運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-02-26 第51回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 3号 公式Web版

  1. 昭和四十一年二月二十六日(土曜日)    午前十時九分開議  出席分科員    主査 植木庚子郎君       今松 治郎君    坂村 吉正君       橋本龍太郎君    山本 勝市君       角屋堅次郎君    川俣 清音君       芳賀  貢君    村山 喜一君       山口丈太郎君    兼務 稲富 稜人君  出席国務大臣         農 林 大 臣 坂田 英一君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  鹿野 義夫君         農林事務官         (大臣官房長) 大口 駿一君         農林事務官         (大臣官房予算         課長)    大河原太一郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      森本  修君         農林事務官         (農政局長)  和田 正明君         農林事務官         (農地局長)  大和田啓気君         農林事務官         (畜産局長)  檜垣徳太郎君         農林事務官         (園芸局長)  小林 誠一君         農林事務官         (農林水産技術         会議事務局長) 久宗  高君         食糧庁長官   武田 誠三君         林野庁長官   田中 重五君  分科員外の出席者         大蔵事務官         (主計官)   嶋崎  均君     ――――――――――――― 二月二十六日  分科員今松治郎君及び加藤清二君委員辞任につ  き、その補欠として山本勝市君及び芳賀貢君が  委員長の指名で分科員に選任された。 同日  分科員山本勝市君及び芳賀貢君委員辞任につ  き、その補欠として今松治郎君及び山口丈太郎  君が委員長の指名で分科員に選任された。 同日  分科員山口丈太郎君委員辞任につき、その補欠  として村山喜一君が委員長の指名で分科員に選  任された。 同日  分科員村山喜一君委員辞任につき、その補欠と  して加藤清二君が委員長の指名で分科員に選任  された。 同日  第五分科員稲富稜人君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十一年度一般会計予算中農林省所管  昭和四十一年度特別会計予算中農林省所管      ――――◇―――――
  2. 植木庚子郎

    ○植木主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和四十一年度一般会計予算及び特別会計予算中、農林省所管を議題といたします。  この際、一言申し上げます。本日は多数の方々から質疑の申し出がありますので、質疑の持ち時間は、つとめて本務員は一時間、兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分にとどめることとして、議事の進行に御協力願いたいと存じます。  これより質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。山本勝市君。
  3. 山本勝市

    ○山本(勝)分科員 私がお伺いいたしますことは、租税特別措置法の第七十条の問題でありますが、御案内のとおり、三十九年の一月から、これは農民保護と了解しておりますが、農家の農業のあと継ぎの方が安心して農業をやれるようにというようなことから、生前に贈与を行なった場合に、その贈与税の納税延期を認めて、そして後に相続税として扱う、こういう特別措置ができておるわけであります。すでに実施二カ年になりますが、しかし、何しろ農民保護の立場からできた特別法でございますので、私は大蔵委員会のほうで後にお伺いする前に、農政当局の考え方を承っておきたいと思うのであります。  最初の一年間ぐらいは、この農民に対する特別な配慮をした法律が徹底していなかったせいか、昨年の所得申告期にはあまり問題にならなかったと思いますけれども、しかし、本年の所得の申告期にあたっては、おそらく全国的に、この法律の非常な不備な点があるということが問題になっておると思います。私どもの選挙区の税務署におきましても、窓口において非常なトラブルを引き起こしておるのであります。私は、そのトラブルを引き起こしております問題点を一応申し上げまして、そしてこれに対して今後どう対処していくか。つまり、せっかく農民のためにつくった法律が、事実農民の利益にならない場合が多いし、逆に非常な損害を与えておる場合が多い。こういう実情を実は申し上げてみたいと思う。  どこから申し上げてもいいのですけれども、第一点は、御承知のとおり、この生前贈与の問題は、最初贈与を行なうときには税務署とは何らの関係を持たないで、ただ農業委員会を通して県の知事から農地法第三条に基づいて贈与を認めるという許可を得ておるわけであります。だから、最初の段階においては、それが生前贈与であるのか、あるいは生前贈与でないのかというのは全然区別なしに、一般の贈与として許可を得ておるわけです。税務署のほうでは、知事の許可があった日をもって贈与が行なわれたものと認めることになっておるのでありますが、ところで、その後に、生前贈与の場合には税務署に向かって生前贈与として納期の延期を願い出る。そこで初めてこれが生前贈与の扱いを受けるか受けないものかきまるわけであります。ところが、そういう関係から、自分は生前贈与を受けるつもりで贈与を受けておって、すでに登記までしてしまった。ところが今度税務署へ延期願いを出してみますと、税務署のほうでは、これは生前贈与のこの条項には当てはまらない、だからこれは一般贈与であるからというので、非常に高い贈与税を徴収される。それではたいへんだ。つまり、贈与税が高いから、それでこれを延期して、税率の低い相続税で扱ってやろうという親心でやっておるにかかわらず、今度はそれは生前贈与と認められぬとなりますと、その贈与を取り消すほかはない。取り消しは簡単に知事に願い出ればできますけれども、そうしますと、登記をしてしまっておる場合は、登録税を何万円と払ったものがふいになってしまう。それで、いよいよ所得申告期になって納税延期を願い出て、これは当てはまらぬとやられた場合に、非常な問題を引き起こしておるわけであります。それでこの点まず最初に願い出るときに、これは生前贈与としてりっぱに通過するものかしないものかということを何か税務署との間に連絡をとってからやるような方法を講じる必要があるのではないかというのであります。  それで、特にどの点がひっかかるかといいますと、その特別措置法の七十条の規定には、三年間を継続して農業を営む者が、三年間継続して農業に従事しておる者で、そうして法定相続人の一人として一定の条件を備えた者に対して贈与できる、その場合は延期する、こういうことになっておるのです。三年間継続して農業を営んでおる者から贈与するというのでありますが、その「営む」ということばの解釈であります。私もこれは最近国税庁のほうに問題を持ち込んで検討してもらった結果、かなり「営む」の解釈を広く解釈するようになったようであります。しかし、従来といいますか、最近まで、国税庁の通達には、「営む」というのは、まず第一に、所得の申告者になっておる者を営む人間と認める、こういう通達が出ておるわけです。ところが、御承知のとおり、農村におきましては、おじいさんが登記面ではその田畑の所有者になっておるけれども、年をとっております場合においては、子供であるとかあるいはおじさんであるとかいうのが所得の申告者になっておるのが実情であります。また、所得申告者をかえるということは、これまで税務署が簡単に認めてきた。ところが、所得の申告者をもってその農業を営む者の第一の代表的なものになっておるものですから、そこで、この法律では営む者からやるのに、営む者はすでにおじいさんじゃない、所有権者じゃないということで、当てはまらぬというので、結局、局のほうにいって検討してもらわないと返事ができないというふうにして突っ返しておる事例がたくさんあるわけです。この点が一つです。  それからその場合に、「営む」というのは必ずしも所得の申告者でなくてもいいのだ、指図をしておればいいのだ、寝ておってもおじいさんが大体農業経営について指図しておれば、それは営むと認めるというふうに解釈しようとしてきておるのですけれども、しかしその場合に、実際は三年以上寝ておるおじいさんがあるのですよ。そうすると、それは農地委員会に頼んで、指図しておりましたという証明書をとってくればいい、それは農地委員会に頼めばくれます。くれますけれども、そういううそを言って、実際はもう全然農業から離れて、同じ家で寝ておる、それを指図をしておりましたという証明書を持ってくれば営む者と認めるというふうな、農民にうそをつかしてやるなんということは、私はそういうことは改めなければならぬと思う。だから、この「営む」ということの解釈、はたして「営む」ということばをつけておく必要があるのかどうか。そうではなしに、たとえば同じ家、世帯に住んでおる、あるいは隣近所に住んでおるというような場合に、おじいさんが年を取ってきた、ことに長年わずらっておって、いつ何どき死ぬかわからない、死んだときに、きょうだいが寄ってきて、民法の規定で争いが起こるのはうるさいから、早くひとつ安心してあと百姓がやれるようにということでやろうというのに、それがどうしても三年間継続して営んでおらなければいかぬというふうな規定がはたして必要なのかどうか。私はその必要はないのじゃないかと思う。本来、立法の趣旨からいって、あとの百姓を安心してやれるようにというところに主眼があるといたしますれば、そういう必要はないのじゃないか、もし、しいて必要ならば、「営む」という解釈については、そういう指図をしなくても、寝ておるおじいさんでも適用できるように、問題の起こらぬようにしてやってほしいということであります。  それから、もう一つ問題になりますのは、これはまあ農政当局でも大問題のようでありますが、田と畑とそれから牧場などもありますが、要するに、宅地とか家とかあるいは原野とかいうものは対象にならないが、しかし田畑の場合に、これを全部一括して、一坪残らず全部一人の人間に贈与してしまわぬ限りは、この法律の恩典にあずかることができない、法律の適用ができないということにいまなっておる。これは法文で「全部」とあるためにそうなっておる。ところが、実際問題としてどういう場合が起こってきますかというと、具体的に一つ起こりました事例は、書類を提出するときのミスで、実は九反九畝歩あったやつを、九反歩を全部だと思って贈与して、昨年の二月に県知事の許可を得まして登記したわけです。ところが、あとで気がついてみましたら、一反歩足らずでございますが、九畝歩残っておった。ミスで漏れておった。それでさっそくまたこれを県に願い出まして、同じ人間が贈与を受けることにして、それでいよいよ全部になったわけです。しかし、登記所へ行きましたら、これは分割しておるからして、一括でないから、これに当てはまらない、しかも最初の九反歩は、これは普通贈与である、あとに九畝歩というものが残っておるのだから、全部じゃないから、これは普通贈与だ、あとの九畝歩のほうだけは、これは当時残っておる全部であるから、これだけを生前贈与と認めるという判定をした。それで本人は、そんなばかなことはないといって憤慨しておるけれども、手のつけようがないからみんなあきらめておる。たまたま私のことを聞いて、山本先生に相談したらというので飛んできた。それでいろいろ持ち込んで、国税庁のほうで、この具体的事例についてはまあミスであったからということで、全部認めてもらうことにはなりましたけれども、おそらく全国的にもこういう事例があると思います。  私が申し上げたいのは、手続上のミスの場合はこれで片づきましたが、しかし、ミスでなしに、もう一つこういう事例があるのです。それは、おじいさん、おばあさんは七十幾つですけれども、達者でまだ働いておる。しかし子供はもうすでに五十近くなって、農学校まで出てやっておるのですが、これに譲りたい。安心してやれるように、自分が死んだときに、きょうだいが寄ってきてトラブルが起こらぬようにしたいということで、これに対して実は田んぼを二町歩ばかし贈与して手続をした。ところが、畑が少し残っておるのですが、これはまだほかに子供があるのです。だから、そのあと継ぎの子供が安心できるようにしたいということは親の念願でありますから、そうしましたけれども、しかし自分自身もなお何年生きるかわからない、来年死ぬか五年生きるかわからない、まだほかの子供もあることだから、少しぐらいはやはり――全部一坪残らずやってしまったんでは、自分ら老夫婦のことも心配だし、またほかの子供もあることですから、子供も安心してやれるように、またあとのことも心配のないようにというので、少し残したわけです。そうしますと、これは明らかに全部でないから当てはまらぬというわけなんです。ところが、私はこの法律の趣旨は、あと取りも安心してやれるが、しかしあとに残ったじいさん、ばあさんというか、所有権を現在持っておる者が、手放す人間が一坪残らず全部手放さねばこの恩典にあずかれぬなんというふうなことは、少しく実情に合わぬのじゃないか、それは理屈といたしましては、そういうことをやれば分割してやるということになって、農業がだんだん小規模になっていくというようなことはありましょう。しかし、いまのような場合には、分割して贈与するのではなくて、ほとんど大部分は子供に贈与しておるのだけれども、自分自身が贈与しない分を幾らかあとに残しておこうというだけなんですね。そして自分の小づかいも、子供にもらわなくても、そこでトマトやキュウリくらいはつくって、そして老夫婦は働いておるのですからやっていけるし、また中学校に行っておる子供のことなども考えれば、まるまる全部一人にやってしまうということも――民法の均分相続のほうはこれは不都合だということで、こういう是正を考えておるわけですけれども、均分相続の法律がそのままあるのに、民法の規定があるのに、五年間の時限立法の特別法で、一坪残らず一人にやって、あとの子供にはやるところが残らぬようにしないとこの法律は適用できないなんということは、これは少し私は行き過ぎじゃないかと思う。だから農家の農業経営のことも考えて、あまりこまかくならぬことを考慮する必要があるし、またあと取りが安心してあとの農業が、そのお父さんの生きておる間に、死んだときに問題が起こらぬように、安心してやれるように考えてやるということはまことにけっこう。しかし、同時に、あとに残っておる贈与するお父さんが、くどいようですけれども、何年生きるかわからぬし、ほかにもきょうだいがあるのに、若干の一反歩や――まあたとえば二町歩持っておる者なら、一反歩や二反歩の家の回りの畑くらいは贈与しないで残しておいてもいいということにしますと、八方うまくいく。ところが、一坪でも残ったらもうだめだ、ことに、いま私が申し上げたような場合には、そういうふうに常識上差しつかえないと思ってやって登記してしまって、取り消せば今度はもう納めてしまった登録税を五万円も六万円も損をするし、そうかといって、それならあとの残った分を全部子供に一緒にあとから追加して譲ったらいいかというと、これは年度が変わっておるからもうだめだという。ミスじゃないから、年度が変わって、去年の十月のとこれからの分と合わして、それで全部になってもそれは認められぬ、こういうことですね。いま坂田さん、あなたはもう農民にこまかい愛情のある大臣だから、私は、特にこの点は事務当局は何と言うか知らぬけれども、一応検討してみる必要があると思う。  それからもう一つあるのです。それはどういう点が問題になっておるかといいますと、これまででも贈与はできるはずです。生前に贈与は幾らでもできるわけですけれども、納税の延期という制度を設けたのは、そうして相続税として扱うということにしたのは、贈与税ではたいへんな金を取られるからなんです。ところが、生前贈与を適用して、一年たって死んだ。死んだときに今度再評価をする。そうすると、実は生前贈与じゃなしに、普通贈与で払ったよりももっと高く今度税金が来た。これは私のほうの税務署で、実は電話をかけたら、きのうもおこって帰ったというのです。そんなのなら初めに生前贈与じゃなしに高い税を払ったほうがなお得だった、こういう実例があるわけです。これは税務署のほうではそのときに評価して、一年たって評価額が上がったのだから、それはあたりまえだという理屈もありましょう。ありましょうけれども、この法律を設けた趣旨は、贈与税を相続税として納めさせるということは、贈与税が高いからそういう措置をとっておるのですが、この制度を適用した結果、かえって高くなった。しかも農家のいまの場合には、分割して売るということを前提としないでこの法律はできておるわけです。売ったら高くなるかもしれませんよ。しかし、もし売ったら、もうこの法律は取り消されるということになっておるのですから、売らぬという前提でできておる。ただ、評価の上だけで最初の普通贈与でやったほうがかえって得だったというふうな結果になるということは、これも考えてやらないといけないと思う。いろいろな方法はありましょう。たとえば最初贈与したときの評価、そのときの相続税なら幾らぐらいかかっただろうかというようなことで査定するのも方法でございましょうし、いろいろありましょうけれども、とにかくこの法律を適用してもらったために、かえって高くなったというふうなことが事実あるのです。そういうことのないようにすべきだ。  いろいろまだありますが、大体いままで申し上げたところを申しますと、その全部を渡す、一坪でも残っておったらいかぬという、この点について実際その実情に沿わぬ点もある。それから「営む」ということば、これがいろいろ解釈上の疑義を起こしておるということ。それから最初生前贈与ということで知事の許可を受けて贈与を受けるときに、生前贈与で税務署に持っていったときにひっかからないか、ひっかかるかということをあらかじめそこで連絡済みで行かないと、せっかく知事の認可を受けておいて登記までして、登録税まで払って、そして今度認められないということになると非常な損害を農民に与える、こういう点ですね。いま即席でここでこうすると言うことはできなくても、少なくともこれは検討してもらわないといけないと思う。私は月曜日に大蔵の分科会に行って、これは税の問題ですから大蔵関係で言いますけれども、何と申しましても、これはすべて納税当局のイニシアでできた法律で、現に今度の国会におきましても、贈与を受けた人間が贈与した人間より先に死んだ場合に、それの贈与税はもう帳消しにするという改正が出るわけです。これもみな農林当局からのイニシアで大蔵省では改正を行なっておるものだと思いますから、まず農林当局にその実情を申し上げて、いかに対処されるかということを伺いたいと思うのです。
  4. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 ただいま農地の生前贈与にかかります税法について、いろいろ具体的な問題をお述べになりまして、問題点のお尋ねがあったわけでございますが、御承知のように、いま山本先生御自身もおっしゃいましたように、この制度は、第一には、民法にあります相続の規定の共同相続の制度をこういう形で細分化を防止する特例にいたしたいということが一つ。それからなるべく早い世代に経営の責任者の世代交代が行なわれることを税法面七推進をすると申しますか、そういう二点をねらいにいたしまして、この特殊の制度をつくったわけでございます。したがいまして、御指摘のございました「営む」の解釈についての点につきましては、やはりなるべく早く若い世代に経営の交代をはかりたいということを推進するという前提でございますので、すでに所有名義はともあれ、その経営の責任主体が若い世代に移ってしまっておるという場合にまで相続税法あるいは贈与税法の特例を認めますことは、制度の趣旨としては、必ずしもすでに終わってしまったことを推進する必要はないという点があるのではないかというふうに考えられます。  それから一反歩も残さないで一括して渡すべきではないかという御意見につきましても、これはやはり相続による分割を防いで経営の細分化を防ぎたいという趣旨でございますので、ある意味ではしゃくし定木だといわれる面もあろうかと思いますが、いろいろな応用の範囲を広げますと、制度の趣旨に反した使われ方等も懸念をされますので、非常にこまかな制限を付して現在やっておるようなわけでございます。  それから評価の時期について、贈与の時期と、死亡いたしまして相続の解消いたしました時期と、時期によって差があることは不公平だというお話でございますが、この実態としては、言いかえれば、父親の死亡時に本来遺産相続という形で相続されるべきものを、後継者へのなるべく早い世代の交代と農地の経営の細分化を防止する意味で生前相続を先にしてしまっておるという形でございますので、その後の財産評価の変化に対応いたしまして、いわば一種の相続の変形のようなものでございますから、やはり死亡時の土地の評価で評価をせざるを得ないというふうに私どもとしては考えております。ただ先生御指摘の老後の生活安定というような問題になりますと、むしろこの法律の制限を緩和するよりは、国民年金制度などをもっと拡充をしていくというようなことで救済の方法もあるいはあるのではないかと思っております。  なお、冒頭におっしゃいました贈与の時期、生前贈与の税法上の手続と農地法上の許可の手続とがばらばらに行なわれておって、その間に関連がないという点につきましては、御指摘の点十分理解ができますので、手続面としては十分実情に合うように今後大蔵当局とも打ち合わせをして処理してまいりたいと考えております。
  5. 山本勝市

    ○山本(勝)分科員 結局現在あるいろいろな法律をつくったのは非常な恩恵ですけれども、御承知のとおり、受けた者が先に死んだ場合、そのときはどうするという改正案が今度出ておるわけです。その一点を見てもこの法律というものは、最初つくったときにそんなことはわかり切ったものですよ。先に死んだ場合もあるのですから、そのときにどうするというようなことで、たちまち今度は変えなければならぬということを見ても、この法律は十分実際にどういう場合が起こるということを検討済みではないと思う。それなら今度の、受贈者が先に死んだときにそれはもう帳消しにするなんという改正をしなくてもいいわけです。ですから、ほかにもあるのでしょう、現に起こっておるのが。それを、いま申しましたように、ただ分割されると困る、それはその点も私は考慮される必要があると思いますよ。思いますけれども、大きな理由は、あと取りの者が早く安心をして農業に従事できるようにということが大きなポイントであります。それでそのあと取りのほうも安心してやれるし、同時にまたあとへ残ったおじいさん、おばあさんも、何年生きるかわからぬのに、一坪でも残しておいたらいかぬというようなことは、その点は分割を防ぐためにはしかたないんだというふうな答弁に響くのです。そういうことを言われるのなら――大体受けた人間は、二割以内は売ってもいいんでしょう。受けた人間が三割以内売ってもいいということは、現に売って二割だけの農地が減ってほかのものになってしまってもそれを認めているわけです。それなら初めから、分割するのではない、やる人間自身が、おじいさん自身、おとうさん自身が一割とか二割とかを留保しておいて、あとになってよそへ売ってもいいくらいのものなんだ。いいですか。少なくともそういう点を考慮しようという心の姿勢がなければ、きまったものでしかたがない、あるいは農林部会で話をしてみたら、もうそういうことにきまったんだからしかたがないということでは、私はちょっと引っ込めないのですよ、検討するというくらいの心がまえがなければ。
  6. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 ただいま山本分科員からお話しになりました問題について私もいま承っておるのでありますが、まず手続のそごから来る問題は、これはほんとうにたいへんな迷惑になると思いますから、さっき局長からお話もありましたとおり、その手続から来るそごというものがないようにぜひとも検討しなければなりませんし、やっていただきたい、こう思うのでございます。  それから細分化の問題も問題でございますが、これも、こういうことが非常に大きな問題でありますのと、一つは若い世代に少し早く循環させたいということが、これは山本先生もよく前からお話のことでありますが、これは早く世代をかえていきたい。それはむちゃくちゃに早くということもなんでしょうけれども、適当に、まあ現在のようにおそくなるのは困るから早く交代させていきたいという問題、それから細分化を防ぎたいという、これは多年の農政上の要望事項でございましたので、税制の上においてこれをある程度実現していただいたことになりましたことに対して、私どももたいへん敬意を表して喜んでおるのでございます。問題はそういう本質から来ておることでございまして、しかしいまお話になったようないろいろの点、この本旨にそむかない範囲において何か考えることができないかという問題でございまするので、私は、手持ちに少し持っておるというよりも、若い世代に分けてやったやつは、もうかってにお互いが使えるという親子の関係が一番いいと思うのです。だから多くの場合は私は問題でないと思うのですが、例外的にはそういう事例も起ころうかと思います。そういったようないろいろな問題もございまするので、原理原則を税制の上に認めていただきましたことに対しては、むしろ私も非常に感謝しておるようなことでありまして、できることならば、これで当分いっていただきたいと思うのでございますけれども、山本分科員からお話になりましたような、具体的ないろいろな点については、私どもとしてもなお検討させていただきたいと思います。
  7. 山本勝市

    ○山本(勝)分科員 時間もありませんので、早くやめてくれというから私はこれでやめますが、ただ二割までは売ってもいい、贈与を受けたものを売ってもいいということがある以上は、分割を防ぐというのではなくて、贈与のほとんど大部分はやるのだけれども、一部分、うちの回りの畑くらいはじいさん、ばあさんが自分で保留しておくというのであって、二回に分けてやるというのではないですよ。他人に対して二割までは売ってもいいというのに、本人が一畝歩保留しておいてもいかぬというようなことは、これはどなたに聞いても常識に反しますよ。だからこれはもうこれ以上はまた別の機会にしますが、ひとつよくお考え願いたいと思います。
  8. 植木庚子郎

    ○植木主査 これにて山本勝市君の質疑は終了いたしました。  次に、芳賀貢君。
  9. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 詳しい問題については所管の農林委員会でお尋ねすることにいたしまして、きょうはごく重要な問題だけに限定して農林大臣に質問したいと思います。  第一の点は、林業に関する問題でありますが、昭和三十九年に林業基本法が制定されましてから、農林省の林政に取り組む姿勢というものが、むしろそれを契機にして後退したという感じが非常に強いわけですが、その理由はどこにあるかという点を大臣から直接聞かしてもらいたい。
  10. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 林業基本法を制定してから後退したことがないかという御質問、そういうことはないと存じます。
  11. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 それでは、基本法制定のときに附帯決議を付してあるわけです。この附帯決議は相当重要な点を列挙してあるわけでありますが、この附帯決議を尊重して実行された問題というものは一つもないのですよ。もう一つは、基本法はこれは宣言法であることは大臣も御承知のとおりであります。したがって、基本法の趣旨に沿ってこれを実際に施策に移すということになれば、現在ある法律の整備あるいは新しい法制化ということが必要になるのですが、これに対しても何ら努力をしていないわけです。したがって、国会の附帯決議の軽視、あるいは関連立法を実現することを怠っておる、この二点から見ても、これは明らかに林政が前向きでない、むしろうしろ向きになっておるような、国民の側から見ればそういう感じが非常に強いわけです。どういうわけでそういうことになっておるのかという点を大臣から直接聞かしてもらいたい。特にあなたが農林大臣になられてから一そうその傾向が強いわけですから。
  12. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 先ほど申したように、林政の問題は決して後退はいたしていない、こう申し上げたのでありますが、現在、ただ、国有林の特別会計の経理関係がいままでのように収支の関係がよくない、こういう現象はございます。したがって、そういう面につきましても、治山事業のごときは一般会計から特別会計のほうに繰り入れをしていただいておるということでございます。それから、そのほか、四十一年度の予算等においても、林政の問題に対して、また、それに関連の政策等についても、林政の面について相当進めて、准展できるように進めておるつもりであります。なお、詳細は長官からお答えさせます。  それから、附帯決議の問題は、これはいつも申しておりまするし、また、そのとおりでありますが、十分これを尊重してまいりたいというので、その趣旨に沿うようにできる限りの努力を払っておるのでございます。まず、今度もまた入会権の問題等について、入会林地というものをどう活用するかというような点については、近いうちに法律案を提出することにいたしたい、こう思いますので、その節は特別に御審議を願いたい、こう思います。  それから、林業政策全体の具体的問題についても相当進めておるわけでありまして、詳細がこの際御必要ならば、引き続いて長官からお話を申し上げます。
  13. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 いま国有林経営の収支の面において、予測としては今後十年間くらい現状をもって推定すれば、年間百億円程度ずつの損益上の赤字が出るということは聞いておりますが、一体、国有林野特別会計の中で、目的を十分果たすために、一年間百億円くらい計算上の赤字が出るということについて、どうしておびえなければならぬのかという点なんです。たとえば、食管特別会計の場合においては、当初予算においても一千三百億円の一般会計からの繰り入れをもう予定しておるじゃないですか。これも国民経済上必要な措置であるということで、一般会計から一千三百億の繰り入れをやる。国有林野の使命というものは、食管の一千三百億の赤字補てんよりも重要な意義を持っておると思うわけです。それを、わずか百億足らず赤字が出るということでもう戦々恐々として、何とかしなければならぬとか、公社化しなければならぬとか、そういう考え方自身が林政を大きく後退させるということになるのじゃないですか。その点はどうなんですか。いまの物価高騰の時代に、わずか百億くらいのはした金が赤字とか黒字とかいう問題じゃないですよ。むしろ林政の姿勢というものをどういうふうに明らかにして、国有林野事業の使命というものの負荷されておる公共性の完全な実行、あるいはまた、企業の近代的な実施という両面が百億円の赤字で果たされるとすれば、これに越したことはないと思うのです。その点はどう考えておるのですか。
  14. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 芳賀委員の激励をいただいてありがとうございます。実は、この国有林の特別会計が、これはできることならばやはり赤字にならずにいかれて、そうしてそれがさらに民生協力なり、あるいは林業の発展のために使われるということが私どもとしては望ましいと思うのでありますが、現在そうでなしに、そうはいかないということに相なっておるわけです。しかし、そうなりましたことについては、やはり国有林の経営の面についてでき得る限り高能率的に運営をしなければならないということは、これはその職に当たる者としては当然であると思うのでありますが、こういう実態になって、赤字が出たからというておびえるということは絶対ございません。国有林野の公共性からいい、また、国民経済の上からいい、きわめて重要なものでありまする使命を持っており、しかもそれは永年にわたってこの使命を達成しなければならないものであると確信いたしておりますから、そういうことでは少しもおびえることはございません。それは御安心をいただきたいと思うのであります。ただ、繰り返して申すことは、やはりその職に当たる者として、公職に立つ者といたしましては、でき得る限りそれを高能率的に運営するということに努力を払うということは、これは当然だ、こう思っておるわけでございます。
  15. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 昨日の角屋委員や永井委員の質問を聞いておっても、盛んに公共性優先を、きのうは三十回くらい大臣が繰り返しておられたわけだからして、国有林野事業というものは公共性優先、最優先ということは、これはもう国会の中では全部徹底してしまったわけですね。ですから、その公共性を堅持しながら事業を完全にやっていくということの形態というものは、むしろ特別会計制度のほうが公共性の堅持ということは可能なわけなんです。これを切り離して公団・公社ということにした場合は、これは何としても企業優位という形でやってもらわなければならぬということになるわけです。この点は国鉄の運賃値上げ問題等の論議の中においても明らかになっておるわけでしょう。それを、現在のような公共性というものを長期的に持続する事業の性質上、必要な場合には一般会計から制限を付さないで補てんできるという制度をみずから放棄して、窮屈な、公共性を維持することのできないような公団や公社に向かう路線というものを、しかも正々堂々とやっているならまだ話がわかりますけれども、全くこそどろのように隠密裏にそういうような作業をして、ことしの六月に大体その案を作成して――八月の下旬には四十二年度の予算に対する各省の編成を行なって要求書を出さなければならぬわけだからして、作業の順序から言うと、六月までに、公社案なりがあれば公社案というものをつくって、そうして予算化するためにそれは八月一ぱいに農林省としてまとめて、大蔵省に概算要求を行なう、こういう計画でおるわけだからして、そこに全く時代に逆行する状態というものは、われわれとしては見ていられないわけです。どうしてそういう無用な逆コースをたどって、いま日本の置かれた林業の状態というものをますます悪化の方向に追いやらなければならぬかという点については、農林大臣としても、それは長官にまかしてあるから、わしは知らぬというわけにはいかぬと思うのですよ。
  16. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 昨日からもよく申しておったのでありますが、現在公団にするとか公企業体にするとかということは一つもきめておりません。問題は、繰り返して申すようでございますが、国有林の使命は、先ほども申しましたように、国土保全の堅持といい、また地元民に対する寄与の問題といい、非常にその公共性が強いということは言うまでもないことであります。それからまた、一面は木材の需給関係もありまして、これらの国民経済の需要に即応すべく強い力を隠然としてここに持っておるわけでございます。そういう点からいって、国民経済の上においても大きな力を持っておることは、これはもう御存じのとおりでございます。さようなことであって、その重要なものが、結局これは一時的な仕事ではないので、永続して永遠にこの役割りを果たしていくというのが国有林の仕事でございます。したがいまして、私どもは、それを果たす上において、繰り返して申しますならば、その公共性の必要なことは十分頭に置く必要はもちろんでありますが、それと同時に、高能率的なものの運営をさすようにいたしてまいらなければなりません。こういう考え方でございます。  そこで、そういう考え方でありますので、これらの問題について検討は加えております。そのときに、昨日も申しておりますように、中央森林審議会においての答申もございます。それらを含めまして真剣に検討を加えておるということでございます。しかし、何も公団をつくるとか、あるいは公企業体にするとかということは一つもきめておりません。長官にまかせっ切りなんということは絶対ありませんから、御了承願いたい。
  17. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 それでは一個の独立の人格を持った新たな企業体をつくるということに対して、検討とか作業をやるということは、まだ長官に命令はしてないのですね。現状においては指示してないのですね。そういうことも考えていないのですね。
  18. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 先ほども申しておるとおりでありまして、こういう問題については真剣に検討は加える、こういうものにするなどということは一つもきめておりません。
  19. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 それでは、大臣としては考えていない、どういうふうにやるとか公社・公団構想を研究して、速急に成案をつくれということは指示していない。この点は大事ですからね。農林大臣が指示しないものを、かってに長官であろうともやるわけにいかない。その点明確にしてもらいたいのですよ。農林大臣がのんびりしている間に、下のほうではいろいろなおぜん立てを全部してしまって、これで判こを押してくださいということになると、とんでもないことになるのですから、この際、そういう無暴な案の検討等については、わしとしては全然考えてもおらぬし、指示してもおらぬということであれば、明確にしていただきたい。
  20. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 これは明確にいたしておるし、申しておるのでありますが、以前申したように、公共性をよく考えて、行き方を高能率的に運営できることについて慎重に検討を加えるということは申しております。
  21. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 そこで、附帯決議の問題に戻りますが、附帯決議の問題は全部で七項目にわたっておるわけですが、その劈頭に「森林資源の維持、開発の施策としての林道網の整備拡充と造林の推進については国庫負担及び補助率の引上、貸付条件の改善並びに予算及び融資の飛躍的増大等特段の措置を講ずること。」ということが明記されておるわけですが、ここで一番大事なことは造林ですね。資源論的に見た場合に、日本の森林は、世界各国で見ても世界一蓄積が少ないわけですからね。世界一といっても自慢にならないことですよ。国土の面積に対しての森林面積の割合はおおよそ七〇%を占めておる。この割合は世界一です。世界一であるけれども、蓄積の量あるいは単位当たりの蓄積においては世界一劣悪である、こういうことになっておるわけです。ですから、これを資源論的に資源の飛躍的増大をはかるということになれば、第一義的には、まず造林を積極的に行なう、あるいはまた、育林を強度に進めて成長を促進する、あるいは林道を公共事業という位置づけの上に立って、奥地林の開発等を行なうという林道網を積極的に建設していくというようなことは、これは公社化の問題だとか職員の首切りをやって収支のバランスをとるというようなうしろ向きの考えよりも、まず第一にやらなければならない点です。これが全然行なわれていないでしょう。基本法の審議の場において、農林大臣は与党の筆頭リーダーでしょう。そこで関運法案としては、たとえば造林法であるとか、あるいは林道法という単独法をすみやかに制定して、それを基礎にして、今後行なう林道の開発あるいは造林の実施等については、少なくとも国の公共事業と同様な位置づけを行なって、これを長期的に強力に国の責任で実行しなければならぬ、やるべきことであるということがきまっておるのですよ。これを全然やっていないじゃないですか。一体どういう形で今後の資源の拡大あるいは国民経済に対する積極的な貢献をするかという点に対して明確にしてもらいたい。
  22. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 いま御指摘の造林の問題のごときはきわめて重要であります。今度の予算におきましても、補助単価を造林については引き上げておりますし、それから、この造林の問題についていろいろの問題を解決すべく努力をいたしておる。詳細は長官からお答えしますが、なお林道の補助総額の拡大、それから造林の補助金額総額の増拡大のほかに、融資ワクの拡大等について、今年度の予算ではずいぶん拡大しておるつもりでございます。  なお、先ほど言われたように、首切りばかりを考えておるということは、毛頭そういうことはないのでありまして、それは何かの誤解でございます。農林大臣が中央森林審議会に諮問したことに対する答申がありますが、その答申がありましたので、もちろんこれは検討を加えるべきであるということは命じておりますが、したがって、そういうことを加味しながら、全体の問題をもう少し能率的に動くようにすることを検討しておる、こういうことであります。首切りとかそういう意味の合理化なんてことは全然考えておりませんから、その点は了承されたいと思います。
  23. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 それでは林道法あるいは造林法を速急に用意して国会に提出する意思はあるんですね。そういう法律の根拠がないと、公共事業としての規定ができないんですよ。単に補助金を出すとか、あるいは再造林に対しては助成を認めぬとか、そういう消極的な態度では、資源の拡大は当然できないでしょう。造林をするということは、これは国有林、公有林は別ですが、私有林の場合においても、その国土に造林を行なって、森林資源を豊富にするということは、これは当然社会資本を充実させるということになるわけですよ。それが国民経済に寄与する源泉になるじゃないですか。そのぐらいのことをやらぬと、世界一おくれておる成長あるいは蓄積を挽回することはできないと思うのです。  もう一つは、昭和三十六年に官行造林法というものを無理やり廃止した経緯があるわけですね。これも国会で必要がないから廃止せよと言ったんじゃないでしょう。時の林野庁長官の山崎君が先頭に立って、あらゆる方法、手段を弄してようやく国会の中で、これは与党の賛成を得て押し切ったような経過があるわけです。いまにして思えば、この国が行なう分収方式によるところの官行造林というあの制度は大きな貢献と成果をあげてきたわけです。それを林野庁みずからが、そういうものは要らぬということで、やめてしまうということをやっておるわけです。そのあと次々に愚を繰り返しておることは大臣も承知のとおりですが、積極的に造林をやるということになれば、現在の造林関係の状態というものは、造林の面積というものは、もう停とん状態に置かれておるでしょう。いろいろ理由はあるが、個人の意思とか希望のままに放置しておいた場合においては、これは積極的な造林ということは今後進まない。成長は停滞する。しかし国民の需要にこたえて、無計画な乱伐、過伐をしなければならぬというようなそういう傾向が当然出てくるわけですから、この際、官行造林という名前が時代的であるとすれば、これは名称は別としても、国有林事業が中心となって、公有林あるいは民有林等に対しても、長年の事業の経験と優秀な陣容を整えているわけですから、積極的に官行造林の制度の復活をはかるべきであるというふうにわれわれは考えているわけですが、農林大臣としてはそういう意欲的なお考えがあるかどうか、いかがですか。
  24. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 国有林にいたしましても、人工造林は最近面積も増高いたしております。年々の造林面積は三十六年から四十万ヘクタール、――最近ややそれは減退いたしておりますが、(芳賀分科員「林業白書と違う、どっちがほんとうだ」と呼ぶ)どっちもほんとうです。三十六年以来四十万ヘクタール増しております。最近やや停滞、こういう状態なのであります。  なお、この造林の問題について、詳細は長官からお答えいたします。
  25. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 この点はすみやかに検討する必要があると思うのです。大臣、どうですか。何かむずかしい問題になりますと、ことさら音調を下げてみたり、長官から答えますと言う。あなたの悪いくせですよ。わしの在任中にそういうことはすみやかに検討して何とかやってみる、このぐらいの迫力がないと、農政全体あるいは林政というものはなかなか前進を示さねぬと思うのですよ。農政というのは、あなたのせいではないが、だんだん斜陽化していることが現実でしょう。こういう問題は、かつて、あって成果をあげた制度等については、この際反省して再検討をして、いまの時点においてこれが必要であるというような場合には、十分これは作業を進めてやりますというぐらいのことでぜひやってもらいたいですね。いかがですか。
  26. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 現在、法律としては、いま二百何十万町歩の入会原野があるわけですが、これらを有効に活用する意味で入会権に関する法律を提出して、これについては皆さんの絶大な御援助をお願いしたい。ここでまた特にその点をお願い申し上げます。
  27. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 その次に、先般の農林委員会において資料の要求をいたしまして、その中で、昭和四十一年度の木材需給見通しを示してもらいたいということで、資料を提出されました。その内容を見ると、外材の輸入量というものが全体の二八%を占めているわけです。これはことしや来年だけがこういう状態ということではないわけですね。おそらくいまの国内の森林の状態とかあるいは需給関係を見た場合には、長期的にあるいはこれ以上の割合を外材に依存しなければならぬということになると思いますが、先般来も議論されているとおり、木材の輸入というものが、国内の林業の生産部面において、あるいは価格、所得の面等においても、あるいは造林事業の面においても、これは非常に圧迫の要素になっておるわけです。いろいろ内容的には理由はあるわけですが、この際、そういうような外材の輸入量が高まるというような現況が相当長い間続く限り、どういうふうに対応するかということになれば、これは重要な問題だと思うわけです。ここでたとえば食管会計においては、輸入食糧は全部食管がいわゆる管理貿易の形で管理しておるわけですが、この際積極的に外材に対しては、方法はいろいろあると思いますけれども、たとえば現在の国有林特別会計において、計画に基づいた必要量の外材というものは特別会計がこれを買い付ける。そして国内の生産需給あるいは価格を十分調整し、そうして国内の林業を大きく発展させるということも目的の一つに入れて、輸入外材の特別会計による管理、こういうことをすでに打ち出す必要があると思いますが、この点に対して農林大臣はいかようにお考えですか。
  28. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 外材を国有林特別会計で買ったらどうかという御質問でございますか。その点はよく検討いたさなければ、いま直ちにここでは御返答はできません。
  29. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 これは即答を求めているわけじゃないですよ。すみやかに検討すべきである。国有林の生産材の数量と外材の輸入数量が全供給量のちょうど半分を占めておるわけですね。国有林は自分でやっておるわけですから、国営方式だから、あるいは外材を買う場合においても、相手のソ連圏等は、これは国家貿易でやっておるわけですから、一般の産品を国が輸入管理するということはなかなか問題はあるが、こういう木材資源のごときは、いまの国有林の制度から見ると、そういうことは食糧の場合よりも容易にできると私は考えるわけです。ですから、こういう問題こそ公社化とか公団化とか、職員の首切りを検討するよりも、やはり国家百年の計を進める場合になかなか検討に値する事項だと思うわけですからして、ぜひこれは検討を進めていただきたいと思うわけです。  もう一つお尋ねしたい点は、農林大臣は首切りをやるようなことは毛頭考えておらぬ、もしそういう説をなす者があれば、これは全く誤解に基づくものだということを言っておるが、昨日からもっと能率の上がる企業を云々ということを繰り返し、繰り返し言われておるが、これは最少の人員に従業者をしぼって、そうして過大なノルマを与えて生産を期待するということは、どうしても腹の中に隠されておると思う。大臣は正直だからそれほどでないが、林野庁長官の考えはそこにあるわけですね。長官からこれは別な機会にまたよく聞きますが、ですから、大臣がまじめに言っておるように、絶対に首切りはやらぬ、雇用の安定は十分に進める、しかも林業白書によっても、林業に従事する中堅的な基幹労働者というものは他産業にどんどん流出しておるということは、これは白書にもうたってありますし、あるいは農業白書にもそのことは同様にうたっておるわけです。ですから、人間を整理するとか首切りなんということでなくて、どうしたならば林業の生産分野に優秀な労働力を長期的に安定的に確保するかということが、これが林政に与えられた大きな課題であると考えるわけです。そういうことを忘れて、赤字をなくすためには公社化したらいいじゃないか、五千人、六千人首を切れば何とか収支のバランスがとれるとか、あるいはまた営林局単位で一定のノルマというものを与えて、是が非でも年間示された収益というものはこれを確保せい、それをやるためにはどんな方法をやってもかまわぬということが示されておるでしょう。あるいは長期計画によって、皆伐方式で逐次造林を進めていくというような場合にも、一定の収益をどうしてもあげなければならぬということになれば、奥地林の伐採はできないということになる。繰り返してやはり黒山とかそれに近い生産条件の有利なところにそれを振りかえて、そうして生産をあげる。造林するのもやめてそうして皆伐方式をやらないで、択伐方式を昔のように採用する、そういうことが現地でいや応なしにやらなければならぬというような状態が出てくるわけです。そういうことでなくて、ほんとうに雇用の確保をするとか、雇用の安定をはかるということであれば、現在の林業基本法でも、われわれが国会で審議をして、雇用関係の問題については、もう至れり尽くせり、これは法文上にはそういうものをうたってあるわけです。しかし、それが実行されていない。それでは首を切らぬで雇用の安定を確保するということになれば、どういうふうな制度をこの際判定して、特に国有林労働者の雇用の安定、あるいはまた民有林労働者の雇用の安定、あるいは社会保障制度を具体的に進めるかという点について、この際大臣から明確に答えてもらいたいわけです。  この雇用の安定の問題については、一昨年の十二月の、当時の臨時国会のときに、予算委員会において私から農林大臣並びに当時の石田労働大臣に対して、この雇用安定の問題特に国有林における定期作業員ですね、一年じゅう続けて仕事をする意欲があっても、林業の特徴、性格上、年間の一定期間は仕事が休止される、中断される、しかしまた次の年には、一定の時期が来れば事業が再開されて、労働力が当然必要になるというような、こういう反復した事業の状態あるいは雇用の状態というものが特徴的に出ておるわけだから、それに対応する雇用安定の制度というものを国有林が率先して制定すべきである。それに続いて民有林、公有林等の労働者に対する雇用安定制度というものを確立すべきであるということを指摘した。当時の石田労働大臣は、労働省としてもそれの必要性は認めておる、しかし、残念ながら農林省のほうが非常に消極的である、特に林野庁長官が全く熱意がないので、やはりこれは農林省の問題として十分やってもらわなければならぬ、こういう趣旨の答弁が行なわれたことは、これは長官も御承知のとおりでしょう。一体その後何をやっているのですか。全然何もやっていないじゃないですか。そこでこの際首切りはしない、雇用安定むしろ事業を拡大していかなければ、これからの林力の拡大、再生産ということはできないわけですから、そういう意味における雇用安定の国の制度というものをすみやかに制定する作業が進められておるかどうか。その点について農林大臣から明快に答えてもらいたいわけです。
  30. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 林野庁長官をして答弁いたさせます。
  31. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 ただいま雇用安定のお話がございましたけれども、雇用安定は林業基本法の趣旨でもあり、国有林で特にこの点に留意をして進めてきておるわけでございます。それはいままでの作業員の常用化あるいは定員化の面でよくわかると思うのでありますけれども、今後さらに事業の仕組みを十分にくふうをいたしまして、そしてできるだけ通年的な雇用ができるように持っていきたいという努力をしているわけでございます。ただ、林業という産業の性質上、相当機械化が進んでも、なお季節に支配されるという面が多いわけでございますから、そこで完全な通年的な事業に持っていくことにはなお困難が伴いますけれども、方向としてはそういう努力を続けてまいりたいという考えでいるわけでございます。  それから、先ほどお話のございました生産性をあげる、能率をあげる、結局人員を少なくするということが首切りではないかというふうに解釈ができる御発言がございましたが、とにかく、この国有林野事業も戦後約二十年、いろいろ反省の上に立って将来の方向をきめなければならない時期だろうと思います。たまたま中央森林審議会からも答申がありましたので、それも重要な一つの参考事項として検討を進めているわけでございますけれども、とにかく国有林に課せられました使命を最も高度に達成をしていくための事業の経営のしかたが、かくあらねばならないということはあるだろうと思います。やはりそれぞれ職場、職場では生産性のあがる、能率の向上も期待できるように持ってまいりまして、そして一方におきまして、別にまたそれぞれの分野で余った人の仕事をさらに具体的に拡大をしてまいる、そして拡大をしてまいるための必要な資金といたしましては、これは昨日来お話の出ておりますように、この使命を達成するための造林なりあるいは林道なり、国有林野事業としてやるべき仕事をさらに拡大することによって仕事の分量をふやしているのじゃないかというふうに考えているわけでございます。  それから、なおついでに申し上げますと、外材の輸入について国有林野事業でやったらどうかというお考えは、一つの御意見として十分検討をしてまいりたい、こういうふうに思いますけれども、いまの外材のあり方につきましては、国有林はもちろん、民有林におきましても、切りかえておるために国内生産が減っておって、そのために外材が入ってきておるというふうには考えていないわけでございます。国有林も民有林も精一ぱい切っておる、それでも需要に追いつかないから外材が入っておるというかっこうでございます。ただ、あくまでも木材の需要は産業の伸展と並行するわけでございまして、昨年からことしにかけての外材の伸びは、あの三十六年ごろに比べますと、ずっと落ちておりまして、四%程度の伸びにとどまっております。しかし、将来といえども、いまの国内資源の状況からいいまして、なお外材に依存する必要がある。大体昭和五十年ごろには、いまよりももう少し外材への依存度がふえるだろうと思います。以後、それまでの林力増強に伴いまして蓄積してまいりました林力が発揮されて、将来国内自給率は漸次高まっていくというふうに考えております。その傾向については何回も申し上げておりますように、三月の森林資源の基本計画あるいは需給の長期見通しを公表することによって御了解をいただく、こう考えているわけでございます。  そこで、国有林が外材を扱うという問題についてでございますが、何といいましても、現在それぞれ民間において外材が取り扱われておりますし、そのシェアの中へ国有林が入っていくという点についても、国有林の能力は別といたしまして、いろいろ問題があろうかと思います。そこで、民間の外材輸入について、できるだけ適正円滑な指導をすることによって国内の需要をまかない、あるいは価格の安定をはかり、さらに自給率の向上に圧迫を加えないような方向で指導をしていくことが当面の妥当な方法ではなかろうかという考え方も持っているわけでございます。しかし、国有林その他国の機関によるところの外材の扱い方については、十分検討いたしたいと考えております。
  32. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 時間切れのお話があったのでこれでやめますが、この点だけは明らかにしてもらいたいと思うのです。  昨日の本会議で決算についての大蔵大臣の報告があったわけです。その際、国有財産並びに国が生産した物品の売却あるいは払い下げについては、今後は競争入札を原則にして、そのたてまえで進めるということを、きのう本会議で大蔵大臣から説明があった。これを国有林に照らした場合、製品の販売あるいは立木の販売等のやり方が、いままでは一般競争入札ということでなくて、随意契約あるいは指名競争入札、最後に一般競争入札という順序でやってきておるわけです。しかも随意契約等の場合は、企業力の弱いものに優先的に有利な条件で払い下げるのでなくて、順序から言うと、パルプ産業が第一順位でしょう。だから資本力の非常に強いものに対しては安い有利な条件で特別売却を行なう。企業力の非常に弱い、そういう力のないものに対しては随意契約による特売の対象にしないとか、あるいは僅少の数量しか払い下げしない。あとは条件の悪い一般競争入札でやっていくというような、世間から見ると逆なやり方が、国有林の製品販売においては行なわれておるわけです。これは今後是正するわけでしょう。大蔵大臣がわざわざ本会議で、今後は競争入札ということを主体にして、国民の疑惑が向けられないようにやりますということを言っておるわけですから、これは農林大臣から約束してもらいたいのです。パルプ資本重点に、国有林の生産された製品とか立木の払い下げをするということが、経営上から見ると赤字を出す大きな原因にもなっておるわけなんですよ。独占的な巨大な力を持っておるものに優先的に国有林の製品を有利に提供して、一般国民に対しては不利益になってもかまわぬというようなやり方が、むしろわれわれから見れば赤字の大きな原因あるいは不明朗の要因をなしておるわけですから、これは速急に改善してもらう必要がある。抽象的に、しますというのじゃなくて、四十一年度からの払い下げ方針については、こういうふうにしますということを、次の機会に明らかにしてもらいたいと思うわけです。それが一点です。  もう一点は、これは林野庁だけではわからぬと思いますが、たとえば経済企画庁等においても、土地の利用区分に対する国土調査というものはやっておるわけですが、現在のように国土総面積の中で森林面積が七〇%も占めておる、そういう膨大な占有率を持っておりながら、生産面においては世界一劣弱であるというような現況、これを調査した場合において、もう少し高度な国土の総合開発あるいは土地の高度利用ということが必要と思うわけです。したがって、この点について経済企画庁においてどういうような利用区分に対する作業を進められて、いまの段階ではおおよそどのような調査の結果というものが出ておるかということを知りたいのと、それからもう一つ、農林省の中では何といっても農地局がそのほうの調査等をやっておるわけですからして、経済企画庁並びに農地局長からもこの点に対して、今後の国土の高度利用、土地の利用区分等の問題について説明を願いたいと思います。
  33. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 お答えいたします。  ただいま全国的に総合開発をやっていく場合の一つの計画といたしまして、全国総合開発計画というものが、昭和三十七年の十月にでき上がって、その総合開発計画では、国土の利用につきまして、平地あるいは山地という区分に従ってそれぞれの利用構想を述べてございます。また新産都市等、その他の特別な地区につきましても、かなり具体的な土地利用の構想が立てられてはおります。しかしながら、全国的な意味ではっきりした土地利用計画というようなものが、いまの段階ではできておりません。土地利用計画を全国的につくって、今後の国土の有効利用、あるいは都市がスプロール現象的にどんどん発展して、農地その他を侵食していくとか、あるいは奥地においても工場誘致等でせっかくの農地とか森林を荒らしていくような場合もある。そういうことのないように、全国をもう少し合理的な土地利用計画に従って開発していくべきじゃないかという御議論が、かなりの方面から強く言われております。私どももいろいろ検討いたしておりますが、具体的な計画を立てていくということはたいへんむずかしいことだとは思います。しかし、できるだけそういった方向に進んでいきたいと思いまして、ただいまも全国総合開発計画そのものについてまず再検討をして、もう少し具体的な地方の開発の指針になるようにということで検討を開始いたしております。  それから国土の調査の関係にいたしましても、国土調査法に基づいて調査をやっておりますが、この調査は非常にこまかいいわゆる地籍調査が中心でありまして、一筆ごとの土地の面積を画定していくということでやって、ただいま十カ年計画を立てて比較的順調に進んでおりますが、これはむしろ土地利用の計画を立てる根拠になるそれぞれのもとの地籍を画定して、計画の際に混乱を来たさないようにということが一つの大きな利点だと思います。直ちにこれが利用計画にそのまま結びつくものでございませんので、やはり総合開発計画をもう少し具体的な計画に立って、その計画の構想に基づいて土地利用計画をつくっていくというふうに進んでまいるべきだと思います。そういう意味で目下検討いたしております。なかなかむずかしい問題で、かなりの時間をかけないと具体的な成果が得られないと思いますが、極力努力いたしたいと思います。
  34. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私も、ただいまの企画庁からの御答弁と同じふうに考えております。私ども土地改良なり、あるいはその中でもとりわけ開拓等をいたします場合に、現実には土地利用区分の問題を頭に置きながら仕事をしてまいっておるわけであります。また、土地利用区分の方法論については、農林省全体として相当の検討をいたして、一、二年前に技術会議で方法論を中間的にまとめた段階がございます。ずいぶん詰めて議論いたしまして、自然的な側面においては、相当プラクチカルといいますか、実際的に使えるものができつつあると思いますけれども、社会的、経済的側面における土地利用区分のいわば指標についての議論がなかなか詰まらないで、まだ私どもそれをもって全国的に土地利用区分を進めるというところまで残念ながらいけるというふうには思っておりません。したがいまして、土地改良等につきましても、相当広範囲に国営なり県営なりの事業をやっておりますし、また、それぞれ新産都市あるいは近畿圏とか首都圏とか、そのほかいろいろな形で地域振興計画をそれぞれ地方で立てます場合に、土地利用区分の問題を頭に置きながら仕事をやっておりますので、大体私どもそういう方向に向かっておるのではないかと思います。  ただ、芳賀先生がどういうふうにお考えになっているのか私ちょっと中座して失礼いたしましたが、土地利用区分をきめて、たとえば農業関係から申しますと、農地と非農地とはっきり分けて、そうしてその農地においては、たとえば農業投資を集中的にやる、そのかわりに農地の壊廃は認めない、そういうふうにしませんと、日本の農業の振興ははかれないではないかという意見が、実は中期経済計画の策定をいたしましたときの農林漁業分科会で相当活発に議論されたわけです。私は、それは確かにおもしろいといいますか、有益な着想でありますけれども、事務当局として一番の難点は、農業地域として画定して、農業投資を集中的にするということはいいのですけれども、それと見返りに土地の壊廃を法律的にがっちり押える、そこでは農地の壊廃は認めないというふうにすると、御承知のようにいま五百数十万の農家というものはえらい分化を示していて、一生懸命農業をやる人もいるけれども、土地の値上がりを待って農業からできるだけ早くうまく逃げようとする人たちもいるわけですし、あるいは、その中間にいろいろな層の農家があるわけですから、農業地域を区分して、そこで壊廃をしないという形で地価を押えることが行政的に妥当であるか、あるいは可能であるかという問題が一つの難点であるということを、私はそのときにも申し上げたことがあるのです。したがいまして、土地利用区分というのは、私もそれは必要であるし、有用であるし、できるところからやっていったらいい。ただし相当な広がりでやるためには、まだまだ相当な期間がかかるではないかというふうに考えておる次第であります。
  35. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 木材の払い下げは、芳賀委員も御存じのとおり、一般入札、指名入札、随意入札、こういうふうになっております。最近の傾向から言えば、もちろん一般入札がふえつつある、こういうことでございます。また、山林の問題については、いろいろ問題がございましょうが、パルプのほうに特別の恩恵を与えるなんということはございません。もしあったならば、農林大臣は承知いたしません。  それからなお、ついでに申しておきたいのは、人工林が日本は非常に高いことは、これは芳賀委員もよく御存じのはずなんです。二九%、世界でもそうよけいありません。そこはお互いに林業及び農業に尽力をしておられる芳賀委員のことだから、あまり卑下されぬようにひとつお願いいたします。
  36. 植木庚子郎

    ○植木主査 これにて芳賀貢君の質疑は終了いたしました。  次に、川俣清音君。
  37. 川俣清音

    ○川俣分科員 私は、この際農林大臣のおられる機会に、国有林の問題、農地の問題、食糧関係の問題等をお尋ねをし、農林大臣を大いに鞭撻いたしたいと思うのであります。質問よりも鞭撻になると思いますが、坂田さん、声は非常に大きく出しますけれども、どこかふ抜けのところがあるのじゃないか、そこがあるいはあなたの長所かもしれませんが、私はあまり声を大きくいたしませんけれども、十分お聞き取り願いたいと思うのであります。  まず第一に農林大臣、農林省に訓令なるものがたくさん出ておりますね。訓令というものは、これを徹底させることが歴代の大臣の任務だと思う。その職についたからには、過去の訓令を、自分が出した訓令でないにせよ、訓令というものについて十分徹底させることが大臣の任務でなければならない、私はそう思いますが、いかようにお考えになりますか、この点をお尋ねしたい。
  38. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 御指摘のとおりでございます。
  39. 川俣清音

    ○川俣分科員 法律用語集なるものを見、あるいはそれによりますと、訓令というのは命令の一種であって、これをもって省の方針とするものが訓令だ、政令にも匹敵すべきものだという説明が加えられております。  そこで農林省の、特に国有林におきましては、この訓令を確実に実行させようと努力をするのでありますか、過去の訓令だからそれはたな上げしようというお考えですか。どうもそうじゃないようにも思いますけれども、この点を明確にしていただきたいと思います。
  40. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 いまお話しのとおり、訓令はやはり徹底するようにいたしたいと思います。ただし古い訓令で直さなければならぬものもあると思います。
  41. 川俣清音

    ○川俣分科員 直さなければならぬものがあるとすれば、これはすみやかに直してから、実行が不可能なものであるならば、直して初めて実行可能なものの実績を確保することが必要になってくるので、ある間はこれは実行しなければならないと思う。実行しにくいものは改正するというなら話はわかりますよ。ものもあるかもしれないということは、訓令を守らない意思もあるということが明らかじゃないですか。訓令の中には抵抗されてなかなか実施しにくいものもありましょう。しかし実施しないものに対しては訓令違反だということで、罰則規定はないですけれども、行政命令ですから、行政命令に違反したものについては行政処分が行なわれるわけですね。法律じゃないけれども、訓令違反は行政命令違反ということで、戒告その他の処分に値するのが訓令だということになっております。したがって、改正をするならば、改正された後にいまのような発言がなければならぬと思うのです。  そこで、次にお尋ねしますけれども、農林省の訓令でもかなり古い二番目の訓令ですが、国有林野経営規程という訓令がございます。これは国有林の憲法だといわれて、国有林の試験問題にはこれからおもに出されておるのです。特に担当部長の任用にあたっては、これを試験問題にして、そうして任用されておるわけです。国有林のあり方というものは、第二条及び第三条で明らかになっておる。そこで前もってお尋ねしたいのですけれども、中央森林審議会でこの間からいろいろな答申が行なわれておりますけれども、この審議会の構成メンバーは、大臣でなくて長官でけっこうですが、学識経験者をもって構成しておりますが、学識者と経験者の比率はどんなふうになっておりますか。
  42. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 中央森林審議会の委員は、全部で二十七人だと思いますが、まあこの学識経験者という場合に、学識者と経験者とを明確に分けて必ずしも使っておりませんので、どちらかにウエートがかかる人があるかもしれませんが、それぞれ学識者であると同時に経験者でもあるというふうにも言えるのではないかと思います。
  43. 川俣清音

    ○川俣分科員 この際私、あえてこういうことをお尋ねしたのは、経験者といい、学識者といい、国有林野の経営規程、農林省の訓令というものを理解しておらなければならないはずだと思うのです。特にそれに幹事として参加する者は、この訓令というものを念頭に置いて幹事役をつとめておらなければならないと思う。訓令に違反するようなことを審議される場合には、この規程のあることを認識させなければならないと思うのですが、訓令というものを軽視しておられるのであるかどうか、この点をお尋ねしたい。
  44. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 訓令を軽視するようなことはございません。
  45. 川俣清音

    ○川俣分科員 それでは、訓令は国有林のあり方を明示しておる憲法でもございます。憲法改正の議というものは、国民の総意によらなければなりません。そして経営規程につきましても、単なる学識経験で国有林のあり方を出すものではなくして、学識といい、経験といい、いずれもこの訓令というものを念頭に置かなければならない、私はそう思う。大蔵省は、一体農林省の訓令を御存じですか。担当官であれば御存じだと思いますが、査定の場合に農林省の訓令というものを念頭に置かなければならない。他省の訓令だから差しつかえないんだという考え方ではならない。いずれにしても政府の機関の訓令でありますから、これにはやはり拘束を受けるという考え方であるのか。いや独立した省の訓令であるから、これは無視していいという考え方で予算査定をされますか。その点お尋ねしたい。
  46. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 ただいまお尋ねの林野庁関係は、実は私の所管ではありませんけれども、訓令を一々詳細の点についてまで十分な理解をしておるかどうかという点につきましては、初年度の主計官でもございますので、主計官としてそこまで理解をしているとは言い切れませんけれども、十分に農林省の事務の立て方とか、仕事のやり方についての理解の上に立って査定の仕事をしているのが私どもでございます。
  47. 川俣清音

    ○川俣分科員 主計官が担当でないことを承知してお尋ねをしているのですが、主計官会議も開かれますし、常に主計局の内部で局議を開くなりしておりますから、方針だけは明らかになっておると思う。私は主計官も一々この訓令を全部マスターしているということは無理だと思います。こういう点については、査定を受ける原局からこういう訓令があるのであるから、これに違反するわけにはいきませんという抗議があった場合には、査定をする場合にどうされますか。これはあなたの経験でけっこうです。
  48. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 実はそういう経験はあまりありませんけれども、省の方針としてかく考えるという事項につきましては、十分尊重しながら私どもその査定をやっていくつもりでございます。ただその訓令の当否自体について、予算当局として論議を戦わし、少しでも前向きに、よくなる方向に努力するということはあり得ることだと思います。
  49. 川俣清音

    ○川俣分科員 よくなる方向なんて、経営規程という訓令があるわけですね。規程に基づいて予算化して実行しなければならない義務を負わせられておる。したがって、主計官が全部これをマスターしなければならないと、私はそこまでは極論はしませんけれども、少なくとも査定を受けるそういうことを執行しようとする側におきましては、こういう点があるのだからという説明をしなければならない義務だけはあると思うのです。それを説明がなかったからという査定を受けたとすれば、査定官の大蔵省の失態ではなくして、当局の失態だというふうにあなたはお考えになりますか。いや、それは、もっと積極的にこういう訓令まで理解をして査定すべきだ、あるいは全部それは困難であるから、執行当局である林野庁が、こういう規程があるのだという注意を喚起するのが本来だと思いますか、どちらだと思いますか。
  50. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 予算の査定の過程におきまして、農林省のほうから、法令についてはもちろんのこと、省の一般的な訓令、取り扱い等について、それを根拠にして説明を受けるということは再々ございます。そういうものを理解した上で査定を行なっておるつもりでございます。予算要求官庁である農林省においても、もちろんそういう点については十分配慮をして、省の方針であるところのもの、その他を尊重して予算要求をやっておるものだと私は心得ております。
  51. 川俣清音

    ○川俣分科員 そうすると、大蔵省は訓令に違反するようなことは強要できない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  52. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 どういう御想定かよくわかりませんけれども、訓令のあり方につきまして、それが省の一般的な方針であるかどうか、その省の方針が妥当であるかどうかというようなことについては、予算査定の過程において論議を戦わして、もしそういう方針については改めてもらいたいというような事項がある場合、予算当局として意見を申し上げるということは十分あり得ることだと思います。ただ、それが尊重されるかどうかというようなことは、予算の過程においていろいろ紆余曲折はあるでしょうけれども、最終的にそういう論議にもかかわらず、残っておる訓令につきましては、大蔵当局としましてもその方針を尊重したという形になっておるものだと思っております。
  53. 川俣清音

    ○川俣分科員 ではだんだん具体的に例をあげてお尋ねをしますから、嶋崎さんでは、担当官でないのでぐあいが悪いとは思いますが、どうぞお含みおき願いたいと思います。  そこで大臣並びに長官にお尋ねしますが、林野の使命というものを三つあげられておると思います。一つは国土保全であり、一つは国民の福祉の増進に寄与するために国有林野があるのだというその使命であります。もう一つはさらに森林基本計画を立ててそれを実行するということでございます。したがって、わかりやすく大臣に説明すると、「森林資源の培養、森林生産力の向上及び経営の合理化に努めて」「及び経営の合理化」でありますから、「森林資源の培養、森林生産力の向上」が主目的で、それだけでは足りないから、さらにつけ加えて経営の合理化もしなければならないというのがこの解釈であると思います。そうではないですか大臣、どうでしょう。
  54. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 御指摘のとおりでございます。
  55. 川俣清音

    ○川俣分科員 「経営の合理化」ということは各種目に出てくることでございますが、主目的は「森林資源の培養、森林生産力の向上」であることには間違いないと思います。そこで、この経営規程の経過から見ましても、戦後山林資源、いわゆる森林資源が非常に枯渇をいたしまして、木材供給に不足を来たし、需要に応じ切れない結果からして、国民経済に大きな不安を与えましたために、それを積極的に解決していこうというのがこの規程の生まれた原因でございますことは林業白書に明らかでございます。私の説明でなくて林業白書の説明からいたしましても、かようになっておるのであります。  そこで具体的にお尋ねしなければならぬのは、「伐採跡地及び未立木地に対する植栽、林相の改良、林分の保育その他により、森林資源の培養及び森林生産力の向上を図ること。」という具体的なものがございますが、国有林野にまだ未立木地帯があるようでございますし、国有林野ばかりではなしに、一般の民有林におきましても、公有林におきましても、非常に未立木地が多いようでございます。しかもこれは伐採あと地における再造林がおくれておることは、この規程を十分理解をし、実施しようとする意欲が足りない具体的なあらわれじゃないかと存じますが、長官、いかように思いますか。
  56. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 大体、伐採あと地の整備、それから製薪炭等もございまして、二年ないし二年半、搬出期間等を含めて、ありますので、その期間以上に国有林野で造林が放棄されているということはないと思っております。
  57. 川俣清音

    ○川俣分科員 時間がないから、白書を一々例に引きませんけれども、白書の中にも、拡大造林についてはかなりの伸びを示しておりますけれども、再造林については国有林野もまた停滞ぎみであることを明らかにしている。私は白書をもとにしてお尋ねをしておるんですが……。
  58. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 いまの再造林のお話は、土木が切られないという意味で造林面積が少ないという意味でございまして、木は切ったけれどもほったらかしという意味ではないわけでございます。
  59. 川俣清音

    ○川俣分科員 この点は具体的に時間をかけて例をあげてもよろしいのですが、これは控えます。  そこで、次にお尋ねしなければならぬのは、なぜ林業白書を出すに至ったかということを考えますと、国有林の使命及び民有林の指導が十分でなかった、こういう指導性の足りない点、あるいは積極的に事業が完備されない理由は、国有林特別会計が赤字であるということにあるようでございます。事業をやるだけの十分な予算がないということにあるようでございます。林野庁はあげてこれらの使命達成のために努力はしておるでありましょうが、必ずしもそのことを私は否定しませんが、予算の裏づけがなくて十分実行できないということであろうと思います。  そこで大臣にお尋ねしたいのですが、全くの赤字で事業が遂行できないというならば、これは別問題ですが、今度一般会計に四十四億の金を繰り入れいたしました。自分のほうでやるべき事業を投げても、一般会計へ四十四億も入れなければならないという理由はどこにあるのでしょう。これは大臣から聞かなければならない。
  60. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 四十四億のうちで三十八億が、御存じのはずですが、公団のほうへ、それから六億は今度また林政、国有林のために使っております。
  61. 川俣清音

    ○川俣分科員 これは特別会計法のたしか十三条でしたかによる繰り入れだという説明になっておる。すなわち、民間の林業振興のために、余裕のある場合には一般会計へそれを繰り入れる、それで林業の振興をはかろうということであろうと思いますが、そのこと自体を私は必ずしも悪いとは言わない。みずからやらなければならぬことを放棄してまでやるというのは、使命達成に欠けるところがあるのじゃないかという指摘なんです。この点、大臣、どうですか。余裕があるのを出すななんというけちなことを言うのじゃない。林業全体のために役立つことでありますならば、そういう協力をすることは当然だと私は思います。しかし、赤字で積極的な事業ができないということであるならば、これはおかしい予算だ、こう言わざるを得ないと思います。大臣、これは検討されたのですか。まかせっきりで、あまり御存じないのですか。これはおそらく所管は大臣の所管だと思います。一般会計へ繰り入れることは、林野庁が簡単に応ずるわけはないと思う。これはおそらく大臣の強要とまでいかぬが、大体そういう形で進められたと思うのですが、大臣御存じないのですか。
  62. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 これはずっと以前から続いてやっておることでございまして、林野特別会計の余剰の出る範囲においては、いままで続けてやっておったことでございます。今後ほこれはなかなかむずかしいと思います。
  63. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 この特別積立金引当資金は、まあいわば一般会計的な資金でもありますし、それは国の政策としていろいろ使われることになりますけれども、その中から四十一年度は六億を国有林野事業に使うことになっておるという点が新しいわけでございます。なお、いま、昔から使ってきたということでございますけれども、この利益剰余金を民有林の協力事業に使うようにということは、むしろ国会の意思として、もろもろの法律の成立のときに、その附帯決議でも十分に強調をされたことでございます。
  64. 川俣清音

    ○川俣分科員 それは長官、違いますよ。国会の意思はいま審議中でございまして、まだ意思決定は行なわれていないでしょう。
  65. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 私が申し上げましたのは、昭和三十二、三年ごろから利益剰余金がいろいろ林政協力事業に使われてまいっておりますが、それはたとえば公団法の成立であるとかその他の法律の成立の際に附帯決議で明らかにされておる、こういう意味でございます。
  66. 川俣清音

    ○川俣分科員 私は、必ずしもこれは法律上不当だという問い方ではなしに、やらなければならぬ使命というものがあるはずです。その使命を第一義としなければならないではないか。特別積立金等を持っておられますが、これは自分の持っておる財産を処分した利益も入っておる。だんだん縮小した利益をほかの事業に使うということになると、林業の本来の目的は達成できない。伐採をして、それの処分利益が出てまいります。しかしそれを再造林に向けるとかあるいは拡大造林に向けていくということで、資源を保続しなければならない使命が明らかになっておるのであります。したがって、再造林あるいは拡大造林を節約してまで協力しなければならないということは、使命を混淆しているのじゃないですか。一般の道楽むすこが、おやじがやった森林を伐採して、これで楽に暮らせる、――それは暮らせるでしょう。しかしそれならば、林業の使命というものは達成できないじゃないですか。民有林を指導するにあたって、伐採利益はこれを造材に向けるよう指導されておるのじゃないですか。国有林のほうは別だ。民有林は伐採した利益の一部は必ず再造林に向けよ、こういう指導をされておるのじゃないですか。民有林にはそう指導し、自分のやっておる国有林については別だという考え方はどこから出るか。林業政策としては一貫していなければならないはずだと思うのですが、長官、どうお考えになりますか。
  67. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 国有林野事業が生み出した利益剰余金でございますから、そこで国有林野の内容充実にそれが使われていくということはきわめて望ましいことだと考えております。
  68. 川俣清音

    ○川俣分科員 望ましいことだけじゃないのですよ。あなた方の順法しなければならぬ経営規程にもこれは明らかにしてある。そこで私は訓令をあえて持ち出した。一般の民有林の指導ばかりではなくて、林業全体の政策ばかりではなくて、みずから規制を受けなければならないのに、あえてこの規程を無視して一般会計へ繰り入れたということが理解できない。これが完全に行なわれておるなら、これもまたしかるべき処置だと私も考えざるを得ません。しかしながら、順法されていないのに、あえて四十四億という多額な資金を、林業の振興あるいは公団造林に向けたということでありましょうが、みずからやらなければならぬ仕事をほうっておいて、公団造林やあるいは一般の林業振興に向けるということは、向けたところで意義がないじゃないですか。おまえたち、やるべき仕事をやらないでおいて、向けてくれたからということでは、指導性が薄弱であると思います。特に公団については、初め公団ができましたときには、この委員会におきまして、あるいは農水の委員会におきまして、熊野の水源開発あるいは徳島の剣山の森林開発をやりまして、これで終わるのだということでございました。ところが一ぺんつくってしまうと、これになかなか執着して、何かかんか仕事を与えていこうとする。本来の目的から離れてやっていこうというようなことは好ましくないということは、これは私が論じるまでもないと思うのです。しかも森林公団がいま目標にしております水源保安といいますか、涵養林の造林計画を、積極的にやっているかというと、積極的にやっていないじゃないですか。三者契約だ、要望があればやってやるという態度でありまして、森林資源の培養などは国家的な見地に立ってやらなければならぬ使命でありますけれども、公団の本質上、依頼があれば契約に基づいてやってやろうという考え方で運営されている。現にきのうも指摘したところでございますが、阿賀川主流にダムをつくった。そのダムの上を見てまいりますと、全く無立木地帯だ、伐採あと地がまだ残っておる、もう四年、五年経過しておる形が残っておる。これでは豪雨がありますならば、表土が流れてダムに蓄積されることは、しろうとの目で見ても明らかでございます。こういうところの造林を積極的にやって、ダム効率をあげていく、あるいは日本の経済効果を発揮するというところに使命がなければならぬはずでありますけれども、公団ということで、依頼がなければやらない。それでは目的に反するのじゃないですか。確かに、三者の契約によりまして、依頼があるところをやることも必要でありましょう。これは何としても利益を生もうとする考え方ですから、契約がなければやらない。契約によって公団の採算がとれるかどうかということを考えてやる。ところが水源林培養なんというものは採算がとれないところであるから、かつてはあえて一般会計で水源林培養の予算をつけて、水源林培養をやったことがある。水源林の官行造林等は、特にそういうことを目的にしてやられてきたのでありますが、あなたの前の前ですか、山崎長官のときに、公団というものに非常な執着をいたしまして、もっと悪いことばでいうならば、行き先を考えて公団をつくったんじゃないかという誤解さえ生むのでございます。たまたま選挙があったから別ですけれども、選挙をやらなかったならば、あの公団に入ることが自分の希望であったかもしれない。就職先を考えた公団なんというものは、これは許すべきじゃないと私は思う。あなたがそのことを考えていると私は言うのではない。かつての例を示したのでございますが、やめるということを約束のもとに設立された。今度は緊急な水源涵養林を造林しなければならないという使命なんです。私はその使命は確かにあると思います。ところが現在積極的にやっているか。あるいは利根川の上流を東京都が水源地に採用しておりますが、林相の状態にどうですか。水源林として活用できるように十分整備されておるかというと、これも山はだが荒れたままに放任されておる。これで水資源を涵養するのだということを言われましても、これは林野庁としての受け持ちを欠くものだと私は思います。企画庁などは、一体水がどこから流れてくるのか知らぬのですか。ただとめればいいという考え方でしょうか。これは企画庁にお尋ねしたのですよ。水源地をお調べになりましたか、いや踏査はしておりません、雨量は調べております、――雨量は調べましたが、それがどれだけ地下に浸透して、どのくらいの期間でダムまで流れてくるかというのを調査していないじゃありませんか。ダムは水を受ければいいということだけ考えている。企画庁は資料があるなら出してください。私が調べたところではない。雨量の調査はある。林相の調査はない。そこで、この林相を改善してやるのが国有林の使命だと思います。こういう使命を達成しないで、林業の振興であるとかあるいは公団造林に金をつぎ込む、仕事を変えてやるということは怠慢だと私は思う。忠実な執行者じゃない、こう断言せざるを得ない。長官、私がこれほどことばをきつく申し上げるのについては、反省するところがなければならぬと思いますが、どうでしょう。
  69. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 国有林の生み出した利益剰余金が、一般の林政協力事業に使われておることは御承知のとおりでございますが、それが国有林野事業にその補完的な意味で使われるということは、これは国有林野事業を運営するものとしては、先ほど申し上げましたように、言うまでもなく望ましい、こう考えております。それから一方、国有林野事業といたしましては、やはりその運営を合理的、能率的に進めることによって、国有林野内の林相改良あるいは品種の改良、そういう面への、資金の面でもできるだけ効率的に進めるということを考えなければならぬ、こう考えております。
  70. 川俣清音

    ○川俣分科員 時間がまいりましたから、私、あえてこれ以上この問題については申し上げませんが、一体特別会計の特別積立金等――私は、林野庁は森林資源を培養するのが主たる目的であって、その剰余金を大蔵省に積んで金利で経営をするというようなことは邪道だと思う。林野庁としては木を植えて、これが資産になるというならわかりますよ。資金を積んでおいて、これが資産になるなんという考え方は、林野庁のこの経営規程から見て邪道であるばかりでなく、好ましくないと思う。林野庁の仕事は木をもって資産とするということであるならば、これはよくわかりますよ。剰余金を積んでおいて金利で運営をするなんという考え方は私は誤りだと思う。これが一般会計に、あるいは他の産業投資になって大蔵省が有効に使っておりますから、ぜひともこれは積ませようとする強制が加わることは私も認めておりますが、しかしながら、造林をして、それを資産にするというのが林野庁の本来の使命だと思う。国有林の使命だと思う。剰余金ができたから、それを貯金しておくなんということよりも、これを造林に向けるということが林野庁の使命じゃないか。このように規定されておるじゃないですか。どうしてこの規定を逸脱したところへ積ませておいて、そうしてやるべき仕事を等閑にするということを大臣はやらしておくのですか。それで私はあえて訓令を持ち出したんです。政策として論じてもいいけれども、まず訓令を持ち出さなければ済まぬのじゃないかということで、訓令を持ち出した。大臣みずからが訓令を軽視するようなことがあったのでは、農林大臣はつとまらないと私は思う。大臣にわざわざおいでを願っておるのはその理由です。御答弁願います。
  71. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 川俣委員の御指摘のとおり、訓令は十分尊重していかなければならないということは、先ほども御答弁申し上げたとおりであります。それで、それに即応してこの造林事業等について特に力を注いでおるつもりであります。特にこの訓令は、営林局その他の下級官庁に対する命令でありますから、こちらできめましたことを十分徹底させるように長官をして監督せしめております。
  72. 川俣清音

    ○川俣分科員 命令するなんて、みずからやらないでおいて、下級官庁にだけ命令するなんという、そんな命令は受け入れられないでしょう。林野当局がそういう方向で運営されておるならば、命令にも威力があるだろう。自分はやらないけれども、下級官庁にだけやらせる。やらなければならぬ仕事をやらないでおいて、下級官庁にだけ強制する、それはいただけないということになるんじゃないですか。そういうところに規律が乱れてくるゆえんがあると私は思う。やらなければならぬことを勇敢におやりになって、かくのごとくあるべきだということを示して、初めてこの訓令にも威力が生まれてくると思う。自分はやらないけれども、下級官庁だけはやれなんということでは、この命令、訓令というものは生きてこない。私はそう理解をする。それよりも、訓令のあるなしにかかわらず、道楽むすこのような運営のしかたはあってはならないんじゃないか。道楽むすこに森林を経営させてごらんなさい。黒字になります。みんな切ってしまうのだから黒字になります。赤字なんか出ません。赤字が出るようなむすこのほうが好ましいですね。造林をして赤字になるような子供のほうが好ましいんです。大臣はどうなんですか。ある木をみんな切ってしまって、財産処分するものが、黒字という点からいけばいいのですよ。しかし林業経営という面からいくと、これは邪道である。これはやるべきじゃないという指導をしておられるはずなんです。国有林だけが道楽むすこのように、持っている資産をみな食いつぶしたほうがいいか。黒字を出せというなら私を長官にしてごらんなさい。来年は必ず黒字にしてみせます。みな伐採してしまうから。遠慮会釈なく伐採してごらんなさい。明らかに黒字になります。だから大蔵省が黒字を望むということは、これは道楽むすこを奨励するようなものであって、日本の国の財政の立て役者ではない、こう判断せざるを得ない。この点、鹿野さんなんかどうですか。国土総合開発の面からいって、道楽むすこができたらどうなりますか。利益を産み出すためにみな処分をしてしまって、森林経営が枯渇するようなことでありますならば、国土の総合開発なんていうものは無に帰することになると思うのです。あなたは大蔵省におられたのだから、よく御存じだと思う。大蔵省を離れて初めて大蔵省が無理解であったということを、いま痛切にお感じになっておられると思うのですが、鹿野さんどうでしょう。
  73. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 大蔵省を離れますと、大蔵省の立場もまた反面非常によくわかります。そういう意味で、大蔵省は非常に苦しい立場で財政をになって査定をしておったのだという意味での反省はあります。  国有林がやはり森林の保護ということに非常に大きな目的があって、水源林その他の涵養をやっていくということについては、総合開発の立場からいって非常に重要だと思います。ダムの保全というよりも、森林自体の持つ水源涵養の力というものは、ダムをつくるよりははるかに有効な場合もあろうかと思います。そういう森林の持つ水源的な力につきましては、林野庁でも国有林でかなり実験林をもって検討、研究されておられる。先ほど利根川の上流等につきまして、伐採されたままになっておる、そういうことが水源の涵養の面に非常に遺憾であるというお話がありました。私ども、そういうことのないように大いに気をつけてまいりたいと思っております。
  74. 川俣清音

    ○川俣分科員 ないようにつとめてまいると言うが、現在そうなっておる。これは早く手を入れなければならぬ。造林をしていかなければならぬ。具体的なものでなければならぬのですね。せっかくこれだけ資源ダムをつくり、東京都の水の枯渇に対応しようという緊急なものであるだけに、林相についても緊急処置をしなければならぬ。そこに国有林の使命があるのではないか。ところが予算がないからやれないということであるならば、これは一応やむを得ない点もありましょうが、自分がやることをやらないで、使命を達成しないで、その金を他に流用するということは――それは利益があって、余力があるならば別ですよ。完全に自分の仕事をなし遂げて、なお余力があるならばけっこうです。国有林だからといっても、国民経済全体に寄与しなければならぬのであるから、そういう面で寄与することは必要だと思いますけれども、やらなければならぬ仕事を放任するということは、国有林野の使命ではないのではないか、しかも訓令にあるではないか、こう指摘しておるのです。十分おやりになって、その上に余力があるならば、国家経済の上からいっても、国民経済の上からいっても、十分その資金を活用するということが私は悪いと言っておるのではないのですよ。その使命を達成しないやり方というものは反省を要するという指摘をしておる。経済企画庁もおそらく同意見じゃないですか。そういうことを連絡協議の場合に強く強調してほしいと思う。特に古巣である大蔵省あたりにもしも理解がないなら、総合開発の上から理解をさせ、林野庁本来の使命を達成させるよう仕向けていくということが、総合開発の上からも必要なのではないか。新しく予算を出せなんていうのではない。使命を達成しなければならぬ資金を持っている。それを使わないということは、目的達成に欠けるところがあるではないかという指摘なんですよ。くどく申し上げる必要はない。十分御存じのとおりなんです。これほど私が理解を示しておるにかかわらずやらないのはだれか、こう聞かざるを得ないのですが、もう一度願います。
  75. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 ただいまのお話の、国有林の関係のお話については、おそらく農林省として総合的に御判断になってとられた予算的な御措置だと思いますので、部外者である私のほうからとやかく申し上げることはないと思います。  ただ、総合開発の立場から申し上げますれば、国土保全ということ、あるいは水資源の滋養という意味で造林なり国有林の保護育成ということは非常に重要な問題であるということは、私どもの立場からいたしましても、常に農林省あるいは大蔵省にも申し上げるにやぶさかではございません。
  76. 川俣清音

    ○川俣分科員 行政上しかるべきだということを申し上げたのでございますが、しかも裏づけになる訓令があるということをあえて指摘した。なかなか行政的にはいろんなあれがありまして、制約されるようですけれども、少なくとも訓令がある。その訓令には忠実でなければならぬ。しかも、本来の姿はかくあるべきだという訓令が出ておる。時間がないからこの程度にしまして次に農地に移りたいと思いますが、大臣、結論だけにして農地に入りますが、国有林の使命から見まして、公社・公団というような独立採算的なものは、国土保全の上からも、森林資源の培養の上からも好ましくないということを結論的に申し上げておきますから、大臣、よくお考えおき願いたい。これは私は身を挺しても抵抗しますから。  次に、農地について申し上げます。その前にひとつ大臣にお尋ねしなければならぬ。予算委員会におきましても、ここにおきましても、声を大にして、農業生産性の向上、生産力の増強を大いにはかるのだという意欲を示しておられます。非常にけっこうなことだ。しかし、一体ほんとうにそう大臣が思っておるのかどうかという点については疑問なんです。技術革新をはからなければならないというような意欲は、まことにりっぱなものがございますが、一体、大臣、ほんとうにそう思っているのでしょうね。まあ答弁は要しませんが……。  それで、一体なぜ私は坂田さんを疑うかというと、昨年の補正予算で試験研究の予算が削減をされたのを承諾した。こうした試験研究というものは、技術の革新の上にも、あるいは生産性の向上の上からも、あるいは生産力の増強の上からも必要な試験研究をやろうという意欲でできておる。その基礎づくりをしようということで意欲を燃やしておるはずです。そうすると、一体なぜ試験研究のようなじみな――はでなものなら別ですよ、これは坂田さんがしろうとなら別ですけれども、最もじみな、しかも技術の革新というものに向かって研究をされている機関が不要である、あるいは節約ができるなんというものではないと思うのです。坂田さん、御存じのように、試験研究というものは、継続して初めて試験研究の効果があるのです。中断されたならば、その効果というものはゼロになってしまう。それだけのことを御存じになって――これはしろうとの大臣ならあえて私はそういうことは言いませんよ。坂田さんは農林省につとめて、試験研究の必要性を強調されておったばかりです。大臣になられてからも、いろんな会合に向かって技術の振興ということを強調されておるのです。早く言えば試験研究を必要とする態度をとっておられるのにかかわらず、補正予算が減額査定を受けて、これを甘んじて受けられたということは、あなたが一体どれだけ生産力増強、あるいは生産性の向上、技術革新に熱意を持っているのかどうかということが疑問になってくるのですが、この際明らかにしてください。
  77. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 補正予算のときに、技術研究全体として一億減額をやっております。これは、技術研究ということじゃなしに、財政事情から全般的にそれが割り当てられておるのでありまして、技術研究の面に対しては、きわめて小さな率の割り当てにとどめたのであって、そのところは事務費のほうは一般と同じことでいい、ところが、ほんとうの技術の問題については、除外してその削減をやっておる、こういう関係に相なっておるわけでございます。なお、節約後でも、三十九年度予算に比して技術研究費は二四%増となっており、四十二年度要求でも、試験研究費の総額で一〇・六%ふえており、試験研究の節約は、いま申したように一・一%となっており、主として事務関係であります。
  78. 川俣清音

    ○川俣分科員 私が笑っておるのは大臣おわかりでしょう。試験研究というのは人間がやるのです。機械がやるばかりじゃないのです。人間がやらない試験研究なんというのがありますか。人間の研究、労作です。それだから、人件費を削ったんだから、試験研究は内容には変わりがないんだ、やれるんだというようなことは、これは大臣がしろうとであれば私はあえてこんなことは言いませんよ。これは農林省ばかりじゃない、各省とも同様ですから、私はこれは閣議で取り上げらるべき問題だと思う。佐藤総理が、今後技術革新に向かって前進すると、こう国民に公約しながら、公約に反するようなことは、閣議でも厳重に大臣の経験からしてこの制約を受けないようにするのが望ましいのではないか、こう思うのです。
  79. 久宗高

    ○久宗政府委員 補足させていただきます。じみな仕事でございますが、現場につきましていろいろ配慮していただきまして、まことにありがたいと思っておるわけでございます。ただいま御説明申し上げましたように、昨年の一般方針に基づきます減額の中で、私どもの試験研究は、先生の御指摘のとおり、継続できないということでは非常に困りますので、相当突っ込んだ折衝をしたわけでございます。財政当局もこの点はよく理解していただいたように思うわけでございます。試験研究機関は各省にたくさんございまして、予算の面でも三角のしるしが立ちますので、非常に目立つわけでございます。少なくとも農林関係の試験研究につきましては、先ほど大臣が申しましたように、相当基盤のほうの経費が多かったのでありますが、これは全くタッチしないということで、そのまま節約をいたしませんで、ごく一部の事務費、たとえば印刷でございますとか、こういったものにつきまして、一般と同じような一応の減額を受けたわけでございます。ただ、比率にいたしますと一割節減という中で、多少ベースアップなどをしてふえたものと、それから削られたものを相殺いたしまして、一%ちょっとにとどまったわけでございますが、その中で、特に先生の御心配いただいておりますような研究プロパーの金でございますけれども、先ほど大臣が申しましたのはその数字でございますが、経常研究費、特別研究費合わせまして、補正後でございましても、なおかつ三十九年度に対しまして二四%アップということにやってもらったわけでございます。その点は、私どもももちろん減額のないほうがいいわけでございますけれども、試験研究関係としては多少少なくとどめていただいたように思っております。
  80. 川俣清音

    ○川俣分科員 私は、できるだけ試験場等を回っておりますが、特に秋田の畑地の試験場で耐病性の大豆を植えて試験をしておる。これなどももう一年続けることによって品種を固定する。固定しなければこれは役に立たないのです。そういうものを削られておる。しかもそれを補完しなければならぬ。そういうものを一時的でもとめられるというと、結果が無になります。せっかくつくった品種を、継続した予算がないからということでそれを粗略にされますならば、何年もかかった効果というものがそれで一ぺんにふっ飛んでしまうじゃないですか。私はそれを憂慮している。補完するのが事務費になったり、あるいは庁費になったりしている。ほんとうは、試験研究は庁費とかなんとかいう形でなくて、やはりそういうものも試験研究費の中に入れておかなければならぬ。それを庁費だ、これは節約だ、こういう対象になっているのです。あるいは印刷費でも、これを公表することによって利用を高めていくというのが試験研究の目的じゃないですか。ただ研究すればいいのじゃなくて、それを国民に知らせることによって試験研究の効果を普遍化をしていくというところに試験研究の意義がある。学者が自分の研究室だけに閉じこもってこれを公表しなければ、試験研究の効果はないのです。特に農林の場合はそうなんです。一般の農民に知らせることによって試験研究というものの目的が達成されるわけであります。それを事務費だからいいの、印刷費だからいいのなんということは、ただ一律一割削減ということに及ぼしたというだけであります。各省ともそうだと思うのでありますが、特に農林省に指摘をしているのはそういう点なんです。あるいは、試験研究に要する旅費なども対象となっております。研究するには足を運ばなければならぬ。行動がなければならぬ。行動には旅費が裏づけになるはずです。行動性のない試験研究なんというのは無意味ですよ。やはり行動性を尊重していかなければならぬ。調査には旅費も要る。ただ、旅費だから節減に値するのだという考え方が誤りなんです。特に農林行政においてはそうである。これを普遍、指導しなければならない。農家に普遍、指導するのにどういう方法をとるか、文書による教育もあり、あるいは行動して指導するということもあり得る。試験研究に残った人がこれを一般の農民に徹底させるというところに試験研究の使命があるのじゃないですか。研究だけで研究が終わればいいと言うのですか。大臣、どうなんですか。
  81. 久宗高

    ○久宗政府委員 おっしゃるとおりでございまして、私どもも全く同様に考えます。ただ、事務費の中で印刷費等を例に出しましたのでありますが、全部カットしたのではなくて、従来の程度の中のある部分につきまして、去年からことしにかけて、こういうふうにやれば一応やれるなという程度のことを考えました結果、こういうふうにしていただいているわけであります。  旅費につきましては、始終私どもの中でも議論も出ますし、大蔵省にもよくわかっていただきたいと思っているのでありますが、これもやはり、私どもの内部の運営で多少まだ手を入れなければならぬ点もございますので、そういう点を、節約に関連いたしましてこまかい事務費に当たってみますと、なお私どもでもっと調整いたしまして、本格的なお願いをしなければいかぬというふうにも考えますので、それでこうしたわけでありまして、御趣旨はおっしゃるとおりだと思います。
  82. 川俣清音

    ○川俣分科員 もう時間をかけないで終わりたいと思いますが、結局は試験研究に対して熱意がないのだという結論にならざるを得ないのであります。事務費だ、人件費だ、あるいは旅費だといっても、単なる官庁の机上で仕事をする行政とは試験研究は違うのだということをあえて強調したいし、農林省はまた実地に指導しなければならない使命を持っているのだからして、特に行動性が要請されているというところに旅費の問題を取り上げるゆえんがある。旅費をむだに使えなんてことじゃないのです。制約されておるならば、国民に対する指導が制約をされるということになるのじゃないか、こう指摘するのです。別に公務員に十分旅費をやれなんていうことじゃない。行動性を発揮しなければならぬのじゃないか。その行動性には旅費が付随するのだ。これは節約できる。これを節約するということは、指導を節約するということじゃない。私は、指導の節約は適当じゃないと指摘している。旅費じゃない。行動性を制約されることであるならば、農林行政はゼロだ。したがって、これは十分活動的なものでなければならないということをあえて強調します。これは局長よりもむしろ大臣がその気にならなければだめです。技術の革新だとか、生産性の向上なんて――向上するようなことをやらないで向上なんて言われても、いただけません。大臣が技術のことがわからない人ならば私はあえて言わないですよ。普通の大臣ならば言わない。あなたが特にそれを強調しておるのにかかわらず、それをやらないということは、これはにせものだ。こう言わざるを得ない。坂田さんがにせものでないことを期待いたしまして、私の質問を終わります。
  83. 植木庚子郎

    ○植木主査 これにて川俣清音君の質疑は終了いたしました。  次に、山口丈太郎君。
  84. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 私は、簡単に、関係者責任者及び大臣にひとつお伺いをします。これは三十分ではちょっと無理ですが、きわめて簡単にお尋ねしますから、ひとつ簡潔にお答えを願います。  大臣の農林省関係予算の説明、これを拝見いたしましても、たいへんけっこうなことです。私は、赤城前農林大臣のときにもこれは質問したのですけれども、私は純粋な百姓なんです。いまも田畑五、六反のいわゆるはんぱ百姓です。いわゆる転落農家です。そういう百姓をしておるのです。けれども、私生まれてから百姓をしていて、農林省というのがあって、農林省のおかげをこうむりましたということは一ぺんもありません。けれども、国会へやってきまして、各年代の農林関係の報告書、それから大臣の施政方針とも申すべき予算説明書等を見ますと、実にりっぱなんです。これを見たら、農林省というところがあったのやなということがわかりますけれども、家へ帰って百姓をすると、農林省なんてどこにあるのかさっぱりわけがわからぬ。ときたまわかったら、農業構造改善指定地域ですか、そういうもので、百姓に借金しなさい、耕地整理をやってあげます、こういうことらしいのです。それで農民が楽をしておるかというと、楽していないのです。その口車に乗ってやったら、一軒に百万なり百五十万なりの借金を背負わされて、そうして苦しんでいるというのが実情なんです。一体、農業改善事業というのは、どういうことなんですか。百姓に借金をせいということですか。それとも、ここで大臣が施政方針におっしゃっているようなことを、ほんとうにやろうと考えていらっしゃるのか言うことと実際にやっていることと全く違うのです。これはどうです。
  85. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 これは言うとおりのことをやりたいと思っておるわけです。そこで問題は、私も構造改善について、農林大臣になりましてからすぐ全国的に調査をやっております。それはなぜかと申しますと、私は農業ほど地方によって違うものはない。日本の国内においてそれは一律に考えたらたいへんな間違いが起こる、こう私は思っております。それで北海道のようなところは、どちらかというと、比較的大きな経営でなければ成り立たぬ。しかし、北海道といえども、ずっと北のほうはさらにそうである。それからあなたの県の兵庫県のようなああいう瀬戸内海の地帯は、大きくては経済がもてない。面積から言うと、どうしても小さくならざるを得ない。しかし、これは家畜をやるなり、蔬菜をやるなり、ビニール・ハウスをやるなり、資本的に有利にする。めったなことをやってもらっちゃ困るけれども、それを拡大強化するということはできると思う。それはあまり小さくても困るのですが、実情に合わなければならぬと思うのですが、そういうぐあいに、私は農業ほど地域的に違うものはない、こう思っております。農林省自身もそう思っている。私の来る前からそうなんです。ところが、多くの場合に、周囲のほうから非常に平均的な、一般的な議論が盛んに行なわれるのです。そのために、農林省の主張がそうじゃないかといういろいろなことからくるところの誤解があって、それが露骨に申しますと、県なり地方なりにおいて、われわれの考えている、いわゆる中央、農林省で考えておるようなところが完全に反映しない場合が多いと思いましたために、調査を八月以来やってみたわけであります。そうしてみますと、やはりそういう形も出てきます。しかし、原則としては、大部分は非常によくいっておるし、また青年等も非常にそれで希望を持ってきておる者もあるし、その調査の結果、私はむしろ非常に安心をいたしておったのでございまするが、中にはいまあなたのおっしゃるような事例はあります。  そこで、そういう点で山口委員が御心配になることはごもっともだと私は思っておりますし、それはわれわれと考えが違う点があると思うのでございまして、それらは特に地方の実情に即応してやっていく、こういうことでいかなければなりませんし、単に地方の実情のみならず、時代を考えていかないと、そう急激にたいへんなことをやるということは、実際はいろいろと宣伝されても困るのです。それは学者が学問的に述べられることはけっこうです。ビジョンがあるとか、こういうことはけっこうであると思うのですけれども、現実の行政として、現実の政治としては、時代を飛んでいますぐこれを実現に持っていくような施策を講ずるというわけにはいかない。こういう点もあろうと思うので、山口委員のおっしゃることはごもっともで、私は同じ気持ちでお答えできると思うのでございます。
  86. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 いま農林大臣の御答弁は、初めて私の年来思っておったことをそのままおっしゃった。私は非常に安心したわけです。いま大臣の言われたように、私は、地域によって農業ほど事情の違うものはないと思う。北海道でも、札幌とか旭川とか、大都市の周辺にある農業のあり方というものと、その他の農業のあり方というものとは、これまた違って当然なんです。阪神の経済圏の背後地にある農業地帯、こういうところでは、これは日本海側の兵庫県に行きましても、日本海側の但馬、丹波付近の農地と効率のいい耕地というものとは雲泥の差です。それを画一的に行なおうとするところに無理がある。だから農業行政というものは全然進んでいかない一大要因がそこにある。農政ということは私は知りません。しかし、実際現地で百姓をやっている私が考える場合には、いま大臣がおっしゃったように、柔軟性のあるといいますか、そういう農政をやらなければ、せっかくのプランというものが全然死んでしまう。あまりにも理想が高過ぎるのか。これはビジョンばかり追っていたら、ビジョンになってしまうのでありますから、私はいまの現実の農業の事態を、その土地その土地によってどういうふうに一歩ずつでも前進させていく方向をとるかということが農政の根底だと思う。いかがですか。
  87. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 先ほど申したとおりでございます。これは単に農業ばかりではない。特に大事なことは、農業は土地にくっついておるものであって、どこにでも工場を建てることができるというようなものではない。工業でも、地方の実情に合わなければならぬということは言うまでもありませんが、農業は特にそうであるということであります。
  88. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 再度念を押す必要はありません。  そこで、まず農村の開発。今日くらい都市に人口が集中しているときはない。そうして東京にしても、京阪神間あるいは京浜間、いわゆる太平洋ベルト地帯と称するものができて、そこへこれから十年ないし二十年もすれば七割以上の人口が集中するのではないかと言われておる。まことにもって憂慮すべきことだと思う。その原因を調べてみると、これは、何も日本の産業の近代化による発展ということは私は否定をしませんけれども、一つには日本の社会投資が非常におくれて、いわゆる道路というものが、全然立ちおくれて、外国から見ましたら日本の道路などというものは全くもってなっていないので、道路が悪いために農村子弟が自家から通勤することができないし、今日農業だけでは現金収入を得ることができないし、したがって近代生活をすることができないところに原因があると思う。この大臣の施政方針の中に言われております農村の福祉の向上などということは、農業だけをもってしてはできないけれども、農林省ではきわめて進んだことを考えられて、協業農業でありますとか、あるいは専業農家の拡大でありますとか言われておる。これはたいへんけっこうなことでありますけれども、しからばその農村で一体専業農家が成り立っていくような、あるいはその専業農家に集約した後のいわゆる転落農家をどういうふうに処理していくかというようなことになりましたら、何にも施策はないわけですね。何にもない。これではどんな政策を、いいことばかり言ったって、これは先ほどの川俣委員の話ではないが、から念仏に終わってしまう。でありますから、私は、農村のまず第一の問題は、今日では経済圏に近い、遠いということにかかわらず、農業開発のまず第一の目的は道路にある。地方道の開発にある。これなくして、私は農村の近代化はないと考えておるのですけれども、いかがですか。これは建設省の所管ですとばかりは言うていられないと思うのです。
  89. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 農業の開発の問題については、先ほど私は全般的なことを申し上げました。これに関連して、問題はいろいろと展開してまいるわけでございます。ここで一口でこれだというわけにはいかぬと思いますが、いまお話しになりました道路も確かに重要な要素になろうと思う。特に都会のほうのいろいろの大きな道路、これも重要でございますが、それと結びつけられるところの地方道のほうは特にいま行なわれていない、非常に進んでいないという観点から見て、これもきわめて重要である、こう考えております。
  90. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 これをやらなければ、私は農業構造改善事業などというものは、言うべくして、実行はできないと思うのです。また、集約農業などということは、これはもうできるものじゃありません。したがって、私はもっと政府が一致して、地方道の開発ということについてもっと力をいたしてもらいたいということを強く要求をいたしておきたいと思います。  それから、その次に、小規模農協の統廃合について、非常に力を入れられておるようでございますが、しかし、どうも地域によっては一向にこれは進展していない、まだ手もついていない。こういうような状態ではないかと思う。これについて今後一体どういうぐあいに指導していこうとなさるのですか、ひとつ聞かしていただきたい。
  91. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 農協の合併につきましては、規模が大きくなりますことが財務内容の健全化なりあるいは運営の組織の確立なりに役立つという立場で、三十六年から、農協合併促進法を御審議いただいて制定をいたしまして、合併を積極的に推進をしてまいったわけであります。それで、法律を施行いたします当時の私どもの計画といたしましては、いろいろな基礎資料をもとにいたしまして、大体約七千強の組合の合併計画を立てました。その法律は昨年の十二月三十一日までという時限法になっておりますが、昨年の末までに六千三百六十一の組合の合併の手続を終わりました。計画の進捗率は約九〇%ということに相なっております。もちろんこれは全国を通観をいたしました数字でございますので、県により地帯によりなおでこぼこがございます。でございますが、法律は一応昨年の末で期限が終了いたしましたので、今後は法律に基づかないでも、行政指導で合併の促進をはかっていきたいというふうに考えておるのでございます。」従来の経験から考えますと、合併の障害になっておりますのは、関係の組合の間に赤字の組合と黒字の組合があるというような、財務内容のアンバランスがあります地域について、それを統合することによって権利関係のアンバランスを生じてくる。それからもう一つは、関係組合が合併をいたしますと、数が減りますこととからみまして、常勤役員の数が当然減少いたすわけであります。そういうことで現実にはいろいろ問題がございます。それからさらに市町村合併等が行なわれましたときからの地域的ないろいろな感情のしこりなどというものも残っておりまして、そういうような、三つほど例をあげたわけでありますが、そういうことがいろいろな面で合併の障害になっておりますことは先生も御承知のとおりでございます。私どもとしては、昨年末で法律の有効期間は切れましたし、さらに合併としては当初計画の九割を達成いたしましたという趣旨で、法案をさらにあらためて提出するということは考えておりませんけれども、いま申しましたように、社会事情、経済事情に伴ういろいろな障害もありますので、いろいろ困難はございますが、今後も指導面におきましては引き続き合併を促進していきたいというふうに考えておる次第であります。
  92. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 そういう事業をやれば、何といってもいろいろな困難がつきまとうことはやむを得ないことなんですが、これを極力促進するということは当然だと思います。それらの点にも触れたいが、それはやめて、農協の事業内容ですが、前には農業協同購買信用組合とかあるいは信用販売協同組合とか、信用事業、購買事業をあわせてやっておったのですね。いまは各単独法で別々なんですか、どうなんですか。これはわからぬのですがね。
  93. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 現在でも一応総合農協という考え方で、信用事業を販売購買事業と一括してやらしているわけでありますが、連合会段階では経済事業と信用事業は分けてやるという考え方であります。なお一つの村の中に幾つも組合が同じ地域をカバーしてできますと、かえって混乱が起こりますので、信用事業もあわせて営みます農協については一村に一つという考えでおります。信用事業を営みません場合には、畜産でございますとか、果樹でございますとか、そういう特殊の、いわゆる専門農協というものは同じ村の中に農協とは別に存在し得るという形で指導しております。
  94. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 そのために今度は経費その他非常に繁雑なものが生まれてくるわけですね。これはやはりでき得る限り、同じ農業のことなんですから、そうそう機械的に分けるのではなく、畜産組合とか森林組合とか、これは協同組合とは性格が違うのかどうか知りませんけれども、ややこしいことばかりやっておる。もう少しこれを単純化するという方法はないものですか。そうすればもう少し農政というものは進展が見られるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  95. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 いまのお話でございますと、農業といわず、林業といわず、それから場所によっては漁業と兼業のような状態もあろうかと思います。そういうものを別々の組合にせずに一本化したらどうかというような御意見のように思います。前々からいろいろそれらの点については、場所によっては可能ではないかというふうなことで検討はしてまいりましたけれども、別々にすることにも一利一害があり、また一本にすることにも一利一害がありまして、なかなかこっちのほうだけがよろしいというような形にはならないようなケースがいろいろございます。現在としては、農業協同組合と林業の関係と漁業の関係、三つ別個の制度でやっておる次第でございますが、現実には、場所によって役員等も共通で看板だけを掲げておいて現実にはない。場所によってはお話のようなこともあるいは可能かと思いますが、やはり一利一害があると思いますので、十分検討をいたしたいと思っております。
  96. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 一利一害はこっちのほうなんですよ。たとえば農地解放あるいは戦後の開墾なんかで、山林の開墾か何かやって農地になっておる。ぼくらも土地を開墾して農地にしているわけです。それだのにまだ森林組合から森林と称して会費をとりにくる。困るじゃないかと言ったら、いや、これをはずされたら森林組合はやっていけないからもらうのだ、こんなばかなことを言っておる。そんななわ張りで損をしておるのは農民なんです。一体どういうことになるのですか。一利一害と言うけれども、一利一害どころではなく、一利百害である。こんなやり方というのはかなわぬですよ。どんなものでしょう。
  97. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 いま具体的におあげになりましたような例は、あるいは現実にはあるのかもしれませんが、そういう不合理は起こらないように考えてまいりたいと思っております。
  98. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 これはひとつ考えてください。そうでないと不信の声が起こりますよ。  今度は、これは林野庁の所管なのか何なのか知らないけれども、こういう問題が起きておるのです。これはちょっと図面を見てもらわないと都合が悪いのだが、こうなっておるのです。去年もここで問題になったらしいのですが、これが田なんですよ。このたんぼとたんぼとの間は斜面になっておる。ここのところは、これはもう明治の土地のなにができて以来、この上と下との所有者がずっと草も取り、木もはえないようにしてたんぼにしてきた。これは田の付属地なんですね。付属地だけれども無番地になっておる。いわゆる土手になっておるわけだ。ところが今度これを片方が売っちゃった。そうしていま埋め立てをやっておる。そうするとこれは国有地だからいかぬと言う。昔からたんぼの面積を出す場合には、厳密に言えば、あぜの中だけが面積になっておって、それが所有権になる。そうするとあぜは国有地かという問題が起こるわけですけれども、こういうことになると、ますますもって至るところで阻害するということになる。これが国有地というなら、林野庁の所管なのか、どこの所管なんですか。これは登記簿には載っておらない。この始末をどう考えておるのですか。こんなことでは話にならないです。
  99. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 いまお尋ねの点につきましては、地帯によりましては、所有権の中に畦畔を含んで登記が行なわれておるような場所も御承知のようにありますが、いま御指摘の点は、公簿上載っていないということでございますから、一般的には大蔵省の所管する国有財産になろうかと思います。なお、具体的な問題でございますので、担当の農地局等にも伝えまして、現実の調査その他をいたしまして、適当に処置を考えました上で御連絡をさせていただきたいと思っております。
  100. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 これはもう時間になりましたから私はおきますけれども、こういうことをやられてはどうも困る。それだけ厳密なことを言うのだったら、どんどんいま宅地造成なんかやっていますね。田地なんかこわして宅地造成をどんどんやっていますね。そうして土地会社は坪何ぼというような高い値段で買いましてももうけておる。何でもうけておるかというと、もちろん土地を造成することによって、この土地の価格を引き上げておる面もありますけれども、同時に、実際問題として測量をすれば面積が広がっておるのです。たとえば、これは千坪である。公簿面積千何坪ということで買いましても、土地造成をすれば、たいてい千二、三百坪になるのです。これはもう公然たる事実だと私は思う。それは一体何から出るかというと、あぜから出るのですね。それを国有地だと言って、こういうようなものはまかりならぬということになったら、土地造成はできませんよ。それをやらせておいて、今度こういうようなことになると、それはいかぬというのは、どうも理屈に合わぬです。もしそういうことになりますと、私、思うのは、付属地として明治以来ずっと管理をして、木を切り草を取り、そうして田地を耕作に支障のないようにしておるのに、われわれ百姓はこれを付属地、付随地といっておるのだが、これをそんなに国が所有権を云々されるようなことでは困るのです。したがって、これは農林省は大蔵省との間でもう少しこういう面についてひとつ話し合いをしてもらいたい。そんな農業の阻害になるようなことを国がやるなんていうことは、とんでもない話だと私は思う。これについて、ここで見解を大臣から明確にしておいてもらうことが将来のためになると思うので、大臣、ひとつ所見を明確にしてください。
  101. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 その問題は初めてお聞きしたわけで、具体的な問題ですから、よく事務のほうで検討させます。
  102. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 私は災害が専門ですから、災害でうんと聞こうと思ったのだが、次の機会にしまして、きょうはこれで終わります。
  103. 植木庚子郎

    ○植木主査 これにて山口丈太郎君の質疑は終了いたしました。  次に、村山喜一君。
  104. 村山喜一

    ○村山(喜)分科員 大臣もだいぶお疲れのようでございますが、三十分間だけ質問をいたしますので、答弁をお願いいたします。  私は先般水俣に参りました。大臣、そうむずかしい質問じゃないから、こっちを見ていていただきたい。ふとある農家の庭先に行きましたら、いまネギ――根深ネギですが、それをたばねておるところです。一体どれくらいの価格で市場に持っていくのかと聞いたら、キロ五円だという。それから大きなたばが一たば十五円、昨年に比べたら三分の一以下に低落した。なぜそんなに安くなったんだと聞いてみたら、その農家のおかみさんが言うには、いま肉が非常に高いので、サラリーマンの人たちが肉を食べられなくなって、ネギが要らなくなったのだろうという話であります。そこで私はその口新聞を見てみたのですが、きょうの商品市況のところでも出ておりますように、ネギはわりあいにことしは安いことは安いのですが、千葉もので、きょうのところ、東京市場におきましては最低二十円から四十五円しているわけです。これはもちろん生産と消費との需給関係によって価格が形成されるわけですが、私がそこで大臣にお尋ねをし、見解をただしておきたいと考えました問題は、現在中央卸売市場につきましては、先般同僚の石田委員のほうからも質問がありました。しかしながら、全国に約三千といわれるいわゆる地方市場の実態につきましては、現在農林省で実情を調査しておられるというととは聞いているのでありますが、全く野放し状態に今日放置しているのではないかと私は思うのであります。というのは、一月の十三日に長崎県の諌早に参りましてその市場を見てまいったのでありますが、ネギ――これは小ネギですが、小ネギが一キロ最高が四円、最低は一円五十銭でした。ところがそれから自動車で二十分ぐらいしかかからない大村に参りました。大村の市況はキロ当たり十円から十五円しているわけであります。一体なぜそういうことになっているのかというのをいろいろ調べてみますと、諌早市の場合には株式会社営の市場が一つあるだけであります。ところが大村の場合には、その株式会社営と同時に農協経営の市場があるのであります。農協の場合には計画出荷をやっておりまして、そういうような関係で今日においてはその株式会社営の市場よりも農協のほうが安定的な供給ができる。こういうようなことでそこを利用する人たちが多いという事実、それからその日の需給状態を見て計画的に出荷する体制ができ上がっているというところに、その二十分しか距離がないところにおいてそういう状態が一県内においても出ているのです。そこで今日、消費者物価の安定という問題は、この一つをとらえてみましても、野菜のような生鮮食料品の場合には激しい投機的な対象として非常に値が上がったり下がったりする中では農民の生活も成り立たないし、消費者の生活も成り立たないと思うのであります。したがって、それを安定的に供給ができる体制をつくるために、ことしの予算の中でも、タマネギとか大根を加えて六品目にして、三百十の指定を生産地指定としてされているようであります。しかしながらはたしてそれだけの方法でこの流通機構といいますか、農民のつくりました農産物の、特に投機の対象になりがちな蔬菜関係、青果関係の取り扱いというものについていいかどうか。もう少し流通過程の中においてメスを入れていかなければならないのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。  そこで、中央卸売市場法に基づく施設整備等については、わりあいにことしも予算措置もし、起債の措置もされているわけでありますが、地方市場について今後の改善の方向というものを大臣はどういうふうにお考えになっているのか承りたいのであります。全国の状態を調べてみますと、約三千のうち蔬菜と鮮魚関係を取り扱っておるのが二百、それから青果関係が千二百もあるようであります。そうして青果物の取り扱い量の半分は地方市場において取り扱われているという事実の上から見まして、各都道府県が条例をつくってやっているところもあります。条例だと約三十二、これは古い資料かもしれませんが、そういうことを発表している数字も農林省の統計で見たのでありますが、しかしそれだけでは不十分ではないか。やはりこれはそういうような蔬菜をつくっております農家のためにも、またそれを購入いたします消費者のためにも、地方市場法というような法律を制定して、この農産物の価格安定という問題に取り組む段階が今日訪れているのではないかと思うのでありますが、大臣の所見をお伺いしたいのであります。
  105. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 いま村山委員から仰せのとおりでございまして、大体地方都市に三千近くの市場がありまして、これは非常にいろいろの形があります。これらについては農林省においても昨年、今年にかけて大々的と申してはどうか知りませんが、予算をとりまして、十分な調査をいまやっておる最中でございまして、その経過等は経済局長から申し述べますが、いまお話しのとおりに、生鮮食料品は何といっても価格の安定ということが一番大事なことは御指摘のとおりでございまして、農民のためにもまた消費者のためにも安定をはかっていく。しかし非常にむずかしいことはこれも村山委員がよく御存じであろうと思いますけれども、大体地方市場について調査中でございまして、これはどういう方法にしていくかといったような問題もあわせて検討を加えていきたい、こう存じます。
  106. 村山喜一

    ○村山(喜)分科員 今後慎重に検討を加えるという話でございますが、もうすでにそういうような実情が現実にあらわれておるし、やはり、現在調査中ではありましょうけれども、そういうような方向に向かって前向きの姿勢でこれを検討していく段階が私は今日の段階じゃないかと思うのです。そういうような意味において、大臣のいまの答弁は慎重な答弁でございますが、もう少し積極的な意思をこの際発表願っておきたいと思うのですが、いかがですか。
  107. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 これはいろいろ地方市場について、この前も予算委員会の総会のときに申したわけでございますが、どうしても人口の非常に多い大都市――中部市までもそうでしょうが、大きな都市は中央卸売り市場主義というものがやはり大きな中心でいくべきものだろうと思います。ところで地方の、いま申しましたような都市についてのそれぞれの市場というものについては、いま真剣に調査して、その点は経済局長から答弁させますが、それは調査の結果になりますけれども、私は別に――昔、日本で野市というのがごさいました。外国に行きましても週市というのが相当あるのです。ドイツでも週市主義なんです。その週市主義のところへ商売をやる農家もそれぞれ入っていって、そこで販売をやっておる、買いに行く、これが無数にあるのですね。だけれども、大都市にはそれは向かぬと私は思うのです。やはりこれだけの人口を持った大部市になりますと、数量の点において、信用力の点において、あらゆる点において、いろいろな点からこれは適当でない。もろちん中央卸売り主義、これが幾つかあるということは、その地帯によりまた大きさによってもいろいろあろうと思いますが、これよりずっと下の――下というのはおかしいですが、人口の少ないほんとうの地方都市、十万とかそこら、こういう都市についての市場というものはどういう形がほんとうにいいかという問題は、実は私もいろいろなことを考えておりまするけれども、実はまだほんとうにこうあるべきだということについてはまだ疑問の点を相当持っております。経済局長のところでいま真剣に検討しておりますから、答弁申し上げさせたいと思います。
  108. 森本修

    ○森本政府委員 先生も御承知のことと思いますが、いままで私どもでわかっておりますのは、先生から先ほど御指摘がございましたように、三千に近い市場があるわけでございます。概況だけを実は調査をいたしまして、たとえば所在地あるいは開設の主体とか卸売り業者の種別といいますか、性格といいますか、そういうものとか、あるいはそこの市場で扱っております量、金額といったようなものは大体調査をしてつかんでおるわけですが、それだけではまだ地方卸売り市場に対してどういう措置をとるか、あるいはどういう援助をすべきかといったようなことについて、あるいはどういう規制をすべきかといったようなことについて、ちょっと材料が不足しておると思っております。そこで昭和四十年度、それから四十一年度にかけまして、もう少し実態を掘り下げました調査を現在やっておるわけでございます。本年度もすでに各地に人が参りまして、一例を申し上げますれば、その市場が一体どういう機能を営んでいるか、つまり中央卸売り市場との関係はどうだ、あるいは生産市場といったような性格のものであるかどうか、そういったことについて一般的な調査をいたしております。さらに卸売り業者の売買の実情はどうか、あるいは施設についてももう少し今度は内容の調査をするといったようなことにいま取りかかっております。実はそういうことがわかりませんと、地方卸売り市場に対していかような措置をすべきかということが出てこないわけでございます。われわれの段取りとしましては、いま言いましたような調査と並行いたしまして、適当な学識経験者にすでに委嘱をしておりますが、そういう方に問題点をずっと洗っていただいて、その上に立って所要の対策をひとつできるだけ早く講じていきたい、こういうふうに考えております。   〔主査退席、坂村主査代理着席〕
  109. 村山喜一

    ○村山(喜)分科員 いままでの実態調査の報告を私承っておりますと、たとえば相対取引がなされているものも相当にある、そして荷受けの会社が経営主体になっている、この経営形態を見てみますと、ほとんど株式会社が中心になって運営をやっているわけですね。そうして中央卸売り市場から予約注文によって荷をそろえるために転送をしている。そうすると、その間における流通経路が非常にふえてくるし、手数料がかさむし、さらに運賃のコストにおける割合とか、あるいは自己のために要する経費、そういうようなものが一つの消費者物価指数というものを押し上げていく、こういうようなものがもうはっきり目の前に見えているわけですね。だからこれについてはあなた方のほうで早急に対策を立てていただかなければ、ただ中央卸売り市場だけに集中して問題を考えるというのでは、これは全国的な農林行政の立場からはうなずけないのではないか、私はこう思うのです。なるほど六大都市を中心にする、大きな消費地を中心にする問題の処理というものは、今日の緊急を要する問題ではありますけれども、同じように地方の都市においても消費者物価の中に占める生鮮食料品のウエートというものは、これは大都市に負けず劣らずの姿の中で上昇しているし、そしてそういうような価格の変動というものがきわめて激しいものだから、生産者も消費者もきわめて苦痛を味わっているという状態があるわけです。  大臣、実はきのう私のところに出かせぎに来ている農民が三人ほど参りまして、これは鹿児島の大口というところの小さな農村都市ですが、そこの市場にニガウリという、このあたりにはあまりないのですが、ニガウリを五本たばねて私は出したと言うのです。そうしたら、黒板に書かれた価格が九十銭だという。九十銭ですよ、私はおつりを持ってないというわけです。一円以下ですから、つりを持っているはずがない、それで去年の八月のことです。そういうこともあった。そうして牛を五頭飼っておったが、その牛も三頭処分をして出てきたが、このごろになったら牛の値段がぐっと上がった、出かせぎに来て、一日千円の基本賃金をもらっているけれども、あの牛をいままで飼っておったほうが、いま考えてみたら得だったのだというようなことを私のところで話をしておるわけです。そういうように、産地物については特に価格の変動が激しいわけです。これは一つのなまなましい具体的な例をいま申し上げたのでありますが、そういうようなものを考えるにつきましても、また諌早ではありませんけれども、ネギ一キロが一円五十銭というような値段で取引をされるようでは、これは捨てたほうがましだということになりますから、そういうことにならないように、大臣のほうでひとつ地方市場の整備の問題につきましては、特に積極的な立場から受けとめていただいて、法律の整備等を中心にして、その整備をはかっていただきたいということを要望申し上げておきたいと思うわけであります。  あと十分ほどありますから、これに関連してお尋ねするのでございますが、いわゆる野菜のコントロールタワーというものを考えるべき段階にあるのに、今日出荷調整については、これは流通改善協議会というものを設けた程度にとどまっているようであります。  そこで大臣にお尋ねをいたしたいのは、いわゆる青果物指定産地の生産出荷安定資金協会に対する出資金並びに安値補てん交付補助金、その二つを合わせまして三億九千五百万円という予算措置がされているようでありますが、農林省が初めねらっておりましたいわゆる野菜基金、野菜審議会、こういうようなものが今回設けられなかったために、いわゆる提出予定法案であるといわれておりました野菜の生産及び出荷の安定に関する法律案、これは見送りの公算が強いのではないかという話でありますが、大臣、これは提案をされるのでありますか、されないのでありますか、その見通しをお伺いをいたしておきたい。
  110. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 これは提案する予定でもってせっかく検討を加えております。その節はまたひとつ大いに慎重御審議を願いたいと思います。
  111. 村山喜一

    ○村山(喜)分科員 これにいたしましても、系統販売のルートに乗せたものが五〇%以上でなければ安値補てんの交付はしないとか、いろいろなことがいわれているようであります。実際ものの役に立つような形でやっていただきたいということをこの際要望申し上げておきます。  私、ここで行政機構の上からいまの農林省のやり方を見ておりますると、蔬菜、園芸につきましては園芸局、それから畜産物の問題については生産から流通過程に至るまで畜産局が取り扱いをする、園芸局の場合でもそういう形態であるようであります。ところが、部内には経済局というものが設けられている。そこで、今日日本の行政機構の弊害というのは、各官公庁が縦割り行政というものを中心にしてやっているというところに問題があるということが指摘をされておるわけであります。ところが、農林省の行政機構の現実の姿を見てまいりますると、その部内におきましても、そういうようにいわゆる生産から流通まで一手に引き受けるそういう機構があるかと思うと、それを総合調整をする立場にあるといいますか、経済局というものがまた片一方にある、こういう形の中で問題が処理されているようでありますが、こういうような問題を部内においてどのように統合調整をしていくか、これはやはり官房の仕事になろうと思うのでありますが、農林省のいわゆる縦と横のそういう一つの組織、行政の機構というものについて、ここら辺でやはり、流通、消費というような部面については、園芸局なりあるいは畜産局の末端の生産から流通のあたりに至るまでの機構と、経済局の所管事項とミックスしたような形の中で、機構的なものをお考えになるべきではなかろうかと思うのでありますが、やはり縦割り主義でずっと行かれるつもりでありますかどうか。この点はやはりきわめて重要な問題でございますので、大臣なりあるいは官房長のほうから御説明を願っておきたいと思います。
  112. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 この問題は、やはりものにより、また発達の程度により、時期によって、行政の手段でございますので、都合のいいときと悪いときとそれぞれございます。たとえば牛乳のようなものになりますと、ずっと生産と合わせていかなければいかぬということがある場合、どうしてもそれはそういうぐあいにいきますし、米のように、米の生産はやはり米の生産ということで来てしまいます。それを今度は食糧管理局でやるということでいけば、それがまたそれでいける。そういうぐあいで、ものによることもありますし、それからそのときどきの、つまり発達の過程において都合のいい悪いということが起こります。それから行政の行き方の時期によってまた違う。こういうことでございますから、これがいいとかあれがいいということは、やはり一がいに言えないことになっております。しかし、農林省は家族的でございますので、十分協調してやっておりますから、ひとつ御安心を願いたいと思います。
  113. 村山喜一

    ○村山(喜)分科員 私は、農林省で出しましたいろいろな資料をもとにして、いろいろ畜産物の今日の流通構造の問題などを中心にして調べてみたのですが、これは確かにほかの作物に比べて、生鮮食料品等に比べて流通機構というものが整っていない。前近代的な状態がある。これはもちろん商品としての畜産物がおくれて登場をしたという歴史的なものもあります。しかしながら、やはり農林省の中心的ななには、そういうような価格形成よりも一つの生産対策というものを中心にしてやられてきたところに、そのような問題がなお未解決のままで残っているのだと私は思うのです。そういうようなものは、しかし流通機構の上においてやはり合理的に解決をしていかなければならない問題であると私は思う。そういうような点から考えてまいりますと、生産から消費に至るまでの一貫した縦の行政系列というよりも、やはり近代的な農林行政を進めていくしにおいて、横との連絡というものを十分にしなければ、この複雑な最近の構造的な体系というもので乗り切っていくことはできないのではないかという気がしてならないのです。大臣は、農林省は非常に家族的だとおっしゃるのですが、家族的であるのはけっこうでありますけれども、やはりどういうふうにしたら国民にサービスができるような行政というものがうまくいくかという点を十分にお考えをいただきまして、今後においてこの問題について慎重に検討をお願いしたいと思うのであります。大臣、そういうようなおつもりでやっていただけますかどうか、その点だけ最後にお尋ねして終わりたいと思います。
  114. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 もちろん、御指摘のようにそういう点は検討もいたします。
  115. 坂村吉正

    ○坂村主査代理 これにて村山喜一君の質疑は終了いたしました。  次に、稲富稜人君。
  116. 稲富稜人

    ○稲富分科員 それでは、時間もありませんので、簡略に三点につきましてお尋ねしたいと思いますので、ひとつ大臣、簡略に御答弁願いたいと思います。  最初にお尋ねいたしたいことは、坂田農林大臣は、就任以来、今日の農村の一番大きな悩みでございます農業後継者対策に対しましては相当に力こぶを入れていらっしゃること、さらにまた後継者養成のいろいろな方途を考えていらっしゃる、こういうことも十分承知をいたしておるのでございますが、私がこの際大臣にお聞きしたいと思いますことは、もちろんそういうような後継者の育成も必要でございますけれども、基本的な問題は、日本の農業というものを採算のとれるような農業にするということが基本的な問題ではないかと私は思う。いかに後継者をつくろうといたしましても、農業経営が採算が合わないということになりますと、これは農業経営をやる者はないようになるので、この基本的な問題と十分取り組まなければできないと思うのでありますが、これに対して大臣はどうお考えになっておりますか、承りたい。
  117. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 御指摘のとおりでございます。
  118. 稲富稜人

    ○稲富分科員 御指摘のとおりとおっしゃいますが、しからば、日本の農政に対する政府の計画性、やり方等に対しては非常になまぬるいものがあります。しかし、この問題をここで論議しておりますと、これだけでも数時間かかりますので、その基本的な日本の農業対策に対しましてはまたの機会に譲るといたしまして、少なくとも、農業基本法が制定されまして、農業基本法で規定されていることだけは忠実にこれを実行するということが最も必要ではないかと私は思う。せっかく農業基本法が成立したけれども、農業基本法の趣旨にも合わないようなことをやっておっては、後継者を求めることも非常に困難ではないかと思うのでございますが、これはいかがでございます。
  119. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 この農業基本法が通過したときは私はちょうど委員長をやっておりましたときで、基本法の趣旨どおりにいきたいということを念願してやっておる次第でございますから、そう矛盾したことはないと思います。ただ問題は、この基本法を間違って運用する側に対して、少し私のほうからこれを注意しなければならぬという点があるかもしれぬと思っておるのでございます。
  120. 稲富稜人

    ○稲富分科員 それではさらに具体的に私は大臣にお尋ねしたいと思いますが、教農村において非常に大きな問題になっておるのに分散相続の問題がございます。今日、日本の農業を成り立てるためには経営規模の拡大ということが大きな主張となって、構造計画等もそこに立っておると思うのでございますが、ところが逆に分散相続の問題があります。しかもこれは農業基本法第十六条においては、「国は、自立経営たる又はこれになろうとする家族農業経営等が細分化することを防止するため、遺産の相続にあたって従前の農業経営をなるべく共同相続人の一人が引き継いで担当することができるように必要な施策を講ずるものとする。」ということがはっきり明文にうたってあります。私は農業基本法の実施の翌年から、これに対するどういう具体的な対策を政府がおやりになるかということを年々質問してきている。一番最初は、政府は、これは民法上並びに憲法上の問題があるから検討しているのだとおっしゃった。私はそのときも言った。民法上、憲法上の問題を実施の段階になって検討することは間違っておるじゃないか、すでにこの法律を成立せしめるときに、そういう憲法上の問題、民法上の問題を検討して、しかるのちにこの条文をつくるべきじゃなかったかということを言ったけれども、ともかくも検討するということでございました。その後政府は、これに対しては、生前贈与に対する贈与税を延期でございますか、こういうような措置をとられている。しかしそういうような措置というものは、この法文によってなされたものでないと私は思う。この法文を生かそうとするならば、分散相続を一人の者が相続し得るような方途をどうして一体講ずるかという具体的な対策を立てなければできないと私は思う。現にこういう問題が起こっております。私のある友人が二町歩のたんぼをつくっておった。長男にその仕事を継続させようとして農業経営をやらしておった。そして次男、三男は大学にやった。ところがいよいよ何年かたってみますると、大学を出て会社に就職しておる次男、三男が帰ってきて、いまのうちに分散相続してくれ、お嫁に行った娘まで帰ってきて、分散相続してくれ、こういうことになった。ところが長男は何と言ったか、自分はこの二町歩を農業経営できると思って今月まで営々として働き、弟を大学にやったのだ、これを分散相続しなければいけないということならば、私は農業をやめると言って、その長男はやめてしまった。こういうような悲惨なことが各地に起こっているという状況、この現状は、せっかく農業基本法の十六条にうたっておりながら、これに対する具体的な対策をやらないところに、そこに大きな原因があると思うのですが、これに対してはどういう方法でこの法律の条文を具体化しようというお考えがあるのか、承りたい。
  121. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、先生すでに御承知のように、昭和三十七年に東大の川島先生はじめ、全国の大学の民法学者に依頼をいたしまして、全国から六百二十二戸ほどの農家をとりまして実態調査をいたしたわけであります。その調査の結果を簡単に申し上げますと、親の死亡による相続という形での経営の細分化が現実に起こるというよりも、生前に自分の子供たち、特にまだ小さい子供たちの分家なり、将来の生活の安定をはかるというような形で、むしろ生前贈与の形で問題がございまして、その場合農地を贈与するというケースは、全調査の戸数の中でも非常にウエートが少なかったのでございます。むしろ生前贈与の形で経営の分散が行なわれることはあり得るけれども、死亡による経営の分散化ということは現実に出てまいりませんでした。  さらにその後数年たちましたので、昨年の十一月に、当時調査をしていただきました六百二十二戸の中で、北海道と鹿児島は特殊な事情から除いて、その他のところで同じ村をつかまえまして農政局で調査を実施いたしたのでありますが、やはり昨年の十一月における調査の結果を見ましても、死亡後の相続という形での共同相続の細分化ということは、現実には前回の調査と同じような傾向が出てまいりまして、自治体により若干の傾向の差異はございますが、相続による細分化ということよりは、生前贈与ということのほうにむしろ問題があるのではないかということに私どもは理解をするような調査の結果であったわけであります。と申しましても、もちろん若い人たちが、権利関係と申しますか、そういう新しい制度に対する理解が深まるにつれて、またいろいろの経済上の変化につれて、当然共同相続人としての権利を主張するというような傾向は高まっていっておると思いますが、先ほど先生自身もお述べになりましたように、生前の細分化を防止するために一括贈与した場合には贈与税を免除する措置を三十九年からとったわけであります。そのほかに昨年度から後継者育成資金というようなものをつくりましたし、さらに父子契約というようなものも指導いたしまして、生前から後継者に一括して贈与がされますような指導を講じておる次第でございます。
  122. 稲富稜人

    ○稲富分科員 これは政府のやり方がずるいと思います。学者に調査させたからといって、そちらのほうに責任を転嫁するというようなことは、実行するということに対して熱意がないことです。死亡贈与よりも生前贈与が多いということは、死亡まで待てないで生前のうちに分けてくれということです。だから生前贈与の機会が多くなってくる。ただいま私が申し上げましたような実例がそうですよ。おやじが生きておる間に分散相続をしておいてくれということを要求する。死ぬまで待てない状態です。こういうことになりますと、後継者である人間が農業経営に対する希望をなくする。期待をなくして、そうして農村を離れていくことになってくるわけです。この点は、ただ学者が調査したところがそういうことが起こらないと言っても、起こっておるんですよ。しかも十六条ではっきりうたっておることじゃないですか。法の条文に明文がうたってあるものを、人の調査の結果によって責任を転嫁して、それだから実施しないでおるのだというようなことでは、立法の精神が泣くと思います。この農業基本法の立法精神が泣くようなことを、基本法の精神に沿わないことをやっておりながら、日本の農業の振興も後継者の育成もあり得ないと思います。ほんとうに農業を育てようとして後継者をつくろうとするならば、政府みずからがこの立法の精神を生かすための施策をやることが最も必要だと思います。どうかひとつ人に責任を転嫁しないで、政府みずからがどういう考え方で取り組んでいくかということについてお考えを承りたいと思います。
  123. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 いま農政局長から御答弁申し上げたような実態になっておりますけれども、やはり不安でございますから、いま生前贈与の問題等をまず実行いたしておるようなわけであります。実際問題として、これがもっと進展するということが考えられるということでありますれば、これはやはり困難をおかしてもこの法制を立てるべきであるというふうに私も思います。
  124. 稲富稜人

    ○稲富分科員 大臣、これが進展するようなことになれば考えると言われるが、政治は事実に先行しなければいけないんですよ。実際、問題が起こってから政府が考えよう、これがすなわち政治がないといわれるのですよ。私は、この問題は農業基本法実施の翌年から今日まで毎年質問し続けてきている。そのつど政府は考慮中、こう言われておる。私は赤城農林大臣のときに、こういうことを私のほうから提案をしたのです。この法律を生かす方法というものは、これは何と申しましても金の上で財政的な措置をするより方法がないのだ、それがためには、三人の共同相続人がおるとするならば、その三人の共同相続人の中の一人が相続するためには、あと二人に対しては金で片づけなければいけない、この金で片づけようとする場合にも、金がないのだから、政府が貸さなければいけないのじゃないか、ところが、政府が融資する場合に、金利が高かったのでは、農業経営をやっていこうとする人に非常に負担が重いから、できるならば金利は無利子でなければならない。無利子でいかないとすれば、最も安い金利にしなければならない。しかも、これを短期に返済するということになれば、農業経営をやるに無理がくるから長期にしなければならない。要するに、長期低利の融資でもやらなければ、この十六条を生かす方法はないじゃないですかということまで、私はそのときに私のほうから提案した。そのときに、赤城さんは考えましょうと言っておった。ところが、その結果何年何月たってもその結論は出ていないという状態になっている。こういう問題が具体的にあらわれてきて、必要であるならば政府もなるべく考えようということをいま大臣はおっしゃっておりますが、こういう問題は諸方に起こっております。まだ今日までこれ対してそれと取り組んでいないということは、私は基本法実施に対しても、あまりにも不忠実であると思うのですが、いかがでございますか。そういうことでいいのでございますか。それでは日本の農業の後継者もできませんよ。この点について、ひとつ農林大臣の決意を承りたいと思うのです。
  125. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 いまおっしゃったことがありますこと等で、一応生前の贈与の税金の問題からいったわけでありますが、正論としてはあなたのおっしゃるとおりであります。しかし、問題が非常にあらゆる面に関係の深い、いわゆる一子相続との関係もあったり、いろいろな関係の深い問題でありますだけに、私どもとしても、生前のなには多いかあるいはどうかといったような調査等、いろいろそこに苦労をしながら検討はいたしておるわけであります。あらわれたところは、まことに稲富さんのおっしゃったこととはだいぶ離れたようでございますが、それはあらわれたところでありまして、そこにはそういうようなことで一生懸命いろいろな点についての研究をやり、またその結果によって次善の策を講じておるというのが現状でございます。
  126. 稲富稜人

    ○稲富分科員 この機会に承りたいのですが、かつてこの法律に対しては、これを生かすためには憲法上との問題あるいは民法上との問題があるから検討しているのだという答弁がありましたが、この憲法上の問題、民法上の問題は、すでに解決いたしておりますか、この点承りたい。
  127. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 いまおっしゃいますことは、共同相続という制度を一子相続に切りかえる法制をつくるということを前提にいたしますれば、やはり憲法上の問題は残っております。ただ、ちょっとこの機会にふえんさしていただきますが、先ほど申しましたように、昨年十一月に調査をいたしました結果でも、実際に共同相続の事例というものは非常に少なかったわけでございます。ただ、都市近郊の兼業農家について比率がやや高かった、こういうことでございます。学者にまかせっぱなしというふうなことをおっしゃいましたが、私ども気にして調査をいたしたわけでございますが、傾向としてはあまり変化は見られない、こういうことでございます。
  128. 稲富稜人

    ○稲富分科員 それで、農業基本法十六条で明文にうたわれたときには、当然憲法上の問題、民法上の問題を解決されて条文にうたったものだと解釈しなければならない。民法上の問題、憲法上の問題を実施の機会にあたって検討するということも非常に私は間違いであると思う。私が毎年質問しておっても、同じような答弁を繰り返すばかりで一つも前進はありません。これではほんとうの日本の農業対策というものは成り立ちません、後継者対策も成り立たない。こういうことだから私は聞いておる。今日の事態においてそれがまだ実現できないとするならば、早急にこれに対する具体的な対策をひとつ、来年度には、研究しておりますというようなことが来年の予算面には出てこないようにしてもらいたい。その点に対する大臣の決意、また来年まであなたが大臣をやっていらっしゃらないとすれば、次の大臣に十分それを申し送って、責任を負わせるというだけの決意があるかどうか。この点ひとつ承っておきたいと思うのです。
  129. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 先ほど申し上げましたとおりでございますので、決意はそういう決意で検討いたします。
  130. 稲富稜人

    ○稲富分科員 この問題ばかりで時間をとられるとほかの質問に入れませんので、この問題に対しては十分検討していただいて、具体的な対策をやっていただきたい。先刻からやっておりますような、生前贈与にこれをやるなということでは、この法の根本的な精神は生かされません。生前贈与というのは便宜上、悪く言えばごまかしだと言っても差しつかえないくらいで、こういうものではこの法律は生きませんので、この問題も十分考慮に入れて、対策を具体化していただきたいということを要望いたしておきます。  その次にお尋ねしたいことは、林業関係でございますが、昨年だったと思いますが、国有林野のあり方について農林大臣の諮問があって、かねて中央森林審議会で審議中でございましたが、これが答申されております。その中に、国有林野の行政部門と経営部門を分離したらどうかというようなことから、独立の公共企業体を設置したらどうだ、こういうような答申が出ておるように聞いております。これに対して政府はどういうような考え方を持っていらっしゃいますか。この点をまず承りたいと思います。
  131. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 中央森林審議会のほうから御指摘のような答申を受けておるわけであります。私どもは、国有林野の公共性またいままでの任務という点、これからの役割りを、最も経済的な面あるいは公共的な面、地方に対するいろいろの寄与すべき面、いろいろ利用面を担当して、それをしかも永続的に行なっていくということでありますが、あわせてこれを高能率的にやっていかなければならぬ、こういうふうに私どもは考えておりまするので、いま御指摘になりました中央森林審議会の答申をも含めまして、これらの問題を検討中でございます。
  132. 稲富稜人

    ○稲富分科員 くどくどしいことは申し上げません。結論を申し上げます。今日、政府並びに総理大臣、大蔵大臣は、しばしば公団とか公社みたいなものは新しく設置しないというふうなことをあらゆる機会に言っていらっしゃいますが、政府といたしましては、農林省管内の公共企業体に対しては、答申の意思を尊重して企業体をつくろうという意思であるか、それとも、答申はそういうふうに出ておるけれども、いま申し上げたような点から、まだつくる時期ではない、つくらない、こういうような方針をお持ちになっておるか。この点を結論だけ承りたいと思うのでございます。
  133. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 結論は決定いたしておりません。
  134. 稲富稜人

    ○稲富分科員 検討中ということでございますか。しかもその検討中というのは、総理がみずからそういう公団や公社等はつくらないということをたてまえにしておる、こう言っておるときに、それでは検討中となれば、公社を設立するという趣旨にもとれるし、設立しないという検討もできるわけなんです。それはどちらのほうにウエートが強いのですか。
  135. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 検討中でありますから、そういうふうに御解釈を願いたいのでありますが、ただ申し上げたいことは、先ほども申したように、非常に公共性の強い国有林の問題でありまするということ、そういう点からいたしまして、しかも永続的にこれらの役割りを負うていくというものでなければならぬのでありますので、特に私ども慎重に検討をいたしておるのであります。こういうわけでございます。
  136. 稲富稜人

    ○稲富分科員 これはぬるいふろの中に入ってあったまるのを待っているような話なので、どうもはっきりしないのですが、それを、基本的な問題を聞かなければ次の質問にいっても何だか縁遠いような気がするのですが、問題はそういうような企業体に持っていこうという、こういうような計画があるやに聞いておる。そうなればおのずから機構改革、合理化によって職員の首切りの、整理の問題が起こってくる。こういうことまで一応想像されるわけでございます。こういうような具体的な問題に対しての林野庁の見解はどういう考えを持っていらっしゃるか、伺いたい。
  137. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 中央森林審議会の答申が機構の問題にわたっておりまして、そうして独立の人格を持った公共企業体というようなことをいっております。要するに国有林野を立て直すのに機構の問題に触れておりますので、そこでこの答申の趣旨、あるいはこの現在の行政機構の中でセクションだけを分けるとか、あるいは公共企業体としてもどういう形態なのか、その一つ一つについて少なくとも検討の必要がありますから、検討中ということを大臣は申し上げているのでございます。したがって、その結論がまだ事務の段階でも出ておりませんので、それでこうでございますということが申し上げられない、こういうことでございます。  いま首切りの問題が出ましたが、そういうことはどのような機構になるにしても考えていないということでございます。
  138. 稲富稜人

    ○稲富分科員 結論を申し上げますと、ただいま企業体をつくるかつくらないかということに対しては検討中である、しかしその結論は出ていない、しかしそれがいかなる場合になっても、現在の職員に対する整理等は行なわない、こういうような見解をとっておるのだということを考えていらっしゃるわけなんですね。この点をはっきりしていただきたい。
  139. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 それはお話のとおりでございます。
  140. 稲富稜人

    ○稲富分科員 次にお尋ねしたいことは、林業基本法ができますときに、林業基本法の立法の目的はいろいろありますが、その中におきまして、林業従事者の所得を増大するということがその大きな目的だったと思うのでございます。ところが林業従事者が従来のいろいろな関係よりも非常に劣弱な待遇を受けておるという事実はこれは御存じだと思うのでございますが、この点は林野庁長官から承ったほうがいいのではないかと思いますが、この事実をどう認めていらっしゃいますか。
  141. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 林業従事者といいます場合には、林業の経営者、それからそれに雇用される者、これを含むというふうに考えていいと思います。経営者のほうは、これは先生の御承知のとおりに林家の九四%までが農家であるというようなことで、いわゆる農林家という形が戸数の上では大部分である。その中で林業経営がきわめて粗放な状態で行なわれているのを、できるだけ生産性を上げ、それによって所得の向上にもなる、総生産も増大するという方向に持っていこうとするのが林業基本法でございますので、そこで成立以来もろもろの具体化施策を打ち出してまいったというのが今日の段階でございます。一方林業に雇用される労働者につきましても、予算上その処遇の改善と、社会保障の充実、そういう面で対策をとってまいった次第でございます。
  142. 稲富稜人

    ○稲富分科員 それでは時間がありませんので、結論を申し上げます。国有林野の従業員その他の待遇がほかよりも悪いということは、林野庁長官御存じだ。これはあらゆる機会にわれわれも待遇の改善をやらなければいけないじゃないかということを主張しているのだが、いろいろな制約があってなかなか困難な状態でありますが、これに対してはひとつ十分、林業基本法の立法の精神から申しましても、政府として対策は講じていただきたい、こう思っておるのでございますが、これに対して大臣、ひとつあなたの決意を承っておきたい。
  143. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 これは基本法の精神に従ってできる限りつとめたいと思っております。
  144. 稲富稜人

    ○稲富分科員 あと一つだけお尋ねいたします。これは畜産関係でございます。御承知のとおり畜産振興の立場から畜産事業に対するいろいろな振興対策を政府はやっていらっしゃるのでありますが、特に私はここに、時間がありませんので一つだけ申し上げたいのは、養鶏の指導でございます。従来養鶏の指導に対しては、一般の指導をされても養鶏の防疫対策というものが非常に欠けておったのではないか、こう考えるのでございますが、これに対してはどういう考えを持っていらっしゃるか、ひとつ率直に承りたいと思うのでございます。
  145. 檜垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 畜産の技術指導の問題は、現段階におきます試験研究の結果をもちまして、それぞれ年ごとに指導につとめてまいったのでございますが、御承知のように鶏や豚は急激に飼養の形態が変化を遂げつつある段階でございます。いわゆる多頭羽ないし企業経営の形をとる傾向が顕著に出てきておるわけであります。そういう条件変化のもとで、従来のような技術指導で十分であったかどうかということに相なりますと、端的に言いまして私どもこの際反省を要する点がいろいろ残されておるというふうに考えております。
  146. 稲富稜人

    ○稲富分科員 畜産局長は率直に言われておるので、私も実際そう思う。従来やはりややともしますると牛馬その他には非常に防疫関係というものが並行して指導の対象となったけれども、養鶏に対する防疫関係というものは従来は非常に等閑に付されておったといっても差しつかえない状態です。将来養鶏の振興をやる場合は、防疫とその技術指導、そういうものが統合された一つの指導体制、対策というものがなされないといけないと思うのであります。それにつきまして特に私たちが今日考えるのは、最近のいわゆるニューカッスル病の発生でございます。これに対しましてはやはり十分なワクチンがない。それだからこれに対する十分な対策をとれないというのが現在の悩みなんです。こういうことも、一面申し上げますと防疫対策というものが養鶏振興対策の中で非常に薄らいでおる、こういう点がそういう結果になったんじゃないかともうかがわれるのでございます。今後ワクチン製造等に対しましても防疫と技術指導というものが並行してこの養鶏振興対策を樹立する、こういうような指導方針が必要かと思うのでございますが、これに対する決意をひとつ承りたいと思います。
  147. 檜垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 御指摘の点は私どももまさに同様に考えておるのでございまして、養鶏の技術経営指導対策とともにワクチン等の準備、防疫対策の官民協力した体制のもとでの完全を期するといろ点に重点を置いて進んでまいりたいというふうに思っております。
  148. 稲富稜人

    ○稲富分科員 それでは、もう時間がありませんから最後に一つだけ。――ワクチンの製造に対しましてもなかなか足りませんので、こういうことに対してもいざというときに遺憾なきを期してもらいたいということが一つ。  さらにまたこれは地方の問題ではなはだ失礼でございますが、養鶏の試験場が九州の場合は鹿児島にあります。ニューカッスル病がはやったからといって、これを鹿児島まで持っていくということは非常に不便でありますので、この対策としても、鹿児島のへんぴなところに置かないで、九州に一つであるならば、あえて福岡に置けとは申しませんが、熊本あたりの中心地にこれを移すような考えはないか。この点はひとつ考えてもらいたいと思うのですが……。
  149. 檜垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 家畜衛生試験場の九州支場が鹿児島にありまして、他の県にとっては不便であるということは、私どももかねがね聞いているのでございます。現在の畜産立地の事情から申しまして、私もその不満は理由のあることであるというふうに思うのでございますが、試験場、研究所、そういうものの移転というものはなかなか困難な事情が介在をするのでございまして、農林水産技術会議事務局の所管でございますけれども、私どもとしては、少なくとも九州の中心地点と思われる熊本あたりに、九州支場の分場あるいは分室等の形で北九州地域の家畜衛生の拠点となるような施設を設けてほしいという考え方を持っておりまして、今後そういう方向で農林水産技術会議事務局とも連絡しながら、実現につとめたいというふうに思っております。
  150. 稲富稜人

    ○稲富分科員 いま局長の最後の答弁でございました分室でも、ほんとうにこれが有効に使われるならばけっこうでございますが、実際、今回ニューカッスル病が発生いたしまして非常に困難を来たしておる、こういうような事実もありますので、これは大臣、あなたがそういうことで約束をされるかどうか、ひとつはっきり御答弁をお願い申し上げたいと思うのでございます。
  151. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 この点は、いま御指摘のように、たいへん大切な問題でありますから、少なくともこの分場なり分室なりを置くようにひとつ努力したい、こう思います。
  152. 稲富稜人

    ○稲富分科員 いろいろありますけれども、時間がありませんので、私の本日の質問はこれで終わります。
  153. 坂村吉正

    ○坂村主査代理 以上で稲富稜人君の質疑は終了いたしました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明後二十八日午前十時より開会し、通商産業省所管について質疑を行なうことといたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後二時三十三分散会