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1955-12-08 第23回国会 衆議院 予算委員会 3号 公式Web版

  1. 昭和三十年十二月八日(木曜日)     午前十時十八分開議  出席委員    委員長 三浦 一雄君    理事 稻葉  修君 理事 川崎 秀二君    理事 小坂善太郎君 理事 重政 誠之君    理事 西村 直己君 理事 赤松  勇君    理事 今澄  勇君       相川 勝六君    赤城 宗徳君       井出一太郎君    今井  耕君       植木庚子郎君    小川 半次君       北澤 直吉君    北村徳太郎君       河野 金昇君    河本 敏夫君       竹山裕太郎君    中曽根康弘君       楢橋  渡君    野田 卯一君       福田 赳夫君    藤本 捨助君       古井 喜實君    松浦周太郎君       三田村武夫君   山口喜久一郎君       山本 勝市君    阿部 五郎君       伊藤 好道君    井堀 繁雄君       岡  良一君    久保田鶴松君       小平  忠君    田中織之進君       西村 榮一君    福田 昌子君       水谷長三郎君    武藤運十郎君       柳田 秀一君  出席国務大臣         法 務 大 臣 牧野 良三君         外 務 大 臣 重光  葵君         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         厚 生 大 臣 小林 英三君         農 林 大 臣 河野 一郎君         通商産業大臣  石橋 湛山君         運 輸 大 臣 吉野 信次君         労 働 大 臣 倉石 忠雄君         建 設 大 臣 馬場 元治君         国 務 大 臣 太田 正孝君         国 務 大 臣 正力松太郎君         国 務 大 臣 高碕達之助君  出席政府委員         内閣官房副長官 松本 瀧藏君         調達庁長官   福島慎太郎君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         外務事務官         (欧米局長)  千葉  皓君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君  委員外の出席者         検     事         (民事局長)  村上 朝一君         専  門  員 岡林 清英君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和三十年度特別会計予算補正(特第2号)     ―――――――――――――
  2. 三浦一雄

    ○三浦委員長 これより会議を開きます。  昭和三十年度特別会計予算補正(特第2号)を議題として質疑を継続いたします。山本勝市君。
  3. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 実は河野大臣に対して、農林大臣として米の統制をどうするのかということ、それから給与大臣として河野氏に対して、地域給制度をどうするつもりかということ、また同じく給与大臣として公務員の期末手当の増額が、地方財政及び経済界にいかなる影響を及ぼすと考えたかということ、さらに行政管理庁長官として予算局を内閣に創設する必要がどこにあるのかということなどについて質問を用意し、わざわざ出席を要求しておったのでありますけれども、しかしそれらの問題は通常国会の機会に譲ることにいたします。ほかに緊急に尋ねたいことが多いのに持ち時間が少いからであります。今日は主として太田自治庁長官と高碕経済企画庁長官とに私の質問を集中いたしたいと思うのであります。兼ねて大蔵大臣の所見も伺いたいと思いますので、それまでしばらく御出席を願いたいのであります。  去る五日の本会議において、わが党の前尾繁三郎君がきわめて印象的な表現をされました。それは地方財政と国の財政のいずれかが不健全である場合には、そのいずれもが健全でないということを意味する、こういう言葉でありました。重ねて申しますが、地方財政と国の財政のどちらかが不健全である場合には、そのいずれもが健全でないということを意味する、こういう言葉を使われたのを私は強く印象づけられたのであります。今日の地方財政が、まことに破局一歩手前とまでいわれておる状況であることは御承知の通りであります。もう地方財政は処置がないとまでいう声が、相当地方財政に明るい方々の口からも聞かれる状況であります。このような地方財政の状況でありましては、地方財政のみならず国の財政が一時健全小康を得ておりましても、これは真に健全とも、安定とも言い得ないと思うのであります。この地方財政の破局に瀕しておる今日の状況において、担当大臣としてその任につかれた太田博士は、よほどの決意を持っておられるに相違ないと思うのでありますが、いかなる構想と決意を持っておられるのか、地方財政について国民ひとしく、どちらかといいますと失望といいますか、望みのない状況になっておる今日の事態において、私は太田長官から博士としての良心的な決意と構想をまず承わりたいと思うのであります。
  4. 太田正孝

    ○太田国務大臣 山本君のお問いに対してお答え申し上げます。地方財政が非常に窮迫と申しますか、苦しい状況にあることは御指摘の通りでございます。問題はどこでそれができたか、これをどうするか、こういう問題でございますが、何といたしましても自治体は民主政治の基本でございますし、国の施策を流してこれの実効をあげるのも自治体でございまするので、ここに現状のごとき状況がありましたならば非常に困った情勢になると思います。また健全財政ということを申されますが、国に関してはだいぶ進んだ形があり、地固めもできつつあるように思います。しかしながら地方財政につきましては、お言葉通り健全財政というようなところへは行っておらない、また地固めもそこまで行っておりません。問題は、端的に申しますと過去に大へんな借金がある、これをどうするか、現場をどうするか、過去の借金及び現場から見て、根本的の解決をしなければならぬ。そこに不安があるというのが将来に関する問題であろうと思います。私の見たところでは、力以上の仕事を仰せつけられておると申しますか、行政の形から申しましても、非常に弱いものが財源の裏打ちもなく仕事をさせられておるというのが問題かと思います。過去の問題につきましては、すでに本院を通過して参議院へ行っております再建措置特別法があります。これでもって過去の借金をたな上げしていこう、こういう考え方のもとに一応の案を立てておるのでございます。現在の問題については三十年度としてどうすればいいか、こういう問題がございます。それが本議会において御審議を願っておる問題でございます。しかし過去の借金、過去の政策をきめるにいたしましても、現在の立場における処理をいたしますにしても、根本的の問題は山と積まれるほど多いのでございます。その根本対策をきめていかなければならぬのが、三十一年度の予算に関する問題でございまして、私はその三つに分けて、過去の問題についてたな上げ方式がそれでいいか、またその過去の問題は二十八年度の決算をもとにして立てた案でございますが、すでに二十九年度の決算もわかってきた今日において、どう考えるかという問題が起って参ります。ともかく過去の問題を、一応借金たな上げということによって処理し、現状におきましては今だいぶん地方も、世間でいろいろな批判がございまするが、相当費途も切り詰めておるようです。それから事業につきましても相当減縮方針をはかっておるようですが、しかもなお予算関係等におきまして赤字を生ずる状況にありまするので、この現状を処置するために今回百八十八億円程度、交付税の三分に当るところのものに対して処置をしていった次第でございます。今後の問題につきましては、基本的問題でありまして、もし予算の数字からいいましたならば歳入をどうしていくんだ、歳出をどういうふうにしていくか、こういうふうに分けて考えていきたい。基本方針につきましては、また次に申し上げたいと思います。
  5. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 与えられた持ち時間が一時間と限られておりますので端折って御質問申しますが、今後の基本的な問題については今述べられませんでした。就任早々のことでありますので私はこまかいことを伺うつもりはありませんが、ただ太田長官が必ず自分の力で、この地方財政の問題を根本的に立て直してみせるという確信を持っておられるのでしたら、私はその確信を一つ国民の前に明らかにしてもらいたいと思うのであります。決意と申しますか、内容よりも強い決意を聞きたいと思う。
  6. 太田正孝

    ○太田国務大臣 私は全精力を尽しましてこの問題に取っ組んで行きたいと決悪しております。
  7. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 時間の関係で次に移りますが、昨夕並びに今朝の新聞で伝えておりますように、問題になっておりました期末手当〇・二五の増額問題が内閣できまったようであります。この期末手当の増額が地方財政並びに一般の経済界に及ぼす影響は少くないと思いますが、これらの影響をどう考えておられるか、またそれに対してどのように対処する対策を持っておられるのか、この点を太田長官並びに大蔵大臣から承わりたいと思うのであります。
  8. 太田正孝

    ○太田国務大臣 山本さんのお言葉の通り、政府といたしましては年末手当問題は昨日の閣議において決定いたしたのであります。すなわち人事院の勧告を入れまして〇・二五を増額するということになりました。私に関する地方財政につきましては、御承知の通り国家公務員と地方公務員とは、地方公務員は国家公務員に準じてやる、あるいは地方公務員法でございますとか、教育公務員特例法などにおいてはっきりそのことがきめられておるのでございます。つまり国家公務員に右へならえという方式でございますので、おそらく各地方団体はこれに準じたところの措置をとることを期待しております。従ってその財源はどうするかということについても、やはり国家公務員に対するのと同じ右へならえの方式にきまっておるのでございまして、あるいは人件費その他の節約をはかっていく。申し上げるまでもなく地方財政は、今日現在の赤字を処理するにさえ百六十億円の財源をもってし、さらに地方の負担の減る分も入れて百八十八億の措置をしていこうということは、今日なかなかむずかしいことと思います。従ってそこに地方財政といたしましては、金がない、困るというような場合もありましょうから、それに対しまして短期融資をしていくという方向で進んで参ります。それでは地方財政は片づかないじゃないか。実際申しますと今回の百六十億円といえども今年度限りのものでございまして、問題は三十一年度に残っておるわけでございます。従って年度末までの間にいかなる情勢になりますか、いかなるやりくりができるかということは、補正を必要とするような場合が起るかどうかというような問題もございましょうし、問題はあげて三十一年度において処理するという方向をとるべきものと私は思っております。
  9. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。年末手当の地方財政に与える影響ですが、今回の年末手当は、御承知のように節約によりましてその財源を見出すということになっておりまして、これは特に地方財政にさらに負担を大きく、いいかえれば赤字を増大するということは考えておりません。なお短期融資がありますが、これは地方団体のうちで特に資金繰りの上で赤字にはならないが、今出すのには現金を持たない、こういう資金繰りの上に必要なところにこの短期融資をする、こういうふうになっております。短期の融資は認める。特にこれは赤字の補填という意味ではありませんから、さように御了承願いたい。  なお一般財界に及ぼす影響ですが、これは人事院の勧告にもありましたように、公務員の給与は特に悪いから、せめて年末ででも若干ふやすことが必要である、こういう勧告に基いて、従いまして一般の財界としてはよくその事情を了解下さって、これをやったがために財界において特に年末手当をふやすことのないようにやっていただきたい、政府としてもそういう努力を払っていきたい、かように考えております。
  10. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 一般財界に対する影響について、もう少しちょっと……。
  11. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは根本において一般の財界に比べて公務員の給与が悪いというところが前提になっておる。一般の財界としましては、今日特に物価が上っておるというわけでもありませんから、私は特にふやすことはないと思います。少くとも公務員の今回の年末手当を増額したことをもとにして、財界が一般の従業員の手当をふやすということはないようにしてもらいたい。これは全く別な関係において考慮さるべきことだ、かように考えております。
  12. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 いろいろ尋ねたいこともございますが、ただ地方財政に対する影響とそれに対する対策でありますが、もちろん公務員に対する手当の増額それ自身はいろいろ政治的にも必要があり、またいろいろな点から妥当だと思いますけれども、しかし地方財政に対する影響はきわめて甚大だということも事実であって、簡単におさまるものとは私は考えられないのであります。それだけにこれに対しては政府としてもよほど用意と覚悟を持って対処されないと、ただ公務員の立場という点だけを考えて軽く扱っておりますと、思わざる混乱を生ずると私は思いますので、その点については用意と決意を持っておっていただきたいということを希望いたしておきます。  それから民間の関係でありますけれども、一部の労働組合その他では、すでに年末手当の問題で話がきまった。そのきまっておる場合には、公務員の今回の増額はおそらくできないだろうというふうな予想のもとに話がきまってしまっておるものを、上ったためにもう一度交渉のやり直しをするといったような形勢が見えないでもありません。これらの点も御考慮に置いていただく必要があるかと私は思います。  その問題はそれくらいにいたしまして、次に太田長官に伺います。先ほど太田長官は結局地方の赤字というものは、自治体として力不相応の仕事をさせられておるところに根本の原因があるというような診断をされておるようであります。基本的な根本解決策については今日承わる時間もございませんけれども、ただ私の考えを簡単に申し上げて、今後の御参考にしていただきたいと思うのであります。私は、どうしてもこの地方財政の問題は財政の責任の所在と申しますか、それをはっきりさせることが前提じゃないかと思うのであります。よく専門家の連中がこの赤字の原因は国家で負うべき部分と、それから地方の財政当局者の運営のまずさから来ておる両方だということは常に申されるのでありますが、両方から来ておるといたしましても、ばく然と両方に責任があるのだということを言っておりますと、結局責任が分割されぬようになってしまって無責任に帰してしまいはせぬか。ですからこことこことは政府の責任だ、これからあとは地方の責任だというふうに限界をはっきりして、そうして自治体でありますから自治体において責任をとるべきは当然だと思いますが、やはり責任のとれるようにしてやるためには、自治である限りは自由がなくてはならぬ、自由のないところに自治はあり得ないのでありますから、やはり広範な自由を与えるということと、国が強制一的というか、義務的に仕事をさせる場合にはこれは間違いなしに財源をつけてやるということ、そうしてそれ以上はどんなになろうとも一切しりをぬぐわないという決意をしないと、自由も十分に与えない、財源も十分に与えない、そうしてあとで出てきたものはしりをぬぐうというようなこのやり方を続けていく限りは、現在の、あるいは過去の赤字が消えましても、今後絶対に健全な地方財政はできないと私は思うのであります。少しとっぴなようでありますけれども、平衡交付金以来の地方が、自治体であるにかかわらず、財政杓には大きく中央に依存するという、この慣習というか弊風を一掃する、そういうためにも、自治の前提である広範な自由を与える。それから国がどうしてもこれだけはやってもらわなければならぬというものには十分なる財源を与える。そしてそれから以上は一切しりをぬぐわない、私はこういうふうな構想が必要ではないかと考えておる。そういう場合には、今日の基本財政需要というものを全国一律に定め、また基本財政収入というものを、これまた全国一律に定めて、経済的に社会的に千姿万態である自治体を、一律の基準によって需要と収入とを規定して、その不足額を国で補うというこの方式そのものを、私は変えていかなければならぬと思う。事情の違うものを一律の基準で規定してやっていくということになりますと、それこそ先ほど長官がおっしゃったように、その経済力というものとは全く無交渉な一つの地方行政が行われることになって参ります。私は全国一律に必要なる行政の仕事ももちろんあると思います。しかしそうではなくて、たとえば教育とか土木とか、あるいは厚生、労働と申しましても、同じ必要という一言で申しましても、かなり幅があり、弾力があって、山の奥ではやはり山の奥らしい厚生もあり、教育もあり、町の中では町の中相当のものもある。ですから、そういう幅があるということを考えて、一律に基本財政需要と基本財政収入というものから割り出して、不足額を国で補ってやるという行き方を、根本的に反省する必要があると思うのでありますが、所見を伺いたいと思うのであります。
  13. 太田正孝

    ○太田国務大臣 今日の赤字になった責任につきまして、国にも責任があり、地方にも責任があるということは、過日の本会議においても申しました。地方につきましては、俗に申しますいわゆる放漫なやり方があったのではないか。国の方で、私の自治庁の立場から見れば、親切に財源を作ってやるとか、あるいは行えるようにして、たとえば補助金を出すにいたしましても、その実行ができるような形になっておらなかったという点から、今日の状態に来ているかと思います。しかしながら、これは二つに分けて考えるべき問題でないと思います。国が世話を見ないからといって、放漫を続けていく地方財政がありましたならば、いつの日に至ってもほんとうの地方財政はできないと思います。また地方が放漫だからといって、国の方でもって親切でないような態度をとりましたならば、これまた将来の地方財政が悪くなると思います。国にも地方にも責任があるが、現在の地方にありと言われる放漫なやり方は、厳にこれを戒めなければならぬ。また親切ではないじゃないかと言われる国の方面におきましても、十分これをやっていかなければならぬのでございまして、両々相待っていくべきものと私は信じております。申し上げるまでもなく、いわば力以上の仕事を引き受けてやっているところに地方にも放漫が出てきた、また国の方に不親切もあったと、率直に申して差しつかえないと私は思います。一律にやってはいけないということはその通りと思います。現在の地方財政計画というものは妙なことで、二十五年の基本において作りつつあったものをだんだん積み重ねて、今日の状況になったのでございまして、そのものの根本においても問題はございますが、山本君の御指摘の通り、この長い国、気候の変っている国、広さにおいて違いのある国、その地方を一律にやるということはできないと思います。その点につきまして多少は加味されたる財政計画であると思いますが、御趣意の点に沿いましてはまだまだ改むべき点があるのではないかと思っております。
  14. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 これは私は希望を申し上げておきたいのでありますが、非常に手近なことを申しますが、地方財政の赤字対策を立てる場合に、全国の自治体の中で赤字を黒字にした自治体もありますし、黒字を赤字にした自治体もあります。そういう自治体の代表的なものを相当数こまかく調べ上げて、どうして赤字が黒字になったか、あるいは黒字が赤字になったかということの、具体的な詳細な一つの模範的なものを調査をしてもらいたいのです。もしありましたらそれを出してもらいたいのでありますが、それは国会に出すだけではなしに、各自治体にも一その一つの手本といいますか、昔の藩で申しますと、恩田木工の財政立て直しの案を全国の藩にモデルにしたように、そのほか二宮尊徳がやったのもいろいろありますが、今日現実に地方では黒字を出している自治体があります。しかもそれは赤字であったものを自治体で努力してやったところがあるので、そういうものを全国の自治体に実例として示すことが、これは手近なことでありますが、かなり効果があるのではないかと思うのであります。ありましたらわれわれにも提供してほしいし、また地方にも配ってほしい。これは希望であります。それからもう一つ、全国の自治体、道府県はもちろん、市町村が何千何盲あるか知りませんが、各市町村を一つ一つ具体的に、その二十九年度の決算の状況を、こういうものを解決したところが幾つあるとか、黒字団体が幾つあるとか、赤字団体が幾つあるとかいうことではなしに、何の何という村はこういう状況になっているとか、何という町はこういう状況になっているということ、そういう調べがありましたら、その資料をどうかわれわれに配っていただきたいと思うのです。これは私の希望として申し上げておきたいのであります。その次に長官にもう一つお伺いしたい。これは少しこまかいような問題になるのでありますけれども、道路譲与税の配付の方式について伺いたい。先国会でできました地方道路税並びに道路譲与税というものの配付は、大体道路の延長とその幅というものを基準にして各府県に配付する。それにその他という言葉もついておりますが、原則として道路の延長と幅、それによって配付するということになっておりますが、だんだん聞いてみますと、自治庁の方ではそれに各府県の持っている自動車の車台数、車の数というもので補正して配付するということになっておるようであります。しかしたとえて申しますと、静岡県とか神奈川県とか埼玉県とかいうような大都市周辺の府県になりますと、その府県で持っております車によって道路がこわされるというものよりも、埼玉で申しますと、東北六県、仙台から青森にかけてのああいうところと東京とを通う車、つまり完全に通り抜けの車であります、この通り抜けの車が昼夜たくさん通っておりまして、それによって道路が破壊される、そうしてほこりをかぶっておるというのが実情なんです。これは埼玉だけではありません。しかしこれは特に顕著な例だと思いますけれども、こういう事実を考えますと、ガソリン税というものが、道路をこわすからというので、半ば目的税のような形で道路税として配付されるのでありますけれども、完全なる通り抜けの車によって破壊される部分を、配付する場合に何ほどかプラスするということは、私は公平の立場から当然じゃないかと思うのであります。技術的に困難があると申しますけれども、困難があっても、これは無視できないと思う。東京とか大阪とかいう都市が問題にされておるようでありますけれども、これはその荷物が東京へ届くとか、東京の荷物を届けるとか、あるいは車引きが来て東京で宿に泊るとか、そこで飯を食うとかいうことで利害関係が直接その町と結びついておるのでありますけれども、埼玉とか神奈川とか、よその車の通り抜けでこわされるというところについては、全く害を受けるだけあって、利益は何も受けない。これは先般、実際の例でありますけれども、山口好一代議士のごとき、栃木から毎日自動車で通っておられるのですが、建設省の車で高官と一緒に走っていって、前の車のほこりで見えなくなって堤防から落ち込んだ、それほど砂塵もうもうとしておるのであります。この点を私は、時間もありませんし、こまかいことは承わる必要はありませんが、何らかの方法でこれを補うということはできないものかどうか、その結論だけを承わりたいと思います。
  15. 太田正孝

    ○太田国務大臣 お示しの通り大都市の近くの埼玉県、私も関係しておる静岡県、それに神奈川県などお話の通りと思います。大へんな道路の損傷を受ける、しかも剰余税の配付につきましてはその点欠けておる、こういう御趣意と思いますが、かねがね承わっております。ただし特別の財政需要についてどうするか、こういうことにつきましては、結局は譲与税で見ることが非常にむずかしい場合におきましては、特別交付税の方で何とか見ていきたいということを考えておりますし、また実行したいと思っております。
  16. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 聞きたいところはたくさんありますけれども、そういうところをやっておりますと肝心なところが聞けなくなります。河野さんが見えましたけれども、最初に申しましたが、河野大臣に対する質問はたくさんあった。米の統制をどうするのか、地域給をどうするのか、あるいは予算局を創設するのは何の必要があってそういうことをされるのか、といったようなことを聞くつもりであったが、ほかの質問が緊急を要するので、その質問は全部通常国会の適当の機会に譲ることにいたしたい、そう通告をしておきましたから、せっかくお見えになりましたけれども、私は今度は質問しません。  高碕経済企画庁長官にお伺い申し上げたいと思うのであります。経済審議庁といっておったのを企画庁というふうに名前を変えられたのでありますが、これはどういう理由で変えられたのか、まず伺いたい。
  17. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 従来経済審議庁は、大体日本の経済をよく検討して、経済白書を出すということが目的であったのでありますが、本年来六カ年計画を立てる、こういうことで従来の目的から幾らか目的が変ったわけでありますから、プランニング、計画する、そういう意味で企画庁という名前に変えたのであります。
  18. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 昔、内閣調査室というのができておったのが、いつの間にやら企画庁ということに変り、企画院というものに変っていった。そうしてその間に経済の自由がだんだんと統制され計画されて、ついに自由を失ったという、まことに思い出しても快くない経験が日本にはあるのであります。私は経済審議庁時代にその当該委員会におりましたが、経済白書というものをときどき出される。私はそれだけで経済審議庁というものは大きな仕事をされておる、広範なる資料を駆使して、客観的な経済白書を出されるということだけで私は十分にその機能を果しておるということを委員会でも申し上げたのであります。ところが前々から、経済審議庁時代から、経済十カ年計画とか、あるいは総合開発五カ年計画だとかなんとか、たびたび計画を発表されたのであります。先般読売新聞の本月二日の記事を見ますと、高碕長官は、この計画を民間の協力を得て予算の裏づけをできないようだったら、経済企画庁なんというものはあってもなくても同じだ、こういうことを申されておるのでありますが、これは新聞でありますから、それを取り上げてかれこれ私は申すつもりはありませんが、ただ計画を、今回も総合六カ年計画というものを出されましたし、それから本年の一月、つまり本年度予算編成の前におきましても、経済六カ年計画というものを出されました。しかしあの六カ年計画というものについても、予算の裏づけというようなことは事実上不可能であります。そこで二十二国会でそれとは別にまた予算が編成されましたが、今度出された総合六カ年計画とか、あるいはそれを多少モディファイして五カ年計画にするとかいっておられますが、これを予算化する意思があるのかどうか、あるいは確信があるのかどうかという問題であります。それを一つ承わりたい。
  19. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 この計画経済というものは、社会主義経済のもとでやるのと違って、資本主義経済のもとに長期の経済計画を立てるというわけでありまして、それは今後現在の経済を安定せしめつつ、つまり混乱を起さない範囲におきまして、将来における増加する人口に対する対策とか、将来における日本の経済を安定せしむるという基本をもちまして、その二つの目的のために経済の運営に対して計画性を持たすということを根本にもっていきたい。従いまして今後の予算等につきましても、その長期経済の計画、これを基準としたるものによって予算を組んでいかなければならない、こう存ずるわけでございます。従いましてこれは単に将来の見通しをつけるというだけでなく、この見通しに向って進むべき道を明らかにしておく、こういうわけでありますが、しかしながら日本の経済は、あの大きな資源を持っているソ連だとか、あるいは中共だとか、あるいはインドとかと違っておりまして、自分の国だけでこれはその計画をいかに努力しても実行できないのであります。主として輸出貿易というものに依存しなければならない。輸出貿易に依存するということは外国の事情にも左右されるということでありますから、非常にこれはエラスティックなものとしていかなければならない。またそのときどきの経済情勢を勘案して計画をよく検討しつつ、これに順応するような政策を立てなければならない。そういうわけでありますから、この予算を裏づけするということよりも、予算はこの長期の計画によって、これを基礎として立てるものだと私は考えております。
  20. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 大臣が言われようとする意味あるいは今考えておられることはほぼわかるのでありますが、ただこれまで国土総合開発の五カ年計画というようなものを立てまして、そうしてそれをあたかも実行するかのごとくに出発しましたところが、途中でできない。そこでその指定されたといいますか、予定された地域の連中がわんさとたびたび押しかけてきまして、せっかくそういうことをきめてわれわれに希望を持たせておきながら実行しないとは何ごとかということを迫ってきておる。そういう苦い経験がたびたびあるのであります。ですから私はその計画はけっこうですけれども、やはり実行する意思でありますと、できることだけを私は出す必要があると思うのであります。ただこれは一つの希望である、あるいは努力目標である、あるいは現在から立って見たらこういう見通しもつくとか、こういう仮定を置けばこうなるといったようなことならば、それだけの意味でまた意味がありますけれども、しかしほんとうの実行計画であるのか、見通しであるのか、希望であるのかということはかなり国民の中にも、少しく考える人は問題にしておるのであります。ことしの一月にすでに閣議できまったにかかわらず、いよいよ予算ということになりますと、予算の裏づけができなかったということは、私も一その最初の計画当時通産省におって知っておりますけれども、あれをほんとうに実行するということになれば、国の歳入の何倍かの資金が要る。従ってまたそれだけの資材も要る。物価を上げないとすると資材も要る。要するに初めから不可能なような計画であったということが、根本的には私はそれが予算の裏づけができなかった理由だと思うのであります。ですからあれは全然何もないというと、国民も目安がなくて困る。国としてもそういう一つのめどがないと困る。そういう一つのめどとして、一つの青写真を作ってみたのだということであれば、またそれだけのはりきりした認識の上に作成し、発表していくべきものではないか。もしそれが大き過ぎて、今度は実際予算化するということになれば、国の財力には限りがありますから、それを小さくするというなら、初めから縮小して何分の一かに小さくするか、あるいはそのうちでさらに重点は取り上げて、そうでないところははずすというなら、初めから計画そのものからはずすところははずして、やるところだけを書き上げておくようにすべきではないか、こういうふうに私は思うのですが、これは別に御答弁は要求いたしません。ただこの計画を作るについての前提といいますか、仮定といいますか、幾多の仮定の上にこの六カ年計画というものが立っております。たとえば物価は大体安定しておるものと仮定するとか、それからますます国際貿易は激甚化するものと仮定するとか、いろいろ仮定を置いておりますが、私はその仮定がもっとたくさんの仮定を置いておるのだと思うのです。それはたとえばどういう仮定を置いておるかといいますと、天変地異というものはないと仮定しておるのであります。それから技術の変化というものをどういうふうに仮定しておられるか。原子力の平和的利用ということについて向う五カ年間ぐらいには平和利用が大体できるようになるというような御答弁が、たしか本会議であったと思いますけれども、しかしこの原子力の平和的利用が日本の産業界でいつごろどの部門でどうできるかということは、私はなかなか予測ができないと思う。これが実際に起ってくるかはっきり予測できない。これがどうくるかということで大へんな差を生じます。またことしのように豊作があるか、あるいは凶作になるかということで貿易の上にも直ちに影響してきます。ですから私はあの案がかなりそういう非現実的な――実際は天変もあり、地異もあるし、技術の変化は必ずある。必ずあるものをないかのごとくに仮定しておるということは、つまり非現実的な仮定の上に立っておるということだと思うのです。また価格の問題であり、ますけれども、いろいろな部門をあの計画で見ますと、何パーセントふやすとか、何割ふやすとかいうのでありますが、そういうふうにふやしたり減らしたりした場合に、果して個々の物の値段が、――物価は大体安定さすという大蔵大臣の決意のようでありますし、物価水準はきまっておりましても、個々の一つ一つの品物の種類については、需要供給の関係で値段は動くにきまっております。そうしてその値段の動きというものが、仕事は民間でやるのでありますから、そろばんに合わなければ、幾ら政府で計画を立てましても、それはやるわけはありません。幾ら酪農が必要だといって酪農を奨励してみたところで、牛乳の値段が下ってしまって引き合わなければぶつ殺してしまうにきまっておるのです。ですからそれと同じことで、価格がどう動いていくか、採算がどうなるかということの予測というものがきわめて困難だ。ですから、われわれの人間能力では予測できないところのこういう予想の上に立っておる。実際は動いていくものを動かぬと仮定して計画を立てていっておる。どこかが一つ動いたら全部狂ってくる、こういう意味の総合計画というものでなしに、むしろ高碕大臣などが満州で大いにやられたように、ある部門あるいはある地方、ある道路というものを何カ年かの計画で遂行していくといったことを国としてやるべきです。民間がやることよりも国としてやる。産業の基盤の中でここととことを取り上げて、何カ年間で遂行していくというふうな意味の計画を立てるべきではないか。総合々々とかいってもなかなか全部を総合したようなものは、今申しましたように、予測できない仮定の上に立てた総合でありますと、実際は総合ではなくして、仮定であります。現実的ではなくして、非現実的であります。それを国民があたかも実行する政府の政策なるかのごとくに思って、いろいろ自分の用意をしていきますと、途中でそれは実行できないということになって、かえって経済界を攪乱し、真の総合性を破ることになる、こういうふうに思うのです。高碕さんどういうふうにお考えになりますか、感想だけでけっこうですが、私が述べたことに対して非常な異論がありますか、考慮の余地があるということですか、一つ承わりたいと思います。
  21. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいまのお説は私は非常にいい参考になると存じておりますが、お説のごとく前提条件というものをまずきめなければならぬのでありますが、それには一番大きな問題は私は国際情勢の変化だと思います。これが大きなひっかかりになるわけでありまして、特に日本のごとく対外依存の経済が多いところはそうでございますが、現在われわれは国際情勢は大きな変化はないものだ、こういう前提でやっておりますが、これはまた、大きな狂いが来るだろうという心配もいたしております。また天災地変というものは、大体過去の経験によってこれくらいのものは起るだろうということも、これはある程度予測できる、こう思っておりますが、これはまた大きな変動が来るかも存じません。といって大体わかっているもの、間違いのないものは、人口がこれだけ増加すれば、これだけの人間はこれだけの働きをせなければならぬということは、これは動かすべからざる事実でありますから、この事実を基礎として、ここに一つの目標を立てて、その目標に向って進むようにやっていくというのはやはり総合的に考えていかなければならぬと存じております。もっとも国内の努力によって、政府の力によってできる計画は、当然これは長期の計画を立てることは必要だと思いますが、これはやはり総合的に考えてやっていくことは、国家全体の経済を運営する上において、かりにそれが変化があれば、いつでも変化に応じられるというだけのゆとりを残しつつも、やはり一つの想定をつけるということは私は必要だと存じておるのであります。
  22. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 時間が参りましたので、最後に大蔵大臣に、これは質問と申しますよりも、先般大蔵大臣がここで答弁された言葉の中に、やはり私は非常に印象に残った名言があるので、これを長い間ここで御質問しないでお待たせをいたしましたけれども、最後に時間の関係で二、三点だけ申し上げますが、この間大蔵大臣が予算規模を縮小しても、日本の国民経済は拡大していっておるんだ、国の財政規模は一兆予算で締めており、幾らか縮小いたしましても、国民経済は拡大しておるのは事実だということが、答弁の中でありましたが、私は非常ないいことを言われたと思う。ややもすれば国民経済の拡大均衡をはかるということは、財政規模を拡大して金をよけい出すことだというふうに、非常に誤解されております。しかし国民経済を司る者は、主体は国民であって、国民自身が物を作り、商売をし、経済活動をしておるのであって、国がやっておる仕事などというものは、これは経済の世界においては微々たるもんです。ですから国がその財政上の金を出してこれだけやり、あれだけやるなんというものは、国民経済の動きから見ればほんの補足的な役割をしておるにすぎないことでありますから、今後も財政規模を拡大することが日本経済の拡大であるというふうな妄想には少しもとんちゃくしないで、あくまでも一萬田さんのこの問言われたあの信念、国民経済の拡大というものを期待するが、しかしそれは必ずしも財政規模の拡大を意味するのではないという信念を貫いてもらいたい。時間が参りましたから、これだけ申し上げて私の質問を終ります。
  23. 三浦一雄

    ○三浦委員長 阿部五郎君。
  24. 阿部五郎

    ○阿部委員 私は今回政府がとられましたところの、地方財政対策に関連いたしまして、二、三お伺いしたいのでありますが、それより前に昨日きまりましたところの公務員に対する期末手当を、基本給の〇・二五でございますか、増額をなさった。これについて地方公務員にも同様の恩典に浴さしめる御処置をとられたこと、これは当然のことではありますけれども、時節柄賛意を表するところではあるのであります。問題は、地方の財政が極度に窮乏いたしておりますから、果してそれが全部の地方自治体において実行できるかどうか、この点にあるのでありまして、政府においてはこの点を考えられて、一時融資をなさる、こう承わったのでありますが、私が心配するのは、それがすべての自治団体において、この期末手当増額を実行するに足るだけの融資をなさっていただけるものであるかどうか、この点なのであります。そこで伺いたいのは一時融資をなさるというが、それはすべての地方団体に対して、都道府県も、市町村も、必要がある限変においてすべて要求こ応じて融資をなさる御用意があるかどうか。さらにまたその融資をする相手方の地方団体でありますが、それは府県とか町村とか、あるいは地方交付税の不交付団体であるとか、交付団体であるとか、あるいは赤字が出ておる団体があるとか、出ておらない団体、いろいろそういうふうに区別をなさって、あるいは融資をしたり、しなかったりされるのか。またその融資の金額でありますが、必要があれば今度の増額分を全額融資をなさるのであるか、あるいはそのうちの何%かを融資をなさるのであるか。これらの点詳細に大蔵大臣からお示しを願いたい。
  25. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お尋ねの点につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、資金繰りの上で特に必要やむを得ないというものに対して、短期の融資をする、こういうことでありますので、さよう御了承願いたいと思います。
  26. 阿部五郎

    ○阿部委員 そういう簡単なお答えでは安心ができないのであります。政府の方で地方公務員にも増額するという処置をとっておられて、せっかくその処置がとられておりながら、実際上交付できない、増額してやることのできない窮乏地方団体は一体どう処置をしてよいのかという問題があるのでありますから、私がお尋ね申し上げた通りに、県とか市町村とかの区別をなさるのか、あるいは赤字団体にはするが、赤字のない富裕な団体にはしないとか、そういう方針があるのでありましょうから、それを一つはっきり詳細にお答え願いたい。
  27. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今回の増額の財源は節約によるということになっておりまして、節約していただくのであります。ところがやはりその状況によっては金のないところもある、これは融資をする、かようなふうに考えております。
  28. 阿部五郎

    ○阿部委員 財源の節約によるということは新聞にも載っておりますし、私らもみな知っております。しかし実際上目の前に年末に払わなければならないのに払えない団体ができたら大へんなことになります。これは政府におかれても十分御存じだろうと思います。一部の地方団体において手当を増額しておきながら、一部ができないというようなことになりましたら大へんなことになります。それで今の大蔵大臣のお答えは、全国に、府県といわず町村といわずそういう団体をなからしめる御決意があるのである、かように、承わってよろしゅうございますか。
  29. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私の考えでは、節約によって必ずそういう程度の財源が出るという確信のもとでやっております。
  30. 阿部五郎

    ○阿部委員 これははなはだ大蔵大臣として責任の薄いお答えでありまして、なるほどそう節約できるとお思いになっておるかもしれませんけれども、資金繰りの都合やいろいろで、地方団体としては年末に払えないということはあり得るのであります。そして、一部の団体だけにそういうことが起った場合に、起ってくる問題たるや、実におそるべきである。そこで、一時融資によってそういうことをなからしめるという大体方針はおきめになっておるのでありますから、その方針を貫いて、そんなことが起らないようになさるかどうか。これをはっきり承わっておきたいのであります。
  31. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 繰り返して申しますが、節約によってやります。これが財源のもとになるのですが、具体的にやる場合に、資金繰りがつかないというものにはこれを融資をする、こういうことであります。また、その融資をどういうふうにして返却するかということでありますが、それについては、具体的にいろいろと実態を考えて見なくちゃならぬ場合もあり得ると思いますが、それだからといって、それに対して支払いについてここでどうということは、これは原則的に申し上げるべきことではないと私は考えております。
  32. 阿部五郎

    ○阿部委員 私がお尋ねしておるのと、御答弁が少し違うのであります。一時融資に対して返却をするについては、政府におかれては、節約によって返却をしろ、こういう御方針であることはわかっておるのであります。ただ実際に年末手当を出すに当って、出すに出せない、金がない。それに対しては融資をする。こういう御方針があるのでありますから、融資を受ける必要がある、すなわち融資を受けなければ年末手当が出せないという団体に対しては、出せるように十分な融資をする、こういう御言明がほしいのでありますが、それができないのでありますか。
  33. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 年末手当を出す場合に、資金繰り上出せない、そういう団体に対しては融資をしてあげる、かように申し上げておるわけであります。
  34. 阿部五郎

    ○阿部委員 今のお答えで、出せない地方団体に対しては融資をする。すなわちすべての地方団体が年末手当を出せるようにする、かように承わっておきます。それに間違いございませんか。必ず実行していただけますか。もう一度念を押しておきます。
  35. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 すでにお答え申し上げた通りでございまして、年末手当を出す場合に、金がないという団体に対しては、資金繰りがほんとに必要であるとすれば、これは融資してあげる、かように考えております。
  36. 阿部五郎

    ○阿部委員 大体それで了承いたしましたが、自治庁長官にも伺っておきたいのであります。財政の窮乏は、府県とかあるいは市町村とかに限りませんので、すべてにわたっておりますから、融資をなさるについては、地方団体によって区別をなさらない。必要のある団体には融資をする、こう了承してよろしゅうございますか。
  37. 太田正孝

    ○太田国務大臣 自治庁といたしましては、国家公務員にならってやる方式を期待しておるのでございまして、足らない場合の政府の融資のことについての問題でございますが、今阿部君のお言葉にもありました、必要とあればということが問題になるのでありまし・て、結局、大蔵省におきましては、節約も十分やったが、やりくりができなかった、そこで必要のあるものは、これは必ず出さなければならぬと私は思います。
  38. 阿部五郎

    ○阿部委員 それでは、今回の政府のとられました地方団体の赤字対策のことについて伺いたいのでありますが、まず今回、地方交付税の基礎になりますところの法人税、所得税、酒税の三%に当るものを増額して、これを特別会計に繰り入れ、さらにこれを地方に配分する、こういう御処置をとられたようであります。そして、その三%というのは百八十八億と相なっておりますが、この三%とおきめになり、百八十八億となさった根拠を自治庁長官にまず承わりたいと思います。
  39. 太田正孝

    ○太田国務大臣 今度の百八十八億が交付税の三%に当るという根拠の御質問でございますが、御承和のように、地方制度調査会におきまして、二百億円程度の処置をしろという御答申がございましたが、それは申し上げるまでもなく三税の減税に伴うことを見ておらなかったとか、警察の関係とか、多分御承知のことと存じます。そういうものを積んで大体二百億と見ましたが、二百億というのは非常な大量的に申した数字でございます。こまかに事務当局において見ると、必ずしも二百億円までいかないという数字も出たようでございますが、一方にそれをそのまま取っていくということも、国が健全財政をやっている立場から申しまして、財源の点にかんがみまして、大蔵省にもできるだけの努力を頼んだ結果、百八十八億という数字が出たわけ  でございます。
  40. 阿部五郎

    ○阿部委員 本年度の地方財政計画における実際との食い違いといいますか、それについてはただいまおっしゃったような方面以外に、地方公務員の給与という方面において大きな差があることは、大蔵大臣においても自治庁長官においても十分御承知であろうと思います。それについては、過般本会議において、ただいま実態の調査中であるから、それがきまったら何とか処置をするとか、あるいは本年度はできないとか、どうもはっきり私には聞き取れなかったのでありますが、その点一はどうなさるお考えでございますか。
  41. 太田正孝

    ○太田国務大臣 地方財政の整備の中の一番大きな問題は、御指摘の通り、給与費でございますが、その実態につきまして、大体の数字がまとまりましたので、私今日を通しておりますが、一日、二日のうちに発表いたしたいと思います。さよう御承知を願いたいと思います。
  42. 阿部五郎

    ○阿部委員 その数字がまとまりました結果、それに対する御処置は大体どういうふうになさろうというお考えなのでありますか、その点が聞きたいのであります。
  43. 太田正孝

    ○太田国務大臣 その実態調査の結果につきましての計画は、今一生懸命検討しているところでございます。
  44. 阿部五郎

    ○阿部委員 この百八十八億のうち、実際に地方へ交付なさるものは百六十億でありますが、その交付の方法であります。これは臨時特別交付金という名目をつけておられるようでありますが、この交付は一体どういう方法でなさるのでございますか。
  45. 太田正孝

    ○太田国務大臣 この交付につきましては、別にきょう法律が上程されるかと思いますけれども、その中に単位の費用を直してみるというような点に重点を置いて配付していきたい。申し上げるまでもなく一方に普通交付税と特別交付税の率は同じ割合にするつもりでございます。
  46. 阿部五郎

    ○阿部委員 そうすると、この法律上の普通交付税へ特別交付税以外の交付税として交付税法を改正なさって、その法律に基いて配付なさる、こういうお考えでございますか。
  47. 太田正孝

    ○太田国務大臣 お言葉通りでございます。大体交付税に準じて配付するという方式をとっております。
  48. 阿部五郎

    ○阿部委員 交付税に準じてとおっしゃるのは、普通交付税の配分方法に準じてという意味でございますか。
  49. 太田正孝

    ○太田国務大臣 今までの義務関係の方よりも投資的方面に重点を置いてやっていきたいつもりでございます。そうでないとただばらっと出たようなことになりますので、道路でございますとかいろいろな点、それもこまかに法律の中に入っております。なおこまかいことは事務当局をして御返事申し上げたいと思います。
  50. 後藤博

    ○後藤政府委員 お答えいたします。従来の地方交付税の総額が千三百七十四億ございます。ほかにたばこの特別配付金が四十五億ございます。このたびの百六十億を加えてその総額が千五百七十九億になります。その千五百七十九億の九二%を普通交付税の例によって配っていきたいと考えます。従ってこの三種類のものがございますので、結果から申しますと、今までの交付税の総額千三百七十四億は全部普通交付税で配るということになります。それからたばこの交付税は特別交付税の方に回します。つまり百六十億の今回措置いたしますものは、大体半分くらいが普通交付税の方で配られます。残りの半分を特別交付税の方式で配るということになっております。
  51. 阿部五郎

    ○阿部委員 一応わかりましたが、そういたしますと今回の御処置というのは、世間で普通いわれておる地方自治団体の赤字対策というものではなくて、これは地方交付税の増額、従って交付されるものは赤字団体であろうがなかろうが、とにかくその交付税を受ける権利のある団体に対しては、ひとしく一定の法律に定めた歩合をもって配分されるということになると存じます。そうするとこういう御処置がとられた原因は地方に赤字が生じたということにあるのでありますが、さらにその根本の理由は、今までの、すなわち、年度初めにお定めになったところの地方財政計画が正しいものでなくて欠点のあるものであって、その地方財政計画を是正されたもの、こういうことになると存じます。ところがこれはあえて本年に限った問題ではないのでありまして、従来、主として昭和二十七年以後でありますが、毎年々々地方には赤字が累積いたしておりましたが、これはその原因がやはり今年度と同じように政府のお立てになる地方財政計画に欠陥があって、それが全部とは申しませんけれども、それも重要なる原因をなして赤字が累積せられたものといわなければならぬと存じます。そうしますと、今年度に対してはこういうふうに交付税をふやすという御処置をとられて、それの解決へ進まれましたが、しかし今まで、すなわち昭和二十九年度までに累積されてきましたところの赤字対策につきましては、そういう御処置は今まで何ら考えられたことがございません。すなわち地方財政再建促進整備法にいたしましても、国の方からその累積された赤字に対して解決を助けるという方法は、単にわずかばかりの利子補給だけである。国からその解決を助けてやるという方法は、単にたな上げをして解決を助けてやるという方法は、単にたな上げをして融資をしてやる、その利子をわずかばかり補給する、こういうのであって、今回のごとく、元来政府の立てた財政計画が足らず、政府の方から交付すべき金額が足らなかったからこういう多額の赤字が累積したものに対する処置が今までとられておらない。そこで自治庁長官は先ほど、この赤字の問題は三つに分けることができる、すなわち昭和二十九年度までに累積しておる過去の赤字対策、今年度の赤字対策並びに将来赤字が生じないようにする対策、この三つが必要であるとおっしゃいました。まことにその通りであります。ところがその累積された過去の赤字を処理するに当って、今回の政府のやり方をもってすれば、同じく過去の赤字にもこの三十年度と同じような処置がなければならぬと思います。それを全部地方だけの責任にしてしまって、再建整備法によっても起債は認める、たな上げをして長期で分割払いにすることは認めるというのであるけれども、政府自身がその一部の責任を負うて交付してやる、こういう処置、すなわち昭和三十年度の赤字に対してとられる処置がないのであります。これははなはだ片手落ちのやり方であると思いますが、いかがでございましょうか。これは自治庁長官並びに大蔵大臣にお尋ねいたしたいのであります。
  52. 太田正孝

    ○太田国務大臣 阿部君の御質問の通り、財政計画が実はずさんというのも何でございますが、非常に悪い点がございまして、あれを是正いたしまして明日発表いたしたいと思います。お言葉の通り私も今まで財政計画はよくなかったと思います。  それから二十九年度のたな上げ方式につきましては、これは申し上げるまでもなく、自治体が再建方式を立てまして、また誠意ある実行をするというめどのもとにあの計画は立っておるのでございます。政府が手をとってやるという意味では私はないと思います。自治体本来の精神もそこにあるのではないかと思います。さりとて不親切にこれを取り扱うという意味ではございません。大体に八年計画でもってあの金額でいけない場合が起るかと思います。それはなぜかといえば、二十八年度の決算は四百幾らでございましたか、それをもとにしてあの二百億円の計画を立ったのでございますが、その後において六百四十八億になりましたので、あるいはこれはワクを減らさなければならぬかとも思います。かような意味におきまして、過去の対策としては今のところあれでやっていくつもりでございます。
  53. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お尋ねの地方財政計画とその実態が一致していないという点ですが、それだからといって地方財政計画が悪いのだというのも、私お説は当らないと思います。むろん地方財政計画自体に何らの欠点もない、こう言うのじゃありません。こういうのもありましょうが、しかしそれに対して地方の財政が非常にふくれていくとか、自治体が放漫だった、こういう点も考えなければならぬと思います。今回の三十年の処置は、三十年度に限ってやったわけでございまして、二十九年度までの赤字について同じような処置をとって国が責任を負う、こういうことは考えておりません。
  54. 阿部五郎

    ○阿部委員 自治庁長官は私の尋ねましたことに対しはお答えがなかった。大蔵大臣のただいまのお答えは、それは一部は当然な話であります。もちろん赤字が出たというのは財政計画が悪いばかりでないということは当然のことであります。しかしながら財政計画も十分でなくて、政府が負担すべき財源を負担しておらない部分があったからこそ、これだけの赤字が累積されたのであって、政府は今回三十年度の予算についてはそれを認められて、そうして交付税を現に三%補正されたのであります。そうすれば、今年度と同様のことはすでに過去においてずっと累積されてきておるのであります。昭和二十四年以来であります。しかしながら特にそれが顕著に現われてきたのは昭和二十七、八、九年であろうと思います。そこでそれが多額に上ってきたこの三年度分ぐらいのことは、最小限度本年度と同様の処置があるべきはずであろうと思います。それを全部地方の責任にしてしまって、地方がみずから再建計画を立てるにまかしておいて、それで政府がてん然としておるという自治庁長官のただいまのお答えなどは、まことに不十分きわまるものであると思いますし、また大蔵大臣のただいまのお答えはまことに筋が通らないものであると思いますが、いかがでございましょうか。
  55. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 二十九年までの赤字は、今審議を願っております再建整備に対する特別措置でたな上げをする。これには国としても利子補給をする。さらに三十年度分に限っては、赤字が出ないように今回の措置をする。さらにそれで終っておるわけではないのでありまして、三十一年度には地方財政の再建についてあらゆる施策を講じて抜本的に考えていこう、こういうことになっておるのであります。さらに三十一年度においては今後の推力財政がほんとうに健全になるようにあらゆる面について考えをするつもりでおるわけでございます。さよう御了承願います。
  56. 太田正孝

    ○太田国務大臣 ただいまの阿部さんのお言葉の中に、何か自治庁が冷淡だというようなお考えの御質問があったように思いますが、私はそういう意味で申し上げたのではございません。自治体に対する自治庁の立場というものは私は非常に微弱だと思いまして、たとえば再建法におきましても、あまり権力をふるうというようなことはできないことでございまして、私はそれで言葉をやわらかに申し上げたので、ほんとうに地方の赤字で困っていることにつきましては、申し上げるまでもなく、心配しておるのでございます。ただ言い方がこうしろ、ああしろということは言えませんので、かような言葉を使ったわけでございます。さよう御了承を願いたいと思います。
  57. 阿部五郎

    ○阿部委員 どうもお二人とも顧みて他を言われるようでありましてはなはだ遺憾であります。とにかく過去に累積した赤字の解決のためには、ただいま政府がなさんとしておられるところのあの再建整備促進臨時措置法ですか、あの法律のみをもってははなはだ不十分である。しかもその累積の原因が本年度も同じように政府の責めに帰すべきものも明らかにあるのでありますから、せめて本年度同様の処置は過年度の赤字に対してもなさるべきであるというのが私の申し上げんとするところなのであります。しかしながらすでに済んでしまったものでありますから、本年と全く同じような交付税を増額して配付するというようなことはもちろんできますまい。しかしながらそれにかわるべき何らかの処置があるべきはずであります。たとえば大蔵大臣の利子補給をなさると得々として言われますけれども、これは市中金利と政府財政資金との間の金利の差を補給するという程度のものでありまして、た字に対しても、この再建整備法によるとやはり金利がついていくのであります。その解消も長期を要するのは当然でありますから、せめて金額の利子補給くらいのことは過去の赤字に対してなさるべきであると思いますが、大蔵大臣のお考えはいかがですか。
  58. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 二十九年までの赤字に対する対策につきましては、今回提案しております地方財政促進特別措置、これで足りる、私はかように考えております。
  59. 阿部五郎

    ○阿部委員 御答弁ははなはだ遺憾でありますが、押し問答を重ねても仕方がありませんから、この点はこれくらいにいたしておきます。そういう御答弁を承っておると、わたしたちがどうしても言わざるを得なくなるのは、今度三%の補正をなさいましたが、こんなことをしなければならぬことは最初からわかっておったのでありまして、あの三十年度地方財政計画を国会にお出しになった時分には、すでに給与を除いて実態と財政計画との間には百四十億の誤差がある、こういうことは自治庁自身が認めながら出されたものでありまして、しかもそれを地方の節約によって解消してもらいたいというのでそのまま押し通しておるのであります。そういう無理を初めからなさっておいて、そうして今になって公共事業費などのごとく国民生活にとって実に重要なる費用を打ち切ってその処置をなさるというのは、これは大きな責任問題ではなかろうかと思います。こういう事業の費用を打ち切るのでありましたならば、最初からそれを減額して交付金に回しておいたならば、事業に着手してすでに年度の四分の三まで費やしてしまった現在において打ち切るのと、最初からそうするのと、その利害得失はもちろん申すまでもありません。それを、国民生活にとってその方が非常に有利であるところの処置を最初からとらないでおって、今日年度の途中、しらないでおって、今日年度の途中、しかも四分の三を経過してしまった今日打ち切るなどという処置をとらなければならなくなった、そういうことはまことに政府の責任重大であると思うのであります。私は済んだことに対して責任呼ばわりをしたくないのでありますが、まことにどうも地方財政に対して親切とは思えない答弁ばかりでありますから私たちとしては言わざるを得ないのであります。この点については別に御答弁は求めません。ただ私が問題とせざるを得ないのは、この財源であります。ただいま当面は政府の余裕金を特別会計に繰り入れるというのでありますけれども、この年度内には節約によって政府自身がこれだけの百六十億円の余裕を生み出して、さらに補正予算を出されると聞いております。そうすればわれわれはこの議題となっている特別会計の補正予算に賛成かいなかを決定するためには、ほんとうの財源が一体どうして出てくるのか。たとえばこれによって地方財政に補給するのはよろしいけれども、それによって非常に重要な公共事業が打ち切られるようなことになるのでありましたならば、軽々と賛成はできないということになるのでありますから、特にこの八十八億とかいわれておりますところの打ち切らるべき公共事業の種目、程度、金額、そういうようなものをこの際詳細に御説明願いたいのであります。
  60. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この実行につきましては、実際に即して無理のないようにやっていくつもりをいたしております。今関係各省とこれらについて検討を加えておるのであります。
  61. 阿部五郎

    ○阿部委員 そういうお答えを求めておるのではないのでありまして、各省と御折衝なさっておるということでありますから、大蔵省としては今直ちにお答えができぬかもしれませんけれども、大体の目安はついておるはずであります。そこで私が聞きたいのは、この財源を生むがために公共事業費を打ち切るのであるか、繰り延べるのであるか、あるいは打ち切りと繰り延べと両方含むものであるか、この点を聞きたいと思います。
  62. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大体昨年度を見ましても公共事業を節約した後でも六十億以上の繰り延べがあるのであります。本年は暫定予算を二回も組んでおる関係等もありまして、だいぶおくれております。相当巨額の繰り延べができると思っております。従いましてこの繰り延べの中から八十八億に当る財源を求めることは、これは確信をもって答えられる、かように思っております。しからばその八十八億の内容をどうするかということは、先ほど申しましたように、各関係省とよく折衝して無理のないようにいたしていきたい、かように考えておるわけであります。
  63. 阿部五郎

    ○阿部委員 無理のないようにとおっしゃいますけれども、どういう公共事業が繰り延べられるのか、そういう点がわからないと、この議題になっている特別会計の補正自身にもなかなか賛否が決せられない性質のものでありますから、もう少し具体的にお答えが願いたいと思います。たとえば公共事業といいましても範囲が非常に広いのでありますから、どういう種類の公共事業を繰り延べるか、打ち切りは全然ないのか。たとえば失業対策事業なんかまさか繰り延べられるはずはないのでありますから、そんなことは絶対にないと了承してよろしいか。あるいは災害復旧事業の打切りなんかがあってはまことにゆゆしいことでありますが、そんなことはないのかどうか。繰り延べられるのは、道路であるか、港湾であるか、何であるか。そういう点は一つ具体的に御説明がほしいのであります。
  64. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 今回の措置に伴います財源は、いずれ二月早々ぐらいまでの間に、補正予算の形で国会の御承認をいただくということになるわけでございまして、それまでの間に、極力この百六十億の財源をいかにして捻出するかということにつきまして、細目につきまして検討をいたしていかなくちゃならぬわけでございまして、その検討はいたしております。公共事業費につきましても、相当額の財源をここに求めておりますることは、大臣からの御説明にもございました通りでございますか、これは例年公共事業費につきまして五、六十億くらいの繰り越しがございます。特に二十九年度のごときは七、八十億の節約を年度途中で余儀なくされましたが、それにもかかわらず五、六十億の繰り越しが出て参ったような現状でございまして、本年は遺憾なことでございますが、暫定予算の関係もございましたし、地方財政の関係もございまして、昨年よりもまたさらに工事の施行がおくれておるというような実情にございます。このまま推移いたしますれば、やはり本年度内において相当の資金量の剰余額が出ることは確実に見込める現状でございます。その現状にかんがみまして、今回の緊要なる地方財政措置の財源を公共事業費の不用額に求めたわけでございます。これにつきましては、たとえば予算では予定しておりましたが、土地買収その他が思うようにいかないために、残念ながら年度内には施行できないものであるとか、あるいは予定した工事が今甲し上げましたような事情でその半ばにも達しないであろうものとか、そういう各省における各事業の施行状況に即しまして、この所要財源を捻出をいたして参るわけでございまして、従いまして作業といたしましても、機械的、一律的にこれを計算するわけにも参らぬわけでございまして、そういう点につきまして各省と十分相談をいたしまして、計算をいたしまして、いずれ補正予算として御承認をいただく、さような段取りに相なろうかと存ずるわけでございます。従いまして今日のところ、いかなる公共事業費の種目についてどのくらいというようなことを、ここでお答え甲し上げることかてきませんことをはなはだ遺憾に存じますが、ただいま甲し上げましたような事情でございますので、何とぞその点は御了承を願いたいと思います。
  65. 阿部五郎

    ○阿部委員 せっかく政府委員からお答えをいただきましたけれども、私が承わりたい具体的なお答えがないのであります。それで公共事業に関係のある各省大臣におかれましては、自分の管轄内の公共事業について、この財源を捻出、節約するために、どういう事業をどの程度に繰り延べるというような、大体の腹づもりをなさっておられるはずであると思います。そうしなければ閣議においてこの問題に賛成をなさることができなかったはずでございますから、各大臣におかれまして、大体の腹づもり、たとえば建設大臣におかれては、大体どの港湾、あるいはどの河川のどういう事業を繰り延べる、そうすればこれくらいは出るはずだ、こういうつもりで賛成をなさったのか、そのあんばいをお示し願いたいと存じます。河野農林大臣から……。
  66. 河野一郎

    ○河野国務大臣 お答えいたします。ただいま政府委員からお答え申し上げましたような趣旨でございますので、われわれといたしましても、全然無計画でこの案に閣議で賛成したわけではないのでありまして、各公共事業費についてまだ全部に当っておるわけではございませんが、進渉状況については大体報告は受けております。これらを勘案いたしまして、大体その程度は了承してよろしいだろうということでこれを了承したわけであります。
  67. 阿部五郎

    ○阿部委員 おそらく今のお答えのような御答弁が、各省大臣から与えられるのではないかと思うのでありますが、それはもちろん途中で言えというのでありますから、私の方にも多少無理はあると思うのであります。そこでせめて、たとえば災害復旧関係について全然繰り延べはしないとか、あるいは学校施設などというようなものはしないとかなんとか、もう少し具体性のあるお答えをいただきたいと思います。ほかの各省大臣からも、また河野農林大臣におかれても、どうぞそういう程度のお答えは与えていただきたいと思います。
  68. 河野一郎

    ○河野国務大臣 重ねて申し上げまして恐縮でありますが、繰り延べでございまして打ち切りは一切ありません。従ってまた無理をしてやろうとも考えておりませんので、これは先ほど大蔵大臣からお答えがありました通りに、従来の例と申しては恐縮ですが、従来どうしても事業の進渉はなかなか予算通りに進まないのが例でございます。私の所管いたしておりますところにおきましても、そういうことに昨年も一昨年もなっておるような状態でございまして、特に今年の例を調べましても、雨が続いたために工事がおくれておるところもございます。その他設計上になお移転が起ったために未着手になっておるものもあります。そういうふうなことがありますから、これらを大体勘案いたしまして、あの程度のことならば差しつかえなかろうということで、なるべくぎりぎりに詰めて無理のないところでやろうと考えております。早くやればやるほど今後の進渉状態として予定しておったより進む場所もできてきまずから、なるべくおそく無理のない程度にやりたいと考えておりますから、どうか御了承願いたいと思います。
  69. 馬場元治

    ○馬場国務大臣 ただいま農林大臣から御答弁申し上げたのと大体趣旨は同じなのであります。予算が組まれてそれが消化できないということが例年起っております。これはまことに遺憾なことでありますが、事実事業をいたしてみます上においてただいま農林大臣のお話のように、いろいろなやむを得ざる事情から施行のできないものが相当ありますので、今度の件につきましては十分にこれを検討いたしまして、実情に即した方法をもって取り計らって参りたい、かように考えております。いずれ補正予算が提出されますから、それまでのうちには十分調査をいたしまして実情に沿いたい、かように考えまして、ただいま実情をせっかく調査中でございます。さよう御了承を願います。
  70. 小林英三

    ○小林国務大臣 ただいまの質問につきまして、厚生省といたしましても、政府の一般方針に基きまして地方財政の赤字克服のためにできるだけ協力をいたしたいと思っております。ただその内容につきましては、本年は御承知のように暫定予算もありましたし、事業も相当ひまどったものもありますので、その辺の問題につきましては、事務当局と十分折衝いたしまして、できるだけ厚生行政に支障のないようにいたしたいと存じております。
  71. 吉野信次

    ○吉野国務大臣 私の方の公共事業の関係は港湾関係でございます。やはりほかの大臣からお話がございました通り、私の方でも大体同じようなことでございます。
  72. 阿部五郎

    ○阿部委員 まだ残っておる大臣もございますが、これくらいで了承いたします。  最後に伺いたいのは、将来赤字が出ないようにする対策であります。本会議において大蔵大臣は、昭和三十一年度からは抜本的な対策を実施する、こうおっしゃいましたので、われわれは大いに期待をいたしておるのであります。しかしながら、地方財政に赤字が出るという問題は、その原因も実に複雑多岐でありまして、これを抜本的に解決するということは、これは非常に至難である。私は不可能に近いものがあるとさえ思っておるのであります。とても一年度をもってしては不可能に近い、むしろ不可能、これくらいに思っておるのであって、これは大へんな英断をもって、しかもせめて三年くらいかからなければできないのじゃないかと思っておるのでありますが、大蔵大臣の抜本的な対策とおっしゃるその大体の御構想はどういうものでございましょうか。
  73. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お説の通りに、抜本的にやるのは非常に困難を伴う、これは申すまでもないのでありますが、今回はやはりここまで地方財政が来ておるのですから、ほんとうに責任がどうとかこうとかという問題ではありませんので、みんなほんとうに力を合せてやっていきたい、かように考えております。その大きな柱は、やはり行政機構というものについても考えなくてはならないのじゃないか、ごく卑近な例を言っても、行政委員会等でよほど節約のできるものもあるように思いますし、それからさらに税についても考えてみなければならぬ。これについては臨時税制調査会から詳しい答申も近くあると思いますので、それらも参考にいたしまして税制を考える。それから地方財政の運営の面についても、改善を加えなくてはならぬ点が私は多々あると思うのです。今ここで一々それらの細目にわたって申し上げることもないのでありますが、そういう点を含めまして、ほんとうにやってみる決意をいたしておりますから、どうぞ皆様方のお助けを一つお願いしたいと思います。ほんとうにこれは国のために非常に思っております。やはり国と地方とが一緒になって健全でなければならないのですから、これだけは一つ御了承を得たいと思います。
  74. 太田正孝

    ○太田国務大臣 阿部君の御質問の重点は、結局は過去の問題も現在の問題も、今のところ時の点でできないとすれば、根本的なところに来るというお考えのもとに言われたことと存じます。私は、現在の赤字が出たのは、地方の財政規模に応ぜざる行政があるのだ、言葉をかえていえば、根本的対策というのは、その財源と行政規模の一致というところになるのじゃないかと思います。従ってこの問題をほどいていきますと、一方に、予算で申しますれば歳出に当るものあるいは歳入に当るものでございますが、すでについ最近地方制度調査会において発表した点に重点はあると思います。歳出に関するものが四項目、歳入すなわち財源に関するものが一項目でございます。  これから努力すべき、早く見出さなければならない方策というものは、第一は何としても給与の問題であろうと思います。これは先ほど阿部君から御指摘の点でございまして、最も困難なる、最も重大な問題だと思います。それから公債がだんだん増してくる。しかも公募公債などは一割にも近いものが出ている。こんなことをやっていったら地方はとてもたまらないのでございますから、公債政策をもっと合理化しなければならぬ。第三の点は、いわゆる補助負担の問題でございまして、これは国の方においても地方の方におきましても、抜本的に考えなければならぬところへ来ていると思います。すなわちこの補助政策についての合理化という問題であろうと思います。広い意味において第四点は、今大蔵大臣も言われましたように、行政制度の運営の問題、これを合理化していかなければならぬことと思います。しかして今弾力性のない財源につきまして、第五点として、歳入問題から見ました財源を確保するという問題になると思います。せっかくなかなか苦心されたる地方制度調査会の御答申もありましたので、なるべく早くこの実現を期するように、これを尊重してやっていきたいと存じます。
  75. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 なお補足いたしておきますが、公共事業関係財源につきましては、各省と十分協力いたしまして、なるべく早く見当をつけることといたします。
  76. 阿部五郎

    ○阿部委員 将来の赤字に対する抜本的対策でありますが、ただいまお答えをいただきまして、大体において私も意見を同じゅうするのであります。しかしながら一番重点を置くべきところはそれよりも、先ほど山本委員が言われましたところの、財政関係においては中央と地方とがあまりに錯綜して、明確にその区別がつきがたい、すなわち一番重大な給与の問題にしましても、高い給与を地方がかりに払うとしまして、その払うた責任が地方民の税負担の増加となって直ちに現われてくるというようなことが明確になるのでありましたならば、これは自然に解決がつくのであります。しかしながら、手に合わない大きな規模で地方が事業をやりまして、そうしてその結果が直ちに地方民の負担の過重となって現われてくるのではなくて、今の財政組織においてはその財源を中央からもらってくる、こういう形になっておる。それで地方においてほんとうに真剣に規模に合うた行政をやるという熱意がわきにくいことになる。これが私は一番いけないのではないかと思います。それで、地方がどんどん仕事をやろうとすれば、それは直ちに地方の責任となる、多くの仕事をやって住民の幸福を増進したならば、それだけまた住民にも負担がかかっていく、逆もまたその通り、こういうようなことになるような財政制度にしなければ、なかなか問題は片づかないのではないかと思っております。これはしかし別に御答弁は要求いたしません。  それから私は、現政府が憲法の改正を唱えておられ、しかもそれがよほど具体的になっておりますから、地方自治制度と憲法改正の関係並びに、行政機構を改革なさるというのでありますから、その関係についても――憲法改正並びに行政機構の改革と、自治制度、地方行政、財政、こういうような問題について少しお尋ねいたしたいと思うのでありますが、副総理がおられませんし、また私の時間はまだ少し残っておるようでありますから、それを残しておきまして、一応これで私の質問は打ち切ることにいたします。
  77. 三浦一雄

    ○三浦委員長 暫時休憩いたします。    午後零時十分休憩      ――――◇―――――    午後一時二十一分開議
  78. 三浦一雄

    ○三浦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。小平忠君。
  79. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私は食糧問題を主として関係閣僚にお伺いをいたしたいのでありますが、すでに定刻の時間も参っておりますし、農林大臣はお見えになっておりませんが、大蔵大臣並びに北海道開発庁長官がお見えになっておりますから、この機会に食糧の増産計画という見地から――北海道の総合開発を与党並びに政府は強力に推進されておるかのごとく承わるのでありまして、この際正力北海道開発庁新長官に若干お尋ねいたしたいと思うのであります。  まず第一にお伺いいたしたいのは、第二次鳩山内閣当時、当時の民主党でありますが、廣川弘禪揮氏を委員長とする北海道開発特別委員会が設置せられまして、その委員会の成案ができ、膨大なる構想がすでに新聞にも出、あるいは党議でも決定せられ、さらに保守合同がなりまして、第三次鳩山内閣が組閣せられた後におきまして、再び与党でありまする自由民主党の中に北海道開発特別委員会が設置されまして、同じく廣川弘禪氏がその委員長となられ、その構想は大体旧民主党時代の構想を踏襲してやるかのごとく承わっております。その内容を承わりますれば、大体第二次五カ年計画の線を推進するという構想のもとに、一カ年に約一千億の国の予算を北海道に投入する、こういうことを承わっておるのでありますが、正力長官は、この与党に設置されております特別委員会の構想に対して、あなたが新長官として就任せられ、北海道の人口問題並びに食糧問題解決のかぎを握っておられるという見地に立って、北海道総合開発の構想についてまず承わりたいのでございます。
  80. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 小平さんにお答えいたします。今お話の廣川構想なるものは、これはお話の通りに非常に雄大なものであります。何分今党の方において委員会を設けて審議しておられるようでありますから、その審議の決定を待って入念に決定したいと思います。しかし私としては、とりあえずここに何か新構想を持って開発に努力をしたい、こう思っておる次第であります。
  81. 小平忠

    ○小平(忠)委員 大臣が就任早々でありますから、具体的な打ち合せ等はまだされておらないことについても了といたします。しかしすでに通常国会開会の日を目前にいたしまして、政府は三十一年度の予算編成方針を大蔵大臣を中心として目下作成中でもあり、すでに三十一年度の予算については、大蔵省の主計局に対する各省の予算説明が大体終っておるということであります。そういうきわめて緊迫せる情勢にあるのでありますから、これは政党政治である限り、やはりすみやかに与党の考え方を政府が取り入れてやるということは私は必然であろうと思います。その見地に立って、あなたが北海道開発庁長官として就任された立場から、新構想をもってやりたいということをただいま承わりまして、まことに私はその新構想が真に日本の自立経済達成のために役立つ、単なる宣伝でなくて、それを実行に移すということを期待するのでありますが、少くともこの予算委員会の席上におきまして新構想ということをお述べになりましたからには、まだ具体的なコンクリートになっていなくても構想があられると思うのでありますが、その新構想とはいかなるものでございましょうか。
  82. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 私の新構想と申しますのは、今まで案は幾つもありますが、いかにして資金を集めるかということが要点だと思います。それで私は資金を集めやすいように、そうしてこれが実際北海道に早く全体に役に立つように構想を練っております。今具体的な数字について調べておりますが、少くとも二十五、六日までには大体の新構想ができると思っております。
  83. 小平忠

    ○小平(忠)委員 二十五、六日ごろまでにできるという確信のある御言明でありますから、その長官の新構想を後日承わる機会があろうと思うのでありますが、その上でその問題につきましてはまたいろいろ御高見を拝聴いたしたいと思うわけであります。  そこであなたの新構想はそれといたしまして、第二点にお伺いいたしたいのは、もちろん三十一年度の予算編成の方針の中にも当然これは織り込まれるべきものであろうと思うのでありますが、現在事務的にも大蔵当局には三十一年度の予算要求等をなされておるわけでありますが、現在北海道開発庁が大蔵省に要求いたしております三十一年度の予算要求の構想はいかなるものでございましようか。
  84. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 私の新構想と申しますのは三十一年度要求しでおるあの予算とにらみ合せてもう少し進んでいきたい、こう思っておるわけであります。
  85. 小平忠

    ○小平(忠)委員 まことに不満足な御答弁だと思うのでありますが、その点はその程度にいたしまして、次に私は、後ほど河野農林大臣にお伺いいたすきわめて重要な点でありますが、わが国の食糧増産という見地から、世銀の融資、いわゆる外資導入による日本の農業開発というような見地に立って、愛知用水同様に、東北あるいは北海道の農業開発等を強力に推進されておるわけでありますが、あなたの担当する北海道におきまして外資導入によるところの農業開発、そういう状態について現在の進捗状況並びに今後の構想はいかがなものでございましょうか。
  86. 河野一郎

    ○河野国務大臣 愛知用水関係の外資も、北海道における開発機械公団関係の外資につきましても、世界銀行との間に順調に話が進んでおります。
  87. 小平忠

    ○小平(忠)委員 河野農林大臣にお伺いしたのではなかったのでありますが、担当大臣である北海道開発庁長官に、あなたの所管されている面はどうでありましょうかということを聞いたところが、農林大臣から機械公団関係の分について御説明があったのですが、同じことですからけっこうでございます。ただ問題となりますのは、いろいろ外資の導入についてもっと政府当局が本腰を入れて、くだらぬひもをつけたり、それから条件等においても、私はもっともっと積極的なやり方があるということを、今夏ロンドンのインターの大会に出席いたした機会にヨーロッパなりアメリカに参りまして、特にオランダの海面干拓なり、泥炭地改良の現状を見てきたときに、日本の政府はこの世界銀行をもっともっと有効に、そして本腰を入れてやらなければならぬということを痛感してきたわけであります。そういう見地から、私は後日またこの問題につきましてはお伺いする機会があろうかと思いますから後日に譲りますが、最後に正力長官にこの点だけは一点お伺いしておきたいと思います。  あなたは先ほど北海道開発に対して、新たなる構想を持って進みたいということを言われましたが、それはけっこうだと思います。しかし一方自由民主党の立場から北海道開発特別委員会を設置せられて、廣川弘禪氏を委員長とするところの、すなわち全国的な委員を網羅した機関ができております。その構想はわれわれ承わっただけでも雄大なる構想だと思います。ところが、とかくこれは宣伝に供せられる、あるいは人気取りのための構想であってはならないと思う。従ってもちろん国家財政なりいろいろの面からこれは一朝一夕にいくべきものではないと思うのでありますが、少くともあなたの新たなる構想というものは、与党が考えておりまする雄大なる構想とマッチして、それに近いものであるか、全然それとは問題にならないものであるか、その点について私は一点お伺いいたしまして、あなたへの質問を終りたいと思います。
  88. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 廣川構想なるものは非常に雄大なもので、あれは非常な力と非常な金とが要りますので、とうていああいうようなことは私の力ではできません。私は自分の力でできると信ずる程度の案を作っております。
  89. 小平忠

    ○小平(忠)委員 これはこれで打ち切ろうと思ったのですが、あなたがまた最後にきわめて意味ある答弁をなさったので重ねてお伺いしておきたいと思うのですが、あなたのできるというその最後のいわゆる限界というか、どの程度のことをお考えになっておるか。少くとも最後に御発言のようなことをおっしゃるためには、何かやはり目途なり考え方があろうかと思うのです。
  90. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 私は民間の資本も投入することを考えておるのでありまして、いずれまた――練っておりますから、二十五、六日までには発表し得ると思います。
  91. 小平忠

    ○小平(忠)委員 了解し得るという御答弁ではございませんが、せっかく二十五日という日までお切りになって確信ある御答弁でありますから、先ほども申し上げましたように、その二十五日を待ちましてまたお伺いいたしたいと思います。  それでは、私はきょうは私の担当でありまする食糧問題を中心に関係閣僚にお伺いをいたしたいということで臨んだわけでありますが、農林大臣も見えられましたので、農林大臣にまずわが国の食糧問題、特に食管制度等につきましてお伺いいたしたいと思います。  先般経済審議会が答申いたしました総合経済六カ年計画、特にその計画の農林水産部門におきまして千三百万石の食糧増産がうたわれておるのであります。このことはさきの農林省の試案におきましてもやはり千三百五十余万石という増産を決定いたしておりますが、これらを推進する考え方としてわれわれが率直に受け入れる点は、第一に、輸入食糧を現状よりふやさないということ、第二点は、今後の人口増加による消費増や、つぶれ地などによる減産分は将来の増産によってまかなうということ、第三番目は、そのために必要な資金を政府が確保するということが前提となっての構想と私は見受けられるのでありますが、その考え方を、政府首脳部、特に担当大臣である河野農林大臣並びに経済六カ年計画の責任官庁でありまする高碕経済企画庁長官の両大臣に私はお伺いいたしたいと思うのであります。
  92. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お説のごとく六カ年計画におきましては、現在の食糧輸入は大体過去三カ年において三百二十八万トンとなっておりますが、この程度以上にはふやさないということが第一条件でございます。第二の原則につきましては、今後食生活は幾らか政善できる、従って米穀というものの消費は過去よりも幾らかずつ節約していくことができるということが言えると思います。それからもう一つは、単純なる経済問題でなく、農村問題というものは影響するところが非常に大だ、こういうふうな点から考えまして、現在経済企画庁におきましては六カ年計画で千三百万石という数字をもってやっておるわけであります。これはさらに与党内あるいは政府部内におきましてもよく検討いたしまして最後の案をきめたい、こう存じておる次第でございます。つまり原則は今後輸入をふやさない、こういうことでやっていきたいと思っております。
  93. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいま企画庁長官から申し上げた通りであります。
  94. 小平忠

    ○小平(忠)委員 構想だけは了承いたしました。特にその構想の見地に立って、高碕長官は最後に輸入量についても現状よりふやさない。これはやはり長期計画によるところの増産計画、消費節約、こういう面によって解決していきたい、こういうことであります。  そこで私はさらに高碕長官にお伺いいたしたいのであります。政府及び与党でありまする自由民主党が公約いたしております長期経済計画というものは、その資金計画が直ちに明年度以降の予算につながりまして、そういうことから政府は至急これを確定してやるという義務があろうと私は思うのであります。従って先般の経済審議会の答申に基いたこの見解によって、当面政府はあの経済審議会の答申をどのようにさばいていくか、具体的にお伺いいたしたい。このような長期計画というものは、明年度の予算編成というものに直ちに影響してくるのであります。単なる答申を受けて、それは参考にしましようとか、あるいはこれは一つの宣伝のために、人気取りのために並べるためのペーパー・プランであってはならない、こう私は考えるのであります。
  95. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 もちろんこの増産計画を実行いたしますにつきましては、これに対する資金の裏づけがなければならぬということは申すまでもございませんが、この資金につきましては、国の支出します資金と、民間資金を導入するという両方の道がある。そういうわけでありますから、大体のトータルした金額は審議会の報告にもあります通りでありますが、これをどういうふうにまかなっていくかということにつきましては、今後財政計画等ともにらみ合せてつじつまを合せていきたい、こういう所存でございます。
  96. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それでは農林大臣にお伺いいたしますが、農林省が先般大蔵省に要求いたしておりまする三十一年度の予算要求の中に、食糧増産関係費は、特に公共事業関係の分だけでも三百八十七億円となっておるのであります。これによりますと、その予算要求の裏づけとなります増産量は二百十五万石の増産というように説明されております。これは大体農林省が先に発表いたしました六カ年計画に対する農林省の試案の線に沿っておるものであろうと思うのでありますが、大体このような計画で農林大臣は増産をはかっていこうという確信がございますか。
  97. 河野一郎

    ○河野国務大臣 明年度予算につきましては、目下検討中でございますから、いずれでき上った上でお答え申し上げることにいたしたいと思います。
  98. 小平忠

    ○小平(忠)委員 第二次鳩山内閣の農林大臣と、第三次鳩山内閣の農林大臣はかわっていないのであります。少くとも大蔵省に要求いたしまする三十一年度の予算要求というものは、あなたが目下検討中だなんという、そういう適当な御答弁で私は了解できない。検討中のようなお考えのもとに大蔵省に予算の要求をされておるのでありますか。
  99. 河野一郎

    ○河野国務大臣 第三次鳩山内閣は、予算編成の基本方針を近日中に決定することになっておりますので、この点は御承知の通り予算をいずれ御審議願う際に出させていただきたいと思うのであります。
  100. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それではあなたのただいまの御答弁と、先ほど冒頭に私がお伺いしました食糧増産計画という、六カ年計画に対する構想を実現するために、輸入量は現在量よりもふやさないという見地に立って今後進めていきたいという御答弁があったのでありますが、しからばあなたが過般渡米されまして、余剰農産物の受け入れ、さらにこれらに対しまする仮協定を、あなたが現地に参りまして御承知のように結んでおられるのであります。その余剰農産物受入れの問題と合せまして、最近計画されておりまする輸入食糧に対する計画は、果して実績よりも上回っているかどうかという点について、問題はそこに必然的に波及してくるのであります。ところが単に第三次鳩山内閣の三十一年度の予算編成方針をこれからきめて、その線に沿ってやるといいましても、具体的に対外折衝を進められ、事務的折衝を進めておられる段階においては、私はその点については了解できない。そこで私は具体的にお伺いいたしますが、過般あなたが渡米された当時の本年の収穫予想というものと、今日の収穫予想というものは相当大幅に開きがある、上回っている、こう考えるのであります。従って当時折衝されたそのことが、今日に及びまして果して妥当であったかどうかという点についての、あなたのお考えをお伺いいたします。
  101. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御承知の通り余剰農産物の受け入れの中に米は受け入れておらぬのであります。麦については買うことに予定しておりますが、、これもまた御承知の通り現在米の方が非常に豊作になりましたけれども、米は過去におきましては早場を奨励いたしまして、しいて申せば端境に持ち越しが少いのでございますので、むしろ早く調整して早く先食いをしているような状態になっておりますので、これをこういう豊作の機会に自給の関係等も平常に復して持って参ることが妥当であろう、そういうことで目下検討しておりますが、余剰農産物を仮協定をしておりますが、将来受け入れて参る際において、国内の計画に支障を来たすような無理な受け入れをしようとは決して考えておりません。
  102. 小平忠

    ○小平(忠)委員 余剰農産物の問題につきまして、もちろんその対象には米は入っていないことは承知いたしております。余剰農産物受け入れの問題について私は掘り下げてお伺いいたしますが、その前に外米の輸入に対する計画等について、これはきわめて重要な問題であります。先ほどのあなたの言明と私が少くとも現在入手いたしております資料におきましてはいささか食い違いがあるかのごとく思うのでありまして、実は御承知のように三十年度の輸入計画は百二十万トンでございます。ところがこれに対する本年度の実績は御承知のように百十三万トンであります。あなたの現在の自給計画から推し進めて参りますところの今後の輸入計画、来年度の輸入計画というものは百二十一万トンを予定されております。そうしますと、実績よりもすでに八万トンも輸入量をふやすという計画でありますが、これはあなたの冒頭に御答弁された輸入量は現状よりふやさないのだという御答弁と食い違いますが、その点はいかがでありましょうか。
  103. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいま御指摘になりまする数字はどういう数字か存じませんが、目下その数字は検討中でございまして、決定はいたしておりません。
  104. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それでは重ねてお伺いいたしますが、その数字は検討中である、まだきめてないのだ、そういたしますと、先ほど言明のように輸入量は現在よりもふやさないということだけはこの席上において御言明なされますか。
  105. 河野一郎

    ○河野国務大臣 先ほども申し上げました通りに、五カ年計画はその線に沿って進んでいく方向を示しているのでありまして、必ずしもふやさぬといったところで絶対にふやさぬ――そのときの豊凶の関係もございますし、需給の関係等々とにらみ合せてやることでございますから、最終目標としてそういう目標を持ちまして、それを一年々々区切って、そうしてこれもこうだ、あれもああだということには参りかねる、そのときことしは豊作であるから、ことしは少し輸入は減してもよいであろう、また今お示しの数字でございますが、持ち越しの中に従来黄変米に該当するものが十三トンほどあったわけでございます。これらについてこれを埋めて現実に消費できるものにしておく必要があるだろうという見解もございますし、それらをすべて勘案して、今案を整備してせっかく立案中でございます。これも決定いたしました際に申し上げますが、大体御指摘のようにふやしていくという考えを持っておりません。
  106. 小平忠

    ○小平(忠)委員 大臣の御答弁の中で、きわめて弾力性のある御答弁、これは直接輸入食糧によって圧迫を受ける農業生産者、いわゆる農民が、非常に犠牲となり迷惑するという面もなきにしもあらずであります。私はなぜそういうことを前提として伺ったかというと、今般の第二次余剰農産物の協定について、当初高碕長官が米国に申し入れました品目の数量を見ますと、その後にあなたが対米折衝をなされて妥結をいたしましたその品目なり、あるいは数量等とずいぶん変っております。特に当初高碕長官が希望いたしておった綿の実であるとか大豆なんというものは立ち消えでなくなってしまった。さらにこちらで全然希望してなかった葉タバコや綿花が二倍にもなってきておる。特に私はこの葉タバコにつきましては、専売局では輸入葉タバコのストックが三年分もある。そういうのになぜ今回さらに千五百トンも葉タバコの輸入をするのかというような点について、まことに了解に苦しみます。さらにまたこの綿花につきましても、従来アメリカから正常輸入で六十五万トンの綿花を輸入しておりますが、さらに十万俵それ以外に買い入れるのだ、こういう点は一体どういうわけだろうか、特に私として問題があるのは、御承知のようにアメリカの綿花が同じ質のメキシコ綿花に比較いたしまして相当値段が高い、こういうのになぜ十万俵も新たにお受けになるかという点は非常に理解できないのです。これはきわめて重要な問題でありますから、大臣一つわれわれの理解のいくように、国民が納得のいくような御答弁をお願いいたしたいと思います。
  107. 河野一郎

    ○河野国務大臣 前段の大豆や綿実のあれがなくなつちゃったというのは、向うで売るものがないからこれは買えないのであります。買う予定でおりましたが、大豆は向うが予定の収穫に達しないから、余剰農産物として日本側に引き渡すものがないというのでございますから、買えなかったわけであります。  その次に綿のことについてお話しがございましたが、これは私は当時同道いたしました通産省の繊維局長を通じてワシントンから打ち合せをいたしました結果、またその繊維局長とともに現地に同行しておりました紡績関係の方等の意見を伺いまして、この程度で妥結することが妥当であるという報告を受けまして、そういうふうにきめたわけでございます。  タバコにつきましては多少こちらの方にそういう意見がありましたけれども、これは前年度等の関係から見合せまして、この程度のものは受け入れてよかろうというようなことで受け入れをいたしたようなわけで、今お話しのございますように、こういうものを買うことによって内地の農産物に悪影響を及ぼすとか、ないしはまた内地の農業生産を圧迫するとかいうことは絶対にあるべき筋合いのものでもなし、あるようなことは政府として絶対にいたしませんということを申し上げて、ここに御了解を得たいと思うのでございます。
  108. 小平忠

    ○小平(忠)委員 絶対に国内の関係者が迷惑しない。しからば私は理解できないのは、葉タバコのごときは専売局が三年間も現にストックしている。それを向うから押しつけられたのかどうかは知りませんけれども、これをさらに受け入れなければならぬという理由がわからない。さらにこれは関連する問題で、この費目を見ますると、輸送費なども五百九十万ドルという金頭に達しております。この輸送の関係も第一次協定ではその五〇%はアメリカ船によるということが条件でありましたが、今度はこの点につきましてはどうなっておるのか、日本の海運業を圧迫するようなことはないのかという懸念もずいぶん耳にするのでありますが、この点はどうなっておりますか。
  109. 河野一郎

    ○河野国務大臣 余剰農産物の受け入れにつきまして、なるべく日本船を使うことがよかろうというような意味で十分話し合いをいたしました。しかしアメリカの国内法に五〇%はあちらの船を使うようにという規定がございますので、早急にこの問題を解決することはできませんでした。しかしこれによって日本の海運界を圧迫するという事実は私はないと思うのであります。これは向うの船を五〇%新たに使うことにしたわけではございませんし、前年同様でございます。また従来日本船で運んでおったものをアメリカ船に切りかえたというわけでもないのでございまして、このためにわが海運界を圧迫して、そのために海運界がどうなるというような筋合いのものとは考えません。しかしなるべく日本船をよけいに使うようにする方がよろしいということで十分交渉はいたしました。将来の問題としてとくとアメリカ政府に御考慮を願うように、どちらのものをどうという規定をするということは少しおかしいじゃないかというように十分注意を喚起するようにはいたして参ったつもりであります。
  110. 小平忠

    ○小平(忠)委員 その点、いわゆる海運業者に影響はないとあなたが確信が持てるのであるならばけっこうでありますが、とかくこの点は途中の協定や話し合いでもって変更などが起る場合があるのであります。大臣にその点については慎重に善処されることを私は希望いたしておきます。  それから先ほどの私の質問の輸入葉タバコの問題に対しまして、三年分も現に専売局でストックがある。それをさらに千五百トンも輸入しなければならぬ、これの理由がわからないのです。御説明いただきたいと思います。
  111. 河野一郎

    ○河野国務大臣 今の船の問題は、私は途中において云々ということは絶対にないと思います。これはアメリカの国内法で五〇%はアメリカ船によれということの規定がありますから、そのアメリカの法律を変えて協定を結ぶわけに参りませんから、今回はそれで一応了承した、こういうことであります。  それから今の葉タバコの問題でございますが、これについても私考えますのに、昨年から今年にかけての国内たばこの消費量が非常に減れば別でございます。非常に減れば別でございますが、昨年入れた数字の半分を今年に入るということが、それによって一昨年と去年との間の消費量、去年と今年との消費量、今年と来年との消費量、この消費量が極端に減れば別でありますが、極端に減らない限りにおいては、昨年の半分の数字でございます。つまり今年の余剰農産物として受け入れました葉タバコの約半分に該当する数量を入れることが、国内のたばこ消費量が全然別の角度に変れば別でございますが、そうでなければ、これについてそういう問題が起るということはあり得ないというような認識に立って、これを受け入れたわけでございます。
  112. 小平忠

    ○小平(忠)委員 くどいようですが、当時経済審議庁長官であった高碕さんが、一応米国当局に要求いたしておりまする品目の中には葉タバコはない。あなたが向うに行って葉タバコを追加されてきた。そうすると、当時の閣内不一致というか、経済審議庁長官と農林大臣との間に意見の相違がある。経済審議庁は葉タバコはこういう事情だから要らないのだと要求をしておらない、農林大臣は前年もやっているのであるから必要だ、そういうお考えですか、その点の関係はどうなのですか。
  113. 河野一郎

    ○河野国務大臣 もう一言つけ加えさせていただきます。確かに最初に高碕案として提出いたしましたものは、私も相談の上提出したのでございます。これは日米交渉をするのでございますから、その点を御了解願いまして、こちらが第一次案として出したものと、最終決定いたしましたものとの間に、多少のやりとりのありますることは御了承いただきたいと思うのであります。それは私がただいまお答え申し上げましたように、わが方として無用なものである、要らないものであるというような物を無理に買わされたとか、無理に買ってきたというようなことではないのであります。買えば買ってもよろしいというものであったことを御了承願いたいと思うのであります。
  114. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私は、この余剰農産物の受け入れというものについては、根本的に問題があると思うのです。ですから、きわめて小さな問題のように思いますけれども、私は掘り下げてお伺いをいたしておるのであります。さらに基本的な問題として、余剰農産物の見返り資金の借款率でありますが、従来日本は八〇%を主張いたしておるが、アメリカは御承知のように七〇%というような線で譲らぬというところで、結局中をとって七五%というような線にきまったかのごとく承わっております。こういう点についても、一体余剰農産物は、日本の食糧が不足であるからこれを受け入れるという考え方なのか、それとも見返り資金の借款がほしいために買うのか、こういう点が明確でないのであります。特に食糧が不足だからこれを買い入れるのであるという点に立つならば、それに対するところの見返り資金はやはり食糧問題解決という見地から、その見返り資金の使途についても、これは農業開発というような面にその重点が置かれなければならない。ところがその実態は、御承知のように農業の開発とか食糧増産という面からかけ離れた、すなわち独占資本の一般の産業投資に使われるというようなことについても理解できない。こういう点はきわめて重大な問題でありますし、余剰農産物の受け入れについては、たびたび議論されておりますが、またもや第二次の仮協定を実施に移すというような段階においては非常に国民の中に疑惑を持ち、見返り資金等につきましてもいろいろの意見があります。この際私は、この問題についてきわめて重要でありますから、農林大臣並びに高碕長官の御答弁を伺っておきたいと思います。
  115. 河野一郎

    ○河野国務大臣 この資金を使いますのに、ただいまのお尋ねでございますと、余剰農産物は買ってはいけないというような御趣旨なのか、それとも資金は必要だからたくさん使えるようにせよというのか、その点がちょっとお答え申しにくいのでございますが、私はこういうつもりであります。わが国として絶対に食糧の需給推算上海外から食糧の買い入れをいたさなければならないものについて買い入れをいたすのでありまして、いやしくもむだな物を買うとか、不必要な物を入れるとか、高い物を買うとかいうようなことはいたす所存はございません。その趣旨において、アメリカの方に余剰農産物としてわれわれの希望に該当する品物がある場合に、これをわれわれは受け入れてくる、これが第一であります。そういうふうにして受け入れてくる資金を、たまたまアメリカの余剰農産物の処分をいたす条件に当てはまったようにいたさなければなりません。アメリカの余剰農産物の処分をいたしまするには、アメリカの国内法で、どういう場合、どういう場合に処分する。たとえば輸送の場合には、五〇%アメリカ船を使わなければいけない、ないしはこの円資金については、もしくはそれぞれの国の資金については、その資金の運用はどういうふうなことをするのだということがあります。その範囲内においてわれわれは、それがわれわれの方として受け入れられる条件であればこれを受け入れてくる、こういうことになると思うのであります。決してこれはアメリカ側の注文でも何でもありません。向うできまっているのです。そのきまっているワク内で、われわれがそれを受け入れてよろしいと思います場合にこれを受け入れるのでございます。それが今申し上げましたように、昨年の取りきめは、アメリカと日本との間に七〇%で取りきめられた。それを七〇%は少し困るから八〇%にしてもらおうと思ったけれども、アメリカの都合もありまして七五%で妥協した。しかしてそれの用途については、それぞれアメリカ側にはアメリカ側の意見がございます。その意見をわれわれが聞き得る場合に、われわれは買ってくればよろしいのであって、聞き入れられない場合には買わないだけでございます。そういう基本的な観念に立って、この程度で日本にその円資金を使って、日本の農村発展のために妥当だと考えて私は取りきめをして参った、こういうことでございます。しかも非常な疑惑があるとおっしゃいますけれども、疑惑ということはどの点に疑惑があるのか、私は了承できませんが、私は、いやしくも今申し上げましたような精神において、アメリカ側で初めからちゃんと、この品物はこうである、この資金についてはこういうふうに使うと条件が出ておりますものを、その条件をこちらの方において見て納得のできる場合にこれを受け入れてくる、こういうことだと私は考えております。それをなお向うに参りまして、いろいろそれについてよくただす点はただし、主張すべき点は主張して、そして今回の妥結に至った、こういうふうに御了解願いたいと思うのであります。
  116. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいま私がお伺いいたしましたことは、この余剰農産物の受け入れば、日本国内の食糧が足りないから受け入れるということに重点を置くのか、見返り資金の借款、それがほしいからやるのか、そのウエートの置き方、重点の置き方について基本的にお伺いしたいということなんです。そこでそれにも関連いたしまして、現在行われておりますやり方についても伺いたい。今農林大臣は、こちらの主張は八〇%、ところが向うは七〇%という線を譲らぬというようなことが、交渉の結果七五%ということにしたのであるということでありますが、しかし私は現に先般アメリカの農務省に参りまして、個人的ではありますが、責任者に会っていろいろ意見を聞いたところ、日本の主張八〇%、これは必ずしも私は不可能でないと思っておった。ですから日本の食糧不足のためにこれを受け入れるにしても、この余剰農産物という制度に対するアメリカ側の考え方等につきましても、必ずしもしゃくし定規にきまってこれ以上どうにもならぬというものではないと思うのです。交渉によってはもっと有利な方法によって受け入れることができるのじゃなかろうか、基本的には一体何に重点を置くのか、しかしその条件の中には借款問題も一見返り資金の問題もあるが、しかしその場合においては日本側の要求をほんとうに通せなかったのだという実情につきましても、私はただいまのあなたの説明では理解できない。
  117. 河野一郎

    ○河野国務大臣 もちろん私は微力で、七五%にきめたことは、あとからあなたがいらっしゃってお話になったら八〇%を向うで認めるはずだったというお話でございますが、はなはだ相済まないことと私は思います。しかしそういうことはアメリカのどういう人がおっしゃったか、参考のために名前を承わることができれば大へんけっこうだと思うのであります。私に関する限り、私はアメリカのあらゆる方面に話をいたしまして、そうしてその結論を出したのでございます。しかもこれはおそらく余剰農産物を受け入れておりまする世界のあらゆる国の条件よりも決して不利な条件でとりきめたとは――有利とは申しません、不利な条件でとりきめたとは思わないのでありまして、しかも今お話がございましたように足りない食糧を受け入れるということが絶対のことでございまして、金を使いたいから要らぬ物まで買ってくるというようなことは絶対に考えておりません。この点も誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
  118. 小平忠

    ○小平(忠)委員 まことに農林大臣が珍しく謙虚な御答弁で、私はあえてこれ以上米国の担当者の名前まで引き出してあなたと争おうとは思いません。そういう問題でありますから、この点につきましては、仮協定であるから、いよいよ実施に移します場合におきましても、必ずしも私のこの質問がマイナスではないと思うのであります。どうぞ一つ慎重に各般の情勢を勘案せられまして善処せられることを、私は特に希望いたします。  次に農林大臣にお伺いいたしたいことは、世上きわめて重要なる問題として国民が非常に心配をいたしておりまする問題があります。それは米の統制撤廃の問題であります。このことは、現在の食管制度下におきまするあらゆる面において非常に大きな支障がある面もありますし、また心配もいたしておるのでありますが、農林大臣は、食管制度の改正を行うのだ、あるいは端的に米の統制撤廃をするのであるということを、時折記者会見やあるいは会議の席上等においてもその意図を明らかにされるようでありますが、まず第一にこの主食の統制撤廃、米の統制撤廃をおやりになるお考えがあるか、であるとすればいつごろこれを実施をするお考えか、お伺いしたい。
  119. 河野一郎

    ○河野国務大臣 この機会に私は明瞭にお答えいたしておきたいと思います。先般の本会議場でもそういうお尋ねが社会党の方からございまして、統制撤廃は今直ちにやる意図はございませんということを私は明瞭に申し上げたのであります。議場で申し上げて、しかもなおかつそういうふうにお尋ねをなさるのはおかしいと思う。決して今すぐ統制撤廃をやる意図はございません。あらためて申し上げます。  ただここで、はなはだこういう蛇足をつけ加えて恐縮でございますが、これも全国農民諸君の誤解を解くためにお許しをいただきたい、こういうことに私は思うのであります。今全国の農民諸君が、統制を撤廃すれば非常に米価が下る、下ってそれが農民に非常に不利益であるということを非常に懸念しておられます。であるから、統制撤廃をするのじゃなかろうか、統制撤廃をすれば米の値が下ってしまって農村経営に非常に不利を来たす、しかも今ここで政府に予約をして、政府がたくさん米を持てば、それを材料にして統制撤廃をするだろう、だから政府と予約をすることはみずから自分の首をくくるようなものだから、予約はなるべくしない方がいいということまで農民諸君は言われているのであります。これは非常な間違いでありまして、政府がここで米を持つとか持たぬとかいうことは、統制を撤廃するとかしないとかということと全然関係がないのでございます。ただ、お小言をちょうだいするかもしれませんが、社会党の皆さんが二重価格制度を主張しておられます関係から――われわれは米をこういうふうにするのだ、であるから米を統制するのだ、管理するのだ、していくことによって農家から買う値と消費者に売る値との間に違いがあるのだ、これが二重価格制度なんだ、この制度を徹底するのだから、統制を続けていくことは農民に非常に有利なんだとおっしゃることを農民諸君が誤解をして、われわれが統制をはずせば米の値段が下るのである、それだから統制撤廃に反対なんだというように、農民諸君が誤解しておられると思うのであります。しかしわれわれは、万一統制を撤廃してよろしいという場合が参りましても、統制を撤廃することによって今日の農家の手取り価格を下げて、農村経済を成り立たぬようにするようなことは絶対にいたさぬということだけは、ここに明瞭に申し上げることができると思うのであります。ただ今申し上げたその統制撤廃をわれわれがする時期はどういう時期かと申しますと、これは先ほど申し上げました通りに、この豊作であるから直ちにやるべきだというようなことにはならない。統制を撤廃いたしますには必要なる要件がたくさんございます。であるからその要件を具備して、しかも生産者にも消費者にも、いやしくも米の現行制度を改変することによって不安を与えたり、ないしはまたその経営上に支障を来たしたりするような事態は絶対にさすべきものではない。でございますから、くどいようでございますけれども、米の問題を扱います際に、われわれは生産者諸君が明日の生産をするのに不安を与えるような政策は絶対とりません。従ってこの問題を扱います場合には万全の用意の上に立って、全国農民諸君が安心して米の再生産に従事できるような安心感に立って、われわれは政策を決定して参るものであるということだけは明瞭に御了承いただいて、御批判いただきたいと思うのでございます。今直ちに何をどうするということは考えておりません。  なおつけ加えて申し上げますが、今食糧問題は非常に重大な段階に入っております。なぜかと申しますと、昨年、一昨年に比べまして米価、特にやみ値が暴落いたしました関係から、米に対する消費力が非常に強くなって参っております。麦に対する消費力が減退いたしまして、米に対する消費力が多くなって参っておりますので、米と麦に対する従来の統計がいささか変更を来たさなければならぬようなことになっております。これは先ほどあなたから御指摘になりました米の輸入量が云々ということでございますけれども、これらにも多少影響を来たして参ります。そういう実情でございますので、米に対する施策、麦に対する施策、これらの価格政策、数量政策等をどういうふうに持っていくべきかということは、よほど慎重にその基礎を打ち立てまして、その上に立って将来の政策をきめていかなければならぬと考えておる次第でございます。これらについて大方の各方面の御意見を、年内にでも私は委員会、懇談会等で伺った上で最終の方向をきめていきたいと、せっかく目下検討中でありますから、この点御了承願いたいと思う次第であります。
  120. 三浦一雄

    ○三浦委員長 小平忠君に申し上げます。お約束の時間も迫っておりますからそのお含みで御質疑をお願いします。
  121. 小平忠

    ○小平(忠)委員 農林大臣の大演説を拝聴して約束の時間もだいぶ接近したようでありますが、よく拝聴いたしました。そのただいまの御答弁の中には、私としては理解ができない重要な問題も非常に含んでおりますが、与党、野党の両委員会理事で協定した時間は守るという見地から、追及をいたすとか、具体的な問題は、これは後日にお伺いいたしたいと思います。ただ時間が切迫しておりますから重要な点を二、三点、これはあなたの所信を承わたりたい。  その次は、先般十一月の二十九日、あなたが記者会見におきまして、突然本年産米の余剰米というものを集荷するために、特別集荷制度を採用する、その構想は二十七年にも一ぺんやっておると思うのでありますが、それはいつごろから実施になるお考えでございますか。
  122. 河野一郎

    ○河野国務大臣 従来御協力を願っておりました販売協同組合の諸君の御努力もございましたが、これによって第二回の予約の成績があまり芳ばしくないような報告を聞きましたので、特別に商人側の協力を得る必要もあるのではなかろうかというふうに考えまして、せっかく準備を事務当局に命じておる。それが先月の終りごろにそういうあまり芳ばしくないという数字を私は入手いたしましたので、これは今申し上げました通りに、いろいろな農家に思惑もあり、協同組合方面にも思惑があって、集荷の点が十分いかないならば、他の方途も考えなければならないのではなかろうかと考えまして、準備をいたしたということでございまして、目下その準備中でございます。いつからこれを実施するかということについてはまだきまっておりません。所期の目的を達成することができればあえてこの道を選ぶ必要もないのじゃなかろうかということで、まだ最近の数字でございますと、だいぶ先月末に協同組合の方々に馬力をかけていただきまして、三百万石以上の予約もできましたことでございますから、なお今後いつから実施するかということにつきましては、検討を加えた上で、準備だけはいたしておりますが、いよいよ実施はどうするかということは検討の上で腹をきめるつもりでおります。
  123. 小平忠

    ○小平(忠)委員 きわめてその点は重要だと思うのであります。最後のあなたの御庶兄によって、私はどうぞこの点はおやめになられた方がよろしいと思うのです。予約制度そのものは大成果を納めております。非常に農業協同組合も、農民も、農林大臣に協力いたしまして、予期以上の成果を上げております。第二次の予約もすでに三百十万石を突破し、さらに今後二百万石程度の集荷予定なども見通しがつけるという今日の段階であります。このことは二十七年に実施をいたしまして大失敗している。同時にあなたが先ほど冒頭におっしゃられた第二次予約集荷については、予想通りいかなかったということは、これはやはり私は政府に大きな責任があると思う。第一は統制撤廃をするかのごとく報道がなされて、統制撤廃になるならばということもまず考えましょう。それからこれは不可抗力の面において、天候の関係上、収穫期に非常に降雨量が多かったというような面において多分におくれておりましょう。もっと大きな問題は、やはり農家が心配するのは税金問題です。反当収量の面において課税がさかのぼってなされはしないか、むしろそのことよりもこれをやみに流すことの方がいいのではないかというような、政府の方針が具体的に途中で変るというような点があったならば、これはゆゆしき問題であると思うのであります。特に農林省が先般農林省令の第三十三号をもちまして、三十一年八月三十一日まで特別指定集荷業者の指定を行わないという通牒も出された直後であります。そういう際に農林大臣が先般の記者会見において、特別集荷制度をとるような報道をなされることは、非常に予約制度がせっかくうまくいったものが、今後いろいろいわゆる代金の支払い、精算あるいは来年度の予約制度、こういった問題につきまして私は大きな支障が起きてくると思うのであります。農林大臣は、それらの問題につきまして、成績も上りつつあるから、あえてあなたが閣議において、さらに五百万石は集めてみせると言明された、そういう立場でなくて、閣議で言明したおれの面子からやらなければならぬというような意味合いからおっしゃられないで、ほんとうに日本の農業の実態、農村の実態、現在のいわゆる米のいろいろな問題をよく考えられて、私は善処されることを特に希望いたします。
  124. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私は閣議で五百万石集めるということを、ここに閣僚もおられますが、そういうことを言ったことはありません。そういう面子にとらわれて云々ということは絶対にございません。ただここで誤解があるといけませんから、一つこの委員会を通じて申し上げておきたいと思いますことは、税金の問題にしましても、やみで売った方が税金が安い、これを予約したらば税金が高くなるだろうということを懸念される、そういう懸念があるといけませんから、ことしから税の方法も変えまして、先般閣議決定いたしましたようなことにしたのでございます。そうして各町村別によって反当収穫量をきめて、売ったとか売らないとかいうことでなしに、この田は幾らとれたということの認定の上に立って課税をしていくということにきめまして、その認定はだれがするかといえば、その地方の税務官と地方の農業団体の役員との間に話し合いできめる。それがまとまらなければ農林省の調査の統計によるということにきめた。でございますから、予約をしようがしまいが、いかにやみで流そうがそういうことは税をかける上において何も関係がないのだから、どうか政府の方において予約して正常のルートで出すようにしていただきたいということを全国農村に申し出たわけでございます。ところがそういうことを、途中であんなことを言ってもああじゃないだろう、こうじゃないだろうという流言が流布せられまして、そのために農村を迷わす、ないしはまた今お話もございましたが、これは天候がいいとか悪いとかいうことは関係がございません。来年三月までに米を政府に出していただけばいいことでございます。予約をした米が、天候が悪いからおくれておるということは全然ないのでございます。予約は予約でございまして、それを調整して政府に納入するのは来年の三月までに政府に出していただけばいいことでございますから、そういうようなことを勘案いたしましてやりますと、ことしの大豊作であるにもかかわらず、まだ正常のルートに乗る米が少うございまして、御承知の通りやみ価格がむやみと暴落する。非常に困ったことには都会の消費地の非常に高いやみ価格と政府の配給いたしまする価格と、さらにそれを下廻った生産地のやみ価格というように、米の値段が八十円ぐらいから始めて百二、三十円から百四十円ぐらいまである。こういうでたらめな食糧事情、価格であっては困ったことであるというようなこと等々を勘案いたしまして、極力正常のルートに乗せていくべきであるということから、協同組合の諸君の奮起を促しておるのでありまして、それでも目的が達せられなければやむを得ませんから、米屋を使ってでも集めることがいいのじゃないか。非常な決心をいたしていたしませんことには、消費大衆の立場もわれわれは考えなければなりません。でございますから、この点は、特に私は全国の協同組合の役員諸君の一段の御協力をお願いいたしますとともに、政府といたしましても今申しますように、やみで売ろうが、正常のルートに流そうが、税金の上においては全然関係がないということを全国の農民諸君にも知っていただきたいということを、また一つ小平さんあたりも地方へお出かけになりましたらその趣旨を徹底していただきまして、御協力下さいますように特にお願い申し上げる次葉でございます。
  125. 小平忠

    ○小平(忠)委員 約束の時間が参りましたから、最後に一点だけで私の質問を終りたいと思いますが……。
  126. 三浦一雄

    ○三浦委員長 それじゃ一つだけに願います。
  127. 小平忠

    ○小平(忠)委員 最後に、それらの問題と関連しましてきわめて重要な問題は、現在政府が買い入れようとしております予定計画は、本年度二千三百五十万石でございまして、その二千三百五十万石の買い入れによって、食管特別会計の赤字は御承知のように百二十八億という赤字が出る、この赤字も本年度の早場米奨励金やあるいは希望配給あるいは業務用配給等の問題によりましてさらにふえる、そこで、この食管特別会計の赤字を埋めるために、大蔵省は大体来年の四月から消費者価格を値上げするという構想のもとに、一升百二十円くらいにすることが妥当でないかというような案が大蔵省においても着々練られておるということを私は承わったのでありますが、果して事実なりや、食管特別会計の赤字をどう処置していくか、さらに消費者価格を値上げするという問題についてどういうお考えか。私は、担当大臣であります農林大臣、また消費者価格を値上げしなければならぬという、いわゆる日本の財政を動かしている大蔵省の立場から、大蔵大臣はこの問題についてどう考えておるか、この点を最後にお伺いいたしまして、私の質問を終ります。
  128. 河野一郎

    ○河野国務大臣 目下明年度の食管特別会計の予算を編成中でございますが、現在のところ消費者価格に手をつけるということはまだ考えておりません。
  129. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 米価の今後等については、ただいま検討を加えておるわけでありまして、今ここで御説明申し上げる段階にはございません。
  130. 三浦一雄

    ○三浦委員長 井堀繁雄君。
  131. 井堀繁雄

    ○井堀委員 二大政党が実現いたしまして、わが国の議会制度の将来にきわめて意義の深いこと、まことに同慶にたえぬと思うのであります。政党政治は、言うまでもなく、党の性格なり重要な政策を国民の前に明らかにして、これを忠実に実践していきますためにお互いが切磋琢磨しなければならぬこと、申すまでもないと思うのであります。今日のような二大政党が相まみえる国会におきましては、党の政策と政府の遂行されますそれぞれの施策とが食い違うようなことがありましては、今後政党政治にとりましては非常に大きな損失を招くことと思うのでありまして、かような立場から、具体的な事実を四、五点あげまして、関係閣僚の見解をただしたいと思うのであります。時間の都合がありますので、できるだけ要点だけを申し述べますから、御賢察の上、明確な回答をいただこうと思うのであります。  まず、統一されました保守政党として自民党の政綱、政策を拝見いたしますと、従来の保守政党の中で、いつも私どもは残念に思っておりましたが、産業労働に関する政策が全く無視されておったかのようでありましたが、今度の自民党の政策の中にこのことをきわめて明確に打ち出された点は同慶にたえぬところでございます。そこで、党の性格を決定する基本的なものとも思われます政綱の中に、経済の自立繁栄と完全雇用の達成と、大胆に表明されております。さらに、一般政綱の中で、私がお尋ねいたします事実ときわめて関係が深い点をあげてみますと、勤労者の生活の安定と産業平和を高く掲げまして、具体的なものとして、勤労者の税負担の軽減、福祉施設の充実と、実質賃金の向上をあげております。さらに、国際自由労連の方針を支持し、労働運動の政治偏向を改めると規定しております。三には、労使協力体制を確立して産業平和を確保すると規定してあります。さらに、合理的な生産報償、利潤の分配を普及すると規定してあるのです。これは、申すまでもなく自民党の上に成り立っております鳩山内閣でありますから、よもこの国民に公約されました事柄と相反する方向をとる政策はないと思うのでありまして、かような前提に立ちまして、二、三の事実を明らかにして参りたいと思います。  まず、私どもの寒心にたえぬことは、勤労者の最も大きな負担は源泉徴収によってもぎとられております高率な課税であります。今日月給、賃金によって暮しを立てております日本の勤労大衆の一番悩みになるのは、この税の過重であります。もしこの政策を忠実に実行しようとすれば、来たるべき三十一年度の予算の中においてこの問題を具体化されてくるであろうと私は信じております。かような立場から、勤労所得税を軽減されて、国民生活の最も困難な立場にある、しかも日本経済を背負って立っております勤労者のためのこの措置をおとりになることを私は期待いたしますとともに、この点について大蔵大臣の見解を伺って、次の国会でその事実を争いたいと思いますので、重大なことでありますから、一応党と政府の台所を預かります大蔵大臣の見解をまずお伺いしておきたい。
  132. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えいたします。従来から、税制の改正につきまして、直接税がどうしても重い、もう少し間接税を考えていいというような考えを私は持っておるのであります。従来しばしば直接税の減額をやって参ったわけでありますが、しかし、なお今日の税負担は重いのであります。今後税の改正を考える場合におきましては、まず直接税、特に所得税を中心にしますが、勤労者所得については特に考慮を加えていきたいと思っております。なお、今後また税の間の公平を期していくというふうな考え方で取り上げたい、かように考えております。
  133. 三浦一雄

    ○三浦委員長 ちょっと井堀さんに御相談がございますが、外務大臣は特に井堀さんの御質問があるためにおいでを願ったわけでございます。つきましては、はなはだ申しかねますけれども、外務大臣に対する質疑を早目に一つお願いしたいと思うのでございますが……。
  134. 井堀繁雄

    ○井堀委員 委員長の御注意がございましたので、外務大臣に先にお尋ねをいたしたいと思います。実は私の質問からいいますと順を変えることはちょっとまずいと思いますが、それでは率直にお尋ねいたしますが、二つの事柄について明確な御答弁を伺っておきたいと思います。一つは外務大臣として、一つは重要な閣僚の地位を占めております副総理の立場でお答えいただこうと思います。  第一の、外務大臣としての所見をお尋ねいたしたいのは、さきに一度お尋ねをいたしました駐留軍労働と特需関係の労務に従事しております人々に関係したことです。御案内のように、日本の駐留軍関係の労務者の問題についてはいろいろ重大な問題が持ち上っておりますが、とりわけ、新しい党として政策を明らかにしておりますその立場から日本の多くの労働者が連合国の軍隊に労務を提供する、国の政策に協力しております労働者の人権がいやしくもじゅうりんされておるというような事態がありますならば、即刻政府といえどもそれを解消しなければならぬという所信を持っておることは何回も私ども聞いたのでありますが、事実はこれに反して依然としてそのままに放置されておるのであります。それは、一つは占領下に日本の政府が命を受けて役務を提供するに当りまして約束をいたしました日米労務基本契約なるものがございます。この日米労務基本契約というものは占領下において取り結ばれたものでありますが、その後講和発効によって独立いたしました現在、せんだつであなたにお尋ねいたしまして、政府の態度が明確になりました。すなわち、行政協定の中で一番問題となりますのは、基地内における軍の権限と日本の労務者が日本の法規によって完全に保護されるかいなかということでたびたび問題を起しましたが、前回外務大臣並びに副総理の立場から政府の態度を明らかにされまして、それは速記録にも載っておりますが、基地内においても日本の労働三法は適用され、完全に労働者の権利は保護されるであろうということが明らかになりました。なお、その後日本政府が仲介をいたしまして、米軍と労働者の団体であります労働組合との団体交渉の形において労務基本契約の訂正が行われております。この訂正が行われると同時に、これを実施するために付属的な協定が設けられたのであります。この付属協定と改訂とが同時に実行されなければ、基地内に働く労働者は労働保護法の完全な適用が受けられぬのです。ところが、米軍は言を左右いたしまして、その訂正されました労務基本契約あるいはこれに付随いたしますところの協定書というものは今日実行されておらぬのであります。そのために随所に日本の労働者に対して全く治外法権のもとに奴隷的な労働に近い酷使が続けられておるのであります。この問題につきましてはここに幾多の事例がございます。こういうものを放置しておいて、そして起った紛争だけを解決しようとすることは、まことに遺憾だと思うのであります。日本の労働者が向うに役務を提供することは当然でありましょうけれども、その場合に日本の法規が完全に適用されるという政府の見解があるならば、当然その契約に基いて団体交渉を行い、協約を締結して、その協約に基いて役務が合理的に、あるいは完全に利用されるということにならなければならぬ。これが行われていない。このことを外務省はこのままにしておいて、一体日本の労働者の人権が守られるものか、守られぬと思うならばその解決をどうなされるかについて、明確な御答弁をいただきたいと思います。
  135. 重光葵

    ○重光国務大臣 米軍と労務者との関係、それは条約上の規定もありましょうし、また契約そのものによって律せられることと思います。そのことについて意見の差、紛争が起りましたならば、これは外交交渉になって合同委員会で十分に検討いたします。しかし、労働者が直接やった契約内容そのものがおかしいじゃないかという御意見に対しましては、実はその労働協約に直接外務省は介入いたしません。あるいは労働大臣の方でそういうことを注意しておるかと思います。私は実はその契約の内容について詳細を心得ておりません。従いまして、そのことについて不都合なことがあるということであれば、それも私は検討してみましょう。どうか一つそれを御指摘願って、私の方でも十分検討して、労働大臣と協議をして、そのことの不都合でないようにすることに努力いたすことにいたしましょう。
  136. 井堀繁雄

    ○井堀委員 労働大臣は見えませんか。
  137. 三浦一雄

    ○三浦委員長 間もなく参ります。もうしばらくお待ちを願います。
  138. 井堀繁雄

    ○井堀委員 労働大臣が御一緒なら大へん都合がいいと思うのでありますが、私が今あなたにお尋ねしているのは、労務基本契約の内容ではございません。これは御存じないかもしれませんが、日本の労働法によりますと、雇い主と労働者の間に団体交渉をやって労働協約というものが締結されるようになっている。その協約に基いて労働条件がそれぞれ適正に運営されていくわけであります。アメリカの軍といえども、この問題に対しては当然従わなければならぬというのが労働三法の命ずるところです。そこで政府の者も入れて労働協約が結ばれた。しかし、結ばれた協約が実施されない。こういうことは日本の法律においては不当労働行為の疑いがある。この問題は労働省では条約上のことだということでどうにもならないのです。すなわち、行政協定の解釈上に隠れてどうこう言っているのか、あるいは軍というかつての占領軍という優越な地位をかざして日本の国法を全く無視するような態度であるか、この二つに一つなんです。このことはどうしても外務省が日本の国権、独立国としての名誉を貫くために明らかにする義務があるのです。このことをあなたにお尋ねしている。もしそのことがおわかりにならぬとすれば、これはうかつ千万でありますから、至急に労働大臣とお話し合いをされるべきである。私はここでお尋ねするつもりでありますが、労働大臣のところに、労働法の命ずるところによって規定されております中央労働委員会あるいは各地にあります労働委員会の大会の決定で駐留軍の態度に対してあきたらぬものがあるからというので政府の態度を問うて来ておるのでありますが、これにはまだ回答いたしておりません。これは労働大臣が来たらお尋ねいたしますが、参考のために申し上げます。これは十一月十一日に全国の労働委員会の協議会で決定した事柄であります。「駐留軍直用労務者に対する労働法適用について」ということで労働大臣に問い合せをしている。最近米国側は直用労務者に係る不当労働行為事件に対する労働委員会の審査に当り出頭あるいは文書の提出を拒み、また確定命令の履行を拒否し、直用労務者に対しては日本の労働法規が適用されないとするごとき態度を示しつつあるので、駐留軍直用労務者に対するわが国の労働法規の適用の有無につき責任大臣たる労働大臣の見解を文書をもって表明方要望」というのが公文書で出ている。ところが、まだこの回答を出しておらない。このこと自体が、奇怪しごくなんです。こんなばかげたことがあってなるものか。労働委員会の決定で日本の使用者はその法のもとにぴしぴし処分されているのに、連合国であるからということでこれを放置したり、労働委員会の呼び出しに応じない、文書の提出を求めても出さない、こんなことが許されて、そうしてその結果起ってくる労使関係の紛争だけをとらえて調停あっせんするというんじゃない。こういう日本の労働者が全く無視されておることは、依然として占領当時の軍の態度であると言わなければならない。こういう問題に対しては、一刻も早く解決しなければならぬ任務が政府にある。この点に対する政府の所信を伺っておきたい。
  139. 重光葵

    ○重光国務大臣 むろん、駐留軍と労務者の関係が、駐留軍の方で条約関係に越軌の行動がある、こういうことであるならば、これは外交交渉になります。当然やらなければなりません。そこで、合同委員会なんかがそのために設けられてあるのであります。そこに十分持ち出してやらなければなりません。そうしてまた持ち出しておるはずであります。しかし、その一々のどういう事件がどうなっておるかということは私は心得ておりませんから、これはお申し出によって詳しく調査をして御回答申し上げることにします。
  140. 井堀繁雄

    ○井堀委員 駐留軍の労働者の権利がいたずらにじゅうりんされて顧みられない例は枚挙にいとまありません。労働組合が取り上げている不当労働行為で、すでに裁判所の判決を受け、労働委員会の決定を受けたもので、実施されないものが十数件に上っております。こういうものを合同委員会に持ち込んでどうするということでなしに、もう既成の事実でありますから、条約上の解釈という問題ではないとわれわれは思うのでありますから、即刻解決をはかり、それが合同委員会の仕事だとするならば、合同委員会においてその結末を十分お聞き取りになりまして御回答をいただきたい。  それから、ついでですから申し上げておきますが、そういうことをやっておる間に随所に問題が起っております。たとえば、きょう私のところに訴えて参りました福岡県の板付の春日原基地に起った気の毒な問題です。それは十一月二十九日のことでありますが、グレーダーを運転しておりました浜本宝一君という労働者が、作業中にその場所に外人の子供が現われたので、危険なのでその子供を助けようとしてはたいた。そうしたら、子供が逃げようとして倒れた。それを、あべこべに、日本の労働者が外人の子供に暴行を加えたというので警察ざたにした。それをまた警察は無条件で引っぱった。その上何らの権限もない御婦人が、入場したり当然労務者としての基本条件となる。パスを取り上げた。そして、この問題を解決するためには労働委員会に持ち込んだり団体交渉をやったりしなければならない、そういうばかげたことが起きておるのであります。  それから、朝霞の基地におきましては、盗難が頻繁にあったということで、その盗難の場所を通ったという疑いだけでその人はパスを取り上げられて休職中です。あるいは、団体交渉の際にある一人の幹部が相手方から共産党の党員であるという疑いをかけられたために解雇になった。その解雇になった人が労働組合の役員として大会で選任をされた。その役員が適当でないというので、これに対して、駐留軍の方から、個人的な資格において委員長と書記長に、その人を組合が役員からよさせるようにという注意があった。その注意はいい。しかし、これは組合の機関で決定したばかりだから、委員長、書記長の手によって処分ができないから、次の大会まで待ってもらいたい、しかるべき措置をとるからしばらく待ってくれという回答をしたのに対して、その命に服さなかったというのでその人は出勤停止を食った。この問題は私が直接関係しましたが、事実は地労委において明らかになった。その事実を調べるために書類の提出や参考人の出頭を求めても、労働委員会に出てこない。そしてその決定がどうにもならないという事態が発生して、この問題も地労委でたな上げになっておる。  こういったような問題を一々あげておりますと際限がありません。今労働大臣が見えましたが、こういうように日本の労働者が不当な圧迫の前にさらされておるということは、基本的には労使の間を規定いたします労務基本契約が古いままになっておる、団体交渉が合理的に行われない、こういうところにあるわけでありまして、こういう米軍の日本に対する態度は全く横暴きわまる態度でありますので、こういう点は、外務省としては、条約上の正当な実施が行われるために、全部厳重に抗議を申し入れるべきであると思うのであります。  それと関連いたしまして、外務大臣がお急ぎのようでありますから、先に外務大臣にお尋ねいたしますが、次は特需関係の労務者であります。これは昨年も国会でも問題になりましたように、富士自動車でさる七月には三千人の大量首切りが行われた。昨年の六月には千三百名、三月一日には二百名、八月には五百名、これは富士自動車と相模工業の二つの特需工場に起った大量解雇であります。なお今後続々と大量解雇が出てくるであろう。現に相模工業は十月一日に米軍との間に契約が結ばれた。そして十一月二十日にはすでに米軍の方から約九百人の解雇を通達してくるという状態になっております。ここで簡単に申し上げておきたいことは、こういうことはどこから起ってくるかというと、特需関係というのは役務の提供であります。契約の内容は、向うから資材を提供し、向うから作業に対する指揮監督をして、直用労務者と同じ意味における役務の提供をやっておる人入れ稼業であります。設備は日本政府のものを使ったり、あるいはかっての造兵廠――ここの相模工業は元の相模造兵廠でありますが、そういうものを使い、あちらから提供されたものを使う。だから、ただ役務を提供するだけなのです。ところが、そういう契約の内容を見ますと、全く言いなりほうだい。これは契約の仕方に根本的に矛盾があると思うのです。それは、申し上げるまでもなく、さっき申し上げた日本政府さえ手の届かない権力を持っておるアメリカ軍が、日本の競争の熾烈な、しかもどんな無理をしてでも注文を取りたいという日本業者の弱点を押えておる。そういうことで自由契約がどうして行われますか。へんぱな契約に陥ることは必至であります。その契約のしわ寄せが労務者の首切りとなり、労務者の全く犠牲のままに調達を弁ずるというような不都合が行われておるのでありまして、形式的には契約自由の形を取り、雇用は日本の経営者が労働者を雇用して長期雇用、契約は一年更改であります。こういうような状態が放置されて、それから発生してくるところの問題だけをいじったとこるで、どうにもならない。これは契約の根本に誤りがあるのであって、対等の契約をさせなければいけません。そのためには、直接契約というものはもともと無理がある。しかるべき正しい方法によって契約せしめることが当然である。行政協定の精神は決して日本国の犠牲だけをしいるものではありません。これは間接契約かあるいはもっとしかるべき方法があると思う。こういう点に対する条約上の関係、あるいは特需の関係では通産省も関係あると思いますが、とりあえず外務大臣並びに日本政府の態度をお聞きいたしたい。
  141. 重光葵

    ○重光国務大臣 むろん、さようなことがあれば、これは政府としてもないように配慮することが当然であろうと思います。それが労働委員会あたりで話ができますかどうか、またその他の方法をとった方がいいかということもよく考えてみる必要があると思います、さようなことについて、その事件事件についても、外務省にそういう書類が参りましたならば十分に考えて、そういう点を不都合のないようにしたい、こう考えます。
  142. 井堀繁雄

    ○井堀委員 事実につきましては労働省もあるいは調達庁もよく承知しておるはずでありますから、そういう点を十分お聞きになりまして、こういう不法に日本の権利がじゅうりんされたり利益がじゅうりんされておる問題を是正されるように、外務省は積極的な外交交渉なりあるいは条約上の義務の遂行に対する措置を要求されることを希望いたしておきます。  それで、特需と駐留軍労務者の問題については問題が山積しておりますが、労働大臣はまだ就任されて日が浅いので十分実情には通じておられぬと思いますけれども、まあ問題が問題でありますから、大どころをはっきり伺っておきたいと思います。  それは、さっきあなたがおいでになります前に外務省には明らかにされたのでありますけれども、最近駐留軍関係の労働問題というものが全然むちゃくちゃなのです。労働組合の勢力が残念なことですけれども非常に弱体化しておる。またその弱体化のためにアメリカは意識的に動いておるとわれわれ専門家の立場から見られるのであります。軍との関係、強力者と弱体者との関係があまりにはなはだしいものでありますから、こういう点についてはあらかじめ考慮を必要とすると思う。だからこそ、占領中においても労務基本契約を作って、すなわち、雇い主である軍と労務者との間に不合理が行われるから、日本政府がそこに介入して、そういう不正かないようにという、労務基本契約というものを結んだわけであります。その労務基本契約が、日本が独立した後、すなわち講和発効の後に独立国としての体面を維持するための是正が行われた。そうしてそれに付属協定まで作られた。ところが、その付属協定なりあるいはまた是正された協約というものがまだ今日その効力を発効していない。またそのことをあちら側は希望しないわけです。ここに紛争の原因があるわけであります。で、この前読み上げましたけれども、あなたの手元に労働委員会の全国協議会の決定事項として書面が行っておることは御存じでありますか。
  143. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ただいまの駐留軍労務者のことでございますが、これは御承知のように、何と申しますか、行政協定による今お話の労務基本契約、あれにも指示してあります通りに、いわゆる労働三法は守らなければならないということになっております。ところが、お話のようにしばしば問題が起きておることを私どもよく承知をいたしております。これは、井堀さんの御指摘の一般間接雇用の方の労務者は、その法律問題について、今まで米軍と政府側との間にいろいろな話し合いをつけまして、大体うまくいっておるようでありますが、直接雇用の方で、たとえば簡単なサービスをするようなもの、PXといったような直接サービスをする側については、とかくいろいろな労使の問題があるようでありまして、これもしばしば報告を受けております。ただいまお読みになりました委員会の要望書というものは、私はまだ拝見いたしておりませんけれども、その点については、政府といたしましては、それだけの問題について両者で委員会を開きまして、何とかしてもう少し当方の法律を遵奉してもらうということについての相談をしようということで、ただいまやっております。
  144. 井堀繁雄

    ○井堀委員 次に、前後して恐縮ですが、経企長官に一つお尋ねいたしたいと思います。  冒頭に申し上げましたように、政党政治のあり方としては、政策の上に立って論戦を進めていくということが今後の正しい行き方になると思います。そういう意味で、次の国会で当然問題になるので今日明らかにしておきたいと思うのですが、新しい党の政策の中で完全雇用を大胆に取り上げられたことは、私は非常にけっこううだと思う。わが党でも完全雇用についてはちゅうちょいたしております。ましてや、社会主義を否定され、資本主義を首肯される政党が完全雇用を掲げるからには、相当の熱意を持って経済政策を断行されると思うのであります。これは一挙にやれないでも徐々にそういう方向をたどると思いますが、そこで、来年度の予算が見ものだと思う。これは大蔵大臣にも尋ねたいと思いますが、経企長官にお尋ねしたいと思いますのは、この政策が具体的に出てくるか出てこないかであります。その具体的に出てこなければならぬ問題の中には、労働者の労働条件、あるいはさっき実質賃金の問題にもちょっと触れましたが、ことに従来労働政策といえば何か労働者のトラブルだけを解決するもののように狭くとりがちであります。しかし、今日の日本経済というものは、労働問題を度外視して、特に労働の再生産性を度外視してはあり得ないと思う。それは、言うまでもなく客観的な諸条件というものが非常に悪い。国際的な経済関係の中にあっても非常に不利益な状態です。そこに加速度的に増大しております人口の問題がある。資材は限られておる。あるいは国際的な力の、バランスから言っても非常に低い地位にある。この場合に国際場裏に日本が優位な地位を占めていこうとすれば、それにはどうしても勤労大衆の英知と創意工夫に訴えて、世界に競争のできる新しいもの、あるいは優秀な品物を作って世界市場に臨むということ以外にないと思う。こういう意味において、日本の労働者の生活の保障、その地位の向上、そうしてその自由を保護していくということは、単なる狭い意味の労働政策ではなくて、日本の産業政策の基本的なことであると思うが、こういうものを、日本経済の総合的なものの中で一体どのようにお考えになり、取り入れようとしておるか。そして、それがこの際予算の上に具体化されることを私は期待をしておるわけですが、この点について経企長官の見解を伺いたいと思います。
  145. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいま御質問の御趣旨等につきましては、私は全く同感でございまして、新党の経済政策にもうたっております通り、現在の為替といいましょうか、通貨の安定を持続しつつ経済自立をし、完全雇用をするということが目的でありまして、政府におきましても、経済六カ年計画においてそれをうたってやっておるわけであります。その基本的な考え方といたしましては、やはりどこまでも労働する勤労者自身の意欲をもっと向上すること、意欲を向上するためにはその生活を安定せしめなければならない、その収入も同時にふやしていくという方針でいかなければならない、こういうふうなことを基礎といたしまして政府の経済政策を立案いたしておる次第であります。
  146. 井堀繁雄

    ○井堀委員 大体その程度以上は何でしょうが、ただ一つ明らかにしておきたいと思いますが、これは私の見解であります。今日保守党の他の政策を見て比べますと、完全雇用というのはちょっと脱線ではないかと思う。理想として掲げることはけっこうですが、その理想にしても、全く食い違った理想は意味がない。木によって魚を求めるようなやり方は理想とはならぬわけであります。やはり社会主義を否定し資本主義の経済政策というものを遂行していこうとするためには、産業予備軍という言い方はよくないのでありますが、どうしてもある程度の労働に対する予備というものを設けていくところに従来の経済政策のカテゴリーがあるわけです。最近公益資本主義といったような議論もアメリカのニュー・ディールの政策の中などには見られますが、この中でもやはり失業は予定しております。完全雇用ということは一向できない。でありますから、完全雇用を指向すると失業対策というものはお留守になる。私は、資本主義政党、保守政党としては、完全雇用というスローガンはむしろ誤まりであって、当然産業予備軍が必要なんだ、そうすれば、失業対策というものを大胆に打ち出していくということが保守党の政策と調和してくるのではないかと思う。この点の見解はいかがですか。その見解が正しいというならば、またその見方もあると思います。私どもにも今後の戦い方があると思いますが、この見解を一つあなたに伺っておきたいと思います。
  147. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お答え申し上げます。長期計画を立てますにおきましては、完全雇用ということはどうしても目的として立てなければならぬ問題であります。もっとも、完全雇用とはいかなる趣旨だということになりますと、これは、資本主義経済のもとにおきましては、労働しておるところの労働稼働率のあるいは二%あるいは三%ということをうたっておりますが、これは一%に私どもはとめておるのであります。一%は完全失業と申しますけれども、実際の労働力を運転していきます上においては当然起るものだと思っておりまして、一%程度の完全失業者の数字は、これは完全雇用と認めまして、この数字を容認しておるわけなんでございます。
  148. 井堀繁雄

    ○井堀委員 完全雇用という言葉にはこだわらぬことにいたしますが、希望いたしておきたいことは、完全雇用などということで国民をだまして失業対策がお留守になるようなことにならぬように、これが大事なんです。保守党の労働政策というものは失業対策に最も忠実で積極的であるということが建前であると思う。こういう意味で迷いましたのでお尋ねをいたしたわけであります。これは党に伺うのがほんとうかもしれません。しかし、総合経済計画を責任を持っていろいろ検討されておる立場の大臣としては、この点は大事だと思います。  そこで、通産大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、飛び飛びになって何でありますが、特需関系のことでございます。  特需の問題は、契約上の問題については外務省、またその契約について疑義があったり、もつれたりする場合には日米合同委員会、調達に関する関係では労働省の所管になり、調達庁がこれに関係してくる。それから、特需産業も民間企業の形でやっておりますから、この関係は通産省の所管だということで、窓口があっちこっちになっておりまして、一向にらちがあかないというのが、今までこの問題の処理に当った人々の苦心を要する点であります。また国会でこういう問題について政府の責任を明らかにすることもできないので、そこで去る国会で特需対策のためのそういう窓口を一本にしろということの要求をしたのに対して、官房長官は、政府のそういう政治折衝の窓口に当る各省の事務的な処理については、審議室の筆頭事務官をこれに当てて、この能率化をはかり、さらに問題解決のための結論を出すということをお約束しておるわけであります。こういう点に対してはどなたから回答していただいたらよいのでしょうか。  同時に、通産大臣にこの問題についてお尋ねいたしたいのは、この特需関係はいずれの工場でも同じでありますが、大体資産は持っておりません。持っていないという言い方は何でありますが、一般の企業と違っておる。大体、国有財産を提供したり、あるいは設備を借りたり、あるいは軍の方から、提供される資材あるいは品物に加工、修理を加えるというような仕事で、いわば人入れ稼業のような彩になっておる。そういうような実態でありますが、この特需が日本経済に重大な役割を果したのです。かつて朝鮮動乱を中心として日本経済が全く破綻一歩手前にあったときに、国際収支の赤字を埋めて十五億の黒字にまで持ってきたのは、特需の収入であることは歴然たる事実であります。こういうように、日本経済の危機を救ったいわば恩人なんです。それが今野たれ死にをするというような状態で、しかもそれが労働者の首切り、失業によってまかなわれなければならないということは、まことに残念なことであります。こういうものに対して、通産行政の中でしかるべくこれを処理しなければならぬ分がたくさんあると思います。こういうものに対する通産大臣の具体的な方針がおありでありますならば、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
  149. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 特需の関係は御承知のようにむずかしくて、大体この間の富士自動車とか、今度の相模工業とかいうような、極端に言えば人だけを提供しておるやり方と、それから実際の品物の注文を受けた例の砲弾その他のものもありますが、今両方とも問題になっておりますが、特に井堀君が問題にされておるのは相模工場だと思います。これは土地も機械もないのであります。それで、注文も六千人とか何千人とかいうような注文で、従って、向う側から六千人の分量の必要はないと考えればそれを減らしていくというような契約になっておりますから、不安なものであって、従って、日本側としては、もしその注文が減れば何かほかのものに転換をするという以外に労務者を転換する対策はないのであります。ところが、土地もなければ機械もないというようなありさまでありますから、すぐにそれを平和産業に転換するということも困難であるのであります。どうしても全体としての雇用量をふやして、そこからはみ出された連中のジョッブを作るという以外に道はないのであります。ただ、現在は、アメリカ側だけで勝手にそういうふうに急に減らされたりしては困りますから、これは、今そういう会議を開いて、こちらからも案を作って、アメリカ側にはできるだけ雇用量の急激な変化がないように申し入れております。今交渉中でありますが、その交渉の結果によっては、さっきのお話のように間接受注というような方策も立てなければならぬかということで、ただいま検討しているし、向うとも折衝しております。それでも結局減ってくることはやむを得ざる趨勢なんですから、減ってくることに対しては別段に直接それをどうするという名案はないんです。どうしても全体の雇用量をふやしていって、さっきの完全雇用の問題に入る以外にないんじゃないかと思います。
  150. 井堀繁雄

    ○井堀委員 通産大臣にもう一つこれらの問題について、ちょっと具体的になりますが……。あなたの御答弁のように、特需の先細りは運命かもしれぬ。そこでそれを漠然と完全雇用に導くなんて話は夢なんです。すぐ解決しなければならぬ。すぐ解決のために、私は何も特別に経営者という考え方をしなくてもいいんじゃないかと思う。設備もありますから、そういうものを利用して、必ずしも特需じゃなくても、他の産業に転ずるということを、経営者だけに期待しないで、そこの従業員の間で合理的な組織を持つなり、あるいは具体的な方針がなり立てば、国有財産を提供せしめて、あるいは営利社団でもけっこうだし、あるいはあなたのおっしゃるような中小企業者の協同組合、企業組合というような組織でもいいと思う。そういうもので何か根拠ができれば、政府としては資金の援助とか、受注その他の指導とか、公共財産を提供するとか、そういう点について何かお考えはございませんか。
  151. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 お答えします。お話のようなうまい組織ができれば、それは十分考慮するつもりでおります。ただ、ただいまのところあれは接収地ですし、中の機械は日本側の国有財産もあるけれども、アメリカ側のものもあるというようなことで、経理上そのほかの関係でめんどうがある。この前の富士自動車もそうですが、そのままほかの仕事を持ち込むのが困難な事情がありますので、実はそれで困っているんです。あれをそのまま日本側が勝手に使えるならば何か考えようもあるのですが、その点もアメリカ側と十分折衝するつもりですけれども、すぐに手を打つことには支障が非常に多いのでございます。
  152. 井堀繁雄

    ○井堀委員 特需の問題は政府でも積極的な手を打たれるという御回答でございますので、せっかく御努力を期待しておく次第であります。こういう失業者は、いわば国策に協力してきた特殊の産業に従事していたのでありますから、やはり特殊な対策がとられるべきものだと思います。そういう点に具体的な方針が最もすみやかに実現することを期待して、この点は質問を打ち切ります。  次に、法務大臣と労働大臣にお尋ねをいたしますが、賃金未払いの事件がかなり深刻な問題になって出てきておるのであります。最も最近の資料を見ますと、八月分の賃金未払い件数が八千百七十五件に及んでいる。金額は二十三億七千万円。その被害を受けた労働者の数は十三万四千二百六十人。これは基準監督署から労働省に報告されたものである。これは申告に基くものであります。これは労働基準法の違反の疑いがある。疑いどころではない。当然違反なんです。そういう件数だけでありますけれども、実際はこれのどれだけの倍率になるかはわかりませんが、見えないものがたくさんあると思う。このことは私は保守政党としては重大な問題として考えておかなければいかぬと思う。労働者が労務を提供して、そのかてで生活をしようとする最後のとたんに賃金がもらえなくなったといったら、秩序が破壇されてしまいます。資本主義秩序というものは、こういうところからくすれてくる。この問題は非常に重大な事柄であります。従って今日労働基準監督署が必死になってこの問題の解消に努力されておるという点に敬意を表しておるのであります。しかし限られた行政官吏でこういう問題は解決できるものではありません。その根本的な対策ももちろん大切でありますが、しかし私はここで法務大臣にお尋ねいたしたいのは、その賃金不払い事件をめぐりまして、賃金債権というものが蹂躙されておる。これは重大な事柄です。一例をあげますと、その雇い主は賃金不払いを起すようなときでありますから、いずれ経済不如意だ、八方に借金をしておる、税金もたまっておる。そこで税の滞納あるいは他の債権者によって財産が差し押え処分を受けた。当然その財産の中には労働者の協力によって作り上げた財産があるわけでありますが、賃金は通貨によって支払えという法律の命令があります。でありますから、財物が目の前にあっても、通貨にかわらなければ労働者に支払うことができない、こういう関係から、むざむざと第三者である債権者に持っていかれた。あるいは私は税の性質については議論があると思いますが、公租公課、税金や社会保険やその他の地方税がこれに優先して、賃金未払いに先立って、差し押えにして持っていく、こういう事実がひんぱんに起ってきておる。これはやはり法治国としては、特に治安行政の中でも一番やかましいこういう労働者の生活の最後の段階を守ってあげるという立場の法務大臣としては、私はこういう問題は軽視しちゃいかぬと思う。この債権確保に対してどういう処置かをとらなければならぬと思いますが、この点に対して所管大臣の見解を承りたいと思います。
  153. 牧野良三

    ○牧野国務大臣 ただいまの案件につきましては、従来どういう取扱いをしておりましたか、それらのこととも関連いたしますから、政府委員から一応答弁をして、しかる後に私からお答え申し上げます。
  154. 村上朝一

    ○村上説明員 雇い主が債権者から財産の差し押えを受けました際に、雇い人の給料債権は実体法の面におきましては順位が高い。優先弁済権でありますところの先取特権が与えられております。民法、並びに雇い主が株式会社であります場合には、商法におきまして先取特権による保護が与えられておるわけであります。債権者が差し押えました財産を換価して、配当の段階に入りますと、優先権のある雇い人の債権につきましては、優先的に配当を受けられるわけであります。ただ未払い賃金債権につきましても、これを強制的に取り立てますためには、債務名義が必要になる建前になっておるのでありますが、この点につきまして従来一部には、労働基準監督署の証明があれば、それを債務名義として効力を認めたらどうかというような御意見もあったのであります。そういうことになりますと、司法権の行使を行政機関が行うということになりますので穏当を欠くんじゃないか、かように考えている次第であります。
  155. 井堀繁雄

    ○井堀委員 今お聞きのように、きわめてはっきりいたしました。基準監督署の未払い賃金に対する監督上の立場は行政上の立場で、しかし実質は私が説明した通りです。法律からいうと、先取り権の順位は税金が優先するわけです。あるいは担保権を設定したらそれが優先する。ところが事実はその労働の協力によって生産された物なんです。通貨になっていない、品物になっているというだけなんです。それを横へ持っていくというのが現在の法律なんです。だから法律を新しく作るか、あるいは今言う基準法で、賃金というものは期日をきめて、一カ月に一回以上通貨をもって本人に渡せという法律が一方にあっても、他の法律のためにこれがじゅうりんされるというのはどういうことか、こういう問題を解決するためには、賃金債権保護のための立法措置を講ずることが必要になってくる。この点に対する法務大臣の見解を承わりたい。
  156. 牧野良三

    ○牧野国務大臣 御質疑の内容はよくわかりました。やはり司法権の中へ行政権が入るようなことになりますから、お説のようにどうしてもこれは立法措置。そしてこんな事例は法務当局もあまり知らない。だから新しい事例であるこういうものは、おっしゃる通り非常に重大で、ほうっておくわけにはいかない。だからあらためてもう一ぺんよく法務委員会その他においても、資料をいただいて、そして善後措置としてどういう手をとったらいいか、行政的にはどの点まで働けるかということを考えまして、場合によっては立法措置ですね。よく考えます。
  157. 井堀繁雄

    ○井堀委員 ぜひすみやかに立法措置を講ぜられまして、不当に権利が犯されております者を保護されるように要望いたしておきます。  それからもう一つあなたにお尋ねしなければならないことは、先ほど駐留軍労務の問題でお話いたしましたが、これは条約上の問題があるし、さらに法律上の関係がいろいろありますけれども、こういう問題が裁判所に持ち込まれてきて、労働委員会で決定したものが裁判所に持ち込まれて覆されたり、あるいはまたそれが確認されたり、いろいろなケースがあるわけです。そういう問題の一つ一つをここであげるわけには行きません。そこで今の未払い賃金に対するそれぞれの処置のように、やはり労働法というものは新しいケースですから、古い法律概念では律しかねる問題がたくさんあると思うのです。ところがこう言っては失礼ですけれども、おおむね今日の法律のエキスパートということになると、やはり古い法律ケースの中で切瑳琢磨せられた、りっぱな専門家ではあるけれども、やはり新しい時代にはなかなかなじみがたい。特に法律のように、政治と違いますから、やはり固定した姿でなければ法律は守っていけぬという本質上の問題もあると思います。そういうものとこういう生きた問題とのかみ合せは非常に無理が出てきていると思う。こういうような問題をどう操作していくか、やはり時代の移り変り、要するに封建的な時代から民主主義時代に一ぺんに来たのだから、そういう間の操作をどうするかという問題、今のような問題がたくさん出てくると思う。そういう問題に対する適切な処置を講ずべきではないか、こういうものに対して何かお考えになったことがあるでしょうか。ないとすればお考えになってはどうかと思うのです。この点に対して……。
  158. 牧野良三

    ○牧野国務大臣 実は井堀さん、そういうものを包括的に法務行政で処理ができるというふうに、法務行政をやり直さなければいかぬということを、ただいま局長全部を寄せて相談していたところです。そういう事例を豊富に出して下さい。そうしてそれが推進できる法務行政が作り上るように、新しい国会で持っていきたいと思いますから、どうか御協力いただきたい。
  159. 井堀繁雄

    ○井堀委員 まことに明確な御答弁をいただきまして、満足でございます。ぜひ一つ新しい時代に移り変る過渡的な姿というものを、特に私は法務省のようなところには特別な御留意が必要だと思います。われわれの資料もどんどん提供いたします。御協力申し上げたい。一日も早く具体的な処置がとられることを要望いたしておきます。  次に時間の関係もございまして、労働関係は非常にたくさんのものがございますが、きょう労働大臣にお尋ねいたしたいと思いますのは、全体に関係ができてくると思いますが、特に昭和三十一年度の予算が間もなく通常国会に上程されてくると思います。出てしまったものを直すということは実際上効果の薄いことだ。むだな努力が多いと思う。その前に注文申し上げておきたい。きょう大蔵大臣と二人そろったところで御注文申し上げる予定でお願いしておきましたけれども、大蔵大臣がおりませんので、残念ですが、しかし政治力盛んな倉石労働大臣のことですから、大蔵大臣を説得される十分な自信があると思う。それはとかく保守党のもとにおいては、労働行政、特に労働省というものがややもすれば軽んぜられたり、あるいは予算の軽減あるいは人事その他に対して冷淡だという、言葉は少し過ぎるかもしれませんが、非常に軽視した傾きが予算の数字の上に従来たびたび見受けられるのであります。ところが先ほど来私が幾多の事実問題でお尋ねいたしましたように、今日ほど私は労働行政に力を入れなければならない問題の山積しているときはないと思うのであります。それでいろいろ注文いたしたいのでありますが、あなたはすでに労働行政に対する抱負を語っておいでになります。それを「日経連タイムス」という日経連の出しております機関紙で拝見をいたしましたが、それによりますと、かなり広範にわたる御抱負を述べておいでになる。その抱負のすべてが実行されるということはもちろん困難でありましょうけれども、その一つでもぜひ実行してもらいたいと思う問題があるわけであります。それは、一つは労使関係について、従来政府の態度というものは片寄った見方をしているように私は思う。それは雇い主と労働者の立場を対等にするために、労働者の団結権あるいは団体行動あるいは団体協約などについて、法律が手厚い保護を加え、またそのためにサービス省としての労働省の役割があるわけであります。それがややともすると、保守党の場合は、何か経営者側の立場をとらなければならぬかのような感じを与えるような動きが見受けられるのであります。これは私は大へんな誤まりだと思うのであります。むしろ保守政党が政権を担当したときには、労働行政については特段の力を入れなければならない。社会党が政権をとったときには、私は労働省というようなものが少々なまけておっても、組織労働者の協力がありますから、これはまあまあということになると思うのでありますが、こういう点では、倉石さんはやはり二大政党になりましたこの際において、正しく一つ労働行政に取り組んでもらいたい。保守党の立場でけっこうです。そういう意味で、あなたの党では何か労働組合の政治的偏向を是正するという政策を掲げておいでになる。労働組合ももちろん民主的なあり方を要望されることは当然であります。労働組合もまた公共のためにそれぞれの義務を負わなければなりません。労働者の個々的な利益を満たすとともに公的な性格もあるわけですから、その点に対するいろいろな批判や注意を受けることはよいと思うのであります。しかしここで政治偏向という問題については、一応私はあなたの出発に当って、この場所で明らかにしておいてもらいたいのです。党の見解は、日本の労働組合の大きい政治偏向を認めて、これを是正しようといっておられる。あなたも党人でありますから、党の方針をもちろんとられると思うのです。その場合に、あなたは労働組合の政治偏向とはいかなるものを意味するか、この点を伺っておくことが大切だと思いましたので、この点についてお答え願いたい。
  160. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 第三次鳩山内閣が労働政策について冷淡であるというふうなことは毛頭ございません。非常に力を入れおります。ことに自由民主党の方でも、この問題については非常な重点を置いて熱心に今研究をしておる最中であります。私の抱負を日経連の記事でごらん下さったそうでありますが、私は労働組合の政治的偏向といったような、労働組合を批評するようなことはまだ申しておりませんが、自由民主党の方でそういうことを政調会で出したもので書いておるのは見ました。どういう趣旨でそういうことを言われておるのか、私もまだよくは聞いておりませんが、少くとも私ども全般的なものの考え方としては、労働組合というものは一もうその方の大家である井堀さんは、私どもと労働委員会でしばしばお話し合っておった通りに、およそ労働組合の運動というものは、労働組合員の生活向上、すなわち経済的な問題について一番力を入れていくべきが本筋だ、私どもはそういうふうに考えておるのであります。そこで自分たちの要求を貫徹していくには、個々の争議形態なんかとらないで、一思いに内閣をつぶして、自分たちの力による政府を樹立する方が楽だというふうな気短かな考えをもってそれに移行されるというふうなことを考える者もあるかもしれませんが、それはかえって労働組合員自体の利益にならないではないか。私どもは結局いかなる政党を支持しようとも、これは個人の自由でありますから、そのことは労働組合員であるとないとにかかわらず、私ども基本的な権利でありますけれども、少くとも労働組合のあり方というものは、私どもは今申し上げたようなのが本筋だと思う。しかるに全然そういうことでなくて、いわゆる政治的偏向といったようなことに、政治的なねらいばかりで闘争されるというふうなことは労働組合のあり方としては正しくないのだ、こういう見方をいたしておるのが自由民主党の政調会でいたしておるものの考え方であります。私どももそれが正しい見解だと思っております。
  161. 井堀繁雄

    ○井堀委員 私がこのことをお尋ねいたしましたのは、今後の労働行政全体に非常に大きな影響があるからお尋ねをしたのです。今の御答弁では、私はまあ言質をとってどうこう申し上げることは適当でありませんが、訂正をしていただきたいと思うのであります。労働組合が労働者の政治勢力を伸張していくということは重大な職分の一つであります。特に民主主義の時代にあって労働組合が政治的な問題から遊離されるということは許されぬ。それが直ちに政治権力奪取のための権力闘争に、労働組合運動が巻き込まれるということが政治偏向です。労働組合が正しい政治的な要求を掲げて政治活動を起すことは、労働者の当然の任務であります。そのためにこそ、二大政党の場合においては、保守党が労働行政に力を入れる。すなわち個々の労働者に関係のある政治問題を、親切にしかも労働者の利益のために戦う政党のために、労働組合がこれを支持しあるいは支持を取り消すというようなことはあり得ると思うのであります。しかし残念なことには、日本の現状にありましては、労働組合はいずれも社会党にオール支持をしておる。そのうちに保守党も労働政策を高く掲げておりますから、それが具体化し実施されてきますと、労働組合の中からも自民党でなければならぬという労働組合も生まれるかもしれない。しかしそれは現実に労働者のために利益を提供する政策が取り上げられなければならぬのであります。そういう意味で、何もイギリスの保守党をまねする必要はありません。そういう点では、私はただ保守党と革新党の対立の問題はイデオロギーの対立だけではない、特に労働問題の中には現実の場において協力する舞台がたくさんあると思う。こういう点について旗を改めていくべきだと思うので、ちょっと試みに具体的なことをお尋ねしたわけであります。特にあなたの政党では、その政策は一般政策の中で、「勤労者の生活安定と産業平和の確立をはかる。」という項で三つ並べてあります。1、2、3、とあるその2の中に、「国際自由労連の方針を支持し、労働運動の政治的偏向を矯め、その健全な発達を促進する。」とこう書いてある。私はこれを批判をするわけじゃありませんよ。これは御自由でございます。ですけれども、労働行政を直接担当して一線に立つ労働大臣が、もしこの政治的偏向というものが、あなたが先に述べられたように、労働組合運動が政治権力奪取のための権力闘争にいきなり変っていくということは、明らかに政治的偏向であるが、これをさすのであればいいのです。しかし労働組合はあくまで経済闘争ばかりに終始すべきものである、政治に無関心であれということはあり得ないのでありまして、こういう意味でのけじめをはっきりしてもらって、健全な労働組合のあり方に対して労働省に正しくものを見てもらう。どうもとかく最近労働省の傾向というものは、労働組合の正しいあり方をつかみそこなっておるという点を幾つも知っております。こういう点で一つ十分御注意いただいて、部下の御指導をいただくのでなければいかぬ。国際自由労連を指向するということはどういう意味かわかりませんが、まあそういうことにいたしまして、大蔵大臣が見えましたから結論をつけたいと思います。さっきも倉石さんは、今度の政党は労働政策に対しては積極的な態度を表明しているということを申された。全くその通りであります。従来保守党の性格あるいはその方針を決定する重要な政策の中には、労働政策はほとんどなかった。今度は重要なところで取り上げた、こういう取り上げ方はあくまでも抽象論ではいけません。看板に掲げる以上は行動の上で明らかにしなければならぬ。勝負はこれからきまる。どうぞ労働組合をあなたの味方に引きつけるような大胆な実行力のあるものを求めたい。そこでわれわれは切磋琢磨してわれわれももっと勉強して向くようにやります。  そこでお伺いいたしたいのは、これは今倉石さんが言われたことを私は言葉じりをとるのじゃありません。実を得たいと思う。勤労所得税を軽減するとかいうことはすぐ出てくる。失業対策のためにどれだけ予算を割愛するとか、たとえば、今〇・二五の手当を増額せよという人事院の勧告がある。それを大蔵省は四の五の言うて、その結果は出す、こういうやり方で産業平和を確保するという労使関係のあり方というものは、これはあなたの方が無理です。最初から苦しいにきまっておる。人事院の勧告というものは私が申し上げるまでもありません。公務員の罷業権、団体行動権というものを制約したかわりに、人事院という公正な立場において民間の団結権、罷業権を持っている労働者と、労働条件あるいは待遇の上で差異が起らないように、適切な道を講ずることというのが法の建前であります。そういう勧告が行われたら、その勧告を実施するために――これは七月に行われている、だめですよ。大蔵大臣はこういう点について、やはり出すものならすぱっと出す。それは苦しいでしょう。こういう態度が産業平和を指向する労働政策を掲げる政府の態度でなければならぬ。最初から出さぬつもりだったら、これは別です。こういうことになると問題は明らかになってくるのでありまして、ぜひ三十一年度の予算については、労働行政の中に今後最も大きな問題で出てくるでありましょう失業対策のための費用、あるいは倉石さんから中小企業の労働対策について非常に御熱心な主張がありましたが、私どもは非常に重大なことだと思う。さっき未払い賃金の問題を例にとりましたが、この未払い賃金の統計を見て、私はまことに重大であると思いまする一節がございます。それは未払い賃金を起しておりまする事業場の規模別の傾向であります。これは参考のために申し上げておきますが、三百人以上の事業場においては、ほとんど未払い賃金がございません。ごく特殊のケースであります。全体を一〇〇と見まして一・六%にすぎぬのであります。そしてそれぞれ事情が明らかです。ところが常時百人以下の従業員を雇用している職場にありましては九五%、十人以下の零細事業場にありましては五九・五%という比重が出ておる。でありますから賃金未払いを起しておるようなところは、大体中小企業のうちでも零細企業に近いところであります。こういう状態が今現出しておるのでありますから、こういう問題に対してすみやかな措置を講じなければ法の保護を受けられぬような状態で、中小企業、零細企業のもとに働いております労働者が不幸な状態になるわけです。こういう問題に対する処置としては、倉石労働大臣の抱負は新聞で伺ったのでありますが、こういうものに対して積極的な指導行政をおやりになろうというのでありまして、しごくけっこうです。指導でけっこうであります。何も立ち入って役人が干渉する必要はありませんが、指導行政をやるためには、こういうところに惜しみもなく予算を出すべきです。特に中小企業、零細企業場におきましては、大きい工場やあるいは公務員のような福利施設や、あるいは厚生的ないろいろな費用というものはほとんどございません。こういうものに対しては総合的な組織を与えて、その組織を通して立ち上れるように保護を加えるとかいったような、労務行政の中における調整が必要であります。そういうものに対する予算は大胆に見てこなければ、私は民自党のいう労働行政などというものはおそらく看板倒れということになるだろうと思うのであります。こういう意味で、大蔵大臣は中小企業、零細企業場における労働者の保護のために予算について十分考慮するお考えがあるかどうか、一つその決意を伺って、次の通常国会ではその答弁のいかんによって、われわれの争いの仕方が違ってくると思います。この所見を大蔵大臣と労働大臣に伺ってみたいと思います。
  162. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 中小企業の問題ですが、特に中小企業と雇用あるいは賃金ということが今述べられておりますが、私の見るところも、その職を求める人のしわが、今日日本の経済で大体農村と中小企業に来ておる。農村の方は、御承知のように、消費水準もよくなって所得がふえ、大体今のところ私は問題なくいっておると思っておりますが、中小企業にやはり雇用関係でしわが寄り過ぎているということは、私も全く同感であります。従って中小企業に対する対策というのは、今後政府としても十分考えていかなければならぬ。しかしこれは単に予算額をふやすということで解決する問題ではありません。根本的に中小企業のあり方、あるいは私は中小企業自体にマーケットを与える、どうすればマーケットを与えることができるか、こういうことが私の考え方の一番の基本になっておるのですが、そういうふうな各般の中小企業対策を考えまして、さらに予算面について、あるいはまた金融面、特にまたこの年末においては中小企業について特別な配慮を加えていこう、中小企業金融の融資額も相当ふやしてあげよう、かように考えておるわけであります。
  163. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 中小企業の問題については、今大蔵大臣が申し上げた通りでございますが、私どもの立場といたしましては、これはもう井堀さん一番専門家でよく御存じでございますが、先ほどお読みになりました賃金不払いの問題なども主として中小企業であります。私ども労働基準を監督しておる立場から、ごく悪質のものは送検するようにいたしておりますが、なるべく相談所みたいなところで不払いについて、そういうことのないように指導をいたしております。従って来年度の予算においても、中小企業の相談所というものを増設する要求を出そうと思っておるようなわけであります。  それからこれによって生ずる失業者の問題でございます。失業問題については、きょう時間がございませんから、一ぺんまたゆっくり御相談をいただきたいと思っておりますが、来年度の予算には失業対策のきわめて経済効果の上るものの方に重点を置いていこうということで、そういう方面の予算の要求をいたしております。協力を得てこの予算がぜひ通過できるように私はお願いしたいと思っております。
  164. 井堀繁雄

    ○井堀委員 欧米局長が見えておられますので、ちょっと欧米局長にお尋ねいたします。さっき外務大臣との間に質疑応答を重ねまして明らかになったのですが、それは駐留軍労務者の労使関係を規定いたしまする基本的なものとして労務基本契約がある。独立発効後に一部是正をいたしまして、それからこれに付属協定の話し合いがある程度まとまって、今日まだ実行されていない。これは当然私は米側の責任に帰属すると思うのです。こういう問題が事務的にどう運ばれておるか、それを一つ伺いたい。
  165. 千葉皓

    ○千葉政府委員 ただいま労務基本契約の改訂のことについて御質問がございました。労務基本契約に、御存じのように、前のものを改正しまして、新しい契約を結ぶことになっておりますが、今日まだ実行されるに至ってない実情であります。その実行を促進すべく合同委員会の中の小委員会におきまして、目下米側といろいろと検討を進めております。合同委員会に出ております日本側の代表としましては、できるだけこれを促進したいと努力しておるわけでございます。
  166. 井堀繁雄

    ○井堀委員 努力してみたところで、これは問題が次から次に起きておりますから、早く解決しなければいけません。日本側の委員がだらしがなければ問題は次から次に発生してきて、しまいにはだれが責任をとるか。いずれも労働者ばかりに責任を負わせるといっても限度があります。こういうことで労働組合が立ち上ってきたときに、その労働組合のやり方が適当でないということは、法律的に始末はできても、政治的には責任は政府にあるわけであります。あなたは基本契約が成立したのはいつだと思います。二十七年の四月でしょう、独立したのは……。そして二十八年十月にはもう基本契約の交渉は終っておる。二十八年十月からもうどれくらいになりますか。そんなばかげたことはないですよ。そんなことをやられたら、そのうちに駐留軍がなくなるまで引っぱっておかれる、そんな合同委員会なんかやめたらいい。  それからもう一つ問題がある。それは特需労働の関係でありますが、特需契約については、直接契約、間接契約の問題は従来経験している。さっき大臣の答弁で政府の態度は明らかなように、やはりこの契約を改訂せねばいかぬだろうと言っている。私も間接契約にするより仕方がないと思っております。こういう問題に対して、一体合同委員会はどのように取り上げられてどうなっているか、この点を承わりたい。
  167. 千葉皓

    ○千葉政府委員 契約を直接契約にするか間接契約にするかという問題は、まだ政府の部内において検討中でございまして、直接に合同委員会で取り上げるに至っておりません。
  168. 井堀繁雄

    ○井堀委員 倉石労働大臣からお答えをいただこうと思いますが、外務大臣がいなくなりましたが、今言う労務基本契約の問題にいたしましても、あるいは特需の労働問題を左右する根本的な契約、こういうものが日米合同委員会ですみやかに取り上げて処置ができないようだったら――日米合同委員会というものの性格はそういうものじゃありません。これは私が説明するまでもありません。行政協定の中に明らかなんです。契約上の疑義があったらすみやかに解決するための機関なんです。そこでさぼられた日にはそういう機関はない方がいい、そういうことの起らないように、一つ政府は特段の処置を講ぜられるように希望いたしたいと思います。これに対して政府側を代表して御答弁願います。
  169. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 この問題は外務大臣の管轄でございますから、外務大臣から御答弁をお願いいたします。
  170. 井堀繁雄

    ○井堀委員 委員長に希望しておきますが、外務大臣がおられませんので、適当な時期を見て、これに対する答弁を文書でけっこうですから、委員長から説明して回答していただきたい。時間もございませんのでこれでやめたいと思いますが、質問が前後不得要領になってしまいましたけれども、要約をいたしますと、労働行政全般にわたりまして、きっと次の通常国会で予算を中心にし、政府の具体的施策を伺うことになると思うのですけれども、くれぐれも希望いたしておきたいことは、二大政党の対立の場合におきましては、政策を中心にして争いを進めていくということをはずしましては、私は邪道に陥ると思うんです。この道を守ろうとすれば、公約されました政策に対して忠実であるべきです。それを詭弁を弄するようなことになりますれば、これはきりがなく混乱すると思うんです。こういう意味で実はきょうはお尋ねをいたしました。倉石労働大臣がお見えになっていなかった際に申し上げたので、繰り返しますが、今度あなたの所属しておりまする党といたしましては、かなり大胆な政策を掲げまして、ことに党の性格を決定いたしまする政綱の中で、経済の自立、繁栄と完全雇用の達成をはかると言い切っておる。この点については経審長官との間に私は質疑をかわしましたが、とにかく完全雇用を指向するという考え方には二つの問題が出てくると思うのであります。一つは今の失業者を解消するという誠意を国民の前に誓ったものと思います。これは働く能力のある者、意思のある者には仕事を与えるという政治をとろうとする表明だと思います。しかし裏を返して悪く言うと、失業者は大体起らぬ、だから失業問題に対してはほっかぶりをしていくという言いのがれにも使われがちなものであります。これはまあ私は前者であると思います。そういう意味でぜひこれは失業対策、すなわち完全雇用を指向しまする党の政策としては、次の予算の中には今四十五万の登録労働者がござまいす。この登録労働者などというものは、これは緊急失対事業法の法律が示しますように、もう解消していなければならぬことなんです。ぜひ一つ登録労働者のような気の毒な労働者がなくなるように、私は失業対策を指向する予算を一つ計画して――一ぺんにはもちろんいきません。漸減もやむを得ませんけれども、とにかく減ってくる。それからそういうものに対しては少くとも仕事は完全に与える、こういう点について私は特に注文をいたしておきます。なお中小企業のもとにおける恵まれざる労働者がたくさんおるということを十分お考えいただきまして、具体的な予算が次の国会に提出されまするように、また労働省の積極的な活動を期待できるような予算をぜひ拝見さしていただきたい、以上希望いたしまして私の質疑を終ります。
  171. 三浦一雄

    ○三浦委員長 本日はこの程度にいたしまして、次会は明九日午前十時より用会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時七分散会