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1969-05-14 第61回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 12号 公式Web版

  1. 昭和四十四年五月十四日(水曜日)    午後一時二十六分開議  出席委員    委員長 内海  清君   理事 稻村左近四郎君 理事 大竹 太郎君    理事 斎藤 寿夫君 理事 田中 榮一君    理事 板川 正吾君 理事 山田 耻目君    理事 河村  勝君       加藤 六月君    川野 芳滿君       小峯 柳多君    丹羽 久章君       太田 一夫君    久保 三郎君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 原田  憲君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   荒木萬壽夫君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         運輸政務次官  村山 達雄君         運輸省海運局長 澤  雄次君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君         海上保安庁長官 河毛 一郎君  委員外の出席者         警察庁交通局交         通指導課長   竹岡 勝美君         警察庁交通局運         転免許課長   西川 芳雄君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       松永 正直君     ――――――――――――― 五月十三日  交通遺児の救済施策充実に関する陳情書(栃木  県議会議長沢田武雄)(第四六一号)  交通事故防止に関する陳情書(大阪府議会議長  西野米太郎)(第四六二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 内海清

    ○内海委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    ○久保委員 去る十二日でしたか、警察官が千葉県で無免許で車を運転して少女をひき殺す、そういう事件がありました。私はこの関係について二、三国家公安委員長にお尋ねしたいのであります。  この警察官のやり口を見ますと、何か警察官としての教養というか、そういう基礎的な教育ができていなかったんじゃないかと私は思う。もちろん最近の若い人たちの風潮としてある程度、まあ明治や大正生まれの人間から見れば多少どうも理解しがたいことが間々起こるように思うのだが、それは別として、今回の事件は残念ながら法律を守るあるいは住民の生命、財産を守る立場にある警察官として、最低限必要な条件が欠けていたということであります。日ごろの教養はどうなっているのか、あるいは採用時におけるところの問題はどうなのか。もちろんこれはプライベートのプライバシーというかそういう生活があるわけでありますが、その生活まで上長なりが監視したり何かすることは好ましいことではないと私は思うのであります。しかしながら、少なくとも最低の条件は、解放された自分自身の時間であっても備えられておらなければ、いろいろな法律や制度をつくっても意味をなさぬだろうと思うし、そればかりじゃなくて、国民はだれを信用して毎日の生活を送ったらいいんだろうかという大きな疑問があると思うのですね。こういう問題について、まず第一に国家公安委員長としていかように考えられているか。新聞の報ずるところによりますれば、閣議において陳謝をなさったそうでありますが、まさにきょうはこの国会を通して国民にあなたの考えを述べる機会だと思うので、ひとつ率直に聞かせてほしいと思うのです。
  4. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お答え申します。  ただいま御指摘の事件につきましてはお話のとおりでございまして、私も御指摘と同じような気持ちを抱くものの一人でございます。何とおわびしていいかわからないくらいの気持ちでございます。閣議でも申しましたし記者会見でも申しましたことが新聞に取り上げられておりますが、あのとおりの心境でございます。  お話しのとおり、元来人間としてこんなばかなことをすべきではないだろうという、警察官であるという立場以前の課題としてもむろん問題だろうと思いますが、いやしくも警察官を志望し採用され、しかも警察学校を一年間の課程を経て、警察官としての国民に対する奉仕観念は一応身につけておるはずの者が、あのような事件を起こしましたことについて、重々おわびするほかにはことばを知りません。あまりにも計画的であり悪質であるという意味において、特に申しわけないような気がいたすのでありますが、この席を通じて国民の皆さんに恐縮千万のおわびを申し上げると同時に、今後この種の間違った事件が起こりませんように厳重に注意を喚起し、部内の綱紀粛正のためにできる限りの努力をすることによっておわびにかえたい、こう思っておる次第でございます。  なお、長くなっておそれ入りますが、直ちにこの趣旨を全国の警察官の末端にまで注意を喚起する意味において通達しますと同時に、今月二十一日に予定されておりまする各都道府県の警察本部長会議を通じましても、もっと趣旨徹底をはかりたいという心がまえでおるわけでございます。  繰り返して申し上げますが、恐縮千万、申しわけないことに存じます。
  5. 久保三郎

    ○久保委員 今後具体的な措置をおとりになるということでありまして、いまおとりになったことは、厳重に通達を出して注意を喚起した。それからもう一つは、警察本部長の会議か何か知りませんが、その会議でおやりになるということであります。それだけではどうも足りないようにてまえども思うわけでございます。これはもちろんいろんな面から考えなければなりませんが、それではひとつ、これは大臣が御承知ないかもしれませんが、この犯罪を犯した警察官の所属する警察署は何人くらいこういう若い警察官をお持ちでありますか。
  6. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 説明員からお答え申し上げます。
  7. 竹岡勝美

    ○竹岡説明員 お答えいたします。  この巡査の所属しておりましたのは本所警察署でございます。本所警察署の定員のうち二十代が何割を占めておるか、詳しいことはちょっと私調べておりません。しかし、全国的に見まして、現在二十代あるは二十未満の警察官が特に外勤の過半数を占めておるということは承知いたしております。おそらく、特に外勤の警察官の七割くらいは二十代、このように考えております。
  8. 久保三郎

    ○久保委員 それでは説明員の方に続いてお尋ねいたしますが、本所警察署ではどれくらいの署員がおられるか、そして具体的にはこういう若い警察官はどこかに下宿しておられる、あるいは寮というものがあって、そこで住んでおられるのか、そういう点どうですか。
  9. 竹岡勝美

    ○竹岡説明員 ただいまお答えしましたとおり、本所警察署の正式な定員は実は調べておりません。大体二百人程度の署だと思いますが、 これの若い警察官の生活環境、これは、御承知のとおりに、待機宿舎というものが国の予算でつきますので、この待機宿舎あるいは独身寮、こういうものをいま増設しつつございます。そこに若い警察官はできる限り収容することにしておりますが、十分に数がございませんので、古くなった者は下宿に出ていくという実情だと思います。  なお、独身寮の平素の生活環境その他の管理については、十分力を入れておるわけでございます。たとえば大阪府警等につきましては、警察学校を出ましても、一年間、教育隊というものを設けまして、同じ寮に入れて、第一線に出ましてからも、これを一年間管理しておるということもありまして、全国的に若い警察官の身上管理はできる限りつとめておるという実情だと思います。
  10. 久保三郎

    ○久保委員 これは具体的なことを調べねばよくわかりませんが、どこの職場でも同じだと思うのですが、一つには、前提として考えてほしいのは、やはり大事にするということですね。これは将来があるのですから。未来があるのですから。それと同時に、これは真正に成長していくような配慮がどうしても必要だ。警察官の宿舎は私よく存じませんが、最近における労働力の問題からいっても、完備した寄宿舎などなければ、寮がなければ、人は行かないのですよ。警察の実態はどうなんですか。おそらく独身寮といっても新しいのは幾つもないのじゃないですか。ありますか。――あなたはそのほうの関係じゃないのだな。しかし、警察庁の中の一人だから、大体そういうことはわかっているのでしょう。おわかりでない……。
  11. 竹岡勝美

    ○竹岡説明員 十分わかっておりません。
  12. 久保三郎

    ○久保委員 わかってない……。あとで調べたがいい。  古くなった者は下宿に行くという、それはわかっておるのでしょう。別に寮に入れて監督しろということじゃないです。お互いに牽制というか、若い時代にはそういうことが必要だと思うのです。たとえば同僚の警察官がいたかもしらない。きょうは非番で休みである。どうするのだ。車に乗ってきょうは女の友だちを連れて遊びに行くのだと、たとえば話に出たとする。とすれば、そこで同僚の警察官から、それは君、免許証がないじゃないかということが出るかもわからぬ。  この警察官は、寮にいたのではなくて、下宿にいたのでしょう。
  13. 竹岡勝美

    ○竹岡説明員 自宅です。
  14. 久保三郎

    ○久保委員 自宅なら、下宿というか、そういうのと同じだ。  そういうこまかい配慮が必要なんであって、事件が起きてから、遺憾に存じます。具体的な措置をとる。具体的な措置というのは訓示じゃないのですね、実行なんです。実行できるものをやはり与えなくてはいかぬということだと思うのです。  時間がありませんからきょうは先へ進みますが、公安委員長、そういうふうに思うのであります。いわゆる宿舎、寮、そういうものを一つとってみても、私は完全じゃないと思うのです。これはただ訓示だけでうまくいくわけではありません。いかがでしょう。
  15. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お話しに出ておるような具体的なことを存じませんので、恐縮ですけれども、知る知らぬにかかわらず、お話しのようなことも含めまして、警察官としての教養をもっと身につけると同時に、プライベートの、非番のときの生活態度につきましても、少なくとも人間として警察官の職にある者という心がまえの延長が要求されることは私は当然であろうと思います。その意味における配慮が十分であったかなかったかということも含めまして、今度の本部長会議等につきましても、具体的な懇談もし、また警察庁ないしは国家公安委員会の立場において指示すべきことも余すところなく十分の意思の伝達をはかりたい、かように存じております。
  16. 久保三郎

    ○久保委員 いずれにしても、この若い者の管理というか扱い方が、実際は粗雑ですよ、これは全体的に。だから、さっき冒頭に申し上げたように警察官として最低ですね、法律を守るということが。一般の人だって最低ですが、特にその職にある人なんだから。それはプライベートな場合であっても同様だと思うのです。そういうのが欠けていたことについてまず第一に責任を感じてもらいたいのは、国家公安委員長ばかりではなくて、末端に至るまでの監督の場にある者だろう。二百人くらいの警察署だそうです。署長はどういう考えでいままでこういう者の指導をしてきたのだろうかとわれわれは疑問に思うのです。日常あまりこういう若い警察官に接しないのじゃないのか、私はそう思う。そういう点も反省してほしい。時間がありませんからよけいなことは申し上げませんが、そういう配慮があまりなくて、警察は何か組織で上から下へ命令すれば何でも通ると思っているところに問題があると思うのです。いまの若い者はそんなわけにはいかぬですよ。だからそういうこともひとつ考えてほしい。  それからもう一つ重大なことは、交通法規に違反することは犯罪だと思っていない風潮が世の中にある。事故を起こした警察官においておや。これは非常に問題だと思うのです。選挙違反などもその部類に入るわけだ。だんだん憲法まで守らぬでも犯罪とは考えなくなってくる。その問題まで飛躍しては話が広がるから切りますが、交通違反を犯して、これは犯罪だと思わぬ風潮が警察官の中にもあることは重大だと思いますね。とにかく彼は無免許運転は犯罪ではない、うまくごまかしていけばということで犯罪と思わぬ。人のものを取った、人を殺すということは犯罪とだれも思っているかもしれない。ところが車を運転することは、うまくのがれられれば犯罪でないというふうに思っているのかもしれない。そういう風潮に対して警察当局はどう思っているのか。交通違反は犯罪じゃないと思っている風潮をどう立て直すか。これは国家公安委員長にお尋ねしたほうがよろしいと思うので、よろしく。     〔「日教組のせいだ」と呼ぶ者あり〕
  17. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 交通事故なんかを起こしたことについての犯罪意識が一般的にないような前提に立ってのお話でございますが、そういうことは私はあり得ないし、ないと思います。しかし、少なくともいま御指摘になっておるようなことが起こりましたことについては、本人のせいか、あるいは小中高の教育のせいか、家庭教育のせいか、警察学校の教育の至らなさのゆえか、あるいはお話しのような当該警察署長の若い者の心情をくみ取り得ないで注意が行き届かない結果であったのか、ありとあらゆることが一応考えられて、この問題を契機に今後に向かって誤りなきを期さねばならぬ、こういう課題かと存ずるのでございまして、犯罪意識が希薄であるということがありとするならば、そのことはやはり子供時代からの教育課題として是正してもらうと同時に、それプラス警察学校一年間で万遺憾なき薫陶をしなければならないであろう。もろもろの問題を含めまして今後に処したいと存じます。
  18. 久保三郎

    ○久保委員 私が言っておるのは、教育の問題ももちろんあるかもしれませんが、犯罪意識が希薄になっておるということ、これは事実ですよ。大臣、けさのテレビ、NHKの第一をごらんになりましたか。ここ続けて交通のことも取り上げております。それは何か警察官に尋問されている運転手の話です。おればかりやっているのじゃなくて、みんなやっているんだ。これには犯罪者意識はあまりないですよ。これで心配ないんだからいいじゃないかというようなことを言うわけですよ。交通事犯に対しては特にそういうことなんです。たとえば、何か物を取った者をつかまえて警察官が尋問した場合、だれでも取っているんだからいいじゃないですかということは世の中どこにもありませんよ。しかし交通事犯に対しては、けさのテレビでもそう言っているんですよ。だから希薄になっていることをどう立て直すかを私は聞いておるのです。説明員でなければわからぬければ、公安委員長の代理に答弁させなさい。
  19. 竹岡勝美

    ○竹岡説明員 お答えいたします。  現在の交通ルールが守られていない、非常に交通ルール軽視の風潮が高いということはおっしゃるとおりでございます。昨年一年間で警察が法令違反で検挙いたしましたのが四百万件でございます。この取り締まり件数そのものも、昭和四十年には約五百万件あったのでございますけれども、これが現在四百万件である。それでこの交通法令違反は当然犯罪でございますけれども、ただわれわれが心しなければなりませんのは、この交通法令違反の中には多く、たとえば速度規制とか駐車違反という、警察の行ないます規制違反が八割くらいを占めております。この規制の妥当性ということも常に考えております。同時に、よくいわれておりますように、法令違反を検挙するのに警察官はいたずらに姿を隠して検挙しておるじゃないか、そういう批判があったのも事実でございます。そういう意味で現在交通警察の取り締まり体制をもう一度立て直そうじゃないか、もっと外勤警察官を、派出所、交番の巡査も使いまして、一定時間事故多発地点に立たせる、そして立証できなくても口やかましく警告しようじゃないか、あるいは立証できるものは白バイ、パトカー等でびしびし取り締まっていこうじゃないか。この場合若干、取り締まりのための取り締まりであってはならないとか、あるいはいろいろの批判もございましたが、われわれのいわゆる新しい、正しい姿での取り締まりを一そうこの際強化しようということで、今回の五月二十一日の本部長会議にも申し上げるつもりでございます。外勤員も含めまして、白バイ、パトカーはもとより、大いにやりたいと思います。同時に、白バイ、パトカーについているマイク等を通じまして、軽微な違反に対する警告あるいは歩行者の保護、誘導という方面で積極的に街頭に出まして、交通ルールの立て直しというとなまいきでございますけれども、これに全警察官が一丸となって当たりたい、このように考えております。
  20. 久保三郎

    ○久保委員 とにかくいまのお話で立て直しをするというのでありますから、その対策に期待をかけますが、荒木大臣、たとえば警察官増員一つとっても、毎日交通事故で人が殺されているわけです。そのほうにはあまり増強がなくて、いつあるかわからぬようなところにだけ何か増強するというので世間でもふしぎに思っておるわけです。だからこの際は、新しく定員増をするならば交通のほうに力点を置いて、いま説明員からお話しのとおりの指導なり啓発なり、あるいは違反を押えることもあるでしょうが、そういうところに向けていくのが国民的な要求じゃないですか。信号があるからいい、ガードレールがあるからいいというものでは私はないと思うのですね。やはりそこに警察官が立っていて、時宜に適した適切なる指導をするのが一番完全であると思うのですね。だからそういうことも考えて、ひとつ増員のことを少しめんどうを見ませんか、いかがでしょう。
  21. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 いま御指摘のような考えも含めまして定員の問題は考えておるつもりでございます。機動隊の増員につきましてちょいちょい同じような御質問等を受けたこともございますが、それはそれなりの必要性に基づくものでありますと同時に、機動隊の人数が足りないために、外勤の警察官その他を動員しながら、ときどきの要求に応じておる。そういうことは反面お話しのような交通取り締まりについても、臨時的ではございますが、とかく手薄になりがちである。だからそういうことの起こりませんような意味合いも含めて、過ぐる御決定をいただいた増員は考えておるつもりでありますが、さらに交通戦争ともいわれるような事態が日に日に残念ながらエスカレートしていく傾向でございます。このことも踏んまえまして今後対処したいと存じます。
  22. 久保三郎

    ○久保委員 そうしますと、大臣、これを機会に交通戦争に対処するためにも増員のほうはそういうところでめんどうを見ていく、こういうことでございますか。ただ単にお話だけじゃなくて、具体的に増員をなさるつもりでありますか。
  23. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 できることならばそういたしたいと思います。と申しますのは、これは公務員一般にそうでございますが、一人でも少ない員数で行政効果をあげ得るものならば、あげたいという考えも当然あるべきでございますから、御指摘のことも念頭に置きながら今後は善処いたしたい。増員の必要があるならば、またさらに予算等の御審議を通じまして、皆さん方の御協力を賜わりたいと存じております。
  24. 久保三郎

    ○久保委員 予算のことはまたあとからの話でありますが、いまさしあたり四十四年度で増員するということでありますから、機動隊の話は、同僚はしておるかもしれませんが、私はいままであなたにはしておりません。機動隊もあなたの立場から見れば必要かもしれませんが、国民的な要求から行けば、それは一番先にどっちを取りますかといったら、交通警察官のほうを取るのじゃないですか。だからそれはいまの予算を決定した直後でありまして、なかなかそう簡単にはいかないかもしれませんが、私はやはり良質の交通警察官というのは増員すべきだと思う。そういう方向でこれから考えて、来年度予算を要求しますというようなお話では話が違うということで、私が尋ねておることとは違うのであります。新しい四十四年度の中でひとつ考えていったらどうですかということを申し上げておるのですが、これはこまかいことでおわかりにくいのかもしれませんが、これが一つ。  それからあわせて先ほどの説明員のお話から一つ申し上げます。  もはや交通警察官の担当する分野というのは、いままでのようなことでいいのかどうか。いままでの分野というのは、いわゆる警察官という立場で、道路交通法を中心にして仕事をするわけですね。これはあなたがおっしゃったとおり、いわゆる交通事犯に対するあれもします。それから指導もします。しかし、ねらいは交通安全なんですね。ところが安全のねらいだが、交通犯罪に対して、事犯に対してどう対処するかというのが警察官の本務でしょう。スピード違反をつかまえる――つかまえると言っちゃおかしいが、これを押える。それともう一つ、あなたがおっしゃるとおり指導が必要なんですね。一々交差点でスピード違反が十人あって、十人やったらこれは交通麻痺ですよ。だからそういう指導、助言と犯罪の取り締まりというか、そういうものとをやはり時代の趨勢に従って仕分けしなければならぬでしょう。むしろ力点を交通安全の力点からいくならば、最近大都市におけるところの交通混雑をどう解決するか、その中で大量輸送をどう確保するか、そういう問題が起きている。ところがいまの道交法ではこれはできない。だからそういうものを今度は、たとえば国家公安委員長のもとからはずす。国家公安委員長のもとにあるのは交通違反、犯罪に対しての取り締まり、それに限定してしまう、そういうものも考えなければならぬと私は思う。そういうことについての御検討はいただいておるかどうか簡単に御説明いただきたい。
  25. 竹岡勝美

    ○竹岡説明員 ただいま先生のおっしゃいましたとおり、われわれの従来の交通指導取り締まりというものは、昭和三十五年当時からございました道路交通法という法律的な考え方で違反の検挙に力を入れ、いわゆる検挙件数何件ということに力を入れておったきらいが過去数年あったと思います。これに対しましては、やはりそういうものであってはならない。指導――しかも交通法規の多くは立証できないものが多いわけです。たとえば非常にあぶない追い越しをたびたびする、ジグザグ運転をする、あるいは警笛をひんぱんに鳴らす。こういう立証しがたいものを放任しておったわけです。この指導と検挙、これをはっきり区分けすべきだと思います。真に悪質なものならば、これはネズミとりと言われてもかまわない。夜の検問で飲酒運転を取り締まる、あるいはネズミとりと言われましても、正式の取り締まりで暴走の運転を取り締まる。しかし一般の個々の巡査は明らかな姿に立ちまして、目についたものを指導し、あるいはそれを無視する者は検挙する。この検挙と指導を十分に使い分けてまいりたいと思います。私どもの名前も交通指導課でございます。取り締まり課ではございません。その指導のほうに一そう重点を置いてやろう。ことに一般の一一〇番のパトカーもマイクを使っておりますが、これもマイクの活用が十分でございませんので、マイクによっての違反運転者、そういう者に対します立証できないものの指導あるいは歩行者の幼児、老人等の歩道におきます補導、こういう真に納得させる交通指導を強化してまいりたいと思います。  いまお話がございましたように、大都市におきます車の制限、こういう規制関係、一般的に交通規制と申しておりますけれども、この交通規制を道路管理者なり地方自治体にまかしたらどうか、警察は取り締まりだけやったらどうかというお話もありますが、たとえばイギリスあたりもそういう体系をとっておりますけれども、イギリスでも非常に困っております。非常になまいきな言い方でございますけれども、事故の実態を知っておりますのは警察でございます。そしてその警察が事故の多発地点等々を査察しまして、ここはどういう規制をする、ここは一方通行にすればいいじゃないか、ここの速度は何ぼにすればいいじゃないか、こういう実態的な規制はいまの警察で十分やり得る、またやることが便利であろう、このように考えております。一方都市問題として考えられるべき非常に大がかりな規制、そういうものは、警察としましてもできる限り地方自治体の長、その他の方々の意見を聞かなければならぬ。規制については必ず諮問委員会を設けまして、警察だけの独断に走ってはならない。特に御承知の、現在やっております大阪の一方通行などは非常に慎重にやっております。しかも警察があらゆる能力をふるいましてすべての駐車の需要量その他を調べております。できるだけ大都市的な交通規制は各関係機関の意向を聞きながら、いまの警察の権限でやれるものはやりたいと思います。また警察の権限を越えるものにつきましては、道交法の改正等によりまして善処いたしたいと考えております。
  26. 久保三郎

    ○久保委員 要員の問題はあとからお答えいただきたい。  時間もありませんから、この事故を起こした警察官は犯罪をくらますために交通違反の切符を偽造して持っていた。警察だからなかなか厳重にやっているのだろうと思ったら案外ルーズなんですね。この制度ができるについてはかなり問題が世の中にあったわけです。警察官には都合がいいかもしれぬが、なかなかドライバーにとっては問題があった。その中でできた制度であります。ところが一番利用したのは、犯罪に利用されたというので、腹を立てているのは国民じゃないですか。この管理はどういうふうになっておるのですか、どういう体制であるか。
  27. 竹岡勝美

    ○竹岡説明員 お答えいたします。  まことに遺憾な事案でございますけれども、この交通切符は、御承知のとおり全部県警本部で一連番号を打ちまして、その一連番号を各警察署ごとにどの巡査に何番から何番まで渡したというような十分な管理をしております。彼がこれを使った場合には、それによって抹消するということで十分な管理をしております。いままでこういった事犯、警察官でこれを乱用したという事犯は聞いたことがありません。これはおそらく、本人非常に若い巡査でございますので、ときどき一般の違反者がこれを乱用するのがございますので、そういう知識があったために友だちのものを借りまして、あるいはばれないだろうということでやったのだろうと思いますが、あの事犯は一週間くらいたてば明らかに警察でわかることになっておりますので、管理は十分やっておるつもりでございます。
  28. 久保三郎

    ○久保委員 課長さん、あなた一番最後は、管理は十分にやっていると言うが、事実は出てきたじゃないですか。十分にやっていないですよ。そんなばかな話はないですよ。友だちのを借りた、どうしてその友だちが貸したのか、これまた犯罪意識が希薄なんですね。それは結局体制の問題になると思うのですね、警察そのものの。何か形式を重んずればあとは何でもいい。私は保管しましたとか、私はちゃんとかぎをかけましたと言えば、それで問題ないと思っているかもしれぬが、違うでしょう。あなたのことばにも出てきますよ。失礼ですが、一番最後には、十分に管理をしています、十分じゃないですから出たんですよ。これはもう少し厳重に、そういう中から警察庁の中から自分でそんな犯罪ができるようなことではちょっと困るじゃないですか。これは国家公安委員長に言うべきことでしょう。  そこで、最後に国家公安委員長にお尋ねしたいが、きのう十三日は大体交通安全週間の運転管理の日、正しい運転管理をいたしましょうという日だそうですね。もっともおわかりがないかな。正しい運転管理の日というのです。運転管理の日というのは、いわゆる管理規程というのがありますね、道交法にも道路運送法にもありますけれども、結局雇い主がいわゆる正しい管理をしなさいという日なんですよ。それだけにこれは国家公安委員長もいわゆる交通安全の大きな責任をしょっているわけです。その人が一般国民に呼びかけておきながら自分のところの管理体制がなっておらない、赤い切符一枚とっても、警察官の管理一つとっても。だからこれは当然国家公安委員長がおのれ自身を譴責すべきだと思いますが、そういうお考えはありませんか。
  29. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 一言もございません。国家公安委員長も、みずからも今後に向かって同じ不届きなことが起こらないように、万全の措置を講じていく責任を痛感いたしております。
  30. 久保三郎

    ○久保委員 警察は形を整えることを、中心ではないけれども、なかなか重んずるところのようにわれわれは見ているわけなんです。だから私から言うのは失礼ではありましたが、本件につきましては国家公安委員長みずから譴責をなさったほうがいいのではないかというふうに申し上げたのでありますが、おことばではそういう譴責はあまり考えておらないようでありますが、下のほうは譴責されますか。
  31. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 犯人自体は司法権のもとにさばかれるでございましょうし、行政措置といたしましては懲戒免職をいたしております。むろんそれだけで済むものとは思いません。冒頭のお尋ねに対しましてはお答え申し上げましたようなことを将来に向かって万全を期する努力をすることがみずからを責める事柄でもあり、また国民に対する私の責任でもあろうか、かように思います。
  32. 久保三郎

    ○久保委員 本件はたった一件でありますが、警察の交通安全に対する威信は地に落ちたとお考えではないでしょうか。まさに戦争の中で、いわゆるこれに対決する一つの勢力、軍隊にたとえれば警察軍というんでしょうね、その最高指揮官は荒木国家公安委員長であります。ところが威信地に落ちたのでは戦争は負けであります。言うならば交通戦争に負けました。負けたならばやはりその頂点に立つものが責任をおとりになることがほんとうだろうというくらいに国民感情としては思うんですよ。別に荒木大臣個人をどうこうというわけではないが、そういうことでないとなかなか下にぴっとこないのじゃないですか。そういう意味で私は申し上げたのであります。下のほうはずっとやりますか。警察官の懲戒免、あたりまえですよ。犯罪を犯して、人を殺して懲戒免にならないなんてことはおっしゃらないでもわかっておるはずです。そんなことを言っておるのじゃない。もう一。へんお考えがあれば伺いたいのです。
  33. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 先ほどお答えした以外に申し上げようもございませんが、昨年の暮れに、交通戦争のもとに生命を落とした人が一万四千何がし、レコードをつくりました。まことに遺憾な不幸なレコードでありますが、そのことだけで国家公安委員長といたしましても本来ならば切腹して申しわけしなければならぬくらいの課題だ。それにもう一つ加わった。それが警察官の中から出たという意味においてほんとうに恐縮千万に思います。切腹することはわけはありませんけれども、その責任を感ずることを契機といたしまして、先ほど来くどく申し上げておりますような将来に向かって万全の措置を講ずるということにこそ熱中することが国民に対するおわびの私の行動でなければなるまい、かように存じておるわけであります。
  34. 久保三郎

    ○久保委員 国民に対して今後努力することは当然ですよ。いままで事故がなくてもこれは当然やるべきことである。事故があったからなおさらやるのはあたりまえの話です。あたりまえだけでは済まされないだろうから私から申し上げたのでありますが、言うならばこれは自分から考えることでありますから、だからこれはどうしようもございません。別に処罰したからいいということではないけれども、それほどの事件というふうにわれわれはとっておりますということをどうぞお忘れなく。  以上で質問を終わります。
  35. 内海清

    ○内海委員長 関連質問として松本忠助君。
  36. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 国家公安委員長にお尋ね申し上げるわけですが、今回このような無免許の警官が小児をはね殺しております。昭和四十二年五月十七日の千葉県の県警機動隊のほうの大型車が幼稚園に通うところの園児二十五名の中に突っ込んで園児五名をけがをさせた、こういう事件がございました。この際には、もちろんこの方も非常にお若い方であったようでございますが、懲戒免職。同乗者が減給百分の十、隊長、副隊長が戒告というふうになっております。今回はこれ以上の大きな問題点であろうと思うわけです。これに対しましてもちろん内容について十分お調べになった後に決定される問題だと思いますが、隊長、副隊長が戒告程度でこの前は済ましておりますけれども、今回はまさに殺しておるわけであります。しかもまた今回は問題点になりますのは、先ほど久保委員からもお話がございましたように免許証の保管証、それをしかも偽造しておる。こういうことは警察官としてあるべき問題ではないと思うわけであります。こういうふうに殺した上にしかも偽造の切符まで使っておった。そうして運転免許証のない点を万が一検問所等を通過する場合に指摘されたらば、それで隠して通り抜けてしまう、こういう不心得な考えの者に対して私は厳重に処罰をすべきであろう、こう思うわけであります。これについての公安委員長のお考えを聞いておきたい。
  37. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 いまわしい犯罪を犯し、人まで殺した結果を生みましたその当人に司法処分、行政処分が厳重に行なわるべきことは当然であると思います。さらにまた監督関係においても、いかなる責任課題として取り上ぐべきかは、前後の事態を十分に確認した上で、当該権限者が善処するものと思います。私もそういう意味合いにおいては関心を持って見守ってまいりたいと存じております。
  38. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もう一点お伺いしておきたい点は、今回の事件に関しまして、新聞の報道によりますと、木更津の警察署の署長さんの考え方でございますが、この佐々木さんという事故を起こしたおまわりさんが、いわゆる赤切符を持っておったということにつきましては、付近の者も十分それを見ております。また新聞報道関係の方々もそのことを承知しているようでございます。しかるにこの事件を深夜まで警察のほうでは、赤の切符を持っていたということについて隠していた、こういう事実でございます。しかも午後の十時の時点において逮捕するかどうかについて、新聞記者の方々から署長さんに聞いたところが、検討中である、こういうお話があったそうであります。しかるところ、それから三十分を過ぎました十時三十分には、午後五時二十分に逮捕していた、と発表しているわけです。こういうふうに非常に前後はなはだ取り違えたような報道が新聞に載っておりますけれども、はたしてこのとおりだったのかどうか。新聞の報道が間違いなのか、警察のほうの言い方にどこか間違いがあったのか、もし新聞の報道のとおりであったとするならば、先ほど久保委員が言われたように、警察の威信といいますか、権威というもの、そういうものが地に落ちてしまい、民衆は警察を信頼しなくなると思う。やはりこういうものの発表については、正確になさるべきであると思います。新聞の報道を私は信頼しておるわけでございますが、警察のほうでは、やはり新聞報道のとおりであったのかなかったのか、この点について伺っておきたい。
  39. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お話しのような事柄自体の時間的前後関係等、私承知いたしておりませんので、いずれとも申し上げかねます。よもや新聞がうそを書くはずはないという気持ちはございますが、正確には警察当局の確実な報告を私自身も知り得た上でないと申し上げられませんので、その意味ではごかんべんをいただきたいと思います。  警察の国民に対する、国民からの信頼感をそこなった意味においては、その新聞報道と現実との誤差が、かりにあるといたしましても、そのことより以前に、根本的に警察官ともあろうものが、非常に計画的な悪質な犯罪を犯し、しかも人までも殺した結果は、そういうひどいことになっておること、そのことを私はほんとうに国民に対して申しわけなく、さらにまた十数万の警察官自体が、よもや同じような者がほかにもう一人いるとは思いたくはありませんけれども、全体についてまでの信頼感すらもそこなうようなことなきよう、それをおそれる意味において、非常に重大な事柄だと考えておる次第であります。
  40. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 けっこうです。
  41. 内海清

    ○内海委員長 板川正吾君。
  42. 板川正吾

    ○板川委員 公安委員長にいまの問題に関連して、一言お伺いいたしますが、この被害救済という問題は、どういうことになるのだろうかというのが、ちょっと実は思い浮かんだのです。自賠責での適用は車にあるんだろうから、受けるとしましても、三百万ということでは、これは損害賠償として承服できない。ホフマン方式なりによって、三百万以上という場合に、被害者はどこを相手にこの場合請求できるのですか。たとえばこの場合には、雇用主であった国ですね。警察庁というのはこれには関係ないことだから、たとえば指示した業務上の事故ではないから関係ない。そしてその車も警察の車じゃなくて、報道によると、民間の車を借りていったということであるから、そして本人は懲戒免職になったということであると、一体自賠責以外の民事の損害賠償請求というのは、二十歳の加害者自身だけということになりますか。この点ちょっと伺っておきたい。
  43. 竹岡勝美

    ○竹岡説明員 お答えいたします。  公務中ではございませんので、一応御指摘のとおり、本人が交渉の対象になると思います。無免許運転の問題、悪意性がないということで、自賠責の三百万は御本人に出ます。きょうお葬式があるのでございますけれども、本人の佐々木巡査の父親が、国鉄の職員の方でございますけれども、とりあえず私の聞いておりますのは、一応百万円用意されまして、そしてこれから家族の方と父親が中心になって示談を進めるということでございます。一方警視庁のほうも、訟務係のほうでは、この犠牲者の方のホフマン方式は一体どのくらいになるだろうということを、父親と相談いたしまして、一緒に考えておるそうであります。  なお蛇足になりますけれども、当日あるいはきょうの葬式等々、近所の警察署の幹部がいずれも出向きまして、それなりの見舞い金を贈っております。補償の対象、示談の対象は父親が中心になっておるという状況でございます。
  44. 板川正吾

    ○板川委員 そうしますと、この場合には警察庁としては当事者ではない、したがってそれには関与しない。この場合には本人の保証人であり、あるいは父親なり親権を持つ者が、ひとつ本人にかわって賠償責務を果たしてほしい、こういうことになるのですね。
  45. 竹岡勝美

    ○竹岡説明員 はい。
  46. 板川正吾

    ○板川委員 わかりました。先ほど久保委員も言いましたように、運転免許を持っておる警察官が、たまたま事故を起こしたということじゃないですね。運転免許を持っておる警察官が、自分の私用で他に運転して旅行して、たまたま事故を起こしたというのじゃなくて、この事件は運転免許を持っていない者が運転をして、しかもつかまった場合のことを想定して、赤切符まで用意しておるという犯罪性ですね。こういうところに国民は非難をするんだろうと思う。警察官も人間ですから、それは自分の私用で車を運転して事故を起こすこともあるかもしれません。われわれは人間として間違いがあったことを、警察官だということによって、特に深く責任を追及するという意味よりも、この場合には無免許を承知で、しかも取り締まる立場であってよくわかっておる者が、赤切符まで用意して、自動車を運転したというところに、私は警察官として許せない問題があるんだろうと思います。今後ひとつこういう事故のないように、公安委員長としても全力をあげてやってもらいたいと思います。  そこで公安委員長に伺いますが、都の公安委員会が五月九日に、東京都葛飾区奥戸四の五の六の新小岩自動車教習所の指定解除処分をきめた、こういう事件が報道をされております。この指定解除した処分をきめた内容、これを簡単にひとつ関係者、もし何だったら、事務官でいいですよ。
  47. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 説明員からお答え申し上げます。
  48. 西川芳雄

    ○西川説明員 お答えいたします。  内容でございますが、ただいまのお話の、新小岩教習所の技能指導員が本来教習生に対して教えなければならないわけでございますが、適正な資格を持っていない者が指導員と称しまして教習生に技能の指導をしていたという問題、すなわち、無資格の者が指導をしていたということが一つ。それから、やはり道交法令に根拠を置きまして、教習の時間を、段階によりますけれども、一人の教習生に対して一日何時間までしか教えてならないということが法令に規定されておりますが、その法令の規定の限度をこえまして、一人の教習生が長時間教えておったという問題、それから三つ目の問題といたしましては、教習時間一時限六十分と定めておる場合には、当然六十分まるまると申しますか、みっちり教えなければならないにかかわらず、いろいろな理由をかまえて、実際には五十分しか教えていないという教習時間の短縮などをしているという事例がございまして、これらが道交法令に基づきます指定の基準の違反ということで解除ということになったわけでございます。
  49. 板川正吾

    ○板川委員 同教習所は、四十一年に一般自動車の指定を受け、四十三年の七月に旅客自動車の指定を公安委員会からとって、そうして普通乗用車、大型旅客の運転を教えておった。この指定をする場合に、四十三年七月に指定になったんですが、指定をする場合に、正規の教官がどの程度いるとか、あるいはこの教科をどういう程度にやっておったかというような資格審査といいますか、指定基準に従った審査をしてやるんじゃないですか。もしそうだとすれば、昨年七月――ずっと前やったわけじゃないですね。情勢も、半年間しかないんだからそう変わっているわけじゃないですね。だから、そのわずかな間にそういう基準違反な教習をするというようなものであれば、指定したこと自体にやはり問題があったんじゃないだろうか。指定基準、指定する場合の調査、これに問題があったんじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  50. 西川芳雄

    ○西川説明員 指定当時の資料をただいま持っておりませんので、数字的に明確にはお答えができませんが、道交法令に基づいて指定をする場合には、当然、政令に定められた要件に合っているかどうかということを厳密に審査をいたした上で、条件にかなっておる場合に指定をするということでございます。したがいまして、指定をいたします際には、警察といたしましては、十分な調査をしておるわけでございますので、御指摘のようなことはないと私は確信をいたしております。ただ、一たん指定になりました場合に、教習所のほうの実情として、あるいはいま人手不足というような事態がございますので、他のほうへ転職するというような者が出てきたりというようなことから、無資格の者を採用いたしたようなことではないかということでございまして、これは、時日が短かったからそういうようなことはあり得るはずがないというようなことにはならないわけでございます。
  51. 板川正吾

    ○板川委員 じゃ、あとで調べて出してくれませんか。その指定をする場合に、こういう違反事項的なものをちゃんとチェックをして指定したのかどうか、そうして、その後の事態として、こういう行為を行なってきたのか調べてみてください。あなたは半年間にそういう事実はおそらくないだろうと言うんですが、おそらく私は、この教習所は前からも、人手不足というようなことはこの半年間に起こったんじゃないですから、前からもあるいは同種の扱いをやっておったかもしれませんよ。それを指定したということになったんじゃないかと思う。だけれども、たてまえ上、わかっていてやったわけじゃないでしょうから、今度指定する場合にはそういう点をひとつ厳重にチェックするようにすべきであるというのが私のいまの意見の背後にあるわけです。しかし、そう言うんですから、一応調べてみてくださいよ。  それから、人手不足なりこういう教官、技術者の不足というのは、実はこの教習所ばかりじゃないと思います。全国の、何千あるか知りませんが、同様であろうと思います。そこで、この機会にひとつ全国の自動車教習所のこうした内容について検討してもらいたいと思いますね。それで、なぜ私がそれを取り上げて特に強調したいかというと、最近の日曜、祭日における交通事故あるいは連休中の交通事故というものの大半は、やはりペーパードライバーで、さっきの警官も免許証を持っていないけれども、いわばペーパードライバーの卵ですね。運転は多少できる、あるいは教習所へ行って免許をとった、しょっちゅう運転はしていない、勘はない、しかし、日曜だから、人の車でも借りてひとつ楽しく旅行しようとか、こういう気持ちになるんですね。ペーパードライバーというのが、これが大きな事故の当事者になるのですね。未経験あるいはそういう危険な目にあったことがないで、また、交通事情というのをよく知らない。いい道路ができたといえば、東名へ行けばいつでもスムーズに通れるようなつもりになってわあっと押し寄せるのですね。ですから、ペーパードライバーなり日曜日に運転するという人が比較的事故を起こすんですからね、私は、自動車教習所の教科というのをもつと水準を技術的にも道徳的にも上げるようにしなくちゃいけない。要するに、ペーパードライバーというのはあまりふやさぬような方式をして、やたらにこれ以上ふやしていかないようにするためには、もうちっと全国的な検討をして、そうしてきびしくそれを指導して、違反があるところなら取り消しをする、そうして少なくてもいいんだ、多過ぎていま事故を起こしておりますから……。だから、そういう点で、ひとつ全国的な検討をして、こういう事実がないように、こういういいかげんな教官から教わったペーパードライバー、紙だけもらうのが実は一番あぶないんですから、そういう点で徹底的な調査をして取り締まりを強化してもらいたい、こう思いますが、公安委員長、どう思いますか。
  52. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 御指摘のような御懸念、私もしろうとながら感じます。似たようなことは私の選挙区にも実はありまして、何とかごまかそうと思っておったようですが、とうとう再指定は受けられなかったという事例を私も知っておりますが、そういうのがざらにあるとも思いたくないのでありますけれども、そういうのがとかく間違いのもとであることもお説のとおりであります。指定をするときの慎重さと同じように、アフターケアばかりの誤りなからしめるていのことも厳粛にやらねばならない。要すれば、総点検ぐらいする必要もあろうかと私も存じます。
  53. 板川正吾

    ○板川委員 総点検ぐらいじゃなくて、総点検をしてもらいたい、こう思いますが、ひとつやっていただきたいと思うのです。先ほど言いましたように交通事故の死者が一万六千人、負傷者が百万人をこえよう――数年後ですか、四十八年には、こういう負傷者が二百万をこえるだろう、こう言われておるのですね。まさに運転する人も、あるいは被害者もともに交通事故の犠牲者になる可能性もあるのですから、ぜひそのもとである運転技術の教習、これはひとつしっかりとやるような体制にしてもらいたい。どうもいままでは営利で、もうけ仕事で、どんどん教習所ができておる。あれは簡単な施設でいいのです。そして、将来そこが産業上あるいは重要な土地になれば、施設を売っても、土地だけは値上がりをするというようなこともあって、営利を目的にする教習所がどうも多いような感じがするのですね。そういうようなところから、技術を身につけないいいかげんな者が運転免許を取るということになる可能性がありますから、ぜひひとつこの機会に検討してもらいたいと思います。  公安委員長には、私は、それでいいです。
  54. 内海清

    ○内海委員長 久保三郎君。
  55. 久保三郎

    ○久保委員 自動車損害賠償保障制度というか、そういうものに限定して若干お尋ねしたいのでございますが、これは去年の通常国会の終わりに、前任者である中曽根運輸大臣が、来春までにはいわゆる保障額の限度の引き上げは実現したい、実現すると断定したと思うのです。これは私の質問に対してお話があったのであります。われわれとしては六百万ぐらいにさしあたり引き上げる必要はないかということを主張しているわけであります。この国会になってからも、原田運輸大臣からもそういう意味のお話がありましたが、どうもだんだんに日にちがたつに従って、料率の引き上げのほうはかり宣伝がはなはだしくて、どうも限度の引き上げのほうは何か、やるような見込みもない話が出ているわけです。しかも、料率の引き上げもばかばかしいほどの引き上げを言っているわけなのですね。自賠責が赤字だ。こういう実態はもう少し正確に政府当局も把握して早急に、約束は約束でありますから、果たすことが必要ではないか。ついては、運輸大臣おいででありますから、賠償額の限度引き上げについていかような考えを今日お持ちでありますか、お尋ねしておきたい。
  56. 原田憲

    ○原田国務大臣 お答えいたします。  久保さん御指摘のとおり、私は、前任者の中曽根大臣から、この自賠責の問題についてはできるだけ早く実現をするということを政府の責任で答えておるという引き継ぎを受けまして、私もそのような姿勢をお答えを申し上げてまいりました。その後、まことに望まぬことでございますが、非常に事故が多発いたしまして、今年度だけでもいままでの予想を立てておった保険制度ではまかない切れない、こういうような状態に立ち至って、これを根本的に考えていかなければならない、こういうことから、目下事務当局をして、これは大蔵との関係もございますから、折衝をし、実現をできるだけ早くするようにという作業を進めておる最中でございます。  お尋ねの三百万円を幾らにするかということにつきましては、従来答えておりますように、一応五百万円をめどに、こういう考え方を現在のところいたしております。
  57. 久保三郎

    ○久保委員 いつのころこれが実現できるのか、いまのお話だというと、だんだん事故も多くなって、残念ながらめどが立たないようなお話であります。これはまあこの制度自体、いま大きな比重がある被害者救済制度であります。たった一つよりどころになる制度自体がどうも時代に合わぬし、これを改善するめどもあまりよく立っていないというのでは、何かどうも政府の取り組み方もこの交通戦争に対しては弱いなという感じがするわけです。先ほどの荒木国家公安委員長、これは敗軍の将、兵を語らずということで、黙って行っちゃったが、まさにそのとおりじゃないかと思うのです。原田運輸大臣は、それとはまた違っておられるようでありますが、それじゃ具体的に運輸当局、大蔵当局にお尋ねしましよう。  いまの自賠責のいわゆる財政というか、保険財政というものの実態はどうなのか。そして、これからいくならば、先ほどの大臣のお話のとおり五百万に上げるくふうはいまどういうふうにしておられるのか、具体的にお答えをいただきたい。
  58. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 保険の財政でございますが、御承知のように元受け保険を保険会社がやっておりまして、六割の再保険を国がやっておる次第でございます。保険会社の計算は、これは契約ベースで計算をいたしておるわけでございますが、その保険会社の計算によりますと、現在四十三年度までの契約分につきまして将来の支出を全部計算いたしますと、約千七百億程度の赤字が予想されるというふうになっております。それから運輸省では、御承知のように、六割の再保険でございますが、これの計算のしかたにつきましては、契約ベースの計算のしかたと発生ベースの計算のしかたがあるわけであります。運輸省の再保険を事故発生ベースで計算いたしまするというと、これは再保険の面だけで見ますと、四十二年度分が約二十六億、それから四十三年度分が二百二十五億というふうに予想をいたしております。  これの保険の収支につきましては、平均のベースで単純に計算するというのではなしに、発生ベースないし契約ベースで計算するわけでございますが、従前の保険料改定のときにおきましては、おおむね契約ベースでもって将来の事故等を推定いたしておるように聞いております。しかしながらこの収支につきましては、過去のすでに発生いたしましたものと将来のものとの推定要素がございますので、保険会社で言います内容が正しいかどうかというような問題につきましては、保険数理の問題でございますので、大蔵省の保険部等で専門的に検討されておりますし、われわれのほうも再保険をやっております立場から保険数字の点につきまして検算等をやって、いま検討しておる最中でございます。  それからもう一つは、先ほどの保険金額、すなわち死亡、後遺症の場合におきまして限度額が、従来は三百万円でございますが、これを五百万円に引き上げるためには約三割程度の料率アップが必要ではないか。これの適用を、従来はすでに契約いたしておりますものにつきましても新限度額を適用したわけでございますが、従来におきましては、保険財政が一応黒字でございましたので、従来の契約者からは追徴の措置をしないでしたわけでございます。今回これを追徴するかあるいは新しい契約車両にそれをかけていくかという問題は、まだ決定いたしておりませんが、かりに新しい契約分にかけるということになりますと、九%から一〇%のものをかけなければならぬというふうに計算されております。要するに限度額のアップということと、従来の保険経済の赤字をどう解消していくか。その解消いたします場合に、将来どのような方法でいくか。その後の解消の時期の問題もあるかと思うわけでございまして、それらの点について、現在両省で検討しておる次第でございます。  それから、この保険の保険金額は政令でございますけれども、料率その他保険の制度につきましては、この法律に基づきまして大蔵大臣の諮問機関として自動車損害賠償責任保険審議会という審議会制度がございます。この審議会のメンバーも先般来新しく決定いたしましたので、今月の終わりごろないし来月早々にもこの保険審議会に現在の問題の所在を説明し、そして今後の料率の改定、限度額のアップ等につきまして詳細に審議していただきまして、夏ごろないし秋ごろまでには結論をいただきまして所定の手続をしていきたい、かように考えておる次第でございます。
  59. 松永正直

    ○松永説明員 お答えいたします。  ただいま運輸省の自動車局長から答弁がございましたように、大蔵省といたしましてもただいま検討中の段階でございますが、まずその保険財政がどうなっておるかという点でございますが、先ほど自動車局長からお話がございましたように、保険会社のほうでは四十三年度までの契約で約手七百億円の赤字になる、こういうふうに言っておるわけでございますけれども、この点につきまして、私どもといたしまして運輸省と御相談いたしまして、その財政がどうなっているか、こういう点をいろいろ検討している段階でございます。それで大蔵省といたしましては、限度額の引き上げとあわせまして、今後運輸省とも御相談いたしまして、自賠制度の検討と料率の問題の解決を、夏をめどにはかっていきたいというふうに考えております。
  60. 久保三郎

    ○久保委員 この契約ベースで、四十三年度までの契約分で将来の支出を考えると千七百億の赤字が出る、一つはこういうことですね。それから、その千七百億の赤字が出ることについて、大蔵省はこれを公認しておられるのですか。それともう一つ、千七百億を、たとえばそのとおりとするならば、解消するためには保険料をどの程度上げなければならぬか。五百万の引き上げは別として、現行の場合でどうなんだ。そういう計算はしてあるなら、ひとつお知らせいただきたい。  もう一ぺん申し上げると、保険会社がいうところの赤字千七百億はお認めになっておるのかどうか。それから料率の引き上げはどの程度か。
  61. 松永正直

    ○松永説明員 私どもといたしましては、保険会社から提出されました資料に基づいて目下検討しているわけでございまして、千七百億をまだ認めたということではございません。かりに、それじゃ千七百億円程度あったら保険料率にどう影響するかということでございますが、先ほども申し上げましたように、要するに千七百億円と申しますのは、四十三年度までに契約されたものにつきまして、収入は四十三年度までに全部入っておりますが、保険金の支払いは示談その他後遺症、いろんな点でずっと後年度にずれてまいりますので、保険金の支払いが四十四年度以降にだいぶずれるものがございます。そうでございますが、いずれにしろこれは四十三年度までに契約された分でございまして、これは言うなれば過去の赤字、こういう数字でございます。そこで保険会社の数字を基礎にいたしますと、本年四十四年度はそのペースでまいりますと、単年度で千二、三百億円の赤字は発生する、こう見ておるわけでありまして、最近における交通事故の激増ぶり、こういうものを考慮いたした場合に、現在の料率を是正するために、これは保険会社のほうの試算でございますが、約二倍上げなくちゃいかぬ。それから千七百億円というものはこれは過去のやつでございますが、これを解消するというのには、三割ないし四割は見なくちゃならぬ。それから限度額を上げるとすれば、さらに三、四割上げる、こういう形になります。保険会社の試算でまいりまして、約三倍に上げてほしいということをいま業界が盛んに言っておりますが、その業界の三倍という試算の根拠ではそうなっておるわけでありまして、私どもといたしましては、こういった数字の問題につきまして目下運輸省とも御相談して検討している段階でございます。したがいまして、政府としましてこれを公認した、こういう段階ではまだございません。
  62. 久保三郎

    ○久保委員 自動車局長にお尋ねしたいのですが、あなたのほうの発生ベースでやった場合に、先ほど赤字の発表がありました。四十二年度で二十六億、四十三年度二百二十五億ということでありますが、いまのこの契約ベースで大体試算してみたらどのくらいの赤字になるのですか。
  63. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 契約ベースでは、まだ厳格な計算をいたしておりませんが、保険会社でやっております契約ベースをそのまますれば、要するに六割と四割、再保率が六割でございますから、四分六に分かれるということでございます。いまさき申し上げました発生ベースによります計算というのは六割分でございます。特別会計は六割を再保険しておりますから、その六割分でございます。
  64. 久保三郎

    ○久保委員 そうしますと千七百億の赤字が予想されるというのは、これは全体の契約ベースですか。六割を除いたものではなくて、保険会社の分も国の再保険の分も入れて千七百億ぐらいの赤字になる。
  65. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 さようでございます。自動車損害賠償保険全体としましての分でございます。
  66. 久保三郎

    ○久保委員 いずれにしても天文学的な数字のような赤字の発表があって、いま大蔵省からのお話だと、保険会社としては大体三倍ぐらいに上げてもらわないと限度引き上げまでやれない。非常な問題だ、大きな問題だと思うのです。三倍に引き上げる、そして限度額の引き上げは三百万からたった五百万にしか引き上げられない。一般のドライバーその他から見ればあるいは被害者から見れば、保険の料率が三倍になったら限度額も三倍になるだろうと思うのが当然だと思うのです。しかしそれは御説明があったように、交通事故がどんどんふえてきたということであります。しかしそれほどにはふえない。これは三倍にはならぬでしょう。われわれは、保険会社というか、そういうところを信用しないわけじゃありませんが、どうも何か少しふっかけているんじゃないかという気がする。もしもそうでないとするならば、これは根本的にこの制度を考え直す時期にきていると思うのでありますが、運輸大臣いかがでしょうか。こんなべらぼうなことではとてもこの制度を、やっていけないですよ。いかがでしょう。
  67. 原田憲

    ○原田国務大臣 制度の改変については、久保さんのおっしゃる論は、この問題について私就任してお聞きをする機会がございました。これは久保さんは、現在の制度を、もう根本的に体制を全部変えて、いわゆる国営をやったらどうだ、こういうお説を聞かしていただいたのでございます。いま保険会社の試算というものに吹っかけがあるかどうか。これは私どもの最も信用のある日本の国の大蔵省当局とわがほうの責任者が寄って検討していきますから、これは数字の面でも明らかになってくると思います。  それはそれといたしまして、保険制度というものはやはりあくまで保険制度であって、その中におけるところの欠点を是正したらどうか。たとえば適用除外ということが行なわれておりますが、これなんかはこの際その保険というものに統一したらどうだ、こういうことは私自身としては私見として持っておりますし、今後この制度の上で考えなければならぬ点であると考えておりますが、やはり保険は保険としてやっていかなければならぬ。けさもちょうどあなたの御質問で事故問題がございましたけれども、また繰り返しになりますけれども、確かに政府が責任をもって事故の起こらないようにしなければなりません、政治というものは。しかし酒を飲んで自分が事故を起こしておいてそして逆に居直って、ああいう態度を見ていますと、いわゆる親方日の丸式に、掛け金かけてあるから何ぼなってもそれはおれの責任じゃないんだ、こういうことになりはせぬかということも心配しなければならぬ。やはり現在の保険制度で改変すべきものは改善していく、こういうことで全国的に網を持っておる、伝統のある保険という事業をやっておるものにやらすほうがいいのじゃないか、現在のところ私はそう考えております。
  68. 久保三郎

    ○久保委員 大臣は前にお答えがあったとおりなんでありますが、私は再びここで取り上げているのは、こういう保険財政だとするなら、しかも人間の命の値段と言ってはたいへんなんですが、最近の損害賠償の額も裁判の結果一千万以上のものが多いですね。そういう経済情勢だと思う。そこで被害者救済のサイドからこの制度を考えていけば、最低限のものは国がめんどう見ましょう。その上積みはいわゆる任意でやって、それで一千万以上の人命の補償はいつでもできるという体制を築くことが制度の正しい運営のあり方じゃないかと私は思うのであります。いわゆる自賠責は保険制度ではないと私は思うのです。単純な保険制度ならばもう少し違うと思うのです。これは限度額に応じて料率は取っているようでありますけれども、もう少し違っていいと思うのです。しかし最低限度というならば、保険は民間の会社におまかせして、赤字まで出してお気の毒だと私は思うのであります。政府の責任でその程度のものはやる、こういうのが一番いいと思うので繰り返して申し上げているわけなんです。ついてはこの自賠責というのはそういう保険制度から保障制度というもの、だからそういう意味からいっても国が全部めんどう見たらどうか。国が全部めんどう見れば親方日の丸になってしまうじゃないかと言うが、それは違うと思うのです、金は取られるのでありますから。ただ問題は、料率のあり方もこれは検討を要すると思うのであります。悪質な事故を起こしてさらにその車を動かすということになりますれば、料率は軽微な事故を起こしたものと悪質なものと違わせてもいいんじゃないか、事故をやらぬものとやったものでは。あとから取るのはおかしいかもしれませんが、あとから少しずつ取るというようなことも当然だと思うのです。これが公平だと思うのです。そういう制度は、やはり考えていけばいかようにも運営ができるんじゃないか。やはりおっしゃるとおり最低限五百万などは早急にやるべきだと思う。保険会社が赤字だというなら、どうか国に返してもらいたい、四割。国で運営できないはずはありません。やればすっきりしますよ、国民も。何かどうも、片方は現年度でいえば六割の再保険で、四十二年度は二十六億の赤字です。四十三年度は二百二十五億です。これは発生ベースです。契約ベースで見ると、四十三年度までの契約ベースだと千七百億の赤字になりますではちょっとどうも、これは算数に弱いせいかしれませんが、国民大衆としては理解に苦しむところじゃないですか。しかも五百万にするのにはさらに三倍にしなければならぬ、ばかばかしい話だと思う。三倍にするのだったらするような内容に持っていったほうがいい。保険会社の御協力もいただくことはいいと思う。だから代理店扱いにしたらどうか。さらに簡易保険の問題も保険業界との問題がございます。だから政府の手によって、郵便局を通して、郵政省を通してこの保険を扱わせることも一つの手だと思います。いろいろあるんですね。それから農協を通してもいいでしょう。あるいは職場にある共済組合を通してやってもいいでしょう。そういうものによってある程度人件費が浮くのですよ。だからそういう意味で、これはやはり抜本的な改正をすべきだと思うのでありますが、いずれにしても大臣と私の意見は少しく違うようであります。  大蔵省の意見を聞きましょう。いまあなたのほうで奨励していただきたいのは、任意保険をかけてもらう、その奨励をぜひしてほしい。大蔵省の職分からいえば保険会社の指導監督だから、そういう面の指導監督を強力にしてもらいたいと思う。自賠責についてはぼくが言うような方向でこれは検討すべきである、こういうふうに思うのだが、あなた専門家でしょうから、どういうふうに考えていますか、参考に聞きましょう。
  69. 松永正直

    ○松永説明員 ただいまの任意保険の問題でございますが、先生御指摘のように任意保険の普及を大いにはかる必要かある。被害者の救済といいますか、その立場からもその必要性はますます増大しておると存じまして、私どもといたしましても、保険業界に任意保険の普及に大いに努力せいということをせっかく指導しておる次第でございます。昨年でございますが、ペーパードライバー保険というそういう新しい保険を新設いたしまして、これはわが国においては免許証は持っているけれども自動車を持っていない、こういう人がまだ多数あるわけであります。そういう人を対象にいたしましてペーバードライバー保険、そういうものも新たにつくりましてやっておるわけでございます。普及率も年々向上してきておりまして、現在私最近の正確な数字を持っておりませんが、対人賠償につきましてはその普及率は相当高くなってきておると存じております。
  70. 久保三郎

    ○久保委員 これは政府の問題でございますから、いまお尋ねしてもなかなかいい回答は出ないと思うのでありますが、私はやはりこの際考える必要がある。  それからいまのペーパードライバーの保険でありますが、これは保険会社にやらせないで、警察庁は行ってしまったが、やはりこれは強制保険ですよ、こうなっては。車に保険がついているから何とかなるじゃなくて、やはり運転者の責任というものもあるわけです。免許証については当然強制保険にする、どこで管轄するかは別として、最低限のも一のはこの程度、二つでやる必要がある。時間もありませんからあれでありますが……。  最後に大臣にもう一ぺんお答えいただきたいのですが、五百万にするのには、さっき黒住局長は一番おそいところで秋のころのような話でありますが、秋風とともに去るでは困ってしまうので、もう少し――来春にはという約束だった。しかし三倍に料率を上げることについては業界が言うような問題があります。だからこの際、多少おくれてもというならば、私が申し上げたように抜本的な制度の改正を考えていくならばこれはまた考えようがありますが、いまのままで五百万に上げるのに三倍にするなんという計算ばかりやられたのじゃどうにもなりませんから、この辺のことはどうなんですか。
  71. 原田憲

    ○原田国務大臣 先ほど事務当局から大蔵省でもなすということばが出たのでありますが、私といたしましてはやはり可及的すみやかにこれを実現――おっしゃるとおり、抜本的ということになりますと、議論百出、結局議論ばかりで実現なしということになりがちなものです、世の中というものは。これは一日も早いほうがよいと考えております。したがって、久保さんのおっしゃっておる点の中で、現行の中でも具体的に取り入れられることが私はあると思って聞いておりました。さようなことによって掛け金の問題も三倍にならないような考え方もできる。できるだけ早く実現するように指図をして、あなたのおっしゃることを実現していきたい、このように考えます。
  72. 久保三郎

    ○久保委員 最後にもう一つ申し上げますが私ははじめわれわれのほうで前国会からずっと引き続いて自賠責の改正案を出しております。これは別にここでどうこうされるわけじゃおそらくないと思う。この特別委員会じゃなくて運輸委員会にかかっておりますが、われわれは少しでも政府なり他の党の方々の関心というか、そういうものをまず第一に深めていきたいということで提案もしておる。少数野党でありますから実現できません。大臣おっしゃった含みの適用除外の問題は自家保障の問題くらいはこの際、政府の手によってできることでありますから、これはやるべきだと思うのです。法のもとにはみんな平等であるべきだと思うのですね。そういう意味もあります。  それから抜本的改正については、一ぺん関係者集まって、いわゆる審議会にかけることとは別に、被害者救済あるいは損害賠償の保障制度というか、こういう制度について一ぺん検討する機会をお持ちになっていただけないものだろうかというように思うわけです。宮崎さんは総理府で各省庁にまたがることを一応おやりになる立場ですね。この自賠責というのはあなたのところにも関係あるんでしょう。そうだとするならば、ぼくの提案は、運輸大臣おられますが、大臣ベースの前に、事務ベースでもいいですから、この制度自体を抜本的に改正する会議というとおかしいですが、政府部内における意見をひとつ討議してみたらどうか、こういうふうに思うのです。そういうことがなければなかなか具体的に進まぬのではなかろうか。どうでしょうか、御意見。
  73. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 今国会に提案をいたしまして、近く御審議をお願いすることとなると思いますが、政府といたしましては交通安全対策基本法をいま考えております。もしかりにこれが成立することになりますと、その中で一つの大きな柱といたしまして交通安全に関します総合的長期的な計画を立てるということになっております。この長期的な計画を立てます場合にも、当然被害者救済対策をどう長期的に持っていくかということが一つの大きな柱にもなってくるわけでございまして、そういう基本的な長期計画を立てる過程におきまして、いま御指摘のような問題も当然今後検討すべきではないかと考えております。
  74. 久保三郎

    ○久保委員 基本法のお話をお出しになったけれども、そんなのを聞いているんじゃないですよ。交通安全基本法はてまえどもも三年前から提案しておる。今国会も提案をいたしております。政府はやっとおみこしをあげて対策基本法案なるものを提案されました。その中ではてまえどもも同様でありますが、基本的な計画を策定することになっております。しかしいま私が提言したことは、すでにわれわれは関連法規の一つとしてそれに近いものを出しているわけですね。制度改正ですよ。それから基本法や対策基本法を出したってそれで前進するものじゃないですよ。本来なら姿勢です。これは姿。その姿勢と同時に具体的な提案を幾つか出すのが、これは国民大衆に二年間も公約を怠った一つの責任じゃないですか。対策基本法だけ出せば何か二年前の公約を果たしたつもりでいられたんではかなわないということなんです。私が言うのは、対策基本法というのか、そういうのができなければいまの私の提言は動き出さないのですか。その中で計画に入れなければできないのですか。この制度をどうしようかという相談は一切できないのですか。いかがですか。
  75. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 御指摘の点は特に基本法の成立にもちろん関係は直接はございません。ただ私が申し上げましたのは、政府といたしましては対策基本法案を提案いたしました以上は、ぜひこれを成立させたいという頭がございますので、そういうことにもしなりました場合には、当然その長期計画を策定するという過程において議論をすべきことであるという趣旨で申し上げたわけでございます。
  76. 久保三郎

    ○久保委員 議論をすべきであろうということを私は提言しているのじゃない。議論をする、取り上げたらどうかということです。対策基本法が通過しなければ、成立しなければできないようなものじゃないですか。これはどうなんですか。あればその中で――あなたがおっしゃるとおりですよ。わがほうの提案もそのとおりです。だけれども、それが出なければ、通過しなければできないような問題じゃないのじゃないですか。あなたのところはそういう性格でしょう。関係省庁のほうに連絡調整というか、そういうこともおやりになっているでしょう。だからあなたのほうの大臣によって、その大臣から閣議なら閣議で取り上げて、それじゃ事務ベースでやりましょう、そういうこともあるだろうし、そんなところまで行かなくてもこんなことはできるのじゃないか。何をしていらっしゃるのですか。それを聞くのですよ。何かあなたはえこじになっているようだが、対策基本法ができなければ、そこでなければ話ができないようなことを言っているが、どうなんですか。もう一ぺんお聞きしますが、取り上げる用意があるかどうか、いかがですか。
  77. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 私の御説明が不十分でまことに申しわけございません。別に基本法の制定には直接関係ございません。したがいまして、こういう基本問題を検討すべき必要性がありとすれば、別の法律で、各省庁と打ち合わせをいたしまして、今後それを進めてまいりたいと思います。
  78. 久保三郎

    ○久保委員 こだわるわけじゃないけれども、この制度に最近は大きな問題が出てきたことは、あなたはここで聞いているとおりです。だから取り上げるべきであるかどうかとか、そんなことをおっしゃっているが、取り上げられない理由は何かありますか。取り上げるかどうか聞いているのですよ。だから取り上げるとおっしゃれない理由は何かおありなんですか。私もちょっとこだわります。
  79. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 ただいままでの時点におきましては、この自賠責の制度につきまして、もちろんいろいろの御意見があることは十分承知しておりますが、政府といたしましては、先ほど運輸大臣がお答えしたような線で大体考えを統一しております。したがいまして、将来の問題ということで申し上げたわけでございます。
  80. 久保三郎

    ○久保委員 この人はこの程度の答弁しかできない立場におられるのか知りませんが、いずれにしても、この制度はそういう議論をしていますので、運輸大臣にひとつ御尽力をいただきたい、かように思います。
  81. 原田憲

    ○原田国務大臣 重ねてお答えをいたしますが、私の考え方は、久保さんの御質問に対して先ほど述べたとおりでございます。しかし目的は事故を絶滅するということ、しかしもし事故が起きたとき、それに対する対策として何をなすべきかという問題で、その方法であろうと思う。私どもはこういう問題については英知を傾けるという態度が私はいいと考えております。現在は、おしかりをこうむるのでございますけれども、昨年にすでに大臣が、春にやるということまで断言をしておる段階でございますので、私は先ほど言いましたように、可及的すみやかにこの問題を持っていきたいと思っておりますが、これで万全というところまではなかなかまいらぬと思います。今後とも権威ある政党から出されておる案というものは、われわれがともに研究し、そのよきをとって実現していくことが国民のためになるのでありますから、私は先ほどもお答えをいたしておりますように、十分あなたの御意見というものを身に体して対策を検討していきたいと思います。
  82. 内海清

    ○内海委員長 板川正吾君。
  83. 板川正吾

    ○板川委員 ひとつ主として運輸大臣に……。  最近御承知のようにカーフェリーボートの事故が相次いでおります。前回の当委員会におきましても、淡路フェリーボートの事故について取り上げました。その際に私がいろいろ事故防止上の私見も申し上げました。その私見で私が心配したようなことがやられておれば、今度宇野港で四国フェリーの事故が起こったのでありますが、おそらく起こらなかったであろうと私は思うのであります。前回の淡路フェリーについてはすでに報告をされておりますが、四国フェリーボートの事故について、ひとつ簡潔にとりあえず海運局長説明してもらいたいと思います。
  84. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいまお話しのございました第十三玉高丸の転落事故の概要につきまして御報告を申し上げます。  昭和四十四年五月十一日午前一時五分、高松を出港し宇野に向かったわけでございますが、この船は四国フェリー株式会社所有のものでございます。二百七十トンございますが、同日午前二時二十二分ごろ、ランプゲートを仰角二十一・五度まで降下いたしまして、接岸しようとして岸壁の手前約二十メートルに至りましたとき、車両甲板の右舷後部に積載してございましたライトバンが、運転手みずから車どめをはずし、前方に積載中の小型トラック一台を迂回いたしまして前面に進み、乗り組み員の制止を聞かずランプゲートを乗り越えて海中に転落し、乗車中の四名のうち二名が死亡したというものでございます。  本件につきましては、玉野海上保安本部と玉野警察署で合同捜査を実施いたしまして、十二日午前九時三十分、乗用車運転手を業務上過失致死容疑で岡山地検に送致いたしておる次第でございまして、なお現在継続捜査中のものでございます。  簡単でございますが、御報告申し上げます。
  85. 板川正吾

    ○板川委員 この種の事件は、海上保安庁と海運局という職務の分限というのか、一体どこまで海上保安庁でやり、海運局というのはどこまでやるのかちょっとわからぬけれども、その点はどちらか説明してください。
  86. 澤雄次

    ○澤政府委員 お答え申し上げます。  海上保安庁は海上における法令の執行、海上の安全をつかさどる官庁でございまして、運輸省はこの中で船舶局、これは船舶安全法、船舶の安全に関する法令、それから船員局は船員に関するいろいろな法令、海運局は海上運送法を所管いたしまして、こういうカーフェリー業者の全般的な許認可あるいは取り締まりというものを実施いたしているわけでございます。
  87. 板川正吾

    ○板川委員 海上保安庁、海運局、船員局ですか、これでこういうフェリー業というものを免許もし、指導もし、取り締まりもしておるというのですが、これをまとまってやるところはないのですね。どこまでが海運局がやり、どこからどこまでを海上保安庁がやるのか。船員局の場合はこれは船員関係だろうとわかるのですが、こういう事故の場合にはどこが主たる責任をとろうとするのか、こういう点がちょっとはっきりしないのです。その点だけ……。
  88. 澤雄次

    ○澤政府委員 法令の取り締まりは海上保安庁が実施いたしますし、それから業者の安全、監督あるいは行政指導というものは現地の海運局長が実施いたします。現地の海運局は、船舶、船員、それから許認可事項を含めて、地方海運局長が全責任を持っております。
  89. 板川正吾

    ○板川委員 これは海運局長のほうかなと思うのですが、この事故の直接の原因は、いま報告されましたように少年運転手の錯覚によるという点はわれわれもほぼ明らかだと思うのです。しかし、もし安全施設が十分であれば少なくともこれは防止できたはずではないだろうか、こう思うのです。たとえば最近デパートなんかでも一、自殺があっちゃ困るというので、自殺する人を防止するために高い網まで張ってやたらに飛び降りできないようにしておりますわね。まして営業でお客を運ぶ、車を運ぶのですから、万一運転手が錯覚をし、勘違いをしてもそれを防止できるような安全の準備をするということが、私は船舶運送の業にあずかるものとしては当然だろうし、そういう施設を十分にするように指導しておくべきではなかったかと思うのでありますが、その点はどうなんでございますか。
  90. 澤雄次

    ○澤政府委員 先生おっしゃるとおりでございまして、この件に関しましてもよく言われますことは、ランプゲートと申しますが、自動車の乗り降りするドアでございます。このドアが閉まっておれば自動車は海中に転落しなかったであろうということは言えるわけでございます。それで淡路フェリーの事故のあとすぐ各海運局へ業者を呼びまして、ランプゲートは完全に接岸するまであるいは完全に陸から離れるまでちゃんと閉めておけということを通達いたしたわけでございます。この四国フェリーに対しましても事故の前日、四国海運局からそういう注意をいたしておったのでございますが、やはりランプゲートがあいた。これはこの船の場合、ランプゲートを少し開かなければ着岸がしにくいということであったわけでございますが、それならばそれで船の内側に鎖を張るということをすれば万全の措置ができたかと思います。そのような点、今後厳重に船会社に注意をしてまいりたいと思っております。
  91. 板川正吾

    ○板川委員 ランプゲートを下げて視界を広くして接岸するときのショックを少なくするというのは、あるいは運航操作上必要かもしれませんわね。それならばいま言ったように、この前に遮断装置を設備するようにちゃんと規定なりをそろえて指導したらいいんじゃないでしょうか。これは私は、実際にあまり乗ったことがないからちょっとわからぬで、いま資料をもらったのですが、たとえば海には潮の満ち干がありますわね。     〔委員長退席、田中(榮)委員長代理着席〕 同じ岸壁に着くにしても、固定された向こうの陸上の端に着くにしても、あるときは、水が満ち潮なら船のほうが高くなるかもしれませんし、引き潮のときには先が高くなって、向こうのほうが高くなるのじゃないですか。ですから、おそらくこの少年もエプロンドアというのですか、ランプゲートといいますか、これを二十度程度開いて、そして接岸しつつあった。こっちから見れば、運転する者としては、それは引き潮のときにはそういうこともあると思うのじゃないですか。だから、別にこれは到着したのだから、早くおりようという気持ちで、そこが少年ですから、免許証取りたてでしょうから、運転経験もないから、あわてて飛びおりた、飛び込んでしまったということになるのだろうと思うのです。しかし、そういう少年の錯覚などがあったとしても、それを防止し得るような措置を――営業で客や車を運ぶのですから、十全な措置をしておくように、事前に海運局としては、通達等で、規定がないというなら、乗船指導でそういう点をなぜいままできちんとしておかなかったか、こう思うのですが、それは今後やるということのようですから、過去を多く問うてもしかたがないかもしれませんが、その点において、いわば海運局の一つの怠慢があったと私は思うのです。  淡路フェリーの場合に議論になったのでありますが、当時の新聞に、その同社の専務の某が、ランプゲートは開いて出航したって別に違法じゃないのだ、こういう意味のことを――これはどこまで真実か私もわかりませんが、一応新聞でそういう報道をされておるのですね。開いても違法じゃないのだ、こういうものの考え方、違法でなければそのために事故を起こしても責任は向こうにもあるのだと言わんばかりのものの考え方、こういうところに人命の安全というものに十全な気を配っていないという心がまえがあるのじゃないでしょうか。そういう点を私どもは感じたのです。ところが、海上保安庁か、海運局か、係官の場合には、それと同じ趣旨をこの間ここで言っておるのです。それは、出航しても別にだいじょうぶです、車どめはしてあるし、そうおっこちる心配はないのだ、うしろはあけっ開きだってだいじょうぶです、こういう言い方をする。そのときに私は言ったのですが、事故なんというのはだれもだいじょうぶだと思っておるところに起こるのですよ。十字路の交通事故だって、両方が完全に法規を守れば起こるはずはない。どっちかに心のゆるみ、あるいは錯覚、勘違い、そういうものがあるから事故が起こるのであって、そういう勘違いやそういう間違いが、錯覚があったとしても起こることを防止するというのが事故防止の対策だろうと思うのです。そういう点で、従来、海運局や海上保安庁のそういう面の指導が十分ではなかったと私は思います。  そこで、いま資料をいただきましたが、五月十二日に運輸大臣が通達をして、フェリー事故防止のための通達を出した、この要点はどういう点になっておりますか。
  92. 澤雄次

    ○澤政府委員 御説明申し上げます。  この淡路フェリーの事故のあとに引き続きまして、四国フェリーの事故が起きましたので、運輸大臣から、五月の十二日に、次の点について至急再指導をされたいということを地方海運局長に通達いたしたわけでございます。一つは、ただいま先生のおっしゃっておりましたランプゲートは、それは閉じてから必ず発航しなさい。それから、着く場合も、航行に支障がない限りはランプゲートをあけないように、着岸してからランプゲートを開くように。それから第二点は、陸上と船内との責任者の明確な連絡方法を確立しなさい。特に夜間の場合には特段の方法を講じて、それが明瞭に連絡できるようにしなさい。それから三番目が、陸上及び船内に自動車を制止するための施設を、ただいま先生のおっしゃいました制止するための施設を設置しなさい。四番目は、船の中におきましては、他の法令の規定のあるときを除いて、原則として乗客は自動車の中にとめておかないように。こういうことを業者に厳重に再指導しろ。こういう大臣の通達を出したわけでございます。
  93. 板川正吾

    ○板川委員 この通達の四番目でちょっと伺いますが、これはこの間私が議論した点に関連しているのだろうと思うのですが、乗客は船内においては自動車内にとめないということは、自動車を乗りおりするときは運転手だけが――車掌がバスの場合いるかもしれません。添乗者がいるかもしれませんが、普通乗用者の場合には、運転手が中に乗って、そして、車内にいる者は一般の乗客として船内に入るように、車の中に一緒に乗って入るな、ということなんですか、この四番目の趣旨は。  これは、私が実態をこの間聞きましたならば、バスの場合は全部が、運転手なり添乗者なりが車を乗せる、お客さんは別の口から船室に入る。その方式で、こういう乗用車の場合も、運転する者だけが乗るという方式をとられたらどうかと私は言っておいた。そういう方式をとられておれば、今度の場合のように、少年はあるいは海の中へ落ちたかもしれない。しかし、本人は泳いでいきましたからよかったけれども、うしろへ乗っておった、あの二人の女の人は死ななくて済んだのですね。ですから、こういう危険な場所ですから、万一のときですから、乗っているお客は、荷物は入れてもいいにしても、人間はやはり一般乗客と同じように別口から乗ったほうが万が一の場合安全じゃないだろうか、こういうことを言ったのですが、これはそういう趣旨ですか。
  94. 澤雄次

    ○澤政府委員 バスの場合は、先生のおっしゃるように、乗降の際はバスからお客がおりておりますが、一般乗用車につきましては、この四の趣旨は、乗船、下船のときはやはり車に乗って乗下船いたしたほうがかえって混乱が少ない。これはカーフェリーの現場をごらんいただきますとすぐわかるのでございますが、非常にたくさんの自動車とそれから乗客がおりまして、それが全部おりて乗りますと、かえって現場は混乱いたしまして、それはむしろ普通の乗用車の場合は、車に乗っていたほうが混乱が避けられるのではないか。これは車に乗ってしまいましたら、運転者も含めて、原則として自動車から全部出ていく、船室のほうに行ってもらいたい。と申しますのは、安全法によりますいろいろな救命設備等は、船室のほうに置いてあります。それで船室のほうに行け、こういう指導をしたつもりでございます。
  95. 板川正吾

    ○板川委員 私は乗用車の場合でもこういうふうにフェリーボートを利用するのがふえてき、しかもますます業界全体もふえてくる。おそらく客扱いするものも、しろうとがなるだろう。運転する人も、経験を積まない、こういう者がどんどん出てくる中で、それはなるほど乗りおり口が一つですから、別にすると混乱するかも一しれませんが、将来は大型化すれば乗りおりするところは、自動車が乗りおりするところと、そのわきに人が乗りおりするくらいの設備をして、やはりそこに自動車と乗客は多少混雑があっても、私は別にするほうがほんとうじゃないかと思いますね。これはひとつ検討してください。     〔田中(榮)委員長代理退席、委員長着席〕  それからこの資料によりますと、これは海運局で出された資料ですが、昭和三十九年から四十三年まで四年間に航路の数は七十一から百三十四、これは一九〇%、事業者数は五十五から百四、一九〇%、船舶の隻数が六十八から二百四十五、三六〇%、トン数は一万五千六百四十八トンから七万七千三十五トンということですから、これは四九〇%、自動車の輸送量は三十九年が二百八十三万から四十三年が、これは推定のようですが二八 〇%、こういうふうに非常な勢いでこの数年間、業者数もふえるし、航路もふえるし、特に船舶の隻数と総トン数が非常にふえている。隻数と総トン数のわりあいに、自動車の輸送量はそれほどでもない。もちろん二八〇%ですから二・八倍になったのですから、需要が非常にふえていることは事実ですが、船舶の隻数、総トン数というのは一応輸送能力と考えてもいいのですが、この輸送能力から見ますと、自動車輸送量がやや少ない、こういうようにこの資料で見受けられますね。そうしますと、これは航路数、隻数、従業員が急激にふえたために、訓練が十分じゃないということになるだろうと思います。それから総トン数が五倍近くなっておるということは、いわば事業者が経営上多少あせりがあるような感じで、収支のほうに響いてきて、安全対策というよりも収支関係のほうに念頭を置く。ちょうど石炭産業がぐあいが悪いときに、石炭の安全対策よりも、経営のほうに念頭を置いてときどき事故を起こすように、総トン数がふえるわりあいに、まだ輸送量が追いついていませんから、そういう意味で経営の基盤が脆弱な点もあるだろう。そういうような「自動車航送航路の推移」という資料から見ますと、感じられますね。そういう業界の実態というのを見て、やはりもっと先行的な行政指導というのをやらなくてはならないのじゃないですか。これは業者のいまの実態のままにまかしておったら、また同じような事故が起こる感じですね。きょうでしたか、二、三日前でしたかの毎日新聞にありましたけれども、陸地からおろす渡り板ですね、あの渡り板の写真なんかを見ると、ちゃちなワイヤーロープをつるして上げ下げしているようであるけれども、あれなんかも年代がくると切れて、その上に乗った自動車が海の中へ落ちるということもあるような感じがしますし、安全に対する万般の指導というのが十分ではない。しかもこのカーフェリーボートの事業というのが、マイカー時代を迎えて非常な勢いでふえておるということから考えて、もう少し真剣な安全対策というものを立ててもらいたいと思う。きょうは特に大臣に聞いていただきたいのは、前回は国鉄運賃の問題で忙しいと思って遠慮したのですが、どうも真剣にこういう対策に取り組まない感じがするのです。こういう新しい重要な問題ですから、もっと安全問題に取り組んでもらいたいという気持ちで、特に大臣に出席を要求したのですが、ひとつ大臣からお答えをいただきたいと思います。
  96. 原田憲

    ○原田国務大臣 フェリーの事故につきましては、けさほどから運輸委員会でも御質問に対してお答えを申し上げてまいったのでありますが、ただいまも板川委員からこの交通問題を処理しておられる委員会におきまして貴重な御意見を承りまして、深く感謝をいたしております。  フェリーボートの事故に関しましては、まことに遺憾なことでございまして、私はなくなられた方々に衷心から弔意を表しておるのでございますが、何しろ淡路フェリーで事故が起きまして、さっそく私は、こういう事故は再び起こしてはならないと考えまして、それぞれ指図をいたしておりましたところ、十一日にまた連鎖反応的に同じような事故が生じたのは、まことに残念でありまして、しかもこの十一日からは交通安全のための特に週間である。総理府総務長官が閣議においてこのことを発言された中に、特に今度の交通安全の中では運輸大臣が閣議で提案をされた、いわゆる酔っぱらい運転というものについて特に力を入れてやりたいという発言がありました。私は運輸関係の責任者でありますから、特に事故がなからんことをと思っておりましたところが、その十一口に、また続いて起きたということで、さっそくいまお聞き及びのように、海運局長をして私の名前で特に通達を出さすとともに、淡路フェリーに対しましては、本日付をもって改善方の警告書も送付いたしました。  いまお話しのように、このフェリーというのは新しい海の中の企業でございますので、十分でない点があったと思います。いままで事故がなかったことがふしぎかもわかりません。そこで船舶の安全法、あるいは海上の運送事業法、あるいは船員法、これらの込み入ったいろいろな問題が一致して注意を払わなければ安全というものが期し得ないと考えますので、これらの点につきまして十分注意してまいりたいと思っておりますし、できることならば、いま私が指示いたしましたような点を交通安全法の中へ取り入れて法制化をすることを検討させてもみたいと思っておりますが、何しろいま御存じのとおりレジャーブームで、一億国民がほんとうにあらゆる手段で休みには出ていかれるそういうときでありますから、安全を期するためにはあるいは人気の悪くなるようなことがあるかもわかりません。いまの自動車事故にいたしましても、私はあなたのおっしゃるとおりそういう人がおっても事故が起きぬようにするのが行政の責任であるとは思いますけれども、自分ではずして出ていくというようなそういう人々に対しては、法規制をしたりやかましくいうことは人気の悪くなることでありますけれども、それによって安全を期せられるのでございますから、今後はそういう点には私どもは十分厳重にやっていきたいと思いますので、先生方の御了解も賜わりたいと思うのでございまして、しかして事故が起こらないように十分の注意をいたしたいと思う次第でございます。
  97. 板川正吾

    ○板川委員 私も、鎖があってそれをはずして飛び込むというものまではどうかと思うのですが、その少年が車どめをはずしていったというのは、いわば錯覚だろうと思うのです。前が少し、二十度くらい高くなっているといっても、引き潮のときにはそういう場合もあるのだろうと思ったのでしょう。だからこれは接岸しているのだというふうに思ってあわてて上がったに違いないと思うのです。だからそういうような錯覚があっても、万が一を考慮して完全にランプゲートが向こうに定着するまではそこに遮断装置をしておく、こういうふうなことをやればその少年もわかったに違いないだろう、こういう意味で、ゲバ棒をふるってはずして飛び込むものの安全をという意味じゃありませんから、ひとつその点は誤解がないように……。  それから、今度こういう事件で、たとえばなくなった方は、救済なりはこの場合には自動車賠償法の適用を受けるのですか。
  98. 澤雄次

    ○澤政府委員 私は所管ではございませんが、淡路フェリーの場合に自動車局長の意見を聞きましたところ、自動車を運転していた人に過失がある限り自賠法の適用は受けられるはずである、こういうことを自動車局長は申しておりました。
  99. 板川正吾

    ○板川委員 自賠法の適用を受ける。ただし私は、船側にも十全な措置をとらなかった、たとえ法規がどうあろうとも、そういう意味において民事上の責任というのは当然負わさるべきだ、こう思いますね。自賠法以上の問題については船側でやはり賠償責任があるだろう、法規に書いてないからいいのだということでその責任を免れるわけにはいかない、こう思いますが、これまた常識上当然でありますね。わかりました。  きょうは三時半までの時間でありますから、以上をもって終わります。
  100. 内海清

    ○内海委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十四分散会