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1969-04-24 第61回国会 衆議院 社会労働委員会 13号 公式Web版

  1. 昭和四十四年四月二十四日(木曜日)     午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 澁谷 直藏君 理事 竹内 黎一君    理事 谷垣 專一君 理事 橋本龍太郎君    理事 渡辺  肇君 理事 河野  正君    理事 田邊  誠君 理事 田畑 金光君       海部 俊樹君    小川 半次君       藏内 修治君    佐々木義武君       齋藤 邦吉君    田川 誠一君       高橋清一郎君    中山 マサ君       広川シズエ君    増岡 博之君       箕輪  登君    枝村 要作君       加藤 万吉君    島本 虎三君       西風  勲君    平等 文成君       八木 一男君    山田 耻目君       山本 政弘君    本島百合子君       大橋 敏雄君    關谷 勝利君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 斎藤  昇君  出席政府委員         総理府総務副長         官       弘津 恭輔君         内閣総理大臣官         房臨時引揚者特         別交付金業務室         長       川合  武君         厚生政務次官  粟山 ひで君         厚生大臣官房長 戸澤 政方君         厚生省公衆衛生         局長      村中 俊明君         厚生省援護局長 実本 博次君         消防庁次長   山本  弘君  委員外の出席者         総理府統計局調         査部国勢統計課         長       明石  頌君         外務省アジア局         外務参事官   金沢 正雄君         専  門  員 濱中雄太郎君     ――――――――――――― 四月二十四日  委員世耕政隆君辞任につき、その補欠として中  曽根康弘君が議長の指名で委員に選任された。 同日  委員中曽根康弘君辞任につき、その補欠として  世耕政隆君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 四月二十三日  医療保険制度改悪及び健康保険等臨時特例延長  反対等に関する請願(加藤万吉君紹介)(第五  〇三七号)  同(實川清之君紹介)(第五〇三八号)  同(後藤俊男君紹介)(第五二一一号)  医療保険制度改悪反対及び医療保障確立に関す  る請願(伊賀定盛君紹介)(第五〇三九号)  同(後藤俊男君紹介)(第五一四一号)  同(福岡義登君紹介)(第五一四二号)  医療労働者の増員等に関する請願外二件(石橋  政嗣君紹介)(第五〇四〇号)  同(枝村要作君紹介)(第五〇四一号)  同外五件(川崎寛治君紹介)(第五一三九号)  同外一件(神門至馬夫君紹介)(第五一四〇  号)  同外一件(石橋政嗣君紹介)(第五二一〇号)  療術の新規開業制度に関する請願(久保三郎君  紹介)(第五〇四二号)  同(山下元利君紹介)(第五〇四三号)  同(戸叶里子君紹介)(第五一三八号)  同(坪川信三君紹介)(第五二一二号)  衛生検査技師法の一部改正に関する請願(佐々  木義武君紹介)(第五〇四四号)  同(澁谷直藏君紹介)(第五二〇八号)  同(平等文成君紹介)(第五二〇九号)  医師及び看護婦の増員に関する請願外二件(川  村継義君紹介)(第五一三七号)  国民年金等の改善に関する請願外三件(渡海元  三郎君紹介)(第五二一三号)  ソ連長期抑留者の処遇に関する請願外三件(小  峯柳多君紹介)(第五二一四号)  同外九件(地崎宇三郎君紹介)(第五二一五  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す  る法律案(内閣提出第三五号)  原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律  の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)      ――――◇―――――
  2. 森田重次郎

    ○森田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。河野正君。
  3. 河野正

    ○河野(正)委員 援護法については昨日に続いての質疑でございますので、できるだけ簡明にお尋ねをしてまいりたいと思います。ただお答えのほうは、遺族に対する答えでもありますので、誠意あるお答えをひとつお願いをしたいと思います。  そこで、きのうに続いての第一の質問としては、未帰還者の問題です。戦後を終結させるためには、どうしても未帰還者の問題を解決しなければならぬ。これは当然のことでございますので、この点について、後ほど具体的な例等をあげて、若干お尋ねをしてまいりたい、かように思います。  そこで、今日未帰還者数がどういう実情であるのか、これは局長でけっこうですから、お答えをいただきたい。
  4. 実本博次

    ○実本政府委員 未帰還者の現況でございますが、昭和四十四年三月一日現在の海外未帰還者につきまして、地域別に申し上げますと、ソ連地区につきましては四百十名、中共地区につきまして三千四百八十七名、それから北鮮地域につきまして百三十四名、南方その他の地域につきまして三百十五名、合計四千三百四十六名ということになっております。右の未帰還者のうちに、過去七年以内に生存している資料のあります方は千八百五十三名でございまして、その他の二千四百九十三名の大部分につきましては、過去七年以内に生存資料がなく、諸般の事情から見まして、生存の希望の持てない者であるというふうなことが考えられるわけでございます。
  5. 河野正

    ○河野(正)委員 四十四年三月現在の、未帰還者についての数字のお示しを願ったわけでございますが、一年前四十三年三月末の数字から、たとえばソ連地区が若干減っております。それから中共地区が若干減っております。こういった、減ってきた幾らかの方々については、一年間にどういう形で減少したのか、その実態について御報告願いたい。
  6. 実本博次

    ○実本政府委員 四十三年三月から現在までの間に、新しく把握をしました未帰還者、これが、増の、プラスのほうになりますが、二百八十七名でございます。それから、減の部類といたしまして帰還されました方が五名、それから死亡公報を出しました者が百三十八名、戦時死亡宣告の措置をとりました者が百九十八名、失踪宣告を行ないました者が三名、自己の意思で帰還しないということがはっきりいたしました者が四十三名、誤った把握をしておったというふうなことでまだはっきりしないという者が六十六名、計四百五十三名の減でございまして、差し引きそういった数がさっき申し上げました数になります。
  7. 河野正

    ○河野(正)委員 新しく把握ができた二百八十七名、それからいろいろ死亡宣告あるいは失踪、そういった方々が四百五十三。ただこの中で特に目立ちますのは、北朝鮮については一年間でふえておるわけですね。他については、差し引きいたしましても大体減少しておる。ただ、北朝鮮については減少じゃなくてふえておる、こういう特色がございますが、これは一体どういう理由なのか、お聞かせいただきたい。
  8. 実本博次

    ○実本政府委員 お示しのように、百三十名が百三十四名になって、四名ふえておりますが、これにつきましては、そのふえた、未帰還者として把握した経路をちょっといま調べさせておりますが、調査の資料が入ったからふえたことでございますの  で、この点はいまふえた理由をつかんでおります。
  9. 河野正

    ○河野(正)委員 数にしては四ということですけれども、差し引きの四ですからね。ですから、調査の結果減少をしておらなければならぬ数字もあるわけです。にもかかわらず、ふえておるわけですから、単に四名というふうに理解するわけにいかぬと思うのです。  そこで、数字はたとえ四名でございましても、やはりこれは一人一人のとうとい生命の問題でございますし、人格の問題でございますから、そう簡単に、一人でも二人でも誤差があってよろしいということじゃないと思うのですね。当事者は、やはりそのために戦後は終わらぬわけですから、そういう意味でひとつこれはいずれ別の機会に明らかにしていただきたい。ということを私があえてお尋ねしておりますのは、今日までかつての戦場で、ぽつぽつ旧日本兵というのがあらわれてくるという情報がしばしばあるわけですね。そういう問題がございますから、的確に数字が把握できておれば、そういうかつての戦場にぽつぽつ日本の生き残りの兵隊が出てくるというような問題についても、わりあいに簡単に解明できるんじゃなかろうかという気もするんです。いずれにしても、遺族の立場になれば、たとえそれが百人であろうと、一人であろうと、その心情は同じですから、そういう意味でお尋ねをしておるわけでございます。  そこで、私はいまいろいろな材料を持っておりますけれども、きょうは外務省御出席でございますから、たとえばの一例でお尋ねしてまいりたいと思いますが、昨年の四月、AFP電によりますと、フィリピンの上院で、フィリピン陸軍の秘密部隊に元日本兵が一人、その氏名はヨシカワ・リョウイチ、これはフィリピンの議会で、こういう名前を示して明らかにしておるわけです。この人は一体どういうことに日本ではなっておるのか、この点ひとつわかりましたら、外務省でお答えを願いたい。
  10. 金沢正雄

    ○金沢説明員 いまの御質問でございますが、その当時そういうニュースがあったわけでございますが、どうもわれわれといたしまして、フィリピンの部隊に日本人がいるということは、あまり考えられないような状況でございます。これにつきましては御質問もございましたことでございますので、あらためて調査をいたしてお答え申し上げたいと考える次第でございます。
  11. 河野正

    ○河野(正)委員 どうも政府に誠意がないと私どもが言いますのは、私どもですら、このヨシカワさんの遺家族の立場に立っていろいろ案じておるわけです。これがフィリピンの議会の上院で問題になりましたのは、昨年の四月のことですね。私はその当時からこれに注目をして、一度ぜひひとつこの実態というものを明らかにしてもらいたい、こういうことを考えておったわけです。ところが、いまここで私どもが指摘したから初めて外務省が調査するでは、どうも私は政府として、この遺家族援護の問題について誠意がある、熱意があるというふうには受け取れぬと思うのです。フィリピンのほうではヨシカワ・リョウイチという名前まで示しておりますから、一体その人がほんとうに旧日本軍人であったのか、あるいはシビリアンであったのか、このくらいのことは――一般の世間でいわれたのじゃなくて、議会で問題になっておるのですから、おそらく日本の議会でこういうことが出ますと、これはやはり関係各国ではかなり重要視するだろうと思うのです。そういう意味では、ここで指摘したから、いまから調査いたしますでは、私ども満足いきません。  厚生省のほうはこれはどうですか。
  12. 実本博次

    ○実本政府委員 援護局のほうでも、その問題につきましては、外務省からのお答えのように、これから外務省と一緒になって調査するという現状でございます。
  13. 河野正

    ○河野(正)委員 たとえ一名の元軍人、軍属、あるいは市民であっても、やはりそれは一名だからというような簡単な気持ちで処理してもらっては、いつまでたっても私は終戦は来たさないと思うのです。ですから、ここでいろいろ文句を言うのが目的じゃございません。遺家族の立場で、おそらくヨシカワという方に関係のある人は、一体どうだろうかというようなことでいろいろと憂慮され、また関心を持っておられると思うのです。特に私は、私自身もフィリピンへ行っておりましたから、最後は山の中に逃げ込んだ一人でございますので、あの悲惨な状態というものは十分承知しております。ですから、やはりそういう生存しておられるというような事実があるならば、遺家族の立場に立てば、矢もたてもたまらぬというような気持ちであろうと思うのです。これは非常に私は誠意を疑わざるを得ぬと思いますけれども、ここでいろいろ言ってみたって始まらぬことですから、直ちにひとつ調査をして、そうして遺家族に対してもお答えを願いたい、こういうふうに思います。  そこで、時間の都合もございますから先に進めてまいりたいと存じます。  そこで、私は毎国会ごとに遺骨の問題を取り上げてまいりました。やはりこれは世間でも、最後には骨を拾うということばがございますように、やはり援護の問題も、骨が最後になると思うのです。これは通俗的にも、ものごとを結末つけるのは骨を拾うということばがございますように、やはりこの問題の終結も、遺骨問題ということではなかろうか、こういうふうに思いますので、私も長年この遺骨問題には取り組んでまいった一人でございますが、これは地域によりましては遺骨収集が非常にむずかしい。特にフィリピンのごときは、私はそうだと思います。これは治安上の問題もごいざますし、それから、もう長年山の中に朽ち果てたとか、地形の変形等の問題もございますし、なかなかむずかしい問題であるということは、私どもも重々承知しておりますけれども、しかし、できることだけはすみやかにやってもらわなければならぬ、こういう意味でお尋ねを申し上げたいと思うわけでございます。  それは昨年の暮れ、フィリピンに観光旅行に参りましたスキンダイバーが、フィリピン沖で沈没しております重巡洋艦でございますが、「熊野」の艦体にもぐりまして、そして六十体の遺骨を収集して帰ってきた。この遺骨は厚生省に渡しておるそうですから、厚生省も十分その間の事情は御承知だと思います。私はやはりこういう遺骨の問題というのは、当然国の責任においてやるべきであるけれども、たまたま観光旅行中のスキンダイバーの諸君が収集をしてきた、これはまことに私は喜ばしいことだと思うわけですが、いずれにしても、その情勢の報告というものが、厚生省にも行なわれておるということでございますので、その間の事情についてひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  14. 実本博次

    ○実本政府委員 先生のお話しの、昨年暮れにフィリピンの沿岸に沈没しております軍艦「熊野」から、民間人が遺骨を収集して持ち帰ったということでございますが、これは水中撮影等を業といたしますもの数名が、軍艦「熊野」の水中撮影を目的とする潜水作業に際しまして収容した氏名不詳の遺骨約十五柱を、比島政府に届けることなく携行いたしまして、昨年十二月二十日に帰国したわけでございますが、当局はその連絡に基づきまして、羽田空港でその引き渡しを受けたという次第でございます。
  15. 河野正

    ○河野(正)委員 私どもの承知するところによりますと、四十三年は、前年度でございますけれども、前年度にはフィリピン、ルソンの遺骨収集を行なう、こういうことが計画されてまいったわけです。そのルソンの遺骨収集と、このルソン沖でいま発見をされました重巡洋艦「熊野」の遺骨、この関連はどうなっておるのか。四十三年には、フィリピンの遺骨収集をするといわれておる。しかも昨年の十二月には、このフィリピン沖に沈没いたしております「熊野」に、たくさんの遺骨が残っておる、こういう報告をなさっておるわけですが、そういう報告に基づいて、どうして残りました遺骨の収集が行なわれなかったのか、この点についてひとつ明らかにしていただきたい。
  16. 実本博次

    ○実本政府委員 現在政府が計画的に行なっております遺骨収集につきましては、お示しのように、昨年四十三年の秋に、フィリピンの特にルソン島を中心にいたしました遺骨収集を行なったわけでございますが、現在行なっておりますこの遺骨収集のケースといたしましては、俗に申します、くさむすかばね、地上に眠っておられる御遺骨を中心にして行なっておりまして、先ほどのような、外国の領域内にございます沈没船艦の中に眠っておられる御遺骨というものにつきましては、全く相済まぬことではございますが、いろいろそういう艦船の所有権問題もございますし、また技術的にも、いろいろスキンダイバーその他サルベージの作業隊といったようなものも必要といたしますことでもございますし、そういう問題につきましては、一応いま組織的に、計画的にやっておりますこの遺骨収集の計画の中に含めていないわけでございまして、これはまたいずれ、いろいろとそういった関係の方々からの御遺族の御要望もございますし、その点につきましてはいまやっております遺骨収集の進行に合わせまして、政府といたしましてもこれをどうするかということを、早くきめてかからなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
  17. 河野正

    ○河野(正)委員 いま厚生省のお答えを聞きますと、一つには外交上の問題と申しますか、いわゆる所有権の問題等があって、それが障害になっておるということでございますが、それならば外務省はフィリピン政府に対して、いままでどういう交渉をやっていただいたのか、その間の経緯について御報告を願いたいと思う。
  18. 実本博次

    ○実本政府委員 私のほうから一応先に……。  外務省には、このフィリピンの近海で沈没しております艦船につきましての実情を把握したいので、フィリピン政府に正式にそういうものの調査を依頼してもらう措置をとっております。
  19. 河野正

    ○河野(正)委員 それでは外務省は、どういう調査依頼をフィリピン政府にやられて、フィリピン政府がどういうことを言っておるのか、その間の経過をひとつ御報告願いたい。
  20. 金沢正雄

    ○金沢説明員 本件につきましては、外務省といたしまして厚生省の御依頼がございましたので、本年一月にフィリピンにございます日本の大使館を通じて、フィリピン政府にこれらの事項についての調査を依頼中でございますが、まだ返答はない、こういう状況でございます。
  21. 河野正

    ○河野(正)委員 返答がなければ、なぜ返答をされぬのか、督促せらるべきではないかと思うのです。もう半年になっているわけですからね。ですから、そういう手続をとられておるのかどうか。それでもなおフィリピン政府ががんとして答えないのかどうか。
  22. 金沢正雄

    ○金沢説明員 これについてはフィリピン政府は、そういう回答をしないということではないと思います。こちらからの申し入れに対しまして、フィリピン政府として調査をしておって、そう調査がまだできていないから回答してこないのだ、こういうふうにわれわれ了解いたしておりますが、申し入れをいたしましてから三月ほどたっておるわけでございますから、この機会にもう一度催促をして、フィリピン政府からなるべく早くに回答がくるように努力をいたしたいと思います。
  23. 河野正

    ○河野(正)委員 そのフィリピン政府は何の調査をしておるのですか。
  24. 金沢正雄

    ○金沢説明員 お答え申し上げます。  フィリピン政府が調査しておりますのは、まだ引き揚げておりませんところの日本の沈没艦船について、その沈没の位置、それから艦船の名前、それからトン数、そういうようないろいろなデータの調査を依頼しておるわけでございます。
  25. 河野正

    ○河野(正)委員 私どもこれは直接聞いたわけでございませんけれども、この「熊野」が沈没しております海底というものは、非常に浅い。浅いから、観光に行ったスキンダイバーがもぐって、そして遺骨を収集したと思うのです。ですから、そう技術的にむずかしいことではないと思うのです。技術的に非常にむずかしければ、これはある程度の時間をかけなければならぬと私ども了承することにやぶさかでないけれども、わずか水深十五メートル、こういうふうにいわれておるし、さっきの厚生省の答弁ではございませんけれども、写真をとりにいって見つけてきたくらいですから、これはたいした技術を要する問題でないですね。ですから、今日までこういう問題がいつまででも未解決のままでおるということは、これは私はやはり政府の誠意のなさというものが非難されざるを得ぬと思うのです。きょう国会で取り上げましたから、おそらくあなた方も関心を持たれたと思うのです。これは私がやらなかったら、十年でも二十年でもこのままほおかむりだと思うのです。そういう意味でひとつ十二分に責任感じてもらわなければならぬと思うのです。  そこで、それに関連してですが、フィリピンにおきます次の遺骨状況調査は、セブ島、ネグロス、それからミンダナオ、ホロ島、こういうことに厚生省の計画はなっているわけですね。ですから、結局私どもが指摘しなければ、その問題は素通りしちゃって、別なことをやるというのがいまの厚生省の方針のようです。こういう民間の方がいろいろ御協力願うことは、非常にけっこうなことですけれども、やはり当然これは政府の手でやらなければならぬ。これは国民に対して非常に犠牲を与えてきておるわけですから、当然政府が責任を持って収集してもらわなければならぬ。ところが、民間のほうから協力を願っても、政府はそれを素通りして、要するに帳面消しというのか何か知らぬけれども、今度は次の状況調査をやる。これは「熊野」の問題が、国民側から指摘されておらなければよろしいのですけれども、指摘され、しかも、遺骨の現物が厚生省へ渡されておるわけでしょう。にもかかわらず、もうその問題は素通りして、次の計画を行なうということは、いささか血も涙もない行政ではなかろうかと私は思うわけですが、この点は事務的なことではございませんので、厚生大臣からひとつ誠意あるお答えを伺いたい、かように思います。
  26. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 まことに御意見のとおりでございまして、フィリピン沖全体の問題は問題として、すでに「熊野」の軍艦があそこにあって、一部遺骨がわかったということであれば、その「熊野」だけに集中してでも一日も早く実態をつかんで、そしてその中に遺骨が眠っておられるかどうか、このことは早急にやらなければならない、かように思いますので、外務省を通じて必要な手続をとって、できるだけ実態を把握して遺骨の収集をいたしたい、かように思います。
  27. 河野正

    ○河野(正)委員 いま厚生大臣から、十分実態を踏まえて努力したいというようなお答えであったわけですけれども、私この際、厚生省の姿勢を正したいと思うのです。  というのは、なるほど私がいまここで指摘したらそういうお答えが出てきたわけですけれども、先ほどいろいろ申し上げましたように、重巡洋艦「熊野」の遺骨問題が問題となって、そして、それに対する政府の見解としては、陸上が先だ、とても海の中なんて手が及ばぬ、こういうことで手をつけられなかったという経過があるようです。ところが、それは海の中をいまからあらためて調査しようということはなかなかむずかしい、技術的な問題もございましょう。しかし、現実にあったといって、しかもその遺骨は、収集して国民側から厚生省に持ち込まれておる。ですから、それならばという気持ちで、厚生省がこの収集について積極的にこたえていかなければならぬと私は思うのです。ところが、まず陸から先ですよ。――陸から先なら、フィリピンの山の中の遺骨はどうして収集しませんか、こういうことになると思うのです。陸だって、できぬことがたくさんあるわけですよ。もうフィリピンのごときは、大部分ができないのです。これは治安の問題もございます。ですから、海の問題はやらぬのだ、陸の問題はやるのだと言ったって、陸の問題ができぬのですよ。ですから、やはり海であろうと陸であろうと、できるものからやっていくのが当然のたてまえだと私は思うのです。そう意味で、援護局長が語っておられる陸上優先という姿勢というものは、この際改めてもらわなければいかぬ。できぬことまでやれということじゃないのです、私どもは。それは陸上で収集しやすいところは進めてやってもらうのは当然のことですけれども、陸上、陸上といったって、いま申し上げるようにできぬところなんです。陸上は、フィリピンの大部分はできませんよ。ですから、こういう姿勢というものは、やはり私は改めてもらわなければいかぬと思うのです。この点について、ひとつ厚生省の誠意ある答弁をこの際願いたいと思います。
  28. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 未帰還者の問題、あるいは遺骨収集の問題もほんとうに御遺族の気持ちになってやらなければならないと私は思っているのでございます。援護局の職員の中には、旧軍人の方もおられまして、それらの人はまた戦友でもあるわけです。そういう気持ちでやってくれておることと思いますが、しかし、しさいにただいまいろいろお話がございましたように、まだ十分でない点もあるように思います。したがいまして、私も、もっともっとほんとうに遺族の気持ちになってやるようにいたしたい、かように思いまするし、また遺骨収集につきましては陸と言わず海と言わず、とにかくできるところから早くやっていくという方針で進めたい、かように思います。援護局長にもその旨を先日も言ったわけでございます。
  29. 河野正

    ○河野(正)委員 いま厚生大臣が、総まとめでお答えいただいたような方針に改めて、ぜひひとつ努力をしていただきたいと思います。  そこで、約束の時間もおいおい迫ってまいりましたから、最後に前国会でも問題となりました満蒙開拓義勇隊に関しまする援護問題、これについてしぼって何点か簡単にお尋ねをして、そしてお答えをいただきたい、こういうように思います。  御案内のように、この満蒙開拓青年義勇隊の犠牲者に対します援護問題は、昨年の国会におきましても援護法成立の機会にさらに努力すべきだという附帯決議が付せられましたことは、もう御承知のとおりだと思います。そこで、私はこの際、その附帯決議を具体化するという点に私ども責任がございますし、また政府も当然責任が生まれてきておると思います。そういう意味で、いまから申し上げます諸点について、簡単にお尋ねをしますから、お答えのほうは的確にひとつお答えをいただきたい。  その一は、御承知のように昭和二十年の八月九日、ソ連が参戦をしたわけですが、この参戦後の問題は、これはいいとして、昭和二十年八月九日、ソ連参戦以前におきまするこの義勇隊員の訓練期間中の死亡あるいは傷病、こういう方々に対して、軍人、軍属としての処遇というものが与えられておりません。ところが実態としては、これは前国会でもいろいろ申し上げたわけですから局長も御承知のように、軍人、軍属と何ら変わるところがない。ただ開拓義勇隊員だということで、今日まで軍人、軍属あるいは準軍人、軍属として処遇を受けることができなかったということになっておると思うのです。ですから、今日まで、援護法の改善のたびごとに、こういう懸案事項というものが解決されてきておるわけですね。ですから、これは前国会でもお約束でございますから、おそらく前向きでいろいろと御検討いただいておると思うのです。特にそういった犠牲者の遺家族というものはだんだんと老齢化していくという問題もございます。それからこういう開拓青年義勇隊の諸君が、いわゆるきわめて酷寒の地域であるとか、あるいはまた非常に環境が悪いというようなことから、手足を切断したり、あるいは火災によるやけどを負ったり、いろいろやはり肉体的、精神的な苦痛というものが非常に大きかったと思うのです。そういう意味で、そういう肉体的、精神的な苦痛に対してやはりこの際こたえなければならぬ。しかも国会で、すでに一年前に議決されておる、こういう経緯もあるわけですから、この点についてひとつぜひこの機会に前向きのお答えをいただきたい。
  30. 実本博次

    ○実本政府委員 満州開拓青年義勇隊員につきましては、先生いまお話しのように、その実態は法律上の強制命令とか、そういうものではございませんが、事実上、政府が相当強い勧奨を行ないまして、満州に送り出した経緯もございますので、そういう実態にかんがみましてこの処遇をどうすするかということは、附帯決議の趣旨にも沿いましていま検討いたしておりますが、これはほかの二、三の未処遇問題と、いまちょうど援護問題懇談会という厚生大臣の事実上の相談機関に相談して、そろそろ結論が出るところでございます。そういう状況に相なっております。
  31. 河野正

    ○河野(正)委員 懇談会の結論がぼつぼつ出るというようなことでは、昨年の院の附帯決議から非常に距離があり過ぎると思うのです。昨年の衆議院社会労働委員会におきます決議も、すみやかにやりなさい、また大臣もその方針に従ってすみやかに善処いたします、こういうお答えがあっておるわけですね。ですからこの際、やはりこの義勇隊員の援護法適用については大体いつごろやるんだ、こういう見通しくらい、一年たった今日ですから、お聞かせ願わなければ、これはまた今度の法律を成立させるために私ども附帯決議を考えておるわけですけれども、この附帯決議の意義がなくなると私は思うのですよ。
  32. 実本博次

    ○実本政府委員 これはソ連参戦以前、二十年八月九日以前どこまでさかのぼらせるかという問題が若干問題でございましたので、さかのぼらせることについての問題ではなくて、どこまでをとるかということが問題でございます。しかし、大体太平洋戦争の開始以降というふうな考え方と、それから若干おくれまして昭和十七年の関特演という一つの軍の計画ができました以降というふうな問題、そういうふうなことで若干懇談会の議が、もうすぐ出てまいると思いますが、そういう現状でございまして、附帯決議の趣旨もございますし、そういう方向で進んでおるわけでございます。
  33. 河野正

    ○河野(正)委員 それでは、次の国会までには善処されるというふうに理解してよろしいのかどうかですね。
  34. 実本博次

    ○実本政府委員 そういうふうな決意で進んでおります。
  35. 河野正

    ○河野(正)委員 そういうソ連参戦前の問題については、次の国会までに解決するということでございますから……。  次には、引き揚げた後に病状が悪化をする、これはもう御案内のような辺地でございますから、食べるものもない、あるいは気温というものが非常に下がって、肉体的にも非常に大きな障害を与えておる。ところが、引き揚げてまいりましても、軍人じゃないものですから、中隊長がおるとか、小隊長がおるとか、軍医がおるとかということがございません。そういうことで、犠牲は受けたけれども、現実にはなかなか手続が整わないということで、今日まですべての恩典からはずされるというような結果になっておると思うのです。そういう意味で、この義勇隊の訓練生等が、内地に引き揚げて後に病状悪化のために死亡した、こういう方々に対して、どういうふうな措置が今後行なわれるのか、この際ぜひひとつお聞かせいただきたい。
  36. 実本博次

    ○実本政府委員 いまの法律上の問題でなくて、先ほど来お話のございました新しい時点以降の満州開拓青年義勇隊員をとるということになりますと、その以降に引き揚げてこられまして、こちらで何か病気になられたという方々に対する処遇でございますが、それは業務上向こうの開拓青年義勇隊員として、いわゆる軍協力業務というふうなものの中で発病したものであるかどうか、これが問題になるわけでございますが、現在のところ、そういうケースといたしましては、勤務関連傷病というようなものが多うございますので、それにつきましては、今国会にも援護法の改正を出してございますが、満州開拓青年義勇隊員の場合は、準軍属というふうな処遇になってございますので、準軍属につきましては、勤務関連の人たちに対します特例的な取り扱いというものはやってございません。ただ、それが現実にやっておりますのは、なくなられました御遺族に対する措置だけでございまして、勤務関連の病気でもって症状が悪いというふうな人々に対します措置といたしましては、現在でも考えておりませんし、かりに準軍属に対します勤務関連の特例措置ができましても、それは御遺族に対する処遇だけでございますので、いま言ったような方々、先生のお話のような、いま傷病で悩んでおるという方々につきましては、現在の援護体制の中の網にかかってこないという現状でございます。
  37. 河野正

    ○河野(正)委員 そうしますと、死亡された方についてはこれは当然援護措置が行なわれる、こういうことでございますか。
  38. 実本博次

    ○実本政府委員 今国会に御審議願っております、準軍属の勤務関連の特例年金が可決されますれば、そういう御遺族の方々に対します特例年金というものが予定されておるわけでございます。
  39. 河野正

    ○河野(正)委員 そこで、この点は私どもの要望でございますけれども、訓練生の場合は、内地に引き揚げてまいりましてなくなった際に、元軍人でございますと中隊長をさがしたり、小隊長をさがしたり、あるいは軍医をさがしたり、私どもずいぶん証明を書かされました。そういうことで事実証明書の作成というものがきわめて容易でございます。ところが開拓地の訓練生のごときは、そういう勤務に関連した一種の公務上の疾患によってという証明というものが、なかなかとりにくいと私は思うのです。ですから運用の中では、十分そういう事情というものを考えてもらわないと、軍人並みにきびしいことをいわれても、私はなかなかむずかしいと思う。その点については、ぜひ運用の中で考えてほしいと思うが、考えていただけるかどうかですね。
  40. 実本博次

    ○実本政府委員 お示しのように二十数年前の、しかもいまは国交のない外国になっております満州のことでございますので、なかなかそういう意味での的確な資料というものは得にくいと思いますから、そういう形式的に証憑力のあるものだけにたよらずに、ケース、ケースの実態に即しまして検討してまいりたい、かように考えております。
  41. 河野正

    ○河野(正)委員 それでは次に、いまは主として義勇隊員、訓練生等について指摘をしましたが、もうすでに訓練期間を終えて開拓団員になっておる、あるいはまた家族で移住をいたしまして開拓民になっておるという方がおられるわけです。こういう方々はなるほど今日はかられてまいりました引き揚げ交付金、これが交付されておるわけですね。しかし一般の引き揚げ者と、開拓団員あるいは開拓民というものは、やはり本質的に性格が違うと思うのです。これは訓練生あるいは隊員、一応訓練は終わっておるけれども実際の勤務環境というものは訓練生であり、また隊員であるということは同じだと思うのです。ところが、これが残念ながら一般市民としてだけ取り扱われておるというところに、非常に御不満があるようです。ですからこの点についても、これはやはり当然の御要求であると思うので、ぜひ改善のために努力をしてもらわなければならぬと思うのですが、この点はどうですか。
  42. 実本博次

    ○実本政府委員 青年義勇隊員の場合は、政府が強力に勧奨を行なったという事実が問題になっておるわけでございますが、開拓民の場合につきましては、先生もちょっとお触れになりましたように、そういう義勇隊の訓練期間を経ましてあとは自由に入植したという、形の上から申しますとそういうことになりますので、援護法のように軍人、軍属、準軍属といったような国と身分が関係があるか、または国が強制力を加えてそういうポストにつかせたというものでないことになりますので、援護法の体系でそういう方々の措置をしてまいるということは、ちょっとむずかしいのじゃないかというふうに考えられるところでございます。
  43. 河野正

    ○河野(正)委員 そういうふうに、初めからこれは強制したものではないのだ、好きこのんで行ったかのような御発言でございますけれども、当時やっぱり政府の勧奨と申しますか、一つの国策として、彼らはやっぱり犠牲を甘んじて移住しておるわけですね。しかも、非常に山奥の中の辺地で苦労を重ねて、そのことが日本の政府の方針に沿うということで、やっぱり命を賭してがんばってきた。ですから、これは一獲千金を夢見た一般市民と違うと思うのです。これは本質的に違うということは、よく理解してもらわなければいかぬと思う。それを同一視して、どうも援護法の適用は困るということでは困るのであって、むしろこの際、前向きの答えとしては、一般市民と違うこういう実態というものを把握した形の中で、さらに検討をしていこうということなら話はわかるけれども、初めから否定されるようなことでは、これは私もちょっと承服することはできぬと思うのです。ですから、やはりその実態というものが、一般市民とどういうふうに違うのか、そういう意味の検討をしてみる、その中からあらためて考えるものは考えるということならわかるけれども、大体、強制でないのだから、それはもう初めからだめですよというような答えでは、これは私も納得するわけにいかぬ。ですから私は、私どもは私どもなりにいま言い分があるわけですから、その言い分については十分われわれも検討してみよう、それに立って確かに一般市民と違うということなら、それは交付金だけでは問題があろう、こうなるわけですけれども、最初からそれは強制したのじゃない、かってに行ったのだからというような議論では、私は犠牲者は浮かばれぬと思うのですよ。ですから、いま局長のおっしゃったように頭から否定するような見解では、ちょっと私どもは引き下がるわけにはいきませんから、ひとつこの際あらためてお答えを願いたい。
  44. 実本博次

    ○実本政府委員 開拓民が、特殊な使命を帯びて行ったということにつきましては、私たちもよく認識を持っておりまして、単なる一般の農民が、好きかってに自分で入植したというのではないと思います。それは先生のおっしゃるとおりでございますが、ただ援護法として処遇しなければならない観点から申し上げますと、実は戦闘参加者とか、そういった実態を、ほかのほうからとらまえる方法で、そういう入植者が軍の要請に応じて戦闘参加したとか、辺境の警備に当たらせられたとかいうケースがありますれば、これは現実に戦闘参加者として、そういう人たちの犠牲にお報い申し上げておるわけでございまして、一般的に、形式的な身分関係とか、あるいは直接国が強制したというふうな関係がないという意味におきましては、私がいま御答弁申し上げたことの線を、やはり援護法の体系としては守っていかなければならないのではないか。なおしかし、援護法の体系以外に、そういうふうな犠牲を払われた方々につきましての処遇というものは、これは先生のお示しのように、やはり何かのかっこうでほかとのバランスも考えながら考えていかなければならぬという問題が残っておることは、私も考えておるところでございます。
  45. 河野正

    ○河野(正)委員 ぜひひとつ再検討していただきたい。  この点は先ほど取り上げましたから一言でけっこうですが、やはり満蒙開拓義勇隊関係の遺骨も、これはなかなか辺地で収集がむずかしいものですからはかどっておらぬわけですが、満州国関係は軍人、軍属の場合も行っておりませんので、これだけ特にというわけにいかぬと思いますけれども、しかし、遺族の立場もございますから、この点についてもひとつぜひ努力をしてもらいたい。これは一言でけっこうです。
  46. 実本博次

    ○実本政府委員 国交未回復の国の間でのそういう問題につきましては、先生も御承知いただいておりますように、非常にむずかしいことでございますが、なおしかし、非常に犠牲者が多うございますので、この問題につきましては、政府ルートはむずかしいといたしましても、いろいろなそれ以外のルートをもちまして、とにかく現地慰霊だけでも行ないたいというふうな線で進んでまいりたいと思っております。
  47. 河野正

    ○河野(正)委員 最後にお尋ねをしてお答えを願いたいと思いますのは、この満蒙開拓関係、約八万といわれておるのですね。たくさんな犠牲者を出しましたが、ところが、精神のよりどころがないというようなことで――御案内のように、政府は三十八年から、毎年八月十五日に全国の戦没者追悼式を実施されておるわけです。こういうこともございますから、八万の関係者は、できればひとつこれらの犠牲者の霊を慰め、精神のよりどころとするために、拓魂碑を建設してもらえぬだろうか。そうすると、たとえば東京に出てきたときには、そこへ関係者がお参りするというような意味で、いろいろいま全国の関係者の皆さん方が要望いたしておるようです。これは拓魂碑がいいのか、何がいいのか、議論がありましょうが、いずれにしてもこの全国の八万の関係者が何か精神のよりどころという意味で、ぜひ何とか検討願えぬだろうかということでございますので、これも大臣のほうから検討に値するという意味で、もう一つお答え願えればけっこうだと思います。
  48. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 満蒙開拓団の方々で、向こうでなくなられた方の霊を慰めるという意味の碑は、実は私の県でも最近できまして、御協力申し上げたのでありますが、全国的にそういう要望もあるかのようで、ただいまも伺いましたが、そういった団体からも話を伺いまして、私はけっこうなことだと思いますので、できるだけ協力をさせていただきたいと思います。
  49. 森田重次郎

    ○森田委員長 田畑金光君。
  50. 田畑金光

    ○田畑委員 時間の関係があるようですから、最初に、私は総務長官に出席を求めましたが、副長官がおいでになっておりますので、副長官にお尋ねいたします。  それは広い意味の援護に関係いたしますが、昭和四十二年の五十五特別国会で成立いたしました引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律、この法律の運用については、昭和四十五年三月三十一日までに原則として請求を行なうことになっておるわけです。もうあと一年足らずということになってまいったわけですが、時限立法であるというたてまえから見まして、今日までこの法律に基づく請求事務あるいは認定の事務、国債交付状況についてどうなっておるのか、初めに御説明いただきます。
  51. 川合武

    ○川合政府委員 昭和四十四年三月三十一日現在で、申請請求書を受け付けましたのは、二百五十一万二千八百四十九人、これは推定いたしましたところの全体の予定数の約七二%でございます。  なお、認定を済ませましたのは、百九十九万二千八百四十四人、これは同じく全体の五七%でございます。  なお、国債発行は、同じく昭和四十四年三月三十一月現在で百六十二万四千人分、額面にして約八百五十九億円でございます。これは予想対象人員の四六%でございます。
  52. 田畑金光

    ○田畑委員 いま室長から今日までの運用の状況、事務の処理の状況について説明がありましたが、御承知のように、昭和三十二年、引揚者給付金等支給法が、引き揚げ者の援護措置に重点を置いてできたのに対し、いま申し上げた法律は、関係者から在外財産補償要求が強く要求され、その結果、政府が昭和三十九年に在外財産問題審議会を設け、同年十二月に発足し、昭和四十一年十一月の答申に基づいて措置された法律であるわけです。その答申では、単なる財産ではなく、特別な意味と価値とを持った財産の喪失に対し、国が特別の政策的な措置として、引き揚げ者に交付金を支給し、これに報いることとする、こういうことを指摘して、これに基づいてこの法律ができたわけであります。法律のできました経過から見ましても、特別交付金の支給総額千九百二十五億に対し、余裕が見込まれたときは、当然法律の改正等により給付の内容等については充実することが必要である、私は端的にこう考えておるのであります。こういう点について政府としてはどのように考えていらっしゃるのか、この点について承りまするが、その前に、実はこれと関連します昭和三十二年制定の先ほど申し上げた、引揚者給付金等支給法は、二度の法律改正がなされて、六年の時効、こういうふうなことで、この法律では時効になっておるわけでありますけれども、しかし、まだ事務処理が継続しておることも現実でございます。すなわち、厚生省所管のこの法律のもとでは、その十八条で六年間手続をとらなければ時効によって消滅する、こうなっておるわけでありますが、この法律については、二回ほど改正されておるわけであります。  そこで、この法律は、当時、五百億の国債のワク内で処理する、こういうことになっていたわけでありますが、当初の法律の給付では、相当の余裕ができてきたので、その後内容の改正になってきたわけです。たとえば当初は、引き揚げ者とは、昭和二十年八月十五日現在一年以上海外に居住していた、こういうふうになっていたものを半年以上、こういうふうに法律の改正もなされているわけです。  さらにまた、子供については、昭和二十年八月十五日現在生まれていた子供は、すべて給付の対象にする、そういう法律改正もなされているわけです。  またさらに、引き揚げ後内地に帰ってきて死亡した者については、死亡当時二十五歳以上の遺族に対しては遺族給付金を支給する、こうなっておりましたが、それもその後、満二十歳以上の年齢で死亡した場合には、遺族に対し給付金を支給する、こういうふうに厚生省で取り扱ってこられた法律について、幾たびか法改正をし、内容の充実をはかってこられたわけでありますが、この法律の運用については、その後どうなっておるのか。  特に私は、はっきりさせていただきたいことは、五百億の国債のワクに対して、実際この法律に基づいて処理された国債交付額等は幾らにのぼっているのか、この点をまず、援護局長から明らかにしていただきたいと思います。
  53. 実本博次

    ○実本政府委員 引き揚げ者給付金の交付状況でございますが、昭和四十四年二月末現在で、金額にいたしまして四百六十二億一千七十五万八千円、こういうことでございまして、発行いたしました件数と申しますか、受け取られました人数のほうを申し上げますと、三百十八万三十五人、こういうふうな実施の状況になっておるわけでございます。
  54. 田畑金光

    ○田畑委員 そこで私は、もう一度、それでは総理府の室長でよろしゅうございますが、今回の特別交付金については、引き揚げ者の数をどの程度に予定しておられるのか。  また、当然それに基づいて引き揚げ者の数はかくかく、そして年齢別に支給金額は違うわけでありまするが、千九百二十五億を想定されて、その前提としていま申し上げたように引き揚げ者の総数はこれこれ、年齢別はこれこれ、こういうことになっておるわけでありまするが、その前提要件について一応室長のほうから御説明をいただきたい。
  55. 川合武

    ○川合政府委員 対象といたしております引き揚げ者の数でございますが、推計は三百四十九万七千人を想定しております。これは厚生省の資料等を参考にいたしまして推計をいたしたものでございます。  なお、千九百二十五億円の積算の根拠と申しますか、御質問の点は、終戦時の一世帯を考えましておおむね二十万円、これはその他のいろいろな援護関係等で支給いたしました金額というものの最同を考えまして、約二十万円を根拠といたし、九十五万四千世帯というものを数として、しかる後にただいま御指摘のように、年齢別その他のいろいろなバランスを考えまして、一人当たり支給単価を決定した次第でございます。
  56. 田畑金光

    ○田畑委員 そこで私、総務副長官にひとつお答えいただきたいのは、厚生省で取り扱った昭和三十二年の法律に基づく引き揚げ者給付金はその後二回ほど法律改正をやり、内容を充実して支給額と対象を広げ、そして新しく支給する制度をつくるなど――しかも、六年間にわたってこの法律の運用を処理してきたわけでありますが、お聞きのとおり援護局長の話によれば、昭和四十二年二月末現在で人数にすると三百十八万、五百億の国債のワクに対して四百六十二億、こういうことになっておるわけです。いま室長の説明によれば、今回の特別交付金については厚生省の資料に基づいて約三百五十万を想定されておるわけです。しかし、今回のこの特別交付金の場合は、厚生省の先回取り扱った法律に比べて内容がきびしいわけです。したがって、取り扱い件数も、取り扱い対象人員も、おのずから範囲は狭いわけです。にもかかわらず、三百五十万を対象にして、それに基づいて千九百二十五億を年齢区分その他によって配分を展開しておるわけです。したがって、先ほど私が指摘いたしましたように、今回の特別交付金については在外財産を補償しようという角度からいろいろ全国的な運動になったが、政府は特別な措置として、千九百二十五億の国債のワク内において、特別法に基づく支給ということに踏み切ったわけでございまするが、おそらく今回の場合も、相当に余裕が出てくるであろう、私はこう考えるわけです。  そこで、先ほど申し上げたように来年の三月末に時効になるわけでありまするが、当然現在の事務処理の状況から見ても、この法律の期限の延長、内容の充実強化等々については、政府としては前向きに善処する態度であるべきだと考えますが、この点についてひとつ総理府の見解ないし今後の態度、方針について承りたいと思います。
  57. 弘津恭輔

    ○弘津政府委員 お答えいたします。  おっしゃるように、これからあと一年ございますが、どういうことになりますのか、見通しをもう少しつけたいと思いますが、御承知のように推定見込みの対象人員の約三〇%、まだ申請がございません。そこで、できるだけ私のほうは、PRその他で全部漏れなく申請するように呼びかけて、せっかくいま運動を展開しておりますので、もう少し様子を見たいと思います。現在、おっしゃる意味はよくわかりますし、私たちもできるだけ引き揚げ者の福祉の問題を考えてみたいと思いますが、いまここで余裕があったら法改正をするかどうかということについて、はっきりこうするということをまだ言う段階に立ち至っておりませんので、検討はいたしたいと思っておりますが、御了承願いたいと思います。
  58. 田畑金光

    ○田畑委員 だから私は総務長官でなければ、あなたでは事務的な答えしかできぬから困る、こういうことで総務長官の出席を求めたわけだが、沖繩問題特別委員会に出席されてと、こういうわけであなたになったわけです。総務長官になったつもりで、もっと私の質問に対しては、政治的な将来の見通しを加えながら御答弁をいただきたい、こう思うのです。  いまのこの特別法によれば、副長官御承知のように、引き揚げ者の範疇に入る者は、「一年以上生活の本拠を有していた者」としているわけです。ところが、昭和三十二年の法律では六カ月以上生活の本拠を有していた者、こうなっておるわけです。この点でも非常に違っておるわけですね。  私も、実は終戦当時、満州におりました。まる五年ばかり大陸に、これは軍人として召集を受けて、在満しておりました。そうしてまた、開拓義勇隊の生活の実情なり、その他海外にあった同胞の生活の実情などもよく見てまいって経験しておる一人でございますが、終戦前後の事情としては、御承知のように海外に渡航した者はすべての財産を処理して大陸に移っておるわけですよ。特に戦争がきびしくなり、敗戦の色が濃くなるに応じて、皮肉なことには、実は政府の政策がしからしめたわけでありますが、大陸にどんどん、どんどん渡っていっているわけです。在日財産のすべての財産を整理して大陸に渡ったという点においては、半年とか一年とか区別をつけること自体が、これは合理的でない、こう思うのです。前回の法律では半年以上、今回は一年以上、一体なぜそのような差別をつけなければならなかったのか、具体的な根拠は何なのか。  さらにまた、先ほど申し上げたように、前回の法律においては、半年未満の赤ん坊もすべて給付の対象になっていたわけでありますが、今回はすべて一年以上という制限がついておるわけであります。これあたりも別に差別をしなければならぬ根拠というものは具体的に見出すことができないと思うわけです。  あるいはまた、遺族交付金等についても、今回の特別法によれば、遺族は配偶者、子、父母、孫の範囲に押えられておるが、これは民法上の相続の規定を見ても、あるいはその他の援護法の規定を見ましても、少なくとも祖父母、兄弟姉妹等と範囲は広げるべきだ、こう考えておりますが、前回の法律と今回の法律との間には、内容においても著しい差異があるわけであります。  しかも厚生省関係の仕事は、もはや整理の段階に来ておりますが、想定された引き揚げ者の数に比べると、この法律の適用を実際に受ける者は、著しく少なかったという事実が証明されているわけでございますね。今回の特別交付金についても、私はより以上そのような現象が出てきよう、こういうふうに見ておるわけでありまするが、そういう事情の場合については政府としては、それらの事情に即して検討する用意があるのかどうか、その点もう一度あなたから承りたいと思うのです。
  59. 弘津恭輔

    ○弘津政府委員 お答えいたします。  もちろん今後の情勢を見た上で検討はいたしたいと思います。それから、おっしゃる御趣旨はよく十分心にとめておきたい思います。
  60. 田畑金光

    ○田畑委員 厚生大臣に答えてもらいたいぐらいなんだけれども、所管が違うからこれはしょうがないですけれども、まあ心にとどめておくということは、これは前向きでこの問題については処理する。少なくとも、私がもう一度念を押したいのは、厚生省の取り扱っておる法律についても二回ほど改正しているんですよ。だから今回の特別交付金の支給法についても、政府としては当然前回にならって――千九百二十五億の特別交付金のワクはきまっておる、しかし、相当にこれは余裕が出ることだけは明らかだ、そのような場合には、前回になろうて、法律の改正その他については十分――総務副長官としてはなかなか答えにくいかもしれぬが、総務長官にもその旨伝えて善処するということを、私はこの際前向きで答えていただきたいと思いますが、あなたとしては、私の質問は無理ないという印象を受けられたと思いますが、どういう印象ですか。
  61. 弘津恭輔

    ○弘津政府委員 私の答弁でどうもなかなか御不満のようでございますが、十分上司にも伝え、できるだけ私としては努力したいと思います。
  62. 田畑金光

    ○田畑委員 佐藤内閣の閣僚として、そしてまたこの問題については専門の厚生大臣から所見を承っておきたいと思います。
  63. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 ただいまの問題は、厚生省直接の所管ではございませんけれども、非常に私の省とも関係の深い問題でございまするし、また閣僚の一人といたしましても、ただいま伺っておりますと、まことにごもっとものように存じます。前向きの姿勢で私も総務長官や、あるいは大蔵当局にも、必要が起これば、ただいまおっしゃいます趣旨の実現のできるように努力いたしたいと思います。
  64. 田畑金光

    ○田畑委員 まあそう答えてもらえば、副長官もすぐ、急がれるようですから、帰ってもらってもいいんですよ。私は、厚生大臣の答弁でこの点は了承いたしますが、ひとつ大臣、ぜひいまの点は、閣内においても今後問題になると思いますので、十分私の質問の意のあるところを今後施策の中に反映していただきたいと思っております。  それから、これは援護局長にも総理府にも関係いたしますが、各種給付金の状況を見ますと、戦没者等の妻に対する特別給付金、額面二十万円、償還期限十年、それから戦没者等の遺族に対する特別弔慰金額面三万円、償還期限十年、それから戦傷病者等の妻に対する特別給付金十万円が十年の償還、それから戦没者の父母等に対する特別給付金、これだけは額面十万円が償還期限五年、こういうことになっておりますね。いまの引き揚げ者特別交付金については、これは十年になっておるわけです。国債の償還期限が十年ですね。特に私はこの引き揚げ者の生活の状況を見た場合、老齢者が多数を占めているわけですね、これも十年。こういうことではこれは実情に即さぬ、このように考えておるわけです。しかしこれは、引き揚げ者給付金の国債だけでなく、厚生省関係のこの特別交付金の償還期限が十年、早いのが五年、こういうことはいかがなものであろうか、このように感ずるわけですね。特に、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金三万円を十年、毎年三千円ずつ、買い上げ償還しないというのはどういうわけなんだ。これはお盆のときのお線香代だ、そういう意味で三千円だ、こういう話も聞きましたが、これはどういうものでしょうか。しかもこれは無記名、無利子の国債でしょう。今回のこの援護法を見ますならば、昭和三十六年を基準として、そして物価の値上がりを四四・八%と見て、各種年金その他の引き上げを講じておるわけですね。年間六ないし七%の物価の値上がりを想定して、実は今回の援護法の各種年金その他の引き上げ措置をやっておるわけですね。こういう状況のもとで二十万円の国債をもらい、十万円の国債をもらっても、毎年七%ずつ消費者物価が上がったと仮定してごらんなさい。十年では七割じゃございませんか。二十万円の実質価値は十四万円しかないということになりはしませんか、極論すればですよ。  そういうことを考えたときに、私はこの援護法に基づく各種年金等、これは大いに制度自体としてはけっこうでありまするが、償還期限等についてはもう少し短縮する、こういうことが必要ではないか、このような議論などというものはなかったのかどうか、また私の言うことが何かむずかしい内容を含んでいるのかどうか。この点について、これは援護局長からお答え願うと同時に、特に引き揚げ者給付金の十年の償還については、年寄りの多い人方については、特別の配慮をしたらどうかというのが私の言いたいところでございまするが、――副長官帰ったんですか、それじゃあなた、長官にかわったつもりでお答えなさい。
  65. 実本博次

    ○実本政府委員 先生お示しの各種の交付金あるいは給付金につきましての償還期限が、まちまちじゃないかというお尋ね、ごもっともな点がございますが、ただ問題といたしましては、先ほど先生お触れになりましたように、この給付金の場合でも、たとえば戦没者の父母等に対します特別給付金につきましては、ほかのものが、大体十年を単位にして出しておりますが、父母が対象でございますので、遺族のうちでも高齢者でございますから、五年というふうに、償還期限を半減してきめたというふうな配慮はいたしておるわけでございます。  それから弔慰金の問題につきましては、やはり長く菩提を弔っていただく上の線香代その他でございますので、これはなるべく一時に――引き揚げ者の立ち直り資金というふうな性質のものでございませんので、一応長い期間のほうにセットしたというふうな配慮をいたしておるわけでございます。  ただ、お示しのように、利子のついたのとつかないのとの問題につきましては、これは種々、在来も問題があるわけでございますが、まあ国の財政上の問題とか、あるいはその当時その当時の、いろいろな客観情勢上の制約がございまして、ついたものとつかないものとが出ておるというふうな現状でございます。  それから、繰り上げ償還といったようなことも、生活困窮者あるいは災害による罹災を受けた方々を対象にしてある程度実施いたしておりますし、それからまた、一時にお金がほしいというふうな、事業を営むような方々につきましては、担保貸し付けというふうなこともやっておりまして、その辺の配慮は不十分ではございましょうが、並行してやっておるような次第でごごいます。
  66. 川合武

    ○川合政府委員 御指摘のように、私どものほうの特別交付金の償還の期間は、老齢者も十年間でございますけれども、ただいま援護局長から話もありましたわけでございますが、担保貸し付け並びに政府の買い上げ償還、これにつきましてはむろん対象の前提はございますけれども、これは、私どもの運用としましては、高齢者を優先するということによりまして、ただいま御指摘のような問題につきましても心を配っておる次第でございます。
  67. 田畑金光

    ○田畑委員 いま局長からあるいは室長から、特別交付金など、あるいはまた老齢者については特別の援護措置、現金化の措置などを講じておる、こう言っておるけれども、実際末端に行くと、あなた方のいう実情と現実とは離れておるわけですね。特に室長にちょっと頭に入れておいてもらいたいのは、いま援護局長のお話によれば、たとえば戦没者の父母等については、お年寄りが多いので、十年の国債を五年で償還する、こういうことになっておりますね。全然そのことは、そっちのほうには、総理府の関係には配慮がない。また、この引き揚げ者の特別交付金支給法に基づく政令などを見ても、その政令の第二条で国債の譲渡及び担保権の設定等について規定されておりますが、末端においてはなかなかあなたの言うようにうまくいっていないのです。そういうようなことをよく頭に入れて、ひとつ今後善処願いたい、こう思うのです。  私、これは一般論として先ほどお尋ねしたのでございますが、これは大臣、厚生省関係の各種特別交付金ですね、いずれも償還期限が十年とか、五年とか、こういうことになっておるのですが、これはもっと、先ほども申し上げたいろいろな事情を考えてみるならば、短期で支給するということが、対象者としても喜ぶんじゃないでしょうか。この点は大臣、どのようお考えでしょうか。
  68. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 おっしゃいますように、短期であればあるほど、それは本人は喜ぶだろうと考えます。しかしながら、いろいろ財政上の都合があって、その償還期限の問題、あるいは利子をつけるかっけないかというようなことも含めて、そうして額も幾ら、これが適当であろうということできまったものだと御了承をいただきたいと思うわけでございます。  ただ、同じような種類のものについて、老齢者に対する配慮のあるのと、ないのと、そこに区別の差が性質上あるべきでないのに、種類によって違うという点は、これは考慮をしなければならぬであろう、やはり同じような考え方で臨まなければなるまい、かように私としては考えます。
  69. 田畑金光

    ○田畑委員 援護法についてお尋ねするわけでありますが、この援護法は、別途恩給法の一部改正によって傷病恩給、公務扶助料の増額に関連して、この援護法の障害年金なり、一時金、あるいは遺族年金、遺族給与金の引き上げをやった、こういうわけですが、昨四十三年の三月二十五日に、今後の恩給のあり方について審議会の答申というものが出ておるわけです。この恩給法に関する審議会の答申というのは、当然恩給法にはね返ってくるであろう。そうなってきますと、また当然援護法にはね返ってくるであろう。こういうふうなことになるであろうに考えるわけでありますが、この審議会の答申というものは、そういうものであるという理解を持ってよろしいかどうか、お尋ねします。
  70. 実本博次

    ○実本政府委員 御意見のとおりでございます。
  71. 田畑金光

    ○田畑委員 そうしますと、この答申を読めば、やはり今後の恩給のあり方については、特に調整規定の運用という問題が一番大事な柱となり、これが答申の中に盛られているわけですね。すなわち恩給法の第二条ノ二の運用について、政府はこういう措置をとれということを明確にうたっておるわけです。すなわち調整の基準としては、五%以上消費者物価が上昇した場合はそれに応じて恩給年額を改定していくこと。それから国家公務員の給与の上昇や、あるいは国民生活水準の推移に配慮を加えて恩給のあり方を考えていくべし。こういうようなことをうたっておるわけでありますが、そうしますと、今後、毎年、消費者物価の上昇はなされるわけです。また国民給与の水準も上昇していくわけです。あるいはまた公務員の給与水準の上昇、国民生活の水準の上昇も毎年なっていくわけですね。そうしますと、これらの状況にかんがみて、毎年恩給なり援護法というものは、それとの均衡で是正されていくものだ、また政府もそういう方針でやっていくのだ、こういうことになるわけですか。その辺の事情と、それからもう一つ、先ほど申し上げたように、今回の場合は昭和三十六年の十月を基準にとられて引き上げ措置をなされたわけですね。この引き上げ措置については、先ほど申し上げたように、これは物価の値上がりが四四・八%であるので四四・八%上げた、こういうことになっておりますが、この間の国家公務員の給与の上昇であるとか、あるいは国民生活水準の上昇などというものは、この中に反映しておるのかどうか、この点はどうですか。
  72. 実本博次

    ○実本政府委員 今回の恩給法の年金額の増額ということにつきましては、先生がいまお話しになられましたように、四四・八%というふうなものをこの率として設定いたしておりますが、これはお話しのように、三十六年からの物価の上昇率だけを見込んだ改正でございまして、公務員給与との関係、あるいは一般の国民生活水準の上昇の影響というものは全然取り入れないで考えた。これは調整規定そのものを受けてのベースアップではございませんで、先生御承知のように、今回の答申が暫定措置として、恩給のベースが国家公務員のベースに比べておくれているので、調整規定を本格的に運用していく前におくれを取り戻そう、そのめどといたしまして、物価の上昇率だけをとりあえず見た。こういうふうな暫定措置としてのベースアップということになっておる次第でございます。  援護法の場合も、そういう恩給法の態度をそのまま受け継ぎまして、そういう方針で年金額の増額を提案いたしておる次第でございます。
  73. 田畑金光

    ○田畑委員 とりあえず審議会の答申の中の一部である消費者物価の値上がりに基づく調整を今回やったんだ、こういうのですね。そうしますと、審議会の答申にあります今後の国民生活の水準の上昇であるとか、公務員の給与に見合っての是正等については、四十五年度ならば四十五年度の予算措置等からやる用意があるのかどうか。  ことに世界経済事情が先ほど申し上げたように急激に変わってきておるし、国民生活の水準も上昇しておるし、消費者物価は毎年異常な値上がりをしておるし、そういう環境の中にあって、戦傷病者あるいは戦没者の遺家族等が、どういう生活実態の中にあるのか、こういう問題等について、厚生省としては実態調査をしたのかどうか。この法律の適用を受けている人が二十万余といわれていたようでありますが、年齢別構成はどうなのか、生活の実態はどういう状況にあるのか、こういうものの実態調査の上に立って、初めて恩給審議会のこの答申というものが運用としてより具体的に生きてくる、また生かされる、このように考えるわけでありますが、いま申し上げた二つの点について、厚生省としては今後どのように対処されていくのか承りたい。
  74. 実本博次

    ○実本政府委員 先ほど申し上げましたように、今回の恩給年額の増額につきましては、恩給審議会の答申に示しておられますように、いわゆる先生が先ほどから言れておられます調整規定の運用の前提といたしまして、仮定俸給を適当な水準に引き上げるための経過措置であるわけでありまして、いわば暫定的なベースアップである。本格的にベースアップをするかどうかという問題につきましては、恩給局のほうの考えは、他の公的年金制度との関係もございまして、恩給のベースアップだけを、現在の恩給法の二条ノ二にございますような調整規定を運営して進めていくということも、政府全体としては問題がございますので、そういう調整規定の発動については、政府に公的年金の連絡調整会議というものがございまして、そのほかの公的年金のベースアップ等のやり方ということとも連絡をとりながら、少なくとも来年度からは調整規定の適切な運用がはかられるのではないかというふうにいま承っております。したがいまして、恩給がそういうふうな方向に進みます以上、援護法といたしましても従来からそれにならってこの増額措置をとっておりますので、その恩給の態度に従ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。  それから第二点の、遺族とかあるいは障害者、また老齢者の厚遇という面からの、恩給なり遺族年金なりの配慮というものを行なっていく前提として、そういう遺族の方々の実態調査をやったかというふうなお話でございますが、これは、先ほど申し上げましたように、来年度以降そういう問題につきまして、恩給法なりあるいは援護法なりの中で配慮していかなければならぬということで、いま鋭意そういう実態調査を行なっておるところでございます。   〔委員長退席、澁谷委員長代理着席〕
  75. 田畑金光

    ○田畑委員 政府の中に連絡機関を設けて、恩給の是正あるいは援護法の是正については、来年以降善処する、こういう前段の答弁ですから、この点は恩給法第二条ノ二の精神に基づいて善処されることを強く私は要望しておきたいと思います。  第二の点については、実態調査についていま厚生省としてもやっておる、進行中である、こういうようなお話でありましたが、どういう機関を通じ、どんな調査を進めておられるのか、その実情。  さらに私は、それと関連してお尋ねしたいのは、厚生大臣の諮問機関として、例の戦傷病者戦没者遺族等の援護の問題に関する懇談会、これは昭和四十三年七月に厚生省に中間報告を出しておるわけです。やはりこの懇談会などが、適切な勧告なり、あるいは建議なり、報告を提出するにあたっては、援護関係者の実情というものを把握した上、初めて適切を期することができる、こう思うのですが、そういう意味において、大事なことは、実態調査をやったか、やらなかったか、その結果がどうであったか、こういう問題であると思います。いま進行中というお話でございますが、一体どのような進行の状況であるのか。  同時に、いま申し上げたように、昨年の七月のこの援護懇談会の厚生大臣に対する中間報告、幾つかにわたっておりますが、この中間報告の中で、今度のこの法改正なり、予算措置で取り上げて、処理済みはどの点なのか。答申はあったが、未処理の内容はどういう内容なのか。これを説明願いたいと思います。
  76. 実本博次

    ○実本政府委員 遺族の実態調査という問題でございますが、とりあえず遺族の高齢化ということが問題になっておりますので、現に、先ほど先生もお触れになりました、戦没者の父母等に対します特別給付金を差し上げておる方が、全国に約一万五、六千名おられますが、そういうケースにつきまして、各都道府県にそういう御遺族の存在する、ほとんど全国的に散らばっておられますので、そういう方々を中心にいたしました悉皆調査をやっておるというところでございます。これはもうそろそろ集計の段階に入ると思いますが、それを見まして、さらにもう少し範囲を広げた調査も行ないたい、かように考えておるわけでございます。そういう戦没者の父母等の特別給付金の対象になっております方々を調べれば、これは御遺族の中でも一番高齢の部類に属される方々でございますので、その持っておられるニードというものが一番はっきりした形で出てくる対象だということで、それを選んだわけでございます。  そういうことで、いま調査を進めておるわけでございますが、援護問題懇談会の未処遇問題といたしまして、いろいろ懇談会のほうに御審議を願いまして報告をいただいておりますものにつきましては、四十三年の七月二十九日に検討を終了した事項について処遇すべしとされた事項のうちで、防空監視隊員の処遇、あるいは勤務関連死亡の被徴用者等にかかる遺族給与金の支給、あるいは障害年金の加給の是正、それから後順位者に対します遺族年金、遺族給与金の増額ということにつきましては、今次のこの改正法の内容に織り込んでおるところでございまして、その他の事項につきましては先ほど河野先生からもお話のございました満州開拓青年義勇隊員とか、あるいは故意または重過失によって死亡された戦没者の遺族に対します処遇の問題とか、あるいは一般的に援護法と恩給法との関係で、援護法というものの今後の進み方といったようなことまで、まだこの懇談会のほうでいろいろ御審議を願っている、こういう段階でございます。
  77. 田畑金光

    ○田畑委員 この懇談会の報告にあります善処すべしとか、適当であるとか、こういう勧告については、これは全部取り上げて、今度の法改正なり、予算措置なりができておるわけですか。
  78. 実本博次

    ○実本政府委員 先ほど申し上げました四項目についてこの改正法の中身に取り上げておるわけでございまして、報告をいただきました中では、そのほかにまだ数項目今度の法律改正の中に盛り込まれなかった項目がございまして、例をあげますれば障害年金の支給対象の拡大、現在は第三款症までの方々に年金を差し上げておりますが、それを第五款症まで広げなさいというふうな問題、あるいは準軍属の遺族に対します遺族一時金の支給の問題とか、あるいは現在遺族年金の受給権も有しない、さればといって公務扶助料のほうでの扶養加給の対象になっていない父母に、何か遺族年金を支給する方法を考えたらどうかというふうな問題、それから障害年金の加給の対象の拡大というふうな項目が、まだ今国会には改正法の中に盛り込めずに残っている問題ということになっております。
  79. 田畑金光

    ○田畑委員 いまお話の中にもありましたように「業務に関連する傷病により死亡した準軍属の遺族に対する措置」、これなどについては意見として「勤務に関連する傷病により死亡した軍人等の遺族に対し、「旧軍人等の遺族に対する恩給等の特例に関する法律」によって、特別遺族年金(特例扶助料)が支給されていることにかんがみ、何らかの処遇をすることが適当である。」こういう報告になっておりますが、ここらあたりもまだ実現を見ていないわけですね。こういう報告についてわれわれが読んだ限りにおいては、これは当然やるべきではないか、こういう感じがするわけですが、こういう問題等についてはどうして今度は処理しなかったのか、取り上げなかったのか。これは次の機会に――先ほど幾つかの点をあげられましたが、この懇談会の報告等については取り上げるのか善処するのかどうか、この点ですね。
  80. 実本博次

    ○実本政府委員 取り上げます前提で、検討いたしておるところでございます。
  81. 田畑金光

    ○田畑委員 もう一つ、これも質問があったかもしれませんが、聞いておりませんので……。  まことに援護法というのはむずかしくて、頭にのみ込むのにも容易でないのですが、従来、老齢者については優遇措置が講ぜられておるわけですね。恩給法などを見ますと、仮定俸給の年額の問題、普通恩給にしても普通扶助料、公務扶助料、傷病年金などすべてにわたって、たとえば七十歳以上の者とか、これが一番優遇されてきたわけですね。これは援護法においても同様の措置が講じられてきたわけですね。先ほど局長は、恩給審議会の答申を今後具体化するということを明確に御答弁になったわけですが、この審議会の答申の中にも、遺族の方であるとか、障害者の方であるとか、老齢者について、それなりの優遇措置を持つことは、客観的な妥当性を持っておるということを明示しておるわけですね。ところが今回の場合、援護法を見ても、恩給法を見ても、老齢者対策というものが――従前は非常に大きな比重を占めていたと思いますが、今回の場合は、これをはずされたという積極的な理由というものがどういうことなのか。今後この老齢者対策というものを格別にまた配慮するということになるのかならぬのか、この方針をひとつ明らかにしていただきたい。
  82. 実本博次

    ○実本政府委員 先生のお話の点は、現行では高齢者優遇ということで、公務扶助料の場合を例にとって考えますと、七十歳以上、あるいは六十五歳から七十歳まで、あるいは六十五歳以下というふうに、年齢によりまして年金額に差をつけておりまして、高齢者によけい差し上げておるという現行の三本立てのこの仮定俸給を、この恩給審議会では一本立てにしなさいというふうな答申が出ております。  一方、そういうふうに答申を出しておりますが、それと同時に並行しまして、これまで遺族、それから傷病者、老齢者厚遇のためにとっておりますそういう三本立ての方法にも妥当性が認められるのだから、これについては将来何かそういう措置を考えなさい、しかし、かかる措置は調整の基準の適用とは別問題として考えろ、こういうふうに書いてございますので、今回はその最初のほうの三本立て仮定俸給の統合をはかれというほうだけを恩給としては採用したわけでございまして、そういうことによります老齢者等に対します優遇措置をどうするかという問題は、審議会の答申にもありますが、別途の方法で考えていくということになっておりまして、来年度以降におきます恩給法の改正には、この問題が何かのかっこうで出てくるということになっております。  それにつきましては、もちろん援護法といたしましても、その方法についてまいる方針で、その方法を恩給局ともいろいろ相談している、こういう段階でございます。
  83. 田畑金光

    ○田畑委員 今後の老人の方の取り扱いについては別途考慮する、こういう答弁がございましたが、なるほど今度の審議会の答申を見ますと、現行の三本立ての仮定俸給の統合をはかれ、こう明確になっておるわけであります。しかし、いままで、先ほど指摘したように、特に高齢者については特別の措置を講じたのに、今回この答申に基づいて仮定俸給も一本化し、すべての給付について一本化したということは、いままでの政府のとってきた措置と比べて、あまりにも大きな変化じゃないか、こういう感じを受けるわけですが、恩給審議会の答申の中にもありますように、「恩給年額の改定においてとられてきた遺族・傷病者・老齢者厚遇のための措置にも妥当性が認められるところであり、」そしてまた必要性があることも指摘しておるわけですね。いまのお話しの中の別途考慮するという、別途というのは、一体どういうことなのか。どういうようなところで老齢者の取り扱いを厚遇しようというのか。その点、これは恩給局といま話し合っておるというわけでありますが、別途という内容で考えられることはどういう方法なのか、どういう点なのかということですね。
  84. 実本博次

    ○実本政府委員 別途という問題でございますが、本来恩給法というものは、公的年金といたしまして、拠出を前提とした年金制度であるという性格を持っておりますので、拠出を前提といたします公的年金制度としては、年齢で差をつけるというふうな措置をそこに混入しているということが、本来制度として割り切れない。しかし、そういうことにせざるを得ないような現実のニードが、ここ数年来あったから、してきたわけでございますが、恩給審議会としては、恩給法そのものを、恩給法の本来的な性格に割り切って、一応その筋は通して、拠出の額に応じた年金額をきめていくとか、あるいは退職時の俸給に相当したような恩給をきめていくとかいうふうな筋は通せ。それを年齢で差をつけるというその必要は認める。しかし、それは何か従来の恩給法の中のルールとは違うが、そういうものを別途考えてくふうして措置を考えろということになっておるわけでして、かりに、恩給法の体系でどうやってみても、そういうふうなものの優遇措置ができない。やはり従来のような、年齢で差をつけるような措置にまた逆戻りするか、あるいはそうじゃなくて、そういう戦没者の遺家族とか、あるいは戦傷病者とかいったような人たちについては、本来的に恩給という拠出制の公的年金制度の中で、その援護措置を考えていくのが、もうむずかしいのだ。むしろ、それは援護法なら援護法の体系に移して、その部分だけを援護法としてやったらどうかというふうな考え方も出てくるんじゃないか。その辺のところについて、いまのところはどういうふうにするかということを、恩給局を中心にして協議をいたしておる、こういう次第であります。
  85. 田畑金光

    ○田畑委員 これは、純然たる恩給法の精神で取り扱うかどうかということによって、大きくまた違ってくると思います。しかし私は、援護法というのは元来国家補償という精神の上に立った、社会保障的な性格のものだと理解しておるわけです。そういう点から見るなら、私は、単なる恩給法という立場からとらえるのではなくして、もっと社会保障的な性格としての援護法、そういうものをやはり守っていくということが大事なことじゃないのか、こういう感じを持つわけです。これは今後あなたのほうと恩給局と話し合って、どうするかということになるわけでございましょうが、私は、そういう考え方に立つべきじゃないか、こういうことを考えておりますので、この点について、ひとつ大臣の考え方をお聞かせいただきたいと思うのです。  さらに、今度新しく取り上げられた中で、旧防空法による防空監視隊員を援護の対象にした、準軍属の中に取り入れた、こういうことでありますが、この対象人員というのは何名であるか。この報告を見ますと、別に監視隊員だけを取り上げろというのではなくして、たしか防空業務に服していた者についてはもっと広く取り上げよという報告であったと私は読んでおるのでございますが、たとえば医療従事者もそうでありましょうし、この間議論されておる警防団員の問題等についても、当然これは取り上げるべき対象ではなかったのか。この点はひとつ援護局長の答弁を求めます。  第一の点については、今後の援護法のあり方について、私は、老人問題等について、やはり社会保障的な性格として取り扱われてきた従来の精神というものが必要ではないか、こういうことをお尋ねしたわけですが、この点については大臣の所見を承っておきたいと思います。
  86. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 この援護法、あるいは遺族扶助料、戦傷病者の関係につきましては、これは社会保障として見るのか、そうでなくて国家補償として見るのか、非常にむずかしい問題だと思います。いままでわれわれは、これは社会保障ではなくて、国が公的に補償をするというように解してきてまいったわけでございます。しかるにもかかわらず、老齢者、あるいは戦争未亡人というものについては、他の扶助料よりも別に高く支給をしているというのがここ数年の現状でございました。もともとはこれらは一本であったわけでありますが、ただ、額が低過ぎる、実情に合わない、物価が上がってきたというだけでなしに、根本的に少ない。それを上げろ、また上げるのが当然だ。みな一律に上げるのが当然だけれども、お年寄りの人は早くのあ世に行かれるんじゃないか。受給期間も短い。そういう方を先によけい上げて、若い者はまあこの程度でがまんをしてもらおうというような形でここ数年、二、三回まいった、かように思っておるわけでございます。しかしながら、額がまだこれで十分でないという限りにおいては、やはりそういう形態をとっていくべきではないか、かように考えます。  したがいまして、次の段階にはできるだけ――やはりいまのような低い額の段階においては、老齢者の方をよけい上げるというのが適当であろう、かように考えますので、来年度はそういうように要求をして実現をいたしたい、かように考えております。
  87. 実本博次

    ○実本政府委員 旧防空法によります防空従事者に対する措置の援護問題懇談会からの報告には、先生先ほどおっしゃったのとは少し違いまして、その点はっきりと、「旧防空法による防空従事者中防空監視隊員は、軍の防空計画の一環として軍の定めた基準にしたがって行動したこと、原則として常勤であったことにかんがみ、遺族援護法上の準軍属として処遇するのが適当である。」こういうふうに出ておりますので、今回の改正には、この報告にも書いてございますように、防空従事者のうちでは監視隊員は他の防空従事者と違って、明瞭に軍の防空計画の一環として軍の定めた基準に従って行動したということであり、また常勤であった。たとえば、ほかの警防団なんというふうな旧防空法によります防空従事者にあっては、有事の際に、さあ空襲だ、あるいは警戒警報だというふうなときに来てもらったということでございますので、そういう常勤的につとめてもらった者との間に差があるということで、防空監視隊員だけを準軍属に取り上げた、こういう経緯でございます。
  88. 田畑金光

    ○田畑委員 何名ですか。
  89. 実本博次

    ○実本政府委員 数は大体百名というふうに見積もっておるわけでございます。
  90. 田畑金光

    ○田畑委員 私は、時間も来ましたので、質問はこの程度で終わるわけでございますが、いまの防空監視隊員の問題、これはなるほど私が理解していたのがちょっと逆であって、あなたのほうから問題点として指摘されたのが、防空監視隊員、警防団員等の防空従事者が防空業務に従事中の傷病により死亡し、または障害を受けた場合には、これを処遇の対象に取り上げるべきかどうか、こういう形で諮問したところが、いまお話しのように、防空監視隊員は、原則として常勤であった等々の理由で、今回対象にされたわけですね。だけれども、あの当時の状況というものをいま想定してみた場合、警防団員であっても、また医療担当従事者等においても、そこに差別を設ける積極的な事情などというものはなかったんじゃないか、このように考えておるわけで、そういう点等については、やはりあなたのほうが問題点として当初出されたような趣旨で、もっとこの問題については取り上げるべき対象者は取り上げていくということが、この法の精神じゃないか、こういう感じを持つわけです。  同時に私は、結論的に申しますが、戦後二十数年経過した今日、軍人、軍属あるいは準軍属、あるいはその遺族の取り扱いというものに、なお開きがあるわけですね。これはここで他の同僚委員の質問の中にも出たのかと思いますけれども、たとえば遺族年金をとりましても、軍人、軍属の遺族年金に対し、準軍属の遺族給与金はその途中で上がって七割だ、こういうことになっておりますが、私はやはりこういう問題等については、もはや差別を設ける理由もないんじゃないか。ことに先ほど途中で質問いたしましたように、この法律の適用を受けておる対象者の実態調査、やはりその実態調査などを十分尊重されて、少なくとも援護法に基づく軍人、軍属、その家族、あるいは準軍属、その家族の間に、給与上の差別の待遇などを置く理由というものはもはやないのではないか、こういう問題等についても、私は根本的にひとつ再検討願ったらどうであろうか、こういう気持ちを強く持つわけでありまするが、この最後の点については、大臣の所見をひとつ承りまして私の質問を終わりたいと思います。
  91. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 戦後二十数年たちますのに、まだいまおっしゃいましたような問題が数々残っておりますことは、非常に残念でございますが、一日も早くいろいろなあげられました問題、またその他の問題もございますが、処理をいたしまして、そうしてりっぱな戦後処理だというようにありたいものだ、そのために努力をいたしたいと存じます。
  92. 実本博次

    ○実本政府委員 大臣のいま話されました趣旨に沿いまして、事務当局といたしましても、一日も早く未処遇問題、その他の問題につきまして善処してまいりたい、かように考えております。
  93. 田畑金光

    ○田畑委員 予定よりも五分も早く質問を切り上げました。いかに協力しているかということを証明しておると思います。  これで質問を終わります。
  94. 澁谷直藏

    ○澁谷委員長代理 大橋君。
  95. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 ただいま審議されております援護法は、かつて恩給法が廃止されたため、その肩がわりといいますか、その措置として生まれたものだと理解しております。したがいまして、戦没者、戦傷病者の遺家族等に対する、いわゆる援護する法律として、福祉政策の一環と見るきわめて重要な法律だと私は思っております。  ところが、恩給法が復活いたしまして、それに伴いまして、戦争犠牲者の実態が、次から次と新しく浮かび上がってくる。そのつどこの援護法は改善されてきたということでございますが、特に昭和三十九年の大幅改正以来、年金の増額の措置、あるいは遺族の範囲拡大など、次々に改正されてきたこの改正、改善は、私もけっこうなことだと思いますけれども、このように毎年毎年当たってこなければならないその実態、その実情の裏には、何かはかの問題があるのではないか。結局政府の援護法に対する、特に厚生省の立場が、情熱といいますか、熱意といいますか、そういうものが薄弱なのではないか。また援護法の見通しに対する甘さではないか、そういうことを私は痛切に感ずるわけであります。  先ほども同僚委員から、いろいろと質問がなされた中に、一番問題になっているのは、老齢者の優遇措置がはずされている、こういうことでいろいろと質問されておりましたけれども、私もまずこういう問題が厚生省の弱さを示しているのではないか、こういうふうに感ずるわけです。   〔澁谷委員長代理退席、谷垣委員長代理着席〕  そこで、私も、重複しますけれども、老齢の父母、あるいは戦没者の妻に与えられてきた今日までの優遇措置が削られてきたその理由を、もう一度明らかにしていただきたいと思います。
  96. 実本博次

    ○実本政府委員 恩給法の中で、戦傷病者に対しましては増加恩給なり傷病年金が処遇される。戦没者の遺家族につきましては公務扶助料というものが支給される。その際に、恩給法は本来的に、先ほど申し上げましたように、そのたてまえといたしまして国庫納金をとった、つまり社会保険としての拠出料をとるたてまえの拠出制の年金であるという性格を持っております関係上、本来的には在職期間の長さ、つまり掛け金をかけてきたときの多寡に応じて、あるいは退職時の俸給の多寡というふうなものでもってこの金額をきめていく、年金の額をきめていく、こういうふうな立て方になっておるわけなんでございますが、先ほど先生もお話のございました戦没者の遺族とか、あるいはそれが特に老齢化してきているという問題、あるいは戦傷病者といった方々につきましては、やはりそれぞれ相当な負担、ニードが出てまいっておりますので、そういうものを、そういう公的年金の中で、どうやって優遇したらいいかということで考えられましたのが、一応年齢別に、高齢者についてはニードが高いだろうというふうなことで、その給付の額を段階をつけてまいったわけでございます。そういう段階をつけたものを先ほど御説明申し上げましたように、恩給制度の根本的改善を審議しておりました恩給審議会におきまして、それはやはり恩給としては本来的に筋を通して、在職期間とか、あるいは退職時の俸給の多寡というふうなものによって金額をきめるべきであって、従来とってきた高齢者優遇といったような措置はほかで考えろ、こういうふうな答申が出たものでございますから、その答申に従いまして、一応今回の改正で一本立ての年金額に踏み切った。それは一本立てにしてベーアップをしたわけでございまして、従来三本立てで高齢者が優遇されておったのが、差がなくなったわけでございますが、そのことはやはり必要だから、何か別途考えろという答申が同時に出ておりますので、それにつきましては先ほど来申し上げておりましたように、来年度以降の問題といたしまして、恩給法の体系の中でさらに考えていくか、あるいは遺族援護法のほうで見ていくかというふうなことに相なっておるわけでございます。  なお、遺族年金なり障害年金、援護法系統の年金は、従来から恩給法の公務扶助料なり、あるいは傷病年金、増加恩給の増額に従って、全くそのとおりに上げていっている。こういうことで、援護法におきましてもそういう方針を採用した、こういう次第でございます。
  97. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いまの答弁を聞いておりますと、あくまでも恩給審議会の意見を尊重して今回このような措置になったのだ。つまり三本立てを一本化せよということと、それから老齢者の優遇措置については別途考慮せよ。その恩給審議会の意見を尊重されたことはわかるのですけれども、三本立てを一本に今回したわけですから、その別途措置するというほうも、今回同時に何らかの姿で考えられなければならなかったのだろう、私はこう思うわけです。  というのは、先ほども申し上げましたように、毎年、毎年、改正といいますか、修正がなされていくわけです。確かにこのままだったら、また来年やらなければなりませんよ。この前の委員会のときにも、厚生大臣はいまの問題について、こう答えていらっしゃいますよ。「本年遺族年金の増額措置を考えました際に、いままでありました年齢的な差というものをなくして一本化されまして、これが非常に不満であるという声は、私も十分聞いております。私はやはり今日の援護あるいは恩給というものが、十分満足であれば格別でありますが、必ずしもそうとはまだいえません。したがいまして、たとえば七十歳以上の方については、もう早く世を去られるわけでありますから、早く待遇を上げていくというように考えていく必要があるのじゃないか。その方面に努力をいたしたい、かように考えます。」厚生大臣は、決して老齢者に対する優遇措置を取ることについては賛成ではない、むしろ積極的に現在よりも上げていくべきである、このようにはっきり意思を表明していらっしゃるわけですが、今回削られたそれに対して、もっと積極的にこれは挽回しなければならぬのじゃないか。また、別途考慮されるということをもう少し具体的にここで表明される必要がある、私はこう考えるのですが、大臣いかがでしょうか。
  98. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 その恩給審議会も、必要があるようにも思われるし、もしそうであるなら別途考える――その別途というのは、一体何を恩給審議会が考えてきたのか、私らにはいま実際にはわからないのです。これをもっと突き詰めたいと思いますが、別途考えるいうことは、私はむずかしいのではないだろうかと個人的に思います。それよりも、やはり上げるべきものは、恩給そのものを、あるいは扶助料そのものを、高齢者の方には先にもっと上げていくという道を講じる以外にないのではなかろうかと個人的には考えております。いずれにいたしましてもいまの額で、そして老齢者も、あるいは老齢でない者も同一額だというのは実情に合わないと思いますから、この前にも申し上げましたように、私はできるならもう恩給制度、そのもとにおいて前にやっておりましたような三本立てに復活する。復活するということばはおかしいようでありますけれども、三本立ての、先に厚遇しなければならないものを今度はよけい上げるというように努力をいたしたい、それが当然であろう考えております。
  99. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 敬老精神というのは日本社会の美徳、通念みたいになっておりけすが、そういう立場から言っても、このような援護法の中における老齢者の優遇措置を削り取るということは、きわめてその根本精神に反するものである、私もこのように考えます。いまの厚生大臣の答弁を信じまして、一年は残念ですけれども、待ち受けることにいたします。また、この援護対策というものは、戦没者の遺族、戦没者の妻や父母などのいわゆる戦争犠牲者、戦争以来特別の事情にあった人たちの精神的な痛苦、苦痛、そういうものに対して、国が特に慰謝するという立場でとられている対策でありますので、この問題についてはとにかく積極的に意欲的に進んでもらいたい。強く要望しておきます。  次は、軍人、軍属の傷害年金の加給額について、今回改定がなされておりますが、それを一応説明願いたいと思います。
  100. 実本博次

    ○実本政府委員 傷害年金の今回の加給の方法を扶養親族数に応ずるように改めまして、今回の改正案となったわけでございますが、従来は七千円というものを扶養親族数の有無にかかわらず一律に考えてきておった。これを扶養加給の筋にのっとりまして、扶養親族の数に応じての加給の方法に改める、こういうふうにしたわけでございます。
  101. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 なぜ扶養親族の数に、このように改定なされるのかというその理由と、たとえば配偶者がある場合には、一万二千円であるとか変わっておりますね。その点を一応説明願いたいと思います。
  102. 実本博次

    ○実本政府委員 扶養加給という制度の本来からいいまして、扶養するその障害者が、自分の足手まといになるといいますか、自分が扶養していかなければならぬというものを何人かかえているかということが本筋のやり方でございますので、そういう意味で扶養家族数の多寡に応じて加給を変えていく、こういたしたわけでございます。  なお、妻の場合は一万二千円、それから妻以外の、普通の場合第一子でございますが、第一子が七千二百円、それ以降の方につきましては四千八百円というふうな加給の額にいたしておるわけでございます。
  103. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 その積算の根拠といいますか、それを説明願いたいと思います。
  104. 実本博次

    ○実本政府委員 これはちょうど同じ方法の、恩給法の傷病年金のケースにならったわけでございまして、恩給法が、ちょうどこういうふうな扶養親族数の多寡に応じて、同じ額でやっている。それをそのまま援護法に取り入れた、こういうことでございます。
  105. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 従来定額七千円が支給されていた。そういうことから考えますと、二番目以下の扶養親族からは四千八百円ということでかなり後退していったというふうに私は感ずるのですけれども、その点についての見解はどうですか。
  106. 実本博次

    ○実本政府委員 かりに三人の扶養家族がある障害者のことを考えますと、従来ですと三人あろうと、七千円の定額の加給であった。ところがその三人の扶養家族が、一人が妻である、あとは子供さん二人であるという方につきましては、妻が一万二千円とそれから第一子が七千二百円それから第二子が四千八百円、こういうふうに相当額がふえていく。これはそういった障害者自身の扶養の負担にかかる多寡に応じて扶養加給をつけていくといういまの恩給法のやり方は全く合理的である、こういうふうに割り切ったものでございまして、先生がいまお話しの場合は、扶養家族のいない方々の場合は、一律に七千円の加給があったものが加給がなくなるということでございますが、これは先般も申し上げましたように、全体として障害年金の額が大幅に上がりますので、そういう方々が従来以上の増額をした障害年金をもらうという意味におきましては、何らそういった御迷惑というものはないというふうに割り切っておるわけでございます。
  107. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いまの御説明では、いままでは定額七千円みんなに支給されていた。ところが今回の改正では、妻の場合一万二千円、それから第一子は七千二百円で、以下は四千八百円である。ところが扶養親族がない妻だけの場合は、従来の七千円も支給されないということですか。
  108. 実本博次

    ○実本政府委員 従来妻だけの扶養家族を持った障害者は、七千円という定額でもらっておりました加給額が、今度は妻は一万二千円になりますので一万二千円が加給される、こういうふうに改まるわけでございます。
  109. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 これは私の勉強不足で、理解を誤っておると思うのですが、妻とか子供がおる場合は、いまのようなことで支給されるけれども、子供がない場合はそれはなくなるんだ、こう聞いたのですがそれはどうでしょうか。
  110. 実本博次

    ○実本政府委員 そういうふうに改めたわけでございます。
  111. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 そうしますと、先ほどの御説明では、全体的な増額だから、妻に対する七千円はなくなっても、現実は優遇された立場になる。だけれども、私が考えるには、妻一人の立場から考えますと、いままでもらっていたものがもらえなくなるのですから、これはやはり冷遇されたと率直に感ずるのですね。全体的には従来よりもよけいもらう立場に立ったとしても、それはほかの人も同じように優遇されているわけですから、その中で妻の場合の七千円が、それ以上にもらえる立場になっているというので相殺されるということでしょうね。私は先ほど老齢者の優遇措置と、妻の優遇措置が消えると言ったのは、その辺を言っておったわけですが、その点についてはどうなんですか。
  112. 実本博次

    ○実本政府委員 障害者に妻がある場合は、七千円が一万二千円になりますからこれはふえるわけでございますが、先生のおっしゃる独身者、妻も何もいない独身者の障害者の場合が、従来ついておりました扶養家族があろうとなかろうと一律に七千円というものがなくなる、こういうことでございます。その場合は、先ほど申し上げましたように、今度のベースアツプで、もちろん相当な額が上がるわけでございますが、確かにいままで扶養家族があろうとなかろうともらっておりました七千円分については上がり方が少ない、こういうふうな結果になるわけです。それはちょうど先ほど先生も御指摘になった、老齢者の優遇措置がしてあった人に、今度はもちろん上がっておりますが、その優遇の措置がとられた分だけの上がり方が少なかったという事情とその辺はよく似ておるということでございます。
  113. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いろいろと御説明いただいたわけでありますが、結局今度の増額あるいは改定などを見ますと、改善ではなくてやりくりである。一定のワクの中でたらい回しをされているんだというように私は思えるのです。これは厚生省が幾らりっぱな案を持っていっても、予算の伴うことで、大蔵省との関係もあるでしょうけれども、この点についてはもっと積極的に前向きで措置をとってもらいたい。  次にお尋ねいたしますが、軍人、軍属の勤務関連傷病による死亡者の弔慰金の支給については、従来在職期間経過後四年以内と、それから十二年以内という制限がついていたわけですが、今回の改正案を見ますとその制限が撤廃されることになっております。まことに好ましいことだと思いますが、戦後二十四年の長い間経過してきた今日、その該当者の掌握といいますか、これは容易でないと考えるわけでありますが、どのような措置を講じていかれるかお尋ねいたします。
  114. 実本博次

    ○実本政府委員 いまのような勤務関連に関します傷病により死亡した者の遺族に支給する一時金の経過在職期間の延長の措置を行ないまして、こういう問題につきましては、この法律の改正を国会でおきめいただきましたと同時に、われわれはこういう趣旨のことを、それぞれそういう該当者にいろいろな機関を通じてPRをしてまいる。そしてそういうふうな該当者はできるだけすみやかに捕捉いたしまして、そういう法律改正の効果を、現実に一人でもよけい及ぼしていくというふうな努力をしてまいるつもりでおるわけでございます。
  115. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 厚生省としては、その該当者は大体どのくらい見込んであるのか。
  116. 実本博次

    ○実本政府委員 約三千人というふうに推定いたしております。
  117. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 さらに、勤務関連傷病により死亡した準軍属、被徴用者、動員学徒の遺族に対しては、特例遺族給与金として遺族給与金の十分の六が支給される、こういうふうになっておるようでございますが、この十分の六というのは軍人の立場から見た場合の十分の六なのかどうなのかお答え願いたいと思います。
  118. 実本博次

    ○実本政府委員 軍人の場合に支給されます特例公務扶助料、あるいは特例遺族年金の額を中心にいたしまして、準軍属の場合は、同じく遺族給与金の十分の六の額を支給する、こういうふうなことに相なっております。準軍属と申しましても、この準軍属のうち総動員法の協力命令なり、動員命令によって動員された動員学徒、あるいは徴用工、こういう人たちに限られたわけでございます。
  119. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 これも勉強不足で申しわけないのですがね。準軍属は軍人の七割のまたその中の十分の六だ、こういうように聞いたのですが、それは間違いないですか、間違いですか。
  120. 実本博次

    ○実本政府委員 一般の遺族年金あるいは障害年金という場合に、準軍属に対しますものの十分の七、こういうことになっておりまして、特例の年金と申しますこの勤務関連によって支給しようとしております準軍属に対します特例年金の額は、それと同じ率をかけていく。最初申し上げました特例の公務扶助料なり特例の年金、これは軍人に対しますものでございますが、これが本来の軍人の公務扶助料なり、あるいは遺族年金の十分の六になっておりますので、したがいまして今回の準軍属に対します特例年金の率というものは、その本来のものの七割の六割、こういうふうな額を予定いたしております次第でございます。
  121. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 とにかく同じ遺族戦傷病者であるわけですので、そういう格差というものはなくしていくべきであると私は思うのですが、そういう点はどうお考えになりますか。
  122. 実本博次

    ○実本政府委員 準軍属と軍人、軍属とのいまの処遇のしかたが、先ほど来も問題になっておりましたが、勤務の態様とか、あるいはその実態をつぶさに検討いたしました結果、それだけの差があってしかるべきだということで経過してまいっておりますが、ほかの制度の改善その他の問題ともにらみ合わせながら、いまつけられております十対七という関係が、はたして適当であるかどうかというふうな問題も、新たにまた問題として浮かび上がってきておりますので、その辺はもう少し検討を加えてまいりたい。何が適切な比率であるかということにつきましては、今後の問題として検討していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  123. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いろいろと問題はありますが、先ほどの在職期間の経過後四年と十二年が撤廃された問題だとか、いまのような改正案がいろいろと出ておりますが、先ほど同僚委員も言っておりますように、援護法というのは非常に複雑で込み入っていまして、われわれですらも理解しがたい感じを受けるわけです。したがいまして、改正になるとともにそのPRの方法は、特別に何か従来と変ったものを考えなければならぬのじゃないか。たとえばテレビとかラジオに解説的に親切なPRなどをやられる、こういう方法が必要じゃないかと思うのですが、そういう点どうお考えになりますかね。
  124. 実本博次

    ○実本政府委員 確かに援護法、恩給法の法律が非常に複雑でございまして、実はこの席をかりて、私自身も大きな間違いの答弁を申し上げたことをちょっと訂正させていただきたいのですが、それは河野先生に対して申しました答弁で、今回の法律改正の中で準軍属のすべてに勤務関連の特例年金が差し上げられるように答弁申し上げたわけでございますが、それは間違っておりまして、河野先生にもおわび申し上げたいのでございますが、先生いまお話しのように動員学徒と徴用工、これだけの方々を準軍属にするということでございまして、私自身もそういう大きなミステイクをおかすぐらい複雑怪奇に入り組んでおるわけでございます。そういうことでございますので、この改正案を御審議いただいてせっかく法律として成立させていただいても、まさしく受けるほうは、だれがどういうふうになるのかというふうなことについては非常に受け取りにくい法律でございます。したがいまして、これにつきましては、先生先ほどお示しになっておられましたようないろいろな報道機関の御協力はもちろんのこと、市町村のすみずみにわたっておりますような、たとえば有線放送の利用とか、あらゆるそういう報道機関なりPR機関を通じまして、今回の改正案が成立いたしました中身について、こまかくPRをしてまいりたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  125. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 これは厚生大臣も同意見ですか。
  126. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 全く同意見でございます。できるだけ、この点が改正になった川のだから、したがって恩典を受けられる人が、全部受けられるように完全なPRをいたしたい、かように思います。
  127. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 公務傷病に併発した傷病で死亡した場合、軍人、軍属に関しては遺族一時金制度があるわけでございますけれども、準軍属にはこの処遇がないと同僚委員からも何回もここで質問されていたようでありますけれども、これはまた来年でも改正なさるというのか、今回思い切って改正し、九月の補正予算等で調整なさるのかということですけれども、この点はどうですか。
  128. 実本博次

    ○実本政府委員 この点は援護問題懇談会からも何らかの措置をすべきであるというふうな報告もいただいておりますし、先生お示しのような方向で少なくとも来年度すみやかに措置してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  129. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 時間がずいぶん迫っているようでございますので、簡単に申し上げていきますが、軍人、軍属で公務傷病にかかってその傷病によらないで死亡した者については、その遺族には遺族一時金十万円が支給されている。今回在職期間経過後二年と六年のその制限が、四年と八年に延長される、こういうふうに聞いておりますが、この二年延長になった根拠といいますか、それを説明願いたいと思います。
  130. 実本博次

    ○実本政府委員 これは、この法律をいまのような在職期間の制限を設けましてから約七、八年を経ておりますが、その間に実施してみておりまして、最初きめました二年、六年というのは、非常に常識的な線であるわけでございますが、実施いたしてみますと、公務傷病に併発して出てまいったと思われるような傷病のケースがその線では見きれない。少し実施しました経過期間におきます実績から見まして、あるいは二年について二年、あるいは六年についてもう二年というふうなものを加えますと、そういう実績から見まして、公務傷病に併発したと思われますケースをほとんど救えるというような実態上の要請から、この期間をつけ加えた、こういうふうな仕儀でございます。
  131. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 この制限も撤廃したほうがいいのじゃないでしょうか。
  132. 実本博次

    ○実本政府委員 これはやはり公務の傷病に併発したという因果関係がはっきりしないけれども、それをあるものだと想定して出すということになっておりますので、やはり期限を撤廃してしまいますと、そういう明確な公務傷病との関連の証拠がないものについて、一定の因果関係を想定するというワクがなくなってしまいまして、およそ戦争に行って帰ってこられて、何かのかっこうで死なれた方は、すべて一時金を差し上げる、こういうふうなことに相なりますので、一時金を創設した趣旨と若干はずれてまいる、こういうことを考えまして、やはりこの制限期間を撤廃するのは無理なことである、こう考えております。
  133. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 海外からの復員軍人などが、その途中で傷病にかかって死亡した場合には、公務上の傷病による死亡とみなされてそれ相当の処遇を受けてきたわけですけれども、内地復員はそれは認められないかということなんです。むしろ内地の場合でも、終戦当時の混乱というものは同じだ、私はこういうふうに見るのですけれども、どうでしょうか。
  134. 実本博次

    ○実本政府委員 終戦後、海外から復員されました軍人等の方々の帰郷途上の死亡につきましては、終戦直後のきわめて激しい混乱に伴います特殊の事情ということが存在しましたので、これはやはり公務上の傷病による死亡とみなして処遇をいたしおるわけでございますが、いまお話しのように、内地復員の軍人等の場合には、こういったような特殊の事情というものは存在しなかったわけでございますし、また個人に対する規制も全くなかったということを考慮いたしますと、やはり公務上の傷病というふうにみなして援護法上処遇することは無理ではないか。ただし、そういう方々についての何かの処遇、たとえば見舞い金の支給をしてはというふうなことも若干検討の材料として考えておるところでございます。
  135. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 事情はよくわかりました。何らか見舞い金等の考慮が払われるのであろうという答弁ですので次に移ります。  障害年金の支給対象の拡大の問題ですが、現在の支給対象は第三款症以上の不具廃疾のある者に限られておる。先ほどから話を聞いておりますとすべて恩給法にならってきておるわけでございますが、これも恩給法にならうことにはならぬのかどうかということです。
  136. 実本博次

    ○実本政府委員 これは援護問題懇談会の御意見でもやはり先生と同じような御意見で、恩給法と同様に措置すべきであるということで出てまいっておりますので、今後この御意見の趣旨に沿いまして検討してまいりたい、かように考えております。
  137. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 遺骨収集については、先ほど河野先生からいろいろと質問がありましたが、四十三年度の計画とその実績、遺骨収集とまた遺骨の状況調査、それはどうあったか、簡単でけっこうですが、具体的に説明を願います。  それから四十四年度の計画はどうなっておるのかということです。
  138. 実本博次

    ○実本政府委員 四十三年度におきます政府の行ないました遺骨収集は、西部ニューギニアにつきましてと、それからフィリピンのルソン、カミギン、ネグロス、ミンダナオ島につきまして、収集と同時に調査を行なってまいったわけでございます。なお、硫黄島につきましても二回の調査を行なっておるわけでございます。  四十四年度におきましては、まだ、フィリピンのほうのセブ、ミンダナオにつきまして計画を立てておりますし、それから東部ニューギニアのほう、それからもう一つ、最後に申し上げました硫黄島につきまして、四十三年度に行ないました調査に基づきまして今度は本格的な遺骨収集を計画いたしておるところでございます。
  139. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 四十四年度は、従来なかった新しいところはどこですか。
  140. 実本博次

    ○実本政府委員 東部ニューギニアを予定いたしております。
  141. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 遺族の心情、国民感情からいっても、この遺骨問題は非常に重要な問題だと思います。最善、最大の努力を払ってその任に当たってもらいたいと思います。  それから、未帰還者の問題ですけれども、三十九年十月にソ連政府に調査を依頼された二千九百七十四人の状況不明の未帰還者について、ソ連側から四十一年五月までの間に全員の調査結果を受けた、このように聞いているわけですが、その点はどうなっているのですか。
  142. 実本博次

    ○実本政府委員 ソ連の関係の未帰還者調査のお尋ねでございますが、昭和三十年に約一万二千名、それから三十八年に約三千名の状況不明の未帰還者の消息調査をソ連政府に依頼いたしましたところ、前者に対しましては九百八名の死亡者及び十九カ所の墓地の所在地並びに同墓地の埋葬者三千三百二十九名について回答があり、また後者に対しましては、その全員について回答があったわけでございますが、現にソ連邦内に生存いたしておりますことが判明いたしました三十七名以外は、依然としてその消息が明らかにされていない現状でございます。
  143. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 死亡したとして二百十名、それから本国に帰国したということで七十八名というふうに出ておったそうですが、その七十八名は同姓同名の異人であったので、再度四十一年の十一月ですか、ソ連政府に依頼した、こう聞いているわけですけれども、その点についてはまだ明確にならないのでしょうか。
  144. 実本博次

    ○実本政府委員 特にその死亡が確認されたとあった二百十名、それからいま先生おっしゃった同姓同名の異人であった七十八名に対しては、さらに重ねて四十一年の二月ごろソ連政府に調査方を依頼いたしましたが、四十三年の六月にソ連外務省の極東部長からの回答では、ソ連関係当局は人道的立場から日本側要請の実現のために大きな努力を払ってきたが、新しい発見はありませんというような回答が参って、今日に至っておる次第でございます。
  145. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 とにかく、この未帰還者というのは、行くえ不明でいるのか死んでいるのかわからないので問題なんですね。紙の上で書くのは簡単だし、数字は問題ありませんけれども、その肉親の立場に立ったら、それはそれは想像以上のものであろうと思います。その消息を待ちわびていると思いますので、その留守家族の心情を察して、この対策ももっと強力に打ち進めてもらいたい。  最後に一つ、韓国に残留している日本人婦女子の帰国が漸増しているということだったのですが、北朝鮮地域からの引き揚げ、これが三十一年を最後に全く見られなくなったと聞いているのですが、これはどういう理由なんでしょうか。
  146. 実本博次

    ○実本政府委員 北朝鮮関係の未帰還者調査の問題につきましては、三十四年の六月にジュネーブにおきまして、在日朝鮮人帰還協定の交渉の際に、同地域の未帰還者の調査を全面的に行なう旨赤十字代表によりまして折衝の結果、了解が成立しましたので、三十五年以来二回にわたり千十一名の未帰還者の名簿を、北朝鮮赤十字社に送付してございますが、その後いろいろな機会に督促を重ねておりますが、客観情勢がそういう回答をもたらすことをはばんでいるような状態で推移いたしてまいっております。
  147. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いろいろと国際情勢あるいは外交問題等がからむでしょうが、とにかく昨年のブエブロ号事件、今回の米軍機の偵察機の撃墜事件等から、朝鮮問題は非常に緊迫しているわけであります。こういうことを考えれば考えるほど、こうした引き揚げ者の仕事というものは重大である、こう思いまして、私はいろいろお尋ねいたしましたが、未帰還者の問題、引き揚げ者の問題に対して、最後に大臣の御意見を伺って終わりたいと思います。
  148. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、未帰還者の問題あるいは遺骨収集の問題については、遺族の心情になって真剣に取り組んでまいりたいと思います。
  149. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 終わります。
  150. 谷垣專一

    ○谷垣委員長代理 この際暫時休憩いたします。    午後一時三十七分休憩      ――――◇―――――    午後二時三十六分開議
  151. 森田重次郎

    ○森田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出の戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  152. 森田重次郎

    ○森田委員長 ただいま委員長の手元に、橋本龍太郎君、田邊誠君、田畑金光君及び大橋敏雄君から本案に対する修正案が提出されております。
  153. 森田重次郎

    ○森田委員長 修正案の趣旨の説明を聴取いたします。橋本龍太郎君。
  154. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)委員 私は、ただいま議題となっております戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党四派共同提案にかかる修正案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  お手元に修正案が配付してありますので、朗読は省略させていただきますが、その内容は、本法律案中、昭和四十四年四月一日施行となっている葬祭料の引き上げ等に関する改正規定については、公布の日から施行し、同年四月一日から適用しようとするものであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  155. 森田重次郎

    ○森田委員長 この際、修正案について御発言はありませんか。     ―――――――――――――
  156. 森田重次郎

    ○森田委員長 御発言がなければ、これより戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の方の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  157. 森田重次郎

    ○森田委員長 起立総員。よって、橋本龍太郎君外三名提出の本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  158. 森田重次郎

    ○森田委員長 起立総員。よって、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案は橋本龍太郎君外三名提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  159. 森田重次郎

    ○森田委員長 この際、澁谷直藏君、河野正君、田畑金光君及び大橋敏雄君より、本案について附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。その趣旨の説明を求めます。河野正君。
  160. 河野正

    ○河野(正)委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。  案文を朗読して、説明にかえさせていただきます。    戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議   政府は、左記事項につき、格段の努力を払うべきである。          記  一、今日の経済成長の実情にかんがみ、援護の最低基準を引上げ、公平な援護措置が行なわれるよう努力すること。    なお、戦傷病者戦没者遺族等の老齢化の現状を考慮し、これら老齢者及び妻の優遇措置を講ずること。  一、未帰還者の調査については、さらに真剣に取り組むとともに、その実態のは握に万全を期すること。  一、遺骨の収集が遅れている現況にかんがみ、さらに積極的にこれを推進すること。  一、戦時中における満鉄職員等に対する援護法上の取扱いについては、その適用について弾力ある措置を行なうこと。  一、動員学徒等準軍属の処遇につき、さらにその改善に努めること。  一、満州開拓青年義勇隊員の募集の実情及び任務等の実態にかんがみ、昭和二十年八月八日以前の死没者の遺族について援護措置を講ずること。  一、戦傷病者に対する障害年金への加給については、扶養家族がいない場合も適正な措置を講ずること。  一、旧防空法関係犠牲者の援護については、さらに検討を加えるとともにすみやかに改善をはかるよう努力すること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いたします。
  161. 森田重次郎

    ○森田委員長 本動議について採決いたします。  本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  162. 森田重次郎

    ○森田委員長 起立総員。よって、本案については、澁谷直藏君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。厚生大臣斎藤昇君。
  163. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 ただいまは満場一致をもって法律案を御可決いただき、たいへんありがとうございます。御礼を申し上げます。  なお、これに対してなされました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、今後努力いたしたいと存じます。     ―――――――――――――
  164. 森田重次郎

    ○森田委員長 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 森田重次郎

    ○森田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  166. 森田重次郎

    ○森田委員長 次に、内閣提出の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
  167. 森田重次郎

    ○森田委員長 提案理由の説明を聴取いたします。厚生大臣斎藤昇君。
  168. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  昭和二十年八月広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の被爆者につきましては、昭和三十二年に制定された原子爆弾被爆者の医療等に関する法律により、医療の給付、健康診断等を実施するほか、昨年制定されました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律により、特別手当、健康管理手当等の各種手当の支給を行ない、被爆者の健康の保持向上とその生活の安定をはかってまいったところであります。  しかしながら、原子爆弾の放射線を多量に浴びたいわゆる特別被爆者にあっては、放射能の影響により、一般的に負傷しまたは疾病にかかりやすく、また、負傷または疾病が治癒しにくい等の事情があり、これらの者は日ごろから死に対する特別な不安感を抱いているのであります。  特別被爆者が、いまなお、このような不安な日常生活を余儀なくされている状態にあることについては、政府としても特別被爆者の福祉という見地から、かねて深い関心を有しているところでありますが、今回、このような国家的な関心の表明として、特別被爆者が死亡し、その死亡が原子爆弾の傷害作用の影響に関連があると思われる場合に、その葬祭を行なう者に対し、特に葬祭料を支給することとし、これにより、これら特別の状態にある被爆者の福祉をはかることといたした次第であります。  以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。      ――――◇―――――
  169. 森田重次郎

    ○森田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本案審査のため、参考人より意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 森田重次郎

    ○森田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 森田重次郎

    ○森田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ――――◇―――――
  172. 森田重次郎

    ○森田委員長 次に、本案に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。増岡博之君。
  173. 増岡博之

    ○増岡委員 今回の特別措置法の改正につきましては、ただいま提案理由の御説明があったわけでございますが、その内容は主として――主としてといいますか、簡単でございまして、葬祭料の支給にあるわけでございますので、質問もごく簡潔にやらしていただきます。したがって、お答えも簡潔にお願い申し上げたいと思うわけでございます。  ただいまの御説明で、被爆者に対しまして死亡の際に葬祭料を支給するということでございますが、その金額やその他のことにつきましてごく概略局長からお話しいただければと思います。
  174. 村中俊明

    ○村中政府委員 お答え申し上げます。  今回、予算措置並びに措置法の一部改正の中に盛り込まれております葬祭料につきましては、政令で一人一万円。特別被爆者が被爆の影響を受けて病気をしやすい、あるいは負傷しやすい、しかもこれらの方が一度病気や負傷をいたしますと、なかなかなおりにくいというふうな健康についての不安が日ごろあるわけでございまして、私どももこの点につきましては深い関心を持っております。これらの方々が不幸にして死亡された場合、その死亡の原因の中に原爆の被爆に影響していないというふうな判定のつきにくい場合には、ただいま提案理由の中で大臣の御説明申し上げました葬祭料を支給いたしたい、こういう考え方でございまして、大体、過去三年間の特別被爆者の死亡率を申し上げますと、一%前後でございまして、したがいまして、約三千件余りの対象について一件一万円の葬祭料を計上いたしたわけでございます。この葬祭料につきましては、ただいま申し上げましたように、このような精神的な不安に対する政府の関心のしるしという形で、これは従来このたぐいの、たとえば生活保護法で申し上げますと、葬祭扶助費というふうな実費弁償という形とは性格が異なるものであります。したがいまして、収入認定あるいはその他の扶助と相殺せず上置きをして支給をいたしたい。この支給を受ける対象につきましても、葬祭を営む者ということで、それが実際に親族ということじゃなくても支給するというふうな考え方でいるわけでございます。
  175. 増岡博之

    ○増岡委員 ただいま、原爆の傷害によるものでないことが明らかなる場合は支給しないが、できるだけ広範囲に支給をするようにしようということでございますが、その判定は具体的にはどういう基準でおやりになるのか、その根拠につきましてもう少しお聞かせ願いたいと思います。
  176. 村中俊明

    ○村中政府委員 ただいま申し上げましたとおり、特別被爆者が死亡された場合に、その死亡の原因について、被爆に影響していないというふうな判定が明らかにされた場合には除くわけであります。一般論といたしまして、たとえば交通事故あるいは遺伝性疾患あるいは先天性の疾患というふうなものが理論的には考えられるわけでございますが、被爆者の置かれております特殊事情を十分配慮いたしまして、この面の措置については、十分運営の面で弾力的な取り扱いをしてまいりたい、こう考えております。
  177. 増岡博之

    ○増岡委員 昨年の特別措置法並びに従来からの被爆者に対する医療法で、だいぶ被爆者が救済されておるように私ども思っておるわけでございます。現在、被爆者に対します対策の大ざっぱな現状と申しますか、また今後改善をなさるというような御方針がございましたら、大臣のほうからお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
  178. 村中俊明

    ○村中政府委員 少しこまかくなりますので、私から簡単な一応のアウトラインを申し上げたいと存じます。  御承知のとおり、被爆者に対する法律といたしましては、現在、昭和三十二年から施行されております原子爆弾被爆者の医療等に関する法律、これを原爆の医療法というふうに通称使っておりますが、この法律によりまして、被爆者全員の年二回の健康診断を無料でいたします。さらに希望がある場合には二回まで年間できる。都合、本人の希望によっては四回の健康診断が受けられる。この健康診断を受けた結果、身体的に被爆による影響あるというふうな判定ができて病状のある場合には、これを通院医療あるいは入院医療という形で処置をいたすわけでございます。  話が少し前に戻りますけれども、被爆者の分け方といたしましては、被爆線量の影響が比較的少ないという一般被爆者、それから相当量影響があると思われる特別被爆者、さらにこの特別被爆者の中でも、直接被爆による放射線の影響を受けた疾病にかかっているというふうな患者につきましては、審議会の判定によって認定被爆者という扱いをいたしております。言いかえますと、こういう二様に被爆者全体が分けられるわけでございますが、この特別被爆者につきましては、政令できまりました、今回新しく一つ加えられましたが、八つの疾病にかかっておるというふうなものにつきまして、これを関連疾病というふうな呼び名を使っておりますが、これは、保険で医療にかかってもしも自己負担のある分については、公費で全額見るというたてまいになっております。さらに認定患者というふうな、審議会の認定を経たものについてはすべての疾病が公費で見られるという趣旨の、三十二年に制定されました原爆医療法というのが一つございます。  もう一つは、昨年新しく制定されました原子爆弾被爆者に対する特別措置法、これは、原爆の影響が、健康の面だけではなくて精神的な面、さらには生活上にまでいろいろ不安を投げかけるというふうな影響を、昭和四十年に行ないました国の実態調査によりまして、ある程度明らかにされました。この実態調査をもとにいたしまして、ただいま申し上げました、生活上精神的な不安をできるだけ取り除くということによって、被爆者の福祉の面を配慮しようという意味の法律でございまして、この中には、先ほどもちょっと触れましたが、認定患者につきましては、特別手当という月額一万円の手当が設定されております。さらにこの方が医療機関にかかって医療を受けている期間、これは医療手当が支給される。これは月五千円でございます。また特別被爆者の中で、特に八つの厚生大臣のきめた病気を持っている、しかも高年齢あるいは身体に障害がある者、さらには母子世帯、こういった方々につきましては、健康管理手当を支給することにいたしました。もう一点は、たとえば相当の年輩になってまいりまして、疾病のために症状は固定する、なかなか身体的な活動が思うようにならないような状態に立ち至った場合には、付き添いを必要とするというふうなことも判断いたしまして、これらの方々には、介護のために付き添いを付けた場合に、実費弁償という形で日額三百円の介護手当というのを支給するようにいたしました。そのほかに、ただいま大臣から提案の御説明を申し上げました、特別被爆者のなくなった方には葬祭料を支給したい。  これがほぼ法律的な事項の中にございます被爆者に対する対策でございますが、昭和四十四年度でこのほかに、従来も衆参の社労委員会で附帯決議その他で強く御意見のございました、健康保険の被用者、被保険者の一部負担の公費による肩がわりというふうなことも、今回予算上で配慮をいたしました。また従来、特別被爆者の範囲をできるだけ拡大して手厚く医療が受けられるようにするようにというふうな要望もございまして、これらを考慮いたしまして、新しく白内障を三号疾病の中に加えるような措置をいたしました。あるいは特別手当は従来月額一万円でございましたが、これは所得制限が所得税に基づいて付与されておりまして、税額で申し上げますと、一万七千二百円以上のものについては特別手当の支給がないというふうなたてまえになっておりましたが、今回新しく、一万七千二百円から二万二千七百円まで、この間所得税の納付対象者に対しては五千円の特別手当を支給するというような措置も講じたわけでございます。これらを通じまして、今後も十分被爆者の対策については配慮をしてまいりたい、こう考えております。
  179. 増岡博之

    ○増岡委員 ただいま、昨年の附帯決議のことまで御説明いただいたわけでございますが、この件につきましては、後ほどまたもう少しお聞きしたいと思いますが、この葬祭料そのものが、いわゆる生活保護を受けております方々がなくなりました場合にいただきます葬祭料とあわせて支給されることができるのかどうか、一点お尋ねいたしたいと思います。
  180. 村中俊明

    ○村中政府委員 生活保護法の中にございます葬祭扶助費は、葬祭のために使われる実費の一部として支給される仕組みになってございまして、被爆者の今回の考えました対策の葬祭料と申し上げますのは、先ほども申し上げましたように、特別被爆者が被爆の影響によって健康的あるいは精神的に不安な状態にある、こういう方々が死亡した場合に、できるだけそういう不安が生前にある状態をやわらげたいというふうな、私どもの被爆の影響による精神的な不安に対する関心のあらわれというふうな考え方で葬祭料を支給するわけでございまして、葬祭料の支給の性格からまいりますと、実費弁償というふうなこととは違いまして、したがって生活保護の場合に支給される葬祭扶助費に上のせされる形にいたしたい、こう考えております。
  181. 増岡博之

    ○増岡委員 先ほどの特別措置法が審議されました際の附帯決議のことでございます。ただいままで公衆衛生局長からの御説明で、だいぶその点についても考慮していただいておるように思うわけでございますけれども、その中で介護手当を弾力的に運営しろということがあったわけでございまして、介護手当につきましては非常に微妙なところがあり得るわけで、たとえば家族が介護しておる場合にも払うのかどうか。あるいは親戚であれば、何親等以上であればどうするのかというようなこともあろうと思うわけでございますが、もうすでにその点についても検討がお済みになっておるのではないかというのでお聞かせ願いたいと思うことと、もう一点は、健康保険等の被用者の本人が一部負担しておるものを公費で負担しろということでございまして、ほぼ完全に実施しておるということでございますけれども、この点について、非常にこまかい金額をたびたび請求するというような、非常に繁雑な事務があると思うわけでございます。これが実態として県の事務負担になっておるのか。これは金銭だけの面ではなくして、労力的な面で繁雑な事務をしいているのか。あるいは医師会あたりが、かわりにそういうものをまとめて県を通じて支給されておるのかということと、それから沖繩在住者の問題を、もう一度詳しく現在考えておられますことを御説明願いたいと思います。
  182. 村中俊明

    ○村中政府委員 第一点の介護手当について、手続上あるいは対象の判定が非常に煩瑣である、この点の御指摘がございましたが、これは御指摘のとおり、当初、昨年介護手当を創設する際もいろいろ本委員会で御指摘をいただいた事項でございまして、私どもも、一応明文化された手続からまいりますと、現に介護のために人をつけて、その家族がそのための費用を支払っているというふうなことが明らかな場合に、実費弁償という形で介護料の支給をするというのが前提になっております。御指摘のように、被爆者の家族構成の中には、なかなか一般の家族構成では考えられないような特殊な実態がある例があるわけであります。端的に例をあげますと、たとえば原爆孤老あるいは親一人子一人あるいは老夫婦というふうな状態でありまして、被爆者が介護を受けるような必要に迫られていても、家族の一員が、どうしても外へ出て仕事につくというふうな必要性に迫られて、十分な介護ができないというふうな場合に、介護のための人をつけて実費の弁償をするということになっておりまして、これの証拠あるいは判定、支払いの判定というふうな点での指摘や意見が従来から出されておりまして、これらの事項については介護料設定の趣旨を私ども十分くみ取りまして弾力的な運営をしてまいりたい、こう考えております。  それから、被用者本人の一部負担の公費肩がわりの問題についてでございますが、現在特に八割をこえます広島、長崎両県市ともいろいろ打ち合わせをいたしておりまして、これは筋どおりを申し上げますと、療養費払いというふうな形で、患者は医療機関の窓口で支払いをする、診療を実施した者は患者から費用の徴収をするという、一つの保険の支払いの仕組みの原則があるわけでございまして、この原則が実際面で、金額が比較的少ない被用者本人の一部負担の払い戻しというふうな面について問題があるようでございますが、この点につきましては、県市とも十分打ち合わせをいたしまして、できるだけ支払い側、診療側及び受療側の煩瑣な手続が省けるような、そういうことを便宜的に考えてまいりたいと思っておりますが、まだこれは具体的な成案を得ていないわけでございます。  それから最後の御質問、ちょっと聞き漏らしましたが、沖繩の被爆者の問題でございますか。――これは、先ほど現状のところで申し上げました原爆医療法につきましても、同じような措置がとられておりますが、今回の原爆の特別措置法につきましても、琉球政府では特別措置の実施要綱を本年の一月に設定をいたしまして、内容につきましては、ほとんど本土と変わらないような被爆者に対する対策がとられております。ただ、ただいま問題になりました保険の支払いの仕組みが、制度的に沖繩と本土では若干差異があるわけでございまして、この点につきましては、琉球政府立の医療機関においては、本土と同じような保険の仕組みで処理をされることになっておりますが、一般のその他の医療機関に行った場合には、やはり療養費払いというふうな問題が問題になっておるわけでございます。  以上でございます。
  183. 増岡博之

    ○増岡委員 沖繩在住者の問題も、なるべく早く完全に本土並みにしていただきたいと思うわけでございますが、なお附帯決議の中の、旧防空法の犠牲者に対する救済、これが援護法あるいは消防庁のほうの予算措置で救済できるようになったという話を聞いておるわけでございますが、その点確認をいたしておきたいと思います。
  184. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 防空法関係の援護の問題は、御承知の援護法のほうで、防空監視員に対してこのたび援護を開く道を講じた次第でございます。
  185. 増岡博之

    ○増岡委員 消防庁と言ったのは警防団のことでございますけれども、なるべくこれも同じような救済がいただきたいと思うわけでございます。また、死亡者並びに遺族に関する調査の促進ということは非常にむずかしい問題かもしれませんけれども、市や県も非常に熱意を持ってやっていただいておりますので、今後とも国のほうといたしましても、極力それに御支援をいただきたいと思うわけでございます。  次に、実はこの被爆者に対します援護措置は、医療法、援護法の制定がありましてから、かなり援護措置が行なわれておるわけでございますし、また先ほどからのお話のように、原爆に起因するかどうかという認定、そういうものについても、はっきりそうでないという者以外はなるべく取り上げてやろうということでございまして、疑わしきは罰せずという裁判のあれもあるわけでございますけれども、疑わしきは採用していただいておるということであるわけでございます。ところが、これはきょうの問題と別でございますが、私どもの同じ広島県の中に毒ガス患者というものがございまして、これは旧陸軍の毒ガス製造工場であったわけでございます。そこで、これは業務上の災害といいますか、罹患した人が二、三千人おるわけでございまして、このほうは疑わしきは採用せずということで非常に厳格に審査されておるわけでございます。この問題につきましては、厚生省の関係と申しますよりも、むしろ大蔵省の旧令共済法によって行なわれておりますので、本日の問題とは別でございます。しかし、そうかといって、そういう悪い例があるからといって、なるべく救済してやろうということはやめていただきたいと申し上げておるのではなくして、せっかく法律のそういうふうな趣旨でございますので、できるだけ患者の認定につきましても範囲を広げていただきたいというふうに思うわけでございます。特に認定につきましては、厚生省の省令によって基準があるわけでございますから、なかなか認定がしてもらえない、基準がきついのではないか、きびし過ぎるのではないかということがよくいわれておるわけでございまして、その点につきまして、これはおそらく医学的な基準であろうと思うわけでございますが、いま一度御説明をいただきたいと思います。
  186. 村中俊明

    ○村中政府委員 特別被爆者の中の認定患者の認定につきましては、従来も本委員会でいろいろ御意見をいただいておりまして、基本的には、申請をされてくる対象が医学的に被爆に起因しているというふうな判断ができた場合に認定をするというのがたてまえでございます。たとえば、診断書の検討の結果、こういう検査を加えたら起因しているという判定がもう少しはっきりするのじゃないかというふうな、診断書についての再検討の方法などを医療機関に下げまして、そこであらためて申請をし直してもらうというふうな措置をとるなど、審議会の中では、医学的な専門家が十分話し合いながら認定に当たっているわけでございまして、いわれておりますようなシビアーな判定というふうには、私自身も出席いたしておりまして、判断をいたしていないわけでございます。現在まで約九五%が認定をされた対象になっておりまして、最近の昭和四十三年では六二%というふうな認定の比率になりましたが、これはただいま申し上げました新しい特別措置法の制定に基づいた新しい申請が出てきたのではないかというふうな判断もいたしております。とにかく認定の審査につきましては、医学的な、学問的な判定を中心にいたしておるというふうな実態でございます。
  187. 森田重次郎

    ○森田委員長 増岡君、時間になりましたから簡単にやってください。
  188. 増岡博之

    ○増岡委員 先ほど、消防庁の方は来ておられないと思ったので途中でやめたのですけれども、警防団で原爆にあわれた方に対する救済のことにつきましてお尋ねいたしたいと思います。
  189. 山本弘

    ○山本(弘)政府委員 戦時中、防空法に基づきまして防空に従事した者につきましては、防空監視隊員あるいは警防団員その他医療従事者等があるのでございますが、警防団員につきまして、防空に従事して、それによって公務死傷を受けた場合は、当時は扶助令による扶助をいたしておったのでございます。この点は原爆といわず何といわず、いわゆる防空に従事した場合でございます。その扶助令が失効いたしましてから最近の援護の動きを見てまいりますと、本年度におきましては、防空監視隊員がその身分的な関係から準軍属として扱われまして年金を支給する、いわゆる援護法に相当する年金を支給するというふうに相なったわけでございますが、警防団員につきましてそういった措置をとることは、現在のところなされておりません。しかしながら、戦時中に防空に従事した実態というものを考えまして、またさきに、長崎医大の学生が学校でなくなりまして、それに対して一時金を支給いたしている前例があるのでございますが、こういった点を考え合わせまして、このたび一時金を支給することといたしておるのでございます。
  190. 増岡博之

    ○増岡委員 ただいまの説明で、大体附帯決議に対します措置が大かたとられておるように思うわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、この法律自体が特殊な被災者に対します特別な法律でございます。したがって、それに対します優遇措置をうんととっていこうという趣旨を持っておるわけでございます。法の精神がそうでございますので、今後いろいろこまかい点で、先ほども申し上げました本人の一部負担をどういうふうに公費で負担がえをするか、その手続その他のことで、いろいろな方面に迷惑といいますか、煩瑣の手続を必要とするように思うわけでございます。したがって、これが地方公共団体に対しまして相当な事務量を強制するような結果に相なるのではないかというふうに考えますので、せっかくこういう措置法の一部改正をいただきます機会に、厚生大臣に、この法の全体の運用につきまして前向きで取り組んでいただきますようにお願を申し上げたいと思うところでございまして、厚生大臣の御意見をお伺いいたしたいと思います。
  191. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 ただいまの御意見ごもっともに存じます。この措置法が制定せられました趣旨にかんがみまして、できるだけその措置を生かしますように今後も運営につとめたいと存じます。また、このために市町村等に事務費が相当要るのじゃないかというお尋ねでございますが、これもよく検討をいたしてみたいと思います。
  192. 増岡博之

    ○増岡委員 それでは以上をもって終わります。
  193. 森田重次郎

    ○森田委員長 山田耻目君。
  194. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 今回特別措置法に加えるべき一部修正として葬祭料が出されたわけでありますが、この法律の説明を伺いまして、何か片手落ちな気持ちが強くしております。きょうは時間もあまりございませんので、大体大まかに分けまして、葬祭料をめぐる原爆死亡者との関係を中心にやってまいりまして、次の七日の委員会で措置法全般についてお伺いをしていきたいと思います。たまたまきょうは、葬祭料に関係をします総理府、消防庁、大蔵省、それぞれおいでをいただきましたので、この問題を中心に進めていきたいと思いますので、ひとつ十分お答えをいただけますように冒頭お願いいたしておきます。  去年の国会の措置法が通りますときに、佐藤総理と私と本会議でいろいろとやりとりをやりました。その話の中から、昭和二十九年ビキニで死の灰をかぶられました福竜丸の皆さん、その中で死亡なさいました久保山さんに五百万円、負傷なさいました多くの船員の皆さんには二百万円、これだけの見舞い金が支給をされております。もちろんこの支給は日本政府がアメリカと折衝をして出されたものだと思いますけれども、長崎、広島、瞬時になくなられた二十数万の死没者、その後今日に至るまで、原爆によってなくなられた多くの死没者がいらっしゃいますが、この人たちには国として線香一本立てていない。お花一本供えていない。こういうことでは、高度に経済成長してきた今日、国としてきわめて冷淡である、一体歴代総理の中でだれが責任を負うのかという聞き方をいたしました。総理としては、確かにそういう点がある、責任は当然私だ、何とかして葬祭料なりそうしたものを支給するように検討したい、こういうお話がございまして、これが端緒になったわけであります。したがいまして私としては、この法律を見ます前に、当然死没者の調査も十分されて、原爆手帳が交付をされます昭和三十一年までこの死亡者の追跡調査もおやりになって、三十二年以降は原爆医療法に基づいて被爆者手帳も交付いたしておりますから、それぞれに記録がございます。これは死者も的確に把握できます。少なくとも、そうした原爆に起因して死んでいった人たちに対して、全体を網羅をして葬祭料を支給されるべきが常識だと思っておりました。ところが、今回の一部改正を見ますと、ことしから死んだ者だけに葬祭料を上げる、いままで死んだ者は知らぬ、こういう措置であります。一体なぜこうなったのか、厚生大臣からひとつ理由を説明していただきたいと思います。
  195. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 原爆に被爆をされたお方に対するいろいろ特別措置の問題は、御承知のように、昨年の特別措置法で規定をされたわけでございますが、そのときの考え方も、これは国が補償をするという考え方でなくて、社会保障的な行政措置としてやる、こういう考え方であったと承知いたしておりまするし、また法律の内容を見ましても、さようになっているわけであります。したがいまして、先ほど例にあげましたビキニの灰の問題というものとは性質が違う、かように観念をいたしておるわけであります。  さような観点から、社会保障的な行政措置ということに考えますると、なくなった方に対してさかのぼって葬祭料といいますか、弔慰金といいますかそういうような考え方には立たない、こういう考え方でございまするので、現在生きておられてこれからなくなられる人々ということに限ったわけでございます。
  196. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 そういたしますと、私が本会議で質問をして総理が答弁なさったこととはかなり趣旨が違いますが、それは厚生省で専断をされたわけですか。
  197. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 厚生省で専断をいたしたわけではございません。閣議を経まして最後決定をいたしたものでございます。  本会議における山田さんの質疑と総理の答弁の内容も、私、拝見をいたしました。御質疑の中では、これからなくなるといっても、年間これぐらいの人数ではないか、平年度にしてこのぐらいだ、それから、さらにさかのぼってやるとすればこれだけだ。総理のそれに対する御答弁は、なるべく前向きに考慮をいたしますということで、これからなくなる方に対する点も含めてのことであったろうと思いますが、前向きの考えで検討いたしますということでございまして、その検討の結果がこういうことになったのだ、かように御承知をいただきたいと存じます。
  198. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 いままでなくなった人も、これからなくなる人も含めて、葬祭料ですからね。健康管理手当とか、生活困窮者に対する特別手当とか、こういう性質とはまるきり違いますから、そういう葬祭料ですから、含めて出す前提に立って、数もだんだん少なくなることだから予算的な負担も軽くて済むだろう、こういう私の言い方です。しかし、ここでいまその議論をやりとりしてもどうにもなりませんけれども、要するに葬祭料という立場に立てば、いわゆる今日生存しておられる人たちのみを指をさすということは、私はおかしいと思います。ただ、あなたのおっしゃるのは、これは国家補償原理に基づくものではない、社会保障という立場に立つならば、現生存者を対象としてやるのだということに閣議でなったのだ、こういうふうに私は受け取るわけであります。  しかし、あなたが厚生大臣におなりになりましてまだ日も浅うございますけれども、昨年この措置法が委員会にかかりましたときに、この国益論の論戦が展開をされておるのです。その国益論の論戦の中で、園田さんが、否定はできません、おっしゃることを否定はいたしません、これは十分検討に値しますという答弁をされておるはずです。いまあなたのおっしゃっていることは、国益がないから国家補償措置はできないのだ。このことと結びつかなければ国家補償措置ではないということにならないと思うのです。一体、当時の原爆死亡者の中で国家補償はできないというたてまえは、どこから生まれてきたのですか。
  199. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 私が申し上げておりますのは、そういう考えは間違いであるということを申したのではございません。現行の特別措置法の考え方は、社会保障的な措置ということで考えておりますので、その中に織り込むとすればこういうやり方をする以外に道がない、かように申し上げておるのであります。そこで、戦争の犠牲によってなくなった方に対して国は弔意をあらわすべきではないかという御議論は、私は一応の御議論であろうと思います。それは原爆だけでなしに、あるいは焼夷弾によって焼け死なれた方、直撃弾に当たられた民間の方、いわゆる戦争によっていろいろ被害を受けられた方があるわけです。そういう方の補償をどうするかということと関連する問題だと、私はかように思います。したがいまして、原爆だけを特に取り上げて国家補償をするという形は、今日の段階においてはまだそこまで至っていない、かように御了解をいただきたいと存じます。
  200. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 それでは、消防庁お見えでございますのでお伺いをいたしますが、昭和十九年に防空従事者扶助令というものが一部改正をされております。この防空従事者扶助令は最低五百円から最高千五百円くらいまでだったと記憶しておりますけれども、死亡した者、負傷した者に一時金を出しております。現在の金に直してまいりますと、おおむね最低五十万円くらいになろうかと思います。この防空従事者扶助令の中には、第二条第一号に「防空監視隊員」が入っております。第二号に「警防団員」が入っております。第五号に「市町村長ノ為ス防空ノ実施又ハ其ノ訓練ニ従事スル者ニシテ内務大臣ノ指定スルモノ」、この号が入っております。こういたしますと、当時日本政府から出されておりました昭和十三年四月一日、法律第五十五号の国家総動員法、それから昭和二十年三月二十三日閣議決定の国民義勇隊組織に関する件、この三つを見てまいりますと、いわゆる十二歳以上で六十歳以下の男子、女子で四十五歳以下は、病人とか子供とか刑務所の囚人とか、こういう人たちを除いて、いずれかの組織に入らなければならないようになっております。これはみな法律で規制をいたしております。これに入らなかった場合は刑事上の罰則を受けることになっております。一年の懲役、千円以上の罰金、こういうふうになって、一億総体当たりと申しますか、国をあげての戦争体制というものが末端まで組織されたわけですね。  この中で、申し上げたような防空従事者扶助令から見てまいりますと、警防団から隣組組織、ここまで救済をするようになっております。けがをしたり死んだりしたら、この法律というものが当時現存していた。しかし、原爆が落ちて受けつける窓口もなくて、そういう法律すらあることを知らずに、何ら救済の手が施されていないまま今日になっておるわけです。この事実をどのように消防庁はお考えになりますか。この立場が明確になりますと、いまの厚生大臣のおっしゃることは、まるっきり現状の議論とはそぐわない結論になるわけですから、その立場をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  201. 山本弘

    ○山本(弘)政府委員 御指摘のように、戦時中、防空法によりまして、防空に従事し公務によって死傷した場合に扶助令の対象になっておられた方は、いろいろな範囲にわたっておるわけでございます。これらの援護措置につきましていろいろ御議論があったわけでございますが、先ほど私、御答弁申し上げたのでございますが、警防団員につきましては、その組織上、消防組、警防団、さらに現在の消防団に及んでおる、こういうところから、監視隊員に援護法による年金支給の措置をとるこの機会に、また一昨年の長崎医大の被爆者の一時金支給の援護措置等を勘案いたしまして、警防団員について、本年度、扶助令による扶助を受けなかった者につきまして一時金を支給するようにいたしたのでございまして、防空法全体、あるいはまた防空従事者扶助令全体を所管する立場でございませんので、その点についてのみ着目をいたしまして、予算の要求措置をいたした次第でございます。
  202. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 そういうふうに、この法律というものがありながら、そんなつまみでものをやっちゃいけないと思うのです。あなたのお望みの分だけは片づけるがあとは知らぬ、こういうことじゃ私はいかぬと思うのですよ。この防空従事者扶助令には、いま私が読み上げましたように、「防空監視隊員」、「警防団員」――法律全文がございますが、抜粋だけでございますからお話しいたしますが、第五号では、「市町村長ノ為ス防空ノ実施又ハ其ノ訓練ニ従事スル者」、この人々には、扶助令に基づくいわゆる年金なり一時金を給するとなっておるのですよ。なぜこれを給しないのかと私は聞いておるのですよ。これを給していたならば、私がいま大臣にした前段の質問はしなくても済むのですよ。広島、長崎で瞬時にして死亡していった人たちは、これは救済されたはずなんです。それを、防空監視隊員は今回予算措置をいたしました。長崎のほうでは学生をちょっとつまんで救済いたしました。全部やらなければいいのですよ。法律に基づいて救済されるべき対象があるのなら、全部おやりなさいよ。なぜそういうつまみをおやりになったのですか、説明してください。
  203. 山本弘

    ○山本(弘)政府委員 先ほど申し上げましたように、消防庁として対象になり得るものを、われわれは対象として援護措置を講じたのでございまして、いわゆる御指摘のようなつまみ食いをするというような趣旨でもって行なったものではございません。  また、扶助令につきましては、これは防空法の所管にも関連があると思いますが、それが全体をどこで所管するかという問題はございます。消防庁が全体を所管いたしておるわけではないのでございまして、先刻申しましたような、現在のわれわれが所管しておる消防団と警防団との結びつきから考えまして、この点につき必要ありと認めて措置をいたしましたというのが当庁としての考え方でございまして、御指摘のような気持ちではないということを御了承いただきたいと思います。
  204. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 大臣、あなたはどう思われますか。
  205. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 今度の戦傷病者等援護法によりまして、防空監視隊員に対しましては、これは準軍属の扱いにすることに改正をいたして、そしてそれぞれ年金なりあるいは一時金を出すように改正をいたしました。そこで、同じく防空業務に従事をしておって、防空監視隊員だけに限るのは狭過ぎるじゃないかという議論もあり、われわれもさように思いますので、この点はどこまで広めていくか、防空業務に公務として従事しておられて、そして死傷をせられたという人を、やはり援護法で救助すべきではないか、こういう考えでただいま検討中でございまして、まとまりましたら来国会でも御審議を願いたい、かように思っております。これは、原爆によるとよらざるとにかかわらず、そういった業務に従事をしておって、そして戦争のためになくなった、こういう観点に立つわけでありまして、これは国家補償としてやるべきものだ、かように考えます。したがって、原爆によるかよらないかということは関係がございません。そのときに原爆が落ちてきて、そして公務遂行中に原爆のためになくなったという方は、もちろん入ります。そうでない、焼夷弾でやられたという方も入ります。また防空業務従事中に、敵の空襲によらなくてもけがをしたという者も入るわけでございます。
  206. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 おっしゃっているように、瞬時死亡の場合は、焼夷弾であろうと、艦砲射撃であろうと、原爆であろうと、それは平等の取り扱いをしなくてはなるまい、こういう意見については私もある程度理解できます。ところがそれがやられていないから問題が出るのです。防空法という法律があるわけですよ。そして、この防空法に拘束された従事者が負傷し死亡した場合においてはこういう扶助をするぞと、法律があるわけです。これをなぜおやりにならないのかと私は聞いているのですよ。これをおやりになったら、瞬時死亡の中で私が求めている気持ちが、少なくとも半分以上は片づいていくのですよ。なぜこれをおやりにならぬのか、そう言ったら消防庁のほうは、私のほうの所管が、消防と警防とはかなり類似性があるので、私のほうはそれだけやったとおっしゃる。あなたは厚生大臣として、この扶助令に該当するものは、原爆で瞬時死亡した以後は全部適用漏れになっておるから、この際適用漏れを解消していく、こういう立場に立つのが国務大臣としてのあなたの仕事ではないかと思う。そういう返事をしてくれませんか。
  207. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 そういう意味におきまして、ただ防空監視隊員だけでなくて、いまおっしゃいます範囲の者には広めるべきであろう、こういうのでいま援護法の懇談会で審議をしてもらっておりまするし、私たちもそういうようにいたしたい。できれば次の国会にはそこまで広めたい。こうしますと、広島でなくなられた方は相当多く救われるであろう、かように私も思っております。
  208. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 お答えありがとうございます。  ただつけ加えておきますと、この防空従事者扶助令に基づく対象者は救済しなければならないんだ、こういう立場に立っていただきたいのです。またすべきだと思うのです。この法律そのものが当時はオールマイティでしょうね。それに国民は拘束されておったわけですから。あれから二十四年たった今日、昔のことといって捨てるわけにはいきませんからね。ですからこの防空従事者扶助令に該当するものは全部救済しなければならない。つまみ食いをしてはいかぬ、こういう立場と受け取ってよろしゅうございますか。
  209. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 私はただいまのところ、その中で特にこれだけはといって制限をしなければならないというような差別はないように考えておりますから、したがいまして、おっしゃるとおり、扶助令に該当するものはみな救うべきである、かように現在のところ考えております。そういう意味で私は検討いたしてまいりたいと思います。
  210. 実本博次

    ○実本政府委員 防空従事者扶助令の対象者を全部そのまま再処遇すべきではないかという御質問でございまして、いま大臣からお答え申し上げましたように、防空従事者扶助令そのものの立場でそういうことを考え直すという場合には、大臣からの御答弁のとおりでございます。ただ援護法の中でそれを処遇できるかどうかという問題になりますと、援護法は援護法としての立場がございまして、そこには、身分関係のあった人とか、あるいは今回防空従事者の中から準軍属に加えました防空監視隊員のごとく、単なる民防空という立場ではなくて、純然たる軍の防空計画の仕事を遂行したということと、それから全く常勤として給与もこっちから出していたというふうな軍人、軍属の身分のある人と全く同じかっこうで犠牲になられたという方を、援護法のサイドから処遇するという立場で申し上げておりまして、それ以外の従事者の中からも、そういう人がもういないだろうかという検討につきましては、大臣から先ほど来お答え申し上げているように、そういう方向で検討するという意味でございます。先生先ほどからの、従事者扶助令の再処遇をすべきではないかという問題は、ずいぶん前の国会でもその問題が出まして、従事者扶助令も、先生のいまのお話のように、原爆が落とされるような事態になりますまでの間には、おそらく昭和二十年の予算の決算までには、あの扶助令に基づいて国庫支出した資料がございますが、原爆のとき以後の犠牲者については、それを請求するにも窓口がない、あるいは窓口はあっても請求する人自体がもうとにかくたいへんな状態になっている、こういうことで、法律自体が実際に動かれなかったという方々についてのみ考えたらどうかというふうな御意見もあったわけでございますが、ただしそれは、防空従事者扶助令そのものを、つくった立場におけるサイドから考え直すという前提で議論されたわけでございます。
  211. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 わかりました。結局、従事者扶助令で救済をするワクと、その後できました法律、遺家族援護法、これの中で救済されていくものと、新しいものの発生としてそこに吸収されるべきものと区別されるということは、私はあり得ていいと思います。問題は、国民のことですから、公平で、しかもより有利にという立場をそこの中で見つけ出すことがいいと思います。ただ問題は、この防空従事者扶助令、そこの中で、常勤であって国から給与をもらっていたとかいうものが入っていくのは当然だと思いますけれども、いわゆる非常勤で、問題が起こったとき出動して、空襲といえばずきんをかぶって飛び出す隣組、こういうふうな、全く常勤でなくて非常勤で、しかもこの命令系統、法律的根拠に基づいていただく団体組織、こういうものは当然この第五項に入っておるものだと私は思っておるのです。それを裏づけていきますのに、昭和十五年九月十一日に内務大臣安井英二さんから内務省訓令第十七号というものが出ているわけです。この内務省訓令第十七号は隣組組織の制度化であります。内務省から内務省令が出ておりますから、こういうものに基づいて組織されていく。それを防空従事者扶助令できちっと統制をされていく。市町村単位に市長さん、町長さん、村長さんが団長になられて統括をされる。そして隣組班には班長を置く、こういう形になってくるわけですね。ですから、ここまで考えてまいりますと、私はあまりにも死者が多かっただけに、もちろんこうした組織に入れない、いま申し上げたような、小さい子供だとか、病人だとか、あるいは囚人だとか、こういう人たちは除外されても、ほとんど救済される対象になる。その救済は防空従事者扶助令に基づく以外にはないだろうと私は思うのですよ。この立場から見ていきますと、私は、それでなくなった方々には、葬祭料的な性格を加味したものであったろうと思うのですよ。だから、いま大臣のおっしゃったように、いわゆる援護法で救済されていくものは救済する、救済されないものは、この防空従事者扶助令に該当するものをまず救済をしていきたい。こういう中には、いま私が申し上げましたような、省令、政令でたくさんしばられておりますから、その点が第五項の中に入っておるものと私も理解するし、法律の正しい解釈はそうだと思いますから、そういうふうにひとつ理解をして瞬時死亡について扱っていただきたいと思うのです。来国会に精査をして出したいとおっしゃいますから、私はそれでけっこうだと思います。  それからまた問題は、ここから葬祭料のほうに入っていくわけですが、さっき大臣の提案理由を聞いておりますと、いわゆる強度な熱線、そうして後遺症、いわゆる家族という単位の破壊、労働力の喪失、こういうものが重なり合っていて、今日の原爆被爆者というものは、後遺症の不安におののき、生活の不安におののいておるという二重の責め苦を受けておる。だからこの人たちに葬祭料を出してやりたい、こういう提案の説明だったと思います。本来そうであったら、提案の趣旨どおりであったら、特別手当なりあるいは健康管理手当なりを、ワクをはずして今日生きている人に対してあげるのが、行政としては正しかろうと思うのです。おまえ、そんなに不安だったから、死んだから一万円をやろう、これは提案の趣旨と、出されておる葬祭料との関連から見たらおかしいですよ。葬祭料は、気の毒であった、原爆にかからなければもっと生き長らえていけるであろうに気の毒であった、しかも、原爆孤老になって身寄りはいない、こういう人たちに、原爆被爆者全体から見て葬祭料を出すというなら私はわかるのです。大臣の趣旨説明だったら、早く死んではいけませんよ――原爆症というものは総合栄養をつけてやらなければいけないと、いま言われているのでしょう。だから、特別手当なり健康管理手当なりを全体の人が受けられるようにしむけてあげるのが、私は行政のあり方として正しいと思う。しかし、私が本会議で総理に質問をしたときの、当時の議場の中で取りかわされたことばと、いま出ておる葬祭料と違うと私が言ったのは、そこなんです。衆議院であの話を本会議でやったときには、なくなった人たちに対して、しかも一気に大量の殺人をして、しかもそのあとには、家族をこわされ働く道を奪われ、そうして生活困窮に落ち込んでいっておる人たち、この人たちを国がめんどうを見てあげる。それが社会保障原理に基づくものか、国家補償原理に基づくものかは別としてめんどうを見てあげる。お気の毒な方たち、なくなったときには線香の一本でもあげましょう、こういう気持ちで葬祭料というものを私は要求したのですからね。そのとき私は、御存じのように金額は五万円を要求しました。五万円が適当なのか二十万円が適当なのか、三万円が適当なのか、一万円が適当なのか、これはわかりません。わかりませんけれども、総理はその話に乗ってこられて、措置をしようと言われたんです。その出てきた措置というものが、原爆症にかかって気の毒な、不安で生きておる間たいへんだったでしょうから、死んでしもうたら一万円出しましょう、こういう葬祭料になったのでは、葬祭料自身が生きていない、こういうことを私はさっきから申し上げておるのです。ですから具体的にこの論拠を押し進めていきますと、四十四年以後の死没者にやる、こういう立場もほんとうにおかしくなってくるのです。それなら去年の人には何もしなくてもいいのか。去年の人も不安におののいて死んでいったんですよ。私は遡及していく法則というものは、大臣がおっしゃっているようなもので断ち切られるものであってはならぬと思うのです。社会保障の原理だから、こういうもので断ち切られていくべきものじゃない。少なくとも支給の対象の氏名確認なり数の把握がむずかしいとおっしゃるならば、三十二年以後ならきわめて可能じゃないか。もちろん最初から、おなくなりになった人たちみんな不安におののかれたでしょうが、原爆医療法が制定されて被爆者手帳が交付をされて、そして三十土年以後の人たちも、今日の人たちも、原爆被爆者はみんな不安におののいていますよ。なぜそれがさかのぼれないのか。的確な数字の把握ができる三十二年までなぜさかのぼれないのか、私はどうしても納得できませんよ。一ぺん納得できるようにお答えいただきたいと思います。
  212. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 葬祭料を社会保障的な行政措置として差し出すということは非常に了解しにくいとおっしゃるのも、私は無理がないと思います。非常にこじつけみたいなことになると思うのです、実際は。先ほど説明いたしましたように、絶えず死の恐怖におののいておられるわけだから、あなたがなくなられるときには葬祭料としてお出ししますよと言うて幾らか心を休めていただく、こういう説明でございますから、なかなか納得しにくいとおっしゃるのも私は無理がないと思います。思いますが、しかし、これをさかのぼって国家補償だという形になりますと、先ほど申しますように、原爆だけでなしに、そういった種類の方もたくさんいらっしゃるわけです。そうでありますから、この際原爆による被爆に対する特別措置法という中で処理をしようとすればこうならざるを得ないという点は、ひとつ御了承をいただきたいと思うわけでございます。
  213. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 さかのぼって出すと、ほかの戦争行為でおなくなりになった一般の民間の人に不公平になってできない、こういうことのようですけれども、あなたのお話を私が多少いただいても、原爆医療法の中から生まれておる原爆特別措置法でしょう。原爆医療法の制定当時、この葬祭料が含まれていたと思っても間違いを起こさないような事情のもとに今回発生した法律でしょう。措置でしょう。昭和四十四年、気の毒であるから、不安であるからといって、唐突にやられたところに問題があるのです。だから、他の戦傷病者と区別をしたいのならば、不安であろうと苦しんでおろうと、一つも法律上違いのない原爆医療法制定当時の医療法によって救済されておった人たち、この人たちに支給するということは、法律的にも遡及の理論からも、私は何らおかしくないと思うのですよ。だから私は去年とことしの対比をしてみたのですけれども、唐突ですよ。だから、あなたのおっしゃっていることは、百歩私が譲って聞いても、昭和三十二年被爆者医療法制定当時にさかのぼってやることであって一つもおかしくないですよ。なぜそれができないのだろうか。いかがですか。
  214. 村中俊明

    ○村中政府委員 ただいま葬祭料の支給について四十四年度で突然出てきたということについての御質問でございますが、これは山田委員御承知のとおり、昭和四十年に実態調査をいたしまして、その実態調査の結果からいろいろ検討し、さらにまた国会その他の御意見も伺って、四十三年の福祉に基づいた特別措置法ができた。昭和三十二年の医療法につきましては、これも山田委員御承知のとおり、健康の増進ということが一つの柱になってあの医療法が組み立てられているわけです。私は今回の葬祭料というものは、やはりどちらかといえば、特別措置法になじむ福祉的な要素を多分に含んでいるというふうに考えておりまして、そういう意味で今回の一部改正も特別措置法の中で実施をいたしたい、こう考えているわけでございます。これは四十四年突然に出てきた問題ということよりも、特別措置法設定の前段階である国の実態調査の結論からだんだん出てきたというふうに私は申し上げたのでございます。
  215. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 おっしゃっていることが、私の質問の表面だけをおとらえになってお答えになりますからそういうことになると思うのですが、私が唐突だと言うのは、出すべきものがいままで出ずに、四十四年に出てきたという意味のことを言っているのでございます。それはもちろん葬祭料が出る経緯というものは、私が火をつけているのですからよくわかっています。ただ私が言うのは、四十四年以後の死没者のみに出すということに、私は非常に不自然さを感じているのですよ。だから、他の民間戦傷病者との比較で困るとおっしゃるのなら、原爆被爆者というものの少なくとも把握に力を入れ始め、具体的な医療法制度を設けた三十二年度にさかのぼっていっても、民間の戦傷病者と違った区別はつくじゃないか。不公平というものが生まれるわけはないじゃないか。三十二年に原爆医療法を制定したときに、その当時の論争も、民間の戦傷病者との差別があるじゃないかという議論もあったのですよ。あったものを、やはり原爆というものの特異性、そうしてこれを救済していかなければ永久に救いがたい人たちになるという立場から医療法ができた。その三十二年、できたときにさかのぼって実施をしたって、一つもおかしくないと私は言っているのですよ。この点は大臣どうなんですか。
  216. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 この点は、他との比較と申しますけれども、原爆を受けられたその方の疾病というものは、他の病気と違って非常に長くかかるであろうし、いろいろな余病も併発をするという特殊な病気でございますから、そこで原爆医療法というものが生まれたと理解をいたしております。したがって、同じ国内で焼夷弾でけがをしたという人のけがとは違う、疾病自身が違う、傷疾自身が違うということから差別が設けられておる、かように思うわけでございまして、国が補償をするという形ではないというのがそのときからの精神だろう、私はかように思うわけです。今度の葬祭料も、そういう意味で、現在に生きておられるお方に対して、少しでも心のやわらぎになっていただけるであろうか、かように思って葬祭料というものをただいま審議を願っているわけであります。葬祭料を出すべきだという考え方の基本的なお考えは、おそらく国家補償として出すべきだというお考えであったろうと思いますが、その点はまあ観念的には違う、今度の葬祭料はそういう意味でないということを御理解をいただきたい。非常にむずかしいことだと思いますけれども、まあ観念的な相違、かようにお考えをいただくよりはかなかろうか、かように思います。
  217. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 大臣もずいぶんお苦しいようですけれども、ことし出したという理由をもう一ぺん話してくれませんか。
  218. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 生きていらっしゃるお方に御安心を幾らかでもいただける、そして精神的な心の安らぎを感じていただく、こういう趣旨で法案をお願いをいたしたわけでございます。
  219. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 生きていらっしゃる人たちに心の安らぎを与えるために葬祭料をつけました、他の民間の戦傷病者とは違う、原爆の人たちだから特にそういう配慮をしたのだ、それはおっしゃっている事情は私わかりますよ。しかし葬祭料というのは死んでから出すのでしょう。葬祭料は生きておるうちに出すわけじゃないのでしょう。死んでから出すのですから。去年の原爆被爆者の死亡も同じ条件でしょう。   〔委員長退席、竹内委員長代理着席〕 あなたがおっしゃっている、気の毒だ、非常に不安であったろうは、私はおととしの人も同じだと思うのですよ。ただ、比較の上で差をつけたいという立場を百歩譲って考えるなら、三十二年にさかのぼったっておかしくないじゃないか。ことし葬祭料をつける理由の、気の毒だ、不安だ、少しでも心の安らぎにということ、しかし、もらうのは死んでからの話ですから、その意味ではずっと同じ事情じゃないか。なぜことしから特別につけるのか特別につけなくちゃならぬ事情は一つもない。原爆被爆者に関する限りみんな事情は同じです。ただ、それがいま他との均衡の上に立つならば、原爆医療法ができたときから、一般均衡論から見たら失しています。しかし、原爆被爆者という特異の条件というものを加味していけば、医療法をつくるのだといってつくった三十二年から今日まで、均衡の上から見たら、そこまでさかのぼったっておかしくないじゃないか。だから、唐突にことしと言っているのですけれども、それはもちろん唐突じゃない。出さにやならなかったのですよ。二十九年、久保山さんがおなくなりになったときから、私は絶えずそう思っていましたよ。それが今回このように実を結んできたのですが、それならば、三十二年の医療法制定以後、さかのぼって出すということに少しも矛盾はない。ところが大臣は、それは国家補償原理に立つのだとおっしゃる。国家補償原理か、あるいは困窮者の救済の原理に立つべきものなのか、これはまだ次に大きな議論をやりたいと思いますけれども、そのどちら側に立ったとしても、三十二年にさかのぼることは、葬祭料だから可能じゃないか。いまのこの原爆の医療法そのものがいわゆる保険システムじゃないでしょう。少なくとも認定患者になったら完全に国庫で見ますね。そのほかの患者は社会保険なりその他を使った残りを全額見よう。この財源はみな国が持っているのですよ。保険システムじゃありませんよ。  そうなってまいりますと、ここには議論はたくさん出ます。出ますが、きょう私はその議論をしようとはしないのですよ。いま考えて申し上げておりますのは、原爆被爆者に関する限り、四十四年から実施をする特殊な事情はないと私は言っている。三十二年にさかのぼったっていいじゃないか。他との均衡を言うのなら、そこにさかのぼったって一つもおかしくない。私が言っておることはあなたは理解できると思うのですよ。決して私は無理を言っておるわけじゃない。理解はできると思う。その理解の上に立って検討を願うという立場でないと、せっかく国がわずかであるけれども葬祭料を出そうと踏み切った、しかし去年死んでいった被爆者の人たちはちっとも喜びやしませんよ、ますます差別に対する恨みこそ持っても。だから、今回これをやるのなら、さかのぼってこれから考えていこう、そういう立場の意思ぐらいは示していただいても私はおかしくないじゃないかと思うのですが、どうでございましょうか。
  220. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 どうも御意見の相違と申さざるを得ないかと思うわけでございます。なくなられたお方にはまことにお気の毒でございますけれども、現在生きておられる方の援護を厚くしようという考えでございますので、三十二年に法律ができた、それからだんだんと改正をされて、あるいは医療手当あるいは介護手当というものもできるようになってきた。あとになるほど特別の措置が厚くなってまいりまして、それまでのお方にはお気の毒だと、かように思いますけれども、先ほど申し上げますような考え方から、これを先にさかのぼるというのはちょっと観念的にはおかしいのじゃないかと、かように考えます。これは御意見の相違と申さざるを得ないかと、かように思います。
  221. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 どこが違うのか、あなたが四十四年にお出しになった提案趣旨の説明は、ものごとの理解のできる中学校以上くらいの子供が聞いたっておかしく思うですよ。生きている人に安心してもらうために死んでから銭を上げます、しかも一万円ほど上げます。しかし葬祭料という名前がついているのでしょう。新たなる葬祭料を出さなければならぬ条件が生まれてきたのじゃないのですよ。不安であったとおっしゃるのなら、去年死んだ人も不安ですよ。去年死んだ人たちには、本人が何も知らぬうちに苦しんで死んでいったので、葬祭料を二万円よけいにやろうとおっしゃるのならわかりますよ。しかし、ことしからしか出さない、こういう理由というものは、私は考えの違いとかいうものじゃないと思うのですよ。ただ考えの違いというものがあり得るとすれば、あなたがさっきおっしゃっていたように、国家補償原理に基づくのか、社会保障の原理に基づくのか、この違いが起こり得るとすれば起こり得ますけれども、それをきょうやっておりますと時間がかかりますからやりません。しかし、あなたのおっしゃっているような思想の立場に立ったとしても、三十二年にさかのぼることは可能ですよね。さかのぼって葬祭料を出すことはできないのですか。私は可能だと思いますよ。だからその点については、きょうはもう時間もございませんからこれで終わりますけれども、ただ、一度あなたも議事録を読み返しておいていただきたいと思うのですが、去年この措置法がかかりましたときの委員会論議で、この国家補償論を議論しているのですよ。国家補償論を議論しましたときに、園田厚生大臣は私の言っていることを否定はいたしません。否定はしないけれども、厚生省としての立場もある、だから全体を含めて検討さしてくれ。その検討の結果もきょうは聞く時間もございませんけれども、そういう議論を経てきておるわけですよ。ただ私は、そのときに葬祭料を出した張本人ですから、この死没者――戦時の死没者は防空従事者扶助令で救済できるとしても、それから三十一年まで、この約十年間の人たちは、原爆医療法もなくて、まさに貧困の中でろくな治療も受けられずに、みんな死んでいっておるわけですよ。一体この人たちには国として何がしてやれるのか、三十二年以降の人たちについては明確である、そういう議論をいたしましたら、調査をするのがむずかしいとおっしゃったのですよ。そこで、一昨年の原爆被爆者の実態調査の中で、なぜ死没者の実態調査をなさらなかったのですか、医学上も必要なんだ、こういう話をしたら、そのときの委員会の結論は、そのことを含めて十分検討するということになっているはずです。それをやらないと葬祭料の支給ができないという立場に立ったからです。それも検討しようということになっておる。  私はきょうここに総理府の統計局をお呼びしておるわけです。きょうそこまで話を深めていきたかったのですけれども、もう何としても予鈴がなりまして時間がございません。総理府の人にはたいへん御迷惑をかけましたけれども、また次の委員会でひとつ御相談したいと思います。したがいまして、大臣には、そういう過去のいろいろな審議の過程がございますから、きょうあらためて突然この問題が出ておるわけじゃないのですから、同じことを繰り返しておりますと時間もたちますので、そういうことを十分ひとつ御検討をいただきまして、やはりこうした法律が出てくるにあたっては、それなりの国家的な、国民的な、あるいは社会的な要請にこたえてやる措置として出していくのですから、できるだけ全体に広く行き渡っていくような措置を果たしていただかなければ、そう理解できるような答弁をしていただかなければ、なかなか審議は進まないと思います。そういう意味できょうはこれで終わりますけれども、次にはその問題から入ってまいりますので、そこらあたりを含めて最後にひとつ御見解をいただいておきたいと思います。
  222. 竹内黎一

    ○竹内委員長代理 大臣、答弁なさいますか。――次回は五月六日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十三分散会