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1967-06-08 第55回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 13号 公式Web版

  1. 昭和四十二年六月八日(木曜日)    午前十一時十七分開議  出席委員    委員長 矢野 絢也君    理事小宮山重四郎君 理事 齋藤 憲三君    理事 中曽根康弘君 理事 福井  勇君    理事 渡辺美智雄君 理事 石野 久男君    理事 三木 喜夫君 理事 内海  清君       池田 清志君    佐々木義武君       世耕 政隆君    増岡 博之君  出席政府委員         科学技術政務次         官       始関 伊平君         科学技術庁長官         官房長     小林 貞雄君         科学技術庁原子         力局長     村田  浩君  委員外の出席者         原子力委員会委         員       有澤 廣巳君         原子力委員会委         員       山田太三郎君         参  考  人         (原子燃料公社         理事長)    今井 美材君         参  考  人         (日本原子力船         開発事業団理事         長)      石川 一郎君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事長)  丹羽 周夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  原子力基本法の一部を改正する法律案(内閣提  出第七二号)  動力炉・核燃料開発事業団法案(内閣提出第七  三号)      ――――◇―――――
  2. 矢野絢也

    ○矢野委員長 これより会議を開きます。  原子力基本法の一部を改正する法律案及び動力炉・核燃料開発事業団法案の両案を一括議題とし、審査を進めます。  最初に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  ただいま議題といたしました両法律案審査のため、本日、原子燃料公社理事長今井美材君、日本原子力船開発事業団理事長石川一郎君及び日本原子力研究所理事長丹羽周夫君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 矢野絢也

    ○矢野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ――――◇―――――
  4. 矢野絢也

    ○矢野委員長 参考人各位には御多用のところ、本委員会に御出席いただき、ありがたく存じます。  御意見の聴取は、質疑応答の形式で行ないますが、どうかそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べくださるようお願い申し上げます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中曽根康弘君。
  5. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 原子力開発の問題について若干御質問をいたしたいと思います。  なぜ質問するかといいますと、原子力開発の途上で、いまの時点というものは、非常に歴史的に重大な段階にあるように思うのです。すでに原子力基本法の改正を伴ってきている法案が提出されているということ自体が、いままでの日本の原子力政策にターニングポイントが来ているということを示しているものであろうと思いますし、それから、客観情勢を見ると、核拡散防止条約の問題もあり、これが平和利用の開発と関連してくるし、それから、資本自由化という問題がもう目前に迫ってきている。これが日本の技術開発の問題と関連してきましょうし、そういういろいろな点から見ても、日本の原子力政策について根本的な検討を加える段階になっているように思うのです。特に、燃料問題については日米協定の改定の問題があって、こういういろいろな問題を総合的に調整し、考え方をしっかりきめておかないと、将来非常なそごを来たすというおそれがある。そういう観点から、念のために、私は政府の意図をただして、これを記録に残しておきたい、そういう意味で申し上げるので、慎重に御答弁願いたいと思います。  そこで、順序の上のからちょっとお尋ねいたしますが、今度の動力炉開発ということは、将来増殖炉につながるものでありますが、一応その新型転換炉あるいは転換炉あるいは熱中性子炉、高速中性子炉、それから増殖炉、この定義をまず原子力局長から聞かしていただきたい。
  6. 村田浩

    ○村田政府委員 御案内のとおり、原子炉の中で核燃料が核分裂反応を起こします際に、ウラン二三五が俗にいう燃焼いたしまして、その際出てきました中性子によって、親物質でありますところのウラン二三八、そういったものが核分裂性物質であるプルトニウム二三九というものに変わっていくわけでありますが、その場合の核転換の率、度合いを一つの目安といたしておりまして、この転換率が一より以下のものを転換炉、こう呼んでおります。また、いまの比率を転換率あるいは転換比とか呼んでおるわけでありまして、つまり一と申しますのはウラン二三五が一つ燃焼して核分裂します際に、新しくできてくる特殊核物質であるプルトニウム二三九が同じく一できる、こういう場合を転換比が一である、こう申しておるわけであります。したがって、転換炉といいます場合には、転換比が〇・五である、〇・八である、こういうことに相なるわけであります。この場合、一般にこれまでの原子炉は、核分裂反応の連鎖反応をうまく続ける上に、これをコントロールしてやらせる必要があるわけでありますが、その際のコントロールの面から見ましても、核分裂の際に出ました非常に速度の早い中性子、これを高速中性子と呼んでおりますが、これを速度を落としてやりまして、そして非常におそい速度の中性子にしてから、ウラン二三五にぶつけて核分裂反応を進める。その速度を落とすために使われる材料が減速材でございますが、そのように速度の落とされたものを熱中性子と呼んでおります。分裂の際に出てきましたそのものは高速の中性子でありますが、減速材によってスピードが落とされたもの、これを使って核分裂の連鎖反応を進めるようにして原子炉のコントロールをいたす、こういうような仕組みでできておりますものを熱中性子炉と呼ぶわけでございます。したがって、通常の原子炉、これまでに主として開発されてきましたところの、かつまた、実用化されてきましたところの、たとえばコールダーホール型の原子炉であるとか、あるいはアメリカの軽水型原子炉であるというようなものは、この分類からいたしますと、熱中性子転換炉ということに相なるわけであります。  他方、転換比が一以上になりましたものを、これは燃えました燃料よりも新しく生成される燃料のほうが多くなるわけでございますので、これを増殖と申しまして、このような反応ができる炉のことを増殖炉と呼ぶわけであります。増殖炉につきましても、高速中性子を使う増殖炉と熱中性を使う増殖炉とがあるわけであります。すなわち、核分裂の際に直ちに出てまいりました高速の中性子を、減速材を使わずにそのまま核分裂反応の連鎖反応に使う、これはコントロール上技術的にむずかしいわけでありますけれども、研究開発によりまして、そのことを安全にコントロールして行なうようにいたしましたもの、いろいろとくふうがございますが、そういうことのできますようになったものを高速中性子の増殖炉、こう申しますし、他方、速度を落としました中性子によって増殖を行なえるようにしたものを熱中性子増殖炉と申します。  ただ、ここで申し上げておかなければいけませんのは、ウラン燃料を使います場合には、御存じのとおり、ウランの中にはウラン二三五とウラン二三八がございまして、ウラン二三五だけが天然の核分裂性物質でございますが、このウラン二三八を転換してプルトニウム二三九にするにつきましては、この熱中性子を使った場合には、なかなか転換比が一以上にできない。この点がなかなかむずかしい。他方、トリウム使いました場合には、熱中性子でも増殖が可能になるということでございまして、熱中性子増殖炉の場合には、一般にウラン燃料でなくて、トリウム燃料を使う、こういうのが通常でございます。
  7. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 そこでお尋ねしたいのでありますが、いまのような段階で、転換炉から高速増殖炉に至るには、ある期間、時間の経過が必要だと思います。そこで、日本は、転換炉の中でも新型転換炉の独自の開発を目ざして進むわけでありますが、すでに現在、見ておるというと、軽水炉がもう実用化されて、普遍化しておる。いま日本の原子力開発の大宗は、基礎研究もさることながら、実用の段階に入ってきておる。諸外国の情勢も実用化のレベルで非常に発展しておるわけです。そこで、何といっても、開発されたものが実際実用化され得るかどうかということが大きな問題になってくると思うのです。たとえば転換炉にしても、カナダやあるいはフランスにおいては、重水を使ってある程度の研究が進んでおる。日本はいまからそれに乗り出すわけでありますが、かりに日本が独自のものをつくったとしても、そのときに軽水炉のほうがさらに進んでいて、そしてユーザーのほうで軽水炉を使ったほうがはるかに得だという場合には、国家といえどもこれをとどめるわけにはいかぬ。そこで開発のテンポ及び開発の内容というものが非常に大きな要素になってくると思うのです。そういう面から、一体どういうようなデッサンで、どういう順序を経て、開発の計画をつくっておるのか、軽水炉とのペイの関係においてどういう目算があるのか、そういう点について、どうせこれだけの大きな仕事をやるというのですから、あるデッサンができ、中心的な軌道が試行錯誤的につくられていて、それを直していくという過程で進められると思うのでありますが、その辺のところを承知しておきたいと思います。
  8. 山田太三郎

    ○山田説明員 この新型転換炉は、いま中曽根議員のお話しのとおり、各国において進められております。したがって、これが何か独自な地位を占め得るものでなければ、われわれがこれがこれから開発する価値がないと考えていいと思うのでありますが、ただいま例に出ましたカナダの場合等は、天然ウランを完全に指向しております。日本の場合にも、濃縮ウラン依存という見地を離れて、天然ウラン一本でいくということも考えられますが、しかしいまお話しのありましたように、天然ウラン型でやりますと、東海村の例でもありますが、重水炉にいたしましても、やはり経済性においては濃縮ウラン軽水炉等に劣る可能性がございます。したがって、われわれの考えております新型転換炉は、現在カナダでやっておりますいわゆるCANDU――BLWでございますが、しかし形はそうでございましても、日本の国情に合わせる必要がある。すなわち資本費が比較的安いカナダにおきましては、資本費面において、建設費の面で若干高くてもある程度成り立つ可能性がございますが、日本の場合には微濃縮ウランを用いて資本費を安くしていかなければならぬという点がございます。しかし濃縮ウランにずっとたよっていくのであっては、これまた、先ほどの濃縮ウラン依存の面から脱却できませんので、したがって、最初には微濃縮ウランあるいはもちろんプルトニウムでもけっこうでございますが、それを入れた燃料を使用いたしまして、あとはずっとそれで出てまいりましたプルトニウムを中へ入れていけば原子炉が運転できる、すなわち自給自足型の原子炉を考えております。それをセルフサステーニング・タイプというようなことばで呼んでおります。なお、やや技術的に申しますと、カナダ型の原子炉は天然ウランでやっておりますが、そのために技術的にややむずかしい点がございます。これはコールダーホール型のときにも問題になりました、正の温度係数という運転上非常にむずかしい問題と同じように、正のボイド係数というのがございまして、カナダは運転上いろいろ苦心をして、その欠点を避けようとしておりますが、われわれはそういう欠点を初めからできるだけなくすようなデザインということになっておりまして、そういう意味では、CANDU-BLWあるいはSGHWRとは非常に親類ではありますが、一線を画す点を持っております。これは日本の国情に合う炉を開発するということでございます。しかしながら、それにいたしましても、非常にスローピースでこれを開発しておりましたのはどうにもならないということも御指摘のとおりでございまして、高速中性子炉におきましては、実験炉の段階を通るわけでございますが、新型転換炉の場合には、もっと早くこれを実用に供するようにしなければいけませんので、実験炉の段階を飛び越えまして、直ちに原型炉に着手するということを考えております。それによって、いままでおくれておりました分を幾らかでも取り戻して、実用に供したいということを考えておりまして、四十四年後半からこの原型からこの原型炉の建設に着手して、三、四年で建設を終わって、その段階でいま言いましたプルトニウムのセルスサステーニングというようなことを若干明らかにした後におきまして、これを実用に供していきたい、こういうふうに考えております。
  9. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 私はいろいろなことを聞きたいと思うので、こまかい技術的な点は要りませんから、大きな背骨をずうっと話していってもらいたい。  新型転換炉の第一号炉をいまのような構想でつくるということですが、一体、高速炉に至るまで何基ぐらいくる見込みであるか、あるいは、そのできたプルトニウムをどういうふうにリサイクルして燃料との関係で使っていくのか、二号炉あるいは三号炉において、そのままプルトニウムを使っていくのか、あるいは天然ウランとの加工でやるのか、重水でやるのか、水でやるのか、大体転換率をどの程度まで、一号炉、二号炉、三号炉、それから増殖炉に結ぶまでに連係づけて持っていくつもりであるか、その辺はどうですか。
  10. 山田太三郎

    ○山田説明員 新型転換炉は、いわゆる高速炉に至る段階のものであるという考え方がございます。これはいわゆる濃縮ウラン依存の問題でありますが、しかしこのできます新型転換炉は、使用法によりましてはプルトニウムの生産炉として使うことも可能でございます。したがって、何基できるかという御質問でございますが、この高速炉が実用化されますまでは、自分でできたプルトニウムを使ってまいりますが、プルトニウムが今度むしろ必要になる段階におきましては、これをプルトニウムプロデューサーとして使ってまいります。高速炉のできます段階、高速炉がどんどん発展します段階におきましては、プルトニウムは非常に必要でございますので、高速炉ができ上がりましてもやはり新型転換炉をつくっていかなければならないということになると思います。
  11. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 いまのお話は、横の、同じものを幾つもつくるという意味ですか。それとも、もっと発展していったものを、高速炉に近づくものを、質的に少しずつ変わっていったものをつくるという意味ですか。
  12. 山田太三郎

    ○山田説明員 いま考えられておりますのでは、やはり転換炉の範囲でございますが、先ほど村田局長のほうからお話がありましたように、重水炉はいまの熱中性子増殖炉というタイプにも転用可能でございまして、非常に多方面の用途に使えるというものでございますから、これをトリウム型燃料に切りかえまして、増殖炉にすることは考えられますけれども、現在の段階では、これの転換比を特に上げていくというような計画は必ずしもございません。ただし、先ほど申し上げました、微濃縮ウランあるいはプルトニウムを少量使って進むというかわりに、天然ウランだけでいける方向に向けていくことは考えております。
  13. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 そうすると、いまの大体の話だと、一号炉を転換炉としてつくって、それを燃料補給の給源にしながら、直ちに増殖炉のほうへ次の段階は進む、そういう考えですか。
  14. 山田太三郎

    ○山田説明員 これは、新型転換炉と高速増殖炉とは、現在の段階におきましては流れが別でございまして、片方はナトリウム冷却系統でございます。したがって、新型転換炉の系統が、その後自然に高速増殖炉の系統につながっていくということではございません。
  15. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 もちろんそれには違いないけれども、私が聞きたいのは、動力炉開発事業団でつくる炉というものは一基で終わるのか、あるいは質的に変わったものが幾つできるか、そういうことを聞いている。減速材はどうなるとか、燃料はどういう質のものに変わるとか、そういうことを聞いている。
  16. 山田太三郎

    ○山田説明員 新型転換炉におきましては、現在のところ、原型炉どまりでございますが、その原型炉といたしましては、現在のところ、微濃縮あるいはプルトニウム濃縮の重水減速沸騰軽水炉をつくっていくということでございまして、それが天然ウラン型までいく可能性はございます。  なお、高速中性子原子炉におきましては、現在ナトリウム冷却だけを取り上げまして、それの原型炉をつくるところまでにとどめるということになっております。
  17. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 そうすると、プルトニウムを使った軽水炉というものは考えないのですか。
  18. 山田太三郎

    ○山田説明員 ただいまの新型転換炉ができます前におきましても、当然プルトニウムを軽水炉にリサイクルするという事柄が必要でありますし、早期に要請されると思われますので、まず現在やれますことは、むしろプルトニウム燃料を軽水炉に使うことの研究をする、それが可能であるならば使っていくことも考えられます。
  19. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 そういう計画をもっとはっきり私に示せということを言っているのです。あなたの言うことを聞いていると、私が言うと、それに関してリファーしているだけであって、これだけの、二千億円に及ぶという大きな国費を使ってやるというならば、一体どういう建設計画があるか、質的にどういう発展性があるのか、そういうことをまず示してもらいたい、こういうことなんです。事業団をつくれば、あと一基つくればいいというものではないでしょう。
  20. 村田浩

    ○村田政府委員 ただいまの山田委員の御発言でございますが、事業団としてはプルトニウムサステーン型の燃料で経済的な発電が行なえる、そういう型の原子炉の原型炉までを、つまり電気出力で約二十万キロワットまでのものをつくるわけでございますが、これが成功しましたときに、さらに規模としては五十万キロワット以上になると思いますが、五十万キロワットないし百万キロワットぐらいの実用炉を考えております。これの建設は民間の電力会社が担当してつくるという線で考えておるわけであります。  そこで、プルトニウムの利用でありますけれども、いまのお話にありましたように、新型転換炉の実用炉をつくりますときに、そこから出てくるプルトニウムは再びリサイクルして新型転換炉に持ってくる。ところが、それまでに相当量の転水炉ができておりまして、その軽水炉からも、転換比は悪いのでありますが、やはりプルトニウムができてくる、こういったプルトニウムが漸次蓄積されてまいりまして、当初はプルトニウム燃料の開発に使いますが、漸次余剰が出てきますものにつきましては、一方においては、高速炉のために備蓄し、他方においては、その一部を、これは経済性との関連になりますけれども、軽水炉に循環して使う、軽水炉における濃縮ウランの使用量を減らす、そういう点で役立つような使い方を考えていきたい。そのための技術開発も、あわせて本事業団でやっていくという考え方をとっております。
  21. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 その場合は、炉として軽水炉をつくるのですか。
  22. 村田浩

    ○村田政府委員 そのための、プルトニウムをリサイクルするための軽水炉を特につくるということは考えておりません。そうではなくて、現在すでに原子力研究所にJPDR、沸騰水型の動力試験炉を持っておりますが、これの燃料にプルトニウムを混入した、濃縮ウランのかわりにプルトニウムを入れました燃料を試作して使って、それで実験しまして、その実績を十分見きわめたものを民間の燃料加工事業者にその技術を渡しまして、そうして、電力事業者がつくる軽水炉、たとえば敦賀の発電所とかそういったものに入れていく、こういう計画でございます。
  23. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 そうすると、いまの転換炉の開発を大体いつごろまでにやって、その際はキロワット幾らくらいになるという積算をしておるのですか。
  24. 村田浩

    ○村田政府委員 現在の軽水炉が先々どのくらいの発電コストのものに発展するだろうかという見通しがまず必要なわけでございますが、それにつきましては、諸外国の実例その他も参考にして検討いたしました結果、昭和五十年ごろ、約十年先でありますが、そのころに運転を開始する出力五十万キロワット級、あるいは五、六十万キロワット級の軽水炉における発電コストは、キロワット時当たり二円くらいを予定しております。  そこで、新型転換炉がちょうどそのころ、あるいは原型炉ができまして、原型炉ができますと、実用炉というものが考えられるわけでありますが、その際の実用炉の規模は、先ほど申しましたように、五十万ないし百万キロワットになると思いますが、この実用炉の発電コストが大体二円というところを一つの目安にして現在計画を進めておるわけであります。
  25. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 その場合の実用炉も、そうすると微濃縮重水型でいくわけですか。
  26. 村田浩

    ○村田政府委員 その場合の発電コストは天然ウランにプルトニウムを加えましたいわゆるサステーン方式における新型炉としての発電コストとして考えております。
  27. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 そこで、最近の軽水炉の発展の動向を見ると、七十二万キロとか百万キロとか続々大型化してくるし、この速度で見ると、かなりの発展が見られるように私は思うのです。キロワット二円というものは日本の値段かアメリカの値段か、たぶん日本の値段でしょうが、もっと下がる可能性があるのではないかという感じが私はする。そこで、その発電コストにかなりの差があるという場合には、とてもユーザーは使うことに踏み切らぬだろうと思うし、日本の産業のコストの関係から見て、それを普遍化するというわけにはいかぬだろうと思う。そういうおそれはないですか。
  28. 村田浩

    ○村田政府委員 ただいま御指摘のような点が全然ないとは申しません。ただ、確かにいま大型化の傾向が非常にはっきり出てきておりまして、昭和五十年ごろ運転開始するものが五十万キロワットよりもっと大きなものがあるかもしれないと思いますが、同時に、新型転換炉の場合におきましても、軽水炉の動向がそういう大型化でございますと、それに即応した実用炉を建設するということになると思います。大体原型炉の大きさを二十万キロワット程度と考えましたのも、この原型炉ができましたならば、その約五倍までの出力のものが原型炉の技術をベースにしてできる、こういう判断からでありまして、百万キロワットまではその原型炉の技術によって実用化が可能である、こう見て計画しております。ただいまの二円という、これは国内における発電コストでありますが、もちろんこれは五十万キロワットでございますのでこれがもし百万キロワットになりますと、さらに発電コストは安くなります。試算によりますと、大体百万キロワットで、燃料の価格が現在のような価格である、濃縮ウランの価格が現在の価格を維持できるといたしますときには、大体一円五、六十銭まで下がる見込みであります。そこで、新型転換炉の場合もこれに対応して百万キロワットのものをつくりますときには、ほぼこの程度にいくという計画で進めようとしておるわけであります。なお、燃料の価格がただいまの価格と申しましたのは、いまから十年先に、はたして同じ価格であるかどうかという点が不明なわけでありますのでそういたしましたが、傾向として核燃料も安くなるよりは高くなる方向に向かうと思いますので、今度は燃料が高くなった場合の試算をいたしてみますと、転換比がいいということが一つの大きな理由となりまして、新型転換炉のほうが燃料のコストアップに対して非常に鈍感である。軽水炉のほうは非常に敏感であるわけでありまして、現在の燃料価格を基準として予想しました将来の発電コストがほぼ同程度ということでありますならば、十分新型転換炉が実用化され、いわゆるわが国原子力発電のシステムの中に取り入れられることは期待してよろしいと思っております。
  29. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 天然ウランを使うという、それはプルトニウムとの結合でやるという場合にしても非常に型が大きくなって、そのためにキャピタルコストが非常に大きくなる。そういうマイナスから見て、転水炉の発展に太刀打ちできないという危険性はないのですか。
  30. 村田浩

    ○村田政府委員 若干技術的なことに入りますといろいろな意見があるわけでありますが、一つ申し上げますと、軽水炉の場合の大型化といいますときには、やはりこれは圧力容器システムでございますから、圧力容器が漸次大型化していかざるを得ない。大型化してまいりますと、やはり中の圧力が沸騰水型でも七十気圧、加圧水型でも百気圧をこえるわけでございますので、非常に大型の圧力容器をつくるという技術が、材料面を含めまして漸次困難性を増してくる。すでに、アメリカにおきましても、一部圧力容器の使用中における亀裂が問題になっておるようであります。圧力容器が亀裂を起こしますと、この型の炉は全く使いものにならなくなるわけでありまして、炉の寿命である二十数年というものを亀裂を生じないように、そういう技術で巨大なる圧力容器をつくらなければならないという困難を打破しなくちゃならぬと思っております。  他方、この新型転換炉の場合は、いわゆる圧力管型でありまして、圧力は直径約一インチぐらいのパイプの中に保持されればよろしい。したがって、圧力を上げたことによる技術的な困難性というのは、大型化いたしましてもパイプの数がふえるだけでありまして、そういった圧力容器を大型化していくということのような問題はないわけであります。そこで、従来から圧力管型というのは炉の大型化にはむしろ有利である、こういう見方がされております。
  31. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 しかしパイプをうんと使うということは、安全性はあるかもしれぬけれども、コストは多くなるのじゃないのですか。
  32. 村田浩

    ○村田政府委員 この点、今後の技術開発に待たなければならぬわけでございますが、同時に、この圧力容器自身も大型にした場合に、肉厚を倍にしたら価格も倍でできるというものはございませんで、肉厚が少しでも大きくなりますと、製作コストが非常にかさんでまいります。リスクも非常に大きくなってまいるわけでございますし、一応現在では百万キロワットあるいは百十万キロワットくらいまでは可能であるという米側の資料がすでに出ております。ですから、米国技術をもとにして国産化していきますならば、その程度は軽水炉でもいけると私ども思いますけれども、その際における長期にわたる安全性の確保という点では、新型炉のほうに有利な点があろうかと思います。
  33. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 そこで、新型転換炉を開発していく上について、一体何年ぐらいかけて幾らぐらい金をかけるつもりであるか。
  34. 村田浩

    ○村田政府委員 先ほどですか。山田委員からお話がございましたように、新型転換炉につきましては、重水減速沸騰軽水冷却型の原子炉の原型炉と電気出力約二十万キロワットのものを、実験炉段階は省きまして、昭和四十四年後半から建設に着手し、四十九年までには完成いたしまして稼働させるようにしたい、こう思っておりますので、四十九年、五十年はある意味での実験運転研究ということになろうかと思いますが、四十二年から一部概念設計を行なっておりますが、四十二年から五十年の実験運転研究までを含めまして、この研究開発建設に必要な金額の合計は、人件費を除いて約六百二十億円と予定しております。もちろん、当初設計段階はそうたくさん要りませんけれども、建設にかかります四十四年の後半から四十五年、六年にかけまして所要費がふえまして、四十七年あたりに資金的にはピークがまいるものと予定しております。
  35. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 その金はどこから調達するのですか。
  36. 村田浩

    ○村田政府委員 この六百二十億円の内容といたしましては、二十万キロワット程度の原型炉の場合の建設費それ自体は、キロワット当たりにしまして十八万ないし十九万円を予定しております。現在敦賀に建設中の原電の軽水炉が建設費キロワット当たり約十万三千円くらいになりますので、これから見ますと、原型炉でございますので、建設単価は相当高く見てございますが、そういたしますと、建設費自体が約三百六十億円になる、六百二十億円と三百六十億円の差の二百六十億円はこの建設を実際に進めるための設計研究費あるいはこの建設の際のデータを得るための各種の実験費、たとえば熱水ループを使っての工学的実験等に支出される費用を予定しておるわけでありまして、この分担方法としてはただいま申しました研究開発費約二百六十億円はこれは国が事業団に出資する額、それから建設費の約三百六十億円につきましては、その半分約百八十億円は民間出資によってまかなっていく、残りが政府出資または財投によってまかなう、こういう計画であります。
  37. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 その建設を行なう場合に、一体どういうスタッフ、どういう各界の力を組み合わせてやるのであるか。原電もあり、電発もあり、原研もあり、いろんな原子力開発関係の機構ができていますけれども、この動力炉開発事業団の内部におけるこれらの諸機能はどういうような組み合わせや仕事の受け持ちをやるのであるか、この点をお尋ねしたい。
  38. 村田浩

    ○村田政府委員 この原型炉を実際に設計建設運転するにつきましては、各方面の科学者、技術者が参加しなければならないわけでありますが、この事業団設立の趣旨にもかんがみまして、すなわち、民間、学界を含めての総力結集体制ということでございますので、そういった各方面のマンパワー、頭脳というものが動員される形でなされたい、こう考えております。  そこで、中枢機関である事業団としましては、当然のことながら、この事業団に建設費その他研究開発費が出資されますので、そういった予算の執行の責任を持たなければなりませんし、また、この事業計画の取りまとめ、評価についても責任を持つわけでございますから、そういった関係のいわゆるキースタッフというのはどうしても事業団に持って、事業団の職員としてやっていっていただかなければなりません。その人員が新型転換炉関係で最盛時どのくらいになるかということは、まだ具体的に取りきめてございませんけれども、新型転換炉関係の開発、ただいま申しました昭和五十年までの約十年間を見ました場合に、必要な事務系のいわゆる庶務の人は除きまして科学技術者に限って申しますと、累計して延べ二千六百人程度を考えております。一年平均すると二百六十人程度でありますが、実際には、先ほど申しましたようなピーク時には三百八、九十人程度の人が必要であると見ておりますが、これはメーカーのほうで実際に建設工事を担当される人をも含めた数字でありまして、この三百八、九十人すべてが事業団の職員というふうには考えておりません。この内訳としまして、たとえばお話のありました原電からどのくらい人の供出を受けるか、あるいはまたメーカーからどのくらい人の供出を受けるか、原研からはどうかという点は、事業団が設立されました暁に、さっそく事業団の首脳部と御相談して関係業界との間の話を進めまして具体化してまいりたいと思います。
  39. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 私は、この事業団のそういう機能の分担というものは、政治的にも経済的にもなかなかむずかしい問題があるように思うのです。ユーザーにはユーザーの、使用者側としての意見がありましょうし、それから原電が何か新聞によると一本松さんがおれのほうで将来はやるという名のりをあげている向きもあるし、それから電発は前から重水炉について重大な関心をもって技術者のトレーニングをやっておったり、そういう関係のほかに、メーカーのほうもこの炉の将来によって相当な将来の役割りという思惑もあるだろうと思うのです。この人間を供出するということもさることながら、機能の分担ということはなかなか大事なことであろうと思います。それを間違えると、技術的にかりに優秀であっても、将来政治的に、あるいは実用化の段階になかなかむずかしい問題が起こるという危険性があると思うので、この点については如才はないでしょうけれども、慎重にやってもらったらいいのではないか、そういうふうに思います。これは政府だけで独断でやらないで、政界関係やあるいは財界関係や諸般の意見をよく聞いて、調整を十分やってからやるというようにしたらいいと思いますが、いかがですか。
  40. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 ただいまの新型転換炉の研究開発の段階では、これは各界の専門家に御協力を願って詳細設計をつくるわけですが、いよいよこれを建設する場合におきましては、お説のように、いろいろ各界の御意見を十分承ってやりたい。しかし、それにしましても、この建設の責任者といいましょうか、原型炉の建設の最終の責任者はやはり事業団であろうということになろうと思いますが、しかし実際の建設をやるのはどこがやるか、だれが担当するかというような問題は十分慎重に考慮してやりたいと思っております。
  41. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 そのところで一つ大事な問題は原研の役割りだろうと思いますが、原研というものは、動力炉開発についてどういう役割りを割り当てたら適当と思うか、お答え願います。
  42. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 私どもの考え方といたしましては、動力炉の開発と、高速と新型とあわせて考えます場合一そうそうでございますが、動力炉の開発につきましては、原研とか原燃、それからいまの電気事業者、あるいは大学その他の研究所におられる方、そういう人々の全面的な力を拝借しなければならないと思っております。したがって、その意味からいえば、こういう人々の一体化のもとに、この事業団の大きなプロジェクトを遂行する必要があると思っております。その中で原研がどういう役割りを演ずるかということでございますが、原研は、御承知のように、いままで十年以上にわたりまして、この原子力の研究開発を進めてまいりました。その十年間に蓄積された原子力に関する知識、経験というものは非常に貴重なものがあると思います。ことに高速増殖炉の実験炉に関しての研究開発につきましては、非常に大きな経験といいましょうか研究を積んでおります。でありますから、それぞれの部面におきまして、それぞれ役割りを適当に演じてもらわなければなりませんけれども、概括的に申しますれば、この二つの動力炉の開発につきまして原研の演ずる役割りというものをわれわれは非常に重視しておるのでありまして、原研に意欲的にこれに参加してもらわなければ、この二つの動力炉の早くかつ十分な研究開発を進めることがむずかしいのじゃないか、そういうふうに思います。
  43. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 原研が非常に重要な役割りを果たすということは同感ですが、いままで原研が独自に技術開発や研究していた分野を今度は動力炉開発事業団が奪うというか、カバーする部面がかなり出てくるだろうと思います。その場合における経費の調整ですね。いままで原研に直接行っておった、たとえば高速増殖炉開発については直接やっておった。こういうものが今度は動力炉開発事業団の仕事になってくる場合には、その経費の調整という問題が出てくる。この辺はどういうふうにしてやるのか。一応動力炉開発事業団に渡して、それを経由して原研に委託かなんかでやらせるのか、どういうことになるのですか。
  44. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 この事業団の開発する二つの炉の研究開発に直接関連している経費は一応事業団のほうへ計上したいと思っています。そして、その上で原研のほうに研究委託の形でつける、つけかえると申しましょうか委託をする、こういうこともしたいと考えております。これは原研ばかりじゃなくて、大学とか民間とか、そういう方面にも委託研究をしてもらうわけでございますが、原研につきましても、いまのような形で、この二つの炉の研究開発に直接関係した経費というものは事業団に一応つけまして、それを原研のほうへ委託という形で回す、こういうことを考えております。
  45. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 原研側としてはどういうところで大いに貢献できると思いますか。特に原研側の希望というようなものがあったら、この際申し述べていただきたい。
  46. 丹羽周夫

    ○丹羽参考人 特殊法人の性格あるいはあり方、仕事のやり方といったようなことにつきましては、新法人の構想が打ち出されかかったころから、すなわち、もう一年以上になると思いますが、何十ぺんとなく私は原子力委員会の方々、特に委員長代理をしておられる有澤さんとはお話し合ってきました。そして私は、ほかの方もそう思われておったかもしれませんが、こういうふうに申し上げて、ただいまではおおむねその方向でその具体的な基本方針なり、基本計画を御立案中であるというふうに承りましたが、まず、この動力炉開発という大プロジェクトの中を大別いたしますると三つある。二つというか三つというか知りませんが、まあ三つあると私は思います。そのうちの一つは、高速増殖炉の実験炉及びそれに関連する一連のいろいろなリサーチアンドディベロップメント。これが大きなプロジェクトの一つ。もう一つは、同じく高速増殖炉の原型炉というもの、もう一つはアドバンストサーマルリアクターの原型炉、この三つの大プロジェクトに分け得ると思います。  それで私は最初から申し上げておりますことは、まず、こと実験炉及びそれに関連する一連のいろいろな設備なり、それを使ってのリサーチというものは、やはり今日までのメンタルパワーなりマンパワーなりを考えて、原研が特に科学技術的な方面のRアンドDについては、主体的といいますか、主務的な存在として原子力委員から、あるいはまた、できるであろうところの新法人から委嘱を受ける。もちろん実験炉といいましても相当多量のパーセンテージでは原研独自でもできますけれども、原研だけではとうていできないと思われる仕事が多々ございます。したがいまして、原研が主体的にこれを委嘱を受けましても、学界なりメーカーなり、あるいは電力界の技術者なりに相当多数御参加願いまして、すでに、この実験炉というもののRアンドDを行なうための各種の研究テーマというものは、推進本部があること御承知のとおりですが、そこで決定いたしておりまして、しかも、その各研究テーマに対するプロジェクトリーダーといいますか、これもすでにある大部分具体的に委嘱し終わっております。したがいまして、こと実験炉に関してはやはり原研がその大プロジェクトリーダー的な存在になるべきである、こう私は申し上げ、かつ、そういうふうにお考えいただいておると私は伺っております。  それから、こと両型の原型炉の設計、製作、建設、運転といったようなことは、原研が主体的になるべきじゃないということを私は最初から申し上げておりまして、また、これも大体さようにお考えになっておると伺っております。もちろんしかし原研は――こと設計と一言に申しますけれども、設計にもいろいろな段階があることは御承知のとおりであります。最初の段階は、計算というものが一番最初の段階でありまするが、新しいものを開発するためには、ただ単に原子力機器のみならず、他の一般機器も同様でありまするが、できるだけ、かつて過去における科学的な研究の結果存在しておるところのいろいろな理論なりフォーミュラなりを使って、それを用いて計算する。この計算というのは最初のステージでありまするが、特に原子力機器のごとき新しいものにおいては、既存のフォーミュラなりコードなりセオリーなりというもの、がなおさら少ないのであります。したがって、特に原子力機器はそれこそいろいろな設備を使ったり、いろいろな種類のRアンドDが必要である。したがいまして、そういう方面、イニシアルステージのデザインというものは、これは原研の者が相当大事な役割りを果たすべく、新法人の持たれるいろいろな組織なり何なりに参加しなければなるまい、こういうふうに考えております。したがいまして、両型の原型炉の主務的なものは原研はやらない、しかし相当大事な点においていろいろな形において参加しなければならぬ、こういうふうに考えて部内に対してもそういう覚悟を持たすべく努力をいたしております。
  47. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 転換炉もさることながら、いまの時代の趨勢から見ると、増殖炉に相当な力を入れなければならぬ気がいたします。二兎を追うというわけではないけれども、むしろ同じくらいの力を注いでいいのではないかと私らは思うのですが、有澤委員はどういうふうにお考えですか。
  48. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 御承知のように、高速増殖炉のほうは、いままでほとんど原研だけで研究を進めていたようなわけで、その人材、マンパワーの点から申しますと、まだきわめて不十分だと思います。そこで、急速にこれを養成もし、訓練もするということが必要であろうと思います。御説のように高速増殖炉が本命でございますので、その意味においては日本はまだおくれておるわけでございますから、この開発に大きなウエートを置いて研究開発を進めなければならぬと思っておりますが、ただ、高速増殖炉のほうは、これは村田局長も言われましたように、一方では技術上のいろいろの困難性があります。それからもう一つは、これを経済性の段階にまで持っていくための技術開発というものもいろいろやられておりますけれども、世界的に見ましてもまだはなはだ不十分な状況でございます。それでありますから、この問題は急がなければならぬ問題でございます。したがって、これに大きな力を傾注しなければならないことはむろんのことでございますけれども、やはり研究を一歩一歩積み重ねて進んでいくという、いわばステディーな研究の進め方をせざるを得ぬのではないか、私はこういうふうに考えております。なかんずく、安全性の問題との関連におきましては、特にそのことが注意されなければならないと思います。  他方、新型転換炉は、これは軽水炉の技術をかなりの部分流用といいましょうか、活用することができるのでございまして、したがって、先ほど山田委員が御説明申し上げましたような、わが国の国情に適したデザインをつくる点においていろいろ問題があろうと思いますけれども、しかし、どちらかといえば新型転換炉の開発のほうは技術的には容易であろうと思います。ただ、経済性の問題につきましては、何といいましても、競争相手の軽水炉の進歩というものが最近かなり目ざましいものがあります。その軽水炉の進歩を追い越すといいましょうか、進歩をする軽水炉を競争相手としてこの新型転換炉を開発していかなければならないのでございますから、その点にわれわれ大きな努力を他方において傾けなければならないだろうと思っております。むろんお説のとおり新型転換炉と高速増殖炉の力の入れ方は、どちらかといえば、最初のうちはといいますか、三年くらいの間は、スタートの段階におきましては、新型転換炉のほうがスタートダッシュみたいなものが起こり得るかと思いますけれども、十年とかいうふうな長い期間をとってみますれば、高速増殖炉のほうに力をもっと大きく入れるという形に相なろうかと思っております。
  49. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 この新型転換炉をつくるについては、技術導入をやるという考えはあるのですか。
  50. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 技術導入というおことばでございますが、われわれは、高速の場合も同様でございますけれども、新型の場合におきましても、国際協力の形で外国の技術をわが国に導入と申しましょうか、学び取るということはいたしたいと思います。技術協力でございますから、ある意味においては、わが国においてあげた成果は協力の相手方に譲り渡すということも起こるということになりますが、いまの純然たる技術導入、たとえば、軽水型の炉について行なわれておるような技術導入はするつもりはありません。
  51. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 その点は非常に大事なポイントなので、日本の独自性ある開発をやろうというならば、あくまで国産技術の確立というものが大事な点なので、安易な技術提携、技術導入みたいなことは、この動力炉開発事業団の新型転換炉に関してはあまりやってもらいたくない、そういうふうに希望しておきます。  それから、高速増殖炉については、いままで原研が基礎研究みたいな程度でやっていたろうと思うのですけれども、いよいよ動力炉開発事業団というものができた以上は、基礎研究的性格から脱却して、いろいろな予備的実験とか手配を要する部分があるだろう、そういう部面について周到なスタートをするようにいまから手配してもらったほうがいいだろう、そう私は思います。  それから、今度のものは動力炉・核燃料開発事業団ということになって、原子燃料公社が一緒になりますが、御存じのように、原子力研究所と原子燃料公社をつくるときには給与の差がついておったはずです。これを動力炉開発事業団の開発をやる研究をやる人たちは、原研と同じような性格を持ってきておるし、これが今度は燃料公社と一緒になってやる場合に、給与の格差というものはどういうふうにして調整するつもりですか。
  52. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 給与体系につきましては、私どもは、事業団内においては格差のない給与体系にいたしたい、こういうふうに考えております。
  53. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 動力炉開発事業団の研究者と原研の研究者との関係はどうですか。
  54. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 ただいま燃料公社と原研との間に若干の格差がなおあるかと思いますが、この間におきましても、なるべく格差のないように持っていきたいというふうに考えておるわけでございまして、事業団の場合におきましても、原研と大体同じようなレベルになるようにつとめたいと考えております。
  55. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 そこで、動力炉開発をそういうふうに推進することはけっこうですが、目前の問題として、中部電力が三重県で原子力発電所をつくろうとしても、非常な抵抗がある。これから軽水炉をつくるにしても、いままではわりあいに地元の協力がありましたけれども、大型化したり、いろいろ進んでいくとかなりの問題が出てくる。そういう点から、前から問題になっておる地帯整備の特別立法をやったらどうか、地元の協力を得るようにやるということが必要ではないか。原子力発電の場合はいわゆる公害という危険性はないけれども、しかし、そのほかの別の危険性があるわけです。精神的公害があるわけです。そういう意味で、これから大規模に開発していこうというにあたって、政府側のPRももちろん不足であると思うが、何か法的措置によって、開発を促進し、サイトの選定を促進するという考慮をする必要はないか。いかがですか。
  56. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 いよいよ原子力発電がもう本格的な実用化の段階になりました今日、わが国においても原子力発電のサイトというものはたいへん重要な問題になってきております。このサイトの問題につきましては、いま御指摘のように地帯整備のように地帯整備の問題もありますが、地帯整備に入る前に、たとえば漁民たちが、ここに発電所を置くことについてはもう絶対反対だ、こういう反対運動がきわめて激しいものがあります。これにつきましては、一つは、沿岸漁民の経済と申しますか、生活の問題と関連をしておる問題でもありますが、他方におきましては、放射能による海水の汚濁という問題について、これはあまり根拠がないようにも考えられますけれども、非常な不安を持っておるということもあります。それでありますので、むろん、この地帯の問題は安全整備の問題と非常に密接に関係しておりますので、この点につきましても、われわれは安全性の研究をさらに進めるつもりでおりますが、さしあたっての問題といたしましては、今度放射能による海水汚染の調査というものも今度は予算で調査することになっておりますが、これをもう少し組織的に、言ってみますれば海水汚染の研究所といったような、大規模のものではないにしましても、研究所というふうなものも設けまして、海水が、原子力発電所の排水が流れ込んできましても決して心配はない、こういう研究を十分やってもらいたいと考えております。ですから、一つは、漁民の問題といいますのは、いま申しましたように、一方は沿岸漁業がだんだん衰微してきておる上に、さらにいまのような海水汚染による不安というものを持っておりますので、この問題を私どもは至急に解決したいと思いまして、いろいろの措置を考えておる次第でございます。  その上になお地帯整備という問題がどうしても必要であるということに相なりますれば、また必要な個所も出てくるかと思いますが、そういうような場合におきましては、またひとつ案を立てまして御審議をお願い申し上げたいと考えておる次第でございます。
  57. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 原子力船建造というような場合になると、造船所はわりあいに港の中にあったり、民家の密集している地帯にあるわけです。そういう面から、そこで炉を入れるとか炉を動かすとかいうことになると、かなりの抵抗が出てくると考えなくちゃいけない。そういうものを含めて、いまからそれに対する法的あるいは行政的措置を考えておかぬと、そのときになっても間に合わぬ。特に周囲に対する啓蒙やその他の問題は、よほど時間をかけてやっておかぬと問に合わぬということがあると思う。そういう意味で政府の善処をわずらわしたい。  それから中部電力のような問題は、日本国民全体に非常に悪い印象を与えておる。まあ現地にはいろいろの事情があり、漁民には漁民側の要望があって、無理のないところもあるとは思いますけれども、あれを一私的資本の問題として停滞した状態で放置してよろしいか。原子力平和利用というのは大国策になっておるのであって、しかも、日本の将来の燃料のコストダウンを考えてみると、あるいはセキュリティとか自足性とか、あらゆる問題を考えてみても、この方向へいくということは大国策であるはずです。それを一私的資本のやることだけにまかせておいて、国が黙って、もう数年来停滞しているような問題を放置してよろしいか、私は適当でないと思うのであります。そういう意味において、私は、もっと積極的に科学技術庁その他がこの問題に関して両者の関係を打開するように乗り出してみてはどうか、農林省との関係もあるだろうし、官庁関係でやれば相当進める場合もあり得ると思う。この問題についてどうですか。宇宙開発については、長官はなかなか熱心で、漁業問題について、宮崎県の漁業組合に対してかなり積極的に乗り出しておる。しかるに、原子力発電について同じ漁業上の問題が出たについて何もしていないというのは、はなはだ手落ちではないか。
  58. 村田浩

    ○村田政府委員 ただいまお話の芦浜の問題につきましては、先般も長官が三重県知事等をお招きになりまして、現地における状況並びに三重県当局としてのいろいろなお考えなどを伺って、その際にも長官から申し上げたことは、まず第一に、地元における原子力知識といいますか理解といいますか、そういった点についての啓発、普及といった点で県当局あるいは発電会社にまかすことなく、国としてもっと具体的、積極的に乗り出す必要がある。これについてはひとつ具体策を考えようということであります。  それから第二の点は、従来、このような原子力発電所の敷地を予定いたしますのは、電力系統の関係もありまして、それぞれの電力会社自身がまず行なうことになっておりますが、原子力発電所の場合に、その予定地がはたして安全上問題がないかどうか、こういった点につきましては、原子力委員会あるいは科学技術庁側としましては、この客観、公正な安全審査を行なうという役割りを持っております関係上、事前に敷地だけを安全であるというような判断を公式には下すわけにいきませんので、この点につきましては、通産省とも御相談しまして、通産省に従来やっていただいておる原子力発電立地調査というようなものを改善発展させていって、何らかのお役に立つようにすること、これはまあそういうような考え方ができるかどうか。さらにはまた、一案といたしましては、政府それ自体、たとえば科学技術庁自身ではちょっとそういう役割り上困難がございますので、電力会社以外のいわゆる第三者機関による調査、これを政府が助成してやる、こういうような方法もあろうかと思っております。原子力問題、放射能技術等についてあるいは海洋科学について、非常な専門の方々によるところの組織というものをもちまして、そういった組織が客観、公正にその立地上の安全性等についての検討調査をやっていただくというようなことも、一つの具体的な方法ではなかろうかというふうに考えております。  それで、そういったような案をどのようにして具体化するかでありますが、この点につきましては、現在私どものほうから申し出まして、通産省の公益事業局並びに農林省の水産庁と計らいまして、三者の間でいわゆる原子力産業と地元の発展との共存共栄といいましょうか、そういった観点からの行政の立場でどういうふうにしたらいいか、こういうことをひとつ具体的な事例に即しつつ検討し、解決策を進めていこうということで、先般来そういう組織での検討を行なっておりますが、近くそういった場におきまして、ただいま私が申し上げたような考え方等も十分御検討いただき、原子力委員会にも御相談しまして、長官にお願いして手を打っていただくようにいたしたいと思っております。
  59. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 この問題は、いまのようなそういう客観的な調査ということも必要であるけれども、中電のような場合は、もうこんがらかってしまって、一年も二年も停滞しているという問題が起きているので、政治的な解決の手を打つ必要がある、そういう段階にきているだろうと私は思う。そういう意味において、一営利会社の問題というとらえ方でなくして、日本の原子力発電推進という意味においてあれは解決しなくちゃいけない。あれが根になって中断されたり何かすると、全体に大きく響いてくる問題であるので、政府はもっと積極的に乗り出して、関係各省の力もかりて推進するようにここで希望しておきます。  時間がないので、次に日米原子力協定の燃料の問題について伺いたい。  原子力協定は来年の十二月に一応期限が切れるようです。しかも、アメリカの情勢を見ると、民有化というものに踏み切って――七〇年ですか七三年ですか、いよいよ民有化に踏み切って実施するという段階になっておる。そうすると、いままでの政府間で責任をしょってきた体制というものが民間に肩がわりされてくる。新しい協定の性格をもってくるわけです。私は、この傾向はいいことだろうと思う。民間の自主的開発を促進するという意味において、非常にけっこうなことであると思うので、それに即応するような協定をぜひつくってもらいたい。そういう点から、大体政府の分担する協定の範囲と、それから民間が契約あるいはその他で、AECやあるいは政府と分担する役割りというものは一体どういうふうに調整されていくのか、その基本方針をまず承りたい。
  60. 村田浩

    ○村田政府委員 日米原子協力協定の改定につきましては、すでに米国側と外務省を通じて折衝を始めておりまして、その期限が来年の十二月になっておりますもので、その前に改定、発効させたいという趣旨で、おそくも今年内には締結に持ってまいりたいと思って、その予定で交渉を進めております。  そこで、この改定の主要な点は三点ございまして、第一は、ただいま中曽根先生の御指摘のとおり、米国においてすでに特殊核物質の民有化方針が決定しております。そういった線に基づきまして、わが国においてもこの協定上民有化ができるような措置を講じておく必要がございますので、特殊核物質の民有化との関連において、現在の協定を改める。すなわち、現在の協定では政府が濃縮ウランを保持しなければならないといういわゆる権原保持義務規定がございますが、これがなくなるわけでございます。したがって、その際におけるこの協定に基づいてアメリカの原子力委員会と日本の民間の会社との間でどのような手続で濃縮ウランの入手のための契約ができるか、これはいろいろな形が考えられますので、そのいろいろな考えられる形について十分民有化の趣旨が発揮できるようにいたしてまいらねばならぬと思っております。これが第一点であります。  それから第二点は、現在軽水炉燃料として必要であります濃縮ウランは、ほとんどアメリカ一国にたよらざるを得ない状況でございますので、これから民間において建設される軽水型の原子力発電所の運転に必要な濃縮ウランを長期にわたり確保するため、協定上において米国政府の約束を取りつけること、これが第二点でありまして、その方法といたしましては、現在折衝中でございますが、米側の意向として、大体協定の締結時以降約五年間程度の期間におけるわが国における濃縮ウランを使用する原子炉の建設計画、これをまずつくりまして、その建設計画に基づいてその発電所が寿命ある間約三十年間にわたり円滑に運転を続けていくために必要な濃縮ウランの量、これを計算いたしまして、それを協定における供給のワクとして協定上に明記するようにいたしたい、こういう考え方で折衝を現在行なっております。ただいま、まだ最終的なその建設計画を両者で折り合うところまで交渉が進んでおりませんが、予備的な話し合いといたしましては、長期計画にございます建設計画が軽水炉によって実施されたとしても支障のない範囲で濃縮ウランの三十年にわたる供給のワクを設定することについて原則的に米側の了解を取りつけてございます。  それから第三点は、これは平和利用に限定する趣旨でございますので、平和利用を確保するための措置、つまり安全保障措置についての条項を設けることでございますが、この点は、従来の日米原子力協定にもありました趣旨と大体変わらない形で、すなわち、原則的に日米の間で話し合いまして、米国から入れました核燃料等の核物質につきましては、国際原子力機関の保障措置下に置く、こういう約束をいたすことになろうと思いますが、このような安全保障措置についての規定が第三点でございます。  以上、この三つの基本的な問題を中心に、ただいま申し上げましたような基本的なラインで折衝を行なっております。
  61. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 その場合、免責条項はどうなりますか。いままでのものだと、政府間の問題であったからいいですけれども、向こうの民間会社からこっちの民間会社に燃料が来たという場合、免責条項はあるのか。だれがしょうのか。その点どうです。
  62. 村田浩

    ○村田政府委員 日米協定における米側の免責条項の対象者は、当然濃縮ウランの供給者でありますアメリカの原子力委員会でございますが、日本側の当事者につきましては、協定上は、まず日本政府が今後とも研究炉等に必要な、あるいは材料試験炉等に必要な濃縮ウランを買いますが、こういう日本政府がアメリカのAECから購入いたします場合には、その中間に民間をエージェントとして入れる入れないは別としまして、日本政府がアメリカのAECを免責いたす。これは従来どおりでございます。一方、民有化に伴って日本の民間が直接アメリカの原子力委員会から特殊核物質、濃縮ウランを購入するその契約を結ぶといいます場合には、基本的にはこの協定の中に、いわゆる取り扱い上十分に慎重にこれを行なう必要があるので、その点について日本政府は必要な措置を講じていくのだ、その責任はすべて日本側にあるというようないわゆる免責の一般規定はございますが、いわゆる内容にわたった点につきましては、民間とアメリカの原子力委員会との間の供給契約の中で具体的に規定される。つまり、民間取引の場合には、基本的には協定において燃料が引き渡された後における責任は日本政府にあるということが明記され、具体的な免責の規定は民間とアメリカ原子力委員会との間の契約の中で規定されていくという形になろうかと思います。
  63. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 次に、燃料の長期供給契約といいますか、二十五年ないし三十年の耐用年数の間に供給されるものは、いま何基、何トンぐらいの予定ですか。それからその後のことはどうなるか。
  64. 村田浩

    ○村田政府委員 大体いま民間の電力会社が計画しております原子力発電計画に即して申し上げますと、協定上これをどういうふうに具体的に書きますかは、これからまだ最終的な協議が必要なわけでありますが、これまでの御相談の結果は、原電の敦賀炉を現在建設中でございますが、これを含めまして十二基、約五百二、三十万キロワットでございまして、それの二十五年ないし三十年間に必要とする燃料の合計は、純粋なウラン二三五に換算して百三十トン程度となっております。
  65. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 それが協定の付属書か何かに書かれるわけですか。
  66. 村田浩

    ○村田政府委員 ただいまの十二基というものにつきまして、いつこれらの原子炉が漸次つくっていかれるのかという計画は、協定の付属書としてつけまして、その付属書に出てきた原子力発電計画をもとにして計算した燃料の所要量が協定本文のほうに、ただいま申し上げましたようなたとえば百三十トンという数字で入って保証される、こういうことでございます。
  67. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 その場合に、これは将来のことはわからぬし事情変更があると思うけれども、百三十トンをふやすとかあるいは百三十トン使わなくてもいい、そういう場合がいろいろ起こりますね、天災地変もあるだろうし、そういう場合の弾力的な条項というようなものはつくらないのですか。
  68. 村田浩

    ○村田政府委員 この百三十トンというただいま申し上げました数字、これが協定上に入りました場合は、これは米国政府としての供給保証のワクでございまして、日本側がそのワク一ぱい必ず買わなければならないか、いわゆる引き取りの義務を定めるものではありません。したがって、実際には百三十トンは使わなかったということになりましても、特にこの協定を変える必要はないたてまえになっております。一方、この計画が拡大されまして、発電量がふえる、あるいは建設の基数がふえるというようなことから、百三十トンではワクとして間に合わないという場合が出てくるかと思いますが、その場合には結局付属表というものが変わってくることになりますので、まず第一次的には、付属の表の改定を行ないますが、これは行政事務的に一応できるといいますか、やれる形にしたいということであります。それから百三十トン自体が、たとえば百八十トンになるとか二百トンになるとかいうような変更が必要な場合には、協定そのものをその部分につきまして変更するという形をとるわけであります。したがって、三十年間の供給保証を確保するためには、この協定の有効期限を米国のこの種の協定の例にならいまして、協定の有効期間と合わせておかなければならないわけでありますけれども、わが国の原子力発電計画が大幅に増大するというようなことが出てまいりますと、それに即した改定を今後また必要とするということになります。
  69. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 核拡散防止条約がどういうふうにできてくるかわかりませんが、平和利用の問題ともからんで燃料供給というものは非常に大きな要素を占めてくる。そういう意味で条約の再検討というか、有効期間中においても協議するとか再検討するとか、あるいは改定について話し合う余裕を十分残しておくような条約文を挿入しておく必要があると思うが、そういう用意がありますか。
  70. 村田浩

    ○村田政府委員 条約といいますか、この協定の内容改定につきましては、ただいまの点はもちろんでございますけれども、両国政府それぞれの立場から必要な場合にあらかじめ申し出て改定を行なうということは、ぜひとも可能にいたしておかねばならぬと思っております。
  71. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 再処理の問題がありますね。日本でも再処理の施設をいまつくり始めておるが、いままでのものであると大体アメリカに持っていって再処理する、日本ではやらぬというのが大体たてまえになっております。この辺はどうなりますか。
  72. 村田浩

    ○村田政府委員 折衝上の事務的な問題の一つには、ただいま御指摘の点が確かにあるわけであります。つまり現在の原子力協定によりますと、たてまえ上、まずアメリカから入れましたものはアメリカの再処理工場で再処理するということが原則であって、その他の場合には、アメリカ側が了解した再処理工場で行なうことができる、こういうたてまえであります。この点は、私どもとしては、いま原子燃料公社におきまして再処理工場の計画を進めておりますので、当然これからつくられる原子力発電所の使用済み燃料は、この再処理工場で再処理する、これによって国内における核燃料サイクルの確立をはかるという趣旨でありますから、まず国内の再処理工場で再処理することをたてまえとするようにいたしたい、こういった基本的な態度で折衝に臨んでおります。しかしながら、かりに万一現協定のような形でこれが結ばれましても、私どものほうで非公式に米側の意向を打診しております範囲では、わが国の再処理工場の計画も十分先方に伝えてございますので、それが平和目的のものである限り、米側としては一向支障はないという返事を米側の原子力委員会の責任者から得ております。
  73. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 アメリカのほうでは、濃縮の問題について、賃濃縮ということをやり始める様子ですけれども、これからの日本の原子力発電のコストを考えてみると、できるだけ日本で原料を確保して、そして向こうのハンフォードか何かを賃濃縮の機関として使う、原料はこっちから供給する、そういう方向にいくのが一番いいと思う。そういう意味で原料の確保ということを私ら先般来激しく言っておったわけですが、最近燃料公社の努力によって、カナダとの間にある話し合いが進められておる。カナダ一国だけでは私はまだいかぬと思うのです。状況が可能ならば豪州ともやるべきであろうし、アフリカともやるべきである。世界で三カ所ぐらいの地点から原料を確保するルートをつくっておくということは、日本の将来のために非常に大事である。そのために、原子力委員会あるいは科学技術庁として特段の措置を講じて、財界とも話し合って進むべきであると思うのだが、どういう用意がありますか。
  74. 村田浩

    ○村田政府委員 海外におけるウラン資源の確保につきましては、昨年度調査費予算をいただきまして、原子燃料公社のほうからカナダ及びオーストラリアに担当の理事者を派遣しまして実情をつぶさに調査し、その結果、カナダについては、ただいま中曽根先生のお話しのように、協力して探鉱活動を進める、将来うまくいけば採鉱をするという計画が生まれつつあるわけであります。さらに今年度は、引き続いて原子燃料公社、事業団ができました場合には事業団につきまして、海外のウラン鉱の調査費というものをつけまして、現在燃料公社に約四百二十万円ばかりの予算をつけてございますが、これによりまして、カナダ、オーストラリア以外の国、たとえば米国それから中南米、アフリカのほうはまだ具体的な日程にのぼっておりませんが、さらには東南アジアというような、そういった低開発国も含めて、順次専門家を派遣して調査をいたしまして、わが国の手による、あるいは合弁事業による開発というものの可能性を積極的に調べてまいりたいと考えております。
  75. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 四百二十万ぐらいでは足らぬと思う。まあ二、三千万ぐらいは必要だろう。いままでのスケールでものを考えたらそれで十分だろうけれども、いまのように国際情勢が変化して、スエズ動乱一つ見てもすぐ石油が上がったり下がったりするという状況を見ると、やっぱりどうしても原子力で安定させる必要がある。こういうためにも、ともかくこの間原子燃料公料からカナダにやったからこういうものが引っかかってきたので、産業界も乗り出してきたわけです。やっぱり原子燃料公社あるいは政府が中心になって、パイオニアの役目を果たす必要が絶対にあると思う。豪州に対しても、あるいは中南米に対しても、あるいは南アフリカに対しても、大使館レベルあるいは外務省レベルを通じてもっと積極的にやったらどうですか。その中からいいものが必ず出てくると私は思うし、大事なことだと思う。これは民間ベースでやれといったって、最初はやりませんからね。だからカナダでああいうふうにおもしろいものが出てきた、あれと同じような努力をもっと積極的に各方面でやってもらいたいと思う。  最後に一つお聞きしておきたいのですが、そういうような原子力行政の転機にあたって、新しくスタートする、いよいよ実用化の段階に本腰に乗り込むというときにあたって、いまの体系や体制でよろしいかという問題である。この事業団を発足させるにあたって、私ら自民党の内部において、ある一つの条件をつけてこれを承認した。それはいまのままではいけないということであります。いろいろ御意見があると思いますが、一つは力を与えなければならぬ。そのためには、いまのようなばらばらな情勢ではよくない。イギリスの原子力公社のようなオーソリティーをここで統合してつくったらどうか。研究部面とそれから実用開発部面はあるいは違うかもしれぬから、その辺のニュアンスの差は分けてもいいでしょう。原研の担当している部面、あるいは放射線医学総合研究所の担当している部面、こういうようなのは基礎研究に属する部面が多い。しかし船であるとかあるいは電力であるとか、そういうような問題については、これは実用面の問題になってきているので、むしろ総合的に大きな力を与える段階で、力というものが非常に重要になってきていると思うのです。  それからもう一つは、行政の体系自体も、コンピューター時代になってきて、転換していく必要がある。政府の行政機構の体系も、もう銀行やその他各社がやっているように、コンピューターを中心にした機能主義に転換すべき段階で、太政官制度の延長を廃止すべき段階にきていると私は思うのです。そういう意味からも、最も先端をいく原子力開発部門が、そういう機能中心でまずやってみたらどうだろうか。国鉄というものはかなり力を持っておる。あれはやはり船も持っているし、バスも持っているし、鉄道も持っているし、ともかくそういう総合力を持って、石田総裁というがんこおやじががんばっておる。そういう意味で、船とかあるいは炉とか、そういうものを統合して、そしてオーソリティーをつくって、力を結集して、いまのような新しい機能主義による再編成をやったらどうか。私はもうそういうことが非常に必要な段階に入ってきたと思うのです。その点について有澤委員、いかにお考えですか。
  76. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 原子力開発、平和利用の促進にあたりまして、機能主義の体制を組めというお考え、全く原則的には私も賛成申し上げます。ただ、私どもの考え方、現在において、現状においての考え方におきましては、委員会が原子力平和利用の基本的な問題につきまして、調査をし、企画をし、政策を立てる、こういう一つの責任を持った任務を持っております。そして、そのもとにおいて基礎研究を進めるのが原研であり、船を建造するのが原子力船事業団である、今度動力炉の開発についてはこの事業団でやる、こういうふうにそれぞれ事業を分けまして、その事業の遂行に当たる責任体制をそれぞれとっている次第でございます。が、そういうふうになりましたにつきましては、いきなり統合ということになりますと、いままで十年も長い歴史を持ったそれぞれの進み方があったものでございますから、これをいきなり統合しましても、なかなか一体化の実をにわかにあげることはむずかしかろう、こういう判断を私どもはいたしておるわけでございます。  しかし、このままでいつまでもいっていいかということになりますと、私は、いま中曽根委員からお話のありましたような考え方を持っておるわけでございます。その場合には、なかんずく、原子力委員会のあり方というものが最も重要な問題になってくる、こういうふうに思います。イギリスの公社は、委員会みたいなもの、が中心になって、そしていろいろな研究部、事業部を包括した一大構成を持っておるわけでございますが、御承知のように、日本の場合は原子力の平和利用を確保するという一つの大きな任務を原子力委員会が持っておるわけでございまして、同時に、この原子力の平和利用を促進するという他方に大きな任務を持っておるわけでございます。この二つの任務を果たしていくためには、原子力委員会というものが、言ってみれば、政府の機関とは独立した形のものに存在しているほうが、現在、現状のもとにおいてはいいんではないかと私どもは考えるわけでございます。しかし、これもやがてだんだん核拡散防止条約とか、あるいは原子力の兵器への利用という面が薄らいでくるに従いまして、その問題もだんだん小さい問題になってくる。むしろ原子力の平和利用を大きく促進するということがどの国におきましても、特に日本におきましては重大な政策になってくるということになった暁には、いま中曽根委員がお話しいただきましたような構想を私どもは実現するにやぶさかでない。むしろ実現したほうがいいんじゃないか、こういうふうに考えております。そういう時期は、これは予想でございますから、なかなか的確なことは申し上げかねますけれども、おそらく十年もたちますと、相当世の中が、世界が変わった状態になってくるのじゃないか、こういうふうに考えております。また、その十年間には、この事業団の仕事を通じまして、原研にしても、まあ公社は事業団の中に入りますし、放医研にいたしましても、あるいは船の場合におきましても、あるいは原研やその他のいろいろな関係機関が一体化して、この事業団の大計画を遂行する十年間の仕事が続くわけでございますから、その間に私は各機関の一体化の機運というものもおのずから生まれてくるのではないか、こういうふうに考えております。そうなりますれば、委員会として持っておる問題も、また、各機関が今日持っているような、まだ相互に一体化したときになかなかなじみ合わないような雰囲気もだんだん薄らいできて、やがて一大構想を実現する日がくるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  77. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 いまの私の考えに対して、いまここにおいでになる丹羽さん、石川さん、燃料公社の理事長もおいでですが、担当者としてどういうふうにお考えになっているか、意見を述べていただきたい。
  78. 丹羽周夫

    ○丹羽参考人 偶然ながら昨日石野議員からやや似たお話がございまして、私はずいぶん暴言的意見を吐かしていただきました。少し方向が違うかもしれませんが、特に中曽根さんのごときは原子力委員会の立法に当たられたお方だろうと私は思いますが、一言にして言いますと、私は前からそう思っておりますが、というのは、実際そうでないから、私自身、もはや三年余りになりますが、原子力委員会がそういう性格でないためのヒッチをずいぶん感じておるのでありますが、結論的に申し上げますと、日本原子力委員会はちょうどイギリスのUKAEA、あるいはアメリカのAEC、あるいはフランスのCEA、イタリアも何とか似たような名前ですが、ドイツは御承知のとおりブンデスミニステリウム・フュール・ウィッセンシャフトリッヒェ・フォルシュンク、そういうようなところがほんとうに政治機関としてコントロールしておる。はなはだ言い方は悪いことばでありますが、まあ諮問機関的な存在としてこの大事な原子力行政をあずかっておられるのは日本だけだと思います。例を申しますと、私、一昨年の暮れ、イギリスのサー・ウイリアム・ペニーと、高速増殖炉の実験炉のセオレティカルデータを供給してもらう、こちらからもクリチカルアセンブリーのデータをやるとかなんとかいうような、いわゆる国際協力的なアグリーメントにサインしたのでありますが、向こうは、さあもう話は終わった、いまからサインしようじゃないか、こう言いますので、ちょっと待ってください、私はこれは日本へ帰ってから原子力委員会等々と御相談しなければならない、私がサインしていいか悪いかもわからない、こう言って帰ってまいりました。そして、外務省を通じ、科学技術庁ももちろん通じたと思いますが、原子力委員会はサインされる御能力はたぶんないと私は思うのですが、そういうふうな、これはほんの一例でありますが、はなはだ隔靴掻痒の感があるのであります。昨日も暴言を吐いたのですが、こういうふうにして動力炉・核燃料開発事業団をおつくりになるくらいならば、これはいまからではこんなことを言ったってナンセンスでありますけれども、原子力委員会がいわゆる政策委員会かあるいは行政委員会であられたならば、その配下に各研究所、場合によっては大学もコントロールするパワーができましょうし、また、イギリス、フランス、イタリアのごときは、オーソリティーのメンバーじゃないのですが、じょうずにみずから予算を持ち、みずから駆使しておられるという事実を、一昨年の暮れ、私まのあたりに見てまいりました。ですが、そんなことを言ったっていま夢物語でありますので、私は何らかの形で厚子力委員会のパワーをもう少し強くしていただきたい。初めの文句を見ますと、立案し、審議し、決定するとあります。私、長らく科学技術会議議員を拝命しておりまして、そこでしばしば出たことでありまするが、ごく最近もそういうふうに考えておられた方もあるのですが、原子力委員会は、あれは政策委員会だ、行政委員会だ、こういうふうにさえ思われておるくらいに、一般の委員会とは違いましょうけれども、最後の一言、すなわち内閣総理大臣はこの答申を尊重しなければならぬというような点で、結局諮問委員会にしかすぎない、これは私はなはだ遺憾なことだと思います。したがって、これはむしろはなはだ失礼な申し方ですが、中曽根委員などのお力によりまして、原子力委員会にもっともっと実務のできるようなパワーを与えていただきたい。そういうふうに国会あたりで持っていっていただいたらいかがだろうか。はなはだ僣越でありますが、私は前からそう思っております。
  79. 石川一郎

    ○石川参考人 原子力委員会ができましてからもう十年になります。一応ここでもって再検討する時期が来ているのじゃないかと思います。しかし、いま中曽根さんのおっしゃったようなことにいくのか、いままでのものを改良していくのかということは、もう少し研究しておやりになったらどうかというふうに私は考えております。  それから、パワーを持たせるというお話でございますけれども、われわれ今度初めてこういうふうな仕事に参与いたしまして一番感ずることは、金の問題なんです。これでもってすべてが非常に行き詰まる。融通性がない。別にこっちは悪いことをしようという意味じゃありませんけれども、それで非常に困っていますから、このパワーを与えるということは、金の使い方に対する融通性を与えることが最も大事じゃないかというふうにちょっと感じましたので、申し上げます。
  80. 今井美材

    ○今井参考人 ただいままでこの問題につきまして皆さまからお話がございまして、それらの点につきましては、私もおおむね同感でございますので、残った私の問題は、いささか趣も同じであってはならぬような感じもするわけです。よって、私は外に向かって言うのではなく、中に向かって言いたいと思います。  日本の原子力開発が阻害されておる問題には、制度の問題その他の問題があると思います。しかし、もう一つ、われわれは内に向かって言うこともやはりあると思うのです。私の十年の経験でそう思っております。それはどういうことかといいますと、日本の研究あるいは開発というものは、諸外国のものに比べていささかルーズである。ルーズであるということは、どこの研究機関にいたしましても、研究企画、基本計画をつくるということは非常に重要なことであって、これについては相当シビアーにおやりになります。しかしながら、これの運営面においてはそれほどシビアーであるとは言いがたい。運営ということばから御想像願えることは、もう少し強い意味であります。それをチェックするということが非常に足りない。こちらを向いておるものもいろいろございます。それを全部認めるか認めないか、そういうことは基本計画でやればいいのです。しかし、みんな同じように向きましても、これはタイムスケジュールを十分に考慮に入れてやっておるかどうか。これからの問題は、研究ということは事業としてやる。ことにいま問題になっているのは、原子炉の開発のための事業団でありまして、研究をするところではないのでありまして、研究開発ということがすでに事業ということになるならば、エフィシェンシーを考えなければならない。そのエフィシェンシーを考える段階が日本ではルーズであると考えております。こういう点、われわれは内部的には非常に反省する必要がある、これを申し上げたいと思います。
  81. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 時間が来ましたからやめますが、有澤さんのお考えを聞いてみると案外保守的なので、ちょっと驚きましたが、いまの時代のテンポから見ると、原子力委員会ももちろん、いまの日本の原子力開発体制というものは、当然相当改革を加えるべき段階にきておる。さっき申し上げましたように、普通の行政機構でも一部では機能主義で改革しなければならぬという意見もきておるし、臨時行政調査会の答申すらああいうふうに出てきておるのだから、科学の先端をいく原子力体制においては、もっと強力に、そして新しい機構をもってやるべき段階であるだろうと思う。こういう点から、原子力委員会に小委員会か専門部会でもつくってもらって、この体制をどう改革するか、それをぜひやってもらいたいと思うのです。われわれは党の内部においても即応してやるつもりであります。そういう条件でこの動力炉開発事業団というのは通されて、われわれ認めたわけです。そういう用意はありますか。
  82. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 そういう用意はいたします。
  83. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 どうもありがとうございました。
  84. 矢野絢也

    ○矢野委員長 参考人各位には、長時間にわたり、まことにありがとうございました。  次会は、来たる十四日水曜日、午後一時より理事会、一時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時六分散会