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1955-07-02 第22回国会 衆議院 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 7号 公式Web版

  1. 昭和三十年七月二日(土曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 高岡 大輔君    理事 臼井 莊一君 理事 辻  政信君    理事 堀内 一雄君 理事 中山 マサ君    理事 戸叶 里子君       赤城 宗徳君    保科善四郎君       眞崎 勝次君    眞鍋 儀十君       山下 春江君    稻村 隆一君       河野  正君    受田 新吉君  出席政府委員         大蔵事務官         (理財局長)  阪田 泰二君  委員外の出席者         外務事務官         (アジア局第一         課長)     小沢 武夫君         外事事務官         (アジア局借入         金審査室長)  池田千嘉太君         大蔵事務官         (理財局国庫課         長)      高橋 俊英君         大蔵事務官         (管財局特殊清         算課長)    岩動 道行君         大蔵事務官         (銀行銀行課         長)      佐竹  浩君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  在外公館等借入金整理準備審査会法の一部を改  正する法律案(高岡大輔君提出、衆法第二五  号)在外資産に関する件修正意見申入れの件     ―――――――――――――
  2. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 これより会議を開きます。  在外公館借入金整理準備審査会法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。中山マサ君。
  3. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 在外公館借入金の問題は、もう長い年月くすぶっている問題でございまして、いろいろと私どもも陳情を受けておるのでございまするが、全体としての件数はどのくらいございますでしょうか。
  4. 池田千嘉太

    ○池田説明員 ただいま件数についてお尋ねでございますが、今まで受け付けて整理しました件数が二十万五千三百九十四件でございます。それで、このうちには当初から受け付けました中の借入金になるかどうかわからないというものまで含んでおりましたので、現在まで審査会で審査の結果、確認証書を出しましたのが十二万八千五百九十件、それから、これは全然借入金じゃないという部分の、たとえば外地の預金とかあるいは送金小切手とか、それから第一条にいわゆる在留邦人団体と認められないものとの貸借なんかも出ておりましたが、そういうものを含めまして、全然借入金には当らないというものが六万四千百七十四件、それから、もう一つは、ハルピンとか大連その他、資料が全然私の方にも届かない、それから本人の方も領収書を持って帰れなかったというのがありますので、それで、これは確認するに足る資料がないので確認できないという委員会からの報告に基きまして、確認証書を出し得なかったものが一万二千六百三十件、合計、処理しましたのが二十万五千三百九十四件、こうなっています。このほかに、ああいう混乱な時期でありましたので、証書があっちこっちに動いたり何かした関係で、二重、三重に請求されたものもあります。そういう関係もよく調査しまして、そんなのは却下処理をしたり何かして処理しておりますから、そんなのはこの件数の中に入っておりません。それで、なお、今度問題になりました関係ですが、その後全部を整理しまして、台帳に当って一々確認したものを抹消しましたところ、あとに大体四万二千件ぐらい残っておるということになりまして、これはこちらに台帳がありますので、請求さえあれば確認できるだろう―。これの台帳がない面が、さっき申し述べましたようにハルピンとか大連とか長春の一部とか、それから奥地なんかで、ないところがあります。そんな地区にも領収書があれば確認されるものがあると思っておりますが、その点がどのくらいあるだろうかという推定はちょっと困難ですが、これも割合から言ってやっぱり数千件は見てよいのではないか、そういう見当をつけております。
  5. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 御承知の通り、ああいう混乱の場面でございまして、外務当局の台帳に載っていないのもあるというお話でございまするが、その本人たちとできれば十分なる御交渉を願って、あるいは台帳にも出ていないけれども、たとえばその人物なり、その前におったところの立場なりを御判定下さいまして、いわゆる裁判所の言葉を使いますと情状酌量とでも申しますか、そういうことで裸で帰ってきた人たちに、いわゆるしゃくし定規的なことでなしに、温情を持って処理をする、――官庁としては、台帳になければだめだとか、受け取りがなければだめだとか、いわゆる確認された受け取りがなければだめだという、そういうしゃくし定規的なことでなくて、ある場合はそのときの条理によりまして何とか御配慮願えるようなことは、できるものでございましょうか、できないものでございましょうか。
  6. 池田千嘉太

    ○池田説明員 今お話しの点は、従来ともたびたび問題になりましたのでございまして、借入金の審査会の委員というものは、民間人、特に各地の引揚者が大部分参加しておられまして、その点はできるだけ十分に同情を持って処理しようという立場をとられまして、たとえば、一番問題が多かったのはハルピンでございますが、そういうところでも、日本人会からは何らの資料も出ておりませんけれども、なるべく何かの手がかりを得たいということで、関係者全部に寄っていただきまして、あるいは紙きれでもよろしいし、引揚団で控えを書かれたものでもよろしいし、何でも出していただく、それから、個人の方につきましては、現地から持って帰られたと思われるような手帳の端でもよろしいし、何か手がかりになるようなものをお持ちならばお出し願って、それでこれはまずよかろうと認定したものは全部確認しております。単にこれだけ出したという金額だけ言われたのでは手のつけようがないので、これはやむを得ぬと思っておりますが、御趣旨に沿うような審査の方法をとっておられます。
  7. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 いろいろと現地の状況を知っておる人たちを選考委員としていただいておりますことは、まことに当を得た御処置だと思って感謝いたす次第でございますが、あとに残りました四万二千件に対する金高は幾らくらいでございましょうか。
  8. 池田千嘉太

    ○池田説明員 この点明細に検討したというわけではないのですが、これはやはり地域によって換算率が違ったりしておりますから、早急に具体的に計算するというわけにいきませんけれども、ある地域を取り上げまして、三、四百件について一応の平均を見ましたところ、大体一件について三千円以下になるのではないかという見当がつきましたので、それで、ただいま申しました件数からいきますと、四万二千件、そのほかに台帳にない地域のものがもし出るとして、五万件と広く見まして、大体三千円とすれば、一億五千万円くらいになるのではないかと思いますが、従来の申請提出ぶりを見まして、予想します五万件が全部出るかどうかということも一応の疑念は持っておりますけれども、もし重ねて受付をやるという場合は、一層完全に出るようにしたいとは思っておりますが、そんな観測でございます。
  9. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 ただいま三千円というお話がございましたが、当時の三千円と今の三千円と比較いたしましたならば、今日少くもその当時の三千円の百倍に当ると思いまするが、その当時のお金の値打だけにこだわってお支払いになりますか。それとも、そこに、貨幣の今日の状況にかんがみて、それにいわゆるプラス・アルファでもなすってお払いになるお気持でございますか。その三千円のままお払いになるお気持ですか。
  10. 高橋俊英

    ○高橋説明員 ただいま三千円と申し上げましたのは、各地域によって換算率というものがございまして、おのおの違っておるわけでございますが、その換算率で換算した結果、三千円になるという極悪であったように思います。その換算率をきめましたのは、実は、この前処理しました当時、つまり昭和二十七年当時に決定したものでございまして、その当時さようなふうにきめまして、今日までの間に著しい貨幣価値の変動というか、それがあれば別ですが、戦後二十七年までの動きは大きいといたしましても、二十七年から今日までの物価の動きというか貨幣価値の変動は大したものではないというふうに見られますので、ただいま御質問になりました、趣旨はよくわかりますけれども、今から過去にさかのぼって、二十七年当時に処理したものについても何か特別な割増しをするというふうなことになると、これは非常に重大な問題になりますので、それができない限りは、今度やります場合にも二十七年当時に取り扱いました換算率と同じものを適用していくという以外に方法はないように考えます。
  11. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 二十七年以前にお支払いになったのに対しては、借入金について利子はおつけになりましたか。
  12. 高橋俊英

    ○高橋説明員 明白に利子といった形ではありませんけれども、三割程度を勘案したという事実はございます。
  13. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 三割といえば、かなりのものでございますが、公債あたりについても相当な利札がついていく時代でございますから、ぜひ一つ、今日まで払うことをお延ばしになったものでございますから、二十七年以前のものよりも、もうちょっと恩情を持って――お金の価値も相当変っておりますし、私ども逝去の時代に一万円持っておりましたら大資産家のように感じた時代もございますが、今日の一万円というものは秘書の給料の半額でございますから、そういうところも一つ十分お考え願いたいのです。こういう人たちは特に窮状にある人たちと私は思いますので、どうぞ、あたたかい気持を持って、この三年引き延ばしたというところには、やはり相当の利札をつけて出していただきたい、こう考える次第でございますが、それで、これだけのお金の、一億五千万円でございますか、これはちゃんと準備はできているのでございましょうね。
  14. 高橋俊英

    ○高橋説明員 実は、この法律案議員提出になられましてから、私の方で検討したわけですが、初めから十分の自信がございますれば、むしろ政府から提案すべき筋合いであったかもしれません。しかし、何分にも要処理件数が外務省から通達がありましたものでも十二万八千件に及んだわけでございます。これを地方財務局で処理いたしておりますが、この報告の取り方が私どもの方でまずい点がございましたけれども、十二万八千件と申しますのは、一つの金額、つまり同一人が何枚も確認害を持っていることがあるわけです。それらの場合に枚数を言うわけです。財務局等では、人員その他の都合で、そうたくさんの人数が従事しておりませんから、その結果の報告につきまして、相手方に金をとりに来るように通知した、その通知件数が私どもの方に参っております。枚数をどれだけしたか、たとえば五万円をこえた分については別にあとは手をつけないわけでございまして、処理済みとも未処理ともはっきりしていないというようなことから、はなはだ申しわけないのですけれども、一体どれだけのものが完に処理されて、またこれから支払いを要するものは幾らあるかということがはっきり確認できなかった。しかし、最近に至りまして、いろいろ未処理の件数について深く突っ込んで参りましたところ、大体において二億円程度、あるいはそれを少し上回るかもしれませんが、その程度の資金残はある、未処理のものでこれから支払いを要するものはきわめて少額のものであるというふうにほぼ確認することができたわけであります。こういう点から申しますと、この支払い予算として不定することはまずないのではないかというふうに考える次第であります。
  15. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 最後に、私が要望いたしますことは、地方におります人たちは、自分たちの生活に取り組んでおりまして、こういう法律が通りましても、それを十分知らないでいる場合があると思うのでございます。どうぞ一つ、徹底した広報活動によりまして、これを周知せしめて、この恩恵にあずかる者で漏れる人がないようにということを私はお願いいたしまして、私の質問を打ち切ります。
  16. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 受田新吉君。
  17. 受田新吉

    ○受田委員 今中山さんからお尋ねになられて、受付件数、金額等については御説明があったようでありますが、この金額の差額、確認件数とそれから支払い件数及びその金額との差額、特に金額の方の差額というものが、これが幾らになりますか、その残されている金額はどう処理されておるか、この問題をお尋ね申し上げたいと思います。もう一度お尋ねしますが、今差額は大体一億四、五千万円であろうという御答弁があったそうであります。そのお命の処理はどうされておるかということです。
  18. 高橋俊英

    ○高橋説明員 差額という点が、私、はっきりわかりませんが、一億四、五千万と見ましたのは、おそらく、今後新たに確認を要するもの、外務省の方で手控えてあるものが四万二千件、この四万二千件のほかに、こちらにはないけれども相手方が持っておるかも知らぬ、台帳はないが本人が書類を持って請求しに来るであろうところのものが八千件ぐらいあるであろう、大体それで五万件と見ておけばいいではないか、外務省の方でお調べになった一件当りの平均金額は日本円に直しまして三千円程度であろう、従ってその一億五千万円ぐらい予算があれば支払いは足りるであろう、こういうお話であったのであります。なお、参君に申しますが、ただいままで処理しましたものがもし十二万八千件ございまして――これは枚数でございまして、一人が何枚も持っておる場合もございますが、とにかく十二万八千件以上あった。これの大部分が一応処理されたと認めるわけで、はっきりしないところがあるのでございますけれども、それの、平均の支払い金額をかりに計算してみますると四千七百円ぐらいになるわけであります。ですから、三千円で足りる、あるいは四千円以上要るのか、その辺ははっきりいたしません。しかし、かりに四千円といたしますれば、二億円ぐらい要ることになりますが、二億円ぐらいで済むならば、今までに繰り越されているところの資金、で大体間に合うであろうということを申し上げたつもりであります。
  19. 受田新吉

    ○受田委員 その二億円ぐらいであれば、まだ支払ってない四千円ぐらいの単価で計算したものが支払えるであろうということになるわけですね。その予算措置はこの法律の通過した場合に直ちにとられるということになりますか。
  20. 高橋俊英

    ○高橋説明員 これが新たなる予算措置を伴うということになりますると、政府としても非常に困るわけでございます。この議員立法によりましていやおうなしに予算を計上しなければならぬということになりますと、予算は補正まで待たなければならぬことになりまするので、それは大へんでございます。そもそもこの借入金の支払い予算昭和二十六年度の一般会計補正予算に計上したわけでございます。当初実際に支払い手続を開始いたしましたのが二十七年度からでございますけれども、二十六年度の補正予算の際に八億五千万円を計上したのでございます。これを毎年度使用いたしまして、支払い残額は歳出繰り越しの手続をして参りました。つまり、逓次繰り越しと申しまして、毎年残っただけを繰り越してきております。たまたま二十九年度から今年度にも二億円以上の、少し上まわる金額を歳出繰り越しの形で持ってきております。そういう関係で、これは、ほんとうは、こういう措置がないということであるならばおそらく大部分を不用額として処理すべきであった、つまり、もう歳出は要らないから歳出繰り越しをしないで処理してしまうべきであったと思いますが、従来の惰性と申しますか、残っておるものはみな歳出繰り越しをしろということで、国債整理基金の一般のやり方がそういうようになっておりますので、繰り越し処理をしたわけであります。その関係で現在二億円余りの資金が、予算として残っておるということになりますので、新たなる予算措置は要らないというふうに考えております。
  21. 受田新吉

    ○受田委員 まあそれでわれわれとしても非常に安心したわけでありますが、その新たなる予算措置を講じなくて済むということが確認されるならば、議員立法でここに残された人々を救済する措置は非常に迅速に進められることと解釈してよろしいのですね。
  22. 高橋俊英

    ○高橋説明員 先ほど申しましたように、この金額は二億円、まあ正確に申しますと、二億三千万円ぐらいになるのです。ですから、問題は一件当りの単価、単価といいますか平均がどのくらいになるかによって、果して足りるかどうか、――たとえば、今までの平均で申しますと四千七百六十二円になっておる。これを五万件として計算いたしますと二億三千八百万円の計算になる。二億三千八百万円ということになると、少し予算が足らないということも起り得るわけです。しかし、おそらく、これはあまりいいことじゃありませんが、年産内に全部の支払いをするということも手続上従来の経験から申しましてあり得ない。従いまして、おそらく九九%までのところ、私としては今残っておる命を上回るような支払いになることはないだろうと思いまして、そういう意味におきましてただいまの受田委員のお説の通りであると思います。
  23. 受田新吉

    ○受田委員 残されたものは単価がやや低いのではないかという想定は、われわれとしても持てるのであります。だから、今お説の、四千円をこえるものと見ないで、われわれは、それよりも下回るのではないか一。また残された人々は、これは周知徹底に事を欠いたために、その便法のあるのに利用し得なかった人々と認定しておるわけなんでありますが、この点について、もう一つお伺いしたいのです。過去二回にわたる法的措置がとられたその際に、政府として、これら該当者に周知徹底せしめる方法はいかなる手段をおとりになられたか。その公告――公けに告げる告げ方をお示し願いたいと思います。
  24. 池田千嘉太

    ○池田説明員 御質問の周知徹底の方法につきましては、この受付は大体窓口が市町村でありますので、各府県を通じまして、地域的にも、新聞広告ラジオ、それから場所によっては回覧板みたような形、それからビラも出しましたし、ほとんどやり得る方法をもってやっていただいたようです。それから、私の方におきましても、全国をカバーする新聞にも広告しましたし、それから、ラジオによっても全国的に一回もしくは二回ぐらい放送をやりました。ですから、大体考えられる方法はとったのじゃないかと思っておりますが、不幸にしてこれだけの件数が残ったということは、引揚者が当時居住地域が安定しなかったとか、あるいは都市なんかにおってその方まで気がつかなかったというような事情があるのではないかと思いますが、今回もし再受付をするようなことになりますれば、さらに地方へもお願いしまして、完全を期するようにしたいと思っております。
  25. 受田新吉

    ○受田委員 この該当者に周知徹底せしめるために、この機会にこれが最後あでるという前提のもとに徹底的に御努力を願いたいと思います。そうしてこれらまだ申請漏れになっておる人々に対する権利を守ってあげるためにも、そうした組織的な方々にも十分協力を願って、その方面からも周知徹底をはかっていただくような御処置を願ったらどうかと思うのであります。ただ、ここで、借入金確認件数や金額を調査するに当って、現実の支払いが一人について最高五万円、最低五百円までとなっておる関係上、その五首円以下あるいは五万円以上というようなものがはずれておる関係上、実際はこの数字が下げられた結果になるのではないかと思うのです。また五百円未満などというものは相当多数の件数があると思うのでありますが、そういう現実の支払いの対象となるもの以外の、つまり五万円以上五百円以下のものの金額等について、御調査ざれた実績はありますまいが、概数等がわかればよいのですが……。
  26. 高橋俊英

    ○高橋説明員 はなはだ残念でありますが、先ど申しましたように、財務局等におけるこれらの事務に関する従事員数があまり多くありませんので、五万円以上でどれだけ切り捨てられたか、五百円以上がどの程度あったかというようなところまで調査をいたしておらないのであります。
  27. 受田新吉

    ○受田委員 ハルピンの場合をちょっとお尋ねしたいのですが、ハルピンに関係したものに対しては借入金の台帳がないということです。またこの提供者の方の側も受け取りを持って帰ることができなかった。こういう特殊の事情にあるところのものについては特に慎重を期さなければならぬと思うのでありますが、これは安東の場合も同様です。ハルピンとか安東とか、そういう特殊の事情にあった地域の確認が容易でないものについての調査にはいかなる態度をおとりになっておられるか。ことに、ハルピン、安東の場合における確認済みと申しますか――見込み件数から確認数のパーセンテージを出すということはなかなかむずかしいと思いますが、その見込み件数の中における確認済みの比率というものはどういうふうになっておるか。また、まだ残された確認の容易い部分に対しては何か適当な措置をとるという意思をお持ちであるか。お聞きいたしたいと思います。
  28. 池田千嘉太

    ○池田説明員 ただいまお話しのハルピン、安東等の借入金の審査につきましては、先ほども一応簡単に御説明申しました通り、審査会におきましても非常に丁重に取り扱いまして、ハルピンの引揚者のおもな方に数回にわたって私の方に来ていただきまして、資料の提供をお願し、それから、そのほかに、日本人関係者において承知しておられる人で何か資料を持っておられるような人から全部それを取り上げて提出してもらうようにお願いして、そうしてできる限り資料を集めたようなわけであります。それから、一方におきまして、もし個人において何か現地において手帳とかメモとかいうものに書き残したようなものがありましたら、それをも提出してもらいまして、それを審査の資料にして何か手がかりのあるもので、審査会においてこれならばと思えるものは、ほとんど完全に受け付けて処理したわけでございます。大体、ハルピンでは、借入金について請求が出ましたのが一万六千件でありましたが、そのうち確認されたものが一万二千件くらいになっております。あとは確認するに至る資料がないという分で、結局確認できなかったわけであります。相当の努力はしたつもりでございますが、大体そんな状態でございます。今後も、今確認資料がなくて確認できないという返事を出したものにつきましても、われわれが確認してよいと思われる何か的確な資料が出ました場合は、さらにこれを確認する手続をしてかまわないわけであります。その点、再受付の場合はさらに努力をしてみたいと思っております。
  29. 受田新吉

    ○受田委員 政府として非常な誠意を持って事に当ろうとする態度が見られて、われわれ敬意を払いたいと思います。このハルピン、安東地区のような非常に困難な事情にある地域にまでも、残される人がないような行き届いた措置をしなければ、われわれとしてはこの戦争処理の責任が果されないわけでありますから、この際政府としてはあとう限りの努力をされて、これの解決に万全を期せられんことを要望いたしておきます。  ただ、ここでもう一つお伺いしておきたいことは、外務省としてこれらの借入金に関係した事務費をどのくらい充当しておられるのか、数字が出ておりましたらお知らせいただきたいと思います。
  30. 小沢武夫

    ○小沢説明員 お答えいたします。本事務の処理のために、昭和二十六年度におきましては定員十六名と事務費一千七十万円をもってこの専務を始めたのでありますが、その後二十七年には定員が十名になりまして、さらに二十八年には五名、二十九年には二名になりました。本年度におきましては、大体この事務はほとんど残務整理に入ったのではないかという細心想定のもとに、外務省の機構改革とあわせて考えまして、一応借入金審査室を落したわけでありまして、定員がゼロになっております。これはもちろん定員法の関係が通らなければ実行しないわけでありますが、一応本年度は借入金審査事務には定員はなしということになっております。もちろん、事務費の方も、二十七年度には七百万円になり、二十八年度は百五十九万円に下りまして、二十九年度は事務費は全然ついておりません。もちろん、本年度におきましても、定員がない関係上、事務費も全然ついていないというような現状であります。
  31. 受田新吉

    ○受田委員 しからば、今後におけるこの事務処理に当っていかなる態度をおとりになればよいのでありますか。
  32. 小沢武夫

    ○小沢説明員 もちろん、これは、外務省といたしましては、本事務を新しく四万二千件を御審査するためには、ある程度の定員の増員、それから事務費の追加をお願いしたいと考えておるわけでございます。定員の方につきましては、これは、現在の定員法その他の関係にかんがみまして、できるだけ現在の外務省定員のやり繰りでやってもいいという心がまえでおります。ただ、事務費の方につきましては、全然ないということは非常に外務省予算の建前上困難でございまして、できたら少しでも何とかお願いしたい。特に、この周知させるための費用、それから件数の整理のためのカードその他の費用、それから庁費、そういうようなものをお願いしたいというふうに考えております。
  33. 受田新吉

    ○受田委員 これはちょっと前へさかのぼることになるのでありますが、話が基本的な問題に返ってくるのでありますが、最初法律を作ったときの例の換算率、あれを百分の百三十としてございますが、あの当時の理由をもう一度御説明いただきたい。
  34. 高橋俊英

    ○高橋説明員 その当時のきめ方として、非常にはっきりした考え方ではございませんが、やはりある一定の期間政府の借りたものに対する支払いがずれたということから、利子という明確なものではございませんが、それに近い考え方で、単純に換算した金額よりは、三割だけ余分に払う、利子の変形だというような意味にもとれますが、はっきりした利子というようなものではなく、支払い遅延に対するところの割増し金を考慮したというふうに承わっております。
  35. 受田新吉

    ○受田委員 一年に五分の利子にしましても、六年たてば三十になるわけですから、その利子の方の計算から考えても妥当な数字になっているわけですが、今回はそれからさらに、三、四年たっているわけです。これは、政府が一応周知徹底の方法を講じてなお申請漏れがあった人々であるから、それは申請しなかった者が悪かったんだと言えばそれまでですが、いろいろな事情で数年前に受くべき権利の要求を今日まで待っておったことに対して、今の利子に充当する程度のものを多少でも考慮するような方法をとることが妥当であるかどうかについて、御意見を伺いたいのです。
  36. 高橋俊英

    ○高橋説明員 前の割増しが六年間経過に対する年充分の割合で三割ということにはっきりなりますと、仰せのようにその当時からまた年数がたっておりますから、同じじゃおかしいじゃないかということになりますが、実際は、今までの支払いの実情を申し上げますると、あの当時すぐ払った者もあるし、それから今になって払っているのもあるのです。今はほとんど微々たるものでございますが、確認の事務が一斉に行われませんので、あの当時からさらに二年ぐらいたったあとで、あるいは三年くらいたって支払いを受ける者も現実にあるわけです。それも利子ということになりますると、毎年ふやしていかなければなりませんが、そうはやっておりませんで、やはり三割増しの金額だけにとどめておるわけであります。今回新たに確認手続をとるものが、お説のように本人の遅滞に属するものもあるでしょうし、あるいはやむを得ない事情に属するものもあるでしょう。しかし、これはそれぞれの場合を一々区別するわけには参らない実情でありまして、この前の措置のときには、早くから確認請求を出しておったが、いろいろむずかしい手続の関係で支払いが二年以上も遅れているものもあったわけでございます。それらとの権衡を考えますると、三割増しを五割増しにするようなことは権衡上ちょっととりにくい。あの当時、二年以上前に一斉に支払っておりますならばいいの、ですけれども、毎年々々次々と支払いをしておりまして、そうしますと、早く支払いを受けた者と遅く支払いを受けた者との間の切れ目をどこにするかという非常にむずかしいことが起りますので、まあなるべくは前と同じ金額、割増しの程度にすべきがいいのじゃないかと私は考えております。
  37. 受田新吉

    ○受田委員 そういうことにつきまして政府の所信を伺ったのでありますが、これもわれわれの方の議員立法に対する態度にも関係ある問題でありますので、一応御意見を了承いたしますとともに、今まで在外公館の借り入れを確認された件数の中のお金の種別、たとえば満銀券とか、あるいはソ連軍票とか、日銀券とか、いろいろありまして、非常に多額の金を支払っておるのは連銀券、儲備券が多いと思うのでありますが、今ここでもう一つ繰り返したいことは、こういうお金の種類によって支払い換算率というものが違っているわけです。あの支払いの換算率というものを、それぞれの金種別に考えて比率を設けられた当時の事情が今日もそのまま続いておると解釈をしておられますか、あるいはそうした通貨の価値において多少の変動が現実に起っているとお認めになりますか、御答弁を願いたいと思います。
  38. 高橋俊英

    ○高橋説明員 この点は、先ほども一度お答えしたのでありますが、これは二十七年にきめました。二十七年当時において、振り返って、戦争末期といいますか、大戦直後の状態とのバランスを考えてきめました。そうしますと、問題は、その二十七年当時と今日とどれだけの差があるかということになりますが、これは、御承知のように、物価その他の面から見ましても、二十七年当時と現在とではあまり大きな開きはございませんので、その点は全く前のものをそのまま使って差しつかえないじゃないかというふうに考えております。
  39. 受田新吉

    ○受田委員 もう一つ、この法律を作った当時に政府が考えられた案は、一方的に五万円という額に制限したわけです。それは、内地へ帰ったら約束した金額はそのまま全額を支払うという約束で帰った人々にとっては非常な不満があったことは御承知の通りなのですが、制限をした願について、何か新しい観点から、その所有権を擁護する立場からお考えになられている点はありますまいか。
  40. 高橋俊英

    ○高橋説明員 五万円になぜ打ち切ったかという点は非常にむずかしい問題でして、これは実際問題として訴訟などを起している例もあることはあるのです。しかし、この点は、この前この法律が通ります際に実はもう十分論議せられまして、いろいろ御意見もあるでございましょうが、とにかく五万円で打ち切るということで御了解をいただいた。それで、今日の事情から言ってそれをここで今急に改めるということになりますと、一たん処理したものをもう一ぺんまた蒸し返してやらなければならぬということになりますし、新しく確認を求めるものだけについて五万円の限度を上げるということも、これはとてもできないのではないかと思いますので、その点については前同様にお考え願えたらけっこうじゃないかと思います。
  41. 受田新吉

    ○受田委員 今から新たに請求する人でなくて、過去にさかのぼっても、当時の事情と比べて国の財政上の余裕もできたとか、あるいは国際的な関係も好調になったとかいうようなときが来るならば、できればそうした制限を加えたものに対しても漸次これをゆるめていくというのが政治の要諦だと思うのであります。そういう点で、五万円以上の件数というのは、われわれが聞いておるところでもきわめてわずかな件数でありますが、そういうことについて今訴訟が起きているというお話もございましたけれども、一律に五万円で打ち切ってその人の所有権を侵害したそのことに対して、できればこれを基本的には認めていくような態度にお考えではないかというそこなんです。つまり、このたびという意味ではなくして、基本的な問題として、当時の法律で制約を受けたものを復活するという意図があるかないかということをお尋ね申し上げます。
  42. 高橋俊英

    ○高橋説明員 この在外公館借入金というものは、通例の場合の国の債務、つまり国が国債を発行したとかいう平常の場合における国の債務とはやはり性質が違うのではないか、――以前から申しておりますが、この債務というものは新たなる確認手続を得て初めて発生するものである、前にあったものをそのまま国の債務として支払おうというよりは、新たにこの法律の手続によって発生する特殊な債務であるというようなことから、やはりまた戦時補償打ち切りの問題等との権衡問題もありまして五万円にしたわけですが、何分にも、財政面から申しましても、御承知のようにますます歳入歳出は逼迫して、歳入にはゆとりがないようになっておる際でございますので、できれば五万円でごしんぼう願うほかないのではないか、政府としてはそういうふうに考えております。
  43. 受田新吉

    ○受田委員 これで質問を打切りますが、さらに、最低五百円という額は、これは手数がめんどうであるということもいろいろあると思うのですが、実際は百円、二百円、三百円、四百円とか、わずかな金でも今引き揚げてきた人々にとっては血のにじむような大切な金でありますが、このきわめて大事なお金を、たとい少額であっても、これを何らかの方法で一括して支払うというようなこと、組織を通じて申請された場合には組織を通じて支払いするとかいうような便法でもせめてとられたならば、ごく少額の権利を守ってあげることができると思うのでありますが、いかがお考えでしょうか。
  44. 高橋俊英

    ○高橋説明員 ただいまのお話ですと、五百円未満を切り捨てているようにお考えかと思いますが、実際は五百円未満は五百円にするということで支払っておるのであります。ですから、五百円より少ければ五百円にして払っておるのですから、その点は御心配な
  45. 受田新吉

    ○受田委員 大体、今度の法案のわれわれの心持を十分政府がくんで、予算的にも十分お待ち受け申し上げているという態度であって、法律ができたら迅速に支払う、しかも周知徹底には万全を期するという、きわめて親切な態度を持っておられることに対しては、非常な敬意を表します。従って、この残された人々に対してわれわれが深く心を振り向けようとするこの国会意思に御協力をいただきまして、法律施行された場合には万全の措置を講ぜられることを期待して、私の質問を終ります。
  46. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 辻政信君。
  47. 辻政信

    ○辻委員 一つだけ。これは最後の法律でありますから、お気の毒な人に漏れなく行き渡るような最終期日を決定する必要があると思います。これは請求権の確認の最終期日が今年の十二月三十一日までとなっておりますが、もう一年お延ばしになったらどうですか。提案者に伺います。
  48. 高岡大輔

    ○高岡委員長 その点につきましては、従来の経過を申し上げますと、これは最初のときは九十日間で十分だという話があったのでありますが、関係団体からの要求等もありまして、昭和三十五年三月二十一日の法難第十三号によって百五十日に延長されたのであります。ところが、なお漏れが出たものでありますから、その後、昭和二十七年三月三十一日、法律第四十四号で、さらに四月一日から六月三十日まで三カ月間、すなわち九十日間の延長をしてきたのであります。ただいま申し上げました通り、最初のときは百五十日、次は九十日といった小刻みな延長をやってきましたので、このたびは、一応これで十分ではないかという気持で、今年十二月三十一日までの期限を付したのでありますが、当委員会におきまして、これが最終的な異議を持つから十分期間を長くしなくてはいけないという御意向がございますれば、提出者といたしましては何ら異存のないところでございます。
  49. 辻政信

    ○辻委員 これは別に予算を必要とするものでもないし、国が持っている債務で当然やるべきことでありますから、おそらく、こういう法律はある時期に打ち切らなければならないもので、これが最終のものじゃないかと思います。外務省の皆さんは、事務がいつまでも片づかなくて何でしょうけれども、これが国家として最後の期間でございますから、私は、各党の皆さんに御異存がなければ三十一年の十二月三十一日まで延ばすように御修正いただきたいと思います。それがいやならば、少くとも三十年度の年度末、来年の三月三十一日、そういうふうにして整理をなさるべきものじゃないかと思います。
  50. 高岡大輔

    ○高岡委員長 ただいまの辻委員の御発言に対しましては、私は何ら異存はありませんけれども、できますれば、来年の十二月末というのは余りにも長いような気がしますので、会計年度の昭和三十一年三月三十一日まで延期することが適当かと考えます。
  51. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 ちょ速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  52. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 速記を始めて下さい。
  53. 辻政信

    ○辻委員 各党とも年度末ということに異存がないようでございますから、この終期を三十一年の三月三十一日にされんことを修正意見として提出いたします。     ―――――――――――――
  54. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 それでは、次に、在外資産に関する件について質疑を行います。  質疑の通告がありますので、これを許します。山下春江君。
  55. 山下春江

    ○山下(春)委員 昨年度三カ月という長い時間努力して作りました金融機関再建整備法の一部を改正する法律、旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令の一部を改正する法律、閉鎖機関令の一部を改正する法印という三案を作りまして、在外資産の処理に当ってきたのでありますが、その際の状況が、台湾銀行朝鮮銀行等は、銀行自体の財産が非常に豊富にありましたので、これは異議ないのでありますが、正金銀行関係は、国内に正金銀行財産を持っていないというゆえをもちまして、今日までこれが五万円の処理が完成していないではなかろうかと思われるのです。最近聞くところによりますと、正金銀行外地における財産スイスパキスタンアメリカブラジル等にあったようでありますが、主たるものはスイスにあったようであります。そのスイスにありました財産は、日本国政府との間に話がついて、処理がついたというふうに聞いておりますが、この法律が出まして以来の処理の状況及びその正金銀行財産関係及び処理についてお伺いをいたしたいと思います。
  56. 岩動道行

    ○岩動説明員 私の所管いたしておりますのは、閉鎖機関の関係と、在外会社の関係で、金融機関再建整備法に基く関係のものは、こちらに銀行局長が見えておりますので、銀行局長からお答えをいただきたいと思います。  まず、閉鎖機関でございますが、在外預金債務等を持っておりますのは十六ございまして、在外会社の方は十四でございます。昨年の六月中旬から債権の申し立ての受付を開始いたしまして、現在まで至っているわけでございますが、その概況を申し上げますと、まず受付の件数でございますが、閉鎖機関におきましては、送金が十三万一千九十八件、預金が十四万三千六百六十六件、合計二十七万四千七百六十四件、そのうち処理済みの件数は、つまり支払いを終了いたしました件数は、送金におきましては三万六千六百十六件、預金におきまして四万七千九百四十二件、合計八万四千五百五十八件、従いまして、未処理のものが合計で約十九万件ございます。この大部分は、今お話のありましたように正金が中心になっております。  それから、在外会社の関係でございますが、送金の方の受付が一万二百五十四件、預金関係が四万六千四百四十二件、合計五万六千六百九十六件、支払い済みが、送金千百六十八件、預金三方七千九十三件、合計三万八千二百六十一件ということになっております。  それで、正金銀行の関係でございますが、正金、銀行は、ただいまお話もありましたように、在外資産の主たるものはスイスに所在いたしておったわけであります。このスイスに所在しておりました資産は、スイス自体の戦争中の日本に対するクレーム担保としてこれを凍結しておったわけであります。一方、これは平和条約の十六条の関係で、中立国にあった財産は赤十字国際委員会に引き渡しをする対象として規定をされておったわけであります。従いまして、正金のスイス資産等は、スイスクレームと十六条の関係と、二重の観点からその処理が自由にならない状態になっておったのでございます。しかしながら、スイスの対日クレームにつきましては、昨年の暮に大体話がつきまして、本年の四月にそのクレームの問題は全面的に解決をいたしまして、その結果、スイスとしては日本のそういう資産を凍結するという理由がなくなりましたので、全面的にこれは解除になったわけであります。一方、十六条の関係で、その資産は政府が等価のものを赤十字国際委員会に引き渡しをするか、あるいは正金等のそういう資産を引き渡しをするか、いずれか選択によってこれを実行することになっておったのでございますが、これは、種々検討いたしました結果、正金の資産等を引き渡しをすべきでなく国が直接等価のものを引き渡しをすべきであるという結論に到達いたしまして、これも本年初頭以来関係国と交渉の結果、その線で話が妥結をいたしたわけであります。これも五月にその実行をいたしたわけであります。その結果、正金のスイスの資産は完全に正金の所有権に帰属すると申しますか、自由な処分にゆだねられることになったわけであります。従いまして、そのスイス資産、これは日本円に換算いたしまして約四十億円でございますが、これが本邦に取り寄せられるということに現実になったわけであります。しかしながら、資産の内容から申しまして、その中には金塊等もございまして、これの処理等がまだできておりませんので、現実に本邦に取り寄せられた金額は三十数億という金額になっております。そのほか、正金の在外資産はブラジルに――これは、ブラジル通貨が非常に不安定で、価値が下落いたしておりますので、その換算額を幾らに見るかということがなかなかむずかしいような状態になっておりますが、大体五億見当と考えております。そういったような資産が今後具体的に正金の資産になる見込みがございますが、現実には、まだ、先方の為替管理等の関係で、これを本邦に取り寄せる段階には至っておりません。このような在外資産の状況によりまして、現在正金が――これは五月十五日現在の数字でございますが、正金といたしましては四十八億六千万円の国内資産を保有することができるような状態になっております。これに対しまして、さしあたり考えられております支払いを要する金額は二十八億三千三百万円、その内訳は、従来の国内債務として支払いを要するもの、――これは、従来の資産状況から申しますと全額支払いはとうてい不可能なことになっておりまして、五五%だけ支払いをして、四五%は一応たな上げのようなかっこうになっておったわけであります。その五五%の部分でもまだ支払いを済ませていなかったものが十四億一千二百万円あるわけでございます。それから、今回の預送金関係の債務でございますが、これは、まず件数の方を申し上げておきたいと思いますが、送金関係で受付をいたしましたのが八万三千百八十二件、これに対しまして、さらに税関等に証拠書類等を預けてまだ返還をしてない、本人の手にもどってない、従って税関が直接調べて税関の方からこちらの正金銀行笠寺に連絡がありましたもの、あるいは、まだ申し立てが出ていないけれども、あるいは申し立てになるかもしれないという予想の件数が、送金関係で一万九千五百三十件、預金関係で九千百六十四件、合計二万八千六百九十四件というものが見込まれておるわけであります。それで、その金額でございますが、合計金額で申し上げまして、現在までに受け付けましたものが二十二億九千三百万円、それから、今後申し立ての見込みがあると考えられますのが、これは非常に推計の数字になっておりますが、約二億見当になっております。そこで、このほかに、正金銀行につきましては、日本銀行国庫代理店業務をやっておりました関係で、日本銀行の預金債務、つまり代理債務として約五十数億の金額がございまして、これは日本銀行から申し立てを受けております。やはり外地預金の一つのものとして考えられておるわけであります。従いまして、正金銀行は、外地預金等の債務を、ただいまの数字から申しますと約八十億見当のものを債務として負っておるという状態であります。それに対しまして、正金銀行の現在の保有資産は四十八億六千万円ということになりまして、国内債務弁済も完全にできないし、また外地預金も完全に弁済するという状況にはまだとうていなり得ない結果になっておるわけであります。しかしながら、ここで外地預金等を支払いをするという法律精神にかんがみまして、正金銀行としても、できるだけ、個人の預金者に対しては少額でもいいからその資金のある限り払っていきたいという考えに立ちまして、スイスの資産が返ってきたのを機会に、ただいま、外地預金、送金等につきましては、五万円を限度として、これだけは優先弁済をするという措置をとることにいたしまして、現にその支払いを先般来開始いたしておるわけであります。従いまして、現在のところは、五万円までは全額払うけれども、五万円以上の人は、五万円をこえる部分については五五%しか支払いを受けられないという状況になっております。これは、正金銀行としては、戦争中から、あるいは戦前からの外国との金融協定等に基いた特別円債務でありますとか、いろいろな外交関係に基いた対外債務をまだ負担いたしておりますが、その問題も未解決でございます。また、ただいまも申しますように、日銀の代理店預金の問題もまだ未解決でございます。そんな関係で、今後五万円をこえてどれだけ払い得るかということにつきましては、まだ現在ちょっと予想が立てられない状況でございますが、少くとも五万円の分だけは完全に支払いができるという態勢を整えて、現在支払いを開始して実行をいたしておるわけであります。
  57. 山下春江

    ○山下(春)委員 今閉鎖機関で特に正金銀行の方のお話を聞きましたが、正金銀行だけしか事務渋滞しておらないと思うのです。あとは金があり過ぎるほどあったのですから御処理願ったわけですが、今のお話で大体わかりましたが、そういたしますと、個人の預金、送金の分に対しましては、受付開始後相当時間がたっておると思いますが、現況はどんなふうになっておりますか。今、開始以来支払いを進めておるということでございますが、そこに、今どのくらい残っているか、どのくらい進行したかということについての表でもあれば、ちょっと……。
  58. 岩動道行

    ○岩動説明員 先ほど閉鎖機関と在外会社に分けて受付の件数と支払い済みの件数を申し上げたわけでございますが、さらに、これを両方合せて申し上げますと、受付の件数は全体で三十三万一千四百六十件になっております。それに対しまして、支払いを終了いたしました件数が十二万二千八百十九件、差引未処理の件数が二十万八千六百四十一件、これは割合にいたしまして三七・一%ということになります。なお今後申し立ての予想をされる件数が七万三千二百九十三件ということになっております。
  59. 山下春江

    ○山下(春)委員 大体、今、正金関係のものについて手続をとっておるが、なかなか運ばないという問い合せが方方からあるので、その後の状況がどうなっておるかということを承わって、心配している人たちを安心させてやりたいということが目的でございますから、それでわかりました。  そこで、そこにおいでになる御三方はいずれもきっと専門外だと思いますし、日本国としてもまだ腹がきまっていないのであろうかとも思いますが、いずれ考えてやらねばならない問題の中に、たとえば満州興業銀行というものがあったはずでございますが、そこに預金をしておった者は、これは満州国法人のような性格であったかに聞いておりますので――私本日正確な資料を持っておりませんが、そういうことのために、これは一切手がついておりません。これをもし手をつけることになると、あるいは当時その銀行に預けておった満州国人のはどうするかというような問題も起ろうかと思いますけれども、そういう問題について政府で御研究になったことがございましょうか。
  60. 岩動道行

    ○岩動説明員 満州興業銀行は現在閉鎖機関に指定をされて、国内清算だけは実行いたしておるわけでございます。しかしながら、本来満州に本拠を置いて満州で事業を行なっておりました金融機関でありますので、本邦内の関係はきわめてわずかなものであります。従いまして、満州興業銀行として本邦内に持っております資産は現在約五百万円であります。それに対しまして、国内の債務として三億一千八百万という債務を持っておりまして、従いまして、ほとんどその債務弁済が不可能と申しますか、きわめてわずかなパーセントしか支払いができないというような状況になっております。しかしながら、これにつきましても、少額の債権者にはできるだけ優先弁済をさせるということを考慮してみたいと考えておりますが、何分にも、まだ今後の申し立ても多少あるかと思いますので、そういうものを見きわめました上で、少くとも少額の債権者を保護するような措置を、この少額ながら五百万円の中でもやってみたいというふうに考えておるわけであります。
  61. 山下春江

    ○山下(春)委員 満州興業銀行が閉鎖機関になっておるということを私は不勉強で今初めて知りましたが、そうすると、大蔵省内ではこの考え方は統一しておりましょうか。非常に遠隔の地からやってきました者が、まことにけんもほろろな取っつきようのない返事を持って帰って、非常に悲しみかつ憤慨しておる陳情に最近接しておるのでございますが、これの扱い窓口はどこで扱っておりますか。
  62. 岩動道行

    ○岩動説明員 このような閉鎖機関の清算は、在外活動関係閉鎖機関特殊清算事務所というものがございまして、そこでやっておるわけでございます。そこには大蔵大臣が選任した特殊清算人がおりまして、責任を持ってやっておるわけであります。     ―――――――――――――
  63. 山下春江

    ○山下(春)委員 私は本委員会に一つ動議を提出いたしたいのでございますが、提出してよろしゅうございますか。
  64. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 どうぞ。
  65. 山下春江

    ○山下(春)委員 きょうは、留守家族援護、それから遣家族援護の審査をすると、たしか公報に出ておったはずでございますが、その衝に当られる援護局長が本委員会にきょう御出席ができないそうでございます。その御出席できない理由は、ただいま巣鴨に在監中の朝鮮人台湾人の問題がいろいろめんどうなことになっておるために御出席ができないと仄聞しております。そういう問題は、一党一派の問題でございませんので、なるべく本委員会等で審議した上でお扱いを願いたいと思いましたが、そういう事故のためにおいでにならないそうでございますから、質問をいたしまして審議をいたす機会を与えられませんでしたので、動議を提出いたしまして、皆様方の御賛成を願えますならば大へん仕合せだと思うのであります。  それは、一つは、今回改正されます恩給法の改正によりまして、未復員者の年齢制限一を恩給法で行うことになっておりますが、これははなはだ筋が通らないのでありまして、その一家の支柱である抑留者がその一象の労働力として働くことができない状態にありますので、恩給法上にあります不具、廃疾、傷痍軍人と同等の扱いをされるべきでありますが、今回の改正にはそれが未復員者も年令制限を受けることになっておりますので、これを撤廃していただきたいというのがその趣旨でございます。その要旨を、本委員会恩給法の一部を改正する法律の一部を改正すを法律案に対する修正意見として御審議を賜わって、そちらへ回していただくことができれば幸甚と思うのであります。  その内容といたしましては  未帰還公務員については、その特殊性にかんがみ、現行恩給法中若年停止規定の適用を排除するとともに、未帰還公務員死亡した場合の公務扶助料については、その死亡した日の属する月の翌月から支給することが妥当であると思われるので、政府はこれに関し早急に検討の上善処するよう要望する。  この修正意見を御審議願いまして、よろしかったらば、一つ御決定を願って、恩給法を審議されております内閣委員会の方に回付いたしたいと存じます。委員長からお諮りの上、御採決を願いたいと思います。
  66. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 ただいま山下春江君から動議が出ておりまするが、一応理事会にお諮りして、その上で、当委員会で動議を取り上げるかどうか決定いたしたいと思います。
  67. 山下春江

    ○山下(春)委員 これはその通りのお手続の方がけっこうだと存じますが、聞くところによれば内閣委員会は月曜日に大体討論終結をされるのではなかろうかというようなことで、はなはだ瞬間的に急を要しておりますので、もし委員会におきまして御異議がなければ、早急に御決定を願って、これを内閣委員会の委員の先生方に御審議を願って、御決定を願いたいと思うのでありますが、要するに、この委員会を一応通過した形をとることが私は好ましい方法であると思い、本委員会に提案をいたしたのでありますが、時間的な問題がありますので、もしよければ御決定を願いたいと思います。
  68. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 ただいまの山下春江君の動議につきましては、一応理事会にお諮りして決定いたしたいと存じまするから、さように取り計らいます。  暫時休憩いたします。    午後零時三十分休憩      ――――◇―――――    午後零時四十九分開議
  69. 高岡大輔

    ○高岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  山下委員より発言の通告があります。これを許します。山下春江君。
  70. 山下春江

    ○山下(春)委員 ただいま私が提案いたしました件につきまして、理事会の御審議の結果、字句の修正がありますので、あらためて提案いたします。恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する修正意見を朗読いたします。  未帰還公務員については、その特殊  性にかんがみ、現行恩給法中若年停  止の規定の適用を排除するととも  に、未帰還公務員死亡した場合の  公務扶助料については、その死亡し  た日の属する月の翌月から支給する  ことが妥当であると思われるので、  これらに関し、早急に検討の上修正  あらんことを要望する。このように修正を要望いたしたいのであります。  なお、この修正意見に対する理由を御説明いたします。  昭和二十八年八月に施行された恩給法の一部一を改正する法律(以下単に改正恩給法と申します)附則第三十条第二項ただし書きの規定によりまして、未帰還公務員の留守家族に支給される普通恩給は、恩給法の若年停止に関する規定の適用を受けるために、せっかく改正恩給法により留守家族に与えられた特典も有名無実に終る場合がしばしばありますが、未帰還公務員は、外地にありますため、現在内地において労働能力を発揮することは全く不可能な状態にあるのでありますから、所定の傷痍疾病のために労働能力を失っている者について若年停止を行わない旨の現行規定の趣旨にかんがみ、未帰還公務員の留守家族に支給される普通恩給につきましては、若年停止に関する規定を適用しないよう措置すべきであると存じます。  なお、未帰還公務員の遺族に支給されます扶助料は、改正恩給法施行前においては、未帰還公務員死亡のときにさかのぼって支給されていましたが、改正恩給法施行によって、その死亡が判明した日の属する月の翌月から支給されることになったので、改正恩給法施行前の取扱いに比し不利益をこうむることになりました。本来死亡の日に遡及して支給さるべきがその本質であるのにかんがみまして、未帰還公務員の遺族がこうむりました不利益を除去して、その援護の充実をはかることが必要であると存じます。  何とぞすみやかに御決定あらんことをお願いいたします。
  71. 高岡大輔

    ○高岡委員長 ただいま山下委員より提出されました動議につきまして、理事会において協議いたしました結果、恩給法の一部を改正する法律案を審議いたしております内閣委員会に対し、未復員者の年令制限撤廃についての修正意見を申し入れいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 高岡大輔

    ○高岡委員長 御異議なきものと認め、さよう決定いたします。  なお、右申し入れの方法等につきましては委員長に御一任を願いたいと存じます。  では、本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。    午後零時五十五分散会