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1969-04-10 第61回国会 衆議院 大蔵委員会 18号 公式Web版

  1. 昭和四十四年四月十日(木曜日)     午後五時十四分開議  出席委員    委員長 田中 正巳君    理事 金子 一平君 理事 倉成  正君    理事 毛利 松平君 理事 山下 元利君    理事 只松 祐治君 理事 村山 喜一君       大村 襄治君    奧野 誠亮君       木野 晴夫君    河野 洋平君       笹山茂太郎君    正示啓次郎君       地崎宇三郎君    西岡 武夫君       坊  秀男君    本名  武君       山中 貞則君    阿部 助哉君       井手 以誠君    久保田鶴松君       平林  剛君    広沢 賢一君       吉田 之久君    田中 昭二君  出席国務大臣         大蔵大臣臨時代         理         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      菅野和太郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  上村千一郎君         大蔵省国際金融         局長      村井 七郎君  委員外の出席者         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 四月八日  委員西岡武夫君辞任につき、その補欠として石  田博英君が議長の指名で委員に選任された。 同日  委員石田博英君辞任につき、その補欠として西  岡武夫君が議長の指名で委員に選任された。 同月十日  委員河村勝君辞任につき、その補欠として吉田  之久君が議長の指名で委員に選任された。 同日  委員吉田之久君辞任につき、その補欠として河  村勝君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 四月四日  音楽等の入場税撤廃に関する請願(天野光晴君  紹介)(第三〇〇四号)  同(河上民雄君紹介)(第三〇〇五号)  同(木野晴夫君紹介)(第三一二四号)  同(山内広君紹介)(第三二〇四号) 同月七日  音楽等の入場税撤廃に関する請願(天野光晴君  紹介)(第三三六八号)  同(粟山ひで君紹介)(第三三六九号)  同(山本幸一君紹介)(第三三七〇号)  同(米内山義一郎君紹介)(第三三七一号)  入場税減免に関する請願外四件(永山忠則君紹  介)(第三三七二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月七日  火災共済協同組合強化のための税制改正に関す  る陳情書(十都道府県議会議長会代表東京都議  会議長大日向蔦次外九名)(第二八四号)  信用組合の監督指導に関する陳情書(名古屋市  千種区千種通り不動信用組合純預金者再建会長  江藤恒久外三名)(第二八五号)  入場税の撤廃に関する陳情書(東京都中央区銀  座七の三日本演奏連盟藤原義江)(第三二六  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に  伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第三号)  国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律  の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)      ――――◇―――――    午後五時十四分開議
  2. 田中正巳

    ○田中委員長 これより会議を開きます。  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案、及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議額といたします。  両法律案については、すでに質疑は終了いたしております。  これより両法律案について討論に入ります。通告がありますので、これを許します。広沢賢一君。
  3. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 私は、日本社会党を代表して、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論をするものであります。  言うまでもなく、今回のIMF改正の最も本質的な点は、SDRの創設であります。このSDRについて、政府・与党、新聞、学界の一部では、これを国際通貨の流動性不足を補うもの、第三の通貨の創造であると理解しています。はなはだしきに至っては、金の廃貨を目標とする人類の英知の産物であるかのような、とぼけたことを言う閣僚までおりました。こうした言い方は、ただ単にそうした言い方が単純な間違いであり、一時世間をごまかすというだけではなくて、今後の日本経済、ひいては世界経済の運用、発展にとってきわめて危険な考え方であります。  というのは、第一に、SDRがになうべき歴史的な役割りを明らかにすれば、このことは明瞭となります。すなわち、政府の説明、新聞の論調では、SDRは国際通貨の流動性の不足を補うものと頭から信じております。この場合、おそらくその人たちは、単純に物理的な貨幣用の金を想起しているのだと思いますが、今日の世界経済の実態は、IMF総会での討論、特にドゴールをはじめとして、EEC諸国側の主張で明らかなように、むしろ金に対して基軸通貨であるドルが過剰になっている。EEC諸国においては、金に対してドル残高が多過ぎて困っている点に問題がある。このことはだれも否定し得ないと思います。  なぜこのようなことが起こったのか。キーカレンシー・ドルの基軸通貨国であるアメリカが、戦争直後、金をほとんど独占していた状態から、いまは反対に、アメリカに金保有は少なく、ドル債務が多く、そしてヨーロッパその他の諸国に金とドル保有が偏在しているという、こういう変化がなぜ起こったのか。それは、長年にわたるアメリカ帝国主義の世界における反共軍事基地体制、これを維持するためのドルの対外軍事、経済援助支出、さらに世界企業などの資本進出及び赤字予算の半分を占める軍事支出の継続、そしてこれによる慢性的な静かなるインフレの進行、さらにこれらから基因する最近のアメリカの国際競争力の弱化、貿易収支の黒字幅の減少等々によることはだれが見ても明らかであります。したがって、去年ドル、ポンドの危機、国際通貨体制に大ゆれが来たとき、ドゴールをはじめEEC諸国は、陰に陽にドルをささえる条件として、ベトナム戦争の停止を要求し、これらが重なり合ってジョンソン大統領のベトナム戦争終結宣言の一つの原因になったことは、世論でも認めているところであります。  さらにまた、根本的にいえば、世界の資本主義全体が、第二次大戦後、それぞれの国内で激しい恐慌を避けるために、管理通貨制による慢性的インフレ操作が巧みになりました。これが大蔵省、日銀のいういわゆるフィスカルポリシーの実態でありますが、このようにして、国の内外を通じて通貨不安の根源となるインフレの問題に手をつけず、それから発生する表面的な現象に対してのみ対策を講ずるのは本末転倒といわなければなりません。  さらに、具体的にドルについていえば、最近のアメリカの国際収支の改善というのは、西ドイツなどの中期債券の協力などによる一時的な資本収支の改善によるもので、基本的、長期的には、貿易収支の黒字幅減少、赤字への傾向が見られる、よくない傾向であることは、これもだれでもが認めているところであります。しかもその上、ニクソン大統領就任以後、ベトナム戦争の終結は一向に進まず、軍事予算でもミサイル要撃ABMの予算を大幅に盛り込むなど、基本政策については何ら改善の徴候はないのであります。  その際に、このSDRによって、本委員会及び外務委員会の審議で十分に明らかになりましたように、国際収支赤字国のアメリカのドル債務残高を黒字国であるEECやあるいは日本などがSDRという信用ワクの設定によってこれを一時救う、ドル債務たな上げにするということを安易に唯々諾々としてやってごらんなさい。アメリカは、みずからが招いた原因について反省の色なく、または薄くして、見せかけの緊縮、改善の努力をむしろゆるめて、SDR発動の幻想の上にまたあぐらをかいてしまう、そういうおそれが多分にあるのであります。そうなれば、SDRはまさにやぶをつついてヘビを出すのたぐい、国際通貨不安について根本的解決を招くどころか、むしろ潜在的に悪化する結果となるのであります。  今日、二、三百億ドルに及ぶ巨額なドル怪物、ユーロダラーという短資が金投機をねらってヨーロッパを往復しているのであります。このようなときに、SDR創設による新しい信用ワク設定の額は、本委員会の審議でも明らかにされましたが、俗に予想されるところでは、五年間に百億ドル、一年間に二十億ドル、これを各国のIMF出資割当で計算すれば、アメリカは四億九千万ドル、現在BISから四十億ドル借金しようとしているイギリスは二億二千万ドル、日本においてはわずか七千万ドル。これを百五十億ドルの貿易規模に比較しても、額からいっても子供だまし、または気休めの材料にしかならないといわれています。こうした気休めで、本来の国際通貨不安の根本的な原因、矛盾が解決されるのを一寸延ばしに延ばしまして、アメリカのドルの改善に結果として逆の効果を招くようなSDRの創設に国民が幻想を抱かぬよう厳重な警告を発することこそ、真の日本経済、世界経済発展のために必要なことである、野党第一党としての社会党の真の義務であると思うのであります。  以上が反対の第二の理由であります。  第三には、直接的な日本自体の国益の上からであります。日本自体、SDRの創設により約七千万ドルの信用ワクがふえるからいいではないかという単純な議論があります。しかし、それは目先のわずかな利益に目をくらまして、危険なドルの主人とともに、将来何らかの形の金価格改定に伴う激変に際して、みずからアメリカとともに落とし穴に落ち込むのたぐいであります。そうではなくて、本委員会では、われわれの質問に対して福田大蔵大臣が御答弁されたとおり、今日の三十二億ドルに及ぶ外貨保有のうち金保有はわずか三億三千万ドル、これは以前の二十億ドル台に比較しても、また外国の比率と比較しても、圧倒的に金保有が少ないのですから、第一に金保有分をふやす、これがまず必要なことであります。  今日の無政府的な資本主義の生産、各国の不均等な発展と激しい競争のもとにあるいわゆる自由経済体制のもとにおいて、統一した中央政府や銀行が世界に存在しない、また存在し得ないことが明白な今日、金の裏づけのない国際的な管理通貨などというものはあり得ないのであります。金は無政府的な資本主義世界経済にあっては、これら自由経済を自然的、盲目的に調整する物質的基礎であります。世界的なインフレに対する金の物理的不足は、当然に何らかのいわゆる金価格の引き上げによって調整されることは、これも経済的な必然性であります。こうした経済の最も基礎的な法則を忘れて、政府内において頭でっかちの官僚が、金は子供を生まないから重視する必要はない、SDRこそ金の裏づけのない新しい第三の通貨、それは国際管理通貨体制確立の第一歩であるというがごとき迷想を政府並びに国民に植えつけることは、きわめて危険なことであります。国際通貨における金の役割りは、すでにIMF総会における討論の大勢、シュバイツァー常任理事の言明及び今次IMF改正案におけるEEC側の主張が大きく盛り込まれた諸点を見ても、何人もそのことを認めなければなりません。  さらにまた、金保有分の増加がむずかしいときは、マルクその他ドル、ポンド以外の部分をふやす等の努力は、治にいて乱を忘れずのたとえどおり、あすは何が起こるかわからない、日銀総裁が言うとおり、今日の国際通貨不安の現実を考えるとき、為政者はこのことにもっとつとめるべきであります。  最も肝要な点は、日本経済、貿易構造のドル依存からの脱却の道を、長期計画をもって着々と進めるべきことであります。たとえば、戦前はわが国貿易の三分の一を占めていたソ連、中国、北朝鮮など社会主義諸国との貿易は、これらの国々の通貨価値の安定状況を見るとき、そしてわが国の貿易構造が重化学工業中心となり、アメリカとは競合状態になり、むしろ発展途上国とは、わが国のプラント輸出に対して、これら諸国の十年、二十年払いの原料、食糧の供給が行なわれれば、それこそ一種の最も確実な、物による外貨保有の一つであると考えられますし、またマーク保有を含めて、これらの創意くふうによってわが国がドル一辺倒の経済より脱却することが、今日の国際通貨不安に対する最も根本的なわが党の対案であると確信するものであります。  次に、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について、反対の第一の理由は、低開発諸国に対する経済援助のあり方と効果に関してであります。  インドに対しても、またパキスタンに対しても、それぞれの国の主権と政治的独立はもちろん尊重されなければなりませんが、しかし、封建的な大地主制度、時代錯誤の身分制度が資本主義経済の発展をも妨げ、ゆがめていることに対して、いかに近代的な道路を広げ、交通運輸、工業、林業、投資援助を行なっても、それはその国の経済を救い、国民生活を飢餓や疫病から救うことにならないのであります。または、その効果はきわめて薄いものであることは明らかであります。したがって、もし融資援助をするならば、それは国連の経済社会発展の機構を通じて、かつてアメリカのニューディーラーが行なったように、その国の経済社会の進歩、その発展の法則に応じ、これを促進する改革案をつくり、援助が効果あるためには、これを前提とし、並行して行なうものでなければなりません。IDAにはこれが欠けており、むしろアメリカの世界における旧体制維持に間接的に奉仕するきらいを持っている、これに対して、単なるおつき合いとして無思想に国民の大切な資金を支出することは、わが国民のためにも、援助を受ける諸国民のためにも、十分に役立つものとはいえないのであります。  さらにまた、最後にわれわれは、最近の佐藤内閣の対外援助、対後進国貿易の基本姿勢について、強い警告をせざるを得ないのであります。すなわち、最近日本経済は、資本主義世界で西独をしのぐ資本主義世界第二位の経済力を持つに至った。したがって、その対外援助は日本の義務として国民所得の一%をさくべきであると、外務大臣までも申しております。しかし、そのやり方が、さきの関税定率法改正案にも見られるように、韓国の安い労働力を利用して加工貿易方式を行なうとか、余分の質のよくない米を押しつけるとか、あるいは旧財閥系商社の進出、出先軍閥、地主など、支配勢力との政商的結合等に見られることは、アメリカの軍事力、経済力を利用して、さらにこれを補完し、代位し、補足するものとして、形を変えた新しい資本主義的、帝国主義的膨張を再現するものではないか。  実際に来年、再来年に自動車、家庭電気器具、鉄鋼、繊維等においてかげりが生産過剰、供給力過剰としてあらわれ、世界貿易の頭打ちがあったとき、その余った巨大な経済力はどこに行くか、社会的にも多くの不安と予感がうわさされているのであります。もしそれが新しい植民地的低開発国進出となれば、それが日本経済、日本の貿易の中に定着したときのことを考えると、それらの予感、予想を、あながちイデオロギーじみたものと片づけることはできないのではないでしょうか。  かつて戦前、軍閥によって満州は生命線であると国民は教え込まれてきました。戦争が終わって、満州は生命線でなく、狭い日本国土の中で農地改革、労働組合法や平和憲法に象徴される制度改革によって、かくも日本経済の発展は盛大となりました。経済は量的拡大または対外膨張によってではなく、質的な社会制度の改革によってこそ真の発展が保障される。このことは、すべての国、すべての時代にいえることであろうと思います。  IDA反対討論にあたり、与野党の全委員にこのことを訴えて、討論を終わります。(拍手)
  4. 田中正巳

    ○田中委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  まず、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  5. 田中正巳

    ○田中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  次に、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  6. 田中正巳

    ○田中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 田中正巳

    ○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  8. 田中正巳

    ○田中委員長 次回は、明十一日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十分散会