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1955-11-09 第22回国会 衆議院 社会労働委員協議会 3号 公式Web版

  1. 昭和三十年十一月九日(水曜日)    午前十時五十一分開会     ―――――――――――――  協議事項  食品衛生(粉ミルク中毒事件)に関す  る事項     ―――――――――――――
  2. 中村三之丞

    ○座長(中村三之丞君) これより社会労働委員協議会を開催いたします。  皆さんの御推挙によりまして、私が座長を勤めます。  食品衛生に関する事項に関し、粉ミルク中毒事件について、政府並びに当事者として森永乳業株式会社代表取締役大野勇君、同じく常務取締役七海久君、森永ミルク被災者同盟全国協議会副委員長岡崎哲夫君、同じく岩橋進君、同じく保田正人君、同じく事務局長宮本邦夫君、同じく滋賀県代表堀武雄君、同じく岡山県代表杉本栄君、全大阪森永ミルク被災者同盟委員長三木千太郎君、同じく事務局長伊勢照男君及び全京都森永粉乳中毒患者同盟委員長玉木長蔵君が出席されておりますので、意見並びに説明を聴取いたしたいと存じますから御了承願います。  まず、被災者代表の方々の意見を聴取いたしたいと存じます。  なお、発言時間は都合上一人十分程度に願いまして、後刻協議員から質疑がありました際にお答えを願いたいと存じます。  それでは。まず岡崎哲夫君。
  3. 岡崎哲夫

    ○森永ミルク被災者同盟全国協議会副委員長岡崎哲夫君 では、こちらの全国協議会の担当として、死亡者から説明させていただきます。  砒素中毒の死亡者は九月末現在で六十七人でありますが、そのほかいわゆる未確認、原因が判明する以前に死んで、それを医者が死亡診断書を変えたくないということによって、明らかに砒素中毒ではあるけれども、死亡診断書は変えてもらえない、従って未確認であるという状態の気の毒な人が四十数人おります。それで現在認定されている者は別として、認定されていない者は、各府県当局に行きましても、それは医者が認定しないからどうにもならない、森永の方に行きましても、医者が認定しないからどうにもならない、こういうことを言いまして、実に気の毒な状態にあります。それで同盟の方は、各府県同盟において鋭意それを認定さすべく強力に当っております。大阪同盟初め各同盟では、毎日二人ないし三人の方が専念してそれにかかって、一日に一名とか、あるいは二日に一名という状態で、砒素中毒と認定してその人たちを救うように努力しております。  それから死亡者の症状というのは、簡単に申しますと、死の灰、ビキニの久保山さんと同じようないわゆる貧血症状あるいは白血病あるいは肝臓病というような症状で死んでいって、死体というものは実に悲惨な限りであります。現在それに対して見舞金が十万円出ているきりでありまして、それ以外に見るべき手当の方法は講じておられません。死亡者として、結局今の政府、森永さんに期待しても何もできないので、同盟に強力に結集して、みずからの処置をみずから戦い取りたいという意図において、死亡者の約三分の二の方が同盟に結集され、全権委任状を渡されまして、同盟の方針に従ってあくまで進んでいくという決議をしております。  詳しいことは後刻御質問に対してお答えすることにいたしまして、概略それだけ申し上げておきます。
  4. 中村三之丞

    ○座長(中村三之丞君) 次に三木千太郎君。
  5. 三木千太郎

    ○全大阪森永ミルク被災者同盟委員長三木千太郎君 私たち、八月二十四日にこの患者が砒素中毒であるということが発見されて、現在まで苦しんできたのであります。しかるに森永さんの方からは、現在まで、被災者からお願いした以外の物品は一品もいただいておりません。これに対し、十月三日、四日、五日と交渉をいたしまして、二十三日にお互いに意見を持ち寄って団体交渉をするというところまで参ったのであります。そして、二十三日に全国被災者同盟の代表五十数名を大阪にお集まり願ったのであります。二十三日午後一睡、大阪堂ビル七階森永さん指定の交渉場所へ参ったところが、急に、二十一日に厚生省から突然五人委員会ができた、それで被災者の皆様にお話しすることができたくなりましたというお話がありまして、今まで逐次森永さんと交渉なり話合いをしてきたことが、突如として五人委員会ができたために、加害者である森永さんは五人委員会の陰に隠れて話ができなくなったのであります。それがために被災者は、五人委員会の性格、またわれわれ被災者をどう思っているか、それをこしらえた厚生省はどの点からこれを作られたかということで二十五日東京へ参ったのであります。しかるところ、厚生省は、責任がない、五人委員会も、個人としての責任はあるが、大局的な責任がない、そういうことで、われわれは、一万数千の物の言えない赤ちゃんをどこへ持っていくのかという結論に達したのであります。それがために、われわれ被災者といたしましては、五人委員会でなくて、加害者の森永さんと被災者のわれわれと直接交渉をいたしたいと思っております。その上で、もし難局に逢着したときには、こういうもの――納得のいく五人委員会ができる場合は、またお願いずることがないとは思いません。あるかもわかりません。しかし、現在、私の方被災者と森永さんとがひざ突き合せて話をしているにもかかわらず、突如として五人委員会ができたということに疑惑を持っております。その点、よく御審議を願います。
  6. 中村三之丞

    ○座長(中村三之丞君) 次に玉木長蔵君。
  7. 玉木長蔵

    ○全京都森永粉乳中毒患者同盟委員長玉木長蔵君 私は京都の者でありますが、患者の状況を親しく皆様方に御報告申し上げたいと思います。  大体八月二十四日に新聞で発表せられました砒素中毒という問題でありますが、それ以前に赤ん坊が同じような状態で病院あるいは町医について診断を受けておったのであります。ところがその病状がいずれにしてもわからない。これは簡単な皮膚病だ、いやこれは水ほらそうだというような診察にすぎなかったのであります。ところが、新聞発表によりまして、ああ、これはうちの子供もこうだ、うちの子供もこうだというような状況で、一時に子供を持っておる家庭はみな心配して、全部が病院なり町医者から各病院に診断をさらに求めに行ったわけであります。ところがその状況たるや、実際において見聞せなかったら、その想像がつかないというようなありさまであったのです。どんどんと病院につぎ込んで見てもらった。見てもらったら、お前の子は入院せなければならぬ、お前は重症だから入院せよというて、その当時非常に各病院が混乱したのであります。ところが、病院もベッドの数がございまして、そのベッドの数の足らないような場合には、廊下にむしろを敷いてもそこに寝かせなかったら、その処置がとれないという状況であったのであります。ところが一方中軽症のような患者でありました場合は、実際においてこれはどうなるんですかと、母親は非常に心配の余りに先生に聞きましても、生先もこらいろ病気は初めてのケースでありまして、完全に説明することができないというような状態であったのであります。そこで思い思い、いろいろと心配をし、家に帰ってそのことをば家族の者に知らせておったのですが、家族の者も、その翌日新聞を見ますと、この砒素中毒というものは原爆症とよく似たものであって、後遺症が残るんだというようなことが新聞に発表せられました。最初に見てもらいに行ったときに、非常に重大な砒素中毒というようなものにかかったという心配の上に、またぞろそこに第二日目には新聞紙上でそういう発表があったので、心配の極に達したというような状況になったのであります。  ところが変ったケースは、この赤ちゃんというものは、今日この砒素中毒にかかった患者と申しましても、まだ生まれて二カ月ないし十ヵ月、あるいは最高の方で二年くらいの方が非常に多いのでありまして、その家庭におきましても、ほんとうの新婚生活に入って非常に楽しいときにこの病気をわずらいまして、その新婚の家庭というものは、一ぺんにぶちこわされたというような状態であります。そして一方は病院に入院する、家では夫が勤めに出るのに飯たきまでし、洗たくもし、そして自分の職場に走らなくてはならない。一方母親は病院におって、夜昼となしに非常に困窮したところの状態で看護をしなければならない。ところが、この患者の家庭と申しましては、大体におきましてみなそれぞれ中産階級の者であって、共かせぎというような状態が多いのでありまして、そこに入院費用、治療費用というものが伴いまして、非常に家庭的に苦しんだということは、これは実際に見聞する以外には状態がわからなかったのであります。われわれはそういう悲惨な状態を見まして、ああ、これは何という悲惨事であろうかというような感じが、いまだに頭から離れない。今こうしてお話いたしましても、現実にわれわれの目の前にその当時の状況が現われるというような、実に悲惨な状態であったということを申し上げても、決して私は過言でないと思うのであります。  そういうような状況でありまして、いまだに非常に苦しんでおります。しかし、だんだんと今日におきましては、病気の経過もよくなって参りました。そうして当時の模様から変りまして、お互いに家庭では原状の状態にもどってきたというような状態であります。しかし顧みまして、その発表された当時非常に苦しかったということは、お互いが食事の場合とか、あるいは常に当時のことを思い出して、どうしてこれがいまだに片づかないのだろうかという気持を持ちつつ現在に立ち至ったというのが現状のありさまであります。  まだまだ詳しく私は申し上げたいのでありますが、時間の関係もございますので、この辺で一応私は打ち切らせていただきますが、その当時の状況というものは、目で見、耳で聞いた実際のことでなかったならば、表現ができないような悲惨事であったことを、皆様方もよろしく御推察をお願いしたいと思うものであります。
  8. 中村三之丞

    ○座長(中村三之丞君) 次に宮本邦夫君。
  9. 宮本邦夫

    ○森永ミルク被災者同盟全国協議会事務局長宮本邦夫君 同盟がなぜできたかということについて一言申し上げます。  八月二十四日、あの悲惨事の事故が発生いたしましてからというものは、患者また保護者が非常に苦しみあえいだのであります。それがために各関係官庁並びに森永さんあたりに各個人ごとに折衝されたのでありますが、森永さんといたしましても、また厚生省といたしましても、その当時は非常に混乱しておったために何ら手を打たれなかったというのが事実であります。それがためにとりあえず病院に入れた、また病院に通っておったというような状況でありましたが、先ほど玉木さんが言われましたように、家庭的に非常に困窮してきたのであります。これがためにつき添い料並びに通院費、見舞金というものが、われわれとしては当然必要になってきたのであります。それをどういうようにしていただくかということで、各個人が行ったところが、全然相手にされなかったのであります。それで一応同盟というような形式が、有志が集まりまして  十人集まり二十人集まり三十人集まり四十人集まり、だんだん集まって参りまして、それが一つのかたまりとなりまして、森永さんに交渉に行ったのであります。そうすると森永さんは、現在どのようにもできない、ただ病院に入れて治療に当るのみであったのであります。それではわれわれの生活はめちゃくちゃだ。お母さんは赤ちゃんを抱いて病院に通い、また入院されておるについても、御主人は子供を背負って、会社を休むためにあいさつに行かなければならない。また家へ帰れば、その上の子供の食事の用意もしなければいけないし、病院へ食事を運んだりいろいろなことをしなければならない。それがために家庭も非常に減収になりました。それがために、一応森永さんに各個人が交渉に当ってみたが、全然相手にされなかった、これがその当時の実情であったのであります。それではいけないというので、私たちが集まりまして、各府県において同盟というものが発足したのであります。それがだんだん波及的になりまして、現在では相当の人員がこの同盟に加入いたしております。  それが各府県において同じようなケースの要求を持ちまして森永さんと交渉を持ったのでありますが、各出先機関においては何らの権限がないために、これではいけないというので全国を統一しようじゃないかということになりまして、各府県から代表者が五名、六名と集まりまして第一回の全国協議会というものを設けまして、岡山に集会いたしまして、全国協議会という上部の、一番上の組織としてできたのであります。これが今の同盟の性格であります。  現在同盟で調べました患者実数は、これは疑似患者は入っておりませんが、大体七千百四十一名ぐらいの数字になっております。現在の調査ではもっとふえておると思います。これは四、五日前の資料でありまして、はっきりした資料ではありませんが、その中で現在同盟に加入されておりますのが五千二百九十名であります。大体率からいきますと、こちらで調査いたしました患者の七割三分が加入いたしております。これは一応症状が中等以上の相当重い方が対象として入っておりまして、疑似患者並びにほんの軽微な方はこれには入っておらないのであります。また山間僻地に行きますと、非常に連絡が不十分なために、同盟の意思を伝えることができずに、非常に困惑されて、いまだに何ら救済の手が差し伸べられないというのが事実であります。それらにも波及させるために、われわれは家業をなげうって、毎日々々この患者名簿の作成を急いできたのでありますが、現在森永乳業においてこしらえました患者名簿と私どもと対照いたしますと、大体よく似たものでありますが、官庁におきましても、患者名簿というものは、現在ほとんど完全なものはできておりません。われわれは家業をなげうって、わずかな人間でこしらえ上げたにもかかわらず、各府県の官庁に行けば、二の患者名簿というものは皆目ゼロでありまして、どこの県にいたしましても完全なものはできておりません。それができてないために、完全な治療も行えないというような格好になっております。私たちがこういうふうなわずかな力を合せて作った患者名簿でさえ、これだけのものができておるにもかかわらず、厚生省並びに各関係府県の官庁においては、あれだけの人員を擁しておりながら、現在まだ確認できないとか確認するというような問題で完全な名簿ができておりませんことは非常に残念に思います。  大体私が発表いたしました数字は、四、五日前の数字でありますので、同盟の報告として申し上げておきます。
  10. 中村三之丞

    ○座長(中村三之丞君) 次に岩橋進君。
  11. 岩橋進

    ○森永ミルク被災者同盟全国協議会副委員長岩橋進君 それでは患者の実情と、いかに家族がそのために困ったかといういろいろなケースを、皆様方に、実際に知っていただこうと思います。  大体この事件が発生いたしまして、全国一万に余るところのいたいけな幼児が、約三カ月から四カ月の長い間というものは鼻汁を出し、せきをし、三十八度から、ときには三十九度、四十度、四十一度というような高熱が毎日毎日続きまして食欲がなくなり、また乳を飲みますと、すぐにそれを吐く。その結果、からだはやせて参りまして、全身に発疹のようなものができましてひどくなる。それが手のひらや足の裏にもできる。また非常にものすごい下痢状態が続きまして、またその反面には便秘のために、子供が便をするたびに、ひどいのは肛門が切れて血が出る。そして泣き叫ぶ、母親もまたともに泣きながら便をさせた。肝臓がものすごく大きくなりましたり、また心臓もはれ上り、全身が鉛色のまっ黒な色になりまして、顔色は蒼白となりまして、昼も夜も眠らず、親たちは夜の二時、三時までもその子供をかかえまして、戸外をさまよったのであります。子供は下におろすとすぐに泣き出す、その結果抱いたまま眠らせたというような状態が、毎日々々何ヵ月もの間続いたのであります。  また非常にたくさん汗をかきますので、一日に何回もそれを着せかえねばならない結果、両親とかその世話をする者は精神的に、また肉体的に非常に疲労したのであります。子供がふきげんでむずかって全然というほど眠らない。また下に眠らせても、一晩じゅう転々としてあちらにころびこちらにころび、苦しんだのであります。その結果母親が病床に伏し、また父親も勤務先を欠勤したという例がたくさんあります。また母親がともに砒素中毒になっておるというようなところもあるのでございます。またいなかの山間部では、そのかわいい子供の命を救うために山坂を越えて、交通の不便なところを何里も医者に通ったというような実例があるのであります。またあるところでは子供が親たちの懸命な努力にもかかわらず、失明寸前という状態になっております。また手がこういうふうにカニのようになって動かないというのもあるのであります。  皆様方は、よくこの状態を推察せられまして、何とぞ一日も早く私たち全国一万数千の患者と患者の父兄に対して、解決のできるようにお力添えをしていただきたいと思う次第であります。
  12. 中村三之丞

    ○座長(中村三之丞君) 以上で被災者代表者から一通り御意見並びに説明をお聞きいたしたわけでございますが、次に協議委員から発言の通告がございますので、順次これを許可いたします。なお発言の申し込みは十一名ございますから、午後にわたることを御了承願っておきます。  なお森永乳業株式会社から代表取締役の大野勇君及び常務取締役の七海君が見えておりますが、この両君に対しても御質問願えればけっこうでございます。
  13. 滝井義高

    ○滝井義高君 議事進行について。今の患者と申しますか、被災者の同盟の方からいろいろ御意見を聞きましたが、そういう被災害の御意見とともに、あれからだいぶ日にちもたちますので、今度の粉ミルク事件に対する森永自身の総括的な最終的な態度と申しますか、そういうものをお聞かせ願っておけば、われわれ質問の時間も非常に省けると思いますから、先に森永の話を聞いて、それから質問に入っていただきたい。
  14. 中村三之丞

    ○座長(中村三之丞君) それでは今の滝井君の議事進行通りにしてよろしゅうございますか。     〔「異議なし」と呼び者あり〕
  15. 中村三之丞

    ○座長(中村三之丞君) それでは大野勇君。
  16. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 今回当社の粉ミルクで非常に御迷惑をかけまして、まことに申しわけないのであります。これはわれわれの全く予測できない、薬品の常識で考えられないようなものが根本になりまして、こういう問題を起したのでありますが、われわれは森永の名前とエンゼル・マークを信用して飲んでいただいた消費者に対して、道義的な責任を当初より痛感いたしておりましたから、厚生省に対しまして、患者は必ず会社の全力をあげて御回復をお祈りする、医療に万全を期していただきたい、かように申し上げたわけでありますが、何分にも予測しないほどの患者の数が各地に発生いたしまして、手不足のわれわれの会社の実情では、各地に行き違いが生じまして、患者の皆さんにも非常に御不満と御迷惑をかけたことと思っております。ようやく最近に至りましておいおい機構も整い、全快の方々も出られましたので、ただいまのところ治療については大体の、十分ではありませんが、御不満ながらも一通りのことをさせていただいている、かように考えております。見舞金もさ少ではありましたが当初から考えておりましたので、差し上げておったのですが、今申し上げたような関係で多少前後したり手違いしたりして遅れたということもあって、これまた御不満の種になっているのではないか、かように考えております。  一番問題は犠牲者の方々に対する御弔慰なり慰謝の問題でありますが、当初は一府県か二府県であると考えましたので、府県の当局と御相談をして解決をすればいい、こう考えておりました。ところが、こういう工合に二十数府県にわたりますと、これは普通の話ではできない、どうしても厚生省なり何なりに、全国を平均的にながめて御解決のできるところにごあっせんを願いたいということを考えていたのです。  たまたま患者の方々から非常な御要求が出まして、御回答することにはなっておりましたが、これはあまり金額が離れている、離れているというか何というか、ちょっと予想しないようなことで、五人委員会という中正な委員会ができて、一応結論が出るということになりますれば、この結論に誠心誠意お従いすることがいいのではないか、こういう考えで、先ほど三木委員長から御発言がありました二十三日にも、具体的な返事は一切できない、高くしても安くしても、委員会の判定に影響を与えるような発言は、われわれ当事者として一切すべきでない、こういう工合に考えまして、具体的な数字の御相談には応じない、しかしほかのことでお話があるならば、幾らでも御相談したい、かように考えておりましたが、当日はそのままになって、ほかにお話し合いができなかったわけであります。  何でもかでも五人委員会のそでに隠れるというわけではありません。五人委員会の御決定に、善面心にかかわらず影響を与えるような具体的な数字については、われわれの御決定に従う、こういう誓約書を出していますから、今の段階におきましては、御相談も発表もできない、こういうようなわけであります。  不満足ではございましょうが、治療は今一応進行しておりますので、これが終りますれば、委員会の結論に従いまして、慰謝なり弔慰なりというものを誠心誠意やらせていただきたい、かように考えております。
  17. 中村三之丞

    ○座長(中村三之丞君) それでは協議員の質問に入ります。中川俊思君。
  18. 中川俊思

    ○中川俊思君 先ほど岡崎さんや三木さん、正木さん、宮本さん等から、その後の状況をお伺いしたのでございますが、そのうちに、これは岡崎さんの御発言だったと思いますが、死亡者が六十七名あって、未確定が四十名ある、これは医者が認定しないために迷っておるというような御発言があったと思うのでございます。この四十名という未確定の数字は、主としてどの地方でございますか。
  19. 岡崎哲夫

    ○森永ミルク被災者同盟全国協議会副委員長岡崎哲夫君 はっきり砒素中毒ではあるが未確認というのを、各県合計した大体の数字でございます。まだ続々と出てくるかもしれません。各県から出てきておるそうであります。
  20. 中川俊思

    ○中川俊思君 私が今お伺いしましたのは、二十数県から出てきておるのですか。どの方面が、主でこの未確定者が出てきておるのですか。それはわかりませんか。
  21. 三木千太郎

    ○全大阪森永ミルク被災者同盟委員長三木千太郎君 この点はあらゆる県で出てきております。大阪においても確認が五名しかなかったのです。現在未確認の方の悲惨な状態というものは、言語に絶する関係になっております。お医者の面子だというばかりで確認できないというケースが、近畿五県はもちろんのこと、四国にもたくさんあります。愛媛 徳島、この県が多いです。中国地方においては広島、岡山、兵庫――兵庫なんかは、まだ一人も確認ができていないといってもいいくらいであります。その点は、医者が初め八月十五日に肺炎として死んだのだから、今さら砒素にはできないという点で、医者の面子にかかわるというようなケースがたくさんあって、その死骸の写真も私の方にはたくさん来ておりますが、こういうケースでも、お医者がしないのだというケースが、大阪では、ここ十二、三日間においても、十人ほど確認を願っております。そういうケースで、今岡崎さんが申したことは九月の話であって、現在は確認者も相当ふえているということは確言できます。また未確認の方も、四十名どころではありません、二百数十人あります。大阪においては二人の死亡者係というものができまして、その二人が未確認の死者の側の申し出により、かかっていた医者の診断書を調べまして確認させております。森永さんでは、府及び市の医務課及び衛生局の確認のあるものを認めておると申しておりましたので、それで府、市に参ったのでありますが、それはみなうそでありまして、私の方は何も知らない、森永にそういう命令をしたことはない、それは要するにお医者がからだを見たのだから、それによって森永さんと交渉すべきだということになりまして、現在大阪事務所において交渉しておりますが、それによって森永もうそを認めて、今申しました通り、未確認の中から確認が十名ほど大阪だけでふえております。
  22. 中川俊思

    ○中川俊思君 政府にお尋ねいたしますが、五人委員会のその後の経過たとえはその後会合されたか。会合されたとしたら、どういうふうないきさつになっているか、もしおわかりになりましたらお知らせ願いたい。
  23. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 五人委員会が発足されましてから現在まで、三回会合を重ねておられますが、その間、患者の診療に従事しました医師あるいは被災者の遺族、家族、学識経験者及び中毒の発生した府県の行政当局などの意見を聞いておられます。
  24. 中川俊思

    ○中川俊思君 それの今日までの経過はまだわかりませんか。
  25. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 ただいまお答え申し上げましたような会合の状況でございまして、それからおよそどういうような結論をお出しになるかというような推測は、私どもまだわかっていないような状況でございます。
  26. 中川俊思

    ○中川俊思君 申し上げるまでもなく、被災者の側においては、解決を一日も早く迫られているわけですが、一体この五人委員会は、いつごろ結論を出す予定で進んでいるのですか。
  27. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 厚生省といたしましても、できるだけ早く結論を出していただくように希望しておりますし、委員会の方でもその気持を十分了とされまして、今月中には一応の結論を出したいというような見込みというふうに伺っております。
  28. 中川俊思

    ○中川俊思君 局長にお尋ねしますが、八月二十七日のこの協議会の席上において、局長は、森永の製品ではMFだけで、他に定性反応を示しておるものはないというようなことを言明されておりますが、その後森永の製品で患者が出たというようなことはございませんか。
  29. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 その後私どもの方で調査いたしております経過から見ますと、森永の徳島工場製品を摂取した域外の者からは、患者は発生しておりません。
  30. 中川俊思

    ○中川俊思君 最近川崎の工場を視察されたことはございませんか。調査されたことはございませんか。
  31. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 中川先生に申し上げますが、森永の乳製品の工場は、徳島と松本と平塚と福島でございます。
  32. 中川俊思

    ○中川俊思君 間違えました。徳島だけでなく、他の工場を最近視察されたことはございませんか。調査されたことはございませんか。
  33. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 私どもの方で、私直接は参っておりませんが、調査をさせておりますが、ただいま最近というお尋ねでございますが、最後の確実な日付は今ちょっとここに持ち合せておりません。
  34. 中川俊思

    ○中川俊思君 その調査された理由は、何か森永のMF以外の商品に怪しいというようなことがあったために調査をなさったのか、あるいは念のために調査をするということで御調査をなさったのか、いずれでございますか。
  35. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 森永の徳島工場以外の製品について十分注意するようにということは、この事件の当初から、先生方からも御注意をいただいております。私どもの方でも十分そのつもりでやっておりまして、最初には徳島工場以外の製品からも砒素が検出されたというような情報が入ったこともございました。その後調べてみましたところ、それが間違いであったということもわかったわけでございます。しかし、今回の事件にかんがみまして、たびたび御注意もいただいておりますので、私どもの方では、各工場をできるだけ注意して監督するようにということをいたしております。最近あちこちを調査させておりますのも、念のためという意味でやっているわけでございます。
  36. 中川俊思

    ○中川俊思君 このMCカンというのは、たしか森永の平塚工場で作っているのじゃないかと思うのです。このMCカンで神戸、広島、岡山で十八名の患者が出たということを私は聞いておるのですが、どうなんですか。
  37. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 MCカン、つまり平塚工場で作りましたものを飲んだ者からも発生したというような情報もございましたので、私どもの方で調べましたところ、そうでないということを私どもの方で確認をいたしているわけでございます。
  38. 中川俊思

    ○中川俊思君 御承知の通り岡山大学の浜木教授が、たしか九月の中旬だったと思うのですが、森永のMF以外の商品については、砒素は摘出されないということを発表したのであります。ところが、その後神戸医大の平田教授が、森永のベーターから患者が出たということを大阪の学会において発表いたしております。その後岡山の浜木教授は、それまではMF以外の商品からは砒素は摘出されていないということを言っておったのを、その後は言わなくなった事実があるのですが、こういうような点から考えて、果してMFだけであるかどうかということについて、厚生省は一体どの程度の調査をなさっておるか。
  39. 楠本正康

    ○公衆衛生局環境衛生部長楠本正康君 お答え申し上げます。ただいま御指摘のように、神戸医大におきましてMCからも怪しい患者が出たというような情報も受け、また発表もあったわけでございます。従って私どもとしては、それらの品物を国立衛生試験所に持って参りまして検査をする一方、専門家の浜木教授あるいは大阪大学の西沢教授等の専門家にお願いをいたしまして神戸に行っていただきまして、そこでいろいろ臨床的な検査等をいたしたわけでございます。それらの結論を総合いたしまして、MCには、もちろん砒素は証明されもしないばかりでなく、同時に患者等も砒素によるものでないということが確認された次第であります。
  40. 中川俊思

    ○中川俊思君 十月四日であったと私は記憶いたしておるのでありますが、奇怪にも大阪の学会で、MFカン以外のものについては発言を禁じておる事実がある。これは一体厚生省がそういう指令を出したのか、あるいは学会が出したのか、この点は明瞭でございませんが、厚生省でさようなことがあるのかどうか、一応念のためにお聞きをするのであります。
  41. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 さような指令を出したことは全然ございません。
  42. 中川俊思

    ○中川俊思君 第一回の協議会の席上、たしか小島君の発言にあったと思うのでありますが、どうも厚生省は、責任上の立場をとっておられるからでもあるかもしれませんが、この問題について真相を発表することを極力避けておられるように私は考える。それは社会不安を起すという見地からも、慎重を期せられるという点につきましては一応了承いたしますが、しかしかような問題は、十分に真相を天下に表明して、そうして再びかような問題が起らないように心がけることが最も大事なことでございますので、もしそういうような点がもりといたしますならば、いろいろな被災者同盟なりあるいはその他の一般国民の不安の念を除去する意味からいっても、今のような点について、いろいろ世間では誤解か知りませんが、MFだけではない、MCにもMLにもあるということが一応発表されたことがある。であるから、事実はこらであったが、厚生省においては、国立試験所でかように検査をした結果、こうこうこういう結果を生じているから不安がないのだということをなぜ御発表にならないのか。どうも私は森永に遠慮をして、厚生省がこの問題をやみからやみと言うと語弊があるか知らないが、とかく過小評価されておるような気配が見受けられるのでありますが、厚生省においては、この点についてどういうお考えをお持ちになっておりますか。
  43. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 第一回の協議会が開かれました際には、先生もこれは御承知のことと存じますが、当時まだ徳島工場の製品、つまり第二燐酸ソーダによってこの中毒が起ったということが推定もされず、もちろん確認もされていない時期でございました。ことに第一回の協議会でいろいろ御質問を受けました際に、群馬県の白石工業で作りましたカルシウムが原因なのではないかというような御疑問もおありでございました。私どもの方でも、一時そういう情報が入っておりましたので、念のために白石工業の方の製品も調べ、またその出荷状況なども調べておりました際でございましたので、はっきりしたことがなかなかお答えできなかったわけでございます。たまたまお答え申し上げております最中に、国立衛生試験所からの報告が参りまして、カルシウムの中には砒素は検出されない、それからMFの中には検出された、それからたしかMCでございましたか、そのときの検査物の中からは検出されないというような報告が参りましたので、協議会の最中でございましたが、それを御報告申し上げたわけでございます。従いまして、第一回の協議会のときには、繰り返して申し上げますが、まだ真相がはっきりつかみ得ない状況でございましたので、答弁に非常にあいまいな点がございましたかと思い、まことに恐縮に存じているわけでございます。しかしその後の私どもの方で調べました結果――材料を国立衛生試験所でいろいろ取り寄せて調べました。また現地でのいろいろな調査の結果、徳島工場で製造の際に使いました第二燐酸ソーダに原因があったということがわかりましたので、私どもはその線に沿って世間にも発表し、また対策を講じているわけでございまして、MCあるいはそのほかの福島工場、松本工場の製品、あるいは森永以外の製造会社の製品について毛、国立衛生試験所で製品を取って調べておりまして、そうしてそういうものからは検出されておりませんので、私どもは世間に対しましては、今回の事件はMFに限って起ったものであって、しかも一定の時期の間に製造されたものからこういう事件が起ったんだということを発表しているわけでございます。決してただいま中川先生から御指摘になりましたような、厚生省といたしまして森永に遠慮して真相を発表しないとか、あるいはその表現をはっきりさせないというようなことはしておらないつもりでございまして、もちろんそういうことをいたすべきではないというふうにも考えております。そういう考えで進んでおりますので、今後もその線ではっきりさせて参りたいと存じます。
  44. 中川俊思

    ○中川俊思君 そういうことであればけっこうでございますが、先般、私は大阪から和歌山の方に行ってみますと、和歌山の方では、盛んに土地の者が厚生省は営利会社の森永に遠慮しておる、極端な言い分でございますが、買収されておるんじゃないかというようなことまで言う者がある。そういうことでありますから、今私が申しましたのは、厚生省として今日までの経過を詳しく御発表になって――今まで出しておられる声明書はきわめて抽象的でございます。これはなかなか一般の被災者の方なんかには、声明書だけでは納得できないだろうと思うのです。でありますから、いろいろ取りざたされておるけれども、こうこうこういうふうな実情であるというような詳細な声明書なり、あるいは何かお出しになることが肝要じゃないかということを、実は私は申したわけであります。  それからお尋ねいたしますが、森永のバターの製造量が非常に少いということについて、関心をお持ちになっておることがございますか。
  45. 楠本正康

    ○公衆衛生局環境衛生部長楠本正康君 バターは、原料乳の性質が違います。森永は大体市乳並びに全粉乳等を主として作っております関係で、勢いバターの生産が雪印、クローバー等に比べて少い、かように考えておるわけでございます。
  46. 中川俊思

    ○中川俊思君 そういう見方もあるでしょうが、なおもう少し厚生当局は関心を持っていただきたいことは、このたびの事件におきましても、酸化しかけた原乳に第二燐酸ソーダなりあるいはその他過酸化水素を入れた、こういうところからこの問題が起っている。でありますから、もう少し今部長が述べられたようなことでなく、厚生当局としてはもっと慎重にこの点を調査してもらいたい。要するに安い二等牛乳を買って、そうしてこれに中和剤なり緩衝剤を入れて、そうして一等牛乳のごとくして粉乳を作る、こういうところに今回の問題が起っているのですから、二等牛乳はバターとして作ればよいけれども、バターとしてでは安い。でありますから、市乳なり粉乳なりにするわけでありますから、そういう点に関心をお持ちになっているかということを私はお尋ねしたのです。
  47. 楠本正康

    ○公衆衛生局環境衛生部長楠本正康君 まことに御指摘の通りでございまして、原料乳は、私どもも大いに原料乳の質の向上を指導いたしておりますが、分散飼育の関係等もございまして、なかなか思うにまかせないのはまことに残念に思っております。しかしながら、御指摘のように原料乳が必ずしも優秀でないというところに、一つの理由としては中和剤を使わなければならぬこともございますので、今後は私どもといたしましても、従来にも増して原料乳の質の向上をはかっていく所存でございます。
  48. 中川俊思

    ○中川俊思君 政府は森永が五十三年のベータにサッカリンを入れていることを御存じですか。
  49. 楠本正康

    ○公衆衛生局環境衛生部長楠本正康君 サッカリンを入れたということについては承知をいたしておりまん。
  50. 中川俊思

    ○中川俊思君 これはまことに驚いた御答弁です。私はきょう実物を持って来ようかと思いましたが、厚生省においてはそのくらいのことは先刻御承知だと思いましたから、私は今日持参しなかったのであります。次の機会に持参いたしますが、私の調査したところによりますと、五十三年十二月二十二日、二十三日、二十六日、二十九日製造の森永のベータ・ドライ・ミルクに甘味を増すためにサッカリンを入れた事実がある。しかもカンには、私の申し上げるまでもなく、サッカリンを入れたならばこれを表示しなければならぬ。表示もされていない。育児の栄養剤に、栄養上価値のないものを入れて森永が今日まで売っておる事実がございます。そういうことを厚生省が御存じたくして今日の問題を究明されようとするところに、私は無理があると思う。森永という会社が、今日までどういうことをしておるかということは、私は厚生省は十分御存じであったと思うのでありますが、それも御存じなくして、ただ表面に現われた問題だけをつかまえて、今日の問題を解決されようと思うところに、私は厚生省としては大きなミスがあるのではないかと思うのであります。これば私はこのことをここで言明した以上は、そのカンを持ってきてごらんに入れますが、とにかくこういう事実がある。まことにゆゆしい問題でございまして、栄養上無価値なものを、育児栄養剤として、今日まで売っている事実がある。一体これをどのくらい出しているのか、後刻私は森永の当事者にお聞きしたいと思うのでございます。そういう事実があることを御承知願って、御調査を願いたい。  それから森永は、あくまでも徳島だけの責任にしようと思っているように、私には考えられるのでありますが、厚生省はこれを是認なさるのですか。
  51. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 ただいま中川先生のお尋ねの責任問題につきましては、これはいろいろな角度から検討しなければならないと思うのでございます。刑事上の責任あるいは道義上の責任、あるいは食品衛生の関係の責任、いろいろな点が考えられるのでございますが、本社は道義上の責任は当然感じて、先ほど専務も言われたように、その心がまえで進んでおることと思うのでございます。ただ、刑事上の責任と申しますか、食品衛生法上の責任ということになりますと、これは製造と販売と両方あるのでございますが、製造につきましては、徳島工場において製造いたしておりますので、製造自体は、徳島工場の責任になるわけでございます。  しかし、その製造をさせます際に、本社からどういう指示をしたかということにつきまして、その間に指示についていろいろ手落ちがあれば、これは本社が責任を負わなければならぬというふうに考えるわけでございます。その間につきまして、私ども本社から各工場へ指示いたしましたその指示の書類等を取り寄せて、調査いたしたのでございますが、製造並びにその販売につきまして、本社としては書類の上で相当の注意を払って指示をいたしておることを、私どもの方で認めたわけでございます。従いまして、製造は四つの工場で製造いたしておりましたが、その製造の過程において、その工場で責任を持ってやらなければならない立場の責任者が、その注意を怠ったというようなことで、今回の事件が発生したというふうに私ども考えたわけでございます。従いまして、工場の法的な責任ということにつきましては、現在のところ徳島の工場に責任があるというふうに考えております。もちろん本社の方には、先ほど申しました道義上の責任並びに技術指導の面において、技術陣が十分でなかったという点は、私ども指摘いたしまして、さっそく森永本社に指示いたしまして、技術陣の刷新ということを行わせ、先般技術部の主脳部の入れかえをするということをやらせたわけでございます。責任問題は、いろいろな点から考えなければならないと存ずるのでございますが、私どもといたしましては、ただいま申し上げたような見解でおるわけでございます。
  52. 中川俊思

    ○中川俊思君 私は、これだけの大問題が、単なる一工場において起ったとは、どうも解釈できないのであります。これだけのことが、ただ工場長の意思のみで行われたということはどうも私には考えられない。森永ほどの大会社でありますものが、よしんば工場長独自の考えで製造せんとしても、一応本社の指令を仰ぐのが常道ではないか。よって私は、この問題は森永本社から全国各工場に指令したものではないかというふうに考えるのであります。従って、責任を単に徳島の工場長だけに負わす、こういうことについては、どうも私ども解釈に苦しむ。ことに、これは事実かどうか知りませんが、森永では、こういうような問題について、重大な会議をやるときには、常務の荻原技師を会議に出席させないということまである。ただ事務屋だけでこの問題を片づけているということも、私どもの耳に入っている。そういうような点から考えますと、局長は簡単に森永の書類を見て、徳島工場長だけの責任で、今刑事問題になって調べているということをおっしゃっております。書類の上ではどうなっておるか知りませんが、私は、この問題は簡単に責任の帰趨をきめるべき性質のものでないように考えておるのであります。これらの点についても、一つ厚生当局としては、厳重なる御調査を願いたいと思うのであります。  それから次に、森永にお聞きをいたしますが、大野さん――あなた、いつ代表取締役におなりになったのでありますか。
  53. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 二十四年に森永製菓から分れた時から、私が代表取締役になっております。
  54. 中川俊思

    ○中川俊思君 私は一体会社の代表者というものは、大体社長が代表者になるべきものだと思うのでありますが、森永乳業には森永太平さんという社長さんがおられると思うのでございます。この人が代表者でなく、あなたが代表者になられておるのは、一体どういう理由ですか。
  55. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 これは森永の特有でありまして、子会社がほかにもありますが、社長は森永製菓以外には代表権がない。あとはみんな専務が代表権を持っております。
  56. 中川俊思

    ○中川俊思君 それならあなたが社長になったらいい。
  57. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 それで特有の形と申し上げたわけであります。
  58. 中川俊思

    ○中川俊思君 それは森永特有であるか知らぬけれども、社会通念上から言うならば、どうも解せられない。一体社長という方がりっぱにおって、これは床の間の置物じゃない。社長といえば、対外的に社長がすべての責任を負うものだと解釈する。森永特有であるから、おれのところはこうだというようなことは、社会一般では通用しない。それなら社長としての責任は全然ないのかということになるのですが、そうですか。
  59. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 よその会長に相当するのが、うちの社長になっているわけです。それですから、代表権は専務取締役一人だけが持っておる。森永製菓のみ社長で代表権を持っておる、こういう形になっているのです。
  60. 中川俊思

    ○中川俊思君 先ほど私は政府にちょっと質問したのですが、あなたの会社に技術担当の常務で、荻原さんという方がいらっしゃるのですか。
  61. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 おります。
  62. 中川俊思

    ○中川俊思君 この荻原さんは、たとえば先ほど来問題になっております今回のこの事件でありますが、こういう会議に出席させないということを、私はある方面から聞いたことがあるのですが、それは事実であるかどうか。もし出席させないとするならば、いかなる理由で出席させないのか、お伺いしたい。
  63. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 出席させないというようなことはないと思います。全然聞いたこともありません。
  64. 中川俊思

    ○中川俊思君 ないと思いますがということは、どういうことですか。あなたはいやしくも会社の代表者であって、そうして社長は今のようなお話を承わると、ロボット社長である。しかしてあなたが全部の責任を持ってやっておられる。こういうような重大な事件を取り扱われる場合には、あなたが座長としてあるいは議長としておやりになるだろうと思う。しかるに、思うがということは、一体どういうことなんですか。出席させているのかいないのか、明瞭にお答え願いたい。
  65. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 さっきの思うがということは取り消します。これはいれば必ず出席しているに違いないです。
  66. 中川俊思

    ○中川俊思君 違いないということは、どうも私はわかりません。あなたが座長なり議長としてやっておられるのだから、出席しておれば出席しておるということが明瞭に言えるはずです。どうもあなたの先ほどからのお言葉を伺っておると――これは私だけが疑うのかもしれないが、疑わすようなことを言っておられる。そうすれば、実際にそういうような重要な問題を議する場合、技術的な問題を議する場合には、荻原さんは出席していないのじゃないかという感じを持つのですが、そこへ出席していないのならいない、出席しておるのならおるということを、一つ明瞭に重ねて御答弁願いたい。
  67. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 不明瞭だというお話ですけれども、私の方で人の少い関係で出入りをしておりますから、全部私が主催する場合もありますし、主催しない場合もありますから、その点をはっきりしないと申し上げたので、東京に荻原がいる限りは必ず出席しております。
  68. 中川俊思

    ○中川俊思君 重ねて伺うわけではありませんが、人が少いから一々タッチできないというような御答弁でありますが、会議をやった場合には会議録もございます。あなたがかりに旅行をしておられても、あなたが森永乳業の独裁者である以上は、帰られたならば、自分の留守にどういう重大な問題について会議をやったかぐらいなことは、部下の者からあなたに対して報告があるはずです。従って、人数が少いから一々出席したかどうかわからないというようなことは、私どもにはすなおに受け取ることができないのであります。  それから、大野さんに言っておきますが、今は休会中でございまして、社会労働委員会は委員会の手続をとっておりませんために、協議会という名目でやっております。従って正式な委員会ではございません。正式の委員会に証人として出ていただく場合に、いいかげんなことを言っておると偽証罪になります。この問題はここでちゃんと速記をとっておりまして、国会が始まりますと、私どもはこの速記によってさらに正式な委員会の要求をいたします。そうして今あなたの申されたことに、もしでたらめなことがあったならば、そういうような重大な段階に至りますから、このことをあらかじめ御承知おきを願って御答弁を願いたいと思います。  厚生省の平塚工場を調べられた日時はいつでございますか、御存じございませんか。
  69. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 記憶がありません。
  70. 中川俊思

    ○中川俊思君 御記憶がないということでありますが、一つその点は、お帰りになりましてから十分に御調査願って、お返事を願いたいと思います。  それから、これも今ここで数量をすぐ明示していただくことは無理かと存じますから、後刻あらためて一緒にお返事を願いたいと思いますが、あなたの会社の、各工場別にしていただければけっこうでありますが、一カ年間の一等乳並びに二等乳の買入量を、一つ各工場別にお知らせをいただきたいと思います。それから続いてバターの製造量、これも各工場別にお知らせを願いたいと思います。  それから、先般あなたの名前であいさつ状か何かちょうだいしたのですが、それによりますと、ベータ入ドライミルクを三カンずつ見舞品として引きかえ券でお渡しになるということが書いてあるようであります。先ほど私がちょっと政府当局にもお尋ねしたように、神戸で平田教授の研究によりますと、ベータにも砒素が入っているということが一応明らかになったのでありますから、そういうようなものを見舞として出されるということになりますと、さらに患者が続出するのではないかと思うのですが、これはすでにお出しになったのかどうかお伺いいたします。
  71. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 すでにもう出しております。いろいろな疑念や何かがありますが、ベーターには絶対入っておりませんことを申し上げます。
  72. 中川俊思

    ○中川俊思君 あなたはよく絶対々々とおっしゃるのだが、八月二十五日時事通信の記者にあなたは、今回の事件は森永のドライミルクによって生じた事件とは自分は考えない。もし森永の責任が明らかになれば僕は森永トライミルクとともに自爆するよ、こういうことをおっしゃっておられるが、絶対ということは、一体どういう根拠に基いておっしゃるのか。またこの時事通信の記者におっしゃったと同じような自爆ものになりはしないかと思うのですが、どうなんですか。絶対ということは言えますか。
  73. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 時事通信の記者に絶対と言ったかどうか、これも今記憶がありませんが、当時徳島工場の七月のサンプルが東京にありまして、それを全部調べた場合に、徳島工場の製品には少しも砒素が発見されませんので、岡山は砒素があり、東京は砒素がないというので、非常に不思議に思っておったのですが、それは今品物に間違いないという確信に立っておりましたもので、手元にあったサンプルをたまたま検査したところが、七月のものは徳島では全部ないのです。そういうことで、これは間違いない、こういうつもりで返事をしたわけです。
  74. 中川俊思

    ○中川俊思君 先ほど私が政府当局にも質問をして、政府は知らないというのですが、あなたの方では十分御存じだろうと思うのですが、五三年にお作りになったベータにサッカリンをお入れになった事実はお認めになりますか。
  75. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 私は技術を担当していませんから、そういう何は全然知りません。
  76. 中川俊思

    ○中川俊思君 まことに驚き入った御答弁です。森永乳業の代表取締役ともあろうあなたが、自分は技術を担当していないから知らない。それで世間に済みますか、済むとお考えになりますか、あなたの所信を承わりたいのです。
  77. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 事実をほんとうに知りませんから、今知らないと申し上げるよりほかに返事の方法がありません。
  78. 中川俊思

    ○中川俊思君 これ以上追及してみたところで、ああいう御答弁でございますから、私は追及いたしませんが、先ほど政府にも申しました通り、五三年の十二月二十二日、二十三日、二十六日、二十九日、この製造にかかるところのベータには明瞭にサッカリンが入れてある。これは育児栄養剤に、栄養上いささかの価値のないものを入れて育児栄養剤として売り出しておるのであります。そこで重ねて資料の要求をいたしますが、このドライミルクは、一体どのくらいカンの数が出ておるか、それからどこどこの工場でお作りになったか、この点を一つ先ほどお願いいたしました資料とともに御提出を願いたいと存じます。  以上で私は終ります。
  79. 中村三之丞

    ○座長(中村三之丞君) 吉川兼光君。
  80. 吉川兼光

    ○吉川兼光君 私は本日の協議会の性質にかんがみまして、政府に対する質問はできるだけ次の機会に譲りまして、本日お見えになっております被災者の代表並びに森永の代表者に若干の質問をいたしたいと思います。なおまたそれに関連いたしまして、政府の所見をお伺いすることになることをあらかじめ申し上げておきたいと思うのであります。  まず被災者の方にお伺いいたしますが、大ぜいお見えになっておるようでございますから、私の方からは一々名前は指名いたしませんが、私の質問に適当と思われる方から、できるだけ簡潔に御答弁をいただければけっこうだと思います。だいぶ質問者も多いようでありますから、かいつまんでお伺いするのが、あとの質問者の御都合もあろうと思いますので、そうさせていただきますが、補償に関しまして、五人委員会というものができておる。これは後ほど政府からも御答弁を聞くつもりでありますが、これを作るに当りまして、被災者同盟の方に前もって御相談があったのか、全然御相談なしに、やぶから棒というような形で出てきたものであるかどうかということが一つ。  それから中立的なものだというふうにあなた方はこれを解釈しておるか、それともいかにも巧みな表現は用いておるけれども、これは森永の一種の利益代表だ、こういうふうな御印象を持っておるかいなかというようなことについて、一つ五人委員会に関してどなたからか、簡潔な被災者同盟の見解を伺いたい。
  81. 三木千太郎

    ○全大阪森永ミルク被災者同盟委員長三木千太郎君 先ほど申しました通り、二十三日に、お互いに森永さんと私の方で交渉しようという約束ができまして、午後の一時にお目にかかったときに、突然に、五人委員会ができたからその方へおまかせしてある、厚生省の方へは誓約書を取られておる、それによってお答えがしかねるからできないという線でありました。その点について私が思うことには、五人委員会はどういうわけでできたのかということを聞きましたところが、この通りの書面でできたということが出されたのであります。それは厚生省において森永本社の要請により五人委員会を作ったというその声明であります。私の方も十月四日に川崎厚生大臣に御要請及び嘆願はしてあるにもかかわらず、一万数千の物の言えない赤ちゃんを捨てておいて、森永だけの要請によって五人委員を作ったのかということを私は申しました。われわれのためを思い、森永のためを思うならば、われわれ被災者の方にも厚生省は一枚の通知でも出すのがほんとうじゃないかということを、森永の大野代表にお尋ねしたところが、それは時間がなかったからできなかったというお答えでありました。われわれ考えることに、信じ切っているお医者でさえも、ほんとうに信じられない現実の書類がたくさんあります。そういう場合において、現在まで被災者に対して厚生省がどういう手を打ったか、全然手を打っていないのであります。しかも森永さんも私の方も、十月三日、四日、五日の協定において、二十三日に大阪にて御相談しようという約束ができて、大野代表及び私の方と協定文に調印しているにもかかわらず、突然二十一日に五人委員会がここにできたから、あなた方にお話ができないということは、私たちは五人委員会の性格を疑うのであります。  またこれは中立的かという御質問に対しては、私は絶対に納得がいきません。そのいかない理由というのは、この間五人委員会にお目にかかりまして、悲惨な状態を逐次私がお話したところが、そういうこともあったか、こういうこともあったか、何にも知らない。しかし、今から現地へ視察に行くからという話でした。八月二十四日以後九月の二十日ごろまでのあの混乱時代は、東京で自動車に乗ってばかりいた人にはわからない。われわれ被災者のことを取り上げて、中立的にお話して研究していただくのなれば、なぜ関西において苦労せられた方がお入りにならないのか。私は五つの質問をしたところが何も知らない。こういうことは森永さんから書類が出してあるはずだろうというと、さあそんなものは見ていないから控えさせてくれ、厚生省の役人に控えてあるのかというと、厚生省の楠本部長もそれはありません。そういうずさんなことで、さいぜん山口公衆衛生局長が述べられたような、今月中に案が出ますということは、不当もはなはだしいと思うのであります。実際面において五人委員会の方が、山の中また苦しみを全部御存じなくして、東京の被災の少い場所にいられて、机上において洞爺丸とか桜木町事件のように勘案してこれに決定を与えるということは、被災者同盟はお金じゃありません、赤ちゃんがすこやかにいくことだけを根本義として森永さんに要求しておるのであります。それに対して、この幼い子供、三カ月から八カ月、一年までの赤ちゃんにおいて、中毒のためにあの通り肝臓がはれ上り、見るに見かねるような現在の症状において、医者たる者が全快々々の診断をしております。全快しておる、もう来るな、病院には用事がないといって、翌日四十度の熱が出て病院に行くと、これは砒素じゃない、砒素はなおったけれども、ほかの病気が出ておる。そういう現実の書類を私はきょう持っておりますが、われわれしろうとから見た場合、森永をかくまうような現実面があらゆるケースにおいてあることを私は確認しております。そういうことでできた五人委員会は、私たち被災者一同としては、認めることができないのであります。
  82. 吉川兼光

    ○吉川兼光君 次にお伺い申し上げたいのは、実は被災者同盟からのいろいろな印刷物をちょうだいしておりまして、それによってある程度わかっていることを、ここで確認する意味でお伺いしたいのであります。大体被災者同盟が、従来森永と交渉されたのは何回、どこでやられたかということと、そのときにどういう要求をお出しになったか、またその際の森永側の折衝に当られた方の御氏名と、そういう方の態度、誠意があると思ったかどうかということなども、つけ加えてどなたかお願いします。
  83. 中村三之丞

    ○座長(中村三之丞君) 三木君にちょっと御注意申し上げますが、協議員の質問の事項に合うように言って、あまり長くならぬようにして下さい、時間の関係もありますから。
  84. 三木千太郎

    ○全大阪森永ミルク被災者同盟委員長三木千太郎君 その点に対しまして、第一回が九月の六日から始まったのでありますが、それに対して交渉に一回も抜けていなくて、全面的にやってきた私の方の事務局長がおるのです。その方が本日ぜひ出席したいというので来たのでありますが、私たちがけさ参ったものですからそれが漏れたのであります。その方は、初めから全部森永さんの折衝に対するメモ記録を持っておられるのです。それでその方が今ここにいますから、説明させていただきますと、全部記録がおわかりになるのですが、座長さんいかがでしょう、伊勢照男が参っておるのでありますが……。
  85. 中村三之丞

    ○座長(中村三之丞君) それではあらためまして伊勢君の御意見を承わることにいたします。では伊勢君
  86. 伊勢照男

    ○全大阪森永ミルク被災者同盟事務局長伊勢照男君 ただいまの吉川先生の御質問に対しまして、八月二十四日発表から今日に至るまで、われわれ被災者同盟と森永乳業との間にかわされた交渉の経過を述べさせていただきます。  八月二十四日発表されましてから、大阪市の衛生局におきまして、各市民病院、保健所に収容されました。それははなはだ重大問題であるからということで、無料でもって診察してもらいたいということで、取り上げられまして、私の記憶に誤りなければ、八月二十六日にそれが実施されまして、それを伝え聞いた森永乳業は、八月二十七日に治療費は全額負担するという言明のもとに今日に至っておるのであります。  次に、交渉の経過を申し上げますと、九月の六日に大阪におきまして、ここにおられる七海常務及び山口取締役、古田課長、中須課長代理の出席を要望し、大阪の被災者約百二十名が出席しまして、第一回の交渉を持ったわけであります。その席上、われわれの基本的見解を表明し、そうして森永乳業の対策をお聞きしたわけです。私たちの基本的見解は、完全治療と完全補償でありました。それにつきまして、具体的には一見舞金――これは森永乳業いわく、一応雑費としてお払いいたしますということになっておるのですが、先ほど大野代表からるるあったのですが、いかにも当初から森永乳業が自発的にこれを支払ったように聞えておりますが、これは事実と反しております。八月三十一日に大阪の城北病院におきまして、患者を病院へ入れさせただけでいいのか、いろいろな諸費用がかかるということで、一体何か被害を与えたらお見舞というのは当りまえじゃないかということで、見舞という話が出たわけです。そこで入院者にはとりあえず一万円、通院者にはとりあえず三千円という見舞金を表明されたわけです。  次に、この見舞金の性格につきまして種々論議がありましたが、見舞金というのは、被害を与えられた者に対して、済みませんでしたというおわびのしるしで持ってくるのが当りまえなのが、見舞金に差をつけるのは何ごとかということで質問したことと、見舞金を将来の補償金の一部としてという質問があったわけです。これに対しましても、七海常務は結論を出してくれませんでした。  次がつき添い費であります。つき添い費は、大阪の家政婦会の申し合せの最低公定価格が四百三十円である。朝から晩までひいひい泣いている赤ちゃんに徹夜で勤務しておる、そのまま見ておっていいのかということで、つき添い費として四百三十円を要求いたしました。これに対しては、一応調査後支払うということにおいて、後ほど確認して今日に至っております。  それから治療費の全額負担でありますが、これは余病とか併発病について明確なる結論が出ておりませんでしたので、これも将来の後遺症の問題と関係しまして、つまり肝臓肥大とか心臓病とかあるいは眼疾患とか皮膚であるとか、いろいろな余病とか併発症があるわけです。これに対して、将来明確なる答弁を厚生省なり、衛生部なり主治医なりに聞いて返答するということになっておりますが、今もって返答に接しておりません。  以上が九月六日の第一回の交渉の経過であり、森永乳業の返答であったわけです。そこにおいては、具体的な問題の取りきめは何もなかったということで、次回の団体交渉を持つべく解散したわけです。  第二回の交渉は、九月の十二日に大阪の営業所におきまして山口取締役ほか各社員が出まして、ここに別紙の明細があるのですが、時間がかかりますから省略します。ただいま言った基本的なわれわれの態度にのっとって要求書を提出したわけです。これにつきまして、期限を十八日に切りましたところ、全然返答がないので、九月二十六日に第三回の交渉を行なったのですが、責任ある当事者が出席されず、たまたま大阪営業所長の神長氏が出られただけで、本社に対策本部があるから、すべてその方へ聞いてもらわねばわからない、こういうことでありましたので、一体九月二十六日といえば、発表があってから約一カ月になるわけです。一ヵ月になるのに、本社の方から七海常務がただ視察に来たというだけで、そんなばかなことがあるか、一体代表取締は何しておるのかということを質問したわけです。代表取締役は、厚生省なり農林委員会なり、裁判所なりあちこち引っぱられて来られませんから、次回いつ来るかよくわかりません。ああそうか、他の紫雲丸事件が起きたときでも、私聞くところによると、誤まりかどうか知りませんが、管理局長なり国鉄総裁が直々大へん申しわけなかったと言ってあやまりに来たはずなんです。にもかかわらず、代表取締役ともあるものが、いかに混乱しておったとはいえ、現地に被災者をお見舞いに上ったということはない。そうして九月の六日並びに十二日に、われわれのいろいろな具体的な要望書を出しておいたのに、一片の通告もない。すべては問題が大きいので、厚生省にお願いしておるから、その線が出たらお答えしますというふうなあいまいな御回答だったわけです。これではいかぬということで、東京の七海常務に電話に出てもらいまして、ここで責任のない人と幾ら話しておったってしょうがない、だからそちらが来るのがむずかしければ、話は逆なんだが、われわれ事態は一日も猶予がならぬ、だからこちらから足を運んでわれわれのなまの声を聞いてもらい、また会社の責任者のほんとうの声をわれわれは聞かせてほしいから、ではこれから東京に参ってよろしいかということになりまして、来るというのをおとどめできませんから、それでは来てもらいましょうということで、九月の二十七日の晩に立ちまして東京へ来たわけなんです。そうしまして、これは断わっておきますが、大阪の被災者同盟としての交渉の経過を話しておるわけですが、二十八日に森永乳業の本社におきまして第一回の正式会談を持ったわけなんです。それで今までの、九月六日なり、十二月、二十六日にわれわれが出した要望書を再確認して会社側の明確なる答弁を要求したわけです。そこで得たのは、交通費の実費支払いということだけであったのです。あとの点については、すべて補償金で考えたいから、今お答えできない。たとえば私たちが言うておる砒素混入のMFドライ・ミルク、いわゆる混毒ミルクは、これは経済的価値のないものだから当然弁償してもらうという要求、それから通院患者に対して入院患者同様の四百三十円の支払い、それから通院患者に対して入院患者と同様の一万円の見舞金の支給、それから余病併発症に対する明確なる基準線の表明等これらを要求しておりましたところ、得たのは交通費の実費払いだけで、あとはまだ回答の時期に達しておらぬということで、そのまま二十八日の会談は終ったわけです。  しかして大阪では十月二日に大会を持ちまして、被災者全体のなまの声を聞いたわけなんです。そうすると全部の声が、いかに発表後の混乱の時期とはいえ、すこぶるスロー・モーションの処理だということであったわけです。これをわれわれは当初簡単なる事務処理としておるということで、ふんまんやる方なかったのですが、しかし森永さんは誠意を持って対処するということでありましたので、仮定の問題でわれわれが誠意がないと言うても仕方がないから、がまんしてきたわけなんです。  それで十月二日に全国から集まりまして全国協議会を開き、三日、四日、五日と東京において初めての、第一回全国協議会と森永乳業との団体交渉を持ったわけです。これが三日間も続いたということは、第一回目に、今までお答えした以上の線は皆さんに申し上げられませんからという冒頭の説明であったのです。それでみんなは、これ以上一日も遷延さしてはみんなに、あるいは自分の子供がかわいそうで仕方がない、今までわれわれが出した要求について一体どう考えるかということをさんざん論議した結果、皆さんも御存じと思いますが、森永乳業の名前で御通告として出した四百三十円支払い、通院患者に百五十円支払い、見舞金はプラス二千円で五千円出します、ベータ・ミルク三カンを贈呈いたします等が論議の末に出たわけなんです。これはあたかも自発的にこちらに支給したごとく装っておることは、私たち被災者としてはまことにふんまんの持っていきようがないわけです。断わっておきますが、私たちは金取りのためにこれを言うておるのじゃありません、要ったものを返してもらうということでやったのですが、黙っておったら何にもしてくれない。だから最低線を、これはどうしてくれる、あれはどうしてくれるという二度や三度の交渉で生まれたものではないのです。三日間もかかってやったということで、初めてお手元に行っておるいろいろな、森永乳業が支払ったという結果になっておるわけなんです。  そこで慰謝金という問題が出たわけです。慰謝金の問題は重大であるからここでは論議できない。ですから次回の協議会との交渉において出したいということで協定を結びまして、次回は十月二十二日に大阪において行うということで帰ってきたわけなんです。十月二十三日に協議会を結んで、五人委員会が生まれたといういきさつについては、ただいま三木委員長から説明した通りであって重複しますが、われわれに一片の通告もあったわけではないのです。一片の通告もないからして、もともとこういう委員会というものは当事者である森永乳業とわれわれ被災者との合意によってその設立がきめられ、その合意によって構成メンバーがきめられるのが世の常識だと思う。まあそこまではよろしいとして、時間がなかったから御相談できなかったと言うている。もう一つは十月三日、四日、五日、この三日間にわたる会議がはなはだ紛糾したので、皆さんともうこれ以上紛糾するのはかなわない。ですから厚生省にかねてお願いしておったところ、厚生省の肝いりによって五人委員会ができました。ですから五人委員会にすべておまかせしておりますので、これ以上皆さんの前でお答えすると、道義上五人委員会に対してお約束したことが不合理になってくる。ですから五人委員会できめられたことを私たちは必ず実施しますから、さよう御承知あったしという御返事だったわけです。話がおかしくなった……。
  87. 中村三之丞

    ○座長(中村三之丞君) 伊勢君に申し上げますが、まだ質問者がたくさんおりますから、簡単に願いたいと思います。
  88. 伊勢照男

    ○全大阪森永ミルク被災者同盟事務局長伊勢照男君 そういうことで五人委員会が生まれましたので、われわれはふんまんやる方なく、持つでいきようがないので、皆さんにおすがりして、過去の実情を話し、そうしてわれわれの今置かれておる困難と、全国に一万二千五百人ほどあるという、大体のラフな統計ですが、集まっておるわけです。それと死亡者の確認がまだ済んでおらぬということと合せて、それからこれは十一月一ぱいで治療の打ち切りをされておるところがあるわけです。これは単なる主治医の判断で打ち切りされておるのか、森永乳業からのいわくで打ち切りの表明がされておるのか、これは一昨日突いてみたところ、そういう申し入れはしてないということならば、厚生省においてすみやかにその基準を明らかにして、われわれの心配を一日も早くなくしていただくように、特にこの際お願いして、以上経過のお話を終ります。
  89. 吉川兼光

    ○吉川兼光君 他の委員からも森永ミルクの問題で大同小異の質問があるわけですから、どうか質問の要点だけをお答え願いたい。  今、私お尋ね申し上げた中に、あなた方の方で要求されておるものはどういうことかということをお伺いしたはずですが、それを一つ何か印刷物を読まれてもけっこうですから、お話し願いたい。
  90. 伊勢照男

    ○全大阪森永ミルク被災者同盟事務局長伊勢照男君 九月十二日に提出しました全大阪森永ミルク中毒被害者同盟の要求書  一、入院患者に対し発病時より入院までに要した医療費及び医師の勧めで買った栄養剤、薬品等の代価並に砒素混入MFドライミルク市販時より八月二十四日までに購入したドライミルクの代価の合計を速かに支払われたい。  二、通院患者(自宅療養者を含む)に対し発病時より本日(昭和三十年九月十二日)までに要した医療費、薬品代、混毒ミルク代、交通費等の全額に保護者の附添費として妥当な額(別に協議する)を速かに支払われたい。  三、医師の認定に依る全中毒被害者に対し(入通院、症状の軽重を問わず)金一万円也を見舞金として直ちに支給されたい。尚既に会社側より九月六日迄の分について支払われている患者一名に付一名の附添費を至急支払われたい。   九月六日以降の分については五日目毎に確実に支払われたい。  四、本日以後完全治癒に至るまで一切の費用を全額負担すること、後遺症に対する補償措置を確立すること、   中毒に依る身体障害者に対しては終生補償を要求する。  五、前四項の外、患者並に家族に対する慰藉料として次の通り要求する。   死亡者に対し 金二五〇万円也   重症者に対し 金一〇〇万円也   中等症者に対し 金七〇万円也   軽症者に対し  金三〇万円也   以上五項目に対し九月十五日迄に文書を以て回答せられたい。   昭和三十年九月十二日      全大阪森永ミルク      中毒被害者同盟        委員長 三木千太郎      代副委員長 北村 雅俊    森永乳業株式会社殿  以上が要求書であります。
  91. 吉川兼光

    ○吉川兼光君 そのほかにあなたの方から出ました会報第一号の二枚目のところに陳情書というのがワク付で載っておりますね。そうして一、二、三という項目があって、そのおしまいの方に、左記三項目を要求していますということが記事として載っておりますね。その中で一、二は今おっしゃったようですが、一は治療費、二は後遺症・それから三のところになりまして、死亡者に対しては弔慰金二百五十万円、重症者、中症者、軽症者におのおの百万円、七十万円、三十万円を支払うこと、こういう要求が出ておるのですが、これはこの要求を出しておるのですか。また出しておれば、この数字の根拠ですね、どういうような算定で、どういうような方式によるものか。これは九月十一日の大阪の読売新聞に、この問題の特集号が出ておりますね。そのしまいの方に、非常に小さい活字ですが、補償の算定基礎はホフマン方式による云々なんて書いてありますが、そういうような根拠があればその根拠もこの機会に明らかにしておくがいいと思いますから、そういうふうにお答え願います。
  92. 伊勢照男

    ○全大阪森永ミルク被災者同盟事務局長伊勢照男君 その根拠に対しまして、後ほど岡崎君より御説明あると思いますが、全大阪森永ミルク被災者同盟では、以上の慰謝料請求金額に対し、白紙に還元いたしております。御参考までに申しますが、十一月の六日の大会におきまして、決議としまして、慰謝料の問題が五人委員会の生まれた一つのいきさつでもあり、またいろいろ取りざたされておりますから、われわれは決して補償金を取るために行動しているのじゃないということを周知せしめるために、慰謝料請求金額に対しては白紙に還元すると決議しております。なお右の事項は森永乳業に対して一昨日通告済みであります。
  93. 吉川兼光

    ○吉川兼光君 関連して岡崎君から……。
  94. 岡崎哲夫

    ○森永ミルク被災者同盟全国協議会副委員長岡崎哲夫君 二百五十万円以下の請求書は、弁護士立ち会いの上でいわゆるホフマン方式その他によって決定いたしたものであります。しかし、われわれの趣旨としましては、人の命はかえがたいものだ。金銭ではかることはできません。一千万円でも一億円でも、金というものによって赤ん坊の命をはかれるものでもありません。森永が誠意を示してわれわれに交渉するならば、いつでも白紙に還元いたします。
  95. 吉川兼光

    ○吉川兼光君 そうしますと、ただいま伊勢さんと岡崎さんの御答弁がちょっと食い違っておるようですが、伊勢さんの十一月の六日ですか、その大会できめたというのは大阪だけのことですか。
  96. 伊勢照男

    ○全大阪森永ミルク被災者同盟事務局長伊勢照男君 大阪で……。
  97. 吉川兼光

    ○吉川兼光君 それから岡崎さんの話はまた違うわけですね。まだ白紙に還元したわけでもないわけですね。
  98. 三木千太郎

    ○全大阪森永ミルク被災者同盟委員長三木千太郎君 その点は、この二百五十万、百万、七十万、三十万というものは、大阪に同盟ができてまだ日浅いときに、岡山からの要求であったのであります。それで五人委員会ができたことに対しては、そういう不当な金額を出したから、私の方じゃどうもならぬで五人委員会を頼んだという説が出ましたので、大阪だけで協議しまして、それでは金額においては白紙に還元するというような決議を、大阪だけの同盟でしたのです。それを十一月三日の全国協議会に諮ったのであります。全国協議会としましては、五人委員会が認められず、森永対直接交渉になっていく場合には、森永の方で誠意をもってお話ができるなれば、その金額を白紙に還元する用意があるということを声明いたしております。
  99. 吉川兼光

    ○吉川兼光君 大体それで今までの経過はわかったように思いますが、そこで私は、それでは森永さんの前にちょっと政府に一つ二つお聞きしてみたいと思います。政府にはいずれあらためて詳しく聞きますから御答弁は簡単でけっこうですが、五人委員会というのはどうなんですか。これは今被災者側のお話をお聞きの通り、全然それを認めないという態度のようでございます。大会の決定もそうだと思いますが、被災者のそういうはっきりした五人委員会を否定する態度とはかかわりなく、五人委員会は独自に中立的な役割をもってやろうという構想なのですか、その辺をちょっとお聞きします。
  100. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 俗にいう五人委員会というもので五人の方々に考えを聞かせていただくということになっております。それのできましたいきさつ、これまた詳しく申し上げなければならないと存じますが、ただいま先生のお尋ねの点に関しましては、私どもはこの五人委員会の五人の方々に、中立的な立場から妥当な線を出していただけるものというふうに考えているわけであります。
  101. 吉川兼光

    ○吉川兼光君 私は必ずしも厚生省のその考えに賛成ではありませんが、反対するものでもありません。しかし、先刻中川君の御質問に対するあなたの御答弁を聞いておりますと、今月中くらいに五人委員会の結論が出るだろうということでございまして、そうすると、五人委員会というのは、今の被災者の方の話を聞いてみましても、一向現地の事情なんかには暗いようですが、そういうような人たちで、この重大な問題に対して今月中なんというような時間的な制約のもとに結論を出させるということは、またそれをあなた方の方で期待するということは、あとになってちょっとそれは早まったというような結果が出るかもしれない。私は必ず出ると思うのですが、そういう点に対するあなた方のお考えはどうなんですか。それでも何か非常に急がなければならない事情があるのか、それを一つ承わりたい。
  102. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 私どもといたしましては、先ほど中川先生のお尋ねにお答えいたしましたように、できるだけ早く結論を出していただきたいということを期待いたしております。従いまして五人の先生方――五人の先生方の中には現地にいらっしゃった方もございます。先ほども申し上げましたように、できるだけいろいろな方々の御意見を伺い、また資料等もお集めになりまして検討しておられます。きょうもまた地方から関係者に来ていただいて、いろいろ意見を伺って進めていきたい、そういうふうにおっしゃっているわけでございます。何とかして今月中くらいに結論を出したいということをおっしゃっているわけでございます。私どもの方からぜひ今月中に出していただきたいということをお願いしているわけではございませんで、できるだけ早くお願いしたいということを申し上げているわけであります。
  103. 大石武一

    ○大石武一君 公衆衛生局長に私はお願いしたいと思うのですけれども、その五人委員会――五人でも七人でもけっこうですが、そういう委員会を作ったことは、われわれは非常にいいことだと思います。やはりどうしても患者同盟の方では、人情としてできるだけ多く金をもらいたいだろうし、また会社の方ではできるだけ払いたくないでしょうから、ですから、その両者の話し合いだけでは、なかなからちがあかぬだろうし、また会社としても限度があるだろうし、その限度を越える場合に、さらに国家で見てくれ、どうでしょう、国家的にどうなるだろうという問題もあると思います。そういう意味で、そこに中立的な機関があって、それが調停的か妥当な線を引いてくれるというのが、私は一番好ましいと思います。その五人委員会が活動するのには、やはりある程度時間を与えなければならない。あまり結論を急がないように、じっくり、世間でもみんなが納得するような線を引くように十分な時間を与えていただきたい、こう思います。
  104. 吉川兼光

    ○吉川兼光君 私はあなたに、今大石君が言われたようなことを質問として聞きたかったのです。それはどうしてそんなに急がなければならないかということです。私はこの問題は、実は日本の最近の政治問題として、最も大きなものだと考えて、不敏ではありますけれども、この問題と真正面から取り組んでいる委員の一人であります。文化国家とかなんとか日本が言いますけれども、私は日本で人命を尊重しないということが、戦時特にひんぴんといろいろな方面で起っておることが、非常に日本の文化の水準を下げているんじゃないかと思っております。特にそれは天変地異なんかはしばらく別といたしまして、この中毒事件なんと言いますのは、政府の対策よろしきを得れば、少くとも同じ問題で、同じケースで中毒を繰り返すということはあり得ないと私は考えておるのでありまして、もうあなた方には、われわれがそういうことを申す必要はないと思いますが、イギリスなんかでは、中毒事件なんかが出ますと、それに対する政府の特別の委員会なんかができまして、それは一企業体のことがどうだこうだということを超越した、そういうものよりかもっとはるかに以前の立場においてその問題を究明して、そうして同じ事件で中毒事件が再び国民の上に訪れてこないというような、いわゆる抜本塞源的な施策をやらなければならぬ。これは幾らも向うに例があります。これはあらためて申し上げる必要もないと思います。私も幾らも例を持っております。ところが、どうもこの問題が起ってからの厚生当局の態度を私見ておりますと、これは私のひが目かもしれませんが、どうもそういう根本的な対策を進めるという点がいささか欠けておるような気がいたします。そこに私は、たとえば森永と被災者との間の問題などのこじれる一つのあれがあるのじゃないか、こういうふうな見方をするわけです。従ってこの前あなたたちにお伺いしたのですけれども、こういう食品関係で大事件を起した場合に、外国ではどういう例になっておるかということを聞いたところが、あなたのお答えで、たとえばアメリカなどは食品法自体によるところの刑罰がきわめて軽い、数カ月とか幾ら幾らの罰金というような話をしたようですが、その後私がだんだん調べてみますと、アメリカではこういう事件が起りますと、その事件を発見した当事者が即座にそこで、たとえば刑法などに照らしてこれを告発するということができるのです。日本はいわゆるその利害関係者でなければ告発ができないということになっていて、この事件のごときも、確か徳島の衛生部長か何かが告発者になっておるわけですが、大体告発された後の調べの経過はどういうことになっておるかということを、もしおわかりでしたら、これも簡単にお伺いしておきたいと思います。あれは徳島の検察庁で調べておられる。私もこの前行って向うの調べておる検事、それから次席検事なんかに会ってきたのですが、まだごく取調べの当初で、私たちにそう詳しいことを言えなかったのかもしれませんが、厚生当局に何か報告でも来ておりますか。
  105. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 事件は徳島の検察当局が現在調査中でございますので、私どもの方にその調査の経過についての報告と申しますか、連絡はございませんし、公けの発表にももちろんまだなっておりませんし、従いまして詳細につきましては、私どもの方ではまだ承知いたしておりません。
  106. 吉川兼光

    ○吉川兼光君 ついでといっては何ですが、いずれ臨時国会にでもなりましたならば、私どもも詳しい材料を持ってお伺いするつもりですが、今盛んに被災者の方で問題にしております後遺症の問題ですね、後遺症については学会でもいろいろな議論があるのではないかと思います。私どもの簡単な調査でも、たとえば岡山においても、赤十字病院の主治医と大学の方の浜本さんとか木本さんというような教授陣とは、若干考え方が違うやに伺ってきたのです。それらのことについて、どういう結論だということは、にわかに出ないかもしれません。それを聞こうとするのではありませんが、厚生省の方で後遺症の問題について、どういう調査をやっておるか。またそれこそ期限を切って強力に調査を進めてもらわなければならぬと思うが、そういう調査をやっておるかどうか。やっておるならば、どういうところまでその調査が進んでおるかということをこの機会にお尋ねしたい。
  107. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 この純医学的な問題につきまして、診断基準あるいは治療の方法、あるいは後遺症の問題につきまして、私どもの方から日本医師会、日本医学会を通じまして、小児科学会に諮問をいたしまして、そうして専門家の方々の意見をまとめていただいて、私どもの方にお答えをいただいておるわけであります。それにつきまして、診断基準につきましては、一応お答えをいただいたのでありますが、後遺症の問題は、そのお答えの中では、もう少し経過を見ないと、今のところはっきりしたことは言えないというお答えでございます。従いまして私どもの方では、小児科学会の中のさらに保健部会にお願いをして、専門家の方々に今経過を観察していただいている状態でございます。
  108. 吉川兼光

    ○吉川兼光君 そこで私は森永の方にお伺いしたいのですが、あなたの方からいただきましたあいさつ状を拝見いたしますと、幾つもいただいておりまするが、私どもの名前もはっきり書いてあります。十月二十日付のものを見ますと、このたび弊社徳島工場粉乳中毒事件につきましては、多大の御迷惑をおかけいたしまして云々と書いてある。これを見ますと、私別に字句の端にとらわれるわけではありません、先刻も中川君が御指摘になっておったようですが、何だか粉乳中毒事件というのは、徳島工場の問題に限られておるような解釈のようにとられるのですが、これは不用意にこういうものを書いたのか、あるいはあなた方がそういうようにお考えになっておって、森永本社の責任ではないということを、暗にここに表わしたものであるかどうかということを、これは手紙の端にとらわれるようですが、ちょっとお聞きしたい。
  109. 七海久

    ○森永乳業株式会社常務取締役七海久君 それは徳島工場の製造の品物によって起った事件でありますので、徳島工場粉乳中毒事件、そういうふうにいたしました。そのほかに他意はありません。
  110. 吉川兼光

    ○吉川兼光君 さもありなんと思うのです。それならば、一つ製造という言葉をこれに入れていただいた方がわかりやすくなるので、どうも問題の焦点をぼかしておるような気がいたします。先刻代表取締役の大野さんのお話を伺っておりますと、何しろこの事件が、どう言いますか、常識をこえたとかおっしゃいましたようですが、常識で考えられない事件である、こういう御発言でありまして、全く私どももそうだと思います。そこで常識で考えられないようなこの事件を、森永は常識で考えて解決しようとしておるのではないかというふうに私は思うのです。そこに被災者側との間に幾ら交渉を持たれても、交渉がまとまらない一つの大きな原因があるのではないかと思うのですが、どうかこれは常識で考えられない問題であります。あなたの言葉の通りでありますから、常識をはずして、そうして一森永の消長などを考えずに、誠心誠意を披瀝してこの問題と取り組むべきではないかと考えますが、その点はどういうふうに考えておられますか。
  111. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 ただいまお話しの通り、誠心誠意をもって解決したいと思っております。
  112. 吉川兼光

    ○吉川兼光君 まあ誠心誠意がなくてはやれないでしょうが、今のこの事件が常識をこえたというあなたの御見解、従って普通の常識では考えられないところまで誠心誠意を尽さなければ、解決の糸口は出ないかも知れぬ、こういうふうに私どもは見るのですが、その私どもの見解に対するお考えはいかがでございましょうか。
  113. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 全力を尽してこの問題の解決に当るつもりであります。
  114. 吉川兼光

    ○吉川兼光君 それから被災者同盟の印刷物を見ますとこれは御参考までにお伺いするのでありまして、別に本日の協議会の議題はこれに限られたとは思わないのですが、何か五人委員会の予想される裁定などという数字が出ておりますが、これはどうでしょうか、被災者同盟が勝手に予想しておるのですか。あなた方の方でも、予想の中にはこういう数字が出ておるのかどうか、おわかりでしたら伺います。
  115. 七海久

    ○森永乳業株式会社常務取締役七海久君 私ども実はこの問題、特に弔慰金は、先ほどどなたかおっしゃったように、何千万円積んでも、人の命にかえられないから、いかなる御要求がありましても、決して多過ぎるとは考えておりません。ただ、私どもの支払い能力にも限界がありますから、その辺も慎重に検討したのでありますが、どうも御要求の線までには到達しない。そこで五人委員会の御裁定を待っておるのですが、五人委員会でどんなお答えが出るか、私どもはまだ夢にも考えられない。
  116. 吉川兼光

    ○吉川兼光君 私の質問の仕方がまずくて申訳ありませんでしたが、実は「全協ニュース第2号」というのに一これは被災者同盟の方と両方に聞けばいいのですが、時間がかかりますし、ここに印刷して出ておりますから、被災者同盟の方はこれを確認するくらいの質問ですから省きまして、あなたの方にだけお聞きしたのですが、「予想される五人委の裁定」というのが出ております。すなわち五人委が下す判定(十一月下旬乃至十二月上旬)の予定は「一、死亡者弔慰金、御香料その他一切を含めて二十三万~二十五万円」「二、後遺症の問題、医学の権威者に依って出された結論に依り、砒素中毒には後遺症は起らない。現在の不具、疾病者の場合は併発症であって、砒素中毒その物ではない。従って今後砒素に依る後遺症はあり得ない。」と何か大へんはっきりしたものが出ている。これをあなた方御存じかどうかということをお伺いして、それから御存じであればどうかというのが質問の順序ですが、実は御存じと思って簡潔に聞いたのです。この「予想される五人委の裁定」というのは、あなた方、今七海さんがおっしゃったように、夢にも御存じないことでしょうか。
  117. 七海久

    ○森永乳業株式会社常務取締役七海久君 実は全協ニュースというのを私拝見していないものですから、どういう数字が出ているか……。今初めて拝見したのです。私どもは、五人委員会では今度の事件の性格を十分調査して、そうして被災者側の御意見も十分伺い、私どもの経営状態も十分調査し、従来の事例も調査した土で、妥当な線を出していただくということだけ伺っております。それ以外には、どんな線が出るものか、私はまだ想像もできません。
  118. 中川俊思

    ○中川俊思君 ちょっと関連してお尋ねします。たとえば五人委員会の結論として、今被災者同盟の人が述べられたように、死亡者に対して二百五十万円とかあるいは重症者に対して百万円とかこういう結論が出た場合、あなたの方はそれに全部従われますか。
  119. 七海久

    ○森永乳業株式会社常務取締役七海久君 二百五十万円という弔慰金の数が出るとは思っておりません。それより下だろうと思っております。しかし、私どもはいかなる線が出ても、五人委員会の線には従いますという御確約をいたしておりますので、その額が私どもの能力の限度を越えるような場合は、さらに国にもお願いをして、資金の面なり金融の面なりお願いしなければならぬ、こう考えております。
  120. 中川俊思

    ○中川俊思君 ちょっとおかしいじゃないですか。あなたの方は五人委員会の議に従うという委任状を出しているではありませんか。それならば、もし五人委員会でこういう結論が出たら従わなければならぬじゃないですか。しかし先ほどからの御答弁を総合してみれば、とてもこういうようなものは会社として払えない状態だという意味があなたのお心の中にあるでしょう。
  121. 七海久

    ○森永乳業株式会社常務取締役七海久君 そうです。
  122. 中川俊思

    ○中川俊思君 そうしたら、従えないことになるではないですか。五人委員会がいかに努力して結論を出しても、あなたの方は従わないということになるではないですか。
  123. 七海久

    ○森永乳業株式会社常務取締役七海久君 むずかしい御質問ですが、もちろん私どもは従いますという御確約をしておるのですから、道義上どのような線が出ても従わなければならぬ、そう考えております。
  124. 吉川兼光

    ○吉川兼光君 中川君の質問にこっちが関連するわけですが、あなたの今のお話を聞いておりますと、被災者同盟が五人委員会を信任しないという出方は、非常に突如であったし、あってみても、  一般的社会問題に対するお考えは公平である、そういう常識円満の方のように拝承しておりますが、この問題に対する調査もあまりできておらないし、しかも期限が迫られているので、どうも信任できないというようなきわめて妥当な疑惑を抱いておりますが、あなたのお話を聞いておりますと、何だか五人委員会とあなた方との間に特別な話し合いがあるかのような疑惑が生まれてくる。あなたのお話を聞く前でも、何でもあなた方は聞くということを誓約しているということは、どうもおかしいと思うのですが、それを中川君の質問で確認いたしまして、それはけっこうですけれども、どうもあなた方が五人委員会に特別な信頼を寄せておられるということは、先刻ちょっと口走りましたように、五人委員会は、ややもすると森永の利益代表というふうにとられるおそれが出てくる。そうすると、五人委員会の活動は、よしんばそれが中正でありましょうとも、中正ととれないことになるではないか。しかし確約書を入れたものを、はたからどうこう言うわけではありませんが、こういう問題の補償に対しては、きわめて抽衆的な聞き方をしたのですけれども、常識を越えた問題であるから、常識を越えた誠意をもってということは、もうみだりに口にすべきことではありませんが、かりに森永乳業が再出発をするというような情勢に立ち至ろうとも、企業体のことなど考えず、別個にこの問題を考えるべきではないか、こういうふうに考えておるのです。五人委員会の裁定問題はしばらく問わずといたしまして、繰り返して質問するようですが、力の限度などこれはいろいろ見方がありますが、会社の浮沈など考えずして、被災者の正しい要求はこれを受け入れる、こういう御覚悟を持っておられるかどうかということを七海さんから伺いたい。
  125. 七海久

    ○森永乳業株式会社常務取締役七海久君 御確約をしたというのは、厚生省に御確約したのです。厚生省がこういう委員会を――こういうというのは、そのときはメンバーはまだ私どもはわかりませんでしたが、中正な方々で五人委員会をお作り下さる、そこで妥当な線を出していただくようになるが、それの線を守る意思があるかどうか、それを約束するならばそういう委員会を作ってやろう、こういうお話でございましたので、私どもも非常に線を出すのに苦悩をしておったものですから、非常にありがたいことだと思ってお約束を申し上げたまでであります。
  126. 吉川兼光

    ○吉川兼光君 もう少し掘り下げて、もう一つお伺いしておきたいのですが、それは先刻大野さんの御答弁の中にちょつと気になることがあるのです。それはこの問題が最初に起りましたときに、この問題はおそらく一つか、二つの県内に起った問題と考えたから、従ってそれらの一、二の府県当局者と連絡をして解決するつもりでいたんだが、あにはからんや二十数県にまたがって、結局厚生省におたよりすることになった、その御発言の限りにおきましては、別にそれはどうこうということはないのですが、どうもそのお話の節々に、県であるとか厚生省であるとか、そういう役所に、ややともすればあなたの方はかけ込んで、そうしてそういうところの何かそでの下に隠れて、この問題を大っぴらに街頭に出てきて、被災者の代表と十分に胸襟を開いて折衝相談していない。そうして被災者の方では先刻もどなたかお話しになったように、これは尊い人命に関する問題であって、何も金の数字のごときものに必らずしも拘泥しない。しかしながら要求する以上は、何かの基礎によって――ホフマン方式によって計算したら二百五十万という数字が出たのであるというお話がありましたが、それは一つの前例のある、あるいは公けに許された算定方式による当然の数字であって、そういう数字が出たからといって、それに驚いて約束をした日の交渉も回避して、そうして五人委員会に隠れ、厚生省に隠れというような態度が私ともから見ますと――私は決してどちらにも片寄らないつもりでありますが、どうもあなた方の方に率直さが足りないといいますか、いわゆる誠心誠意が足りない。ややもすると会社の力の限界であるとか、そういうようなことをおっしゃっておるようでありますが、私はもっとまっ裸になって、二百五十万円と出てこようと、一千万円と出てこようと、そんなことはちゃんと外国にも例のあることでありましょうから、それは一つの算定方式による数字でありましょうから、それはそれとして、あとはあなた方が誠意をもって当るべきであって、五人委員会ができたからそれでたくさんだ、あるいは府県当局に話して、そこで何とかお茶を濁してもらえばよろしいのだ、あるいは厚生省にかけ込めばよろしいのだ、そういうような考えでは、この問題は片づかぬというふうに思うのです。これは御答弁は要りません、どうか一つお帰りになりましたら、われわれ中正な立場からこの問題を見ております者は、これは大きな問題でありまして、そんな一つの会社の浮沈などということばかりを――それは会社においでになります以上は、そう考えますことは当然なことでありますけれども、何しろ常識を越えたる問題でありますから、そういうところにのみ前提を置いてこの問題に対処しておったのでは片づかないということを、一つ十分御相談されるように私は希望いたします。  大へん時間が延びたようでありますから、私の質問はこの程度で終ります。
  127. 中川俊思

    ○中川俊思君 先ほど私が質問をいたしました際に、大野さんでしたか、その方は技術面でありますからよく知らないという御答弁でありましたので、重ねて明日の委員会に技術部門を担当しておられる荻原常務と、それからいかに代表取締役があるからといっても、一応森永乳業の社長の地位にある方、すなわち森永太平さん、この二人を明日呼んでいただきたい、このことを私は要求いたします。
  128. 中村三之丞

    ○座長(中村三之丞君) 今のはこれが済んで理事会でお諮りいたしましょう。  それでは午後二時まで休憩いたします。    午後一時十六分休憩      ―――――・―――――    午後二時二十分開会
  129. 中村三之丞

    ○座長(中村三之丞君) それでは休憩前に引き続きまして社会労働委員協議会を再開いたします。  協議員の質疑を続行いたします。八田貞義君。
  130. 八田貞義

    ○八田貞義君 技術上の問題をお聞きしたいのですが、まだお見えにならぬようですから、その前に被災者代表の方がたくさんお見えになっておられますので、被災者同盟の使命あるいは性格、内容、組織、こういった問題について、まず御質問いたしたいと思うのでございます、たくさんおいでになりますが、私の質問申し上げる点について適当な方が御発言下さるようにお願いしたいと思います。  まず第一に画質問いたしたいのは、各府県の被災者同盟成立の時期とが、その時期がお示し願えましたならば、その際の首唱者は一体どなたであったか、こういったことについてお答えを願いたいと思います。
  131. 岡崎哲夫

    ○森永ミルク被災者同盟全国協議会副委員長岡崎哲夫君 最初にできましたのが、岡山の日赤支部病院において八月二十七日に発足いたしました。そして全岡山県の同盟といたしましてできたのが九月三日であります。そのとき約四百人結集いたしました。それから死亡者が、岡山県の場合、そのとき最終的には二十二名になりました。現在はそれからまたふえております。  次に発足いたしましたのが香川県であります。それが九月の一日に発足しております。広島県が次いで九月三日に発足しております。香川県は死亡者一名、組織人員が、発足当時約四百人のうち二百五十人くらいだったと思います。それから広島県の場合、千七百人ほどのうちに、死亡者が十数名でございます。結合人員は、その当時約四百名くらいだったと思っております。それで九月四日に岡山で中国四国連絡協議会というのを作りました。次に発足いたしましたのは、近畿地方ではまず大阪が九月六日に発足しております。その後、近畿の方は私直接よく知りませんが、十八日に近畿地方が約六県、四国が徳島、香川、中国地方が鳥取、島根、岡山、広島の四県、合せて十府県ほどが岡山で集合しまして、全国協議会というのを作りました。そのときの組織率が約三九・七%であります。現在は、先ほど事務局長から申し上げましたように、倍まではいきませんが、相当ふえておりまして、七三%までふえております。
  132. 八田貞義

    ○八田貞義君 同盟成立の時期を今お示し願ったわけですが、その場合、首唱者という方はおわかりになりませんか。各府県の同盟の首唱者ですね。
  133. 岡崎哲夫

    ○森永ミルク被災者同盟全国協議会副委員長岡崎哲夫君 首唱者と申しますと、まず各府県において、おそらく岡山も広島も同じでありますが、母親たちが、とにかくこのままでは子供を見殺しにしなければならぬ、それから家計も破産状態にあるというので、母親たちが立ったわけです。けれども、母親たちは、子供をかかえてほとんど二十四時間看病しなければならぬものですから、おやじが結局しりをひっぱたかれて立ち上ったという状態であります。個人的には、その後代表委員は次から次に新鋭な人が立っていきまして多くなりましたが、ここで一々お名前を申し上げる時間がないと思いますので、御要求がありますれば、各県で後刻名簿を作って差し上げたいと思います。
  134. 八田貞義

    ○八田貞義君 そうしますと、あとで知らせていただきましょうか。  ついでに、そのときに、大体その当時どれくらいの同盟加入者数があったかということも一つお知らせ願いたいと思います。  それから次に、代表者は何か特別の選任方法によって選任されたかどうか、この点その選任方法をちょっとお伺いいたしたいのであります。
  135. 岡崎哲夫

    ○森永ミルク被災者同盟全国協議会副委員長岡崎哲夫君 選任方法は、まず準備委員会がそういうふうに有志によってできまして、それを各府県において全県的に決起大会に持っていっております。ほとんどの場合がです。そこにおいてあらためて代表委員を選出しております。きわめて民主的なルートによってやっております。
  136. 八田貞義

    ○八田貞義君 そうしますと、そのような民主的な方法によって代表者を選任されておるわけでありますが、被災者各自は、代表者にいかなる権限を与えておるというふうに解釈しているか、この点を一つ伺いたい。
  137. 岡崎哲夫

    ○森永ミルク被災者同盟全国協議会副委員長岡崎哲夫君 事実上全権委任の形であります。けれども、われわれは決して代表者会議において全権を委任されたからといって、全権を行使してはおりませんです。常に、森永さんと交渉して結論が出た場合に、重要なことは家族大会に諮って、あらためて回答するというふうにやっております。しかし五八委員会ができまして、五人委員会が全被災者の運命を一方的に決するかもしれないという危機に立ち至りましたので、各県において詳しい委任状を作成しまして、よくその趣旨を納得していただいて委任状を取っていただくことにしております。それで大阪同盟及び兵庫同盟においては、ほとんど九〇%ぐらいの委任状を獲得しております。現在各同盟とも鋭意その線に沿いまして、委任状獲得のために努力をしております。
  138. 八田貞義

    ○八田貞義君 次いで、被災者の方々の代表の方がおいでになっておりますが、これを見ますと全国協議会というものがあります。全国協議会の成立の時期、それからその目的がどういうところに置かれてこういったものが結成されましたか。もう一つ委員長の名前、それから副委員長の名前もお知らせ願いたい。
  139. 岡崎哲夫

    ○森永ミルク被災者同盟全国協議会副委員長岡崎哲夫君 各府県において、先ほど申し上げましたように九月の初めごろから自動的に、自然発生的にできました。それで森永さんの各駐在員と患者の悲痛な現実についてその打開策を交渉いたしましたが、遅々としてはかどらない。出先は常に本社の意向がわからない、本社に連絡するからと言う。現実に非常な苦痛の状態にあるにかかわらず、遅々として運ばない。それで、われわれの力を非常に軽く見られておるがゆえに、誠意をもってとおっしゃりながら、誠意をもって応待していただけなかった。これではわれわれ見殺しに合うということで、九月十八日に岡山県同盟が首唱いたしまして全国の代表者に集まってもらいまして、全国協議会を発足いたしました。それ以来は岡山同盟において業務を担当しておりましたが、十月二十二日の第三回全国協議会大会において、全国協議会の本部を大阪に置きました。それ以前の第一回のときの委員長、副委員長及び現在の委員長、副委員長も、後刻名前を提出したいと思います。
  140. 三木千太郎

    ○全大阪森永ミルク被災者同盟委員長三木千太郎君 委員長は、十月二十一日までは、岡山に全国協議会があった関係上、岡崎哲夫君が全国協議会の委員長をしておりました。二十二日に大阪に全国の代表が三名ずつの割でお寄り願って、大阪に置いた方が、森永さんが大阪において交渉するということをおっしゃるものだから便利じゃないかということで大阪に置かれたのであります。そのときに私は全員一致によって選挙されまして委員長になりました。副委員長は岡崎哲夫(岡山)、保田正人(広島)、久山始(岡山)、小和田悟(徳島)、前田利定(兵庫)、宮井勤吾(和歌山)、渡辺正信(香川)、これが委員長、副委員長になっております。
  141. 八田貞義

    ○八田貞義君 そうすると三木さんは全大阪の森永ミルク被災者同盟委員長と全国協議会の委員長を兼任されておるわけでございますか。
  142. 三木千太郎

    ○全大阪森永ミルク被災者同盟委員長三木千太郎君 さようでございます。
  143. 八田貞義

    ○八田貞義君 そこでもう一つお伺いいたしたいのは、被災者の資産状態というものは、一般的に言ってどのような程度になっておるか。それを多分お調べになっておると思いますが、この点について参考までにお知らせ願いたいと思います。
  144. 三木千太郎

    ○全大阪森永ミルク被災者同盟委員長三木千太郎君 資産状態はいろいろケースがあります。大体これに対しては、私らの同盟には経済状態は悲惨なことをたくさん言ってきておりますが、その方の財産がどうかということは、まだ公けに調査いたしておりません。
  145. 八田貞義

    ○八田貞義君 この点も一つ希望いたしたいのでありますが、この問題を公正に判断するために、被災者の経済状態というものをぜひとも知りたいと思いますので、これも後ほど御調査になった結果を御提出願いたいと思います。
  146. 岡崎哲夫

    ○森永ミルク被災者同盟全国協議会副委員長岡崎哲夫君 その件に関しまして、八田先生にお答えいたしたいと思います。これは都市、農村に分れますが、都市においては、特に岡山、香川、広島においては、国鉄の物資部がこのMF一本に扱っておりました。それで大体二百五十円で売ってくれます。そうするとベータを買いますと三百円が二百五十円で売ってくれます。赤ちゃんの主食であるので、月に何十カンも要りますから、その五十円の差が莫大なものになっている。われわれ勤労者階級にとりましては、もっぱら国鉄の物資部から流れ、あるいは民間においてもその物資部から買うというように、安い物安い物というふうに流れておる現状でございます。特に労働者階級が多いのです。労働者を中心として市民のうちの庶民階級が多いのです。  農村において一般的なケースとしては、特に日本の農村においては共働きをしなければならぬ。お母さんは乳がたっぷり出るのであるが、昼間はミルクを買ってもたんぼで働いた方が生活上プラスになる。その間はドライ・ミルクを飲ませておばあさんに見てもらう、そうして夜のみ自分の乳をやるという状態で、農村のドライ・ミルク愛用者は、乳が出ても愛用しておるという状態です。特に経済上困るのは、貧困者がかなりあります。貧困者が事実上生活保護法を適用しなければならないような貧困状態に入っております。それから二子の家庭が、現在の社会情勢ではほとんど人工栄養を使っております。案外二子の家庭が多く窮迫しております。
  147. 八田貞義

    ○八田貞義君 そうしますと、MF印というのは二百五十円で国鉄の物資部で配給されておる。そうすると、一般にはどれくらいで売っておられるのですか。そうしますと、森永の製品であるところの粉乳というものは何種類ございますか。
  148. 七海久

    ○森永乳業株式会社常務取締役七海久君 私ども現在販売しておりますものは二種類ございまして、ビタミン・ドライ・ミルクというのは小売価格が一ポンドが二百八十円、ベータ・ミルク入りのものが一ポンド三百円でございます。今度の事件の起きました品物は、二百八十円のビタミン・ドライ・ミルクというのでございます。
  149. 八田貞義

    ○八田貞義君 先ほどの吉川さんからの質問と重複するようでございますが、被災者側の方から、従来の会社との折衝経過からお考えになりまして、妥結方法として、どのような方法が一番よいとお考えでしょうか。この点をお尋ねいたしたいと思います。
  150. 三木千太郎

    ○全大阪森永ミルク被災者同盟委員長三木千太郎君 現在の五人委員会じゃなく、森永さんと直接交渉するのが一番よいと私は確信しております。しかる上に、後日お互いに交渉が行き詰まったという場合には、中労委的な仲裁者ができることはいたし方ありませんが、現在の段階においては、森永さんに誠意を披瀝していただき、われわれの方も譲歩するところは譲歩して、直接交渉が一番よいのではないかと思っております。
  151. 八田貞義

    ○八田貞義君 そうしますと、森永会社との直接交渉を希望になっておいでですね。そうすると、先ほどのお話のありましたように、五人委員会の問題について、だいぶいろいろお話が出ておりましたが、団体交渉をやるにいたしましても、双方の距離がはなはだしく離れておるというようなときには、歩み寄りの方法といたしまして第三者的な機関によることが一番よいと私も考えております。ただいま三木さんからお話がありましたように、中労委式の調停をお考えですが、そういうふうに考えてさしつかえないですね。そうしますと、中労委的の仲裁機関というふうにお考えになっておりますが、そうすると人選方法といたしまして、どのような人選方法を被災者側として最も自分らの希望に合う人選方法であるというふうにお考えになっておるか、このことについてちょっと御意見をお伺いいたしたい。
  152. 岡崎哲夫

    ○森永ミルク被災者同盟全国協議会副委員長岡崎哲夫君 お答えいたします。私たちは、まず医学関係において実際にこの件を発見していただいた岡山医大の浜本先生に一つ出ていただきたいと思います。それから私たちの被災家族の代表がはいれれば入らせていただきたいと思います。その場合は森永さんの利益代表者も入って下さってけっこうだと思います。それからあと何名かの人選に関しては、私たちも納得のいく方々、森永さんもまた納得のいく方々を慎重に審議され、また私たちと御相談の上でおきめ下さることは異議ありません。
  153. 八田貞義

    ○八田貞義君 そういたしますと、今の五人委員会について、被災者側の方では、全権を委任するにしてはどうも信用ができないというような不安をお持ちのようでございますけれども、しからばこの委員の中で、この人はどうも自分としてはあまり賛成できがたいというような委員の方がございましょうか。あるいはまた五人委員会に対して、森永の方から依頼したので――厚生省に依頼をしたのであるから、自分では賛成できないのであるというふうなお考えで、五人委員会を否定されておるのか、あるいはまた五人委員会の中で、この人が入っておったのでは、自分らの最も正しい線を出してくれない、こういうふうにお考えになるかどうか。委員各自について、この人はだめだというような点について、もしもお考えがありましたならば、お知らせ願いたい。
  154. 三木千太郎

    ○全大阪森永ミルク被災者同盟委員長三木千太郎君 その点につきましては、五人委員会の発足そのものに異議があるということで、一般被災者は不安を持っております。  それから大阪へ大野代表、七海常務さんがお越しになったときに、この五人の中には、小山先生は私の方でずっと昔から心やすくしておりますという方が、一人いらっしゃいました。その以外の方は、私の方は知りませんでしたというお話でした。東京で、五人委員会に会うために、二十五日に出京した場合に、森永さんの竹内という次長と懇談した場合にも、そのときに、私の方ではあなた方と違って、法律の先生と毎日協議をやっているんだ、きょうは山崎先生で、きのうはどことどこ、きょうはどことどこと、毎日電話で連絡をすると竹内次長が言われたのです。それで、五人委員会の委員長となる方は、そういうような方では不安だということで、被災者の方では、なお不安を増してきたような感じになっております。それで大阪へ帰って、大阪の大会で、皆さん寄っていただいて、あらゆる点から五人委員会というものを報告しましたところが、全面的に、一人残らず、白紙委任状まで出されて、否認だということに決定されました。それで全国協議会に諮って、全国協議会でも否認ということに結論が出たのであります。
  155. 八田貞義

    ○八田貞義君 その点について、もう少し御質問いたしたいのでありますが、今、小山委員の名前が出、委員長に対する不安をお持ちのようでございますが、一体五人委員会の委員長はだれでございますか。厚生省の方にお伺いいたしたいと思います。
  156. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 私どもが五人の先生方にお願いしたのでございまして、どなたが委員長格になっておられるか、私どもの方からお願いしたことでなしに、自主的におやりになっていることだと思いますが、年長順から考えますと、やはり山崎さんがとりまとめ役になっておられるのじゃないかというふうに思います。
  157. 中川俊思

    ○中川俊思君 五人を選任されたことについては、厚生省はどういう基準に基いて選任されたのですか。
  158. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 五人くらいの方に考えを出していただくのがいいのじゃないか。これを五人がいいか、七人がいいかという、別にはっきりした基準はございません、大体五人ぐらいの方にお願いをしようかということでございます。その際に、個人々々のことを考えます前に、どういう系統と申しますか方々が適当であるかというようなことを内部で相談いたしまして、やはり法律関係に詳しい方をお二人くらい入っていただく。それから婦人の方も一人入っていただいた方がいい。それからいわゆる報道関係と申しますか、あるいは新聞社の論説委員のような方をどなたか入っていただいたらいいじゃないか。それから医学界、特に小児科の専門の方を誰かに入っていただいたらいいじゃないかというようなことで考えを進めまして、山崎さん、正木さんというお二人の方、これは特に厚生省が種々お願いをしておる方ではございませんが、山崎先生は医事法規の方には詳しい方で、私どもも大学でいろいろ講義を伺った方でございます。正木さんは、山崎さんと一緒にいろいろ委員会でお仕事をなさっておりますので、山崎さんと正木さんがいいのじゃないか。それから新聞関係の方で内海さん、あるいはもう二、三人の名前が出ましたが、内海さんにお願いしてみよう。それから医学関係では小山先生――なるべくしばしば集まっていただくのには東京の方がいいということも、初めから考えておりましたので、この際東京の方で、現地をごらんになりましたのは小山先生と東京第一病院の栗山先生でございます。栗山先生は厚生省の方でございますから、小山先生にお願いしたらいいじゃないか。御婦人の方では、主婦連合会の方とかいろいろございましたが、田辺さんにお願いしてお引き受け願えればいいじゃないかということで、この五人の方のお名前をあげることになったわけでございます。
  159. 中川俊思

    ○中川俊思君 私はこの五人の方は、あまり知らないのですが、仲裁委員ですから、最も公平な、被災者にも森永の方にもあまり関連のない公平な方が最も適任じゃないかと思う。もしこの中に被災者の方と特に懇意の人が入っているとか、あるいは森永と特に懇意な者が入っているということになりますと、せっかく作り上げられた仲裁案といいますか、そういうようなものは、効果が減殺されるのではないかと思うのです。今どなたかのお話を承りますと、森永の大野さんは、この中の小山さんとは非常にじっこんな間柄であるというお話もある。またその他この中には森永と特に懇意の方があるというふうに私は伺っておるのであります。そういう点については、厚生省では十分お調べになって、これを御依頼になったのですか。
  160. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 私どもも、ただいま御指摘のように中立的な立場の方にお願いするというのが趣旨でございますので、最初からその点は十分考えて事を運んだわけでございます。小山先聖にいたしましても、そのほかの小児科の先生方にいたしましても、小児保健部会というものを小児科学会でお作りになっておりますので、牛乳あるいは乳製品というようなものにつきましては、小児科の先生方は平生から関心をお持ちになっております関係上、小児科の先生方は、どなたをお願いしても、乳製品の製造会社の方とお知り合いの方があるだろうと思うのでございます。しかし、私どもは、特に小山先生が森永と特別な関係がおありになるというようなことは考えておりませんし、山崎さんにいたしましても、別に森永の顧問弁護士とかなんとかいら関係は、もちろんないというふうに伺っております。そういう点は、私ども十分考慮して――もちろん当然な話でございますが、事前に森永に、この五人の人選について相談するというようなことはいたしておりませんし、私ども内部で人選をいたしました。そらして、きめましてから、森永の方に指示をしたということでございます。
  161. 横錢重吉

    ○横錢重吉君 ちょっと関連して厚生省に伺いますが、この五人委員会を作ったときの動機その他については、大体わかったのですが、問題は被災者の方々に対する治療あるいは慰謝、こういうようなものが具体的には金額をもって表現されることになるだろう、こう考えております。その場合に、森永乳業の財産を見ますと、資本金は四億六千五百万、一期の利益が一億二千五百万、こういうような金額であって、しかも今日まで払われている金額がすでに三、四億に達しておる。いわゆる資本金と同等の金額にまで達してきておるということを聞くのであります。そうして、また一面にこれを見ますと、要求の総額が約四十億からに達しております。そうすると、森永乳業としては背負い切れないような金額が交渉の前面に出てきております。この場合いに五人委員会を設置して、果してこれの金額に応じ得るものが出せるかどうか、あるいはまたこれが出せなかった場合いに、森永乳業に対して何らかの財政的な措置とか、あるいは金融上の措置とか、そういうふうなものをとってでも援助をするというようなことまで考えられておるのか、こういう金額上の問題について、厚生省のとった態度について一点お伺いしたい。  もう一つ森永の大野取締役さんに伺いたいのでありますが、森永乳業の持株は製菓が約三〇%、これが親会社であろうと思うのですが、その他が酪農、役員、従業員金融関係というようなものの所有になっておるようであります。それが現在の負担の交渉に応じて、もし五人委員会の出す結論が相当程度の資本金あるいは借入金等をオーバーして決定をされた場合に、果してこれに応じ得るところの能力というものがあるのかどうか。その能力を検討せずに、五人委員会の案には全面的に服従をする、こういうような決定をされておるようですが、その点が果して実行可能なのであるかどうか、今の点について、森永乳業として責任をとるか、あるいは森永の本社にそういう点の援助方を求めてあるのか、こういうような点についてお尋ねしたい。
  162. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 具体的な数字をあげての御質問でございますが、私ども患者側の要求が全部でどういうふうになって、それをどういうふうに処理されるかというこまかいところまでは検討していないわけでございますが、私ども五人の先生方にお願いいたしました際には、社会常識上妥当な線を出していただきたい、そうして森永にはその五人の先生方が出された案をその通り順守してほしいということを強く申しておりまして、先ほどから質疑の中にもございましたように、森永としてはそれを必ず守るという確約を得ているわけでございます。五人の先生方も、自分たちの出した考えは必ず実現できるようにめんどらを見るようにということを厚生省に申し入れられているわけでございます。森永の資力が、その出ます結果に耐え得るか、耐え得ないかということは、これは結論が出てみないと、ここではっきり申し上げることができないと思うのでありますが、先般の協議会でも大臣がお答え申し上げておりますように、直接的には民間の企業の問題でございます。また森永の資力としては、この治療並びに補償について十分それをまかない得ると自分は考えているというふうに大臣は答えているわけでございますが、どうしても森永がその出て参りました結論に対して負担に耐え得ないというような事態が出来いたしました場合には、これは国としても別な面を考えなければならないのではないかというふうに考えるわけでございますが、これはもちろん仮定のことでございますので、私から今いろいろ申し上げるのはその時期でないと存ずるのでありまして、私は先般大臣がお答え申しましたような線でただいまお答えさせていただきまして、五人委員会の結論が出ましてから、十分検討させていただきたいと存じております。
  163. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 厚生省に、五人委員会の結論に誠実に従うということを申し上げております以上、結論が出ましたならば全能力をあげてこれを順奉するつもりです。その場合に、どうでも金融がつかないというような場合には、本省にお願いしてあるいは金融の道をつげていただくなり、それもできなければ現実的に年賦で払わせていただくとかなんとか、実際問題において解決したい、かように考えているのであります。
  164. 八田貞義

    ○八田貞義君 今の仲裁機関等の問題について、私は非常に不安に思うのでございますが、被災者側の方につきましても、人選方法を伺いますと、砒素中毒をまっ先に発見された浜本教授、それから被災者側、それから森永の会社、こらいった代表をもって仲裁機関を作った方がいいというお話があった。そうしますと、今の五人委員会に対しては、否定的な立場に立っておられて、その否定する方法として、新たな人選方法を考えておられるわけであります。ところが、五人委員会の結論には、森永乳業の方では全面的にこれを受け入れて実行するということを言っているのであります。この点について、将来非常な問題が起りはしないかというような気持があるのでありますが、いかがでしょうか、被災者側の方でこらいった五人委員会の結論が、先ほどの発言によりますと、大体来月中に出るというような話でございますが、その結論の内容いかんによってはそれを認める。しかし、自分らの考えている線に対して少しでも違っておるならば、公正というふうには解釈されない、こういうふうなお考えで反対されるかどうか。その点も、ちょっと参考までにお伺いいたしておきたいと思います。
  165. 岡崎哲夫

    ○森永ミルク被災者同盟全国協議会副委員長岡崎哲夫君 その件について発言いたします。結局今までの五入委員会の性質なり手続なりにおいて不可解である、認められないということを私たち決定しまして、各府県同盟が家族大会においても否決し、その結果として委任状を下されております。もし今月早急に結論が出た場合、それはどういうようなものかわかりません。そうして森永さんがそれを一方的に行使された場合、この被災者のうち一八や二人は応じられるかもしれません。私は権利を放棄するからよろしい、こうおっしゃればその方の自由でありますけれども、私たちの全国協議会が要求している事項に対してさえ、それは少い、私たちはそんな甘っちょろい考えを持っていないという家族の方もたくさんあります。しかし、全被災者家族が足並みをそろえていかなければならないから、あなた方の要求は押えなさいと言っておる方は、私たちとして五人委員会の結論が出ました場合、その人たちがまかせておられぬわれわれみずから立ってやるとおっしゃれば、とめる方法はありません。ただ、われわれが森永さんと円満解決していけば、何人かあるいは何十人かの不満な方も、私たちの代表がまとめたのだから認めようと涙を押えてこらえてくれるかもしれないが、そういうふうに一方的に出ましたならば、私たちも被災者を押えることもできませんし、その結果どういうふうになろうとも、私たち責任を負えなくなるわけであります。
  166. 八田貞義

    ○八田貞義君 そういたしますと、五人委員会否定の手続というのは、その当時大会を開かれまして、被災者の何%の方の賛成を得たか、中には五人委員会の裁定に対して賛成の方はあるわけですね。五人委員会の結論を待って態度を決する、いや五人委員会の公正なさばきに服する、あるいはまた五人委員会というのは初めから性格そのものに対してだめだといって反対される方、そういうふうな三つに分けられると思うのでありますが、しからば今お答えをいただきました五人委員会制度に対して、被災者の方で何%賛成しておるか、この点についてちょっとお答えを願いたい。
  167. 岡崎哲夫

    ○森永ミルク被災者同盟全国協議会副委員長岡崎哲夫君 結局この件に関しては、委任状をいただくという全国協議会の決議を各県で履行しておりますが、まだ完全に委任状をいただいておらないところの県もありますので、何%という確実な数字は、いましばらくたたないと出てきませんけれども、大阪あるいは兵庫において、もうすでに九〇%を出ているということでございまして、現在私たちが結集しています被災家族は、まだわれわれを支持されておりますから、おそらく全員いただけると確信しております。  それから、今までに組織に漏れている方々については、私たち何とも申し上げられませんが、これはごく軽症な方であるという大体の推測はついております。
  168. 三木千太郎

    ○全大阪森永ミルク被災者同盟委員長三木千太郎君 これは一例でありますが、大阪でも五人委員会は厚生省が作ったからいいじゃないかという方も多少ありました。けれども、それは五人委員会は、われわれ被災者に対して何も通告なしに、森永にわれわれの要求することがおそろしくなった。紛糾することがいやになったからこしらえたということを説明しますと、大会において一人も異議なく、全員一致五人委員会は否認したいということで、寄られた者は全部その設立の経過や何かを報告してやりますと、全員一致で否認しております。
  169. 中原健次

    ○中原健次君 関連して。この五人委員会の発足については、もちろんいろいろ疑念があるわけでありまして、簡単にきわめて適当な機関として設定されたと結論するわけにはいかないと思います。そんな議論を今申し上げるわけではありませんが、この五人委員会の調停を受ける側の被災者諸君の方で、少くともその全国的な機関がこれを否認する、否定する、承認できない、こういう結論を出しておる場合に、この五人委員会が、かりにその一人々々の人柄については、もちろんりっぱであると思いますけれども、よしそれがりっぱであったにしましても、その調停を受ける側の被災者の方でこれを承認し得ないということになってくるとすれば、この五人委員会の効果といいますか、そういうふうなものがあると考えておいでになるかどうか、この点を一応承わっておきたい。同時に、その五人委員会が効果のあるものと少くとも確信を持って考えられない場合なら、そういう五人委員会の存立の意義というものはなくなるのであります。そういうふうにも考えられますが、そういう諸点について、推薦者としての当局の方でどういうふうにお考えになりますか。
  170. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 五人委員会の性格とかその効果というような問題が先ほどからだいぶ御質疑に出ております。私ども先ほどからごく簡単にお答え申し上げておったわけでございますが、この五人委員会が設けられましたいきさつにつきまして、ごく簡単に申し上げてみますと、今回の森永の粉乳中毒事件が発生いたしまして、その治療につきましては、先ほどからたびたびお話が出ておりますように、森永が全責任をもってこれを見る、後遺症についても、これはどういう後遺症があとに残り得るかということでいろいろ変ってくると思いますが、どういう後遺症が現われるにいたしましても、これも森永において全責任をもってその処置に当るということは、割合早く決定したわけでございます。私ども厚生省として地方にその通知を出しましたのも、九月の初旬にその通知を出したわけでございます。ただ死亡者と患者の弔慰金あるいは見舞金というようなものにつきましては、先般来数回にわたっての協議会で私もたびたび御説明申し上げましたように、とりあえず患者の処置ということに全力を注いで、弔慰金それから見舞金という問題につきましては、放置するのはいけないと思うのでございますが、とにかく患者の処置の方に先に手を打って、しかる後に弔慰金とか見舞金というものをいろいろ考えるようにしなければならないのではないかというふうな態度で進んでおったわけでございます。弔慰金、見舞金につきましても、先ほども申し上げましたように、先般の協議会でも大臣からもお答え申し上げておりました、第一義的には当事者同士でお話をしていただくということが筋だと思うのでございますが、なかなか話がつかなければ、厚生省としても何らかあっせんに、乗り出さなければならないのではないかというふうに考えているということを、大臣は申し上げておったわけでございます。この前十月十三日の懇談会でも、厚生省がいつまでもぐずぐずしておらないで、しかるべき機会にもっと早く、大臣もああ言ったのだから具体的に考えなければいけないじゃないかということを、私に御注意をいただいたわけでございます。厚生省といたしましても、できるだけ早く、患者の処置が一応済めば、そういう問題が解決されるのが望ましいと考えておったのでございまして、従いまして、機会を見てしかるべきあっせんをしなければならぬというふうに考えておりましたところ、森永の方からも、この補償の問題の解決についてなにぶんの指示をしてほしいというような申し出もありましたので、私ども省内におきましていろいろ検討いたしました結果、厚生省自体が案を作るよりも、第三者の中正な立場におられる方々に一つの案を出していただくのがいいのではないかというような結論になったわけでございます。その結果、先ほどから御説明申し上げましたような五入の方にお願いするのがいいだろうと省内で話をきめました。そのきめました結果を森永の方に通達をしたわけでございます。  それから、先月十月二十五日に患者代表の方が厚生省にお見えになりまして、私はちょうど当日不在でございましたので、環境衛生部長室で環境衛生部長そのほか係官の者が被災者同盟代表者の三木委員長以下十一名の方とお話し合いをいたしまして、その結果、被災者同盟側の総意並びに浜本教授その他関係者の意向を五人委員会に十分に反映して委員会の判断を誤まりないようにする、それからこのために被災者同盟の代表者及び浜本教授など関係者は、五人委員会に直接実情を十分に伝えていただく、被災者同盟は厚生省並びに森永本社に対してその実情と意向を伝えて、厚生省及び森永本社は、これを誤まりなく五人委員会に申し述べるようにすることというような結論になったということを、私、楠本部長から報告を聞いて、それが書類になって残っているわけでございます。  先ほどから、被災者同盟の方々は五人委員会というものを否定するというふうなお話でございますが、私どもは、これはどちらの意向を伺って作ったものでもなく、厚生省自体としてこういう方々に意見を出していただくのがいいだろうということで、五人の方々に今いろいろ考えをまとめていただいているわけでございますが、森永につきましては、先ほどから話が出ておりますように、その結論はその通り順守するという確約を得ております。被災者同盟の方々につきましては、先般楠本部長室においでになりましたときに、先ほど読み上げましたようなお話し合いになっておるわけでございまして、その出ました結論につきましては、私どもいきさつ等十分御説明して、被災者の方々にも納得していただけるように努力したいというふうに考えているわけでございまして、もちろん結論を出されます前には、十分被災者の方々の実情、御意見を五人の先生方に反映させていただいて、五人の先生方に結論を出していただけるものと信じておるわけでございます。  先ほども、時期はあまり急いでは困るというようなお話で、ございました。資料が十分集まらない、あるいは十分まだ反映できないといううちに結論が出るというようなことはないようにしなければならないと思いますが、発生いたしましてから時日も大分経過いたしておりますので、私どもといたしましても、なるべく早く結論を出していただきたいという希望を持っているわけであります。  五人委員会をせっかく作ったが、その価値がないじゃないかという中原先生の御指摘ではございますけれども、私どもは、そういうつもりで五人の先生方に今考えていただいておりますので、その結果は妥当なものが出てくるというふうに期待いたしておりますし、その出ました結果を両方で納得していただけるように努力したい、そういうふうに考えている次第であります。
  171. 中原健次

    ○中原健次君 局長の御答弁を明いて感じることは、被災者側の意向はどうであろうとも、政府としてはこれが最善の方法であって、従ってここへ出てくるであろう調停案といいますか何といいますか、処理の案が出てくれば、それをもって被災者側の了解を求めるように努める、こういうふうに要約すればなると思うのです。しかし、その出発において、被災者側の方でこの五人委員会にまかすことができないという立場をとっておる場合に、そのまかすことのできない側が作り上げた調停案を基礎にして判断をしていくということは、もうそもそもそのところで問題の解決点を求めることができないということになるのじゃないか。ことにこういう機関を作るためには、やはり一万数千を数えておる被災者側の意向に問うて委員会を構成させていくということの方が、どう考えても、これこそ良識的に妥当なように思うのですが、その妥当な方法をあえて選ばれなかったというところに、やはり依然として疑問が残っていくし、どうしても納得がいかないものが先行するのじゃないか、こう思うのですが、その点はどうお考えになりますか。
  172. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 今中原先生のおっしゃいましたように、何か仲裁的な機関を設けます場合に、両方の利益代表を入れて、それに第三者を加えるというような構成も考えられるわけでございますし、私どももこの問題については、厚生省が一つの案を出すということも一つの考えと思いましたけれども、いろいろ省内で検討いたしました結果、全然関係者の入らない第三者に一つの案を考えていただくのがいいのじゃないか。もちろん、その場合に両方の利益代表の意向を聞くというようなことをしないで、被災者側の御意見はもちろん聞きませんし、森永の意見も聞かずに、厚生省として、こういうふうにしてこの五人の方を選んで、そうして意見を出していただくからということにしたわけです。考え方としては、いろいろな考え方、その委員会の構成の持ち方はあるかと思うのでございますけれども、私ども今回の問題については、今度私どものとりましたような考え方がいいのではないかということを、省内で検討いたしました結果、そういう結論に達したわけでございます。従いまして、その結果、もちろんこれは法的に何ら拘束力のあるものでもございませんし、法律に基いて作りました仲裁委員会でもなければ、厚生大臣の諮問機関というようなものでも、ございませんので、純然たる事実上の組織でございます。それがどういう拘束力を持つということはないと思うのでございますが、そこで出していただく案は、そうしてその五人の方々が十分いろいろな情報をお集めいただいて出していただければ、そこで妥当な線が出てくるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  173. 中原健次

    ○中原健次君 そこで問題になるのは、局長はいろいろ善意で五人委員会の構成を運ばれたのだろうと思いますけれども、被災者側の方から見れば、やはりこれは厳正中立な立場にある五人委員会ではない。その中のだれかれは相当森永に関係があるではないか、こういう発言も先ほどあったように思います。そうであるとすれば、せっかく厳正中立なものをもって構成させようと努力されたにもかかわらず、結果はむしろ森永の側にずれたような感じがやはり出てくるのではないか。おそらくこれは先ほども会社側の御指摘のありましたように、森永の方と関係ある何々弁護士もおるということになれば、第三者が考えてもわかる。おそらく国民はみな注目しておりますから、第三者が見てもわかると思うのです。そうなると、そこに何らかの意図があって、厳正中立と称しながら、そういう機関を作ったのではないか、こういうふうに国民が判断すると思うのです。これはおそらく被災者と森永とだけの問題ではないと思うのです。みんながひとしく注目しておる問題だと思うのですから、だれが考えても、なるほどこれは公正な委員会ができた、この委員会にかけたら、まず大体どちらにも片寄らない、なるほどとうなずかなければならない案が出るであろうと、こういうふうに国民が期待できるようなものでなければ、やはり意味がないのじゃないか、せっかく作られても、かえって疑問よりもむしろ疑惑を深めるだけではないか、こう私は思うのです。時間が何ですから、それだけにいたしまして、もう一度御答弁いただきたい。
  174. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 今患者側から言われまして、ほかの先生の名誉に関すると思いますから……。私が大阪へ行って説明した通り五人の委員の人は、小山先生を除いては全然知らない人、何も知らないです。正木亮という名前は新岡で見たことはありますけれども、ほかの何は何ら関係ない。小山先生はじっこんだなんと言ったことはありません。小山先生は東京都の衛生局長の時分に監督をされておるから、これは知っています。これは確かに工場にも監督においでになったから知っておる、こう申し上げたので、一つもじっこんの程度というようなことでもない。山崎先生のごときは、何をなさっておるか何もほんとうに知らないわけでありまして、竹内が言ったというのは、自分の方の弁護士の話を間違ってしておるのじゃないかと思うのです。ほかに、今刑事事件で頼んでおる弁護士と連絡をされておるというのを、山崎さんと連絡をされておるというような話におそらく誤解ができておるのじゃないか。この点だけは山崎先生の名誉のためにも、小山先生の名誉のためにも、一口申し上げておかないと、非常に誤解を生じますから御了解願います。
  175. 横井太郎

    ○横井太郎君 関連で……。今大分話がありましたが、この五人委員会というのは、これで結論を出すと、その結論によってこの五人の人が、この委員会自体が仲裁に入る意味なのか、それともその結論をもって厚生省当局が仲裁に入られるような形になるのか。それから、もし万一厚生当局がその結論をもって仲裁に入られるような形になった場合には、五人委員会の結論そのままをもって仲裁に入られるようになるのか、それともそれを参考にして入られるようになるかということを一つお承わりしたい。  それから被災者側にお承わりしたいのは、先ほど来五人委員会というものを否認されるというようなお言葉があったのだが、これはとにかく全面的否認であって、どんな結論が出ようと何しようと、とにかくそれは否認するというものか、その結論が出てしまった結果を見て、その結果によってどうするというものか、その点がはっきりしないのですが、それを承わりたいのです。
  176. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 五人委員会とたびたび申されておりますが、これは仲裁機関でもなんでもございません。妥当な考えを出していただきたいということをお願いしているわけでございまして、おそらくその出ました案を持って五人委員会の先生方が仲裁に入られるというようなことはないと思います。また厚生省がそれで仲裁するかしないかという、その仲裁をするための機関であるというわけではございません。ただ補償ということについて、どういうところが一番妥当な線であるかということを考えていただきたいということをお願いしているわけでございます。
  177. 中村三之丞

    ○座長(中村三之丞君) 被災者側の御意見は……。三木千太郎君。
  178. 三木千太郎

    ○全大阪森永ミルク被災者同盟委員長三木千太郎君 われわれは、五人委員会の初めの発足の時から不安を持っておりました。それがために、その方が出されたときに、それは大体納得のいく線なればいいけれども、もしも納得のいかないものが出されたとしても、われわれ被災者は弱いですから、政府が作った五人委員会のものをなぜ聞かないのだろうかということになるから、森永さんと交渉した場合に、ある程度の行き詰まりを感じた場合に仲裁が出て、それではこうだというのなれば、被災者一同納得するだろうと思います。森永さんとこれに関して一つもお話し合いがなっていないのにかかわらず五人委員会というものができた。それは厚生省で森永の要請でできたということが、やはり新聞紙上で一般に知られているために不安を感じておる。信頼をしておる五人委員会であったら、これだと言ったら皆さんも納得しなければならぬが、現在の状況では一般の被災者は不安を感じております。それがために、それが出された場合に、政府が作ったものに反対するのはいけないというような、弱いもので、そういう感じを起すことがいけない。それだから一度森永さんと折衝して、ある点の妥結点が出るか出ないかやったらその上で、公正な仲裁が出ればけっこうだと思っております。
  179. 八田貞義

    ○八田貞義君 その問題についてはまたあとにしまして、次にお伺いしたいのですが、先ほど古川委員が患者広報というのを盛んに引っぱり出して見ておられましたが、私たちはあの患者広報というのを見ておらぬのです。これはある一部の社会労働委員にだけ患者広報を出されて、私たちには出されなかったのかどうか、その発送先を一応お調べになってお知らせ願いたいと思います。  さらにその際、患者広報に、死亡者に対してのいろいろな要求額が載せてあったようですが、もちろん民法にも損害賠償に関してホフマン式の損害賠償の算定方式がございます。この場合は被災者が乳児でありますから、得べかりし利益の喪失を賠償額として請求するためには、ホフマン式を適用すれば乳児の場合は一体どういうことになるのか。そういうホフマン式を適用して、ああいった患者広報に、なくなった患者の賠償額をおきめになったことが出ていたものと思いますが、乳児の場合、一体どういうふうにしてホフマン式を適用されたか、その点もよっとお伺いいたしたいと思うのです。
  180. 岡崎哲夫

    ○森永ミルク被災者同盟全国協議会副委員長岡崎哲夫君 発言いたします。私たちも、子供の死者に対してどういうふうな方法をとっていいか、実にしろうとでわかりませんでした。とにかく人権擁護委員をなさっておる弁護士さんにお伺いいたしまして、その立ち会いの上で代表委員会を開催したときに、現に生業を持っておって収入をあげております方はよく出ます。しかし赤ちゃんの場合は、未曾有のケースであって、なかなかむずかしいが、国民の平均所得、平均年令というものははっきりしておる。それから算出していこう、こういう御判定で、これから算出しますと、四、五百万円にはなる。しかし、相手方の支払い能力もあるのでいかぬ。それから岡山市の場合も、市の渡船場である小さい子が事故で落ちたのです。それで溺死しまして、二百五十万円の請求が出ておるのです。それで市役所を相手にしましたが、市役所も現在金がないからというので、七十万円出しておる。われわれ決して二百五十万円びた一文欠けたらいかぬというのではない。それで、いわゆる膨大だというのは、あくまで人道的に、とにかく死んだら四十万円、三十万円というように人間の命を金に換算することが大体おかしいことである。このような重大問題に関して、弁護士さんお立ち会いの上でそういう結論に達したわけです。(「患者広報」と呼ぶ者あり)  それは吉川先生が最初岡山をおたずね下さいまして、非常に激励して下さいました。それですべて書類は私にあててくれということをおっしゃいましたので、衆議院社会労働委員会理事吉川先生あてとして、そのつど二十部か十部ぐらいずつお送りしておりますが、吉川先生のお手元にも届いておらないそうであります。どこかにとまっておるのではないかと申し上げたのです。
  181. 八田貞義

    ○八田貞義君 私は国会に出るまで、ずっと衛生学者としてやってきたので、特に食品衛生については非常な関心を持っておる。特に今度の事件については、不敏でありますけれども、この問題については真剣に取り組んで、何とか解決並びに将来に対処していきたい、こういう情熱に燃えてやっておるわけであります。そういう情熱に燃えておるために、患者広報等のことがありましたならば、参考までにお送り願いたい、こういうふうにお願いしておきます。  それからもう一つ、第二回の協議会のときに、私はこの問題の刑事責任の所在問題について質問いたしました。問題の工業用の第二燐酸ソーダには砒酸ソーダが含まれていないかということを質問しておったのでございます。というのは、砒素と燐とは、化学の週期律表によって第五属に入っておりますので、非常に類似の反応を呈する。多分砒酸ソーダがまぎれ入っておるのであろう。そうしなければ、常識的にあの砒素として六から八%も含まれておるということはとうてい考えられないということを申し上げまして、その分析の成績をお示し願いたい、こういうようなことを、あれは多分九月十日でございましたかにお願いいたしておったのでございますが、果してどのような結果が出ましたか。もう一月もたっておりますので、多分厚生省の方でも試験成績報告書をお持ちのことと思いますので、ちょっとお知らせ願いたいと思います。
  182. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 国立衛生試験所におきます分析成績によりますと、これは私もあまりこまかい専用的なことはわからないのでございますが、御承知のように砒素には五価のものも三価のものもございますが、五価の砒素が検出されております。従いまして、それからずっと類推して参りますと、八田先生の御指摘のように砒酸ソーダとしてまじっていたのではないかというふうに推定されるわけで、ございます。そこで、今度ずっと逆にさかのぼって参りまして、その砒酸ソーダとして入ったならば、どこでそういうふうに混入したか。この前の協議会でもおっしゃいましたように、単に製造工程中の普通に起る汚染としては量が多過ぎる、これはただいまおっしゃった通りでございます。そういう点、私どもずっとさかのぼって考えなければならないと思うのでございます。この前御指摘がありましたように、砒酸ソーダという形でまじったということが、分析の結果から推定されるということになっておりますが、ただそれを、現在さかのぼってどういう経路で入ったかということを調べている最中でございます。
  183. 八田貞義

    ○八田貞義君 その場合、第二燐酸ソーダは一体どのくらいあったかということについては、報告を受けておられませんか。
  184. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 あるいは私八田先生の御質問をよく理解しないでお答えしているかもしれませんが、砒酸ソーダとして相当高度のパーセンテージが含まれておったわけでございます。
  185. 八田貞義

    ○八田貞義君 第二燐酸ソーダはどのくらいですか。
  186. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 燐酸ソーダを持って参りまして、それを調べたわけでございますから、残りが燐酸ソーダということになるわけですが、その点あるいは御質問を少し理解しかねているかもしれません。
  187. 八田貞義

    ○八田貞義君 そうするとまだ正式なはっきりした報告書は出ておらぬのでございますか。
  188. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 この前も御報告申し上げましたように、砒素としては衛試としての報告は出ておりますが、砒酸ソーダとして、それからそれを分析してどうこうというようなところまではまだ出ておらない。ただ五価の砒素が出てきておりますので、それで砒酸ソーダであるということが推定される、現在までの結論はそういう点でございます。
  189. 八田貞義

    ○八田貞義君 そうしますと、五価の砒素があったということでありますが、これについて、まぎれて入った、あるいは初めからまぎれて入るということは全然考えられないのでありますから――というのは、燐酸ソーダを作る場合に、湿式法と乾式法があるのでありますが、たといこの製法によりまして作りました場合にも、砒素は決してまぎれて入らぬ、入ったとしても〇・〇〇五%というような非常に少い砒素しか入っていないわけでございます。そこでほかの砒素が入っておったということになれば、一体原料の点においてどういうことが想像されるか。その点について、初めから原料を間違えておりはせぬかということについて、何か厚生省として国立衛生試験所の方に質問されておられるかどうか。もし、それがなかったならば、それでけっこうでございます。もちろん森永でも、重大責任と考えられまして、この問題の刑事責任の所在については、鋭意研究されておると思いますが、果してこういった砒酸ソーダというようなものがどういうような工程――工程ではない、原料の問題になりますが、原料が一体どうしてこのようなものを含むに至ったか、その点についてお調べになっているかどうか。調べておられなければ、非常な問題となりますが、この点について、専門家でおいでにならぬようでありますから、わからぬと思いますが、大体お調べになっているかどか、その点について御答弁願いたいと思います。
  190. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 今回の第二燐酸ソーダの製造工程をいろいろ検討いたして調査いたしているわけでございますが、一番のもと、第二燐酸ソーダになりまする前にいろいろなところから製造してやっております。今回のは、私どもとして十分疑いますのは、最初清水市にございます日本軽金属、あすこでボーキサイトを作っておりますが、その製造工程中に第二燐酸ソーダが出てくるのでございます。それを今まで別に使ってなかったのを今度使用する。それを利用して京都の工場が買い入れて、それからまたブローカーの手を通って大阪の工場へ入ったというようなルートもわかって参っておりますので、それをさかのぼって、ただいま御指摘になりましたように、どこでそういうふうな事態が起ったかということを検討いたしているわけでございます。
  191. 八田貞義

    ○八田貞義君 私、今のボーキサイトからアルミナを作るとき、その廃残物として燐酸ソーダができるということはわかっているわけでございますが、この場合にできる燐酸ソーダというのは、第二燐酸ソーダはほとんどなくて、第三燐酸ソーダが含まれているのでございます。その点について、私は分析をもう少し詳しくやってもらいたいと思います。私、国立衛生試験所に元おったものですから、国立衛生試験所の意向を聞いてみますと、どうも第二燐酸ソーダは分析の結果も出てこない。スペクトル分析の結果も、第二燐酸ソーダは痕跡だ、第三燐酸ソーダが多い。そして砒酸ソーダ、それからパラジウムの類、こういうふうなものが出ておるので、私はそのときに、ボーキサイトの廃残物を使ったのではないだろうかというふうに考えておったのであります。そうしますと、そのボーキサイトの廃残物を燐酸ソーダとして使った、それを製品として森永で買ったとなれば、森永は初めから食用として燐酸ソーダを買うことをやっておったか、食用でない、つまり洗カン剤として使うとか、あるいは洗滌用として使うのだというふうなあやふやな注文の仕方をしたか、はっきりと食用に使うのだというようなことで購入したか、その点について森永の方から責任のある御答弁を願いたいと思うのです。というのは、私の推察では、どうしたってこれは副生燐酸ソーダなんです。原料はいわゆるいろいろな化学工業におけるところの副生燐酸ソーダであるに違いない。そういった原料と知りながら売ったかどうか、また買ったかどうか、この点がこの問題の刑事責任のキー・ポイントだろうと思う。この点について、森永では初めから承知して買ったか、この点をお尋ねします。
  192. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 今の第二燐酸ソーダの問題は、まだ少し調べるところが残っておりますが、清水の日本軽金属の工場から京都の新日本金属へ行って、そこから大阪の丸安産業、ここへずっと流れていったわけです。それから松野製薬で、その次徳島の協和産業で、それから森永へ来た。このうちで日本軽金属、新日本金属、丸安産業、松野製薬までは、砒素が含有していて毒物であるということをお互いに確認し合って売っているのです。つまり、有毒物だということを承知でこれは売り買いがされていた。それから先は、まだ今ちょっと調べがはっきりつきませんが、もともと非常な有毒で、砒素を多量に含有しているということを承知でこれは売り買いをしておった、こういうわけに私どものことになりますとなるわけです。それがたまたま知らないで使ってしまったというところにこういろ問題が起きておりますが、昭和二十八年からあそこは使っていますので、もちろん最初から食料用ということは承知して売り買いをしているはずです。そればかりでなくて、ちょうどここにありますが、これは事件が始まってすぐ、八月の二十九日の読売新聞に、森永は工業用のやつを使った、洗カン用だと思った。この協和産業の人の言うことに、これは大きなあれになっていますが、純度が九九%、この中に〇・〇〇五%の砒素が含まれていた。用途がわからないので、この程度の純度のものでも別に不思議に思わなかった。こんなことになってみれば、工場の秘密主義が恨めしい、こういう書き方をしているのですが、実際は砒素分として三ないし八というので、もうこの言い分とは千倍も違っているのです。一万倍も違っているのです。ですから、これは協和はあるいは知らなかったかもしれませんが、その前までは全然お互いに毒薬ということを知りながら売っていた。そうして値段が安いものだから――私の方へ納めている値段は同じですけれども、売買の値段が安いものだからやったという形になっているわけですから全然――その前に来ていた米山化学というのは〇・〇〇〇〇二ですから、いわゆる試薬一級よりよいやつが来ていた、これは故障がなかった、こういうことになっているわけです。
  193. 八田貞義

    ○八田貞義君 そうすると、その日本軽金属から――丸安産業というのはこれは製薬業者ですか、松野とかいう言葉が出ておりますが……。
  194. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 丸安というのは、これは製薬業者です。それから松野製薬というのも、やっぱりこれは製薬ブローカーです。そこへだんだん渡っていったわけです。
  195. 八田貞義

    ○八田貞義君 そうすると丸安産業と松野は、そういった砒素含有が非常にたくさんあるということを知っておったわけですね。
  196. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 これは知っていたと思っております。今もう一つ証拠を集めておりますが、松野が、その場合に砒素薬としてこれは売ったのです。砒素薬として売ったところが、砒素の含有量が少いからといって戻されちゃった。それで今度は砒素を取って第二燐酸ソーダ、こういう形にしたというようなことになっております。
  197. 八田貞義

    ○八田貞義君 どうももっとつっ込んで質問したいところがたくさんあるのでございますが――その原料となったものが日本軽金属から出たわけですね。間違いありませんか。
  198. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 ええ、そうです。
  199. 八田貞義

    ○八田貞義君 原料が日本軽金属から出て丸安産業に入ったときには、一体トン当りどれくらいで売られたか、そういったことはお調べになっておりましょうか
  200. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 調べております。日本軽金属が一キロ八円で売ったのです。それから新日本金属から売った場合七円五十銭、これは使い道にもならぬからといって安く売ったのです。それから丸安産業から松野へ行った場合に十円、それから森永へ来た場合に百七十円です。
  201. 八田貞義

    ○八田貞義君 こういうふうに考えて参りますと、燐酸プラス、ソーダ灰というような、燐酸ソーダの製法のオーソドックスでいけば、その製品には絶対に今日問題となるような多量の砒素は含まれていないわけでございます。ところが今の御説明によりますと、日本軽金属から一キロ八円で買った、それから新日本軽金属ですか、それは七円五十銭である。それから丸安産業に行き、松野に行くとキロ十円となって、森永に入ったときにはキロ百七十円となった。こういうふうに考えますと、私は製薬責任というものを追究してみたくなるわけであります。というのは、先ほども厚生当局の方に御質問いたしましたように、この濃度のものは、どうしても原料として化学工業の副生産物を使う。副生燐酸ソーダという言葉を使っておりますが、それに合致するものであります。こういったものは、初めから使うことができないものです。もちろん工業的に全然使い道がないというわけではございませんけれども、これを知っていなければ使えないものです。それが全然明かされていなかった。森永では初めから食用としてずっと購入してきたものである。こういうことになりますと、この問題の第二燐酸ソーダというものは、実際は第二燐酸ソーダではなくて、副生産物になります。ボーキサイトからの副生産物であるならば、明らかにこれは第三燐酸塩が主でありまして、そこに砒酸ソーダが加わるというのが普通の常識であります。こういったものは初めから第二燐酸ソーダとして取り扱えないものである。しからば一体森永では第二燐酸ソーダとしてのレッテルを張ったものをお買いになったのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  202. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 これは白木の箱に墨でもって「第二燐酸ソーダ」「松野製薬」と書いたものが、今まで昭和二十八年から継続してきたわけであります。
  203. 八田貞義

    ○八田貞義君 この問題については、これ以上追究いたしません。ただ被災者の方々にも申し上げたいのですが、刑事責任というものは、製薬責任と患者責任とこの二つに分けて私は考えておるものであります。そういたしますと、ただいま申し上げましたように、製薬責任というものは明らかに製薬の間の取引関係にあるということが考えられる。いわゆる徳義上許すまじきことが行われておるということであります。しかし、これによって森永の患者責任というものは解消するものではありません。この点は森永としても十分にお考え願いたいと思いますが、ただ私から一言森永の方に注文いたしたいことは、こういうことが私の質問によってわかった以上、今まで調査されたいろいろな内容が相当にあるものと考えたいのでありますが、そういった点の調査された成績を、われわれ社会労働委員に御提出を願いたいと思うのです。それによってわれわれは大体刑事責任の所在というものについて考えることができる。さらにまた患者責任についても、どのようにあんばいしていかなければならぬかという問題も、またおのずから明らかになってくると思う。どうかその点について、森永乳業で調査された成績、今までの製薬責任、刑事責任の所在について御調査になった点を御提出願いたいと思うのです。  それから、もう一つ厚生省当局に伺いたいのでありますが、第二燐酸ソーダは、先ほども申しましたように、湿式法によっても、乾式法によっても、〇・〇〇五%以下の砒素化合物しか含まれていないということが一般の常識になっておる。ところがこのようなことになってきたのは、一体今後どういうふうにしなければならぬのか。もちろん工業用の第二燐酸ソーダはJISの規格がある。このJISの規格には、今まで砒素化合物について全然規定していたかった。これはオーソドックスの方法でいくならば当然こんなものは入らないという考え方でこれは規定していなかったわけであります。そこで、この際この問題を契機として、JISの改訂をおやりになるような機運にあるかどうか。またそういった点について、厚生当局はすでに調査されておると思うのでありますが、JISの改訂、その点についてちょっとお尋ねいたしたいと思います。
  204. 楠本正康

    ○公衆衛生局環境衛生部長楠本正康君 まことにごもっともな御指摘でございますが、私どもといたしまして現在考えております点は、さしあたりはすでに御承知のように薬局方のものを使う。なお薬局方にないような場合には、個々に厚生大臣の認可を得たものを使うということで過ごしておるわけでございます。そこで、今後、ただいま御指摘の点に関連いたしましては、一つ食品用という項目を起しまして、食品用のレッテルを張ったもののみを添加物その他に使うということに考えております。従いまして、JIS、工業規格というようなものにはこの際関連がないようなことで進みたい、かように考えておる次第でございます。
  205. 八田貞義

    ○八田貞義君 それからもう一つお伺いいたしたいと思うのでありますが、今度の事件は、結局牛乳の中に工業用の第二燐酸ソーダを入れた、しかも、言うならば化学工業の副生燐酸ソーダを入れた、こういうことが明らかになったわけでありますが、わが国の乳の状態、乳質という問題になりますと、省令によってはBCが四百万以下、酸度が〇・一八%ということになっておりますが、この程度の規格で、従来やっておるようなバッチ・システムでは、どうしても燐酸ソーダを加えなければならぬ状態になっているわけです。ところが、今日まで徳島工場では、いわゆるバッチ・システムを使っておられたわけです。全森永労働組合の報告を見ますと、結局今日までバッチ・システムを使っておったからこういうことになったのだ、いわゆる加熱時間が長いから凝結するのでこういうものを入れたのだ、もちろんこれは食品衛生法第六条違反にはならないわけでございますが、ただ製造工程において、加熱時間が短縮された近代施設の工場のシステムにおいては、こういうことをやらぬでもいいわけだということでございますけれども、われわれの今までの常識としては、省令に定められたようなことでは、どうしても燐酸ソーダを加えなければならぬような状態になっているわけです。というのは、温度の規定がないわけです。省令五二号の以前においては、いわゆる温度の規定があったはずでありますが、どうしてこの温度の規定を省かれてしまったか、この点もあとの問題解決の参考のために聞かせておいていただきたいと思います。
  206. 楠本正康

    ○公衆衛生局環境衛生部長楠本正康君 まことに御指摘の通りでございまして、現在原料乳問題に関連していろいろ問題が起きてくることはまことに残念に思っております。なお、それに関連いたしまして一時、保存温度としまして二十度以下の保存規定は作っておったわけでございます。ところが実際問題となりますと、二十度と申しますと、井戸に保存いたすか、あるいは冷蔵庫に保存いたすかということ以外には方法がないわけでございます。ところが、実際には日本の酪農の分布からも、御存じのように井戸のないところがずいぶんございます。ましてや冷蔵庫を全部各農家に備えるということはなかなかできません。冬の間ですと、たとえば川に入れるとか、水に冷やしておけばけっこうでありますが、そんなわけで夏場は決して二十度以下に冷しておけない。一方二十度の規定を置きますと、冷やせないものが結局出荷される。ここに森永がおりますが、森永へ持って行った場合に、これは冷やしてないから二等牛乳ということになってしまって、難くせをつけられて、かえって実質的には実情に合わないということになる。そこで私どもといたしましては、残念ながらその規定を省いたわけでございます。しかしながら、私どもといたしましては、先ほど中川先生にもお答え申し上げましたように、原料乳の品質をよくすることにつきましては、いろいろな方法を講じて今後進まなければならぬと思っております。なお冷却保存という点につきましては、これは真剣に考えなければなりません。もし事実日本の農家の実情が二十度以下に冷やせないものならば、何か別の施設でも作って冷やさなければならぬものだと、これは目下研究をいたしておる次第でございます。
  207. 八田貞義

    ○八田貞義君 第二回の協議会のときに、私は日本の酪農形態ということを申し上げました。そうして冷却装置と濾過装置を備えた貯乳所を数多く国家の費用で作ってくれと申して、それに対して必ずやりたいという御答弁があったと記憶しております。ところが来年度予算には、それが全然組まれていないというように承知いたしておるのでありますが、一体どうしてそのようなことが行われたか。最も大切な問題です。今後こういった事件を二度と起さないために、一番必要な集乳所という問題を出したが、どうして予算に計上されなかったか。計上したけれども、結局大蔵省あたりの意見で削られたのか、この点をはっきりおっしゃっていただきたいと思います。
  208. 楠本正康

    ○公衆衛生局環境衛生部長楠本正康君 率直に申し上げますと、私どもといたしましては、ぜひ冷却施設を普及いたしたいと考えたわけでございますが、冷却して利益を受けるものは生産者であり、かつ中間メーカーというような観点から、これはむしろ国の予算でやらずに、生産者並びに乳を受け入れる大きなメーカーの資金でやることが妥当であろうというようなことに相なったわけでございます。従って、一応予算面からは姿を消したわけでございます。しからばいかにして生産者あるいはメーカーの方と協力してこの冷却施設の普及をはかるかということにつきましては、いろいろな方法が考えられますので、目下それぞれ関係方面と相談をして研究しておる次第でございます。
  209. 中村三之丞

    ○座長(中村三之丞君) 多賀谷真稔君。
  210. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 実は先ほどの第二燐酸ソーダ入手の問題ですが、生駒化学というのをちょっと聞いたわけであります。メーカーは生駒化学ということを聞いたのですが、生駒化学との関連はどういうことになっておりますか、先ほどのお話ではどこにも姿を現わさなかったのですが……。
  211. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 松野が一ぺんそれを買って生駒化学に精製にやった。もう一ぺんそこに入るわけです。それでほとんど精製しないものがもどってきたような格好になっております。
  212. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 実は組合からちょっとお聞きしたわけですが、メーカーは生駒化学である。第二燐酸ソーダ、生駒化学、こういう表示で来た。従来は米山化学から来ておったが、生駒化学から来た。ルートは松野、協和というルートで入ったというように聞いておりますが、そうではなくて、松野製薬がメーカーになっておるわけですか。
  213. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 松野というのは製薬業者と思っておりましたが、これは一種のブローカーで、米山から買う場合、米山から買って自分のところの器に入れかえて、そうして松野製薬第二燐酸ソーダとして売っていたわけです。そうして今のルートでずっと安いものが入ってきたものを生駒化学に精製にやったわけです。そうして精製してもらったものを買ってきて、また入れかえてこっちへ送った、こういうことになっております。
  214. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 ではメーカーの最終責任というのは、松野製薬にあるわけですか。
  215. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 まず松野製薬ということになります。
  216. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 先ほどから八田委員からの鋭い質問がございましたが、私やはり刑事責任につきましては、当然両方にあるだろう、また民事につきましても、不法行為の損害賠償についても、これはあるいは連帯責任がありはしないかという点を考えるわけです。単に森永とあるいは松野製薬との求償権の問題は、内部的な問題ですが、これはどちらにでも請求のできる患者としては、選択権があるだろう、こういうように考えるわけです。これによって森永が逃げられては困るわけですが、当然森永の信用において第一次的な責任は事実上負われるだろう、かように解するわけであります。  そこで、私はどうも先ほどから聞いておりますと、五人委員会の性格がよくわからない。と申しますのは、五人委員会というのは、仲裁委員会ではないので、ただ公平な意見を出してもらうために作ったんだ、こういうことを言っておる。しからば、厚生省はなぜ森永に対して五人委員会の結論が出たら従うかという誓約書まで取っておるのか。患者同盟の方にはそういうお話がなくて、森永だけにそういうことをしておるのか、この点も私は非常にわかりかねる点であります。ただ公平なる意見を聞くというならば、何も森永と相談をする必要はなかろう。しかるに、森永とだけ誓約書を取って、一方には誓約書を取っていない。こういうことはどうも解せないわけですが、この性格について、さらになぜ誓約書を取っておるのか、この点について御答弁願いたい。
  217. 楠本正康

    ○公衆衛生局環境衛生部長楠本正康君 五人委員会につきましては、全く厚生省の一方的な考え方によりまして森永に指示をいたしたわけでございます。ただこの場合、私どもといたしましては、もちろん五人委員会によって公正妥当な線が出されることを期待いたしておりますが、ただ森永側といたしましては、金を支払う方でございます。それは出されたわ、しかも森永側が高いとか安いとか言われたのでは、これでは何もなりません。これは出す方の側でありますから、白紙委任して、五人委員会の出した結論通りに従うかということは、一応誓約を取りませんと危なくて手がつけられない、こういう考えで実は一方的にきめただけに、森永側から誓約を取ったわけでございます。  なお患者に対しましては、これは誓約とかそういうものは取るべき性質のものではございませんので、あくまでこれは私どもといたしましては、妥当公平な線が出されたならば、それをもって御納得をいただくという性質のものだろうと存じます。
  218. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 これは純然たる不法行為による損害賠償でありまして、不可抗力その他の問題の入っているのとは要素が違うと思う。そこで、たとえば患者同盟が納得しても、ある個人がおれは納得しないといって訴訟ができる問題であって、あるいは五人委員会が出した結論よりも高い賠償を支払えという判決になるかもしれない。そういう問題であるにもかかわらず、あなたの方で誓約書を取ったばかりに、森永としては五人委員会ができておりますから、それに影響のあるような発言はできません、こういって交渉が頓挫している。こういう状態で交渉が頓挫した責任は、五人委員会ができたからである。要するにこれが並行的に行っていないのは、あなたの方で誓約書を取ったことによって、そこに森永としてもそういう抗弁のできる余地を与えておるのだと思う。私は少くとも森永の方でそういうふうに、いわば納得して作られた委員会ならば、患者同盟の方にも了解を求むべきではなかったか。あるいはその結論を待ちましょう、最終的にはわれわれは誓約書を入れるわけにはいかないけれども、結論を一応出してもらいましょう、私は厚生省にこういうくらいの親切な態度があってしかるべきだと考えるわけですが、その点はどうですか。
  219. 楠本正康

    ○公衆衛生局環境衛生部長楠本正康君 ただいまの御指摘の点につきましては、私どもは患者同盟の側に対しましても、こういうことをやるから一つ納得してくれぬかということを言わなかったかということでございますが、これは先ほど申し上げましたように、森永は金を出させる方でございますから、何としても契約をしなければなりません。しかしながら患者同盟の方の側は、私どもが公平をもって納得をしていただくことでございますから、まさか契約というようなことは、これはちょっとできかねると存じます。そこで私どもといたしましては、できるだけ早い機会に、五人委員会のできた趣旨については、もちろん誠意をもって患者同盟の側に御報告もし納得をしていただく、こういう考えでおります。たまたま代表十二名がこちらにお見えになりましたので、私どもは誠意をもってこういういきさつを話し、御了解をいただいた、こういうふうに私どもは考えておる次第でございます。
  220. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 これは純然たる法律的に考えれば、あなた方は個人の民事責任において介入しておるという形になる。そこで政治的に考えれば、あるいはその処置がよかったという判断に立つかもしれませんが、それが一方は損害を要求しておるのですから、それをこれだけ要求して、これだけくれという不法行為に対する純然たる民事上の問題になっておる。それをあなたの方では一方的に委員会を作って、一方の方だけ了解を求めておる。払う側であるからと言うけれども、一方は要求する側である。これは同じような対等の形になるわけであります。ですから、私はあなたの方で森永の方に了解を得られるならば、患者同盟の方にもやはり了解を――何も契約書とは言いませんけれども、了解を得られてしかるべきであった。そこにこの問題が非常に紛糾しておるし、五人委員会の性格が疑われておるゆえんがある、かように考えるわけです。しかも、それが事実になって抗弁をしておる。要するに五人委員会があるから即答できませんとか、あるいは影響のある発言はできませんと森永は言っておるわけです。そこで交渉の方に非常に支障を来たしておる、こういうように先ほどから発言がなされておるわけであります。ですから、私は、あるいは五人委員会なら五人委員会は並行的に調査をする。そうして交渉は並行的に行われる、こういうようにあってしかるべきであると考えるが、政府としてはどういう考えであるかお聞かせ願いたい。
  221. 楠本正康

    ○公衆衛生局環境衛生部長楠本正康君 森永に対しましても、私どもといたしましては一方的に指示をいたしました。患者同盟の方々には、同じようにやはり一方的にこちらがきめ込んだわけでございます。その点は同じことでございますが、ただ患者同盟の方に対しましては、私どもはそのできた考え方、経緯というようなものをよくお話を申し上げまして、患者同盟の方からも御納得をいただいたと私は確信をいたしております。なお、第二の御質疑の責任の点でございますが、厚生省といたしましては、大臣からもたびたび機会を見てぜひ円満に解決するようなあっせんの労をとりたいということを申し上げております。もちろん御指摘のように、どうしても納得しないというものは、これは裁判所へ持っていく以外に方法はなかろうかと存じますが、厚生省としては、大臣からも御答弁申し上げましたように、機会を見てぜひ誠意をもってあっせんしたいということを申し上げております。従いまして私どもとしては、あっせんする一つの形を、この五人委員会というものに求めたわけでございます。従って、何ら法律的あるいはさような責任上のあれではないと考えております。
  222. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 先ほどの患者の方の御意見と厚生省の意見はだいぶ違って、五人委員会のあり方、その他経過については、納得をしてもらったものと考えておる。先ほどからのお話は、納得しないというお話でありますので、再度一つ患者同盟の方から意向を承りたいと思います。
  223. 三木千太郎

    ○全大阪森永ミルク被災者同盟委員長三木千太郎君 さいぜん山口公衆局長が言われたことの中に、患者同盟が納得した点の書類を楠木部長がこしらえたと言っておるが、私はそういうことは全然関知いたしておりません。その点は十二名の者ははっきりしております。ただ私たちが厚生省に行ったのは、五人委員会と厚生省にて一時に会いたしということの電報を打っておきました。その電報が来ておるから、厚生省に行けば会えるものだと思って行きましたところが、そういう電報はみな受け取っていないと言われるので、楠本部長が、それでは皆さんお忙しい方だが、今からお探しして、それによって明日お会いができるように努力をしましょうという点は聞きました。だけれども、私の方は電報も打ってあることだから、一時まで待たせてくれといって一時まで待って、一時五分にそこを退席しましたが、山口局長が言われたように、楠木部長が書類に残されているというようなことは、私たち同盟十二人は全然関知いたしておりません。それによって翌日五人委員会の方と対決をしたときに、あとで山口部長が、きょうはえらい強いですなと言ったから、何で強いのか意味がわからないと言って、あとで懇談したようなわけですが、楠本部長がどういう書類で残されたか、それは私たちは全然関知いたしておりません。
  224. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 書類の関知ではなくて、あなたの方では五人委員会の経過並びにあり方について納得をしておられるか、おられないかを、もう少し端的にお聞かせ願いたい。
  225. 三木千太郎

    ○全大阪森永ミルク被災者同盟委員長三木千太郎君 納得も何もできておりません。五人委員会の方にお会いをして話を聞かなければわからないから、納得はいたしておりません。納得してきたものならば、翌日五人委員会に会って帰る必要はなかったわけです。
  226. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 どうも厚生省の考え方は――公企業が直接賠償責任があるという場合には、あるいは国鉄にしても、あるいはその他の公企業が一般の人に迷惑をかけた、不法行為によって損害を与えた場合に、役所として何らか独自できめるのはどうも世論的に困るから、委員会を作ってきめようと言われるならば、役所が損害賠償の額をきめるのに私は何も言うことはない。ところが今行われておるのは、純然たる民間人と民間人の損害賠償が起ってきておるのです。それをあなたの方では委員会を作って、そうしてその額をきめてやろうとこう言う。これは裁判所が本来はするのです。それでその了解さえつけば、これは悪い処置とは考えません。しかし一方が了解していない場合に、こういう委員会を作られて額を決定されるというのは、むしろ不当な干渉です。それで、やり方いかんによっては、いい処置である場合もあるし、きわめて不当の場合もある。そこで今やられておるのは、残念ながらわれわれは不当な方と言わざるを得ない。たとえば団体交渉をしようと労使双方がやっておる場合に、政府がやってごらんなさい。不当な干渉だときめつける。もとの労働委員会では、政府が出ることに盛んにその問題が出たわけです。まさにこういう情勢になっておるわけです。ですから、あなたの方は、何か公企業の損害の決定をされるような点と感違いをされて、いかにもいいものを作ったというように考えておられる。これはこういうような交渉のあり方からして、きわめて現在においてはまずいやり方じゃないかと考えるわけですが、それについて再度お聞かせ願いたい。
  227. 楠本正康

    ○公衆衛生局環境衛生部長楠本正康君 ただいま御指摘のように、私どももこれは民間同士の一つの話し合いで解決すべきものであるということについては全く同感で、従いまして先般の協議会の席上でも、さような点を申し上げてございます。ただ厚生省は、いろいろな責任上、適当なあっせんができればこれに越したことはないという意味で、あっせんの一つの形としてこれが最も公平妥当なあっせんの方法ではなかろうかと、こう考えたわけでございます。なお、それならば、もちろんこれは両方が納得しなければまことにまずい方法だ、これはごもっともでございます。しかし、ただいま患者同盟の方からは、全然納得しないというような御意見がございますが、私はここで何も言葉じりをとらえたり何とかしたくもございません。しかしながら、少くとも私の部屋で前後二時間余りにわたりましていろいろお話し合いを伺いましたときには、とにかく一方的にきめられては困る、なお森永との話し合いができなければ困る、それはそうどころじゃないということで、今後は五人委員会ができても、森永側に対しても十分に気持を聞いてもらう、森永側はこれを間違いなく誠意をもって五人委員会の方に伝えてもらう、厚生省も同様である。なお五人委員会に対しても、そういう重要なことをきめていただくなら、自分たちも直接いろいろなことを訴えたい、こういうお話で、それはそうどころじゃないということで、その日に私どもはさっそく五人委員に連絡いたしまして、次の日と思いましたが、お目にかかる機会もできたわけでございます。しかし今さらこれは言ったとか言わぬとかということは、私どもとしては言いたくございませんけれども、事実は何も別に速記もとってございませんし、私の考え方は私だけではございませんで、大ぜい役所の人間もおりましたが、一応私は五人委員会ができたことについては納得をいただき、それに対して、むしろ患者側の方として、積極的にいろいろな意見を申し伝えたいという、たっての御希望があったことをここで申し上げておきたいと存じます。
  228. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 しかし事実問題としては、非常に五人委員会に対して危惧を持たれておるので、私非常に今後の進展上困ると思うのです。先ほど患者同盟の方には、もう少し関西の方の実情のわかった学者を入れてもらいたい、こういうお話もありました。何も五人でなくて七人でもけっこう、九人でもいいだろうと思うのですが、そういう点、あるいは実情のわかった方とか、あるいは委員の顔ぶれを見ても、正木さんなんかにしても刑事の監獄法の大家ですが、どちらかといえば民事の関係は、あるいは学者ですから詳しいかもしれませんけれども、経歴を見ると必ずしもそうでもない。私、山崎さんという人は知りませんけれども、損害賠償につきましても、現在大学においてもいろいろな学説を持ち、大家もおられるわけですから、そういう方も入れてもらい、あるいはもう少し現地の医学者も入れてもらう、いろいろ入れてもらって、もう少し患者同盟――今の人が悪いというわけではございませんけれども、患者同盟の方からの息のかかったのじゃ困りますけれども、大体こういう人ならばいいだろうという推薦できるような公正な人を入れて、委員会をもう少し人数をふやして、患者同盟の方でも納得されるような構成にされる御意思はないか、これをお聞かせを願いたい。
  229. 楠本正康

    ○公衆衛生局環境衛生部長楠本正康君 一応五人委員会におきましては、委員長格として山崎博士が担当をしておられます。ただいまの御指摘の点につきましては、後ほど委員長とも御相談をしてみたいと存じております。ただ、現地でいろいろ実情を把握しておられる方々につきましては、まことに御遠方恐縮とは存じますが、随時委員会に出席していただきまして、いろいろお話を伺っておるわけであります。本日も二時からずっと委員会を開いておりますが、今日は岡山大学の浜太教授、それから広島県並びに徳島県のこの問題の処理に当りました衛生部長、あるいは患者同盟以外の遺族あるいはお子様を病気にされたお母さん方を呼んで、いろいろお話を伺っておるわけでございます。従って、たとい委員にはなっていなくても、現地のさような方々の御意見は十分に伺って、討議を尽して処理いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  230. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 私はもう終りますが、一言私は役所に御注意を申し上げておきたいと思うのです。それは、委員はけっこうですが、委員長を選ぶ場合は、これは私個人の考えでなくて、中労委のもとの末弘会長が言われたことですが、弁護士を委員長にするのはよくない、こういうことを末弘さんは言われておるのです。なるほど、利害関係が伴いますと困るので、とにかく委員長というのは、地労委にしても中労委にしても、学者の中正な人にしてもらいたい、弁護士は、とかく一つの利害関係にある場合が多いのでというように、中労委の会長として、各地方労働委員会の委員長を選ぶ場合に注意がありました。私はそういう点から見まして、今の場合を言うおけではございませんが、やはり委員長だけは、無理でしょうけれども、お忙しいでしょうけれども、今後なるべく学者にしてもらいたい、こういうことを厚生省にもお願いしておきたい、かように思います。
  231. 吉川兼光

    ○吉川兼光君 関連して……。私は先刻も、政府に向っては別な機会にということを申し上げて、だいぶ発言を控えておったのですが、用事で外に出ておって、だたいま帰ってきて多賀谷君の発言を聞いて、そういう議論に入っておるならば、私もこの際ちょっと申し上げておきたいと思うことがあります。  それは、この間も議員会館の懇談会でしたか、あのときにも私は山口さんにもよく聞いたのですが、大体そういう補償問題にまでタッチすることはどんなことだという意味で、あなたに聞いたはずです。もしそれをタッチするならば、むしろ社会局あたりでやるべきではないか、公衆衛生局がそういうところまで入ってよろしいかどうかということを、そういう言葉でなかったかもしれませんが、その所管関係についてお伺いしたはずです。あなたはそのときに、この問題に関しては公衆衛生局でやろうと思っておりますという話でしたが、今、多賀谷君が言われておるような問題が出てくるから、ふなれなといってはおかしいですが、あなた方のところでこの問題を扱うのはどうか。大臣はそういう方針かもしれませんが、私は厚生行政全体の立場からそう言っておるのであって、公衆衛生局の仕事の中に、こういう補償のあっせんまで持ち込むことは妥当かどうかということを、あなた方の立場で一応検討される必要があるのではないかと思います。  それから、従ってそういう検討をするために、またこういう問題が出てくることを今指摘したいのですが、今楠本さんの話を伺っておりますと、今日の委員会に浜木さんを初めいろいろな人を呼んでおる。将来も呼ぶらしいのですが、患者同盟以外の人も呼んでおるということを言っておられましたけれども、患者同盟と十分話し合いの上で、患者同順以外の方からも呼んで聞くということをするのはいいかもしれませんし、またもっとさかのぼって、これは被害者でありますから、患者同盟ばかりが被害者でないから、そうでない者も呼ぶのもいいかもしれません。しかし、せっかく患者同盟が、先刻もここへ来て組織の報告をしておられましたが、全被害者の七割からの人が集まって患者同盟ができて、団体交渉が森永との間に行われておる際に、患者同盟と連絡のない被害者をどんどんそういう委員会に呼んで話をするということは、かえって交渉が多岐にわたって、委員会の性格が非常にぼけて参りまして、あなた方が考えておることとは違う結果が出てくるおそれもあるのであります。そういうことがあるから、公衆衛生局でそういうことまでやる必要があるのかどうかということを、私はこの間念を押しておいたのでありますが、これは非常に大事なことでございますから、あまり深入りし過ぎて、どうも抜き差しならぬようなことになることはどうかと思う。別に私どもがそういう心配をする必要はないかもしれませんが、問題は大きな問題でもありますし、なるほどそれは食品衛生法とか、その他公衆衛生局なり環境衛生部の所管の事件ではありますけれども、補償問題というものは、もっと大きな段階に来ておるのであります。これをあなた方のところだけで何とか解決しようという御熱意はわかりますけれども、なかなかこれはむずかしいと思うのです。そこで、五人委員会に対しましても、患者同盟の方ではいろいろ批判もあるようであります。それは、なるほど楠本さんのお部屋で愚者同盟の方とお会いになったときは、あなたのお感じになったような言動があったかもしれませんが、そういうようなことがあったところで、大会に帰って否決されれば、何でもないことになります。ただ、あまり深入りすることはどうか、それ以外にはちょっと方法はないと考えて御苦心をされている面はわかりますから、先刻私はそれほどその点を深くはお尋ねしたかったのですけれども、これは非常にむずかしい問題であり、そう簡単に片はつかぬというふうにわれわれは考えております。もしやるならば、大臣ととっくり話し合いをされて、労働省その他でもこういうことをやっておりますから、そういうところの例も十分見られて、万遺漏なきようなことをやってもらいませんと、だんだん問題が進んできますと、われわれは結局政府を相手にこういう派生的な問題のことで大いに論じなければならぬようなことになるのではないかと考えておりますので、これはちょうどいい機会で、ございますから、ちょっと一言申し上げておきます。別に答弁は要りません。
  232. 中村三之丞

    ○座長(中村三之丞君) 中原健次君。
  233. 中原健次

    ○中原健次君 まず最初に、同盟の方のお方から適当に御答弁を願いたい。何さま実は患者数が必ずしも確実に確認されておらない、大体一万二千五百くらいおるであろうというお話があったと思いますが、私どもが耳にしておりますところでは、森永のMFを飲まてせおるとどうも下痢をする、その他いろいろな症状が起ってくる。途中で変えてみると、日にちのたつにつれてだんだんそういう症状が一応少くなる。なおってしまうというのではなく、少くなってくる。そこで、どうもこれは森永のミルクの障害ではないかというしろうとなりの判断でお医者さんに見てもらうと、これはそうじゃないというので、いわゆるMFの中毒患者ではないというらちの中へたくさん落されている、こういう経験があるということを聞くわけです。そこで、そういうような人たちは、もちろん二万二千五百と指摘された中には入らないのではないかという感じがするのですが、従って、そういうような人までたくさん今出ている状態の中で、いわゆる確認をされないままで、その人々の症状が今どういうふうに動きつつあるかというような問題について、あいまいに言いましたけれども、何か御存じならば伺いたいと思うのです。
  234. 保田正人

    ○森永ミルク被災者同盟全国協議会副委員長保田正人君 お答えいたします。それは各県とも同様な処置を現在とりつつあると思いますが、私どもの方では、県の衛生部を通じまして、その診断に当りました医者に追認をさすべく努力いたしております。医者によりますと、かつての診断上、砒素中毒が判明いたしました後におきましては、その前の発表は面子にかけて追認をしない医者が多々ございますが、その点、県の衛生部の方を通じまして、追認をさすべく助言をさせてもらっております。徐々にその点努力をいたしてもらいまして、明るみに出るものと思っております。
  235. 中原健次

    ○中原健次君 まことに適当な御処置と思いますが、しかしまた、一面こういうことを耳にするのです。県の当局を通して助言をしてもらっておる。ところで、県の当局の必ずしも全部がそうであるとはいいませんけれども、その中の一部には、どうも根っからいわゆる役所としての立場に立っておらない。ということは、非常に厳正な立場に立っておらない、妙に役所のその衝に当っておる役人が、森永の方と何かつながりを持って役職を行うておるのではないか、こういうにおいのする役人もおるということを、実は聞いておるわけです。もちろん名前もはっきりわかっております。そういう人たちに、かりに助言を求めましても、果してその助言が効果を現わすことができるかどうか、むしろこの点ははなはだ不安があると思います。むしろ逆なことさえ起るのではないか。こういう点について、何かそういうふうなお感じになるような点があるかどうか。
  236. 堀武雄

    ○森永ミルク被災者同盟全国協議会滋賀県代表堀武雄君 その例につきましてお答え申し上げます。滋賀県の例を引きますと、一応県庁の方へ参りまして、そういう結果がありましたので、いろいろ交渉しました結果が、九月十九日にわれわれ同盟代表が行った場合には、森永を相当ひどく攻撃しておられたにもかかわらず、二十九日に森永に一緒に参りました結果がいわく、森永さん、これだけ言えばわれわれが言っておることはわかるでしょうという一言のもとに、われわれの申し上げたことを取り次いだ、こういう例もあるのです。現在それがために九月中お医者さんに通われて、治療費も払っておらぬという例があって、にもかかわらず確認されておらぬという例も多々あると思うのです。それがために、その子供さんは発育がどんどんおくれていっておるという現状もあります。
  237. 中原健次

    ○中原健次君 実は私自身がこういう経験を一つ持つのです。衛生当局の責任者に、これは電話の話でしたが、いろいろそのときの患者の人々の病状について、県としてどういうふうに考え、どういうふうに見、そしてまたどういうふうに協力しておるかということを聞きましたときに、ちょうどそのとき時間の関係で直接会うことができなかったので、電話で話したのですが、受話器を持ったままで、その八が三十分ぐらいしゃべり続けました。私は途中でちょっと切りまして、そうしゃべったってわからぬじゃないか、一体何のために弁護をしておるのか、君の言っていることは弁護士の弁護を聞いておるようだ、僕は君に弁護を聞いておるのではない、県の当局としてはそういう被害が起っておるわけであるから、どういうふうに努力しておるか、そしてまたその効果としてはどういうものが出ておるか、また今後に対する考え方はどうかということを聞いておるのだということで、私が怒ったくらいにしゃべり続けて弁護をしておりた人もあったわけです。よく聞いてみますと、どうもその八は根っから信頼ができないというのが、患者側の人たちの経験のようでありましたが、そこで私は、今後この被害者の人たちが治療を進めていくために、あるいはその後の措置を講じていくためには、そういうような信頼しがたい人を相手にしてやきもきやってみても仕方がないじゃないか、こういうふうに感じたわけです。そこで今のようなお尋ねをしてみたわけですが、さらにそれと関連して考えられますことは、これは厚生省にもだんだん数字が出ておりますが、その数字の中で、一万からの人の中毒に対しまして、なおった人が二百に足りないということであってみれば、なおっていない人がほとんどだということになると思うのです。一体そのなおっていない人々の将来はどうなるのか、あるいはそのために命を奪われてしまうのじゃないか、あるいは不具になってしまうのじゃないかということが心配されているわけです。そこでそのなおる人が非常に少いという現状に対して、何か特別なお考えをお持ちなのかどうか、その点につきましてお尋ねしたいと思います。
  238. 岡崎哲夫

    ○森永ミルク被災者同盟全国協議会副委員長岡崎哲夫君 発言いたします。良心的なお医者の先生は、今まで教科書にこういうふうな事件がなかった、従って全快という判断を下し得ないというのが現実であります。私たちも一日も早くなおってくれることを望んでおります。また後遺症もないことを望んでおります。けれども、実際はその公算が大であるということを、私たちは心痛いたしておるわけであります。母親たちのたくさんの意見を言わせますと、とにかく月に一ぺんくらいは定期検診してほしい、その間に発覚した場合は、従前通り治療してほしい。さらに、いろいろ現在子供たちが、視野の縮小というような視神経障害なんかも、まだ発見されておりませんが、可能性があるということで、現在の子供たちの前途は実に暗たんたるものであります。そして先ほど中原先生がおっしゃいましたように、県当局におきましても、どうもわれわれのためにやって下さっておるという方が非常に少い。そうして実際被災者のためにやっておるのは被災者同盟だけであるというようなこの現状であっては、たとい補償問題その他が解決しようとも、被災者同盟は今後長く残さなければならないというふうに、全国協議会各県代表も決意しております。そうして最終的に、この件が何十年かかろうと、子供たちが実際世の中を恨むということがないようにやるために全力を尽していくという決心であります。
  239. 伊勢照男

    ○全大阪森永ミルク被災者同盟事務局長伊勢照男君 関連して、先ほど中原せんせいの御質問に対しましてちょっと答弁がぼけたように思いますので、一例を大阪にとってお答えいたしたいですが、その確認されない赤ちゃんのことですけれども、九月の初めに大阪市で調べました現人員が五百十四名でありました。その後九月六日に府の方で調べました結果が六百三名であった。そうしまして、そのときの死亡者の確認が三名だけで、未確認が五人あるという報告であったわけです。これが後ほど全国協議会において調べました各県の持ち寄った数字は約六千人になっておるわけであります。そのときの大阪の大体の患者把握数が七百四十七名、岡山が千六百名、広島が千七百名、その他を合計して約六千人になっておりますが、現在一万二千五百人ある。その間はだいぶあいまいになっておるわけですが、大阪の同盟として把握しました現在の患者数は約千四百名になっております。ただし、一部の重複は避けられませんと思いますが、大体において千四百になっておる。ここに当初発表されました六百名ないし七百四十七名とこの千四百名との間の差がだいぶ広過ぎるわけであります。これに対しましては、同盟の組織を通じましてただいま調査中でありますが、その患者把握数の基礎になったものは、一応本人から保健所なり、森永乳業なり、府なり市なりに届出をして、大体の確認をしたものが千四百人と踏んでいるわけであります。このうち現在までに大阪におきましては死亡者が当初の三名確認の後、二人ほどが大阪府で確認されております。ところが当同盟に申出のあった死亡者の届出が三十三人になっておるわけであります。この三十三人と最初の未確認を含む八人の差がだいぶありますので、よく調査しましたところ、府なり市なりへすべての決定をおまかせしておるという会社側の御答弁であったもので、それを実は待っておったわけですが、依然として確認が遅々として進まないということで、その方を督促しましたところ、府の方のいわくには、大へん大切なことを私たちの医務課なり公衆衛生課なりで決定するということは重大責任であるから、よく考えなければいかぬけれども、しかし森永がすべて府なり市なりに委譲してそこできめてもらうということはちょっと妥当ではない、私たちの役目があまり大き過ぎるということを言われましたので、森永乳業にもう一度帰りまして突き詰めましたところ、最終的にはやはり森永乳業において死亡者を確認するという言質を得ましたので、しからば過去に行われた確認者はどうしてきめられたかという、資料に基いて調べましたところ、こうこうこういうふうにしてきめた、それならばここにこういう人が同じようなケースであるのに、いまだもって確認されていないのはどういうわけかということを突き詰めまして、結局先週に五人追加して確認されております。合計十人になりました。ところがあとの二十三人というのがまだ確かに自分の良心に照らして世に発表になったああいう砒素中巌による症状を持っておるにもかかわらず、二十三人がうろうろしておるわけです。これの確認は一体だれがやるのかということを突き詰めまして、府なり市なりは、単に手続上主治医の判断に基く経由の機関である。しかし最終的には、そういういろいろな資料を整えてもらったら、森永乳業は確認するということを言うておりますので、私たちもすみやかにその確認を要望しておる次第であります。  それが死亡者について聞きに行った話でありますが、生存者につきましても、おもに軽症者になるのですが、確認と未確認とのボーダー・ラインがだいぶ多いわけです。これは患者がうそ偽りを言っているということは思えませんので、一日も早くこの未確認の人を確認していただき、すみやかなる処置をとっていただくように、各方面にお願いしている次第であります。
  240. 中原健次

    ○中原健次君 ただいまの死亡者の確認、未確認の問題ですが、この一点だけ取り上げましても、全般の患者の立場がはっきりすると思いますが、政府の方でこの点についてどういうふうに御判断になるでしょうか。現在この中毒のために三十三名の人が死亡しておる、これは大阪府の場合です。それが最初は三人だったが、現在いろいろ同盟の努力によってようやく十名までは確認をさせることができた、しかしまだ二十三名は未確認のままである、こういう実情が出ておりますが、政府としての御判断はどうでしょうか。
  241. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 正確な患者数並びに死者の数につきましては、先ほどからいろいろ数字が出ておりますが、私どもも先般の協議会で十月十一日現在の数字を報告いたしました。その後報告いたしておりませんが、この診断につきましては、先ほどからたびたびお話が出ておりますように、非常に希有の例でございますので、症状の判定がなかなかむずかしいという点がございまして、私どもは先ほども申し上げましたように、日本医学界の小児保健部会に御意見を伺って、そうしてようやく、大体の様子は前から伺ってはおりましたけれども、正式には最近に診断基準並びに治癒の判定基準というようなものをいただいたわけでございますが、それで、それを地方庁に出しまして、府県当局としてなるべくこの基準に従って従来把握した患者を再区分する、そうして治癒の判定を行うようにしてほしいという通達をごく最近に出したわけでございます。従いまして診断基準、これは過去にさかのぼります場合には、一応ここへ出ております条件として、必須条件と附帯条件いろいろ専門的に書いてございますが、過去にさかのぼります場合には、たとえば血液の状況なんか調べてない場合がございますので、判定もなかなかむずかしい場合が出てくると思いますけれども、なるべくこの基準に従って患者の判定をしてほしい、もう一ぺん区分してほしいということを通達してございますので、いろいろな記録とこの基準とを参照して診定をするということになると思います。今まで御報告申し上げました数字がいろいろ変ってくることは、推察できるわけでございます。一応こういう専門家によります基準を私どもにいただけましたなら、これに基いて最後の締めくくりをするようにしたい、そういうふうに考えております。
  242. 中原健次

    ○中原健次君 大体確認と未確認との距離があり過ぎるという点です。それはなるほど厳密に診断をせなければならぬことは言うまでもありません。しかしながら、それにもかかわらずあまり広過ぎる。そうすると、距離が広過ぎるということは、そこに一つの疑問が起らぬであろうか、なぜそんなに三十三名の者がいろいろな努力を通してようやく十人しか確認されておらないということになって参りますと、それほどにその判定に困難を来たすような不明確な症状なんでありますか、しろうと考えですが、そういうふうに思えるのです。このことによって受けた症状というものは、非常に特別なものだと思えるのです。特異性があると思うのです。だから、かなり判断は容易なのではないかとさえ私は思うのですが、そのものが非常に容易でなくして困難であるということを想像させるような実情が出てくるわけです。従って、これはどう考えても問題だという疑問が起らなければならぬような感じがするのです。そういうふうに基準が出ているから、その基準に照らして判断すれば、正確なものがかちっと出るであろうという判断をお持ちのようですけれども、その基準というのと実情とを照らし合わす場合に、かなりそこに不明確なものがかえって生まれるのではないかとさえ憂えるのですが、そういう点についていかがでしょう。
  243. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 御指摘のように、いわゆるボーダー・ラインになりますと、診定に困難を生ずる場合があると思うのでございます。御承知のように、この砒素中毒の諸症状としまして色素沈着、貧血、肝臓肥大、下痢というような状況はございますが、それがこのいただきました基準の中にもございますように、全部そろっているような場合は、これは問題なく診断はできると思うのでございますが、諸症状が全部そろわないで、そのうち一つ二つがある、肝臓肥大だけがあるというときに、肝臓肥大は必ずしもこの病気だけで起るわけではございませんで、ほかの例でも起って参りますし、貧血も同様だと思うのでございますが、その際に砒素の入ったミルクを飲んだ人たちの症状が全部そろわないで、そのうちの一つか二つが出てきたというような場合に、その判断に苦しむということは、自分も臨床いたしました経験から考えて、当然あり得ることだと思うのでございます。  それから死亡者につきましても、たとえばこの砒素を飲んでおって、ほかの疾病で肺炎で死んだ。しかし砒素を飲んでおったのですから、剖見してみれば砒素の検出がどこかでできるというような場合に、主たる死因をどっちに持っていくかというようなことは、これはほかの場台でもいろいろ起り得ることでございますので、そういう点でいろいろ判断に苦しまれる点があるのではないかと思うのでございます。従いまして、この基準ができたからといって、これでぴたりといくということは、なかなか実際問題としてむずかしい場合が出てくる。ことに過去にさかのぼっての記録が十分でないというようなときには、そういうことは起り得ると思うのでございます。そういう場合に最終的な判断を下すのは、やはりその衝に当った医療担当者の下される診断に待つより仕方がないと思うのでございます。そのものさしとしては、こういうものさしを使ってほしいということを、私ども念願しているわけでございます。幅が非常に多いので、何か疑わしいじゃないかというお話もごもっともでございますが、この基準にも第一度、第二度、第三度とございまして、第三度は症状がはっきりしたものでございます。第一度になりますと、その辺の鑑別がなかなかむずかしいのじゃないか。従って、その衝に当る人によって幅がいろいろ出てくるのではないかというふうに考えるわけでございます。
  244. 中原健次

    ○中原健次君 乳幼児のことですから、ちょっとした作用が命に持っていくことはあり得る。しかしながら、この砒素の作用によってそういう症状が出てきたということになりますと、大体私はその確認は、それほど実はむずかしくなさらぬでも出てくるように思われる。しかし科学的にものを判断しなければならぬという立場からすれば、医者が相当周到でなければならぬことはもちろんでありますけれども、善意の判断ということがある。そういうことを私ども期待するわけですが、しかし何ぼかの経験、何ぼかの実情から考えますと、どうも善意の判断の下せない場合がある。それはお医者を疑うわけではありませんが、そういうお医者が割合にあるということ、案外あるということ、それは一体どういうことなんだ、その背後に何か動いてはいないか、こういう疑惑を持つ。そうでなくて、国民の保健の問題について私ども疑わなくちゃならぬという、そういう心情が起ることは、これは私は大へんだと思う。ことにそういう経験から考えますと、厚地省の当局の立場からすれば、これは大へんなことができたということになってくる。国民が医者を信頼せずに、一体どうするかということに、現場の問題からなると思います。お医者を百パーセント信頼すればこそ、命を託していろいろな治療を受けるわけであります。それが今度の経験から考えますと、少々どうもぐらつくという現象が起りつつあります。これは全国の被害地をお歩きになってみればおわかりになります。そういう空気があります。医者を信用できぬぞ、こういうことを簡単に発言しますと同時に、それに関連して役人を信用できぬぞ、こういうことを言います。これは、私率直に言いますが、役人も信用できない、医者も信用できない、結局金がなけらねばものが自由にならなくなってきた、こういう極端なことを言っております。金のある者は、いいことをしている。その言葉の裏には何があるか、だれか裏の方で操作をしているのではないか、こういう非常に好ましからぬ卑屈な気持が国民の中に今芽ばえている。これは私は大へんなことだと思います。ただ、そういう状態が起ってきた原因は何かと言えば、やはりこれは森永のMFのミルクから起ったことなので、私はこの問題の解決ということは、よほど思い切って良心的に、あるいは徳性を高めて、徳義的にこの処理をしていかなければならぬということが出てくると思うのです。  そこで私は思うのですが、森永の当事者の立場から、取締役がお見えになっていらっしゃるのですが、どういうことですか。そういうような問題を直接身に浴びておいでになるのですから、いろいろ苦労しておいでになりますけれどもこのことは見のがすことのできない事実なんです。日本の国民の中にこのことが現実にある。そういうことについて、乳業の代表取締役のお立場から、どうお思いになりますか。これはちょっと妙な質問になりますが、そのことについて、あなたの御心境を聞いてみたいと思います。
  245. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 今のお話ですけれども、いろいろ中にはそういうふうにお考えの方もあるかもわかりませんが、ともかく病気のことについては、われわれは全部医者にまかせておりますから、希望も指図も何もできない。これはやはり今、中原先生のおっしゃる通り、疑った日には、命がまかせられない。従って医者は、良心の命ずるところに従って、科学的にいろいろ御判断願っていることと思います。このほか何もありません。
  246. 中原健次

    ○中原健次君 もちろん、医者に対してそういう疑惑を持つことはないし、私自身もそういう疑惑を持つことはないのですが、しかしながら、そういうような空気が作り出され、医者が信頼できないという気持さえ、この中毒問題に関して起っていることも、否定できない事実なんです。これは全国の被害地をお歩きになれば、すぐ気がつくことです。信頼のできるいいお医者がいることももちろんであるが、そうでない人もかなりある。そうでない人が相当あるから、こういうことが起ってくる。そういう空気を起す一番もとの責任者、当事者は、やはりあなたの立場になる。その当事者としての立場から考えて、どういう気持がするだろうかということを私はお伺いいたします。  お医者にまかせてあるから、医者から出た結論に対して、しかるべく私は善処するというふうに言っておるが、言葉ではりっぱに聞えますけれども、そういう状態が起っている場合に、誠意を披瀝して、問題の処理に当ろうとする御決意について、森永の当事者としては、なるほどと思わせるような、誠実のあふれた物腰が必要になってきているのではないか。従って、数を問題にしたりするのではなくて、要するに全体のまことを表わして、この問題に対処していくという、そういう態度が私は要ると思うのです。先ほどからあなたの御答弁を伺っておりますと、どうも私はそういうお気持には、残念ながらお見受けいたしません。どうも何だか一つことを言っておるような感じさえする。これはとんでもないことだと思うのです。少くとも一万以上の多数の患者が出ておるのですから、これはやはり人間の命を尊重する意味から言えば、先ほど吉川委員からその点についてお話があったと思いますが、やはり人間の生命を尊重するという気持の上に立ってものを判断すれば、これは大へんなことをやったのです。これは、多くの人を確かにこの中毒のために不具者にし、しかも相当多数の人をすでに殺しておるわけです。人を一人殺しても、どういう問題が起るか、どういう国民に大きな衝撃を与えるかということを考えてみれば、これは決して悪いことというだけでは済まないと思う。だから、この乳業の代表取締役としてのお立場で考えられれば、いても立ってもいられないというのが、これは当然の本能的な立場であろうと思います。そうだとすれば、今私が申し上げたような質問に対するお答えとしては、私は妥当な答えだとは思いません。能力があるとかないとかは、第二の問題なんです。そうじゃないのです。そんなことを詮議するのじゃなくて、やはりどのような申し入れに対しても、その申し入れのすべてに対して、誠意をもってこたえるということが必要だと思う。申しわけがないということは、森永としては当然で、第三者の判断とすれば、そういう要求は無理じゃない。それは問題をどこかにひっかけて、無理を言っているのじゃないかというような判断がもし必要ならば、それは第三者が公平にやります。そこで森永の当事者としては、すべてを投げ出して、両手をついて、ひざまずくべきだと思うのです。これは当然だと思うのです。森永のミルクだから絶対に安心してみんな飲んでおります。しかるに、その絶対に安心だと思った森永のミルクが、先ほど中川委員の御指摘にもありましたように、何だか妙なものが混入されておる。栄養価値のないものが混入されて、ただ味だけでごまかしているというもし事実があるとすれば、大へんなことです。やはり私は食料の企業を営まれる方の立場からいえば、当然そういう被害の起った場合には、すべてそれに関連を持つ一切の責任者が、大道の上に両手をついて国民にわびるべきだと思うのです。そのまことがなければ、この問題はりっぱに解決せぬのじゃないか。そこで五人委員会の問題にいたしましても、五人委員会に対して全幅の信頼をささげて、じゃ、おまかせしましょうという気持になるためには、やはりそのことが前提になってくる。どうもこれは裏側に森永の何か策謀が入っておるのじゃなかろうか、あるいは政府当局が森永にのまれておるのじゃないだろうか、こういう疑惑の声が流れておるということは事実なんです。これは私がここで勝手にしゃべっておるのじゃないのです、被害地をお歩きになったら、だれでも気がつくのです。そういう声が今起っておるとすれば、国民が政府に対してよう信頼しない、こういう気持がこの問題に関連して出ておるのです。こういうことをそれぞれ滞りなく御判断の中に取り入れられて、そうして問題の処理解決のために、言葉通りその通りにまことをもって臨まれるというふうになっていただかなければ、これは解決ができぬのじゃないかと思います。  なお、先ほどから申しますように、快癒しておらない、なおらないという病者の数がたくさんある、なおったという数ははなはだわずかです。従ってこのなおらないという数がたくさんおるとすれば、このなおらない九千からもの患者は一体どうなるのだろう、この心配は当然寝てもさめても起り、いても立ってもおれないと思うのです。これはもう当然そうです。これは妙なものの言い方をしますけれども、何名かの人の命を自分の業務上の過失からあやまらしめたときに、その責任者が罪大きに悩んで自分から身を投じて死んだ人さえある。死ぬことは奨励しません、生きて残ってあくまで責任を果してもらいたいと思いますけれども、それくらいの気持さえするものだと思います。そうなってみれば、この問題に対する代表取締役の大野さんの御答弁の物腰というものは、私にはどうしても了解できぬのです。これはこんなことを申し上げてどうかと思いますけれども、率直に申し上げます。やはりその物腰をお改めにならぬ以上は、この問題は解決せぬように思うのです。確かにだれが考えても、その結論がすぐ出ると思うのです。そういう意味で、一万からに近い多数のまだなおっておらない――一万じゃないでしょう、実際はなおった人の数が千に足らぬのでありますから、一万二千五百のうち、あるいは未確認の病者もあるということを考えれば、なお多数のなおらない患者のあることが予想されるわけであります。従って、これはただ単に軽々しくそろばんをはじいてものを言う立場でこの問題の処理を考えるということは、どうかと思うのです。だからといって、あなたの経理がめちゃくちゃになってもよろしいと、そういうふうにだれもが判断をするはずがないのです。ただ問題は誠意の尺度なのです。こういう点について、私はまことに妙なことを申し上げますが、もう一度大野さんのほんとうの気持を聞いてみたいと思うのです。従って、たとえば先ほどから申しますように、大阪の患者の中で、三十三名はこのMFの中毒を受けて死んでおる。こういう届けが出ておる。それに対していろいろ努力の結果、三名からようやく十名まで確認された。そうすると、二十三名はまだ未確認のままでおる。こういう状況を見て、なるべく一人でも少い方がいいとは、本能的にお思いになるかもしれませんけれども、そういうことでなくて、二十三名の方に、もし実は医師の誤診であったり、あるいは条件が全部具備しておらなかったために、その人が除外されておったならば、そのなくなった子供に対して、あるいはその親に対して、何とも言いようのない思いをしなければならぬと思うのです。これは良心的な気持で判断しなければならぬと思うのです。大体これは乳幼児を殺した経験のない親にはわからぬのです。誕生になるやならずの乳幼児を殺した親の気持というものは、とてもとても大へんなものです。従って、その原因をMFのドライミルクが与えたとすれば、言葉巧みにその場をのがれようという物腰が少しでもうかがわれるような、そういう立場からこの問題に処せられることは、私ははなはだ遺憾に思う。しかしそう言えば、これはそうではないと、もちろんおっしゃると思いますけれども、私が朝からあなたの物腰を拝見しておりまして、どうもそういう気がする。一体あなたに誠意があるだろうか、何とかうまく言いのがれて、何とかうまく少しでも、要するにひたすらに企業の安全ということばかりに気を取られておるのではないか。もちろん、そのことは大事ですけれども、それは第二の問題です。そのことを先行してはこの問題は解決できない。しつこく申しますけれども、そう思うのです、いかがでしょう。それで、たとえば今御答弁いただきたいと思いますことは、そういうような症状が、今、日本の全国各地に起っておるとすれば、そういう実情に対してどういう御心境でおられるだろうか、そのことを伺っておきたいと思います。
  247. 大野勇

    ○森永乳業株式会社代表取締役大野勇君 今の中原先生の私の態度云々というお話は、非常に誤解をお与えしたとすれば申しわけないと思います。なおその他先生のおっしゃったことについては、私の考えと全然同じであります。経営を先にというようなことは何も考えておりません。患者の同盟がおいでになったときも、私は会社を先につぶしてもいいのだというくらいな御説明をしているくらいでありまして、ただどうやることが一番皆さんなり何なりのためにいいかということに、日夜心を砕いております。またその大阪の三十三人というのがどういう形のものですか、詳細はよくわかりませんが、死人の少いことは大いに希望するところでありますが、犠牲になられた方を少く査定して、それでもってのがれようとかなんとかいうような気持は毛頭ございません。その点は一つ御了解をお願いしたいと思います。
  248. 中原健次

    ○中原健次君 もう一点だけお尋ねして、きょうは質問を終ります。  先ほど局長のお話であったか、あるいは部長のお話であったか、どっちかだったと思いますが、森永の方で治療並びに後遺症に対して全責任を負う、こういうふうに言うておるからという言葉があったと思います。これはもちろん当然なことだと思いますし、まことにけっこうなことだと思います。そこで後遺症に対して責任を負うということ、そのことはただ単に言葉だけでは済まぬのであります。よくわかりませんけれども、後遺症は、場合によれば一生涯つきまとうかもしれません。ことに原爆症状に多少類似したような点もあるような感じもしますし、従ってそれだけ後遺症というものは、かなり大きな問題点だと思うのですが、相当それに対して全責任を負うという言葉が、単なるあいさつではないとすれば、これはどういうことなんだろう、もう少し具体的に伺っておきたいと思います。
  249. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 後遺症につきましては、私、先ほど簡単にお答え申し上げておいたわけでありますが、小児科学会からの御答申によりましても、現段階における所見、たとえば眼底所見、肝臓障害が後遺症となり得るかいなかは、まだ断定し得ないという専門家の御意見であります。従いまして、現在それから大部分の患者の方は治癒の状態にあるという御報告が来ているわけでございます。まだ数字をもってそれをどうこう言うことはできないのでございますが、専門家の先生方の御意見はそういう状態でございます。しかし、ここにもございますように、現在ございます眼底所見、肝臓障害等が後遺症となるかどうかという点は、専門家の方々も断定されないような状態でございますので、まず後遺症について、第一段階としてしなければなりませんことは、今後そういう症状のある方を、定期的に健康診断をすることが必要だと思います。そうしてそれに対して医療上の措置を講じなければならない状態、あるいは講じ得る道がありますれば、それに対して、できるだけ万全の治療方法を講じなければならないと存ずるのでございますが、そういう点についての費用を含めての責任を森永は持つということでございます。また何かそのために将来かりに視力障害、視神経が冒されまして、現在の眼底所見が視神経障害を起しまして、将来作業能力そのほかにいろいろ障害を起すというようなことがありますれば、そういうものについても、当然それの補償というような問題は考えてもらわなければならないと思うのであります。後遺症として考えられる起ってくるかもしれないということを見つけ出すということと、もし見つかりました場合に、それに対する医療上の問題あるいは生計補償の問題、それは当然森永が考えてもらわなければならないというふうに、私ども考えているわけでございます。
  250. 中原健次

    ○中原健次君 後遺症のあとの処理の問題については、大体わかりました。おそらく視神経を冒し、その他身体を冒されたために起るいろいろな障害が影響して、将来作業能力を減退し、あるいは喪失をし、あるいは生命を一定の年限までは来たが断つ、こういうことも考えられないではないと思うのであります。そういう場合に、最後までその症状のあとを追うてこれに最善、万全を尽すということが責任を負うということになると思うのです。その点ははっきり理解しましたが、なおこの治療の全責任の問題について、当然治療費は森永の方で負担しておいでになるのだろうと思いますが、先ほどから一、二同盟側の発言の中で拝承したところでございますが、たとえば通院しておる患者の場合は、入院患者とはちょっと措置が違っておるように拝承しております。通院患者の場合には、何か電車賃くらい、要するに交通費くらいはというようなこともあるようですが、しかし子供をおんぶしてか、抱いてかして通院するためには、いろいろそこに労力もかかりますし、あるいは費用もかかりますし、あるいは仕事を休まなければならぬし、その他数々のことが起って参ると思います。そういう患者は、入院しておらないばかりに特別の措置が欠けておるということになってきたのでは、やはり治療上の全責任を負うという言葉の裏づけにならぬような感じがするのですが、こういう問題について、当局ではどう御判断になるのでしょうか。
  251. 山口正義

    ○公衆衛生局長山口正義君 通院患者と入院患者に対して、現在出ております見舞金に差があることは不合理ではないかという御意見は、この前の懇談会のときにも、たしか岡本先生から御意見が出たと思っております。事情によっては症状が重くても入院せずに通院で済ませたいというような人もあるし、大事をとる人は軽くても入院をした。従って入院患者が必ずしも重いのでもなく、また通院患者が軽いのでもない。従って、その点、差を設けるのは不合理だという御意見、ごもっともだと思ったのであります。その席には、当日見えております七海常務も出席しておられたわけでございますが、最初私ども承知いたしておりますのは、通院されている方に三千円、入院しておられる方に一万円とりあえずお見舞をいたして、当面の目の前の医療に事を欠かないように措置をされた。しかし、それでは通院の方は不十分なので、またあと二千円追加して五千円にされたということを承知しているわけでございます。しかしそれでも現在の医療に事を欠くというようなことがあっては、私は困ると思うのでございます。この点は、最初から私、森永の大野専務その他の方々にも、絶対にそういう現在の医療に事を欠くようなことをしてもらっては因るということを、十分話しておるわけでございまして、時日は忘れましたが、大阪の患者代表の方が私の部屋に見えられまして、現実にいろいろ困っている点があるということをお話になりましたので、すぐ大野専務にお会いをしてその点をお伝えして、そういうことの起らないようにということを注意しておるわけでございます。森永の方でも、その点は支障のないようにやられるだけの準備は十分あるというふうに私聞いているわけでございます。その後、具体的にどういうふうにされているかということについて、先般の刷り物にもございましたが、あるいはさらにそれにつけ加えて何かお話があれば、森永の方から答えていただきたいと思います。
  252. 中原健次

    ○中原健次君 入院患者の場合、つき添い費が四百二十円出ておると聞いて、おります。その四百二十円のつき添い費というのが、金額として一応納得されておると、かりに判断しまして、通院の場合には、もちろんつき添いはしておらないが、しかしながら通院させるために、いろいろ強力な力がそれに払われておるわけです。時間的において、あるいはその他の意味で、さまざまあると思いますが、ことにそういう病んでおる子供ですから、かなり気むずかしい点もあって、相当必要以上の費用も要っておるということは想像できるわけです。従って、通院患者に対する入院患者のつき添い費とも見合うべきもの、そういうふうなものは、ただ単に交通費だけでは、ちょっと納得がいかぬような感じがしますが、いかがでしょうか。これはむしろ森永さんの方でどう思っておいでになるか、お尋ねします。
  253. 七海久

    ○森永乳業株式会社常務取締役七海久君 ごもっともに存じます。私どもは、その後患者同盟の代表の方々とお話し合いをいたしまして、通院の方の交通費の実費のほかに、通院一回について百五十円を差し上げることにいたしまして、その後ずっと実施をいたしております。この百五十円が入院患者の四百三十円と相当な開きがあるために御不満であるという御要求もたびたび伺っておるのです。私どもは、当初非常にろうばいをいたしておりまして、入院費治療費等は、もちろん完全にお支払いしなければならぬと考えておりましたが、つき添い費というものは、一番当初は気がつかなかったのであります。その後、九月六日に大阪で皆さんとお会い申し上げたときに、いろいろなお話を承わりまして、小さい赤ちゃんをお連れになるときは、主としてお母さんがつき添っておる、お母さんがつき添っておられます場合には、お家庭を離れてお家庭の仕事ができない、あるいは一お家庭の仕事をするためにはつき添い婦を雇わなければならぬ、そういうお話でございましたので、まことにごもっともだと存じまして、そのときは金額ははっきりきまらなかったのでありますが、それぞれの府県で一応のきまりがあるということでありますので、それぞれの府県できまりのあるつき添いの費用というものを私の方からお送り申し上げましょうとお約束をいたしまして、その後実施をいたしておるのが、今申し上げました四百三十円でございますが、これは各地区によって、きまりの料金というものはそれ以下の所もあるようでございます。私どもは四六時中十日も二十日も、あるいは一カ月もそれ以上もお家庭を離れているということは、お家庭に対する破壊というものがまことに申しわけないことになる、こう考えまして、そういう意味で四百三十円必ずしも高過ぎるとは考えません。しかし、御通院になる場合が、これはもちろん特例もございます。一日かかる方もありましょうが、数時間で終る方もあると考えまして、百五十円という線を出したのであります。この百五十円の線を出したのは、東京においてパート・タイムの婦人を雇う場合は、一時間三十円だという調べが出ましたので、大体百五十円ならば半日くらいは人を頼める、こういうところから百五十円という線を出しまして、その後実施をいたしておるわけでございます。交通費のみではございません。
  254. 中原健次

    ○中原健次君 もう一点だけで終ります。そこで問題は、同盟側と森永とが直接絶えず折衝していく。同盟の方の考え方を絶えず森永の方に訴えていく、あるいは反映させる。森永の方も、絶えず同盟側のいろいろな考え方を、直接その声を聞くということの方が、だから、より一層重要になってくる。そのときに、先ほどからの五人委員会というものができて、五人委員会が介在するばかりに、同盟側との折衝も相当制限されてくる、いや、むしろほとんど会う必要さえないというような考え方が森永の方にも起ってくる。そういう条件が作られたというので、やはりそこで非常に妙なことになってくると思うのです。こういう委員会を作られたことが、問題を処理解決するためにまことに適切なものであったという判断は、従ってどうも出てこない。むしろ、せっかく同盟ができておるわけでありますから、おそらく同盟に参加していない人があろうとも、その少数の人といえども、みずから同盟に入っていない人々は、入る便宜を持たないから入っていないというにすぎないのでもって、やはり同盟側で、患者側の気持を十分代表していろいろ働いておいでになる、その働きを信頼することを通して全患者が納得のいくような線が出てくるのじゃないかというふうに思うのです。従って、やはり今後は、むしろ同盟側の意向が絶えず反映することのできる、滞りなく反映することのできるような、そういう形で折衝を続けていくということを基礎にした態勢、そういう態勢を作るということに、もう一ぺん判断をし直す必要があるのじゃないか。ただ五人委員会ができたから適当な判断を出してくれるだろう、それを基礎としてあっせんを進めていけば解決つくだろうという安易な考え方を、もう一度振り返って再検討してみる必要があるのじゃないか、そういうことを私は思います。これについて、先ほど部長の方から、五人委員会の委員長に一ぺん尋ねてみるというお話でございましたが、ただ一ぺん尋ねてみるということではなく、むしろ根本的な判断として、そのことがもう一度詮議に上るべきじゃないか、判断の基礎になるのじゃないかと私は思いますが、これはどうですか。
  255. 楠本正康

    ○公衆衛生局環境衛生部長楠本正康君 ただいま御指摘の点につきましては、五人委員会と申しますのは、何分にも事実上の組織機関でございます。従いまして、これがいろいろなものにつきまして拘束力を持っておらぬことは申すまでもございません。従いまして、これの御批判はいろいろ出てくることだろうと存じます。特に患者側におかれまして、どうしても五人委員会の結論というものが承服できないということになりますと、これはやむを得ぬことでございますが、しかし、私どもといたしましては、中正な立場の方が妥当な線を出していただいたものとして、御納得をいただくようにお願いする以外に方法はないと思うのでございます。しかしながら、一方患者側の気持、実情というようなものは、十分五人委員会に反映しなければならぬことは申すまでもございません。また一応事実上の機関ではございますが、発足しておりますので、なお先ほども御指摘がございましたように、実際現場で苦労された方々のうちから、さらに委員の仲間に入っていただくということは、私の一存では何とも申されませんが、一応お気持は、私としては委員会の方にお伝えしてもよろしい、かようなことを申し上げたわけであります。
  256. 中原健次

    ○中原健次君 もちろん五人委員会が拘束力を持ったり命令権を持ったりすることは、とんでもないことであります。そんなことは初めからわかっているのですが、しかし、それにもかかわらず、その委員会ができたばかりに、森永の当事者と同盟とが深入った交渉ができない、つまり委員会が障害になっているということです。それが問題になっている。それが障害になるということは、同時に問題の解決に、むしろかえって近づかない、そのことを申し上げておるのです。だから、五人委員会がどのような判断をしようとも、その判断がやはり同盟側の気持とたえずつながっていく、同盟側の気持をたえずくみ上げていくことのできる、そういう作用のできる五人委員会でなくちゃならぬ。それがどうも五人委員会に対して同盟側の方で信頼できない、安心してまかす気持ちはない、同盟側の気持は全然関知することはない、こういうふうにおっしゃっておるとすれば、部長と同盟側とお会いになったとき、どういう話があったか知りませんが、実情から考えていけば了解していないということになる。実情からいけば、了解していないという機関が障害になってきたというのでは、解決に近づく方法ではないのです。やはりここでその機関に対する再検討をしてみる必要があるのじゃないか、こういうことを申し上げたわけです。なお森永の方でも、五人委員会は森永で要請されたわけではないと聞きましたが、しかしいずれにしましても、その五人委員会ができたことは、同盟側の要求に相当無理があるから、そこで五人委員会ができたのだ、こういう声もちょっと聞いたと思うのです。先ほど、たしかにお話の中にあったと思うのですが、やはりそういうにおいがするかもしれない。同盟側の要求が気に入らぬから、同盟側と折衝するのはいやだ、そこで五人委員会というものを介在させて、そこで一つ処理していくのだ、そうしておる間に、だんだん冷却期間を作って、被害者の頭を冷却させていく、そうして適当のところで追い込んでいけば解決つくだろう、そういうずるい手としての委員会の結成ではないか、そういう判断が起る要素がある。そこで私が申し上げたのです。もう一度検討したがいいのじゃないか、こう思うのですが……。
  257. 楠本正康

    ○公衆衛生局環境衛生部長楠本正康君 ただいまお話のございましたように、五人委員会ができたために、かりにも森永側がこれを壁のようなものにして、責任をのがれる、荷をおろすというような感じが多少でもあるとすれば、まことにけしからぬことでございまして、私どもとしましては、この森永に対しましては、従来通り患者代表ともよく懇談をして、その気持、実情というものを率直に五人委員会の方に何らかの形式で伝えるようにということを指示いたしております。従って、この点はなお厳重注意をいたしますが、もしかりにも今御指摘のように、何か五人委員会をたてに、患者側との折衝あるいは話し合いを避けるというような態度があれば、十分に注意を促したい、かように考えております。しかし、そんなことはなかろうと私は信じております。
  258. 岡崎哲夫

    ○森永ミルク被災者同盟全国協議会副委員長岡崎哲夫君 その件に関して被災者側の立場を……。それではお許しを得て発言いたします。楠木環境衛生部長は、われわれが納得したとおっしゃっていますが、全然誤解であります。われわれには全然一片の通告もなく、新聞紙上で知っただけであります。それで、森永さんと十月二十三日に会いましたら、五人委員会ができたのだから、五人委員会に言ってくれ、私たちは厚生省から、何も被災者同盟と話をすることはならぬという命令を受けておるからと、こうおっしゃっておりました。そこで楠本環境衛生部長に会いますと、五人委員会はこういう性質のものである。森永さんはう慰金でも慰謝料でも、全部五人委員会にまかせると一筆入れてあるから、森永さんがあなた方と話をすることは道義的によろしくありません、そういうふうにおっしゃった。ああそうですか、なるほどそういうものですかといって、われわれは引き下ったわけです。次の日に五人委員会と面会いたしました結果、私どもとしては納得できないという結論が出て、帰郷して家族大会に入りました結果、家族大会全員の決議において、五人委員会は全く認めることはできないという結論に達しました。そして森永側としても、厚生省から一筆取られておって、言うことはならぬと命令されておると、はっきり申されております。でありますから、中原先生のおっしゃいましたように、五人委員会が森永側の隠れみのとなり、つい立となり、それに対して全く障害となっている以外の何でもない。私たちは絶対に金額に拘泥せず、誠意を持って事に当っていきたい。そのためには、いかなる譲歩もするということは、たびたび発表しております。森永さんがわれわれと話し合えないという理由は、われわれの中には全然ございません。
  259. 中村三之丞

    ○座長(中村三之丞君) それではミルク問題に関する質問はこれにて終ります。  患者同盟の方々は、わざわざ御上京下さり、また森永代表も御出席下さいまして、諸君の御労苦に対しましてここに感謝の意を表します。  明日は午前十時から開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十二分散会