこうという気持ちですから、私の観察が間違っておるかあるいは認識が不足かもしれませんが、いますべてを集めてそれが人間とは何ぞやということを考えるようになっておるとおっしゃいますけれども、あまりに現在では分化というか専門化されてしまっておって、そのために教養学部なんかあるのですが、大学においては教養学部自体が騒動する学生のたまり場みたいになってしまった。大学に至ると法律は法律、工学は工学、医学は医学と非常に分化されてしまって、なるほど、その点においては非常に精緻と申しますか高度な分析、理論等が発達しておりますけれども、そういう高度な分析あるいは理論を研究する前提の学問と申しましょうか、それに非常に欠けておるのじゃないかということを感ずるのであります。法律の専門家であれば法律のことさえ知っておればいいのだ、科学あるいは地球物理学ならその物理学のことだけは一生懸命である、あるいは医学は医学だけだ、その医学の中でもいろいろに分化しておる。そういうことに専念して、さっき申し上げましたようになぜこういうことを研究するか、まあ人間とは何ぞやといいますか、ことばは適当でないかもしれませんけれども、人間の存在の意義、何のために人間はこの宇宙の中に生きて死んでいくんだ、まああなたの人間形成、その点についてまとめた教養といいますか、思索といいますか、そういう部面が非常に欠けているように私は感じるのです。それは、いまはなるほどいろいろ学問が分化されまして非常に高度になりました。あえて古いことを言うわけではありませんけれども、以前にはそういうことがなかった。以前にはそういうことがなかったけれども、社会をよくしていくすべがずっと行なわれておった。昔はいまのような学問はありませんでした。なるほど経済的にはわが国は貧乏な時代がありましたけれども、封建時代は、封建制度自体は悪いですけれども、その当時の学問は、主として人間とは何ぞやというような学問がもとであったような気がするのです、私はそのほうの専門家ではありませんけれども。   〔委員長退席、小澤(太)委員長代理着席〕 いわゆるいまの中国といいますか、大陸から渡ってきた学問というのは、ほとんど人間というもの、人生というもの、そういうものが主たる学問であったような気がするのです。そして科学技術、法律その他というような、いまのような精緻な学問というものはなかったように思います。しかし、それでもやはり社会の発展というものがあったのですが、それに戻れと言うのじゃないのですよ。比較してみますと、そういう点が非常に欠けておるのじゃないかと思う。  私は法務委員会であえてそういうことを申し上げるのは、この赤軍派と称するグループの行動、きわめて残忍しごくで憎むべきものでありますが、先ほど全学連その他の実態をあらまし聞いたのも、どうもそういうところに根本があるような気がする。したがって、これは立法する予定になっておるようでありますけれども、単にそんなもので解決するものじゃない。むしろ一面においては、そういう人間がたくさん出てくる姿というものは、同じ日本民族、優秀だといわれている日本民族の中に、人には迷惑をかけ、人を犠牲にして、そして自分の野望といいますか目的だけを達しようという人間がふえているということは非常に不幸なこと、そういう人たちにとって非常にかわいそうなような感じがするわけなんです。そこに欠陥があったのじゃないかという気持ちがあるものですから、これは文部省だけの仕事じゃいきませんけれども、教学の担当は政府としては文部省ですから、ここに私見をまじえて聞いておるわけなんだが、どうですか。
  27. 清水成之

    ○清水説明員 いま仰せのとおり、現象面だけからとらえますならば、いわゆる大学紛争とかなんとかいうこととは直接の結びつきはないかもわかりませんけれども、基本的にはいまおっしゃいましたように教育の責任というものは非常に大きいと思います。
  28. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私見を申し上げて恐縮ですけれども、さっき申し上げたように、人命尊重、人道主義、そういうことばが今日の国会でもしきりに出ます。私は私なりに、個人的な見解を申し上げて恐縮ですけれども、私は、人間の目的というのは、ずっとその先に行くとわからないといいますけれども、やはり人類が発展するということがどうも人間の目的のように感じております。人類が発展してどうするのだという、その先の目的は人間にはわからないのじゃないかと思うのです。そこに哲学があり宗教があるのだと思いますが、わかっている目的はまさに人類の発展だと私は思います。人類の発展というのは、申し上げるまでもなく個人が発展しなければならぬが、個人だけじゃなく、すべて人類ができるだけ単位としての人命を、それこそ平和で健康ですこやかに長くし、しかもその次代をになう生命がやはりそれ以上にそういう姿を守り続けていく、これがまあ人類の発展だと思うのです。そういう考え方、私はそれは正しいと思っていますが、もしそういう考え方が正しいということになりますと、そういう点に主力というか、そういう点を全人類が、各個人が考えることになりますと、人を犠牲にして自分の利益をはかる、人を犠牲にして自分の欲望を達する、こういうことは――これは口で言うほど人間の姿というものは簡単でありませんが、そういうことに主力を置いて、学問といいますか、教学を行なってそういう人間がふえますと、大きなことを言って恐縮ですけれども、世界の平和もこんなに乱れない。人はどうなったってかまわないという、ああいうふうな全世界を心配させるような赤軍派の行動も出てくるはずがない。人間の目的というのはやはり人類の発展だ、それは生命のつながりである、こういう思想といいますか考え方があればこういう事件は起こらない。それは昔からいろいろな哲学者やあるいは宗教家、思想家が言われておることであるが、今日なお犯罪が絶えない、戦争が絶えない、こういう状況でありますからそう簡単なものじゃありませんけれども、そこに教学の重点を置くというのが、私は一番日本のためにも世界人類のためにも必要じゃないかということを常に考えておりますから、あえてこの際文部大臣の出席を求めて、もし私の考え方が間違っておればお教えを願いたい。間違っていなければ政府は全力をあげて――政府だけの責任ではありませんけれども、なぜこういう問題をほんとうに真剣に国民とともに話し合わないか。ただ文教行政の制度をどうするこうする、こういうことだけでは一般の国民というものはよくわからないのですね。人間とはこういうものじゃないかということをみんなが考えるような、そういう教育政策といいますか文教行政といいますかがあれば、こういう不幸なことは――全然消滅するとは思いません。思いませんけれども、さっき私が前提に聞いたあの全学連の不幸な姿なんというものは、もっと少なくなるんじゃないかという気がいたしております。こういう赤軍派の全く人間にあるまじき行動というものは出てこないんじゃないか、こういうふうに思いますからこういうことを申し上げるのですが、もう一度御所感をもらいたい。
  29. 清水成之

    ○清水説明員 先生と全く同感でございます。まさにそういう次第でございますので、制度面だけの問題ではなしに制度の改革を要せずしてもやれる問題も含めまして、小、中、高、大学を通ずる改善、改革の問題をただいま真剣に取り組んでおる最中でございまして大臣もかねがね申しておりますように、それらの点につきまして、各界各層、国民的な合意のもとにそういうものを進めてまいりたいということで、ただいま鋭意その改善、改革の勉強中であります。
  30. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私の考え方はさいぜん申し上げたとおりで、私はそう思っておりますけれども、そうであるかどうかわかりません。どうかひとつ文部大臣に伝えておいてください。  それともう一つ聞いておきたいのは、これはやや文教行政面になります。これもいまの教育制度、教育法制ではそう簡単にはいかないところがあると思いますが、先ほど公安調査庁その他から聞きましたとおり、もうすでに皆さん苦心しておられるのですから御存じのとおりでありますが、国民感情と申しますか、素朴な国民の立場からいいますと、今度の事件について非常に割り切れないものを感ずるところがある。ここに報道関係者もたくさんおられますが、今度の事件の報道に非常な混乱があった。一点だけ申し上げます。  「学生がこうやった」がだんだん「学生」でなくて「犯人」になった。テレビの放送など見ておりましても、あるいは新聞その他の報道を見ましても、「学生」と書いたり「犯人」と書いたり、やり方があまりに憎たらしいものですからだんだん「犯人」になってきた。犯人に間違いない、現行犯が全世界の目の前にいる。それは赤軍派の学生がやったということになっておる。そうしてだんだん「犯人」になった。とにかく放送なんか聞いておりますと、学生といって、いや犯人、赤軍一がやった、こういうふうに非常に混乱があった。あれは庶民といいますか素朴な国民には非常に納得しがたいところがある。どういうところが納得しがたいか。一体ああいうのは学生であるかどうか。文部省はあれを学生と認められるのですか。各大学はあれを学生として認められておるか。  そこで妙なことを聞きますが、一体学生とは何ぞや、これをひとつお示し願いたい。学生ということばはだれでも知っておりますが、学生とは何ぞやということはわからぬ人が大部分じゃないかと思うのです。どういうのを学生というのですか。それをひとつ聞いておきたい。
  31. 清水成之

    ○清水説明員 非常にむずかしいあれでございまして、いろいろつかまえ方はあろうかと思います。制度的に申しますならば、正規に入学許可を受けて学校を卒業していくまでの間の者でございますが、それは制度面のことでございまして、実態としまして教育の立場から見ました場合には、入ったというだけでは学生とは申せないのでございまして、学生が大学へ入り、また大学が設けられておる趣旨から見まして、そこでやはり教育あるいは研究という面もございますけれども、それに精進しておるという実態を伴わなければならぬ、こういうように思います。  いま先生御指摘がございましたように、私ども関係当局から聞いておりますところでは、大学在籍学生が二名、それから高等学校在籍学生が一名含まれております。形式的には学生の地位を一応持っておりますけれども、実体的に考えました場合に、そういう理性と良識の府であるところに身を置くべき基礎的な条件をすでに欠いておる、こういうように考えております。
  32. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私を含めて国民の大多数は、これは一々聞いたわけじゃないから私の想像になるかもしれませんが、私どもは普通に無意識的に学生ということは一これはいまに始まったことじゃありませんが、学生というのは特定の学校に、いまお話しのように入学試験を受けて、あるいは試験がなくてもけっこうです、学校に入れてもらって、そこで何年間か勉強する者。あるいは毎日学校へ行かぬでもいいです、私なんかも毎日学校へ行かなかった、図書館が大部分でありましたが、いずれにしても、学校という一つの特定の場所に入れてもらって、そこでそれぞれの学問といいますか、研究その他をして、人間形成から法文、理科系その他自分の希望する学問の内容を深くしていこう、これが学生というものだろうと常識的に考えておるのです。ところがいまごろの学生、簡単に使われておりますが、武器を持って人をおどかしたり、学校には全然出ない。警察から逮捕状が出て追い回されておる。それで、もちろん学校の先生方はその学生がどこにおるかわからぬというのが相当におるだろうと思います。これはめんどうくさいから一々警察に聞きません。それでもなお学生。私がなぜこういうことを言うかというと、世間には、学生がこういうことをやる――外国人は知りませんから、外国で学生と出ておるのじゃないかと思うのです。全学連という英語があるそうですから、今度赤軍派という英語ができるかもしれないけれども、これは日本の信用を害すること非常なものであろうと私は思う。  そこで聞きたいことは、なぜそういう者が学生であるか。私は学生でないと思う。武器を製造し、爆弾を製造し、軍事訓練をして、どこか襲撃しよう、百数十人の人を日本刀を振り回し、爆弾でおどかし、まるで地獄の責め苦をする、学校には最近行ったことがない、あとで聞きますが、逮捕状が出ておるけれども、六カ月以上も所在不明でつかまらない、そういう者に学生の待遇を与えておくといういまの学校の制度というのはどういうことですか。
  33. 清水成之

    ○清水説明員 今回の赤軍派の事件の前にも、先生ちょっとお触れになったかと感じましたので申し上げますと、先般来の大学紛争に関連いたしまして、四十四年度に学生処分を大学でやりましたものが三百四十五名、このうち退学処分をいたしましたのが九十六名、こういう数字が一応出ておるわけでございます。  今回の事件で、私どもいま承知しております、容疑にのぼっております三名につきまして、実は大学紛争に関連いたしまして停学を食っておる裁判中の者が一人ございます。それから高等学校の生徒につきましては、昨年の秋から休学中の者が一人ございます。その三名につきましては、かかる事件でございますので、大学あるいは高等学校におきましていまその厳正な措置について検討中であるということでございます。いまそういう事態でございますので、個々の大学名は差し控えさせていただきますが、私ども内々連絡、承知しておりますところはそういうことであります。先生がおっしゃいますような厳正な措置を講じてもらいたい、こういうように考えております。
  34. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 いまは私は赤軍派だけを取り上げましたが、赤軍派だけじゃない、ほかにもたくさんあると思う。それで最近は大学当局も多少目がさめられたようでありますが、そういう学生でない者を学生でないようにするという措置をとることをおそれておった。私がきょうこうやって皆さんとともに研究しようというのは、さっき最初に日本はジャングルじゃないか、ウドの大木のような気がする、なぜこうしたか、政治家の責任である、最終的には政府の責任であるということを申し上げておきましたが、これは戦後のいろいろな社会情勢がありますから、いま責めるわけじゃないですけれども、ここに至ったのはすべて折り目をつけず、けじめをつけずにずっとうやむやにしてきたところに、普通いわれるように病膏肓に入っておるというのが現状だと私は思う。もし学生でない者を学生でないという処分といいますか、そういうけじめをつける方法ができないのならば、社会のためになりませんからまさに国民の敵であります。そういうものがもし法制でできないのならば、法制を改めるという努力をしなければならないのは当然なことじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。できるのをやらなかったのか。制度上できないからやらなかったのか。今後大学制度その他修学の内容から検討されておるそうでありますけれども、そういうやはりけじめけじめをつけないから――何といってもまだ二十歳前後までは、われわれの体験からいっても、どなたも人間社会の経験の薄い人は妙なことになるのです。そこに折り目をつけけじめをつけながらだんだん成長していく。さっき私は人間形成は大学までに云々という議論をいたしましたが、人間形成は一生かかります。死ぬまでかかると私は思っておるのです。その間において折り目けじめをつけながら失敗もあり成功もあり反省もあって一人前になっていくと思うのですが、そういう大学でさえも――大学以外もあります。いま御承知のように高校が問題になってきつつある。高校生が自分の教える先生をなぐり飛ばしたり、卒業式を妨害してことしも卒業式のできなかったところがある。こういう折り目もない、けじめもないことそして事件が起こった、おまえたちけしからぬのだということでは、これはちょっとどこかどうかしておると思うのです。制度が足らないのか、その制度を運用するところに欠陥があるのか、それはどういうことなんでしょうか。
  35. 清水成之

    ○清水説明員 ただいまのこのけじめをつけるということが非常に大切でございますが、それが制度的に欠陥があってできないというふうには私どものほうは見ていないわけでございます。制度上は、やろうと思えばやれる。ただ、何も弁護するわけではございませんが、大学紛争等に関連いたしまして、処分問題が非常に大きな一つの誘因になったということもございましてちゅうちょしておるところが非常に多かった。最近になりまして、一昨年来の紛争のあと始末、けじめをつけるということで、先ほども先生御指摘のとおりけじめをつけるというのがだんだん出てまいっておる、こういう状況でございまして、制度に欠陥があるからできないということには相ならぬのじゃないか、かように考えております。
  36. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 もし制度に欠陥がないならば、責任はその制度を運用しなかったものにあるのですから、あるいは大学当局になるのか、文部省直接というわけにいかぬでしょう。これは若い者ですから直ちに処分するという措置は誤りであろう、軽微の犯罪を犯したときに直ちに処分することがいいとばかり考えませんが、ほんとうに愛情がある教育ということになれば、やはり処分するときには処分をしないと、一時は愛情があったようだけれども、一生を台なしにしてしまうということが非常に多いと思うのです。全く台なしになる機会が最近はたくさん出ておるわけなんです。そこに折り目をつける、けじめをつける。私は何も処分だけが能だとは言いません。ほんとうに若い青年諸君の一生のことを考え、もっと深い愛情があれば、何とかこれにけじめをつける習慣をつけるということが大切じゃないかと私は思います。ひとつ御努力を願うことにしておきます。あなたの場合は、まだあるかもしれませんが、一応ここで切っておきます。  そこで、先ほど公安調査庁に伺いましたが、先ほどお話しになったたくさんのグループがありますからこまかく聞きませんが、これは、共産主義革命をしようというその態様、やり方、いわゆる世間で言う過激、直ちにやりたいあるいはだんだんにやりたい、いろいろあると思います。そういう意味で派閥といいますか、分裂、統合その他動揺したりしておると思いますが、わが国を共産主義革命をするためにやっておるそういうグループである、団体である、それは間違いありませんか。
  37. 内田達夫

    ○内田(達)政府委員 お説のとおりでございまして、共産主義革命を目標としまして、過激な手段で直ちにやろうという集団でございます。
  38. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 ここに松本さんもおられるけれども、日本共産党日本共産主義革命したい。そのために党を結成されておるのですが、それとの関係はどういうようになっておりますか。
  39. 内田達夫

    ○内田(達)政府委員 日本共産党も、終局的には共産主義社会建設に向かって、それを目標としておるという点については変わりはございません。しかしながら、その革命に至るやり方について差異があるわけでございます。
  40. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 どういう差異があるのですか。
  41. 内田達夫

    ○内田(達)政府委員 赤軍派等この過激集団、いわゆる一段革命論と申しますか、一挙に事をなそう、暴力主義的な手段によってこの革命を達成しよう。各派とも、多少の違いはありますが、おおむねそのような方法を考えておるわけでございます。これに対しまして日本共産党は、直ちにさようなことを考えておるわけではございません。日本共産党といたしましては、当面、民主連合政府というものをつくろう。そうしてそれからさらに人民民主主義革命を達成し、さらに社会主義革命に移行して、終局的には共産主義革命に持っていこう、かような幾つかの段階を経た方法を考えておるようでございます。
  42. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 そういうところは、何といいますか、素朴な国民感情といいますか、国民の立場からいうとよくわからないのですね。民主連合政府をつくって、終局的には共産主義社会をつくろう。いま民主政府でないものは日本にはできないことになっているのですが、民主連合政府というのはどういうことといいますか、あなたは共産党の方ではないからわからないかもしれませんが、わかっておったら教えてもらいたい。
  43. 内田達夫

    ○内田(達)政府委員 文献等によりますと、民主連合政府と申しますのは、共産党の掲げておる、たとえば安保条約廃棄とか、沖繩の即時返還とか、憲法改悪反対とか、そういったような当面の政策で一致する範囲において、たとえば社会党と連合しまして、そしてこの議会政治のもとで、国会あるいは地方議会等に多数をとって、その多数の力によって、社共共闘といったようなものを中心とした政府を樹立しよう、これが民主連合政府だと理解しております。
  44. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私がそういうことを尋ねるのはなぜかといいますと、新聞に一部出ておりましたように、東京都議会なんかでも問題になっている、あるいは国会でも相当論議されております、いわゆる日本共産党は暴力革命を指向しておるのだ、ことばは違いますが、そういう趣旨のことが、公安調査庁や公安委員長ですかの発言がありましたが、それはどういうことですか。どういうふうに考えておられますか。
  45. 内田達夫

    ○内田(達)政府委員 日本共産党が暴力革命を目ざしておるかどうかという点でございますけれども、この点につきましては、いわゆる出方論と申しまして、文献等によりますと、共産党が暴力に出るかどうかは敵権力の出方いかんによるのである、その出方によっては、暴力といわずに、非平和的移行、平和的移行に分けておりまして、非平和的ということは、言いかえれば暴力ということになりましょうか、その敵の出方によっては非平和的な革命のやり方があるのだということでございます。したがいまして、共産党が全然暴力革命、非平和的革命をやらないのだということは申しておりません。やるかもしれないということは申しております。そういう意味で、非平和的つまり暴力的な革命をやるかもしれない、さような意味でございます。
  46. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 これは今国会の昭和四十五年三月十二日、参議院地方行政委員会速記録であります。いろいろ書いてありますが、これはいわゆる日本共産党に対する秦野警視総監の発言についての問答のあちこちにありますけれども、日本共産党は依然破壊活動防止法の適用容疑団体であるというような発言があったが、公安委員長はどういう考えかという問いに対して、「御指摘のとおり」云々と書いて、「共産党に関する秦野警視総監の発言に関連して、秦野発言は当然のことであり、共産党破壊活動防止法の容疑団体であるとの趣旨を述べたつもりであります。」これは記者会見についてのお答えであります。なお、これは政府委員のお答えでありますが、「総監が申しましたのは、簡単に申しますと、日本共産党と申しますのは、政権獲得の手段として二つの方法をあげておる。一つは平和的移行の方法であり、一つは非平和的移行の可能性の問題である。したがって、そこで申しておりまするように、これは宮本現書記長も「日本革命の展望」という著書の中で、きわめて明確にそのことに触れておられるわけでございますけれども、いま申しましたところでもおわかりのように、平和的移行というのは、いわゆる議会主義の道ではないということをはっきり、その他の共産党の公刊物の中できわめて明瞭になっております。さような意味合いにおいて、最終的な政権獲得の手段としていわゆる暴力主義的な方式もとり得る、あり得るということをはっきり述べておるという、そういうふうな意味合いにおきましても」云々、こう書いておるのですが、もう少しそこのところをどう見ておられるのか、明確にお答え願いたい。(「赤旗を読め」と呼び、その他発言する者あり)ほかに雑音がありますけれども、これは最初に申し上げましたように、赤軍派の行動というものは、わが国の、簡単に申し上げてジャングルといいますか、一端でありますから、そういうことをみんなで話し合って、どういうふうにしたら日本がよくなるのだ、国民がもっとよくなるのだということをお互いに考えようじゃないか、こういうことを前提にして聞いている。お答え願いたい。
  47. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 ただいまお尋ねがございました日本共産党の革命方式につきましては、先ほども公安調査庁のほうから御答弁がございましたとおりでございまして、宮本書記長の報告なりあるいはその他の党の正式文献によりましても、移行の方法には二つの方法があって、いわゆる非平和的移行ということもあるという方針がはっきり書いてありますので、警察といたしましては、共産党がそのような暴力革命の方針というものを全く捨て去ったものではない、かように考えており、警察庁としては関心を持っている次第であります。
  48. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 赤旗を読めとおっしゃいますけれども、当初に断わっているわけです。素朴な国民はわからないから、ひとつそういう立場でお尋ねをします、相談をしましようということで申し上げているわけであります。  そこで、人事院総裁が見えておりますから、これもまたわからないところがあるから聞くのですが、その前に、いま日本共産党まで入れまして、先ほど日本共産党とやり方をやや異にしているという御説明の、いわゆる赤軍派その他たくさんの御説明がありました、暴力によって短兵急に、あるいは場合によってはと、こういう政党あるいはその他の団体があるわけですが、いまのところ学生が多いようであります。そういう人たちが、学校を卒業し、あるいは学校時代はそうでなかったが、いろいろあると思います。そういう人々が、わが国の国家公務員あるいは地方公務員地方公務員には教職員も入ります、そういうところにどのくらい、これもなかなかわかりにくいと思いますけれども、相当入っているのか、これをひとつ、これは警察庁でも公安調査庁でもけっこうですからお示しを願いたい。
  49. 内田達夫

    ○内田(達)政府委員 党員が国家公務員あるいは地方公務員の中におるかどうかという点は、相当多数おるということはわかります。ただし、その数については正確なことはわかりません。
  50. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 なかなかそれは正確にはわからないと思います。相当おるということだけはわかっておる。そこで、この赤軍派その他の全学連等で、いろんな武器といいますか、武器を使い、暴力を使い行動に出たそういう人々が、そういうものに入っておる者がありますかどうか、それはどうですか。
  51. 内田達夫

    ○内田(達)政府委員 お尋ねの趣旨がちょっとはっきりしないので、もう一度……。
  52. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 暴力手段によって日本のいわゆる共産主義革命をしようとする諸団体の話を聞いたわけです。そういうことを過去にやった人が国家公務員あるいは地方公務員その他に入っておるかどうか、これをお尋ねしておるわけです。
  53. 内田達夫

    ○内田(達)政府委員 その点、私のほうでは調査が行き届いておりません。
  54. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 それでは警察庁に聞きますが、そういう暴力的いわゆる破壊活動の行動に出た者が公務員の中でおりましたか、どうですか。(発言する者あり)それを警察庁から……。
  55. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 正確な数字は手元に持っておりませんけれども、一昨年あるいは昨年のあの過激な一連の不法活動があったわけでございますが、その中で国家公務員あるいは地方公務員の身分を持った者が逮捕されておるという事実はございます。
  56. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 氏名は要りませんけれども、何人くらい逮捕されたりあるいは指名手配を受けたりしておりますか。
  57. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 申しわけございませんが、いまちょっと手元に資料がございませんので、あらためてまた申し上げたいと思います。
  58. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 雑音の中にそういうことがないとおっしゃいましたが、(「心配するな」と呼ぶ者あり)あったことは事実ですね。
  59. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 いわゆる極左暴力集団の中に加わって、先に述べましたような不法行為を行なった者は公務員の中にございました。
  60. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 いま心配せぬでもいいのだという不規則発言がありましたが、そういう形が私は今度の赤軍派みたいな一角があらわれておる、そう私は観察しておる。(「泳がせておるんだ」と呼ぶ者あり)そこで、いまの泳がせておるという話がありますが、ほかにも公式発言で泳がせているという議論がきのうの本会議でもありました。そういうことがあるのですか、これはたいへんなことですがどうですか。警察庁でも公安調査庁でも……。
  61. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 結論的に申しますと、そのようなことは全くございません。昨年の秋以降、正しくは七月からでございますが、赤軍派につきましては公安調査庁からお答えがございましたように、幾多あるこの暴力集団の中でも、赤軍派は最も虞犯性の高い、いわば過激グループでございましたので、警察といたしましては今日まで鋭意捜査を続け、彼らの行動確認につとめてまいったわけでありまして、今年現在まで赤軍派によって引き起こされましたいわゆる不法事案と申しますものは四十四件でございまして、延べで二百八十八名を逮捕いたしておるわけでございます。現在そのうちの五十四名が現に勾留中でございますが、特に三月に入りましてからいわゆる赤軍派の議長といわれます塩見孝也という者をはじめといたしまして、四名の逮捕をいたしておるわけでございます。  そのようなことでございまして、警察といたしましては、先ほど申しましたような過激グループがたくさんあります中でも、特に赤軍派につきましては鋭意捜査に努力してきているわけでありまして、(発言する者あり)一部に言われますような泳がせたなんということは全くございません。
  62. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 いや、これは反共宣伝とかなんとかそういうなまやさしいことを考えているのではない。共産党に頼んでおきますが、暴力主義で野望を達するということはぜひひとつやめてもらいたい。  そこで、人事院総裁に承ります。国家公務員法の三十八条に「左の各号の一に該当する者は人事院規則の定める場合を除くの外、官職に就く能力を有しない。」と書いてある。その第五号に「日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者」これは官職につく、いわゆる国家公務員につく能力を有しないと書いてある。四十三条には「第四十四条に規定する資格に関する制限の外、官職に就く能力を有しない者は、受験することができない。」国家公務員試験を受けることができない欠格条項があるわけですが、これはどういうわけでこういう法律が、あなたの所管でありますが、できておるわけですか。
  63. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 ただいまお示しになりました三十八条第五号に該当するようなものは公務員になっては困る、一口にいえばそういう趣旨からできておる条文だと思います。
  64. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 どうしてこういう法律ができておるのですかということを、さっき申し上げたように素朴な国民の立場から聞こう、こういうことです。
  65. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 もとをただしますれば、国家公務員たる者はとにかくその職務の執行について公正中立でなければいけない。憲法の秩序のもとにでき上だっている政府の中にそれがもぐり込んで、ただいまお読みになりました第五号のような行動をすることはもってのほかのことであるという趣旨から、この条文ができておるというふうに考えます。
  66. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 こういう条項は地方公務員法にもございます。やや文字が違っておるところもございますが、裁判所法にもあります。検察庁法にもあります。学校教育法にも……。ほかにもあるかもしれませんが、そこで人事院総裁は、先ほど来の暴力をもってわが国の共産主義革命をするということは、いわゆる憲法または憲法で成立した政府を暴力で破壊するということに該当するかどうか、そういうふうに解しておられるかどうか、それはいかがですか。
  67. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 ただいまの三十八条第五号は、これは団体ということで押えておりますからこれはさておきまして、いまお示しになりましたような行為そのものを取り出してみれば、これはかつてありましたような右のほうの勢力であろうと左のほうの勢力であろうと、およそそういうことは許せない、けしからぬということになるわけであります。
  68. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 そこで、地方公務員はまあ地方のことですから、趣旨は同じでありますけれども、この法律を活用されたことがありますか。私がこういうことを申し上げるのは、どうもいままでいろいろなこんとんたる社会情勢の中で妙なかっこうが出ておりますから、さっきも文部省もいろいろ言いましたが、折り目けじめをつけないで来ておる政府の責任が相当ある。終局的には政府の責任である。赤軍派がこういうふうになったのも、さっき雑音にもありましたけれども、まさにこれは政府の責任であります。そういう意味でやはり折り目を正すところは折り目を正す、けじめをつけるところはけじめをつけるという諸制度があるのですから、それをやっておかないとあとで騒いでも間に合わない、こういう趣旨で私はお尋ねしておるのですが、この国家公務員法の欠格条項、試験も受けてはならないという、こういう条項をまじめに活用されてこられたか、こういうことをお尋ねしておるのです。
  69. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 この三十八条にあげてあります第五号は「政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者」ということで団体を押えておるわけです。しこうしてこの三十八条は「官職に就く能力を有しない。」これが絶対的の条件になっておりますから、何がその五号の団体に当たるかということは、よほど周知方法をとった権威のある形で、たとえば告示するとかいうような形でこれはいかなければならない性質のものだと思います。ところが、実質的にはこの五号にあがっておるものを見ますと、御承知のとおり、これは破壊活動防止法の対象になるものと裏表になっておる。破壊活動防止法でいわゆる対象の団体になるためには裁判手続に準ずるような非常に慎重な手続を経て、そして対象団体であるかいなかの確認をされるわけです。そういう重大なポイントにかかわるものでありますから、人事院が軽々しく――というと誤弊がありますけれども、独走してこれを指定するということは、これはまたある意味ではたいへんな問題になる。要するに破防法と裏表の関係にあるという認識に立っております。したがいまして、現在までこの三十八条の第五号の団体が何であるというようなことについては、公にこれをきめて、また告示したというようなことはございません。ただし、この三十八条第五号の団体に当たるかどうかという問題もさることながら、われわれとしては個人個人、一人一人の公務員が適格性を持っておるかどうか、それらにやはり重点を置いて考えていけば、まあ三十八条第五号の指定を待たずとも、公務員内部の秩序なり適正というものは、これははかり得るものではないか、筋道としてはそういうものだろうと私は思っております。
  70. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 もしこれらの関連法律の適用が、破壊活動防止法によって指定団体となること、そういうことでありますと、この法律の活用というのはほとんど不可能であるというのがいまの状態です。日本共産党は一ぺん指定されたことがあるのじゃないかと思いますが……。   〔発言する者あり〕
  71. 小澤太郎

    ○小澤(太)委員長代理 静かに願います。
  72. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 「政党その他の団体」と書いてある。そこでさっき私は……(発言する者あり)言論妨害はやめてください。さっき文部省に聞いたのですけれども、教学の方法もお考え願いたいと言ったのですが、法律さえできれば、あるいは科学技術の理論さえできれば、これは国家公務員試験を通ることは簡単であります。全学連といいますか、先ほど問題になったいわゆる赤軍派の学生なんというのは勉強すればできる諸君じゃないかと思うのです。こういう諸君が国家公務員試験を通る、そうすると各省に上級職合格者、採用候補者として人事院がそれを採用するように、やはり各省に提示されるかどうか。それはなるほど赤軍派というものは、公安調査庁から破壊活動防止法に基づくそういう破壊団体だということを指定されておりませんけれども、国民の普通の常識では、それで試験が通れば裁判官になる、その他各省の公務員になる、あるいは学校の先生になる、そういうことはあり得べからざることであると常識的に思うのです。これはどうにもならぬとおっしゃるのですか。
  73. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 申すまでもございませんが、各省庁の人事、いわゆる採用する場合の当局は各省大臣、各省の長官等が任命権をお持ちになっておりますから、ただいまお述べになりましたような常識上当然のことを各省の大臣ともあろう方がお抜かりになるはずはなかろうと思います。ただ、この際につけ加えて申し上げておきたいと思いますのは、たまたま試験のお話が出ましたから、一応公務員の適格者をふるい分ける手順というのはどうなっておるかということを、この機会に、宣伝になるかもしれませんけれども、申し上げさしていただきたいと思います。  まず第一段階は、ただいまおっしゃいました公務員試験でございます。これは上級職の者で毎年合格者が千五百人、それから中級職が同じく千五百人、それから初級職の者が二万二千人、合計毎年二万五千人ばかりが合格しておるわけであります。その二万五千人の合格者を選ぶとき、われわれは、試験を行ない、その他の調査を行なわなければならぬという責任を持っておるわけであります。その段階において学術のみならず人物の点も考査をしております。これが第一のふるいであります。  第二のふるいは、そこでわがほうから合格者の名簿を各省にお出しいたします。そして、先ほど申しましたように、今度は各省大臣なり各省庁の長官が責任を持って、その中からさらに面接試験その他をおやりになって、そしてこれはだいじょうぶと確信される者を、いよいよ辞令を渡してその際にお採りになる。まだそれだけでは任命は確定にならないのです。まず六カ月間は条件つきで採用される。六カ月間じっとその者の性向なり能力の発揮ぶりを見ておって、これは使いものにならぬ、これはよくないという場合には、この間は身分の保障がございませんから、いつでもこれは解除できる。六カ月無事故でいけばこれはもう正式採用になりますから、その後はこれを罷免その他の処置をすることは、法律に列挙した条件に当たらなければできない。また不満があればその人は人事院に提訴する。そういう何段階かのスクリーンがあるわけであります。  私どもは、試験については申すまでもありません、十分その点に――数は多うございます、二万何千人にのぼっておりますけれども、われわれとしてできるだけの努力はしており、さらに各省もおそらく当然の常識上そのくらいの努力はされております。私としても各省の人事課長その他の集まりの際には、公務員のあるべき姿等について、まあ訓示がましいこともやっておりますし、それから初任者の研修というのも近ごろやっております。各省庁が採用した者を一斉に一週間ばかり渋谷の青少年教育センターにかん詰めにいたしまして、いろいろ研修をいたしております。初任者に必要な心がまえの研修をいたしておりますが、私がみずから出ていきまして、やはり公務員の中立性、ことに政治的中立性ということを強く強調してまいっております。  そういうようなことで、まあ一連のことを一応御参考までに申し上げればそういう段階であります。そしてまた当局者とともに、現在は服務関係は人事局の主管かもしれませんが、人事院、人事局相連携して御心配の生ずるようなことのないようにという努力を今後とも重ねていきたいという決意でおるわけでございます。
  74. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私があえてこういうことを聞きますのは、さっきも警察庁からお話がありましたが、現に国家公務員の中から破壊活動をする人が出て検挙されたりしておりますから申し上げるのです。  そこで、学校教育法にも同じような規定がありますから、文部省からもこれについての見解を承りたいと思います。
  75. 清水成之

    ○清水説明員 いまの学校教育法教員欠格条項の件でございますが、先ほど人事院総裁からお答えがございましたのと同様でございます。
  76. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 これも現に学校の先生がこういう問題で検挙されておりますから、私はあえて聞くのです。ひとつ厳に御注意を願いたい。  そこで、あまりこれを聞きますと、おこられる人がありますから……。   〔発言する者あり〕
  77. 小澤太郎

    ○小澤(太)委員長代理 御静粛に願います。
  78. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 社共共闘で何か言っておられるようでありますけれども、最初に申し上げておるように、赤軍派の行動はすべて、そういういろいろなところから根がはえておるということを言ったわけです。それはそれだけの、氷山の一角だけを処理してもだめなんですから、根本問題をみんなで考えようじゃないかという立場で申し上げておるのであります。   〔発言する者あり〕
  79. 小澤太郎

    ○小澤(太)委員長代理 静粛に願います。
  80. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 そこで、警察庁あるいは法務省でもいいのですが、今度のあの残酷な乗っ取り事件、最初に申しましたように、生命には別状なくてしあわせでしたが、ああいう犯罪に対する直接的な取り締まり法規はないと思います。それで現行法で取り締まると申しますか、ああいう事態が始まってからでは、実はもう飛行機の場合にはなかなか間に合わないというのが実情であろうと思います。しかし、犯罪犯罪ですから、犯罪としてこれは取り締まらなければなりません。現行法ではどういうふうな取り締まりができるか、それで足りると思われるか、足りないと思われるならばどうしたらいいか、この法務委員会でも検討しなければならないという皆さんの御意向もあるわけですが、その二つの点についてここで考えを示してもらいたいと思います。
  81. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 今回のいわゆる日航機の乗っ取り事件につきましては、御案内のとおりまだ捜査がほとんどできてないという状況でございますから、捜査の結果を待たなければ、現行法のもとにおける的確な犯人の刑事責任を云々することは困難でございますが、現在私どもが報道機関その他の報道によって承知いたしておることから一般的に申し上げますと、まず現行法のもとにおきまして適用し得る罰則といたしましては、刑法の関係におきましては、刑法の強盗罪、不法監禁罪、国外移送目的の略取罪、威力業務妨害罪等がございますし、その他の特別法関係におきましては、出入国管理令違反、場合によりましては航空法百三十八条違反、それから所持いたしております凶器の関係におきましては、爆発物取締罰則違反、銃砲刀剣類所持等取締法違反、火薬類取締法違反というような各罰則が適用し得るのじゃないかと考えておるわけでございます。  そこで、現行法ではこのような罰則の適用が考えられるわけでございますが、それで足りるかどうかという問題でございます。いま私が読み上げました各罰条でございますが、これの法定刑はいずれもその最高が有期懲役どまりでございます。したがいまして、有期懲役は最高が十五年でございますから、このたくさんの罰則を適用いたしました場合に、この罰則相互間に刑法のいわゆる併合罪の関係に当たるものがございました場合には、併合罪の加重という規定の適用を受けまして、有期懲役の最高の十五年が、さらに最高二十年以下の懲役という形に相なるわけであろうと考えるのでございます。  ところで、これはものの見方によるわけでございますけれども、結局現行法制のもとにおいては、今回の事件は、かりに加重されても二十年の懲役を越えることはできないということに相なるわけでございます。そこで、こういうような罰則関係で、はたして将来の問題といたしましてかような犯罪の刑罰の適用が十分であるかどうかという問題と、さらに将来、悲しむべき事態でございますが、この種の犯罪がまだ起きるという場合の  一般の抑止力と申しますか、そういう面から見まして最高が有期懲役であるということになりますと、はたしてこれで十分であるかどうかという点にやはり疑念が残るのではなかろうかと思うわけでございます。かようなわけで、今回のような事件は、まず法定刑の上限におきまして一つの問題点があるということが言えると思うのでございます。  さらに、先ほど来申しましたように、かようないろいろな罰則を適用いたすことは可能でございますけれども、今回のような乗っ取り事件、いわゆるハイジャッキングと申しておりますが、このハイジャッキングという一つの社会的な不法事実、これにぴったりと当てはまる罰則は現在のところないということでございますので、この面からいいましても、かようなたいへん違法な事実に対しては、やはりどんぴしゃりそれを適用し得る刑罰法規を設け、それに値する法定刑が規定される必要があるのじゃなかろうかと考えておる次第でございます。
  82. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 人事院総裁、文部省の方、私のほうはもうお尋ねすることはありませんから……。どうも御苦労さまでした。  この間のような事件が何としてでも再び起こらないようにということは、これはもう日本ばかりじゃなくて世界の人々が希望することであろうと思います。しかし、人間の社会というのは、期待はしても、期待はずれの場合があります。しかも、今度の事件がありまして、国民全部といっていいでしょう、これはびっくりもし、悲しみもし、最後には安心をしたということですが、時代が進みましていろいろ新しい事態が起こるわけであります。まさに航空機時代になって、諸外国にはだいぶあったようでありますけれども、新しい事態に対する新しいケースの犯罪が起こる、これはまあ人間社会の通有性であります。  そこで、それこそ法律に関してそれほど深い知識のない一般国民は、いまおっしゃったように五つも六つも七つもの法律をまぜまぜにして、何に当たるんだいってもなかなかわかりにくい。しかもああいう犯罪は、それは分析すれば、現行法ではいろいろな罪名に該当するものがあると思いますけれども、一つのセットされた犯罪になるわけです。どんぴしゃりということばがありましたが、やはりこういう新しい時代、新しい事態に対しては、それに適用する刑法といいますか、処罰法規をつくることを国民も期待しておると思います。さらにそういう法律が適用されることは絶無にしてもらいたいのですけれども、しかし、あれにも当たりこれにも当たるなんと言ったって国民はなかなかわからない。こういうことをするとこうだということがあってしかるべきだと思います。きのうの衆議院の本会議場でも御用意願っておるという発言がありました。当委員会でも多く期待されておることと思います。われわれも研究しなければなりませんが、やはり法の担当である法務省としては、ひとつすみやかに案を作成されて、できるだけ早く国民の期待に沿うようにしていただきたい。これは内容もあるのですが、その内容がどうのこうのということは私はここで意見も議論もいたしませんが、それをお願いしておきます。しかし、やはりこういうことが起こってからこの法律をやるのだというのでは全く――今度の場合はああいう結果になってまずまずでしたけれども、いつもああいうふうになるとは思われない。起こらないことが前提だと思うのです。  そこで、警察庁にお尋ねしますが、今度の事件は、いろいろ従来も御説明がありましたけれども、一体どうしてあの事件を防ぐことができなかったか、何か制度上欠陥があるのか。あるいは先ほど全学連の話もありましたが、世の中のことはなかなかわかりにくい、わかりにくいようにして活動しておるわけですからわかりにくいところはあると思いますが、どこに欠陥があったのか。これは正面切っていえば、まさに警察の手落ちなんです。怠慢なんです。そればかり責めておっても問題は解決しませんから、どこに欠陥があったのか。未然に防ぐことが国民の最大の期待であろうと思いますが、そういう点について、制度上ああいうことが起こらないようにする手段、方法はないのか、制度上はできるけれども、人間のやることだからやはりどこかに穴があるのだというのか、それを簡単でいいですから御説明を願いたい。
  83. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 ただいまのお話にございましたように、結果的にあのような不幸な事案が起こったわけでございまして、この種の犯行の企図を事前にわれわれが察知できなかったというところに問題点があろうかと存じます。  なお、お話がございましたように、この種事案の再発防止のためにもいろいろな方策が考えられようかと思いますけれども、まず何よりも関係機関、航空会社あるいは飛行機の乗客の方々、こういう方々の一般的な協力を得て、飛行機の中に今回のような凶器あるいは危険物を持ち込ませないための諸方策を今後の課題として検討しなければならぬかと思っております。制度的に云々というお話もございましたけれども、現行の制度の中で関係機関のより一そう緊密なる連絡、協力というものを確保した上で今後万全を期してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  84. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 この問題については、他の委員からもいろいろ問題の分析があると思います。しかもきのうの本会議等においてもいろいろ政府の説明がありました。私はもうこれで終わりますが、とにかく事態か起こってからでは-飛行機はかりではないと思います。どんな事態でも想像すれば想像されます。それで私、さっきいろいろなことを前提に聞いたのです。でありますから、帰するところは、国民が安心して、いわゆるまくらを高うしてそれぞれの職場で生活ができる、これが概括的にいって国民の大きな願いであり、期待であると思います。それは警察だけの力ではありませんけれども、しかし、やはり警察がその中心で一ありますから、今後、いま簡単におっしゃいましたけれども、決意を新たにしてひとつ国民の期待にこたえていただくことを希望して、私はこれで終わりたいと思います。  どうも長時間ありがとうございました。
  85. 小澤太郎

    ○小澤(太)委員長代理 畑和君。
  86. 畑和

    ○畑委員 もう時間が一時近くになりましたけれども、法務大臣が見えても、またすぐ参議院のこの問題についての緊急質問の本会議に出なければならぬというような話も承っておりますので、私はせめて法務大臣に少しの時間でも質疑をいたしたいと思いまして、本来なら休憩するところですが、続けて質問をいたしたい、かように考えております。  今度の飛行機の乗っ取り事件、この問題はともかくこの一週間という間、世界の耳目が集中して、日本でもほとんどほかのニュースが出ないというくらいで、もうこれ一本に集中した。国民もテレビ、ラジオ等に耳をずっとそばだててきた非常にショッキングな事件でございました。非常に不幸な事件であることには間違いないのでありますけれども、結果的に幸いに御承知のようなことで終わりまして、これは国民とともにわれわれも心から喜びたいと思っています。  しかし、この処理の問題につきましては、いろいろ批判もございますし、いまだに真相が究明されない部分が相当あるのであります。なぜ北朝鮮に向かうということが途中から変更をして、平壌に行かずに金浦飛行場に着いたかということについて、飛行士その他の乗客等の話を新聞、テレビ等で見ましたけれども、それによると、北朝鮮の平壌に行くつもりであった、こう言うておるわけでありますけれども、また政府のほうも、各省とも南朝鮮の金浦飛行場に着陸させようというような考えはなかったし、そういう指示もしておらぬ、こういうわけです。ところが、飛行士のこの間のテレビでの話によりましても、またきのうの総理の答弁にもそうありましたが、無線によって誘導されて、そして平壌だと思って金浦に着いたのだということでございましたが、その無線というものが一体どこの無線であるかということは大体想像がつくけれども、その辺の問題がこれからさらに事実関係として究明されなければならぬと思います。私はここでしいてそういった問題を究明しようとは思いません。ハイジャックに関係あるのだから、先ほどの瀬戸山さんの質問以上にそれをこまかくやりましても、結局ハイジャックに関係ないとは申せません。しかし、各党の国対委員長会談で、近くこの問題について五つの委員会で合同審査をやることにきまったということでありますから、そうした各党の申し合わせによって、おそらくは事実関係を一緒になって究明する、そういった機会があろうと思います。そういうことで私は先ほどの理事会でも、わが党の態度として、ここの委員会でも運輸委員会に対して合同審査をしてもらうというような決議を手続上してもらいたい、そういうことを申しましたが、これは次の金曜日にしようということになったわけであります。したがって、その機会にそうした問題等についていろいろ事実の究明があろうと思いますから、あえてそのことについては詳しくは申しません。  ただしかし、ともかくまことにふしぎな話でありまして、日本の政府が知らぬのに、いつの間にかこちらピョンヤン、こちらピョンヤンということでいざなっていったという話であります。しかもけさのテレビのニュースによりますと、丁韓国国防相が、この間についてのことを声明をしておりますけれども、それによると、確かにこちらは平壌だ、平壌だといって導いた。ただしかし、その前にこちら金浦と言った。それでも平壌、平壌と言うから、機長はおそらくそれを知っていて、金浦へ行きたいというふうに考えて、わざわざ平壌、平壌と続けて呼んだのだろう。したがって、こちらはずっと平壌だと言い続けたというような言いわけになっておる。まことに奇怪千万な話でありまして、幾ら韓国の領域内で行なわれたとしても、飛行士の話によりますれば、一度は北朝鮮の領域のほうに行った、それからそういう無線があったというのでありますから、なおさらおかしいと思うのです。政府部内の人が何も知らぬのに、ほかの国のほうでそういうことをやるということは、日本の政府がやった以上に、もしそうだとすれば問題だと思う。この辺は徹底的に究明をしなければならぬと思っております。しかし、この席ではその点についての問答は避けまして、主としてこうしたハイジャックに対してどういう抑止措置をするか、刑罰法規の問題あるいはその他警察関係の問題等もありましょう。そうした問題について政府はどう考えておるかということを中心として伺いたい。  またさらに、たまたま東京でやられた世界の国際民間航空機構の会議、そこで一九六三年ですかに航空機乗っ取り等を中心とする機長の権限、あるいはそうした飛行機に関する刑事犯罪等の処罰に関する管轄権、こういった問題についていわゆる東京条約が締結された。ところが、それを東京でやられたにもかかわらず、いまだに日本は批准しておらなかった。まことに皮肉であります。いかに日本の政府がこの問題について無関心であったか。外務大臣すらも、実はこの条約があったことを知らなかったということをテレビかなんかで言っているのを聞いた。きのうの本会議の場合にはそこまでは言わなかったけれども、ともかくそういう状態で、これがいまになってことさら、とにかく批准をしなければならぬというような政府の態度になってきた、こういう問題もございます。こうした東京条約の問題とも関連し、そういった問題を中心として質問していきたいのであります。  ただその前に、この前私、三日でございましたか、乗っ取り事件について質問をいたしました際に、警察当局の処置について質問をした。私も実はテレビを見ておりませんでしたが、私の家族の話を聞いて、警察庁があらゆる手段を講じて福岡板付から離陸させるなという指示をしたことがあるかという質問に対して、そういうことはないと言う。法務省関係ではどうか、これもない、こういう話でございましたので、あるいは私の聞き違いかと思いまして、そういうようなことで結びましたけれども、その後新聞あるいはまたきのうの国家公安委員長等の答弁によりますと、ともかくそういう問題はあったにはあった。けれども、それは正式の指示ではないとかなんとか言って言いのがれをしておったので、私は実に憤慨にたえなかった。その問題についてこの際にもう一度はっきりさせておきたいというふうに考えておるわけです。警備局長がおられますが、その辺のことを明らかにしていただきたい。警備局長が自宅からとりあえず指示を出した。この指示においては、そこまでは言ってないようだ。ところが、そのあと福岡県警と警察庁との間の――警備局長ではない、ほかの人のようですが、その電話のやりとりの中でそういう事実がある。これは正式の指示ではないとかいうような話でありますけれども、一たん警察庁の本庁の者が言った以上は、その下部機構である福岡県警との間の話は結局指示に類することじゃないかと思って、簡単に責任のがれをするわけにはまいらぬのじゃないかという観点から質問をいたします。その点ひとつ明快な答弁を警備局長からお願いいたしたい。
  87. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 この点につきましては、ただいまお話のございました本委員会で私のところの警備課長がお答えをしたところでございますが、その場合先生のお尋ねは、それは指示であるかというお話があったそうでございまして、指示ではございませんと答えたと聞いております。その真相をはっきり具体的に申しますと、結論から申しまして、今回の事案につきましては、警察庁といたしましてもあるいはまた福岡県警本部といたしましても、いまお尋ねのございました発進を避けられない場合に韓国の飛行場に着陸させろと言ったようなことは全くございません。これはどなたにお聞き取り願いましても――関係機関と申しますれば、運輸省なりあるいは日航本社なり、現地の日航事務所なり、運輸省の保安事務所があろうと思いますけれども、その当時草々の間ではございましたが、現地は現地、中央は中央で関係機関といろいろ連絡をとりまして、このような中央、地方におきましていま申しましたように韓国のカの字も出ておりません。  実際問題を申しますと、私が第一報を受けまして直ちに長官、国家公安委員長にとりあえず電話で連絡いたしまして了承を得まして、現地の有吉県警本部長に連絡をいたしました。有吉県警本部長は、まさに公舎を出ようとしておったところだと思います。おおむね八時二十分ごろと記憶しておりますが、有吉本部長に私が直接了承を得た上で、乗客の安全救出を第一義として、あらゆる手段を尽くして板付から離陸させないという話し合いを実はいたしたわけでございます。板付から離陸させない、こういう方針をきめたわけでございます。したがいまして、いまお尋ねのございましたようないわゆる警察庁の四項目云々というようなことは、いま先生のお話もございましたけれども、これは福岡県警の係官から、その後着陸体制に入りつつあるというような報告を警備課長が受理いたしまして、その際に警備課長が、乗客の安全救出が第一義である、同時にまた、犯人の検挙に努力しろ、二番目としまして、発進させないために時間をできるだけ引き延ばす、そのためにはタイヤの空気を抜くでありますとか、そういうような方策を考えるべきではなかろうか、それからさらには、もしも万が一どうしても発進を阻止できない場合には、国内の他の空港かあるいは韓国の飛行場なんかに着けないかどうか検討してみたらどうであろうかということを、係官同士の間で話し合った事実はございます。しかしながら、いま申しましたように、時間的には私が長官に報告した上で指示いたしました。私はちょうど自宅におったわけでありますが、私が役所に出てまいりましてから直ちに関係者集まりまして、いわゆる赤木指示というようにいわれておりますものは、全くとるに足らない、採用できないという考え方でございます。  とにもかくにも発進をさせないということ、そのために一切の努力を傾けた。その間機内の状況も全然わかっておりません、乗客の状態もわかっておりませんものですから、いろんな方法を通じて――一体ハイシャツカーと称するものが何人なのか、その人数も明らかでありませんし、また持っておりました凶器そのものも明らかでありません。そんなことで、時間をかせぐことによって、発進させないことによって、機内の乗客全体の心理的あるいは肉体的な変化を待ちながら最良の方法を見出すことができるであろう、かような考え方で終始対処いたした次第でございます。したがいまして、そういう意味合いで、御質問がございましたけれども、それは全く警察の方針としては出ておりません。
  88. 小澤太郎

    ○小澤(太)委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  89. 小澤太郎

    ○小澤(太)委員長代理 速記を始めて。
  90. 畑和

    ○畑委員 そのことをあまり長く議論すると大臣との問答はできなくなるから、もし必要ならばあとで言います。ただ、言っておきたいのは、福岡県警のある係官とそれから本庁の係官でそういった話をして、どうしても出なくちゃならないようなことになった場合にどうするかというようなときに、要すれば国内の飛行場あるいは韓国のソウル、こういうことを言ったとすれば、それは指示じゃないとかなんとか言いのがれしたってそれはできないのじゃないか、私はこう言いたいのですよ。そういう事実はあったことはあったのだから、そのことを言っているのです。そう簡単にこれは指示ではありませんと言って言いのがれはできないと思うのですよ、本庁と福岡県警との間でありますから。それを私は言っておる。これは議論していてもしかたがないから、次に大臣に関係のあることについて質問いたしたい。  大臣、お尋ねいたすのですが、時間が短いから、今度の事件について、新聞記事等によると、法務省のほうではこういったことを抑止するために刑事犯として航空機の強奪処罰法案というような仮称のもの、これを刑事犯罪として特別に単独法で立法しようという考えのように承りました。また同時に、きのうの本会議の質問に対する答弁もそれらしく承りました。ところで、この新聞記事によると、初めのうちは政府部内としては、どうせやるのならば、単に刑法犯としてのそのものずばりのハイジャックそのものの取り締まりの法律のほかに、機長の警察権だとか、あるいは公安官の問題だとか、それから警察官の職務質問のことについて、そういったものも加えよう、あるいはまた新幹線の場合はどうか、こういったことの話もあったようでありますが、この辺はそういう事実もあったのですか、それともなかったのか。それで、あったけれども、結局は緊急を要し、しかも各党とも承諾を得られそうなところに落ちつけようということで、今度考えておられる法律、刑事法を立案しようということになったのか、その辺を承りたいと思います。
  91. 小林武治

    ○小林国務大臣 実は、法務省の関係の法制審議会で刑法の全面改正を相談いたしておりますが、その中の一条にこの案が入っておるのでございます。いまの航空機、船舶、こういうものの乗っ取りをそのまま処罰するという規定が入っておりまして、それがあったから私どもも、今回の事件においては、そういういきさつもあるからこの際は刑法の改正を待たないで、この条文を骨子としたものをひとつ単独立法としてこの際つくりたい、こういう考え方をいたしたのでございまして、私どもといたしまして、いまお話しのように警察官職務執行とかあるいは行政取り締まり関係のことを入れるつもりは最初からございません。最初はその方面の話があるということは、これはもうわれわれの立法とは無関係で多少の議論があったというふうに聞いておりまするが、いまのような機長の問題、あるいは荷物を調べるとか、あるいはいまの航空保安官を乗せるとか、こういうふうな問題については、われわれのほうの法案には初めからも中途からもございません。  いまお話しのように、刑法草案の中には、航空機、船舶、こういうように船舶が入っておりまして、私どもも実はこの際は航空機だけに限定したい、こういう気持ちでやっておりますが、船舶のことも当然将来予想できるから、この際船舶の乗っ取り罪というものを加えたらどうか、こういう意見がございまして、このことは私は、国会側ともよく御相談の上で、船舶もよかろう、こういうことになれば入れてもよろしいし、航空機そのものだけでいったほうがよかろう、こういうふうな御意見であればそれもよかろう、こういうふうな考え方でございまして、いま問題になっているのは、明瞭に申せば船舶を入れるかどうか、こういうことだけで、単純なる刑法犯としての規定にとどめたい、こういうことでございます。
  92. 畑和

    ○畑委員 大体意向がわかりました。それにつきましてはさらに私たちのほうからも要望したいのですが、昨日の本会議での答弁によりましても、法制審議会の議を経て大体二十日ごろまでに国会提案にこぎつけたい、こういうような御答弁でございましたが、いまのお話では、われわれの意向も聞いてというようなお話であります。私は、この法案を法制審議会にかける前かあとか、まあ前がよろしいと思うけれども、われわれの意向も聞いて、各党の意向も聞いて、その上でひとつそういう手続をされるように希望したいのですが、その点はいかがでしょうか。
  93. 小林武治

    ○小林国務大臣 法制審議会のほうにも御相談をかけなければなるまい、こういうふうに思いますし、いまの問題、私どもも各党にも事前にひとつ御相談申し上げて、ことにいま問題になっているのは船舶の問題ということでございますから、ぜひひとつ御意見をお聞きしたい、かように考えております。
  94. 畑和

    ○畑委員 それじゃ大臣の意向はその辺にあって、事前にわれわれのほうの意見も聞くということだと了解いたします。大臣の出席の関係もありますので、この問題のこまかい点につきましては、この次に事務当局のほうに質問することにいたしまして、ひとつ大臣でなければ答えられないようなことをほんとうに簡単に御質問いたします。  今度の事件で、結果としては金浦であれだけの乗客を、時間がかかったけれどもおろし、そしてまた今度は北鮮へ行って、北鮮ですぐまた残りの人を、見がわりも含めて返してくれた。まことにどうもいい結果になったのはなった。しかし、あれがもし金浦において、学生がああいった妥協案を承知しなかったといった場合が起きた場合、そのときには結局、そのまま全員乗せて北鮮に飛ばざるを得ないということになったと思うので、そうなると、韓国でのやり方がどうだったかということが大いに問題になる。ところが、結果的に乗客をあそこでおろしてもらったので、ぐずぐずしておったけれども、その点はあまり責める人がないが、事実関係としては、さっきの問題と同じように大いにこれは明らかにしていく必要があると思います。  いずれにいたしましても、結果として、北鮮のほうでも非常に人道的な立場に立ってこの問題を迅速に処理してくれた。形の上では、状況が変わったから、乗客じゃなくてかすばかり持ってきた、それですぐ返せということはどうかということで、一時ちょっとつむじを曲げたようであるけれども、結局やはり人道上の立場できれいなところを、大きなところを北鮮が見せたと思う。私はその意味で、韓国もさることながら、韓国よりもむしろ――韓国はある意味では逆のことをやっている。われわれはむしろそこのところを非難したいくらいなんだけれども、北鮮においては、国交関係はないにいたしましても、非常に人道的な立場に立って、いろいろな事情があったにしろ、それをあえてやってくれたことについては、これは政府でも感謝をしている、こう言っておりますけれども、ともかく私は、韓国以上に北鮮に対して精神的な負い目を政府は負ったと思う。また、これを感じない政府ではしかたがないと思う。  そういう意味で、いままで北鮮との関係で難問になっておりましたたくさんの問題がございます。帰還の問題あるいは自由往来、里帰りの問題、旅券の問題、こういった問題等があるわけでございまして、こういった点について、出入国関係を担当していらっしゃる小林法務大臣より、やはり北朝鮮の人道主義という立場に立っての今度の処置、これに対して日本もまた、私が申しましたそれらについて人道主義に立った観点から、外交関係があろうがなかろうが、問題を完全に別にして、韓国に遠慮することなく、日本の立場としてやはりこれに応ずる、その誠意に応ずるというような姿勢が私は必要だろうと思う。この点についてひとつ御所見を承りたい。
  95. 小林武治

    ○小林国務大臣 北鮮の人道的な立場における御好意、こういうものにつきましては、昨日の本会議でも政府を代表して、総理大臣も外務大臣もよく申されたことで尽きておる。したがって、私から特にさような発言はいたしませんが、私どもはやはり、何といたしましても北鮮の好意というものは多としなければならないだろう、こういうふうに考えておるのでございます。  いままでのいろいろなことは、法務省には法務省の立場があり、外省務には外務省の立場がありますが、両者を一緒にして政府の方針としていろいろなことをやってまいった、こういうわけでございます。私どものいわゆる法務省的の立場からいえば、やはり人道的の立場というものはあらゆる面において考慮しなければならぬ。というふうに従前からも考えているのでありますが、各種の外交関係のために、必ずしもわれわれの言うことが通る、こういうふうなたてまえになかったと思うのであります。私どもは今後も、今回の事件の次第もあり、日本としても相当な考慮を払っていくべきであるというふうに考えております。
  96. 畑和

    ○畑委員 もう一問。そうあるべきであると私も思います。それにつきましては、従前もそういう態度であったと言われるけれども、法務省ではそうでなかった。これは外務省がうるさかったのだということになるかもしれないけれども、里帰りなんかもことしわずかに六人、去年かおととしかに六人、その前に二人、六十万もいる朝鮮人の中でそんな状態です。この前も私申しましたが、そのときにはこういう事件がなかったから案外冷たい返事だったけれども、こういう事件があった上は、なおやはりそういう誠意にこたえる意味で、前向きでひとつやってもらいたいと思います。  そしてまた同時一に、この間外務委員会でも話しになったようでありますけれども、やはり法務省にも関係があるけれども、今度の万博に対して北朝鮮から相当見学に来たいということのようです。この問題等につきましても、外務大臣ははっきりした答弁はしないけれども、前向きの答弁をしたというふうに新聞紙上にも報道されておりますが、この点、入国に関して権利を持っていらっしゃる大臣であります。里帰りあるいは全部の帰還希望者の帰還の問題とあわせて、この問題についてもそういった前向きに検討する用意があるかどうか。それ以上のことは私も聞きません、外交関係もあるものですから。前向きに検討するかどうかということについてひとつ考え方を承りたい。
  97. 小林武治

    ○小林国務大臣 これは政府の意見として申し上げるわけにはまいりませんが、私は法務省の立場としては前向きにおいて努力をいたしたいというふうに考えております。そのことは今後またいろいろ政府内の相談になると思いますが、私はできるだけ前向きの態勢で努力いたしたいと考えております。
  98. 小澤太郎

    ○小澤(太)委員長代理 畑君に申し上げます。  小林法務大臣が、参議院本会議に出席のため退席いたしたいと申しておりますので、御了承を願います。
  99. 畑和

    ○畑委員 けっこうです。
  100. 小澤太郎

    ○小澤(太)委員長代理 午後二時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時二十八分休憩      ――――◇―――――    午後二時三十七分開議高橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  法務行政に関する件、検察行政に関する件及び人権擁護に関する件の調査を続行いたします。質疑の申し出がありありますので、これを許します。畑和君。
  101. 畑和

    ○畑委員 午前に引き続き質問をいたしたいと思  います。  今回の乗っ取り事件に対するいろいろな法的処置、そういう問題について、まずいわゆる東京条約ですね、この関係について最初質問いたしましょう。  この東京条約というものにつきましては、私、調査室から資料をいただきまして一応さらっと目を通したのでありまして、ある程度若干の知識はございます。しかし、なかなか案外難解なところもあるようでありまして、はっきりしないところもございます。これが東京において締結され、そして署名もしておきながらいまだに批准をしてない。この間どうして批准をできない状態だったのかということについて、これは外務省からお聞きしたい。状況によってまた運輸省からもひとつ御答弁を願いたい。どういう事情でこれがいままで、この事件が起きるまで批准をされなかったのか、その理由をひとつおっしゃっていただきたい。――おられますか。
  102. 山田中正

    ○山田説明員 お答えいたします。  いま御質問ございましたいわゆる東京条約、もう御存じのとおり、一九六三年東京においてICAO主催のもとで作成いたしました航空機上で行なわれた犯罪その他のある種の行為に関する条約でございまして。昨年十二月四日に発効を見ておりまして、現在二十二カ国が批准を行なっております。  この条約の内容といたしましては、裁判管轄権を航空機登録国に認め、また機長には、一般犯罪及び安全危害行為を行なう者を取り押える権限を与えると同時に、着陸国においてこれらの取り押えました者を引き渡す義務を課しております。また、いわゆるハイジャッキングとの関係におきまして一条を設けておりまして、飛行機が航行中に不法管理が行なわれました場合には、着陸国においてそれを正当な機長の権限に戻すように努力するとともに、その結果が終わりましたあとで航空機乗員並びに乗客をすみやかに正当な所属する国に戻す、そのような規定になっております。  なお、この条約はハイジャッキング防止のみを主目的として作成されたものではございませんので、ハイジャック防止の見地から申しますれば不十分な条約でございますが、現在多数国間の国際条約として存在します唯一の条約でございまして、ハイジャッキング防止を国際的に協力して防止するという見地からは有意義なものと思われます。  なお御指摘の、わが国の批准がなぜおくれておるかという点につきましては、私どもといたしましては、有意義な条約であり、昨年発効を見たことでもございますので、わが国としても早期に批准をしたいということで検討はいたしておったのでございますが、この条約を批准いたしましてその権利義務を十分実施するためには、現行国内法体制ではやや不備がございますので、関係各省といろいろ協議を重ねまして、いま鋭意検討いたしておりますが、主として航空法の機長の権限関係のある程度の手直しが必要と思われております。外務省といたしましては、できれば、今回の事件を契機といたしまして、今国会にでも承認のために提出し、御審議をいただきたいと考えておりまして、航空局その他関係官庁におかせられても、鋭意その国内法の整備についていま御努力をいただいておるところでございます。
  103. 畑和

    ○畑委員 そうすると、なるべく早く批准したいという考えではあったけれども、いろいろこれに対応する国内法をさらに整備をして、これだけでは足りぬので、国内法としてはもっと強く、もっと広く規定する必要があるということで各省と連絡をしておる、こういうわけですね。
  104. 山田中正

    ○山田説明員 仰せのとおりでございます。
  105. 畑和

    ○畑委員 そうすると、結局この条約が批准されるということになれば、当然それに見合って国内法も改正しなければならぬ面がたくさん出てくる。そのほかにまた、それだけではなくて、さらにもっと広げて、これに見合うだけじゃなくてそれよりさらに国内法を広げて規定しなくちゃならぬという点もあるわけですか。これは運輸省も関係あるだろうな。
  106. 川上親人

    ○川上説明員 東京条約の批准のことについては、ただいま外務省から御答弁のあったとおりでございまして、今国会を目途に、批准のための手続をいま外務省において進められておるわけでございます。これに伴いまして運輸省におきましても、機長の権限の強化という点におきましては航空法の改正を必要とするというふうに考えております。  現在の航空法におきましては、機長の権限といたしまして、航空機の乗り組み員に対する指揮監督の権限、それから危難に際しての機長の旅客に対する命令権、避難その他の措置を命ずる命令権というものが規定されております。しかしながら、機内における犯罪及び機内における秩序あるいは人命、財産の保護のためにとるべき必要な手段といたしまして、機長の権限を強化するという角度からは、現在の航空法の規定はその点ではやや不十分ではないか、かように考えるわけでございます。そういう意味での改正を、私どものところでも現在検討中でございます。
  107. 畑和

    ○畑委員 そのとおりだと思います。結局いまの航空法によると、答弁のあったように、職員を指揮監督をするということが権限として一番中心である。その他乗客についていろいろな指図はするということだけであって、運航を阻害したり、その他の犯罪があった場合に対する権限というものは一つも規定されておらぬ。少なくとも東京条約を批准するからには、東京条約に書かれてあるものについてだけは当然国内法として効力を持つものである、したがって国内法でそれに応ずるような規定をしなければならぬ、またさらにそれより、場合によったら条約そのものの意味するもの以外に、必要であれば加えて規定しようということを考えておるのですか。そういう関係で少しふくれているのですか。ともかく、このハイジャックの今度の事件が起きて初めて、ああそういうものがあったのか――先ほども言うたが、外務大臣もこういう条約があることを知らなかったらしい。もっとも大臣がみんな知っているわけじゃないし、しょっちゅうかわる大臣だからしようがないけれども、そういうことを新聞記者か何かに語ったことを私は聞いております。きのうの答弁ではそういうことは言わなかったけれども、いろいろの関係があっておくれておる、そしてこの機会にぜひとも批准をいたしたい、こういう答弁であったが、その辺は、おくれた理由にはそういったこともあるのですか。その辺をひとつ聞かしていただきたい。この東京条約に規定するもの以外の点を何か考えておるのかということです。
  108. 川上親人

    ○川上説明員 東京条約批准に伴いまして、さしずめ必要なものは、先ほど申し上げましたような機長の権限強化という点であります。一応私どもは、その観点にしぼって検討いたしております。  なお、今般発生いたしましたハイジャック事件に関連いたしまして、さらにワクを広げて、航空法の中で必要な改正個所があるかどうかということも、別途並行して検討をしているわけでございます。
  109. 畑和

    ○畑委員 この東京条約を見ますと、いろいろ機長の権限というのが一つの章にまとめられておる。それでその権限は、航空機内におけるいろいろな犯罪、あるいは犯罪とまでいかぬまでも、めいていしたり何かする場合も入っているのかどうか知らぬが、いろいろな機内での秩序維持、それと、場合によっては拘束というようなものも、ハイジャックの場合は一応別として、入っておりますけれども、これはいわゆる警察権というのと違う意味ですか、同じ意味になるのですか。運輸省のほうで、運輸大臣が機長に警察権を与えるようにしてもらいたいというような、そういうふうにしたいのだという意向も表明しておりますが、この東京条約にいう機長の権限というもの、そのものずばりで日本の法規にするとすれば、それは一体警察権になるのかならぬのか、どういうことなのか、その辺がわからないのだが、どう考えておるのか承りたい。
  110. 川上親人

    ○川上説明員 ただいま先生御質問の点につきましては、関係各省間におきまして、東京条約における機長の権限の内容が何であるかという点につきまして、その確定方を急いでおるわけでございます。まだ最終的にその点結論を見ているわけではございませんが、一般に警察権といわれる場合に、行政警察権的なものと司法警察権的な内容のものと、一応二つに分けて考えてみますれば、この東京条約におきます機長の権限といいますものは、この条約の性格からいきまして行政警察権的な性質のものであるのじゃないだろうか、これはいま私の個人的な見解でございます。まだ全般的にその辺の見解の統一が得られた結論ではございません。その点、お断わり申し上げておきたいと思います。
  111. 畑和

    ○畑委員 私もそういう疑問があると思ったので、この法規を読んでみて、警察権とすればいま言った行政的なものであって、司法警察のようなものを意味するものではないであろうというふうに考えた。同時に、司法警察ということになると、またなかなか問題がある。行政警察的な観点からの国内法の規定、それに応ずる規定ということであれば、われわれはその必要はあろうと思うけれども、司法警察というような点で日本の国内法を整備するということになると、いささか問題もあろう。よほど検討してみないとうっかり規定はできないと思うのだが、そういうところでいままだ完全に意思統一してない、大体この解釈すらもがはっきり確定してはおらぬというような話であります。いかに今度の事件によって、急におたくのほうでもいろいろそういうことについて研究されるようになったかということが、これではっきりわかった。外務省あるいは運輸省あるいは警察、そういった関係でまだ何らそういった問題についての公権的な解釈が統一してないということがわかったわけです。  それで、一体この東京条約というのは、あくまでも国際線に適用されるものだろうと思うのですが、いかがですか。
  112. 山田中正

    ○山田説明員 仰せのとおりでございます。
  113. 畑和

    ○畑委員 そうすると、日本の国内線には適用はない。そうすると、国内線を規制しようとすれば、国内線をも規制できるような法規、国内、国際両方に適用できるような、行政警察とすればそういうふうな規定をつくらなければならない、こういうことになるんでしょうね。
  114. 川上親人

    ○川上説明員 ただいま私どもが検討いたしている点も、先生御指摘のような方向において進めておるのでございます。国際線に限らず国内線あるいはこの条約の適用のない公海上、その他いずれの領域にも属さない地域を飛行いたしております場合におきましても適用があるというふうな方向で、現在は検討を鋭意しているところでございます。
  115. 畑和

    ○畑委員 そこで、飛行機でなくて、船の場合も同様なことがあろうと思うのだけれども、船の関係では、民間の船舶の場合はこの航空機に関する今度の東京条約と同じようなものがあるのですか。私は知らぬのですが、あるのかないのか、外務省なり運輸省なりひとつお答え願いたいと思います。
  116. 山田中正

    ○山田説明員 いまの御質問の点でございますが、東京条約そのものに見合うような船舶に関しての国際条約というのはないと私記憶いたしております。ただ、海の場合には、たとえば海賊行為になります場合には、一般国際法、それから公海条約などに海賊の規定がございます。
  117. 畑和

    ○畑委員 そうしたら、その海賊行為についてはあらましどんなあれですか。船舶について海賊関係の条約がありますか。
  118. 山田中正

    ○山田説明員 御質問の点でございますが、公海に関する条約というのがございまして、これはジュネーブの海洋会議で採択されたものでございますが、わが国もすでに締約国となっております。それの第十四条におきましては、「いずれの国も、公海その他いずれの国の管轄権にも服さない場所における海賊行為の抑止のため、可能な最大限度まで協力するものとする。」それで海賊行為とは、たとえば「公海における他の船舶若しくは航空機又はその船舶内若しくは航空機内の人若しくは財産」等に対して「私的目的のために行なうすべての不法な暴力行為若しくは抑留又は略奪行為」、こういうものが海賊行為というふうに規定されております。そしてこの海賊行為の場合は、それぞれの国の管轄権が及ばない公海の場合におきましても取り締まることができる、そのようになっております。
  119. 畑和

    ○畑委員 そうすると、この飛行機の東京条約と同じように登録国に管轄権があるということを規定しておるのですか。
  120. 山田中正

    ○山田説明員 海賊の場合には必ずしも船舶の登録国に限りませんで、あらゆる国が取り締まってよいようになっております。
  121. 畑和

    ○畑委員 そこで、今度は警察庁に聞きたいのですが、先ほども申しましたように、運輸大臣が機長に警察権を持たしたい、こういう意向をあらわしておられますけれども、その辺について警察庁として何か事務当局等でそういったことを考えて案でも立てておられるのかどうか。全然そういうことはない、大臣が希望的にそういうようなことを言われたのか。警察庁だれでもいいから答えられたら答えてください。
  122. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 ただいまお話がございましたような考え方の詳細については承っておらないわけでございます。現にそのために事務的に検討しておる段階でもございません。
  123. 畑和

    ○畑委員 これは大臣の一応の希望だろうと思います。警察権も、へたに規定し、ピストルなどを機長が持っているというようなことになると、かえってハイジャックの場合などは逆効果になる場合がある、こう私は思う。飛行中の航空機の中でピストルの撃ち合いでもして機体に穴でもあくということになると、密室ですから非常に危険な場合が生じないとも限らないということでありますので、この辺は慎重に扱わないといかぬだろうと思います。公安官をひとつ乗り込ましたいというような希望も運輸大臣は言われておるようでありますけれども、この点もやはり、武器を持たなければ公安官としての役に立たない、警察権を持つというのにもどうも足りないということになって、武器でも持たせるということになれば、責任感もあるし、ハイジャックがおどかした場合に、やはりどうしても対抗してそれを逮捕しようということになって、自分がやられるかもしれぬけれども責任感でやる、お互いに撃ち合うということになると、先ほど言うたように飛行機に穴があくことになったりするから、軽々にこういった問題はやるべきでないと思ったから、もしそういう案があるとすればその辺も十分研究してやらなければいかぬという観点から、私、申し上げたわけです。こういう事態が発生したので、国民も一応みんな何とかしなければいかぬという考えでいると思うのです。そこでひとつこういったこともできればという希望的な意見だろうと思うけれども、その辺、もし具体案があるのだとすれば聞きたいと思って実は聞いたのだが、どうも川島警備局長ではちょっと返答がしにくいだろうと思います。その点については、私の見解を申し上げるだけにとどめておきます。  続いて、刑法の改正というか、あるいは刑法はそのままにしておいて単独法で、航空機上において行なわれるそうしたハイジャックの問題だけにしぼって規定をしよう、新しい単独法を設けようというのが法務省の意見であるということは、はっきりしておる。それについて、一体どういう考え方でいるのかというこまかいことについては、大臣も忙しかったので、大臣に聞くことをやめました。そこで、事務当局に対してその辺のことをもう少し詳しく聞きたいと思います。この法務省で考えておられる案、もう大体素案ぐらいできていると思うのだが、われわれにもまだ示されてない。先ほども大臣から、成案として国会に提出する前にわれわれに示して、各党の意向も聞くというような答弁を得たわけでありますけれども、まだそういったものをもらっていません。いずれそういう機会は近いうちにやってくると思いますけれども、きょうのこの機会に、大体法務省のほうで考えておられる条文の構想、こういったものをひとつ示してもらいたい。まあ構成要件をどういうふうにするかという問題が一つあると思います。それと、それに対する刑罰はどれくらいの刑罰にするか。結局普通の強盗罪よりも重くしなければならぬということは間違いない。普通の強盗罪は、御承知のように五年以上の有期懲役であるけれども、法制審議会で考えておる刑法の改正草案は、無期または五年以上の有期懲役というふうに考えておられるようです。そこで、今度いわれておるのは、新聞の報、ずるところによると、無期または七年以上ということで、普通の強盗罪などよりももっときびしくしよう、こういうことだと思うのです。その点については私も同感でありますけれども、一体無期または七年以上の有期懲役とするつもりなのか、あるいは死刑というものまで入れようとしておられるのかという問題。それから結果的加重犯というか、人をそれによって死傷におとしいれた場合、いわゆる強盗傷人か無期または七年以上ということになっている。殺人の場合はまた違う。その結果によって人を殺した場合には死刑ということになるのですけれども、これは結果的に人を死なしたということになるのか、あるいは強盗殺人と同じようなことで考えられておるのか。強盗殺人であれば死刑もあるわけですがね。その辺はどう考えておられるか。  それから未遂罪、それから予備罪、それから解放減軽――もし誘拐みたいなことか入っておって、乗客を人質にするというようなことがあったら、そういった乗客を途中で解放したといったような場合に刑を軽くしてやる、そして事件の解決を早くする、誘拐罪の場合と同じようなそういった規定を考えておられるかどうかという点を説明願いたい。
  124. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 先ほども法務大臣が申し上げましたし、私もお答えしたのでございますが、結局ただいま法務省事務当局で検討いたしております改正案の趣旨は、まず第一点は、いわゆるハイジャックに対してどんぴしゃり適用されるような罰則をつくりたいということが第一点でございます。それから、先ほども申し上げましたが、現行法規ではやはり有期懲役が限度になっておりますので、これをやはりもう少し高いものまで持っていく必要があるのじゃなかろうか。この二点が大体の骨子になるわけでございますけれども、そのどんぴしゃりという場合の問題でございまして、何をもってハイジャックというかといいます場合に、機体もろとも強奪してしまうということでございましたら、これはもう明らかに強盗でございますけれども、一応俗にハイジャックといわれておりますものの中には、程度のそういうものに至らない、たとえば機体は別段ほしくはない、ただ自分が乗って、本来の行く先と違うところに行かすために暴行、脅迫を用いるというような場合に、財産的な利益あるいは財物というようなものとは一応関係なしに――結果的には関係するのだろうと思いますけれども、そういうようなものもやはりハイジャックであるというふうに理解せざるを得ない面がございますので、そういうものも含めまして、大半は強盗罪的なものでございますけれども、必ずしもその範囲にとどまらない。ただいま申したような形態の犯罪と申しますか、そういうものをひっくるめて、特別の航行中の航空機を対象にした犯罪の罰則をつくりたい、こういうことがどんぴしゃりということの内容なのでございます。  そこで、それじゃ結果的に人が死んだ場合はどうかというような点でございますが、これはやはり今回考えております犯罪にいたしましても、本質は少なくとも強盗的なものを持っておることは間違いございません。そういたしますと、現行刑法の強盗の場合に、強盗が、ただいま御指摘のように、強盗の機会に人を死にいたしたということになれば、やはり強盗致死ということになるわけでございますから、やはりこういうハイジャックの場合に、その機会に人を死にいたしたという場合は強盗罪の場合と同じように考えておく必要があるのじゃないかというように思うわけでございます。  それから未遂、予備の場合も同様に、やはり強盗と相並ぶようなものと同じような考え方で未遂とか予備とかいうものも考えなければならぬということになろうかと思うのでございます。  最後に、いわゆる誘拐罪の場合でございます。解放減軽というようなものを設けるかどうかという点でございますが、この点につきましても検討をいたしておるところでございますが、これはやはり誘拐の場合とは多少事情が違うのじゃなかろうかというふうに現在のところは考えております。
  125. 畑和

    ○畑委員 私もその点がなかなか問題だと思ったのです。窃盗みたいに、結局ちょいと借りたんだというだけの話で、そのものを窃盗するつもりはない。それと同じように、この飛行機の場合も、赤軍の連中も決して飛行機そのものがほしいのではない、飛行機をあやつらせて自分らの目的地に持っていこう、その際に乗客も一緒に含めて持っていっちゃえば一番早い、しかもそれが人質的なものになるというようなことで、連中にとっては非常に効果をあげた。まあそういうことで、ただ飛行機の強奪ということだけでは、これは捕捉し得ない。しかも今度のハイジャックにはうまくぴたりといかない。その辺をどう考えておるの、だろうということで、私は質問したんだが、やはりあなた方のほうでもそういう点を考えて、構成要件をほんとうの奪取の場合と、それと別にもう一つ奪取――大きくいえば奪取ということに解釈をされるかもしれぬけれども、それでもうまくいかない場合があるから、いま言ったようなことで、機体の奪取自身が目的じゃないけれども、結果的にはそうなるが、結局機長それから操縦士等に目的地に行かせるということが目的だという場合に、やはりそれに相応する罪の構成要件をつくらなければいかぬ。そうでないと、ずばりのものにならぬだろうと実は私も考えておった。それでそういう質問をしたわけでありますが、それについては私も同感であります。解放減軽の点につきましても、誘拐罪とは若干違うと思うけれども、やはり総じて解放すれば軽くなるんだというようなことも必要ではないかとわれわれ考えております。  大体ハイジャックというのは、一体アメリカのことばだろうと思うけれども、何かハイというから高いというので、それで飛行機の乗っ取りのことをいうのかと思って調べてみたら、これはハイウエーで、アメリカで禁酒時代なんかに酒を運ぶやつを途中でとめて、それで途中から、ぶんどっちゃう、吸い上げちゃう、こういうことでハイウエーのジャックということでハイジャックというのが出たんだそうでありますが、私はこれは実は初めて字引きを見てわかったのですが、はっきり言うと、スカイハイジャックというか、スカイジャックがどうもほんとうのようだ。まあこれは余談でありますけれども、そのものずばりのやはり規定をする必要があろうと思っております。  つきましては、もう一つ聞きたいのは、新聞の報道でもちょっと書いてありますけれども、大体日本の国では属地主義と属人主義を御承知のようにとっておりますね。刑罰規定はそういう方針をとっておる、国によっていろいろ違うけれども。したがって、日本の土地で起こった刑事事件等については外国人といえども処罰する。また日本人が外国で罪を犯した場合には、これまた犯罪地が外国であろうと、日本の法律で処断をするということになっておるわけです。その間に裁判の管轄権の競合等も起こりますけれども、そういうたてまえをとっておる。ところが、これを外国人がやった場合、日本の国籍の飛行機で外国人が外国でやった場合、そして日本へ来た場合、こういったことを規定するために、そういう外国人までも処断ができるというような条文を一つ入れるというようなことが書いてあった。これは私も必要だと思う。同時にまた、東京条約との関連においてもこのことが必要なんだろうと思うのです。管轄権の問題でそういうことを規定しておかないと、やはり東京条約との関連におきましても、国内法として完全ではないということの配慮もあると思うわけです。その辺、いかがでございますか。
  126. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 ただいま御指摘のとおりでございまして、私ども現在検討いたしておりますのも、ただいま申し上げました今度の新しい犯罪につきましては、その性格上、いわゆる世界主義と申しますか、刑法第二条に規定してある犯罪、何人がどこで犯してもその適用を受けるという形で検討をすべきものという観点から現在検討をいたしております。このことは御指摘のとおり、東京条約との関連においても非常にプラスになることであろうと考えるわけでございます。
  127. 畑和

    ○畑委員 それから予備罪、未遂罪、これはさっき言いましたかね、あなたは。そのほかに予備罪については自首の問題、これは一般の原則でできると思うのだが、これはどうですか、事前に自首した場合。
  128. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 先ほど、私、現行刑法の強盗罪との関連におきまして未遂、予備ということは当然考えられるということをお答えいたしたわけでございます。その場合に、強盗罪の強盗予備につきましては、自首の場合の減免の規定がございません。しかしながら、今回の状態については、この予備罪の自首減免を入れるべきかどうかという点も現在検討しておるところでございます。
  129. 畑和

    ○畑委員 まあその辺を十分検討して、一つの抑止効果をあげる、一般的警戒の意味で。いま実際にこういう事件が起きちゃうと、今度の事件みたいに乗客の安全ということをまず第一に考えるから、つかまえるということはなかなかむずかしい。結局外国へ逃亡しちゃってからそれを引き渡せとかなんとかいうことになって、処罰の問題が起きてくる。ところが、おそらくこういうハイジャックの場合には、大体そういうことが多いと思うのですが、まあそういったことで、途中でやめるというようなことを奨励するようなこと、あるいは途中で乗客等を解放するということの場合には減軽をするというような配慮をすることによって全きを期することができるのじゃないか、私はかように考えます。そして、さっきも法務大臣が言われていたように、船舶の場合もほとんど同じだと思うのです。ただ飛行機のほうがたいへんに早いから、しかも空を飛んでいるという点から、安全という点において、船舶よりももっと微妙なものであると思うけれども、やはり同じように公海上を走るという関係もあるし、船舶の場合にも、本来はこれと一緒に規定したほうがいいのじゃないかという考えもありますけれども、しかし、急速にこの事態に処して抑止効果をねらった法規をつくるということであれば、これだけ単独でやることもよかろうとは思います。これは別にわれわれもそうたいしてこだわっていないのですが、この辺は法務省のほうでも検討しておるということでありますから、いろんな点を考えて、ひとつできるだけ早く案をわれわれにも示してもらいたい、かように希望をいたします。  まだあとたくさんの方がおられますので、以上で私のきょうの質問は終わりたい、かように思います。どうもありがとうございました。
  130. 高橋英吉

    ○高橋委員長 林孝矩君。
  131. 林孝矩

    ○林(孝)委員 いまの畑委員の質問と少し重複するかもしれませんし、それまでの委員の質問と重複するかもしれませんが、少しお伺いします。  航空機の乗っ取り罪を考える場合に、私はまだ草案を見ておりませんが、財産罪の一つとして考えるべきか、または特別のものとして考えるべきかということが問題となっておると思うのです。財産罪として考える場合には、ときとしては判例の採る不法領得の意思の問題で強取罪が不成立の場合が生じはしないか、こういう疑問点があるわけでございますけれども、いかがでしょうか。
  132. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 先ほど申し上げましたとおり、今回考えておりますのは財産犯的な意味の強盗罪に当たるというものと、必ずしも厳格な意味の不法領得の意思がない、単にどこまで連れていけというようなものもあり得るわけでございますから、それらを含んだ一つの新しい罰則を設けたいという観点から現在作業をいたしております。したがいまして、こういうものができ上がりました場合にはやはり財産犯的な要素も含み、また現行刑法で申します強制罪的な系統の性格も含んでおるというような、一つの航行中の航空機という特殊なものを対象にした結果当然出てくる性格だと思うのでございますが、そういうものすべてを含んだ性格の犯罪ということに結果的になるのじゃなかろうかということで、現在研究をいたしておるところでございます。  なお、先ほど私、畑委員の御質問に対しまして、現行の強盗予備について自首減免の規定がない、こう申し上げましたがこの強盗の章にないだけでございまして、ほかの章の規定にあるということを訂正さしていただきます。
  133. 林孝矩

    ○林(孝)委員 犯罪の競合の範囲をどの範囲まで包括一罪としてとらえるか、観念的競合、併合罪について現行法上考えておるのでよいかどうか、この点についてお伺いします。
  134. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 今回、私どもが現在考えておりますこの犯罪についての御質問であろうと理解するわけでございますが、その場合、これまた現在検討中でございまして、なかなかむずかしい法規問題が出てくるだろうと思うのでございます。まだ規定が確定いたしませんので、それがどういうふうになるか、この段階ではちょっとまだ申し上げにくいのでございますが、本質的にある部分この不法監禁罪とか略取罪とか、性質上そういうものを含んだ犯罪になるのではないかと思っておりますが、これは成案を得てみませんと何ともお答えいたしかねる段階でございます。
  135. 林孝矩

    ○林(孝)委員 成案のことになりますけれども、大体いつごろわれわれ知ることができますでしょうか。
  136. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 法務大臣も答弁なさっておりますように、私どもといたしましては、できるだけ早く事務的な成案を得たいと考えております。二十日ごろには何とか事務的なものだけは固まらなければならないなというふうに考えておるわけでございます。
  137. 林孝矩

    ○林(孝)委員 またその成案の中身の問題になりますけれども、国内法との関係において、誘拐罪というのが現在あるわけですけれども、今どのそういう多くの人を人質にして国外へ連れ去ったという場合の処罰によって、国内法の誘拐罪等の刑罰も影響されるかどうか。重くなったりあるいは現在のままでいくのかどうか、その面についての考え方はどうでしょうか。
  138. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 現在検討いたしておりますのは、先ほど来申し上げております、いわゆるハイジャックに真正面から適用されるような犯罪の構成要件を持つ犯罪の罰則規定を検討をいたしておるわけでございまして、現行刑法の誘拐罪とかなんとか、そういう定められておる各法律に特段影響を及ぼすというものではありません。
  139. 林孝矩

    ○林(孝)委員 予備陰謀罪のほうまではその成案では考えられておりませんか。
  140. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 現在考えております新しい犯罪につきましては、予備罪につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、陰謀というようなことにつきましては現在のところ検討をしていないといったほうが正確だろうかと思います。
  141. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に話をかえますが、以前に日本に対して亡命があって、適用法令がないので、いろいろ問題をかもし出したことがございます。適用法令を今回のそういう事件を契機にしてつくる必要があるかどうかという問題であります。たとえば外国から日本に飛行機を乗っ取ってやってきて、それで政治亡命ということで日本の国へ亡命を求めてきた場合、また日本から外国へ行く場合もあると考えられます。また、その外国が承認国である場合また未承認国である場合、いろいろ考えられると思うのでありますけれども、その点はいかがでしょうか。
  142. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 亡命の問題は一応さしあたり入国管理局の所管でございますので、私から不正確なことを申し上げると恐縮でございますから、差し控えさしていただきたいと思います。
  143. 高橋英吉

    ○高橋委員長 林君、いま刑事局長が答弁したように、入管関係の人が来ていないので、大竹副大臣から答弁するかしないかという問題については、詳しくないからあらためて出席を求めて、いまの問題はその機会にやっていただきますから……。
  144. 林孝矩

    ○林(孝)委員 了解しました。  次に、犯人の問題でありますけれども、犯人引き渡しを他国に権利として要求できるのは、国際法上逃亡犯罪人引渡条約のある国だけとなっているというように聞いております。この場合、日本はアメリカとしか条約を結んでいないわけですけれども、アメリカ以外の国との関係をこれからどうしていくのか、その面について当局のお考えをお伺いしたいと思います。
  145. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 逃亡犯罪人の引き渡しの問題でございますが、これはただいま御指摘のとおり、国が引き渡し権利として請求できるというのは、逃亡犯罪人引渡条約が結ばれておる場合に当該国との間にそういう権利としての引き渡しが要求できるわけでございまして、御指摘のとおり、現在日本はアメリカ合衆国との間にしか条約を結んでおりません。しかしながら、この条約がなくても、国際礼譲によりまして一定の場合には相互に犯罪人の引き渡しを行なうということは、一つの国際慣行にまでなっておるのではないかというふうに考えております。わが国におきましても、昭和三十八年に、刑の確定いたしました者がスイスに逃亡いたしました例がございます。スイスとの間には逃亡犯罪人引渡条約はございませんでしたが、この国際礼譲に基づく慣行によりまして、日本から犯人の引き渡しを求めまして、日本国において引き取ってきた例がございます。
  146. 林孝矩

    ○林(孝)委員 今回の乗っ取り事件を契機にして罰則規定を設けるわけでございますけれども、事前のチェックといいますか、たとえば乗客が飛行機に乗るまでにそういう凶器を持って乗るかどうかというチェックについて、もうすでに現在羽田空港では実施しているということでございます。手荷物の検査だとかそういうことは人権侵害との関係でいま非常にむずかしいところだと思うわけです。たとえばわれわれが突然列から出されて持ちものの中を調べられたりするという不愉快なこと、こういうことは、乗客の自主的な協力によって現在行なっているのか、それともある程度の強制的な持ち物検査として行なっているのか。現在行なっているその実情についてお伺いしたいと思います。
  147. 川上親人

    ○川上説明員 航空法の八十六条におきまして、爆発物あるいは易燃性物質その他他人に危害を与え、または物件を損傷するおそれのあるものにつきましては機内に持ち込んではなりませんし、また輸送してはならないという規定がございます。これを受けまして、同じく航空法上、航空運送事業を経営する者は、これらの貨物もしくは手荷物または旅客の携行品等につきまして、それが持ち込まれあるいは持ち込まれようとしている場合に、おかしいと思いました場合、形状、重さその他の事情によりまして疑うに足りる相当な理由があります場合には、これを確かめて、当該物件の輸送あるいは航空機内への持ち込みを拒絶することができるということになっております。お断わりするというわけであります。それから持ち込まれておりました場合には託送人あるいはその物件の所持者に対しまして、取りおろすように求めることができます。また、それらの託送人または所持者が現場にいない場合におきましては、定期航空運送会社自体におきましてみずから取りおろすことができるというふうに規定されているわけでございます。この規定の趣旨を受けまして、各航空会社におきましては、運送約款にそれぞれ同様の趣旨を定めてございます。中身の確認、それから場合によっては中身を乗客なりその寄託者の同意を得て開かしていただく。そして開いたものにつきまして、場合によってはお断わりをし、あるいは航空法の中にございますように取りおろしをしていただく等、その他の必要な措置をとることができるように相なっているわけでございます。
  148. 高橋英吉

    ○高橋委員長 林君ちょっと。入管局長が御出席になりましたから、もし必要でしたら、相すみませんが先ほどの質問をさらに繰り返して了解するようにして、答弁を求めてください。
  149. 林孝矩

    ○林(孝)委員 はい。それで、いまの規定を受けてやっているということでありますと、今回の事件が起こる以前と以後は変わりないと解釈してよろしいでしょうか。
  150. 川上親人

    ○川上説明員 規定並びに約款のたてまえにおきましては変わりがないと存じます。
  151. 林孝矩

    ○林(孝)委員 今後の問題として考えた場合に、いま運輸省当局でそういう問題に対してどのような処置をとられようとしておるのか、明確にお答えいただきたいと思います。
  152. 川上親人

    ○川上説明員 今回のハイジャッキング問題がございまして、直ちに運輸省からは各航空会社に対しまして、手荷物点検をさらに厳重にするようにという指示をいたしました。  なお、先般文書をもちまして具体的なとるべき措置、要領についても、各エアラインに対してその善処方を要望いたしておるわけでございます。  ごく簡単にその内容について申し上げますと、旅客につきましては、氏名、年齢、住所、連絡先というものを確認しておくこと。これは従来からもやっているところであるわけでございますけれども、さらに遺漏のないようにしてほしいということでございます。  それから、手荷物関係につきましては、航空会社が預かって輸送するものと、旅客がみずから携行して機内に持って入るものと二つあるわけでございますけれども、その手荷物関係につきましては、受託のときあるいは旅客の持ち込みの手荷物である場合におきましては搭乗手続の際におきまして、それぞれ先ほど申し上げましたような確認を必要に応じてやり、また場合によっては同意を得て開梱する、中身をあけていただく。それに基づいて航空法上、また銃砲刀剣類についてはその所持が一般的には禁止されているわけでございますので、そういうものが発見されました場合には直ちにお断わりするというふうな措置を厳重にとるように指示をいたしてございます。
  153. 林孝矩

    ○林(孝)委員 入管局長が来られたそうでありますので、お願いします。  先ほど質問しましたことは、今後の再発を防止する意味での質問でございますけれども、日本から外国へ飛行機等を乗っ取って亡命した場合、また外国から来た場合、その外国が承認国であった場合、未承認国であった場合等いろいろ考えられると思うわけです。それに対する適用法令をつくる必要があるとお考えなのか、また現在のままで他の方法を選ばれるのか、またあるとしたらどういう考え方を持っていらっしゃるのか、その点お伺いしたいと思います。
  154. 吉田健三

    ○吉田(健)政府委員 ただいまの御質問の点に関しまして、日本人が外国へ刑事犯として逃亡したのを日本のほうが返還を要求するというような手続でございますが、普通の犯罪でございますと、通常二国間におきましては、犯罪人引渡条約というようなものができておりますと、それの引き取りを要求し、また先方は義務としてこちらにそれを戻すということがきめられるわけでございます。またそういう条約がかりにできておらなくても、今日の国際社会におきましては、普通の犯罪人につきましては、相手国から要求がある場合にはこれを返すというのが通例でございます。  しかし、政治犯罪につきましては、政治犯というものはもともと内容が非常に複雑でございまして、定義しにくいのでございますが、状況によってこれを判断しなければならない場合が非常に多いわけでございます。わが国の場合におきましては、御質問の趣旨が、もし日本政治犯が入った場合、わがほうがどう処置するかという問題でございますならば、現在の入管法令のたてまえにおきましては、政治亡命承認しない形になっておりますので、事実上法令の条文の適切なる運用によって、状況に合致したような措置をとっていくという方針で従来やってきております。  たとえば日本亡命してきた人が、その内容において、その人権保護しなければならないということが片一方に大きな要素になりますとともに、わが国の国益をどういうふうに守るかという要素も十分加味しまして、その勘案のもとに日本で庇護していい場合には、法務大臣が特別在留許可という制度によりまして日本に在留を認める。しかし、何らかの不都合な理由があって日本に在留を認めにくいような場合には、日本から出ていってもらうわけでございます。ただし、出ていってもらうということは、日本にいてもらいたくないわけですが、本人が帰ると迫害を受ける地域に無理に送還するということではございませんので、その送還先につきましては十分これを考慮して決定する、こういう運営方法でやっておる次第でございます。
  155. 沖本泰幸

    ○沖本委員 いまの御答弁に関連いたしましてお伺いしますけれども、以前に船で日本に来て、途中でたくさん殺傷事件があったということで取り扱いに非常に困ったということが問題になったことがございます。それから現在でも一番よく問題にされておるところは、万博がいま開催されておりますけれども、万博に来て、それを利用して政治亡命するんじゃないか、こういうようなことが非常に憂慮されるということが新聞なんかでもいわれておったわけです。そういう関係から、今度は出入国管理法が出てこなかったわけですが、そういうものの中でいろいろ考えられておる。同時に、亡命的なものをどういうふうに扱うかということを別途に考えなければならない。そういうものが、いま御答弁の中にありましたとおりに、日本の国にはっきりしたものがないということは、便利な場合もあるし、不便な場合もある、こういうことになるわけですけれども、たとえば今回の航空機奪取に関する犯罪について刑法を改めるという点についても、これはあわせて考えなければならない問題点ではないか、同時に法律というものをつくらなければならないのじゃないか、こういうふうに考えられるわけなんです。  そういうものについて、入管局長としてそういうお考えを起こしていらっしゃるか、あるいは法務省としてそういう問題点をお考えになっていらっしゃるかどうか、これは今後考えなければならないとお考えか。これはどうしても法律をつくらなければならないのじゃないだろうか、あるいは刑法の一部改正だけでこの問題を解決するとすれば、後に類似の問題が起きたときあらためて考えようとお考えになっておるのか、どうしても刑法を改正する段階でその問題をあわせて考えなければ、法律的には不備ができるのじゃないか、こういうような疑問点が私たちあるわけですけれども、その点について入管局長さんなり刑事局長さんなりにお答えをいただきたいと思います。
  156. 吉田健三

    ○吉田(健)政府委員 法令全般の問題につきましては、私は必ずしも専門でございませんが、いまの亡命の問題及び入管法との関連におきまして、私の守備範囲内でお答えしたいと思います。  現在の国際社会におきましては、政治亡命を法律で認めるたてまえをとっておる国、これはヨーロッパあるいはラテンアメリカの諸国が大体多いのでございますが、アジア地区にはほとんどございません。これは日本の場合を考えてみますと、日本の国土が非常に狭いこと並びに周辺にきわめて政治的な緊張度の高い、対立した分裂国家がそれぞれ存在しているということ、そういった関係で、いかなる意味においても国際問題を政治亡命の形でわが国の中に持ち込まれるということはわが国益には合致しない、不適当な場合もあるのじゃないか。ことに日本の人口の非常に多いところに、周辺から繁栄した国をあこがれて来る人がこれに仮装して入ってくる場合なども考えられる。そういった複雑な状況下におきまして、わが国の方針としましては、この問題に法令が正面から取り組んでいないということは重々承知して問題点を認識しておりますが、直ちに立法措置をとってある方針をきめたほうがいいのかどうかということについては、まだ相当慎重に検討する必要があるものと考えております。したがいまして、現行の法令の範囲内におきまして実情に合うように適当な運営を考えていく、こういう方針でやっておる次第でございます。
  157. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 今回私どもが立案を作業いたしております特別の罰則規定でございますが、この犯罪を犯した者は、先ほど申し上げましたとおり、一応世界主義と申しますか、何人がどこでこれを犯しても処罰できるというふうにすべきではないかと考えておるわけでございます。かりにそういう法律ができました場合に、外国からハイジャックして日本へ来たという者は、日本へ着きましたときには、日本でこの罰則の適用を受けるわけでございます。そこでこの罰則を受ければ、日本の刑事手続で処罰されることになるわけでございますが、そういう状態の上にさらに当該外国から逃亡犯罪人の引き渡しということで引き渡し要求があるという場合が考えられるわけでございます。これは一般の逃亡犯罪人引渡法のたてまえに従って処理できることになるわけでございまして、一般の原則からいけば、日本へ逃げ込んできたという場合には、ハイジャッカーとして逃げ込んできた場合に、これは政治犯人であれば、逃亡犯罪人の引き渡しには応じないのが原則でございますし、一般の、政治犯罪人でない場合でございましても、通常の場合にはまず日本の刑事手続が先行していくことに相なろうかというふうに、これは理屈として申し上げることができると思うのでございます。
  158. 林孝矩

    ○林(孝)委員 話をもとに戻しますが、警察庁の乗っ取り対策委員会ができまして、その検討内容あるいは今後の方針について、いまきまっておりましたらお伺いしたいと思います。
  159. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 警察庁といたしましては、昨日からこの種事案の再発防止のために種々の対策を講ずる必要がございますので、昨日庁内に対策委員会を設けまして、現在具体的に検討に入っておる、そのような段階でございます。本事案が起こりました翌日、さっそくに通達を関係都道府県に出しまして、何よりも第一に乗客の安全な救出をはかること、いわゆる乗っ取り犯人の早期の検挙をはかること、さらには機内に対します凶器あるいは危険物、そういうふうな持ち込みを防止いたしますために、先ほど運輸省の監理部長からもるる話がございましたが、あくまでも人権上の配慮を加えながら、乗客の方々の自発的な協力と理解を期待して、できる範囲内において措置をとっていくということ、さらには、何と申しましてもこの種事案の防止は、事前に犯行の企図を察知するということが何よりも必要でございますし、そのような意味合いから、今後一そう情報の収集に努力するというふうなことを基本的な方針といたしまして、本日から具体的に考えられ得るさまざまな場合を想定いたしまして、これについて必要なる対策を考えようというような段階でございます。
  160. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そこで、赤軍派について一点だけお伺いしたいのでありますけれども、こうした学生の行動にはやはりいろんな資金が必要だということはうなずけるわけでありますが、こうした背後の関係あるいは資金源、これについては昨日の本会議でも質問がございましたけれども、はっきりとした答弁がございませんでした。この委員会でその点に関してはっきりできる状態にあれば、明確に答弁していただきたい、そのようにお願いします。
  161. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 お尋ねの赤軍派の財政の実態についてのお尋ねでございますが、言うまでもございませんけれども、彼ら自身がそのような財政実態については黙秘いたしておるわけでございまして、われわれといたしましてはその全貌をつかむに至っておりません。ただわれわれが現在まで知り得た事柄だけに限って申しますならば、主たる財源はいわゆる赤軍派と称しますものの構成員、あるいは赤軍派を支持するそういうふうな人々の、個人カンパと申しましょうか寄付金、そういうものが主たるものである。さらには機関紙を発行いたしておりますので、このようなものからの売り上げ金、あるいは今年の一月十六日にも政治集会を開いたわけでございますが、その場合には一定の金額、入場料を徴収しておるわけでございます。そのようなことで一応彼らの財政をまかなっておる、かように推測いたしておる次第でございます。
  162. 林孝矩

    ○林(孝)委員 個人カンパといってもいろいろございまして、大口もあれば小口もあるわけであります。ところが、新聞の報道によりますと、非常に多額の資金を得ているという発言もしているようでありますけれども、そうした点に関する資金源の情報収集は、はっきりしておりましょうか。
  163. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 お話しございましたように、われわれが把握しておる限りでも、五万あるいは十万という大口の寄付金を得ておるというようなことは、情報としては把握してございます。
  164. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、話を移しますが、こうした犯罪の再犯防止のために、これは運輸省等も関係ございますけれども、羽田空港当局また入管、税関の関係、こうした人たちの総合的な犯罪防止の対策といいますか、あるいは運営といいますか、そういうことが考えられているのかどうか、考えられているならば、どういう実態であるのか、その点についてお伺いします。
  165. 川上親人

    ○川上説明員 このハイジャッキングにつきましては、わが国で初めて発生したものでございます。この間警察それから航空会社、各関係者を含めまして、いろいろ相互間の連絡を密接にしながら、その連絡協調体制の中でいろいろ対策をとってまいったわけでございます。いままでの経験をもとにいたしまして、今後の対策についてさらに進めなければならないと私ども考えておるわけでございます。そういう意味から、今後もさらに警察、場合によりましては税関、検疫あるいは入国管理、それからこのハイジャッキングにつきましては国外へ出ていく場合というのが多いわけでございますが、そういった場合につきましての外務省、あるいは防衛庁というような関係各省との間の連絡、協調関係を密接にする。その問題につきましてこれから検討というか、すでに検討を進められておる面もあるわけでございますけれども、十分の検討をいたしてまいりたい、私どもかように考えております。
  166. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この法務委員会においても、すでにこういう問題に関しては過去に質問もございましたし、答弁もございました。その中に最悪の時期に間に合わないというような予想は全然持っていないという、そういう答弁も議事録の中に載っております。そういうふうな感覚的な問題、非常に消極的といいますか、処置の甘さ、考え方の甘さというものを私たち感ずるわけなんです。たとえば入管の場合を例に取り上げてみましても、入管に携わっておる人たちがいま睡眠時間――とのような時間帯で生活を一日送っておるのか、また労働時間はどうなっておるかということについて、これは入管の関係ですけれども、きちっと掌握されておるのかどうか。その点どうお考えなのか、まずお伺いしたいと思います。
  167. 吉田健三

    ○吉田(健)政府委員 入管の業務、羽田その他の飛行場におきましては、もちろん非常に人手が足りない現状でございまして、時間帯の調整がうまくいきませんと、集中的に業務がむずかしくなることが、当然あるわけでございます。現在予算上の手当てとしまして増員また勤務体制の合理化、それから周辺にあります飛行機会社、運送業者その他関連の機関と協力体制を円滑に進めまして、合理的に何とかやっていきたい。勤務体制、御指摘の勤務の状況につきましてはなかなか苦しい状況でございますが、現在のところは大いにその職務感に徹して何とか切り抜けていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  168. 林孝矩

    ○林(孝)委員 なぜこういうことを申しますかといいますと、やはりそういうアリの一穴からこうした大きな問題も起こらないとは限らない。  たとえばいまの入管の場合でも、私が直接会って調べた結果によりますと、睡眠時間二時間だとか三時間で労働している人たちがおります。また冷暖房のないところに長時間すわって一人一人のチェックをしなければならない。あるいはすわっていることによって起こってくる内臓の病気の問題、またいろんな国の人が通りますので語学の問題があります。こうした語学の問題に関しては、一カ国だけではなしに二カ国、三カ国等が必要とされる。そういう人的な資源がない。そういう悩みだとか、いろんな問題が現場にはあるわけです。そういう問題と、今度は各航空当局だとかあるいは大蔵省の関係等のいわゆる総合的な面の連絡等が非常に円滑に行なわれていないということから、各部署部署での問題をかかえながら今日までやってきた。そういう実態の上に第二の犯罪、第三の犯罪が起こらないとも限らない、そういうことを危惧するわけであります。  こうしたこまかい詰めの問題でありますけれども、今後法務省としても、また運輸省としても大蔵省としても、こうした問題、現場の実態というものをもっともっと具体的に掌握して、その上に立って犯罪防止というものに取り組んでいかなければならない、そのように考えるわけですけれども、すでにそうした総合的な検討を行なっているという話でございましたので、私はそれ以上のことは実際どのように変わっていくか、具体的な問題として拝見させていただいて、また次の機会にお伺いしたいと思います。  私の質問は以上で終わらせていただきます。
  169. 高橋英吉

    ○高橋委員長 辻刑事局長。
  170. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 先ほど沖本議員の御質問に対する私の答弁の中で、わが国に逃げ込んできたハイジャッカーが政治犯罪の場合は云々と申し上げたわけでございますが、これはまだこのハイジャックの犯罪の規定が固まりませんことと、それから先ほど入管局長が申しました政治犯罪の概念との関係もございまして、問題がございますけれども、ハイジャッカーの処罰法ができました場合に、それでわが国が処罰する場合に、なお政治犯人として残る場合というものはほとんどないというふうに私どもは予想しておりますので、その点、私、念のためにつけ加えさせていただきたいと存じます。
  171. 沖本泰幸

    ○沖本委員 関連で。いまのことで少し疑問が残っていたのですが、たとえばハイジャックの法案をつくっても、こっちから向こうへ逃げていった分に対してどうだこうだという法律ができるわけですね。ところが、こっちへ来た人に対してどうこうというのがなかったらおかしいと思うのですよ、よそから来た場合にですね。あるいはこっちから向こうへ逃げた、よそから何らかの形で日本の国へ逃げ込んできたという者に対するはっきりしたものも持っていなければならないし、こっちから向こうに向いて逃げた場合の法律もつくっておかないと、よその国から見たらおかしいと思うのですがね。そういう観点から聞いているわけです。
  172. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 私がお答え申しましたのはまさしくその点でございまして、今回ハイジャックの国内法ができました場合に、これは一応まだ検討中でございますが、世界主義をとることを検討いたしております。かりに世界主義ということになりますと、何びとがどこで犯しても日本のこの罰則規定が適用されるということになるわけでございます。そうしますと、かりにアメリカ人がアメリカでハイジャックを犯した、その人が日本へ来た場合には、日本の今度できますこの罰則にかかる、こういうことになるわけでございます。日本へ入ってきた場合にもそれが適用される。また日本から出て行きました場合にも適用されて、将来日本へ帰ってまいりまして日本の裁判権が及ぶようになれば、その裁判権で新しい法規で処罰される、こういうことになるわけでございます。  それで、外国で犯したハイジャッカーが日本へ来た、そういう場合、犯罪人の引き渡しあるいは亡命との関係はどうかという御質問でございましたので、その場合に、日本へ外国からハイジャッカーとして来た場合には、この法律がまず適用されることになります。このハイジャック法の内容と、政治犯人の概念の広さというものとの関連によりますけれども、外国からハイジャックとして逃げ込んだ場合には、今回の法律ができれば、その人が政治犯人ということになる場合はまずない。まず日本のこの新しい罰則で刑事犯罪としての罰則が適用されるということで、それでずっと処断されていくことになるであろうということを、ただいまあらためて強く申し上げたわけでございます。
  173. 沖本泰幸

    ○沖本委員 もう一つ理解しにくいわけですが、それは後刻内容を見せていただいてどうこうということになると思いますけれども、私が申し上げたのは、ただ飛行機に乗って外国に逃げていった、あるいは人を含めた不法行為があった、こういうことだけでなくて、あわせて考えなければならぬのは、万博があることでもありますし、これからだんだんよその国から、飛行機に乗らないでも亡命してくる場合だってあるわけですね。そういう者に対するものが現在ないということが現実にあるわけなんですから、この際ですからそういうものもあわせていろいろな観点から考えなければならないのじゃないのですか。そういうものを考え始めていらっしゃるのか、そういうものはもう考えないのだ、これだけ考えているんだ、こういうお考えなのかということをお伺いしただけです。これはまたあらためまして次の機会にやっていきたいと思います。  それからもう一つ、林君の質問に関連して少しお尋ねしておきたいのですが、赤軍派のほうの資金源という点についてですけれども、先ほど簡単な御答弁があったわけですが、たとえば機内へ持ち込んだ爆弾ですね。新聞紙上を読んで見ますと、この間機内で見つかった分は不発だったということで、中に起爆剤を入れないと爆発しないというようなことだったということになるわけですけれども、じゃあその起爆剤なりあるいはあれだけの規模のものをつくる研究とか、爆薬を準備するとか、あるいは何本なりつくるについては、何らかの金が要るわけですね。それを研究する場所も必要でもありますし、研究費用も要ってくる。いろいろな点を考えて、相当長い期間にわたって計画されたものらしい。あるいは話によるとすでに同じものを再現してみてやってみたのじゃないかというような話もあるわけですね。そうしますと、まあ少なくともわずかの金ではそういうことは金額の面から見るとできない。こういうことになるわけですから、そういうものが常時行なえるような資金というものはどういう形でつくっておったのだろうか、こういう点お調べになっていらっしゃるならお答えいただきたいと思います。
  174. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 先ほど林委員の御質問に簡単にお答えいたしたわけでございますが、学生らは、赤軍派に限りませんけれども、最近のいわゆる人手不足の労働情勢のもとではアルバイトと申しましょうか、そういうような意味で一日千円なり千五百円なりの金を得ることは、きわめて簡単でございます。また現にそういうようなことを行なっております。さらにまた、自分のいわば自宅からそういうような金を集めると申しましょうか、そういうようなことでまかなっているというような点もございます。  いま例示的にお話がございました爆弾でございますが、一部新聞にたいしたものではないというふうなことが出ておりましたけれども、これはそうでございませんで、今回も機内から押収いたしました鉄管爆弾でございますが、中に入っておりましたのは、昨日の鑑定の結果では塩素酸カリ、黄血塩が入っております。それと今度は硫酸を入れた試験管が七本別個にございます。したがって、硫酸を流しますと大体十メートルの範囲内の殺傷能力を持っておりますことは、昨年私のほうで十月二十一日、薬科大学の中で発見されたものを実験した結果でもはっきりいたしております。こういうふうな爆弾の製造場所等は、いままでの捜査の過程では大学の研究室、こういうところが使われておることは事実でございまするし、また、大学の研究室にもいま申しました薬品類が相当あるわけでございます。そこから盗んでつくっておる。昨年なんかはそういうふうな事例がたくさんございます。  いずれにいたしましても、赤軍の昨年の財政、私のほうで知り得た範囲内で申しましても、数百万円の金をカンパその他の方法で集めておったようにわれわれは判断をいたしておる次第であります。
  175. 沖本泰幸

    ○沖本委員 終わります。
  176. 高橋英吉

    ○高橋委員長 次に松本善明君。
  177. 松本善明

    ○松本(善)委員 このハイジャックの問題を今後起こさせないようにするためにいろいろな点から問題を論じなければならないと思いますが、まず入管局長にお聞きしておきたいのでありますが、この時日経過の中で、「よど号」が金浦に着陸したことを、韓国政府は乗っ取り機は不法着陸とみなし、今後同機の呼び方を不法着陸機と呼ぶという公式発表を行なったわけであります。これについては、日本政府はどういうふうに考えているのですか。
  178. 吉田健三

    ○吉田(健)政府委員 ある国に外国人が入ってきますときにはどういう入り方をしたか、それが不法であるか合法であるかを決定できるのは、その国の主権に基づいて法令によってきめるわけでございますから、われわれがとかく言う筋合いのものではないわけでございますが、通常の考え方としましては、こっそりやみにまぎれて入るという密入国というような場合、これは明らかに不法でございますが、堂々と入ってくる場合にも、相手国の了解を事前にとってない場合、あるいはその国が、たとえば旅券を持ってそれに査証をとって入ってこいという規定になっておる場合に、それに合致したような入り方をしませんと、やはり広い意味で不法入国になるわけでございます。したがいまして、ハイジャッカーが旅券を持って向こうの査証をとったということはとうてい考えられないわけでございますから、韓国政府としては当然これは不法入国というふうに取り扱ったというふうに考えるわけでございます。
  179. 松本善明

    ○松本(善)委員 その前提としてでありますが、私ども聞いておる範囲では、韓国側の誘導によって「よど号」が金浦に着陸したということであります。それでそういう質問をしたわけでありますが、その事実関係は違っておるのかどうか。これは運輸省でも防衛庁でも、それから外務省でもけっこうですけれども、お答えをいただきたいと思います。
  180. 川上親人

    ○川上説明員 今回のハイジャック事件につきましては、福岡空港でいろいろと離陸阻止のための措置を行なっていたわけでございますけれども、犯人の性急な脅迫によってこれが成功しない。管制におきましてもクリアランスを受け付けませんし、また離陸の許可は与えなかったわけでございます。一応やむを得ず機長の判断において飛んだものと思われます。  そこで、私どもの判断といたしましても、機長からの報告におきましては平壌に行くという、飛んでからあとでございますけれども、そういう報告がございました。そのまままっすぐ行くというふうに考えておったわけであります。したがいまして、航空局におきましては外務省を通じて途中における飛行の安全その他についての手配方をいろいろ御依頼申し上げておりましたし、また、その航空機から送ってまいりましたフライトプランを韓国にございます待機中の管制部――これは日本に航空管制がありますと同様の性質の管制部でございます。その管制部にも通告をいたしたりいたしまして、途中でスクランブルをかけられて落とされることのないように、あるいは航行の安全を確保してくれるようにという依頼をしておったわけでございます。毛頭私どものほうから金浦に行くように指示をした事実はないわけであります。  また、機長からの報告によりますと、非常用の周波数といたしまして、これはもう非常用の周波数として一般に国際的に使われている波でございます。それを聞いている者があればだれでも知り得る波で、これを発信いたしまして北鮮ステーションを呼んだところ、応答した地上局の指示によって着陸した、かように私ども機長からの報告を受けているわけであります。
  181. 松本善明

    ○松本(善)委員 昨日の本会議での政府の答弁によれば、金浦に着陸するように指示したこともないし、その点を依頼したこともないということでありましたが、そうすると私のお聞きしたいのは、韓国側の誘導によって金浦に着陸したということになるのではないか、そうすると不法入国という関係はどうなるのかということを聞きたいわけですが、韓国側の誘導によって金浦に入れられたのじゃないのか、こういう質問なのです。
  182. 川上親人

    ○川上説明員 機長は地上局からの通信に基づきまして、その誘導に従って着陸をしたということを言っております。それがおりてみたらたまたま金浦であったというような報告でございましたので、韓国の誘導によるものであるかどうか、その点については私はつまびらかにいたしておりません。
  183. 松本善明

    ○松本(善)委員 わかっている範囲でけっこうですが、地上局からの電波についての責任は韓国政府にあるのですか、それとも米軍にあるのですか、その点わかっておれば答えてもらいたい。
  184. 川上親人

    ○川上説明員 ただいま私はその関係については詳しく存じませんので、御答弁できないのをお許しいただきたいと思います。
  185. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうすると、入管局長に戻ってお聞きするのですけれども、地上局から誘導されて入った場合、これでもやはり不法入国ということになるのですか。
  186. 吉田健三

    ○吉田(健)政府委員 先ほどの私の説明申し上げました原則に従いまして、やはり不法入国であると思います。
  187. 松本善明

    松本(善)委員 ついでに聞いておきますが、外務省、日本の飛行機が目的の平壌へ飛んで行くというように日本政府もみな思っていたのが、途中で外国によって別の方向へ入れられるということは国際法上どういう関係になりますか。
  188. 山田中正

    ○山田説明員 わが国の飛行機が、定期国際航空業務として相手国との間に取りきめがありまして、それで飛んでいるのではなくて飛んでまいります場合に、相手国の主権下に入りました場合には、その国の主権のもとに服します。したがいまして、その国の航行の法令とか、着陸命令があった場合には着陸をする、こういうことになります。
  189. 松本善明

    松本(善)委員 そうすると、結局、韓国の領空上だから韓国が自由にしていい、結果的にはそういう意味ですね。
  190. 山田中正

    ○山田説明員 韓国の領空に入りました場合は、韓国の法令に従わなければなりません。
  191. 松本善明

    松本(善)委員 それから、朝鮮民主主義人民共和国に山村政務次官などが入ったことについて、共和国側ではこれも不法入国だということを言っておりますけれども、これについてはどう考えますか、入管局長。
  192. 吉田健三

    ○吉田(健)政府委員 先ほども申し上げました同じ原則で、先方の法令によって要求された所定の手続を経ないで入った場合に、先方がこれを不法入国と認定すれば、当然不法入国になるわけでございます。
  193. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうすると、問題を少し変えてお聞きいたしますが、この赤軍派というものにつきまして、四月三日付の毎日新聞によりますと、「旧関西ブンド系を中心とした二十五人の赤軍派が三十日午後九時二十分、大阪発東京行「銀河51号」に乗車したことがわかったが、途中十三人が姿を消し、東京駅には十二人しか到着しなかった。姿を消した十三人のうち何人かは横浜で下車、タクシーで羽田空港に行き「よど号」に乗った公算が強い。」というふうに治安当局は見ているという報道をしております。これは、事前にじゃなくて、この事件後の捜査ということでございますが、こういう事実はそのとおりでありますか。
  194. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 結論から申しますと、そのような事実はございません。大阪で二十五名が四月一日の革命戦線の結成大会に出席をする目的で乗りましたことは現認いたしております。現在捜査中でありますけれども、今回の九人の犯人の中で、いままでの捜査の過程で、ほぼ七名が一応特定人定ができたわけであります。事実があるわけでございますが、いずれも令状が出ておるメンバーでございます。したがって、大阪で二十五名を現認しましたときに、その中に入っておるといたしますれば、当然現場で逮捕したわけでございますから、そういう意味合いで、いま申しました二十五名というものは、その後の捜査でも、横浜等で下車しておらないことは明らかでございます。
  195. 松本善明

    ○松本(善)委員 令状が出ておる指名手配者については、赤軍派に関しての話ですけれども、警察庁のほうでは全然つかめていなかったのですか。赤軍派に関する指名手配者、令状の出ておる人間についての情報は事件が始まる前に全くつかめていなかったのかどうか。
  196. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 これまでもお答え申し上げている次第でございますが、赤軍派につきましては、延べで二百八十八名逮捕いたしております。その中で、いわゆる事後捜査によりまして、いわば令状、指名手配というかっこうでいままで逮捕しました者が百二十六名おるわけです。三月の十五日に、塩見孝也と称する、いわゆる赤軍派の議長でございますが、これほか一名、前田祐一、これも幹部でございますけれども、これを三月の十五日に都内で逮捕いたしております。  さように、警察といたしましては、懸命にこの未逮捕の指名手配者について捜査を続けておったわけであります。ただ、今回の九名、ただいま申しました七名につきましては、鋭意捜査をいたしておりましたけれども、残念ながら逮捕できなかったわけでございます。
  197. 松本善明

    ○松本(善)委員 この事件が起こりました直後に、当委員会で、川島警備局長はおられなかったけれども、警察当局に、この赤軍派についてマン・ツー・マンの警戒をしていたことについてお聞きしたわけです。あらためて警備局長に、赤軍派についてマン・ツー・マンの警戒をしたのはいつからいつまで、そしてどのくらいな規模でやっていたのか、それを話してもらいたいと思います。
  198. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 現在警察として把握いたしております赤軍派の勢力は、おおむね四百程度に判断をいたしております。四月の一日に、先ほど申しましたような結成大会が日比谷で行なわれるということで、おおむね三月二十七、八日ごろから、具体的に東京に上がってくるというか、具体的に動きがありました。したがって、三月の初旬から各地で、今回の結成大会に臨みますために、各地に点在しておりますこれら赤軍のグループ、こういうものはいろいろの会合を開いたりいろいろな動きがあったわけでございまして、そういうような動きに対しまして、行動確認につとめておった次第でございます。期間は、具体的に精力的に取り組みましたのは、おおむね三月の中ごろ、かように判断をしていただいて、御了承を願いたいと思います。
  199. 松本善明

    ○松本(善)委員 この飛行機乗っ取りの問題については、警察当局が情報を得ていたということが雑誌や新聞には出ております。それで、その事実があったのかどうか、また、そういう新聞や雑誌の記事をあなたは御存じであるかどうか、これをお聞きしたいと思います。
  200. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 本年の一月十六日に、彼らのいう武装集会というものを都内で開きました際に、公安調査庁からお答えがあったようでございますけれども、いわゆる国際根拠地を設定する。その中で、キューバでございますとか、北鮮でございますとか、サンフランシスコでございますとか、メキシコでございますとか、いろいろな名前はあがっております。そういうところにやがていずれかの方法をもって出ていくであろうという可能性は、もちろんそういうところからはっきり判断できたわけでございます。その他、また赤軍派がいわゆる乗っ取りをたくらんでおるというようなことは、週刊誌等に出ておりますことは私も承知いたしております。したがって、関心を持ってこれらの情報の真否あるいは確度についてもいろいろと努力をいたしたのでございますけれども、今回のような形において行なわれるという確たる心証を得るに至りませんでした。
  201. 松本善明

    ○松本(善)委員 そういう週刊誌その他の報道があるならば、こういう重大な犯罪をほんとうに防ぐという気であるならば、完全にマン・ツー・マンに警戒をしているならばこういう事件は防げたのではありませんか。
  202. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、マン・ツー・マンと申しますのは、逮捕状の出ておるのはマン・ツー・マンでも何でもないわけです。そこにおれば逮捕できるわけですから。したがって、われわれがいまマン・ツー・マンと申しましょうか、行動確認につとめておりますものは――逮捕状の出ておる者はそのつど逮捕してまいっておるわけです。したがって、それ以外の幹部について行動確認につとめておった、こういう次第でございます。
  203. 松本善明

    ○松本(善)委員 しかしながら、二十五人の者が乗るとかそういう動きというものは全部わかるわけでしょう。その赤軍派がこれだけ、九名集まったということ、これがもし完全に警戒が厳重であるならば、逮捕状が出ている者であってもその動きは当然にわかるものではないか。十人近い人間が集まって、そして計画して動かなければならない。令状が出ている者だからつかまらないのはあたりまえだ、こういうふうに言って済むだろうか。私はむしろ令状が出ているような重要人物についていうならば、ますますもって警察は責任を感じなければならないはずではないだろうかと思うわけですけれども、これはとうてい防ぐことのできなかった犯罪ですか。
  204. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 繰り返しになりますが、いまのところで誤解があってはいけないと思いますのでつけ加えさしていただきます。  数十名の、赤軍の中にも現在指名手配をしている者がございます。これらにつきましては、昨年来、懸命に実は捜査を続けてまいってきておるわけで、三月に入りましてから塩見ほか三名、計四名の逮捕をしております。ずっと毎月数名ずつ逮捕して、指名手配の者百二十六名、現在まで逮捕済みでございます。そういうふうに懸命に現在まで努力してまいったわけでありますが、はなはだ残念なことでございますけれども、今回のこの種の犯行についての事前の察知ができなかった、これが真相でございます。
  205. 松本善明

    ○松本(善)委員 私が言いますのは、このような犯罪はとうてい防ぐことはできなかったのかというのですよ。警戒厳重にしているならば防ぐことができたはずではないだろうかと私は思うのだけれども、とうてい防ぐことができない性質のものであったのかということです。
  206. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 結果論でございますが、今回の場合は、事前に彼らの犯行企図が察知できなかったということでございますので、これはわがほうの捜査の能力が足りないというふうになろうかと思います。
  207. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうすると、防げたのだけれどもやはり足りなかった、そういう点で警察としては責任を感じている、こういう意味にとっていいですか。
  208. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 残念なことでございますが、いまもなお懸命に捜査に努力いたしておりますけれども、今回の場合は、そういう意味合いで事前に察知できずに防止できなかったのを非常に遺憾に思っている次第でございます。
  209. 松本善明

    ○松本(善)委員 これは今後の保証のために非常に大事だと思うので聞くのですけれども、先ほど瀬戸山委員が聞いたときには、これは制度上の問題じゃないということをあなた答えられました。今後ともその捜査について一生懸命やりたいということを答えられた。だが、いまのままで、前と同じようなことであるならば、今度のような問題がもう一回起こるわけですよ。私は、警察当局がこの事件については、そういう意味ではたいへん遺憾であったということを言われたけれども、その点について責任を感じておられるかどうかということを一言お聞きしたいと思います。
  210. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 結果が起こりましたことにつきましては、残念に存じております。
  211. 松本善明

    ○松本(善)委員 責任ということばを使わないのは何か意味がありますか。責任を感じているかということを聞いたのですけれども、盛んに遺憾に思うというふうに答えられるのですが、何か意味があるのですか。意味がなければいいですが……(「不可抗力じゃないか」と呼ぶ者あり)不可抗力という意味ですか。それなら私はもう一度聞きますよ。そういう意味なのかどうか。責任を感じているのか、不可抗力なのか、これははっきりしてください。
  212. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 先ほど来るる述べておりますように、あるいはまた運輸省航空当局側からもお述べになりましたように、関係機関とのさまざまな協力体制を具体的にいま検討いたしております。したがって、今後につきましては二度とこのような事案が起こらないように懸命の努力をする所存でございます。
  213. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうすると、いままでの答弁でもいろいろ出ていますけれども、そういう努力が足りなかった、そしてこういう事件が起こったことは遺憾だ、こういうふうに考えていると受け取っていいですね。  それから、赤軍派の資金源について同僚委員が聞きましたけれども、これについてはアルバイトだとかあるいはカンパだとかいう話でありますけれども、これについてもはやはり週刊誌や何かにたくさん論じられておる。あるいは往年の全学連の闘士で、資金獲得でも話題をまいた人物とか、あるいは一部の左翼学生たちから神さまのようにあがめ奉られている歴史学者だとか、関西財界のC氏、R氏、これは書いている人はある人を想定しているのかもしれませんが、そういう資金源が新聞紙上あるいは雑誌の上で論じられているということを知っていますか。
  214. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 新聞記事あるいは週刊誌等はよく読んでおります。
  215. 松本善明

    ○松本(善)委員 それについて調べたことがありますか。調べているならば、その結果を報告してほしい。
  216. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 いろいろ手を尽くして調査をいたしておりますけれども、その確度が信ずるに足るようなものにつきましては、残念ながらございません。
  217. 松本善明

    ○松本(善)委員 参議院の予算委員会での質問で、赤軍派の情報収集のために金を出しているということを警察庁のほうで答弁されたと思います。それは事実ですか、あらためてお聞きします。
  218. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 金を出しているという答弁はしたことがございません。
  219. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうすると、情報収集のための協力者がいると言いましたね。これに金は出していないという趣旨ですか。
  220. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 申すまでもございませんが、協力者がございます。協力していただいておりますその協力の度合いでございますとか、そういうものによって必要な実費程度の金につきましては御礼として差し上げておる次第でございます。
  221. 松本善明

    ○松本(善)委員 この赤軍派の情報収集のための実費弁償というのは一体どのくらいですか。なぜこれを聞くかというと、これについて一体真剣に情報収集をしていたかどうか、そしてまたその効果があったのかどうかということを聞きたいのです。一体幾ら出しているのですか。
  222. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 金額その他につきましては、公表することを差し控えさせていただきたいと思います。  効果があったかということでございますが、昨年来赤軍派が引き起こしました不法事案は四十四件ございます。中でも十一月七日に、総理官邸を襲撃すると称しまして、山梨県の大菩薩峠で軍事訓練をいたしておりました五十三名の現行犯逮捕をいたしたわけでございますが、この種の事案の検挙にあたりましてきわめて高い効果があったわけでございます。
  223. 松本善明

    松本(善)委員 この事件については何の情報も得られなかったということは、金は出していたけれども、肝心のところは全くどうにもならなかったということじゃないですか。ほかの事件についていまいろいろこうでありましたということで弁解になるが、私どもはそういう警察庁態度にきわめて疑問を感ぜざるを得ないのです。これだけ大事な事件を引き起こしながら、私たちのやったことは間違っていない、そういう態度でいいのかどうか、国民に対してそれで済むのかどうか、私どもはそこを問題にしているのです。情報収集について努力しているという話、このことがわからなかったことについては一体どういうように考えているのかということを聞いているのですよ。いかがでしょう。
  224. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 赤軍派に限ったものではございませんけれども、この種の学生の離合集散と申しましょうか、組織員としましても団体性におきましても、きわめて不明確なグループでございまして、この全員のすべてについて的確に把握をするということはきわめて困難でございます。しかも協力と申しましても、いろいろ赤軍の内部も、政治組織あるいは軍事組織あるいは大衆組織というふうな三本立てに現在なっておるようでございますけれども、一つのところでその全貌が全部わかるというような筋合いのものではございません。特にまた松本委員も御案内だと思い、けれども、これらの過激な学生集団というものの行ないます一種の不法事案等は、きわめて思いつきと申しましょうか、きわめて衝動的な動きをしているわけでございます。したがいまして、これをすべて事前に完全に察知することは、われわれの責務ではございますけれども、今回しばしば繰り返し述べておりますように、残念ながら今回のことにつきましては、事前に察知できなかった、かような次第でございます。
  225. 松本善明

    松本(善)委員 これは少し前でありますけれども、背叛社というアナーキストの団体にやはり情報収集のために金を出していた。しかし、これはその金を資金に使って、そしてアナーキストの団体が爆破をするとかいろいろなことをやったことが公判廷において暴露された事件があります。私どもがこの点を言いますのは、情報収集と称して金は出ている。その金額総額についてはお答えにならないけれども、その金額のいかんによってはその金を資金に使うということだってあり得るわけであります。そういう可能性がないとは決して言えないと私は思う。そういうほうに金が使われていないという保証がありますか。
  226. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 いまのお尋ねでございますが、そうでないと思いますけれども、お尋ねの趣旨は、要するに警察が金を与えて犯罪をそそのかしておるというふうなお考えのようにも受け取れるのですけれども、われわれは少なくとも法の執行をいたしております警察の立場といたしましては、そんなこと全く考えておりません。
  227. 松本善明

    松本(善)委員 私の質問は背叛社の例をとったけれども、そういう情報収集ということで金を出しているということになると、その金額のいかんによってはその金が資金に使われるという可能性もあるのじゃないか。それを絶対に彼らは資金に使わないという保証はありますかということを聞いておる。
  228. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 絶対ないとはいえないと思います。
  229. 松本善明

    松本(善)委員 それから公安調査庁に聞きます。公安調査庁は、赤軍派については情報収集のために金を出しておりますでしょうか。
  230. 内田達夫

    ○内田(達)政府委員 赤軍派のみならずその他の学生団体の調査のために出しております。
  231. 松本善明

    松本(善)委員 次官にお聞きしたいのでありますが、私どもこの問題については泳がせ政策ということを言っておる。瀬戸山委員もわざわざ聞かれて、そういうことはないという答弁があったわけでありますけれども、私どもが言いますのは、取り締まるにもかかわらず本気で取り締まらないで、その結果もしそれで起こった場合には、自分たちの捜査当局のほんとうの責任だということで、真剣に今後そういうものを起こさせないようにしようという決意が聞かれるのではなしに、起こったあとにこれは共産党と同じだろう、こういう宣伝があらゆる場所で行なわれている。本日のこの委員会においても行なわれて私はたいへん遺憾だというふうに思うわけですけれども、この点について、総理大臣も赤軍派などと日本共産党は決して一緒にはしないということをはっきりと本会議で答弁をされたわけであります。次官の見解を聞きたいと思います。
  232. 大竹太郎

    ○大竹政府委員 総理も御答弁になりましたように、政府といたしましては絶対にそういうことは考えておりません。
  233. 松本善明

    松本(善)委員 それから、私どもはこの際に、先ほど議論がありましたので――ほんとうはこれは乗っ限り機のところで論じらるべき性質のものでないと思いますので、私どもはあらためてこれをやりたいと思いますけれども、話が出ましたのでこの際申し上げておきますが、日本共産党の敵の出方論ということを先ほど言われました。しかし、これについては私たち党の書記長もはっきりと語っておりますけれども、議会を通じましてそして政府をつくる。そしてその政府をクーデターや暴力で転覆をするというような者が出てきた場合、これは当然のこととして取り締まるのだ。このことを言っておるだけなんだという立場を明確にしております。そういうことをこの際同僚委員も次官も御認識をいただきたい。これについて、質問としてはまた別の機会にやりたいと思いますけれども、認識をしておいていただきたいというふうりに思います。  もう一つは、学生の問題についてでありますが、これも話が出たのでたいへん問題にしておく必要があると思うのですけれども、私は前に公安調査庁長官に対して全学連の問題を聞いたことがあります。いわゆる六五%の学生を組織をし百七十一大学、三百六十丁自治会を擁するこの全学連について聞いたわけであります。これは公安調査庁長官の答弁をそのまま読んでみますと、これは民主化とは一体何を目的にしているのだ。学校民主化目的にしているのだ。それならけっこうな話じゃないかと言ったら、いや人民管理を目的にしている。それじゃそういうことは一体方針の中に書いてあるかと言ったら、そういうことは書いてない。これははっきり長官が、前吉橋さんが答えられたことであります。それから人民管理ということについては、いわゆるトロツキスト集団、それが主張している。それに反対をしているのが全学連だということもこの長官が答えられたわけであります。そこで、私は公安調査庁にお聞きしておきたいが、日本の学生の六五%を組織している団体ですよ。この団体を、四百名そこらの赤軍派と同視をしているということ自体、たいへんな間違いだと思いますけれども、私は一言だけ聞いておきますが、あなたの答弁の中で、共産主義理論を信条としている団体としてこれを言われました。私の知る範囲では、この全学連についてはそういうことは一言もございません。全くありません。これは間違いではありませんか。
  234. 内田達夫

    ○内田(達)政府委員 先ほど私が申し上げましたこれらの全学連、反日共糸全学連を含めまして、共産主義を信条としておると申し上げました点については間違いではないと思います。
  235. 松本善明

    松本(善)委員 そうするとまたあらためて詳しく聞きますが、公に発表されておる全学連の方針書、この六五%を組織しているその中に、共産主義理論を信条としているということが書いてある文書がどこかありますか。その点だけお答えいただきたい。
  236. 内田達夫

    ○内田(達)政府委員 お答えします。  共産主義理論を信条としておるというそのことばどおりの文句が出ておるかどうか、その点については私はっきりしておりません。内容的にそのように考えておるわけでございます。
  237. 松本善明

    松本(善)委員 そういう不確実なことでここで発言するのは全く不当であります。そういうようなことはない。あらためて調べておくといいと思います。  それから、学生の中でのスパイ活動に関係をして少し聞いておきたいのですけれども、名古屋市大学での連続放火事件について、本委員会でも問題になりました。この放火事件の犯人と目される婦人に公安調査庁が金を出していたということも、この間答弁がありましたが、私どもはこういうことが、学生の大多数を組織をしておるだけに、学生の思想や信条や結社の自由、こういうものを侵害をする危険が非常にあると思うのであります。そういう点については、公安調査庁としては一体どういうふうに考えておりますか。学生の大部分を組織している団体、これについての情報収集ということ……。
  238. 内田達夫

    ○内田(達)政府委員 お尋ねの名古屋の件につきましては、先般も概略申し上げましたが、これは昭和四十一年の十一月ごろ、名古屋の私のほうの中部公安調査局へこの女性がたずねてまいりまして、学生運動に関する情報とか資料、これを提供したい、こういうふうに申してまいったそうでございます。全然それまで知らない女性でございます。それで、その女性から学生運動に関する機関紙あるいはビラ、公然資料が多かったようでございますが、さような資料の提供を受けて、その後も数回提供を受けた。その後、翌年の四十二年になって、その女性が自治会室か何かの窃盗事件名古屋警察で取り調べを受けたというようなことがありましたので、その後は関係を断ち切っておるというような報告を聞いております。  まあ、そういう提供を何回か受けたという程度でありまして、それに若干の報酬も与えておるということは聞いておりますが、それで結社の自由とか、あるいはそういうものを抑圧しようとか、そういうふうなつもりはないと思います。
  239. 松本善明

    ○松本(善)委員 この人間は、名古屋大学で民青の通達、それから領収書類、委員会の報告書、会議の様子を書き込んだノート、名簿、そういうものを盗んで公安調査庁に渡した、それについて情報収集のための金を払ったら、これは贓品故買になるかもしれません。盗品を公安調査庁が情報収集として受け入れるということは、一体許されますか。この点について見解を聞きたいと思います。
  240. 内田達夫

    ○内田(達)政府委員 いま申し上げましたとおり、全然知らない女性から、向こうから進んで情報の売り込みと申しますか、提供に来たわけでございまして、調査官としては、盗んでこいとか、盗んだものであるが買ってくれというような、いわゆる賦物性の認識はなかったものと思います。
  241. 松本善明

    ○松本(善)委員 領収書なんというものを、あるいは人のノート、そんなものを盗まないでどうして持ってこられますか。そういうことをやっていいかどうかということなんですよ、要するに。やっていいのですか。
  242. 内田達夫

    ○内田(達)政府委員 盗品であるというようなことがわかれば、それはもらったり、あるいは買ったりすることは、これはいかぬと思います。
  243. 松本善明

    ○松本(善)委員 これは、現に私どもから見れば盗品であることは明らかだと思うものが、そういうふうにされています。そうすると、盗みを教唆をするようなことになる。あんなものを持っていけば金をもらえるのだということになる。そういうようなことになるような情報収集活動は、一体許されると思いますか。これは、あらためて警察庁と公安調査庁、両方に聞いておきます。
  244. 内田達夫

    ○内田(達)政府委員 私のほうの調査官としては、それが盗品であるということについては全然知らなかったものと思います。知っておれば、これは遺憾だと思います。
  245. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 ただいまの公安調査庁次長の見解と同じでございます。
  246. 松本善明

    ○松本(善)委員 それから、警察についでに聞いておきますが、この人は、十六日の放火のときにも現場にいて、捜査に来た警察官に尋問されて、住所、氏名を明らかにした。それから、それを警察官が確認をしてメモしている。十七日、十九日と、それぞれ放火があったときにも、警察官に現場にいたことを認められている。新聞報道でも、怪しい女だということが、一斉に名古屋では報道されている。ここからが大事だけれども、ところが、その報道でも、放火の手口から見て一番重要な手がかりだというふうに言っているにかかわらず、警察のほうでは、この人について捜査をしないということがある。その点について、なぜ捜査をしなかったかということだけを最後にお聞きして終わりたいと思います。
  247. 高松敬治

    ○高松政府委員 捜査をしないという話でございますが、捜査は続けております。現在もなお捜査を継続してやっております。ただ、この女性に対する容疑というものがどうもはっきりしない。放火なり窃盗なりとの結びつきが、時間的にもいろいろはっきりしない点もございます。そういうことで現在のところ、目下慎重にさらに裏づけ捜査をやっているところでございます。
  248. 松本善明

    ○松本(善)委員 終わります。これは、またあらためてお伺いいたします。
  249. 高橋英吉

    ○高橋委員長 岡沢完治君。
  250. 岡沢完治

    ○岡沢委員 最初に、川島警備局長が何か部内のハイジャックの検討会をお持ちだそうですから、川島さんにお尋ねします。  今度の事件で、私は、いろいろ教訓があったと思いますが、将来の対策のために真実を明らかにするということも一つの方法でございます。何と申しましても大切なことは、今後この種の事犯を再発させないというところにあろうかと思います。ハイジャックではございませんけれども、いわゆる外交官の誘拐事件、わが国のブラジル総領事も誘拐されましたし、近いところでは、グアテマラ駐在の西ドイツ大使が殺害されました。ハイジャックも中南米で起こって全世界に波及したわけでありますが、同じく外交官誘拐事件も、日本において起こらないという保証は私はないと思います。ましてや、万博の開催中でございまして、各国から多数の友人がお越しになります。またもちろん、わが国には多数の外交官がおられます。私は、この外交官の警護について、ハイジャック問題に関連して警備体制に万遺憾なきやいなや、言いにくいことばでございますけれども、日航はハイジャックに対しても、昨年部内でそれを予想して訓練もし、指令も出しておられましたが、今月の一日の法務委員会でしたか、私が聞きました範囲では、残念ながら警察当局では、ハイジャックを具体的に予想して、それに対しての訓練は全くなされていなかったという御答弁がございました。それとも関連して、外交官警護について警察庁の方針を聞きたいと思います。
  251. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 ただいま岡沢先生のお尋ねにございました外交官の警護でございますが、現在のところ不穏な情報というものは入手しておりません。しかしながら、お話にもございましたように、名前はこの際差し控えさせていただきますが、現状では、すでにそれぞれについてボデーガードをつけておる大使もございますし、それからまた、大使館及び大使公邸、こういうようなところにつきましては、警戒体制を一段と強化をして警戒している次第でございます。
  252. 岡沢完治

    ○岡沢委員 外務省お越しでございますので伺いますが、この外交官保護問題につきまして、アメリカ国務省でも検討を始めたという新聞報道もございますし、国連の外交官筋でも外交官保護の国際条約についての話題がすでに提供されているというように報じられております。東京条約あるいはハイジャック防止条約と関連して、この外交官保護の国際条約について、わが国の外務省としてはどういう方針を持っておられるか、お尋ねいたします。
  253. 高橋英吉

    ○高橋委員長 岡沢君、関係の人が来ていないんだそうだ、外務省から三人は見えているけれども。
  254. 岡沢完治

    ○岡沢委員 私がこの質問については予告しておきませんでしたので、あえて外務省を責める気持ちはありませんけれども、前回の委員会でも申し上げましたように、今度の事犯、警備関係の不備を責めるのはやさしいと思うけれども、それ以上にこれは偶然的な、あるいは避けられない一面もある犯罪だ。特にやはり国内法あるいは国際法を通じての法的な準備が足りなかったことが、この種のハイジャック事件を起こした一つの原因だと指摘されてもしようがないと思います。法務大臣もお越しをいただきましたし、新しい刑法関係の御質問もいずれ申し上げたいと思いますけれども、外務省のほうもぜひ同種の事犯として、同じような性質として流行性が予想される外交官保護の問題につきましても、国際条約上の立ちおくれをわが国が示さないようにお願いをして、この質問は終わりまして、次に進みたいと思います。  もう一つ、警備局長がおられる間にお願いいたしますが、きょうもこのハイジャック関係の対策を内部で検討なされておるそうでありますけれども、前回警備局長おられなくてお答えを得られなかったので、重ねてお尋ねいたします。  たとえば板付に「よど号」がおりましたときと具体的に想定いたしまして、その「よど号」の警察権あるいは発進等の主導権、指揮命令の系統につきまして考えられますのは、警察あるいは機長あるいは空港長あるいは企業であります日航、いずれに警備の責任があるのか、その辺の責任の所在を明らかにしていただきたいとともに、今後こういう問題を防止するためには、法律上の措置も必要でありますし、いま申しましたような関連機関の相互一体的な予防訓練あるいは予防協議ということが必要だと思います。そういう点についての配慮をなされておるかどうか、お尋ねいたします。
  255. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 今回板付におきまして、あらゆる手段を尽くして発進をさせないという基本方針を、警察、それから日航側、それから運輸省の保安事務所関係三者で協議をいたしまして、そのような基本方針をもって一貫して処置してまいった次第でございます。  御案内のとおりに、警察としての責任は、あくまでも乗客の安全なる救出、同時に、犯人の検挙の責任を有しているわけでございます。ただ、御承知のとおりに、機内といういわば密室の状態の中で犯罪が行なわれておったわけでございますので、将来につきましても同様でございますが、あくまでも機長あるいは空港長あるいは航空会社の責任者、そういうふうな方々と十分に意見の交換を遂げ、一致した意思のもとに対処するのが今後におきましても最良の方法かと存ずる次第でございます。そのために、ただいまもお話がございましたが、すでに私のほうといたしましては、関係の県本部長に対しまして四月一日に通達を出しまして、いま申し上げましたようなことで、情報の収集の強化、あるいは凶器、危険物の機内への持ち込みを防止するための一般乗客の協力を十分に得て乗っ取りの防止に当たる、あるいはまた乗客の安全な救出のために、今後さまざまケースは違ってくると思いますが、 いろいろの場合を想定して、それに対処するだけのわがほうの陣容あるいは資材というものについての検討をすでに開始いたしております。  何と申しましても、いまお尋ねにもございましたように、関係機関が幾つかあるわけでございますので、やはりふだんから、いまお話しのございましたように、事あることを想定をした上で、平常において十分なる訓練あるいは協議というか、いろいろの措置というものが十分取り計られますよう不断の努力がより肝要かと存じておる次第でございまして、その方針に従って今後とも一そう措置をしてまいりたい、かように考えます。
  256. 岡沢完治

    ○岡沢委員 警備局長、警察関係はお帰りになってけっこうです。  法務大臣、お越しをいただきましたので、国務大臣のお立場から、今度のハイジャック類似行為を今後防ぐ意味から、いま警察に聞きましたように、警察だけの問題でもないし、また運輸省だけの問題でもない、法務省だけの問題でもない。けさ瀬戸山委員からお話がありましたけれども、文教行政とも結びつくような、文部省にも大きな責任を負っていただきたいような感じのする、背景の広い問題である。また、これが防止についても、各方面から具体的な検討が必要だろうと思うのです。そういう趣旨からの、今後の再発防止について国内法、国際法の法的な整備はもとよりでございますけれども、警備体制あるいは運輸行政その他について十分な横の連絡が必要だと思いますけれども、法務大臣の見解を聞きます。
  257. 小林武治

    ○小林国務大臣 法務省は法規の制定の所管官庁であると同時に、実際の処理をする、あと始末をする、こういうたてまえの役所でございますので、それで今回のことにつきましても、これはもう政府を代表して総理大臣なり外務大臣がいろいろの御所見を発表になっておられますから、私からこれらの全体の問題についてここでどうこう申し上げる、こういうことはございません。ただ、政府部内が全部一致して共同してこういうことを防ぐというのは当然なことでございまして、そういう向きの努力はなおみながいたさなければならないと思うわけでございます。先ほどの条約の問題におきましても、これは本会議等において、東京条約をこの国会で承認をしていただく手続をとりたい、また、これを補完するための条約もオランダのへ-グで十二月にある、それについては、日本も積極的なリードをする態度をとりたい、こういうことも外務大臣から申されておりますし、また航空法の問題、あるいは警察官の職務の問題いろいろあります。  これらの問題は別にいたしまして、われわれ法務省といたしましては、この航空機の奪取という凶悪な犯罪の抑止力とも考えて、そしてかねがね検討しておる事柄につきまして、刑法から抜き出して、そして単独の単行法としてこの問題に関する処置をいたしたい。これも私、衆議院の本会議で、二十日前後にはひとつ国会に提出をいたして御賛成をいただきたい、こういうことも申し上げておるのでありまして、これらについていま実は問題になっておるのは、せっかくの機会と申してはなんでありますが、われわれは航空機の奪取罪についての処置をいたしたい、こういうことを考えておったのでありますが、この問題に関する法制審議会の従来の草案の中には、船舶もぜひ入れるべきだ、こういうことが言われておりまして、きょうの参議院の本会議におきましても、社会党その他の諸君は船舶をひとつ包含せしむべきじゃないか、こういう話でございました。私どもも、この船舶の問題については、ひとつ国会側の御意向も承って、そしてお差しつかえなければ、この際航空機、船舶の奪取罪としてこの問題を処理したい、かように考えておるものであります。  これにつきましては、実はこの問題は刑法の草案においては単なる一条でありましたが、いろいろのことを考えて、むろんこれは未遂の問題も処罰をする、それからまた予備行為も処罰の対象にしたい、こういうことも考えておりますし、もう一つ問題になるのは、国外において犯されたこの種の犯罪を日本の刑法における犯罪とするかどうか、こういう問題もありますが、条約ができれば、やがてこれは必ずそういうことがそれぞれ、国内法でも外国において行なわれた同種の犯罪はこちら側においても犯罪としてみなす、犯罪として取り扱う、こういうふうなものもこの際の問題としてひとつ考えたらどうかというふうなことも考えております。  一般の行政上の問題、たとえば航空法等につきましては、これは一つの行政法規でありますから、刑法的なものにこれを包含せしむべきでない、こういうことで、いわゆる警察取り締まり的なものはこの際はこの中に入れない、そしてわれわれの扱うものは純刑法的な問題として処理したい、こういうふうなことをいま考えておるのでございます。  大体立法等についての考え方は以上のとおりでございます。  なお、余分なことを申し上げますれば、乗客その他は帰ってきたが、犯人はそのままになっておる、こういうことでございますが、これの処置の問題がこれからの大きな問題でありまして、私は、筋からいえば、日本政府はやはりこれの引き渡しというものを要請すべきである、こういうふうに思いますし、また今後の事態によりましては、あるいは犯人の引き渡しを受けなくても、身柄あるいは身元等が、犯罪がここの人の犯罪だということが取り調べの結果わかれば、日本において起訴する、また引き渡しを受けなくても起訴をしておく、こういうふうな問題も起きてくる、かように考えております。  大体以上のようなことを私どもとしては検討をして、すみやかに結論を得たい、こういうことでございます。
  258. 岡沢完治

    ○岡沢委員 私が聞こうと思ったことを先にお答えいただいたわけですけれども、そうすると、法制審議会の刑事法特別部会で検討されておった刑法草案の三百四十三条です。いま御指摘のように船舶が入っておるわけですけれども、船舶を入れないということは最終結論ではなしに、野党等の意向によっては、航空機奪取罪、いま法務省で御検討になっております特別法に船舶を入れてもいいというお考えでございますか、確認いたします。
  259. 小林武治

    ○小林国務大臣 国会側の御意向等もしんしゃくいたしまして、御賛成であれば入れてよろしい、こういうふうに考えております。
  260. 岡沢完治

    ○岡沢委員 いま未遂罪、予備罪についてはお触れがございました。刑法草案では「無期又は五年以上の懲役」ということでございましたが、新聞報道では、今度の御予定は無期または七年以上の懲役というふうに報じられております。私が前回の法務委員会刑事局長に質問をいたしましたときには、五年以上には特別の意味があるのだという御趣旨の御答弁がございました。あえて七年以上になさった理由、必ずしも反対という意味からではございませんが、説明いただきたいと思います。
  261. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 この前の法務委員会におきまして岡沢委員から、刑期五年の問題について御質問がございました。これにつきましては法制審議会で一応成案を得ております。ただいま御指摘の三百四十三条でございますが、これが「無期又は五年以上の懲役」こういうふうに一応なっております。この五年と申しますのは、この三百四十三条の後段のほうに、「航行中の船舶もしくは航空機内において財物を強取した者」という、場所が単に航空機内あるいは船舶内ということだけで、実際は財物を強取したにすぎない、こういう場合を含んでおりますから、これは現行刑法の五年というところと平仄を合わしたのだろうと思うわけでございます。  ところで、今回検討いたしております案は、いわゆるハイジャックというものを対象にしたものでございまして、ハイジャックと別個に航空機内で乗客のものを強取したというようなものはその対象にはしていないという関係がございますので、そういたしますと、おのずからハイジャックの犯罪の悪質性ということから、この五年よりも重い刑がとられてしかるべきではないか、かように考えておる次第でございます。
  262. 岡沢完治

    ○岡沢委員 そうすると、今度御提出予定の法案の中からは刑法草案の三百四十三条の「航行中の船舶もしくは航空機内において財物を強取した者」は省くという趣旨でございますね。
  263. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 今回検討しております案はいわゆるハイジャックということでございまして、これを航空機だけに限って申し上げますと、航空機そのものの強取というのはもちろんこのハイジャックになるわけでございますが、そのほかに、この運航を自分の支配下に置くということで、本来不法領得の意思がきわめて薄い場合、あるいはない場合も同様と思うのでございますが、自分が、航行中の航空機を自分の暴行、脅迫等によりまして支配下に置いて、どこへ行けということで、自由に自分の思うところへ行ってしまう、これもやはり条約その他の面にあらわれておりますとおりハイジャックの一形態でございます。こういうものをあわせて規定していきたい、こういうことになるわけでございまして、それだけをまた規定していく。航空機内の単なる強盗は、これは一般の刑法強盗罪でまかなえる、こういう考え方に現在立っておるわけでございます。
  264. 岡沢完治

    ○岡沢委員 二十日ごろに提案されるというので、われわれもあらかじめ中身を知っておかないと賛否が明らかにできないと思うので具体的にお尋ねいたしますが、予備罪を罰する、これは刑期どのくらいを予定しておられますか。
  265. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 これもやはり現行刑法強盗の予備よりは重くあってしかるべし、かように考えております。
  266. 岡沢完治

    ○岡沢委員 そうすると、強盗の予備は二年ですから、三年以下ぐらいを考えておるわけですか。
  267. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 大体その辺で検討いたしております。
  268. 岡沢完治

    ○岡沢委員 ここで外務省にお尋ねをしたいのですが、前回の法務委員会で、私が東京条約を七年間も批准されなかった理由をお尋ねした場合に、国内法の整備がおくれたということも一つの理由としておあげになりました。これは外務省が御出席いただけなくて運輸省のお答えでありましたが、法務大臣がお答えになりました航空機奪取等の処罰に関する特別措置法、これの整備と東京条約の批准との関係、国内法の整備がなかったら批准はできないのか、その辺の経緯を明らかにしていただきたいと思います。東京条約の中には国内法の措置を要求しているのも何カ条かございます、お尋ねします。
  269. 山田中正

    ○山田説明員 お答えいたします。  いま御質問になりました、東京条約を批准するにあたって関係国内法の整備がどの程度必要かという点でございますが、この東京条約の早期批准のために今国会でも提出して御審議をいただく予定でいま鋭意準備中でございまして、関係各省とも協議を進めている段階でございますが、現在のところ私どもの考えておりますところは、航空機不法奪取罪とは全然別の関係でございまして、東京条約の中に規定してございます機長の権限に対しまして、現在の航空法の機長の権限ではやや不備があるのではないか、その点の手直しが少し必要なんじゃないかという点がございますので、現在のところ航空局を中心に鋭意検討していただ、いている段階でございます。
  270. 岡沢完治

    ○岡沢委員 そうすると外務省に重ねてお尋ねいたしますけれども、東京条約の批准のためには刑法関係の整備は必要ではない、必要不可欠な関連はないが、むしろ航空法その他の行政法等の整備が必要だということだとお聞きしてよろしいのですか。
  271. 山田中正

    ○山田説明員 いまお述べになりましたとおりでございます。刑法関係の整備と申しますのは、外務大臣も答弁いたしました、この次の今年末のハーグで予定されておりますハイジャック防止条約の関連では必要ではございますが、東京条約との関連では刑法の手直しは必要ではないと考えております。
  272. 岡沢完治

    ○岡沢委員 そうすると刑法との関係はわかりましたが、航空法の改正は東京条約の批准には当然必要なものと考えてよろしゅうございますか。そうするとすれば、東京条約の批准はこの国会でやるという政府の御方針のように明らかにされておりますけれども、航空法の改正も当然提出されると解してよろしゅうございますか。
  273. 川上親人

    ○川上説明員 東京条約の批准に関連いたしまして、航空法の一部改正というものを私どものほうも現在検討中でございます。批准に間に合うようにこの航空法の一部改正ということも同時に行なえるように鋭意努力しているところでございます。
  274. 岡沢完治

    ○岡沢委員 重ねてお尋ねいたしますけれども、批准の前提に航空法の改正が必要であれば、今国会で批准するという政府の方針であれば、航空法の改正はむしろその前にあるべきなんで、あるいは同時にあるべきなんで、これは批准の前提として当然今国会に改正を予定しておられると解してよろしゅうございますか。
  275. 川上親人

    ○川上説明員 東京条約の批准と少なくとも同時点において航空法の一部改正もお願いするように、私どもとしては事務的に努力しているところでございます。
  276. 岡沢完治

    ○岡沢委員 先ほど法務大臣のお答えの中で、乗っ取り犯人九名のことにお触れになりました。法務大臣としては当然引き渡しを要求するのが筋だという御発言でございました。運輸大臣もソウルにおられるときに、同じような主張を新聞記者などに発表しておられました。ところが、四月七日の閣議で、政府は静観を決定したというふうに報じられております。その理由はどこにあるのか。筋であれば筋を通すべきなんで、人道問題で北鮮側に感謝する気持ちとはまた別に、やはり筋は筋として通すべきじゃないかと思うわけであります。一部では引き渡し手続は非常にむずかしいということもあるでしょうし、山村運輸次官に対する北鮮側の通告等も御尊重になっているかとも思いますが、その筋は引き渡しを要求すべきだと大臣はおっしゃいながら閣議決定では当分静観という方針、これは矛盾があるように感ずるわけでありまして、いわゆる手続上の問題でそういう閣議決定になったのか、あるいは政治的な配慮か、あるいはほかに何か理由が考えられるのか、北鮮への遠慮か、あるいは山村次官返還の条件と見るべきものなのか、その辺の御見解を聞かしていただきたい。私としては、こういう場合は日本の自主性と申しますか、国際慣習あるいは国際法上の慣例に従った対処が感謝の気持ちとは別にとられてしかるべきだと思いますけれども、法務大臣の見解を聞きます。
  277. 小林武治

    ○小林国務大臣 これはもう筋論としましては、日本としては当然犯人の引き渡しを――いま未承認国でありますから要求とかいうようなことばが適当かどうか、私は要請をしていく、こういうことばを使っております。御承知のように、犯人引渡条約というものはアメリカとしかありません。そのほかの友好国に対しましては、犯人を引き渡してもらいたい、こういうふうないわゆる口上書というようなものを手続としては出して、そしてこれが行なわれる場合には、また相手国からも日本もそれに対応する措置をとるべきである、こういうふうなお互いの口上書の交換等によってこれが実現される、これが普通の形であると思うのでありますが、北鮮は御案内のような状態でありますので、私どもとしては、これはひとつ日本としては要請をすべきではないか、こういうふうな考え方をしております。  これは実は、やるとかせぬとかの問題でなくて、また北鮮側がこの犯人にどういう処遇をなさるか、たとえば不法入国者として措置をするか、要するに北鮮側の犯罪人として措置をするか、いろいろな問題が、まだその処遇がわからない。したがって、ほんのしばらく様子を見る、こういうことでありまして、将来にわたって静観する、こういうふうなことをきめたわけじゃございません。
  278. 岡沢完治

    ○岡沢委員 北鮮側の処遇がわからない段階であるという御答弁で、私もそれは一刻を争う問題だとは思いませんけれども、しかし、わが国の自主性を明らかにする意味からは、前回の法務委員会で刑事局長から九名の学生たちを犯罪人、いわゆる政治犯罪者とは見ないで、一般の刑事犯罪人としての解釈をしたい、あるいはそれが正しいと思うという趣旨の御答弁がございました。法務大臣も同じ見解であるかどうかということが一点と、もし刑事犯罪人というお立場をおとりになるならば当然引き渡しを要求すべきである、そのことは法務大臣もお答えになりました。その場合に具体的にはどういう手続が予想されるのか、考えられるルートにつきましてお尋ねいたします。
  279. 小林武治

    ○小林国務大臣 これは法務省としてはそういう要請をしてもらいたい、こういう希望は外務省に述べておるわけでございまして、外務省としてはいろいろな方法を、要するにいまの条約を持っておる国でないからいろいろな方法を検討しなければならぬということで、これらについてはお考えを進めておられる、こういうふうに思います。その手続、方法等につきましては、私どもがいまこれを承知していない、こういうことでございます。
  280. 岡沢完治

    ○岡沢委員 それじゃ具体的には外務省がお当たりになりますが、外務省としてはどういうルートが考えられるか。こういうルートであるという意味じゃありませんが、外務省の金沢参事官にお尋ねいたします。
  281. 金沢正雄

    ○金沢説明員 お答え申し上げます。  ただいまの件につきましては、外務省としてもまだ検討を開始したばかりでございますので、どういうルートを通じて返還を要請するかということについて、まだ何ぶん未承認国のことでもございますので、はっきりしたいろいろなアイデアを出しておるという段階ではないという状況でございます。
  282. 岡沢完治

    ○岡沢委員 だから、その確定的でなくて、どういうことを考えられるかということを聞いておるわけです。
  283. 金沢正雄

    ○金沢説明員 まだ外務省としてというようなことを申し上げる段階ではないという点は御了承いただきたいと思うのでございますが、私個人として考えますれば、たとえば日本と友好関係があって、そして北鮮とも友好関係があるというような国を通じて、この話を持ち出すということが一つの道ではないかと思います。
  284. 岡沢完治

    ○岡沢委員 これは同僚の議員がお尋ねになったのであれば失礼でありますが、また明らかにできなかったらそれでもけっこうですが、法務省の刑事局長に……。  飛行機が帰ってきましたし、機内の捜索もなさったようですし、また赤軍派と目されるもののアジトの捜索等もなさって、いわゆる爆発物の一部の押収もされたようですが、この爆発物の危険の度合いについて報告を受けておられたら、明らかにしていただきたい。それが、大学内でかつて製造された、大学紛争に関連しての爆発物との関連性、それから、この爆発物の性質によっては、犯人たちがほんとうに機内でこれに点火した場合に人命に危険があったのかどうか、その辺の資料がもしありましたらお答えいただきたいと思います。
  285. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 ただいま御指摘の最近の押収、捜索におきますこの結果の状況につきましては、私どもまだ報告を受けておりませんので、遺憾ながらお答えいたしかねる次第でございます。
  286. 岡沢完治

    ○岡沢委員 時間がおそうございますので、あまり皆さんに迷惑をかけたらいかぬと思いますけれども、今度の事件を契機にして、私はそれが悪いというのじゃありませんけれども、いわゆる航空機強奪罪等を特別法で急遽立法される、まあどろなわ式の感を免れませんけれども、私は、それは必要だし、賛意を表するつもりであります。同種の事犯、公害罪についても、単独立法ということを、総理もまた法務大臣も別の機会に明らかにしておられます。御承知のとおり、法制審議会の、特に刑事法特別部会が刑法の改正作業をやっておるわけでございます。これは、改正作業に法制審議会が取り組んだのは何年からでございますか。
  287. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 法制審議会が刑法の全面改正についての法務大臣の諮問を受けましたのは、昭和三十八年五月二十日でございます。それから今日まで鋭意審議を重ねておるわけでございますが、一応御参考までに、どのくらいの回数の審議をしておるかということをまずもって申し上げておきたいと思います。  三十八年五月二十日から今日まで、この刑事法特別部会がもっぱらこの審議に当たっておるわけでございますが、刑事法特別部会が開催されましたのは二十回でございます。なお、この特別部会を、一から五までの五つの小委員会に分けておりますが、この小委員会はひんぱんに行なわれておるわけでございまして、小委員会で結論を得ましたものをまとめまして、また部会のほうに審議してもらう、こういう形をとっているわけでございます。小委員会につきましては、一から五までの各小委員会がそれぞれ百二十五回から百三十九回開いておるということで、鋭意審議をいたしておる状況でございます。
  288. 岡沢完治

    ○岡沢委員 鋭意審議を否定するわけではございませんけれども、公害法のときも、刑法の全面改正の一環として検討する。これは、世論あるいは国会の質疑等を通じて急遽単独立法。今度のハイジャック防止関係の法律案につきましても単独法で急遽と。この前の委員会ではその話までなかったわけです。公害法につきましては、法務委員長の特別な発言がきっかけになって、おそらく政府のほうも単独法に踏み切られる方向で結論を得られたと思いますし、今度の航空機強奪罪等につきましては、明らかに今度の日航機乗っ取りの事件が一つの契機になったわけであります。  慎重審議はよくわかりますけれども、あまりにも刑法改正作業が遅々として時代に合わないと率直に指摘しても間違いないのではないか。三十八年に諮問されて七年間、御努力はわかりますけれども、あまりにも社会あるいは経済の情勢の変化に対応できない姿が、今度の二つの法案の処理と結びついて指摘されてもやむを得ないのではないか。前回お答えいただきましたように、全面改正の草案ができ上がるのは四十六年の末だ、早い場合は、ということでございますけれども、これだけ日進月歩の進歩の早い時代には、全く時代おくれと申し上げてもいいような感じがいたします。やればできるという実証が今度の航空機強奪罪の例だといえると思いますし、公害罪もそれに類するかと思います。  航空機強奪罪の場合、これは私は病気でいえば外科に当たる、あるいは交通事故に当たるといってもいいと思います。ところが、公害罪の場合は、内科あるいはガンに当たる犯罪と申しますか病気だと申してもいいと思います。しかし、むしろガンのほうが、日本の国内の全体的な実態を見ました場合、おそろしいわけで、現に全国で公害に悩んでおられる方、また現に公害を発している企業あるいは組織というのは続行中でありますし、強奪罪のような、殺人とか傷害的な行為をすぐ起こすわけではありませんけれども、長い目で見た場合に、実質上の殺人罪や傷害罪に該当する結果をもたらすような行為が現に行なわれるということを考えました場合、航空機乗っ取り罪については今国会で成立を目される、公害罪については少なくとも今国会には間に合わないと思うわけでございますけれども、公害で悩む当事者をはじめとしてわれわれもいっその対象にならないとも限らないわけでございまして、こういう具体的な例を見ました場合、いささか政府の対策が後手後手に回っていると指摘されてもしようがないのではないか。  先ほど法務大臣から御指摘がありましたように、法律的な措置というのはあと始末であって、害にいたしましても、あるいは航空機乗っ取りにいたしましても、それを予防することが第一であることは当然でありますし、それもそのとおりでございますけれども、法的な措置もあまりおくれ過ぎていると言ってもいいのではないか。これはひとり政府だけの責任とは言いません。国会のわれわれにも大きな責任と反省を要すると思いますけれども、この辺につきまして、刑法全面改正の法制審議会刑事法特別部会の審議を全体的にもっと促進する考えはないかどうか、その方法はないものかどうか。たまたまハイジャックなり公害問題は社会的な注目を浴びましたから促進されたしかし、表には出ませんけれども、全面改正を要する刑法上の対象も決して少なくないわけでありまして、その辺についての、法務大臣あるいは刑事局長の御答弁を求めます。
  289. 小林武治

    ○小林国務大臣 問題の事柄であるだけに慎重な態度をとる、こういうことはやむを得ないと思いまするが、世間的常識でいえば、それにしても手間がとれるじゃないか、こういうふうな考えをお持ちになるであろう、こういうふうに思いますし、私どももその点は非常に遺憾に思っております。しかし、公害罪の問題にしましても、この航空機の奪取罪の問題にしましても、とにかく急をようするということで、そこから取り出してまでやらなければならぬ、こういうことでございますので、このことがやはり刑法改正についての刺激と申すか促進になると思うのでありまして、われわれとしましても、こういうものをいつまでにということはなかなか困難な問題でありますが、大体その期日も迫ってきて、来年の暮れぐらいまでにはその答申が出そうだ、こういうふうなことでございますが、促進をいたしてほしい、こういう注文はひとつ申し上げよう、かように考えております。なお、こういう基本的な法律については非常に慎重に扱わなければならぬということは、これはどなたもおわかりいただけると思うのでありますが、私も実は法務省の法律をいろいろ見まして、ずいぶんおっくれておる法律があるのでありまして、最近も、実は余分な話でありますが、監獄法という法律がまだあって、世間ではもうそんなものがあると思っておりません。しかし、これがまだ生きておって、役人も刑務所の役人であれば、施設も刑務所といっておるのに、とにかく法律が監獄法だ、しかもこれは明治四十一年の制定だ。この種のものがほかにもあるのでありまして、実は昨日参議院では民事訴訟費用法、刑事訴訟費用法というのが、一つは明治二十三年の制定でございまして、こういものがまだ生きておって、そしていまは時勢に合わぬから民事訴訟費用法としてこちらでまた御審議を願わなければなりませんが、そういうものまである。こういうことでございまして、全体といたしましてやはり相当な反省が要るのじゃないか、かように考えております。いまの費用法も参議院の法務委員会では、いつまでこういうものを置くのだ、毎年、来年来年と言っておりますが、どうかこういうことで、私も今度は来年ひとつぜひ審議をお願いしたい、その覚悟である、こういうことを申し上げたのでありますが、一般的に申して法務省関係にはそういうものがだいぶある。こういうことでその点を反省をし、全般的にひとつ促進をしなければならぬ、かように考えております。
  290. 岡沢完治

    ○岡沢委員 まあ大臣もよく御理解いただいているようでございますが、裁判所の化石化ということもいわれますし、また法務省につきましても、どうしても世間から一歩とりでを置いた存在であるだけに、時代の流れに乗っておいでにならない面もなきにしもあらずで、この辺の御配慮を――やはり国民から信頼され、そして実際裁判なり仏検察の機能を十分果たす法律であるべきなんで、改正のスピード化につきましても積極的に取り組んでいただきたいと思います。  最後に、文部省にお越しいただいております。ハイジャックでございますけれども、この種の事件の一番大きな原因は、やはり欠陥学生と名づけていいと私は思うのですが、ああいう欠陥学生が生まれた背景には欠陥教育があり、欠陥教師がおったからで、また戦後の教育全体の、あるいは選択の価値観全体の総決算と申しますか、あるいは彼らも犠牲者だという見方もできるわけでございます。それだけに具体的な取り締まり法あるいは行政法上の整備も必要でございますけれども、やはり戦後の若者の人間形成について、この際、政所治家としても国民全体としても検討と反省を求められていくというふうに考えていいかと思うわけであります。特に具体的な関連といたしまして、昨年来荒れ狂いました大学構内における暴力が当然のように肯定される思想が、学生だけではなしに一部の国立学校も含めた教官の中に見られた。この暴力肯定の思想がやはり彼らの今度の行為と結びついておるというように考えざるを得ないわけでございまして、教育問題を無視してこの種事犯の抜本的な防止はあり得ないと考えるだけに、この点についての文部省の見解を聞きます。
  291. 清水成之

    ○清水説明員 いま先生お話しのとおりでございまして、今回の事件が起きましたことは非常に遺憾でございます。しかも今度の事件は、いわゆる学園紛争とは性質が違うものではございますが、いま御指摘のとおり、そういう背景には戦後から今日に至ります教育制度あるいは教育内容という面で反省すべき点があろうと思うのでございます。これらの点につきましては、たとえば学習指導要領の改正問題、あるいはまた青年意識に影響を与えます入試の改善問題、あるいは大学レベルで申しますならば一般教育課程の問題等、取り組んでおるわけでありますが、小中高、大学、さらに幼児教育を通じまして抜本的な改善をいたすように、目下真剣に中央教育審議会ともども取り組んでおる次第でございます。  なお、暴力の点につきましては、暴力を絶対に排除しなければならぬことは当然でございまして、私どもも学園紛争を通じてその点を強調してまいったのでございます。最近だいぶ鎮静化してまいりましたが、相当の長年月にわたりましてああいう事件を起こしましたことを契機にいたしまして、さらにこの点の指導を強めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  292. 岡沢完治

    ○岡沢委員 法律上の制約があることは十分承知しながら、国立大学の教授で、破壊なくして建設はあり得ないということを公然と檄を飛ばして公表しておる教授も現におられます。私は法律を無視してこういう方を処分せよという意味ではございませんけれども、そういう風潮が若い青年諸君にどれだけの影響を与えるかということは、文部省だけの責任とは思いませんけれども、国務大臣としての小林法務大臣にもお聞きいただいて、これは政府全体で取り組むべきだということを指摘させていただきたいと思います。  ことに大学の運営に関する臨時措置法が昨年苦労して成立いたしましたけれども、これは紛争解決そのものには成功したかもしれませんが、ほんとうの意味の大学の改革とは無関係であることは御承知のとおりでございます。やはり新しい抜本的な大学制度あるいは大学理念、教育制度の改革というものに真剣に取り組まなければ、法律的な改正をしたり整備をしましても、この種の事犯が防げないばかりか、日本の繁栄とか前途というものについて非常に暗いものがあるというふうに感ずるので、善処をお願いいたしたいと思います。  終わりに、運輸省に御出席いただきましたのに質問の機会を失しましたことをお許しいただいて、時間がだいぶ過ぎましたので、私の質問を終わりたいと思います。
  293. 高橋英吉

    ○高橋委員長 岡沢君、参考のために申し上げますが、飛行機内の爆弾、あれは新聞紙上とは違って、相当強力なものだという答弁がありましたから、いずれまた機会があるでしょうけれども……。
  294. 岡沢完治

    ○岡沢委員 ありがとうございました。
  295. 高橋英吉

    ○高橋委員長 次回は、来たる十日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十七分散会