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1955-04-06 第22回国会 衆議院 外務委員会 3号 公式Web版

  1. 昭和三十年四月六日(水曜日)     午後二時五十七分開議  出席委員    委員長 植原悦二郎君    理事 大橋 忠一君 理事 須磨彌吉郎君    理事 松岡 松平君 理事 北澤 直吉君    理事 福永 一臣君 理事 穗積 七郎君    理事 松本 七郎君       池田正之輔君    伊東 隆治君       臼井 莊一君    上林山榮吉君       草野一郎平君    櫻内 義雄君       中曽根康弘君    並木 芳雄君       松本 俊一君    森下 國雄君       犬養  健君    大橋 武夫君       坂田 道太君    田中伊三次君       福田 篤泰君    福永 一臣君       山中 貞則君    淡谷 悠藏君       稻村 隆一君    田中 稔男君       森島 守人君    八百板 正君       和田 博雄君    河野  密君       戸叶 里子君    久保田 豊君  出席国務大臣         内閣総理大臣  鳩山 一郎君         外 務 大 臣 重光  葵君         国 務 大 臣 杉原 荒太君  出席政府委員         内閣官房長官  根本龍太郎君         外務政務次官  園田  直君         外務省参事官  寺岡 洪平君         外務事務官         (アジア局長) 中川  融君         外務事務官         (経済局長)  湯川 盛夫君         外務事務官         (条約局長)  下田 武三君  委員外の出席者         専  門  員 佐藤 敏人君         専  門  員 村瀬 忠夫君     ――――――――――――― 四月一日  委員石野久男君辞任につき、その補欠として岡  田春夫君が議長の指名で委員に選任された。 同月六日  委員芦田均君、菊池義郎君、高岡大輔君、並木  芳雄君、福田赳夫君、松本俊一君、山本利壽君、  江崎真澄君、水田三喜男君、渡邊良夫君、稻村  隆一君、高津正道君、細迫兼光君、西尾末廣君  及び岡田春夫君辞任につき、その補欠として松  岡松平君、臼井莊一君、上林山榮吉君、中曽根  康弘君、伊東隆治君、森下國雄君、櫻内義雄君、  坂田道太君、田中伊三次君、大橋武夫君、淡谷  悠藏君、田中稔男君、八百板正君、河野密君及  び久保田豊君が議長の指名で委員に選任された。 同日  委員田中伊三次君辞任につき、その補欠として  山中貞則君が議長の指名で委員に選任された。 同日  理事菊池義郎君委員辞任につき、その補欠とし  て松岡松平君が理事に当選した。     ――――――――――――― 四月四日  次の委員会開会要求書が提出された。    委員会開会要求書  外務委員会を四月六日午前十時開会せられたい。  右衆議院規則第六七条第二項の規定に依り要求  する。   昭和三十年四月四日            北澤 直吉            福永 一臣            犬養  健            江崎 真澄            福田 篤泰            水田三喜男            渡邊 良夫            稻村 隆一            高津 正道            穗積 七郎            松本 七郎            細迫 兼光            森島 守人            和田 博雄            戸叶 里子            西尾 末廣            松岡 駒吉  衆議院外務委員長植原悦二郎殿     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国際情勢等に関する件     ―――――――――――――
  2. 植原悦二郎

    ○植原委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたします。理事菊池義郎君が都合により理事の辞任を申し出られましたので、これを許可いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 植原悦二郎

    ○植原委員長 御異議がなければさように決定いたします。  なお、ただいまの菊池君の辞任により理事が一名欠員となりましたので、その際その補欠選任を行いたいと存じます。これは前例によりて委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 植原悦二郎

    ○植原委員長 御異議がなければさように決定いたしまして、松岡松平君を理事に指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 植原悦二郎

    ○植原委員長 国際情勢等に関する件について鳩山内閣総理大臣及び政府当局に対し質疑を行うことといたします。理事会の御決定になりました順位と時間等によりまして質疑を進行することを御了承を願いたいのであります。  これより質疑を許します。質疑に先だって御了解を得たいことがあります。鳩山総理にはかけたまま答弁することを皆様方御了承願いたいのであります。須磨彌吉郎君。
  6. 須磨彌吉郎

    ○須磨委員 鳩山総理大臣に対して二、三お尋ねをいたしたいと思いますが、最近数日間に起りました外交案件のうちで、重光外務大臣が渡米をされるという問題について、まことにわが国民の関心が一点に集まっておる様子でございまするが、これはニューヨーク方面からの放送等によりましても、アメリカの意向は別段日本からの重光大臣の渡米を断わったわけではない。元来アメリカのしきたりといたしましては、緊急のときでもあるいは数週間の時間、緊急ならざるときは数カ月の時間をもって予備交渉をしてからおいでを願うことが例であるけれども、今回はあまりに突如であったからその時間が間に合わなかったのだ、こう申しておるのでありまするが、私もかつてアメリカに在勤をいたしたことがございまして、さようなことだと思うのであります。またこれを考えますると、わが日本が、講和条約が成立して自主独立の外交になりました以上は、日本の外交の根本は、わが日本の利害を本位とするものであることは言うまでもないものでありまして、これがもし単にアメリカその他の外国の意向のみを尊重いたしておるような外交でありまするならば、あるいは今回のごときことが起らなかったかもしれない。むしろ今回のごときことは、わが日本が自主独立の、またはわが日本の利害に即応するところの措置をとったがために起ったことの一つの外交の現われであるやに見られるのでございます。しかるにこのことにつきましては、いろいろな憶説等をなす者がございますが、私は、わが日本が自主外交ということをかざしておる建前からいたしまして、さような解釈が当然であると思っておるのでございますが、総理大臣におかれましては、いかようなお考え方でございまするか、伺いたいのでございます。
  7. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 委員長の許可により、すわったまま答弁させていただきます。  私どもは、自然休会中を利用して、自然休会の間にアメリカに対して日本の外交方針を説明することが、日本のためにも、アメリカのためにも、相互に利益があると思いまして、それで自然休会中を利用するということであったものですから、ああいうように早く重光君に行ってもらうというような結果になってしまったのであります。日本の外交方針といえば、ソ連や中共との国際関係を正常化したいという希望と、それによって何もアメリカとの協力の基本関係をこわす意思はないということ、あるいはまた、防衛問題についての了解を得たいということ等の問題がありましたので、この休会中を利用するという必要があったのであります。そういうわけで、常例とは考えなかったのでありますけれども、急に行きたいというような希望をアメリカに伝えた次第でございます。
  8. 須磨彌吉郎

    ○須磨委員 ちょうどアメリカのダレス国務長官が、きのうの新聞記者会見におきまして、あまり差し迫った申し出であるから、今回はその申し出に応ずることはできなかったけれども、あるいは六月ごろにでもなりますればさような機会ができようかと思う、かようなことを申しておるのでございますが、総理大臣におかれましては、ただいま承わったような広範な日米間の案件について、六月ごろ、あるいはお打ち合せの上時期がかわるかもしれませんが、さようなころ合いには、再び外務大臣重光葵氏を御派遣になる御意向でありますか、承わりたいのであります。
  9. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 議会の都合上、重光君に行ってもらうということが可能ならば、行っていただきたいというような希望は持っております。
  10. 須磨彌吉郎

    ○須磨委員 この日米関係と相並んで、ただいまわれわれ国民の非常な関心の的となっておりまする日ソ交渉の問題でございまするが、昨日来新聞紙等の伝えるところによりますると、最近におきまして、当地におけるソビエトのドムニツキー氏から、何らかの申し出があったやに報道されておるのでございまするが、外務委員会は、かような時局柄開かれた特別の委員会でもございますから、お差しつかえがなかったならば、その全貌を伺いたいと思うのでございます。
  11. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私から答弁をしてもいいのでありますが、外務大臣がするそうでありますから……。
  12. 重光葵

    ○重光国務大臣 それでは、日ソ交渉の今日までの全貌を、御質問に応じて本委員会に御報告を申し上げます。  元来、日本との国交を正常化したいということにつきましては、ソ連側においても、モロトフの演説等々のあったことは、すでに御説明の機会もあったと思います。これに対しまして、日本側におきましても、日ソの今までの戦争状態、これは法律関係だけでございますが、それを正常化したい、平和を回復したい、そしてもって、東亜だけでない世界の平和に貢献をしたい、こういう方針はわが政府においても立てた方針でございました。いつまでも戦争状態をそのままにしておくことは、平和のためによくないという根本の思想でございます。そこで、この、ソ連の間接に表示された意向には応じたい考えを持っておりました。その際に、ソ連側から、日ソの関係を正常化したいという申し入れのあったこともすでに発表もいたしておりますし、御承知の通りであります。その際に、日ソの関係を正常化するために交渉を開きたい、交渉を開く場所はそれでは東京かモスクワにしてはどうかということをも付帯的に申し入れがあったということも、すでにその全文を発表いたしております。これに対しまして、わが方は、日ソの国交正常化ということについては異存がない、のみならず、わが方も希望するところである、しかし交渉地は、国際平和の殿堂である国際連合の所在地ニューヨークに行っている両国の代表者においてやるが一番効果的であろう、のみならず、交渉のいずれの国の領土出でもないところがよかろう、一番公平な見地から見てそれがよかろうということで、ニューヨークを交渉地としたいということを申し入れたのでございます。これに対してソ連側は、また文書をもって――いろいろ文書の中には事情を述べておりますが、結論として、日ソの国交正常化に日本が賛成して、交渉を開くことに賛成してくれたことはありがたい、交渉地についても、日本側の希望するところで交渉することにソ連は異存がない、その用意があるということを申して参ったのでございます。そこでわが方としては、それでは交渉を進める段取りをしなければならぬ、交渉をどこでするか、たとえばニューヨークで開くにしても、どの建物でどういう工合にするか、時日はいつからするかというような手続問題について、ソ連に意向を問い合せたのでございます。それに対して容易にソ連側で意向を表して参りませんでした。ずいぶん長い間、一ヵ月以上にもなりました。はっきりした日付は申し上げてもよろしゅうございますが、さようなことで容易に返事が参りませんでした。ところが昨日返事が参りました。この返事を今全文御披露いたします。ロシヤ文でできております。英文の訳文が付属いたしております。私の方は日本の訳文でありますが、「鳩山日本国総理に伝達のため」という題で、これも署名はございませんが、日付は四月四日ということになっております。  二月二十三日日本国連オブザーバー澤田大使は、ソビエト国連常駐代表ソボレフ大使に対し、日ソ関係正常化に関し行わるべき交渉の場所の問題に関する書簡を手交した。  ソビエト政府は、日本国政府の右書簡を検討した結果、現状のもとにおいては、日ソ交渉の場所としては直接当事国の首都の一、すなわち東京またはモスクワを選ぶことが合目的的であると考えられるという結論に達した。  加うるにソビエト政府は福岡、鹿児島両市における鳩山総理の周知の言明(二月五日及び七日)において、右交渉をモスクワまたは東京において行う可能性について述べられていることを考慮に入れるものである。また在京ソ連代表の会談において、日本側代表等も同趣旨を述べている。  上記に関連し、ソビエト政府は、モスクワまたは東京において日ソ関係正常化問題の交渉を行うことにつき日本国政府の見解を知りたく思うものである。  一九五五年四月四日 東京都とこうある文書を受け取りました。そこで目下この文書において検討を加え――ソ連との交渉でありますから、これはその文字の一つをも検討しなければなりません。またソ連の方からの回答がずいぶんおくれておる。一月以上、約二月にもなっておる関係上、わが方においておくらす考えは少しもございませんが、十分時をかけて慎重にこれを検討する必要があります。  しかし一見したところによっても、これにふに落ちないところがございます。たとえばソビエトがここに引用しております「福岡、鹿児島両市における鳩山総理の周知の言明」すなわち東京でもモスクワでもいいと言ったということを、これをこの公文の中に引用しております。ところがこれは二月五日及び七日のことであるということが向うの公文にもあります。しかるにちょっと検討してみますと、向うから参りました二月十四日のソ連の公文であります。つまりこの事件があってはるかに後に向うがよこして来た公文の中には、はっきりと日本の希望するところにおいて交渉をしてもいいということを言っておる。しかりとすれば今さらこういうことを引用するというのは、どうも私には解せないのでございます。どういう真意がこの中にあるか、そのほかにおいても、「また在京ソ連代表との会談において、日本側代表等も」ということがありますが、これはどう探索いたしましても、ソ連側と日本側の代表がどういう人々であるかということは、これはわかりません。そういうものは存在いたしません。国内にないのであります。さような関係で、この文書についてもちょっとふに落ちない点があるのであります。どういうことを意味するか、単にさようなことをもって向うの主張を強めると思っているのかしりませんけれども、それならばはなはだ理屈に合わぬことでございます。さようなわけでございますから、この文書はむろんすぐ一般に御報告とともに発表いたしますが、慎重に考慮を加えて、そうしてわが方の最も公正と考えるところ、またわが方の利益に反しないと考えるところを検討してこれに回答をいたそうと思って、今慎重に考慮、協議中でございます。以上をもって私の御報告といたします。
  13. 須磨彌吉郎

    ○須磨委員 ただいまの文書によりますと、わが日本が主張いたしましたニューヨークということではなしに、東京もしくはモスクワということになっておるのでございますが、こう一ぺんきまったニューヨークということが話題になった以上は、これを変更するということについては、国際上きわめて奇異な関係がわいてくるかもしれないと思われるのでございまするが、御検討中でありまして慎重に御考慮中だということは今も承ったのでございますが、やはりさきに御提示に相なったように、ニューヨークにおいてこれを行うということを貫かれる御方針でございましょうか。それだけでも承われば幸甚だと思います。     〔委員長退席、大橋(忠)委員長代理着席〕
  14. 重光葵

    ○重光国務大臣 慎重考慮の結果によらなければなりませんが、しかしわが方のその点に関する主張は公正なものだと私は今日考えております。かつまた目的を達成する上において最もいい方法だと考えております。
  15. 大橋忠一

    ○大橋(忠)委員長代理 北澤直吉君。
  16. 北澤直吉

    ○北澤委員 鳩山内閣は日米協力の基本線を堅持しながら中ソとの関係を調整すると言われておるのでありますが、現在までの日ソ交渉の経過また中共との関係また日米関係は、総理として満足すべき状態にあると思いますかどうか、伺いたいと思います。
  17. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 まだ交渉の結果が出ませんから、早く片づけばよろしいけれども、それは希望していますけれども、そういう方に進展はしておりません。
  18. 北澤直吉

    ○北澤委員 選挙のときには、日ソ交渉が今にもまとまるように宣伝をされておったのでありますが、選挙が終るというと、日ソ双方において熱がさめたように思われるのであります。従って日ソ交渉も今日まで遅々として進んでおりません。また中共との関係も、御承知のような状態でこれも進んでおりません。また日米との関係におきましても、防衛分担金の削減の交渉を初めガリオア資金の整理問題、またいろいろな問題が未解決のままに山積しておるのでありますが、こういうふうに重要な外交問題が何一つ解決されずにおりますのは、その原因はどこにあるでありましょうか、総理の所見を伺いたいのであります。
  19. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 相手のあることでありまして、相手の気持は私にはわかりません。
  20. 北澤直吉

    ○北澤委員 私どもの考えでは、鳩山内閣の行き当りばったりの外交政策、政府の部内における不統一なばらばらな外交政策、国外に対しましてはいわゆる二また外交、こういう問題が重なって内外に信を失った、その結果こういうふうになったと思いますが、それについていかようにお考えでありましょうか。
  21. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 門外漢から見ればいろいろの見方があるでしょうと思います。前の内閣については外交方針が一貫していない、そのつど外交だといわれたのであります。私どもが内閣をとって以来は、そのつど外交という外交はやめました。
  22. 北澤直吉

    ○北澤委員 鳩山内閣の外交が先ほど申しましたようにほんとうに行き当りばったりの外交である、しかもきのう言ったことと、きょう言ったことが違う、こういうふうに一貫性がないということが、日本の内外に信を失った結果、重要な懸案が一つも解決されぬのだと思います。  次の問題に移りますが、今回鳩山内閣が外交上の慣例を破って急遽重光外務大臣の渡米を決定し、わずか二、三日の余裕をもって米国に申し入れいたしましたその理由はどこにありますか。またその目的は何であったかを御説明願いたいのであります。
  23. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 先ほど須磨君に答えた通りであります。
  24. 北澤直吉

    ○北澤委員 この日本の申し入れを受けて、米国の国務省方面でも非常に驚いたように新聞にも出ております。こういうふうに日本の申し入れは従来の慣例を破った申し入れでありまして、これに対しまして、アメリカの方では国務省が正式の声明を発表して、正面からこれを拒否いたしまして、世界環視の中で日本が侮辱を受けましたことは、私は政府の大失態であると思いますが、総理大臣はいかようにお考えでございましょうか。
  25. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 アメリカから参りました報告は、私は日本に対する侮辱とは少しも考えられません。
  26. 北澤直吉

    ○北澤委員 アメリカ側の説明によりますと、これは侮辱を与えたのではない、こういうふうな説明でありますが、日本の国民感情から申しますと、これは明らかに侮辱を受けたものと考るえわけであります。鳩山総理は日本の総理大臣であります。常に民主政治家をもって任じておられますので、日本国民の感情を無視することはできないと思うのであります、総理の御所見を伺いたい。
  27. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 日本の国民に誤解を起さないようにあなた方の言論を慎しんで下さい。
  28. 北澤直吉

    ○北澤委員 私も国家のためを考え、できるだけ言論を慎しみますが、国民多数の考えでは、これはアメリカから体のいい屈辱を受けた、日本国民が世界環視の中で侮辱を受けたというふうに考えておるのでありますが、この点について私は総理とは見解を異にしております。  次の問題に移りますが、日本は緊急の必要があって、外務大臣を急遽アメリカに派遣するということを申し入れたと思いますが、これに対しまして米国の方から延期をせよ、延ばせというような返事があったことは、これは日本の目的を達成することができないので、実際上は拒否と同じような結果になったと思いますが、この点はいかがお考えでありますか。
  29. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私はそうは考えておりません。
  30. 北澤直吉

    ○北澤委員 外務大臣の渡米を延期してもよろしい、こういうお考えならば、なぜ急遽二、三日の余裕だけをもって、外交上の慣例を破って米国に申し入れたのでありますか、その点を伺いたい。
  31. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 先刻須磨君にお答えいたしたときに申し上げました通りに、この自然休会を利用して、その間に行った方がいいと考えて、重光君をわずらわすことになったのであります。
  32. 北澤直吉

    ○北澤委員 ただいまの総理の御答弁では、政府が何ゆえに延期をされてもいいような問題について急遽外務大臣の米国派遣を決定したか、私には納得がいかないのでありますが、時間の関係もありますから、次の問題に移ります。  鳩山内閣は口を開けばアジア外交を重視する、こういっておりますが、アジア・アフリカ会議に臨むに当りましても政府の確固たる方針もまだきまっていないようであります。また重光外務大臣はこの会議に当然出席すべき立場におりますにもかかわらず、国会の審議を理由にしましてこの出席をお取りやめになったのであります。しかるに二、三日を出ない間にアメリカ行きを決定し、その上に今度米国より拒否されたというわけでありまして、日本の面目はまるつぶれであると私は思うのであります。面子を重んずるアジア諸国との今後の外交に悪影響を与えますことは必至であると私は考えますが、この点はどういうふうにお考えでございますか。
  33. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 アジア・アフリカ会議は十八日から始まります。アメリカの方に行くのは、十八日どころではない、七日か八日くらいには日本に帰って来たいという気分で交渉したのであります。時が違いますからあなたのおっしゃる通りには解釈できないのであります。
  34. 北澤直吉

    ○北澤委員 申し上げるまでもなくアジアの諸民族は非常に面子、面目を重んずる国家であります。従いまして日本が日本の外務大臣の米国訪問に対しまして米国から拒否を受けた、しかも世界環視の中で拒否を受けたというふうなことは、今後のアジア諸国との外交に当って、日本が日本の威信を疑われる、こういうふうな結果を来たすものと考えられますが、その点について総理は非常に甘いお考えを持っておられるようであります。この点は私は総理の見解に同意はできません。  次にお尋ねしたい点は、本年度の予算の編成とからんで防衛分担金問題の解決を非常に急ぐ関係から、東京において十分の話し合いも遂げないで、アメリカ大使の、あるいは日本におきまするアメリカの当局の頭の上を越えて、アメリカの本国政府に直接直訴をする、こういうふうな誤解を米国に与えたがためにこのような結果になったと思うのでありますが、私は右のような措置によって日本におきまする米国当局の面子をつぶしましたことが大失態であると思うのでありますが、これについてのお考えを伺いたいのであります。
  35. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私はそういうように考えておりません。外国使臣を侮辱するとか、その威信を傷つけるような考え方は毛頭持っていなかったのであります。
  36. 北澤直吉

    ○北澤委員 今回のアメリカ政府の回答によりますと、防衛分担金のような問題は、東京で日米両国の事務機関の間に話をした方がよろしい、こういうふうなことでありますが、日本の方でそういう問題について話をするために外務大臣を派遣しようとしたということに対しまして、今のような返事がアメリカの方から来たのであります。これは結局まだ十分に東京で話し合いをつけないものを、直接ワシントンに持ち込もうとした、この日本政府の考え方に対しまして、アメリカの政府は反対をした、こういうふうに思うのでありますが、もう一ぺんこの点について総理のお考えを伺いたいのであります。
  37. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 日本政府としては、日本政府が考えております点につきまして誤解があるだろうと思いますから、本国に日本の誠意を披瀝した方が礼を尽し、かつ了解を得るものと思ってやったのであります。
  38. 北澤直吉

    ○北澤委員 鳩山総理は、日ソ問題あるいは中共問題、あるいは日米問題等につきましても、非常に事態を甘く見ておる。自分に都合のよいところだけを見て独善に陥っておると私は思うのであります。たとえばソ連、中共の問題にいたしましても、御承知のようにソ連、中共は一筋なわではいかない国でありまして、世界全体が手を焼いておるのであります。これを単に鳩山総理がドムニツキーと会うだけで日ソの問題は解決すると考えるところに、非常に甘さがあると思うのであります。     〔大橋(忠)委員長代理退席、委員長着席〕 また防衛分担金の削減問題につきましても、総理は約二百億の防衛分担金の削減を実現して、これによって生まれた金を住宅の建設とかあるいは社会保障費に向ける、こういうふうに公言をしておりますが、そのために防衛分担金の交渉もなかなかうまく参らぬという実情であります。こういうふうに総理が事態をきわめて甘く考えてやられる結果、いろいろの問題が起きると思うのでありますが、今後総理はこういう問題についてはもっと真剣に研究をされ、そうして事態を甘く見ないようにお願いしたいと思うのであります。  次に伺いたいのは、鳩山内閣のやっておるところを見ますと、国家の運命に関する外交を内政に利用せんとしておる傾きがあると思うのでありますが、この点について総理のお考えを伺いたいと思うのであります。
  39. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 外交を内政に利用するというようなことはいたしません。どうか外交を政争に利用しないようにしていただきたい。(拍手)
  40. 北澤直吉

    ○北澤委員 ただいま総理から非常に心外な御答弁を承わったのでありますが、根本官房長官は選挙中に、日ソ交渉は選挙に非常に有利であるというふうなことを新聞記者に語っております。また今回の分担金削減の交渉につきましても、内政上の理由からこれを急いで、下準備もなく無理やりに突然外務大臣の米国訪問を決定したというふうに私は思うのでありますが、こういうふうに政府はこの外交問題をむしろ政府の方において内政に利用しておる、選挙に利用しておるという証拠が歴然としてあるのでありますが、もう一ぺんその点についての所見をお尋ねしたいと思うのであります。
  41. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 先刻答弁いたしました通りであります。
  42. 北澤直吉

    ○北澤委員 ただいままでの総理の御答弁はきわめて不満足でございます。従いましてこういう御答弁でたいと私どもが納得しましても、全国民は納得しないと思います。     〔「君が納得しないだけだよ」と呼び、その他発言する者多し〕
  43. 植原悦二郎

    ○植原委員長 静粛に願います。
  44. 北澤直吉

    ○北澤委員 現在のように日本の外交関係が非常に重大な段階に入っており、しかも一番大事な日米関係、日ソ関係、中共関係あるいは東南アジア関係におきまして、重要な外交問題がほとんど解決されないままで残っております。第一次鳩山内閣ができましてから相当の日時がたっておりますにもかかわらず、こういう問題が何ら解決されずに今日まで残っておるということは、私どもは今の鳩山内閣の外交がその場限りな場当りの外交であり、閣内においてはいわゆる外務大臣心得がたくさんおる。重光外務大臣の背後に鳩山総理、杉原防衛庁長官、あるいは一萬田大蔵大臣、高碕経審長官というような外務大臣の心持の人がたくさんおる。従って政府の外交に関する方針がばらばらであります。のみならず、きのう言ったことときょう言ったこととの間に一貫性がない、前後撞着が多いのであります。こういうことが信を内外に失っており、その結果こういうふうな事態に相なったと私は思うのであります。  これ以上質問しましても総理のお答えは大体想像がつきますから、私はこれで質問を打ち切りますが、私の方は今の鳩山内閣は日本の外交を担当する資格が不十分であるということを警告しまして、私の質問を終ります。
  45. 植原悦二郎

    ○植原委員長 森島守人君。
  46. 森島守人

    ○森島委員 私はアメリカ政府が重光外務大臣の渡米を拒絶した問題を中心としまして、二、三点重要な外交問題について総理並びに外務大臣の答弁を求めたい、これによって政府に深甚なる注意を喚起せんとする次第であります。  第一に、外務大臣の渡米拒否に関しましては、四日の正午に政府発表が出ております。これによって大体の経過は承知することができたのでございまするが、この渡米拒否ということに関して外務大臣並びに総理大臣はいかにお考えになっておるか、この点を第一点として伺いたいのでございます。
  47. 重光葵

    ○重光国務大臣 私は日米関係を、内閣の決定をいたしました方針、すなわち日米の関係を円満に、協力関係を一そう親密にしていきたいという方針、これは日本の敗戦後すでに国家の方針としてそうきまっておると思う。敗戦後の日本を立て直していくのにはどうしてもこの方針、しかしそれは何もアメリカの援助ばかりを懇願するというばかりではなくして、日本の自主独立のりっぱな国家を建設するために米国との協力は基礎的に必要である、これが外交の基調であるということを内閣も決定をしておるし、それはまた国民的の方針であろうと私は信じます。そこで、さような方針で働いておりますのに、お話の通りにいろいろな、これはそれに対する故障もあり、困難もございます。しかしそれを少しでも少くし、少しでもこれに打ち勝ってりっぱに了解を遂げていくことがその基本方針を遂行するゆえんだ、こう思っておるのでございます。私はそのいわば国民的意思を代表するつもりで、唐突ではございましたが、しかし次の議会の始まる前に私の力の及ぶ限りにおいて私はそれを努力いたしてみたい、こう思って私はこの渡米ということを決意したわけでございます。しかしその渡米につきましては、先方の都合も聞かなければなりません。先方の都合を聞いて、そうして用意のできたところで行かなければなりません。いかに急いでも、その手続がとられなければならぬ。その決定をいたしましたその日にアメリカ大使に会見をしてその手続を進めたわけでございます。その結果は発表に相なりました通りでございます。しかし私ども――私どもと申しますか、内閣、政府と申しますか、また鳩山総理と申しますか、その米国に対するさような気持は十分向うに徹底したことは事実でございます。従いまして今は都合が悪いけれども、その都合のつき次第それは歓迎するところだという、事をわけた返事があったわけであります。さようなわけでありますから、今後におきましてもあらゆる機会を利用して、この日米関係の増進ということについては抜かりなく努力していきたい、こう考えております。
  48. 森島守人

    ○森島委員 ただいまの御解釈によりますと、これは延期をしたのだという御解釈のようでございまして、私は北澤君のようには、日本に対する非常な侮辱だとは考えたくないのであります。しかし政府の非常な不手ぎわで非常な失策であったということは、何人も肯定しておる。そのために、今後の重光外交といいますか、鳩山外交といいますか、私は合せて二人三脚の外交と言った方が一番いいと思いますが、この外交に対して国民に不信の念を植えつけたことは、争うべからざる事実である、こう確信しておりますが、その点についての総理の御感想を承わりたい。
  49. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私は重光君と意見の違ったことはほとんどないのであります。このたびの派米問題につきましても、二、三の閣僚の間から、この際アメリカに人をやって、日本の基本方針及びソ連や中共との国交を正常化せんとする希望について、一応説明しておく方がいいだろうという話が出まして、重光君も私も全く同意見で、それで二人三脚の外交をやったわけではないのです。たまたまあまりに自然休会を利用しようという気分が濃厚であったために、非常に急いだので、アメリカも忙しいからして、少し延ばしてくれという断わりに接したわけでありますが、こっちで急いだのも理由があるわけでありまして、それでやむを得ない結果になったと考えております。
  50. 森島守人

    ○森島委員 ただいまのいろいろ御答弁がございましたが、重光外務大臣がアメリカに行くことにつきましては、外務省の事務当局の間でも、米国側の承諾を取りつけることは困難であろうということが予想されておりました。それからもう一つは、政府発表と思いまするが、アメリカ側においては、重光外務大臣から言って来た事件については、緊急性のあるものとは思えないということをアメリカ側で発表しておるのでございます。これは政府当局談としてUP電が伝えております。ところがアメリカ側では緊急性を認めない、こう言っているのに、自然休会中といえども急いで重光外務大臣を急遽渡米させるというについては、特殊の理由、これをうなずけるだけの理由がなければならぬと私は信じております。この点について何らか総理のお答えになった以外に問題があるのじゃないか、こう信じておりますが、この点に関する外務大臣の御答弁を伺いたいと思います。
  51. 重光葵

    ○重光国務大臣 私の渡米せんとした目的は、日米の一般関係、各種の問題を洗いざらいに時間の許す限り話してみたい、こう思いました。ただし急いだ理由は、今お聞き及びの通り、総理から御説明の通り、自然休会、これはわずか二週間しかございません。というのは、予算の提出の予定もきまっております。そこでその二週間の間にアメリカに行くには、これはよほど急がなければなりませんので、そのために急いだわけでございます。急いだといっても、きまってからすぐこれは申し込んで、そうして向うの都合が十分つかないということがはっきりした、そういう手続に相なったわけでございます。
  52. 森島守人

    ○森島委員 政府は政府発表の中で、特に難航中の防衛費の折衝を急速妥結に導きたいということを言っておりますが、私は本予算編成の関係から、政府が今窮地に立っておる防衛予算の問題がほんとうの渡米の目的ではなかったか、こう信じておるのであります。あとの日ソ交渉、中共との問題等のごときは今一日を争う問題でない。政府としても選挙当時には、今にもできるような宣伝をなさっておったが、その後は杏として音さたのないような状態である点から考えましても、防衛予算の問題がほんとうの渡米のねらいではなかったか、こう存じますが、その点に関する御答弁を外務大臣から承わりたいと思います。
  53. 重光葵

    ○重光国務大臣 私の用向きは先ほど申した通りでございます。しかし今防衛分担金のことが当面の問題じゃないかというようなお話でありますが、まさにその通りでございます。しかしこれは東京で交渉をやっております。向うに行って何か役に立つことがあったらそれに触れると思いますが、それが目的で行こうとしたわけではないので、一般の問題を全部一つ十分に意見の疎通を得たい、こう考えておったわけでございます。
  54. 森島守人

    ○森島委員 ただいまの御答弁には私は納得ができないのであります。政府発表の中には、特にという字を書いております。この点から考えましても、防衛予算の問題が真の目的であったということは疑いない事実でございます。私は、政府は内政上の問題に結果の不確定な対外折衝という問題を結びつけておる、この点に今回の不手ぎわをしでかした最も大きな原因があるのだ、こう信じております。これは御答弁を求めましても満足な御答弁はできぬと思いますから、私はあえて答弁は求めません。政府はややもいたしますと、選挙戦に外交問題をもてあそんだという感が非常に深いのであります。対ソ問題もその通りであります。  そこで私は一つ伺いたいのは、中共政府の問題でございます。中華人民共和国、これはすでに中国大陸に不動の権力を確立しております。台湾、澎湖島その他二、三の島を除きますと、中国大陸に不動の権力を確立しておる。この事実を総理並びに外務大臣はいかにお考えになりますか。
  55. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 森島君のおっしゃる通りに考えております。
  56. 重光葵

    ○重光国務大臣 私もそう考えております。
  57. 森島守人

    ○森島委員 そういうふうに私の見ておる通りにごらんになっておるということであるならば、やはり中華人民共和国に対して貿易の拡大ということのみにとどまらず、その事実を率直に認めて、これと国交を回復するということは、これはアジアの問題、極東の問題を片づける最も手近な道であると私は確信しておる。政府は何ゆえに貿易のみにとらわれて、この思い切った政策をおとりにならぬのか、その点につきまして総理と外務大臣の御所見を求めたい。
  58. 重光葵

    ○重光国務大臣 今の御趣旨は貿易の問題ではなくて、一足飛びに政治的にこれを承認しろというようなお話のようであります。それは森島君も御存じの通りに、中国政府として日本の承認している政府は今国民政府になっております。日本だけではございません。アメリカ初め国連の諸国も大部分そうであります。イギリスは違った方針をとっているということも御存じの通り。私は国際情勢が将来この点をめぐってどう変るかということは今予言はできぬと思います。国際情勢が非常に転換をして、そして国連を初めこれらの諸国がまた態度を変えるというような大きな国際情勢になって参りますと、それはそのときに日本の態度も決定し得ると思います。今、日本だけが、まあイギリスもありますけれども、日本が今そういうことをするということの時期でない、そう思っているのであります。
  59. 森島守人

    ○森島委員 重光外務大臣のように、老練な外務大臣としてみずから任じておられる方が、中共の問題について将来を予測し得ないということは、われわれ国民として非常に失望せざるを得ないのでございます。自主的の立場から日本の利害関係を打算して、その点から中共の承認は急ぐべきものだ、私はこう信じておりますが、これは見解の相違でございますから、これ以上お答えを求めることは差し控えます。次に私のお伺いしたいのは、鳩山政府の外交はややもすれば二元的に運営されておるという感が非常に深いのであります。例をあげて申しますれば、ドムニツキーの書簡にいたしましても、鳩山さんは一月二十七日、どこか日本橋の民主党の支部大会か何かで、ドイツと同じように直ちに日本に対して戦争終了の宣言がくる。こう公然と発表せられております。しかるには翌日の二十八日には、重光さんはあたかも鳩山さんの言明を打ち消したごとく、これは観測か何かで、これを裏書きする事実がない、こうおっしゃった。しかるにこの間予算委員会の答弁を承わっておりますと、鳩山さんは、ドムニツキーから書類を受け取ると直ちに機を逸せず外務省に回した、こう御答弁になっているのですが、あまりに御両人の答弁が食い違っておる。これを世間にさらけ出しておる。こういうようなことではどうしても一元的に外交を行うことはできないと私は信じております。それのみならず、電光さんは小磯内閣当時外務大臣として繆斌事件というものが起きました。小磯首相並びに現在の自由党の総裁である緒方さんとの間において意見の疎隔を来たして、明治憲法の外交特権、これによって外交は一元的に運営すべきものだと強く主張されたということを私は記憶しておるのでございます。この点に関しまして現在実質的に意見が違うのみならず、もう一つえらいことには、岸幹事長が先月の五日かにアリソン大使を通じてダレス国務長官に民主党の外交政策なるものを手渡しておられるのであります。こうやってきますと、外交がただ総理と外務大臣との間で食い違いがあるのみならず、正当な機関である外務省を通じないで、政党の幹事長、首領連が勝手におやりになるというような印象を非常に強めております。この点につきまして私は答弁は求めませんが、今後の外交運営の上において一元的によくやっていただきたいということを希望せざるを得ない。これは国民一般の支持を得るものと確信しておるのでございまして、この点について私は政府に警告を一つ与えたい、こう存じておる次第でございます。  時間がありませんので、私の質問はこれで終らしていただきます。
  60. 植原悦二郎

    ○植原委員長 松本七郎君。
  61. 松本七郎

    ○松本(七)委員 総理大臣にお伺いすべき問題が山積いたしておりまするが、時間の制約を受けておりますから、おもな問題をかいつまんでお伺い申し上げます。  先ほどからの質問に対する御答弁で、派米についての用向きの内容は、一般的な基本政策をよく了解してもらうため、こういうことでございましたが、アリソン大使を通じて内閣の用向きをアメリカ側に伝える場合に、口頭で伝えられたのか、それとも文書をもってそれを通告されたのか、お伺いしたいと思います。
  62. 重光葵

    ○重光国務大臣 口頭でございます。
  63. 松本七郎

    ○松本(七)委員 先ほど鳩山総理大臣はお互いに言論を慎しまなければならぬということを申されまして、これには私ども同感なのでございまするが、こういう大事な問題を先方に通告される場合に、明らかな文書をもってされて、そうして証拠を残すことによって初めて流言飛語というものを封殺することができるのでございます。それをただ口頭でもってやられるということになりますると、そこにいろいろなそごを来たした場合に憶測が生ずる。政府はそういうつもりじゃないのだ、こう幾ら抗弁しても、世間、世論というものは、ああだこうだといろいろな探りを入れる、ここに不安が生ずると思うのでございますが、この点について総理大臣の見解をお伺いしたい。
  64. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 なるべく外交のことは文書によって往復した方がよろしいと思います。
  65. 松本七郎

    ○松本(七)委員 これは結果はこういうことになりましたけれども、政府としても非常に重要な問題であるから急がれたのだと思うのですが、こういう問題をなぜ口頭でやられたのか。
  66. 重光葵

    ○重光国務大臣 口頭でやることが最も意を尽す方法だと考えました。
  67. 松本七郎

    ○松本(七)委員 それでは私どもは納得できませんが、先を急ぎます。  これを構想された方、この休会中にすみやかにアメリカに重光外務大臣を派遣して、そして諸般の問題について了解を得たらよかろうという考えはどこから出たのか、総理大臣の発案されたものか、外務大臣か、それともその他の方であるか、総理大臣から伺いたい。
  68. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 アメリカに人を派して、そうして日本の真意を伝えた方がいいだろうということは数氏の閣僚から持ち上りまして、だれがそれを最も強く主張したかはわかりません。だれとなくそういう空気ができたのであります。それでまあとにかく外務大臣によく考えて下さい、こういうことを私は言いました。
  69. 松本七郎

    ○松本(七)委員 そういう問題をさらに少しお伺いしたいのですが、その他の重要な問題に差しつかえますから、時間が残りましたらあとでそこをもう少しお伺いしておきたいと思います。  次にお伺いしたいのは、この問題は表面のことは、早く行きたい、しかしアメリカとしてはちょっと工合が悪い、こういう簡単なことのようですが、本質的にはこれは相当重要な問題だと思うのです。と申しますのは、日本の基本的な政策について、すみやかにアメリカの了解を得なければならぬ。そういう事情が日本には鳩山内閣の考えではおありになるわけでございましょう。ところが、それほど日本としては急ぐ重要なことに対しまして、アメリカは都合が悪いからという理由ではございますけれども、一応延期せざるを得なかったわけです。もしも日本政府と同じように、この状態というものをアメリカが高く評価し、重要さを認めておるならば、これは場合によってはダレス長官が、全然会えないような事態になるかもしれぬ、しかしまあおいでなさい、できるだけのことはしようという、もう少し色のある返事のしょうが私はあったのではないかと思う。それをああいうような返事をしてきたというところに、実はアメリカ政府は日本の今日の外交政策、特に鳩山内閣のとろうとしておる外交政策についての評価が至って低いものがあるのではないか。この点を鳩山総理大臣はおそらく誤解だと解釈しておられるだろうと私は思う。そういう誤解があるからこそ、鳩山内閣は代表を派遣してその誤解を一掃するんだ、こういうお考えであると私は思うのでございます。鳩山内閣はこれを日ソあるいは日中の関係の正常化という言葉を使っておられる。まことにこれは正常化でございます。私どもから見る場合は正常化でございまするが、アメリカからこれを見た場合に、果して現内閣が考えておられるように正常化というような受け取り方をするかどうか、私はこれは誤解ではなくて、アメリカは今、日本とソビエト同盟あるいは中国との関係については、総理大臣が考えておられるより以上に神経質なものがあると思う。このことをほんとうに理解しないと、日本の外交を正しい路線に乗せることは私はできないと思う、行き詰まると思うわけでございます。そうしてどうしてもこれは、この前から問題になっておりますように、鳩山内閣は自主外交ということを言っておられまするけれども、果して今後このままの状態で、鳩山内閣が公約されたところの日ソの国交回復が実現できる見込みがあるかどうかということについては、相当大きな難関が出てきたように私は思うのでございます。そこでこの前かう申しますように、戦争終結宣言という問題も私はこの間持ち出したのですが、国民一般の側から今度の問題を見た場合に、どのようなことを注目しておるか、こういう点を一つ内閣に考えていただきたい。それはあの選挙を通じて、鳩山内閣に日中及び日ソの国交回復正常化ということを必ず前進さしてもらえるだろう、こういう期待を持ってながめておったことは、これは間違いない事実だと思います。ところが今日こういう事態、表面は小さいけれども、国民の感覚は鋭い、こういう事態になりましてから、果して鳩山内閣が日ソの国交回復について今後どれだけ積極的に出るかということを私は注目しておると思う。そういう観点から、具体的な問題をお伺いいたしたいのでございまするが、先ほども御答弁のありましたように、日本側はニューヨークにその交渉地を求めた、これに対して以前は、日本の希望するところでよかろうというような返事があったけれども、今日になって、この交渉地はモスクワまたは東京にしたいと言ってきたことはどうも解せない、こういう重光外務大臣の御答弁でございます。そこで私は総理大臣にお伺いいたしたいのでございますが、今アメリカが、日本とソビエト同盟との間の関係について非常に神経質になっていろいろなことを言ってきております。たとえば貿易関係が、中国との貿易が進展するとか、そういうことが進むならばアメリカにあるところの日本の資産を凍結をしなければならなくなるぞというような事実を述べて実質的な警告を発した、そういうふうな事態にあるときに、鳩山さんが日ソの国交回復をやろうとこう言われる。ソビエト同盟としてはよろしいやりましょう、こう申しましても、アメリカが最近のような態度に出てきた場合には、ソビエト同盟としては、どうもそういう国にわざわざ出かけて行って交渉するよりも、モスクワか東京がいいではないか、こう考えるのは当りまえではございませんか。ですから鳩山首相が、一つ握手をしょう、国交回復をしょう、こう言われる。それに乗ってよろしい、やりましょう、こうソビエト同盟は言ってきた。そういう場合に、いや交渉地はアメリカでなければいかぬ、ニューヨークでなければならぬ、こういう主張をもしも日本が固執するといたしましたら、向うに対しては失礼ではございませんでしょうか。そういう点はやはり先方の気持も考えなければ、ほんとうの国交回復の道の乗ることはできないと私は思うわけでございまするが、この点のもう少し思いやりのある配慮を、私は今後は首相に望みたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  70. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 松本君のような考え方もあるわけです。それですからよく考えまして、よく事情も調査いたしまして、そうして善処したいというのが現状であります。
  71. 松本七郎

    ○松本(七)委員 そのような善処をされることを国民は非常に注目して待っておるということを、一つぜひ御記憶願いたいと思います。  それから鳩山総理大臣は、先般の答弁におきまして、原水爆兵器は自衛には必要ないものであるから国内貯蔵はしない、またアメリカもこれを要求しないだろう、こういう委員会での答弁を行われておるわけでございます。またきのうの総評代表との間でもそういう発言をしておられるわけでございますが、そうなるとアメリカの今持っておる原爆というものは侵略用のものだという結論になると思いますが、いかがでございましょうか。
  72. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 日本が持つ場合についての答弁をしたのであります。アメリカは原爆を持つということが自衛のために必要だと思っておるのであります。日本は自衛のために原爆を持つ必要があるまい、こういうように思っておるのであります。アメリカが日本と同様な考え方を持っておるということを言ったわけではありません。
  73. 松本七郎

    ○松本(七)委員 そうなると原爆そのものによって侵略か自衛の武器かがきまるのではなくて、その持っておる国その他の条件によってきまるということになりまするならば、将来においては、やはり自衛のためにも必要な可能性というものは出てくるということを解釈できるわけでございますか。
  74. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 日本は原爆を持っておりませんし、作ることもできません。それですから日本の現状とアメリカの現状とは非常に違うと思います。アメリカはむしろ原爆を持つことによって平和を維持しているのです。ところが日本はそういう必要はないと思います。非常な違いがありますから、アメリカと同様な考え方は日本においてはできないと存じます。
  75. 植原悦二郎

    ○植原委員長 松本君ちょっと、外務大臣は、もう四時十分過ぎで、先刻お話し申した通りの文化協定の調印においでになるのでありまして、そのあとアリソン大使から五時に会見を申し込まれておるそうで、これはどうしてもおいでにならなければならない。だからきょうは外務大臣はこれ以上御出席になれないと思いますから、それを御承知の上に……。「(「アリソンのあと」と呼ぶ者あり)アリソンのあとですか。あとどのくらいかかるかということは、ちょっと予測できないじゃないですかね。それでも、八時でも九時でもいいというになればまた……。(「けつこうです。」と呼ぶ者あり)これはいろいろ外務大臣の時間の御都合ですよ。(「理事会」と呼ぶ者あり)ちょっと静かにお願いします。
  76. 重光葵

    ○重光国務大臣 できるだけ早く済ませるつもりで、そうしてそのときはすぐ御報告申し上げます。その時間は……。そうしてもしおよろしかったら……。
  77. 穗積七郎

    ○穗積委員 議事進行。外務大臣にちょっとお尋ねいたしたいと思うのですが、外務大臣ちょっとお待ち下さい。なるべく早くということでなくて、大体の予定時間を……。
  78. 植原悦二郎

    ○植原委員長 それは無理ですよ。こっちできめるわけにはいかない、相対の話ですから、それは……。(「あとのことはあとのことで話をしたらいいじゃないか」「理事会できまったことじゃないか」と呼ぶ者あり)ちょっと静かに……。それだから、総理はおいでになりますか、総理に対する質問ならば御継続を願えるわけです。それで、もしその間に外務大臣が向うとの会見上、時間をそう言ってこられると思うのですが、それまでの間は総理に質問を継続するか、お待ちになるか。皆さんまたもしここで大勢でお話ができなければ理事会を開いて理事会によってこれを取り扱いたいと思います。
  79. 穗積七郎

    ○穗積委員 外務大臣のアリソンとの会見の予定の時刻はいつから始まるのですか。何時から始まるのですか。
  80. 植原悦二郎

    ○植原委員長 五時からと聞いております。
  81. 松本七郎

    ○松本(七)委員 議事進行。今質問中ですから、私の質問もそう長く時間は、ないわけですから、総理に対する質問だけ終えていただいて、それから理事会を開いて下さい。
  82. 植原悦二郎

    ○植原委員長 それは御異存ないでしよう。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 議事進行。私はこの次に質問する番ですが、私の総理に対する質問だけを終って、外相に対する質問は次に保留しますから、それから理事会を開いていただきたい。
  84. 植原悦二郎

    ○植原委員長 それは御異存ないでしょう。久保田さんの質問は総理に限定されておることだから、その質問が済んでから理事会を開くことに御承知を願いたいと思います。
  85. 松本七郎

    ○松本(七)委員 総理にもう一つ伺っておきたいのは、私どもお互いに民主政治を育て守るということについては、非常な関心を持っておるわけでございますが、今日の事態から考えてみますと、非常に外国との関係を解決しなければ打開できないような国内問題というものが今ずいぶん多いわけでございます。従いまして、外交問題を政争の具に供するなどはいいますものの、これはやはりいろいろな問題に関連して参ります。従って何一つ、経済を確立するにしてもお隣の国の貿易の問題だとか、それをやるには国交回復の問題だとかが出てくるわけでございますけれども、それについて今までの選挙に対する政党の公約というもののやり方について、われわれは十分考えてみなければならぬ問題が今日出てきておるじゃないか。それは、今回問題になっております防衛分担金の問題にいたしましても、鳩山内閣はこの選挙に臨むに当りまして、この分担金を削減して、そうして民政安定費にこれを回すということを公約されておるわけでございます。ところがその結果が問題なんです。努力は認めますよ、皆さんの努力は十分認めるわけでございますけれども、その結果において、結局外国の関係その他でこれが行き詰まりにぶつかる、壁にぶつかるというような今日の事態を考えますると、政党が選挙に際して公約を掲げる場合に、よほど注意をして公約を掲げなければならないのじゃないか、国交回復一つにしてもそうでございます。有権者が受け取る場合には、すなおに受け取るのでございます。そうして受け取って、選挙が終ったあとでいろいろな問題が出てきてこれが思う通りにいかないという事態になりますと、これは、民主政治がだんだん信頼を失うおそれがあると思うのでございますが、こういう点についての基本的な総理大臣の考え方をこの機会に伺っておきたいのであります。
  86. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 政党に対する国民の信頼を失わないように、われわれはできるだけ努めなくてはならないことは御同感でございます。それをどういうふうにしたならば実行できるかというわけでありますが、これは、外交問題も結局は国内問題とも関連する、国民と約束したことは、外交問題にしてもこれの成功を期さなくてはならないことは、これもおっしゃる通りであります。そういうように、努力はいたしますけれども、相手が承知しない場合においては、やむを得ませんから、そのときは、内閣は内閣としての責任を考えるより仕方がないでしょう。
  87. 松本七郎

    ○松本(七)委員 そこで、今後の日ソ国交回復の見通し、今日のような事態を考慮した上での見通しを明らかにしていただきたいと思います。
  88. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私は、アメリカとの間に誤解はないものだと思っているのですが、(「それならなぜアメリカに行くのだ」と呼ぶ者あり)しかし、誤解はないと思っておりますけれども、われわれがどういう考え方をして将来の政治をやっていくかということについては、やはり了解を――話しておいた方かいいと思うことかたくさんあるものですから、それで行った方がいいと思ったのであります。
  89. 松本七郎

    ○松本(七)委員 どうも対米関係というか、そういうところに対する認識が甘いように感ずるのですが、今後国交回復あるいは対米外交を打開していくのには、鳩山総理の心身の状態では無理じゃないかと私は思うのですけれども、この際、御引退される御意思はございませんか。
  90. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 ただいまのところ、ございません。
  91. 松本七郎

    ○松本(七)委員 これは、外交問題で相当大きな問題が次々に出てきて、やがては不信任案でも受けなければならない窮地に内閣が立つのじゃないかと予想しているのでございますが、そういうものもあくまで受けて立とうという御決意がございますか。
  92. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 もちろん持っております。
  93. 植原悦二郎

    ○植原委員長 久保田豊君。
  94. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 私は、重光外相の渡米プランがアメリカから拒絶されたということに連関いたしまして、嶋山内閣の外交政策の基本点について、二、三総理大臣にお伺いをいたしたいと思うのであります。  ただいまの総理並びに外相の、この問題に対する解釈を聞いておりますと、きわめて楽観的であります。軽く見ておられるように思う。拒絶はされたが理解は非常に深まったというふうな外相の御答弁であります。私どもは、国民の直観で、そんなふうにこの問題を軽く見ておりません。一言で申しますと、これは鳩山内閣の外交方針が今日大きな転換の関頭に立っておるものと私どもは理解をいたしております。私は今度のような問題は、自由党の吉田内閣なら起りっこないと思います。それは御承知の通り自由党は向米一辺倒でありまして、アメリカの言うことばかり何でも聞いておる。こういうことでありますから、こんな問題は起りっこない。ところがこれに対しまして、国民から大きな平和の要求が起きて参った。その方向は、内容は中ソとの国交調整をしようということ、MSA再軍備に対しましてある程度の解決を少くとも今日の段階において求めようとすること、この国民的な大きな要求、これが御承知の通り吉田内閣を倒し、今度の選挙で自由党を負かしたのであります。この国民的な立場を鳩山さんはほんとうにやる腹か、選挙に勝つためかは知りませんが、いずれにしてもこの点を取り入れて、従来の向米一辺倒の対米従属の政策とこれとを両建で持っていこうとした。しかもその結びつけのやり方というものが、きわめて内容が不十分であり、準備が十分でなく、あいまいであった。首相もまた外相も、対米関係を強化することが日本の鳩山内閣の外交方針の基調である、そのことと中ソとの国交調整というものは少しも矛盾をしない、こういうことを常に言ってこられ、今日もそう言っておられる。ところが今までの過程におきましても、これらに対してアメリカの反応は必ずしも鳩山内閣と同じではない。たとえば中国との貿易がやや軌道に乗ろうとすると、御承知の通り資産凍結の問題とか、あるいはマッカラン法のあれだとかいうふうなことでやってくるとか、そのほかいろいろな点で、われわれの目には、この問題に対する鳩山内閣の外交方針について、アメリカは陰に陽にすでに行動において妨害に出ておると見られる節がたくさんある。そのアメリカの出方に押されて、選挙中は鳩山内閣が勇敢に中ソとの国交調整をうたい、中国との貿易再開をうたっておったのが、選挙後になってくるとだんだんかすれて参った。しかも国民の大きな平和的な要求に押されて、御承知の通りソビエトとの間にも国交回復の協定を始めなければならぬ、中国との貿易協定を少くともやらなければならぬ。さらにMSA再軍備の問題についても、国内の経済問題や選挙に対する公約からして、どうしても防衛分担金の削減というふうなアメリカの好まない方向に、国の政治、外交を持っていかざるを得ないようになった。これは国民の大きな要求とアメリカの要求との一つの矛盾が出て参ったものと私どもは思う。これに対しまするアメリカの全面的な、婉曲な、いわゆる反対的な拒否というのが、今度の重光さんの渡米計画の拒否というふうな形になって現われたものと私どもは理解をしております。つまり今日鳩山外交の中に巣を食っております吉田的なコースと国民的なコースのいずれに重点を置くかという、この点を明らかにするように迫られたことが、今度の渡米プランの拒否という問題だと私どもは理解しておるが、(「拒否ではない。」と呼ぶ者あり)これは延期でも拒否でも同じこと、これは鳩山さん自体がもう絶望だと言っておられる。一応断念をすると言っておられるし、重光さん自体がもう計画はやめにしたと言っておられるが、こういう点から見て同じであります。鳩山首相の問題についての基本的な考え方、観測は、どんなところにあるか、一つ意見な聞かせていただきたい。
  95. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私はアメリカの国民でも、それこそどこの国民でも、世界第三次大戦の起らないことを熱望していると思っているのであります。ソ連や中共と国際関係を正常化して、貿易の増進をはかりたいというのも、それに原因をしておるわけでありますから、世界大戦のないようにしたいというわれわれの希望、われわれの努力をアメリカが賛成しないはずはないと思うのです。アメリカが幾ら軍備をよけい持っていても、戦争を欲しているはずはないのであります。戦争のないようにするという努力が(「それが甘い」と呼ぶ者あり)甘いことはないでしょう。これはだれもかもそうだろうと思います。そのために努力をしておるのだということが理解できれば、私はアメリカだって日本の進む道を妨害するはずはないと思います。中共との貿易についても、これも理解さえしてもらえれば、そんなに極端なワクを置いておくはずはないと思うのですから、アメリカとの国交についてもっと協力関係をもう少し現実に表わしていってわくをはずしてもらいたいという希望を持っているのであります。これらの話も、話のしようによっては、わくをはずすくらいはできないはずはないと思うております。
  96. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 これは鳩山さんの善人ぶりをそのまま現わしたものであって、きわめて甘い観測であります。アメリカの対世界政策、あるいはソビエトに対する政策、それを前提とした日本に対する政策がそんな甘いものだとは私どもは考えておらない。しかしこれは見解の相違になりますから申しません。  そこで重光外相の渡米拒否というこの新しい事態に当面いたしまして、今後鳩山内閣はどのような方針で具体的にいろいろな問題を解決していくか、その基本についてお伺いしたい。今度の重光さんがアメリカへ行くということは、今お話のように、決して防衛分担金だけの解決をはかるのじゃない、日本の外交の諸懸案について十分に了解を求めてくるということでございました。ソビエトとの国交調整の問題も、中国との問題も、そのほかいろいろの懸案がたくさんあるわけであります。こういういろいろの問題について、渡米を拒否された今日、そういう、あなたがお考えになり、重光さんがお考えになったようなことができなくなった。このできなくなった段階においてどうして解決をされていくつもりか、それは従来と同じように、今のお話のように、アメリカがこっちと十分腹を割って話をすればわかってくれる、こういうふうな考えでおやりになるつもりか、その後のいろいろな話を聞いておりますと、対米関係を大いに強化するというようなことを言っておられるようでありますが、その対米関係の強化とは一体どういう内容なのか、もっと具体的に――国民が一番心配しているのは、また自由党の吉田内閣と同じようにアメリカ一辺倒になってしまうのじゃないかこれでみな心配している。これはそうでない、どうするのだ、こういう点を明確に御答弁いただきたい。国民が一番心配しているのは、鳩山さんもうまいことを言うが、結局は事のどん詰まりはアメリカの言う通りになって、自由党の吉田内閣の後塵を今までよりなお下手にやるのではないかとみな心配しているわけです。この点をどうやっていくか、懸案の解決の基本的な方針というものをはっきりお聞きしたい。
  97. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 あなたは拒否された、拒否されたとおっしゃいますけれども、拒否されたようには解釈していないのです。あの文章をよく読んで下されば拒否したのではないと思います。時がくれば、よく話し合いができる時期がくるものと思っております。
  98. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 外交文書で拒否になっているか、延期になっているか、そんなことは私どもはよくわからぬ。これは今後の事実を見ればわかると思う。  そこで具体的な問題について、一、二伺うのですが、さっきもいろいろ問題が出ましたが、ソビエトとの国交正常化の交渉の場所についてニューヨークという日本側の提案が向うから体よく断わられた、こういうことでありますが、これは総理といたしましてはあくまでニューヨークを固執されるおつもりか、あるいはソ連側が新しく提案をしておりますように、東京ないしはモスクワあるいはその他の適当な――さっき重光さんのお話では、第三国の場所がいいというふうなお話でございましたが、適当な所を選んでやるおつもりか、これについての御所見を承わりたいと思います。
  99. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私はそんなにかた苦しく交渉地域についてこだわることはないと思っております。よく考えまして適当な地にでもきまれば、それでけっこうだと思っております。しいてニューヨークということを最後まで固執する必要はないと思っております。
  100. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 そこでもう一つ、ソビエトとの国交正常化に対する基本方針ですが、当初鳩山首相は、まず第一にソビエトとの間に戦争終結宣言をして、しかる後に諸懸案解決に入りたいというふうなことを言われております。ところが最近はそうでなくて、まず諸懸案解決、そのうちでも特にヤルタ協定と深い連関を持っております南樺太や千島の問題も含めた領土問題、その他のすべての懸案を解決した後でなければ、戦争終結宣言というふうな方向、あるいはさらにもう一歩進めたある意味においての平和宣言といいますか、平和条約といいますか、そういう方向へは行かない方針だというふうに、選挙前と選挙後とは鳩山内閣のソビエトとの交渉の基本的な態度が一変しておるように私どもは印象を受けております。これがいずれがほんとうであるか、もしあとのような方針をとるとすれば、両国の国交の正常化ということは非常に困難ではないかと考えられる。これについても表はともあれ、アメリカから何かの入れ知恵があったのではないかということがわれわれにはうかがわれる。なぜかというと、ソビエトと日本との国交正常化が問題になって以来、ヤルタ協定の廃止という問題、認めないというようなことをアメリカは特別に言い出しておる。こういうふうな点から見て、これらについてアメリカから何らかの圧迫あるいはサゼスチョンかがあったように国民は印象を受けております。このいずれが鳩山政府のソビエトとの国交調整の基本的な方針であるか、これに連関してアメリカから何らかの話があったのかどうか、この点を一つお伺いしたいと思う。
  101. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私はかってそういうような質問に対してお答えをしたことがありますが、とにかくソ連から来ましたところのノートによれば、国際関係を正常化するということを目標として相談をしたい、こういうことを言ってきましたから、国際関係の正常化を目標としてという以上は、戦争終結宣言をやるという、単にそういうような発表だけにはとどまらないで、もっと具体的の問題を解決する意思がソビエト自体にあると思ったものですから、そういう心持をソビエトが持つ以上は、国際関係の正常化ということを単純に戦争終結の宣言だけにとどめないで、一歩進んで具体的な問題を解決したらばいいだろう、ソビエトからの手紙を受け取りましてからそういうことを私は言い出したのであります。情勢が変化しましたから。そこでよくヤルタ協定とかあるいはサンフランシスコ条約というようなものを委員の諸君が持ち出しまして、南樺太と千島列島との返還までも問題にするのかという質問がありましたから、それは全然問題にしないという意思は持っておりませんというのが私の考え方であります。領土問題として千島諸島及び南樺太を返還してもらわなければ、国際関係を正常化しないという考え方を今私は持っているわけではないのです。そういう事柄はお互いの会議によって相談していったらいいだろうという気持を持っているのです。
  102. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それではソビエトとの関係はその程度にして、次に当面の防衛分担金の削減交渉問題でありますが、今度の渡米プランの延期といいますか拒否といいますか、これによって防衛分担金の削減交渉がなお一段と困難になったという印象を国民全般は受けておりますが、総理はこれに対してどうお考えですか。
  103. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私は防衛分担金とか防衛庁費の問題がデット・ロックに乗っちゃったというようにまだ考えていません。
  104. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 行政協定の二十五条に基く議事録によると、日本の防衛費増加の場合、分担金の削減が当然行われるということになっておりません。また日本がこれを当然主張するということにもなっておりません。ただこちらからは相談ができる、向うはその相談を受けた場合には考慮するというだけであります。考慮の結果によって、だめだという場合は、日本側としては全然処置がないわけであります。そういう点を十分御考慮になり、さらに今まですでにアメリカのそれぞれの責任者が来て、防衛分担金については削減は困るということを言っておる。また削減をするという場合でも、御承知の通り九百億の防衛庁費を組まなければいけない、それを超過したものについて半分だけ削減しいやる、こういうふうな意向も向うから非公式ながら伝えられているやに聞いておりますが、この防衛分担金の交渉は今後も非常に私どもは困難だと思う。そこでお聞きしたいのは、この防衛分担金の二百億削減ということを、アメリカが承諾いたさない場合には――鳩山首相としましては、今まで二つのことを言っておられる、この防衛分担金を二百億近く削減して、そうして社会保障費その他に回すということと、最近の三十一日の外務委員会におきまする石野議員の質問に対しましては、かりに削減ができなくても、防衛分担金と防衛庁費を含めて、両方入れて二十九年度のワク内におさまれば、これは公約を実行したことになる、こういうふうな答弁をされておりますが、国民はこういうことでは納得ができません。防衛分担金の削減がもし不可能な場合においては、防衛庁費をそれだけ削っても社会保障その他に回すという公約を実行されるか、あるいは三十一日の外務委員会におきまするような、両方のワクに入ったらば、これで公約実施ということでまずがまんしてもらうというふうなお考えか、このいずれかを最後にお聞きいたしておきたいと思います。
  105. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 ただいまこの問題はアメリカ当局と交渉中でありますから、ただいま言明を避けたいと思います。
  106. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 もう一点、この防衛分担金の問題を通じて、行政協定、安保条約でアメリカは、間接というよりはむしろ直接に日本の防衛計画に発言をし、干渉をする条約上の一つの権限を持っていると私どもは見ております。こういう際に、首相はこの前の国会におきまする答弁において、防計画ないし防衛費の問題は、本来日本が独立した以上、これを日本独自の立場でもって解決すべきものであって、アメリカからとやかく言うべき筋のものではないというようなことを言っておりますが、そういう御解釈で、この行政協定なりあるいは安保条約なりの結ばれた中で、しかもこの条約を尊重されるという基本的な態度の上で、いわゆる防衛計画なりその他これに連関しまする内政上、外交上の自主性というもの、自主外交というもの、あるいはそれに連関する平和外交というものが、私どもは鳩山内閣によって実行されるものとは考えられない。どうしても鳩山内閣が平和外交を実行し、あるいは自主外交をほんとうに実行するという以上は、国民と一体になって、少くとも最低限こういう点に対しまする行政協定なり、あるいは安保条約の部分的な改訂というものを企図すべきものだと思う。この決意がなくして自主外交も平和外交も私はないと思う。この点に対する首相の御見解、並びにもし御決意があれば聞いておきたいと思います。
  107. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私はそういうような安保条約だの行政協定を変改せずして自主外交をやっていきたいと思っております。
  108. 植原悦二郎

    ○植原委員長 これにて暫時休憩をいたします。     午後四時四十一分休憩      ――――◇―――――    午後五時十四分開議
  109. 植原悦二郎

    ○植原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。これより質疑を継続いたします。福田篤泰君。
  110. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 先刻来の総理または外務大臣の御答弁を伺っておりますと、私ども国民の一人といたしましてもまことに納得し得ないのでございます。今度の現内閣が演じました外交上の大失態というものにつきまして、国民はあげて失望と怒りに包まれておるのでありまして、この点につきまして、時間がありませんから、具体的な点について政府の所信を、総理外関係閣僚から明快に御答弁いただきたいと存じます。  まず一つ伺いたいことは、澤田大使がニューヨークにおきまして、ソボレフ・ソ連代表から、今度問題になりましたドムニツキーのもたらしたソ連政府のいわゆる回答、これを澤田大使は外務省の本省に対しまして、いわゆる館長符合扱いという最高級の暗号で通知してきております。にもかかわらず、同時にニューヨークにおきまして、この事実を新聞記者に語ったということにつきまして、私はこれは大きな手落ちであると思いますが、これに対してどうお考えになりますか。
  111. 園田直

    ○園田政府委員 今の、澤田大使から外務省に電報を打ち、同時にニューヨークで新聞記者に発表したという正式なことは、私聞いておりませんので、ちょっと即答いたしかねます。
  112. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 官房長官にお伺いしますが、あなたは四月一日の閣議のありました夜、新聞記者団に対しまして、閣議で決定した重大な事項、すなわち重光外務大臣をアメリカに派遣する旨をあなたはお話になっておりますが、これをお認めになりますか。
  113. 根本龍太郎

    ○根本政府委員 私は記者団会見で、重光外務大臣を派遣することになったという閣議決定は、申しておりません。
  114. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 官房長官にはっきり、もっと正直にお答え願いたいと思います。私どもはこれは幾らでも例証をあげられる。あなたは八時四十分に、ある新聞記者の方から、この問題はある閣僚から聞いたという根拠で聞かれまして、あなたははっきりお話しておりますが、この問題については、あなたはやはり全然発表しなかったとお答えになりますか。
  115. 根本龍太郎

    ○根本政府委員 記者会見におきまして、外務大臣が派遣されるといううわさがあるかどうか。それは前からそういう構想もあったのでありますけれども、当日の閣議において、それを決定したことはございません。しかし外務大臣がそういう構想を持っているということは、否定はいたしておりません。
  116. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 大体あなたはそれをお認めになりましたが、問題は、その四日一日の重大な閣議の決定につきまして、内閣のスポークスマンである官房長官として発表したことは、きわめて不謹慎であったと思うのであります。同時に、これは外務省も非常に心配しましてあなたと相談した。そのときのあなたの話は、公式の発表じゃないというふうに持っていかれました。というのは、公式の発表となれば、これはダレス長官に対する一種の面会の強要になる。また非公式といたしましても、これは機密漏洩になりますが、あなたはどういう気持で話されたか、この点もう一度お答えを願いたい。
  117. 根本龍太郎

    ○根本政府委員 ただいま申し上げたように、私はそういう発表はいたしておらないのです。外務省の方でそういう話があるかどうかと聞かれたのでありますが、それは閣議は決定しておりません。ただ外務大臣にはそういう構想が前からいろいろあったのでありまして、構想そのものについては否定していないのであります。まして外務省から私に対して抗議が来たということは、全然ございません。
  118. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 しからばいずれ適当な機会に、あなたがきょううそをつかれたことにつきまして責任を追及しますから、この点は留保いたします。  それから、これは条約局長がまだおいでになりませんから、総理大臣は英語に御堪能でありますから、総理大臣からお答え願います。  それは、今度の日ソ交渉は、こちらのニューヨークの開催希望もすげなくけられたということは結果において明白であります。この点について私は本会議で質問申し上げまして、日本政府は、きわめて甘い観測を持って、すでに交渉地はニューヨークだと了解しておった、きまったというようなことを事実発表せられておりますが、この点について原文を見ますと、第二回目のソ連側から持って参りました原文には、プリペアード・ツアグリーと書いてある。すなわちニューヨークにしたいという日本側の提案について、同意する用意があると言っているのでありまして、決して同意とは言っていない。それをあなたは、これは同意だと早合点いたしまして、それを軽々に発表した。従ってきょう発表を見ましたような、ソ連から突つ放されるようなきわめてぶざまな結果になったのでありますが、これについて総理大臣は軽軽だったことはお認めになりますか。
  119. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 日本の好むところの場所において会議をするということを重光君から聞いておりました。同意したということを……。自分の好むところでよいということをソ連は言っておるということを……。私はそのプリペアード・ツー・アグリーという文字は見たことはないのです。見ませんけれども、外務省から、重光君であったと思うのですが、会議する場所は日本の好むところでよいということを言ってきたというように聞いておりました。
  120. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 そうなると、これは重大な問題です。重光外務大臣が、もし今総理が言われたように、日本側の希望開催地であるニューヨークに同意したときめてよいということをあなたに報告したとすれば、これは重大な外務大臣の失態になります。これは、原文にもはっきり書いてある通りに、私も警告を発しました通りに、決して向うは同意していない。同意する用意があると言っておるのでありまして、そこにソ連側としては幾らでも自由な手を打ち得る幅が残してある。従って、かりにあなたが今おっしゃいましたように、重光外務大臣が、ニューヨークで承知した……。
  121. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 ニューヨークで承知したとは言いません。日本の好むところでいいということに同意した。それからニューヨークということを言ったのでしょう。
  122. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 そうするとニューヨークになりますな。――これは非常に重大な問題であります。もう一度はっきりお答え願いますが、外務大臣の重光さんからあなたに、日本の希望するところでよいという報告があったわけですね。
  123. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 そういうように聞いたと記憶しております。
  124. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 これは、重光外務大臣に対する質問の権利を留保しますが、同時にこの問題は非常に重要と思う。あなたが本会議でも、また委員会におきましてもはっきりと言われたことは、ソ連側もニューヨークでいいと言っておるし、われわれはニューヨークでやるのだとこういとで、それははっきり記録に載っております。ところが向うの二回目の文書においては、くどく申し上げるようでありますが、決して向うは同意していない。同意する用意があると言ったのでありまして、もしあなたが言動を慎しまれて、慎重にこの外交文書を検討されたならば、ソ連側は同意する用意があるようであるということを言われるべきであります。それを軽々に、ソ連が同意したと早合点したというところに重大な手落ちがあると思いますが、この点だけは、はっきりお認め願いたいと思います。
  125. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私は、手落ちがあったと思わないのです。
  126. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 まことに驚き入った御答弁であります。一国との間の国交調整という、いわば国運に関する重大な問題を取り扱う最初の出発点である開催地の外交文書の解釈について、政府は非常に重大な誤謬があるにもかかわらず、これを手落ちと思わないと言うに至りましては、これを全国民はどういうふうに解釈するか。まことにその考え方の甘さ、またその強弁につきましては責任を追及せざるを得ないのであります。先ほど来同僚委員からも、この問題については、日ソ問題についてもあるいは日米問題についても、最近の現内閣の外交の失態は、まさに一鳩山内閣の恥ではなくて、八千万同胞の恥であるとまで言っておるのであります。それについて総理その他は恥と思わない――もともとこのいわゆる国辱の問題については、恥に対する感受性の問題であって、いわゆる恥に対する感受性がきわめて低いために、何とも思わないとおっしゃるならば私は何をか言わんやでありますが、今この重大な外交文書の解釈につきまして、きわめてあいまいな御答弁をせられ、見ようによりましては重光外務大臣に責任を転嫁せられるような言葉につきましては、きわめて遺憾とするものであります。  それからもう一つお伺いしたいことは、AA会議の話が持ち上りまして、重光全権が一応行かれるとか行かれないという問題があった。これがいろいろな御事情で行かれなくなって、そのあとで遣米特使の問題が起って、そこで重光さんが四月一日の閣議でおきまりになったようであります。こうなると、政府が言っております十五日の本予算の提出と考えますと、ワシントンに滞留いたしまして、ダレス長官と重要な、先ほど来御説明がありました日米間のいろいろな問題を話し合うには二、三日か、せいぜい四、五日しかございません。こういうわずかな時間で、あなたは総理大臣といたしまして、果してりっぱな話し合いができると思うかどうか、その成果を御期待になりましたかどうか、この点もお伺いしたいと思います。
  127. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私は、数日の間に日本の主張すべきことをアメリカに通告する、だけでもいいと思っておりました。
  128. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 今アメリカに通告という言葉を使われましたが、たとえば今重大な日ソの国交調整の問題あるいは中共との問題、こういう問題は、われわれはむしろ党派を離れまして、何とかして事前に、最もわれわれと親密関係にあるアメリカと、十分根本的な基本的態度を話し合いつつ、つまらない無用の誤解を避けてもらいたいと、事ごとにわれわれは厳重に政府に警告して参ったのでありますが、これらについて今の政府は、事前にアメリカとの了解あるいは話し合いについて何らの努力を示していなかった。あわててこの遣米特使によって急場をしのごうとした印象を国民は持っておるのであります。果して日ソ交渉の開始前におきまして、アメリカと、まただれと、どこにおいて、どの程度の了解を遂げたか、具体的に御答弁をいただたきたいと思います。
  129. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 どういう心組みでソ連や中共と国交調整をしたいと思うかということを、アメリカに話しておく必要があると思ったのです。
  130. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 その必要を、いわゆるドミニツキーのような不明確な人と話し合う前に、開始前にアメリカといつどこで、どういう形でお会いになったか、それをお伺いしたいのです。事前にお会いにならなかったのですか。
  131. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 事前に会いません。
  132. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 日ソ交渉というような、思想的に見ましても、また政治的に見ても、その国際性から見ても、きわめて世界の注目する重要な問題について、あなたは事前にアメリカと何らの話し合いもしなかった、こういう御答弁でありますが、これはまことに驚いた無責任な御答弁であります。私どもが常に言うように、アメリカとの協調ということが日本の外交政策の基本であることは、あなたもしばしば言明された通りであります。これが事前において何ら連絡をしなかったということを、この委員会におきまして私は非常な驚きを持って伺ったわけでありますが、しからばお伺いします。たびたびこの国会を通じまして、総理並びに重光外務大臣が言われておりますことは、アメリカとの協調、これが日本の外交の基本であると言われておりますが、これを再確認していただきたいと思います。
  133. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 その通りであります。
  134. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 総理はこれを率直にお認めになりました。その通りだと思いますが、しからば、先ほど来自主独立外交という言葉が軽々に使われておりますが、私どもは、自主独立外交というものは、自主性をあくまで保持しながらも、しかも重要な交渉相手につきましては、その国の対日政策を慎重に検討し、正確にその要望を把握するにあると思います。そうするならば、現在アメリカが日本に対してどういう基本的な対日政策を持っておるか、これについてどういうお考えであるか、ごく簡単に結論をお伺いしたい。
  135. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 ちょっと聞き漏らしましたが、最後を何とおっしゃったのですか。
  136. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 アメリカが現在日本に対し要望しておる対日政策の基本問題です。
  137. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 アメリカと協力関係に立つということと、自主独立の外交とは、決して矛盾するものじゃないと思っています。
  138. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 どうも御答弁が全然筋違いでありますが、もう少し具体的に率直に御質問します。私はアメリカが日本に対して考えております基本的な考え方、いわば対日政策の基本というものは二つあると思う。一つは反共の線を堅持することであり、自由国家群として生き抜くことであり、もう一つは日本の防衛に対する熱意に対する期待、この二つと考えておりますが、総理はどうお考えでありますか。
  139. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 日本政府が日本国内において反共政策を維持するということはもとより当然な事柄であります。ただしそれと反共だからソ連とつき合いをしないということとは全く別の問題です。
  140. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 どうも私の質問をそらしてお答えになって遺憾であります。私が申し上げているのは――あなたが反共政策をとっていることははっきりしておる、またしばしば言明されている。従ってその点ははっきりしておりますが、しからば第二の防衛力の増強の問題に対するアメリカの要望、あるいは熱意というものを日本側はどういうように解釈するか、この点をお伺いしたいと思います。
  141. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 防衛力の増強のみによって世界の平和を維持するということは私はできないと思います。防衛力の増強をして、力による平和の維持ということも考えらるべきことではありますけれども、同時にソ連や中共とも国交を調整して、戦争状態終結確定の事態に持ってくるということが、世界の平和のために必要だと思っております。それで努力しておるわけであります。そして防衛力を増強して力による平和の維持をアメリカが考えているということもまた一つの方法ですから当然だと思います。それですから、その力による平和の維持ということにも、日本は平和の維持を欲するために協力しなくてはならないと思っておりますけれども、現在はまだその時期でない、日本の経済状態が非常にこんぱいしているのですから。それですから、自衛力の増強を直ちにやるということは無理なんです。
  142. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 ソ連や中共と仲直りして戦争状態にとどめを刺す、私は非常にけつこうだと思っている。私はそういうことは聞いていない。それは並行的に、日本の基本的態度を変えなくてもできることでありまして、総理の御説明に私は全然賛成であります。ただ私のお伺いしているのは、それがゆえにいわゆる共産圏との接近ということがあっても、少くとも日本の根本的な態度、今おっしゃった反共と防衛力の問題について、あなたがはっきりとアメリカの対日政策を了解されておればけっこうでありますが、もう一度この点をお伺いしたいと思います。
  143. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私はやはり日本の共産党の勢力が伸びることを防ぐためには、どうしても社会福祉の制度をとらなくちゃならぬと思うのです。それですから、防衛庁費というものが幾分形の上で減りましても、日本の自衛力というものは実質的にはふえると思っております。それですから、そういうような点をアメリカが了解をすれば、現実的に防衛庁費あるいは防衛分担金が減りましても、それが福祉事業に使えれば、それがやはり実質的に日本の防衛力がふえるものだ、それで反共の線をいくものだというような考え方をしておるのであります。
  144. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 これは重光外務大臣につきましていろいろ非常にお気の毒なデマも流れ、そのデマがまた政府部内のある高官から不用意に言われているから原因していると感じますので、一言お伺いしたいことがあります。それは今度の遣米特使の問題について、果して重光さんがみずから非常に乗り気で自信満々として自発的に積極的に御希望になったものであるか、あるいは総理からの懇望によりまして、このむずかしい役目を引き受ける決心をせられたのであるか、この点を一つお伺いいたしたいと思います。
  145. 植原悦二郎

    ○植原委員長 福田君に御注意申し上げます。その点はすでに再三質問をされている点で、明瞭に答えられていると思います。
  146. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 それでは最後に一点だけ防衛庁長官にお伺いいたしますが、先ほど来各同僚委員から御質問がさった防衛分担金の問題でありますが、結論だけお伺いをいたします。  今、アメリカ側といろいろ苦心して折衝されており、その御成功を祈りますが、問題はどこを目的とし、ねらいとして交渉されておるか。具体的に申し上げますれば、防衛支出金の五百八十四億それ自体を減らすお考えであるのか、あるいは二十九年度の総ワクである一千三百二十七億はそのままにしておいて、そうして防衛庁経費を何らかのあんばいでやるものであるかどうか、これは防衛庁の三十年度予算で防衛庁経費について九百五十億を大蔵省に要求した。そのときにアメリカの顧問団にちゃんとそれを見せております。そのときにアメリカ側の要望としましては、アリソンの言っておりますことは、九百億をこえた分についてその半分だけ減額を認めてもいいと言っておりますが、そうなりますと、この防衛分担金の削減の折衝につきましても、はっきりどういうねらいで、どこの費目で、そうしてどのくらいを目標にしてやっているか、これを知らないと、いろいろなデマや誤解も起ると思いますから、この点明確にお答えいただきまして、私の質問を終ります。
  147. 杉原荒太

    ○杉原国務大臣 すでにたびたび政府側からも御答弁申し上げておりますように、三十年度の防衛費の総額は前年度のワク内においてということを方針として決定いたしております。そうして福田委員御承知の通り、防衛分担金につきましては行政協定で一定の額を明定いたしております。従って政府といたしましては、これをできるだけ減額する必要を認めておりますが、協定の対象になっておりますので、協議をしなくては、一方的にはやれないことは御承知の通りで、それでできるだけこれを減額するように、事理を尽してせっかく今努力中でございます。
  148. 植原悦二郎

    ○植原委員長 穗積七郎君。
  149. 穗積七郎

    ○穗積委員 時間がありませんので、私は日ソ国交回復に対する政府の交渉の今後の方針について簡潔にお尋ねいたしたいと思いますから、お答えもその焦点に合せてお答え願いたいと思っております。  まず第一にお尋ねしたいのは、交渉を始めますために問題となっておりますのは、交渉地の問題だけになっておりますかどうか。去る二月十六日、ドムニツキー氏から鳩山総理に手渡されました文書によりますと、交渉地の話さえきまれば直ちに交渉に入るのだということを、了承を求めるような内容の文書でもって手渡されておりまして、それを大体政府も了承したものと理解していいわけでございますか。交渉のための事前の解決の問題としては、交渉地の問題だけでございますか。
  150. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 交渉地がきまれば、こちらの申込み、つまり正常化については……。条約局長から話してもらいます。僕は文章を覚えておりません。
  151. 穗積七郎

    ○穗積委員 この問題は条約の解釈の問題ではございません。交渉に入るための政治的な意味でございます。従ってあの向うからの申し入れも、文書は鳩山総理あてになっております。しかも今度の日ソ国交回復に対しまする基本方針をおきめになったのはあなたであり、これを提案したのもあなたの口から常に行われ、ドムニツキー氏の返答もすべてあなたに対して行われているものであって、二月十六日の文書は、交渉地さえきまれば直ちに交渉に入り得るものと向うは解釈して、それをある意味で了承を求めてこちらに文書が来ておるわけです。それに対して、二月二十三日に鳩山政府の正式な回答として澤田大使から向うの代表にニューヨークで返事が渡されておるわけですから、そのことをお尋ねしているのです。条約局長の問題ではございません。
  152. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私あてに文書が来ましたけれども、外務省が取り扱った方がいいと思いましたから、その文書はすぐに外務省に手渡しまして、外務大臣から答えたはずです。私はその文書はちょっと見たくらいです。よく記憶しておりません。
  153. 穗積七郎

    ○穗積委員 それでは条約局長からお答え下さい。
  154. 下田武三

    ○下田政府委員 欧州参事官が来ておりますから、欧州参事官から御答弁願った方がいいと思いますが、欧州参事官は今よく質問を聞いておらなかったようでございますから……。(発言する者あり)仰せのように、交渉地の問題が一番最後まで残っておりまして、日本側は先ほど重光外務大臣から御説明申し上げましたように、ソ連側が東京もしくはモスクワまたはその他日本政府の選ぶ適当な土地で交渉をやる用意があるということでありましたので、当然日本側はそれならニューヨークを日本政府が選ぶのであるから、ニューヨークでやりたいということを澤田大使から申したのであります。それっきり返事が一カ月あまりなかったわけでございます。そこで澤田大使から、先ほど外務大臣も申し上げましたように、交渉の具体的の場所、時日、さらに細目についての意向を問い合せたいという趣旨のことをソ連側に返答しましたのに対し、ごく最近先ほど外務大臣から御説明いたしましたような返事がソ連側から参ったのでございます。でございますから、さしあたり最も大きな問題は交渉地の問題でございますが、交渉地さえきまれば、それなら動き出すかと申しますと、やはり技術的に、具体的に場所あるいは時日、その他の技術的の打ち合せ事項が依然として残るわけであります。
  155. 穗積七郎

    ○穗積委員 ちょっと議事進行で発言を求めておきます。私の質問時間は、持ち時間二十分になっておりますが、政府側が御答弁ができないために時間を空費いたしておりますから、それはどうぞ持ち時間からオミットしていただきたいということをあらかじめ委員長に申し上げておきます。  私は今申されました時日とか場所とかその他に対しまする手続の問題を聞いておるのではなくて、すべて交渉地の問題であります。交渉地さえお互いの合意ができますならば、その交渉は正式に軌道に乗るものと解釈してよろしゅうございますか。
  156. 寺岡洪平

    ○寺岡政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。交渉地のほかに交渉する建物の問題とか、言葉の問題とかいうものがまだ残っております。また同時に時日の問題も残っておりますので、それが片づきませんと本交渉には入れません。
  157. 穗積七郎

    ○穗積委員 それでは確かめておきたいと思いますが、今おっしゃった問題さえ解決すれば、たとえば終戦宣言のみならず、領土の問題あるいは漁業の問題あるいは捕虜返還の問題等の議題について事前交渉をしなければ、正式交渉に入らないという態度をとるわけではないのでございますね。
  158. 寺岡洪平

    ○寺岡政府委員 ただいまの御質問は、実は本会議の前に予備交渉をどの程度やるかということにかかっております。たとえば議題の問題につきましても、あらかじめ打ち合せる方法もございますし、本会議において議題そのものから始めていく方法もございます。従って現在の段階におきましては、まだそこまでいっておらないのであります。
  159. 穗積七郎

    ○穗積委員 鳩山総理にお尋ねいたしておきますが、ただいま伺いますと、交渉地の問題、それに付属します手続上の問題が解決するならば、交渉は大体軌道に乗るものと解釈いたしていいわけですか。従来あなたは向うから終戦宣言さえ行なってくれば、これを受諾して、その他の問題については事後に交渉解決してもいいという態度をとっておられた。ところが重光外務大臣は領土の問題を先にしなければいかぬ。それでなければ、国交回復の糸口であります終戦宣言そのものを受諾することは困難だという意味合いのお話をしてこられた。そこに矛盾があったわけですが、その後あなたは、同時にこの問題は国交回復を目標として、懸案になっておる多くの問題、領土の問題、漁業の問題捕虜返還等の問題だと思いますが、それらを解決しなければ、それらをよく話さなければ、国交そのものの回復はしないというのか、あるいはそれを目標として交渉を軌道に乗せておいて、あとの今言ったような具体的問題については、交渉を軌道に乗せた後にこれを具体的に向うと話し合いをするという趣旨なのか、非常にあいまいになっておるようです。従って今の御答弁で向う側からこの議題その他のことについては交渉委員をあげて入ってから正式に軌道に乗せてからこの話し合いをしようというような総括的な提案がありましたときに、これを拒否するというようなことはないものと解釈してよろしゅうございますね。念を押しておきたいと思います。
  160. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 国交関係を正常化することを目標として国際関係の問題をやろうというのですから、いろいろな懸案は当然議題となるものと思っております。
  161. 穗積七郎

    ○穗積委員 当然そういうことも問題になりましょう。そこでそういう問題について先に向うの返答を聞かなければ交渉に入らないという態度でないと確認して前に進みたいと思います。  こだわるようですが、交渉地の問題はただいま国際政治の中で重要な意味を持っておると思いますが、その点についてちょっとお尋ねいたします。先ほど重光外務大臣、下田条約局長の御答弁によりますと、二月十四日付で参りました向うの返事の中には、こちらで希望するところはどこでもよろしい、すなわちニューヨークでもよいということを向うは了承したのだという解釈をなすっておられますが、その文書を見ますと、これはだれが読みましてもそういう解釈にはなりません。先ほどおっしゃいました二月五日または七日の鳩山総理の、これは選挙中のことですが、政府の声明というものにつきましては、すでにモスクワまたは東京でよろしいということをこの二月十四日の文書の中でうたっております。先ほど重光外務大臣は、そういう解釈ではなくて心外なことであるというような趣旨のことをおっしゃいましたが、そういたしますと、文書をわれわれが読みまして、ニューヨークでもよろしいというような意味をこれに含んでおるのだ、つまり向うは例示といたしまして東京またはモスクワ、総理もすでに二月七日にモスクワでもいい、東京でもいいということを言っておるのだから、こちらも東京またはモスクワ、ともに例示でありまして、東京またはモスクワ等の適当なところでという意味に解釈すべきであって、それ以外のニューヨーク等を了承した文書とはわれわれは解釈できませんが、先ほどのお話だというと、この文書によってソ連側はニューヨークでよろしいと解釈しておられるかに伺いましたが、そう解釈なさっておられるのですか。この文書の他に材料がありますならばお示しをいただきたい。
  162. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 日本の望むところでよろしいようなノートだというようなことを聞いておりました。ですから日本がニューヨークを望むといえばソ連も同意するだろうと私は思っておりました。
  163. 穗積七郎

    ○穗積委員 それはあなたにあてた短かい文書でございまして、ややっこしい文書ではございません。簡単なレターになっておりますが、それをあなたがそう解釈されたことは第三者、すなわち客観的に見ましてあなたの誤解でございます。それに対しまして向うから、ニューヨークでなく東京またはモスクワにしたいと言ったことを心外であるかのごとく解釈されることは、向うの背信であるのか、あなたの文書の読み違いであるのか、いずれと思っておられるか、それを伺いたいのであります。
  164. 寺岡洪平

    ○寺岡政府委員 この二月十六日の手紙にはこう書いてございます。ソビエト政府としては東京またはモスクワにおいて交渉を進めることの望ましきことに関しすでに声明した。しかしこれはネバザレスという言葉が使ってありまして――私はロシヤ語は存じませんが、しかしながら、ソビエト政府は日本国政府が最も適当と考える交渉地に関する提案に同意する用意がある。なおかつわが方の口上書にはニューヨークが適当であるということにつきまして二月五日に出しております。そこでソビエト政府としては、東京またはモスクワにおいて交渉を進めることが望ましいこととうたつていながら、なおかつ日本政府の最も適当と考える交渉地に関する提案に同意する用意があると言っていることは、御説のこととはちょっと違っていると私は思います。
  165. 穗積七郎

    ○穗積委員 私の聞いておるのは結論を聞いておるのです。この文書の交換によりまして、向うの文書にはすでにモスクワまたは東京という言葉が出て来て、こちらからニューヨークという言葉を出しても向うからそういうことを常に言っておる。そこでこの文書をそういうふうに断定的に、先ほど福田委員もプリペアといいますか、用意があるという言葉を断定、確定と解釈するのは早計だと言われましたが、この文書全体から見まして、向う側がニューヨークを承認するであらうと解釈することは、これははなはだしくこちらの早計だと私は思うのです。早のみ込みだと思うのです。にもかかわらず、あなたの今おっしゃったところによると、それは今になってニューヨークではいけないということを言って来ることは、向うの外交上の背信だと解釈されるわけですか。いずれに解釈されるか。それを聞いておるのですから、イエス、ノーをもって答えていただきたいのです。
  166. 寺岡洪平

    ○寺岡政府委員 決して背信というふうに考えておるわけではございませんが、日本政府が出しました二月二十三日の覚書には、日本側として合意が成立したものと認めるという一方的な書き方をしているわけであります。従って向うの意見があれば、これはなおかつこれを交渉する材料にする意味でありまして、何も押しつけることを言っておるわけではございません。
  167. 穗積七郎

    ○穗積委員 それでは今の御解釈によりますと、ニューヨークと確定的に解釈すべき性質のものではなくて、こちらは一応ニューヨークを提案した、それに対して一昨日正式にニューヨークは好ましくないから東京またはモスクワと言ってきたことは、当然な措置でございますね。意外な、心外な措置と解釈すべきではなくて、当然の措置と解釈しておられるわけでございますね。
  168. 寺岡洪平

    ○寺岡政府委員 いや、決してそう考えておりません。日本側としては、ニューヨークについて合意がついたということがほとんど当然であると考えておるからこれを認めたと言っておるわけでありまして、ニューヨークについて反対があるということは非常に意外であります。
  169. 穗積七郎

    ○穗積委員 どうも言葉を持って回られまして、時間だけ空費いたしまして、はなはだ残念でございます。私は今おっしゃったように客観的に見まして、今になって、今までの文書交換を見まして、今ソ連からニューヨークは好ましくないから東京またはモスクワはどうかということを提案したことに対して、これが重大な新しい発言であるということを理由にしてこの交渉を停頓せしめる、または遷延せしめる、こんなばかばかしいことはないと思うのです。交渉いたします以上は、初めから交渉地についてもあらかじめ予定があるはずだし、その交渉地の問題について今提案があったからここで深刻に今までとは違った考え方をしなければならぬという理由は何ら私は発見できない。  そこで、この押し問答しておりましても時間がたつばかりですから、鳩山総理にお尋ねいたしますが、交渉地についてどうしてもニューヨークを固執されるつもりであるかどうか、イエス、ノーをもってお答えいただきたい。
  170. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 先刻条約局長がお話をいたしました通り、日本側がニューヨークと言えばソ連は同意するものとの前提のもとにやった事柄でありますから、どういうわけでソ連の意向がかわってきたかということについては、一応ソ連の意向を聞いてみる必要があると現在私は思っておるのであります。しかし、そういうような事柄についてもよく外務当局と相談をいたしまして、そして決定していきたいと思っております。
  171. 穗積七郎

    ○穗積委員 それでは考慮の余地ありという御意見と私は承わりました。そうでありますならば、ニューヨークを選定した理由は、国連の本部があるとか、あるいは正代式表部が置かれておるとかということが理由になっておりますが、その問題にとらわれておりますというと、実は交渉がいたずらに遷延すると思うのです。ニューヨークはわれわれの考え方では必ずしも適切ではない。日本の外交がアメリカの支配下にある、隷属下にあるという印象は国民に非常な暗い陰をさしております。従って東京またはモスクワが不適当であるならば、第三の地域を選ぶならば、西ヨーロッパであるとか、その他ニューヨークにあらざる地域を交渉の過程において用意されるお気持はあるかどうか、念のために伺っておきたい。
  172. 植原悦二郎

    ○植原委員長 その問題は外務大臣がけさ答えたと思います。はっきり答えたと思いますよ。
  173. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 とにかく現在は決定しておりませんから、現在は研究中でありますからお答えいたしかねます。
  174. 穗積七郎

    ○穗積委員 それではゆとりがあるということに了承して、次にお尋ねいたしたいのは、常にこちらからは澤田大使を通じてソボレフ代表に送り、向うからは常にドムニツキー氏を通じてこちらへ来ているわけで、そのルートを正式なものとして内閣は認めているわけですから、従ってここで交渉をする以上は、やがてその国の代表部を認め、国内にその国の代表部を置くことを認めるわけですから、交渉に入る以上は、東京に置きまする代表部を当然あなたはルートとして認めることは何ら私は差しつかえないと思うのですが、それを認めないで、避けよう避けようとしておられる理由を伺いたいのです。
  175. 植原悦二郎

    ○植原委員長 その点は外務大臣が今研究して考慮して決定するというお答えでしたよ。
  176. 穗積七郎

    ○穗積委員 それではこの問題は外務大臣に答えてもらうようにということですから、次の機会に外務大臣にお尋ねしたいと思います。そこでちょっとお尋ねしたいのは、領土の問題について、千島、樺太等をソ連側が返還をするときに、そこにアメリカの進駐軍の軍事基地を置かないということの条件を求められた場合に、アメリカとの間にそれを交渉されるつもりがあるかどうか。関連してもう一つお尋ねしたいのは、アメリカに対する行政協定の関係上それを確保するためには一体どういう措置をおとりになるつもりであるか、この二点をお尋ねしたいと思います。
  177. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 こういう点は外務大臣が答弁する方が適当だと思います。
  178. 穗積七郎

    ○穗積委員 外務大臣がおられないので、はなはだどうも残念でありますが、時間もありませんから、そういう問題は他日外務大臣にお尋ねすることといたしまして、最後に総理に一言お尋ねいたしておきたいのは、予算編成の問題についてでございます。これは現在の状況、すなわち重光外務大臣の渡米が拒否され、さらに今アリソン大使との交渉が防衛分担金問題を中心にして行われているわけでございましょうが、内閣の予算提出の予定の時期については、大体今のそういう状況をも加味して狂いがないかどうか、大体の御予定を承わっておきたいと思います。
  179. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 政府としては今日でも十五日ごろ提出いたしたいと考えております。
  180. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 議事進行について。先ほど外務大臣はアリソンに会われて、会ったらすぐ何時ごろこちらに着くということの見当をつけてこちらに御通告いただくというお約束でお立ちになっておられますが、何か通告がございましたか。
  181. 植原悦二郎

    ○植原委員長 大臣の会見は六時三十分ごろ終了の見込みということでございます。  時間を制限されておりますから、政府の答弁で明らかになったものはなるたけ繰り返さないようにお願いいたします。戸叶里子君。
  182. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私ちょっと留守をしておりましたけれども、大体どういう質問があったかを聞いているつもりですから、重複しないように二、三点伺いたいと思います。  まず第一に私は外交上必要な国際信義というものに対しい、鳩山総理がいかなる御見解をお持ちになるかを伺いたいと思います。具体的に申し上げてみますならば、鳩山内閣が成立いたしましてから、日ソとの国交回復やあるいは中共の貿易に対して積極的にするという大へんけつこうな発言をせられておりまして、国民は向米一辺倒の自由党の外交に飽き飽きしておりましたから、非常にそれに対して飛びついて、いわゆる鳩山ブームというようなことさえ起きたのであります。ここに至りまして内外からその公約の実現が迫られたと思いますが、まずその一つといたしましてアメリカから今回重光外相の渡米拒否という挙に出たのでございます。これに対しましても今回せっかく日本の政府がアメリカに対しての誠意を示したにもかかわらず無礼きわまる態度に出てきた。それには何かこの鳩山内閣のはったり外交に対して、その国際的な信義というものに不満を持ったのではないか、こんなふうに考えられるのですけれども、この点に対して総理の御見解を承わりたいと思います。
  183. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私はアメリカが拒否したというように考えておりません。アメリカには了解をさせれば正しいことは通るものと思って、将来もつき合っていきたいと思っております。
  184. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そういたしますとアメリカが今回断わってきたということには、私どもから考えますならばいろいろの理由が考えられますけれども、これからの外交技術の問題で、たとえてみますならば今まで自由党の政府のもとにおいて吉田・ダレス書簡とかあるいはそのほかいろいろ日本を拘束しているものがあると思います。これに対しまして当然鳩山さんや重光さんもこれはけしからぬものだとお思いになっていらっしゃると思いますが、こういうものをまず削除して徐々に直していかなければ、決して正常な外交というものができない。たとえば中共との貿易促進ということをおっしゃいましても、それを禁じているといいますか制限をしているような取りきめがすでに行われているのですが、こういうようなものを直していかなければなりません。そこでまずそうした問題を徐々に解決した上で外交を進められるのか。それとも鳩山首相が言われておられますようないわゆる革命的な外交を推し進めようとされるのか、この点を承わりたいと思います。
  185. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 現在アメリカと約束をいたした、たとえば安保条約とかその他の協定の範囲内において、正道を歩きたいと思っておりますが、中共との貿易にはワクのごときは一つ一つはずしていかなくてはならないと思っております。
  186. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと吉田・ダレス書簡というようなものに対しても、これを了解をつけて、そうしてなくしていくようになさるおつもりかどうか、一つの例として承わりたいと思います。
  187. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 吉田・ダレン書簡等の問題につきましては、外務大臣が答弁する方が適当だと思いますから、その方に質問していただきたいと思います。
  188. 戸叶里子

    ○戸叶委員 総理大臣から承われませんので外務大臣がお見えになったときに承わりたいと思います。そうしますと、この今回のアメリカがとりました、私どもから言いますならば大へん侮辱的と思われるようなこの態度に対して、政府は一体どういう気持でいられるか、この点を承わりたい。
  189. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私は拒否されたとも思いませんし、アメリカから侮辱を受けたとも考えておりません。
  190. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そういうふうに鳩山さんがお考えになってしまえば、どうも取りつく島がなくて仕方がございませんけれども、国民は非常にこの点を心配しております。そこで今回アメリカが拒否したその理由は、防衛分担金の削減の交渉がなされるのを全くきらって断わられたということがちまたに伝えられておりますけれども、この点はどうでございましょうか。
  191. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私はどういう事情でアメリカが延ばしてくれと言って来たかはわかいません。
  192. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうするとその防衛分担金の削減の問題が出るのをアメリカがあまり快しとしない、こういうふうには全然お考えにならないのでしょうか。
  193. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 わからないのです。
  194. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それではアメリカが今回延ばしてくれと言ってきたことは何にもわからないけれども、仕方がないからというふうな態度だけでいらっしゃるわけなんでしょうか。
  195. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私は日本としてはアメリカに、日本がこれからどういうような心持で外交をやっていくかということを説明するのがいいと思ったのです。しかし今都合が悪いといえば、一カ月なり二カ月なり待つよりいたし方がないという心持でおります。
  196. 植原悦二郎

    ○植原委員長 戸原里子君に申し上げますが、あなた出席なさっておれば、今まであなたが御質問なさっておることは、大がい答えのうちに含まれております。あなたが委員会に出席しないものだから、多少言葉の角度は違いますけれども、意味はほとんど政府の答弁で今までの御質問は尽きておるように思いますから、どうか一つ御注意を願います。
  197. 戸叶里子

    ○戸叶委員 委員長に申し上げますけれども、ただいまのことを私は同僚の議員や、あるいはまた秘書をわざわざうしろに置いて質問の内容等を聞かせましたが、私が書いてあるものには書いてございませんでしたから、聞いたわけです。  もう一度これを伺いますが、そうしますと、アメリカが今回重光さんの訪米を延ばしたその真意がどこにあるかは全然おわかりにならない、こういうふうに了解してよろしゅうございますね。
  198. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 どういう理由で直ちに面会するのを断わったかわかりません。
  199. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それではもう一点だけお伺いたしいと思います。今回のアメリカの態度によりまして、日本の政府があるいはソ連との国交調整に対して消極的になるのではないかというようなこともいわれておりますけれども、この点はいかがでございますか、積極的にどんどん進めていただけますでしょうか。この点お伺いいたします。
  200. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 アメリカに遠慮をする理由は少しもないと思っております。
  201. 戸叶里子

    ○戸叶委員 アメリカが今度やった態度によって、日本政府のソ連に対する国交調整が消極的になるのではないかといわれておりますが、その点はいかがでございましょうか。
  202. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 消極的になる理由がないということを申し上げたいのです。
  203. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それでは私も積極的にどんどん進めていただけるものと了承いたします。そのほか伺いたいことがございますが、外務大臣がおりませんのでこの次の機会に譲りたいと思います。
  204. 植原悦二郎

    ○植原委員長 田中稔男君。
  205. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 私はなるべく同僚委員の質問と重複しないように心がけてやっていきたいと思いますが、実は先ほどからずっと私聞いておりましたが、首相の御答弁が少し低声でありますために、お話になったことが私の耳に入らぬものも相当あるのであります。その点も一つお含みおきを願いたいと思います。  重光外相がある機会に、日本外交の第一義は対米協調にある、こういうことを言われたのであります。ところで首相にお伺いいたしますが、鳩山内閣の外交方針と、それから吉田前内閣の外交方針とは、どの点において異なっておるでありましょうか。その対米協調と言われる重光外相の言葉は、私どもはこれは結局向米一辺倒の対米外交と同義だと思うのでありますが、それについての御見解はどうでございましょう。
  206. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 お答えをいたします。私は米国に対しては親善関係を保持していく、協力関係を強化していかなくちゃならぬという点は、吉田内閣とあまり変っているとは思っておりません。けれどもそれだけでもって世界の平和、日本の防衛ができるとは思えないのです。それでやはり同時にソ連や中共とも親善関係をつけていく方がいいと思った。自由主義国家群が自由主義国家群だけで仲よくしていこうというような考え方では、戦争を誘発するおそれがありますから、共産主義国家とも、国と国との関係においては、幾ら反共思想を持っていても、やはり国際関係を正常化する必要がある。それに力を入れていきたいと考えておるところが、吉田内閣といささか違っておると思っております。
  207. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 今のお言葉を聞いていささか意を安んじたのでありますが、重光外相の感覚と鳩山首相の感覚とは幾らか違うようです。私はむしろ鳩山首相のセンスを高く評価するものでありますが、その点について少しお尋ねいたします。イデオロギーとしての共産主義には反対であるが、共産主義をもって立国の原理とする中ソ両国とも国交は結ばなければならぬ、こういうお話、けつこうであります。これは結局社会制度を異にする国々の間にも平和的な共存が成り立つという御見解に帰着すると思うのです。これこそわが左派社会党が特に主張しておりますところであり、今度のアジア・アフリカ会議においては、大体こういう線で話が私はまとまるのじゃないかと思う。そうしますと、鳩山首相は、はっきりこの際伺っておきたいのでありますが、社会制度を異にする国家ないし国家群相互の間に平和的な共存が可能であり、戦争を防止することは可能である、このようにお考えになりますか。
  208. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 もちろんそのように考えております。
  209. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 そうしますと、そういう鳩山首相のお考えは、私はアメリカの世界政策、アジア政策あるいは極東政策とは少し違うと思うのです。アメリカは、やはり共産主義をもって立国の原理とする国とは不倶戴天――ともに天をいただかず、何とかしてこいつをたたきつぶしたいという考えを持っておることは、私は露骨にいえばその通りだと思う。やはり中には御承知の通り、原爆戦略をもって予防戦争をやって、中ソ両国の現在の政権をぶっつぶそうというような危険な考えだって軍部あたりの相当の要職の人の間にはあるのでございますが、その点についてはアメリカ政府の現在抱いておる考えと鳩山首相の、社会制度を異にする国家ないし国家群相互の間においての平和的共存の可能性というこの両者の間にはギャップがないとお考えでしょうか。幾らかギャップはあるが、そのギャップは話し合えば何とかわかってもらえるとお考えでしょうか。
  210. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 アメリカにもいろいろな考え方をしておる人はあると思いますけれども、アメリカの多数の国民は、どうにかして世界第三次大戦を避けたいということには一致しておると思っております。
  211. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 確かにアメリカの国民の大多数はそう思っておる。ただ現在のアメリカの政府の、しかも主流の考えには、首相の今のお考えとは違った考えがある。しかもこれがアメリカの今日の政策を決定しておる。議論になりますが、私はこの点についてはたしかにギャップがあると思います。  その次でありますが、福田委員の質問に答えまして、防衛力を増強することは必要だけれども、日本においてはやはり社会保障制度の完備その他のために金を使わなければならぬ。だから軍備だけはやれぬというお話があった。これも私はけっこうなお話だと思うのでありますが、こういうお考えはやはり今日アメリカの政府、特に軍部の指導者の考えと私は大分違うのじゃないかと思う。この間スタッセンも参りました。これは軍人ではありませんが、その前にヘンゼルという国防次官補が参りました。この二人は日本の政府の防衛努力が足らぬ、国民所得の割合に勘案して、どうも防衛費の予算が足らぬということを盛んに言っておったのです。そうしますと今の鳩山さんのようなお話でアメリカと話をしましては、私はどうも話がうまく合わぬのではないかと思うのですが、どうでございましょう。
  212. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私は、防衛力ということをよく言いますけれども、結局アメリカの駐留軍に防衛をまかしているというような範囲をできるだけ早く脱したいと思うので――まあしかし日本を防衛するだけの力を日本ひとりでもってまかなうことはなかなかできないと思っておりますけれども、ある範囲内の防衛力は持つ必要があると思っております。それはアメリカの今の内閣の首脳部がそういうような気持だけでは満足しまいというようなお考えですけれども、私は話し合いすればむろん了解してくれるものと思います。
  213. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 自然休会の短かい時間を利用して、大急ぎで重光外相をアメリカに派遣されようとした首相のお気持の中には、私は今の問題についてアメリカ政府の考えと日本の鳩山内閣の考えとの間にギャップがあると思う。それは単なる偶然な誤解でなく、そこにやはり一つの越えがたきギャップがあるということをお考えになって、何とかその間に橋をかけたいというお考えだったと思うのであります。ところが向うはそういう鳩山首相あるいは鳩山内閣の希望を踏みにじった。これが外相訪米拒否の事件だと思うのでありますが、そうお考えになりませんか。
  214. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 あなたの考え方が正しいかどうか、私よく判断ができません。どういう理由でアメリカが早く来てくれては困ると言ったのか、それをつまびらかにしておりませんから、あなたの御質問に対して答弁がちょっとしかねます。
  215. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 何か新聞によりますと、ダレス長官は六月までは忙しいが、それを過ぎたら重光外相に来てもらうことにしてもいいというようなことを言っているようでありますが、その報道がほんとうであるかどうか、また六月になりましてアメリカから招請がありましたから、重光外相を再びあらためて派遣する御意向があるかどうか……。
  216. 植原悦二郎

    ○植原委員長 ちょっと御注意申し上げます。委員が質問しておるときに局部的にカメラやいろいろ使われることは質問者にとって非常に迷惑ですから、注意して下さい。  田中君、どうぞ質問を続けて下さい。
  217. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 私、もう一ぺん繰り返しますが、きょうあたりの新聞を読みますと、五月は忙しいが六月にでもなったら重光外相に来てもらってもいいというようなことをダレス長官が新聞記者に話しているようであります。その報道がほんとうかどうか、またほんとうであって、六月にダレス長官から招請状が来た場合に、鳩山内閣は重光外相をあらためてアメリカに派遣なさるお考えがあるかどうか、首相の御意向を伺いたい。
  218. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 ダレス長官がどういう考え方を持っておるか、それは私わかりません。ダレス長官から招請があった場合に、重光君に行ってもらうかどうか、そのときの情勢によって判断するよりいたし方がないと思っております。
  219. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 ある新聞にはちょっとけしからぬことが書いてあるのです。というのは、今度の重光外相訪米拒否の裏には、何か自由党の一部がアメリカ側と連絡して、そうしてやった隠謀があるのじゃないか、しかもそれがアメリカのたとえばワシントンあたりで非常に高いうわさになっておる、こういうことを報道しておりました。これはどうも日本のために非常におもしろくないうわさでありますが、一応そういううわさが新聞紙上に公表されておりますから、それについて一つ首相の御答弁を承りたいと思います。
  220. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私はそういうことはないと思っております。
  221. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 その次に、アジア・アフリカ会議の招請状が参りました際に、招請状は首相または外相の出席を求めてきたと思うのであります。ところが首相も行かれない、外相も行かれない、高碕経審長官が行かれることになったのでありますが、どうも私はこの人選はアジア・アフリカ会議の主宰者の意向に非常に沿わないものだと思うのです。どうもこの会合を少し軽く見ておるという印象をその人選において与えておると思うのですが、その人選の経緯を一つお聞かせ願いたいと思います。
  222. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私はAA会議を決して軽んじたわけではありません。ちょうどその当時は議会が開けておりまして、議会を欠席するわけにいかないものですから、比較的出席しなくてもいい高碕君、そうして高碕君は御承知のエカフェの議長をやっておりまして、知人がだいぶよけいできたと思いまして、適当だと思ったのです。
  223. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 実は外人記者団との会見において、首相が、アジア・アフリカ会議では経済開発の問題が取り上げられる、それには大いに参加したい、こう言われておる。あるいは今の高碕長官の人選は首相のそういうお考えとも私は関連があるのじゃないかと思う。しかし私はそういうことから申しましても、高碕長官が必ずしも適任だとは思わぬ。先年インドで何か製鉄事業の計画がありまして、高碕さんがこのことに当られた。それが失敗したことは御承知の通りであります。なるほどエカフェの関係はおありでしょうけれども、そういう過去の経歴はむしろマイナスであります。しかもまたアジア・アフリカ会議は、首相がお考えになりますように、実は単に経済問題を討議する議場じゃないのであります。むしろこれは私は政治問題が表面に大きくクローズ・アップされる会議だろうと思う。これにはインドからはネールが参ります。ビルマ、からはウー・ヌーが参ります。開催地のインドネシアからはサストロアミジョヨが参ります。こういう各国の首相は、今日御承知の通りに平和五原則――相互に相手国の領土、主権を尊重する、お互いに内政には干渉しない、お互いに侵略はしない、国交を結ぶに当っては平等互恵の立場をとる、最後に平和的共存、こういう五原則をもってアジアにおけるる平和地域の拡大をはかろうというのが、むしろこの会議の主題だと思うのであります。そうだとすれば経済の方面に関係のある高碕さんをやるよりも、むしろ首相みずからがおいでになって――これは私は二日でも三日でもいいと思う、バンドンまで飛行機で往復されて、開会式にちょっとごあいさつになっただけでもいい、そのあとは谷外務省顧問でも何でも置いておけばよろしいのでありますが、少くとも日本八千万の国民の総意を代表して、そしてこの会議に出席する熱意を鳩山首相みずからが示すということこそ――これはわが日本がアジアに復帰する絶好のチャンスなんです。そのチャンスを逸するということは私は非常に遺憾でありますが、今の首相のお考えはきわめてこの会議に対する感覚がずれておるというか、低調であるというか、何かあそこでエカフェの会議でもするようにお考えになっておる。エカフェの会議ではないのであります。だからこの点において、今からでもおそくはないのでありますが、高碕さんをおやりになるのもよろしゅうございます、なるほど高碕さんの御関係になるような議題もあるでしょう。しかし重光さんがアメリカに行かれなくなったので、もう一ぺん重光さんをバンドンにおやりになるようなお考えはありませんか。
  224. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 ただいまのところ、そういう気持は持っておりません。
  225. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 もう一ぺん念を押しますが、鳩山首相は一日でも二日でもいいからバンドンにおいでになるお考えはありませんか。
  226. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 ただいまはありません。
  227. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 それから一つこの際承っておきますが、今私が御紹介申し上げました、つまり首相ももとよりこれは御存じだと思いますが、平和五原則というこの原則に対しまして、首相はどういう御見解でありましょうか。
  228. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 平和五原則は表面から見れば全くりっぱなことで当然な事柄であります。ただ現われた文字と中に隠れておる意図とに、ときどき食い違いがありますから、それでよほど注意していく用意も必要だと思っております。
  229. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 その言葉の裏や表をいろいろ揣摩憶測するというのは私は困ったことだと思う。ことに日本の国会の外務委員会の席上で、現在世界に掲げられている大旆であります平和五原則を、裏があるとか表があるとかいうことでこれをくさすというような態度はよくないと思う。そうしますと、今度ソ連や中国から平和五原則によって国交を結ぼうと言ってきたときに首相はどうなさいますか、ちゅうちょなさいますか。
  230. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 そういう場合にはやはり方法をよく詳細に研究してやっていく必要があると思います。
  231. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 これは何回も聞かれることですが、特に重要だから私はきます。日ソ交渉の交渉地の問題、聞ニューヨークとかいろいろありますが、私はこう思う。これは日本の外交なんです。日本の外交をやります場合に、日本の首都である東京で交渉をすることほどいいことはないのです。そうでしょう。モスクワでやるのもこれは東京よりもおもしろくない。いわんやニューヨークなんて、そんなところを持ち出す必要はない。まさに首相のおられるところ、日本政府のある東京でこそ日ソ交渉を開催すべきであって、むしろ積極的に東京でやるということについて、首相はどういうお考えをお持ちになりますか、それを一つ聞きたい。
  232. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私は東京はあまりいいところじゃないというような気がします。
  233. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 それはどういう理由でしょう。
  234. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 やはりそれを機会に共産党の運動がひどくなりはしないでしょうか。
  235. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 どうも自信のないことはなはだしいですね。首相は反共ではある。しかし共産主義を国是とする国とも国文は結ぼうという話でしょう。二つの話は別だとおっしゃったですね。それなら東京で日ソ交渉をやったために、日本で共産党の運動が盛んになるというような、そんな自信のないことでは私は仕方がないと思う。それではあなたは、日ソ交渉をやって、向うから大使や何かが百人も二百人も来て、神戸やそこらにも領事館ができるということになったらどうしますか。そういうことではとても日ソ交渉はできませんな。
  236. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 国交を調整することによって、幾分かの注意すべき事項がふえるというようなことくらいは仕方がないと思います。
  237. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 私はむしろこれは東京でおやりになることをお勧めします。そうして今おっしゃった反共の御信念を持っておやりなることもお勧めします。  その次に今度は、きょうの新聞を見ますと、現在東京に参っております中国訪日貿易代表図雷団長が、こういうことを言っております。これは非常に大事なことです。これで終りますから一つよくお聞き取り下さい。こう言っております。新聞記事でありますが、日中貿易が拡大しない最大の原因は、両国間に横たわる人為的な障害である。自国の経済発展と人民の利益を顧みず輸出を制限する政策がとられているからである。過去の日本政府は当然負うべき責任と義務をになおうとせず、そのため両国民間で結んだ協定はその執行の上に保障がないばかりか、障害を受けている。日中貿易を発展させるかぎは日本側にある。日本政府が義務と責任を負い、貿易の正常化をはかれば、現在の基礎の上で貿易量を数倍にすることができる。こういうことを言っておるのであります。それで今実は貿易協定の締結の交渉が始まっております。今の予定では十五日に調印をするという目途で交渉を進めております。いずれこれはでき上ると思います。でき上ると、こちらは国際貿易促進協会の会長の村田省藏さん以下が調印するものと思います。これは首相ともこの間個人的にお話になった仲ではありますが、そういう村田さんあたりがかしらとなって結ばれたこの協定の実行について、日本政府は何らかの保障を与えるべきだと私は思う。保障を与える考えがあったからこそ初めて三十何名の代表を私は日本に入れたと思うのでありますが、そういう保障を与えるようなお考えがあるかどうか。それとも協定はお前たちが結んだが、それが実行されようとされまいとおれは知らぬとおっしゃるのか、大事なことですから首相のお考えをお聞きしたい。
  238. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私はその問題を一つも聞いておりません。
  239. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 そうですか。お聞きになっていらっしゃらなければ仕方がありませんが、これは大事なことです。それで、もし保障を与えない、せっかく結ばれた協定が実行もされなくて究文になったということになりますと、民主党が今度の総選挙で国交回復と並べて中国との貿易の拡大ということを大きく打ち出された。これで実は中央から地方の財界人まで鳩山内閣を支持したのですよ。さらに労働者から何から、これで鳩山内閣を支持したのです。この公約は全く破棄されるということになりますから、どうか新しくできました日中新貿易協定の実行に当りましては、何らかの形で政府がこれを保障するという努力を一つしていただきたい。これを要望いたしまして私質問を終ります。
  240. 植原悦二郎

    ○植原委員長 福永一臣君。
  241. 福永一臣

    ○福永(一)委員 私は外務大臣に対しまして二、三質疑をいたします。まず第一に、現在麻布の狸穴の元ソ連代表部の存在について政府の解釈を承わりたいのであります。
  242. 重光葵

    ○重光国務大臣 ソ連代表部は正式の代表部ではございません。従来の歴史的の存在でございます。
  243. 福永一臣

    ○福永(一)委員 平和条約に調印しない国でありながら、占領の継続として存在しておるものと解釈されますか、あるいは非公式に日本で認められておるものでございましょうか、その点の解釈をお聞かせ願いたいのであります。
  244. 重光葵

    ○重光国務大臣 占領は御承知の通りに終止しておるので、占領の機関ではございません。事実上今残っておる、存在しておるものでございます。
  245. 福永一臣

    ○福永(一)委員 それでは狸穴の元ソ連代表部に残っておりますソ連人は外交官の特権もなく、普通の外人居住者とみなしてよろしゅうございますか。
  246. 重光葵

    ○重光国務大臣 その通りに思います。
  247. 福永一臣

    ○福永(一)委員 その居住を非公式に認めておられますか、あるいは公式に認められておりますか。
  248. 重光葵

    ○重光国務大臣 公式のものではございません。非公式のものでございます。
  249. 福永一臣

    ○福永(一)委員 しかし今やそのソ連代表部におりますところのドムニツキー氏は、白昼公々然として鳩山総理に再度面会をいたしまして書簡を手渡しております。そうして手渡したばかりでなく、相当長い時間会談もしておりますが、これを日本の政府といたしましてはどういうように解釈なされておるのでございますか。今や国民の受け取り方も、ソ連の元代表部なるものは日本の政府が認めて公然と行動をしておるように解釈しておりますが、この辺のお考えについて所信を明らかにしていただきたいと思います。
  250. 重光葵

    ○重光国務大臣 非公式の存在でございますから、こちらが間接でも接触する場合には、その資格を十分に確かめた上でやっておるわけでございます。
  251. 福永一臣

    ○福永(一)委員 次にドムニツキー氏が鳩山総理に対しまして第一回目の書簡を手渡します前に、約一カ月間ばかり時間が経過しておりまして、その間においてまず外務省のある参事官、次に某顧問、次いで重光外相、こういうふうに渡りをつけようとしたのでありますけれども、その三人の人はこれを拒絶しておるのであります。次いで民主党の幹事長たる岸幹事長に渡りをつけようとしましたが、これもものにならなかった。これは私の独断ではございませんので、一月の三十一日付の毎日新聞にはっきり書いてありますが、これの真偽のほどはいかがなものでございますか、お聞かせを願いたいと思います。
  252. 重光葵

    ○重光国務大臣 外務省といたしましては、外務省は公式の政府代表機関でございますから、非公式の人々と交渉をするということはやりません。
  253. 福永一臣

    ○福永(一)委員 それでは、鳩山総理大臣におかれましては快くドムニツキー氏を迎えられまして文書を受け取り、かつまた懇談をされた由でございますが、この点についての外務大臣としてのお考えを聞かせていただきたいのでございます。
  254. 重光葵

    ○重光国務大臣 総理は慎重にこの問題を取り扱われて来たのでありますから、その通りに……。(笑声)     〔「はっきりやれ」と呼ぶ者あり〕
  255. 福永一臣

    ○福永(一)委員 今の外務大臣の答弁はきわめて不明確でございます。前には非公式のものは相手にしないと申されながら、総理大臣が慎重に考えられたならば、そういうことも天下公知の事実として通るのでございますか、いかがなものでございますか。そういうような例が何かございましたら、一つお聞かせいただきたいのでございます。
  256. 重光葵

    ○重光国務大臣 先方が非公式でありましても、総理がそれを受けては悪いということは私はないと思います。非公式の人に会っていろいろ文書を受け取ったり、またある意味の内交渉をするということは幾多例のあることでございますから、それは私は少しも差しつかえはないと思います。
  257. 福永一臣

    ○福永(一)委員 しかし外交の窓口であるところの外務省において、それぞれの部門がことごとくこれを拒絶したのに、総理大臣がこれをお取り上げになりました。そして今度は手のひらを返すがごとくそれを合法づけるということが、国民の疑惑を非常に招いておるのでございます。これは国際外交の慣習として変則であるかどうか、外交の専門家であり、大先輩である重光外務大臣のお考えをお聞きしたいのでございます。
  258. 重光葵

    ○重光国務大臣 国交がない場合に国交を復活しよう、何か連絡づけようという場合においては、非公式の方法によるよりほかに方法はございません。たとえばこの場合におきましても実はニューヨークでやっても非公式なのです。両方とも、日本とソ連との間に交渉をする権限を持っておらぬ機関でございます、またそれが接合していろいろ打ち合せをするということも非公式でございます。しかしそれは便利であるからそれをやるので、またそれが適当な方法だと考えたわけでございます。
  259. 福永一臣

    ○福永(一)委員 それならば、あえて正式に認めないものの手から受け取るよりは、一応第三国とか何とかいうようなところを通じて受け取られたらどうでしょうか。私はソ連に去年の七月参りまして、そのときにソ連政府からメモランダムを持って参ったのでありますが、これは私は国会の決議によってソ連に民間代表として参ったものでございますが、ソ連は、これを私に渡しますときに、署名がないものでございますから、私はどういうわけで署名がないのかと言いましたところが、こういうものは署名がなくともよろしい、これは正式なるソ連政府の公文書であるということをしきりに念を押されまして、私はこれを受け取って参ってきたのでございます。そうして当時吉田内閣でございましたが、これを政府に伝達しようといたしましたところが、外務省の見解としては、これは国交のない国々が文書を交換することはできないから、第三国を通じてこれを手渡すのならばわかるけれども、直接これをもらうわけにいかぬ、こういうわけで、私は国会の水産委員会においては報告はいたしましたけれども、これは水産委員会の方で今日まで保管してあります。そういうような考え方で今日まで外務省も来られたのでございますが、私はそれに対してはそうあるべきだと思いまして、今日まで私もそういう考えに立って来たのでございますが、今度ドムニツキー氏が新しくまたメモランダムを鳩山さんのところに持って来た、こういうことは私は外務省の従来の見解と違った点があり、そこにギャップがあるということを認めざるを得ないのでございますが、この点についていつごろからそういうふうに変ったか、一つお聞かせ願いたいのであります。
  260. 重光葵

    ○重光国務大臣 承認していない国との交渉に外務省が当るということは異例でありまして、もしそういうことになれば、承認問題とからむわけでございますから、なるたけ避けなければならぬ。しかし実際国交も回復したいというような希望の場合において、正式にこれが接触をしなくても非公式に接触するということは、私は何ら差しつかえないことだ、こう考えております。
  261. 福永一臣

    ○福永(一)委員 それではこれは見解の相違でございましょう。しかしこれは世間だれが見ても非常に変則なやり方でございまして、今日鳩山内閣の外交上の国際信義が非常に失墜したという一つの原因にもなっておりまして、いずれまた批判を受けることと思いますので、これくらいにしておきます。  次にお伺いしたいことは、二月の十六日にドムニツキー氏が鳩山総理大臣に対しまして第二回目の文書を交付いたしました。これには日ソ交渉の場所について書いてあります。先ほど二、三の方から発言がありましたので重複はいたしますが、ちょうどそのときに外務大臣が外出中でありましたので、さらに繰り返して申し上げますが、その場所の点について、その文書の中に、日本の政府が希望するところに同意する用意があるというふうに書いてあるのございます。すなわち英文で言えば、プリペアード・ツー・アグリー、こういう文字を使ってございますが、この意味を少し早合点されまして、いかにもイエスと言ったかのごとく解釈されまして、そうして選挙中各所において鳩山総理大臣はもうニューヨークにきまったように放送されております。それをただいま総理大臣に各党の議員から質問をされましたところが、それは重光外務大臣がそう言うたからおれはそう言うたのだ、こういうふうに先ほど総理大臣の御答弁がございましたが、この点について非常に食い違いがございます。その点をはっきりさしていただきたいのでございます。あなたがほんとうにおっしゃったのかどうか。そういうふうに解釈されたのかどうか。
  262. 重光葵

    ○重光国務大臣 さように解釈いたしました。それは適当であると思います。
  263. 福永一臣

    ○福永(一)委員 それは大へんな間違いでございまして、今日、ニューヨークとばかり思い込んでおられたことが当てがはずれて、意外にも、東京かモスクワ、こういうことであなた方は周章ろうばいしておられるのではございませんか。そういうことが大へんな間違いのもとになっております。すなわち、この文章をよく読んでいないのです。非常に軽率にこれを解釈して、もうソ連はニューヨークに承諾したものだ、こういうふうに思い込んで国民大衆に向ってこれを放送しておられます。これは実に私は軽率きわまるものだと思います。こういうことが今日外務委員会が開かれた一つの原因だと思いますが、私はさらにこれに対してそう簡単に片ずけないで、もう少し慎重に考えていただきたい。確かにこれはしっかりお読みになったのですか。
  264. 重光葵

    ○重光国務大臣 十分慎重に熟読いたしました。
  265. 植原悦二郎

    ○植原委員長 福永君、もう時間がオーバーしております。
  266. 福永一臣

    ○福永(一)委員 もう少し。熟読されてなおかつこういう間違いを来たされたということに対しては非常な責任があると思うのでございますが、この点は一体ソ連がうそをついたのか、日本が間違ったのか、どちらに間違いがあったのか、その辺をはっきり聞かしていただきたい。
  267. 重光葵

    ○重光国務大臣 これは文字を見まして、訳文には、適当と考える交渉地に関する日本の提案に同意する用意がある。これは外交上の文書ですれば、これは同意する意思があるという意思の表示を示したものに違いがございません。同意する用意がある――同意する、これを外交辞令で言ったまでのことであります。
  268. 福永一臣

    ○福永(一)委員 それでは日本の方は正直にそれを信用しておったけれども、ソ連の方で同意しないでこの用意がなかった、この文章に責任を持たなかったということに解釈してよろしゅうございますか。ソ連の方がこの同意するということに責任を持たなかった……。
  269. 重光葵

    ○重光国務大臣 この文章はそういうふうに解すべきものだと私は思います。
  270. 福永一臣

    ○福永(一)委員 それではこの交渉地の問題について今後ソ連に対して抗議を申し込まれるか、あるいはは何か不服を述べられることがございますかどうか、伺っておきます。
  271. 重光葵

    ○重光国務大臣 これは不服を言っていい問題だと私は思っております。しかしそれはどう返答するかということを今慎重協議中でございます。     〔「時間だ」「時間だ」と呼ぶ者あり〕
  272. 植原悦二郎

    ○植原委員長 福永君もういいですか。もう時間です。
  273. 福永一臣

    ○福永(一)委員 もう一つお伺いいたしますが、同僚議員である松本俊一氏が日ソ交渉の全権大使として決定したというようなうわさもございますが、これは決定したのでございますか、あるいは内定でございますか。ここのところを一つお聞かせ願いたいのでございます。
  274. 重光葵

    ○重光国務大臣 内定でございます。
  275. 植原悦二郎

    ○植原委員長 福永君、約束の時間よりオーバーしておりますよ。
  276. 福永一臣

    ○福永(一)委員 次に、ドムニツキー氏から松本大使候補に対しまして文書が渡されたようでございますが、これは要するに松本氏がすでに大使としてもう決定なされたような、公的な資格を持ったと思ってドムニッキー氏はこれを手渡したのかどうか。あるいは政府の方で公式にこれを受け取るわけにはいかぬから、松本氏に対してこれを受け取っておいてくれといったような、非公式に受け取るというような、メッセンジャー・ボーイのような立場においてこれを受け取らしたのかどうか。その辺のところを聞かしていただきたいのでございます。
  277. 重光葵

    ○重光国務大臣 今お話の通り、交渉をやるということに内定しておる人でありますから、その人に向うが持ってきたことは、実際的に非常によかったことだ、こう思っております。
  278. 福永一臣

    ○福永(一)委員 内定したということだけでけつこうだとおっしゃいますが、そういうようなあいまいなことで国民が納得するかどうか、これはきわめて疑問に思うのでございます。そこでせっかく澤田国連大使及びソボレフ・ソ連国連代表、この間において交渉をするように訓令をしておられますので、こういうような公式、非公式の疑義が生ずるようなことをされないで、そういうような文書を受け取る場合は澤田大使をしてソボレフ代表からされるようにされたらいかがでございますか。この点は非常に疑惑の起るところでございます。私はドムニツキー氏とはソ連に参ります前後においてしばしばひんぱんに往来をしておりまして、ドムニツキー氏のパーソナリティではございませんが、ソ連のやり方について私もいろいろ参考になることを教えられたのでございます。いつでもソ連といたしましては、日本の狸穴にあるソ連を何とかして公式化して公的に認めてもらおうというような態度に出るのでございますから、これにあなた方がひっかかって、投げなわに足をからまれておるというような格好になっておるのではないかと、それを私はおそれるのであります。それはすなわち日本の国際信義を失墜する原因なのであります。こういうことは民主党内閣の非常なマイナスばかりではございません。日本の国際的立場というものが非常にマイナスになる。公式は公式、非公式は非公式というように、けじめをつけてやられることが、私は今日の非常に重要な問題だと思いますが、それについてのあなたの御見解をはっきりお聞かせ願いたいのでございます。これは特に鳩山総理大臣にお伺いしたいのでございます。
  279. 植原悦二郎

    ○植原委員長 総理への質問は終りました。そうしてあなたのは質問というよりは議論だと思います。そしてあなたの時間は十分というのを二十五分使っております。どうかそのおつもりで……。
  280. 福永一臣

    ○福永(一)委員 これで終りますから、答弁をお願いいたします。
  281. 植原悦二郎

    ○植原委員長 答弁はなされません。  これにて本日の質疑を終了いたします。     ―――――――――――――
  282. 植原悦二郎

    ○植原委員長 ただいま大橋武夫君外三名より鳩山内閣の外交措置に対する戒告決議案が提出されておりますので、これより本決議案を議題としてその審議を進めます。  まず提案者よりその趣旨弁明を求めます。大橋武夫君。
  283. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 私はこの際社会党両派、小会派、並びに自由党を代表いたしまして、鳩山内閣の外交措置に対する戒告決議案の提案の趣旨を申し上げたいと存じます。  まず最初に決議案を朗読いたします。  鳩山内閣の外交措置に対する戒告決議  鳩山内閣は、その外交方針を進めるに当って、ことごとに閣内に意見の一致をかき、且つその取扱いは軽率を極め、わが国の国際上の信用を甚だしく傷つけるに至った。  これは現内閣の重大なる失態であると認める。  よって、政府は、深く反省すると共に、今後かかる失態を繰り返さないよう善処すべきである。右決議する。  昭和三十年四月六日    衆議院外務委員会  この提案の趣旨につきまして簡単に申し上げたいと存ずる次第でございます。  重光外務大臣の渡米問題が拒絶せられましたことにつきまして、私どもは本日外務委員会の開会を要求いたし、鳩山総理大臣、重光外務大臣にその経緯についての御説明を伺うことにいたしたわけでございます。この質疑応答の結果、私どもは本問題に対しまする政府の措置は、国際上の慣例を知らざる者のなしたかのごとき感がいたすのでございまして、その措置はきわめて軽率であって、醜を内外にさらし、国際的信用をはなはだしく傷つけるに至ったと断定せざるを得ないことは、きわめて遺憾千万に存ずる次第なのでございます。総理は今回の外務大臣の渡米によりまして、外務大臣をして米国官辺に対し、鳩山内閣の二重外交によって起ったところの各種の誤解を釈明せしめるつもりであったと言っておられるのでございます。鳩山内閣成立以来、いわゆる自主外交と称して鳩山総理はまことに不用意きわまるしろうと外交を行なって参っておられるのでございますが、この二重外交が自由主義諸国の間にきわめて好ましからざる反響を起しているということは、これを否定することのできない事実であるといわなければならぬのでございます。まず第一に、この鳩山総理の新しい外交の考え方に対して、国民政府が非常に大きな疑いの感じを持っておることは、すでに政府当局はよく御承知であろうと存じます。また鳩山総理大臣が北鮮との関係について国会において云々せられた事柄につきまして、最近韓国の外務大臣はもしかようなことが事実行われるとするならば、韓国としては日本との国交の断絶をすら考慮せざるを得ないと申したということが、本日UP電報によって伝えられておる次第なのでございます。そしてソ連との関係についての鳩山内閣の不用意なる措置が、アメリカにおいて非常な危惧の念を抱かしめつつあるということも、これは全く否定することのできない事実であると断定せざるを得ないのでございます。かくのごとく鳩山総理の一流のまことにでたらめきわまる、そのときどきの思いつきの外交によりまして、今日われわれ国民がいかに大きな迷惑をこうむつておるかということは、もとより申すまでもないところでございます。この状況のもとにおいて政府がその外交政策の結果、自由主義諸国に起っておるところの反響にろうばいして、各国に対して鳩山内閣の外交方針をこのころになってあわてて説明しようといたしておるのでございます。この説明をなさるということはまことに当然であると思うわけなのでございます。しかも説明がすこぶる時期を失して、まことに時期おくれになっておるということは、これははなはだ残念と言わざるを得ないのでございまして、私ども国民はまことにこれを遺憾といたし、この結果についてきわめて重大なる憂慮を抱いておる次第なのでございます。この時に当りまして、突如として鳩山総理大臣は重光外務大臣をアメリカに派遣することを思いつかれました。この思いつきは私はけっこうであると思います。しかしおそきに失した、こう言わざるを得ないことはまことに残念だと思うのでございます。しかもこの思いつきにして軽率なる外務大臣派遣の計画は、事前にアメリカによって拒絶をせられておるのでございます。今日朝から政府当局はこれを拒絶ではなく、延期であると言われておるのでございますが、鳩山内閣の考えは、この休会中にアメリカに出かけて行って説明をするということであったのであり、アメリカの回答は休会中に来ることは困る、そのあとにしてくれというのでございますから、政府の当初予定したる休会中の外務大臣の訪米ということは、明らかに拒絶をせられておると言わざるを得ないではありませんか。このことによりまして今日わが国の国民感情が大いに傷つけられておるということは、これは否定することはできないと思うのであります。総理大臣はそれは国民の誤解であると申しておられます。しかしたとい誤解であるといたしましても、八千万国民ことごとくが誤解いたしておりまする以上は、政府はこれに対して重大なる責任を感ずべきものと私は考える次第なのでございます。この事実は明らかに鳩山総理大臣並びに重光外務大臣を中心とする、この鳩山内閣の重大なる失態であると言わなければならぬのでございまして、しかも今日政府当局はてんとしてこれに対して恥ずるところがない、反省の点も全く認められないということはまことに遺憾千万でございます。私どもは鳩山総理並びに重光外務大臣に対しまして、かすに多少の時日をもっていたしまするから、十分にこの事態について反省をせられ、戒慎の実をあげられんことを切に希望せざるを得ない次第なのでございます。  そもそもかかる事態を生じた原因を考えてみまするというと、これは鳩山総理の最もきらっておる、そしてわれわれはそれをやめたのだと言っておられるところのそのつど外交の結果であると言わざるを得ないと思うのであります。この外務大臣の渡米の計画をいつ思いつかれたか。これは今月の一日暫定予算が通過した後に突如として思いついておられるわけであります。しかもだれが言い出したかというわれわれの質問に対する総理のお答えは、だれ言うとなくいつの間にかそうなった、こういうわけでございまして、こういうことを思いつき外交というのであるということを総理は今後十分に銘記していただきたいと思う次第でございます。すなわち私どもは、思いつき外交が鳩山内閣によってやめられたのではなく、鳩山内閣によってほんとうのでたらめな思いつき外交がますます盛大に始められつつあるということについて、国民とともに真に憂慮をいたしておる次第なのでございます。  一体かかるアメリカとの了解の問題のごときことは、鳩山総理が組閣せられ、中ソとの国交の問題について声明せられたる当時、すでに十分に考えなければならないことであったと思うのでございます。しかも鳩山総理は今日まで四カ月の間、何らこの問題について処置せられることなく、ただ選挙ばかりを目当てに、選挙ばかりに奔走しておられたのでございまして、これはすなわちこの内閣の性格というものが、外交という国家の運命を賭するところの重大なる問題よりも、むしろ選挙という自分たちの利益の方をはるかに重しと考えられておったと断定せざるを得ないと思うのでございます。すなわち今日までの鳩山内閣のやり方というものは、党勢の拡張あるいは選挙の作戦ということが主になりまして、国家の利益は従になっておる。すなわち自分の利益が主であって、国家の利益が従である。従って鳩山総理は自主外交ということを申しておりますが、この自主という二つの言葉を分解いたしますと、自という字は自分のことであり、自分が主になるということ、これがすなわち国家を犠牲とした今日までの鳩山内閣の外交であった。これが今日はからずも醜を天下にさらすに至ったのでございますが、私はすみやかに現内閣が、自分よりも国家を本位とするところの真の国民外交に立ち返ることを衷心より希望いたしまして、この決議案の趣旨弁明といたす次第でございます。(拍手)
  284. 植原悦二郎

    ○植原委員長 本決議案に対し討論の通告があります。これを許します。松岡松平君。
  285. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 私は民主党を代表いたしまして、今提案されました自由、社会三党の決議案に対しまして反対の意思表示をいたします。  この決議案に「ことごとに閣内に意見の一致をかき」とありますが、本日の委員会において総理大臣並びに重光外務大臣の答弁に明らかなごとく、少しもそこに不統一などということを見出すことはできません。矛盾もなく、そごもない。これは要するに提案者の独断と曲解と悪意に満ちたものと断定するのほかはございません。思うに三党は、地方選挙を控えて、この外交に関する事柄を党利党略に利用せんとする意図以外にないものであります。  よってこの独断と曲解と悪意に満ちた決議案に反対するものであります。(拍手)
  286. 植原悦二郎

    ○植原委員長 穗積七郎君。
  287. 穗積七郎

    ○穗積委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました鳩山内閣に対する戒告決議案に対して賛成の意を表するものでございます。  簡潔にその理由を申し述べます。  鳩山内閣が組閣以来唱えてこられました自主外交といい、あるいはアメリカ一辺倒の外交を修正して、中ソとの間においても国交の調整をはかり、またそれらの国々との間の貿易を促進するという方針に対しましては、それが真実でありますならば、われわれはその外交方針に関する限り賛成でございます。ところがその後の情勢を見ておりますと、このアメリカとの間における従来の外交関係を調整し、ソ連、中国との間における国交を回復するという外交方針を両手にかかえながら、それを統一する思想を欠き、またそれに対する緻密なる方針を持っていないために、ことごとにおきまする外交情勢なり相手国の態度にほんろうされまして、そして遂にその言っておりますところは、二元外交の弱点と矛盾を暴露するに至りました。  またこのたびたまたま起きました重光外務大臣の派米に対しまするアメリカ側の拒否の問題、あるいはソ連との国交回復の交渉に当りまする頓挫の問題を契機といたしまして、本委員会を開いて本日お尋ねいたしましたところが、そこに現われておりますものも、やはり鳩山総理がみずからの外交方針として選挙当時言われました独立外交、あるいはまた中ソとの国交回復の方針と全く対立する、相変らずアメリカ一辺倒に従属するような外交の思想と方針の片鱗がわれわれの眼に映るのでございます。内閣はこのような思想と方針の不統一をもって事に処しますために、あらゆる機会に矛盾と弱点を暴露して参りました。さらにさらに内閣は自分の外交方針を処理いたすに当りまして、緻密なる措置と計画を欠いておりますために、軽率とあるいはひとり合点によりまして、このたびのような外相派米の拒否の問題、あるいは対ソ国交回復交渉の頓挫の問題を生じて来たのでございます。このようなことは全く日本の外交上の威信を失墜するのみならず、われわれがこれからアジアに生き、アジアの平和を確立して、日本の独立経済の基礎を作って、真の独立外交を打ち立てようというそのいみじくも掲げました方針というものは全く画餅に帰しまして、そして今提案者の話のありましたように、これは国民の関心を買うための羊頭狗肉であると言わざるを得ないのでございます。従ってわれわれはこのたびのことを深く反省されまして、そうして真に鳩山総理が言われました独立外交とアメリカ一辺倒の外交方針を修正する所信を曲げられることなしに、またその措置におきましては、緻密なる計画とさらに周到なる用意をもってこれを進められんことを深く自粛自戒されますように警告を発して、ただいま提案されました戒告決議案に賛成する次第でございます。(拍手)
  288. 植原悦二郎

    ○植原委員長 松本七郎君。
  289. 松本七郎

    ○松本(七)委員 私は日本社会党を代表いたしましてただいま議題になっておりまする戒告決議案に賛成をするものでございます。  先ほど松岡委員から反対の討論の際に、これは提案者の悪意に出るものであるという言葉がございましたが、民主党はそういうふうに解釈されておられるかもしれませんけれども、私どもは単なる悪意だとか、それから鳩山内閣の失敗をたてに、ただ攻撃せんための攻撃に出ておるのではないのでございます。  現在の日本の国情から考えまして、また鳩山総理大臣が長年にわたったところの民主政治を無視したような暗い政治を一つ明るい政治に切りかえよう、こういう熱意をもって臨まれた、この真意を私どもはほんとうに了といたしまして、ぜひそういう明るい政治をここに実現したい、そのためには正しい政策ならばわれわれはできるだけ協力して、そうしてこの明るい政治の実現にも協力すべきである、こういう考えから私どもは臨んでおるわけであります。しかしそうだからと申しまして、その政策が間違っておる場合に、ただこれに賛成するわけにはいきません。その間違いは間違いとしてこの委員会で明らかにしてくる、その結果私どもはあくまでその内閣の方針を支持するか、あるいは警告をするか、反対をするか、こういう態度を決定しなければならないわけでございます。そこで今度出ましたこの対米派遣の問題につきましては、どうしてもこれは緊急に委員会を開いて内閣の今までの計画なり、考え方なり、そういう点を明らかにしていただいて、その結果私どもはその内閣の考えが間違っておると思う場合には警告もしましょうし、あるいは不信任案も出さなければならないような事態になるかもしれない、しかしその内閣の考えが了解できるならば、できるだけその考えが実現できるように私どもも国会を通じて協力しなければならない、こういう考えからこの委員会には臨んだのでございます。従いまして、質問もこういう観点からなしたわけでございますが、この問題について第一に私どもが政府の答弁に非常に不満を感じますのは、この今日の委員会の答弁を通じて明らかにされましたのは、今度の申し入れ、その用向きは何であったかということについては、ただ基本的な外交方針についてアメリカの了解を得るためである。この一点張りでございました。ところがどうでございますか、内外の新聞その他の報道機関によりますと、相当うがった内容がここに発表されております。これが単なる憶測であるとは私は思いません。従いまして、こういうことについてもっと率直な、積極的な内閣の考え方というものを、この国会を通じて明らかにする責任があると私は思うのであります。これこそ鳩山さんの言われる明るい民主政治を築く根本の考えでなければならぬと思うのでございます。それが、そういうことがなされておらないというところに、実は私は鳩山総理大臣に非常な失望を感じました。(「明る過ぎるんだ「と呼ぶ者あり)そうなんです。明る過ぎる、明る過ぎることは人の目をくらますことがあります。私はそこに実は問題があると思う。そこで考えなければなりませんのは、今この問題をめぐって国民の間にはいろいろな観測もなされております。ある人々は、これは鳩山さんのことであるから下手なことをするはずがない、いきなり今すぐアメリカに行きたいというような申し入れをしても、おそらくアメリカが拒絶することはわかっておる、それを鳩山内閣が見越して、もしもアメリカが拒絶した場合には、それを土台にして今後はさらに条約の改訂問題を打ち出したり、そういう捨て石にするのではないかというようなうがった観測さえ現になされておるのでございます。そういうことを考えますと、こういう考え方、国民の今のこの問題に対する注目の仕方というものは無視すべきではない。やはりこういう点もざっくばらんに鳩山総理大臣は国民の前に明らかにさるべきだったと思うのでございます。それをやらずに――またそれがもしも自分たちの間違いであった、少しでも軽率な点があったということならば、率直にここで国会を通じて国民に謝罪すべきであると思うのでございます。そういう考え方が少しもこの委員会の答弁に現われておらない。従いまして私どもは今回はこの政府の軽卒な行為に対して一応警告を発したい。これは形の上から申しますならば、自分勝手で、相手は承諾しておるかどうかもわからない。相手の都合は考えずに、自分の都合からばかり申し入れた一つの失態でございます。形式は大したことではないようございますけれども、内容的に掘り下げれば相当重要な問題を含んでおりますから、どうしてもこの際政府は重大な反省を加えて、こういうことが二度とないように一つ十分な反省をしていただきたい。警告を発するこの決議に賛成をするものでございます。(拍手)
  290. 植原悦二郎

    ○植原委員長 久保田豊君。
  291. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 私は小会派に属するものといたしまして、ただいまの決議案に賛成の意思を表明するものであります。  しかしながら、その理由は自由党の諸君とは全く違います。はっきり申し上げておきますが、今回の問題は、明らかに鳩山内閣の失敗であります。私どもは、これは、今まで鳩山内閣が外交上の慣例を無視し、あるいはさっき言われましたように、外交を進める上においての十分な用意、あるいは相手の意図等に対してきわめて甘い考えを持っておったことによる失敗であると思うのであります。しかしながら、きょうの御答弁等においてもある程度うかがわれますることは、鳩山内閣の外交方針は、少くともアメリカ一辺倒の吉田内閣、自由党の外交方針を修正しようという国民の意図に沿わんとする点を持っておるということを私どもは認めざるを得ません。この点は自由党、吉田内閣のアメリカ一辺倒の外交政策より一日の長があるものと見て差しつかえないと思うのであります。ただこの点について鳩山内閣ではまだ混乱がある。アメリカ一辺倒の、いわゆる自由党的な外交方針と、国民の立場に立つ自主平和の真の外交、これが単に機械的に今のような考えであるいは方策で統一をされるものでないというところをまだ十分認識していない。この点を私は十分認識していただきたいと思うのであります。私どもはアメリカ一辺倒の吉田内閣の外交政策には根本から反対であります。さっき私が質問で申し上げました通り、鳩山内閣は今日大きな外交上の関頭に立っておる。アメリカ一辺倒の立場に立って、アジアでもって戦争を進めようとする政策に追随していくのか――国民の平和に対する大きな熱情、この熱情が中ソとの国交調整を望み、アメリカに対しましてはMSA再軍備の廃棄といかないまでも、少くともこれを後退せしめようという大きな方向に動いておる。この大きな方向をしっかりつかんでやるというはっきりした決意と用意、これがない限り鳩山内閣の外交方針というものは、必ず今後においても行き詰まると思うのであります。しかもこの国民の大きな平和への意図、独立への意図というものは、単に日本だけではない。今度のバンドンの会議におきましても、またニューデリーにおいて行われるアジア諸国の会議におきましても、はっきりアジアすべての人民の大きな意思の上に立っておるのでありまして、これをはっきりつかんでやるところに、今後日本のほんとうの平和外交の行く道があると思う。もちろん今日の日本の状態においてアメリカとの関係をそう機械的にぶち破ることができないのは言うまでもありません。しかしながら基本の方針だけは鳩山内閣は明確に腹に入れて、日本の今日置かれた困難な状況をどうしてアメリカとの関係において打開していくか。国民の本気なこの平和への独立への要望というものと鳩山内閣がしっかり気脈を通じてやるだけの決心と用意がなり限り、今後におきましても再び今日と同じような失敗を繰り返すであろうということを、私どもは憂うるのであります。鳩山内閣が今日の方針を忠実に勇敢に、しかも慎重に進められる限り、国民は必ずこれを支持すると思う。しかし今日この委員会で現われたように、相変らずあっちにふらりこっちにふらりという方式では、外交技術の問題はともかくといたしまして、今日の日本の困難な外交情勢の打開は、自主的に平和的にこれを進めて行くことは困難だと思う。私は鳩山内閣の諸公が単に目前の状況だけにとらわれず、国民の生活の真底からわき起ってくる独立と平和への動きというものと、同時にこれをバックしておるアジア全体の情勢の中で、今後アメリカとの関係をどう打開していくか、これを真剣にお考えになっていただくようにお願いいたしたい。そうする限り鳩山内閣の方針というものは生きてくるだろうと思うが、しかし今日現われた程度では、これはだめだということを申し上げまして、本決議案賛成の趣旨弁明にかえるわけであります。(拍手)
  292. 植原悦二郎

    ○植原委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  293. 植原悦二郎

    ○植原委員長 起立多数。よって本案は可決されました。  なおただいまの決議につきましては、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  294. 植原悦二郎

    ○植原委員長 御異議がなければさよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。     午後七時四十一分散会