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1957-05-28 第26回国会 衆議院 商工委員会木材利用の合理化に関する小委員会 3号 公式Web版

  1. 昭和三十二年五月二十八日(火曜日)     午後三時三十四分開議  出席小委員    小委員長 鹿野 彦吉君       阿左美廣治君    笹本 一雄君       永井勝次郎君    中崎  敏君       松平 忠久君  小委員外の出席者         農 林 技 官         (林野庁業務部         長)      藤本 和平君         通商産業事務官         (企業局産業施         設課長)    川原 英之君         通商産業事務官         (軽工業局長) 齋藤 正年君         通商産業事務官         (軽工業局窯業         建材課長)   川田 博通君         通商産業事務官         (軽工業局アル         コール管理官) 本多 紀元君         通商産業事務官         (繊維局紙業課         長)      橋本 徳男君         参  考  人         (紙パルプ連合         会理事長)   松永  幹君         参  考  人         (紙パルプ技術         協会会長)   大川 鐵雄君         参  考  人         (王子製紙工業         株式会社副社         長)      大塚 良敦君         参  考  人         (十条製紙株式         会社取締役)  高柳 武夫君         参  考  人         (本州製紙株式         会社常務取締         役)      堀  義雄君         参  考  人         (国策パルプ工         業株式会社取締         役)      小瀧 武夫君         参  考  人         (山陽パルプ株         式会社常務取締         役)      井上 親之君         参  考  人         (東北パルプ株         式会社取締役) 高橋 晋吾君         参  考  人         (日本パルプ工         業株式会社社         長)      太田 武雄君         参  考  人         (興国人絹パル         プ株式会社常務         取締役)    守永 義輔君         参  考  人         (北越製紙株式         会社常務取締         役)      高橋 芳三君         参  考  人         (木材資源利用         合理化推進本部         専務理事)   田中 申一君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 五月二十五日  小委員本名武君同月二十三日委員辞任につき、  その補欠として鈴木周次郎君が委員長の指名で  小委員に選任された。 同日  小委員菅太郎君及び川野芳滿君が同日辞任につ  き、その補欠として篠田弘作君及び島村一郎君  が委員長の指名で小委員に選任された。 同月二十八日  小委員島村一郎君同日辞任につき、その補欠と  して阿左美廣治君が委員長の指名で小委員に選  任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  パルプ工業(パルプ廃液の処理、原木の確保対  策等)に関する問題について参考人より意見聴  収     ―――――――――――――
  2. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 これより会議を開きます。本日はパルプ工業、特にパルプ廃液の処理及び原木の確保対策などに関しまして御出席の参考人の方々より御意見を承わることにいたしたいと存じます。  本日御出席の参考人の方は、紙パルプ連合会理事長松永幹君、紙パルプ技術協会会長大川鐵雄君、王子製紙工業株式会社副社長大塚良敦君、十条製紙株式会社取締役高柳武夫君、本州製紙株式会社常務取締役堀義雄君、国策パルプ工業株式会社取締役小瀧武夫君、山陽パルプ株式会社常務取締役井上親之君、東北パルプ株式会社取締役高橋晋吾君、日本パルプ工業株式会社社長太田武雄君、興国人絹パルプ株式会社常務取締役守永義輔君、北越製紙株式会社常務取締役高橋芳三君、木材資源利用合理化推進本部専務理事田中申一君、以上十二名の方々でございます。  この際参考人の各位に一言あいさつを申し上げたいと思います。参考人の方々には御多用中のところ本委員会に御出席下さいまして、まことにありがたく厚く御礼を申し上げます。わが国の重要産業はそれぞれ独自の険路を持っておりますけれども、紙パルプ産業なども、原木の確保につき深刻な悩みを持っておると思います。原木はパルプ生産原価の約四、五割を占めるものでありますから、原木を少しでも安く入手することは本産業の最大の問題であろうと存じます。しかしながらわが国の森林資源は、戦争の結果過半数を失い、現在では供給力がとうてい需要に追いつけないのが実情でありまして、このような傾向は今後ますます深刻になることは必然であり、今こそ抜本的な対策を考えない限り、ゆゆしい事態の発生が予想せられるのであります。現在各性は増大する需要を想定いたしまして設備の増強を行なっているようでございますが、原木確保の裏づけのない設備の拡充はきわめて危険であります。本委員会といたしましても等閑視することのできない問題でございます。またパルプ廃液の処理は、現在王子製紙、山陽パルプ、興国人絹などにおいてこれを化学原料とした種々の御計画もお持ちのようでございますが、一面パルプ廃液が他産業に深刻な影響を与えていることなどを考えるとき、これを有効に利用することについて関係者が一段の努力を払っていただきたいと存ずるものであります。本委員会はこれらの問題につきまして何らかの施策を見出すべく調査検討を進めておるのでございますが、本日御出席の参考人各位におかれましてもこの趣旨をおくみ取り下さいまして、忌憚のない御意見の御発表をお願いいたしたいのでございます。御意見は時間の関係などもございますので、質疑応答の形式で伺うことにいたしたいと存じます。つきましては参考人の方々の中で松永幹君から一応全体を代表して、以上のような問題について御意見を御発表願いたいと思います。
  3. 松永幹

    ○松永参考人 紙パルプ連合会の理事長の松永でございます。御指名によりまして全般的に申し上げたいと存じますが、つきましては当連合会におきまして、去る三月の理事会におきまして原木並びに設備につきまして考えをまとめておりますので、その考え方を一応御披露したいと存じます。  紙及び化学繊維の需要は鉱工業生産及び国民所得に比例して増加し、輸出もまた今後引き続き増加する見込みでございます。従って今後紙及び化学繊維の主原料であるパルプの需要は逐年増加していきまして、今後四、五年の間に少くとも現在の五割程度の増加が予想せられているのでございます。現在業界で進行中の新設拡張計画は品種別、時期別には多少の問題はありますが、量的に見ますと前記需要増加の範囲内でございまして、需要面からのみ見るときは全く必要なものと言い得られるのでございます。わが国の重要産業はそれぞれ産業独自の険路を持っておりますが、本産業にもまた独自の問題点があるのでございます。すなわち原価の約四割ないし五割を占める木材が他産業における原料と違った特殊事情にあるのであります。戦争の結果としまして、森林面積は約五割、蓄積におきまして二割五分を失いました現在の日本内地森林の生産力では、とうてい木材の需要に応じきれず、さらに木材需要が増大することを考えますときは、今後とも木材は需要供給が不均衡となり、必然的に資源は漸減して、条件も悪化していき、価格が需給関係から漸騰する因子を包蔵しております。一方製品のパルプ、紙及び化学繊維は当然国際商品であり、国際競争力の面から見て、外国品との間に品質、価格等の大幅な格差を持つことを許されない事情にあります。このために単に需要のみを目標として設備増強が行われ、その間木材の裏づけがない場合には、たとい個々の企業の優劣の差はあっても、企業全般として危殆に陥るおそれがあります。従って木材需給と木材価格との動向を考慮しつつ、需要に応ずる設備増加が行われなければならないのであって、木材と設備とを総合的に見た場合には、当面必要な対策を実行するとともに、抜本的長期施策をとることが必要でございます。  紙パルプ産業の消費する木材は、日本の全木材消費量中一五%程度にすぎないのでありますから、本産業独自の原料木材対策を持つことは困難であります。かつまた木材全般の事項に左右せられるところが多いのであります。今日本材が日本経済の大きな問題となり、その隘路の一つとなりつつある状況にかんがみまして、確固たる対策樹立が望まれております。木材の短期、長期にわたる見通しを確立して政策を樹立するためには、政府みずから先達して、官民合同の審議会を設置しまして、産業、金融、言論、学識の各方面にわたる意見も十分入れて、総合的に解決されることが必要でありまして、かかる基礎の上に初めて業界の設備、原料総合の諸対策も確立されるものと考えられ、その設置は業界対策樹立の上にぜひとも必要と考えておる次第でございます。  当面の対策といたしましては、第一に木材需給の緩和をはかることが必要と考えるのでございます。パルプ産業の数倍に上る需要でございます建築、製函、製材等が、わが国鉱工業生産、国民所得の増大に伴いまして、本産業と同様に増加する見通しでございますから、木材の需給が今後とも引き続き逼迫することは確実でありまして、これを使用する業者は木材問題の認識を一そう深めて需給緩和の措置を強力に推進しなければならないと思います。第一に国民経済の立場から見て、粗放な木材消費はこれを圧縮し、国民経済的に有利な他物資をもって代替し、木材消費を付加価値の高い用途に充てるべきであります。このことは今後の日本経済の使命である雇用の増大、産業構造の高度化より見ても当然の措置でありまして、木材利用合理化が昭和三十年一月閣議決定として定められ、木材利用合理化推進本部が設置せられたのでございますが、建築におきまして木材から不燃化物資へ、包装におきまして木材から段ボールあるいは鉄等へ代替し、故紙の回収あるいは木材防腐等の事項についても従来以上の実効が上るよう具体策を確立する必要があり、この面から今後五カ年間に年間一千万石以上の木材節約は緊急必要と考えます。第二にわが国森林資源の半ばを占める広葉樹並びに年間一千万石以上に上るといわれる廃材は大部分付加価値の低い燃料その他に使われておるのでございますが、燃料を石炭、ガス、プロパン等に切りかえまして、これによって生ずる余裕分をパルプ化することは雇用の増大、産業構造の高度化より当然のことでありまして、さらに強力に推進する必要があります。この面からしても今後五カ年間に年間広葉樹は一千万石、廃材五百万石が付加価値の高い用途に向けられることが必要と考えます。第三に戦前とても日本経済に外材の輸入は不可欠でありましたが、現下の木材需給並びに資源依存状況を考えますとき・木材は米あるいは塩に劣らぬ重要必需物資であります。資源的に不足な緊急やむを得ない重要輸入物資というべきであります。従って木材輸入については、広く国外の実情に即応するとともに、相手国の可能性を考慮し、国策的に長期かつ計画的に政府みずから実効の上る施策によりすみやかに木材供給の増加をはかっていただきたいと考えます。またこれの輸入について難点となる海上運賃についても、逓減方策を実施し、輸入を極力容易ならしめる必要があると考えます。しこうして少くとも今後五カ年間に年間五千万石以上の輸入増加が必要と考えます。第四に過熟林の開発は経済的に無から有を生ぜしめることとなり、かつまた失業対策、雇用の増大、山村の振興にも寄与するところが大きく、従来からも努力せられてはいるのでございますが、木材需給の状況にかんがみ、政府におきましては国有林の伐採量の引き上げ、過熟林の急速な開発――これは林道の増設、開発公団の活躍、国土縦貫道路の設置等によるのでございますが、こういうことによりまして思い切った国内供給量の増加方策を講ずべきであると考えます。少くとも今後五カ年間に年間一千万石以上の供給増加が必要と考えるのでございます。  以上のような四方策が強力かつ確実に実施せられて、これによって生ずる木材使用可能数量の増加分と、業界の製品需要増加に応ずる設備能力の増加分が年次別にも適合する限り問題はないのでございます。しかるにこれが均衡を失するときには、原木の高騰を招来し、これが製品価格に大幅な高騰を促し、ひいては他産業ないし国民生活を脅かすことになれば、紙及びパルプの輸入対策が問題とならざるを得ないのであります。しかしながら紙、化繊並びにパルプの需要はわが国文化経済の発展とともに一定比率をもって確実に上昇していくのでございますから、この増大していく需要を擁して、いつまでも設備増加を抑制することは許されないのであります。また外貨、雇用の面から見ましても、輸入に依存して充足をはかることも許されないのであります。従って紙パルプ業界におきましては企業の合理化、新技術の導入に大いに努め、これらの成果によるコスト低下をもってある程度の木材値上りを吸収し得るよう企業努力を払うとともに、木材需給の緩和と歩調の合った設備の増強を厳守して、企業の安定した発展をはかりたいと考えているのでございます。とりあえず少くとも需給の緊迫する針葉樹を避けて広葉樹を使用する設備に集中する原料樹種別の設備の調整、あるいは木材需給の緩和が実現するまでの間設備拡張を検討する等時期別の調整、あるいは消費木材の増加が一地方に集中して極端な買い取り競争が起らないように地域別の調整等がはかられるべきであると考えております。  第三に長期の対策としましては、第一に造林の必要でございますが、森林資源は治山、治水、電源確保の国家的見地からも重要でありまして、従って以上の当面の対策のほかに、造林による長期にわたる資源の培養増大をはかることによって将来の木材需給を安泰ならしめる必要があるのであります。しかるにわが国の森林は生長量の低い天然林が全森林の八割を占める現状でありまして、今後とも木材の供給が、産業並びに国民需要を充足することができないことは明白でありますから、長期根本策として、早期育成樹種選定及び施肥等による成長量の飛躍的増大を取り入れた近代人工造林の増加をはかることは焦眉の急と考えます。木材の大消費産業も、このような資源の特殊事情の存在する限り、林野庁の人工造林倍加運動に協力して造林の責任を分担すべきだと考えております。  本産業も、昭和二十五年以来三十年計画として四十三万町歩の造林計画を立てまして、実行中でございまするが、これは現在の消費量の二、三割にすぎないのでございますから、さらにこれを増加して、林野庁の倍加運動の重要部分となるべきであって、少くとも今後の設備増加分に対しては造林面積の増加を裏づけとしなければならないと考えております。しかしながら造林事業は利回りが非常に低く、大量の資本が長期間固定して回転しない等、一般産業と比べてはるかに不利な条件にありまして、造林に資本を投下することは、経済原則に従えば困難な実情にございます。従って国家としてこれら障害を除去して、当産業の造林意欲を育成強化すべきであって、少くとも補助金、低利資金、税法上損金扱いの拡大、造林地問題の解決、育種等研究所の設置、優良苗木の大規模育成配布、生産性の高い森林によって需給可能となるまで国有林払い下げの増加、あるいは産業政策と合致した林業の推進、すなわち産業備林、工業原料材木生産主義、小径木主義等を採用することによりまして、有効な方策をとる必要があると考えておる次第でございます。  以上が原木設備総合対策としまして、業界としましての考えを一応まとめた点でございます。  次にパルプ廃液の利用状況でございまするが、現在利用されておりますのは、第一にアルコールでございます。  アルコールにつきましては国策パルプ、山陽パルプ、王子醗酵におきまして三十一年度で八千二百二十二キロリットルを生産しておるのでございます。これの増産につきまして問題となります点は、将来石油系のアルコールが相当廉価でできますので、これとの競争につきまして確固たる方針の確立がなければ、増産に着手しがたい実情にあるということが第一点でございます。第二点としましては、将来アルコールの需要増加は、人造ゴムあるいは自動車燃料というものが相当大幅な需要増加となるわけでございまするが、これらにつきましても、たとえば欧州大陸でやっておられますように、一定量のアルコールの混入についての法的規制というようなことでも起らない限り、アルコールの需要増加は、大きなものは望めないということになりますると、増産に着手しがたいというような実情にあるわけでございます。廃液から回収することは容易でございまするが、さような問題点について解決がないと、着手しにくい実情にあるということでございます。  第二に酵母でありまするが、酵母は三十年度に工業化補助金八百万円を受けまして、月十トンのテスト・プラントを作っておるわけでございまするが、これは東洋紡の一社でございまするが、さらに全廃液の酵母化工事も実施中でございまして、本年末ごろ完成予定でございまするが、全廃液利用の新規産業でございまするから、税制面その他での助成措置が望ましいとされておるわけでございます。  三番目には、廃液から松やにを回収するトール油等も現在行われているわけでございまするが、これも経済的に成り立たせるためには、いろいろの問題があるわけでございます。その次にピッチとして直接使っているものもあるわけでございます。以上が大体パルプ廃液の現在の利用状況と問題点でございます。以上簡単でございますが……。
  4. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 つきましては、座談の形式でお互い質疑応答をしていただきたいが、とりあえず需給関係、パルプ原木の確保対策という問題を中心にして、一応話をいたしまして、その次に廃液の利用問題ということに移りたいと思いますから、委員諸君もとりあえず原木の確保ということを中心に質疑をお願いします。松平君。
  5. 松平忠久

    ○松平小委員 今御説明になった理事長にお伺いしたいのですが、表にちょっとありますけれども、広葉樹と針葉樹との割合というものは現在どのくらいであって、それから将来――将来といってもたとえば五年後くらいにはどのくらいになっておるだろうか、十年後にはどのくらいになっておるかということをちょっと伺いたいのですが……。
  6. 松永幹

    ○松永参考人 数字を持ってこなかったのですが、現在三千万石で四百万石ですから一三%程度、来年度が三千五百万石で七百万石ですから、二〇%程度、現在アメリカが二五%程度でございまするけれども、日本は資源の状況その他にかんがみまして、三十八年ごろには三〇%近く使いたいという計画を持っております。
  7. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 永井君。
  8. 永井勝次郎

    ○永井小委員 ちょっとお伺いいたしますが、ここ二、三年の間にパルプ関係の生産施設が非常に急激に増強された。しかし木材資源の関係は、お話にもありました通り、植伐の均衡をずっと前から破られて、漸次原価に食い込んでおるというような状態で、相当節伐しなければならないというような状況でありますが、この資源の関係とにらみ合せて工場施設の増強ということがどういうところをねらって増強せられたのか、あるいはただいまお話のありました、従来あまり利用しなかった広葉樹を相当まぜるというお考えは、技術的にも施設的にも、生産計画の中にそういうものを織り込んでそういうふうにされたのか。あるいはソ連材その他アラスカの方の資源、向うのチップ、そういうようなものを原料の中に見込んでなにされたのか、こういう生産態勢の増強と資源の関係とのバランスはどういう根拠でお考えの上でそういうふうな増強になったのか、その点の基礎を一つ伺いたいと思います。
  9. 松永幹

    ○松永参考人 二十八年当時のパルプ材の使用量は二千二百万石で、広葉樹が千百万石でございます。それが三十一年に三千万石になりますので、四年間に八百万石ふえておるわけでございますが、そのうち広葉樹が千四百七万石になっておりまして三百万石ふえておる。木材の消費量は八百万石増加して広葉樹が三百万石でございますから、過去四年間におきましては半分以下が広葉樹でございましたが、これが三十年ごろからの設備投資はほとんど広葉樹利用のBKPあるいはSCPに集中しておりますので、今後二、三年間におきまして広葉樹の比率がぐんぐん上っていきまして、全消費木材のうち広葉樹による増加が非常に高くなるように考えております。ただここで申し上げたいのは、現在のところまだ広葉樹に置きかえ得ないもの、つまり新聞紙等の主原料になっておりますGPあるいは重包装のクラフトの原料になっておりますクラフト等は、現在も強度の関係あるいはその他の関係におきまして、世界におきましても針葉樹を使用せざるを得ない。最近におきまして、GPのごときは、アメリカで一昨年からCGP、広葉樹を使用するGPの文献が出まして、試験的に採用する社が四、五社出たわけでございますが、日本におきましては直ちにそれを来年度実行してみようというふうに、世界の最先端を進んで広葉樹を利用しようという意気込みはございますが、技術的その他に問題がございます。また、針葉樹に依存しなければならないもの、あるいはそれの需要というものが相当あるわけでございまして、増加する木材を全部広葉樹に振りかえるということは、技術的その他に困難なものはございます。しかし技術的に可能な限り、広葉樹に切りかえるというように進んでおりまして、需要増加のうち広葉樹が大部分を占めるようになり、しかも技術的に可能なものは全部広葉樹で置きかえるというふうな設備投資になっております。
  10. 永井勝次郎

    ○永井小委員 そういたしますと、われわれはやはり計数の上のそろばんだけ置いて、植伐均衡がとれれば企業はどうなってもいいのだというような消極的な国土保全が大事だというような考え方だけで問題を考えるわけではなくて、やはりそういう国土保全なり資源の保続というようなことも重要に考えるが、一面やはり資源の活用ということを相当積極的に推進しなければならぬ。その相矛盾した条件をどういうふうに調整しながらその二つの目的を達成するようにしていったらいいか、この問題を相当重要に考えているのです。その場合、今急にパルプの関係の施設がふえた。資源の関係は、あるいは風倒木その他の関係もあって、かえって北海道の関係からいうならば相当切る方を縮めなければならぬというような状況になっている。そういうふうに、現状が相当矛盾が大きくなってきておる。このままでいきますれば、木材資源の関係、国土の保全の上からいうならば相当心配な状況がある、こう考えるのです。そういうような点で、全般の日本の林政というものをどういう考え方で、またその矛盾を調整する期間をどのくらいと見て、どういうふうにしていけばこれは十分なんだというような点を、一つ専門的な立場から、大塚さん、小瀧さん、それから東北パルプの関係から一つ……。そういうような点でわれわれ非常に心配な問題を控えておりますし、その間を技術的にどういうふうにやれば心配ないのだというような、確信が持てるような、専門的な立場からの御所見が伺えれば仕合せだと思います。
  11. 大塚良敦

    ○大塚参考人 これはそれぞれの会社によりまして製品も違えば現在設備の状況も違うのですから、全般的には通じないかもしれませんが、私の会社としては、今工場が苫小牧と名古屋の近くの春日井と二つございますが、春日井の工場では大部分闊葉樹を使っているのです。それでこれは東北さんあたりも以前から人絹パルプをこしらえるのに主としてブナ、闊葉樹を使っておられましたが、その次くらいにはわれわれの方が春日井で始めた。その後各社でいろいろやられておりますが、これはあらかじめ針葉樹――内地の方で言えば赤松ですが、これが漸次不足していく、最近では急激に不足していって値段も高くなっております。そういうような見通しから、闊葉樹とそれから廃材――製材くず、そういうようなものを主体に考えて原料として使っているのです。現在でもはっきり七割は闊葉樹を使っております。まだ廃材はそれほど大したことはありません。それから北海道の苫小牧の工場は新聞用紙をおもにこしらえているわけです、今松永氏から説明がありましたように、やはり新聞用紙の強度、これは印刷する際のスピードの関係もありますし、相当の強度がなければならないというような関係から、大幅に広葉樹を使い得るという立場には、現在ではなっておりません。しかし現在では一割五分程度の広葉樹は使っておるのでございます。さらにまた増産というようなことも考えて、明年度あたりからは約三割近くの増産になるでしょうが、これは新聞社方面の要望が切なるものがございますから、それで増設をやりつつあるわけです。やはりその場合は、増産の分に対しては広葉樹を使う。従って具体的に、数字的に言えば、従来針葉樹を二百万石一年に使っておったのですが、それが今度は増産すれば約二百五十万石くらいになる、そうすると五十万石は広葉樹を使っていく、こういうような計画になっておりますので、全体的に蓄積が少くなってくる、貧困になってくるという場合は別ですが、さもなければこれは非常なじゃまにはならない、迷惑はかけない、私の方はこういう考え方でやっております。
  12. 小瀧武夫

    ○小瀧参考人 永井先生の御質問の趣旨は、これら増大する需要に対して林業の生産力をどう考えるかということになろうかと思いますので、そういう意味でお答えしたいと思います。パルプ業界におきまして需要の増大する情勢にあるということは、松永理事長から申し上げた通りであり、またそれに対するいろいろな対策を現在業界で考えておりますことについても申し上げられた通りであります。それで要するに私個人として申すならば、問題はこの需要に対してどう追っつけるかということは、先ほどお話が出ました木材利用の合理化、これが一つの方法であります。これは林総協の努力あるいはまた国会の皆様方のお力によりまして、相当の実績も上り軌道に乗っていくという感じがするわけであります。問題は林業生産力増強の問題、これを一体どう考えたらいいかということになろうかと思うのでございます。これにつきましては、私として考えるならば、一口に言うならば、やはり林業政策の近代化ということになろうかと思うのでありますが、そうしますと、その内容ということになるわけであります。それに対しては先ほど造林の問題等が出ておりましたが、要するに日十の林業経営の最も大きな分野をなす私有林の経営の問題、これが日本農業の零細経営に相対応する民有林の零細経営というところに、また問題の所在があるのではないかと思うのでありますそれからまた一般的に申し上げるならば、この木材需給の問題として私はこういうふうに考えておるわけであります。大体そういう歴史的な発展の段階を三つに分けて考えております。第一の段階としては、木材需給というものが問題にならぬとぎであります。これはすでに古い時代のことと考えてよろしいかと存じます。その次が天然林により木材需要がまかなわれる時代、これは最近までの日本の状態はそういう状態であったのではないかと考えます。これはもちろん明治以前の問題でありますれば国内の供給力と需要がバランスしたときであり、明治以後の問題は、国内とさらに木材貿易とが加わって、要するに天然林でまかない切れた時代ではないかと思うのであります。この時代における林業政策の基本というものはやはり治山治水であり、木材需給を数量的に維持していくということが政策の基本であり、目標であったかと思うのであります。最近におきますところは、この天然林の供給による木材需給のバランスというものがくずれまして、今後はいかにしてこの天然の力を飛躍的に増大するかというような情勢に入ってきたのが現在の状態でないかと思います。これは稻葉秀三さんの測定によりますと、昭和二十五、六年以降はこういう時代に入ったと見ていい、こういうふうに申されております。私もそういうふうに考えております。特に最近におきまして、林木育種の問題、あるいは林地肥培の問題、そういういろいろな問題が起りましたのも、そういうところに私は問題の深い根源があるのではないかというふうに考えておるわけであります。従ってこれからの林業政策というものも、こういうような天然林を対象とした木材需給をそれでまかなっていくという政策からさらに進めて、林業技術の向上による需給のバランス、こういった方向に必然的に商わざるを得ないのではないかと思うのであります。そうしますと、そこに日本林業における零細経営の問題、こういう問題が起ってくると思うのであります。そういう点は私自身もどういう方法をさらにやるべきか、あるいは森林組合の組織化、あるいは強化、こういうような問題、あるいはまた技術的な林木育種の、要するに造林技術の面上という裏打ちによる今の新しい、何と申しますか、組合経営の問題、あるいは分収林の問題等が起るべきであると私は考えておるわけであります。なおそういうことに対して、現在は林野庁の政策としては、次第にそういう方向に向われたのははなはだ喜ぶべきことだと思っております。しかしながらまだ私どもから見ますならば、不十分な感じがいたしております。大体そんなことであります。
  13. 永井勝次郎

    ○永井小委員 次は高橋さんから伺うのですが、実は私伺いたかったのは、現実に施設が増強された、林力はそんなに増強されない、しかも樹種の転換とか、あるいは近代化とかいっても、そう急速にはできない、何年くらいたったらこの施設に追っつくだけの近代化が可能なのか、その間はそれではソ連材なり、アラスカ材なり、あるいは国内における針葉樹から広葉樹への転換だとか、そういうものでどういうふうにそう林力を減退させないでつないでいって、そうしてこちらの方の林力の近代化が追っついていけるまでどういうふうに具体的にやっていくかというお考えを伺いたかったのであります。
  14. 高橋晋吾

    ○高橋(晋)参考人 私は先ほど松永理事長が話された例の原木設備総合対策委員会の一人でありまして、これに画策した関係上、私もこの基本方針を強く押すものであります。それでまず設備はどんどんふえていく、原木が足りなくなるというので、永井先生のおっしゃるように一体どこで解決するかといえば、さっきの理事長の言われた第一の策は、やはり木材の利用合理化にある。利用合理化と、ばく然と申し上げても、皆さんの頭にぴんと来ないかもしれませんが、たとえば今薪炭を、林野庁の発表でも年間七千万石使っているようです。そうするとこの七千万石を石油とか都市ガスとか、練炭、豆炭というようなもので置きかえていけば、一体どれだけ置きかえられるかといえば、これは相当の量が置きかえられると思います。現に前の戦争直後にわが国の自動車、トラックがみなガスまきで走っていた。このガスまきを林総協の方で非常に努力して石油をそっちの方へ回してもらってやったところが、年に千万石、二千万石と減ったという事実があるのです。ですからこの薪炭だけを合理化するにしてもすでに何千万石というものが回り得るということは確かだと思う。そのほか廃材等の利用、あるいは木材でなくてもいいようなものはなるべく倹約してもらうというようにして合理化していけば、さっき言われた年間一千万石の合理化というようなことは不可能でないと思う。それから第二はやはり広葉樹の利用でございます。これはパルプ会社は、先ほど申しましたように、今みなクラフトであるとかあるいはセミ・ケミカルとか、こういうものにかわって盛んに広葉樹を使おうとしております。しかしこれは卑近な例で、私どもの会社の石巻の工場はサルファイト法の工場でありますが、ここでもかつては針葉樹ばかり使っておりましたが、ことしは四割の広葉樹を使ってそれで上質紙をすけるようになっております。現在では日本の製紙会社のかまは大体サルファイト法がまだ多いのです。ところがこのサルファイト法のかまにおいても、新聞紙は仕方がないとしてその他のものならば、四割程度の広葉樹は使用可能であるということが私の工場でも実験済みですから言えるのじゃないかと思うのです。そうしますと広葉樹を使うということはこれは全く可能であるし、ここに森林資源のパルプ原料の逃げ場が一つあるのだということがわかります。  それから次は輸入材であります。これはやっぱり何としても輸入しなければならない。現に日本の製紙工場では戦前かつては樺太から大量に針葉樹を入れていたのですが、これはやはりわれわれとしても針葉樹のあるところから針葉樹を持ってくることはいたし方ないのであります。それでその森林資源はやはりソ連、アメリカ、アラスカ、こういうところであります。これは一体何が高いのかといいますと、FOB価格はさほど高くないと思うのです。ことしのソ連材の価格なんかもどうしてもFOB価格が日本の二倍、三倍もするわけじゃないのでございます。ただその間の船賃が高い。だからこの輸送の船賃ということを詰めてもっともっと合理的に安くやろうということにすれば、今石当り千五百円、千六百円の赤松に比べて決して高いものでなくて入ってくるということは言えると思うのです。それでこの輸入材もまた可能であるのじゃないか、ここにもやっぱりもう一つ逃げ道があるわけです。  最後に、これは国としてぜひ縦貫道路なり何なり道路網を設置していただいて、眠っている奥地の森林を開発していただきたい。腐って決して成長していないような森林を大いに開発して、そこで新しい造林をやって成長量をふやしてもらいたい。私は短期的に五年、十年の間にはやはりこういう対策よりほか逃げ道はないと思います。そうしてこれをやると同時に、木材を使用する工業は長期の対策として先ほど理事長から言われた造林を本気になってやってもらいたい。造林は全く短伐期の成長量の旺盛な造林、いわゆる優良樹種を育成してやっていく近代的な造林でなければならないと思うのです。しかしこれは不可能ではないと思う。たとえば簡単な例でありますがポプラの例をとってみますと、ポプラは年に二メートルぐらい伸びますが、一年に一本伸びたやつから穂をとれば大体十本とれる。そうすると年に十倍ずつ伸びるのですから十の二乗、三乗となりまして、その苗木を育成するのはそう年月がかからぬでも日本には優良なポプラの苗木ができる。そのできた苗木を今度は農家に配付しまして、そして農家に育成させる。これは先生方が旅行なさればどこの農家でも必ず余地があるものです。家の裏でもあるし、あるいは山のすそのようなところは大体ほったらかして草ぼうぼうにしておるわけです。それから日本には農業のために堆肥を作ると称して、あるいは家畜飼料と称してずいぶん広い草刈場を持っておりますが、これは草の集約利用あるいは品種の改良、あるいは馬がだんだん減って牛になってきますれば当然あんなにたくさん要らないはずです。かりに今一県をとりましてそこに百万人の人口がいる県があるとします。これが五人が一家族としますと二十万戸の戸数のものがあるわけです。それでこの二十万戸の半分を対象にしまして十万戸といたしまして、これにかりに十本のポプラを毎年植えていってもらうということにしますと、十万戸でありますから百万本のポプラが植わるわけであります。そうするとこれがかりに十年たちますと、大体私の推察ではイタリアの文献なんかから見ますと一本が大体一石にはなるのじゃないか、こういう推定を持っております。そうしていけば年々一県で百万石の広葉樹ができるわけで、非常に海抜の高いところに追い上げられた森林をもう一ぺん平地に引き戻して非常に肥えた土地に短期の非常に早い広葉樹の育成ができる、こういうのが私の考えたつまらない一つの例でございますが、こういうふうに考えていけばまだまだやりようがあるのではないかと思うので、こういうふうなことを長期的に考えてその資源の培養に努める、そして短期的な解決と相待って今後紙パルプの原料対策を進めていかなければならない。これにはいろいろネックがありますから、国がそれに対して指導し援助し補助するような政策をとっていただきたい、こう思うわけであります。
  15. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 なおただいまのお話に対して私の聞きたいことは、アカシア、ユーカリなどが日本では広葉樹一般の中に考えてよろしいかどうかということなんです。
  16. 高橋晋吾

    ○高橋(晋)参考人 よろしいわけでございます。
  17. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 大体皆さんの採算は、工場着現在どのくらいの値段でございますか。
  18. 高橋晋吾

    ○高橋(晋)参考人 現在工場着、広葉樹が大体千四、五百円、針葉樹は高うございまして二千円近くになっております。
  19. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 そうすると現在ブナなんか林野庁は非常に安く払い下げているが、やはり千四、五百円につきますか。
  20. 高橋晋吾

    ○高橋(晋)参考人 間違いました。それは工場に入れての話なんです。それには人件費や何かみんなかかりますから、たとえば八百円でかりに駅で払い下げになる。それから広葉樹についてはどうしても重うございますし、積みトンが悪うございます。どうしても一トンに対して三石二斗くらいしか積めません。それで大体山奥で駅が遠うございますから、これは私らの平均にしましても、今度上りましたから二百八十円くらいから三百円くらいの鉄道運賃がかかります。そうして持っていきますと、千五十円から千百円のものになります。それを今度は馬に積みまして、その積んだやつを今度くずしましてそれを工場に入れてやる、その費用が大体百円くらいかかります。今度それをやるについて、これをただでやるわけにいきませんから、それを買って運んで、そうしてその入れるまでに各会社とも原料係に山林の人間を相当持っております。その費用を払ってやりますと、大体千四、五百円になる、広葉樹でそのくらいにはなると思います。
  21. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 そうすると、工場着値段を千円くらいにあげようとすれば、道路が非常によくて自動車だけの運賃ですとどのくらいかかりますか、三里から四、五里見当で……。
  22. 高橋晋吾

    ○高橋(晋)参考人 たとえば今のトラックの借り賃が一日六千円としますと、一体そのトラックに何石積んで何回運ぶかということできまってくるわけです。ですから、場所によりましては非常に安くいくところもあれば、遠いところは高くなるわけです。
  23. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 私がそれをお聞きするのは、お宅さんの方のパルプ工業もそうであるし、将来多数需要が予想せられます木材化学、木糖化学なんかにつきましても、工場着の値段に対して山元でどのくらいの値段でよろしいかということが、結局栽培林業の成立を決定するわけですから、それでお聞きしているわけでございますが、駅で八百円というのが工場において千五、六百円になりますかね。
  24. 高橋晋吾

    ○高橋(晋)参考人 千四、五百円ですどうしてもそうなりますね。これは不思議に思われますけれども、今単に運賃だけを計算しておりますが、これは積み込む費用もございますし、それから駅によりましては、すぐプラットホームに載せられないような場所もございます。
  25. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 駅の問題は別として、あなたの計算では、工場の門の中に入れてからどれくらいかかりますか。
  26. 高橋晋吾

    ○高橋(晋)参考人 大体三百円くらいですね。
  27. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 それはむだですね。何か機械化の方法はございませんか。
  28. 高橋晋吾

    ○高橋(晋)参考人 むだですといっても、それは会社によって違うのですよ。これは山からの人間の給料や会社の給料を私のところは全部工場でかけているのです。
  29. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 だから工場でかけないで、そういうことをするとわかりませんから、門の中に入れてから原木として機械にかけるまでの間はどれくらいかかるかというのです。
  30. 高橋晋吾

    ○高橋(晋)参考人 工場の中だけですね、それは百円くらいでいきます。
  31. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 それは今後機械化をして合理的に処理いたしましても、そうかかりますか。
  32. 高橋晋吾

    ○高橋(晋)参考人 まあかかりますでしょうね。これはパルプ産業の宿命があるようでございます。新しい木をいきなり使えないということもあるのです。新しい木を使いますと、ピッチという樹脂の障害に苦しめられるのです。紙パルプの方でもやはりそれはございますが、ことに人絹パルプとなりますと、化学的な性質の問題になりますから、非常に厳選しまして、相当長期間置いておかなければならないというようなこともあります。
  33. 中崎敏

    ○中崎小委員 いろいろ今議論が進んだのですが、ちょっと林野庁の業務部長にお尋ねいたします。  木材の近代的な栽培あるいは樹種の転換等について、政府の方では今度は国有林ではどういうような態勢になっておるか、あるいは民間については政府の見通しはどうか、それに対する険路がどこかにあるのか。
  34. 藤本和平

    ○藤本説明員 木材についての近代的な栽培法という御質問でございますが、いわゆる農作物については品種改良が非常に進んで参っております。ところで林木育種については、わが国ではきわめて最近まで研究の範囲を出ておらなかったのでありますが、国有林におきましては最近これを実行の段階に取り上げまして、林木育種所を設置いたしまして、ここで優良品種の栽培を実行して参ることになったのでございます。現在三十二年度といたしましては、茨城県の水戸に林木育種所を一カ所設けまして、これで関東、東北地方に対しまして優良な苗木、品種を養成しまして、これを山に持って参るという計画をいたしております。さらに北海道の札幌の近くに一カ所設けまして、北海道地区の将来の優良品種を供給するという計画で進んでおります。これはようやく本年度からそういう段階に入りました。今後におきましては私どもといたしましては、造林地の拡大に伴いまして非常に成長の早い優良品種を提供して参りたいと考えておるのであります。
  35. 中崎敏

    ○中崎小委員 もう一つお尋ねしたいのですが、先ほど松平さんから国有林の払下げという要望を含めた考え方があったようですが、林野庁ではこれに対してどういうようにお考えになっておるのですか。
  36. 藤本和平

    ○藤本説明員 御承知だと思いまするけれども、国有林は全国の森林面積の中で約三割を占めておるのでございます。木材の利用の面では、現在のところは大体二割から二割五分くらいのものを国有林から提供しておるのでございます。毎年伐採しております伐採量――これは立木の材積でございまするが、大体国有林は経営の方針といたしまして、材木の成長量に見合うものを伐採するという方式をとっておるのでございまするが、これによりますると四千五百万石というものが正常な伐採量でございます。しかしながらいろいろな事業をやっておりますし、また一面から申しますると需給の調整という使命も帯びておりまするので、毎年の伐採量はそれを上回ったり下回ったりしておるのでございますが、   〔小委員長退席、松平小委員長代理着席〕 最近におきましては、北海道におきまする風倒木被害の影響もございまして、これを急速に除去しなければならぬというので、五千数百万、六千万石近くを伐採しておるのでございます。ところで国有林といたしましては三十一億ばかりの蓄積を持っております。その蓄積の過半数以上、五七、八%というものが広葉樹でございまして、さらに内容を検討いたして参りますると国有林の九〇%というものが天然林でございます。従いましていわゆる老齢過熟と申しまするか、非常に年をとって、ほとんど成長のとまってしまったという林太が大半を占めておるような状況でございまして、かかるものを内容として持っておりまするから、従って成長量も非常に低い、成長量が低いから伐採量も低いという関係になっておるのでございます。ところで先ほど来御説明がありましたように、心後のわが国の木材需給を見て参りますると、非常に木材が逼迫して参る、国有林が従来のような経営方針をとっておることに対しまする批判も出て参りまするので、目下私どもといたしましては百万町歩ばかりの人工造林地を今後三十年間に三百万町歩の人工造林地に振りかえて参りまして、成長量の非常に多い人工造林を作り上げて参りたい。このことによりまして三十年後におきましては国有林から生産されます成長量は現在の約倍になる。従いまして四千五百万石を現在成長量といたしておりまするが、大体その倍に近いものが将来の国有林からの木材の供給量と相なると考えておるのであります。
  37. 中崎敏

    ○中崎小委員 次にどなたでもいいんですけれども、お聞きしたいパルプ工場のある所では、相当量の地方的需要の固まる関係もあって、相当高い値段で木材を買われる。従ってその地方にある他の産業が相当打撃を受けるというふうな事例が至るところにあるように思うのですが、これは一つの理由は、パルプ事業がある意味において採算がとれるのだということによるのでしょうし、ある意味においてはその需要が固まって必要なために、ある程度値段は高くても買わなければならぬということにもなるのでしょうが、こうした値段のつり上げといいますか、相当高く買われるということは、地方一般の人たちにもいろいろな影響――いい割響もあるかもしれませんが、ものの生産に携わっておる人たちの側からいえば、必ずしも好ましい傾向ではないと思うのです。これについてパルプ業界においては、買い上げについての協定なんかをやっておられるのか、あるいは地域的に多少そういうふうな協定でもされておるのか、あるいは、今後それについては一体どういうふうにお考えになるのか、お尋ねしたいのです。
  38. 松平忠久

    ○松平小委員長代理 日本パルプの太田さんにお願いします。
  39. 太田武雄

    ○太田参考人 私日本パルプの太田でございます。ちょっと私から申し上げたいと思いますが、総合的には今各社からいろいろとお話しになりましたが、今原木の買い集めについて価格をせり上げるような傾向にある、これについて何か対策はないかという御質問のように伺いました。  これについては根本を言いますと、話を繰り返すようでございますが、われわれがいろいろと事業計画をしたりいたしますのも、パルプの需給関係と原木というものを始終にらみ合せて計画しておるわけでございます。日本は何といっても森林国であります。やりよう一つではそう悲観したものではない、やりようによっては原木の対策も十分できるのじゃないかと私は思います。と申しますのは、蓄積からいいますと、日本では大体六十億石前後といわれておりますが、スエーデンに比べますと、スエーデンは大体五十億石と申します。日本は大体過半が闊葉樹である。スエーデンあたりは北に偏しておりますから、針葉樹が八〇%くらいあるのです。材が細いというようなことから、用材向けの中ではパルプ材が非常に多いのでありまして、いろいろ計画的な代採とか、ああいう狭い国でも造植林をやっておりますけれども、パルプの生産国であり、日本の二倍以上のパルプをそれでも生産しておるわけであります。考えられますのは、われわれが今後いろいろと原木対策を考えますのに、やはり原木樹種とパルプの製法だろうと思うのです。樹種につきましては、闊葉樹と申しましても、東北さんではおもにブナ材を使っております。これは従来のやり方で十分利用もされておりますけれども、今後考えなければならぬのは闊葉樹の雑木であります。種類を選ばないで何でも雑木を使うことを考えなければならない。この面におきましては、クラフト法、それから従来のが重亜硫酸石灰法、これはサルファイト法と言っておりましたが、これをやりますと、現在使っております原木の松材と申しますが、赤松、黒松でありますが、北洋材はおもに北の方で使われておりますが、これはごくわずかであります。赤松、黒松を従来のサルファイト法、重亜硫酸石灰法でやっておりますのは日本だけでありまして、原木がないからやむを得ずやっておるようなわけであります。欧州へいきましてもどこへいきましても松材、パインと申しますのはみなクラフト法でやっております。と申しますのは非常にかすの出が多い、一割以上のかすが出る。クラフト法でやりますと、松でやりましても非常にかすの量が少くて、三%か四%、一割ぐらいもうかるわけであります。松でもそうでありますし、それからまた特にパルプと申しますと、製紙業と人絹パルプ、化繊用のパルプ、大体この二つに分けられますが、化繊用のパルプにしましても松を使って人絹パルプを作っておるのは日本だけでありまして、技術的にも相当苦心をしておるわけであります。これは世界でも珍しい方でありましてドイツあたりにいきますと、例の東北さんで使っておられますブナ、これをサルファイト法でやる。それからクラフト法で松をやり、また北洋材は従来の方法でやるというふうにして種類を分けて使い分けておる。従来日本ですとほとんどサルファイト法一本でやっておるようなわけで、そこにむだもあったわけです。このごろ非常にそれを研究しましてクラフト法というのが、特にさらしたクラフト法、BKP法と申しておりますが、これが非常にこのごろでは研究され出した。と申しますのは、それでやりますと松でやりましても歩どまりが非常にいい。広葉樹でも雑木でも何でも使えるということが、新しく技術的に改善されてきたということであります。これは自分の社のことに片寄ってもいけませんが、現在の上質紙と申しますか、上等印刷紙、これには先ほどもお話がありましたが、クラフト法でやりました雑木の原料が少いところは五割、多いところでは七割ぐらい使っておりまして、当社でも少し上質紙もやってはおりますが、そんなふうでありまして、製紙用には雑木で十分だということが言われるわけであります。それから人絹パルプにしましても雑木を使ってクラフト法でいろいろ研究しますと、化繊用の分野にも相当伸びていかれる、こういう自信を深めておるわけであります。こういう面がだんだんに出てくる、浮び上ってくるというようなわけでありまして、原木・対策としましてもやはり樹種を選択するということと技術的な研究ということが大事ではないかと思っております。    〔松平小委員長代理退席、小委員長   着席〕
  40. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 それでは次に廃液の問題に移りたいと思います。  先ほど松永さんから大体のお話は承わりましたけれども、廃液の処理問題について、これからアルコールをとればあるいはまたその他のものをとれば非常に有用なのをとらないで捨てておるという問題について、私たち非常に不思議に思うのですが、なぜ捨てておるのかということについて、各社から忌憚のない御意見を承わりたいとともに、先ほどアルコールの需要が非常に心配なので、この設備をするというようなことについて、不安があるのだ、今後ガソリンの使用についての規制でも起るならば別だがというようなお話もありましたが、そうしたことをいろいろ取りまぜてけっこうでございますから、率直に各社の御事情をお聞かせ願いたいと思います。
  41. 大塚良敦

    ○大塚参考人 王子製紙は苫小牧に王子醗酵会社という傍系会社をこしらえましてアルコールを製造しております。廃液をむだに流しておることはございません。全部利用しております。それから名古屋の工場は、いわゆるサルファイト法でなくクラフト法でやっているので、廃液が北海道の方とは種類は違いますけれども、一応それを利用して、その製品はそれぞれの業者に売っている、こういう状態です。だからそのまま流しているということにはちょっと当てはまらないわけです。
  42. 永井勝次郎

    ○永井小委員 リグニンはあまり回収していないのじゃないですか。
  43. 井上親之

    ○井上参考人 私のところは一割五分くらい回収をして、それをバインダインに使っています。
  44. 小瀧武夫

    ○小瀧参考人 私のところは、廃液の中のリグニンを利用いたしまして、アスパーズというセメント分散剤を研究しております。ただいま日産一トンの中間工場を作る予定にしております。
  45. 中崎敏

    ○中崎小委員 試験の段階ですね。
  46. 小瀧武夫

    ○小瀧参考人 試験でもあり、またそのまま……。
  47. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 現在大部分は流しておるわけでしょう。
  48. 小瀧武夫

    ○小瀧参考人 リグニンは流しております。廃液の一部は、先ほどお話がありましたようにアルコールへ使っております。
  49. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 ほとんど大部分は流しておるわけでしょう。
  50. 小瀧武夫

    ○小瀧参考人 そうでもないですね。大部分というわけではありません。
  51. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 きょうは流しておるところの御意見をおもに承わりたいわけです。
  52. 高橋晋吾

    ○高橋(晋)参考人 東北パルプは大部分流しておりますが、今、フルフラールというのをとる中間試験を補助金を受けて試験中でございます。むろんこれが採算に乗り、うまくいけばやるわけであります。ほかの方がアルコールをやっているのに、なぜお前のところはやらないのだという議論があるだろうと思うのですだ、実はこれは私は専門でありませんから、ただほかの専門家から聞いたのですが、新しくアルコールの設備をすれば、これは非常に高くなりまして採算が合わないのです。王子さんやなんかは、前から設備を持っていらっしゃるからそれでできるので、新しい新設会社はなかなかそれができないという実情であります。これに対して適当な補助政策をとっていただきたいというのがわれわれの希望であります。
  53. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 それはアルコールの買い上げ値段がどのくらいだと採算に合うのですか。
  54. 高橋晋吾

    ○高橋(晋)参考人 これもまた聞いた話ですけれども、イモからとったアルコールとパルプ廃液のアルコールとは、買い上げ値段が違うのであります。ですから、もしイモからとったアルコールと同じ値段にしていただけば合うのだという話は聞いております。
  55. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 その程度では困るのです。イモからとったのと同じようにすればということではなく、イモからとったのは十万円近くだし、そうでないのは六万円か七万円だから、その間どの程度くらいまでだったならば採算が合うかというような御研究はないのですか。――そうするとないわけですね。
  56. 松永幹

    ○松永参考人 ちょっと御説明いたしますと、本年の五月二十日に改訂になった買い上げ価格では、山陽パルプが六万九千百円、これは一番新しい設備でございます。王子醗酵が七万六千五百円であります。王子醗酵が高いのは、非常に廃液が少いので高くなっておるということでございます。国策パルプが六万四千六百円ということでございます。ただ石油系でできるアルコールが四万円以下くらいでできるのじゃなかろうか。その場合に、将来石油系アルコールのほかに、パルプ・アルコールの最新設備でいきますと、国策の六万四千円に比べて山陽が六万九千円というのは、新しい設備だから高いのだろうと思っておりますが、そういうような値段でやっていくかどうかという政府専売の方針の問題であろうと思うのであります。お話のように、イモのアルコールが十万円ないし十一、二万円でありますが、それをやめてしまってパルプのをふやすのだということに方針がきまれば、相当まだふえるのじゃなかろうかというふうに思うのでありますが、石油系アルコールと自由競争するということになると――自由競争というとおかしいのですが、工業原料として国際競争力の点から、アルコールが四万円くらいでないと成り立たないということで、飲料その他のはそんなにふえないということになりますと、六万九千円とか七万円では無理だろうということになる。しかしイモをやめてこれに切りかえるのだということにはっきりきまれば、もちろん経済的に成り立っていくだろうと思います。そこらの方針を明確に立ててもらえば投資ができるという関係になると思います。
  57. 中崎敏

    ○中崎小委員 山陽パルプさんにお伺いしたいのですが、江津工場では廃液はどういうふうに処分されておりますか。
  58. 井上親之

    ○井上参考人 江津工場では廃液は利用しておりません。なぜならば、最初は非常に小そうございましたから、その中の有機物は全部とるようにしております。流す方には害はないと思います。
  59. 中崎敏

    ○中崎小委員 今廃液の利用面の問題が議論されているのですが、今度はやはり廃液を流す被害の問題が全国的にはまた大きな問題になっておるのです。今の山陽パルプさんのお話では、回収の設備をしておるので被害がないと言われるのですが、これは被害があるというように漁業家なり何なりはやはり強く信じておるのです。それでこれは十分に設備されたところ、設備されぬところ、設備の程度はいろいろあると思うのですが、実際において大部分設備等の研究もされておると思うのですけれども、これは自信があってほんとうに被害がないというふうにお考えになっているのか。この間、農林水産委員会でやはりパルプ廃液の被害の問題について論議されたが、ことに御承知の通り、島根県の益田では九名も送検されるというあれだけ大きな不祥事件が起って、今でも対立のままで、企業家の方もにっちもさっちもいかぬし、漁民の側もなかなか強硬な態度を持っておってどうにも進まないという実情なのですが、そのパルプ廃液を流すことによって起る被害の除去についての技術的な設備の程度はどんなものでしょうか。
  60. 井上親之

    ○井上参考人 流す場所によっても違うのじゃないか、たとえば海に流す場合、川に流す場合というように、場所によっても違いますし、処理するパルプの製法によっても違いましょう、一がいには言えないかと思います。私どもの岩国工場は、元の宇品の内国水産試験場ですか、あそこの新田博士が試験されたときも、岸壁からせいぜい五百メートルくらいの範囲が害があるのじゃなかろうか。これは範囲の問題ですが、普通の海の水の中に海の水が入るなら害はないが、海の中に何が入ろうが害があるという意味合いならば、その程度は色が変ってあるいは害があるということになるかもしれません。それ以上はそう害がないかと思います。それがたとえば潮の満ち引きによってどのくらい引くかとか、あるいは日本海みたいに満干の差がなければ影響が少いとか、状況によって違うと思いますが、その割合にないのじゃないかと思います。
  61. 中崎敏

    ○中崎小委員 現実に言えば、沿岸の零細な漁民が漁業で食っておる者が多いのですが、それらの魚が非常にとれなくなった、あるいは海草類がそうとれなくなったというのが一番当面の問題だと思うのです。
  62. 井上親之

    ○井上参考人 実際どうなんですか。これは反駁するような話でまことに恐縮ですが、瀬戸内海なんか、私らがおりましたときの調査によりますと、とれている漁獲高は多いのですが、漁民の数が非常にふえて、一戸当りのとれ高が非常に少いということはあります。船の数がふえた、これもあります。そういう場合には必ずとれない方から、たとえばパルプ産業がよければパルプ産業が害だという話になりやすいという場合があるのではないかと思いますが、それが害であるかどうかということはもっとお調べにならないと一がいにはわからないのではないかと思います。
  63. 中崎敏

    ○中崎小委員 その問題はその程度にしておきます。
  64. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 アルコール管理官に伺いますが、今の山陽パルプさん、王子発酵さん、国策パルプさんのアルコールの買上値段がこういうふうに違うのはどういう方針になっておりますか。
  65. 本多紀元

    ○本多説明員 ただいま松永先生からお話がありましたと同じように、パルプ廃液の買上価格は、六万四千六百円と六万九千百円と七万六千五百円、この三通りになっておりまして、最初のものは国策パルプさんの分でございます。それからまん中に申し上げましたのが……。
  66. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 それはいいから、どういう理由でそうなんですか。
  67. 本多紀元

    ○本多説明員 これは現地で製造の成績を調査させていただきまして、そのほか会社から御提出になります経費の資料を審査させていただきましてその結果こういう価格をきめているわけでございます。原価主義できめているわけでございます。
  68. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 わかりました。そうすると、あとは松永さんから先ほどお聞きいたしましたけれども、なおそれぞれ違った事情もおありでしょうから、やっておられないところで御説明願いたいのですが、どのくらいの値段ならばおやりになるか、こういうことでございます。ただいま中崎小委員からお話もありましたように、片一方においては被害がある、片一方においてはこれを生産すれば国家の資源として生きる、こういうような二つの面があるにかかわらずこれをやられない、商売上やられないという理由があるわけですから、その点においてはけっこうなんです。ただ、どういうところにほんとうの理由があるかということを一応この委員会としては知りたいわけですから、その点を……。
  69. 守永義輔

    ○守永参考人 興国人絹は従来廃液を全部捨てておりました。捨てておりました理由というのは、アルコールを作ろうか何をやろうかという研究段階でありまして、何をするという決心がつかなかったのでありますが、最近廃液のリグニンから合成繊維を作るという方法を研究いたしまして、目下その試験段階であります。今パイロット・プラントを佐伯工場で作っておりまして、年末までに完成して動き出すと思います。これが成功いたしましたならば、廃液全部からリグニンをとって合成繊維を作ろう、こういう計画を持っております。ですから、従来は捨てておりましたが、今後はそういうリグニンを利用する方向になっております。
  70. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 リグニンを利用するということになれば採算が合うということですか。
  71. 守永義輔

    ○守永参考人 そうです。
  72. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 そうすると、林総協の田中さんにお聞きしたいのですが、ただいま石油系からアルコールをとった場合は四万円というお話ですが、あなたの方で木材を利用して今後木材化学や何かでアルコールの生産を見込んでおりますが、木材化学から出るアルコールは四万円くらいで生産される見込みだということを私は聞いておりましたが、それについてのお話をちょっと承わりたいと思います。
  73. 田中申一

    ○田中参考人 現在、第一段階といたしましては、鹿野先生御承知のように、例の糖化を中心にやっておるわけでございます。そのうちに今のこのフルフラールを利用するとか、それからリグニンを利用するとか、こういう総合経営になって参りますと、その場合アルコールを作っても、ほかの製品が今の市価でいきますと相当高く売れるために、総合的には採算が成り立つという結論の数字が出てくると思います。ですからそのケースがちょっと違うのじゃないかと思います。
  74. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 ケースがちょっと違うことはわかりますけれども、ただ皆さんに、どうしたら捨てないで利用するような積極的な意思になってもらえるかということが木材利用の一つの非常に大きな目的でもありましょう。
  75. 田中申一

    ○田中参考人 それでパルプ廃液から作るアルコールにつきましては、前お話があったように、私も、一つはこの需給の不安という問題と、それからもう一つは収買価格が安いという問題、これが一番大きな問題だと思います。
  76. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 収買価格が安いという問題はありますね。ただ、将来技術的にリグニンの利用やその他のことで値段が石油系のアルコールと競争して負けないような採算点になる、だから将来のことは安心をして一つその設備をされることもけっこうだ、こういうことをあなたの方で啓蒙していただくことが非常に重要な問題じゃないかと思うのです。ということは、私たちといたしましても、皆さんが心配されておるようなアルコールの需要の問題については、国としてこれを使うということについて御協力申し上げる方法もありますけれども、石油系の値段が四万円で、木材からの廃液を利用してやると将来とも七万円、八万円につくというような状態に非常に大きな不安を持っておられるから、この設備をすることをちゅうちょしておられるということが一番大きな原因のようでございますね。ですから、片方でリグニンやその他の利用方法なんかが完成されるという見通しのもとに、アルコールがやはり四万円見当で生産される、こういうようなことでありますから、その設備をしても間違いありません。またその出たアルコールについては、私たちも協力して政府と相談の上、それが安心して使われるようにしていくということが、結局捨てないで皆さんにこれを活用していただき、しかも他の面におきましては、廃液を捨てることによって他に被害を与えておることもあわせて防ぐ方法になるわけでございますから、そうしたことについての御連絡や何かも林総協のお仕事ではないかと私は考えるものでございますけれども、どうぞ一つそうした点、今御利用されておらないところにいろいろ連絡していただければけっこうだと思うのです。
  77. 中崎敏

    ○中崎小委員 それでは政府がアルコールを無限に買い上げなければならない。今は押えておって買わぬのだから……。イモを全部やめてしまってやるというならば、まだ多少の需要はあるかもしれない。
  78. 田中申一

    ○田中参考人 この問題は、ことに廃液からのアルコールの問題は、もう四、五年前から一部では相当大きな問題になっていたわけです。それがどうして進まなかったかということは、率直にいって、そういうものを捨てても企業経営としてペイしたということもあるかもしれませんけれども、もっと大きな原因は、今申し上げたところのアルコールの需要がほとんど伸びていないということです。それならガソリンに混入したらいいではないかといってみても、ただ放っておいたのではなかなか混入しない。政府だけでも、政府の使われるガソリンだけでも混入するというところへ踏み切っていただければ、少しは進むのだけれども、それもおやりにならないのです。それから価格の点も、結局原価主義ということになれば、合理化すれば合理化するほど収買価格が下るということだったら、だれでも合理化をしないわけです。そういう矛盾があったから、企業はやらなかったわけです。ですから必ずしも、おっしゃるように最近は木材化学というものが相当技術的にも企業化の段階に参りましたから、今度はそちらの試験とパルプの試験とが密接に提携して、お互いに技術交流その他をやっていくということも考えられますけれども、やはり現在残っているものは、私の申し上げた二つの点が非常に大きな不安である。
  79. 松平忠久

    ○松平小委員 ちょっとお聞きしたいのですが、今木材化学というのは、いわゆる繊維セルローズをいかにして糖化するかということが本体であって、へミセルローズ、リグニンは研究の次の段階になって、今では主力は木糖にある、こういうふうにわれわれ認識しておるわけなんです。そこで、むろんフルフラール・リグニンについても、木糖とともに研究しておるが、ここでパルプは、セルローズのパルプ化ということであって、リグニン、一部のフルフラールというものは捨てておるわけだ。この捨てておる部分に対して国家が研究費を出して研究させる、こういうふうにいかなければ私はおかしいと思う。木糖については、政府も試験研究費を出して研究さしておるけれども、この木糖については今申しました通りに、木材関係については主として木糖をいかにして工業化していくかということに主力を置いて研究しておるようにわれわれは聞いておる。フルフラールとリグニンは次の段階になっておる。一部手をつけておるけれども、こっちの方は捨てておるわけだ。捨てているから、現に捨てているものをどういうふうにしたらいいかということを研究するために、国はもっと力を入れなければならぬ。そこで今聞けば、国策ではフルフラールについて一トンのテスト・プラントを作ろうということになっておる。興国人絹さんの方ではリグニンについてすでに研究がある程度できたという。そこでお聞きしたいのは、パルプの関係各社は、何か紙パ協会か何かでまとめてそういう研究というものを指導されておるかどうかということ。またそういうような総合研究というものを連合してやるというような方向に行っているのかどうか。それからそれに対して政府が助成金というものを一体出しておるのかどうか。今お聞きすると、フルフラールについては少し出していると言われたけれども、その点をちょっと松永さんに伺いたい。
  80. 小瀧武夫

    ○小瀧参考人 ちょっとお間違いがあるようでございますから、訂正さしていただきます。国策の方はフルフラールではございません。リグニンでございます。
  81. 松永幹

    ○松永参考人 アルコールは飲料と燃料用と工業用になると思うのでありますが、工業用については、これは国際的な競争というものがありまして、それからでき上る製品、合成ゴムその他から見まして原料アルコールが幾らでなくてはならぬということがおのずからきまってくると思うのであります。これはアメリカあたりでも、石油系と木材からのアルコールでは、木材のアルコールの方が高い。従って工業原料としては石油系だというふうに聞いておるわけです。われわれとしましても、できるだけアルコールは回収したいと思うのでありまするが、工業原料は別として、燃料あるいは飲料に向くのにどれだけ需要があるか。需要が大してふえていないということになると、イモと変るかどうか。これはなかなかむずかしい問題があると思うのでありまして、要するに政府専売の方針ということで方針をおきめになれば、相当こちらも増産する余地がある。投資も可能になるというふうに考えております。  二番目に、いろいろなそういう廃液処理について計画があるかということでございますが、総合的にはやっておりませんけれども、うちの業界には技術協会というのがありまして、ここを中心にして相当そういった廃液利用についての技術情報の交換等もやっております。全体としては相当進んでいると思うのでありますが、まとまって一本になってやっているというようなことはおりません。  工業化補助金につきましては、先ほど申しましたように酵母に工業化補助金が付いております。そのほかフルフラールとかほかのものにもいろいろ少しずつ付いているんじゃないかと思っております。
  82. 橋本徳男

    ○橋本説明員 アルコール関係は指示製品でないので、補助金はもちろんついておりません。酵母につきましては、二十八年に工業化補助金を五百万円東洋紡に付けております。それから興国人絹のポリエステル系合成繊維原料としまして、三十一年度工業化補助金二千八万円出ております。さらに若干はずれますが、この原料を使ったものをさらに製品化するという場合に、三十二年度として現在工業化補助金の申請が出ておりまして、審査中でございます。こういうふうに新製品の場合は、要望があれば十分検討の結果、必要と思う場合にはつけております。つけてないのは――たとえば国策のセメント分散剤、これにつきましては申請がなかったのでつけてはございません。そういう状態になっております。
  83. 川田博通

    ○川田説明員 簡単に補足して申し上げます。先ほどの補助金の点につきまして、ただいま紙業課長から話がございましたほかに、リグニンの液化というテーマに対しまして、三十一年度に野口研究所に二百七十万円の研究補助金を出しております。これはその前年度に千五百万円木材糖化に出しておりますが、そのほかに出している次第でございます。
  84. 小瀧武夫

    ○小瀧参考人 先ほど松平さんからお話がありました私のところのフルフラールの利用というのは、リグニンからアスパーズというセメント分散剤を作る研究です。今年は今の中間工業試験費をお願いしているわけであります。
  85. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 なお私から林総協の田中さんに重ねてお願いしておきますが、ただいまパルプ廃液を捨てているいろいろな事情はずいぶん皆さんから承わりましたが、それにつきまして、私たちとしても何とかしてこうした廃液が捨てられないで利用されるような方向に持っていっていただきたい。そのためには政府を幾ら一方的に鞭撻いたしましても、なかなか進まない場合が非常に多いのでございますから、ぜひ林総協あたりで実際のパルプ工業の方あるいはパルプを作って廃液を流されている方々と御相談下さいまして、それを利用するためにはどうするか、そういうことについて私たちこの木材利用の小委員会が一団になって御後援、御協力申し上げますから、そのような方向に一つ持って行っていただかれんことをぜひお願いいたします。
  86. 松平忠久

    ○松平小委員 ちょっとこの機会に林総協の田中さんにお伺いいたしたいのですが、ずっと今聞いておりますと、やはり何としても木材が足りない、紙パルプ関係も非常に窮屈になっている状況にある。政府が出しておる表によりましても相当の窮屈が予想されている。先ほど申しましたようなソ連材あるいはアラスカ材というようなことになるわけですが、まだ通商協定は日ソ間にできないわけですが、新聞等を見ますと木材関係で代表団か何かを向うへ送って、それで木材だけの協定を結ぶ、それでシベリアその他から取りたいという意向がある。この間向うの商工会議所の会頭あたりも日本に来ていろいろ聞くところによると、向うは計画経済だからシベリアへ来てもすぐ材が出るというわけではなくて、日本側から長期の契約があるという場合においては、その商談がまとまればやはり向うは道路から先に作るとか施設を作るとかいうことをしなくちゃならないからというようなことで、あらかじめ話をして相談に応ずるというような態度らしいようなことを聞いておりますが、その点についてはどの程度日本側として進んでおるのかどうかということをおわかりになりましたらこの機会に聞かしていただきたいと思います。
  87. 田中申一

    ○田中参考人 ソ連材の輸入につきましては、御承知のように価格が高い。特に運賃が最近べらぼうに上っておるというようなことで、一部の建築材と目しては輸入して採算に乗りますけれどもパルプ材というものはとうてい採算に乗らないというに近い状態にあるわけです。もちろんそういう点、価格の面で問題もありますが、さらに大きな問題は、あのような国柄でございますので、自由諸国と交易するのとは若干違った面が出てきたり、言いかえれば、やはりこちらも国として相当腰を入れて交渉に乗り出すということでなければ二十万石、三十万石というわれわれの期待しておる量から見れば、実にスズメの涙のような量しか入ってこないだろうということが言えるわけでありますが、そこでわれわれといたしましては、極力政府に腰を上げていただくということでいろいろお願いいたしております。けれども聞くところによりますと、いろいろまた政府部内にも御事情があるようで、結局われわれとしては民間で相当力強い運動と申しますか、世論というものをここでかき立てるということをしなければなかなか今申しましたような形にならないのじゃないかというふうに思っておるわけであります。今お話のありましたこの使節団の問題にしましても何かここで具体的な手を打たなければならぬじゃないか。それに一番現実性があるものは調査団の派遣であろうと思う。しかしわれわれはこれをもってすべてとは思っておりませんけれども、まず何とかやりやすいものから一つ一つそういう手を打って、そうしてこの国民の世論もわき立て、政府にも腰を上げていただいて、われわれの企図する一千万石という目標の輸入というものを実現したい、こういうふうに思っておるわけであります。
  88. 永井勝次郎

    ○永井小委員 一千万石の輸入というものは港の関係、船の関係で一体可能ですか。
  89. 田中申一

    ○田中参考人 現状では無理です。
  90. 鹿野彦吉

    ○鹿野小委員長 大体質疑もないようでございますから、本日はこの程度にとどめることにいたします。  なお参考人各位には御多用中のところいろいろと有益な御意見を聞かしていただきまして、本問題調査のために大へん参考となったことを厚く御礼を申し上げます。われわれ小委員会といたしましてもこの原木の確保の問題などにつきましてもできる限り皆さんの御趣旨に沿うように御協力を申し上げたいと思っておりますし、なおまた廃液の問題につきましては当委員会の意思として先ほど皆さんに申し上げた通りでありますから、ぜひ一つ林総協などと御相談の上実現して下さらんことをお願いいたします。大へんありがとうございました。これをもって散会いたします。     午後五時二十五分散会