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1970-05-07 第63回国会 衆議院 本会議 24号 公式Web版

  1. 昭和四十五年五月七日(木曜日)     ―――――――――――――  議事日程 第二十二号   昭和四十五年五月七日     午後二時開議  第一 航空法の一部を改正する法律案(内閣提   出)  第二 港則法の一部を改正する法律案(内閣提   出、参議院送付)  第三 地方自治法第百五十六条第六項の規定に   基づき、海運局の支局の設置に関し承認を求   めるの件(参議院送付)  第四 船員保険法の一部を改正する法律案(内   閣提出)  第五 労働者災害補償保険法等の一部を改正す   る法律案(内閣提出)  第六 勤労青少年福祉法案(内閣提出、参議院   送付)  第七 建設省設置法の一部を改正する法律案(   内閣提出)  第八 航空機内で行なわれた犯罪その他ある種   の行為に関する条約の締結について承認を求   めるの件  第九 所得に対する租税に関する二重課税の回   避及び脱税の防止のための日本国とオースト   ラリア連邦との間の協定の締結について承認   を求めるの件(参議院送付)  第十 所得に対する租税に関する二重課税の回   避のための日本国とイタリア共和国との間の   条約の締結について承認を求めるの件(参議   院送付)  第十一 所得に対する租税に関する二重課税の   回避及び脱税の防止のための日本国とグレー   ト・ブリテン及び北部アイルランド連合王国   との間の条約の締結について承認を求めるの   件(参議院送付)  第十二 所得に対する租税に関する二重課税の   回避のための日本国とインドとの間の協定を   修正補足する議定書の締結について承認を求   めるの件(参議院送付)  第十三 農業者年金基金法案(内閣提出)  第十四 筑波研究学園都市建設法案(建設委員   長提出)     ――――――――――――― ○本日の会議に付した案件  日程第一 航空法の一部を改正する法律案(内   閣提出)  日程第二 港則法の一部を改正する法律案(内   閣提出、参議院送付)  日程第三 地方自治法第百五十六条第六項の規   定に基づき、海運局の支局の設置に関し承認   を求めるの件(参議院送付)  日程第四 船員保険法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第五 労働者災害補償保険法等の一部を改   正する法律案(内閣提出)  日程第六 勤労青少年福祉法案(内閣提出、参   議院送付)  日程第七 建設省設置法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  日程第八 航空機内で行なわれた犯罪その他あ   る種の行為に関する条約の締結について承認   を求めるの件  日程第九 所得に対する租税に関する二重課税   の回避及び脱税の防止のための日本国とオー   ストラリア連邦との間の協定の締結について   承認を求めるの件(参議院送付)  日程第十 所得に対する租税に関する二重課税   の回避のための日本国とイタリア共和国との   間の条約の締結について承認を求めるの件(   参議院送付)  日程第十一 所得に対する租税に関する二重課   税の回避及び脱税の防止のための日本国とグ   レート・ブリテン及び北部アイルランド連合   王国との聞の条約の締結について承認を求め   るの件(参議院送付)  日程第十二 所得に対する租税に関する二重課   税の回避のための日本国とインドとの間の協   定を修正補足する議定書の締結について承認   を求めるの件(参議院送付)  日程第十三 農業者年金基金法案(内閣提出)  日程第十四 筑波研究学園都市建設法案(建設   委員長提出)  清酒製造業の安定に関する特別措置法案(内閣   提出)  閉鎖機関令等の規定によつてされた信託の処理   に関する法律の一部を改正する法律案(大蔵   委員長提出)  国際情勢に関する緊急質問(西村直己君提出)  国際情勢に関する緊急質問(江田三郎君提出)  国際情勢に関する緊急質問(正木良明君提出)  国際情勢に関する緊急質問(曽祢益君提出)     午後二時四分開議
  2. 船田中

    ○議長(船田中君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――  日程第一 航空法の一部を改正する法律案(内閣提出)  日程第二 港則法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)  日程第三 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、海運局の支局の設置に関し承認を求めるの件(参議院送付)
  3. 船田中

    ○議長(船田中君) 日程第一、航空法の一部を改正する法律案、日程第二、港則法の一部を改正する法律案、日程第三、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、海運局の支局の設置に関し承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。     ―――――――――――――  航空法の一部を改正する法律案  港則法の一部を改正する法律案  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、海運局の支局の設置に関し承認を求めるの件   〔本号(二)に掲載〕     ―――――――――――――
  4. 船田中

    ○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。運輸委員長福井勇君。     ―――――――――――――   〔報告書は本号(二)に掲載〕     ―――――――――――――   〔福井勇君登壇〕
  5. 福井勇

    ○福井勇君 ただいま議題となりました三案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、航空法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法案は、航空機内で行なわれた犯罪その他ある種の行為に関する条約を締結するに際し、機長に対し新たに航空機内における航空機の安全を害する等の行為を抑止するために必要な措置をとる権限を付与する等、国内法上必要な措置を講ずるもので、そのおもな内容は、  第一に、機長に必要な限度で拘束、降機、その他の措置をとる権限を付与すること。  第二に、機長の要請または承認に基づき、機長以外の航空機内にある者が、必要な援助を行なうことができること。  その他所要の規定を整備すること。といたしております。  本法案は、四月二十二日当委員会に付託され、四月二十四日運輸大臣より提案理由の説明を聴取し、慎重に審査をいたし、四月二十八日質疑を終了いたしましたが、その詳細については会議録により御承知を願います。  かくして、五月六日、討論の申し出もなく、採決の結果、本法案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本法案には附帯決議が付されましたことを申し添えておきます。  次に、港則法の一部を改正する法律案、及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、海運局の支局の設置に関し承認を求めるの件について申し上げます。  港則法の一部を改正する法律案は、鹿島、内浦、合津及び喜入の各港における港湾施設の整備に伴う船舶交通のふくそう等の状況にかんがみ、これらの港に港則法を適用するため、港則法の別表にこれらの四港を追加しようとするものであり、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、海運局の支局の設置に関し承認を求めるの件は、茨城県鹿島港が臨海工業地帯の開発等により目ざましく発展したのに対応して、海運行政の円滑かつ適切な運営を期するため、新たに同港に関東海運局鹿島支局を設置しようとして、国会の承認を求めようとするものであります。  両案は、二月二十四日当委員会に予備付託され、三月十八日本付託となり、四月七日運輸大臣より提案理由の説明を聴取し、五月六日、質疑を行ない、討論もなく、採決の結果、全会一致をもって、前者は原案のとおり可決すべきものと、後者は承認すべきものと決した次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  6. 船田中

    ○議長(船田中君) これより採決に入ります。  まず、日程第一及び第二の両案を一括して採決いたします。  両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 船田中

    ○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、日程第三につき採決いたします。  本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 船田中

    ○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。      ――――◇―――――  日程第四 船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)  日程第五 労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)  日程第六 勤労青少年福祉法案(内閣提出、参議院送付)
  9. 船田中

    ○議長(船田中君) 日程第四、船員保険法の一部を改正する法律案、日程第五、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案、日程第六、勤労青少年福祉法案、右三案を一括して議題といたします。     ―――――――――――――  船員保険法の一部を改正する法律案  労働者災害補償保険法等の案  勤労青少年福祉法案   〔本号(二)に掲載〕     ―――――――――――――  一部を改正する法律
  10. 船田中

    ○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。社会労働委員長倉成正君。     ―――――――――――――   〔報告書は本号(二)に掲載〕     ―――――――――――――   〔倉成正君登壇〕
  11. 倉成正

    ○倉成正君 ただいま議題となりました三法案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、船員保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、業務災害による障害者等の福祉の向上をはかるため、職務上の事由による年金額を引き上げるとともに、個別メリット保険料率を適用しようとするもので、そのおもな内容は、  第一に、年金部門における職務上の事由による障害年金及び遺族年金の給付水準を引き上げること。  第二に、百人以上の被保険者を使用する船舶所有者には、災害補償に相当する給付にかかわる保険料率について、いわゆる個別メリット保険料率を適用し、船舶所有者ごとの災害発生率を保険料率に反映させ、保険料負担の公平をはかること。  第三に、既裁定の職務上年金の年金額を改定すること。  第四に、職務上年金の改善等に伴い、保険料率を改定すること。等であります。  本案は、三月九日本委員会に付託となり、昨日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、本案は原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  次に、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、重度障害者及び遺族に対する災害補償の充実をはかるため、保険給付の改善等を行なうもので、そのおもな内容は、  第一に、障害補償年金の額をおおむね一六・五%引き上げること。  第二に、遺族補償年金は、五十歳以上五十五歳未満の妻については、給付基礎年額の三五%相当額、五十五歳以上または廃疾の状態にある妻については、給付基礎年額の四〇%相当額、遺族が二人以上ある場合は、その数に応じて、給付基礎年額の四五%から六〇%相当額に引き上げること。  第三に、遺族補償一時金の額を給付基礎日額の千日分に引き上げること。  第四に、遺族補償年金の前払い一時金制度を引き続き五年間存続させること。  第五に、継続事業のメリット制の対象事業を、三十人以上の事業で労働省令で定めるものに拡大するほか、三年以上メリット適用規模に該当する事業に限ること。などであります。  本案は、去る四月三日本委員会に付託となり、昨日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、本案は原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。  次に、勤労青少年福祉法案について申し上げます。  本案は、勤労青少年が充実した職業生活を営むとともに、有為な職業人としてすこやかに成育することができるように必要な措置を定めるもので、そのおもな内容は、  第一に、勤労青少年の福祉に関する基本的理念及び関係者の責務をあきらかにすること。  第二に、勤労青少年の日を設けること。  第三に、労働大臣は、勤労青少年福祉対策基本方針を定め、都道府県知事は、勤労青少年福祉事業計画を策定するようにつとめること。  第四に、国、地方公共団体等は、勤労青少年に対し、職業指導の充実、職業訓練の奨励、余暇の有効活用等の福祉の措置を講ずること。  第五に、事業主は、事業場ごとに勤労青少年福祉推進者を選任するとともに、勤労青少年が職業訓練または教育を受けるための時間を確保できるような配慮をするようにつとめること。  第六に、地方公共団体は、勤労青少年の福祉に関する事業を総合的に行なう施設として、勤労青少年ホームを設置するようにつとめること。などであります。  本案は、去る四月三日本委員会に付託となり、昨日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、本案は原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)
  12. 船田中

    ○議長(船田中君) これより採決に入ります。  まず、日程第四及び第五の両案を一括して採決いたします。  両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  13. 船田中

    ○議長(船田中君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、日程第六につき採決いたします。  本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 船田中

    ○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ――――◇―――――  日程第七 建設省設置法の一部を改正する法   律案(内閣提出)
  15. 船田中

    ○議長(船田中君) 日程第七、建設省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。     ―――――――――――――  建設省設置法の一部を改正する法律案   〔本号(二)に掲載〕     ―――――――――――――
  16. 船田中

    ○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長天野公義君。     ―――――――――――――   〔報告書は本号(二)に掲載〕     ―――――――――――――   〔天野公義君登壇〕
  17. 天野公義

    ○天野公義君 ただいま議題となりました建設省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、国土計画及び地方計画に関する調査等の事務並びに用地事務の増大に対処するため、東北、北陸、中国、四国の四地方建設局について、その企画室を企画部に改組するとともに、北陸、四国の両地方建設局に新たに用地部を設置しようとするものであります。  本案は、二月二十四日本委員会に付託、三月五日政府より提案理由の説明を聴取し、慎重審議を行ない、五月六日質疑を終了いたしましたところ、塩谷委員外二名より、「昭和四十五年五月一日」としている施行期日を「公布の日」に改める旨の自由民主党、公明党、民社党三党共同提案にかかる修正案が提出され、趣旨説明の後、討論もなく、採決の結果、多数をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)
  18. 船田中

    ○議長(船田中君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  19. 船田中

    ○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。      ――――◇―――――  日程第八 航空機内で行なわれた犯罪その他ある種の行為に関する条約の締結について承認を求めるの件  日程第九 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とオーストラリア連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件(参議院送付)  日程第十 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とイタリア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(参議院送付)  日程第十一 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の条約の締結について承認を求めるの件(参議院送付)  日程第十二 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とインドとの間の協定を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件(参議院送付)
  20. 船田中

    ○議長(船田中君) 日程第八、航空機内で行なわれた犯罪その他ある種の行為に関する条約の締結について承認を求めるの件、日程第九、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とオーストラリア連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第十、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とイタリア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、日程第十一、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の条約の締結について承認を求めるの件、日程第十二、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とインドとの間の協定を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件、右五件を一括して議題といたします。     ―――――――――――――  航空機内で行なわれた犯罪その他ある種の行為  に関する条約の締結について承認を求めるの件  所得に対する租税に関する二重課税の回避及び  脱税の防止のための日本国とオーストラリア連  邦との間の協定の締結について承認を求めるの  件  所得に対する租税に関する二重課税の回避のた  めの日本国とイタリア共和国との間の条約の締  結について承認を求めるの件  所得に対する租税に関する二重課税の回避及び  脱税の防止のための日本国とグレート・ブリテ  ン及び北部アイルランド連合王国との間の条約  の締結について承認を求めるの件  所得に対する租税に関する二重課税の回避のた  めの日本国とインドとの間の協定を修正補足す  る議定書の締結について承認を求めるの件   〔本号(二)に掲載〕     ―――――――――――――
  21. 船田中

    ○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。外務委員長田中榮一君。     ―――――――――――――   〔報告書は本号(二)に掲載〕   〔田中榮一君登壇〕     ―――――――――――――
  22. 田中榮一

    ○田中榮一君 ただいま議題となりました五案件につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、航空機内で行なわれた犯罪その他ある種の行為に関する条約のおもな内容を申し上げますと、航空機内で行なわれた犯罪その他ある種の行為について、当該航空機の登録国が裁判権を設定すること。機長は、犯罪その他ある種の行為を行ないまたは行なおうとしていると信ずるに足りる相当な理由がある者に対して、拘束を含む妥当な措置をとり、それらの者を着陸国に降機させまたは権限のある当局に引き渡すことができること、着陸国は降機させることを容認し、引き渡された者を受け取ること。航空機の不法な奪取の場合には、締約国は、機長に管理を回復させるために協力し、当該航空機の着陸国は、その乗客及び乗り組み員がすみやかに旅行を継続できるように配慮するとともに、航空機及び貨物をその占有権者に返還すること、等について規定しております。  次に、オーストラリア、イタリア及びイギリスとの間の租税条約は、それぞれ条約の対象となる租税の税目、企業利得に対する課税基準、船舶または航空機による国際運輸利得に対する租税の免除、配当、利子及び無体財産権の使用料等に対する課税限度、政府職員、短期滞在者、教授、学生及び事業修習者等が受け取る報酬等に対する租税の免除及び相手国との間の二重課税の排除方法等について規定しております。  また、インドとの間の租税協定を修正補足する議定書は、インド側の租税の税目の変更、船舶による国際運輸利得に対する課税の軽減率の変更及び恒久的施設の範囲の明確化等を内容とするものであります。  以上五案件は、いずれも外務委員会に付託されましたが、このうち租税条約四件は、参議院から本院に送付されたものであります。  よって、各案件につき、政府から提案理由の説明を聞き、審査を行ないましたが、詳細は会議録により御了承を願います。  かくて、五月六日、質疑を終了し、採決を行ないました結果、航空機内で行なわれた犯罪その他ある種の行為に関する条約は全会一致をもって、また、租税条約四案件は多数をもって、いずれも承認すべきものと議決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  23. 船田中

    ○議長(船田中君) これより採決に入ります。  まず、日程第八につき採決いたします。  本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 船田中

    ○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。  次に、日程第九ないし第十二の四件を一括して採決いたします。  四件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  25. 船田中

    ○議長(船田中君) 起立多数。よって、四件とも委員長報告のとおり承認するに決しました。      ――――◇―――――  日程第十三 農業者年金基金法案(内閣提出)
  26. 船田中

    ○議長(船田中君) 日程第十三、農業者年金基金法案を議題といたします。     ―――――――――――――  農業者年金基金法案   〔本号(二)に掲載〕     ―――――――――――――
  27. 船田中

    ○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。農林水産委員長草野一郎平君。     ―――――――――――――   〔報告書は本号(二)に掲載〕     ―――――――――――――   〔草野一郎平君登壇〕
  28. 草野一郎平

    ○草野一郎平君 ただいま議題となりました内閣提出、農業者年金基金法案について、農林水産委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、最近における農業の動向にかんがみ、農業者の老後生活の安定をはかるとともに、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に資するため、農業者の経営移譲及び老齢について必要な年金等の給付の事業を行ない、あわせて当該事業に関連して、離農希望者の農地等の買い入れ及び売り渡しなどの業務を行なう機関として農業者年金基金を設立することとし、その組織、業務、財務及び会計等について所要の規定を設けております。  本案は、三月十三日提出、四月二日の本会議において趣旨の説明とこれに対する質疑が行なわれ、同日当委員会に付託されました。  農林水産委員会におきましては、芳賀貢君外十四名提出、農民年金法案とともに一括議題に供し、四月二十三日政府から提案理由の説明を聴取、同日以降五月六日まで、五回にわたって審査を進め、その間社会労働委員会と連合審査会を開会する等、慎重審査の末、五月六日、質疑を終了、委員長提案により、農業者老齢年金の額を二百円に保険料納付済み期間の月数を乗じて得た額とする旨の修正を加え、本案は多数をもって修正すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、五十五歳以上の年金非加入者に対しては別途の措置を検討すること等、四項目にわたる附帯決議が全会一致をもって付されましたことを申し添えます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)
  29. 船田中

    ○議長(船田中君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  30. 船田中

    ○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。(拍手)      ――――◇―――――  日程第十四 筑波研究学園都市建設法案(建設委員長提出)
  31. 船田中

    ○議長(船田中君) 日程第十四は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 船田中

    ○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。  日程第十四、筑波研究学園都市建設法案を議題といたします。     ―――――――――――――  筑波研究学園都市建設法案   〔本号(二)に掲載〕     ―――――――――――――
  33. 船田中

    ○議長(船田中君) 委員長の趣旨弁明を許します。建設委員長金丸信君。   〔金丸信君登壇〕
  34. 金丸信

    ○金丸信君 ただいま議題となりました筑波研究学園都市建設法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  本案は、筑波研究学園都市の建設に関する総合的な計画の策定及びその実施の推進をはかることにより、試験研究及び教育を行なうにふさわしい研究学園都市を建設するとともに、これを均衡のとれた田園都市として整備し、あわせて首都圏の既成市街地における人口の過度集中の緩和に寄与しようとするもので、その要旨は次のとおりであります。  第一に、本案における研究学園都市は、茨城県筑波郡筑波町等四町二村の地域を対象とし、その地域を研究学園地区及び周辺開発地区とに分けることといたしております。  第二に、首都圏整備委員会または茨城県知事は、研究学園地区及び周辺開発地区における移転研究機関の施設及び公共施設等の建設整備に関する計画を決定または作成するとともに、その実施は、国、地方公共団体または日本住宅公団等が行なうことといたしております。  第三に、政府または国は、筑波研究学園都市建設事業の実施に関し、必要な資金の確保並びに関係地方公共団体に対する財政、金融及び技術上の援助を与えることといたしております。  以上が本案の趣旨でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  35. 船田中

    ○議長(船田中君) 採決いたします。  本案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 船田中

    ○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。      ――――◇―――――  清酒製造業の安定に関する特別措置法案(内閣提出)  閉鎖機関令等の規定によつてされた信託の処理に関する法律の一部を改正する法律案(大蔵委員長提出)
  37. 加藤六月

    ○加藤六月君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出、清酒製造業の安定に関する特別措置法案とともに、大蔵委員長提出、閉鎖機関令等の規定によつてされた信託の処理に関する法律の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略して一括議題となし、委員長の報告及び趣旨弁明を求め、その審議を進められんことを望みます。
  38. 船田中

    ○議長(船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 船田中

    ○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。     ―――――――――――――  清酒製造業の安定に関する特別措置法案、閉鎖機関令等の規定によつてされた信託の処理に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     ―――――――――――――  清酒製造業の安定に関する特別措置法案  閉鎖機関令等の規定によつてされた信託の処理に関する法律の一部を改正する法律案   〔本号(二)に掲載〕     ―――――――――――――
  40. 船田中

    ○議長(船田中君) 委員長の報告及び趣旨弁明を求めます。大蔵委員長毛利松平君。   〔報告書は本号(二)に掲載〕     ―――――――――――――   〔毛利松平君登壇〕
  41. 毛利松平

    ○毛利松平君 ただいま議題となりました両案のうち、清酒製造業の安定に関する特別措置法案について、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げるとともに、閉鎖機関令等の規定によつてされた信託の処理に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨弁明を申し上げます。  まず、清酒製造業の安定に関する特別措置法案について申し上げます。  御承知のとおり、永年にわたって清酒製造業界の生産秩序の基盤となっておりました原料米の割り当て制度は、昨四十四年、自主流通米制度が発足するとともに廃止され、この結果、従来一種の財産価値を持ち、酒造資金借り入れの際の担保機能や、転廃業の際の転廃業資金調達手段としての機能を副次的に果たしてまいりました基準指数は、当然にその存在意義を失うことになったのであります。  本案は、このような清酒製造業の環境の激変に対処し、業界が進めようとしている経営基盤の安定等のための施策がさらに広範かつ円滑に遂行できるよう、所要の法的措置を講じ、もって酒税の安定的確保に資することとしようとするものであります。  すなわち、酒造資金の融通の円滑化と清酒製造業の整備合理化をはかるため、日本酒造組合中央会の事業の範囲を拡大し、同中央会に清酒製造業にかかる信用保証事業及び転廃給付金の給付事業等を行なわせることとし、あわせてこれらの事業の円滑、適正な運営に資するため、信用保証基金の設置、転廃給付金の財源に充てるための清酒製造業者からの納付金の徴収、大蔵大臣の中央会に対する監督及び事業の経理等について所要の規定を設けることといたしております。  なお、信用保証基金に対しましては、その一部補助として本年度予算に七億円が計上されておりますことをこの際申し添えておきます。本案につきましては、去る四月十七日政府より提案理由の説明を聴取し、本日質疑を終了いたしましたところ、藤井勝志君外四名より、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる修正案が提出されました。  修正案の要旨は、転廃給付金事業にかかる納付金の納付についての大蔵大臣命令違反について、清酒の製造免許の取り消しを行なう場合、原案においては、これを酒税の滞納処分を受けた者とみなすことといたしておりますものを、現行の、いわゆる酒類業組合法に規定する酒類業界の秩序を維持するための大蔵大臣命令に違反した場合の例によることに改めようとするものであります。  次いで、採決いたしましたところ、修正案並びに修正部分を除く原案はいずれも多数をもって可決され、よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  次に、閉鎖機関令等の規定によつてされた信託の処理に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  この法律案は、閉鎖機関令等の規定によってされた信託について、その存続期間の経過後も、なお信託事務を行なうことができるようにするため、五年間延長した存続期間を、さらに一年延長して六年間に改めようとするものであります。すなわち、満鉄等の閉鎖機関等のうち、債権者の所在不明等の理由で特殊清算を結了できないものについては、債権者に弁済すべき給与、賞与、退職手当等の財産を信託することにより、その信託の受託者から債権者に対する支払い事務が続行されてきたのでありますが、信託契約の存続期間の満了とともに、満了の際に残っている財産は国庫に帰属することとなっておりますので、債権者救済の見地から、昭和四十年、その存続期間を五年間延長する措置をとったのであります。  しこうして、その信託の処理の実情、特に、今回、引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律を一部改正して、特別交付金の請求の期限を一年延長したこと等をも考慮いたしまして、この際、その存続期間をさらに一年延長して、引き続き信託事務を行なうことができることとしようとするものであります。  この法律案は、本日大蔵委員会において全会一致をもって起草、提出いたしたものであります。  何とぞ御審議の上、御賛成あらんことをお願い申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  42. 船田中

    ○議長(船田中君) これより採決に入ります。  まず、清酒製造業の安定に関する特別措置法案につき採決いたします。  本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  43. 船田中

    ○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。  次に、閉鎖機関令等の規定によつてされた信託の処理に関する法律の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 船田中

    ○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。      ――――◇―――――
  45. 船田中

    ○議長(船田中君) この際、午後四時まで休憩いたします。    午後二時三十六分休憩      ――――◇―――――    午後四時五分開議
  46. 船田中

    ○議長(船田中君) 休憩前に引き続き会議を開きます。      ――――◇―――――  国際情勢に関する緊急質問(西村直己君提出)  国際情勢に関する緊急質問(江田三郎君提出)  国際情勢に関する緊急質問(正木良明君提出)  国際情勢に関する緊急質問(曽祢益君提出)
  47. 加藤六月

    ○加藤六月君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、西村直己君提出、国際情勢に関する緊急質問、江田三郎君提出、国際情勢に関する緊急質問、正木良明君提出、国際情勢に関する緊急質問、及び曽祢益君提出、国際情勢に関する緊急質問を順次許可されんことを望みます。
  48. 船田中

    ○議長(船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 船田中

    ○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  まず、西村直己君提出、国際情勢に関する緊急質問を許可いたします。西村直己君。   〔西村直己君登壇〕
  50. 西村直己

    ○西村直己君 私は、自由民主党を代表いたしまして、外交問題、主としてわが国の安全保障、特に日米安全保障条約の継続の必要性と日中問題に関しまして、総理大臣に質問いたしたいと存じます。  それに先立ちまして、私はまず、当面、世界の注目を集めておりますインドシナ情勢について、政府の見解をただしたいと思います。  アジアの平和と安定が、わが国の平和と安定に密接な関係を有することは、いまさらあらためて申すまでもございません。この点に関しまして、同じアジアに位するわれわれといたしまして、最近のカンボジアを中心といたしますインドシナ情勢の推移に重大な関心を抱かざるを得ないのであります。言うまでもなく、カンボジアは、一九五四年のジュネーブ協定に基づいて、中立の立場を内外に宣明しております。しかるに、現在、カンボジアの領域内には北ベトナム軍並びに南ベトナム民族解放戦線、いわゆるベトコンが侵入し、その中立政策を脅かしていることは、世界周知の事実であります。これらの共産軍が、カンボジアの一部領域をいわゆる聖域と称して、その聖域なるものを利用して、ベトナムに攻撃を加えていることもまた公然たる事実であります。  ニクソン米大統領は、去る四月三十日、米軍をカンボジア領域内に進攻させる方針を決定し、その作戦を現在展開中であります。しかして、この決定はカンボジアの中立を確保し、ベトナム紛争早期終結の政策を支障なく遂行するためのやむを得ざる限定的措置であると訴えております。しかして、今回の措置が、内外世論に強い反響を呼び、一時的にいたしましても、国際間の緊張を招いていることもまたわれわれの憂慮するところであります。  しかし、インドシナをめぐるきびしい情勢は、インドシナ戦争以来の複雑かつ困難な諸事情がからみ合っての所産であります。したがって、単なる非難、応酬の繰り返しや対決を強めるだけでは、問題を根本的に解決することはできないのであります。われわれは、その原因と事態の進行を冷静に見きわめるとともに、できる限り関係諸国と協力の上、大局的見地に立って、機会を逸することのないように、その平和解決への着実な努力を積み上げていくこと、これが必要だと思うのであります。総理大臣の御所見を承りたいのであります。  今回、インドネシアの提唱によりまして、近くカンボジア問題アジア諸国会議が開かれると伝え聞いております。アジア人がアジアの安危に関する最大の問題を自主的かつ平和的に解決ぜんとする機運が醸成されることは、まことに意義があると考えます。しかして、その基本は、すべての関係国が独立、中立及び領土の保全を定めたジュネーブ協定の精神に立ち戻ることにあります。たとえ今回の会議がカンボジア問題解決に対しまする直接効果というものをもたらさないといたしましても、わが国をはじめアジアの関係諸国が一堂に会して、問題の所在を検討し、関係諸国民の相互理解を深めて、進んでは国際世論に強く平和を訴えることは、インドシナの平和回復のために貴重な一石を投ずるものと私は確信をいたします。政府の御所見を伺いたいのであります。  なお、この際、カンボジア問題の発展いかんによっては、昨年の日米共同声明によって明らかにされております沖繩の返還に影響を及ぼすとの論をなす向きもありますが、この点について総理大臣の御所見をはっきり伺いたいと思います。  次に、安全保障問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  わが国の安全を保障するためには、国の内外で平和な環境が不断に維持されるよう平和外交を強力に推進することが、まずその大前提であると思います。わが国が、自由諸国との協力を密接にするとともに、相互の主権尊重、内政不干渉等、国連憲章の精神のもとに、世界のいずれの国とも友好関係を維持することを外交の基調としているのは、そのためでございます。しかしながら、現下の国際情勢を見ますとき、単に外交的手段だけで国の平和と安全を確保することはむずかしいのであります。日本国憲法は、侵略的な戦争や国際紛争を武力によって解決することは、これを厳に禁じております。しかしながら、自衛権の存在や自衛権の行使は、決してこれを否定してはいないのであります。すなわち、独立国であります以上、第一義的には、みずからの国はみずからの手で守るという世界の通念に従って、わが国が憲法のもと、国力国情に応じ、自衛のため必要な限度において、防衛力を効率的かつ漸進的に整備する方針をとっておるのも、このゆえんであります。  しかし、兵器が進歩し、核兵器が出現しております今日では、一国の力だけで自国の平和と安全を保つことは、ほとんど不可能であります。世界各国の多くは、国連憲章に基づいてそれぞれ自主防衛力を持ちますとともに、地域的な集団安全保障体制をとっておるのであります。  日米安保条約もまた国連憲章に基づく純然たる防衛的性格を持つものであります。いわゆる軍事同盟とはその性格を全く異にしているものとわれわれは信ずるのであります。すなわち、日米安全保障条約は、日本の平和と安全を守り、戦争の発生を未然に防ぐ、いわゆる戦争抑止力となっているところに大きな意義が存すると思います。(拍手)  一部に、昨年の佐藤総理とニクソン大統領との日米首脳会談を取り上げ、安保条約が変質したと、こういうようなことを言う者がありますが、これは、安保条約の本質が防衛的性格のものであることを全く理解していない者の言うことであります。(拍手)  そこで私は、日米安保条約の継続の必要性についてお伺いしたいと思います。  世間の一部には、本年六月をもって安保条約の改定期が来るかのごとく誤り伝えている向きがあります。しかし、現行の安保条約はその第十条第一項において、この条約は国際連合が日本区域における平和と安全のための有効な措置をとり得るまでその効力を存続する旨を、はっきり規定しておるのであります。来たる六月二十二日は、単に同条約同条の第二項による当初の十年の固定期間が満了するにとどまるのであります。  申し上げるまでもなく、現下の国際情勢、特にわが国をめぐる極東の情勢は、依然緊張を続けており、との情勢はにわかに緩和される見通しはありません。したがって、国連の平和維持機能が十分でない今日、国際政治の基調に根本的変化を生じない限りは、自衛のための努力を補い、平和を守り戦争を未然に防止するため、日米安全保障体制を相当長期にわたり堅持することは、もはや今日、国民大多数の合意が成立しているものと信ずるのであります。(拍手)昨年末の総選挙の結果は、まさしくこれをはっきりと示したものと解しても、あえて過言ではないのであります。(拍手)  しかるに、一部には、日米安保体制を破棄し、世界に例を見ない幻想的な非武装中立論を主張するものがあります。このような現実を無視した観念論は、国民多数の共感、支持を得がたいところであります。(拍手)  また、自衛中立政策を主張する論がありますが、わが国の地理的条件や環境は、スイスやスウェーデン等とは本質的に異なっておるのであります。自衛中立政策をとれば、相当大規模な軍備を持たなければなりません。この場合、軍事費の圧迫によって、国民生活は著しく低下し、経済の繁栄は行き詰まるおそれがあるのであります。これもまたわれわれの賛同しがたいところであります。これについて総理の御意見を伺いたいと思います。  次に、安保条約に関連して、基地問題について、若干お尋ねしたいと思います。  もちろん、日米安保条約は、今後の国際情勢の変化や、わが国の自主防衛力の整備等に応じて、その弾力的運用に十分意を用いてまいらなければなりません。わが国におきまする米軍基地は、漸次これを縮小し、特に大都市周辺の基地等は、できる限りこれを移転することが望ましいと存じます。また、基地周辺に住む人々の不満や障害の除去につとめるために、基地周辺の民生安定施策をさらに一そう充実すべきことも当然であります。  しかしながら、安保条約は、日米両国の相互協力によって、有事の場合、日本を共同防衛しようとするものであります以上、必要なる米軍の基地を存続していくこともまた不可欠の要素であります。  一部には、日米安保体制を維持いたしながら米軍基地の全面撤去を主張する向きもありますけれども、これでは、地域集団安全保障体制としての機能のほとんどは失われるものとなるのであります。  また、最近、政府部内におきまして国防の基本方針を改定する考えがあるように伝えられております。ことに、安保条約当初の十年の期間を終わるにあたりまして、わが国防についてあらためて思いをめぐらすことは意義あることと考えます。しかしながら、国防の基本方針なるものは、一内閣を拘束するにとどまらず、長く国政の基本に関係するところが大きいのであります。したがって、これが改定にあたりましては、広く諸情勢を洞察いたしますとともに、慎重に対処すべきであると考えますが、総理の御所見を承りたいのであります。  次に、日中問題について若干の質問を行ないたいと思います。  われわれは、社会制度、政治信条の相違を越えて、あらゆる国との友好親善関係を持ちたいと心から願っております。しかしながら、戦後の日中関係の背景には、複雑かつ困難な国際情勢の推移があるのであります。現在の時点で、日中間において最も肝要なことは、双方の立場をできる限り尊重しつつ、相互の理解を増進することにあると考えます。  現在、台湾にある国民政府と大陸にある北京政府との双方が、それぞれ、中国全体の主権者であり、中国は一つであると主張しております。わが国は、サンフランシスコ平和条約締結以後、台湾の中華民国政府との間に外交関係を樹立し、中華民国政府を中国の正統政府と認めてきております。しかしながら、中国大陸には七億の人口を有効に支配しておる北京政府が存在していることもまた事実であります。このいわゆる台湾問題が、日中問題の最も困難な課題であることは言うまでもありません。  しかし、この台湾問題の解決は、中国人同士、すなわち、国民政府と北京政府との間において解決すべきものであり、しかも、それは、武力によらず、相互の平和的な話し合いによってのみ行なわるべきであると信じます。このような立場は、国民の大多数の理解が得られると存じます。もし、万一、台湾海峡において武力攻撃が行なわれますならば、至近の関係にありますわが国の安全に重大かつ不測の影響があることは、万人の認めるところであります。これは、また、紛争の解決は平和的手段によってのみ行なわれなければならないという国連憲章の精神に照らしましても、当然のことであります。総理の御所信を承りたいと思います。  このように、われわれは、従来から、相手方の立場を尊重し、内政に干渉しないという原則に立って、日中関係改善のために努力してまいりました。しかるに、中共側が、さきの覚書貿易会談あるいは周恩来・金日成会談等の共同コミュニケにおいて、日本軍国主義の復活とその脅威を唱え、盛んに対日非難を行なっているのは、曲解もはなはだしいといわざるを得ないのであります。  日本国民は、二十五年前の痛ましい敗戦の現実から、平和国家建設こそ新しい日本の進むべき道であるとの信念に基づきまして、わが国の復興と再建に努力してきたのであります。わが国は、核兵器を保有する潜在能力を持ちながら、非核政策をとるとともに、核兵器不拡散条約に進んで参加しようとしているのも、このような平和国家建設の理念に沿うものであります。  日本軍国主義復活に関する中共側の発言は、わが国情を無視し、国民の意思と願望にそむくものであります。これは、また、わが国とアジア諸国との友好関係を阻害せんとする政略的宣伝といわざるを得ないのであります。(拍手)  この際、政府としては、このような曲解は双方の国民の願望する日中関係の改善にいささかも貢献するものではないとの見解をあらためて明らかにすべきではないでしょうか。  また、中共側の対日非難におきまして、わが国の国民感情にとり釈然としない最たるものは、沖繩返還は全くのペテンであり、日本本土を沖繩化する、とのいわれなき中傷であります。沖繩返還は、戦後長きにわたり、沖繩同胞はもとより、全国民の悲願であったことは言うまでもありません。われわれは、この願いを実現するために、いわゆる核抜き、本土並み、七二年返還の交渉に成功したのであります。(拍手)沖繩返還は全くのペテンであるとする中共側の主張は、事実と全く相いれないのであります。政府の御見解を承りたいと思います。  しかしながら、一面、中共のわが国に対しまする誤解や不信には、日中間におきまする戦争という不幸な過去並びに複雑な国際関係から生じた根深いものがあることも、われわれは率直に理解しなければなりません。アジアの安定と平和の実現のため、七億の人口を有する中国大陸との関係の改善は、七〇年代のわが国外交の重要なる課題であることも、皆さん御存じのとおりであります。  しかして、中国問題を考えるにあたっては、単に日本と中共の関係だけではなく、わが国外交政策の基本を踏まえながら、広くアジア全体に対する視野に立ってこれをとらえることが何よりも肝要と存じます。  このような観点に立って、われわれは、忍耐強く、日中関係改善の障害を除き、将来の展開に対する布石を打つべきであると思います。  この際、政府としては、互恵平等主義の立場から、日中貿易の維持推進の方途を再検討するとともに、相互理解の増進のため、大陸との人事交流を促進すべきであると思います。  さらに、適当と判断される場合には、大使級会談を含む政府間接触にまで踏み切るべきであると考えますが、いかがでありましょうか。この点、総理の御所信を伺いたいと思います。  いまや、わが国は、国民の英知、勤勉と、そのたくましいエネルギーによって、戦争の惨禍はみごとにこれを乗り越えて、世界の驚異とする成長発展を遂げてまいりました。わが国の国際的地位も著しく高まってきておるのであります。これも  一に、戦後長きにわたり常に国土の安全と平和が保障されてきたからにあると確信をいたします。(拍手)  われわれは、今後とも、わが国の平和と繁栄を確保するため、日米安全保障体制を引き続き堅持するとともに、平和外交を強力に展開し、ますます世界各国との友好を深め、もって国民各位の期待と信頼にこたえる決意であることを申し添えて、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
  51. 佐藤榮作

    ○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 最近、カンボジア問題をめぐってインドシナ半島の緊張が高まっていることは、まことに遺憾であります。私は、すみやかに事態が収拾され、これ以上戦火が拡大しないよう強く望むものであります。  近くジャカルタで開かれるアジア会議については、愛知外務大臣が出席いたしますので、外相から詳しくお聞き取りいただきたいと思いますが、私といたしましては、この会議において、カンボジアが中立を回復すると同時に、その平和と安全をはかる建設的な方式が見出されることを期待しております。  また、カンボジア問題が沖繩返還に影響を与えるようなことはありませんから、西村君への答弁を通じて国民の皆さんに明らかにしておきたいと思います。(拍手)  すなわち、沖繩は一九七二年中に核抜き、本土並みで返還されるという基本的方針は、何ら変わりありません。御安心いただきたいと思います。(拍手)  次に、およそ独立国として、国の安全を確保するための基本は、国民の国を守る気概であると思います。このことは、私の就任以来、私が強調し続けてきたことであり、ようやく国民の各界各層に理解と認識が深まってきたものと確信しております。しかして、このような国民的気概に加えて、国際情勢の現実に即した自主防衛の具体的努力がなされなければならないこともまた当然であります。しかしながら、今日、世界において、単独で自主防衛を完全にできる国は存在しておりません。東西両陣営とも、何らかの形で集団安全保障体制をとっていることは西村君御指摘のとおりであります。  わが国は、米国との間に安全保障条約を結び、激動しかつ変動する国際情勢に対処し、戦争を抑止し、国の安全を確保してまいりました。  御承知のように、安保条約は来たる六月二十二日で当初の十年の期間を満了いたし、自後は日米いずれかが一年間の予告期間において廃棄の通告をしない限り、自動的に継続することになっておりますが、政府は、すでに、今後とも安保条約を堅持する方針のもとに、広範な国民的合意を得ております。このような国民の選択がわが国の進歩と発展の原動力となっていることは、疑いのないことであります。  しかして、国際間の条約には相互に義務と責任が伴うことは当然であります。米国はわが国の防衛の責任を有し、わが国は米軍に対し、わが国の施設、区域を提供する義務があります。このことは、日米間の信頼と友好関係を維持、増進するためにも、銘記しなければならないところであります。しかし、時代の推移に伴って基地を整理縮小し、基地周辺住民の生活の安定をはかることは大事なことでありますから、政府としては、今後ともできる限りの努力をする方針であります。(拍手)  なお、安保に関連して、国防の基本方針についてのお尋ねでありましたが、国防の基本方針を改定するということはきわめて重要な問題でありますので、慎重な上にも慎重に検討したいと考えております。  次に、日中問題についてお答えいたしますが、中国側のわが国の実情に対する理解と認識はかなり誤りが多いようであります。日本が軍国主義化していると非難されても、どうもほとんどの日本人にはぴんとこなかったのではないでしょうか。ある新聞のコラムに、「われわれ日本人は、中国の核武装を批判するが、それによって毛、周両氏をしかりつけたりはしない。また日本の総理大臣をしかる資格のあるものは、日本国民しかいないと国民は思っている。しり馬に乗って、それ見たかと思う者はいないだろう」というようなことが書いてありましたが、程度の差こそあれ、大多数の人が似たような感じを持っているのではないでしょうか。(拍手)ともあれ、日本国民は、世界が平和であってこそ初めて、わが民族の固有の特質を十二分に発揮し、先進国に伍して発展できるということを明確に感じておりますから、軍国主義的な行き方を選択するはずは絶対にありません。したがって、中国側の態度が、ためにするものにせよ、あるいは文字どおり認識の誤りによるものにせよ、われわれとしては、自由を守り、平和に徹する基本理念を機会あるごとに知らしめる努力を続けなければならないと思います。(拍手)  分裂国家の問題は、あくまでも話し合いで解決すべきであります。しかし、そのためにはかなりの時間が必要であると思います。  このような国際間の現実を見きわめ、お互いの立場を尊重し合ってこそ、形にとらわれない真の意味の友好関係が生まれてくると思うのであります。正直なところ、日中関係の打開は険しい道でありますが、戦争のない世界を実現しようとするわれわれの理念を貫き通すためにも、七〇年代を通じて一段と努力をしなければならないと思います。  具体的な日中周の大使級会談については、かねがね申しているように、いつでも、どこでもこれに応ずる用意があります。  最後に、沖繩返還問題は、日本人が、戦争によらず、話し合いによってものごとを解決するという国際的な約束を実証した輝かしい成果であります。(拍手)その原動力となったものは、平和を愛好する日本国民の英和と勤勉さであることを、世界じゅうの人々に理解していただきたいと思います。(拍手)  以上をもちまして、私のお答えといたします。(拍手)     ―――――――――――――
  52. 船田中

    ○議長(船田中君) 次に、江田三郎君提出、国際情勢に関する緊急質問を許可いたします。江田三郎君。   〔江田三郎君登壇〕
  53. 江田三郎

    ○江田三郎君 私は、日本社会党を代表して、安保、沖繩及び日中関係を中心とするわが国外交の重要問題について、総理大臣に質問いたします。  日本の議会政治の歴史に一大汚点を残した日の十年目が間もなくやってまいります。十年前の五月十九日、この衆議院において自民党がどのようにして安保条約の通過をはかったかは、今日なお国民の記憶に新たでございます。それは議会政治の完全な否定でした。なりふりかまわぬ暴力でした。それほどの無法な手段に訴える以外に、国民の間の根強い反対を押し切ることができなかったのが、いまの安保条約であります。国民の批判をかわすために、当時、政府・自民党は、占領中に結ばれた旧条約が無期限であったのに対して、新条約は十年の期限をつけた、これは大きな進歩であると宣伝いたしました。安保改定の懸案が片づいて、次はいよいよ日中関係打開に取り組む番だという口上も、よく聞かされました。だが、この両方ともその場限りのごまかしであったことは、いまや明らかであります。(拍手)  政府・自民党は昨年十月、安保条約をこのまま相当長期にわたって自動延長する方針を決定いたしました。十年の期限が到来する一九七〇年六月を前に、国民の間に何らかの形で条約の再検討を求める声が高かったにもかかわらず、あなた方はこれにまじめな考慮を払わず、目はもっぱらワシントンに向いていたのであります。(拍手)国民は、条約を延長するかどうかについて、またもや意思を表明する機会を奪われようとしております。しかも、自動延長とはいいながら、昨年十一月の日米共同声明によって条約が実質上拡大強化されたことは、わが党が繰り返し指摘したとおりであり、こうしたやり方は国民無視もはなはだしいといわなければなりません。(拍手)  一方、日中関係の現状は、ごらんのとおりであり、十年の月日がむなしく過ぎ去ってしまいました。この間に政府は、日中関係改善のためのほんの小さな努力でもしたでしょうか。何一つしなかったばかりか、佐藤内閣になってからはむしろ障害を固定化することに努力したのであります。(拍手)総理は、日中問題は七〇年代最大の課題と言われますが、政府・自民党の姿勢がいまのままであるとすれば、次の十年もまたむなしく過ぎるほかはないでしょう。  この国会を通じて、私たちは七〇年代日本外交のビジョンを総理からついに聞くことはできませんでした。日米会談の結果に対する疑問を解いてもらうこともできませんでした。巨大な経済力を持つに至った日本が、国際的に一体どのような進路をとるのか。総理は国会中あまたの発言をなさいましたが、肝心のこの問題には明快な答えを出しておられません。ことばとしてはいろいろ聞かされましたが、私が言うのは、佐藤内閣の実際の政策や行動が全体として何を目ざし、どこへ向かおうとするかについて、納得のいく説明がなかったということであります。  海外においても、日本の進路に対する猜疑や不安や警戒が強まっていることは、総理も御承知のとおりです。総理が平和主義に徹すると繰り返し言明されるにもかかわらず、中国や北朝鮮は、日本は軍国主義だと非難する。韓国や東南アジア諸国の間にも、日米共同声明以後、日本の意図に対する警戒の論調が再び頭をもたげております。アメリカの議会でも、日本における新しい軍国主義の要素に注意を促す報告書が、下院外交委員会の調査団によって提出されております。海外に広がるこれらの反応ぶりは、総理にしてみればはなはだ心外なことかもしれません。しかし、いかに心外であろうと、日本の行き方に対する不安と警戒の念が海外に、特にアジア諸国の間に生じつつあることは、厳然たる事実であります。(拍手)それらの見方は、誤解に基づくか、ないしは意図的なものであると総理はおっしゃりたいところでしょう。しかし、私はそうは思いません。日本国民の多くもそう思わないでしょう。軍国主義とは何ぞやということばのせんさくは政治家の仕事ではございません。私たちは事実をあるがままに見なければなりません。佐藤内閣の内外政策、とりわけ日米共同声明以後に明らかになりつつある政策の方向には、平和憲法の国是に反し、日本の将来を誤るおそれのある危険なきざしが濃いことは、いまや自民党の一部の諸君をすら含めて、国民多数の共通の認識になりつつあります。(拍手)  政府・自民党は、いわゆる七〇年の選択は終わったという印象を広めるのに懸命のようです。昨年末総選挙の結果がそのためのかっこうのよりどころとされ、これによって、安保条約の長期堅持の方針も、日米共同声明も、いずれも国民の支持を取りつけたと解釈しているようであります。だが、実際は断じてそうではありません。国民の間では、わが党の条約の廃棄のほか、極東条項の廃止や、いわゆる段階的解消に至るまで、考え方はさまざまでありますが、何らかの形において安保体制をここで考え直すべきだとする意見が圧倒的に多数を占めていることは、客観的な事実であります。(拍手)安保体制をとにかく弱める方向に持っていくことが、日中関係の打開とともに、七〇年代日本外交の核心であるというのが、国民世論の大勢であります。現行条約の長期堅持を主張する者は明らかに少数であり、ましてや、日米共同声明によってなされたごとき条約の拡大強化を支持する者に至っては、ほんの一握りの少数派にすぎません。それら一握りの人々の独断によって、条約再検討の最初の機会が無為に過ごされることは、許すことができません。七〇年問題は決して終わってはいないのであります。  わが党は、日米共同声明によって安保条約が事実上新条約にひとしい変質を遂げた以上、その延長にはあらためて国会の承認を要すると、かねがね主張してまいりましたが、政府はこれまで、この当然の主張に全く耳をかそうとはいたしません。私は、ここであらためて総理に対し、安保条約の延長案及び日米共同声明を一括してこの国会に提出して審議を求めることを要求いたします。(拍手)  日米共同声明の第四項後半部分において、日米は、沖繩返還予定時に至るもベトナム和平が実現していない場合は、アメリカのベトナム政策の履行に影響を及ぼすことなく沖繩返還が実現されるよう、そのときの情勢に照らして十分協議することに合意しております。このいわゆるベトナム協議条項に関し、外務大臣は、日米会談直後に発表した公式説明において、「返還時になっても平和が実現していないという事態は、実際問題としてまず起こり得ないものと考えます」と言っております。同じ趣旨は、その後も国会答弁等を通じ、総理や外務大臣から何度も繰り返されています。実際問題としてまず起こり得ないとは、たいへんな確信であります。よほどの根拠があったに違いありません。それでなければ、責任ある政府が、これほどの重大問題について、これほど断定的な見通しを国民に公表できるはずがありません。総理は、インドシナ情勢最近の発展に照らして、当時のベトナム和平の見通しが今日も依然として正しいとお考えか、それとも目算の狂いをお認めになりますか。  また、政府は、アメリカのカンボジア介入と北爆再開を支持するのかどうか、アメリカの介入は、国際法及び国際正義の観念に照らして正当化され得るものであるかどうか、日本政府のはっきりとした立場を総理から伺いたいと思います。(拍手)  アメリカの今回の行動がカンボジアに対する明白な侵略行為であり、戦争のインドシナ半島全域への拡大をもたらすものであることは、全く議論の余地がないと思います。カンボジア介入がアメリカにとって自衛行動として正当化されるならば――政府にはそういう意見が有力に行なわれていると新聞には伝えられておりますが――もしそうだとしたら、およそ大国のあるゆる軍事介入は、ことごとく自衛行動として正当化されることになってしまうのであります。(拍手)  しかし、民族解放の大義を軍事力で制圧し去ることの絶対に不可能であるゆえんは、すでにベトナム戦争で証明済みであります。カンボジア領に侵入した米軍は、ベトナムでやったと同じように、無差別の焦土作戦に訴え、村々を次々に焼き払っていると、前戦からの報道は伝えています。侵入者に対する憎しみをかきたてることによって、アメリカは、インドシナ全土で、解放闘争の火をあおり立てる自殺的行動を展開しているのであります。(拍手)軍部を先頭とするこのばかげた野蛮なばくちにアメリカが固執する限り、ニクソン大統領が何だび声明を繰り返しても、一九七二年までに和平が実現している見通しはきわめて少ないのではないでしょうか。  そうだとすれば、返還後の沖繩からの米軍出撃を認めるかいなかは、政府の言うごとく、実際にはまず起こり得ない問題あるいはそのときになって考えればよい問題ではなくて、日本にとってきわめて現実的、きわめて重大な問題になっているのであります。政府がもしアメリカのインドシナにおける行動を完全に支持するとすれば、出撃の事前協議に対してノーと答えることは、それこそ実際問題としてまず起こり得ないことであります。もし出撃に同意を与えれば、日本は米軍の行動についてアメリカと完全な共同責任を負わなければなりません。この場合、米軍の戦争行為に日本政府の意思が加わるわけでありますから、これはきわめて明白な憲法違反であります。(拍手)そのようなことは絶対にしない、返還後の沖繩からのベトナム出撃に日本政府が同意を与えることは絶対にない、このことをあらかじめ国民に誓約されることは、総理大臣としての義務であると思います。(拍手)日本は、いままでも、すでに、補給、中継などの面でアメリカのベトナム作戦に協力させられております。このことが、アジアにおける日本のあるべき姿をどれほどそこなっているか、はかり知れないものがあります。この上さらに、直接的な加担はいかなることがあろうとも避けなければなりません。共同声明にいう再協議が何を意味するにせよ、米軍出撃への同意は万一にもあり得ないことを、ここではっきり言明していただきたい。(拍手)  なお、今月中旬に予定されるカンボジア問題に関するアジア諸国会議に政府は参加の意向といわれますが、参加予定国はどことどこなのか。会議の目的、議題及びその効果はどういうことか。対立する立場のすべてが会議に代表されることになるのか、それとも一方に偏した構成になるのか。あとの場合には、会議は必然的に一方の側のあと押しをする結果となります。アメリカが武力介入をしたいまとなっては、これに対するはっきりした態度を打ち出すのでない限り、何らかの決議を取りまとめてみたところで無意味ではないでしょうか。もし、アメリカの行動に何らかの正当化の根拠を与えることにでもなれば、アジアの平和を求めて高まりつつある国際世論に挑戦をする有害なことになるのであり、同時に、わが国のアメリカ追随の姿勢を世界にさらけ出すことになるのであります。私は、日本が会議に参加することは取りやめるべきだと思いますが、総理はどうお考えになりますか。(拍手)  日米共同声明第四項の前半、韓国の安全は日本自身の安全にとって緊要であると総理が述べた部分、及び台湾地域における平和と安全の維持も日本の安全にとってきわめて重要な要素であると総理が述べた部分が、ともにきわめて重大な問題をはらむことは、わが党がこれまであらゆる機会に指摘してきたとおりであります。これはナショナル・プレスクラブにおける総理演説中の事前協議に関する言明とともに、日米安保条約が、米韓及び米台条約との分かちがたい連係を形づくり、両条約につながるものとなったことの公式の確認であります。中国及び北朝鮮がこのことに強く反発していることは御承知のとおりです。さらに韓国においても、共同声明のこの部分は微妙な反応を引き起こし、韓国に対する日本の関心表明をありがた迷惑とし、あるいは不愉快とする新聞論調も見られます。これらの反応のすべてを、総理は先方の誤解ないし曲解と片づけたいのかもしれませんが、しかし、その前に総理は、それらの諸国が、かつて日本との間に持った屈辱の歴史を、そうしてその記憶のきびしさを思い起こさなければならぬと思います。(拍手)  総理は、国会答弁において、韓国あるいは台湾地域の安全が日本の安全にとって重要であるというのは、しごく当然のことをそのまま述べたのだと繰り返して述べておられますが、しかし、右のような認識を日本政府が公式に声明したことはこれまでなかったのであります。また、従来は、日本基地からそれらの地域への米軍出撃は、かりに事前協議があっても日本はこれに同意を与えないだろうとの印象が内外に支配的でございました。ところが今度は、積極的に出撃に同意をする姿勢を示されているわけであります。このことからいたしまして、日米共同声明の以前と以後とでは、安保条約の実質に重大な変化が生じていることは疑問の余地がないではありませんか。これまでの国会審議を通じて、総理はいまだにこの違いをはっきりお認めにならないのでありますが、ここでもう一度確かめておきたいと思います。  台湾地域への言及を中国が内政干渉と受け取って激しく反発するのは、先方の立場としてはすこぶる理由のあることだと思います。総理は、プレスクラブ演説の中で、アメリカが台湾防衛義務を履行しなければならない事態が万一起こった場合云々と述べたあとで、最後に、「幸いにしてそのような事態は予見されないのであります。」とつけ加えています。予見されないとわざわざ断わりながら、一体何の必要があって、このことに言及しなければならなかったのか。これが中国の最も重視する原則上の立場に触れて激しい反発を引き起こすことを日本政府はあらかじめ承知の上で、この一項を共同声明に加えたのか。もしそうだとすれば、佐藤内閣は日中関係改善に何ら興味を持たないことを国民に率直に告白すべきであります。他方、もし中国の反応を予見できなかったとすれば、その不明、その独善は救いがたいといわなければなりません。(拍手)  日本は一体どこまでまじめに中国との関係改善を考えているのか、この点に中国が不信と疑惑を禁じ得ないところに、当面日中関係の根本問題があると思います。政府は、いまも総理が大使級会談をやりたいなどと言っております。あるいは郵便、気象などの政府間協定の着想も伝えられます。私は、しかし、それらのことは日中関係の目下の状況においては枝葉末節の問題だと思います。大使会談がかりに開かれたとしても、中国と国交を開くのかいなかについて当の日本側の腹がきまっていなければ、話の進みようがないではありませんか。肝心なのは政府が腹をきめるかどうかということなのであります。  佐藤内閣は、しかし、逆の方向に腹をきめつつあるのではないかという疑いを私どもは深くせざるを得ないのであります。(拍手)日中友好を口にしながら、その実は台湾との結びつきにますます深入りして、日中打開の障害物をみずから求めて高くしょうとしているのではないかということであります。日米共同声明における言及はその一つの例であります。もし総理がまじめに日中問題の解決を目ざされているならば、台湾との結びつきをこれ以上深めることは一切差し控えるのが当然と信じますが、どうお考えになりますかお尋ねしたい。(拍手)  今年一月、日本政府は台湾に対し、中国との大使会談や中国向け輸出に対する輸出入銀行の借款供与はやらないことを保証したとの報道がありましたが、それは事実なのかどうなのか。  台湾に対する第二次円借款について、総理は、先日蒋経国氏との会談の際、台湾の要請にすこぶる好意的な反応を示されたといわれますが、総理は先方の求めに気前よく応ずるおつもりなのか。一体先方の要請額は幾らであり、総理の心づもりではどの程度のことをお考えになっておるのか。  私は、こういうことを重ねていくたびに日中間の障害物が一つまた一つふえていくだけだと思うのでありますが、総理はそういうことは絶対にないと確信されているのでしょうか。(拍手)それとも、そういう結果になってもしかたがないと割り切っておられるのでしょうか。その点の掘り下げたお考えを聞かしていただきたい。  私は、この国会の経過を顧みて、七〇年代の日本の国際的進路について、国民の平和への希望を新たにするようなものが何一つ打ち出されなかったことを心から残念に思います。政府は、日米共同声明を金科玉条として、これを七〇年代外交の基調とする考えと見受けられます。政府側の国会答弁の中には、日本及び周辺区域における制空権、制海権の優越を目ざすとか、国連に協力する平和維持の目的のための自衛隊の海外派遣は憲法上は問題ないなどと、重大な発言が幾つもありました。これらは全体として、日本の政治にあらわれている一つの方向、すなわち平和憲法たな上げへの新たな勢いを映し出しているのだと思うのであります。六〇年安保改定の責任者岸元首相は、日米会談と同じ時期に台北にあって、日本と台湾との連携強化を画策し、つい先ごろはソウルにおいて日本国憲法第九条の改正を説くという、まことに端促すぺからざる活躍ぶりであります。だが、国民は、六〇年安保の亡霊が七〇年代の日本の進路を左右し続けることは許さないでしょう。(拍手)  平和憲法の本来の姿に立ち戻って、安保条約及び日米共同声明に国民的再検討を加えるとともに、日中国交回復に向かってまっすぐに進んでいく国の姿勢を確立すること、そこに七〇年代日本の外交の出発点があると私は信ずるものであります。最初に述べました海外における対日警戒の風潮のごときも、それによって初めて確実に消していくことができるでありましょう。  総理の所信をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
  54. 佐藤榮作

    ○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 江田君にお答えいたします。  まず、安全保障条約と日米共同声明を再検討せよとの御意見でありますが、昨年十二月の総選挙で、われわれは日米共同声明の中に盛られた安保条約の堅持と沖繩返還問題を二つの大きな争点として国民の信を問うたのではなかったでしょうか。(拍手)その結果、明らかな審判が下され、広範な国民的合意の存するところが歴然となったのではないでしょうか。(拍手)この問題は、これ以上多くを申し上げる必要はないと私は思います。社会党の立場は立場として、国内にいたずらな対立抗争が生じないよう御協力いただきたいと思います。  なお、安保条約の内容は何ら変わりはありませんから、重ねて誤解のないよう申し上げておきますし、また、あらためて国会に提出して国会の承認を求める必要はないように思います。この点は、安保条約の規定どおり、私どもは、いわゆる自動延長、その形で十分だ、かように考えております。(拍手)  また、いままでもたびたび、予算委員会その他で皆さん方からこの問題についてお尋ねの機会はあったはずであります。政府は何ら答えないと言われますが、私は、皆さん方のお尋ねに対しましては、丁寧に、また心から親切にお答えをしておるつもりであります。(拍手)ただいま、もう会期の終わりになりまして、いま時分この問題が提出されておりますが、私はむしろ、もうこの問題は社会党の方も御了承願ったことだ、かように実はいままで考えておったのであります。しかし、あらためて、ただいまのようなお尋ねがありますから、以上お答えしたように御了承お願いいたします。  次に、海外諸国のわが国への警戒心についての問題についてお答えいたします。  有名な未来学者のハーマン・カーン氏がつい四、五年前、二十一世紀は日本の世紀であるという発言をしたとき、日本人の多くは、鬼面人を驚かす論法であるという印象を受けたはずであります。ところが、日ならずして、あるいはそういうことになるかもしれないという自信を日本人自身が抱くようになりました。灯台もと暗し等のことわざどおり、わが国の経済的な発展、この発展ぶりにつきましては、国内よりむしろ諸外国のほうが、かなり前から注目していたようであります。ことに、海外で働く第一線のビジネスマンたちのバイタリティーは、よい意味でも、また悪い意味でも評価され、エコノミックアニマルなどというありがたくないあだ名ではね返ってくる結果ともなったのであります。いずれにしろ、日本の実力が海外で認められると同時に、国際的な風当たりも強くなってきているこのごろであります。世界第一の経済力を持っている米国におきましても、これまた例外ではありません。  私が七〇年代の外交ビジョンを示さなかったとの御批判でありましたが、私は、七〇年代は内政の年であると、はっきり申し上げております。つまり、一九六〇年代が、経済の量的拡大によって問題を解決した十年間であるとすれば、一九七〇年代は、量的な拡大を背景として内面の充実をはかりつつ、国際的な責任を果たすべき十年間であると考えているものであります。そういう意味で、ますます国際的な理解を深める必要があると思う次第であります。  次に、カンボジア問題を含め、インドシナ半島の情勢はきわめて流動的であり、事態の推移を見守る必要があります。しかし、いずれにせよ、この問題が沖繩に関する私とニクソン大統領との間の合意に影響を与えることはありません。西村君の質問にお答えしたとおりであります。そして、施政権返還後の沖繩には、日米安保条約及びその関連取りきめがそのまま適用され、事前協議につきましても、本土の場合と全く同様に運用されることは、これまでも繰り返し述べたとおりであります。  今回のカンボジア問題に関する客観的事実を取り上げてみると、まず、久しく以前から北越、ベトコンによるカンボジア領の不法占拠があり、そこからする南ベトナムヘの攻撃が激化したため、ニクソン大統領は、南ベトナムにおける米軍兵士及びベトナム人の生命を保護する、ベトナム化を促進させる、米軍の撤兵を順調に進める、などの見地から今回の措置をとり、かつ、短期間に終了することを強調しております。  これに対して、ロン・ノル・カンボジア首相は、去る四日声明を発表し、ニクソン見解を尊重し、同大統領に謝意を表明しております。  北越、ベトコンのカンボジアの不法占拠については、シアヌーク殿下も、在任中しばしば警告を発しております。しかし、わが国としては、戦火の拡大は遺憾であり、このような事態が一日も早く収拾されることを強く希望するものであります。  また、北爆については、ただいま詳細が不明なのでこれを論評する立場でありませんが、これが再び戦闘の拡大に向かうこととならず、双方が。ハリ会談において、忍耐強い努力を今後とも続けることを願うものであります。  いろいろと仮定の問題を提案されて、私の答弁を求められましたが、ただいまの状態で、仮定の問題についての御提案、これは私はお答えはいたしません。この際、それはお預かりしておきます。  次に、江田君は、インドネシアが提唱するようなアジア諸国会議には参加すべきでないとの御意味でありますが、私は、むしろ日本は進んで参加すべきだと考えております。(拍手)私は、すべて  のアジアの国々は、イデオロギーを離れて、最近  のカンボジア情勢を憂慮し、一日も早く問題が平和的に解決されることを念願していると思います。じみちな平和のためのあらゆる努力こそ、やがてアジアに恒久的平和をもたらすゆえんであると確信するものでありまして、平和に徹するわが国としては、カンボジア問題についての平和的方途を探求するアジア諸国会議に参加することが、  一そう重要であると思います。ただいままでにこの会議に参加すると確定しております国は、インドネシア、タイ国、豪州、ニュージーランド、マレーシア、日本であり、さらにまた、その範囲もなお拡大されるのではないかと思います。そうして、カンボジア情勢について十分意見の交換をし、戦火が拡大しないように、十分この会議を通じまして意見が戦わされる、そうして最終的な決定を見ることができればたいへんしあわせだ、かように思っております。  次に、日中問題について、日米共同声明との関連でいろいろ御批判がありましたが、アジアの平和と安定が直接わが国の平和と安定につながる日本としては、朝鮮半島にせよ、台湾海峡にせよ、緊張が顕在化するような事態があるとすれば、これについて重大な関心を持たざるを得ないのは当然であります。一般論として御賛成なら、それでけっこうであります。  日米共同声明におきましては、「韓国の安全は日本自身の安全にとって緊要である」との認識が述べられており、また、「台湾地域における平和と安全の維持も日本の安全にとってきわめて重要な要素である」と述べております。さればこそ、わが国としては、緊張緩和に努力することがきわめて必要であると考えるのであります。この点は特に御理解いただいて、ただいまのような状態が起こらないように、国際緊張の緩和に、超党派的に御協力願いたいと思うのであります。(拍手)  政府は、正常な国交関係を有する中華民国との友好関係は、今後とも深めてまいりますが、といって、わが国と中国大陸との関係のあり方について、中華民国に対し特別な保証を与えたことはありません。  また、国府に対する第二次円借款については、公式の申し入れがあれば――これは申し入れがあればでございますが、プロジェクトごとに、ケース・バイ・ケースで慎重に検討する考えであります。ただいままでのところ、具体的な申し入れはございません。  なお、日中関係の改善は、国際的な現実に即し、相互の立場を尊重し合って、一歩一歩積み重ね、積み上げていくことが、長期的な相互の友好関係をつくるゆえんである、かように私は考えております。  最後に、七〇年代の外交姿勢についての御意見がありましたので申し上げますが、わが国外交の基本姿勢は、いまさら申し上げるまでもなく、平和憲法の精神にのっとり、政治、信条、社会制度の異なる国とも、内政不干渉と、相互に相手方の立場を尊重するという原則のもとで、あらゆる国々と仲よくすることであります。北京政府との関係につきましても例外ではありません。このため、私は、国際間の緊張緩和に努力しつつ、自由を守り、平和に徹する理念を貫き通す決意であります。(拍手)そうして、それこそ、六〇年代、七〇年代を問わず、わが国の外交のビジョンであると確信しているということを申し上げて、お答えといたします。(拍手)     ―――――――――――――
  55. 船田中

    ○議長(船田中君) 次に、正木良明君提出、国際情勢に関する緊急質問を許可いたします。正木良明君。   〔正木良明君登壇〕
  56. 正木良明

    ○正木良明君 私は、公明党を代表して、総理大臣及び外務大臣に対し、最近のアジア情勢並びに安保、沖繩、日中問題について質問をいたします。  一九七〇年は激動の年といわれてまいりましたが、まさに文字どおり激動を続け、平和を願う人類の希望に反し、アジアにはまた新たなる戦火が広がりつつあることは、まことに遺憾であります。  さて、今回のアメリカ軍のカンボジア侵攻について、これを決定したニクソン米大統領の演説に対し、わが国政府は、いち早くこの侵攻作戦を支持されたのでありますが、佐藤総理は、まず、カンボジアに侵攻したアメリカの行動を正当化した根拠を国民の前に明示する責任があると思うのであります。  すなわち、アメリカ一辺倒の若干の国を除いては、多くの諸国が、今回のアメリカのカンボジア侵攻に対し否定的、あるいは少なくとも消極的態度であるにもかかわらず、さらにアメリカ国内においても、アメリカ国会をはじめアメリカ国民がごうごうたる非難をニクソン大統領に浴びせているにもかかわらず、佐藤総理は率先して肯定的態度を表明したことについて、われわれは、はなはだ理解に苦しむものであります。  まず第一に、アメリカのカンボジア侵攻の法的根拠であります。  われわれの知る限り、米軍のカンボジア侵攻決定の時点において、関係国間にいかなる防衛条約も結んでいなかったと思いますし、また、カンボジア政府の依頼もなかったと聞いているのであります。現にロン・ノル・クーデター政権自身も、そのような依頼はしなかったし、事前の相談も受けなかったと言明しているのであります。しかりとするならば、これは明らかにアメリカのかってな、いわゆる恣意的行動であり、重大な国際法無視といわなければなりません。アメリカ軍のカンボジア侵入を支持した佐藤総理の見解をお示しいただきたいのであります。  その第二は、国際法無視のアメリカの恣意的な軍事的行動を佐藤総理がいち早く支持したことについて、日米共同声明第三項が巨大な圧力となっているのではないかということであります。  日米共同声明第三項において、ニクソン大統領は、「米国は域内における防衛条約上の義務は必ず守り、もって極東における国際の平和と安全の維持に引き続き貢献するものであることを確言」し、佐藤総理は、「米国の決意を多とし、大統領が言及した義務を米国が十分に果たしうる態勢にあることが極東の平和と安全にとって重要である」ことを強調いたしておるのであります。  ここで明らかなように、アジアにおいてとる軍事行動のアメリカの決意を常に多とする佐藤総理は、今回のアメリカのカンボジア侵攻の決意を多として同調し、肯定しなければならないという拘束をみずから負うているのではないか、こういう結論になると思うのでありますが、反論があるならば承りたいと思うのであります。  ここで確認をいたしておきたいことは、カンボジア侵攻に対して、何らかの事前連絡がアメリカよりもたらされたかどうかであります。今回の日本政府の肯定的態度の表明の陰には、おそらく事前の打ち合わせが日米間において行なわれていたということも考えられるのでありますが、どうでありましょうか。  第三に、佐藤総理は、アメリカの行動は常に正しいという驚くべき仮説の上に立って外交政策を立てているように見受けられるのであります。このような自主性のない判断は、従来もしばしば国際的信用を失墜してまいりました。プエブロ号拿捕事件、米偵察機撃墜事件、トンキン湾事件はもとより、最も悲劇的でさえあったのは、一九六七年の佐藤訪米に際しての日米共同声明におけるアメリカの北爆支持の態度表明であったのであります。なぜかならば、佐藤総理のこの態度表明に、ジョンソン大統領は大きな喜びを隠さなかったといわれますが、その後四カ月にして、ジョンソン大統領は、日本への事前通告が何らなく、突然、次期大統領選挙不出馬というみずからの政治生命をなげうって、北爆停止を発表いたしたのであります。沖繩返還を早めるために、この程度のリップサービスは必要だと思われたのかもしれませんが、これほど日本の見識を疑われたものはありません。アメリカとの友好関係を維持増進するために必要なことは、いわゆる追随的態度ではなく、相互に率直にものを言い合う態度こそが大事なのではないかと思うのであります。(拍手)すなわち、明確な正邪の判断が必要であると思うのでありますが、所信を承りたいのであります。  われわれは、このたびのアメリカのとったこういう独断や国際法無視が国際的に通用しては絶対にならないという意味で、そういう不法行為を非難して、かかることの防止の必要性を強く意識するからであります。  政府は、かねて、自衛隊の行動について憲法上の制約を強調されておりますが、今回のアメリカの態度を肯定した総理の姿勢からして、将来、わが国の自衛隊も、自衛と軍事目的の達成を理由に、アメリカ軍と共同で、または単独で、先制攻撃あるいは海外派兵が行なわれるかもしれないという黒い影を危惧するからであります。この点、総理の所信を承りたいのであります。  政府のあの態度表明によって、わが国の立場は、すでに国際的には、無思慮にアメリカと同一歩調を歩む日本という評価を、ますます強めたでありましょう。かくては、わが国がアジア諸国の中で、平和のための調停者たる資格を失うでありましょう。そしてまた、わが国の独自の政治路線をみずから縛ったことになるのではないでしょうか。  このような状況の中で、今月中旬ジャカルタにおいて開かれるカンボジア問題解決のためのアジア会議に、愛知外相が派遣されることになりました。このアジア会議に招請を受けたアジア二十カ国のうち中華人民共和国、北ベトナム、朝鮮人民民主主義共和国などの共産圏諸国は参加せず、その他非同盟諸国の参加も危ぶまれている現在、このアジア会議は、ベトナム参戦国会議のごとき様相を呈し、少なくとも反共国家会議となる可能性はきわめて強いのであります。すなわち、中国をはじめ共産圏諸国の参加のない会議は、何ら事態の解決に力を発揮できないばかりか、この会議においてアメリカの立場を支援する結論が出されるとするならば、かえって禍根を残すことになるのであります。佐藤総理は、このアジア会議に何の意義を見出そうとし、何をなそうとしているのでありますか。その成果をどのように期待しているのですか。ひるがえって、賢明にして慎重なる考慮のもとに、この会議に欠席する考えはないのか、それぞれ具体的に承りたいのであります。  過日の日米共同声明第四項において、ベトナム戦争の推移と沖繩返還についての関連を述べております。すなわち、一九七二年を返還の時期とはしているが、この返還予定時にベトナム戦争が終結していない場合、はたして一九七二年沖繩返還が実現するかどうかについて、国民の納得する明確な答えがまだ出ていないと私は思うのであります。少なくとも一九七二年に返還が実現したとしても、沖繩基地からのベトナム発進が随意に行なわれることは、すでに明らかであります。  アメリカ側は、今回のカンボジア侵攻をきわめて限定された地域、限定された期間内に限るといたしておりますが、いわゆる聖域をつぶすことによってベトナム戦争の早期終結を可能とする判断には、きわめて強い疑問を抱かざるを得ないのであります。従来のベトナム戦争の推移を見ても、アメリカの期待する短期決戦はあり得ないことは明らかであり、どろ沼化したベトナム戦争の二の舞いとなって、しかも、このどろ沼戦争は、インドシナ半島全域に拡大する危険はきわめて濃いのであります。おそらくこの事態において、一九七二年沖繩返還予定時においてインドシナ半島の戦火が終息すると、だれが確言できるでありましょうか。もしそのような事態に際しても、一九七二年の沖繩施政権の返還は確実に実現するかいなか、明確にお答えをいただきたいのであります。  かりに、いかなるアジア情勢のもとでも一九七二年に沖繩施政権の返還が実現するとして、沖繩基地の態様は本土並みに縮小せられ、さらに、沖繩県民の要望のように基地は撤去せられるかどうか。核兵器、CB兵器の貯蔵、使用は明確にあり得ないかいなか。返還後の沖繩基地からのB52の発進が行なわれるとするならば、われわれが従来から指摘してきた本土の沖繩化が文字どおり現出することになるのであります。この点、総理の見解を承りたいのであります。(拍手)  これに関連して、このたび日本政府が、カンボジアのいわゆる聖域をアメリカがたたいたことを正当化するとすれば、他日、沖繩あるいは日本本土を基地として米軍が作戦行動をとった場合、米軍から攻撃を受けた他国が、沖繩や日本本土の米軍基地に反撃を加えることを非難できなくなるはずであります。かくて、アメリカの恣意的な軍事行動によって、わが国全土が、わが国の全く関知しない国際的な武力衝突の渦中に巻き込まれても、一切苦情は言えなくなるのであります。この点は重大な点であり、国民がひとしく危惧している点であります。米軍の行動を無批判に是認し続ける佐藤政府の対米追随の姿勢の裏に、重大な危険がひそんでいる点を指摘せざるを得ないのでありますが、これに対する見解を承りたいのであります。(拍手)  このような危険は、日米安保体制の存続する限り免れることのできないものであると思うのであります。特に、昨年秋の日米共同声明によって、日米安保体制は、アジア安保、核安保へと拡大改悪を遂げたのであります。この新安保路線に基づいて、沖繩並びに日本本土の基地を使用して、米軍の戦闘作戦行動が随意、随時に行なわれる限り、国民は常に好まざる戦争へ巻き込まれる不安をぬぐい去ることはできません。  最近、国民の耳目を驚かした「よど号」乗っ取り事件において、まざまざと見せつけられた日米韓の緊密な連係作戦、しかも、このことが総理以下防衛庁長官でさえつんぼさじきに置かれていたと思われるほど、いわゆるシビリアンコントロールは失われてしまった事実は、何よりもこの証明でありましょう。こうした危険な日米安保を早急に解消することは、国民の共通した願望となっているのであります。したがって、わが党の主張する段階的解消を実現することが、いま政府のなさなければならない施策であると思うのであります。(拍手)そのために、まず安保の最も主要な重要要素である米軍基地の撤去が必要なのでありますが、わが党が提出している米軍基地撤去決議案に賛成すべきであると思うが、総理の見解を承りたいのであります。(拍手)  また、米軍基地が、健全な国民生活あるいは都市計画などにおいて、国益に反する事態がきわめて多くあることが、わが党の今回の基地再調査の結果鮮明となりました。一例をあげても、米軍基地の撤去によって、東京はじめ大都市の住宅難のほとんどは解消されることでありましょう。政府は、返還後の利用計画を地方自治体と協議し、これをもってアメリカ政府に対し返還を強く要求することが国益に沿った態度であると思うが、その考えはあるかどうかを承りたいのであります。(拍手)  また、昭和四十三年十二月から今日まで返還された米軍基地の九五%以上の面積は自衛隊が継続使用しているのであります。これでは、返還されても国民のための利益には何ら還元されません。したがって、この際、返還後の米軍基地はつとめて自衛隊の継続は認めないという原則を明らかにすべきであると思うが、総理の見解を示していただきたいのであります。(拍手)  さらに観点を変えて総理に伺いたいことがあります。  それは、昭和三十五年の日米安保条約等特別委員会で現行安保条約が審議された際、当時の岸総理は、アメリカが条約違反を行なった場合には日本は廃棄通告もできる旨の答弁を明確にいたしておるのであります。しかるに、今回のアメリカ軍のカンボジア侵攻は、明らかに武力をもって他国の領土に侵入したのであります。さきにも指摘したとおり、この侵入はアメリカの恣意的な行動であり、国連憲章第二条第四項に違反するものであります。したがって、日米安保条約第一条違反の疑いが生じるのでありますが、総理の見解を承りたいのであります。  もし国連憲章違反でないとするならば、今回の米軍の軍事行動が国連憲章にまさに適したものであるという法的根拠、並びに具体的な証拠をもって示していただきたいのであります。(拍手)  さて、本年の日中覚書貿易は、古井喜實氏などの努力によって、ようやくそのパイプをつなぎ続けることに成功いたしました。  このたびの日中政治会談の共同声明の内容は、前例に見ないきびしい中国の対日姿勢をあらためて再認識させられたと思うのでございます。特に、中国から非難され、日本国内で論議を呼んだ日本軍国主義の復活は、相当オーバーな表現としか受け取れないものがあることはいなめませんが、しかし、四月二十二日発表されたアメリカ下院外交委員会のアジア調査団の報告の中でも、日本は新しい軍国主義に向かって進んでいるなどの見解が示され、ソ連はもちろん、英国、西独の西側の新聞報道にもそれと同趣旨のものが見られるのであります。  とりわけて、アジア諸国民の抱く対日恐怖と再軍備路線への猜疑は、第四次防衛計画に予定されている防衛費の飛躍的な増額、産軍複合体の形成を促進しようとする防衛産業界の活発な動き、再軍備のための憲法第九条改正論の根強い働きかけ、さらに日米共同声明に盛り込まれた日米共同作戦の強化とアジアにおける軍事的主役の肩がわりなどの事実の前に、政府の安易な平和国家論がいかに説得力のないものであるかを証明したものであります。  さらに、自主防衛の名のもとに着々と進められていく軍事力の強化は、いままでの国会論議の中でも上限が示されないことに国民は大きな不安を抱きつつあるのであります。  したがって、総理は、国民並びに世界各国の不安、危惧を打ち消すためにも、日本の著しい右傾化と自主防衛の限界を、いままでのような抽象的表現ではなく、具体的に示す責任があると思うのでありますが、この点明確にお答えをいただきたいのであります。(拍手)  佐藤総理が、この覚書貿易を単なる経済的意味合いだけではなく、政治的にも日中間の話し合いの唯一のかけ橋と考えていることであろうことは、少なくとも、中国へ出かけていく古井氏に対し、きわめて状況の悪化の中で覚書貿易の継続を委嘱した真意はそこにあり、古井氏もそれを了としての努力であったと私は思うのであります。われわれは、この細いパイプをただつなぎとめるだけではなくて、これを太くしていく努力が肝要であり、それはすなわち日中国交回復につながる道でもあろうと確信するものであります。  それにつけても、今回の日中政治会談共同声明に対し、自民党は強い反発と非難を込めて中国に対して反論声明を表明したことによって、細々とつなぎとめられた日中間のパイプは、来年の期限を境として再び継続されるかどうか、はなはだ危ぶまれる状態となったことを心から憂うるのでありますが、それに対する総理の御見解並びに見通しを承りたいのであります。  同時に、いままでのような変則的な日中間の話し合いは、もはや限界に来たと見てもよいと思うのであります。佐藤総理は、佐藤内閣発足以来、機会あるごとに日中関係の改善を口にしてまいりましたが、このわが国最大の重要な外交課題は、後退しこそすれ、何ら前進はなかったと私は断ぜざるを得ないのであります。  わが公明党は、日中国交正常化を七〇年代におけるわが国最大の課題であるとの認識に立って、かねてより、アジアの緊張緩和と平和への道を実現するため、また、わが国の平和と安全を確保するための不可欠な問題として、日中国交正常化を強く主張し、中華人民共和国をすみやかに承認し、台湾問題は内政問題として干渉しない、中国にまかせるべきであると指摘してまいりました。この判断に立つならば、日華平和条約はおのずから解決されるということは言うまでもありません。いま、中国問題の解決のためには、この判断に立たねば根本的解決はあり得ないと思うがどうか、総理の見解を承りたいのであります。(拍手)  さらに、中国を国際社会へ迎え入れることはますます重要な課題となってまいりました。アジアにおける緊張緩和のためにはもちろんのこと、ベトナム、カンボジア問題の解決のためにも中国の参与が絶対必要でありましょう。今回、人工衛星打ち上げによって、もはやICBMの保持は決定的となった中国は、米ソの核均衡を不安定にするほどの力を持ったのであります。このことは、現在ウィーンで開かれている米ソの戦略兵器制限交渉にも大きな影響を与えずにはおかないと思うのであります。拡大国としての中国を除外して今後の核軍縮はおそらく成功しないのではないかと思われるのであります。これら二、三の例を考え合わせても、いま中国が国連に参加することは最も必要なことではありませんか。  佐藤総理は、本年秋の国連総会において、中国の国連参加についていかなる態度をもって臨むのか。例年に引き続き、重要事項指定方式の共同提案国となって、中国の国連参加を積極的に阻むのか、御所信を承りたいのであります。  さらに、米ソの戦略兵器制限交渉の見通しと、この交渉が暗礁に乗り上げて新たなる核軍備拡大競争の発火点となるおそれはないか。この困難な事態に際して、わが国は非核保有国として、他の非核保有国とともに、核軍縮への積極的な活動を行なうことを考えていないか、お伺いしたいのであります。  ともあれ、現在まできわめて抽象的、逃避的に言明されてきた佐藤総理の日中問題解決の考えは、何ら前向きのものでなかったのであります。ここで私は、日中問題の締めくくりとして、佐藤総理にずばりお答えを承りたいのでありますが、総理は、はたして日本と中華人民共和国との国交回復を真剣に成就しようとする熱意をお持ちになっているのかどうか、端的にお答えをいただきたいのであります。(拍手)  以上をもって私の質問を終わりたいと思います。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
  57. 佐藤榮作

    ○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 正木君にお答えいたします。  カンボジア問題に対するわが政府の立場は、要するに、一九五四年のジュネーブ協定の精神であるカンボジアの中立の保持が確保されるべきであるということであります。したがいまして、現在カンボジアの中立と独立が危うくされている原因を追及し、これを是正するということが一番大切なことであり、その原因は、北越軍がカンボジアに侵入し、そこに長くとどまっているというところにあることは、シアヌーク殿下時代から、もうそのことがはっきり認められておるところであります。これは否定することはできません。わが国としては、かかる原因を除去するための努力はこれを認めるべきだと考えておりますが、他方、戦火が拡大することははなはだ遺憾なことと申すほかございません。いずれにしましても、カンボジアの中立と独立が維持され、一日も早くインドシナ半島  の平和が回復することを希望するものであり、そのため関係国の良識と自制を強く訴えるものであり、また、わが国としても可能な努力をいたしたいと考えております。  ジャカルタのアジア会議に日本は欠席すべきではないかとのお尋ねでございましたが、私としては、ただいま申し上げたような立場から、むしろ積極的にこれに出席し、同じアジアの平和を願っておる諸国とともに関係国に訴え、カンボジア問題が一日も早く平和的に解決されるべきことを広く世界の世論に呼びかけることこそわが国の当然とるべき態度であり、責務である、かように考えます。(拍手)  ロン・ノル政権の合法性についてのお尋ねでございますが、ロン・ノル政権はカンボジア憲法のワク内で合法的に成立したものであり、国連のウ・タント事務総長も右事実を認めていることは正木君も御存じのとおりであります。したがいまして、わが国としましても、あらためて明示の承認行為の必要はないとの見解を有するものであり、世界の大多数の国が同じ考え方をとっております。  シアヌーク民族統一戦線政府は、カンボジアを有効的に支配しているかいなかは、私がとやかく申すまでもなく、明らかなことと思います。これ以上説明は加えません。  ベトナム戦争と沖繩の七二年中返還についてのお尋ねでありますが、このことにつきましては、今国会においてすでに再三再四、また本日もしばしば申し述べてきたとおりでありまして、再び正木君からこのような御質問を受けたことを私は残念に思っております。繰り返してまことに恐縮でありますが、ベトナム戦争の推移いかんにかかわらず、沖繩は一九七二年中に返還されます。その返還後のB52の自由な発進はありません。核の貯蔵、使用もこれを認めません。これがわが内閣の変わらない政策であり、このことは昨年十一月のニクソン大統領と私の会談におきましても、ニクソン大統領もはっきりと了解した点であります。  なお、今回のカンボジア問題について事前に米国から相談を受けたのではないかとのお尋ねがありましたが、そのような事実はありません。わが国の安全保障に関する基本的政策は、現に自国防衛の必要の限度内において自衛力を整備し、その足らざるところを日米安保体制で補うということで一貫しており、全く防衛的な性格のものであります。したがって、日米安保条約の維持をもって諸国との友好関係増進の障害となるとは、私は考えておりません。また、日本は、仮想敵国、さようなものは持たないということもしばしば申し上げております。これらの点で御了解いただきたいと思います。  次に、日米安保条約はわが国を戦争の危機にさらすものではないかとのお尋ねでありますが、日米安保条約は、米国のグアム・ドクトリンによって何ら影響を受けるものではなく、旧安保、現行安保を通ずる十八年間、極東情勢は決して平穏ではなかったにもかかわらず、日米安保体制が抑止力としての効果を発揮し、わが国の平和が確保されてきたという事実を見れば、御指摘のような御懸念は当たらないと私は考えます。(拍手)ぜひともこの点についての深い御理解をいただきたいと思います。政府は、すでに述べたとおり、安保条約を堅持することが最も国益に合致するものと確信しており、この考えは広範な国民的合意を得ているものと考えますので、安保の段階的解消という考え方もとることはできません。  在日米軍の施設、区域については、従来より常にその合理化と円滑な運用に意を用いておりますが、本問題は、安保条約の目的達成のため、その果たしている役割りの重要性という観点から考えるべきものであり、その全面的撤去を求める考えはありません。  なお、返還後の施設、区域の自衛隊による継続使用は認めるなとの御意見でありますが、御意見は御意見としてこの際に承っておくことにいたします。  今般のカンボジア問題に関する米国の措置は、ニクソン演説及び米国の国連安保理事会への報告によれば、カンボジア領域から北ベトナムが南ベトナムに武力攻撃を行なったのに対し、自衛権の行使として行なわれているものであると述べております。日米安保条約第一条は、国連憲章第二条の三項及び四項の、紛争の平和的処理及び武力不行使の原則を確認したものでありますが、国連憲章上第五十一条において武力攻撃に対する自衛権の行使は認められており、憲章第二条違反の問題は起こらない、かように考えております。  中国側の意見や、米国の下院での話を例にとって、日本の軍国主義化についての懸念を示されましたが、正木君御自身、わが国が軍国主義への道を歩んでいると考えておられるのでありましょうか。もしそうであるとすれば、そのような心配のないことをこの機会にはっきり申し上げておきます。  また、安易な平和国家論ということでありますが、真に平和国家を実現することがはたして安易なことであるとお考えでありますか。日本のようにこれだけスケールの大きな国が、このような独自の平和国家の構想を示したことは、世界史上におきましても、かつてないことでありますから、四囲の情勢に右顧左べんすることなく、国民的な信念を貫き通す心がまえが必要であると考えるものであります。(拍手)  自主防衛の限界につきましては、しばしば申すとおり、国際情勢の現実に照らし、国力、国情に応じて、国民の納得のいく形できめるべきものと考えます。  次に、北京政府を承認し、台湾問題は中国の内政の問題としてそのおもむくところにまかせよとの御提案でありますが、国際間の正式な約束ごとは、こちらの都合だけでそう簡単にはまいりません。国際信義を重んじない国が国際的に重要な地位を占めたり、強力な発言をすることはできないこともおわかりいただきたいと思います。(拍手)  国連代表権問題につきましての政府の基本的な立場は変わっておりませんが、秋の国連総会で具体的にいかなる措置をとるかは、諸般の情勢を勘案して対処する考えであります。ただいま申し上げるわけにまいりません。  次に、中国のICBM開発能力が実証されたからといって、これが米ソの戦略兵器制限交渉の成り行きに悪影響を及ぼすと直ちに考えるわけにはまいりません。わが国としては、軍縮委員会その他国際協力の場を通じて、核軍縮の促進をはかり、国際緊張緩和に向かって努力する考えであります。  また、私は、しばしば申し上げているとおり、わが国と中国大陸との関係については、相互の立場を尊重しつつ、善隣友好関係を積み上げていくことを念願しております。  以上をもって、私のお答えといたします。(拍手)   〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
  58. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 総理から逐一御答弁がございましたから、私から特に申し上げることはございませんが、一言ジャカルタの会議のことについて、つけ加えて申し上げたいと思います。  私は、かねがね、カンボジア問題につきましては、ジュネーブ協定の精神ということが非常に大切なことであると考えております。すなわち、中立、独立、領土保全、これを旨とすること、そしてアジアの一国として、イデオロギーを離れ特定の政治的ブロックの形成というようなことではなくて、公正な平和的な処理に日本としては建設的な努力を積み上げるべきものである、かねがねかように存じておる次第でございます。  この意味におきまして、かねて中立的な立場をとっておりまするインドネシア政府の招請にこたえまして、まず参加国とともに語り合って、積極的な努力を積み上げてまいりたい。そして、さらに一そう広い範囲の国際的な話し合いへのアピールも考えられましょうし、あるいは当事者間の話し合いを促進することも、側面的に協力することもできましょうし、あるいは国際監視委員会の復活ということも考えられましょうし、幅広く考え得る具体的な方策の推進ということについて、公正な各国の協力を求めたい、かように存じておる次第でございます。  こういう意味合いにおきまして、微力でございますが、努力いたしたいと思いますので、何とぞ超党派的な御協力を賜わりたいと存じます。(拍手)     ―――――――――――――
  59. 船田中

    ○議長(船田中君) 次に、曽祢益君提出、国際情勢に関する緊急質問を許可いたします。曽祢益君。   〔曽祢益君登壇〕
  60. 曾禰益

    ○曽祢益君 私は、民社党を代表して、当面の国際情勢に関し、主として総理大臣並びに外相に対しまして質問を試みんとするものであります。(拍手)  まず、来たる六月二十二日をもって十年の固定期限を終了する日米安全保障条約について質問いたします。  およそ一国の安全保障のあり方は、一方では、しっかりと国民合意の基礎に立ちつつ、他方では、客観情勢の変転に敏感に対応する柔軟性を持たなければなりません。わが国の安全保障体制についても、理想としては、憲法の趣旨に従い、世界情勢が、現在の軍事ブロックの対立にかわり、軍縮の推進や国際緊張の緩和と相まって国連の世界的集団安全保障体系が確立され、わが国がこれに依存できることが望ましいことについては、すでに国民合意が成立しているものと信ずるものであります。また、このような情勢の進展に伴い、日米安全保障条約も、世界のあらゆる軍事同盟と同様に、相対抗する軍事同盟とともに、右のような理想的な安全保障体制にだんだんと融合、解消されるべきこともまた異論のないところだと信ずるのであります。  日米安保に対する評価と安全保障対策についての国論の分かれ道は、国連の安全保障の機能がきわめて不十分な現状と、わが国の憲法に即した限定された自主防衛力から見て、当面の安全保障対策がいかにあるべきかという点についてであります。  この日米安保に対する評価について国論の一致がないことは事実でありまするが、最近の世論調査によっても、安保はいままで全般としてよかったと思うという答えが多数でありました。たとえば、昨年六月、読売新聞調査では、四〇%が肯定しております。このことは、安全保障条約が、憲法に基づく制限された自主防衛力を補完する一定の機能を果たしてきたことを国民が正当に評価しているからと言えると思うのであります。したがって、安保をいかにすべきかという政策論につきましても、即時安保廃棄、非武装または武装中立論は支持率がきわめて低く、さきに述べました調査によれば、それぞれ六・八%、一四・一%でありまするが、これは問題外であることは明らかであります。  しかしながら、このことのゆえをもって、国民が日米安保体制に満足しており、その長期固定化を望んでいると判断するならば、あやまちこれより大なるものはありません。(拍手)  現行安保は、旧条約の持っていた占領時代の遺跡の幾つかを改めたものの、なお米軍の常時駐留と基地の保有、極東の平和と安全のためと称する米軍の基地の使用と日本領域外への発進、事前協議における日本側の拒否権の不明確さ等の幾つかの難点をかかえております。  そこで、いまや安保条約の十年の固定期限が終了するにあたり、次のことが必要と存じます。すなわち、当面なおわが国の自主防衛の補完として、日本防衛に対する米国の正式なコミットメントを戦争抑止力として利用しつつ、しかも、同時に日本の自主性の尊重、駐留と基地にからむ日米両国民の対立の解消、大陸諸国に対する日本の自主平和外交の障害の撤去、並びに何よりもまず日米の永続的な友好関係の確立と、その基礎の上に安全保障の機能を有効に発揮せしめる目的をもって、この際日米両国政府間の協議を行ない、日米安保条約を改定することだと信ずるのであります。(拍手)  以上の観点から、首相に次の諸点についての御所見をただしたいと存じます。  第一に、まず去る十一月ワシントンでのニクソン大統領との会談において、首相は、なぜ沖繩返還に関する日米合意の成立とともに、直ちに同じく日米協力の精神に基づいて、安保条約の内容を現状に即するように検討することの同意をとりつけられなかったのか。沖繩の早期核抜き本土並み返還についての日米の合意の達成に成功したからこそ、日米両当局ともに日米安保の検討をタブー視する従来の消極的態度をここに一てきして、勇気と自信をもって安保協力の新しいあり方に関する協議に入り得たのではないか。首相は、そのような前向きの態度こそ、現行安保の欠陥に端を発する、基地をめぐる日米両国民間の緊張を緩和し、日米友好関係の強化に資するゆえんであり、なおかつ、ニクソン・ドクトリンに基づく極東、西太平洋におけるアメリカの戦略の転換に対応するわが国の外交の先見性を発揮するゆえんと考えられなかったのか、お答えを願いたいのであります。(拍手)  第二に、遺憾ながら首相は、すでにワシントンで安保の事実上の長期固定を意味する条約の自然継続の意思表示を行ない、かつ、帰国後も、この安保についての国会における十分な審議を経ず、解散を行なったわけであります。  そこで、首相に伺いたいのは、総選挙の結果に示された国民の判決は、確かに、安保即時廃棄、自衛隊解散論を否としたものであるが、それは決して現行安保のままの長期固定に対する賛意の表明ではなく、改定または段階的解消論を含んでいるものと見るのが客観的な態度と思うが、いかがでございます。(拍手)  また、首相が施政方針演説で、この問題についての広範な国民的合意を云々されている以上は、安保廃棄論でなく、安保協力を否定しない立場に立ちつつも、その協力のあり方を改めるべしとする国民の声に耳を傾け、そのような国民的合意の達成に努力することこそ為政者の当然の心がけだと信ずるが、いかにお考えであるかを承知いたしたいのであります。(拍手)  この問題についての最後に、その意味で、六月二十二日を漫然と迎え、条約の自然延長でその場を糊塗する態度をここに反省し、わが党の提唱する常時駐留の排除と基地の原則的撤廃、戦闘作戦行動にあらざる米艦船の立ち寄りの許容と核兵器持ち込みの禁止、事前協議における拒否権の明確化等を趣旨とする現行条約の改定について、直ちに米国側と交渉し、その実現につとむべきものと考えるが、首相の決意をここにあらためて伺いたいと存ずるのであります。(拍手)  次に、日中問題について質問いたします。  私は、最近発表された二つの共同声明、すなわち、昨年十一月、ワシントンにおける佐藤・ニクソン共同声明と、先ごろの北京における日中覚書貿易に関する会談コミュニケでありまするが、この二つの外交文書ほど、日米中三国関係のむずかしい機微なからみ合いと、したがって、わが国の自主性を米中双方に対して守ることの重要性を浮き彫りにしたものはないと考えるのであります。(拍手)  すなわち、われわれは、十一月の日米頂上会談の結果、沖繩の早期核抜き本土並みの原則はかろうじて守られ、沖繩の返還は決してペテンでも何でもない真実と受け取っておりまするが、同時に、日米共同声明の内容とその表現はあまりにも多く米国側の立場を受け入れ、かえってこのために幾つかの問題を引き起こしております。その最たるものが、沖繩返還の時点までにベトナム戦争が終了しなかった場合の日米協議と、台湾地域の平和と安全の維持が日本の安全にとってきわめて重要な要素云々のくだりだと信ずるのであります。ことさら台湾地域は、韓国のように国連の権威による安全保障問題として日本へのかかわりを持っておらないのであります。もし台湾地域への言及が必要だったとするならば、日本側としては、紛争の両当事国に対し、台湾をめぐって戦争を起こすととは絶対に避けてほしいということを述べるにとどめるべきだったと信じます。(拍手)でき上がった共同声明の字句は、大きくアメリカや国民政府の主張に屈し、米台湾条約に基づく米軍の日本からの出撃について、日本が事前協議の際のイエスを予約したかのように受け取られる表現になっており、首相のナショナル・プレスクラブの演説は、まさにむしろこのことを強調しておるのであります。  さて、他方、佐藤内閣の祝福を受けて北京で交渉した自民党の古井代議士は、現在政府間協定に準ずる重要な日中間のパイプである覚書貿易の延長に成功し、その熱意と努力は称賛に値するものであります。他面、中国側の日本軍国主義及び沖繩返還に関する誤解や独断の字句をコミュニケから削除するに成功せず、また、台湾に関しては、中国側がいつどのような方法で解放するかいかなる国も干渉してはならないという主張に賛同する旨を述べられているのであります。これは、皮肉にも、日米共同声明の場合とちょうど逆に、日本が中国の、北京の台湾実力解放にイエスを言うことを予約する結果にはならないのか。もし、一つの日本が、一方ではアメリカの台湾支援の出撃にイエスを言い、他方の日本が北京政府の台湾の実力解放にイエスを言うとすれば、一体日本の国内の平和と統一はどうなるのか。事態はすこぶる重大ではございませんか。(拍手)よって、ここに、総理並びに総裁としての佐藤榮作氏に明快な答弁を求めるものであります。  私は、この際、わが国の外交が、対米関係においても、対中国、すなわち北京、台湾関係においても、自主性と一貫性とを保持することが何よりも肝要だと存じます。特に、佐藤首相は、前述のように、一方ではワシントン共同声明で台湾問題について北京を刺激する対米譲歩を行ないつつ、他方では帰国後、総選挙中には対北京接近と認められるような思いつきの観測気球を打ち上げ、また選挙後は再び国府一辺倒に戻る等、まことに一貫性のない態度を示してきました。  私は、そこで、国民の名において、この際政府に対し、次のような一貫した外交方針と、前向きの中国政策をあらためて確立することを要求いたします。  その方針、原則の第一は、国民政府と結んだ条約は、憲法に基づきこれを守るということであります。  その第二は、外交政策においてはフィクション、うそ、虚構は禁物であり、現実に立脚するならば、大陸に北京政府が権威を確立していることを尊重し、これを政策の基礎の一つに加えるということであります。  この二つの原則は、(「何言っているかよくわからぬ」と呼ぶ者あり)わからない人はよく聞いてください。この二つの原則は、衝突する面もむろん持っているが、両立する面もあります。つまり、国府との条約も、その附属交換公文において、条約の効力を現に国府の支配する地域に限ることを認めております。したがって、国府といえども、わが国と北京政府との交流そのものに反対できないわけであります。また日本側も、対北京貿易についての輸銀の融資についてまで国府側の指図は受け入れるべきでないことは当然であります。他方北京側も、直ちに日本政府が国府との条約を破棄することを要求しないであろうし、もしそのような要求をするならば、日本側がこれを容認すべきでないことは言をまたないところであります。わが国の対中国外交は、この二つの原則の共通部分を逐次広げることにあります。  第三の原則は、中国問題解決への接近は、日本対北京、日本対台湾の二カ国方式のみにたよらず、国連を通ずる多数国間方式に従って打開をはかるべきだということであります。すでにカナダの対北京交渉がその困難性を明示しているとおり、いわんや国府との条約関係を持つ日本と北京とのバイラテラルな二国間の交渉には限界があります。他方、北京政府の核ミサイル能力の開発等の事実は、いまや同政府の国際社会への出場、登場は、日本の安全のみならず、世界平和のかぎとなりつつあります。わが国もまた、日本のひとり相撲で中国問題の解決をと気負うよりも、インドシナ戦争収拾のための国際会議、軍縮会議等を通じ、北京政府の国際社会への復帰と、特に国連の場への北京政府の参加を実現するよう多角的な努力をなすべきものと信ずるのであります(拍手)  政府は、従来国連総会における中国代表権問題に示したたな上げ方式や、重要事項指定方式のような末梢的な手続論をいまこそ一切やめ、進んで大陸の実権者である北京政府を国連に迎えるための実質討議を総会に持ち込む方針に切りかえるべきだと信ずるのであります。(拍手)  その際、国民政府の処遇と台湾住民の民族自決権の尊重等のこれに関連する事項もまた国連が大局的見地から検討すべきであります。  この際、最も避けなければならないことは、政府が一つの中国論を隠れみのに利用して、実は国民政府のみを相手とし、中国大陸と日本並びに世界との関係の正常化という重要課題に対し、全く無為無策に終始し、かえってそのことが、日本が片や国府ロビー、片や北京ロビーに分極化する危険をおかすことだと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  私は、政府に対しては、むしろ国民政府に対しまして、大陸中国の存在を認めしめるように努力することを求め、また北京との接近論者に対しては、むしろ国府との条約の存在を認めしめるように努力することが、実はわが国民の声だと信ずるものでありまするが、この重大な歴史の転換点に立つ日本の総理としての佐藤さんの確信ある答弁を要求するものであります。(拍手)  最後に、ベトナム戦争のすみやかなる終結をこいねがい、一昨年十一月、北爆停止以来の平和解決と、ニクソン大統領の戦闘縮小計画に賛意を表してきた私たちは、今回、同大統領のカンボジアに対する米軍の直接介入や北爆の再開始の決定を深く遺憾とするものであります。むろん、北ベトナム及び解放戦線側の前々からのカンボジアの中立を無視したいわゆる聖域の占拠と、これがベトナム戦争への利用も非難さるべきでありますが、米国側のあの今回の決定は、ベトナム戦争が全インドシナどろ沼戦争にエスカレートする危険をはらむものであって、断じて不可であります。カンボジアの事態は、やはりしんぼう強く、一九五四年ジュネーブ協定の線に沿った国際会議によるカンボジアの中立回復以外に断じてあり得ないと思うのであります。  私は、政府において、右のような当面の事態の収拾と、ベトナム戦争終結への平和外交を、あらゆる方法を通じて関係諸国並びに国連等に働きかけることを強く要求いたします。もし、マリク外相の提唱にかかるジャカルタ会議が開催されるならば、これが危惧されるような反共戦線の結集などに走らぬよう、大いに日本の平和外交を発揮し、また、情勢の推移によっては、わがほうの出席を見合わすことをも含めて、万遺憾なきを期することをここに要求し、これに対する首相並びに外相の所信を伺って、私の質問を終わりたいと存じます。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
  61. 佐藤榮作

    ○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 日米安全保障条約が、わが国の平和と繁栄に果たしてきた役割りは、曽祢君もお認めになっているとおりであります。また、国連の安全保障機能が不十分な現状から、世界各国とも何らかの形の集団安全保障体制をとっていることも御指摘のとおりであります。政府は、現行の日米安保体制を今後とも堅持する方針について、広範な国民的合意を得ていると確信しております。  さらに、日米安保条約がアジアの平和と安全に大きな役割りを果たしていることについては、日米両国とも共通の認識に立っております。このような共通の認識があればこそ、沖繩問題も話し合いで解決したのであります。そうして今後は、アジアの緊張緩和に日米両国が可能な限りの努力をすることを確認し合ったのが昨年十一月の会談の中身であることは、すでに御承知のとおりであります。私は現行条約を改定する意向は持っておりません。この点は、はっきり申し上げておきます。  米軍がわが国の自主的な防衛力の足らざるところを補完する機能を果たすため、必要な施設や区域をわが国が提供することは当然であります。  また、曽祢君は、安保の段階的解消と安保の改定が国民世論の大勢であり、現行安保が日米間に緊張をもたらす原因になっているかのように言われましたが、その点につきましては私とはかなり認識の違いがあるようであります。  いずれにいたしましても、日米安保条約は、来たる六月二十二日で十年間の固定期限が終わり、自後は条約の本質に基づいて一年の予告期間を置いて廃棄することも可能であります。また、長期固定化ではもちろんございません。また、内容等につきまして、十分に両国において慎重に検討することも可能でございます。しかし、私は、安保を相当長期にわたって堅持することこそわが国の大きな国益につながるゆえんであり、わが国民は引き続いてそのような選択をすることを確信しております。(拍手)せっかくの御提案でございましたが、その点では曽祢君と私は違いますということをはっきり申し上げたわけであります。  次に、日中問題は、曽祢君もよく御承知のように、現在の国際政治において最もむずかしい問題の一つであります。およそ国際関係において信義を守ることがいかに大事であるかは、申すまでもないところであります。政府は、中華民国との間に国交を結んでおり、両国間の友好関係はあくまでも尊重する決意であります。しかし、国府の支配は中国大陸に及んでおらず、大陸には北京政府が存在することも動かしがたい事実であります。このため政府は、平和に徹し、いずれの国とも仲よくするという基本理念のもとに、中国大陸との間においても覚書協定を中心とする貿易や記者交換等、可能な限りの接触をはかり、積み上げによる友好関係の増大をはかるなど、最も現実的な政策をとっているのであります。  しかしながら、現在の中国大陸はきわめて閉鎖的であり、われわれがその実情を知る手がかりが少ないと同時に、中国側も日本の実情に対しての理解が不足しているように感じられます。  御承知のように、アジアには三つの分裂国家が存在しておりますが、そのいずれの場合を問わず、武力による問題の解決には日本国民として同意しがたいのであります。その意味で、朝鮮半島における紛争も、台湾海峡における衝突も、もしそれが発生するようなことがあれば、わが国の安全にとって重大な影響を及ぼすことは明らかであります。日米共同声明の意味するところは、そのような事態が起こらないように、緊張緩和に努力するというところにあることをあらためて御理解いただきたいと思います。  なお、国連代表権問題等に関する具体的な御提案は、御意見として承っておきます。三条件を提案されて国府並びに北京政府に対するわが国の態度を説明されまして、これこそ名案だからぜひこれをとれ、かように御指摘になりましたが、私は、お話を聞いていながら、どうも二つの中国論におちいる危険が多分にある。二つの中国論、それを避けるためにただ一つの中国論、それを隠れみのにしているという、こういうような御批判がございましたが、私は、御提案自身にすでに矛盾を感じておられるゆえんだ、かようにとったのであります。(拍手)どうも、しかしこの問題は、この場で直ちに結論を出すような簡単な問題ではございませんから、ただいまの曽祢君の御提案は御提案として十分承っておき、さらにそれの中身につきましても慎重に私は検討してみたい、かように考えます。  また、古井ミッションによる日中コミュニケにつきましては、自民党として正式な態度を明らかにしておりますから、この場では省略さしていただきます。  インドシナ半島問題に関して、政府はこれ以上戦火が拡大しないよう強く望んでおります。曽祢君が述べられたように、カンボジアの中立の回復については、一九五四年のジュネーブ協定の線で解決がはかられることが必要であると考えます。  近くジャカルタでアジア会議が開かれることになっておりますが、わが国としては、かかる会議が開催され、各国が共通の立場から平和を望む意向を表明することは、インドシナ問題の平和的解決にとって望ましいことであると考えております。また、アジア会議の目的は、関係者の一方を非難したり、これによって対立を激化させたりするものではなく、カンボジア情勢の悪化を防ぎ、カンボジア国民がみずから問題を解決し得るよう、建設的な平和的方途を見出すことにありますから、その成果に期待している次第であります。  以上、お答えいたします。(拍手)   〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
  62. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) ジャカルタ会議に対しまする御意見につきましては、私も、重々その御趣旨を胸に体しまして努力を重ねてまいりたいと存じます。(拍手)      ――――◇―――――
  63. 船田中

    ○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。    午後六時三十三分散会      ――――◇―――――  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         外 務 大 臣 愛知 揆一君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         厚 生 大 臣 内田 常雄君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君         労 働 大 臣 野原 正勝君         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         外務省アジア局         長       須之部量三君      ――――◇―――――