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1954-10-27 第19回国会 衆議院 内閣委員会 47号 公式Web版

  1. 昭和二十九年十月二十七日(水曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 稻村 順三君    理事 大村 清一君 理事 山本 正一君    理事 高瀬  傳君 理事 下川儀太郎君       青木  正君    長野 長廣君       安井 大吉君    山崎  巖君       粟山  博君  早稻田柳右エ門君       飛鳥田一雄君    田中 稔男君       鈴木 義男君    中村 高一君       辻  政信君  出席国務大臣         国 務 大 臣 木村篤太郎君  委員外の出席者         防衛政務次官  江藤 夏雄君         防衛庁参事官         (長官官房長) 門叶 宗雄君         防衛庁参事官         (防衛局長)  林  一夫君         防衛庁参事官         (人事局長)  加藤 陽三君         防衛庁参事官         (装備局長)  久保 亀夫君         防衛庁参事官  都村新次郎君         防衛庁課長         (長官官房法規         課長)     麻生  茂君         防衛庁課長         (防衛防衛第         一課長)    海原  治君         防衛庁課長         (経理局会計課         長)      松永  勇君         防衛庁課長         (経理局監査課         長)      小笠原喜郎君         専  門  員 龜卦川 浩君         専  門  員 小關 紹夫君     ――――――――――――― 十月七日  委員西村力弥君辞任につき、その補欠として阿  部五郎君が議長の指名で委員に選任された。 同日  委員船田中君辞任につき、その補欠として田渕  光一君が議長の指名で委員に選任された。 同月八日  委員天野公義君、高橋等君、田渕光一君、中川  源一郎君、安井大吉君、並木芳雄君、本名武君、  竹谷源太郎君及び辻文雄君辞任につき、その補  欠として八木一郎君、平井義一君、船田中君、  岡野清豪君、江藤夏雄君、松村謙三君、早稻田  柳右ェ門君、三輪壽壯君及び大矢省三君が議長  の指名で委員に選任された。 同月二十五日  委員早稻田柳右エ門君辞任につき、その補欠と  して大麻唯男君が議長の指名で委員に選任され  た。 同月二十六日  委員大麻唯男君辞任につき、その補欠として早  稻田柳右ェ門君が議長の指名で委員に選任され  た。 同月二十七日  委員江藤夏雄君、平井義一君、阿部五郎君及び  大矢省三君辞任につき、その補欠として安井大  吉君、青木正君、田中稔男君及び中村高一君が  議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  自衛隊に関する件     ―――――――――――――
  2. 稻村順三

    ○稻村委員長 これより内閣委員会を開きます。  本日は防衛庁に関する調査を進めます。防衛計画並びに来年度防衛庁予算要求について木村防衛庁長官より説明を求めます。木村防衛庁長官。
  3. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ただいま委員長の御要求によりまして、来年度すなわち昭和三十年度における自衛隊の増強計画を申し述べます。  まず陸上自衛隊に関する点から申し上げたいと思います。陸上自衛隊の増強につきましては、人員、自衛官が二万人、平服の職員が二千五百三十人、計二万二千五百三十人。部隊は九州に方面総監部を新設いたしたいと思つております。九州北海道戦闘団を新設いたしたいと考えております。若干の独立特科、特車、施設等の部隊を新設いたしたいと思います。以上に伴う所要の後方部隊を増強いたします。  海上自衛隊の増強については人員が自衛官四千四百五人、平服の職員が五百五十八人、計四千九百六十三人。艦艇は日本において建造するものでは、警備船千六百トン二隻、総トン数三千二百トン、掃海船三百二十トン級が三隻、九百六十トン、雑船七隻、トン数千百四十八トン、合計十二隻、五千三百八トン、アメリカから供与を期待するものが三隻で四千八百トン、合計十五隻で一万百八トン。航空機はアメリカからの供与を受ける実用機を四十二機期待しております。部隊の新設については護衛隊五隊を増設いたしたいと考えております。航空隊の増設は大湊、茂原、佐世保、以上に伴う航空部隊及び教育機関の増強をいたしたいと思います。  次に航空自衛隊の増強でありまするが、人員は自衛官五千八百三十人、平服職員が七百八人、計六千五百三十八人であります。航空機は、アメリカからの貸与を期待するものが実用機七十五機、練習機百四十三機、合計二百十八機、日本で調達するものは練習機十四機、総計二百三十二機であります。部隊の新設につきましては、F八六F七十五機をもつて戦闘航空団一つを新設いたしたいと考えております。そのほかに、初級操縦学校二箇所、基本操縦学校一箇所、実験航空隊一隊及び訓練航空混成隊九十五箇所を新設予定をしております。以上に伴う後方部隊及び教育機関を増強いたしたいと考えております。まず概略は以上の通りであります。  次にこれに伴いまする予算の概況を申し述べることにいたします。  まず現態勢維持に関する費用から申し述べたいと思います。これは三十年度であります。陸上自衛隊が四百六十一億三千六百万円、海上自衛隊が百二十六億六千六百万円、航空自衛隊が五十九億四千百万円、統合幕僚会議に要すを費用が二千八百万円、長官官房及び各局に要する費用が二億六千五百万円、防衛研修所に要する費用が二千七百万円、技術研究所に要する費用が十一億九千八百万円、防衛大学校に要する費用が七億四千八百万円、調達実施本部に要する費用が一億二千七百万円、建設本部に要する費用が二億三千九百万円、総計六百七十三億七千五百万円であります。これが現態勢維持に要する費用であります。これに三十年度増勢分に要する費用が加わるわけであります。これは陸上自衛隊が百四億五千二百万円、海上自衛隊が六十七億六千八百万円、航空自衛隊が八十八億八千三百万円、技術研究所が十五億百万円、防衛大学校が二億四千万円、合計二百七十八億四千四百万円であります。それで結局この二つを合せたものが九百五十二億千九百万円となります。これが三十年度に要する予算であります。
  4. 稻村順三

    ○稻村委員長 これより質疑を行います。質疑は通告の順に従つてこれを許します。辻政信君。
  5. 辻政信

    ○辻(政)委員 ただいまの御説明を承つて私がまことにふしぎに感じますことは、国家全体の経済状況が昨年よりもはるかに悪く、中小企業がばたばた倒れようとしておる国家の現状にかかわらず、本年度の新規要求において百六十三億円を新たに増加されようというような態度は、これは本気でお考えになつたのかどうか。単に大蔵省に対する予算折衝上の技術として出されたものであるか。ほんとうの信念をもつてこれだけ増さなければ防衛庁長官としての任務が達成できないという決意に基かれたものかどうかということを。まず最初にお伺いしておきます。
  6. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ただいま申し述べた予算の要求は、私は本気でやつておることであります。これだけのものは必要であろう、こう考えております。
  7. 辻政信

    ○辻(政)委員 それでは今から内容に入つてお伺いをいたします。まず陸上自衛隊二万の増強につきまして伺います。昨年も陸上自衛隊を大幅に増強されておるのでありまして、昨年の防衛計画の性格は間口を広めた。しかし奥行きがきわめて浅いのであります。本年度の増強しようとする分は間口をとめておいてむしろ奥行きの充実に予算を充当されるのが建前ではないかと思います。率直に申し上げますと、二十九年度のこの増強というものは張り子のとらのような増強でございまして、訓練の面におきましても、後方部隊の整備におきましても、内容はきわめて充実していないのであります。それを御承知の上で、あえてまた本年度は無理な予算を増して間口を増加しなければならない理由がどこにあるのか。私の推測では、アメリカに対するゼスチユアとして、アメリカの援助を得るために心ならずもこの間口を広めて、日本がいかにも積極的に兵力を増すような媚態を示されておるのではないかと思いますが、その点について信念のある御回答をいただきたい。
  8. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 信念のある回答をいたします。決してさようには考えておりません。内容が充実していないというお言葉でありますが、決して充実していないとは考えておりません。辻委員も専門家でいらつしやるのでありますから、内部の訓練の模様その他も十分御観察くださつたことと思つております。私不肖でありまするが、各部隊へつぶさに行つて若い隊員に会い、また訓練の模様を十分視察して来ましたが、きわめてまじめにやつております。内容は充実いたすように考えております。装備の点もこれに伴うて着々強化されておると私は考えております。
  9. 辻政信

    ○辻(政)委員 木村長官は、第十九国会におきまして、内閣委員会もしくは予算委員会あるいは本会議の席上において、防衛問題について、いろいろ重大な意見をお答えになつております。編成、装備、訓練あるいは三軍の戦力をどのような形に持つて行くかということにつきましてお述べになつておりますが、その議会に対する答弁の責任を、この予算において完全に織り込んでおるとお考えになつておりますか。
  10. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 完全に織り込んでおるとは申し上げません。われわれは完全なものにするためには、もつと予算を必要とすると考えております。しかし三十年度のさしあたりの問題といたしては、これでもつて十分に強化をはかつて行きたい、こう考えております。
  11. 辻政信

    ○辻(政)委員 個々の問題についてお伺いしますが、予備自衛官を一万五千とるようにお考えになつておりますが、現在何名志願がありましたか。
  12. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 予備自衛官につきましては、われわれはどうしても――辻君も御存じの通り現在の自衛隊予後備を持つておりませんから、何とかしてこの予後備に相当するものを獲得したいと考えて、前国会で予備自衛官なるものの制度を認める法案を提出したのであります。そこで予備自衛官について募集の点は、この十月の初めから募集にかかつております。しかし現在のところでは成績がよろしくありません。これは一つはわれわれの宣伝がうまく行き届かなかつたことも一つの原因かもしれません。率直に申しますと、今までのところは成績はあまりよくありません。はたして年末までに一万五千を獲得し得るかどうかということについてはなはだ心細い限りであります。それについてはわれわれは将来何とか考えなくてはならぬと考えております。
  13. 辻政信

    ○辻(政)委員 私の調査ではちよつと不備かもしれませんが、現在五十名内外だと思つております。それを突破しておりますか。
  14. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 突破しております。
  15. 辻政信

    ○辻(政)委員 どのくらいになつておりますか。
  16. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 現在は百四十五名であります。
  17. 辻政信

    ○辻(政)委員 ほとんど問題にならない数字であります。これは単に長官は宣伝が悪かつたとおつしやいますが、そうではなくして、自衛隊の内容に対する国民の信頼、それから制度そのものの欠陷とお考えになりませんか。
  18. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 自衛隊に対する信頼が薄いからと私は考えておりません。制度があるいは悪いかと考えております。この点は何とか考えなくてはならぬと思います。
  19. 辻政信

    ○辻(政)委員 その一点を突いてみましても、奥行きがきわめて浅いというふうにお考えになりませんか。
  20. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 奥行きということをどういう意味に解されるかわかりませんが、私は決して奥行きは浅いものではないと考えております。現在の自衛隊に対する応募成績から見ても、奥行きは決して浅いものではない。これらのいわゆる自衛隊に切りかえ後における募集の状況を見れば、おそらくこの人たちは将来予備自衛官を志願するものであろうと私は考えております。現在はいわゆる自衛隊切りかえ前のなんであります。その間において多少の差異はあろうと考えております。われわれはこの推移を見たいと思つております。
  21. 辻政信

    ○辻(政)委員 奥行きと言いますものは、人的補充能力、それから訓練、この二つであります。もう一つはガソリン、弾薬の準備であります。ガソリン、弾薬は自衛隊では一体どのくらいのストツクを持つておられますか。
  22. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 実は弾薬のことについては、御承知の通り米軍から供与を受ける。そこで非常な数の供与を申し出ておるのです。ところが予算の関係その他で受入れ態勢が実はまだ十分でありません。現在のところ約十万になんなんとしておるのであります。その受入れがなかなかむずかしい。受入れさえ整えば数量はもつと上るのじやないか、こういうように考えます。
  23. 辻政信

    ○辻(政)委員 そこにあなたの先ほどお答えになつたことが矛盾しておるのであります。弾薬、ガソリンの貯蔵設備というものが予算に制限を受けてできないじやありませんか。そうしてまた人間をふやして失業者のルンペンに金をかけようとする、そこにすでに矛盾があるのです。私はこういうことを丹念に調べてみますと、奥行がないというのは、そこから来ておるのです。物的奥行きと人的奥行きと訓練というものがまだ日本の現状に即していない。結局私の申しました通り、現在の自衛隊は間口ばかり広げてブリキ張りの張り子のとらのような防衛力しかない。万一のときには、これはどうにもならないものだ。そういうところに予算を使わないで、人間をふやすかわりに、その予算の余力をもつて物的、人的の補充能力、いわゆる奥行きを増すことが三十年度における予算編成の根本になるべきだ、こういうふうに考えるのであります。そこにすでに長官の御答弁がこういう現実の問題でくずれておるのじやないか、いかがでございましようか。
  24. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私はくずれないと思つております。今の弾薬の点でありますが、われわれは受入れ態勢を今急速に準備しております。一番難点はいわゆる弾薬庫の土地の獲得であります。これがむずかしい。これさえ進めば十分に受入れ態勢は整え得るものと考えております。訓練の点については、これは多くは申しませんが、現在のところでは十分にやつております。私は小月の部隊でも訓練を見て来たのでありますが、現在これは旧軍人が指揮官で、隊長でやつております。その人が申すのには、旧軍隊時代において四週間かかつたものが、現在の新しく入つて来た自衛隊は、教育をよく受けた人が入つておりますが、約半分の二週間でこれを済まし得る。昔のいわゆる軍隊時代の隊員よりもはるかにこの自衛隊になつてからの新隊員は急速な進歩である、士気も高揚しておる。これは各部隊におけるこぞつての意見であります。部隊の訓練については、私は決して旧軍隊時代における部隊には劣らないものと確信しております。今後この部隊の訓練をますます強化して行きたい。装備の点でありますが、装備は私は現在においては十分とは申しませんが、相当進んでおるものと考えております。辻委員もおそらく北海道において各部隊における装備をごらんになつたと思います。ただ一つ私が欠点があると思うのは、つまりパーツが十分でない、これを何とかしてパーツを十分に備えたい。そうすると今持つておる装備品がフルに活用できる。まだフルに活用できない部分もあるやに見受けられる、これらの点も十分に完備いたせば相当な装備であろうと考えております。
  25. 辻政信

    ○辻(政)委員 ガソリンの貯蔵はどのくらいございますか。
  26. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 現在の数量は何トンということは調べたことがありませんが、大体において約三箇月分のガソリンの貯蔵はあると思います。
  27. 辻政信

    ○辻(政)委員 三箇月たつたら手をあげるということですな。
  28. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 現在の手持ちは三箇月分であるが、事が起れば、それをまた補充しなければならぬと考えております。
  29. 辻政信

    ○辻(政)委員 それで奥行きのある戦力ということが言えますか。
  30. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 奥行きの意義いかんでありまするが、私は、さしあたり三箇月分持つておる、これを徐々に補給して行けば相当役立つものと考えております。無制限にあり得るものではありません。何箇月持つておればいいということは、そのときの情勢いかんによつてかわつて来るのであります。現在としては三箇月分持つておれば役に立つ、こう考えております。
  31. 辻政信

    ○辻(政)委員 後方車両の燃料はガソリン・エンジンに重点を置いておられるのか、それともデイーゼル・エンジンに切りかえるお気持がありますか。
  32. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ただいまはガソリン・エンジンでやつております。将来はあるいはデイーゼル・エンジンに切りかえる事態が来るかもわかりませんが、急速なこの切りかえは私はむずかしいと考えております。
  33. 辻政信

    ○辻(政)委員 どつちが高くてどつちが経済的か、御研究になつたことがありますか。
  34. 久保亀夫

    ○久保説明員 特に大型車についてはデイーゼルの方が力が強いし、また経費が安いということははつきりいたしております。それで、実は一昨年に四トン・クラスは少くともデイーゼルにしてはどうかということを私ども研究いたしまして、そういう案も考えたのでありますが、当時は、御承知のように、まだ米軍との関係が非常に強くあつたものですから、相談いたしましたところ、ことに前線で使うものは燃料の補給上一本でなければならぬのじやないか、ガソリンとデイーゼルと二本になつておつては非常に困るのではないかという意見もありまして、一応それももつともだということで、なお研究しようということで今日に至つております。私どもは、今日の段階では、今の経済性その他から考えて、さしあたり少くとも四トン車はデイーゼル化して行くというのがほんとうじやないかという建前で、目下研究いたしております。
  35. 辻政信

    ○辻(政)委員 私の研究では、大体能率において二倍ということを結論として持つておるのであります。しかもデイーゼル・エンジンは日本アメリカよりもまさつておるのであります。燃料の少い日本アメリカのガソリン自動車に重点を置いておるということは根本的に間違いだ。日本の自動車の国内生産を助長する意味においても、現在持つておられる貨物自動車のエンジンは、日本国策の全体と燃料政策の面から見て、根本的にデイーゼル切りかえの計画をお持ちにならなければいかぬのじやないか。その点いかがですか。
  36. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お説の通りであります。われわれもその考えを持つおりまするが、これを急速にやるということは種々の点から困難があります。ことに車両は現在アメリカから供与を受けておるのであります。これを一挙にかえるというようなことはとうていむずかしいと思われます。われわれといたしましては、できる限り内地で車をつくらせるようにいたしたいと考えておる。その方向に持つて行かなければならぬのじやないか。しかし現在の段階においてはアメリカから供与を受けたものを使つておるのでありますから、その点について急速に切りかえるということはむずかしいと考えております。これからはそういう方向に持つて行きたいと考えております。
  37. 辻政信

    ○辻(政)委員 あなたは先ほど将来研究してからやる、急速にいかぬというただいまの御答弁は、これからやるという御答弁なんですな。切りかえられますか。
  38. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 すぐ切りかえるということはなかなか難点があります。それははつきり申し上げておきます。ものは徐々にやるよりいたし方ないと考えております。御承知の通り、今たくさんの車を使つておる、それを切りかえるということはなかなかむずかしい。これをどう切りかえるかということをこれから研究しなければならぬと考えております。
  39. 辻政信

    ○辻(政)委員 ガソリンのない日本におきましては、ガソリンを使わないで動くことを研究しなければならぬはずであります。ことに自衛隊外国へ持つて行くのではなくて、国内の遊撃戦に対しての治安維持でございますから、四トン自動車よりも自転車の方が有効に使える場合が多いのであります。私は、歩兵などはほとんど自転車装備を中心とした機動を考えなさい、ガソリンを食わない自転車日本の国内でできる、そういうことを昨年来やかましく言つておりますが、まだほとんど手をつけておられないような状態に見えるのであります。これについて長官の御見解を承りたい。
  40. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 自転車隊というものは今まだとつておりません。これは一つの大きな考え方として尊重すべきものであろうとわれわれは考えております。しかし現在では、ジープの数量がたくさんある。御承知の通り、ジープの使い方が非常に巧妙になつておる、しかも使いやすい。その点において現在のところではジープに依存するところ大であります。将来についてはいろいろな方面から検討して自転車使用も考えるべきであろうとはわれわれも考えております。
  41. 辻政信

    ○辻(政)委員 ジープに依存するということは、アメリカに依存するということになります。ガソリンの点においても、車両の点においても、そこに現在の日本自衛隊が傭兵的な性格と内容を持つておる。アメリカがそのスイツチを切つて、援助しなかつたら、三箇月で手が上つてしまう、動きのとれない軍隊になる。自転車なりデイーゼル・エンジンならば、そこに一つの方法がある。そういう面から、将来でなしに、今ただちに検討しなければならない。国民の自衛隊に対するいろいろの不安というものは、あくまでアメリカに対して従属したところのものであるというところに不安があるのであります。日本の自主的な態勢における防衛には大なる反対は持つておりません。  観点をかえまして、空軍について二、三お伺いいたします。これは長官もよほど苦しまれたことと思いますが、三幕を新しく設置されまして、空軍は一本にまとめるという体制で発足するやに見えましたが、まことに残念なことに、アメリカ海軍から四十二機の対潜飛行機を日本に貸与する際に、それを二幕すなわち海軍に与えるというひもつきで貸与しておるのであります。この四十二機の飛行機を海軍いわゆる二幕に分属させた点について、長官はほんとうに自分の信念から、これがいいとされたのか、あるいはアメリカ圧力か、それとも海上自衛隊の運動によつてそういうふうな処置をとられたのかを承ります。
  42. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 飛行機の分属問題については十分慎重に考慮いたしました。これは将来日本自衛隊のあり方についても大影響を及ぼすものであるから、十分慎重に考慮したつもりであります。この対潜水艦用の飛行機の配属については決してアメリカから示唆を受けておりません。私は各部内の意見をつぶさに聞いた上で慎重に決断をいたしたのであります。と申すのは、この四十二機の対潜水艦飛行機は、これは辻委員も御承知の通り、索敵機――潜水艦を見出す飛行機と、それを見出して爆撃する飛行機と、二種の飛行機を一つに合せたものであります。相当大きな飛行機であります。行動半径は約三千海里という大きなものであります。これは主として海の上で働く飛行機であります。おかでは働かないのであります。しかも行動半径三千海里の大洋にわたつてこれが行動するのであります。いわば駆逐艦にかわるような役割をするものであります。海についての十分なる経験と知識を必要とする、またこれが実際に行動する場合には、船と共同しなければならぬのであります。ふだんからその点についての練習も要する、実際の場合においても行動をともにする。この観点からこれは海上自衛隊に分属させることが適切なりという私の判断から、海上自衛隊に分属させたのであります。これは私が責任を持つてやつたのであります。
  43. 辻政信

    ○辻(政)委員 私の調査では、これは日本海上自衛隊の幹部がアメリカの極東海軍と連絡をされてこういうふうになつたという一つのあれを持つておるのであります。それでアメリカ海軍日本海軍の旧武官が連絡をして、そうしてこれは必ず日本海上自衛隊にやれという条件付で来ておるのであります。一体アメリカ日本に物を持つて来るときに、日本海軍にやれとか、陸軍にやれというひもをつけて来ることは内政干渉じやないですか。
  44. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 それだから、これは私はさような観点からでなしに、独自の観点から、空幕のものも、陸幕のものも海幕のものすべて意見を聞いて、その上で私は判断したのであります。決してアメリカの示唆によつてやつたわけではありません。
  45. 辻政信

    ○辻(政)委員 慎重熟慮してアメリカのひもつき条件がいいと思われたのですか。私は空幕に行つても聞いておる。空幕には御承知の通り海軍出身の空軍将校もおるのであります。これについてアメリカのスコツトという空軍少将がこう言つております。日本アメリカの悪いところをまねしておる、世界で一番ぜいたくな軍備を持つておるアメリカのまねを世界で一番貧乏な日本がしておると述べておる。私はこの問題についていろいろ調査しますと、海軍の幕僚が反対をして、この意見がいれられなければ辞表を出すというところまで硬化をした。それで部内の統制上押えることができなくて、長官が妥協されたというふうに聞いておるのであります。もしそうだとしたならば、貧乏な日本が、将来の空軍の特性から考えまして、海軍にもつける、陸軍にもつける、そうして残つたものを空軍が持つとしたならば、その補充において、その訓練において、補給において少なからざる軍隊になるのであります。アメリカ自身が陸海空軍の分属に悩み抜いている。このアメリカの悩み、アメリカの悪をそのまま日本が取入れようとする。私はそこにはなはだ遺憾なものがあると思う。文民優位という言葉を今こそはつきりされるべきでありますが、陸海空の将校が入つて、おのおの自分の古巣を拡張しようとして、古い知識を専門的知識と誇張しておりますが、それにとらわれないで、文民優位の原則は白紙に立つて、皆様が大局から古い型を破つて、無から有を生ずるというときに、なぜすつきりした態勢をおとりにならないか。この一つを見ても、文民優位の原則をみずから破つておる。それまで私は極論したいのであります。海軍も陸軍も空軍も飛行機はほしいに違いありません。しかし卑近な例をとつてみますと、陸軍においては歩兵というものは単独では突撃できない。必ず砲兵がついて来る。砲兵のつかない突撃はあり得ない。あなたのりくつからいえば、歩兵連隊に砲兵連隊を分属させる、こういう議論が成り立つのであります。それはどこでもやつていない。なぜならば、砲兵というものはある三つの連隊に協力することに重点的に使わなければならぬ。それは砲兵連隊に統合して歩兵直協と砲兵の専門的任務に分けて、必要の場合に重点的に必要な歩兵連隊に協力するものであります。そうすると、貧乏な日本空軍を重点にやろうというときに、アメリカのぜいたくな軍隊のまねをせずに、たとい海軍が多少不便であつても、空軍というものをほんとうにお育てになる気持があつたならば、これは一本にされて経済的にやらなければならぬのであります。この海軍に分属された四十二機の対潜空軍人事はだれが握つておりますか。
  46. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私から辻君に空軍の統一問題について一応申し上げたい。辻委員は誤解されておるのじやないかと思います。決して海上自衛隊に海上で使う飛行機を全部分属させるわけではありません。われわれの思想といたしましては、やはり空軍一本で行かなければならぬ、この思想で統一しておるのであります。今度の分属問題についても、私はこの思想を貫いておると考えます。つまり飛行機の運用、調達その他の面について、全部これは空幕でやるのであります。ただ陸幕で使う飛行機は陸幕の観測機とかあるいはヘリコプター、こういうものを要するのであります。これらのものはやはり陸幕で必要欠くべからざるものとして使わせます。海軍においてもヘリコプターの一部を使わせます。今の四十二機というのは、先ほど申し上げたように、これは船のかわりをするものなんです。これはどうしても船乗りがやるべきが至当だと考えております。しかしそれらの点についての将来の調弁もあるいは補修もあるいは燃料についても、これはみんな空幕一本でやろう。但しほんとうに陸で必要なものは陸で使わせる、海で必要なこの四十二機は海で使わせる。その他多少のヘリコプターも使わせる。訓練も統一して空幕でやることを原則としております。空幕一本で空の方を統制し得るという思想から今度の問題を解決しておるのであります。この四十二機というのはさような点から海上自衛隊に分属されただけであります。  なお人事の点についてはすべて内局でもつて人事局がやる建前をとつて、それを今貫いて来ております。
  47. 辻政信

    ○辻(政)委員 ヘリコプターを陸海空で三つにわけて持つておられますが、そのヘリコプターの訓練は陸海空別々にやつておられますか。
  48. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 現在のところでは海上は館山でやつております。しかし初歩の訓練その他については、これは将来統一してやるべきものであると思つております。
  49. 辻政信

    ○辻(政)委員 アメリカは現在も将来もない、やつておるのです。その陸海空に分属しておるヘリコプターアメリカにおいては空軍において統一しております。現在防衛庁はわずかしか持つておらぬやつを陸海空別々に訓練しておるじやありませんか。アメリカにおいてさえこのヘリコプターの訓練は空軍一本ですよ。それを御承知ですか。
  50. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 存じております。それだから近き将来においてこれを一本に統一しようと思つております。
  51. 辻政信

    ○辻(政)委員 存じておつたならば、なぜ近き将来じやなく今すぐやらないのですか、アメリカのようなぜいたくな国においてすら陸海空軍ヘリコプターの訓練は分属してない。ただ用兵のときにそれに協力するだけです。それとこの四十二機も同じです。海軍の者に言わせれば船の代用と言うが、飛行機というものは補充においても補給においても基礎訓練においてもこれは統一しなければならぬ。ぜいたくな軍隊なら別問題です。貧乏な日本においてこういうものを陸軍、海軍空軍に分属した後においては、またそれに必要な飛行場、学校、修理機関、そういうふうなものが各個ばらばらににふくれて行く。今初めてつくつた空軍を将来の防衛の中心としなければならぬ。将来は空が中心ですから、三幕というものが日本防衛力の骨格にならなければならぬ。その誕生の日に正しいひな型をおつくりになるのが大事なんです。ともにりくつはあります。ただ問題はそのりくつを日本の国情と経済力に応じてこれを経済的にするにはどういうふうにすればいいかというのが政治です。その方向を決定するのが文民優位の原則です。それを一部の職業軍人の専門的知識に負けて国家の大局を誤つておるのが私は三幕の問題だと思う。誤解をしておるのではありません。この点について、ことにヘリコプターなんというものはただちにかえなければならぬ点なんです。いかがですか。
  52. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 初歩の訓練及び基本訓練はすべて空幕でやるという建前をとつておるのであります。飛行場その他の獲得の問題について今思うように行つておりませんから、一時館山においてヘリコプター海上自衛隊において訓練しておりますが、近き将来において全部統一してやらせることになつております。
  53. 辻政信

    ○辻(政)委員 その欠陷というものはこの予算案にも明瞭に出ておるのです。予算案の終りの紙に、部隊等の新設、護衛隊五隊を増設する、航空隊の増設は大湊、茂原、佐世保となつておる。しかも今最も大事なのはこういう航空隊の練習の飛行場がとれないという悩みがある。海軍海軍で飛行場をとり、陸軍は陸軍でとつたらどうなりますか、こういうものこそ各軍ごとに新設しないで空軍がお持ちになつて、各種の飛行機に経済的に使用させなければならぬ。演習場の問題から見てもこれはできませんよ。
  54. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 御承知の通りこの空幕において将来持つべきがいわゆるジエツト機であります。このジエツト機については御承知の通り滑走路の非常に長いものを要します。これらの点についての考え方はわれわれは今から十分用意して行きまして、その飛行場の獲得なんかにはなかなか難点があるということを考えて行かなければなりません。つまりジエツト機を使う飛行場については約一万フイートいるのです。小さいヘリコプターとか、練習機の飛行場でありますれば、ごく短かい滑走路でよろしいわけであります。それらの点についての獲得ということについてはなかなか容易ならぬものがありまするので、現在のところやむを得ず小さい飛行場を設置して、それを使うということになつておるのであります。将来についてはこれは十分統合してやらなければならぬ、またやるべきである、この思想のもとにわれわれは構想を練つて実現に邁進いたしたい、こう考えております。
  55. 辻政信

    ○辻(政)委員 私の言うのは将来統合するというのじやなくて、出発の初動において統合しなさい、一ぺん分属したものは、既定の事実になりますからなかなか統合できるものではないのです。そうではなしに、白紙から今生ずるこの計画というものは、ほんとうに将来に悔いを残さぬように理想の形態をおとりになる、それが過去の古い軍事知識を越えて直面する日本の現実の事態に即応するように、むしろ文官の優秀な人たちがその大方向を決定することが文民優位の原則なんです。  次に陸上自衛隊の整備の根本問題について結論的にお伺いいたしたいと思います。憲法改正ができておらない今日においてこの後方の補充能力を持たない陸上部隊の第一線の頭数だけふやしてみても、何らの役に立たない。むしろ今日持つておる十三万でたくさんであるから、この十三万を徹底的に訓練をして、全部が幹部になるような能力を与えておく。そうすれば憲法を改正してほんとうの軍備を堂々ととるときには、その十三万のものの幹部をもつて思い切つた拡充ができるのであります。今予備自衛官もわずかに百五十名という程度のものですが、一万五千に対して百五十名しかないのですよ。これじや役に立たない。そうすればこの二万人の増強ということは今やるべきではないと思う。それよりも現在入つておる十三万の陸上自衛隊というものが一人残らず幹部になれるような訓練をやりなさい。そういうお気持はございませんか、その方がよつぽど金がかからない。
  56. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 今訓練いたしておりまする自衛隊は、あなたのおつしやるように将来幹部になるような素質を持たせるべく訓練をやつておるのであります。おそらく将来これたちが幹部になり得るものと私は考えております。ただ増強の問題でありますが、これは駐留軍の撤退その他の関係からして、日本防衛上われわれは三十年度においても二万くらいのものは増強いたしたい、こう考えております。
  57. 辻政信

    ○辻(政)委員 次は訓練の問題、まだまだたくさんありますが、ほかの人もございましようから要点だけ……。訓練は私の資料を詳しく読ましていただきました結論から見ますと、一から十まで、百パーセント米軍の翻訳をやつております。その訓練の主任者に聞いてみると、日本式に改めようという気持がある。しかし現在の米式の模倣を日本式に改めるのは大体三十二年を目票にしおるということなんです。あと三年後です。私はこれはまことに心外に考えたのであります。この訓練を改めるということは予算とは関係ないのです。戦闘法を改めるのですから、頭の切りかえだけでできるはずであります。それをみすみす不合理であるということを見ながら三十二年までこのアメリカの直訳的な訓練を改正しないという点はどこにありますか。
  58. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 三十二年までかえないというか、だれが言つたか知りませんが、私はそういうことを言つた覚えはありません。これはいわゆる幕僚長に全部委任してやらせておるわけであります。しかし私思うのに、アメリカ式の訓練が絶対悪いとは私は言えぬと思います。しかもアメリカから貸与を受けておる装備品のもとに今訓練しておるのであります。われわれはアメリカ式の訓練をやらせることが絶対的に悪いというわけじやない。しかしこれに全部依存することはいいとは言いません。そこでどういうものがいいかということは、今実際に訓練しておる者はその経験を生かしてやるべきものだろうと思う。私は心をむなしゆうして天下の善を受けよという気持を持つておる。いいものはこれはやつてもいい、それを取入れるのはいいじやないか。アメリカ式で今装備品ももらつてそのもとに訓練することは何も悪いことではない。しかしこれにもいろいろ欠点があるだろう。本来の日本式の訓練はこれからなのだ。われわれはこれによつて十分に経験を生かして、そうして日本独自の一つのあり方をやろうじやないか、こういう気持なのです。三十二年度までやらぬと私は言つた覚えはない。一日も早くりつぱな日本式の訓練を見出して、できればそういうふうにやろう、しかし今はやむを得ずアメリカの装備品を借りてやつている。これに基いて十分な訓練を施すことは私はさしつかえない、こう考えます。
  59. 辻政信

    ○辻(政)委員 私は荒唐無稽のことを言つたのじやありません。三十二年に改めるということは、過日公文書をもつてあなたの幕僚幹部、筒井幕僚長以下主任者のおる前で十分聞いて来たことであります。改正は三十二年でなければできないと言つております。私はアメリカの全部を悪く言うものではありません。ただ問題は、無制限の弾薬をもつて外国でいくさをするという建前のアメリカの戦法が、制限された物量のもとに、日本国内におけるゲリラ、遊撃戦、間接侵略、こういうものに対して治安を守ることにどうして一体いいのか。根本条件が違うではないか。いいことを取入れるということは当然であります。しかし国情に合わないことははつきりしているじやないか。そういうことをあなたはお考えになつていたならば、これは予算を要せずして、幕僚の頭の切りかえで一箇月でもできるんですよ。ほんとうにやれば……。私はノモンハンの戦場でたびたび経験した。ソ連というものは非常に鈍重な軍隊であると思いましたが、彼らはさすがに革命軍隊です。悪い戦闘方式は一週間で直してしまいます。空軍にしても、地上の戦闘にしても……。それを日本のものはアメリカのまる写しです。一つも日本の自主的な訓練というものはありません。これは一から十まで全部アメリカのものです。これほど国情を無視したそういう訓練を改めることを三十二年までやらないということは、幕僚が言つているのです。それをお知りにならないならば、あなたは幕僚に対しての的確なる指示をしていない。今年中にやろうとか、早くやろうということを当然言わなければならぬ。そういう現状をつかんで来たから私は言う。あなたは予算委員会においても内閣委員会においても、訓練の悪いのはすぐ直すと幾たびか私に答弁されております。そのあなたの答弁の通り実際幕僚どもはやつておらぬじやないか。だから長官は旅行先においても国会においても無責任な放言をなさるが、その裏づけの事実がない。それを申し上げる。私は二年間見て来たのです。国会の答弁だけで済むものではない。国会で答弁されたことは責任を持つて幕僚に命じて改めない限り、この自衛隊はよくならない。その点についてどう思いますか。
  60. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私が旅先で無責任な放言をしたということはどういう根拠に基いておるか、私は無責任な放言はしておりません。決してしておりません。それだけははつきり申し上げます。幕僚長に対する指示はむろんしております。私はすべて直接侵略、間接侵略に対し対処し得るようにふだんから準備しなければならぬということは、幕僚長に事あるごとに指示をいたしております。しかし具体的にわれわれはああしろ、こうしろということは申しません。これは幕僚長は責任を持つてやるべきであろうと考えております。これは当然そうであるべきなんです。われわれは個々の具体的の訓練にまで指示すべきものとは考えていない。大きな観点から、こうあるべきだ、この線に沿つてやるべきだということの指示は当然すべきであり、またいたしております。  そこで今御説の国内における間接侵略に対する訓練をやつていないじやないかというようなお言葉でありますが、私はやつていないとは考えておりません。この間も筒井幕僚長にはその点について十分に考慮を払うように指示しております。また現在その点について考慮を払つてやつておると私には言つております。個々の問題については申し上げかねますが、しかし御承知の通り日本自衛隊というものは、外国においていくさをすることを目的とするものでないことははつきりしておる。ただただ外部からの不当侵略並びに国内の治安確保に対処し得るように、ふだんから訓練をすることが目的なんです。その線に沿つて訓練をすべきことを私は指示しております。
  61. 辻政信

    ○辻(政)委員 旅先で放言したことはないとおつしやいますが、最近の新聞を見ますと、無線誘導弾の研究日本はやらなければならないし、できる、こういうことを新聞は書いております。その事実がありますか。
  62. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 事実あります。私は、誘導弾は将来十分に日本研究しなくちやならぬと考えております。
  63. 辻政信

    ○辻(政)委員 しからばその内容についてお伺いしましよう。現在できておる無線誘導弾というものではございませんけれども、この原理を利用したのがいわゆる無線操縦の標的の飛行機、これは川崎日本電気でやつておつて二機できております。このできた二機は試験に使われておらないじやありませんか。のみならず、無線誘導弾の研究費を、たしか一億五千万円ですか大蔵省に要求されながら、現在交渉の過程においてたたかれております。実行しておりませんよ。無線誘導弾の研究に、この予算は幾らとつておられますか。
  64. 久保亀夫

    ○久保説明員 初めのお話の標的機につきましては、お説のように昨年から四機計画しまして、そのうち二機が川崎日本電気の協力でこの夏できました。何しろ貴重なわずかな品物でございますから、数箇月地上試験をやつておりまして、この十一月の中旬に飛翔試験をやるという予定で、今着々場所の選定その他の準備を進めております。あとの二機は富士重工ですが、ちよつと途中でつまずきまして、一月遅れてできる予定で、ぼつぼつ入ることになつております。この方は技術者の見解でも、近くやる空中試験には一応の自信を持つておるようであります。  それから誘導弾研究の本年度の予算のことでありますが、これにつきましては大蔵省とのいろいろな見解の相違はもちろんございます。私どもといたしましては、誘導弾の部分的研究は即また射撃装置とかレーダーの問題でありますとか、あるいは計算装置でありますとか、こういつた面につきましても、全体の兵器と申しますか軍事技術の向上に役立つという観点から、しかし必ずしも早急に行かない面もあるということで、大体直接の予算として一千万円程度、あと一億円あまりをただいま申しましたような全体の兵器に共通し、かつGMの部分的研究に貢献するようなものに使つて行くように目下相談しております。
  65. 辻政信

    ○辻(政)委員 あなたの答弁は長過ぎます。この無線誘導弾の研究費をどれだけ要求して、またどう折衝しておるかということを聞きたいのです。
  66. 久保亀夫

    ○久保説明員 本年度の問題につきましては、ただいま申し上げた通りであります。来年度につきましては、大蔵省と、なおその線に沿つて若干金額はふえて行きますが、目下折衝中であります。
  67. 辻政信

    ○辻(政)委員 一億五千万円で誘導弾が研究できるという考えがそもそも間違いなんです。しかもそれが今大蔵省にたたかれてあなたの幕僚長は悲鳴をあげているのです。それを旅先で無線誘導弾をさもできるようなことをおつしやるのは、それすなわち放言なんです。それでも放言でないと言えますか。
  68. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私は放言じやないと言います。私は誘導弾の必要性を説いておる。誘導弾を将来日本において大いに研究しなくちやならぬ、これを絶叫しておるのです。放言でも何でもありません。
  69. 辻政信

    ○辻(政)委員 それを信じてあなたが放言する以上、実現の努力というものが払われなければなりません。努力が払われておりますか。
  70. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 努力を払つておるつもりであります。大蔵省ともせつかく交渉中でございます。ただ物事は即座に動くのではありません。いろいろの過程を経て来るのであります。その過程の一段としてわれわれは来年度において一億数千万円の研究費をもつてとにかくやろうということで、これは一挙にやるということはなかなかできません。御承知の通り誘導弾にしてもいろいろな方式があるのであります。どの方式を採用して研究するかということをまずきめて行かなければならぬ。誘導弾々々々といつても急にやれるものではありません。われわれは徐々にこの研究を進めて成果を上げて行きたいと考えております。
  71. 辻政信

    ○辻(政)委員 いま一つ旅先の放言問題を取上げます。昨年李承晩ラインがやかましくなつたときにあなたは対馬へ行かれまして、対馬の実情をごらんになつて、その防備の強化をやらなければならぬということを地元におつしやつておりますが、この予算に対馬の防衛強化が織り込まれておりますか。
  72. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 この予算においては織り込んでおりませんが、われわれといたしましては対馬の事情がどうあるかということを十分検討いたし、まず船でもつてこれは十分警戒して行く。御承知の通り船は十分でありませんが、われわれといたしましては現在のフリゲート十八隻、それと現在つくつておりまする艦船、あるいは今後アメリカから貸与を受ける艦船その他をもつてまず海の強化をはかつて、対馬の間を十分連絡をとつてこれが防衛の任に当らせたい。行く行くはもちろんあそこに部隊も置きたいとは考えております。しかし限られた予算において今ただちにやるということはできません。将来についてはやはり相当の部隊を置きたいとは考えておるのでありますが、さしあたりの問題として艦船を十分に強化して、海の方でこれを守つて行こう、こういう思想のもとにやつております。
  73. 辻政信

    ○辻(政)委員 九州戦闘団を一つふやそうということがこの間に出ております。日本防衛上一番危険があるのは九州本土ですか対馬ですか、どつちですか。
  74. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 双方とも必要だと思います。
  75. 辻政信

    ○辻(政)委員 天びんにかけてどつちがあぶないのですか。
  76. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私は双方とも重要性を認めておるのであります。どちらとも申しません。
  77. 辻政信

    ○辻(政)委員 双方ともならば、九州に置くと同時に、それに劣らないところの対馬にも置くことが当然ではございませんか。対馬の方が軽いならば九州に置くということが成り立つのです。双方とも重いと言いながら、一方に置いて一方に置かぬということは矛盾ではありませんか。
  78. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 それだから将来はそこにも考えておるが、さしあたりの問題として海の方でこれを守つて行こう。これは御承知の通り対馬の地勢もいろいろ考えなくちやならぬ。部隊を置くについては、これは演習場もございませんし、また部隊を置くについての道路の問題、その他いろいろな問題があります。まずもつて来年度においては船の方でもつてあれを十分守つて行こう、そして来るべき時期においてあそこへ若干の部隊を置きたいと考えております。
  79. 辻政信

    ○辻(政)委員 海で守るとおつしやいますが、この予算に出ているのは、たしか海軍の無線機一機か二機を持つて行つて通信連絡所をつくる程度ではありませんか。あそこにフリゲート何ばい常駐するという計画はないように思いますが、いかがですか。
  80. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 常駐させるということは考えておりませんが、十分連絡をとり得るものと私は考えております。
  81. 辻政信

    ○辻(政)委員 そういうふうに、あなたは旅先で放言しないとおつしやいますけれども、おつしやつたことが裏づけがないのです。そこを申し上げるのです。この国会においても訓練の悪いところはすぐ改めると言つて、まだ改めようとなさつておらない。編成、装備についても同様なんです。防衛生産の需給についても同様なんです。まだ言いたいことはたくさんありますが、この次に譲りますけれども、たとえば技術の面から見ると、日本の高射砲とかあるいは誘導弾というものは全然遅れて役に立たない。今から研究してもだめなんです。そこで最近スイスのエリコンという会社がスターマーを通じて百万ドルでもつて誘導弾の一つのものを売りに来ておる。こういうものを日本に取入れて誘導弾研究足場にされるというようなこと、あるいは高射砲でございますと、スエーデンのボツフオロスが最新式の高射砲を五十万ドルくらいで持つて来ておる。ほんとうに技術をやるならばこういうパテントをとつて、これを足場にして行くことがほんとうではございませんか。
  82. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 スイスのエリコンのGMについてはスターマーが私の方に来た事実があります。またボツフオロスの社長も私のところに参りました。いずれもわれわれはほしいのでございます。ことにボツフオロスの四十ミリ高射機関銃のごときはぜひ手に入れたいと考えております。しかしこれは外貨の点からいつて大蔵省に難色があつたのであります。大蔵省の外貨獲得にわれわれが十分なりせばこれは手に入つたろうかと考えておりますが、これは思うように行きませんでした。スターマーの売込みのエリコンについては、これは少くともGMの一種でいいものとは考えておりますが、その方式についてはわれわれのまだ納得行かぬ点もあります。どの方式をとるべきかという点については十分検討しなければならぬ。御承知の通りエリコンのやつは主としてアメリカに入つております。われわれはイギリス式のGMについてももう少し研究を要すると考えております。イギリス式のGMの方がよほど進んでおるのではないかとも思う節があるのであります。これらの点についてわれわれは十分に検討して、この乏しき財政のもとに買うのでありますから、間違いないようにやりたいと思つて今研究しておるのであります。
  83. 辻政信

    ○辻(政)委員 防衛生産の第九次案というのはできておりますか。
  84. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ただいま検討中であります。
  85. 辻政信

    ○辻(政)委員 愛知通産相がワシントンへ持つて行つたあの防衛生産の計画は、あなたの方と完全に意見の一致したものでございますか。
  86. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 完全には一致しておりません。
  87. 辻政信

    ○辻(政)委員 一国の大臣外国に行つて交渉するのに、その主任官庁同士の意見が一致しない案を持つて行つていいのですか。それであなたは防衛庁長官として防衛庁の立場から愛知の持つて行つた交渉に同意できますか。
  88. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 愛知君が持つて行つたのは、私は別に愛知君にそれを持たせてやつたわけでも何でもありません。参考のために持つて行つたのであります。これを愛知君はどう何するか、それはわれわれ関知するところではありません。
  89. 辻政信

    ○辻(政)委員 日本大臣政府を代表して行くのですよ。そうであるならば通産省の持つておる防衛生産の計画というものは防衛庁の案とよくマツチした、研究したものでなければいかぬではないですか。それに対して防衛庁長官は発言しないのですか。愛知君が行くならかつてに行つて来い、おれは知らぬ、そういう立場で行けますか。
  90. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 われわれは将来においてアメリカとの折衝においてはこちらにおいて責任あるものとして折衝するのであります。愛知君が日本政府を代表して行つたものと私は考えておりません。いろいろな折衝はあるでしようが、私はそう考えております。これは政府できまつたものを持つて行つたわけではなかろうと考えております。それをもしも愛知君が折衝すれば、その折衝に基いて将来またわれわれはこちらでアメリカの代表者と折衝すべきものであろうと私は考えております。
  91. 辻政信

    ○辻(政)委員 それは聞き捨てならぬことであります。一国の大臣が吉田さんの対米折衝を補任するために持つて行かれる重要な計画案に、防衛庁がそつぽを向いておる、そこにアメリカ日本をなめておる根本がある、向うは一本で来いと言つておるのです。そういうことを無関心に見のがしておることは私はできないと思うのであります。  いま一つお伺いします、小麦資金一千万ドル、これをアメリカ日本の防衛生産の援助のために無利子で必要な工場に現物出資の形で交付しようとしておる、それにかかわらず日本政府はこの問題の処理について九月三日外務大臣の口上書を添えてワシントンに送つておるのであります。それは割当に関して次のように決定したい、開発銀行のプールにして所要の会社に利子をとつて五年償却でやろうとしておる、向う五年間同一方法を継続しようとしておるのであります。それはアメリカとしては、非常に憤慨しておるところでありまして、小麦資金を日本の防衛生産力拡充のためには無利子で優秀な工場に交付しようとする意見に対して、日本政府は開発銀行のプールに入れて、そうして利息をとろうとしている、しかも必要なメーカーに今度はこれを融資をするときに、そこに必ずや三十六億円をめぐるところのリベート問題が出て来るのです。それについて防衛庁長官はどういうふうなお考えを持つておりますか。
  92. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私はその点については関係いたしておりません。これは主として通産省と外務省とにおいて交渉しておるのであります。これについてはタツチしておりません。
  93. 辻政信

    ○辻(政)委員 あなたはたびたび防衛生産というものを自給しなければいけないということを特に強調しておりますが、防衛生産の自給計画についての態度がきわめて消極的であり無責任だ、私からいえば国会答弁というものは大臣政治的生命をかけてやるべきものであります。防衛生産の自給のない軍隊はいけないということは、たびたびあなたは口をすつぱくして述べておられる、しかもその生産の計画の立案においても、外国との交渉においても知らぬ顔されておる、これで一体責任がお持ちになると思いますか。
  94. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 防衛生産のことは主として通産省がアメリカとの折衝に当つております。われわれはその裏づけになるべき日本防衛の態勢はどうあるべきかということを研究しておるわけであります。もちろんわれわれは日本においてできる限り装備品をつくらせてそれを使いたい、それについてどうするかという具体的の問題についてはわれわれは意見は申し述べますが、主としてそれは小麦資金の使い方その他については通産省と外務省が折衝に当つておるわけであります。開発銀行についての問題などはわれわれは関与しておりません。
  95. 辻政信

    ○辻(政)委員 まだまだ聞きたいことはたくさんあり、資料もありますが、きようは時間がありませんし、私一人だけ述べるのも問題ですから、ここで打切つておきます。
  96. 稻村順三

    ○稻村委員長 午前の会議はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。  暫時休憩いたします。     午後零時六分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十一分開議
  97. 稻村順三

    ○稻村委員長 これより内閣委員会を再開いたします。  質疑を続行いたします。飛鳥田一雄君。
  98. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 今度の増強計画はMSA協定に基いた日米の約束によつて行つておられるのですかどうか。この点から伺いたいと思います。
  99. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 今度の、すなわち三十年度の計画はMSA援助とむろん関係はある、ことはありますが、別段これに関するアメリカとの間の協定とかそういうものは全然ありません。
  100. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 もしそうだとすれば、たとえば二十三日に岡崎外相がアメリカへ行きまして、ワシントンで自衛力を増強するということを確約している、あるいは小笠原蔵相が行つてやはり同様なことを約束をしている、こういうようなことを必要としないと思うのですが、何のためにこういうようなことをわざわざ出頭に及んで誓約をしなければならないのか。こういうことが国民としてみると非常にMSAの何か裏約束があつてこういう増強計画を無理にやつて行かれるのかという印象を受けると思うのですが、岡崎外相もまずワシントンに出頭して自衛力を増強することを確約しておることについての御意見を承りたい。
  101. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 岡崎外務大臣アメリカへ行つて日本防衛力の増強をアメリカと約束したというような報告は受けておりません。おそらく外務大臣は、日本においても自衛力の増強というものはぜひやらなければならぬ。従つて三十年度にかくかくの計画は持つておるというような話はおそらくあつたことだろう、こうは考えております。
  102. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 そうしますと、さつきの辻さんの御質問にありました愛知通産相の防衛力増強のための産業計画、あるいは増強計画というものと岡崎さんのそういう談話とは全然無関係だということですか。
  103. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 詳細の報告を受けておりませんからわかりませんが、愛知通産大臣の渡米いたしました目的は、要するに日本産業計画、その他いろいろなことについて向うと話合いをすることにあつたと考えます。従つてこの日本防衛計画についてもある種の話はむろん出たかと想像するのでありますが、確実なことはわかりません。ただ日本においての自衛力の増強計画というものは、われわれが立てておるのであります。むろんこれについての各種の材料を必要とすることはもちろんであるのであります。アメリカからの援助、これについての話合いもあるでしよう、あるいは日本の防衛生産に関しての計画についてアメリカからの技術援助というようなことについての話はおそらくあつたものと私は想像いたしております。
  104. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 そういたしますと、この三十年度の防衛計画についてはアメリカとの約束に基くものではなしに、防衛庁の独自の構想である、こういうふうに結論的に伺つていいわけですか。
  105. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 三十年度の防衛計画は、防衛庁独自で立案したものであります。
  106. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 もしよその国との約束で仕方がなくやる、こういうのなら別ですが、あなた方が独自の形でおやりになる、こういうことだといたしますと、今までの日本の経済を見て参りまして、軍事経済というものがいかに日本の国民を塗炭の苦しみに陷れて来ているかということは、かなり明白だと思うのです。今までに使いました軍事費を見てみましても、今まで九箇年の間に支出された軍事支出は一兆八千億に上つているというふうに俗に言われております。しかもその大部分は、――占領軍の経費が含まれておつた、きつとこういうことをおつしやると思いますが、しかしその経費の大部分は港湾あるいは飛行機の軍事基地経費に使うというようなことで、実質的な軍事費であつたことは間違いがない。これは通常の予算であるならば二年分の予算の組める費用であります。こういうものを生産的でない軍事費に使い果してしまつた今の日本の経済がどんなに苦しいか、これはデフレ経済と称されていろいろな形で現われておる。国民はこのために至るところで倒産をせざるを得ない状況に立ち至つておりますことは、一々例をあげて申し上げるまでもないと思いますが、その上さらに今回のような大きな予算をとつて増強をして行くということになりますと、国を守り国民を守るのではなくして、国民の生活を破壊してしまうものにかわつて行きやしないか、こういうふうに私たちは考えておるのですが、この点についてあなたのお考えはいかがでしようか。
  107. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 見解の相違でありますが、私はそうは考えておりません。一国が自国の平和と独立を守つて行くのには、やはりそれ相当の防衛力を持たなければならぬ。これはいずれの国においてもそうであります。もちろん世界が軍備を撤廃して、ともども手をつないで行こうという態勢ができ上れば、これは望ましいことであります。そうあつてほしいと私は考えます。しかし現段階においては飛鳥田君も御承知の通り、そうは参らぬ、国際情勢がきわめて微妙であります。いずれの国においても、私はそれ相当の防衛力を現に持ちまた持たんとしておると思います。西ドイツにおいても御承知の通り近く独立をするのでありますが、やはり相当の再軍備をしようとしております。日本だけが無防備でいいか、私はそうは参らぬと思います。従つて国民の生活にある程度圧迫を加えることはあつても、これはお互いに忍んで、そうして日本平和と独立、自由を守つて行くことが私は当然の任務であろうと考えております。
  108. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 国民の生活を多少圧迫してもしかたがないものだ、こういうふうに言われますが、それならば一体今日本が守らなければならぬ対象はどこにあるのですか。
  109. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 これは日本の現在置かれてある地位、環境、ことに沿海州あるいは樺太、千島その他における兵備の配置その他を勘案いたしますれば、われわれといたしましても、それに対処するだけの防衛力は持つべきが至当である、こう私は考えております。
  110. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 世界が今戦争に対して非常に遠ざかりつつある。ジユネーヴにおける会議も、話合いで世界の平和が確保された、こういう状況になつておりますし、具体的には仏印の問題も、フランスの態度によつて解決がついた。その上にあなた方がいつも目のかたきにしている中共あるいはソビエト、こういうものに対しても、この両者から日本に対して平和の交渉をしよう、こういう宣言が行われている、これに対してあなた方があえて事を構えて行くということが、一体どれだけ国民にプラスをもたらして行くのかということを考えて参りますと、仮想敵国として中ソを考えて行かないこういう日本国防というものはほとんど無意味だろうと思う、こういう仮想敵国のない現在の段階において、いたずらにただただ権威を増すためにだけ自衛隊を増強して行くというようなやり方は、国民にとつてはなはだ迷惑ではないか、こう言わざるを得ないと思うのです。あなた方はこういう問題についてもなおかつまだ中ソが信頼できないということを言われると思いますが、あなた方の現にやつておられる行為は、アメリカの何というのですかニユー・ルツクからセカンド・ルツクと称するものにかわつて行くのに歩調を合せておる。現在起つておる状況は、アメリカがいわゆる極東に存在しております在外兵力をどんどん撤退させて、その国のその土地の国民が軍隊をつくつて行くという形をとつていると思います。日本もそういう状況に適応して、北海道から撤兵が行われる、こういうようなことで現在の段階ではアメリカのいわゆるセカンド・ルツクの戦術に利用されて行くために軍隊を増強するということ以外にあり得ないのではないかと私たちは考えざるを得ないと思うのですが、一口で言えば世界が平和に進んで行くときにあえて事を構え、あえて軍を増強して行くということが、はたして国民にとつて仕合せであるかどうか。しかも世界の水準からいえばほんのわずかな、アメリカの観察によれば、開戦直後一時間で原水爆でつぶれてしまうだろうと言われるような兵力を持つために、日本国民に対して非常に大きな負担をしいて行くという形になることについて相当反省をしていただいていいはずだ、こう私たちは思うのです。ただ長官のお話ですと少しの負担をかけてもやむを得ない、こういうお話ですが、あなたが大臣としての地位から見れば少しかもしれないが、現実に破産して行き、現実に失業でほうり出されて行く、現実に農家が困つて行く、首をくくる人も、一家心中をする人も、税金で差押えられて追い出されて行く人の、一人々々にとつては非常に重要な問題です。これがほんのわずかな被害で、ほんのわずかな犠牲でということは言えないと思う。現にその証拠に、先ほど長官も言われておりましたように国民のそういう感情がはつきりと現われて、自衛隊の中で宣誓に対して拒否するという人も出る、あるいは予備自衛官十五万人に対して、百四十五人しか応募集者がない。十五万人募集して、百四十五名しか応募者がないということは、ただ単に少いということ、宣伝が足りないということで終るものではありません。これは非常に重大なものを含んでいるとお考えになつてしかるべきです。この重大なものは何かということを問い直していただきますならば、それはすなわち自衛隊というものが今どういう地位にあるか、日本国民の生活を破壊しつつある重大な経済的要素ではないか、こういうことを国民が知つて来た、こういうことだと思います。こういうもののために現在世界が平和的な方向に進んで行く状況の中で、さらに物を投じて行くということは愚かなことではないか、こういうことを私たちは考えます。私たちだけではなしに国民の大多数の者で考えているはずです。私にお答えになるのではなく、国民に対してこの点に対してはつきりとお答えをいただきたい。
  111. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。飛鳥田君は根本思想としては自衛隊無用論をお唱えになつているようであります。その根拠は、世界が平和の方向に向いつつあるのではないか、そういう時期に自衛隊をつくり、自衛隊を増強するということはよくないという思想から出ておるようであります。この点について根本的に私は考えを異にいたしております。  なるほどジユネーヴ会議以来一時平和の曙光を見得るような様相を来しておるようでありますが、決してさようではないと私は考えております。なかなか世界情勢というものは微妙であります。ただいま飛鳥田君は特に中ソの問題で、中ソは日本に対して何も志向していないのではないかということですが、それならば中ソは何ゆえに軍備を縮小なり撤廃なりしないかということであります。飛鳥田君も御承知でありましよう。現在ソビエトにどれだけの軍備があるか、中共にどれだけの軍備があるか、これをつぶさに検討なされば思い半ばに過ぎるものがある。そういうような軍隊は何に必要かということになる。いわんや今申し上げるように沿海州、樺太、千島においても相当の兵力が配置されておる。これは何を物語るか、われわれも何も好んで自衛力を増強するわけではありません。私は世界がほんとうに手を握つて平和の一日も早く来らんことをこいねがうのです。世界各国全部が軍備を撤廃すればよろしい、そういう時期が来てほしい、このことを欲するのであります。しかし現実はさように参らぬ。そこにわれわれの悩みがあるのであります。従いましてわれわれといたしましてはやはり相当の防衛力を持たなければならぬ。この観点から三十年度も自衛力の漸増計画を立てたわけであります。
  112. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 今ソ連、中共が軍隊を持つているから、こつちも持たなければならぬということをお話になりましたが、これは議論をするわけではありませんが、中共やソ連は国際連合の中で軍縮の提案をしているはずです。軍備撤廃の提案を十分にしているはずです。ところがそれにもかかわらず日本アメリカの対中ソ攻略の前進基地になろうとしているという状況である。この状況にしてこれを改めない限りはやはり依然として元のままになるだろう、むしろ世界をますます戦争の惨禍に追い込みそうな形勢になるだろうということはだれが考えても当然だと思います。現にヴアンフリート大将が日本にもやつて来たのです。そして韓国、日本、舎湾、この三国からなる東北アジア防衛機構というような種類のものをつくろうと画策をしている、こういうことだと思うのです。こういう事実に対して向うが向うだからこつちもこつちだというような議論は成り立たないと思いますが、ともかくそこで伺つておきたいのは、日本は東北アジア防衛機構に加盟するつもりかどうか、この点が一つと、それからもう一つは、もし長官の言うように世界が平和にならんことを望み、世界が無防備になることを望まれるとするならば、あなたは率先して、世界に対して日本国家として軍縮なり軍備撤廃なりを働きかけ、呼びかける意思があるかどうか、この二つを伺いたいと思います。
  113. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 アジア防衛体制についての考え方でありますが、今お話のように日本が協定に参加する、そういうことは私個人としてはまだ考えておりません。これはそういうことになりますれば、結局国民の総意によつてやられることと考えております。  それからもう一つは軍備撤廃の呼びかけをしないか。これは日本は今軍備撤廃の呼びかけをしようとも、いわゆる機構に参加しておりません。ソビエトなりが率先して軍備撤廃を呼びかけて、みずから先がけになつて来ることを私は大いに欲するのであります。そのような情勢に便乗することにわれわれはもちろん双手をあげて賛成するのであります。今の段階においてはそこまで参らぬようであります。私は軍備の縮小というよりもむしろ世界各国が軍備を撤廃したらどうか、そこまで行かなければいかぬじやないかと私は個人としてそう思つております。
  114. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 これは専門家の辻さんあたりからお教えいただく方がほんとうかもしれませんが、およそ軍備として一番有効適切な防備態勢というものは仮想敵国を持つて初めて成り立ち得るのではないか。どれが対象であるか、あるいはドイツが攻めて来るか、あるいはイギリスが攻めて来るか、どこが攻めて来るかわからぬというようなことで軍備をつくつて行くということは非常に大きな浪費だ、仮想敵国を持つて軍備をやつて行くことが一番安上りなしかも有効な軍備だということは、これは軍人でなくても一般の常識だと思うのでありますが、あなた方が日本防衛なさる、こういうことを言つておられる以上、どこを仮想敵国とし、どこを対象として軍備をやつておられるのか。もしそうでないと三十年度に増強されようとするものが一体何のために増強されるのかが少しもわからない。こういう点から、自衛隊の増強というものは何を目標として、何を仮想敵国として作戦計画を立て、増強をされて行くのか、この点を教えていただきたい。
  115. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 どこの国を仮想敵国としておるか。私は仮想敵国という言葉を用いたくありません。ただ今申しますように、わが周辺におけるいろいろの兵備配置、それらの点を勘案して日本防衛体制を立てて行きたい、こう考えておるのであります。なお申し上げたいのは、われわれ三十年度において立てる計画は、アメリカ駐留軍の少くとも地上部隊が日本からすみやかに撤退する。それのためにわれわれは何としても自衛力の漸増をやつて行きたいと考えております。
  116. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 こまかいことを二、三伺いたいと思いますが、航空隊を創設して三軍に分立をされるというふうに御説明を伺いましたが、三軍分立の飛行場を各地につくつて行くというようなことで、今まで非常に血の汗をしぼつて耕作をして来た農民の農場が至るところで取上げられようとしておる。こういうようなことは食糧を自給して行かなければいけない、増産をして行かなければいけない、こういうことと非常に矛盾をして行くのじやないか、これをしもあなたはいささかの弊害ならばやむを得ないと言われるのかどうか。
  117. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 航空に関して飛行場の設置、これはわれわれはある程度持ちたいと考えております。しかしできるだけ国民に迷惑をかけない、特に農民諸君に迷惑をかけない方向に持つて行きたいと考えております。さしあたり旧来軍隊で使つておつた飛行場なんかを整備し、あるいはアメリカ駐留軍の使用しておる飛行場、そういうようなものの転用というようなことを志向して計画を立てたい、こう考えております。
  118. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 飛行場に限らず演習場その他の名前によつて非常に多くの農地が取上げられかかつている。現に私もこの間長野県の有明村へ行つて来ましたが、有明村の終戦後今まで九年の間、非常に血の汗を振りしぼつて耕して来た農民の土地が、今単純なる補償で取上げられかかつておりますが、こういう事態は有明村だけに限らない。至るところに行われております。こうういうような問題も食糧自給の問題という点から考えてみても、非常に国家的に損失の多いものではないか、これが国民経済に及ぼす影響は軍事費としてたくさん支出されて行く金銭とほぼ匹敵した影響を持つのではないかというふうに考えますが、この点についてあなたの御見解を伺いたい。
  119. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 演習地についてはなるたけ荒蕪地、未開墾地、それらのところを使用いたしたい計画でやつております。一部農民諸君に迷惑をかけるところもあるだろうと思いますが、しかし大部分についてはさように農民に迷惑をかけないという配慮のもとに計画を立ててこれを進めておる次第であります。
  120. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 農民に迷惑をかけないようにというお話ですが、現実に各地で行われている事態を見ますと、迷惑をかけないどころではない、脅迫をして取上げて行くというような実情が至るところに出ております。有明村の一つの例を取上げてみましても、もし君らが言うことを聞かないなら、土地収用法にかけるというようなことを言つておどしている。それだけではなしに農民たちが新しい種をまこうとして耕作を始めると、もうそうなことをしたつてだめだ、こういうようなことを言つたために、農民たちはまきつけを遠慮してしまつたというような実例がたくさん出ております。こういうようなことが今後継続して行われるのかどうか、はなはだくどいようですが念を押して伺つておきたいと思います。
  121. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 民間農地の買上げその他については納得の行くようにやるようにわれわれは指令をして、その方針のもとにやつておるのであります。決して脅迫したりするようなことはさせないつもりでおりすま。
  122. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 ここでの御答弁はそうですが、現実に行われている部分は完全に脅迫だというような部分が非常に多いのです。この点は御注意をいただきたいと思います。  次に今度増強される自衛隊について伺いますが、自衛隊一人当りの隊舎の坪数がどうなつているか、戦前の旧軍隊の一人当りの隊舎の坪数と比較してお答えをいただきたいと思います。
  123. 松永勇

    ○松永説明員 坪数といたしましては、今正確なものは手元に持つておりませんが、来年度の増強に要します金額では約十五、六億円ということで、来年度の増強を考えております。
  124. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 私の聞きました範囲では、旧軍隊の場合には隊員一人当りに対する隊舎の坪数は六坪くらい、自衛隊の場合には一・五坪くらいだというような話を聞きましたが、不正確でしようか。
  125. 松永勇

    ○松永説明員 一・五坪というのはどういう地域を平均して入れるか、たとえば洗面所とか便所とか、そういうものを含めていない居住区についてだろうと思います。正確ではございませんが、私の記憶で申し上げますと、大体三・八坪ぐらいではないかと思つておりますが、ただいま手元に資料がございませんので、正確は保しがたいと思います。
  126. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 いずれにせよ武器の非常に初歩の段階にあつた旧軍隊ですら六坪ぐらいのものを持つておつたのに、今の軍隊は、かりに三・八坪だとしても非常に劣つている。こういうようなことで、先ほどの辻さんのお話ではありませんが、真実の価値ある行為を発揮できるかどうか、非常に疑問なきを得ない。こういうことに非常に大きな金を投じて行くことが、国を守るにあらずして、かえつて国民の生活をそこなつてしまう原因になりやしないかということを考えざるを得ないのですが、くどいようですが、もう一度この点を長官にお伺いいたします。
  127. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 われわれといたしましては、乏しき財政のもとにおいてできるだけ節約してやりたいと考えております。ただ居住の点については、われわれとしてはかわいい人の子を預かつておるのでありますから、なるたけ快適に、また現代の生活にマツチして行くようにやりたい、そこに考慮を払つて真剣に計画を立てておるわけであります。
  128. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 それから国防会議のその後の状況はどうなつておりますか。
  129. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 国防会議につきましては、今成案を練りつつあります。これは主として内閣審議室並びに法制局において検討中であります。われわれといたしましても、この点について成案を得て、法制局あたりと十分打合せをして来るべき通常国会に提案いたしたい、こう考えております。
  130. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 三十年度の増強計画でこれだけ大きな金額を使つて行こうとせられるのでありますから、最高の機関である国防会議を責任を持つて構成をせられて、その国防会議の結論として出されるとかなんとかいう形をとられるのが当然の義務ではないか、こう思うのですが、都合の悪い問題である国防会議については全然ほうつておいて、ただそつと三十年度の増強計画を出して来るというようなやり方が、一体国民に納得されると思うかどうか、今のようなデフレ経済のはなはだしい時期において、こうしたやり方が何か裏でするする都合のいい形だけやりのけて行こうという印象を非常に与えやしないか、こういうことについてのお考えを伺いたい。
  131. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 一国の財政計画ことに防衛計画に対しては、政府責任を持つて立案いたします。しこうして、これは国会において十分なる審議の上に決定されて行くべきものでありまして、ずるずるべつたりにやるわけでは毛頭ないと私は思います。
  132. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 そうしますと、国防会議なんというものはいらないものだ、こういうことですか。
  133. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 そうではありません。国防会議の必要なることは十分認めております。ことに防衛庁設置法にも明確に規定されておるのであります。ただ法案としての成案をまだ得ていないというだけであります。これについてはいろいろ問題点があります。要するに、会議員の員数をどれだけにするか、あるいは年限をどれだけにするか、多数決制度にするか一致制にするか、非常勤制とするか常勤制とするか、いろいろそういう問題があるのでありまして、ただいま法制局においてもわれわれの方においても、せつかく検討中であります。
  134. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 そんなに必要なものならなぜ早くおつくりにならないのか、これが一つ。  もう一つは、これだけ大きな兵力になつてなおかつ憲法九条の戦力に抵触しないか、これだけをもう一度伺つておきます。
  135. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 戦力論はもうしばしば繰返しておるのでありますが、これは私は、しばしば言うがごとく。独立国家である以上は自衛力は持ち得るのだ、日本の憲法において自衛力を持つことは否定していない、これが一つ、しこうして、今の自衛隊においては憲法第九条第二項の戦力にはまだ至つていない、こういう考えから出発しておるのであります。  前段のお尋ねですが、これは大いに急いでおるのであります。けれども、今申し上げたようにいろいろ問題点があつて、まだ結論に達しておりません。早急にやつて来るべき通常国会に提案したいと思います。
  136. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 これは念を押すことになりますが、先ほど、愛知通産相のアメリカへ行つての交渉は防衛庁とは関係がない、こういうことを言明せられたことが一つ、もう一つは、愛知通産相のアメリカへ行つての諸種の行動は、内閣としての行動ではないということを言明された、これも間違いないでしような。
  137. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 愛知通産相のアメリカへ参りましたのは、御承知でもありましようが、経済問題について米国政府との事務の打合せのためであります。従いまして、防衛関係については政府を代表して行つたものでは毛頭ないということをここに言明いたします。
  138. 稻村順三

    ○稻村委員長 飛鳥田君の質問に関連して田中稔男君から質疑の通告がありますが、関連質問でありますからごく簡単にお願いいたします。
  139. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 ただいま飛鳥田委員の質問にありましたが、日本において自衛隊を増強する理由として、沿海州、樺太、千島方面にソ連の兵力が配備されておる。あえてこれを仮装敵国と考えるのではないけれども、そういう兵力配備がある以上これと対応して日本防衛力を増強する必要がある、そういう長官の御答弁があつたのであります。これはきわめて重大なことでありまして、一体兵力配備の状況はどうであるか、その程度はどういうものであるかということを、ひとつお聞かせ願いたいと思います。あるいは知らないとおつしやるかもしれませんが、そういう事実を根拠に自衛隊の増強を力説されるとしますならば、その根拠になる事実はやはり国民代表としてはつきり知つておかないと相済まない。
  140. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 今申し上げます兵力の配備の点につきましては、私はここでは言明を避けたいと思います。むしろ田中君の方が十分に御承知のことと考えます。
  141. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 ここで御答弁いただくことができないとしても、秘密会その他の形式でぜひお聞きしたいと思いますが、秘密会の形式を用いて承ることはできないでしようか。
  142. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 まだそこまで考えておりません。その時期が参りますれば、われわれの方として的確ないかもわかりませんが、申し上げることができるかと考えております。ただいまのところは申し上げることはできません。
  143. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 これはアメリカの軍の方からもおそらく情報を受けておられると思いますし、それからあるいは防衛庁独自に御研究になつておる事柄だろうと思います。そうして先ほど申しましたように、このことが日本自衛隊増強の根拠になつておるとするならば、なるべく早い機会に詳細に私どもにお聞かせ願いたい。私は国民代表としてこのことを要求する権利があると思います。そのことを希望しておきます。  次に極東に配備されておりますソ連の兵力は一体何を目的としておるか。これがソ連当局が言うように、ソ連の自衛のためであるか、あるいはアメリカと一戦を交えるための準備であるか、あるいはアメリカ軍事基地になつている日本をまず侵略するための目的を持つものであるか、その三様のうち一体どれがほんとうであるか、ひとつ防衛庁長官の御所見を承りたい。
  144. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 その御質問に対しては、私は今ここで言うことを避けたいと思います。
  145. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 どうも一番大事な質問に対してことごとくお答えにならぬのでは、これは話にならぬと思う。一体それがはつきりしないことには、これはもう国民代表としてここで日本自衛隊増強の問題をほんとうに真剣に討議することができない。長官お笑いになつておりますが、笑いごとじやないのです。長官はここではお逃げになつておるが、そのうちに十分にお考え願つて、私どもに秘密会その他の形式でよろしゆうございますから御所見をはつきり言つてもらいたい。私どもはどうも日本軍隊は自衛の軍隊じやないと思う。実は私この間北京で周恩来首相招待の宴会に出たのでありますが、その際日本の軍備問題について周恩来首相はこう言つた。日本がほんとうに独立し、日本がほんとうに自由な自主の国になつたならば、日本において軍隊を持つということは、中国としては少しも反対でありません、こう申したのでありますが、あるいはこの周恩来首相の言説をとり、今日の日本自衛隊の存在を理由づけるというような保守派の議員の方もあるかもしれませんけれども、それは非常に大事な点でありまして、日本の今日の軍隊は、これは日米安全保障条約あるいはMSA協定、こういうものに縛られておりまして、つくりました軍隊は、長官はどうお考えになろうと、あるいはまた隊員の人々の主観的な意図はどうであろうと、客観的には必ずこれはアメリカ軍事目的のために利用される軍隊である。自衛の軍隊ではないのであります。アメリカのためのこれはいわば他衛の軍隊である。こういう軍隊日本に存在することは中国としては実際にまくらを高くして寝ることができない。中国平和的意図につきましては、これは保守派の山口喜久一郎君から床次徳二君からみな羽田できのう共同声明でもつて国民に訴えておる通りでありまして、ソ連につきましては見たことではありませんから言及しておりませんが、実は私ソ連もちよつと見て参りましたが、中国について言えることは大体ソ連についても言えると思う。今日中ソ両国があえて日本を侵略するとか、あえて自分からアメリカ戦争をしかけるという意図はないと思いますが、意図がないだけでなく、その必要がない。そういうことをやることは、つまりそろばんをはじいても損だ。これは私ども常識でわかると思う。こういう際に日本アメリカのために利用されるにすぎない防衛力を持つということは私どもは危険だと思う。こういうことにつきまして一体長官はどうお考えになつておりますか、ひとつ根本的にはつきり御所見を承りたいと思います。
  146. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私は田中君とは見解を異にしております。われわれ日本の立場としては、やはり自由国家群の一員として日本防衛の全きを斯して、世界の平和に寄与したいと考えております。私は田中君にむしろお尋ねいたしたい。一体中共が真に平和を愛するのであれば、むしろ卒先して中共自体が軍備を撤廃したらよかろう。ソビエトもしかりであります。私は自由国家群においてそれこそ共産主義国家群に対して侵略しようというようなことは考えていないと思います。やはりそれは毛沢東の言われるごとく、そろばんに合わない。ここに悩みがある。私はさつきから言つたように世界各国がことごとく軍備を撤廃しろ、何がゆえにしないか、これであります。中共はまずもつて毛沢東の言われるごとく、日本は軍備はいらぬのだということであれば、自分の方も軍備をよろしくやめるがよろしい。自分の方をやめずにおいて日本だけはやめろということは私は承知できない。われわれ一国が独立国家たる以上は、それ相当の自衛力を持つということは当然な事理であろう、こう私は考えます。
  147. 田中稔男

    ○田中(稔)委員 これは議論するわけではありませんが、長官のお答えがあつたから申し上げておきたいと思います。軍備はもちろんこれは相対的なものでありまして、今おつしやるように世界が軍備のない世界になることは、これはもうだれもが希望するところであります。そうして今日本再軍備中国が反対するならば、中国自体が一体軍備をやめたらいいではないか、あるいはソ連自体が軍備をやめたらいいではないか、こうおつしやるのでありますけれども、ソ連の軍隊中国軍隊は決して日本を対象にしておるものではない。これは聡明な長官がとつくに御存じのように、アメリカなりアメリカの陣営の強大な軍備をこれは対象としておるのでありまして、軍備は相対的でありますからして、軍備の縮小をやり、軍備の撤廃をやるということなら、これはやはり両陣営が一緒にやらなければならぬ。先ほど飛鳥田委員からもお話がありましたように、ソ連は国連においてたびたび軍備縮小の提案はしておるのであります。ただアメリカが意見を異にしまして、それがまだ話合いにならないだけのことであります。それ以上私は申しませんが、この明白なことにつきまして私は長官が御存じないとは思えないのでありますが、一体中ソ両国の軍備を一方的に撤廃して、アメリカの強大な軍備をそのままにしておいていいものか、私からさらに反問したいと思います。
  148. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 それだから私は申し上げたように、世界が全部軍備を撤廃することを希望する、こう言つておるのであります。
  149. 稻村順三

    ○稻村委員長 辻、飛鳥田両委員の質問に関連して委員長からも一つだけ念のため質問したいと存じます。飛行場用地を三つの自衛隊がおのおの独立に建設するということは、貴重な土地のむだ使いになると思うのであるが、この点に関する長官の御意見を伺いたいと思います。
  150. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 これはわれわれの方も実は考えておるのであります。それでおそらく委員長の仰せになつたのは、海上自衛隊における三つの飛行場の計画をおさしになつたものと拝察いたします。これは海上におきましては、御承知の通り海岸において警備用に終始使うべきヘリコプター、あるいは水陸両用の飛行機、あるいは対潜水艦用の飛行機、これらについて緊急やむを得ない場合においての飛行場、これを計画しておるわけであります。しかしこれらの飛行場についても、航幕においてこれを使わぬというわけではないのであります。主として三つの箇所に、ほんとうに必要欠くべからざる海の飛行機についての飛行場を持ちたい、こういう希望の表現であります。
  151. 稻村順三

    ○稻村委員長 高瀬傳君。
  152. 高瀬傳

    ○高瀬委員 先ほど来の飛鳥田君あるいは辻委員の質問に関連いたしまして、私はこの予算の規模についてちよつと伺つてみたいと思う。  実はけさほど来木村長官のこの防衛庁の三十年度の予算の説明を伺いましたが、この予算面の総額に行きますと百六十三億の増額になつております。大体予算の規模というものは、私から申し上げるまでもなく国民生活の上昇に従つて漸次上昇するのがあたりまえでありますが、この防衛庁の予算に限りましては、一挙に百六十三億という厖大なる総額の増加が来されておるのであります。過日岡崎・ロバートソンの会談におきまして、岡崎外務大臣はワシントンにおいて、日本の物価は九・五%下つておる、従つて予算の規模も一割、防衛費も一割程度必ず下げる予定であるということをロバートソンに対して言明しておられるようであります。しかるにこの防衛庁の予算を見ますと、百六十三億という厖大なる金が増額されております。しかも日本の予算編成の全体の構想も具体的に明らかにされていない今日、防衛庁が単独でこれらの具体的な予算を明示されたことにつきましては、これはいわゆる吉田総理大臣の渡米、また愛知、岡崎両君の渡米が防衛問題に必ず何かの関連性を持つておると私は考えざるを得ないわけであります。従つてこれらの予算の規模を通して考えますることは、先ほどから木村長官は、愛知通産大臣経済問題のことについてアメリカへ行つておるので、防衛関係の問題で打合せに行つたのではないと言つておりますけれども、岡崎といい、愛知といい、みんな向うの国務次官補であるところのロバートソンと会談いたし、しかもこのロバートソンは長官も御存じの通り去年池田非公式自由党内閣の使節と会談いたしまして、三十二万何千人の自衛隊増強を池田に迫つたその当面の人であります。従つて木村長官の言われるようにこの予算の全貌が政府の正式なる代表愛知、また岡崎あるいは吉田、こういうようなものと全然関係がないということを言われましても、私は了承できない。特に最近の外電の伝うるところによりますと、愛知君のごときは、大体ロバートソンに東南アジアの統済協力のプランあるいは三十年度の防衛計画、また防衛産業設備調査計画その他大体二十数項目を渡し、ロバートソンはこれを受領したというあいさつをしているようであります。従つてこの中にあるところのいわゆる三十年度の防衛計画は、防衛庁のこれを持つて行つたに違いない。去年の池田氏のように非公式の使節ですら、ロバートソンから三十二万に増強しろなどとおどかされて来たのでありますから、正式な愛知君がこの問題について討議しないはずはないと思う。木村長官は先ほどから関係ないとおつしやいますけれども、私は必ず関係あると思う。従つてこの予算をこういうように早急に具体的に編成したことについては、防衛庁は必ずその材料としてつくつたのであつて、関係ないとは私は言わせません。その点はいかがですか、重ねて伺います。
  153. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私は全然関係ないと言つたのではありません。愛知君なり岡崎君なりがこの防衛計画について政府を代表して交渉するかというとそういつたことはない、この趣旨を申したのであります。むろん、愛知君もわれわれの三十年度の防衛計画についての概略は知つております。しかし愛知君がどういう折衝をしたか、また岡崎外務大臣はどういう折衝をしたかということについては、まだ私のところには報告は何もありません。しかし最終的には、これはわれわれとアメリカ日本における出先代表者との間でいろいろMSA援助についての交渉なんかの際に話されるべきものだ、私はこう考えます。
  154. 高瀬傳

    ○高瀬委員 それでは木村長官に伺いますが、一体この予算の計画の中では百六十三億ふえても、その中に今までありますところのたとえば防衛分担金、こういうようなものについては、ことしは一体どれだけ防衛分担金がアメリカから減額されて来るのか、あるいは余剰農産物の代金のうち七十二億何でもかつてに処分する金があるという話であります、従つてそれをこの愛知君が提出したと思われるところの防衛産業設備事業計画の中に使ういろいろなこと、あるいはMSAの援助によるいわゆる完成兵器の貸与の問題、この問題を当然彼らは討議もしない、何もしないというのならば、多大の国費を使つて外国日本政府を代表して行く必要はないのでありまして。しかもこの予算面だけを通しましては、たとえばこれらの防衛分担金は幾ら減らされるのか、あるいは完成兵器がどれだけ三十年度においては日本に支給されるのか、あるいは余剰農産物の代金が一体どれだけ防衛産業設備資金に使われるのか、こういう点か全然明らかになつていないのあります。従つて私として伺いたいのは、これらの三点について、一体この予算編成においてどういう具体的な材料を持つて、あるいは具体的などういうお見通しを持つてこれらの予算を編成されておるのか。そうすれば結局防衛分担金あるいはいろいろな点で差引をすれば百六十三億というものは増額をしないでもいいのか、いろいろなこういう問題についてはつきりした政府の所信を私は伺わなければ、これだけただ説明を聞いたのでは私は納得できない。特に岡崎君は、日本の物価というものは九・五%下つたから一割限度防衛費も減らすのだということをロバートソンに言つておる。ですから今の三つの点をひとつ長官から伺いたい。
  155. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私は冒頭に高瀬委員に申し上げておきます。これはまだ正式の予算書でも何でもないのであります防衛庁で立てておる三十年計画はどうであるかということでありますから、一応の案を示したわけであります。これは来るべき国会において十分御審議を願いたいと考えております。  そこで愛知君、岡崎君が向うに行つて交渉しておるが、いわゆる余剰農産物の問題、おそらくその金の使い方についていろいろ議論を闘わせておることだろうと考えております。手取り早く申せば、あの一千万ドルについてもまだ結末を見ておりません。いわんやあとの四千万ドルについても結末がついておりません。これらの点については、あるいは防衛道路の関係もここに出て来ましようし、あるいは防衛生産の問題も出て来るでしようし、いろいろな問題で愛知君もおそらく頭をしぼつておることであろうと考えております。いわんや防衛分担金はどれほどぐらいアメリカに三十年度に減額を求めるべきかということについても頭を悩ましておることと考えております。われわれも率直に申しますとこの防衛分担金について十分に考えたい、こう考えております。
  156. 高瀬傳

    ○高瀬委員 実際ただいまの段階でそれらの政府の見通しをここではつきり言つていただくということは無理だろうと思うのですけれども、とにかくたとえば千歳の飛行場を返せとか、あるいは九州に大きな兵団を置くのにアメリカ設備を返せとか、いろいろその設備がこの予算面に影響して来るのです。従つて防衛分担金あるいは防衛設備費の問題、あるいはMSA兵器の貸与の額、こういうものが予算に非常に影響して参りますから、私どもとしてはそれらの点について――私は愛知、岡崎両君が全然無関係でアメリカで交渉しているというそんなばかばかしいことは見ておられない。そんなものならもらわなくていいということになるのでありますから、私はこの点は具体的に政府の所見を適当な機会に伺つておきたいと思います。  それからもう一つ伺いたいのですが、ことしの予算面で見ますと、海軍の関係では四千九百人、陸軍の関係では二万二千五百人、そうすると結局三万四千五百人程度の人員の増ということになつているようであります。しかして私は考えるのですが、一体これらの人を募集して行く場合、現在の募集状況から見てそう簡単に行くかどうか、それから自衛隊の募集の現況というものについてちよつと具体的に伺つておきたいと思います。
  157. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 自衛隊員の募集の成績について、いろいろ心配される向きがあるのであります。しかし私は現在の段階においてはさように心配するに及ばないと考えておりますが、具体的に数字を申し上げましよう。十月五日付の状態でありますが、陸上で募集数が二万人、これに対して応募者が四万七千四十四人、約二・四倍です。海上は募集数が千六百名、これに対して応募者が一万五千百八人約九・四倍であります。空軍の方は募集数が千五百人、これに対して応募者数は一万八千七百六十名、倍率が約一二・五ということになつております。それで、陸海空合せますると、応募者が八万九百十二名になつておりますが、その後ふえまして約八万五千という数字が出ております。従いまして今年度の応募成績は必ずしも悪いとは言えません。ただ私は最近自分の郷里へも行つて参つたのでありますが、何分にも山間僻地に対しての啓蒙宣伝がまだ行き届いておりません。これに対してもう少し金をかけて宣伝をいたしますれば、応募者の数もこれ以上にふえるのではないか、こう考えております。
  158. 高瀬傳

    ○高瀬委員 このいわゆる自衛隊員の募集の問題について、金をかけて宣伝をすれば集まつて来るだろうというお話であります。事実去年の池田・ロバートソン会談で、三十二万に自衛隊をふやせとアメリカが言つておる。これは私は取消したわけではないと思う。自衛力を漸増するという約束を日本政府はしておるのでありまして、あるいは今度吉田が行つて急に大いに増強しろ、急速なる増強をしろなどというおみやげをもらつて来るかもわからない。そうするとそういう程度の募集状況では、自衛隊員を募集するということはだんだん頭打ちになつてしまつて、現段階ではその限度に来ているのではないか。木村長官は、全然徴兵制度はやらぬ、こういうことを言つておられるから、それはまことにけつこうだと思うのですが、事実問題としては非常にお困りになるのではないかと思つて心配しているのです。その点はいかがですか。
  159. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私は徴兵制度を絶対にやらぬとは言わない、私はそうは言いません。徴兵制度をしくのについては憲法を改正しなくてはならぬ、憲法の改正は国民の総意によらなくてはならぬ。従つて今の段階においては徴兵制度はやることはできないのだ。私個人希望から申しますと、私は常に言つておるのでありますが、日本の青年は一応団体生活をしたい、させたい。団体生活のよさは結局親愛の精神、友愛の精神、助け合いの精神、これが養わるのだ、青年がある期間団体生活をやることは望ましい、自分も若いときはやはり団体生活をやつて来たのだ、これによつて互いに親しみ合い、信頼し合い助け合う精神が盛り上つて来るのだ、日本の青年は一度は団体生活をやれ、この意味においても、徴兵制度は別問題といたしましても、何かの制度をもつて青年に団体生活をさして、友愛の精神を養うことが望ましいのじやないか、こういう気持を持つております。
  160. 稻村順三

    ○稻村委員長 山本正一君。
  161. 山本正一

    ○山本(正)委員 私の質問はごく簡単なことですが、自衛力を漸増するということは国家内外の情勢から国民大多数の要望でありまして、当然のことですが、警察予備隊以来今日までの実情を見て参りますと、とにかく量的には相当増強されて参つておる。特に今示された三十年度の増勢に関する予算を見てみましても、量的には漸次というよりはむしろ今高瀬君からもお話がありましたような次第でありまして、経済事情、財政規模から見ましても、むしろ飛躍的な増勢と考えてもさしつかえないほどに増勢計画がなつておるのですが、ただここで私が、長官に特に再考を願いたいと思うのは、増勢ということが、どうしても、従来のもの及び来年度の計画を拝見しますと、量的増勢に非常に熱が入り過ぎておる。質的の増勢という方が少し閑却されておるのではないか。もちろん先ほどから各委員の応答ぶりを伺つておりますと、訓練にも十分自信があるというようなことで、装備は必ずしも十分ではないが、これとても決して不十分ではないというふうなことで、質的増勢ということも量的増勢と同時に考慮しておるという御方針であるとは思います。しかしながら私どもから見ますと、どうも量的情勢に急なるのあまり、質的の増勢というものがそれに伴つて行かぬような感がするのであります。一応それについても長官の御見解を伺つて、それから少し具体的にお尋ねしてみたい。
  162. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 質的の向上をはかることについてはわれわれは全力を用いております。現在の段階において、私は非常に質が向上しておるのじやないかと自負しております。旧軍人の人たちにもよくこれを見聞してもらつて、私はその現状を見てもらつておるのですが、大体において私の考えと一致しております。いわゆる部隊員の訓練の状況というものは、相当高度に達しておるのではないか。装備の点におきましても、御承知の通り昔の軍隊とはおよそ間隔があります。これはいわゆる近代装備と申しましようか、相当に新しい装備が入つております。ただ残念なことには――日本の地勢、日本の青年マツチしたものがほしいとわれわれは思つております。この点について遺憾な点があることは事実であります。たとえて申しますと、大きな戦車なんかでも日本の地勢に合わないものがあります。これらを完全に使うということになれば、機動力をますます発揮して、そういう方面の実力が発揮できるのであります。御承知の通り日本の道路、橋梁その他について十分使えない場所があります。まことに遺憾に考えております。具体的に申しますと、いわゆるジープその他車両、これは現在十分にあります。申分のないほどあります。重砲たとえば百五ミリの榴弾砲、百五十五ミリ、これらも相当数入つております。ただ最近私は北海道で見て参つたのでありますが、四十ミリの高射機関銃、これは相当数が足りません。足りませんから最近手当をいたしまして、これも相当数入りますから、この分についても質的に向上されるんじやないかと考えております。装備の点につきましては、簡単に申せば、かりに一個師団とすると、現在の一個師団は昔の三個師団分に相当するくらいあるわけであります。これに伴つて兵員の質の向上をはかつて行きますれば 実力は相当なものであろうと私は確信しております。
  163. 山本正一

    ○山本(正)委員 先ほどよりやや詳細なお答えを伺つたのでありますが、実は訓練の問題及び装備の問題につきましては、先刻来辻委員がお尋ねをいたしましたような事柄について、われわれもほぼ同様な憂いを持つておるわけでありますから、この上とも十分御留意を願いたいと思うのであります。  なおお尋ねをいたしたい点は、この三十年度の増勢計画は駐留米軍の撤退というものと関連して相当考慮されておるものと思うのですが、この点はいかがですか。
  164. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 もちろん考慮いたしております。それでこちらの兵員が完全に増員されれば、やはりアメリカも相当数引揚げるんじやないかと考えております。御承知の通りアメリカといたしましても金をかけて日本にいつまでも駐留させるということは欲しない。ことにアメリカもかわわいい青年を日本に送つておるのであります。一日も早く日本から引揚げたいという希望は十分あるように見受けられます。従いまして日本の方で増強すれば、アメリカの方も引揚げることとわれわれは考えております。
  165. 山本正一

    ○山本(正)委員 現在日本領土に駐留しておる米軍の大多数は、北海道地域におると私は承知しておるわけであります。従つて今長官の御意見の通りであるとすれば、三十年度の増勢の重要部分はやはり北海道で、これに相当なる重点があるというふうに了解してさしつかえございませんか。
  166. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 御承知の通り北海道へ向けてことしも相当数内地から移駐させております。来年の三月末日になりますと、約四万五、六千が北海道の部隊に配置されると考えております。それで三十年度において増員する分につきましては、やはり重点を九州北海道へ置きたいと考えまして、それらの配置の転換について慎重に考えておるところであります。
  167. 山本正一

    ○山本(正)委員 まあ兵力の配置の問題はこの場合そう詳細に伺うことはありませんから、この程度でけつこうでありますが、特にこの三十年度増勢計画の内容のうち、北海道九州というものには相当重点的な考慮が加えられておるということであります。九州は御承知の通り、本土との関係は列車で連絡しております。北海道の場合は自衛的に見て九州以上に重要であり、決して軽視することを許さない場所であります。その北海道本土との陸上連絡、鉄道連絡がついておりません。従つて北海道に配置した兵力というものは本土から孤立しなければならぬ。本土から孤立しなければならぬということは、あすこに配置された兵力の機動範囲、用兵作戦能力というものがあの地域に限定されてしまう。長官の言葉にあるように、機動力を持たせなければならぬ。それが質的増強の内容として重要な要素である。この見解については私も同感なのであります。そういう観点からいたしましても、本土北海道との間に配置せられた兵力の機動性による質的増強ということは、当然考えなければならぬと思うのであります。長官はそういう点について、幾たびか北海道の現地を親しく巡視せられたようでありますので、感受せられるものが相当強かろうと思うのであります。この際御意見を伺いたい。
  168. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 われわれ北海道に重点を置く限りは、北海道の部隊のいわゆる量的増強ばかりでなく、質的増強をもぜひやらなければならぬと考えております。それについては北海道においてはまず十分に機動力を発揮することではないかと思います。そこで北海道の地勢から考えてみまして、私は一日も早く道路及び橋梁の改修増設等をやらなければならぬと考えております。防衛道路についてもそれらの点を考えて計画いたしたいと考えております。それと同時に、いささか横道に入りますが、北海道というところは普通の内地とは違つて、寒冷の地であります。これに対して隊員の処遇の問題も十分考えてやらなければならぬ。これについて頭を悩ましておる次第でございます。そういたしますと、隊員が内地からもどんどん行き、充実されて行くということになつて、強化されるのではないか、こう考えております。
  169. 山本正一

    ○山本(正)委員 今の長官の御説明は、北海道地域内における機動性の問題はそれで十分でありますが、私の伺わんとするものは、本土北海道との間の兵力の機動力、これを重点に伺おうとしておるのであります。つまり具体的に申しますと、かねがね運輸当局が中心となりまして、青函連絡は今の船舶連絡でなくして、海底トンネルによる鉄道の連絡という調査をしておるのでございますが、先般たまたま不幸なる洞爺丸のできごともございまして、これを北海道産業開発ともあわせて、国土防衛上ぜひこれは早期に完成をいたしたい。これが今の国民の常識になつておるのでありますが、特に自衛隊の増勢という見地からしても、これは重大なる関心を寄せなければならぬ事柄であると思いますが、そういう点から長官の御意見を承りたいと思います。
  170. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ただいまの御意見ごもつともであります。双手をあげて賛成いたしたいと思います。何としても北海道日本内地と離れておるので、これとの連絡ということは国防上から考えてみてもきわめて重要なことであります。われわれは何といたしましても海だけでなしに、陸でもつてお互いに本土北海道とを結びつける、いわゆる手取り早く言えば、青函をトンネルでもつて連絡させるということが望ましいことであろうと考えております。その一日も早からんことを私は願つております。
  171. 山本正一

    ○山本(正)委員 この委員会は、今内示されておる三十年度の増勢に関する問題を中心としての予算をやがて審議しなければならないと思つております。その場合にも非常にわれわれが注意せなければならぬ点は、今あそこが鉄道によつて兵力が機動する。これは考えますると、四時間が三十分で済むそれから船によるものが鉄道によるということについての安全、そういうふうに鉄道で連絡をし得る状態と、現状の船で連絡をしなければならぬという場合を考えれば、この自衛力の実質というものによほどの開きが出て来ると思う。用兵作戦の能力あるいは能率に非常に開きが出て来ると思うのであります。これは今すぐと申すわけではありませんが、各幕僚部ではすでに研究済みのことかとも思うのでありますが、これが鉄道連絡になつた場合と、しからずして現在の輸送状態で続けて行く場合と、いういう問題を中心にした予算、数字上の違いというものを一応見たいと思うのであります。これはなぜかと申しますと、この自衛隊増勢の予算を審議する上においても、非常に必要な事柄でありますと同時に、この連絡トンネルを完成させる一つの目安ともなりますから、予算審議にかかるころ合いまでには、両者の相違をひとつ具体的に検討して調べていただきたいと思います。私はもつと端的に申し上げると、量的の増勢は少々抑制しても、その抑制したことによつて生ずる欠陷を質的の増勢で補うて余りあるならば、それはその道をとらなければならぬ。率直に申しますが、そういう見地から、今申したことは御用意を願いたいと思います。
  172. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 これは率直に申しますると、鉄道の輸送と船舶の輸送とは非常に差がある。陸上の輸送は早くはします。しかし物の輸送については、多くは船舶によるべきであると考えております。機動力の点から申しますと、これは鉄道がよろしい。しかし物の輸送ということは鉄道だけによることはできない。むしろこれは船によるべきである。船によることについて、われわれはいわゆる青函の安全をどうして保つて行くかということについては、海上自衛隊においてせつかくこれについての対策を研究しておる。あの線だけは確保しておきたい。これがなければ、たとい陸でつながつても、補給路は断たれてしまう。とにかく北海道において四百数十万の住民がある。これに対しての食糧問題、被服の問題その他の問題を考えてみますと、何としてもあの青函の海は確保しておかなければならぬということにわれわれは考えを及ぼして、それらの面からあの防衛ということについて、十分に考慮を加えておるわけであります。
  173. 稻村順三

    ○稻村委員長 辻君から議事進行に関する発言があります。これを許します。
  174. 辻政信

    ○辻(政)委員 きのう配付されました予算編成の資料の中に、英語が大分書いてあります。日本保安隊なら英語で書かなくてもいいと思います。  もう一つは、将来の検討の資料として、新しい資料を追加をお願いしたい。  第一は、演習費が昨年と本年度においていかに増減があつたか、これが一つの資料。  次は、燃料使用分、ガソリンが事務と訓練とにどのような程度に配分されておるか。  その次の問題、それは一万五千の管区隊を、今度の編成の改正においては一万二千七百名に改められておりますが、この二千三百名を削られたのは、どこをどう削られたのか、いかなる機関をどう削られたのかという問題。  その次は、直接侵略に対抗する意味において、北海道において、あるいは九州においては、防衛施設というものが必須の要件になつて参ります。施設が完備しておれば、兵力は半分でも任務を達成できるのです。その防衛施設にどれだけの予算を充当されておるか。  次は、北海道の将兵の現状、物価高、寒冷、そういうものを考えて、給与にはいかに着意をされておるか。昨年私が北海道をまわつて視察をして申し上げた意見等もあります。その五つの点について、資料をこの次までにお願いをいたします。
  175. 稻村順三

    ○稻村委員長 本日はこれにて散会いたします。次回は公報をもつてお知らせいたします。     午後三時五十六分散会