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1955-06-04 第22回国会 衆議院 法務委員会 13号 公式Web版

  1. 昭和三十年六月四日(土曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 世耕 弘一君    理事 古島 義英君 理事 山本 粂吉君    理事 三田村武夫君 理事 馬場 元治君    理事 福井 盛太君 理事 田中幾三郎君       椎名  隆君    長井  源君       林   博君    生田 宏一君       猪俣 浩三君    神近 市子君       佐竹 晴記君    志賀 義雄君  出席政府委員         法務政務次官  小泉 純也君         警  視  長         (警察庁警備部         長)      山口 喜雄君         検     事         (民事局長)  村上 朝一君         検     事         (刑事局長)  井本 台吉君  委員外の出席者         法務事務官         (公安調査庁調         査第一部第五課         長)      中村 正巳君         専  門  員 村  教三君         専  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 六月一日  委員岡良一君辞任につき、その補欠として井堀  繁雄君が議長の指名で委員に選任された。 同月二日  委員井堀繁雄君辞任につき、その補欠として吉  田賢一君が議長の指名で委員に選任された。 同月四日  委員今松治郎君辞任につき、その補欠として石  田博英君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 五月三十日  出入国管理令の一部を改正する法律案(内閣提  出第一〇六号) 同月二十八日  戦争受刑者の早期釈放に関する請願(助川良平  君紹介)(第一一六五号) 六月一日  戦争受刑者の早期釈放に関する請願(粟山博君  紹介)(第一五〇一号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  出入国管理令の一部を改正する法律案(内閣提  出第一〇六号)  人権擁護に関する件     ―――――――――――――
  2. 世耕弘一

    ○世耕委員長 これより会議を開きます。  出入国管理令の一部を改正する法律案を議題といたし、本案の提案理由の説明を聴取いたします。小泉政務次官。     ―――――――――――――
  3. 小泉純也

    ○小泉政府委員 ただいま議題となりました出入国管理令の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。  まず、出入国管理令第五十四条の改正について申し上げます。出入国管理令に定める退去強制事由に該当するため違反の審査を受け、またはその結果国外に強制退去を命ぜられた外国人は、一定の収容施設にその身柄を収容することになっておりますが、疾病その他特別の事情により収容を継続することが適当でない場合には、確実な身元引受人にその身元を引き受けさせ、かつ、一定の金額の保証金を納付させて、仮放免を許可することになっております。この保証金の額は法務省令で千円以上三十万円以下と定められておりますが、最近、収容が長期にわたり、かつ、違反の内容も比較的軽微であって、仮放免をしてもよいと思われるにもかかわりませず、適当な身元引受人がない等のため保証金を納付することができない者が相当あるのであります。そこで、これらの者については、保護団体等に保証金を納付させてその身柄を引き受けさせた上で、仮放免を許可しているのでありますが、財政の豊かでない保護団体等に相当数に上る仮放免対象者の保証金を納めさせることは、いかにも気の毒でありますので、この際、保証書をもって保証金にかえることを許し、もって仮放免手続の円滑な運営を期したいと存ずるのであります。  なお、第五十五条第三項の改正は、右に伴う字句の整理であります。  次に、附則第二項について申し上げます。昭和二十七年四月二十八日平和条約が発効いたしましたとき、終戦前から引き続いて在留する朝鮮人及び台湾人並びにこれらの者の子で終戦後から平和条約発効の日までに生まれたものにつきましては、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律(昭和二十七年法律第百二十六号)第二条第六項によりまして、目下のところ出入国管理令に定める正規の在留資格を有しないままで本邦に在留することが許されているのでありますが、これらの朝鮮人及び台湾人の子で平和条約発効後に生まれたものは、出生の際に特別の在留資格が与えられ、その期間は、三年と定められているのであります。そこで、平和条約発効後三年目に当る本年四月二十八日以降は、それらの子は、あらためて在留期間の更新をする必要があるわけでありますが、事実上その必要が生ずる時期は、来たる七月以降となっております。ところが、出入国管理令第六十七条の規定によりますと、外国人が在留期間更新の許可を受けました場合には、手数料として一件につきまして千円を納めなければならないのでありますが、ただいま申し上げました子供の保護者たちは、前にも申し述べました通り永年日本に居住し正規の在留資格を持たないままで在留を許されている者で、大部分が貧困者と申してよく、しいてこの手数料を納めさせようといたしますと、かえって在留期間の更新を渋る結果となり、ために不法残留者が続出するおそれが多分にあるのであります。  そこで、政府としましては、これらの事情及びこれらの者とわが国との特殊関係を考慮いたしまして、政令で定める日まではその手数料を取らずに在留期間の更新ができるようにいたしたいと存ずるのであります。しかして、その政令の内容といたしましては、とりあえず、平和条約発効後一年の間に在留資格を取得した子供たちの在留期間更新について手数料を取らないこととし、その後に在留資格を取得した子供たちの在留期間の更新については、日韓会談の進捗状況等をにらみ合せて、その時期が来たときにあらためて措置いたしたいと考えておる次第であります。  以上この法律案の提案理由を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望いたします。
  4. 世耕弘一

    ○世耕委員長 提案理由の説明は終りました。本案に対する質疑は後日に譲ります。政府委員の出席するまでしばらくお待ち下さい。     ―――――――――――――
  5. 世耕弘一

    ○世耕委員長 本日の日程に追加いたしまして、人権擁護に関する件について調査を進めます。まず委員長よりお尋ねいたしますが、昨三日京都大学に発生いたしました滝川総長監禁事件につきまして当局の報告がありましたら、この際御発表を願いたいと思います。警察庁山口警備部長。
  6. 山口喜雄

    ○山口(喜)政府委員 昨日の午後京都大学で起りました事件について、報告の参っております範囲でお答えを申し上げたいと思います。  六月十八日が京都大学の創立記念日に当っておるのであります。この記念日に当りまして学生側では記念祭の準備実行委員会を結成いたしまして、六月十七日、十八日、十九日、二十日の四日間を記念祭の日として授業を休む、記念祭の行事の経費を国費から出してもらいたいというような申し入れをいたしまして、十七日に学外者と交歓をする、京都大学の吉田分校のグラウンドにおいて歌と踊りの会を開きたい、十八日は演劇、映画、講演、ゼミナール等をやる、十九日も同様、二十日は午後一時から九時までの間京都の労働組合、民主市民団体と交歓をしたい、京都大学農学部のグラウンドでカーニバルといいますか、園遊会を開催したい、こういうことを申し入れたのであります。これに対しまして学校当局といたしましては、数回にわたりまして評議員会を開いて、五月二十四日に最後的に、創立記念祭は六月十九日、日曜日と、二十日の二日間とする、十六日の前夜祭は認めない、それから二十日の部外の労組その他の団体との園遊会を認めない。それからもう一つ、この記念祭の行事の一つとして学生側から申し入れのありました全国学生哲学会総会、これをやはり認めないということを通知いたしたのであります。これに対しまして学生側におきましては、五月二十五日以降ほとんど連日にわたりまして学校当局に対して強硬な陳情、あるいは抗議をいたしておったのであります。学校といたしましては昨年の十一月の行事の際に、学校当局の当初の意図に反しまして問題が起りまして、今回の記念祭にも学外の人と一緒になるという点からいろいろ問題が起ることを憂慮いたしまして、学外の人の参加するいろいろの行事を認めないという方針をとっておったようであります。これに対しまして、学生側では五月二十五日以降学校の内外におきまして、相当これに対する反対運動を活発に行なっておったのであります。  問題の起りました昨日の模様について申し上げます。学生側ではちょうど京都の滝川総長が近く外国に旅行することになっておりますので、それまでの間に問題を解決したいということから、総長との会見を申し入れまして、昨日午後一時から学内の応接室におきまして学生側の代表約十名が滝川総長に面接をいたしまして、一時間にわたっていろいろと抗議、陳情等が行われているのであります。二時に会見を終りまして、総長が帰ろうといたしたのでありますが、本館の玄関口の廊下で再び抗議、陳情を繰り返したので、総長は帰ることができてなくなって応接室に引き返して、さらに午後三時二十分から学生代表五名と会見をいたしまして、学生側の反省を促したのでありますが、どうしても話がつかないということで、四時十分ごろ会談を打ち切りまして、学生側の退去を求めたのであります。学生側といたしましてはこれに応じませんで、本館の玄関口付近に集まりまして総長が退校するのを阻止するような態勢になったのであります。六時ごろ、この人数が六十名くらいであったというわけであります。学生側がさらに八時ごろ三たび総長との会見を申し入れたのでありますが、結局この会見は物別れになったようであります。九時過ぎには学生約百五十名が応接室の前の廊下、本館内の玄関付近にすわり込みあるいは気勢をあげる等いたしまして、ほとんど学校の中における自主的な解決が不可能な状態になった模様であります。そこで学生部長から九時十分に所轄の川端署長に対して、学校当局は学生側に対し九時二十分までに解散するよう警告を発したが、これに応じない場合は連絡をするから警察が一つ出動してもらいたいという電話の連絡があったのでありますが、警察といたしましては慎重を期するためにその要請は総長の意思であるかどうかということを確かめたのであります。ところが九時十五分に総長から直接電話をもって警察官に来てもらいたいという話がありましたので、警察官を連れまして九時四十分に京都大学の正門前に到着をいたしております。そこで署長は部隊を正門の外に待機させまして、署長以下幹部四人だけが学内に入りまして、学生側に対してできるだけ穏やかに解散をするように説得いたしましたが、うまくいかなかったのであります。十時二十分以降数回にわたって勧告をいたし、もしどうしても解散しない場合には実力を行使して解散させることもやむを得ないということを警告いたしたのでありますが、どうしても聞き入れられないので、十時五十分に解散命令を出しまして、十一時過ぎに正門前に押し出したというのが状況でございます。その後学生側では、このうちの三十名ばかりが川端警察署に来まして、いろいと抗議をし、本日の午前一時四十分に引き上げて帰っております。この実力行使の際には格別の事案もなかったのでありますが、事態を収拾いたしました後の滝川総長の記者会見におきまして、ある学生から暴行を受けたということが談話に出たのであります。そこで警察としても現在調査をいたしておりますが、大体その氏名等もわかっておりますので、近くそれについて措置がとられるものと考えておる次第であります。  大体が昨日の夕刻の京都大学における事件の概要でございます。
  7. 世耕弘一

    ○世耕委員長 なおこの際お尋ねしておきますが、学生運動にも一つの限界があるはずであります。その限界というのは暴力を禁止してある、暴力を行使しては相ならぬということが学生運動の金科玉条であり、そこで限界が明らかになると思うのでありますが、元来大学の自治、学問の自由を叫び、みずから尊重しなくてはならぬ最高学府の学園で、学生が中心となって、しかも尊敬すべき総長を暴行あるいは監禁するなんということは、おそらく想像のつかぬ出来事じゃないか、かように考えるのであります。かようなことは単なる文部行政の一端という意味じゃなしに、大きな人権擁護という建前と治安の維持という建前から、厳重な調査を当局は進められるよう要望したいのであります。ことに本件に関するごときは、大学の自治をいずれが乱したのかということの点に関して正確な調査を進めて、本委員会に御報告が願いたいと思うのであります。  かくのごときことをこの機会に申し上げるのは、第十二国会におきまして、当時昭和二十六年十一月二十六日の記録がここに明らかにされております。しかもその時の事件は京都大学の事件でありますが、天皇並びに外国使節等に対する警備の問題について治安確保の問題が論議されたのであります。当時政府側としては大橋法務総裁、草鹿刑政長官、吉河特審局長、文部省側は天野文部大臣並びに稲田大学学術局長、参考人として服部京大学長、潮田慶応大学学長、市島検事正、永田京都市警本部長、田代京大補導部長、落合奈良女子大学長、青木京大同学会委員長、田中警視総監、及川東京新聞論説委員、かような関係の諸君のほかに京都大学同学会中央委員長青木宏君というのが学生代表として出席しております。そういう諸氏の意見の開陳を求めて、今後かくのごとき不祥事件の起らぬよう当時の本法務委員会は結論を出しておるのであります。当時の法務委員長談話として代理理事押谷富三君が発表した文書がここに残っておりますが、参考までに読み上げますれば、「大学は一国文化の中枢である。国家は、巨額の血税を投じて、多くの国立諸大学を維持経営し、同時に、社会一般も、学問の研究及び学生の教育のために、「大学の自治」ということを是認しているのである。しかるに、先般、この平和な文化の中心地帯に、社会国家の治安を撹乱破壊するような事件が起ったのである。日本が近く完全な主権を回復せんとする現段階において発表したこの事件については、全国民が重大な関心をもっと共に、国際的にも、重大な影響があるのである。衆議院法務委員会においては、この京大事件の真相を国民の前に明白にすると共に、特に、いわゆる「大学の自治」と「治安維持」との関連について、そのあるべき姿を明確にし、以て、将来の対策に資するため、各関係人より参考意見を聴取したのである。法務委員会としては、今回の事件は、京大当局者が「大学の自治、学園の自由」を過信した結果、警備連絡上の手続に遺憾の点があったものと認められ、また同大学の補導機関が弱体だった点も明かにされた。「大学の自治」とは、あくまで「学問の自由」「真理探求の自由」であって、それは十分尊重せられなければならないが、同時に、学園は治安の盲点であってはならぬ。学園内の治安維持は、最終的には警察がその責任をもつべきものであることは明白である。」かように京大事件に関する法務委員長談話が発表されておるのであります。重ねて申しますが、本件は昭和二十六年十一月十二日、京都大学行幸に伴う学生集団示威事件の問題に関しての法務委員長談話であります。この事件があって、昭和二十六年十一月二十六日に当時の法務委員会が事件を取り上げて、各方面の意見を聞いた結論が以上申し上げたような法務委員長の談話となって発表されておるのであります。顧みまするとこの事件からかれこれ六年の歳月を経る今日、今回の事件は、新聞記事でありますからまだ詳細なことはわかりませんが、むしろ悪質化した観があるのであります。この点に関しまして、この際関係当局から、さらに現地からの報告を受けておられるならば本委員会に御発表願いたいと思いますが、急のことですから詳細な報告がなければすみやかに現地との厳重な連絡をおとり下さいまして、本委員会に経過の正確な報告を述べられたいことを委員長から特に要求いたします。この際小泉法務政務次官から何か御発言があれば承わっておきます。
  8. 小泉純也

    ○小泉政府委員 ただいま委員長から御注意、御要求ありました点につきまして、法務省でも重大なる事態と考え、服部検事を京都地検に急派、現地の検事局と打ち合せのために、詳細なる調査、対策をば講ずるように直ちに派遣をいたしたような次第でございまして、委員長が仰せられました通り十分に事態を調査いたしまして、後刻適当な機会に報告を申し上げたいと存じます。
  9. 世耕弘一

    ○世耕委員長 なお一言つけ加えて申し上げますが、若い学徒のすることだから往々感情にとらわれ、意外な結果を生むこともよくあるのであります。かような機会に、往々にして大学の自由並びに大学の自治が侵されることがあり得るのでありますが、さようなことの限界を明らかに調査等も進めてもらいたいということと、もう一つは、何人が自治を侵したのであるか、何人が大学の自治を乱したかということは厳格に詳細な調査を進められて、今後かくのごとき不名誉な事態の起らないように対策を講ぜられんことを希望いたします。なお同時に文部省並びに法務省、また現地とも厳重な御連絡をして、調査に万遺憾のないようにせられんことを切望いたします。  なおこの際、公安調査庁調査第一部第五課長中村正巳君が出席しておりますから報告を求めます。
  10. 中村正巳

    ○中村説明員 ただいま御紹介にあずかりました第一部第五課長の中村と申します。京大の同学会の事件につきましては私どももけさの新聞で見ましたので、まだ現地から報告を受けておりません。至急に調査をいたしたいと思っておりますので、それまでお待ち願いたいと思います。
  11. 志賀義雄

    ○志賀委員 それに関連してちょっと発言させていただきたいと思います。ただいま委員長の方から最近の京大事件――われわれ新聞でけさ初めて知ったようなものが出ておるのでありますが、これは一方的に調査した官庁報告ではとかく片寄るおそれのあることでありますから、その点については委員長の希望されたような方面からの片寄りのほかに、もう一つ法務委員会の人権擁護の立場、官憲によってあるいは当局によって学生の自治の侵されることのないという反面をも同時に注意して調査をやっていただきたい、これだけを希望事項としてつけ加えておきます。
  12. 世耕弘一

    ○世耕委員長 志賀さん、もう一ぺん……。
  13. 志賀義雄

    ○志賀委員 発言中はよく聞いて下さいよ。委員長自身が近畿大学の学長であられるので、こういう事件があるときっと神経がぴりっと響くはずだと思うのであります。学校当局者兼委員長としての立場ばかりでなく、法務委員長としてこれはこういうふうに調査をしなければいかぬ。ただいまの御発言によりますと、どうも関係当局にネジを巻かれるような印象を与えられたのであります。それでは人権問題を審議する法務委員会の委員長として、遺憾な結果が生まれるかもしれない。あなたが委員長として公平な職分をやられるためには、同時に学生の立場をも公平に調査するようなことを希望せられておかないと、一面的な報告しか出てこないおそれがある。だからその点も委員長として十分に当局の方へ御注意下さいと、こういうふうに申したのであります。
  14. 世耕弘一

    ○世耕委員長 了承いたしました。  ほかに本件に関して御質疑がなければ本日はこの程度で散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。     午前十一時五十一分散会