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1968-12-14 第60回国会 衆議院 予算委員会 1号 公式Web版

  1. 本国会召集日(昭和四十三年十二月十日)(火曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次の通 りである。    委員長 井出一太郎君    理事 小川 半次君 理事 北澤 直吉君    理事 二階堂 進君 理事 藤枝 泉介君    理事 加藤 清二君 理事 中澤 茂一君    理事 小平  忠君 理事 広沢 直樹君       相川 勝六君    植木庚子郎君       臼井 莊一君    浦野 幸男君       上林山榮吉君    仮谷 忠男君       川崎 秀二君    黒金 泰美君       小坂善太郎君    坂田 英一君       田中伊三次君    田中 正巳君       中野 四郎君    灘尾 弘吉君       西村 直己君    野田 卯一君       野原 正勝君    福田  一君       船田  中君    古井 喜實君       松浦周太郎君    松澤 雄藏君       松野 頼三君    八木 徹雄君       石橋 政嗣君    大原  亨君       川崎 寛治君    北山 愛郎君       久保 三郎君    阪上安太郎君       田中 武夫君    楢崎弥之助君       畑   和君    山内  広君       山中 吾郎君    横山 利秋君       麻生 良方君    塚本 三郎君       浅井 美幸君    石田幸四郎君       松本 善明君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十三年十二月十四日(土曜日)    午前十時九分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 小川 半次君 理事 北澤 直吉君    理事 二階堂 進君 理事 藤枝 泉介君    理事 加藤 清二君 理事 中澤 茂一君    理事 小平  忠君 理事 広沢 直樹君       植木庚子郎君    臼井 莊一君       浦野 幸男君    大村 襄治君       上林山榮吉君    仮谷 忠男君       川崎 秀二君    黒金 泰美君       櫻内 義雄君    田中伊三次君       田中 正巳君    中川 一郎君       中野 四郎君    灘尾 弘吉君       西村 直己君    野田 卯一君       野原 正勝君    福田  一君       古井 喜實君    松浦周太郎君       松野 頼三君    八木 徹雄君       大原  亨君    川崎 寛治君       北山 愛郎君    久保 三郎君       阪上安太郎君    田中 武夫君       多賀谷真稔君    楢崎弥之助君       畑   和君    森本  靖君       山内  広君    山中 吾郎君       横山 利秋君    河村  勝君       麻生 良方君    塚本 三郎君       浅井 美幸君    渡部 一郎君       松本 善明君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 西郷吉之助君         外 務 大 臣 愛知 揆一君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 坂田 道太君         厚 生 大 臣 斎藤  昇君         農 林 大 臣 長谷川四郎君         通商産業大臣  大平 正芳君         運 輸 大 臣 原田  憲君         郵 政 大 臣 河本 敏夫君         労 働 大 臣 原 健三郎君         建 設 大 臣 坪川 信三君         自 治 大 臣         北海道開発庁長         官       野田 武夫君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)保利  茂君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      床次 徳二君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)         (行政管理庁長         官)      荒木萬壽夫君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 有田 喜一君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      菅野和太郎君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      木内 四郎君  出席政府委員         内閣官房副長官 木村 俊夫君         内閣総理大臣官         房審議室長   橋口  收君         内閣法制局長官 高辻 正巳君         内閣法制次長  吉國 一郎君         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         総理府特別地域         連絡局長    山野 幸吉君         警察庁刑事局長 内海  倫君         警察庁警備局長 川島 広守君         防衛庁長官官房         長       島田  豊君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         防衛庁経理局長 佐々木達夫君         防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君         経済企画庁調整         局長      赤澤 璋一君         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         経済企画庁総合         計画局長    鹿野 義夫君         法務省刑事局長 川井 英良君         外務省アジア局         長       須之部量三君         外務省アメリカ         局長      東郷 文彦君         外務省条約局長 佐藤 正二君         大蔵省主計局長 鳩山威一郎君         大蔵省主税局長 吉國 二郎君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         国税庁長官   亀徳 正之君         文部省大学学術         局長      宮地  茂君         農林大臣官房長 大和田啓気君         農林省農林経済         局長      亀長 友義君         農林省農地局長 中野 和仁君         農林省畜産局長 太田 康二君         食糧庁長官   檜垣徳太郎君         水産庁長官   森本  修君         通商産業省鉱山         石炭局長    中川理一郎君         運輸大臣官房長 鈴木 珊吉君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君         労働省労政局長 松永 正男君         労働省労働基準         局長      和田 勝美君         建設省計画局長 川島  博君         建設省住宅局長 大津留 温君         自治省財政局長 細郷 道一君         自治省税務局長 松島 五郎君  委員外の出席者         参  考  人         (日本銀行総         裁)      宇佐美 洵君         専  門  員 大沢  実君     ――――――――――――― 十二月十一日  委員坂田英一君辞任につき、その補欠として櫻  内義雄君が議長の指名で委員に選任された。 同月十二日  委員石田幸四郎君辞任につき、その補欠として  渡部一郎君が議長の指名で委員に選任された。 同月十四日  委員相川勝六君、船田中君、石橋政嗣君、北山  愛郎君及び麻生良方君辞任につき、その補欠と  して大村襄治君、中川一郎君、森本靖君、多賀  谷真稔君及び河村勝君が議長の指名で委員に選  任された。 同日  委員大村襄治君、中川一郎君、多賀谷真稔君及  び塚本三郎君辞任につき、その補欠として相川  勝六君、船田中君、北山愛郎君及び麻生良方君  が議長の指名で委員に選任された。 同日  委員河村勝君辞任につき、その補欠として塚本  三郎君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  閉会中審査に関する件  参考人出頭要求に関する件  予算の実施状況に関する件      ――――◇―――――
  2. 井出一太郎

    ○井出委員長 これより会議を開きます。  まず、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  先般の理事会の協議に基づき、予算の実施状況について調査を行なうことにいたしたいと存じます。つきましては、この際、議長に対し、国政調査の承認を求めることとし、その手続は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井出一太郎

    ○井出委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  直ちに委員会において所要の手続をとることといたします。      ――――◇―――――
  4. 井出一太郎

    ○井出委員長 この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  予算の実施状況について、本日午後一時、日本銀行総裁宇佐美洵君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 井出一太郎

    ○井出委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。幸
  6. 井出一太郎

    ○井出委員長 それでは、これより予算の実施状況について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。多賀谷真稔君。
  7. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、当面する内外の問題について質問いたしたいと思います。  まず、佐藤総理のアジア外交の基本姿勢についてお尋ねいたしたいと思います。  総理は所信表明において「ベトナムにおける北爆の全面停止が実現し、政治交渉の糸口が開かれたことは、過去数年間、アジアにおける最も大きな不安定要因であったベトナム戦争が、ようやく終息の時期に入ったことを示すものであります。われわれは、和平の機運が動きつつあることを心から歓迎し、今後とも、わが国独自の役割りを果たしてまいりたいと考えます。」と述べられておりますが、ベトナム戦争は一体いかなる性格の戦争であったか、総理はどういうようにお考えであるか、まず質問いたしたい。
  8. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 お答えいたします。  わが国の基本的外交方針は、善隣友好、平和外交に徹する、この一語に尽きると思います。このことはたびたび申し上げたので、もうすでによく御承知のことだと思います。  ベトナム戦争は一体どういう性格のものか、こういうお尋ねでありますが、これは、御承知のように、ベトナムに一度和平が来た、ジュネーブ会議で、そういう安静というか、鎮定さすその状況のもとにおいてそれが守られなかったというところに原因があった、かように私は思います。
  9. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そのジュネーブ協定が守られなかったところに原因があるわけですか。
  10. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私はさように考えます。
  11. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 なぜ守られなかったか、どこの国が守らなかったか質問いたしたい。
  12. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私は、さような点については詳しくは知っておりません。
  13. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ジュネーブ協定というのは、関係国は御存じのように調印をした、しかしアメリカは調印をしないで出ていったわけでありますが、後に尊重すると声明をしたわけです。そのジュネーブ協定がなぜ守られなかったか。私は、もう少し端的に聞きますならば、一体これは民族独立運動と考えておるのかどうか、これを総理から率直にお答え願いたい。
  14. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 それぞれにそれぞれの言い分があるだろうと思います。私は、いま、そのどちらがいいとかどちらが悪いとか、かようなことを申し上げる必要はないと思います。現実に戦争が行なわれたというその事実を認め、そうして今日北爆停止、それから話し合いに入っておる、こういう事実をそのまま認めればいいんじゃないですか。
  15. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 いまベトナム戦争における世界の共通の認識は、どういう認識をしておりますか。
  16. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 共通の認識は、一日も早く平和が招来することを心から願っております。そういう意味で、ただいまのパリにおけるいろいろの会談が非常にみんなから歓迎され、そうしてそれに期待をかけられておる。
  17. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は、このベトナム戦争の性格を十分把握しなければアジア外交はできないと思うのです。ウ・タント国連事務総長は、昨年の七月、次のように言っておる。すなわち、ベトナム戦争をある一定のイデオロギーに反対するための聖戦だとする見方は正しくない、これは共産主義ではなく民族主義である、すべての外国の勢力を排除しようとするベトナム人の抵抗運動である、彼らは共産主義勢力を浸透させるためではなく、民族の独立をかちとるために戦ってきたし、戦い続けている、アメリカとその同盟国が、ベトナム人の戦いが共産主義侵略によるものではなく、民族独立を目的としたものであることを理解しない限り戦争は終結しないと思われると、こう言っておるんですよ。私は、これは世界共通の認識だと思う。これに対して私は端的に、一体共産主義侵略の抵抗の戦いである、あるいは民族独立運動である、こういうように考えるのかどうか、そのいずれを選ぼうとするのか、これをお聞かせ願いたい。
  18. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私は、それぞれの立場においてそれぞれの言い分があると思います。ウ・タントさんの言い分も、これも一つの言い分でありましょう。主張でありましょう。私は、ただいまそういうことについての是非善悪を言うよりも、とにかく起こっている戦争、これを一日も早く終息さすことが一番の大事なことだと思います。それぞれがそれぞれの主張に立ってその主張を通そうとするところに戦争が起こり、戦争がやまない、そういう理由があると、私はかように考えます。
  19. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は、もう一つ事実を指摘いたしたいと思います。  総理の特使たる山本俊一氏が、民族解放戦線は北ベトナムや中国とは関係がない、と言ってアメリカの議会で問題になりました。あなたが出された特使の報告でもそうなっておるじゃありませんか。この認識をはっきりしておかないと、今後あなたが幾ら善隣外交であり平和外交であると言われても、アジアにおける外交政策の基本ができないわけです。それをいいかげんにしておくところに問題がある。もう一度御答弁願いたい。
  20. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いま、私の特使山木…… (多賀谷委員「松本俊一氏」と呼ぶ)松本俊一、私はさような特使を出したことはございません。
  21. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 前英国大使、国会議員でありました、総務副長官もおやりになりました松本さんを、あなたは総理の特派として出されたじゃありませんか。
  22. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 それは何か認識が違うようです。
  23. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 当時アメリカでも問題になり、日本でも帰朝報告を書きいろいろ問題を提起したわけですよ。その事実を否定されるならば、私は後日はっきりした証拠を示したいと思います。とにかく松本さんが行って、報告したことは事実である。問題は、あなたの特使であったかどうかの問題だと思う。  そこで私は読いて、総理はベトナム戦争の性格についてごまかそうとしておられますが、ごまかしていったのでは、ベトナム戦後に乗り出すなんといってもこれはできない相談である。これを私はその意味で聞いておるわけです。そこで、このベトナム戦争の問題について世界の人々がどう認識するか、ことにアジアの一員としてあなたは、アジアの平和と、安全ということを口々に言われておるけれども、その十分な認識がないと私は外交をあやまつと思うのです。ニクソンが「フォーリン・アフェアーズ」という雑誌に書いて次のように言っておる。要するにジョンソン大統領のベトナム戦争の批判をしておるわけですね。その批判は、ベトナム戦争そのものについては反省がない。しかも、アメリカはベトナムに介入し、断固として踏みとどまることによって、アジアで共産主義が将来の波でないことを認識さした、それはプラスであった、インドネシアで反共主義者をふるい立たせ、日本を初めアジアの指導者はアジアの現在の政策を支持しておる、ただ介入の方法が悪かった、これが非常にまずかったと指摘しておるのですね。それは共産主義の侵略に対して、アメリカひとつが前面に出て、アメリカの戦争としてしまったところに問題がある、今後は、共産主義の脅威に対して一国が援助を求めても直ちに応ずることなくまず、これらの地域の国家がみずからの力で共同の努力をし、地域防衛の共同体を形成し、その共同体の要請によってアメリカは出動すべきである、その地域防衛の共同体は、アジア・太平洋地域閣僚会議、すなわちASPACを軍事強化したほうがいいと思う、日本は経済力の上昇とともに、外交、軍事面でアジアの指導的役割りを果たすに違いない、こう述べておるわけです。そこで、今後はそういう事態が起こるならば、まずアジアが共同防衛体をつくってそれに対抗する、そうしてアメリカが応援をする、アイクの言うアジア人はアジア人同士でまず戦わせる、こういう思想があらわれておる。それがいま問題になっておるアジア共同保障機構であります。これは、彼が昨年の十月雑誌に書いただけでなくて、今度の大統領選挙においても各地で演説をしておる。一体これについてはどういうようにお考えでありますか。
  24. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 これは本会議でも一部説明をいたしましたが、ニクソン大統領が来年一月二十日に就任されます。就任後どういうような発言をし、どういうような行動に出るか、これはそれから後の問題だと思います。いわゆる在野時代にいろいろの話をしている、それを一々とって私が批判することは、これはいかがかと思います。したがいまして、「フォーリン・アフェアーズ」に出たというその記事、それを相手にしていまここで議論することはいかがかと思う。ただ、直接関係のあります、ASPACを軍事同盟にする、こういう問題につきましては、もうこれも本会議で説明いたしましたが、ASPACに加入しておる各国は、これを軍事同盟にしない、こういう考え方ははっきりしておりますので、その心配は私はないと思っております。また日本に関するいろいろの、日本にかくしてほしいとか、こういうことが望ましいとか、かように申しましても、日本にはりっぱな憲法がありますし、日本はその憲法を守って、自主的な独自の独立国家としての行き方をしております。したがいまして、ただいまのニクソンさんのいろんな御意見に、私はいま心配はないんだ、かように実は思っております。したがいまして、その点では本会議で説明したとおりでありますし、とにかく、要は、これからニクソンさんが政権をとって、そうしてニクソン大統領のもとでどういう具体的政策をとるか、それを見るのがしかるべきじゃないかと思う。そして私は、日本は独立国家としての、皆さん方もともどもに主張される自主的な外交を進めていく、そうして基本的な線を守っていく、これが私どもの仕事だと思っております。したがって、そういう点では皆さんからも御鞭撻をいただき、私は自主的な外交を進めていく、このことをこの機会にはっきり申し上げておきます。
  25. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ASPACを軍事機構にはしないということは、これはどの国も一致した意見である、こうおっしゃっていますけれども、第三回のASPACの会議でも、フィリピンの代表は、やはり軍事機構にすべきである、こう主張しておる。あるいは韓国も最近御存じのように、ベトナム参戦国は共同して集団安全保障条約をつくるべきであるということも主張しておると新聞は伝えておる。ですからあなたは、ASPACは軍事化しないのだという関係国の一致した意見だというけれども、それは三木さんが行かれて一応そういうことにはなっているけれども、いっそういう主張があるかもしれない。これは非常に私はその危険性をはらんでおると思う。しかも、ニクソンがあれだけ各地において大統領選挙でいわば公約をしておるわけであります。一体ニクソンがそういうようなことを要請してきた場合にはどうするのか、あるいはASPACの会議において関係国からそういう声が出た場合にはどうするのか、これをお聞かせ願いたい。私が国民とともに非常に心配をしておるのは、これはニクソンと佐藤総理がよく似通った性質であるというところに心配をしておるわけです。某大新聞の社説に、ニクソン、佐藤総理が似通った体質であることも今後の交渉に有利であろう、これは佐藤派の某側近幹部が語ったところです。これは新聞でお読みになっているところでしょう。問題は、私たちはその同じ性格に不安を持つのです。国民も不安を持っておるのだろうと思う。ですから、その点について明快な御答弁を願いたい。
  26. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いろいろ御心配をされ、またいろいろの仮定をつくり、そうして、そういう場合にどうするか、こういうようなお話でございますが、先ほど私が申しましたように、私は独自の日本外交を進めてまいります、このことをはっきり国民の皆さま方にお誓いをいたしますし、また皆さん方も、もし私が間違っておったら、そのときにひとつうんとしかってください。(「そのときではおそいよ」と呼ぶ者あり)そうして、そのとき間に合わない、かようにおっしゃるが、そういう点を間違わないように、私をひとつ指導していただきたい、これをお願いしておきます。
  27. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 その失敗したとき、あるいはそういう行動があったときにおしかり願いたいのではおそいのです。来年総理は渡米をされますが、あなたはニクソンからそういう要請は絶対ない、こういう確信ですか。
  28. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私は、よもやさようなことを考えるとは思いません。さようなことを言われるとは思いません。
  29. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これは外務大臣に。  アジアにおける集団安全保障条約というようなものがもしできたとすれば、これは憲法改正を要するのですか、どうです。
  30. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 かりにさようなことがありました場合には、さようなことになろうかと思います。
  31. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 なぜ私がそのことを聞くかといえば、あなたは憲法調査会に「憲法改正の方向」という意見書を出された。どうもこの内容を見ると、愛知起案になっておるのじゃないかと思うぐらい愛知調が各所に出ておる。まあ名文ですよね。その中に、憲法改正の必要として、現在の憲法では、「たとえば、海外派兵が事実上できないこと、いっさいの核兵器がもてそうにないこと、アメリカとの協力も万全ではないこと(原子力潜水艦問題など)、自衛隊の増強も思うにまかせないこと。」ということを指摘されておる。どうも佐藤さんに配するに愛知外務大臣ということになると、私たちは非常な不安がある。しかも、あなたは新しい問題の提起に対してどういうように対処されるのか、また、このこともあなたはいま考えられておるのかどうか、これをお聞かせ願いたい。
  32. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ASPACの問題にたとえば限定して申しますならば、ただいま総理大臣からお答えのとおりでございまして、ASPACは私の理解いたしますところ、参加各国におきましては軍事同盟的な考え方を全然考えてはおらぬ。またASPACの憲章と申しますか、規約等におきましてもさようなことは全然出ておりません。また今後におきましても、私は参加各国からさような意見が出てくるものとは思いませんし、またかりに、万々一さようなことの意見が出てくることがありましても、先ほど佐藤総理のお話しのとおりでございまして、現在のわが国の憲法下におきまして、また基本的なわが国の政策から申しまして、さようなことに賛成をすることは絶対にできない、かように私はかたく考えております。
  33. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これは今後の大きな政治課題でありますから、本日はこの程度にして、次に入りたいと思います。  総理は、所信表明演説で、「特に、和平実現に備え、政府は、インドシナ地域の復興と繁栄に寄与する方策を鋭意検討しております。」こう述べておられます。私は、ベトナム戦争を日本政府がいかに見るかということによってきわめてこれは重大な問題ともなると思うのです。この戦争の本質の評価が、ベトナムのみでなくて、先ほどから申しますようにアジア外交の分かれ目である、この戦争は明らかに民族解放戦争であって、他国の介入を防がんとする抵抗である、そのアジア人の正当な要求に対して武力で圧迫しようとしたところにアメリカの失敗がある、私はこう考えるわけです。  そこで私は、いまから、戦後のベトナムの繁栄、復興ということを言われておるけれども、一体日本はどういう役割りをしたんですか。私は、いま政府・自民党に一番欠けておるものは過去の戦争に対する反省がないということですよ。敗戦の責任者が戦後の内閣総理大臣になるという国は世界にない。しかも世界の歴史にない。日本人は西洋人に比べてきわめて淡白で寛大である。これは非常にいい面であるかもしれないけれども、戦争の反省というものは忘れてはならぬ。この反省があったならば、私は武力をもって他民族を圧迫しようとするアメリカに対して忠告ができたはずですよ。すでに日本は失敗をしておる。しかるに政府は、それはなるほど出兵こそはしませんでしたけれども、安保条約上、中立はあり得ないと、こう言っている。爆撃機の基地を提供した、あるいは武器を輸出した、そうして実際上はベトナム戦争に加担をした。でありますから、昨年十二月の一日にコペンハ一ゲンでラッセル卿のベトナム戦犯法廷というのが開かれた。この中に、ベトナム戦争の責任者は参戦国であるアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、フィリピン、タイとともに、非参戦国としてはたった一つ日本が戦犯国としてあげられておるわけですよ。でありますから、私は和平を願う前に、現在まだ南ベトナムに飛んでおるB52その他の撤去は一体どうするのか、和平後の話をする前に、まず現時点における戦争に対して、日本のささやかなる意思表示であるけれども、その程度は私ははっきりお断わりになったらどうか。そのくらいができずして戦後のことを語る資格はないですよ。一体どう考えておるのか、お聞かせ願いたい。
  34. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いま多賀谷君はたいへん重大なことを言われました。私はなるべく論戦を避けたいと思っていままで話をしていたのです。しかし、そのお話を聞いておると、民族解放ならば戦争よろしいのだ、こういうようにとれるような御意見でございました。私は、民族解放だろうが何だろうが、武力はこれをやめなければいかない。いまの戦争についてどちらが是か非か、こういうお尋ねがありましたが、私は、とにかく戦争のあることを、事実を申し上げて、どちらがどうということは言わない、かように実は申したのであります。しかし、おそらくこの問題は大前提として必要だということだから私申し上げますが、これはやはり民族解放というその立場において北から南に対する侵略があったからじゃありませんか。これを否定なさいますか。そういうものがあって、そうして戦争が起こったのではないですか。私は、さような戦争はよくないのだ、民族解放だろうが何だろうが、とにかく戦争はよくないのだ、これが私どもの立場であります。私どもは、ただいまそういう立場でいま中立的な立場にあります。北が日本を参戦国だと一部では言っているというようなお話がありますけれども、現に北と日本との間にも貿易は行なわれております。最近はまた、北からも舞踊団が日本に入って舞踊をやっておるじゃありませんか。交戦国にさような事態が起こるはずはありません。したがいまして、私は、いずれにいたしても、この戦争自体はやまなきゃならない。これは、民族解放戦線であろうが、どういう理由であろうが、戦争はとにかくやめるべきだ。これがわが国の新しい憲法の精神ではありませんか。国際紛争を武力によって解決しないという、これがわが国の第九条の精神だと思います。私はその精神に立ってものごとを見たいと思う。これは社会党の方も、われわれ保守党も、同じような考え方じゃないかと思う。こういうわが国のりっぱな憲法があり、その憲法のもとに育っておるわれわれが、その精神をやはり世界に続けていくことが、広げていくことがわれわれの使命ではないでしょうか。私はそういうことを考えまして、ただいまのようなお尋ねについてまことに残念に思います。私はあえて論争しようというのではありませんが、いかにもこの民族解放のための戦争は当然であるかのような言い方をされると、私はたいへんその点で遺憾に思います。  ただいまB52、これについてのお話がありました。B52はアメリカの施政権下にある沖繩から出ております。日本からこれが出ておるわけじゃありません。日本自身の問題ではありません。それらの点も十分お考えをいただきたい。われわれがB52について(発言する者多し)いろいろな意見をアメリカに申し出ておりますのは、B52がわれわれの同胞、沖繩県民にいろいろの不安を与える、それをとにかくやめてくれろという、これがわれわれのアメリカに対する要望であります。しかしながら、アメリカはただいま施政権を持っておる、この事実は無視するわけにはいきません。これらの点を十分誤解のないようにお考えをいただきたいと思います。
  35. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 民族がお互いに戦争するということは、同民族の場合、非常な不幸です。しかし、それかといって、同民族が内乱を起こしあるいは戦争をしておるのに、他民族が行って圧迫するというのはなお悪いじゃないですか。これはもう民族自決の精神に反しますよ。平和五原則に反しますよ。(「共産主義の侵略だ」と呼ぶ者あり)いま共産主義の侵略という、ああいう話をしているけれども、平和の問題これはイデオロギーの問題ではないのですよ。あなた方は平気で共産主義の侵略に対抗する、そのために軍備を持つというならば、これはイデオロギーで戦争をしているのですか、イデオロギーのために軍備を持っておるのですか。あなた方は資本主義を維持するために軍備を持っておるのですか。私はそういうことではないと思うのです。そこで、私は同じ民族が血で血を争っている気の毒な問題を異民族が行って火をつけるということはいけない。これは非常な不幸なことを助長さしたものです。だからフランスだって手を引くし、その二の舞いをアメリカがまた、して、失敗をしておる。しかも舞踊団を日本に来さしたというけれども、何ですか、あれは。人数を制限したり、一体、半分にすれば内乱でも起こらぬと思うのですか。人数をけちなことをして、一セットある舞踊団を人数を減らして、この人数なら入れるとか、全くいやがらせもはなはだしいと思うのですよ。しかも、日本の施政権の問題ではないというけれども、先ほどから話がありました沖繩の問題ですよ。日本人ですよ。日本人の問題じゃないですか。私は先ほどの問題、すなわち、一体平和とか安全という問題は、体制の対立の問題ですか、もう一回聞きたい。要するに、共産主義侵略のために日本は武器を持って防衛をするのですか。これは国内の問題ですよ。これは民主主義で、国内の人民が解決する問題ですよ。それをまず一点聞きたい。あなたはあちらこちらに、共産主義侵略に備えると日米共同声明にもある。これをまず聞きたい。次いでB52。そうしてあんないやがらせの、舞踊団を人数を削減するなんというけちなことはしない、これらを御答弁願いたい。
  36. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 日本の問題は、これははっきり、日本は憲法のもとにおいて、みずからが自衛するといいますか、自衛権は放棄していない。したがって、外国の戦争に巻き込まれるようなことはしておりません。先ほども、いろいろとASPACその他の問題についてお話がありましたが、わが国が、日本の憲法のもとにおいては、外へ出ないという、それはもうはっきりしている。だから、この問題については誤解がないと思います。私どもが外国に対していろいろ武力干渉するとか、武力的にそこへ出ていくとか、そういうことのないこと、これはもう御承知のとおりであります。問題は、ベトナムでどういう戦争が行なわれているか、こういうことから、いまのような議論をしたわけです。ベトナムにおいて戦争が行なわれておることは、私どもはアジアのためによろしくない、したがって、今日の和平の糸口が見つかったこと、パリにおける会談に非常な期待をかけておる、かように申しておるので、これで尽きると思います。ただ、私が先ほど議論をいたしましたのは、皆さん方から、どちらがいいと思うかというようなお話まで出てきている。だから、それについて私は、ただいまどうも侵略、これはどんな理由があろうとよくないんじゃありませんかということを申し上げておる。だから、これでもう、その点はおわかりだと思います。(「国外のことだよ」と呼ぶ者あり)私は、国外のことについては、日本自身のペースを守っておる限りにおいて問題はないんだということをはっきり申し上げたいと思います。  それからB52については、先ほど来申しますように、同胞県民のためにその不安を除く、これが私どもの政府の役目だ、かように思っております。
  37. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 長州出身の佐藤総理ですから、それはやはりアメリカに明治維新のことを聞かしたらいいですよ。外国人がいずれかのほうの味方をしたら、たいへんなことになっておったでしょう、日本は。それと同じですよ、ベトナムは。たいへんなことにしてしまったのですよ。ですから私は、その国内における問題は、その民族で片づけさすということが必要じゃないかと思うのです。  そこで、私は最近非常に遺憾に思うのは、ベトナム和平ということになると、急にみんな和平をいままで推進したような顔をするし、また戦後の問題をすぐ引っぱり出す。まだ和平会談が進んでおる。しかも日本においては、三木さんはインドシナ復興援助資金というものを述べられた。あるいはアメリカは、リリエンソール報告という一コンサルタントの報告書を持ってきて発表した。それを、また日本の経済調査協議会も、ベトナム情勢の変化とその経済的効果という一種の戦後の提言をしておる。しかし一体私たちは、安易に戦後を論じて、しかもこれは第二の特需のような顔をして、ベトナム戦後の復興計画をいち早くつくったりするというのは、少し慎しむ必要がある。これは、エコノミックアニマルというあれだけの批判を受けておる日本が、また再び冷笑を買う結果になる。そこで私は、そういったことについては十分政府で――それは気持ちはいいですよ、気持ちはいいけれども、すぐ第二の特需だというようなことで、和平は株は買いだという、そういうものの考え方は、やはり慎しまなければならぬ、こういうように考えるわけです。一体政府は、このベトナム和平ができた後の政権というものはどういうように考えておるのか。これをぜひお知らせ願いたい。
  38. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 まあ先を急いで、ベトナム和平後の政権はどういうものができるか、こういうお尋ねでありますが、私どもにもまだそれはわかりません。これからどういうような形でこの話が和平、それに結びつくか、いまようやく糸口が見つかったというだけで、本格的な会談もまだ始まっておらない、こういう状況でありますから、そういう際に申し上げることはいかがかと思います。ただ私は、いまエコノミックアニマルというようなことばが出ましたから、それで申し上げるわけでもございませんけれども、いままで日本は一体何をしてきたか、こういう点がいろいろ御心配であろうと思います。私どもが戦争に積極的に関与しないこと、これはもうすでに申し上げたとおりであります。戦争には協力しない、戦争には参加しない、しかしながら平和への戦争は、われわれは積極的にこれに取り組む、これが日本の態度だと思います。したがいまして、私ども、いま表面には出ておりませんが、いままでも、これらの関係におきまして平和への道が見つからないという、そういう意味で陰ながら心配しておる点は、おそらくその関係の方々は御承知のことだと思います。またそれが実を結んだと私は申しません。しかし何らかのやはりお役に立っておる、かように思っております。同時にまた、この戦争が済んだ後に、いろいろ平和機構、そういうものがおそらく考えられるだろう、そういうことにつきましても、求められればわれわれも、われわれの法令上許す範囲におきまして、やはり平和の監視、そういう点にも協力すべきではないか、そういう点も私どもは内々いろいろ準備はいたしております。  それからその次の問題が、ただいまのような協力の問題であります。しかし私は、ただいま日本自身が、いわゆるかつてのエコノミックアニマル、こういうような批判からだんだん脱しつつある。そうして南方諸国の連中も日本の経済的協力を求めておる、こういう姿を実は喜んでおるような次第であります。私は、まあせっかくこういう問題が、幸いにして平和が出てきたら、われわれはできる範囲において応分の経済協力をすべきじゃないないか、したがって日本だけでやるというわけではございません。これは必ず他国と協力して、日本だけがいいことをする、こういうようなことにならないように誤解を残さないようにしたいと思います。そういう意味で、この点ではすでに触れたように思いますので、重ねては申しません。
  39. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は、とにかく南北の分断を固定化したり、中立を妨げるような行為はすべきでない、そうして戦争の教訓の上に立って、真に民族国家の完成のために努力をすべきである、かように考えるわけです。これに対する総理の御所見を承りたい。
  40. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 まあ私どもはどこまでも民主主義的な行き方を考えておりますので、民主主義的に民族が一国を形成すること、これはたいへん望ましいことだ、かように考えております。
  41. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そこで私は、このベトナム和平が、会談がだんだん進んで、いよいよ調印の運びになるということを想定しますと、ジュネーブ方式をとるかどうかわかりませんけれども、すなわち、関係国は必ずその了解をしなければならぬ。それで、共同的に調印をするかあるいは個別的にやるか、そういう点はわかりませんけれども、とにかく問題は、私は中国を抜きにしては語られないと思うのです。そこで、アメリカはおそらく中国との会談を進めるであろう、このことは十分考えておかなければならぬことである。いますでに御存じのようにワルシャワにおいては、いままで中断をしておりました米中大使会談が再開されようとしておる。でありますから、私どもはアメリカの片棒ばかりかついで馬車馬のようにアメリカの進路を探りながら走っておると、かつて北爆停止の際における南ベトナム政府のろうばいぶりと同じことが日本においても行なわれる心配がある。私は、すみやかにこの際、やはり中国との政府間交渉というものに踏み切るべきではないか、こういうように考えるわけですが……。
  42. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 ベトナムの和平がどういうように進みますか、まず、中共もさることですが、日本の場合に一体どう扱われるか、これが私ども日本人として一番問題にしておるところであります。私どももアジアの平和、またベトナムに和平の来ることを心から望み、今日まで陰ながらいろいろの努力をしてきた、そういう立場でございますから、日本は一体どういうように扱われるだろうか。さらにまた、日本は求められれば今後の問題についても積極的に協力する、こういうことをすでに表明しておりますので、この点がまず大事な問題です。そういうことを考えて、さらに中共の問題にも考えが及びべきではないだろうか、かように思います。皆さん方なかなか中共には御熱心ですが、日本をどうするのかというお尋ねがないので、その点を一言申し上げたわけであります。  また中共自身につきましては、私どもはいままでの態度についてまだ考え方を変えておりません。したがいまして、これは本会議等におきましてもすでに説明したとおりであります。この点を重ねて申し上げますが、ここには誤解のないようにお願いしておきます。
  43. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は日本のことを心配して言っているんですよ。要するに、日本は中国に対して、実質的にアメリカと一緒になって、どちらかといえば敵対的な姿勢のようないろいろなことを行なっておる。ところが、アメリカは中国と話し合いをどんどん進める可能性がある。そういった場合に、日本は取り残されるじゃないか。だから、一体日本はどうするんだと聞いておるのですよ。私、では、あえて聞きたい。中国はいま平和五原則をアメリカに確認を求めておる。いま中国が日本に対して平和五原則の確認を求めたらどうしますか。
  44. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 そういう意味でお尋ねとは私は知らなかった。ベトナムの問題として中国をどうするかというお話のように聞いたものですから、それだけお答えしたのです。  この中共政府についての私どもの態度は変わらないということをいま申しました。そしてこれは国連における論争等を通じましても、皆さん方も御承知のとおりでございます。わが国は中華民国と外交的な折衝をしておる。そうして北京にある中共政府も、台湾にある国民政府も、中国は一つだ、かように実は申しております。したがいまして、私どもが、中国は一つである、その国に対して二つの政府を承認するわけにはいかない。いままで国連において議論されるものは、これがいつも、あるいは中共だけにして中華民国を追放しろとか、あるいは二つを承認しろとか、あるいは継続的に協議を持てとか、いろいろの議論が出ております。しかしながら、わが国はいままでの国際信義を重んずる、そういう立場で一貫して、いま条約のある中華民国と交渉を持っておる。これは権利があると同時に義務があるわけです。国際的な義務を果たしておる、これが日本の行き方であります。  そこで、中共問題につきましても、いままでのような態度をとっておる しかしながら、私どもは、中共と仲よくするというその原則、善隣友好、その関係においては、それをそこなわないような形におきまして、ただいま政経分離でいまの経済的な交流はしておる、文化的な交流もしておるというのが現状でございます。これにつきましていろいろの御議論がございますが、私は、そういう意味では、中国自身の問題、内部の問題、それも一つありますし、また中共自身がもっと柔軟な態度であることが望ましいんではないか、そういうことをしばしば機会あるごとに申し上げておる。これは私が別に中共を敵視しておるわけではありません。したがいまして、これらの点につきましては誤解のないようにお願いします。
  45. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 平和五原則を提案したらどうされますかと聞いたのに対して答弁ありませんが、御存じのように平等互恵にしても、あるいは領土主権の問題にしても、不干渉の問題にしても、平和五原則に反するような行為を日本政府はしている、だから答弁できなかったんだろうと思います。  そこで、私は……。
  46. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 これは、どうも私が答弁ができなかったろうと言われては、私まことに残念でありますから、はっきり申し上げます。  私は、しばしば申し上げておりますように、内政に干渉しない、そうしてそれぞれの独立を尊重する、こういう態度をはっきり申し上げております。こういう点につきまして、いわゆる五原則というものとそうたいした違いはないようであります。問題は、ただいまのところ、国連における取り扱い方の問題が、遺憾ながらただいま北京政府が要望するとおりにまだ私のほうで踏み切れないというのが現状でございます。
  47. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 問題は、領土と主権の尊重というのが基本ですよ。その主権の問題は、国連代表権問題、これは日本は重要事項の指定、その発案者になっておる。これが基本じゃないですか。ですから、平和五原則は日本との間には守られていないのですよ。しかも平等互恵だとことばでおっしゃるけれども、吉田書簡だって、輸銀の問題だって、みんな平等互恵じゃないじゃないですか。ですから、いま平和五原則は中国との間は確認するわけにいかないというのが、いまの日本の政府でしょう。あなたが変わっていないと言うことは、そういうことでしょう。あえて答弁をされたから、私は反論したい。
  48. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私は、いままでのいわゆる政経分離、これでこの問題がもっと親交を深めていく、そういう方向であり得る、かように考えております。
  49. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 次に、私は沖繩返還についてお聞かせ願いたいと思います。  本会議においても、再三答弁をされておりますけれども、沖繩の返還については、総理は両三年以内にめどをつけると言明したが、これには変わりないんだということを言っておられます。しかし、一方あなたは基地の態様についていろいろ問題を投げかけられておる。  そこで私は、第一点は、この両三年にめどをつけるということには間違いないかということと、基地の態様において白紙から一歩前に進んだということは、一体どういうことであるか、これをひとつお聞かせ願いたい。
  50. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 沖繩の祖国復帰、これは何といっても早く実現しなければならぬと思います。二十三年間異民族の統治下にある同胞、県民の心情を思うとき、ほんとうに涙なきを得ないような気が私はいたします。私は、選挙で沖繩へ行ったわけではありません。私自身が沖繩へ参りました際に、県民が非常な歓迎をしてくれた。それは同時に、一日も早く日本に帰してくれろということもここにも日本人がいるということ、至るところにその立て札が立っている。これを見ましたときに、ほんとうにこれは一日も早く祖国復帰させなければならない、かように私は思ったのであります。「戦後が終わらない」というもの、そういう感じから私自身みずからがさように感じたわけであります。しかし、ただいま沖繩の祖国復帰、そのことについては、ジョンソン大統領と話をして、二、三年のうちにその復帰のめどをつけよう、こういう点を一応了承しております。これを私が強く要望した。これは県民の背景といいますか、県民の支持があるからこそ私が強くそれを言い得た、かように私は思っております。しかし、同時にこの沖繩には、アメリカの施政権下にあるために、アメリカが自由に使用し、自由に設備する強力なる基地を持っておる。この基地の扱い方をいかにするかということも、やはり沖繩施政権返還後の問題ではございますが、一つの重大なポイントであります。したがいまして、この基地のあり方ということが、同時に施政権が返った後にどうなるかという非常な重大な意義を持つ問題であります。私は、沖繩の基地が日本の安全確保、同時にまた日本を含む極東の安全確保、これに果たしておる役割り、これを全然無視するわけにはいきません。そういう点で、いかに扱えば日本の安全は確保されるか、日本の安全に支障がないか。もしも支障を来たしたらたいへんだ。祖国復帰は一日も早く実現しなければならない。また、そうして日本の安全はいやが上にもこれを確保しなければならない、そこに私はむずかしい問題に当面しておるわけであります。どうもこの基地の態様をいかにするかという結論が、まだ出ておらない。その結果、実は私はいままで白紙という表現で申してまいりました。しかし、白紙ということを申しますと、何にも考えておらないのじゃないのか、白紙は考えていないのだ、こういうことに通ずるような誤解を国民にも与えておるようであります。これは私、たいへんだと思う。しかし、沖繩の基地の持つこのわが国の安全、わが国を含む極東の安全、これに果たしておる役割りをもっとよく国民にも理解していただきたい。その上で私が結論を出すべきじゃないだろうか、かように実は思っておるのであります。私は、沖繩の百万の住民が祖国に復帰したいという念願と、同時にこの国の安全、その安全確保にどうしたらいいかという、この二つの命題を皆さんとともにほんとうに真剣に考えるべきじゃないか、かように思っております。私が白紙を一歩進めたということは、この点を皆さん方にも十分お話をして、そうして理解を得たい。私は白紙だ、全然考えておらないのだ、さような問題でないことをこの機会に申し上げておきます。
  51. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 白紙を一歩進めるというのは、何も考えていないということではない、それはそうでしょう。だれも総理大臣が考えていないということを思っている人はいない。これはアメリカと交渉する場合に何か持っていくということですか。日本のほうからはっきりした条件を持っていくということですか。
  52. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 お答えいたします。  ただいまのように重大なる意義、これは国民の皆さんにもわかっていただいた。野党の諸君にもわかっていただいた。そこで、私がアメリカと交渉いたします場合に、いろいろの話が出てくるだろう、この話がもっと煮詰まるだろう、かように私は期待しております。そのことをただいま申し上げておきます。
  53. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 総理がどう考えておるかというのを、国民が心配しているのです。そうしてこのことは、最も重大な関係のある沖繩県民の人々がどう考えるかということ、それから日本国民全体としてどう考えるか、そうしてそのコンセンサスの上に立って交渉をする、これが必要でしょう。ですから、総理の一歩進めるというのが、ことばでは一歩進めているけれども、全然内容がわからないし、前進をするのか、後退をするのかもわからない。すなわち、あなたは三木さんに対して、十分事情を知っておるはずであるのに、本土並みというのはこれはけしからぬ、そういう者を外務大臣にしたのは不明だ、こうおっしゃっておるけれども、事情はよく知っておる三木さんが言っておるのですよ。十分事情を把握しておる三木さんが、そういうことで交渉すべきであると主張しておるのです。それなのに、あなたはそれが不明であるとか、あるいは白紙ではなくて、白紙から一歩進めたと言うけれども、内容は全然わからない。これはひとつ国民の前にはっきりすべきじゃないですか。
  54. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 これはたいへん大事な事柄でございますから、実は私慎重にしておるのです。もちろん国民に内緒でこういう重大問題がきまるわけじゃありません。しかしながら、外交交渉の一つのポイントとでも申しますか、一番最初から手のうちをみんなはっきりさせて交渉する場合もあります。あるいはある程度そういうものがだんだん話が煮詰まってきまるような場合もあります。そこらがいわゆる外交という問題じゃないか、かように思うのであります。私は、皆さん方に何もかもみな話をしない、けしからぬ、こういうおしかりを受けますが、私自身が外交の衝に当たっている、そこらは私にはゆとりのある交渉をさせていただきたい、かように思います。私がただいま申し上げておるような話なんで、ただいまの段階では申し上げかねる、これはそのとおりであります。これはもっと話を煮詰まらせて、こういうところまで来た、これで一体どうだ、こういうように国民に聞く場合もありましょうし、あるいはそういうことのない場合もありましょう。こういうのが外交じゃないでしょうか。折衝事というもの、これはいわゆる国民に秘密外交、こういうものではなくて、私は、国民から申せば、いま一番はっきりしている合意は、祖国復帰、一日も早く返せ、これだけは合意している。それから先の問題については、まだ私は合意は十分できていないように思います。(「沖繩の選挙をごらんよ」と呼ぶ者あり)沖繩の選挙をごらんよと言われるけれども、日本一億の国民は、必ずしもそう考えているとばかりは言えない。そこにも問題はある。私はいまこれを交渉するにあたりまして、沖繩県民の百万の要望を背にし、その協力のもとに私の要望をするわけであります。(発言する者あり)しかし、私はこの問題は日本全体の問題であること、これを皆さま方にもよく了承していただきたいと思います。一部ではいろいろの不規則発言がございますが、この問題は大事でありますだけに、よくお考えをいただいて、そうして私に誤りなきをひとつ期させていただきたい。私は、絶えず百万の沖繩県民の要望を背に負ってこの問題と取り組んでおるつもりであります。それらの点も誤解のないようにお願いします。
  55. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 総理の白紙という点から一歩進めるということを私は冷静に考えてみると、白紙と言われたときには、核抜きということについて確約をされなかった。ところが、一歩進めるというのは、少なくとも核つきではないと考えていいかどうか……。
  56. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私が何にも申さないから、いろいろの御希望なり御期待が出るだろうと、皆さん方のそういう御希望もよく頭のうちに入れておきます。
  57. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これは川崎君に譲りたいと思いますが、結局、やはり白紙じゃないですか。ただ、ことばのあやですね。これはやはり佐藤さん式な答弁である。国民は非常にがっかりするだろうと思います。  そこで、私は次に、時間がありませんからごく簡潔に御答弁を願いたいと思いますが、今度次期主力戦闘機として選定をされましたF4Eファントムの問題であります。ファントムというのは、辞書を引けば怪物だそうであります。あるいはまぼろし像、幽霊、こういうことでありますが、まあこういった、ミサイルを積み、四百キロ爆弾を四発も積んで七百五十キロメートルの行動半径を持ち――ですから、これは板付から飛ぶと三十八度線をこえていく。軽装の場合はハルビンやその他北京方面にも行く、こういういわば非常に足の長い、しかもいま世界の最新戦闘爆撃機。この爆撃機を持たれたということは、私は、憲法にいう防衛の範囲を越えたものであると、かように考えるが、政府はどういうようにお考えですか。
  58. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私は、防衛の範囲を越えたとは思いません。私どもは憲法を忠実にこれを守る、またわが国の安全確保のためには万全を期する、これは私どもの考え方であります。
  59. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 あなたは昭和四十二年の三月の二十九日の本予算委員会における石橋君の質問に対して――石橋君はF4ファントムを当然例示しておるわけです。「御指摘になりましたようなFXなら、これはもう明らかに他国に脅威を与えるものだと私は思いますから、その選定にあたりましても、これから十分注意してまいるつもりでございます。」こう言っておる。さらに昭和四十二年の六月の本会議における大出君の質問についても、それを確認をされておる。とにかく、いま在日米軍の主力戦闘機である、韓国も使っておる最新鋭の戦闘爆撃機を持てば、当然アジアの諸国は脅威を感ずるじゃないですか。しかも私は、いままでの国会で何度も答弁をしたその防衛の範囲をさらに拡大をするものである、こういうように考えるが、総理はどういうように思われますか。
  60. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私は、武器がいろいろ脅威を与えるということを言われますが、わが国の憲法がはっきりこれを国際紛争には使わないという、こういう憲法がはっきりしておると、そういう点で、外国は心配はないのじゃないだろうか、またわが国の国民自身も、戦争にはならないのだ、かように私は考えております。私は、憲法こそわれわれ政府を縛り、われわれ国民を縛り、われわれ自衛隊を縛っておる、これはもう最大のものだと思います。この憲法を十分よく説明していただいて、そうしてかような点で他国が心配のないよう、ひとつしたいと思います。私は、防衛をするために技術的にもこれは十分のものを考えていくというのは、私ども当然のことじゃないか、かように思っております。ことにいまのような性能の問題、これに爆撃装置をつけるとかつけないとか、いろいろな問題もありますけれども、何といいましても日本の憲法がこれははっきりしておりますので、これが守られる限り、そういう心配はないということをはっきり申し上げておきます。
  61. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 あなたは、こういう脅威を与えるような戦闘爆撃機を持たないとおっしゃっているのでしょう。それを変えられるわけですか。名前を例示しているのです。F4というのを入れておるのですよ。そして説明をしているわけですよ。こういうものは持たない、こう言っているでしょう。それを本会議においても再度確認をしておる。それをどうして、それは脅威を与えない、こうおっしゃるのですか。憲法でできるんだとおっしゃるのですか。
  62. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私は、ファントムが全部いまアメリカで持っているような状態だと、いかに憲法がありましても、他国で心配されるものがあるだろうと思います。しかし、私は日本にはこの憲法があり、同時にその爆撃装置などについてくふうがこらされれば、他に心配は要らない。爆撃装置、これをはずすということによりまして、その心配は要らない。問題は、わが国の憲法がそれによって守られておるという証左でもありますので、その点は誤解のないようにお願いしておきます。
  63. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 爆撃装置というのは、あるいはレーダーとか、あるいは電子計算機であるとか、あるいは誘導装置であるとかいうのですね。しかし、爆弾を積む、その爆着装置というのはあるのですよ。これははずさないのですよ。ですから、命中率は悪いけれども、たまは落ちるのですよ。何か爆弾を持っていかないんだ、爆弾をつけることができないんだというようなごまかしを言っておるけれども、そうじゃないのです。爆弾はかかえることができるのですよ。ですから、相手国から見ると同じですよ。相手国から見れば……。そんなに爆弾装置をはずしているとかなんとかいうことは、相手国は知らない。ですから、それは明らかにごまかしじゃないですか。ですから、F4ファントムを入れたというのは、あるいはこれが優秀だというのは、爆撃装置なんですよ。ですから、これだけの大きな防衛上の大変革をするときに、なぜ国防会議にもかけないのですか。あるいはまた、時間がありませんから続いて質問しますけれども、これは第四次防にするんでしょう。そしてばく大な予算を組むわけでしょう。その機種をきめるのです。その機種をきめるのに、国防会議にもかけないでやっておる。いままでみな国防会議にかけておったでしょう、機種をきめるときに。なぜこれだけの大きな防衛力の変更をするときに、かけないのか。
  64. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 とにかく防衛に必要なことはしなければなりません。いまの、外国にたいへん心配を与えるというような爆撃装置はこれは変えますけれども、わが国の国内の防衛には必要な役割りを果たす。これはひとつ社会党の方も、新しいもので防衛の役割りを果たすことを了承していただきたいと思います。  また、これをなぜかけなかったか。これはいままでの経緯がありまして、この機種はいま防衛庁で検討し、それを私が最後に了承した、こういうことになっておりまして、手続上別に誤りはございません。
  65. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は、領土、領海、領空を守る防衛が、さらにいわば相当の距離まで飛ぶ、そのことは極東の他の国に非常な心配をかけるし、脅威を与える。ですから、いままでのいわば防衛の範囲を越えるものである。この憲法上の疑義のあるような問題をなぜかけないか、あるいはまたこの機種を選ぶと言うけれども、機数のときはかけると、こう言うけれども、これは機種を選ぶことによって何機にするかということがきまるのです。しかも第三次防衛だけではなくて、第四次防にわたる、昭和五十一年の主力戦闘機じゃありませんか。それをそういう機関にかけないという意図は、どこにあるのか、非常に私は疑問なきを得ない。もう一度答弁を願いたい。
  66. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 これをきめましたのは、昨年の三月国防会議及び閣議におきまして決定した第三次防衛の整備計画の主要項目において「将来における防空要撃能力の向上のため、新戦闘機の機種を選定の上、その整備に着手する。」こういうことが前にきめてございます。それによってきめたということであります。
  67. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 F4Eファントムということをはっきりきめないで、次の機種はこういう性能のものであるということによってごまかそうとされても、それならロッキードやグラマンのときになぜきめるのですか。でありますから、その次の性能はこういうものだということは当然わかっている。しかも相当の機数が必要である。そうして二千五百億からのばく大な財政資金が要る。こういうものを国防会議にかけずして、国防会議というのは何をかけるのですか。私はこれは非常な大きな問題だと思うのです。
  68. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 機数の点は国防会議にかける、こういうことになっております。これは十分そういうところでも審議します。
  69. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 子供だましをされてはいけませんよ。機種のときはかけないで機数ならかける。機種をきめるときに、この飛行機であるならばどのくらい機数があることによって防衛力が増大をされるかということなんですよ。ですから、機種はかってにきめるけれども、機数のときはかけるなんという、そういう無責任なことはない。まあこれは私は次の機会に同僚議員から質問があると思うので譲りますけれども、私はきわめて大きな問題であるし、国民も疑問を持っておるところであります。  では、私は続いて大学問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず、今次の大学紛争というものは、根本的な原因はどこにあると考えておるか。なるほど現象面としては授業料の問題とか、あるいは学生会館の問題であるとか、あるいは無給医局員の問題だとか、あるいは移転であるとか、大学総長問題、いろいろあります。しかし、私は共通した根本的な問題があると思う。その共通した根本的な問題は、どういうものであると考えられておるか、これをお聞かせ願いたい。
  70. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 これはなかなか簡単にお答えするわけにいきませんが、御承知のように、それぞれの方にそれぞれの御意見があると思います。私は、そういう意味で、この問題こそ超党派でも御意見も聞きたい、かように思っております。私どもがまず考えますことは、わずかの間に、八、九万であった大学の生徒がいきなり百四、五十万になった、ここにたいへんな数的な大きな問題があります。そうして大学であるいは教育、研究、同時にまたその管理、こういう問題を行なっておる。そこらにもいろいろ問題があると思います。そういう関係で、急激にふえたために、一口にいえば人間疎外の教育になっている、こういうことが実はいえるのではないだろうかと思います。  それじゃ、今日までなぜほうっておかれたか。どうも事柄が事柄でありますだけに、いままではこの問題に直接触れるわけにはいかなかったと思います。御承知のように、それぞれの大学にはそれぞれの理由がある。これは、たとえば慶應大学は外国からの援助だとか、あるいは東大で最初火がついたのは医学部の問題だとか、あるいは東京医科歯科大学、これもまた先生の問題だとか、いろいろありますが、しかし、少なくともいま申し上げるような非常に膨大な大学になり、そしてそこに人間疎外が行なわれた、こういうことじゃないかと思う。  しからば、そういうように膨大になったことが不都合かというと、そうじゃないんだ。これは時代の要請でかようになったんだ。やはり大学がすべてに開放された。学問は開放された。これが必要なことで、過去の一部のものだけが大学を独占しておる、こういうことではなしに、ただいまは国民に大学が開放された。こういうような大きな変化に、大学の先生も生徒も父兄も社会も十分対応しておらないところに問題があるんじゃないかと思う。大学はかつての八万や九万の一部の大学利用者から、今日開放されている。その変貌に対する対策が怠られた、失われた、こういうところに問題がある、かように思います。  そういう意味で、これからそういう点について取り組むべきではないか、私はかように思っております。これはきわめて簡単に申し上げましたが、いろいろ議論はあると思います。
  71. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 いま総理から根本問題についてお話がありましたが、学内における人間疎外の問題、マスプロ教育もありますけれども、私はやはりいまの社会、われわれ社会人も考えなければならない問題もあると思います。かつてはエリートとして社会に入れられたものが、いまプア・ホワイトカラーとして企業に出される、その不安といいますか、絶望感といいますか、そういうものもある。これはいろいろ私はあると思います。  しかし、いま大学は二つの面を持っておる。一つは、大学は学問の僧院であり象牙の塔であるという古い封建的、閉鎖的な研究機関としての古典的大学の面が一つある。もう一つは大学の企業化、資本の要請による専門労働者としてのマスプロ教育の面がある。この二つがこんがらがって現在の大学がある。そこで、いま東大をはじめとして起こっておる大学紛争というのは、私は、古い大学から新しい大学へといく創造への悩みであると思うのです。その苦悶であると思う。でありますから、私どもは、この苦悶を政治の面から真に学問と研究の場として発足ができるようにしてやらなければならぬ、こういうように考えるわけです。  そこで、具体的にお尋ねいたしたい。一体、大学自治についてどう考えられておるか。学生は大学においては教育を受けるものであるから、学生の自治活動は大学の自治と異なるというような考え方を一部にしておりますが、私は非常に間違いであると思う。単に教えられるものというのではなくて、やはりみずから学ぶもの、ともに学ぶものという、少なくとも人格を認めてやらなければならぬ。その自治の態様については、おのおのの大学が協議をしてきめるべき問題でありますけれども、学生のその管理運営に対する参加の原則は、一体認められるかどうか、これが一点。  次に、東大の入試の問題であります。これは大学の自主性にまかすべきでありますけれども、とにかく入学試験はしていただきたい。私はちょうど戦争の終わりに学校を出たわけですが、一年生は一年ありましたけれども、二年生は半年しかなかった。三年生はまた一年あったわけなんです。そういういわば非常事態においてきわめてイレギュラーな教育を受けたわけでありますけれども、やはり入学試験をして、あるいは自宅待機という方法もあるでしょう、二部教育という方法もあるでしょう、あるいは分散教育という方法もあるけれども、とにかくいまの受験生、次の世代が悲観をすることのないように政府は努力をすべきである、この点が第二点であります。  それから、天下に名だたる国家公安委員長が出現をしたわけでありますけれども、どうもやはりみんな心配している。これは弾圧をする顔ぶれじゃないか。それは総理が大学と治安だと、わざわざおっしゃるからいかぬわけですよ。ですから、私は、これは絶対に警察官の導入は避けるべきである。してはならない。もしそのときに学生を追っ払っても、事態は解決はしない。永遠に大学はその傷が残る。これは父兄もそれから周囲の者もみんな協力をして、警察官の導入ということを防がなければならぬ。これに対してどう考えられておるか、まずお聞かせを願いたいと思います。
  72. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 先ほど、私、基本的なものを申しましたが、もう一つそれにつけ加えさしていただきたい。  私は、教育、これはやはり人間形成の場ではないかと思う。どうも学問、これは科学技術、そういうような点についてはなかなか力が入っておりますが、人間形成、これがやはりおくれたんじゃないだろうか、こういう点を指摘しておきます。この点につきましては、いろいろお話をまた聞きたいと思う。  そこで、ただいまお尋ねになりました三つの問題、これに入ります前に、大学というところは教育の場でもある。それはいまの人間形成をも含めてですよ、教育の場でもある。もう一つは研究の場でもある。また、もう一つは管理の場でもある。こういうような大きなマス大学になれば、管理というのはたいへんだ、かように思います。したがいまして、やっぱりそれぞれの専門で専門に考えないと、いま中教審その他文部省でも検討しておりますが、総合大学ははたして必要なのか、もっと単科大学で中身を整備する方法はできないのか、等々の問題もあると思います。あるいは大学院の問題もあります。  また、いま学生参加、これに限られて言われますが、学生参加の問題について私ども考えますのに、ものによってはいままでやっぱり参加しているんじゃないだろうか。また、それは参加を大いに進めるべきじゃないかと思う。しかし、ものによっては参加のできないものもあるんじゃないか。たとえば試験を、みずから参加して点数をつける、(笑声)そんなことは、お笑いになるが、考えられないだろう。だれもそのようなことを言っておらないのであります。あるいは参加の問題は、大学に入ったばかりの人が、あの先生が好きだとかきらいだとか、なかなか参加もできないんじゃないか。私は、こういう点に参加の問題はおのずからあるんだろう。私は参加は絶対に反対だ、かようなことを申しておるわけじゃありません。しかし、参加といいましても、おのずからその限度があるんじゃないか。いま言われましたように、常識を失わないように、これは願いたいと思います。  それから入試の問題。いま入っておる生徒はともかくも、学生諸君にはいろいろな問題があるにいたしましても、これから入ろうとする諸君、これはもうりっぱな学校もつくりたいだろうし、勉強もしたいだろうし、これについては政府も考えなきゃならぬだろうと思います。しかし、ただいま文部省が非常に頭を痛めておるのはこの問題であります。満員のところへどうして入れるのか。あるいは待機さすのか。ただいま多賀谷君が、別に三年間おらなくてもこのとおりやった――優秀な方はそのとおりでありまして、多賀谷君のような優秀な方は、三年は要らない、一年でもよかったかもしれない、かように思いますけれども、しかし、制度そのものとして――これは冗談じゃございません。制度そのものとして考えて、やはり適正な方法を考えなければならない。だから、私はいま一息で学生問題はおさまるというか、解決ができるんじゃないだろうか、こうも思います。しかし、なかなかむずかしい点もあります。しかし、いずれにいたしましても、早く現在当面している問題を解決すること、そうして次の入試問題にもあまり問題を起こさないようにしたいものだ、かように思っております。  また、治安問題については、別に私は荒木君が失言したとは思いません。これははっきり申しましたように、本来大学の自治、学園の自治を認めるべきだ。しかしながら、自治だといっても、そういうところで殺人行為が行なわれて警察は傍観している、そういうわけにはいかない、こう言っているので、こういう点はよく皆さん方もお考えをいただきたいと思います。
  73. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 あとから文部大臣から入試の問題についてお聞かせ願いたいと思いますが、さらに論議を進めまして、一体、東大の事件の発端というのは無給医局員の問題です。ですから、これをいままでほうっておったところに医学部の封建性があるわけですが、これは今後どうするつもりであるか。これは時間もありませんから、ごく簡単に御答弁を願いたい。  それから私立大学の援助の問題、これも再三にわたって言われるけれども、実際ことしの予算を見ましても、国立大学は生徒一人に六十七万円かかっておるのに対しまして、わずかに六千五百円。ただ、融資を入れれば三万円とおっしゃるけれども、六千五百円しか出していない。でありますから、サポート・ノー・コントロールということがあるけれども、これもひとつすみやかに四十四年度の予算に計上すべきである。  それから私は総理にちょっとお尋ねしたいのですが、根本問題ですが、いま人間形成の場というお話をされたが、加藤総長代行が大学紛争について次のように語っておりますね。最大の問題は、このような重大な時期に学生大会に出てこない学生がいることである。こうした学生の責任はきわめて重い。人間的に問題だ。これに比べれば、活動家学生が主義、主張を通すためにがんばっている、このほうがまだましだ。こう言っている。一体、こういう無気力というか、エゴというか、こういう学生というものがなぜできたか。これは、昭和元禄とか言うけれども、私はここにもやはり日本のもう一面の問題があると思うのですよ。  さらに、私は次のたとえを引いてお聞かせ願いたいと思うのですが、人物を評価する際に、ドイツでは、あなたは何を知っておりますかと、知識の程度を聞くそうですよ。英米では、あなたは何ができますかといって、実力を聞く。日本では、あなたはどこを出ましたかと聞く。ですから、この点、日本では非常に学歴偏重になっておる。これがいまの社会ですよ。必ずそういうことを聞くですよ、あいさつに。こういった学歴偏重の問題について、どう考えられておるか。いろいろな点で、教育ママが幼稚園のときからもう四苦八苦して、そうして福岡では汚職まで起こしておるわけですね。一体どういうようにお考えであるか、これらをお聞かせ願いたい。
  74. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私は、いま加藤代行のお話を引き合いに出して、黙っておる、また、学校に出てこない生徒は一体何しているんだ、こういう御批判と、いま民主主義といっておる、民主主義の時代で最も大事なことは、各人がそれぞれの職分を果たすことだ。声が大きいだけにおとなしくなっているというようなことではいけない。勇気がなければならない。私は民主主義ぐらい勇気を必要とするところはない、かように思っております。したがいまして、その点では御賛成いただけるようですが、角棒や角材やあるいはヘルメット、そういうような暴力はこれを廃棄し、これを排撃し、そうしてただ声が大きいだけでおとなしくなっている、それではいけない。勇気がなければならない。そして自分の職分を果たすという、これが民主主義の基盤だ、基本だ、かように私は思っております。したがいまして、加藤代行の批判は当たる。また皆さん方も、私は先生方にもその点を言うのですが、どうかそういう意味で、人間形成の場としてもひとつ国民養成に乗り出していただきたい、こういうことを機会あるごとに実は申しております。  次に、学歴偏重、これは私はよくないと思う。これはなぜ一体こういうようなことになっておるのか。(「官庁が一番いかぬですよ」と呼ぶ者あり)どうもいま、官庁が一番いかぬと言われる。よく伺っておきます。したがいまして、官庁でもそれぞれの進んだ官庁、たとえばいま郵政省あるいは国鉄、これなどは比較的よくなっているように、私はよくなりつつあるように見受けます。ことに最近は、磯崎副総裁なども、もっと実力のある者を登用しよう、学歴に偏重しないで現場から登用しよう、いま発言しておられる方々も、それぞれの御経験だと思います。私はそういうことが望ましいんだ。ただ、これはいままでもいろいろなことがありますが、最近、私どもの役人生活といまの生活とよほど違っております。われわれのときはわずかな大学でありましたために、官立が万能であった。私学が考えられなかった。そうして、その他の大学生でない者は、これは下積みになっておる。こういうことでございましたが、最近のように百五十万の大学生が出れば、それは大学生全部がみんな資格を持っておる、かように思います。ただ、いまいわれておりますように、教育ママというこういう制度については、私は機会あるごとに――まあ制度ではございませんが、そういう方にはしばしば申し上げます。そういうことのないように……。  私は過日、たいへんな経験がありますので、この経験は少し話が長くなりまして、その時間は特にさいておいてもいいのですが、過日、学生交換をしておる高等学校の生徒、アメリカの生徒が日本に来て一カ月学習して帰った。そのときに、日本の高等学校の生徒と一緒に来て、そうしてそれらの諸君と話をしてみると、日本の高等学校の生徒が、どうも感心するのは、アメリカの学生は自分の考え方を持って、ものごとについての判断をはっきり述べる。日本の学生にはそれがないのだ。なぜないかと見ると、いわゆる入学試験に追われておるんだ。そうして、いわゆる有名校にのみ入る、こういうことで、こういうような教育をされているから、われわれはどうも十分の力を伸ばすことができないのだ、こういうことを言っておりました。六・三制はアメリカからきたものじゃないか、アメリカにできて君らにできないというのはおかしいじゃないか、どこかに欠陥があるんじゃないのか、こういうことを実は申しました。もう一つあります。最近小学館が作文並びに絵をかいたその表彰をしている。総理大臣賞も出しております。作文並びに絵というものは、これは創造であります。私は、日本の教育はどうも記憶万能というか、そういうところに力が入っておるんじゃないだろうか、もっといま言うような創造力を伸ばすような方法はないだろうか、ただいまそういう話もいたしまして、そうして教育の問題にもいろいろ考えることがあるんだ。これは多賀谷君の専門でもありませんが、皆さん方にも教育出身の万々がたくさんいらっしゃいますので、そういう点でも私は小さな子供たちのほんとうの才能を伸ばすようにひとつしたら、いわゆる私のいう人間形成、それもできるんではないだろうか、かように思うのであります。  よけいなことを申しまして、たいへん失礼いたしました。
  75. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 多賀谷さんにお答えをいたしたいと思います。  無給医局員の問題につきましては、全く多賀谷議員と同じような考え方を持っておりまして、ただいま四万円の謝金の要求をいたしております。また、今度の紛争の一番問題になりました無給医局員の問題と、それからまた臨床研修医の人たちに対しましても、やはり三万円の謝金の要求をいたしておるところでございます。  また、私学の問題についてお触れになりましたけれども、私も本会議でお答えを申し上げましたように、百五十万のうち七五%も私立大学の学生である。国立大学は三十万、その一人当たりの平均は七十六万円も国はお金を出しておる。税金を払っておるのに、百十万ぐらいの私立大学の一人に対しては、御指摘のとおりに一万円以下である。これは今日百四、五十万の高等教育機関を出て、そうして産業界なりあるいはいろいろの教育界なりに行って、そうして日本の将来を背負う人たち、その役割りというものは相当に大きいと私は思うのでございます。その意味合いにおいて、いままで、どちらかといいますと、国立中心でものごとが考えられてきた。大学というのは国立なんだ、こういう考え方を一歩進めまして、国公私立の百五十万の学生に対して、どうなければならないかというようなことを考えなければならない時代に入ったというふうに私は考えるのでございまして、この点につきましては、やはり制度の問題にも及ぶものでございますから、中教審等においてよく御検討いただきたいというふうな気持ちでおるわけでございます。
  76. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 時間がありませんから次に進みますが、私はかつて四年前に池田前総理を批判をして、総裁選挙に立候補された佐藤さんが人間尊重、社会開発と言われた。しかし、四年後振り返ってみると、全くことばがそらぞらしいぐらい、その点が一番欠けておる。非常に残念に思います。公共投資も民間投資に比べて非常に伸びが悪いし、経済社会発展計画にも及ばない状態である。しかも同じ公共投資でも、産業基盤のほうはまあかつかつ伸びておるけれども、生活基盤は伸びてない、社会保障も非常に悪い、こういう状態だ。しかも私は、よく調べてみると、法人税だけは予定よりも少なく取っておるんですね。これは私は奇妙なことだと思うんですがね。この経済社会発展計画に法人所得における法人税及びその他の負担率が書いてある。四十六年度においては四一・〇%、四十三年度においては四〇・六%になっておる。ところが実情は三六%です。しかも、それもそのはずですね、三十年の四月一日からずっと法人税は税金を下げられておる。まあ中小の関係を下げるのはけっこうですけれども、いわば大企業においては四十年の四月一日は三八を三七%、またその次には三五%にお下げになっておる。だから計画は狂う。民間設備は十分な余裕金をもって投資ができる。ところが、社会基盤は御存じのように金がない。そうして硬直化だというから公共事業ができない。これもきわめておかしい制度である。それから、さらに租税特別措置法であるとか、あるいは配当の法人の場合は益金に不算入をする方式であるとか、あるいは最近問題になっております交際費の問題、こういう巨大な財源があるにかかわらず、だんだん下がっておる。そうして国は財政が硬直化しておる。こういう問題についてまず歳入を洗う必要がある。そうすると、いま問題になっておるサラリーマン減税なんというのは簡単にできるわけです。この点についてまずお答えを願いたい。
  77. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 国の財政需要が非常に進んでくるわけです。これはいままでの方式でいきますれば税でまかなうのです。それを佐藤内閣になってから、それもどうかというので公債で一部をまかなう、こういうことまでいたしておるわけなんでありまして、それだけ国民の負担は減っておる。  それから、個人所得税が減税で減っておるというが、それにもかかわらず収入はふえておるという話でありますが、これは、会社の場合におきまして給与が上がるのです。したがってその個人勤労所得税がふえる。しかし、会社の利益はそうはふえない、こういうためにあなたのおっしゃるような現象が出てくるわけであります。これは働く者に大いにひとつという考え方がその数字に逆に端的にあらわれておる、かように御了承願います。
  78. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 来年度から法人税の問題あるいは交際税あるいは租税特別措置法あるいは配当の法人の場合の益金不算入問題、こういうものを改正されるかどうか、これを次の私の質問に続いて御答弁を願いたい。  続いて私は総合予算主義についてお聞かせ願いたいと思いますが、本年は一体自然増収はどのくらいと考えられておるか。まず、本年の当初の見込みは一二・一%を見込まれておる。国民総生産の伸びです。しかし大体一五%前後いきそうだ。そこで弾性値を幾らに見るか、これによってきまるわけです。今日のように、所得あるいは法人、あるいは最近のように非常な大型景気が来る、こういう場合には、かなり弾性値を高く見積もることができるんじゃないか。そうすると、少なくとも二千五百億から三千億程度の自然増収が十分見込まれる。そういった場合に、一体、政府は公務員の賃金まで人事院勧告を実施しないでおいて総合予算主義を唱える理由は全然ないと思う。だれのための予算であるか。私は、とにかく本年度ぐらいは、公務員の人事院勧告ぐらい実施したらいいと思うのですよ、自然増収があるのですから。それを来年の話をみんなしておる。来年度完全実施をするんならことしすればいいのです、金があるのですから。ですから政治が、非常にゆがんだ人間をつくるような政治をしておる。あなた方は地方公務員を入れて数百万人の人間を雇用しておる。その雇用主が賃金を値切るなんという、こういうことで一体労務管理ができますか。会社の労働担当の常務なら首になる。ことしこそやるべきですよ。毎年毎年同じことを繰り返してやるというのはもってのほかだと思う。これに対してまず総理大臣から御答弁願いたい。
  79. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私から申し上げます。  多賀谷さんは、自然増収がある、金があるあるとおっしゃいますが、御承知のように今日は借金財政をいたしておるのでありまして、これは景気のいいときにはなるべく借金を減らしておかなければならぬ。これはどうせ世界の情勢だ、いろんな環境の変化がありますから、わが国の経済が非常に落ち込むという場合もあるのであります。そういう際には多額な公債を増発いたしまして景気をささえ、そして景気の波をなるべく高からず低からず安定的に成長させる、これが国民のしあわせのためである、かように私は考えておるのであります。  それで自然増収が幾らかというお話でございますが、確かにあるのでありまして、これはまだ九月期決算の法人所得、これの見通しがはっきりいたしませんから的確には申し上げることはできませんけれども、一千億円をかなり上回る予定である、かように考えておる次第でございます。  そこで、給与の問題に相なりますが、本年度の予算におきましては総合予算主義、つまりことばをかえて言いますると、たっぷりな予算を組んであるわけなんです。そうして、このたっぷりな予算の中で各行政面の均衡をとっておる、こういう姿であります。これを補正なし予算というふうにいわれておりまするが、これは実際は補正なし予算というと正確じゃない。組みかえ補正ということはあり得る。それから、国家非常の際という場合に、組みかえでなくてワクを増額するということ、これが絶対ないとはいえない。これは高度の政治判断の問題であると思う。しかし、とにかく総合予算主義は、これをことし貫いていきたいというたてまえをもちましてやっておるわけでありまするが、ほかの費用とのバランスを考えますと、給与だけここで増額するというわけにはいかぬ。さようなことで慎重検討いたしました結果、八月実施、こういうふうにきめた次第でございます。
  80. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 法人税関係。
  81. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 四十四年度の税制につきましては目下鋭意検討中でありますが、法人税につきましては、御承知のように特別措置、これを洗い直す、つまりスクラップ・アンド・ビルドというような考え方でやっていきたいと思います。  それから、所得税につきましては、これはお約束のような形になっております課税最低限の引き上げ、これをいたします。なお、中堅所得階層サラリーマンが多いわけでございまするが、この税率がそのままになっておる。非常に高いというふうに考えますので、それ以下の人に対する税率の引き下げ、さらに土地税制、これについてかなり抜本的な改正をしてみたい、かように考えております。(「交際費が抜けておる」と呼ぶ者あり)  交際費は、租税特別措置の中で含めたつもりでありますが、これについてもただいま検討いたしております。
  82. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 一千億をかなり上回る。このかなりのほうが一千億よりも多いですよ。ですから、どうせ組みかえはされるわけでしょう。先ほどなかなかじょうずな御答弁をなすったんですね。総合予算主義というのは、補正を組まないという意味ではない。しかし、財源の範囲内で組みかえることもある。それはそうでしょう。ことしもう食管は組みかえなければならぬわけでしょう。八百五万トンの買い上げしかしていないのですから、食管は当然、これは組みかえなければならぬ問題でしょう。
  83. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 食管は当初よりは買い入れがふえたのです。ただいまのところは九百六十万トンはいくんじゃないかと思うのですが、この夏生産者米価を五・九%引き上げた。それに対して消費者米価は八%引き上げたのです。それで財源も多少できましたので、その範囲内でかなりまかなっていけるんじゃあるまいかと、ただいまさように見ております。
  84. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると、結局組みかえは出す、というのは、食管会計は翌年度に赤字を持ち越すことはできない、少なくも国内産の米については。でありますから、組みかえはやるわけでしょう。それをなぜこの国会でやられぬのですか。公務員給与がこわいのですか。どうも私は、三月には出すけれども、この国会には出せないという根拠が乏しい。しかもすでに九百六十万トン買い入れなければならぬという数字まで予想しておる。一体これでごまかしていこうとするのか、そうして時間切れを待つのですか。まさに食い逃げじゃないですか。どうですか。
  85. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 年度末になりませんと、国全体の本年度の支出要因というものの精算ができないのです。ことに社会保障費でかなり補足を要するものがあろうと思う。これは予備費で出すわけでありますが、これはどうせそれだけで足らぬかもしれない。そこで、その際には、その社会保障費等の不足は充足します。しますが、そのかわり不要経費でありますとか不急の経費でありますとか、さようなものを削減いたしまして、そちらへ回す、そういう性格の組みかえ、この予算を提出せざるを得ないかと考えておるのでありますが、いずれにいたしましても、需要要因が確定できませんので、これは三月のことにいたしていただきたい、かように考えております。
  86. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 きわめてずるい、いわば官僚的な予算の組み方だと私は思うのです。ことし自然増収があることがわかっておるのに、なぜ組みかえないのです。しかも、これは何にしても組みかえなければならぬということははっきりしている。ですから、単にいまのままの予算で、流用でできないのですから、組みかえなければならぬ。組みかえるのをいま出さない。それは公務員の給与がこわいからだという以外に何も理由はないでしょう。  そこで私は、農林大臣にも一言聞きたいのですけれども、いま一番心配しておるのは、作付制限をするかどうかということです。食糧については、何かいま米をつくるのが罪悪のように新聞や誌上に書かれておるけれども、非常に残念だと思うのです。一国の主食が安定したということほど国の安全に寄与するものはないと私は思うのです。六兆円をこえる予算の中で、二千数百億の食管会計を保険料と思ったらいいのです。私がスイスに行ったときに、スイスではこう言いました。スイスは高いところまで牧草地にしておるけれども、一体、農業は採算がとれるのかと言ったら、とれないと言う。しかし、スイスは中立国である、だから、中立国である以上は、絶対に食糧の確保が、とにかく武器よりも何よりも基本的な問題だ。ですからスイスの農民は就業人口の中に二八%いる、その一六%が一%でも下がったら内閣は総辞職をしなければならぬ、そういうようにスイス政府のほうで私に言ったわけですよ。ですから、それほど主食の安定というものは非常に喜ばしいことである。だから私は、いま農民に動揺をさすことが一番心配だと思うのです。先ほど言ったように、日本人はあきらめもいい。しかし労働力の移動も激しいですよ。世界でこんなに人口移動があった国はないですよ。ですから若い農民はすぐ他の職種に転換する可能性が大きい。ですから、いまの農民にまず安心をさすことが第一だ。そこで、農林大臣、遠いところにおられるから、総理にお聞かせ願いたいと思いますけれども、まず来年度においては作付の制限はしない、こう言明できるかどうか、お聞かせ願いたい。
  87. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 作付の転換をやる意思はございません。しかし、御存じのように、いまお話しのようにすでに九百六十万トンという政府買い入れが予想され、そして五十二年には生産は千四百万トンを上回わるであろうというような数字が出ている、この現実だけは見のがすことはできないだろうと思う。したがって私たちは、鉱工業ならばすぐ機械を取りかえて転換できますけれども、農業というものはそう簡単に転換はできません。転換はできるものからしてもらわなければならぬ、それにはそれだけのものをと、こう政府では考えます。したがって農民諸君と話し合いの上に立って、この地方ならばかくのごときものならば将来性毛ある、これならばりっぱにやっていけるではないか、それに対しては、こういうふうな政府の助成も行なうし、助成も一年だけで事が限るものではないと思う、そういう点を、これを何年続けるかということは今後に待つことでございますけれども一、そういうような指導方針の上に立って、作付の転換は自動的にしてもらうような方途を切り開いていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  88. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 いまの農政で一番心配をしなければならぬものは、とにかく農民に不安を与えないということです。これに不安を与えれば、私は、いま労働力不足の時期ですからたいへんなことになる。もう待ったはききませんよ。ですから私は、いま農民に不安を与えないように十分慎重に次の政策を考えるべきである、こういうように思います。  そこで、総理から答弁があるそうですから……。
  89. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いま農林大臣がお答えしたとおりでございますが、私の基本的な考え方は、農業生産者の所得を十分確保することと、同時にまた、消費者の家計を守ること、この二つのお互いにぶつかるような要請、その状態のもとにおいてこの問題と取り組んでおるのであります。私は、いま多賀谷君の言われるように、米がたくさんできたことはたいへんけっこうじゃないか、そのとおりだと思います。しかし、あまりでき過ぎてもこれまた困りますので、これはやはりほどほどがいいように思います。しかし、農村の方々に、せっかくいま努力しておられるそれらの方々に不安を与えるようなことはいたさないつもりでございます。はっきり申すならば、農業生産者の所得を十分守る、この立場に立ちまして米作問題と取り組むつもりであります。
  90. 井出一太郎

    ○井出委員長 多賀谷君、大体時間が迫っておりますから……。
  91. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると大蔵大臣、総合予算主義というのは、もしやりくりがつかなかったらくずれると、こう考えていいわけですね。
  92. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 総合予算主義というのは、年度間の総需要を全部見通しまして、その財源を整備した上予算を編成する、そういうことであります。これを補正なし予算と、こういう理解がありますが、そういうことは正確ではないのであります。組みかえ補正なんかはあり得るわけであります。それから国家非常の際とかなんとか、総合予算という財政の主義は立つけれども、国民に非常に迷惑があるという際に、これは高度の政治判断できめなければならぬ、かように考えているわけであります。
  93. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 総理に再度質問しますけれども、私は、いままで人事院勧告すら守らなかったという姿勢で法の秩序なんか説けませんよ。公務員の賃金を人事院勧告どおり実施してやらないということは、政府の姿勢として非常におかしい。かつて公労協の諸君が、仲裁裁定完全実施というスローガンで戦いました。こんなばかげたことはないですよ。裁定を実施してくれという闘争ですよ。こんな闘争は間違っておるですよ。裁定を実施しないほうが悪い。それと同じですよ。人事院勧告の完全実施なんという闘争が一体ありますか。人事院勧告は当然実施すべきですよ。それが不満であるから公務員が闘争をやるというなら話はわかる。とにかくスト権を奪われた公務員が、人事院勧告完全実施なんという、これは民間から比べれば実に笑止千万な話です。ナンセンスです。これをどうしてやらないのか。しかも金はことしはあるというのでしょう。でありますから、私は総理の姿勢だと思うのですよ。何か労働大臣は来年度から実施すると言う。来年度から実施できるのが、どうして今年度金があるのにできないのですか。これはやはり基本権の問題ですよ。予算の立て方なんというのは技術的な問題ですよ。国民のほうが先ですよ、国民のほうが。技術的な問題で縛ろうなんて、冗談じゃないですよ。まさにこれは所得政策のあらわれ。まあ所得政策についてはあとから、熊谷報告でも政府はこっぴどくやられていますから申し上げませんけれども、お読みになったらわかります。ですから、一体総理はどう考えておるか、お聞かせ願いたい。
  94. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 多賀谷君の御意見、私も謹聴いたしました。ことしは他との振り合いその他によりまして八月実施にきめました。皆さん方の御審議をいただくつもりでございます。もともと、お話しのように人事院が勧告をし、ストライキ権を奪っておるそういう状態のもとにおきましてこの人事院勧告を実施すべきこと、これは要求されるほうがたいへん力のあることだと私は思います。私は、しかし国全体の予算の執行に当たっておるのでありまして、そういう意味で全部のあんばい等も考え、今年は八月にいたしております。しかし、来年のことを申すことはいかがと思いますが、この上とも完全実施の方向に一そうの努力をすることをこの際にお誓いいたします。
  95. 井出一太郎

    ○井出委員長 もう時間が経過しましたから……。
  96. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それでは続いてもう二問質問します。  それは、一つは昨日の石炭小委員会において答申案がきまったようでありますけれども、私は今度の答申の出し方というのが非常に不明瞭である。これは植村さんが自分で答申を書こうとしたところが、それに対して大蔵省と通産省が横やりを入れて、そうして植村さんに原案を押しつけたという、大体こんな審議会ってありますか。ですから、植村さんも依然としてきわめて不満足である。答申を出す人がそういう不満を言っておるなんという、こんなことが一体あるだろうかと思う。審議会は全く隠れみのですよ。自分のほうでひとつぜひ石炭再建について答申をお願いしたいと、こう言って、その作業の過程において、実はわれわれの案はこうですと役所の案を出して、そうして植村会長とその役所で折衝をしておる。そうして植村さんはついに不満足ながらのまざるを得なくなった。そうして、私は口には入るけれどものどに通らぬ、こういう案だ、こう言っておる。私は、一体こういう官僚政治というものがあるだろうかと思います。  それから、内容について、私どもは、佐藤総理が通産大臣時代から非常に苦労してやってまいりましたが、率直に言って、失敗だと世間は言っておるのです。失敗した原因は何か。それは企業救済に終わったからです。産業政策が全然なかったからです。そうして私どもは、第三次答申で一千億の肩がわりをしてもらって、そうしてわずかしたらもうこれは失敗だったという、当時菅野さんも通産大臣であったけれども、これはやっぱり企業救済で失敗だったと速記録でおっしゃっておる。ところが、またまた企業救済だけをやってきたのです。なるほど個々の会社は企業として助かるかもしれませんよ。しかし石炭産業は崩壊するのですよ。それは、すなわち各会社は兼業に手を出すでしょう。兼業に努力をしますよ。石炭のほうは適当にきた金で細々とやっておる。そうして今後みんな兼業で生きていこうとする。企業としては当然でしょう。でありますから、私は、企業に金を出しても、もう経営者は石炭をやるまい。アルミをやろうとか、あるいは石油開発をやるんだとか、あるいは建材をやるんだとか、セメントをやるという気持ちになっておるところに幾ら肩がわりしてやってもむだですよ。
  97. 井出一太郎

    ○井出委員長 多賀谷君、簡潔に願います。
  98. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ですから私は、そういう意味においてはこれは全然石炭政策としてはなっていない。血税のむだづかい。ドイツだって、あのルール炭田をいま、来年の一月ないし三月から一社の管理会社で統合して、七つの会社にしておるわけですよ。日本だって九州、北海道、常磐一社案だって出た。あるいは全国一社だって出ておる。とにかく石炭ほど統合のメリットのある産業はないのですよ。鉱区でしょう。鉱区を統合すれば必ずメリットが出る。その肝心なことを全然やらない。流通機構だって、北海道の石炭が九州までいくことはないでしょう。流通機構の一元化だって全然触れてない。前には一千億、今度また一千億を使おうとする際に、なぜできないのか。もしこの機会を逸したら石炭産業は崩壊する。企業は残る。炭鉱労働者は離山をする。もう目に見えておる。しかもそれは早急にくる。だから私は、専門家の佐藤総理から、一体この答申で石炭産業はやっていけるかどうか、これをお聞かせ願いたい。
  99. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 結論から申しますが、まだ実はその答申を私伺っておりません。ただいまのお話を聞きましても、実は私も石炭とは、多賀谷君と一緒のように、役所でずいぶん苦労してまいりました。第一次、第二次、第三次、それぞれ私自身関係しております。したがいまして、今回の答申案、これはほんとに最後の結論が出るような、ぜひともりっぱなものをつくりたいと思います。そういう意味で、ただいままだ答申をいただいておりませんから、いただいた上で十分検討し、また通常国会の問題だと思いますが、各党の皆さん方の御熱心な御意見もひとつ伺わせていただきたい、かように思います。
  100. 井出一太郎

    ○井出委員長 これにて多賀谷君の質疑は終了いたしました。  午前の会議はこの程度にとどめ、午後は零時四十五分から開会することとし、暫時休憩いたします。  午後は質疑者が多数ございますので、いま申し上げた時刻に再開いたしたいと思いますから、御協力を願います。     午後零時十八分休憩      ――――◇―――――     午後零時五十四分開議
  101. 井出一太郎

    ○井出委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。横山利秋君。  なお、横山君に申し上げますが、宇佐美参考人は他の用務のため一時半に退席したいとのことでありますので、この点お含みの上御質疑願います。
  102. 横山利秋

    ○横山委員 まず総理に、経済の見通し及び今日までの実績について、簡潔に伺いたいと思います。  考えてみまするに、三十五年から三十九年まで続きました池田内閣の高度成長経済政策に対して、あなたは最も天下に訴えてそれを批判し、そして安定成長を唱えた人であります。現にこの間の本会議におきましても、あなたは依然としてその主張を今後も堅持される模様であります。ところが、皮肉なことには、池田内閣のときよりも、佐藤内閣になった四十年から四十二年、三年、むしろそのほうが高度成長で、むしろそのほうが物価高で、むしろそのほうがあなたが人間尊重と言われたのに逆行して、交通地獄で、不渡り、倒産が戦後最大となっておるというのがきわめて皮肉な現象であります。しかし、国民にとりましては、皮肉な現象では済まされない。政治責任の上においても、総理が一体どういう気持ちであるかという点について、きわめて国民は不信に思っておるわけであります。いま、私は数字をあげる、そういう必要があるなら幾らでも数字をあげますけれども、ただ簡潔に申しますと、池田内閣当時一の五年平均で名目成長率は一一二・二、あなたの場合は一二二・二、実質成長率においては池田内閣は一〇八・六、あなたの場合は一〇〇・八、これは実質がかえって下がっているというわけですね、カーブが。卸売り物価については、池田内閣が一〇一・一、あなたは一〇二・一、消費者物価一指数は池田内閣が一〇五・四、あなたの場合は本年の物価が四。五にはとどまらない、まずまあ一五・五%と私は見るのですけれども、四・五をもっていたしましても、一〇五・七で、まさに池田内閣のときよりも消費者物価指数が上がっておるのであります。  この点について、一体どういう政治責任を感じておられるか。一国の総理大臣を争うにあたって、おまえは高度経済成長だからいかぬ、おれに渡せと言ったあなたが、自分がやってみたら、それよりもまず高度成長経済であった。しかもなお、人間尊重をしない部面が多くなったという点については、どういうお考えでありますか。
  103. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 横山君にお答えします。  横山君は当時高度成長論者であったと思います。(横山委員「そんなことはない」と呼ぶ)私といろいろ議論いたしました。確かにそのとおりでございます。(「安定成長だ」と呼ぶ者あり)ただいま安定成長という不規則発言もありますが、やはり安定成長が望ましいこと、これは議論のないところだろうと思います。  私が政権を担当したとき、ちょうどいまの三十八、三十九、四十年――四十年になると、おそらく池田内閣の高度成長のひずみが出てきた、そういう年ではなかったかと思います。私は、四十年の予算編成等にあたり、またその後の経過等におきましても、たいへんな努力をした年であります。私は、私のとりました政策、いわゆるひずみ解消には役立ったと思う。ことに昨年の成長などは、たいへん成長が安定成長の方向に向かった。本年になりまして相当過熱している、これは御指摘のとおりであります。また、そういう意味で、ただいまの物価がいろいろ問題を引き起こしておること、これも私認めます。しかし、私は、高度経済成長そのものが悪いわけじゃない。やはり成長政策はけっこうでしょう。しかし、同時に非常なひずみを起こしてはいけない。そのひずみに対する対策が十分講ぜられることが望ましい、かように私は考えております。
  104. 横山利秋

    ○横山委員 総理は三十九年と四十年を例にとられたが、あなたの数字は間違っておる。正確な数字をもとにして私はものを言っているのですが、三十九年は一一二・九、それから四十年は一〇八でありますが、四十二年はあなたの中で一番高い、一一六・四、そして四十三年、本年は、見通しが一一二・一だが、経団連の見通しは一一七・二なんです。ですから、ことばをそらさないで率直にお答え願いたい。池田君、君は高度経済成長論者だからいかぬ、おれは安定論者、安定成長だと言ったあなたのほうが、高度成長の実績を示したということについて、あなたは責任を感じてもらわなければ困る。自分ができなかったではないか、人を非難するよりも、自分のほうがまだ高度成長ではなかったかという私の質問について、あなたは率直に答えていない。
  105. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いまの議論でよほど煮詰まったと思います。高度成長自身が悪いわけじゃないでしょう。やはり高度成長に対するひずみが起こらないことが望ましい、安定成長であることが望ましい、安定高度成長もけっこうなんだろうと思います。しかし、私は、昨年のような非常な高度成長、これについてはやはりブレーキをかけなければならない、かように私考えております。  いま、私が政権を担当したときの四十年、それを問題にされました。そのとおりの状態であったことを横山君も御承認だ。私もそのとおりだと思う。したがって、これはやはり成長政策が悪いと私は言っているわけじゃない。やはりひずみを生ずることがいけない。そういうものについても十分な対策が立てられること、これが望ましいことだ。昨年は確かにこれが非常な上がり方、またことしも引き続いてそういうことが上がっておる。そういうものに対する対策だと思います。だから、私が予算編成の際にそれぞれお答えいたしましたように、四十年の不況からやはり成長への方向、そこで刺激を与えなければならない、刺激が強過ぎた、今度は少し警戒型にしようじゃないか、こういうように、そのときどきの対策が立てられる、かように思います。したがって、横山君の言っておられることも私にわからないわけじゃありませんが、とにかくあまり大きな変動はないようにいたしたいものだと思います。しかし、日本経済はなかなか力強い進み方を持っておりますから、われわれの考え方どおりにもいかない点がある、かように私は思っております。
  106. 横山利秋

    ○横山委員 四十年は確かに下がった。けれども、逆に物価は三十九年の一〇五・七から一番上がって一〇七・七になっていることをあなたはお忘れにならないように願いたいのであります。そういうことがどうしてひずみ是正に努力をしたとおっしゃるのでありましょう。これは今後さらに議論を尽くして発展をしてまいりますから、次へ移りたいのであります。  そこで、あなたは均衡のとれた持続的成長と本会議でおっしゃいました。大蔵大臣は大蔵大臣で、記者会見で、谷間のない経済成長、またインフレなき拡大とおっしゃいました。まさに総理並びに大蔵大臣、線をそろえてものを言っていらっしゃる。それはそれでよろしいと思う。それならば、それをどうして実際に実現をするのか。私が指摘しているように、池田内閣を批判しておいて、今度は自分の時代になったら、三年間の平均はさらにそれを上回るというばかげたことでは、国民は信用しないのであります。大蔵大臣は、消費需要は政策的に伸び縮みさせることはむずかしい、今後も一定割合で伸びるだろう、こうおっしゃいました。しかし、さらにことばを続けて、これに対して産業需要は金融が主軸となって調整すべきもので、その調整機能を強化するための有効な手段を検討するよう事務当局に指示したと、新聞記者会見で語っておられるのであります。一体有効な手段とは何でありましょうか。私は先ほど総理にくどく言ったがために、特にこの際明らかにしてもらいたいと思うのであります。就任第一声のあなたの御意見であるから、よほど稿をあたためてのお話であろうと思う。産業需要を金融が主軸になって調整すべきもので、その調整機能を強化するための有効な手段とは一体どんなことでありますか。
  107. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いま新聞をお読み上げになられたとおりのことを私は申し上げておるのですが、いま総理とあなたとの間の話を聞いておりますと、ちょっと補足したくなるような気持ちがしてきたのです。  安定成長、これは成長の高さの問題もありますが、同時に谷間のない成長ですね。私どもは、反省してみますと、景気循環というものがありまして、そして非常な好景気だと思いますと、そのあとに深い不況の谷間が見舞ってくる。佐藤内閣ができ上がりました当時は、ちょうどその不況の谷、ほっておいたら日本の経済はもう立ち上がれないかもしれないというくらいの深刻な不況であったわけであります。それから経済は立ち上がりまして、今日まで堅実な成長をしてきておる。谷間はありません。  今後のことを考えてみますと、私は、経済政策の基調として一番大事なことは、景気循環の山、谷、これを絶対に避けるということはできませんけれども、その山をなるべく低く、谷をなるべく浅く、こういうことを考えなければならぬ。それにはいろいろな配意が必要でございますけれども、財政において、また金融面において、この二つが非常に大きな役割りを果たすのではあるまいか、さように考えておるのであります。つまり、景気のカーブは国民総需要できまる。総需要の半分は国民の生活消費でありますが、これはお話しのとおり、なかなか調整ができない。そこで、大体荒見当として二割を占める財政、また二割を占めるところの産業設備、ここに目を注がなければならぬ、こういうふうに考えました。  そこで、財政と金融との働きというものが出てくるわけでございますが、財政は、公債政策の運用よろしきを得ますれば、かなりの力を発揮し得る。それから産業設備の問題につきましては、これは金融政策が担当すべき分野である、かように考えておるのであります。  それで、私が就任当初申し上げましたのは、産業設備の調整の問題ですが、これが日本銀行の金融政策によって影響をこうむる分野がだんだんと減ってまいりまして、今日三二、三%くらいな分野に転落をいたしておるわけです。これでは金融による産業設備調整の機能が非常に弱体である、さように私は考えたのでありまして、これを拡大して金融調整の機能がもっと有効に働くような余地はないか、こういうことなんですね。今回の金融引き締め政策の実績を見てみますと、日本銀行の働く三二、三%の分野においてはこれが機能を発揮いたしまして、貸し出し等も減少をいたしております。ところが、日本銀行の調整の及ばない分野においては、金融引き締め調整下においてもなお増加傾向を示す、こういうような傾向もあるわけでありまして、私はそういう部面に対しましても何とかこれを調整する必要があるのではあるまいかと存じまして、事務当局にもこれを検討を命じ、また日本銀行にもお考えをお願いをいたしておる、かような状況でございます。
  108. 横山利秋

    ○横山委員 いまの大蔵大臣の御答弁、もう一歩進んで聞くのですけれども、かりにあなたの言うように日銀の影響力三二%、それ以外のところがふえていくという、以外のところと、それを調整する有効な手段は何か、もう一ぺんそこをお伺いします。
  109. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 行政指導の問題でありますとか、あるいは金利政策の問題でありますとか、いろいろな問題があろうと思いますが、何とかしてそういう目的に到達するような手段はないものか、いま考案をいたしておるところでございます。
  110. 横山利秋

    ○横山委員 あなたのお考えはまだないのですか、あるのですか。
  111. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 方向は考えておりますけれども、まだ具体的にこうするのだという固定的な考えにまで至っておりません。
  112. 横山利秋

    ○横山委員 日銀総裁にお伺いします。  いま大蔵大臣の発言お聞きになっておられると思うのでありますが、要するに、大蔵大臣のものの考え方は、財政は公債を減額することによって調整すが、あとはもっぱら金融が主軸になって調整すべきものだ。考えようによっては、わしの責任外だ、日銀の問題だというふうに世間では受け取りそうな御発言であったわけです。しかし、いま聞いてまいりますと、日銀は三二%の影響率しか持っていないから、ほかのほうで、つまり行政指導か金利で、こういうふうにおっしゃる。そうすると、やっぱりその面でも日銀に対して、言うならば責任を転嫁すると言っちゃ語弊があるかもしれぬが、私はどうもそういう傾向が強いと思うのであります。それで、この際、予算もまだきまっていない、編成もまだ不十分な段階でありますから、日銀総裁にいつもと違って率直な御意見が聞ける段階ではないかと私は思うのであります。そこで、私はこう思う。今日の高度成長というものの根本原因が、いまも大蔵大臣もはしなくもおっしゃったように、やっぱり設備投資だと思うのであります。この設備投資について押えることが一体できるのか。またもう一つの問題は、何といっても物価だと思うのであります。この設備投資と物価の急テンポな上昇ぎみに対して、一体どういうふうに今後の経済を見通すか、そしてそれに対してあるべき政策はどうありたいのか、まだ来年のことはさまっていませんから、この際、日銀総裁も職責上率直な御意見を表明をしてもらいたいと思うのであります。
  113. 宇佐美洵

    ○宇佐美参考人 お答えいたします。  ただいま大蔵大臣から御答弁がございました。私も拝聴したのでありますが、金融政策が、あるいは日本銀行の政策が数字で三十何%というふうにお示しになったわけであります。これはいろいろ御研究になったことだと思いますが、私は、もう一つ、たとえばいま御質問になりました設備投資の問題でもございますが、私どもは金融を調節いたしますと同時に、日本銀行は、御承知のようにこのごろ非常に世界の経済は動揺いたしておりますが、こういう問題あるいは国内の問題をどう考えておるかという問題を――私どもが狭い意味において、たとえば窓口規制の場合は対象金融機関というようなことを言っておりますが、そういう問題を越えまして、そうしてこういう点は注意を要するのではないか、金融政策の効果を、ただ何厘上げるとか下げるとかというだけでなくて、各事業、産業界にも、いまの世界の体制あるいは国内の体制がどうなっているかということをお話しし、それを具体的にあらわすものは公定歩合だと思っておりますが、そういう点につきましては、私は何%ということ以外にかなり効果があるのではないかと思う。また、たとえば当分公定歩合を下げることはしないんだということを申しましても、私どもの対象の金融機関以外に、産業界もそれをかなりわかってくだすっているように思うのであります。そういうことが非常に大事な政策ではなかろうかと私は考えているものであります。  ただ問題は、非常に国内の事情も変わってまいりました。たとえば、従来はなかった公債発行ということもございます。また、最近は海外の資金が日本に非常に入ってまいります。こういうこともあわせますと、われわれはさらに、いま大臣もおっしゃったように、いろいろな政策面についての効果をあらわすための研究が必要だろうと、われわれも積極的にただいま研究しているわけであります。そうして、それが必要な場合に必要なものを出していくということを考えておるわけでございます。
  114. 横山利秋

    ○横山委員 大蔵大臣に質問の順序の関係上簡単に伺いますが、そういたしますと、大蔵大臣は、総需要、特に設備投資をある程度押えなければいかねという立場でございますか。
  115. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いま今日のこの時点で、設備投資需要を積極的に押えるという考えは持っておりません。またしかし、これを拡大するという考えもございません。要するに、私の考えは、今後を見通しますと、特に来年あたりは世界の通貨不安がどういう様相を呈するか、不幸にしてこれが高じますと、通商不安につながってくる。そうすると、世界的経済デフレ状態になる。その場合に、わが国の経済を持続的に成長発展させる、つまり、世界のそういう荒波を日本経済がなるべくかぶらない、かぶる度合いを少なくするというためにはどういうふうにするか、こういう問題でありまするが、大体節度をもって設備投資また財政、こういう両面の運営に当たっていきたい、そんな気持ちでございます。
  116. 横山利秋

    ○横山委員 菅野長官にお伺いしますが、あなたは成長率を一〇%より低目にということをおっしゃたようであります。あなたの御意見でありますか、大蔵大臣とお話をなさっての上でありますか。
  117. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 本年度の消費者物価の上昇率が予定よりも高いのでありまして、これは決して喜ばしい現象だと考えておりません。おそらく五%以上になるのではないか、こう考えておるのでありますが、そこで、私といたしましては、いまのままでいけば来年度五%以上になると思いますので、できれば五%以内に押えたいというのが私の希望であります。(横山委員「名目成長率ですか」と呼ぶ)実質成長率です。五%以内に押えたい、こういう考えでおるのでありまして、具体的にいろいろいま材料を集めて研究いたしておりますから、具体的なことをまだ申し上げることはできません。
  118. 横山利秋

    ○横山委員 長官と大蔵大臣との間にだいぶ懸隔があるようであります。実質五%以内にとどめるということは、実に今年度の政府見通しが私はおそらく実績一二%ぐらいになると思うのであります。それを五%に押えるということは、何か勘違いをしてものを言っていらっしゃるのではないか。何の話をあなたはしているのか。
  119. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 私のは消費者物価のことを申し上げたのであります。いまのお尋ねの件は、まだ私のほうではいま調査研究中でありますからして、何とも御返事ができません。
  120. 横山利秋

    ○横山委員 あなたは新聞記者会見で成長率を一〇%よりも低目に押えたいという意向を表明されたから、聞いておる。
  121. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 いや、私は消費者物価のことを言ったんです。
  122. 横山利秋

    ○横山委員 そんなことを聞いちゃいませんよ。
  123. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 私は新聞記者には消費者物価のことを言ったのでありまして、それを私は言ったのであります。
  124. 横山利秋

    ○横山委員 私は、新聞をちゃんと見て、しかも経済成長率一〇%とあなたが言ったのを聞いて、ものを言っているんですからね。まあ、そんな押し問答はやめましょう。しからば、あなたは成長率をどのくらいに来年は予測し、努力目標として考えておるのですか、おらないのですか。
  125. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 いまのところ、いろいろ材料を集めて調査いたしておりますから、私としてはまだ具体的な結論は出ておりません。
  126. 横山利秋

    ○横山委員 それではまことにお粗末な話で、もう少し十分話を聞いて、十分な答弁をしてもらわなければ困るんですね。私はお答えできませんでは済みません。一〇%より低目ということがかりにあなたの発言であったかなかったかは別といたしまして、来年の経済成長率についてどういうふうな考えを持っておるのかと聞いておるのに、お答えできませんではお粗末じゃありませんか。もう一ぺんひとつはっきり答弁してください。
  127. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 ことしは、成長率は一〇%以上になると思っております。いまの予測では、おそらく一〇%以上になりはしないかということを大体考えておりますけれども、具体的に何%になるという確固たる私の計算はまだできておりません。
  128. 横山利秋

    ○横山委員 先ほど大蔵大臣から、海外貿易について言及がございました。そこで、通産大臣にお伺いしたいのでありますが、貿易をどうしても拡大をしなければならぬ、この通貨の不安定が通商の縮小に発展する懸念がある、そういうようなことも言われております際でありますから、なぜ一体、それならば貿易の角度を広めて、中国だとかあるいは社会主義圏の貿易に勇気をこの際出さないのか、伺いたいのであります。  特に言及をいたしたいと思いますのは、日工展であります。きょうの新聞の社説にも出ておりますが、ココム、チンコムの条約でも、国際協定でもないことを、政府の一片の通達だとかあるいは内規によって、民間の貿易を拘束をしておる。しかも今度の日工展については、西欧における社会主義圏の貿易の出品品目よりもさらに制限をしておるということは、これはまことに政府の姿勢の問題だと私は思うのであります。さらにまた、中国では、この間、中国牛について食肉二万トンの協議書が調印されました。これでいきますと、小売り価格換算して百グラム五十五円ぐらいに食べられる模様であります。積年の問題でありますが、消費者物価の安定のためにも、また貿易拡大のためにも、このような日工展の出品を驚くべき制限をして、実質価値をなくさせようとしたり、あるいは中国牛の調印はしてもわしは知らぬというようなことは、あまりにもお粗末なことではないかと思うのでございますが、いかがでございますか。
  129. 大平正芳

    ○大平国務大臣 わが国は貿易立国と申すべき国策で終始いたしておりますことは、横山さんも御承知のとおりでございまして、私どもも、貿易振興の上から申しまして、自由圏ばかりでなく、社会主義圏に対しましても、貿易の拡大をはかってまいりましたし、また顕著な実績をおさめてまいっておりますことは、御案内のとおりでございます。  そこで、いま御指摘の日工展からお申し出がございまする展示会の出品規制の問題でございますが、十一月十三日から受け付けておりまして、目下鋭意査定を急いでおるところでございます。私どもとしては貿易の振興ということを堅持いたしておりまするから、ことさらこれを押えようとか、特に規制しようとか、そういう考えは毛頭ないのであります。これが初めてでもございませんし、従来の方針と少しも変わっていないわけでございます。世上いろいろ、政府側である偏見を持って押えておるのではないかというようなことが聞かれますけれども、私どもとしては、毛頭そういう考えは持っておりません。
  130. 横山利秋

    ○横山委員 しかとその言をひとつ覚えておきます。これほど日工展が問題になっておるときに、国会であなたが、日工展出品品目をココム、チンコムのあれによって押える意思はない、そういうようなことをここで公然とおっしゃるのでありますが、どうしてそれならば各方面で大きな話題になり、新聞もわざわざ論説に掲げ、そして多大の衝撃を与えているかという意味がわからないのであります。あなた、ほんとうに貿易拡大のために日工展についてどんどん出品をしてもらいたい、こういう点には変わりありませんね。重ねてはっきりお伺いしておきたいと思います。
  131. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私が申し上げましたのは、従来の方針に変わりはない、特に政治的な偏見を持って規制しておるというようなものではないということを申し上げたわけでございます。
  132. 横山利秋

    ○横山委員 そのことばの含みがどうもはっきりしないのであります。少なくともこういうことは言えますか。東欧でありますか、あそこでやっぱり展覧会をやっていますね。少なくとも従来の制限といいますか――従来の制限自体が私どもはおかしいと思っているのです。そういう制限が大体憲法違反であると思っているのです。条約でも協定でもないもの、それを単に政府の行政によって縛ることがおかしいと思っているのです。そのこと自身私どもはあなたの意見も聞きたいが、それともう一つは、今回も従来以上に制限することはしないと、この二つをひとつ……。
  133. 大平正芳

    ○大平国務大臣 ココムは条約でもございませんし、特にそれが直ちに私どもの行政を縛るものでないことは御案内のとおりでございます。ただ、私どもは自由圏との間に友好な通商関係を続けてまいって、わが国の経済を発展してまいるという基本の政策を持っておりまして、輸出管理、為替管理法その他の法令はそういう基本の原則によって組み立てられておるわけでございまして、そういう法令のもとにおきまして私どもが行政を行なっておるわけでございまして、今度の日工展から持ち出されている問題につきましても、そういうワク内におきまして私どもは忠実に責任を果たしておるつもりでございます。  それから、第二点としてお含み置き願いたいのは、世の中の技術水準がだんだん進歩いたしまするから、出品される品物も、去年とことしとまた全然同じだというようなぐあいにはまいらぬと思うのでございまして、新しい事態に即して、この運用につきましては適実に考えてまいらなければいかぬことは当然と考えております。
  134. 横山利秋

    ○横山委員 時間がございませんから、こまかい点に言及できないのが残念でありますけれども、いずれまた同僚委員が別の委員会においてその細目をただすと思うのであります。  総理大臣に伺いたいのでありますが、明年度の予算についてであります。まだもちろんきまっておりません。結論がついていないということはよくわかるのであります。この際、ひとつ国民が最も聞きたい一点だけをお伺いしたいと思うのであります。  それは来年の自然増収が約一兆二、三千億はあるだろうといわれておる。そして、その中で当然増が約九千億くらいではないかといわれておる。その自然増収というものは、本来これは税金の取り過ぎなんであります、庶民的に言えば。これだけしか税金は要りませんと、道路をつくります、これでやりますからと言っておいて、それが一兆二、三千億も余分に取れるということは、国民にしては約束が違うじゃないかと言いたいところなんであります。税金の取り過ぎということは、要すれば減税して返すというのが庶民的にはよくわかる話であります。政府の立場からいえば、もちろん公債の問題はある。あるけれども、国民の立場からいえば、余分に取ったら返してもらいたいというのが素朴な問題だと思うのであります。  そこで、明年の予算の編成に際していろいろな問題がある。地方交付税の引き下げだという意見が大蔵省にある。生産者米価の問題が引き下げをしたいという大蔵省の意見がある。国鉄の運賃を上げろ、やれ社会保障の根本的解決、あらゆる問題が山積していますから、ずいぶん議論があるところだと私も思う。しかし、そういう議論を通り越して、国民が最も聞きたいのは、また私も伺いたいのは、やっぱり依然として、先ほどから私が言っていますように、結果としては高度成長になるのではないか、結果としては物価が上がるんではないかということを考えて、みんなが不安に思っておるわけであります。要するに、予算編成の基本的なものの考え方が、先ほどから低迷しておるわけでありますが、物価に重点が置かれるのか、成長する以上――大蔵大臣のこの問の記者会見のことばで言えば、成長する以上、物価がある程度上がったってしょうがないよという成長が大将なのか、あるいは物価、国民生活安定が大将なのか、どこにあなたの腹があるのかということなんであります。私も成長を否定しているわけじゃありませんよ。けれども、国民として一番大事なことは、経済が安定して物価が上がらない、暮らしが困らないということなんであります。その点を予算の編成に際して、総理大臣のお考えをひとつ率直に国民に語ってもらいたいと思う。
  135. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 なかなかむずかしいことをお尋ねだし、ただいま横山君の言われるように、いまこの段階で聞くことはどうだろうかと言われるように、まだ基本的にはきまっておりません。しかし、いま御指摘になりましたような点を全部考えて予算を編成しなきゃならぬことは、これは当然であります。私は先ほど来の質疑を聞いておりまして、一体経済企画庁長官にどの程度の成長を希望するのか、こういうようなお話のありましたこともただいまの点に影響するんじゃないか、かように思っております。人によりましては、一二%以上の成長をしたらなかなか物価はおさまらぬよ、こう言うような人もございます。そこで、大体一〇%前後の成長が望ましいのではないか。しかし、わが国の底力はなかなか強うございますから、それではなかなかおさまらないかわかりません。そこで、これはやっぱり予算編成とたいへんな関係のある問題でございますから、予算編成におきましてもそれらの点をよく考えて、過熱にならないような、やはり警戒的な予算をつくることが必要なんではないか。そうして、所得のふえることも望ましいことでありますが、物価が経済成長より以上にうんと上がるというようなことがあっては、これは国民生活を不安ならしめる、こういうことでありますので、ただいまも御指摘にありましたように、経済成長も大事ならば、同時に国民生活を守ることもより大事なことだ、こういうような点で、いまのような点を種々勘案して、まあ一口に申せば、警戒型の予算をつくる、刺激を与えないようにする、こういうような点に落ちつくんではないだろうか。ことに公債発行は一体どの程度にするか、あるいは減税はどういうようにするか等々、また社会保障にはどういうように金を見積もるか、ずいぶん問題は多いと思います。ただいま大蔵大臣が全知をあげてそういう問題と取り組んでいますので、もうしばらくお待ちを願い、通常国会におきましては十分御審議をいただきたいと思います。
  136. 横山利秋

    ○横山委員 国民の関心の的であるのが物価であります。そこで、物価の本年の四・八という見通しでありますが、これは総理臣がこの春の国会で私に答えられたことばでありますが、「しかし政府自身は、各種のデータをそろえた上で四・八にしよう、これをただいまの政治目標にしてあらゆる努力をする決意でございます。」これはあなたの答えられたとおりであります。しかし、現実に四・八はもうだれの目にもくずれ去っておることは明白であります。上期平均が五・七ですね。そういたしますと、下期に行って四・八におさまるためにはどのくらいの。パーセントでなければならぬのか、だれの目にもよくわかっておる。もうくずれ去っておる。政府は下期のカーブのゆるみに期待しておるようでありますけれども、これはもう十月には米が中心になって主導した。十一月は新聞であります。今度は牛乳であります。年末の季節的な物価要因から考えまして、とてもじゃないけれども四・八に押えられぬ。毎年毎年このような、誠意をもって、決意をもって、しかもこの間の本会議の総理の話は、ことしは特に最重点施策として力を注いでいく決心でございます、形容詞もここまでくるとあと言うことがないと私は思うのであります。それにもかかわらず、この物価の動向というものはとめどがつかない。この間総理が本会議でおっしゃったことを世間がひやかしておるわけでありますが、それは、「年末を控え、国民の台所に直結する生鮮食料品等については、安定した価格で供給し、家計に不安を与えないよう努力」する、これはまだ十二月に入って――年末にかけて総理は何をなさるおつもりでしょうか。大急ぎで魚にカズノコを産め、大急ぎで北海へ行ってサケをとってこい、こうでもおっしゃるつもりでありましょうか。肉については、もう夏ごろから準備をしておかなければとてもじゃないけれども何ともならぬものを、年末に入ってから最重点施策として家計に不安を与えないよう努力すると言っても、これはそらぞらしいことはなはだしいですよ。だから私、それでも総理がおっしゃったのだから、年末対策についてどんなことをなさったのか、一ぺんここで伺っておきたいと思うのです。
  137. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 この四・八%の維持は本年は不可能だと考えております。そこで、しかしせめて年末の食料品などについてはできるだけ値上げしないようにしたいというので、先般九月から準備をいたしまして……。
  138. 横山利秋

    ○横山委員 総理が言ったのはつい二、三日前ですよ。
  139. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 いや、それはそのことを言ったのです。その準備をしておるということを言ったのであって、それで、大体貯蔵、輸送というような点については、いろいろ万遺漏なきように計画を立てておる次第であります。
  140. 横山利秋

    ○横山委員 そういうことなら、総理大臣が本会議でおっしゃることじゃないと私は思うのですよ。そんな輸送に万全を期せよなんということで物価が下がるとは私は思いませんからね。一国の総理大臣が物価についてお答えになるときには、もっと権威のある物価の下がるようなことを言ってもらわぬと、しかもさかのぼって前からやっておることを一生懸命にやれと言うぐらいで、年末に対してしかも最重点施策としてやっておりますということは、私は、総理大臣のことばとしてはいささか権威がなさ過ぎる、こう思うわけであります。  その次は来年の問題であります。来年度の物価について大蔵大臣は、三、四%程度なら国民に許してもらわなければならぬ。しかし五%を上回り預金金利をこえるような状態は絶対に避けるべきだと考える、これは御意見どおりに私は述べたわけであります。それならば、一体来年度の物価の絶対防衛線といいますか、毎年毎年物価には私が言うのですから、今度はひとつほんとに責任をもって絶対防衛する、政府として決意を固めて、これを最重点施策にするという総理大臣のお話のように、物価高騰の絶対防衛線を何%と腹をおきめになるおつもりですか、伺っておきたいと思う。
  141. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 来年の経済見通し、策定中でございますが、私といたしましては、物価は非常に重要視しております。何とかして五%以内にこれをやっていきたい、かような考えでございます。
  142. 横山利秋

    ○横山委員 経済企画庁長官に伺いますが、そうすると、来年を五%といたしますと、本年から来年にわたって引き続くげたでございますね、げたは何%ぐらいですか。去年は三・三%でしたよ。すると来年はどのくらいがげただと思いますか。
  143. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 げたについての御質問がありましたが、目下いろいろ私のほうでも調査いたしておりますので、具体的な数字は申し上げられませんが、できるだけ物価が上がらないようにいろいろとくめんをいたしておる次第でございます。
  144. 横山利秋

    ○横山委員 大蔵大臣は、五%とおっしゃる以上はげたを計算しておみえになると思うのですが、大蔵大臣の言うげたは何%でありますか。その五%の中の何%がげたでありますか。
  145. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 げたが幾ら、げた以外が幾らというところまで計算はいたしておりませんけれども、私の政治家としての腹がまえ、これは五%以内にぜひおさめたい、かような次第です。
  146. 横山利秋

    ○横山委員 庶民が聞いて五%というと、まるっきり白紙で五%上がっていくように思う。ところがお互いわかっているはずでありますが、毎年げたをはいて翌年に移る。本年度は三・三%でしたからね。そのげたがどのくらいだか、もうわかっておるはずですよ。推算が大体出ておるはずですよ。それが出なければ五%と言うほうがおかしいのであります。げたがわかりもしないのに、五%にとどめたいと言うことがむしろ軽率だと私は思うのです。五%というと多いようであるけれども、げたを脱いだらほんとうにわずかの。パーセントにしかすぎませんよ。三・三だといたしますと一・七ですよ。物価高騰を一・七%で押えるというような決意をなさったと私は拝聴するんですが、これは本年度のげた三・三%を私が援用しているからで、一・七ということが確定してきた数字であるかどうかわかりません。けれども、少し軽率じゃありませんか。時間の関係上、政府のげた抜き論で五%といいますか、げたは幾らかわからぬけれども、五%でとめるというお気持ちをひとつ腹に入れて次へ移ります。  それで、その物価五%を絶対防衛線にするという点に立てば、私は政策目標として思うのでありますけれども、物価の値上がりを招く政策的な要因というのは去年、おととしから出始めました受益者負担という思想であります。つまり汽車に乗る人に、水道を使う人に、電気を使う人に、とにかく使う人に、利益を受ける人に負担をしてもらおうという思想が政策の中心になっておるようでありますから、その政策を進める間においては、これはとてもじゃないけれども、物価高騰は免れがたい。私はこの際、五%を防衛線にするのだったならば、受益者負担という政策というものを少しおろしてもらわなければいかぬと思うのです。その決意がなければとてもこの防衛線は張れないと思うのでありますが、これはどなたに聞いたらいいのでありましょうか、どなたがお答えになりますか。
  147. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 公共企業体の運営、その料金の問題でありますが、私は基本としては受益者負担、これが大原則でなければならぬ、こういうふうに考えます。しかしお話しのように、これは物価なんかにもかなり影響のある問題でありますから、経済全体を見回して特例的にどうするかということもまた重要な問題になってくる。ことに物価政策の見地から公共料金の引き上げ、これは非常に重要な問題でありますので、慎重に取り組んでまいります。ただ、絶対に引き上げはせぬ、こういうわけにもまたまいらぬかもしらぬ、この点もまた御了承願いたいのであります。
  148. 横山利秋

    ○横山委員 少しきめこまかく入ってまいりますから、各大臣とも時間の関係上、簡潔に私の聞きたい点だけお答えを願いたいと思うのであります。  まず最初、運賃の問題であります。国鉄は赤です。私鉄は黒です。私鉄十四社は四十三年上期は百三十二億、兼業部門は百五十五億の黒、利子、税金を差し引いて黒が八十七億、一割配当、こういう状況であります。国鉄が赤の点についてはだれしも知っている。これは政治問題です。しかし、国鉄を上げれば千波万波を呼ぶことも御存じのとおりであります。この二つの処理が来年度の政治的な重要な問題でありますが、私鉄は前運輸大臣が、本年度は上げませんと明白におっしゃいました。どうも新運輸大臣はその点ぼけているような御返事をなさっていらっしゃるようでありますが、国鉄を上げるのか、私鉄を上げるのか、その腹をひとつ明白に聞かしてもらいたい。
  149. 原田憲

    ○原田国務大臣 横山さんにお答えいたします。  あなたが簡単にということでございますから、私も簡単に答えさしていただきますが、国鉄はあなたすでに御承知のとおり、このまま十年間ほっておいたら、国家財政全部つぎ込んでも国鉄の赤字のために日本の国が破産してしまう、こういうようなことまでいわれておる状態であります。したがって、これを再建するためには三つの方法があるだろう。一つは国鉄自身が考えること、一つは国の財政支出、一つは利用者が負担してもらうこと、この三つを、三方一両損というか、これで再建をされるがよかろうという答申をいただいておるのでございます。いまあなたの言われている運賃という問題がこの中に含まれておる。これは重要な問題でありまして、国鉄運賃というものをきめる場合には、運輸大臣だけではいかぬということは、あなたはよく御存じのとおりであります。また、それではほっておいたら、運賃を上げずにおいたらどうなるか。いま冒頭に申し上げたとおりでございます。したがいまして、慎重の上にも慎重に検討をいたして、態度をきめていきたいと思います。  私鉄運賃に対しましても、運賃問題でございますから大体同じような基本がある。なるほど私鉄は企業が黒である、国鉄は赤であるというところの違いがございますが、私鉄も、来年度はこのままほっておいたら赤になるというような問題も含んでおりますので、これまた慎重に検討させていただきたいと思っております。
  150. 横山利秋

    ○横山委員 農林大臣はどうお考えでございますか。大蔵省で、生産者米価は三%引き下げる、荒唐無稽なと思われるほどの話がございますが、消費者米価の据え置き、生産者米価、そのほか簡潔に米価についての御意見を伺います。
  151. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 生産者米価の件は、食管法という点からも考えられますし、ですから、ただいま率直にということになるならば、生産者米価を現実に合った方向に向けていくよりやむを得ないだろうというように考えております。
  152. 横山利秋

    ○横山委員 郵政大臣は、電話料金が平均一二・五%の値上げが計画されておるそうでありますが、これは、電電公社が国鉄に比較するとそんな赤字ではない、黒字だと私は思っておるのでありますが、借り入れによるか増資によるべきではないかと思いますが、どうお考えでありますか。
  153. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 電電公社からは強い値上げの要請が出ております。ことに昭和二十八年以降十五カ年間電話料金が上がっていないこと、現在の料金の体系が非常に古いこと、経常収支でも赤字がようやく出始めたこと、こういうふうなことを理由にいたしまして、強い要請が出ておることは事実でございますが、しかしほかに方法はないか。たとえばもっと企業の合理化をする余地はないか、新しい機械設備を入れてコストを下げる、こういうことはできないか、あるいは財政投融資、こういうことをいろいろ考慮しながら検討をいたしております。結論はまだ出ておりません。
  154. 横山利秋

    ○横山委員 大蔵大臣に二つ伺うのですが、今度通常国会で新しいたばこ消費税の法案が出る模様であります。この内容は、よくわかっておりますから、内容を御説明なさらなくてもよろしい。問題はものの考え方であります。当面たばこを値上げしないにしても、国庫財源の確保ということが真の目的であるならば、たばこ消費税の創設をすることは、要すれば将来たばこの値上げをしたいという気持ちがあるのではないかということが第一。  第二番目には、道路財源としてガソリン税一〇%、軽油引取税二〇%ないし三〇%の値上げが議論がされておりますが、この二点についてどういうお考えでありますか。
  155. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ただこ消費税の創設につきましては、税制調査会のほうでそういう空気があるのであります。その空気が出ておるゆえんのものは、ただいまの納付金方式でいきますと、専売公社は収支をやってその余りが出たら国庫へ持ってくる、こういうことになりますので、企業体の経営を合理化する上において支障があるのじゃあるまいか、こういうことなのでありまするが、その考え方につきましては私はもっともだと思いますので、正式に答申があればそういう方向で進めてみたい、こういう考えです。ただ、それによって消費税収入をいまのたばこ納付金よりも上げていこう、こういう考え方は持っておりませんから、その点は了承願います。  それから一方、道路費を充実しなければならぬという問題があるわけです。道路の状況は御承知のとおりでございまして、これはどうしても大いに整備しなければならぬ。さてその財源と、こういうことになりますと、既定の財源では足りませんので、何とか税源を確保できないものかというのが建設省の意向でございます。これは非常に強い意向であります。その一つとしてガソリン税ということもいわれております。あるいはトラック税というようなこともいわれておる。あるいはその他もろもろの御提案があるのでありまするが、これは国民負担の状況、またこの税の及ぼす影響と、よほど慎重に検討しなければならぬ問題でありますが、目下昭和四十四年の予算編成の一環として検討してみたい、かように考えておる段階でございます。
  156. 横山利秋

    ○横山委員 もう一度運輸大臣に伺いますが、バス、タクシーあるいは市電等であります。私の承知しておりますところによりますと、バスは三〇%から四〇%の申請が目立ち、大体において三〇%値上げで許可しておられるようであります。タクシーのほうは一五%から二〇%の値上がりで許可しておられるようであります。しかもいま申請状況を見ますと、まさに全国かなえのわいたような申請の状況でありますが、これについて今後どういうふうに処理なさるおつもりでありますか。
  157. 原田憲

    ○原田国務大臣 お答えいたします。  おっしゃるとおり、バス、タクシーは全国的に申請が出ております。これらの問題について、中小、地方というものと、たくさんの国民が集中的に住んでおる府県、五大市というのは違うということも横山さんもよく御存じのとおりでございます。中小関係につきましては、いわゆるケース・バイ・ケースで検討をして、それらの経営も成り立ち、地方に貢献ができるように考えてあげなければならないのじゃないかと考えております。五大市の料金問題につきましては、これは乗車拒否の問題でございますとか、いろいろ企業それ自体が態度を改めなければならぬというようなことを指摘されてきたわけでございまして、その企業の内容等につきまして、この間年末増車をいたしておりますから、なお一そう慎重に土与えて対処していきたいと思っております。
  158. 横山利秋

    ○横山委員 牛乳が各地で三円値上げになっておるわけであります。この牛乳の値上げは新聞の値上げに引き続いて起こりました。新聞の値上げは、要するに新聞社の言い分によりますと、配達の人件費だと、こう言う。新聞が物価値上げに反対反対と言っておって、自分のところは社告一つで値上げしたのはきわめて不愉快だと私は思うのでありますが、もし新聞がそうなら、おれのところもそうだといって牛乳屋さんが値上げをした。  そこで農林大臣に伺いたいのでありますが、牛乳の三円というのは、今度は小売り屋さんのものであります。そこで今度は生産者のほうがおれのところもと、こう言う。そうしたら今度メーカーがおれのところもと、こう言う。毎年毎年、牛乳が小売り屋と生産者とメーカーと、次から次へと自分たちだけのことでやっておったのでは、一年に二回も三回も上がってしまうわけであります。この牛乳の値上げについて、行政指導がどうして一体もう少しできないのか、総合的な判断ができなかったものであるかどうかということと、私は各国回って思うのでありますが、新聞にしても牛乳にしても、もう配達制度をやめるべきだと私は思うのであります。配達制度によって各戸に新聞や牛乳を配達することによって、どのくらい多くの少年や、あるいは人件費がたくさんかかっておるかわからないのであります。これは非常にむずかしい問題かもしれぬけれども、一歩一歩その方向に行くことによってその値上がりを食いとめるべきだと思うのでありますが、御意見を伺いたい。
  159. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 牛乳の値上げにつきましては、政府として何らこれに対して法的基礎を持って、こういう法律によって取り締まるという方法はないのでありまして、したがいましてそれだから野放しにしておくというわけにもまいりません。いままではこれによって行政指導という面にかなりいろいろ尽くしてまいりましたけれども、先日来の三円の値上げと申しましょうか、これらは突然行なわれたことでありまして、これらにつきましては業者間に対しましても、もう少し考えてもらう方法はないかということでいろいろといま折衝もしております。おことばの中にありましたように、日本の伝統と申しましょうか、古来やはり牛乳だとか新聞だとかいうようなものは配達をしつけておりますが、これさえなければ、何で牛乳がそう高くならなければならないかという――一番大きな原因は集配に対する労賃でございます。これが非常に大きくなった。こういう上に立って値上げをするようになってきておる。ですから一定の場所に、一ところに置いて、そして五日分だとか一週間分だとかいうようにお引き取り願うようにやっていただくならば、まさに消費者の思うような価格でもって供給することができるだろう、このように考えております。(発言する者あり)何とか行政指導をそれらに向かって行ないたいと念願をしております。
  160. 横山利秋

    ○横山委員 そのほか、物価の問題について伺いたい問題がきわめて多いのでありますが、しかし、時間の関係で節約をいたします。  最後に、物価の値上げのこのような展望に立って、もう一度総理大臣に伺いたいのであります。  どの閣僚も、これはやめます、値上げいたしませんと明白に言われた方がないのであります。ただ一人大蔵大臣のみは、たばこ消費税の創設が値上がりにつながらないとおっしゃったのだけれども、これは私はあまり当てにしないのであります。そうでなければおかしい。そんな無理に法案を出す必要はないからであります。だから国鉄、私鉄、米価、電話代、たばこ、ガソリン、市電、バス、タクシー、新聞、牛乳、そこへ野菜が加わってくる。野菜の問題が大きなウエートを占めるわけであります。そういたしますと、これは大蔵大臣がげたを知らずに五%が絶対防衛線だとおっしゃっても、とても五%で食いとめられるはずがないと私は思う。重ねて言いますけれども、この受益者負担というものの考え方をあなたの頭からなくしない限りは、これはだめなんです。経済が成長するときに一%、二%の物価の値上がりは、これはもうある程度やむを得ないと私も思いますよ。けれども、それであっても、政治として成功するのは、物価がとまっておって成長するのが政治の最高なんですから、したがって、これほど並べてみて、そうして物価を抑制するというのはなみなみならぬ決心が必要だと思うのであります。総理大臣はどうですか、受益者負担政策というものをこの際やめて、あくまで物価中心の来年度予算をお組みになるお気持ちはありませんか。
  161. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 先ほど来、物価について真剣な御意見が交換された、私もたいへん勉強した、かように思います。  そこで、ただいま受益者負担をもうやめなければいかぬ、こういうお話もございますが、しかし、いままでの話をここで順次追ってみますると、やはり一方で賃金が上がる、同時に物価、そういう賃金の上昇と物価との悪循環といいますか、これを断たなければならない点も忘れることはできないように思う。私は国民全体が所得がふえていく、たいへん望ましいことだ。また富国、国を富ますという、そういう政治と私は取り組んでおりますが、やはりこういうところへくると、ただいまのような牛乳あるいは新聞配達など、これはどうも賃金、そういうものとの悪循環があるのだ。これを物価構成のメカニズム、こういうような表現もしておられます。そこで、このメカニズムにやはり手を触れなければなかなか物価問題は片づかないのじゃないだろうか。ただいまは、ただ単に受益者負担じゃいかぬ、こういうような御議論でございましたが、やはり物価構成のメカニズムに手を触れることが必要ではないかと思います。私は、いわゆる所得政策を採用しようというのではありません。必ずしも所得政策が英米におきまして成功したとは言えないように思います。しかし、手っとり早い話が、いま言われました牛乳や新聞配達など、このサービス過剰というか、そういうものはやめられ得るのじゃないだろうか。これは私、ただいまお話を聞いていて、具体的な問題で、これだけでもやめたらよほど変わってきやしないだろうか。新聞あるいは牛乳配達、これは一部にそれをやめろというような議論もございますが、それは不規則発言であります。しかし私は、こういう点も物価の問題が大事であればあるだけに、国民全体がやはりこれと取り組んで考えていただくということが望ましいのではないだろうか。私は、日本の一般の問題で、サービスはどうも過剰じゃないだろうか、こういう気がいたします。サービスはできるだけやってもらいたいと思いますが、過剰であり、それが本質的に物価の問題にはね返ること、これは考えなければならぬと思います。そういう点で、まだまだ考えるべきものがあるだろう。私は本会議の席上で、物価のメカニズムについて改善をはかるべき段階ではないだろうか、こういう発言をいたしました。ただいまのような話からさような点を考えておるのであります。  さらにまた、最後にお話しのありました野菜の問題、どうも年末の台所用品のことについてしゃべるのは、総理として見識がないじゃないかというおしかりを受けましたが、私は、ただいまの主婦の諸君が一番困っておるのは、台所、その問題じゃないかと思います。そういう意味で、私自身がやはり台所用品は豊富にする、またそういうものについての価格を安定さすようにする。幸いにしてこの冬は、ただいままでのところは野菜は豊富だ、かように私は伺っております。そういう意味でたいへんけっこうだと思います。(「天気だからだよ」と呼ぶ者あり)もちろん天気にいたしましても、これはたいへんけっこうだ、かように私は思います。そういう意味で、生活を豊かにするように私どもが考えること、高度の政治もともかく、もっと政治は卑近なところにあるということを絶えず考えていきたいと思います。  ただいま、やや他に脱線したようでございますが、物価の問題と取り組むためには、真剣に取り組むほど、やはり基本的な問題に取り組まざるを得ないのじゃないか。これはやはり物価構成のメカニズム、それにメスを入れるという、そういうことでやはり改善していく、これにはどうしても皆さま方の御協力を得なければならぬ、かように私は考えております。
  162. 横山利秋

    ○横山委員 私が、総理が軽率に言うべきでないと言ったのは、具体的な策もなくして本会議でおっしゃったことに対して言ったんですから、その点はあなたの聞き誤りです。  それから物価に関連して考えなければならぬのは、物価対策として一生懸命にやるんだけれども、物価が上がって一番困るのが生活保護者や失対労務者、年金生活者なんです。いま総理の言うように、私は物価と賃金の追っかけっこという点は賛成しません。そういう論理はあり得ないので、いまは設備投資が中心なんです。政府の物価政策が中心なんです。それはまた別にいたしますが、一番ひどい目にあっているのが生活保護者、年金生活者なんです。これについては保護基準やあるいは年金、恩給のスライド方式をやってもらわなければなりませんけれども、同時にここで指摘しておきたいのは、大蔵大臣が預金金利と物価について言及をされていることなんです。いま郵便貯金の目標のカーブがゆるんでいます。この郵便貯金の目標のカーブがゆるんでおるということは、要するに低所得者、お百姓さんや少し郵便局へ通っておる人たちが利子の概念、物価と金利の概念がわかってきたんじゃなかろうかという感じがいたします。したがって、このまま放置をいたしますならば、これは財政投融資にも大きな影響をもたらすと思うのでありますから、この点は十分勘案をしておいていただきたいと思うのであります。  次は税制の問題であります。明年度の自然増収が、先ほども多賀谷さんが話をしておりましたようでありますが、国民所得を一とした税収の弾性値を一・四ないし一・五にいたしますと、一兆二、三千億になると私どもは推定をしておるわけであります。これで、一兆二、三千億になる自然増収の中で減税が、まあどのくらいをお考えか、話によれば千五百億ないし二千億というのはあまりにも少ない、税金の取り過ぎなのでありますから、あまりにも少ない。しかも大蔵省は税制調査会にどうもワクを出しておるらしい。ワク内で作業をしてもらいたい、千五百億なり何なりというワク内で、これは失礼じゃありませんか。きょうは税調の会長に御出席を願ったのでありますが、この国会に対して御出席がない。おそらく私にしかられるんじゃなかろうかと思って、まあ逃げられたのではないか、私はそう思います。国会に対して、会長が行けなければ、ほかの人、それが行けなければほかの人という、そのたびに全部お断わりになるということは、あるいは大蔵省がまあ出ないでいいですよと言ったのか、御本人がいやだと言ったのか、どちらかだと思う。まことに失礼千万だと私は思うのであります。  大蔵大臣は来年度の税制改正について、大ワクどのくらいお考えでございますか。
  163. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 来年度の大ワクは、まだ率直に申し上げましてきまっておりません。まあ臨時国会が済みましてから予算の大ワクの検討に入りたい、かように存じておりますが、大体大ざっぱに言いますと、来年度の自然増収は一兆一千億をかなり上回るという状態です。それに対して、いわゆる当然増加経費というのが七千億円もあるのであります。そうすると余りが四千数百億、こういうことになるわけです。その中で新規政策費、これに幾ら充てるか、国債減額もやりたいと思っていますが、この国債減額をどのくらいにいたしますか、また減税もいたしたいと思っておるのであります。それで新規政策費に充てた残額を、大体の見当として国債の減額に半分、また減税にも半分、大体の見当でございますが、そんな考えでございます。
  164. 横山利秋

    ○横山委員 大蔵大臣は、あとふところに銭を持っておりたいために、国会の質問に対してかなり、かなりということをおっしゃるのですが、かなりということは少し失礼だと私は思うのであります。大体平均このくらい、最低このくらい最高このくらいというならわかるけれども、かなりという額が、私どもの推算をもってしても、いまあなた一兆一千億とおっしゃいましたが、一兆二、三千億、つまり千億ないし二千億の数字をかなりということでごまかされては困ると思うのです。ただあなたに、この際もう一度よく国民にかわって申し上げておきたいと思うのでありますが、減税の問題であります。百万円減税で、明年度はおそらく九十三万円まで標準世帯は無税になる、そういう御構想の模様であります。そこではっきりしておきたいのは、先ほどの物価とのつり合いであります。調整減税の問題、物価が高くなればその百万円減税は無意味になるということであります。一%の物価によって大体調整減税七十億が必要だといわれておる。そうすると、五%だと三百五十億ですね。あなたがかりに九十三万円まで無税といたしましたときに、一千億ぐらい私はかかると思うのです。一千億の中の三百五十億は、これは無意味なんです。したがって、国民にわかりやすい減税をいたしますためには、調整減税と実質減税をしっかり区別をして説明をしてほしい。税制調査会も、国民にわかりやすい減税のためにその区別を明白にして議論をしてもらいたい、こういう希望をいたしますが、いかがでございますか。
  165. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 税制がきまり、それに対する税収入の動きがきまりますれば、まあいわゆる調整減税額は幾らである、ネットどうだと、こういう計算はすぐできますから、その際、お示し申し上げます。
  166. 横山利秋

    ○横山委員 この所得税の減税の中で論争になっておりますのが税率の改正であります。新聞の伝うるところによりますと、あなたは税率の改正に非常に努力をなさっていらっしゃるという。いうところによれば、年収三百万円くらいのサラリーマンの税率が重いから、それをひとつ何とかしてやろうというお話だそうでありますが、この点、間違いありませんか。
  167. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私の気持ちには間違いありません。しかし、正確に言いますと、三百万円だけの人じゃないのです。そのずうっと下の人まで考えておるのです。
  168. 横山利秋

    ○横山委員 ずうっと下といっても、あなたの論理は、その辺のカーブが山になるから、中堅階級は一番税負担が重いと思われるからやるのであって、下へ来るとカーブがするっと下がってくるということがあなたのお考えの基礎になっているのでしょう。
  169. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 まあ中堅階層の税率が高い、これを調整するというから、その辺はかなり幅にすると大幅になると思いますが、しかし、さらばといってその下の階層の人をほっておくわけにはいかぬ。それも、それと見合いをとりまして調整を行なう、こういう考えであります。
  170. 横山利秋

    ○横山委員 その二つで思い出されるのが、先ほど言及いたしました減税の効果という点ですね。税金が下がる、その人たちはたいへん喜ぶ、これは事実であります。しかし考えなければならぬのは、減税の恩恵を受けない人たちであります。あなたのカーブはゆるんでも、税金を出している人はそれで喜ぶが、しかし、減税の効果のない、つまり税金を、所得税を納めていない人たちに対してあなたは何をしてくれますか。この人たちは物価が上がるだけなんでありますね、おわかりのように。この人たちに対してあなたがそれほど――三百万円といいますと月に二十五万円ですよ。月に二十五万円の収入のある中堅階級が大蔵大臣の頭に一ぱいだとするならば、税金を納めることができない低所得者層に対して、大蔵大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  171. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 税金を納めない階層の人に税制上何もできないことは、これはまあ当然でございますが、しかし、いわゆる日の当たらない階層、これに対する対策、社会保障ですね、これにつきましては、ちょうど四十四年度の予算の編成も迫っておりまするから、できる限りの配意をいたしていきたい、かように考えております。
  172. 横山利秋

    ○横山委員 そこの点は具体的な議論をしたいのでありますが、時間がございません。少なくとも、私が推定して、あなたの言うそろばんをはじいてみますと、千五百億か二千億ぐらいの減税になると思うのです。その千五百億か二千億の減税の恩典を受けられない人にも、それに匹敵し、ないしはそれ以上、物価のしわ寄せだけを受ける人たちに対してそれ以上の政策をやってもらわなければいけませんよ。どうも大蔵大臣、税金で最後の焦点になるのが、月給二十五万円の人がごそっと一番恩典を受けるという政策では、私は不均衡が生ずると思いますから、特にひとつこの点はだめを押しておきます。  それから国税と相並んで地方税であります。国税のほうはあなたの構想によって九十三万円まで無税になるでしょう。しかし地方税は、いま課税最低限が五十三万二千円ですね。これをほかっておくつもりじゃないでしょうね。これは自治大臣にひとつだめを押しておきますが、九十三万円になるというのに、地方税では五十三万二千円でありますから、国税が下がれば下がるほど地方税が上がっていくというここ数年の傾向について、自治大臣にひとつしっかりふんどしを引き締めてがんばってもらわなければならぬと思いますが、いかがでしょう。
  173. 野田武夫

    ○野田国務大臣 ただいまの地方税の問題ですが、これは特に住民税のことだと思っております。そこで、所得税の最低限がどうきまりますか、もちろんこれに見合わして考慮しなければなりませんが、しかし横山さんも御承知のとおり、地方はもうたいへん財政が窮屈でございまして、ことに税制調査会の長期答申の中にも、所得税と住民税は必ずしも同じ考え方で処理せぬでもよろしい。これはやはりその地域の財政状態、それから住民の負担しておるその住民の状況、またいろいろの地域の施設とか設備とかというもののあんばいを見る、こういうことになっておりますから、所秤税の最低限を幾ら引き上げたから、直ちにこれと同じように住民税の最低限の引き上げをするというようなことまではどうかと考えております。しかし、これはやはりなるべく、できるだけ地域住民の負担を軽くしたいという考え方は持っておりますが、いま明瞭にお答えする段階ではございません。
  174. 横山利秋

    ○横山委員 自治大臣がそういうようなへっぴり腰では、とても私は住民税の明年度の問題が不安であります。これは何回もこの国会でも本年議論をしたところでありますから、十分ひとつ考えておいていただきたいと思うのであります。  大蔵大臣、もう一つ伺うのですが、土地税制の問題であります。土地税制はこの次の国会に、個人の土地建物を売っても一千万円まで特別控除にするという構想が税調からも出ておるわけであります。交換譲渡の特例がなくなるらしい。私ども考えますのに、どうもこのやり方で本来の目的である土地の価格の上昇を食いとめるということは困難ではあるまいか、こう思うのであります。税制が先行することによってかえって副作用が生ずるのではあるまいか。聞くところによりますと、建設省では地価公示制度やあるいは建設業法――私はこの建設業法に反対をいたします。大企業本位で、下のほうの建設業関係に対して非常に差別を設けるわけでありますから反対でありますけれども、しかしいずれにしても、地価公示制度やあるいは建設業法のみで、土地の利用計画の確立もなく、宅地政策の根本的な方針もなくして、ただ土地税制だけ改革をすることによって本来の目的は達しないと痛感をいたしておるわけであります。だから、まず建設大臣にその点を伺っておきたいと思うのでありますが、建設大臣と大蔵大臣と、土地税制に関連して十分話し合いがなされていないような気がする。建設大臣は、宅地対策について、明年度土地税制と相並んでしっかりした宅地対策の方針を、政策や予算やあるいは法律案をお出しになる気持ちがあるのかないのか、伺っておきたいと思うのです。
  175. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 お答えいたします。  私が建設大臣に就任いたしまして以来、国民の皆さまからいろいろの要望のお手紙をちょうだいいたしておりますが、その中にあって、最も要望の数多くありますのは、住宅に対する大きな願いであります。このことを思うときに、私といたしましては、人間尊重のヒューマニズムに立っての愛情のある、宅地また土地税制等を含めました宅地政策を打ち出してまいりたい、こう考えております。特に、住宅五カ年計画の最終目標でありますところの一世帯一住宅、また六百七十万戸という目標に向かっては、年次計画に十分最善の努力を払いながら施策に万全を期したいと思いますが、その前提に立つものは、いま御指摘になりました宅地対策並びに土地税制の問題であろうと思うのであります。したがいまして、宅地対策につきましては、土地使用の促進とか、あるいは投機的な取引の抑制とか、あるいは土地値上がりによるところの利益の社会還元等をはかりまして、そして大蔵省と十分連絡を密にいたしながら、本年の税制調査会の答申に沿いまして、個人の譲渡課税の改善とか、あるいは固定資産税の評価の適正化とかいうような、これらの問題を含めまして、大蔵大臣と十分連絡を密にいたしまして万全を期したいと思います。どうかよろしく。
  176. 横山利秋

    ○横山委員 大きな声のわりあいには具体性がないことを残念といたします。  大蔵大臣に関連してお伺いするのですけれども、個人の土地建物を売って一千万円まで特別控除にするという構想についてであります。私は対照的に一つのことが頭にひらめくのでありますけれども、たとえばらちを売って一千万円まで免税になる。そのうちに住み込みの女中さんがおるとする。御飯を食べさせてもらって給料を幾らともらっておる。その住み込みの女中ざんの現物給与の問題であります。現物給与は、いま月に七百円まで免税であります。そういたしますと、一日に一体幾らになるでありましょうか。月に七百円、一日に幾らになるでありましょう。そんなものは意味がないのであります。しかも、驚いたことに、七百一円になったら、これは全部税金がかかるわけであります。七百円まで基礎控除じゃないのです。七百一円になったら、七百一円に全部税金がかかるわけです。したがって、現物給与の制度はもう無意味になっておる。ほかの免税点だとか、ほかのあらゆる税率だとか、いろいろなことはあなたの頭の中に一ぱいにある。中堅層のことは一ぱいにある。けれども、この女中さんの現物給与だとか、あるいは工員の住み込みの人たちに対して会社が現物給与しているとか、そういう場合についてちっともあなたのお耳に入らぬらしい。私はこれは非常に残念な、気の毒なことだと思うのです。また、内職の奥さんがそうです。いま全日本で内職をしているおばさんは、まさに百数十万ですよ。内職というのは共働き以下の人ですよ。共働きも多いけれども、内職のおばさんや奥さんは百数十万になっています。この内職の奥さんやおばさんの免税が年に十八万だと思います。十八万ですと、月にまあ一万ちょっとです。月に一万ちょっと内職をいたしますと、あなたは独立生計を営んでおるからというわけで扶養家族がはずされるわけです。そして税金がかかっていくわけです。こういう点についてほんとうにあなた方は――低所得者のことについては、こまかい問題かもしれぬけれども、百数十万の人々、あるいは会社に入って労働で御飯を食べておる数十万の若い労働者、そういう人たちのことについて、どらもあなた方は頭に入らぬらしい。私は残念でなりません。この際ひとつ――そんな月に七百円、一日に五十円かそこらでしょう。ラーメン一ぱいも食べれませんよ。ライスカレー一ぱいを食べたら、もうそれで税金がかかるわけです。この七百円の免税点を思い切って引き上げるお気持ちはないのか。内職の奥さんやおばさんが、月に一万円ちょっと内職したら、すぐ税務署が追いかけるようなばかなことはやめたらどらか。思い切ってふやしたらどらか、こう考えますが、いかがですか。
  177. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 初めて伺いますので、よく検討してみます。
  178. 横山利秋

    ○横山委員 これは、よく検討するという重々しいことばだったので、私はあなたを信頼をしますが、いまお手伝いさんが払底しているときです。それから、政府は一生懸命にこの中高卒のために福祉施設を奨励しているときです。そういうお手伝いさんやあるいはまた年少労働者に現物給与をやるのは、いまどこでもあたりまえのことです。そのあたりまえのことが、月に七百円以上だったら税金かけるの、あるいは一万円ちょっと以上内職でもうけたら、税務署がその工場へ行って、あのおばさんのところへ幾ら払っておりますかと調べるというようなことなんです。そういう点については、まだ時間もございますから、来年度の税制改正のときに、特に大蔵大臣から検討をせよというふうに言ってほしいと思いますが、いかがでしょう。
  179. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 承知いたしました。
  180. 横山利秋

    ○横山委員 次は、予算に関連する、関係する決議及び政府の答弁がいかに実行されているかという問題であります。きょう同僚諸君のお手元へ印刷して配付をされましたから、同僚諸君もごらんになったと思うのですが、私ども国会議員として、予算委員会をはじめ各委員会におきまして、ずいぶん熱心に議論を尽くしまして附帯決議をいたしましたのは、五十八回国会におきましてもずいぶん多くございます。また、本予算委員会におきまして、こうしていまのお答えのような、予算に関連をいたしまして、大臣が努力をする、必ず実行しましょうと言ったことも、また枚挙にいとまがないというくらいございます。私、念のために、国会の権威のためにも、この種の附帯決議及び大臣の公約を調査をして、お手元に委員部から配付をしていただいた次第でございます。この附帯決議をつけるときには、与党は与党、野党は野党で、それぞれ国会対策なり政調、政審で十分議論を尽くし、政府もこれに対しては、これは困るとか、これならばいいとかいうような、ある程度話がついて附帯決議も行ない、本委員会におきましても、大臣から誠意のある答弁があったわけであります。  しかるところ、一年近くたった今日ながめてみますと、そのときの熱意とか、そのときのお互い国会議員として、また政府の委員として努力をされました雰囲気が、どらも希薄なような次第でございます。この際声を大にして申し上げておきたいと思うのでありますが、国会の権威にかけて、この附帯決議並びに大臣が約束された諸問題は、予算編成に際して十分ひとつ織り込んでいただかなければならぬ。そういう慣行が確立をしなければ、国会における議論は空なものになってしまう。私の承知いたしますところによりますと、なるほど大蔵省で各省との予算折衝の際には、この附帯決議がちょっと見せられる程度なものだそうでありまして、まことに遺憾千万だと私は思うのであります。これはむしろ総理大臣に伺っておきたいと思うのでありますが、これらの附帯決議並びに約束をされました点につきましては、予算の編成の際に十分閣僚においても議論をし、国会を尊重していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  181. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 ただいまの御意見のとおり、もちろん国会の決議等は十分尊重しなければなりません。したがいまして、この附帯決議その他につきましても、実行可能なもの、そういう点につきまして、十分意見を交換して、しかる上で決議がなされたと思います。決議がなされた以上、政府はこれを尊重して実行に移すこと、もちろんであります。また、今後ともそういう意味におきまして努力したいと思います。ただいま横山君からいままでの決議事項等について詳細な表を――ただいま私も見ました。なお十分でないものもございますから、それらの点について御注意をこの際受けた、さらに私どももその御注意を尊重いたしまして、可能なものは予算に計上していくこういうことでございます。それぞれの具体的な問題につきましてなお説明を要するならば、担当大臣から説明させます。
  182. 横山利秋

    ○横山委員 個別に伺うということは時間がございませんので、いま各大臣それぞれ御自身の所管についてお目通しを願ったはずでございますから、これはぜひひとつ国会の権威にかけても十分配慮していただきたいと思うのです。ただ、総理大臣のおことばの中で少し気にかかりますのは、わざわざ可能な限りというお話があったわけであります。附帯決議というものの法律的解釈をいま議論する気持ちは、私はありません。ただ言い得ることは、附帯決議をいたしました委員会のあとでは、必ず大臣がこれに対して答弁をしておるということであります。その答弁は、可能な限りということは一回もないわけであります。善処をいたします、努力をいたします、御趣旨を尊重いたします、こういうことになっておるわけであります。したがって、その点はもう大蔵大臣もひとつ十分――各閣僚が言うのではない。これは国会の意思として、予算編成に十分注意をしてほしいと思うのであります。  そこで、その中の一つ、二つをぜひ取り上げなければなりません。第一は児童手当の問題であります。児童手当につきましては、この表の中の五ページに、時間の節約をいたしましてわざわざ厚生大臣、総理大臣のおっしゃったことを、速記をここに引用さしていただきました。ことばのニュアンスはいろいろございましょう。ございましょうが、歴年各委員が予算委員会をはじめ各委員会におきましてあらゆる努力をしてきて、政府も誠意のある答弁をなさったところであります。したがって、約束どおり四十四年から児童手当を実行してもらいたい。私の意見ではない。これは院議である。また院議であるばかりでなくて、政府の答弁である。児童手当についていま事新しくその内容を説明しようとは私は思いませんが、国際的な社会保障の原則からいいましても、あるいは各党こぞって努力をした事実からいたしましても、政府の誠意ある答弁からいたしましても、いまや遷延は許されないところであります。四十四年からぜひ実行しなければならない政治的責任があると思うのでありますが、総理大臣の御意見を伺いたいと思います。
  183. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 ただいまのこの資料の五ページの口のところに、私の答弁がはっきり出ております。ただいま児童手当懇談会を開き、その答申を待っている次第でございます。これが得次第、私どもがこれに善処することは当然でございます。
  184. 横山利秋

    ○横山委員 答申だとかいろいろなことの経緯はありますが、ここまできたのでありますから――邪推するわけではありませんよ。邪推するわけではありませんけれども、この答申がどうのこうの言わなくて、答申が出なくても、政府の政治的責任というのは厳として存在するのでありますから、答申が出なかったならばいやだとかあるいはあれがこうだったらいやだというような問題ではなくなっておるんです。したがって、前提抜きで各党がこぞって要望し、しかも院議となっております児童手当の創設は、四十四年度から始めなければいけませんよ。どうなんですか。重ねて御意見を伺います。
  185. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いまお答えしたとおりでございます。また、この資料の五ぺ-ジの第二のところに詳しく書いてございますから、それをお読みいただきたいと思います。
  186. 横山利秋

    ○横山委員 そういうふうにおっしゃると、いかにも総理大臣が理由をあげて何か逃げたそうな感じがしているという気がみんなしますよ。  この(ニ)のほうは、大蔵大臣があの際少し文句を言ったのです。そうしたら、厚生大臣と総理大臣と意見が違うじゃないかと言うたのを。委員長が一番最後に、これは、大蔵大臣のは財政当局として言っただけであって、総理も厚生大臣もやると言っているんだから、それが統一意見として了承しましょう、満座にはかってそれでよろしい、こういうことになっているわけです。だから、大蔵大臣が銭勘定で何と言おうとも、これはやろう、委員長のおとりなしでそうなったのですからね。まあ俗に言えば、この段階で歯切れの悪いことを言わないで、四十四年度から実行しなさいよ。
  187. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 四十四年度からはっきりやれ、こう言われましても、ただいまの児童手当懇談会等の答申、これを十分尊重して、私どもこれと取り組むというのが私の所信でございます。先ほどお答えしたとおりでありますから……。五ページの第二は参考に申し上げただけでございます。
  188. 横山利秋

    ○横山委員 厚生大臣のほうは、前任者が四十四年度には出して責任を果たしたいと言っておるのです。この点について、厚生大臣はどうお考えでございます。
  189. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 前大臣の約束は私の約束と考えまして、私も前大臣同様の最善の努力をいたしたいと思っております。
  190. 横山利秋

    ○横山委員 大蔵大臣私の顔を見ているのですが、何か言いたいことあるのですか。――ありませんか。  同じ問題が同和対策であります。この児童手当と相並んで、同和対策も、予算委員会のたびごとに同僚諸君から強い主張であります。この同和対策につきましても、三月九日でありましたか、八木一男委員の熱烈なこの質問というものは――六ページに一つだけあげておきましたけれども、まさに熱烈な質問でございました。  各大臣一人ずつ全部お答えを願って、まことに傾聴に値するような最終的な結果になっておるわけであります。総理大臣が本会議で、四党の協議が云々ということをおっしゃいました。私、あれを聞いておりまして、少しまた何かはぐらかされるような気がするわけであります。率直にいえば、この四党の努力は努力であります。しかし、政府の政治責任は政治責任であります。政府が四党の協議に対して、それに籍口して責任のがれを言うことは、これは許されないことであります。私どもは私どもでこの国会内において議論するわけでありますから、政府は独自の立場に立って、もう答申も出ておるわけでありますから、この際、次期通常国会にこの同和対策の特別措置法を提出をする、言明をひとつしてほしいのであります。
  191. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私は、これ逃げるわけじゃありません。八木君と特に私ども、この問題がいまなお残っておること、残念に思っております。どうしても早くきめなければならない。そこで五月以降、社会、民社、公明、自民と、この四党でせっかく話し合っておるわけであります。必ずしも私は四党が全部が意見一致しているとは思いませんけれども、しかし、もしもこれが意見が一致しなければ、私どもは責任をもって結論を出す、これだけははっきり申し上げて、早急に結論を出して、そうして次の国会ではこれは御審議をいただくようにいたしたいものと、かように思います。どうぞよろしくお願いします。
  192. 横山利秋

    ○横山委員 その点は了承いたしました。四党で話し合いがまとまらなければ、政府が責任をもって次の通常国会に出すという点については、きょう一番総理大臣がはっきりとお答えになったことであります。初めてであります。これはぜひひとつ実行してほしいと思うのであります。  時間もございませんので、最後に、ちょっと変わった問題を提起いたしまして総理に伺いたいと思うのでありますが、おそらく総理もきょうのチャリティショーに色紙をお書きになったのじゃないかと思うのでありますが、交通遺児の問題であります。現在交通問題は国家の政策の重要な問題であり、この国会におきましてもあらゆる努力をしてまいりまして交通対策に努力をしたところでありますが、ただ、率直に言って、考えが十分に及ばなかったものが交通事故によって親兄弟を失い、特に両親を失ったような遺児の問題であります。私の承知するところによりますと、いま年間一万四千人台の死者だそうであります。小中学生が現在千四百四十万人いるわけでありますが、五月一日現在二万七千七百六十六人の遺児がおります。総理府としてもこの間調査をされたそうでありますが、いわゆる交通遺児であり、その中で生活の困窮者ないしは準要保護者の児童の数は、約三三・三%に達するといわれておるわけであります。このおとうさん、おかあさんに交通事故によって死に別れた遺児の諸君の家庭状況は、先般飛騨川の事故で私もよく身にしみて体験をいたしたわけでありますが、まことに聞くも哀れな状況でございまして、当分の間はもう何も、御飯も食べない、そして泣いておる。ようやくにして学校に行ったが、帰ってくるあたたかいうちはない、こういう状況にあるわけであります。この点につきまして、最近におきまして非常な世論が高まってまいりました。何とかひとつこの交通遺児に対してお互いのあたたかい手を差し伸べてやろうではないかという努力が起こってまいりまして、昨年各党の領袖の皆さんの御協力も得て東京でチャリティショーが行なわれ、そしてその街頭募金をも含めまして交通遺児に対して努力をされた模様であります。本年も、聞くところによれば、本日新宿で各名士の皆さんの色紙を、あるいはその他のものをもらいましてチャリティショーが行なわれておるようでありまして、何とかこの交通遺児に対しまして政治のあたたかい努力を期待しておるというのが現況であり、この点につきましては、与党の中にもあるいは野党の中にも有志の皆さんが努力を始めておられる模様でありまして、まことに私どもも喜んでおる次第であります。ただ、この種の問題は、線香花火のように一つ思いつきをやってそれで終わるということで、この交通遺児の問題が長期的に解決するわけにはまいりません。そこで、各方面の有志の中からぜひひとつ、小中学校の間は、これは義務教育であるからいろんなことがあってもまだまだいいが、何とか高校だけは行かしてやりたいという意見が根強く広がってきておるわけであります。何とかこの交通遺児の問題について政府の考えはないものか、この際伺っておきたいと思うのであります。
  193. 床次徳二

    ○床次国務大臣 ただいま横山さんから交通遺児対策についてお尋ねがありました。なお、その間の事情につきましてるる御説明がありましたが、まことにそのとおりでありまして、交通遺児の対策に対しましては、現在いろいろ民間等においても行なわれておりまするが、今後この事業を一そう拡充いたしまして、御期待に沿うように努力いたしたいと思う次第であります。なお、今日まで各方面からいろいろと御協力にあずかりました点につきましても、この機会にお礼を申し上げておきます。
  194. 横山利秋

    ○横山委員 きのうも新聞に載ったわけでありますが、私の手元に「交通遺児の訴え」という「交通事故遺児を励ます会」が編集いたしました「天国にいるおとうさま」という文集がございます。一読いたしましてまことに胸の熱くなるような思いがいたしますが、その中で二、三簡単に例をあげます。十二歳になる石川陽子という子供が「お願い〃総理大臣様」という文章を書いています。「わたしのおとうさんは、交通事故でなくなりました。わたしは、その時今の総理大臣は何をやっているんだ、と思いおとうさんの所で考えていた。「つみをにくんで、人をにくまず」ということばを思い出して考えていた。けれども、このことばどおり考えても、シックリいきません。おとうさんがなくなって三周忌にもなるというのに、まださいばんの結果が決まりません。この間、さいばん官もずい分かわりました。わたしは、こんな理解のない人がこの世の中にいて、さいばん官がどうしてこんなにかわるか、ふしぎでたまらないのです。この世の中に、こんなに理解のない人がいるのか、と思うとつくづくなさけなくなります。しかも、その人は無めんきょです。わたしは組の人たちと、交通事故をなくす方法を一生けんめい考えました。次の文を、総理大臣に世界中の人によんでほしい、と思います一、日本のあらゆる車道を地下にしずめる。」――子供らしい考えでありますが、以下、「ブレーキがきくか調べてから、なんでものる。自転車の二人のりはやめる。」等々、ほんとうに子供の思いつきでありましても、父に死なれた子供が「お願い〃総理大臣様」と書いた気持ちというものが身にしみて私はわかるような気がするわけであります。  また、ある奥さんはこういうことを申しております。「主人が事故にあったのは三十九年の年も明けて早々の五日の事でした。相手の方は無断で会社の車を持出し、女友達を乗せ町へ遊びに出た帰りにバイクの主人と正面衝突したのだそうです。まだ二十四才の若い人でした。病院に寝かされていた主人がまさか死んでいるとは夢にも知らず話しかける私に、周囲の人は何とも告げられなかったそうです。」等々述べて、「だが、子供に教育を受けさせる力はとてもとてもありません。何か社会福祉の機関でもないものかなあ、と常々考えていた時に「交通事故遺児を励ます会」を知り夢中でお便りしました。こんなに波高い世の中に、もみくちゃにされている母子に、力強い励ましを心からお願い致します。」。以下、この文集の中にはまことに涙の出るような文面が一ぱいあるわけであります。  そこで、この遺児を励ます会を含めて各党の有志の皆さんの意向も代表して、私は総理大臣に意見を伺いたいと思うのでありますが、こういうことはできないものか。いま育英会というものがございます。しかし、それはまた多少別途な観点でございますから、仮称ではありますが、交通遺児等育英会法というようなものを立案をしたらどうであろうかと思われるのであります。交通事故が中心でありますけれども、必ずしも交通事故ばかりが遺児対策ではございませんが、不幸にして、その不幸というのは確かにドライバーの過失ではございましょうとも、今日の交通事故というものが天下国家の重要な政策の焦点になっておるとするならば、やはり国としても、飛騨川事件で考えられますように、国としてもやはり考えなければならぬところがあると思うのであります。したがいまして、仮称ではありますが、交通遺児等育英会法をつくり、特殊法人として、そして政府の資金援助あるいは各方面からの寄付、あるいはそれに対する寄付免除の特例、あるいはまた自賠責の保険からの勘定の剰余金、あるいはそのほかいろいろ財政収入方法があると思うのであります。こうすることによって財源を捻出もいたしまして、そしてせめて高校生の遺児に月額五千円、また大学で交通問題を研究しようと志を立てた大学生遺児に対しましては、せめて月額二万円、そういう構想を寄り寄り議論をいたしておる次第でございます。今日おそらく三万人になんなんとする小学生あるいは中学生、これらに対して周囲のあたたかい思いやりがあるにいたしましても、とてもそれは長期的にそんなに続くものではございません。この際、党派を離れ、われわれの同僚諸君とも議論をかわしているわけでありますが、あたたかい気持ちをもってひとつ先例を開いたらどうであろうか。いろいろ議論はありましょうけれども、この全部の均衡をとらなければいかぬという議論をしておりましたのでは、イデオロギーの問題じゃありませんから、ここを前へ前へ出して、そしてそのほか自余関連いたします問題は事後調整すればいいのではあるまいか。交通事故が今日の課題であるならば、そういうような努力をいたすべき時期にあると思うのでありますが、総理大臣の善処を求めたいと思うのであります。
  195. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 横山君にお答えいたします。  これはことしの五月一日の総理府の交通安全調査室の統計でありますが、一部調査未済のものを除き、交通事故で保護者を失った児童生徒の数、小学校で一万六千七百二十六人、中学校が一万一千四十人、(一)のうち父親を失った児童生徒数、小学校で一万四千百四十五人、中学校で九千二百二十人、こういう数が出ております。ただいま言われますように、これらの方々は、これからさらに高等学校に行くとか、こういうような場合に、その保護者、さらにその資金を出す人、それを失った、一家の支柱を失ったのであります。まことにお気の毒な状態だと思います。これに対して何らかの処置を講じたらどうか、国家的な施設をやれ、こういう積極的な御提案、私はちょうどそれを考えるのにふさわしいものがいまあります。御承知のように、この交通事故の絶滅国民総ぐるみ運動、これは私は内閣総理になりまして以来、実は総理府につくっております。これは主として事故をなくするという方向で努力しております。あるいは施設をふやす、あるいは補償費をふやすとか、あるいは罰則強化等のそれぞれのものをきめておりますが、その中にやはり事故にかかられた方々、これは救急病院等をつくるばかりじゃなく、それらの生活を十分見るような、ただいまのような奨学資金など、これを考えるのにふさわしい機関ではないだろうかと思います。そういうところで一度十分いまの御提案を取り上げて、そして審議してもらう、これは総理府の所管でもありますので、ただいまのお話はよく総理府長官が聞いておりますから、こういう問題と取り組むようにいたしたいものだと思います。私は、いまの時代でどんどん自動車はふえる、そうしてその中には、ただいまも読まれたように、無免許あるいは車を盗み出して運転する等々、ずいぶん無法な運転者もいることでありますから、交通秩序を確立する、そういうばかりでなく、不幸な犠牲者、これらにつきましても、あたたかい救済の手を差し伸べるべきじゃないか、かように思いますので、十分ひとつ検討することにいたします。ありがとうございました。
  196. 横山利秋

    ○横山委員 以上で私の質問を終わる次第でございますが、最後がそういう問題にも触れましたので、私が本日、最も総理をはじめ各大臣に指摘をいたしました点を重ねて申し上げて、私の質問を終わりたいと思うのであります。  それは、冒頭長時間をかけて申し上げましたのは、今日の日本の政治が、高度成長ということにあなたの約束に反してなっておるということが第一であります。第二番目には、それによって物価政策が言うには言うけれども、効果を及ぼしていないという点であります。だが、政策の基本とか来年度の予算の編成に際しましては、何としても成長よりも物価である、暮らしである。それがなければ、政治の最終目的は達せられない。成長というのはおよそ手段であります。暮らしというのは目的なんであります。そこのところが、どうも政府の政策ははき違っておるような気がしてならぬ。将来暮らしが安定になるならばいま物価が上がってもしんぼうしろという説は、私は成り立たないと思うのであります。将来の目標というのは、十年、二十年、百年の問題であります。過程において、その道筋においてみんなに喜んでもらわなければ、政治は目的を達しない。それが私どものいう民主主義であり、また社会民主主義であると私どもは思っている。あなた方もおそらくそうであろうと思う。それならば、予算編成に際して、政策の基本に立って考える場合においては、成長よりも暮らしである、物価であるという点を力説をして、設備投資についても十分な抑制を加うべきであるというのが、私の最初の意見でございます。重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
  197. 井出一太郎

    ○井出委員長 これにて横山君の質疑は終了いたしました。  次に、小平忠君。   (委員長退席、二階堂委員長代理着席)
  198. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私は、民社党を代表いたしまして、当面する内政外交の重要課題について、わが党の主張を織り込みながら、佐藤総理大臣並びに関係閣僚に、その見解と行なわんとする施策について若干お尋ねしたいと存ずるのであります。時間の制約もありますので、何とぞ簡明率直にお答えいただきたいと存ずる次第であります。  まず第一に、沖繩問題からお伺いいたしたいと思います。  総理大臣は、去る十一月十日実施の主席選挙並びに引き続き行なわれた那覇市長選挙において、いずれも革新統一候補が圧勝したことは、一日も早く母国と同じような姿で早期に全面復帰したいという沖繩県民の意思のあらわれでありまして、総理はこのような願望をどのように受けとめ、また返還への具体策をいかようにするのか、まずお伺いいたしたいと思うのであります。
  199. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 初めての主席公選、その主席公選の結果が屋良君の当選できまりました。また、那覇市長選挙も、これまた革新の方が当選された。かような結果でございます。今日大事なことは、選挙の結果を尊重しなければならない。私どもはこれをそのまま受け取る。県民の望むところのものは、これは早期祖国復帰だ、かように私は考えて、その点であらゆる努力をするつもりでございます。
  200. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それでは総理に次にお伺いいたしますが、総理の訪米の時期と返還交渉の具体的なスケジュールであります。  アメリカにおきましてはニクソン政権の誕生、そしてベトナム戦争の転換などの推移からいたしまして、日米間に沖繩返還のための交渉の時期が到来してきていると思うのであります。総理御自身も十一月八日の記者会見で、三選後適当な時期に訪米して返還のめどをつけたいと述べております。具体的にはいつごろ訪米の計画でございますか。そしてその際、当然ニクソン大統領との間に沖繩返還の確たるルートを敷かれる所存であると思うし、またぜひそうしてもらわねばならないと思うのであります。今後の返還交渉のスケジュールをお示し願いたいと思うのであります。
  201. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 御承知のように、ニクソン氏が次期大統領に選挙で選ばれました。これは来年の一月二十日になりますと、その就任式が行なわれるということであります。それからニクソン政権の政治が始まる、かように私は考えておりますが、ニクソン氏がいままで在野中にいろいろ話をされた、あるいは雑誌等にもその所見を述べておられる。そういうことで、わが国でもニクソン氏が就任されたら、沖繩問題等についての考え方がジョンソン大統領とはだいぶん変わるんじゃないか、こんな憶測も行なわれております。私は、ニクソン氏が大統領になられましても――いままでの在野時代の発言などをとやかく批判することはいかがかと思って差し控えておりますが、私、最近の問題では、むしろ、わが国の朝日新聞、これは名前を言ってはいかがかと思いますが、ニクソン大統領が当選した後にインタビューして、そうして話をしておる。せんだっての本会議でも私はお答えいたしましたように、私とジョンソン大統領と話し合ったそのいきさつをそのまま踏襲する、こういうような言い方をしておりますので、あまり変わったことはないのではないかと思います。  また、アメリカ自身が、いわゆるいろいろの政党で議論はいたします。民主、共和両党で政争はございますが、重要な外交政策は大体踏襲しておる、一貫して貫いておる、こういうような国柄でもありますので、最も大事な沖繩問題等について大きな変化があろうとは私は考えておりません。  しかしながら、事柄はわが国の重要な問題でもありますし、また、アメリカにとりましても、沖繩を領有しておるだけに、これはたいへんな問題だと思います。そうして、必ずしも両国の考え方が一致するとも思えません。日本に都合のいいことは、おそらくアメリカに都合の悪いことだろうと思うし、アメリカに都合のいいことは、私どもの耐えられないような問題でもあろうと思う。したがいまして、この点では、ニクソンさんが大統領になられた後に同じような目的、アジア、世界の平和、そういう共同の目的の上に立って、そうして沖繩問題を両者で話し合っていくならば必ず結論が出る、同じ土俵の上に立って話し合いを進めていきたい、かように実は考えております。  ただいまの状態では、まだニクソン大統領の内閣の顔ぶれがようやく発表されたばかりであります。まだ具体的にこれからどうなるのか、その点を明確にいたしておりません。しかし、私はただいまのような期待を持って、準備が整い次第アメリカに出かけて交渉を持ちたい、かように思っております。  まず、前置きは以上のようでございますが、ただいまのところまだニクソン政権はスタートしておらない際でもありますし、また、ニクソンさん自身が、就任前は、こういうような問題では、まあできるだけ会わないようにするといいますか、外国のそれぞれの者と接見しないというようなこともいわれておるようでありますので、私どもただいまのところどういうような方向にあるかわかりませんから、準備整い次第話をつけていくようにする。まだ、これから先のスケジュールはどうなっているか、いついつどうするか、そういうところまではさまっておりません。できるだけ、ニクソン政権ができて、そうして準備整い次第私は出かける、かような段取りになるわけです。さように御了承いただきます。
  202. 小平忠

    ○小平(忠)委員 大体のめども立っておらないというわけでございますか。
  203. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 こういう問題はできるだけ早くしたいという、これは沖繩県民の気持ちでもございますし、そればかりではない、日本国民の気持ちでもあります。ジョンソン大統領と私が話をしたのも、両三年のうちに沖繩返還のめどをつけたい、かような私の強い希望も申し述べてございます。したがいまして、来年じゅうには何とかして私も出かけるようにしたい、まあ来年の秋だろうか、かようにただいま思っております。
  204. 小平忠

    ○小平(忠)委員 来年の秋ごろと大体めどをつけておられるようでありますが、これはいつも総裁選挙が終わった後に、戦後歴代の総理はアメリカを訪問している、一つの慣例的になっておりますが、いまの総理の言明どおり、アメリカの大統領もかわったことであるし、やはり沖繩問題についてのジョンソン大統領との話し合いの経緯から見て、おそくも来秋までには訪問したい。逆にアメリカの大統領が日本にたずねたことはないのでありますが、両国がさらに一そう親善を保っていくという意味から、アメリカの新しい大統領に日本へおいでいただいて、よくこれらの問題について話をするというような意図は総理にはございませんか。
  205. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 まあ、こういう問題は、よく両国間の関係等を見まして、相手方も日本に訪問もしたいでしょうし、訪問することがかえって両国の親善を乱しても困りますから、その辺は十分ひとつ慎重にいたしたいと思います。
  206. 小平忠

    ○小平(忠)委員 その点はそのぐらいにいたしまして、次は具体的に対米交渉に入る前に、わが国としてはっきりさせておかなければならないことがあると思うのであります。それは今後の沖繩に対する基本姿勢であります。つまり政府は、今後沖繩を本土とは別の特殊な地域とみなすのか、特別な扱いをする必要があると考えるのかどうかという点であります。すなわち、極東の安全保障の面で太平洋のかなめ石になるのかどうかという点でありますが、この点念のためにお伺いしたいと思うのであります。
  207. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 この点では、各党とも同じような質問をされましたのでもうすでにおわかりかと思います。沖繩自身がわが国の領土である、固有の領土である、そういう意味で、沖繩も小笠原と同様に私どもは一日も早く祖国に復帰させたい。県民百万、同胞百万がいるのであります。これらの方がいつまでも、日本人でありながら米国の施政権下にある、私はほんとうに気の毒に思います。同じように、わが国がさきの戦争で失った領土は南方には沖繩、北方では国後、択捉、こういうような問題がございます。やはり日本民族の熱願といいますか、ときには悲願とまでいわれるものは、やはり古来の領土が復帰することだ、かように私は考えております。  私自身がアメリカを訪問して、しかる後に沖繩に参りました。そうして、沖繩での空港で皆さんから歓迎を受けた。しかし、至るところにここに日本人ありというたれ幕を見、私どもも日本人だ、こういう要望を見たときに、私はほんとうに胸が迫ったのであります。私は今日も、沖繩の同胞の諸君は二十三年間外国の施政権下にある、これは一日も早く帰りたい、こういう気持ちだと思います。でありますからこそ、これの一日も早く返ってくる、それに備えてただいま一体化を進めていこう、こう言うのであります。  一体化を進めることがあるいは現状を維持するのだ、こういうような一部の考え方もございますが、私はそれはとんでもない考え方だ、いま日本の領土でありながら、ずいぶん内地とは違った待遇を受けておる。社会政策の面におきましても、教育の面におきましても、あらゆる面で内地とは相違があります。こういうことはやはり一朝一夕にはなかなか直らない。だから、いまのうちから、祖国復帰を円滑にするために一体化をどんどん進めていきたいと思います。それにいたしましても、いつ返ってくるか、この返ってくるめどをつけることがまず第一の問題だ、かように思いますので、私は、せんだって屋良主席が参りました際に、ともども手をとってひとつ祖国復帰を早く実現しようじゃないか、こう言って話し合ったような次第であります。私は、この点で、おそらく国民の皆さん方も、祖国復帰については、これは国民の一致した考え方だと思います。そういう意味でこの点をまず実現することが私どものつとめではないだろうか、かように考えております。
  208. 小平忠

    ○小平(忠)委員 そうすると、沖繩を特別な地域とか特別な扱いをしないということなんでございますか。
  209. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私は、ただいまのように特別な扱い方をしなくて済めばそれに越したことはありません。ただいま、御承知のように、残念ながら沖繩は外国の施政権下にあります。施政権下にありますためにいろいろな特別なものが行なわれております。その最もはなはだしいものが基地であります。それは国土の、日本の国内における基地とは違う。自由使用しておる基地がある。そして、そういうものが特別な装備までしておる。そういうような状態でありますから、これが祖国に復帰する場合にどういうような扱い方をしたらいいのか。ここに私どもが頭を悩ましている問題があるのです。外国の施政権下にある。これが本土と全然同一でない。これはもうはっきりした現実であります。この現実を踏まえ、そうして祖国復帰を実現し、わが国の安全を確保していく。どうしたらいいか、これがただいま問題であります。  各党の皆さんからもその点についていろいろお話がありました。もうこれ以上は私は申しませんが、そこに私自身の考えもあるし、また国民の皆さん方にもいろいろな考えがあると思います。私は、沖繩を復帰し、そうして同胞が日本国民として喜んでわれわれと同じような生活ができるようになること、これはもうだれも異存のないことであります。私どもの党内におきましても、こういう問題について究極の目標というものは、本土と全然同一にしようじゃないか、そういう目標がはっきり掲げられております。しかし、ただいま外国が施政権を持っておる。それを瞬間的に直ちに克服はできない。そういうまでの間にどういうような処置をとるのか、こういう問題がいま残されておる。  そこで、われわれがいま考えるのは、その実現するまで――それを早く実現するが、祖国復帰を早くするが、そのためにも日米琉委員会を通じて、本土との一体化をはかっていこうじゃないか、これがいまの状態であります。それらの点も時間的な問題を考慮に入れて、そうしてただいま現実にアメリカが施政権を持っておるというそういうことも踏まえる。同時にまた、沖繩の基地が日本並びに日本を含む極東の地域においてどういう役割りを果たしているか、それもよく考えて、そうしてここに間違いのないようにすべきだ、これが私の考え方であります。
  210. 小平忠

    ○小平(忠)委員 その点は明確にならないのであります。  そこで私は、さらに論点を進めたいと思います。そこで、さらに沖繩が極東の平和、なかんずく日本の安全保障という観点から見た沖繩の地位でございますが、その中身は、問題はやはり核基地が必要かどうかということにしぼられると思うのであります。わが党が常に主張いたしておりまするように、核兵器の驚異的な発達により、もはや沖繩に核基地を置くことは、現実にメリットが日米にとってもなくなっている、こういうことでありまして、このことをアメリカに納得させることが、この返還交渉を進める上に最も重要な前提だ思うのであります。この点は総理いかがでございましょうか。
  211. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 ただいま小平君の言われるような点もございましょう。私は、いままで科学技術の進歩、それがやはりこういう問題をきめるのだということをしばしば申しております。したがって、ただいまの状態はどういう状況にあるか、そこらは私自身まだ判断がつきかねておる、かように御理解をいただきたいと思います。
  212. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それでは総理に、あなたは非核三原則、すなわち核を持たない、持ち込まない、つくらない、この非核三原則は、総理、現在も変わりませんか。
  213. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 本土に関してはそのとおりでございます。
  214. 小平忠

    ○小平(忠)委員 沖繩が本土に復帰をするという場合に、問題は、沖繩に核基地がそのままあったのでは、これはすなわちこの非核三原則がくずれるのであります。したがって、沖繩の本土返還についての最大の問題点はこの核基地であろうと思います。あなたは九月十九日、第三回沖繩自民党中堅幹部研修会の席上でこういうふうにおっしゃっておられます。基地問題を解決しない限り沖繩の返還は実現しない、日米問で基地の扱いを煮詰めていけば必ず返還のめどがつくと信ずる、こうおっしゃっておる。また、先般十一月八日の自民党総裁選出馬声明後の記者会見で、基地問題が煮詰まらなければ沖繩問題は解決しない、問題は基地問題だと総理は明確におっしゃっておる。基地問題が先決だと言っておる反面に、基地については白紙だと言い、また、沖繩返還についてあなたは政治生命をかけるとおっしゃっておられる。私は、先般の主席公選、これを契機にもう沖繩は、あなたも本会議でも、この委員会でもただいまも主張されたように、沖繩が一日も早く祖国復帰ということに、もう国民の願望、沖繩県民の願望であるということにおいて、その時点はもう到来しておると思う。したがって私は、この問題について総理はそろそろ腹をきめなければならぬ段階だと思うのであります。いかがでしょうか。     〔二階堂委員長代理退席、委員長着席〕
  215. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私は、この沖繩問題を考える際に、同時に日本の安全並びに日本を含む極東の安全ということをしばしば申しました。そこで、よもやお忘れはないだろうと思いますが、私どもが日本の本土の安全を確保するのにどういう方法をとっておるか。通常兵器の侵略に対して自衛隊はこれに対応するだけの力がある。しかしながら、通常兵器以外にいろいろ私どもは攻撃を受ける危険があるだろう。そういう場合にはアメリカの戦争の抑止力によるのだ、核の抑止力によるのだ、これがいわゆる日米安全保障条約を必要とするゆえんだ、こういうことを申したのでございます。この点はよくおわかりだと思います。  私は、この点がやはり日本の安全を確保する、また同時に、日本を含む極東の安全を確保する、そういうことと矛盾しないようにすることが大事なことではないかと思うのです。そういう意味で国民の納得がいかなければならないことだ、これがいわゆる科学技術の進歩、あるいはそういう意味のまた世論の問題、動向等を考えて、これはきめるべき問題だということに実はなるのであります。したがいまして、ただいま簡単に沖繩が本土に返ればこれは本土になるのだ、だから本土並みでいいのじゃないのか、こういうような結論をいま出していらっしゃいますが、私はそこはよく考えなければならぬのじゃないか、実はかように考えております。
  216. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それでは直接防衛問題を担当する防衛庁長官に、沖繩に核基地を必要とするのか必要としないのか、どうお考えなのか、新防衛庁長官にお伺いしたいと思います。
  217. 有田喜一

    ○有田国務大臣 日本に沖繩が復帰すれば当然日本が防衛の責任に当たらなくちゃならぬことはもちろんであります。しかしながら、やはり日米安保条約、日本並びに日本を含む極東の安全ということを踏まえつつ、私は安保条約を基調としながら防衛の有効なる対策を立てなくちゃならぬと思っております。しかしまた、何といいましてもいまから交渉をするわけでございますから、その結果によって防衛体制はいろいろと弾力性を持ってやらなくちゃならぬ。その復帰のあとはそのときの条件によりまして善処していく覚悟であります。
  218. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私は沖繩に核基地が必要と考えるか必要でないと考えるかをお尋ねしたのであります。そうしましたら、沖繩が本土復帰の際は、当然日本が沖繩の防衛に当たるとおっしゃったわけであります。何かお伺いしないところまで答弁されたようなんですけれども、そうすると本土復帰された沖繩を日本の責任において防衛する、どういう形で防衛するのですか。
  219. 有田喜一

    ○有田国務大臣 先ほど言いましたように、日米安保条約というものを基調としながらということを申しましたね。したがいまして、日本の本土における防衛は日本の本土自体の守りをやる、こういうことであります。普通の兵器によるものに対しましては、日本の自衛隊が責任を持っております。それと同じような立場におきましては、当然日本がその責任を持つべきである、かように考えております。
  220. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いまのお話は、ちょうど小笠原が日本に返ってきた場合も、小笠原の防衛はどうするのか、こういう問題がありました。これは日本の自衛隊がこれを防衛する、かような形でございます。
  221. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私は、沖繩が本土に復帰した場合に、日本がその防衛の任に当たることはこれは当然だろう。このことは明確におっしゃった。私は一番問題は、沖繩に現在の核基地をそのまま置くのか、核基地を撤去するのか、沖繩に核基地を必要とするのかしないのかということをお尋ねしているのであります。沖繩の還返が確かにむずかしい問題であるし、さらに総理のただいまおっしゃるように、相手のあることであるから、外交のシビアーなことも、あるいはデリケートなことも、しろうとなりに私も理解できる。しかし今日は一日も遅延を許さないという情勢にあると思うのです。現に沖繩の県民の大多数が本土並みな形で返還をしてほしい――これは総理、本年八月、沖繩タイムスの現地の世論調査でも、本土並み復帰を望んでいる者が六八%もあります。さらに政府与党である自由民主党の中にも、本土並み復帰というこの考え方が私は日に日に増大していると思う。こういう国民の世論、沖繩県民の世論、また現実政権を担当する与党の立場においてもそういう考え方を持っておりまするときに、この辺で総理自身がある程度腹をきめて前進しなければならぬ段階がきていると私は思うのであります。先般わが党の西村委員長と総理とのいわゆる党首会談、その席においても、総理は白紙から一歩前進ということをおっしゃったと聞いておりますが、しからば、いわゆる白紙に筆をおろす、一歩前進とは一体何を意味されておるのか。私は少なくとも現時点においては、どうか総理御自身が腹をきめられて、やはりこの問題に取り組むという時点にきていると思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  222. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私総理であり、また自民党総裁でもありますが、ただいまのようなお話、また民社党の小平君からのお話、これも私謙虚に十分に伺っておきます。
  223. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私は率直に総理に申し上げたい。それは、あなたは総理として、また特に外交上の――外務大臣がおられても、政権を担当する国の最高責任者という立場において、少なくとも沖繩の返還のあり方の一番問題点で、それはもう今日の時点においては本土並み返還ということがだんだんと国民の世論、常識になってきていると思う。だから私は、具体的に地元の沖繩の県民の意思あるいは政権を担当する自由民主党の立場、これらについても率直に申し上げた。したがって、しからば核をつけたまま本土に返ってきて、非核三原則だの、そんなことが通りますか。沖繩を本土と区別しないというあなたの思想は明確には出ないけれども、あなたのいまの答弁の中には、やはり本土と同じように、そして究極はということをおっしゃっている。ですから、やはり目標は本土並み返還じゃありませんか。少なくとも本土並み返還ということがこの辺で――一歩前進とおっしゃるなら、どうかひとつその一歩前進のころ合いをお示しいただきたいと思う。
  224. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 何度お尋ねになりましても、これより以上は進みませんが、皆さんのお話は私はよく伺っておきます。
  225. 小平忠

    ○小平(忠)委員 沖繩返還について、さらに国政参加の問題やあるいは沖繩の経済開発の問題等もございますけれども、この話も、少なくとも基本となるべき沖繩の基地の態様、また基本問題を一歩も前進しない形においては触れても意味がございません。  私は最後に総理に申し上げますけれども、沖繩の返還はいまやわが国外交の最大の懸案であります。現にあなたが総裁三選、そして来年は新大統領のニクソン氏とさらに会談を進めて煮詰めるという段階まできているのでありますから、やはりこの辺で大勢を把握し、踏まえて、どうか一歩前進をしていただきたい。強く要請するものであります。  次は大学問題であります。  まず総理大臣にお伺いしたいと思いますが、いま全国で八百二十に及ぶ大学中、学園紛争が百十の大学で行なわれております。この中で六十五の大学は紛争が越年になる。このような異常な事態に対しまして、大学の自治を金科玉条としている大学側にも、これが解決へのきめ手がないのであります。また、この現状に対しまして、政府は依然として拱手傍観というか、何ら解決への具体的な態度を示していないのであります。総理大臣は、もはや恒常的となったこれら大学紛争の原因について、いかに考えておられるか。また、これが解決にいかなる措置を講ぜられようとしているのか。基本問題でございますからお伺いしたいのであります。
  226. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 大学問題がただいまの一番の大きな政治問題で、先ほど来しばしばお尋ねがありました。大学当局がいませっかく精魂を尽くしてこれと取り組んでおる最中であります。そういう際に、政府がとかくの話をいたしまして問題を紛糾さすまでもないのじゃないだろうか。むしろ大学当局がこれと取り組むこと、それが本来の姿だから、そういう方向が望ましいのであり、政府はむしろ黙っているというか、そのほうがいいのじゃないかと思っております。しかし、私ども政府は、いま私が申し上げるまでもなく、小平君もそういうことが言いたいのだろうと思いますが、政治の最高責任者でございます。したがいまして、政府自身が出なければならないときにはもちろん出る決意はございます。しかし私は、ただいまこういうことについて政府の考え方を申すよりも、せっかく加藤代行はじめ教員諸君が一生懸命になっているその際に、その効果のあがることを期待し、またその努力をわれわれは支持する、こういうことが一番望ましい姿じゃないか、かように思って私どもの考え方をあえて言わない。また文部大臣にお尋ねになりましても、そういう点にはおそらく触れないだろうと思います。私はこの点を、答えにならないような答えですが、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  227. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私は総理のそのような考え、率直に申し上げますならば、大学は大学の自治にまかせるというのが、今日のように大学紛争が非常に重大な危機に到達してしまった原因でもあるのじゃないか。  そこで、それでは文部大臣にお尋ねいたします。  あなたは新しい文部大臣でありますけれども、従来与党の自民党の中で、この大学紛争問題を扱ういわゆる責任者として処理されてこられたのですから、少なくともこのことに関しましては、所管大臣として、いま総理が、同じような答弁をするだろうとおっしゃっても、やはりあなたの独自性があると思う。遠慮なくお答え願いたいと思うのですが、今日の大学紛争の実態というものを見るに、もはや大学の管理能力だけではどうにもならない事態までエスカレートしていると思うのであります。いかがでしょう。
  228. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 お答えいたします。  基本的な問題はただいま総理がおっしゃったとおりでございます。しかし私は、今日の段階といえどもまだ収拾の望みを捨てておりません。おそらくはこの十二月中に収拾の糸口がぜひとも認められるようにいたしたいと最善の努力をいたす覚悟でございます。  また、今日の紛争を招いた大学の管理能力というものについて御心配でございます。私どもも心配をいたしております。しかし、今度の紛争を通じまして、各大学とも当局は真剣な努力、くふうを行なっております。東大におきましては加藤代行みずから、異例のことではございますけれども、学生の中に飛び込んでいって話し合いをしておるという実情もございます。こういうわけで、私は完全に管理能力を失ったというふうには思っておりません。ただ社会の変化に応じまする大学といたしまして、はたして現在の管理運営がよろしいかというならば、この点は改められるべきものが相当にあるというふうに考えております。したがいまして、前の文部大臣の灘尾大臣の当時から中央教育審議会にその点についての諮問をなされ、またこの私がなりましてからも第二十四特別委員会を新たに設けまして、大学の一般教養の問題であるとか、あるいはまた学生の地位の問題であるとか、いわゆる参加の問題についての中教審のお考え方を求めておる次第でございます。
  229. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それでは角度を変えて文部大臣にお伺いいたしますが、現在の東大の紛争について、あなたは今日の東大の姿は通常の学生運動の範疇で合法的な行為であると認められるのか。それとも一部学生のいわゆる暴力によって、不当に占拠されている、すなわちこれは違法行為であると見られるか、どちらでございますか。
  230. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 お答えいたします。  今日の東大の紛争につきましては、いろいろ原因はございましょう。しかしながら、一部特定の政治主張を持った者が、暴力をも辞さないという考え方でもって働きかけておる。また同時に、学生諸君も自分たちの政治主張を貫くためには暴力に訴えてもよろしい、それが正当であるというような考え方を持って、そうしてこの紛争が続いておることは御案内のとおりでございまして、一般学生の中にはほんとうに勉強しよう、学問をしよう、研究をしようという人がたくさんおると私は思うのであります。あるいは教授の中には世界的な研究業績を積んだ幾多の教授がおられると思うのであります。その方々はほんとうに自分の研究室で研究を続けたいと考えておられると思うのであります。そのいわゆる学問の自由、教授の研究の自由、あるいは学生の学ばんとする自由、あるいはまた研究せんとする自由というものが、一部政治主張を暴力をもってもなし遂げようとしておる人たちによって侵されつつあるということは、認めないわけにはいかないと私は思っております。
  231. 小平忠

    ○小平(忠)委員 文部大臣、なるべく簡潔に御答弁願いたい。  そうすると、結論的に言えば、現在の東大の現状を見ましても、それは、文部大臣ただいま御指摘のとおり、一部暴力学生によって占拠されておる。現実にもう十カ月にわたって完全に自治能力を失っておるという、この現実に対して、その監督の任にある文部大臣としては重大な責任があると私は思う。そのことは、現実に、私があえて申し上げるまでもなく、政府が責任回避できない法律諸条項があると思う。現に文部省設置法第五条十八項では、文部省は適切なる指導と助言が必要ではありませんか。そうして見るならば、今日の段階というものは、私はもう遷延できない段階まで来ておると思うのであります。したがって、あなたが、もう完全に大学の自治能力はないんだ、管理能力はないんだというふうには断定しない、まだ望みを持っているというならば、目前に迫った留年の問題あるいは入試の問題をどうするのですか。
  232. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 いませっかく東大当局が収拾に当たっておられます。昨日も駒場の大会におきまして代表がきまりました。これは一歩明るい方向へ向かったというふうにも見られると思います。そういうわけでございますから、最終的にはまだ留年をするかどうか、そしてまた来年入学試験をやるかやらないかというタイムリミットというものは十二月いっぱいと私は考えております。したがいまして、二十日前後には何らかの当局の意思決定がありまして私どものほうに御協議があるもの、こういうふうに心得ております。
  233. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私は、さらに文部大臣に次のようないろいろな動きに対してお尋ねしたいと思う。  それは、もう今日の大学自体の、いわゆる場合によっては管理権を剥奪されておる、そして一部学生の暴力の場と化しておる。これはまさに異常な事態であります。こういうような態度では単なる応急処置ではいかんともできない。しかも解決のめどが立っていない。この現実に照らしまして、一部では、東大を閉鎖して、さらに一カ年間閉鎖をする、場合によれば、そういう状態ならば廃校したらどうかという意見さえもある。現に、きょうの新聞には、政府の一部でも東大の一年閉鎖も考慮している、自主的に解決できなければもうそれ以外にない、このような大きな報道がされております。これに対して文部大臣は、こういう動きに対してどのように受けとめ、どう対処しようと考えられますか。
  234. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 仰せのことも含めましていろいろ検討をいたしております。その時期は刻々と迫っておるということだけ申し上げておきたいと思います。
  235. 小平忠

    ○小平(忠)委員 文部大臣にさらにお伺いしますが、一体、現在のこの非常事態に対処して、単なる情勢の推移を見るというような事態ではないと私は思う。もし一部のものが、あるいは新聞にも報道されておるというようなことによって封鎖、あるいは場合によれば廃校、学校教育法第十三条第三項の規定では、いわゆる政府が、文部省が閉鎖命令をなし得る、この条項でございます。しかし、これは廃校ということを前提とした含みなんです。もしそのような事態が起きたならば、わが国にいまだかつてない、国立大学がこのような事態でもしや閉鎖や廃校というようなことになったときには、私は大きな問題だと思う。一体、現在この学校に籍を置く学生の父兄、親や兄弟、あるいは来年入学しようといろいろ準備しておる青少年のこの打撃をどうするのですか。この辺でもう少し前向きの腹がまえを出してはいかがですか。
  236. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 重大なこと、そしてまた父兄が心配をしておること、国民が心配をしておること、それから学生のほんとうにまじめな人たちが困っておること、仰せのとおり私も憂いをともにするものでございます。したがいまして、私といたしましても、先生と同じようにいかなる方策があるかというあらゆる場合を想定いたしまして、私は私なりに考えております。それをすぐさま、いませっかく当局が努力をしておるのに、こうだということがやれないところに、今日の大学紛争のむずかしさがあると私は思うのでございます。ただ、ここで、それではその法律をもってどうするとか、あるいは強権を発動するとかいうようなことがいいかどうかということだといたしますと、ただいま私はやはり当局の努力に期待をするし、また同時に、私の持っておりますところの指導、助言というものを使いまして、そうして大学内における教育の正常化につとめたいと考えておる次第でございます。またいろいろのお知恵がございましたならば謙虚に私は承りたいと思う次第でございます。
  237. 小平忠

    ○小平(忠)委員 文部大臣の話を聞いていると、大学の先生のようだ。あなたはそういう立場じゃない。いま東大は不法にも占拠されて、学園の自治も何もないのです。この不法事態を、あなた認めるのですか。先ほど認めないと言ったでしょう。認めないならばどうするのです。  私は、この際国家公安委員長にお尋ねいたします。国家公安委員長といたしまして、この事態をどう処理しようと考えておりますか。
  238. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お答え申し上げます。  大体総理大臣、文部大臣が言われておるとおりだと思います。少なくとも教育の課題としてはいままでおっしゃったとおりだと心得ます。例を東大に引いてのお話でございますが、現状が教育的に見てどういう事態だということは、私から申し上げる課題ではないと思います。ただ、新聞の投書とかあるいは一個人として見ました場合、お説のように、厳粛な大学の自治が侵されておるんではなかろうか。ことに憲法が保障するところの、国民はすべて能力に応じて教育を受ける権利を有する、その憲法上の人権として保障しておる能力に応じて入った学生が、さっきも文部大臣が申しましたように、勉強したい、研究したいと思いながら、事実上できなくなっておる、そのことが、国民的立場に立ってはなはだ遺憾なことである、そう思います。ですけれども、であるがゆえに、国家公安委員長の立場に立って国民のために、大学のために具体的に何がなし得るかということでございますならば、まず学校の施設が占拠されておる、そのために勉強しようにも勉強できないという現実につながっておる。それに対していきなり警察力を動員してその占拠された状態を排除できるか、それはできないと思います。なぜかと申せば、それが不法な占拠であるのが、大学の自治、管理、運営権に立って大学の責任ある当局が、何らかの理由でそれをやむなしとしておるということであるかどうかということは、警察側から当然にわからない。大学当局の意思表示があって初めてわかることである。もし不法に占拠されておるがゆえに大学の教育研究活動ができないから、これを排除しらという御要請がありまするならば、これはもちろん警察の当然の国民に対する責任の一端として行動すべきで、協力すべきであると思います。このことは、町の銀行、会社あるいは個人の家庭の問題だって同じことだと思います。警察の側から見て、何だか変だぞということで、いきなり乗り込むわけにまいらない。責任ある、その不法排除の請求を待って行動すべき課題と思います。また、生命、身体に傷害を及ぼすような現行犯があった場合、あるいはそのおそれがきわめて顕著である場合、そういう場合には、大学側の要求があろうとなかろうと、生命、身体の保護のために行動すべきことは当然の責務だと心得ております。ただし、これとても、大学の責任ある当局の判断というものも参考にすべきことは当然でありまして、そういうことのゆえに、従来大学とよく連絡をしながら、大学の要請あることを待って、原則として行動しておる、こういうことでございます。そういう方針で対処したいと思います。
  239. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それでは、国家公安委員長に、ただいまの東大の現状は、あなたはこれは不当であると認めるのか、あるいは不当でない、不法でない、どちらなんです。まずこの点だけです。
  240. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 東大の現状が全部不法であるとは思いません。(「安田講堂」と呼ぶ者あり)安田講堂の状態は、不当な状態かと思います。しかし、それもさっき申し上げましたように、不法であるかどうかは、大学当局の責任ある意思表示によってのみ確定する。その要請に応じて排除すべきは排除する、私の責任の範囲はそういうことだと思います。
  241. 小平忠

    ○小平(忠)委員 一体、東大の今日の状態を、いまあなたは、国家公安委員長としてきわめてあいまいな答弁をされたけれども、そういうことによって、国の治安維持あるいは国民の生命財産を守るということにおいては重大な問題がある。現に、私は具体的にしぼるけれども、それでは、東大の安田講堂における事態あるいは学部長監禁の問題、この具体的な問題についてどう思いますか。
  242. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 すでに過ぎ去った過去の安田講堂の問題を例におとりになってのお尋ねでございますが、林文学部長が不法監禁され、人権をじゅうりんされておった状態かどうかというものは、その現場、実情を正確にとらえ得なければ断定できないものと思います。それは特に大学でありますがゆえに……。     〔発言する者あり〕
  243. 井出一太郎

    ○井出委員長 静粛に願います。
  244. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 たぶん人権じゅうりんが行なわれておるであろうと想像をして警察権が大学構内に入ることは、遠慮すべきものとして行動しております。これは大学自治が健全である限り当然のことだという認識に立って従来やってきておるのであります。その結果は、林さん自身の感想等を雑誌などで見ますれば容易ならざることであったとはむろん思いますけれども、それ自体が、現状確認の証拠を持たない限り、警察が独断で断定をし、行動をすることは、私は慎むべきことだと存じます。  なお、角材をふるって暴力行為をやっておる。その結果、傷害も出ております。昨日も重傷者が出ておる。助教授のドイツ語の先生が重傷一カ月半というようなことも出ております。これに対しましても、ひょっとしたらそういうことがあるであろう。生命、身体の保護の責任を果たしますために、警察当局は大学からの要請があるならば直ちに責任が果たせるような態勢のもとに待機しておったのであります。連絡をとりつつ待機しておりましたが、その危険性もあるから協力してくれ、出動してくれという要請はございませんでした。これは警察と大学の従来からの一種の紳士協定ではございませんけれども、大学なるがゆえにそんなばかなことが起こるはずがないという前提に立った従来の考え方に立って、昨日までは行動しておるのであります。しかし、今後必然的に、だれが見ても生命、身体に傷害を及ぼすようなおそれありとするならば、大学の要請なくても警察の責任を果たすことは当然だと心得ております。
  245. 小平忠

    ○小平(忠)委員 現在の事態に対して、国家公安委員長なりあるいは文部大臣の答弁を聞いておりますと、現状認識、事態の実態についても、何か十分把握されていないような感がいたします。また、ただいま国家公安委員長が、大学当局からの要請がなくても、場合によれば警察の介入、警察権の行使はあり得るとあなたは述べたけれども、われわれは、警察権の行使は軽々に行なうべきものではない。警察は国民の生命、財産、治安維持のために、あるいは一種のにらみをきかすというか、あるいは治安のための抑止力というか、そういう犠牲者を出すのが警察の立場じゃない。そういう意味において、私は、公安委員長としても、何か現状認識について十分なる実態を把握していないような感がいたします。  そこで、私は総理大臣にえりを正してお伺いをし、また、一つの提案をしてみたいと思うのであります。  今日の東大の実態というものは、まさに一日も遅延を許さない重大事態だろうと思うのであります。このことに対しまして、すでにわが党の西村委員長は、十一月の十日、福井における談話において、この際、政府も政党も一体となって、すみやかに解決のために乗り出すべきでないかということを提唱しておるわけであります。この西村委員長の提唱は、すなわち、超党派でこの際東大の現地に調査団を派遣して、まず実態を把握する、その上に立って、どうすることが解決策だということで、いわゆるその解決に踏み切る、この構想でありますが、この考えについては、昨日公明党の竹入委員長も同じ考え方を表明しているようであります。私は、いたずらに政府当局のみを責めるのではございません。この国民の一大関心事だけでなくて、すみやかに解決すべきであるという国民の願望にこたえて、この際、超党派的に超党派の現地調査団をつくって、この問題のいわゆるスタートを切る、この構想については、総理はいかがでございましょうか。
  246. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 先ほどから私は大学問題について皆さん方の御意見を伺っておりました。私は、その伺った中で受けました感じを率直に御披露いたしますと、何だか、もう政府がこの問題にタッチすべきその段階ではないか、政府は何をしているんだ、そろそろ政府の考え方をはっきりさして、そうしてこれにタッチしろ、こういうように実は聞けたのでございます。ことに、その中でも、警察力も使ったらどうだ、かようにはおっしゃらないが、いかにもそのようにもとれた。法律が守られてないじゃないか、法律を守るのは国家公安委員長の仕事じゃないか、こういうようにも実はとれました。しかし、私は、最初申しましたように、ただいま大学問題についてせっかく各学長代行その他が熱心に精魂を打ち込んで取り組んでおる、いましばらく時間をかしてほしい。いわゆる管理能力なしと、かように結論を出すのは早い、実は政府はかように考えたのであります。  しかし、それはともかくといたしまして、ただいま新しい提案として、この問題について各党でひとつ共同で調査しよう、そうしてその上でひとつ結論を見出そうじゃないかというただいまの御提案、私はたいへん歓迎をいたします。政府自身は、もちろん政府の考え方でただいま直ちに手を染めることはいかがかと、かように思いますけれども、実情を調査することについては、私ももちろん必要だと思います。政府だけで調査しないで各党でと、私は、そういう意味で、この国会を形成しておられる各党が、社会党の方にもぜひ御賛成を願って、そして共同調査、こういうことに乗り出して、皆さん方のお力もかりまして、そうして結論を出したらいかがかと思います。私は、そういう意味で、この問題は、この委員会でただいまお話が出たのでございますから、よく理事会等でも御相談願って、そうしていかに処置するか、これをおきめをいただいたらいかがだろうか、かように思います。これは政府の問題よりも国会の問題だ。ただ、私が申し上げておきますのは、政府自身もいたずらにこの問題を手をこまねいて見ておるわけではありません。ことに、何よりも新入生の問題がございます。このただいまの大学紛争に手を染めていない新入生、それらの諸君をいかに扱うか、これは時期的な問題もございますので、いつまでもほってはおけない。これは政府自身がきめなければならない問題でもあります。私が共同調査を必要とすると考えますのは、とにかく父兄の心情になってこの問題を取り上げてみたい。私は、現在大学に子供さんを送られ、そうして全学連騒ぎのために学業を放棄している、そういう父兄の方々がどんなに心配しておられるだろうか。もう卒業はまぎわだ、就職も一体どうなるか、あるいは進学はどうなるか、こういうようなことでたいへん心配しておられるだろうと思います。こういう問題をただいま民社の御提案で共同調査しようとおっしゃること、私はたいへんけっこうなことだと思います。ありがとうございます。
  247. 小平忠

    ○小平(忠)委員 総理は自民党の総裁でもあります。どうか、私の提案に対して賛意を表されたのでありますから、総裁としても、党自体が自主的に政府と呼応して積極的に推進されることを特にお願いいたします。また、本委員会といたしまして、このことは、委員長中心に理事会もあることでありますから、これは委員長に善処をお願いすることといたしまして、また衆議院には所管の文教委員会もありまして、文教委員会も自主的に各党が話し合っておるようであります。すみやかにこの事態収拾のために乗り出すということにおいて、ただいまの総理の前向きの答弁に、まことにことばは足りませんけれども、全面的に敬意を表して、そうしてその強力な推進をお願いする次第であります。  ただ、ただいま総理の答弁の中で、私が、あたかも、警察力を使わないのかと言わないけれども、そういうニュアンス――断じてそういうことは一つも言っておりません。むしろ公安委員長に、あなたは警察権の行使を大学当局から要請がなくてもやるのだということを述べられたことに対して、私は、それに自重を、軽々に警察権の行使をしてはならないということを申し上げたのである。しかし、このことについては、やはり政府が、国民の生命財産、治安維持という観点において、少なくともタイミングを失しないように、事態収拾のためにそのタイムリーな行動をお願いをしておるのである、このことを国家公安委員長としましては肝に銘ぜられて、すみやかに善処することを私は強く要請するものであります。
  248. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 いまのお話を承りまして、私のことばがちょっと足りなかったかと危惧いたしますから申し上げます。繰り返しになりますが、お許しをいただきます。  建物の不法占拠ということがありましょうとも、それは大学当局でしか確認できないことでございますから、要請があれば、警察として当然の職責を果たす意味において御協力すべきである。暴力等が行なわれまして、学校の先生であろうと、学生であろうと、第三者でありましょうと、それによって身体に傷害を及ぼすというおそれが顕著であります場合に、大学なるがゆえに黙って知らぬ顔しておるということは、警察としての責任を果たすゆえんではない。申し上げるまでもなく、警察権の行使は不偏不党を要求されております。公正な立場で行動すべきことを要請されております。法に基づき、法の範囲内において、法の命ずるがままに行動することが、国民に対するわれわれの奉仕すべき行動半径だと心得ておりますことを申し添えさせていただきます。
  249. 小平忠

    ○小平(忠)委員 これは公安委員長がよく実態を把握して、誤らざる行動を私は切望します。特に重要な点は、何といっても本大学の紛争の所管大臣は文部大臣であります。文部大臣がもし優柔不断にしてタイムリーな行動、処置を誤りますと、さらにさらに、東大だけでなく、いまや国立毛あるいは私立大学も全体に波及しておるこの大学紛争問題が、さらに拡大する事態にあることを文部大臣は十分に肝に銘ぜられて、すみやかに所管大臣として善処することを私は強く要請します。  次に、私は、この際、きわめて緊急な問題として、日中漁業協定の延長交渉についてお伺いしたいと思うのであります。   一九六七年十二月二十二日で期間の満了いたしました第三次の日中漁業協定でありますが、これは中国漁業協会が、日本側の要請によりまして、暫定的に一カ年の延長措置をこたえてくれたわけであります。ところが、この一カ年の延長は、本年十二月二十二日でこれが切れるわけであります。したがって、この期限が経過しますと、十二月二十二日で切れますから、その後は何らかの対策を講じないと無協定状態に入るのであります。現在、日中関係は、いわゆる政府が常に今日明確にいたしておりますように、政経分離の形で現在民間ベースで結ばれておるこの協定を、さらにもっと政府の強いバックアップのもとにこれを推進しなければ、現実に黄海なりあるいは東シナ海の漁業を不安定なものにするというきわめて重大な問題でございます。したがって、本件に対しましていかように考えておられるか、まず農林大臣の所見を承りたいと思います。
  250. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 申し上げるまでもなく、民間ベ-スにおいての協定でございますけれども、もちろんおっしゃるとおり、政府が大いなるバックアップをしなければならぬだろう、こういうふうに考えておりまして、その点については、もうお話しのとおりのような時期もきておりますので、過日来から水産庁の、長官のほうでその方面を担当しておりますので、長官に御答弁をいたさせます。
  251. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それでは、本件は後ほど農林大臣において所管長官とも打ち合わせして御答弁をいただきたいと思います。  次は、最近きわめて重大な政治問題化いたしつつありまする食管問題についてお尋ねいたしたいと思うのであります。  昨年、ことしの空前の大豊作は、天の恵みではあったといえ、これは農民のじみちな努力と政府の施策が相呼応いたしまして、このようにきわめて喜ぶべき結果を招来したのであります。しかし、私はどうも解せないのは、この喜びとはうらはらに、米が十分にとれるようになったことを理由に、農林大臣、あなたの部内からも米作を制限、抑圧するような動き、さらには食管制度の改正をもくろむような一通の言動がなされておりますが、これが本意だとするならば、責任ある政府の当事者として私は断じて許せない問題だろうと思う。ついては、農林大臣に、今日の日本農業、とりわけ米作農業について、あなたはどのように対処していこうと考えられるのか、まず農林大臣の所信を簡潔にお願いいたします。
  252. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 食管問題は、昭和十七年から始まりまして、御承知のように、そもそもいかに消費者に満足を与え、したがって安定した供給をするかということが第一であり、さらに生産者の保護育成を行なって、そして円滑な供給ルートを開こうというのが、すなわち食管制度であったわけでありましょう。たまたま昨年から本年に入って予想以上の収穫があり、すなわち、これらも農民の今日の努力の結果のたまものだと深く感じております。でありますから、さあ米が余ったからすぐ食管制度を変更しろ、改正しろという御意見のあることも十分知っておりまするけれども、これだけ今日まで生産者、消費者に結びついていた現実の上に立って考えるならば、即時にこれを撤廃するなどということはとうていでき得るものではないだろうと考えます。でありまするから、まず流通面とか、あるいは御協力願える面に対しては御協力を願って、その根幹だけは守り抜いていかなければならないと感じております。
  253. 小平忠

    ○小平(忠)委員 あなたの基本的と思われる考え方は伺いました。一応これに対する私の見解はさておきまして――議論のすれ違いはあなたも望むところではないと思います。そういう観点で、私はこれからあなたに具体的な問題を取り上げて、その見解をただしたいと思いますから、率直簡明にお答えいただきたいと思うのであります。  第一は、農林大臣は、わが国の主食である米麦の需要量と生産量、すなわち需給関係でありますが、ことばをかえますならば、生産と消費の実態、これをどのように把握されておられるのか。またことばをかえれば、国内産の米麦で国内の需要を満たし得るのかどうか。一体米麦は足らないのか余るのか、この点についてお伺いします。
  254. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 申し上げるまでもなく、本年度八百万トンの買い入れを予想したものが、九百六十万トンを突破するであろうというような想像に立っております。したがって、もう私が申し上げるまでもなく、なぜそのような事態になってきたかということ、経済が向上するに従いまして、消費者全体の食糧というものが非常に高級化してまいりまして、三十七年をピークとして、三十八年からというものは、一人一人の米を食う量というものが非常に下がってきていることは御承知のとおりであります。それと今度逆に生産が非常に高まってきている。こういうような現実の上に立って、このままでいくならば、申し上げるまでもなく――先ほどの食管制度というものをとういうふうに取り扱っていいか、これら農業を行なう者に対して、与党だとか野党だとかあるいは政府だとかいう考え方ではなくて、一体となって、農民というものをいかに指導し、そして将来の安定を期するかという点については、目的は一つであるので、この点で今後の処置をどうしたらよいかというような点につきましては、協議を幾たびか重ねて進んでおるのでありますけれども、これらも、ただ政府が押しつけて行なうというようなことがあってはならない、両者ともともにそれでいこうという線を見出した上に立って、その指導と、あるいはまた農地の転換をしなければならないということで、たとえば一つの例を申し上げるならば、一年に一回しか米がとれないところの土地、そういうようなところにおいて、すぐ転換しろといってもなかなか困難でございますので、それらをあわせまして、ただいま生産者団体とも、また党内においても、いろいろな総合的な点について研究し、そしてそれの実施に当たろうと考えている次第でございます。
  255. 小平忠

    ○小平(忠)委員 そうあまりむずかしいことを聞いておるのではないのです。端的に農林大臣は、いまわが国の主食である米麦の需要量、いわゆる消費ですが、幾らなんですか。それから、いま米麦合わせて生産量は幾らなんですか、それを聞いているのです。
  256. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 数字の点は長官から……。
  257. 小平忠

    ○小平(忠)委員 数字の点であっても、いま米が幾らとれて、麦がいま幾らとれておるか、消費が幾らあるのか、こんなことぐらいは農林大臣わからなくてどうしますか。
  258. 檜垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 お答えを申し上げます。  数字の正確を期しますために、便宜私から申し上げます。  たとえば昭和四十二年をとりますと、米は生産量千四百四十五万三千トンでございます。それに対しまして需要量は千二百四十八万トン、それから小麦は、御案内のように需給率は二〇%程度でございまして、生産量は九十九万七千トン、約百万トンでございます。需要量は五百十万トンということでございます。それから大裸麦は、百三万トンの生産に対して需要量が百七十三万トンということでございます。米麦合計の生産量は千六百四十八万トン、需要量は千九百三十二万トンという数字でございます。
  259. 小平忠

    ○小平(忠)委員 農林大臣、いま食糧庁長官から聞いたとおりです。わが国の主食である米、麦の生産量、それは、この豊作豊作で、豊作でさえも千六百四十八万トン。それに対して需要は千九百万トンを上回る。絶対量、これは足らないのであります。  その次は、農林大臣にお伺いしますが、ここ一、二年の豊作によって、食糧庁は、昭和四十三年米穀年度末、すなわち本年十月末でありますが、二百九十八万トン、来年の十月末、すなわち昭和四十四米穀年度末には五百五十万トンの余剰在庫となると発表しておりますが、農林大臣、そのように確認してよろしゅうございますか。
  260. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 数字の上からいうと、そのような計算が出ることになっております。
  261. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それではその次は、昨年の買い入れ数量は九百八十六万トンであると食糧庁は発表いたしておりますが、本年の買い入れは大体何トンぐらい見込んでおるのですか。
  262. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 先ほど申し上げたように、九百六十万トンを突破するだろうと考えております。
  263. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それではその次は、輸入外米は、昭和四十年、四十一年、これは八十八万トン、四十二年は四十五万トン、本年はさらに減って二十七万八千トン。これに対して輸入外麦は、ここ数年三百万トンを前後して、昨年は三百二万トンとなっておりますが、来年度はこれはどのようにお考えでございますか。結局、外米、外麦をどのように輸入することを考えておりますか。
  264. 檜垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 来会計年度の米麦の需給計画はまだ作成が終わっておりませんが、米につきましては、もち米を除きましては輸入の必要はない、もちろん過剰でございますから輸入の必要はないと考えております。麦につきましては、四十三会計年度の輸入量とほぼひとしい程度のものの輸入が必要であろうというふうに思っております。
  265. 小平忠

    ○小平(忠)委員 来年は外米は輸入しないのですね。外麦は大体同じぐらい輸入しようというのですか。農林大臣、これは大事なことですから、農林省はしばしば、生産抑制、作付転換、あるいはいわゆる買い入れを抑制しよう、こういうことを農林省の事務当局が言っておりますが、あなたは先ほどきわめて抽象的だった。この点はいかに考えておりますか。
  266. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 過去の例からもならいまして、御指摘のような点は見のがすことができない事実だと思います。これらに対しましては、今後、貯蔵、保管、こういうような点に重点をある程度置いてそれぞれの処置をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  267. 小平忠

    ○小平(忠)委員 農林大臣、きわめて大事なことでありますから……。  それでは米価であります。生産者米価、消費者米価、これはあなたはどのようにお考えですか。
  268. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 生産者米価の点につきましても、いろいろ新聞紙上にも発表があるようでございますけれども、私としては、先ほどもお答え申し上げたとおり、現実を見てその上に立って妥当な価格をもって決定をしていかなければならないだろう、このように考えますし、消費者米価といたしましても、現在のようなお米が余っているというこの現実の上に立っていかに処置するかというものを基本として考えなければならないと思います。
  269. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それでは、先ほどちょっと農林大臣、あなたは食管の根幹とおっしゃった。いわゆる食管の根幹を変えない。一体、根幹を変えないという根幹とは何ですか。
  270. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 食管の大使命であるところの、その大きな流れというものは変えていかないということでございまして、要するに食管制度というものの根幹を守り抜くと、こういう考え方でおると申し上げたわけであります。
  271. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それは農林大臣の根幹とはの説明はもうゼロです。西村前農林大臣が農業団体の代表者を集めて根幹なるものを説明し、あるいは農林水産委員会にあるいは政府が公式に発表をいたしておりまする根幹なるものは私の手元にありますけれども、時間の浪費を省きまして読み上げるのをやめますけれども、これは何を言っておるかわからないのです。  そこで、以上のようなことを大体私はなぜ農林大臣に伺ったかといえば、あなたは現在のわが国の食糧の中で、特に主食である米麦というものについての実態を把握していない。これは農林大臣に就任早々でまだ勉強してないといえばしかたがない面もありましょうけれども、一番重要であります。わが国の主食というのは、これは何といっても米麦であります。米の生産量は昭和三十四年以降、大体千二百五十万トンから千二百八十万トンを前後しております。これは農林統計、正式なる農林省の発表でありまして、この数字は変わりません。これに対して米の需要は、これも大体この三十四年から、すなわち五、六年というものは千二百五十万トンという数字を前後しておるのであります。したがって、昭和三十四年から大体八カ年程度というものは米の生産と需要というのが大体とんとんです。ところがこの反面、麦の需要はどうかといいますと、昭和四十一年六百六十八万トンに対して、同年の国内麦の生産はわずか二百十二万トンであります。これは麦類であります。したがって、四百五十六万トン不足しておるのです。その不足補充として年々四百万トン前後の外麦を輸入しているのが現状であります。  そこで、米麦を主食として、米と麦を合わしたものの最近の需要関係は――それは昭和四十一年度において米麦の総需要量は、先ほど食糧庁長官は四十二年をおっしゃったけれども、私の調査で昭和四十一年です。これは豊作になる前の年です。豊作になる前の年に千九百十九万トンであります。これに対して同年の米麦の国内生産量は千四百八十七万トンでありますから、四百三十二万トンの不足であります。ところがこれを昨年、すなわち昭和四十二年の史上最大の豊作、この豊作の年で米麦の国内生産量は千六百四十八万トン、先ほど食糧庁長官の言ったとおりであります。なおかつ、この豊作でさえも米麦を合わせるならば二百七十五万トンという絶対量不足なんであります。こういう現状を十分に把握した上で、わが国が不足量だけ輸入しておればよろしいのに、大豊作だといっても従来どおり四百万トンに近い大量の外麦を輸入するものですから古米が在庫となるのはこれは当然であります。  そこで、外米の輸入は現に段階的に減量しているのです。これは明年は全廃すると言っているのです。なぜ小麦の輸入を――昨年も豊作、ことしも米は豊作だと言っておるのに、なぜ小麦を中心として、小麦、大麦を従来どおり輸入するのですか。これを私はまず農林大臣にお尋ねしたい。あなたは所管大臣として、この認識が一番大事なんです。どのように把握されていますか。
  272. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 食管法と同じことに、今日まが粉食を奨励し、粉食をすすめてきて、ここにおいて国内産の米がとれたから、すぐまたこれを米食に変えろ、そう簡単に、お互い国民が、消費者がその供給を受けるはずがないではありませんか。そういうような点から考えてみても、やはり何といっても今日まで粉食を奨励してきた、これを急に変更して、そしてことしから全部粉食はだめだ、パンもだめだ、うどんもだめだ、それで全部米だ、そんな簡単なわけにはいかないのじゃないでしょうか。おっしゃるような点には十分重きは置きますけれども、急激にそのような処置をとることは困難だと考えられます。
  273. 小平忠

    ○小平(忠)委員 農林大臣、あなたにそんなことをいま聞いているのではない。それはあとで論議しようと思っている。いわゆる需要供給の現状の認識です。一体主食である米麦が、二百七十五万トンも余ると言っているのに、それも豊作だと言っているのに、外麦を従来どおり大量に輸入する。そして、米の需要について、米のいわゆる消費について何ら考えないからそういう結果になるのじゃないですかということを私は尋ねている。よろしゅうございます。次に入ります。  そこで、ここに具体的な問題として、今後、昭和四十四年度の予算編成の上にきわめて重大なる影響を持つ問題でございますから、私はここで大蔵大臣にお伺いいたします。  あなたは自由民主党の幹事長として昨年の米価要求全国大会においては、だれよりもだれよりも農民を愛する、また本年の米価大会においては、米価は自民党がきめると言って胸をたたかれたのです。ところが今度あなたは、大蔵大臣になられたとたんにどのようなことをやり、しゃべり、あるいは話を進めておるかといいますと、現に今月の十日、十一日――十日は大蔵省のあなたをまじえての首脳会議において、米の買い入れを抑制する、あるいは米の価格については据え置き、あるいは引き下げ、あなたは大蔵省の幹部会議においてもそういう話をされておるという。これは現在のわが国の米の需給関係から見て、また政府が長い問食糧の増産のために膨大な国費を投じて推進してきた立場からきわめて重要な問題なんです。私は、あなたの御意見をまず承りたい。
  274. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 昭和四十四年度の予算もさることながら、わが国が当面する経済問題で米の問題は非常に重大でかつ困難な問題になってきておるのです。いまも明らかにせられたように需給ですね、とにかく毎年毎年二百万トンも過剰になる。ぽつぽつ古米を食べなきゃならぬ。来年はかなりの古米を食べなきゃならぬ。再来年は古々米を食べなきゃならぬ、こういうことにいまなってきておるわけであります。そういう事態に対してどういうふうに米穀行政をやっていくか、これは農林大臣の問題でございまするけれども、財政上もきわめて困難な問題が起きてくるわけです。私は、この問題の処置にあたりまして、政府は、また政治家は農村に対し、農民に対して深い愛情を持たなきゃならぬ、これがなければこの問題は解決できない、こういうふうに考えます。つまりこれまで農村はずいぶん苦しんできたわけです。しかし、最近よくなってきた。だからといって人によりましては農村で自動車を乗り回しておるじゃないか、テレビも全部普及したじゃないか、もうほうっておけというような冷たい見方をする人もありますが、この冷たい見方じゃこの困難な問題は解決できない。ほんとうに農村が今後どうあるべきかということを考えてみますと、やはりこの恒常的と見られる需給状態、これの改善に手をつけなければならぬ、かように考えるわけでございますが、それには深い愛情を持ちながら、作付の転換でありますとか、あるいはいま麦はずいぶん不足じゃないかというようなお話がありますが、この麦との関係の調整でありますとか、とにかく農村は――いま世界でもうらやましがられるような日本経済の中におきまして、その中心をなすのは鉱工業です。農村の所得は、総生産は三%ぐらいしか上がらない。農業人口が減ることを考えても五、六%の上昇にしかならない。その問題を放置するわけにはいかぬと思うのです。やはり農村全体としては国が助成をしなければなりませんが、いままで価格補助に寄り過ぎてきた、これを転換する時期にきておると思うのでありますが、私どもは総合農政といっておるゆえんのものはそこにあるわけです。そこを踏んまえまして、ほんとに農村というものをどうするか、親身にまた真剣にこの問題と取り組まなければならぬかと、こういうふうに考えておりますが、それには当面甘やかす、これがいいのかどうか、こういうこともあるわけであります。愛すればこそ、ほんとうに長い目で見て農村が幸福になるように、また農村が、食糧農家が、食管制度の根幹はこれを守り抜きたいという強い念願を持っておりますが、その根幹を維持するには一体どうするか、こういうことを深く考えていかなければならぬ、かように考えております。
  275. 小平忠

    ○小平(忠)委員 大蔵大臣、そんな愛情論や愛する論でいまの重要な農政問題の打開はできないのです。  それでは大蔵大臣、昨年、ことしの、これは史上最大の豊作、これは記録的なものです。現在、わが国の水田の耕作面積は、政府が相当本腰を入れてその開田に努力をしておる反面に、都市周辺の水田が住宅あるいは工場としてどんどんつぶれていっておるのです。ですから、昭和三十五年、いまから八年前です。八年前から見ますと、水田の耕作面積は逆に二万ヘクタール減っておるのです。新規開田とつぶれるのを差し引いて、昨年は二万ヘクタール、ことしは二万二千ヘクタールふえておるだろうけれども、三十五年から見ると逆に減っておるのです。今後の見通しをごらんください。今後の見通しも、現に農地局が出しておる統計を見ましても、昭和四十九年までの水田の実際の開田面積と、これから荒廃、都市化によってつぶれていく、これを全体に見て、差し引き七万ヘクタールの開田減であります。耕作面積減であります。現在の情勢でいって七万ヘクタール減るというわけです。そういう状態のところへ持ってきて去年、ことし豊作でいわゆる輸入食糧を大幅に輸入したものだから、それで古米がだぶつくといって、食糧庁が一方的に出した数字によると、何と無定見もきわまる、十年後には千七百万トンの古米がだぶつくとは一体何事なんです。何を基礎にしてそれをいうのです。こういうものを基礎にして、また財政制度審議会――財政審は、来年はこういう状態だから米価を石当たり約二割、四千円引き下げろ、そうして、それ買い入れ制限だの、作付転換だの、むちゃなことを、いわゆる報告書を政府に提出しておりますけれども、こういったことをよく検討するのに、あまりにも現実を無視した実態なんです。ですから、もう少しこの実態を大蔵大臣はよく踏んまえて、一体今後わが国の水田と畑の関係はどうなるのか、転換、転換というけれども、そんなことが簡単にできるかどうか、これを十分把握して、すみやかに四十四年度の食管特別会計に、来年度は幾らの買い入れをするのか、そうして価格はどういうことでいくのかということをきめるいま段階にきているのです。私は、あらためて大蔵大臣の考えを承りたい。
  276. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私とすると、農林省の需給の見通し、これをつぶさにお聞きをし、これを基礎にして食糧問題の今後を考えざるを得ないのであります。  食糧庁の作成した資料によりますると、今後恒常的に二百万トンくらいは余るじゃないか、年二百万トン余る、こういうような状態でございます。ですから、これは需給の問題の解決、これが非常に重大な問題になってくるわけでありまして、これをどういうふうに措置するか、そういう問題に当面しておるわけでありますが、いま、まず農林省との間にどういうふうにこれを処置するかということを、検討を始めようとしておるそのスタートにあたって、需給は一体どうなんだ、こういうことを話し合ったところであります。臨時国会が終わりました時点ぐらいでまずこの対策いかん、こういうことに入ろうと思いますが、その基本的な考え方は、先ほど申し上げましたように、農村に対しては助成はしなければいかぬ。いかぬが、これを価格に偏重するということはかえって農村の将来を間違う、こういうことになりますので、その転換というところに大きな重点を置いてやってみたい、かように考えております。
  277. 小平忠

    ○小平(忠)委員 大蔵大臣としては、農林省の需給の数字を基礎にしてやはり十分に考えなければならぬ、わかります。しからば、私は農林大臣に伺いたい。  きょうの新聞で「総合農政の大筋固まる」「転換補助金を追加」する。「米の自由流通は認める」具体的な内容としては、「長谷川農相を交えて幹部会議を開き、懸案になっていた総合農政の具体的な内容について、一、来年度から三年間に二十五万ヘクタールの水田を他の作物に転換する。二、作付転換には十アール当り二万円の奨励金を支払うが、そのほかに一万七、八千円の補助金を出す。三、米の自由流通を認める、などの大筋を固めた。」一体何たることですか、これは。三年間に二十五万ヘクタールの水田を他の作物に転換できますか、農林大臣。こういうむちゃなことを話し合って、これを基礎にして大蔵省が予算をきめられたら米作農民はたまったもんじゃありません。私はなんで先ほど時間をかけて米麦の需給状況を申し上げたかというと、現実に昨年、ことしのような豊作というものは、これはまれなんです。昭和四十一年からその前八年というものは、先ほど申し上げたように、大体米の生産は千二百万トンから千三百万トンを前後しているのです。大体米の需要は、これは農林省も発表しているように、千二百五十万トン前後でございましょう。大体とんとんです、麦を別にいたしましても。農林省が戦後米だけでも約一兆円という巨額の国費を投じている。これには国営であり、都道府県営であり、あるいは団体営であり、補助を入れて全体で一兆円という膨大な国費を投じ、畑を入れるならば一兆四千億に余る国費を生産基盤のために投じて、生産力増強につとめてきた。しかしこれは大体現状においてはもう限界が来ているのです。ですから、こういう点を考えてみるときに、何で毎年毎年米がだぶつくとか、あるいは十年後には千七百万トンの米がだぶつくなんということは、言語道断です。  さらに重要な問題は、ここに御指摘申し上げるわけだけれども、それは、大いにとれることはいいじゃありませんか。私はむしろ逆に、米が豊作によって在庫が余る、むしろ当面この米の処理をどうするか、これが一つであります。同時に、これからは国民が納得のいく形で米の消費を拡大していくことを考えてはどうですか。私は、二百六十五万トン余るというけれども、かりにこれを額面どおり受け入れたといたしましても、来年は外米の輸入――ことは十月末で約二十八万トンの外米を来年やめるのです。それから、外米から加工用に回している約二十三万トンというものは、これは酒米であり、あるいは加工原料です。これも今度やめれば、国内米を使うのです。学校給食に二十七万トンの小麦を使っておりますけれども、米不足時代に粉食を奨励して学童に食べさせた学校給食を、何もこういう現状において全量小麦にしなければならぬことはないのです。特に、米作地帯の学童には半数ぐらいは。ハンを米に切りかえても可能であります。  さらに、一番重要なことは、日本は災害の、台風常襲地帯、米の主産地である東北、北海道は、四年に一ぺんはどうしても冷害に見舞われる、こういう日本としては、常時四カ月分ぐらいの備蓄米を持つのが、これは国策ではありませんか。  そうして見るならば、古米が余る、余るといいましても、こういうことに何もこだわることない、もっと具体的に米の需要について考えるべきだと思うし、さらにそれでもなおかつもし米が余裕があるというなら、何も現在三百万トンの小麦、大麦、これをそのとおりそのまま輸入しなければならぬということがどこにあるのですか。何も私は全量。ハンを米にかえろというのじゃないのです。三百万トンのものを現実に毎年段階的に二、三十万トンずつ輸入を減らすということは可能なんです。過去においてやっておるのです、それは。そういうことを具体的に検討するならば、何ら古米のことなどについても心配する必要はないと私は思う。あなたは、農林大臣として、なったばかりだから何もわからぬ、わからぬということではこれは過ごされない。いま四十四年度の予算をつくらなければならぬときです。明確なる答弁を願います。
  278. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 おっしゃるように、作付転換を強制しようと考えているのではございません。可能なところから、喜んで御協力を願えるところには、その裏づけをするのは当然ではないか、したがって、その一年限りということもいけないじゃないか。もっと愛情のある、先ほどのお話のように血の通ったというのは、一年で打ち切ることなく、少なくともそれが完全にその業がお米じゃなく転換ができるような方途が切り開ける間というものは、ある程度見てやるのが当然だろうという話はいたしました。ですから、来年度に至りましても、強制的に作付転換をさせるということはいたしませんです。その御心配ははっきりないように申し上げておきます。  けれども、お米が今日これだけ余っておるということも、あなたが御承知のとおりなんですから、その現実の上に立って、協力の願える面から協力を願っていこうという措置を考えようじゃないかということをこの間言ったわけでございます。したがって、他に、たとえば学校給食の点もございます。学校給食も本年急に米が余ったからすぐ給食を変えろといっても、なかなか父兄の意見等もありますし、第一施設というものから変えていかなければならないはずでございます。そういうような施設を、さあことしになって――まだ全部米が出切れているわけではございません。ですから、そういう面についての施設にもどういうふうに助成をし、どういうふうな方向に持っていったら御協力を願えることができ得るかというような点、さらにお米がその上にも余るというならば、他の国々にも必要なところもあるのですから、そういう方面にもいかにして輸出をするかというような点にもいろいろと配慮をいたしておるわけでございます。  備蓄の点につきましても、もちろん、先ほど申し上げましたとおりそういうような事態のくることも、あるであろう。それには国民よもう心配しなくもよろしい、これだけのお米は、皆さんの食べる食糧というものは少なくとも半年や七カ月のものはありますよときちんとお答えのできるような方途を切り開いていくことは、当然なる義務だと考えております。そのような措置をとる考えでございます。
  279. 小平忠

    ○小平(忠)委員 農林大臣なかなかいい答弁をしている。それで……。
  280. 井出一太郎

    ○井出委員長 小平君、大体持ち時間が来ましたが……。なお先ほど保留しておられた水産庁長官もいま見えています。ひとつ締めくくりにお入りください。
  281. 小平忠

    ○小平(忠)委員 農林大臣、最後にあなたにお尋ねしたいのは、あなたのただいまの答弁によりますと、作付転換などは一方的に押しつけるようなことはいたしませんということでございますね。さらに現在の米の需要状態から見て、買い入れ制限もいたさぬということでございますね。それから価格についても、現状をよく踏んまえて適正な価格をきめたい。現状は生産者米価は他の物価よりも非常に低いのです。上げろ上げろという意見があるけれども、問題は、国全体の物価政策から見て、米は主食である、主食が上がることによって公共料金同様に影響するというようなことから、これはいま米作農民もむちゃくちゃに上げろと言っているのじゃないのです。公共料金も賃金も物価も上がらないのならば、いまは他の物価とのハンディはあるけれどもあえてがまんしようと言っているのです。こういうことをあなたは総合的に言っていると思うのです。したがって、適正な生産者米価あるいは消費者米価とはそのことを言っていると思う。そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  282. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 もうこまかく申し上げる必要はございませんが、生産者をまず安定する措置をとらなければならない。非常に動揺をしております。でありますから、まず安定する措置をとらなければならない。したがって、消費者にもただいまのお話の御心配のないような措置を講じていく考え方でございます。
  283. 小平忠

    ○小平(忠)委員 米の問題で私は最後に総理大臣に。  以上、いろいろ農林大臣、大蔵大臣と議論をしたとおりであります。わが国は何といっても米麦を主食としておる国であって、国としてはすみやかに食糧の自給度を高めて、自給自足の体制をつくるというのが食糧政策じゃないかと私は思います。日本の主食である米麦が足らない、足らないところを輸入しなければならぬという現状、これを踏んまえていくならば、やはり今後は適地適産主義によって、米の適するところは大いに米の増産を奨励し、さらに畑に適するところは畑作を奨励して、現在恵まれない畑作は少なくとも水田まで引き上げる、酪農を振興する、これを私は強力に推進すべきだと思うのであります。したがって場当たり的に、去年、ことし豊作だからといって、それ買い入れ制限だ、作付制限だ、さらに米価を押えるのだというような無定見なことはなさるべきでない。少なくとも自給自足の体制を確立するという見地から、私は適地適産主義によってむしろわが国の自給体制を確立する、このことが筋でないかとこう思うのであります。総理大臣にお伺いします。
  284. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 ただいまの言われる結論としての適地適作、たいへんけっこうです。ただ米麦と一口に言われるけれども、米が残って麦は足らないというのが現状でございます。それぞれの用途がございますから、この米麦を一緒にすれば食糧は十分じゃないか、かように言われても、必ずしもそうはいかない。だからやはりそれぞれの用途に適したそういうものがなければならない。この点も御理解がいただけるのだと思います。  ちょうど私は一昨日「ふるさとの歌まつり」を聞いておりました。旭川・上川地区は大体百万石とれるところだ、かようにいわれたのが、ことしなどは何と二百万石とれている。これはあなたの場所ですからよく御承知のことだろうと思う。私はそういうことなどを考えて、適地適作というものも十分考えていただく、そうして食糧は米と麦を一緒にしないで、それぞれの用途があるから適当な分配をしていく、これをひとつ考えていただきたい。お願いします。
  285. 井出一太郎

    ○井出委員長 小平君、守ってください。
  286. 小平忠

    ○小平(忠)委員 最後に、いま当面の重要な課題である来年度予算編成で、大蔵大臣は少なくとも千五百億、六百億という減税をやろうといたしておるときに、予約減税について大蔵当局はなかなか冷淡な態度を示しているようであります。すなわち、現在の食管制度、事前売り渡しによる予約制度、この予約制度とうらはらのもとにつくられた予約減税を廃止するということは、逆に農民に対して増税をしいるようなものだ、私はこのように思うのでありますが、大蔵大臣いかがお考えでしょうか。
  287. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 先ほどから明らかにせられておりますように、米の需給状態が非常な米の過剰という事態に立ち至っておるわけであります。米が不足気味である、配給量が足らない、こういうためにつくられた予約減税でございますので、そのつくられた趣旨からいいますと、この予約減税制度の存在の意味は私は非常に薄れてきておると思う。本年度のごときはむしろおそ出しを奨励するというくらいな措置までとったというような状況でございますので、この制度自体については、かなり真剣に再検討すべき事情に迫られておる、かように御了承願いたいのです。まだしかし最終結論を出しておるわけじゃありませんから、慎重に検討いたしまして結論を得たい、かように考えています。
  288. 井出一太郎

    ○井出委員長 これにて小平君の質疑は終了いたしました。  なお、先ほど保留をいたしました水産庁長官の答弁を求めます。森本水産庁長官。
  289. 森本修

    ○森本政府委員 日中民間の漁業協定は、昨年十二月に暫定的に一年の延長が認められまして、今年の十二月の二十二日まで有効ということになっております。それ以降は事態の発展を見まして再び協議しようということになっております。私どもとしましては従来から、操業秩序が維持されまして、できるだけ協定が今後延長されますのに阻害になるような事態がないように努力をして、業界の指導に当たってまいりました。現在のところは有効期限もきわめて切迫をいたしておりますので、民間の関係者の方々は、中国側ときわめて密接な連絡をとりながら延長の折衝をいたされておるようであります。現在のところはまだその見通しは必ずしも十分ついておりませんが、政府といたしましても、従来のような民間協定が円満に延長されていくことを希望いたしておるところでございます。
  290. 井出一太郎

    ○井出委員長 次に、川崎寛治君。
  291. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 総理が三選をされて、特に最後の仕上げとして沖繩問題に命をかける、また場合によってはどろをかぶる、こういうことでたいへん力んでおられます。本会議あるいは午前中からの沖繩問題をめぐってのいろいろの質疑に対しては、ぬらりくらりと逃げておられるわけでありますが、私は特に安保と沖繩の問題に重点を置きながら、当面をしております諸問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  総理が沖繩問題に取り組んでまいりましたのは三十九年、あなたが前の池田さんと総裁を争われたときに態度を表明してまいりまして、私が佐藤総理と沖繩問題でやりとりをいたしてまいりましたのは、その池田前総理から政権を引き継いだ最初の臨時国会であります。それ以来私は、あなたとはずいぶん沖繩問題をめぐってやってまいりました。あなたがこれから命をかけて日本の安全と極東の安全と、こういうことで沖繩返還をめぐって日本の日米安保体制を大きく変えよう、こう決意をいたしておられるわけでありますから、それらの点を私は克明に解明をいたしていきたい。そのことが日本の、むしろアジアにおける緊張を緩和をし、また日本の平和を守る道であると確信をするからであります。特に屋良さんなりあるいは平良さんなりが主席――特に平良さんの場合には圧倒的な、地すべり的な勝利をいたしたのであります。さらには最近行なわれました中央教育委員の選挙においても自由民主党は負けました。これは沖繩の大きなうねりというものがあるわけであります。屋良さんがりっぱな人であるということについては、総理もお認めになられたと思います。私も長年のつき合いをいたしておりまして、決してあせらずに、百万県民のしあわせのためにじっくりと腰を据えながらやられると思いますし、決してつけ焼き刃でございませんので、甘く見られるとたいへんだと思いますが、私は、その特に屋良さんを押し上げた県民の方方、まあ私も――福田前幹事長は二へん行かれた。私はこの十、十一月に三べん参りましたし、当選をしましてこの四年間に十二回渡っておりますので、私は沖繩のすみずみを自分の足で歩いてまいりましたし、また、台風で打ちひしがれた宮古島のそのサトウキビが曲がりくねりながらも立ち上がっておるその悲惨な姿、そういうものもじかに見てまいっております。だから今度の選挙を通じて私はからだ一ぱいに受けてまいりました屋良さんを当選をさせた県民のその願いというもの、それを私は代弁しながらやっていきたい。いずれ後ほど国政参加の問題も取り上げますが、いずれにしても代表がいないのでありますから、私はそういう県民の意向というものを十分に反映させていきたい、こういう立場でやってまいりたいと思います。  まず最初に、そういう立場でやりますが、ひとつ午前中の多賀谷委員からの追及、質問に対しまして、これは明らかにいたしておきたいと思うのであります。インドシナ三国に派遣をいたしました松木俊一氏の問題でございます。これは外務省で調べたところでは、顧問として、しかも肩書きは特使の名称を使って四十年の三月にインドシナ三国を回っておるのでございます。でありますから、総理が全く知らないということではこれはいけないのだと思います。ですから、このことはひとつ、そんなことはない、知らないということで終わっておりますから、この点だけひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  292. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 松木俊一氏の問題でございますが、同氏は昭和四十年の三月十八日から四月一日まで、外務省顧問の資格でインドシナ情勢の一般的調査におもむきました。その帰国後、衆議院の外務委員会に参考人として出席いたしまして、質疑に答え、意見を述べたことがあるようでございますが、その後は外務省顧問ではございません。
  293. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 総理、わかりましたですね。その点を明らかにしておいてください。
  294. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いまの外務大臣が答、えたような外務省との関係はあったようですが、私の特使あるいは私自身これは関係がございません。したがって、先ほどお答えしたのは、私はさようなことは知りませんと申したのです。私の知らないことを外務省でやっておることもございますから、その辺は御了承いただきます。
  295. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 これは詭弁でありますが、知らない、外務省が出したのだから知らないという。しかし、少なくとも紛争の、最も問題の多い地域に派遣をいたしたのでありますから、外務省がかってにやったとは思いません。しかしこれを追及しておりますと時間をとりますから、これは一応これでおいておきます。  本日午後三時から、十一月十九日B52が墜落、爆発をいたしました嘉手納の村の総合グラウンドにおいて、約五万の県民が、命を守る県民共闘会議ということで総決起大会を開いております。悲痛な叫びだと思いますが、そのことについて、これはただ単に、県民会議の大会というのは、ここで本土政府のなまぬるい態度に対して憤りを爆発させておるというだけのことではなくて、今後この県民共闘会議の進む方向というのは、私は決して甘いものではないと思う。というのは、これまで復帰運動はなるほど燃え上がってまいりました。しかし軍事基地撤去の戦い、反戦平和の戦いというのは、決して沖繩の基地の特殊性、沖繩の二十三年間の特殊な事情というものの中で全体を包含をするものではなかったのです。しかしそれが、このB52の爆発事故を契機に、嘉手納村の自民党の村長まで加わって、先頭に立って反戦、平和、軍事基地撤去の方向にいま大きく広がろうといたしておるのであります。  けさの多賀谷委員の質問に対しましてもたいへん中途はんぱな、いいかげんな答弁で終わっておりますから、私はこれをひとつ明確にいたしていきたいと思います。ここに私は写真と、それからB52の破片を預かってきております。(「その手は古い」と呼ぶ者あり)その手は古いという不規則発言がございますけれども、これはただ単にその辺に散らばっておったというのではなくて、あるお年寄りが前の晩お酒を飲んで、朝早く目がさめた。そして水を飲みに行ったわけです。水を飲みに行ったおかげで、ふとんに突き刺さったその破片で死なずに済んだわけです。ちょうどたまたま水を飲みに行っておった留守に、パッと爆破した瞬間、ふとんに突き刺さったが、幸いにして死亡者はなかったわけでありますが、そういうことで死を免れた。それで、ここにも写真もございます。恐怖に打ちひしがれておるその県民の姿というもの、これが破片でやられておる家の姿です。  そこで私は総理に、まず二月、沖繩の県民代表が参りましたときに、心配要らぬのだと、琉球立法院の諸君に、帰って不安はないから説得をせいと言われたわけでありますけれども、そのことを今日においてもなおそのように思っておられるかどうか、あるいはこの深刻な事態というものの中で何か一言県民に対してお見舞いのことばを言う気持ちがあるかどうか。
  296. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 最近におけるB52の事故につきまして沖繩県民の方、たいへん心配していらっしゃることだと思います。私、心からつつしんでお見舞申し上げます。ただ、お見舞を申し上げただけでは気が済まないのでございまして、私どもがやはり同胞の不安を除くという、これは私どもの政府の責任だ、かように考えておりまして、B52につきましてはアメリカにも強く申し入れをしております。また、この席からもたびたび申し上げましたように、目的を達するまで重ねて私どもの申し入れをするつもりでございます。このことをはっきり申し上げておきます。
  297. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは、これは外務大臣にお尋ねします。このB52はどこに行こうとしたのでありますか。
  298. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは申すまでもございませんが、沖繩が遺憾ながらアメリカの施政権下に現在あるわけでございますので、私どもはその詳細については知ることはできません。しかし、現実に損害がありましたこと、また同胞である沖繩県民が非常な不安に脅かされておる、このことは切実に私も胸を打たれるものがございますので、私も就任早々でございましたが、去る十一日駐日アメリカ大使を招きまして、いろいろの問題について話しましたときに、最も緊急な、また最も私の頭を悩ます問題としてこの問題を提起いたしました。  御承知のように、すでに二月以来、日本政府といたしましては本件についてアメリカ側に申し入れをしております。そしてある程度の回答も得ておったわけでございますが、さらに私と大使のレベルにおきまして、一つはB52について沖繩を恒久的に基地化する意図はないということ、それからB52が発進しないで済むような、また沖繩を利用しないで済むような情勢ができ上がることについて期待もするし、そういう情勢がつくり上げられることについて努力をいたしたい、こういう二つの点につきまして確認をいたしておるような次第でございます。しかし、本件はほんとうに痛ましい事柄でございますから、今後におきましても十分、私といたしましても注視をいたしてまいりたいと思っております。
  299. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 原爆は積んでいなかったと確認できますか。
  300. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは、先ほど申しましたように、私が責任をもってお答えをすべき筋合いのものではないと思います。しかし、アメリカ側の説明によりますれば、ベトナム戦争については原爆は使用していないたてまえである、かような言明と申しますか説明でございます。
  301. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 政府としてジョンソン大使からそういう説明を聞いて、お互いに確認をしたという以外に、政府自体が直接これに対して調査、つまり施政権がないからできない、こう言われると思う。しかし、こういう事故でございますから、政府はやはりすみやかに行くべきだと思うのです。調査をいたしましたかどうですか、明らかにしてください。
  302. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これはただいまお尋ねの中にもございますが、現在の状況のもとにおきましては、日本側として調査をするということはできない。私はかように思っております。
  303. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 とのことについて二月以来いろいろ問題があった。――官房長官、御用がおありだそうですから、それじゃひとつ官房長官に、少し順序が狂いますがやりましょう。  そこで、七日のNHKの討論会で、官房長官はB52の問題について発言されましたですね。その後また十日の日には牛場外務次官を呼ばれて、外務省は交渉するようにという指示をされましたですね。そのときに、一連のその中から出てまいりますことは、北爆の全面停止があった。そこで情勢は変わった、だからB52の問題については、撤去は言えないけれども、B52のこの問題についてやるんだということをNHKの討論会では言っておられましたし、また十日の日にあなたが牛場外務次官に言われたそのことを、新聞等の記事を通して見ますと、あなたはそういうふうに言っておられる。つまり、北爆の全面停止があった、情勢が変わった、だから駐留の理由というのは、二月に言っておったその理由と変わったということでありますか、どうですか、明らかにしていただきたい。
  304. 保利茂

    ○保利国務大臣 その席の討論会でB52の問題が持ち出されまして、司会者から、政府は一体どうするんだというようなことがございました。先ほど来総理や外務大臣が申されるように、非常に沖繩同胞の身になって考えてみますと、何とかなるものならば何とかしなければならぬ、しかしながら、施政権下にある基地でございますから、撤去してくれとかどうとかというような要求というようなものは、私はそうできないんじゃないか、しかしながら、あすこはB52を常駐基地として使う意思はないということについては、日米問で合意があるようでございますから、じゃB52は何のために使われておるか、たぶんベトナムあたりへ出動するために使われておるんじゃないか、そうすると、全面的な北爆停止があったわけであります。少なくとも、その点に関する限りは――その他にどういうものがあるか、私は存じませんけれども、その点に関する限りは情勢の変化があると、私ども日本の者から見ますと、そう思われるわけですから、そういうことを含めて、外務当局でひとつよくアメリカ側に接触をしてもらえぬか、こういうことを申し上げたにすぎないのであります。
  305. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 私は、官房長官のそういう健全な判断というのを尊重いたしたいと思います。つまり、あなたがいま言われたように、北爆停止で情勢が変わったということ、それは沖繩の現地もそうだけれども、日本の国内もやはりそういう、情勢が変わったという判断、そこで日本国内でも、北爆停止でB52の沖繩駐留は理由がなくなったなどの意見が出ている、あるいはB52がいてもいなくてもいいならいてもらわないほうがよいが、こういうふうに言っておられる、この点は、あなたの率直な感じだと思います。だが、それはただ単なる感じでなくて、こういう情勢の変化、その中から来るB52の駐留の理由はなくなったとあなた自身は判断しておるというふうに受け取ってもよろしいですか。
  306. 保利茂

    ○保利国務大臣 誤解のないようにお願い申し上げます。(川崎(寛)委員「後退したらだめですよ」と呼ぶ)後退も何もしません。少なくともあすこへ常駐はしないけれども、B52の基地として使われた、その私どもの常識から言いますと、使われているのは、ベトナムのその北爆等の事情のためにあすこは使われたのじゃないか。ところが全面停止になれば少なくともその点については情勢変化があると、私はそういうふうに感ずるわけでございます。しかし、そのB52がそれだけの要務であすこにいるのかいないのか。それは私のどうも存ずるところじゃございませんから、その辺は誤解のないようにお願いを申し上げます。
  307. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは総理にお尋ねをいたしますが、二月、沖繩にB52が飛んでまいりましたときには、アメリカのほうから言ってまいりました理由は、そしてまた、当時の官房長官あるいは総理等が――木村官房長官もそういうことをたびたび、直接沖繩の代表諸君と会ったときにも言っておりましたし、また総理もそういう答弁であったわけでありますが、ケサンとプエブロ、これが沖繩への移駐の理由だ、こういうふうに言われた。いま官房長官は、北爆の全面停止があったのでベトナムに関してはと、こういうふうに言われた。といたしますと、沖繩基地のベトナム戦争との関係、そういうものからいっても、あるいは総理がいつも言う国際情勢の変化――国際情勢というものを言いますね。だからその北爆の全面停止ということで、少なくともということが一つ。それからその前にプエフロもケサンも――ケサンは終わった、プエブロは固定化しておる。少なくともあのプエブロのためにグアムから沖繩に来た、そのときの条件というものはない。といたしますならば、B52の現在沖繩に駐留しておる理由というのは少なくともないはずだ。総理はそれをそのとおりに御判断になりますかどうですか、明快にお答えをいただきたいと思うのです。
  308. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 二月当時に、具体的な地点までの点について話し合いがどうであったかということは、私もつまびらかでございませんけれども、今日の時点で申しますと、先ほども申しましたように、ジョンソン駐日大使も、B52が沖繩を恒久的な基地にする意図はないことと、それから今後さような必要を起こすような情勢が一日もすみやかになくなることを期待しておるんだ、こう言っております中の意味は、今後いわゆる国際情勢が変わってまいりますれば、自然そのほうからも必要が薄くなる、あるいは退去をでき得る、こういうことも含めての意味であろう、かように私は理解をし、私はさような心証を受けたわけでございます。
  309. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 当時外務省は、戦争の抑止力として認めた、評価をしたわけですね。私は当時の三木外務大臣に尋ねた。その抑止力がベトナムに爆弾を積んで飛んでいく。これは戦力、そのことをはっきりここで三木外務大臣も答弁をしておるわけですからね。つまり戦力になり得ない抑止力というのは、あなた方の論理からすれば役に立たないと思う。少なくともベトナムに関してはそのはずであるのに、いま毎日、あの事故があった今日においても嘉手納の村民の意向なんというものは全く限中になくて、爆弾を積んで毎日定期便で飛んでおるのです。そのことは、あなたも新聞等、情報を通じて御存じだろうと思うのです。変わっているのですか、変わっていないのですか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  310. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いろいろ川崎君、疑問にしていらっしゃるのですが、(川崎(寛)委員「大きな問題だ」と呼ぶ)大きな問題には違いありませんが、何だか日本政府が頼んであそこに置いておるような言い方をされますけれども、私どもはB52があそこへ来ることを頼んだわけはございません。これはもう誤解のないように願いたいのは、あそこは施政権はアメリカが持っておる。アメリカがその必要で、あそこへ置いたんです。ただ、置いたその結果が、どうも日本国民、われわれの同胞に不安を与えておる、そこで初めて日本政府が、沖繩の住民、それをこのままにしては気の毒だ、こういうので、もういいかげんに帰ってくれ、もうそんなことをやらないでくれ、こういうように言っておるのです。ですから、基本的に、何だか日本政府が必要があって、あそこへ頼んだ、こういうような前提で聞かれたわけじゃありますまいが、何かお話を聞いているとそういうようにとれて、日本政府の責任であるかのようにどうも話が進む、この点は私ちょっと意外でございますので、その点をはっきり申し上げておきます。
  311. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは、あなたのそういう率直な気持ちにこたえてお尋ねをいたしましょう。施政権が日本に返還をされたときには、B52が直接作戦行動に出るということはありませんですね。そのことを明確にしていただきたいと思います。
  312. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 これは先ほどからいろいろ問題なんですが、いま施政権を返してくる、そのときにどうしようか、こういう問題があるわけです。いま日本木土における基地にいたしましても、日本本土の基地が作戦行動に使われるなら、これは事前協議の対象になっておる、そういうことは、これを踏んまえてお考えいただいて、いま本土の基地と施政権下にある沖繩の基地、これを混同しないようにひとつ願います。
  313. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 そういたしますと、現在嘉手納にB52が駐留をして直接作戦行動をとっておる。官房長官も、北爆の全面停止があったんだから情勢は変わったと思う、こう言っておるが、しかし依然として爆撃が行なわれておるという事実関係、そういうものからいいますと、あなたがいつも言う極東の平和と安全のためにということで、このB52は現在ここに駐留しておると解釈すべきでありますか、つまり、施政権があるからとかなんとかということではなくて、もっと詰めて考えた場合に。その点は明らかにしていただきたいと思います。
  314. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 話を詰めても、日米安全保障条約の関係において、これは私どもが頼んで置いたものじゃない。また私どもがとやかく言う筋のものじゃない。ただそこの同胞に不安を与えておる、その意味においては日本政府は黙ってはおれない。そこでただいまのような話をしている。したがいまして、B52が来ました際に、これは一体どういうことになるのか、沖繩に基地を設けるのか、こういうようなことで私ども心配しましたが、常駐さす考えはない、かようなことだけは伺っておるわけです。したがいまして、ただいまのような爆発事故が起きたり、またいろんな問題を引き起こしておりますから、そういう意味で沖繩住民に不安を与えないように、こういうことでただいまいろいろ折衝しておる、かような御理解をいただきます。
  315. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 恒久的ではないんだ、一時的なんだ、そして順次撤去ができるようにするのだ、外務大臣のお答えはこういうことでしたね。そうすると、要するに、一時的でないんだということ、この二月も一瞬的でないといって、現在までずっと約一年間駐留しておるわけです。そしてとうとうこういう事故を起こしちゃった。一時的でないという、順次撤去するという。といたしますならば、少なくとも両三年の間に施政権の返還のめどをつける。それまでの間には完全に撤去のめどはつけますかどうですか。その点を明らかにしていただきたいと思います。
  316. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 これはもう隠れもない、私がジョンソン大統領と話をして両三年のうちに返還のめどをつけよう、かように申しておりますので、そういう意味で私は取り組むということをけさほどからお話をしているわけなんです。それは一体どんなスケジュールかと言われるから、まだニクソン政権がスタートしないんだ。スタートしたら、準備をして来秋にでも出かけよう、こういうことを申しておるわけであります。
  317. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 外務大臣が答弁をしております一昨的だとか恒久的だとかいうことばの使い方、このことに沖繩の県民は怒りを覚えているのですよ。恒久的というのは永遠でしょう。あたりまえのことなんですよ。では一時的とは何なんです。県民がいま願っておるのは即時なんですね。即時撤去してくれ。そこで私は、あなたが両三年の間にめどをつけると言った、これは後ほど施政権の返還の点で詰めてまいりますけれども、少なくとも両三年の間にめどをつける。その中においては、外務大臣にお尋ねをいたしますが、それではもうB52の撤去ということは明確に保障されますかどうですか、その点を伺いたいのであります。
  318. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 恒久的でないということは、私の気持ちを申し上げるとこうなんであります。とにかく二月以来これだけ長くなっておる。そうして、私といたしましては今回外務大臣という大役を仰せつかりましたが、この段階で、とにかくまず何よりももう一度アメリカ政府の考え方、態度というものを締めていきたい。少なくとも、まず最初は恒久的に使うものでない。その恒久というものは永久という意味ではもちろんございません。もっと短い、ずっと短い意味を言っているつもりですが、それでも困るんですから、それではないんだということをまず私と大使のレベルで再確認させることが、まずこの段階において最も必要なことである。そこからスタートをしていきたい、こういうふうに考えましたものでありますし、それから先ほど申しましたように、私はたった一度のその申し入れと再確認で決して満足いたしておりません。沖繩県民の非常な不安、ことばは悪いかもしれませんけれども、これはもう素朴なほんとの人間としての不安だと私は思いますから、それを私はわが気持ちとして休しまして、ずっと今後も努力を続けていきたい、かように考えております。
  319. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 B52が落ちました近所に核の貯蔵庫があるということが現地の新聞で報道をされ、それはまた本土の新聞にも報道されました。この核の貯蔵庫というのは、おそらく、お尋ねをしてもわからない、こう言うだろうと思うのです。それを明らかにすることはアメリカの法律で云々と、こうまたお逃げになるだろうと思うのです。それならば基地の態様というのはどうなるかわからない。これから煮詰まっていくのだ。煮詰めるんじゃなくて煮詰まっていくんですね。あなたの午前中からの答弁を聞いておりますと、アメリカと交渉をしながら煮詰まっていくだろうと、こう言う。煮詰めていくんじゃなくて、だんだん煮詰まっていくだろう、受け身ですね。(「どっちでもいい」と呼ぶ者あり)どっちでも。いいということはないです。方針があって煮詰めるのか、向こうの方針に従って煮詰まっていくのか、たいへんな違いです。それは後ほどもう少し詰めますが、その核の貯蔵庫があるといわれておる。この核の貯蔵庫は、返還後の基地のあり方がどうあろうとも、核の貯蔵庫の存在ということについては確認ができるのでありますかどうでありますか、お尋ねをいたします。
  320. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは遺憾ながら確認はできません。
  321. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 そうであれば、先方が言うことを信用をする、プエブロのときのように信用をする、それ以外にはないということでありますね。  そこで、総理にお尋ねいたしますが、先ほど来B52の問題についていろいろお尋ねをすると、たいへんいやがっておりますけれども、B52が沖繩に駐留をしておるということは、日本の平和と安全、及び極東の平和と安全のために役立っておるとお思いになりますか、どうでありますか。
  322. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いままでのところ、私はやはり安全に効果があったと思います。
  323. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 効果があった、しかし不幸にして県民には被害を与えた、こういうことですね。  そこで、外務大臣はジョンソン大使との間で儀礼的なあいさつをしたときに、このB52の問題についても触れたんだということになろうかと思いますが、スナイダー――ちょうど保利官房長官がいなくなったのでちょっとまずくなったのでありますけれども、保利官房長官が十日の日に牛場外務次官にB52の問題で交渉をせよと、先ほど来のまくらことばをつけてやったわけですね。その同じRに、先般の臨時国会でもたいへんにぎわしましたアメリカの日本部長、東郷アメリカ局長によると、私よりは下だろう、こういうことでありましたが、その日本部長が沖繩の現地で、知念副主席あるいは平良那覇市長と会って、絶対にアジアの情勢が許さない、だからB虎の撤去はできない、こうスナイダー日本部長は沖繩で言っております。この点は保利官房長官が北爆の全面停止があって情勢は変わったと見ていいんじゃないだろうかと、たいへんクエスチョンがつきますが、こう言って、臨時国会も十日から始まるし、とにかく交渉しておるという形はとっておかなければいかぬということで、牛場外務次官に言って交渉させる、こういう姿勢をとった。ところが、その同じ日に日本部長は那覇で、撤去できない、アジアの情勢は許さない、こう明確に言っておるわけです。私は、たいへんなめられておると思います。こんなにぶざまなかっこうはないと思うのです。保利官房長官の判断というのが、きわめて個人的な、市民的な判断でとまっていいはずはないのです。少なくとも副総理らしい――また、沖繩問題については総理外交をやって、佐藤、保利、愛知、こういうトリオでこれから進めていこう、こう言われておる。そういう中で市民的な判断では済まないのです。日本の政府の局長以下であろうそういう部長が、三月の議会でも証言をして大騒動になった。いままた、ついこの間下田に来て、日米協議の会議をやっておる。それが那覇に行って、撤去できない、こう言っておるのです。私は、外務大臣がジョンソン大使と話し合ったというそのことも、たいへん気休めな話だと思うのです。なぜスナイダー氏が東京におる間にそれならば弔う少しその点をきちっと詰めて、那覇でいいかげんなことを言わないようにしておかなかったのですか。私は、外務大臣が言われる、撤去でなしに考慮してくれという話、しかし、一方では撤去できないと言明をするアメリカ側の態度、そこの点をもう少し――いま嘉手納では五万人の集会をやっておるのですから、その諸君にわかるように答えてほしいと私は思うのです。日本の本土の国民にもわかるように答えてほしいと思うのです。そういう抽象的な気休めの答弁ではなくて、もう少し明らかに、こうなる、こうしなければならないと、明確にお答えを願いたいと思います。
  324. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 スナイダー氏の報道の記事というものを私は知りませんけれども、想像するのに、即時撤去はできない、そういう趣旨を言ったのではないかと思われます。それから、私とジョンソン大使との間におきましても、即時撤去というようなことは向こうも言っておりません。恒久化するものではないということと、それから恒久化することのないように、あるいは沖繩をB52の基地として使わないで済むような情勢をつくり上げることにアメリカ政府として努力をいたしましょう。ですから、即時撤去ということをコミットしておるわけではございません。
  325. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 スナイダ一日本部長が言っておりますのは、それは即時撤去できないというふうな意味ではなくて、アジアの情勢が許さない、こういうふうに言っておるわけです。だから、それならばお尋ねしますけれども、沖繩の問題については、ベトナム戦争に限って――それではその前に、ベトナム戦争は、総理も所信表明でも明らかにしておられますが、終息の方向に向かいつつある、つまり、ベトナム戦争というものは解決の方向だ、こういうふうにはっきり言われますかどうですか、明らかにしてください。
  326. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私は、終息の方向に向かっておる、かように思います。
  327. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは、沖繩返還についての国際情勢というのは大きく変わった、こういうふうに判断をしてよろしいですか、どうでありますか。
  328. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 ベトナムに関する限り、はっきり言えるでしょう。
  329. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでありますならば、他は何でありますか、それを明らかにしていただきたいと思います。
  330. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私どもはしばしば申しておる極東、極東の範囲とは一体どこか、これはたびたび説明いたしましたから、省略させていただきます。
  331. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 そういうことを言っているのではない。では、極東に何があるから――つまり、ベトナム戦争が終わったらというのが、これまではあなた方の答弁だったのです。ベトナム戦争が終わったらということは、一つの条件だったのです。それが最終的な終息の方向だと、あなたは断定された。しかし、極東の問題ということで逃げられた。では、いま沖繩の返還が簡単にできない極東にある問題とは何でありますか、明らかにしてください。
  332. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 極東ではずいぶん議論したのですから、そこでやめたのですが、たとえばベトナムは極東の周辺、極東とは大体フィリピン以北というようなことを言っております。これを実は申しておりますから、そういう点で御理解いただけばいいと考えます。
  333. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 私は、極東の範囲をお尋ねしているのではありません。国際情勢の中で、沖繩及び日本に関してある大きな国際情勢、なかんずく極東の情勢のうち、ベトナムに関しては終息の方向に向かっておる、こう断定があった。ところが、あと極東の情勢の中の問題は何であるか。極東の平和と安全のためにとあなたが必ず言うその極東の中に、それでは今日問題があるのかないのか。何が沖繩の基地を必要とする――つまり日米共同声明の第七項で、あなたが言っておる日本及び他のアジアの自由諸国の平和と安全のためにバイタルロールを果たしておる、こういったそのアジアにおける問題は、何でありますか。日本の平和に関連をして、はっきり国民の前に明らかにしていただきたいと思います。総理は、沖繩返還に関しては、科学技術の発達であるとか、あるいは国民世論であるとか、国際情勢であるとかということを常に言われますけれども、その中身は依然として明らかでないのです。だから、国民がわかるようにその点を明らかにしていただきたいと思います。
  334. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私は、いま川崎君のお話が基地のあり方全体についてのお話なら、基地というものは防衛の立場からあちらに必要こちらに必要、それぞれがあるのだ、このことを申している。いま問題があるからその荒地があるのだ、かようにまでは私は思いません。ただ、いま問題になっておるB52、これを常駐させる必要があるのかないのか、この点については、ベトナムの問題が片づいたからB52はいま帰ってくれ、こういうことを私どももしばしば言っている。これでおわかりができるのではないか、かように思います。
  335. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは、B52にこだわって逃げられますから、もう少し明らかにいたしましょう。  沖繩の米軍基地の役割りを考える場合に、沖繩と、日本との関連からいけばベトナム戦争だということが、これまでの議論だった。しかし、ベトナム戦争は終わった。そこで、ベトナム戦争が終息の方向にあるというので、他のアジアにある、日本の平和と安全に関係のあるアジアの問題は何でありますか、韓国ですか、台湾ですか。
  336. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 一般の基地のあり方、これは日本並びに日本を含む極東の地域、これはしばしば申し上げました。日本の安全を確保するためにも必要でありますし、また日本を含む極東の地域、その地域は範囲はきまっておる。範囲は別に聞かないとおっしゃるから、そういうところの維持のために、安全確保のために必要だ、このことははっきりしておると思います。
  337. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは金門、馬祖には緊張はないと見ますか。それとも金門、馬祖は――あなたは沖繩の基地は台湾、韓国、フィリピン、重大な関係がある、こういつも言っておられるわけでありますから、台湾海峡については、この基地の存在というのは絶対に必要でありますか、どうでありますか。
  338. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私は、そういう点も米国と中華民国との間の問題であろうと思います。
  339. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 米華の、アメリカと台湾の問題だというのであるならば、沖繩の基地は当然に台湾の平和と安全のために関係をすることは抜けるということでありますね。つまり返還になったときには抜けるということと、いまの答弁は理解をしてよろしいですね。
  340. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私がいままでしばしば申しましたように、沖繩の基地が日本並びに日本を含む極東の安全、その確保のために果たしておる役割りをわれわれはそのまま評価しなければならない、こういうことをしばしば申しております。
  341. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 台湾海峡の問題はアメリカと中華民国の問題だ、こうあなたは断定されたんですよ。それならば、沖繩の基地が、つまり今日沖繩の基地というものがそのことに関係がないのであるならば、なぜ台湾は極東の問題の中の一つとして抜けないのですか。抜けるのですか、抜けないのですか。それを明らかにしてください。
  342. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 どうもおわかりにならないようですが、日本とアメリカとの問には、いわゆる日米安全保障条約、台湾とアメリカとの間にも米華条約がございます。同時にまた、韓国との問にも米韓条約があります。おそらく私はアメリカが施政権を持っておる沖繩におきましては、それらの点について全部に関係を持っておる、それがアメリカの基地だ、かように私は考えております。
  343. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 だから、沖繩の基地が米韓、米台、米比、ANZUSと、それぞれの共同防衛区域であるということは明らかであります。しかし、私がいまお尋ねをしておるのは、沖繩の基地というもの、沖繩の米軍基地というものが、ベトナム戦争に関しては終息の方向だとあなたは断定されたわけだ。つまり日本がいま施政権はないけれども、ベトナムとの関係については、あなたは終息の方向にあると断定をされたのですから、沖繩の基地に関してですよ。だから、台湾との関係についてはどう見ますかと私が尋ねているのですから、その点を共同防衛区域にあるとかないとかという問題ではなくて、台湾海峡の情勢と沖繩の米軍基地との関係をどう見るか、こう聞いておるのです。
  344. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 施政権を持っているアメリカが、そういうことを考えている。私どもいま施政権がないのです。その点ははっきり申し上げておきます。
  345. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 施政権がないことは明らかである。国際情勢の中で、ベトナムは終息の方向だとあなたは情勢を判断されたんでしょう。判断されたのだ。それを所信に表明された。だから、ベトナムから今度は台湾に持ってきて、台湾と沖繩の基地との関係の中において、台湾海峡をめぐっておる情勢をあなたはどう判断するか、こういうふうに私はお尋ねしておるのですから、逃げ回らぬで、はっきり言いなさいよ。
  346. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 それはアメリカが考えておるということ、これは米華の条約でしょう。私どもはもうそんな、何というか、外国のことを関係する必要はないのでしょう。だから、それは米華の問題でしょう。また、韓国との問題は米韓の問題でしょう。それを私どもをなぜ米華の問題に引き込もうとなさるのですか、どうも私わからないのですがね。私どもは、いまその紛争があるわけじゃないんだ。いまちゃんとそこで戦争抑止力を働かしておる。これをやはりわれわれ認めざるを得ないのじゃないか、そういうことを申しておる。
  347. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは沖繩の施政権が返還をされるときには、台湾のことは全く念頭に置く必要がないとあなたは断定をされますか、どうですか。明らかにしてください。
  348. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ちょっとただいまのこの論争に私が口を出すのはいかがかと思いますけれども、私は、沖繩の基地の問題がベトナムの問題とだけ直結して考えられることはないと思うのです。ベトナムが平和に向かうということは、国際あるいは極東の平和につきまして非常にいい方向になってくる、こういうことは総理の所信でもはっきり言われておりますし、これが沖繩の問題にも関連するところは多いと思います。しかし、一面日米安保条約というものは、日本、沖繩はもちろんこれは返還後ならば含みますが、その日本と不可欠の関係にあるこの極東域地の平和、防衛というものが関連するところが、私は多いところもある点を認識しなければならない。そういう日本の主体的な立場から見て日米安保条約に極東条項というものがあるのだと、私は理解するものです。ただいまの川崎君の話のように、米韓、米比というような問題は、これはアメリカの立場から考えていて必要と見たものであって、これは日米安保条約を論ずる場合には、一応別の問題として私は論じてしかるべきではないかと思います。
  349. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 私は、条約区域からどうはずされ、どうなっていくかなんということをお尋ねしているのではないのです。これはまた別にいたします。それではなくて、総理は所信表明で、ベトナムの情勢については終息の方向に向かいつつあると情勢を断定されたわけなんですよ。これは条約の関係じゃないのです。沖繩の基地に関して関連をしておる問題の中で、ベトナムについては終息の方向だということを言われた。だから、私は沖繩の基地に関連をして、米華の中で沖繩は共同防衛区域ですね。ですから、沖繩にとっては台湾は、米軍の基地としての沖繩は台湾には関係がある、また総理もこれは強調してきておられるわけです。そこで、その台湾については、特に金門、馬祖の台湾海峡なりについてはどういうふうに判断しておられるのですかと、こう聞いておるわけです。情勢をどう判断しておられるかと、こう聞いておるわけです。
  350. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 金門、馬祖につきましては、ただいま緊張の状況じゃございませんか、私はさように考えております。そこでその認識は、おそらく別に皆さんと私変わっておるとは思いません。はっきりさように申し上げます。
  351. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは、緊張にないというふうにいま言われましたね。
  352. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 緊張にある。
  353. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 緊張にある――ないと言ったんだな。あるんですか、ないんですか。
  354. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 金門、馬祖は緊張にある、かように私は思います。
  355. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは、朝鮮半島についてはどうですか。
  356. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 三十八度線をめぐっていろいろ問題がございます。
  357. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは、沖繩の基地の重要な役割りというものを、今後返還に際しても安全保障上の考慮をしつつ、こういうことになってまいりますが、現在沖繩にありますメースBは――総理が言われるように、日本はアメリカの核抑止力に守られておるのだ、依存しておるのだ、こういうことでありますが、メースBはそのアメリカの核抑止力の一環として評価をされますかどうでありますか、明らかにしてください。
  358. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いま軍事力、一つの戦争抑止力、その中でこれはどういうような価値を持つとか、あるいは沖繩のメースBはどの程度の価値を持つとか、あるいは潜水艦は一体どうかとか、航空母艦はどうだとか、なかなか一々分けてこれは説明するわけにいかないように思います。私どもは、いまアメリカと安全保障条約を結んでおります。したがって、アメリカの持つ軍事力、場合によっては本土における基地もやはりこれは必要かもわからない、この戦争抑止力にやはり役立つのじゃないか、かように私思いますので、いま、一つ一つの問題をつかまえてこれをどういうように評価するとかということは、私どうも適当でない、かように考えております。
  359. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それはあなたは適当ではないかもしれないけれども、国民はそのことを明らかにしてもらいたいとしているのですよ。  そうすると、じゃ、しつこいようですが、弔う一度お尋ねしますが、メースBは、核抑止力として、これを取り除くことは、あなたが言うアメリカの核抑止力に依存をしていく上で支障を来たす。つまりあなたは、極東の情勢について、ごく一部だが、台湾なり韓国なりのことについて、朝鮮半島のことについて言われました――あなたでない、外務大臣と一緒にですね。そこで、この核抑止力は、いま撤去をするということは、その情勢に変化を与えると判断されますか、どうでありますか。
  360. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いまあるものを撤去すれば変化を与える、それは当然であります。しかし、私が申し上げたいのは、これこれは幾らの戦争抑止力があるという、そういう評価をするわけにいかない。アメリカの持つ軍事力として、全体として初めて戦争抑止力があるんだ。したがって、個々の施設、個々の基地等を評価することは間違いだと、かように思います。このことを私、この席ではっきり申し上げます、なかなか川崎君は御理解いただけないようですから。私は、国民の皆さん方に、そういうような個々の問題で値打ちをきめるのじゃないのだ、全体としてその戦争抑止力、それを考えてもらいたい、このことは国民は理解してくださると、私はかように確信しております。
  361. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 わかりました。そこで、そのことは明らかになったわけです。つまり個々で評価をしていけない、全体で戦争抑止力として考えなければいけないのだ、こう言う。ということは、少なくとも両三年の間に施政権の返還のめどをつけるについては、今日の沖繩の基地が持っておるその力というものを変えるわけにはいかないのだ。全体として把握していかなければいけないのだ、個々の評価はできないのだ、だから、いまの全体というのは変えられないと断定いたしますですね。そういうふうに受け取ってよろしいですね。
  362. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いま申し上げますが、たいへん頭脳明晰な川崎君にしちゃ珍しい御議論だと思います。私はしばしば申し上げますように、そういうところに科学技術の進歩もあるのじゃありませんか。別に、これは陸上でなければ絶対にそういう戦争抑止力として働かないとか、こういうことを言う必要はないのです。いまのある状況、変化を与えたら一切だめなんだ、こういうように考える必要もないと思います。私は、そこらが十分話し合って、代替し得るものがあるかもわからない、われわれの力で十分考えられないけれども、もっといいものが、気のきいたものがあるかもわからない。その辺は、いまのように断定して、こうやられちゃ困る。私は頭脳明晰な川崎君にしちゃ珍しく簡単に結論を出されたと思って、私はたいへん不満なんです。私はそういう点でこれはよく話し合ってみないと、私自身がいま結論を出す――私がいま川崎君と同じ頭脳の程度なら、いまのような結論を出すかもわかりません。しかし、私はもっといろいろなことがあるのじゃないかと思う。そういうことをもっと話し合って、そうしてみんなが困らないような結論を出したらどうですか。そこらをひとつ知恵を持ちたい。私は、このことを私自身がほんとうに命をかけてというか、政治的生命をかけてこれと取り組むつもりでございます。しかし、私は皆さん方の知恵ももちろんかりたい、かように思いますから、もっと佐藤、おまえそんな考え方じゃだめだよと、もっといい考え方があれば、ひとつ教えてもらいたい。いま言われるように、もう佐藤の話聞いてみたら、このままなんだ、何らの変更を与えないであの返還を考えているんだ、こういうことでは、なかなか国民は納得しないと思います。そこらひとつよく私も教えてもらいたいし、知恵を出し合って、あまり簡単なことに結論を出さないようにしようじゃありませんか。
  363. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 個々の評価をやれば、全体で考えろと言う。個々の評価をやらなければ全体はわからぬわけですよ。じゃ、全体を把握をして、それが抑止力として必要なのかと言うと、そう結論を急ぐなと、こう言う。あなたは両三年の間にめどをつけるんですよ。非常に長い、十年か二十年ぐらいかかるような考え方で情勢の変化を考えておるんじゃないですか。  じゃお尋ねします。これはもう国民はほんとうにしびれを切らしておりますから、この際国際情勢というものと国民世論というものと科学技術というものを言っておるが、この三つはわからぬのですよ。何を言っているかがわからぬのです。ほんとうにわからぬのです。だから、あなたが沖繩の問題というものを国民のみんなに理解してもらおうというのであるならば、私はそういういいかげんなことで、ただ佐藤にまかしておけばいいんだ、これなら、私は国民外交でないと思う。独裁ですよ、それは。自民党の中でも、まだ意見が食い違っておる。自民党の中でも意見が食い違って、前外務大臣でさえもあなたとの間には意思統一がなかったようだ。だから、前外務大臣との間にもわからぬことだから、野党の君たちにわかるものか、こう言うなら、何を議論したらいいんですか。議論できないですよ。だから、私が明らかにしていただきたいのは、国際情勢というものの基準は何なのか、科学技術の発達というのは何なのか、たとえばそれは輸送力なのか、核兵器の進歩の状況なのか。国民世論については、これは明らかです。国民世論については明らかで、早期返還、これは後ほどまた施政権の返還のしかたの中で詰めますが、ただし核は抜け、撤去せよ、これは少し分かれてきますけれども、いずれにしても、沖繩の現在の状況は変えよというのが、国民世論です、本土、沖繩を通じて。だから、国民世論は除いてください。あとの二つについて基準を明確にしていただきたい。
  364. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 国際情勢の変化、これは一つおわかりになりますのはベトナム問題、先ほど来その話が出ていますから、これはよくおわかりだと思う。一般のいまの国際情勢を見たときに、戦争はだんだん遠のいているのじゃないですか。いわゆる武力による解決は、だんだんそういうことは少なくなる。しかし、それにいたしましても、中近東にも問題がある。あるいはまたそういうような問題はないけれども、チュコに対するワルソー連合軍の侵入もある。いろいろの問題がございます。こういうような国際情勢、そういうことのためにいろいろの基地を設けておるというのが、いまの国際環境だと思います。これは日本においてもいろいろの基地がある。あるいはシベリアにもある。欧州にもある。中国にもある。こういうことをやはり皆さん方も考えていただかなければならぬ。これが私の言う国際情勢なんです。戦争のない世の中、そういうことになれば、いまのような問題はないと思う。核は一切使わないという国際情勢になれば、こんな楽しい、こんなうれしいことはない。そういうようなことは、これは私が申し上げるまでもなく、それこそ賢明な川崎君も御承知のことじゃないかと思う。私どもはそういうような意味で、――いま自衛隊が必要でないとかあるとかいわれておる。皆さん方はもう自衛隊は必要ないと言われる。しかし、私どもは自衛隊は必要だ、いまの国際情勢のもとにおいては必要だ。(発言する者あり)そこらに、皆さん方はもう必要なし。いまも不規則発言が、そういうのが出ておる。それほど違っておる。だけど、国際情勢というものはそういう意味でだんだん変わってくるんじゃないですか。  もう一つは科学技術の進歩、これこそは私どもの想像のつかない世の中がどんどんできておる。私どもは、大体考えたのは、まあわれわれの小さなときは下瀬火薬、これはずいぶんすばらしい力だといわれた。ところがどうですか、このごろの核の力。このエネルギー、それはたいしたエネルギー、こういうものが発見されるのです。インテルサットがいま考えられる。人工衛星が空を飛んでおる。これはもうたいへんなことです。さらにまた、大陸弾道弾もどんどん開発されている。遠距離に、照準を間違えないで、どんどんその命中率も高いような世の中になっている。そんなものが近いところにある必要がないような時代にもなっている。これが科学技術の進歩です。あるいは陸上の基地よりも、水中、海底からそういうものが十分擁護できるような世の中にもなるじゃありませんか。私どもはそういうことを考えて、そうしてただいまの沖繩は、本来はわれわれの固有の領土なんだ。固有の領土がもとへ返ること、そこに住んでいる者は日本人なんだ、日本人が、民族が一緒になる、そうして単一国家をつくる。これは当然の権利じゃありませんか。しかし、同時に平和は維持しなければならない。そこに、私どもが先ほど来の問題がある。私はこの程度のことは、これはもう川崎君十分御承知だと思う。あえて私にこの点を説明を求められるまでもないことだと思う。しかし、私どもが心配しているのは、そういう点がいろいろあるんだから、もう少し結論――この席において結論を出すことを待ってください、かように実は申しておるのです。     〔発言する者あり〕
  365. 井出一太郎

    ○井出委員長 不規則発言は禁じます。
  366. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 少し施政権の返還の具体的な問題に移ってまいりたいと思います。  まず最初にお尋ねをいたしたいと思いますが、総理のこの五十七臨時国会における答弁の中で、たいへん混乱をする可能性のある答弁もあるわけです。それは基地と施政権の関係でですね。だから、それを少し整理をして今後の議論を進めるために明らかにいたしたいと思うのでありますが、民社の春日氏に対する答弁の中で、基地と施政権の分離は可能か、こう言っておる。その質問に対して分離可能だと考える、こう言われておる。そこで、私が明らかにいたしたいことは、いわゆる施政権の全面返還、あるいは施政権と基地の分離返還、いろいろ議論がございますね。これは前外務大臣当時からもあるいは明確にしてまいったと思うのでありますけれども、施政権については、全面返還であるとはっきり断定をいたしますか、どうでありますか。
  367. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 これはいま川崎君お尋ねになりましたように、かつて文教だけ返せ、そういう話がございました。私は、施政権は全面的に返るのが本筋だ、こういうことで分離はしない、こういうような考え方でいままで取り組んでおります。
  368. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは施政権は全面返還、そして基地問題は別、こうですね。よろしいですね。施政権については全面返還だ、こういうふうに理解をいたしますよ。その点、さっき教育権の分離返還等々何かじゃまもの一つ入れましたからあれですが、施政権は全面返還ですね。
  369. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 施政権は全面返還、そうして基地の問題と取り組んだらいい、こういうのが私の考えであります。
  370. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは次に、外務大臣にお尋ねいたします。  外務大臣は昨年の十二月、自民党を代表して、日米首脳会談以後のあの問題についての質問に立たれました。そのときにあなたは「沖繩の地位が重要であるので、返還に際しては、将来とも安全の目的が十分に達成できるように、あるいはアメリカ側が軍事的行動等の自由を持ち、あるいは日本側の積極的協力によってその目的」つまり日米共同声明でうたった「目的が達成され、あるいはその目的が阻害されないような方法、日米双方が安心できる、そして可能な方法を共同で検討しようということが基本であることが、」だいぶ長いですが、「浮き彫りにされているということがきわめて大切なこと」である。そこで、これを私は正確に読み上げたわけでありますけれども、軍事的行動の自由を持つということ、日本側は積極的に協力をするということ、このことについては、あなたが自民党の代表として当時総理に対する質問をされたわけでありますが、今日外務大臣としてこの問題に取り組むにあたっての変わらない信念である、こういうふうに理解をし、あるいは基本方針であるというふうに理解をしてよろしいですか、どうでありますか。
  371. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 いま御指摘になりましたのは、私は考え方がいろいろあるが、どういう方向を探求していったらばいいかということについて何かお考えがあるか、要するに問題提起をいたしたわけであります。私は、先ほどもちょっと申しましたように、早期に、できるだけ早い機会に返還を求めたい。その施政権は全面返還であるべきである。そこで、現存する基地というものに対してどういうふうなとらえ方をしていったらいいかという問題提起をしたわけでございます。日本及び沖繩ですね、この安全を将来長く守るということ、これは何といってもやはり国家の基本的な目標であると思うのです。ですから、そういう立場からいいまして、日本と沖繩を将来ともに安全でありたい、そうし得る方法は、現在を起点にしてどういう方法が考えられるであろうか、そういうことをお互いに率直に探求し合っていくことが、基地問題に対する私は解答ではないか、これは自主的な解答ですね。日本人としてどういうふうに考えるか、そして現在まで施政権を持っておったアメリカが、日本及び沖繩の抑止力の作用によって守ってくれたその責任の立場に立っておったアメリカが、一体どういうふうな考え方で、どういうふうにやってきたかというようなことも、やはりこちらとしてもとっくり聞いてみたいところである。それは当然なことだと思うのです。それがなければ、やはりわれわれが今後主体的に処していく道はないはずだと思います。したがって、そういう非常にむずかしい問題でございますから、総理がかねがね白紙と言われていることは、私は現在の段階では国民的にも是認していただけるのではないであろうか。早急に問題をあらゆる角度から出し合ってみて、どこにわれわれの一番いい、最善の道が選ばれるであろうか。そしてそういう考え方を固めながら、また現に施政権者であるアメリカの考え方もだんだんによく聞き、また話し合って、その中からよい実りある成果を生み出し、収穫を取り入れていくということが、この問題に対するわれわれの基本的態度であるべきだ。これはどうか野党の皆さまも、そういう立場でいま一度白紙に戻ってお考えをいただきたいと思うのであります。
  372. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 外務大臣になったらとたんに白紙に返るなんというのは、これはもう定見がないですよ。あなたは、明らかに、アメリカが軍事的行動の自由を持ち、日本側の積極的な協力によってその目的を達成することが大切だ、きわめて大切なことであると断定をしておるのですよ。そういう考え方があるというのじゃなくて、そうすることが大切であると言ってあなたは総理大臣に質問されておるのです。だから、アメリカ側が軍事行動の自由を持つということ、日本側がそれに積極的に協力をするということ、そのことは今日においてもあなたの考え方の基本であるかどうかということを、もう一度、くどくど言わずに、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  373. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私が申し上げましたのは、繰り返すようになりますけれども、アメリカが自由に行動をするということも、素朴に考えて一つの方法でございましょう。それから、日本側が全面協力といいますか、全面努力をすることも一つの方法でございましょう。それから、第三には、その他にもいろいろの方法があり得る。しかしそれは日米の合意で双方が安心していけるやり方もあり得るであろう。こういう趣旨で、全体をお読みくだされば、いま私が申し上げたようなことを質問演説の形にしたわけでございますから、どうかそういうことで御了承願いたいと思います。
  374. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは私は総理にお尋ねいたします。  総理は、基地と施政権の関係ということについては、繰り返しあらゆる質問に対して答えておるのです。そこで、あなたはこう言っておる。これはやはり昨年の十二月八日の衆議院の本会議です。公明党の竹入委員長に対して、施政権と軍事基地というものは必ずしも一緒でなければならないという議論はないと思う。これは議事録を私読んでいるのですから。施政権と軍事基地というものは必ずしも一緒でなければならないという議論はないと思う。施政権があれば云々とあと言っております。それから、先ほど言った春日さんに対する、基地と施政権の分離は可能だ、外国の例などを見ても施政権と基地とは分離可能ではないか。道路、水道、電気、みんな軍でも使っている。しかし、そういうものもまた別に分離できることだろうと思う。外国の例などは、明らかに分離可能だということを証明しておる。基地と施政権の分離ということをたいへんここで強調しておられる。  そこで私は、もう一つ、アメリカ側の、まだ現在高等弁務官ですね、アンガー氏が、この三月二十五日のアメリカの下院の予算委員会で証言をいたしておりますことば、これは議事録に載っているわけでありますが、施政権の返還と基地の確保とは区別することができる、私は将来こういうことが起きると考えたい、すなわち施政権は日本に返還することができるが米軍基地はそこに残しておくことができる。これは当然ですね。全面返還の問題もあったわけです。施政権は全面返還だ、こう言った。しかし、少なくとも基地については現状のままだということをここでは強調しておる。そういう前後の関係があるわけです。  さらに、この八月の臨時国会でも議論になったスナイダー氏は、琉球の日本復帰の問題だが、私は琉球の行政権を日本に返すことを基地施設を返すこととは区別しなければならないと考える。前者は現在考慮されていることであって、後者は考慮外の問題である。アメリカが行く行くは琉球列島を日本に返すつもりであるという意味の言質は一これはいいですね。そこで、基地はアメリカが維持していくつもりだというのもわれわれの基本政策なのである。これらの点については、区別すべきところである。基地と施政権の問題は区別すべきだ。そこで、あなたが竹入氏や春日氏に答えておるように、基地と施政権は別だ、こう言っておる。このことは、施政権の返還に対して基地問題をいじらなければならない、こう繰り返し言ってきておるところであるが、あなたが分離可能だと言う、アメリカ側が全然別問題だと言う、常に一致しますね。そうしますと、現在の基地の現状というものを変えないというアメリカ側のその発言に対して――それはそのもう一つ前にありますよ、基地の自由使用が今日の沖繩の基地の値打ちだということを証言しているわけなんだから。そういたしますと、あなたもその考え方であるのかどうか明らかにしていただきたいと思います。
  375. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 もうはっきり申したので誤解はないと思います。私は、施政権はこれは分離でなしに全面返還、これを実現する。そうした上で基地のあり方について考えたらいいじゃないか、これが私の考え方であります。  そこで、基地のあり方について、アメリカの主張をそのまま了承しているのかどうか、そういう問題、それは私はしておらない。しておらないから、いままで申しておりますように、国際情勢や、科学技術の進歩や、国論、そういうものを背景にして、そういうものをこれからきめればいいんじゃないかということを言っておる。私がジョンソン大統領と話をしたこと、これはその前段の施政権の返還について両三年内にその返還のめどをつけよう、こういうことが言われておるのである。でございますから、私は、いまのところで皆さんの誤解もないと思うし、また基地のあり方について皆さん方がいろいろの要望を出しておられる。それについては、私はもうけさほども、よく伺っておきますと、かように申しました。まだ私自身が結論を出しておるわけではありませんが、これはもう世論の動向を考えてそうして決定すべき問題だ、かように思いますので、これは十分伺います。だから遠慮なしに、そういう意味でひとつ話も聞かしてください。これをお願いしておきます。
  376. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 総理は、早期返還を、つまり沖繩の今度屋良さんが当選をしたそれも、早期返還の県民の意思のあらわれだ、こういうふうにあなたは受け取られた。早期返還を目ざすのでありますか、どうでありますか。
  377. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 早期返還を私目ざしますが、いま申しますように、両三年内に返還についての話し合いをしよう、かように申しておりますので、それでどうも早期返還に合わぬじゃないか、こういうおしかりを受けるかわかりませんが、とにかく昨年のジョンソン大統領との共同コミュニケによる、その方向で進んでまいります。できるだけ早く返還させて……。
  378. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 早期返還を考えれば本土並み基地では無理だと、あなたは臨時外相代理になられたときに記者会見をやられた。早期返還を考えれば本土並み基地では無理だ、こうあなたは断定された。早期返還をやるとあなたは言われた。両三年の日米首脳会談のコミュニケもありますけれども、それは後ほど詰めます。そこで、早期返還はやる、こう言われましたね。早期返還はやるといま言われた。両三年のことは別として、やる。臨時外相代理としては、早期返還をやるには本土並み基地では無理だとあなたは断定された。そうすると、本土並み基地では早期返還はできないとあなたはここで明らかにできますか。
  379. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 これはいま川崎君、早期返還、早期返還と言われますが、一体どこが早期返還なのか。あすの日にも返せというなら、これはだめだということなんです。私は、屋良君とせんだってお話をいたしましたが、これも全面早期返還、無条件全面早期返還、かように言っておりますが、しかし相当やはり期間はあるようです。でありますから、一部でいわれておりますように、あすの日にも返せ、こういうようなことになれば、それは無理じゃないか。こういうのはあたりまえなんです。私がただいま申しますのは、いまのジョンソン大統領と私話し合った線がございますから、その線に沿ってできるだけ早く返す、それをいわゆる早期返還、かように私は理解しておる。もしも早期返還という以上、半年内に返すのだとか、来月じゅうにでも返すのだとか、かように考えられれば、それはやや早急だ、せっかちだ、そこらはもう少し時間をかしてください、かように申します。
  380. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 あなたが臨時外相代理のときに記者会見で言った、これはどの新聞にも全部出ているのですね。早期返還をやるためには本土並みでは無理だと断定をされたのです。その発言はそのとおりでありますか、どうでありますか。
  381. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いま説明したとおりでございます。そのとおりでございます。私は、あしたの日に返せといったってそれは無理だ、こう言っているわけです。
  382. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それとは違う。そういうあしたとかあさってとかいう問題じゃないのですよ。内容の問題ですよ。
  383. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 内容の問題は、私は先ほど申すように、ジョンソン大統領と話をした、両三年内に返還のめどをつける、この線で皆さん方が了承してくださるならば、できるだけ早い機会にそれを片づける、その場合には、施政権が返還されるそのときに基地のあり方を考える、こういうことであります。
  384. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは、両三年の間に施政権の返還のめどをつけるには、つまり現在の安保条約下の基地ではだめだ。いいですか。両三年の間に返還のめどをつける。両三年というのを早期といたしましょう。あなたの言う早期としましょう。どうも用語が合わないとなかなか議論が進みませんからね。そうすると、両三年の間に返還のめどをつけるためには、本土並み基地では、つまり安保条約下の基地ではだめだ、無理だというふうにあなたは言われたのでありますね。そういうふうにとってよろしいですね。
  385. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 それは違います。だから、いまはっきり申しますように、ジョンソン大統領と私との共同コミュニケ、あの方針で話をする限りにおきまして、私はいまの基地のあり方を十分みんなが納得いくように考える。そうして、これは国際情勢の変化もあるし、科学技術の進歩もあるし、世論の動向もあるし、そのもとで基地のあり方をきめる、これをお約束いたします。
  386. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それではもう一ぺん日米共同声明を正確に読み直してお尋ねをいたしましょう。あなたのやつはどうもわからぬ。  それでは、日米共同声明でいっておる施政権の返還について協議をしていく、継続協議をやる、こういうことでしたね。あなたは両三年の間にということを強調された。そしてそれを確信をしておる。そこはそれとして、ではそこでいっておる継続協議というのは基地を除いておると判断をしてよろしいのでありますか。
  387. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私はこの点でたびたび申し上げたと思いますが、基地を全然除いて施政権の返還だけの話はなかなかできないだろう。だからこの施政権が返ってくること、これを取りきめることがまず第一です。そういう場合に、基地はどういうようにあるべきかというのがだんだん話が煮詰まるだろう。これを先ほどは、向こうの言い分どおりになるのかと言われたが、もちろん当分の自主的な主張によりましてその話をきめる。双方の意見が合致することがやはり望ましいのでありますから、意見を一致さす。これで私の表現があるいは誤解を招いておるかわかりませんけれども、そういう意味でございます。したがいまして、ただいまそれではどういうようにおまえ考えているかと言われると、いろいろくふうはしておるが、まだ発表する段階ではない、いままでお答えしたとおりであります。この点で、これは誤解のないようにお願いしておきます。でありますからこそ、ニクソン政権が来年できたら、できるだけ早い機会にこの話を持ち出そう。だから来秋にも出かけてこの話をしよう、かように申しておるわけであります。
  388. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 先ほど小平氏の質問に対して、返ってくるめどをつけることがまず第一だ、こう言われた。究極的目標は本土並みだ、こう言った。そうしますと、これらの文脈からくるところは、返ってくるめどづけが第一だ。究極の目標は本土並みだ。そして施政権の返還を協議する際に基地の問題も話し合うのだ、こう言った。そうするならば、現在のあの共同声明に基づいて進められている返還の協議というのは、基地の問題もなるほど一つの素材ではあるでありましょうが、返還のめどづけ、そのことにあるというふうに理解をしてよろしいですか。
  389. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 これはもう返還のめどづけをすることが第一、さように考えております。
  390. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 そこで、時間の関係もございますから、少し詰めてまいりたいと思いますが、佐藤総理はこの八月の臨時国会で、私に対してこう言われたわけです。つまり、当時はニクソン、ハンフリー、どっちかわからなかったわけですね。しかし、いずれにしても、ジョンソンからかわる。そのことは明らかであった。それから、ベトナムについては部分停止で、今日よりもまだ未分明の状態だった。そこであなたは、そのときは共同声明についてはもう一度話をする必要があると私に答えているのです。それから、保利官房長官も、再確認の必要があると答えております。  そこでお尋ねをしたいことは、両三年の間にめどづけをするということをもう一ぺんここで確認をするのかどうか、そのことを明らかにしてもらいたいと思います。
  391. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 せんだって本会議で説明いたしましたように、朝日新聞がいみじくもその点を聞いておりますね。そして、ニクソン氏はそれについて、ジョンソン大統領との話し合いを全面的に支持する、かように申しておるように私記憶しております。したがいまして、また、先ほども説明いたしましたように、アメリカは大体重大な外交問題についてはこれを変えないというのがいままでの行き方でもありますし、その朝日新聞の記事とあわせて、私は適当な、あまり心配なしに話ができるのじゃないか、かように思っております。
  392. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 ニクソン氏も、基礎にしよう、こういうことは言っております。そこで、朝日新聞のその記事をあなたは信用される。それならばニクソン氏が言っておるこの政策の中で、「日本政府が地域的防衛の責任の多くを、徐々に受持つ意向であることを心強く思っている。」こういうふうに、別の面ではアジアの地域集団安全保障体制に対する日本の役割りというものをここで触れておるわけです。あなたは、日米首脳会談のことを、朝日新聞のこの記事を知らないのかと、本会議でいたけだかに言われたわけでありますから、それならば、こちらの地域集団安全保障のほうのことについても、あなたはそのとおり受け取ると、私はすなおに受け取ってよろしいですね。
  393. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 何もかもみんなとるわけではございません。私は必要なところはとりますけれども、必要でないところはとらないので、それはひとつ御了承いただきます。  ことにその点につきましては、ASPACの問題については、ASPACを形成しておる各国が、いわゆる防共連盟ではないのだ、そういうように変貌はしない、かようにも申しておりますし、またもう一つ、日本が経済的にどんどんアメリカにかわってその役割りを果たすか、そういう問題でございますが、これについては私は、日本はまだ十分の力はないから、分相応なことはする、かように申しております。もちろん、そこで言っておりますのは、軍事的なかわりをする、こういう意味でないことは、これはニクソンのために私は弁解したい、かように思います。ニクソンもよく日本の憲法を知っておりますから、軍事的に日本がかわる、かようには思っていない。ただ経済的な面で日本がどの程度かわってくれるか、こういうところの期待はあるだろうと思いますけれども、それについてはまだ日本自身が十分の力を持っておりません。したがって、この点で私の意見が外国の新聞に出たはずであります。これでは、むしろ私自身がニクソンに真正面から反対したというようにも報道されております。したがって、皆さん方と同様に独自の自主的外交を進めるつもりでございますから、どうか御声援のほどお願いいたします。
  394. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 なぜジョンソン時代に返還のめどができなかったのでありますか。このことを明らかにしてもらいたいと思います。
  395. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いま、私ちょっと聞きそこねたんですが……。
  396. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 ジョンソン時代に結局めどがつかなかったわけですね。だから、この間も出ておったが、両三年の両はもうなくなって、一両年ですね。
  397. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 これはどうも一昨年ああいう話をいたしましたところが、ことしはアメリカの大統領選挙の年でもある、そういうことでなかなかこちらの話をじっくり聞いてくれるような状態でないのであります。その点は、たいへんまことに残念であった、かように思います。しかし、私は、急いでこの話をしなければ、またアメリカが大統領選挙にもぶつかるようになるから、そこで、いま急いだつもりで来秋は出かけたい、来年の秋はひとつ出かけたい、かように思っておる次第であります。
  398. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは昨年の十一月以来今日まで、継続協議については五月の二十七日あっただけでありますか、どうでありますか。
  399. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この継続協議というのは、私はこういうふうに考えておるんです。世の中には、第一回協議というふうに五月の協議が伝えられておりますけれども、そのときの発表等にも、たしかちょっと出ておるかと思いますけれども、何といいますか、テーブルをしつらえて、双方代表者を任命して、そして定期に会合するというような意味だけではございませんで、随時いわゆるディプロマティックチャンネルでもって相談し合うというようなものをも含んでおるものと私は了解しておるわけでございます。したがいまして、これはという、いわば東京における本件についてのトップレベルが正式に会いましたのは五月が最後でございましたが、その間にもいろいろと話し合いはあったと思います。それから、私も去る十一日にもそのことを確認しておりますが、今後日米間では、できるだけ接触を密にしてまいりたいというふうに考えております。
  400. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 そのときに、これは総裁選挙の際にもだいぶあなた方の間で論争になった点でもありますけれども、三木前外務大臣は本土並み返還を要求したんだと言っております。それが第一回協議というふうに銘打たれておる。それについてはいろいろあると外務大臣はいま説明になりましたけれども、少なくとも、正式にはそういうふうになっておりますが、これがあとを引き継いだ外務大臣としての基本であるというふうに見てよろしいですか。
  401. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私の承知いたしておりますことは、三木前外務大臣が、世論の大部分はこういうふうに受け取られるということを、そのまま向こうとの話のときに話題に提供したわけであって、これが申し入れとかなんとか、かた苦しいものでもございませんし、また内容もこれが最善とか、これが自分の案だというふうな提案のしかたではなかった、こういうふうに私は聞いておりますし、それが正しいと思っております。
  402. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 そのとき、ジョンソン大使は日本政府の腹を聞かしてくれというふうに言ったと私は新聞で読んでおります。つまり、日本政府の腹がきまらないのは、自民党総裁選挙にいみじくもあらわれましたように、この基地のあり方について内部が分かれておるから、いま固められないのでありますか、どうですか。そのことが一つ。そうして、今後交渉を進めていくに際しては、与党でありますから、当然あなた方は内部を固めなきゃならないと思う。それをどのようにして固めていこうとするのであるか。そういうことが相まって今日まで両三年といいながらも何ら前進をしてきていないという政府・与党の中の分裂をどうするか、ひとつ明らかにしてもらいたいと思います。(「社会党も同じだよ」と呼ぶ者あり)
  403. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 川崎君にお答えいたします。  別に自民党と社会党が同じだとかいうような不規則発言にとらわれる必要はありませんが、この問題は実はたいへん重大な問題でございます。私は、この国会の場におきまして、こういう問題を十分に論議を尽くすことはたいへんけっこうなことだと思いますが、これは重大でありますだけに、そのことばの端々までひとつやはり気をつけていただかないと、こういう大きな目的を達成することはなかなか困難ではないだろうか、かように実は思うのであります。いままでの発言がどうこうというのではございません。申すまでもなく、平和時に、平和のうちに、戦争で失った土地を祖国へ返す、しかも百万の同胞が住んでおる、また、そこが特殊な基地になっておる、そういうことを考えると、これはたいへん重大な問題であります。ことに日本側において、もう双手をあげて賛成するということは必ずしも相手方が双手をあげて賛成してくれるような問題でもないと思う。したがいまして、この扱い方、外交の進め方、これには私どもも必要以上に神経をとがらさざるを得ないのであります。したがいまして、なかなか私どもの答弁も皆さんの満足のいくような答弁ができない。そこらで御不満もあろうかと思いますけれども、とにかく、これは重大な問題でありますだけに、この問題と取り組んでいく政府また与党も野党も、ほんとうに一丸となって、沖繩県民百万のためにこの大事業をひとつ達成しようじゃありませんか。私は、最近の問題でサンフランシスコ条約以来の大きな問題だと実は思います。幸いにして、小笠原は比較的無難に返ってまいりました。しかし、さらに北方の領土になれば、なかなかむずかしいと思う。いま別に北方領土のことを申す必要はありませんけれども、沖繩の問題はやはり北方の領土とも何らかの関連がある。防衛というような点になりますと、どうしてもこれが関連を持つのであります。したがいまして、この問題は、やはりお互いに平静に、国のためを思うからこそ激論もいたしますが、十分ひとっことばづかいその他は注意してこの目的を達成するように――これは私の功績だ、かように私は思いません。これが達成できたら、ほんとうにこの時代の政治家全部のしあわせだ、かように私は思います。  そこで、ただいまもいろいろお話が出ております。また、いままでもいろいろ探りも入れ、いろいろなことを申したのでありますけれども、この沖繩が返ってくるというか、これは大体いまのところ、あと両三年かかるにしても、二、三年のうちにとにかく返還のめどはつくでしょう。その返還のめどが、話がついて何年になるか、これをできるだけ短縮する、こういうことが一つの問題だと思いますし、さらにもう一つの問題は、われわれがほんとうに平和国家としてこの国が存続していく場合に、このの安全の確保がこれで十分か、こういうこともやはりお互いに考えなければならない、かように実は思っておるのであります。こういう問題がもちろんいままでも論議され、そうして国民の各界の意見も私聞いております。さらにさらにもっとそれを聞き、耳を傾け、そうして謙虚に聞いて、国民のためにほんとうにりっぱな解決をした、かようにいわれるように実は努力したいと思います。そういう意味で、いまの党の問題もさることながら、さらに大学問題で各党の共同の会議を持ちたいというような提案も出ております。しかし私は、過去におきましてもサンフランシスコ条約でやはり各党の話し合いをしたように、この問題につきましてもほんとうに各党で相談をして、そうしていい結論を出したらどうか、かようにも思っております。ただ、今日この時間にいろいろ根掘り葉掘り聞かれまして、政府もまだなかなか答えかねるものもあります。しかし、その点は、ただいま申し上げるような前提を御了承いただいて、そうしてまず返還だ、そして返還する際に、基地のあり方。これを全然考えないで返還ということはあり得ないのでありますから、その基地の話がもっと詰まっていく、煮詰まるように、そういう点で、ただいままだなかなか手のうちを見せることのできないものがある。それらの点はひとつ御了承賜わり、ひとつこの大事業をわれわれの時代に解決しようじゃありませんか。そういう意味で、私、ひとつよろしくお願いしたいと思います。(拍手)
  404. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 沖繩の基地と施政権の返還の問題、これはいろいろ事前協議の関係等とも関連をして具体的に詰めたいと思ったのでありますけれども、いずれにしても、あなたのいまの態度からは、のがれたい、こういうことであります。ここで私ははっきりしておきたいと思いますが、白紙ではないということを、私ははっきりしたいと思うのです。つまり、基地の全面撤去は反対ですね、あなたのは反対だ、このことが一つ。それから八月の臨時国会で、私に対しては、キューバにはしない、こう言われた。そのことは租借地、租界地という、そのことは考えないのだ、こういうことですね。それから早期返還なら本土並みは無理だ、これははっきりしている。こういうふうに、臨時外相代理として記者会見では言っておられるわけです。少なくとも安保条約下の基地にはしないという。そうなれば、あとは核なりなんなりとの関連の中の事前協議をどうするか、特別の地位協定をするかという形での選択の問題に入っておる。つまり、狭められた選択の中に入っておるということは明らかだと思います。これを言いますと、また長々とやられて私の持ち時間がなくなりますから――言われますか。
  405. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 ただ、いまのような話を私いたしましたが、別に議論をやめてくださいというのではございませんから、御意見は御意見としてどんどんおやりください。このことが申し上げたいので、実は先ほどの補足をしたのでございます。ただ、いまお尋ねになりましたような点は、まだ少し私の真意も理解しておられない点があるようでございますから、どうかお続けを願います。
  406. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは、極東の平和という問題、これはたいへん大事な問題でありますし、あるいはASPACの問題等についてもこまかに詰めたいに思いましたが、時間がなくなりましたから、いずれ別の機会に譲りたいと思います。  そこで、当面いたします沖繩の問題としては、やはり国政参加の問題がたいへん重要だと思いますから、これは少し基本的な点だけ詰めておきたいと思います。つまり、基本的人権を守るということが――これはもう私はしょっちゅう繰り返していることでありますけれども、ことしは国際人権年であります。二十周年の国際人権年でありますから、それだけに、この基本的な問題を詰めていきたいと思うのでありますが、基本的人権を守ることが民主政治の根本である。そして基本的人権は、国家権力も憲法も制約することができない。いいですか総理、できない。そして基本的人権の擁護は参政権の確保がなされなければならない。このことは近代国家の基本だと思います。民主政治の中の基本だと思います。そのことについて、総理はそういうふうにお認めになるかどうか、明らかにしてもらいたいと思います。
  407. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 ただいまの考え方でいいかと思います。とにかく、国政参加については日米間で意見が一致したのでございます。問題は、国会の組織の問題でございますから、組織の皆さま方のほうにおきましてとくとお考え願って、そうして基本人権年にふさわしいりっぱなものをつくっていただきたい。
  408. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 基本人権年でなくて、国際人権年であります。そこで、私の言いましたその基本的な点についてはお認めになられた。しかも世界人権宣言の二十一条は、何人も直接にまたは自由に選出される代表者を通じて自国の統治に参与する権利を有する、こういうふうになっております。これらの点を詰めてまいりますと時間がありませんから、このこと、それから国連憲章の前文にも明確に基本的人権の尊厳云々ということが確認をされておる。それからその目的の第三項においても、人権及び基本的自由を尊重するように云々と、こうなっておる。アメリカも国連に加盟をしておる。だから国連憲章なり、世界人権宣言には当然拘束される、こういうふうに思います。  そこで、私は総理に明確にいたしてまいりたいのは、先般の日米合意書で合意できたのだ、だから国会できめてくれ、こういうことであります。私は明らかにしてもらいたいと思いますが、総理、西ドイツはいまだ米英仏の三国との間にも平和条約を結んでいないのです。そうして西ベルリンは、現在においても米英仏の占領下にあるわけです。いいですか、占領下にある。その占領下にある西ドイツにおいてすら、――占領下ですよ、だから日本とアメリカとの関係以上にもっとベルリンの問題というのは占領状態という中で考えなければならない。それにもかかわらず、採択権を除くすべての権限を持っておる。しかも西ベルリンから出ておるブラント氏がいま副総理である。なぜ西ドイツがそういう状態の中においてなし得たことを――それはいろいろなこまかいことをずっと詰めてごらんになるとわかります。日本ほどアメリカに対して百万県民の人権についてとれを強力に主張し、解決をするということをやらないできた国がありますか、西ドイツと比較をしてごらんなさい、たいへんな違いですよ。しかも平和条約三条ということを議論をすると、これはたいへんな議論になりますからここで省きますけれども、いずれにしても、日本政府の百万県民の人権を守るということについての基本的な態度というのは、たいへん弱い。そこで私は、そういう大事な国会の構成を左右するような問題について、しかも先ほどあなたは私の原則を承認されたのでありますけれども、それからはるかに遠い一体化関係施策を含む日本本土の沖繩施策に、沖繩住民の意思を反映させるためにという制限を加えた形での合意書をもって、それを国会に持ってきて、これで検討してくださいということは、これは本末転倒もはなはだしいのです。それならば、もし国会がこういう形のものはだめだということで本土並みの全面参加ということをきめたならば、あなたはそれに従って外交交渉をやられますか、どうですか。なお、平和条約三条との関係の中において日米間との合意ができたらできますということを外務省ははっきり答弁をしております。でありますから、この点については、先ほどの原則というものの上から、さらに国会というものとの関係から、もし国会がきめたならば、政府は交渉し直すかどうか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  409. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 この問題は、国会の組織並びに運営の問題であります。日本の法律で皆さん方にお考えをいただきたい、こういうのでございますから、私いまの憲法、選挙法等の問題がございますから、それらの点を十分お考えいただいて、そうして日本の国会の組織、運営、こういう点に万全を期していただきたい。
  410. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 そこで総理、沖繩県は戦後日本の選挙法の中に入っておったのです。憲法が制定をされた、あなた方は四十三条で国民を代表する云々を議論する。しかし、昭和二十二年の三月まで沖繩県はわが国の衆議院議員選挙法の中に別表で入っておったのです。それを二十二年の三月に削除をしておるのです。だから、このことは全国民の問題として、後ほどいろいろこれから議論も出るでありましょうが、憲法が制定をされたときに、すでに沖繩県というのは、そのときには存在しておった。そして日本の法律の中に載っておったという事実、このことはひとつよく考えておいていただきたいと思うのです。でありますから、国会がきめたならば、あなた方はそれに従ってやるということをひとつ明確にしてもらえばいいのです。
  411. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいまの国政参加の問題でございますが、これはただいま御指摘のとおり、アメリカがとにかくサンフランシスコ条約第三条で施政権を持っております。立法、司法、行政の三権を持っております。その施政権者であるところのアメリカと日本側が、非常な時間をかけて、熱心に討議をいたしましたその結果の合意ができましたことは、御指摘のとおりであります。そのことをあらためて内閣総理大臣から衆参両院議長に御通知申し上げると同時に、所要の立法措置等について御検討をお願いをいたしたわけでございます。これについては別にお話し申し上げる機会も多々あろうかと思いますが、日米間の問題もございますけれども、同時に、日本国憲法の問題もございましょう。ただいま御指摘のような点もあわせまして、十分ひとつ国会で御審議をいただきたい、かようにお願いを申し上げておきます。
  412. 井出一太郎

    ○井出委員長 これにて川崎君の質疑は終了いたしました。  次に渡部一郎君。
  413. 渡部一郎

    ○渡部委員 私は、公明党を代表いたしまして、本日まず質問のうち、政府の政治姿勢に関する質問をいたしたいと存じます。  第二の吹原産業事件といわれ、政界において黒い霧がまつ黒にうわさされておりますこの事件につきましては、国民に対して重大な失望と反感と疑惑を呼んでいる一大不祥事であります。したがいまして、私はまず佐藤総理にお伺いしたいのでありますが、このような不祥事件が依然として頻発をし、日本の国内において、大きな政界に対する不信を招き寄せるよすがとなるのは、一体何に原因するのであるか。少なくとも今回の事件の対象となっております相手といいますのは、佐藤総理の率いられる自民党議員が顔を出し、また政府の主要閣僚が顔を並べ、このような不快な、それこそ町の不愉快な金融ざたというものに有能なる人々が続々と顔を並べなければならぬ。これは一体いかなることなのであろうか。佐藤総理は、政治姿勢を正す、えりを正すと何回も申されました。何度えりを正すと申されても、このような事件が続発するというのは、一体何によるのか。総理は一体この問題に対して今度はどうえりを正されるのか、今度こそどういう処置をもってこれに対抗せられるのか、私は国民を代表して、総理にまずこの問題に対してお伺いしたいのであります。
  414. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いま私に対するお尋ねでございますが、どれを言っておられるのか、いま質問書をひもときながらどの問題かと実は考えたのでございますが、あるいは最近の京阪土地、そういう問題でしょうか。ちょっと……。(渡部委員「まず京阪神土地でいいです」と呼ぶ)そうですが、京阪神土地の問題。私はとにかく……。(「よく質問を聞いてから」と呼ぶ者あり)いま言われたからね。とにかく政治家が清潔な政治をしなければいかぬという、この点についてだろうと思います。私、ずいぶん長いこと政界にもおりますし、またがって私自身が、造船汚職等についていろいろの批判も受けたことがございます。何といたしましても政治家は清潔でなきゃいかぬ、そういう意味で、絶えず注意はいたしております。最近におきましては私自身に関する問題はまずないのじゃないか、かように考えておりますが、しかし、いろいろ問題につきまして御批判のあろうことかと思います。したがって、そういうような努力はしながらも、こういうような事柄について疑惑があるとか、こういうことで政治の不信を来たしているとか、こういうような問題があればさらに注意もいたしますし、またみずから十分考えまして、あやまちなきを期していきたいと思います。ただいま言われる程度では、一体どういうことを言われるのか、私によくつかめないといいますか、お答えのしかたがございませんので……。ただ、私自身政治をする者、清潔な政治をしなきゃならない、こういう点については、人後に落ちないつもりで気をつけておるつもりでございます。
  415. 渡部一郎

    ○渡部委員 京阪神土地会社事件に関してさだめて深い御反省の色があるかと存じましたら、どれの事件かわからないというのには、私は失望をいたしました。私ははっきり申しまして、今回の京阪神土地事件に関しましては、まず大きな国民の反感というものがあることを申し上げなければならぬと思います。それは、私たちの同僚議員である正示代議士がこのたび警察当局の調べるところとなり、そしてあっせん収賄の問題について数々の取り調べを受けられたようでございますが、このたび不起訴ということになりまして、そうして事件は一たん落着をしたかの段階に見えるのであります。私たちがまずこれを考えますとき、非常におかしいことがあるのではないか。あっせん収賄、この罪名というのは最近も新たでありまして、私たちの記憶によれば、社会党の大倉議員もまたこれによって起訴をせられた事実がございます。ところが、このあっせん収賄罪という問題につきましては、非常に起訴が困難であるということで、今回の正示代議士の場合には不起訴ということになりましたけれども、社会党の大倉議員の場合には、たった一名の、それこそ福島社長の証言によって、大倉議員につきましてはこれは起訴をせられたわけであります。私は大倉さんをかばって申すわけでもありませんけれども、大倉議員が起訴をせられる、ところが正示代議士は不起訴になる。こちらは野党であり、あちらは与党である。野党なら起訴をせられ、与党なら不起訴で済むのかというようなうわさが、意見が、この世の中には蔓延しております。こういうようなことは、私は決して賢明な政治のあり方ではなかったと存ずるのであります。  また私は、この問題を通しまして、今回不起訴、起訴の問題については、国民がひどく注目しているまっただ中において、七カ月にわたるところの検察当局の十分なる時間をかけての努力にもかかわらず、これが不起訴になってしまった、そしてその理由というものは一向に判然としないという段階になっております。私はこれはどう考えても納得ができかねるのであります。したがいまして、先ほど具体的にと総理はおっしゃってくださいましたので、やむを得ず具体的に私のほうの捜査資料を掲げまして、私が一つずつお伺いするしかない、こう思うのであります。私がこの調査をするにあたりまして、私はいやなことでありますけれども、事件の中心者である山田とも会ってみました。また、いろんな方面の方の意見も聞いてみました。また、いろんな担当者から資料の提示も求めました。そして、私はほぼかたいと思われることのみに限ってお伺いをしたい、こう思うのであります。その立場から、私は、警察庁の内海刑事局長にこの問題について一つずつお伺いをしてまいりたいと思うのであります。  それは、たくさんの疑惑があるのでありますが、その第一に、まず、四十二年の十月十二日午前九時三十分ごろ、以下敬称を略して申し上げますが、山田は、山田事務所において、沢本貫という人と三野信男、これもまた鈴木学術財団の人でありますが、これに状況を打ち明けた。非常に金融がまずくなってきたということを打ち明けた。そして政界筋に対して運動するのに適当な人はだれかということを相談したら、沢本から正示啓次郎代議士が最適だと聞いて、沢本に正示啓次郎の紹介方を依頼し、銀行局の役人の買収費を約百万円ときめたとあります。  また二番目に、四十二年十月二十一日、三野信男が連絡に来て、十月二十一日午前十時三十分、第二議員会館において正示代議士と面接をされたいと連絡に来た。十月の二十一日、三野信男、末藤敏明――これは三井銀行の兵庫支店長でありますが、これがともに上京、これと山田正光とが上京してきた。そして羽田空港から沢本の案内で第二議員会館に行き、沢本の紹介により正示と名刺交換をし、導入預金のことを銀行局が知り、取引銀行に融資引き締めを指示したことについて事情を説明した。そうしたら、その話を聞いて、正示代議士がこれを引き受けた。そして三井銀行湊川支店の小切手額面百五十万円を資金として渡した。正示代議士は、その際、これは顧問料という名目にしてもらいたい。――顧問料ではないのですが、名目にしてもらいたい。年間百万円のうち、その半分ということにしてもらいたい。また正示代議士は、銀行局の後藤達太管理課長や谷川検査部長はよく知っており、こんな問題は簡単に片づけられると言った。これには秘書の津村という人が同席しておった。山田と正示代議士との間の交渉を示す最初の記録であります。これにつきましては、私はそこにいた山田にも確かめましたし、ある部分については別の方面からも確かめました。私が申し上げるりでありますが、まず、これについて内海刑事局長から御返事を賜りたいと思います。
  416. 内海倫

    ○内海政府委員 お答えを申し上げます。  ただいまお説明の、あるいは御質問のございました点につきまして、私ども兵庫県警察からは本件に関しまして捜査の結果についての報告は聞いておりますけれども、詳細な内容に至りましては私も十分記憶してない点もありますし、また膨大な報告書でありますので、それらのすべてをいまここで承知いたしておりませんが、いわゆる山田なる人物が正示代議士との関係を持つに至った日時、あるいはそういうふうな経過というものは、山田が兵庫県警察の捜査官に述べておるところでは、ただいま渡部委員の言われたような点が述べられてあるように私も報告を承知いたしております。ただ、そのことがそのまま真実の事実であるかどうかという問題につきましては、諸般の証拠資料等と引き合わせて兵庫県警察において判断をいたすものでありますが、ともあれそういう、いまお話しのありましたような点を京阪神土地の会長である山田が捜査官に対して供述をしておるということは、私、報告において聞いております。
  417. 渡部一郎

    ○渡部委員 いまのせっかくのお話でありますが、山田の供述だけを知っていて、それに対する捜査当局側のその確認をなさったかどうかについて、事実について私は伺いたいと存じます。まさか、山田の一方的な話だけを聞いて、それを確認しなかったなどということはあり得ないし、幾ら膨大な書類があるからといって、このような問題が記録にとどめられていないというわけはない。特に十月二十一日、第二議員会館において正示氏とそれから山田とが会ったということについては、事件の核心をなすものでありますがゆえに、わからないわけがないと私は思うのであります。  それでは、私はもっとこまかく伺いますが、この日に一体お二人は第二議員会館で会ったのか会わなかったのか、それをお伺いしたい。
  418. 内海倫

    ○内海政府委員 お答え申し上げます。  私どもの兵庫県警察から聞いております報告によりましても、その二人は第二議員会館において会っておることは事実でございます。
  419. 渡部一郎

    ○渡部委員 それでは次にまいりまして、四十二年の十月二十二日、山田事務所から正示氏の自宅へ電話があった。正示氏は山田に対して電話で、後藤君から君がばく大な導入預金を入れて、何十億円という融資を受けていることを聞いたが、私が仲に入ったらおそらく好転するだろうと言った。四十二年の十一月四日、山田は沢本の案内で大阪の料亭益田で正示代議士と会った。そのとき、正示氏の秘書北畑栄次郎も同席した。席上正示氏は、後藤君や銀行局の連中をゴルフその他に招待して聞いている、何とかやらせるからまかせておけと言った。この料亭の費用は五万六千百八円で、山田が負担して四十二年十一月十四日に支払った、この件についてはいかがでありましょうか。
  420. 内海倫

    ○内海政府委員 お答え申し上げます。  それらの詳細に関しまして、私ども兵庫県警察からそれぞれについての報告は受けておりませんし、私どもは要するに捜査官ではございませんので、兵庫県警察が捜査をいたしたものでございます。先ほども申しましたように、山田供述の中にはそういうこともあるということは聞いておりますけれども、それらの事実の確認につきましては、犯罪の容疑になったというものがあれば私どものほうには報告はありまするけれども、それらについて一々どうであったかというふうな報告は受け取っておりません。
  421. 渡部一郎

    ○渡部委員 それじゃ、お答えがしにくいようでありますから、私はあと一括してこの事件の中心的なところを申し上げておきたいと思うのです。  四十二年十一月中旬、益田料亭において正示氏からの直接の電話で山田が呼び出された。北畑栄次郎氏が同席しておった。席上上西という人が紹介された。山田は近畿財務局の西堀氏をはじめ金融検査官を押えてほしい旨依頼した。正示氏は東京に帰るとき近畿財務局に立ち寄り圧力をかける旨を約束した。このときの費用約七万円は後日請求された。芸者二名分を含む。その次、昭和四十二年十一月十日ごろ、正示氏は近畿財務局掘理財部長に面接し、山田正光はよい男だ、農協から銀行に預金させているが、あれは導入預金になるのかと言った。四十二年十一月二十二日、山田事務所へ沢本、三野が来て、沢本が残り五十万円を正示の勧銀本店普通預金口座に送金するよう要求し、これを承諾した。四十二年十一月二十五日、山田事務所、三井銀行湊川支店貸付係長佐藤氏に山田個人当座の五十万円の小切手一枚を渡し、勧銀本店正示啓次郎普通預金口座に送金依頼、当日預金される。昭和四十二年十一月終わりごろ、福徳相互銀行法林専務より山田事務所への電話では、銀行局の後藤さんから聞いたが、あんたは相当運動しているらしいが、後藤さんの話では、われわれの先輩が山田氏のことで一々頼みにきているが、われわれはそれに応じてもよいと思っている、しかし、下の検査官で反発しているので非常にむずかしいと言っていると連絡があった。四十二年十一月二十日、近畿相互銀行が大蔵省の定例検査を受け、山田の取引は分類債権となり、この検査中、何回も正示に電話し、分類債権になるのを食いとめてほしいと要求し、それができたら三百万円でも四百万円でも出すと言う。正示は引き受けてくれたが、結局分類債権となる。このことに対して正示は、後藤君に尋ねたら、山田氏の場合は分類債権でも非常に軽いものだから心配しなくてもよいと言ってきた。山田の取引銀行である協和銀行兵庫支店、近畿相互銀行神戸支店等が臨店検査を受け、協和銀行は九月二十三日、近畿相互銀行は十二月四日それぞれ特記並びに分類債権に指定された。四十二年十二月二十六日、北畑栄次郎正示氏の秘書が正示氏の後援会費を要求、二十万円の小切手一枚を渡す。この小切手は北畑栄次郎が大阪の三億信用組合に振り込み、三和銀行神戸支店から取り立て決済されている。正示経済研究所の領収書を山田事務所へ。  正示氏関係の問題は以上でありますが、私は一括して申し上げるのでありますが、一つお伺いしてもよろしいのですけれども、それではあまりにもなにかと思いますから、一括して、これがもしこの点について違うという点があったら言っていただいてけっこうだと思うのであります。ただ、この問題については、いずれも捜査当局が必死になって努力を続けられて捜査をせられた結果送検せられたわけであります。したがって、捜査当局がこの問題についてどういう見解を持たれたかを私はお伺いしたいと思うのであります。
  422. 内海倫

    ○内海政府委員 お答え申し上げます。  私ども、いまいろいろ御説明がございましたけれども、いずれも捜査の内容に触れる問題でございますし、いま私がここでそれについてとやかく申し上げる立場ではないと存じます。ただ、私どもで申し上げ得ることは、正示代議士に関する容疑事件について捜査を遂げて神戸地方検察庁に事件を送致した、そういうことでございます。
  423. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 先ほどのお尋ねのうちに与党には甘く野党には辛く、かようなお話がございましたが、私ども政府はこの問題に全然関与しておりませんから、その点は誤解のないようにお願いいたします。はっきり申し上げておきます。
  424. 渡部一郎

    ○渡部委員 じゃ内海刑事局長にもう一言お伺いするのでありますが、そうしますと、送検せられたということは、要するに、この容疑事実に関して県警当局は自信を持っておったのであり、不起訴処分が妥当というのではなく、起訴処分が妥当だ、これについてはあくまでも自信がある、こういう見解であったと理解してよろしゅうございましょうか。
  425. 内海倫

    ○内海政府委員 お答えを申し上げます。  兵庫県警察におきましては、慎重かつ十分な捜査を遂げて事件を送致いたしたわけでございます。ただ、送致いたしました上は、すべて地方検察庁の判断にまかすべきもの、さように考えております。
  426. 渡部一郎

    ○渡部委員 私は、ただいまのお答えが、要するに起訴するに十分な捜査当局の自信を反映しているものと理解するものでございます。そうであるならば、これは一体どういうことになるのか。捜査当局は自信を持っておられたにもかかわらず、一体検察当局は、この問題について何で不起訴にせられたのか。これは捜査当局と明らかに意見と判断が違っていたからであると私は思うのであります。そうであるならば、先ほどからの私の一項目ずつに御否定はございませんでしたけれども、捜査当局でなく、検察当局は別の見解をお持ちであったろうと思うのであります。一体どこが理由であって不起訴にせられたのか。私は、これは明らかにしていただかなければどうしようもないと思うのであります。したがいまして、私は、法務省の刑事局長さんに、まことに残念なことでありますけれども、この問題について納得のいくようなお話を伺わなければしかたがない。しかしながら、結局は、まず最初に、この事件の責任者である今回かわられた法務大臣に、この問題に対する見解をお伺いするしかないのじゃないかと私は思うのであります。任命の直後であって、まことにお気の毒な感もいたしますけれども、法務大臣は一体どういう見解をこれに対してお持ちか、ひとつお願いいたします。
  427. 西郷吉之助

    ○西郷国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど来、正示議員に対しまする問題は不起訴処分に決定したのでございますが、その経過についていまいろいろ御意見をお述べになっておりますが、この正示議員に対する処分につきましては、去る十二月三日、東京におきまして現地の地検等検察首脳部会議を開きまして、全員の協議を遂げました結果、不起訴処分と決定したものでございます。この会議におきまして、事件の証拠関係、法律問題その他慎重に検討をいたしまして、全体の意見によりまして、いま申し上げましたとおり十分な検討をしたけれども、起訴するに足るだけの十分な証拠がつかめなかった、そういうことで、不起訴処分と決定した次第でございます。御了承をお願いいたします。
  428. 渡部一郎

    ○渡部委員 私はいまのお話を聞いて、全く釈然としないのであります。それは単なる今までの事件の経過であります。あなたは国務大臣でいらっしゃるわけでございます。あなたはこれに対して見識がおありのはずであります。あなたはここで御自分の意見をお述べにならなければいけない。下僚の置いた論文なんかを読んでいて、国民に対して釈明をすることではないと私は思うのです。お願いいたします。
  429. 西郷吉之助

    ○西郷国務大臣 正示事件につきましては、いま申し上げました協議の結果、証拠不十分で不起訴処分という報告を私も受けました。いまいろいろおっしゃいますが、私といたしましては、この事件に関しましても検察に満幅の信頼を置いてまかしておいたわけであります。したがって、私はこの事件につきましてあれこれ口を差しはさむようなことは全然ないのでございます。  以上、お答えいたします。
  430. 渡部一郎

    ○渡部委員 私はいまの御答弁を聞いて、なおかつ非常に悲しく思うのであります。  それでは私はもう一つ具体的にお聞きをせざるを得ないのであります。では不起訴処分にせられたのは一体どういう理由なのであっのか、その不起訴処分について一体何の理由を持たれて、せっかくの――捜査当局は、先ほどと内海刑事局長殿が十分かつ慎重な捜査の結果起訴に踏み切られた、まことに自信ありげなその方針をとられたにもかかわらず、それに対して一体何のためにそれを不起訴と逆に決定せられたのか、これについては何らまともな御返答はまだないわけであります。したがいまして、私は、どうして不起訴にせられたのか、どうかお答えを願いたいと思うのであります。
  431. 西郷吉之助

    ○西郷国務大臣 ことばが足りなかったのかもしれませんが、不起訴にいたしましたのは、御承知のとおり相当時間もかけ、慎重に厳正に捜査をしたのでございますが、証拠不十分によりまして、起訴するに足るだけの証拠がつかめないために、結局証拠不十分で不起訴処分ということに決定したのでございます。御了承願います。
  432. 渡部一郎

    ○渡部委員 いま証拠が不十分であると言われました。証拠が不十分というこれだけのことばでは明確でございません。証拠が不十分というなら、不十分なことがはっきりしなければならないと思うのであります。山田が正示代議士と三回会った。その問題について一体どう考えておられるのか、その間において金銭の授受があったのを認められているのかいないのか、それはどうお考えなんでしょうか。
  433. 西郷吉之助

    ○西郷国務大臣 いまお尋ねのようなこまかい点については、私はよく承知いたしませんので、刑事局長より説明いたさせます。     〔発言する者あり〕
  434. 井出一太郎

    ○井出委員長 静粛に願います。静粛に願います。
  435. 川井英良

    ○川井政府委員 答弁の前にちょっと申し上げたいのでありますけれども、捜査当局と申しますのは何も警察当局だけではありませんで、検査当局も捜査当局でございます。したがいまして、普通の事件におきましては警察が一応の捜査をいたしまして、検査庁に事件を送ってまいります。検察官はあらためて事件を捜査し直しまして、そして証拠を十分に検討いたしまして、起訴価値があるかどうか、起訴いたしましても公訴を維持することができるかどうかということを十二分に検討いたしまして、検察官の責任において起訴、不起訴を決するというのが日本の犯罪捜査の現状でございます。  それから、この事件を不起訴にいたしました理由を、申し上げます。あっせん収賄罪は、収賄罪の中でも構成要件が非常に厳格でございまして、したがいまして、証拠の収集、証拠固めはたいへんめんどうなものでございます。そこで、警察が一応の捜査をして送ってまいったものにつきまして、検察官があらゆる証拠を検討いたしまして、十二分に構成要件を充足するだけの証拠があるかどうかということを検討いたしました。結論といたしましては、証拠は十分でないということで不起訴になったわけでございます。  もう少し詳しく申し上げますれば、第一点といたしましては、あっせん収賄罪が成立するためには、まず公務員が贈賄者から不正の請託を受けるという条件が必要でございます。本件の場合におきましては、先ほど一方的な当事者からの聴取に基づくいろいろな御説明がございましたけれども、双方を十二分に検討いたしました結果、不正の請託があったという事実は認めることができないという結論が、第一点でございます。  それから第二点は、請託を受けたところの公務員が公務員の立場において他の公務員に対して、その公務員の職務に関して不正な行為を行なわしめるというあっせんを依頼され、そのあっせんの報酬としてわいろを収受するということが要件でございます。しかしながら、本件の場合におきましては、双方を十二分に検討いたしました結果、そのような請託は受けておらず、またその請託に基づいて、関係方面に対してそういうふうな依頼をしたという事実は認める証拠が十分でない、こういうことに相なったわけでございます。総合いたしまして、あっせん収賄罪といたしまして、これを起訴することは相当でない、こういう結論に達したわけでございます。
  436. 渡部一郎

    ○渡部委員 非常に御丁寧な御教示をいただきましたけれども、私はいまの御説明の前半はよくわかっております。ただ、私が申し上げたいのは、それならば――私は先ほどから具体的事実を申し上げたのはそれなのであります。先ほど私たちが申し上げました具体的事実が正しいのか、間違っているのか。特にその中でも、正示代議士が百万円を受け取ったということはほんとうなのか、うそなのか、いまの方、もう一回答えていただきたいと思うのです。それからでなければ話が通じません。
  437. 川井英良

    ○川井政府委員 百万円の金の授受があったということは、証拠によって認められる事実のようでございます。しかしながら、その趣旨、あっせんにつきましては、わいろ性を認めるときの証拠が十分でない。ようであると申しますのは、そういう報告を受けておる、こういう趣旨でございます。
  438. 渡部一郎

    ○渡部委員 そうすると、これはまことにおかしな話でありますが、警察当局は、十分かつ慎重に送検したそうでありますけれども、それに対して、検察側は別の異議を差しはさまれるのかと私は思ったのであります。ただいまのお話によりますと、どうやらお金を受け取ったことだけは、それもお認めになるようでございます。それならば、これはまことにおかしなことになるのじゃないかと思うのであります。お金は百万円は受け取った。そして、このお金を受け取ったということに関していうならば、これはわいろとして金品を受け取った。それはもう山田がそう言っているのでありまして、これは証拠としてこれほどはっきりしたものはない。お金を受け取っておいて、何にも受け取ってない、わいろでも何でもない、こういうようなおかしな話というのはないと思うのであります。贈賄と収賄というのは共犯関係でありますけれども、共犯関係のその一方が自白した場合には、他方を有罪にできるというのがあたりまえのことであります。自分はお金をもらいましたとのめのめ言う人なんかおらない。こちらはお金を贈った、向こうは受け取った、両方がそろわなければ犯罪にならないなんというんだったら、何にも犯人なんというのはいなくなってしまう。いままでの判例すら無視するようなやり方ではないかと思うのであります。  しからば、このような贈賄の事実がはっきりしておるのであるならば、これを受け取った内容について、不正の事実があるかどうかについては裁判所の判定を求めるのが、それは当然のことではないかと私は思うのでありますが、いかがでありましょうか。
  439. 川井英良

    ○川井政府委員 犯罪の容疑がある場合に必ず裁判所に起訴して裁判官の判断を求めなければいけない、こういう制度もございます。ところが、日本のような制度はそうじゃございませんで、検察官にたいへん大きな権限を認めておりまして、起訴するか、不起訴にするかということにつきましては、起訴便宜主義――講釈をしますとしかられるかもしれませんが、起訴便宜主義と申しまして、起訴するに足らない、また起訴しても公訴を維持することができないというふうな場合におきましてはこれを起訴しない、こういう制度が認められているわけでございます。したがいまして、本件の場合におきましては、起訴いたしましてもこのままでは有罪の判決を得る見込みはない、こういうふうに検察官が判断いたしましたので、裁判所に起訴をしなかった、こういうことでございます。
  440. 渡部一郎

    ○渡部委員 私は、このような政治的な判断が行なわれたのではないかという疑問を、いまのお話では晴らすことはできない。全く、いまのお話については検事の自由裁量が認められている範囲内を越えているのではないかと思う。それは何といったって、現に神戸地検においては捜査終了の段階において、容疑は明らかであり、公判維持も十分可能である、こういっております。十二月二日付の、また三日付の読売新聞にも書いてある。また、神戸地検のほうの担当官が私たちにしゃべった話の中にもその事実がある。それがなぜ検察当局の中において、地検から高検段階へ、高検から最高検段階へいったときにつぶされてしまったのか。どういう最高検の圧力と見解があったのか、それを明らかにしていただきたい。そうでなければこの問題に対する国民の疑惑は晴れることはないと私は思うのであります。
  441. 川井英良

    ○川井政府委員 贈賄とか収賄とかという犯罪は、多くは物的証拠がない場合が多いわけでございます。したがいまして、多くは両者の供述によってその真相を看破する、こういうことが多いわけでございます。甲の供述と乙の供述というもの、あるいはその間に二人も三人も大ぜいの人が入っておりまするけれども、そういうような数名の人たちの供述だけをもちまして、その事の真相がいかにあったかということを判断することは、かなりめんどうな作業でございます。したがいまして、そのめんどうな作業を地検、高検、最高検を通じまして、あらゆる角度から、他の補強証拠と勘案いたしまして、どの供述が信用おけるかということをあらゆる角度から入念に検討いたしたわけでございます。その結果、先ほど冒頭に質問者からいろいろおあげになりましたような、そういう趣旨の供述もあるようでございまするけれども、それにまた反するような供述もたくさんあるわけでございます。彼此勘案いたしまして、どの供述が正しいかということをいろいろ検討いたしました結果、結局、本件は公訴を維持するだけの証拠が十分でない、こういう結論に達したわけでございます。
  442. 渡部一郎

    ○渡部委員 私は、いまのお話を聞いてますます疑わしいのであります。物的証拠はないのでしょうか。金はあるじゃありませんか。メモがあるじゃありませんか。領収書があるじゃありませんか。警察当局は押収して持っているじゃないですか。それを白々しく証拠がないとは何をおっしゃるのですか、一体。もう一回出てきて説明していただきたい。
  443. 川井英良

    ○川井政府委員 私、先ほどの御質問にお答えいたしまして、百万円の金の授受があったという事実はあった模様である。それはそういう報告を受けておる、本件で足らない点は、その金の趣旨についてのわいろ性のいかんであるということを明確に答弁したつもりでございます。そこで私が、いま証拠があるとかないとか、物的証拠があるとかないとかと申し上げますのは、金銭の授受に関しての物的証拠ではございませんで、趣旨、わいろ性についての物的証拠がない、こういうことでございます。
  444. 渡部一郎

    ○渡部委員 わいろ性について判断を高検ではいつからおやりになるようになったのでしょう。(「裁判官みたいなことを言うな」と呼ぶ者あり)、いまの不規則発言にありますとおり、それは裁判官の仕事でありましょう。そうしておいてそのわいろ性わいろ性とおっしゃいますけれども、そのわいろ性はそれを贈賄したほうの山田の見解で十分ではございませんか。受け取ったほうの証言が何で必要なんでしょうか。贈ったほうが認めているんです。贈った山田のほうは、わいろを贈ったということが明らかになれば自分が明らかに不利になるということはわかっているにもかかわらず、彼は言っているじゃありませんか。私がわいろを贈ったということがなくなれば罪は軽くなるかもしれぬけれども、あまりにも不公平だ、国会議員は許されて私たちは許されないのか、彼はもう新聞記者であろうとだれであろうと公然と言っております。そうしてその事実に対して、わいろを贈ったほうがわいろを贈っておると明確に言っておるのに、受け取ったほうが平然としておるのは、これはどういうわけなんです。わいろ性の問題はその上の問題じゃありませんか。これを否定なさるおつもりなんでしょうか。
  445. 川井英良

    ○川井政府委員 先ほども御質問の中で御説明がありましたように、本件はいわゆる刑法上の必要的共犯というものでございまして、やったという者ともらったという者がなければ成立しないということは先ほど御指摘のとおりでございます。その場合に片方だけの供述をもちましてその間にわいろ罪が成立するかしかないかということを判断するのは、きわめて危険だと思います。あらゆる証拠を総合いたしまして真相を判断するということが、検察官に課せられた法律上の任務だと思います。
  446. 渡部一郎

    ○渡部委員 私は、そんなことを言われたら社会党の議員が気の毒であります。社会党の大倉さんの場合は、まあたった一人の証言でみごとにつかまりました。今度は正示代議士のほうは全然つかまらないじゃないですか。大倉議員を処罰しておいて正示代議士は処罰しない、ほんとにこんな不公平なことがありますか。そんな不公平なことを平然とやっておいてわいろ性云々などということをおっしゃること自体がとんでもない間違いじゃありませんか。わいろ性があるかどうかは、それは裁判所がきめるのです。重大な疑惑があるじゃないですか。いままでの場合だったらそれで十分だったはずだ。いつの間にか法律の解釈を検察当局がお変えになったのですか。私は、その政治的な、このようなでたらめなやり方というものに対しては、もう何と言っていいかわからないほどの疑惑を感ずる。国民がこの事態を見たら、ああまたやったなと思うしかないじゃありませんか。なぜもう少しまともな判断をなさらないのでしょう。  検察当局にこれを聞いても気の毒なので、私は法務大臣にもう一回伺います。法務大臣、もうこれでやりとりの始終はおわかりでございましょう。今までこの問題について何にも御報告を受けておらなくとも、これだけ聞けば、どんなに変かがおわかりだと思う。法務大臣、見解をひとつ伺いたい。お願いします。
  447. 西郷吉之助

    ○西郷国務大臣 お尋ねでございますから考え方を申し上げますが、やはり特に国会議員の事件でございますから、まことに私も遺憾に思っておりますが、今後こういうことがないように私もこいねがう次第でございます。
  448. 渡部一郎

    ○渡部委員 法務大臣、もう一回御答弁願います。それでは私の質問に答えておりません。
  449. 西郷吉之助

    ○西郷国務大臣 御趣旨を取り違えたのでございますかな。もう一度……。
  450. 渡部一郎

    ○渡部委員 先ほどからの答弁のやりとりを聞いておれば明らかにおわかりのとおり、わいろ性があるかないかの判断は裁判所がやるべきものであります。しかも、そのわいろ性については山田がみずからの不利をかえりみず証言をしております。そうであるならば、もう当然この正示代議士の容疑は濃厚であります。それを検察当局は裁判所に送って判断を求めるのが当然ではないかと私は申しておるのであります。それについての法務大臣の見解を伺っているのです。
  451. 西郷吉之助

    ○西郷国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、私は検察に万幅の信頼を置きましてまかしております。私は、そういう不起訴処分ということになったという報告を聞いたのでございます。私自身がこの事件につきましてあれこれ口を差しはさむことは全然なかったのでございます。  以上、お答えいたします。
  452. 渡部一郎

    ○渡部委員 それでは、私はしょうがありませんが、大蔵省関係に、これはどうやら正示代議士が運動に行かれたときのメモがあったようであります。この問題について刑事局長お答え願いたいと存じます。
  453. 川井英良

    ○川井政府委員 その趣旨のメモはないように聞いております。
  454. 渡部一郎

    ○渡部委員 私の知るところによれば、大蔵省のある課長さんのところには正示代議士が来られまして、京阪神土地会社の問題については、この導入預金関係の問題については、穏便に取り計らってもらいたい趣旨のメモが存在するように聞いております。もう一回お尋ねします。お願いします。
  455. 川井英良

    ○川井政府委員 そういう趣旨のメモはないと聞いております。
  456. 渡部一郎

    ○渡部委員 それなら、どういうメモがあるかお伺いしたいです。
  457. 川井英良

    ○川井政府委員 これは十二月四日に検事が一応不起訴の裁定をいたしました。ところが、この内容について多少なりとも疑問があるということで、神戸の検察審査会がこれを取り上げました。御存じのとおりであります。検察審査会は、あらためてこの不起訴にした検事の処分の内容について、さらに目下起訴せよという勧告をするか、不起訴でよろしいという発表をするか、それらの内容を出すために十分内容について検討中でございます。したがいまして、いまここでそのような趣旨のメモはないというふうに聞いておる、こう申し上げました。という意味は、裏を返せば、それ以外の趣旨のメモはある。こういうふうにお気づきだろうと思います。私ここでもってどういう趣旨の証拠物件が押収されているか、またどういう人がどういうふうな内容のことを言っているかということを明らかに具体的に申し上げることは差し控えたいと思います。検察審査会が公平な立場でもってこの問題につきまして何らかの結論を出すのを待ちたいと思います。
  458. 渡部一郎

    ○渡部委員 私は、いままでのお話を伺っておりまして、まことに憂いを深くするものであります。私たちは、疑いがある以上はこれは起訴をし、証拠価値や被疑者に対する心証形成というものはこれを裁判所にまかせるというのが検察の常道であろうかと思うのであります。しかしながら、これについてよりも、むしろ問題というものは、この政治家と金の密着が、こういうような何ともいえぬいいかげんな、何ともいえぬ説明不能な言いのがれの中にあいまいなうちに処理せられていくことであると思うのであります。これでまた一つ――――――――黒い黒い霧がかかってきたのであります。それがほんとうにどういうものであるかということを国民の前に晴らすのでなければ、絶対に私たちは国民の疑惑が晴れることはないと思うのであります。ほんとうにただいまのような御証言のもとに検察審査会が終わるまで返事ができないというようなことを言われるのであったならば、私はあまりにも地検に関する見解も何もかも無視した言い方ではないかと思うのであります。もう一回刑事局長にお願いしたいと存じます。
  459. 川井英良

    ○川井政府委員 検事が不起訴にするということは、御承知のとおりこれは一応の処分でございます。この種の事件にはあまりありませんけれども、ほかの事件では、一応不起訴にいたしましても、その後新しい証拠が出てきた場合においては、事件を再起と称しまして再び起こして、起訴するという事例がたくさんあるわけでございます。本件の場合におきましては、ただいま申し上げましたとおり、法律に定められた組織である検察審査会がこれを取り上げて捜査をいたしておる、こういうことでございますので、私、いまここでもってこまかい内容についてとやかくいろいろ説明をするということは差し控えたいと思います。
  460. 井出一太郎

    ○井出委員長 ただいまの渡部君の発言中、不穏当と認められる言辞があったやに思われますので、後刻速記録を取り調べまして、不穏当な発言があれば適当な措置をいたします。
  461. 渡部一郎

    ○渡部委員 私は、川井刑事局長が先ほど警察の取り調べというものは信用ができない、だからもう一回取り調べるのだというような意味のことを言ったように伺いますけれども、これについて内海さんの見解はどうなのか、十分の自信を持たれた捜査なのか、検察側から言われれば自信がなくなるような捜査であったのか、もう一回お伺いしたいと思うのであります。
  462. 内海倫

    ○内海政府委員 お答え申し上げます。  先ほども申しましたように、兵庫県警察としましては捜査を遂げて検察庁に送致をいたしました。先ほど川井法務省刑事局長が答弁をいたしましたように、捜査というものは、警察だけでなく検事もまた捜査を行なう権限を持ち、また捜査を行なうものでございます。したがいまして、警察が送りましたものについて検事がさらに捜査を行ない、また公訴維持の観点からいろいろ総合的な判断を加えるのは当然のことでございまして、私どもは、在来におきましても警察段階における捜査を終えれば、以後における評価、判断はすべて検察庁のなすところに従うのが当然であろう、こういうふうに心得ております。
  463. 渡部一郎

    ○渡部委員 私は、最高の取り調べを警察当局がおやりになったことを疑うものではまりません。それに対して異議を差しはさむような――よくお調べになったかどうかわからないので伺っておるのであります。検察当局は一体これに対してどういう見解を持っておられるかを先ほどから繰り返し繰り返し伺っておるのであります。  私は国家公安委員長にお伺いしたい。国家公安委員長は警察の取り調べに信用を置いておられるのかどうなのか、私は伺いたい。
  464. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 警察官が真剣に捜査に当たりましたことは信用をいたしております。最後の判断は、いま警察庁の刑事局長が御答弁申し上げたとおりと心得ます。
  465. 渡部一郎

    ○渡部委員 私は、ただいま自信を持って捜査したとおっしゃっておるのでありますから、その事実を確認いたしまして、ますます私は深い疑惑を持ちながら次の問題に進みたいと思います。  それは、私ははっきり申しまして、兵庫県警は厳重処分の意見をつけて送検したとなっております。また神戸地検は公判の維持の自信がありと言われておったようであります。ところが妙なことになってきた。私たちは、財政担当の検事さんたちの会合が神戸の六甲であったということを伺っております。その際、法務省の刑事局長らが来られまして、そうしてこの問題について発言をされ、かつ圧力を加えられたというようなニュースを聞いております。刑事局長に対して、私はこの問題について詳細を報告していただきたいと存じます。
  466. 川井英良

    ○川井政府委員 結論として、私が圧力をかけたというようなことはございません。検察はかなり大きな組織で、また伝統を持っておりまして、刑事局長が圧力をかけたということくらいでどうにかなるというようなものでは、そもそもございません。  それから、御説の中にありました神戸の六甲で云々ということでございますが、確かに神戸でもって会議があったことは事実でございます。その席上に私も出席したことは事実でございますけれども、その際に、この事件について私がとかくの意見を担当者について述べたというようなことは全くございません。
  467. 渡部一郎

    ○渡部委員 私は、そのときのお話についてはあなたのおことばを信用するしかないと思います。信用するしかないと思いますけれども、その次にあったことはますますふしぎだと思うのであります。検察のほうにおいて、さらに十一月の中旬もしくは下旬、日はわかりませんが、井本最高検事総長がゴルフに事寄せて大阪にやってこられて、神戸地検の岡検事正とお会いになって、そのときどんなお話をなすっているのですか。それについて知っておられたら、御返事を賜わりたい。
  468. 川井英良

    ○川井政府委員 いまのゴルフの話は私、知りませんけれども、私が参りましたのは、実はここにお見えになっておる国税庁長官と法務省刑事局長主催で、直税事件の捜査に関して、査察官と経済係検事との捜査事務についての研修会が年一回あるわけでございます。これがたまたまそこで開かれまして、私はいろいろ国会その他の関係がございまして、夜行きまして、一晩泊まって翌朝早く帰ってまいりました。その日に神戸の検事正が病気で倒れまして、私、その病気の見舞いをしたかったのでありますけれども、大ぜい新聞記者もおりましたので、神戸の検事正に会うことは、この事件について疑いを持つことだということをひそかに考えまして、神戸の検事正に見舞いをしないで、そのまま朝帰りました。
  469. 渡部一郎

    ○渡部委員 あなたはお見舞いにならなかったそうであります。ところが岡さんを呼び出されたのは、これはどういうわけなんです。あなたが呼び出されなかったとすれば、だれが呼び出して、あの人はあんなからだが悪くて、心筋梗塞でたいへんなのに、どうしてお出かけになったのでしょう。もう一回お尋ねいたします。
  470. 川井英良

    ○川井政府委員 だんだんお話がこまかくなってまいりましたが、実は前の晩に、国税庁長官なんかと一緒にみんなが集まって、検事正も加わりまして食事をいたしましたその際、私一緒に食事をいたしました。そしてまた翌日朝、開会式に際して、長官やら私やら検事正から、集まった方々に対して一場のお話をすることになっておりました。ところが、時間が来ましても検事正は見えませんでした。どうしたのだろうと心配しましたら、心筋梗塞で倒れたということでございまして、自後、検事正は二カ月間入院いたしておりました。さような具体的な事情がございますので、私の言うところを御信用いただきたいと思います。
  471. 渡部一郎

    ○渡部委員 この問題について、いまお話がだんだん積み重なってまいりました。何もわざわざこの事件のある神戸の、しかも六甲なんというところにやってこられる必要がない。神戸の六甲というところは神戸市の真上にある山であります。風景はきれいですけれども、取り立ててやってこなければならぬような山ではございません。そこへわざわざ事件のときに、法務省のおえらいさんたちがおいでになる、地元の検事をお集めになる、そうして一場所の訓辞をお話しになる。そして京阪神土地のことが一言も出なかったとしたら、それは職務怠慢でございましょう。そのときに一体どういうお話をなさったのか、私が幾ら聞いても御返事がないようでありますから、先に進みます。  今度は、このような形をもって私が推定いたしますのは、検察当局の最高検筋から、あるいは法務省からの何かの指図があったのではないか、それもあまりいい感じでないものがあったのではないかということをはらすために伺っておるのであります。たとえばここにありますのは読売新聞九月四日号でありますが、正示代議士の捜査につき「前検事総長の名で圧力」として、元検事正の田辺弁護士という方が正示代議士の問題について、正示代議士の取り調べは強制捜査でなく、身柄不拘束でやってほしいということを、前検事総長の馬場さんの名前をお使いになって、そうして県警木部長とそれから岡検事正に対して電話をされたそうであります。こういうことでは士気に響くというので地検側は憤慨しているという記事が載っております。これはどうも私の調査によっても事実のようであります。何ということか、一体検察当局というものは、こういうような検察の先輩の圧力によって大きな威圧を受け、そうして威圧することを承認しておられたのかどうか、私はもう一回伺うのであります。
  472. 川井英良

    ○川井政府委員 私はそういう記事を見ましたけれども、いろいろ聞いてみましたら、そういうようなことはないようでございます。
  473. 渡部一郎

    ○渡部委員 私は、そういう問題について疑惑が次から次へと渦巻いてくるのを感ずるのであります。もしほんとうにこういう問題について疑惑がないのならば、それこそそれに対するところの明快な見解が披瀝されてしかるべきだと思うのであります。このような怪しげなことが続々続々と行なわれてくる。そうして圧力がかかってくる、これであっては公正な捜査、公正な検察当局の一線検事の努力というものは不可能ではなかろうかと私は思うのであります。  さらに次に参ります。この事件が終わって不起訴の決定したあと、正示代議士はこの問題に対して何と述べられたか。私はもうきわめて遺憾なことでありますけれども、この正示代議士は、私が山田から受け取ったのは顧問料である、こう弁明をされまして、そうして、こういう問題に巻き込まれたのは不測の災難である、不測の災難だ、これくらいの仕事は、いい仕事があればもう続々あとから顧問料を受け取るであろう、喜んで受け取るのだ、こういうようなことを言われたそうであります。このたくさんの人々、百八十三人にのぼるところの小口債権者たち、なけなしのお金をはたいて、そうして口車に乗ってお金を取られた人々、二億円のお金を取られた人々、こういった人々がこのお話を聞いて何と考えるかと思うのであります。これをいじめるほうに回った正示代議士が、はからずも山田の手からこういうお金を受け取った、何というきたないお金を受け取ったのか、百八十三人の人々から金を取ったのと同じことになってしまった、悲しいことだ、まことに申しわけないということを言ってしかるべきだと思うのであります。このような政治道義の退廃について一体どう考えておられるのか。私は申しわけないのですけれども、この正示さんというのはどうやら福田派とか伺いますけれども、大蔵大臣、大蔵省出身の代議士でもありますし、これについてどういうお考えで、この大蔵省出身者に対するところの、大蔵官僚に対するところの規制を心がけておられるか、一言御説明を願いたいと思うのであります。
  474. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 大蔵省といたしましては、金融機関が関連をいたしましてああいう事件が起こりましたことは、まことに遺憾に存じておりまして、今後そういうことのないように手配はいたしております。  なお、正示代議士が福田派だどうだなんておっしゃいますが、私は派閥解消派で、どなたも福田派というものはありませんから、さよう御了承を願います。
  475. 井出一太郎

    ○井出委員長 渡部君、渡部君に申し上げます。申し合わせの時間があと十分でございますから、その間に結論にお入りください。
  476. 渡部一郎

    ○渡部委員 もう申し合わせの時間が近いというせっかくの御注意でございますから、私はそろそろこの問題の締めくくりをしたいと思うのであります。  このような先ほどからの質問に対するところの懇切な御説明にもかかわらず、私はまことにどうも釈然としないものを感ずるのであります。この釈然としない問題に関して、一体どういうふうにわれわれはここ政治姿勢を正していったらいいかという問題を考えなければならぬと思うのであります。私は総理が率直にここまでの応答を聞かれましたので、総理はもう一切了承せられましたことと思います。このような問題が先ほどから渦巻いておる中にありまして、総理は一体どう今後の政治姿勢を正すように行政府に対して、官僚諸氏に対してその施策を打たれるのか、また政界人として御自分の自由民主党に対するところの指導方針を確立せられるのか、これを私は国民の前に明示していただきたい、こう存ずるのであります。
  477. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私自身は、かねてから申しますように清潔な政治、それこそが国民の信頼をつなぐゆえんだ、かように思っております。したがいまして、政治家はもちろんのこと、行政官、公務員等につきましてもこの綱紀粛正、そういう意味で特に身を持すること厳重にするように注意をしております。また、お話のありました警察あるいは検察当局につきまして私どもは一切関与せず、この検察当局あるいは警察当局、おのずから信ずるところに従いまして公正にかかる問題については処断する、こういう態度であってほしい、かように思っております。
  478. 渡部一郎

    ○渡部委員 私は、この問題に関しまして本日最後につけ加えまして、地元の債権者の委員の人々から陳情がありましたので、私はこの席で申し上げておきたい。  地元百八十三名の人々は小口債権者として、二億三百万円のお金をこの京阪神土地会社においてだまし取られたわけであります。現在の管財人代理である大白弁護士が更生計画の試案を裁判所に提出いたし、今回開始決定になったそうであります。ところが、この原案によりますと、土地というものは全部取り上げてしまって、そうしてこの土地に関しては新しい値段で売り飛ばして、三菱とか商銀とかの三行だけを除いて、銀行の債権はことごとく全部還付する。ところが、小口債権者においてはその一部を支払い、一部を支払わない、こういうやり方において処理しようとせられておるようであります。しかも値段は昭和四十一年当時の価格で支払うことになっておりまして、当時、たとえば熊内台の場合でいえば、一坪九千円のものが現在は四万円もしております。そうすると、この全額返したといたしましても大きさは四分の一にすぎない。四十坪の人だったら、何と十坪にしかすぎない。しかも、建ぺい率を入れれば四坪しかもう買えない、こういう状況になっております。大蔵委員会で、債権者を救う、こういうことが銀行当局から打ち出されております。銀行局の幹部も、またこの銀行の代表者もそれを述べておるのでありますが、こういうことでは債権者の人権というものはまことにじゅうりんされてしまうしかない。私は、この問題についてどう処分をせられるのか、このような小口債権者の問題については佐藤総理のほうへも陳情のお手紙が出ているそうであります。ところが、秘書さんからの御返事があって、しかるべき善処をいたしますというお手紙が一通来ただけで、あとは何ら具体的事実がない。地元では大きな怒りを持っております。私はこれについても銀行局長並びに総理の御返答を賜わりたい、こう思うのであります。
  479. 澄田智

    ○澄田政府委員 小口債権者の問題につきましてお答え申し上げます。  ただいまもおっしゃられましたように、現在小口債権者救済のために会社更生法適用ということで申請がなされまして、去る十一月二十日、神戸の地方裁判所より更生手続開始という決定がされております。今後小口債権者を含めまして関係人の集会において十分再建計画について審議をいたしまして、債権者等の意見の調整がつけば明年四月ごろに認可をするということで現在進んでいるように聞いております。いろいろ担保の関係その他いろんな法律上の問題がございます。そういう状況ではございますが、小口債権者というのがこの問題の大きな被害者でもございますので、その保護に重点を置くように、われわれのほうも関係銀行等には必要に応じて十分そういうような指導をしてきておるわけでございます。今後裁判所を中心とする更生手続によって公正妥当に、かつ早期に解決されるようにと、われわれのほうからも側面的に関係金融機関の指導というものを通じてそういう趣旨にかなうように今後とも努力をいたしたい、かように存じております。
  480. 渡部一郎

    ○渡部委員 総理の前に、大蔵大臣、ひとつこの問題について御返事を賜わりたい。
  481. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 どういう御質問でございましょうか。
  482. 渡部一郎

    ○渡部委員 小口債権者の救済の問題です。
  483. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 小口債権者の救済につきましては、ただいま銀行局長からお話がありましたが、だまされたという零細な方々はほんとうにお気の毒には存じます。しかし、ただいま報告がありましたように、会社更生法が適用されて更生会社ができるようでありますから、これが成功するように御期待をする。また私のほうというか大蔵省でも、更生会社がうまくいくようにお力添えができますればさようにいたしたい、かように考えております。
  484. 渡部一郎

    ○渡部委員 いま大蔵大臣はどうもよくわかっておられないみたいですから、それではお話にならないのです。私が申し上げているのは、このような手続を踏んでまいりますと、銀行の債権だけが補償されて小口債権者は全く補償されない形になってしまう。それでは気の毒ではないかと申し上げておるのです。
  485. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いま大蔵大臣並びに銀行局長が詳しく説明いたしました。また小口債権者について十分の保護をしたい、かようなお話でございます。また私どももこの話が耳に入りました以上、ほうってはおきません。また渡部君自身もすでにこの席でまでお話しでございますから、さらにその始末等につきましてもどうか御連絡を願いまして、そうして小口債権者を救済ができるように、この上ともよろしくお願いします。
  486. 井出一太郎

    ○井出委員長 渡部君、あと一問で……。
  487. 渡部一郎

    ○渡部委員 それから私は先ほどの検察関係の問題で申し上げるのでありますが、問題のあっせん収賄罪の規定でありますが、先ほど有能なる検察当局のお方がしばしばいろいろな言を弄せられまして、明確なる答弁ができなかったように思うのであります。このような第一線の捜査当局をして悩ましめるような法律であるということについては、私はきわめて遺憾なことであると思うのであります。このあっせん収賄罪の規定については、これを十分に検討し、これはもっとすっきりした形のものにしなければならない。少なくともたくさんの詭弁の往来を許すような法律であってはならない。いまみたいないき方であれば、顧問料だとがんばりさえすればどんなお金でも受け取ることができる。贈賄者と、収賄者の意見が食い違いさえすれば、どんなお金を受け取ってもよろしいなどというような事実がこれで明らかになったとするならば、これは悪者の栄える国をつくるしかないのであります。したがいまして、私はこういうあっせん収賄罪の規定については、断固改正するほうが至当である。またそうでなければならぬと思うのでありますが、この件について最後に総理の見解を承っておきたいと存じます。
  488. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 法律はいろいろ皆さん方の御審議を経ましてつくるわけでございます。いま法律が幾つありましても、これはあっせん収賄罪ばかりじゃございません。なかなか目的を達しないような法律がございます。それらの点を、御審議をいただく際によくこれからまた気をつけまして、そうして事実、現実に犯罪をなくすること、そのための法律でありますから、むずかしいことだと思いますけれども、十分ひとつ審議を慎重にするようにしていただきたいと思います。
  489. 渡部一郎

    ○渡部委員 改正をやるという意味ですね。
  490. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 そうです。
  491. 井出一太郎

    ○井出委員長 これにて渡部君の質疑は終了いたしました。  次に、松本善明君。
  492. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、日本共産党を代表いたしまして、佐藤総理に若干質問したいと思います。  沖繩問題は安保条約再検討の問題と関連いたしまして、国の政治の基本路線にかかわるものとして国民の重大な関心事になっております。先般行なわれました沖繩の主席選挙で屋良朝苗氏が当選をされましたが、この屋良さんの掲げて戦われた野党の統一綱領は、サンフランシスコ条約第三条撤廃、日米共同声明に基づく一体化反対、即時無条件全面返還、基地反対、安保反対を中心に書いてあります。これと、沖繩自民党の西銘候補が本土並み、すなわち核抜き返還を掲げて争ってさえ大きく破れたこととあわせて考えますと、佐藤総理がいままで進めてこられた政府の沖繩問題解決の基本方向が、沖繩県民から否定されたものであると考えざるを得ませんけれども、総理はどう考えられますか。
  493. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 松本君御承知のように、松本君もお出かけになり、屋良候補が当選された。この意味で沖繩県民の意向が非常にはっきりした。ことに、そのときの選挙スローガンをお読みになったようであります。しかし私どもは同時に、沖繩県民の願望ももちろんでありますが、同時にわが国本土に返ってくるのでありますから、これは一体としてやはり考えなければならない問題だろうと思う。私はアメリカと交渉するにいたしましても、沖繩県民の要望を胸にちゃんと持ち、同時にその応援、その声援のもとに、本土の意向とあわせてこの問題と取り組む考えでございます。ただいま言われますように、沖繩が本土に返ってくるその際に、まず第一に本土の人たちの気持ちにならなければならない。私は今度の選挙には参りませんでしたけれども、私はアメリカに行きましてから沖繩に参り、沖繩の諸君の一番の問題は何といっても早期祖国復帰じゃないか、かように思います。おそらく松本君などは、この早期復帰にあわせて、いま言われるようないろいろな問題を、これはもう分離できないのだ、こういう意味で御説明であろうかと思いますが、しかし先ほど来、各党との話し合いでもいたしましたように、何としても施政権を返してもらって、そうして祖国復帰、それがまず第一に沖繩県民の要望じゃないだろうか、私はかように思っております。しかし、これにつきましても皆さん方の御要望、これをよく理解して私は取り組まなければならぬ、かように思っております。
  494. 松本善明

    ○松本(善)委員 いまも総理は、早期復帰の願望ということを非常に強調されたわけであります。あの選挙では、基地を認めるかどうかということも最大の対決点として争われ、そうしてその結果、基地反対の屋良氏が当選をされたわけであります。この沖繩県民の意思が早期復帰だといわれるのは、故意に選挙戦の争点である基地問題について示された県民の意思を無視するということにはならないでしょうか。この点についての総理のお考えを……。この早期復帰ということですね、これを所信表明でも言われたが、この基地については特に触れられない、いまの答弁でも特に触れられない、ということは、基地についての県民の意思を無視するということにはならないか、こういうことです。
  495. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 少し答弁をはしょりまして申しわけございません。社会党あるいは民社、公明党それぞれの方にお答えいたしましたように、まず施政権の返還、そうして基地の問題のあり方、それをひとつ考えようというのが私の考え方でございます。
  496. 松本善明

    ○松本(善)委員 基地の問題を考えられるというのは、沖繩の県民が基地反対ということをはっきり表明したという要望をになってやるという意味ですか。
  497. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私が沖繩の返還について交渉いたします場合に、それぞれの県民の希望、要望、これにこたえ、また日本国民の要望、これを踏んまえて交渉する、こういうことでございます。
  498. 松本善明

    ○松本(善)委員 アメリカ側の基地についての考えは、核つきあるいは自由使用というのは絶対に譲れないというふうにいわれております。総理は所信表明でも安全保障上の要請をたいへん強調されましたけれども、これは、このアメリカの考えを受け入れるということにはなりませんか。
  499. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 アメリカの考え方、まだ私ははっきり聞いておりません。私が考えなければならぬことは、この日本の安全を確保するという、日本の安全がそこなわれるというようなことでは、これはたいへんだ、かように考えております。したがいまして、まず施政権が返ってくる、それでおそらく大部分のものは解決ができるのではないか、同時にその際に、基地のあり方、これが日本の安全をそこなうようなことのないようにぜひしたいものだ、かように私は考えております。いまアメリカがどういうことを考えておるということを申します前に、日本の総理は一体何を考えるか、そのことを私は皆さん方に申し上げたい。同時にまた皆さん方からも聞きたいのは、日本の安全はどうしたらいいか、そのことが聞きたいのであります。(「非武装中立」と呼ぶ者あり)私は非武装中立という、いま社会党の不規則発言もございます。あるいは共産党のように、自衛力、この自衛力で守るとか、等々の御意見もございます。しかし、現実の問題といたしましては、わが国の安全、これは憲法のもとにおきまして、ある程度の自衛隊、自衛力は持ちますけれども、やはりこれは通常兵器に対する問題でございますし、さらに私どもは日米安全保障条約のもとにおいて、わが国の安全を確保するという、そういう国是をとっておりますので、その観点からもこの点を考えていかなければならぬ、かように御了承いただきたいと思います。まだ私、はっきりきめておりません。
  500. 松本善明

    ○松本(善)委員 アメリカの考えははっきりわからないと言われましたけれども、核つき、あるいは自由使用は絶対譲れないといわれておりますけれども、それは違う、こういうふうに言われますか。
  501. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私は違うとも、そのとおりとも言っておらないのです。まだ私、アメリカとその点で交渉しておらないから、しばらくその点はお預けを願います。
  502. 松本善明

    ○松本(善)委員 総理は、沖繩の早期返還を望むならば、本土並みは無理だという発言をしばしばされました。そしてこのことについて、先ほどは、それはあす返ってくるという場合のことなんだというふうに言われました。しかしこれは、経過からすれば明らかにそうではありません。三木武夫氏が本土並み基地返還ということを言われた場合に、それをきびしく批判されました。三木さんもあの当時、もちろんあす返ってくるということを前提に言われたのではないはずです。そういうことで言うならば、佐藤総理はいまここになって話を変えておるけれども、いままでの発言は、明らかに早期返還か本土並みかという選択を国民に迫っているというふうに受けとれます、このことは、結局、早期返還というのならば、本土並みというような無理なことを言わないで、安全保障上のアメリカの要求を聞かなくちゃならぬ。そうでなければ返還はむずかしい、現状のままなんだということを言っているということにはなりませんか。
  503. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 松本君はもう誤解はないと思います。が、どうも私どもいろいろ沖繩の問題を話をしていると、ときに施政権は返っておるかのような言い方をされる。そういう前提で、基地がどうなっているとかいうような議論があったり、あるいはまた先ほどもB52の話が出てくると、施政権はアメリカだが、こちらから頼んだようなお話まで出る。そこらにどうも観念的に少し混乱があるのじゃないのか。したがって、私が、この早期返還というようなことを申しましても、私の早期返還と言っているのは、共同コミュニケに出ているジョンソン大統領と私との話、両三年のうちにとにかく復帰のめどをつけるという、その復帰のめどができるだけ早くという、それが早期返還ということの実現でございます。どうもその話を聞いておりますと、もう復帰はしたのだ、その上で今度は基地はどうするのだ、こういうような話に発展をしたり、B52は何だか日本が頼んで、そうしてあそこへ来たような言い方をされますが、そこらの混同をしないように、そこらに時期的な条件のあることを念頭に置いてこの問題とひとつ取り組もうじゃありませんか。その辺にどうも国民にも――それは気持はわかりますよ。できるだけ早く日本に帰りたい、交渉も何も要らぬじゃないか、日本本来の領土じゃないか、もうあすの日にも帰れ、こういうふうな気持ちが、ときどき出てくるように思うのです。それを私は政治家として、あまり誤解されないように、それらの点を分けて説明しているのです。
  504. 松本善明

    ○松本(善)委員 いま言われた早期返還というのは、めどをつけるというまでのことなんだということを言われたので、あらためてお聞きするのですけれども、基地の態様については、現実に沖繩が帰ってくるときまでにきめるのだ、こういうお考えですか。
  505. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私は、必ずしもそこまでは考えておりません。とにかく話がつけば早く、それにこしたことはございません。私どもの党でも、この問題についてはいろいろ検討しております。したがって、先ほど来お話がありますように、究極には一体どうなるのかというようなことで議論しておることは、すでに御承知のとおりであります。私は、こういうような問題が、話をしているうちに、当方の希望が、期待がだんだん出てきて、そうしてその方向へ行くことが望ましいのですが、そういう意味で私は先ほどから慎重な発言をしておるつもりであります。
  506. 松本善明

    ○松本(善)委員 この沖繩返還の場合の沖繩の基地のあり方について総理の考えが明らかにされないために、国民は非常に大きな不安を持っております。というのは、核つきとか自由使用ということになると、これは横田や立川に核が入ってくるのと同じことになる。先ほど総理も沖繩を別扱いにしないと言われましたけれども、これは対外的には、沖繩に核があるのでこれは別でございますといっても、もし沖繩に核が入ったままであれば、これは日本が核武装をするということになるわけです。そういう意味で、非常に大きな不安を持っておる。  ところで、お聞きしたいのは、この基地のあり方について国民の賛否の意志が明確にできるように、この問題についての協定は国会の承認を得るという意思がありますか。
  507. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私は、いまのどういう段階で国会の承認をとれとおっしゃるのか、ただいまの、沖繩が復帰する、こういう場合に、国会抜きにさようなことは片づかないと思いますよ。だから、それはもちろん、国会におきましても、小笠原が復帰する、それだけでもちゃんと国会にはかってきまったのですから、沖繩の問題になればもちろんのことであります。ただ、私は、いまお尋ねがあるし、そういうような手続きでなしに、もっと何か途中でだんだんと中身を具体的にする、そういう意味で国会に承認をとるのか、こういう意味じゃないかと思います。ただ、私は、ただいまの段階ではまだそこまで考えておりません。またそこまで松本君がお尋ねなのかどうか。一ぺん解散して国民に問えとか、こういうような御意見でもあるならば、解散はしない、その点を重ねて申し上げておきます。
  508. 松本善明

    ○松本(善)委員 私の聞いておりますのは、基地の態様についての問題を国会の承認を得るかということであります。それは沖繩の返還協定以外に、安保条約の事前協議に関する新たな交換公文をつくるというようなことによって、あるいは事前協議条項についての包括承認をするというような形で、国会の承認を経ずにこの問題を解決をするということがあり得るのかどうか、その点について国民の意思の賛否が明らかにできるようにするという考えがあるかどうか、この点を聞いておるのであります。
  509. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 そこが実は問題なんです。それで、私がいままでまだ考えてない、まだ結論を出してない。考えてないじゃない、結論を出してない。いわゆる安全保障条約そのままなら、私は、別に新しく国会のとやかくの承認は必要でないのじゃないかと思います。しかし、日米安全保障条約と別なことになれば、それはもちろん国会にかけなければならぬだろう。したがいまして、私がただいまいろいろくふうし、いろいろ考え、矛、そうして国民の各界の協力を得るような方法はどこにあるのか、それが私がいま一番悩んでおる点であり、その意味において各党の皆さんからの御意見も聞いておりますが、また同時に国民の各界各層の方々の御意見も聞いておるつもりであります。したがって、その点をよく慎重に考えていかなければならぬ。それこそ日本の将来を誤る、そういうことがあってはならぬ、かように私は考えております。
  510. 松本善明

    ○松本(善)委員 総理が私の問いをはっきり否定をされなかったということは、総理が核つきあるいは自由使用を考えているのではないかという疑問をますます深くさせたのであります。これは非常に危険なことでありますが、時間がありませんので、機会を改めて、私はあらためて追及をしたいというふうに思います。
  511. 井出一太郎

    ○井出委員長 これにて松本君の質疑は終了いたしました。      ――――◇―――――
  512. 井出一太郎

    ○井出委員長 この際、閉会中審査に関する件についておはかりいたします。  予算の実施状況に関する件及び予算委員会運営の改善に関する件、以上二件について必要ある場合は議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますので、その手続等につきましてはあらかじめ委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  513. 井出一太郎

    ○井出委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  委員並びに政府各位におかれては長時間にわたり御協力をいただき、委員長として深く感謝の意を表する次第でございます。  本日は、これにて散会いたします。     午後八時三十九分散会