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1955-12-09 第23回国会 衆議院 決算委員会 2号 公式Web版

  1. 昭和三十年十二月九日(金曜日)    午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 櫻内 義雄君 理事 關谷 勝利君    理事 山本 正一君 理事 吉田 賢一君       臼井 莊一君   小笠原八十美君       椎名悦三郎君    床次 徳二君       本名  武君    松岡 松平君       片島  港君    山本 幸一君  出席政府委員         通商産業政務次         官       川野 芳満君         工業技術院長  黒川 眞武君  委員外の出席者         総理府事務官         (行政管理庁監         察参事官)   柳下 昌男君         通商産業事務官         (大臣官房会計         課長)     出雲井正雄君         通商産業事務官         (企業局特殊経         理課長)    和平徳次郎君         通商産業事務官         (重工業局産業         機械課長)   琴坂 重幸君         通商産業技官         (軽工業局窯業         課長)    伊藤こう太郎君         通商産業事務官         (軽工業局アル         コール事業長) 菊池 淳一君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      川上 爲治君         通商産業事務官         (工業技術院調         整部長)    小出 榮一君         会計検査院事務         官         (第四局長)  中川  薫君         会計検査院事務         官         (第五局長)  上村 照昌君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十八年度政府関係機関決算報告書     ―――――――――――――
  2. 上林與市郎

    ○上林委員長 これより会議を開きます。  本日はまず昭和二十八年度決算中通商産業省所管について審査を進めます。それでは昭和二十八年度決算検査報告二五三ページより二七〇ページに至る報告番号一八八一ないし一八九七を一括議題とし、そのうち審査促進上報告番号一八八一ないし一八八六及び一八九四ないし一八九七について、重点的に審査を進めます。  その前に川野通商産業政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。川野政務次官。
  3. 川野芳滿

    ○川野政府委員 私は今回の異動によりまして通商産業政務次官を拝命いたしました川野芳満でございます。まことに短学非才なものでございますが、どうぞ一つ皆さんの御支援のもとに職責を全ういたしたいと存じます。  先般七月二十八日第二十二国衆議院決算委員会におきまして、通産省関係の会計検査院昭和二十八年度決算検査報告に関しまして御審議の上種々御教授をいただきました点につきましては、肝に銘じておる次第でございます。当時大臣からも詳細検査院の報告書において問題となっておる事項を申し上げ、またこれに対する善後措置、なかんずく根本対策としての官紀綱紀の振粛につきまして責任の重大を痛感いたしますとともに、その課部局の日常の事務処理につき厳重な監督と適切なる指導を行い、特に経理の面につきましては、事務の者が、諸法規の順守、予算の忠実な執行を旨とし、真に公僕の実を全うするとともに、国民の期待に沿うようにいたすべき旨決意をいたしました点、私といたしましても全く同感でございまして、今後とも通産行政の研究、推進を専念いたしますと同時に、私も及ばずながら事務処理に万遺憾なきを期すよう事務陣を督励いたして参りたいと存じておる次第であります。  本日御審議をいただきまする案件につきましては、前会大臣からも申し上げましたので、重複を避け、逐一私から申し上げませんが、御指摘の案件は私といたしましてもまことに遺憾しごくに存じておるところでございます。  なおこれらの案件の処理につきましては、詳細は本日列席の担当政府委員、説明員から御質問に応じて御説明いたさせますが、会計検査院で御指摘を受けました後も極力事態の改善に関し整理を進めて参ったような次第であります。しかしながら私といたしましては、消極的にすでに発生いたしました事態の善後措置に万全を期するにとどまらず、将来につきましては再び過誤を繰り返さないよう、事務指導監督に万全を期する所存でございます。またもとより大臣が前会申し述べました官紀の振粛につきましても、私も万全の注意を払い、これを徹底いたさせまして、そうして万遺憾なきを期したいと存じます。  簡単でございましたが、所信の一端を申し述べまして説明にかえる次第でございます。
  4. 上林與市郎

    ○上林委員長 質疑の通告がございますので、順次これを許します。  なおその前に出席者を参考までに申し上げておきます。行政管理庁柳下監察参事官、通産省川野政務次官、出雲井会計課長、和平特殊経理課長、琴坂産業機械課長、菊池アルコール事業長、それに川上公益事業局長工業技術院小出調整部長、それから会計検査院から中川検査第四局長、上村第五局長が出席しております。  それでは質疑に入ります。松岡松平君。
  5. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 公益事業局長にお尋ねしたいのですが、前会の富山県の北陸電力株式会社神通川第一発電所ダムの浸水護岸地域に関する件でありますが、通産省から出された報告書でありまするが、この報告書についてお尋ねいたしたいのです。この報告書では崩壊の事実を認めておられまするが、この崩壊によってその土地の崩壊の発展性と申しますか、この関連する地域の危険性がないという見解に立っておられるのですが、崩壊を認めておる。しかもその崩壊は岩盤があるから発展性がない、こういう見解に立っておられるのですが、これは当局において一体何を基礎にこの結論をお出しになったものか、その基礎資料となった点についての御説明並びに当局がこれに対してとられた調査の内容を一応明らかにしていただきたい。
  6. 川上爲治

    ○川上説明員 私どもの方としましては、やはりこの崩壊につきましては非常に重大な問題と考えておりますので、これを専門家をしまして、その調査をどうしてもしなくちゃいかぬということで、先般工業技術院の地質調査所の技官に依頼しまして一応調査をいたしたわけでございます。その調査の内容につきましては資料としてお配りをしてあると思うのでありますが、この調査によりますと、なるほど一部崩壊はいたしておりますけれども、下に岩盤がありまして、そう大きな崩壊は今後見通しとしましてないであろうということの結論を出しておるわけでございます。私どもの方としましては、そういう工業技術院の地質調査所の技官の専門的な調査の結論によりまして、大体ここにおきましては今後そういう発展性はなかろうというふうに考えておるわけであります。
  7. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 そうすると、かかる場合は当然起る問題なんですが、本件のダム許可に当って通産省は現地調査というものを一応なさるのですか、その点を一つ承わりたい。
  8. 川上爲治

    ○川上説明員 これは許可は前にしたわけなんですが、その当時は私は直接はやっておりませんでしだが、現地調査は会社の方におきましても詳細いたしたようでありますし、また先ほど申し上げましたように、通産省としましても工業技術院の技官をして専門的に調査をいたしたわけでございまして、今までのそういう実地調査しました結果によりますと、今後そういう発展性はないという結論を出しておりますので、私どもはそういう専門家の結論を尊重いたしまして、今後そう発展性はないというふうに考えております。もちろんこれは調査がなお十分でないということでありますれば、これはもっと専門家を出しまして調査をいたしますけれども、今までのところではそう発展性はないという結論をわれわれ聞いておりますので、今また直ちにその調査をさらにするというふうには考えておりません。
  9. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 ではこれを一つごらん願いたいのですが、これに基いてお尋ねいたします。なるほど工業技術院の技官をして調査せしめられたことは間違いないでしょうが、その結果においては岩盤を強固なものと解釈しておりますけれども、一方斎藤大六という地質学者の調査したところによると、この岩盤それ自体がすでに危険なものであって、強固なものではない。従って浸水していけばこの一帯は砂礫層であるから崩壊するという。その写真にもあります通り現実に崩壊しておる。それからあなたの方の報告書によると、樹木があるために崩壊を防いでおるというけれども、現実には樹木の根っ子が掘れてきておる、少しも樹木が崩壊を防いでおるとは考えられない、そういう点から考えまして、技官の調査はずさんきわまるものであると私ども考えざるを得ないのであります。そんなに強固な岩盤のものであるならば、湛水した後において雨が降ったからといって、そんなにたやすく崩壊するものではない、おそらくそれは二千数百年来ある部落なんです。ところが湛水したことによってその崩壊を生じておるということが明らかであることは、要するに岩盤が不完全であること、湛水したことによって砂礫層に浸透して、砂礫層が崩れ始めてきておるということを考えれば、要するに通産当局が委嘱して調査せしめられたる工業技術院の調査はきわめてずさんである、われわれはこれを首肯しがたい、当局がこれをたやすく信ぜられるに至ったということは、結局現地を親しく調査しておられないということである。およそかかる場合において、当局は行政上の責任者として学者に委嘱し、その結論をうのみにすべきものではないと思う。親しく自己の判断を加えなければならぬのに、何ら判断を加えないで、一技官の報告をうのみにしてもって足れりという、この見解がこういう事態を引き起していると思うのであります。写真を見られてもおわかりの通り、われわれの常識的判断をもってしても、この崩壊はこれにとどまるものとは思われない。これに対する御所見を承わりたい。
  10. 川上爲治

    ○川上説明員 工業技術院の技官の調査が非常にずさんであったかどうかという問題につきましては、実は私どもの方としては、この技官の調査だけではなくて、名古屋の通産局の出店であります北陸の支部の方でも調査をしておりますし、また会社それ自体においても、いろいろ調査もいたしておりますし、それに加えて、この技術院の技官が調査をいたしました点が、大体同じような結論を出しておりますので、そういう意味から、これらの方面の調査の結論が正しいというふうに考えておるわけでございます。なお、その調査がどうもまだよくないということでございますれば、私どもの方としては、なおその調査を十分にしたいというふうに考えております。
  11. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 このダム沿岸のことについて、当初計画では約十億近くの護岸工事費を見積られておったということを仄聞しております。真であるか偽であるかわかりません。そのことについて当局においては何かその資料を得ておられるのではないか、承わりたいと思います。
  12. 川上爲治

    ○川上説明員 これは私はよく知りませんが、会社の方ではそういう計画を立てたというふうには聞いておりません。ただその辺の方々がどうしても護岸をしてくれというような御要求のあったことは事実でございまして、その御要求に対して、会社の方とそういう方々といろいろと相談いたしまして、一応護岸はしなくてもいいだろうということになったというふうに私は聞いております。
  13. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 そうすると、計画書を提出せられる場合に、微細なる建設計画書は当局の手元に出るんじゃないでしょうか。
  14. 川上爲治

    ○川上説明員 もちろんこれを許可します場合に、そういう詳細な計画書は出るわけでございまして、その計画書に護岸工事が入っていたというふうに私は聞いておりません。
  15. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 そうしますと、当時許可前に提出せられたる建設計画並びに資金計画に関する詳細なる提出文書を、本決算委員会に御提出になれますか、いかがでしょうか。
  16. 川上爲治

    ○川上説明員 その資料は残っておると思いますので、私の方としまして、そういう書類を提出しても差しつかえないと思います。
  17. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 それからさらに、本件について当局は、北陸電力株式会社とこのことについて何か御折衝になったことがございましょうか。
  18. 川上爲治

    ○川上説明員 発電所を作るとか、あるいはダムを作るという場合におきましては、もちろんこの会社と通産省とは、いろいろその計画なりについて十分検討した上でやることになっておりますので、もちろん今おっしゃいました点については、十分相談をしてやっておるわけであります。
  19. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 この間の決算委員会にこれが問題になって後、このことについて何か会社側とお話し合いになったかどうかを伺っている。
  20. 川上爲治

    ○川上説明員 これは私の前任者の時代でございますけれども、私になりましてからも、やはりこういう問題は非常に重大な問題であります。半面においては、補償の問題につきまして、最近非常に補償費が嵩みまして、電力のコストあるいは電気料金に対して非常に大きな影響を持っておりますので、どうしても補償しなければならぬものについては、何とかして補償するようにいたしますけれども、それには十分な調査をして慎重な結論を得なくちゃいかぬということで、会社の方に対しましても、私としてはずさんな調査ではいけないので、その点を十分調査してはっきりした結論を出すべきであるということを言っておりまして、北陸電力に対しましても、私からもこの点については何べんもよく話はしてございます。しかし今までいろいろ調査したところでは、そう発展性はないというふうに結論を出しております。なおそれが非常にずさんであるというようなことでありますれば、今後においてもさらに調査はいたしたいというふうに考えております。
  21. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 当局におかれても再調査の必要があるならばしてみたい。これはぜひ調査をしていただきたい。これだけの重大な問題でありまして、もしこれが崩壊するということになれば、このダムに重大な影響を及ぼし、そのために下流一帯に一大惨劇を起さぬとも限らないのであります。単にその土壌の崩壊のために土地を失うという問題ばかりでなく、ダムの崩壊を生ずるおそれがございます。従ってダムの崩壊によって生ずるその下流一帯の住民に及ぼす影響は、相当おそるべき災害を起す危険性がある。しかしてこの下には第二発電、第三発電、第四発電が計画されておって、すでに第二、第三までは発電しております。第四は工事中であります。この一番もとである第一発電所の工事がかかるずさんであるということは、私ども本院の意向としてもこのままにほっておくわけにはいかないと思う。局長自身が現場におもむかれて、十分技術者を督励して、少くとも現在の段階において示されている技術の最高度の検討を加えていただく。問題の箇所は、岩盤が一体喫水点以上どの辺にあるか。すでに喫水点以下であるか。問題は喫水点以下に岩盤が下っている。しかもその岩盤は水平ではない。凹凸がある。凹凸があるために喫水点以下に下っている部面に湛水する。一度水がたまると、大雨量の際に至っては一体崩壊を生ずるおそれが私どもは考えられるのであります。これは単なる表面ずらの崩壊とお考えにならないで、こと一たびこれが崩壊するときには、一大惨劇を起すということを一つお考えになって、御調査を進められたい。どうも近来水力発電のコストが嵩まるということで、とかく私益が侵害され、放任されている傾向があります。これは一般的傾向であります。ダム建設費が嵩むために、私益の侵害を最小限にとどめるという考え方は間違いである。公益はもちろん大切である。水力増発は日本にとって必要であるけれども、私権を侵した場合には、十分なる補償を加えることが当然である。そのために原価がどうこうと考慮すべきものではない。原価を切り詰めるために、私益の補償を圧縮するという考え方は非常な問題であります。公益は守られなければならぬし、公益は常に私益に優先するけれども、私益を侵害した場合に十分なる補償を加えるのが企業者の当然の責任であります。もしこれを免れるような考え方を持つならば、これは一大社会問題を引き起すのみならず重大な政治的問題に発展する可能性があるので、この点について当局もこの問題を単なる表面づらの砂層の崩壊であるというふうに考えないで、この崩壊がやがてはダムの崩壊という一大惨劇を生ずるというところまで一応規定して一大調査を開始せられんことを望むのであります。御所見を伺いたいのであります。
  22. 川上爲治

    ○川上説明員 私はやはりそういう損害なり危険というものに対しましては十分なる調査をすると同時に、また補償ということにつきましても十分やるべきだという点につきましては、これは今先生がおっしゃいましたことに全く同感でございます。従いましてこの問題につきましても、現在までの調査が必ずしも十分でないということでございますれば、私の方でさらに調査はいたします。これは私が直接行ってやりますか、どうかは別にいたしまして十分な調査をしたいと考えておりますが、今までの結論では、再々申し上げましたように発展性はそれほどないというふうに考えておるわけでございます。しかし非常に大事な問題でありますので、念には念を入れてさらに調査をいたしたいと考えます。
  23. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 政務次官にお尋ねいたしたいのでありますけれども、今ほど局長にも申し上げましたが、とかく最近公益事業の遂行に当って私益に優先するために私益侵害の補償というものが等閑に付される傾向がある。これに対して当局は一体根本的にどういうお考えをお持ちになっており、今後どういうお考えでやる予定であるか、おそらく今後こういう事業はますます発展させなければならぬ状況にある。ためにこういう問題は頻発するおそれがあるので、この機会にそれに対する御所見を一応伺っておきたいと思います。
  24. 川野芳滿

    ○川野政府委員 ただいま御説のような公共事業をやるのにつきましては、その付随したいろいろな問題があるだろうと存じております。これについては十二分な調査をいたしまして、調査の結果もしそういう事業のために被害をこうむるところがありましたならば、それに対して補償をいたすことが当然であると存じております。ただいまの問題等につきましても、あるいは技術院あるいは通産局も調査をいたしたのであります。しかし調査の結果が不十分であった、こういうような御意見等も出ましたので、通産省といたしましてもさらに十二分な調査をいたしまして、もし調査の結果当然その補償をしなければならない、こういうような場合がありましたならば、善処いたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  25. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 この機会に次官も局長もよくごらん願いたいのですが、ダムの特徴は――このダムはこういうふうに水が流れてきてカーヴしてここが堰堤になっておる。ために水勢は必ずこれに向ってくるのです。こういうように屈曲して入ってきておりますが、水はこういうふうにここに当って一応ここが崩壊している。ですから岩盤が水平で喫水がこれ以下ならば問題はない。ところが、われわれもこの間行って調査してみますと、岩盤はこういうふうに波を打ってきている。そうするとここに砂礫層がずっと上にあるためにここへ水が通ってくると、この喫水の水がここへ入ってきますと、これは一大崩壊をする危険がある。ですから表面づらから見た場合にはそれは表面づらの崩壊であろうと、こうお思いになるかもしれない。それだったならばここは今まで二千数百年あった傾斜である。しからばなぜ今までに崩壊しなかったか。要するに下の方に水がついたからといって上が崩壊する理由がないのです。問題は要するに岩盤と砂礫層の関係から生じて、この崩壊が始まっておるわけですから、問題は非常に大きいのです。この点を一つ勘案せられまして、通産当局においても調査の犠牲を惜しまれないで、一大調査を開始されんことを切望してやまない次第であります。
  26. 上林與市郎

    ○上林委員長 この問題で関連しまして他に御質疑はございませんか。
  27. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 当局から新たに資料が出るようでありますが、資料が出ましてから少し聞きたいと思います。
  28. 上林與市郎

    ○上林委員長 承知いたしました。  工業技術院の院長が出席いたしておりますので質疑に入ります。吉田君。
  29. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は検査院の検査報告書に基きまして、工業技術院の批難事項について少し御質疑したいのであります。  第一は、報告番号一八八五、日本電解精錬株式会社の件、二五九ページ以下であります。そこで工業技術院の院長に伺いたいのでありますが、工業技術院の使命はまことに重大であることはわれわれはよくわかります。特に今後原子力の研究が具体化しつつある段階において工業技術院の補助関係というものは相当私どもは検討していきたいと思います。最初に伺っておきたいことは、工業技術院が工業上のいろいろな研究について補助金の予算を組み、これを補助していっておるようでございますが、あなたの方では補助金の金額にかかわらず、その価値とかあるいは適格性あるいは手続とかいうことについては、院長並びに技術院の幹部は相当関与してこれを執行するのであるかどうか、この点について聞きたいと思います。
  30. 黒川眞武

    ○黒川政府委員 工業補助金並びに試験研究補助金という二種類ございます。工業技術院といたしましては、いずれの補助金に対しましても慎重審議いたしまして、そうしてその補助を決定する次第でございます。大体その補助金を出します方針といたしましては、きわめて国に重要な研究である、あるいは国としてぜひこれを産業界にしみ込ませたいというような研究、それから非常に新しい技術、それからその研究を受けるところの個人なりあるいはまた会社が、ある程度の資金的にも確実性があり、またりっぱな研究者がおるというようなところを対象といたしまして、数回にわたりましてその審査の委員会を開きまして、そうしてその結果に基きまして予算の範囲内で出すことになっております。
  31. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 事務当局の方に伺いますが、この種の、たとえばただいまの日本電解精錬株式会社に対しましては「磁硫鉄鉱、含ニッケル磁硫鉄鉱より純鉄、硫黄ニッケル鉱を採取する磁硫鉄鉱の完全利用法」の工業化試験ということになっております。そこでこの種の補助申請につきましては、これは直接工業技術院が申請を受理しておるのか、それともどこか下級機関がこれを受理して工業技術院にくるのか、それは事務上どうなっておるのですか。
  32. 小出榮一

    ○小出説明員 ただいま御指摘になりました電解精錬等の場合におきましての、具体的に補助金を交付いたします場合の審査のやり方でございますが、書類の受付は、第一次的にはその工場を所管しております通産局を通じまして、工業技術院の方に提出して参ります。従いまして第一次的な受理は地方の通産局においていたしたのでございます。あとの審査のやり方は、先ほど院長からも御説明になりましたように、いろいろな段階がございまして、第一次的にはやはり直接の担当の所管官――工業技術院におきましては助成課でありますが、そこの係官が実地に検討をいたしまして、さらにその補助対象になっております業種に関連のあるそれぞれの通産省の原局、機械でありますならば重工業局、あるいは化学工業関係でありますならば軽工業局というふうに、それぞれの所管の原局と連絡をいたしまして、共同で審査をいたします。つまり合同審査をする段階であります。そういたしまして、最終的にはわれわれ方の幹部とまた通産省の幹部と通産省の省議において決定をいたしまして補助の対象を決定する、こういうふうな段階になっておるわけであります。
  33. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、申請受理は、申請者の工場を所管する通産局で書類を受理する。そうすると、たとえば工場と本店とは違うこともあろうが、この場合はどこになっておるのですか。
  34. 小出榮一

    ○小出説明員 実際に工場が所在しております場所を所管しております通産局、従いましてこの日本電解精錬の場合におきましては、仙台の通産局において受理いたしたのであります。
  35. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたはこの問題についてはいろいろ御検討になってみえたと思いますが、そうしますと、仙台において申請当時工場が実在しておったのですか。
  36. 小出榮一

    ○小出説明員 申請がありました当時におきましては、仙台においては実際の工場は実在しておりませんで、実際の工場を設置する予定地でございました。実際の試験研究は東京の大森工場において実施いたした、こういう関係になっております。
  37. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いまだ実在しない工場の場所を所管する通産局、すなわち仙台の通産局が書類を受理することは、一体実質的にどういう意味がありますか。それはどういう効果があるか、何か有益なのですか。そういうことをするのは行政的にいかがですか。
  38. 小出榮一

    ○小出説明員 具体的に通産局の所管いたしておりまする区域内にその試験研究補助金の交付を受けました工場が存在いたします場合におきまして、その工場に対する直接の監督その他の関係から申しまして、やはり実際にその試験研究補助金の交付を受ける工場の所在いたしておりまする区域を所管する通産局が、監督上も一番便利でございまして、そういう意味におきましてそういうふうな区分を決定いたしております。
  39. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 技術院長に伺いますが、補助金を交付するという重大な行政行為を行うのに、いまだ工場が実在しない場所を所管する紙の上の管轄庁である通産局、そういうところを経由して実質的に何の意味があるのです。そうではなしに、試験を東京都内でやるのなら東京都内でその書類を受理する、私の推定によれば、単にパイプの役目でなくて、少くとも何らかの形式的にも審査をして、そういうものがあるのかないのか、架空の申請であるのかないのかというくらいは審査しなくちゃならないというのは常識であります。何もないところの通産局を通過するということはおよそ意味がないことである。将来は別です。そういう場合、技術院本院が直接受理して審査をそこでやるということをどういうわけでしないのです。それは院長から御答弁願います。
  40. 黒川眞武

    ○黒川政府委員 ただいまの御質問でございますが、この場合は東京の大森でもって基礎試験をやっておりました。それが一応成功いたしましたので、福島県でやるという段取りになりまして、仙台の通産局を通じて工業補助金の申請が出たものと私は解します。そこで今小出部長からも御説明がありましたように、そこに試験工場が建ちますと、監督上仙台の通産局が非常に便利である、また将来の発展性も期待できるという信念のもとに仙台通産局から出たものでございます。工業技術院といたしましては、別に助成課というのがございまして、ここで取り扱っておりますが、この助成課におきまして、ただいま申しました東京の大森の試験工場でやっておりますことを十分調査いたしました。その結果技術的には非常に新らしい技術であるということを認めたのでございます。なおその調査しました結果につきましては、一応本日担当官が見えておりますので、詳しく御説明したいと思います。
  41. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は根本的な方針をあなたに伺うのです。これは重大な補助金架空に使われたかどうか存じませんけれども、架空と推定すべき事態に結果が生じておるのであります。そこであなたの方針を聞こうとするのです。将来のことは別として、現在は何も実在しない工場を、所管の仙台を経由する。先ほど申しましたように、やはりあなたの方も大森の工場で実験した結果を御承知らしいのでありまするが、そういうようなふうで、第一段の審査はやはり受理する官庁がするのでなければなるまいと私は思うが、受理する官庁には何もないのですよ。私の方も調べて申しておりますが、何もないのです。何もないところの所管庁へ、わざわざ申請に旅費を使っていったのかどうか存じませんけれども、そういう回りくどいことをなぜしなければならぬのだ。何もないのならあるところで、大森で実験したのなら、またこれは千代田区に本店があるのですから、本店が千代田区にあり、実験場が都内にあるのならば、東京都の通産局において受理するということが至当ではないか。それとも法律上、手続上、そういうことは不可能であるのかどうか。将来仙台にこれを回すということ、仙台に振り向けて、自後試験、検査等の監督するとか何とかいうことならこれは別でありますけれども、第一段の受理の段階で重大な過失があったのじゃないか、こう思うのであります。そんなありもしない工場を所管しておる仙台を経由さすことに行政上の重大な失態があったと思うので、あなたの御方針を聞くのです。今のような場合には、何ゆえあなたの方で直接受理するか、もしくは東京の通産局で受理することができないのか。それは法律上不可能であるからできないのかどうか、こういうことを聞くのです。いかがですか。
  42. 小出榮一

    ○小出説明員 この工業化試験費補助金の交付の手続については、先ほど申し上げましたように、やはり第一次的には通産局を経由するわけでございますが、その場合に、御指摘のように、まだ工業は実在しないにもかかわらず、実在していない工場の将来の予定地と申しますか、そこを所管する通産局を経由すべきか、あるいは実際に一部の試験研究を実施しておる、この場合においては具体的には東京でありまするが、東京通産局において受理すべきかという問題につきましては、確かに考え方としては、いずれの方法をとるにいたしましても、便宜上の問題もございまして、どちらにすべきかという点につきましては議論がある点だと思います。具体的にこの電解精錬の場合でございますが、なぜそれでは仙台通産局を経由したかということでございますが、当時の事情を調査いたしますると、この会社が工場を予定しておりましたのは福島県の郡山工場、これは東北振興のテックスの工場でありまして、これが休止中でございましたので、その工場を借り入れするということを予定いたしておりました。東北振興との間にも相当に話が進んでおったように承知いたしておったのであります。従いまして、当然福島県下において実際工場が設置されるということを予想いたしまして、仙台から経由さしたのでございますが、確かにお話の通りまず東京で受理いたしまして、そして実際に福島県下に工場ができました場合に、その方に移管をするという措置をとるべきではなかったかということにつきましては、そういう措置をとった方がよかったのではないかということも考えられるわけであります。その当時における便宜上の措置と申しますか、そういう事情からそういう措置をとったように承知いたしております。
  43. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういうことは大した議論の問題じゃないと私は思う。やはり適正に行政を執行する上におきましては当然であろうと思う。それなら伺いますが、仙台の通産局におきましては、現地の郡山の予定地というもの、そうして予定計画というもの、相手方との契約というもの、そういうところまで調べているのですか、一つ簡潔に答弁して下さい。
  44. 小出榮一

    ○小出説明員 ちょっと御了解を得たいと思いますが、当時の助成課長であります伊藤君から答えさせていただきます。
  45. 伊藤こう太郎

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。仙台の通産局が郡山の方を調べましたかどうか、ちょっと私は聞いておらないのです。ただ大森の工場は仙台から参りまして調査いたしました。
  46. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それなら結論的な点を伺いますが、現在に至るまでかつて福島県下で工場の設置せられた事実はないということは御承知ですか。
  47. 小出榮一

    ○小出説明員 現在までのところ、福島県に工場ができたということはございません。
  48. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 院長に伺いますが、工場のないところを所管している通産局が申請書を受理して、そして調査したかどうかあなたの方は知らない。他の関連において、通産省の軽工業局にも連絡をして慎重に合同審査をしたと、非常にもったいらしくおっしゃっておりましたけれども、今日まで工場の設置もせられた事実もないその会社に、昭和二十八年の九月八百万円の金を交付している。そしてこの申請書が出たのは同年三月二十七日付で出ております。こういうように三月に申請書が出て、同年の九月に八百万円を交付して、しこうして現在に至るまで工場施設をされた事実が全然ない。一体こういうことは、そもそもあなたの方の行政上には手落ちがなかったのであろうか。そういうような架空――という言葉は適当でないかもしれませんけれども、ありもしない工場の所在地を所管する通産局が当初書類を受理して、慎重審議をやったかどうか知りませんけれども、その後見に行かれたかどうかそれもわからぬ。一体あなたの方は、郡山かそれとももう一つ福島県の鏡石村、こういうふうに向うの工場の目的、場所も転々しているようであります。そういう予定地とか候補地とかいうようなものも転々しておりますが、現実にそういう転々する事情、何ゆえに早く新設しないかという事情、そんなことを一体よく調べたかということ、調べた上で金を交付したかというようなこと、交付の直後も十分にその工場の建設について手落ちなくこれを監督しておったかどうか、こういうようなことについて一体技術院長は報告を受けないのですか。
  49. 黒川眞武

    ○黒川政府委員 ただいまの御質問に対してお答えいたします。これは昭和二十九年度に起ったことでございまして、私一カ月ばかり前に技術院長に就任いたし、実はこの話を聞いて調査いたしました。その調査の結果によりますと、お言葉通りまことに残念な点が多々あるように思うのでございますが、またその事情を考えてみますと、当時この工場は新しい技術でスタートするというようなことで、技術院といたしましてもぜひやりたい、またぜひこれを推進していきたいというようなことで、相当の期待を持っておりました。お話のように補助金交付がなかなか進捗しないということは、一応デフレの影響がございまして、増資その他が思うように参らなかったのでございます。そこで工業技術院といたしましても、その増資の進捗状況あるいは工場設備の状況であるとかあるいはその製品、特に純鉄の需要者であるところの電気メーカー、そういうものを呼びまして一々調べたのでございます。詳しいことは省略いたしますが、その都度社長が参りまして、今これが進捗中である、あるいはまた一部資金の融通がつきそうであるというような答えがありましたので、これに対しましてある程度の調査をしながら進めて参りましたのが自然漸延いたしまして、今日の状況になりました。中ごろに至りまして補助金の交付も相当締めまして、数回試験研究の大森の工場にも参りまして調べた次第でございますが、こういう事情になりましたことは私どもとしても非常に残念に思っております。
  50. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたは残念だけで済むのだけれども、やはり冒頭申したように今後原子力の研究等をめぐりまして、昨日も閣議で決定したらしいが、新たに原子力委員会というものを設けられて、さらにまた補助のそういう新しい大きな分野が開けようとするときでございますのに、かかる行政的な無能ぶりでは、実にわれわれ国会といた、しましても残念しごくなのです。これは検査院も指摘しておりますが、工場が完成してから補助金を交付してもおそくないのじゃないか、ところが工場が実在せず、現在まで三年以上経過しても工場が建たない。それに申請があるや五カ月足らずのうちに八百万円の金を交付する、こういうことはどこかに非常に私意がはさまれて、これが利権のようにでもなってとられたのではないのか、国が詐欺でもこうむったのではないかとさえ推測されるのであります。ことに私どもの調査によりますと、これは当初一千万円の資本で会社を設立しておるようでありますが、これとても疑わしい、いろいろの調査によりますと実に奇怪な会社であるこういう奇怪な会社に政府があり余っている金を借すように金をやって、そうして今日それならその会社はなくなってしまったのかというと、あるというのです。最初は堂々と中央区の西銀座に本店を置いておりまして、現在あるのです。それが工場もできておらない、あなたはただまことに遺憾だということで済むかもしれませんけれども、工業技術院のこういうやり方は全くなっておらぬと思うのです。工場が完成もしないで金を渡すという、何かせねばならぬような因縁でもあったのか、まああなたはそう御承知じゃないかもしらぬけれども、あなたの御説明は通産省の軽工業局でも慎重に審議するというような御説明であるから、軽工業局にも責任の一半はあると思うのです。要するに机上で報告書によってやるということがこういうような結果を招くのじゃないか、ほんとうに審査はしないのじゃないか、そうなると何か特別な方面だけに補助金をやって――われわれは全国にたくさん存じておりますが、ほんとうに命がけで調査研究を続けて補助金ももらえないのがずいぶんあるのです。こういうふうに八百万円もネコババにしてしまって、今国会で問答するなんて、ばかげた話であります。あなたとしてはこれは最終的には一体どこに欠陥があったというふうにお考えになるのか、工業技術院はあくまでも慎重審議してやったのだから正しかったのだというふうなお考えでもあるのだろうか、その点につきましてはどうお考えになっておりますか。
  51. 黒川眞武

    ○黒川政府委員 工業技術院といたしましては、この問題につきましては最初選定いたしましたときに、非常に新しい技術であり、ことに磁硫鉄鉱という今までの未利用資源を活用するという意味におきまして、非常に技術的に優秀であるというようなことを重点とした関係上、ただいまも御指摘になりましたような経済的な問題につきましていささか判定を誤りましたことはまことに申訳ないことと思いますが、今後工業技術院におきましては、ただいまのお言葉によりましてもちろん前より一そうこういう問題に注意いたしまして、慎重を期したいと存じております。
  52. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あと二つだけ聞いておきますが、この問題にかかわらず、この種の補助金は事後監督をするのかどうか、それから補助金八百万円はあなたの方は取り戻しをしないのかどうか、その点はいかがですか。
  53. 黒川眞武

    ○黒川政府委員 事後監督はやることになっております。予算措置がございまして、できるだけ予算の範囲内でやることになっております。  それからこの返還につきましては、ただいま法務省に取り立てを依頼しております。
  54. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 まことにこれは遺憾な事件であります。  次に一八八六、旭化学工業株式会社の問題、これは「ナトリウムアマルガム還元によるベンチヂン類の製造」これの補助になっております。  そこで伺いたいのでありますが、この問題につきましても、検査院の指摘によれば、試験の基礎条件である工場の借り入れ――これは当然であろうと思う、それが国庫補助金の交付を受ける当時すでに失効しておるという事情を技術院当局は知悉しておって、にもかかわらず補助金を交付しておる。この場合、交付の要はないという認定をしておるにもかかわらず、これも昭和二十八年十一月に六百五十万円を交付しておる。常識から考えても、こういうように工場の借り入れが効力を失っておるという場合には、莫大な金の交付は出すことにきまっておっても中止すべきである。よく事情を知っておって交付する、こういうことは最も重大なことで、これは私は意識的にでもやられたのではないかとさえ読んだのでありますが、その点はいかがでありますか。
  55. 小出榮一

    ○小出説明員 旭化学の問題につきましては、ただいま御指摘の通り、確かにわれわれといたしましても調査不十分と申しますか、最初の審査決定の際いろいろ慎重を欠いた点がございまし
  56. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は抽象的に慎重を欠いたか、慎重におやりになったかということを聞こうとしておるのではなしに、技術院は当時工場借り入れが不可能な状態になっておるということを御承知であったのかどうか、そういう場合には出すことに決定しておっても中止すべきではないか、こう思います。全く知らないというならば、それは慎重を欠いておったのかもしれませんが、知っておられたということであれば、慎重を欠くというのじゃなくして、むしろ技術院当局に悪意があったのではないかと思われる。
  57. 小出榮一

    ○小出説明員 当時の事情といたしましては、ただいま御指摘の効力の失効の点につきましては承知いたしておったのでありますけれども、旭化学と非常に密接な関係にありました三菱化成その他の協力関係等につきまして、なお妥協の余地があるのではないかというふうに判断をいたしたのでございます。その判断にやや慎重を欠いた点があった、かような点は認めざるを得ないと思います。
  58. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういうような場合に、第三会社との関係の調整ということが問題として残っておるようなときには、これを審議する席上、他の局から出ておる審議委員もあることでしょうから、そういうことは問題として検討するということはしないのですか。
  59. 小出榮一

    ○小出説明員 ただいま御指摘の点は、確かに相当問題の点でございますので、十分慎重に検討すべきであった
  60. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたの方では、技術院といたしましては現在六百五十万円の金が何に使われておるか、そういうことはお調べになったことがありますか。
  61. 小出榮一

    ○小出説明員 金の使途につきましては調査をいたしました。
  62. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 どうなっておりますか。――それなら聞きますが、これは銀行に預金して定期預金にしておるという事実をお調べになっておりますか。
  63. 小出榮一

    ○小出説明員 その事実は承知しております。調査をいたしました。
  64. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国が六百五十万円の補助金を出して、それを定期預金にしたということは目的外使用になるのじゃないか。これは院長に答えてもらいましょう、そういう無責任な答弁を聞いておれません。
  65. 黒川眞武

    ○黒川政府委員 ただいまのことにつきましては、二百五十万円使いまして、そしてこの研究のために支出しております。あとの金につきましては、それを振りかえて銀行から金を借りておる模様でございますが、これにつきましては今法務省の方へ申し出まして債権の取り立てをいたしております。
  66. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは一体何ということでありましょうか、補助金をもらって銀行に定期預金をする。商事会社が定期預金をするということは、普通の場合には、それは一つの担保になるのでありますから、従って銀行で融資するとか、手形割引をするとかいうう資金を一商事会社に補助金の名義で貸して、補助金の目的に使用すべく目的を限定して交付して、それで数年経過する、こういうようなことで一体どうなるのですか。あなたの方の予算を調べてみれば、昭和二十七年度の補助金の予算は四億二千六百万円で全部同年に支出済みであります。二十八年度は六億円で、このうち使ったのが五億九千九百七十万円、二十九年度は原子力の関係も含んでおりますが、八億二千百七十五万円、これの不用額が二百二十余万円、その他繰り越しておるのが一億七千四百余万円になっております。三十年度における予算は五億四百万円、こういうふうに実に莫大な補助金をあなたの方は国家予算としておとりになっておる。二十七年、八年はほとんど完全に使用済みなんです。そこでこのように補助金を受けた商事会社が、事もあろうに銀行に預金をして、それを便って、あなたの方は今ごろに法務省に依頼して債権の取り立てをやるというような緩慢なことをやって、それで行政というものがやれるのですか。一体いっそれを法務省に委嘱したのですか。
  67. 小出榮一

    ○小出説明員 最終的な取り立てを依頼いたしますまでの間はもちろん長い間折衝を重ねまして、最後に東京法務局に対して取り立てを依頼いたしましたのは本年の十月十九日であります。
  68. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 本年の十月といいますと、満二カ年を経過してそれで法務省に取り立てを依頼しなければならぬして、工場の都合が悪い、資金繰りが悪い等々と言って、それで数百万円の金をごまかしていくということがしごく簡単にできると思うのです。実にこういうことで慎重審議をやった形跡はごうも見られません。若干の判断の間違いとか、食い違いがあったというふうには思えません。一体そういうふうに債権の取り立てというような方法以外に道はないのでありましょうか。聞けばこの会社は堂々とやっておるそうじゃありませんか。六百五十万円を国家からとって補助をもらって試験もほとんどせず、現在は放棄してしまっておるらしいのです。その金が銀行預金になって資金運転のために利用されておるというようなことで、二年後に法務省に委託しなければならぬというような、そんな弱いことをしなければならぬ因縁でもあるのですか。こういうことは技術院自体がもっと行政的に粛正されるべき因縁、原因があるのじゃないですか。こういうことも考えられますが、院長はどうお考えになりますか。
  69. 黒川眞武

    ○黒川政府委員 これに対しましては十分今後注意いたすつもりで反省いたしておりますが、事ここに至りました間におきまして、この旭化学というものは、三菱化成と関係の深い会社でございまして、三菱化成が技術的提携をいたしましてこの新しい技術を進展してくれるものというふうに考えておりました。当局といたしましても、最初の計画を一部変更をいたしまして、初め千モルというものを二百モルまで落しまして、また会社といたしましても一応熱意がございまして、三菱化成の援助を得るというようなことでいろいろ折衝してきたのでございますが、その間それが失敗に終りまして、次に自分でやるということで、再び二百モルの規模に縮小いたしまして、市川にその工場を設立いたそうというまで熱意があったものでございますので、やや御指摘のように時間がかかりましてこういう結果になった次第でございます。
  70. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはあなたは事情の経過だけ御説明になっておるが、この補助金が、全額でなくても、銀行に預金されておるのをじっと見ておらねばならぬという、そんな緩慢なことでいいんでしょうか。これはもっと性急に処置をして、これを回収するという断固とした処置がとれぬものですか。折衝々々とおっしゃっておられますけれども、もし民間の個人会社等でありましたら、こういう失態をやりましたならば、その責任者はその地位におれません。あなたらは非常にけっこうな御身分だからこれでいいんだけれども、こういうことを考えますると、もっと急遽回収する適切な処置が何らかとられるべきだと思う。裁判でおやりになるらしいが、裁判でやって、何年かまた国の経費を裁判の経費に使ってやるということになりますから、まことにこれはおめでたいと申さねばなりません。もっと断固として急速に解決する処置というものを一体とれなかったものであろうかどうか。あなたは反省したとおっしゃるけれども、一体何が反省になっておるのか、さっぱりわかりませんが、そういう点について、これは前段御質問した事件と一脈通ずる大きな盲点が私はあると思いますが、もっと適切に回収措置はとれなかったものであろうかどうか、これだけ聞いておきます。
  71. 黒川眞武

    ○黒川政府委員 事情を申し上げますと、事務当局といたしましても、また工業技術院といたしましても、再三この問題につきましては督促をいたしたのでございます。そのつど、いろいろ事業の進行状況その他報告がございまして、やや遷延いたしまして、遂に強制執行をいたそうということになったのでございます。これも結局こういうことになりますと、法務省に取り立てを依頼しなければならぬということになりまして、先ほど申し上げましたような経過になっております。
  72. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この機会に会計検査院に一言伺っておきますが、国家補助金を法律によって受け取ったものが、その金を銀行に預金をして、定期預金ということであれば、これは担保のための預金であることは、常識上商事会社の場合は当然であります。そういうように、自己の営業の利益のために利用しておるというようなことは、これは当初の目的にはなはだしく背反すると思うのでありまするが、こういうような場合に、それは目的外に利用されておるとして、相当厳重な措置をとり得べき方法がないのでありますかどうか。この点を一つ検査院に伺いたい。
  73. 中川薫

    ○中川会計検査院説明員 ただいまのお話でございますが、私たちが検査いたしましたときは、いろいろ帳簿の内容なども、作意と申しますか、判明しない事態でございまして、この六百五十万円が定期預金になっているということは、実はただいまここで初めて知ったわけでございます。こうした事態のものにつきましては、お話のようにもう遅滞なく断固たる処置を講じなければならないのでございまして、私たち検査をいたしておりましても、新しい年度の分についても御審議をいただきますが、その方面の検査の結果でも実はこうした事態のものがございます。それについては当局の断固たる処置を要求いたしまして、当局もこれが善後処理に努力をされていることでございます。本件につきましてははなはだ遺憾な事態でございまして、あるいは遷延いたしましたために、この金は定期預金になっているけれども、会社自体としては非常に苦境に立っているというような事態であろうかとは存じますが、今お伺いしましてこの事態に驚いている次第でございます。
  74. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 技術院長に最後にお伺いしておきますが、この予算は国会が議決しましたときには、申し上げるまでもなく、その使うべき費目は限定されております。そこで現実に補助金が、受取ったものによって当初の目的に使われず、のみならず、銀行に定期預金として利用されている、こういうことは、予算執行の行政当局のお立場からいたしましても、予算の目的外に予算が事実悪用されておるということになっておるのではないでしょうか。たとえばその他の人件費にしろ、その他の施設費にしろ、当然に人件費なら給与として渡すし、施設費なら建物その他のものを施設するために支払うというものが、それがその通りに支払われることなくして、たとえば工事ならば、予算がそのまま一定額銀行で保管されているような事実は、一体これは予算が適正に執行されておらぬというふうに見るべきではないか。財政法というものは、そういう点につきましても、目的を限定して予算の執行を命じているものと思いますが、現にあなたの方の予算が銀行に積んであるというような、そういうようなことは、目的外に使われているということになるのではないでしょうか。なるほど技術院が銀行に預金しているのではないけれども、技術院が渡したものが銀行預金にしておいてあるということでありますから、それはあなたの方が直接に預金者ではないけれども、あなたの方の執行すべき予算が目的以外のことに利用されておる。予算執行上実に暗い事態だと思うのです。財政法から見ましても、予算の執行が適正に行われておらぬというふうにこれは判定すべきものだとも思いますが、どうでしょうか。
  75. 黒川眞武

    ○黒川政府委員 ただいまのお説ごもっともだと思うのです。ただとの場合、会社といたしましては現金がほとんどない。そういうことで、せっかく補助金を与えましてこの技術を進めようということに対しまして、これを直ちに強硬手段をとるということに対しまして、いささかその間において当局が考えまして、何とかしてその仕事を進めたいという考え方から、会社をつぶさないようにして、この仕事を進めたいという気持でただいまのような事態に相なりました。
  76. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は質問を打ち切るつもりでありましたが、そういうお考えですと、もう一ぺんどうしても聞いておかなければならない。そうすると今のあなたの御説明は会社の協力団体の立場です。会社自身の弁解のような立場になるわけであります。なぜならば会社が内容はうまくいかない、資金がない、つぶれるおそれがあるからそれで適当に強硬手段に出ちゃいくまい、こういうことになるわけです。これはおかしな話です。そういうことで一体いいんですか。もし問題を変えまして、国家歳入の税金のととにも及びましょう。われわれは税金を払っておりますが、どんなに年末に苦しみましても税金はとるんですよ。年末は苦しいんだからといって、あなたもお気の毒だから延ばしましょう、そういうふうじゃないのです。これが全体なんです。だから国家の予算の執行というものは、相手方の営業状態まで観察して営業状態のよしあしまで頭を使って、それが立ちいくようにするという、そこまで助長をするということが一体技術院の行政の限界であるのかどうか。そこまでいくということは実に技術院の行政権の濫用でないか。そんなことをいたしましたならばもっと突っ込んで、あるいは工場建設融資の内容、そういったことまで技術院はいろいろと指導し、助成し、援助するということまでやっていいということになると思う。それはとんでもないはき違いであろうと思う。私はやはりそこまであなたに権限はないはずだと思う。予算の執行、補助金を交付するということはそこまで――あなたの方は一体何によってそういう行為をするのであろうか。そこまで頭を突っ込んで考えを及ぼしていかねばならぬ、またいくべき根拠法はあるのであろうか、そんなことはありはしないと思うのです。これはもうあなたがそういうお考えならば大へんなことです。おそらくそういうことであるならば、今後原子力の研究等についてもずいぶん全国から補助金をとりにくるでしょう。まあ気の毒だ、資金を集めるつもりであったから協力する、それはお気の毒だからしばらく置いておきましょうか、そういう事態が続発するのではないか。これは大へんなことです。それは行政の限界を越えたところの、一つの逸脱した行為と申さなければならないと私は思う。いかがでございますか。
  77. 上林與市郎

    ○上林委員長 私も質疑応答を聞いておりますと、事情、経過はわかります。今起きておる事態に対して、根本の方針はどうするのだということを聞いておるようですから、一つ明快に具体的に御答弁を願います。
  78. 黒川眞武

    ○黒川政府委員 ただいまの事態に対しましては、法務府に取り立てをお願いするということで善処したいと思います。
  79. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 さきに私が伺いましたのは会社の営業上の状態まで心配する、そんなことは行政部の考うべき限界ではないというのが私の質問の要点であります。
  80. 黒川眞武

    ○黒川政府委員 今のことはもちろんお話の通りでございまして、その間の気持を途中で申し上げたのでございます。これは全くそういうことであったら断然たる措置をとる、そういうふうに考えております。
  81. 上林與市郎

    ○上林委員長 他に御質疑はございませんか。――他に御質疑がなければ本日はこの程度にいたし、次会は十三日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十六分散会