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1956-04-03 第24回国会 衆議院 本会議 30号 公式Web版

  1. 昭和三十一年四月三日(火曜日)     ―――――――――――――  議事日程 第二十七号   昭和三十一年四月三日     午後一時開議  第一 オランダ国民のある種の私的請求権に関する問題の解決に関する日本国政府オランダ王国政府との間の議定書の締結について承認を求めるの件  第二 すべての種類の鉱山の坑内作業における女子の使用に関する条約(第四十五号)の批准について承認を求めるの件  第三 有料職業紹介所に関する条約(千九百四十九年の改正条約)(第九十六号)の批准について承認を求めるの件  第四 日本国における英連邦戦死者墓地に関する協定の締結について承認を求めるの件  第五 日本国とカナダとの間の小包郵便約定の締結について承認を求めるの件     ――――――――――――― ○本日の会議に付した案件  米国における日本製繊維製品「ボイコット」に関する緊急質問(田原春次君提出)  日程第一 オランダ国民のある種の私的請求権に関する問題の解決に関する日本国政府オランダ王国政府との間の議定書の締結について承認を求めるの件  日程第二 すべての種類の鉱山の坑内作業における女子の使用に関する条約(第四十五号)の批准について承認を求めるの件  日程第三 有料職業紹介所に関する条約(千九百四十九年の改正条約)(第九十六号)の批准について承認を求めるの件  日程第四 日本国における英連邦戦死者墓地に関する協定の締結について承認を求めるの件  日程第五 日本国とカナダとの間の小包郵便約定の締結について承認を求めるの件     午後三時二十四分開議
  2. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――
  3. 長谷川四郎

    ○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、田原春次君提出、米国における日本製繊維製品「ボイコット」に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
  4. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  米国における日本製繊維製品「ボイコット」に関する緊急質問を許可いたします。田原春次君。     〔田原春次君登壇〕
  6. 田原春次

    ○田原春次君 私は、日本社会党代表しまして、アメリカが日本商品ボイコットの傾向を最近立法化しつつある状態につきまして、政府の対策について質問したいと思うのであります。(拍手)  この傾向は、第一が木綿製品、第二は絹スカーフ、第三は冷凍マグロ、第四が陶器磁器に対する制限が進行しておるのでございます。  まず、最近の特電の要旨を申し上げましょう。これは三月三十日の読売新聞に出たワシントンの仙波特派員からの打電の要旨でございます。南カロライナ州では、去る三月八日、州議会日本繊維製品並びに日本産の繊維を使て作った繊維製品に対する排斥法案というものを可決しておるのでございます。のみならず、この南カロライナ州は、さらに、その周辺のアラバマ、ミシシッピー等のおよそ二十州に対して、同じ立法をするようにという勧告をしておるということを特電で報じております。方法といたしましては、これらの州における小売商人は、必ずその店頭に日本商品を売っておるという表示をしなければいけない。もしこの表示を怠った場合は罰金刑または体刑に処するという立法でございます。これに対して、ひとり米国の南二十州のみならず、太平洋岸のカルフォルニア州、それから東の方のニューヨーク州からロードアイランド州に至るまで、これらの運動が進もうという傾向にあるということを、読売の特派員は報じております。  次は、きのうの四月二日の朝日新聞のニューヨーク井上通信員からの特電の要旨でございます。これによりますと、やはり南カロライナ州の議会がこれらの決定をしたこと、並びに、アラバマ、ミシシッピー両州とも法律を作ろうとしておる傾向にあることを通信しております。しこうして、これらはもちろん日米友好通商条約に違反するものであり、特に同条約の第十四条によりますと、米国からの輸入を制限したり禁止したりすることについては、日本と米国との間に相互に協定しなければならぬという規定があるにもかかわらず一方的にやろうとする傾向を警告しておるのでございます。そうして、三十日付ウィメンス・ウエアー・デーリーという新聞に載っておるものを報道しておるところによりますと、アメリカにおける日本の大使館の代弁者は、いわく、日本はまだこの事件について正式の行動をとつていない、アメリカの国務省に対して、この法律を研究するように要請しておる、という通報でございます。  最近の傾向をかいつまんで申しますと、第一は、日本綿製品の輸入制限法というのが、アメリカの下院におきまして、去る二月の六日に下院農業委員会の公聴会に出ております。そうして、昨年日本から綿製品総額一億五千万ヤール輸出しておったのに対しまして、今年以後は半分以下の六千万ヤールにしようというのが、このねらいでございます。もしこれが実現いたしますというと、大阪、名古屋その他全国の紡績工場は甚大な被害を受けることになるのでございます。  第二の絹スカーフ輸入禁止の問題は、これは昨年の十月二十一日に米国の国会を通過しております。当初は重さ五匁以下となっておりましたのが、いろいろな運動によりまして三匁以下とはなりましたけれども、これによりまして、長野県、山梨県、埼玉県、群馬県茨城県、京都府等の養蚕農民には甚大な被害を与える結果となるのでございます。  第三は、冷凍マグロの輸入制限と、その輸入関税の引き上げであります。輸入関税につきましては、一ポンド当り、従来かけております輸入税のほかに、一セント半、すなわち五円二十銭相当の税金を新しくかけることによって、日本からの冷凍マグロの輸入を制限しようというのであります。もちろん、冷凍マグロがアメリカに入っておりますのは、日本のほかに南米のチリーもありますけれども、チリーは輸入数量において約一割、従って、実質上は輸入数量の九割を占めております日本冷凍マグロは甚大な被害を受けるのでございます。被害県は海岸県だけで、マグロの漁業に従事しております静岡和歌山、千葉、高知、神奈川、宮崎、茨城、香川、長崎等の諸県の漁民は、これによって甚大な影響を受けるのであります。  第四は、陶磁器の輸入制限でございます。従来の輸入量の半分に減らす、こういう制限を現在協議中でございまして、もしこの制限が実現いたしますと、これによりまして被害を受けるものは、愛知県岐阜県佐賀県、山口県等の陶磁器製造業者に及ぶのでございます。  しからば、これに対しまして、日本商品の米国以外に輸出するものに対してアメリカは好意を持って見ておるか。事実はあべこべでありまして、日本貿易の外国進出を妨害しておる例がここに数個ございます。  第一は中国関係でございます。先般のこの議場におきまして同志の帆足君からも質問されたのでございますから、詳細は省きますけれども、木造漁船に対しましての一つの例をあげましょう。昨年の三月中国を訪問いたしました日本の実業団と中国国際貿易促進協会との間に協定を結びまして、手繰網漁船五十隻の注文を受けて帰ったのであります。しうして、これは兵庫、広島、大阪、山口、岡山、福岡長崎等の木造船造船業者で結成しております西日本木造船造船協議会でこれを引き受けることになり、そうして、もろもろの準備をいたしまして、日本政府に対して、木造船でさえもココムの制限の中に入っておりますので、その特免の運動を昨年の五月からやっておるのでありますが、依然として政府はこれに対して何らの措置に出てこないのであります。(拍手)これがために、広島、大阪、兵庫、岡山、福岡長崎、山口等の木造船造船業者は、種々なる準備をいたしましたにもかかわらず、特免の扱いを受けませんために、非常なる迷惑を受けております。  次に、日本貿易をアメリカが妨害しておる第二の例を申し上げます。日本と北朝鮮との間におきまして、すでに昨年の十月には元山沖に兵庫県漁船が試験出漁をしたのでございまして、その結果、相当の漁獲量も見込まれますので、出漁運動をしておるのであります。これは、ひとり兵庫県だけでなく、福井、石川、富山、新潟の諸県の日本海岸における漁業者の出漁の運動でございますが、これに対しましても、いわゆる南北鮮の統一の実現に至らないというようなことを理由といたして、いまだに許可になる空気ではございません。  かように、アメリカは、ココムの制限日本に強要いたしまして、日本から東南アジアその他南米あるいはヨーロッパに対する貿易は非常な制限を加えておるにかかわらず、アメリカでやっておりますことはあべこべでございます。御承知の通り、先年来ヨーロッパのゼネヴァにおきまして米中ゼネヴァ会談といろものが持たれております。これは、第一には、中国捕虜になっておりますアメリカの兵隊の抑留ということが議題でありましたが、それが第一でありますけれども、事実におきましては、ココムの制限を解いた後において、中国市場にいかにアメリカが有利に入っていくかということの打ち合せをしておるということは、私は昨年北京に参りまして中国側の観測を聞いたのであります。かように、アメリカ側のやっております態度は、日本等に対してはココムの制限によりまして輸出を抑制しておりますが、自分の方は、十分に準備ができ上るまで待ちまして、準備ができたならば直ちに貿易にかかろうという傾向にあることを、相手国の中国でさえ認めておるのであります。  妨害の第三点は、沖縄貿易の、みその輸出を禁止しておるという実例であります。一昨年、日本のみそ製造業者の作りましたみそを、貿易業者が沖縄契約いたしまして、積み出しをいたしました。門司から積み出すという瞬間に、門司に駐留しております琉球アメリカ軍検査官がこれを見まして、このみその中にはココムの制限のあるあの満州の大豆が入っておるんだ、だからこのみそは沖縄にやることができないというので、ついにこの差し押えをしておるのであります。  こういうふうに、日本に対しましては、アメリカは、言葉ではなるほど友好条約であるとか、あるいは信義友愛というようなことを言っておりましても、実質的には、日本の貿易を妨害する、日本の漁業の進出を禁止するという態度をとっておるのであります。(拍手)  これに対しまして、さらにわれわれはアメリカから種々なるものを輸入しておる。一番大きい問題は綿花でございまして、綿花はおよそ二億ドル相当のものを日本は買わされておる。この二億ドルの金額は、アメリカの綿花の全体の生産量の三分の一に当るのでございます。すなわち、アメリカの原綿を買うのは日本が最大のお得意先になっておるのでございます。この買いました綿花で、サンファライズその他の特許料を払って特殊の工作をいたしまして、いざ出そうとすると、これを禁止するというのが、今日の南カロライナ州からアラバマ州、ミシシッピー州その他各州に及ばんとするところの立法化でございますことを、われわれは注意しなければなりません。ひとり綿花のみならず、鉄、石炭、米に至るまで、アメリカから割高なものをわれわれは買わされて今日にきておるような状態でございます。  次は米国の映画でございます。御承知のように、アメリカ並びに諸外国の映画合計年に外貨で五百二十八万ドル相当のものを日本は輸入しておるのでございます。その五百二十八万ドルによりまして、百八十本の映画を外国から買っておるのでございますが、この中の百六十本というのはアメリカの映画でございます。これは実績に基くと称しておりますけれども、その実績というのは占領中の実績でございまして、占領中はアメリカ以外の映画はほとんど入らなかったのでございます。いよいよ形式だけの独立をするときになりまして、シーボルト・吉田秘密協定というものを作りまして、実績主義でいけということを先方は命じ、それを受けておるのが今日の状態でございます。さらに、本年の初めには米国輸出映画協会の代表のジョンストン氏が来朝いたしまして、この百六十本でも不足である、もっとふやせという要求をたたきつけ、日本の当局はただ平身低頭して承わっておるという状態でございます。(拍手)  次は、アメリカ製の兵器の押し売りでございます。この点につきましては、四月二日の毎日新聞の「白い手黄色い手」という記事の終りの方に書いてございます。防衛庁の高官がこんなことを言った。米国は政府を通じて兵器の売り込みに来ますかうね。政府間の協定で兵器をくれる。ところが、こちらがほんとうにほしい新鋭兵器はなかなかくれませんよ。米国のお古をもうってやって、間接に米国の経済をささえておるわけでございます。ジェット機の日米生産協定が結ばれた。F86、丁33ジェット機の国産化が始まっておる。ところが、この機種は、米国ではもう時代おくれで使っておらない。しかも、これに対して、一機ごとに、F86に対しては五千七百ドル、T33に対しては二千五百ドルの特許料を米国のメーカーに払わされておるというのでございます。そのほか、戦車、艦船その他の装備などに対しまして、戦後大体合せて三千億円という品物を売りつけられておる。すなわち、一年間に一千万ドル、およそ三十六億円相当の外貨をアメリカの中古の兵器のために日本は支払っておる状態であります。  しからば、アメリカは、日本に対して輸出上かような一方的な措置をとっておるというが、それだけかというに、そうではない。お互いに身近にありまする駐留軍の日本における行動をごらんなさい。第一は、頻発する自動車事故でございます。ひき逃げが多い。第二は、殺人強盗が多い。アメリカ人であります。第三は、密輸入であります。第四は、やみドルの売り買いでございます。第五は、結婚詐欺である。そうして、第六に、私はここに調達庁の書きました資料に基いて簡単に御報告いたしまするが、飛行機のおびただしき事故でございます。  昭和二十九年度におけるアメリカ軍の飛行機によって日本人が被害を受けました事件を簡単に申し上げましょう。第一は、六月の二十三日に、札幌において飛行機が墜落し、二名死傷しております。第二は、七月、岩見沢において飛行機が墜落し、五名死傷しております。第三は、六月、新潟の北蒲原において墜落し、二十七名やられております。第四は、昭和三十年の二月、青森県の上北郡において墜落し、二名やられておるのであります。第五は、東京西多摩郡の瑞穂町に事故があり、二十九名がやられております。第六は、茨城県東茨城郡において五名やられております。第七は、埼玉県において正名やられておるのであります。第八は、栃木県の那須郡において墜落しておる。第九は、二月の二十四日に、川越において十五名やられておるのです。第十は、狭山市において五名やられております。茨城県においては十一名やられております。群馬県の太田において、三月の二十日には一名やられております。一月の六日には、東京空港事故が起きて、四人やられております。次は、茨城県の大磯において墜落し、一名。たくさん事実が上っておりますが、省きます。こういうふうに、日本国内において、日米安全保障条約によると称して練習をしておりますアメリカの飛行機が墜落し、そうして多くの日本の農民や婦女子が殺されておるが、これが果して安全保障と言えますか。(拍手)日米不安全保障じゃないか。  従って、私は、この際、外務大臣と通産大臣と大蔵大臣に質問をしておきたい。  第一は、いかなる対抗策を一体政府は考えておるか。言葉だけの日米友愛あるいは相互安全保障協定では、国民は納得いたしません。私は重光外務大臣に質問をしたい。あなたは、これらの事実をあげまして、アメリカのあまりにも一方的な日本民族圧殺の傾向に反抗し、直ちにアメリカにある日本の大使館を引き揚げるだけの決意を持っているかどうか、これをお尋ねしたい。(拍手、笑声)  第二は……。
  7. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 田原君、申し合せの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
  8. 田原春次

    ○田原春次君(続) 次は、通産大臣に対して質問いたします。アメリカから綿花を買って作った綿製品を買わないというなうな、通商産業大臣はアメリカの綿花の輸入を中止すべきものであると思うが、これに対するお考えはどうであるか。次は、中国向けの輸出を実力でやるべし、ココムの制限否認していけ、こういうことは当然であると思いますが、通産大臣のお考えいかん。この点について、デンマークはすでにココムの制限を突破すること四回でありますけれども、うやむやになっている実例がありますので、この際、ココムの制限否認して、中国向けの日本の輸出商品を断固として出すべきものであると思うが、これに対する通産大臣のお考えいかん。  第三は、軍用機、戦車その他一切の米国商品の買付を中止する考えはないか。  以上三点が通産省に対する質問であります。  第四は、大蔵省の映画に対する処置でありますが、かような一方的な日本圧迫の今日におきまして、米国の映画に五百二十八万ドルを使うということは、あまりにばかげているから、即刻大蔵大臣は米国映画の輸入割当を廃止すべきものであると思うが、これに対するお考えいかん。  以上が私の質問の要点であります。(拍手)     〔国務大臣重光葵君登壇]
  9. 重光葵

    ○国務大臣(重光葵君) ただいま、いろいろ事例をあげて、米国の態度を非難せられております。また、御意見をも付加されております。その御意見の趣旨には、私は賛成するわけに参りません。御指摘の諸点については、必要なる場合には米国政府との間に折衝を進めておる次第でございます。  なお、私に対する御質問は、大使館を引き揚げろということでありましたが、引き揚げる意向のないことを申し上げます。(拍手)     〔国務大臣石橋湛山君登壇]
  10. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 田原君の御質問にお答えします。  アメリカが、日本の輸出貿易に対して、往々にして誤まった処置をなし、また、なさんとしていることは、はなはだ遺憾であります。(拍手)これに対しては、それぞれ公館その他を通じて、抗議すべきことは十分抗議いたしておる次第であります。しかしながら、田原君の言うように、それであるから綿花の輸入を停止するとか、アメリカの商品をことごとくボイコットするとか、あるいはココムの契約を破棄するとかいうことは、これは、今までも、過去において、貿易のそういうまずいことからして、結局戦争までもたらしたことがしばしばあるのであります。われわれは、そういう方法を今日講ずることには不賛成であります。従って、普通の方法をもってアメリカの反省を求めることにいたしますが、田原君のおっしゃるような強硬手段をとる意思はございません。(拍手)     〔国務大臣一萬田尚登君登壇〕
  11. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) アメリカの日本品に対しまする輸入制限に関連して、アメリカから輸入する米国映画の輸入の制限をしたらどうか、こういう御質問であります。これは、こういうことがなくても、私は、日本の映画の生産がよくなってきた、こういうことからも、なるべく外国映画を減していいんじゃないか、かように考えているのでありまして、今後、アメリカ映画は、むろん、ふやすようにはいたしません。(拍手)      ――――◇―――――
  12. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第一、オランダ国民のある種の私的請求権に関する問題の解決に関する日本国政府オランダ王国政府との間の議定書の締結について承認を求めるの件、日程第二、すべての種類の鉱山の坑内作業における女子の使用に関する条約(第四十五号)の批准について承認を求めるの件、日程第三、有料職業紹介所に関する条約(千九百四十九年の改正条約)(第九十六号)の批准について承認を求めるの件、日程第四、日本国における英連邦戦死者墓地に関する協定の締結について承認を求めるの件、日程第五、日本国とカナダとの間の小包郵便約定の締結について承認を求めるの件、右五件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員会理事須磨彌吉郎君。     〔須磨彌吉郎君登壇〕
  13. 須磨彌吉郎

    ○須磨彌吉郎君 ただいま議題となりました条約五件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を簡単に報告申し上げます。  第一に、私的請求権に関する日蘭議定書について説明申し上げます。  第二次世界大戦中、旧蘭領インド地域に在住したオランダ国民は、日本軍から多大の苦痛をこうむり、多数の死亡者及び廃疾者を出したのでありますが、桑港平和会議の際、吉田全権委員とオランダのスティッケル全権委員との間の書簡の交換により、オランダ国民が受けた苦痛に対して、わが方が好意ある自発的措置をとることあるべき旨を確認した経緯があります。政府としては、日蘭両国の伝統的友好関係にかんがみ、また、今後の両国協力関係を一そう強固にするため、オランダ国民に対する見舞金の支払いによって本問題を解決することとし、約二年間にわたり折衝の結果、千万ドル相当ポンドの見舞金を五カ年間に分割して支払うことに両国間に妥結を見るに至り、三月十三日、東京においてこの議定書が署名された次第であります。  第二に、ILO二条約について申し上げます。  すべての種類の鉱山の坑内作業における女子の使用に関する条約は、一九三五年国際労働機関の第十九回総会で採択された条約でありまして、鉱山における坑内作業が、女子にとって風紀上及び生理上好ましくないので、これを原則として禁止しようとするものであります。  次に、有料職業紹介所に関する条約は、一九四九年ILOの第三十二回総会で採択された条約でありまして、一九三三年の有料職業紹介条約の全文改正条約であるとともに、一九四八年の職業安定組織条約を補足するものであります。その目的は、有料職業紹介所の運営には種々の弊害を伴うので、これを廃止するか、または権限のある機関の監督のもとに置こうとするものであります。わが国においては、現在の雇用慣習の特殊性等を考慮して、まず条約中の有料職業紹介所の規制の部分を受諾し、将来諸条件の整備を待って営利目的の有料職業紹介所の漸進的廃止措置の部分を受諾することといたしたいというのであります。  この二条約の内容は、いずれも、わが国内法、すなわち労働基準法及び職業安定法においてすでに規定せられておりまして、新たな国内立法措置を必要といたしません。しかも、これら二条約を批准いたしますことは、わが国が公正な国際労働慣行を順守している実情を世界に周知せしめ、かつ、将来もそれを維持していくことを国際的に約束いたしますことになり、ILOの憲章の趣旨に沿った国際協力を進める点からいいましても、また、わが国の海外における信用を高める点から見ましても、きわめて時宜に適するものと認められるのでございます。  第三に、日本国における英連邦戦死者墓地に関する協定について申し上げます。  わが国は、桑港平和条約署名の際の宣言において、日本国にある連合国の戦死者の墓、墓地及び記念碑に関して必要とされる協定を締結するために交渉を開始する旨を明らかにしております。これに従い、昭和二十七年四月、英連邦諸国を代表するオーストラリア政府から、このための交渉を開始したい旨の申し入れがあり、自来交渉を続けて参りました結果、協定当事国の合意が成立しましたので、昨年九月二十一日、東京で、この協定が、重光外務大臣と在京英連邦七カ国大公使とによって署名されました。この協定は、英連邦がイタリア、ベルギー、オランダ等と締結しております墓地協定と大体同様のものでありまして、第二次大戦中に戦病死した英連邦軍人の墓地を三十年間無償で使用させ、墓地のために使用する限り期間の更新を認め、これに伴う墓地の維持管理については、王立戦死者墓地委員会が自己の負担でこれに当ること等を定めております。  政府といたしましては、前に述べました桑港平和条約の際の宣言の趣旨にかんがみ、かつまた、英連邦諸国が南西太平洋地域及び東南アジア地域における旧日本軍人の墓の維持及び遺骨の収集等につきまして好意ある態度を示していること等を考慮いたしまして、この協定に署名いたしました次第であります。  第四に、日加小包郵便約定について申し上げます。  日本国とカナダとの間の小包郵便物の交換業務につきましては、戦前の約定が戦後も復活適用されておりますが、これは大正二年以来一度も修正されておりませんので、現状に適しないものとなっておりました。よって、オタワに専門官を派遣いたしまして、先方と予備交渉を行わしめましたところ、その内容について、ほぼ両者の意見の一致を見ましたので、この約定が作成され、わが国は本年二月十六日に東京で署名し、カナダ側も三月二十日にオタワで署名いたしました。この約定を締結することにより、両国間の郵便小包の交換業務は著しく改善せられ、一そう円滑に行われることとなる次第であります。  以上は、これら条約締結の経過並びにその内容の概要であります。  第一の日蘭議定書及び第二のILO二条約は三月二十日、第三の英連邦墓地協定は二十六日、並びに、第四の日加小包郵便約定は二十九日、それぞれ外務委員会に付託され、政府の提案理由の説明並びに質疑を行いましたが、その詳細は議事録につき御了承を願います。  かくて、三十一日討論に入り、日蘭議定書については日本社会党松本七郎君から、また、ILO二条約については日本社会党戸叶里子君及び小会派クラブ岡田春夫君から、それぞれ政府に対する要望を付して賛成の意を表明せられ、直ちにこれら五件を一括して採決の結果、いずれも全会一致をもってこれを承認すべきものと議決いたしました。  以上、報告申し上げます。(拍手)
  14. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 五件を一括して採決いたします。五件は委員長報告の通り承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、五件は委員長報告の通り承認するに決しました。      ――――◇―――――
  16. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 本日はこれにて散会いたします。     午後四時散会