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1957-03-08 第26回国会 衆議院 本会議 17号 公式Web版

  1. 昭和三十二年三月八日(金曜日)     ――――――――――――― 議事日程 第十三号  昭和三十二年三月八日   午後一時開議 第一 滞納処分と強制執行等との手続の調整に関  する法律案(内閣提出)     ―――――――――――――  一 裁判所法等の一部を改正する法律案(内閣  提出)の趣旨説明     ――――――――――――― ●本日の会議に付した案件  昭和三十一年度一般会計予算補正(第1号)  昭和三十一年度特別会計予算補正(特第1号)  裁判所法等の一部を改正する法律案(内閣提   出)の趣旨説明及びこれに対する質疑  日程第一 滞納処分と強制執行等との手続の調   整に関する法律案(内閣提出)    午後四時二十七分開議
  2. 益谷秀次

    ○議長(益谷秀次君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――  昭和三十一年度一般会計予算補正   (第1号)  昭和三十一年度特別会計予算補正   (特第1号)
  3. 荒舩清十郎

    ○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、昭和三十一年度一般会計予算補正(第1号)、昭和三十一年度特別会計予算補正(特第1号)、右両件を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  4. 益谷秀次

    ○議長(益谷秀次君) 荒舩君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 益谷秀次

    ○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  昭和三十一年度一般会計予算補正(第1号)、昭和三十一年度特別会計予算補正(特第1号)、右両件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。予算委員長山崎巖君。   〔山崎巖君登壇〕
  6. 山崎巖

    ○山崎巖君 ただいま議題となりました昭和三十一年度一般会計予算補正(第1号)、同特別会計予算補正(特第1号)につきまして、予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  これら補正二案は、昭和三十二年度本予算と同時に去る二月一日予算委員会に付託され、本八日討論、採決されたものであります。  御承知の通り、その間に内閣の交代があったのでありますが、本委員会におきましても、岸内閣総理大臣より、前内閣の提出したこれら補正二案はそのまま新内閣が引き継ぐ旨の言明があったのであります。  本補正の内容は、一般会計歳入面において、所得税及び法人税の自然増収四百億円を計上し、このうち三百億円を産業投資特別会計に新たに設ける資金へ繰り入れ、残りの百億円を地方交付税交付金の増加に充当するものであります。この結果、昭和三十一年度における一般会計予算総額は、歳入歳出ともにそれぞれ一兆七百四十九億二千二百余万円となつております。  以上の補正を行なった目的の第一は、本年度経済の好況に伴う租税の大幅の自然増収を有効に使用するために、新たに産業投資特別会計に資金を設けることとし、その財源として三百億円を同会計に繰り入れまして、今後の財政投融資の資金源に充当することであります。しこうして、この資金の使用は、三十二年度において百五十億円を予定し、残りは三十三年度以降に持ち越すことと相なっております。第二に、地方団体に交付する地方交付税交付金は、法人税及び所得税収入の自然増加に応じて当然増加いたすものでありまして、これらの自然増四百億円の百分の二十五に相当する百億円が計上されておるのであります。しこうして、これに関連して、交付税及び譲与税配付金特別会計において所要の補正が行われております。以上が補正予算の内容であります。  次に、委員会における質疑の若干について申し上げます。  まず、本補正を近く提出される予定の第二次補正予算と分離した理由いかん。ことに、昭和三十年度食糧管理特別会計の赤字三十四億円は、決算上すでに確定したものであるから、当然本補正に計上すべきである、また、同会計の三十一年度分の赤字百六十一億円は、財政法第十二条にいう会計年度独立の原則からしても、また、三十年度においては赤字を年度内補正で措置した点から見ても、当然に本年度内の補正予算で処理すべきではないか、以上のような質疑がありました。これに対し、政府側より、本補正は三十二年度の財政投融資の資金源に直接関係を持つものであるから、本予算審議の必要上から、他の補正と切り離して、早急に提出したものである、他の経費の補正は、三十年度食糧管理特別会計の赤字処理を含め、一括第二次補正予算として提出する、また、食糧管理特別会計の三十一年度分の損失は三十二年七月末日までに最終的に確定されるものであるから、赤字の処理は決算確定後に持ち越すのが至当と思う、また、このように既往の損失額を後年度において補てんした例は、従来とも、食管のみならず、他の特別会計においても若干あったことで、決して財政法違反とはならないとの答弁がありました。  また、地方財政に関しましては、年々累増する公債費が地方財政に対していよいよ重圧を加えつつあるが、これが対策いかんとの質疑がありました。政府は、これに対し、今回の交付税交付金百億円のうち、地方公務員に対する年末手当〇・一五分十六億円、その他八億円を除いた七十六億円を来年度における公債費の財源として交付する予定である、すなわち、来年度分の公債費のうち、かつての給与引き上げの財源となった地方債の元利償還費二十億円の全額及び失業対策事業、公共事業、中小学校建築等の財源となった地方債の利払い費百五十五億円の半額程度は国でめんどうを見る予定であるが、これらの数字のうちには不交付団体の分をも含んでいるので、これを除くと、今回の七十六億円で大体措置できるという見込みである、なお不足分はでき得る限り善処したい、という答弁がございました。  なお、これに関連して、あらかじめ年度繰り越しを予定して本年度分交付税を計上するのは無理ではないかとの質疑がありましたが、これに対しましては、この交付税は、事務上の手続からいっても、年度内に使い切ることは困難であるし、特例法を設けて、来年度分の交付税と合せて交付したいとの答弁がございました。  本補正につきましては、質疑終了後、日本社会党より、政府はこの案を撤回し、すみやかに以下申し述べるごとき要綱に従って編成がえの上、再提出すべしとの動議が提出されました。その要綱は、一、政府は補正予算の編成を二回に分割しているが、この方式を改め、補正第一号で一括して一般経費の不足を充足すべきである、二、必要な財政支出の充足を優先的に行うとの観点から、産業投資特別会計への繰り入ればとりやめ、食糧管理特別会計における昭和三十年度より昭和三十一年度の赤字見込み計百九十五億円を計上する、三、歳出面では、そのほか、遺族及び留守家族等援護費、社会保険費、沖繩住民に対する土地補償代払い等十一件を計上して、歳出総額を五百億円とし、その財源には租税及び印紙収入の自然増収五百億円を充当すべきであるというのであります。  本日午後討論に入り、採決の結果、社会党の組みかえ要求動議は否決され、補正予算二案は政府原案の通り可決されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)
  7. 益谷秀次

    ○議長(益谷秀次君) 昭和三十一年度一般会計予算補正(第1号)外一件に対しては、和田博雄君外二十名から編成がえを求めるの動議が提出されております。この際その趣旨弁明を許します。西村榮一君。   〔西村榮一君登壇〕
  8. 西村榮一

    ○西村榮一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、政府提出による予算補正第一号に反対の意向を明らかにし、政府にこれの撤回を要求するとともに、ただいまより私が御説明申し上げまする趣旨に基いて、これをすみやかに組みかえて再提出されんことを要求するものであります。(拍手)  今回提出せられました政府案は、三十一年度分の所得税、法人税、酒税の三税の増収四百億円のうち百億円を、特別措置により三十二年度に地方に交付し、残り三百億円を産業投融資特別会計に繰り入れるということであります。そこで、私が社会党を代表いたしまして政府に本案の撤回を要求いたしまするものは、この補正とともに次の補正が提出される予定であります。なぜこれを一括して提出されないかと申しますると、それは、計数整理の都合を理由といたしまして、補正案を二つに分けられたことであります。この形式は政治的によろしくない。  次に問題になりますのは、事は三百億円という金額でありますけれども、三十一年度の自然増収を三十二年度の産業投融資に前渡しする。同時に、政府の説明を承わってみますると、三十二年度においては三百億円のうち半額の百五十億円を投資するが、あとの半額の百五十億円は来年の三十三年度に繰り越すということであります。しかも、三十三年度に、しからば、いかなる事業に投融資するのであるか。その事業計画は全然ございません。問題になりますのは、三十一年度の自然増収を三十二年度の財政投融資に先渡しするということとともに、最も問題になりまするものは、そのうち使い残り百五十億円を、さらに来年度、三十三年度に繰り越す、しかも、その使い道の内容がはっきりしないというような財政の組み方というものは、明らかにこれは財政法の違反であります。(拍手)  ここで問題になりますのは、今の財政に一体国民が何を要求しているかということでありますが、私はあえて言葉をかどにして政府の財政政策を責めようとはいたしません。今日、国民並びに日本の経済が政治に要求いたしておりますることは、健全なる財政政策であります。すでに、予算委員会その他の委員会において、本年の経済はインフレーションの危険があるか、デフレーションの危険があるかということは、しばしば論議されて参りました。これに対して、楽観論もあり悲観論もございます。けれども、問題になるのは、将来インフレーションが起きるか起きないかという議論ではなしに、現実にインフレーションの要因が日本経済の足元に忍び寄ってきていることであります。私は、肺炎を起して熱が出ると、出てしまってから騒ぐよりも、肺炎の起る要因が起きたならば、当初においてそれを治療することが賢明なる財政であると思います。(拍手)  将来インフレーションが起きるか起きないか。現実にインフレーションが起き、日本経済が非常な高熱を発する要因が今の足元にある。と申しますることは、私どもが予算案について政府の所信をただしました五日後に、政府は統計を発表されておりまして、その政府の統計について見ますると、日本の物価は、一二%生産財がこの一年間に高くなっております。消費財は四・七%、ところが、世界において今インフレーションで最も悩んでおり、この対策に万全の処置を講じておりまするイギリス並びにアメリカにおきましては、昨年度の物価の生産財の値上りはわずかに三%であります。西ドイツは一%、フランスは一%、世界平均いたしまして、昨年度の物価の上昇率は一・五%であります。この一・五%よりも自分の国の物価が倍上回ったというので、アメリカやイギリスは、インフレーション対策に政治が万全を尽している。  しかるに、日本は、昨年度の物価の上昇は、生産財において一二%であります。これだけ物価の上昇をかかえながら、さて、しからば、国際収支のバランスは一体どこに合せるか。政府は、輸出について二十八億ドルふやすと、これは自信を持ってお答えになりました。輸入は三十二億ドルにとどめて、国際収支はとんとんだと、これは御説明になりました。ところが、国際収支はとんとんだと御説明になって、まだ一週間たたないうちに、政府が発表されたものは、実に驚くなかれ、この二ヵ月ばかり国際収支は赤字に逆転でありまして、ついに国際収支は一億八千万ドルの赤字を出しておるのであります。(拍手)これが、三月に参りますると、従来十四億二千万ドルの手持ち外貨は、ついに十二億ドルを割るであろうという、赤信号が今出ております。  今より思い出してみまするならば、昭和二十九年の惨たんたるデフレ恐慌というものは、二十八年度の上半期、半年間連続いたしまして、国際収支のアンバランスから、この国際収支の均衡が破れたことから、あの惨たんたるデフレ恐慌を来たしたのである。今、日本は、去年の暮れから三ヵ月続いて、国際収支はアンバランスの中におります。しかも、二億数千万ドルの赤字が出ようとしております。将来国際収支の改善の見込みはありません。なぜならば、イギリス、アメリカを中心とする輸出貿易が昨年より著しく伸びるという楽観論の根拠はどこにもないのでありまして、しかも、去年より本年一二%高い生産物資をかかえて激甚なる国際競争に耐えられるということは、これは一個の痴人の夢であります。(拍手)私は、かくして国際収支の均衡がどこにとれるかということにつきましては、今自信を持っておりません。  そこで、私は自信はないのでありますが、政府当局はきわめて自信をお持ちであります。私はその自信についても敬意を表します。けれども、今財政をとる立場において考えなければならぬことは、将来日本の景気が現在の高原景気を維持できるかできないかということは、これは悲観する方も楽観する方も一個の見通しでございます。しからば、問題は、万一この楽観論の見通しがくずれたときに、日本経済と国民生活の安定をいかにしてささえるかという万全の対策をすることこそが、政治の最大の任務であるといわざるを得ません。(拍手)この楽観論と悲観論の中にあって、万一日本経済がくずれたときにどうするかという心の準備が今日必要だといたしまするならば、その処置をするものは一体何であるか。これは、常識上、健全財政であります。財政の弾力性であります。  これは、当時、池田さんも御記憶の通り、二十八年のあの恐慌のときに、私は、こういうふうな不景気のときにどんどん船を作って、政府の金で、政府の信用によって船を作った方がいいのじゃないかというふうな提案をしたことかあるのでありますが、当時の財政がそれを許さずに、世の中の自然現象の不景気に加うるに、政治的恐慌を来たしたのであります。私は、そこで、世の中が万一逆転して、今日の景気が逆転いたしましたならば、そこで初めて国の余裕ある財政を放出いたしまして、くずれていく日本経済をささえ、国民の経済をささえる、雇用をささえて恐慌を救うことこそが、今日置かれた経済の調弁者としての政治の任務なりと確信いたしておるのであります。(拍手)  そういたしますると、何と申しましても、財政を豊かにしておかなければなりません。健全なる財政政策をとられて、万一のときに備えねばなりません。そうするためには、何というても、まず第一に、平凡な常識でありますが、政府が支払うべき義務の生じている債務を支払うことであります。私は、政府が責任を生じておる債務をまず支払う、それから新しい発展の方向を考えるというのが常識であろうと思うのでありますが、それは何を意味するかと申しますと、三十一年度において自然増収が財政面にできましたならば、今政府が払わなければならぬ責任の生じておるものは、一つは食管会計の赤字の百九十五億円です。これは政府は免れることのできない支払い義務の生じておる債務であります。(拍手)しからば、この債務を支払って、なおかつ余裕が起きたときに、切めてお隣のうちに金を貸すという考え方も浮んでくるでしょう。自分のうちの借金を払わないで、まあちょっと金が入ったから一つとりあえず貸してやろうというのが三百億円でありまして、これは、借りる方も計画が立っていないのに、気前よく貸しているのであります。私は、こういうふうな財政のとり方は不健全であるのみならず、これは将来にとって災いのある財政政策だと思う。(拍手)  しからば、こういうふうな不健全にして常識はずれ、しかも、これは何というても財政法の違反であります。条文の解釈はいろいろ三百代言的にお述べになりましても、これは財政法違反であります。しからば、常識はずれにして、かつ財政法に違反するところの、この財政の切り盛り方を、なぜ大蔵当局は無理して提出されたか。これは簡単です。百九十五億円の食管会計は政府の自分の借金であるにもかかわらず、これをだれかに支払わしめよう。(拍手)従って、今あっさり政府が支払ってしまったならば、それでケリがついてしもうから、まあ借金は借金として残しておいて、だれかに支払わしめようという魂胆が政治的に含まれておると考えられるのであります。(拍手)  しからば、その政治的ねらいは何か。百九十五億円の食管会計の赤字に名をかりて、何と申しましても、選挙が終った後、選挙があまりにも長くなれば、選挙に影響しない時期を見計らって、消費者米価を値上げするという魂胆以外にはない。(拍手)私は、この政治的なねらいが、万一私の申し上げることがひが目であるといたしまするならば、現在の財政は――岸内閣の寿命は、二年か、三年か、たかだか四年、けれども、財政法は長く続くのであります。日本の経済は長く続くのであります。この日本経済を預かって行う財政は、議会政治がある間、未来永劫に続くのでありまして、この悠久なる議会政治の歴史の観点から考えるならば、便宜的な政治的目的をもって財政に汚点を残すような財政政策は絶対にとるべきではない。(拍手)  私は、かくのごとき見地に立ちまして、この補正予算は政府が撤回され、自由党さんも社会党も仲よく健全財政に進まれんことを希望いたしまして、撤回の要求の趣旨弁明を終ります。(拍手)
  9. 益谷秀次

    ○議長(益谷秀次君) これより討論に入ります。江崎真澄君。   〔江崎真澄君登壇〕
  10. 江崎真澄

    ○江崎真澄君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和三十一年度一般会計予算補正(第1号)及び特別会計予算補正(特第1号)の政府原案に賛成し、社会党提出の組みかえ案に対しまして反対をするものであります。(拍手)  この予算の内容につきましては、さきに政府から説明がありました通り、一般会計から産業投資特別会計に三百億円を繰り入れ、三十二年度及び三十三年度の財政投融資の原資に充当いたしまして、これを計画的に、しかも弾力性を持たせ、各般の経済情勢に応じて使用しようというものであります。これは、わが党がかねてから推進いたしておりまするところの国民経済の発展、産業基盤の拡大強化等の政策に全く合致するところの措置であります。(拍手)この繰り入れにつきまして、社会党の諸君から財政法違反であるとの意見があったのであります。これは、財政に弾力性を持たせるという意味から、財政法第四十四条の規定に従い、特別の立法によって繰り入れるものでありますから、何ら疑義を差しはさむ余地がないばかりか、将来景気の調節弁としてまことに適切な措置を講じたものとして、むしろ賞賛せらるべきものであります。(拍手)  また、地方交付税交付金としての百億円についてでありますが、国税三税の自然増収による交付率二五%に当る当然の措置でありまして、これによって昭和三十一年度における地方交付税交付金の総額は一千七百二十八億円となり、地方財政の円滑化が期待できるものであります。  さて、社会党はこれに対して組みかえ案を提出せられたのであります。二大政党の対立下におきまして、野党の諸君が組みかえ案を提出せられるということは、けだし当然のことといわなければなりません。いわゆる予算総会の質問等を通じまして、政府がいかなる考えに立つかということは、野党の質問のもと、おのずから明らかにせられるのでありますが、野党であり反対党である社会党がいかなる考えに立つものであるかということは、国民は、新聞紙等を通ずるだけでは、にわかに了解し得ないものがあるからであります。この補正予算に対しては組みかえ案を出されましたが、本予算については、出すとか出さぬとか、いろいろ伝えられておることは、一面、残念といわなければなりません。  さて、出されたこの組みかえ案を一べついたしますに、これはいずれ政府が第二次補正予算に予定しておるところのものを入れた程度のものであって、残念ながら、われわれを首肯させ、野党の意見として傾聴さすべきもの皆無というあり方であります。今日、二大政党対立下におきまして、社会党のために惜しまざるを得ないのであります。(拍手)  ここで第一に問題になりますのは、産投会計への繰入金を全額削除いたしまして、これを食管の昭和三十年度及び三十一年度の赤字補てんその他の歳出財源に充てておる点でありますが、これは明年度における財政投融資の計画を縮小させるものであって、時宜に適せざるものというべく、われわれの断じてこれを容認しがたいところであります。  また、食管会計の赤字補てんの問題は、政府におきましては、三十年度の決算確定分三十四億円は、次の第二次補正で措置をする、三十一年度の赤字につきましては、決算の確定を待って措置しようというのであります。大蔵大臣は、過去の赤字全部につきまして、確定を待って一般会計より繰り入れ、これが措置をするのだと、きわめて明快なる答弁をしばしば予算総会において繰り返しておるのであります。(拍手)にもかかわらず、その未確定なるものをあくまで補てんすべしと、同じ議論を行きつ戻りつ強弁をなされ、しかも、産投会計への繰り入れをやめてまでこれに充当しようとするがごときは、国民経済の発展を忘却し、いたずらに行きがかりのみに拘泥した所論というべく、私どもとは根本的に考えの相異なるところであります。(拍手)  次に、沖繩住民への見舞金でありますが、これはわが党といたしましても熱意を持って対処する所存であります。政府においても目下これを準備中でありまして、いずれ近日提出の第二次補正予算の中に具体化せられるものであります。  なお、国連の分担金が社会党組みかえ案には二億円計上されておるのであります。これは、国際条約によりまして、国連からの分担金の割当がきてから金額がはっきりするものでありまして、まだその割当のない今日、しかも、三十年度において支払い得る期間内には決定を見ないであろうとはっきり見通されておりますのに、これを先走って組みかえ案では計上をいたしておるのであります。一体いかなる理由に基くものでありますか。西村君の説明におきましても明らかにされておらないのであります。われわれは、残念ながら、ナンセンスとしてこれを一笑に付さざるを得ないのであります。(拍手)  次に、社会党は、組みかえ案の中に、農林漁業金融公庫に対する出資として三十八億円を計上しておるのでありますが、年度末もわずかの日数であるのに、これを緊急に計上しなければならぬところの理由はありません。政府は、三十二年度におきまして、前年度より六十億円の大幅増額を予定し、すなわち、三百五十億円をもって農林漁業の要請に十分応ずる態勢をとっておるのであります。その他、遺族及び留守家族等の援護費、三十一年度不足額二十八億円の補てんにいたしましても、すべてこれらの並べておられる項目は、近日提案を予定されておりますわが党第二次補正予算あるいは三十二年度予算におきまして適切なる措置がとられますので、これまた本補正予算に計上することの必要を認めないのであります。(拍手)  以上、簡単でありますが、私は、本補正予算の政府原案に賛成をし、社会党提出の組みかえ動議に対しては、その首肯できがたい不合理性数点を指摘いたしまして、絶対反対をいたすものであります。(拍手)
  11. 益谷秀次

    ○議長(益谷秀次君) ただいまの江崎君の発言中、もし不適当の言辞があれば、速記録を取り調べの上、適当の処置をとることといたします。  柳田秀一君。   〔柳田秀一君登壇〕
  12. 柳田秀一

    ○柳田秀一君 私は、日本社会党を代表して、政府提出にかかる昭和三十一年度予算補正第一号並びに特第一号に反対、わが党提案の編成がえを求むるの動議に賛成の討論を行わんとするものであります。(拍手)  先刻、予算委員会において、わが党の森三樹二君は、政府提出の補正予算案に対して、財政、金融、経済の見地から、その本質的欠陥を指摘したのでありますが、私は、問題を法律論に関連いたしまして、いささか論及してみたいと思うのであります。  まず第一に、財政法の第二十九条には、「内閣は、予算作成後に生じた事由に基き必要避けることのできない経費若しくは国庫債務負担行為又は法律上若しくは契約上国の義務に属する経費に不足を生じた場合に限り、追加予算を国会に提出することができる。」「内閣は、前項の場合を除くの外、予算の成立後に生じた事由に基いて、既に成立した予算に変更を加える必要があるときは、その修正を国会に提出することができる。」かように規定しておるのでありまして、いわゆる単一予算主義の例外の一つとして追加予算及び修正予算を認めておるのであります。これによって明らかな通り、追加予算は、予算成立後に生じた事由に基き、経費が不足した場合に限り作成することができる建前であります。予算作成前の事情に基くものは、当然その予算案そのものを修正すべきであり、追加予算を作成すべきではないのであります。(拍手)  しかるに、今回、政府案四百億中の三百億は産業投資特別会計への繰り入れであり、しかも、それは三十二年度と三十三年度において使用せんとするに至っては、追加予算として明らかに財政法違反の行為であります。(拍手)予算は、元来、単年度であります。しかも、必要欠くべからざる経費に限り追加できる仕組みのところへ、御丁寧にも三年度にまたがり、翌年、翌々年の経費まで追加するというのでありますから、まさに前代夫聞の犯例であります。(拍手)だから、池田大蔵大臣も、異例中の異例でありますと答弁しておる。ただいま江崎君の言うようなことではない。  さらに、同法第六条には、「各会計年度において歳入歳出の決算上剰余を生じた場合においては、当該剰余金のうち、二分の一を下らない金額は、他の法律によるものの外、これを剰余金を生じた年度の翌翌年度までに、公債又は借入金の償還財源に充てなければならない。」と書いてあります。この点は、過日、予算委員会において、わが党の和田博雄君から、財政法に抵触しないというならば、その何条か示してみろ、こう追及いたしましたところ、池田大蔵大臣は、「こういうようなことをやりましても抵触しないと考えております。これを禁止した規定はございません。」このような苦しい答弁をしております。しかしながら、さすがに心臓の強い池田君も、気がとがめたか、財政法四十四条に基く法案をあとから出してきて、当面をやっと糊塗したような次第であります。(拍手)これはまさに財政法違反の第二号でございます。  国会運営の正常化を口にする内閣ならば、何よりもまず、国の基本法である憲法を初め、財政ならば、その基本をなす財政法の立法の精神を順奉することこそ、先決の要素でなければなりません。(拍手)抵触する法律の規定がないからと、法の盲点をついたり、勝手に解釈したり、一方的に歪曲したり、三百代言的詭弁を弄して重要なる国政を処理していくことが、果して国会運営の正常化を意味するものでありますか。(拍手)もし、しかりとするならば、それは民主主義の仮面をかぶったフアッショの姿と断じても過言ではないでしょう。(拍手)  かくのごとく、昭和三十一年度の租税収入の自然増は、国民健康保険、義務教育費、旧軍人遺家族援護費、食糧管理特別会計等々、これこそ、真に、予算作成後に生じた事由に基き必要欠くべからざる経費をほったらかしておいて、すなわち、国民の毎日の生活に直結する経費をほったらかしておいて、かつまた、先ほど申しました犯例第一号、同第二号と、財政法の精神を一重にも二重にも犯してまで、なぜ産業投資に最優先的に手当をしなければならなかったのでありましようか。問題はここであります。池田蔵相や三木幹事長に聞くまでもなく、石橋前内閣が当初構想しておった、予算成立後の解散に備えた、権力者にとっての、選挙対策としての、あなた方のお使いのお言葉の、いわゆる万全の措置であったろうことは、これは想像されるのであります。(拍手)  このように考えるのは、何も私一人、野党だけではありません。現に、あなた方与党からも、君、きょう討論やるそうだが、ここだけはぜひ池田をついてくれと言って、何人私のところに来ましたか。(笑声、拍手)そういうような御親切な御注進まであったのです。複雑な党内事情もさることながら、ものの真相というものは、大体落ちつくところに落ちつくものであります。(拍手)このように、独占的な大企業には奉仕をするが、翻って、一般経費の不足額はさておいて、国民の血税をまず最優先的に大企業本位の利益を守る方向に振り向けるやり方に、まざまざと自民党政府の性格が如実に現われておると思うのであります。(拍手)  第二に、地方交付税交付金百億のうちの七十六億は、来年度に繰り越して、地方団体の借金の元利償還の利子補給に使用するといろのでありますが、これもまことにむちゃな話であります。地方交付税法第六条の規定からいっても、地方団体の独立固有の財源たる交付税の本質からいっても、百億は当然三十一年度分として政府が地方に配付すべき義務があると思うのであります。(拍手)所得税、法人税、酒税のその二五%分は、政府が地方団体にかわって単に徴税するにすぎないのが交付税制度なのです。かつての平衡交付金制度と異なるゆえんのものは、今さら申すまでもないでありましょう。こういうような地方交付税制度の本質を没却してというか、無視してというか、特例を設けて七十六億を繰り越すなどとは、憲法にわざわざ一章を設けた地方自治に対する中央政府の侵害行為だと私は思う。これが法律違反の第三号であります。  さらに奇怪なことには、この特例法による繰越額七十六億にレッテルを張って、あたかも国が地方債の元利償還の利子補給を新たにしてやったようなお体裁をつけておるのであります。元来が地方の金を一時保管しておいたものなんです。それを、おためごかしにくれてやるようなごまかしには、地方自治団体は断じて乗りません。今日、府県の約半数は、税収の三割以上を借金を返すのに使っております。七百六十億に達する地方債の元利償還の問題は、目下の地方財政最大の課題であります。このような羊頭狗肉にもならない独善的な政策では、地方財政の確立は絶対に望み得ないと私は思います。(拍手)少しは骨があるかと思った田中伊三次君がこの体たらくでは、自治庁長官にあらす、自治庁大臣なりと力んでみても、しょせん益ないことであります。(拍手、笑声、発言する者あり)  第三に、わが党が強く組みかえを要求する食糧管理特別会計の赤字補てんの問題であります。予算審議を始めた際、私たち不審にたえなかったのは、本年の初め、閣議が米価の値上げを決定し、これを四月一日から実施せんとする段階においては、三十年度、三十一年度の食管会計の赤字百九十五億を、三十一年度において一般会計から補てんすることを決定しておきながら、予算書にはその事実がどこにもなかった点であります。この点は、分科会及び委員会において、わが党委員の追及に会い、ようやくにして、三十年度の赤字三十四億は第二補正で組み入れる、ごかんべん願いたい、三十一年度の赤字見込み百六十一億は、決算確定を待ち、また臨時食糧管理制度調査会の結論を待って補正すると申してきたのであります。  そもそも、財政法第十二条は、いわゆる会計年度独立の原則をうたっております。「各会計年度における経費は、その年度の歳入を以て、これを支弁しなければならない。」と規定しておるのであります。すなわち、後年度の歳入をもって当該年度の経費を支弁してはならないにもかかわらず、後年度における消費者来価の値上りを勘定に入れて逃げ切ろうとした行為は、これまた法律違反の第四号でございます。  ここで思い起すのは、昨年の二月、昭和三十年度予算補正の審議に当っては、当時の一萬田大蔵大臣はかように説明しておるのであります。すなわち、「食糧管理特別会計は三十年度末において百六十七億円の損失が見込まれるが、この損失は三十年度において処理し、三十一年度においては厳に収支の均衡を確保する方針のもとに」云々といって、インベントリーの食いつぶし百億のほかに、一般会計から繰り入れ六十七億の手当をして、正しく筋を通されたのであります。当時の河野・一萬田と、今日の池田・井出関係大臣の間の政治的発言力の差を微妙に物語るとはいえ、時の為政者の権力次第によって財政法の解釈が左右されることは断じて許しがたいと思うのであります。(拍手)  本来なれば問題の多い食管会計です。さなきだに、三十二年度においてもすでに百四十二億の赤字が予測される今日、過年度の赤字は当然一般会計から補てんし、まず当面の応急の処置をしたる後、特別調査会の審議を待つというのなら、話はわかります。ところが、さにあらず。今回の池田・井出方式は、決算確定を待ち、調査会の結論を待って後善処すると言うが、産業投資には、三十一年度の自然増収の決算確定を待ち切れずに、あわてて三百億も繰り入れながら、食管に限り決算確定を待つという、その魂胆は何でありましょう。この点は、重大なインフレ要因であり、直接国民の台所を脅やかす問題でありますがゆえに、私はこの際明確にしておきたいと思うのであります。  問題の核心は、すなわち、三十一年の赤字見込み百六十一億を穴埋めせずに、これを持ち越すことによって調査会の負担を重からしめて、勢い消費者米価の値上げの方向にその結論を持っていこうとした政治的配慮がその一つであります。(拍手)さらには、三十一年度から来年度に持ち越す食管の手持ち保有米が約百四十二万トン、これを精米に換算して約一千万石、かりに一升当り八円五十銭の消費者負担増を四月一日から実施するとせば、百六十一億の赤字は約半減するのであります。その評価益をねらったものであることは明々白々であります。(拍手)その何よりの証拠には、さきにも申し述べたごとく、消費者米価の値上げが自民党の内紛によりたな上げされる以前においては、三十年度、三十一年度の赤字を一般会計から埋める決意だったと、大蔵大臣も予算委員会で言明しております。にもかかわらず、一たんこれがたな上げになったならば、春の日の雪のごとく、いつの間にかすうっと消えておる。さらには、本員の質問に対して、大蔵大臣はこう言っておる。「消費者米価が現在のままで行くとするならば、百六十一億はこういう程度でございましょう。しかしながら、万が一にも」――ここは大きな声で言いました。「万が一にも消費者米価が動く場合には、その数字は動くのでございます」と答弁しておる。ただいまの江崎君のような、ああいう勝手なはったりの討論をやってはいけませんよ。(拍手)  さらにもう一つの証拠には、一昨夜の書記長、国会対策委員長同士の、いわゆる四者会談において、わが党は一歩を譲り、自民党に対して百六十一億の数字は、決算確定により多少は動くことは認めるが、特別調査会の答申いかんには左右されない、これくらいの言明は大蔵大臣がなさってもよろしかろうと、再三要望したにもかかわらず、ついにこれすら政府与党のいれるところとならなかった事実をもって見ても、いよいよこの間の消息は明らかであります。(拍手)消費者米価の値上げをもくろんでおることは、これはもう既定の事実だと思うのであります。  われわれは、はっきり断言いたします。いかに、自民党の諸君が、個人的には消費者米価の値上げには反対であると、ちょいちょい皆さんの口から個人的には聞きますが、いかに諸君が個人的には消費者米価の値上げに反対であると言っても、この補正予算案に賛成されて、わが党の組みかえ案に反対されたというような政治的行動をとられた限りにおいては、公人としての諸君には、もはや米価値上げの反対を口にする資格はありません。(拍手)もし私の今の断定に不満ならば、もしも、ただいまの私の断定に諸君が不満ならば、ただいまの討論者でもよろしい、政府からでもよろしい、この壇上に来られて国会を通じて、国民諸君に、昭和三十二年度においては消費者米価は断じて上げませんと言明なさったらどうですか。(拍手)どうですか、それくらいの責任ある勇気はおありになりますか。おありになるならば承わりましよう。  これをもって私の討論を終ります。(拍手)
  13. 益谷秀次

    ○議長(益谷秀次君) ただいまの柳田君の発言中、もし不穏当の言辞があれば、速記録を取り調べの上、適当の処置をとることといたします。  これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、和田博雄君外二十名提出、昭和三十一年度一般会計予算補正(第1号)外一件の編成替を求めるの動議につき採決いたします。この採決は記名投票をもって行います。和田博雄君外二十名提出の動議に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。  氏名点呼を命じます。   〔参事氏名を点呼〕   〔各員投票〕
  14. 益谷秀次

    ○議長(益谷秀次君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。閉鎖。  投票を計算いたさせます。   〔参事投票を計算〕
  15. 益谷秀次

    ○議長(益谷秀次君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。   〔事務総長朗読〕  投票総数 三百六十三   可とする者(白票)  百二十五   〔拍手〕   否とする者(青票)  二百三十八   〔拍手〕
  16. 益谷秀次

    ○議長(益谷秀次君) 右の結果、和田博雄君外二十名提出の動議は否決されました。     ―――――――――――――  和田博雄君外二十名提出の動議を可とする議員の氏名    阿部 五郎君  青野 武一君    赤路 友藏君  赤松  勇君    飛鳥田一雄君  有馬 輝武君    淡谷 悠藏君  井岡 大治君    井谷 正吉君  井上 良二君    井堀 繁雄君  伊瀬幸太郎君    伊藤卯四郎君  池田 禎治君    石田 宥全君  石橋 政嗣君    石山 權作君  稻富 稜人君    稻村 隆一君  今澄  勇君    今村  等君  受田 新吉君    大西 正道君  大矢 省三君    岡  良一君  岡本 隆一君    加賀田 進君  風見  章君    春日 一幸君  片島  港君    片山  哲君  上林與市郎君    神田 大作君  川俣 清音君    川村 継義君  河上丈太郎君    河野  正君  木原津與志君    菊地養之輔君  北山 愛郎君    久保田鶴松君  栗原 俊夫君    小平  忠君  小牧 次生君    五島 虎雄君  河野  密君    佐々木更二君  佐竹 新市君    佐竹 晴記君  佐藤觀次郎君    坂本 泰良君  櫻井 奎夫君    志村 茂治君  島上善五郎君    下川儀太郎君  杉山元治郎君    鈴木茂三郎君  田中幾三郎君    田中 武夫君  田中 利勝君    田中 稔男君  田万 廣文君    多賀谷真稔君  高津 正道君    滝井 義高君  竹谷源太郎君    楯 兼次郎君  辻原 弘市君    戸叶 里子君  中井徳次郎君    中居英太郎君  中崎  敏君    中島  巖君  中村 高一君    中村 英男君  永井勝次郎君    成田 知巳君  西尾 末廣君    西村 榮一君  西村 力弥君    野原  貴君  芳賀  貢君    長谷川 保君  原   茂君    原   彪君  日野 吉夫君    平岡忠次郎君  平田 ヒデ君    福田 昌子君  古屋 貞雄君    帆足  計君  細迫 兼光君    前田榮之助君  正木  清君    松井 政吉君  松尾トシ子君    松岡 駒吉君  松平 忠久君    松本 七郎君  三鍋 義三君    三宅 正一君  水谷長三郎君    門司  亮君  森 三樹二君    森島 守人君  森本  靖君    八百板 正君  八木 一男君    八木  昇君  矢尾喜三郎君    安平 鹿一君  柳田 秀一君    山ロシヅエ君  山口丈太郎君    山崎 始男君  山下 榮二君    山田 長司君  山本 幸一君    横銭 重吉君  横路 節雄君    吉川 兼光君  吉田 賢一君    和田 博雄君  久保田 豊君    中原 健次君  否とする議員の氏名    阿左美廣治君  相川 勝六君    逢澤  寛君  愛知 揆一君    青木  正君  赤城 宗徳君    赤澤 正道君  秋田 大助君    淺香 忠雄君  足立 篤郎君    荒舩清十郎君  有馬 英治君    安藤  覺君  五十嵐吉藏君    井出一太郎君  伊東 隆治君    伊藤 郷一君  生田 宏一君    池田 清志君  池田 勇人君    石井光次郎君  石坂  繁君    石田 博英君  一萬田尚登君    稻葉  修君  犬養  健君    今井  耕君  今松 治郎君    宇田 耕一君  植木庚子郎君    植村 武一君  内田 常雄君    内海 安吉君  江崎 真澄君    遠藤 三郎君  小笠 公認君    小笠原三九郎君 小澤佐重喜君    越智  茂君  大石 武一君    大久保留次郎君 大倉 三郎君    大島 秀一君  大高  康君    大坪 保雄君  大野 伴睦君    大橋 武夫君  大平 正芳君    大村 清一君  太田 正孝君    岡崎 英城君  荻野 豊平君    加藤 精三君  加藤 高藏君    加藤常太郎君  加藤鐐五郎君    鹿野 彦吉君  上林山榮吉君    神田  博君  亀山 孝一君    川崎末五郎君  川崎 秀二君    川島正次郎君  川野 芳滿君    菅  太郎君  菅野和太郎君    大崎 茂男君  大村 俊夫君    大村 文男君  菊池 義郎君    岸  信介君  北 れい吉君    北澤 直吉君  北村徳太郎君    清瀬 一郎君  楠美 省吾君    倉石 忠雄君  黒金 泰美君    小泉 純也君  小枝 一雄君    小金 義照君  小西 寅松君    小林かなえ君  小山 長規君    河野 金昇君  高村 坂彦君    纐纈 彌三君  佐々木秀世君    佐藤 榮作君  佐伯 宗義君    齋藤 憲三君  坂田 道太君    櫻内 義雄君  笹本 一雄君    笹山茂太郎君  薩摩 雄次君    志賀健次郎君  椎熊 三郎君    椎名  隆君  重政 誠之君    篠田 弘作君  首藤 新八君    正力松太郎君  白濱 仁吉君    須磨彌吉郎君  杉浦 武雄君    助川 良平君  鈴木周次郎君    鈴木 善幸君  鈴木 直人君    薄田 美朝君  砂田 重政君    瀬戸山三男君  關谷 勝利君    園田  直君  田口長治郎君    田子 一民君  田中伊三次君    田中 龍夫君  田中 久雄君    田中 正巳君  田村  元君    高岡 大輔君  高木 松吉君    高瀬  博君  高橋 禎一君    高橋  等君  高見 三郎君    竹内 俊吉君  竹尾  弌君    竹山祐太郎君  千葉 三郎君    中馬 辰猪君  塚田十一郎君    塚原 俊郎君  辻  政信君    堤 康次郎君  綱島 正興君    渡海元三郎君  徳田與吉郎君    徳安 實藏君  床次 徳二君    内藤 友明君  中垣 國男君    中川 俊忠君  中島 茂喜君    中嶋 太郎君  中曽根康弘君    中村 梅吉君  中村三之丞君    中山 榮一君  中山 マサ君    永田 亮一君  永山 忠則君    長井  源君  灘尾 弘吉君    夏堀源三郎君  並木 芳雄君    楢橋  渡君  南條 徳男君    二階堂 進君  丹羽 兵助君    西村 直己君  根本龍太郎君    野澤 清人君  野田 卯一君    野田 武夫君  野依 秀市君    馬場 元治君 橋本登美三郎君    橋本 龍伍君  長谷川四郎君    畠山 鶴吉君  八田 貞義君    濱野 清吾君  早川  崇君    林  讓治君  林  唯義君    林   博君  原 健三郎君    原  捨忠君  平野 三郎君    廣川 弘輝君  廣瀬 正雄君    藤井 順一君  福井 盛太君    福田 赳夫君  福田 篤泰君    福永 一臣君  福永 健司君    藤枝 泉介君  藤本 捨助君    淵上房太郎君  船田  中君    古井 喜實君  古川 丈吉君    古島 義英君  保利  茂君    保科善四郎君  坊  秀男君    堀内 一雄君  眞崎 勝次君    眞鍋 儀十君  前尾繁三郎君    松浦周太郎君  松浦 東介君    松澤 雄藏君  松永  東君    松野 頼二君  松本 俊一君    松本 瀧藏君  松山 義雄君    三浦 一雄君  三木 武夫君    三田村武夫君  水田三喜男君    宮澤 胤勇君  村上  勇君    森下 國雄君  森山 欽司君    八木 一郎君 山口喜久一郎君    山口 好一君  山崎  厳君    山下 春江君  山村新治郎君    山本 勝市君  山本 粂吉君    山本 正一君  山本 猛夫君    山本 利壽君  山本 友一君    横井 太郎君  横川 重次君    吉田 重延君  米田 吉盛君    渡邊 良夫君  亘  四郎君     ―――――――――――――
  17. 益谷秀次

    ○議長(益谷秀次君) 次に、昭和三十一年度一般会計予算補正(第1号)外一件を一括して採決いたします。両件の委員長の報告はいずれも可決であります。両件を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  18. 益谷秀次

    ○議長(益谷秀次君) 起立多数。よって両件とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ――――◇―――――  裁判所法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
  19. 荒舩清十郎

    ○荒舩清十郎君 議事日程順序変更の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出、裁判所法等の一部を改正する法律案の趣旨説明を聴取せられんことを望みます。
  20. 益谷秀次

    ○議長(益谷秀次君) 荒舩君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 益谷秀次

    ○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程の順序は変更せられました。  裁判所法等の一部を改正する法律案の趣旨の説明を求めます。法務大臣中村梅吉君。   〔国務大臣中村梅吉君登壇〕
  22. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) ただいま議題となりました裁判所法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。   〔議長退席、副議長着席〕  御承知の通り、日本国憲法の施行とともに、わが国の司法制度は、旧憲法時代とは異なった新しい構想のもとに発足いたしたのであります。特に最高裁判所は、違憲審査を行う権限を有する終審裁判所とされましたばかりでなく、訴訟手続その他に関する規則の制定及び下級裁判所の裁判官の指名というような重要な権限をも与えられ、旧大審院とは、これらの点において著しく趣きを異にしているのでありまして、その重大な職責にかんがみ、最高裁判所は、識見の高い、法律の素養のある十五人の裁判官をもって構成されることになったのであります。  最高裁判所のこのような性格及び構成にかんがみ、その取り扱う上告事件の範囲をいかにするかという問題は、すでにその発足当時から存在していたのでありますが、まず、刑事訴訟につきましては、昭和二十四年から施行された新刑事訴訟法によりまして、訴訟手続に根本的改正が加えられ、第一審における公判中心主義の徹底、控訴審の事後審化とともに、上告理由の範囲は憲法違反、判例抵触等の重要な事項に限定され、これによりまして、刑事訴訟に関する最高裁判所の裁判権の範囲については一応の調整が行われたのであります。また、民事訴訟につきましても、昭和二十五年に至り、有効期間の定めのある臨時立法として、最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律、いわゆる民事上告特例法が成立いたし、さらに第十九国会におきまして民事訴訟法の改正が行われ、上告理由の範囲は、憲法違反、判例抵触及び法令の解釈に関する重要な事項に限定されることになったのであります。  しかしながら、このような上告制限の措置にもかかわらず、最高裁判所における取扱い事件の件数は年々増加の一途をたどるとともに、その裁判官の負担は著しく過重となり、昭和二十六年末には未済事件数がついに七千件を突破するに至ったのでありまして、現在の最高裁判所の機構をもってしては、ますます増大する事件の負担に耐えることが困難ではないかと考えられるに至ったのであります。また、右に述べましたような上告制限の方向に対しましては、在野法曹方面を中心として批判的な意見が次第に強く唱えられて参りました。すなわち、従来のわが司法制度においては、長く一般法令違反が上告理由として認められて来たのでありますが、これを制限して憲法違反、判例抵触等を上告理由として認めるのみでは、個々の事件における当事者の救済に不十分であり、このような制度はわが国の実情に適しないものであるという意見であります。このようなことから、最高裁判所の機構及び上告制度の改善の問題が早急に解決を要する問題として盛んに論議されるようになりましたことは、すでに御承知の通りであります。  政府といたしましては、前に申し上げました、いわゆる民事上告特例法が、有効期間の定めのある臨時立法として成立いたしました関係もあって、すでに、昭和二十六年以降、法制審議会におきまして、民事訴訟法及び刑事訴訟法の改正の問題の一環として、この上告制度改善等の問題につき研究を進めておりましたが、右に申しましたような情勢を考慮して、昭和二十八年二月、法制審議会に対しまして、新たに、裁判所の制度を改善する必要があるかどうか、あるとすればその要綱を示されたい旨の諮問を発したのであります。  法制審議会におきましては、この諮問に基きまして、新たに司法制度部会を設け、最高裁判所の機構の問題を中心として調査審議を進めたのでありますが、当初は裁判所側、在野法曹側を中心に相当な意見の相違点があったのであります。しかしながら、この問題についての審議を促進するため、昭和二十九年八月、新たに司法制度部会、民事訴訟法部会及び刑事法部会から選出された小委員をもって構成する上訴制度に関する合同小委員会を設けまして、最高裁判所の機構及び刑事事件の上告理由範囲の問題を中心として鋭意審議を進めて参りましたところ、回数を重ねるに従いまして、次第に多数の委員の賛成を得られるような方向が明らかになって参りました。昨年三月には右合同小委員会としての案が決定され、その後、右三部会においてこの案が審議承認されました。次いで、昨年五月八日、法制審議会の総会において、出席委員二十一人のうち二十人の賛成により答申案の決議が行われ、同会より最高裁判所の機構及び上告制度に関する立法措置について適切な答申がなされたのであります。そこで、政府は、これに基さ慎重に立案いたしました結果、ここにこの法律案を提出する運びに至った次第でございます。  次に、この法律案の要点につきまして簡単に御説明申し上げたいと思います。  この法律案は、裁判所法及び刑事訴訟法の各一部改正を内容とするものでありまして、その骨子は、上告事件等の審理の円滑化をはかるため、憲法違反、判例変更等の重要な事件について審判する最高裁判所の裁判官を減員するとともに、別に最高裁判所に最高裁判所小法廷を置き、刑事訴訟についての上告理由の範囲を拡張して、個々の事件における当事者の救済を全うしようとするものであります。  改正点のうち特に重要と思われる数点について、その概略を申し上げますと、まず第一に最高裁判所の構成でありますが、現在の最高裁判所は、最高裁判所長官及び最高裁判所判事十四人をもって構成され、憲法事件その他の重要事件につきましては、全員の裁判官の合議体である大法廷で審理、裁判をするとともに、その他の一般上告事件につきましては、この十五人が三人以上の員数の裁判官の合議体である小法廷に分れて審理、裁判をすることになっておりますが、このような現在の構成では、一つの合議体として重要事件を処理するためにはむしろ裁判官の数が多きに失し、また、その他の一般上告事件の処理のためには小法廷の数が少きに過ぎるのみならず、裁判官が大法廷及び小法廷の双方の事件の審判に追われて、その能率が阻害されているように思われますので、これを改め、まず、最高裁判所は憲法違反、判例変更等の重要事件のみを取り扱うことにいたしますとともに、その取り扱う事項の重要性にかんがみ、さらに裁判の合議体を全からしめ、審理を円滑ならしめることを期するため、最高裁判所長官及び最高裁判所判事八人でこれを構成するものとし、その全員の裁判官の合議体で審理、裁判をすることにいたしました。また、一方、一般上告事件につきましては、現在の最高裁判所の構成では、事件の処理が遅延の傾向に陥りやすく、また、裁判官の負担が著しく過重となっている点を考慮し、かつ、後に述べますように、刑事の上告理由の範囲を拡張することにより一般上告事件を処理するための負担が増大するものと予想されることに伴いまして、その審理の円滑化をはかるため、別に最高裁判所小法廷首席判事六人及び最高裁判所小法廷判事二十四人で構成する最高裁判所小法廷を最高裁判所に付属して設置し、この小法廷は、三人以上の員数の裁判官の合議体で審理、裁判をすることにいたしました。  第二に、上告理由の範囲は、民事につきましては、現に憲法違反のほか、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反を上告理由の範囲といたしておりますので、現行法のまま改正を加えておりませんが、刑事事件につきましては、上告審における個々の事件の当事者の救済を徹底させる等の見地から、現在の刑事訴訟手続の構造及び上告審の負担の点等をも考慮しつつ、その上告理由の範囲を拡張することにし、憲法違反及び判例抵触のほか、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があって、原判決を破棄しなければ著しく正義に反することをも上告の理由とすることにいたしまして、上告の間口を民事事件と均衡のとれるようにするような措置を講じたのでございます。  第三に、事件の審判につきましては、最高裁判所小法廷は、原則として上告その他につき最高裁判所と同一の裁判権を有し、事件はまず小法廷で審理することといたしますが、憲法問題について判断をする場合及び従来の判例を変更する場合等におきましては、最高裁判所において裁判をさせることが適当と考えられますので、事件を最高裁判所に移させることといたし、最高裁判所は、原則として小法廷から移されたこれらの重要事件について審判することにいたしました。また、小法廷の裁判に対しましては、憲法違反を理由とするときに限り、特に最高裁判所に異議の申し立てをすることができることにいたしたのでございます。  第四に、最高裁判所長官及び最高裁判所判事は、憲法にいう最高裁判所の裁判官としてその任命を国民審査に付する点につきましては、もとより従来通りでありますが、内閣がその指名または任命を行うについては一そう慎重を期するようにするため、裁判官、検察官、弁護士及び学識経験者で組織する裁判官任命諮問審議会に諮問すべきものといたしました。また、最高裁判所小法廷の裁判官の任命方法、任命資格等は高等裁判所長官等と同様といたしましたが、その地位の重要性にかんがみまして、特にそのうち小法廷首席判事の任免は天皇が認証するものといたしました。  以上が裁判所法等の一部を改正する法律案の趣旨の概略でございます。よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。(拍手)      ――――◇―――――  裁判所法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  23. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) ただいまの趣旨の説明に対し、質疑の通告があります。順次これを許します。小林かなえ君。  〔小林かなえ君登壇〕
  24. 小林錡

    ○小林かなえ君 私は、ただいま議題となりました裁判所法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党を代表して、数点の質疑を行わんとするものであります。  今や、わが国は国際連合に加盟し、自由諸国家群のみならず、共産圏の諸国とも国交を回復することとなり、ソビエト・ロシヤ、ポーランド等との間にも国交が正常化されつつあることは、まことに喜ばしいことであります。しかし、その反面におきまして、国家体制の異なる国家からの思想は、わが国を谷間のようにして押し寄せ、資本主義と共産主義との二つの世界観の対立は、やがて政治犯罪、公安犯罪の方面において、不気味な機運をはらんでおるのでございます。翻って、国内においては、過去数年間、松川事件、平事件、大阪吹田事件、宮城前のメーデー事件などの天下の耳目を震骸せしめたところの騒擾事件は、いずれも今なお裁判所に係属し、その審理を受けておる次第であります。治安状況は決して安心を許しません。最近の砂川基地事件、原水爆禁止運動など、いずれもその根底において二つの世界観の相違からきておるものであります。従って、この根源は深く、前途の爆発はおそるべきものがあるといわなければなりません。しかも、これらの事件は、ある国民はこれを合法であるとし、正当であるといい、他の国民は非合法であり邪悪であるという。ここに、国家全体の立場から最後の断頭に立って、何が合法であるか非合法であるかを決定し、何が正義であるか何が邪悪であるかを峻別するものは、実に司法官署であります。その中心は裁判所にほかならぬのでありまして、私は、三権分立の一翼をになっておるところの司法問題について、総理大臣並びに法務大臣の御意見をお伺いしたいのでございます。  第一、近来、順法精神が弛緩しておるのではないか。総理は、総理就任に当りまして、民主政治家として大成される覚悟を述べられたのでありますが、私はこれに対しては衷心敬意を表するものでございます。およそ、民主政治下においては、国民は自己の投票権の行使によって作られたところの自己の代表者を通じて立法に参加しております。従って、立法機関によって作られた法律、命令、規則等に従うべきことは当然の事理たるのみならず、これによってのみ最低限度の秩序を維持し、治安が保たれることは申すまでもないことでございます。また、一方、基本的人権の尊重は民主政治の要諦でありますが、これを終局的に保障するものは実に司法裁判でございます。すなわち、司法裁判こそは人権擁護のための最後のとりでであると申さなければなりません。たとい経済、財政等のりっぱな政策が立てられましても、この順法の実があがらないならば、よき政治はとうてい実現されるものではございません。しかるに、今や世上を見ると、凶悪なる犯罪が日に増加し、特に青少年の犯罪においては、その年令層の低下、その行為の残虐性等から見ても、順法精神は地に落ちたるやの感なきを得ないのであります。しかるに、新憲法実施後十年を経過する今日、なお順法精神高揚の必要が叫ばれているのであります。これは民主政治の発展を願う者にとってはまことに憂うべきことといわねばなりません。現在、国民の生活と法律とは必ずしも全部融合しているとばかりは言い得ないのではないかという疑いなきを得ないのであります。法律専門家さえ知らないほどのおびただしい法律が次々と制定されております。一般国民は新法律の応接にいとまないというような状態でございます。行政権に委任してもよいではないかと思われるような事項までが一々法律をもって定められていくということは、この際一考を要する問題ではないかと思うのであります。  さらに、また、順法精神の低下と表裏するがごとく、ときどき起るところの裁判所の誤判事件等のために、裁判の権威も次第に失われつつあるのではないかということを疑わざるを得ないのであります。一たび裁判がなされた以上は、この裁判に権威あらしめることが、裁判と裁判所に対するところの国民の信頼を高める上に必要であると思います。これらの憂うべき事態の正常な立て直しのためには種々の方策も考えられるのでありましょうが、なかんずく青少年について、特に学校教育、社会教育等の面において善導、是正の方途を講じ、一般的には官報へ公示するというのみにとどまらず、法を知らしめるために、適当な啓蒙運動によって順法精神の高揚をはかるべきであると考えますが、この点に対する総理の御所見を承わりたいのであります。  第二、内閣に司法制度に関するところの調査機関を設ける御意思はないかという点であります。戦後、司法権の地位が憲法上一段と躍進したことはまことに喜ばしいことではございますが、あまりにもアメリカナイズされまして、占領法規の是正には、たとえば警察法とか、経済法規とかは、ある程度是正が実現されておるのでありますけれども、司法制度においては、まだたくさんの残滓があるのであります。たとえば、司法の民主化という立場から参審制度を置いてはどうか、あるいは陪審制度を置くことの可否等々の司法制度の改善進歩について、広く良識ある国民の協力と衆知を集める趣旨におきまして、ともすれば専門家に偏するところのおそれなしとしない、法務省内に設置してあります法制審議会とは別個に、内閣に大所高所より検討する審議会のごときものを設けるところの御意思はないか。また、かつての予備隊令違憲事件のごとき法令自体の違憲、いわゆる抽象的違憲審査権を有するところの憲法裁判所設置の可否、ないしは、最高裁にその権限を有せしめることの可否等について、どのようにお考えになっておられるか、これらの問題もまた、この審議会にかけて、その審議をすべき重要な案件たるを失わないと思うのであります。総理大臣並びに法務大臣の御所見を承わりたいと思います。  第三、最高裁小法廷の法律上の性格の問題でございます。今回御提出になりまして、ただいま御説明になりました、最高裁内に小法廷を置いて、非常にたまっておるところの事件をさばこうというのでありまするが、これは、憲法第七十九条、第八十一条についての問題でありまして、この点につきましては、政府は十分なる御調査が済んでおることとは思うのでありますけれども、私は、占領政策の行き過ぎ是正の見地からも、憲法上のこれらの条項について、この際新たに見直す必要があるのではないかと思うのでございます。  新憲法において新しく設けられました最高裁判所の機構は、アメリカの連邦最高裁判所にならったものであるか、あるいはアメリカの州の最高裁判所にならって作ったものであるか、この新憲法制定の際における真意は、はなはだ明確を欠いておったようであります。昭和二十九年の九月の裁判官会議における最高裁の機構改革に関する意見に徴しますれば、憲法第七十六条、第七十九条、第八十一条等の解釈上、日本国憲法下の最高裁の性格を、憲法裁判のほかに、通常の民事、刑事の裁判についても、終審裁判所ではなく、ただ終審としての違憲審査、すなわち、憲法違反のみを審査することにあるとなし、この根本的な命題に基いて、違憲審査に関与しない判事を構成員に持つことは違憲であるという結論に基いて、すなわち、憲法第八十一条の解釈をかくいたしまして、一般の法令違反の上告事件を取り扱わしめるために増員するという論に対して、憲法裁判所なるがゆえに、むしろ九名に減員すべしとして、小法廷は最高裁ではないとするようであります。  御承知のごとく、米国の最高裁制度を見ますと、連邦の最高裁判所は、連邦憲法に列挙せられた事項、すなわち、憲法違反及び各州の権限争議等の問題を裁判することになっておるのであります。御承知のごとく、アメリカは四十八州でございますが、この各州は、連邦憲法の制抑のもとに、各自法律を作っておるのであります。従って、各州の作った法律が憲法違反であるかどうかということを審判するところの裁判機関が重要であります。これに当るものが、いわゆる連邦の最高裁判所であります。同時に、各州に最高裁判所がありまして、この州における最高裁判所は、民事、刑事の裁判と同時に、憲法違反の裁判をも扱っておるのであります。  そこで、新憲法において取り扱われたる日本における最高裁判所の機構は、一体どれをモデルとしたものであるか、これははっきりいたしませんが、私は、これは州の最高裁判所をモデルとして作ったものだと考えるのであります。最高裁の裁判官諸公は、ただ最高裁は憲法裁判だけをすればいいのである、すなわち、憲法の番人であって、民事、刑事というような、下の裁判所でやるべきものを、われわれ最高裁判所がやるべきものではない、こういう高いプライドを持って、ただ憲法違反の裁判のみを審判すればいいという立場に立って裁判をしてきたのであります。しかしながら、御承知のごとく、わが国は、かつては大審院という裁判所がありまして、第一審、第二審、第三審と控訴、上告を経ても、できるだけの裁判手続をやって後初めて満足をし、あるいはあきらめるというのが、わが国民の従来の裁判歴史であります。しかるに、一方は、最高裁がわずかに十五人の判事を持って、憲法違反しか受けつけぬ、こういうのでありますから、国民性としてこれに満足するわけにいかないので、そこで、当事者や弁護士らが種々研究をして、何ごともみな憲法違反という問題にこじつけて普通の事件までも憲法違反というふうに片寄った名目のもとに、最高裁の裁判を仰ぐというのが、今日までの状態でありました。しかるに、十五人の裁判官は、「憲法の番人」であるから、憲法の裁判さえすればよろしいということで、高い地位におって裁判をやってきたのである。ここに、国民性と裁判所の現実との間に非常なギャップを生じ、多いときには七千件、少い今日においてもなおかつ四千件くらいの未済事件を持って、能率上不可能といわれるほどの仕事をかかえて苦しんでおると反対に、国民はまた長い間裁判のために苦しみ、ことに刑事事件のごときスピーディにいかなければならぬ裁判が、ときには十年、十五年という長年月を経ても終末をつけ得ないでおるということは、皆さん御承知の通りであります。  ゆえに、この状態を何とかして変えなければならぬということで、われわれ国会が中心になってこの改革に手をつけたのでありますから、この法律案が今回出るということは、われわれはまことに喜びにたえないのでありますけれども、しかし、私らの考えからいえば、これまでの憲法によって見ても、最高裁判所は、憲法違反のみならず、民事、刑事の裁判をも、終審裁判所として裁判ができるものであると考えるのでありますから、最高小法廷というものは最高裁の一部であって、最高裁と別のものであるとするのは、憲法の解釈を誤まっておるものと信じます。しかるに、政府提出案によれば、最高裁は憲法違反審査を主とする裁判所であるから、民刑等の法令違反を裁判する小法廷は最高裁の一部ではないという立場をとって、今回名は最高裁判所小法廷とつけますけれども、最高裁判所を離れた下部の裁判所であるというふうな規定を置いておるのであります。私は、前述の意味において、最高裁判所小法廷はやはり最高裁の一部であるという見方をしていくのが正しいものであると思うのであります。すなわち、大法廷といい、小法廷というも、職務分配にすぎず、ともに最高裁であると解すべきだと信じます。従来も、最高裁判所は、数個の小法廷を置いて、渋滞した裁判を片づけてきたのであります。しかも、これは最高裁の一部として法曹も国民もともに同一視してきたのに、突如として小法廷は最高裁の一部にあらずとなすがごときは、不合理もはなはだしいものといわなければなりません。すなわち、最高裁でもなく、また高等裁判所でもない、どこにも属しないところの、いわゆる中二階のごとき小法廷というものを置いたことは、いかにもすっきりしないものでありまして、憲法の解釈からいっても、私は正しくないと考えるのであります。従って、現在の最高裁判所小法廷が五人の構成であって、幾つかの部を持っていると同じように、今回小法廷を作っても、やはり最高裁の一部として見るのが正しいのではないか、何ゆえに小法廷を最高裁の一部として見ない建前をとられたか、また、他方、小法廷の裁判に対して、従来のごとく憲法違反として異議申し立てが何千件という多数出て、現在のごとく上告事件が増加し、実質上の四審級となるおそれはないかという点について、法務大臣にお伺いしたいのであります。  第四点は、下級審の、特に第一審の充実をいかにするかということであります。かりに最高裁の機構が改革されて事件の審理がはかどりましても、第一審、第二審という裁判で、当事者が信頼するに足るだけの裁判が行われなければ、やはり依然として未済事件がふえるのである。ことに、刑事事件のごときは、ほとんど第一審で事実が決定してしもうのでありますから、第一審にりっぱな裁判官を置くことが肝要であります。今日、地方裁判所においては、ほとんど原則として単独判事が裁判をしておるのであります。合議制でもなく、まだ経験の浅いような一人きりの裁判官の裁判に対して、なかなか承服することができないのは当然であります。従って、ことに第一審の充実をはからなければならぬと思いますが、法務大臣はいかにして下級審の充実をはからんとされるか、御所見を伺いたい。  また、一方において、裁判官あるいは検事というものは、ややもすれば一方に偏しやすい仕事に従事しておるのでありますから、そこで、在野の法曹団弁護士、これらの経験を積んだ、ことにすぐれた弁護士を裁判官もしくは検事に採用して、そうしていわゆる法曹一元化の実をあげて、司法制度の改革をはかるということが最も大切だと思うのでありますが、法務大臣はいかなる考えをもってこの問題に対処せられておりますか。  以上の数点につきまして、その大綱を申し上げたのでありますが、事はじみな司法問題でありますけれども、これは一国の秩序のもとをなすところの重要なる基礎でありますから、どうかこの点を御考慮下さいまして、国家はこのために金がかかるからというような簡単な問題で片づけるべきことではないと思うのでありますから、何とぞ御親切なる御答弁あらんことをお願い申し上げるとともに、切に御善処を請う次第であります。(拍手)   〔国務大臣岸信介君登壇〕
  25. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。  民主政治の円満なる施行のためには、順法精神が高揚されなければならないことは、御指摘の通りであります。あらゆる点においてこの順法精神の高揚に努めることが、民主政治の本質から必要なことと思います。それにつきまして、いろいろ法律の制定が非常に多くて、国民に十分徹底しないきらいもあるし、理解されないところもあるので、あるいは行政権にまかせ得る部分もあるのではないかというようなお話もありましたが、言うまでもなく、日本の民主政治は、国権の最高機関たる国会を中心として行われるということになっておりますので、これは自然法律制定が多くなるということもやむを得ないと思います。ただ、法律をなるべく簡素化して、国民に徹底し理解してもらうように努めなければならぬことは、これまた民主政治の要諦の一つであると私は思います。それらの点につきましては十分検討して参りたいと思います。  次に、現在の司法制度についていろいろ検討すべきものがある、三審制度等の問題につきましても御質問があったのでありますが、現在法制審議会というものが設けられております。これはもちろん広く人材を集めるようになっておりますが、法制審議会の性質上、自然専門的な知識の方が多くなるということも、これもやむを得ないと思います。  内閣に別個の審議会を置くという御意見でありますが、これはなお研究を要すると思います。(拍手)   〔国務大臣中村梅吉君登壇〕
  26. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 小林君の御質問にお答えいたします。  順法精神の高揚の点につきましては、ただいま総理大臣からお話がありましたように、政府といたしましては今後とも一そうの努力をいたしたいと思います。なお、法務当局といたしましては、先ほど誤判についての御指摘等もありましたが、誤判事件等をなくし、できるだけ公正な裁判と適切な検察権の行使によりまして国民の順法精神高揚に資するように、一そう努力をいたしたいと思います。  第二に、最高裁判所の事件の積滞について御指摘がございましたが、御指摘の通り、現在でもなお五千件近くの事件が積沸いたしております。そこで、今般の改革に当りましては、一般事件の上告審の審判と、憲法判例統一の審判とを区分するような方法によりまして、事件の迅速な処理をはかりたい、こういうことが一つの考え方になっております。  なお、小法廷の性格について御質問がございましたが、小法廷は最高裁判所の憲法にいわゆる下級裁判所でございまして、ただ、なぜしからば最高裁判所の傘下にこれを置くのかということであったようでありますが、憲法問題及び判例統一を目的とする最高裁判所と、一般上告事件を取り扱います小法廷の裁判所とは、きわめて密接不可分の関係にありますので、別個の事務局長あるいは所長、事務組織を置きますよりは、最高裁判所の傘下に、この下級裁判所としての小法廷を置くことが、いろいろな意味において適切であろう、かような見地に立ちまして、この法案が立案されましたような次第でございます。  なお、そのほかいろいろ広範な点にわたっての御質疑がございましたが、詳細につきましては、委員会等を通じまして、できるだけ明らかにいたすように努力いたしたいと思います。(拍手)
  27. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 佐竹晴記君。   〔佐竹晴記君登壇〕
  28. 佐竹晴記

    ○佐竹晴記君 ただいま上程されました裁判所法等の一部を改正する法律家につき、日本社会党を代表いたしまして質疑いたします。  まず、総理大臣に対して、その所見をただしたい。  第一点は、憲法八十一条の最高裁判所と、裁判所法にいうところの最高裁判所とは、同一なものであるのか、それとも別異なものであるのか。今回の改正は、裁判所法に規定する最高裁判所小法廷は憲法八十一条の最高裁判所ではないという見地に立っているようてありますが、その点を伺いたいのであります。  憲法八十一条には「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」と規定いたしております。しかして、現行裁判所法第九条においては、「最高裁判所は、大法廷又は小法廷で審理及び裁判をする。」とございまして、いわゆる小法廷も最高裁判所の一部属に属しておりますことは、きわめて明確でございます。われわれは、今日まで、いわゆる最高裁判所の小法廷もまた最高裁判所であると考えて参りました。一般国民もさように信じてきたに相違ございません。しかるに、今回の改正案によれば、「第二編 最高裁判所」とあるのを「第二編 最高裁判所及び最高裁判所小法廷」と改正しようとし、また、前述第九条、「最高裁判所は、最高裁判所長官及び最高裁判所判事全員の合議体(以下「大法廷」という。)で審理及び裁判をする。「小法廷は、最高裁判所の定める員数の裁判官の合議体で審理及び裁判をする。」云々と改正しようといたしております。かつ、第十条において、「小法廷の裁判に対しては、その裁判に憲法の解釈の誤があることその他憲法の違反があることを理由とするときに限り、大法廷に異議の申立をすることができる。」と改正しようといたしております。これは、明らかに、いわゆる小法廷は憲法八十一条によるところの最高裁判所ではないことを明示し、かつ、その小法廷は最高裁判所より一段低い下級裁判所であることを認めたものといわなければなりません。果してそうだといたしまするならば、一般国民といたしましては奇異の感に打たれざるを得ないのであります。  最高裁判所の中に、ほんとうの最高裁判所と、一段低い下級裁判所が併置されて、最高裁判所の判事がその下級裁判所の審理、裁判をも担当するというのは、専門的法律家でさえも頭をかしげざるを得ないのであります。(拍手)何がゆえにかような改正をしようとなさいまするか。今のままの小法廷は現在の憲法八十一条に違反するということを、今法務大臣はお認めになったようであります。そうでなければ、これを改正する必要はない。八十一条に抵触するからこう改正するよりほかにはないとおっしゃるならば、このことをここに明確にされたい。国民の納得のいくように、その点を明確にされなければなりません。このことは、憲法解釈に関します基本的問題であると同時に、司法に対する国民の信頼にかかる問題でございます。ので、どうか、法務大臣と食い違いのないような御答弁を、総理大臣からはっきりと承わりたいのでございます。(拍手)  第二点として伺いたいのは、裁判所法三十九条には、「最高裁判所長官は、内閣の指名に基いて、天皇がこれを任命する。最高裁判所判事は、内閣でこれを任命する。」とあります。今回の改正においては、この項の改正には触れずに、四項ないし六項を新設いたしまして、裁判官任命諮問審議会を設けることにいたしております。ところが、このような任命方式に関する問題よりも、任命権自体の問題がより重大であると考えます。すなわち、国家機構を立法、司法、行政の三本建とし、互いに侵さず侵されず、牽制し合いながら、おのおのその職分に応じて独立の権能を発揮するところに、いわゆる三権分立の妙味がございます。しかるに、司法の最高殿堂であるところの最高裁判所の長官が内閣総理大臣の指名に基いて任命され、最高裁判所の判事が内閣総理大臣の意思のままに決定されるということは、とりもなおさず、行政が司法を左右しておるということに相なるのでございます。(拍手)これでは、司法権の独立などということは、およそ空論であります。真に三権の分立を期し、司法権の独立を尊重しようとするならば、司法機関の人事には行政府の容喙を許さないことにいたしまして、初めてその目的を達成することができるのであります。(拍手)これに対し、総理大臣はいかにお考えになっておるかを伺いたい。  次いで、法務大臣に御質問いたします。  まず第一点。今回の改正は、最高裁判所の事務の渋滞を防ぎ、裁判の円滑と促進をはかりたいというのが重要な理由の一つであることがうかがわれます。何がゆえにかような改正をしなければならない事態に陥ったのかを、私は承わらなければなりません。新憲法施行とともに、旧憲法当時の大審院に比しまして、最高裁判所の判事は約三分の一に減少いたしました。そのかわり、上告の理由を憲法違反と判例違反だけに制限し、これでやっていけるといって出発をしたのであります。ところが、昭和二十六年末には、驚くなかれ、未済件数が七千を突破いたしましたことは、ただいまの法務大臣の提案理由説明の通りであります。現に五千件残っておるという話であります。最高裁判所の機能を疑われるではありませんか。がぜん、これが問題となって、最高裁判所の機構改革がやかましく論ぜられるようになって、さすがの法務省としても、じっとしておられずに、今回の提案をいたして参りましたことは、これは申すまでもないのでもります。(拍手)しからば、何ゆえにこのような結果になったのでありましょう。上告の理由を制限したにかかわらず、事件が激増し、機構改革を余儀なくせられるようになったというのは一体どこに原因するのか、それを詳細液わりたいのであります。  第二点は、この事件渋滞は今回の的正によって完全に克服することができると確信されるかどうか。ただいま総理大臣にお尋ね申し上げました通り、今回の改正案による小法廷は、最高裁判所ではなく、下級裁判所と認め、これに対する異議申し立てを許すことになっておりまするから、小法廷事件の判決に対しては、従来の例と同様に、さらに憲法違反なりとして、憲法八十一条の命ずる最高裁判所に続々異議の申し立てが行われることでありましょう。そうなれば、八名に減員された新機構でありまする最高裁判所では一そう事務の渋滞を来たすおそれがないでありましょうか。(拍手)その懸念なしと言われるならば、はっきり、その確信を、根拠ある理由を示して、御説明いただきたいのであります。  第三点は、今回の改正は、憲法違反と判例違反を過大に評価し、法令違反や刑の量定に関する切実な問題を過小に評価いたしまして、この間に差別を設けることを明文化いたしております。これは、はなはだ穏当を欠くではないかと思う。元来、三審制度なり上告制度というのは、法令解釈の誤まりなきを期して、その解釈の統一をはかろうとするのであって、違憲審査権が重く、法令解釈が軽いといったようなことはあり得ないと思うのでございます。違憲問題も、要するに、個々の法律が憲法に違反するかどうかという法令解釈の問題であります。保護せられる基本的人権は、その法令の内容に帰着いたします。従って、法の秩序を維持し、国民の権益を擁護する上においては、一般の法令違反といえども、違憲問題と差別を設くべき何らの根拠はないと思うのであります。もし、違憲問題を重く見、これに特別の取扱いをしなければならぬというのでありましたならば、それは、アメリカのごとく、あるいは西ドイツのごとく、憲法裁判所を認めて、法律自体の有効無効を決定するところの機関が設けられるにあらずんば、何の意義をもなさないと思うのであります。(拍手)しこうして、いわゆる判例違反というものも、せんずるところ、法令違反であります。従って、判例違反をことさらに尊重し、法令違反を捨てて顧みない、そして、一切これを救済しないというがごときは、首尾一貫を欠くものといわざるを得ないと思うのであります。(拍手)  翻って、新憲法下における違憲裁判を一つごらんいただきたい。最高裁判所発足以来、違憲裁判のあったのは実質的に二件だけであります。しかも、真に違憲なりと認められたのは、いわゆる政令三百二十五号事件のみであります。この政令は、実は事実上死んだ法令であったのであります。実際において国民生活と日常直接関係を持っておりまする生きた法令について、最高裁判所が違憲なりとして認めたのは、いまだかつてないのであります。(拍手)この国民生活と縁の薄い点を特に尊重して、最高裁判所存在の根本的基礎であるというがごときは、あまりにも皮相なる観察なりといわざるを得ないのであります。(拍手)さすがに、政府当局におかれましても、ここに思いをいたされたのでありましょう。今回の改正案を提案されて参りました。刑事については、ただいま法務大臣説明の通り、法律違反についても判決に影響を及ぼすことが明らかなるもので、破棄しなければ著しく正義に反することを理由とするときは上告ができるとしたのであります。けだし当然のことでありますが、しかし、このような厳重な条件を付することについては考えものであります。また、刑の量定に関しても、当然、上告理由中に加うべきではないかと私は思うのであります。また、今回の改正においても、違憲審査権が中枢をなしまして、個々の法令の解釈による国民の基本的人権擁護については程度の低いものとし、小法廷なる下級裁判所を最終審として審理せしむるという差等を設け、これを明文化いたしておりまするのは、果して上告制度の根本精神に合致するものと言えるでありましょうか。はっきりと御答弁をいただきたいのであります。(拍手)  第四点は、第十条の、最高裁判所小法廷に対する異議の性質を承わりたい。いわゆる異議というのは、特別上告の性質を有するものであると私は思います。すなわち、民事訴訟法四百九条の二の上告と同一性質のものであると思うのでありますが、いかがでありましょう。よって、結局、今回の改正は四審制度を肯定したことになります。まことに煩瑣きわまるところの改正なりといわなければなりません。(拍手)  第五点は、調査官制度を温存なさる考えでございましょうか。最高裁判所の誤判事件の事例等から、調査官裁判に対しまして相当非難が起っております。ある判事のごときは、調査官にまかせっ切りで、自分で判決を書かないことをもって自慢といたしておりました。私は、日本弁護士連合会の常任理事といたしまして、しばしば会同の席においてこのことを聞いた。その特定の判事の名前も存じておりまするが、ここでは遠慮いたしましょう。この際、裁判官みずからの責任をもってその衝に当るようにし、調査官制度を廃止すべきであると思うが、いかがでございましょう。  また、裁判官会議の制度は、その運用の実情にかんがみ、改革の要があるではないでありましょうか。ことに、責任の所在が明確になっておりませんために、幾多の弊害を惹起いたしておりますることは、御承知の通りであります。再検討をする必要はないでございましょうか。  以上、質問いたしまする(拍手)   〔国務大臣岸信介君登壇〕
  29. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 佐竹君の御質問に対してお答えを申し上げます。  第一は、この裁判所法にいう最高裁判所と憲法にいう最高裁判所と同一意義であるか。私は同一意義であると考えます。そうしますと、最高裁判所小法廷は、憲法にいう最高裁判所とどうなんだということにつきましては、私はこれは憲法にいう最高裁判所ではないと考えます。  次に、最高裁判所長官並びに同裁判官の任命のことにつきまして、いわゆる三権分立との関係において御意見がございました。しかし、最高裁判所長官を内閣の指名に基いて天皇がこれを任命するというのは、御承知の通り、憲法第六条第二項に基いたものであります。長官以外の最高裁判所の裁判官は内閣がこれを任命するというのは、憲法第七十九条第一項の規定に基いてのものであります。憲法が三権分立をどういうふうに扱っていくかというのは、各国憲法によりまして、いろいろなやり方があると思いますが、日本の現行憲法ではそういう立場をとっておるのでありまして、今度の最高裁判所法においての規定は、憲法の規定に基いておるものであります。  なお、その他の点につきましては法務大臣よりお答えすることにいたします。(拍手)     ―――――――――――――  なお、この際、昨日の本会議におきまして、租税特別措置法の改正案について社会党の平岡忠次郎君から御質問がありまして、私がその席におりませんでお答えをしなかったのでありますが、この機会を借りてお答えをいたします。  今回の租税特別措置法の改正は、御趣旨のように、租税の公平を期すという原則に基いておるものであります。最近の経済情勢等にかんがみまして現在の措置法の改正を必要とすると思うのでありまして、決して大会社や大企業に対しての特別な扱い方を永久化させようとする趣旨ではないのであります。従いまして、この改正案に対しましては、御審議の上、これが認められるように御協力を願いたいと思います。(拍手)     ―――――――――――――   〔国務大臣中村梅吉君登壇〕
  30. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) お答えいたします。  私に対する御質問の第一点は、現在の最高裁判所は、結局、憲法第八十一条の違反をわれわれが是認したものではないか、こういう趣旨の御質問のように伺ったのですが、決してさような次第でないことは、法律案の内容をごらんいただきましても明瞭であると思うのであります。憲法第八十一条は、最高裁判所は違憲事案の訴訟について終審裁判所であるということをきめておるのでありまして、従来も、あるいは今回の改正案におきましても、違憲関係の事案はことごとく最高裁判所で審理、判決をいたすのでございますから、憲法第八十一条の違反というようなことを――われわれは、今までの最高裁判所が憲法八十一条に違反しているのだ、こういうことを決して是認したものではありません。ただ、先ほども申し上げましたように、非常に事件が積滞をいたしまして、現在の十五人の最高裁判所裁判官をもってしてはとうてい負担が重過ぎまして、事件の処理が困難であるという状況から、政府側にいたしましても、また国会におきましても、数年前からそれぞれ深刻な研究を続けて参りました結果、今回の成案を得ましたような次第でございますから、御了承いただきたいと思います。  第二には、なぜ改革が必要になったのであるか、こういうことでありましたが、これは、事件の積滞ということがどうしても改革をせねばならない事態に相なったのでありますが、その事件積滞の根源をだんだんと考えて参りますと、なるほど、現在の上告制度のもとにおきましては、非常に上告の間口を狭めております。刑事事件につきましては、憲法に違反する問題あるいは判例に抵触する場合、この二つしか認めていないのであります。しかしながら、この最高裁判所以外には上告の場所がありませんから、従って上告をして事件の引き延ばしをしようというような意図の人までが、全部この違憲に籍口いたしまして、続々と上告するようなことに相なりました結果、当初、新憲法、日本国憲法が制定され、この現在の最高裁判所制度が創設されましたころにはおそらく予想しなかった事態が非常に起って参りまして、事件積滞の状態を招きましたので、これがあらゆる方面の問題となりまして、今日まで論議を尽し、今回の改正の試みとなったような次第でございますから、この点、お含みをいただきたいと思います。  それから、第三の異議の申し立て制度を認めた結果、やはり九人の合議制になるところの最高裁判所に同じように事件が積滞してしまうのではないか、こういう点の御質疑がございました。この点につきましては、もう一点、異議申し立ての性質について、四審になるのじゃないか、こういう御質問とあわせてお答えをいたしたいと思うのでありますが、これは、結局、従来のように最高裁判所に事件が積滞するという結果にはならないと、私どもは確信をいたしておるのであります。なぜかと申しますと、小法廷にすべての上告事件は一応かかりまして、その小法廷で一応の審査をいたします。審査の結果、この事件は憲法違反に関係のある事件である、あるいは判例の統一に関係のある事件であるという判断が出ますと、これは、小法廷はみずから判断をしませんで、そのままこれをいわゆる大法廷である九人の合議制の最高裁判所に送りつけるのであります。従って、いわゆる今までの上告の範囲になっておりました違憲関係あるいは判例統一の関係につきましては、最高裁判所にすべて事件がしぼられていくのであります。ただ、そこで、小法廷におきまして違憲や判例違反のないものとして判断をいたした事件につきましても、なお、当事者が違憲である、判例違反であると主張する場合におきましては、さらに最高裁判所に異議の申し立てを開く道を講じたのでありますが、この場合には、ちょうど現在の民事訴訟法第四百九条の特別上告制度と同じように、確定を妨げないのであります。小法廷の判決がありますと、事件はそれで一応確定いたしまして、あと異議が係属し、異議を受けた大法廷、あるいは異議を受け付けました小法廷が、裁判の確定を停止した方がよろしいと裁判所自体が判断した場合には、停止し得る道を開いただけであります。従いまして、今までのように、裁判の確定を引き延ばそうという戦略から起きて参りまする上告事件というものは、最高裁判所には入らないことになって参ります。従いまして、こういう関係等を考えてみますると、御質問のような結果は生じないと私は確信をいたします。異議の性質につきましては、先ほど申しましたように、簡易裁判所を出発点といたしまして高等裁判所で上告を扱いまする民事事件について、民事訴訟法四百九条の特別上告の制度と同じようなことでありまして、完全ないわゆる四審制度でないことは、この実態から見ましても明らかであると思うのであります。  次に、上告の理由が非常に厳重ではないかという御指摘がありました。従来は非常に厳重でありましたが、今回の改正におきましては、今まで民事事件で認められておった上告理由が、刑事の上告事件においては、いわゆる法令の違反が判決の結果に影響を及ぼす場合というのが削られておりましたので、これを民事、刑事同列に間口を広げまして、そして、できるだけ事件の関係者が訴訟において争う道を十分に開こう、こういう考え方で立案をされておるのでありまするから、従来の上告制度から見ますると、決して上告の道が厳重になったのではありませんで、むしろ間口を広げまして、民事、刑事双方ともやや同列にいたしまして、均衡を保てるように改正をいたしたのでございます。  なお、最後に、調査官制度について御指摘がございました。この調査官制度に対する非難は私どももよく耳にいたしておるのでございますが、これは、結局するのに、現在なお五千件の事件が最高裁判所に積滞しておるという状態で、いかに天下第一級の人材をもっていたしましても、十五人の人で調査から判決の原稿から全部書くということは、これは事実において負担が重過ぎて不可能であります。さような結果、次第に調査官が判決原稿を書くということにもなって参ったかと思いますが、私どもは、今回の改正によりまして、さようなことを完全に除去するように努めたいと思うのであります。すなわち、最高裁判所の調査官を廃止するかという意味の御質問もあったようでありますが、調査官を廃止するということは、私はできないと思う。やはり、最高裁判所が慎重な裁判をいたしまする上におきましては、立法例でありますとか、全国あるいは諸外国の判例でありますとか、あるいは学説でありますとか、こういうような資料で十分に基礎を作った土でなければ判決すべきでありませんので、これらの基礎資料を集めるための調査官制度というものは、どうしても今後もなお存続せしめる必要があると思います。しかしながら、調査官の制度というものに十分改革の意を用いるべきであるという点については同感でありますから、私どもとしては、今後一そうその点については意を用いて参りたい、かように存ずる次第でございます。
  31. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) これにて質疑は終了いたしました。      ――――◇―――――  日程第一 滞納処分と強制執行等   との手続の調整に関する法律案   (内閣提出)
  32. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 日程第一、滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長三田村武夫君。   〔三田村武夫君登壇〕
  33. 三田村武夫

    ○三田村武夫君 ただいま議題となりました滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律案につき、法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  この法案は、民事訴訟法に基く強制執行と国税徴収法の滞納処分の手続に関する特例法でありまして、動産、不動産、船舶等に対し、滞納処分と強制執行等との手続を重複して行うことができることとするとともに、両者が競合した場合の手続の調整をはかろうとするものであります。  本案の要点は四点に要約できますが、その第一は、民事訴訟法により強制執行ができる有体動産、不動産または登記される船舶に対しては、先に滞納処分が行われていても、さらに強制執行または仮差し押えの執行をすることができることとし、この場合の手続の調整措置を定めたのであります。  第二は、すでに強制執行が行われていても、さらに滞納処分を行うことができることとし、滞納処分が先行する場合の措置と対応して手続の調整をしたことであります。  第三は、滞納処分と強制執行とが競合した場合に、手続の促進をはかるため、裁判所は、先に行われた滞納処分が進行しない場合において相当と認めるときは、差し押え債権者等の申請により強制執行を続行する旨の裁判をすることといたしました。また、これに対応して、裁判所は、先に行われた強制執行の手続が中止または停止された場合に、相当と認めるときは、収税官吏等の請求によって滞納処分の続行を承認する旨の裁判をすることといたしました。  第四は、滞納処分と競売法による不動産または船舶の競売との競合及びこれらの手続の促進についても、以上に準じてこれを取り扱うことといたしたのであります。  本法案は、去る二月二十一日本委員会に付託せられ、翌二十二日政府より提案理由の説明を聴取いたしましたが、本法案は、国及び地方自治体の財政や中小企業の経営にも影響を持つ重要法案でありますから、本委員会において終始熱心なる審議を重ねて参ったのであります。  質疑の主要な点を申し上げますと、この法律の施行によって、二重の差し押えを受けることとなり、中小企業の金融面に重圧を加える傾向が生じ、政府の唱えておる中小企業振興助成政策と矛盾する結果とならないかとの質疑であります。これに対し、債務者の犠牲において債権者を保護しようとするものではなく、租税、公課等の優先徴収だけを一歩後退せしめ、これによって債権者本来の権利を保護せんとするものであるとの政府答弁がありました。  次に、本法案は、有体動産、不動産、船舶のみを対象としているが、債権その他の一般財産権、または自動車、航空機、建設機械等、抵当権設定を認めているものにも及ぼすことを考えなかった理由いかんとの質問に対し、今回は主として手続調整の必要度の多いものに限定したのであって、特に自動車等は民事訴訟法の強制執行の対象になっていないからであるとの答弁がありました。  また、最も活発に質疑の繰り返された点は、滞納処分と強制執行とが競合した場合に、手続の促進をはかる意味において、裁判所は、相当と認めるときは、続行の決定をしなければならないこととなっておるが、この相当判断の具体的基準いかんでありました。すなわち、裁判所の続行決定に対しては不服申し立てができないこととなっており、しかも、強制執行続行の決定をするには、あらかじめ収税官吏の意見を聞かなければならないとの規定があるにかかわらず、滞納者である債務者側の意見を徴する規定を設けないのは公平を欠くのではないかとの質問に対し、政府より、債務の支払いをことさら長期間免れるために少額の滞納処分を受け、そのまま停止している場合のごときは、強制執行続行決定をする相当の場合である、なお、続行相当と認めることについては、裁判所は民事訴訟法によって債務者を審尋することを予想しておるが、本法案によって委任した最高裁判所規則を制定する際、当事者審尋に関する規定を設けるよう、最高裁判所とも協議したい旨の答弁がありました。  その他、国税、地方税及び諸種の公課による滞納処分相互間の調整問題、国税滞納処分等の例による約八十件に近い法律の整理問題、執行機関の整備統合問題等につき重要な質疑が行われましたが、これらは速記録によって御承知願いたいと存じます。  かくて三月五日質疑を終了し、三月七日、討論省略の上、採決に入りましたところ、本法案は全会一致をもって政府原案の通り可決いたした次第でございます。  右、御報告申し上げます。(拍手)
  34. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ――――◇―――――
  36. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後六時五十三分散会      ――――◇―――――  出席国務大臣         内閣総理大臣         外 務 大 臣 岸  信介君         法 務 大 臣 中村 梅吉君         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君         厚 生 大 臣 神田  博君         農 林 大 臣 井出一太郎君         通商産業大臣  水田三喜男君         運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君         労 働 大 臣 松浦周太郎君         建 設 大 臣 南條 徳男君         国 務 大 臣 石井光次郎君         国 務 大 臣 宇田 耕一君        国 務 大 臣 大久保留次郎君         国 務 大 臣 小滝  彬君         国 務 大 臣 田中伊三次君  出席政府委員         内閣官房長官  石田 博英君         法制局長官   林  修三君         法制局次長   高辻 正巳君         法務大臣官房調         査課長     位野木益雄君      ――――◇―――――