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1954-04-27 第19回国会 衆議院 経済安定委員会 21号 公式Web版

  1. 昭和二十九年四月二十七日(火曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長代理理事 加藤 宗平君    理事 小笠 公韶君 理事 武田信之助君       内田 信也君    岸  信介君       迫水 久常君    西村 久之君       根本龍太郎君    南  好雄君       楠美 省吾君    杉村沖治郎君       水谷長三郎君    山下 榮二君  委員外の出席者         参  考  人         (経済団体連合         会常任理事)  福島 正雄君         参  考  人         (日本商工会議         所中小企業委員         会副委員長)  石田謙一郎君         参  考  人         (経済同友会幹         事)      藤井 丙午君         専  門  員 圓地與四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  金融政策の総合調整に関し、参考人より意見聴  取の件     ―――――――――――――
  2. 加藤宗平

    ○加藤(宗)委員長代理 これより会議を開きます。  金融政策の総合調整に関する件について調査を進めます。  この際お諮りいたします。本件に関しまして、本日出席されております日本商工会議所中小企業委員会副委員長石田謙一郎君、経済同友会幹事藤井丙午君、経済団体連合会常任理事福島正雄君の二君を参考人として選定し、その意見を聴取するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加藤宗平

    ○加藤(宗)委員長代理 御異議ないものと認めまして、さよう決定いたします。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。参考人各位には御多用中にもかかわらず御出席くださいまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  当委員会におきましては、ただいま金融政策の総合調整に関する件につきまして、鋭意調査を進めておる次第でありますが、政府当局の目下実施しております金融引締め政策につきましては、その各方面に対する影響にかんがみまして、過般の委員会において金融機関関係者より参考意見を聴取いたしたわけであります。本日は、経済団体の代表者の方々より参考人として御意見を伺う次第でありますが、この際忌憚のない御意見を開陳されまして、本調査の参考に資されたいと存じます。  これより御意見を伺うわけでありますが、時間などの都合もありますので、御一人十五分くらいずつにお願いたします。なお参考人の発言順序につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。  これより参考人より順次意見を聴取いたします。経済団体連合会常任理事福島正雄君。
  4. 福島正雄

    ○福島参考人 御紹介にあずかりました経団連の福島でございます。  きよう申し上げますること、今委員長からお話のありました金融引締めに対する産業界の影響ということと承知いたしておりますので、さようなことについて多少材料をもちましてお話申し上げたいと思います。  一番先に申し上げたいのは、一般傾向であります。産業活動と金融のピツチとがうまく合つているか合つていないかということを一番先に申上げたいと思います。普通産業活動には少くとも運転資金の面で、産業活動と金融とはついて離れないものでありますから、これが円満に行きますれば、産業活動が円満に行きまして、そこにいろいろな摩擦から起る浪費が避けられるのであります。むろん過剰な金融はインフレーシヨンを伴いますので、今日金融引締めということが必至であり、それが今日の経済界に要求されておりまする一つの大きな問題であることは疑いありませんけれども、そのピツチがうまく合いませんと、合理的な金融がつかなければそこにいろいろな不必要な摩擦、浪費が起るということを申し上げたいと思うのであります。  第一に経済審議庁で調べました産業活動指数をながめてみますれば、製造業という欄を見ますと、二十八年の三月から八月ごろまでは大体一八〇台、五月が一八三、六月が一八七、七月が一八六、八月が一八九、このように大体横ばいでありますが、九月、十月、十一月、十二月になりますとずつと上つております。九月が一九五・五、十月が二〇六・八、十一月が二〇四・一、十二月が二一三・四。そうして一月になりましてこれがたんと落ちまして一九六・七、二月が一九八・五、こういうことになつております。それから同じような状況が繊維工業においても見られます。大体一八八、一九六、一九一というのが六月、七月、八月でありますが、九月から十二月までを見ますと、二〇五、これが九月、二〇三が十月、二〇六が十一月、十二月が二一〇・四、一月が一八八、二月が一九九、こういうことになつております。これと同じ足取りが化学工業、大体肥料を現わしておりますが、肥料においても、窒素、セメントあたりにおきましても――セメントは幾らかピツチが違いますが、金属製品においても、同じよりな兆候が見えるのであります。なぜこれを申し上げるかというと、最近のおも立つた一流会社の事情を見ますと、集めました受取り手形の約三割が割引し切れない。紙のままで各社の金庫の中に入つているんだ。こういう状況が大体押しなべての現状であります。さようなぐあいに、一流会社で自分の生産活動から起つて来た売上げ代笠の回収が完全に換金されない、金融かつかないということは、どういうところから起つて来るだろうかということが第一の疑問であつたのでありますか、また最近の物が売れない状況で、なおかつ生産をふやしていることも了解できない。詳しくずつと数字の動き方を見ますと、二十八年の夏までは大体横ばいであつたが、秋になつて生産指数が今のようにずつと上つている。これは二十八年の当初に増産態勢を各企業がやつていた成果が、この二十八年の秋から出て来た。それがはつきり経審の数字に出ている。そしてこの生出活動の情勢から起つた製品の供給というものは、今度は売りさばかれて、これが売掛になり、手形になる。そして製造業者の手にもどつて来るのに四箇月以上かかります。ちようど正月、二月ごろに、増産した品物の代金が各種製造業者に入つて来た。そこで今までずつと秋あたりから増加運転資金を調達していたものが、今度は実際に品物が売れ、手形が入つて来て、それを銀行が割引いて償還するというときに、ちようど二月から金融引締めが行われた。増産の態勢から資金需要が起たときに、金融引締めが符節を合せるごとく行われたというところで、最近非常に金融状況がめんどうになつて来だ。それを具体的の数字で言いますと、一流会社の集めた手形でさえも、約三割ぐらいは割引けない。各銀行のわくが足りないというところに逢着したのであります。その面から増加運転資金の需要のピツチと増産のピツチ、資金の供給のピツチというものが、ちようど二月、三月ごろで逆調を呈したというところから、最近のいろいろな金融上の混乱といいますか――混乱とはちよつと大げさでありますが、出合わない点が起つたと思うのであります。そして特にその面が――これは輸入金融とか輸出金融とかいうことを全部含めた全体の傾向でありますが、さらにこれを輸入金融の面から見ますと、特に輸入金融というものがいろいろの面で足を切られて短かくされた。ユーザンスの短縮の面が出ましたので、その面がやはり今申し上げた資金需要のピツチと資金供給のピツチとの不出合いに拍車をかけて来ているものであります。さらにこの状況は、輸入金融の面において、一般国内金融の逼迫よりも、さらにあとに大きな影響が現われて来ることが予想されるのであります。この面に一応触れておきたいのでありますが、大体私どもが始終申し上げているのは、輸入ユーザンスの引上げが、従来の線から来た引上げと、それから今後の短かいユーザンスによつて輸入される資金需要とがある時期においてはダブルから、そのピークを何とかして乗り越えるために特別の資金措置をしてもらいたいということをかねがね申し上げているのでありますが、その事情を少し数字にわたつて申し上げてみたいと思うのであります。  私どもの用意しました輸入引取り資金需要のデータは、十業種にわたつたのであります。皮革、ゴム、羊毛、麻、綿紡、軽金属、燐酸肥料、カリ塩、石油、砂糖、こういう業種について調べまして、二十九年の二月から二十九年一ぱいの輸入資金の需要表を出してみた。そうして第一が、昨年来の、引締めが全然ないと仮定した場合の引取り資金の需要見込み、それから本年一月までの引締めによる――いろいろ引締めの措置がずつと発表されましたが、その措置を全部考えに入れました資金需要、それから次に本年の三月ごろまでにまた輸入資金の引締めのいろいろな方法が発表されまして、それによる需要見込みというふうな、いろいろな表をつくつてみました。  それで全然引締めがなかつたときの資金需要――引締めがなかつたということは、ユーザンスが長いですから、品物が着いてから実際に金を払う時期がずつと遅れております。引締めがあれば、輸入商品が到着して――鉄鉱で言いますなら八箇月か九箇月かユーザンスがある。従つて鉱石が着いてから製品にして、それを金にかえて手形を落すのが八箇月ぐらいあとでよかつたやつが、今度は約半分の四箇月に減つておりますから、資金需要が早くなる。その事情を表に現わしたのがありますが、それを全然引締めがなかつたときと一番きつい本年の三月までにいろいろな方法によつて決済時期が追い上げられた、その資金重要との差を現わしてみますと、大体この二月には百十億、三月には五十七億、四月が四十九億、五月が八十六億、六月からはこれが非常にかさまりまして百九十億、それから七月が八十九億、それからあとはどんと減りまして八月が二十億、それから九月が六億、十月はもうマイナスでありまして、どかんと減る。こういうぐあいに従来は大体資金需要の総額が三百五、六十億、四百億以下で毎月来たものが、六、七ごろに今の追い上げられたやつが一ぺんにかさまりますために、大体引締めの影響が月に五、六十億であるべきはずのものが、五、六、七で約百億、六月のごときは百九十億というふうに一ぺんにかさまります。そのかわり八月以降においてどかんと資金需要が減る、こういうことであります。この五、六、七のピークをどうして切り抜けるか、いかにもあとでは輸入資金の需要が減るのでありますけれども、この三箇月の間のピークを一体どうして切り抜けるか、この点によほど実情に合つた金融措置ができませんと、せつかく輸入資金を割当てられ、輸出原料その他の内需のどうしても入用な食糧、衣料というものが円満に引取れてない、ただ引取れないだけならよろしゆうございますが、船が横浜へ着いた、しかし為替の信用状の発行ができないから船をとめておかなければならない、外貨で相当漠大な滞船料を払い、あるいは約束された時期に信用状が相手方に渡されないために、いろいろな金利を払わなければならないというふうなことからしまするむだな外貨支出というものは当然起つて来る、それで金融の引締めがいろいろな物資の需要を押えて、そうして緊縮生活をしなければならぬ、それが同時に物価の引下げをねらつている、物価の引下げはすなわち輸出をできるだけ促進するという一連の考えからいろいろな政策が行われおりまするが、こういうところに実際の流れと合わない金融の操作がされるならば、そこに予想された効果が現われないで、逆にここに資金の浪費が起るのであります。これが私どもが一番心配しておりまする点でありまして、ごく抽象的に申し上げれば、今の日常生活あるいは社会生活からいいまして、需要が少し伸び過ぎている、あるいはぜいたくになり過ぎているということをよく言われまするが、なお押えるということは当然いたさねばならぬし、またそういうよけいな消費のために物価が上つておりまするならば、それを押えて物価を下げる、そのために金融の引締めも一つの方途に違いないのでありますが、そのためには金融引締めという金融措置ばかりでなく、他の措置が十分に同時に行われなければならないと同時に、金融措置というものが実際のものの流れと合わない、ここに非常なむだが起るということを私は数字をもつて強調したいのであります。それでなおそのほかに各企業にわたりまして、多少各論的に一、二の事実をお話申し上げたいと思うのでありますが、一番おわかりやすい、また世上で関心の強い基礎産業の一、二について、石炭それから鉄鋼、それから電力、電力は設備資金でありますが、しかし鉄鋼については専門家の藤井さんがおられますから、藤井さんからお聞取りを願いたい。石炭のことと電力のことだけをごく簡単に触れたいと思います。  石炭につきましては、現在生産活動がかように――昨年の秋はたいへんよろしゆうございましたが、本年になりまして、秋から比べると二割くらい落ちております。それがすぐに業者の貯炭に現われております。昨年の三月におきましては二百二十万トンくらいの貯炭が、本年は三百万トン近くなつている。それからそれと同時に重油転換の問題がありまして、需要が低下している。それからごく最近の例で言いますると、大口需要者である国鉄であるとか、鉄鋼の業者はわかりますが、大幅な炭価引下げの要求があつた。国鉄などはトン当り七百円とか八百円とか下げろという交渉が行われておりますが、これが成立するかどうか非常な疑問がありますが、そういうふうに重油の値段から比較しまして、石炭は、この辺まで下げてもらわなければ石炭は使えないのじやないかという問題が起つて来る、そういうふうな状況からしまして、石炭業界は収益が大分悪くなつております。従つてそれがすぐに運転資金に響いて来る、この面でも特にそういう石炭業特有な事情によりまして収入金が減り、そして支出は依然としてそう減らないというところから運転資金の調達が非常に困難になつておる。売れなければ採炭を減らしたらよいじやないかという問題がすぐ起りますが、これはすぐコストに響きますから、今日よほどの事情がないと採炭量を減らすというところまでまだなかなか踏みきれない、それでなくても日本の石炭が高いと言われておるときに、四千五百万トンを中心にした基準採炭量を維持するということが一つ大きな問題でありまして、やはりそのくらいの産業目標を与えなければ日本の石炭業というものが立つて行かないというふうな大体の見通しであります。そうむやみにこれを減産するということが非常にむずかしい問題でございます。縦坑の問題もありますが、相当な資金を必要といたしまするし、さような莫大な資金をかけて、はたしてどのくらい炭価が下るか、これは炭鉱の状態によつてみな違うのであります。どの炭鉱でも縦坑を開墾することが有利であるとは考えられませんし、また資金量からいいまして、それだけの必要な資金を供給することがめんどうであるし、また収益が低下しておりますから、新規にそれだけの設備資金をかけて金利と償却を負担し得るかということが非常に問題であります。それで現在の炭業界の一つの問題は、従来の借入金の返済額が新規の借入額よりも多い、結局差引き返す方が多いというのが現在の炭業界の資金繰りであります。従つて現在のような状況が少し長続きいたしますと、開銀その他への返済金を幾らか延期しなければならない、その一部を延期しなければならないというふうな状況が起りはしないかと思います。  それから鉄鋼のことは飛ばしまして、電気事業のことでありますが、これは二十九年度の開発計画が四月七日の電源開発調整審議会で決定されました、そこで決定を見ました開発計画によります資金というものが、現在かき集めることが予想できるであろうと考えられる資金ではまかないきれない、特にこれは民間資金に七百三十一億ほど割当ててありますが、これが社債とか、増資とかいうふうなところから、市中銀行の借入れとかいうふうなところに割当ててありますので、これが非常にめんどうである、従つて電源開発五箇年計画の遂行が、はたして資金の面からうまく行くであろうかどうかということが非常に懸念されます。ただ反面、電力の需用というものが従来のピツチで今後も増加するであろうかどうかということについても多少疑問がございますが、需用の面は大体従来の審議会で考えておられまする需用のピツチで伸びることにそう大して間違いない、ただ資金が相当に供給についての不安がありますので、はたして五箇年計画に沿つて需用が伸びるであろうか、どうであろうかということが心配されるのであります。基本産業につきましての、特に最近の金融状況から見まして、石炭ならば運転資金の問題、電力ならば設備資金の問題というふうなことが懸念されるのでございます。大体ごく大づかみに、資料も十分整いませんお話でありますが、以上で終ります。
  5. 加藤宗平

    ○加藤(宗)委員長代理 ただいまの福島参考人の御意見に対して、御質疑があればこれを詳します。
  6. 小笠公韶

    ○小笠委員 ただいまのお話の中でちよつと伺いたいのは、一般的な問題でありますが、一流会社におきます受取手形のうち三〇%が割引不能だというお話でありますが、その不能の原因を――輸入金融の問題は別といたしまして、増産態勢の成果、すなわち増産に伴う増加運転資金の供給が、引締めのために得られないからそうなつたのだ、こういうようなお話があつたようでありますが、しからば増産分以外の面については従来通りの金融がまかなえておるかどうか。そこで、いわゆる大会社における金融の引締め速度が、その増産分だけの金融が引締まつておるのだということになりますと、他の大産業でないものにおきましては、すでに御承知の通りに、増産分でなくても従来の経営を維持するだけでも金融難に陥つておる。手形は六十日が九十日になり、九十日が百二十日になつておる。しかも銀行のわくは前よりも減らされて来ておる。こういう状態に相なつておるのであります。そこに大資本における金融引締めの影響と中小企業における今日の金融引締めの影響が非常な相違があるという感じをお話から受けたのでありますが、今の御説明は事実そういう意味であるのかどうかということをお伺いしたい。
  7. 福島正雄

    ○福島参考人 中小企業の金融がどうであろうかということについての調べは非常にめんどうであります。従来とも中小企業金融というものは非常に難物でありまして、あるものはついている、あるものはついていない。それから、わくがあつてもそれだけ使いきれないというふうな事情が今日までありました。それで大企業が金を持つて行つてしまつたから、中小企業へつかないのだというような単純な状況ではないのであります。おそらくこれは次の石田さんが商工会議所の中小企業委員会の副委員長でありますから、特にそのお話が出るかと思いますが、私どもでは中小企業金融がどこで支障を受けておるか、大企業でさえもそれだけ受けておるのだから、中小企業金融分まで食つておるのではないかというところまで言い切るだけの材料を、遺憾ながら持ち合せがございませんが、今申し上げた三割ぐらい割引けないということは――全部の会社にわたつて調べたわけではございませんが、ちようど偶然にも三、四の会社について実際調べたところが、大よそ符節を合せる状況でありますので、さような御説明を申し上げたのであります。一面日銀の貸出しも、各市中銀行の貸出額も、この期間減つておりません。それではなぜ手形が割引けなかつたのかということを調べると、結局増産がいつごろから始まるか、その分量はどのくらいであつたろうかということに来ておると思います。さらに例をあげるならば、この秋の増産数字が、本年になりまして減つておりますから、四、五箇月間たつとその影響がやはり出て来て、従来よりも運転資金の量は幾らか減るのではないかというふうに感じます。先ほどの輸入金融でピークが六、七、八月ごろに来るとちようど同じように、国内全体の流れの金融も、四、五、六月ぐらいに一番ピークか来て、秋には少し減るのではないかという感じを持ちます。それが中小企業と大企業との間にどういう分散状態になるかということについては、私ちようど資料を持ち合ておりませんので申し上げられません。
  8. 小笠公韶

    ○小笠委員 私は、金融引締めの影響が、中小企業方面へ強く出ておるというふうに断定をして申し上げておるのではなくして、大会社におきます金融引締めの影響が、増加運転資金だけ足りないということで大体とどまつておるかどうか、その結果からどういうふうな引締めの影響が産業界全体の各層に及んでおるかということの議論はあとでけつこうです。客観的に見て、先ほどのお話の、増加運転資金分だけが足らぬのだという一般認定が立つかどうかということだけ伺つておけばけつこうなんであります。
  9. 福島正雄

    ○福島参考人 それは三割という数字にあまりこだわることを私は避けたいと思いますが、増加運転資金の分量が産業全体でどのくらいになるか、あるいは基礎産業でどのくらいになるかということは、調べをしませんとよくわかりませんが、大体全体の傾向として見ますと、やはり増加運転資金らしきものが足りないということは、日銀貸出金は減つていない、むしろふえておる月もある、そういうことから見まして、大きな原因はやはり生産活動がそれだけふえたというところから来ておるのであろう。その数字が三割になるかどうかということは、たまたま四、五の会社がそういう数字を私に提供してくれたので、率直にそこへ結びつけてみた、こういうことであります。
  10. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 先ほど国鉄が石炭の値下げを要求しておるというお話があつたのですが、それはどういう理由で値下げを要求しておるのか、その点はおわかりになつておりませんか。
  11. 福島正雄

    ○福島参考人 その理由は私ども詳しくは聞いておりませんが、結局国鉄の理由は、多分運賃の値上げをしないで自己採算がとれるというためには、どうしてもこれくらい下げなければならぬ、あるいは重油からしまして、重油のカロリーから見て、六千カロリー標準の点は七、八百円くらい下げなければならぬというところから来ておるのだろうと思います。ということは、他のボイラーなどに重油をたいておる業種が、最近通産省の御指導のように、石炭に切りかえてほしい、あるいは混焼設備を持つておるところでは石炭にしてもらいたいというふうな御指導があるのでありますが、その場合に業者の方は、重油でたいたときのコストと同じようなコストになるように石炭の値段を調整してもらいたいというふうな要求がある。大体それが二割ぐらいになりましようか。そうすると、業者が大阪、東京あたりで六千カロリーにしましてかりに六千円といたしますと、二割なら千二百円、そうすると七、八百円という数字は、そんなところからもおよそそんな勘定になるのではないかというふうな気がいたします。
  12. 加藤宗平

    ○加藤(宗)委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。――御質疑がなければ次に彩ります。日本商工会議所中小企業委員会副委員長石田謙一郎君。
  13. 石田謙一郎

    ○石田参考人 私は中小企業の側の立場といたしまして、ただいまから一応最近の金融事情について申し上げてみたいと思うのであります。御承知のように日本の中小企業と申しますものは、欧米先進国の中小企業と非常に違いまして、簡単に申せば社会保障政策と申しますか、それらのものが十分でないために、やむを得ず企業から押し出されておるものが、乏しい設備その他をもつてやつておるというのが非常に多いのであります。この点が欧米各国と日本と中小企業問題が非常に差のある第一の点であろうと思います。これは委員各位はすでに御視察をされておるのでよくおわかりと思うのでありますが、欧米各国と日本とは、中小企業なるものの内容が全然違うのであります。この点をまず御了解願いたいと思うのであります。そうして現状の中小企業と申しますものは、最近の日銀の金融引締めその他によりまして非常に大きな影響を受けておるのは当然でありますが、その具体的な現われと思いまするか、それは、まず第一に不渡り手形が多く、一件当りの金額が非常に小さくなつて来ておること、及びその額が非常に厖大になつていることを見てもわかると思います。しかも最近は、御承知のように会社更生法その他の法律が出たために、その会社自体としては生き抜くためにいいのでありましようが、それらのために逆に被害を受ける中小企業は非常に多いのであります。この点困るのでありますが、しかもそれらと同時に、御承知のように日平産業の問題あるは昭光商事の問題またあるいは、最近の繊維業者の破綻、これらが現在の中小商業者、中小工業者の上に一ぺんに乗つかつて来ておりまして、これらが非常にあらゆる面で中小企業に金融的な圧迫を加える。しかもそのほかにただいま福島参考人からお話がありました、大企業においても三〇%くらいの手持の手形があるということが、数字の問題は別といたしまして、中小企業ではただちに現実の問題として現われて来るのであります。と申しまするのは、大企業の方の金繰りが悪くなりますれば、当然中小企業に対しては、支払いの状況が悪化するのであります。でありますから、その方法といたしましては、当然検収その他の処置をおそくすること、それから検収をいたしましても、これに対する支払いは現金から手形になる。その手形になつた場合においても、現状では二月というものが、ひどいのは百五十日から百八十日というのがございます。最近の手形をごらんいただくとわかるのでありますが、最近の手形では発行日を記入したものはほとんどありません。と申しますのは、手形が非常に長いために、中小企業者に対して支払われます手形は、発行日がほとんど記入してないのであります。そして中小企業者がこれを手元に数箇月持ちまして、中金あるいは信用金庫その他によつて割引いておるのが実情なのでありまして、最近の金融のぐあいから見ますると、信用金庫、あるいは信用組合、相互銀行等の大体中小企業を専門として扱います金融機関は別といたしまして、いわゆる銀行の中小企業に対する貸出しの率と申しまするのは、表面上は大して変動がないのでございます。大体三十六、七パーセントというのが、現状までの数字でありましよう。これは中小企業庁でもそう申しておりまするが、大体今日までの金の問題と申しまするのは、昨年の十二月現在で金額的には中小企業には全国銀行で約二十六億五千七百九十四万円でありますが、とにかくこれは三六・五%になるのであります。大体三十五、六パーセントらか、七パーセントというのが、銀行の中小企業と目せられるものに対して貸し出されておる率でありまして、これは現状でもほとんどかわつておりません。金額的にも大体二十五、六億円の数字を動いておらないのであります。この点から申せば、銀行が中小企業に対して特別に貸出しを減らしたということはあるまいと思うのであります。また中小金融専門の銀行貸出しも、大体五十億から五十五、六億でありますから、これもさしてかわりはないと思うのでありますが、しかしながら今申し上げましたように、中小企業者の方へ支払われておりますものは、まず現金の支払いが非常に減つておる。手形が非常に長くなつておる。これは新聞紙上にも出ておりまするし、事実先ほど申し上げました発行日の記入のない手形が大部分であるということをごらんいただけるとよくわかるのであります。これらを見ますると、最近の中小企業は、非常にきゆうくつになつている。これはデフレの影響を最も強く受けておるからであります。しかも破産する産業以外に、中小企業では非常に大きな影響を受けておりますことが二つあるのであります。それは中小商業者の方では繊維関係が相当多いのでありますが、これらの繊維業者が被害を受けた一つの大きな原因は、御承知のように昨年の上半期におきまして糸の値段が相当高いところで仕入れをやりまして、下半期の需要の減退その他によりまして非常に下つてしまつた。これを中小商業者と中小機業者その他が全部背負つてしまつた、しかも現状をお調べいただくとわかりますが、糸を供給しております業者は大企業でありまして、これらの糸の価格は相かわらず下つておりません。でありますから、本年の決算におきましても、これらの中小機業者に対して材料を供給しております紡績業者の考課状というものは決して悪い成績は出ておらぬのであります。ところが現実に製品化しあるいは流通機構に乗せて販売しておりますものは、みな昨年の半年間に大きな打撃を受けたところのものだ、現状においてもなお原料高の製品安という状況をそのまま受継いでおるのであります。これはひとり綿紡績のみでなく、例の人絹その他もこれは同様でございます。材料を供給する業者は大企業で数が少い。これらを供給されて製品化するものはみな小さな業者である。これらは団結もできませんし、あるいは製品価格の引上げというようなことも当然できない者ばかりでありますから、昨今のようなデフレの影響を受けますと、需要の減退に伴つてただちに手痛い打撃を受けるのであります。  もう一つは、昨今の造船疑獄に関連しまして、造船の関連下請業者が非常に困つて来ておる。特に造船関係と申しますと、御承知のように関西、九州に造船業者が偏しております関係で、大阪から九州にかけての小さな業者はこの造船疑獄のために、第十次と申しますか、今年度の造船の手当を各造船業者ができないために見越しの注文その他も非常に削られるわけであります。東京方面では造船の大業者が少い関係で、さほど目に立つた影響はないのでありますが、大阪から九州にかけては造船関連産業の下請業者の倒産というものが非常に多いのであります。これは昨今目に見えて出て来つつあるのであります。この二つが特にきわだつた大きな姿を中対企業の面では現わしておるようであります。そこでこれらに対しては公取その他もあるのでありますが、とにかく需要に見合つたような価格でやらなければならぬ場合においては何とか方法があるのではなかろうか、ごく少数の大企業が協定その他――表面上は出ておりませんが、協定によつて糸価をプールするような一つの形をしておる。それらをみんな中小企業者が引受けなければならぬ。この姿をお考え願いたいと思うのが一つであります。  それからもう一つは、造船疑獄その他のことは別といたしまして、すでに予算もきまつておりますこれらの造船その他に対して政府の支出する問題については促進をしていただきたいということを特に考えるのであります。それによつてまさに危殆に瀕しております中小企業者も救われるのではなかろうかというふうに考えるのであります。しからばなぜそのようになるかというと、先ほど冒頭に申し上げましたように、日本の中小企業者は欧米とは違つて非常に力のないものが多いということが原因でありますが、それと同時に現在の税制からも来ておると思うのであります。これは政府でも中小企業金融公庫その他をつくりまして、設備その他に金を出していただいておるのでありますが、お金は出していただきましても、現在の税制では中小企業者に苦痛を与えこそすれ、助成にはならないのであります。それは数字をお考えいただくとわかるのでございますが、現在の税制のもとでは、とにかく四二%の法人税をとられ、一二%の地方税をとられますから、これだけで五四%になります。しかも残るところのものも中小企業者は戦後のいろいろな処置のもとに、その豊富な手元資金を没収され、しかも中小企業者の大部分は長い間の企業を営々として努力した結果においていろいろな不動産その他を持つて、これらを自分の事業の一つの背景にしておつたのでありますが、これらもいろいろな処置によつて取上げられ、現在の中小企業者はほとんどまる裸になつておる。そのまる裸のところへ五四%とにかく持つて行かれる。そして設備資金を拝借いたしましても、せいぜい三年か五年であります。百万円かりに拝借いたしましても、月に三万円は返さなければならぬのであります。金利を入れますると、約四万円お返しすることになる。しかもこの四万円近く毎月お返しすると、年には五十万円近くになるのでありますが、これに対して百万円のものが償却その他によつて許されておりますのは、短かいものでもせいぜい十年でありますが、大体は固定資産の償却は二十年から三十年でありますから、高々五万円くらいしか償却が認められないのであります。そういたしますと、金利あるいは返却金その他で百万円拝借しても、とにかく四十万円以上は返さなければならぬのであります。それで償却後において百万円の利益を出しましても五十四万円は持つて行かれるのでありますから、四十六万しか残らぬ。そういたしますと百万円設備を拝置いたしまして百万円もうけることは不可能であります。その不可能であつて、しかもそのような数字を見ていただくとわかるのでありますが、実にむずかしい結果が出て来るのでありまして、お金を拝値してもなおかつそのようにきゆうくつなのが、現在の中小企業者であるのでありますが、私どもはこの税制は中小企業者をして決して浮び上らせるものではないということを特にお考えいただきたい。金融措置と申しましてもそれは一時のものでありまして、しよせん中小企業者には銀行の方の貸出しその他も与えられる機会は今後においても少いと思うのであります。やはり自己の運転資金は少くとも何とか利益によつて保留して行くような方法を与えませんと、現在の中小企業問題は絶対に救えないということが言われるであろうと思うのであります。大企業は増資その他によつて処置もいたすでありましよう。あるいは社債を募集することもあるでありましよう。また適当な方法によつて国家から拝借する道も、あるいは助成金をいただくこともあるでありましよう。しかしながら中小企業は何ら団結をしておりませんために、そのような利益を受けることは不可能なのであります。このような点を考えて参りますと、どうしても中小企業者には、中小企業者の利益留保によつてせめて運転資金だけでも保留できるような方法をとつて行かない限り、とても救う道がない。一時の政治的な政策によつては不可能ではないかということを考えさせられるのであります。戦時中におきましては、中小企業者が相当しつかりした姿を見せておりましたが、それは少くとも運転資金に関する限り自己資金でまかない、そうして長年の努力によつて株券なり不動産なり長屋なりを金融の方法として持つておつたためにやれたのでありますが、現状ではそういうことが全然ないために、中小企業者は、全体の姿としてはほとんど同じように見えますが、その中においては始終脱落し、またほかから流れ込むという姿を繰返しております。  たいへん長いまとまりのない説明になりましたが、私ども中小企業者としては、そのような点にも御注意を願つて金融問題をお考え願いたいと思います。そしてさしあたりの問題といたしましては、ともかく造船の問題に一日も早く手をつけられるようにしていただくことと、国民金融公庫、中小企業金融公庫その他のものに対する資金の増額を何とか補正予算その他によつてしていただくことが必要ではなかろうか。この点を痛切に感ずるのであります。金額その他におきましては、ほとんど銀行からの貸出しあるいは中小企業専門の金融機関からの貸出しはかわつておりませんが、中小企業者が実際に必要とする運転資金は、大企業が手元に手形を持てば必ずそれは中小企業に対する支払いの遅延になるということをお考えいただきますと、非常に厖大な問題が中小企業にはかかつているというふうにお考えいただいてよいのではないかと考えます。
  14. 加藤宗平

    ○加藤(宗)委員長代理 ただいまの石田参考人の御意見に対して、御質問があればこれを許します。
  15. 小笠公韶

    ○小笠委員 ただいまのお話を伺いまして、不況の代表的業種としての繊維関係産業あるいは造船関連の下請事業、これはごもつともだと思いますが、一般的な視野に立ちまして、現在の金融機関、いわゆる銀行法による銀行、相互銀行法による相互銀行、信用金庫法による信用金庫あるいは政府特設の金融機関というものを総合して考えますときに、中小企業向け貸付金の割合が三六%ないし三七%でかわつておらないというお話でありました。しかも一方において非常に不渡り手形が増大しておるとか、手形の期限の延長が出ておるとか、はなはだしいときは発行日の記載のないものもあるというお話でありますが、金融機関の貸付総額はかわつていないのに、一方では不渡りは非常にふえて来る、手形の期限は長くなつておるということになりますと、中小企業面の資金需要はどこからそんなに多く出て来たのか。少くとも昨年の十月ごろから徐々に金融引締め政策に入り、この一月以降順次引締めは強まつて参つたのでありますが、少くとも十月以前の状態に比べて中小企業面における金融の困難というものは私は否定できぬと思う。今のようなお話がありますと、その資金需要の増加の原因をどこに求めるのかということをまず伺いたいと思うのであります。先ほど福島君かちのお話で、生産増に基く増加運転資金、大企業の生産増から当然に中小企業面における増加運転資金がいることもわかりますが、一方におきまして在庫の増加という事実も否定できないということになりますれば、この中小企業が現実に非常に因つておる資金需要の増加の原因をどこにお考えになつているかを伺いたい。お話を通じて私には理解しにくかつた点でありますが、それが第一点であります。  第二点として伺いたいのは、欧米の中小企業と日本の中小企業の形態が違うのだという御説明はごもつともでありますが、その差異を中小企業の資本力の微小に求めておる。これは相対的な問題でありまして、本質的な相違と考えるのは私はおかしいと思う。そこで中小企業の金融を、少くとも不安定な状態でなしに、もう少し勢いを得させるという面から見て、運転資金は利益留保によつて自己調達をやらせる方法を講じろ、こういう御提案でありますが、戦前の中小企業と戦後の中小企業との大きな差異は、私は実はそこにあると思うのであります。しかしこのことは中小企業だけかと言いたいのであります。大企業の状態を、考課状一つごらんになりましても、まさにこれ以上の面が多々あるのであります。そこらの点を考えますと、中小企業金融の政策の問題として、利益留保によつて自己運転資金を調達させるということがはたして可能かどうかという点について、日本の産業全体についてどう考えているか。私はこの点は大企業もまつたく同様の位置にあると思うのであります。ほかにもこまかい点がありますが、大きな点として特にその二点を伺いたいと思います。
  16. 石田謙一郎

    ○石田参考人 それでは、第一の資金需要の増加というお話でありますが、最近の中小企業に対しては、むしろ増加という問題はあまりないと思うのであります。ただ特に資金需要がふえたという問題ではなくして、先ほどから私が御説明申し上げました通り、大企業の金繰りの苦しさを中小企業は受継いだ、そのためにおのずと資金需要が幾分増しておる、このように私は考えておるのであります。これは当然のことでありまして、現金でいただくものが手形になりまれば、勢い銀行その他の金融機関でこれらを処理するよりしようがないのでありますが、しかしながらそれがなかなか問題なんでありまして、現状では非常に困難をしております。そしてそのために当然、先ほどから申し上げましたように、現金でもらうのが手形になる、手形が高くなるということになりますれば、そのようなものが資金需要の一つの原因になると私は思うのでありまして、額といたしましては貸出しその他は大して減つておるわけではないのでありますが、ただいかにも全体の額が、今日まで少いながらもやつておつたものが、なお必要がふえたんだ、このようにお考えいただいていいんじやないかと思うのです。  それから第二の外国と日本の中小企業の問題でありますが、資本力の相違というふうに私も申し上げたのでありますが、もちろんこれはそうでありまして、大体われわれの考え方が合理性を欠いておるのだろうと思うのです。よく申します言葉でありますが、年もとつたし、会社から退職手当をもらつた、これでひとつ、自分には特別な才能はないけれども、まあ機械を入れて工場でもやるか、あるいは織機を入れて機でも織ろうというふうな、非常に合理的でない中小企業が多い。こういう点が日本の非合理的な点でありまして、日本の中小企業者には、全部ではございませんが、こういうふうなものが特に多いのであります。決して自分が技術を持つとかあるいは一つの特長を持つから、たとい小さくても企業を経営しようというような合理的な面はないのであります。新しいものを考え、それが需要があるだろうから資金を求めてやるとか、あるいは自分にはこういう特殊な技能があるから、規模は別として、まずやろうというふうな点が常識的には考えられるのでありますが、そのようなもののほかに、日本では先ほど申し上げたような小企業がむしろ多いのであります。それから利益留保によつて自己運転資金をまかなえということは、ひとり中小企業だけじやない、大企業の考課状を見ても同様だ、これはごもつともなお話だと思う。ただその場合に大企業は、先ほど申し上げたように資本の増加その他が可能でありますが、中小企業ではそういうことは全然不可能であります。と申しますのは、中小企業と大企業とのわかれ目は、中小企業は人間そのものが中心になつておるのでありますが、大企業は組織で経営するのであります。そういう点がはつきり違うのでありまして、中小企業は、全部ではありませんが、大部分は、その人が倒れますと衰退するのが普通の姿であります。やはりその中心になる人物あるいは経営者が何らかの力を持つておりますものが、中小企業としてやつて行けるのが現状であります。大企業の方は設備と運転資金、あるいは人間というものは非常に重要ではありますが、これは相当方々から得られるわけで、この点の差があると思います。そうしてこの資本の増加が広く得られる大企業と、そういうことのできない中小企業とは、おのずと差があると思います。でありますから私が中小企業に対しては利益留保のできる方法をお願いしたいと申し上げましたのは、決して法人税を少くしてその得た利益を使わせようというのじやないのでありまして、積立てその他の方法による場合においてこれに対して優先的な措置を与えれば、これは当然運転資金の自己調達ということになるのでありますから、そのような方法をお願いしたらどうかということを申し上げたわけであります。
  17. 小笠公韶

    ○小笠委員 あとの問題は大体どうでもいいのでありますが、前段の問題であります。そうしますと石田参考人の御意見としては、今日中小企業の金融が非常に困難な原因は、大企業の金繰りが非常に困難だ――先ほど福島君からの説明のように、大ざつぱに言つて三割見当というものにそういうような金繰りが影響して来ている、もし大企業にして現金調達ができ、あるいは資金融通が楽になつたら、当然中小企業の金繰りは楽になるというふうにお考えになつておられるかどうかということが一つと、いま一つの問題は、今次の金融引締めにおきまして金融機関の実際上の貸出しの状態を見ますときに、手形のサイドが長くなつて来たことは、たとえば一千万円の手形割引のわくがあるということで、手形が倍になれば半分しか金が使えないということになつて来ておるのであります。ここに中小企業の一番現実的な手形割引の苦悶が出て来ておるのじやないかと、実は私は思うのであります。今次の金融引締めの影響が大会社よりも中小企業の方に、いわゆるお説のように中小企業の資本力が弱いところ、あるいは事業の見通しがなかなか立てにくいという特徴もあるものですから、そういうところから金融引締めの速度というものがより強く出て来ておるという点をごらんにならぬかどうか伺いたいのであります。
  18. 石田謙一郎

    ○石田参考人 ただいまお話の前段の点でありますが、これは当然でありまして、大企業はたとい長期にしろ手形を発行することができます。中小企業者のうちの中の中にはそういうことも可能でありましようけれども、大部分の中小企業は手形の発行ということはほとんど不可能でありますから、御説明の通り大企業の方の資金が潤沢になり、現金の支払いが多くなり、あるいは手形の期日が短かくなれば当然中小企業の現状の金繰りのむずかしさは相当緩和される、これははつきりいたしております。第二段の一千万円のわくについて、長期になれば、当然これは半分しかないというお話の点はまつたく同感でありまして、またそうであるとお答え申し上げてさしつかえないと思うのであります。
  19. 小笠公韶

    ○小笠委員 大企業の金繰りが少しでも楽になれば、中小企業の今日のような窮迫状態が少しでも息を入れるということは当然だと思うのでありますが、中小企業の内容と申しましても、いわゆる大企業傘下につながるものと、中小企業それ自体としての、あくまでも中小企業形態のグループとがあることは御承知の通りであります。しかもこの中小企業自体は大企業の系列下に入らぬような中小企業部門というものが非常に多いのであります。これは重要産業、関連産業と言われない部分に数が多いのであります。しかもこの面に相当困難な状態がひしひしと出て来ておるという事実は私はいなめないと思う。そういうような面は大企業の金の支払いが楽になれば、間接的に幾分潤うと思うのでありますが、直接の関連はないのであります。こういうような面についてどうお考えになるか。中小企業の実態は必ずしも一律なる一つの判断過程では行きにくいと思うのであります。
  20. 石田謙一郎

    ○石田参考人 ただいまお話のありました問題は、先ほど私が繊維の問題で触れましたのが一つのあれでありまして、これは大企業とは原料関係では関連がございますが、直接販売面ではないのであります。問屋その他がありますが、これも現況では中小企業のわくに属するものでありますし、これらの大きな影響の一つといたしましては、一番大きなものは先ほど申し上げました繊維でありまするが、繊維はとにかく、原料を供給する業者は、綿糸関係、人絹、人繊その他すべて大企業であります。またそれらの大企業は、先ほどから私が申し上げました通りに、もしかりに価格の問題がありますれば、いろいろな意味でプールすることができるのであります。現に人造繊維のパルプでありますとか、これらあたりでも輸入いたしますと相当安くなるそうでありますが、いろいろな事情から輸入も許されておりません。そのために国内では糸が高く、輸出する場合には安くいたしておりまするが、このようなしわ寄せを、関連産業の内部の、しかも直接中小企業者として経済生活をしております者に当る風当りが非常に強いのでありまするが、それらは今申し上げましたような原料関係で大企業と結びつき、しかもその供給をしてもらわなければやれないような事業がずいぶんあるのでありますが、これらが大企業の方の一つの犠牲になつておるということもあろうと思うのであります。そのほかの全然そういうふうな関係のない中小企業でありまするが、これらに対しましては、現在のデフレのために一般の国民生活がやはり相当影響を受けておりますので、そのために需要が減退しておる。そうしてこれがこれらの中小企業に対して相当影響しておるのでありまして、この問題はなかなかむずかしい問題であるんじやなかろうか、かように考えるわけであります。
  21. 小笠公韶

    ○小笠委員 議論はよしまして、最後に一言伺いたいのでありますが、ただいまのお話の中に、大企業は一つのプールができる。いわゆるカルテルができる。中小企業はカルテルができないからなかなか困難性が多くなつているんだ、こういうお話のように伺つたのでありますが、しからば現在の中小企業部門の金融困難をそのカルテル化によつて切り抜けられるというふうにお考えになつておるのであります。
  22. 石田謙一郎

    ○石田参考人 この問題に対しましてはいろいろ問題があります一実は私は労働省の賃金審議会の委員をやつておりまするが、先般も私は最低賃金の問題を論じておるのでありまするが、労働側の委員の方はほとんど組織労働者からできておる代表でありまして、その方々に申し上げたの、でありまするが、とにかく組織労働者と大企業は、両方とも一つの大きな団結を持つておる。ところが中小企業に関する限り全然ないのであります。中小企業問題は政治的にも種々取上げられます。議会におきましても一応問題になり、中小企業の議員連盟もお話のようにありますが、それはあくまでも政治的でありまして、現実にはなかなか中小企業者を具体的に救うまでにまだ行つておりませんし、また事実これは大きな問題でありますのでなかなか困難が多いと思うのであります。しかしながら今後におきまして中小企業はどうしても団結をしなければならないし、またそれによつて相当救われる。協同組合法、あるいは現在の中小企業者がもう少し団結いたしますると、国民金融公庫の問題あたりも、もつと強く要求を現わしまして資金をふやすこともできますでありましよう。あるいは信用金庫あたりももつと力強くなるでありましよう。これらはやはり中小企業者も団結しなければならない、また団結することによつて幾らかでも救われることを現わしておると思うのであります。でありまするから小笠委員の言われますように可能性はあるだろうというお答えだけをいたしておきたいと思うのであります。
  23. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 私は議論じやなくて、ただ一点だけ御意見を伺いたいのですが、先ほど造船関係について下請業者が非常に困つておるというお話、まことにそれはそうだろうと思うのですが、さてこれと関連して金融の関係ですが、今あなたは造船資金をなるべく早く融資してやるように御配慮が願いたい、こういうお話なのですけれども、これはただ半面だけしか見ておられないんじやないかと思うのです。と申しますことは、造船資金というものは、御存じでしようが、昭和二十四年から今までに貸しておる金が九百九十二億一千九百万円なんです。そのほかに、市中銀行から貸しておる金が七百億ほどです。両方合せますと、一千六、七百億の金を造船関係に貸しておる。ところがこれの業者が、元金の償還どころじやない、利息さえ払つておらない。こういう金をどこから出しておるかというと、すなわち国民の血税九百九十二億一千余万円です。市中銀行といえども、銀行が吸い上げた金を出しておる。そういうようなわけでございますから、それに早く資金を流してくれれば、下をやつておる考も楽になるということですが、それはまことにそうでしようけれども、そうなると、その犠牲になるのはどこかということについてお考えがないかどうか。  それといま一つ、先ほどあなたがおつしやつたうちの、戦前の中小企業者は長屋を持つておるとか、田畑があつて、自己資金を持つてやつておつたが、戦後の中小企業というものは、工場に勤めておつたのをやめてこれから何かやつてやろうかということでやつたので、きわめて基礎が不安定である、戦前の人は自己資金があつたために堅実であつた、そこで戦前の中小企業と戦後の中小企業の経営者に基礎的な相違があつたのだというお話でした。まことに私はその通りに考えておる。ところが日本の経済は、敗戦によつて大変動を来したのです。そこで大企業に対しては、政府はたくさんの金を出しておる。単に造船関係ばかりではありません、電気事業に対してもやはりたくさんの金を出しておる。しかし中小企業に対しては、あなたがおつしやるようにきわめて少額のものしか出しておらないのです。そこに非常にびつこなことが、戦前と戦後においては行われておるのです。とは申しましても、今の中小企業というものは、あなたが先ほどおつしやつたように、工場でもやめたからそれで何かやつて自分が生活して行こうというようなことでやる人が多い。全部ではないけれども、それがある。まことにもつて私はその通りだと思います。ほんとうに現在の中小企業というものは、これをやつたら金が少しもうかるだろう、これをやつたら食つて行けるだろう、こういうような考えに立つてやつておるのじやないかと思うのです、でありますから、これをいま少し国家全体の産業経済という点に立つて考えたときに、現在の中小企業のあり方がそのままの状態でいいかどうか、ここを私は根本的に考えてみたいと思うのです。いま少し企業の計画、あるいは言葉が少し適当でないかもしれません。統制という言葉は皆さんがきらうのですが、そこにいわゆる企業の計画性というものを立ててやつて行かなければならないのじやないかと思うのです。大企業にいたしましても小企業にいたしましても、現在やりつつあるところは、ほとんど農民、労働者、勤労者の犠牲においてやつておるようにしか、私は思われないのです。何でも資金を出せ、資金を出せ、資金を出せと言うけれども、その資金は大多数の国民の犠牲において出しておる、こういうようにしか私は考えられないのです。ただ目のあたりの金融関係ではなくて、将来いかにしたら日本の中小企業が堅実にやつて行けるようになるかということについて私は伺いたい。団結々々と言いますけれども、労働組合が団結する、中小企業が団結する、大企業が団結する、こうして奪い合いをしておつたのでは、いつまでたつてもだれかが犠牲にされるだけであつて、それはできないと思うのです。そういう点についていかがでしようか、何かお考えがありましたら伺いたいのです。
  24. 石田謙一郎

    ○石田参考人 第一段の造船の金融の問題でありますが、これのみでなく、そういうことに関連しては私どもにもいろいろ考え方があります。しかし一応現在の中小企業の立場から申しますと、少くともすでに造船資金が決定しております以上、これは一日も早くやらしていただければ、倒産寸前にある企業だけでも救えるのではないかと申し上げたのであります。でありますから、この点はそのように御解釈願つて、一日も早く資金を流していただければ、現在あいておる船台もふさがるでありましよう。関連産業も救われるでありましよう。このようなお答えを申したのであります。  それから第二の、中小企業のあり方でありますますが、これにつきましては、しごくごもつともな話でありまして、決して団結だけでいいとも思つておりません。それから現在まで中小企業そのものが、すべて合理的になつておるとは毛頭思つておらぬのであります。ただしかし、本日私はここで中小企業全体としての資金が非常に困難なことを訴えまして、皆さんのお力添えをお願いするために伺つたのであります。こういう点を論じますと、問題は非常に大きいと思います。むしろ私から申し上げさせていただきますならば、一つの例でありまするが、私は港区に住んでおります。港区には区会議員が四十数人、東京は百二十名の都会議員を持つております。議会の代議士の方に対してはたいへん失礼でありますから申し上げませんが、港区のような小さなところでも四十数名の区会議員を持ち、これに相当な報酬を払い、相当多額な金を使つておるのでありますが、これらの必要ははたしてあるであろうかという点を考えさせられるのであります。このような問題を論じておりますと、とても私どもの力では及ぶところではございません。中小企業に対しましては、現状の中小企業がこれでいいとは毛頭思つていない。いろいろ問題がある。そして私が先ほどお話申し上げ、また、ただいま杉村委員からお話がありましたように、中小企業は、もつと合理的な中小企業であるべき必要があると思うのであります。しかしながらそれはこれから先でありまして、その前提といたしましては、どうにもしようがなくて小企業を経営せざるを得なくなつたような日本の現在の社会状態に問題があると思うのであります。たとえば養老年金の制度あるいはそのほかのいろいろな社会政策がもう少し進みますならば、このような無謀な――自分が営々として数十年働いた退職手当を投じて、はたして成功するかどうかわからないような中小企業の中に入り込むようなことはあるまいと思うのであります。しかしながらどうしてもそれより道がないために入り込む連中が非常に多いのであります。この点は問題が非常に大きくなりますので、ひとつこの程度でごかんべん願いたいと思います。
  25. 加藤宗平

    ○加藤(宗)委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。――なければ次に移ります。経済同友会幹事藤井丙午君。
  26. 藤井丙午

    ○藤井参考人 私は八幡製鉄に勤めておりますが、きようは経済同友会の幹事という資格のようでございますので、一応経済同友会の考え方を簡単に述べさせていただきたいと思います。と申しますのは、先般三月八日に経済同友会の二十九年度の総会がございまして、そこで一応決議したことがあるのであります。  その要点をかいつまんで申しますと、政府がデフレ政策に着手されまして五箇月近くになるのでございますが、その間政策の遂行はもつぱら金融の量的な引締めに集中されておつて、ほかにあまり有効な見るべき策がない。金融引締めはむろん効果的なインフレの抑圧政策ではあるのですけれども、今日のインフレと申しますか、物価高、国際収支の悪化は、やはりいろいろな原因が累積されているので、たとえば中央、地方を通ずる財政の膨脹であるとか、一般の国民の消費の増大であるとか、あるいは過剰投資ないしは過剰生産、いろいろな問題が累積されている。そこで外貨のバランスが悪化したために、一挙に財布のひもを締めようといつたやり方については非常な矛盾がある。むしろ今申しましたような諸原因を分析し、それに対する総合的な施策が、金融政策、財政政策と並行して打出されなければならぬのじやないかというのが、経済同友会のものの考え方なんでございます。一応その点だけをごひろうさせていただきます。  そこであとは鉄鋼関係の当面の問題を通じて、何がしかの御参考に供したいと思いますが、私どもが当面して一番弱つているのは、金融政策と産業政策の中に関連性がない、まつたく矛盾撞着しているような面があるという点でございます。一般の金融引締めの影響につきましては、先ほど福島参考人から申しましたことで尽きているのでありますが、私どもの鉄鋼企業経営の面で数字的に申しますと、私どもの会社は月に大体七十五億の売上げを持つておりましたが、この二月ごろからだんだん減つて参りまして、大体六十四、五億ということですから、大体一割三分ぐらいの売上げ代金の減収になつて参つているのであります。しかもその代金の回収の内容は、従来現金が三割、手形七割というのが、現状では現金二割、手形八割。私どもの会社はまだこれでいい方でございまして、富士製鉄、日本鋼管、三社を平均して申しますと、現金が去年の十月ごろまで大体一八%が、現在一二%になり、従つて手形が八二%から八八%に上つた。こういう状況になつております。手形の期限も、先ほどお話がございましたように、大企業といえども現在八十八日が九十六日、私どもの会社はそういうふうに期限延長になつているのであります。まだ私どもの方には手形の不渡りというような問題が起つておりませんけれども、しかし同じ鉄鋼メーカーでも、中小になりますと、今資金繰りが非常に苦しくなつております。特に商社の金融が非常に逼迫しておりまして、不渡りとまでは行きませんけれども、私どもやむを得ず救済の意味で手形の買いもどしというような現象が昨今だんだん増加して参りまして、普通の運転資金といえども相当苦しい状況になり、昨年の九月ごろまでは、私の会社で大体月に三百六億運転資金を借りておりましたが、現在は二百七十三億ということで、三十四億ばかり減つております。押しなべて参りますと、販売も約一割三分ぐらい減り、代金回収その他借入金も一割ないし一割三分という規模に収縮されているという形になつているわけでありますが、私特にきよう皆様方にお聞き願いたいのは、この運転資金の問題よりも、当面一番弱つております輸入金融の問題でございます。これは、御承知のように三月の十日に日銀政策委員会の決定によりまして、従来の輸入金融に対する優遇的な措置が一切廃止されたわけでありますが、私どもは鉄鉱石あるいは原料炭、スクラツプというようなものを外国から輸入しております。御承知のように日本の鉄鉱資源は非常に貧困でございまして、鉱石につきましては約七割近く、溶鉱炉に入れます強粘結炭につきましては約半分を海外から輸入せざるを得ない自然的な状況に置かれているわけであります。そこでそれらの原料を輸入しますについて、従来日銀の別口外貨貸付制度というのがございまして、長いときは十二箇月、五分の金利で日銀保有のドルを貸していただいておつたわけです。そのおかげをもつて国内の円資金の金融が非常に緩和されていたわけであります。どうしてこの制度が生れたかと申しますと、実は私どもがアメリカその他から鉄鉱石等を買うにつきまして、外国の金利が御承知のようにアメリカ国内では三分五厘程度ですが、われわれ外国銀行から金を借りますと五分程度で借りられるわけであります。そこでわれわれとしては、従来まだドルの潤沢な時代でございますから、日銀ないしは大蔵省に対して日本の保有ドルを貸してもらえないか。というのは、日本の保有ドルは外国銀行に対して一分程度の低金利で預けてあるわけですから、これを貸していただけば、私どもの金融が助かるばかりでなしに、鉄鍋の生産コストが非常に安くなるわけでありますから、そのこのとをお願いしましたところが、なかなかお許しが得られない。そこでわれわれは原料を買う場合に、外国銀行からドルを六箇月くらいの長期にわたつて借りるという相談をいたしまして、政府へその許可を持ち出したわけなんです。そうすると、大蔵省も日銀も、せつくか日本にドルがたくさんあつて、それを外銀に一分の利子で貸しているのに、逆に今度はわれわれが外銀から五分で借りるということになれば、それだけでマイナスじやないかということで、今申しますように別口外貨貸付制度ていうのが許されたわけであります。ところが輸入についてそういう特別な措置を講ずるのも、だんだん制度的には廃止しなければならぬというので、昭和二十七年四月から十二箇月であつたのが、二十八年の四月になりまして六箇月に短縮され、それがさらに五箇月になり、今年の四月になつて四箇月になり、この三月に廃止ということになつた。話はややこしいですけれども、日銀のドル・ユーザンスがだんだん期間が短縮されるに伴つて、市中銀行の金融がこれにくつつきまして、六箇月になつた場合に市中銀行が三箇月金融のめんどうを見る。五箇月の場合に市中が四箇月、四箇月の場合には同様に四箇月金融を見るということで、この一月までは、結局別口外貨の四箇月と市中金融の四箇月と八箇月の金融を受けておつたわけです。ところが今度この制度が廃止とともに、貿易手形が二箇月、スタンプ手形が二箇月というように、四箇月、つまり半分に期間が短縮されたのでございます。のみならず今までの市中銀行の四箇月の金融というのは、高率適用を除外されていた。何べんも制度がかわつておりますからややこしいですけれども、その後高率適用を受けるようになりましても、利子が日銀の貸出しとんとんであつたわけですから、市中銀行も若干の犠牲を忍んでもわれわれに協力しおつたわけですが、今度の制度の廃止で、高率適用除外を受けるのは貿易手形二箇月だけで、あとのものは全部高率適用を受ける。貿易手形二箇月だけが適用除外ということになりますので、市中銀行が従来通り八箇月われわれのめんどうを見てくれることになりますと、二箇月分は高率適用の除外を受けるのですが、あと六箇月分の金融につきましては日歩二厘の逆ざやということになつて、つまり巨額な円資金を日歩二厘の逆ざやで長期間に貸さなければならぬ、こういう事態になつて参りましたものですから、市中銀行としては、とても私たちのそんな犠牲において金融はできないということになつて来た。そこで今当面弱つておりますのは、われわれが通産省の認めた鉄鋼の生産計画に基いて原料の輸入計画を立て、それに対して外貨の割当があつた、その外貨の割当の基いてわれわれは外国の鉄鉱石、石炭の輸入を契約しておるわけなので、そこで期近かなものについてはすでに船の手配をして出港準備をしておるのですが、それに対してわれわれは今LCが開けないでおるのです。というのは、市中銀行が金融をしてくれないために、その信用状が発行できないという状態になつておるわけです。ですからこれは実にわれわれとしては弱つておるのです。そこで三月分につきましては、日銀と市中銀行との間に話合いがつかないものですから、いろいろ陳情いたしまして、ようやく二十意の輸入金融について最小限度ぎりぎりのところ十億だけをとりあえず認めていただいてLCを開いていただいたのですが、の四月、五月におきましては、当面私どもと富士、鋼管、この三社で大体七十億の原料の輸入金がいるわけなんです。この七十億の原料輸入に対する信用状が開けないで目下日銀、市中銀行双方へ陳情しておるという状況なのであります。そこで日銀側としましては、輸入金融の優遇措置を廃したばかりであるからこれを緩和することは一切できない、市中銀行で何とか金融のめんどうを見ろ、資金の量については日銀が心配してやるからということでございました。ところが市中銀行といたしましては、先ほど申しましたように日歩二厘の逆ざやのものを、しかも外国の資金を長期にわたつて銀行側の犠牲において融通するということはどうしてもできないと言つて突つぱねておるわけです。俗なことを言えば、お父さんとお母さんとけんかして、子供のわれわれがおなかがすいてひもじいと言つて泣き叫んでおるような現状に実はあるわけであります。これは何とか解決していただかないとどうにもならぬ。と申しますのは、現在まだ鉄鉱石等の在庫に若干ゆとりがありますけれども、しかしある製鉄所のごときは在庫がもう一箇月分以下になつておるところもございまして、もしこんな状態が続けられて行くと、五、六箇月先行につて溶鉱炉の火を消さなければならぬという問題が起るおそれがある。まさかそんな無謀なことはなさるまいと思いますけれども、そういつた場合に一体だれが責任をとつてくれるかという問題です。われわれから申しますと、鉄鋼の生産が二十八年度は普通鋼材五百五十万トンでございましたのを、ことしは一割減らしまして五百万トン計画にしておる。それは通産省も認めて上半期の輸入原料についての外貨の割当は済んでおるわけです。それに基いてわれわれは輸入原料の手当をしてあるわけです。製鉄所にとつてほんとうに米びつといつてもよい鉄鉱石や原料炭に対する輸入金融の手配がつかないということは一体どういうことか、こういうことになるわけであります。  しかももう一つ問題は別にあるのです。それは先ほど申しましたように、別口外貨制度の廃止によりまして、この八月から十一月までの四箇月間に私どもの会社だけでざつと七十億円の資金が別にいるわけです。というのは、今までの支払いの期限が来るものと新しく買うものとがダブつて来る。それが先ほど申しましたように、別口外貨制度が四段階にわかれて期間が短縮されて来たものですから、八月が二箇月分、九月が二箇月分、十月が三箇月分、十一月が二箇月分という通常の原料買入れ資金のほかに、これだけの別な円資金を調達しなければならぬというわけです。これを鉄鋼三社で申しますと、百二十八億の円資金を通常の金融以外に八月以降につけなければならぬという問題になるのであります。金融がこんな引締めのない時代ですと、その金繰りもつきますけれども、一方において非常に強い金融引締めが行われておるさ中において、しかも私ども一社だけで七十億の円資金の金融をこれからつけるということについて、どうしたらいいかという方途に実は迷つておる。この問題もまだ全然解決がついていない。いわんや当面の輸入金融についてもLCが開けないでまだ話がつかない。これが私に言わせればコスト引下げに役立ち、政府のデフレ政策の効果にプラスになるものであれば話がわかるのですが、これはプラスどころじやなくマイナスになる。先ほど申しましたように、金利が少くとも高くなること自体でもコストが高くなります。  それからもう一つ、私どもが心外に思つておりますのは、私ども一社でこの八月以降七十億などという資金を現在の運転資金以外に調達することはなかなか困難でございますから、従つてもしでき得れば外国の鉄鉱石ないし石炭を買う先、あるいはまた外国の銀行からドル・ユーザンスをしてもらえればこの金融の一時に来る圧迫が緩和されるわけですから、外国の銀行から金を借りる相談をして、大体話がまとまつてそれを政府にお願いしたところが、それはいかぬということなんです。私どもから申せば外国の銀行の金を五分程度で長期に借りれば、それでコストが下るわけですし、当面の金融の重圧も切り抜けられるということで、それをお願いしておるわけですが、それも一種の輸入金融の優遇措置の変形みたいなことになるからいかぬと言うのです。それではどうすればいいかということで今政府に迫つておるわけであります。このことは金融を通じて政府の産業政策が切り盛りされるようになりますと、一体政府の産業政策、金融政策というものはどういう関係に立つかということで、われわれそこに非常に矛盾を感ずるわけです。通産省にこの問題を持ち込みましても、――通産省からは日銀、大蔵省等にいろいろ折衝はしてくだるのですけれども、一歩も問題のらちが明かない、こういうことになつております。この辺になりますと、実は冒頭に申し上げました私ども同友会の決議同様に、そこに何ら財政金融、産業政策に関連性とか総合性がない、その矛盾が端的にここで露呈されておるのじやないかという感じを持つわけです。  それから長期資金でございますが、これは御承知のように財政投資の圧縮によりまして、鉄鋼関係は二十八年度は当初八十億の開銀の融資を受けることになつておつたわけでありますが、これが減らされまして四十億になつたわけであります。ところがことしは大体それが五億程度になるような状況でございまして、いわゆる開銀融資は全然認めないことになつたわけでございます。それは政府のデフレ政策の方針として私どももやむを得ないと存ずるわけでございますが、同時に昨今の金融事情から申しますと、社債の発行も非常に困難になつて参りまして、私ども一月おきに三億円の社債を発行しておりましたのが二億五千万円になり、現在では一月おきに一億五千万円の社債の発行もなかなか困難な状況になりまして、社債にも多くを期待し得ない。それから興業銀行ないし長期信用銀行等による長期の融資につきましても、御承知のように資金運用部資金による三百億の金融債が百九十億に減らされた等の関係から、興銀、長期信用等の民間金融機関よりする長期資金の借入れも大幅な削減を余儀なくされておる。いわんや増資に至つては、御承知のように証券市場の非常な不況から、私どもの会社の株といえども五十円の額面を若干下まわるというような、従来想象のつかねような場面になつて参りまして、増資の見通しはとうていつかない。従つて私どもの会社の数字を申しますと、当初百四十三億長期資金計画で二十九年度の仕事をしようと思つておりましたのが、だんだん今申しましたような事情で資金の目途が減つて参りまして、現在これを大体百億程度に圧縮しておるのです。まだそんな仕事をするかと御質問になるかもしれませんが、このうちで四十三億というものは古い復金等の借入れの返済に充てるわけですから、実際に仕事をするのは六十五、六億しか仕事ができない。そのうちで、私どもの会社は合理化三年計画を立てて今年が完成期に入つておりまして、その仕事の継続が七十五億あるのです。この七十五億あれば、今までの合理化、近代化計画が全部完成することになつておりますけれども、その金が間に合わないために七十五億の仕事を五十五、六億に圧縮し、また新視にどうしてもやらなければならぬものが七、八億あるものですから、そういうものでしのごう、こういう考え方をしておるのです。私どもが考えますのには、デフレ政策の目途とするところは、結局物価の引下げ、従つて企業で申しますればコストの切下げ、そして輸出力を増強して国際収支を改善して行こう、こういうことにほかならないのでございますから、私どもメーカーの立場から申しますと、国民消費の節約も、過剰投資の抑圧もけつこうなんだが、しかし今のような急激な金融引締めだけですべてを解決しようということは問題の解決にはならぬと思う。と申しますのは、今申しましたような政策を今後も強行されるということこなりますと、まことに口幅つたいのですけれども、私どものような最も健全な企業体といえどもこれは参らざるを得ない。いわんや中小の企業の方はこれ以上だと思うのです。そうなつて参りますと、金を得るために、いわゆる換金のために売りくずすとか、あるいは倒産のために投売りをするということで物価は若干下るでしよう。しかしそれはあくまでも弱体企業の犠牲において物が下るというだけのことであつて、決して正攻法的な物価の引下げではない。われわれの立場から申しますと、正攻法的に問題を解決するためには、技術の改善であるとか、老朽設備の近代化であるとか、あるいはまた労働生産性の向上であるとか、それは困難であるけれども、しかしこういつた要因を積み重ね、努力を続けて初めてコストの切下になり、輸出力の増強になるので、こういつた問題を一ぺんに打止めにしてしまつて、それにしんにゆうをかけた、首を絞めるような金融の引締めをやることがはたして問題の解決になるかどうか、この辺に実は疑問を持つておるので、どうかこういつた点も具体的な問題をお取上げいただいて、解決の御思慮をいただければまことにありがたいというわけでございます。  時間がございませんから簡単に申し上げました。
  27. 加藤宗平

    ○加藤(宗)委員長代理 ただいまの藤井参考人の御意見に対して御質疑があればこれを許します。
  28. 水谷長三郎

    ○水谷委員 ちよつとこういうことを聞くのはどうかと思うのですが、例のあなたのところの合併問題はどうなんですか。
  29. 藤井丙午

    ○藤井参考人 合併問題は世間にいういろ伝えられておりますけれども、問題としては現在のところ具体的には何らございません。ただ問題の起りました点について、二つの見方があるわけです。一つは、八幅の方は鉄鋼一貫作業態勢が整備しておるというか、大体自分の手でつくつた銑鉄を最終製品にはほとんど全部消化してしまうわけなんです。ところが冨士製鉄の方は、溶鉱炉が多いのに対して、平炉特に圧延設備が少いものですから、銑鉄の相当部分を平炉メーカーに売る、それからまた半製品、シート・バーとか、そういつたものを圧延会社に売つておるわけです。そこで日本全体の銑鉄あるいは半製品のバランスがとれているわけですが、富士製鉄自体といたしますと、景気のいいときはそうではありませんが、こういうふうに景気が悪くなつて参りますと、一社の企業経営の立場から申しますと、溶鉱炉と平炉と圧延がバランスをとられた形、つまり鉄鋼一貫態勢が整備をされるということが企業形態としては望ましいという問題になります。そこで今度富士がレールをつくるとかいろいろなことをやるということになりますと、八幡の方の設備と競合するばかりでなく、国全体の生産設備からいうと過剰設備になる。従つて過剰投資という問題になる。そこでもともと両社は一緒であつたんだから一緒になればその間の総合調整ができるからいいじやないかという議論が一つあるわけであります。  もう一つの議論は、これは平炉メーカーの方からむしろ鉄鋼業再編成の問題と関連して、富士、八幡はもともと国策会社であるからこの際一本になつて、銑鉄あるいは半製品のみを供給する会社になつたらどうか、こういう議論であります。そこでこの議論は専門的にはまことにおかしい議論であります。と申しますのは、製鉄業と申しますのは溶鉱炉から最終製品までつくる鉄鋼一貫態勢というものが一番の能率的な生産態勢でありまして、従つて溶鉱炉で出るガス、コークス炉で出るガスをエネルギーの大きな要素として工場を動かしておるそういう熱管理の意味からいたしましても、これを切り離すということは意味がない。のみならず八幡、富士等は圧延設備におきましては最も近代的な設備を持つた最高能率の工場になつておるわけですから、それを切り離すということはそれ自体がおかしいので、その議論はちよつと成り立たないと思いますけれども、前段の議論は一つのりくつがあると思います。ただ問題は、独禁法下の現状においてはそれはとうてい考えられない。ということは、両方合せますと銑鉄におきまして全国生産の八割を占める。圧延普通鋼材について八幡が三割、富士が二割、約五割近い普通鋼材の生産ということになると、まつたく独占的な企業体になつて参る、そういう企業体が許されるということは特別の法律によるか、独禁法のなくなつた時代だ、こういうことになります。そのことはその背景として日本の経済情勢なり政治情勢なりがかわりまして、やはり日鉄のような国策会社的な公社的なものとしての鉄鋼業の再編成をする必要があるとかないとか、そういつた段階、あるいは外国との競争においてとうてい現状では太刀打ちができない。八幡、富士を一本とした国策会社を中心とした日本の鉄鋼業を再編成をして、対外的な競争力を強化して行こう、こういつた意味の客観的な条件が出て来ないと現状においては考えられないということで、水谷さんの社会党が政権をとられて、国営とか国有民営とかいう問題が起つたときに、そこで問題になることだと思います。
  30. 迫水久常

    ○迫水委員 さつきからお話を聞いていると、政府も日本銀行も意地悪ばかりしているようですね。しかし別にそれによつて八幡製鉄をつぶしてしまおうという考えもないでしようし、結局鉄の生産というものを維持して、それをむしろもつと合理的にして行こうという考え方はあるのでしようが、今お話を聞いていると、とにかく八幡製鉄はますます金を借りて、金を返すことは全然やらない、借金はふえて行く一方、借金がふえて行かなければ八幡製鉄は立つて行かないというふうにも聞えるのですが、結局八幡製鉄の中で別に何か解決する方法があると思つて、政府や日本銀行はそういう政策をとつているんじやないかと常識的に思われるのです。内部のことをよく知りませんから。そこでその点に対する御意見と、それからもう一つは、今御説明になりましたことを前提として、政府なり日本銀行なりはそれだからどうすればよいのか。まあ単純に、貿易金融を優遇しろとか、あるいは金融の引締めを緩和しろとかいうことでは、これはちよつと簡単には行かないと思うのですが、そこのところに何か御意見がありましたら伺いたいと思います。
  31. 藤井丙午

    ○藤井参考人 八幡にしても富士にしても、金を借りる一方で返すことを考えていないんじやないか、つまり経営が放漫じやないかという議論を一部にされる方があるようであります。これは私どもから申しますれば、まあ経営陣につながる、私どもの不徳のいたすところかもしれませんけれども、実態はそうじやありません。先ほど申しますように、長期資金につきましては、今度の年度におきましても四十三億を返そうと考え、それから市中金融につきましても、すでに金融引締めによりまして、私の会社だけでも、毎月三十四億の借入金を減らしておるのでございますから、相当の努力をしておるということはお認め願いたい。特に今期の決算におきましては、私ども公称利益は十二、三億と考えておりますが、その中で普通償却、これはいわゆる経費で落すものでありますが、十五億、それから特殊償却、これは国会でつくつていただきました、例の産業合理化促進法による特別償却、これを十三億ということで、償却はもうフルにやつております。そういうわけで企業努力としては決して借りたいものは返さぬどころじやない、償却も普通、特別ともにフルにやつておる。内部留保をすると同時に、長期資金につきましては借りたものはきちんきちんと返しておりますから、そういうことに対する誤解はぜひ払拭していただきたいと思います。  それからあとの問題でありますが、これは結局今、八幡対市中銀行ないし日銀の問題ではなくして、実は市中銀行対日本銀行の問題になつておるわけで、日銀としても、今御説のように、金融だけは何とかつけてやる、つまり溶鉱炉の火を消すようなことは絶対させない、こうはおつしやいます。だから量的な心配はしてやろうというのだけれども、逆ざやの問題等は考慮の余地なしということで、大体市中銀行と日本銀行とその点に関する限り対立的な立場になつておられるのではないか。日銀が言われるのは、逆ざやの問題は鉄鋼原料の輸入だけの問題ではないじやないか、だからこの問題だけに食い下つて来るのはどうかというような表現もあるようですし、市中銀行からすれば、こういつた具体的な問題を端的に取上げないと、日銀に対して攻め込めない――というと当らないかもしれませんが、強い要求が出せないということで、この問題が中心点になつているんじやないかという見方もあるのでありますが、いずれにしましても私どもの方は何とか解決していただかないと、毎月々々――とにかく制度的に緩和がむずかしければ、方針としては大体この方針でやるのだということだけでもお示しいただければ、この忙がしいさなかでこのことに日夜奔走しなければならぬということはたいへんなことなんです。そういう実情であります。
  32. 加藤宗平

    ○加藤(宗)委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。――御質疑がなければ、以上をもつて本日の参考人全部よりの意見の聴取を終ります。参考人各位には長時間にわたりまことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  次会は公報をもつてお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十六分散会