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1954-02-05 第19回国会 衆議院 通商産業委員会 7号 公式Web版

  1. 昭和二十九年二月五日(金曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 中村 幸八君    理事 山手 滿男君 理事 永井勝次郎君    理事 加藤 鐐造君       小川 平二君    小金 義照君       始関 伊平君    田中 龍夫君       村上  勇君    笹本 一雄君       長谷川四郎君    柳原 三郎君       加藤 清二君    齋木 重一君       帆足  計君    伊藤卯四郎君       中崎  敏君  出席国務大臣         通商産業大臣  愛知 揆一君  出席政府委員         通商産業事務官         (大臣官房長) 武岩 照彦君         通商産業事務官         (通商局次長) 松尾泰一郎君         通商産業事務官         (企業局長)  記内 角一君         通商産業事務官         (重工業局長) 徳永 久次君         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君         通商産業事務官         (繊維局長)  吉岡千代三君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君         通商産業事務官         (石炭局長)  佐久  洋君  委員外の出席者         議     員 齋藤 憲三君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 二月三日  委員柳原三郎君辞任につき、その補欠として本  名武君が議長の指名で委員に選任された。 同月四日  委員齋木重一君辞任につき、その補欠として山  本幸一君が議長の指名で委員に選任された。 同月五日  委員本名武君及び山本幸一君辞任につき、その  補欠として柳原三郎君及び齋木重一君が議長の  指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 二月四日  中小企業金融公庫の運営に関する陳情書(東京  商工会議所会頭藤山愛一郎)(第二四一号)  中小企業金融公庫に対する国庫指定預金の増額  に関する陳情書(大阪府会議長野出相三)(第  二四二号)  同(大分県議会議長岩崎貢)(第二四三号)  中小企業金融公庫京都支所等設置に関する陳情  書(京都府会議長北村平三郎)(第二四四号)  電気関係法令の改正に関する陳情書(山梨県議  会議長小川切彰)(第二四五号)  電気事業法制定に関する陳情書(徳島県議会議  長森口幸夫)(第二四六号)  地域電気料金の設定に関する陳情書(山梨県  議会議長小田切彰)(第二四七号)  農山漁村の未点燈農家の解消とこれに伴う電気  導入促進の陳情書(大分県議会議長岩崎貢)(  第二四八号)  元富山県営電気事業復元の陳情書(富山市議会  議長西野十吉外四名)(第二四九号)  ガス事業法改正に関する陳情書(東京都議会議  長佐々木恒司)(第二五〇号)  金沢繊維製品検査所高岡支所を独立本所に復活  の陳情書(富山県織物染色工業協同組合理事長  武田儀八郎外三名)(第二五一号)  生糸の輸出振興に関する陳情書(経済団体連合  会会長石川一郎外一名)(第二五二号)  石油輸入対策に関する陳情書(和歌山県自家用  自動車組合理事長岡本秀夫)(第二五三号)  自動車燃料に関する陳情書(日本自動車会議  所会長村上義一)(第二五四号)  日中貿易促進に関する陳情書(佐賀県議会議長  安永沢太)(第二五五号)  同(札幌市議会議長斎藤忠雄)(第二五六号)  日中貿易通商上の各種制限の解除及び渡航の自  由復活に関する陳情書(札幌市議会議長斎藤忠  雄)(第二五七号)  石炭鉱業企業整備に関する陳情書外一件(北海  道夕張市長北島光盛外十六名)(第二五八号)  中小炭鉱特別金融措置法制定に関する陳情書  (佐賀県議会議長安永沢太)(第二五九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  通商産業政策の基本方針に関する件     ―――――――――――――
  2. 大西禎夫

    ○大西委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き、通商産業政策の基本方針に関する件について調査を進めます。質疑を継続いたします。長谷川四郎君。
  3. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 大臣と鉱山局長に日本鉱業権と鉱業法について御質問を申し上げます。鉱業権が設定されて、鉱業法の第二十七条にかわりがあるかないかを冒頭に局長に伺います。
  4. 川上為治

    ○川上政府委員 別に第二十七条につきましてはかわりありません。
  5. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 そういたしますると、第二十七条は鉱業権設定の出願が同一地域内に競合した場合において、いずれを優先せしめるかについて国の自由裁量を許さず、また出願人の資力、能力、経歴等、その主観的条件に関係なく、出願日時の先後その他の形式的要件によつてこれを定めようとする、いわゆる先願主義の原則を明らかにした規定である、こういうふうに書かれておりますが、これにお間違いはございませんか。
  6. 川上為治

    ○川上政府委員 おつしやる通りでありまして、間違いありません。
  7. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 そうなつて参りますと、お伺いしなければならない事件があるわけでございます。鉱業法の第二十七条の規定によつて、願書の発送の日時がまず優先権を保つということになつておるわけでありまして、さかのぼつて昭和二十六年五月の問題でございます。場所は北海道でございます。出願した日時が昭和二十五年の八月、従つて鉱業法第二十八条によつて、同二十六年の二月六日に受付番号を札幌からいただいておる。そういたしますと、その後昭和二十六年の五月、同地区において同地区の鉱区を新しく出願をいたしました。先願があるのにもかかわらず、あとから出願をしたものが、しかも優先をもつてこれが決定されているという事実がございます。おそらく局長はこの件について御承知であろうと思うのですが、その辺を明らかにしていただきたいのでございます。
  8. 川上為治

    ○川上政府委員 この問題につきましては私も知つておるわけでありまして、後願の方を先に許可をした、これは不当ではないかという問題につきましては、私の方としましても同様に考えまして、昨年の夏ごろと思いますが、北海道の通産局に指示いたしまして、それを取消して、先願を優先的に扱うようにという通知を出して、その際是正をさしたことがございます。
  9. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 昭和二十八年の五月二十日に、鉱業法五十二条によつてこれを取消したことは事実でございます。従つて同年のしかも五月二十五日、五日の間を置いて両者が同様の登録をしておる事実がございます。これはどういう理由であるか、明らかにしていただきたい。
  10. 川上為治

    ○川上政府委員 その後におきまして、今おつしやいましたように、その際は両方を許可処分したわけなんですが、その許可処分はやはり先願主義にのつとつて先願したものを先に許可をしております。
  11. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 それはおかしいじやないか。昭和二十五年の八月に先願をしておいて、一応これを錯誤だから取消すといつて取消したのが二十八年の五月二十日であつて、しかも同じ人間に五月二十五日に許可をしているというのは、どちらに優先があるか。そうなると鉱業法第二十七条を、あなたみずからが無視していることになるが、その点はどうでございましようか。
  12. 川上為治

    ○川上政府委員 先願者に対しましては、許可は五月二十一日に行われておりまして、それから後願者につきまして五月二十三日に行われておりまして、この二日間後願者の方が遅れておりますが、問題は登録につきまして、先願者の方が六月十五日に登録をし、後願者の方が五月二十五日に登録をしておりまして、この問題につきましては五月二十一日と五月二十三日で、一応その許可処分につきましては、先願者に優先的にやつておりますが、先願者の方の距離が遠いために登録が遅れてしまつた。そういう許可処分をしたということにつきましては、違法ではないと思いますけれども、不当な行政措置でないかというふうに考えておりまして、この問題につきましてはなおこれ以外に法律的な問題がありまして、法制局の意見も十分聞きまして、私どもの方としましてはこの不当な行政措置につきましては是正をしたいというふうに考えております。
  13. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 どうもおかしい。これは局長みずからこれに当つたのではなく、あなたの出先機関がやつたことなんで、あなたがそうカバーするということになると、御承知でしようが、刑法の百九十三条というのがある。わからなければここにあるから見てください。そうではなくて、あなたの方が間違つておるのだという、事実を事実としてはつきりしなければならない問題です。しかも昭和二十五年の八月に出願発送してある。あとの人はいつ発送しておるか。昭和二十八年で二年も違う。あなたのところの受付は秒分を争つて受付けているのじやないのですか。たとえばどんなに遠くても発送したその時間によつて受理するのじやないんですか。そうなつて来ると、たとえば北海道におる人とここにおる人が同日に出願し、北海道が午前十時に受付け、東京が午後一時に受付けてもらつたということになつた場合には、郵便局の受付によつてあなたのところは受理しておりませんか。違いますか。そうなつて来ると局長の言う話はあまりにおかしくなつて来る。昭和二十五年に出願したものと昭和二十六年のものとではどつちが先者ですか。前の年は前の年なんで、鉱山局だけが二十六年の方が先だということもありますまい。だからあなたがおつしやるように鉱業法がかわつていないというのであれば、二十五年の八月に受付をしたものがあくまで優先権を持つことは明らかでなければなりません。しかもこれに対しての異議の申立てがあつたときに、あなたのところは公聴会をあなたの方の会議室で開いておる。二十八年の七月十日に聴聞会を開いているのじやないですか。それがいまだ決定を見ないというばかなことはない。しかもこれだけりつぱな法律をつくつておいて、つくつた御本人がそれを無視するという手はありますまい。この点について大臣から御答弁を承りましよう。
  14. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この事件につきましては、率直に申し上げますが、私まだ十分その経緯を調べておりませんでしたので、ただいまお話を承つたのが初めてでございます。従いまして長谷川さんの御指摘のような点がございますれば、これはなかなかたいへんな問題だと思いますので、至急私としても調査いたしたいと思います。
  15. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 明らかに職権濫用の疑いが十分ございます。従つて私は、参考人を呼んでこれを明らかにしていただきたいと思います。その参考人を呼ぶ日は委員長に一任をいたします。従つてこの問題を明らかに解決をつけていただきたいということを申し上げまして私のこの件に関する質問をこれで終ります。
  16. 大西禎夫

    ○大西委員長 参考人につきましては理事会を開きまして決定いたしたいと思います。  この際お諮りいたしますが、議員齋藤憲三君より委員外発言の通告がありますので、これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 大西禎夫

    ○大西委員長 それでは齋藤君。
  18. 齋藤憲三

    ○齋藤憲三君 ただいま長谷川委員から御質問を願いました問題は、過日私が十二月十四日にこの委員会に出席いたしまして御質問いたした問題に関連があるのでございます。ただいま鉱山局長と長谷川委員との間における質疑応答を拝聴いたしたのでありますが、鉱山局長は根本的にはこの問題の真相を把握しておられない。と申しますのは、本問題の最も重要な点は、昭和二十五年の五月に出願をしてあるのであります。その出願をいたして先願権が認められておるものに対して、今度は昭和二十六年の八月でございましたか、さらに他の人が同地区に対して同じ鉱種のものを出願いたしておるのであります。ところがどうしたわけか、そのあとから出願をいたしました同鉱種のものに対して、試掘権の登録許可が行われておるのであります。そこで初めに出願をいたした人が、これに対して異議の申立てをいたしましたところが、その異議の申立てが成立して、この取消しが行われておるのであります。昭和二十八年の何月かに登録の取消しが行われておる。ところが登録の取消しが行われてわずか五日たつたときに、さらに登録の取消しを受けたところの人に、また登録が許可されておるのであります。それでありますと、問題の経緯はどうであつても、第二十七条に規定されてあります鉱業権の根本であります優先権というものは、どんな形においていつてもこれは蹂躪されておる。もし鉱業権において先願権が蹂躙されたということになれば、この立法の精神が蹂躙されたということになり、重大な問題であります。しかも関係者に聞きますと、何回当局に迫つても、この問題は解決しないということになると、結局これは職権濫用というか、何らかの形において不法の処置が行われたという結論になります。事はきわめて小さいことでありますけれども、立法府としては重大問題としてひとつ御研究を願いたい。あるいはこういう問題が知らない間にたくさん行われておるのかどうかということも一ぺん検討する必要があると考えられるのでございますから、ただいま長谷川委員から御要求になりましたように、委員長におかれまして関係者を集めて、この問題を至急にひとつ御検討願いたい、さようにお願いいたす次第でございます。
  19. 大西禎夫

    ○大西委員長 柳原三郎君。
  20. 柳原三郎

    ○柳原委員 愛知通産大臣は経審長官を兼務されておりますので、両大臣質問することになりますが、ひとつ御答弁をお願いいたします。  最初に輸出入の問題でありますが、一月二十七日の本会議大臣が演説されたこと、それからこの通産委員会におきまして、二月一日に通商産業省の施策大綱について説明をされたのでありますが、そのときに輸出と輸入とのいわゆる金額において、二つの演説の間に食い違いがあるのでありますが、どうしてそういう相違が起つたか御説明が願いたいのであります。
  21. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 その二つの説明に食い違いがあるとは私思わないのであります。ただ説明の方法をかえましたために、ある程度表現等が違うようにおとりになつた面もあるかと思いますが、根本は決して違つておらないつもりでございます。
  22. 柳原三郎

    ○柳原委員 輸出総額幾ら、輸入総額幾ら、その総額について数字が違つておる。差引するといわゆる国際収支の赤は一億九千万ドルであるこれは合 つておるのです。どうして輸出入額に相違を来したか、そこが聞きたいわけです。
  23. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 二十九年度の輸出入額の推算といたしまして、当委員会で御説明いたしましたものは、ドル地域、ポンド地域、オープン・アカウント地域にわけまして、そしてその総額輸出十三億七千五百万ドル、輸入の総額が二十一億四千万ドル、こういうふうに当委員会で御説明申し上げたわけであります。
  24. 柳原三郎

    ○柳原委員 本会議の説明では、輸入は二十一億ドルとなつておるわけです。そしてこちらの委員会での説明は二十一億七千万ドルとなつておるわけです。どうしてそういうふうに七千万ドルというものが違つた数字になつて現われて来るのか。
  25. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これはどういうふうに申し上げたらよろしゆうございますか、審議庁の方の演説におきましてはこのプリントの十ページに、実は輸出は十三億ドル以上、輸入は二十一億ドル程度というふうな表現を私最初用意いたしたのでありますが、もう少しこれは数字を詳しく検討してからの方がよろしいと思いまして、実際に演説をいたしました場合には、二十九年度の分につきましては数字には触れなかつたのであります。そして当委員会におきまして初めて二十九年度の輸出入額の推算をここで数字をあげて御説明いたしたわけであります。従いまして先月の二十七日の当時におきましては、二十九年度の国際収支につきましては、ただ単に年度末においてはほぼ国際収支の均衡点に近づくものと思われるという趣旨を申し上げたわけでありまして、数字は、演説をいたしましたときには省きましたので、あるいはお手元にその原稿のプリントの方が参つておるかと思いますが、その場合には概数を申し上げましたわけで、当委員会で二月一日に御説明いたしましたものが、私としては推計としては正鵠に近いものと思つておるわけであります。
  26. 柳原三郎

    ○柳原委員 了解いたしました。そういう方面はあなたは両大臣をやつておられるので、できるだけ統一を期していただきたいと思います。  それはそれといたしまして、今の説明を聞きますと、本会議の二十一億よりも七千万ドルふえて来ておる二十一億七千万ドルというものが、大体本年度の輸入目標である、こういうふうに了解できるのでありますが、そこで昭和二十九年度の予算の説明、これをいろいろ読んで見ましたのですが、その中で、特に輸入のうちの大きな部分を占めるところの食糧輸入について、ひとつあなたの意見を聞きたい。食糧輸入につきましては、昭和二十八年度の当初の予定におきまして三百十万トン輸入する、こういう計画が立つておりましたが、御承知のようにあの台風とか冷害とかその他の被害によりまして、食糧に非常に不作を来した。そこでこの前の臨時予算におきまして、追加輸入の必要があるというので大体百二十万トンの食糧を追加輸入するということになりまして、二十八年度としては四百三十万トンの食糧輸入する計画になつておつたのであります。さてそこで今度二十九年度の予算の説明を読みますと、四百十四万トンという輸入の計画になつておる。なるほど米は三十万トンばかり減つておりますが、大麦で十八万トンばかりふえておる。差引すると去年よりも十五万トン減るということにはなつておりますが、昨年度の補正を加えた四百三十万トンと二十九年度の予定するところの四百十四万トンで、差引わずか十五万トン――米と大麦とに若干異動がありますけれども、十五万トンだけ輸入が少い。そうすると去年あれほどの不作にかかわらず四百三十万トンであつたが、今年は大体平年作は期待しておらなければなりませんが、輸入の量がりくつに合わないように思いますが、その点あなたはどういうように考えておられるか、御説明願いたいのであります。これは農林大臣質問するようなことになりますが、結局外貨の問題に触れて参りますので、一応承つておきたいのであります。
  27. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 食糧輸入の数量、特にその内訳、米、小麦、大麦、裸麦というような数量の輸入計画につきましては、あるいは実績につきましては農林大臣からお答えする方が適当と思いますが、金額で外貨の面から申しますと、昨年の不況に対しましていわゆる緊急輸入をいたしました分が、実は年度といたしましては二十九年度の外貨の予算の方に食い込んで参りまして、その額が大約七千万ドル程度になります。昨年度中の外貨を使つて入れましたものが一億九千万ドルと記憶いたしますが、この一億九千万ドルに相当する――というとおかしいのでありますが、輸入計画としてその当時考えましたものは、それプラス七千万ドル、従つてその七千万ドル分の決済は二十九年度の外貨の方で支払いに立てなければならない、こういうふうな関係になつております。おそらく数量の方でもある程度去年の緊急輸入が二十九年度の方にずれて参りますから、それと二十九年度の平年作を基礎にいたしました本来の二十九年度の輸入分と合せますと、今御指摘の通りわずかの違いになる、こういうことになるのではなかろうかと思います。
  28. 柳原三郎

    ○柳原委員 そうすると、実質的には去年の国際収支の赤が二億ドルほどであるというのにプラスされて来るのですか。
  29. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 その点は御指摘の通りでございまして、これを逆に申しますと、二十九年度の国際収支の見通しで、大体私どもは来年の三月までの年間を通ずれば九千万ドルくらいの赤字になる見込みであると御説明申しておりますが、そのうちの大約七千万ドル分は、実は去年の緊急輸入のためにその赤字が繰越したものでありまして、二十九年度だけの純粋の国際収支の見通しを立てますと、二千万ドル内外の赤字ということになります。従つて二十九年度中にはほぼ収支均衡になるであろうということを申し上げましたのは、そういつた関係を言うておるわけでございます。ただいま御指摘の点は、一口で言えばその通りでありますとお答えする方が正しいと思います。
  30. 柳原三郎

    ○柳原委員 大体数字的にはわかつたのでありますが、国際収支については、この委員会での大臣の説明よりも実質的には悲観的な材料になつて来ると私は思うわけなんですが、そうすると輸入がなお二十一億四千万ドルという数字になつて、今の分もプラスいたしまして、去年に比べて輸入の額がなおふえております。そこで大臣が言われるのは、国内ではなかなか困難な近代機械も買わなければならぬとか、あるいは良質低廉な原材料も輸入しなければならないとか、こういうふうな御説明をされておりますが、一体その国産で困難な近代機械とか良質低廉な原材料というものについて、もう少し具体的に御説明が願いたい。私が言いたいのは、去年よりも輸入がふえて、そうして優秀な機械とかあるいは低廉良質な原材料を買うということはわからないではありませんが、どういう方面の機械、どういう方面の原材料を重点的に輸入されようとしておるのか、御説明が願いたい。
  31. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 もう一度さつきの点を補足いたしますが、二十九年度の二十一億ドル余の輸入計画の中には去年きまつた緊急輸入のうもの約七千万ドル分は含めまして二十一億ドル余りの輸入になるわけであります。従いましてその計画のほかに、さらに七千万ドルの赤が出るということではないわけでございます。  それからその次の、しからば今後考えるところの二十九年度の輸入計画では、どういう機械その他を重点的に考えておるかという御質問でございますが、その点は実は二十九年度の第一・四半期以降の外貨予算の編成につきまして今いろいろ研究いたしておりまして、まだ申し上げるまでの段階に来ておらないのでありますが、抽象的に申し上げますならば、二十九年度の輸入の場合におきましても、私は非常にドラステイツクな方針の変更ということは考えられないと思うのでありまして、要するに日本の必要とする産業の原材料、それから近代化のための機械類、また数字的に大きくなりますのは主食初め食糧輸入、こういうものはどうしても確保しなければなりませんので、その面は二十八年度と大体同様の程度に考え、一方におきまして、いわゆる高級自動車その他のぜいたく品の輸入のための外貨の割当は徹底的に削減をしたい。しかしその金額の削減し得るというものが、全体の金額の中ではあまり大きな金額ではないのでありますが、これはどうしても切つて行かなければならない。そこで全体の規模としては、昨年度の緊急食糧輸入を除いて考えますれば、昨年度の輸入と二十九年度の輸入の規模というものは、総額においては大体同様の規模にしたい、その中で削るものは削つて、その分をさらに二十九年度として新しくやらなければならぬというものに輸入いたしたい、こういうふうな構想でただいま案を練つておるようなわけであります。
  32. 柳原三郎

    ○柳原委員 次に私は、きのうの予算委員会で問題になつておりました特需の問題について少し質問をいたします。今年初頭のいわゆるアイゼンハウワーの予算教書の中では、日本の経済援助ということについては全然触れておりません。アメリカの戦時経済から平時経済への切りかえの過渡期であつて、アメリカ経済も将来なかなか困難を予想される――大臣は米国経済も頭打ちの状態であるというような表現をされておるのでありますが、これからアメリカは経済援助という面につきましてもだんだん減つて行くでありましよう。そこで大臣の演説の中に、MSAの援助を考慮に入れてもという表現がされておるのでありますが、考慮に入れてもということは、MSA援助というものがわが国の経済に対して若干好影響をもたらして来るということの前提に立つて説明されておると思います。しかし最近岡崎さんのMSAについての骨子などの説明もありましたが、このMSA援助というものとわが国の産業経済というものとは、非常に密接な関係にありますので、そのMSAの交渉について、これは外交問題だから岡崎さんだけにまかしておけばいいのだというふうに愛知さんは考えられてないと思います。あなたは今回のMSAの交渉過程においてどのような気持をもつて岡崎さんに話をされ、また閣内においても発言されておるか、そういうことについてあなたの構想というか、御意見を承つておきたいと思います。
  33. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 MSA、それからアメリカからの援助の問題につきましては、私もかねて検討を続けております。しかもそれは外務大臣初め外務当局と十分連繋をとりながら思想統一をして検討をし、あるいは場合によつて直接折衝をいたしたことも過去においてございまするが、それを総括的に申し上げまするならば、今御指摘の点でございますが、先般御説明いたしました中にも、たとい近い将来に予想されるMSAの援助等を考慮いたしましてもと申し上げましたのは、必らずしもこれに非常に大きな積極的な意味を持たしていないつもりでございまして、これはある程度のプラスになるにしても、全体の情勢としては楽観を許さない、そういう気持を表現したつもりでございます。従いまして御質疑の前段にございましたいわゆる特需の問題にいたしましても、二十八年度におきましては、大体八億ドル、あるいはそれ以上の期待が実績に現われて来るかと思いまするが、今回の国際収支の見込みの中では、これをある程度減らして見込んでおるような状態でございます。  それからMSAについての考えはどうかというお話でございましたが、MSAには第一はいわゆる完成兵器の援助ということがございますが、これは岡崎外務大臣も申し上げておりますように、日本保安庁の自衛力を漸増いたしまする場合に、本来ならば日本の円の資金で調達しなければならないものを、アメリカが完成された兵器として供給してくれれば、その限りにおいて負担が軽いという点はございますが、国民経済的に見た場合に、これはそう大したことじやないのではなかろうか。それで日本国民経済との関係におきましては、MSAによつてアメリカが日本に対して軍事援助を行いまする場合にも、いわゆる域外調達と申しますか、そういう面において日本で生産される製品をMSAがドルで買つてくれて、そしてそのドルで買つたものを貸与なり贈与なりという方法で日本側に渡してくれることができるならば、またその額が多くなれは、当面の日本国民経済に非常にいい影響をもたらすものである、こういうふうに考えておるわけでございます。
  34. 柳原三郎

    ○柳原委員 あなたの前の大臣は御承知のように岡野さんであります。岡野さんのこの前の説明を聞いておりますと、MSAの援助に関連いたしまして、将来日本のいわゆる防衛産業育成の目的をもつて、教育発注というようなことが起るのではないかという非常に楽観的な見通しによつて、日本のいわゆる防衛産業の業者たちは、投資の面においてもその他の面においても、非常に期待し過ぎたきらいがあつた。それが今回のごとくいわゆる完成兵器の供与であり貸与である、こういうように切りかわつて来ると、相当に動揺が起り不安が起つて来るのじやないか、こういうふうに見受けられるのでありますが、この岡野さんの大臣の時代と、あなたが就任されてからの半年から一年の間において、そこら辺に政府の大きな誤りというのか考え違いがあつたのじやなかろうか、そういうことについてどんなふうにお考えになつておられるか承りたい。
  35. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私は根本的にはかわらないと思うのでございまして、現在におきましても、ただいま御指摘のような教育的な発注と申しますか、そういう面につきましては、私は相当な期待が持てると思うのであります。ただ、いわゆる防衛生産ということにあまり過大な期待を持てないのではないかというのが私の意見でございまして、それはあたかも日本の防衛計画それ自体が国力相応のものでなければならない、その限度にとどめなければならないというのと同じような意味におきまして、国民経済の将来の発展を、あまり防衛生産というものに結びつけて、これに過大な期待を持つということは誤りではなかろうか、国民経済が、いわゆる民需と申しますか、国民経済それ自体の発展充実とバランスがとれて、消化できる限度内でなければならないのではなかろうか、こういうふうに私は考えます。
  36. 柳原三郎

    ○柳原委員 そこら辺で私の方とあなたの方とそれに対する見解が若干違うわけなのでありますが、私は、岡野さんの当時の表現の仕方が甘かつたのじやないか、こういうように感ずるのでありますが、その点は業界がいたずらな混乱を起さないように、通産大臣としてよく説明なり教育なりして徹底さしておいていただきたいと思います。  次に私は話題を切りかえまして、大臣が盛んに言われる消費の節約、購買力の抑制、特に奢侈的な購買力に対しては徹底的にこれを抑制するのだ、こういう御説明についてひとつお伺いいたします。大臣は、国際収支の均衡の回復をはかるために、消費水準や生産の上昇に若干の停滞を来しても、財政面、金融面の引締めを徹底的にやるのだ、奢侈的消費その他購買力を抑制するのだ。これはわかるのであります。それは一応了承いたしまして、さて今度二十九年度の予算というものをつらつら見るときに、税制改革の根本的な流れというものは、直接税から間接税へとウエートがかかつておる。これはわかるのです。その中であるいは酒の税金とか、砂糖とか物品税とか揮発油税、骨ぱい税、こういうふうな税金というものは主として消費を押えるために引上げておる。そこに余剰なる担税力があるがために、これを引上げて消費を抑制して行きたい、こういう考え方のもとにこの税制はできておるのです。それもわかるとします。しかしそういういわゆる奢侈的な、今申しました酒とか、あるいは物品税とか揮発油税とか骨ぱい税とか、こういう税収の見通しについて、税率はなるほど去年より若干上つておるけれども、少くとも去年より下まわつてこの物が売れて行くというのですか消費されて行くというのですか、こういう奢侈品と見なされるものの消費については、少くとも去年と同様な消費があり、従つて担税力がある、こういう見方に立つてこの税制というものが組まれておるところに、あなたの言う購買力の抑制特に奢侈的購買力の抑制というものと根本的に矛盾して来るような間接税のあり方ではないかと私は思うのですが、あなたはそこら辺に矛盾を感ぜられないかどうか御説明を願いたいのであります。
  37. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 その御質疑にお答えいたします場合には、大体二十九年度に消費水準がどういうふうな傾向になるであろうかということの方にまず先の問題がありますので、ちよつと申し上げたいと思いますが、大体私どもの推定いたしておりまする、たとえばこれから一年間の日本産業活動、それからそれに対応する国民消費生活ということを総合的に考えました場合に、国民生活に直接関係の深い、たとえば食糧といつたようなものを中心にして見た場合には、物の供給力は二十八年度より二十九年度の方が相当ふえる。これはそう見通して私は間違いないかと思うのでありまして、たとえば農産物で申しまするならば、昨年は不況であつたということも一つの大きな原因になりますので、指数で申しますと、おそらく昨年に比べましては一割三分くらいの供給の増になるのじやないかと思います。そういたしますると、一方において賃金水準などはどうなろうかと考えてみますと、やはり産業活動の全体の規模が年間を通じて二十八年度と同じであるという前提をとつておりますから、賃金水準は三%くらいは上ろうかと思うのであります。従つて消費水準の上昇の停滞ということは、生産の活動の上昇の停滞ほどは顕著ではなかろう、そういたしますれば、物の供給がふえて消費水準の上り方がそれほどでないということになれば、自然物の需給関係から申しましても消費物資の物は下る。そこでその下るということは、一面から言えば実質賃金が安定する。そこで私どもは安定したその賃金水準の中で、できるだけ物を買わないで、これをたとえば貯蓄というようなことに向けていただくというのが、これからの国民生活に対する一つの政府としてのお願いだろうと思うのであります。そういう前提から考えて参りますると、高級な消費的、奢侈的なものはなるべく買わないでいただきたいというところへ一応の考え方を入れて、ある程度の消費税の増徴あるいは新設ということを考えたわけでございます。それから同時に国民所得は、五兆九千八百億というような見通しをそういう点からつけておりますから、それらの状況から判断いたしまして、結果において今回の二、三の消費税につきましては、大体この程度の歳入はその面から上るのではなかろうか。大体全体の見通しとしてそういうふうに考えております。
  38. 柳原三郎

    ○柳原委員 そこら辺で私とあなたと考え方が少し違うわけですが、私は、いわゆる税収がある、それだけ奢侈的なものが消費されるということを期待してこの税制が組まれておるところに矛盾があるのじやないか、こう言いたいわけなんです。  そこで大臣に承りたいのですが、昭和二十九年一月十九日に発表されております中小企業庁の税制改正に対する意見、こういうものがあります。これはあなたは所管の大臣のことでありますから、つぶさに読んでおらないとせられても、骨子は了承せられ、この意見には同調されておると思うのです。その中には堂々と、今天下の問題になつておりますところの繊維消費税はやめるべきである、こういう意見に立つて大蔵省とわたり合つておられる。そこでこの消費税について、あなたは全面的にこの消費税はとらない方がいい――今糸の原糸は買手市場である、それから製品は売手市場である、こういう関係によつてこの税金をとるならば、これはいわゆる中小企業へのしわ寄せとなつて悪税である、こういうことが書いてあるわけなんです。今のところ自由党の空気によりますと、これはまあうまく行くかもわかりませんが、完全に蹂躪されんとしておる。そうすると、あなたは繊維消費税はやめた方がよろしいという意見にきようも立つておられると思いますが、その辺についての御意見が承りたい。  いま一つは、青色申告については、大企業が有利であつて、小さい法人などは比較的不利である、この税制も直さなければならない、その他二、三の点が書いてありまして、今度の昭和二十九年度の予算を検討いたしますときに、あなた方の中小企業庁なり通産省の意見は、完全に蹂躙されておるような気持が私はあるのでありますが、ひとつ努力のほどと申しますか、決意のほどを承りたいのであります。
  39. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 なかなかこれはむずかしい御質問でございますが、まず高級織物の消費税でございますが、これは免税点のとり方などによつてよほど問題が違うかと思いますが、高級の消費を抑制したいという気持からいえば、この税のとり方も私はりくつが通ると思うのであります。そこで問題は徴収の方法等でございまして、実は徴収の方法等については、いろいろとわれわれも意見を出しまして、まだ最終的な、きめるところまで行つておらぬのであります。  それからただいま一月十九日付の中小企業庁の書類のことをお取上げになりましたが、その意見は中小企業庁としてはもつともでありますが、これを総合的に全体のバランスをとつて見ました場合に、結局織物消費税は、やるとすれば徴税の方法その他について十分の研究をして、中小企業庁の考え方というものは何とかして貫徹できるようにという努力をいたしたいと思つております。  それから中小企業一般の税制の問題につきましては、実は国税以外にも、地方税の問題も相当ございますが、今日も要綱がようやく閣議できまるところまで参つたのでありますが、たとえば地方税の方では、事業税等につきましては、所得が五十万円に満たないようなものにつきましては税率を軽減するというようなこともいよいよやることになりましたし、中小企業庁の内部的な研究ではございますが、この意見は折あるごとにいろいろの面に反映させて参りたい、こういうふうに考えております。
  40. 柳原三郎

    ○柳原委員 やはり先ほどのあなたと私の意見と違うようなもので、今巷間伝うるところでは、洋服三万円あるいは四万円以上のものは奢侈品であり、そういうものに税金をかければ八十五億くらいとれるんじやないかという考え方、三万円、四万円という洋服ならつくらなくてもいいといいながら、そういう消費があるだろうという前提に立つて税制をきめるところに私の一番心配な点が起つて来るわけなのであります。ひとつ大臣としても極力御勉強が願いたい、こういうことを念願しております。  次に問題を移して参りますが、あなたの演説の中に、物価の引下げを妨げるような価格の協定の取締りの強化をやるとか、あるいはまた企業カルテルは安易にこれを認めない、こういう御説明でありますが、一応了承いたしますが、さてそこでこれに関連して来るのでありますが、今やかましくいわれる過剰投資の問題でありますが、たとえば製鋼会社で言うならば、銑鉄一貫作業をやりたいというのは、今のいわゆる政府の低物価、五%ないし一〇%物価を下げて行くのだ、こういうことになりますと、いかにしてコストを安くつけて、そうしてこの市場のはげしい競争に勝とうか、こういうことを考えますと、どうしても今言つた製鋼会社でいうならば銑鉄一貫作業をやる、これには莫大な投資がいる、これは当然なことであります。この当然のコストのいわゆる合理化と申しますかが、価格を下げるためには必要になつて参ります。それに対してただ過剰投資、二重投資というものは極力避けなければならない、こう言われるけれども、一体避けるといつてもどういう避け方があるのか、その具体的構想と申しますか、方針というものが承りたいのであります。
  41. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この問題は、たとえば金融上の施策というのが非常に大きな部分を占めろかと思いますが、そういつた場合に、はたしていわゆる財政投融資のこの規模の中で、どれだけのものがこれに振り向けられるかということは、今毎日のようにいろいろ研究をいたしておるのでありますがいわゆる統制のつくと申しますか、政府と配意ができる程度において、できるだけ重点的にこれをやる。それからなおこれは考えが熟しておりませんが、昨日大蔵大臣予算委員会でも、大体の気持をお答えしておつたようでありますが、今後における金融の量的あるいは質的に改善をする方法につきまして、あるいは制度の改善等も伴うような案も考えられておるようでありまして、これは政府部内としても、徹底的にひとつ検討をいたしまして、ただいま御指摘のような合理化カルテルをやつて、生産コストを下げて行くというためには、過剰投資に陥らないように、しかしながらこれこそは必要だというところにどうやつてその金を調達するかということにつきましては、ひとり金融界の自主的な応援を求めるだけではなく、場合によりましたら制度の改善等を考える必要もあるかと思います。
  42. 柳原三郎

    ○柳原委員 その過剰投資とか二重投資といいましても、これはいわゆる大企業の問題であつて、一般の中小企業の実態はどんなものであるかということは、大臣はよく知つておられると思うのでありますが、普通のいわゆる中小企業におきましては、いかにしてコストを下げるか、いわゆる過剰投資をやろうという場合、そんな投資は銀行に渡りがありませんし、政党的にもいろいろ、関係がないし、力がないものでありますから、なかなか借りることはできやしないのでありますが、そうすると小さな工場では徹夜作業などをやりまして、いわゆる当然かかるところの固定費と申しますか、不動費と申しますか、そういうものを合理化するために、生産の増強、こういうことによつて安易なコストの切下げということをねらつておる。それがために今市場においてはいわゆる中小企業の整理――きのうも問題になつておりましたタオルとかマツチとかそういうものが、いわゆる大混乱に陥つている。こういう状態になつておるのでありますから、ひとつ大企業の過剰投資ということについては、十分抑制してもらわけなければならないが、中小企業というものに過剰投資というものはないのだから、これらのものは増産に増産を重ねてコストを切り下げて、この難局を切り抜けようとしておる。そこが過剰生産の大きな原因であるということを銘記しておいてもらいたいのであります。  それから、時間がないのでちよつと先を急ぎますが、今まで自転車競走法というものによつて、その売上げの一部分が国庫に入つて、それが自転車産業の振興にまわつておつた。こういう自転車競走法という国庫補助の法律があるわけであります。これが今度の改正で全面的に打切られることになつたが、これはどうなつて行くのか、その後の経過措置と申しますか、どういうふうにお考えになつているか承つておきたいと思います。
  43. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは二十九年度の予算編成のときの経過を申し上げますと、これも先般予算委員会で大蔵大臣が説明しておりました通りに、この際国としては、競輪等からの収入を一般会計の歳入にすることはやめた方がいいのではなかろうかという結論になつたわけであります。その結論になつた一つの理由としては、地方財源の充実ということを考え、競輪の収入まで国庫があてにしなくてもよくはなかろうか、諸外国の例などを見ましても、その方が大体通例であるということで予算案ができているわけであります。しからば、二十億でございましたか、その半額が国庫に入るということに従来なつておりましたのをやめたことについて、今後自転車競走法をどういうふうに改善し、運営していただくかということについては、なおとくと政府としても検討いたしたいと考えているわけでございます。
  44. 大西禎夫

    ○大西委員長 加藤清二君
  45. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私はいろいろ大臣にお尋ねしたいことがございますけれども、さしあたつて繊維消費税についてお尋ねいたしたいと存じます。大体税金をとることは大蔵省の役目かもしらぬけれども、とられるところは、あなたの指導育成しなければならぬ業界なんです。そこでこの問題が税制審議会の方で答申になつた場合に、私はさきの十八国会と十九国会の折にすぐ尋ねた。そうしたら岡野大臣は、大衆課税は反対だとはつきりとこの記録に残された。ところがいつの間にやらそれが糸にかかるようになり、いや原毛にかかるようになり、いや生地にかかるようになつてとうとうとどのつまりは、末端の商品にかかるというようになつて来たようでございますが、その間あなたは、とる方の側の大蔵省の責任者としておられたはずなんです。今度は、とられる方の側の一番中心柱になられたわけですが、一体あなた自身は、これに対してどのような考えを持つていらつしやるのか、その考えが、さきの岡野さんのように、とらないと口に言いながらとられるようになるのか、その点をはつきりさせていただきたいと存じます。それがまず第一点です。  それから、特にこの経過が、巷間伝えられるところによりますと、あまり芳ばしくない。なぜならば、綿工や毛工に押された。絹の機場に押された。押され押されて、つまり強い者に押されて、弱い者へ弱い者へと移行して来た。一体政府の所信がどこにあるのか。それから金額においてもそうでございます。最初の答申案は、御承知の通り二百億であります。それが途中でだんだんと数が減つて来た。絹にだけ百五十億かかるということで、名古屋の蚕繭市場までがてんやわんやになつて、立会停止になつたことは御存じの通りでございます。ところがきようこのごろになつたら、それが八十五億に減つて来た。一体政府はこの繊維に幾らかけたらいいのか、幾らとろうとしているのか、二百億だんだん減つて来て八十五億になり、もうしばらくたつたら五十億になり、そのうちに十億くらいになるものだつたら、いつそのことあつさり、そのものずばりでゼロにしたらいかがですか。あちらこちらさまよい、時を経るに従つて雪だるまの溶けるように数も減つて行く、弱い者へ弱い者へと移行して行つて、総本山はとらないと言つておいてそういうことをおやりになる上は、政府の意向がどこにあるかさつぱりわからない。幸いにお隣りに繊維局長が見えておりますが、一体繊維局長はこれを大紡にかけたら悪いということには気がついたようです。毛工にかけてもちよつと自分の首があぶないということに気がついたようです。ところが一番末端の消費者にかけたらこれでいいとおつしやるのか。この消費者の憤激がきのうも国会を取巻いた。国会だけではございませんよ。これは全国津々浦々にほうはいとして起つておる。何も社会党がしりを押したわけじやないです。ああいうことをやると社会党がしりを押したとおつしやるけれども、この大将はだれです。星島さんでしよう。牧野良三さんでしよう。自由党の領袖なんです。それが押えに押えて遂に押え切れない、これが今国会を取巻いておる。ところがこのまま放置せんか、ちよつと自由党はあぶなくなつて、私の方はほんとうに得しますよ、このままで行つたら……。そこで今度は、きよう言つたことと、あした言つたことと間違うような朝令暮改をしない、あなたの通産大臣としての真意、親心があるのかないのか、その点をひとつはつきりとここで御答弁願いたいと存じます。答弁のいかんによつて追つて質問いたします。
  46. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 先ほどもちよつと申し上げましたように、高級織物の消費税の問題については、ずいぶんこれは政府部内でもいきさつがございました、これは率直に認めるわけでございます。しかしながら考え方の根本は、高級の、つまり普通の質実なる生活をするという程度のことにおいては、まずこの段階において買わぬでも済むであろう、消費生活をできるだけ堅実なものにしようという場合において、ここ一年ないし二年の間は買うことをがまんしてもよかろうではないかと常識的に思われるような程度のものに消費税をかけるということは、全体の考えとしても私は通るのではないかと思うのであります。そこで私は口先だけではなくて、いわゆる大衆課税にならないという岡野前大臣が申し上げましたことは、私もこれを引継いで、今申しましたような線にとどまるようにあらゆる努力を払いたいと考えております。従つて織物消費税につきましては、御承知のようにまだ法文が法律案としてこまかい点まできまつて、閣議にかかるという段階ではないのでございまして、大体の大綱だけこうやろうではないかということで、予算の上に八十四億でありましたか、歳入を見積つておるわけであります。それからこれは申し上げるまでもございませんが、私といたしましては紡連その他から圧力がかかつて、そして織物消費税に逃げ込んだということはございません。それから加藤さんのおつしやるように、もし紆余曲折があつてとうとう八十五億まで来ちやつたんだから、いつそやめたらどうだという御意見も、私はもしほかの情勢が情勢なら、それも一つの考え方だと思うのでありますが、御承知のように九千九百九十数億の予算は、この歳入が八十四億あることによつて辛うじてバランスがとれておるわけでございますから、現在のところといたしましては、何としてもこの関係で八十数億円の歳入は確保しなければならない、こういう段階にあるわけでございます。
  47. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 大臣の御答弁に対して二つの疑念がございますから申し上げますが、このわずか八十四億、これがなければいけないでしよう。ところがはね返り財源がそれ以上ございます。そのことは私よりもあなたの方がもつともつとよく御存じのはずなんです。八十五億どころか、もつとけた違いに余分があるはずなんです。もしあなたがないとおつしやるならば、それはうそをおつしやつているか、ないしは通産大臣になつたおかげで頭が切りかわつてしまつたかどつちかなんです。ちやんとあるのです。その八十億くらい削られたからといつて、それで一兆のバランスがとれないなどということは、あなたが堂々と記録に残されるというのだつたら私は何べんでも申し上げます。いくら私がしろうとでもそのくらいのはね返り財源があるくらいのことはよく心得ておる。だからこの点をはつきりしてもらいたい。  次にぜいたく品にだけかけるとおつしやいましたね。今奢侈品にだけかけるとおつしやいました。これならば間違いないだろう。買わなくても済むようなとおつしやいましたね。ところがこちらは買う方ですけれども、売る方の身になつてください。売らなければ食つて行けない人はどうするのです。一年間商売休業するのですか。休業して首つつて死んでもいいというのですか。休業しておれというのですか。売らなければ食つて行けない人たちはどうするのです。買わなくても済む人はそれで済んで行くのです。これをどうするのですか。これをはつきりしてください。それからもう一つ言いますがいくらぜいたく品でも買わなければ商売のできぬ人は消費者の方にもありますよ。うそではございません。赤坂や新橋へ行つてごらんなさい。考えてみてください。この人たちはどこで買うのです。お店で買いませんよ。お座敷で買うのです。無双の長じゆばんは二十万します。なるほどぜいたく品でしよう。ところがこれが店頭で売られておる、デパートで売られておると思いになりますか。まさかそんな子供じやないでしよう。これはみんなかついで行くのですよ。そうなりますとこれは脱税をやつていることになるとはお考えになりませんか。どうです。脱税ですよ。つまりかついで行つてないしよで売る。大家の奥さんを見てごらんなさい。この人が松坂屋へでも特別な注文をやりますか。別あつらえなんて嫁入りのときはやるかもしれませんが、それ以外は全部自分の応接間で事を済ませますよ。こういうものがぜいたく品なんです。金糸銀糸というようなものがぜいたく品なんです。あなたは大蔵省にいたんですが、税務官吏としては、どのようにしてとろうとなさるのです。どうやつたらこれが正確にとれますか。ほんとうのぜいたく品は逃がしてしまつて、そうして正直に店舗を張つておつた者がとられなければならぬ、こういうことになつて来る。そうなりますから、失礼ながら絹織物のぜいたく品は、店頭から姿を消すということは、過去の実例によつてはつきりしている。  次にあなたの着ていらつしやるその服、それだつて三万円しますよ。東京テーラーでつくつてごらんなさい。仕立てだけで一万二千円とられます。(「いいかげんにしろ」と呼ぶ者あり)いやいや。そこでその、ぜいたく品という線を引くというからお尋ねしたいのですが、どこに線を引くのです。何で線を引くのです。話を聞くと二万円の洋服だつたらということになつたようですが、その二万円の洋服はどこの値段ですか。これは銀座の値段ですか、それとも心斉橋ですか、名古屋の広小路ですか。生地は同じでも場所によつて違いますよ。時期によつて違いますよ。二万円に筋を引いたつてそれがきちつとしておるようだつたら苦労はないのですけれども、しよつちゆう値段が狂うから、原料高の製品安で、業界が困つているのです。それだから三品市場が立会い停止になるのです。一体二万円の洋服とおつしやいますが、それはいつどこの場所のどこの店の値段でございますか。それがはつきりしないことには、税務署は困ります。あなたのかつての弟子がどうやつてとつていいかわけがわからぬでしよう。どうやつてとるのです。それでとれなかつたらどんどん下へ下げて行きます。成績を上げようとする税務官吏は、二万円というものをどんどん下げて行つて、一万円でもとるようになります。これは過去の例によつてはつきりしているのです。かつて東条内閣時代にこの悪税があつたおかげで、業界が苦しめられたのです。これをまたあなたが苦しめようとなさるのですか。あなたは指導育成の責任者ですよ。この点をはつきりしていただきたい。
  48. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まず第一は財源のはね返りの問題でございますが、これはいろいろの御意見があろうと思いますけれども、私どもとしては現在御提案申し上げておる二十九年度の予算案の見積りから申し上げますれば、そういうことは考えられないのでございます。  それから第二の、ぜいたく品だというが、そうすれば売る人はどうするのだ、死ねというのか、というお言葉でございましたが、そんなことは毛頭考えておりません。ちよつと私の言葉が足りませんでしたが、税率も大して高いことではございませんから、買える人はお買いくださることを何も妨げるわけではないのであります。その程度の税率で買える方は買つていただくことは一向さしつかえない。ただ先ほども申しましたように、常識的に一般大衆としてまあこの一年ぐらいは買わぬでもしんぼうしたらいいではないかということが、言える程度のものでありますから、このぐらいの税率はひとつごかんべん願つて、これで買える人は買つていただきたい、こういうように考えております。  それから第三のかつぎ屋の問題は、私もごもつともだと思うのでありまして、そういう点について今どうやつたならば、そういうところが押えられるか、また制度としてどういうふうなくふうをしたならば徴税上税務官吏等が不当に職権を行使するとかあるいはそのほかのいやな事件が起らないようにできるか、そういうことについては、今私どももいろいろ大蔵当局に対しましてこちらとしての希望はずいぶんこまかい点にわたつて交渉しておるわけ であります。まだ最終的な結論は出ておりませんが、御趣旨のほどは十分わかつておるつもりであります。
  49. 大西禎夫

    ○大西委員長 ちよつと申し上げますが、今予算委員会の方から呼びに来ておりますので、ここのところで大臣に向うに行つてもらいまして、十五分くらいだと思いますが、それからまた再開したいと思います。それで、ちよつとお諮りいたしますが、どういたしましようか、休憩いたしましようか。それとも政府委員に何か御質問がありますか。
  50. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 委員長が心得ておられるから申すまでもないと思いますけれども、大臣があつちに行かれましてだらだらとなるようではこの委員会は困るのです。ここで委員長として予算委員長との間にはつきり十分なら十分、十五分なら十五分ということできめて、そして通産大臣をこつちにお迎えするようにその辺をひとつはつきりしておいていただきたいと思います。  それから私は、加藤君が他の政府委員に質問されることがあれば続行していただいた方がよいと思います。
  51. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 政策の根本だけをまず尋ねて、それから細部にわたつてということでございますので、私は大臣の見えるのを待ちます。ほかに政府委員に聞きたい人があればどうぞ……。
  52. 大西禎夫

    ○大西委員長 それではしばらく休憩いたします。     午前十一時五十四分休憩      ――――◇―――――     午後零時六分開議
  53. 大西禎夫

    ○大西委員長 休憩前に引続き、会議を開きます。質疑を継続いたします。加藤清二君。
  54. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 休憩前に引続きまして、大臣にお尋ねをいたします。問題は、奢侈品ならばかけてもいいようなお言葉ぶりでございましたが、奢侈品と申しましても、だんだんでございまして、洋服などは必需物資なんです。先ほどあなたの洋服に例をとつて失礼したそうですから、私の洋服に例をとります。これに例をとつてみても、これが二万円以上かかるとなりますと、これは税の倫理に逆行しやしませんか。これが裸で、一着分二万円のものにかかるということならば、話はわかる。しかし、小売の場所でかかつたとなりますと、これは生地プラス仕立賃ということになります。仕立賃は、完全に技術であり、労力であるはずです。労力や技術にかけられる税金、事業税というものはよろしくない。だから、こういうものはだんだん削除する、こういう傾向にあると承つておるのですが、これと逆行しやしませんか。技術及び労力に、勤労所得以外の税金がかかる、こういう段階なのです。その場合に、はたして小売屋さんあたりは、正直にこれを発表するでございましようか。ほとんどが、さつきの話のように、店頭でやらずによその応接間、会社の会議室とかいうところに出張してこれを行うようになるのじやないか。その場合に税務官吏としては、はたして正確を期することができるかいなか。結局正直者がばかを見て、大きな魚はみな逃げてしまう。こういう結果になるということは、私の理論でなくして、過去の実績がちやんと物語つている。従つてこのような場所でそういうむずかしい税金をかけて、わずか八十五億のおかげで、急に官吏を養成しなければならぬでしよう。二万円にかけるというと、毛六くらいの生地にかけなければなりませんよ。毛六と毛八の区別のわかる人が、大蔵省の中に何人ありますか。ないでしよう。これは少くとも原毛検査官として十年も経験を積んつだ者でなければわかりませんよ。かける方から見れば、盲めつぽうかけるということになり、かけられる方から見れば、逃げられるだけ逃げよう、こういうわけなんだ。ここに不正が行われぬとは、だれが保証できましようか。こういうところにかけて、しかもそのために諸経費がたくさんいる。そんなことだつたら、もつと別に簡単にとれるところへ財源を求めた方がいいじやないかと思いまするが、それでも大臣はあえてここからとろう、中小企業を痛めつけて、小売を痛めつけてもとろう、そうして不正事件をやらしてでもなおとろうと、まことに恐れ多いのですが、大蔵省の官吏育ちでいらつしやいまして、そういう感じを今なお持つていらつしやるのでございましようか、ひとつはつきり御答弁をお願いしたいと思います。
  55. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 どうも加藤さんからいろいろ肯綮に触れた御意見が出まして、私も前に税の仕事をやつた経験がございまして、率直に申しまして、御指摘の点は一々ごもつともだと思います。しかし先ほども申しましたように、今度の予算の上で八十数億円の税源がほしいということと、それからりくつの上から考えましても、高級の織物からとるということは、これはりくつが立つし、国民の納得も得られるであろう。ただ問題は、そういうふうな趣旨が徴税上はたしてそのりくつ通りに行くであろうかという点についてのいろいろの御意見は、私はまことにごもつともだと思います。今洋服の問題、特に技術や労力についてもといつたお話がございましたが、これは理論上の問題として、これもまたごもつともだと思います。これらの点について実は政府部内におきましても、今朝も大議論をやつておるようなわけでございますが、なお事務的にいろいろ徴税当局や財政当局、繊維局長も非常な努力をしておられて、今もここでちよつとその報告の一端を聞いておるようなわけでありますが、場合によつたら繊維局長からその折衝の経過なども御参考に御報告いださせたいと思います。
  56. 吉岡千代三

    ○吉岡政府委員 事務当局といたしましては、閣議で決定されました高級の織物並びにその製品に課税するという趣旨に基きまして、なるべく一般の力には御迷惑をかけないという点を考えまして、打合せをいたしておりますが、ただいまのところ、先ほど御指摘のように製品と生地とに同一に課税をいたしますと、製品の方には加工賃に課税されるという結果になりますので、織物に対して大体一割課税するという場合におきまして、製品の方におきましては五%の課税を行う、従いまして、加工賃にはかからないという趣旨において、話合いをいたしておるようなわけであります。
  57. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 時間がございませんから、私は質問をいたしません。しかし今のお答えの中には、そちらの方では筋が通るかしれぬけれども、私のように実際やつておる者の目から見ると、筋の通らぬ点がたくさんある。そこでこれは留保いたしまして、この次与えられた時間にほんとうに腹を打割つたお話をお願いしたい、こういうことで本日はこれで私は終りたいと思います。
  58. 大西禎夫

    ○大西委員長 帆足計君。
  59. 帆足計

    ○帆足委員 一般的質問をいたしたいのですが、ちよつと今加藤君から重要な問題について御質問がありましたので、連関しまして、一言だけお尋ねしておきたいと思います。今度の織物消費税の問題に、なぜ原糸をおやめになつたのか、その理由と、それからもう一つは税の目的が、奢侈品を押える目的か、または税収入をとることが主たる目的であるか、この二つについてちよつと伺つておきたいと思います。
  60. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この税金を考えましたゆえんは、実はまず第一に、何とかして高級の奢侈品なものを押えることが今回の予算なり、あるいは経済政策の眼目でございますので、これを税制の上にも打出したいということを考えたのが一つと、あわせて歳入の点を考えました。歳入の点につきましては、勤労者に対する直接の所得税を、ごくわずかでも、でき得るならばこれを軽減したいということを総合的に考えまして、結論がここに落ちて来たわけでございます。それから原毛課税と高級織物の課税ということはどちらがいいかということにつきましては、実は利害得失相半ばするようなことだと私は思うのでございまして、いろいろの研究の結果、先ほど来るる申し上げておりますように、徴税の方法においてうまい方法が考えられる限りにおいては、やはり高級織物消費税の方がよろしかろうという結論になつたわけであります。
  61. 帆足計

    ○帆足委員 御説明を伺いまして、最初からの経過を考えますと、やはりこの税の取扱いというものについて首尾一貫していないところが大いにありまして、そしてそのさまよえる亡霊が遂に洋服屋さんにとりついたということで、非常に明朗性を欠いておるということにおいて、私はこれを再検討しなければならぬと思いますが、大臣にもよくその点は御了解願えると思いますので、いずれ他の同僚議員と御相談しまして、今後この問題は各党よく相談して、徹底的に検討する必要かあろうと存じます。  そこで本日は他の同僚議員からの御質問もあることでございますので、一般質問といたしまして二、三の点を大臣にお尋ねしたいのでございます。実は通商産業省の施策の人綱を本会議でも拝聴し、また要綱もいただきまして、私、全部通読いたしまして、さすがに愛知さんが目を通されただけのことはある、たいへんよくまとまつており、非常に正確に眼目はついておると思います。しかしこの実施についての方法論と熱意において大いに欠ける点がある、その二、三の点をひとつ申し上げたいと思います。  今日の日本の課題の中心が輸出の振興と国民生活の安定、物価の安定等にありますことはまことにその通りであります。貿易の不振の現状というものは敗戦の結果当然のことでありましようが、今にして国民が身にしみて感じて来たわけでありますが、私は今日の状況をさかしまの昭和五年と、こう申しておるのでございます。まさに二十年前のあの悪夢の日、一九二九年の状況は、水爆、原爆下における一九二九年といつてもよいくらいのはげしい状況に今面しておるように思います。そこでその第一の対策は、やはり国際収支対策並びに財政対策、その根幹をなすものは、やはり国の全体の自立、自存に関係のある問題でありますから、軍需品と平和産業国民産業の開発、自立と国防力の調整ということにかかつており、それは同時に外交の問題、国交調整の問題にもかかつておることと思います。しかしこの問題は、ただいま予算委員会においても論議されておる問題でありまするから避けまして、通産当局のこの大綱には経済外交ということを強調されております。今日の外交は実はそのまま経済外交といつてよいくらいでありまして、国交の調整並びに経済外交の努力なくして、貿易の振興はそれだけではできないわけでございます。一面では良貨廉品の努力をし、他面においては政治外交の協力と理解がなければ進まないのでございます。従いまして、私は通産省がもう少し経済外交の問題に対して、外務省を啓蒙していただきたいと思います。これはもう長い伝統でございまして、外務省は宮廷外交の伝統を持つておりまして、非常に現実を知らない、そして経済の問題を知らない。それか日本の軍部を横行闊歩せしめた一つの理由でもあつたわけでありますから、経済外交に一段の重点を置いていただきたい。ところで輸出の振興と申しまして、まず領域として一体どこに輸出が振興し得るでございましよう。大体三つの領域を考えまして、一つがアメリカ、一つが北アジア、一つが東南アジア、まあ大体この三つの範疇が主たる範疇であろうと思いますが、通産省当局はどこに重点を注かれるお考えであるか、まずそれを伺いたいと思います。
  62. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 経済外交の推進ということについての御意見は、私もまつたく同感でございますが、輸出の仕向先としてどこに重点を置くかということにつきましては、通貨別の輸出輸入の見通しの上にもその一端をごらんいただけたかと思いますが、やはり経済外交という点から申しましても、さしむきの輸出の重点は、ポンド地域にできるだけの努力を払うことが、外交と実質との両輪を合せる意味でいいことではないかと思いますので、輸出の計画の上では、大努力を前提といたしますが、二十八年度に比べれば約六割増加の対スターリング・エリアの輸出計画をいたしております。それからアメリカに対しましては、ほんのわずかではございますが、最近のランドル委員会の報告等、あるいはその他の状況から見まして、ある程度はかえつて減るのではなかろうかというようなことを、やはり数字の上でも出しております。その他の面におきまして、アジアの関係においては、依然として現実に即して考えますると、期待を持てるのは東南アジアじやなかろうか。特に最近の状況から申しますると、前々からいろいろ期待はあつても実現できませんでした、たとえばプラント輸出か、いよいよ今度こそは有望ではなかろうかというような段階になつております。
  63. 帆足計

    ○帆足委員 輸出の振興の相手先としまして、私は、生糸が全滅した今日、アメリカとの関係は、やはり客観的に非常に重要ではありますけれども、ある限界があると思います。特にアメリカの鉄鋼は一億トンをはるかに越えておりまして、日本の鉄は四百数十万トンでしようが、アメリカに不景気並びに恐慌の前兆が見えております今日、これは容易ならざる課題であると思います。経済関係からいいますと、やはりアメリカは軍事外交的見地から、日本を主として見ておりまして、アメリカの前線基地、補修基地、中継ぎ基地、利用基地というような観点から、経済関係が両者の間に生れておる部分の方が比重が大きい。これは正常な貿易関係ではないと思います。しかし日本メキシコカナダのような地位ならば、それと経済関係かぴつたり合うわけでありますが、地理的には、日本カナダでも、カリフオルニアでも、サンサルヴアドル島でもなくて、アジアのがけの下にあり、六千海里も隔たつておりますので、従つて経済的に言いますならば、日本とアメリカとの経済関係が、日本の経済の三〇%を越えることは、客観的に見て困難てある。東南アジア諸国に御協力を集中なさることは、われわれも全面的に賛成ですが、ここは特に英国との間の国交調整が必要であり、また各民族独立の勢いを示しておりますために、非常にいろいろな課題を持つておりまして、たやすく貿易が拡大することは望みがたいと思います。しかし非常に重要であります。そこで大臣は、今北アジアのことにお触れにならなかつたけれども、それはまあ内閣にとつては鬼門でありましよう。確かに北側の方にあつて鬼門の方角でありましようけれども、鬼門などというものは迷信であつて、決して解き得ない課題というものはないと思う。元来経済外交とか、外交とかいうものは、解きがたい課題を解き、そして理解しがたいなぞを理解して行くことが、理性と努力の近代外交の方向でなくてはならぬと思う。この面についても非常な努力が必要だと思うのです。現にランドル委員会でも、また英国でも努力しているわけです。そこで私どもは中共貿易のことをいつも申しますが、これですべてが解決するなどというようなやぼなことを申しておるのではなくして、この問題を零にし空にして、昔、東条さんが言つたように、蒋介石を相手とせず、今は毛沢東を相手とせず、こういうような単純な理論では、どうもうまく行かぬのではないか。そこで国際収支が非常事態であつて、下手をしますると、各国ともまだ貿易は何とかやつておりますが、日本ビルマが世界中で一番苦しいと思います。そこで国際収支の点から言えば、非常事態宣言を出してもよいくらい重要な時期であつて、奢侈品禁止のような問題よりも、輸出振興を中心として、輸出振興どういうふうに全国民の生活を合せればよいか、当然満州を失い、朝鮮を失い、台湾を失い、国土の四割を失い、人口が二千万もふえておるんですから、かつてはそれを戦争と植民政策でやつたわけですが、今それが全然ない。できない以上は、結婚禁止令でも出さない限りは、私は輸出振興を第一義とし、そしてそれに国民生活と政治のすべてを合せねば、とにかく当面やつて行けないのではないか、それをやらなければ国家財政は破綻です。そうだとすれば、輸出振興に対して、外交も政治も国交調整も、それにバランスを合せる必要がある。そのために私は北アジアとの貿易、中国との貿易、ソ連との貿易を零にして、日本経済が成立つかといえば、それは不可能であると思う。三割とは行かないまでも、せめて一割でもいい、五%でもいいから、やはり、安全弁をそこに求めておく必要がある。ところが通産当局は非常に御熱心でありますが、外務省当局に至つては、もうそれを犯罪扱いをしておるように思われる。現に私どもか中国と話合いでもして来れば、通産大臣でも、外務大臣でも、あのときはちよつと旅券で失礼なことをしたけれども、やはりだれかがやらねばならぬとであるのに、よくやつてくれた、さぞかし御苦労であつたろうというようなことで、一席くらい懇談会でも設けて、その労をねぎらうのか、私はエチケツトというものだと思う。現に私はモスクワに行つたときに、あのときはガスコン大使かたしかおられたときたと思いますが、英国労働党系の左派の方が見えておられましたが、あの大使館で非常に丁重にもてなされております。私どもも、あそこでアメリカ大使館の方から非常にエンタテイメントに扱われた。アメリカの大使館や英国の大使館でも、われわれの労をそうしてねぎらうのに、いまだかつて日本政府がわれわれの労をねぎらつたことがない。私は、こういう問題をもう少し明朗に考えて、現に中国との間に七百億円の貿易協定が結ばれ、できないできないと政府当局は言われますけれども実は非常にできているんです。人絹もすでに数千万ポンド約束ができておりますし、ミシンも輸出される、塩も十三万トン輸入される。そうして最近は苛性ソーダも輸出される。現にロンドンの値段か二十五ポンド前後でしよう。香港着で三十ポンドか二十八ポンドくらいです。日本の苛性ソーダは四十ポンド以上ですから、非常な開きがありますけれども、合理化すれば、塩を輸入するために三十一、二。ポンドくらいで輸出することは、工場原価て不可能でない。それは必ずしも出血ではない。それによつて中国側ては四十シリングの塩を三十六シリングに下げましたから、大体苛性ソーダを輸出すれば、それで日本は安い塩をまかなえる。ただ中間に専売公社がおりまして、プールしておりますので原料が高くなる。そういつた関係もあるし、ヨーロツパの塩の工場を私も見ましたが、あれは岩塩の上にできておりまして、水を入れて溶かしてといつたようなことで、優良な原料がそのままできる。ちようど日本の人絹工業における水のように、コストはただなんです。ところが、私どもは高い塩を使つていて、この塩の上にソーダ工業が立ち、繊維工業が立つておるのでありますから、繊業工業自身が、もう人絹がぼつぼつイタリアよりも割高になり始めております。これを下げますためには、塩を下げ、苛性ソーダの値段を下げなければならぬ。下げるといつても、業者をただ苦しめて下げたのではなくして、そこに合理性がなくてはならぬ。そのために一番政治的摩擦の少い中共からの塩――青島の塩とか太沽の塩は日本技術者がつくつた塩の設備でございます。こういう問題はすでにアメリカの委員会も認め、英国も認めているのですから、摩擦のないこういう問題から逐次解決していただきたい。実は塩の問題は、西ヨーロツパから買わなければならぬから、数日中にキヤンセルすると向こうが言つているのです。そこできようも繊維局長にお願いしましたが、苛性ソーダの問題は、今の政府当月もこれを指導してもらいたい。もし通産大臣の言われるごとく、ぜいたく品を禁止してまで今輸出の振興を第一義に置いて、国民が緊張して合理化への努力を続けなければならぬということを号令されるならば、同時に今のように、もはや摩擦のなくなつている安い塩の輸入などについては、政府が人をさき、時間をさいてその輸入を促進する。そのためにアメリカと摩擦が起る段階はもうすでに過ぎているのです。従いましてこの問題などは、きようお帰りになりましたら、即刻大臣から軽工業局長に御相談をしていただきたいと思います。  硫安の問題につきましては、たびたびここで議題になりましたが、国内の農民の需要との間の調整をいたさなければならぬことは非常に重要な問題です。それにもかかわらず多少の余力はもちろんあるわけです。これは御承知のように開らん炭との見返りになつております。開らん炭に対しまして、従来は製鉄業者はドルないしポンドの割当を受けて、アメリカの優良炭を非常に簡素な方法て買うことができ、並びに重油等をふんだんに使えましたので実はそれになれておりました。しばらく近くの開らん炭を使う機会を持ちませんでした。そのほかに北支の開らん炭は、われわれの技術から離れましたために、われわれの意に沿わない品質のようなものにいつの間にかなつております。それが啓明貿易その他の商社の努力によりまして、一回入り二回入るうちに品質が改良されまして、今度私どもが向うに参りまして見ました、また得ました資料による品質は、どうやらこうやら合格点にこぎつけました。そこで年間に開らん炭をどのくらいお買いになる意向なのか、またバーターをいたしますためにアメリカもこれを認めているような摩擦のない物資の場合に、一体どの程度できるのか、こういうことをやはり真剣に行政当局で検討して、メーカーに対して指示を与えなければ――せつかく開らん炭を今輸入し得る状況になつているのですが、政府は国際収支に対する計画として何十万トンの開らん炭を入れるつもりか、じつは五大メーカーもわからないというのです。そこでせつかくアメリカ炭をくれておるものを、何を好んでわれわれが今切りかえをする必要があるのか、現場の技術者はそのために非常に苦労しなければならぬのであるから、その場の思いつきの買いではメーカとしては断りたい。入れるならば苦しいことであつでも、計画的に入れるならばある程度まで中国の石炭を使うことには賛成である。それならば、やはり政府が国際収支を握つているのですから、政府の経済政策の裏づけが必要である、こう言つているわけです。この問題について一体どういうお考えであるか。一方で国際収支に火がついた、奢侈品まで税金を課さなければならぬと言つておりながら、他方においてはできる努力を怠つているのではないかと思います。たとえば自転車四万台の輸出の契約が、できましたのが、三百五十台だけです。あとの自転車の輸出ができないのは、苛性ソーダの輸出、硫安の輸出を一トンといえどもしないからで、向うの進出口公司が契約違反を怒つて、まだキヤンセルにはなつていないが、結局四万台の待望の自転車の輸出がいまだに停滞しております。われわれは中小業者の陳情攻めにあつて弱つております。従いまして硫安の問題も、誠意さえあれば一万トンやそこらの輸出ができないはずはない。苛性ソーダにしましても、五千トンや二千五百トンの輸出ができないはずはないと思う。もちろん現在この問題が保守政党のもとにおいて取上げられ、またアメリカとか自由世界との、二つの世界の対立の諸関係の間に行われておりますから、実際問題として御苦労があることも知つておりますが、それにしても保守合理主義の範囲でやり得るべきことをおやりになつていない。そして国際収支は破産状況になつている。苦しむ者は国民大衆である。すべての労働組合も、中小企業者も、私が今申し上げた程度のことには政党政派の別なく一致しているにかかわらず、特に外務省が熱心でないのと、通産省といえども外務省の威力に多少恐れをなして、やはり北方との貿易を鬼門だというふうにお考えになつている。またソ連から木材を輸入する仕事が今進んでおりますことも御承知でしよう。木材は今までカナダの木材もあまり入つてなかつたのが入り始めたのは、国内の木材が高いので、カナダの高い木材ですら引き合うのです。そういう好ましかりざる状況のもとに外国の木材が入つているのですが、沿海州の木材を入れることができたならば――沿海州の木材が入つたからといつて、それに伴うて思想が入るわけでもない。材木と思想が抱合せになるはずはないと想います。(笑声)国内では資本論も共産党宣言も大ぴらに売られているし、学校の教科書にすらなつているのですから、問題は国内の不合理と貧困のみが社会思想の基礎であつて、思想は、プロテスタント思想であろうと、カトリツクの思想であろうと、自由であるべきはずです。思想と材木と何の関係があるか。むしろ家がたくさん建てば、思想は健全となつて、国内は安定するでしよう。ところがどこに隘路かあるかというと、御承知のように笠臣造船というところで船の修繕をしております。そこに来ておりますソ連の技術者が、旅行も全然禁止されて、東京にすら来ることができない。こういうような状況のもとでは、われわれは人類であつて爬虫類てはないから、そういう国には行きたくない、こう先方が言つて相手にせぬという状況です。この問題を解決すれば、木材の輸入の問題が進捗する。材木業者も助かるし、住宅営団も助かる。住宅がふえれば思想の問題もよくなる。むしろ自由党の投票者の数がだんだんふえて来るでしよう。生活が安定すれば、自由党のためにもたいへんいいことです。  そこでこういう問題の根本は、われわれが望むところの平和と国交調整の問題にもかかるのですが、何しろ水爆の時代である。昔の小銃、機関銃の時代なら、もう一億総進軍の準備をせねばならぬでしよう。しかし水爆の時代でありますから、私はヨーロツパの状況を見ておつて、話合いで平和を、話合いで……。
  64. 大西禎夫

    ○大西委員長 帆足君に申し上げます。質問時間が迫つて参りましたから……。
  65. 帆足計

    ○帆足委員 承知しました。そういうことでありますので、ただいまの塩、開らん炭、中共への輸出の問題について、従来の一般論と違いまして、最近の状況を申し上げましたので、大臣から責任ある御答弁を伺い、なお大臣が十分にお耳に入つていない点は、お帰りになつて、きようさつそく関係局課長と御相談されまして、私の申し上げた中で合理的な部分を即刻実施に移していただきたいということをお願い申し上げます。
  66. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 いわゆる東西貿易、それから中共貿易につきまして、かねがね御造詣の深い、また実地にも当られました帆足さんからいろいろ有益なお話を承りまして、まことにありがとうございました。実は私も、こう申してはまことに僣越でございますが、従来中共との貿易ということにつきましては、政治的な立場は違いますけれども、ずいぶん実際の問題にも鞅掌いたしまして、私も私なりの意見を持つわけでございますが、それはそれといたしまして、まず政治的な問題として、何といたしましても国連と交戦状態にあるところでありますだけに、このやり方というものは、ただいまいろいろ御意見もございましたが、非常に微妙だと思うのであります。しかし帆足さんからごらんになれば非常に手ぬるいように思われましようけれども、御承知のようにいわゆる禁輸品目につきましても、漸次緩和されて参りまして、私どもといたしましては何とかしてもう一歩前進して西欧並にやりたいと思つております。たとえばココムの関係なども、先般私も実地に見て参りまして、これから交渉をやるのについてはどういうくふうが必要であろうかというような点を個人的にも研究して参りまして、漸次これは具体的に推進して参りたいと思います。  それからその次に具体的な問題についてお答えいたしますが、まずその第一といたしまして、先ほど御指摘のような考え方は非常に私参考になると思うのですが、ただ輸出入の現実の各商品別につきまして、政府として具体的な年次計画あるいは月間計画として、石炭は幾ら、何は幾らということを計上するだけのまだ段階ではないように私どもとしては思つております。事実上効果を上げて行くということで考えて参りたいと思います。それからいま一つは、これも先ほど帆足さんも御指摘のようでございますが、経済的に見まして、たとえば開らん炭にいたしましても、実際のメリツトから申しまして、現状これがいいか悪いかは別問題でありますが、はたしてアメリカから入れて参りますものとの間に、現実の問題としてどちらが得であろうかというようなことも相当研究の余地がまだあるのではないかと思います。それからその次に苛性ソーダの問題でございますが、これはちようどただいま軽工業局長と専売公社との間でさらに具体的な打合せを行つておるようなわけでございまして、できるだけこれは私どもの立場としても進めたいと考えております。それから自転車等の問題につきましても、これはわれわれといたしましては、何万台というような計画を一つのノルマにいたしまして、それをどうしてもやらなければならぬというような考え方よりも、むしろできるものは引合いの品物などあるいはタイミングを考えまして、できるだけ地道に進めて参りたいと思つております。決して私どもとしては毛ぎらいしておるわけではございませんし、従来いろいろそういう面について努力が足りなかつた点がありといたしますれば、あらためて努力をいたしたいと考えます。
  67. 帆足計

    ○帆足委員 一言だけ……。もう時間をとりません。ただいまのお答えの中で、ちよつと一、二の点を大臣にお答え願いたいのです。第一は開らん炭の問題ですが、確かに国際的に運賃も下つておりますし、それから今後やはり原料の値段がどんどん下りますので、中国の方は国営貿易ですから、よほど折衝しないと、その国際値段に中国の値段を合わしてもらうのに非常な努力と折衝の手間がかかるという一面があろことも事実です。しかし何分にも距離が近いですから、結局は折衝の結果は割安となることはすでに福州粘土や塩で立証されておると思います。それで値段は多少安いといたしますと、結局何で原料を買うかというと、今までのようにストレートで買いますのはもはや今日の段階では――私はよく冗談で言うのですけれども、ポンドの外貨割当をいただいて、そうして原料を買うのは、それはもう貿易じやない、あれはデパートでむだ使いするのと同じである。そうでなくて輸出されたもので輸入をかせがなければならぬ、こういう点からいつて、私はやはり新しい輸出市場としてそこからとるという意味も含めて、開らん炭のことをひとつ取上げていただきたい。これも最初は二十万トンか三十万トンからお始めになつて、見通しがついてから計画を立てられてけつこうです。少くとも二、三十万トンくらいの準備はしていただきたい。それからその次に自転車の問題などは、ああいうわくがありますと、ただ努力目標が都合が悪いというだけでありますが、これは硫安、苛性ソーダが出なければいたし方ありませんので、ひとつそのことを特にお考えおき願いたい。それから最後に、今まではストレートで塩を買い、マグネシアクリンカーを買つたのです。しかしこのように外貨が逼迫して参りますと、ストレートで買うポンドないしドルを今後は回転資金に使うようにして、長期のトーマス方式のようなことになるでしよう。回転資金に使うという方式をお考えになつて、ストレート一本は、よほどの非常事態で原料入手が困難なときだけに限定していただきたい。特に中国との貿易は、回転資金に使つていただいたらどうであろうか。そういう観点から私ども交渉いたしますと、通産省の御当局においては非常に熱心なところもありますし、それから非常に熱心でないところもあります。どのようにして中国との貿易をさせないようにするかという資料収集の方に骨を折つておられるというようなことをジヤーナリストの方から聞く場合もあるわけです。たとえば硫安の問題などにおいては、どこか非常に熱心でない、それが筋道が通つて、あなたの言われるように、アメリカとの関係が一定段階においてこういう問題があるからこの方面はどうというなら筋が通つておるのですが、諸般の準備がきちつとできておつて摩擦を避ける方法までも業界で考えておる場合に、なおかつ不明朗なことが行われておる、こういう点も多少あるようでありますので輸出振興というものが国民経済の維持にとつて緊急避くべからざる今日である、輸出第一主義、そうしてその輸出もポンドでむだ使いするのではくて、輸出したもので今後は輸入もするということをこれに書いである。輸出優先主義、これをひとつ下の方まで徹底さしていただきたい。私どもこうして貿易促進のために努力しておることは、平和にも役に立ち、国民生活の安定にも役に立つから努力しているのであつて、前に経済団体にいたからこれをやつておるというだけではないのです。大局から見てこれが日本全体のためにもよいし、勤労者のためにもよい、そうして国民経済安定のためにもよい、平和のためにもなるという確保のもとにやつておる。しかるがゆえに、われわれの努力が打てば響くように行政機関の方からも新しい進路の開拓に、これだけ外貨の節約になつて御苦労さんでしたと言われるような態度で接していただきたい。とかく日本の国際収支の状態は非常事態である。ことに日本の貿易は戦前貿易の三〇%前後である、世界の平均が一三六%であるというようなことが行政官庁の下々まで徹底していない。ほんとうに輸出第一主義で行くという気魄にあふれていないという遺憾な点があると思います。実は今後の為替問題、産業合理化の問題等々につきまして、ちようど私が学校を出まして今の経団連に入りましたときに、井上準之助さんが殺されまして、全輸出再禁止をめぐつて論争がございました。まさに今日歴史は別な形で繰返すがごとき様相を示しております。愛知さんやわれわれが学校を出たころは、恐慌の子として学校を出ました。それからインフレの子として苦労し、再び恐慌の子としての悩みを、二十年前の青年時代のことを今私は思い出しておりますが、こういう重要な転換期ですから、大臣と語り合いたい点がたくさんあるわけです。中には勤労者の独自の立場からやらねばならぬこともあるし、ある問題はやはり国民全体の立場からも語り合わねばならぬような問題もあろうと思います。従いまして、この席でお約束したことは、言葉だけでなくして、ただちに行政官庁の事実の上に現われるようなふうに仕手をやつていただきたいと思います。
  68. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 御趣旨のほどはよく承りました。それから先ほど御答弁を忘れたのでありますが、笠戸の問題にお触れになりましたが、これは通産省といたしましては、木材の輸入はできるだけすみやかにやりたいということで近く結論か出、また実現できると思つております。
  69. 帆足計

    ○帆足委員 それは笠戸のドツクの技術者の待遇を改善せねばだめですよ。
  70. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それは私は事実は承和しております。
  71. 大西禎夫

    ○大西委員長 伊藤卯四郎君。
  72. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 私は時間の関係等もございますから、きわめて言葉を節約しまして要項的に質問いたしますから、大臣の方でもひとつそのつもりで明確にお答えを願いたい。  第一点としてお尋ねしたいと思うのは、一般会計の出資及び投資で二百七十一億円、財政投融資計画で五百八十四億円の削減となつています。この財政投融資の削減が、もし電源開発、石油その他国内資源の開発や基幹産業等の合理化、いわゆる設備の近代化を阻害するようなことになれば、長い目で見れば経済の自立なり経済の基盤の強化なり等は逆にジリ貧に陥ることになると思うが、通産大臣はこの点についてどのようにお考えになつておるか、はつきりお示し願いたいと思います。
  73. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 財政投融資の減あるいは今後予想されますその他の設備資金の減は、大体全体の産業活動のうちの一割程度を占めるものと考えております。従つて総体としてはこれがいわゆる国内の投資需要を減らして物価の値下りと申しますか、合理化の推進のてこになると考えております。これを具体的に申しますと、ただいま御指摘のような点につきましては、ジリ貧にならないように資金の配分を十分考えまして経済効果をできるだけ発揮するようにいたしたいと思つております。
  74. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 ちよつと手品使いでもなかなかできそうもない答弁でありますが、これは後日のことにいたします。  次にお尋ねいたしたいのは、緊縮財政と相呼応して実行される金融の引締めでなく、総合的な経済施策をもつてしなければその効果を上げることができない。特に物価の引下げについては、たとえば中小企業に不当にしわ寄せをしないこと。電力料金、運賃等の公定料金の値上げを押えること。次には消費税の新設、加重か物価に与える影響を考慮しているのかどうか。次には外貨予算編成における輸入削減による、原材料の思惑による値上りを厳重に取締ること。現に、最近この思惑値上りが盛んに起つて、国民生活の上に大きな影響を与えておることは御承知の通りであります。このような点についてどのようにお考えになつておるか、以上の諸点について具体的にひとつお示しを願いたい。
  75. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これを一番簡単にお答えいたしますれば、私は角をためて牛を殺したくない、こういう気持なのでありまして、金融引締めだけではなく、総合対策、特に中小企業の問題でございますが、この点については先般も当委員会において申し上げましたように、金融としても、実に苦しい中ではございますが、相当の配意をいたしておるつもりでございます。その他デフレ的な波を一番かぶりやすいのは中小企業でございますから、これを切り抜けて行くための共同施設、組合の拡充、あるいは信用力の増成あるいは金融で申せば小口保険制度といつたようないろいろの考え得る方策を総合的に立てて参りたいと考えております。  それから料金のうちで特に当委員会として最も御関心の問題は電力料金の問題だと思います。この点につきましては、本会議でも御答弁申しましたごとく、産業並びに直接国民生活に対する影響が非常に大きいものでございまするし、また政府としての新しい政策が物価の引下げということを大眼目にもいたしておりますので、電力会社の事情ももつともではございますが、慎重な態度で臨みたいと思つておりますが、まだ最終的の決定までは至つておりません。  外貨予算につきましては、実は率直に申しまして私どもとしても当面非常に頭を悩ましておるのでありますが、総体的には、先ほども申しましたごとく、輸入の激減というようなことを考えることは、かえつて日本の経済の自立に阻害がある。ことに日本産業を動かして行くための原材料、あるいは近代化のための機械材とか、さらに食糧輸入というようなものにつきましては、大体の規模として二十八年度より減るということはあまり考えられない。ただぜいたく品でありますとか、ただいま御指摘のようなものにつきましては、これを減らすということになると、とたんに思惑があつて、一部の業者の聾断するところになります。これをどうやつて防ぐかということにつきましては、なかなか方法がむずかしいのでありますが、これは外貨予算の今後の編成並びに運営について、改善すべきところは十分改善いたしまして、あるいは一時思惑的なことがあつても、ただちにこれが全体の勢いとして沈静するような措置を講じて参りたいと考えております。
  76. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 大臣は角をためて牛を殺すという不安を非常に感じておられるようであります。この点私は大臣は非常に正直だと思います。政府は二十九年度に、緊縮予算によつて物価を一割程度引下げて、国際物価にさや寄せをやろうとしておられるが、これは事実上不可能である。というのは、すでに御承知のように、世界各国は今どんどん物価を下げておる。日本が一割程度引下げるよなことでは私はとうてい追いつかないと思つておるからであります。二十八年度は前年度に比べて鉱工業生産が一九%もふえております。輸入全額も一八%多くなつておる。これを数量的に言えば、二十七年度より三〇%程度増加したと推定されるにもかかわらず、物価は上つております。緊縮財政であるから、産業は萎縮して生産は低下すると見るのが常識であります。かくのごとき見通しのもとに、どうして物価を下げ得るか、どうして国際競争に打ち勝てるかという点について、われわれが納得のできるような御答弁を願いたい。
  77. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まず昨年と一昨年と比べまして物価が上つたか下つたかという問題は、実は御承知のように、昨年の風水害等の関係から、木材の需給が非常に逼迫した。そこで木材の価格騰貴が全体の卸売物価の水準に非常に響いておるのでありまして、これを除けば昨年も一昨年に比べて横ばいであつたと見るべきであります。  それから今後の見通しでございますが、ごくかいつまんで簡単に申し上げたいと思います。まず私は生産財と消費財にわけてお考えいただきたいと思います。生産財につきましては、先ほど申し上げましたように、財政投融資、設備資金というようなものを合理的に緊縮することによつて有効需要が減退いたします。それに反して生産活動は、年度を通ずれば、大体二十八年度と同様に、鉱工業については一五二の水準が維持できる、これに見合うような輸入計画を立てておるわけでありますから、その相関関係においては、理論的にも十分御説明ができると思います。従つて生産活動は鉱工業においては前年度と同じ程度である。そして需要が減退するということになれば、生産財につきましては、需要供給の原則から申しまして、年度間を通ずれば六・七パーセント、ある時点、たとえば来年の三月と再来年の三月という一つの時点をとつて比較いたしますれば、一〇%程度になると考えるのであります。  それから消費財の方は、生産財とむしろ関係が逆になりまして、先ほど申しましたように、農産物を初め供給が増加をする、そうして消費の方は需要が上りましてもごくわずかであります。従つてこれも需要供給の原則から大体四%程度である、これが私どもの見通しであり、それにマツチするような輸入計画を立てておるわけでございますから、結論として伊藤さんの御所論と反対の結論になるわけであります。
  78. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 今の答弁は非常に議論のあるところで、大いに議論をしなければなりませんが、きようはそれはやめます。しかし大臣の御答弁を伺つておつて、どうも足にがつちりした力を持つて答弁をされておらぬことだけは、間違いないと思う。そこでさらにお伺いしたいのは、物価引下げのみに目標を置いて、国民所得を縮減させることによつて、物価水準の引下げに力こぶを入れる、この政策は一時的には効果があるかもしれないけれども、永続性と、日本産業経済の基盤をつくつて、将来国際的な競争に打ち勝てる日本産業経済の態勢をつくるゆえんではないという私は確信を持つておるが、この点について大臣はどのようにお考えですか。
  79. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私どもの考え方といたしましては、二十九年度の後半すなわちことしの秋から来年の三月ごろにかけまして、私どもの今申しております見通しが、その見通しの通りに推移して行くものと私は信じております。またそういうふうにやりたいと思います。すなわち、一言にして言えば、来年の三月ごろになつて振り返つてみて、なるほどこれで国際収支も大体均衡がとれて、生産の規模もいいところにおちついた、それから国民所得が、今減るというお話がございましたが、ごくわずかではありますが、二十八年度よりはふえるのでありますが、その水準で総合的に均衡のある健全な姿になつたということでありますれば、それを基礎にして、そのときにはまた世界情勢も望むらくは非常に好転するであろうと思うのであります。そこで新しい発足として積極的な明るい方向に政策を転換することかできる、こういうふうに考えております。なおつけ加えて申しまするが、ことし一年は伸びるために縮まるのだ、しかしながら、電力を初め基幹産業、あるいは基幹物資についての生産あるいは開発の計画は、それぞれのものによつて、年次計画も違いますが、あるいは五年計画、あるいは三年計画というものが地について行く、その大筋はこの緊縮の時期においても踏みはずさないようにして行く、こういう考え方でございます。
  80. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 ただいまの答弁は、大臣の切なる希望のようでございますが、その希望がなかなか達せられぬことは、小笠原さんが通産大臣をやつておられ、岡野さんが通産大臣をやつて来られて、今大臣がおつしやつておられるようなことをずつとおつしやつておられましたが、その希望は遠く現われて参りません。政府の緊縮予算、デフレ政策によつて、政府は中小企業破産、倒産に対する対策、失業者に対する社会保障というか、対策について、閣議等で対策の話合いをされておるのかどうか、それからデフレに対抗して深刻なる労働運動に対する対策を立てておられるかどうか、これは今すでに火がついておることは御承知の通りであります。こうした点等は、当然用意をされていなければならぬのであるが、そういう点に対する十分の用意をされてあるかどうかを伺いたい。というのは、かつて浜口内閣の当時、デフレ政策が強行されたことがあります。最後にわずか三箇月間に興業銀行の一つの銀行からだけ七千五百万円救済資金を放出したことがあります。今の金でこれを計算すると四百億でありますが、それまでしてもなお全面的に破壊の危機を救い得ずに、政策の逆もどりをしたということを深くお考えにならなければならぬと思うが、そういう点に対して十分見通しを持つて、このような点をお立てになつておるかどうか、この点をひとつ具体的にお伺いしたい。
  81. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これらの点につきましては、ただいま御指摘のありました井上財政の時代、あるいはさらにさかのぼれば松方財政の時代、そういうときのいろいろの資料などを検討いたしまして、中小の企業が続々倒産するというようなことは、今度の計画で参りますれば、そういうことにはならないという確信を持つておるわけであります。そういう意味においては、非常なドラステイツクなものではないという御批評が逆に出て来るのではないかと思うくらいでありまして、これは要するに先ほど申しましたように牛を殺さないようにしたいという気持ちでおります。  それから失業その他の問題につきましては、雇用量の見通しは大体世間でおそれられているほどの減退ではないと思います。数字にいたしましても、潜在的な失業がある程度増加することは避けられないと思いますが、顕在失業者の増加ということは、それほど顕著には現れないと思うのであります。それから賃金につきましては、先ほど申し上げたかと思いますが、全体として三%増加すると思います。ただ企業の内容が合理化される関係で、来年の盆とか暮れとかあるいは年度末決算期というような場合におきまして、賞与というような性質のものが相当減るというような程度のことはございましようが、これはしかし物価が下るということによつて、逆に実質賃金が安定すれば、その効果は相殺されるものと考えます。大体賃金水準としてはむしろ三%増加になるものと考えております。しかしながらともかくも顕在失業者が二十七年度から二十八年度に増加したよりは多くなることは否定できないと思いましので、この点につきましては、予算上におきましても相当の配意をいたしまして、失業対策、社会保障あるいはその他の吸収方策については、政府の各担当のところとも十分連絡いたしまして、万々遺憾なく推移するように考えております。
  82. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 なかなか苦しい御答弁をなさつておられますが、これは同情にたえません。日本の物価は国際水準に比較して御承知のように二割以上高になつております。これは生産設備の老朽、老廃が過剰になつてそのままであるということ、従つて能率が上がらないから生産品が高値になることは言うまでもありません。この設備を国際水準並みに近代化させるための資金を緊縮予算の名のもとにほとんど打ち切つておるのであるが、このようなやり方でどうして高能率と物価引下げとをやられる秘密というか、愛知通産大臣のとらの巻があつたらひとつ教えていただきたい。
  83. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは一口でこうやれば行けるというような意味のとらの巻はございません。しかしるる申し上げておりますような、各般の総合的な措置、たとえばその中には税の軽減というようなことも一例としてあげられると思います。それから資金の重点的配分ということもございましよう。また外貨貸付の道もございましようし、それらのいろいろの点を総合して、その効果を上げるようにいたしたいと思います。
  84. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 私は質問しておつて、はなはだどうも答弁がたよりないのであるが、これは吉田内閣の現状の姿だろうと思います。  明年度外貨予算編成に伴つて輸入スクラツプの自動制が廃止されることになりました。二十九年度の鋼材五百五十万トン生産見込みのスクラツプは最低百三十万トン輸入しなければなりません。従つて外貨予算の割当が削減されると、業界の協力態勢はよくても、せつかく価格の下つた国内スクラツプが現に一万五千円のものが一万八千円、外国関係についてはさらに驚くべき騰貴をしております。同様なことが輸入鉄鉱石、また重油においても昨年の暮れに1キロリツター五百円上つたことを御承知でしよう。原材料の輸入か削減されることは、それだけ鉄鋼価格の値上りをする原因となるが、これでは鉄鋼の輸出はますます困難となると思う。国内的に鉄鋼材の値上りは諸物価の値上りとなるし、従つて政府はこの方針に反する結果となることをやつておられるが、はたしてこの一つの鉄の問題についても、今私が申し上げたようなことについて一体どのようにこの基幹産業である鉄の問題を扱おうとしておられるか、この点をひとつ明確に御答弁願いたい。
  85. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この問題は、私は結局総合的な燃料対策の問題かと思うのでありますが、これにつきましては石炭の需給を安定をする。それから引続きコストの引下げという、それと照応した努力を続けて行く。一方燃料の需要者の鉄鋼初めいろいろの業態におきましては、これに対する協力をしてもらう。そうして一方石油等に対しましては、重油でなければならないものについてはこれの輸入を確保しなければなりません。これは三者の総合した、均衡を得たものでなければならぬと思うのでありますが、結論として伊藤さんの御心配のことはあるまいと思います。なお数字的な問題につきましては、政府委員から御答弁いたします。
  86. 徳永久次

    ○徳永政府委員 スクラツプの自動承認制の廃止の問題でございますが、これは御承知の通り多少思惑的な輸入というものがスクラツプにそう顕著であつたわけではございませんし、その後の運用におきまする割当につきまして、スクラツプか製鉄用の重要な原料でございますので、その必要量というものを削減するというようなことを考えておるわけでございません。現実問題といたしましても、さしあたり業者の希望とは若干違いますけれども、いろいろな生産の状況なり過去におきまする輸入の状況というものから見て不足する心配はない。またこれが多少不足する場合には通商局で見てやるということにも相なつております。ただ思惑的な面を押える、不当に外貨が使われることにならないということだけを考えた措置でございまして、今お話のように輸入数量を非常に少くして、その結果として思惑が起るというようなことは、鉄の原料のような場合には考えるのは不当であります。方式こそ違いますが、実質的にはそういう思惑の原因になるようなことは起さないつもりでおります。
  87. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 大臣は三者協力能勢を求めておられるのでありますが、今度のやり方は協力態勢に反対の処置に出ておられるわけであります。それから先ほど政府委員から答弁された思惑云々の問題であるが、現に相当高値になつて来てしまつておることは、否定されることはできません。もしそれが必要であるならば私の方で具体的な数字をここで出してよろしゆうございますが、時間の関係でありますから、これはいずれ後日のことにいたします。  さらにお尋ねしたいのは、日本の鉄鋼業も相当多額な資金を投入して、第一次合理化計画は大体今年の中ごろまてに一応完了しますが、しかしこの程度をもつてしては欧米の鉄鋼業に太刀打ちできないので、今後世界鉄鋼業界に打勝つ態勢を確立するために、設備の合理化、近代化はさらに一層やらなければならぬことはお認めになつておると思う。これに緊急を要する投融資をやらなければ、先ほど大臣が言われた角をためるために牛を殺してしまうというような失敗になつてしまうことは、もう論ずるまでもないのであります。このことにつきましては、実際携わつておられるあなた方としては十分お考えになつておると思うのであります。この点についてどのようにお考えになつて今後の方針を立てようとしておられるか。この点納得の行くような御答弁を願いたい。
  88. 徳永久次

    ○徳永政府委員 第二次合理化計画につきましては、私ども目下盛んに検討中であります。お説のようにそれの推進の一つのてこになつております開銀資金の割振りの問題がまだ最終的にきまつておりません。そういう関係もありまして、それと見合いつつ作業を進めつつある。ただ御了解を得たいと思いますのは、昨年度よりも本年度の開銀資金が全般の情勢から見まして減らされる状況にあることは確かでございます。しかし鉄鋼業合理化のために使います資金の中に占めます国家資金の比率はそう高いわけではございませんので、国家資金の占める額の減る程度と同じ割合で計画そのものが縮小され、従つて合理化されるべきものがいつまでも合理化されないで残るというような比例関係は非常に違つたものになります。私どもは、国家資金はある程度減りますが、ある程度のものはできるのではないかという感じを持つておるわけであります。将来の点は、最初に申しましたように開銀資金等の決定が遅れております事情並びに確定しない事情もありますが、そこらと歩調を合せながらそう遠くない間に大体の予定を立てたいというふうに考えております。
  89. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 どうも答弁で納得できませんけれども、いずれそれぞれの具体的な問題については今後ひとつ論議をして行きたいと思つております。  次に石油の問題について、大臣に、あるいは大臣がおわかりにならない点は政府委員でもよいのでありますが、伺います。戦後世界各国は地下資源開発の最重要性にかんがみて国策を立て、国の力をもつてこれを推し進めて相当成功さしてそれぞれ来ておるようです。日本の場合は年間三十四万キロリツターの生産にすぎません。国内全石油需要量の九割以上は輸入をしておるという状態、その金額は二十八年度の下期だけでも六千百九十万ドルからに上つておるようです。通産大臣は国産原油百万キロリツター達成のために、石油資源総合開発五箇年計画を作成しておられる。その初年度分として二十九年度に試掘補助金として一億三千万円を与えるという。通産省がつくつて、通常国会の初めに本議場で発表されたものによれば、第一年度一次の計画の執行の上に十億円以上を要するということのようである。五箇年間に六十億円と、ほかに設備資金として開発銀行融資予定額十六億円、これを計算しますと七十六億円を要することになるのであるが、この中において一億三千万円は、それこそ二階から目薬ということにもならぬと私は思うのであるが、二十九年度の一億三千万円で、百万キロリツターの石油開発計画が実行されて成功するとお考えになつておるかどうか、この点根本的な方針についてひとつお伺いしたい。
  90. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいま石油についてるるお述べになりまし状況は、私どももその通りと考えまするので、従つて石油の国内五箇年計画というものを何とかして盛り立てて参りたいというのがわれわれの方針でございます。  ところで二十九年度の予算の一億三千万円はまことに少いものであるということは私も率直に認めます。しかしながらほかの点と比べてごらんになれば、ここに政府の一つの意図というものははつきり打出されたわけだと思いますので、総体的にごらんいただきますれば、金額の少い点はまことに申訳ないのでありますが、その事情は御了解願えると思うのであります。実は探査費だけでも、この五箇年計画を遂行するのには百億円くらいは用意しなければならないと思いますし、そのうちで政府がどれだけの負担をするかということにつきましては、あるいはその半額といい、またその半額もいらないという見方もございましようが、とにかく二十九年度におきましては、この一億三千万円というものをできるだけうまく使いまして、五箇年計画の推進の最初の年としてはいい計画が今後進むようにやつて参りたい。そのときになりますると、いろいろ財政の状況も違いましようが、来年度以降において積極的に推進できるように考えて行きたいと思つております。
  91. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 さらに石油等の問題になりますが、政府の石油政策は、私も勉強してみまして、今日までまつたく無策であつたと言わざるを得ません。たとえば昭和二十六年、すでに輸入原油については関税一割をとることを決定しておきながら、今日に至るもこれを実行せずにそのままこれを停止しております。一銭もとつておりません。二十八年度だけでも、政府決定通りに関税をとりますならば、四十二億一千万円とれるのでございます。関税をとらぬのは何ゆえとらぬのか。しかも三年間もこれをとらぬでほおつております。政府がひとたび関税をとるということを決定して三年間もこれを停止して無税でおいておるというのはいつたいどういうわけですか。この点を明らかにしていただきたい。日本は一〇%の関税を決定してこれを停止しておりますが、西ドイツではこれらのものに一四五%もとつております。フランスのごときも一〇〇%とつております。西ドイツなりフランスのごとく日本がとるということにいたしますれば、ここに年間四百億も五百億もの財源ができる。しかし私はそういう無理なことは言わないが、政府の決定通りの一割とつても四十二億円とれるのであります。これを何でおとりにならないのか。日本が三〇%関税をとれば原油だけで年間百億以上の国家収入になるわけである。この関税収入の二割を石油資源開発に使うことになれば、それこそ通産大臣が計画しておられる年間百万キロリツターの国内石油を確保することは容易である。なぜこれをおとりにならないのか、そしてこういう計画をお立てにならないのか、私は非常に疑惑を持つのでひとつ明確に御答弁願いたい。  それから政府は緊縮予算で投融資を削減、打切る方針で行こうとするならば、これこそ関税をとつてその関税収入のいわゆる外国の資金というか、品物というか、そういう、人のふんどしで相撲をとつて日本地下資源開発をすることが一挙両得でないか。私は政治家として政府のやつておることを理解するに苦しむ点があるが、いつたいどこの国のためにおやりになつておるかどうかを明確にしていてだきたい。
  92. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいまのお尋ねの中には、率直に申しますと奥歯に物がはさまつておるような印象を受けるのでありますが、そういうことはないのでありまして、これは釈迦に説法でございますが、現在ガソリンに税金をかけないでおるというのは、関税定率法におきまして、二度にわたりまして一年ずつ臨時に無税にするということが国会の御審議によつて決定されておるのでありまして、その二度の修正あるいは御審議の際におきましてもいろいろ国会内部において御議論があつたわけでありまして、一例を申し上げますと国内のトラツク初め運輸業その他の関係からもこれが相当の物価のつり上げとなり、料金の値上げということになるから、もうしばらくの間は関税をとらないほうがいいのじやないかという御意見のほうが多数でありましたために定率法が現在そういうことになつておるわけであります。  それから第二に、今後の政策として、こういう関税収入を国内の燃料資源の開発に使うことはどうかという問題は、これは確かに一つの着想であるとは思います。十分研究に値する問題と思いますが、しかしながら問題は国内の税でなくて関税であるということと、この関税も目的税として使うということにつきましては、内外両面にわたりまして、十分慎重に研究する必要のある問題であろうかと思います。いずれにいたしましても、これは今後とも十分研究いたしたいと思います。
  93. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 さらにお伺いいたしますが、石油開発は帝国石油日本石油量の九七%以上をやつておるようであります。この帝石の株主には政府、大蔵省が、たしかこの前鉱山局長から伺つたと思うが、二五%か三〇%保有しておる。二十六年度に御承知のような不正事件があつて以来、帝石内はいまなおがたがたやつておるのであります。今度の通産省の、この石油開発五箇年計画の国策に協力しようとするものと、この正常な経営政策を妨害して、帝石を利潤追求の私物化しようとするものとがあつて、相当新聞雑誌なども書き立てておるので、いろいろわれわれとしてはたださなければならない点があります。株主配当の自粛、五箇年計画完遂に反対をし、そして妨害を加えるというようなものが、もし内部に、世論に伝えられるようにありとするなら、帝石はいわば国策会社といつてもいいので、従つてこれらの内部にいろいろ遺憾な点があるなら、これを取締まり、監視監督をして、本年一億三千万円お金を出すとするならなおさらのこと。さらに先般鉱山局長はこの帝石を国策会社として考えるような立場から、立法化をしたいということをいわれておつたが、その立法化というものはどのような考え方に立つて立法化をしようとしておられるのか、こういう点については政府が株主であり、国民の貴重な一億三千万円を投入するわけであるから、なおさらのこと世の疑惑を一掃して、地下資源開発の帝石をして、国策会社として遺憾なからしめるようにしなければならぬと思うのであるが、こういう点についても将来責任の持てるよう明確にしていただきたい。
  94. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 帝石の株を政府がある程度持つておること、これは御指摘の通りでございますし、さらに国内の石油資源の開発ということからいえば、これは有力なるその推進役等買つてもらわなければならないということも御指摘の通りでございます。先ほど金額についてお叱りをいただきましたが、今回は相当の予算を計上する、そうすればこの使途等につきまして、やはり帝石というものがここに浮かび上つて来るわけであります。帝石の現在の姿が、これを国策会社と断定すべきものであるかどうかは私は問題と思いますし、将来に対しましても、これをいわゆる国策会社とすることについては、まだ私もいかがと思いますが、しかしながら石油五箇年計画をやるにつきましては、帝石の任務はなはだ重大でございまするので、いろいろ世評のありますことも御指摘の通りでもありますので、先般鉱山局長が御説明いたしたそうでありますが、必要な監督の規定等は現在の石油及び可燃性ガス等に関する法律でございますが、それに所要の字句を挿入するという改正案を一つ考えておりますが、さらにまた、特別会計というようなものも考えてはどうかというような意見も内部にも出ております。これは早急にとりまとめまして、法律の改正案として御審議を願いたいと考えております。本国会中に提案するつもりでございます。
  95. 大西禎夫

    ○大西委員長 伊藤君にちよつとお尋ねいたしますが、もう時間も相当過ぎておりますが……。
  96. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 時間の関係がありますから、いま一点だけでやめることにいたします。実は答弁の中にも、いろいろ疑問があるし、再答弁等を求めなければならぬ点もありますけれども、本日は時間の関係等もありますから、そういうことは後日のことに譲ります。  それから今の帝石等の問題につきましても、いずれ法律をお出しになるようであるから、その際内容にわたつて具体的にひとつ論議をしたいと思つております。  最後に私いま一点質問したいのは、石炭の問題についてでありますが、石炭の問題は非常に重大な深刻な事態に陥つておることは大臣も御承知の通りでございます。問題の重要な点は私は二、三点あるのじやないかと思つておりますが、日本の炭価が高値であるということが一つ。政府はこの炭価の高値を引下げるために縦坑開発五箇年計画というものをお出しになつたことがある。五箇年に四百九十億円をもつてこの計画をしてやるということを出されてあつたが、その後対大蔵省との関係などにおいてもいろいろ問題があるようなことをひそかに聞くのであるが、この点は変更されたのか、計画通りに押し進められるのかどうかということを一点伺いたい。  それから問題の重要な点の一つは、二十九年度に二百六十億円をもつて炭鉱の設備を改良し、近代化し、老朽した炭鉱を若返らせなければならぬという点からこれをお出しになつた。そうして高能率と炭価を引下げるということを政府はしばしば言われたことがある。この二百六十億円は緊縮予算のためにこれを削減というか、打切られた。このようにして一体炭価引下げをどうして成功させようというお考えなのか。炭鉱に必要な諸経費は、たとえば炭鉱で一番使うのは坑木でありますが、この坑木は昨年の春から一箇年たたないうちに、ちようど三倍以上に上つております。鉄鋼、運賃等もしかりであります。労務賃金はすでに大臣も御承知のように、今炭鉱労働組合は賃金値上げのために大きな闘いというか、あるいはまたストへ発展せんとしております。従つてこういうような条件下にあるのでありますから、炭価を今のような形で値下げさせるということについて、政府は確信を持つているかどうか、この問題についても一昨年から、小笠原さんが通産大臣をしておられるころから漸次計画によつて値下げをするということをここで発表になりました。ところが政府の計画によつてはいささかも値下げにはなつておりません。もし最近値下げになつておるとするなら、これは外国の重油と外国炭によつて圧迫されて不自然な形で下げざるを得ないということは言えます。そういう現状であるので、石炭の価格をどのようにして下げようとお考えになつておるかを先にまず伺いたい。
  97. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 先ほどもちよつと触れたのでありますが、私は、石炭の対策は国内産業との関係におきまして、石炭の需給が安定をするその見通しをつけるということが根本だと思うのであります。その点につきましては、現在鋭意関係の向きといろいと話し合いも進め、対策も講じておるわけてございます。  それから炭価の問題でありますが、これはどういうふうに理由をごらんになるかは別といたしまして、私どもは最近一箇年間で平均六百円の炭価が下つておる、コストの引下げが行われておるということは喜ぶベきことだと考えておるわけであります。  その次に合理化対策、特に縦坑の問題でありますが、これは前に御説明したときよりもその実現の時期が多少ずれております。また規模も多少小さくなつておるかもしれませんけれども、私どもとしては引続きこれを中軸とするコストの引下げということに推進して参りたいと考えております。なおその他のこまかい点につきましては石炭局長からお答えいたします。
  98. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 ちよつと待つてください。これは大臣にさらに質問をして、あとから政府委員の方で答弁を願います。  いま一つは、石炭を圧迫して重油に切りかえらえられたわけですが、その重油はどのくらいかというと、百三十万キロリツターで、それで二百六十万トンの石炭が切りかえられ、そのほか一般炭二十万トン、弱粘結炭七十万トン、このようにして三百六十万トンの石炭が外国からの重油、石炭によつて圧迫され、国内炭は七百万トン以上の貯炭がそれぞれできております。そのように圧迫されて来た結果、昨年の秋に炭鉱労働者が、企業整備の名のもとに、四万から五万の間首を切られて失業しております。大臣は炭価が下つたことを喜びにたえないとおつしやつておりましたが、外国からの重油も無税、入つて来る石炭も無税、税金は一銭もとつておりません。そのようにして日本石炭を三百六十万トンも圧迫をした。そのために炭鉱労働者か四万から五万首を切られて、非常に問題を起しております。これを大臣は喜びにたえないと言えますか。そのように簡単にこの問題をお考えになつて、あなたは喜びにたえないとおつしやいますか。われわれは少くともこれに対してはみずから権威と責任を持つておるつもりでございます。そういうしろうとをだますようなことで答弁をされては、私は大臣に対する不信を持たざるを得ない。そういうような答弁を今後もされるということであるならば、私は承服できません。外国から輸入する重油、石炭は全部今申し上げるように無税である。何のためにこれを無税にしなければならぬのか。しかもこれが補助燃料として入れなければならぬときなら無税ということも了解できます。しかしながら今すでに補助燃料でなくして、日本石炭を圧迫してしまつて、そのためにおびただしい失業者か出ている。今のままおやりになるとするなら、この春、おそらく四月、五月になればまた三万五千から四万の炭鉱労働者が首を切られます。このように深刻な状態に追い込んでしまつて、それを国策として喜びにたえないというあなたのお考えであるならば、私どもも深く決意をせなければならぬ。そういう点について私は大臣のほんとうに責任のあるお考えに立つての御答弁を願いたい。ただここで都合よく答弁さえしておけばよろしいというような場当り的なことであつては許されません。(「大臣は対策は考えているよ」と呼ぶ者あり)考えてないじやないか。考えていないから問題か起つている。喜びにたえないと言うから私は言つている。君もくろうとのくせにしてそういうやじをやるな。  さらに私はお伺いしたいのは、重油に一〇%の関税をおかけになれば、年間に十九億四千五百万円の国家収入が出て参ります。これを私は何もフランスやドイツのように一〇〇%以上とれというようなことは言わない。三〇%以上これに輸入関税をかけられれば、年間に少くとも重油だけでも五十八億円の関税収入があります。これだけの関税をかければ、日本石炭価格とやや水準が同じになつて来ます。ここにおいて外国ものと日本ものと競争さすというならこれは話はわかります。そこで大いに競争さして、そうしてできるだけ日本石炭をたくさん使わす方針に持つて行くというなら話はわかる。しかしながら今の状態では大体太刀打ちできない。重油も無税、一般炭も無税、弱粘結炭も無税、そうして今度競争しろといつて、どうして競争ができます。独立国家としてどうして関税がとれないか。幸いにこの三月三十一日をもつて、関税をかけようとするならかけられる時期が来ます。そこで通産大臣は、この来るべき絶好の三月三十一日以降においてこれに関税をかけて、そうしてこの関税収入によつて日本の炭鉱の若返りというか、あるいは炭鉱労働者が首を切られなくともいいというような、ほんとうに日本の基幹産業である石炭鉱業をもつてして、世界と競争のできる態勢をつくらすということが、あなたの重大な使命であると考えるが、どうお考えになるか、こういう点についてほんとうに責任のある御答弁を願いたい。
  99. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 最初に、何か私の答弁申し上げておることが不誠意であるかのような御印象を与えたようでありますが、私といたしましてはまつたくまじめに答弁をしておるのでありますから、御了承願いたいと思います。  関税の問題につきましては、先ほども申し上げました通り、これは政府だけの意向としてやれるものでもございませんし、関税定率法に基く改正が必要であると思います。それからこれも先ほど申し上げました通りでございますが、関税を目的税として使うという点については、これはいろいろ慎重に検討すべき要素があると私は考えるのでありますが、先ほども申し上げました通り、一つの御着想だと思いますから、私は誠意をもつて考えましようということを申し上げたわけでございます。
  100. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 どうも今の問題等についてその程度の御答弁をされるということこそが私ははなはだ不親切ではないかと思うのであります。かなり具体的に現実の実例をあげて大臣質問したのでございます。しかもこれは日本の基礎産業であるから、これこそが解決し得なかつたならば、政府の物価引下げも成功し得ない、そういうように深刻に考えるがゆえに、私は具体的に事例をあけて質問をしたのであるが、今の程度の答弁で大臣として能事終れりということでお考えになつておるなら、私ははなはだ遺憾である。そこであなたも答弁されないならされないでもよろしいが、そういう不熱心なお考えであるなら、私ども深く考えなければなりません。これだけを申し上げて、いずれその他の問題については順次日を新たにして質問をいたします。
  101. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいまのお尋ねに対しては私の御答弁が足りなかつたと思いますから、その点を補足いたします。と申しますのは、先ほども申しました通り、この石灰と特に輸入燃料の問題については、非常に複雑な問題でございますから、先ほども申し上げましたように、今後の石炭の需給をどういう点て安定点を求めて行くか、これに対しては需要者側の十分なる協力も求めなければなりませんし、また一方重油につきましては、従来重油転換ということて、通産省といたしましても相当業界に協力をお願いしたこともございますが、しかし現在の外貨事情その他から言えば、重油については、重油でなければなりないもの、あるいは従来の経緯から見て、これを元へもどすことはかえつて総合的にコストの切り下げや合理化に逆な方向になるというようなものについては、十分燃料としての手配をしなければなりますまい。しかしながらこの点ににつきましては、国内の石炭の関係を十分に考慮しなければいけませんし、またただいま労働問題のお話もございましたが、これも非常に重大な問題であります。私は考え方の大筋を、私として考えておりますることをとりまとめて簡潔にお答えをいたしたつもりでございますから、御了承願いたいと思いまするし、なお細部にわたりましては、別の機会に幾らでも私としては誠意を尽して御説明をいたしたいと思います。またその案の内容につきましては、細部にわたつてはただいま御答弁するだけの用意ができる程度までに成案を得ていないものもございますから、この点もあわせて御了承願いたいと思います。
  102. 佐久洋

    ○佐久政府委員 先ほど縦坑の問題についての御質問がございましたが、縦坑の開鑿が老朽炭鉱の若がえりの技術的な唯一の方法であるということについては、異論のないところでございます。それで二十七年度におきましては、年間工事といたしまして二十四本の縦坑開鑿工事をやつております。二十七年度から二十八年度に繰越された縦坑工事が二十本であります。新しく着工いたしましたのが十九本でございます。二十八年度中に完成するものがそのうら十四本ございまして、二十九年度には結局二十五本が繰越される。こういう経過でございます。  それから二十九年度の計画といたしましては、さらに新規事業として十四、五本の計画をいたしまして、それによりますと、縦坑合理化あるいは自家発というようなものを全部入れますと、企業費として二百四、五十億になるわけでございます。そのうち開銀融資として七十億を一応予定いたしましたが、財政投融資の大幅の削減がやむを得ないという事情になりまして、新しい企業費としては、二百四、五十億ものを百六十億くらいに圧縮せざるを得ないというふうに考えております。その結果、従来の縦坑工業も一応時期を延ばし得るものは延ばしますが、緊急必要なるものについては、継続工事としてこれを認めて、開銀融資も重点的な貸出しをやりたい、こういうふうに考えております。  それから設備資金の二百六十億というのは、私はその二百六十億の数字はよく承知しておりませんが、ただいま申しました二百四、五十億というのは、先ほども申しましたように縦坑その他の坑内の合理化、機械化、そういう一切を含めました金額でございます。従つてこれは設備も含まれるわけでございます。
  103. 大西禎夫

    ○大西委員長 次会は明日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時五十六分散会