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1957-04-05 第26回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 6号 公式Web版

  1. 昭和三十二年四月五日(金曜日)     午前十一時十分開議  出席委員    委員長 石坂  繁君    理事 田中 龍夫君 理事 藤枝 泉介君    理事 井堀 繁雄君 理事 島上善五郎君       青木  正君    臼井 莊一君       加藤 高藏君    菅  太郎君       高橋 禎一君    古川 丈吉君       牧野 良三君    山本 利壽君  出席政府委員         警  視  長         (警察庁刑事部         長)      中川 董治君         総理府事務官         (自治庁選挙部         長)      兼子 秀夫君  委員外の出席者         総理府事務官         (自治庁選挙部         選挙課長)   皆川 迪夫君         総理府事務官         (自治庁選挙部         管理課長)   桜沢東兵衞君         衆議院法制局参         事         (第一部長)  三浦 義男君     ――――――――――――― 三月二十二日  委員植村武一君、田中正巳君及び山下春江君辞  任につき、その補欠として古川丈吉君、菅太郎  君及び臼井莊一君が議長の指名で委員に選任さ  れた。     ――――――――――――― 四月一日  公職選挙法の改正に関する請願(原健三郎君紹  介)(第二六四九号) の審査を本委員会に付託された。 三月二十二日  公職選挙法の一部改正に関する陳情書(東京都  港区芝西久保巴町三五全国町村議会議長会長岡  田徳輔)(第六五三号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公職選挙法改正に関する件     ―――――――――――――
  2. 石坂繁

    ○石坂委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法改正に関する件について議事を進めます。発言の要求がありますから、この際これを許可いたします。島上善五郎君。
  3. 島上善五郎

    ○島上委員 選挙の事前運動に関連して、まず最初に自治庁の選挙部長に法律の解釈から伺いたいと思います。と申しますのは、いずれ選挙は遠からず――岸さんは解散はしないと言っているけどれも、しかし当分解散しないということであって、いずれ秋かおそくとも来春は解散は必至と思われる。それで、おそらく、全国各地において、これを目ざしての選挙運動がいろいろな形で行われていると思います。選挙運動と申しましても、今日の選挙法上事前にやっても何ら差しつかえない、そうして弊害のない運動もありますし、また選挙法と紙一重と申しますか、あるいは選挙法に抵触すると思われる運動もある。私どもの念願するところは、選挙を行うたびに選挙界が腐敗、堕落するということではいけないので、これは、イギリスの場合などを考えても、一挙にというわけにはいかぬでしょうけれども、選挙を行うたびに選挙が粛正されて公明になっていくということであります。そういう点から、現在各地で起っておるいろいろな事実を私ども見ますときに、どうもこれではいかぬと思う事実も多々ありますし、また、それと関連して、現行選挙法がはなはだしく不備であるという感じもするのであります。  そこで、私がまず第一に伺いたいのは、選挙運動についてでありますが、公職選挙法の第十三章に選挙運動という項目があります。これは百二十九条から百七十八条までですが、第百二十九条には、選挙運動は、各選挙につき、それぞれ第八十六条、つまり立候補の届出のあった日から当該選挙の期日の前日まででなければ、することができない、こうなっております。それ以外には選挙運動をしてはいかぬ、別の言葉でいえばそういうことになっておると思います。ところで、この法律では、一体選挙運動とは何ぞや、どういうことが選挙運動なのか、どういうことが選挙運動でないのか、選挙運動の定義が、あいまいどころじゃない、全然ない。選挙運動の定義なくしては、事前運動がいいとか悪いとかいう議論をすることもできないし、取り締ることも実際上困難だと思います。私は、まず、兼子選挙部長に、一体選挙運動とは何ぞや、法文にはありませんが選挙運動の定義をどのようにお考えになっておるか、それをこの際お伺いしたい。
  4. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 選挙運動の定義についてお尋ねでございますが、法律には御承知のごとく選挙運動について定義の規定はないのであります。これは判例によって従来固まってきた問題でございますが、選挙運動の判例上の見解といたしましては、特定の選挙につきまして、特定の候補者を当選せしむるために、投票を得もしくは得せしむるについて直接または間接に必要かつ有利な周旋勧誘もしくは誘導その他諸般の行為をなすことを汎称するものである、昭和三年の大審院の判例でそのような趣旨が出ておりますが、以上申し上げたことによりまして、選挙が特定しておること、それから候補者が特定しておることそれから投票を得るための行為がなければならぬ、この三つの要件がありまして、法律にいう選挙運動になるものと解釈されるのであります。
  5. 島上善五郎

    ○島上委員 選挙が特定であることと、候補者が特定しておることと、それから投票を得る行為、こういうことですが、たとえば衆議院の選挙などは解散がなければ別ですが、解散ということも頭の中に入れて考えると、一体いつ選挙があるかはっきりしていませんが、参議院の選挙あるいは普通の場合解散のない選挙というのは、いつ幾日に選挙が行われるという期日が前からはっきりしておる。従って、立候補する人もその期日前にきまるのが通例でありまして、候補者も特定者なんです。そこで、問題は、投票を得る行為ということがそれについておるかどうか、こういうことですが、これは、一々今度投票して下さいということを言葉で表わしたりあるいは文章で表わしたりしなくても、やはり投票を得る行為というものは存在し得ると思うのです。投票を得る行為ということについての御解釈を承わりたいと思います。
  6. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 選挙運動の要件のうちの投票を得るための行為、これは、客観的に見て、その人の意思が投票を得るということにあり、またその行為が客観的に投票を得るという要件がなければならぬと思うのであります。でございますから、現実の問題でそれが投票を得るための行為であるかないかということは、個々のケースに当りまして判定が非常にむずかしくなると思うのでありますが、結局は挙証の問題になって参ろうかと思うのであります。
  7. 島上善五郎

    ○島上委員 この選挙法は事前運動を禁止しておるわけですが、選挙の期間の公示の前の日あるいはその前の日にやっても事前運動ですし、それからかなり前にやっても、たとえば六ヵ月前にやっても、六ヵ月後に選挙をやるということがはっきりきまっておれば、これはやはり一つの事前運動と言える。そういう期日についてはどのようにお考えですか。
  8. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 法律の規定は、選挙期日前の行為につきましては、これは事前運動として禁止をいたしておるのでございます。でごさいますから、ただいまお話にありましたように、六カ月でありましても、あるいは一年前でありましても、事前運動の意思を持ってやりました選挙運動は、これは事前運動として当然処罰を受けることになると思います。
  9. 島上善五郎

    ○島上委員 ところで、投票を得るための行為ですが、ただいまの答弁によると、具体的な事実によらなければなかなか解釈が困難であるということですが、その候補者を推薦する政党なり、政治団体なり、あるいは推薦母体なりが推薦を決定して、候補者がこれを正式に受諾したということになれば、その受諾した後からの行為には、多分にその投票を得るための行為が行われるものと解釈してよろしいと思います。推薦が決定し、当人の受諾が決定した後には、もちろん、その後の行為といえども、選挙法上何ら差しつかえのない一般的な政治活動を活発に自分が行なって、政治家として信頼を得ようとする行為は、私の解釈によれば、何ら選挙法上抵触しないし、選挙法上抵触しないばかりでなく、そういうことはむしろ奨励されてよろしいわけですが、そういう一般的な政治活動が、あなたの今の答弁によると、客観的に投票を得んと欲する行為であるというふうに御解釈されるかどうか。
  10. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 事前運動で具体的にいつも問題になるところでありますが、ある団体で、いわゆる推薦母体で特定の人を候補者に推薦しようという決定の行為自体は、これは選挙運動にならないという解釈をとっております。ただ、その決定したことを広く一般有権者に知らせるということになりますと、これは投票を得る目的の色彩が非常に強くなってきておるというふうに客観的に見られますので、そういう行為は事前運動になるというふうに解釈いたしております。  それから、一般的政治活動は差しつかえないじやないか、自由であるべきだというお話でございますが、その選挙期日前の推薦を受けた候補者が一般的政治活動をすると申しましても、これは政治活動イコール選挙運動になる場合があり得るわけでございまして、その面につきましては、これは事前運動となる要素が含まれておるわけでございますから、一がいに差しつかえないというわけには参らないと思います。
  11. 島上善五郎

    ○島上委員 たとえば、市長の候補に立つ、あるいは市会議員に立候補するということになりますれば、その人が市政についてよく勉強をする、あるいは意見の発表をする、あるいは有権者から意見を聴取するというようなことは、あり得ることだと思います。その際に、たとえば市政刷新演説会というものをやる、座談会というものをやる。その場合に、私は来たるべき市長選挙には候補者に推薦されておりまして、自分もこれを受諾しました、ということを一般に知らせて、市政に関する自分の意見を発表する、あるいは選挙民の要望なり意見なりを聴取するというようなことはどうでしょうか。
  12. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 具体的のお尋ねの場合におきましては、もう選挙が予定され、それで推薦を受けたということのケースのようでありますから、その場合に、私は推薦をきれましたと言うことは、私に投票して下さいということをそのとき明言しなくても、事前運動となるおそれがあるものと考えます。具体的には個々のケースでよく調査をしなければならぬと思いますが、お尋ねのようなケースにおきましては、私はそのおそれがあるものと考えます。
  13. 島上善五郎

    ○島上委員 これは実際上なかなかむずかしい問題だと思うのです。本人はそう言わぬでも、司会者が、「すでに皆さん御承知の通り、新聞にも出ておりまするように、来たる七月には市長選挙が行われるということになって、何何君はどこそこの団体で推薦を決定しております。つきましては、本日は市政に関する何々君の抱負経綸を皆さんにお訴えし、皆さんからもいろいろ要望を聞きたいと思います。」こう司会者が言って、本人は何も言わぬ、こういう方法ができるわけですね。そういう場合はどうでしょうか。
  14. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 先ほど申しました通り、そのような場合には、選挙期日後本来やるべき活動に非常に近いように見られますので、これは事前運動のおそれがあるのじゃないか、このように考えます。
  15. 島上善五郎

    ○島上委員 それでは、新聞報道機関が、何々君が公認候補として推薦された、本人はこれを受諾したということを新聞の報道記事として書くことは、少くとも今日では普通行われておるのです。たとえば、まだ自民党も社会党も発表いたしておりませんが、すでに第一次の衆議院議員の公認候補者の選挙に着手しておる。それで党の機関紙が発表するのは当然ですが、一般の報道機関も発表するということは、この選挙法上の報道関係の制限と何ら抵触しないというふうに私は解釈しております、今事実やっておるのですから。
  16. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 ただいまの新聞の扱いの問題でございますが、百四十八条の規定によりまして、新聞がそのような報道をすることは自由でございます。
  17. 島上善五郎

    ○島上委員 その場合に、たとえば朝日とか読売とかの大新聞あるいは党の機関紙が通常頒布する方法でもってする。これは疑義はないと思うのですが、たとえば、地方の小さな新聞、この選挙法上の報道の自由を有しない新聞もある。そういう新聞が書いた場合にはどうですか。
  18. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 百四十八条の要件を具備しない新聞につきましては、これは御承知のごとくできないわけでございます。一般の新聞はそういう選挙の公正を害するようなことはやらないだろうという建前で、法律はできておるのでございますが、実際そういうことは世論が許さないからあり得ないと考えております。
  19. 島上善五郎

    ○島上委員 その報道の自由を有する新聞及び党の機関紙、あるいは組合の機関紙が、自分の団体で決定した事項を報道することは自由である。この決定が報道されれば、有権者の大多数は承知しておると解釈していいわけですね。そうすると、承知しているときに、今言ったような特定の選挙に関係する問題をテーマとして会合を持つということになれば、さっきのあなたの答えによれば、司会者が立候補を決定したという事実、本人が受諾したという事実を言うだけでも事前運動にひっかかる疑いがある、こういうことでしたが、新聞等によって、選挙民が、その人が候補者になるということを熟知しておる。特に選挙の期日が近くなればなるほどわかるわけですね。そういうときに、本人あるいは他の弁士なりが全然触れなくとも、そういう問題をテーマとして演説会等を盛んにやれば、これは事前運動に抵触するという疑いがあるかどうか。客観的にはそういうことも有権者は知っておる。あの人は候補者であるということを知っておる。そういう場合には事前運動になる疑いがあるのか。
  20. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 ただいまお話しのようなケースの場合に、一般聴衆はその人が候補者になるということを知っておってそれでそのような運動をするということは、事前運動の疑いがあると存じます。  それから、機関紙等でその候補者を推薦したという事実を報道することは差しつかえないわけでございますが、通常の、従来の発行部数以上にたくさん刷って一般有権者に配布するというようなことになりますれば、これは違反の疑いが起って参ろうかと存じます。
  21. 島上善五郎

    ○島上委員 その解釈として、客観的に選挙民が十分熟知している場合に、そういう問題について会合その他の運動えをすれば事前の疑いがある、こういうことでしたが、これは非常にむずかしい問題です。法律を改正しなければ、現行法では適用できないと思うのです。一体そういうことを取り締る根拠が現行法にありますか。あったら、一つはっきりと御明示願いたい。
  22. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 ただいま御指摘のような場合に、百二十九条の事前運動の違反という認定ができれば、これは百二十九条違反になるわけでございますが、選挙運動と認定できれば百二十九条の違反として事件が立つのではなかろうか、このように考えます。
  23. 島上善五郎

    ○島上委員 これは百二十九条ではなかなか認定は困難だと思うのです。困難ばかりでなく、私は、客観的に選挙民が候補者になることを十分知っておっても、そういう問題について広く自分の意見を伝え、あるいは選挙民の要望、意見を聞くための、それだけの会合ならば、つまり政党及び政治団体の一般の政治活動の範疇に属するもので、選挙運動ではないと思う。候補者になる人がその先頭に立とうが、中心になろうが、投票依頼行為とはっきり認定できる行為言えなければ、一般の政党及び政治団体の普通の政治治動の範疇に属することで、何らこの法律の百二十九条にも抵触しないし、またそういう疑いがあるなどといって制限すべき筋合いのものではない、私はそう考えるのですが、いかがですか。
  24. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 御指摘のごとく、ただいまの場合には、百二十九条の選挙運動という立証がつく場合に違反になるということを申し上げているので、ただいまおっしゃったような場合に、政治活動として認められる場合が相当あろうと存じますので、そのような場合には、これは百二十九条は関係がない、 このように考えます。
  25. 島上善五郎

    ○島上委員 選挙が特定しているということと、候補者が特出正しているということは、これは事実がきわめてはっきりと判定ができると思うのです。問題は、やはり投票を得るための行為であるかどうかということが非常に困難である。たえば、今の話で、演説会等において、私は今度の選挙で立候補しますから、その際にはよろしくと言えば、これは投票を得るための行為であることはもちろんです、がその際、よろしくと言わぬでも、私が立候補するということを一言えば、それに近いことになります。そこで、私は、やはり投票を得るための行為ということをはっきりするためには、そういう口で言う場合以外に、投票を得るための行為があると思うのです。それは、何といっても、金を使って、第一は供応すること、それからこの前の選挙法の改正でこれは問題になましたが、通常一般の社交以上の、交際に名をかりて物品の供与をすること、あるいは利益誘導をすること、こういうことは、客観的に本人が候補者であるということがわかっておってすれば、投票を得る行為と直接つながっていると思う。そういう場合がまた今日一番弊害を生んでいるわけです。そういうことに対して御見解を承わりたいと思います。
  26. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 選挙部長からお話、があると思うのですが、島上委員の御論旨をだんだん承わっておりまして感じますことは、結局は、公職選挙法の百二十九条の罪である場合であるかどうかという問題について、大へん認定が困るじゃないかということに関連するように思われるのですが、選挙運動であるかどうかということが、百二十九条の罪の成否に大へん関係があるわけであります。選挙運動とは何ぞやということに結局なろうと思うのですけれども、私ども取締りを任といたすものといたしましては、選挙運動という概念構成につきましては、最高裁判所以前の大審院判例がございまして、大審院判例を一つの典拠にいたしまして、選挙運動なりや、いなやを判定いたしているわけであります。その大審院判例によりますと、特定の選挙に関し、特定の候補者の投票を得、または得させる目的を持った一切の行為である、こういうふうになろうかと思うのであります。だから、そういう行為が事前運動かどうかということになるためには、特定の選挙に関する行為であるかどうかということが一つの問題である。それから特定の候補者の投票を得または得させるための行為であるかどうか、こういうことになろうと思うのです。それで、確かにその行為の内容が、この選挙に何の何がしに投票をして下さいと言えば、まさしくなると思うのですが、そういう明示の行為がない場合に、当該行為の態様が、特定の選挙に関し特定の候補者の投票を得または得せしめる行為であるかどうかという点は、いろいろな情勢、その行為の態様、そこに出席した人間の様子、その他によってやらざるを得ないと思うのです。ただし、観念的にこれは選挙運動だ、こう想像するだけではわれわれ参りませんので、証拠に基いて、それが特定の選挙のための特定の候補者の投票を得または得せしめる行為であるかどうかということを立証して参らなければならぬ。こういう点から参りますと、神さんから見れば選挙運動だということになるのですけれども、われわれ人間の証拠収集能力から見て選挙運動だと言い切るにつきましては、やや実際問題としてはしぼられる。こういう点は、確かに、島上委員も御指摘になったと思うのでありますが、言い得ようかと思うのであります。われわれといたしましては、そういうような場合何といたしましても困難でございますが、特定の選挙に特定の候補者の投票を得または得させる行為であるかどうかということについて、証拠の収案のできたものにつきましては百二十九条の罪として立件し、それが不可能なものについては判例としては立件できない。全国的にいろいろな事前運動の問題でいつも頭を痛めておりますので、その立証が困難かどうかということが大へん問題になろうかと思うのでございます。
  27. 島上善五郎

    ○島上委員 これは中川部長がお見えになる前に兼子選挙部長から一ぺん聞きましたが、ただいま御答弁がございましたので、関連して伺います。ある人物が、将来何らかの選挙に立候補するかしらぬが、大きな政治的な希望を持って活動しているという場合には、これは特定の選挙運動でもなければ、特定の候補者でもない。これは将来町会に立つかもしれぬし、県会に立つかもしれぬ。国会に立つかもしれぬ。ただそういう希望を持って一生懸命動いておる。そういう希望を持ってかりにごちそうしても、これは特定の選挙でもなければ特定の候補者でもない。これは取り締りようがない。これは疑義がないと思うのです。しかし、衆議院の場合は解散がいつあるかわからぬ。わからないけれども、市長の選挙とか、市会議員の選挙としか、あるいは参議院の選挙とかは期日がきまっておる。期日がきまっておる選挙について、ある人間が推薦母体から候補者として推薦されて、本人が受諾した、こういうことになれば、特定の選挙と特定の候補者という二つの条件がそろうと思うのです。この二つの条件がそろって動いた場合、その動きが客観的に投票を得んとする行為である場合には事前運動になる。これは兼子部長もそういう御答弁でした。私どももそう思うのです。ただし、その場合といえども、一般に行われる政党及び政治団体が行う政治活動の範囲であるならば、これは取り締りようがないし、また取り締るべきものでもない。そうじやなく、供応しだり、金品を提供したり、利益誘導したりということは、これは口で選挙をやりますからよろしくということを言わなくても、そういうことを交書で書いたもので言わなくても、弊害があるし、またそういう弊害がある事前運動は、防止しあるいは取り締らなければならぬものだ、こう私ども解釈しておりますが、その点中川部長いかがです。
  28. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 まず、選挙の特定の問題です。選挙の特定の仕方はほとんどこの問題に直接関係ございませんが、次に行われる衆議院選挙、これは特定すると思います。候補者になろうとする者を特定しなければならぬ、そのほかに投票を得または得させる行為であるかどうか、こういうことが問題の要点だろうと思いますが、投票を得または得させる行為であるかどうかという点が――一般社会活動と一般政治活動であるならば、投票を得または得させる行為でない。たとえば、年賀状でよく問題になるのですが、親族知己等に年頭に当りまして年賀をする限度においては、選挙運動ではない。ただし、今まで親族縁者には全然年賀状を出さないくせに、当該選挙になって選挙権を有する者に限りどっと年賀状を出すということになれば、投票を得または得させる行為であると言い得ようかと思います。そういうお説がありましたけれども、選挙が特定しておればよろしい。候補者が特定しておればよろしい。それはそれでよろしゅうございますが、もう一つの要件は、投票を得または得させる行為であるかということになろうかと思うのです。逆に申しますと、一般社会活動の行為であるかどうか。一般政治活動の行為であるかどうか。一般政治活動の行為を越えて投票を得させる行為であるならば罪になる。一般社会活動の行為を越えて投票を得または得させる行為ならば罪になると思います。私ども捜査をやって気がつきますことは、お示しの二つの要件を満たした場合もありますが、第三の要件の、一般社会活動の行為を越え、投票を得または得させる行為かどうかという点について、資料を作っても犯罪の立件できない点がありますので、私どもはその第三の要件が相当捜査に苦心を要する点だと思います。
  29. 島上善五郎

    ○島上委員 今年賀状の例が出ましたが、御承知のように、国会では、いわゆる虚礼廃止、これはしかし単なる虚礼廃止でなく、事前運動に抵触するおそれがあるからという意味を含めて申し合せをして、年賀状などもわずかに制限しておる。しかし、申し合せだからその通り履行しなくても別に差しつかえございませんが、実際上は、前に次点で落ちた人や、また次に立候補を予定されておる人は、かなり広範に年賀状を出されておる。それからかなり広範にごちそう政策、供応をやっておる。こういうことは、今あなたの答弁からしても、当然事前運動もしくは疑いを持たれる運動です。私どもの承知しておる範囲では、すでにこういうことがことしのお正月にもかなり広範に行われておるし、その後も行われておる。ごちそうといっても、年がら年中ごちそうするのではなくて、お正月だとかお花見だとかいうことに口実を設けてやることが多いのです。今あなたが答弁したような事実は、全国でかなり広範に行われておるように私承知しておりますが、それに対する予防措置か取締り等何か行なっておりますかどうか。行なっておったら、具体的にお知らせ願いたい。
  30. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 この点が私ども大へん苦心する点であります。ごちそうしておっても直ちに犯罪といえないという点は、ただいま私が申し上げましたごとく、一般社会生活活動として法事があってごちそうすること、たとえば私のおふくろが死んだ場合に法事でごちそうする、これは社会慣例としてありますので、それのみをもって事前運動とは言い切れない。正月になって、一般社会慣行として、土地によって慣行が違いますけれども、一ぱい飲むという慣行がある場合において、その慣行に従った行為が行われておる場合には、事前運動とは言い切れない。一般社会慣行の限度を越えて、投票を得または投票を得させる目的をもってごちそうしたということが証明されるならば、違反である。ただし、実際問題としては、証明できた事例もございますけれども、証明できない事例が少くないのでございます。それで、われわれ、先ほど申しましたごとく、神きんが見ておったら、投票を得または投票を得させる行為であると思うのだが、立証がつきにくい例が少くございません。これは、何と申しましても、犯罪取締り活動ということも一つの国の法律に基く厳正な措置でございますが、そういう配慮等もございますので、何と申しましても政治意識の向上と申しますか、公民権行使に関するいろいろ意識の向上ということが大へんに重要なことであろう、こういうことで、自治庁でも御苦心になられまして、自治庁自身でもおやりになっておりますし、あるいは団体等で、自分の村は自分が守るのだ、日本国は日本国民が政治をするんだという、こういう高い民主主義の理想の教育をやっていただくことが根本問題であろう。ただし、犯罪捜査活動も、何と申しましても法律に基く厳正な活動でなければなりませんので、ごちそうの問題にいたしましても、はがきの問題にいたしましても、あるいは社交を越えて、特定な選挙のために、特定の候補者のために、投票を得させる行為ということが証明できるものにつきましては検挙する、こういうことで努力を続けておるのであります。確かにその努力は続けて参りますけれども、その証明できるケースは比較的多くない。これが現状であります。
  31. 石坂繁

    ○石坂委員長 島上委員に申し上げますが、行政部長は地方行政委員会の関係で出席できないということであります。
  32. 島上善五郎

    ○島上委員 出席できない分の質問は次会にでもいたします。  それでは、もう少しはっきりしぼって聞きますが、今あなたがおっしゃったように、一般社会活動、政治活動の範疇に属することはどうにもならぬ。しかし、たとい正月であっても何であっても、選挙が近い、たとえば、衆議院の解散が近い、あるいは市議会の選挙が五月だというふうに選挙が近いときに、その有権者に限って今までやらなかった大規模な供応をする、あるいは有権者に多量の年賀状あるいはあいさつ状を出すとかいうことになれば、これは立証できると思うのですが、そういう事実がたくさん私どもの耳に入ってくる。衆議院の解散近しという記事が新聞にぱっと出ると、それというので、時候見舞のはがきを一万枚も出したり、ポスターを町中にだあっと張りめぐらしたり、そういう事実をあなたは知らないとおっしゃるなら、私は幾らでも列挙してお教えしますが、たくさんあるのです。それをなかなか立証しにくいといいますけれども、有権者に対して年賀状を三万枚も出したり、区内に前衆議院議員という肩書きでポスターを一ぱい張りめぐらしたり、あるいは選挙区の有力者――有力者という言葉は適当かどうか知りませんが、要するに要所々々の人々を呼んで大いにごちそうする、こういうことでも立証できないのですか。
  33. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 島上委員は、いろいろ政治活動をなさって、各地でいろいろごちそうをやる人、あるいは見学を案内する人、あるいは年賀状をたくさん出される人のことを念頭に置いての御質問であると思いますので、その点よく理解できるのですが、私の言葉を繰り返して申し上げますれば、どうも事前運動と見られるその三つの要件が満されない場合が多いのであります。われわれ見ておりますと、どうもあれは今度の総選挙に出るための行動だと思われるんだけれども、特定の選挙ということがはっきりしない、特定の候補者ということがはっきりしない、その二つははっきりするけれども、社会活動の範囲という限度がはっきりしない、こういうことで、この三つの要件のいずれかがはっきりせぬというような事柄で――何といっても犯罪取締りというものは厳正でなければいけませんので、厳正にやって参っておりますと、三つの要件のうちのどれかが足りないというような事柄で、島上委員が御心配になっていられるように、どうかと思われるような行為が各地にあるということも事実でございます。そういう事実につきまして、われわれがなまけていてはいけませんから、その三つの要件を満たされる資料収集には努力しておりますけれども、いろいろな形において行われますし、限度がございますので、先ほども申しましたごとく、取締りはその三つの要件が満にされるような資料の収集の努力を私どもは一生懸命やる、ただし、一生懸命やりましても、今申しましたような限度がございますから、政治教育と申しますか、社会生活教育と申しますか、公民権というものは大事なものであるという教育と両々相待たないと、島上先生の御心配の点はちょっと解決しにくいことではなかろうかと、いつも悩むのでありますが、名案がありましたらお教えいただきたいと思います。
  34. 島上善五郎

    ○島上委員 私が質問しておるのは、選挙が特定で候補者も特定しておる。少くとも客観的に明白である。そうして一般社会活動や政治活動の範疇を越えておるものを私は例にあげて言っておる。具体的な例をあげよというならば、だんだんあげていきますよ。そういうものも今は野放しの状態である。何も検挙するばかりが能でないと思うが、しかし、この事前運動の疑いがきわめて濃厚だという行為があった場合に、それを防止するために注意をするとか、事前運動の疑いがあるからおよしになった方がいいとかいうような注意をするとか、何かそういう措置を講じておりますか。
  35. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 これは、私ども警察が注意するということになりますと、また人権上の問題もありますので、大へん疑わしい場合には警察が注意するのですけれども、一般の、はっきりした場合には、警察は検挙いたします。検挙するには三つの要件がなかなかうまいこといかぬが、それに近いような場合におきましては、警察が注意いたします。そこまでいかぬというような場合におきましては、選挙管理委員会とも連絡をとりまして、当該選挙管理委員会から御注意願う場合があります。疑わしいのだが、それにも至らぬという事例・どうもおかしいという事例が各地にあるのでありますが、これにつきましては、遺憾ながら、個々に注意するのもやはり候補者に対する人権等の関係もございますので、個々には注意しないで、一般的な政治教育で問題を解決しよう。三段階といいますか、四段階といいますか、こういうことにならざるを得ないのでありますが、事前運動の問題には私も大へん悩んでおりますので、その点はそういうふうに理解しておるのであります。
  36. 島上善五郎

    ○島上委員 私が今聞いておるのは、衆議院の解散が近しということで、かなり弊害が伴うと思われる、どうかと思われる事前運動が各地にひんぴんとして起っておるので、これは何らかの措置を講じないと、この次の選挙は大へんなことになると私は思うのです。あなたはなかなかむずかしいと言いますけれども、選挙が特定しており、候補者が特定しておれば、その後の投票を得るための行為であるかどうかということのあれが問題なだけであって、選挙が特定しておって候補者が特定しておれば、その人の行為が一般社会活動であるか政治活動であるかあるいはその範囲を越えておるかという解釈問題だけが問題で、これは、あなたの方だげのことでなくて、自治庁もしなければならぬごとだと思うが、選挙をほんとうに公明なりっぱな選挙にしようという熱意がほんとうにあるならば、もう少しとるべき措置がありそうなものだと思うのです。  そこで、私は今度は一つ具体的に伺ってみますが、川口の市長選挙の際、二月七日に市長及び市会議員の補欠選挙の公示があるということは前からわかっておる。あなたは、抽象的なことを言うと抽象的な答弁しかしないから、具体的に伺いますが、一月二十九日に前市長が立候補しないことは、本人も客観的にも明らかになって、前市長は市長には立候補しない、この次は衆議院に立候補する、これは明らかであります。それから、その次の市長には大野何がしという人が立候補するということも、推薦する側も、これを受ける側もはっきりしておる。このときに、名目は、市政に協力した、自治の拡充に協力したという名目で、自治協力会正副会長、それから農業団体の正副会長もそうらしいのですが、三百数十名をバス七台連ねて帝劇へ案内し、帰りに船橋の温泉へ連れて行って、大へん豪華版のごちそうをしたという事実があります。そうして、その席には、市長に立候補がきまっておる、客観的にもはっきり証明されておる大野何がしという人も参加しておりますが、これは、私は、やがて衆議院議員に立候補すということを声明した、あるいはそういうことが客観的にはっきりしておる高石市長の衆議院議員選挙の事前運動、並びに大野何がしの市長選挙の事前運動という疑いがきわめて濃厚だと解釈されますが、これについてはどのようにお考えですか。
  37. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 実は、今御指摘になりました川口市長選挙のそういうような行為につきましては、よく聞いております。これは、今島上委員も御指摘になりましたように、三十二年一月二十九日付の東京新聞埼玉版に、川口市長選挙、市費による選挙運動という見出しで、今お話しのような内容の記事がまず出たわけであります。そのほかに、川口市内の住民の方々から、警察の方にも、これは事前運動だろうというような話の申し出等もございまして、警察では、それに着目いたしまして、今言った三つの要件――一般論で申しましたけれども、三つの要件を満たずかどうかという点につきまして、いろいろ内偵をやったわけです。いわゆる内偵をやったわけです。三つの要件が満たされるかどうかについては、川口の警察は、専従者等も置きまして、これが三つの要件を満たすところの公職選挙法百二十九条に定める制限を越えたものであるかどうかということに対して、大へん苦心をいたしたのでございますが、その三つの要件、ことに最後の要件の、投票を得または得せしめる行為のために旅行して千葉県の船橋へ行った、ということを疎明するに足る資料は発見できないのであります。といいますのは、お聞き及びかと思いますけれども、主催者の側におかれましては、多年川口市政運営に関して功労のあった方々に対して、いろいろその労をねぎらうという趣旨で、選挙に関しては一切――むしろ逆に選挙運動ではないのだというようなこと等もおっしゃっておられますし、いろいろ資料を集めて参りましたのですけれども、どうも今私が申しました三つの要件を充足するに足る資料が発見できない。しかし、これは何といっても認定の問題でございますので、警察だけで認定しても認定に落度があってはいかぬと思いましたので、検察庁とも十分連絡いたしまして、これは百二十九条の違反とい見るかどうだろうかということを、大へん苦心して久しく研究を遂げたのでありますけれども、本日現在におきましては、これが公職選挙法に定める選挙運動である、特に百二十九条違反であるということを、証明はもちろん、疎明する資料が正確に把握できませんものですから、大へん苦心をいたしたのですけれども、今言った三つの要件、すなわち、これが社会活動と申しますか、社会活動にもいろいろ態様がございまして、先ほど申しました正月のことも社会活動でありますが、市政というものを運営していて、市政ということに関連していろいろなことが行われて参る、こういつにことは確かに去年はなかったようでございますけれども、久しくやっていなかったので、市長もだんだん任期満了することであるという機会に、こういう計画がなされたような状況等もございまして、これが、先ほど私が一般論で申しました三要件と申しますか、ことに第三の要件が発足できないので、大へん苦心して努力はいたしたのでございますが、少くとも犯罪としてこれを証明するということについては成果は得られない、こういうのが現状でございます。
  38. 島上善五郎

    ○島上委員 事前運動の疑いが濃厚であるというので取り調べたことは事実ですか。
  39. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 これは、私ども、こういった犯罪に限らぬですけれども、普通のどろぼうとかなんとかいう犯罪でもそうですけれども、いわゆる内偵というのをやるわけですが、その内偵の端緒には確かに東京新聞埼玉版も資料になりました。それから、埼玉版だけでなしに、これが犯罪だと申される方たちの話も聞きましたので、そういう角度からいろいろなことについて内偵を続けたのでございますが、いわゆる捜査といっても、捜査にも段階がございますから、被疑者を取り調べるとかそういうところまでいくのには、資料がなければいけませんが、そういう資料を発見することができなかった、こういう状況でございますから、そいつを捜査したかと言われれば、その捜査の意味が、そういう努力を含めて捜査ということに御理解になれば、一捜査したわけですけれども、被疑者を逮捕するとか、被疑者を調べるという狭い意味の捜査をやったかということになると、そういうところまで至っていない、こういうことになろうかと思います。
  40. 島上善五郎

    ○島上委員 これは、少くとも客観的に見て、選挙告示一週間前に、自治協力会の会長、副会長――俗に会長、副会長といえば町の有力者ですが、町の有力者全部を集めてやれば、そうして市長が中心であり、次の市長に立候補する人が中心ですから、これは口で選挙運動でないと言うことが、逆に選挙運動になるんです。選挙管理委員会の委員長が、そこへ行って、これは皆さん事前運動とか買収とかにひっかかりません、そういう点は御心配要りませんと、そう言った。そういうことを言えば、それがよけい事前運動になる。これは私は明白な事前運動だと思う。何もそのときにやらぬでも、もっと半年も前にやる手もあるだろうし、あるいは選挙が済んでからやる手もあるだろう。特にこれは市の金を使ってそういうふうにやっておりますが、これは明白な事前運動だと思う。ただ、あなたの方で内偵したとか捜査したとか言っておるけれどもへその内偵なり捜査なりがきわめて熱意がないから、あがってこないのだと思います。私どもは、その会合に出席した人を知っておるし、その会合で、どういうことをやったか、どういう雰囲気であったかということも知っておる。選挙管理委員長が行って、皆さん、どんなにごちそうになっても、これは買収とかなんとかへそういう心配は要りませんからと言った、それ自体が選挙運動なんだ。選挙運動でないと言うことは、逆のことを言っておる。その事実を一体いつごろどういう方法で内偵をしたか。新聞記事に出たからそっと申しわけ的にやったのかしらぬけれども、私はその程度じゃないかと思う。本格的に捜査をすれば、事前運動であるという明白な事実が幾つもあがってくると思う。一体いつごろどういう方法で内偵をしたか、これを承わりたい。
  41. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 島上委員のおっしゃる論理は確かに一つの重要な要素を含んでおるように思います。選挙運動でないと言ったことが、かえって選挙運動になるという資料になるという場合もございます。それは、どろぼうをせぬと言うことが、どろぼうをしたという証明になるのと同様でございますが、そのことだけで直ちに事前運動ではないという結論を出したのではございません。内偵でございますので、出席なさった方々等につきましても、いろいろな事情も伺っております。それから、そのような状況に――どういうふうにして事が行われ、どういうふうな段取りで計画されたかということにつきましても、人権に著しく侵害を与えない方法を苦心しながら、いろいろな点を調べております。調べた結果を総合いたしまして、少くともわれわれは厳正に――このことに限りませんで、すべてのことに関してそうですが、厳正に着実に努力いたしましたんですけれども、これが、特定の候補者の投票を得または得せしめる目的をもって、市政運用上の社会活動でなしに、そういう目的によってやられた行為ということを証明する資料が発見できないのでございます。
  42. 島上善五郎

    ○島上委員 発見できないとおっしゃいますが、発見できないんじゃなくて、発見しないのです。また発見しようとする熱意がない。選挙の期日がきまっておって、候補者もきまっておって、選挙事務長も十市長は、自分は立候補しない、事務長をやるということをはっきり言っておる。そうした人たちが中心になってやった活動は、投票して下さいと口で言わなくたって、それは客観的には事前運動、特に事前運動の買収供応に該当する疑いがきわめて濃厚であるということは事実です。これを迅速に積極的に捜査あるいは内偵すれば、私は立証するものは必ずあがったに違いないと思う。新聞に出てから、何もしないと、国会で質問されて答弁の材料に困るから、ちょっとやっておこうというようなことでは、これはあがるわけはないのです。それじゃ、法律上のことは、あなたはあいまいなことを言いますが、一体道義的に考えて、これは兼子部長でもいいのですが、こういうことがどんどん行われて、選挙は腐敗すると思いませんか。
  43. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 市長がやめる前に、市政上いろいろ厄介になりました自治協力会の人を招いたという問題でございますが、それは、それ自体としては、市長のやりましたことに理由があり、もっともだと思うのでございますが、それがたまたま選挙の直前と申しますか、そういう時期が不適当だったということは、通常いわれるんじゃないかと思うのでございます。果してこれが選挙を腐敗きせるかどうかという問題でありますが、少くとも、今後の選挙におきまして、こういう何と申しますか疑惑を招くようなことは避けなければならない、また、選挙それ自体の、一般の選挙の公明化につきましては、常時啓発の上におきまして今後十分努力をして参るつもりであります。
  44. 島上善五郎

    ○島上委員 そうすると、兼子部長は、少くとも道義的には好ましくないことだ、疑惑を招く行為であるということだけはお認めですね。
  45. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 先ほど御指摘のごとく、新聞に疑惑を招いたという記事が載ったということから起っておるようでありまして、そういう疑惑を招いたということは事実でございますので、そういう疑惑を招くようなことはやるべきでないということは、われわれ今後十分指導いたしたいと思います。
  46. 島上善五郎

    ○島上委員 中川部長に伺いますが、そうすると、これは、あなたの答弁だと、現在の段階では事前運動として立証する事実がない、もし事前運動として明白に立証する事実がありましたならば――これは捜査を打ち切ったわけじゃないでしょうね。捜査を打ち切ったわけですか。私どもは事前運動として立証する事実を若干つかんでおりますが、その場合にはもちろん捜査を継続されると思いますが、いかがですか。
  47. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 これは私どもすべての犯罪について言い得ることでございますが、犯罪が行われたかどうかということに疑問を持ちまして、一生懸命内偵する。一生懸命努力をいたします。努力いたしまして――警察の努力は、年がら年じゅうやっておってはほかの仕事に支障がありますから、ある程度努力して、こいつはうまくいきそうだと思いますと、一応狭い意味において努力するけれども、こいつはうまくいかない、それでこの程度でやめざるを得ぬということで、狭い意味において一応やめます。ところが、だんだんやっておると、ほかの犯罪の状況からまた新しい事実が出た、こういう場合には、もちろん時効にかからぬ以上はやります。しかし一警察が努力を惜しむわけではございませんけれども、これは大へん努力いたしまして、どうもうまくいかぬというので一応打ち切った。――打ち切ったと言っては失礼ですけれども、一応うまくいかないということになっておりますが、われわれに警察が知り得なかりたような新しい事実等が出ました場合におきましては、もちろんやります。
  48. 島上善五郎

    ○島上委員 新しい事実は私ども握っておりますし、またほんとうに調べれば続々出ると思うのですが、これは一つそのときにもっと的確に熱意を持って調べてもらうことにします。  兼子部長に伺いますが、そういうような少くとも道義的に好ましぐない、あるいは疑惑を持たれるという席に当該選挙の管理委員長が出席して、これは選挙法上の買収供応とか事前運動にはならぬから、皆さん安心してたくさん飲みなさいというようなことを言ったり、そういう行為をしたりすることに対して、あなたはどのようにお考えですか。
  49. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 助役が選挙管理委員長で出席したことは私どもわかっておりますが、その席上これは選挙運動にならないから云々ということは、私ども承知しておらないのでございます。ただ、市長が自治協力会の多年の功労に対して謝意を表する。これは助役も同様な考えでこのようなことを計画したと思うのでございますが、先ほども申し上げましたように、選挙の直前であったという時期が、通俗的に言いまして適当ではなかったのではないか、少くともそのことだけは言えるのではないかと思うのでありまして、選挙管理委員会が選挙の公明化について努力をするという責任は法律上当然持っておりますし、また、委員長であります助役は、その信念に立って十分活動しておるものと信じておるのでございます。
  50. 島上善五郎

    ○島上委員 その疑惑を持たれるような好ましくない会合に選挙管理委員長の肩書きを持っておる者が行って、これは選挙法上の事前運動や買収供応になりません、御心配なくということを言うことが、選挙の公明のために適当なことだと思いますか。
  51. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 選挙管理委員長である助役が出席いたしましたときに、これは選挙運動ではないからというふうに言うたかどうか、その点は私どもの方ははっきりいたしませんが、あそこの市の選挙の成績は、従来必ずしもよくないと申しますか――投票率におきましても、選挙の実態におきましても、その点につきましては従来努力をされてきておるように聞いておるのであります。でありますから、委員長であります助役はやはり選挙の公明化につきましては十分熱意を持っておるもの、このように私は確信をいたしておるのでございます。
  52. 島上善五郎

    ○島上委員 選挙の公明化に熱意を持っておると、大へんな御答弁ですが、あなたの今おっしゃったように、あそこの市は、選挙の投票率からいっても、選挙の実態からいっても、はなはだ好ましくない。この前の選挙で市会議員が五名も六名も失格している。あまり全国に例のないことです。それが、他の方法で、他の場所で選挙の公明のために努力をするというならば、これはあなたの言う通りで話はわかるけれども、あなたがさっき答弁したばかりです。疑惑があり、好ましくないその種の会合へ選挙管理委員長として出て行って、選挙法上事前運動にも買収供応にもなりません――それはあなたの方へそういう報告はきてないでしょう。しかし、録音こそとってないけれども、出席した人で何人も立証する人がいる。そういう席上で、候補者であり、候補者の事務長になっておる人が、そういう会合でそういうことを言うことがいいかどうか。選挙の公明のために熱意のある行動か。私は少くとも選挙を腐敗きせるおそれのある好ましくない行動であるということは言えると思う。それをあなたは逆の答弁をしておる。選挙の公明のために熱意のある行動である。これはおそるべきことです、もしそうだとすれば。
  53. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 私どもの聞いておりますのは、市のこの計画と申しますか、やりましたことは、自治協力会に対する謝意と申しますか、慰労と申しますか、そういう角度で行われておるのでございまして、選挙運動であるというふうには見ておらないのでございます。その席上、選挙管理委員長である助役が、選挙の投票率、あるいは選挙の公明化と申しますか――についてよろしく、あるいは名簿の作成についてよろしく努力をお願いするというようなことを言いましても、これは私は差しつかえないのではないかというふうに考えるのでございます。ただ、先ほど、私が、この問題になったということが遺憾であると申しましたのは、時期が適当でなかった、やはりそういう時期を選んでやるべきではなかったか、そういう点について先ほど申し上げたのでございます。
  54. 島上善五郎

    ○島上委員 選挙の事前運動であったかなかったかということについては、いずれ事実がはっきりしますが、少くとも候補者及び事務長と客観的にはっきりしている人が中心になって、帝劇へ連れて行ったり、温泉へ行って飲み食いしたりする場所で公明選挙の説教をしたって、これは問題にならぬと思う。選挙の公示の期日がきまっておる一週間前に、そういう少くとも飲み食いや、芝居を案内したということは、法律上立証することは困難でも、その腹の中に選挙を有利にしようという考えがあったということを想像することは、私は当然だと思うのです。そうだろう、それに違いないと想像する。法律に違反する事実がはっきりと出てくるか出てこないかは、これは別問題だ。その選挙の候補者と候補者の事務長になる人がその招待の中心になっているのですから、また一週間先に選挙がスタートするのですから、それを考えずにその種のことをやるなんということは、これはよほどの常識はずれでなければあり得べきことではない。やる時期は幾らでもあるのです。あなたが答弁したように、好ましくない、疑惑を持たれるような場所へ行って公明選挙運動が一体できますか。そういう場所じゃなしに、それは前日でもよし、あるいは選挙になってからでもよろしい、選挙管理委員長が、ちゃんとした席でもって、棄権防止をするとか、公明選挙運動の協力を求めるとかいうのなら、それはわかる。候補者と事務長が入って飲み食いして、ドンチャン騒ぎしている場所へ行って、一体そういうことをやるのが適当かどうか、好ましいかどうか、私は、もしそういうことでよろしいということになったら、これは大へんなことになると思う。そういうことは少くとも避くべきものである。そういう疑惑の目をもって見られる場所は避けるべきだし、もっとまじめな場所でまじめな話をすべきだと思う。その点どうですか。
  55. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 その点についてはおっしゃる通りと思うのでございますが、この集まった人は、一般有権者ではなくて、自治協力員・市のいわば機構に属する人たちでございまして、そういう方々の慰労をする、そういう席で選挙管理委員長たる助役が、名簿の作成なり、平素の仕事の連絡を述べても、私は差しつかえないのではないかと思います。おっしゃる通りに、公明選挙運動ということになりますれば、これは、あるいは選挙前でありましても、あるいは選挙の告示後でありましても、また別途そういう計画は強力になすべきであると考える次第であります。
  56. 島上善五郎

    ○島上委員 一般有権者でないとおっしゃいますが、それはもっと悪いのです。というのは、要するに各町の有力者ですから、悪くいえばボスですから、そういう連中を集めて飲ますということは、一般の有権者を三十人や五十人、百人集めるより効果的なのです。その効果をねらってやっておることは事実なんです。  それでは伺いますが、市の助役が選挙管理委員長をするということ、そうして当該市の市議会や市長選挙の選挙管理をするということが、一体選挙管理の公明を期する点から、どのようにお考えですか。適当かどうか。
  57. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 選挙管理委員会の委員につきましては、助役が委員に兼職できないという規定は法律上ないことは御存じの通りであります。この選挙管理委員会制度が、戦後――二十一年でございますか、初めて規定されまして、選挙管理事務につきまして、何と申しますか、なれた人がやらないと心配だということからいたしまして、事務になれております助役等がその委員の一人になるということは、これは当時といたしましてはもっともなやり方ではなかったかと思うのでございます。現在といたしましては、選挙管理委員会も約十年の経験を持って参りましたし、また一般の人を委員にいたしまして大体目的は達するかとも思うのでございますが、ただ小さな町村に参りますと、やはり町村内で適任者が得にくい、助役を委員に充てるということが、やはりまだ実際問題としてあり得ると思うのでありまして、私どもといたしましては、市ぐらいの大きさになりますと、助役は参加しない方がいいと考えますが、一般的に市町村で助役が選挙管理委員になってはいけないという法的規制をするかどうかという点につきましては、まだ疑問を持っておるのでございます。
  58. 島上善五郎

    ○島上委員 それじゃ、私はまだ多少ありますが、事実をもう少し調べたいし、残りの質問は保留しておきますが、今お答えにありますように、少くとも相当大きな市であり、選挙管理についても相当熟練した委員がたくさんいるし、かつは前の市長選挙が非常に問題があった選挙だけに、そういうところで助役が選挙管理委員長をするということは好ましくないと思う。それだけでも好ましくないのに、その上きっき来質問しているような場所に出てやったというようなことは、私は今川口のもう済んでしまった選挙のことをとやかく言うというよりは、私の少くとも念願するところは、今後の選挙を公明にやるために、また選挙管理を公正にやるために、そういうような事実は厳正に反省して直さなければならぬ、こういう見地から伺っているので、これはぜひ十分頭の中に入れて、今後の選挙の公明、今後の選挙管理の公正を期するために、全国に対してこのような事実を再び繰り返さないように十分注意してほしい。私は、若干質問を保留して、きょうの私の質問はこれで終ります。
  59. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 選挙の公明化につきまして、御趣旨の点は十分注意いたしたいと存じます。
  60. 石坂繁

    ○石坂委員長 井堀繁雄君。
  61. 井堀繁雄

    ○井堀委員 選挙法の第一条の規定の中で、国会議員の選挙と、地方自治体の議会並びに長の選挙を同時にこの選挙法は取り扱っておるわけです。これはもともと選挙法のあり方に対する基本的な問題の一つにあげることができると思うのですが、特に新しい憲法のもとにおける自治についてはかなり高く評価されていることは、この新しい憲法の一大特徴だと思う。こういう関係から、自治に対する基本的な精神を憲法の示すように貫こうとする場合には、国会議員と、地方自治の特に公選になっております長の選挙とを同時に扱うということについても、多少考慮を払わなければならぬ内容を私自身も実は持っておるわけです。しかし、今のところ、現行法のこの法律をそういう憲法の精神に十分マッチできるように運営の面で工夫するということは、当然だと思うのであります。こういう関係から、一、二選挙事務を担当いたしまする立場から伺っておきたいと思いますが、一体地方自治の選挙管理を国会議員の場合と同様に考えることは、大きな矛盾がここにある。こういう点については、よほどこの選挙法に基いて――選挙をここにありまするように文言通りに考え京するならば、公正でかつ適正という言葉は、簡単な表明ではありますけれども、かなり含蓄のある文字であります。地方自治の選挙を公正にかつ適正に行うということは、私は国会議員と同じ選挙のやり方ではいけない。選挙のやり方といったらちょっと幅が広過ぎますが、選挙管理の方法についてはもっと考慮を要すべきものだと思うのであります。こういうものに対して、選挙部長は、一体どういうような御指導なり、あるいはまた選挙管理委員会に協力をお求めになっておるか、また改善を要すべきものについてお考えがあろと思うが、この点について構想がありまするならば、一つ伺っておきたい。それから、従来のそういうものに対して何らかの配慮を加えておるに違いない、また選挙管理委員会との間の折衝なども行なっておる、こういう点に対する基本的なものでありますから、ごく要綱でよろしゅうございますが、この点について一つ伺いたい。
  62. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 国の国会議員の選挙と地方団体の選挙を、同じ機関で、現在選挙管理委員会で実施をいたしておるのでございますが、これについてどう考えるかという問題でございます。選挙管理委員会は御承知のごとく地方の機関でございまして、国の衆議院議員、それから参議院議員の選挙につきまして、全国選出議員は中央選挙管理会が終局的には管理をいたすのでございますが、それ以外は、実際の事務は選挙管理委員会に担当管理をしていただくという建前になっております。でありますから、地方の組織に国の方が乗っておるという建前になっておるのでございまして、それで不都合はないかというお尋ねでございますが、私どもの方は、その点につきましては、体系としては、別に国の選挙について別の管理機関を設けるというような点については、必要はないのではなかろうかというふうに考えておるのでございます。それから、委員会の構成の問題、先ほど島上委員から御質問がありましたように、助役が選挙管理委員になって、国の選挙の場合は問題ないけれども、地方選挙の場合にそれが問題になるのではなかろうか、あるいはそのようなことを頭に入れてのお尋ねかと思うのでございます。個々のケースによって違うと思いますが、一般的の選挙管理委員会の組織といたしましては、これでいいのではないか。ただ、委員の人選について、先ほど申し上げましたように、兼職禁止の規定の必要があるかないか、また法律上兼職禁止まで、そういう措置がとり得ないといたしたならば、指導上そういうことができるかどうか、望ましいかどうかというような点であろうかと思いますが、この点につき才しては十分検討いたしたいと考えております。なお、現在われわれが選挙管理委員会につきまして考えております問題は、まだ十分検討いたしておりませんが、現在の選挙管理委員の人選につきましては、知事なり町村長がその委員の候補者を議会に出して、議会で同意を求めるという建前ではなく、議会が選出をする建前になっております。従いまして、長なり知事、市町村長の立場から見ますと、その委員の構成につきまして、学識経験と申しますか、最近の府県の委員会等におきましては訴願、訴訟等むずかしい法律的の問題が相当起っておるのでございまして、そういう点につきまして、いま少しく技術的な学識経験者に入っていただいた方がいいのじゃないかというような点もあろうかと思うのでございますが、現在の建前は、先ほど申し上げましたように、議会選出ということになっておりますので、その辺のところに若干改善の余地はなかろうかというふうに感じております。まだ十分考えは歳とめておりませんが、訴願、訴訟等の見地から、現在の選挙管理委員会のしろうと主義と申しますか、一般の市民に参加をしてもらうというこの委員会制度に、専門家を入れる必要があるかないかという問題が一つあろうかと思うのでございます。現在まで私感じておりますのはその程度でございます。
  63. 井堀繁雄

    ○井堀委員 問題が大きくて、きわめてばく然たる質問で、お答えしにくいと思うのですが、別に他意を含んでお尋ねしておるのではありません。この問題は全く自由な考え方でお答えいただき、また私どもも自由な立場で検討を試みるべきものであるという立場から、お尋ねをしておるのであります。これは私自身も非常に矛盾を感じておることでございまして、前回の選挙法改正の節にも、こういう問題に言及すべきであると考えながら、言及する機会を失っておりますので、今後、機会があるならば、こういう問題はぜひこの委員会で徹頭徹尾検討をすべき価値のあるものだと考えますから、まあ話題を提供すると言えば言い過ぎかもしれませんが、そういう意味できょうすぐいろいろな意見を伺おうとは思いません。いろいろ今後準備をしていく一つの目標にはなると思います。新しい憲法の精神は民主政治を自治の発展に期待をしておるということは、あまりにも明確であります。これは何も学説や先進国の例を見習うまでもないと思うのでありまして、常識としてもそうだと思うのであります。自治の発展をほんとうに憲法が宣言しているように押し進めていこうということになりますと、私は地方自治の選挙の問題から踏み出すべきだと思うのであります。選挙の場合については、先ほどもお尋ねいたしましたように、一本の選挙法でこれはやっているわけであります。これは一本がいいか二本にするがいいかということは、議論がありましょう。ありますが、一本でやっているというところに、この委員会で問題にするに足るものがあると私は思う。自治の場合は、一方においては自治の本義がどこにあるかということについて、いろいろ方々の意見を私は私なりに調べておるのでありますが、幸いにして今度の自治庁長官は新憲法に対する三つばかりの文献を出しておられます。これが私の手元へ二つだけ入りましたので、検討をいたしております。今後、長官との間に、この問題について、私はいろいろ質疑を通じて明確にしていきたいと思うのでありますが、きわめて明確な意見を署書の中に現わしておる。この考え方は、自治庁長官として、行政面において今後の政策決定の上にも影響があるので、これは長官がおりませんところでこういう議論をするのは穏当ではありませんが、この中でごく簡単に書いておりますけれども、基本的な考え方は、有名なあのプライズ卿の近代民主政治に対する著書の中から幾つも引例をされております。この思想は、言うまでもなく自治の――あの人の定義についてはいろいろいわれているようでありますけれども、多数者支配のもとに積み上げられてきた政治の実績に一つの理論づけをしたものなんです。この点は学ぶべきものがもちろん私どもにもたくさんある。こういう考え方が日本憲法の中にも取り入れられていることは、私どももその通りだと思う。これと日本の現実の自治とのギャップがあまりに大きい。それが何に基因するかということはいろいろあると思いますけれども、それを再体的に立て直していく一番よい方法は私は選挙だと思う。特に知事、市長、町村長といったようなものに公選がとられたことは、ここにあるわけでありますが、そういう革命が行われたにかかわらず、依然として選挙のやり方が過去の伝統から一歩も出ないということであれば、木に竹を継いだようなもので、ここから非常に大きな害悪を生むと思う。先ほど島上委員のとられた事例のごときは、私はこういうものに照らして判断をする価値のあるものだと思うのですけれども、この問題は言及いたしたくないのであります。そういう考え方で、今当面している地方自治の問題の中ですぐ考えるのは、市長の選挙を管理する委員会が助役によって支配されるということは、どう考えても地方自治の精神とはあまりにもかけ離れている。これは自治法の中にも問題がたくさんあると思います。だから、現在の他の政策なり法律なりとの関係の中において公明選挙をやっていこうとすれば、そういうものを全然無視して理想だけを推し進めていったのでは、私は現実的なものにならぬと思う。ですから、選挙法自身にも大きな矛盾があり、自治法にも欠陥がある。しかし、憲法の目ざす理想というものは、プライズ卿の言うようなすっきりした一つの民主政治を貫こうとするところにある。ですから、そこに行政を預かる者としては非常に考えなければならぬものがあると私は思う。選挙法の条文だけに目を通して狭い解釈ばかりやっていると、大けがをする。この点で、この問題は時間を得て今後聞いていこうと思うのであります。  そこで、お尋ねいたしたいと思いますのは、現行法では、市長の選挙をやる場合には、市の管理委員会が一切を切り盛りしていくことになるわけであります。それが、今ちょうど偶然でありますけれども、ほかにもそういう例があるでしょうが、もし助役が選挙管理委員長であって、その市長の選挙をやる場合に、再選は制限いたしませんから、再選をやる場合には、自分が任命した助役なんですよ。これは、自治法の精神からいって、公選された助役ではないのであって、市長が任免するのです。自分の好きな者を助役に任命して、それを選挙管理委員長にするのです。それでは公平な選挙を行えるはずがありません。こういうような公然たる矛盾をそのままにしておいて、公明選挙をやれというのはむちゃな話です。こういう問題を排除するためにはどうしたらいいかということを、こういう事実にぶつかってからあわてるのではなくて、公明選挙を推進するためには、少くとも日ごろから、選挙管理委員会と自治庁長官は、法律の命ずるところに従って、適切な措置を講じなければならぬと思うのであります。これは法律の欠陥であり盲点です。要するに制度の欠陥なんです。こういうものを改めてやる必要がある。先ほど、中川部長は、島上委員の質問に対して、一節こういうことを言われた。私は非常に重要なことだと思います。選挙取締りの基本的な考え方のようでありますが、選挙違反の検挙というものは、他の取締りとは違って、もっとむずかしいと思うのですが、特にこの内閣は信賞必罰を厳にすると国民に誓っておる。これはうそを言ってはいけません。ところが今日では昔のような検挙はできますまい。的確な証拠に立ってやるのでありますから、選挙の場合特に事前運動を取り締ることはできないと思う。もしやったとするならば、職権乱用がついて回ると思います。ところが、現在は、弱い者に向ってはやっておるが、相手が政治力を持っておると手が出せないというのが、この弱点です。その次に出ておる警察が注意警告をするということは、これは言うだけで、できはしません。問題はやはり三番目、四番目にあげられたことであって、選挙法のいう第一は、有権者の政治的また組織的な訓練、民主的な教育、啓蒙をやるということであります。これが第一義なんです。けれども、これをやることについて、行政庁は予算を惜しんで努力しておらなかった。今の場合だって、理想を言うだけで、現実の問題はかなり遠い。その次におっしゃられた選挙管理委員会、問題はここなんです。選挙管理委員会というものは権力の前に独立しておらなければいけない。民主的な選挙をやろうというのに権力の干渉を受けるなんて、そんな選挙があるもんですか。市長の選挙をやるのに、その選挙を自分が任命した者に管理させるというような、そんなばかなことがあるものじゃない。これは、法律にそういうことがないからというようなことを言って、とぼけてはいけません。条文に書いてなくとも、法律の基本精神というものは貫かれておるのです。選挙管理委員会が権力から独立しておるということは、民主政治の大原則です。たまたまそういう矛盾が出てきたならば・それを解決すべき任務があるのです。法律にちゃんと書いてあるのです。そういうようなことに目をおおっておいて、取締りなどできるものじゃないですよ。もしやっておるとすれば、どこかに無理がある。事前運動は無警察状態です。やったらやるというのですから、権力が眠っておる。だから、この基本的な問題に対して、しかも具体的な事実が出てきておるのに対して、法律のどこにも書いてありませんからというようなことでは、公明選挙はやっていけませんよ。これは非常に重大なことであって、そういう軽率な答弁を選挙部長ともあろう者がすべきものではありませんよ。即刻この解決をどうしたらよいかということの立法措置をすべきではないか。法律に書いてなければ、それを改めることがあなた方の任務じゃありませんか。法律を変えないでやられるならば、行政的にこうやりますというようなことを答弁する必要がある。選挙法というものは民主政治にたがを入れるものです。また私どもも国会議員の選挙の場合においてはお世話になる方の側です。神でない限り、勝負に勝ちたい。そういうものが自分らの都合のよいような法律を作ること自体に問題があることは通例です。でありますから、私もそう口幅ったいことは言えませんが、しかし今言う自治の問題については別でありますから、私は一国民として考える場合に、選挙自身に対して、もっと本質的なものを取り上げないで、ようじでますのすみをつつくようなことをやって何になりますか。ですから、私は、今の島上委員の質疑応答の中において、非常な不愉快と不合理を感じた。法律にないというようなことで答弁をするというようなことは、とんでもないことです。そんなことは入れなくとも、私がさつき申し上げたようにちゃんと書いてあるではありませんか。こういうような点に対して、今すぐここで解決することはできませんが、これは、やはり、あなたではなくて、自治庁長官の答弁を求める事柄だと思いますけれども、長官よりあなたの方が長く実際問題を扱って経験が深いし、きっとあなたの助言を求めて長官は私の質問に答えられると思いますから、この質問はむだじゃないと思います。非常によけいなことをつけ加えましたけれども、お尋ねいたしたいということ、つまり選挙管理機構というものは権力から独立しなければならぬ、特に選挙をやる者の干渉から全く独立したものでなければならぬということが法の精神であるから、矛盾があったらどうなさるかということについて、あなたの見解をはっきり伺いたい。
  64. 兼子秀夫

    ○兼子政府委員 選挙管理委員会の職責の重要性にかんがみまして、権力から独立をしたものでなければならぬということは当然だと思うのでございます。ただ、現在町村合併が進捗して、相当町村の実体も大きくなって参ってはおるのでありますが、果して町村の選挙管理委員会に委員として適任者が得られるかどうかというような点も考えまして、先ほど私が申し上げましたことは、町村につきましてはなお若干の疑問を持っておるということを率直に申し上げたのでございます。御趣旨の点につきましては、十分検討いたしまして、善処いたすつもりでおります。
  65. 井堀繁雄

    ○井堀委員 念のために希望いたしておきますが、これは長官の立場で答弁を願うことであります。今地方自治の具体的な事例が出ました。でありますから、市の選挙管理委員で助役もしくは市長に任免される職員がそのメンバーになっておるのがどれだけあるか、御調査の上御報告を願いたい。それから、そういうものに対して、そのままほうっておくことは、公明選挙に対する信頼を失することは言うまでもありません。公明選挙どころじゃありませんよ。民主主義の基本的な精神をそこなうことになると私は考える。こういうものに対して適正な措置を講ずる必要に迫られておる。こういうものに対して、行政庁の間で御検討願って、それが国会において議員立法にするのがいいか、あるいは行政当局から改正案を出してくるのがいいか、そういう方法論については別個でありましょうが、こういう問題はいずれにしても考えなければならないと思う。一応長官と御相談の上・次会に私は長官の出席を求めて御答弁をいただく予定でありますから、十分御検討いただきたい。  それから、中川部長に一言だけ伺っておきたいと思う。非常に重要だと思いますけれども、事前運動の取締りは、私の考えからいうと、この選挙法からいえば、少し言い過ぎかもしれないが、人権じゅうりんを伴わないで捜査はできないと私は思う。それは先ほど島上委員から質問されたケースの中にある。そうすると、この分に対しては、全く警察というものは手をつけがたいものになる現実とするなら、こういう島上君の言うような事実に対して、あなたの答弁がそのまま受け取れるなら、そんなものに対しては取締りができぬというふうに理解すべきものだと思いますが、この点に対してどうでしょうか。
  66. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 井堀さんのお説はよく拝聴いたしたのでありますが、私は、井堀きんと同じように、選挙の公明と選挙の適正ということは、国民の一人として大へん熱望するのですけれども、警察とか取締り機関の努力をもってしては、これは限度が大へんある。何と申しましても、井堀さんのおっしゃいますように、選挙する人間が根本だ、こう思うのでございます。それが大体ほかの罰条もそういう性格を持つのでございますが、ことに百二十九条の点になると、しばしば申しましたように、立証が大へん困難です。困難でありますからできないと言うのは言い過ぎですが、大へん困難である。だから百二十九条の犯罪取締りだけをもって事前運動を抑圧しようと思っても、大へん不可能と言うのは言い過ぎかもしれませんが、困難の点が多い。この点は同様でご、ざいますので、井堀さんが御主張になられますように、みんなの関係者が正しい選挙のために御努力願うことをお願いいたしたい。私どもは法律に忠実でなければなりませんので、前回定められた公職選挙法に基いて忠実にやりますけれども、そういう点のあることも御了承願いたい。
  67. 井堀繁雄

    ○井堀委員 私の質問はこれで留保いたしておきます。次会は自治庁長官の出席を求めて、基本的な問題だと思いますから、その折に譲りたいと思います。
  68. 石坂繁

    ○石坂委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる四月八日月曜日午後一時半より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十五分散会