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1969-07-23 第61回国会 衆議院 農林水産委員会 50号 公式Web版

  1. 昭和四十四年七月二十三日(水曜日)     午前十一時十分開議  出席委員    委員長 丹羽 兵助君    理事 安倍晋太郎君 理事 仮谷 忠男君   理事 藤本 孝雄君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 湊  徹郎君 理事 兒玉 末男君    理事 森  義視君 理事 稲富 稜人君       足立 篤郎君    大石 武一君       大野 市郎君    金子 岩三君       小山 長規君    佐々木秀世君       菅波  茂君    瀬戸山三男君       田澤 吉郎君    竹内 黎一君       中尾 栄一君    中垣 國男君       中山 榮一君    野原 正勝君       福永 一臣君    松野 幸泰君       伊賀 定盛君    工藤 良平君       佐々栄三郎君    柴田 健治君       芳賀  貢君    美濃 政市君       神田 大作君    斎藤  実君       中野  明君    樋上 新一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 長谷川四郎君  出席政府委員         農林政務次官  小沢 辰男君         農林大臣官房長 大和田啓気君         農林省農林経済         局長      亀長 友義君         農林省農政局長 池田 俊也君         農林省農地局長 中野 和仁君         農林省畜産局長 太田 康二君         林野庁長官   片山 正英君  委員外の出席者         自治省税務局固         定資産税課長  山下  稔君         農林漁業金融公         庫総裁     大澤  融君     ――――――――――――― 七月二十三日  委員白浜仁吉君、八田貞義君及び樋上新一君辞  任につき、その補欠として竹内黎一君、足立篤  郎君及び中野明君が議長の指名で委員に選任さ  れた。 同日  委員足立篤郎君、竹内黎一君及び中野明君辞任  につき、その補欠として八田貞義君、白浜仁吉  君及び樋上新一君が議長の指名で委員に選任さ  れた。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  開拓者資金に係る政府の貸付金債権の償還条件  の緩和及び農林漁業金融公庫への移管等に関す  る特別措置法案(内閣提出第八六号)  国有林野の活用に関する法律案(内閣提出、第  五十八回国会閣法第八八号)      ――――◇―――――
  2. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 これより会議を開きます。  開拓者資金に係る政府の貸付金債権の償還条件の緩和及び農林漁業金融公庫への移管等に関する特別措置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中尾栄一君。
  3. 中尾栄一

    ○中尾委員 ただいま十一時十分でございますが、理事会で非常に時間の制限を受けておりますので、ごく大ざっぱに、簡単に質問さしていただきますので、答弁も簡単にお願い申し上げたいと思います。  戦後の開拓は、幾多の苦難の道を経ながら、最近やっとその成果をあげんとしております。敗戦後の混乱の中で開始されました緊急開拓事業に始まる戦後の開拓事業による入植者は、入植以来非常にきびしい自然条件のもとで努力を重ねてきておることは御存じのとおりでありますが、建設工事の遅延、資本の過少並びに連年続く災害等の悪条件が重なりまして、その大部分が営農の安定を得ることができないような実情にありました。  このような情勢の中で、政府は昭和三十五年、開拓者営農振興審議会を設置しまして、既入植者に対する営農振興の改善に関する方策、並びに開拓事業の今後の基本的方向及びその実施の方策についての諮問を行なって、その答申に基づき開拓政策の刷新をはかってきたが、自民党におきましても、昭和三十三年以来六次にわたりまして、党政調農林部会に開拓小委員会を設置し、開拓三法の制定、第二次振興対策の策定、負債対策の実施等について、強く政府に働きかけを行なってきたことは御承知のとおりでございます。  このたび、政府は開拓者の長年の要望にこたえて、開拓者資金特別措置法案を国会に提出したところでございますが、以下、この法案の背景となる開拓営農の現況及び将来の見通しについて、いささか主要な問題点についてお尋ね申し上げたいと思うのであります。  第一は、開拓行政の基本的方向について申し上げたいのですが、政府は、昭和三十六年に行なわれました開拓営農振興審議会の答申に基づきまして、昭和三十八年度以降、開拓者資金融通特別会計からの振興対策資金貸し付けを中心とする新振興対策を実施してきたところでありますが、振興対策資金の貸し付けは四十四年度をもって完了することになっており、開拓道路等の公共事業についても、四十五年度をもって既定計画を終了することとなっております。このような時点において、今後の開拓行政の取り扱いについて、あらかじめその基本的方向を明らかにしておくことが必要かと思いますので、今後の開拓行政の取り扱いについてはどのように考えておるか、この点について、まず所見をお伺い申し上げたいと思います。  時間の関係もありますから、さらに引き続いて二点だけ先に質問申し上げさせていただきますが、政府の見解によりますと、開拓者の営農の進展状況等にかんがみ、今後の開拓行政の指向すべき道は、開拓者のすぐれた特性を生かしつつ、これを円滑に一般農政に移行させていくということであるように承っておりますが、過去二十有余年にわたる開拓行政の経緯にかんがみますと、これを単純に一般農政の水準に組み入れることを困難としている事情も少なくないと考えられますので、特に次のような諸問題について、政府はどのようなお考えを持っておるのか、先ほどの問題と関連してお聞き申し上げたいと思います。  一つは、開拓者負債対策についてどのようにお考えになっておるか。  さらにまた第二点は、開拓地営農振興施策について一体どのような考え方に立っておるのか。これは具体的に申しますと、開拓地の道路等については、劣悪な立地条件のもとでその維持管理が十分でないもの、さらには、開拓地の営農の進展に即応し得ないものなど、問題が多いやに聞いておりますが、かかる現状にかんがみまして、今後その抜本的整備をはかる必要があるかとわれわれ考えておりますが、これについてどういうふうに対処するおつもりであるか、この点についてお伺い申し上げたいと思います。
  4. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 第一点の、基本的な問題だけお答え申し上げます。  戦後の開拓事業は、おっしゃるとおり幾多の困難の道をたどり、そうして開拓農家のたゆみないところの努力によって、国と地方、さらに公共団体を通じての各種の施策と相まって、ようやく所期の成果を上げる段階に到達をいたしてきておるような次第でございますが、最近における開拓地の営農は、一般的には着実な進展を見せておりまして、その農業所得は、すでに一般農家の水準を上回っておるところもございます。農家所得においても、一般農家水準に急速に接近しつつございます。  かかる開拓地営農の進展の状況等にかんがみてみますと、今後の開拓行政の指向すべき道は、開拓農家のすぐれた特性を生かしつつ、漸次これを一般農政に移行するように持っていきたい、このように考えております。かねて懸案である負債対策の実施等を通じましても、その円滑な移行について万全を期してまいりたい、このように考えております。  以下二点につきましては、局長から答弁をいたさせます。
  5. 中野和仁

    ○中野政府委員 ただいま御質問の二点でございますが、いま大臣がお答え申し上げましたように、開拓の行政がだんだん終末になってまいりました場合に、一番問題になりますのは、営農の水準は順次一般農家に近づいてまいりましたけれども、その開拓農家の資本装備が多額の借り入れ金によってまかなわれているということから、負債問題をこの際解決する必要があるというふうに判断をいたしまして、われわれとしましては、開拓農家の営農の振興上、まず負債の問題の解決が必要であるということと、それからもう一つは、開拓農家の組織しております開拓農協の再編整備をはかりますためにも、やはり負債対策が必要である。それからなお、こういうふうに開拓の特殊な政策が終わってまいりますと、前向き資金を貸すというためにも、この際政府の特別会計を終わりまして公庫に引き継ぎをいたしまして、債権の単純化をはかりながら、前向き資金を貸すという考え方をとる必要があるという考え方から、今回の負債対策を御提案申し上げたわけでございます。  それから第二点の、開拓営農振興対策の問題としまして、特に御指摘の開拓道路の問題につきましては、終戦後の開拓行政におきましていろいろ基盤整備をやってまいりましたものが、大体四十三年、それからおそくとも四十五年には終わるわけでございます。その場合に、開拓道路もある程度できたわけでございますが、すでに古くなったものは補修を要する、あるいは拡幅を要するという問題もございますので、本年度と来年度の予算で緊急を要するもの約五百キロ、三十五億円の事業を緊急に実施したいと考えております。それからあとの問題は、一般の土地改良長期計画の中に織り込みまして、将来とも開拓道路の維持補修等をやっていきたいと考えております。
  6. 中尾栄一

    ○中尾委員 引き続いて農地局長にお尋ね申し上げたいのですが、開拓者の営農の改善をはかるために、今後政府は、農業構造改善事業をはじめとする各種助成制度が、開拓者に積極的に活用されるように措置する必要があると考えますが、この点についてはどういうお考えを持っておるか、また対策を持っておるか、この点についてお伺い申し上げたいと思います。  さらに、先ほどの問題点に引き続きまして、開拓農協の組織の再編についてお伺い申し上げたいと思うのですが、戦後の開拓農協の組織は、御案内のように、開拓事業の末端における推進主体として大きな役割りを果たしてきておりますが、その後の開拓者の営農の進展と経済発展の中で、あるものは既存の総合農協に劣らぬ発展を見せている反面、組合規模の弱小、事業活動の停滞、負債の固定化等、問題のあるものも少なくないのであります。したがって、今後開拓者の営農の発展をはかるためには、開拓者がその必要とする信用、購買、販売等のすべての共同事業を十分に享受し得るように、単に開拓農協にとどまらずに、総合農協、専門農協等を含むすべての共同組織を通ずる再編整備をはかる必要があると思うのでありますが、この点についてどうお考えになっておるか、農地局長にあわせてお伺いを申し上げたい。
  7. 中野和仁

    ○中野政府委員 第一点の、今後の開拓者の営農の改善をはかりますために、先ほど大臣からお答えございましたように、順次一般農政に移行していくわけでございますけれども、ただ、ほうりっぱなしということでは、従来の経緯等ございまして、なかなか十分に開拓農家のための営農改善の事業ができないと思います。そこで、われわれといたしましては、この過渡期におきまして、各種の助成制度が開拓者に積極的に使われるような方向で、いろいろと対策を講じていきたいというふうに考えております。特に、第二次構造改善事業につきましても、開拓農家もそれが十分積極的に使われるようにやってまいりたいというふうに考えております。  それから第二点の、開拓農協の再編整備の問題でございますが、御承知のように、開拓農協は現在三千七百八十一ございます。その中で十五戸未満の小さな開拓農協が千七百七十八ということでございます。これは、先ほど御指摘がありましたように、戦後の開拓営農の推進の第一線という意味でこういう小さな組合ができて、十分その役割りを果たしてまいったわけでありますが、現段階になりますと、組合の規模が非常に小さい。したがいまして事業活動も十分でない。あるいは、農協によりましては固定化負債をかかえておるという問題もございますので、最初に御答弁申し上げました負債整理対策とあわせまして、開拓農協の再編整備をはかりたいと考えております。  それの考え方は、一律に強制的に総合農協に合併するとかなんとかということになりますと、かなり問題が出てまいりますので、今年度総合調整事業費というものを予算に約五千万円以上組みまして対策を講じたいと考えておりますが、そのおもな点は、各県の開拓審議会に総合調整部会を設けまして、開拓の実情は県によって非常に違いますので、県ごとに基本方針を立てていただきまして、そうしてその方針に基づきまして、各村ごとに具体的にどういうふうに開拓農協を持っていったらいいか。ある地域は総合農協に合併したほうがよろしいでありましょう、ある場合には開拓農協同士合併したほうがいい場合、あるいはもう解散してしまったほうがいい場合、開拓農協をそのまま存続したほうがいい場合等がございます。それらは、地域の実情に即しまして、個別、具体的に処理をしていって、開拓農協の組織の健全化をはかりたいと考えておるわけでございます。
  8. 中尾栄一

    ○中尾委員 次に、法案上の問題点について少しお伺い申し上げたいと思います。  まず第一点は、対象負債の問題についてでありますが、本案においては、政府資金については償還条件の緩和等に関する措置を、また、一般系統資金等については自作農維持資金による借りかえ措置を講ずることとなっておりますが、開拓者の負債問題は、当然のことでありますが、開拓者の負債全体にかかわる問題であり、したがって、その対策も開拓者の負債全体にわたって措置されるべきものと考えておりますが、政府資金、一般系統資金等以外のその他の資金にかかる負債についての取り扱いをどのように一体考えておるのか、この点についてまずお伺いを申し上げます。  それからあと一つ、時間の関係もありますから質問を続けさせてもらいますが、特定開拓者や一般開拓者及び徴収停止対象者の区分基準について少しお伺いを申し上げたいのですが、本案は開拓者を、その償還能力に応じて、特定開拓者と一般開拓者及び徴収停止対象者とに区分しておりまして、一般開拓者については、償還期間について特段の延長措置を行なわないが、特定開拓者については、現行償還条件をもってしては償還が困難な者として、所要の償還期間の延長を行なうこととしております。さらに、徴収停止対象者については、償還が期待できない者として、以後債権の保全及び取り立てに関する事務を要しない者として整理することとしている。一体、その徴収停止という問題に対しての措置をどのように講ずるおつもりであるのか、この点をあわせてお伺いいたしたい。  さらに、この場合に、特定開拓者と一般開拓者との区分及びその徴収の停止対象者の区分というものについては、具体的には政省令で定められることとなっておると考えておりますが、その基準のいかんによっては、今回の負債対策の実効に大きな差を生ずることになるんじゃないか。そこで、実情に応じた基準を採用することが必要と私どもは考えますが、この点については、農地局ではどのようなお考えに立ってやっておるのか、その点少しくお伺い申し上げたい。
  9. 中野和仁

    ○中野政府委員 法律の中身の御質問でございますが、今回の法律案によりましては、現在の開拓者の負債の半分がちょうど政府資金でございます。これにつきましては、るる法律に書いてありますような負債対策を講じますと同時に、一般の系統資金なり個人負債につきましては、延滞負債につきましてこれは信創資金に乗りかえるという措置を講じたいというふうに考えております。そうしますと、あと残りますのは、公庫資金なりあるいは中金の資金ということになるわけでございますが、農林省といたしましては、公庫なり中金なりにおおむね政府資金に準ずるような緩和の措置を講じてもらいたいということで、協議をしながらやっていきたいというふうに考えております。  それから第二点の、今度の負債整理を講ずる場合の特定開拓者、あるいは一般開拓者、あるいは徴収停止対象者の区分の問題でございます。これはただいま御指摘のように、その辺が実情に即してやられませんと、絵にかいたもちということにもなりかねないと思いますので、われわれも実態に即してその辺の区分をいたしたいと思っておりますが、現在考えております基準は、開拓農家の所得と比べてみまして、生計費とそれから公租公課、約定償還額のほうが多い場合、こういう場合には特定開拓者にいたしたい。特に特定開拓者は、法律にありますように、二十年に償還期間を延ばすわけでございますが、その中でも、二十年でも無理だという農家は、二十五年にいたしたいと考えておるわけでございます。  それから一方、生活保護を受けているとか、あるいは受けていなくても、そういう水準にあるような開拓農家、あるいはすでに離農いたしまして、行くえ不明になっておるという農家につきましては、法律にありますように、徴収停止の措置を講じたいというふうに考えておりまして、先ほど申し上げましたように、できるだけ実情に即した基準を採用いたしまして、遺憾なきを期したいと思っております。
  10. 中尾栄一

    ○中尾委員 さらに、法案上の問題について質旧を続行したいと思いますが一般系統債の固定化負債の借りかえについて少しく御質問申し上げたい。  本案においては、一般系統資金等に関する固定化負債については、自作農維持資金による借りかえ措置を講ずることとして、その場合の貸し付け条件については、償還期間及び据え置きの期間の延長に関する特例を設けるということになっております。この措置に関して、開拓者からは、多額の固定化負債を有する者についての貸し付け限度額の引き上げ等についての強い要望がなされておりますが、この点については一体どのような対策、措置を持っておられるか。  さらに、引き続いて農林漁業金融公庫への移管に伴う今後の資金措置についてですが――いまの貸し付け限度額の引き上げについての要望、これをどのようにお考えになっておるか、この点をちょっとお尋ね申し上げます。
  11. 中野和仁

    ○中野政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、開拓農家の負債の中には、一般系統資金がかなりあります。現に延滞しておるものでも五十億ほどございます。そこで、われわれといたしましては、政府資金の整理と同時に、これにつきましても、先ほど申し上げましたように、自作農維持資金に借りかえ措置を講ずるわけでございますが、その貸し付け限度につきましては、現在、都府県では七十万、北海道では百十万というふうに考えております。しかし、農家の中には、これによってもまだ借りかえの量が足りないという問題もございますので、この本案が通りましたあと、われわれ調査をいたしまして、実情に即するよう引き上げを検討いたしたいと考えております。
  12. 中尾栄一

    ○中尾委員 いま質問の途次でありましたが、最後の質問になりますが、農林漁業金融公庫への移管に伴う今後の資金措置について少しく御説明を願いたいと思います。  開拓者資金融通特別会計にかかる権利義務は、負債対策の了したものから順次農林漁業金融公庫に移管し、負債対策の終了した時点で特別会計を廃止することとしておりますが、開拓者の一部には債権債務が公庫に移管されることによって、公庫からの新規融資が困難になるという危惧があるのでありますが、このような観点にかんがみまして、政府は振興対策資金の貸し付けに関する手直しをし、農林漁業金融公庫資金、農業近代化資金の活用、開拓融資の保証制度の改善等、今後の前向き資金の円滑な導入について万全を期する必要があると考えておりますが、この点についてどのようにお考えになっておるか、当局にお聞き申し上げたい、時間の関係で、私はあと一分しか持っておりませんので、ごく簡単に一分以内にひとつお答えをいただきたい。
  13. 中野和仁

    ○中野政府委員 今回の特別会計を廃止しまして公庫に移管いたします点につきまして、一部では、それでは開拓者が金を借りられないのではないかという問題がございますけれども、われわれの考え方といたしましては、負債の整理をやりまして開拓農家が借りやすいように、前向きの資金が公庫から主として出るわけでございます。そういうふうにしたいと考えておるわけでございます。
  14. 中尾栄一

    ○中尾委員 それでは持ち時間がきましたから……。ありがとうございました。
  15. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 芳賀貢君。
  16. 芳賀貢

    ○芳賀委員 本法案については、社会党としては、その内容に対しても全面的に賛成するものでありますし、特に農林大臣に申し上げたいのは、今国会において政府から提案された法案の中で、本法案のみに限って、これはわれわれの期待に沿ったものであるということを明らかにしておきたいと思うわけであります。  そこで、この際まず大臣にお尋ねしたいのは、この法案の成立によって、戦後二十数年続いてまいりました開拓行政が、一般農政に移行するということが前提になっておるわけであります。それだけに大きな意味を持っておるわけでありますから、法律だけ成立しても、十分な効果を行政努力によってあげることができなかったというようなことになると、これはあげて政府の責任ということになるわけでありますので、これに対する相当の決意があってしかるべきであると思うわけであります。  しかも、本法案によりますと、現在までありますところの開拓関係の四つの法律を消滅させるということになっておるわけであります。すなわち、開拓者資金融通法、開拓者資金融通特別会計法、開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律、第四は条件緩和法、これらの開拓関係の四つの融資法を全部本法案によって消滅させるということになれば、この法案が成立することによって、いままで未解決であった一切の開拓関係の負債というものが、全面的に整理、解消されるという実をあげてもらわなければならぬわけでありますが、これに対する政府としての決意のほどを、農林大臣から表明してもらいたいわけであります。
  17. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 もうお答え申し上げるまでもなく、ただいまおっしゃったような点については、今後万全を期してその目的を達成いたしたい、こういうことで、本日せっかくの御審議を願っておるのでございまして、おっしゃるような点については、御心配のないように必ずなし遂げて、そして法案の目的を達するようにいたし、開拓者諸君には、いままでの御苦労に対する感謝の念を十分にささげてまいりたい、こういうふうに考えております。
  18. 芳賀貢

    ○芳賀委員 以下、若干の重要点だけについて、念のため質問をいたします。  第一の点は、開拓者を区分いたしまして、一般開拓者、特定開拓者及び徴収停止対象者に区分するわけでありますが、それぞれの基準の設定ということが、負債対策上一番重要なことになるわけでありますが、この区分については、経済的にどういうような区分を行なうか。たとえば、農林省が行なった開拓農家の経済調査あるいは営農調査等を基準にいたしまして、開拓農家の農業所得あるいは開拓農家の農家所得というものを対象にいたしまして、開拓農家がまず人間的な生活を維持できる生活の水準、あるいはまたそれに付随して債務の償還、あるいは納税等を行なうために必要な経費等というものは、当然これは計上されなければならぬわけでありますが、その基準について、金額をこの際明示してもらいたいと思うわけであります。
  19. 中野和仁

    ○中野政府委員 今回の負債整理の中で、いま御指摘の点が一番問題であるとわれわれも十分承知をしております。  そこで、具体的に金額を明示してということでございますが、先ほどもちょっと中尾先生のときに申し上げましたように、今回の考え方は、農家の所得と比べてみまして、その生計費、それから公租公課、それから約定償還額が返せるか返せないかということが問題でございます。その場合に生計費をどう見るか。これを生活保護水準程度の生計費と見ますれば、これは非常に問題でございます。そこで、われわれといたしましては、先ほど御指摘の開拓農家の経済調査あるいは営農実態調査、いろいろやっておりますので、その辺を参考にしまして、現在の平均的な開拓農家が食っていける水準というもので生計費を見たいというふうに考えております。
  20. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それではこの点は、現存する開拓農家が、将来にわたって営農を通じて生活できるということをまず保障するということが基本になって、そうしてそれぞれの開拓農家に適用できる区分というものを設定して、そうして、今度策定された各三類にわたるそれぞれの開拓農家の償還が、農業経営を通じて安定的に行なわれるということを旨として、これを行政的に措置するというふうに理解してよろしいわけですか。
  21. 中野和仁

    ○中野政府委員 お話しのとおりでございます。
  22. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、この際お尋ねしておきたいことは、せっかく条件緩和等を行ない、また金利関係等についても、集約して二本立ての金利水準にされたわけでありますが、四分の金利と三分六厘五毛の金利というものの差はまことに僅少であります。しかも、これを農林漁業金融公庫に移行させるということになれば、公庫の業務取り扱い上から見ても、この際もう一歩この点を前進させて、たとえば、三分六厘五毛一本立ての金利というようなことに行なうことができれば、さらにこれはわれわれとして称賛できる点であったと思いますけれども、もう一歩ということがどうしてできなかったのですか。
  23. 中野和仁

    ○中野政府委員 立案過程で、お話しの点も十分検討したわけでございますが、最大の問題でありましたのは、現在まだ、ことしも四分の金を開拓農家に貸しておるわけでございます。その貸しておる最中のものまで含めて三分六厘五毛というのは、かなり問題ではないかということから、三分六厘五毛は当初貸しました基本営農資金であります。これはそのままにして、それからそのあと、営農対策として五分五厘、五分で貸してまいりましたのは合わせまして、現在貸しております四分に統一するということに結論を出したわけでございます。
  24. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、かつて昭和三十五年に、条件緩和法をわれわれ国会において制定しました際に問題にした点ですが、政府資金のみに対して条件緩和をして債権の確保を行なうというだけでは政府の一方的な態度である、あわせて一般の系統資金あるいは公庫資金等についても、総合的にこれは条件緩和の措置を講ずべきであるということをわれわれ指摘したわけでありますが、当時の法律成立の場合においては、これが実現できないで今日に至っておるわけです。したがって、今回はこれらの点についても、総合的に全面的に明確な方針というものが確立されなければならぬわけであります。もちろん今回の法案の中にも、一般系統資金等については、これを自作農資金との借りかえ措置によって解決するということになっておるわけでありますが、これについても中途はんぱの肩がわりでは、これは禍根を残すということになるわけであります。  開拓農家負債の現況からいうと、これは大まかに分ければ、北海道における開拓者の負債の現況と、内地都府県における状態というものは、相当特徴的に差異があるわけであります。したがって、これらの二つに区分された地区を対象にして自作農維持資金にこれを吸収して肩がわりする場合においては、その限度の設定等についても、農林省として確信のある限度というものを制定する必要が、どうしてもあるのではないかと思うわけであります。  それとあわせて、基準になる限度が設定された場合においても、この法案の中にもうたわれておりますけれども、特別の事情等のある場合においては、従来も開拓行政の中において、自創資金の特別融通についての措置も講ぜられておるわけでありますからして、これらの実績等を十分さらに生かして、弾力性のある自創資金への肩がわりの措置を講ずる必要があると思いますが、この点についても、その最高限度あるいは特別の取り扱いの限度等について、北海道、内地都府県と分けて明確にしてもらいたいと思います。
  25. 中野和仁

    ○中野政府委員 御指摘のように、開拓農家の負債も、北海道と都府県を比べますと、北海道のほうが非常に多いわけでございます。そこで、先ほども中尾先生にお答え申し上げましたように、北海道は百十万、内地は七十万という一応の限度をきめております。それによりまして、大体九〇%の開拓農家の一般系統資金等の負債整理ができると思っております。あと一〇%程度残ります。この分を放置しますと、御指摘のように、問題をあとに残すわけでございます。早急に個々の農家の調査をいたしまして、どこまでカバーしてやればやれるかという限度を、その調査の結果によりましてきめていきたいというふうに考えております。  なおつけ加えますと、先般やりました北海道の一般農家、開拓農家を含めての負債整理でも、二百二十万というワクをつくっております。そういうめどもございますので、われわれとしてはこの際、あとに禍根を残さないような限度をきめていきたいと思っております。
  26. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その場合、これらの負債整理計画については、都道府県の知事が計画を認定するということに当然なるわけでありますが、この知事の認定した金額に対して、代行機関である中金あるいは信連等が窓口において規制するような事実が、実は過去においてはあったわけです。  こういうことが再び行なわれるということになれば、せっかくの今回の法案の成果というものを阻害することになるわけでありますからして、やはり知事が認定した計画あるいは金額等については、金融機関というものは忠実にそのことが実行に移されるように、農林省として適正な指導をすべきであると思いますが、その点はいかがですか。
  27. 中野和仁

    ○中野政府委員 過去におきましても、それほどわれわれがやっております三類開拓農家の負債対策でも、金融機関が締めつけておるというふうにはなっていないわけでございますけれども、ただいまの御指摘の問題は、県の開拓審議会の中に金融部会を設けまして、その中には行政機関、金融機関入りまして、そこで審査をしてやっていくということで、行き過ぎたしぼり方ということはないように、適正な指導をしたいと考えております。
  28. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、農林漁業金融公庫における制度資金でありますが、この負債の条件緩和というものをどうするかという点であります。これは法案にも明確にされておりませんので、この際農林省としては、政府資金と同様な方針で公庫資金等についても条件緩和をやるということであるか、公庫資金については、そのまま現在の状態で債権の確保をしていくという考えであるか、この点が非常に不明でありますので、十分な説明を願いたいと思います。
  29. 中野和仁

    ○中野政府委員 公庫資金もかなり開拓農家に貸しておりますので、そのまま政府資金だけを整理しまして放置するということになりますと、やはり問題を残します。  そこで、われわれとしましては、農林省の経済局あるいは公庫と相談をいたしまして、おおむね政府資金に準じたような考え方で対処をしてもらいたいというふうに私は考えておりますし、また、そういうふうに持っていきたいというふうに考えております。
  30. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いま中野局長の言われた方針は、具体的にはいつごろまでに方針が決定されわれわれに示されるか、その時期はおわかりですか。
  31. 中野和仁

    ○中野政府委員 本法がもし国会で御可決になりますと、大体九月か十月には施行するつもりでおります。そういう全体の負債対策の一環といたしまして、その辺も明確にしたいと考えております。
  32. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点は、私ども農林委員会においても、十分期待を持っておる点ですからして、充実した方針を立ててもらいたいと思います。  なおあわせて、本日は農林漁業金融公庫の大澤さんにも来てもらっておりますので、総裁としての立場ですね、あなたは長年農林行政に努力された経験を持っておるわけですからして、これは農林省から提起されなくても、公庫自身の立場で、自分のほうの公庫資金の固定化負債等については、こういう措置を講じたいというような、むしろ積極的な動きがあってもしかるべきでないかと思ったわけですが、公庫としてはどういうお考えですか。
  33. 大澤融

    ○大澤説明員 私どものほうといたしましても、この法律によりまして債権が私のほうに移管されるわけでございますから、先ほど来農地局長の御答弁にございましたように、政府がおやりになる方針に準じてやってまいりたいと思っております。  従来からも、開拓農家に対しましては、個々の農家の経営の実情に応じて、私どものほうの貸し付け資金につきまして、いろいろな意味の条件緩和をする、ある場合には、消却もやむを得ないというようなことで措置をいたしておりまして、要は、開拓農家がりっぱな農家に育つようにということで、移管されたものに対しましても、積極的に融資をして、農家を育て上げるというようなことでやってまいりたい、こう思っております。
  34. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にお尋ねしたい点に、先ほど私が申したとおり、今後開拓関係の融資の法律というものが消滅されるわけでありますから、これからの開拓農家の営農に必要な資金計画なり、あるいは近代化を進めるための資金確保ということは、これは当然農林省としては配慮されておると思うわけであります。  ですから、これらの点について、今後一般農政に移行するまでの期間中はどういうことにするか、それから、一般農政に完全に移行されたと認定する時期以降についても、もうこれで、一般農家と同じようになったからあとはかまわぬというわけにはいかぬと思うわけであります。それらの点について、これからの営農上、あるいは農業の近代的な拡大発展に必要な、政府としての開拓者諸君に対する融資対策というものをどのように考えておるか、その点を明らかにしてもらいたいと思います。
  35. 中野和仁

    ○中野政府委員 開拓農家に対します設備資金等の融資の希望が、だんだんふえてくるわけでございます。その場合に、われわれが中心に考えておりますのは公庫資金でございます。当面、主務大臣指定施設の資金だとか、あるいは土地改良の資金というものには、現在でも開拓の別ワクをつくっておりますし、それは当分続けたいというふうに考えております。  それからまた、特に北海道ではマル寒資金も、現在でもすでにワクの三分の一は開拓農家が使っております。それの拡充をはかりたいというふうに考えております。  それから、もう一つのルートといたしましては近代化資金がございます。これが、従来の経緯から若干しかまだ使われておりません。そこで、昨年すでに、開拓融資保証協会の業務方法書を直しまして、近代化資金と同じような条件にいたました。そしてそのルートからの開拓者資金に対する拡充もはかりたいと考えておるわけでございます。
  36. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま局長から、開拓融資保証制度のお話もありましたが、現在、中央開拓保証協会の出資額と地方保証協会の出資額が約四億円の差があるわけですね。中央が約八億円、地方が十二億円ということになっておるわけであります。この点は、昭和四十年の開拓融資保証法の改正をやった際も、中央保証協会は、これは政府の出資を基礎にして行なうことになっておるので、今後も、地方協会の出資の増加を、農林省として十分指導する必要があるが、中央の保証協会等については、政府として積極的にこれは出資の増加等を行なうべきであるということを、委員会としても強力に指摘した点であります。  そこで、国会に法律の改正を提出しなくても、政府の行政責任で出資ができるというふうになっておるので、その後積極的に出資の増加を行なったかどうかという経過は、残念ながらなかなか明確になっていないわけです。とにかく、実態においては四億円程度中央の出資が少ないわけですからして、これらの点については、今後残された有力な開拓の融資を守る保証制度でありますからして、今後どういう計画を、たとえば年次計画等において善処するか、この点について局長から明快にしてもらいたいと思うのです。
  37. 中野和仁

    ○中野政府委員 開拓融資保証協会の出資につきましては、先生四十年のときからの御指摘でございましたが、四十二年には一億円の出資を講じました。ところがその後、われわれの考え方としましては、いつまでも短期資金の保証というのはおかしいというところから、近代化資金にあわせまして、中期、長期資金の保証に切りかえております。  それが非常に伸びてきておりますので、当面、開拓保証協会の保証制度というものは、開拓農家の一方での中心的な金融措置になるわけであります。先ほども御指摘がありましたし、われわれとしては来年度予算で出資をいたしたいということで、目下検討して、これから予算折衝をしたいと考えておるところでございます。
  38. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今後の第二次構造改善事業を行なう過程において、一般農政に移行した開拓者、あるいはその開拓者の集団的な地域に対する構造改善事業というものは、これはどのように行なう方針ですか。特徴を生かして、そうして構造改善事業の対象にこれを包括して行なうということにするのか、あるいは一般的な構造改善事業の実施の中で、開拓地関係の事業等も取り入れてやるということにするのか、これらの点がまだ明確になっておらぬようですから、この際明らかにしておいてもらいたいと思います。
  39. 中野和仁

    ○中野政府委員 第二次構造改善事業は、具体的には来年度から事業実施になるわけでございます。開拓地は、現在ではすでにもう一番農業地帯にあるわけでございますし、ずいぶん営農も進展してきておりますので、構造改善事業がかなり活用できるというふうに考えております。  その場合に、開拓地だけの構造改善事業という場合も、非常に広い、またたくさん入っております地帯ではあるいはあるかもわかりませんが、あるいは数戸、十戸というような程度の地帯もございます。そういう農家だけで特別の事業ということも、なかなか困難な場合もございますので、一般の構造改善事業の中に開拓農家をできるだけ入れていきたいということでわれわれ考えておるわけでございます。現在、農政局ともその辺の相談をしておるわけでございます。
  40. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、今後の開拓者の営農指導あるいは保健指導等について、これはどのようにするわけですか。従来あったところの開拓営農指導員制度、あるいは開拓地の保健婦の設置等の問題があるわけであります。これらはどういう形で活用していくのか、その点を明らかにしてもらいたい。
  41. 中野和仁

    ○中野政府委員 末端の開拓農家の営農指導については、先生御指摘のように、開拓営農指導員がございます。現在約七百名おります。これは大部分農業改良普及員の資格を持っております。そこで、普及員の制度の中に吸収をいたしたいと考えております。しかし当面、負債対策、それから過渡的な営農指導もまだ残っておりますので、現地駐在を原則として普及員制度に吸収をいたしたいというふうに考えております。  それから保健婦、これも三百人ぐらいおります。僻地の開拓地の保健衛生の面でかなり活躍をしてきたわけでございます。この制度を廃止っぱなしというわけにもまいりません。そこで、厚生省といまいろいろ相談をいたしておりまして、開拓地を含めまして僻地の現地駐在の保健婦制度というもので、将来とも存続をさせていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  42. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、開拓関係の公共事業の中の、特に開拓農道の問題、それから建設事業の未完了あるいは再整備をするような事業が若干残っておるわけですね。これは昨年度、本年度にも計画変更のような形で完全に整備するということで、相当努力されておることはわれわれも十分承知しておるわけであります。しかし、これらを移行させるということになれば、農道等についても十分な整備を行なう必要があると思いますし、未完了、未整備の建設工事等についても、この際一挙に完了させて、そして、これはもう十分農林省として開拓行政の締めくくりをやったという実をあげてもらいたいと思うわけですが、それらの点についてはどういう方針ですか。
  43. 中野和仁

    ○中野政府委員 気持ちといたしましては、御指摘のような気持ちで、この際完了するものはしたいということで、いろいろここ数年間も補修的なあるいは補完的な措置を講じてきたわけでございますが、特に問題の開拓道路につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、まだ県の希望によりますと五百億円くらい修繕費がかかる、こういうような希望もございます。その中で緊急に必要なもの三十五億は、四十四年と五年にかかってやってしまいたいと考えておりますが、そのあとの分につきましては、今後とも農業の道路というものはますます整備していかなければなりませんので、その一環として整備をはかりたいと考えております。  それからなお、開墾作業費を長年補助いたしてきまして、大部分は耕地になったわけでございますが、まだ若干未利用地のまま放置されております。これにつきましても、本年度から四カ年計画で未利用地をなくす方向で予算を組んでいきたいというので、ことしは五億五千万円の予算を組んでおります。御心配のないようにいたしたいと考えております。
  44. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最後に、開拓農協の債務関係についての整備対策ということも法案には載っておるわけでありますが、これは債権の個人分割の問題とか、債務の引き受け分割の問題であるとか、いろいろこの法案の内容は難解をきわめておるわけですので、開拓農協に対する法人負債の整備の内容的に重要と思われるような点、それからまたこれが完了した暁に、おそらく現在三千七百をこえる開拓農協が、あるいは事業を継続しておるし、あるいはまた休止状態のものもあるわけでありますけれども、これらの今後の開拓農協のあり方、あるいはまた開拓農協の組合員である個々の開拓農家の負債整理、あるいは法人としての開拓農協の負債の整理等が確立した暁においては、いまでも開拓農協の組合員の過半数は、地元の総合農協に加入しておるわけです。二重加入のような形で加入して、そこで組合員としての当然の権利のもとに利用しておるわけでありますが、開拓農協の今後の問題というのは、以前から非常にむずかしい問題としてわれわれも考えておった点でありますので、この際、局長から内容的につまびらかにしてもらいたい。  もう一つは、結局、相当の開拓農協が一般農協に吸収される場合、あるいは合併されるような場合もあると思いますが、つまり受け入れ体制というものを講ずる必要があるわけですね。現在までは、農地局が開拓農協の関係は所管して指導してきたわけでありますが、今後は、これは農政局で扱っておる一般の農協の指導運営方針のもとに入るのが大半だと思うわけなんです。この点については、受け入れ体制という意味で、農政局長からも積極的な意思表示をしてもらいたいと思います。
  45. 中野和仁

    ○中野政府委員 第一点の開拓農協の負債の問題でございますが、現在の政府資金でいわゆる未措置、未決算の債権というのが約十億ございます。これの大部分は、かつての三十五年の条件緩和法で個人分割したわけでございますが、まだ依然としてできなかったものが残っておるわけでございます。これの大部分は、おそらくとれないものが――とれないといいますか、整理ができないものが多いと思うのです。  そこでその場合に、開拓農協自体が現在事業を休止をしておるとか、あるいは転貸資金だけあるけれども開店休業というようなものがあるわけでございます。これに対しまして、この金をとるということはかなり問題がございます。そこで、今度の法律におきまして、これらの債権については、原則として理事者の保証責任を追及することなく徴収停止の措置をかけたいというふうに考えております。  それからもう一つ、開拓農協の共同利用施設があるわけでございますが、これは実態を調べてみますと、相当部分は特定の個人あるいは集団が使っておりますので、それに債務を移したい。そしてその移す場合には、奨励的な意味で償還期間を五年延ばしたいというふうにも考えておるわけであります。  そういう措置をやりまして、個人の負債を整理すると同時に、開拓農協が負債があるために、統合もできないというような問題をなくしていきたいと考えておるわけでございます。  それから、それではそのあと開拓農協をどうするかという問題につきまして、これは先ほど中尾先生のときにも御答弁申し上げたわけでありますが、地域によって非常に実情が違っております。すでにいわゆる一般の総合農協と同じような活動をしておる組合が、三千七百の中でたしか百数十ございます。これは、おそらくそのまま活動を続けていいのではないかと思います。しかし大部分は、組合員が十五人以下というようなものとか、あるいは転貸資金だけしがなくてあとはじっとしているというような組合もございますので、こういう場合には統合という必要があるかと思います。統合して、大きな組合にしてそのまま存続するものもあるかと思います。中には、先ほど御指摘のように、一般農協に統合したほうがいい地域も非常にたくさんあると思います。そういうものについては、総合農協への統合をはかりたいと考えております。  なお、先ほども申し上げましたように、各県ごとにどういう方針でやっていくかということをまずつくりまして、それからあとは具体的にその村によりまして、村の中で村長さん、それから総合農協長さん、それから開拓農協長そのほかの方々が集まりまして、この村の開拓農協をどう持っていくかという相談をしていきたいと思っております。そのための予算も十分組んでおるわけでございます。そういうふうにいたしまして、具体的にその地域の実情に即するようなかっこうで、開拓農家がどこにも所属できないというような形がない方向に持っていくつもりで、これから指導してまいりたいと考えております。
  46. 池田俊也

    ○池田政府委員 ただいま農地局長から答えがありましたのと、私どもも同じような感じを持っておるわけでございますが、開拓農協の現状はいろいろバラエティーがございますし、私どもとしても、今後開拓行政というものを一般農政の中に取り込んでいく場合に、特に農協の問題につきましては、やはり画一的な基準で指導するのはあまり適当でない。むしろいろいろな現地の実態、農業経営の発展の動向と相まって、それぞれ、あるいは従来の開拓農協をそのまま存続さして事業の発展をはかるのが適当な場合もございますし、あるいは総合農協と合併するのがいいという場合もございますので、私どもは、受け入れ側といたしましてはそういうような心組みで、適切な指導をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  47. 芳賀貢

    ○芳賀委員 特に私から申しておきたい点は、もちろん最近の経済情勢のもとにおいて、亘月未満、五十戸未満というような組織で、一般農協と同じような経済活動、生産活動をやるということは非常に困難があると思うわけです。しかも、七千三百の開拓農協の中には、局長の言われた十五戸ないし三十戸程度の農協の数が非常に多いわけですね。これらを、単に解体して総合農協に統合するということだけでなくて、もう二十年に及ぶ協同体の中で苦楽をともにしてきているわけでありますし、相当専心的に営農をやっておる集団もあるわけでありますから、総合農協に統合された場合においても、やはり小規模の開拓農協の形態というものは、それはそれぞれ条件が違うと思いますが、これは将来一個の生産活動を行なう協同体として残して十分やれるというような組織については、生産協同組合のようなそうしたしっかりした体制を擁護してやって、そうして、いままでの努力とか経験というものが失われないように、農林省としても十分な助長あるいは援助をする必要があると思いますが、その点はどう考えておりますか。
  48. 中野和仁

    ○中野政府委員 ただいまの御指摘のように、生産の面まである意味の共同化的なことをやっておるものにつきましては、農事組合法人もございますので、そういうものに移行するような指導もあわせていたしたいというふうに考えております。
  49. 芳賀貢

    ○芳賀委員 以上で、私の重要と思われる点についての質問を終わるわけですが、もう一つ念のため尋ねておきたい点は、徴収停止対象者について、徴収停止の債権上の時効期間というのは、一体何年になるわけですか。
  50. 中野和仁

    ○中野政府委員 徴収停止といいますのは、政府の債権を政府の内部でもう取らないというふうに整理をするわけでございます。普通民法でいいましても、十年たちますと取らなくなるわけでございます。ただ、十年たつまでは取るという趣旨ではございません。大体取らないという整理をするということでございます。
  51. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 美濃政市君。   〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕
  52. 美濃政市

    ○美濃委員 私は、三点について質問いたしたいと思います。  第一にお尋ねしたいことは、系統負債その他系統外負債を自作農維持資金で今回処理しようということでありますが、これに対しまして、先ほどからお話を承っておって、この条件が明確でないということです。この法案を提出する前に、なぜ条件を明確にしなかったか。これは聞いておって、私としては非常に不満なんでありますが、すでに開拓農家負債の調査というものは終わっておるわけであります。条件をできればもう少し明確にしてもらいたいと思いますが、いかがでございますか。
  53. 中野和仁

    ○中野政府委員 今回の法律で明確にいたしましたのは、開拓者資金なり公庫資金以外の債務の償還について延滞額が非常に多くて、これを何とかしてやらなければならぬ開拓農家につきましては、自作農資金での借りかえをやる、それの償還期間も、一般よりも五年長い二十五年にして、据え置き期間も五年にしますということは、法律上明確にしておるわけでございます。  あとは、それではどこまで限度として貸せるかという問題でございますが、これは先ほどお答え申し上げましたように、都府県七十万、北海道百十万と考えております。しかし、先ほども申し上げましたように、これでは一割程度の農家はまだ足りないという問題がございます。ただ、われわれが昨年実施しました開拓の負債調査は十分の一のサンプルでございます。そこで、適確にそういう農家がどれだけ負債を持つかというところはわかりません。  そこで、この法律が通りましたあと、先ほどもお答え申し上げましたように再調査をいたしまして、その百十万あるいは七十万の限度では、まだ借りかえができない農家がどれぐらいあるかということを、これから明確にしたいというふうに考えておるわけでございます。
  54. 美濃政市

    ○美濃委員 この明確になった時点で、私の考えは、開拓者の負債のうち、行政指導等の変更から、一部はいわゆる徴収停止に分類該当さして債権消却をやらなければかわいそうでないかというような性格のものがあるわけですね。  例を申し上げますと、たとえば乳牛飼育の中で、ジャージーを入れろといってジャージーを奨励する。ジャージーがこの地帯にいいという行政判断の決定を下して、補助金をつけてジャージーを入れたが、それはやはり飼育してみるとホルスタインでなければうまくない。あるいは肉牛についても赤牛を入れろ、こういう行政指導の決定に基づいて政策的に入れる。開拓者は入植当時でよくわからぬですから、政府あるいは指導機関のいうことだから間違いないと思ってそれに従っている。しかし、それはうまくなかったから今度黒牛に取りかえろということになると、これは変更するたびに非常な損失をこうむっておるわけですね。計画指導変更に伴う損失というものは、おびただしく派生しておるわけです。そういうものが全部じゃないけれども、負債の中にかなりある。これは政策指導の失敗というものもあるわけですね。それをいまここで分類して、徴収停止対象にせよとは言いませんが、そういうふうになっておるのだから、そういう事故の多かった地帯には――ない地帯もあります。順調に指導がうまくいって、そういう計画変更の損害をこうむっていないところもあるでしょう。こうむったところは、必然的に負債額が多いわけです。開拓農家が単に営農技術がうまくないだけでなくて、政策指導の失敗に基づく負債が多いという現象が派生しておるという事実があります。調査するなら、私、案内してもいいです。  そうなっておるのだから、やはり私はこの際――この前北海道、東北等の冷災害に伴う負債整理を自創資金でやりましたが、これは冷害対策の措置で、残された固定化負債の補完ということでありましたから、被害額というものがネックになりまして、被害額を越えての措置はできないという金融機関あるいは会計検査上の規制がありましたけれども、今回はそんな規制がないと思うのです。そういうものもあるのだから、やはり今回青天井でやってやる、いわゆる徴収停止以外の農家のそういう負債は一切まとめて――まとめてといったって、そんなとんでもない高額者は出ないと思うのですが、政策の体系としては、この処理方針としては、まとめて全額自創資金で措置をしてやるということを原則とする、こういう考え方でなければならぬと思うのです。調査して措置するというのですから、そういうふうに解釈してよろしいかどうか。
  55. 中野和仁

    ○中野政府委員 先ほど自創資金の乗りかえの話を申し上げましたときに、一つ申し落としたわけでございますが、今回の借りかえのための対象債権の範囲も、これは農林省令によりまして、経営資金、あるいは農地造成をした資金、あるいは災害復旧をやった資金、こういうもののために負債が多いというものも乗りかえたいというふうに考えております。  それから、あとそれじゃ青天井かということになりますと、農家の中身を調べてみませんとわかりません。そこで、先ほども申し上げましたように、この制度を実施します際にあたりまして、そういう特定の農家につきましては再調査をいたしまして、結局その農家が、その負債が何ともならないために営農がこわれてしまうというようなことのないような措置はいたしたいと考えております。
  56. 美濃政市

    ○美濃委員 これは、できるだけ青天井という解釈でやってもらいたいと思うのです。まあ負債の中には、それは若干青天井ではいけないという性格のものがあるかどうか、いまここではっきりしないと思うのですが、大臣どうですか。原則は青天井で、この際もう徴収停止しない農家は負債条件だけは切って自立経営に強力に持っていってやるのだ、原則は青天井だ、しかし、しさいに見れば若干含まないものがあるかもしれませんが、原則は青天井という考え方でやる、こういうふうにやらなければならぬと私は思うのですが、いかがでしょう。
  57. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 その中に制度資金の問題等が含まれているとなんでございますけれども、美濃さんがおっしゃるように、営農上のそういう欠陥が出てきたということであれば、特別の措置をとるのが当然だと考えて、そういうふうにやる考え方でございます。
  58. 美濃政市

    ○美濃委員 それでは次に、農林漁業金融公庫、それから農林中金も入ると思いますし、それから都道府県濃信連は若干出しておっても、これは流通資金ですから、あまり該当する貸し方はないと思いますけれども、もちろん都道府県農信連を含めまして自創資金に乗りかえるというのですから、原則的に乗りかえていけばいいのですから、これはもちろん解消されると思いますけれども、徴収停止の問題、徴収停止についても同様の措置をとる。これは、もう完全にとってもらわなければならぬと思うし、また完全にとれる能力があると思うのです。この行政指導方針、これは確たる行政指導方針を確立して同様の措置をとらす、こういうふうにひとつお考えをいただきたいと思うのです。考えるというよりも措置をしなければならぬと思うのです。どうですか。
  59. 中野和仁

    ○中野政府委員 先ほどもたびたび御答弁申し上げましたように、政府資金に準じまして、公庫資金等と同じような考え方の措置をとるようにいたしたい。具体的には、先ほど申し上げましたように、この法律を施行する、詳細をきめます際にあわせてきめていきたいと思っております。
  60. 美濃政市

    ○美濃委員 次に、開拓農協の再建整備の問題ですが、これはその進め方は、お話を承ってそのとおりで私はよろしいと思うのです。村段階でよく相談して、あえてこの組合をどうするこうするということを、農林省が強力な指導をするという必要はないと思うのです。やはり地域の実情、相談にゆだねるという考え方で私はいいと思うのです、体系的な問題はですね。  しかし、この中で開拓農協が借り入れをして、転貸資金の問題、それから離農した農家を整理をしてなければ、当然徴収猶予、徴収停止に該当するようなもの、いわゆる赤字を解消する能力がないのにまじめに考えて、もうこれは取れないのだということで、赤字を計上して苦しんでいる面が一面あるわけですね。それは決算経理をやらないで、未収債権で残しておけば今回の措置に該当すると思うのですけれども、まじめに考えて、やはり正当な経理をやったものは赤字になっておる。こういうものは、私は遡及経理を認めてやらなければならぬと思うのです。まじめにやったものがばかを見て、そのままにしておったのはそのまま停止債権に該当していくというような事項が若干出ると思うのです、これを進めていくと。全部の組合にあるとは申し上げませんけれども、そういう実例を私は見ておるのでありまして、それで苦しんでおる実情も知っておるわけです。そういうものは、やはり開拓農協が今後合併するにしても、あるいは事務委託をするにしても、あるいは自立を続けるにしても、この際、特にこの関係の負債というものを整理しなければならぬ。  それからもう一つは、稼働しておる利用施設、これはけっこうでありますけれども、北海道地域においては小水力施設であるとかに補助金をつけて行政指導をして、電力の不足時代に小水力でいいのだというようなことで、かなり高額の補助金をつけて、主としてこの資金は農林公庫から出ております。しかし、これはもう目的を喪失しておる。その後そんな小さい電源では、電気事業は維持することができないということで、いま全部電力会社に切りかえておる。利用施設の目的を喪失して負債だけが残っておる。その負債の償還能力があるかというと、経営収支の中でも償還余力はないし、組合員に損失負担をかけるといっても、地域の開拓者には、そういう無理なことは経済から見てできない。どうしてもこれは債権消却を要するという性格のものが若干あるわけですがね、全組合にあるわけではないが。そういう面もこの際思い切って――時間の関係で一緒に申し上げておきますが、その関係を整理しないと、率直に申し上げますけれども、そういう地域は、開拓農協を脱退して一般農協に加入して自然消滅をする。やっぱり金銭貸借上そこにいきます。私も身近にそういう問題を控えておりますけれども、どうしてもそうせざるを得ない。これは政治的に解決つかなければ、自衛方法をとらさざるを得ないであろう、こう私も考えざるを得ないのでありまして、それは農業団体の正当性からいうと、そういう背信行為はできればやらすべきではないのですから、めんどう見るものはめんどう見て、そうして背信行為は起こさぬようにする措置を今回とるべきである。  ですから、開拓農協の分類、そういうものの中で、特に共同利用施設資金等について償還が無理だと推定されるものについては、この際、徴収停止債権に繰り入れる、これをひとつやってもらわなければいかぬと思うのですが、いかがですか。
  61. 中野和仁

    ○中野政府委員 開拓農協関係のいろいろな負債についての御質問でございますが、一つには、政府の資金につきましては、先ほども申し上げましたように、事業休止の組合等については徴収停止の措置を講じます。  それから共同利用施設の資金につきましても、できるだけ個人に分けるわけでございます。分けられなかったものについて、それが事業休止的な組合であればやはり徴収停止をかけるわけであります。それから、その共同利用施設が公庫資金等でまかなわれておる場合、従来も公庫ではほんとうに取れないものについては消却をやっておられるようでございます。  今回、まとめて負債整理を考えます場合に、どの資金はどうするかということは、具体的にはそれぞれ消却すべきものはする、それから組合がぴんぴんしている場合は、返してもらえるものは返してもらうというふうにやってもらわなければならぬと思いますが、われわれの調査によりましても、組合員に債権を譲りまして組合員が返すというもの、それから組合で返せるというもの、それから全然だめだ、この三種類ございまして、大体三分の一ずつくらいになっておるようにも思いますので、実施の段階で、具体的な措置を講じていきたい、と考えております。
  62. 美濃政市

    ○美濃委員 公庫の総裁おいでになっておりますが、個人の徴収停止は先ほどお話を承りましたからけっこうですが、いま私が尋ねました団体関係のこういう関係の整理について、御意見を承っておきたい。
  63. 大澤融

    ○大澤説明員 具体的には、小水力発電の施設の問題だと思いますけれども、これは去年でしたかおととしでしたか、北電移管の問題が起こりましたときに積極的な整理をやりまして、かなり消却したものもあると思いますけれども、どうしても消却しなければならぬというようなものについては、考慮してまいりたいと思っております。
  64. 美濃政市

    ○美濃委員 最後に、条件をちょっとお尋ねしておきたいと思いますが、これから開拓農家も、一般農政の中に入ってそれぞれ経営拡大をやっていかなければならない。そういうことになる場合、前向きの資金を出すということになりますが、前向きの資金も、一般資金が充当されていくということになると思います。その場合、今回こういう措置をするにあたって、いわゆる債権確保手段ですね、全部根こそぎ抵当にとってしまって、新しくあれするときには、もう受信力の上に借り入れるという問題が出てくる。しかも、最近の考え方を見ておると、土地でなければ、建物や家畜は依然として――マル寒法を審議したときに、動産信用法を活用すると言ったけれども、あの考え方は、いまだ貸し付け業務方法書に具体的に大きく生かされていない。依然として土地主体の受信力を考えておる。こうなってまいりますと、これからの新資金を受け入れる上に、経営の収支計画は、新しい設備に伴う収入の増大があるから償還はできるという計算はできても、具体的な金銭の約定、いわゆる借り入れ証書を書く段階において問題が出ると思うのです。このことを金融の窓口が規制するのではないか、知事が査定したものを規制するのではないか、こういう問題が出てくるわけですね。  私は、現在北海道の農信連の理事をしているわけですが、昨年前の法律を審議したときに、動産信用法を活用すると、これは大和田さんが経済局長のときだったと思うのですが、その約束はできておるのだが、具体的に業務方法書の上にあらわれてこないという問題がある。これは、今度の整理でどういうふうにお考えになりますか。この関係はきちっとしておかぬと、あとの資金の導入に大きな関係を及ぼすわけです。今回の処理はいいんですよ、つくんですから。だけれども、それだけではいけないので、あとの経営拡大をやらなければいけない。新しい資金を入れる上において、今回の処理条件というものを考えて、あとのいわゆる受信力ということを道を開いておいてやらなければならぬ。  ただがんじがらめに縛っちゃって、これだけ返せばいいんだということで、今回処理する条件で受信力をがんじがらめに縛ってしまったら、あとの新しい資金を入れるときに、具体的に業務方法書や何かで借り入れ金をするときに、そういう関係で拘束されて金融機関の窓口で貸せないという問題がある。借り入れ手続ができないという問題が出てくるわけです。きわめて大切な問題ですし、これを今回はこういう関係で処理するんだから、そういう受信力の余裕を持たして処理してやらなければならぬと思うんです。がんじがらめに何でもかんでもあるだけのものを縛ってしまってはだめだと思うんです。いかがですか。
  65. 中野和仁

    ○中野政府委員 今回の借りかえをやります場合には、必ず物的担保をとるということにはいたしておりません。担保でもよろしいし、保証人でもよろしいというふうに考えております。政府資金の借りかえにあたりまして、根こそぎ担保にとってあとの受信が全然できないというような指導はいたさないというつもりで対処をいたしたいと考えております。
  66. 美濃政市

    ○美濃委員 終わります。
  67. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 神田大作君。
  68. 神田大作

    ○神田(大)委員 時間の関係もありますから、簡単に一、二お尋ねを申し上げます。  まず、今回のこの法律案は、長い間の開拓者の要望に沿うた措置といたしまして、われわれといたしましてもこれに賛意を表する次第でありますが、しかしながら、このような措置をしたからといって、開拓者問題は解決される問題ではない。長い間苦労を重ね、その間においては、やむを得ずその戦列から去っていった多くの開拓の犠牲者があるわけでございますが、これら苦難の開拓事業に対しまして、政府といたしましては、これらの措置をしたあとにおけるこの開拓者に対する施策を、どう考えておられるかにつきまして、まず大臣にお尋ねをしたします。
  69. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 先ほども御答弁申し上げたように、お話もございますが戦後の開拓事業というものが、幾多の困難を克服して今日までお続けくださった、その開拓農家のたゆまない努力に対しては感謝をささげており、また、地方公共団体を通ずる各種の施策と相まちまして、ようやく所期の目的が達せられる段階に入ってまいりました。  でありますから、最近の開拓の営農といいましょうか、一般的に着実な進展を見せておるが、ただ、これだけでいいという意味ではないのであって、今後このような措置をとると同時に、さらに一段と高いところから営農指導をやってまいりたい、こういうような考え方でございますので、御了承を賜わりたいと思うのでございます。
  70. 神田大作

    ○神田(大)委員 開拓地はいずれも遠隔の地であり、非常に交通等においても恵まれない土地でありますので、いまだ道路の整備あるいは水利その他の施設が非常に不完全でありますが、今後はこれらの施設の充実のために、政府はどのような考えのもとにこれを整備していかれるかをお尋ねします。
  71. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 ただいま局長からもお話し申し上げましたとおり、もう当初道路問題もかなり進行をさせましたけれども、何にいたしましても二十年もたっておりますので、相当損傷をしているだろうと考えます。これらの問題につきましても、道路というものがいかに今後の営農を続けるのに重要な位置を占めるかという点から考えまして、道路等のその損傷した部分は早急にこれらを舗装し直すとか、あるいは拡幅をするとか、こういう面にはさらに努力を傾けていく考え方でございます。
  72. 神田大作

    ○神田(大)委員 開拓者に対する政府の資金の貸し付けと、その他の金融機関から借りておる開拓者負債は一体どのくらいで、そのパーセントはどういう状態になっておるか、お尋ねいたします。
  73. 中野和仁

    ○中野政府委員 昨年実施いたしました負債調査によりますと、これは十分の一の抽出調査の推定でございますけれども、開拓農家の総負債額が九百二十七億でございます。その中で政府資金が四百三十一億、四六%でございます。それから公庫資金が約二百億、二二%、それからその他の制度資金、これは災害資金なり、営農改善資金なり、あるいは保証資金等ございますが、これが約百五十億、一六%、それから一般の系統資金なりあるいは個人の借り入れ金が合計いたしまして百三十数億ということで、一四%ということになっております。
  74. 神田大作

    ○神田(大)委員 そういたしますると、今度の特別措置によって恩恵をこうむるのは、負債総額のうちの約半額、あとの半額は金融機関やその他のものからの借り入れでありますが、これらについて、先ほどの委員からも御質疑があったようでありますが、半額以上に及ぶこれらの政府資金以外の資金の償還措置ですね、緩和措置等については、どのようにお考えになっておりますか。
  75. 中野和仁

    ○中野政府委員 先ほどもその点についていろいろ御議論があったわけでございますが、公庫資金につきましては、先ほど私も申し上げましたし、公庫の総裁も申し上げましたように、政府資金に準じた取り扱いをしたいというふうに考えております。  それから、先ほど申し上げましたその他の制度資金につきましては、それぞれの制度で損失補償なり、あるいは本人が返せない場合は、かわって保証している保証協会が金を払って、あとは求償権になるというような制度もございますので、そういう制度に乗っかったものでやっていきたい。  そのほか一般の系統資金なり、個人借り入れ資金につきましては、自作農維持資金の借りかえをしたいということで、これによりまして、政府資金のみならず、そのほかの資金についても大体処理はできるというふうに考えております。
  76. 神田大作

    ○神田(大)委員 最後に、一般の農家でもって災害を受けて立ち上がれないという農家もたくさんあるわけですが、このような負債整理の措置を一般農家に及ぼす考えがあるかどうか、これは大臣にお尋ね申し上げます。
  77. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 開拓者という、今回御審議を願っているこれと同一に取り扱えということは、ちょっとむずかしいと思います。しかしながら、そのような部面もだいぶあるやに伺っておりますので、その点については調査をしてみたらどうかというお話はしておりますけれども、これと同一に取り扱いますということを、ただいま申し上げる段階ではないと申し上げます。
  78. 神田大作

    ○神田(大)委員 以上で終わります。
  79. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 中野明君。
  80. 中野明

    ○中野(明)委員 けさほど来、各委員から一般的な質問が行なわれておりますので、私は、具体的なことについて二、三お尋ねしたいと思います。  それは、開拓農協でございます。高知県の大月町に唐岩という開拓地がございますが、政府が三十二年に、従来の開拓事業による入植者が不振経営に苦しんでいるということで反省を加えられて、開拓事業の営農類型を改定いたしまして、創設農家の所得目標を引き上げて、これに必要な資本に対する補助、助成、あるいは調達等に対する新しい基本営農類型を設定された、これは御承知のとおりです。唐岩開拓地はこの基本営農類型の第七類型地区として、三十四年にモデル地区として発足したところでございます。  ところが、この地区で非常にいろいろ蹉跌がございまして、当初計画のとおりいっておりません。一戸当たり一町九反五畝というような配分計画が、最終的には約九反というようなことになりまして、初年度から離農者を出しているという現状となってしまいました。現在では、入植者が離農者の負担金をかぶらなければならない、そういうふうな現状であります。しかも、御承知のとおり、数回にも及ぶ連続した災害を受けまして、十年たった今日、おもな作目であるところのナツカンによる所得が、私も現地に行ってみましたが、一戸当たり大体年間三万円というような、非常に惨たんたるものである。  このようなモデル地区として発足したところですが、現在では、借入金の残高は五千万円、一戸当たり約二百万、滞納金が九百十三万、一戸当たりに直しますと三十六万円というような、個友の農家にとってはどうすることもできないような巨額な負債になっております。このような状態で、営農の希望も失いかけているような人も中に見受けるわけですが、モデル地区がこういう惨たんたる状態であるということについて、私もびっくりしまして現地へも行って見ました。こういう事例はほかにもあるのじゃないか、このように考えますが、この法律が実施されました場合に、こういうような地区に対して具体的にどのような措置が講ぜられるのかどうか、最初にこの点をお伺いしたい。
  81. 中野和仁

    ○中野政府委員 唐岩地区につきましては、先生からも御指摘がありまして、われわれのほうでも県を通じて調査をいたしておるわけでございます。現状は大体いま御指摘のようなことでありまして、非常に不振地区になっております。  そういう場合に、具体的に今度の法律でどういう措置をとるかということでございますが、われわれの調査によりましてもかなり所得の低い農家がございます。したがいまして、今度の場合には、あるいは政府資金につきましては、全体の中での相当な数の農家は、特別な扱いをしました特別の開拓者ということで、償還の延期ということをやらなければならないと思っております。中には、あるいは徴収停止の措置を講じなければいかぬ農家もあると思います。  そういう措置を講じまして、それと同時に前向きにどう考えるかという問題は、この次の問題でございます。それに対しましても、あるいは開拓未利用地の資金をそこに投入いたしますとか、あるいは前向きの資金をどういうふうに貸すか、これは県ともども営農指導についてやっていかなければならないというふうに考えております。  なお、営農意欲のない、あるいは他産業で働きたいという農家に対しましては、離農助成金の交付をいたしたいというふうに考えております。
  82. 中野明

    ○中野(明)委員 それで、参考までにお尋ねしたいのですが、この本法案で内容を見てみますと、一般の開拓者と特定開拓者と、それから徴収を停止する対象の開拓者、このようにおおまかに三つに分かれると思うのですが、全国的に見まして、大体どの程度の比率になるようにお考えになっているのでしょうか。
  83. 中野和仁

    ○中野政府委員 事業はこれから実施するわけでございますので、的確には申せませんけれども、われわれの推定では、一般の開拓者が約六割、それから特別に償還期間の延期をいたします開拓者が二割、その中でも二十五年に延ばしていかなければならない開拓農家が一割、徴収停止をしなければならない農家が一割というふうに、大体見通しているわけであります。
  84. 中野明

    ○中野(明)委員 それで、先ほどからお話が出ておりましたが、政府資金のことについては、今回の法律でいろいろと道が開かれておりますが、公庫の資金について、過去にもそういう例がありましたので、私どもも特に心配するわけですが、公庫資金の条件緩和等、その方法について、前回のお話ではそういうお話があったけれども、それっきりになったという実例もあるようです。今後そういうことについて、政府資金以外の公庫の資金については、万遺憾ないようになさると思いますが、その点もう一度……。
  85. 中野和仁

    ○中野政府委員 先ほどから議論になっております唐岩地区は、政府資金のほかに公庫資金を非常に借りております。その中に、返せる農家も返せぬ農家もおそらくあると思いますので、先ほどからるる申し上げておりますように、公庫とよく相談をいたしまして、政府資金に準ずるやり方で対処をしたいと考えております。
  86. 中野明

    ○中野(明)委員 それから、いまの御答弁の中にもありましたが、今後のことが非常に問題になってくると思いますが、今後の営農振興対策でございますけれども、こういうような地区に対して前向きの資金を供給してあげなければ、現状からいきましてどうしようもないと私も思います。そういう点、独自でいろいろくふうをしているようですが、現在ナツカンだけではだめなので、温州ミカンなんかを考えておるようです。しかしながら、これをやろうとしましても相当経費がかかります。そのときに、非常に信用度が現在低くなっているものですから、系統資金等の借り入れに非常に制約を加えられるのではないかと心配します。これらについての今後の指導の方針というのですか、この法律を改正される機会に、そういう点についての考え方を、この際お聞きしておきたいのです。
  87. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 ただいまお話がありました、他に転換をしていきたいというような面は、特別な考え方をもって金融措置をいたしてまいりたい、こういうふうに考えております。これは大体九月一ぱいくらいでもってその方針をはっきりして、その措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
  88. 中野明

    ○中野(明)委員 それから、もう一点ですが、この離農していく人のあと地を、現在残っている人たち、営農意欲を持っているそういう人たちに、何とか離農した人の土地を引き続いて営農させるということも当然考えられるわけなんですが、この場合に離農者の所有地の問題とか負債処理の問題、こういうことが非常にこだわりになりまして、大きな障害になって、結局、離農してしまってそのままほったらかされている土地がみすみすありながら、話し合いがつかないために荒れほうだいにされている、こういう場面もあるわけなんですが、そういう土地の問題とそれから負債処理の問題について、どういう方向で指導されていくのでしょうか、その点ちょっと……。
  89. 中野和仁

    ○中野政府委員 離農者のあと地の問題でございますが、これは従来から、できるだけ残った開拓農家に売り渡しをしまして、残った農家の規模の拡大に寄与するようにということでやっております。その地域については、具体的に実情を肥握した上で、できるだけ残った農家がそれを買えるように、そのためには、土地取得資金の公庫からの融資も考えたいというふうに思うわけでございます。  それから、離農者の負債につきましては、その農家の状況によりまして、場合によっては徴収停止をかけなければいけない離農農家も出てきましょうし、そういう農家につきましては、別の政策としまして、ことしは五十五万円の離農助成金というものを出すことにしておりますので、具体的にその地区を、県庁とよく相談の上で遺憾のないようにいたしたいと思います。
  90. 中野明

    ○中野(明)委員 いま一点お伺いしておきたいのですが、営農指導の点でございます。開拓営農指導員というのがありますが、一般農政に移行させるための一環といたしましては、改良普及員の制度に吸収されることになるのじゃなかろうか、こう考えますが、先ほどから指摘しております地区のようなところは、指導員の指導を従来にも増して激しく、再々やってやらなければならぬのじゃないか、こう思います。  そこで、今後の営農のあり方と関連させて、指導体制をどのようにお考えになっておるでしょうか。
  91. 中野和仁

    ○中野政府委員 先ほど芳賀先生のときにも申し上げましたように、現在は開拓営農指導員が営農指導の中心になっております。これを普及制度の中に吸収をしてまいります。しかし、過渡期といたしまして、負債対策その他の問題がございますので、現地駐在を原則にしたいということで、当面は、それぞれの開拓地を一つ持っておるところ、あるいは二つ、三つ担当しておるところとございますけれども、現地駐在を原則として、指導に遺憾のないようにいたしたいというように思います。
  92. 中野明

    ○中野(明)委員 最後に、大臣にちょっと所信をお伺いしておきたいのですが、ただいま申し上げたようなモデル地区ですが、これは農林省のほうも非常に力を入れましたし、県のほうとしても、農林省の要請があってその場所を指定して、相当大規模に宣伝しまして入植者を募集した。ところが、先ほどから申し上げておるような惨たんたる状態になってしまっております。これはやはりある程度当局のほうにも、今後の問題としても責任が残っておるのではないかというように考えますが、この法律が施行されてその後に実施段階に入るわけですが、特にそういう指定したモデル地域の今後に対しては、十分対策を講じていただきたいことを要望したいわけなんですが、大臣の所信を聞いて、斎藤議員が参りましたので、交代したいと思います。
  93. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 その件につきましては、県とも十分相談いたしまして、御期待に沿うようにやってまいりたいと考えます。
  94. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 斎藤実君。
  95. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 一般農家と開拓農家の営農水準、所得水準あるいは生活水準について、格差がなくなったかどうか、この点について御答弁願いたいと思います。
  96. 中野和仁

    ○中野政府委員 営農水準に一つ例をとって申し上げますと、開拓農家は大体全国的に見まして、約三ヘクタールの農地を持っております。一般農家は、平均でいきますと一ヘクタールでございます。三倍の水準でございます。ただ、中身はかなり僻地なり山のほうに入ったものが多いわけでございまして、営農の実態も、水田偏重ということではなくて、むしろ酪農なり果樹なりという方向でいっておる農家が多いわけでございます。  そこで、所得の水準でございますが、われわれの営農実績調査とそれから一般の農家経済調査と比べてみますと、農家の所得におきましては、営農実績調査の報告が少し少な目に出ておりますけれども、それによりますと、大体一般農家が百三万円くらい、開拓農家が八十二万円くらい、約八割の水準になっております。  ただ、農業所得の点を見ますと、一般農家が五十一万円程度でございますが、開拓農家は六十五万円という農業所得をあげているという段階になっております。そういうような状況でございますので、まだ生活水準も若干は一般農家より劣っておると思いますが、順次それに近づいておるというふうに、全般としては言えるかと思います。
  97. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 なるほど、平均的に見た場合にはそれほど大きな差がなくなったと言えるかもわかりませんけれども、やはり階層別、地域別に見れば、かなり水準の低いものがあるように考えられるわけです。というのは、北海道について見ても、戦後の入植者が、三万五千戸のうち半数が離農しておるわけです。現在もなお離農が続いておるということ、こういうことを考えますと、開拓農家の経営がいまだに安定に達していない何よりの証拠だろうと思うのですが、今後の離農等の見通しについても、やはり相当離農が出るのではないかと考えるわけですが、これらの見通しについてどうでしょう。
  98. 中野和仁

    ○中野政府委員 戦後入植いたしました総農家は二十一万、現在十一万幾らでございますので、約半数近く離農をしたわけでございますが、その大部分は戦後の緊急開拓で、敗戦後職がないということで、どんどん入植させた場合が非常に多かったわけでございます。そういう農家の離農が非常に大きかったことと、それから、立地条件が非常に悪くて農業が成り立たないということで、営農不振におちいりましての離農、それから最近では、他産業に従事したほうがよろしいということで出ていく農家もかなりおるわけでございます。  したがいまして、今後の離農見通しというお問いでございますが、これからもなお若干は離農があるかと思いますが、たとえば、北海道につきましても、開拓農家の離農もすでにピークは過ぎておる、これから若干出ますけれども、ピークは過ぎたというふうにわれわれ見ておるわけでございます。
  99. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 開拓総仕上げの補助事業として、今年度から開拓道路補修事業並びに開拓未利用地開発事業が行なわれているわけでありますが、この予算がきわめて不十分であるというふうに各方面からの強い要請があるわけですが、実態はどうでしょうか。
  100. 中野和仁

    ○中野政府委員 開拓道路補修費につきましては、先ほども御答弁申し上げたかと思いますが、四十四年、四十五年、三十五億円の事業費でもって約五百数十キロの緊急補修、拡幅をやりたいと考えておりますが、お説のように、これでは非常に少ないという声が非常に強いわけでございますので、今後とも、一般農業道路の拡充という中へ含めまして、予算の拡充をはかりたいと考えております。  それからもう一つ、御指摘の開拓未利用地関係の開発事業につきましては、これはことしから四カ年間かかりまして、現在開拓農家は大部分、自分の配分を受けました土地を耕地化しておりますけれども、まだ若干残っておりますので、主として畑につきまして、五割の補助を出しまして耕地化をはかりたいと考えております。四カ年間でございますが、四十四年度は五億五千万円予算を計上しております。
  101. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 次に、負債整理の内容について二、三御質問申し上げます。  今回の措置のうちに、自作農維持資金による在農プロパー資金の借りかえについて、一戸当たりの借りかえ限度額をどのように考えておるのか、お伺いしたいと思います。
  102. 中野和仁

    ○中野政府委員 本問題は、先ほど各先生方からいろいろ御質疑があった点でございますが、われわれとしましては、現在は都府県が七十万円、北海道は百十万円というふうに考えております。これで大体九〇%の農家の借りかえはできると思っております。あと一〇%は、まだそれでは足りないということでございますので、法律施行後、個個の具体的な農家に当たりまして実態調査をいたしまして、必要な限度の引き上げをはかりたいと考えております。
  103. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 開拓農家は、すでに災害その他の理由で相当額の自創資金を借りているわけです。その限度の設定は、相当高目にしなければならないんじゃないか。たとえば、二百万円程度に引き上げなければ、実質的に借りかえ困難が生ずる。したがって、これに必要な資金は借りかえ用として、自創資金のワクの中で別ワクとしてやはり考える必要があるんではないか、こう考えるわけですが、御答弁をお願いします。
  104. 中野和仁

    ○中野政府委員 借りかえの必要な資金につきましては、自作農維持資金の中に開拓ワクをつくりまして、対処をいたしたいと考えております。
  105. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 この負債整理の実務について、その中心となるべき開拓農協が非常に弱体だ。市町村の協力を得るにしても、資金の貸し付け段階で市町村からは大幅な協力を得られないというような実情にあるわけです。したがって、末端の業務は、道あるいは県の職員が現地駐在をして、営農指導員等が中心とならざるを得ない。これらの実務に必要な活動経費等について、どう考えておられるのかお尋をしたい。
  106. 中野和仁

    ○中野政府委員 負債整理をやっていく上でのいろいろな経費が必要であることは十分承知しておりますので、これは一般会計、それから私のほうの開拓資金の特別会計、両方合わせまして、十分そういう経費がまかなえるような予算措置を講じたいと考えております。
  107. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 多くの開拓農協が、職員さえいないという有名無実の状態にあるところが相当ある。一方、国においては、負債整理の進展等に伴って、これらの開協の統合合併などを予想して、所要の予算措置などを講じておるようでありますが、一般農協の合併促進の例を見ても、自主的な解散、合併は現実にはきわめて困難だ。国として存立の要件を満たさない開拓農協について、解散、合併を強く勧奨し、指導する考えはないのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  108. 中野和仁

    ○中野政府委員 開拓農協の今後のあり方につきまして、政府はといいますか上から強制的にどうさせるかということはいかがかと考えております。ただ、いままさに御指摘のように、非常に弱体な組合が多いものでございますから、これにつきましては、総合農協との統合、あるいは開拓農協同士の合併ということを考えておりまして、所要の予算措置も講じておるわけでございます、
  109. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 この解散、合併奨励の予算、これは一組合二十万円の九三%、約十八万六千円、この予算は非常に少額に過ぎるのではないか、もっと増額すべきじゃないかというふうに考えているのですが、農林省はどうお考えですか。
  110. 中野和仁

    ○中野政府委員 この予算は、合併をいたします場合の事務的な経費なり、あるいは合併したあとの利用施設なりをつくる金でありますので、これを増額するということはなかなか困難かと考えておりますが、たとえば、五つの組合が合併いたしますと百万円ということになるわけでございますので、これで十分だとは思いませんけれども、かつての総合農協の合併の場合もその程度の金しか出ておりませんので、現段階では、この程度でやむを得ないのではないかというふうに考えております。
  111. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 開拓農協が解散、合併した場合、傘下の開拓者は一般農協に加入して自己の経営を守らなければならないということになるわけでありますが、この場合、この借金をかかえて経営内容の悪い開拓者については、農協がその加入を拒む傾向にあるわけです。加入を拒否された場合、開拓者はそのよりどころを失うことになるわけでありますが、この点についてどのように考えておりますか。
  112. 中野和仁

    ○中野政府委員 そのような御心配は、若干の地域組合にあるかと思います。そこで、われわれといたしましては、今度総合調整指導費というのをとりまして、その村の段階で、村長を中心にしまして、総合農協長、開拓農協長にお集まり願って、どういうふうに開拓農家を持っていったらいいかという具体的な相談をしてもらいたいと思っております。そういう線で指導いたしまして、開拓農家がどこへも所属できないということはないようにいたしたいと考えております。
  113. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 以上、開拓についての質問をいたしましたけれども、なお今後とも、開拓については多くの問題をかかえておりますので、一律単純な見解では解決し得ない面が非常に多いわけでありまして、国としても、個々のケースについて十分調査し、あたたかい配慮で臨むよう切望して質問を終わります。
  114. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 兒玉末男君。   〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕
  115. 兒玉末男

    ○兒玉委員 農地局長にお伺いいたしますが、先般配付されました、今回の開拓者資金に係る政府の貸付金債権の償還条件の緩和及び農林漁業金融公庫への移管等に関する特別措置法案の政令規定見込み事項の中におきまして、「第四条第一項の政令で定める開拓者は、その者の農業生産の基礎的条件がなお十分でないため農業による所得が低額であり、農業による所得以外の所得を参酌しても、その開拓者資金に係る借入金を所定の償還条件で償還するとすれば、その償還が著しく困難であると認められるものとする見込み。」ということが書いてありますが、一体この「著しく困難であると認められるものとする」というこの基準というものは、具体的にどの程度の所得を基準に見ているのか、第一点お伺いしたい。
  116. 中野和仁

    ○中野政府委員 たしか芳賀先生のときもその御質問があったかと思いますが、われわれといたしましては、農家の所得がございまして、その所得では生計費とそれから公租公課、それから約定の償還額がまかなわれない場合にこの措置をとるわけでございます。  一体、どういう水準かと申しました場合には、生計費は、大体いまの平均的な開拓農家の生計費を考えております。それから償還額も、平均的に見ますと十数万円になっておるようでございます。公租公課は、多く見ましても四、五万ということでございますので、生計費を、たとえばわれわれがいま判断をしておりますのは、一戸当たり五十五万くらいというふうに考えられます。それを合計いたしますと約六十五万から七十万、その程度の所得がありません場合には、この措置で償還の延期をはかりたいというふうに考えておるわけでございます。
  117. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私の宮崎県の場合でも、県内に約三千七百戸の開拓農家が現在あるわけでございますが、四十三年度のこの開拓農家の所得の実態というものが数字で明らかにされておるわけですけれども、いま局長が言われました限界線以下の六十万円以下が、大体三千七百農家の約七〇%を占めておるわけであります。これは、もちろん開拓地が都市から非常に離れて、兼業収入を得ようとするにも非常に困難な状態にある。こういう点等から、今回のこの措置法の制定によりましても、やはり償還期間の延長なり、あるいは現在までの負債から見て、どうしてもその負債額を減額してもらわなければいけないような実態に遭遇している農家は、相当あろうかと思うわけであります。  そういうことを前提にしまして、時間の関係もございますのでまとめて御質問しますので、これに対しましてもし不審の点があればまた再質問をしたいと思います。  そういうことで、特に開拓者資金につきまして、借りかえを伴う場合の担保の設定、さらにこれに関連する保証人の選定、それから整備完了の開拓者に対しては据え置き期間はどうなっておるのか。それから、借りかえに伴う一切の費用弁済はだれがこれを行なうのか、さらにまた、整備完了の開拓者には二重の費用がかかるということが主張されておりますが、この点はそうなのか。さらに、公庫の指定する担保、保証人ができない開拓者は、今後開拓者に対するところの立法がなくなるが、既得権はこの際どうなるのか。さらに、開拓者に対する不合理な点として、この法案の不備な点として、未処置債権は緩和されるけれども、整備完了者に対してはその配慮がないではないか。さらに、出発時点においては開拓者と呼び、いまになって特定、一般開拓者となぜ呼んでいるのか。たとえば軍人、引き揚げ者、米作農家には差別なく優遇されている点についての不合理点をどう考えておるのか。さらに、開拓者に対する実際の立法が廃止になるが、農協が窓口になった場合、その時点において特定農家の指定を受け、それがために貸し付け限度に問題が生じ、そのために開拓者はますます不利益をこうむるんではないか。  こういう点が、今回の改正に対応しての疑問点あるいは不合理点として指摘をされているわけですが、これに対する御見解を承りたいと思います。
  118. 中野和仁

    ○中野政府委員 開拓の負債整理関係につきましての非常に重要な問題、まとめての御質問でございますので、あるいは私、抜けておるかと思いますが、いまの御質問順序に従いましてお答え申し上げたいと思います。  一つは、借りかえにあたっての担保といいましょうか、保証の問題でございますが、これは絶対に物的担保をとるというような観念ではございませんので、担保か保証人かどちらかをとりたいということで、物的担保の強制はしないつもりでおります。  それから、借りかえにあたりましての据え置き期間の問題でございますが、今回の措置といたしましては、現在金を貸しております振興対策資金が、まだ大部分据え置き期間中でございます。そこで、特別に据え置き期間を置かなかったわけでございますが、もうすでに据え置き期間のない開拓農家は大体いい農家でございますので、金利の引き下げをはかりましたあとは、毎年返していただくということで大体いいのではないかというふうに考えております。  それから、三番目の借りかえに伴う費用負担の問題でございますが、開拓農家にできるだけ迷惑をかけませんように、事務費なり指導費なりは一般会計、特別会計合わせまして、都道府県なり関係の団体に補助をいたしたいと考えております。  それから未措置、未決算の債権についてどう措置するかというお尋ねでございますが、これは約十億ほどございます。それは、かっての条件緩和法の際にも始末がつかなかった債権が大部分でございます。念のために、本来引き受けるべきものでございます個人にもう一ぺん分けてみたいと考えておりますが、これは推定いたしまして、十億のうち五千万円程度しかないと思います。あとの分はおそらく開拓農協に残ります。残りました分につきましては、先ほどからも申し上げておりますように、原則として理事者の保証責任を追及することをしないで、徴収停止の措置をかけたいというふうに考えております。  それから、今回の法律で一般とか特定とかいう名前をつけて区別をしているのはどうかということでございますが、これにつきましては、本来一つの条件で全部条件緩和をしたほうがよろしいかという問題もあるかと思います。しかし、一般開拓農家は、すでに一般の農家の水準に達しておりますので、これにつきまして何にもしないということではありません。今回そういう農家につきましても、債権の単純化という意味から金利の引き下げをやることにいたしております。そういうことだけでは、今後の営農の完遂が期せられないという農家を特別に扱いまして、償還期間の延期なり、また徴収停止をかけるということでございますので、これを、開拓農家であるからといって、一律に全部借金をまけるというわけにもまいらないというふうに考えておるわけでございます。  それからなお、農協の窓口になった場合には、開拓農家が、過去の経緯から見て不利益をこうむるのではないかという問題でございますが、これも先ほど来るる御指摘もあった点でございますが、その辺われわれも非常に心配でございますので、先ほども申し上げましたように、村ごとに村長、農協長を中心にしまして、開拓農家の取り扱いをその村の実情に即して、開拓農家のまま存続するか、あるいは総合農協に合併するか、その辺を十分議論した上で、開拓農家が孤立をしないような考え方で指導をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  119. 兒玉末男

    ○兒玉委員 さっきの質問をした点で、これの借りかえに伴う費用関係において、整備完了の開拓者については、私の郷里の開拓者は、二重の費用がかかるように理解をしているわけですが、この点はどうでございますか。
  120. 中野和仁

    ○中野政府委員 二重の負担というのは、ちょっと私どもわからないわけでございますが、もしそれがかつての昭和三十六年の条件緩和法によりました緩和と、それから今度の法律との関係ということでございますれば、その条件緩和法によりましたものも今度の借りかえの中に含めて、もう一ぺん償還期間を延ばすものは延ばしますし、そうでないものは、先ほど申し上げましたように、債権の単純化ということで金利別の一本の契約書に切りかえるわけでございますので、その二重に負担がかかるというのは、ちょっとよく理解しかねるわけでございます。
  121. 兒玉末男

    ○兒玉委員 そういう例はあり得ないというふうに解釈してよろしいですか。
  122. 中野和仁

    ○中野政府委員 あるいは個別の問題かとも思いますので、児玉先生からあとでまた具体的な話を私、伺いましてから、処理したほうがいいんじゃないかという気もいたしますけれども、整備完了をした農家にだけ二重の負担をかけるということは、ないつもりでございます。
  123. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それから、この点も私はよく聞き取れなかったのですが、いわゆる新しい金融機関においてそれの指定する担保、保証人ができない場合というのがあるということを聞いておりますが、その場合に、開拓者はいままでのような条件においての返還といいますか、既得権というものが今後生きるかどうかということの問題点が提起をされておるわけでございますが、この点は、どういうふうに理解をされているのかお伺いしたいと思います。
  124. 中野和仁

    ○中野政府委員 政府の貸しておる金の借りかえでございますので、保証人なり担保をいただくということは、これはやむを得ないかと思いますが、それによりまして、先ほどもあるいは御議論出たかと思いますが、ほかの金融機関から借りられぬほど政府の担保を大きなものを取ってしまうということは、ないようにはいたしたいというふうに考えております。
  125. 兒玉末男

    ○兒玉委員 詳細な点については、あとで局長に個別的にお伺いして、地元の開拓民の権利の点についてもただしたいと思いますので、あとでまたこれは御相談したいと思います。  最後に、農林大臣にお伺いしたいのは、最初局長にも申し上げましたが、私の宮崎県の場合でも、先ほどの農地局長の答弁にもございましたとおり、大体この政令事項の見込み事項の第一項にも書いてある農家所得の大体の基準というものが、六十五万から七十万ということに置かれておりますが、私の宮崎県の場合におきましては、四十三年度の農家所得というのが、大体三千七百戸のうちに六十万円以下の所得が七〇%を占めておるわけであります。その点から考えます場合に、今後の債権の償還条件ということについても、その辺の経済情勢ということを十分考慮したこの法律の運用というものが期せられなければならない。借りかえ制度等についても、非常に多くの開拓農民が危惧の念を抱いておるわけでございますが、それらの点については、十分その辺の実情というものを配慮した行政指導ということを、私は強く要望申し上げるわけでございますが、これに対する大臣の御所見を承りたいと思うわけです。
  126. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 どうもしゃくし定木に事はなかなか進まぬもので、やはり土地の経済事情というものを第一に考える必要が当然あるだろうと思いますので、その実情によった方法で処理をしてまいりたい、こういうふうに考えます。
  127. 兒玉末男

    ○兒玉委員 では終わります。
  128. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 他に質疑の申し出もありませんので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。      ――――◇―――――
  129. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  ただいま本委員会において審査中の農林物資規格法の一部を改正する法律案の審査に資するため、明二十四日、参考人の出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選及び出頭手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  午後二時十分に再開することとし、これにて休憩いたします。    午後一時二十六分休憩      ――――◇―――――    午後二時三十七分開議
  132. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国有林野の活用に関する法律案を議題といたします。  この際、昨日の芳賀委員の質疑に関連し、長谷川農林大臣より発言を求められておりますので、これを許します。長谷川農林大臣。
  133. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 芳賀さんにお答え申し上げます。  第一点の、土地改良長期計画と国有林の活用について申し上げますが、土地改良長期計画に基づく農用地造成事業に三十五万ヘクタール、草地造成事業に四十万ヘクタールを目標として実施することになっておりますが、この計画に基づく事業の推進にあたり、事業対象地域に農用地として活用することを必要かつ相当とする国有林野がある場合には、積極的に活用をはかってまいりたいと存じます。  第二点、国有林野の活用と開拓審議会についてでございますが、国有林野内の未墾地の活用について市町村長から申請があった場合、営林局、地方農政局、県の技術者が、国有林野内の未墾地につき農用適地選定基準によって共同調査を行ない、基本計画案を作成した上、これを県開拓審議会にはかり、その答申を得た後、さらに国有林野管理審議会の意見を聞いて活用の適否を決定しており、今後ともその方針により活用の適正化に努力をしてまいるつもりでございます。  第三点、国有林野活用法第三条第一項第二号の活用と交換との関係について申し上げますが、本法案については、活用の方法として交換を予定しているが、ここにいう交換とは、国有財産法第二十七条に規定する交換の意味であって、国が特定の国有林野を提供し、相手方の有する民有林を譲り受けるものをいうのでございまして、したがって、民有林の所有者が、当該民有林野を農業構造の改善のために提供し、そのために林業経営に支障を来たすこととなって、国有林をそのかわりに必要とする場合には、国は相手方から当該民有林を譲り受けるわけではないので、本法案にいう交換には当たらないのでございまして、代替地の提供ということになるのであります。  なお、本法案において具体的に交換が考えられる場合といたしましては、第三条第一項第五号の活用として、公用、公共用等に供する場合に、当該事業の相手方が有する林地を国が譲り受け、そのかわりに国有林を提供する場合が考えられるのでございます。  以上、三点につきまして御答弁を申し上げます。
  134. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  135. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの農林大臣の統一的見解についての説明はおおむね了承いたします。ただ、後日に疑点を残さない意味において若干の確認を行ないたいと思います。  第一の、土地改良の長期十カ年計画の実施にあたっての農用地造成目標は、大臣の言われたとおり、農用地造成三十五万ヘクタール、草地造成四十万ヘクタールということに目標は掲げられておるわけでありますが、これは決して国有林野にこれだけの目標面積を求めるということではなくて、国有林野の地域内においては、昨日中野農地局長が当委員会で説明しましたとおり、およそ農地の造成適地としては八万ヘクタール、草地造成の適地としては二十万ヘクタール程度が、国有林野の地域内に所在するという基本的な調査面積が発表されておりますので、土地改良長期計画の目標総面積と国有林野の地域内における適地面積との相違という点を、この際明確にしておいてもらいたいと思うわけです。
  136. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 ただいま御答弁申し上げましたように、農用地として活用することを必要かつ相当とする国有林野がある場合には、積極的に活用をはかってまいりたい、このように申し上げたとおりでございます。
  137. 芳賀貢

    ○芳賀委員 第二の、国有林野を活用する場合の審議機関の設置、運営の点については、ただいまの農林大臣の表明の中で、農地法にうたわれておる開拓審議会を知事の諮問機関として十分適正な運営をはかるということについては了承いたしました。ただし、これはいま審議中の本法案が成立した場合ということではなくて、すでに次官通達でもって行政的に実施、運営されておる国有林の活用の適地選定の場合等におきましても、ただいま農林大臣が言明されましたこのような機関を活用するということについて、活用して慎重を期してその実をあげるようにするという意味かどうか、その点はいかがですか。
  138. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 もちろん、ただいまも実施をしておりますので、慎重に慎重を重ね、そのような御意思に沿うようにいたしてまいりたいと存じます。
  139. 芳賀貢

    ○芳賀委員 第三の、民有林を活用の土地として提供した場合の法案上における代替地の提供の問題であります。ただいまの大臣の説明でおよその方針は理解できるわけでありますけれども、ただ、昨日の政府の答弁中、たまたま林野庁長官の説明と林政部長の説明の中で大きな食い違いがあるわけであります。   〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕 われわれの理解としては、民有林を農用地に活用する場合、自主的に提供する場合においても、立木のある森林という形でそれを提供するということじゃなくて、当然伐期に達したその立木を所有者が伐採処理したあと地を農用地として活用する場合に進んで協力する。その場合にその土地の所有者が、今後も他に代替する土地を得て林業の生産を継続したいという希望がある場合には、国有林野がその地域に近接している場合においては、部分林契約という形の中で部分林契約を設定して、その所有者の意思を尊重して実施する、こういうふうにわれわれは法案の真の意図するところを理解しておったわけでありますが、この点に対する解明がなお欠けておりますので、この点をさらに農林大臣から、具体的にはどういうことであるかということを明確にしておいてもらいたいと思います。
  140. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたとおり、本法案第三条第一項第二号の活用は、第一号の農業構造の改善のための諸事業を実施する場合において、現在民有林として林業経営が行なわれている林地を事業対象として取り込む必要がある場合に、当該民有林のかわりに、その所有者から林業経営の場として国有林を提供してほしい、こういうような申し出があったときには、その活用を行なうこととして、この活用については、原則として部分林方式によって対処していきたい、このような考え方でございます。
  141. 芳賀貢

    ○芳賀委員 以上で了解しましたが、重ねて申すようでありますけれども、すでに国有林の活用は行なわれておるわけであります。現在、次官通達あるいは現行の諸制度のもとにおいて国有林がさらに高度に活用されるということについて、われわれは何ら異論を持つものではないわけです。これはかっての林業基本法審議の場合において、社会党こそが熱意をもってこれを提唱しておりますし、当時社会党が提案いたしました森林基本法の趣旨においても、そのことは明確になっておるということは大臣も御承知のとおりであります。ですから、本法案の成否は別にして、現在政府の行政責任において行なっておる国有林の活用についても、ただいま大臣が表明された三点の趣旨というものを十分実行に移して適正な運営をするということについて、締めくくりの意味で大臣から責任のある答弁を求めるものであります。
  142. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 お話を申し上げるまでもなく、適正な利用、あるいは高度利用、こういう点については国有林活用を現在も行なっておりますけれども、今後もその高度利用については十分考慮しながら、適切なる方法をもって実施してまいる考え方でございます。
  143. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 美濃政市君。
  144. 美濃政市

    ○美濃委員 私は、いま提案されております国有林野活用法案につきまして、若干質問いたしたいと思います。  まず第一に、いろいろ質疑を聞いておりまして、断片的にはお話を承っておりますけれども、活用目的の第三条の一号、二号はわかりますが、三号の「林業構造の改善の計画的推進のため」云云のいわゆる活用につきまして、どういう方法で、どういう意図で、どのくらいの面積を計画しておるのか、これを体系的にひとつ説明していただきたいと思います。
  145. 片山正英

    ○片山政府委員 ちょっと聞き漏らしたのですが、林業構造改善のことでございますか。
  146. 美濃政市

    ○美濃委員 そうです。
  147. 片山正英

    ○片山政府委員 林業構造改善は、御承知のように、昭和三十九年から昭和四十六年の間の八カ年間に指定をいたしまして、その後三カ年実行をいたして、四十九年で終了いたすという計画でございますが、対象の市町村といたしましては、千二百八十四カ市町村を対象にいたしまして実施をする計画を持っておるわけでございます。  現在まで、それによりまして指定並びに事業が完了をいたしました市町村が百九十一カ町村ございます。さらに、現在指定をいたし、かつ実行をいたしておりますのが三甘六十九カ町村ございます。それから、今年度指定をいたそうというのが百六十カ町村あるわけでございます。したがいまして、現在構造改善の事業実行中というのが、ほぼ当初の計画の約半分という状況になっております。金額的にいきますと約三百億でございまして、われわれの当初目標の約三分の一が実行に移ったという段階でございます。したがいまして、あと四十六年までの指定がございますが、その指定の済みました段階においてさらに再度の検討をいたしたい、かように思うわけでございます。  そこで、この国有林野活用法案の林業用の活用でございますが、これは、われわれとして現在推進しておる姿ではございますけれども、その地元の住民の方々、山をお持ちの住民の方々が、さらにその規模を拡大したいということに対しまして、協業体といういわゆる組織を対象にいたしまして部分林を設定してまいりたい。したがって、一人の方が一町歩というような小さなものじゃなしに、やはり協業した形で三十ヘクタールとか、五十ヘクタールとか、そういう形の中でこの部分林の設定を推進してまいりたい。大体以上のようなことでございます。
  148. 美濃政市

    ○美濃委員 いままでの質疑の中でも出ておりますが、質疑の中での説明では、絶対協業体をさしておりますか。ここに「林業を営む個人」と書いてありますが、この関係はどうなるのですか。あとに森林組合とか農事組合法人とか書いてありますけれども、この「個人」というのは削除する考えなのか。しかし、この法・案の審議の中のあれは、いまも言ったように、活用する相手方は絶対法人ということを断定して答弁をしておるようなんですが、この関係はどういうふうにお考えですか。
  149. 片山正英

    ○片山政府委員 三号におきまして「林業を営む個人」と書いてございます。先ほど私が御説明したように、団体、協業体ということを指導しておりますので、現在のところ、個人を対象には考えておらないわけでございます。  ただ、なぜ個人をここに入れたかということでございますが、前の一号関係で「農業を営む個人」ということを書いてございますので、それとの相関連した形で「林業を営む個人」ということを入れたわけでございますが、これは、現在の当面の段階では考えておらないわけでございます。将来そういうものが起きるかどうかということは検討されなければなりませんけれども、法案の形といたしましては、農業と対比した形でこれを入れているということでございます。
  150. 美濃政市

    ○美濃委員 体系上くっつけたというのですか。それはおかしいじゃないですか。やらないことだったら、必要があったとき法案を修正してやればいい。やらないものを法案に載せておく必要はないじゃないですかね。そう考えますが、いかがですか。
  151. 片山正英

    ○片山政府委員 これは、法文といたしましては  「農林省令で定めるもの」ということにしておりまして、その省令の定める中には、個人というものは対象にしないという考えでございます。  ただ、先生御指摘のように、いまやらない場合には個人は要らないじゃないかという点はお説のとおりでございます。ただ、今後いろいろな問題が起きた場合の一応の形を想定いたしまして挿入しておるわけでございますが、当面要らないということに対しましては、われわれは当然省令にはうたわない、そういう考えを持っておるわけでございます。
  152. 美濃政市

    ○美濃委員 それは法律の体系としてどうですか。法律の本文を省令で規制するというのはどうですか。日本の法令の取り扱いでは、これだけではなくて、法律本文が省令で規制される。一体法律に基づく省令というものは、法律本文が重点に考えられるのか、法律はないがしろになって、その省令のほうが主として法律というものを取り扱ってよろしいのか、この見解はどうですか。私どもは、通常法律本文が省令に優先するのであって、省令で法律を規制するというのはおかしいと思うのですが、いかがですか。省令できめれば何でもいい、法律に何と書いてあっても省令で拘束するのだ、そういうものの考え方はどうですか。
  153. 片山正英

    ○片山政府委員 先生のおっしゃるとおり法律が優先でございますから、主たる活用の相手方及び活用の対象事業等は、御説明したように法律上はっきりしておるわけであります。省令はあくまで細部のものであるということで、これが運用を誤ることのないように明確にしてまいりたい、こう思っておるわけであります。
  154. 美濃政市

    ○美濃委員 私は、この国有林を活用するのに二つの方法があると思いますが、その前にちょっとお尋ねいたしたいのは、「小規模林業経営の規模の拡大」という「小規模林業経営」とはどの範囲のものを考えておるのか、どの範囲のものを小規模というのか、どの範囲のものを中規模というのか、中規模は考えていないのか。この法律をつくる想定の中で小中大とあるが、小中大の規模として、大体この程度のものを見ているという標準があれば、それをお聞かせ願いたい。
  155. 片山正英

    ○片山政府委員 小規模林業という定義でございますが、なかなかこれはむずかしいことでございます。ただ、われわれが一般に考えておりますのは、主として自家労力をもってその山を育て得る、そういう程度のものというふうに考えますと、一応最大限と申しますか、小規模の中の大きなところと申しますと、大体二十ヘクタールぐらいが小規模のほうの大きいところというふうに一応判断される、かように思う次第であります。
  156. 美濃政市

    ○美濃委員 林業といってもいろいろやり方があります。たとえば、特殊の建材あたりを非常に集約的に生産しておる林業もございますから、一がいに規模を断定づけることはいろいろ問題があろうと思います。林業を見ますと、通例の場合自家労働といいますけれども、そういう形態のところももちろんございます。しかし、私は北海道ですから、ひとつ北海道に例をとって申し上げますと、通例自家労働でやれるというのでなくて、先年も回ってみましたけれども、北海道に限らず東北も、自家労働でやっている林業というものはわりかた少ないのですね。林業というものは、元来蓄財、資力がなければやれないという性格を私は持っていると思うのです。たとえば農業と林業、こういいますけれども、固定化負債を持っておる農家で山を持っておる者はほとんどないと言っていいんじゃないですか。一つもないとは言えませんけれども、通例の現象として、固定化負債を持っておる農家で山林を所有している者はいないと申し上げて私は間違いないと思うのです。なぜかというと、持っておっても、固定化負債が発生するようになると、一割あるいは一割二分とか三分とか、通例農業関係等の系統資金といっても、日歩三銭五厘、四銭ですから、その程度の金利を払って負債を持って山を持つということは、経済性に合わないわけです。ですから、山は全部処分して持っていない。持っておった山でも、固定化負債ができるような、いわゆる所得が低い階屈は山を持っておれない。  ですから、過般の質疑の中でも過疎対策ということも出ておりましたけれども、過疎対策ということになると、農業と合わすということの面も相当多くなってくると思うのです。そういう場合に、二十年先、三十年先の所得を今日の低所得で、たとえば、出かせぎ農家に国有林の木を切って、五十ヘクタール共同で貸してやるから、三十年先の所得を楽しめといっても、はたしてそれがやれるかどうか。結局そういうふうになった山は、いわゆる中規模の財力の強い人に自然の形で流れていく。この現象が私は起きると思うのです。  そこで、こういう施策をして辺地にある、特に林業、農業と兼業しておる農家の所得を拡大するということになれば、所得を得る方法、手段に二つあると思うのです。  その一つは、山を持たすということも確かに一つの方法でしょう。しかし、山を持って林業経営をやるには、低所得層の出かせぎ地帯あたりになると非常に困難性がある。やっても、それが成長するまでの間に、必要とする資金の関係で譲渡が行なわれていく。そして最終の目的が達成されない場合が多いと通例考えるわけです。  それからもう一つは、低所得地帯になりますと、過疎対策でそこに人間を定着さすというのであれば、これはやはり生計し得る所得がその年間に発生しなければならぬわけですね。したがって、ある程度の規模の国有林に木をつけてそのまま切ってあと植樹する、その立木代金で生計し得る所得が発生できる体系でなければならぬ。たとえば、出かせぎ地帯あたりの所得拡大をやるなどということになれば、林業経営の中で、出かせぎしてかせいで帰るだけの所得が直ちにその年度内に発生する条件を備えなければ、三十年先に発生する条件ではその年の生活ができませんから、私はやれないと思うのです。  そうすると、一つの方法としては、いわゆる団体あるいは市町村長ときちっと約束をして、所得の発生する条件で国有林を直営でやっていく。たとえば、何千ヘクタールというものを年間計画をきちっと約束して、出かせぎしなくても安心してそこに定着して国有林の仕事ができる体制をつくる、これも一つの方法だと思うのです。  話を聞いておると、少ない面積、俗に帯に短したすきに長しといいますけれども、小面積を伐採して渡して、それで所得の拡大をはかって、いわゆる過疎対策の一助にするなどといっても、現実はそういう状況にならないと私は思うわけです。所得を得せしめ過疎対策の一助にする手段というものは、無理に売り渡し活用を促進する、そうして少ない面積の山を共同して持たしても、これは単位の所得にならなければ安心して定着できません。国有林事業の中で定着さす方法はあるのじゃないですか。時間の関係で需給関係は省略いたしますけれども、いわゆる林業資源を確保するという国有林経営の中で定着さして、そうして単位所得を得せしめる。そんなどこか請負にかけて、他のほうからトラックか何かで労働者が入ってきてやらなくても、それを定着さしたほうが、確実な過疎対策なり僻地の所得対策になると私は思うのです。申しわけ的なことをやったってだめです。  あるところで私、聞いてみましたが、部落単位で四十戸で三十七ヘクタールの共同林を持っておる。共同で持っておりますから所有権は移らぬのだけれども、山の手入れは共同でやっておるが、すでにかなり権利転売が行なわれた。いわゆる部分林の中で権利転売が行なわれている。そこは中規模の農村地帯ですから、富裕農家のある人が十人分の権利をすでに買い占めてしまっている。そういう形になっていくんですね。場所とか町村とかは申し上げませんけれども、現実にそういう形態になっていくわけです。四十戸で三十七ヘクタールや五十ヘクタールあっても、それが役に立たぬとは言いませんけれども、かなり低所得になってきますと、何年か先に若干配分されるものを当てにそこに定着しておれない。これが私は現実だと思うのです。  そうであるとするならば、国有林経営には相当の人手が要るわけですから、思い切って所得単位になる国有林の活用をして、きちっと位置づけをしたほうが、僻地帯の過疎対策とか定着対策になるのじゃないですか。活用の方法に私は二つあると思うのです。その点は検討されておるかどうか。
  157. 片山正英

    ○片山政府委員 一般に林業の小面積所有者でございますが、これはおおむね農家と申しますか、田畑をあわせ持っておる人が小面積の森林を持っているという形態が非常に多いと存じておるわけでございます。  そこで、その小面積の林地を持っている農家の方が、自家労働でさらにその森林を拡大することによって所得の増大にもつながっていく、その農家の経済の基盤も確立していく、こういう方向に対してわれわれは協力してまいろうということで、土地の高度利用とあわせ農家所得の向上、そういう農家の人はあり得る、希望される人はあるのじゃないだろうかという意味で推進をしておるわけでございます。  それから、一方国有林として、しからば事業の中に吸収したらいいじゃないか、拡大の中に吸収したらいいじゃないか、これはお説のとおりでございます。したがいまして私たちは、この間も説明したのとちょっと重複しますけれども、全国森林計画をつくりまして、国有林自身もまたその施業計画をつくりまして、その施業計画の考え方は、あくまで林地をさらに高度利用するための林種改良、森林の改良等を含めて、林道、造林、伐採等を含めた拡大、われわれこれを林力増強ということばを使っておりますけれども、拡大した計画をつくりまして、その中で雇用を十分安定化するような形をあわせ考えながら推進してまいりたい。その雇用の安定というのは、あくまで地元民の方々の雇用でございます。主体がそうでございます。そういうような形で国有林の経営を含め、かつ地元の雇用の安定もはかり、そして推進してまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  158. 美濃政市

    ○美濃委員 私が前段に申し上げたように、地域で実情は違いますから、必ずしも全部がそうだとは申し上げませんけれども、林業でも大体の形態が小規模経営です。もちろん林業収入だけで生活するとなると、一戸であっても私はかなりの面積が要すると思うのです。したがって、小規模経営では年間収入になりませんので、たとえば、農業所得で生計し得る所得をあげて、そして余剰労働で小さい山に手入れをしておるという形態は、これは見受けられます。小面積に自家労働で手入れをしておる、これは見受けられますけれども、しかし、それはあくまで農業という職業で生計所得が得られておる。たとえば、他産業の年間所得が百三十万とした場合、三十万か五十万の農業所得で山に植樹をしてやっておるという形態は、これは率直に申し上げて、先ほど申し上げたとおり破壊されておるわけですね。そういう所得の階層は、持っておる山でも手放さなければならないという条件に追い込まれているわけです。山を持っておる人は、どうしても投資能力がある階層ということになりますね。山がなくても、生計し得るだけの所得は別にある。これは農業の場合じゃなくて、中小企業の場合でもそうです。その日の売り上げでというほんとうに零細な中小企業者が、山を持っておるという実例はちょっと見当たらぬです。やはり中小企業の方であっても、山を持つということは、かなりの資力があって山を持っておるということですね。  そういう形態から見ると、一面やはりいま出かせぎ地帯や、特に東北関係が活用希望が多いようでありますが、前段のそれは林野庁としてもやるというのでありますから、そのほうに主体性を置いた活用が、所得増大活用というものがほんとうに定着できるのではないか。小面積を共同で譲ってそれに依存しても、その活用した山というのは、結局は中規模の経済力のある人が、十年間は買い戻しという条件をつけて拘束するとしても、しかしこの十年というのも、何か物品取引の十年拘束であれば、かなり厳重に拘束できますけれども、山林などということになりますと、たとえば過去にもありましたように、国有林で活用したものが観光地帯になるというのに、十年なんかという年限は短いと私は思うのです。  観光地を志して、十年間という法律があれば、十年間は買い戻しにかからない限度において目的活用しておって、十年たったらすぐもう転用活用やりますから、十年といえば長いようですけれども、こういう所有権を拘束する年限としては、十年などという年限はそう長いものではないのです。その間にそういう形になる。七、八年たてば、表面には出てこないけれども裏で契約が行なわれて、十年を待って登記をする、こういうふうな状況が起きてくるのではないか。そして十年、二十年たってみたら、結局は、この法案の審議中に農林大臣や長官が答弁されておるような状態にはならぬのではないか、こう思う。私の考えはそういう危惧を感ずるのですが、大臣はどういうふうにお考えになっていますか。
  159. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 私も、いまの御質問に同感するところがたくさんございます。しかし、その中で私たちが考える活用ということは、その方がただ林業経営を再びやるのだという、こういう活用方法であるということを考えておるわけではないのでして、要は生計をする。たとえば、ここに三十アールなら三十アールというものを払い下げた。そうしますと、御承知のように四十年たたなければ伐採期が来ないので、その人がはたして四十年資本投下が続けられるかどうか、こういう面もあるだろう。それですから、御質問の中にもあったわけでありますが、四十年持ちこたえることができるのならば、四十年目にはまた新しく十アールずつでもやっていけるわけですから、そういうような面ならばけっこうなんですが、なかなかそんなぐあいに、これをもって生計の所得が発生する、払い下げたらそれがすぐ行なわれるということは困難だと思います。  しかし、私たちのいま考えているのは、過疎地帯の対策といたしましても、ただそのままを続けるというのではなくて、高度利用、たとえば採草養畜を行なうような高度利用に使っていこう、そうして過疎対策の一環としても行なえるだろうし、また過疎対策でなくとも、それが高度にそういう面に使われる。昨日ですか、私が申し上げたように、今後は養豚をするにしても養鶏をいたしますにしても、何といってもなかなか都市周辺でこれを行なうことができ得ない。こういうようなことはもう争うことのできない必然性のものだと思うのです。でありますから、そういうような場合においての高度利用をすることができる、こういうふうに私たちは考えておるのでございます。  いま他の面において、皆さんの御心配になるような点につきましては私も同感です。ただそうではなくて、もっと率直に申し上げて、生計の必要というか、投下した資本がすぐ回転できるような方法においての高度利用をしてもらう、こういうことが私たちの考え方の中にもあるわけでございます。また反面、国有林を村なら村、町なら町で共同で引き受けて、そして将来の蓄積のためにこれをやっていくということも一つの方法でもあるだろうし、幾多のものがあるだろうと思うのです。しかし、払い下げたからすぐこれが使えるわけじゃないし、部分林だからといってこれがすぐ所得になるわけではないのですから、そういう投資力ということになってくると、いや美濃さんの言うようになるだろうと私は考えます。  でありますから、私たちは、その地帯を高度利用し、そうして過疎対策にもなり、その地区の町村の発展のためにも大いに活用できる方法をとっていきたい、こういうふうな考え方を持っておるわけでございます。
  160. 美濃政市

    ○美濃委員 牧野、そういう畜産に対する活用、これは大体計画される面積も表明されましたし、これは大臣の言われるとおりでありますが、私は林地の活用について質問をしておる。この面積をお尋ねしたのですが、具体的に言わないのです。どのくらいの計画面積があるか。あるいは樹種によって違うと思いますけれども、大まかに、たとえば北海道は何ぼ、東北はどのくらいというような、いわゆる過疎対策や何かとして活用するのは、共同なら共同でいいですが、共同の中で一戸当たりどのくらいの活用を考えておるのか、所得構造としてはどういうふうに考えて、それが過疎対策として辺地の住民の所得拡大の要素をなして、定着をはかれる所得がどういうふうにして得られるという構想に基づくものか、これを聞かしていただきたい。
  161. 片山正英

    ○片山政府委員 部分林の活用面積はどれくらいかという御質問かと思いますが、これは先ほども御説明しましたように、現在、林業構造改善というのを実施しております。林業構造改善の中には、やり方はいろいろございますが、その中で、面積をふやす手段として部分林の推進をいたしておるわけでございます。現在半分くらいが実行いたしておりますが、今後ともそれを拡大していくわけでございますけれども、その中で、具体的な御希望の線の中でこれをきめていくという態度をとっておりますので、現在いたしましたものについてははっきりしているわけでございますが、将来にわたって、千二百八十四カ町村を対象にしてどうなるかという問題については、実は面積的に把握は現在しておらないわけでございます。しかし、考え方としては、あくまで積極的な御希望に対しましては、対処してまいりたいと思っておるわけでございます。  それからもう一点、先生の御質問の中で、林業は植えてから切るまで四十年もかかるじゃないか、したがって、当面の所得にはなかなかならぬじゃないか、なるほどそのとおりでございます。林業の推進の中で一番問題点はそれなんでございますが、ただ、林業所得が四十年先というそれ自身は、まさしく当面の収入にはなりませんけれども、先ほど申し上げましたように、農家というものが安定した形で伸びていく場合の一つの前提にもなるのではないだろうかと実は考えるわけでございます。やはり林業というのは、平たいことばといいますか、あるいは適当でないかもしれませんが、やはり一種の財産づくりだと私は思います。林業というのはやはり計画的なあれでやっていく、したがって、一種の財産づくりでございますから、一年で勝負することはなかなかできない、そういう性格でございます。しかし、それによって一つの安定がはかられていくのではないだろうか、かように思いまして、御希望に沿うものについては積極的に協力してまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  162. 美濃政市

    ○美濃委員 私も林業というものは、たとえば、農業とあわせて経営安定化がはかれないとは言っていないのです。年間の所得が大切だと言っておるわけです。ですから、まず年収に達する農業所得があって、その上の上積み、長期的な安定の、補完的な安定所得を得る役割りとしての山というのだったら、これは、たとえ小規模の山でも林業をやっておるということは、経営的には非常に安定できる要素を持つということについてはそのとおりなんで、私、決して否定しておるわけではないのです。  ただ、過疎化対策と言うから、出かせぎをとめたり、いまの農業所得の中で過疎化現象をとめるということになれば、こんな、たとえば五十戸ある部落に対して共同で一月一ヘクタールや二ヘクタールの平均林地を持たして、それで過疎化をとめます、あるいは所得拡大をはかって過疎化現象に歯どめをかけますというのには、あまりにも帯に短したすきに長し、むしろたすきにもならないかもしれない。内容はいいかもしれないが、それに依存しては定着現象は起きてきませんよ、私はこう言っているのです。一定規模の所得があって、その上積みの、補完的な安定所得を得るための山を持っておることは、農家経済経営上からいってきわめていいことです。そういう持ち方ならばいいけれども、過疎化とかなんとか言うから、そういう過疎化対策の一環として考えるということになれば、それをたよりに過疎化をとめるというのであれば、言っておることと現象は違いますよ。  したがって、これは参考に聞いておきますが、林木を伐採して所得が発生する条件で、部分林なりあるいは売り払いをするのですか。木だけは切って活用をはかるのですか。どうですか、考え方は。直ちに所得が発生するという条件でやろうとしておるのですか。
  163. 片山正英

    ○片山政府委員 これは、大臣も御説明になりましたように、土地の高度利用をはかるというのが目的でございますので、その中で所得増大もあわせはかりたいというのでございますから、林木を一緒にという考えはございませんで、林木は整理をして、国有林として切りまして、そのあと地の高度利用をはかっていただくということで進みたいと思っております。
  164. 美濃政市

    ○美濃委員 どうですか、考え方の中に、国有林で経営するよりも、木を切って現在の収入をあげて、あとは、ある部分をそういうふうにしたほうが管理上よろしいというものの考え方は入っておりませんか。国有林として一定の面積は、そういうふうにしたほうが管理上都合がいいのだというものの考え方は入っておりませんか。
  165. 片山正英

    ○片山政府委員 管理上都合がいいからということではなしに、伐採をしたあとの土地をいかに高度的に利用されるかということと、地元民の御希望に沿った形で判断してまいる、こういうことで対処してまいりたいと思っております。
  166. 美濃政市

    ○美濃委員 もう一つお尋ねしますが、はっきり聞いても全体基準はまだわからぬというならしょうがないと思いますが、しかし、法案を提出する以上それくらいのことは――進めていけば多少変わるであろうけれども、おおよそこのくらいの面積が計画されておるという見通しがなければならぬと思うのです。それがないのであれば、いま聞いてもしようがない。ないということでいま答弁ができなければ、これはしようがないと思います。  そこで、一戸当たりに対して現在の木材価格でどのくらいのものを活用しようとしておるのですか。それは、町村が計画すればかなりでかくてもいいのか。たとえば、一戸当りにつきかなりでかい計画であってもいいのか。それともある程度の面積で規制、制限をしようとしておるのか。活用の範囲は、共同の場合は、一戸当たりでどのくらいの面積を考えているか。共同を原則とすることはいいと思うのです。しかし、一戸当たりにするとどのくらいのものを考えているのか。
  167. 片山正英

    ○片山政府委員 現在、構造改善をすでに進めておるわけでございますが、それらの実績等を考えますと、先ほど申しました自家労力というものを中心にして造林をしていただくのを原則といたしておりますので、いままでの実績を見ますと、一戸当たり一ヘクタールぐらいが現況になっております。  それから、先ほどちょっと説明が不十分であったと思いますが、管理上何も考えないで部分林というのは設定するかというようなお話でありましたが、たとえば、国有林のどまん中に部分林だけをつくっても、管理上非常にまずいわけでございますから、そういう意味では、管理上そう支障のないような形、たとえば、国有林の端のいわゆる民地と近いところ、こういうような場所の御協議はこれはぜひ必要だ、かように思っております。
  168. 美濃政市

    ○美濃委員 もう一つお尋ねいたしますが、最近農業も企業だ、大型化だ、こういいます。それから工業関係は、御存じのようにすべてオートメーションの大型化を計画しております。これからの産業というのは、一次産業でもかなり大型体系でなければならぬというのでしょう。山だけを、国有林経営から一戸当たり一町歩の民有林経営に変える。私はさっき言ったように、そのことがそれでいいのかという疑問があるのです。そういうことで山が荒れやせぬか。その程度のものを持たすといっても、それに魅力を持って、過疎化対策や定着対策にあまりならない。それは絶対ならないとは言いませんよ。これは断わっておきます。それは、全然過疎化対策や定着対策をやらぬよりはやったほうがいいかもしらぬから、悪をなすとは私は言いませんけれども、それに魅力を持って定着するかどうかということの問題があるわけです。いまのところは定着していないのですね。その程度のものを持っても、農業所得の低い人は、みんなそういうものを処分して、あるいは固定化負債の代償にとられて、農村から締め出されておるわけです。  そこへ、また一戸に一ヘクタール突っ込むというのですね。山をそういうふうにしたら――はるかな昔と違うのです。昔は工業も手労働だったわけです。職工の判断で、手先でつくっておったのが日本の工業だったわけだ。いまはオートメーション化した。こういう社会になってきますと、一次産業もその体系に移動させられておるというのが構造改善じゃないですか。もちろん一次産業ですから、オートメーションにはなりません。ボタン一つで生産ができる体制にはならないけれども、そういう体制に準ずるように強要されておるのが農業構造改善じゃないですか。  そういう時代に、林業だけをやはり依然としてそういう体系にするということに対する一つの疑問を私は持つわけです。それで、そこへ人間が共同経営で定着して森林が興るかどうか。結局は、やはりまとめて中規模の資産のある山持ちの土地にそれが変わる。それはこの間参考人も言っておったように、林木の供給体系や何かが、やはり潤滑な体系にならないような方向へ、そして過疎化対策やそういうものが――一時的にはそういうことはやるけれども、十年先を考えると、十年たったときには、過疎化対策や何かの役割りを果たさなかったという条件が出てくるだろう、私はこういうふうに思うわけです。その考えはどうですか。   〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕
  169. 片山正英

    ○片山政府委員 先生御指摘のとおり、過疎化対策が林業構造改善で可能だというふうにはわれわれも判断しません。過疎化対策は、総合したいろいろな施策の中でこれは達成していかなければ、いかに山村だからといって、林業だけががんばってもなり得るものじゃないと考えます。ただ、過疎化対策の一つの方向としては言えるのではないか。しかし、それが全部ではない。やはり総合した過疎化対策がなければならない、かように思っておるわけでございます。  それから林業は、先生御指摘のように、所有者が非常に複雑でございます。農家二百七十万戸もこれは林地を持っておるわけであります。非常に零細な林地を持っている人が大部分であります。したがいまして、この経営はあくまで協業の形、そういうものが打ち立てられないとできない。たとえば、林道一つつくるのにも、そういうものを総合した林道というものがつくられていかなければ、なかなかこれは合理的な施業ができないであろう。したがって、どうしても協業という形の中で、これはあくまで進めてまいりたいというのがわれわれの態度でございます。
  170. 美濃政市

    ○美濃委員 もう一つ、先ほどお話のありました、この法案は国有林民主化で、私は過疎化対策の歯どめにはなると思うのです。この国有林の事業を請負にかけて、請負者が遠くから、どこからでも人を集めてくるというんじゃなくて、定着した人に国有林の予算の範囲内で、きちんとした事業量を、一年間でなく長期的に、そして三千ヘクタールでも五千ヘクタールでも一つの集落に対して目標を与えて、そしてその中で国有林事業は、国民の山ですから、その事業費というものはできるだけ地元へ落とす、地元の所得安定、過疎化対策に結びつけて金を落とすという政策をとれば、これは私はある程度過疎化対策の歯どめになると思うのです。  水は低いほうに流れるけれども、どうも人間は所得のある、賃金の高いほうへ流れていくのですから、その流れをとめる、あるいは家庭的にも不正常な、国有林のあるところで出かせぎなんかしておるという現象を、なければしようがないですけれども、国有林の周辺で出かせぎ地帯があれば、出かせぎをとめるということはできると思うのです。家庭を不幸にする出かせぎをとめるというのも、国有林が果たせると思うのです。それこそ私は過疎化対策、出かせぎの不安定な農家を、地域社会をよくすることができると思う。それはやはり請負じゃだめです。国有林直営の中で、予算の中できちっと位置づけするところに、農業と国有林が合わさってりっぱな条件ができてくるところ  には、りっぱな地域社会ができるじゃないか、こう思うわけです。これは積極的に、ひとつこの法律とは別に――この法律で全部国有林をなくすというわけではないでしょう。十分考えてもらいたいと思います。  あとの質問者の時間の予定がございますから、以上で終わります。
  171. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 森義視君。
  172. 森義視

    ○森委員 先日来同僚の議員の皆さんから、国有林の活用法について、各方面から質問が行なわれているわけでございますが、林業サイドからの質問が比較的少なかったと思うわけです。したがいまして、私は主として林業サイドから、今回の国有林活用法についてお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、農林大臣にお聞きをしたいわけですが、わが国の林業の現状をどういうふうに認識しておられるか。特に急速に発展していく経済情勢の中で、それに対応するために林業の果たすべき役割りを、林業基本法第二条との関連において御説明いただければしあわせだと思うわけです。
  173. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 わが国の林業の現状でございますけれども、昨日も申し上げましたけれども、戦中戦後の過伐等による資源的の制約によるほかに、林道その他の生産基盤の整備のおくれといいましょうか、こういうような点、山村からの人口流出に伴う労働力の不足、老齢化、女子化が進む等の諸事情、いろいろな要因があったと考えておりますが、木材の需要の著しい増大にもかかわらず、国内の生産は停滞的に推移しておって、このような事情を背景として、外材の輸入が行なわれておる。したがって、この問題に対しましては、さらに国民経済の成長発展が続けられていく上において総生産をさらに増大して、まず旺盛な木材需要にこたえるような生産性の向上をはかる、これが一つの目的でなければならないし、林業の安定的発展を何としてもはかっていきたい、こういうような考え方に立っておるわけでございます。  さらにまた、林業基本法の問題につきましては、長官からいまお答えをさせますが、申し上げたようなわが国の林業を取り巻く諸情勢のもとに、社会経済の要請にこたえて十分にその役割りが果たせるような方途を切り開いていかなければならない、このように考えておる次第でございます。
  174. 片山正英

    ○片山政府委員 林業基本法の二条でございますが、これの目標といたします、先ほど大臣が御答弁になりました総生産の増大、それから生産性の向上、そしてあわせて従業者の所得の向上というものを目標にしまして、かつ国土保全、公益的機能をあわせ持ってまいるということを一つの林業の使命として、われわれ推進しておるわけでございます。
  175. 森義視

    ○森委員 いま大臣が御答弁になりましたように、急速に拡大していく木材需要にどう対応するか、すなわち総生産をどう引き上げていくかということが、わが国林業が当面している最大の課題である。いままた長官のほうから、林業が持っておる他の一面であるところの公共性、どうその任務を果たしていくか、この二つがいわゆる林業が持っている当面の重大な課題であるわけです。ただ、その重大な課題を果たすために、具体的にどういう施策を考え、そのことがどういう成果をあげておるのか、このことについて長官から御答弁を願います。
  176. 片山正英

    ○片山政府委員 先ほど申しました二つの機能、経済的機能、公益的機能、森林はこの二つを持たねばならないと思います。  そこで、その施策の方向といたしましては、経済的機能を確保するということは、美しい山をつくるということでございますが、美しい山をつくるということは、とりもなおさず国土保全にも通ずるということになるわけでございます。しかし、場所によりましては、やはり経済的機能をある程度犠牲にしてまでこれをやらなければならないという禁伐、せっかく美林があるけれども切れないというところがあります。いわゆる保安林制度としてそのものは残しておくわけでございます。しかしながら、原則的には、経済的機能を達成することは保全機能もあわせ達成し得るというふうな、両立の方向がとられるものとわれわれは考えておるわけでございます。  そこで、具体的には、われわれの計画といたしましては、全国森林計画というものを、これは森林法改正によりまして十五年に改正をお認めいただきまして、国有林、民有林ともども計画的な生産をはかりながら、その中で、ただいま申しましたような方向を達成しようということでございます。  ただ、民有林につきましては、残念ながらその計画性の付与ということがなかなか困難な問題でございますので、昨年の森林法の改正によって施業計画を樹立して、それによって計画性を持たせ、山を育成するという方向を出したわけでございますが、それとても強制ではございません。皆さん方の自主的な姿の理解の中でこれを進めようということでございますので、税その他に対する恩典を与えながらこれを達成してまいりたい、かような施策を進めておるわけでございます。
  177. 森義視

    ○森委員 たいへん形式的な答弁ばかりで、いまの日本の林業の現状をほんとうに危機的な気持ちでながめておる私にとりましては、これは全く答弁にならないと思うのです。  そこで、具体的にお尋ねいたしますが、御承知のように総生産の増大という問題、このことがわが国林業の経済的な側面として課せられた最大の任務である。ところが、総生産を増大していますか。ことしは御承知のように四千八百万立米に落ちましたよ。一体あなたたちはどういう政策を行なっておるのか。こういうことをやっている、こういうことをやっていると言うが、実際には総生産が一つも伸びてないじゃないですか。どんどんと外材への依存度が高まる一方じゃありませんか。わが国の林業はもう外材にまかしておいて、わが国の林業は公益的な使命だけ果たしたらいい、こういうふうにお考えですか。ところが、公益的な使命もまたこれ災害の続発であります。そうすると、林業の持っておる二つの使命を、二つとも日本の林業は果たしておらない。こういう現状について、もっと危機的な認識をもってやらなければ、こういうことをやっている、こういうことをやっているという従来の毎年同じ繰り返しでは、これはどうにもならないと思うのです。  この間、私は農地法の一部改正のときに、いわゆる民有林の草地利用権の問題をあなたにお尋ねいたしました。山の活用というのは山に木を植えることですよ。それを草を植えられて、あなたはそれで日本の総生産の増大に寄与できると思っているのかということをお尋ねしました。ところがあなたは、総合的な見地から問題を判断しなければいかぬという答弁で、自分にいま課せられておる、日本の林業を守る最大の責任者としての職責を忘れた答弁をしておられる。それではだれが日本の林業を守るのか。農林省の林野庁長官といえば、国有林を売ったり買ったりするだけの任務ではありません。日本の林業全体を守るあなたは重大な責務を持っているわけです。その日本林業の当面する重大課題というのは、あまりにも明確にあらわれておる。ところが、その明確な日本林業が当面しておる重大な課題に対して、積極的に取り組むという姿勢が全然見当たらない。また、その成果は全然あがっておらない。大体五千万台を割ったのはどういう理由によるのですか。あなた方の計画によると、ことしあたりは少なくとも五千五百万台に日本の生産がふえておらなければならぬと思うのです。ところが、四千八百万立米に落ちたということは、これはたいへんなことなんです。まずその点について、四千八百万立米に四十三年度の生産が落ちたことについて、どういうところに原因があり、どういう施策上の失敗があったかということを明らかにしてもらいたいと思います。
  178. 片山正英

    ○片山政府委員 総生産の増大という問題で、今年度の伐採が非常に減っているじゃないか、それじゃおかしいじゃないかという御指摘だと思います。私は、私どもの総生産の増大という考え方には、二つの内容が実はあると思います。  一つは、森林そのものを充実して旺盛に生産ができる体制をつくる、そのことが総生産の増大の基本でございます。したがいまして、林野庁といたしましても、現在民有林を見ますと半分以上が薪炭林でございます。この薪炭林という姿を、このままにしておいてはたしていいであろうか。したがって、この薪炭林の改良、これを用材林に切りかえる、このことが総生産の増大の一つの大きな柱でございます。  第二点といたしましては、奥地未開発林、これは相当の蓄積がございますけれども、遺憾ながら生長量に関しましては、枯れる木と伸びる木とが相半ばするというような形で、生長そのものについては非常に低率でございます。したがいまして、こういう山をもっと生き生きとした山に切りかえていく。林道をつくり、その伐採を利用した中でさらにそのあと地の山を生き生きとした山に切りかえる、これを達成することが総生産の増大につながる基本でございます。したがいまして、この二つを母体にして総生産の増大をはかろうというのが、われわれの基本的な態度でございます。  そこで、問題は毎年毎年生産されるもの、ことばを返せば伐採されるもの、これは確かに御指摘のように、四十三年につきましては四千八百万立米余というふうに、残念ながら一昨年を下回る生産と相なったわけでございます。これにつきましては、大臣も御答弁になりましたように、資源的の制約あるいは機械装備の不十分、林道密度の未整備等々いろいろございます。これは一般論として、そのようなことが確かにあるがゆえに生産がなかなか困難であろうということを申し上げるわけでございますが、ただ、去年とことしを比較してその情勢がどう変わったんだ、なぜ減ったんだという御質問だと思います。  これはなかなかむずかしい問題ではございますが、先ほど申しました一般的なそういう制約の問題が一つと、それからもう一つは、従来の薪炭材、これはわれわれの推進いたしておることでございますが、その利用をパルプに向けていきたい、パルプ業界の方々にこれを利用して活用していただきたいというのがわれわれの願いであり、推進している方向でございます。ところが、昨年の実態を見ますと、そういう低質広葉樹をパルプが使う量が若干減ってまいったという一つの傾向が見えます。その点が一点あろうかと思っておるわけでございます。それから第二点は、針葉樹のほうでございますが、従来用材の中で小丸太の需要が相当あったわけでございますが、これが少し需要が停滞してきている。少し太った太い材のほうに需要がいきつつあるというようなことで、小丸太の生産が少し減少したのじゃないだろうか、かように実は判断するわけでございます。  それ以外にいろいろな理由がございます。なかなか把握しにくいわけでございますけれども、ある一定以上の収入をあげますと、山主の方々がそれ以外はなかなか切りにくいというお話も伺いますし、さらに、ことしは非常に価格が停滞してきた、悪いことばでいえば山の価格が下がってきた、労賃が上がったわりに木材価格が上がりませんから、したがって、そういう意味で山の価格が下がってきた、こういうときにはなかなか売りにくいのだ、こういうお話も伺います。  要は、そういういろいろな諸情勢がからんで減産したと思いますけれども、やはり方向としましては、計画的な施業計画というものを理解した中でこれを進めて、合理的な経営に結びつけなければならないというふうに考えておる次第でございますが、事情等については、以上のようなことだと判断をいたしております。
  179. 森義視

    ○森委員 私は、この四千八百万立米に減ったという問題を非常に重視をいたしまして、先般、資料要求の中で需給の中期見通しを要求したわけです。ところが、いま林政審議会にかかっておるので資料として出せません。こういう御答弁でした。長官がわざわざ私の部屋にお見えになった。ところが、「林野通信」に中期見通しがちゃんと出ているじゃありませんか。これはどういうことですか。国会には資料を出せないけれども、他の外部団体には資料が出せるということですか。  昭和四十三年度の総供給料は九千三百二十一方立米、そのうち外材が四千七万立米ですから、五千三百万立米はことしは国内の生産があがっておらなければならないわけです。四千八百万立米ですと五百万立米違うのです。この間、長官がわざわざ部屋にお見えになって、中期需給の見通しについては資料を提出できかねるという答弁でしたが、これはどういうことですか。
  180. 片山正英

    ○片山政府委員 現在、林政審議会におきまする一つの研究課題といたしまして、木材需給の主として中期見通しを中心にしてやっておるさなかでございます。したがいまして、まだ確定の段階に至っておりませんので、林野庁として外部に発表したことはございません。ただ、どういう経路でその新聞がそういう数字をつかんだかというのは私わかりませんけれども、林野庁としてこうでございますということは、現在検討中でございますので、実は先生に申し上げたとおりでございます。  ただ、検討中の中の数字を申し上げるということでございましたら、まだ未確定の問題でございますがお答えできると思いますが、こうであるという確定のものは発表もしておりませんし、また、現在審議中であるということを御理解いただきたいと思います。
  181. 森義視

    ○森委員 それでは、林政審議会に出されました林野庁の試案というものはどういうものですか。御承知のように、経済企画庁の試算とおたくの試算が違いますね。経済企画庁の試算では五十年で一億八千五百万立米、ところが林野庁の検討中のものは一億二千四百九十万立米、林野庁の中でも林産課は一億一千四百二十万立米、こういつております。こういうふうに、経済企画庁と林野庁の中期需給見通しについての数字が大きく開いておる。これは、経済企画庁は今後の経済の発展というものをにらみ合わせながら必要な木材を算出したと思うのです。あなたのほうは、これからの生産可能な目標というものを配慮しながら考えたと思う。どちらの案で林政審議会に資料として出されたのですか。検討する資料を出しておらなければ林政審議会は検討できないはずです。中期需給見通しについて、林政審議会が検討するには、当然林野庁から資料が出なくちゃならない。その資料がどういう根拠に基づいた、どういう調整によって、どんな資料を出しておられるか。あなたがいま発表できないというなら、あなた方が出した資料を言ってください。
  182. 片山正英

    ○片山政府委員 いま検討中でございますので、こういう数字でございますということはなかなか言えませんけれども、いま審議会でわれわれがお打ち合わせをしておる要点についてお話し申し上げたいと思います。  まず、われわれは昭和四十一年に閣議の決定をした長期需給見通しというのを実は持っておるわけでございます。これは、昭和九十年に至る非常に長い五十年間の見通しでございます。しかし、その見通しの中で、十年目ごとの接点の一つの需給を一応想定いたしております。したがいまして、最近のごく近い年度におきましては、昭和五十年度の一つの接点を想定した数字を入れておるわけでございます。その数字によりますと、昭和五十年度におきましては一億立方の需要があるであろう、それに対して供給は、概数で申し上げますと七千万立方であろう、したがって、輸入は三千万立方で大体足りるであろうというのが、当時想定されました数字でございます。  ところが、この数字と申しますのは、母体となっておりますのは中期経済計画の樹立の際の国民所得の伸びというものを一応想定して需要を判断したわけでございますが、その後国民所得の伸びは、当時想定されたよりもはるかに大きい高度の成長を来たしておるわけでございます。したがいまして、需要もまたそれに伴って大幅に伸びてきておるわけでございますので、五十年のこの見通しは、すでに現段階においてもそれに近づきつつあるという現況でございますから、それらの関係から、昭和五十年の姿の需給はどうあるべきだろうかということと、あわせて長期の見通しを含めて諮問をして御検討をいただいておる段階でございます。  そこで、いままでの検討の要約を申し上げますと、五十年長期見通しについては、経済変動その他がなかなか把握しにくいから、現在の段階では、大体五十年の長期においてはそう変わるものじゃ、ないだろう、しかし、昭和五十年度の需給については、ひとつ再検討をしてみたらどうだろうということで判断いたしておりますのが、やはり国民所得の伸び等を判断いたしまして、当初一億立方というふうに想定しておりましたのが、約一億二千五百万立方あるいは一億三千万立方程度に伸びるのじゃないだろうかというふうに想定をいたしておるわけでございます。  それから供給につきましては、当時七千万立方というふうに判断をいたしておりましたわけでございますが、それが今後の見通しを申しますならばもう少しふやせる、七千三百万立方くらいにはいけるのじゃないだろうかというふうに一応判断いたしておるわけでございます。ただ、現生産量は幾らかと申しますと四千八百万立方でございますから、ある程度の伸びを期待するわけでございます。それには、全国森林計画等でわれわれが長期の姿を想定しております林道、造林等の達成を含めながら、この数字を達成してまいりたいということでございます。そこで、その場合には輸入材というものは五千百万立方からあるいは五千八百万立方程度に落ちつくであろう。したがいまして、自給率と申しますと、国内材のほうが約五割五、六分、それから輸入材のほうが四割四、五分というところであろう。  こういうふうに判断をいたしておるわけでございますが、万一現在の生産量しか将来とも諸情勢で達成されないということを仮定するならば、これは輸入の外材と内地材は逆転した形のウエートになってしまうということを考えざるを得ないわけでございます。そこで、われわれとしましては、国内の需要に応ずるように、その基本法に求められた総生産の増大等を含めまして、その対策を樹立してまいりたいという現況でございます。
  183. 森義視

    ○森委員 基本法にいわれておるところの総生産の増大は、先ほど長管の答弁を聞いておりますと、総生産のための基盤の整備も増大の一つだ、こういう御答弁がありました。私は、それは一つの長期の見通しから考えて確かに重要な施策の一つだと思います。ところが、いま牛乳をほしがっておるときに子牛を飼おうかということでは、いまの間に合わないわけです。だから、外材がどんどんどんどんと足らない分を補給するという形でふえてきております。それは長官御承知のとおりです。私は、いまだに長期見通し、いわゆる昭和九十年のあの長期計画というのを、そのまま変更する必要はないという考え方の上に立ってこれからの需給問題を考えておられるとするならば、これはたいへんなことだと思うのです。このことについては、何回か私はこの農林水産委員会その他の場所で、昭和九十年の長期需給計画のあの見通しについてのあやまちを指摘してき、また、そのことは今日も参考にも何にもならないということをはっきり指摘してき、長官もそのことについては了解しておられるはずであります。  ところが、今回中期需給計画を策定するにあたって林野庁が検討した資料は、依然として長期需給計画のあの見通しを基準にしておられるように思いますが、まだそういうことに膠着しておるのですか。
  184. 片山正英

    ○片山政府委員 私、申し上げましたのは、林政審議会に実ははかっておるわけでございます。したがいまして、五十年先の長期の問題についても林政審議会で一応検討をしておる段階でございますが、いまこの数字をどうするというのはなかなかむずかしいので、さらに生産力の調査とか、そういうものをかみ合わせた中でこれは判断すべきであろう。したがって、それはそのままでいいというわけではないけれども、もう少し検討すべきじゃないか。しかし、当面の昭和五十年度の問題については、当面の問題でございますから、これをもう少し正確に浮き彫りにして対策をあわせてやってまいりたい、こういうことでございます。
  185. 森義視

    ○森委員 計画をつくるのは、これは数字を書くだけだから非常に簡単ですが、その裏づけがなければ、結局いつでも林野庁の計画というのは実行が伴わないわけです。いまだかつて林野庁の計画で、その計画どおりに実施されたことはないわけです。  そこで私は、総生産の増大という至上課題を果たすために、林野庁はどういう手をとられたか。そうすると、先ほどは森林法の一部改正によって、個別施業計画を出させて林業の総生産に寄与するように、林業家にいろいろとお願いしておるというようなことも一つの例にあげられました。ところが長官、国有林は御承知のように生長の倍切っているわけですね。国有林の伐採においては限界があるわけです。問題は、民有林の伐採に依存せざるを得ないというのが今日の総生産増大の一番近道なんです。  ところが、民有林の問題について、長官はこの白書に出ておりますところの林業経営者意識調査結果というのを御存じですか。ことしの林業白書に出ておりますね。いわゆる民有林経営者、林業経営者の意識調査、いわゆる昨年の七月一日現在の五ヘクタール以上の林業経営の林家の任意抽出によって出された林業経営者の意識調査の結果、この内容は七項目までありますが、この内容の中からどうして民有林の生産が増大されますか。たとえば、先ほどおっしゃいました森林法の改正による新しい施業計画を利用して、計画的に山林計画をやろうと思う林家は何軒あるか、これは二二・九%ですね。そういう新しい施業計画を利用した計画的な生産をやろうとは思わないというのが三二・九%です。さらに協業経営の問題については、そういう協業経営をやる価値がないと答弁しているのが七六・四%。価値があるというのは一一・六%、わからないのが一二%。さらに、私が非常に問題にしたいのは伐期の問題です。いますぐ用材として売れるような立木を持っている林家で、この一、二年で販売を予定しているのはどれだけあるかと聞かれたら、二四・五%ですね。七五・五%は伐期が来ておる立木を売る気持ちはないのです。そんな林家の意識調査の中でどうして生産が上がってきますか。  これは白書に書かれてあります。おたくが昨年の七月に調査をされた報告ですよ。国有林がいま以上に生産を増大できるのだとおっしゃるのだったら別ですよ。しかし、私の調査では、国有林は生長量の倍以上切っておって、限界が来ておって、いま下がっているわけですね。依存できるのは民有林だけなんです。あなた方の中期見通しの需給計画に国内産のものを合わそうとすれば、どうして民有林を切らしていくかということですね。どうして民有林の生産を上げていくかということですね。ところが、民有林の林業経営者の意識調査というものが、いま申し上げましたようなこういう状態にある。これは財産保全的な考え方ですね。  そういう問題について対策を講じなければ、何ぼ計画をつくっても木は切られませんよ。木を切られなかったら外材に依存したらいいのだとおっしゃいますが、外材の問題はあとでお尋ねいたします。こういう林業家の経営意識で、日本の林野庁がつくったいわゆる中期需給計画の見通しが達成されるのかどうか、確信ある答弁をしてください。
  186. 片山正英

    ○片山政府委員 中期計画の見通しにつきましては、先ほども申し上げましたように、林道をはじめとする一連の一つの施策をわれわれは考えておるわけでございます。その施策と相まってこれを達成してまいりたいということ、端的に申し上げればそのようなことでございます。  ただ、先生御指摘のとおり、いま山を持っておる方たが、必ずしも計画的な生産はやらない、これはお説のとおりでございます。しかし、一方におきましては、大所有者といえども一つの計画性に乗ってこれをやってまいりたいということもございます。したがいまして、われわれが当初予定いたしました森林施業計画におきます新しい計画の認定制度を設けましたが、それに対しまして、初年度でございますから大きな数字は達成はできませんでしたが、われわれの計画いたしておりましたその数字には、ほぼ近い計画の認定をいたしたわけでございます。そのようなことで、日暮れて道遠しという感もありますけれども、一つ一つそういう形の理解の中で計画的な生産をはかる以外にない。それとともに、林道その他の資本の装備もあわせ行なって、初めてこれが達成されるということでございますから、そのような形の林業構造改善等をさらに推進をいたしたい、かように思うわけでございます。  それからもう一点は、ただいま申しましたのは伐採でございますから、ほんとうの生産ということは、やはり山の姿をよくするということが生産の基本であることは、先ほど申し上げましたとおりでございます。それに対して、民有林につきましては、少なくとも薪炭林を切りかえる拡大造林につきましては、補助金並びに金融につきまして優遇措置をとっておりまして、それによってこれを達成してまいりたい。また国有林におきましては、やはり不良林分というのがございますから、したがって、その不良林分を新しくするということにおいて生長量を上回る事業をあえてして、その生長量をさらに増大するという方向でいまやっておるということでございます。
  187. 森義視

    ○森委員 長官、先ほど私が申しましたように、伐期が来ておるのに木を切る意思がないという人、これは七五・五%ですよ、民有林で。伐期が来てそれを一、二年のうちに木を切ろうと思っておるのがわずかに二四・五%、これをどう思うかというのです。伐期が来ておるのに木を切ろうという意思がない。この前の森林法の一部改正のときに、その施業計画を何べん出さしても、それに対して何ら強制力が伴わなかったら、そういう任意的なものは計画的な生産増強につながらないということを私は強く指摘してきた。このような伐期が来ておっても木を切らなければ、木の生長力は衰えていくのですよ。もう伐期が来ていますから、老齢過熟林に入っていくわけです。そういう木を切らないところの民有林の経営者に対して、どういう施策を講じなければ総生産増大の目的を達しないかということについて、一番肝心なところが抜けているわけなんです。この調査は非常に正直に白書に発表された。この白書に発表されたいわゆる民有林の経営者の意識調査というものが、政策と一つも結びついておらないで、ぽつんと出ておるわけですね。私は、こういう調査をされた以上は、今日の民有林経営者の意識がこんな水準にあるのだから、こういう施策を講ずることが必要であるということは、当然出てこなければならないと思うのです。ところが、そのことが一つも出ておらない。そのことが私は非常に重要だと思うわけです。  それと、いま一つたいへんなことを言われました。あなたは山をよくする、美しくするということが長期需給計画の見通しを完成する道だ。これは生産基盤の整備ですが、現在造林はどうなっていますか。造林計画は、民有林、国有林を含んで、あなたのおっしゃるような山を美しくする長期需給計画に見合うような造林計画ができていますか。計画だけ何ぼつくっておっても、それに対する具体的な施策が伴わなければ、裏づけがされなかったら、何もできないということなんですよ。だから、計画だけをつくっておるけれども、林野庁はそれに対する裏づけも何もしてないから、どんどんと危機的状態がますます拡大していくというのが、今日の日本の林業の置かれておる現状です。  まず最初の、伐期が来ておるのに木を切ろうと思ってないという人が七〇%以上もあるという状態について、どういう手を打とうとしておるか。
  188. 片山正英

    ○片山政府委員 確かに、現在のわれわれの行政の範囲内では非常に困難でございます。一定年齢に来たら木を切りなさいということで強制的にやることはなかなかできませんので、非常に困難でございます。そこで、去年森林法の改正もいたしましたように、一つの方向づけをいたしたわけでございます。それによって、理解ある協力の中でこれを進めてまいりたい。それには、恩典の措置というものをあわせて行なうことによってその理解を深め、御協力を願い、国家目的に沿うような生産をしてまいりたいということで、森林施業計画の変更をいたしたわけでございますので、この推進をわれわれは第一番の骨子として、お認めいただいた法改正に基づきまして推進をしてまいりたいということでございます。  ただ、伐期の考え方でありますが、これは適正伐期齢級というのを一応地域ごとに大まかにつくってございます。しかし、場所によりますと非常に生長の盛んな場所、あるいはもう四十年なら四十年たつと生長が非常に急激に衰える場所、それぞれが非常に異なるわけでございますから、それぞれの施業計画を立てる中で判断をしてこれをきめてまいりたい、かように思うわけでございます。
  189. 森義視

    ○森委員 私は、この問題についてあなたと幾ら議論しておっても、どうも林野庁の考え方は実際の具体的な政策に結びつかないので、ますます日本の林業の前途にさびしさを覚える一人です。そういう点から、時間の関係もございますので、また時間をあらためて論議をしたいと思いますが、いま拡大していく需要から、国内材の生産が落ちてしまって、足らない分は外材に依存しておるのですが、外材の問題について若干お尋ねしたいと思います。  外材輸入の動向、特に今後どういうふうになっていくのか。いま外材が四〇%こしましたが、これが将来どういうふうに発展していくのか。御承知のように、外材といっても米材、ソ連材、南洋材と、大きく分けて大体三種類に分けられますが、それぞれの米材、ソ連材、南洋材に分けて、輸出元の情勢、それから今後われわれが無尽蔵に外材に期待していいのかどうか、そういう問題。さらに、その外材をめぐるところの今日の商社の専用船の問題、私は資料としていただきましたが、外材を目当てにするところの商社のなにが、ずいぶんと大きな船腹を持っております。それらの問題を考えてみますと、日本の林業は片方で計画だけつくっておるけれども、生産は全然ふえない、外材にどんどん依存していく、外材を取り扱っておる商社はどんどん外材船と港を整備していく、こういう状態の中では、木は山からとるものじゃなくして、魚と同じように海からとるというような形になるのじゃないか、こういう不安と心配すら感ずるわけなんです。  したがって、現在の外材の輸入の動向と将来性についてどういうふうにお考えなのか。芳賀さんの質問に対して、従来は、外材はわが国林業の非常に足らなかった分に対する補完的な役割りだということを言ってきたけれども、今日もなおかつその補完的な役割りというふうな考え方で外材の問題を考えておるのかどうかということについて、たいへんあいまいな返事がございました。補完的どころか主導権を握ろうとしておる。それで、今日外材の値段によって日本の国内の木材の価格はきまるのですよ。外材の輸入が続いて木材価格が低迷すると、今度のように生産が減ってくるのです。四千八百万立米に減ったのは、四十一年、四十二年のあの木材の暴騰が値下がりをし、低迷をしておるという状態の中で身動きがきかなくなったからですよ。大きく生産が減ったんじゃありませんか。外材の動向が今日、日本の木材の価格の動向を左右するような状態にまでふくれ上がってきておる。しかも、巨大な資本を持って大きな船腹を持ってどんどんとやる以上は、その船腹の償却なりあるいはメリットというものを考えていくならば、ますます外材への傾斜が高まっていくと思うのです。  さらに、いま一つ重大なことは、日本の今後の建築様式です。御承知のように、大工さんの日当が高くなってきた、あるいは大工をやる人がおらないから、できるだけ省力的な方法で、プレハブで工場から持ってきたらすっと建っていく、そういう建築方式に庶民の住宅がどんどん変わりつつあるわけです。そうすると、どうしても製材工場が大きく企業化されてくる。その製材工場でそういうような規格品を扱うためには、長尺ものの規格のそろった外材に依存してくる。いわゆる新たな建築様式から外材への依存度が需要の面から高まってくる。それを扱っている商社というものが資本的に大きな力を持っておる。  こういうような状態の中で、林野庁は、国内生産の状況についていろいろと考えていますだけじゃどうにもならなくなりますよ。したがって、あなたたちが考えておるような中期見通しというものは、ほんとうにいままで何回も論議いたしましたけれども、これは絵にかいたもちであって、何ら具体的な成果をおさめることができない。そのうちに、あれよあれよと言っておる間に日本は外材によってすべての林業が支配され、動向は決定されるという形になる、こういう心配を私はいまの時点において持っておるわけです。したがって、この問題について、いや外材問題については林野庁はこういう確たる見解を持って考えておるんだということをはっきりさしてもらわないと、これからの日本の林業経営をやる人ももう経営意欲をなくなしてしまうと思うのです。  かつて私は、外材インパクトの問題で論議をいたしました。いわゆる、外材が入ってくることによって日本の木材の値上がりを押えることはできる、こういう問題で論議をしたことがあります。ところが今日、外材インパクトの問題なんか問題じゃなくなってしまって、外材自身が日本の林業の価格決定をするという役割りをになう段階に来ておる。私は今日、この外材問題について林野庁としてはっきりとした見解を示さなければどうにもならないと思うのですが、大臣、この外材問題についてどうお考えになるか、まず大臣から御答弁願って、細部については長官からお答えいただきたいと思います。
  190. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 私は、森さんの適切な御批判を全くそのとおり受け取ります。したがって、いま私たちの考えていることは、やはり外材というものは補完的な役割りを持つと考えておる次第であります。  しかしながら、御承知のように、日本始まってと申しましょうか、これだけ好景気で経済力が高まったということは、いまだかってないことであります。これも非常に異例な問題であります。そこで、やはり何といっても国内の経済力というものが基本となって建築木材の利用というものが高まってくるわけであります。こういうような実情にありまして、外材がいま自由化をされておりますけれども、あまりにも国内木材が圧迫されるようなことがあるとするならば、これらはチェックしなければならないと考えております。  したがって、先ほどから御質問があったように、何といっても国内資源というものをより高く、より以上にするように今後の運営を進めていくことが第一の条件であり、あわせて、国内の木材に圧迫を加えないような外材の輸入というものを、当然なさなければならないのでございまして、まだそこまでの域に入っているかどうかという点について、少し疑問の点がございます。したがって、より以上圧迫するような時点に達した場合には、もちろんこれに向かって、いかに自由化であってもチェックをする考え方を持っておることを御了承賜わりたいと存じます。
  191. 森義視

    ○森委員 大臣、外材輸入をチェックすると言いますが、農林省は、通産省ベースでやられておる大商社独占の外材輸入をチェックする力を持っていますか。
  192. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 これば、農林省でありましょうとも通産省でありましょうとも、政府は一体でありまして、国内産業に異常な状態を与えるようなものは当然なさなければなりませんし、これはやります。
  193. 森義視

    ○森委員 たいへん確信ある答弁をされましたが、現状は、この日本の外材輸入商社というのは大体二百十幾つですかあります。その中で、二十社が大体独占をしておるわけですが、その中で特に有名な十社が、六十数%のシェアを占めておるわけなんです。これは日本の自民党政府をゆるがすことのできるような力を持った独占です。その圧力を農林省で、長谷川大臣がいかに大ものであろうと、その外材の輸入をチェックできるというような、そんな簡単なものじゃないとぼくは思うのです。外材の輸入をチェックするためには、国内材の生産を上げなければチェックできませんよ。国内材の生産を上げなければ、木材価格は暴騰するだけです。木材価格が暴騰すれば代替材が出てまいります。ふろでも、もう今日のふろは木でつくったものはなくなってきましたね。ポリバケツみたいなふろが出てまいりました。プレハブはもちろんそうです。アルミサッシがそうですね。ちゃんと代替材ができております。この新しい木材にかわる代替材資本というのが大きくまた独占から入ってくる、こういう状態なんですね。  そういう状態の中で、私たちが日本の林業を考える場合にどうすればいいのだということを、いまの時点ではっきりしたものを出してもらわないと安心できないのですよ。外材の輸入をチェックすると言うけれども、これはできるような状態にない。外材の輸入をチェックするためには、どうしても日本の林業の総生産を上げなくてはならない。そうでなければ、チェックはするわ、総生産は上がらないわということになると、木材は逼迫して値上がりする一方ですね。そうすると代替材にかわられてしまう。代替材でまた新しい資本が入ってきたら、そのメリットを求めてどんどんと林業圧迫のところまで入ってくる。外材が代替材にかわるだけです。そういう状態になっていく危険性があるわけですね。  そういう問題について、これはもう農林大臣も林野庁長官も、日本の林業を守るという立場からどうお考えになるのか、もう一回、ただ元気な答弁だけではなくて、考えて言ってください。
  194. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 ただいま御指摘があったのでありますが、先ほどもお答え申し上げたとおり、一方国内の生産を高める、すなわち国内の総生産を一方では高めながら、もしも国内産出の木材に異常な圧迫を与えるというようなことがあるとするならば、当然なさなければならない措置であります。われわれは外材の輸入のためにやっておるのではなく、国内生産をいかに高めるか、これがわれわれの目的であり、なさなければならないわれわれの使命でありますから、そのような考え方を申し上げたわけであります。
  195. 森義視

    ○森委員 長官、答弁を。
  196. 片山正英

    ○片山政府委員 大臣の御答弁のとおりで尽きるわけでございますが、若干、最近の情勢を含めまして御答弁申し上げたいと存じます。  外材につきましては、御承知のように三つの方向がございます。米材、南洋材、ソ連材でございます。外材はかつては南洋材が中心でありましたが、南洋材のウエートがだんだん減りまして、いまや米材、ソ連材が相当のウエートを占めてまいっているのが現状でございます。  ところで、そのような増大の中でいろいろな問題が出ておることは、先生御承知のとおりでございます。米材につきましては、すでに日本からの買い付けということを契機といたしまして、米国自身の木材価格が二年前の約倍くらいに上がっておるということでございます。そのような、なかなか弾力的にできにくい性格が木材そのものにあろうと思いますが、あの米国におきましてもそのような情勢を現出したわけでございます。そのような関係から日本への輸出、これに対する制限の措置というものが米国において起こっておりますし、モース法案というものが通ったのも先生御承知のとおりでございます。そのような背景で今年を見ますと、米材の輸入というものは一いまの段階でございますが、いままで急激に伸びてきました米材の輸入は今年頭打ちをするであろう、前年度程度であろうというふうに一応われわれは想定をいたしておるわけでございます。  それからソ連材につきましては、河合構想というようなことでソ連と日本との協約等もございまして、ソ連材の輸入は伸びてきております。ただ、ソ連としましては港の問題、清算の問題等がございますから、ある程度の制約の中で若干伸びてきておりますが、これは資源的に相当豊富な資源でございますから、今後の問題としては増大傾向をたどるであろう。  それから南洋材でございますが、南洋材につきましては、フィリピンは政府がやはり制限の措置をやってきつつありますから、フィリピンからの期待は、フィリピン自身の木材資源がだんだん減ってきているという事情とあわせて、これは大幅に期待することは困難である。したがって、これは開発輸入、インドネシア等の諸国に期待しなければならないであろう。  一応概括的に申し上げますと、こういう外材に対する問題がございます。  そこで、日本の需給との関連で、われわれはやはりここ当分の間は残念ながら外材に四割余の依存をせざるを得ないのではないだろうかというふうに一応判断はいたしておりますが、六割近くのものに対しましては国内材で十分まかなっていける。いまの大臣の御答弁のとおり、その施策によってこれを推進することが主体でございますから、そういうことでこれはまかなっていけるという確信のもとに、これを推進してまいりたいと思っておる次第でございます。ある一定の時期を過ぎますと、国内材というものは非常に大きなウエートに変わってまいるわけでございますので、あくまで考え方としては国内中心の生産、土地利用の合理化をはかる中の生産の増大、これを前提といたしましてわれわれは推進してまいりたい、かように思う次第でございます。
  197. 森義視

    ○森委員 外材の問題は、長官からもっと詳しい答弁をしていただけると思っていたのですが、この問題を論議していますと、何時間論議しても時間がないのですが、御承知のように、ラワン材はマルコス大統領が出てからずいぶん丸太の輸出の制限をやろうとしておる。こういうことからラワン材の輸入は減ってくると思うのです。ところが、ケネディラウンドの問題で、いわゆる後進国に対する輸出の関税の免除から、台湾やあるいは韓国にどんどん入っていく。向こうから、今日合板材料とか日本へどっと入っていますね。そういう形で、日本に直接丸太材の輸入は制限するけれども、向こうを回って今度は低賃金労働者を使った韓国、台湾からどんどんと合板原料は入ってくる、こういう形で、ずっと場所が変わるだけなんですね。  アメリカは、御承知のようにことしの一月からいわゆる丸太の輸出を制限しました。丸太の輸出を制限しますと、どうしても製品として入ってくるわけですね。製品として入ってきますと、日本の零細企業はひとたまりもなくやられるわけですね。この間、資料要求で日本の木材工場の倒産状況をいただきましたが、ものすごく倒産をしております。それはアメリカから入ってくる米材――前はカナダだけでしたけれども、アメリカも丸太輸出の制限をやりますと、アメリカ地域に期待するところの外材はほとんど製品として入ってくる。このことが日本の製材産業に及ぼす影響というものは実に大きいものなんです。そういう状態が今日当面している危機としてある。  ソ連はそういうことは制限していない。ところが、いま河合構想の話をされましたが、林野庁は河合構想に参画されましたか。御承知のように、河合構想は七百六十万立米を向こうから五カ年間に入れる、シベリア開発とバーターで。これは、一千六百万ドルに及ぶわが国の工業製品を売るための見返り物資なんです。こういうことについて、林野庁は河合構想について参画されましたか。林野庁は聞いていないはずです。特に、ソ連材を輸入しておるところの北海道のホクレン、これは全然相談がなかったでしょう。河合構想は、日本の鉱工業製品をソ連に売りつけるためのバーター品として別個にこれは交渉しているのです。こんなことはあなたも知っているはずですが、この河合構想で入ってくるいわゆる北洋材は、林野庁の外材の輸出ペースに全然乗っていないはずです。  さらに私が心配するのは、そういうふうにいままでの外材の輸出国というものがいろいろ制限をかけてまいりますと、日本の独占企業はどういうところに目をつけておるか、東南アジアにどんどん進出しています。日本の商社がどんどん行っておるのはカリマンタンですか、東南アジアの諸国に、いわゆるアメリカやソ連あるいは南洋材にかわるべき外材の輸入先を求めて、どんどん向こうへ出先をやって、こちらから林業指導をやっておる。そういう形ですから、外材をチェックしようなんということを考えてみたところで、国内生産が高まらなかったらどうにもならないのですよ。ところが、国内生産の増強の施策というものは、全然皆無にひとしいということを私は先ほどから追及をしているわけなんです。  外材の問題についてこれ以上論議をしても、長官から詳しい答弁はいただけないと思いますので、これで外材の問題はやめますけれども、とにかく日本の林業のこれからは、需給をめぐって重大な危機が到来しておる。それに対して林野庁は、日本の林業を守るという立場からどう対応していくかということについて真剣に考えてもらわなければ、きょう政策を出したからあすその成果があがるという産業じゃないのです。四十年ないし五十年の長期を必要とする産業である。それだけに早くから計画を樹立して、これらの緊迫した情勢に対応する体制を整備してほしいということを強く要望しておきたいと思います。  次に、先ほど冒頭にお聞きいたしましたように、林業の持っておるところの治山治水、いわゆる公共的な使命の問題です。四十三年度の予算要求にあたりまして、大蔵当局がこの国有林の治山事業の取り扱いに関連して十項目の問題点を提起しておりますが、その内容をお聞かせいただくと同時に、林野庁はそれに対してどういう検討をしたのか。ことしの予算要求のときです。
  198. 片山正英

    ○片山政府委員 大蔵省の主計官からの要望を、実は私まだ承知しておらなかったわけでございますが、問題は、国有林野事業を進める場合の治山事業のあり方を、大蔵省とずいぶん前からいろいろ打ち合わせておった経緯がございます。  そこで現在は、国有林の治山事業のうち十大流域につきましては、現在の国有林野の事業勘定から離しまして治山勘定という中に入れております。治山勘定というのは、普通の事業勘定で経営するものと切り離されまして一般会計から資金をもらう、こういう制度になっておるわけでございます。したがいまして、十大流域につきましては、現状として一般会計からもらってこれを実施してまいっておるというのが現状でございます。  ただ、一般会計からもらう資金は、現在のところは国有林が非常に利益をあげておるということから、利益剰余金の半分が特別積立引当資金というもので保留されます。その半分の中から、林政協力にその資金を使うというたてまえになっておりますから、その特別積立引当資金を一般会計に入れまして、それから一般会計からさらにいただいておる、こういう形の中で治山事業は進められておるわけでございます。これらにつきましては、今後の国有林のあり方等との関連におきましていろいろ検討をし、また抜本的な考え方も打ち出す中で対処してまいりたい。  現況は以上のとおりでございます。
  199. 森義視

    ○森委員 これは林業年鑑に出ておるのですが、十の問題点を提起しておるのですけれども、要約しますと三つになるわけです。いわゆる制度化についての問題、国有林野事業における国有林の治山の位置づけの問題、それから財源負担の問題、こういう三つの問題になるわけです。長官は、いわゆる治山問題について、国有林から治山を離してしまって、国有林が企業的な経営に終始しろという中央森林審議会の答申は御存じだと思います。その答申との関連でこういう問題が出てきておると思うのです。  林野庁の治山対策というのは、大体ことしの予算では二百九億ですか、治山事業費を組んでおられます。林野庁のいわゆる収入の中で、かなり膨大な予算を組んでおられるわけでございますが、依然として日本の災害は、林業の粗放経営の中に原因する災害というものは減っておりません。あとで資料をいただいた中にも、毎年の災害の状態が書かれておりますが、そういう中で、林野庁は木材生産の増強という主要課題を片方ににないながら、片方では国有林以外の全林野の治山治水といういわゆる公共的、公益的使命、国家的使命をになっておる。これが、結局アブハチとらずになってしまっておるんじゃないかと思うのです。林野庁は、国家がやらなければならないところの国土保全、治山治水という重大な任務にばく大な金を使わされておる。したがって、片方におけるところの木材の需要という重大な役割りを中途はんぱにしてしまって、片方のそういう国土保全の治山治水関係にも中途はんぱになっておる。こういうところに私は問題があるのじゃないか、そのことを大蔵省が指摘しておるのじゃないかと思うのです。  そういう問題について林野庁としては、治山治水の問題はもちろん建設省もその責めに当たりますが、当面林野庁としてどういうふうに考えておるのか。いわゆる国有林の道路をつけたりあるいは国有林の伐採をしたり、その地域における治山治水だけを考えているのか。あるいはいままでのように、全体的な治山治水というものを林野庁は考えているという姿勢でいくのか。その点をはっきりしないと、林野が持っておる生産増強と治山治水という二つの任務が、どっちもアブハチとらずになるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、その点いかがですか。
  200. 片山正英

    ○片山政府委員 国有林野事業の使命の一つに、国土保全等の使命がございます。したがいまして、治山事業そのものも当然の使命であろうと思うわけでございます。  そこで、現在治山治水緊急措置法に基づきまして、昭和四十三年度を初年度とする五カ年計画の決定を見たわけでございますが、それは国有林、民有林を含めまして、当初の前五カ年計画は千八百七十億でございましたのが三千五百億に伸ばして、これは建設省ともども打ち合わせの中で、相関連した事業でございますから打ち合わせの中で三千五百億の増大をいたしたわけでございます。その内数として国有林を申し上げますと、三百七十億の計画に対して七百億というふうに大幅にこれまた伸ばしたわけでございます。これは国土保全という意味から、建設、農林相ともども実施してまいるという基本的態度から、これが決定されてまいったわけでございます。国有林といたしましても、その七百億を中心にして、現在治山工事の拡充をはかるべくやっておるわけでございます。  ところで問題は、それが特別会計の中でやれるのかやれないのかというその問題が一つ出てくるわけでございます。国有林が、昭和四十年だと思いましたが、収支が非常に苦しい時代がございました。その際に大蔵当局ともお話し申し上げまして、先ほど申し上げました治山勘定というものを分離したわけでございます。国有林の中の十大流域は治山勘定に入れまして一般会計からもらう、こういう制度をその際打ち立てたわけでございます。それによって現在実施をいたしておるわけでございます。  先ほど申しましたように、国有林野のあり方等を含めまして、さらに治山治水事業のあり方を含めまして、この問題は検討して態度をきめてまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  201. 森義視

    ○森委員 最近の国有林地帯におけるおもな災害と、その原因について資料をいただいておりますけれども、皆さんにわかっていただくように、御答弁いただきたいと思います。
  202. 片山正英

    ○片山政府委員 最近におきます災害のおもなるものは、主として集中豪雨等によりまする災害が中心でございます。これは三十九年から一応拾っておるわけでございますけれども、たいへんこまかくなりますが、昭和三十九年におきまして、概括申し上げますが、五月に融雪災、それから七月に……。
  203. 森義視

    ○森委員 こまかいことはいいです。その災害の特徴とその原因……。
  204. 片山正英

    ○片山政府委員 これは一言で申し上げますと、集中豪雨、異常豪雨というのが災害のほとんどの主体でございます。
  205. 森義視

    ○森委員 質問のしかたも悪かったと思いますが、この特徴をこの資料で見ますと、民有林が圧倒的に多い。昭和三十九年は民有林十に対して国有林二、四十年が民有林十四、国有林三、四十一年が十八対二、四十二年が十五対三、四十三年が十対二、国有林と民有林を比較すると、民有林地帯が圧倒的に災害が多い、こういう状態になっているわけです。したがって、私は原因の問題についてもそれなりの答弁をいただけると思ってお尋ねしたのですが、その特徴から考えて、どういうところに原因があるのでしょうか。
  206. 片山正英

    ○片山政府委員 先ほど申しました集中豪雨というその姿が一つあるわけでございます。表現がへたでございますけれども、集中豪雨の地帯が民有林に主体があったということ、民有林に発生主体が多いということであろうと思います。  もう一つは、てまえみそになってもおかしいわけでございますけれども、国有林といたしましての施業等につきましては、そういう災害という問題を考慮した施業というものをわれわれは常々指導をいたしておるわけでございますが、そのようなことと予防治山もあわせまして、災害を未然に防ごうということでやっておるわけでございます。しかし、予防治山につきましては、民有林につきましても、この前の飛騨川等のこともございまして、積極的に予防治山をやってまいるという体制でございます。  今後の問題につきましては、やはり異常な集中豪雨というものに対して、いまの山地保全が完全じゃない。できますならば、集中豪雨というものが気象上どの地帯に多くあるのかということがわかりますとその予防もできるのでございましょうが、全国でございので困難でございます。問題は、やはり予防治山とそれから復旧治山、まだ全森林面積に対して一%程度民有林、国有林にございますので、それらの復旧をはかり、かつ保安林機能を拡充するということであろうと思っておるわけでございます。
  207. 森義視

    ○森委員 こういう数字が出るのは、私は、民有林地帯に集中豪雨が多くて国有林地帯に集中豪雨が少ないのではなくて、民有林地帯であろうと国有林地帯であろうと同じ地域にあるのですから、集中豪雨を受けた場合における災害は同じようにあらわれるはずです。ただ、面積は民有林地帯は国有林地帯の倍あるから、二対一くらいの割合で災害があらわれているのだったら私は問題にする必要はないと思う。ところが、民有林地帯で災害が多くて国有林地帯の災害が少ないということは、国有林地帯の治山治水が十分できておって、民有林地帯においては治山治水ができておらないということの一つのあらわれだと思う。  そこで、先ほど国有林の治山治水というのは、全林業をとらまえて考えるのか、国有林だけを考えるのかとお聞きしたら、あなたは全林業をとらまえて考えるとおっしゃっておる。ところが、現実にあらわれておる治山治水上の災害の発生状況は圧倒的に毎年民有林が多い、こういう数字が出ているわけですね。そういうことは、やはり国有林は自分の山だから治山治水の問題について十分考えておるけれども、民有林には手抜きをしておる、こういうことがこの数字上からうかがわれるのじゃないか、こういうふうに思うわけです。  その点についてはあとから答弁していただきたいのですが、さらに、治山治水の問題は林野庁だけが負うべき問題ではなくて、建設省、地方公共団体ともどもに共通的な責任があると思うのです。そういう問題について統一した対策が必要じゃなかろうか、私はこう思うわけです。  ところが、たとえばダム一つ建設いたしましても、建設省のダム、農林省のダム、あるいは今度は経済企画庁まで、水資源確保という形で奈良県で間ノ原ダムという千八百戸水没するようなダムを計画しておる。ばらばらなんですね。多目的ダムあり、水源ダムあり、あるいはかんがい用水ダムあり、あるいは災害防止ダムというのですか、いろいろと目的が違いますけれども、そういうダムの建設一つにしましても、上のほうへ農林省が大迫ダムをつくった、かんがい用水のダムだ。その真下で、今度は防災ダムを建設省が計画しておる。その防災ダムの上へ、今度は多目的ダムを経済企画庁が計画をしておる、こういうふうなものがあるわけです。だから私たちは、そういう治山治水の国土保全という重大な役割りをになう問題について、どこがどういう責任を持つのか、林野庁が責任を持ったために、片一方で林業生産がないがしろにされてしまう、こういうことではなくして、統合的な総合的な対策が樹立されていかなければならない、そういうふうに実は考えるわけですが、そういう点についていかがお考えですか。
  208. 片山正英

    ○片山政府委員 治山保全あるいは災害対策等につきましての各省との連絡協調というのはやっておるわけでございます。特に建設省、農林省との関係におきましては、一つの方針をお互いに打ち合わせたものを一これは昭和三年でしたかに打ち合わせました基本的の事項がございます。それは、山腹を主体とする復旧、予防につきましては農林省、渓流を主体とする予防措置については建設省、大きく分けますと以上のような方針を打ち立てておるわけでございます。それに基づきまして、中央におきまして建設、農林ともども打ち合わせて実施をいたしております。今回の治山治水緊急措置法に基づきます五カ年計画の改定も、また両省の打ち合わせの中に樹立したものでございます。同じような意味で、現地におきまして県を単位といたしまして、同じく県の出先土木あるいは林務、あるいは場所によりまして国有林のあるところは営林局が入りまして、その調整と施行の関連を適正にやってまいる打ち合わせをやっておるわけでございます。  それぞれの分野において治山事業を完成していくという中で農林省は実施しておるわけでございますので、ばらばらな形でこれが行なわれておるわけではございません。
  209. 森義視

    ○森委員 私は、治山治水で直接林野庁が負うべき責任というのは、乱伐によるところの災害、これは直接負わなければいかぬけれども、今日のダム建設だとか、あるいは土地開発とか、道路建設とか、そういうことによって生じてくる災害、こういうものまでひっかつがされておるわけですね、共同責任みたいに。  こういうおもしろい数字があるのです。東洋大学の教授で国土問題研究所理事の佐藤博士が、いわゆる国土保全、災害復旧というような破壊防止的な投資と破壊的な投資、この中で必ずしも破壊的投資とは断定づけられませんけれども、宅地計画とか道路の問題とか、生活基盤整備の問題とか、土地造成とか、そういう問題によっていろいろな災害の原因をつくっていく、そういう問題のバランスシートを出しておられます。これを見ますと、国土保全、災害復旧、環境衛生の整備、厚生福祉とか、こういったところの破壊防止的投資が、三十年からずっとどのくらい金が出ておるかといいますと、四十年で四千五百二十一億、他方破壊的投資が一兆六再八十一億、差し引き六千百六十億が、片方に破壊的な側面を持った投資として行なわれておる。そういう問題については、林野庁は責任を負う必要はぼくはないと思う。だから、林野庁の治山治水という問題については、私は責任を転嫁され過ぎておるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、その点いかがですか。
  210. 片山正英

    ○片山政府委員 宅地造成あるいは道路の開設がどんどん進んでいくという中で、一つの保全対策をあわせやってまいらなければいかぬということであろうと思います。林野庁におきましても、そういうことは山の保全にあわせて考えていかなければならないと思っております。ただ、そういう道路なりあるいは宅地を造成する場合には、造成する側においても当然これは考えておるはずでございます。たとえば、宅地造成等規制法とかそういうものの中で進めていくという態度でございますから、私は両々相まった形でこれは進めておると思っております。  ただ、一つ林野庁として端的にチェックいたしておりますのは、保安林の中におきます開設でございます。これについては保安機能を失わないということがあくまでも前提でございますから、そういう打ち合わせの中で、保安林の解除あるいは場合によっては逆に保安林の指定、そういうものを行なって、その方向を打ち立て、かつそういう場合の対処をいたしておるわけでございます。
  211. 森義視

    ○森委員 きょうはそういう問題が本質ではありませんので、これ以上触れませんけれども、治山治水と道路建設、林道開設等の問題に関連いたしまして、資料としていただきました財団法人の林業土木コンサルタントの問題について聞きたいと思いますが、この会社はいつ設立されましたか。
  212. 片山正英

    ○片山政府委員 三十八年に設立をいたしております。
  213. 森義視

    ○森委員 三十八年に設立された当時の林野庁長官はだれで、現在理事長はだれですか。
  214. 片山正英

    ○片山政府委員 三十八年の長官は田中重五……
  215. 森義視

    ○森委員 長官、いまずっと聞きますから、その問題もあわせて、だれかメモしておいていただいて、あとで答弁してください。  二百名の職員なんですが、この職員は、ほとんど林野庁におられた方が多いのです。その内訳が、林野庁に関係した人はどのくらいおるのか。  それから、これは実は設計会社なんです。ところが、この設計会社が見積もり合わせをやっておらないわけなんです。これは私は会計法上の違反だと思うのです。ここが大体林業土木の総元締めです。これが、あまり言いたくないことなんだけれども、実はいろいろと業界からリベートを取っておるといううわさが私どもの耳に入ります。ここの息がかからなければ、いわゆる林業土木、治山治水から林道の建設から、そういうものはやれない。そういう会社が、実は林野庁の前長官を理事長として、林野庁の役人の方がみな入ってやっておられる。こういうものは、私は役人がやるべき性格じゃないと思う。林野庁の中にも、そんな林道の設計なり治山治水の設計をやる者がたくさんおるはずです。どうして林野庁が直接やらずに、こういういわゆる就職先みたいな、退職後の救済みたいな会社をつくってやらして、それで業者からリベートを取らせるような、黒い霧を生むような会社をつくるのですか。この点は、林野庁長官は知っておられますか。
  216. 片山正英

    ○片山政府委員 コンサルタントが業界からリベートを取るということはないと思います。いま初めてお聞きするわけですが、そういうことは断じてあり得ないと思っております。  ただ、コンサルタントの発足当時の状況をちょっと御説明申し上げますと、一番最初、いわゆる研究所として北海道に財団法人ができて、そして土木、治山の純粋の研究をして、今後の情勢に対処しようということで発足した研究団体であったわけでございます。それが発展的に、その研究を母体としたいわゆる設計業務をやってまいるということに相なったわけでございますが、御承知のように林野庁は、なるほど職員もだいぶ多うございますし、治山、林道の予算というものは毎年毎年おかげさまで増大をしておるわけでございますが、しかしながら職員の増加というのはございません。したがいまして、そういうような姿の中でこれを円滑に進めるには、現在のコンサルタントには、林業ではなかなか数少ない技術士、いわゆる土木あるいは治山関係の技術士という制度がございまして、この試験を受けた数少ない技術士がいるわけでございます。日本全国としても技術士は非常に数少ないわけですが、その技術士が、十三名かと私は記憶いたしますが、その十三名を擁して、これを、設計その他の研究成果と相まってやっておるわけでございますので、そういう意味におきまして、林野庁の増大してきました予算を適確に、そして実行もまた当を得た設計の中で実施してまいるということで委託しておるというのが現状でございます。  したがいまして、リベートを取るというのは、もし事実であればけしからぬことでございますが、いまはじめて伺ったことでございますけれども、そういうことはないと私は確信しております。
  217. 森義視

    ○森委員 私のほうで調査して、かなり詳しい資料を持っておりますが、この場所では追及いたしません。ただ、監督はどこでやっておられますか。会計監査はどこでやっておられますか。
  218. 片山正英

    ○片山政府委員 それは、財団法人として設立したものでございまして、林業関係でございますので、林野庁で監督いたしております。
  219. 森義視

    ○森委員 それから、林業労働の問題でちょっとお尋ねをしたいのです。  これは毎回繰り返して議論をしておりますが、生産増強という重大な至上課題を果たす林業に課せられた当面の問題のにない手であるのは、林業労働者であるということは、これはもう間違いないわけです。  ところが、最近、ずっとこの十年あたりの林業労働者のいろいろな動向を資料で拝見いたしますと、人数で毎年大体五%ずつ減ってきておる。それから年齢がふえていっておる。特に若年労働者が林業に残らない、こういう傾向が一向にとどまらないわけです。そういう中で、林業のいわゆる生産基盤の整備だとかなんとかいっても、そのにない手が山村から離村していく状態の中で、それに対して何か林野庁では対策を考えておられますか。いままでの御答弁で、いわゆる森林組合の中に労務班をつくって、そこで、いわゆる過去の封建的な労務関係を払拭するような形のものを考えて、労務班の育成強化というものを考えておられる。このことについては、私は、今日の段階において、労働三法から保護された団体交渉権も持っておらないような労務班なんかをつくったって何になるかということで、いままで反駁をしてきたわけでありますが、今後の労働力確保の問題について、何か特に対策がありますか。  山村から挙家離村をしていく人たち、こういう人たちは、財産を持っていないから簡単に出やすいわけですね。ところが農村の場合においては、農地を持っておるとなかなか離村しにくいというので、今度離村できるように、不在地主制度を認める農地法の改正をしたわけですね。ところが、山の労働者というのは山を持っていないのですよ。だからいつでも離村できる。この前、高山林道が開発されますと、その林道ができたことによって、いわゆる挙家離村しやすくなった、逆に夜逃げするようにさっと出ていくということで、そういう皮肉な現象があらわれておることも私は長官に言ったはずです。私は、ずっと考えてみますと、どうも林業労働者は財産を持っていないから、何かあるとすぐ離村できる体制にある。それが自分で山を持っておる、あるいは部分林を経営しておるということになれば、これは離村しにくくなるわけですね。  そういう問題について、何か対策を特に考えておられることがあれば、お聞かせいただきたいと思うわけです。
  220. 片山正英

    ○片山政府委員 確かに、先生御指摘のとおりに、林業労働者はだんだん減ってきております。白書にも書いてありますように、毎年毎年、統計が少しでこぼこしておりますけれども、総じて申しますと、現在三十万で、五年前は三十五万でございますから、一四%くらい減ってきておる。その中で、自家労働の部面がだんだん減ってきておる、雇用労働についての常用についてはほぼ一定の形で推移している、こういうような労働の情勢であろうと思います。したがいまして、常用でき得るような林業に持っていかなければならないというのが、やはり今後の指導すべき方向であろうというふうに考えるわけでございます。  そこでわれわれも、なかなか苦しい林業投資の問題ではございますけれども、林業構造改善を通して、一人一人の所有者ではなかなかできないけれども、それを総合した中においてこれが初めて達成されるであろうということから、労働関係の通年化というものを指向して推進しておるというのが現状でございます。それによって、いわゆる失業保険等の社会保障制度が、ほかの産業と相一致するような形で適用されるように推進して、その確保というものがはかられていくべきであろうというふうに考えておるわけでございます。
  221. 森義視

    ○森委員 時間の関係もございますので、省略して先へ進みたいと思いますが、大和田官房長にちょっとお尋ねします。あなたは総合農政推進の大ベテランですからね。  先ほどから、日本の林業が当面している問題点についていろいろと論議をしてまいりました。その中で一番重要な問題は、何といってもわが国自体の林業の総生産の増大、そのことに集約されると思うわけです。そういう見地から考えた場合に、総合農政と今度の活用法との関係は、どういうふうにお考えですか。
  222. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 林地につきまして総生産の増大をはかることは、これは当然必要なことでございますが、同時に、総合農政といいますか、今後の農業の動向といたしましては、経営規模の拡大あるいは農業生産の選択的拡大ということで、草地あるいは農用地の造成をはかる必要があるわけでございますから、林地を検討して、農業的な利用がいいか林業的な利用がいいかということを当然判断いたすわけで、農業的な利用が望ましいというふうに判断された場合に限って農業的に活用さるべきものだというふうに思います。  国有林の活用ということも、その林地につきまして、はたして林業的利用が妥当であるか、あるいは農業的利用が妥当であるかという見地に立って、私ども判断いたすべきものであろうと思います。
  223. 森義視

    ○森委員 ちょっと大和田さん、いまのお話ですけれども、林業的な利用が有利かあるいは農業的利用が有利か、その判断だけで検討する、利用、活用を考える、こうおっしゃいますけれども、先ほどから言っておりますように、日本の林業というのは非常な危機に来ておるんですよ。ただ単にこちらとこちらが、林業をやるのがいいか農業をやるのがいいかということだけで判断されますと、これはずんずんと林地が少なくなっていきますよ。私は、あいている土地は全部木を植えなければいかぬ、そしていわゆる老齢過熟林をどんどん伐採して、生長力の高い木を植えていかなければならぬと思う。  とにかく、全力を集中して日本の林業総生産に努力しなければいかぬときに、そんなものは別にして、ただ単に農業的利用がいいか林業的利用がいいかだけで考えるということでは、私は政策が間違うと思うのです。日本の林業はいまやほんとうに危機に来ている。このままではたいへんなことになりますよ。林業が危機に来るということは、単に需要木材の供給ができなくなるだけではなくて、治山治水という国家的使命すらたいへんな危機にさらされるという形になるわけですね。だから、いわゆる経済的な要求、経済的な目的だけではなくして、そういう公共的な目的までになっておる林業なんです。その林業が、いまおっしゃるように、農業がいいか林業がいいかというだけで判断していくんだという考え方には、私は問題があると思うのです。その点は総合農政の中では、そうしたら農業的利用のほうが有効であるところは全部農地にしてしまう、こういう考え方ですか。
  224. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 林業自体の役割り、すなわち、木材の生産あるいは土地の保全という林業自体の大きな使命がございますから、農業的な利用がいいか林業的な利用がいいかということを判断いたします場合にも、当然林業の大きな役割りということを頭に置いて判断いたすわけでございますから、林地の相当多くのものが、農地に変わるとかあるいは草地に変わるとかいうふうには、私ども考えておらないわけでございます。
  225. 森義視

    ○森委員 そこで最後にこの問題で、具体的な法案に入るのはあとでございますけれども、ひとつ農林大臣にお尋ねするのですが、先ほどから日本林業の現状という問題についていろいろと論議をしてまいりました。たいへん不十分であります、この論議の内容は。ところが、大臣開いておられて、大体林業というのはえらいところへ来ているんだなというくらいのことはわかっていただいていると思う一わけです。  そこで、林業がやらなければならない当面の重要施策というものは、とにかく木を植えてそれを早く生長させて、足らぬ供給をふやしていこうということが、当面の林業に課せられた最大使命だということもわかっておるだろうと思うのです。その中でこの活用法を、林業が当面しておる重大使命との関連においてどういうふうに位置づけしたらいいのですか。
  226. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 日本の林業というものは、ただ植林しそして総生産を増大させるだけが目的ではなくて、要は、一億国民の一番大切な水資源の涵養というような大きな役割りを持っておることは、見のがすことのできない大きな問題だと私は考えます。  これは別といたしまして、今回いろいろなお話を承っておりましたけれども、ただいまの総合農政にいたしましても、総合農政とは農地だけの問題を申し上げておるのではなくて、林業の総生産もいかにするか、それと相マッチし農業はどういうふうに位置づけていくか、さらに漁業はどう持っていくか、こういう三者一体となったところの総合農政というものを行なおうと考えておるのでございます。したがって、この中にあっては、今回の活用法というものもその中においていかなる役割りを果たさせるかという問題でありまして、基本というものは、冒頭に申し上げたのを念頭に置いてその活用方法を行なわんと考えておる次第でございます。
  227. 森義視

    ○森委員 政策には、やはりそれぞれ重要度と緊急性があるわけです。全部べたに何もかもやらなければいかぬという問題じゃないわけです。重要度と緊急性から考えて、いま日本の林業という立場に立った場合に、何をやらなければいかぬかといえば、これはやはり総生産の問題――水資源の涵養も当然のことですが、そういう観点から考えた場合に、いまこの活用法だけ別個に単独立法として出される必要がどこにあるのか。  今日は、御承知のように各種の法律で、林業の農業的活用なり林業的活用なりは道が開かれております。次官通達においても開かれておる。この間から論議されておるとおりであります。そういう道が開かれておるのに、片方で何もやっていない問題、あるいはやっておっても一つも成果があがっておらない問題で重要な問題がある。それをほったらかしておいて、活用の問題について、この問題だけを引きずり出して考えるということは、今日の事態において緊急性と重要性がないのじゃないか、こういうように私は思うのです。  前に林野庁の長官は、世界林業会議のときの五項目の決議項目を出されました。いわゆる林業が持っておる国際的な任務として、その公共的な使命、林産物の需給確保なり、鳥獣の保護なり、水源涵養の問題なり、あるいは保健休養の問題、この五項目の決議に基づいて、林野庁はいま新しく国有林の事業法を検討しておられるわけですね。その中には、ちゃんとこの林野の農業的な活用の問題まで入っているわけなんです。そういう法案が準備され検討されておるのに、しかも現在すでに活用の法律があるのに、なぜ単独立法で出さなければならないか、緊急性と重要性があるのか、そのことを大臣からお答えいただきたいと思います。
  228. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 申し上げたような、つまり総合農政という観点に立ち、さらに今回の法案を提案したからといって、無制限に活用だ、活用だといってこれをやるわけにはまいりません。したがって、その中の最も活用しいい、そして最も効率的な問題が解決ができるというような、そういうような点にのみ今後はこの活用法というものは利用さるべきであって、要は総合的に見て、先ほど森さんおっしゃったように、ただどれもこれもみんなやっていくというような平面的な考え方ではないのであります。でありまするから、そういうような最も必要性の高い、そして最も効率的で価値ありという、こういう面についてのみ今回提案して御審議を願っている方法をとっていったらどうか、それがすなわち今後の日本の総合農政の一役を買うことである、こういうふうに考えておるのであります。  でありますから、ただ単に活用法ができたから、どれでもこれでもというような考え方は毛頭持っておらないことを明らかにしておきます。
  229. 森義視

    ○森委員 私が大臣に聞いておるのは、緊急性と重要性が大事じゃないかということを言っているのですよ。現在活用できる道は、他の法律が続々と出ておる。しかも、来年は国有林の事業法を新しく検討される。その中にも活用の問題が入っておる。ところが、なぜことし、その五つの林業の持っておる国際的な目標から、活用だけ引っぱり出していまやらなければいかぬか、緊急性と重要性はどこにあるか、これを聞いているのです。活用することはぼくは賛成ですよ。活用することは賛成ですけれども、やらなければならないことはたくさんあるでしょう。日本の林業の実態の中でそういう問題をないがしろにしておいて、現在すでにそういう活用がどんどん行なわれておる、さらに活用を強化するような新しい国有林事業法が出てこようとするやさきに、なぜこれだけを引っぱり出してやらなければならない緊急性と重要性がどこにあるか、ないじゃないか、こういうことを言っているのですよ。
  230. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 たびたび申し上げるように、重要性というものは、すなわち総生産が最も重要である。その中において、緊急性を持った高度利用ができる部面があるならばこれを行なってまいりたい、こういうような考え方でございます。
  231. 森義視

    ○森委員 それじゃ答弁になりませんが、時間の関係もありますので次に進みます。  実は、先日の瀬戸山委員の質問で、国有林地帯と民有林地帯の地方財政の問題で、いわゆる民有林地帯の固定資産税は国有林地帯の固定資産税よりも三倍も入る。いわゆる国有林があることによって、地方自治体に対する固定資産税、これは交付金という形で払っておりますが、大体三対一だ、こういう質問があったわけです。それに対して自治省の固定資産税課長ですか、この方の答弁は、それを肯定するような答弁であったわけです。林野庁はそれに対して黙っておったわけです。ところが私が調べた資料では全くパーパーなんです。(「そんなばかなことはない。」と呼ぶ者あり)あらためて自治省の固定資産税課長から答弁をいただきたいと思うのです。そんなばかなことはないとおっしゃいますけれども、民有林の場合には保安林は税金がかからないわけです。自治省の固定資産税課長それから林野庁長官、両方からこの問題についての答弁をいただきたいと思います。
  232. 山下稔

    ○山下説明員 先日瀬戸山先生のお尋ねに対しましてお答えいたしましたのは、現行の制度のもとにおきまして対象になっております資産につきまして、交付金及び固定資産税のそれぞれを、土地面積との関係においてそのまま申し上げたわけでございます。  すなわち、交付金につきましては国庫予算に上がっております交付金の額を基礎といたしまして、固定資産税につきましては、四十四年度で収入が見込まれております山林にかかる国定資産税のそれぞれの数字を、そのまま面積との関係でお答えをいたしたわけでございます。
  233. 片山正英

    ○片山政府委員 固定資産税の絶対額の比較におきましては、確かに国有林のほうが低うございます。しかし、固定資産税のかかりまする内容から見ますと、国有林は脊梁山脈等を含めた非常に奥地でございます。そういうようなことで絶対額が低いということでございます。  ただ、評価の方法につきましては、固定資産税評価そのものをとっておりますから、考え方その他は、民有林、国有林同じ考え方でやっております。違いますのは、保安林につきましては、民有林につきましてはございませんが、国有林につきましては、相続税相当分の交付をいたしておるというのが実態でございます。
  234. 森義視

    ○森委員 だから、自治省の固定資産税課長の答弁とそれから林野庁の長官の答弁と違うわけです。民有林の場合は総面積が、こまかい数字はございますが、千五百三万ヘクタール、これに対して固定資産税の課税対象面積は六百七十一万ヘクタールです。それに対して昭和四十二年度の固定資産税の課税標準額が二千三百二十二億です。それで、昭和四十三年度の総課税額が三十二億五千八十万円、これがいわゆる固定資産税の民有林にかかった金なんです。したがって、これを総面積で割りますと、一反当たり二十一円六十二銭です。国有林の場合は、面積が七百四十九万ヘクタールです。これに対してどれだけの交付金を出しているかというと、十一億六千四百十四万円、これで割りますと反当たり十五円五十三銭なんです。確かに二十一円六十二銭と十五円五十三銭の差があります。  しかし、それはいま長官がおっしゃったように、いわゆる国有林は奥地にあるから、評価が安いからこういう差ができるだけであって、本質的には国有林の地域と民有林の地域と、いわゆる民有林の固定資産税と国有林の交付金というものは変わらない。いわゆる同じ場所において、同じ地域において民有林と国有林のある場合に、交付金と固定資産税は変わりがない、こういうことなんです。それを、三倍も固定資産税をもらったほうが地方財政に潤いがあるのだからということで、国有林を民有林に活用することについて、税法上から瀬戸山委員がおっしゃいましたから、私が調べてみますと、そうじゃないということです。この点について、自治省の固定資産税課長それから林野庁長官、私の言ったことに間違いないかどうか確認してください。
  235. 片山正英

    ○片山政府委員 自治省から申されましたように、絶対額は国有林が低い、これはそのとおりでございます。しかし、先生が御指摘のとおり立地条件も違う、あるいは保安林等の関係もあるということでございます。その資料につきましては、先生のおっしゃるとおりでございます。
  236. 山下稔

    ○山下説明員 ただいま先生の御指摘になられましたのは、四十三年度の予算額並びに固定資産税額の数字であろうと思います。私どもが承知いたしております四十三年度で申し上げますと、国有林野の交付金額が十一億七千万でございまして、これに対する面積が七百四十二万六千町歩ということになっております。この額とそれから課税されました固定資産税の課税標準額、これが二千三百二十二億円でございまして、その場合の対象になっております民有林の面積が六百七十一万八千町歩ということになっております。これで比較いたしますと、大体四十四年度でお答えいたしました前回の数字と、それほど多くの差はないのではないかと考えます。  ただ、おそらく先生が御指摘になられましたのは、あるいはその保安林の関係を調整されておっしゃった場合の数字ではないかというふうに拝聴いたします。
  237. 森義視

    ○森委員 民有林の場合は、保安林が課税対象にならないわけですよ。だから、いまおっしゃるように保安林を除いた六百七十一万ヘクタールで割ると四十八円三十八銭になるわけです。ところが、保安林は課税対象にならない。ところが、国有林の場合は保安林が相続税課税基準で交付金の対象になっている。だから、現実は変わらないと言っているのです。そうでしょう。
  238. 山下稔

    ○山下説明員 先ほども申し上げましたように、御指摘のとおり現行制度におきましては、国有林野には保安林が含まれ、固定資産税の課税対象には保安林は非課税ということになっておりますので、その結果の数字をそのまま申し上げたわけでございまして、おっしゃいますように、国有林野で交付金の対象になっております保安林というものを調整いたしますと、私が申し上げた両者の比率は、もっと縮まるものと思います。
  239. 森義視

    ○森委員 それで大体明らかになりました。  そこで、法案の内容に入りますが、まず第一に、三条関係で市町村が活用の対象に入っておらない。この点について農地法の、いわゆるこの間の民有林の草地利用権の場合においては、市町村と農協が利用権設定ができるわけですね。ところが、今度の国有林の活用の場合には市町村が入っておらない。これはどういうことなのか。  御承知のように、林業基本法の第五条に、「地方公共団体は、国の施策に準じて施策を講ずるように努めなければならない。」こういうように書いておりますので、国の施策が、いわゆる国有林の活用ということになれば、これに準じてやるならば、今度は地方自治体は公有林の活用を考えなければいかぬのじゃないですか。その点がなぜ抜けておるのかということと、林業基本法の線からいうならば、公有林の活用も当然考えられなければならないと思うのですが、いかがですか。
  240. 片山正英

    ○片山政府委員 活用法案の中で、市町村を対象外にいたしておりますのは林業関係でございます。林業構造改善でございます。なぜ林業に関する限り市町村を対象外にしたかということでございますが、林業構造改善の中におきましての主体は、あくまでその地域住民の所得の向上ということを主体に置いておるわけでございますから、そういう地帯が市町村というものとちょうどかみ合うわけでございます。私たちの推進するのは、あくまで地元住民の所得の向上ということが積極的に活用すべき方向であろうということで、市町村の住民の方を対象にしたわけでございます。  そこで、公有林というものは、従来市町村財政の一つの基本財産造成というような形でつちかわれておったわけでございますが、最近におきまする市町村財政の基本財源は、やはり税収によるべきであろうというふうに方向がきまっておるというふうに理解をいたしておるわけでございます。それとともに、市町村が国有林に準じてやるということにつきましては、基本法の示すとおりであろうと思っておるわけでございます。
  241. 森義視

    ○森委員 次に、三条一項六号ですね。「地域の産業の振興又は住民の福祉の向上のために必要な事業」ということがあるのですが、この「必要な事業」というのはどのような産業をさしておるのか。  また、この前に「当該事業を行なう者」とあるのは、これはどういうものをいうのか、これは具体的に明らかにしてほしいと思うのです。
  242. 片山正英

    ○片山政府委員 「必要な事業」と、五号と六号に書いてあるわけでございます。五号でございますが、「必要な事業で公用、公共用又は公益事業の用に供する施設」これは大体土地収用法に該当するようなものを対象として、たとえば道路であるとか、ダムであるとか、公営住宅であるとか、こういうものを一応対象にいたしております。  それから六号に「福祉の向上のために必要な事業で山村振興法第八条第一項の山村振興計画」というものがございますが、これは山村振興法に基づきまして、総理大臣が一つの山村振興計画をつくるわけでございます。計画の内容は、総理大臣のは基本的な計画でございます。具体的計画は、参考として載っているはずでございますが、それらの計画の中でこれを進めてまいるということでございます。
  243. 森義視

    ○森委員 そうすると、たとえばこういうのは入りませんか。保健休養という関係から、今日流行しておる果樹観光というようなものがありますね。ブドウ狩りとか、あるいはミカン観光とか、あるいはこのごろクリ観光、バスを仕立ててクリ山へ観光客を誘致する、そういうふうに、これは国民のレクリエーションの公共的な一つの目的を持っているわけです。そういう果樹観光の業者が含まれるかどうか。
  244. 片山正英

    ○片山政府委員 観光のためのクリ拾いとか、観光会社がそういうことを計画するというような御趣旨のように伺ったわけですが、われわれはあくまで農業構造改善としての農業として必要なものを樹立していくわけであります。  ただそのとき、たとえばの話で恐縮でございますけれども、ミカンをつくった農家がミカンをとって町に出すという場合に、ミカンを農家の人がその場でとらせるという場合もあり得るのじゃないかとは考えます。したがいまして、農業構造改善等におきまするそういう構造改善の中で、たまたまそういうことがあり得るということはあるかもしれませんが、観光業者がそれによってクリ拾いをさせるということについては、現状として考えられないと思います。
  245. 森義視

    ○森委員 それではお尋ねしますけれども、最初は観光業者がやっておるのじゃないのです。農業構造改善でブドウ畑をつくった、ミカン畑をつくった。ところが、それを次には観光業者が買い取って経営した場合、買い戻ししますか。買い戻しの規定がありますね。そういう場合に買い戻しするのですか。これはミカンをつくったりあるいはブドウをつくったり、同じことをやっているのですよ。そういう場合においては買い戻しするのですか。
  246. 片山正英

    ○片山政府委員 それは、売り払いの場合につきましては用途指定をいたしまして、買い戻しをすることにもなっております。
  247. 森義視

    ○森委員 用途指定は一緒でしょう、同じミカンをつくっているのだし、ブドウをつくっているのだから。ただそれを他目的に使っているだけですよ。ミカンをつくりブドウをつくっている、それにただ観光というものを上にかぶせているだけであって、用途は同じじゃないですか。ただそれが他目的に利用され活用されているだけです。そういう場合においても買い戻しするのですか。
  248. 片山正英

    ○片山政府委員 用途指定は、その相手方を明確にいたしまして用途指定をいたすわけでございますから、その相手方が転売をするというような場合には、買い戻しの特約でこれを規制するわけでございます。
  249. 森義視

    ○森委員 そうすると、名義は相手方であって、実際やっておるのはほかの者がやっておるという場合、そういう場合でもやれますか。最初果樹を許可した人がブドウ畑をやっておる。ところが、それを観光業者が利用権だけ借りる、そういう場合に、名義は最初の人が持っているわけですし、最初の用途指定どおりにミカンをつくり、ブドウをつくっているわけです。そういう場合ですよ。
  250. 片山正英

    ○片山政府委員 あるAという農民がそれをやっておる場合に、Bという観光業者が実質的にやる、たとえば使用収益権をそれがやるという場合は、これは買い戻しをいたします。それから、そういう行為をしないで、実質的に何となくそういうふうにやられているというものについては、実態を調査してそれに対処したいと思います。
  251. 森義視

    ○森委員 事実問題としては非常にむずかしくなると私は思うのです。いまおっしゃったように、当初の活用用途と違った場合には、いかなる場合においても買い戻しをするということをはっきりしておいてもらいたいと思うのです。そうでないと、それは名義だけ変わって、幾らでも観光業者のえじきになるおそれがあります。  その次に、三条二項で、国有林野を活用させる場合、当該地域の住民の意向を尊重する、こういうふうになっておるのですが、どのような方法で住民の意向を聞くのですか。この場合、市町村長または都道府県知事の意見を聞くということはないのですか。そういう場合においては、市町村長やあるいは都道府県知事の意見を聞く、こういう形が必要じゃないかと思うのですが、いかがですか。
  252. 片山正英

    ○片山政府委員 先生のおっしゃるとおり、そのものの活用をする人のほかに、それを取り巻く住民の意向ということも把握しながら地域振興に寄与するということでございますから、その当該の市町村長とかあるいは知事の意見とか、そういうものを聞いて対処したいと思います。
  253. 森義視

    ○森委員 具体的な住民の意思を、市町村長や知事だけが代表しているんじゃないですけれども、その地域の住民の意思を聞くというのは、たとえば、いま国有林野管理審議会がありますね。そこの意見を聞く、これだけではだめなんですよ。まるで各界各層の代表が入っておるというような形の国有林野管理審議会の意見を聞くということでは、私は問題外だと思うのですが、市町村長なりあるいは知事が地域の住民の代表の意見を聞く、そういう民主的な方法でぜひこの運用を考えていただきたい、こう思います。  それから第四条関係で、「基本的事項の決定及び公表」というのがあるのですが、農林大臣は国有林野の活用につき、その実施に関する基本的事項を定めとあるが、この具体的な内容はどういうことですか。  なお、この基本的事項の内容をきめる場合に、林政審議会の議を経るようになっているのですが、この法文では、林政審議会の議を経るとは書いてないんですけれどもね。
  254. 片山正英

    ○片山政府委員 第四条関係で、まず推進のための基本的方針がございます。これは各活用ごとの活用方式なり、代金延納の方針をうたいたいと思います。  それから適地選定の方法でございますが、これは適地選定基準あるいは活用の申し出、調査、決定の方法を明確にしたいと思います。  それから、最後に活用の実施に関する基本的事項、これにつきましては立木処理の方法、対価算定の方法、活用の計画迅速化というものをうたい、さらに先生御指摘の、用途指定並びに買戻しの特約等を明確にしてまいりたい、かように思っている次第でございます。
  255. 森義視

    ○森委員 基本的事項がきまった場合、その公表はどういう方法でやられるのか。  それからもう一つお聞きしたいのは、従来の次官通達とこの基本的事項の決定とどういう関連性を持っているんですか。
  256. 片山正英

    ○片山政府委員 公表は官報をもって公表いたしますとともに、営林局署にそれを掲示をいたしたい、かように思う次第でございます。  それから、次官通達との関係でございますが、次官通達の内容とこの法案との基本的な違いと申しますのは、何と申しましても延納の特約の二十五年というのが違うわけでございますが、そのほか活用の積極的な相手方、種類等を明確にする、あるいは公表をしていく、あるいは用途指定、買戻しの特約を明確にうたう、こういう点が違っておるわけでございます。
  257. 森義視

    ○森委員 それから、これは第六条関係ですが、先ほど美濃君からも質問がありましたが、活用にあたって立竹木をどういうふうに処理するかという問題です。これは当然伐期が来ておるものは切ってやるのですが、切ってあと地を利用するのですが、幼齢林の場合あるいは伐期の来ていない十五年生ぐらいの木の場合、そういう場合においては、その木をつけて活用をはかると思うのですけれども、その評価はどうするんですか。
  258. 片山正英

    ○片山政府委員 活用はあくまで土地の活用でございますから、立木を伐採しました後において活用をしていただくということに相なると思います。  ただ、活用の中で立木竹をつけてやる場合には、たとえば、庇蔭樹であるとか防風林であるとか、そういう農用地に必要なものは当然ついていきます。なおまた、幼齢林というのは活用の対象として望ましくないと私は思いますが、しかし、大きな計画の一部分にそういうものが入るという場合もこれはまたあり得ることであろうと思います。その場合の幼齢林の評価の問題でございますが、これは費用価計算でやってまいるはずでございます。
  259. 森義視

    ○森委員 活用の場合に、部分林契約で部分林として活用するという場合が多いのですが、こういう場合に、中央森林審議会の答申で部分林の伐期収入の先渡しというのがありますね。「さしあたっての具体策としては、まず部分林制度については、相手方が一般的に零細な住民であることを考慮し、適地の選定、優良品種と技術の導入、伐期収入の前渡しまたは低利資金のあっせんその他の助成措置をさらに検討すべきである。」こういう字句があるわけです。部分林は植えてから四十年たたないと所得にならないから、部分林制度というのは、いま全体で八万ヘクタールですが、なかなか伸びない。  ところが、この中央森林審議会の答申のように、部分林の伐期収入を前渡しするという方法が完全に講じられたら、これは部分林制度でどんどんと植えますね。そういうことについて、この中央森林審議会の答申を検討されたことがあるのかどうか、検討したらどういう結果が出たのか、お答えいただきたい。
  260. 片山正英

    ○片山政府委員 部分林制度につきましては、答申は幾つかの指摘をいたしておりますが、その中でたとえば、従来部分林は、その伐期等につきましては、国の意思というものが非常に働いたわけでございますけれども、それはあくまで部分林権者、民間の意思というものを十分尊重する中で、伐期その他を決定するということでございます。したがって国有林の経営とは関係なく、局間の経営そのものを尊重した形で伐期がきめられる、こういうような改正はしておるわけでございます。  ただいま先生御指摘の、部分林の前渡し措置ということも検討をいたしております。しかし、部分林の前渡しとなりますと、結果的にその木が将来どれだけの価値になるかというようなことも、なかなかむずかしい問題でございます。そういう評価問題とからんでなかなかむずかしい問題でございます。したがいまして、現段階ではなかなか結論を得るに至っておりません。しかし部分林を推進し、造林を推進する一つの手段であろうかとも思いますので、検討を続けておる次第でございます。
  261. 森義視

    ○森委員 この部分林制度の伐期収入の前渡しというのは、ぼくは非常にいいと思うのですよ。これをやりますと、いまおくれておる造林の問題もちゃんと解決しますし、そういうところに金を使わなくちゃいけないと思うのですよ。日本の林業を守るという立場から考えるならば、ぼくは部分林の伐期収入の前渡しというのは、真剣に取り上げてほしいと思うのです。これから生長していく木が、どれくらいの評価になるのかということでむずかしいと思いますが、これは鹿児島か九州のどっかの市町村で貸し付けしているところがあるでしょう。部分林の制度の中で、市町村がいわゆる伐期収入を見越して、それを担保にして貸し付けをしている。こういうところがあると聞いているのですが、お聞きじゃないですか。
  262. 片山正英

    ○片山政府委員 ここで確たる御答弁もできないのですが、たしか鹿児島でやっておるという記憶が少しございます。
  263. 森義視

    ○森委員 だから、市町村でそういう制度をやっているところもあるわけなんです。やり方によってはぼくはやれぬことはないと思うのです。そのことが、いまおくれておる造林の問題が進む一つの具体的な政策じゃないか。したがって、この活用法ができましても、そんな木も何もはえてない裸地をもらっても、植林をするような人は事実問題としておらないと思うのです。だからそういう点では、抜本的な対策としてはそういうことをぜひお考えいただきたいと思うわけです。  法案の内容については、まだ聞きたいことありますが、大体時間がまいりましたので一応終わりますが、最後に大臣にお尋ねいたします。  今度国有林の活用法が出ましたが、これは先ほどから何回も答弁いただいておりますように、国土の高度利用という見地から、いわゆる適地適作主義というんですか、そういう形で、農業に利用できる国有林地帯はできるだけ活用さすということをお考えのようですが、高度利用という見地からいくならば、民有林及び公有林を含んでなぜ考えられないのか。こういうことになりますと、国有林だけが活用されておらない、民有林や公有林は十分活用されておるということになるのですが、今日、全体から申しますと、民有林も粗放な経営がたくさんございます。一番粗放な経営をやっておるのは公有林なんです。公有林や民有林の活用を全部考えずに、国有林の活用だけを考えておるというのはどういうことなのか。私は、国土の高度利用という見地から考えるならば、国有林も、公有林も民有林も全部含めて考えるべきだと思うのですが、いかがですか。
  264. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 ごもっともな御説でございまして、さきに御審議を願った農振法、農地法、これによって民有林を活用することが、皆さん方の御審議をいただきましたので、これによって十分活用を行なう考え方であります。したがって今回の、いま御審議願っているこの法案につきましても、高度利用をするために使うのだ、これだけでございまして、ただ国有林だけを目当てにやっているという意味ではなくて、いまおっしゃっておるような民有林につきましても、両方を十分活用してその目的を達したい、かように考えております。
  265. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 神田大作君。
  266. 神田大作

    ○神田(大)委員 私は、過般この法案につきまして質問をしたのでありますが、たまたま大臣が出席できなかったので、大臣に対する質問を保留しておきましたから、その点につきまして簡単に御質問申し上げます。  まず第一に、いままで国有林野の払い下げ等が行なわれ、その払い下げが目的と反した使用をされておる。あるいはまた、これらの事態等につきまして、その後適正な監督が行なわれておらない面が見受けられますが、これらについて、今度の活用法案でもって、このような不適当、不当な活用に対しては、どのような態度で臨むか、まず大臣にお尋ねを申し上げます。
  267. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 活用による利用でございますから、その活用に反した場合は、これはもう法案にあるとおり、非常にきびしい態度で臨む考え方でございます。
  268. 神田大作

    ○神田(大)委員 ややもすると、権力の乱用というような面において、この活用法案が乱用されるおそれがある面も見受けられます。この法案では、そういう点がまだ不十分であると思いますが、これが権力乱用等についてはどのようなチェックをしていくつもりか、お尋ね申し上げます。
  269. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 権力乱用といいましても、法律の前にはすべて平等でございまして、いかなる人であっても、その法律を無視した行動はとれないわけでありますから、それに反した行為が行なわれる場合は、これは厳重にそれらを処置してまいる考え方でございます。
  270. 神田大作

    ○神田(大)委員 その活用の手続等につきまして、活用を申し入れた者に対しましては、農林大臣はすみやかにこれを調査して、これが活用のできるようにするということでありますが、この活用を申し入れられた場合における手続等は、どのような手続をするか。   〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕 これは大臣がちょっと答弁しがたければ、長官のほうで御答弁願いたいと思います。
  271. 片山正英

    ○片山政府委員 それぞれの構造改善の、農林省から指導しております要領がございますが、それに基づきまして計画が樹立されますが、それが、しかし具体的にほんとうに密着した形で成功するかどうかというのが一応の基本的な問題になりますから、農政局、営林局、あるいは県、そういう担当局におきまして共同の調査をいたしまして、その結果によって、それぞれの審議会の議を経て決定してまいりたい、かように思う次第でございます。
  272. 神田大作

    ○神田(大)委員 当該活用の実施に関する基本的事項を公表するということでありますが、この基本的事項ということはどういうことであるか、お尋ねします。
  273. 片山正英

    ○片山政府委員 先ほどちょっと触れましたのに重複するようでございますけれども、お許しをいただきまして御説明申し上げますが、まず基本的事項につきましては、対価の算定の方法、あるいは立木処理の方法、それから用途指定、あるいは買い戻し、そういうものの明確化、あるいはその活用の計画化、迅速化というようなことの点を主として中心として基本的事項に織り込んでまいりたい、かように思う次第でございます。
  274. 神田大作

    ○神田(大)委員 大臣にお尋ねしますが、活用を申し入れた場合において、公平な審議会というようなものをつくって、これが審議会の議を経て、これを適正に活用するような考えがあるかどうか、お尋ねします。
  275. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 もちろん、申し入れを受けましたものは審議会の議を経て、そして公平に行なっていく考え方でございます。
  276. 神田大作

    ○神田(大)委員 私が先ごろ兵庫県の剣谷の現地調査をしましたときに、あの剣谷の国有林が、ある製糖会社に、物々交換と申しますか、山奥との交換でもってこれを払い下げられた。ところが、この剣谷国有林は、現在においては治水治山の上で非常に必要な土地であるにもかかわらず、これを共和製糖では一いまは共和製糖のものになっておるかどうかわからぬが、これを宅地に造成しようとしておって、そのために芦屋市の多くの住民の方々が猛烈な反対運動をやっておる。  こういうことは、適正ないわゆる払い下げではなかったのではないか。保安林として、あるいは水源地として、国有林としてこれは持っておるべきものにもかかわらず、このような払い下げに非常に不適当な場所を払い下げて、しかも、これが今日においては坪十万円とか十五万円とかいうような価格に騰貴しておるというような、こういう現実に対して、いわゆる黒い霧の問題が出てきておりましたが、このようなことが過去において実際に行なわれたわけです。そういう危険があるので、この国有林の活用に対しましては、多くの人たちが疑惑の目をもってこれを見ておる。そういう疑惑の目をもって見られないような、適正な活用の方法をするためには、私は、この法案にはまだ不備な点がある、不十分な点があると思うのでありますが、その点、大臣はどうお考えです。
  277. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 今回の法案が、いろいろな観点からいろいろな疑惑を持たれておるということは、いなめない事実だと思います。  したがって、過去のいろいろなそういうような事実がございましたから、今後、これらの活用につきましては、断じてそういうことのないように、厳重なる調査をいたし、そして、審議会の最も適正な判断の上に立ってこれらを行なう考え方であります。今後は、絶対そういうことのないような方法をもって活用をしていきたい、このように考えておる次第でございます。
  278. 神田大作

    ○神田(大)委員 国有林野が活用される場合に、構造改善事業で耕地になるというような場合、自作農創設特別会計によって二十五年の年賦償還というようなことになって、これがちびちびと二十五年間に林野庁のほうに金が入ってくる。そういうことで、民有地であって、しかも林野経営に不適当である、国有林等に売り渡しをして森林経営をすべきであるというようなところを、林野庁が買う場合に資金がない。そういう場合において、この自作農創設特別会計を改正して、これらの活用される土地の金が一時に国有林野の特別会計に入るように、自作農創設特別会計を改正する意思はあるかどうか、お尋ねします。
  279. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 農地法では、農家へ売り渡した売り渡し代金が年賦払いを原則としているので、国有林野特別会計への所属がえ代価の繰り入れについても、売り渡し代金の収入に見合う額を年賦とすることになっておるのでございまして、これを一時繰り入れとするためには、自作農創設の特別会計法を改正する必要があります。  したがって、農家に年賦払いとすることに伴う資金の負担をどうするかということ、また二つには、国有林野特別会計ばかりではなくて、国立学校特別会計や一般会計から自作農創設特別会計に土地を所属がえした場合の所属がえ代価の繰り入れについても、同様の取り扱いをしなければならないというような問題等がございます。したがって、今後これらの問題につきましては、十分慎重に検討をいたしてみたいと考えております。
  280. 神田大作

    ○神田(大)委員 最後に、この法案が通過した暁におきましては、多くの国有林野に囲まれておる、里山までが国有林に囲まれておる、この人たちが大きな期待を持っておりますが、これらにつきまして、それらが乱用されて、必要な者に渡らず、不必要な者にこれが渡り、あるいはまた、これが一部権力者の利益のために乱用されないよう、十分な監督と注意を促しまして、私の質問を終わりたいと思います。大臣、所見がありましたらお答え願います。
  281. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 先ほどからも申し上げましたとおり、いろいろな疑惑の念を持たれておる法案でございます。通過いたしました暁には、断じてそういうことのないように、厳重な監督をいたす考え方でございます。
  282. 藤本孝雄

    ○藤本委員長代理 斎藤実君。
  283. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 先ほど来各委員から質疑がありましたように、現在外材の輸入が急増しておるわけでありますが、この問題を解決するためには、わが国の林業の生産基盤を整備しながら、国内生産の増加につとめる必要があると思うわけであります。したがって、そのためには、この林道と生産基盤の整備が前提となるわけであります。  山林の実情はまことにきびしいものがありまして、現在の林道の補助をもってしては早急な林道網の整備を期待するということは困難ではないか。したがって、わが国の林業農家の置かれた現状をよく考え、かつ山林の住民の負担を緩和するという意味で、この林道の補助率等をもっと引き上げるべきではないか、このように考えるわけでありますが、長官、どのように考えておりますか。
  284. 片山正英

    ○片山政府委員 先生御指摘のとおり、林道の補助率につきましては、大幹線は六五%、それから幹線が五五%、一般林道が四〇%という形でございます。だんだん奥地化していくわけでございますから、その負担する相手側がたいへんでございまして、特に一般林道四〇%の補助率というのは、非常に低率だと思いますのそ、したがって、これらについての補助を上げるということについては、地元の負担を軽減するという方向で十分検討してまいりたい、こういうふうに申し上げておきます。
  285. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 林道の補助率引き上げについて考慮するという答弁でありましたので、次に移ります。  次に、この活用法案についてお尋ねします。  政府は、国有林の活用についてはこのように法案を提出して、その農業的利用を進めようとしているわけでありますが、現在、民有林の中には粗放的に経営されているものがかなりあるわけであります。このような民有林について、もっと積極的に農業的利用を考えるべきであるというふうに考えるわけであります。これについてどのように考えているのか、まず最初にお尋ねいたしたい。   〔藤本委員長代理退席、委員長着席〕
  286. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 先ほどもちょっと触れたのでございますけれども、国有林の活用については、現法案もあり、また、かつての法律もございますけれども、これによって活用し得る面は活用し――民有林はまさにおっしゃるような地帯がたくさんございます。したがって、農振法、農地法、この二つにうたわれておるような方法をもって、これらも十分にともに並行して活用してまいりたい、こういうように考えております。
  287. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 今回の法案によりますと、農業構造改善事業などで山林所有者がその山林を提供した場合に、代替地として国有林野を活用することとなっておりますが、一般に農業構造改善事業などに出されている民有林は里山である。したがって、地価が相当高いと考えられるわけであります。したがって、出した山林の価格とちょうど同程度の国有林をもらうことになると、少ない面積を高く売って、膨大な面積の土地を安く取得するということになるわけであります。そこで、この規定が何か利権的取引に利用されることになるおそれがあるように考えられるわけであります。  そのため、農業構造改善などに私有林を提供した者に対して、国有林を代替する場合も、部分林制度を活用することを原則とすべきではないか、このように考えるわけでありますが、長官、いかがでございますか。
  288. 片山正英

    ○片山政府委員 お答え申し上げます。  先生のおっしゃるとおり、部分林の方法でやってまいりたいと思います。  なおまた、先ほどの、少ない面積を高く提供した人に、大きな、それの代価と同じ面積を提供することはおかしいじゃないかということですが、御指摘のとおりでございまして、それは林業経営をやるということでございますから、原則は同面積というのが正しいのではないか、かように思っておる次第でございます。
  289. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 第一条の目的の中に、「国有林野の所在する地域における農林業の構造改善その他産業の振興又は住民の福祉の向上のため」と、こういうふうにうたわれておりますが、当然この目的は、国土の高度利用という原則が前提にならなければならないというように考えるわけですが、長官、この点はどうですか。
  290. 片山正英

    ○片山政府委員 先生御指摘のとおり、土地の高度利用という観点に立って対処してまいりたい、かように思う次第でございます。
  291. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 いま長官から、国土の高度利用ということが前提になる。ところが、国が国有林並びに民有林を運営する場合にどのようにするのか、国土利用区分の計画があるのか、あれば具体的に明らかにしていただきたい。
  292. 片山正英

    ○片山政府委員 お答えの趣旨と違いますかどうか、現在民有林、国有林を含めまして、その利用がどうあるべきかという林業サイドの計画が実は樹立しておるわけでございます。しかし、ただいま申しましたように、民有林におきましては、あるいは国有林におきましても、いわゆる民有林の薪炭林のごとく非常に粗放に利用されておるものが半分もあるというような状況でございますから、そういうものを林業サイドにおいて、さらに生産を高める計画はあるわけでございます。  しかし一方、そういう膨大な未利用地を、さらに高度の観点から他の目的に利用するという場合も当然あり得るということで、この活用法案を出しておるわけでございます。
  293. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 この国有林あるいは民有林その他について、やはり総合的な利用計画というものが前提にならなければならない。これが確立されていなければ、計画的な国有林あるいは民有林その他の活用については問題があるのじゃないか、このように考えるわけですが、いかがですか。
  294. 片山正英

    ○片山政府委員 国有林に対する活用、民有林に対する活用、これは林野庁サイドで、たとえば農業関係でどれだけ要るかという調査はいたしておりませんが、昨日のお話のように、農地といたしましては、国有林において八万ヘクタール、草地に対しては二十万ヘクタール、全体計画の中でそういうものが、計画原局それ自身において調査をされておるということは承知しておりますので、それらとの関連も十分考えながら具体的の計画を通してやってまいりたい、かように思う次第でございます。
  295. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 それでは、国有林の払い下げの後の管理について、どういう施策を考えておりますか、長官。
  296. 片山正英

    ○片山政府委員 これは、法案の趣旨にもありますように、その土地が高度に適正に利用されるということが目的でございますから、したがって、相手方並びにそれに対する用途の指定をいたしまして、そしてその用途指定が違反される、あるいは違う形になるという場合には、買い戻しをいたすということに相なるわけでございます。
  297. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 確かにこの第五条では用途指定、買い戻しの特約をつけるということに一応の義務があるわけですが、「適正に行なわれるようにするための必要な措置を講じなければならない。」その「必要な措置」というものは、用途指定あるいは買い戻しの特約以外に何か考えておりますか。
  298. 片山正英

    ○片山政府委員 「等」という意味の御質問だと思います。それを適確にやっておるかどうか調査をいたす、あるいは報告をさせる、そういう義務を契約に織り込みたい、こう思う次第でございます。
  299. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 それから第三条の第一項第一号、あるいは第二号、第三号、第四号、第六号のうちに「農林省令で定めるもの」こうなっていますけれども、これはどういう団体ですか。
  300. 片山正英

    ○片山政府委員 「農林省令で定めるもの」というのは、それぞれいろいろうたってございます。  要約して申し上げますと、第三条第一項第一号の「農林省令で定める者」、それは農業協同組合連合会、土地改良区あるいは農業生産法人でない農事組合法人というものを考えております。  それから、第三条第一項第二号の「農林省令で定めるもの」というのは……(「省令は配付してある。そんなものを何もいま全部言う必要はない。」と呼ぶ者あり)それでは非常に簡単に言いますが、第二号につきましては、林地を提供した人が林業経営上支障があるというような場合に、それを対象にしてまいりたい。  それから三号につきましては、構成員の八割以上が、当該活用する国有林の所在市町村内に森林を所有しているという人を対象にして、小規模林業者の活用をはかっていきたい。  それから第四号になりますが、これは国と分収することを目的とする部分林、あるいは国と共用する共用林野、こういうものを意味しているわけでございます。  それから最後の六号でございますが、これは土地改良区あるいは農事組合法人、中小企業等協同組合、そういうものを中心にして考えている次第でございます。
  301. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 農林大臣にお尋ねしますけれども、国有林は国民の共同財産なわけですね。この活用については、広く法規裁量によって行なわれるべきであるというふうに考えるわけです。したがって、国有林の活用は法律に定めたものに限る、こういうふうにすべきではないかと考えるのですが、大臣いかがですか。
  302. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 全くそのとおりの考え方でございます。
  303. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 そうすると、ここの「農林省令で定める」ということはおかしくなるのではないですか。
  304. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 法律は、法律に伴う細則というものが当然並行しなければなりませんので、それは細則の中に入れるわけでございます。
  305. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 そうすれば、私が先に質問した、国有林の活用は法に定めるものに限るということに対して、そのとおりだということは誤りですね。
  306. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 ちっとも誤っていないのです。法律に定めてあって、その法律の中に細則ができるわけでございますから、そのとおりに行なうのでございます。法律が大ざっぱでございましょう。ですから、その中に細則というものが付随するのが、当然な法律のつくり方でございます。
  307. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 最後に、大臣にお尋ねしますけれども、先ほど私が申し上げましたように、国有林は国民の共同財産である。この活用については、国民のために行なわれるべきであるというように考えるわけです。したがって、その現状を明らかにする必要がある。そこで、農林大臣は活用にかかわる土地の現状については、毎年国会で報告すべきではないかというように私は考えるのですが、大臣、いかがですか。
  308. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 毎年こまかく生産の状況、今後の目的というような点につきましては、農林白書をもって皆さん方のほうに配付をしてあるわけでございまして、つい先日も白書を提出いたしまして、それに対しての御質問が十分あったと考えております。
  309. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 以上で終わります。
  310. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 他に質疑の申し出もありませんので、これに対する質疑はこれにて終局いたしました。      ――――◇―――――
  311. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 この際、開拓者資金に係る政府の貸付金債権の償還条件の緩和及び農林漁業金融公庫への移管等に関する特別措置法案を議題といたします。  本案につきましては、先ほど質疑を終局いたしております。  これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  312. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  313. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 この際、本案に対し、芳賀貢君外三名より、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が指出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。芳賀貢君。
  314. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表いたしまして、ただいま議決されました開拓者資金に係る政府の貸付金債権の償還条件の緩和及び農林漁業金融公庫への移管等に関する特別措置法案に対し、附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。     開拓者資金に係る政府の貸付金債権の償還条件の緩和及び農林漁業金融公庫への移管等に関する特別措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたって、開拓事業の完遂のため、左記各項の実現に遺憾なきを期し、もって一般農政に円滑に移行せしめるよう努めるべきである。      記  一、一般開拓者、特定開拓者及び徴収停止対象者についての基準及びその適用については、開拓者の実情を十分考慮の上、これを決定し、実施すること。  二、自作農維持資金の貸付けについては、その貸付限度額の引上げを行なう等開拓者の固定化負債が十分解消されるよう措置することとし、貸付業務の適正を期すること。  三、農林漁業金融公庫資金等に係る負債であってその償還が困難なものについては、開拓者資金の条件緩和措置に準じて措置すること。  四、今後の開拓者に対する資金の融通を確保するため、農林漁業金融公庫資金、農業近代化資金等の活用を図るとともに、中央開拓融資保証協会に対する政府出資金の増額に努めること。  五、開拓道路の整備、開拓未利用地の開発等を完遂するとともに農業構造改善事業その他の農業振興諸対策を開拓地の実情に即して総合的に実施するよう万全を期すること。  六、開拓営農の今後の進展と一般農政への円滑な移行を図るため、開拓営農総合調整事業等これに必要な濃密指導及び助成について特に配慮すること。  七、開拓農協については、その実態に即して再編整備を行ない、農協活動が十分行なわれるよう所要の措置を講ずること。  八、開拓者以外の一般農家であって、災害等により固定化負債を有し営農の基礎が不安定な者に対しても、負債整理が行なえるよう所要の措置を検討すること。    右決議する。  以上でありますが、その趣旨につきましては、委員各位の御熱心なる質疑を通じまして明らかにされておりますし、政府においても、長谷川農林大臣をはじめ十分に承知されたことと信じまして、説明は省略させていただきます。  何とぞ各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。(拍手)
  315. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  別に御発見もありませんので、直ちに採決いたします。  芳賀貢君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  316. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。農林大臣。
  317. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 ただいまの附帯決議の趣旨を尊重して、善処をいたす考えでございます。      ――――◇―――――
  318. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 次に、国有林野の活用に関する法律案を議題といたします。  この際、稲富稜人君外一名から、自由民主党及び民主社会党の両党共同提案にかかる本案に対する修正案が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。稲富稜人君。
  319. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は、自由民主党及び民主社会党を代表して、内閣提出にかかる国有林野の活用に関する法律案に対する修正の動議を提出いたします。  まず、修正案文を朗読いたします。     国有林野の活用に関する法律案に対する修正案   国有林野の活用に関する法律案の一部を次のように修正する。   第五条中「用途を指定し、買戻しの特約をつける」を「次項の規定によるほか、用途を指定する」に改め、同条に次の二項を加える。  2 農林大臣は、第三条第一項の規定による国有林野の活用により土地の売払いをする場合には、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百七十九条の定めるところにより、買戻しの期間を当該売払いの日から十年を経過する日までの期間とする買戻しの特約をつけなければならない。  3 農林大臣は、前項の売払いに係る土地につき、次の各号に掲げる場合(土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)によってその土地が収用された場合その他農林省令で定める場合を除く。)に限り、同項の特約に基づく買戻権を行使することができる。   一 指定された期日までに指定され用途に供されなかったとき。   二 指定された用途に供された後指定された期間内にその用途が廃止されたとき。第七条の次に次の一条を加える。(収入の使途)  第八条 第三条第一項の規定による国有林野の活用により行なう国有林野の交換、売払い、所管換又は所属替による収入は、予算で定めるところにより、次の各号に掲げる経費の財源に充てるものとする。   一 森林経営の用に供することが適当な民有林野(地方公共団体の所有に属するものを含む。以下同じ。)で国有林野とあわせて経営することを相当とするものの買入れに要する経費   二 国土の保全上必要な民有林野で国有林野とあわせて経営することを相当とするものの買入れに要する経費   三 前二号に掲げる民有林野を交換により取得する場合における交換に要する経費   四 前各号の買入れ又は交換により取得した森林原野に係る林道の開設その他林業生産基盤の整備に要する経費  この際、修正の主要な点について簡略に御説明申し上げます。  まず第一点は、国有林野の活用にかかわる土地の利用が、当該活用の目的に従って適正に行なわれることを確保するための修正であります。すなわち、国有林野の活用を売り払いにより行なうときは、用途を指定し、当該指定用途に反する場合には、買い戻すことができるよう十年間を買い戻し期間とする買い戻しの特約をつけなければならない旨を法文上明らかにしようとするものであります。  次に、第二点としましては、奥地民有林野等のうち、経営管理が民間においては不十分であるもの等について、国有林野の活用にかかわる収入をもって国が積極的にこれを買い入れて開発し、その充実をはかるための修正であります。すなわち、国土保全上あるいは林野の林業的利用を高度化する上から、未開発の奥地民有林野等を国有林野として管理することを促進するため、国有林野の活用にかかる収入金の使途を、国有林野とあわせて経営することが適当な民有林野等の買い入れ等に必要な経費、及びそれら買い入れ等によって取得した林野の生産基盤の整備に必要な経費に充てる旨を明らかにしようとするものであります。  簡単でございますが、修正案の趣旨について、主要な点を御説明申し上げたわけでございますが、何とぞ委員各位の御賛同をお願いする次第であります。(拍手)
  320. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  321. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 本修正案に対し、別に御発言もないようでありますので、引き続き原案及び修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、これを許します。森義視君。
  322. 森義視

    ○森委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、国有林野の活用に関する法律案に対し、反対の討論を行ないます。  戦後の農地改革によりまして、日本農業の生産力はかなり高まり、農村の民主化も進んだのでありますが、しかし、この農地改革も山林開放に手をつけず、山村における山林所有の形態をそのまま取り残すことによりまして、山村の封建性は温存され、旧態依然たる山村の支配関係が今日に至るまで持続されてきていることは、私どももよく承知しているところであります。  しかしながら、わが国の森林は、国土の保全等の公益的機能の確保と、木材その他の林産物を安定的に供給するという国民経済の発展、国民生活の安定をはかる上できわめて重要な使命をになっているのであります。  わが国の自然条件は、きわめて急峻な山岳地形と、戦後の森林の乱伐から、風水害は年々増加の傾向にあり、また、工業用水、上水道用水など水需要も急増し、社会の進歩に伴って森林の公益的機能の拡充は、今後ますますその必要の度を増してきているのであります。  一方、木材の需要は、いわゆる高度成長のもとで年々飛躍的に増大し、昭和四十四年度のそれは一億立方メートルに達するといわれております。他方国内生産は、昭和四十三年度四千九百万立方メートル、すなわち、前年比九二・八%と一割近くも減少しているのでありまして、昭和三十五年を一〇〇とすると需要は七〇%もふえておりますが、国内生産は昭和三十五年とほぼ同じ、むしろ減少ぎみなのであります。  このような供給不足から、外国からの木材輸入は年々増大し、四十三年には四千万立方メートルの大台をこえ、昭和三十五年の実に四・五倍にも達し、本年には、木材総需要の五〇%が輸入材でまかなわれると見られております。世界有数の森林国でありながら、世界最大の木材輸入国となり、山あって林業なく、木材は海で生産されるといっても過言でないのであります。  さらに、合板の原木の九〇%は外材であり、製材のそれも四〇%をこえ、それらのほとんどが独占的大商社の集中支配の手にあり、しかも、外材産出国における丸太輸出制限問題なども加わって、中小企業が支配的なわが国木材関連産業にとっては、きわめて深刻な問題となっているのであります。また、国産材の生産供給不足や、外材商社の思惑買いや価格つり上げなどによって、木材価格は依然として高騰を続けているのであります。  このように林業が後退していることは、単に需給の問題だけでなく、国民経済の上にとって重大問題といわざるを得ないのであります。林業基本法で指向している林業総生産の増大と国土保全上の任務を果たすべき役割りを持ちながら、逆に林業総生産は減退し、森林荒廃による山地災害、風水害等が頻発しております。このような時期に、里山を対象とする草地利用権の設定や国有林の開放など、林野の農業的利用を推進す立場からのみ森林を取り扱おうとしていることは、日本林業の衰退に拍車をかけることになりこそすれ、いささかも日本林業を守ることにならないのでありまして、まさに国家百年の大計を誤るものと断ぜざるを得ないのであります。  わが党の山林政策の前提は、山を国民のものにということであって、独占資本と政府が山を食いものにしようという立場と全く異なった立場をとっているのであります。すなわち、山を国民のものにするための政策の基本として、次のことを考えているのであります。  第一に、国土の高度利用の原則のもとに、国有林、公有林、民有林を含めて、科学的、民主的に土地利用計画を定め、山林原野を国民全体のために活用すること。  第二に、この利用計画に基づいて、農用適地は国が農用地に造成して、農民に共同利用の形で積極的に解放する。  第三に、林業適地については、林業基本計画を樹立し、民有林経営もこれに基づいた計画伐採、造林等を指導し、切り惜しみや粗放経営の排除につとめる。  第四に、国有林の使命である国土保全、林産物の安定した供給、地元住民の福祉増進、林業関係中小企業の育成及び国民のための保養施設の建設など公益的役割りを重視し、国民全体の共同の財産であるという立場を貫くこと。  第五に、国有林に対する地元住民の民主的活用の道を開くために、部分林の条件を緩和して活用させ、学校材、住宅材の地元払い下げや中小企業への特売を行ない、林道、橋など施設をつくって地元に利用させ、地元住民の雇用を積極的に行なうこと。  第六には、林業経営者の共同組織を育成し、零細な山林所有者も共同化の方向で経営の安定拡大、経営の高度化ができるよう国が積極的に指導援助すること。  第七として、林業労働者の福祉向上のために、雇用安定、労働条件改善、社会保障拡充等を推進すること。であります。  国有林野の活用につきましては、林業基本法、国有林野法、農地法等々現行制度によって十分なし得るにもかかわらず、あえてこのような国有林の生産基盤を左右する本法案を急いで制定しようとする眞のねらいは、国有林野売り払いをめぐる一連のいわゆる“黒い霧”を制度的に合法化しようと意図するものであり、加えて国民不在の農林行政によって、ますます深刻化する山村の経済的貧困を国有林のボス的、利権的活用によってしりぬぐいしようとするものであります。  以下、本法案の具体的内容にわたり、反対の趣旨を申し上げるものであります。  まず、基本的問題点は、国有林の活用の課題を引き出す前提条件としての林業の基本政策が、当然明確にされていなければならないわけでありますが、この点が全く放置されていることであります。  まず第一に、木材の国内生産の減退と造林の後退による外材輸入の増大という日本林業が危機に瀕しているとき、国内林業総生産を拡大するための政策がないことであります。  第二に、日本林業の中核たる国有林の役割りと経営のあり方について、昭和四十年三月三十一日の中央森林審議会の答申に対する政府の方針が出されていないことからも明らかなように、国有林に対する政府の基本政策が明らかにされていないことであります。  第三に、農山村住民の急激な流出という、いわゆる過疎現象に対する総合的な対策と、林政上の役割りが明確になっておらないのであります。  第四に、林業総生産拡大のにない手についての具体的政策視点がないと同時に、第五に、公有林野の破局的現状に対して、抜本的な林政展開が明らかにされていないことも看過できないのであります。  このような前提がないまま本法案が提出されたことに、根本的な問題があるのであります。  次に、本法案の具体的な問題点を指摘したいと考えます。  問題点の第一は、国有林を開放させ、立木の売り払いや観光開発を目的とするボス、大山林地主などが、自分の利益のために本法案の成立を国有林開放の突破口として、国民の基本的財産を食いものにしようとしていることであります。このように利権のために開放を意図していることは、国有林野制度の解体をねらうすこぶる悪質なものと断ぜざるを得ないのであります。  第二に、国有林の払い下げは、これまでもしばしば黒い霧問題を起こし、有効な資源を活用するという口実のもとに払い下げした土地が、ゴルフ場や観光資本へ転売されるという実例が多いことであります。  第三の問題点は、本案の大部分がきわめて抽象的な表現を使かい、払い下げ後の管理についてもあいまいであり、一部のボスの手に集中するおそれが強いなど、法律の具体化は政省令で行なわれることになっており、そのときどきの圧力によって活用の方針が、また活用の方式が自由に変更し得る。まさに国有林開放、国有林野制度解体の突破口となっていると断定せざるを得ないのであります。  第四は、払い下げを受けた者は、活用の目的に従って土地の利用を適正に行なわなければならないとあるのでありますが、土地の利用を適正に行なわれるための政府の農林業に対する施策は全くないといっても過言ではなく、農林業の根本的改革がまさに先決といわねばなりません。  以上、この法案の意図するものは、真の民主的な地域住民への活用から逆行し、地域住民の利益を締め出してきた今日までの国有林経営とその政策への批判をそらし、むしろ合法化するためのものであり、本法案の基本的な前提となるべき林政上の問題、さらには黒い霧につながるおそれのある本法案の問題点を明らかにいたしたわけでありますが、以上指摘しました諸点から、この改正案に対し、日本社会党としては断固反対であることを表明し、私の討論を終わります。(拍手)
  323. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 樋上新一君。
  324. 樋上新一

    ○樋上委員 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました国有林野の活用に関する法律案に対し、反対の討論をいたすものであります。  ここでお断わりしたいのは、わが党は国有林野の活用につきましては、本来賛成であり、むしろ積極的に推進すべきであると考えているのであります。このことは、先日来公表されているわが党の農業近代化政策に明らかにしているところであります。しかしながら、この法案そのものには反対なのであります。  以下、その反対の理由を申し上げます。  まず第一に、国の林業に対する基本方針が明確でない点であります。現在、一応産業経済的側面から林業基本法があり、国土保全的側面から森林法があるのでありますが、これらを総括したビジョンが確立されていない点であります。まず、この総括したビジョンの確立こそ先決問題だと考えるのであります。  さらに、国有林野事業法といった国有林野事業の基本的な法律を先に制定し、しかる後に活用法案を検討すべきでありまして、現在の政府の態度は本末転倒していると断ぜざるを得ないのであります。  第二に、国有林野の活用につきましては、林業基本法第四条にうたわれており、さらに国有財産法、国有財産特別措置法、国有林野法等の法律及びそれらの政令、省令等によりまして、その施行は十分に措置され、何ら支障なく実施し得る点であります。  第三に、戦時戦後の非常時を経過したわが国の森林は、著しく弱体化してきており、国土保全の立場からも、連年災害は増加する傾向にあるのでありまして、私どもとしてはなはだ危惧の念を強くいたしているところであり、また木材生産の停とんから建築資材やパルプ材に至るまで、外材にその供給をまたねばならない事態になり、国際収支の上からも大きな負担となっているのであります。いまこそわが国の森林、特に国有林野の整備改良を行なうべきときであると考えるのであります。  第四に、国有林野を農業用地や畜産用地等に活用するには、ややもすると不正事件が起こりやすい払い下げの方法によることなく、国が農業者に安価に貸し付ける方法も大いに考えるべきだと思うのであります。  第五に、この法案におきましては、国有林野の活用について活用方法が明確にされていない点であります。払い下げ後の管理についてもあいまいで、政令、省令でいかようにも行なわれるようになっており、かつての国有林の不正払い下げ問題のような黒い霧事件が起こる危険があるのであります。  以上、幾つかの問題点を指摘いたしましたが、これらの理由により、本法律案に対し反対の意を表明するものであります。
  325. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、稲富稜人君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  326. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  327. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 起立多数。よって、本案は修正議決いたしました。     ―――――――――――――
  328. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 この際、三ツ林弥太郎君外一名より、本案に対し、自由民主党及び民主社会党の両党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。三ツ林弥太郎君。
  329. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 私は、ただいま議決されました国有林野の活用に関する法律案に対する附帯決議につき、自由民主党及び民主社会党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     国有林野の活用に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたって、国有林野の活用が適正、かつ円滑に行なわれるとともに国有林野事業が本来の使命をさらに果すよう左記事項に十分留意し運用の万全を期すべきである。        記  一、社会経済状勢の変化に伴って、国有林野事業の使命も多様化してきているので、国有林野事業の果すべき役割を早急に明定し、国有林野の活用に遺憾なきを期すること。  二、国有林野の活用にあたっては、その目的が達成されるように、活用の相手方について土地利用計画、事業構想、能力および資格等につき十分な審査を行なうこと。この場合において当該計画地域における未利用および粗放一利用の民有地についても国土の効率的利用が促進されるよう配慮すること。  三、林業構造の改善のための活用は、原則として部分林契約により協業体を相手として行なうものとし、共同利用の採草放牧地とするための活用は、原則として貸付けにより行なうものとすること。  四、活用に伴う立木竹は原則として、幼令林および防風林、庇蔭樹等土地と一体として活用されるものに限り売払いを行なうものとすること。  五、人口の都市集中化と余暇時間の増加傾向にかんがみ、国民の野外リクリエーションの場として必要なものおよび禁猟会その他野生動   植物および自然保護のために必要なものについては、活用対象地として選定することを避けるよう配慮すること。  六、最近における林産物需給の動向にかんがみ、木材の自給率をたかめるため、国有林野事業は造林、林道等の投資の一層の拡充を図り、供給力の増大につとめること。  七、最近の災害の実態と水需要の増大にかんがみ、国土保全、水資源の確保のために必要な国有林野については、治山事業等の強化により、さらにその機能の増大につとめること。  八、山村からの人口流出にともない、奥地の過疎地帯等で林業経営が放棄されつつある民有林野につき、国は積極的に援助すべき施策を考慮するとともに、林業労働力の確保を図るため、林業従事者の雇用の安定、社会保障の拡充、労働条件の改善等必要な措置を講ずること。    右決議する。  この附帯決議の趣旨につきましては、すでに質疑を通じてそれぞれ明らかにされておりますので、この際は省略いたします。  何とぞ各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  330. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本動議に対し、別に御発言もありませんので、直ちに採決いたします。  三ツ林弥太郎君外一名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  331. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 起立多数。によって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議に対し、政府の所信を求めます。農林大臣。
  332. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、本法の運用につきましては万全を期してまいりたいと存じます。      ――――◇―――――
  333. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 なお、ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  334. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  335. 丹羽兵助

    ○丹羽委員長 次回は明二十四日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時五十三分散会