運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-03-06 第26回国会 衆議院 社会労働委員会 18号 公式Web版

  1. 昭和三十二年三月六日(水曜日)     午前十一時四十四開議  出席委員    委員長 藤本 捨助君    理事 大橋 武夫君 理事 亀山 孝一君    理事 中川 俊思君 理事 野澤 清人君    理事 八木 一男君 理事 吉川 兼光君       植村 武一君    越智  茂君       大石 武一君    加藤鐐五郎君       田子 一民君    田中 正巳君       高瀬  傳君    中山 マサ君       八田 貞義君    古川 丈吉君       山下 春江君    亘  四郎君       岡本 隆一君    五島 虎雄君       滝井 義高君    堂森 芳夫君       山口シヅエ君    山花 秀雄君       中原 健次君  出席政府委員         厚生事務官         (保険局長)  高田 正巳君  委員外の出席者         厚生事務官         (保険局健康保         険課長)    小沢 辰男君         参  考  人         (日本経営者団         体連盟理事)  牛尾 栄次君         参  考  人         (中沢建設株式         会社社長)   大岩  勇君         参  考  人         (日本歯科医師         会専務理事)  鹿島 俊雄君         参  考  人         (日本薬剤師協         会副会長)   可児 重一君         参  考  人         (全日本労働組         合会議社会保障         委員会委員)  上田 豊造君         参  考  人         (日本船主協会         専務理事)   神田禎次郎君         参  考  人         (全日本海員組         合厚生部次長) 佐藤  徳君         参  考  人         (日本医師会副         会長)     丸山 直友君         参  考  人         (健康保険組合         連合会会長)  安田彦四郎君         専  門  員 川井 章知君     ――――――――――――― 三月六日  委員今澄勇君辞任につき、その補欠として滝井  義高君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月五日  失業対策事業の就労人員増加等に関する請願(  赤松勇君紹介)(第一六七九号)  健康保険法の一部改正反対及び赤字国庫負担等  に関する請願(横錢重吉君紹介)(第一六八〇  号)  傷病手当金給付期間延長及び療養給付の制限撤  廃等に関する請願(帆足計君紹介)(第一六八  一号)  環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律  制定の請願(松岡駒吉君紹介)(第一六八二  号)  同(山下榮二君紹介)(第一六八三号)  同(川島正次郎君紹介)(第一七六一号)  同(渡海元三郎君紹介)(第一七六二号)  同(坊秀男君紹介)(第一七六三号)  衛生検査技師の身分法制定に関する請願(今澄  勇君紹介)(第一六八四号)  同(小島徹三君紹介)(第一六八五号)  同(中島茂喜君紹介)(第一六八六号)  同(山本猛夫君紹介)(第一六八七号)  同外一件(田子一民君紹介)(第一七六八号)  同(前尾繁三郎君紹介)(第一七六九号)  国立病院等に准看便婦の進学コース設置に関す  る請願(井堀繁雄君紹介)(第一六八八号)  同(北山愛郎君紹介)(第一六八九号)  同(西村力弥君紹介)(第一六九〇号)  同外一件(大坪保雄君紹介)(第一七六四号)  生活保護法の最低生活基準額引上げの請願(五  十嵐吉藏君紹介)(第一六九一号)  同(木崎茂男君紹介)(第一六九二号)  生活保護法等の一部改正に関する請願(木崎茂  男君紹介)(第一六九三号)  国立療養所等の賄費増額に関する請願外一件(  木崎茂男君紹介)(第一六九四号)  同(五十嵐吉藏君紹介)(第一六九五号)  同(鈴木茂三郎君紹介)(第一六九六号)  健康保険法の一部改正反対に関する請願(五十  嵐吉藏君紹介)(第一六九七号)  同(木崎茂男君紹介)(第一六九八号)  同(櫻井奎夫君紹介)(第一六九九号)  健康保険法等の一部を改正する法律案反対に関  する請願(臼井莊一君外一名紹介)(第一七〇  〇号)  同(奧村又十郎君紹介)(第一七〇一号)  同(木崎茂男君紹介)(第一七〇二号)  同(滝井義高君紹介)(第一七〇三号)  同(堂森芳夫君紹介)(第一七〇四号)  同(内藤友明君紹介)(第一七〇五号)  同(並木芳雄君紹介)(第一七〇六号)  同(古井喜實君外二名紹介)(第一七五〇号)  同(阿左美廣治君紹介)(第一七五一号)  同(青木正君紹介)(第一七五二号)  同(荒舩清十郎君紹介)(第一七五三号)  同(五十嵐吉藏君紹介)(第一七五四号)  同(杉浦武雄君紹介)(第一七五五号)  同(並木芳雄君紹介)(第一七五六号)  同(福永健司君紹介)(第一七五七号)  同(松永東君紹介)(第一七五八号)  同(八木一郎君紹介)(第一七五九号)  同(横川重次君紹介)(第一七六〇号)  同(穗積七郎君紹介)(第一七九六号)  同(井谷正吉君紹介)(第一七九七号)  同(田中稔男君紹介)(第一七九八号)  同(松井政吉君紹介)(第一七九九号)  同(八木昇君紹介)(第一八〇〇号)  健康保険法の一部改正反対等に関する請願(山  花秀雄君紹介)(第一七〇七号)  健康保険法の一部改正反対及び医療給付費二割  国庫負担等に関する請願(木崎茂男君紹介)(  第一七〇九号)  同(島上善五郎君紹介)(第一七一〇号)  国立療養所等における看護婦の定員増加に関す  る請願(木崎茂男君紹介)(第一七一一号)  同(五十嵐吉藏君紹介)(第一七一二号)  社会保障費増額に関する請願(五十嵐吉藏君紹  介)(第一七一三号)  帰還患者の生活保障に関する請願(五十嵐吉藏  君紹介)(第一七一四号)  結核回復者に対する職及び住宅確保に関する請  願(五十嵐吉藏君紹介)(第一七一五号)  国立療養所等における医師定員の増加及び待遇  改善に関する請願(五十嵐吉藏君紹介)(第一  七一六号)  結核予防予算増額及び治療費全額国庫負担に関  する請願(五十嵐吉藏君紹介)(第一七一七  号)  結核回復者に対する後保護の立法化等に関する  請願(五十嵐吉藏君紹介)(第一七一八号)  国立療養所における作業療法拡充等に関する請  願(五十嵐吉藏君紹介)(第一七一九号)  結核回復者の職業保障に関する請願(櫻井奎夫  君紹介)(第一七二〇号)  同(鈴木茂三郎君紹介)(第一七二一号)  健康保険法及び生活保護法の一部改正等に関す  る請願(神近市子君紹介)(第一七二二号)  インドネシア共和国等所在遺骨収集に関する請  願(川崎秀二君紹介)(第一七四六号)  国立病院等における看護婦の産休のための定員  確保に関する請願(大坪保雄君紹介)(第一七  六五号)  同(小島徹三君紹介)(第一七六六号)  向(田中正巳君紹介)(第一七六七号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提  出、第二十五回国会閣法第四号)  船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、  第二十五回国会閣法第五号)  厚生年金保険法の一部を改正する法律案(内閣  提出、第二十五回国会閣法第六号)  健康保険法の一部を改正する法律案(滝井義高  君外十二名提出、衆法第八号)  船員保険法の一部を改正する法律案(滝井義高  君外十二名提出、衆法第九号)     ―――――――――――――
  2. 藤本捨助

    ○藤本委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の健康保険法等の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案、滝井義高君外十二名提出の健康保険法の一部を改正する法律案及び船員保険法の一部を改正する法律案の五法案を一括議題とし、審査を進めます。  以上の各案につきまして、本日お見えになる予定の日本経営者団体連盟理事牛尾栄次君、中沢建設株式会社社長大岩勇君、日本歯科医師会専務理事鹿島俊雄君、日本薬剤師協会副会長可児重一君、日本労働組合総評議会福祉対策部長塩谷信雄君、全日本労働組合会議社会保障委員会委員上田豊造君、日本船主協会専務理事神田禎次郎君、全日本海員組厚生部次長佐藤徳君、日本医師会副会長丸山直友君、及び健康保険組合連合会会長安田彦四郎君の、以上十君を参考人とし、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤本捨助

    ○藤本委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  この際参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。本日はお忙がしいところ御出席下さいましてまことにありがとうございます。参考人の方々におかれましては、あらゆる角度から忌憚のない御意見を御発表下さいますようお願い申し上げます。時間の都合上、御意見をお述べ願う時間はお一人十分程度といたしますが、御意見をお述べ願いましたあとで委員諸君から質疑があると思われますので、その際も忌憚なくお答えをお願いいたしたいと存じます。なお念のため申し上げますが、参考人の方々が御発言なさいます際には、委員長の許可を得ていただくことといたし、発言の内容につきましては、意見を聞こうとする問題の範囲を越えないようにお願いいたします。また委員は参考人の方々に質疑をすることができますが、参考人は委員に質疑をすることができません。以上お含みおき願っておきます。  次に参考人の皆様は、御発言の際は劈頭に職業または所属団体名並びに御氏名をお述べ願いたいと存じます。なお発言の順位は、勝手ながら委員長においてきめさせていただきたいと存じます。御了承をお願いいたします。  それではまず参考人にお願いいたします。日本経営者団体連盟理事牛尾栄次君。
  4. 牛尾栄次

    ○牛尾参考人 公述人、日本経営者団体連盟牛尾栄次、健康保険法等の一部を改正する法律案について意見を申し述べます。  この法律案は、去る二十四国会提出以来、これで三度目でありまして、これまでに十分審議を経ておられます。また修正も加えられております。しかしなおこの政府案につきまして、私ども一つ修正を希望する点がありますので、申し述べます。それは国庫負担の点でありまして、改正案の第七十条ノ三に政府管掌の健康保険にのみ国庫は補助すると書いてありますが、これは法の建前上はなはだ遺憾であります。政府管掌の健康保険と同時に発足した健康保険組合に対しても、政府は補助すべきであります。社会保険につきましては政府が責任がありますので、予算の許す範囲内で、健康保険組合にも政府管掌保険に対してと同様補助すべきでありまして、これが私どもが修正を希望する一点でございます。  その他のものにつきましては、先刻申し上げましたように、再々修正を加えられておりますので、大体これでいいと思いますが、特に希望します点は、これで二年越し、すなわち三回の審議を重ねておりますので、この際これができまして、政府の補助もこれを受け入れいたしまして、健全な姿で社会保険が再出発しまして国民の医療保障のために貢献していただきたいと思いますので、この通過を望みますが、なお特に私どもここでこれまでの審議に当りまして、あるいは事業主としまして保険料を醵出しております建前から皆さんにお願いします点は監査の点、指定の点で、これだけは大事なことでありますから特に軽んじないでいていただきたいと思うのであります。御存じの通り政府管掌の保険、組合管掌の保険は事業主及び被保険者で保険料年額約八百億のものを醵出しております。この八〇%余りは医療給付としてやはり被保険者の利益のためになるのでありますが、この大きな金の運用につきまして、どうしましても政府の方で事務的に組織的に完璧を期していただきまして、私ども醵出しておりますものの利益をかわって守っていただきたいのであります。  それから指定の点は、私も社会保険審議会の委員の席に連なっておりましたし、従来短い期間でありますが、健康保険組合の理事長として十数年実務に携わった経験からも申し述べられますが、人の生命を預かる大事な医療、診療でありますので、これはどうしても指定をしていただきまして、りっぱな人に私どもがかかるようにお願いしたいのであります。  監査の点につきましては、私どもは多数の診療機関、お医者さんに対しましては、社会的にも人格的にも尊敬を払っております。私どもの生命にかかわる大事なことに携わる人でありますから、尊敬はいたしておりますが、しかし多数の中でありますから、現在厚生省のやっております事務組織の点でははなはだ遺憾でありますので、今後間違いないとも期せられませんので、この際どうかしっかりした措置をやってもらいたいと私どもは厚生省を激励もし、要望もした次第であります。今後御審議に当りましては、監査と指定の点、これにつきましては十分に御認識を賜わりたいと思うのであります。そのほかの点につきましては、先刻申しましたように大体異存はありませんので、これの成立通過を望んでおります。一応私の意見はこれで終りまして、あとでまた御質問がありますればお答えをさしていただきます。
  5. 藤本捨助

    ○藤本委員長 ありがとうございました。  次に、日本歯科医師会専務理事鹿島俊雄君。
  6. 鹿島俊雄

    ○鹿島参考人 日本歯科医師会専務理事鹿島俊雄、公述を申し上げます。  本日日本歯科医師会といたしまして、特に政府提案によりまする健康保険法等の改正案に対しまして、われわれは率直に反対の意思を表明するものであります。しかもこの法律案等に関しましては、すでに政府あるいは国会筋に対しまして再三にわたりましてわれわれの要望を申し上げております。一言にして申し上げますると、今回の法律案提案の御趣旨はわれわれ医療担当者の立場を一方的に無視された――はなはだ失礼な言い分でありまするが、官僚統制の強化と断ぜざるを得ないのであります。  そこで総括的な反対理由を申し上げますると、御承知のごとく現行の保険法運営は非常に非合理性を蔵しております。従いまして、抜本的にこの際これらの点につきまして十分なる検討と改訂が行われなければならないと信じております。しかも国民皆保険を前にいたしまして、これらの線をわれわれは熱望するものであります。にもかかわりませず、これらの点を放置せられまして、単にわれわれの身分を拘束し、あるいは一部を糊塗するがごとき感を与えまする改正案には反対であります。なおその非合理性ともいうべき点を指摘いたしますると、御承知のごとく健康保険法はその立法当初の条件と相当現在変っておりまして、特に結核のような長期療養を要しまする線が非常に強く医療給付の中にありまして、現在健保財政の三八%以上をこれに要しておるわけです。従いまして、これは結核保険といっても過言でない。しかも歯科医療等におきましてはきわめてこれらの線から圧縮を受けまして、本来の歯科医療というものは完全に行い得ないという現況にあるのであります。  続いて、国は社会保障の一環としまして、この健康保険の医療給付に関しましては、当然国庫負担を行いまして、これに強力なる補助を加えるべきである、これをまず行なっていただきまして、その後に今回企図せられましたような一部負担というようなことが一応考えられるではないか、かように考えるのであります。なお、医療担当者側といたしましては、昭和二十六年以来単価が据え置きのままになっておりまして、これは一面医療担当者の犠牲において保険経済がまかなわれておるということであります。これらの点につきましても、われわれはいろいろな客観情勢にかんがみまして今日までその犠牲を忍んで参っておるのであります。  続いて、医療報酬の支払い等の問題でありまするが、これに関しましては、現在その支払い期限の指定もございます。従いまして、国保等に至りますと、半年以上にわたり支払いが遅延するというようなことも放置せられておりまして、かようなこともまた医療担当者の立場におきましてはこれは重大な問題でございます。  続いて、医療内容等の指導が厚生当局におかれて行われる、この内容の向上が指示せられまするが、特に歯科に関しましては、医療設備等の問題がこれに伴いませんと完璧を期しがたいのであります。しかしながら現在のような低単価の状況におきましては施設の改善はできないのであります。そこで昭和二十六年におきまして暫定単価の協定の際政府は医療金融を必ずあっせんするというお話でございましたが、今日に至りましてもこれが何ら行われておりません。従いまして、われわれはの低単価におきまする現況において自己資本において医療施設の向上をはからなければならぬが、これが不可能の現状にあるのであります。  そのほか制度の問題につきましては、これは言い過ぎかも存じませんが、最近赤字経済を克服するという前提のもとに、どうも行政措置が強化せられておる、監査等が強化せられておるというきらいが末端に現われておりまして、この際行われまする実態調査等につきまして、医療担当者といたしまして容疑者あるいは被疑者的な立場に追い込まれておるようなことも行われております。かようなことも一日も早く是正していただかなければなりません。少くとも人格をわれわれの業態の主体といたしまする医療人としてはこれはとうてい忍びがたいところであります。なお請求方式等に関しましても非常に繁雑でありまして、われわれ個人開業医を主体といたします歯科医業においては特にこの点が重大な支障になっております。  以上のような理由がわれわれの最も不満とするところであります。従いまして、これらの問題を放置せられ、しかも昭和二十六年以来単価は据え置きであります。このような事柄は、一言にして申し上げますと、医療担当者の犠牲において健保が運営せられておるといっても過言でないと存ずるものであります。  続いて、具体的に今回御提案になられました法律案に対しまする反対の理由を申し上げます。  まず一部負担の拡大につきましては、歯科医師会といたしましては、かようなことによりまして、いわゆる受診率の低下、特に低額所得者におかれまして受診率の低下の状況が起っておるのでありますが、これは早期診療の低減、ひいては医療内容の点につきましても重大な支障を来たしております。またこの一部負担の考え方が受益者負担というような考えから考えられておることにつきましてもわれわれは反対せざるを得ないのであります。この一部負担を財政的な意味において行うといたしますれば、むしろ保険料率の引き上げを行い、そしていわゆる保険の成り立ちから申しましても、相互保険の立場からさような線をとられることの方がわれわれは妥当性があると信じております。この際われわれは一部負担に関しましては、以上の理由から反対せざるを得ないのであります。またこの一部負担が単なる財政的処置でなく、これを行政的な面、いわゆる医療担当者の乱診をこれによって防止する、押えるという要素があるようにも聞いておりますが、かようなことがもしありといたしますれば、なおさらわれわれはこれに対して断固反対せざるを得ないのであります。  続いて機関指定に関しまして申し上げたいと思います。現在歯科におきましてはほとんどが個人開業でありまして、現在の制度において保険医の規制、監督に関しては、何ら支障がないはずであります。この機関指定をやらなければならない理由がどこにあるかという質問を申し上げましたが、これに対しては明確な御答弁が関係筋から得られないのでありまして、むしろこの機関指定の目的はある方面の規制を目的として制定するのであるということを言っておられます。そうでありますれば個人に関してその上に機関を指定するというごときは私は絶対必要ないものだということを申し上げたいのであります。特に歯科医師会におきましてはこの個人開業医に関する機関指定、二重指定に関しては絶対反対を表明するものであります。  続いて基金法の改正の問題でありますが、基金の本来の任務は支払いである。しかし最近におきましては審査機関、ひいては監査機関に移行するような現況にあるのでありまして、最近の都道府県等の状態を調査してみますと、審査員の審査内容に関して事務官僚からいろいろな干渉があるというような事実も聞いておりますし、私どもは支払い基金は基金として支払いを主体にし、審査機関は別個にこれを設けまして、最も民主的に医療担当者の意見を反映させていただきたい、かように考えております。従いましてかような根本的な問題を勘案いたしまして今回のような過渡的な改正にはわれわれは反対せざるを得ないのであります。  そのほかに監督権の強化、これまた決して保険経済、保険の運営に関してわれわれは協力を惜しまないものでありますが、監督強化をもってわれわれを規制するがごときはまことに忍びがたいのでありまして、少くとも医療担当者はこの社会保険機構に対しましても今まで十二分に協力して参っております。一面現在の保険機構の進歩発展は、われわれ医療担当者の強力なる協力と支援によって完成したものと言ってはばからないものであります。従いましてかようなわれわれの人格、立場を一方的に規制する監督強化については反対であります。むしろわれわれはこの問題について自主的にわれわれの会自体が会員を指導していきたい、かように考えるのであります。  いろいろ申し上げたいことはありますが時間の制限もありますので、最後にこの際保険機構運営上の問題につきましては、総合的抜本的にお考えいただきまして、もう一回お練り直しを願いたい。医療担当者側にも十分御相談を賜わりまして、国民皆保険実施に対しましてわれわれ納得の上で、これらの改正案に賛成していきたい。従いまして今回政府の提案いたしますこれらに関することにつきまして、われわれは絶対反対を表しておりますが、国会におかれましても何とぞわれわれの意思をおくみ取りいただきまして、良識ある御判定をいただくことをお願い申し上げる次第であります。
  7. 藤本捨助

    ○藤本委員長 中沢建設株式会社社長大岩勇君。
  8. 大岩勇

    ○大岩参考人 私は今回の健康保険法の一部改正につきましては全面的に賛成するものであります。一々申し上げますと、今度の改正法案の中で国庫負担が明確化されたことは、政府管掌健康保険の被保険者においては待望のものでありまして、この点については全面的に賛成いたします。しかし診療に対する国庫負担は一部補助という点でなく、明確に医療給付の二割を補助するという点を強調いたす次第であります。現在国民健康保険に対しましては国庫で二割の補助をしているわけでありますので、それと同様に政府管掌の健康保険組合にも二割の国庫負担を実現してもらいたい、その二割ということを明文化していただきたい、こういうことをお願いする次第であります。  次に標準報酬の等級区分でありますが、今までは一級が三千円、二十級が三万六千円に限定されておったのであります。今回の改正におきましては四千円から五万二千円という点に改訂されるのでありますが、この点におきましても私は全面的に賛成するものであります。現在中学卒業程度の労務者で事業場に働いている者で三千円取っている人は一人もありません。事業場に雇用されている政府管掌の健康保険組合の被保険者で三千円という俸給は一人もないと私は考えております。次に二十級以上の者でありますが、三万六千円以上五万二千円ということになりますと、中小企業の事業場におきましては高額所得者はごくわずかであります。五万二千円程度取る人は、その中小企業の中の重役級または部長級、高級幹部の方々の俸給であります。大会社は別といたしまして中小企業におきましては、そういう高給者の健康保険も今まで三万六千円の保険料を払っておられたのが今度は二十四級まで改訂されまして、この程度の負担は事業主ないし被保険者が負担し得ると思うのであります。この社会保険事業の発展のためにはこのくらいのことはお互いにがまんしなければならぬ。もともと健康保険の建前は相互扶助の精神に基いてやっておるわけでありますので、この点においても被保険者並びに事業主においては相互扶助の精神において御賛成を願いたいと考えるものであります。  次に医療給付の被保険者の一部負担であります。これも今まで五十円、地方が四十六円という程度で初診料を払っておったのでありますが、今回はこれが百円ということになります。ちょっと考えてみますと倍になったのではないかという気もいたしますが、実際は五十円払って、さらに診療を受けた際に注射をしたりとんぷくをもらう、その他の経費を見込んで百円を払うのでありまして、その初診料が百円に足りない、たとえば五十円で三十円の注射をしてもらったら八十円である。そのときには初診料として八十円払えばいいというように私は解釈しているものであります。均衡をとるためには被保険者がこのくらいの負担をすることは大して困難ではないと私は考えます。  次に入院患者の一日三十円の負担でありますが、これは病院に入っております者は、完全な給食を受けておりよす。そして現在までは無料で入院しております。しかし入院できない結核患者、またはそのほかの病気で病院が相当の患者があって入院ができないという人は、自分の家庭で療養しなければならぬ。家庭でやっている者は、この病院のように給食はだれがしてくれるか。そのうちの家族の者が全部患者の給食は負担しておるわけであります。そういう点から参りまして、うちで加療しておる者と入院患者との平均をとるために、この三十円程度のものは、むしろ私は三カ月ではなくて六カ月くらいもらってもいいじゃないか。なぜならば、患者は入院しております間は傷病手当金というものをもらっております。もちろん家庭におります者ももらってはおりますが、そういう病院の者は完全給食でただである。家庭におる者は家庭で給食の費用を払はなければならぬ。こういう不合理の点を是正するためには、この三十円程度の負担はさほど困難ではない、こう私は考えております。  それから医療機関は、先ほどお隣の先生からも話されましたが、被保険者または事業主の双方で健康保険の料金を負担しておる関係上、お医者さんには相当りっぱな方ばかりとは思いますが、現在までの医療機関に不正がなかったかといいますと、そうではありません。相当の不正があり、架空の治療をしたというような請求をされまして、医療協議会なんかにも持ち出されまして、相当評価されておる方も私耳にしておりますが、現在の私の体験からいきまして、患者が治療を受けまして、そして簡単なことから申し上げますと、非常に金額においては少いのでありますが、かぜを引いて医者に行った。そのときに患者は二日分しかもらっていない。お医者さんからの請求は十日分になっておる。そして会社は休んでおりませんので、かぜはどうしたと聞くと、二日分飲んでもうなおりました、こう本人は言っておるのでありますが、お医者さんの方からは十日分の請求をしておるというようなことがまれにあるわけであります。本日ここにおいでになります先生方にはそういうことは毛頭私は考えも及びませんが、たまにはそういう方もおありなので、医療機関の方々が公明正大におやりならば、監査機関がいかほど厳重に作られても、ちっとも恐れるところがないじゃないか、私はこう考える次第でございます。この二重指定、病院におきましても病院の指定、そこに従事されている先生方の個人登録というものはぜひ必要と思います。病院のうちで違反をされましたならば、病院はもちろんでありますが、そのお医者さんの個人の違反を摘発しまして、指定取消しとなりますと、その部門のお医者さんはすぐに別の保険医をそこに注入されて治療に当られるということになりますので、これを明確にしますには病院も指定制にする。そこにお勤めになる先生方も個人登録される。この二重指定方式に私は全面的に賛成するものであります。二重指定でありますが、現在の医療組織にマッチするように立案されたものであり、機関と保険医との責任区分を明確にするとともに、現行の制度の不備を是正するものであるから、このためにぜひ行なってもらいたい、こういうわけであります。なお私からこれは個人の考えとしてお願いするのでありますが、保険医の優遇についてちょっと一言申し上げたいと思います。最近新聞紙上で一点単価の問題に触れられたようでありますが、確かに保険医の方々の待遇改善は必要と思っております。このことは必ずしも一点単価の引き上げということに限りませんので、まだ一点単価を上げるということは、現在の状態からいきまして早計ではないかと私は考えております。われわれの保険料の金額も限度に達しておりますので、この財政負担を非常に考慮しておるわけでありますが、医療機関で一点単価の引き上げはなお早いと私は痛切に感じております。しかし新医療体系の実施と設備資金の融資、保険医の老後の生活等に対しまして優遇策をあわせて考慮さるべき点があるのじゃないかと、私はこう考えております。  次に継続給付のことでありますが、これも会社の資格を喪失しまして、そして被保険者であった時分に医者にかかって、その会社をやめて後にその病気がなおってない者は、継続して医療を受けておるわけでありますが、今までの法規によりますと、その継続診療を受ける以前六カ月間被保険者でなかったならこれは受けられないというのでありますが、現在の状態からいきまして、なお一年に延長しまして、資格喪失の前に医者にかかっておりまして、資格を喪失後にまだ継続してかからなければならぬという被保険者がありとしますれば、それは資格を喪失する以前一年間被保険者でなければならぬという法案のように考えておりますが、これも健全なる保険事業の運営に際しては必要と思う次第であります。  そのほかの扶養者その他のことにつきましては、別に申し上げる点もございません。  最後に、今回の改正で国庫の負担が三十億円支出されることに明文化されたようでありますが、この三十億は政府管掌の健康保険組合の運営にはぜひなくちゃならぬものでありますので、どうか本国会におきまして無事にこれを可決され通過させられんことを切にお願いいたしまして、私の考えておりますことを申し上げた次第であります。よろしくお願いいたします。
  9. 藤本捨助

    ○藤本委員長 ありがとうございました。  次に日本薬剤師協会副会長可児重一君。
  10. 可児重一

    ○可児参考人 私ただいま御紹介を受けました日本薬剤師協会の副会長可児重一であります。  今回の健康保険法の改正案に関しましては、昨年御提出の改正案と同様に、改正法の内容に関しましては一応賛意を表します。しかしながら翻って、これを本改正法案提出の過程から考えますならば、時代の推移に対し政府は正確な分析、解剖が不足であったということを指摘しなければならないのであります。すなわち過ぐる第二十四国会において本改正案が何ゆえに審議未了になったか、またその経過過程において国民の世論の動向がどう進展したかということについて真剣に考慮を払われた跡が今日の改正案には見当らないのであります。たとえば猛烈な批判を加えて反対されました患者の一部負担に対する政府の考え方も、昨年廃案となった改正案と今回の改正案とを比較対照してみますと、これは単に一部負担の形を残せばよいというような安易な気持から、初診の際の患者負担分並びに入院患者の負担分の額だけ修正されてこれを残しておられますが、これは過去幾多の論議検討を十分に徴された上で成案されたものであるとは考えられないのであります。なお注射、投薬等について必要以上の乱用を抑制するために一部負担の制度がとられたのだと考えておりましたが、こうした医療の技術面において、これも再び野放しにするような御措置は立法機関のお立場からも、また行政面の上からもそこにかなりの批判の余地があるのじゃないかと考えられます。従って各種団体あるいは国民各階層の本改正に対する反対の要旨の中にも依然としてこの初診の際の患者負担百円ということが反対の理由になっております。もちろんこれは患者に一部負担をさせるものでありますので、全然反対なしにということはむずかしいのであります。第二十四国会等であれだけの論議が戦わされたのでありますから、これはむずかしいことではあるが、国民が納得し得るような一部負担の制度がここに厳然と打ち出されなければ、立法当初からの論理が一貫しないのじゃないかと思われるのであります。また医師会、歯科医師会等の反対の論点も昨年とほとんど同様の形で打ち出されております。すなわち一部負担のほか、機関指定の問題、監査の強化、診療報酬、支払い基金における審査の官僚化等を指摘されております。これらは前の国会でも指摘された点でありますが、このような反対点についても、これをよりよく了解させ、納得させる施策を打ち出されず、官僚としての立場から強引にこれを法制化しようというところに無理があるのじゃないかと私は考えます。  日本薬剤師協会の立場から申しましても、もちろんこれらの具体的な内容に関しては相当の不安を持ち、また関心を寄せております。たとえば機関指定と個人指定における二重指定のごときはかなり批判の余地があると思います。これは一国の医療保障制度を確立するという大前提のもとに薬剤師協会としましては従来政府案を支持して参ったのであります。それにもかかわらず、政府におかれましては、単なる立法的措置にのみ熱心になるのあまり、法そのものについての実質的な裏づけの対策を滅却されているのではないでしょうか。たとえば現行医療制度の中で、医療費算定の問題があまり考慮に入れられていない。すなわち一点単価の問題に関しましても、医療費算定の体系においても当然是正が行われるべきであるにもかかわらず、いわゆる新医療費体系がうやむやのうちに葬られ、基本法の改正だけを先行せしめようとせられる、このような措置は決して正常なあり方ではないのであります。薬剤師協会が昨年の二十四国会において健保法改正政府案支持を打ち出しましたことは、当時新医療費体系が並行して審議されていたからであります。ところが今回は単価の問題も医療質体系の問題も全然その姿を消しておるという形でありますから、法の体系の問題よりも、こうした裏づけの条件を具備しない改正には反対を唱えざるを得ないのであります。ことに医療担当者に対する経済的措置に関して具体的に何ら見るべきものがない、いたずらに基本法の確立のみを企図するに終始され、これに当然協力すべきところの医師、歯科医師、薬剤師等の経済生活基盤については考慮されていないことが明らかであります。このような立場から改正法文そのものについては従来通りの態度を堅持したいと思うのでありますが、本改正案に付帯してその裏づけ条件を確立するにあらざれば私どもは反対せざるを得ないのであります。  これを要するに、日本薬剤師協会といたしましては、本改正案に従来から一貫して賛成して参りましたが、これが改正は単に法そのものだけでなく、これが裏づけとなる具体的措置は何もない。これだけの立法措置を講ずる以上、政府はこの裏づけ、具体的対策をはっきり立てる、すなわち前に述べましたように、一点単価の引き上げなり新医療費体系等をこの改正と並行してこれが措置を緊急に講ずべきであります。これらの措置を絶対具備条件として打ち出されるのでなければという主張をするものであります。すなわちこれらの絶対具備条件を条件といたしましてこの改正法案が成立することについてはあえて反対するものでないことを申し上げて、私どもの意見といたします。
  11. 藤本捨助

    ○藤本委員長 ありがとうございました。  質疑の通告があります。これを許します。八田貞義君。
  12. 八田貞義

    ○八田委員 御参考人の方々からいろいろ有益な御意見を拝聴いたしましてまことに感謝にたえない次第でございます。   今いろいろと御意見を承わったのでありますが、この場合国庫補助の問題について一様に触れておられます。そこで国庫補助というものに対しまして、     〔委員長退席、八木(一男)委員長    代理着席〕 牛尾さんは組合健康保険について国庫補助をやるべきだというお話がございました。また大岩さんは二割を国庫負担にすべきだとおっしゃっておられます。そこで、一体社会保険というものはどういう概念において取り上げ、そうして国庫補助を打ち出していかなければならぬかということが問題になってくると思うのであります。鹿島先生は保険料率の値上げということをおっしゃっておられます。これらのことに関連して、私自身の考えを申し上げ、さらに御意見を拝聴いたしたいのであります。  一体日本の社会保険の成り立ちは、英国から疾病保険というような形をとって、医療保険の制度が今日できておるわけでありますが、今日の赤字に対して国庫補助をやって参った今日までの経過を考えますると、一般的に申しまして支出見合いの補助がやられてきておるわけです。三十億円国庫補助の根拠は一体どこにあるか、これにつきましてもなかなか政府答弁では満足できないのでありますが、これを赤字ということに考えてしぼって参りますと、支出見合いの補助でございます。しかしほんとうの意味の国庫補助であるならば、収入見合いの補助でなければならぬと私は思うのであります。社会保険の成り立ちについてここでいろいろと申し上げておりますと時間をとりまして申しわけないのでありまするが、社会保険の成り立ちを理論体系づけるならば、支出見合いの国庫補助でなくて、収入見合の国庫補助でなければならぬ。しからば一体今日までの赤字の大きな原因をなしているのはどこにあるのか、こういう問題になってくるわけでありますが、これは保険料率の値上げによって解決できないと私は思うのであります。今日保険料率を上げて赤字を埋めていくのだという考えがございまするけれども、低額所得者層を数多くかかえておる政府管掌の健康保険におしては、保険料率を上げるということは、そう簡単には参りません。そこで鹿島先生に、どれくらいの保険料率をお考えになって保険料率を上げた方がいいとおっしゃっておるか、それを一つお伺いいたしたいと思います。
  13. 鹿島俊雄

    ○鹿島参考人 ただいまの御質問は、私の申し上げたことの点と違っております。私の申し上げましたことは、一部負担を強行せられるということに関して申し上げたのであります。要するに一部負担は、はっきり申し上げますと、これは被保険者に対しまする保険料の増徴であります。従ってこの場合に、もしこれを強行するならば、その保険の性質から見まして、これは保険料として取るのが正しい方法である、かように申し上げたのでありまして、私は決して赤字を克服するための保険料率の引き上げとかあるいは国庫負担にかわるべきものとして保険料率の引き上げということは申し上げておりません。少くとも一部負担の考え方が保険料の前取りであります。しかもこれは医療担当者に課しました代位取り立てであります。かようなことをすることに反対であるために申し上げました。かようなことをするならば、低額所得者を省きまして、一定の高額所得者層におきまして保険料率を引き上げる方がまだ妥当性がある、とかように申し上げました。
  14. 八田貞義

    ○八田委員 どれくらい上げろと考えておられますか。
  15. 鹿島俊雄

    ○鹿島参考人 私はこれに対して賛成いたしておりません。もし一部負担を一方的に強行するならば、それにかわるべきものをその線でやるのがその補助の線から見ましても、保険の成り立ちから見ましても妥当であると申し上げました。私は保険料率の引き上げについては賛成しておりません。
  16. 八田貞義

    ○八田委員 保険料値上げに対しては反対である、もちろん一部負担に対しては反対だ、こういうことをはっきり伺ったわけでございます。そこで私いろいろな点を御質問申し上げたいのでありまするが、ただいま大岩さんは二割を国庫負担すべきだ、こうおっしゃったのでありますが、何か基本的なお考えを持って二割という線を出されたか。先ほどのお話の中には、国民健康保険に二割やっているのだから、政府管掌にも二割やるべきだ、こういうお考えのように伺ったのでありますが、その点はっきりしていただきたいと思います。
  17. 大岩勇

    ○大岩参考人 私は、二割というのは遠慮して申し上げたのです。できるならば政府で三割でも四割でも補助していただきたい。現在の政府管掌健康保険組合の収入と支出とは全然バランスがとれておりません。それは地区によって違いますが、たとえば千代田区のごときは相当裕福な円滑な事業ができますけれども、郊外の末端へいきますと、標準報酬は非常に少いのであります。そこへ持ってきて医療費が非常に大きい。先ほども申し上げました通り、健康保険料率を上げるということは、現在の段階において、とうてい不可能でありますので、そういうアン・バランスがいつまでたっても継続すると思うのであります。従って、できるだけそれを是正するためにお医者さんの監査も必要と思います。さかのぼって被保険者がお医者さんの治療を受けておるのがどの程度に受けておるのか、こういう調べも必要である。できるだけ保険料の未回収を完全に納入する。そのほかに継続診療しておる人が相当あるわけであります。こういう人たちに対しては、私はあまり強いようではありますが、国税を徴収されるごとき大きな力を持って、そういう被保険者でない人がいつまでも医者にかかって、健康保険事業の金を食っておることを是正する。それにはいろいろありましょうが、現在の段階におきまして、健康保険の料率を上げるわけにはいかぬ、お医者さんの一点単価も上げてもらっては困る。その上になおそういう赤字が出て――先生方はよく御承知と思いますが、二、三年前に川崎厚生大臣のときにも、私ども被保険者の立場から、どうしてもこの際最小限度二割は国庫で補助してもらいたいということを今まで陳情してきたのでありますけれども、遂にその実を取ることができませんで今日に至ったのでありますが、健康保険の収入と支出のアン・バランスに対して、そのアン・バランスの程度だけ政府がぜひとも補助していただきたい、こう念願するものであります。
  18. 八田貞義

    ○八田委員 要するに今日政府管掌の健康保険については、いろいろな赤字の問題がたくさんあるのです。この中で政府管掌保険というのは短期保険ですね。ところが結核は三年間給付を受けることになっておる。結核は御承知のように長期給付の疾病でございます。これが短期保険の性格を持っておる健康保険に入ってきておる。ですから結核を除いてしまうというのがいつでも一般にいわれる概念であります。今日結核予防法というのがある。ところが結核治療法みたいになって、しかも国と地方とが半分ずつ持って、患者が半分持つ。ですから五十は国と地方、五十は個人が持つ。それをまた五十の方を国と地方で二十五と二十五に分けておる。ほんとうをいうならば、現在短期保険である健康保険の中に結核を入れておるならば、国庫補助として二五%補助すべきだという理論が出てくるわけです。今大岩さんが二割ではなくてもっとほしいのだとおっしゃったのは、私も同感でございます。実際を言うならば、長期給付であるべき結核が短期保険の中に入ってきておる。はっきういうと結核予防法で二五%だけ国が持つのですから、それならば健康保険の中に国として二五%持つのが当然じゃないか、こういう理論ができてくるわけであります。私は少くとも二割五分の国庫補助をすべきだということを考えておるわけでございます。  それから鹿島先生に申し上げたいのでありますが、先生はこの法案は絶対である――もしも先生の御意思の通りこの法案が流れてしまった場合、医療担当者に対してどのようなことが及ぼしてくるか、それをお知らせ願いたい。それを覚悟の上でこの法案の審議未了あるいは廃案となることをお考えになっての反対かどうか、一つ明確にお知らせ願いたいのです。
  19. 鹿島俊雄

    ○鹿島参考人 まことに辛らつな御質問で恐縮でございますが、われわれは先ほど結びに申し上げました通り、医療担当者の意見を十分に徴して総合的抜本的に方策を立てるべきだと申し上げたのであります。従いましてわれわれとして政府のお考えに妥当性があり、このお諮り方に対しまして民主的なものがありますれば、歯科医師会といたしましては欣然これに参加する心の用意を持っております。従いまして事前にこういう問題につきましては相談をかけてほしいということを再三申し上げておりますにもかかわりませず、一方的にこれを行い、なおかつ総合的抜本的な施策に関して欠けるところがありますので、反対でありました。もしこの法案が流れることによってわれわれに不利益がかかって参りましてもわれわれは恒久的な歯科医療の確立、保険医療の確立のために断固日本歯科医師会は決意を持って戦う表明をいたします。
  20. 八田貞義

    ○八田委員 まことに悲痛という言葉が当るほど重大な決意を伺いまして、この法案がいかに先生方の重大な決意の上に立って反対を表明されているかということがはっきりいたしまして…。
  21. 滝井義高

    ○滝井委員 ちょっと議事進行。この大事な公聴会に与党の理事が一人も来ていない。これじゃだめですよ。与党の理事を呼んできなさい。そんな不見識なことがあるか。
  22. 八木一男

    ○八木(一男)委員長代理 八田委員、ちょっと待って下さい。参考人の方も恐縮でございますが、与党の委員長と理事が来るまで、このままでお待ち下きい。速記をやめて。     〔速記中止〕
  23. 八木一男

    ○八木(一男)委員長代理 速記を始めて。
  24. 八田貞義

    ○八田委員 二重指定の問題についてちょっとお伺いいたしたいのでありますが、お医者さんは二重指定はけっこうだ、こういうふうにおっしゃっておられますが、今度の改正法案は保険医療機関というものはどういうものかという規定がございます。大岩さんは一体保険医療機関というものはどういうふうなお考えでこの法案を理解されておるか、保険医療機関とは何ぞやということを一つお考えになっている点をお知らせ願いたいのです。
  25. 大岩勇

    ○大岩参考人 お答えいたします。私は医療機関というものは病院を解しておるわけであります。外科、内科、産婦人科、その他の多くの科を包含した一つの医療機関を思っております。ほかの開業医は個人であるというふうに考えております。
  26. 八田貞義

    ○八田委員 実はこれは非常な間違いなんですよ。四十三条がありましてそれには医療機関の分類がございまして、二重指定を受けるのは都道府県知事の指定する医療機関になっておるのです。(大岩参考人「むろんそれはそうでございますね」と呼ぶ)これを保険医療機関、こう言っているのです。ですからその病院は保険医療機関とは別になっております。あるいは共済病院も保険医療機関とは別になっております。(大岩参考人「そういうふうに考えております」と呼ぶ)ですから今個人の病院もみな保険医療機関であります。
  27. 八木一男

    ○八木(一男)委員長代理 大岩参考人八田委員の発言が終ってから……。
  28. 八田貞義

    ○八田委員 ですから四十三条をよくごらんになっていただきますと、医療機関が三つに分類されている。そして患者は自分でもって選択権を持って、いろいろな病院に行くことができることになっております。ですから今、個人の病院は個人の診療所と考えているとおっしゃっているのですけれども、ここの分類を見ますと、指定機関は全部二重指定を受けるのです。そして組合病院とかあるいは共済組合病院、こういったものは二号、三号によって医療機関としてはもちろんあるのですけれども、その中で働く人は保険医でなくてもいいのです。そういうふうに解釈されている。というのは、四十三条の二にはっきりとそれが書いてあるですね。ですから二重の指定を受けるのは、たとえば保険医の登録と医療機関の指定を受けるのは、これは都道府県知事の指定機関だけでございます。そこでいろいろ問題が起ってくるのでありまするが、ただここで鹿島先生にお伺いしたいのは、二重指定制に対して先生方は御反対なすっておるわけでございます。この反対の理由を具体的にお示し願いたいのでありまするが、医療機関が保険者に対して診療報酬の請求をするようになっておるのであります。保険医はこれにタッチしない。保険医療機関という、人格問題からいったならばはなはなだ疑わしい機関に対して、診療報酬の請求権を与えておる。ここが私、問題であろうと思うのです。というのは、これがこのまま実行されていきますと、もうほんとうの個人立の診療機関は大企業の医療機関に圧迫を受けましてほとんど立っていけない、こういうような事態に追い込まれていこうと思うのです。私は先生の二重指定に対する反対理由をお聞かせ願うとともに、保険医療機関に対して請求権を与えておるということに対して、どのようなお考えを持っておられるか。これは私は非常に矛盾に富んでいると思う。この点について先生の御見解をお伺いしたいのです。
  29. 鹿島俊雄

    ○鹿島参考人 お答えいたします。卒直に申し上げまして、われわれは病院組織のようなものに関しましてはあるいは機関指定というものの御議論もわかるのであります。個人開業医に対して、登録とともに機関指定をする必要はない。個人登録医は同時に機関指定を当然受けるべきものであります。登録だけであって保険医療ができない、かようなことになりますから、その場合には必要がない、二重指定の必要がないということにきめております。もし二重指定をしなければ個人開業医にどういう不利がくるかということにつきましても、具体的に支障は認められないのであります。先般政府の説明によりますると、機関指定を個人に行なった場合には、かりに不正請求が行われた、この場合にはその機関の取り消しは受けるが、保険登録医としての身分には一切関係ない。これは医療内容に関する責任を有するものであるから、請求上の責任がないからこれは何ら問うところではない、かようなことは一つの理屈でありまして、あり得ないのであります。このような不正請求を行ったもの、また機関指定に値するようなものが保険医の登録に果して値するかという問題については、はなはだ矛盾があります。従いまして私は現行において、個人に関しては保険医登録で十分であります。現在におきましても規制は十分されております。必要以上に現在されておるのであります。従いましてこれ以上に二重指定を行うことは、保険医には一つの不安を与える。かような条件のもとに国民皆保険に突入するというようなことについては、われわれは納得できない。われわれをもっと信頼してほしい。特に個人に関して必要ないという考えを持っております。それから機関の指定をするということは私は当然だろうと思います。いいのであります。しかし個人に関しては同一人格でありまして、これを別の人格に分離するということはただ理論的の問題でありまして、われわれ登録医は個人指定の必要はない。従いまして言いかえますと、大きな病院組織におきまして機関指定の理由はある程度うなずけるが、個人に関してはない。しかも今回機関指定を行う理由といたしまして、ある方面の不正を多く働く病院を規制するためだといわれております。そうなりますと、そういう機関を規制するために個人開業医まで拘束する必要はない。われわれを監督する方法は幾らでもあるのであります。この点を申し上げておきます。
  30. 八田貞義

    ○八田委員 診療機関が請求することについては異論がない、こうおっしゃったのですが、少くとも個人立の診療機関の場合には、これは個人が機関を経営しておるのですから、この場合には問題ないと私は思うのです。ところが医療機関に請求権を与えますると、非医者であるところの、非医師であるところの開設者に請求権が与えられることになってくるわけです。これが非常に問題であろうと私は思う。もしも医療機関は開設者にも請求権があるのだということになって参りますと、そうすると非医師がどんどん大企業的に病院を作って参りまして、もう個人立の診療所というものはつぶれてしまう、圧迫される。ですからこの意味におきまして、先生は少くとも個人立と病院とは別にすべきだ、こうおっしゃったのでありますが、これを医療法との関連におきまして、私は先生にもう一言お伺いしたいのであります。今日は医療法によりまして、診療所は届出制になっております。病院は医療法の第二十二条によりまして許可制になっております。この場合でも開設者には許可を与えなくて、管理者に与えることになっております。この点に対しまして、私は今後診療機関に請求権を与えるという場合には、開設者に請求権を与えるのじゃなくて管理者に請求権を与えるように直すべきではないか、個人立は現行法のままでいった方がいい、しかし大病院もあるのであるから、しかも開設者は非医師の場合もあるのであるから、こういうものに対して診療請求権を与えることは今後医療の道をゆがめていく、だから医療法と同じように許可制と届出制に令けていくのが今後の医療機関指定にとって必要ではないか、こう考えるのですが、先生の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  31. 鹿島俊雄

    ○鹿島参考人 ただいまのお説は、私もよくうなずけるのでございます。要するに非医者の開設する機関において比較的問題が起りやすい。歯科におきましても、さような面もあるのであります。従いましてでき得べくんば非医者による開設を規制し、ただいまお話のありました管理者によって責任を明らかにするということは同感でありまして、全く先生のおっしゃる通りであります。
  32. 八田貞義

    ○八田委員 それから先ほど医者に不正があるのだ、水増し請求もあるのだ、悪い者がたくさんおる、こう私の申し上げたところにちょっと間違いもございましょうけれども、医者にも不正がある、こういうふうなことは私も不正があるかもしれないと思う。しかし医者が不正を行なったかどうかということを判定するのは、一体どういう方法でやられるかという問題です。大がいは開き込みとかうわさとか患者の訴え、現在はこういうことでやられてくるのが、医者の不正をあばかれる源になっているのです。患者が訴えるという場合は、多分に感情的な問題が入っております。そこで水増し請求であるかどうかということは診療報酬請求書の上からははっきりしないのです。診療報酬請求書を出します、これが水増しであるかどうかということは全然わかりません。結局は聞き込みです。うわさとか患者の訴えです。ここに私は問題があると思います。大岩さんに、人間の記憶というものがどれくらい確かなものであるか、不確かなものであるかということについてお考えを述べていただきたいと思うのでございます。非常に不確かな根拠の上に立って、医者が不正をやっているかどうかということは、いつでも問題になってくると思うのです。この点についていかがでしょうか。
  33. 大岩勇

    ○大岩参考人 私の申し上げましたのは、かぜを引いて本人は二日分しかもらっていないのに、十日分の請求をしたということを申し上げましたが、ほかの保険医取り消しとかなんとかになりますと、これは現在まで監査をされた結果になっております。単にうわさだけでなくて東京都の技官が実際に監査をやっておる。これは先生もよくおわかりでありますが、医療機関のお医者さん方が非常に監査をいやがっておる。東京都の管内においては今までの保険医、取り消しというものは監査によって発見されるのです。そして医療協議会にかけられて、先生方も被保険者も事業主も集まってそれを決定して取り上げるわけです。決してうわさか何かでは保険医の指定というものは取り上げておられないと私は考えております。監査によって発見されておるという点におきまして、今の病院でもどこでも年に一回とか、国家で経営される以上そういう監査が必要じゃないかということを申し上げたのであります。単にうわさのみを申し上げたのではございません。御了承願いたいと思います。
  34. 八田貞義

    ○八田委員 現実は医者の不正があばかれる場合は大がい患者と医療担当者を調べるわけですね。結局問題は記憶ということが根本になってくるのです。記憶は不確かなものだという考えを私は持っております。ですからその不確かな根拠の上において監査される。もしも食い違っておる場合はどっちか罰せられる。これは非常に問題であろうと考えております。そこでもう一つ鹿島先生にお伺いいたしたいのは、今度の審査機構の改正でございますが、もしもこの法律がこのまま通った場合に、審査機構というのはどのような変り方をしてくるか。このような変り方をするから、われわれは反対するのだという根拠があると思うのでございます。一体審査機構がどのように変ってくるか、一つお知らせ願いたいのです。
  35. 鹿島俊雄

    ○鹿島参考人 先ほど申し上げましたように今回の改正は、より抜本的なものを放置いたしまして糊塗的なことをやるから反対だということを申し上げたのです。なお今回の法律が通りますと医療協議会が設置せられ、一応審査員の任免等につきましても民主的にやられるということを言っておりますが、御承知のごとく現在の医療協議会の構成を見ましても、医療担当者の発言力は非常に少いのであります。結局われわれの意向も毎回完全に通っていると、申し上げかねるのでございます。しかも地方におきます医療協議会の実情を見ましても、監査の結果の審議の際にもいろいろトラブルが起るのであります。こういうことから見ましても、単に今回の改正が行われましても民主的に行われるとは考えません。むしろわれわれは支払基金が、その権限を強化いたしまして審査機関から監査機関に移行するきらいがある。しかも事務官僚が審査員に対して干渉を加えた事実が多いのでございます。従いまして、かような要素を含めた現在におきまして、この改正に反対であると申しておるのであります。現在のものが施行されまして、かりに額面通りに民主的な線が行われますればあるいはいいかもしれません。しかしながらそれは期待できないのでございます。それを申し上げたわけであります。
  36. 八田貞義

    ○八田委員 監査の問題として立ち入り検査の問題が重大な問題になっております。四十三条ノ十によって立ち入り検査ができる、こういうことが言われているわけです。そこで先生は、立ち入り検査ということはまことに医師の人格を侮辱するものであるというお考えを持っておられるのですが、四十三条ノ十で立ち入り検査ができるということになっているのを、どういう点をとれば立ち入り検査がされなくても済むのかどうか、現行法のままでいいのだという点が、私は非常に問題になってくると思うのです。もちろんこれは前の国会におきまして立ち入りという文句は削ってしまったのですが、四十三条ノ十で立ち入り検査ができるようになっているわけですが、どの点をとれば立ち入り検査をしなくても済むわけですか、その点を一つ御指示を願いたい。     〔八木(一男)委員長代理退席、野澤   委員長代理着席〕
  37. 鹿島俊雄

    ○鹿島参考人 非常に微妙な御質問でありますが、結局現在の法規を拡大解釈いたしますと相当大幅にわれわれに対して検査が行われることはわかっております。従いましてわれわれはこの際――はなはだ言い過ぎかもしれませんが、いわゆる官僚の統制力を強化するような方法を採用する以上、なかなかうまく参りません。そこで今後われわれ保険医に関します請求審査等に関しては自主性を与えてもらいたい。そうして民主的にやらない限り、いかに法律をいじりましても、拡大解釈によって官僚の各位がこれを行うということは想像にかたくない。また立ち入り検査をやられることにつきましては、担当者の方に検査あるいは調査を拒否をしておるということを前提として行われるものと思います。これはまた限界がむずかしいのでありまして、立ち入り検査権を主体としてのしかかってこられる場合をわれわれは想像するのでありまして、どういう線を引けばいいかということになりますと、私も法律的にはしろうとでありまして、明確にお答えができないのであります。先生のおっしゃられる御趣旨は、われわれとしては非常に善意にありがたく聞いているわけでございます。
  38. 八田貞義

    ○八田委員 時間がないそうですからもう一つだけ質問さしていただきます。先ほど鹿島先生は、今のような体たらくでは医療施設の改善さえできないんだとおっしゃった。さらに大岩きんは単価はこのままでいいんだ。しかしもっと医師の優遇策を講ずるべきである、こういうふうにおっしゃっておるわけなんです。ところがわれわれにはっきりしないことは、単価の問題とそれから点数の問題、これはやはり結びつけて考えていかなければならぬと思うのです。今日一件当りの点数のアン・バランスも相当あるわけなんです。たとえば東京の東大病院なんかでは一件当りの点数が百十一点から百八点、ところが私立大学病院におきましては七十点くらいでございますが、一般の開業医は五十点あるいは五十五点です。このように単価は据え置かれておっても点数の上においてアン・バランスがあるわけなんです。ここをわれわれは考えていかなければならぬと思うのです。そこで鹿島先生にお伺いしたいのは、一体今日個人立の歯科医療機関が多いとおっしゃっておるのでありまするが、どれくらいの収入をあげておるか。私は国民皆医療保険を進めていく場合に、医療担当者の生活の基本ベースと申しますか、これをはっきりしておかなければならぬと思うのです。これをこのまま行ったんではわれわれは生活ができないんだ。一体先生方として医療担当者の生活基本ベースというものをいかがにお考えになっておるか。この線だけは譲れないんだという基本ベースがあると思うのです。というのは、医療担当者には恩給という制度はございません。しかも勤務時間というものはございません。全く診療の報酬をもって生活しておるわけなんです。しかも見た患者からもらう報酬が二カ月後に手に入ってくるんです。そうしますと、結局は銀行から金を借りて生活をやっていかなければならぬ。こういう現状に追いやられておるわけです。そうしますと、一体われわれ医療担当者として今日どれくらいの生活基本ベースを持つのが正しいか、いわゆるボーダ一・ラインです。現状において一体ボーダー・ラインはどれくらいかということを一つお知らせ願いたいのです。
  39. 鹿島俊雄

    ○鹿島参考人 これは非常に微妙な、またむずかしい御質問で私も恐縮に存じております。私自身医療担当者といたしましても、どのくらいの収入の基準が妥当かということはわかりません。これは個人差がはなはだしいものであります。しかしながらここで申し上げたいことは、少くとも歯科医師、歯科医業というものは特別職であります。決してわれわれは特権階級ではございませんが、特別職である。このわれわれの職務の内容は少くとも生体、生命が対象であります。従いまして、この間の研さんあるいはわれわれの勉強、また心理的苦悩、負担ははかり知れないものがある。従いまして、医療の遂行のためには日進月歩の医療についていくだけの勉強をしなければならぬ、生活環境もおのずから他の業種と違って参ります。従いまして、あるいはある担当者は二十万円がベースかもわかりませんし、またある担当者は十五万円のものがあるかもしれません。従いまして、この点は明確にお答えできないのであります。しかしながらわれわれが現在単なる生活指数から割り出したもので参りますると、これは一応一般労務者からも比較いたしまして何割増しがいいのかというような極端な議論は出ますけれども、特別職であるわれわれ歯科医師というものの基本ベースは出ないと思います。しかし今のところ遺憾ながら歯科医師の現在の保険面におきまする収入平均は御承知の通りわずかに四万円ないし四万二、三千円であります。従いまして、これから来るものはやはり単価の非常に低いこと、また点数が普通の医師の皆さんに比較いたしまして非常に低いのであります。点数の平均値を見ましても大体三〇%低いのであります。従いまして、最も歯科医師の立場としてつらい点は、点数において非常にアン・バランスに追い込まれており、単価は二十六年以来据え置きである、しかも二十六年以来物価指数その他について上昇していないものは一つもないのであります。かようなところでわれわれの生活権が云々されておるが、その水準にもいっておらない。そこを特に体力をもって補っておるのであります。大体一日に十五、六時間稼働しなければならぬような悲惨な歯科医もありますが、どうかこの点もくみ取っていただきたい。ただ稼働時間と収入との比例から皆さんも割り切ってもらいませんと、現在歯科医師として非常に収入が多いものは少いのです。社会保険医療はスポーツであるというような冗談がわれわれの仲間に飛んでおるくらいでありまして、体力によってやっておるのであります。従って少くとも日進月歩の歯科医学に追いつくためにわれわれは研さんをし、勉強しなければならぬので、歯科医療の内容を向上させるためには実動時間四時間ないし五時間くらいでなければほんとうの医療はできないのであります。この線からまず割り出していかなければ適正なものは出ないと思います。御質問にはなはだお沿いできないのでありますが、果してどの程度のものがほんとうの基本報酬かということは、非常に個人差があるので申し上げるわけにはいきません。
  40. 八田貞義

    ○八田委員 その点鹿島先生からいろいろ非常に貴重なお話をいただきましてありがとうございました。ただ今日医療担当者の悩みは、患者には医者を選択する権限がございます。ところが医療担当者は患者を選択する権限がないのです。ここにいろいろと問題を蔵しておると思うのです。しかもまた今日の医療給付は物的給付でやっておるのです。これも将来考えていかなければならぬ問題でございます。そういうことをいろいろとお尋ねいたしたいのでありますが、ただこういうことを私聞いておるのです。今日一般の医師の所得は三万円くらいの人が五二%おるんだ。今日一般勤労世帯の月額収入の平均は三万六百四十二円くらいでございます。その四〇%下回ったのが生活保護基準となっておるわけですけれども、少くとも三万円くらいの収入の一般勤労世帯と同じような収入しか上げられない医療担当者が五二%から五三%くらいあるということでございます。さらにまた一万円くらいの収入しか上げられない人がやはり二〇%近くおる、こういう現実を聞いておるわけであります。この点先生から今後御調査していただきまして、医療担当者の実態をお知らせ願いたいと思います。  長いことありがとうございました。
  41. 野澤清人

    ○野澤委員長代理 堂森芳夫君。
  42. 堂森芳夫

    ○堂森委員 ただいま四人の参考人の方々からいろいろ御意見を述べられましたが、日本歯科医師会の鹿島さんを除いてはお三人方はこのたびの修正案に賛成である、こういう意見を述べられたようであります。特に大岩さんは一部負担は当然である、こういうふうなお話でございました。私は今日議論を戦わすためにここに立ったわけではございません。ただしかし私は果して政府管掌の健康保険の加入者が一部負担を支払うことが、あなたがおっしゃるようにきわめて軽い負担で済むかどうかということは慎重に考える必要があると思うのであります。たとえば政府管掌の被保険者の平均賃金は一万二千円くらいと言われております。それが疾病にかかって入院いたします。そうしますと傷病手当で、これは六割になりますから七千円くらいになる。そして、今度の改正案では三月間ですが、三月間は毎日三十円ずつ支払う、九百円になります。そうすると七千円何がしかの手当をもらって、千円ほどをさらに支払っていく。そうすると六千円何がしかになります。主人が入院をすれば家族にいろいろな雑費がふえるということは当然であります。あなたは社長さんでございますから、労働者のことは、皮肉ではなしに、あるいはそう答えられないかもしれませんけれども、一万二千円くらいの平均賃金である労働者にとって、果してこれが当りまえの負担であると言い切れるかどうかということは、私は問題であろうと思うのであります。参考人の方に議論をふっかけても始まらぬと思いますし、当然いたしません。私はこの改正案に反対の立場をとっておるものでありますから申すわけではありませんが、特に政府管掌に加入しておる被保険者は、別して賃金の安い人たちが多い、これは御承知の通りでありまして、私はそういう意味でこの一部負旧というものは決して軽いものではないと思うわけであります。従って賛成である、こうおっしゃいましたが、ほんとうにそのようにお考えでござい吏しょうか、失礼でございますが……。
  43. 大岩勇

    ○大岩参考人 お答えいたします。今先生からの御質問は、入院患者のことだけお考えのようでありますが、入院のできない自宅療養している者に対して、政府が米代なり何なりを支給しておられるなら、私はこの際そういう負担をかけるということは反対ですが、入院患者は現在までは完全給食を受けておるわけであります。うちにおります者は、自分の費用で食事をとったり、栄養価値のあるものを買って食べなければならない。入院しておる者は一文もかからずに食べていかれる。その証拠に、聞いてみますと、結核患者で三年以上も入っております者が、なおっても、医者が退院しろと言ってもどうしても出ない。二年も三年も病院に入っている関係上、外に出てもすぐに仕事が手につかない。そして入院しておれば飯はただ食っていられるというような話も私耳にしておる関係上――入院患者がこの際一日三十円の負担を三カ月間やると、二千何百円になります。それと自宅療養している患者で、入院したくとも入院ができないというような結核患者も一方に相当あると思います。そういう者には何ら給食の処置もなければ、手当もない。単に傷病手当金だけもらっているだけである。それの不公平を公平にするために、私は三十円を三カ月くらいは払ってもいいじゃないかという考えのもとに申し上げたわけであります。     〔野澤委員長代理退席、藤本委員長着席〕
  44. 堂森芳夫

    ○堂森委員 私は議論をするためではございませんから、それはそれといたします。いろいろ私申し上げたいことがありますが、よします。  次に、指定の問題並びに監査の問題について、大体鹿島さん以外は当然である、こういうふうな御発言であったように私拝承しました。なるほど医師の中に不正をやる人もあるかもしれません。しかし従来健康保険の歴史を見ますると、御承知のように昭和二年に発足しまして、約三十年間健康保険というものが発達してきたわけであります。そして健康保険が発達してきた歴史を振り返りますると、医療担当者である医師あるいは歯科医師が非常な協力をしたということは否定し得ないところだと思うのであります。もし医療担当者である医師、歯科医師の協力がなかったならば、これは円満な発達はできなかった。いかなる社会におきましても不正な人があり得るということはやむを得ないことである。神様や仏様の住んでおるしゃばならそれはいいでしょう。しかしいかなる社会におきましても不正がないということはあり得ないことであろうと思う。そこで医療担当者である医師という立場あるいは歯科医師という立場からこれを考えますと、あたかも初めから悪いことをするのが医者である、あるいは歯科医師である、こういう立場で取り扱われるのだという印象を医療担当者は今度の法律案から受けておられると思うのです。そういうふうなことを考えますと、そう簡単に今度の改正案の医師あるいは歯科医師に対する指定といいますか、あるいは監査といいますか、そういう方面の規定には納得しがたいものがあると私は思います。たとえばこれは私がたまたま経験したことですが、数日前も年をとった六十幾つになったまじめそうな老紳士が、七時半ごろ私のうちをたずねてこられました。そうして健康保険の改正案が今国会を通りそうになっておる。私は腹が立って夜眠れない。私は大学を出てまじめな開業医としてやってきた。ところが今度の法律案を見ると、全くわれわれを罪人か何かのように、初めから悪いことをするような先入観を持って遇するような内容である。もうばからしくて患者を見る気もしない。こういう気持になることがありますので、何とかしてこの法律案が通らぬように一つ御努力を願いたい、こういうわけであります。しかし私は、長い間医者をしてきた老医がそういう気持になることも、これは笑えない事実ではないかと思うのです。従ってさっきもお三人の方々は、これはまことにけっこうな法案であるというような御発言ですが、私は、あまりに医師というものに対してプライドを傷つけるような法案ではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、それでもこれは当然の処置であるとお考えになりましょうか、お三人から一つ御答弁を願いたいと思います。
  45. 大岩勇

    ○大岩参考人 そういうこまかい点まで私どもは考えておりませんが、お医者さんを罪人扱いにする考えは毛頭ありません。それにお医者さんのうちの監査というものは――お役所の方は各官庁とも会計検査院から一年にきまって監査されるごとく、厚生省におかれましても、先生方の意思をよく尊重して、罪人扱いにするようなことなく、そういったような悪いことを摘発するという意味でなくて、健康保険法によって正しくやっておられるか、それを見て、不備な点は教えていただくというような考え方で監査をやってもらいたく私は希望しておるわけであります。お医者さんが悪いことをしておるのではないか、お前のところ帳面からカルテからみな見せろというような、非常に悪質な監査は私は賛成いたしません。よく先生方の納得を得られて、そうして厚生省でもそういうふうに監査をするという意味をよく各医療担当者の方に納得してもらって、その上にこの法案通りの実施をしていただきたいと思うのが、私の申し上げた考えであります。
  46. 可児重一

    ○可児参考人 一応賛成はしますが、条件付でありまして、無条件で賛成を申し上げたわけではありません。その条件といたしましては、この改正と並行して一点単価の値上げ、診療費体系の完成、実施、そういう条件をつけて賛成を申し上げたわけであります。  それから指定の問題についても、これは時間がありませんでしたからこまかく申し上げませんでしたが、全面的に賛成ということではありません。歯科医師の代表の方が申されましたように、私どもも、薬剤師自身が開局をいたしております薬局に対しては、従来通りがよろしいと思います。ただ薬局におきましては、しろうとが薬剤師を雇い、管理人として開局いたしておるものがあります。これは機関指定にしていただいた方がよろしいという考えを持っております。なぜかと言いますと、しろうとの人でありますから、管理者が薬剤師に対していろいろ無理を言われるが、雇われておるがために雇い主の言いなりになる。そのために間違いを起したというような場合にも、保険薬剤師だけがその責任を負うて指定を取り消される。しかしそれを経営しておる人はほかのものを雇って相変らずやっていくというようなこともあるのでありまして、しろうとの人が薬剤師を雇い開局しておる薬剤師に対しましては、今申し上げましたような理由で機関指定があってよろしいという考えを持っております。  それから監査の強化ということにつきましても、これは一般患者それから国民の立場から言えば、反対すべき理由はないと思います。なお良心的な医療担当者であれば、何をやられてもかまわないということも言える。これは運営の面において注意すべきだという考えを持っております。先ほど来お話が出ております運営の面において官僚統制になるというようなことは、われわれも避けたいという考えを持っておる次第であります。
  47. 堂森芳夫

    ○堂森委員 もうあと時間がございませんから、鹿島さんにもし御答弁願えるならば御答弁願いたいと思います。と申しますのは、さっきの御発言中に、もしこのようなわれわれにとっては耐えられない法律が実施されるならば重大なる決意を持つのである、こういう御発言があったと思うのであります。重大なる決意とはどういうお気持、あるいはどういうことであるかということを、それは言えないというならそれでもけっこうでございますが、御答弁願えるならばお話を願いたい、こう思うのです。
  48. 鹿島俊雄

    ○鹿島参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。われわれは先ほどの八田議員の御質問の中で、もしこの法案が通った場合どうするかというような御質問でありまするのでわれわれはその決意を表明したわけであります。あくまでも今日国会の御良識ある判定を日本歯科医師会は期待いたしまして、あくまでも陳情を申し上げる気持を持っております。しかしながらわれわれのこの陳情、要望に対しまして、一顧だに値しないで捨て去られるということになりますれば、われわれ医療担当者として当然決意すべきで、医療担当者の完全な協力なくして医療保険は実施できないということを申し上げるとともに、当然重大決意を有せざるを得ないのであります。少くとも一方的にわれわれの立場は規制せられ続けております。単価を初めあらゆる角度から規制されております。今日反対しておりまするこれらの法案につきましても、これがかりに廃案になりましても、われわれは何ら利益を得ることはございません。単に現状を維持するにとどまっております。かようなわれわれの切実な気持をおくみとりいただかぬで、しかもわれわれの気持を一方的に全然おくみとりにならぬということになりますれば、われわれといたしましては適切なる決意をせざるを得ないのであります。従いまして、このことは日本歯科医師会代議員会では適切に判定いたすことになります。執行部といたしまして、現在率直に申し上げますわけには参りません。しかし会長は少くとも良識ある判定をなしたもとに代議員会に臨むものと考えております。これ以上申し上げかねますので御了承願います。
  49. 堂森芳夫

    ○堂森委員 けっこうです。
  50. 藤本捨助

    ○藤本委員長 滝井君。
  51. 滝井義高

    ○滝井委員 時間の関係がございますので、ごく簡単に一、二点お伺いいたしたいのですが、それは牛尾さんや大岩さんに主としてお答えを願いたいと思いますが、日本の法律の中で、今度の健康保険法のような、手も足もくびってしまって身動きもならぬように日本の国民をしておる法律があるかどうかということなんです。実は私は寡聞にしてこういう法律を見たことはありません。あなた方が今までいろいろ社会生活を長年おやりになった上で、まあ医者とか歯科医師というのは公務自由業だと思います。公務自由業の中で弁護士、計理士、司法書士、こういういろいろ公けの仕事に携わっておる人がおります。そういう人たちが大体これと同じような法律的な拘束を受けておるかどうかということなんですね。私は実は寡聞にしてないが、何かそういうものがあれば、こういうところがあるのだということがあればお教え願いたいと思うんですが。
  52. 牛尾栄次

    ○牛尾参考人 法律を知っておりますから答えるのではありませんで、詳しくは知りませんが、ただこの医療保険というものは非常に公的な性格を持っておりますので、その仕事に携わられる方につきましては、職業柄、私どももはなはだ煩瑣であり、お気の毒だとは存じます。水道とかガスとかいろいろな公益事業がありますけれども、これほど多数の患者を扱い多数のことをやられますめんどうなことはなかろうと存じます。そのほかの法律は存じませんが、しかし人の生命を預かるこういう公的なことでありますから、いわゆる健康保険の改正に対しまして理屈抜きで協力しようという線で、その面では協力願わねばならぬと思います。監査の面につきましては、事業主にもあろうと思います。被保険者にもあろうと思います。全般のことでありますから、医療機関につきましてもその点で御協力願わねばいかぬと思います。なお診療機関につきましては、そういうことでありますから、税法上その他につきましては特別な性格と保護を与えねばならぬということは、社会保険審議会でもみな一致した点であります。この法律案は存じませんが、私どもはそういう気持をもって考えております。はなはだ窮屈ではあろうと思いますが、今言いましたように、被保険者、事業主から八億の金を、しかも多数の者、どちらかといいますれば少し水準の低い被保険者、患者を扱っておるのでありますから、こういう点につきましてほんとうに円満な御理解を願って、御協力を願わなければならぬと存じます。
  53. 滝井義高

    ○滝井委員 医師は公的な性格を持っておるから、窮屈であろうけれどもがまんをしていただきたいというのが結論のようでございます。実はこの健康保険法の一部を改正する法律では、私たちは悪法との関係を見てみると、犯罪人よりか待遇が悪いのですね。まず犯罪人でも、現行犯である以外は逮捕してはいかぬことになっておる。逮捕しようとするならば、あるいは家宅に入っていこうというならば、やはり入っていくことをぴしゃっと明示した逮捕状というものを持っていかなければ家の中に入ることはできないのですね。しかもこの憲法三十五条では侵入、捜索、押収に対しては保障が与えられておるのです。「正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状」が必要なんです。ところがこの保険医療機関の中に役人が入っていくときにはそんなことはない。夜であろうと夜中であろうといつでもいいんです。しかも明示をするものは、何を提示せよということは何もない。何でも行ってやることができる。そして質問を発して黙って答えなければ――これは犯人でも黙秘権があるんです。黙って答えなければぴしゃり、医療機関やめですよ。犯罪人さえも、憲法の規定で保障されておるものを、人間の大事な生命を預かる公的な性格を持っておる医者、歯科医師あるいは薬剤師諸君が保障されていないのですよ。こんなばかなことはない。だから私は先日局長に言った。役人がもし国会に出て、不正なあるいは虚偽な答弁をしたらその役人は首にするという条文を国家公務員法に入れることができるかというんです。そういう法律は日本では通りませんよ。ところがこれが二十世紀の後半に白昼堂々と絶対多数の自民党によって強行されようとしている、こんなばかなことはないと思う。しかも憲法では家宅捜査に行く場合でも、令状を明示しなければならぬ、どういう物件をお出しなさいと明示をしておかなければならぬ。ところが医療機関はそうではない。いつでも入っていける、どういうものでも診療所のものなら検査することができる。こういうばかなことを日本の九千万の国民の中の十万人ばかりの療養担当者だけがなぜ受けなければならぬかということなんです。たとえば今税が問題になっております。われわれが申告をやりますね。あの税の申告というのはけしからぬ、こういう意見がおととい大蔵委員会で問題になりました。池田大蔵大臣も確かにあれはいけません、あなたの税は何ぼでございますということを上から天下り的に言っていくことは確かにいけませんから、あれは検討して一つ直すようにいたしましょう。こういうような世の中になってきている。これは民主主義の世の中だからです。公的な医療機関は――公的な医療機関の中でも特に牛尾さんなんかの関係の健康保険組合というのはほとんど関係ないのですよ。おもに対象になるのは何かというと、開業医なんです。開業医だけがなぜ憲法の保障するこういう犯罪人以下のものに扱われなければならぬかということなんです。お二方賛成だとおっしゃったのですが、私そこらあたりが聞きたいのです。たとえば今の日本で、どんな企業だって公的な性格を持っております。大岩さんの土木建築業だって、これは公的な性格を持っております。土建業者のてんぷら工事なんていうのは相当私どもの方でもありますがね。しかしそれをやったからといって、土建業をばさっと全部やめさせてしまうことになっておるかというと、なっていない。機関の指定や登録を取り消されたら、皆保険のもとにおいては医者はやめるほかないです。そういう法律をなぜ医療機関だけやらなければならないか。医療機関が公的な性格を持っているから必要だというならば、じゃ公的な限界というのはどこに引くかということなんです。公的なものといえば、今言ったように、電気、ガス、国家公務員みんな医者以上に公的なものです。特に税を取り立てる徴税吏員なんか、あるいは警察吏員というものは、もっと公的な性格を持っている。汚職の双壁である自衛隊もそうですが、こういうものを一体どうするかということです。こういう法安を作るならば、当然それらのものも対等に自民党は一体やり切れるかということです。大企業の電力やそういうものもやり切れるか、あるいは製薬企業にもやり切れるか。やはり法律というものは、国会が作るときには、万民に共通に法の益を潤し、法の重みをかけなければならぬと思うのです。こういう点、憲法のことを言いましたが、お二人の御意見を伺いたいと思います。
  54. 大岩勇

    ○大岩参考人 今先生から大へんきびしい家宅侵入罪とかなんとかいうようなお話もありましたが、私は法律のことはよくわかりません。自民党の方で提案されて、社会党の先生方が反対されるということもあり得るのでありまして、私の意見としましては、現在までの政府管掌の健康保険の運営の状態を見まして、この程度なら賛成するという意味でお話し申し上げたので、私のそれは個人的な意見でありますので、先生たちと対等に議論を申し上げる力は私はありません。ただこの保険を見まして是なりと信じましたがゆえに、私はこれに賛成したわけであります。御了承願います。
  55. 滝井義高

    ○滝井委員 どうも物事を単に表面的に見て賛成だということは早計だと思うのですやはり一つの法律案が出れば、これは九千万の国民を拘束してしまう。従って当然国の基本法である憲法との関連を考えてやらなければならぬと思うのです。この法案には、入っていっても、それは家宅捜索じゃありませんと言っているが、それは語るに落ちる言葉であって、実を言うと、家宅捜索と同じ程度のことをやるから、家宅捜索でないと書いてある。だから私はこの法案はいわば開業医弾圧法だと言っている。この法案を作った人は、昔警察の経験のある人が作ったんじゃないかと私は言ったことがあるんです。実はそれほどこれはいわゆる国家権力を背景にしたファッショ的な色彩が強い。そういう点が非常に問題があるということ。  従って第二に問題になることは、そういうファッショ的な権力が強いものであるがために、権力の前には非常に弱いものにこれはなってきておるわけです。どうしてかというと、たとえば大企業が経営をしておる健康保険組合と申しますか、こういうものには一指も触れ得ない。それは医療機関じゃない、あるいは保険者が指定をするものは医療機関でなくなっている。そうしますと、まず第一に問題になるのは、大学病院が問題になる、あるいは国立病院が問題になってくる。さいぜん八田君も申されましたが、四十三条がこの法案の一番の山です、しかも盲点になっておる。政府の答弁によりますと、大学病院も今後一号、いわゆる知事の指定するものになりますと言っておる。そうしますと、大学病院が不正をするとします。すると、厚生省の一保険局長は、これは身分が二つあります。保険者の身分と健康保険を監督する監督者の身分と二重性格者である。出ては保険者となり、入っては監督者である。大臣の命令をもって保険局長となり、まず保険局長の立場で文部大臣の所管する――かりに東京大学病院としますと、大学病院に不正があった場合に、一体この指定を取り消すことができるかどうかということです。これは取り消し得ませんと大体言っております。そうしますと、これを取り消し得るところは一体どこか、なぜ大学病院は取り消し得ないかということ。これは非常に公的な性格を持っておって、多くの患者をかかえておるので、これを取り消せば患者が迷惑するから取り消し得ません、こう言っている。そうしますと、先般スト規制法でこういうことがあったんです。大手筋の炭鉱で保安要員を引き揚げることは公共の福祉に反する、だからいけません、こうなった。それならば山の奥の二人か三人しか使っていない炭鉱で保安要員を引き揚げたら、公共の福祉に反しないかと言ったら、これも公共の福祉に反するからいけません、こうなったら。その論理からいたしますと、大学病院が違反をやった場合に、取り消しができないとするならば、とうふ屋に三里、薬店に五里というような山の奥の三軒家を担当している医者であっても、もしそれを取り消すならば、患者に御迷惑を及ぼすことには変りはない。ただ人数が多いか少いかで、公共の福祉に反することには変りはない。そうすると、この法律というものは、まず第一に大学病院を取り消すことができないような法律なのです。しかもその大学病院を取り消すことのできる条件も入っているのにできない、こういう矛盾を含んでおります。しかも牛尾さんたちの健康保険組合の管掌する病院はノー・タッチです、治外法権です。こういう法律の立て方があり得るかどうかということです。実はそういうことがあるので、そう簡単に賛成してもらったら困るというのはそこなんです。私の言いたいのはそこなんです。国立病院はこれは同じ厚生省の中の事務局の所管でございます。そうすると保険局長が国立病院の保険を取り扱うがゆえに、国立病院も責任を追及してぴたっと保険診療を停止きせます。そうするとその責任はだれにいくかというと医務局長に参ります。医務局長の責任は厚生大臣の責任にいくのです。従って厚生大臣は自分の首を自分ではねることになるのです。すなわち監督者と保険を運営する者とが一体であるところに矛盾が出てきておるのです。いわゆる監督の立場にある者が同時に健康保険の保険者になっておる。監督と運営が分離してないところにこういう問題が起る。あるいは他の文部大臣が、じゃ大学病院が違反をしたからといって停止をすることができるかどうかということなのですが、できない。そういうできないことを法律は書いておる。そうするとそういう場合にできるのはどこかというと零細な開業医がやられるだけである、こういうことなのです。これがこの法律です。だからいわばこの法律は開業医撲滅法です。  そこでもう一つ牛尾さんにお尋ねしたい点は、日経連の方では、賃金の較差がだんだん広がってきている、だからあなたの方の賃金に関するいろいろの論文を読んでみましても縮めなければならぬということを御主張になっております。そうするとあなたの方の管掌である健康保険組合は、この法案の取扱い方では附加給付のあります一部負担をすることは例外になっております。ところが五人以上の零細な事業場においては初診の際に百円相当額負担することが原則になっちゃったわけです。賃金の較差が今でさえも激しいのに、しかも現実のように景気がだんだん神武景気になりますとますますこの較差が激しくなっておるのに、零細企業から百円を取り、入院は三十円を取ることは、これは賃金の較差を実質的にますます広げることを意味するのです。日経連の本来の主張とは相反した政策を自民党が打ち出しておることになる。こういう点どうお考えになるかということです。一部負担をやらせるということはますます賃金の較差を拡大するのです。しかも初診に一部負担をさせることは一番頻度の高い――初診ほど受診で頻度の高いところはないのです。その一番頻度の高い初診にかけるのですから、従って賃金の較差というものはますます広がっていくという形になる。これを五人以上の事業場の標準賃金は一万二千円、大企業の健康保険組合の標準報酬は一万七千円、一カ月に五千円違うから年間六万円違うのです。こういう実態を、私たちは全般的な日本の国民大衆の生活水準を上げるためにも、較差を縮めるためにも、組合管掌はそういう場合に一部負担は例外でございますから、従ってこれをまずレベルを上げてやることが先決だと思うのです。こういう点どうお考えになるか。ますます賃金の較差を拡大することになります。これを防ぐ何かいい方法があるかどうかということです。
  56. 牛尾栄次

    ○牛尾参考人 お答えいたします。健康保険組合が一部負担をこの法律が通ったときに実行するかせぬかということは、多数の健康保険組合は一部負担は一応実施すると思います。そうして財源に余裕ができてきますれば附加給付の面あるいは被扶養者に対する附加給付の面でこれに恩典を与えると思います。それから中小企業の賃金較差については御説の通りでありまして、今日本の一番大きな問題であろうと思います。それがこの一部負担だけでその問題が解決できるものでもないと思いますが、今一部負担、ことに初診料百円のことについて問題があるのはごもっとものことであります。医療保障につきまして、一部負担をするということは、私どもが従来考えております線は、現在の方法でありますれば、一例をとりますとわれわれが弁護士先生にものを委嘱するにいたしましても、やはりよい先生を選択するし、自分の負担する費用の限界も考えると思います。日常の買物についてもそうだと思いますが、もし患者にお医者さんの選択をさせますれば、ヨーロッパでやっておりますように療養費を払いましてあとから実費のあるいは七割か八一割を払い戻してもらえる方法を講じますれば、それに払いました金額につきましては患者も認めておりますし、これは一番間違いないのでありますが、とても社会保険ではそういう療養費払いはできませんので、現在のような現物給付、これもやむを得ぬと思います。せめて一部負担で医者の選択を患者にさせるということもこれは一つの方法だろうと思います。もう一つ、なるほど被保険者でありますから何もかにも全部無料でとか、全部保険でおんぶするということについては少し考え方が過ぎるのであります。俗事にたとえますが、入浴料、入場料、電車賃、すべてみな自分が利用する前に払うじゃありませんか。あるいは映画なんかは内容を見ぬ先に払うじゃありませんか。こういうことにたとえるのはいけませんが、せめて自分の大事な生命にかかわる病気を診断してもらうその先生に、法律にかかわらず医療費のほかにどうしてそのお礼の気持が出ないかということを考える。今回五十円負担するのでありますが、どうしてそれができないかと考えるのであります。私は一部負担というものは将来とも制度としてありたい。といいますことは今後国民保険あるいは皆保険でやりますときに、どうしましても国民は百パーセント国の恩典を受けることは不可能と思います。七割か八割のものは国が負担いたしましても、あと一割か二割のものはどうしても負担しなければならないと思います。これは国民全体から考えますればどうしてもその程度のものは負担していただくことが至当ではないかと考えます。中小企業の賃金問題については私の答弁の限りではありませんが、日本の大きな問題であることを申し上げておきます。これは直していただかなければならないのであります。
  57. 滝井義高

    ○滝井委員 牛尾さん、一部負担が今五十円あるわけなのです。そうするとそれを百円に上げても財政効果はまるまる取って十二億です。今五十円でどうして悪いか、これでけっこうなのです。しかも家族が負担しなければならない。労働者の家族は半額負担しているのです。だから社会保険というものを考える場合に、本人だけを考えちゃいけない。労働者とその家族によって家計というものは成り立っている。家族が半額負担しているのですから、その上にさらにまた本人に百円とか、入院料を負担させる必要はないのです。日本の経済がそれをまかなえないならこれは負担してもらいます。ところが三十一年度でも一千億円の自然増がある。来年度は二千億の自然増です。しかも学者によれば、来年は二千五百億の自然増になると慶応大学の高木教授なんかは言っておる。そうすると政府は税制で芸者の花代はまけてやりました。マージャン・パイもまけてやりました。ゴルフもまけてやったのです。こういう大金持のやるような、そういうところのものは至れり尽せりで税金をまけてやって、何で十二億の金が出ないかということなのです。社会保険を健全化するというその声の中に十二億大衆に負担させなければ日本の社会保険が健全化できないということは断じてあり得ない。十二億なんかは自衛隊の汚職をちょっと倹約すれば出るじゃありませんか。だから十二億くらいは出ないとはいわせない。だから今の政府管掌なり組合管掌に含まれておる全家族と、その被保険者が、全部が初診料だけの百円の負担で、あとは何も要らないというなら、これは私は百円よろしい、二百円よろしいといいます。ところがそうじゃないのです。現実に五十円は負担をし、家族は半額負担しているのです。これから現状で十二億をあげなければ日本の社会保険がつぶれるということなら賛成であります。しかし国の財源というものは余裕がある。十二億くらいはこれにゆうゆうと回せるじゃないか。しかも現実に、赤字は六十七億だと政府は言っておりましたが、それが四十七億に減り、現在三十六億に減ってしまった。政府が当初に言った赤字より半分になった。おそらく年度末になると赤字はもっと減ります。そういう事態なんです。だから私はこれはやめるべきだと思うのです。そういう点で、どうもそこらあたり、私はこだわる必要はないと思うのですが、牛尾さんなんかも、一部負担はやはりやめる――五十円はいいのです、現状はいいのだから、現状より上げることは賃金の較差もそれによってなお広くなることもあるのだからやめるべきだという主張を私はできると思うですが、そういう点どうですか。
  58. 牛尾栄次

    ○牛尾参考人 私の団体の意見を代表して申し上げます。一部負担にこだわる意味ではございませんが、赤字対策として一部負担を考えたものではございません。被扶養者は現在半額負担をしておるのであります。国民健康保険の被保険者も半額負担しておるのであります。健康保険は現在五十円の初診料を負担しております。入院の三月未満は先刻大岩さんが言われました通りで、これは在宅患者との権衡もありますが、一部負担を根本的な制度として考えねばならぬと言われましたことは、国民全体の視野から見ましても、自分の家族でも半額負担しておる。これは家族の半額ということはないのであります。確かに私ども考えましたことは、被保険者本人には気の毒でありますが、社会保険前進のために、この際一部負担制度をしいて、これは負担に耐え得る範囲の、なるべく軽いものにして、また徴収するときにも、理の通ったことにして負担をやってもらう。初診のときに五十円増加すること、これは今おっしゃいましたように金額ではごくわずかなものでありますが、考え方は、私どもはこれから医療保険を全国民に及ぼすときに、とても今の保険経済で国からの補助とか負担とかいっても限度がある。個人の納める保険料にもおのずから制限がありましょうが、その人たちがとにかく何もかも全部保険におんぶするということについては、これは言うべくしてできないことだと思いますので、この際制度としてやはり負担をしていただくことがやむを得ぬことであろうと思うので、決して赤字対策の問題ではありません。こうして自分が最初に診察していただきます先生を自分で選択するということも、一ついい方法じゃないかと考えるのであります。
  59. 滝井義高

    ○滝井委員 そこらあたりはどうも議論が並行するようでございますが、国民皆保険の御意見も出ましたが、五人未満の被用者は一体どうすればいいとお考えになりますか。実はきょうお手元には社会党の案もお配りして意見を伺うことになっております。社会党は五人未満を入れることにいたしておるわけですが、この点あなた方日経連なり、中小企業の事業主を代表されて出ていただいております大岩さん、どういうお考えを持っておられるのか。五人未満は健康保険でやられるのか、第二種保険でやられるのか、それとも国民保険に入れてしまうのか、そこらあたりの御見解を一つお伺いしておきたい。
  60. 牛尾栄次

    ○牛尾参考人 社会保険を審議しますときに、五人未満のものを決して軽視はいたしておりません。これは最も救うべき対象であります。しかし現状の把握に非常に困難がありますのと、これを一挙に健康保険に入れるにしましても、なかなかそこに縁遠いものがありますので、一番考えられますことは、やはり地域とか、あるいは各業種別とか、なるべく社会保険の思想を普及きせ、あるいは指導教育しまして、そこで自主的な、何か小さい単位を作って、結局保険の恩典を受けしめるように指導しなければならない。これには政府が指導しなければいけないのです。一体五人以上を救って、三人とか四人とかを救わないということは法からいっても不合理なのであります。それは救わなければなりませんが、救う方法として、一挙に持っていくことができないと思いますので、東京なんかに例があると思いますが、ある一つの業種だけの組合を作りまして、やっております。いずれにいたしましても保険料を醵出しまして、保険の経済の中で広く被保険者を救う道を講じなければならぬと思います。
  61. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、ちょっと具体策というものはないのですね。実は政府は来年から失業保険を五人未満にやるという言明があったのです。そうしますと、五人未満の事業場が失業保険に入った場合に、これらの労働者諸君を健康保険に入れないという法はない。政府は失業保険をやるということを、労働大臣が予算委員会でも当委員会でも言明しているのですが、こうなりますと、健康保険に入れざるを得ないことになると思うのですが、そういう問題について、これは大岩さんから伺いたいと思います。
  62. 大岩勇

    ○大岩参考人 先生の発案を拝見しまして、これは大へんけっこうとは思っております。私はこれに賛成はいたします。しかし現在の五人以上の事業場でいまだに社会保険に入らないものが相当あるわけです。そういう点から見まして、先生のこの案は大へんけっこうで、四分の二か幾らか事業主が負担するということで、私ども双手をあげて賛成したいのでありますが、現在の五人以上ですら事業主が半額負担のために社会保険に入ってないのが相当あるわけです。私はこれは非常に遺憾であるので、出張所長さんなんかにも、よく調査して、これは強制的に入る法案なんだから入れたらどうかと言っていますが、いまだに入らないところが相当ありますので、五人未満の事業場が果して先生の御意思に満幅の賛成をもって入るかどうかということは、非常に疑念を持つものであります。ただ先生の御意見には反対はいたしませんで、賛成いたしますが、これの収拾には非常に政府の方でも困難なことじゃないか、こう思うわけであります。
  63. 滝井義高

    ○滝井委員 実は大岩さんが言われるように、行政管理庁の調査によれば、五人以上の事業場でも、五割以上は入っていないのです。これはいずれこの委員会で行政管理庁を呼んでやるつもりですが、そうしますと、この法律は強制設立の建前になっているのですね。ところが入らぬものは野放しにして、政府はこれをつかまえて罰することもどうすることもできないのですね。だから健康保険は、医療担当者はめちゃくちゃに請求して、ざる法案だというけれども、そういう大事なところはざるになっているのですね。入れる方は入れてない。行政管理庁の報告では五人以上で五割以上入ってないということです。そういう点があるので、実は五人未満は、私たちは、現在の半額、事業主が負担する保険料のまた半額を負担していただいて、半額を国が持つ、こういう法律の建て方をしているのです。そういう入らない人が五人以上でも多いのだから、これを政府が強制的にやり切れない。なぜやり切れないかというと、やれば国の金をうんと出さなければならぬからやり切れない。あるいは国民の皆保険を唱えながらも、この国民健康保険の強制設立をやり切れない。口で皆保険を唱えておるけれども、全く自民党には現在案はありません。何も科学的根拠がないということが予算委員会でわかってきました。そういうのが実体です。そういう実体の上に立っている政府の施策の上にこういう医療機関だけを強制してやろうというのは何か意図がある。どういう意図でこれをやるかわかりません。これはなおいろいろありますけれどもやめます。  最後に薬剤師協会の可児先生にお尋ねしたいのですが、薬剤師協会の方では、これは一点単価、あるいは医療費体系というものが並行して実行される姿にないから反対だという意味の御発言があったと思うのですが、どうもそこらの態度は私どもにははっきりしなかったのでお尋ねしたいと思うのですが、今の客観情勢は単価を改訂する情勢にはないことは明らかです。神田厚生大臣は来年度はやりますと言っているが、全然その財源はありません。今のところ財源の見通しについては何らの言明がありません。大蔵当局についても大体同様でございます。それから点数の改訂もこれは五里霧中です。いわゆる新医療費体系と申しますか、これも今の段階では五里霧中です。従ってこういう段階で薬剤師協会は全面的に出ておる健康保険法に反対をするのか、それとも何かうやむやのような態度でお行きになるつもりなのか、これは大事なところなんで、薬剤師協会は、私たちはこの前のいろいろの参考意見等をお聞きしたときに賛成の御意見のような工合に承わっておったんです。これはいろいろ総合的な条件がそろわなければ反対だということを言っておったのですが、今の情勢は、今申しますように、単価もそれから新医療費体系も見通しがつかないという情勢なんです。すでに与党の諸君はあした質疑を打ち切って、その翌日か翌々日に上げてくれ、こういうことなんです。今いよいよ最後の関頭に立っておるわけです。最後の関頭に立ったときにこの原案に対して薬剤師協会はいかなる態度をおとりになるか。いろいろ例外はありますが、医師、歯科医師、薬剤師、この三者が経営するものが原則として保険医療機関に入ることになっておるわけです。従ってこういう段階でございますので、薬剤師協会のいろいろな条件でなくて、明白な御態度を御表明願いたいと思うのです。
  64. 可児重一

    ○可児参考人 初めに申し上げました通り、私どもは一点単価の値上げ、新医療費体系の完成実施ということを初めから条件に分業そのほか暫定的に賛成したものでありまして、この点は強く各方面に御要望申し上げるつもりでおります。医師会の方、歯科医師会の方のお立場からしても、一点単価の値上げということは要求されておりますので、これら医療担当者が打って一丸となって国会議員の各位にも御理解願えば何とかなるんじゃないか、こう思う次第であります。なお、もしそれがすぐ通らない場合も、われわれ公的の医療機関に携わる医療担当者といたしまして、ある程度の生活のできますような財政的の措置を、税の面なり何かにおいて政府は考慮すべきだと考えております。
  65. 滝井義高

    ○滝井委員 私のお尋ねしたいのは、現在衆議院通過を目前にしておるこの法律案について薬剤師協会は賛成なのか、反対なのかということをお聞きしておるわけなんです。
  66. 可児重一

    ○可児参考人 初めに申し上げました通り、条件付の賛成であります。
  67. 滝井義高

    ○滝井委員 現在あなたは単価の問題なり医療費体系が並行審議されていないからということであった。現在並行審議をされていないわけです。これ一つだけなんですよ。今もう単価の見通しもつきません。いつ単価を上げてくれるということもないわけです。そこでこの際薬剤師協会は現在通ろうとしておるこの法案だけについてはどうかということです。将来ずっと先になればそういう問題が出てくると思うのですが、少くとも今の段階、三十二年度の予算の審議の過程には、単価の問題もそれから医療費体系も問題にならない。これだけが通ろうとしておる。そのときにこれは賛成か、反対か、こういうことなんです。
  68. 可児重一

    ○可児参考人 条件付で一応賛成を申し上げたので、条件がかなわなければ残念ながら反対すべきだと思います。
  69. 滝井義高

    ○滝井委員 わかりました。
  70. 藤本捨助

    ○藤本委員長 八木一男君。
  71. 八木一男

    ○八木(一男)委員 時間がございませんので、ごく簡潔に要点だけ伺いたいと存じます。参考人の方々は政府提出案のほかに社会党提出案をお読み下さったと思います。それにつきまして、大岩さんから先ほど一部御意見の御発表がございましたけれども、牛尾さん、鹿島さん、可児さんからはっきり伺っておりませんので、この社会党案についてどうお考えか、一応伺いたいと思います。
  72. 牛尾栄次

    ○牛尾参考人 社会党から出ておりますもので国が百分の二十負担することについてはこれまで主張したことと同様であります。五人未満のことについては、これが適用できますれば反対するものではございませんが、しかしこの法律を変えまして――まあ適用するか適用しないかにつきましては厚生当局の調査とかいろいろ考えなければいけませんので、私どもは五人未満を保険の対象にするということについては当初から考えていたことであって、一つも異論はないのであります。
  73. 八木一男

    ○八木(一男)委員 牛尾参考人のお答えを聞きましたけれども、次に鹿島参考人、可児参考人の御意見をお聞きします。
  74. 鹿島俊雄

    ○鹿島参考人 お答え申し上げます。私社会党の御提案になられました点については反対の意思はなく、賛成であります。しかしながら日本歯科医師会として検討いたしております線もございます。しかし趣旨についてはいささかも反対でないので、賛成を申し上げます。
  75. 可児重一

    ○可児参考人 社会党の案につきましては、五人以下の従業員もこれを被保険者としての恩恵に浴させるという趣旨には賛成でございます。なお国庫の補助につきましては、国家財政の許す範囲でなるべく多くの補助に賛成いたすわけであります。
  76. 八木一男

    ○八木(一男)委員 可児参考人にお伺いいたしたいのでございますが、社会党のこの健康保険の一部改正案の方が政府提出の改正案よりもより賛成であると思うのでございますが、それについて……。     〔発言する者あり〕
  77. 八木一男

    ○八木(一男)委員 委員長、委員会が非常に騒がしいので雑音を整理していただきたいと思います。賛成か反対か、まだ検討しておられなかったら、まだ検討しておらないという御返事でけっこうなんでございまして、私無理を言っておるわけではない。その意味におきまして、参考人のそういうことをも含めた御答弁でけっこうです。
  78. 可児重一

    ○可児参考人 私ここへ出るように言われて、途中人員の変更から伺いましたので十分検討しておりませんから、十分検討の上でお答えを申し上げたいと思います。
  79. 八木一男

    ○八木(一男)委員 牛尾参考人にお伺いいたしたいと思います。先ほどいろいろと滝井委員から御質問いたしましたときに、監査とか審査の問題で御意見を承わったわけでございますが、私どもは法律を作るときにおきましては善意のものを対象にして作るべきだと考えておるわけでございます。善意の被保険者とか善意の医療担当者が困らない法律を作るべきだ、万が一大ぜいの中に一人や二人悪意の者があっても、それを取り締るために善意の被保険者なり善意の医療担当者が常に迷惑をこうむるような法律は作るべきでないと考えておるわけでございます。非常に経験の深い牛尾さんに例を申し上げまして非常に失礼でございますけれども、たとえばどろぼうをつかまえることはいいことでございます。しかしそれをつかまえるために新婚家庭が刑事に毎日張り込まれたら社会生活がぶっこわれることになってしまう。あくまでも法律は善意の者を対象にして、善意の者が困らないように作るべきだと思うわけでございますけれども、それにつきまして伺いたい。
  80. 牛尾栄次

    ○牛尾参考人 御趣旨ごもっともでございます。とにかく運用につきましては厚生省当局でよく注意をしていただきまして、むやみにいわゆる権力の乱用は慎しまなければいけませんが、多数は善意だと思います。しかしこういう法律を作りますときに、もしその法律を犯す場合にはどうするかという罰則がなければ規則としての形は整わないものだと思います。それにひっかかる者が全然ないことを最も希望いたします。しかし何もありませんでしたら、千分の一でも万分の一でも、もし犯意があり、計画的に事をされましても、それをただ指をくわえて見ておらなければならないということは、国民の総意として許すべきでないと思います。ないことを望みます。ですから法律ができましてもその法律を発動することを望みませんが、規則としてあるべきであります。しかしあるからといってそれによって官僚が権力を乱用することは当然慎しまなければなりませんし、もしこれが通りましても今後の運用につきましてはよく指導しまして、こういうものの発動については慎重にやらなければならないということをお願いしたいと思います。
  81. 八木一男

    ○八木(一男)委員 牛尾参考人の御意見のほどはよく承わりましたけれども、今度の政府提案の改正案は善意の人の権利が非常に侵害されるおそれがございますので、この点につきまして経験の深い牛尾参考人でいらっしゃいますけれども、なお一段とお考えいただきまして、政府案の悪い点について反対の意思を表明するような御研究をぜひお願いしたいと思うわけであります。  次に大岩参考人にお伺いをいたしたいのでございますが、一部負担の点でさっき堂森委員から病院の入院患者の例で御質問申し上げまして御答弁をいただいたわけでございます。公平の原則というようなことでやむを得ないというお考えでございましたけれども、病院に入る人は非常に重い病気の人でございまして、重い病気の人が非常にいためつけられるということは、日本の社会保障関係の法律としてよくないと考えておるわけでございます。しかしそれは先ほど一応御意見の開陳がございましたので、この問題は時間の関係上省略いたしまして、入院していない人の一部負担の点でございますが、これも相当重大な問題でございます。大岩さんは事業を経営しておられましてりっぱな御生活をしておられますので、貧しい労働者の立場をそれほどぴっちりと御存じないかもしれないのでありますが、私四、五年前非常に貧困な生活をしておりまして、毎日十円、二十円の金にも困った時代があります。そういうときには十円、二十円のものでもいろいろとがまんしなければならないことが起るわけであります。たとえば貧しい労働者の場合には、五十円ふえると、腹が痛くても子供の学校の方に持っていく金があるので、それをあきらめて見てもらわないということになって、盲腸炎が時期を失して非常に重態になるということもあるわけでございます。こういう点で今非常に裕福な暮しをしておられる方から見れば 五十円なり五十五円ふえるということは大したことではありませんが、大ぜいの政府管掌の中小企業の労働者にとってはこの問題が非常に重大でありまして、その五十円のためにせっかくの健康保険が意味をなさないことが起るわけであります。こういうことは決してよくないことだと思うわけでございますが、それにつきましてもう一回御意見を伺いたい。
  82. 大岩勇

    ○大岩参考人 お答えいたします。先生は大へん私をお金持のように言われましたが、先生と私の生活がどういうふうに違うか、家にきて一つごらん願いたいと思います。とにかく病気にかからなければ医者の診療は受けないわけですね。たとえば簡単に申し上げますと、かぜをひいて医者に行って診療をしてもらおうと思っても、病院に行けば半日くらいかかるので、薬局に行ってかぜの薬を買ってくる。買ってくるといっても百円以下のかぜ薬はありません。今私がかぜをひけば、薬局に行って売楽を買う程度で保険証を使ったことはありませんが、必ず百円はとられます。もちろん三日か四日は飲みますけれども、相当の熱があるとか、肺炎になるとかいうときは、しろうとの療治ではできませんので、医者に行きまして今まで五十円払っておったのでありますが、さらに五十円を払うということは、私の考えといたしまして、診察を受けてその初期の手当として注射を打たれるとか、相当高価の薬をもらうということになりますれば、それは結局保険者が五十円よりオーバーした金は支払わなければならぬことになります。そういう関係からお医者さんに行って完全な診断をしてもらってあとの五十円を払うことは、さほどに私は困難ではないのではないかと思うので賛成したわけです。そういう考えよりほかに私は今申し上げる資料がありませんので、さよう御了水願います。
  83. 八木一男

    ○八木(一男)委員 そういう五十円なり五十五円ふえることによって患者が金の心配なしにすぐ見てもらえるという態勢に逆行することは、あなたも御賛成ではないと思う。ただいろいろ金のこと、全体のことを御心配になっておられると思うのであって、そういうことが解決つけばもちろんこういう一部負担はしない方がいいというお考えだと思うわけでありますが、どうでございますか。――今大岩参考人の方からとにかくいろいろな財政の事情がつけば一部負担は原則的によくないという御一見を承わりましたので、次の質問に移ります。  鹿島参考人に伺いたいのでございますが、今度の健康保険の政府提案の改正は、この前に提出されたものよりも、その精神からみれば医療担当者なり被保険者なりを圧迫した気持がはるかに強いと思うわけであります。これは鹿島先生すでに御承知の通りでありますが、この前の法案を作るときに三十一年度健康保険の赤字見積りが六十七億ということになっておりまして、その六十七億という推定のもとにああいうものが組まれているわけであります。政府側は赤字対策だけではないと言っておりますけれども、これは明らかにうそであって、根本的に赤字対策がもとであることは明らかで周知の事実であります。そのときに六十七億の厚生省側の見積りで法案を作った。ところが三十一年の十一月になると厚生省の発表として四十八億になる。現在は三十六億になります。それならば最初の去年の案のときに組んだ一部負担が最初の案であって、たしか二十三億の財政効果をねらっておって、次の衆議院の佐々木修正案が十七億五千万円の財政効果をねらっておった。それならば赤字がそれだけ減れば当然そういうものはなくしてもいいと思われますのに、今度また一部負担を考えている。平年度換算にすると十二億の一部負担だ、こういう点で厚生省なり政府はいろいろなことを申しておりますけれども、昨年よりももっと被保険者と医療担当者を締めつけようという、社会医療なり社会保険に逆行する考え方を持っておる今度の案こそ精神的に見てはるかにけしからぬ案であると考えますが、鹿島先生のお考えを伺いたい。
  84. 鹿島俊雄

    ○鹿島参考人 お答え申し上げます。前回御提案になりましたものと今回のものとの比較でありますが、その精神においては変っておりません。ただただいま御指摘のように考えられる点は初診時における一部負担の五十円が百円になる。これは歯科の面にとってみますと、先ほど申し上げました通りいわゆる受診率に相当影響を及ぼしてくる。従ってこのことは患者にも影響すると同時に、私は保険経済において将来むしろマイナスの線が出てくると思う。要するに早期治療の奨励によりまして、究極において保険経済というものが黒字になってくるという信念を私は持っておりますので、こういう方策はまずい。従って初診時の負担がふえることは理論的におかしい。従ってもし両案を比較いたしますと――前会の佐々木修正案においては、初診料五十円は据え置きである。これは初診時の受診料から申しますると、前案の方が妥当性があったような気持を持っております。もちろん私は前案につきましても反対でございます。  それから赤字発生を主体とするがゆえに、一部負担の強圧がより以上加わるということにつきましては、私も一面そういう考えを持たざるを得ないのでありますが、むしろ私たちが考えております点は、赤字が非常に低減をしてきたという現況において、なおかつこれをおやりになられるということは、やはり将来保険の給付の上において、一部負担というものを前提にお考えになられるような考え方が政府にあるのじゃないか、かように考えるのであります。これが果して妥当かどうかという問題は、要するに保険経済の将来を見通された一つの施策かもしれませんが、少くとも私たちは、現況におきまして一部負担を考える前に、まず国は保険者という立場におきまして、国庫負担の補助を行なった上で、われわれも納得した上でやっていただきたい、かように考えております。
  85. 八木一男

    ○八木(一男)委員 まだまだ参考人にお尋ねしたいことがありますが、時間が非常に経過いたしましたので、残念でございますが割愛いたして質問を打ち切ります。
  86. 藤本捨助

    ○藤本委員長 参考人の方々におかれましては、長時間まことにありがとうございました。当委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。  午後三時まで休憩いたします。     午後二時三十三分休憩      ――――◇―――――     午後三時二十分開議
  87. 藤本捨助

    ○藤本委員長 休憩前に引き続き会議を再開いたします。  午前中に引き続き五法案について参考人より意見を聴取することにいたします。  この際参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。本日はおせわしいところを御出席下きいましてまことにありがとうございました。参考人の方々におかれましてはあらゆる角度から忌たんのない御意見を御発表下さいますようお願い申し上げます。時間の都合上御意見を述べる時間は一人十分程度といたしますが、御意見をお述べになりましてから、委員諸君の質疑があると思われますので、その際もまた忌たんのないお答えをお願いいたしたいと存じます。なお念のために申し上げますが、参考人の方々の御発言なさいます際は委員長の許可を得ていただくこととし、発言の内容につきましては意見を聞こうとする問題の範囲を越えないようお願いいたします。また委員は参考人の方々に質疑をすることができますが、参考人は委員に質疑をすることができませんので以上お含みおき願っておきます。次に参考人の皆様は御発言の際は適当に御職業または所属団体名、並びに御氏名をお述べ願いたいと存じます。なお発言の順位は勝手ながら委員長においてきめさせていただきたいと存じます。御了承願います。  それではまず上田参考人にお願いいたします。
  88. 上田豊造

    ○上田参考人 私は全日本労働組合会議の社会保障委員会委員をしております。上田豊造であります。よろしくお願いいたします。御承知のように健康保険法が制定されまして、昨年で満三十年の歳月を経て、こないだお喜びの会があったようでございますが、この三十年の長い歴史を経てきておるのにもかかわらず、なお今日たくさんの欠点を持っている。たとえば適用範囲の拡大の問題、あるいは医療体系の問題、報酬支払いの方式の問題、国庫負担の問題、あるいは扶養家族の範囲の問題等々、たくさんの未解決の問題が三十年かかってなお残されておるということにつきましては、被保険者の一人といたしましてまことに私は残念に思っております。これはおそらく昭和二十五、六年あるいは七、八年ごろまで健康保険の財政がどうやらこうやらバランスがとれて、あまりやかましい問題が起ってこなかったというために、いわゆる保険の管理運営をしている当局がそういう大きな問題を残しながら今日まで等閑に付しておったのではないか、こういう点を私はまず冒頭に指摘しておきたい。今回の改正案を見ますと当局は単なる財政対策ではない根本改革というものを考えておる、こういう説明を実はたびたび私どもは社会保険審議会やその他で伺ってきて参っておりまするが、しからば先ほど申しましたようなそういう問題をなぜ今日改正するに当って等閑に付しておいたかという点をまず私は当局に逆問をしたい。  個々について申し上げますが、今回の改正法の流れを見ていきますと、何だか警察保険法といいますか、非常に警察法的な色彩が流れておる。全般に膨大な改正要綱を示されておりまするが、いずれもごく一部分を除きましては今申しましたような取締法的な内容がふんぷんとしておるということは私としてもはなはだ遺憾に存じております。しかし個々について考えてみました場合に、医療機関が相当法人化されて参りまして、その経営が共営やあるいは総合機関が相当増加しておることはいなめない今日の趨勢でございまして、こういう現状からいたしまして当然こういう総合的なあるいは共営的な機関に対しましていわゆる機関を指定するということは、今日の社会情勢からいたしまして当然の結論ではないか、もう一つ言いかえますならば、時期おそきに失しているくらいではないかと私はかように考えております。と申しますのは、もう一つはいわゆるわれわれ被保険者にとってかわって、一体こういう公的医療機関化している今日の保険医並びに保険機関に、監査機構といいますか、それに対する何らの監督監査というものがない、野放しにされておるということは私は被保険者としては許されないと思うのであって、従ってかわるべき何らかの機関を設けるということにつきましては私は賛成いたします。しかしそれにいたしましてもこういう場合に私どもしろうとではなかなか簡単にこうだ、ああだと実はこまかいことはわかりません。相当微妙な問題でもございますので、こういう点についてはいわゆる取締りに当る人と当事者との間に十分な意思の疎通のもとに、何と言いますか、こういう法文化したようなものでなくて監査取締り要綱というようなものが制定されて、それを当事者の間で十分に話し合いをされてやられるという姿、何といいますか言葉でいえば一つの民主的な方法を採用されることの方が私は一番望ましい。いわゆる警察法的な法規によって取り締るという、こういうことには私はどうも納得しかねる。もう少し政治性といいますか、もう少し機動性のある内容を持った方法が望ましいということを申し上げたいと存じておるのであります。ということはたとえば昭和三十年度の医療監査の状況を聞いてみまする場合に、いわゆる抜き取り調査ではありますけれども千二百九十三件の監査の中で千六十四件という事故が発生しておる。そうしてその件数の中ではいわゆる指定取り消しが百九十八件、戒告四百六十五件、注意三百二十一件、従ってこれに関係いたしまして返還を決定された金額が、わずかではありますけれども四百四十万円あるということは、私どもとしては無視できない。いわゆる大きな堤と仮定いたしましてわずか四百四十万円ではありますけれども、こういう水の漏れておるということにつきましては私ははなはだ遺憾でございます。そういう点からいたしましても当然あってしかるべきである。また世上よく言われておりまするように、いわゆる濃厚診療とか不正とかいろいろなことを言われておりまするが、それに対しましてやはり公明な感じを受けてその経営といいますか運営が明確に正しい通常にされているということを世上に認識さすということが、これはいわゆる悪意を持った人ならとにかくといたしまして、善良なお医者さんとしては必ず御賛成なさることではないか、かような見地からもこういう点につきましては当然あってしかるべきものだと私は考えます。  次にこれはごく素朴な考え方かもしれませんが、今まで健康保険というものはわずか五十円の初診料さえ出せば、あとは薬も入院料も何も要らないのだ、その昔は何も金は要らなかったのだ、こういう見解をまだ多くの人が持っておる。これはたとえば健康保険に加入いたしましても、若い人なんかで健康な人は三年、五年保険料は取られっぱなしで、一向保険の恩恵をこうむっていないというような人たちは、なおさらそういうような感じを持っておる。それにもかかからず今回当局は赤字を埋めるため、わずか十二億円の金を徴収するために、患者からあるいは入院の病人から初診料百円をとり、あるいは入院料三十円をとろうというような、こういうむごい残酷なやり方は絶対にとってもらいたくない、こういう悪政は一つこの機会に賢明なる国会におきまして粉砕をしていただきたいということをば、切に私は皆さんにこいねがう、そういう点からいたしまして私はこういうむごい規定には絶対に反対をいたしたいと存じます。  次に支払い基金の監査の問題でございますが、聞くところによりますと三十年度は一億百万人近い支払い基金の件数に達しておるそうでございますが、これら各保険医あるいは機関から出されておりまする支払い請求に対しまして、ごくわずかな人が短時日にわたってそれの公正なる審査をされておる、こういう状況では――私も現実に昨年、一昨年支払い基金に参りましてその審査の状況等を見て参りました。なるほど一分間に何枚というような審査をしなければならぬ、そういう状況からいたしますると、現在の状況では非常に大きな無理がある。しかもそれが専任でないというところに多くの欠陥があるように考えました。従いまして本法におきまして専任審査官制を置きまして療養担当規程や治療指針、疑義解釈等を参考をいたしまして審査を公正にしていこう、こういうことでございまするから、これはその通りであるといたしますならば、これはある程度やむを得ない方法ではないか。といいますことは、私がいつも不思議に思っておりますのは、たとえば私が健康保険の保険医にかかりました場合に、一体上田という者に対する健康保険の台帳がどういう状況にあるかということ、私はそういうものがあってしかるべきではないかと思っておりましたところが、現実にいろいろ聞きますと全然そういうものはない。ある人は一カ月のうちに十回も二十回もお医者さんにかかっているというような報告が調査の結果に現われておる。こういうようなことなんかを伺って参りますと、先ほど申しましたようなこういう手続といいますか、事務的な内容がこれまでしり抜けといいますか、あるいは全然野放しにされておるという実に不思議なる現象がございます。こういう点に対しましてもう少し被保険者に納得せしめるような方法につきまして私どもは再三当局にも社会保険審議会等を通じまして質問もし伺ったわけでございまして、それが今回この改正法の中に現われてきた内容といたしまするならば、これもある程度やむを得ない処置ではないか、かように私も考えます。しかしながら先ほど申しましたようにそれにいたしましてもこの改正案が出されたときは、いわゆるほんの一部、負担の内容につきましての違いは出て参りましたけれども、その他の法案の内容というものは一昨年と大体同じ内容のものを持っておる。ところが御承知のようにその間に社会保障制度審議会の勧告が出ておる、あるいは厚生大臣の五人委員会というものの報告も出ております。それから一昨年と比較いたしまして昨年は被保険者が相当激増をしておる、こういうことも同時にあわせて最近やかましく問題になっておりまするいわゆる国民皆保険という大きな問題等から考えましても、今回の改正案が――重複するかもしれませんので恐縮に存じまするが、当局が言う根本的な改革であるとは私は考えられない。それは先ほど申しましたように単なる財政改革にすぎないから、この際にそういう問題をば一切くるめて根本的な改革をば断行するという方法をとられなければ、単なる赤字財政対策ではまた二年、三年すれば大きな赤字が生れてきて、再三再四同じような今回の轍を踏まなければならぬ。昨年、一昨年引き続いてこの改正案が国会におきまして審議未了になったという事情もこの間に対する当局の認識というものの誤まりがそこにあるのじゃないか、私はこういう見解をとらざるを得ないのであります。医療体系の確立の問題にいたしましても、あるいは医療制度の再検討にいたしましても、いろいろなまだ研究すべき多くの問題が残されておる、ただこのわずかなものだけを今回改正することによりまして根本改革をする、こういうようなことでは私ははなはだ納得しかねておる次第でございます。  それから、少し時間が長くなって恐縮に存じまするが、厚生年金法の改正につきましては私どもは以上のような見解から出されておりまする改正案には原則的に賛成をいたします。ただこの機会にお聞きとりを願いたいのは、御承知のように坑内夫の年金受給に相次ぎまして坑外夫あるいはその他一般の労働大衆の養老年金、老齢年金の支給が目捷に迫ってきております。ところがこの金額たるや御承知のように生活扶助にも足りないほどのごく少いカの涙ほどの金額でございまして、これでは長い間国家のために労働をいたしまして産業に寄与いたしました労働者の老後に報いるにいたしましては、あまりにもその報い方が少いのではないか、従いましてこの機会にこういう健康保険法と相並びまして、厚生年金等につきましてもそういう観点から一つ抜本的なる改革を要望したい、かように考えております。  一言つけ加えて申し述べさせていただきたいのは、しかしながら健康保険法の改正にからみまして、最近一点単価の引き上げという問題が新聞紙上やその他でだいぶんやかましく論議されてきておるようでございますが、これは御承知のように財政対策と非常なる関係がございます。従いましてこの改正につきましては慎重に願いたい。私の考え方といたしましては、今まで少くとも単価の値上げはともかくといたしまして、それに関連する点数の改正が今まで相当なされてきておるというような見解や、それからそういう場合にはこれは国家の負担におきましてその点が充足されるということであればとにかくといたしまして、それが保険料にはね返ってくるというようなことになりますことは、私被保険者といたしましてはなはだ迷惑でございますので、この点につきましても慎重に当委員会におきまして御検討をわずらわしたい、かように考える次第でございます。  以上をもって終りといたします。
  89. 藤本捨助

    ○藤本委員長 次は日本船主協会専務理事神田さん。
  90. 神田禎次郎

    ○神田参考人 私ただいま御指名のございました日本船主協会の専務理事の神田でございます。今日社会保険関係の法律の改正案の御審議がございまして、船員保険に関して意見を述べる機会を与えられましたことを感謝いたします。御案内の通り船員保険制度は健康保険の部門、あるいは厚生年金の部門、労働者災害補償保険の部門、失業保険の部門、福祉施設の部門等総合いたしました保険制度でございますが、今回の法律の改正の対象になっておりますおもな点は、そのうちの健康と労災に相当する部分にわたっておる医療制度の点でございますので、健康保険の方の問題と共通の問題がございます。その点につきましては、たとえば医療関係の監査制度の点、あるいは機関指定制度等の点につきましてはわれわれは原案に賛成でございます。しかしそれらの詳細の点につきましてはすでに日経連関係その他から詳細な意見が述べられたと存じます。大体われわれも同様の見解を持っておりますので、省略さしていただきまして、船員保険固有の問題に関連いたしまして、少しく意見を述べさしていただきたいと思うのです。  船員保険は御案内の通り健康保険なんかと比べまして非常に規模の小さい保険でございます。健康保険でございますと被保険者が五百六十万ある。年間の保険料の収入も五百億というような、政府管掌の健康保険でもそういうふうな大きな数字でございますが、船員保険の被保険者の数は十七万ぐらいでございます。医療関係の保険料の収入も二十四億程度でございまして、まことに小規模な、これも政府管掌の社会保険でございます。しかしながら御案内の通り健康保険と同様にやはり赤字が出て参っているようでございますけれども、特に小さいだけに収支の不均衡が非常に強く出ておりまして、健康保険に比べまして病気でいえば重症の状態になっております。それでございますので、単に健康保険に準じたような対策だけではとうてい船員保険の問題を解決するわけには参らないのでございます。どういうふうになっておりますか、すでに諸先生方よくおわかりのことと存じますが、少しく数字で申し上げたいのでございます。保険の給付費について見ますと、昭和二十九年度には給付費が二十億でございますのに、収支の不足額が二億三千万円、三十年度には二十五億の保険給付費に対しまして四億の赤字、三十一年度の予想では二十六億の保険給付費に対しまして二億四千万円、それからさらに二十八年以前にも赤字が出ておりましたので、船員保険における赤字は実に十億にもなろうとしておるのでございまして、年間の給付額が二十数億というのに対しまして十億の赤字をしょい込んでおるというような、船員保険といたしましては実によたよたしておりますのでこれを健全化するということは並み大ていのことではないのでありまして、非常な問題だと存ずるのでございます。昭和三十一年度の収支に当りまして、健康保険につきましては四十数億の赤字が出るということが見込まれておりますのに対して、国庫負担が約三十億、四分の三程度の国庫負担が計上されておりますが、船員保険につきましては二億四千万円くらいの赤字に対しまして、国庫負担がわずか一億計上されておる程度にすぎないのでございまして、これではとても船員保険は健全財政に到達するには遠いような感じがいたすのでございます。この点は特にお考えを願わなければならぬ点だと存じます。今からいえば一昨年になりますが、七人委員会の報告におきまして赤字の繰り越し額がどういうふうになっているかということを拝見いたしますと、健康保険では被保険者一人当り七百八十円くらいになっておりますが、船員保険では被保険者一人当り二千五百五十円というような膨大な赤字をかかえておるのでございまして、そういう点が当時からすでに指摘せられておるわけでございます。保険の規模が小さいだけに額といたしましては少いのでございますけれども、その赤字の度合は非常に深刻なものがございまして、船員保険の関係者といたしましてそういう事態を率直にながめて、われわれも考えなければなりませんが、この点につきましてどうか国会の諸先生方も船員保険に対する深い御理解を願っておきたいと存じます。  健康保険につきましては、最近では赤字の現象がだんだんと少くなって、三十億の国庫負担を願えば大体トントンになるんじゃないかということも仄聞いたしておりますが、船員保険の方ではそういうことが全然考えられませんので、ますますむずかしい状態に追い込まれるのではないかと心配しているような次第でございます。  次に船員保険法の改正の中にございます重要な一、二点について意見を申し上げたいと存じます。一部負担制度の新設でございますが、健康保険と違いまして船員保険の場合においては、船員法の規定によりまして船舶に乗り組んでおります間は三カ月間、その病気が職務上の病気でなくていわゆる私傷病でありましても、船舶所有者が補償の責任になっております関係上、健康保険でいう一部負担とは違いまして、必ず船主の方で持たなければならぬという関係で、そういう一部負担をやるということは無意味じゃないという御意見もあるようでございますが、私はこの点についてはいささか見解を異にしておりますので意見を申し上げたいと存じます。結論として、私どもは一部負担制度を新設するということ自体は基本的には好ましいことであるとは考えておりません。しかしながら冒頭にも申し上げましたように、船員保険が非常な不健全な財政状態でございますので、その事実の上からこれを助成するための手段としてはまことにやむを得ない措置であると認めざるを得ないのでございます。政府原案によりますと、一部負担の内容は初診時に限定せられておるのでございますけれども、船員の場合はむしろそういう事態に処しまして、公平な見地から考えますと、入院中の食事につきましても適当な一部の負担が行われてしかるべきではないかと考えておるのでございます。一部負担の負担者は、ただいま申し上げましたように、船員法の関係上船舶所有者となる場合があるのでございまして、それがほとんどではないかというような御議論もあるようでございますが、そうではないのでございまして、健康保険と同様の被保険者の状態にあるということ、すなわち船員法でいえば乗船中の三カ月間にかかった病気でございますが、船員は、ただいまの日本の雇用関係で申しますと、陸上に上りましても雇用関係がございますので、その人数はわれわれの関係いたしております鋼船関係の被保険者について申しますと約四分の一くらいの人数がいわゆる予備員として陸上におるわけでございまして、この人たちにつきましてはやはり本人の負担となるのでございますので、全部が船主の負担だから一部負担なんかよしたらいいじゃないかという御議論は当らないのでございます。赤字の大きい不健全な船員保険の財政でございますので、今回の場合にこれをどういうふうに処理するかということで、保険料率の改正案が今度の内容になっておるのでございます。御承知の通り、船員保険の保険料は失業保険の入っておりますのと入ってないのとで違っておるのでございますけれども、失業保険の入ってないものにつきましては千分の七、失業保険の入っておりますものにつきましては千分の五の引き上げが出ておるのでございます。失業保険を含まないものということは、実はむしろ引き上げ率の高い方が零細の企業が多いのでありまして、千分の五を引き上げられる方がいわゆる大型汽船関係なんでございます。これによりまして一部負担をやめてもしも全部これを保険料の引き上げによって処理していくということになりますと、さらにこの上に千分の二ないし三の料金の引き上げが行われることになると思うのでございますが、今度の原案におきましてもより多く引き上げられます被保険者並びに使用者の方の関係の方の面から考えますと、零細企業でございますだけにその収納率が悪くなりまして、保険財政の上から申しますと、より一そうむずかしい問題になるんじゃないかと考えられますので、この程度の引き上げが現在の船員保険関係の企業の実態、収入その他から見ますと、ぎりぎり一ぱいの線でないかと考えられます。そういう意味合いで、どうしても一部負担の相当部分を被保険者に負担してもらうということも財政上やむを得ないのじゃないかというふうにわれわれは考えております。  それから国庫負担について申し上げますが、さきに申し上げました通り、船舶に雇用中に発病をいたしました者は私傷病でありましても三カ月間は船主の補償となっております。それは船員法がそういうふうな規定をいたしておるからでございます。従いまして、その点は陸上の労働基準法の適用を受けております事業主と比べまして船舶所有者は非常な重い負担をいたしております。そういうのでございますが、三カ月間の災害の補償期間相当部分があるという意味で国庫の負担はその点が削られておるのでございまして、純然たる被保険者並びに事業主の共同の負担になる部分についてのみ国庫補助が行われ得るという考え方で一億程度の少額にとどめられたということでございますが、この点は船員保険が先ほど来申し上げました通り非常に財政的に不健全な状態になっております今日におきましては、船主が何ゆえ大きな負担をしておるか、私傷病であっても三カ月の間は船主の補償でやらなければならぬという問題に根本的な問題があるのでございますが、その辺の御検討も十分お願いいたしまして、国庫負担の増加について特に御高配を願いたい、こう存ずる次第でございます。  最後に、保険給付の制限に関する法律の改正案が出ておるのでございますが、あまり大した問題はわれわれはないと存じておりますが、これもこういう給付の制限をいたしますことについては、理想としてはあまり好ましくないと考えておりますけれども、現在の船員保険の財政状態からいたしましてやむを得ないものとしてわれわれは政府の原案に賛成いたしておるものでございます。  以上御清聴ありがとうございました。
  91. 藤本捨助

    ○藤本委員長 全日本海員組合厚生部次長佐藤さん。
  92. 佐藤徳

    ○佐藤参考人 私海員組合の厚生部次長の佐藤でございます。船員保険について申し上げます。  私たちとしましては、船員保険に相当の赤字があるということはよく知っておりますが、前々から赤字に対しては、その赤字の原因をよくどこまでも探究して、そしてそれを除去してもらいたい、そしてその上に立って考えてもらいたい、赤字があるからといって保険料を上げて収入をふやし、そして保険給付をぐっと下げて、そして支出を押えて、これが社会保障であるというんだったら、それはとんでもないことだ、私たちとしてはできるだけ根本的な原因を探究していただいて、たとえば結核対策であるとか、それからあとで出て参りました医療制度とか、そういうものに対してもいろいろな改革を行い、あらゆる施策を行なって、それでまだ赤字が出るようであったならば、保険の給付を悪くするのじゃなくて、それは私たちの保険でありますから、船員も船主も、保険料を上げてでも現行の保険給付の水準は保っていかなければならぬというのが私たちの考え方でございます。  今度の改正案には船員保険の財政の健全化とか、それから制度の合理化ということが書いてありますけれども、そういうことはほとんどありませんので、ただいま船主協会の方からお話があったように、ほとんど全体が赤字の対策に終始しているという点を非常に私たち不満に思っているわけであります。もう一つ特に私たち船員として全く不満にたえない点は、船員の特殊性を全く無視して、不合理な一部負担を船保に持ち込んできたり、または船保のいろいろとすぐれている点を、全部今回健康保険のレベルまで落してきているという点に対しては非常な不満を持っているわけであります。従って私たちは、今回の船員保険の改正案に対しては、船員制度を非常に大きく後退するものとして反対であるという態度をとっているわけであります。時間もたくさんありませんので、主要な問題についてだけ二、三申し上げてみたいと思います。  改正案で標準報酬の最低額を今回四千円から五千円に上げております。これには私たちとしては賛成しております。しかし標準報酬の最高額を健康保険におきましては五万二千円に引き上げておりますけれども、船員保険の場合には現行の三万六千円をそのままにすえ置いているという改正案になっております。船員の給与は、皆さんも御存じのように、特に汽船の船員の給与は一般の陸上労働者より高いのが常識であります。しかるに健康保険の方は標準報酬を五万二千円まで上げるのに、船員の方は三万六千円で押えている、これはどういうわけか、私たちとしては絶対納得のいかない点でございまして、この点はわれわれとして非常に反対している点でございます。  次に一部負担制の問題でございます。これは私たちが今最も強く反対している点でございます。それは理論的にも、また実際にも絶対私たちとしては納得できないということでございます。現在船員保険には、健康保険にありますような初診料の五十円というものはございません。一部負担というものは現在全然ないわけです。それは船員保険には理論的にも一部負担を投入するという根拠はないのじゃないか、それだからない、かように考えているわけです。もちろん私たちは健康保険の一部負担にも、これは被保険者の負担を増大するという意味において反対しておりますが、船員保険の一部負担には、またそれと全然別な意味で、全然別な性格を持っていて、私たちは反対しておるわけです。今船主協会の方からもお話がありましたように、船員保険というものは、船員法の災害の補償を全面的にカバーするようになっております。船員法では船員が乗船中傷病にかかった場合――これは乗船中だけじゃありません、病気にかかった場合、それが職務上であろうとも職務外であろうとも、三カ月間は船舶所有者の災害補償責任となって、船舶所有者の費用で療養をさせなければならないということに定められております。従って今回の改正案の初診の際の一部負担のようなものは全部船舶所有者の災害補償部分でございます。この船舶所有権の負担すべきものを一部負担として船員に負担させる。そうしてそのあとで船員が要求してきたら船舶所有者がその金を返してやるというのが今回の船員保険に持ち込まれた一部負担でございます。こんなばかげた制度はわれわれとしては考えられない。船主が当然支払わなければならない金を一ぺんあまり金のない船員に払わせる。こういうことは船員が当然持っておるところの災害補償を受ける権利を制限するという結果になると考えるものでありよす。  次に実際にこの一部負担が実施された場合どうなるかということを現実の問題として私たちは考えてみていただきたいと思うのです。これは今言われたように、船員が一応出す。しかしこれは船員が元来出すものじゃないから、あとから船舶所有者が出してやる。こういう一部負担でございますが、それなら実際に船員がその百円をふところにすることができるだろうかということを考えていただきたいと思うのです。しかも船員の場合には陸上の一般の労働者と違いまして、船に乗っておりまして、船は港から港へ航海しております。移動しております。そうして一つの病気であっても港から港へ医者がかわるわけです。そのたんびたんびに百円取られるのでございます。だから一つの病気でありましても船員の場合は陸上労働者の場合と違って、この一部負担が何度も払わなければならないという結果になるわけでございます。しかもそれが船員が払わなくともいいものを払わされる。それをあとから船主から受け取りなさい、こういうことになっておるわけです。果して船員が医者に行った都度、百円ずつを船主に請求いたすでありましょうか。診療の都度要した百円を船員はなかなか船主には要求できないと思うのです。それはたとえば汽船の船員あたりの意識の高い船員であってもなかなかできない。ましてや船員保険の被保険者のうちの過半数を占めておるところの漁船の船員あるいは機帆船の船員、親方に使われておるような船員が過半数を占めておるわけですが、そういう船員は医者に行ったから百円下さいというようなことを言って行けるでしょうか。私はほとんど行けないと思う。私たちはいろいろ話を聞いてみても、大体大部分がその百円というものは船員の負担になってしまう。これが重要だと思うのです。親方あたりに病気にかかって医者に行ったから百円下さいと言えば、漁船なり機帆船の方ではどなりつけられるというのが現状ではないかと思う。こういう不合理な一部負担を船員保険に投入する必要がどこにあるか。しかもこれによって得る金はどのくらいか。先ほどのお話を聞いておっても約千分の二か千分の三じゃないか。千円で二、三円のわけです。そればかりの金を取るためにこんな不合理な、しかも船員に全部かぶってこなければならぬようなこういった一部負担というようなものはやってもらいたくない。これがわれわれとしては絶対に反対している点でございます。たとえば百円を何度も取りに行く、あの船員は何度も取りに行くが、あれは変なやつだということでマークされる。マークされなくても、されはしないかということで取りに行かないという実情でありまして、ほとんど全部の金が船員負担になってしまう。こういうことは船員法上の災害補償ということが責任を船員に転嫁するという形になることであって、われわれとして絶対に賛成できない。こういう問題について厚生省が案を作られたときに、船員行政をあずかっておる運輸省が、船員法の建前からどうして反対しなかったかということをわれわれとしては今さらながら非常に不思議に思っでおるわけです。また船員が一部負担の百円を船主に請求する場合に、何らかの証拠がなければいけない。これは初診していただいたときに領収書を下さいと言って、領収書をもらってきて、それを船舶業者に見せて百円もらわなければならないことになりますが、お医者さんに聞いたところが、一部負担の領収書というものを出す義務はお医者に課せられていないそうです。そうとすればなおさらのことであって、その百円を船主に要求する法的な根拠がない、ほとんど全部が船員にかぶせられてしまうということであって、私としてはそういうものは絶対反対であります。せっかく改正案と出ておりますけれども、これは理論的にも実際的にも非常に不合理きわまるものであるから、これは政府で撤回していただくように私たちとしてはお願いする次第でございます。  それから先ほど上田さんの方から医師の医療制度の問題、審査の問題について相当詳しくお話がございましたので、私の方からは詳しくは申し上げませんが、ただ私たちといたしましてはわずかな給料の中から相当高い保険料を支払っているわけでございまして、それでようやく保険経済が成り立っているというような実情でございます。従って最近赤字が出てきて、私たちが持っております保険給付がまた悪くなろうというような現状にあることを考えますと、私たちが出した保険料を最も有効に、一文のむだもなく使っていただきたいということが私たちの考えであります。従ってこれをあずかっておる厚生省あるいは保険者が、適当なお医者さんをお選びになって指定されて、それをお支払いになるときには診療請求所を一枚一枚詳しく見て、間違いのないように調べてからお払いになる。私たちの出しておる保険料が一文もむだにならないように使っていただくような完備したシステムを作っていくということに対しては、私たちの立場からも賛成しておるわけであります。今申し上げたことは政治的な見解でも何でもない。純真な労働者、被保険者としてすべての人がこういうふうに考えておると思うのであります。こういう点については一文もむだのない形で審査も十分にやっていただき、指定もりっぱな医者を指定していただきたいということであります。  大体以上でございますが、なおこの際船員を代表して皆さんにお願いしておきたいことは、今度初めて船員保険関係で、私どもと船主協会の方からも意見を述べられる機会を与えられてありがたく思っておるのでありますが、先ほどお話がありましたように船員保険は非常に規模が小さいものですから、今までの審議状況を見ておりますと、健康保険の陰に隠れて十ぱ一からげにされて、ろくな審議もされていないということに対して、私たちは非常に不満を持っておるわけであります。少いですけれども、やはり船員にとっては、先ほど神田さんもお話になりましたように、失業から労災から何から何まで全部含んでおる、船員の生活を支える非常に大事な法律でございますので、船員保険には船員保険の性格もありますし、赤字の原因もそれぞれ違っておりますから、十分審議に時間をかけて徹底してやっていただきたいと思います。
  93. 藤本捨助

    ○藤本委員長 次は日本医師会副会長丸山さん。
  94. 丸山直友

    ○丸山参考人 日本医師会副会長の丸山でございます。おもに健康保険法のことについて意見を申し上げさせていただきたいと思います。  総論的に申しますと、今度の健康保険法の改正は、大体において古家の修理でありまして、しかも非常に警察法的な監察制度というような観念を受ける改正だと考えております。それから私どもの希望しておりますのは、社会保障制度審議会からも勧告が出ておりますし、また国民皆保険という線がすでにうたわれておりますので、当然この保険制度そのものについてもう少し根本的の検討を進めまして、根本的の改正を行われる機会を待つ方がいいのではないか、それまでしばらくこういう古家の修善のようなことはおやめになっていただいてはどうかしらんと考えているような次第であります。個々の問題につきましては、時間がございませんので非常に簡単に申し上げておきますが、一部負担に関しましては、私どもは原則的に反対をしております。一部負担という制度が保険本来のあるべき姿として必要なものであるか、あるいは赤字対策としてこれは必要なものであるかということに関しては、政府の御見解もきまっておらないようであります。最初に私どもの承わりましたときには、赤字対策という説明を社会保障制度審議会等において承わっておったのでありますが、二十四国会に提出されておりましたときには、それを切りかえられまして、保険本来のあるべき姿としての一部負担というふうな御説明に変えられた。このたびの改正案提案の御説明によりますと、健康保険法等改正案は、このような不安定な健康保険財政を根本的に立て直そうとするものであることが第一にうたってあります。すでにこれは赤字対策のための改正であるということがたびたび明確にうたってあるので、三たび政府の方針が変化して参ったのであります。そこで一部負担はなぜ原則的に反対しているかということでありますが、大体私はこの保険は一つの相互契約ではないかと考えております。ある一つの保険金をこれだけ出します、これに対しては現物給付で病気のときにはこれだけ希望を聞き入れましょう、こういう話し合いのものであろうと思います。その結果財政に欠陥を生じ赤字が生じた場合には、そこに二つの解決方法がございます。保険料を上げる方法が一つ。収入を多くする方法と第二は給付を制限する方法のどちらかであります。それよりほかに解決の方法はないのではないかと考えているわけであります。これは話し合いでございますから、被保険者が保険料を上げることに反対いたしまして給付の方に制限がくることが望ましいなら、そうなさっていいのであるし、被保険者の方が保険料が上っても給付はかんべんしてくれという御希望であれば、その方に従えばいいのであります。病人がこれを負担するという形であってはならないのであります。つまり受益者負担という観念が入っていると思います。ところが保険の給付、疾病の治療が受益であるかどうか。さっき午前中の話を聞いておりますと、映画を見に行くときには入場料をさきにとられるという。映画を見るのと病気を治療することを混同して話しておられるような人がいるということは、実に驚くべきことだと考えている。道路がありまして非常にいたんでいてきたない。石が敷いてある。自動車が走ってきて石を飛ばしてガラスを割る。商品がほこりをかぶっていたむ。それを今度りっぱな舗装道路にしようじゃないか、これは利益があるからそれに関してある程度の一部負担をさせるということは認められる。ところが道路の中にある水道管が破裂して水が吹き出して道に大きな穴があいた。そのときに、医者である工夫を頼んできたから、穴があいた前の家に、お前受益者だから一部負担をしろ、シャベル一本について幾ら、つるはし一本について幾らずつ出せ、市の財政では道路を直す金がないのだから、本人からとってこいということで、支払いの責任を回避しておるのと同じだ。給付をする建前になっておりますものですから、当然政府はそれに対して支払いの責任がある。それを医者の方に取り立てる義務を負わせる、患者にそれを払う義務を負わせる、こういうことはとんでもない話であろうと考えております。  そこでこれは理論的の問題でございますが、ただいまお手元に配付いたしました資料について、現実に医者の損失になるということを申し上げておきたいと思います。神奈川県の病院協会で、一部負担金の未収入というものはどのくらいあるかという調査をしたのであります。詳しい数字は時間がありませんから簡単に申しておきますが、初診の被保険者が被保険者証を所持せず、後に持ってくると言ってそのまますぽかした者が二十九病院にありまして、それが五カ月間で五百六名、その金額が二十八万二千四百六十五円、すなわち一病院一カ月平均十七名という人はすっぽかして持って参りません。これは初めから被保険者証を持ってこない。ところが持ってきても一部負担金の初診料を意識的に支払わないのか、あるいは払う能力がないのかわかりませんが、払わないのが五十三病院、三百七十一名。家族の半額負担に関しましては、五カ月間に五十三病院において二百二十二万一千六百二十八円という金額、一病院当り四万一千九百十八円というふうな未払いがある。すなわち一部負担というものは、さっき船員の方からお話がございましたように、船主からとることができないどころじゃない、もう本人が医者の方へ払わない。それで解決しないということが起るのであります。それが現在の五十円である、ただそれだけの初診料相当額ということでさえそうである。これが今度百円ということになりますと、おそらくその未納というものはほとんど医者の方にしわ寄せをせられる。これは現実の損害をこうむるということであります。  それから二重指定の問題、つまり機関を指定する、保険医を指定する、登録する。この問題は、ある部分につきましてあるいは必要があるのではないかと私どもも考えるのでございますが、一人でやっておる診療所が二重にこれをやらなければならないという理由が私どもには全くわかりませんし、また三年でこれを更新しなければならぬという理由もわかりません。不良なる者はいつでも処分できる、これを取り消すことができるということになっておりますものを、あらゆるものを三年ごとに更新しなければならぬという特別の理由はないと思います。  それからもう一つは、何か特別の思想を持った、厚生省としては非常に好ましくないような者を規制する目的であるというようなことが巷間伝えられておりますが、おそらくはそれは不可能でございましょう。もしそういうお考えであるとすれば、それは不可能であるということを申し上げます。そういうふうなものは集団的な威力を持っておりますので、大阪等において事件が起っておりますが、これは病院そのものが反抗するのではなくて、その周囲にあってそれを作っておる人たちのなかなか強い反抗がございますので、その反抗を押し切って、現在の厚生省の行政力を持って、それを拒否するだけの力を持っておるかどうかということに対して、私は疑問を持っております。結局はさっきちょっとお話があったように、これは弱い者いじめに終るということに相なると考えております。その強い者というのは、官憲的な強い力を持っておる者と、もう一つはそれと反対の強い力を持っておる者に対しては無力である。その中間層の弱小なる者が被害をこうむることになるということが当然考えられる。しかもこれに関しましては、指定の拒否は地方医療協議会の議を経る必要がございますが、登録の拒否については知事の一方的指示によって行われると思います。これは協議会の議を経る必要もなく、諮問する必要もなく行われる。これはよく条文をごらんいただけるとわかると思います。  それから処分の罰則の強化でありますが、罰則の強化はオール・オア・ナッシングできておるようであります。取り消しすることができる、その反対は取り消ししないこともできる。取り消しをするかしないかということだけで、実に簡単に割り切っておられますが、世の中のものの処分の方法としてその非の軽重、いろいろございましょう、事情もございましょう。そういうものに対して、これを取り消すか、取り消さないかどっちかだ。取り消さなければ処分されない、取り消すということは死刑です。死刑か無罪かどちらかの罰則になっております。こういう罰則というものは世の中に存在しないと私は思います。何かそのほかのものがそこになければならぬ。私は始終申しておるのでありますが、一時的の停止というようなこともあってもいいのじゃないか、あるいは戒告とか種々なものをこの法文の中に入れることはやはり必要じゃないかと考えておるわけであります。それから立ち入り等の問題でございますが、これは不正を行なった者に対して検査する必要のあることは何人もいなむ者はないと思います。私どももこれは非常に賛成です。善良なる医師を守る意味においてもこれはぜひやっていただきたいと考えます。ただ、この不正という問題でございます。不正ということがどういうことを意味しておるかというと、今までは患者の記憶を調査した実績と医者の方のカルテ等を調査した実績に違いのあった場合に、それが不正として取り扱われておるのであります。患者の記憶というものがどのくらいの正しさを持っておるかということ、このために私どもが調査をいたしましたのがあるのであります。これはただいま集計中でございますので、結果的のお話はまだ申し上げられませんが、東京都を中心といたしました――病院名はまだ集計が済んでおりません関係上申すべきでないかもしれませんが、これは赤十字病院でございます。公的の性格を持った誤まりのないもの、しかもカルテなどの記入の正確なもの、そこの病院に十一月一カ月間に来た患者に、二月になりましていろいろ十の項目について文書で回答を求めたのであります。最初の一は、あなたは昨年の十一月本病院で治療を受けられましたかという、こういう簡単な問いに対しては一〇〇%正確でございましたが、驚くべきことは、病院に何回御通院になりましたかという質問に対して、正確に答えた者はわずかに四〇%でございます。あとは全部うそ、間違いでございます。それよりもっと驚くべきことは、あなたは腹を切ったとか何とかいう手術を何回してもらいましたかという、こういう大事件が三カ月前に行われておるのに、それを正確に答えた者が八五%、一五%は間違った返事をしております。こういう手術を受けるというような大きなことでさえこういう間違いがある。記憶調査とはこういうものである。今までの調査では、患者の言うことの方が正しいのであって、医者の言うことは常に間違いであるということをもってこれが今まで扱われておるのが実態であります。中央のお役人さんはそういう無謀なことはなさらないが、とかく末端のお役人は、トラの威をかると申しますか、おかっぴき的性格を持った人がありまして、なかなか峻烈な検察官的なことをやります。先年あまり峻烈な取調べをいたしましたために、医者の細君が自殺したというような実例すらあった。そういうようなことがそういう形において行われておる。いずれが正しいかということであります。しかもあとの方の罰則をごらん下さるとわかりますが、被保険者がうそを申しますと一万円の罰金に処せられます。こういうような赤十字病院の例でも四〇%しか正しいことを言っておりませんから、六〇%はうそを言っておることになる。どちらかがうそだ、病院がうそを言っておるか、患者がうそを言っておるか。結果をつき合わしてそのときには何らの仮借もなく一万円の罰金に処するとはっきり書いてある。理由のいかんによらず、記憶の間違いであっても、うそを言ったのだから。こういう峻烈な罰則がこの中に入っておるということは、一体この法律というものは何をお考えになって作っていらっしゃるのか、これは弱い者をいじめ上げてねじ上げよう――こういう医療保障というものは一種の社会福祉、つまり愛情を持って運営していかなければならないものだと思います。それをこういうとんでもないものを内容に盛り込んでおる法律で、ここに現われてきておる。これはとんでもないお間違いで、政府の反省を求める必要があると私は考える。  支払い基金の審査費の問題で、先ほど来正しく使われるようにということ、これはまことにごもっともであります。正しい金が正しく使われる、これはぜひ必要だと考えます。現在の審査機構はなぜいけないのかということでございますが、人数が足らない、それよりほかには何も支障がない。ただいまの審査委員は三者構成でございます。保険者を代表するもの、診療を担当するものを代表するもの及び公益を代表しておる学識経験者、この三者で構成いたしております。そこで公正、中立的な正しいものを行う。今度の法案は全部幹事長が任命する職員でしょう。官吏として、準公務員として審査をする。つまり保険者の代弁者という形で行われる。これの内容に関しましては、先般関東地区の審査委員長会議においての支払い基金の重要な地位におられる某氏がその内容をはっきり言っておられますが、時間がないからそれは省略いたしますが、つまり今度のこれの考え方は、どうも健康保険は赤字になっておるから審査はなるべく厳重にして濃厚診療のないように、大体一割か二割くらいは総額において減るような審査をやった方がよろしいというような内命がひそかに下るということも考えられないわけではないのであります。私どもは正しい医療が正しく行われることは望んでおります。不正を発見する必要のあることは存じておりますが、そのほかにこういうことの行われやすい形になるということに対しましては私どもは強い反対の意思を表明しておるわけであります。  今度の改正の中で一つよろしいことがあります。それも大していいことではございません。それは今まで医療費に関しましての国庫補助というものはなかったのでございますが、今度は予算の範囲で医療費に対しても国庫補助をしようということ、これはまあまあと申さなければなりません。ただしそれは三十億らしいのであります。なぜ健康保険というものに国庫の負担をしなければならぬかという理論に関しましては、お手元に差し上げました私の「国庫補助の一構想」というものをごらんをいただきますならば、その方法及び私の考え方を御了解を願えると思いますので、時間がございませんのでただいまは詳しくお話をすることは省略したいと考えております。その他は御質問によってお答えいたします。
  95. 藤本捨助

    ○藤本委員長 次に健康保険組合連合会会長の安田さん。
  96. 安田彦四郎

    ○安田参考人 健康保険組合連合会の会長をしております安田でございます。私の団体の関係から健康保険の問題につきまして意見を述べさしていただきます。  健康保険法の改正につきましては、私どもの団体といたしましては、政府の趣旨にありまするような財政空白の状況云々というような問題、さような面から取り上げられる以前に、私どもは三十年前の健康保険法というものは一応再検討さるべきではないか、さような意味で諸種の案を持っておるのでありますが、今回国会に提出されました改正保険法によりますと、ただいま数氏の参考人からお話がありましたように、徹底を欠く点はありまするが、一応私どもといたしましてはその趣旨なり方向なりというものは一応了承ができるのではないか。ことに二、三の重要な問題点に触れて改正をされておるということにつきましては、ただいま社会保障制度審議会の方の勧告を取り入れていないとか、いろいろな議論がありましょうとも、さような問題を早く取り入れていただいてもう一歩進んで漸進的にやっていただきたい。さような意味で総体的に一応この方向を是認するものであります。しかし、私どもが最も重要な関心を持っておりますものは、この保険法に盛ってありますところの国庫負担の問題であります。医療給付費に国庫負担をしていただく、次には私どもやはり保険者という建前を持っておりますので、医療の現物給付をしなければならない責任を持っております。また、これに対しましては支払いをしていかなければならない、かような責任を持っております保険者でございますので、支払い基金の審査制度あるいは保険医制度というような問題には次に関心を持っておるわけでございます。  ことに、国庫負担金の問題につきましては、われわれ関係者の多年の悲願でありますところの国庫負担金というものが一応この法案の七十条ノ三で取り入れられておりますことは非常に重大な意義を持っておるわけでありまするが、ただ私どもといたしましては、単に政府官掌のみに国庫負担金を与えるということ、これは諸先生にお願いいたしたいのでありますが、私どもは、政府管掌と同じように組合を組織いたしまして、ただいま申し上げました医療の現物給付、支払い、さようなものをいたす責任を持って政府と同じように仕事をいたしておるのでありますが、さようなものには国庫負担金はやらないのだというような、裏から見ればさような規定があるのでございます。私どもは、三十年来この健康保険というものが次第に発展しまして、今日かような、国民の間に問題になっておりまするような健康保険に相なったということは、政府管掌の健康保険と組合管掌の健康保険とがともども発展をしていって今日に至った、さような意味から、同じ制度の中において組合管掌だけ落される理由がどうも納得がいかない。ただいま健康保険の総被保険者は九百十万人ございます。政府管掌はその中で約五分の三、五百七十万人、残りの五分の二、三百四十万人は私どもの組合管掌でございます。それで、私どもは九百数十組合でございますが、共同の利益のために健康保険組合連合会という会を作りまして、被保険者のために御奉公をいたす、かような状況でございますので、この二つに分けて国庫負担金を考えることは、どうも私どもにはわからない。また政府管掌の健康保険は、提案理由にもありますように、中小企業に属する低額所得者の被保険者を多数収容しておる。従ってその財政の基盤が虚弱であるので財政の赤字については何とかしてやらなければならぬ、一方組合は、比較的大事業、大企業に基盤を置きまして作られているという関係がありまして、どうも、金持ちではないがもっと余裕があるのではないか、財政的に余裕があるかのように見られておるのでありまするが、なるほど組合員数もただいま申しましたように三百四十万以上もございますから、一応、平均をいたしてみますると、標準報酬においては政府管掌よりも上のような数字が出るのでございますが、しかし、独立いたしました経済を持って九百二十組合というものは個々に独立した仕事をいたしておりますので、その九百二十組合の中の約四分の一、組合数にいたしまして約二百ばかりになりますが、被保険者数も約八十万足らず、かような被保険者の集まっておりますものというものは、むしろ中小企業であって、政府管掌の平均報酬は一万二千二百数十円でありますが、ただいま私が御案内いたしました二百組合あるいはその八十万程度の被保険者の賃金といいますか保険を取り立てます基礎になります標準報酬は一万二千四十八円程度にしかなっておりません。従いまして私はその点を諸先生によく御理解願いたいのでありますが、むしろ政府管掌以下のものがありまして、しかも同じように営々として仕事をしていく、かような事実が現にあるのであります。それからまたよく御議論になりまするように、赤字組合あるいは非常に困っておる組合は、政府管掌に入ったらどうだ、国庫負担金がもらえないなんて、そんな不足を言うなら入ったらどうだ、これは私のただいま申し上げましたような、健康保険の沿革とかいうようなものを全然無視いたしました議論でありまするし、また組合というような経営方式――経済的には非常にこれが得をいたしておるのでありますが、さような経営方式によるところの経済効果というものを全然無視した議論でありまして、かりに政府管掌にさようなものをお取りになって、困っているなら来い、赤字なら来いということになりますならば、政府管掌の赤字はますますふえてくるのではないか、かような考えも私どもは持っております。従いまして今日どなたに伺いましても、やはり医療保障の面にしても、乏しい資を卒二番効果的に使うということになりますれば、やはりただいま営々としてやっておりまするところの組合方式の小さなものも、そのような形において何か立ち行くように御援助願いたい、これが健康保険を育てる上に一番賢明な道ではないか、私はかように考えております。しかもただいま申しましたように、営々として努力して参っております組合だけを無視するということになりますれば、やはり経営努力というようなものも無視されることになります。しかし私どもは政府管掌に――おそらく来年度国庫負担三十億円というお話を伺っているのでありますが、政府管掌に三十億円の国庫負担金が出るなら、私たちも直ちにいただきたいというようなことを私は申し上げるわけではないのでございまして、法律の建前――少くともただいま申しましたような沿革を持って健康保険が今日に至ったいろいろないきさつ、あるいは成立の状況等を考えますと、現実に金を給付してやるやらぬということは別にいたしましても、建前だけは、私どもも政府管掌と同じ仕事をいたしておりますので、国庫負担金をいただけるような道を開いておいていただきたい。これが私どもが一番法律に関心を持っておる重大な点でございます。しかも政府管掌のみに出るというようなことになりますれば、何と申しますか、社会保障に、足らずまいでも営々として一生懸命に尽して非常に大きな効果をあげている組合、いわゆる社会保障の孝行むすこには一つのいたわりの言葉もなく、お前たちは知らないということで、むしろ、これは言葉は悪いですが、放漫に流れておるところに金をやって可愛がることは、これは健康保険の発展途上において非常に致命的な問題になりはしないか。かようなところが私どもは本法律の重大な過誤の一点だ、かように考えておりますので、どうか諸先生におかれましても、ぜひかような点で私どもの立場をお考え願いたい。今直ちにいただきたい、来年いただきたいということを申し上げておるのではありませんので、建前は少くとも一つ道を通していただきたい。これが私どもこの法律案では一番不満な点なのです。  そのほかには、私どもやはり保険者といたしましては保険医の制度の問題です。これは私どもは、三百四十万以上あります被保険者に適正な医療の現物給付を与える、かような責任を持っておりまするし、またさような結果につきましては適正な支払いをする、これが今日医療保険の重大な基本的の問題かと思うのであります。しかし今までの制度におきましては、実際その運用面におきましては相当遺憾な点がある。あるいは私どもの方にとりましても、私どもは医療の現物を給付しなければならぬ責任を持ちながらも、その医療を現物給付する機関を持っていないので、いわゆる開業医の諸先生にお願いしなければ医療の現物給付ができない。まあかような問題等につきましては、法改正の面におきましても諸先生に相当御留意をいただきたい、かように私ども考えておるのであります。しかも今日の状況から考えまして、私どもは結局、保険医の方から請求が出て参ります、いわゆる請求書によって保険者がそれをチェックして支払いをする。従いまして、ただいま基金の審査というもの、あるいは私どもみずから、しろうとながらも見てチェックをして、さようなことでお支払い々する。そのほかは全部保険医の方々の、いわゆる良識に待って運用されている。かようなことでございますので、私どもといたしましてもある場合には、ごく少数でございますが、保険医の不当な診療あるいは不当な請求というものも過去に間々あった経験を持っておりますので、さような面から申しますと、これはやはり自律的にもさようなことができないような一つの規定と申しますか、さようなものをぜひ設けていただきたい。これは何もお医者さんの人格を私たちがとやかく申し上げるわけではないのでありますが、かような健康保険というような制度は、今の日本の状況におきましては、五千万人の人間がいわゆる健康保険というような一つのルートの中に入って、安心して医療を受けるという一つの規定がございまして、さような規定が当然守られているのだ、間違いなく運用されているのだというような意味合いからいきましても、多少の制限が保険医という身分あるいは保険診療機関というようなものにあり、あるいは指導とか監査とかいう面の規定が多少あるのは、私は当然だと思います。これでこそ五千万人が安心してかかれるし、しかも、私は多数の善良な保険医の諸先生を知っておりますが、やはりさようなりっぱな諸先生の利益を守り、立場を守るという上からも、一応の規定があって、その規定が励行されているかどうかということを正しく見ていくために、多少の議論はありましょうとも、ただいまの政府原案にありますような方法に賛成いたしているわけであります。  それから、いま一つは基金の審査でありますが、これについては私ども以前から相当の意見を持っているのであります。ただいま保険医から出て参りますところの審査請求書、それを基金で審査いたしまして、保険者であるところの政府と私ども組合が個々に払っていく、かようなことでありますので、これはただいまの基金の審査能力と申しますか、基金の審査機構の構成と申しますか、この実情というものを――これはやはり保険医の良識に待つよりほか方法はないのでありますが、しかし実際の審査の状況を私どもが考えまして、物理的にもただいまのような機構ではむずかしい。なぜならば、私どもが審査にお願いしたいような諸先生――これはお医者さんでなければなかなか審査ができませんので、私どもや被保険者が一応納得してお願いしたいような諸先生は、やはり大きな病院の相当の役職においでになる方であり、学識経験者にいたしましても、学校の教授その他相当の職についておいでなり、あるいは開業医にしても、相当の病院の院長であられ、副院長であられるような方々ばかりであります。さような方が、しかも保険の支払いというものは一定の期日があります。ことに今のような期日でも、お医着さんの方はおそいというような督促があるのでありますが、一週間あるいは八日くらいの間に相当多額な、しかも何件もの審査をして、これを適正に払うということはなかなかむずかしい。実例から申し上げますと、東京におけるところの審査機構の問題を一応申し上げればおわかりになると思いますが、東京にはむしろ法律以上に、七十人からのりっぱなお医者さんをお願いいたしまして審査をいたしております。しかしそれを時間的に考えてみますと、一件が――しかもお医者さんはさような拘束はできないのでありますが、一日八時間休みっこなしに審査をしていただくといたしましても、ただいまのような診療件数がありますと一件十秒、これは私どもも物理的に不可能だということを考えますときに、今度の方法が最適であるかどうかということは、やってみなければわかりませんが、一応専門の審査員というものを設けまして、終始さような専門的に当っていただくということが私どもは望ましい、かようなこと等が私どもこの法律の中にありまする二、三の重要な問題でございますので、どうかよろしくお願いいたしたいと思います。
  97. 藤本捨助

    ○藤本委員長 以上で意見の御陳述は終りました。  質疑の通告がありますので、これを許します。八田貞義君。
  98. 八田貞義

    ○八田委員 ただいま御参考人の方にはいろいろと貴重な御意見を聞かしていただきまして、まことにありがとうございました。  ついては自分らがこの法案を審議するに当りまして、いろいろと疑問点を持っておりますので、この点について質問を申し上げてみたいと思います。ただ時間がございませんので、重点にしぼって質問させていただきますが、先ほど来いろいろとお話を承わっておりますと、今度の改正法案というものは、いいところはたった一つしかない、あとは全部もう警察法的な色彩が濃くて、医療担当者に対するところのかっての治安維持法みたいなものだ、こういうようなお言葉にこちらの方は受け取っておるわけでありますが、この法案の中でたった一つしかいい点がないのではなくて、私は二つあると見ておるわけなんです。一つは、先ほど丸山先生がお触れになったように国庫補助の点であります。七十条ノ三でございます。もう一つは五十一条の分べん手当の問題でございます。これは五十一条をごらんになっていただきますと、分べん費と出産手当の条項があります。産院とかあるいは病院に入院したときの分べん費が自宅分べんの場合と同額、すなわち標準月額の四分の一が半額に増額されて参ったのであります。この点がほんとに悪いといわれておるこの改正案の中で、この二つがいいものであろう。たった一つではないのでありまして、もう一つこの内容の中に入っておるのでざいます。  そこで丸山先生にお伺いいたしたいのでありまするが、先生がお触れになった点については、なるべく重複しますので触れないようにしまして、ただ四十三条ノ九におきまして「保険医療機関又ハ保険薬局ガ療養ノ給付ニ関シ保険者ニ請求スルコトヲ得ル費用ノ額ハ療養ニ要スル費用ノ額ヨリ一部負担金ニ相当スル額ヲ控除シタル額トス」、こういうふうに書いてございまして、医療機関に請求する権利を与えておるわけであります。これにつきまして私はいろいろと不安点があるのであります。機関とは一体何だというような定義まで入ってこなければならぬと思うのでありまするが、一体この医療機関に請求権を与えるということは、これは医療機関は開設者であってもけっこうなんです。管理者じゃなくていいわけです。開設者、これは非医師であります。あるいはまた医師の場合もありましょうが、医療機関に診療請求の請求権を与えた場合に、非医師の場合でもこの請求権を持つことができるわけでありまするから、これをこのまま拡大していったなら、私は非医師によるところの大企業的な病院というものがどんどん今後できて参りまして、個人立の診療所というものは大企業の前にすっかり押しつぶされて、もう個人立の医師の生活権というものが否定されてしまうというようなことが将来において起りはしないかという不安を持っております。それで丸山先生から率直に、この診療機関に診料請求権を与えてある四十三条ノ九の条項につきましてお教え願いたいのです。
  99. 丸山直友

    ○丸山参考人 医療機関というものの性格が私完全に現在把握できておらぬのであります。機関というものは医療の施設だけではないようでございます。それに人的要素が入りましたり、いろいろなものがそこに加わりまして、一応診療のできる形態を持ったものが機関ということで言い表わされているのじゃないかと思います。どうもその点明確にせられておりませんが、私はさように解釈しております。現在の請求権は、請求書の内容をごらん下さるとわかりますが、請求書という小さな紙と、それから診療報酬請求明細書という二種類の様式をもって請求せられております。明細書は、それを担当いたしました保険医の名前で出ております。たとえば数名の保険医が一つの診療機関におりまする場合に、個々の保険医がおのおのの名前をもちまして自分の担当した部分に関しましての明細書を書きまして、それを数枚綴りましたもの、普通それの管理者である場合もございましょう。それは全然規定がないのです。だれでも出せるわけです。そういうことでございますから、今度それを明確に医療機関に与えるということがここにはっきりいたしましたので、多分これは医療機関を代表する者が請求ができるということになると思います。それがいいか悪いかということはまず別問題といたしまして、その結果大企業内のものが増加するのじゃないかという今の御懸念でございまするが、これは現状と変らないと思います。なぜかと申しますと、現在でも大企業的のものでないと大体経営が困難になっておる実情でございます。これは今のすべての商売などでも、デパートのようなものが非常に繁栄いたしまして、中小企業はなかなか苦しい立場に追い込まれて、そのために中小企業何とかういう法律ができかかっておるというような状態でございまするが、これは同時にわれわれの医療機関においても同様な現象が起っております。ことに近ごろのように屋上屋を架しまするようなりっぱな医療機関もあり、その付近の人たちが医療に恵まれないことはない、十分に恵まれておるというような状態であっても、おのおのの自分のセクションのためにはいろいろな理由があると思います。あるいは補助金にからんだり、いろいろのものもあると思います。またいろいろな利権だけでなく名誉もあると思いまするし、種々なる理由で屋上屋を架するような公的な医療機関が乱立されるということが現在の趨勢でございます。われわれとしては、国家全体の医療機関の整備ということに関しましては、一元的の何かの施策が必要であろうということは考えておりまするが、その線に沿わないことが現状でございます。それが今度医療機関が請求権ができるということが明確になったから、そういうことが増加するかということになりますと、それは直結しないのではないかと、かように考えます。
  100. 八田貞義

    ○八田委員 私ちょっと先生に対する質問の仕方がうまくなかったと思うのですが、この保険の医療機関におきましては、開設者が代表になる場合もございます。あるいは管理者が代表になる場合もあると思うんです。その場合、今後保険運営に非医師たる企業家と申しますか、そういった人が関与する部分が非常に大きくなっていくのではないか、こういう不安が自分にあるわけでございます。こういったことをさらに差し伸べて参りますと、先ほど先生がいろいろとおっしゃいましたように、何か特定の階層かあるいは特殊な部落が医療機関を作ります、そしてここでもって健康保険事業を運営していく、いわゆる開設者ということになりますと非医師でもいいのでありますから、企業者がどんどん入って参りまして、そうして一つの特定階層とか特殊な部落で一つの機関を作って、監査に対して現行法で及び得なかった、だからこの法律を作ってそういった特定階層とか特殊な部落に対して監査の徹底的なことを行なっていこう、それがうまくできなかった場合には、裁判になった場合の一つの資料をつかもう、こういうようなことも考えられてくるわけなんですが、企業家が利益本位でやる、そういった疑いを持たれる機関に対して、今度の法律によってやれるかどうかですね。ちょっと私の質問がはっきりしないかとも思うのですが、先生は専門家ですからすぐにおわかりになると思うのです。
  101. 丸山直友

    ○丸山参考人 医療の内容に関しまして、非医師である利潤を追求する企業家が何か医療を曲げたこと行うのではないか、こういう御心配のようでございます。これは四十三条ノ七をごらんいただきますると、保険医療機関及び保険薬局は療養の給付に関しては厚生大臣または都道府県知事の指導を受けなければならぬとあります。そういう場合には一応の指導は受けると思います。ただそこに勤めております保険医は同条の中にありまする通り、健康保険の診療または調剤に関して指導を受けなければなりません。つまりそういう企業的な医療機関がございまして、そこに保険医が勤めておる、こういう状態がある場合に、その医療内容に関しまする指導は二つの方法で行われるわけです。医療機関が行われまする指導というのは療養の給付でございまするから、医療の範囲よりは少し広くなります。これは患者の移送でございますとかあるいは埋葬とか種々の給付全部に関してでございますが、しかしその中の大部分を占めるのはやはり医療でございます。医療に関しての指導を受けるわけであります。     〔委員長退席、亀山委員長代理着席〕 そういうことから申しますと、保険医療機関が受けた指導とそれを受け入れる医療機関の代表者のものの考え方、それと同時に保険医が受けた指導とそれによって受けたところの保険医の医療方針というものが、必ずしも私は一致し得ると考えておらぬ。というのは、保険医というものはどんなことをしましても自分の利益になりません、自分は月給で働いておりまするから、医療内容に関しましてはすなおに指導を受け入れるかもしれません。ところが医療機関は今のお話のような状態でございまして、企業家で利潤追求を目的としておる人でございまするから、すなおにその指導をそのまま取り入れた方針で診療をやれということを考えるか考えないかということに対して私は疑問を持つ。そこで今まで私どもが見ておりまする実例から申しますると、農業協同組合の病院等において行われておりまするが、事務局の力が医局を圧迫しておるということがあります。事務局は自分の病院が相当の利潤を上げませんと新しく病室をふやすことも、なかなか費用を国庫からくれませんし、新しい機械を入れたくてもなかなか買ってくれません。そういうことから事務局の意見というものが医療内容に非常に介入しておるという事実は現実にある。そういうようなことは私はやはりこれによって多少助長せられるかもしれない、こういうふうに考えております。
  102. 八田貞義

    ○八田委員 非常にあやふやな私の質問を先生からはっきりさせていただきましてありがとうございます。これは非常に問題点があるわけです。それで医師に不正があったとか不正がなかったということは、先ほど先生が患者の記憶というような調査をお示し下さいまして、三カ月後におけるところの調査の成績をお示しになりました。まことに患者の記憶というものは不確かである。三カ月後をとられた理由は私はすぐにわかったのでありますが、今日の水増し請求があるかどうかということは三カ月後でなければわからぬわけです。ですから三カ月後の成績をお出しになったのでありますが、実際の患者の場合、人間の記憶というものは一週間もたてば非常に不確かなものになるということは、心理学面から申しましてもはっきりしておるわけなんです。ですからこういうことを考えますと、私は診療機関に請求権を与えたということについては相当に考えて十分な検討を加える必要があると思うのです。  それで先生にお聞きいたしますが、非医師の場合は企業家、こう仮定いたします。そうしますと非医師の場合は企業的な性格を持ってくるのですが、その場合に一方的な利潤追求になってくるわけです。こういうような場合に今日の医療法を見ますと、診療所は届出制になっております。病院の場合には許可制になっておるわけでございます。これは医療法の第七条と思っておりますが、病院の場合には許可制になっております。そこで四十三条ノ九においてはく然と医療機関に与えるということは――開設者とか管理者というものをはっきり区分する必要がございますので、医療機関の開設者が非医師の場合は許可制をとるべきではないか、こういうふうに私考えるのでありますが、先生としてはどういうようにお考えになっておるか、お知らせ願いたいと思います。
  103. 丸山直友

    ○丸山参考人 医療法でも非医師が開設いたします医療機関は許可制度に実はなっておるわけでございます。しかしそれは診療所を作るということの許可でございまして、それが直ちに保険医療機関になるかならぬかはまた別個の問題になるわけでございますが、医者が医療機関を設立しております場合には、今まで企業家というようなお言葉でおっしゃったのですが、医者にも企業家がないわけではないわけなんで、たまたま開設する人が医師の資格を持っておる、しかしこれは医師の企業家である、自分は診療などはしないで診療所を開設いたします場合には許可でありません、これは届出で済むわけでございます。そういうような形になっておりますので、今の問題はいろいろなケースがそこに入ってくるのじゃないかと思いますが、やはりこれを改正いたしますならば、非医師のやっております医療機関は医療法の規定に準じましてこれは許可制度にすべきであると私は考えます。
  104. 八田貞義

    ○八田委員 医療法に準じて許可制をとるべきだとおっしゃる、これは私も非常に同感でありますが、許可制の場合でも、管理者が責任者となるような許可制度を作るべきではないかと思うのでございますが、その点いかがでございましょうか。
  105. 丸山直友

    ○丸山参考人 開設者と管理者という区別でございますが、これはあるいは専門の方でないとよくおわかりにならないかもしれませんが、開設者は医者でなくてもよろしゅうございますが、管理者は必ず医者でなければならぬという規定がございます。すなわちそれは院長というような位置にある人が管理者となっておるのが普通でございます。医療に関する知識を持たない、医者にあらざる者がそういう治療についてわかるはずがないのであります。わからないしろうとに指導なんかしてみたって、これは馬の耳に念仏というようなことになる危険性がございますので、やはり医者の資格を必要とする管理者が代表になるという形をとった方がいいのではないかと私は思います。
  106. 八田貞義

    ○八田委員 先生からはっきり示していただきまして、改正すべき点をつかみ得たと感ずるのであります。  時間がございませんので簡単に御質問させていただきます。今度の改正法案では第九条ノ二と第四十三条ノ十において、監査方法が非常に明確にされてきたわけであります。九条ノ二は医師とその使用者に対する検査権の確立でございます。四十三条ノ十は機関の検査権の確立でございますけれども、個人立の開業医の場合は何もかも一人でひっかぶるという状態になってきておるわけであります。厚生省当局にこの問題についていろいろ伺ってみますると、監査要綱をはっきり法文化したんだ、しかも民主化された、近代化されたというのでありますが、私はそうとらぬのであります。先生は、第九条ノ二と第四十三条ノ十から、これが近代化された法文あるいは民主化された法文とお考えになるかどうか。もう一つ、監査要綱をこの中に入れたというのでありまするが、監査要綱というものが生きておるか死んでおるかということであります。さらにもう一つ、どういうことから監査要綱というものが生まれてきたのか、それについてもこの際お示し願いたいと思うのであります。
  107. 丸山直友

    ○丸山参考人 私は、今の御質問の監査要綱を明文化したものとは考えておりません。さっき冒頭に申し上げたような監査制度の強化であると考えております。もちろん民主化したとも近代化したとも考えておりません。むしろ憲法違反の疑いすらあると考えておるわけであります。それから監査要綱については、私どもは生きておると承知しております。たしか保険局長が国会で、生きておるということをはっきり言って速記録にとどめられておるはずだと思いますが、私どもはそれを信じて生きておると思っております。次に監査要綱というものの生じた理由でございますが、これについては先年、私が先ほどちょっと申し上げましたように、非民主的、悪官僚的な監査が行われて、非常なトラブルが実際起ったわけであります。その人は責任をとってやめておりますが、そういうようなことから、もう少し医師会と連絡をとったりして正しい民主的な監査が行われるようにしたいという趣旨で、あの監査要綱というものを医療協議会にかけて決定したわけでございます。
  108. 八田貞義

    ○八田委員 先生も監査要綱は生きているというふうにお考えになっておられるわけであります。また厚生省も生きておるということを明言しているわけでございます。残っているであろうとか生きておるというふうに言われましても不安がどうしてもあるのです。法的なよりどころがあるであろうかという疑問が起って参ります。既得権が守られているかという不安がございます。その点について先生はどういうふうにお考えになっておりましょうか。残っていると言われておっても、あるいは残るであろうということにもなって、不安がどうしてもつきまとって参ります。しからば残っておるという法的なよりどころがどこにあるのか、既得権は守られているであろうか、こういう点であります。
  109. 丸山直友

    ○丸山参考人 おっしゃる通りだと思います。私は、さっき申し上げましたように、四十三条ノ十で監査要綱が明文化したものとも考えておりませんし、裏づけができておるとも考えておりません。厚生省の保険局長の答弁を国会の速記録にとどめたということだけでは安心するわけに参りません。一番明確なのは法律の中にそれが入ってくるということであります。これはどういう形で入りますか、別に定めるところによるとか、あるいは省令でいたしますか、何かそういう形でこれをやるものだ、監査要綱というものをきめるのだということが何らかの形でこの中に入って、法律的に裏づけのある、また効力の確実な形で確立せられることを希望しているわけであります。そういうふうに御修正ができましたら大へんありがたいわけでございます。
  110. 八田貞義

    ○八田委員 この四十三条ノ十を見ますと、どうしても今先生がおっしゃったようにはっきりしておく必要があると思うのであります。というのは、四十三条ノ十をこのまま読みますと、もう摘発だけがはっきりとここに出てきておるわけです。これに私は非常な不満を感ずるものでございまして、これは修正の一番必要な問題であろうと考えます。もちろん九条ノ二もそうでございます。さらにいろいろお伺いいたしたいのでありますけれども、時間がございませんし、あとでまた滝井委員から質問があろうと思いますから繰り返しませんが、もしもこの法案が通った場合審査機構はどのように変ってくるか。これは簡単に申しますと審査機構の官僚化という言葉で表わされて参るわけでありますが、どういうふうな変り方をしてくるか、一つお示し願いたいと思います。
  111. 丸山直友

    ○丸山参考人 法律の文面から拝見いたしますと全部が職員になるわけでございます。しかし、これは医師でなければなりませんので、厚生省の考えておられるような監査でいくか、あるいは準公務員的な何にも医師的に仕事をしていない医師で全員を満たすことは現在としては不可能だと思います。従って、パートタイム的審査委員もこういう機構の下において残されるであろう、数がどうなるかということは別問題といたしまして、大体そういう形のものが残されるであろうと思います。しかし、残されることは残されますが、その後の性格は現在と全然違ってきます。パートタイマーは何も診療を担当するものの利益を代表するものでございませんし、やはり形としては準公務員ということになる。昨年十一月三十日、関東地区の審査委員長会議が木更津に開かれましたが、そのときに、中央社会保険診療報酬支払い基金、そういう要職にある人が、もし今度の法案がこのままで通った場合にこういうふうになるであろうという予想を実は発表しております。今の法律の下では、専任の審査委員は、定員が百九十六名であるが、少し欠員があって百五十一、二名、出入りしている欠員が四十四、五名ある。三者構成という形で出ているが、嘱託の審査委員は定員が千五十名ございまして、それは全部満たされております。それで現在の法律のもとにおいての専任審査委員というものはどうしてできておるかということでございます。これは三者構成で保険者を代表するものというのが三分の一だけは入れることになっております。専任の中の三分の一を保険者から推薦した、それがこの専任審査委員という形で出ておりますので、その数は幾らふやしても三分の一をこえることができない。それが現在の法律なのであります。それが今度のこの法律の改正でさしずめ専任の審査委員は二百五十名、そしてその人は八時間勤務で八日間審査をぶっ続けに行う。それから現在の推薦によって出ておるような形の嘱託審査委員――しかしその性格は準公務員となりまするけれども、そういうふうなことからひそかに推薦でもしてもらうという推薦であるかどうか、それはわかりませんが、医療協議会の制度がございますので、医療協議会が推薦することになる、それを多分取り入れるという意味であろうと想像をいたします。それは五百八十名。現在千五十名のものを五百八十名に減らすのである。これは一日に四時間ずつ審査を行なって、三日間だけにとどめる。診療報酬請求明細書の審査はその専任審査委員の二百五十名で全部やってしまうのであります。嘱託審査委員は、審査は第二次的にしてさせないでかまわずおく。そうして再任の審査委員が審査を終って、その中に疑義のあったものや、もう一ぺん審査をしなければならないものだけをこの嘱託審査委員の方へ回すのである。あるいは専任審査委員二百五十名が八時間の八日間で審査し切れなかった部分に対しは、仕方がないからこの嘱託審査委員の方に回す。こういう趣旨の説明をしております。これが審査委員の個人差をなくして、全国画一の審査を行うのに役立つ、こういうことをいっておられます。これはよほど考えなければなりません。病気というのは全国画一的じゃないのであります。感冒が流行しても、ある地区においては比較的重症の感冒が流行する、ある地区においては比較的軽い感冒が流行する、その医療内容は感冒という同じ名称であっても、多少そこに段階ができておるということは当然のわけです。そういう場合にこれを画一的に審査をする。感冒はこういうふうにするんだ、何点で一体縛るんだというふうなことが、ここに行われる危険が非常に多いということがあるから、こういう方法では非常におかしいのじゃないか。やはり三者構成の審査委員で、しかも厚生省から通達が出ておりますように、審査委員会は中立的な存在であり、保険者の利益を代表してもいかぬし、被保険者の利益を代表してもいかぬし、診療担当者の利益を強調しても困る、いずれにも片寄らない、公正妥当な審査が行われる独立的、中立的のものでなければならぬことがいわれておる。今度は先ほど来申し上げているようなことに相なりますると、その思想は根本的にこわされます。私はそういうことをおそれる。先ほど来健康保険組合その他から、今までの方法が悪いということが言われましたが、どういう点で悪いか。私の考えておりますのは、人の数が足らなかったということで、そこに曲げられた審査が行われたということにならぬと思う。もし今までに曲げられた審査が行われたということなら、審査委員会の理事長をお呼び下さって、今までいかに曲げられた審査が行われたか証言を求めれば判明すると思います。
  112. 八田貞義

    ○八田委員 今度の法改正の問題は、今先生からお示しになったように、自分らとしてもまことに遺憾な点が多いのでございます。そこで先生、現行法の場合において何ら不都合はないのでございますね。
  113. 丸山直友

    ○丸山参考人 現在不都合はございません、人数さえ増せばよろしい。
  114. 八田貞義

    ○八田委員 それならよくわかりました。  そこで先ほど安田さんから組合健康保険のことについてお話がございました。私も組合健康保険の運営がうまくいっていないということはよく知っているんです。ところが医療保障勧告には今後の健康保険の事業運営は組合保険に移行すべきだと言っておる。その点は私は非常に疑問を持っておるのであります。これが安田先生からはっきりと今日非常に中小企業形態の組合が多くて、しかも標準報酬の月額も政府管掌に比べて何ら変りはないということをお示しになった。ところが厚生省当局の中では、組合方式というものは希望によってやらしているんだ、だからこちらの方ではどうのこうのということはないんだ、表現の仕方がまずいかもしれませんが、そういうようなことがあったわけであります。先ほど安田さんは、今弱体な組合方式を営んでおる組合が、政府管掌の方に入った場合は赤字はもっと増すんだ、こういうふうに言われましたが、しかし政府管掌の健康保険を経営し、監督する厚生省当局においては、あなた方の希望で勝手にやっているんだ、私は知らぬということなんですが、これに対してはいかがですか。
  115. 安田彦四郎

    ○安田参考人 先生の御質問の趣旨をよく了解してお答えできるかどうかわかりませんが、なるほど組合は、労働組合と事業主とが御相談して一応設立してやっているのでありますが、政府は知らないというようなことはどなたが話されたのか知りませんが、これは組合として一人で立っていけるかいけないかというようなこと、あるいは自分が世話をしなくとも、被保険者に迷惑をかけないで十分いけるかどうかという問題は、政府がみずから認可しなければできないので、勝手にやるということは、私にはちょっとよくわからないのですが、しかも政府も組合なんです。実は五百七十万というような組合でありますから、これはあまりに大き過ぎて被保険者の利益というものも十分考えられませんし、やはり組合でも、あまり小さくてもいけませんが、ある程度の効率というものがありまして、それでやりますと、経営も被保険者のためにも、金銭的にもうまくいくというのが、社会保障制度の勧告でもあり、かつてワンデンの勧告にも出ておるのではないかと考えております。
  116. 八田貞義

    ○八田委員 最後に一部負担の問題、国庫補助の問題でございます。一部負担は各御参考人の方々はともに反対されておるところでございます。安田さんはそうではなかったようでございますね。ただ一部負担ということはどういうことか。これはいろいろな問題が起って参りますと、先ほども丸山先生が言われたように、一部負担というものは本来あるべき姿として必要かどうか、あるいは赤字対策として必要かどうかということについてははっきりとしたことが厚生当局によっても示されていないし、われわれもこの点に対して疑問を抱いておるわけです。ただ問題は、社会保険とは一体どういう姿のものか、どういう理論体系で今後社会保険というものを盛り立てていかなければいかぬかという問題点にぶつかってくるわけであります。今日まではただ単に収支がうまくいかなくて赤字ができた、これを政治的な緊急性をもって国庫補助をやっていかなければならぬというふうにやってこられたんです。その場合の国庫補助というのはいつでも支出に見合っての補助なんです。政府管掌の健康保険というものは低所得者層をかかえております。ただいまも安田さんからお話があったように、組合健康保険におきましても、低所得者層がおるわけであります。ですから、国庫補助というものは、支出に見合っての補助でなくて、収入に見合うところの補助というふうにいかなければならぬ、私はそう考えておるわけであります。今までは、ただ単に支出に見合っての国庫補助が政治的な緊急性において唱えられてきた。しかし、それは決して正しくないのであって、むしろ収入に見合っての国庫補助というものを考えていくべきだ。そうして今後の健康保険というものの仕組みというものを、正しい形においてこれを立てていくのが、ほんとうの考え方ではないだろうか、こう私は考えるわけであります。そうしますと、この健康保険というものは短期保険でございます。ところが、短期保険が長期給付を必要とするところの結核を入れてきておるわけであります。ここでもう、健康保険というものの短期保険であるべき性格が、あやふやになってきておるわけであります。どうして結核を健康保険の中で見なければならぬか。見さしておるならば、これに対して国は補助すべきである。しからば、結核が健康保険財政におっかぶさっているならば、結核予防法において一体どういうふうな国の補助がなされておるか。現に今日の結核予防法は、全く結核治療法になってしまっておりますが、この場合でも、国と地方とが一緒になりまして、半分だけ補助をいたしております。あと半分は患者負担になっております。こういうことから考えまして、短期保険であるべきところの健康保険の赤字発生の大きな原因というものは、結核が長期給付の形においておっかぶさっておるからだ、こういうことになりますと、先ほど丸山先生から、国庫補助の問題につきまして、論文をいただいたのでありますけれども、丸山先生から、一つ国庫補助について、結核をとらえてどれくらいの補助をするのがほんとうに正しいのであるかどうか、これをお示し願いたいのと、やはり同一な悩みを健康保険組合でも受け取っておられると思うので、安田さんの御見解もお聞かせ願いたいと思います。
  117. 丸山直友

    ○丸山参考人 結核の問題は、まことに私はさようだと考えております。現在の健康保険の医療給付費の中の約三八%ぐらいは結核関係費用として支出せられております。金額としてもなかなか大きいのであります。もう一つ今の問題にからんで、参りますのは、結核予防法という法律、これは私制定当時関係しておりました法律でありまして、非常に関心を持っておるのでありますが、あれは全国民を対象とした法律でございまして、結核予防法の対象は、健康保険被保険者を除外するという建前にはなっておらぬのであります。しかるに、結核予防法の対象となるべきものを医者から申請いたしますと、予算が足りませんので――これはおもに地方費が足らないので、国の方は割合に余っております。地方費が足りないためにこれを制限する。制限する場合においては、まず健康保険の被保険者の分を一つ不許可にしようというようなことが相当行われておる。これはたしか三十年の調査だったと思いますが、被用者の本人は三六%しか許可になっておりません。あとはみな落されております。ところが半額負担になる家族になりますと、八五%認められておる。一般国民は九八%承認を与えておる。こういう非常な差があるわけであります。結核予防法と申しましても、今ストマイ、パスというようなものがありまして、治療が相当入っておりますが、そういうような結核予防法関係から当然いただけるものが、肩がわりして健康保険の方へいっておる。これが非常な重圧になっておるのであります。そういう結核医療費が重圧を加えておるということと、そういう不公平がある。これらをあわせまして、最初の考え方からすれば、長期給付に属すべき結核は健康保険からやめてしまえという考え方ができるわけであります。そうすれば健康保険財政は非常に楽になる。これは当然であります。そうして結核は、結核法のようなものを作って、一元的に非常に強力な対策を講ずる。そうしますと十年くらいでもう何分の一ということになります。国民の結核というものは撲滅に近づき、国の予算もどんどん減るということは当然考えられる。ところが今のあの状態で、政府のものの考え方から見ますと、なかなかそこまでふん切られるような勇気は見えません。そういうような状態で、健康保険の中から結核に関するものをやめようと言うと、やめたものの行き場がございません。それを拾い上げてくれる場所がない。これは非常な不幸になりますので、いましばらくの間はやはり結核に関しては治療も健康保険の中へ入れていかなければなるまい。そうすれば今のような不公平が起って肩がわりさせられている面もあるし、結核予防法で公費五〇%にしても国が半分二五%負担しておりますから、その分くらいのものは健康保険の中へ入れてやってもいいではないかということが、私の考え方でございます。金額その他はそこに大体書いてございますから、ごらんを願いたいのであります。これは社会保障制度審議会では五割の負担ということを政府に勧告しております。昭和二十五年の第一次勧告においては、健康保険に対しては二割の補助をやる、それから結核に対しては五割をやるという勧告をいたしております。先般の勧告におきましてはさらにそれが強化せられておりまして、もっと大幅の負担をしろと勧告しておるわけであります。そういうような勧告は非常にけっこうなんでございますが、今の政府にそういう勧告をしても、これまたさっきも申しましたように馬の耳に念仏に取り扱われるのではなかろうかと私は考えておるので、もう少し現実味のある要求をした方がいいということでございます。そういうような意味で、健康保険の純結核医療費の二割五分を結核予防法に二割とあるのと同じだけのものにしてはどうか。それで大体四十四億円という金額に相なると私は試算をしておるわけであります。  国庫補助に関しましては、今度の法律ではやはり支出見合いの、しかも予算の範囲ということになってばく然としておりますが、ああいうやり方は――現在私はそれに反対をするわけではないので、それに反対してふいになってしまっては困りますから、反対はいたしませんが、私は国民皆保険とか、すべてのものを根本的に考え直す段階におきましては、ああいうことはやめていただきたい。というのは、健康保険の中へある金額を入れますと、その利益を受ける者は、だれかといいますと、一部負担等をあまり取らないで済むようになりましょうし、あるいは給付を制限しなくても済むようになりましょうから、被保険者です。その被保険者には、五万数千円という高額所得者も含んでおります。そういう高額所得者にまでも均霑するような形で国の補助を与えるという方法が、果していい方法であろうか。社会保障という観念から少し遠ざかっておるのではないか。そういう意味から、国庫補助は低額の所得者に対してなすべきである。それに関しましては、どこが低額所得者かということであります。七人委員会では、標準報酬月額五千円以下の者を低額所得肴というように扱っております。私はもう少し上に考えておる。五千円というようなことではいかぬ。政府管掌では、ただいま平均の報酬が一万一千幾ら、一万二千円近くになっておると思います。それを境といたしまして、平均額よりも少いものを低額所得者とする、こういう線を引きますと、八級以下の者がそういう線に入って参るわけであります。それからもう一つの考え方による低額所得者の引き方は、現在行われております一切の給付、医療給付費だけではございません、分べんも埋葬も傷病手当もその給付費が一人当り幾らになるかという数字が出ております。その数字とその人の納める保険料というようなものを比べてみまして線を引きますと、同じく偶然にも八級以下になります。それで私の低額所得者と言う階層は、八級以下のものを低額所得者とするという考え方でございます。そこで先ほど冒頭に申し上げましたように、健康保険というものは相互契約の形で、これだけの金を出すからこれだけやってもらおうじゃないかという、お互いの約束ごとでございますから、赤字が出た場合には、保険料を増すか、もらう方を減すかどっちかするというのが筋でございます。それで私はこれは保険料を増すのが当然だ。給付を制限するということは病人に負担を多くする。どっかで切らなければなりませんから。病人が負担をするのは、弱者に負担をかけるのはいけませんから給付の制限はいけない。そうすると保険料を上げるより方法はないということになりますと、四十四億結核に対する補助を政府がいたしますと、大体千分の三程度の保険料の引き上げでまかなわれます。千分の六十五でございますから千分の六十八に上げればまかなわれます。船員保険ではすでに上げられております。これは私は話し合いでできると思う。どうも政府は何か弱いところにしわ寄せをしようと思うのか、ごきげんをとられるのか、社会保険審議会におきましては、日本の保険料が世界一高い水準の保険料だからこれを上げるわけには参りませんと一人できめている。被保険者は何も言うておらぬのに一人合点でそういうことを言っていらっしゃる。また保険料を千分の三上げてみようという御相談に一ぺんもあずかっておりません。私はそれは御承認になるのじゃないかと思う。千分の三引き上げますと被保険者は千分の三の半分を納める。千円に対して一円五十銭今までよりはよけい負担する。一万円に対しても十五円しかよけい負担しないということになる。そのくらいの負担を健康な人が負担し切れないという理屈はないと思う。病気になってから百円負担するよりその方が楽だと思う。さっき申し上げましたように、私はそういう一部負担というものは根本的におかしいと思う。それをやめて保険料を千分の三お上げ下さったらどうですか。そこで千分の三上げてもそれは大へんだという階層ができる。その階層は八級だ。その八級以下の人に対しては政府は補助金をやればよろしい。増加した分に対して補助金をやって、その人は増加しないことにすればよいということでございます。そういう方法が最も合理的だ。そうしますと政府から入った金は国民全般の結核予防法によるところのものと同一のことに均霑する。除外せられなくて済むわけだ。国民一人当りの足並みがそろう。四十四億入る。そこへもう一つ保険の方に今度政府が入れる金が十六億幾らになるかと思いますが、そういう形で入りまして、それは八級以下の人の保険料を増した分に対して補助するから、保険料率を上げた分は負担を増さずに済む。もう一歩進んで事業主の分も国が負担する。そういう弱小なものをかかえておるような事業主は中小企業で、やはり保険料の増徴は千分の一・五でもむずかしいかもしれないからということで考えております。大体その方針で参りますと、いろいろな試算をしておりますが、政府が計算しておるような平均の標準報酬一万一千幾ら、一万二千円足らず、それに当るような報酬をやるような配分でいろいろな給与の違う人を雇っておりますと、そういう場合にほとんど負担はふえない。ただふえますのは、数万円の人たちをたくさんかかえておる人たちは、これは八級以上になりまして、千分の三引き上げたという負担は直接直ちにかかって参ります。しかし、そういう高給の所得を得る人のみをかかえておるような企業体は、おそらく負担能力の多い企業体であると思います。そういう人たちは若干の負担増というのはできるのではないか。これは金額として試算しておりませんが、そう大した金額にはならぬと思っております。これが私の国庫負担に対する考え方でございます。
  118. 安田彦四郎

    ○安田参考人 私は先生のお話の結核の御議論については全面的に賛成いたすものであります。ことに政府がチフスとかコレラとかいうような流行病に対しては国費をもってこれを隔離し管理する、あるいは予防に当るというような制度を持っておりながら、結核という伝染性の強い、あるいは将来考えれば、日本の国力にも関係するような国民病に対して、ただ組合あるいは政府管掌のようなことで被保険者にまかしておくということは私はいかぬと思う。従ってこれは何とか国費をもってやっていかなければならない。ただいまのようなあるいは丸山先生の御意見のような、もしも三十億の国費が結核のために出たということであるならば、これは前に私が主張申し上げましたような不公平な処置でありまして、私どもも結核の経費というものは百億以上の金を使っておる。しかも今日結核予防法はパイプが詰まっておりまして、地方の財政との関係がありまして地方庁がこれに裏づけしてくれなければいただけないという状況であります。組合の総計から申し上げれば、私の記憶にして間違いなければ、わずか五億足らずのものしかいただいていない。従いまして国費を出すにも今のような筋を立てて、結核患者に対して国が補助するのだ、こういう建前になりますれば、非常にすっきりした、しかも私がただいまだらだらと不平を申し上げたような、組合にはいただけない、給与が高いの少いのということは全部解消いたしますので、どうか先生方のお力で結核という重要な――しかし私は健康保険から結核を出そうとは考えておりません。なぜならば今日健康保険の存在価値というものは、三十年来日本の結核患者をともかくもかかえて今日まで参ったところに健康保険の今までの使命があり、また国民に愛される制度であったと考えますので、別に離してこの結核だけにやりますれば、また健康保険の悩みと同じような悩みも出て参りますから、ただいま結核をそのままにして、むしろ社会保障というような建前から、あるいは社会保険は国が行う保険でありますので、金額の多寡は別として、国の重要な施策の一部でありますので、国費ということも、三者構成と申しますか、国、事業主、被保険者の三つが寄って社会保険というものは運用すべきだ。いろいろ予算の制限もありましょうが、多少なりとも社会保障というような理念をちょっぴりのぞかして、国費を出さるべきである。私は丸山先生と同意見でありますが、結核に対しては国民平等に、その撲滅のためにやっていただきたい。どうぞよろしくお願いいたします。
  119. 亀山孝一

    ○亀山委員長代理 だいぶ時間もたっておりますし、参考人の方々も長時間だいぶお疲れのようでございますので、あと質問者を三人残しておりますが、何とぞ簡明に一つお願い申し上げます。田中君。
  120. 田中正巳

    ○田中(正)委員 時間もありませんから簡単に、しかも問題個所としていわゆる二重指定の問題について丸山先生にだけお伺いしたいと思います。日本医師会は二重指定についてかねがね非常な反対をなさっておりますが、その理由は、本制度が無意味であるからでありましょうか、あるいは不合理であるからでありましょうか、あるいは不安であるからでありましょうか、その点簡単に御答弁願いたいと思います。     〔亀山委員長代理退席、委員長着席〕
  121. 丸山直友

    ○丸山参考人 不合理という言葉は当らぬと思います。ある部分に対しては、あるいはそういうふうな考え方も出るのも無理はないのではないかと思う面も確かにあります。それはありますが、こういうふうな形で出て参りましては、簡単に申しますと受くる利益よりは害の方が大きいということでございます。
  122. 田中正巳

    ○田中(正)委員 この二重指定の制度については、かねて厚生省で、皆さんの御心配になる点、つまり反対の論拠でございますが、それと全く反対の立場に立つ利益の点を当委員会においていろいろと答弁していることは丸山さんも御存じでございますか。
  123. 丸山直友

    ○丸山参考人 一々速記録を実は全部拝見しておりませんので、どの程度説明してありますか詳細には存じませんが、今まで私どもの承知しておりますのはこういうふうに承わっております。現在保険医という身分だけがきめられておって、機関というものに対しては何の規制もない。それで保険医というものにもし悪いことがあって、それを処罰して保険医たる身分をとったり何かしても、その機関そのものが何か間違った機関である場合は、他の保険医をまた雇ってきて同じことを繰り返すから、それで機関というものをきめてやるのだ、こういう必要がある、それが大へんな利益であるというふうに承わっておるわけであります。
  124. 田中正巳

    ○田中(正)委員 そういうお話を御存じの上でいろいろと御反対なすっていることはよくわかるのです。そこで一体日本医師会は、社会保険医療協議会、これは中央と地方ございますが、これに対して御信頼できないというふうにお考えですか。これの御処置について信頼ができるというふうに御認識ですか、その点お尋ねしたいのです。
  125. 丸山直友

    ○丸山参考人 社会保険医療協議会は、実は点数とか単価とかそういうものを審議いたしまする機関でございまして、今度の法律改正には実は直結しておらぬのであります。(「指定取り消し事務もやるのです」と呼ぶ者あり)それは地方で、中央ではやらぬでしょう。
  126. 田中正巳

    ○田中(正)委員 地方に限定してもけっこうです。
  127. 丸山直友

    ○丸山参考人 もちろん医療協議会にかけなければなりませんが、医療協議会にもかけないでやられるよりはかけた方がよろしいと思います。ただ医療協議会の構成から考えますると、あれはやはり三者構成になっておる。どういうふうなことが行われまするか、これは信頼できるものもきっとありましょうし、できないような処置をとるようなことも起るかもしれません。現実に当ってみませんと、その組織そのものを信頼するかせぬかとおっしゃっても、ちょっと御答弁できかねます。
  128. 田中正巳

    ○田中(正)委員 なぜそういうことをお尋ねするかというと、この二重指定に関して、大体この法律はその取り消しであるとかあるいは登録拒否について、社会保険医療協議会の諮問事項にしたりあるいは議決事項にしておるからであります。それで本法について先ほどからお話があったのですが、たとえば指定を知事が拒む場合には医療協議会の議によることに相なっております。それからまた登録の取り消しについては協議会の諮問事項に相なっているわけであります。また先ごろ登録申請の拒否については規定がないというお話でございましたが、私ども法律を拝見しますると、取り消しになって二年を過ぎないものについては登録を拒むことができるというふうになっております。そうなると、法の反対解釈をいたしますと、二年間取り消しにならないものあるいは二年をこえたものについては問題がないということになって、法律は恣意的にいろいろと知事が処分をすることができないようになっているというふうに考えるのであります。そこで今の地方社会保険医療協議会の処置について医師会の方々が御信頼できるかできないかという問題が二重指定の問題にからんで非常に重要なポイントになるのじゃないか。これが御信頼できないから、いろいろと二重指定についての皆さんの方の御反対があろうかというふうに実は御推察申し上げているのです。そこでさらにその点についてお尋ねを申し上げるわけであります。いかがでございましょう。
  129. 丸山直友

    ○丸山参考人 御質問に適当なお答えになりますかどうかわかりませんが、こういうことになっております。法案を見ますと、登録を拒否するのは四十二条ノ五でございます。二年を経過しない場合はこれを拒むことができる。この拒む場合は知事が一方的にできますので、地方社会保険医療協議会にかける必要はございません。それでこれは勝手に知事が自分の考えだけでいかようともできるという制度でございます。それで地方社会保険医療協議会を信頼するかせぬかとおっしゃいますが、この二年を経過せぬ場合の拒否の問題に関しましては、これは協議会とは無関係でございますので、知事が一方的にできる。それでそれを医療協議会にかけるようにした方がよろしいかという御意見でございましょうか、どうもそこがはっきりつかめないのです。
  130. 田中正巳

    ○田中(正)委員 それじゃ砕いてお聞きをいたすのでありますが、指定を拒む場合には地方社会保険医療協議会の議決が必要なわけであります。おわかりですね。これでも御不安でございますか。
  131. 丸山直友

    ○丸山参考人 しかしこれ以上の方法は実際上はないのじゃないかと思います。社会保険医療協議会の運営そのもりが曲った運営をせられますかどうかということについては、必ずしも安心してはおりませんが、しかしともかく医療協議会という形でものを諮られますならば、ある特定の知事が一方的にきめられるよりは、この方でやられる方がよろしい。それからこれは議決によることになっておりまして、諮問ではございません。それでこれはここで議決がありますと、その議決に知事は従わなければなりません。
  132. 田中正巳

    ○田中(正)委員 そうすると、この点は一応御不安はないということになりますね。
  133. 丸山直友

    ○丸山参考人 さようでございます。
  134. 田中正巳

    ○田中(正)委員 そうすると登録取り消しては協議会の諮問ということになっておりますが、この点についても法は一応慎重な態度をとっておるようでありますが、この点についてはいかがでございますか。
  135. 丸山直友

    ○丸山参考人 これはどういう意味で諮問と議決を書き分けたかという理由が私にははっきりのみ込めないのです。諮問はただ聞きおくだけでございます。その通りにしなくてもよろしいという意味を含んでおります。それで諮問ということは実は意味がないのじゃないかと思います。やはりそういう意味から申しますれば、これは議決が必要であるというふうに考えます。しかし反面のことも考える、それで議決ということが今御心配にあるかとも想像せられるのですが、地方社会保険医療協議会の運営が何か好ましくないような運営が行われたという場合に、議決によるということになりますと、知事はいかんともすることができません、その議決の通りにせなければならぬ。しかし諮問でございますと、今度逆の場合、その答申内容が好ましくないような運営がせられた場合においては、それは県知事が自由に裁量する余地がここにありますから、その点の利益がそこに伴う。そうすると知事は民選機関だから、民選の知事に若干の自由裁量の余地を残すということは、悪い場合といい場合と両方あるということを考えなければならぬと思います。
  136. 田中正巳

    ○田中(正)委員 そうすると、登録申請を拒否するのは四十三条ノ五で「本法ノ規定ニ依リ保険医又ハ保険薬剤師ノ登録ヲ取消サレ二年ヲ経過セザルモノナルトキハ都道府県知事同項ノ登録ヲ拒ムコトヲ得」、二年を経過しないものだけの登録を拒むことができるのであります。それ以上のものについては、知事は勝手に登録を拒むことがでないというようにわれわれは解釈いしております。そうなるとこの点についても特殊な例外でございます登録を取り消されたような人、俗に言いますと、前科のある方、こういう人に対しましては、法律は多少知事に専制的な権利を認めますが、一般的な場合には法は一応の救済措置をとっており、慎重な措置をとっているわけでございます。そういった範囲内においてもなおかつ医師会の方においてはこの点は非常に御不満であり、あるいは不安であるというふうな考え方については変りはございませんか。
  137. 丸山直友

    ○丸山参考人 不満でございます。二年を経過せざる場合に知事が一方的に拒否できるということはいかぬと思います。やはりこれは地方医療協議会に諮問することが必要だと考えます。
  138. 田中正巳

    ○田中(正)委員 今の場合はきわめて特殊な場合であります。つまり指定を取り消されたような人についての議論ですが、そういったような点は除きまして、一般的にそういうことではなしに、そういう経験のないお医者についての問題に限定をして考えて参りますと、こういったように法律で問題をいろいろしぼって慎重な救済措置をとっておりますが、その範囲内においてもつまり御不満であるというふうに考えますか。
  139. 丸山直友

    ○丸山参考人 私どもは二重指定そのものに不満なのでございますから……。今その二重指定を存続した形においてそれをどう取り扱うかという問題に入っておるわけなんです。二重指定というものに反対するかせぬかという御質問は通り越してしまっておるわけです。それは一応承認しておるものという前提でこういう方法はいいか悪いか、こういうふうな御質問でありますので、その範囲で御返事をしているわけなのであります。もう少しさかのぼって二重指定そのものに一体賛成しておるか反対しておるかというお話になればこれは反対しております。反対しておりますから、これは自然消滅でなくなります。
  140. 田中正巳

    ○田中(正)委員 尋ねていることはそういうことではないのでありまして、一応二重指定があるとしましても、こういったように法律でいろいろの措置をとっておるけれども、それでもだめかこういう話で、二重指定そのものについての御議論というのはさっきも聞いたのであります。結局そうすると医師会の御反対の理由というのは、こういったような慎重な措置を法律ではとっておるけれども、だめである、つまり制度そのものとしては二重指定は得るところよりも失うところがはるかに大きいから反対である、しかも法律がその運用についていろいろと救済措置なりあるいは慎重な手続の規定を置いておっても、なおかつこれはだめであるというのが医師会の御結論ですな。
  141. 丸山直友

    ○丸山参考人 その通りでございます。私どもは医療機関というものを二重指定することによっての利益というものは、さっきちょっと申しましたようなことなのであります。そういうことで好ましからざるものに対してはこんな規定はございませんでも保険医たるものをどんどんやめさせることはできるのでございます。処分する方法は幾らでもあるのでございます。そういうふうに処分することができるのでございますから、何も特別にそういう規定を新しく設ける必要はない。現在は処分することは何もできないのだということでございますれば、それは必要かもしれません。しかし現在でもできるのでありますから……。  それでなお念のために申しますが、ただいまは医療の責任を持っておるものは保険医なんです。機関じゃないんです。さっきも申し上げましたように機関というものに医療内容をきめるとかそういう能力はないはずなんです。能力のないものなんですから当然医療内容に関しましては保険医が全責任を持つという形であります。その意味においては保険医というものだけでよろしい。もしそういう機関がございましたらそういう機関は別な方法でおやり下さればいい。あらゆる一切のものを二重指定するということでおやり下さることは困ります、こういう意味なんです。
  142. 田中正巳

    ○田中(正)委員 わかりました。どうもありがとうございました。
  143. 藤本捨助

    ○藤本委員長 滝井委員。
  144. 滝井義高

    ○滝井委員 私はちょっと二、三点伺いたいのですが、主として安田さんにお尋ねしたいのです。健康保険組合の方においても健康保険法の根本的な改正について再検討せよという意見を持っておった。ところが今回政府がこういう法律を出してきたので、これは趣旨においてまたその方向において賛成であるという御意見を述べられたのです。これも安田さん御存じのように、この法律は昭和二十年にできた法律なんです。そして当時これができたのは、労務管理を中心として相互扶助的なものもありますが、やはり何といっても慈恵政策、上から労働者に与えるという形でできた。日本の資本主義が比較的はなやかなりしころにできた法律でございまして、従ってこの法律はごらんの通りかたかなで書かれてあります。現在の立法というものは憲法と同じようにみんなひらがななんです。文句は船員保険と健康保険では非常に違うのです。一番最後の打ち切りのところなんか非常に違うのです。安田さんはこれは二十世紀の後半における社会保障だということを言われたのですが、これはあとでまたお尋ねします。そういうような思想が幾分でも入り込もうとする法律の中で、これは保険者、被保険者と国との三者であるということを安田さんはおっしゃいましたが、日経連から来られた牛尾さんは五音泣き、五者ということをよく言われるのです。それには療養担当者と農薬業が入らなければならぬ。健康保険の健全な再建のためには三者よりかもう二者加えた療養担当者と製薬企業とを加えて五者が、それぞれおのおのの職分によって、泣かなければならぬところは泣こうし、負担しなければならぬところは負担しようし、恩典を受けるべきところは受けていこう、こういう形で健康保険の再建をやるのが一番いいのだ、こういうことなのです。一体今回政府の出しておる健康保険法の中に、この健康保険の順当な発展に保険者被保険者にまさるとも劣らないくらいの役を演じなければならないものは、私は保険医、保険薬剤師、保険歯科医だと思うのです。一体これに対して何か今度の改正がいわゆる権利らしきものを与えたかどうか。保険医に対して、健康保険法の中で、これはすばらしい権利であるというようなものが何かあるでしょうか。     〔安田参考人「わかりませんですな」と呼ぶ〕
  145. 滝井義高

    ○滝井委員 健康保険組合を担当しておられるベテランの安田さんも実は権利らしいものはわからないと言う。一つ今度はこの法律で手足をきびられる格好だと言われておる丸山先生にお尋ねしたいのですが、何か権利らしいものがありますか。医師会は療養担当者はこれは大した権利をもらったというようなもの……。
  146. 丸山直友

    ○丸山参考人 今度の改正によって新しい権利を獲得した点はないと思います。今までの法律はいろいろございます。診療をする権利、診療をしたものに対して請求書を提出する権利、それによる報酬を受ける権利等がいろいろきめられております。今度の改正によって新しく権利を獲得するということはないと思います。
  147. 滝井義高

    ○滝井委員 そうするとこれは何も与えられる権利はない。今丸山先生は報酬を請求する権利があると言われたが、その請求した報酬も、二カ月おくれようと三カ月おくれようと、六カ月になろうと、差し押えをして取る権利はないですね。その通りですね。
  148. 丸山直友

    ○丸山参考人 そうです。
  149. 滝井義高

    ○滝井委員 その通りだということでございますが、こういう形のものが今度の法律の実態なのです。何もないのです。むしろ失うものの方が多い格好になっておるということなのです。  そこで次に安田さんにお尋ねしたい点は、安田さんの健康保険組合が経営をしている健康保険組合の病院、これを安田さんは保険医療機関とお考えになりますか。
  150. 安田彦四郎

    ○安田参考人 保険医療機関だと思います。
  151. 滝井義高

    ○滝井委員 この法律にいう保険医療機関ではないのです。安田さんたちの健康保険組合が経営をする病院に働く医師は、この法律では保険医ではないのです。そうしてしかも保険医療機関でもないのです。だからそれは何なのかということなのです。私らはわかりません。
  152. 安田彦四郎

    ○安田参考人 保険者の指定するものとして私たちは広義なものとしているのですが……。
  153. 滝井義高

    ○滝井委員 それは旧法ではそうなっておるのです。新法では保険者の指定するものには入らないのです。それは四十三条の二号によって、いわゆる三号の病院になるわけですが、「健康保険組合タル保険者ノ開設スル病院若ハ診療所又ハ薬局」これに当るのです。そうしますとそこに働く医師というものは保険医ではないのです。これは普通の医者でけっこうなんです。そしてこれは審査、監査の対象にもならないのです。いわば日本の医療機関の中では特殊な治外法権的なものになってしまう。ただ適用されるものは何かというと九条の一と二がいくだけなのです。あとは療養担当規程でおやりなさいということくらいでこの文章の中に四十三条の一切をあげて費されておるいろいろなものはその三号にはいかないのです。そういういわば特権的な形に置かれておる、こういうことなのです。それにさいぜん安田さんが疑問に思われてわれわれの健康保険組合のものは昭和二年以来日本の健康保険の発達に非常に多くの貢献をしてきた。ところがそれに国庫負担は出さない。それはおかしいということです。私もおかしいと思う。ところが政府の方はこの健康保険法の二十八条や九条によってこれは自分の方で作りたいから作ったんだ、こうおっしゃるのです。だからこれは自分で作りたいといって組合を作っておるのだからそれはやる必要がないということ、そういうことから同時に今度はそこの直営の組合の病院というものは保険医療機関でない、こういう形になっておるのでしょう。従ってそこは全く治外法権になっておる。いわば安田さんたちはこの法律に対する発言権というものはまああるにはあるけれども、非常に少い形になっておるのがこの法律の立て方なんです。こういうことがいいか悪いかということなんです。この点私はやはり今後健康保険組合というものが、日本の医療保障について発言権を持たなければならぬと思う。ところが、これでは発言権がなくなります。こういう点どうお考えになるかということです。
  154. 安田彦四郎

    ○安田参考人 私は旧法による保険者の指定するもの、すなわち今先生の御質問の私どもの経営しておる診療所につきましては保険者の意思が十分反映できると思います。従って私どもはただいま先生のような御趣旨でむしろ政府に私たちを保険医に指定してくれと申し上げておるのです。それはまかりならぬ。政府でやるということをいっておるので、私は先生の御趣旨のような私どもの健康保険組合連合会は連合会を保険医として指定してくれということをお願いしておりますので、何とか法律がそのようになりますれば私は非常にありがたいと思うのですが何かいい方法はございませんか。
  155. 滝井義高

    ○滝井委員 だからまず特権的な立場を医療保障の立場からいえばどけるべきだと思う。従って私はあなたにお伺いしたいのは健康保険組合を解消して、相互扶助の立場で政府管掌と一諸になったらどうでしょう。ここまでの英断を下せば日本の社会保障は一大前進をするのです。今あなたは社会保障ということを非常に御主張になりました。今の健康保険組合にしてもこれは社会保障じゃないですね。国が責任を持っていないのです。社会保障というからには憲法二十五条で国が責任を持つ、これが社会保障なんです。事務費をちょっぴり出してくれたって、これだけでは国は責任を持っていない。政府管掌だって国が責任を持つかというと持っていない。今度三十億出してこの責任をとるような形にしたが、これだって国庫負担ではない。黒字になれば消えてしまう。与党の諸君は永久に出すのだといっておりますが、法律の立て方はそうでない。普通の補助金です。黒字になればどけ得るものなのです。政府の方も三十億出したということが、三十億の限度における中小企業対策だということは、保険局長が大橋君の質問に答えている。従って以上の事務管理と中小企業以外に大してない。ちょっぴり社会保障的なものに、ダーウィンの進化論ではないが進化しつつある、こういう形なんです。これは従ってこの中の立て方というものは、国が責任をもっていわゆる五百三、四十万、やがて六百万になんなんとしておる政府管掌の健康保険について責任を持ちましょうという形は出ていないし、これは従って政府管掌の、自分がやっている保険に責任を持たない政府ですから、組合にはなお助長しない。だからこれを持たせようとするならば、そしてほんとに国庫負担というものを国保に組み込ませようとするならば、思い切って組合とあれと一緒にして、組合のレベルまで引き上げていく、こういう形がいいと思う。そこで組合の内部において、たとえばあとでまたちょっとお尋ねしますが、いろいろの付加給付などがあれば、その分は既得権として組合の内部でやっていったらよいと思うのです。これはやはりここまでいかないとこの法律の立て方みたいになってしまうのです。だからまず健康保険組合というような一つの別の治外法権というものがこの法律にあります。ところがそのほかにもう一つ治外法権が今度はできた。何ができたかというと、国立病院と大学病院という治外法権ができつつあるのです。これは保険医療機関にはなっておるけれども、しかしながら医療機関の指定取消しが大学病院なんかにできるか、これはできないのです。ここに一つの特権なり治外法権が出てきた。同じ保険医療機関、そしてあなたも今言われるように健康保険組合という政府に対等なようなものがあるにもかかわらず、それらのところは別ワクになって、ただ法律でうまくひっかかるものは何がある、結局個人開業医だけなんです。網にひっかかるのは個人開業医である、公的医療機関ではうろうろして、大して力のないところだけがこれにひっかかってあとはみな漏れてしまう。天網かいかい疎にして漏らさずというけれども、そういうところはみな漏れてしまう、こういう形に実はこの法律の立て方はなっておるのです。こういうことまで安田さんたちにお考えいただいたかどうか知りませんが、とにかく健康保険の医療機関ではないということなんですね。そういう立て方になっておるのですよ。しかも特権的な大学や何かは安田さんたちのような被保険者がいって濃厚治療を受けて、これを監査をして、あなた方が取消しを要求をしても、厚生省はこれは取消しできません。とてもそれは取消しできませんということを言明いたした。そういう場合に一体これは健康保険組合としてはどうなるかということなんです。あなた方被保険者がいって濃厚治療を受け、不正請求が大学病院や国立病院から出てきた。これは国立病院だって大学病院だって、現在の社会保険の診療費の五三%は今や公的医療機関から出てきているのですね。拡大していえば日本の総医療費の五割三分というものは公的医療機関が握っておるのです。だから社会保険の赤字を解消しようとするならば、これらの特権的な病院を一体どういう工合に処置していくかということが一番大きな問題なんです。午前中の御参考人の方々はその点については全然御答弁できませんでした。先生方この点一つ何か御答弁いただきたいと私たちは思うのですがね。
  156. 安田彦四郎

    ○安田参考人 非常にむずかしい問題で、私も大学病院その他につきましては大いに異議を持っておりますが、これは厚生省の力弱くしてなかなかあとの診療機関と同じように一がいにいかない。結局保険者が自分の意思の届かないものは監督できないということになると私は思うのです。さようなものは逐次私たちの希望といたしましては、ことに大学病院は厚生省が文部省とお話し合いがなければなかなかむずかしい面もあると存じますが、ことに大学病院に対しましては将来保険医を養成する重要な機関でありますから、私どもはぜひ先生の御意見のように早くわれわれと同じような保険医療機関のようなふうにしていただきたい。しかし事実何か多少の誤謬か何かあっても取り消しはなかなかできないと思います。さようなことの程度しか私の考えを申し上げることはできませんが……。
  157. 滝井義高

    ○滝井委員 実は取り消しができないことがほんとうなんです。ところが法律は取り消す建前になっておるのですね。こういう法治国家で実行できぬような法律を書く必要はない。ここにもう一度二重指定なんていうばかばかしいことを行なったために、そういう矛盾なものが出てきている。午前中にもいったのですが、大学病院ならば厚生大臣が文部大臣の首を切ることになる。あるいは監督と運営が分離されていないし、厚生大臣が、国立病院が不正請求をやったときに厚生大臣の首を切ることになっておるのです。こういうできぬことをこの法律は持っておるのですよ。これは矛盾です。それから次に、もう一つ先般厚生省から健康保険組合に対して通達が行っておると思うのですが、たとえば保険料は経営者側が相当部分を負担しているのだ、そして労働者側は少い、五割々々に一緒にしなさいとか、いろいろいっておると思うのです。付加給付というものも、これはいかぬというような言い回しの通達が行っておると思うのですが、あの通達に対する処置はどうなさるおつもりでございましょうか。これは佐藤さんの方にも行っていますか、わかりますか。わからなければ、安田さんの方でいいです。
  158. 安田彦四郎

    ○安田参考人 健康保険組合の歴史は前に申し上げましたように三十年、その間時代の推移とともに付加給付とか、いろいろな問題を積み上げて参ったのでありますが、その後、ことに終戦後民主的な風潮というものは、労働組合と事業主との一つの話し合いで決定した事項というものがたくさん出て参ったわけであります。従ってそこに、健康保険の給付の面においてもきようなものが出て参ったのでありまして、私はあるいは政府におしかりを受けるかもしれませんが、さような今まで三十年、十年やってきた問題を単なる通牒で直ちにこれを改正するというようなことは、ある一つの正しいと思う方向につきましては努力はいたしまするが、急にこれを通牒通りにやれるとも思っておりませんし、またわれわれもできないと思っておりますから、漸を追うて正しい姿にする。
  159. 滝井義高

    ○滝井委員 いわば今までの健康保険が労務管理的なものであったとするならば、やはりこれは労使の間の話し合いあるいは力関係、長年の闘争の集積といいますか、そういう形があそこにいろいろ現われてきていると思う。それを一片の官僚的な権力の通知で、私はそれがひっくり返るとは思わない。ところが厚生省の役人は、やはりこの法律を出した手前、ああいうことをせざるを得なかったということだろうと思うのです。今のあれで私も安心をいたしましたし、いずれ政府の意向もただしてみたいと思います。  次に問題になるのは審査委員会の審査委員の問題ですが、これは丸山先生から百九十六人のものが現在百五十一人か百五十二人しかない、欠員が多いのですね。これは結局給料が安いということも一つはあるのです。それは初め連れてくるときは、五万、六万やりますと言って連れてくるが、実際は五万、六万は、公務員の給与体系からいえばそんなものは出ない。従ってそんなことはうそになってしまう。結局人を得ないのです。だからこういう工合に審査機構をやったところで、集まってくる者はどういう医者かといえば、これまた病院で食いはぐれるか開業医でやりそこなった者、そういう者しかやってこない。それは殷鑑遠からず、保健所の医者がそうなのですね。かねや太鼓で保健所の医者を集めているけれども、現在の保健所の医者の充足率は六割そこそこでしょう。やってこないのですよ。第一、医者になるために学問をした人間がこういう書類を審査することをやるというのは、これは医学の道じゃない、本道じゃないのです。本道をはずれるような人間は、まともな人間じゃないことは確実だ。(「代議士もそうだ」と呼ぶ者あり)われわれもその一人に入るでしょう。そういうまとまった者でないと言うと語弊がありますけれども、本道を歩んでいないということになれば、これはやっぱりそういう者に、本道に打ち込んでやっている人の保険の診療の結果をまかせるわけにはいかぬという点が出てくるのじゃないかと思うのです。それならばむしろ、私はこういう考え方を持っておる者なのです。まず医師会を信頼したらいいと思う。そしてまず全部地区的に医師会で審査をおやりなさい。そうしてやらせれば、大体われわれの肉体にも自浄作用があります。ばい菌が入ってくれば、赤血球や白血球が出てきてそれを殺してくれます。泥の中にも自浄作用があります。まずやらせてみる。やらせてみれば、大体どういう医者が不正請求をやるか、水増し請求をやるかということは、これはほかの人が見るよりか仲間同士くらいよくわかるものはないでしょう。そうしますとそこに自浄作用が起ってくる。そうすると保険組合なり政府の方は権力の剣をうしろに持っておればいい、持ってにらみをつけておけばいいと思う。それで三年、五年と常習にしている者をピック・アップしていくという役割を政府がやる。そうしますとまずどういうことができてくるかといえば、審査の費用が省けるのです。一件当り十二円五十銭か十一円五十銭か取っておりますが、それが省けます。医師会はおそらく無料でもサービスしてくれます。それくらいの信用を置かなければ、社会保障というものは進展しないでしょう。初めからお前らの方は不正だから監査するという。その審査した結果はどういう結果になっておるかというと、九九・九%というものはほとんどみな大して訂正も受けずに通っているでしょう。現在はそういう実態です。だからそこに、わざわざこんなに反対のあることをお互いにやるよりか、それだけ大きな寛容の精神を持って、医者を一ぺん信用してみる、そうしてなお医師会にまかせてやれないということになれば、そのときこそ断々固としてこれは斧鉞を加えるべきだと思う。これくらいの気持がなけらねば、日本の社会保障というものは進展しない。私はそういう考え方を実は持っている。われわれの地区でそういうことをやりました。やったところが結局それでやっていける。もうそれでパスをしますと、ほとんど審査委員会はみんなパスをしてしまう。むしろ今斧鉞を加えなければならない点はどういうところかというと、ここ二、三日来この委員会で問題になっておりますが、大学病院なんかは――あるいは国立病院にしてもおそらくそういう形態が出てくると思いますが、普通の開業医が五十点請求しますならば、大学病院では百点になっておる。私、きのう請求書を見せてもらいましたが、私も審査委員をやったことがありますが、大学のあれが出てきてやれば、大学はおそらくあしたにでも審査にひっかかる。それは濃厚診療がはなはだしい。ところがこれは研究でやっているからやむを得ないところがあるでしょうが、保険局長の言によれば、研究と保険診療とは別にしよう、こういうことです。私もそれはいいと思う。それでは研究を別にさせるならば、それだけの予算を文部省から国立病院に与えなければいかぬ。それだけの措置をやって初めてこの法律は生きる。それをやっていないですね。こういう非常な矛盾が現在出てきているのですが、そういう点を健康保険組合としてはどうお考えになるかということなんです。
  160. 安田彦四郎

    ○安田参考人 これもお答えになるかどうかわかりませんが、今の審査の問題です。なるほど大体健康保険というものは、私ども相互信頼感がなければうまくいかないのではないかと思う。従いまして私、こうしていろいろな会合に出て丸山先生といろいろな議論を戦わしますのは、やはり根底には相互信頼感があって、それをよくしようというところから出てきているものと思います。私ども健康保険組合連合会が医師会に信頼感がないということは絶対にございません。ただしやはり形の上で不備だと思う点は、私は実質はそうであろうと改めた方がいい。たとえば今の審査機構において、現状においてはやはり三者構成とかいろいろなことに――ことに先生の御意向を伺いますと医師会がやったらいいじゃないか、こういう御意向のように伺うのですが、私はやはり多数の人間がこのルールに従っていくこの形はまずい。たとえば医師会というものは、私どもが診療担当者として信頼しておる団体でありますので、診療を担当しておることについては私は全面的な信頼をしてやるのでありますが、そのできた結果というものが一応ルール通りにできているかいないかという、いわば審判官の役をその医師会がおやりになるということは、出納検査を出納係がやるからいいということになりますので、事実はそうなりましょうけれども、私どもは今度改正になるものを賛成している、かような状況でございますので、結局私が前に申し上げましたような審査をお願いするような先生、ことに信頼感を置ける先生というものは、いかような形になってもやはり同じ方がなると思います。ことに地方におきましてはそういうことになると思いますが、私はそういう形はやはり医師会がやるという形よりも、私ども、被保険者、その他多くの者が一応納得する形というものは、専任審査委員というものを別個の形で、同じ人がなるとしても、やった方がいい、私はかように考えております。相互信頼感がないというようには絶対に思っていないのです。
  161. 滝井義高

    ○滝井委員 いや法律の建前は、これは保険者がやることになっております。それはたまたまこの基金にあるところの審査委員会に審査を委託することができるのであって、やらなきゃやらなくてもいいのです。従って保険者がやるのですから、形式は三者構成でやろうと、保険者自身がやろうとけっこうです。だから剣を持ってうしろに立つと私が言うのはそれを意味するわけです。一番よく知っているのは、これは診療をやった近所のグループが一番よく知っている。そこへやらしてしまうのです。そして出た請求書は自主的にそこへ持ってこさせればいい。実際現在やっている。二千枚も三千枚もやります。私もやったことがある。朝から夕方までやる。汽車におくれそうになると実に早い。それは審査委員の個々によって違うのです。Aという審査委員はどんどんやってしまう、Bという審査委員は厳重に検査するという、こういうアンバランスが出てきている。これはさいぜん丸山先生かどこかの人が、画一的にやるためだと言ったけれども、これは人間が違えば画一的には絶対できない。そうすると現在の実績というものは、九九%というものは、ほとんど審査で削られずに通っておる。この実績からいえば、これはもうあとのわずかの〇・〇何パーセントのために莫大な金を費す必要はない。そういう金があるなら保険の内容なり、あるいは保険施設に金をつぎ込むべきだ。その前に一つ医師会でおやりなさい。私どもはじっとうしろで見守りましょう。怪しいものはわれわれに出しなさい。これで行くべきだと思うのです。そうしますと、こんなややこしい審査機構なんというものを作らなくても、あなた方が自由に医師会の幹部を連れて現場に乗り込んでやってみる。こういう形ならみんな信用します。そこまで私は行けぬことはないと思うのです。そこまで行けずに、初めから疑ってかかっておるというならば、これは大学や何かというものは、おそらく全部保険指定を取り消されます。私は明日からでも一ぺん大学のものあ全部出さしてみたいと思うのです。そして専門の審査委員をここに呼んで、開業医の削られたのと比較さしてみれば、おそらく大学のものはほとんど全部削られて、審査にひっかかると思う。それはどうしてかというと、一件当りの点数というものが百点をこえているのです。普通の開業医で、一件当り百点をこえたら、それは二月もせぬうちに指定取消しですよ。そういう点がありますので、そういう点を一つ御考慮願いたい。  それから最後に丸山先生、非常に重大なことをお尋ねするのですが、実は午前中に八田君から歯科医師会の会長に質問がありまして、この法案が今のような、こういう形で通ったら歯科医師会は一体どういう態度をとるかという質問がございました。それに対して歯科医師会は、私たちはこういうことでは診療の責任が持てないという意味のことを申して、重大なる決意をせざるを得ない――重大な決意とは何かはわかりませんが、重大なる決意と日本人が言うときには相当の決意だと思いますが、医師会としては、これがいろいろ巷間伝えられております。まあ審査のところを削るとか、付帯決議をつけるとか、二重指定の、個人指定だけで機関指定にも同時にそれがなるようにするとか、立ち入り検査というか、検査権を緩和するとか、いろいろそういうことがちらほら言われております。しかしまあ今の客観情勢は、おそらくこの原案がそう大きく修正を受けずに通るであろうという情勢のようであります。私たちは徹底的に反対していきますが、そういう情勢にある。そういう場合に日本医師会はどういう態度をとるかが、今後われわれが法案を審議していく上に非常に重要な点になると思いますので、ぜひ一つお聞かせ願いたい。
  162. 丸山直友

    ○丸山参考人 この法律がこのまま一字一句修正せられないでまかり通った場合にはどうなるか、それと、何か修正されて通った場合はどうなるか、この二つに分けてお答えをしたいと思います。私は良識のある国会が一字一句このままでお通し下さるものとは信じておりません。必ず御修正下さるもの、私どもの意向が反映するものと実は信じているわけでございます。それからある修正が加えられて通った場合はどうするか、この修正内容はまだわかりませんので、どの程度の修正のときはどうすると、具体的にただいま御返事することは、私個人としては差し控えたいと思います。これは代議員会等にかけましてわれわれの態度を公けに決定して申し上げる機会が必ずあると思います。
  163. 滝井義高

    ○滝井委員 日本医師会が代議員会で絶対反対のところを三つ四つおあげになっていますね。たとえば一部負担は反対である、二重指定は反対である、審査監査の強化は反対である、共益法は絶対反対である、こういう四つがあげられているのですね。今の客観情勢は、おそらく四つは全部修正されることはない。四つ修正されたらこの法律はなくなると同じです。残るものは何かといえば標準報酬の改訂と三親等内と継続給付だけです。あとは何もなくなってしまうのです。日本医師会の代議員会の意思は多分あの四つだと思いますが、今の客観情勢は四つはとてもできぬと思うのです。今までの政府の答弁を聞いてみますと、これを強行する意思が強いようです、まあ撤回を要求されたができないので、四つが絶対反対だということになるのでしょうが、これはなかなか御答弁がむずかしいと思いますから、お答えはけっこうです。
  164. 藤本捨助

    ○藤本委員長 これにて質疑は終了いたしました。この際参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。御多用中長時間にわたりまして大へんありがとうございました。当委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  次会は明七日午前十時半より理事会、十一時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後六時三十八分散会