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1969-06-18 第61回国会 衆議院 商工委員会 34号 公式Web版

  1. 昭和四十四年六月十八日(水曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 大久保武雄君    理事 宇野 宗佑君 理事 浦野 幸男君   理事 小宮山重四郎君 理事 藤井 勝志君    理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君    理事 堀  昌雄君       天野 公義君    小笠 公韶君       小川 平二君    大橋 武夫君       海部 俊樹君    神田  博君       鴨田 宗一君    小峯 柳多君       齋藤 憲三君    島村 一郎君       菅波  茂君    田澤 吉郎君       丹羽 久章君    増岡 博之君       三原 朝雄君    石川 次夫君       加藤 清二君    勝澤 芳雄君       佐野  進君    千葉 佳男君       中谷 鉄也君    古川 喜一君       武藤 山治君    塚本 三郎君       近江巳記夫君    岡本 富夫君  出席政府委員         特許庁長官   荒玉 義人君  委員外の出席者         参  考  人        (静岡薬科大学         学長)     伊藤四十二君         参  考  人        (特許制度擁護         連盟理事)   大條 正義君         参  考  人         (協和発酵工業         株式会社社長) 加藤辨三郎君         参  考  人         (日本特許協会         理事長)    五月女正三君         参  考  人         (日本大学教         授)      杉林 信義君         参  考  人         (日本通信協力         株式会社取締         役)      中村 幸雄君         参  考  人         (弁理士会会         長)      湯浅 恭三君         専  門  員 椎野 幸雄君     ――――――――――――― 六月十八日  委員内田常雄君、遠藤三郎君、黒金泰美君、竹  下登君、橋口隆君及び栗林三郎君辞任につき、  その補欠として三原朝雄君、菅波茂君、齋藤憲  三君、福永健司君、田澤吉郎君及び中谷鉄也君  が議長の指名で委員に選任された。 同日  委員齋藤憲三君、菅波茂君、田澤吉郎君、三原  朝雄君及び中谷鉄也君辞任につき、その補欠と  して黒金泰美君、丹羽喬四郎君、橋口隆君、内  田常雄君及び栗林三郎君が議長の指名で委員に  選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出第  七四号)      ――――◇―――――
  2. 大久保武雄

    ○大久保委員長 これより会議を開きます。  特許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として静岡薬科大学学長伊藤四十二君、特許制度擁護連盟理事大條正義君、協和発酵工業株式会社社長加藤鮮三郎君、日本特許協会理事長五月女正三君、日本大学教授杉林信義君、日本通信協力株式会社取締役中村幸雄君及び弁理士会会長湯浅恭三君、以上七名の方に御出席を願っております。なお、杉林参考人が都合により出席がおくれておりますが、間もなく出席いたしますので、御了承を願います。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には御多用の中を本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。本特許法等の一部を改正する法律案についてそれぞれのお立場から忌憚のない御意見を承り、もって本委員会の参考に資したいと存じます。  なお、御意見の開陳は一人十分以内におおさめくださいますようお願い申し上げます。御意見の御開陳のあと各委員からの質疑がありますので、御了承を願います。  それではまず伊藤参考人にお願いをいたします。
  3. 伊藤四十二

    ○伊藤参考人 私はいろいろ法律的なむずかしいことは全くしろうとで存じ上げません。いろいろと今回の改正案につきましては問題があるように資料等で私は拝見いたしております。ただ、私、たまたま過去五年間東京大学の付属図書館長の職をつとめました。また、日本学術会議の学術情報研究連絡委員会の委員あるいはまた国際ドキュメンテーション連盟の役員をいたしました。そういうふうないわゆる情報管理、ドキュメンテーションあるいはまた広義における図書館の立場から今回の改正案に関しまして私の考えを申し上げさせていただきたいと存じます。  もうすでに過去数回にわたって慎重な御審議をなさいまして、また私も官報で本委員会の御審議の内容も拝見いたしておりますので、数字的な、またこまかいことにつきましては一切省略させていただきますが、私が今回のこの改正法律案を拝見いたしまして、最も危惧いたしております点は、特許情報の処理がいかに円滑に行なわれるかという一点でございます。申すまでもなく、国際的に申しまして、科学技術情報は年ごとにはんらんいたしてまいっております。基礎科学、またその応用である技術の情報だけでも、情報管理の任に当たっている者はもちろんのこと、その研究に携わっておる者あるいは実際に技術に携わっている者はそのはんらんにまことに困っておるのが現状でございます。で、それをいかにして円滑に処理し、有効に研究あるいは生産に直接役立てるようにするかということが現在のわが国の大きな課題になっておることも、先刻御承知のことと存じます。  私、また科学技術会議の情報部門の委員を仰せつかりまして、数年前から、やはりいかにして日本の科学技術情報管理体制をうまくまとめていくかということについて、その協議の席の一端をけがしておるわけでございますが、そういう見地からいたしますと、現在でもこの特許情報というものは、これはまた一般の科学技術情報の一環ではありますけれども、特殊な内容の情報として、現在公告されております情報だけでもその処理がなかなかたいへんなことであり、各企業体において直接特許の関係をやっていらっしゃいます方々の間でも常に真摯な研究が行なわれているわけであります。そこへもってまいりまして、今度公開公報というものが出るようになりますと、いままではたとえたいへんではありましたでしょうが、特許庁内部におきましてエキスパートである審査官の方々が、申請されましたすべての種類の特許出願に対して、審査の結果ふるい落として、それが特許公告として情報源になっていたわけであります。ですから、利用者は安心してそれをフルに利用できる。ところが今回の公開公報というものが出るようになりますと、しかもいろいろ拝見いたしますと、飛躍的に大きな数字になっております。従来の特許公告のたとえば五万件というのに対して二十万とかというふうなことを拝見しておりますが、その特許公開公報の中の資料というものがおよそ半分あるいはまた六割近くが全く捨てられるべき情報であるというふうに拝見いたしております。そうなりますと、どういうふうにしてこれからそういう情報を整理していけばいいか、これは大問題だと思います。  まず、審査官の方々も現状におきましても膨大な特許出願数を処理していかれるのに資料をお調べになる、そのやり方について、私は現在詳しくは存じ上げておりませんが、たいへんだろうと思うのであります。一般に、日本におきまして、これは特許に関することばかりでなく、すべてにわたって言えることでありますが、いわゆる情報管理、あるいはまた図書館というものに対する一般の認識が非常に薄い。そのために非常に重要なことでありながら図書館あるいは情報管理のほうの仕事がおろそかにされておりますために、どれだけ目に見えない大きな学問的あるいは技術的、産業的な損失があるかというということを、この際私どもあらためて認識する必要があるのではないかと存じます。現に、私たまたま五年前でございましたが、ドイツの新しくできましたミュンヘンの特許庁の建物へ参りまして、特許庁の図書館を拝見いたしました。そのときにたいへん驚きましたことは、十一階建てだと思っておりますが、非常に大きなビルディングでございます。そうしてその地下に、構造上地下でないとばく大な資料が置けないために、地下に資料の書庫が置かれているわけであります。そうして審査官の方々は一階から上、十一階までの間にいらっしゃるわけでありますが、各部屋に分かれていらっしゃる。そこヘジーメンス・ハルスケが設計いたしましたエレクトロニクスを応用いたしました自動搬送装置というものを地下から十一階の縦、それから各階の横、水平、自由にボタン一つでレールの上を目的のところまですぐに運ぶように、これくらいの箱でございますが、そこへ資料を入れて、すぐそれを送り届けるというふうないわゆる機械化が進んでおる。そのためにどれだけ能率があがっているかわからないということをその特許庁の方から伺いました。そういうふうに、まず特許庁の中における審査業務に著しく機械化によって貢献しておると同時に、もう一つ私驚きましたことは、その図書館の非常に整備されておることであります。つまり、国民が参りまして特許に関係のある調査をいたそうという場合に、いわゆる参考室、レファレンス・ルームというものが非常に完備しておりました。もう普通の図書館以上に完備しておりまして、そうしてその資料の利用もきわめて円滑に行なわれて、迅速に行なわれるというのを見まして、やはり私どもも、できることならばまずそういった資料の完全な整備、そしてそれの迅速的確な利用、いわゆるインフォーメーション・リトリーバルという面をこの際思い切って強化されない限りは、つまりそれを並行してやっていただかない限りは、この公開公報を印刷して、それを御発行になっても、結局はむだな仕事に終わるのではないか、たいへん失礼な言い方でございますが、そういう危惧を抱いておりますので、私そういう点から意見を申し述べさせていただきます。  どうもありがとうございました。(拍手)
  4. 大久保武雄

    ○大久保委員長 次に大條参考人にお願いいたします。
  5. 大條正義

    ○大條参考人 私は特許制度擁護連盟の大條でございます。  いま御意見を申し上げたいと存じますが、私どもの特許制度擁護連盟は、発明者の団体五団体からなる連盟でございます。これは民間発明者の集団によりましてこの意見が総合的に自主的に形成されたものでございます。そこで、私がいま申し上げる意見もこれは発明界の意見であるというふうに御了承いただきたいと思います。元来発明界は発明協会が発明者の意見を代表すべきものと私は考えるのでございますが、遺憾ながら発明協会の本部が現在のところ御検討になり陳情されておるところの意見というものは、発明界の意見を代表するものではない、私はそのようにあえて申し上げる次第でございます。これからも失礼なことばを申し上げることがあるかもわかりませんけれども、どうぞ御海容のほどをお願いしたいと思います。  発明界の意見とあえて申し上げましたが、この発明界の意見といたしましては、今回の改正案には結論を申し上げますれば強烈に反対しております。その反対の理由を申し上げます。  順序ならば反対の理由は、どういう欠点があるのかということを先に申し上げるべきでございましょうけれども、たまたま私は工業所有権審議会の委員を仰せつかっておりました関係上、審議会の模様を逐一承知しておりまして、その状況において私なりに感じたことが入ってまいるので、どうぞお許しいただきたいと思います。そこでその反対の理由を四点に分けて御説明いたします。  まず第一点でございますが、この改正の準備にあたりまして、改正の姿勢というものについて正しくないというふうに私は感じるのでございます。なぜならば、まずその改正案につきまして、その発明者の権利、義務に重大なる変革を加えることになるのでありますが、担当官庁でありますところの特許庁におかれましては、この改正というものが、手続に関する一部改正であって、本質に変更を加えないというふうに説明されておるようでございます。しかしながらこの点では、後ほどちょっと申し上げることがあると思いますけれども、発明者の権利、特許権そのものには変わりはないといたしましても、発明者の権利というものに関しましては重大なる変革があるわけでございます。簡単に申しますと、秘密の解除ということが公開によって行なわれるわけでございますが、その点に関連いたしまして重大な変革が加えられておるということを申し上げたいと思います。  次に小委員会のメンバーでございますが、実働メンバー、すなわち絶えずこの小委員会の審議に携わった者、すなわちこの法案の立法以前の段階であるところの審議において、この答申案を作成した当事者、これが十五名ございますが、実働メンバー、つまり常々顔を出しておられた方は十四名であったと私は考えますが、そのうちで研究、発明に携わったことのある者、これは私の誤りでなければ、私だけであったというふうにあえて申し上げる次第でございます。しかしこのような研究、発明ということを基礎といたしますところの特許制度においては、一番拘束を受けるのは発明者であり、研究者であるべきはずでございますから、元来ならばこの一番重要なる当事者を相当数加える必要があったのではないかと思います。審議会の改正部会、つまり全体の会議におきましては、相当数の発明、研究者がおられますが、中にはたいへんりっぱな先生方もおられるわけでございますが、遺憾ながらその実質審議に当たった十五名のうちには、そういう研究、発明者――私などは退役でございます、現役の方はもちろん一人もおられぬというような状況でございまして、きわめて遺憾でございます。  それからさらに、当初からオランダ式の検討、これはオランダ方式、御存じのとおりの繰り延べ審査制度の一つでございますが、その検討に終始いたしまして、その前提になるところの対案を考えるというようなことをやっておらないというふうに私は考えます。  次には、この審議会は、遺憾ながら第三読会的な、つまり全体的に、総合的に判断をして、この第二読会的な詳細なる審議をやったものについて、どのようにしてこれを取り扱うかということにつきまして、十分なるそういう反省するという意味での審議は行なわなかったと私はあえて申し上げる次第でございます。また特許庁におかれましては、審議会が事務の改善の審議を行なうようにということを初回の審議会におきまして私は御提案申し上げたのでございます。これは非常に重要なことで、元来、この制度を改正しようという動機も、審査の促進というところに第一のねらいがあったわけでございますから、そういう点から事務改善、人員増加その他を含めまして、一切の事務改善につきまして審議会が検討すべきであろうと私は思っておったのでございますが、その審議会の過程におきましては、残念ながらその審議は行なわれませんでした。後において特許庁とされまして、その審議もやろうじゃないかということを、再提案を最後にいたしましたが、そのおりには受け入れられたと私は考えておりますけれども、まだ全然取りかかっておりません。今度の改正案にはこれは全然関係なかったわけでございます。  また、この繰り延べ審査制度というものの歯どめとすべきものは多数ございます。先ほど伊藤先生の言われたようなドキュメンテーションの問題ももちろんございまして、そのほか裁判所機構を拡充しなければならないのではないか、あるいは新規性調査機関を設置すべきではないか、あるいは多項クレーム制、緊急審査制度、あるいはノーハウの保護、実用新案は簡易審査などにとどめて、特許に重点を注ぐべきじゃないかなどという問題は、およそ審議会においては無視されたのであります。  次に反対の理由の第二点といたしまして、二重研究、二重投資の防止、審査促進ということがメリットとしてうたわれているわけでございますが、これは砂上の蜃気楼、机上でつくりましたところの蜃気楼にすぎないものではあるまいかと私は思っております。なぜならば、研究者は二重研究にそれほど神経質になるという必要がないと存じます。時間がありませんので、こまかく申しませんが、研究の内容とその成果が全く一致するような同一のものの研究などというものは希有でございます。それから重複投資で、これは実施上の投資で重大なる実損があったということを寡聞にして残念ながら聞いておりません。そのようなことで、また二重研究の防止に実際実効あらしめるためには、その公報調査を十分やる必要があるわけでございますが、現行の特許公報ですら資料管理がたいへんむずかしい。さらにここに非常に多数の公報が出るということにおきまして、その前提となるところの調査機関というようなものも設置をしないということで、これは重複研究、重複投資の防止ができるはずがないのではないかと思います。  次に、この二重研究、二重投資の問題につきましては、学会誌とかあるいは無審査国の公報などというものが出るわけでございますから、そういうもので研究者は検討しておるのでございます。したがって、怪しげな公報、公開公報というようなものなどは、おそらく今後もたいして調査が行なわれないのではあるまいかと思います。  それから次には、審査期間が権利確定までの期間を意味するといたしますならば、現在よりもかえって審査期間が延びるのではあるまいかと思います。したがって、以上述べたような改正案についてのメリットということは事実上はなくて、これは蜃気楼にすぎないと私はあえて断言いたす次第でございます。  次に、反対理由の第三点といたしまして、改正案には繰り延べ審査制度を安全に運営するための歯どめが施されていないのではないか。これはブレーキのない自動車のごときではないかというふうに思います。これは発明者が公開によりまして模倣競争にさらされるという事実がございまして、そういうことのために非常に模倣の機会が多くなり、かつ、実質的に救済がなされません。  次に、審査期間が短期であればまだ救済も道もあるのでございますが、短期であるという保障は全くございません。むしろ審査期間が延びるのではあるまいかというふうに思います。  次に、裁判所機構の充実とか、先ほど申し上げたような歯どめでございますが、このような制度が暴走するであろうところのそれに対する歯どめというものがございません。  また、高額の料金などによりまして低所得者とか帰人発明家などが犠牲になるということを防止できないのであります。  次に、中小企業者にとりまして特許制度は大資本がかりに横暴だといたしますならば、端的に申しまして、それに対抗する武器である特許が使えないということが事実上起こるので、このようなことから特許制度がなくなったと同様な状態を呈するであろうと思われます。そういう場合中小企業は勢い犠牲にならざるを得ません。  次に、反対理由の第四点といたしまして、拙速でもこれを改正しなければならぬかどうかという問題でございます。以上申し上げたように、きわめて素案ではないかというふうに考える次第でございますが、それでもあえて改正すべきかどうかという問題でございます。これは私の考えといたしましては、どうしてももう一年あるいは二年という比較的短期間これを再検討する必要があるだろうと思います。この間にどのようなことが起こるかということでございますが、現在滞貨解消といわれます対象であります滞貨は六十七万数千件といわれておりますが、正常滞貨、普通に当然あるであろうと思われる滞貨が約四十万件と考えられます。これがなければむしろ特許制度の運用が十分にできない、審査が十分に行なわれないのでございます。したがって、本来の意味の滞貨というものはその残りである二十七万件でございます。これは審査負担にいたしまして一年数カ月分でございまして、それでも滞貨はないほうがいいわけでございますけれども、それが直ちに特許制度を圧迫してどうかなるというようなものではございません。  次に、過去において定員どおりの増員をもし行なっておったならば、この滞貨もなかったわけでございます。数字的根拠も十分にございますが、時間がございませんから省略いたします。いまからでも、この新法をかりにやるといたしましても、出願数に見合うだけ、現在ならば二十万件、来年ならば二十数万件というものに見合うだけの増員というものはどうしても必要でございます。  次に、先ほど申し上げたこの改正案のメリットが事実上ほとんどないというのに対しまして、歯どめの具体策を中心といたしました問題点が非常に多い。そのために、これは政府審議でやるべき問題でございまして、国会審議で一部修正その他の手段をもってこれを解決するということはちょっとむずかしいのではないかと私は思います。  また、現行制度にも十分にまだメリットがあればこそ多数の出願が現在でもある。長期の問題は別といたしまして、このメリットはここで一、二年の審議期間になくなるであろうとはとうてい考えられません。また、この歯どめの内容としましたら多数問題点があると申しましても、一応問題点が非常に明らかに摘出されておりますので、この検討といたしまして一、二年で十分審議ができると私は確信する次第でございます。  以上のことから、全体の結論といたしまして、改正案のメリットはないのだ、問題点が非常に多過ぎる、かつ技術的、専門的事項でありまして、これは国会の審議にはなじまないのではないかというふうに思います。したがって今回の改正案は、非常に遺憾でございますけれども廃案といたされまして、ここ一、二年の政府審議にぜひおゆだね願いたいものと私は懇願する次第でございます。  以上をもって終わります。(拍手)
  6. 大久保武雄

    ○大久保委員長 次に加藤参考人にお願いいたします。
  7. 加藤辮三郎

    ○加藤参考人 私は直接生産事業を経営しておる者でございます。また同時に相当多数の特許出願もいたし、また特許権も保有しておる者でございます。そういう立場で私の意見を申し上げたいのであります。  私はいま申しました立場から考えまして、今回の法案は基本的に賛成をいたしておるのであります。と申しますのは、いますでに三年あるいは四年というように待たされる現状にあるのでありまして、私ども産業に従事しておる者から見ますと、この三、四年というような年限は、これはたいへん長い年限であります。いま申すまでもないのでありますが、科学技術の進歩は文字どおり日進月歩でございます。しかも世界的に競争がはなはだ激甚でございまして、私ども三年、四年というこの年限を便々と待っておるというような事態は、実はしんぼうができないという感じを持つものでございます。  そこで、今回の改正の要点は、早期に公開するということと、そして落とされたというんですか漏れたものを審査請求することによって調査をしてもらう、こういうふうになるわけでございます。ところがこの早期公開、これがいま大條さんのおっしゃったようないろいろの問題も含んでおるとは思いますけれども、事実いままで何べんも何べんもこれは討議され検討され、また改良されようとしたのでございますけれども、とうとう今日まで一ぺんもそれは成功しておりません。たとえば大幅の増員をいたしまして審査を早めるというようなことも、毎年毎年といっていいほど企てられておるのでありますけれども、一向にこれはきき目はございません。それは発明の出願の件数がどんどんふえてまいりますので、少々人員を増加されましても、その能力をこえてもっと多く出願されるからでございます。それが現状なんです。それで、先ほど大條さんもおっしゃいましたように六十八万件、これにはいろいろ解釈もあるようでございますが、滞貨をしておる。現実に私どもは四年もあるいはそれ以上も待たされる、こういうことなのでございます。それを解決するのには、今度の法案に出ておりますように、早期で公開をする、もうこれしかないではないかと私も実は思っておる次第でございます。  そこで、もう一つ次に、大條さんもおっしゃいましたが、審査請求制度、これにおそらく皆さん疑問もあろうと思うのであります。それは一体はたして実効があがるかどうか。だれか、もう審査しなくてけっこうです、いわば棄権をするという人がほんとうにあるだろうか、またそれがどれだけあるだろうか、これがおそらく皆さま方にも疑問を持たれる点かと思うのであります。しかし、これは必ず相当の実効があがる、こう見ておるのであります。その一つは、何しろ三年も四年も前から出しておるわけでありまして、出した会社自身で、すでに古くなってあれはもう要らぬ、それ以上のものを自分自身がまた出しておるんだからもう要らないというようなものもございます。また三年も四年も待っておる間に、よそでどんどんもう発表になって、せっかく出しておいたけれどももう役に立たぬというものもございます。そういうふうな、つまりもう役に立たなくなったからというものも確かにありますから、これはもう当然棄権すると思います。そればかりでなく、私ども産業家は、なるべく早くいい特許を実際に産業に移したいのであります。ですから、いい値打ちのある特許を早く特許してもらいたい、こういうことがありますために、自分のほうで出しておる特許のうちでも、まあまあこの程度ならばというのはやはり棄権いたしまして、いいほうのを早くどんどん特許してもらおう、こういう気持ちをみな持っておるわけです。これはつまり何と申しますか、審査請求制度に協力をすることになるわけでありますが、この御協力するという精神、これは今日の産業家はみな持っておると思います。それはいま申しましたように、自分自身にとってもそのほうがいいということを考えておりますから、これは大いに協力いたしていくと思います。したがいまして、いま一五%程度が予想されておりますようでありますが、はたして一五%という数字が的確に合うかどうかということは私もわかりかねますけれども、しかしかなりな量はやはり申請しないで、つまり棄権をする、それだけ助かる、こういう結果になってくると思うのであります。  それから、いま大條さんもおっしゃいましたように、そういうことをすると発明者、ほんとうの発明者自身が迷惑するというお考え、これも皆さん方のうちにもお考えの方もいらっしゃるかと思うのでございますが、私どもは実はさようには思わぬのでございます。発明者の労力に対しては十分に報いたい、そうしてその功を表したい、その気持ちは決して人後に落つるものではございませんが、結局は、早くほんとうに役に立つ、ほんとうに産業に役に立ってくる、そういうものを生かしたい、またそうすれば、発明者御自身もそれこそがいいんだ。いつまでも寝かされて、はたして特許になるかならぬかわからぬというような状況で眠らされるよりは、どんどんいい特許を特許してもらって、それによって適正な報酬を得られる、こういうふうにするほうが発明者御自身のためにもいいんじゃないか。そうしてそういう場合には産業が自然に開発されておる、こういうふうに私は考える次第でございます。  おそらく、こまかいことを論ずれば、ずいぶんたくさん疑問もございましょうし、いろいろな点もございましょうけれども、私は、概括いたしまして、この法案は通していただいて、そうして早く、発明者も喜び、産業もどんどん開発されて、日本の産業が世界的に雄飛ができる、このようにお考えをいただきたい、かように思う次第であります。  終わります。(拍手)
  8. 大久保武雄

    ○大久保委員長 次に五月女参考人にお願いいたします。
  9. 五月女正三

    ○五月女参考人 私は、日本の代表的な会社、公社三百社によって構成されておりまする日本特許協会の理事長の五月女でございますが、その団体の代表的意見として、これからこの特許法改正についての意見を申し上げます。  その前に、企業体の中におきましてはどういう特許管理が行なわれているかという点について二、三申し上げますと、特許管理には三本の柱があると存じております。一つは、企業内で誕生しあるいは創作された発明を権利化するという仕事でございます。もう一つは、会社があるいは企業がこれから研究しよう、重要研究を始めよう、あるいは企業化を始めようとする技術そのものと第三者の特許との関係を調査して、そうして、これならば安全に企業を推進できるという企業家の意思の決定、そのための仕事がございます。最後には、完成されました発明をライセンスあるいは技術輸出とか、あるいは企業進出とか、そういう道具に使うための権利の活用でございます。  こういう仕事を企業体の中の特許部門は主体としてやっておりますが、そういう立場から今回の法律改正を見ますときに、早期公開制度、特許情報の最新の価値ある技術情報として発表されます今回の特許早期公開制度は、企業にとって最大のメリットがある、そういう立場から賛成でございます。技術の進歩の速度が非常に急激である今日の技術革新時代に、いち早く情報が提供されるということは、次の新しい技術を誕生するためのかぎでございまして、一日の遅延が特許戦略あるいは特許戦争上取り返しのつかない、そういう敗退をもたらす例がいままでずいぶんございました。またそういう可能性は常にございます。一つの創造的なアイデアが世界のどこかで開示されますと、世界じゅうの研究者がこれをせめまして、瞬時にして新しい技術を開発していく、そうして商業的な技術が完成されるまでの間には無数の特許が出現してくる、そういう状態でございまして、一日も早い技術情報として価値のある特許情報の開示ということは産業界にとっては死命を制する問題でございます。すでに西独、オランダ、そういうところでは早期公開制度、デファード・イグザミネーション制度をやっておりますが、そういう国であるとか、あるいは無審査のベルギーであるとか、オーストラリア、そういう国におきましては、それぞれの国のことばですでに開示されておるわけです。それを最大限に利用するものとしてはやはり相当のお金がかかります。さらに外国語を読まなければならぬ、そういう問題がありまして、外国においては直ちに最新の技術情報を利用できる立場にありますにかかわらず、日本においてはそれが利用できない状態にある。もちろん外国の情報を高いお金を払って購入してやれば、それはできないことはないわけですが、日本全体の産業のためを考えますと、むしろ先ほどお話の出ました中小企業こそそういうメリットを受けられないのではないか。今回の公開制度が実施されますと、すべての情報が日本語で開示されるわけ一でございますから、中小企業は申すに及ばず、個人の発明者といえども、これを十分に利用して、次の発明を誕生するステップとすることができると存じます。このような開示情報は、技術の傾向の把握という点において産業界は非常に重視しております。新しい技術がどういう方向に向かって伸びていくか、その傾向を把握することが国際技術戦争上最も重要でございまして、特許公報はその価値のある、これから人類の福祉のために望まれるであろうところの技術の傾向を明瞭に示すものでございまして、産業界はこれを踏まえて、そこで国産技術の開発の方針を立てるわけでございます。したがって、特許公報の内容にノーハウの開示が含まれておって、それが盗用されるのではないかという意見が一部ございますけれども、これは特許にならないような発明、その特許にならないような発明はむしろノーハウの開示ではなくて、従来の公知公用の事実に近いということで特許にならないのでございまして、ノーハウの開示ということは当たらないと存じます。ノーハウと申しますのは、一般にコツであるとか勘であるとか、あるいは従来特許にならない発明だとか、そういわれておりますが、実際の産業界においてノーハウと申しますのは、高度の技術的知識の総合でございます。有機的連係でございまして、その中に特許あり、従来の技術あり、あるいはありきたりの技術もその中に入ってくる、それらが一つの固まりになって商業的生産技術というものを完成するわけでございますし、そういうようなエンジニアリングであるとか、そういう有機的な連係が特許公報の中に開示されているわけがないのでございまして、そういう非難は当たらないと存じます。  早期公開のもう一つのメリットは、先ほど申しましたように、企業が新しい仕事に取りかかるというとき二つの問題がございますが、重要研究を開始するとかあるいは技術導入によって第三者の外国の技術を実施するとか、そういうような場合に、くまなく特許公報を調査いたしまして、この技術は第三者の特許に抵触しない、傷ものでないという技術であることを確信して、その上で企業化の意思を決定するわけでございますが、この場合、現在のように四年も五年も審査にかかる、ディスクローズされない、ある場合には審判のほうに係属しておりますとそれ以上の年月がかかるという状態でございますと、すでにだれでも公知公用のようにして実施しておったような技術が突然特許としてあらわれる、そういう場合にはわれわれは過去の亡霊的権利に会ったようなものだということを言いますが、そのために企業化の方針を変更しなければならない、すでに投資してある工場、設備のごときも所期の利益をおさめ得ない、二重、三重のロイアルティーを支払わざるを得ないというような問題が起こります。それから事前に開示されておったならば、当然その特許上の対策を立てられたのに、それができないために特許訴訟が頻発する、特に国際間に大きな特許訴訟が起こってくる、そういう可能性が十分ございます。またその実例もございます。そういうような産業界の混乱、あるいは産業政策さえも変更せざるを得ない、そういうような問題が起こりますので、過去のそういう一切の特許情報が公報に今度の早期公開制度によって開示されるということは、企業にとっては誤りのない、全く無傷の国産技術あるいは導入技術をもって産業を創始できるという利益がございます。そういう意味から申しますと、今回の制度は全く企業の安全指針を提供するものでございまして、自己技術の開発、導入技術の確定、そういう場合に大きな利益と安心感、保護を与えるものでございます。そこの点は企業が大きいか小さいか、そういう問題には関係ございません。  審査請求制度でございますが、この制度につきまして私どもの協会がかつて三百社の団体の中からアンケートをとりましたところが、特許におきましては、現在の請求量の範囲でものを考えまして、一五から二〇%の請求しないという答えが来ております。実用新案は三〇から四〇%は審査しないであろう、これは十分にかたく見たデータでございまして、実際には出願のときから審査を請求するという件数は非常に少ないようでございます。そういうようなアンケートの結果から見ましても、実際に役に立たない特許であると――すでに一年半で先願が開始されますから、それを見てさらに審査請求しても特許にならないと思われるようなもの、それから簡単な発明の場合には一年半あるいは七年以内にすでに生命を失ったと思われるような出願、発明、そういうものは当然審査請求しないでいいものでございます。また経済的な効果を失ったもの、これは生命を失ったも同じでございますが、そういうものは審査請求しないで放棄するということは十分可能でございます。同じように現在七十万に近い滞貨があるよしでございますが、この滞貨の中からもかなりの部分が審査請求しないでいいと思われるものがあると存じますので、そういうものにつきましては、審査放棄といいますか、そういう協力を業界としてはするつもりでございます。  今回の改正は、国際的な特許制度、そういうものが将来必ず実現されると存じますが、その前提として現在パテント・コーポレーション・トリーティというものが審議されております。これに当然わが国も参画せざるを得なくなると存じますが、その参画への地ならしであると考えます。目前の滞貨一掃、この問題はある程度物理的な問題でございますが、こういうような非常に簡単な物理的問題を解決しないで、こういう新しい制度への参画を語る資格はないのではないか。PCTは考えようによれば特許制度の自由化でございます。これが実現されますと、各国の制度がある程度似通わざるを得なくなりますし、同じような国際間の情報交換という立場から、十分にこの制度を活用するという必要が生じてくると思いますが、このような制度の実現が迫りつつある現在、こういう世界の大勢に目をそむけまして、目前の区々たる問題に若干の困難はありますが、そんな困難に拘泥していては、革新技術時代の特許行政において著しいおくれをとる、そういうふうに考えられます。  制度改正はもちろん必要でございますが、制度改正だけで特許行政の改善ということが望まれないことは皆さん御承知のとおりでございまして、特許庁内の運用の簡素化、効率化、これについては官民ともに協力いたしましてその改善はをかりますとともに、特許庁としましても明確強力な指導方針を打ち出すべきであろうと存じます。運用の改善が制度の改正と相まちまして、現状の打破が完遂されるのであるということを銘記すべきではないかと存じます。  結論を申し上げますと、産業界の三百社の代表でございます日本特許協会は、今回の制度には全面的に賛成でございます。  以上でございます。(拍手)
  10. 大久保武雄

    ○大久保委員長 次に、杉林参考人にお願いいたします。
  11. 杉林信義

    ○杉林参考人 本日は、当委員会に参考人としてお呼び出しをいただきましたことを光栄に存じます。  私が勤務しております日本大学法学部では、四月より四年生、五月より一年生、六月より二年生、ただいま三年生の授業をそれぞれ開始しまして、全学年生が授業を行なっておるのでありまして、ただいま二時間目の授業中途で参りまして、四時間目の授業がありますので、定刻より遅参をお認め願いました当委員会に対して心より感謝を申し上げます。  連日特許法等の一部改正法律案に対して当委員会におかれましては審議を行なわれておりますことを議事録によりまして存じておりますが、多くの貴重な議論とそうして質疑応答が行なわれておりますので、私ごとき者が申し上げるまでもございません。ただ工業所有権に関係しております一人として、工業所有権の制度にたいへん関心は持っておるのでございます。  ただいま世界的な傾向を見てまいりますと、工業所有権は一国内の制度にとどまらず、世界的な中においての制度であります。それは皆さまも御承知のことと存じます。そういう中でひとつ制度を見てまいりますと、これには二つの大きい流れを持っておるのでありまして、直ちに技術を公開するという無審査制度、御承知のようにこれはフランス法系の国々でありまして、早期に出願を公開をしていく、こういう考え方のようであります。ところがフランスにおきましても、一六九九年の王室科学技術院の規則では、最初は審査主義をとっておったのでありますが、途中から無審査主義に変わりまして、そして長い歴史を持っておるのでありますが、戦後における発明といいますか、技術の質の向上、そうして促進の度合いが早まってまいりましたので、単に無審査だけで公開するということは、後における権利の安定性というものに重大であり、また企業化にたいへん支障を来たすということで、最近になりましてその改正を審議した結果、一九六九年、ことしの一月から一部審査を行ないます。そうしてさらには新規性について意見を付して登録するという制度をとってまいったのであります。すなわち、無審査主義から審査主義へと若干歩み寄ってまいっておるのがフランス法系の国々で、まず第一にフランスがそれを実行してまいったのであります。  もう一つは御承知のように審査主義であります。わが国は長い間審査主義をとっておるのであります。ここでは一がいに審査主義と申し上げましても、不完全な審査をして公開していく制度と、完全なる審査をして公開していくという二つの制度に分かれているかと思います。前者の不完全審査主義をとるのがイギリスでありまして、わが国の工業所有権制度、なかんずく特許制度がイギリスのスタティスティックモノポリーから始まるといわれるくらいでありますが、この国は不完全審査主義をとっております。それはなぜかといいますと、先ほども参考人の方々からいろいろな御発言があったと思いますが、現在一九六八年の調査によりますと、この発明を特許していいかどうかという、新規であるかどうかの調査に技術文献として約三百万件あるといわれております。これが十年たつとその倍になるといわれております。そういう多くの技術資料を集めて、そうしてそれをよくそしゃくし、新たなこの出願の内容をそしゃくし、そうして審査官イグザミナーがイグザミネーションをするということは、これはたいへんな仕事であります。そういう関係からもイギリスでは五十年間の刊行物を審査する、それ以外は見ないという、ある程度不完全な審査をしまして、そうして一般に出願を公開していくのでありますが、それに対して出願公開制度というものがございます、日本にもあるのでありますが。これは一八五二年から出願公告制度というものを初めてとった国であります。それは不完全審査を担保する意味であろうと思っております。  もう一つは、イギリスもやはり発明をたくさんする国でありますし、優秀な発明も生まれますが、その際における審査を、不完全審査ながらもどうして早く審査をし技術を公開していくかということについてたいへん腐心をしたようであります。そこで一つ案出されたことはこういうことなのであります。  まず発明者が企業化していく場合、はたしてこの発明が市場性を持つかどうか、その調査期間が必要であります。これは。ハリ同盟条約でも優先期間を十二カ月としたのはそこにいわれがあるといわれておりますが、最近はそれでは短いというので十八カ月に伸ばそうという案がたびたび出ているのであります。そういう意味である一定の期間内に出願人すなわち発明者はその市場性なりあるいはほんとうに審査をしてもらおうという意思を判断する一つの期間を考えた。そこで手続としては仮明細書、すなわちプロビジョナル・スペシフィケーションズという仮明細書の制度をつくってある。いうならば発明の本質的なものだけを一応ペーパーに書いて出しなさい、その後一定期間を経て完全なる、コンプリートなスぺシフィケーションズ、完全明細書を出しなさい。ここに一つの繰り延べ審査ということを考えたのであります。長い間この制度をとってきたのでありますけれども、最近の情報によりますと、やはりイギリスもなかなか審査がうまくいかない。これを何とかしなければならないというので、最近は特許制度に対する審査促進、技術の公開を早くする、そうして自国の産業の発展を期させようというので、いろいろ寄り寄って委員会なりを設けて研究されている由であります。  もう一つは完全審査主義でありまして、御承知のようにその典型的なのが一八六三年アメリカがとった制度であります。したがいまして、アメリカではイギリスのような出願公告制度をとらないので、国家みずからの手によって完全に審査をして差し上げます、こういった制度をとっておりますのですが、これも戦後間もなくやはり制度改正という問題を試みまして、草案まででき、そして議会まで提案されたのですが、目下それは通過せず、別な角度からやはり特許制度を改正しようという試みが行なわれているのであります。それは、いかに現在の制度を維持しながらすみやかに発明を公開できるかどうかという、これに集中点が置かれておるのであります。そういう意味では、各国ともこういった一つの制度をとりながら、それをいかに調和していこうか、こういうことに腐心をいたしております。またドイツも御承知のように一九六八年十月に改正をいたしまして、日本と同じ制度、すなわち完全審査主義に出願公開制度というものを一八七七年からとったのでありますが、やはりそこにも技術の公開がおくれるということから、ここに一つの名案をつくりまして、刊行物の審査をして、そして一応早く出願の内容を公開していこうという制度に乗りかえたわけです。もちろんわが国の旧法はこのドイツ法を母法としておるといわれておるわけであります。  さらにオランダは、特につとに早く一九六四年にやはりこれも早期公開ということで、ただ早期公開では困る、ある程度予備審査ということを言っておりますが、やはりこれは新規性の審査をすることになると思います。こういう制度をとりながらまいっておりますし、また御存じのように、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、ノルウェーという四カ国が統一特許法をつくりまして、発明の技術公開を早くしょうという制度に乗りかえてきておりますし、御承知のようにEECが一九六二年に条約草案を発表しておりますが、まだ実施の運びになっておりませんが、この制度が後に先ほど申し上げましたドイツ、オランダ、ノルディック、それらの国々に一つの影響を及ぼしたことは、このEECの草案がやはり技術の早期公開ということを考えておった。それでその特許制度をとった。すなわち御承知のようなオランダにIIBがありますが、ここではたいへん発明の新規性というものの調査が世界一といわれておりますが、そこで最も信用が置けるこういった機関に調査を依頼しまして、登録の日から五年以内にあらためて審査を請求するという制度をとった。これが世界における一つの先がけかと思います。  いずれにしましても、世界の特許法は互いに従来の制度からお互いの制度へと歩み寄ったという傾向を示しておるのであります。したがいまして、わが国の特許法も国内特許法だけで済まないで、国際性を持った権利でありますので、やはりここに一つ歩み寄りを示していかなければならないようになってきたのは必然的なんだろうと思います。時期のいかんはともかくといたしまして、やはり技術の早期公開ということが、各企業におかれましても強い要望があるようであります。  かようにしまして、やはり審査資料がたいへん膨大になっておる。ここで国際的にもPCTを通じてこれから総合的にそういう資料を集めて、総合的に審査をしていこうというふうな考えが出ておるのでございます。  また一方、この無審査主義国におきましても、権利の安定性ということを先ほど申し上げましたが、企業化の促進というようなことがありまして、審査主義に移行せざるを得ない状態になってきておるわけです。この法案もやはり完全審査主義を貫くたてまえはとっておられるように私は考えておりますが、十八カ月という期間にこれを行なおうとするのですが、これはいま申し上げました各国の事情からしても、とうてい不可能なんじゃなにかと思いますが、一応そういった短い期間に審査を完了しようという考え方はまことにけっこうと存じます。ただし、この期間を過ぎたものについては出願公開をしてしまおうというのでありますが、この出願公開にあたっては若干の手当てをして、すなわち六十五条の二の第二項で若干の手当てをして、そして各国のように早期公開をしていこう。ただ各国の場合は、ここに新規性をある程度国家機関の手によって行なっていこうというのと、若干の相違があるわけです。そういう点で、私はいささか幾つかの杞憂の念があるのであります。というのは、完全審査に基づいて十八カ月以内に審査を行なうというたてまえはこの法案でも踏襲されていくのだろうと思いますが、それはたいへん喜ばしいことであります。企業におかれましても、早期公開を早くということを熱望されておるわけです。ただし現状の審査期間から見ますと、たいへん長くかかっているようであります。ものによりますと十八カ月以内にすでにイエスかノーかの回答をもらっている種類のものもあるのでありますが、そうでないものもあるわけであります。そういう意味で、われわれが法案で期待する効果が薄い面もあるのではないか、こういうぐあいに思うだけのことであります。  ただここで老婆心ながら、こういうことをひとつ。従来のように審査期間が長くかかっておりますと国民が不安でありますから、そういう不安を解消するとか特許庁に対する国民の信頼にこたえる意味で現行の四十七条がありますが、ここで審査の期間とかあるいは審査のやり方とか、そういったものを法律の中でこまかくきめる必要はございませんので、あるいは政令か何かにゆだねるような一項を置いていただけば、いろいろな方々の不安もまたここで一応は解消するんじゃないかというような気もしておるのであります。  もう一つは、やはり発明の質の高度化なんです。この審査をする方々、それからその発明者の手足となって代理をなさる弁理士の方々、こういった方々にも質の向上ということがたいへん大切なことではなかろうか。出願がふえることは当然なんです。人口がふえる、頭脳が発達する、そこで発明の数量が多くなるのはあたりまえのことであります。しかし、その質の高い発明をいかにわれわれが審査していくかということでありますから、審査をするたてまえをとる以上は、どうしてもその審査に携わる人々または発明者の手足となって働く弁理士の方の質の向上ということが必要になってまいります。ただいまでは特許庁におかれましては審査官に対して研修制度があります。ところが弁理士については、弁理士試験に合格しましても研修制度がないのであります。最近では弁理士会におかれましても総力をあげて、弁理士試験に合格した若き人々あるいは年寄りもおりますけれども、研修教育を施してまいっておるのであります。私は、願わくは司法制度におけるような研修制度を、国家の手で、この特許庁へ採用なさる新規の採用者並びに弁理士試験に合格するこれらの人々を一丸とした研修制度を確立し、そして拡充強化されることにおいて、弁理士さんの質を向上することにおいていい質の特許出願がなされる、適正なそして迅速な審査が行なわれていくのではなかろうか、こういうぐあいに一応は思っておるのであります。  一例を申し上げますと、こういうこともあります。ドイツ特許庁におきましては、技術関係の方々は、実務経験すなわち会社の現場において実際の技術を身につけてそれから特許庁へ入ってくる、こういった関係の制度をとっていられる国もある。ということは、学校を卒業しましてすぐ特許庁へ入りますと、現場のことがわからない。一般技術屋が知っている技術というものあるいはノーハウというものがあると思います。からだで教わる技術あるいは当業者が容易に知っている技術、そういうものは現場へ行かないとわからないのであります。そういったことを知ることが特許明細書を読む上においてずいぶん効果があると思うのであります。そういったことも考えられないこともないと思うのであります。たとえば特許法二十九条の二項を運用する場合、そういう知識があると、出願人を説得する力があると私は考えております。そういったこともひとつ考えていただきたいと思います。  時間もたってまいりますが、この改正案は大てい予算を伴うものであります。その予算は国民の税金からまかなわれると承知しておりますが、公開公報と特許公報が重複しないような配慮をしていただきたい。でき得るならばそのようにしていただきたいものだ、こういうぐあいに私は考えるのであります。必要限度にとどめていただきたい。ややもしますと重複して公告されることがあり得るのではなかろうかという心配があるわけであります。  もう一つは、改正案の中にありますが、完全審査主義をたてまえとされる以上は、国民に対して特許出願をすると審査をしてもらえるということが約束されておるわけです。特に審査請求することについてお金を取るということがどうも私はふに落ちないのであります。そうじゃなくて、完全審査主義はやめたんだ、早期公開だけでいくんだ、そこでいろいろな問題があったらあらためて審査請求をするんだというならば理屈が合う、そういうようにも考えられます。出願料を取り審査請求料を取る、二重に取る必要はない。技術の資料がたくさんあって、どうしても新規性を判断するという上においてはたいへんな労力が要る、資料の整備も要るんだ、したがってそこにお金も要るんだというならば、出願料を値上げなさったらどうかという気もするのであります。しかしこれも発明の奨励という問題があるので、なかなかむずかしい問題ではあろうかと思いますが、そういった点をお考え願えないものだろうか、こういうぐあいにも思っておるのであります。しかし、世界では、いま申し上げました出願公開制度をとるときに、この審査請求をするときにはやはり料金を徴収しているのであります。だから世界的傾向から見ますと、改正法案は何ら逸脱しているところはございません。しかしわれわれが国内的に見まして、どういった費用をまかなうために取ったらよろしいか。特許制度は国民あげて奨励し、そして育てていくものである。もうける必要は一つもありません。国家が投資していくものであり、その投資によって企業が活動をし、そして国民の経済に大きい祝福をもたらしてくれるものでありますので、あまり特許制度は国民から金を吸い上げることをお考えにならぬほうがいい。アメリカの特許予算もそうでございます。そういうことを一つ、私の老婆心ながら思いついたことを申し上げてたいへん恐縮に存ずるのであります。  もう一つ、審査前置主義という百六十一条の二、これも拒絶査定に対する不服の道として現在は公告審判制度が百二十一条に規定されておりますが、いままでの経験で見ますと、拒絶査定に対する審判請求で原審を、審査官の判断を支持するというのが大体五割くらいあるとか聞いておりますが、確かな数字ではありません。そしてあとの原審との関係におきまして審査官が再度審査をする、こういうことになりますが、議事録を見てみますと、特許庁長官もしばしば審査官に対して出願人にああせい、こうせいといろいろな指示をするようにということを督励されておるようでありますが、実際はたくさんの審査官がおりますので、なかなかその訓令が届かないのだろうと思いますが、アメリカの審査官はクレームを読んでみまして、これこれとよく似ているからおまえよく考えてこい、そして最後にこういうぐあいにクレームを直したら特許を許すと、こう言ってくるのであります。そうすると、わりあいそれにひっかかってくればいいのでありますが、しかし御承知のように発明者はなかなかそうは考えないで、審査官の考え方は間違っておるというので、なかなか訂正をしてこない事件もなきにしもあらず。そういった点をなるたけ先にやった審査官にやらしたほうが早いという考え方で、一つの考え方としてはなるほど審査は早くいくでありましょう。しかし、われわれが予期するほどの効果をあげるかどうかは、これはやはり将来の問題である。そういう意味で、一応は査定に対する不服の道が講じられておるということであります。手続的な考え方であろうかと思います。  最後にお願いしたいことはこういうことかと思いますが、改正法案がたとえ通過したとしても、この新規性調査機関というのはなかなかもって難物でございまして、これは各国におきましても悩んでおりまして、国際的にこれを検討しておるわけであります。わが国におきましてもこの新規性調査というものを国をあげてやるかあるいは民間に委譲し、民間がやるか、いずれにしましても国家の援助を得て、この新規性調査機関を確立する必要があろうかと思う。これは企業の側にとっては特に重要な問題であろうかと思います。こういう意味で私は、特に当委員会におかれましても、新規性調査機関の設置ということを切実にお願いしたいと存じます。  たいへん長くなりまして、つたない意見を申し上げまして恐縮に存じますが、御清聴いただきましてありがとうございました。(拍手)
  12. 大久保武雄

    ○大久保委員長 次に一中村参考人にお願いいたします。
  13. 中村幸雄

    ○中村参考人 参考人としての意見を申します前に、一言私の立場について申し上げておいたほうが誤解が少ないのじゃないかと存じます。  私は特許業務に職務として携わった経験は若干ございます。それから長いこと職務発明ということをしなければいけない立場に立っておったわけでございます。したがいまして発明者の気持ちということも存じております。次に、企業における技術管理あるいは研究管理ということを職務にしてまいりましたので、企業の立場におきまして、この発明並びに特許というものをいかに扱うべきであるかということについて、いろいろな経験をしてまいりました。さらにそれと別に、私、個人的には一般的な意味での科学技術情報という問題についての専門家というふうに考えられておりますので、本日私が申しますことは、以上の立場を総合したようなものでございますが、特許の法律的な面あるいは業務の運営ということにつきましては、他の参考人の方々が有力なる御意見をおっしゃいましたので、私は主として科学技術情報問題という立場から、この特許法改正という問題について若干の見解を申し述べたいと思います。  実は、改正案につきまして、私はあまり熱心に勉強をしておりませんでしたので、急いで一読したわけでございますが、特許界の現状ということについては若干知っておりますので、これによって確かに審査を要する特許の量が減るであろう、そのために若干の審査を促進することになるであろうということにつきましては、私もそのとおりであろうと考えます。ただし、それが相当な量にのぼりまして、特許の業務が著しく改善されるというところまでいくとは楽観しておりません。  なぜかと申しますと、今回の改正案におきましては、審査は請求があって初めて行なうという立場でできております。また七年以内に――これは事情によりまして多少変更がありますけれども、おおむねそのくらいの時間の間に審査の請求をいたしませんと、出願を取り下げたと同様なことにみなすという規定がございます。したがいまして、特許というものを存続させたいと思う人は、どうしても審査の請求をしなければならぬことになるわけであります。先ほど加藤参考人からもいろいろ御意見がございましたが、特許を出願する立場からは、特に企業的な立場でありますと、防衛出願ということにつきましてかなり気をつけております。そこで防衛出願につきましては、審査を請求する必要がないかと思います。したがいまして、その分だけは審査請求をする量が減るはずであります。ところが、これは発明者の立場に立った考え方でありますが、一方、第三者の立場から見ますと、非常にたくさんの特許資料というものが公開されて出てまいりますと、従来第三者が異議申し立てということをたいへん活発にやってきたわけでありますが、その申し立てをすべき対象が著しくふえるわけであります。これは相当な量ふえるわけでございます。したがいまして、異議申し立て、あるいは今回の制度によりますと第三者からの特許審査の請求ということになるかもしれませんが、いずれにせよ特許庁に負担がかかる。そういうことは決して減らないわけであります。むしろそのために特許庁の負担も大きいし、一般の企業側におきましても、異議申し立てをすべきかいなかという事前の調査をかなりしなければなりませんので、その負担は著しく増すものと思われます。したがいまして、特許庁としましては、審査が若干はかどるであろうということは私も疑いをいれませんが、実は目に見えないところでほかの面におけるいろいろな負担が発明者側として、あるいはまた国としてふえるのではないかということを私は懸念いたします。  私は特許業務についての利害関係者ではございませんので、そういう立場からの発言は一切差し控えまして、客観的な目でこの情報問題ということから見て、そこにいかなる問題が隠れているのだろうかということを若干申し上げて御参考に供したいと思います。  まず、特許というものは、これは非常に簡単な言い方をしますと、特許されまして何らかの独占権がほしいから特許を出願するわけであります。発明をしたということでほめてもらいたいから特許を出願するという方は私はきわめてまれであろうと思います。したがいまして、特許を得た人、あるいは出願者というものは、利益ということを目ざして出願なさるわけであります。特許になりました暁には、一定の確率で利益が自分に入るであろうという予想のもとに出願をすると考えてよろしいと思います。そういたしますと、当然この得らるべき利益に対しましては、自分のほうが必要な経費を支払うというのが世の通念でございます。一方で、立場を変えまして、国のほうから見ますと、国は特許ということが公平に行なわれるために、審査をして、間違いのないようにする責任があるわけでございます。ところが、これには相当の人員とかなりの経費が必要なわけでございます。しかし、人員の増加が困難である。これはいろいろ公務員関係の問題がございますので、簡単にはできない。したがいまして、そこで一つの制限がついてくるわけであります。つまり特許を出したい人は、技術の進歩に従いまして、いよいよ急速にふえるわけである。国のほうはそれを審査する能力があまりふえない、ほとんど一定である。したがいまして、特許制度というものをどうしても残したいのであるとお考えになるならば、この両方のアンバランスを解消するような技術的な手段をおとりにならなければいけないわけであります。そういう問題につきましては今回の特許法の改正は一言も触れておられませんし、また、いままでのいろいろの特許議論においてもあまり触れられておりません。しかし私は、それがきわめて大事な要素であるということを申し上げたいのであります。つまり、需要が過大であり供給が過小であるという社会的なアンバランスを解消するためにはどんなことが考えられるであろうか。私の申しますのは、専門家の目から見ますと、きわめて暴論のようなことを申し上げますが、これは御海容を願いたいと思います。  第一に私は、発明というものと特許というものは別ものであろうと思います。これはよく御承知のことと思いますが、発明したものは必ず特許を得なければならぬということは、必ずしもないわけであります。これは、発明者あるいは研究者というものの心理から申しましてそうであると、私は断言いたします。したがいまして、特許をとるかいなかということは、特許によって得らるべき利益が、特許を得るために必要な経費とバランスするかどうかということで企業側は当然考えるわけであります。決して表彰のために特許を出すのではございません。したがいまして、このアンバランスを直すためには、第一に特許取得の経費が現在適正であるかどうかというようなことは考えてみる必要があろうと思います。ただし、この場合には決して特許料とかあるいは出願料あるいは今度の審査料というものだけに限定してお考えになってはいけないのでありまして、出願者側におきまして事前にいろいろな調査をする経費というものが相当大きな経費である。それに比べますと、出願料あるいは審査料というものは、実に取るに足りない経費でございます。そういう点についてのお考え方が必要ではないか。また現に、主として大企業におきましては、特許取得のための経費というものが相当かかる。しかもそれでも困らない、それだけのメリットがあるのだというふうにお考えになっているのだろうと思いますが、特許がどこまでとれるかということは、一にかかってそこのバランスの勘定にあると思います。  それから次に別な面を考えまして、国の側におきまして審査をするためにたいへんな人手と時間がかかる。したがってまた経費もかかる。これは出願人のほうにおいてその国を援助するというような方策は、現在まで何も考えられておりません。出願人のほうは、法の定める最低の記述をした明細書を提出いたしまして、これがわかろうがわかるまいが、審査官のほうによってよろしくやってくれと言わんばかりの特許の出願の方法もあるやに伺っております。これでは、この矛盾は一向に解決されません。したがいまして、審査過程がもっと能率よくいくように、特許の出願から審査全部のプロセスというものを一つのシステムとして考えることが大切であろうと思います。  たとえて申しますと、非常に簡単に実施できることで忘れられていることがございます。これは、引用文献の明示ということでございます。これこれのことは公知であって、この発明はその上にこういう新しいアイデアを盛るものであるというふうな書き方を明細書は必ずいたしますけれども、その公知であるというだけであって、いかなる点において公知であるか、その公知であるというのは、だれがそういうことを知っておるのかということを示す義務は課されておりませんから、だれも書きません。しかし他国の発明においてはそういうことを書くようにという指導がある国もございますので、われわれはそういう国に出願する場合はときどきそういうことをしているわけでございます。したがいまして、これはやろうと思えばできることであります。  それからまた特許出願人の立場から申しますと、審査官が誤って判断をしてもらっては困るわけでありますから、こういうことを審査官は考えるかもしれないが、それはそうではないのだ、それにはこれこれの公知文献があるのだというようなことを示すことは一向に苦にならないはずであります。したがいまして、出願者の側におきまして引用文献を示すということは、これは別に苦痛はないことであり、かつ審査の側におきましてはたいへん手助けになるものと考えます。  それから次に、明細書の本文と特許の請求範囲というものの関係でございますが、これはわかり切ったようであって、なかなか不明なところがございます。特許のいろいろな係争が起こりますときには、必ずといっていいくらいその辺が問題になるのでございまして、よく本文に詳記し、図面に示したごとくというようなことで請求範囲というものが書き始められますけれども、本文に詳記しとは一体どこを使っているのかがさっぱりわからないというようなことがございます。これはまた意識して、わかっては困るから不明に書くという方もあろうかと思いますけれども、こういうようなことは比較的容易に改善できることでありますので、関係者一同の努力によりまして改善なさることが肝要ではないかと思います。  さらに少し立ち入った技術問題になりますと、特許の請求範囲の表現の合理化ということでございます。これに対しましては、目下のところ何も手が下されておりません。すなわち請求範囲というものは普通の言語、つまりいわゆる自然語でありますが、自然語の文章をただ書きおろしただけのものでございまして、これを読みまして一義的な判断ができるかといいますと、きわめて困難な場合がございます。意識的に困難にさせるような書き方をなさる方もあるやに承ります。そういたしますと、これが審査を著しく困難にしている一つの理由でありますので、非常に簡明に申しますならば、特許請求範囲というものは何らかの形で論理式のような構造に書くということを規定しますならば、きわめて審査は楽になるわけでございます。その場合に一つの難点は、用語あるいは用語の裏にあります概念という問題でありますが、そういうものを明白に定義をせずに使われるケースが非常に多うございます。これは論理の構造が明らかになりましても、そのもとになります用語が不明瞭でございますと、意味が十分にとれませんので、これにつきましても相応の措置をしていただくことが必要かと思います。こういう点につきましては、現在、特許以外、一般の科学技術文献におきまして機械検索という問題がたいへん大きな問題でありますが、それを有効に行なうための数々のくふうが現在行なわれているわけでありまして、この技術は直ちに特許についても適用でき得る範囲のものだと考えます。したがいまして、こういうような新しい、主としまして電子計算機の応用技術に関係することでありますけれども、操縦手法を十分に取り入れられて、特許の明細書あるいは請求範囲の改善ということに積極的な努力をなされば、かなりの審査促進ができるのではないかと思います。こういうような手段を考えずに単に公開制というようなことを考えましても、あまり大きな利益は得られないと思います。五十歩百歩であろうと思います。百歩は五十歩の倍であるからいいじゃないかという論理であれば、私もそれは賛成いたしたいと思います。  御清聴ありがとうございました。(拍手)
  14. 大久保武雄

    ○大久保委員長 加藤参考人にはお約束の時間が参りました。御多用の中をたいへんありがとうございました。どうぞお引き取りください。  次に、湯浅参考人にお願いいたします。
  15. 湯浅恭三

    ○湯浅参考人 弁理士会長の湯浅恭三でございます。弁理士会長といたしまして、本委員会に提出されております特許法等の一部を改正する法律案に関しまして、弁理士会としての意見を申し上げる機会を与えられましたことを光栄に存じます。  弁理士会といたしましては、この問題に関しまして二回にわたって総会の決議をいたしておりますので、私の意見がおのずからその範囲に限定されるということをあらかじめ御了承願いたいと存じます。  本改正案提出の理由は、申し上げるまでもございませんが、その理由から考えまして、未処理案件の確実な低減と新しい制度のもとで出願人、発明者の権利の保護について満足し得る見通しが立てば、細部に不満足な点があるとしても、あえて反対するものではありませんが、現在本委員会で審議されております改正案は、未処理案件の早急かつ確実な低減に対する保証がなく、強制公開というのに、出願人の権利保護が十分でなく、しかも高額な審査請求料によって審査請求率の低下を企図し、その結果は発明意欲の減殺という特許法の目的に反する現象を引き起こすようなことになっております。このような考えから、弁理士会では、さきに昭和四十四年一月二十七日の臨時総会で「今次の法律改正には少くとも下記二項目の趣旨が取り入れられなければ反対である」という趣旨の決議をいたしました。その二項目というのは、一が、「審査請求後二年以内に審査の処分がなされるべき旨の保証規定を設けること」、二番目は、「審査請求料は必要最低限に規定すること」一というのであります。  弁理士会は、さらに去る五月九日定時総会におきまして、「今国会に政府が提案している特許法等一部改正に関する法律案には上記の決議の趣旨が取り入れられていないので、現時点に於ては、この法律案の立法化に反対する」というような決議をいたしております。この決議書のコピーはすでに本委員会の委員の方々にはお届け申し上げておりますので、お読み願っていることと存じますが、この二つの条につきまして、それが無理な注文かどうかということについて、以下少し説明をいたしたいと存じます。  なお、決議書の中に出ております説明と重複を避けるために、多少違った観点から本日は申し上げたいと存じております。  まず第一に、審査処理期間の法定についてでございますが、改正法は出願の強制公額と高額の審査請求料の徴収、これは七千円プラス千円という額でございますが、これによって出願人に大きな不利益をしいているにもかかわらず、これに見合う補償を与えておりません。現行法によれば、技術公開、すなわち公告と同時に業として発明を実施する権利を専有することとし、この権利に基づく損害賠償の請求権は、特許権の設定登録後行使できることになっています。すなわち、公告の日から二カ月以内に異議申し立てがないときには、特別の場合を除き比較的短期間に、普通異議申し立て期間後大体三カ月くらいでありますが、その期間内に特許査定されております。しかるに改正法案においては、出願公開後発明の内容を記載した書面を提示して警告をしたとき、及び出願公開された発明であることを知って業として実施したときに、実施料相当額の支払いの請求ができることになっており、しかもその請求権の行使は出願公告後とされております。現行法では公告後大体六カ月前後で損害賠償の請求ができるのに対し、改正法案ではいつ公告されるかさえ不明であります。出願人に多大の犠牲をしいるのでありますから、審査請求した出願の処分期間を明示し、出願人に安心感を与えなければ、出願人の犠牲に対する代償があまりにも小さく、ひいては発明意欲を抑制し、技術の発達を阻害して、特許制度本来の目的に逆行するということにもなると存じます。審査処理期間の法定を必要とするゆえんでございます。  第二に、二カ年の法定期間は不可能ではないという理由について申し上げます。  審査期間二カ年の法定は不可能をしいるものであるとの意見もありますが、特許庁の試算によりますと、この処理期間を、法律施行後三年目に、二年七カ月とされておりますが、現行法のもとで公告決定後、公告まで約四カ月、公告から特許査定まで約五カ月かかる現在の事務処理を考えますと、最初の処分を審査請求の日から二年以内に法定するということも不可能ではないような気がいたします。  第三は、出願件数等の変動による未確定要素について申し上げます。  審査期間の法定は、出願件数及び審査請求件数の不安定な実情にかんがみ、見通しが立たないから不可能をしいるものであるという意見もございますが、長官は去る六月四日の本委員会において、毎年の出願件数には見通しと異なる場合があるが、見通しより多い場合も少ない場合もあるので、長期的観点に立って判断すれば、平均値はほぼ見通しどおりになると答弁しておられます。したがって、この判断どおりとしますと、長期的見通しにおける平均値は実情と一致して、審査請求の数の見通しもある程度正確になると存じます。この観点からも審査期間の法定は不可能をしいるものではないといえると存じます。またこのような規定を設けることによって、特許庁の人員増強計画に根拠を与え、それを円滑に推進できるようにも考えますから、特に不当な労働強化になるとも考えられません。  次に審査請求料についてでございますが、審査請求料については、西ドイツの約二万七千円とオランダの約二万五千円とが比較提示されまして、これに対して日本の八千円は高くないと説明されておりますが、このようなことは金額のみの比較で判断することは間違いであります。改正法案の内容に立ち入らない場合でも、少なくとも国民所得の比較を考慮に入れる必要がございます。ことに法の内容に立ち入って考えますと、まず新規性調査機関の整備された上記二国においては、審査請求前の調査によって自己の出願の新規性及び進歩性について相当確率の高い判断ができるので、審査請求した場合の危険負担率が低く、相当の請求料を負担してもよいと納得ができるのでありますが、見通しのつかない出願について高い請求料の支払いを求めることは無理であろうと思います。改正法案においては、審査請求料を高額にして審査請求率を抑制する意図ありとも判断されるのでありますが、このような考え方は、発明の保護及び利用をはかることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することを目的とする特許法第一条の精神に反すると考えます。  これらの理由で、弁理士会といたしましては、さきの総会の決議で「物価の上昇率、明細書の全文公開、審査請求後の審査、公告費用等を考慮し、最初の出願料は一律二千円とし、審査請求料八千円を、例えば五千円程度とするのが妥当である」と決議し、また「実用新案の審査請求料六千円も特許に見合う額、例えば四千円程度とすべきである」という決議をしたのでありますが、この実用新案の審査請求料は、法案としては四千五百円になっておることは申し上げるまでもございません。  次に緊急審査についてでございますが、長官は昭和四十四年五月七日の本委員会におきまして、佐野委員の御質問に対して、緊急審査を運用によって行ない、問題のあるものは早急に請求権を行使できるようにしたいと答弁されておりますが、運用によって早急な審査をすることが適法であるか、妥当であるかということについても疑いがございますが、それは別としても、問題のあるものを早急に審査できる可能性があるのであれば、別に緊急審査の制度として必要な規定を法定し、その上で運用によってさらに円滑に処理されてもよいのではないかと存じます。運用という、法的根拠のない、性格のはっきりしない制度でこの重要問題を片づけることは、多くの危険性を含んでいるともいえます。  以上述べましたような理由で、弁理士会としては、以上の二つの条件、すなわち審査処理期間の法定あるいはそれに準ずる保証規定と、審査請求料の減額の二項目をぜひ改正に際して取り入れていただきたく、しかもそれが不可能ではないという理由を申し上げたのでありますが、それが実現されない限り、弁理士会としては本法案に賛成できないという決議をいたした次第でございます。  繰り返して申し上げますが、弁理士会としては、本改正案の提出理由、すなわち出願の激増、滞貨の累積、審査の遅延という現状に対して、何らかの手を打たなければならないということは全然同感でございます。ただ本法案の内容に関して多少の問題点もあり、注文もありますが、最小限度、以上申しました二つの条件を取り上げられなければ、本法案の目的達成が困難であると考えるものでございます。  なお、弁理士会のこの決議の中に、新規性調査機関の設置を要望事項としてしたためております。このことにつきましては先刻すでにお話もございましたが、弁理士会としてもこれを強く要望するものでございます。  ありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  16. 大久保武雄

    ○大久保委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。佐野進君。
  17. 佐野進

    ○佐野(進)委員 参考人の皆さんからそれぞれの立場で御意見をお伺いいたしました。たいへん参考になった面が多いわけであります。私、特許法の改正問題について当初から質問をいたしておりますので、いささか勉強させていただいたわけであります。しかし勉強をすればするほど、今次改正案の持つその内容について多くの疑問点が感ぜられるわけであります。したがって、この改正案で特許行政というものの持つ今日の技術革新ないし日本産業の現況、こういうものにはたして対応できるのかどうかということになると、むしろ混乱を助長する、あるいはまた制度に習熟することができない状況の中で多くの人たちが迷惑をせざるを得ない。しかも、そういう形の中でPCTに加盟しなければならないという客観的な情勢の変化、こういうようなものと関連すると、軽々に特許法の改正というものについて結論を下すべきでないのではないかというような気がしてしかたがないわけであります。しかしいずれにしろ、すでにわれわれの手元に法律案として来ていま審議をしているわけですから、何らかの結論をつけざるを得ないという立場に追い込まれるといっては語弊がありますが、そういう立場にあるわけであります。そこで、皆さん方の御意見をずっとお聞きしておったわけでありますが、割り当てられている時間がきわめて少ないので、幾つかの項で御質問申し上げたいと思いましたができませんので、原則的なことのみについてひとつ各参考人の御意見をお伺いしてみたいと思います。  それは、昨日も私通産大臣の特許庁長官に質問をいたしたのでありますが、結局、大正十年に特許法が改正をせられ、いわゆる近代日本経済の中に法体系として一つのものを打ち出した。それが改正――改正というよりもむしろ創設されたといってもいいほどの歴史的な意味を持っておった。それが、戦前から戦後にかけての特許行政の基本的ないわゆる指標、法律的にその役割を果たしてきたわけでありますが、それが昭和三十四年に改正せられ、ここにおいても相当程度新しい日本の現況に適応するという形の中で相当慎重な審議の上に改正が行なわれたわけであります。それから約十年たって今日改正されようとしておるわけでありますが、この間幾たびか特許法の改正については、日本経済の現況に照らし合わせてどうあるべきかということで検討がせられ、小部分の改正あるいは改正に対する取り組み、そういうものが行なわれてきたわけであります。しかし今回の改正ほどいわゆる複雑かつ多岐にわたり、しかも根本的な内容を持つ改正ということはいままでの大正十年以降の約五十年の間において初めてだといわれてもいいような気がするわけであります。そこで、私はそういう意味で実は昨日質問をしたわけでありますけれども、特許制度擁護連盟理事大條さんのこれを見せていただいて、この中で一番先に出ている問題と関連するわけですが、ここでは「改正案は発明者の権利義務に重大な変革を加えるものであるのに、特許庁は「手続に関する一部改正だ」などと作為的に軽く取り扱っている。」こういう表現の説明がなされておるわけであります。各参考人にお伺いしたいのはこの点でありますが、伊藤先生はじめ皆さん方は、この今回の改正案を手続に関する一部改正だと認識せられておりますか、あるいはどうですか。この点をひとつ皆さんからそれぞれお答えをいただきたいと思うのであります。
  18. 伊藤四十二

    ○伊藤参考人 私、そういうむずかしい問題についていま明快なお答えができるかどうか心もとないのですが、私の考えを申させていただきますと、要するに現在どういう特許申請がなされているかがわからない。したがって産業界では、その審査が行なわれて公告されるまでに相当の時間がかかるために、重複投資とか重複研究のおそれがある。だから早くどういう内容のものが出ているかを知りたいというところ、それからこういうことが起こったように私は伺っておるわけなんですが、それは要するに、問題は審査期間が長引く、したがって公告がうんとおくれる、だからわからないんだということでありますから、何でもなく私は、審査期間をうんと短縮し、合理化をはかるべきではないか。それには私の立場から申しますといわゆる情報管理、結局審査なさる方はすべての資料をよく精密に御調査になった上で判断なさるわけでありますから、別に実験室があってそこで実験しておやりになるわけじゃございません。したがって、これは純然たる情報管理の問題だと思うのであります。ですから相当の国費を特許情報の管理のほうに投資なさいまして、そうしてきわめて迅速的確に過去の新規性を判定するために必要な情報検索ということを最も近代的にやる。それには相当多額の国費を費すべきだと私は思います。それで済むんじゃないか、そういうふうに私は考えておりますが、いかがでございましょうか。
  19. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私の質問の要旨がおわかりにならぬ点もあると思いますから、ちょっと補足させていただきます。  私のお伺いしたいのは、今次改正案というものを手続に関する一部改正というようにお考えになりますか。いわゆる法体系に対して、特許行政全体のいままでやってまいりましたことに対して、法律的に抜本的にこの行政を変えようとする内容を持つものであるかどうか、この点どちらですかとお伺いをいたしておるわけであります。
  20. 伊藤四十二

    ○伊藤参考人 どうも失礼いたしました。これは私全くしろうと考えでございますが、相当大きな変革ではないか、こういうふうに考えております。
  21. 大條正義

    ○大條参考人 私は先ほど、いま御質問の佐野先生がおっしゃった要旨を提出した者でございますから、それを簡単にふえんいたしますと、これは抜本的改正である。その一番根拠は、先ほど申し上げませんでしたけれども、発明者の権利というものは特許の出願以前からある。その発明者の権利のうちで一番重要なものは、発明を秘密にする権利でございます。その発明者の権利そのものは創意くふうに関する権利として著作権と同様なものであり、これは基本的人権でございます。そういうものに対してその秘密を強制的に解除するという点がありますので、これは明らかに発明者の権利についての大変革を加えるものというふうに考えるわけでございます。
  22. 五月女正三

    ○五月女参考人 私は今回の改正法案は手続に関する一部改正の法律案であると存じております。と申しますのは、現実に目の前に七十万件という大きな滞貨がありまして、これを処理しないで新しい本質的な抜本的な制度の改正を論ずることは非常にこっけいであると存じます。まず、目の前の滞貨を一掃して、しかる後に本質的な討議に入るのでなければ、特に国際的な制度に参画するというような状態にはなかなかならないのじゃないか、そういうふうに存じております。
  23. 杉林信義

    ○杉林参考人 先ほども申し上げましたように、旧法もそうであり、現行法も審査主義を大前提としておると思いますので、その限りにおいては、これからの産業における発明の保護についてどのようなあり方をしていこうかということで、若干そこに早期公開という例外的な処置を講じたという意味で手続的な面において若干の変更をしていく、大原則だけは曲げないということでありましたので、私の要望を先ほど申し上げたのであります。
  24. 中村幸雄

    ○中村参考人 審査主義をとっているという点から見ますと、これは手続に関する変更であろうと思います。
  25. 湯浅恭三

    ○湯浅参考人 抜本的改正であるかどうかという、その抜本的ということの意味でございますが、出願人の権利に非常に影響がある、そういう意味で根本的にそれが違ってくるというようなことでありますと、私は権利関係にそれほどの大きい変革を来たすような改正であるとは存じません。もちろん多少の影響があると存じます。むしろ手続的には相当大きい変更ではございます。
  26. 佐野進

    ○佐野(進)委員 十分間ということですから、時間が参りましたので、一応質問を終わります。
  27. 大久保武雄

    ○大久保委員長 武藤山治君。
  28. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 参考人の皆さんに十分間の質問でございますから、ほんの項目だけを端的にお答えいただきたいと思います。  最初に、伊藤先生と杉林先生の結論は、やはり新規性の調査が迅速にできるような手だてをしない限り、こういう改正をやっても効果はあがらないという結論だと思うのであります。私もそういう気がいたすのでありますが、御参考のためにドイツを御見学なさった際の、すばらしいドイツの機構というものはどのくらい金をかけて建設をされたものか、これが第一点。それからもう一つは、審査官に対する待遇ドイツあたりではどういう待遇をしているのか。審査官自身の労働に刺激を与える何か対策を立てない限り、制度をちょっぴりいじっても、なかなか能率はあがらぬと思うのです。そういう点、ドイツなどでは審査官に対して、日本と比較した場合、どういう手だてをしているのか。それから第三点に、日本の特許庁の予算というものは、先生方御承知のように、印紙収入と現金収入の特許庁歳入の範囲内でのみ予算を編成しておるのです。したがって、非常に予算がちょっぴりなんであります。そこで先生方のおっしゃるいろいろなそういう新規性が簡単に科学的に電化されたシステムで把握できるというような予算は、従来の特許庁の予算編成のようなやり方では不可能なんです。全く不可能なんです。したがって、そういう点ドイツの例がどうなっておるかというのをお聞きしたい。  それからもう一つ杉林先生のほうには、ただいまの質問に、もしお答えできれば答えをしていただきたいのでありますが、先生のおっしゃる要望、たとえば、そういうりっぱな情報センターあるいは新規性が調査できる機関、そういうものをつくるべきだとか、あるいは審査料をとらないようにすべきだとか、いろいろ杉林先生の要望が出ておりました。もしそういう要望が、今回実現されないという前提に立った場合、こういう改正はメリットがあるのかどうか、実効があがると思うのかどうか、この点をまずお二人の先生方からお答えいただきたいと思います。
  29. 伊藤四十二

    ○伊藤参考人 まことに申しわけないのでございますが、私がドイツ特許庁を見学いたしましたときは、純然たる図書館の立場で終始見学いたしまして、またそのときに具体的にどれだけの費用がかかったかということまでは実は調べるひまがございませんでした。ただ、私の直感では、もう相当額が投資されておる、そうでなければとてもあれだけのものはできないという感じがいたしました。  それから第二問の、特許庁の審査官に対する待遇その他の問題でございますが、これも別にそれを調べたわけでございませんが、私が見学いたしました直感では、非常に能率よく審査できるようなそういう施設、環境であるというふうに判断いたしました。まことに申しわけございませんが、詳しく調べておりませんので、どうも……。
  30. 杉林信義

    ○杉林参考人 ただいまの御質問でございますが、私も昭和三十八年にもドイツ、フランスは回ってまいったのですが、新規性調査機関を設置する場合に、どれだけの費用がかかるかということですが、そのときには、そういう費用の点は、至って私昔から関心のないほうで、数字に弱いほうなんで、聞いてまいっておりませんが、実情はいま伊藤参考人がおっしゃいましたように、ドイツはたいへん資料が整備しておるということでございます。地下室は全部自動的に動くようになっております。審査官がこういう資料を欲しいと言うと、下からずっと上がってくるようになっております。日本のように一々資料館までとりに行くとか、そんなことはありはしません。実に合理化されております。  それからフランスは無審査主義の国であるがために、一般の発明者が自分のなした発明の部門において先行技術がどういうものがあったかという調査をするにはたいへん整備されております。私も見てまいりました。そういった点はまだ日本の場合にはそれほど完備はされておらないので、審査官のロードは相当のものだろうと思います。だから幾らかかるか、相当の費用がかかることは間違いないと思いますし、やがてはPCTに加入するということになれば、当然いまから準備をしなければ間に合わないと思います。費用の点についてはお答えできないことをお許し願いたいと思います。  それから審査官の待遇ですが、これも私が視察で行きましたとき、一々あなたは幾らもらっておるかということはちょっと聞きにくいのでありまして、たとえばドイツの例を申し上げますと、エンジニアは大学を出てから五年間会社の現場に行くのだそうです。それから採用試験を受けて入ってくるサラリーはどうかと聞きましたら、それは会社によったベースの上へ上積みをされて、公務員として入ってくるのだそうであります。四十歳の電気屋でありましたが、いまも文通しておりますが、その方はスイスに別荘を持っておりますという。そうして日本の換算にしまして、昭和三十八年には大体日本の審査官の五倍もらっております。いかに日本のイグザミナーが、給料が低いか――イグザミナーだけじゃありません、一般公務員は低いのでありますけれども、低い。知能的な労働に服しながら、知能的といいましても心身ともに疲れますが、知能的な場合は、あまりにも給料が少ない。こういうことで日本は幾らかと言われて、こうだと言ったら、少ないな、よく働いているな、こう言われました。これはその国の経済の関係もいろいろありましょうが、そのようでありました。  それから審査請求料について、これをそのまま法案が通過したらどうか、こういう御質問だったかと思いますが、これは私はまだいまそこまで、実際に置いた場合に発明される企業家においてどのような態度に出られるか、ちょっと予測がつかないのでありまして、この点は意見を述べることを差し控えさしていただきたいと思います。
  31. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 次に、五月女さんにちょっとお尋ねいたしますが、あなたの見解では、発明者の権利の侵害、あるいは発明者の秘密の解除、こういうものの侵害程度よりは企業の要請あるいは技術革新の現状からいって、スピーディに処理されればいいのだ、このほうにあなたの場合は非常にウエートが置かれておるわけですね。私たちはやはり憲法に規定された個人の権利というものを最大限に保障していく、そしてなおかつ迅速、正確な審査が行なわれる、これが最も望ましい状態だと考える。そういう点で、あなたは三百社の大体大企業のメンバーで組織されている特許協会ですか、ここの立場からの発言でありますから当然だと思うのであります。ただその発言の中で重大だと思いましたのは、おそらくこの制度ができれば、審査請求は特許の場合二〇%ぐらい申請をしない、放棄するだろう、それから実用の場合は三〇%から四〇%が放棄されるだろうというアンケート調査の結果がある、こう言うのですね。もしそれが事実に近いとするならば、現在こういう滞貸情勢になっておるのに、それに協力をしようという姿勢をなぜとれなかったのか。いままでの間に二〇%なり三〇%なり四〇%なりを、三百社の大企業に、特許庁の仕事量がどんどんふえて、しかも政府は人員をそれに呼応してふやしてくれぬ、何とか早く技術を公開させなければお互いの損だから、このアンケートの答えの程度は、みんなでひとつ取り下げようじゃないか、そういう努力をしてしかるべきじゃないかと思うのです。そういう努力は企業家側としてしたことがあるのですか、しようという努力をしたのですか。今度の場合は、今度の法案に協力するという意味で、おそらく特許では二〇%、実用では三〇から四〇減るだろうという、それはここを通すための言いのがれ的な発言なのか、ほんとうにそうなるのか。もしほんとうになるとするならば、私はもっと前の段階で、滞貨がどんどん積まれていく情勢の中でそういう姿勢をとってしかるべきではなかろうかという気がするのですが、何かそれをするためのネックがあるのですか。
  32. 五月女正三

    ○五月女参考人 三百社の大きな企業というふうに申されましたけれども、私どもの協会のメンバー半数以上がむしろ中小企業でございまして、大企業ばかりではございません。  そこで、そういう点をちょっと申し上げておきますが、ただいまたくさんの出願がある、それを今度の法律が出る前になぜ取り下げなり放棄なりということで協力しなかったかという御質問でございますが、これはただいま隣の方が申されましたように、企業は何か新しいアイデア、発明ができますれば、それはその時点においては防衛上どうしても出願せざるを得ない、これは企業が投資をして研究の成果を権利として守っておくために、それがさらに商業的な技術にまで進歩していくかどうかという見通しがないままに、出願はしておく、しかし事実上はその後先願が出てまいりましたり、その発明自体が生命を失う、経済性を失うということのために、途中で捨ててもいいと思われるものが出てくるのでございます。これは防衛上出しておくものも含めまして、すでに生命を失ったという発明は必ず出てまいります。そういうものについてはいままではなぜしなかったかと申しますと、やはりこれは黙っていても審査をやっていただける、こういう制度だったわけですね。そうしますと、一々それを選んで取り下げということをしないまでも、特許庁のほうで拒絶なり許すなりということをやっていただけるものですから、非常に数が多うございますから、それを一々選んで取り下げというようなことをやったところは非常に少ないじゃないか。異議申し立てがございますれば、これは正当な理由があれば取り下げその他の処置をとっておる点がたくさんあると思います。しかし、今度こういう非常に膨大な滞貨をかかえるという状態になりますれば、当然その滞貨を処理するための手段の援助として、今後のやり方といたしましては、やはり従来の出願を含めて、今後の新法下に予想される新しい出願につきましても、やはりほんとうに必要なものだけ審査するというように協力してまいりたい、そういうふうに思っております。
  33. 武藤嘉文

    ○武藤委員 時間がないから反論はやめます。  次に大條さんと弁理士会長の湯浅さんに簡単にお答え願いますが、今日滞貨がかくも大量にできた最大の原因は、端的に言って何と何と何だ、それを解消する手だてがいままでに考えられなかったのか、考えられるとしたら、どういうこととどういうことをやればこういうことにならなかったのか、これからのカルテを書くために、やはり診断は正確でなければならぬと思いますので、その点をお聞かせ願いたい。  それから湯浅さんには、弁理士というのは相当な数がおる、その相当な数の弁理士を動員して、月火水……にこれを割り振って審査に協力をさせるというようなことは、やろうとすればできるのかできないことなのか。そうしてこういう滞貨を、権利の侵害や秘密の解除まで進まないで解消する方法というのはあったのではないか、どうしてもなかったのか。そこらをひとつ、これからの前進のためにやはり聞いておく必要があろうと思いますので、簡単にひとつお答え願いたいと思います。
  34. 大條正義

    ○大條参考人 お答え申し上げます。  第一に、この滞貨の生じた原因でございますが、これは審査官の定員と審査官の実員との開きにあると思います。その開きは年々大体百名から百五十名ございます。これは四十一年の改正問題があったときにもこの問題が出まして、お答えがあったはずでございますが、現状においては百五十名あるそうでございますが、かりに百名といたしまして、この十年間に生じたあるべき必要なる審査官は千名ということになります。その千名がかりに三百件ずつの審査をやっておったとすれば、これは三十万件でございます。こういう点で現在、先ほどもちょっと申し上げた実際上の審査滞貨というものは二十七万件程度であるということから考えて、まさしくその実員がちゃんと補充されておったならば、この滞貨はもう全然なかったということも言い切れるわけでございます。  さらに、次には特許庁の内部の事務機構の問題がございます。事務機構の関係で能率があがらない、特に審査官の数と事務官の数とのアンバランスの問題がございます。ことにいろいろの問題について関所ができておるというような現状で、事実特許庁の窓口に書類を差し出した場合に、これが審査官に届くだけで四十日もかかるという実情がございます。そういうふうで、事務官と審査官とのアンバランスということで、結局はそういうような事務の書類の流通が妨げられているということは明らかでございます。ほかにもございますが、これは非常に重要な大問題でございます。そういう点を審議会でもやれということを私は申し上げた次第でございます。
  35. 湯浅恭三

    ○湯浅参考人 お答え申し上げます。  現在の滞貨の原因といたしましては、よく申されております出願の激増、内容の高度化、複雑化というふうなことが相当影響いたしておりますが、もちろんいま大條参考人がおっしゃいましたように、審査官の数というようなことも非常に影響があると存じます。これはどうすればいいかということは、前々から考えられていたことでございますが、なかなか適当な解決方法がないので、まず今回の法律改正というようなところになってきたのであろうと存じます。  また、弁理士を動員して審査に協力させるという問題でございますが、これはいろいろな事情がございまして、現在の段階ではむしろ困難ではないかと存じます。第一、特許の内容が秘密の点が非常に多いので、秘密性が多い。またそれぞれ弁理士は自分の事件の代理人として出願をやっておりますので、利害関係もあるわけでございますから、それがどういう方法でやりますか、特許庁に協力して審査を手伝うということも非常にむずかしいのでないかと存じます。  ただ、こういうことがあるように承っておりますが、弁理士の中で審査官希望の方も相当あるんじゃないかということなんで、もし特許庁のほうでそういう方を何とかして審査官に採るような制度をつくっていただけば、これもけっこうじゃないかと存じます。
  36. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 時間ですから……。
  37. 大久保武雄

    ○大久保委員長 伊藤参考人には遠路わざわざ御出席いただきましてまことにありがとうございました。お約束の時間ですので、どうぞお引き取りください。  齋藤憲三君。
  38. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 私、飛び入りでたいへん不勉強でございますが、簡単に一問だけ御質問申し上げておきたいと思います。  この特許行政のあり方につきましては、科学技術の振興その他の立場から従来とも幾多の論議があるわけでございますが、要するに今回の特許法の改正も、目的とするところは、特許法に規定された第一条の目的をなるべくすみやかに完遂したいという趣旨に基づくものだと存ずるのであります。ただいま参考人各位の御意見を拝聴いたしましたが、賛成のお方と反対のお方、またいろいろな条件をおつけになっておられる御意見がございました。これについて一々私も考えておりますことをお伺いいたしまして御回答を賜わる時間がございませんので、会議録を通じてよく御意見を拝聴して、当局に対して機会あるごとに質問して、なるべく正当な法改正の取り扱いに尽力いたしたいと考えておるわけでございますが、ただ、一点だけ今回の改正の骨子となります早期公開と審査請求権、これは一体となって審査の充実と審査期間の短縮を目標にした法案だ、私はこう思うのであります。大條参考人におかれましてはいろいろな角度から反対を唱えておられますが、その反対の御意見に対しましても傾聴するところが多々あると思うのであります。しかし何にいたしましても、最近のように技術革新が急速に歩調を速めまして、もう一年、二年たつうちに時代の様相が変わる。それに対してこの特許法第二条に規定されております「この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」、こういうものが二年も三年もやみの中に葬られて、そうして特許の実体をあらわしていかないということになりますと、これは発明者の権利が台なしになってしまうということはもちろんのこと、国家の利益、人類社会の損失というものは非常に大きいのじゃないか、こう思うのであります。どうしても特許というものの実体として考えますと、発明を早く世の中へ出して、それが人類社会に貢献するように取り計らいたいということがやはり工業所有権のたてまえじゃないかと私は思うのでありますが、結局するところ、どうしたら充実した審査を行ないつつ審査期間の短縮をはかるかということになるのだ、こう思うのでありますが、これに対していままで御所見を拝聴しておりましたが、いろいろな御構想もおありのようでございますが、これぞという金的を射たような確信のある御所見もまだ明らかにされてないように私はちょっと感じたのでございます。  特に私、弁理士会長の湯浅先生に念のためにお伺いいたしたいと思うのでございますが、弁理士会といたしましては、審査期間を法定化する、それから審査請求料を低額にするという二つの条件をおつけになりまして、この二条件がいれられればこの法改正に賛成だというふうな御意思のように承ったのであります。審査期間を法定化するということになりますと、これは審査官その他特許庁が責任を負わなければなりませんから、これはなかなかむずかしいのじゃないか、こう思うのですが、これに近寄り得られる方法が法改正の中に盛られておればそれで御賛成が願えるかどうかという一点なんであります。  と申しますのは、特許は世界的な問題でございますから、申し上げるまでもなく世界の最高の科学技術のレベルから出た創意くふうが特許申請の形で日本に押し寄せてくるわけであります。この最高度の科学技術の専門的な分野に関する発明を一枚の紙に書いて、そしてその一枚の紙によって審査官はこれを審査していかなければならない。これは言うべくしてなかなか私は困難だ、こう思うのであります。それは全知全能の神さまならいざ知らず、いまのような高度化された科学技術の世界におきましては、なかなかそれは困難だ。そこに私は本質的に審査が遅延する原因があると思う。これは人間の数じゃないのだと思う。人間の能力だと私は思う。でありますから、口はばったいことを申し上げるようでありますが、経験は知識を生み、知識はまた経験を生んでいくのであります。やはり経験を持たない人は経験を持った人の創意くふうというものを紙一枚で審査するということは、これはなかなか困難だ。そこに私は高度化された現代における特許審査の時間がよけいかかるという根本的な原因がある、こう思う。ですから、もしもこれを早期に充実した審査を前提として時間を短縮するということになれば、そういう専門的な立場に立つ人の国家総動員的形態を整える必要が私はあるのじゃないか。それは日本の頭脳でありますから、頭脳に携わる専門的な立場における人の総動員体制を確立をすることができれば、それは審査時間というものは短縮されて、そうして審査の充実がはかられる、こう思うのです。私はそう考えておるのです。それが私はこの法案の早期公開をねらっておる一つの原因じゃないかと思っておるのです。早期公開をすれば、秘密というものはもうなくなるのでありますから、だれでも行ってその参考資料を要求することができる。それが百九十四条第二項を挿入するということのメリットじゃないか、私はそう考えておるのであります。この百九十四条の第二項は、「特許庁長官又は審査官は、関係行政機関又は学校その他の団体に対して審査に必要な調査を依頼することができる。」という、二項を挿入するということなんですね。ですから、もしこれで足りなければ、この条項をもっと強化する、そうして、特許庁長官または審査官の要請に従って関係行政機関または学校その他の団体が、審査に必要な調査の依頼があった場合に、これに応じて、そうしていろいろな参考資料、公知公開であるかどうかというようなもの、あるいは専門的な立場に立ってその資料を提供していく、そうして審査官の審査を充実した立場において助けていく、そうすると非常に審査の時間が短縮できるんじゃないか、こう思うのでありますが、一体そういうような法の改正によって、弁理士会の御要望になっております、条文に審査期間をちゃんと明記しろということではなく、こういうことを充実することによって審査期間の短縮ができるというお見通しがつきますれば、この法改正に御賛成が賜われるんじゃないか、そう思うのでありますが、この点いかがでございましょうか、ひとつ御回答お願いいたしたいと思います。
  39. 湯浅恭三

    ○湯浅参考人 湯淺でございますが、お答え申し上げます。  この期間の法定の問題でございますけれども、これにつきましては、先刻いろいろな観点から、二年の法定が決して無理な注文でないということを申し上げておりますのでございます。しかし、弁理士会の決議にもそのことははっきりと書いておりますが、その理由の中で、まあ法定ということがどうしてもできないということであれば、それにかわるような効果のある方法を考えていただきたいということなのでございまして、それがどういう方法であるかということは、私からいま申し上げる余裕もございませんが、このことについては十分本委員会においてお考えいただきたいと存じております。  なお、この二つの条件、これは弁理士会といたしましては、いろいろな方面から新しい法案を研究いたしまして、これが最小限度の要求というところでお願いしているわけでございますから、その辺の事情も御了解願いたいと存じます。
  40. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 いまのお答えをいただきますというと、審査期間二年間に限って法律の中に規定をしろという要望は、やはりそれがもしできなければ、それに近づく方法が案出されればそれでよろしいというように承ったのでございますが、何かそれに近づく方法というものを私いろいろ考えてみたのでありますが、やはり先ほど申し上げましたとおり、この百九十四条の第二項を挿入することによって、広く審査機能を拡大して、他の行政機関または大学あるいはその他の団体に参考資料を要求して、そして審査期間の短縮をはかるということについては、御賛成を賜わることができるのですか、どうですか、これをひとつ……。
  41. 湯浅恭三

    ○湯浅参考人 湯淺でございます。お答え申し上げます。  他の機関に調査を依頼するということでございますが、この特許に関する資料の調査ということは、非常に専門的な知識が必要であると存じますので、ただこの条文にありますような方法で他の機関に調査を依頼されても、はたして短い期間にその目的が達せられるかどうかということは、非常に疑問がございますので、直ちにそれを依頼することによってこの問題が解決するというふうにはわれわれとしては解釈いたしにくいのでございます。
  42. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 やはり、公知公開であるかどうかという世界的な文献を調査する、こういう立場に立ちますと、科学技術情報センターという国家機構もございます。また、その他、実験を必要とする問題については、各種行政機関が持っておる研究所がございます。私も特許を提出いたしまして、こういう拒絶に類した通達をよく受けることがございます。官庁またはこれと同等の権威ある実験証明書をよこせという審査官の要求でございます。これは、私からいたしますと、個人的な特許審査を行なっているものに対して、官庁またはこれと同等の権威ある実験証明書をよこせという、それが結局いまの審査機能の弱体を表明しているものではないかと私は思うのであります。ほんとうに官庁またはこれと同等の実験証明書を必要とするならば、これは特許庁みずから国家機関に依頼してその実験をやらせれば、それは審査というものは私はどんどん進行していくのではないか。そういう機能を持たし得るとするならば、私は、審査の充実と審査期間の短縮というものはできるのではないか。だから、公開というものに対して、大條参考人の言われるとおり、既得権の侵害という問題もそれは考えられないわけではないと思うのです。しかし、それよりも、公開をして審査の充実、審査期間の短縮をはかり得るということになれば、発明者ももとよりのこと、発明それ自体が、国家、人類社会に及ぼすメリットというものは大きくなる。だから、やはり改革には理性が必要なんですから、いろいろな疑惑はあっても、それ以上のメリットがあって、その目的である審査の短縮、審査の充実というものがはかり得れば、やはり法改正として一応認めてやってみるほうが、この渋滞した七十万件に及ぶ未処理案件の解決というものには私は効果があるのではないか、そういうふうにも考えるのですが、大條参考人、どういうふうにお考えになりますか。
  43. 大條正義

    ○大條参考人 ただいまの齋藤先生の御質問の要旨は、結局、今度の早期公開、審査請求制度を一応とにかく何とかしてやってみる必要があるのではないか、その根拠は審査促進ということが非常に重要だが、これに対する適当な対案がないのではないかということに帰着するかと思います。  そこで、ひとつ、齋藤先生がまず御提案になりました、公開した場合に他の国立機関その他に審査を依頼するというような点、これを法定したらいかがかということでございますが、まずその問題からお答えいたしますと、非常に残念でございますけれども、これに対して、一部の例外を除いては、特許庁におけるほとんどの審査に対してこれを適用するということは、事実上これは困難ではないかと思うのです。というのは、だれがこれを特許査定をするかということでございますが、まさか大学教授や他の研究機関の適当なる研究官に特許を査定させるというわけにいかないでございましょう。おそらく、やるからには特許庁審査官名をもって査定しなければならぬ。そうすると、やはり責任は審査官に生ずるということでございますから、結局、審査官は一度庁外で行なわれた審査に対して目を通す必要は少なくともある。ところが、目を通すということについて、いま特許審査の負担からいいますと、その書類がきて、これを読むのに精力の四〇%かかるのです。それから判断するのに二〇%かかる。その他事務上の問題はありますけれども。こういうわけで、せっかく大学でやられた審査を見るには、やはり一度目を通して、自分でどういうものだということを知らなければ判を押せないということでございますから、少なくとも半分の精力は、審査負担にとられるということになると、やはり相当のエネルギーが要るということで、審査負担はたいして減らない。しかし、中には特許庁外の見識のほうがはるかに高いような問題もございますから、そういう特殊な分野については、先生の御提案はたいへんけっこうだと思いますが、大部分の問題については、これはむずかしいというふうに考えておる次第でございます。  それから、次に、それじゃ対案はほかにはないのか、なければやっぱり今度の早期公開をやればいいのじゃないかということだろうと思いますが、これは対案はたくさんございます。たとえば、先ほど申された特許庁外の弁理士その他、先ほど社会党側のほうからの御質問もございましたけれども、弁理士などが審査に参加をしてそういう協力ができるのかという問題もございます。しかし、これは完全にあるわけでございます。日本の特許制度におきましては、非常にありがたいことには、実用新案という制度がございます。出願のうち、その審査負担の二割から二割五分程度は実用新案でございます。その実用新案については、この前の四十一国会でございますか、あれは廃案になりましたけれども、あのねらいはたいへんよかった。実用新案の審査について、これを審査に負担がかからぬようにしようというねらいでございました。これをやれば、二割から二割五分の審査負担は減る。そうすると、滞貨は明らかに、逐次なしくずしでございますけれども、なくなっていくわけでございます。実用新案については、この中身は非常に簡単な発明でございます。比較的理解しやすい、図面だけ見てもわかるというものが非常に多うございます。そういうものについて、これは重大な問題をはらんでおりませんので、これは弁理士にまかしてもよいと私は思います。弁理士は審査官と同等、あるいは以上の方もおられます。そういう程度の学識経験を持っておるものでございます。しかし、残念ながら、これはいろいろの会社の代理人等をやっておりまして、これはむずかしいのでございますけれども、この問題について、出願人がだれかわからぬ、あるいはその内容についても、どこから出願されたか、どのような経路を経たかということがわからないような資料にしておいてこれをやるということは、事務手続上、書類としては可能でございますので、これをある程度弁理士にやらせるとか、あるいは、この出願の以前あるいは出願の過程において弁理士が鑑定能力を持っております。この鑑定をみずから宣誓をして、この出願については新規性があります、いままでの調査資料はこれこれというものをつけて特許庁に出します場合は、特許庁では、これは長官名をもって査定してしまう。審査官名じゃございませんが、責任は長官が持つ。しかし、その場合、宣誓人が一番の責任を持つわけでありますから、これは同じものがあったということでは、弁理士として、業として、将来立たなくなることは明らかでございます。そういうわけでございますから、そういうような宣誓鑑定ということで、事実上の審査協力という体制が可能でございます。  ほかにもございますが、たとえば審査請求前に新規性の調査を義務づけるということでございます。これは現在でも早くその調査をせよということでございますが、事実上できません。これをやるには、やはり新規性調査機関という第二の特許庁とも称すべき機関を絶対に設ける必要がある。これは今度の早期公開をやる場合は、それから考えたのではいけない、その前にこれをやらなければいけないのでございます。現在でも必要でございます。特許調査公団、たとえばそういうような名称でもよろしゅうございましょう。そういう法律を検討して、ここに同時に提案すべきものであったと私は思います。  そのほか、たとえば今度の法律をやる対案といたしましても補正、分割、変更の制限なんという、こういう世界じゅうに類のない、われわれ弁理士だってわかりません。このような制度をやめなければいかぬ。やめるには問題がありますから、これを検討しなければいけない。それから請求範囲を多項化するということは、非常に必要でございます。諸外国並みに考え方を改めるならば、ここに及ばなければ、その本質が何もない。特許請求範囲は、日本では一項でございますけれども、世界じゅうでは、ほとんどの国は多項制をとっております。これは考え方がもともと違うのです。特許と発明というものに対する考え方がだいぶ違う。しかし、それは検討して、早くそこに、世界じゅにならしたところまで持っていかなければならぬ。特にPCTをやるのならなおさらのことです。これは絶対に必要でございます。こういう問題、まだたくさんございますが、時間がございません。  それで、そういうことをぜひともやらなければいかぬ、これを国会でやっていただきたいのですけれども、これはおそらく技術的問題が多過ぎて国会の審議になじむまい。だから、やはりもう一度政府に差し戻して、政府でもってなるべく早くこれをあげろ、それを対案として――対案というよりは補足案でございます。こういうことをやった上で早期公開、審査請求制度を出せ。私はもともと早期公開論者でございまして、その目的には非常に大賛成でございます。しかし、これではやれない。私の提案いたしました制度に自発公開制度というものがあります。これをもっと検討してもらいたい。これは発明と同時に公開される制度でございます。出願から一年半たってからこれを公開されるなんてもってのほかです。早期公開の目的からいえば、発明されたら直ちにということでございますが、これを可能ならしめる方法がございます。これを検討すればもっとよくなりましょう。しかし、これもむずかしいというならば、これはもう十年先でもよろしい。早期公開、審査請求制度の今度の制度をちゃんとしたものにするという必要がございます。そういうことでございます。
  44. 大久保武雄

    ○大久保委員長 小峯柳多君。
  45. 小峯柳多

    ○小峯委員 関連して、一問だけ伺っておきたいと思います。  先ほど中村さんのお話に私非常に興味を持ったのでありますが、審査の能率化ができれば、この問題は相当解決されると私は思うのであります。私しろうとでよくわかりませんが、結局、出願の内容というものはかなり個性豊かなものだろうと思います。しかし、先ほど中村さんのお話で、何かポイントの標準化のようなこと、あるいは表現の合理化というようなことばをお使いになりましたが、何か少し規格化ができるような感じがしたので、そこで私は、これもなまかじりの知識でございますが、コンピューターというものが、この特許事務の中でどの範囲、どの程度に生かし得る余地があるだろうか、データバンクのようなもの、公開資料についても、あるいは先ほどからお話のあります新規性の審査制度につきましても、データバンクのようなものが使えるんじゃないだろうか。  そこで、ひとつお伺いしたいのですが、いま申し上げたようなことで、コンピューターをこの特許事務の中でどの面に、あるいはどの範囲に、どの程度に使い得るだろうか、また、現実によその国でこれを生かしておられるだろうか、まだ実用の域に達してないとすれば、将来これがどのくらいの年数で可能性が出てくるものだろうか。なまかじりの知識の質問で恐縮でございますが、そういう疑問を持った。私は、この法案の審査をずっと伺っておりまして、たいへんな量の多い、また複雑な事務だと思いますが、やりようによっては、その中で情報処理が生かされるんじゃないかと考えますので、中村さんだけじゃございません、外国を御視察なさって、そういうものに触れて知識のあります方は、どうぞひとつ御教授いただきたいと思います。
  46. 中村幸雄

    ○中村参考人 お答え申し上げます。  ただいま小峯先生から、審査の能率化にコンピューターその他の応用ということができないだろうかというような御趣旨のお話がございました。私、全くその点は同感でございまして、やり方一つで十分にできると考えております。ただし、これにはあまり安易なやり方をおやりにならないほうがよろしかろうと思います。と申しますのは、特許と申しますか、特許される内容でございますが、それは通常普通の言語で書かれておりますが、言語というものはたいへんあいまいさと申しますか、多義性と申しますか、そういうことに富んだものでございまして、人間は、非常に多義的であいまいな言語の中から一つの意味をくみ取るという働きを自分の脳髄でやっておるわけであります。それがいかなるメカニズムで行なわれるかということについては、必ずしも明瞭になっておりません。でありますが、これに近似していく方法、つまり逐次それにだんだん近寄っていくということは現在大いに研究されておるわけでございます。したがいまして、完全な特許審査ということをコンピューターでやる、ということは、私は当分の間はまだお考えにならないほうがよかろう。研究は大いにやっていただきたい。もし特許庁あるいはその他の国立の機関において特許のための研究機関というものがあるならば、そこはそういうことをぜひともおやりになることをおすすめしたいと思います。当面の間は、特許の審査ではなくて、特許を審査するという現在の業務をちょっと簡単に分析いたしますと、最終的な審査の判断を下す仕事と、審査のために必要な資料をさがし出し、これを集め、自分が読んで理解をする、そういう二つの働きがございます。この後者のほう、資料を集めてこれを読む、理解するという、ここまでは機械化が十分可能なものであります。現在、特許以外の一般的な科学技術文献については、そういうことの手法が相当多くくふうされておりまして、そのうちのあるものは実用に十分なっております。したがいまして、こういうものをお使いになるのであれば、特許の審査という全体の業務のうち半分については、かなりの能率化ができ得るものと思います。これは私自身そういう種類の、いわゆるIRと申しますけれども、仕事をやってきた者といたしまして、これは可能であろうと思います。ただし、この場合にひとつお断わり申し上げなければいけませんのは、この作業はいまのところ全く機械化できる部分だけではありません。機械化でさがし出すという機能は非常に早く機械化してできますけれども、その機械に内容を覚え込ませるという操作は人間の力にまたねばなりません。したがいまして、特許のように件数の非常に多いものをこういう方式で処理しようと思いますと、この事前の処理というところにきわめて多量の人手を必要といたします。ただし、これは必ずしも審査官がなされなければできないという性格のものではございません。一般の学識経験者、先ほどの齋藤先生がおっしゃったような特許庁以外の機関でそういうことをすることは可能でございます。したがいまして、特許審査業務全体のうち約半分は相当の熱意を持って働けば機械化することは可能である。ただしこれにつきましては相当の経費が必要でございまして、単にそこらの計算機を一台買ってきたならばできるというように安易にお考えくだすっては困るわけでございます。しかし、これはぜひともそういうことの努力を政府におきましてやっていただきたいとわれわれは考えております。なおそれが十分にできますと、審査官が得をするだけではなくて、その機能が一般の発明者あるいは特許を出願する人に利用さしていただけるものならば、これはまたたいへんな能率向上になるわけでございます。この辺は国の行政の立場から、それを外へ利用させるか、させないほうがいいかということは私の判断外のことでございますので、できればそれはたいへん需要があるということだけは申し上げておきたいと思います。また、もし国が審査のために使うものであって一般の利用にはできないとおっしゃれば、それと同じようなものを特許庁外にそういうものをつくることによりまして一般の利用をはかることは、これは十分可能性のあることでございます。こんなことでいかがでございましょうか。  それから外国の事例についてお尋ねでございますから簡単に申します。特許全般にわたってそういうようなことをやった実例はまだございません。最も進んでおるのがアメリカの特許庁であろうと思いますが、ここにおきましてもいまだ、各分野ごとに方式をいろいろ変えまして、実験的な態度でもってこれに臨んでおります。アメリカの特許庁に限らず、日本の特許庁も含めまして、国際的な協力機関ができまして、これをアイシレパットという名前で呼んでおりますけれども、そこにおきまして研究的な態度で私は現在のところ臨んでおるものと了解しております。しかし、現在アメリカの全国的な情報組織ということを考えるときには、そこで使われるような能力を活用すれば近い将来にはそういうことは必ずや可能であろうと思います。また日本におきましても、それと同等程度のことはやろうと思えばできることと考えております。
  47. 五月女正三

    ○五月女参考人 審査の問題はいま中村さんから申し上げたとおりだと思います。そのほかに各国の特許庁、特にアメリカなどへ実際に行ってみまして感心いたしますのは、事務手続の合理化でございます。これはコンピューターと申しましても非常に簡単な機械でできますので、受付から最後に審査官のところを通ってまた返ってくるまで、これが完全に合理化されている。もちろんその途中では人手を要することはございますが、これによって事務部門のかなりな合理化ができるんじゃないか、そういうふうに考えます。
  48. 大久保武雄

    ○大久保委員長 杉林参考人にはたいへんお忙しい中を御出席いただき、まことにありがとうございました。お約束の時間が参りましたので、どうぞお引き取りください。  中谷鉄也君。
  49. 中谷鉄也

    ○中谷委員 私、きょうは実は杉林先生に一、二点お聞きしたい点があったのですが、たいへん大事なお仕事のようでございますので、御退席非常に残念ですが、やむを得ません。――よろしいでしょうか。では私お尋ねしたいのですが、簡単に申し上げます。  非常に手続的な改正なのか、実体法の改正なのかという点に問題があるのではなしに、抜本的な改正、制度改正というのが慎重かつ法的安定性を求める中で行なわれなければならないということは言うまでもないと思うのです。ただ何となしに苦しまぎれにやってみようというのでは国民は迷惑しごくだと思うのですが、たとえば補償請求の問題などについても確定はいたしておりませんし、ことに補正制限規定の四十一条のただし書きの発明の目的とか構成の一部などというふうな解釈などもいまなお不確定である。こういう状態のもとで法の改正が行なわれ施行されたとしたならば、弁理士会などを中心として特許審査について大混乱が起こってくるのではないか。法学者のお立場から、さらに審議を尽くして、こういうような問題は大條さんは先ほど審議会に差し戻せということでございましたが、少なくともそれぞれ条文に問題がありますこういうようなものについては、さらに審議を尽くすべきではないか、時期尚早であると私は考えますが、先生いかがでありましようか。
  50. 杉林信義

    ○杉林参考人 ただいまの御質問でございますが、手続的かあるいは制度的かという問題については、先ほどお答えしたと思いますが、手続的な改正にしてみましても、やはりいままでかってなかったそういった早期出願公開という制度をとるものですから、国民側からしますればやはり慎重な審議をして進まなければならぬ。   〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕 一たん法律が公布され施行されますと、もとにはなかなか戻らないのでございまして、そこに旧法大正十四年法そして昭和三十四年法、そして今度通過しますとさらに四十四年法と三つの法が重なってまいりますし、その間における権利の相互関係というものがたいへん重要なことになってくると思います。   〔武藤(嘉)委員長代理退席、委員長着席〕 そういう意味では、御質問なさいましたように慎重にいかなければならぬ、こういうぐあいに私は理解しております。  それから補償の問題なんですが、これは特に重要なのであります。それは現行法をつくられたときにもたいへん問題になったことだと思います。なぜかと申しますと、早期公開にしましても、一たん発明を公開しますと、そこにどういう補償がなされなければならぬか。何となれば、発明者側からすれば、どういう財産なり利益を失うかということであるし、あるいはどういう利益なり財産を取得するかというこういう問題であります。第三者からすれば、それは侵してはならないという義務の負担が課せられます。したがいまして、審査するとかしないかは別問題として、早期公開をされるとそこに一つの補償の問題が出てまいります反面、かってにその内容を変更されることは第三者の不可侵の義務を拡大されるおそれがある。したがって法律案の中では発明同一性という問題これは特にきびしいのであります。したがいまして当委員会の諸先生方からも、あの逐条条文をお読みになると理解できるというのだったら、これは私が教えていただきたいぐらいであります。私たち自身もそれはなかなか難解なのであります。難解のような作業をしないと、逆に言うと国民の義務ということがおろそかになるから、政府当局もああいったむずかしい操作をなさったんだろうと思いますし、そういう意味で補正の規定はたいへんこまかく、微妙になっておると思いますが、専門家である法制局も審査されたんで、まあまあ行くんではないかとは思います。この参考人の意見をお聞きなさりましたこのあと、私の考えでは逐条解釈が行なわれるだろうと思います。逐条解説が行なわれるだろう、すぐはいかないだろうと思っておりますが、どうかたいへん条文が多うございますがめんどうがらないで皆さん、先生方が、逐条おやりになってください。
  51. 中谷鉄也

    ○中谷委員 先生、ちょっと一点だけお尋ねをいたしますが、要するに法律を御専攻、特に特許法を御専攻になっておられる先生のお立場からすれば、当委員会において逐条解釈がなされなければならないというのは、もう法学者としてのお立場からの強い御希望であるという点が一点。いま一点は、会議録をごらんいただいたそうでありますが、補償金請求制度あるいは早期公開等をめぐりまして、憲法上の問題も生ずる場合はあり得るというように私は主張いたしておりますが、こういうような説をなす人もおりますけれども、いわゆる憲法二十九条との関係等における問題というのは生じ得る。また、ことに、現に早期公開などという新法が施行される以前に出願をしたもの、それがとにかく思いもかけない早期公開をされるというようなことについては、権利侵害だという問題も生じ得る。これらの問題については、詳しい法律上の御見解をお伺いするには時間がございませんが、憲法上の問題もあり得るかどうか、こういうような点についてはひとつお答えいただきたいと思います。
  52. 杉林信義

    ○杉林参考人 ただいまの御質問ですが、補償金請求権の問題ですが、審議会の案が出ておりましたのですが、ところがその解説には何ら請求権の性質のことはあまり述べられておらないので、たいへんずさんでありますが、私もその法律的なものはまだ詳しく研究しておりませんので、あるいは若干そういう問題が起こってくるかもわかりませんし、特許法三十三条の特許を受ける権利の性格とかそういうものも若干からんでまいるとは思います。だから先生の御質問に対して明快なお答えができないことはおわび申し上げます。
  53. 中谷鉄也

    ○中谷委員 杉林先生、どうもありがとうございました。  次に、五月女参考人にお尋ねをいたします。  先ほど同僚委員であります武藤委員のほうからお尋ねをいたしました。要するに、五月女さんの参考人としての御意見の陳述というのは、特に全面賛成だという御陳述でございます。そうすると、一体従来からの政府の答弁というのは――この法律は満点の法律じゃないんです。五十点か六十点の場合だって、というふうな評価だってあるんです。あるいはまた、とにかく試行錯誤的にというふうなことばさえも出たような、そういうふうなものとしてわれわれ審議をしていた。どうも、あなたのお話をお伺いしておりますと、メリットについては盛んにお述べになったけれども、特許協会としてデメリット、この法案の持っている悪い面、こういう点については全然お考えになっていないのかどうか。この点いかがでしょうか。
  54. 五月女正三

    ○五月女参考人 特許協会といたしましては、すべての問題点について十分審議いたしました。もちろん、この法律は審査が早期に完全に行なわれるならばこういう手当てをする必要はなかったわけでございます。したがって、強制的に一年半で公開されるということが行なわれます以上は、その半面幾つかの弱点も出てまいります。そういう点はもちろん考慮しまして、結論において全面賛成と申し上げたわけでございます。でございますから、たとえば補償請求権の問題、これは通常の受け取るべき実施料程度を請求できるという点でわれわれはがまんしたわけでございます。それからその公告決定後も、公告後の差しとめ請求権は完全に認められておりますし、そういうようないろいろの観点からいって総合的にやるかやらぬかという問題になりますと、これはやるほうに全面賛成したわけでございます。でございますから、これは考えようによっては、目前の滞貨を一掃するということを目的にしたわけでございますから、拙速の法律といってもいいかと思います。もっといい法律があるならば、むしろそっちのほうにいったろうと思いますが、事実上はこれ以外に方法がないと考えたわけです。ですから、次善の策かもしれませんが、やらないよりはやったほうがよろしい、むしろやることによって、産業の発展という面においては大いに寄与をする、そういうふうに判断したわけでございます。
  55. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そこで、お尋ねをいたしたいのですけれども、そうすると、特許協会としても、この法律には数点の弱点がある、そのあたりで見解が分かれてくるわけですね。要するに、手続にしろ実体にしろ抜本的な改正であり、杉林教授が先ほど述べられたように程度にかかわることなんだ、間違っていた場合には取り返しがつかないことになる、というその法的安定性という点についての配慮をどの程度に評価するかという問題で、かかわりが、評価が分かれてまいりますね。そこでこれはひとつ御修正をいただいておいたほうがいいんじゃないかと思うのですけれども、武藤委員の質問の中に、要するに発明者の保護ということがある程度犠牲になっても早期公開のメリットのほうを重視する、こういうようなふうにあなたの御陳述は私も聞こえたんです。非常に私は重大だと思います。率直に申しまして、特許法第一条には発明の保護及び利用、こうございますね。だから、私は率直に言って、特許協会は企業サイドであらゆる点を判断されて賛成なんであって、いうてみれば国民的な視野に立ってこの法案についての判断というか、をされておらない。やはり私は特許協会にそういうふうな弱点があるのではないかというふうに思いますけれども、発明の保護ということが、少なくとも特許法の一番大きな眼目でございますね。これについてこの改正案は一体弱点を持っていないのかどうか。そういう早期公開制度というものはたいへんな弱点を持っていると思います。その早期公開のメリットについては伊藤参考人は、早期公開なんというのは情報判断であって、メリットはないのだとおっしゃる。それはさておいて、発明者の保護に欠けるのではないかという点についてはどのようにお考えになりますか。
  56. 五月女正三

    ○五月女参考人 特許協会は権利の保持者という立場、出願人という立場と同時に、発明によって益を受ける受益者という二つの面を持っております。したがって権利を振り回すという立場だけからものを言っているわけではございません。企業の立場と申しますのは当然のことながら、国民の利益につながる立場でものを言っているわけでございます。でございますから、国家であってもいいし、国民であってもいいのですが、国の産業の発展のためにつながる立場でものを言っているわけでございます。いま法的安定性は犠牲にしてもいい、そういうふうな発言があったということでございますが、速記録をお読みになればおわかりになると思いますが、そういう表現はしておりません。私どもといたしましては、一年半、先ほども大條さんからもお話がありましたように、発明は出されたらすぐ公開されるのが一番いいんだということがございましたように、できるだけ早く公開されることが国民全般の利益のためにもなると思うのです。そういう立場から申しますと、一年半というのは十分な時間であろうか、もしその間に審査が十分できるならば審査した上で出していただきたいくらいでございます。それが不可能な現在においては、早く見せていただくことを先にいたしまして、しかる後にじっくり審査をしていただく、完全審査をするという点につきましては、この法律はいままでと何ら変わっておりませんので、発明者の保護に欠けるということは一つもない、そう考えております。
  57. 中谷鉄也

    ○中谷委員 私あと一点だけ、湯浅先生とそれから大條先生、さらに五月女理事長さんにお尋ねをいたしたいと思います。  要するに、本改正案の二本の柱というのは、一つは早期公開であり、いま一つは審査請求制度でございますね。そこで、審査請求制度の採用によって請求率が減少するということばを盛んに特許庁いわれているわけです。この根拠は、特許協会のアンケートも一つの資料になっているけれども、これは時間がありませんので詳しいことは言いませんが、どの程度の期間をかけたアンケートであったかについて、かなり私、率直に言って疑問を持っているのです。それはさておいておきますが、こういう有力な意見がございますね。かりに、そんなことになるはずはないけれども、審査請求の率が八〇%を越える、要するにダウンしていって八〇%まで下がった、しかし八〇%は越えている、こういう状態の場合には――要するにいろいろな新しい制度を今度とりました。そういうふうな新しい制度の中で、ことに審査前置制度だとか、あるいは公開の準備だとか、公開公報の整理だとか、先願範囲の拡大だとか、そして先ほど私が質問いたしました補正制限規定の判断の困難性だとかいうふうな問題がありまして、八〇%までかりに下がったとしても、結局審理の促進にはならないで、新しい制度の導入の中では審理の遅延になるだろう、こういう有力な説があります。とても八〇%までは下がりませんよという前提を私はとっております。この点について、ひとつ湯浅先生それから大條先生、五月女理事長さんのほうから御見解をお伺いいたしたい、こういうことでございます。
  58. 湯浅恭三

    ○湯浅参考人 簡単にお答え申し上げますが、われわれといたしましては、どれだけ新しい法律のもとで請求率が減少するかということについては、どうももうひとつはっきりした見込みが立ちません。立ちませんし、八〇%ぐらいの場合にはたしてどうであるかということなんでございますが、幾らか減少するであろうということは考えられますけれども、それ以上のことは、やってみないとどうもはっきりしたことがわからないというのが、ただいまの考えでございます。
  59. 五月女正三

    ○五月女参考人 私どもの協会のアンケートは、そのとおり実施されるかどうか、これはまだだれも予測できません。しかし現実に権利を持っている人たちが過去の出願について個々に年ごとにどのくらいの請求率があるかということをこまかく出しまして、その統計の結果を申し上げただけでございます。ある程度、こういう問題には想像、イマジネーションがあるかもしれませんが、これは、多くの人が少なくなるだろうというふうに考えていることは事実でございます。それと外国の実例を見ても、実際上は少なくなっておる、そういうことでございます。  それからもう一つ、ほかの法律上のいろいろな問題があるのに、審査促進にならぬじゃないか、そういう問題でございますが、これは庁自体が運用の改善ということを徹底的にやらなければいけない問題だと思います。それと同時に、民間、弁理士団体、そういうところがこれに協力していくことによって達成すべきものであって、庁だけに責任を負わせるということもまたこれは責任過大だと思いますし、これは両方の協力が必要だ、そう考えております。
  60. 大條正義

    ○大條説明員 審査請求率の問題でございますが、これは八〇%くらいであろうということを特許庁では申しておられるわけでございますけれども、その根拠とされるところが、一つは特許協会での一昨年の十月ころの調査の資料と、それからもう一つは、オランダでどのような実績があるかということの二点でございます。  そこで、特許協会での調査でございますけれども、この調査資料を私審議会の席上でいただきましたものにつきましては、協会の理事長名をもって、非常にその調査期間が短かかったので、聞いてみますと、数日間だった、事実上その担当者が書いたのが二、三日であったということで、実際に調査が社内でも十分できなかったということでございまして、そのためにたいへん腰だめ的な数字である、もし本式に調査すれば数字が違ってくるかもわかりませんということが記載されておりました。それが実情であろうと思います。その資料によりまして、ほぼ八〇%とか八五%とかということを判断されているようでございます。  それからもう一つは、オランダの例でございますけれども、これはたいへん国情が違います。オランダは御存じのとおり非常な小国で、そのオランダに対する出願というもののほとんど八五%というものは外国からの出願でございます。われわれも出願の代理をやっておりますけれども、その場合七年間の審査期間の猶予があるわけでございまして、その七年の間におきましては、そのほかの国に出した出願のいずれかがレファレンスをつけて、拒絶になったりあるいは登録になったりしてまいります。そういう点から、ほかの国の審査資料を見て、さてオランダのものにはどうするかということを考えるわけでございます。オランダは施行以来まだ七年はたっておりませんので、そういうものが、数字がたくさんある、私のところでも当初やったものについては一つも請求しておりません。そういう次第でございまして、これは数字は当てにならないということでございますが、国内の資料につきまして、それ以上の数字がないので、ほんとうのことは推測によるよりしかたがありませんけれども、日本の国情におきましては、各企業の非常に諸外国に例を見ない激しいつばぜり合いが行なわれておるわけでございますので、これは防衛出願だからといって特許にならぬでもいいのだというわけにはまいりません。その防衛出願自体さえどのくらいあるかということさえつかんでおらない、資料がほとんどないのです。そういう状態で八〇%以上あればメリットがあり、七五%でしたか、それ以下であったならばデメリットだというようなことでその数字を判断するということはきわめて危険でございます。大体概略的に弁理士会内での――私は弁理士でもございますので、申し上げるのでございますが、皆さんの考え方では、日本人は必ず審査請求するであろう、特に中小企業者はほとんどやるのではあるまいか、私だったら最初から審査請求するように言うよという人が非常に多うございます。そういう点から見まして、これはその数字の八〇%というのはきわめて危険な数字であるということを私は申し上げたいと思います。
  61. 大久保武雄

    ○大久保委員長 塚本三郎君。
  62. 塚本三郎

    ○塚本委員 学校の先生方がお帰りになったので、お聞きするわけにいかないことが残念でございます。この問題の特に意見が分かれております重要な点は、特許庁の立場から言いますと、滞貨をできるだけ一掃して、早期に特許を与えたいという事務処理の問題に基本があると私は見ております。にもかかわらず、審査請求と早期公開という、いわゆる基本的な問題でもって事務処理の解決に当たろうと、実は問題が全く違った性質のものをぶつけてきたところに意見が百八十度分かれる根本があると思っております。だから、いってみるなら、片一方は、実際は事務処理の問題であったのが、特に早期公開によるところの権利侵害の危機という基本的な問題をかかえておる。だから、いってみるならば、重さと速さがどちらが重要かというようなことを論じておるような気が実はするわけでございます。したがって、ここで私たちは判断に実は苦しむわけでございますが、中村さんにちょっとお尋ねいたしますが、私どもから言いますると、どちらに重点を置くべきか、目方と速度とどちらがいいのだというような議論をしておるようでしかたがないのでございます。この点、中村参考人の立場では、この法律はどう扱うのが至当であるか、御意見を承りたいと思います。
  63. 中村幸雄

    ○中村参考人 お答え申し上げます。  たいへんむずかしい御質問でございまして、とっさに明瞭な回答ができないのは残念でございますが、おっしゃるように、形式的にはこれは手続の問題として出ているように私は了解いたします。私の個人的な見解では、手続の面についての改正をなさるのでございますけれども、それによってすべてが解決するとはどなたもお考えになっていらっしやらない。私もまた同じ意見でございます。したがいまして、手続によって若干のゲインがあるであろうから、それをとろうという御意見であるならば、私はそれに賛成でございますが、さらに大きな問題が後にまだ控えておるということを私はぜひ強調したいと思います。しかし、ものには順序がございますから、順を追ってやるのであるというならば、それはまたけっこうであろうかと思います。
  64. 塚本三郎

    ○塚本委員 湯浅参考人にお尋ねいたします。  実は、基本的には賛成の向きのようであったけれども、二つの条件が認められなければ反対であるという、そういう付帯的なことがつけられて、それが受け入れられないという今日の時点では反対という態度をおきめになった。このことは、おたくのほうからの書類等も拝見いたしておりまするので、大体私も承知をいたしております。しかし、この審査請求料の料金の問題は比較の問題ではないか。それから処理期間を法定するということも、弁理士会の要求いたしました二年間という期限は、実は弁理士会として算定してみますると、不可能ではないという見通しまで持ってみえる。にもかかわらず、これが実は法定されないからといって、いわゆる法案そのものに反対というふうな基本的な問題が、いわば料金の問題は比較の問題なんで、そしてまた処理期間の問題も、大体弁理士会の立場から見ると、見通しとしては実は不可能ではない、ただ立法作業として法定化されないというだけでもって、この法そのものを反対だというふうな御結論をお持ちになってみえるということについて、ちょっと私もその理解に苦しむわけでございます。基本的にこういう問題だからということの――実は二年間と区切ったのは、わからないわけでもございません。しかし、先ほどの湯浅さんの御見解では、それも不可能ではないという実態をおたくのほうでは把握してみえる。その中で法定化されないということが反対の理由になるとはどういうことなのか、ちょっとその点をお教えいただきたいと思います。
  65. 湯浅恭三

    ○湯浅参考人 お答え申し上げます。  二年の法定が不可能でないということをいろいろ申し上げたのでございますが、でありますから、そういうふうな規定を何かの形式で入れていただきたいということなんでございまして、必ずしも法律でもってそれを規定しなければならないというふうに――応は法律で規定していただきたいということは申し上げておるのでございますけれども、もしそれが現段階において不可能であれば、何かそれにかわるような、そういうふうな効力のある処置をとっていただきたいということなんでございます。  それから料金のほうは、これは伺いますところによれば、料金をもう少し変更することは必ずしも不可能でないというようなことも伺っておりますので、それが本委員会でお取り上げ願えればたいへんけっこうだというお願いをしておるわけであります。
  66. 塚本三郎

    ○塚本委員 もう一つお聞きしたいと思います。御意思はわかりましたが、それでは、たとえば法定すること、明記することがむずかしいとするならば、私たち委員がこの議決にあたりまして、たとえば附帯決議の中でその二つの問題が明記されるならば、それは必ずしも反対するものではないというふうに受け取られるわけでしょうか。どうでしょうか。
  67. 湯浅恭三

    ○湯浅参考人 お答えします。  附帯決議の効力の問題だと存じますのですけれども、伺いますところによりますと、附帯決議というものがなかなか実効がないということも伺っておりますので、これが実効のあるような方法であればけっこうだと存じます。
  68. 塚本三郎

    ○塚本委員 それでは大條さんにお尋ねいたします。  最初の供述の中で、重複研究を防止することはできるはずがない、こういうふうな御説明をいただきましたが、どうしてそういうことができないのだということをもう少し詳しく説明していただけませんか。
  69. 大條正義

    ○大條参考人 重複研究の問題については、重複研究の問題があるということをまず申し上げておきますけれども、この重複研究は、今度の制度によりますと、一年半でもって公開されるというわけでございますが、その現在の審査のあり方から見て、現行法によれば三年とかあるいは三年半とかいうふうにかかっておる。そういうこととからめて考えて、どれほど重複研究に役に立つかという問題になってくるわけでございます。重複研究がいままであったのが今度は全くなくなるかという問題ではございません。そこで、いまの一年半というものとそれから三年と簡単に考えますと、一年半の開きがある。一年半分の重複研究は避けることができるようになるという一つのここに原理がございます。その点は認めることができましょう。しかし、それは理論でございます。ここで重複研究を避けるためには、その公開公報が多数の手に渡って、その情報としてりっぱに処理されなければならないという面があるのでございます。ところが、現在の重複研究というものはどういう面にあらわれておるかと申しますと、その出願の前において秘密であった他人の特許と重複研究がどのくらいあったという調査は全くございません。先日科学技術庁で調査されたものは、そのアンケートによりますと、四三%の研究者が重複研究の経験があるというふうに申されております。私も、いま現在はやっておりませんけれども、発明者、研究者として携わっておりました当時、やはり重複研究の問題を私自身起こした経験がございますが、これは現在のほかの多くの方々と同じくドキュメンテーションが悪かったのでございます。その事前において、その前にあるところの過去数年分の調査というものすら十分に行なわなかったからでございます。ある程度行なったつもりであったが、やはりそれは欠けたということでございますが、それは現在の特許公報すら非常に多い。関係のものを見るだけでもたいへんです。そのほかいろいろな文献がございます。学術雑誌もございます。そういうものをすべて調査するとそういう重複研究は起こらなくなるわけでございますが、今度の場合においてその文献が、公開公報と特許公報を合わせますと、現在発行される特許公報のおよそ三倍にあがる見込みでございます。そうすると、そういうことで現在のドキュメンテーションさえまるで十分に行なわれていないというのが現状でございますから、その体制が整わない限り――条件がついておるわけでございますが、たとえば新規性調査機関でちょっと頼むとさっと一カ月後には出てくるというような状態がなければ、やはり早期公開による二重研究の防止という実益は実際上ほとんどあがるまい。全くとは申しません、中には運のいい人は防げることもありましょう。そういう意味でございます。
  70. 塚本三郎

    ○塚本委員 重ねて大條さんにお尋ねいたしますが、他の委員からの御質問のときに、私も早期公開には賛成であって、一年半という期間を置くこと自身も無意味で、申請がなされたら早期に公開すべきだという御意見がたしかあったようでございます。そのことは、いまおっしゃったように、それに早期公開に対するいわゆる完全なる補償制度、管理制度、こういうものがあるということが前提だ、そういうことをおっしゃったんでしょうか。それでいいわけでしょう。
  71. 大條正義

    ○大條参考人 そのとおりでございます。
  72. 塚本三郎

    ○塚本委員 最後に五月女さんにお尋ねいたしますが、公開されたものをステップとしてさらに新しき発明への道を開くことができる。早期公開そのものに対してほかの委員さんたちはきわめて危険視した、そういう見方を持っておられますが、おたくの場合は、かえって早期公開そのもの自身もまた、特に中小企業者にはそれをステップとして新しく発明の道を開くことができる、こういうようなプラスの面を強調されたわけでございますが、たしかそうだったと思います。  ところが日本という国は、日本人でこんなことを言ってはおかしいんですけれども、きわめて道義的に、特に工業あるいはまた産業界における産業スパイ等がやかましくいわれておる今日、そうでなくてもいわゆる権利に対する保護というものがきわめてルーズな国情にある。そういう中ですから、全く日本人が確固たる、人のものには見向きもしないという中できちっとしたお互いの権利を守る中における体制ならば、新しきステップへの道があると私たちはすなおに受け取ることができると思うのです。しかしながら、現在でさえも、こういうかっちりとした特許制度の中でさえも悪用されるいろんな事犯というものが起こってきておるわけですね。まして公開されたときに、そのプラスの面よりもいわゆる発明者の権利がむしばまれるということのほうに、当委員会でもきわめて大きな警戒心を持っておるわけでございます。全くそういう点、善人の集まりのごとき前提に立った御意見のように私どもは受け取れるのでございまするが、いかがでしょうか。
  73. 五月女正三

    ○五月女参考人 早期公開されまして、それが出願公告になるまでの間、第三者がその発明を実施しようと思えばできるわけでございますね。そういう点においては確かにおっしゃるように一部発明者の権利は侵害されるように考えます。しかしながら今日、単にモラルの問題ばかりではなしに、科学技術が発展してまいりますと、その侵害しているかどうかということの発見、これは従前よりは非常に容易になってまいったということもございます。それから公告後は差しとめ請求権が発効されるようになっておりますので、重大な発明、特に多額な投資を要するような重大な発明の場合に、それがつぶれるかつぶれないかという自己判断をして――これは特許庁に審査請求すれば特許庁がやってくれますが、その判断をした結果、やはりこれは発明として成立するだろう、特許として成立するだろう、そういうふうに判断される場合には、それを権利者に無断でどんどんやっていくということは非常に危険でございますね。でございますから、発明が特許になるならないにかかわらず、重要な発明だと思うものについては、公開期間中からライセンスを受けて実施するというようなことが行なわれるのじゃないか。実際上われわれは産業界におきましては、外国のいろいろな公報を見まして、その中でこれは重要な発明だと思うものがございますと、日本に出願しているかしていないか、それをまだ知らないうちに外国のそういう工業所有権なりその技術なりを手に入れるべく努力するわけでございます。でございますから、すべての発明を全部見るということは非常に困難でございますけれども、重要な発明は当然それを尊重してやるという風習が現在の業界の中にはあると思います。  それからこういうことを申してはなんでございますが、やはりどろぼうは浜の真砂といいますか、すべてを善人などとわれわれは申しておりません。重要なシェアを持つメーカーであるとか、そういう多くのシェアを持つユーザー、それが特許を使っているときに、それを押えることができるような法律が一番いいわけでございまして、今度の法律改正によっても、そういう特許権者としての権利が侵害されているとは思わないわけでございます。
  74. 塚本三郎

    ○塚本委員 時間が来ましたからもう一度五月女さんに。なるほど私ももちろん極端な善人や極端な悪人がおるということを前提としてはいけないと思います。ところが過去の例から見ますると、やはりしばしば権利侵害の危険性を想起しなければならない。しかしそのときに差しとめの請求権を発動してみたり、あるいはまたその人に対する、権利に対する補償の請求をする等のことのなし得るのは、相当に経済力があり、そしてまたそれを実施し得るところの大企業とか、専門的にそういう弁護士等を雇っておる人のみがなし得る道であって、かよわきものにとってはそれは泣き寝入りになってしまうのではなかろうか。だからこの法もしょせんは強いものだけの味方になる、いわゆる片寄った結果を与えはしないか、こういうことが懸念されまするが、そんなことはあり得ないのでしょうか。
  75. 五月女正三

    ○五月女参考人 これは非常にむずかしい御質問でございますが、工業所有権の分野におきまして、工業所有権及びノーハウというもの、技術を商品として取り扱う風習が戦後非常に盛んになってきまして、今日取引上の通念になっていると思います。そういうようなところで一度他人の権利を侵害したというような箔がつけられますと、そこの企業はすでに信用を失うことになるわけですね。もしあしたつぶれてもいいような企業であったならば、そういうことをするところはあるかもしれませんけれども、その企業が営々発展していこうと思う経営者にとっては、人の権利を黙って使った、侵害したということは致命的な欠陥になるわけです。ちょうど銀行から不渡り手形を発行したようなものと同じでございまして、特に先進国においては、一度そういう前科がありますと、あと重要な取引には関与できないという状態になっております。今日日本の産業もいよいよ国際化してまいりますし、現在国際化しております。そういうような国際的な企業間においては信用が唯一のものでございまして、これは大企業であると中小企業であるとかかわりがないことだと存じます。でございますから、今度法律が変わったからといって侵害がふえるものでもなし、またそれをやろうと思えば侵害する人が絶滅するということは不可能だと思います。
  76. 塚本三郎

    ○塚本委員 終わります。
  77. 大久保武雄

    ○大久保委員長 岡本富夫君。
  78. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 参考人の方には、もう私一人でおしまいですから、もうしばらくのごしんぼうを願います。  最初に湯浅さんにお尋ねいたしますけれども、先ほどからも聞いておりまして、弁理士会は二つの条件がいれられなければ反対する、こういうような決議をしたそうでありますが、当委員会におきまして大臣が、この二つの条件はいれない、困難である、こういうような答弁をしておることは御承知でありますが、これに対して、ではそれであれば絶対に反対である、こういうようにおっしゃるのか。  もう一点は、発明団体から弁理士のアンケートをとった、そういうように伺っておりますけれども、弁理士会ではなぜ自身でアンケートをとらなかったのか、これが二点です。  それから、アンケートでは八三%の弁理士の反対があったそうでありますが、審議会の答申以前になぜそのアンケートをもとにして反対をしなかったのか。その決議のときに、あなたは賛成というような態度をとったと伺っておりますけれども、それはどういうわけか。  また、その次は、弁理士会が、審査は現在より長期化するかもしれない。先ほど聞きますと、もっと早くできるというような意見もありましたが、長期化する場合もある。こういう方面の検討はいたしましたか。  また、いま審査官が相当反対を庁内でしておりますけれども、長官が交代をしたときに、そんな反対の中でこの制度がうまく運営できるかどうか、これについてひとつお答え願いたいと思います。  それから次は五月女さんにお尋ねいたしますけれども、あなたは絶対賛成だというようなお話でありましたが、協会から賛成の陳情書が出ておる。協会内の臨時法律改正委員会の記録、これを拝見いたしますと、陳情書を検討していない、そういうような感じがするのですが、どのような機関でこの陳情書を立案したのか、これが一点です。  次が、協会内で外部に書類を出す場合ですね、陳情書を出す場合、どういうような手続をするのか。また、この陳情書はどういう手続をして出されたのか、これが二点です。  それから次は、この陳情書を出すように外部から何か圧力が加わったのではないか、こういうようにも考えられるわけでありますが、これが三点。  次は、改正案について、会員各社の賛否、そのアンケートを収集されたのかどうか。されたのであれば、その数字を示していただきたいと思うのです。  また次、五点目が、審議会の記録によると、審査請求見込み数についてアンケートが特許庁からあって、その回答に対して、回答書に、時間がないので詳しい数字はまだ検討できていない、要するに、もっと検討すると、この八〇%という数字が変わるかもしれない、こういうようなことを書いてありますけれども、その後再調査をされたのかどうか。  なお、最後に五月女さんには、企業側――確かに私どもはこの特許行政によって企業が大きくなっていく、これはもう賛成でありますけれども、反面、今度は、基本的人権、町の発明家、こういう人たちが、それによって被害を受けるというような法律であれば、これは賛成はできないわけでありますが、その点についてあなたはどういうようにお考えであるか、これについてお答えを願いたいと思います。  最後に大條さんにお願いしたいのですが、発明協会の賛成陳情は発明界を代表していない、こういうように言っておりますが、それはどういうわけか、これが一点。  二点は、連盟には発明協会東京支部が入っており、発明協会は加入していない、こういうように聞いておりますが、それはどういうわけなのか、これが二点です。  三点目は、改正案が発明者の権利と義務に対して変更を加える、こういうようなことをおっしゃっておりますが、それはどういうわけか。これは憲法上の問題で、憲法違反ではないか、こういうようにも考えられるわけでありますが……。  四点目は、特許庁に対策がなかったと言っているのに、あなたは対策の検討をしなかったというようなことを言っておりますが、それはどういうわけなのか、どうしてその対策を検討しなかったのか。これは審議会でいろいろ調べますと、そういうように出ておりますが……。  第五点目は、審議会は十分な審議が行なわれなかった、あなたは審議会の一員としてどんな状態で審議をされたのか、これをひとつお聞きいたしたいと思います。  時間がありませんので、簡単に一つずつお答え願いたいと思います。
  79. 湯浅恭三

    ○湯浅参考人 簡単にお答え申し上げます。  弁理士会が現段階においては反対であるという決議をいたしましたのは、おことばのとおり、大臣がその二つの条件が非常に困難であるとか不可能であるとかいう御答弁があったので、現段階においては反対であるという決議をしたようなわけでございます。  それから、アンケートの問題でございますが、これはほかの団体ではされておりますが、弁理士会としましては、委員会で十分この問題は研究いたしておりますので、そのアンケートの必要はないと考えて、いたしませんでした。  なお、他の団体でやられましたアンケート、これはやり方にどうも合理性がないように感じております。  また、私自身が何か賛成をしたようなお話がありましたが、そうでございますか。もしそうでありますとすると、私はそのアンケートに対しては返事をしておりませんので、何かの誤解じゃないかと存じております。  それから、審査官が多数反対しておられるので、長官――将来どうなるかというようなことについての御質問でございますが、これはどうも特許庁のことで、われわれとしてはちょっと想像がつきませんです。どういうふうになりますか……。  以上でございます。
  80. 五月女正三

    ○五月女参考人 協会の中で十分な審議が行なわれたかという第一点の質問でございますが、当協会は昭和九年に設立されまして以来、特許問題につきましては十分に審議しておりまして、前々回の法律改正、前回の法案が廃案になりましたが、その問題につきましては反対の立場をとりましたけれども、その後も、法律改正問題にかかわらず、特許問題に関してはすべての問題について、三百社、実際にこれに関与しております人たちは数千人でございます。そういう人たちの意見の総合が賛成という立場になったわけでございます。したがって、審議機関は、もちろんその法律改正問題ができた当初からずっと専門委員会を設けてそこで審議しておりまして、しかもその結論は毎月の定例部会で全会員に流されております。それから年二回の総会がございますが、ここにおきましては、ほとんど全会員が集まりますが、その総会の決議もとっております。したがって、第四点に各会員の賛否を問うたかというお話でございますが、総会の決議によってわれわれは賛成を得ておりますので、実際上アンケートという手段はとらなかったにしても全会員の意見であると信じております。  それから外部の圧力はあったかというお話ですが、これは非常にナンセンスな話でございまして、われわれは独自の産業団体でありまして、特許庁の御用団体ではございません。したがって、いままでも反対は反対、賛成は賛成という立場を明確にとってきておりますので、そういうそしりを受ける必要は一つもないと存じております。  八〇%の数字が問題になっておりますが、これは四十二年に調査した結果でございまして、確かに前々年度の理事長がそのときの説明に、短い期間でやった結果であるということは付言したと存じておりますが、しかし、この結論をもう一度調査しても、事実上そんなに大きな変化はあるまい、これは推測ではなはだ失礼でございますが、そう考えております。  さらに第六点に、基本的人権を侵害するのじゃないか、町の発明者の権利が侵害されはせぬかということでございますけれども、これは町の発明家であっても、われわれのような企業の発明家であっても、この法律によって受益するところ、またもし害を受けるところがあるとすればその害を受けるところ、これはもう均等でございます。町の発明家だけが害を受けるというようなことはないと思います。先ほどから申しましたように、この法律の基本的な性格におきましては、発明者の権利を侵害するものではないと存じておりますので、そういう心配はないとわれわれとしては考えております。  目の前に大きな滞貨があって特許庁が動きがとれないでおる。前に進むのもあとへ引くのもできない状態にいまおります。産業界はそのあおりを食って、新しい技術情報の入手が非常におくれておりまして、そのために企業方針の決定その他に非常におくれをとりますし、また決定したにしても、それを変更せざるを得ないというような重大な問題が起こりつつあります。そういうような目の前の問題を解決することが今度の法律の最大の眼目であるとわれわれは考えて、賛成しているわけでございます。
  81. 大條正義

    ○大條参考人 簡単に申し上げます。  御質問の第一点は、発明協会が賛成陳情したということで、これは発明協会の代表意見ではないということでございますけれども、これは発明協会と申しますと、第二点の御質問の発明協会支部が連盟に入っている問題と関連がございますので、ひっくるめて申し上げますが、発明協会の実態は御存じのとおり発明者の集団であるわけでございます。社団法人の形態をとっておられまして、各都道府県に支部がございます。そういう形態でございますけれども、そのメンバーの大多数、つまり三千五百名というものが東京支部のメンバーでございます。東京支部は私どもの特許制度擁護連盟に加入しておられますが、その発明協会本部は、本来ならば各支部の意見を聴取をして、これを大会とか総会とかいう機関がもちろんあるわけでございます、理事会以外に。そういう機関にもはかり、外部に発表する場合は、そういうところの決議を経た上で従来行なわれておりました。四十一年のときにも大会には一度かかったはずでございます。しかし、今度の場合につきましては、そのような手続が何らとられておりません。東京支部のメンバーは非常に不満でございまして、本部がなぜやらないのかというので、おこっておるような始末でございます。しかるに、何ら会員の希望のなかった賛成陳情が発明協会から行なわれたわけでございますが、そういうようなことで何らやっておりません。これは発明協会の実態が、その本部という組織自体に問題があるということを私は考えております。本部の組織自体は、簡単に申しますと、特許庁の出先機関と考えてもいいのではないかというふうにすら考えております。これは極言かもわかりませんけれども、ほかの外郭機関にもそういう点があるでございましょうけれども、発明協会もやや実態はそのようなことで、これはその動きが会員の意向を代表せずに動くということがあり得たのだということを私ども判断しております。  その次には、この改正案が発明者の権利義務に変更を加えたという点でございますが、先ほど御質問にお答えしたのと重複いたすのでございますが、これは簡単に言うと、結局早期公開によって発明者の秘密にするという権利が強制的に解除されるという点からまいるわけでございます。  それから対案の問題でございますけれども、なぜ対案を検討しなかったのか。これは私自身が審議会の主宰者でございませんので、的確にお答えするわけにはいきませんけれども、客観的に判断いたしまして、非常に審議が急がれた。これは非常に残念なことでございます。ですから、そういう対案を、私も一、二重要な対案を提案したのでございますけれども、きわめて短時間、まあ質疑応答という程度でございまして、審議がない、そういうような点にあったのではないか。ほかのほうからも対案を聴取されるということは積極的にはなされなかった次第でございます。  それから、審議会での審議最終的な第三読会的な審議をしなかったのじゃないかということも先ほどちょっとお話しいたしましたけれども、本来ならば、やはり最終的には陳述を行なって賛否をとるというところで討論がなされなければならないわけでございます。しかし、その最終日に私は申し上げたことは、いろいろと理由を申しまして、擁護連盟としましてはかくかくの理由によって今度の立法化するということは不適当である、もう少し練り直せということを申し上げたのでございますが、それに対しまして特許庁のほうからもあるいは他の委員からも何らの御返答あるいは反対討論はございません。ただ森閑としておるような状態でございました。最後に委員長が、これは大條さんの反対討論もあるがどうするかということを問われましたが、これに対しても、三十数名の委員一言も御発言ございません。結局委員長が一人で、それではこれを通すということにいたしますというようなことを言われて終わったような次第で、これでは審議にならぬと私は思います。やはり第三読会的な審議は、反対の声があるなら、特許庁側からも各委員からも発言があってしかるべきであったと思いますけれども、これについてないということは、私は審議がなかったものと判断せざるを得ない次第でございます。  以上でございます。
  82. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 ちょうど時間でございますので、いまお聞きしたことは次の私の当委員会における審議に大きな参考になると思います。たいへんどうもありがとうございました。
  83. 大久保武雄

    ○大久保委員長 参考人に対する質疑はこの程度にとどめます。  参考人各位には、御多用中長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、たいへん参考になりました。厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。      ――――◇―――――
  84. 大久保武雄

    ○大久保委員長 この際、参考人出頭要求に関する件について、おはかりをいたします。  すなわち、先ほどの理事会で協議いたしましたとおり、公益事業に関する件、特に荒川区のガス爆発事故について参考人から意見を求めることとし、参考人の人選、日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 大久保武雄

    ○大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十分散会