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1954-09-07 第19回国会 衆議院 決算委員会 45号 公式Web版

  1. 昭和二十九年九月七日(火曜日)     午後一時十三分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 河野 金昇君 理事 柴田 義男君    理事 杉村沖治郎君       藤田 義光君    村瀬 宣親君       片島  港君    山田 長司君       大矢 省三君    吉田 賢一君       河野 一郎君  委員外の出席者         証     人         (東京地方検察         庁検事正)   馬場 義續君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ――――――――――――― 九月七日  委員安井大吉君、三和精一君、猪俣浩三君及び  古屋貞雄君辞任につき、その補欠として福田篤  泰君、渡邊良夫君、片島港君及び山田長司君が  議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  証人出頭要求に関する件  職務上の秘密に関する証言につき承認を求める  件  政府関係機関の収支(日本開発銀行の造船融  資)に関する件     ―――――――――――――
  2. 田中彰治

    ○田中委員長 これより決算委員会を開きます。  審議に入るに先だちまして、昨六日の古屋委員の証人喚問の動議について、議事の混乱のため速記に不明確の点があるやも知れませんから、確認のため賛成者の起立を願います。     〔起立総員〕
  3. 田中彰治

    ○田中委員長 全員起立。決定いたしました。(拍手)  この採決の決定は昨日も再確認してあつたのでありますが、新たにまた用意のために、十分なる用意に用意を重ねて再確認したのでありますから、どうか皆さんよく、問題が起きましても、これは正しい採決でありますから、さよう御承知願います。
  4. 藤田義光

    ○藤田委員 私は議事進行に関しまして発言を許していただきます。  昨日の当委員会で同僚古屋委員から提出されました吉田総理以下の喚問に関しましては、ただいま委員長の発言により再確認されまして、一切合法的に確定いたしました。つきましては新聞の伝うるところによれば、吉田総理は来る二十五日夜、外国へ向け出発の予定に聞いております。まだ正式な発表はございませんが、大体間違いない日程とわれわれは了解いたしております。従いましてその外遊準備等を勘案いたしまして、正当の理由なくして出頭しないという事態が起さないように、十分日程を考慮いたしまして、来る九月十七日当委員会に吉田総理を喚問していただきたい。その他の証人の喚問に関しましてはこの際田中委員長に一任したい、このことを私は動議として提出いたしたい。どうぞ皆さんの御賛成をお願いします。
  5. 柴田義男

    ○柴田委員 ただいま同僚藤田委員からの発言の動議に対しまして賛成の意を表するものであります。さようおとりはからいを願いたいと思います。
  6. 田中彰治

    ○田中委員長 藤田委員の動議は十七日でありますが、もう少し早くしないと、出て来ないでおいて、あと外国へ行く用意だからというので逃げられるおそれがありますから、十日ぐらいかり呼ぶことにしたらどうですか。
  7. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいま私の議に対しまして委員長の御発言がありまして、御趣旨ごもつともであります。私は十七日の説を固執いたしません。十五日ごろを目途といたしまして、ほかの証人と同様に委員長に御一任いたしたいと思います。皆さんの御賛成をお願いしよす。
  8. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 委員長に一任はけつこうでございますが、私は本日ただいま委員長の意思によつてここで決定しておいてもらいたい、宣言しておいてもらいたい。
  9. 田中彰治

    ○田中委員長 委員諸君にお諮りいたします。ただいま藤田委員の動議につきまして、委員長に証人の喚問を一任これるとのことですが、委員長といたしまして、十一日に吉田茂君、十三日に犬養健君、十四日に石井光次郎君、十五日に池田勇人君ときめることにいたしたいと存じますが、これに異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 田中彰治

    ○田中委員長 御異議なきものと認め、さよう決定いたしました。
  11. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちよつと動議を提出いたしたいのであります。すなわち、当日の証人でない証人は、他の証人を調べるとき、その席におらないこと。なお上司関係につきましては、小原法務大臣以下、制度上指揮監督の地位にある上司の関係にある者につきましては、これはやはり在席せしめないこと。この理由は、きようの証人並びにあすの証人その他につきまして、証人は最も公平に、かつ冷静に、この重大な問題に対しまして証言をせねばなりませんが、威圧を感ずるおそれが多分にあるというふうに考えられますので、さようにおきめ願いたいのであります。委員会の意思として御決定願いたいことと、委員長におきましてこれに対するおはからいを即刻お願い申し上げたい、これが動議の趣旨でありま
  12. 田中彰治

    ○田中委員長 吉田委員の動議に賛成の方の起立を求めます。     〔総員起立〕
  13. 田中彰治

    ○田中委員長 起立総員。吉田委員の動議は可決されました
  14. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いま一つ動議がございます。それは昨日、本委員会に出頭いたしました佐藤検事総長が、職務上の秘密事項として申し立てました事項につきまして証言を求めるために、議院に出頭した証人の宣誓及び証言等に関する法律第五条により、監督庁の承認を必要といたしますので、証人より職務上の秘密の申立てがあつた次の事項の証言につき、監督庁たる法務大臣の承認を求められんことを望みます。承認を求める証言事項は次の通りであります。  一、飯野海運社長俣野健輔氏または山下汽船社長横田愛三郎氏等より、元法務大臣犬養健君、外務大臣岡崎勝男君、運輸大臣石井光次郎君、元国務大臣大野伴睦君、あるいは前自由幹事長佐藤榮作君が金銭を受取つた事実があるか。事実あるとすればその額及び受取つた趣旨はどうか。  二、飯野海運の俣野健輔氏から池田勇人君がギフト・チエツク百万円を受取つた事実はあるか。  三、日立造船社長松原輿三松氏から、参議院議員西郷吉之助君を通じて、池田勇人君に五百万円の金を渡した事実について調査したことはあるか。調査したとしたらその結果はどうなつたか。  四、飯野海運社長俣野健輔氏は、どの程度の金額を、いかなる意思のもとに、佐藤榮作君に渡したと陳述しているか。  五、佐藤榮作氏の逮捕許諾の稟請は、いかなる証拠に基いてこれを行つたか。  六、佐藤榮作氏を逮捕できなかつたことにより、証拠にいかなる変化を来したか。また結局いかなる証拠が集まつたか。  七、昭和二十八年八月ごろ、船主協会において、自由党前幹事長佐藤榮作君からの一千万円の献金の要請の受入れを決議した際の決議文及びこれを各船会社に郵送した書類を押収した事実はあるか。  八、船主協会からの献金のうち一千万円は、昭和二十八年四月の選挙の際の自由党の借金の穴埋めに麻生鉱業株式会社に支払つたという事実があるか。  以上お諮りを願います。
  15. 田中彰治

    ○田中委員長 ただいまの吉田君の動議について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  16. 田中彰治

    ○田中委員長 起立総員。よつて吉田君の動議のごとくに決しました。委員長において所要の手続をとることにいたします。
  17. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 なお、この手続は遅延しますと、今後の調査に非常に影響しますので、すみやかに可否を決して回答するようにおとりはからいのほどをお願い申し上げておきます。
  18. 田中彰治

    ○田中委員長 承知いたしました。  証人のおいでになるまで、私は委員長として一言委員諸君にごあいさつ申し上げます。  本日、田中彰治は、自由党から名誉ある除名を受けたのであります。(拍手)今までも、自由党におりましても、委員長は自由党の党利党略のために働く委員長でありません。国会の委員長でありますから、できる限り公平に決算委員会の運営をやつて来たつもりでありますが、しかしその中にも、ややもすると自分が自由党に籍を置く委員長であるというような感が多少あつたため、私の議事運営については、いささか勇気の足りない点もあつたかもしれません。(「ノーノー」)しかし本日、名誉ある除名を受けた限り、今度は除名などではありません。この田中彰治は命を的にかけて、この決算委員会を運営して行きたいと思います。(拍手)どうか諸君の絶大なる御支援をお願いいたしておきます。
  19. 河野一郎

    ○河野(一)委員 委員諸君の御同意を得まして、私は、ただいま田中委員長よりごあいさつのありました点について、一言申し上げたいと思います。  ただいま田中委員長より、本日、自由党より除名せられたということにについて、ごあいさつを拝聴いたしました。感激至りであります。われわれといたしましては、田中委員長が、国家の重大問題であり、しかも国民諸君が最も聞かんとするところ、知らんとするところ、検察当局をもつてしてもなおかつ十四条の発動によつて曖昧模糊とせられております事件を、この委員会に取上げられて、あくまでも糾明しようとせられる態度は、真に国会の権威を保持するゆえんでありまして、(拍手)もしそれ田中委員長その人を得ませんでしたならば、永久にわが国会の権威は保持することができなかつたと思うのであります。しかも決算委員会は、その職責を委員長によつて初めて完全に履行することができるようになりましたことは、国政運用の上において、貴下の功績は非常に大なるものがあると通常私は尊敬の念やむものがなかつたのであります。ところが不幸にして、自由党の諸君はどこをどうお考え違いになつたのか、今日、町に辻に、田中はよくやる男だと言つて委員長に期待するところのものが非常に大きい、この国民の輿論は要望に反して、田中君の行動を自由党が束縛する、田中君がその束縛に応じないということで、委員をみだりに党利党略に悪用しようとするこの野望が達せられないという理由によつてあなたを除名されたということは、国民にかわつてわれわれは心外千万であります。しかしただいま、ますます勇気百倍、生命をかけて本院の使命達成に邁進するというごあいさつを承つて、われわれといたしましては総員、微力でありますけれども、貴下の意のあるところを体しまして、及ばずながら本委員会の使命達成に御協力申し上げるつもりでありますから、ますます御健闘あらんことを切にお願いいたしまして、一言ごあいさつといたします。(拍手)     ―――――――――――――
  20. 田中彰治

    ○田中委員長 昨日に引続きまして、政府関係機関の収支のうち、造船融資の問題に関する件を議題として審議調査を進めます。  本日は検事正馬場義續君に証人として出頭を求め、本問題に対する証言を求めることにいたします。  まずここに出頭されております証人は、検事正馬場義續君に相違ありませんか。
  21. 馬場義續

    ○馬場証人 はい。
  22. 田中彰治

    ○田中委員長 人違いなきことを認めます。  証人にはあらかじめ文書で通知いたしておきました通り、造船融資に関する件について証言を求めたいと存じますが、証言を求める前にあらかじめ注意を申し上げます。すなわち昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人に宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人馬場義續君朗読〕    宣誓書  良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
  23. 田中彰治

    ○田中委員長 それでは宣誓書に署名捺印してください。     〔証人宣誓書に署名捺印〕
  24. 田中彰治

    ○田中委員長 これより証人に証言を求めますが、順序として委員長からまず概括的に尋問を行い、続いて委員各位から証言を求めることになります。御了承願います。  なお委員各位に申し上げておきます。なるべく相互に尋問事項の重複を避け、簡潔に行い、議事の進行を敏活  にいたされますよう、特にお願いする次第であります。  また証人が証言応答する場合には、その都度必ず委員長の許可を求めること、及び証言はその求められた範囲に限ることになつておりますから、御了承願います。  それでは委員長より証人にお尋ねいたします。本日は委員長はごく簡単に  いたしますから、委員諸君の質疑を十分にやつてください。  証人にお尋ねしますが、造船融資において、この融資内には多額の金額がリベートとして流れ、それが政界、官界に贈収賄されていることは、昨日の検事総長の証言によつて明らかになつておるのであるが、これらは融資本来の趣旨に反するばかりでなく、血税の使途について、かくのごときは許されるべきでない。この不正事件を捜査し、国損の所在を明らかにしつつあつたやさき、突如指揮権発動によつて国民の納得の行かない始末となつてしまつたのでありますが、第一線捜査の陣を監督される証人はそれでよいと思つておられるのか、またその国損はやみからやみに葬られ、濫費したのは、すでにいたし方ないという気持で指揮権に従われたのか、この二点について証人にお尋ねいたします。
  25. 馬場義續

    ○馬場証人 本年の一月からいわゆる造船事件の捜査を開始いたしまして、漸次その真相を究明いたして参りまして、たしか四月十九日であつたと思いますが、佐藤榮作氏の逮捕請求について法務大臣に検事総長から請訓いたされましたところ、これをさしとめられて、いわゆる指揮権の発動によつて、その当時佐藤榮作氏を逮捕できなくなつたということは、私どもの捜査に非常に大きな支障を来したということは事実でございます。検察庁がこの指揮権に服したことについて、いろいろ批判もありますし、御疑問の点もあるように思いますから、今お尋ねの機会に私どもの考え方を御説明申し上げたいと存じます。  あらためて申しますまでもなく、あの指揮権というものは検察庁法第十四条に基くものでございます。憲法の改正に伴つて検察庁法をつくるときから、検察庁を法務大臣の指揮下に置くのがいいか、あるいは裁判所が独立する機会に検察庁も独立するのがいいかという議論は、部内でもいろいろ行われたのであります。検察庁は裁判の前提になるものであるから、これは政府の臨終を脱して別に独立の官庁にすべきであるという議論もありますが、またそういたしますと、その検察の最高責任者が国会に対して責任を負うという形に非常にむずかしい問題が起きて参りますものですから、いろいろ議論の末、現行検察庁法のような形になつて、ただ法務大臣がじかに第一線の検察官に指揮ができるという旧憲法下の裁判所構成法のごとき形ではおもしろくないというので、検事総長だけを指揮できるということによつて一つの担保を得たいということになつております。  ところが今度の問題で、一番世間の人が私どもの心境を誤解されておる点は、あの指揮権発動の理由でございます。指揮権発動の理由は、文句は私今宙に覚えておりませんから多少違うかもしれませんが、こういう趣旨なのです。重要法案の審議に支障を来すから暫時逮捕を待たれたいということであつた、文句は違うかもしれませんが、大体そういう趣旨であつたように思うのであります。それから事件の性格と旧いうのが入つております。事件の性格として防衛関係、教育関係等、国家的軍要法案の審議の推移が国策の基本に重大な影響を及ぼす、こういう文句であつたように私は記憶いたします。  そこで私はこれを事件だけを中心に考えますならば、非常な支障を来すわけであります。ところが一面国策の基本に重大なる影響を及ぼすということはだれが判断するのかという問題になりますと、これはどうしても政府であるということになるわけであります。よく大津事件が引き合いに出されますけれども、大津事件は当時の刑法にない罰で処分しようという事柄でありまして、これは明らかに検事なり判事が自分の職掌としてきちんと判断できることであります。しかし今度は検事個々に意見はありましても、制度といたしましては政府が判断すべき事項によつて指揮をして来る。それを制度上判断する立場にない検事がこれに服しないということは、これは結局検察庁法の精神に反する。だから事件の捜査から申しますと非常に困ることではありますけれども、そういう法制の建前になつておるという観点から考えれば、結局私どもは法規に従つて仕事をしておるのでありますから、これに服しないわけには行くまいという結論に到達いたしまして、あの指揮に従つたわけでございます。
  26. 田中彰治

    ○田中委員長 証人にお尋ねいたしますが、証人の監督者たる小原法務大臣に対して総理大臣から自分の言つたことは少し間違いであつた、そういうことでなかつたのだ、こういうようなことを言われておりますが、テープレコーダーにもあります通り、総理大臣はあれは流言飛語である、しかも検事局はいいかげんにおだてられてあの事件をでつち上げたのだ、証拠などはほんとうにないのだというようなことにまで触れてときどき閣議なんかでも発言されたことがある。そういうのを聞いて来てあなた方が指揮権発動によつて逮捕しなかつた佐藤榮作氏が検察庁ほ無能なんだ、なまいきなやつだというようなことを言つておりますことも出ておりますが、あなたを監督される法相は、それに対して社会に向つて声明書を発表されるわけでもなければ、あなた方検察陣の威信が地に落ちるのに対して何らの擁護もされない、それに対してあなた方が反駁して、大臣に向つて声明書を出してくれとかあるいは総理大臣にそんな口だけのことではいけないから、社会に対して検察陣の信望を守る上においてもこういうことをしてくれというようなことをなさらぬで、そのまま泣寝入りをされておるということは、やはり吉田さんの言わた通り流言飛語なんですか。また社一般人が言う通り、大した証拠もないのにあなた方が名誉心か何かにとらわれて、そうして宣伝のためにあれだけの経費を使つて、あれだけ国家や社会に迷惑をかけて、ああいうことを捜査をなさつたのですか。こういう点についてあなた方は一体ほんとうの気持はどう思われておるのか、ここでひとつ国民もこの声を聞きたいのですから、はつきり忌憚のないことを申し述べていただきたい。
  27. 馬場義續

    ○馬場証人 お尋ねの点でございますが、検察官が流言飛語におどつて捜査をしたという趣旨の新聞記事を見たときは、私どもは実に愕然といたしたのであります。どうしてそういう言葉が出るか、私どもは申すまでもなく、本年の一月から東京地検の全職員が不眠不休で働いております。また各地から応援も求めて捜査をいたし、ただこういう事件にはややもすると片言隻句をとらえられていろいろな非難も受けるから十分注意をして証拠に基いて着実に捜査を進めるようにということを、みんなに話もし、また随時監督をして、私どもは良心に誓つて、この状態ではこうしなければならぬ、これだけの証拠があればこう進んで行かなければならぬということを確信して進んで参つたのであります。そこで検事も職員も非常にシヨツクを受けましたので、検事総長を通じて法務大臣にどうしてああいうことを言われるのか、こどに私は正確なことを存じないので主として新聞記事等によつての知識でございますが、政治資金規正法で逮捕請求をしたというような点は明らかに事実に相違をしておる。だからその辺の真相を明らかにしていただきたいというとこをお願いいたしたところ、検事長会議で総理の意思として言葉が足りなくて自分の――これも文句は正確にはちよつと覚えておりませんが、伝聞でございますから――足りなかつた。それから忠実に職務を執行する検察官を誹謗するような気持ちは毛頭なかつたから、そのことを部内に伝えてもらいたいという趣旨の話があつたということを伝え聞いております。それからそのときに大臣からの話によりますと、総理の発言の内容は、検察官が造言飛語におどつたという内容ではない。ただ指揮権発動についてそういう意味の言葉があるというようなことでありまして、これ以上私どもとしては事実をもつて証明すればおのずから公判でも明らかになりますし、能力がないといわれるのを、私は能力があると言つてみたところで、これは水かけ論の問題で、ほんとうに言われたかどうか知らないけれども、結局事実をもつて証明するということが検察官としては最もよろしい。総理がああいうふうに釈明をされたのでありますから、はなはだ遺憾ではありますけれども、事実をもつてわれわれの精神なり行動を示して行こう、こういうつもりでおります。
  28. 田中彰治

    ○田中委員長 証人にもう一つ最後にお尋ねいたします。法務大臣が検事長会議でそういう釈明をされたのは、証人が人をよく調べる関係上相当深く精密な頭でお考えになるのでしようが、法務大臣がこの委員会に来たときに、まつたく無責任なことを言つておつて、この委員会でさんざんつるし上げられて、ここでさんざんいじめられてから、ようやく検事長会議でああいう言葉を言つたのだが、これは決算委員会でいじめられて、社会が問題にしから総理と話してそういうことを言つたと思われるのか、それとも総理が真心から検察陣を誹謗して悪かつたと言われたのか、あなたが人を調べる立場上それを常識で判断して一体どう思われますか。それともう一つ、この事件を取調べる関係上二人、三人の自殺者を出してております。これは私は重大な問題だと思う。しかしこれに対してあなた方が弾圧したとか、圧迫を加えたということは、私は考えておりません。任意出頭で調べられたのだから……。しかしそれまでの自殺者を出しておりながら、一つの指揮権発動によつて、そうして佐藤君を逮捕しないで全部の事件をやみからやみに葬つてしまつた。こうなりますと、国民が考えるのは、佐藤さん一人の逮捕が大事なのか、何人も出た自殺者の命及びその家族に対して――その命が大事なのか、あるいはその家族に対するあの悲しみが一体大切なのか、どつちが一体大切なんですか、二人、三人死んだその命があなたはとうといと思われるのか、また家族が泣いてああやつておるその人たちを気の毒と思われる心があなたはとうといと思われるのか、それとも佐藤氏一人り逮捕の方が最も大事なのか、佐藤氏の逮捕をやめた方がいいのか、どつちがとうといと思われるのか、責任上あなたはこれについてどう考えておられますか。
  29. 馬場義續

    ○馬場証人 今回の事件にあたりまして、捜査中二人の、一人は被疑者、一人は関係人でございますが、自殺者を出しましたことは、理由のいかんを問わず捜査関係者として非常に遺憾に思い、自殺された方に対してつつしんで哀悼の意を表しておる次第でございます。  それで私の方は非常に驚きまして、ただちに次席検事に命じて、どういうことでそういう結果を生じたかということを詳細取調べいたしましたところ、ただいま委員長からも仰せがありましたが、捜査官としては最善を尽したのでありますが、石川島重工業の宮島氏の場合は、取調べをいたしましたのは四月の三日と五日と七日の三回でございまして、時間も一日は一時間、一日は二時間、一日は五時間というだけで、任意出頭を求めて調べをし、捜査検事の報告によりますと、同氏は非常に幅落な方で、取調べ中も大声で笑つたり、そういうことは全然考えられなかつた、こう申しております。そうして自殺をされましたのは、最後の調べが済んだ日より五日後のことでございまして、これをその当時調査をいたしましたところによりますと、自殺の前日に会社の幹部が、集まられたことがあるそうでございますが、そのときも普通に話をされて、会社の方に伺つても、どうして自殺されたかわからないと言われておるそうでございます。  次に運輸事務官の雛田氏の場合でございますが、これは同氏が三月二十九日に運輸省の建物から飛びおり自殺を遂げられたのでございますが、同氏は当時取調べ中でありました運輸省海軍局の海軍調整部長国安誠一氏の被疑事項について参考人として取調べをいたしたのでございまして、三月二十九日の十二時二十分から五十分までの間、三十分ぐらい検事が調べをしただけでございます。その部屋には別な検事も仕事をしておりまして、これも簡単に事情を聞いて、また調べるつもりで帰つてもらつた、その後雛田氏は係弁護士のところにも寄つておられる事実もあるのでありますが、はからずもその日の夜運輸省の建物から飛びおり自殺をされたので、これも私ども非常に意外に感じておるのであります。検事といたしましてはできるだけかような間違いのないように努力をいたしたのでありますが、かような結果を生じたことについては非常に遺憾に存じております。かような問題が生じておるのに佐藤榮作氏を逮捕しないで、お前たちはいいかという質問のように承りました。捜査の観点から申しますと、あの当時逮捕しないことにつきましては、非常に重大な支障を来すということは前申し上げた通りでございますが、冒頭にも御質問に対してお答え申し上げましたように、指揮権発動の理由が政府の責任を関わるべき理由でありまして、この点について検事がこれを判断するという立場になつたので、これは政府当局にお尋ね願わないと、私の方でこれをいいとか悪いとかいうことはちよつとお答えする立場でないように存じます。
  30. 田中彰治

    ○田中委員長 吉田総理の言葉に対してどう考えておられますか。心からそう言つたと思われるか。この委員会でああいうことが出て非常につるし上げられておることを、社会の手前も悪いからああいうことを言われたと思うがどうですか。
  31. 馬場義續

    ○馬場証人 それは法務大臣と総理大臣の間のことで、私どもの判断はできませんが、法務大臣から間接に承つたところでは、そういう趣旨ではまつたくなかつたからという趣旨のお話があつたというふうに承つております。
  32. 田中彰治

    ○田中委員長 そうすると証人に一つお尋ねいたしますが、今後どんな悪いことをしてもそれが事件になるようになつたり逮捕されるようになつたら、指揮権の発動さえすれば、あなたの方はそれは政府の問題だから、何でも政治家の悪いことはこの機会をよくねらつて、その時分に逮捕されるようにして、うまくさえやつて行けま何でも許してやろうという感じを今でも持つておられますか。
  33. 馬場義續

    ○馬場証人 これは決してさような考えを持つているわけではない。私の方でできるだけのことは極力やるつもりであります。たとえば先ほど大津事件の例にありましたように、全然刑法の明文にない条文で処罰をしようということでは、おそらくどの検事としてもそうですが、これは検事が判断し得る範囲になる、ところがそういう政的上の問題は国会に対して責任を持つている法務大臣が判断すべき事項で、検事がこれに対して個人的には別といたしまして、制度上これを批判する立場にない。もしこれを検事がかつてにやるということになりますと、非常に秩序が乱れるということになる。だからそういう政府に対する弾劾等は国会でおやりになるべきで、制度上はそうなつているのではないか。あの指揮権発動に関するいろいろな評論家のお話、それからいろいろな議論をみましても、どうも制度の本質を御理解にならないで御議論になつておるように私は考えております。
  34. 田中彰治

    ○田中委員長 それでは証人にお尋ねいたしますが、その指揮権の発動というものは一体あつた方がいいと思われたのですか。あなた方が捜査上こういつものがあつたのではいろいろなことに悪影響を及ぼすと思われるのですか、これが一つと、いま一つ、横浜の地検、千葉県の地検あるいは東京の某省内でいろいろな事件をお取調べになつた。その中に約八十名ばかりが政治資金規正法で取調べられ起訴された。ところがこの中には池田勇人君なんかも載つておるのだが、池田勇人君の事件になると、あなた方のところにいろいろな人が現われて夜づりに出て行つたあるいはいろいろなところに行つて、これだけは事件にしたらいけないからというので、非常な捜査に手加減を加えられたという風評が――風評でない。投書を私は持つているのですが、それをごらんに入れてもいい。こういう点についてそういうことを知つておられたかどうか。いま一つ。八十名からある一旦起訴ときまつた政治資金規正法のこの事件に対して、これを不起訴にするために、無罪にするために検事に無理な意見書を書かした。こり意見書たるやちようど尋常三年生が書いたような非常におもしろい意見書がたくさんある。これは問題にならないのだ。こういうことを人が言つているのですが、あなたがそんなことはないと言われるのならば、その意見書と事件の中の捜査の内容は知らしていただかぬでもよろしいから、その意見書を書いて不起訴にする、その意見書の写しを当委員会に提出していただけますか、いただけませんか、もしできなければ証人法でもつてとりますけれども、そういうことをしていただけますか。もう一つ池田勇人君のことで夜づりに相当な実業家、名前はここでは申しませんが、岸本さんもおいでになつたかもしれないし、あるいはあなたも行かれたかもしれないし、検事総長も行かれたかもしれないが、夜づりに行かれたり、打合せていろいろなところに行かれた事実はございませんか。
  35. 馬場義續

    ○馬場証人 たくさんな御質問でお答えを忘れる点があるかもしれませんが、その点はどうぞ。第一点はああいう指揮権があるがいいか、ないがいいかというお話であります。これは検察官だけの立場を考えますならばないにしくはありません。ただ先ほど私が、憲法改正当時に議論がありましたように、検察庁というものは全然国会に対する責任者を置かない、制度として置くことが国政の運営上としていいか悪いかということは私は非常に大きな問題だと思う。今度の場所はいかにも政府が無理をしたような形が見えますので、こういうことはない方がいいこいう議論がすぐ出やすいのでありますが、かりに検事が非常に政治的に動くということがあつたといたします、それが大臣の指揮権に従わずかつてなことをやるということがありましたならば、とうてい国政の円満な運用はできないと思うのであります。現にたとえばシーメンス事件の例を見ましても、シーメンス事件のあとで、結局貴族院が下院よりの予算を否決して内閣が滅びているのであります。前に国会は相当の働きをしておられる、その当否は国会なりあるいは輿論で批判をして行くということになるであろう。私どもはそれは内心は捜査上非常に不満であつても、これは結局制度に従うというより仕方がないというふうに考えております。  それから池田勇人氏の取調べについていろいろの言葉は何というか、もみ消しをしに来たというような事実は全然ありません。夜づりに行つたという話、私初耳でございまして、私に関する限り絶対にございません。それから横浜、千葉その他で人を調べて起訴にきまつたものを不起訴にして出して、その不起訴にするために非常に無理をして、検事に小学三年生でも笑うような理由を書かしたというお話でございますが、さようなことはまつたくございません。またそういう理由を書かした――それは検事は自分の取調べた事件につきましては起訴、不起訴がきまると理由を書きますから、その担当検事が書いた事実はありますけれども、これはそれ相当の理由を書いていると私は心得ております。
  36. 田中彰治

    ○田中委員長 委員長よりの証人に対する点はこれで終ります。  これより委員の発言を許します。河野一郎君。昨日は失礼しましたから、きようはゆつくりやつてください。
  37. 河野一郎

    ○河野(一)委員 私はお尋ねの本旨に入るに先だちまして、一言馬場証人にお尋ねいたしたい点があります。ただいま委員長から検察庁法十四条の発動でありますとか、ないしはまたいわゆる総理の暴言の問題でありますとかいうようなことについての所見をおただしになりましたことについて、証人の心境をお述べになりましたことを承つておりまするけれども、私は非常に心外であります。たとえば昨日の検事総長の証言でも同様でございましたが、私は検事総長なり検事正なりの地位におられる方が、そういうことでよくもよくも職責が勤まるものだと、ただただ私は驚いております。と申しますのは、あれだけの暴言を総理が吐いて、日本の全検事諸君の名誉を蹂躪して、そうして蹂躙せられた検事諸君が、これは国民は一億数千万円の金を、さらに申せば予備費まで出しておやりになつたのですから、われわれはあなた方がどういう金をお使いになろうが、どれだけ経費がかかろうが、議会としてはこれだけの予備費をどんどん使つてやれという心組みであつた。にもかかわらず、十四条の発動でこれは竜頭蛇尾に終つた。さらに追討ちをかけて、あれは流言飛語だ、こう総理大臣が言つた。これで一体日本の検事諸君の名誉というものがありますか。それだけ名誉を蹂躪されて、なおそれを検事総長なり、もしくはあなたが新聞を見ただけでありますからよく事実はわかりませんが、というような怠慢なことで一体済みますか。われわれでも録音を聞いております。大多数の国民は録音を聞いておる。新聞が書いただけではない。当時の録音を聞いて、よくもこういうばかなことを総理は言うものだ、こんなばかなことを言われてよく検事は黙つておるものだ、これで黙つていなければ検事の役は勤まらないのかとみんな笑つておる。それだけ検事諸君が笑われても、あなたは新聞を見ただけでありますからよく実情はわかりませんがと言つて、ここで今のような心境を述べられて、それで一体検事の地位、名誉が保持されるとお考えになるかどうか。そういうことで部下の統率ができますか。資料としてちようだいいたしましたように、非常に多数の人を――私はある検事にも承つた。弁当代もわずかしか出ません、これだけ徹夜で苦労してもわれわれの待遇は非常に悪いのです、ほとんど恵まれない立場に置かれてやつておるのですけれども、それでもほんとうに法の威信を保持するためには、国家の秩序を維持するためには、われわれは初めから検事になつたのでありますから、喜んでやつております、こう言つておられる。そういうふうにして一生懸命にやつておられるものを、今あなたのお話でありますと、解釈は政治家がやればよろしいのだ、政府がやるべきだ、法務大臣がやるべきだ、こう言つておられる。法務大臣が常に神様のような人ならば、その命令を聞かれるのもよろしい。犬養君がどんなにりつぱな法務大臣であつたか、これはあな方が当時十分御承知だろう。何もわからないから、あれを置いておけば一番都合がいいのだと言つておつた。今度かわつた法務大臣はどうだ、小原君はどうだ。廣田内閣の当時の司法大臣になつて、あなた方古い方は彼に馳駆されて、日本全国に人権蹂躪至らざるなし。そして当時は検察フアツシヨと言われて非難された男だ。それがたまたま不幸にして二・二六事件で彼はやめた男なんです。だれがあの小原君を公正な検察当局の先輩と考えておりますか。そういう者がまたぞろ出て来て法務大臣になつておる。そういう者が判断して、それの命令ならば何でも服従しなければならぬ、あなた方はそういう意味で大学を出て検事になつたのか、全国の検事諸君はそういうふうにお考えになつておるのか、そんなことではないと思う。今日全国の検察官や検事諸君、これらの人があるから現在の日本の秩序は維持されておるのだと私は尊敬しておる。最も恵まれない立場にあつて、それでも甘んじて国家民族のために犠牲的精神において敢闘しておられると私は尊敬しておる。それをあなたのように これらの部下の人はそれだけ一生懸命にやつておるものを、検事正たる立場においては今のようなことで済むかもしれぬが、日本人馬場としてそれで済みますか。日本の法律がこれほど蹂躪されて、国費がこれほど濫費されて、かくのごときだらしのない状態に置かれて、これで日本人としてのあなたの良心が許すかどうか。私は断じて許さないと思う。検事総長なり、当時の直接の指揮官たる検事正が部下の努力に対して、こういうよこしまな、でたらめなことをやられたのでは、日本の威信は保てない。検察の威信は保てない。十四条発動がさらに流言飛語とまで発展して、なおかつあなた方は便々としてこれに対してどういう状態であつたのたろう、どういうわけで総理がそういうふうに言つたのだろう、どういうふうにして言つたのだろうということをなぜ究明しないか、これを究明することは当然の責任じやないかと私は思う。一応御所見をただしてみたいと思います。
  38. 馬場義續

    ○馬場証人 法の解釈の問題についての御見は、前の説明で御了承願いたいと思います。  次の首相の暴言に対する考え方でございますが、一線で働いておる検事に対して非常な御激励の言葉を承つてありがたく存じますが、先ほど申しましたように私どもといたしましては法務大臣にその真相をただしてもらいまして、その結果法務大臣が私どもの長官の会議で、首相が誠意を持つてそういう意向を明らかにされたということを言われておりますものを、さらに私どもがそいつはそうじやないと言うだけり材料もございませんし、個人々々の考え方はむろん別として、やはり検察庁といたしましてはこれによつて一応了解する。しかし検事がはたしてそういう流言飛語によつて捜査をしているかいないかということは、相当の人が公判にも付せられておりますし、それらの審理を通じておのずから明らかになる、事実をもつて証明することができる、かように確信いたしております。
  39. 河野一郎

    ○河野(一)委員 私は今あなたのおつしやることに非常な矛盾があると思う。第一点は、公判において明らかになるとおつしやいますけれども、公判に付せられたる問題は九牛の一毛であつて、その主たる部分は十四条の発動によつて大体は消えてしまつておるじやありませんか。あなた方の非常な御労苦は、大部分は十四条の発動によつて佐藤君の逮捕ができなくなつた、これに関連して、ほかとのつり合いもあろう、いろいろなこともございましようが、大部分は消えておるじやありませんか。これ炉公判によつて何が証明されるか。国民はこれはおかしいな、これじや困るじやないかと思つている際に、さらに流言飛語と、こう来た。ただ流言飛語というなら、これは吉田、気違いで済むのです。あれは暑くなつたから気が狂つたのだろうと言つて、世間が吉田を笑うだけで、むきになつて腹を立てる方を笑うかもしれぬと私は思う。そうじやない。その前に十四条の発動によつて押えてしまつて、そしてあなた方がそれに対して何もおつしやらぬものだから、今度は追討ちをかけて来て、それなら一歩前進してやつつけろ、あれは流言飛語だつたのだ、というところまで来る。それだからよくも黙つておられるものだ――しかも今申し上げるように全国の検事諸君は、たとえば先般も改進党の諸君は地方遊説にお出かけになる際に、全部演説会の初めにこの録音をかけて大衆に聞かしておられる。地方の諸君でも聞いておられる。従つて地方におられる検事諸君でもみなこの録音を聞いておられると私は思う。そういう際に、中央におられて直接その指揮監督に当られたあなたが、新聞を見ただけでございますからよくわかりませんとか、ないしはまた法務大臣がこういうふうにおつしやつたからそれでいいと私は思いますとかいうようなことでは――検事諸君個々がそれでいいのだという御解釈は、それは私はとやかく申さぬ。それはそれで満足される人があれば満足してよろしい。しかしいやしくも検事正として――きようはおられませんけれども検事総長として、これらの指揮監督の責任の地位におられる人はそれでは済むまい。そういうことでは前線の検事諸君を公正に指導されることはできないのじやなかろう一か。だからとかく先ほど委員長からあなたに対して御疑問がありましたようなことを世上伝えるのではなかろうかと思う。そういうところに流言飛語が生れて来るのじやなかろうかと思う。やるべきことをあなたは潔癖なくらいにやつていただきませんと、あなたの職責上あなた方が一般国民をお取調べになるような態度で徹底的に究明をして、そしていやしくもあなた方に関係のあることについては絶対に公正だということを国民に信頼せしめなければ、どうして一体検察に対する名誉の維持ができましようか。  私はこれはあらためてあなたに伺いたいのでありますけれども、昨日検事総長はこう言つておられる。最近検察当局に対する威信はやや落ちておる――速記録によりませんから、その言葉は多少違うかもしれません。違つたら訂正いたしますが、それとおぼしい発言をしておる。検察の威信は厳として存しておるという言葉は、信念、は、お漏らしにならなかつた。一体検察の威信がなく、今申すように国民がこれを信頼いたしませんで、あなた方のお職務はお勤まりになるとお考えになりますかどうですか、御所見を承りたい。
  40. 田中彰治

    ○田中委員長 証人に先ほど委員長から申しましたが、あれはただ小さいうわさじやありませんよ。岸本さんとあなたと、保利君と麻生君とこの四人でこの事件をつうつうにしてしまつてもみ消したのだ。こういう評判が操觚界にも一般政治をとつている者にも相当あるのですから、そのうわさを申し上げたのですよ。これは小さい問題じやない。そこらあたりの百軒長屋のおかみさんの井戸ばた会議でやつている問題とは違う。よくあれしておいてください。
  41. 馬場義續

    ○馬場証人 吉田暴言に対する考え方は毎々申し上げた通りで、いろいろそれは御勧告は承りますが、私どもとしてはあの際はあれで一応了承する。そのかわり今後の捜査の執務の態度によつて、ああいう言葉は誤解にすぎない、あるいはためにする言動にすぎないということを事実をもつて証明して行きたいという考えでおります。それから今委員長からお話がありましたようなうわさがありましたら、徹底的にお調べ願いたいと思います。
  42. 河野一郎

    ○河野(一)委員 これはお調べになるのは、あなた方の職務であつて、私たちはここに証人として出て来ていただいて調べなければ、調べる手足もない。調べる職務を持つておられるあなた方だから、そこで私は先ほど来声を大にして、しかもその責任者である、指導者であるあなたにおかれてはもつと厳粛な気持でおつてもらわなければ困る、こう申し上げたのです。所見が違うとか、私は決して間違つたことを言つていないと思う。わが日本国民全体がこう考えていると思う。これに対してあなたは無条件で私の意見に賛成されて、そうして今後全権察当局を指揮する立場におられる人は、身命を賭して威信保持のためにやる、ただちに録音を聞いて、今からでもおそくありませんから、もう一ぺん調べます、やりますというくらいになされば、第一線の検事諸君は満足されると思う。それをなさらずに、あなたが便々としてそういう地位におられるということは、私は妥当でないと思う。私はこの際事件にあまり関係いたさぬことで証言をちようだいしては恐縮でございますけれども、由来わが国の検察当局の中には派閥があつて、それでとかく人事に対して、だれの推薦、かれの推薦というようなことが近時多い。そのために事件がやみからやみになつてみたり、民間との連絡があると言つてみたり、もみ消しがあるというてみたりするうわさが出て来る。これはあなたも思い当る点があるだろうと思う。たとえば今の検事総長はたれの推薦でどういうふうにしてなつたか。佐藤博君が大体なるようにきまつておつたものが、横合いから今の検事総長がなぜぽんとなつたか、どういう推薦でどういう経緯でなつたかというようなことを、さらに順次下の検察首脳部にまでそういうことはわれわれみな知悉するところであります。しかし一旦なられた以上は公正な態度でやつていただけばそれでけつこうなんであります。しかしそれがとかく不公正であつたり、当然なすべきことをなさらなかつたりすると、そこにわれわれとしては意見をさしはさまなければならぬことが起つて来る。でありますから私はあえて申し上げる。決して任命の当時においてどういう経緯にあろうがそういうことは意図されるに足りない。あくまでも厳正、公正な立場でやつていただきたい。吉田総理の暴言があつたら、これに対しては敢然としてその真相を糾明して、全検事のいやしくも士気の沮喪しないように敢闘していただきたい。十四条の発効があつたら、あなた方の法的御解釈はけつこうであります、けつこうであるが、その法的解釈だけでしたならば、日本の国は一体どうなるかということを考えていただきたい。たまたまあなたがその立場にある。そうしてこれだけの国費を使つて、これだけの事件があなた方以外にたれもできないことだ。私たちがやつていいことなら私たちがやる。検事でなければできない、その検事の立場をあなたが持つておられるんだから、持つておられるあなた方がやらなければほかの八千万国民にはこれができない。であるから申し上げる。であるかりあなた方は日本国民の一人としてこういう乱暴なことを――あなたが先ほど十四条はどういうわけでつくつたか、こんなでたらめなときにあるはずとはなかつた、たとえば、検察当局が行き過ぎがあつたり、もしくは議会に対する責任をとたりするために、いいところだけ考えて十四条はつくつたんだ。それをたまたま悪用する男ができて来た。できて来たときには、どうしてその正当防衛をなさらぬのか。法律にも正当防衛というものはあるだろうと思う。あなた方の中にはただ一人この悪用した者に対して、これを正当に国家の威信を保持するために立ち上る検事はいないのかどうか。ただどういう乱暴者が出て来ても、どういうむちや者が出て来ても、フアツシヨ的な性格の男が出て来ても、言われれば何でも日本の検事は十四条の発動によつて法律の解釈でしかたがないのだといつて、言われるままに将来動かれるのかどうか。それではわれわれは不満にたえません。そういうことをされたのでは心配にたえません。これがしかも占領中ならやむを得ません。そうでないじやございませんか。占領中にはずいぶんあなた方も乱暴なすつた、ずいぶんむちやをなすつた、しかし占領中にはしかたがない。しかし今日これから立ち上ろうというこの際にこういうことでどうなさいますか。あなた方が公正でなくしてどうして日本の国民が遵法の精神が起つて来ます。遵法の精神は一体どこから起つて来るか。検事が真に殉国的な精神によつて活躍され、公正な立場でもつて検事が法を運用されるというところに日本国民の遵法精神が起つて来るのじやないでしようか。それをただ吉田がこう言つたあとの解釈はそちらまかせだというようなことで、何のためにあなた方はしておられるのだと私は考えたい。そこに非常に不満を持つております。なぜ一体検事総長でも馬場検事正でも職を賭して、そうしてこれでは間違いた、これでは日本の遵法の思想は保持できない、と立上つていただけなかつたのだということが、私のほんとうに残念なことだ。この吉田の暴力に対して一人も検事諸君の中に立ち上る者がなかつたか。これでは日本の検察の威信は保てぬじやないか。これでは遵法の精神は日本国民に保持はできないじやないか。こういう吉田のやることは乱暴だということで、なぜ一人も検事諸君の中から立ち上る人がなかつたのだ。これさえあれば初めてそこに八千万国民が立ち上る。それをあなた方がまるで進駐軍の命令のように黙つておられるから、国民は一体何だかわからない。わからないからそのまま黙つている。はなはだ心外なんですが、あなたはこれだけ申し上げてもなおかつ先ほど来の御意見にかわりありませんか。全国の検事諸君に聞いていただく意味合いにおいて、あなたの所見をここで明確にお聞かせ願いたいと思うのであります、いかがでしようか。
  43. 馬場義續

    ○馬場証人 先ほど来申し上げましたように、検察庁法十四条の場合におきまして、今回の十四条であの指示をした理由として掲げられておりますことは、重要法案の審議その他国策の基本に関することに支障を来すから云々という点であります。これが先ほども申しましたように、私どもは制度上解釈してちやんとやる、たとえば法規にない法規で処罰しろとか、あるいは証拠がりつぱにそろつているのにそれは証拠がないからやめろとかいう場合は、ちようど今河野委員がおつしやつた場合に該当すると思いますが、そういう政治上の問題について制度上法務大臣が指揮する立場にあるものを、それは違うということは検察官としては申すべきことではない、かように考えてやむを得ずそれに服したというのが心境でございます。
  44. 河野一郎

    ○河野(一)委員 あまりこの問題は長くなりませんから、いま一言最後に申し上げる。私は今の馬場証人の御意見御発言がそれで日本の全検察官がよろしいのだということになりますと、ほんとうに心外にたえません。今申されるように検事の職にある以上はその命令に服さなければならぬということは私も了承いたします。しかしそういうことでは、たとえば東条氏のような人が出て来てああいう乱暴をしても、これも合法的にやつたのであります、それを合法的にやることは阻止できない、あたりまえだということであればどこまでも行つてしまう場合があります。そういうときにお互い日本人の立場において、たとえばあなたはあなたの立場、検事としての立場であると同時に日本人としての立場におられる、しかも有力な検事正という立場をとつておられる人、社会的信頼性を持つておられる馬場さんがその信頼性においてこの吉田のやり方は個人馬場として間違いだ、もし国家のためにこれはぜひ必要ならば検事正の職を賭してでも国を守る上においては自分は意見を述べて全国民の批判を仰ぐのだ、あなたは先ほどシーメンス事件の例を引いて、当時貴族院がやつたのだ。それは今の衆参両院でやりになるべきであつて、私たちにとやかく言われることは間違いであるかのごとき御意見でありましたが、私たちでやるのであります。しかし私たちは私たちでやるからそれでいいということではない、八千万国民めいめいが守らなければいかぬことだと思うのであります。みんなで国をよくするために努力しなければいかぬことであつて、そうしてこれが検事正の立場にあり、検事総長の立場にあればあるほどその責任の重大性を感ずることが個人の馬場として必要じやなかろうかと思うのであります。今あなたのおつしやつたように、これで日本の検事は当然なんだ、これでいいのだということを上の人が言われるならば、下の人が何と思われるでしよう。私は遵法の精神というものもそこから発するのじやなかろうか、これを乱暴する男があつて、十四条を悪用して、濫用して、そうしてこういうことをやつてしまつた。やられた以上はしかたがないのだということで一体どうなりますか、だれかにこれは間違いだと言つていただかなければ、日夜粒々辛苦した人が、将来一体あなた方の言うことをまた十四条でやられてしまうのだ、こんな政治問題を扱つたつてしかたがないのだ、ばかがこんなものをやるのだ、つまらぬから適当にしておけというようなことにならぬと保証ができますか。どうせこれは政府に関係のあることだ、やつて行けば大臣が出て来るのだ、どうせまた十四条が出る。今大臣を傷つけては重要な国策遂行の上において支障があるからしばらくこれを待つというのは前例でありますから、しかも検事諸君全部同意なすつた。しかも今ここでしかたがないということでありますから、将来どの内閣でもこういうことをやられる。議会中であつたから幹事長に対してこういうことを言つた、政党の幹部、大臣というようなものならばいつでもできる。この十四条の発動は……。しかもこれはおかしくないということになつたならば、それで将来あなた方が検察運営の上において支障はありませんか、どうでありますか。一般国民大衆に対してあなた方が接せられる上において何らの支障はありませんか、どうでありますか、ということについて最後に御所見を承つて、私は自分の質問に移ります。もう一ぺん所見を承りたいと思います。
  45. 馬場義續

    ○馬場証人 何度も繰返すようでございますが、先ほど検察庁法制定当時の事情も御説明申し上げましたように、そういう制度になつておる。その制度のもとに動く検察官といたしましては、検察官の判断する以外のことについてこれが間違つているとか、間違つていないとかということを言うべき立場にない。だからそれは捜査本来の立場から申しますと非常に支障を来しますけれども、あの理由で来られた場合に、法務大臣が国会に対して責任を持つておられるという立場から見ますならば、検察官としてはやむを得ない、かように考えております。
  46. 河野一郎

    ○河野(一)委員 くどいようでありますが、法務大臣が議会に対して責任を負つておる、その法務大臣は命令を出して即日引責辞職してしまつた。一体これはどうなりますか。犬養君はあなた方の御承知の通り命令を出して即日辞職してしまつた。そうすると、一体どうなりますか。そこにもあなた方としては、犬養君さえ、命令を出した御本人さえ、まあ腹が痛かつたか、頭が痛かつたか知らぬが、それはいろいろ理由は書いてありましようが、だれが考えてもあの命令を出して、犬養君は不本意であるということでやめてしまつた。今のあなたのお話でありますと、将来とても十四条がのる以上ははこういう命令が出ればしかたがないのだということでありますと 私が言うようにこれは非常に重大な問題になる。あなた方が再びこういうことがあつてはならない、全検事は非常にこれに対してはかたい決意を持つておりますということで、過ぎたことはしかたがないが、今後再びこういうことがあつては断じてなりません、それでは検事の職責は勤まりませんという御決意であるならばいざ知らず、そうでなしに、解釈は政治家のやることだ、内閣のやることだ、内閣がそういう解釈で法務大臣が議会に責任を負う、そういうものを出して来る以上は検事は命令通りにやればよろしいのだということになりますと、これは日雇い人か何かが命令を受けて働くならよろしいかもしらぬ。しかしあなた方も国民の公僕として国家の重要な職責の一端をになつておられる検察局の首脳部として、ただいまのような御発言では将来に非常に悪影響があると思いますが、重ねてこれはだめ押しをして、もしその通りでよろしいのだということならばよろしゆうございますけれども、一応馬場さんのお考えを承つておきたいと思います。
  47. 馬場義續

    ○馬場証人 私の考えは今まで申し上げた通りであります。
  48. 田中彰治

    ○田中委員長 証人、それはあなたは法律において縛られておりますけれども、これは法律とは違いますよ。私もやはり自由党の党則において縛られてておる。やつぱり党則に従つてやりますと出世もしますしね、いい役にもつきますし、また金などない場合も金もいただけますし、これはいいんですよ、かわいがられるから。しかしこういうものを調べるときに、やはり党則に従つてやれない場合もある。正しく国民の要望にこたえるという場合には、そうした党則に従わないでやると、やはり私のきようのような除名になる。あなたもそれに従わないで検事のためにがんばられる、あなたは辞職させられたたけで済むのですが――あなたはまだ身分の保障をされています。そうかつてにやめさせられません。そういう点をとられるような考えはないのですか。やはりおれは勤めてるから、何を言つても上の者の言うようにしてやつて行くのだというお気持なんですか、それをひとつ国民に言つてください。
  49. 馬場義續

    ○馬場証人 これは制度の問題で、その点は少し誤解があるように思うのであります。先ほども申しましたように、それは私どもは制度のもとにその法規に従つて仕事をしておるものですから、そういう結果になつた、こう申し上げております。
  50. 河野一郎

    ○河野(一)委員 次に承りますが、最初に私は御承知の通り法学者ではございませんから、法律の解釈等はよくわかりませんけれども、あなた方も大分御研究になつたようでありますけれども、証人としてここに出頭されて証言を拒否される場合は、この五条に規定してあります。これは御承知の通り。この拒否される場合というのは、裁判所で証言を拒否されることと違いがあるでしようか、ないでしようか。私は、ここへ来てあなたが証言を拒否することのできることは、先ほど委員長が宣誓せられるときに読み上げられたようなことの場合には、宣誓の必要はない、そうでない場合にはこの五条にあることだけがあなた方の証人として適用されることなのであつて、その他のことについてはそうじやないのだ、すなわちあなた方が上司の命令、許可がなければ証言ができないということは、ここにありまするように国家に重大なる損害を及ぼす場合、この場合以外には証言拒否はできないのだという解釈をとりますが、いかがでございましようか。これは証人にお尋ねするのは、あなたは法律の専門家だからひとつ承つてみたいと思います。
  51. 馬場義續

    ○馬場証人 私どもは公務員として公務員法の百条で職務上の秘密を守る義務を課せられます。それからさらに、これは結局その内容にはなると思いますけれども、刑事訴訟法の規定によつて捜査上の秘密を守るという義務を課せられています。一面国政調査についてはできるだけ協力しなければならぬという立場である、これも間違いない。ただその調和点をどこに置くかということは私は問題があるのだと思います。それを業務上の秘密であるということを申し立てた場合には、委員会から私どもの監督官に対して許可を求められて、そうしてそれによつて私どもが答弁する。その許可を求めるとき、今申しました国家の利益に重大な云々でなく、おそらく許可を求められれば、許すか許さぬかを法務大臣がきめるだろうと思います。法務大臣がきめる場合におそらく疏明をする、その疏明を委員会が御承認にならない場合に初めて内閣の声明という問題になつて来る。今河野委員がおつしやいましたように、国家の重大な利益に影響を及ぼすかいなかという問題はまだその後のことで、ここで職務上の秘密を私どもが無断で漏らせばその責任を負わなければならぬその立場になつている、かように解釈しております。
  52. 河野一郎

    ○河野(一)委員 今のあなたのお話はよくわかります。しかし結論は、ここに書いてありますように、目的は、国家に重大な損害を及ぼす場合以外のことは手続をとれば、全部ここに国政調査のために寄与されることになるということは、これを読めば常識的にそうなるのでございますが、ただいまあなたのおつしやるような手続をとらなければ困るということであると思いますが、いかがでございますか。
  53. 馬場義續

    ○馬場証人 私もさように解釈しております。
  54. 河野一郎

    ○河野(一)委員 そういたしますと、たとえば今ここで申し上げますれば、昨日の検事総長のお話によりますと――あなた方はだんだんお打合せの結果出ていらしたと思います。これは当然のことであります。ところが、あなたは先ほどの委員長の質問に対して、某々君は何回検事の取調べを受けて、そうして自殺をされたということをお話になつた。ところがきのうの検事総長は、だれが取調べを受けたということもこれは話ができないということをおつしやつた。これは決して責めるのじやありませんが、そういう打合せは一体どういうことになつておるのか。私がここで長いことしやべつても、それは申し上げられません、これではむだなことになりますから、大体どの程度のことは手続をおとりにならなければ申し上げられませんと承つた方がはつきりすると思うのです。だから逆にはなはだ恐縮でございますが、あなた方も十分お打合せをなすつたことでございましようから、こういうことについての御質問については手続をおとりにならなければ申し上げられない、こういうこともできないということを承りまして、その承つたところの、承ることのできる範囲内において質問を続けて行きたいと思います。その他は正式に手続をとることに先ほどここで決議になつておりますので、いずれ委員長からその手続をとると思いますから、どうかその辺をごめんどうでもお漏らし願いたいと思います。
  55. 馬場義續

    ○馬場証人 私どもの公務員としての職務上の秘密を守る義務と、それからこの委員会において正式の証人として申し上げるこの調和点をどこに置くかということは、非常にむずかしい問題でございます。これは正式に厳格に申しますならば、初めから職務上の秘密は全部許可がなければ言えない。しかしそれでは証人に出て来る意味がございませんから、どの程度までは職務上の秘密でも言えるだろうかということはいろいろ研究いたしました。そこでまず第一は、刑事訴訟法の四十七条に、公判開廷前には――これは書類の問題でございますが、書類を出してはいけないという規定があります。あれは書類の問題でございますが、やはり一つの解釈の基本になる精神だろう。それから刑訴の何条でございましたか、取調べにつきまして被疑者関係人の名誉をそこなわないようにしなければならぬというのも一つのやはり根拠になるそれから先ほどの刑訴四十七条の規定の精神は、今度の新しい刑事訴訟法では起訴状一本主義と申しまして、証拠書類は公判廷で初めて出す、裁判官に予断を抱かせないという建前になつておるのであります。でありますから、本来ならば捜査中の事件が新聞紙に報道されることもあまり望ましくないわけであります。これは英米法ではその点はある程度押えられているように承つております。それからもう  一つは、参考人等でも、これは日本人、東洋人の一つの性格でございましようが、なかなか人の不利益になることは言いたくないという気持を持つていることは、これは争えない。でありますから、日本では英米方式の法律が、なかつたから発達しなかつたかと思いますが、ドイツ方式だからそうなつたのかもしれませんが、英米法ではもう進んで述べる、同時にもう一つは、宣誓が宗教的な裏づけがありまして、それでやるという点があるので、捜査上相当便宜を得ておりますが、わが国の捜査の実際上では、関係人に述べてもらうという点につきましては検事は非常に苦心をするわけでございます。だからできるだけ秘匿して、その人の迷惑にならないようにという努力を私どもは払つて仕事をして来ておるわけであります。そういう観点から申しまして、ここで私どもが申し述べる限度を逸脱いたしますと、将来の検察権の運営に支障を来すということも、やはりこの職務上の秘密、議院における証人として証言をする限度の判断をする一つの基準になると思います。そこで結局は、その問題は法務の最高責任者である法務大臣が裁断をするということになる、基本的には大体そういう考えを持つております。
  56. 河野一郎

    ○河野(一)委員 今あなたのお話ですと、証人としておいでを願つたその事件の内容については、ほとんど法務大臣の許可を得ないと承れないということになると私は思います。そういうことですと、だんだん承つたところで、結局正式な手続をとつた上で承つた方がよろしいということになるように思うのでありますけれども、私はあまり時間が長くなりますから、いずれ正式の手続きをとつた上で承ることにしまして、ただ一点承つておきたいと思う。大体こういうことを申し上げてはどうかと思いますが、検事正の職にあられる人は、こういう事件が第一線の検事諸君によつて察知せられたときに、この事件は一体どういうものだろう、長年の御経験から大体どういうふうに発展して行くだろうか、どの辺にどうなるであろうという第六感的な感覚を十分に持つておらなければならぬ。そうしてその見当を――私は決してこれを証拠によらずしてむやみにああやれ、こうやれというのではありませんが、初めから膳立てをきめるにしても、どの程度の予算をとつてやるにしても、予算を使うにいたしましても、たとえばやつたところでたいしたことはなかろう、調べたところで流言飛語であろうというような場合には、あまりそれに踊らされてやらないということになる。私はこんなことを申し上げては恐縮でございますけれども、あなたの先輩の検事正をなすつた人の中にも東京の検事正をやつて大きな事件にぶつつかつて、その事件をうまく仕上げたならばこれは大臣街道だ、この事件を、見当を間違えて失敗すればまずそれで地方まわりたというのが従来のわれわれ門外漢のまあ茶であつたのであります。ところが今回の事件のごとくに、十四条の発動によつて事件に重大なる支障を来したかもしれませんけれども、まあ来したとおつしやるから、来したのかもしれませんでしようけれども、これだけの国費を使い、これだけ多数の人に迷惑をかけ、しかも国民に何らの納得感を与えずに――この検察第一線当局の努力の結果は、何を国家国民にもたらしたかと申しますれば、費用を使つてしまつた、十四条の悪用というものが残つた、そのあとには法に対する国民の信頼感を失つたということ以外には何ものでもないと私は思うのであります。その責任非常に重大なものがあると思うのであります。これはもちろんあなただけに申し上げるのではありません。ありませんが、この私の今申し上げましたことについて、それはおれの責任じやないのだ、国費を一億何千万円使い、数百人の人を長期にわたつて非常に御協力を願つたといい、しかも国民をして今日のごとくに司法に対する、検察当局に対する威信を失遂せしめた――これは検事総長が言うのですからその通りでしよう。それらのことはこれはこういうこと、こういうことのためだつたということの弁明があるならばここで率直にあなたの弁明を承つてみたいと思います。いかがでございますか。
  57. 馬場義續

    ○馬場証人 今回の事件は昨年の秋ごろ森脇氏から猪股功氏外一名を告訴した事件を河井検事が取調べをして、詐欺罪をもつて起訴いたしました。その捜査中に山下汽船の手形が不当に貸しつけられておるというような疑いを生じまして、猪股、志賀の両氏を拘束して取調べ中でありますために、一日も早くやはり取調べをいたさなければならないというので、年末に山下汽船の重役を逮捕しようかどうかという問題が起きたのでございます。ところがちようど保全経済会が業務を停止し、日本殖産金庫も業務を停止して、経済界に非常な不安のあるときでありまして、年末に大会社の幹部を検挙するというようなことになりますと、それが端緒で経済界に非常に大きな変動を起すということがあつては困るので、やむを得ず年を越そう、そのかわりに手を越したならばなるべく早く捜査をしようというので、一月七日に検挙に着手いたしたのであります。その家宅捜索をいたしました結果、山下汽船の重役のところからある程度の物的証拠が出て参りまして、それによつて海運会社が造船会社からリベートをとつておるという疑いが起きましたので、このリベートの行方はどこに行つておるかということを追求する必要を感じまして、それで捜査を始めたのであります。私ども最初考えて参りましたことは、いわゆる商法の特別背任罪の成立が認められるかどうかという面から捜査を進めて参りまして、そのリベートの行方がどこにあるかということによつて、特別背任罪になるかならないかという捜査に入つて行つたのであります。決して初めから佐藤榮作氏に行くとかあるいはその他の政界人に行くということが予想されて捜査を進めたのではなくて、一歩々々証拠に基いて捜査を進めて行つた結果、あの段階になつて指揮権の発動によつてこの事件の捜査は非常なさしさわりを生じたわけで、私どもとしてはその過程においては法の許す範囲において最善の努力をして捜査を進めて来たので、それではまるでお前たちの仕事は最後の段階でだめになつておるから役に立たぬと批判されれば、これまたそれでいたし方ないのでありますが、私どもは法の命ずるところに従つて最善の努力をして来た。ところが制度上先ほどのような関係で、あの段階に至つて挫折を来上たということは、はなはだ遺憾ではございますが、これは法規に従つて仕事をして行く私どもとしては、どうもやむを得ないという結論に到達したわけでございます。
  58. 河野一郎

    ○河野(一)委員 今のお話ですと、結局金はたくさん使つて、結論がそういうふうに非常に悪結果になつてもそれはしかたがないのだ。これはしかたがないといえばしかたがないでしよう。決して不正でもなければ不当でもない。われわれ決算委員会から見ますれば、妥当に金が使われたということになるのでございますからいいでございましようが、それでは国家のために働いいておられるあなた方として、官吏諸君みなが、そういう立場でやるだけのことをやつたんだが、こうなつたんたからしかたがない、しかたがないということで、何ら有効にそれの資金、給費が使われないということでありますと、はなはだ心外だと思うのであります。たとえばこういうふうに結果がまつたく国民の期待に反するし、国民の信頼を失うようなことになる。もしこのことがなかりせば、今日刑務所でもそのために非常に広げたとか、検事諸君の手ももつとほかの方に使えたというようなことで、やらなければならぬこともたくさんあつたと思う。十二分の手があつておやりになつたことではないようであります。でありますから、それらについて十分にお考えを願わなければならぬと思いますけれども、さらにもう一点伺いたいと思います。  それは記憶が違いましたら御訂正を願いますが、有田二郎君の逮捕をなさいましたときに、その再勾留の手続をあなた方がなさいました。それを裁判所が許可なさなかつた。これはもちろん私は法律はよくわかりませんが、裁判所は裁判所で、裁判所の見解で、これを許可しなければしないのがあたりまえなのだ、それでしかたがないのだということございましようけれども、この裁判所の許可をしなかつたことについても、われわれ当時院内の話の種としましては、変な判事が出て来てちよつとやつた、故意にやつたというようなうわさまでございまして、これは法務委員会でひとつ聞いてみようじやないかということで問題になつたこともあるのであります。あなた方は当時有田君の再逮捕ができなかつたということのために、取調べに迷惑をされたかどうかということについての御所見をひとつこの際承りたいと思います。
  59. 馬場義續

    ○馬場証人 私記憶に基いて申し上げるので、あるいは間違つておる部分があるかと思いますが、あれは再逮捕ではなくて、勾留の延長ということだつたように記憶しております。その延長を裁判所がなさらなかつたということだつたと思います。もとより私どもは延長の必要があるから延長を請求したのでありますが、これも私の記憶でありますが、あれは多分国会で期限がつけられたというような事情が裁判所に反映して、却下したのではないか、これは私の想像にすぎませんが、そういうふうに考えております。私どもとしては延長を求めたのであります。その延長は必要があつて求めたので、これは延長を許されなかつたことについての捜査の支障はもちろん来したと思います。
  60. 河野一郎

    ○河野(一)委員 もう一度伺います。それは今あなたがおつしやつた通りでありまして、当時新聞の伝うるところによりますれば、国会は期限をつけたけれども、その期限をつけるということについての解釈はいろいろある。であるから検察当局としては勾留延期の手続をとるのだということてあつたように私は記憶いたします。そこで勾留延期の手続をとろうとしたところが、裁判所はこれが期限つきであるから期限の方に重きを置いたのかどうか知りません。知りませんが、そういうことによつて、何にしても有田君は釈放されたということになりましたが、これは今度の十四条発動と同様に、こういうことがなかつたならば、さらに取調べはいろいろあつたのだ。それがそういうことになつたために、十四条の発動と同様に、所期の目的を達することができないようになつたのか、どうなのかということについて、この際御証言を願いたい。
  61. 馬場義續

    ○馬場証人 今申し上げましたように、詳しいことは今記憶にございませんが、あの当時勾留の延長をして、さらに捜査を進める必要があつたのでございますから、それを却下されて支障を来したということはあつたと思います。
  62. 河野一郎

    ○河野(一)委員 一体従来検察当局と裁判所の間にそういうような前例がしばしばあつたものですかどうですか。ほかの一般国民の場合にはそういうことはない、検察当局が勾留延期をしようという場合には、大体はその事情をあなた方が述べられてやる場合にはそういうことになるのだ、ところがこれは例外中の例外だというようなことなのかどうなのか。これだけ承りまして、時間が長くなりますから打切ります。
  63. 馬場義續

    ○馬場証人 例外中の例外というほどではないと思います。やはり裁判所と検察庁が見解を異にして却下をする場合があると思います。
  64. 田中彰治

    ○田中委員長 河野金昇君。
  65. 河野金昇

    ○河野(金)委員 証人にお尋ねいたしますが、あなたの出身の県、あなたの卒業された学校の名前、これは高等学校と大学と両方おつしやつていただきたいと存じます。
  66. 馬場義續

    ○馬場証人 私は福岡県の出身でございます、高等学校は熊本の第五高等学校、大学は東京大学であります、
  67. 河野金昇

    ○河野(金)委員 熊本の五高の同期生あるいはその前後の卒業生で、政界に活躍しておられる人は、どういうような人々でありますか。
  68. 馬場義續

    ○馬場証人 私の同窓では改進党の舘林三喜男君が同窓であります。それから一期下には吉武惠市氏、大久保武雄氏あたりがおられます。それから一期上には代議士がおつたかどうかわかりませんが、その上には池田勇人氏、松岡平市氏、あのへんが私どもの二期上の人だというふうに心得ております。
  69. 河野金昇

    ○河野(金)委員 佐藤榮作君はやはり五高のように承つていますが、あなたの上ですか下ですか。
  70. 馬場義續

    ○馬場証人 佐藤榮作氏は私どもが高等学校を出る前の人ではないかと思います。名前は聞いておりますが、存じません。     〔委員長退席、杉村委員長代理着席〕
  71. 河野金昇

    ○河野(金)委員 あなたが今年になつてから五高の同窓会とか何かで今おつしやつたような人々とお会いになつたことはもちろんあると思いますが、佐藤氏、池田氏、こういうような人々と今年になつてから、もちろんこれは学校の関係でございましようけれども、お会いになつたことがありますか、全然ないのですか。
  72. 馬場義續

    ○馬場証人 全然ございません。
  73. 河野金昇

    ○河野(金)委員 この今私たちが問題にしております造船疑獄事件というのは、先ほど証人が述べられたように、森脇將光氏の告訴によつてそれが派生的にこういうように来たものだと思います。おそらく監督者であるところのあなたも、河井検事が最初このやみ金融事件を取上げたとき、財界、官界、政界にこんなに大きな影響を及ぼす事件になるとは予想されなかつたと思うのであります。しかしながらあなたの下の若い検事諸君が正義感に燃えて徹底的にやつて行かれて、次々と政界、官界、財界の大物が出て来る。むしろ私はその事の意外さにあなたや検事総長は驚かれて、このとりまとめはどうするかということに御苦心をなさつたことだろうと思います。先ほど来申し述べておりますように、幸いにも指揮権の発動があつて、大物の逮捕が免れて、そして小物だけをこれから公判に付して、それで結末まで行けるというこの事態になつて、むしろほつとしておられるのではなかろうかと思うのでありますが、御心境を承ります。
  74. 馬場義續

    ○馬場証人 前段の最初にはこういうことは予想していなかつたろうとおつしやる点は、その通りです。後段はいささか違います。もとよりああいう事件が出て参りますならば、これをどういうふうに間違いのないようにまとめて行くかということについては十分考慮も払いますし、苦心もいたしますが、これが出たから驚くというような心境ではまつたくございません。
  75. 河野金昇

    ○河野(金)委員 数年前に、まだ現在公判中の問題でもありまするが、昭電事件というのがやはりあなたの地検で取上げられたのであります。そして大野伴睦君は無罪になられ、芦田均君以下も無罪になられたけれども、検事控訴か何かで今まだ続いておることと存じます。あの昭電事件をお取上げになつたことによつて芦田内閣はつぷれております。ちようどあの事件が起きた直後だと思います。芦田内閣が総辞職をして吉田内閣ができ、吉田総理が法務総裁と申しましたか、兼任をしておられたと存じます。ある人が芦田氏のところへ来て、衆議院議員をやめればこのままにしてやる、こういう話があつたのであります。同時に吉田総理はあなた方を集めて、検察陣の健在は一内閣の生命よりも重大であるという訓辞をしておられます。これに勢いづいておやりになつた――それに勢いづかれたかどうか知らぬが、とにかく昭電事件に大した中身がないにもかかわらずおやりになつて、内閣はつぶし、当時の一政党はそのために国民の信用を失つたのであります。今回のこの事件はだれ言うとなく、この造船疑獄事件の山は佐藤榮作君、池田勇人君であると言つておつたにかかわらず、とうとう指揮権発動によつてだめになつてしまつて、結局あなた方が、これから公判でおれたちの正しいことを示すと先ほどおつしやつたけれども、それは大物は免れて小物ばかりということになつたが、しかしそれによつても、世間を騒がせただけでも、政党政治家の国民からの信用は失墜してしまつたのであります。政党たよるに足らず、政治家たよるに足らず、こういう気持が天下に充満しております。しかしその泥沼の中からどうして政党が、またわれわれ政治家が立ち上つて行くかということは、われわれ自身が解決する問題ではありますが、こういう大物でもやるぞということによつて、政党はだめになつたが検察陣は国民の信用を博しておつた。しかるに指揮権発動という便利なものが出て、大物が免れたことによつて、結局検察当局といえども権力の前にはだめだ、もはや政党たよるに足らず、検察陣たよるに足らず、こういう気分が私は国内に充満して来ておると思います。それはあなた方は検察庁の中に閉じこもつておられるだけで、国民の気持はわからないかもれませんけれども、私はこれは天下に充満しておると思う。こういう気分が天下に充満しておるということは、結局今度のあなた方の取扱いによつて、政党も政治家も検察陣もたよるに足らずということになれば、もはやしようがないじやないかというので、左右両翼の勢力をふやす、むしろ左翼の温床となりつつあると私は思うのでありますぶ、こういう傾向に対して先ほど来同僚河野一郎君が誠意をこめて日本の法秩序のために、日本の治安秩序のために説いておるにもかかわらず、あなたはただ法のわく内でやつておるだけだと言われる。あなたがそのわくに閉じこもつておられることによつて日本に革命の機運が醸成されるとしたならば、実はあなた方がその革命を醸成させつつある、こういうことになると思うけれども、あなたはどうお考えになりますか。
  76. 馬場義續

    ○馬場証人 昭和電工事件のときに芦田氏に衆議院議員をやめれば公訴を提起しないというような話をしたということは全然存じません。それから吉田総理が法務総裁を兼任して、訓辞をされたという点は、さような事実はあつたと思います。ただその訓辞の内容は、おそらく激励されたのでございましようが、どういう内容であつたかよく存じません。
  77. 河野金昇

    ○河野(金)委員 芦田氏を取調べた当時の検事はわかることであろうと思います。それは多分あなたでなかつたかと思うのでありまするが、間違つておれば訂正を願いますが、そういうことが伝えられた。芦田氏本人からも聞いておるのでありますが、それは占領下とは言いながら、私は検事が法に基いてやることはいいけれども、そういう議員をやめたならば手加減をするがごとき暗示を与えるがごときことは、私は職務を逸脱したものだと思うのであります。多分あなたであつたと思うが、あなたじやなかつたのですか。
  78. 馬場義續

    ○馬場証人 私ではございません。
  79. 河野金昇

    ○河野(金)委員 古いことでありますから、だれであつたか今思い出せないだろうと思いますが、思い出せますか。
  80. 馬場義續

    ○馬場証人 最初に調べましたのは当時の検事正であると思います。
  81. 河野金昇

    ○河野(金)委員 主任検事はだれでしたか。
  82. 馬場義續

    ○馬場証人 あの事件の主任検事は、全体の統轄は私がいたしておりました。
  83. 河野金昇

    ○河野(金)委員 あなたが統轄しておられたとするならば、その当時調べられた検事にお聞きになつて、われわれどうせきよう一日であなたをお帰ししようとは思つておりませんから、次の機会に答弁されることを要求しておきます。  去年の四月、吉田総理がばかやろうというつまらない言葉を発して解散という暴挙に出たのでありますが、これは与野党とも予期しなかつたのであります。従つて政府並びに与党の自由党も急に選挙の金が集まらなくて、とりあえず麻生鉱業から立てかえた。選挙後、麻生君が幹事長の佐藤君に早くあの金を返せ返せと催促した。そこで彼が船会社等から集めた金をそこに入れたと伝わつておるのでありまするが、お取調べになつて、そういうような事実は全然なかつたですか。どうせ内容は秘密だから言えぬとおつしやるかもしれぬが、全然なかつたですか。あつたかなかつたかということたけをお聞きしたいと思います。
  84. 馬場義續

    ○馬場証人 昨年の三月の選挙の際の金の問題につきまして、政治資金規正法違反で佐藤榮作氏を起訴しておりますが、その公判の過程において、事実があればおのずから明らかになると思います。
  85. 河野金昇

    ○河野(金)委員 あなたのところが佐藤榮作君を逮捕しようとした理由は、きのうの佐藤検事総長の証言によつても、船主協会からの一千万円、それから飯野河運俣野氏からの二百万円ということがはつきりしておるのでありまするが、われわれの聞くところでは、俣野氏は五十日くらい逮捕収容されておつて取調べられた結果、贈賄の目的をもつて佐藤氏に渡したと言つておられるはずであります。しかるに指揮権発動によつて佐藤氏が逮捕できなかつた。それであなたの方は佐藤氏を政治資金規正法違反で起訴をされた。これは結局人殺しをやつたのを、殺人罪で起訴すべきところを窃盗犯か何かにすりかえたものと同様だと思います。従つて、吉田総理が十日の支部長会議で、政治資金規正法違反くらいあたりまえだ、こんなことくらいで逮捕しなければ証拠がつかめぬというのは検事の頭が悪いからだ、こういうことを言つておられるのでありますが、吉田暴言の基礎は、あなた方がずつとその取調べと起訴の過程において、その素地をつくつておると思うのであります。途中でそうすりかえられた経過を率直にお述べ願いたいと思います。
  86. 馬場義續

    ○馬場証人 お話のように、贈賄者側の取調べによつて収賄者側の取調べの段階に入つて、あの当時の証拠の関係その他から、どうしても逮捕をしなければ真相を発見することはできないということで逮捕処分請求をいたしたのでありますが、御承知のようなことでこれが許されなかつた。それで非常な支障は来しましたけれども、当時の参検事総長の談話の中にもありましたように、われわれは非常にまわり道をして苦しい捜査をしなければならぬが、できるだけはやるという方針で、いろいろな観点から捜査を進めましたけれども、結局最初に考えておりました佐藤氏を収賄として起訴するに足るだけの証拠が集まらなかつた。しかしその関係でいろいろ捜査しておりますうちに、そのほかにも政党に資金が入つて、それが届け出られていないという事実がはつきりいたしましたので、これを起訴いたしました。見方はいろいろありますけれども、すりかえとかなんとかいうことではなくて、捜査をして行く過程に明らかになつた事実で証拠の十分なものを起訴した、こういう関係でございます。
  87. 河野金昇

    ○河野(金)委員 経過はその通りであるかもしれませんが、そういう経過をたどつたにもかかわらず、検事総長の談話においても、あるいは直接この事件に当られた地検においても、あるいはもつと具体的にいえば、その担当検事にしても、指揮権発動に対する不満といいますか、けしからないということを堂々とおつしやらずに、法務大臣がやればしようがないんだ、こういう消極的な態度でおられるということは――結局その収賄罪というものはほんとうは根拠がなかつたんだ、それで政治資金規正法だけだ、あの暴言のあとで自由党の組織部長が支部長あてに通達を出しておるその言い訳によつても、そういう意味のことがいわれておるのであります。結局これはその収賄罪が政治資金規正法でしか起訴できなかつたという理由を、総長談話なり、あなたなり、担当検事なりがはつきり言わないところに、吉田暴言の基礎があり、国民の疑惑があると私は思うのであります。今日でもおそくないと思うが、その国民の疑惑を解く意思はないのですか。
  88. 馬場義續

    ○馬場証人 逮捕の請求を許されなかつたために捜査に支障ができて、その結果当初の予定の逮捕状請求の事実、いわゆる収賄の事実で起訴ができなかつたということは、検事総長の談話にもその趣旨が出ておりましたし、昨日も総長がこの席で明らかにされたように私は聞いております。その点はそうなんです。と申しますのは、贈賄者側を調べて、賄賂であるという贈賄者の自白がありましても、収賄者がどういう趣旨で受取つたかということが、賄賂罪の成立には非常に重要なことになる。ところがどういう趣旨で受取つたかということは人の心理的な考え方なんで、なるほど新刑訴では本人は黙秘権を認められているから、本人から聞く必要はないんじやないかという議論はありますけれども、それは犯罪の種類によつて違うことでございまして、今申しましたように、涜職罪の場合の収賄者は、金を受取つたというだけではすぐ犯罪とはなかなか言えないのであります。これは、これまでの裁判の例によりましても、要するに職務に関する金として受取つたという事実を明らかにしなければならないのであります。この点は一般の人に非常におわかりにくい点であると思いますが、英米法では御承知のように陪審になつています。でありますから、技術的なこまかい法律問題というか証拠関係を抜きにして、陪奮がいろいろな状況を見ておいて、これが有罪であるということになれば、それで有罪の判決が下せるということで、そのかわり、しろうと相手でありますから、証拠法が非常にやかましい。ところが今度の憲法改正に伴う新しい刑事訴訟法では、英米法形式を持つて来てはおりながら、陪審は入つておりません。すなわち元の大陸法系の裁判形式に近いものになつております。ところが証拠法だけの問題は非常にやかましくなつておるのであります。これは余談にわたりますけれども、私の方の検事が今ハーバート大学に留学しておるのであります。北海道の検事ですけれども、これがこの間手紙をよこしたところによりますと、ハーバート大学で自分の研究課目を選ぶ場合に、証拠法という課目を選んだ、そうすると、向うの教授に、日本は無陪審国であるのに何で証拠法を研究するのだ、こういうことを言われたということであります。そういうわけで、自白を求めるという意味でなくて、どういう関係で受取つたかということは、どうしても被疑者なり関係人の供述にまたなければならない場合が非常に多いのです。ところが、これを拘束しないで自由に交通し得る状態のもとに調べますと、やはり人情がからんで言うべきことも言えなくなるという点がありますから、やむを得ず、ああいう段階になりましたならば、収賄者側も逮捕いたしまして、贈賄者なりあるいはその他の関係人との交通を遮断して、よく主張を聞いて、それで判断するというのがこれまでのああいう犯罪の取調べの行き方でありまして、その線に沿つて私どももやるほかないというので要求した、ところがそれがいれられなかつたために非常に支障を来し、任意捜査で極力やつたけれどもああいう結末になつた、こういうことであります。
  89. 河野金昇

    ○河野(金)委員 佐藤氏の場合は、逮捕して調べられなかつたから、収賄の気持があつたかどうかというのはわからないから、収賄罪で起訴されなかつたということもわかる。しかし、たとえば俣野健輔氏は、五十日も身柄を拘束しておいて調べ、しかも本人はいろいろ便宜をはかつてもらつたり何かした謝礼として贈賄したとはつきり何度も言つておるにもかかわらず、佐藤氏がやれないからといつて片一方の贈賄の方も贈賄罪で罰しないで――私は財界人としては横領罪というのは非常な破廉恥罪だと思います。財界の連中は、政治家やらあるいはいろいろな者が金をほしいといえば、金をこしらえてやることは通例でありますから、贈賄したということは財界人にとつてはそれほど破廉恥罪ではないと私は思うけれども、会社の金を横領したということは、いやしくも飯野海運の社長である俣野氏としては最も恥ずべき罪名を着せられることになると思うのでありますが、佐藤君だけは政治資金規正法という軽い方へ流し、俣野君の方は贈賄したと言つているにもかかわらず横領罪の容疑で起訴して、贈賄罪の方は不問に付されたのは一体どういうわけでありますか、少し片手落ちじやないかと思うがどうでしよう。
  90. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 証人にちよつと注意しますが、あまり学問的なことを言わないで、単刀直入に事実を答えていただきたい。
  91. 馬場義續

    ○馬場証人 俣野健輔氏を起訴した罪名は商法の特別背任でございます。なぜ贈賄で起訴しなかつたかという点、もつともな御疑問でございますが、贈賄として起訴するにはやはり収賄者との交渉の関係その他を十分検討してみませんと、ただ贈賄者の供述だけですぐ贈賄だといつて起訴するわけには参らない。今度の関係は、両方をよく取調べてその上で決定する段階になつておりましたのを、ああいう結果になつて佐藤氏を起訴できない、と同時に俣野氏の方も収賄者を抜きにして贈賄者だけを賄賂提供として起訴するだけの証拠は集まらなかつた、こういうことでございます。
  92. 河野金昇

    ○河野(金)委員 どうせ地検も昭電事件以来不公平な取扱いをしておられるということは、これにもう歴然たる事実でありますからそれ以上あえて追究はいたしません。そういう不公平なものであるということが国民の前にわかれば、私はそれでけつこうだと思います。  そこで証人にお尋ねしたいが、不起訴になつた財界あるいは政界の人の名別を知らしていただきたいと思うがどうですか。
  93. 馬場義續

    ○馬場証人 これは先ほど河野委員に御説明申し上げましたような事情で、職務上の秘密で、私からこの席で申し上げるわけには参りません。
  94. 河野金昇

    ○河野(金)委員 検察審査会という制茂があります。これは衆議院議員の選度のときの有権者を検察庁ごとに十一省くじでいいかげんにきめて、そうしてできておる制度であります。そういりような、まるで宝くじのような連中か、不起訴になつた者の書類をとり寄せたり、あるいは担当検事を呼んだりして調べることができるのに、私たちが憲法に保障された国政調査権に基いて、そういう不起訴になつた者の氏名を要求しておるのに、それができないということは、この国政の審議権というものは検察審査会のその審査よりも充つておるというふうに、あなたは解釈しておられるのですか。
  95. 馬場義續

    ○馬場証人 決してさように解釈はいたしておりません。検察審査会は、ああいう制度が設けられて、あの法規に基いて提出を求められれば、法規上これは拒絶する何らの手続規定もないのであります。ところがこの問題につきましては、もとより私どもは国政調査に十分協力はしなければならぬと思いますが、その過程において、冒頭に申し上げましたように手続をふまなければならぬということになつておりますから、ふんできただきたい。それを申し上げるためにはその手続きをふんでいただかなければ申し上げられない、かように申し上げておるのであります。
  96. 河野金昇

    ○河野(金)委員 いずれその手続は、めす河井検事も呼んで、それが終つたあとでまとめてこちらにまた出頭を願つて調べるつもりでありますから、それは別にしておきます。きのう同僚村瀬君の取調べに対して、江藤検事総長は、リベート中刑事事件関連して政界に流れておる分は、総額二億六千七百万円であるということをここで証言されたのであります。政界へ流れた分はこれでわかりましたが、あなたにお伺いしたいことは、しからば造船所、造船会社等から船会社へのリベートの総額は幾らになつているか、また官界へまかれた総額はどうなているか。政界へまかれた総額を御発表になつた以上は、私はその他のものもここで御発表できることであろうと思いますが、その総額を知らしていただきたいと思います。
  97. 馬場義續

    ○馬場証人 きのう検事総長がリベートの総額が二億六千七百万円で、そのうちから政界に……。
  98. 河野金昇

    ○河野(金)委員 違う違う。
  99. 馬場義續

    ○馬場証人 それは、この際私からも申し上げておきますが、私はあの新聞記事を見て意外に思いまして、きよう総長に会つて聞いたのでありますが、私どもの了承しておるところでは、刑事事件として、というのは特別背任罪として取上げたリベートの額が二億六千七百万円で、政界へ流れたのは、私どもの方の調査では大体一億円という調べになつております。
  100. 河野金昇

    ○河野(金)委員 それはあなたからお聞きしなくても、その間違つておるところは、いずれ佐藤検事総長に後日また来ていただくから、そのときに聞くつももりでありますから、それはそのままにしておいていただきたい、あなたの弁解は私は聞こうと思いません。  そこで私の質問の答弁が抜けている、造船所や何かからの俣野氏のところとか、いろいろなところにリベートが行つておる。その総額は幾らになるか、同時に官界、役人諸君の方へ幾ら行つておるか、その総額も私はこの際はつきりしておいていただきたいと存じます。政界へは、今あなたは訂正して一億円とおつしやつたが、それはあなたの言として聞くだけであつて、いずれわれわれは総長にそれは聞きますが、船会社あるいは官界へ幾らまわつておるかということを、下僚とお打合せになつてでけつこうでありますが、はつきりした数字を言つていただきたい。そうでないときのう政界へ二億六千七百万円行つておるというのならば、それだけが国民の前に大写しになつて、政治家、政界はこのために非常な迷惑を受けておるのであります。だから間違つたことを言つてもらつては困るから、きのう何か書類をお出しになつてここで言われたから、その書類がそこにあるはずであります。御相談になつてけつこうですから、官界と船会社にまわつておる金の額を知らしていただきたい。
  101. 馬場義續

    ○馬場証人 二億六千七百万円が、造船所から各船会社に入つたリベートでございます。そのリベートがいろいろに使われておる、その使われ方いかんによつて犯罪になるかならぬかという問題が起きて来るから、そのリベートの行方をずつと追究しておつたのであります。そのうち政界方面へ流れておるのが大体一億、官界の問題は今計算をしておりませんから、ちよつと申し上げかねます。金額は非常に少いと思いますけれども、計算をしておりませんから……。     〔「政界と総額がわかつて、ほかがわからぬというような、そんなばかな話があるのですか」と呼ぶ者あり〕
  102. 馬場義續

    ○馬場証人 大部分は海運会社の重役のふところに入つております。     〔「大部分を言いなさい」と呼ぶ者あり〕
  103. 馬場義續

    ○馬場証人 今その詳細な資料を持つておりません。その点を区わけした調べができておりませんから、今はちよつと申し上げかねます。
  104. 河野金昇

    ○河野(金)委員 それはわからないから言えないというのですか。それとも政界へは一億円行つておるということは遠慮なくおつしやるが、役人仲間とかあるいはその他への金というものは、やはり何らかの理由で言えないのですか。
  105. 馬場義續

    ○馬場証人 政界に流れておるのが非常に多かつたので、計算をしてあります。官界の方は、計算をすれば幾らかわかりますが、今計算しておらないから申し上げかねるというわけであります。
  106. 河野金昇

    ○河野(金)委員 それならば調べて資料としてこの委員会へ提出はできますね。
  107. 馬場義續

    ○馬場証人 帰つて相談してみます。
  108. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 あなたは今ここに持つておらないからわからない、こういうことを言われたのだから持つておつたなれば今ここで答えたのでしよう。それを今度帰つて相談をしてみるというのは、さきのあなたの答えと違うじやありませんか。どうなんですか。あなたは持つておつたら答えるんでしよう。
  109. 河野金昇

    ○河野(金)委員 そういう政界のことだけを言つてほかのことを……。
  110. 馬場義續

    ○馬場証人 そういうつもりじやございません。
  111. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 ここに持つて来ておればここで今答えをする、こう言つておるのにもかかわらず、今度は本日帰れば相談をしてもいいと言う。あなは二心じやないか。
  112. 馬場義續

    ○馬場証人 別に二心じやありません。
  113. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 その点どうですか。それは持つておればしやべるつもりですか。証言するつもりですか。持つておれば証言するのでしよう。
  114. 馬場義續

    ○馬場証人 トータルが出せると思います。
  115. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 持つておれば証言できるのでしよう。それは今度帰れば出せますね。
  116. 馬場義續

    ○馬場証人 調べてわかる範囲においては出します。
  117. 河野金昇

    ○河野(金)委員 それは上司の承認を得なくとも、ただ今ここで数字の計算がわからないから出せないというだけであつて、計算ができたらここで出せると思う。できれば、あなたは二人のものを言わない人を連れて来ているから、すぐに役所にでも電話をかけて、数字を調べさせて、きよう終るまでにでもわかればここで言つていただきたい。やはり検事総長でも、あなたでも、だれでもですが、何か問題があつた直後は割に率直なことを言われる。けれども、それが日がたつたり、どこかへ行くと非常に消極的になつて来る。こういうところで一問一答だと割に率直なことを言うが、よそへ行くと消極的になるということは、何者かの圧力が加わつて言えないということです。だからきのう検事総長は、金額は違つておつたにしても、政界への金のまかれたことは言つた。それをあなたは今またここで訂正された。政界のことが言えるならば、ほかのことも言えるべきものでありますから、即刻ここで知らしていただきたい。知らしていただけますね。はつきりしていただきたい。
  118. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 きようは御迷惑でも八時か九時あるいは十二時まで聞くかもしれませんが、今から使いをやつて取寄せてくれませんか。
  119. 馬場義續

    ○馬場証人 すぐトータルが出るかどうかは………。
  120. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 これだけの事件をやつておれば、少くともリベートがどこへ幾ら、どこへ幾らくらいのことはちやんと表でできているはずです。私どもも法律家で、弁護士です。大体においてそれはわかつておるはずだから、あなたは書類をすぐ取寄せさしてください。
  121. 馬場義續

    ○馬場証人 わかつておれば出しますけれども…。
  122. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 わかつておるものだけ取寄せさせてください。
  123. 馬場義續

    ○馬場証人 計算をさせなければなりませんから……。
  124. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 計算をして持つて来いと言わしたらいいじやないですか。これから三時間も五時間もあれば、そんな計算は何でもないことでしよう。   (河野(金)委員「ちよつとはつきり   返事を聞いておいてくれ」と呼び、   その他発言する者多し〕
  125. 馬場義續

    ○馬場証人 それじやできるだけ急いでやらせてみます。
  126. 河野金昇

    ○河野(金)委員 私たち政界人というものは、この今度の汚職疑獄事件で非常な信用を国民からなくしましたけれども、それはおのおのの良識において自粛自戒して今後立ち上つて行くから、あえてどろをかぶることを私は辞しません。そこで先ほどあなたは一億円政界に流れておるということを言われました。その内訳を私は知らせていただきたいと思います。あえて申します、改進党へ幾ら、両派社会党へ幾ら、日自党へも行つておるなら遠慮なくそれも言つていただきたい。そうすれば私は自由党の分は聞かなくてもよい。改進党、両派社会党あるいは日自、野党の分を聞かしていただけばよい。これは個人々々の名義であります。どうせ政界へ一億円まわつておるということをあなたは言われておるのでありますから、私たちはあえてどろをかぶつてもその内容を知りたいと思いますが、これもあわせて知らせていただきたいと思います。
  127. 馬場義續

    ○馬場証人 その点は職務上の秘に属しますから、証言はできません。
  128. 河野金昇

    ○河野(金)委員 職務上の秘密ということは、それを漏らされて迷惑する人があるといけないからであつて、迷惑を受けるのはあなた方ではない、われわれである。われわれだけれども、われわれはあえてその迷惑を覚悟の上で言つておるのであります。遠慮せずに言つていただきたい。つまらぬことで職務上の秘密と言うのは、職務上の秘密ということの濫用であると思う。
  129. 馬場義續

    ○馬場証人 私はきよう政界に流れておる金は一億円であると申しましたが、きのう検事総長がそれに関連したことを言われましたから、これはもう検事総長が言われた範囲においては申し上げてよろしいというので、その範囲で私どもが正しいと思う数字を申し上げたのであります。その内容についてはきのう検事総長も申し上げられないと言われたというふうに聞いております。結局職務上の秘密でございますから、適当な手続をとつていただきたいと思います。
  130. 河野金昇

    ○河野(金)委員 職務上の秘密というのは、そういうことを漏らされて迷惑する人があるからいけないのであつて、私たちは迷惑をあえて覚悟の上で知らせてくれと言つておるのであるから、知らせていただきたい。もし知らすことができないとするならば、一億円政界にまわつておるというのは、大した根拠のないあなた方のそれこそ流言飛語というふうに解釈しますが、それでもよろしゆうございますか。
  131. 馬場義續

    ○馬場証人 根拠があつて申し上げておりますが、その内容にわたることは職務上の秘密だということをきのう検事総長も言われておる。私にも自由に申し上げられないから、手続をとつていただきたい。かように申し上げております。
  132. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 今私法上においては権利の濫用のあることはあなたもおわかりであろうと思いますが、公法上のことにおいても権利の濫用があるかないか、あなた方は職務上の秘密だといえばそれであとはどうすることもできない、それを職務上の権利の濫用、公法上の権利の濫用ということはありますか、ありませんか。
  133. 馬場義續

    ○馬場証人 濫用かどうか知りません。私どもの方では先ほども申しましたように、職務上の秘密を守る義務を課せられておりますし、それと国政調査権との調和点は結局最後に法務大臣が裁決することになつておりますから、その手続に従つていただきたい。かように申し上げておるのであります。
  134. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 職務上の秘密の範囲はどういうことであるか。
  135. 馬場義續

    ○馬場証人 秘密は冒頭に河野委員のお尋ねに対して、私の考え方を申し上げたつもりであります。
  136. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 職務上の秘密ということは、あなたが個人で考えたことをもつて職務上の秘密というのですか。職務上の秘密とはしからばどういうことが職務上の秘密なのですか。
  137. 馬場義續

    ○馬場証人 それは国家公務員法によつてきめられておる……。
  138. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 それを言つたらいいじやないですか、どういうことです。
  139. 馬場義續

    ○馬場証人 捜査の内容というのは全部職務上の秘密です。
  140. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 捜査の内容は、人の名前から場所から、全部秘密ですか。
  141. 馬場義續

    ○馬場証人 実質的に申すとそうであります。
  142. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 一応あなたの答えはそう聞いておきます。
  143. 河野金昇

    ○河野(金)委員 結局あなた方が根拠があつて言つておられることならば、迷惑をこうむるはずのわれわれの方が、あえて辞せないから言つてくれと言つておるにかかわらず、それを言わないということは、やはり大した根拠のあるものでないというふうに私は了解をしておきたいと存じます。  そこでお尋ねしますが、佐藤榮作君が政治資金規正法で起訴されておることは私も知つております。伝えられるところによると、その佐藤榮作君は今月末、できるかできないかは知らぬが、吉田総理と一緒に外遊すると言つております。あなたの方がすでに事件にして起訴しているその本人が、四十日も五十日も日本の土地を離れるということは、あなた方の公判上さしつかえありませんか。それともまあああいうような人はゆつくりやるのだ。だからごゆつくり行つていらつしやい、こういうような気持でありますか。もしも今月の二十五日に佐藤氏が立つとしたならば、そういうことはあなた方の今後の職務を執行して行かれる上にさしつかえがないものかどうか承つておきたい。
  144. 馬場義續

    ○馬場証人 それは裁判所の問題で、裁判所でいつ審理をするかにかかつておるので、私の方で今意見を申し上げる段階ではございません。
  145. 河野金昇

    ○河野(金)委員 その犯罪の事実はあなた方が調べられて、そうしてそれを起訴されるわけなのであります。そのあなた方がせつかく苦心して最初は収賄罪で逮捕しようとした、その佐藤氏を世間的に言えばいわゆる非常に軽い政治資金規正法で起訴した。私はあなたの心境はどうか知らぬけれども、おそらく若い検事諸君はあくまでもこの収賄罪でやりたかつたと思う。けれどもあなたなり検事総長なりが、法のかげに隠れて毅然たる態度をおとりにならなかつたから、やむを得ず政治資金規正法で起訴したと思うのであります。そのやむを得ず、もう泣きの涙でそういう遠慮した態度を私はとられたと思う。それが外国へ行つてしまうというようなことでは、私はせつかくあなたの部下の若い検事諸君がおやりになつた努力というものが報いられないと思うが、あなた個人はそういう事態が出て来たときに、裁判所に対して何らか佐藤氏をとめるような進言をなさるような気持はあるのかないのか。
  146. 馬場義續

    ○馬場証人 まだいつ審理をするかわからない問題でありますから、今お答え申し上げる段階ではございません。
  147. 河野金昇

    ○河野(金)委員 社会党の諸君が吉田茂という人を政治資金規正法違反で、もうずつと以前に告発しておられると思うのでありますが、なぜあれはあのままになつておるのですか。事情を知つておられたらお聞きしたい。
  148. 馬場義續

    ○馬場証人 ただいま捜査中でございます。
  149. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 捜査中であると言うけれども、佐藤君を政治資金規正法では起訴しているのでしよう。自由党の総裁なんだから、政治資金規正法で起訴になつているのだから捜査中ということはどうなんですか。別なことですか。
  150. 馬場義續

    ○馬場証人 あれは別個の事件でございます。
  151. 河野金昇

    ○河野(金)委員 多分あれはもうすでに二月に告訴の手続をとつておられると思うのであります。もう半年になるのですが、えらい人というのはああやつてずつと延ばしておくものですか。小物だけは遠風なく早く始末するけれども、大物は起訴されておつても告訴されておつてもそれをそのままにしておいて外国へ行こうとどこへ行こうと涼しい顔をしておつて、それで検事の職責を十分尽しておられると思つておられますか。
  152. 馬場義續

    ○馬場証人 決して人によつて延ばしておるわけではございませんが、非常に多忙でありましたために今日まで捜査は続けておりますが、完結に至つていないというわけでございます。
  153. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 告訴、告発があつた場合においては、被告訴人の方は別だが、一応は告発人、告訴人を呼んで事情を聞くのでしよう。それについてその告訴、告発人を呼んで事情を聞きましたか聞きませんか。
  154. 馬場義續

    ○馬場証人 その点は飛鳥田氏に一ぺん来てもらつて事情を聞いておると思います。
  155. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 いつです。
  156. 馬場義續

    ○馬場証人 その日は知りませせんが、告発人が六入か七人連名になつておるので、どなたか来ていただきたいといつて、主任検事が電話で来ていただきまして事情を聞いて、そうして被告発人の方を調べております。
  157. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 その後告発人の方に何らか連絡したことがありますか。催告を受けたことがありますか。
  158. 馬場義續

    ○馬場証人 その点は私は承知いたしておりません。
  159. 河野金昇

    ○河野(金)委員 あの吉田茂の告発の責任者は猪俣浩三君のはずであります。その告発の責任者の猪俣君は今日まで一ぺんも呼び出されておらないという。飛鳥田君はどういうケースでお呼び出しになつたのでしようか。なぜ告発の責任者を呼び出してその事情を聞いて、そうして被告発人である吉田茂を呼び出して聞くというようなことくらい、せめておやりにならないのですか。それはあまりに怠慢過ぎはしませんか。
  160. 馬場義續

    ○馬場証人 どういう事情で飛鳥田氏に来ていただいたか、主任検事に聞いておりませんから今答えかねますが、連名の告発でありますから、おそらくどなたか一人来ていただけば大体の事情はわかるというつもりで、そのときに御都合のいい方に来ていただいたのではないか、かように考えております。
  161. 河野金昇

    ○河野(金)委員 今度の造船関係は、東京地検で最初手をつけられ、それが大きな事件であつたから、方々の地検がこれに協力しておると思いますが、その事件の全体の総括は、最初手をつけられたあなたのところでやつておられますかどうですか。
  162. 馬場義續

    ○馬場証人 私の方は私の方の事件だけやつております。他の地検の総括は、最高検察庁でやつております。   (杉村委員長代理退席、委員長着   席〕
  163. 河野金昇

    ○河野(金)委員 きのうから今日にかけて検事総長並びにあなたに証人として来ていただき、いろいろなことを聞きましたし、今後も同僚諸君が聞くでありましようが、結局はつきりして来たことは、たとえ収賄、贈賄あるいは横領等であつても、あなた方はそういう破廉恥罪でも起訴になつたものは、今後の公判上にさしつかえがあるかもしれませんけれども、不起訴になつたものまでおかばいになるのであります。それほど人権を尊重されるならば、国民は逆に検察庁を信用しなくなるであろうと思います。どろぼうなんかをかばつて、検察庁の信用を落すような証言がきのうからしばしば繰返されておることを、私は最も遺憾に思うのであります。あなたや検事総長はそれぞれ次のポストも待つておるでしよう。恩給の年限も来ておるでしよう。これは御身大切におやりにならなければならないことはよくわかる。同じ政権が長く続いたから圧力が加わつて、検察陣といえどもその圧力の前にはいかんともすることができないということは、きのう来の証言によつてわかつたと思うのであります。将功なつて万骨枯る、若い検事諸君が努力されておるにもかかわらず、その努力は報われずに、かえつて国民の信用を検察当局も落して行くというこの事実を、あなたや検事総長は銘記しておかれて、いずれ今後われわれがまた呼び出すであろう証言においては、もう少し日本の法秩序を守り、正しい者弱き者こういうものを守るような気持になつて、いかなる権力にも、金力にも、圧力にも屈せず、法の威信を保つような方向に一日も早く持つて行つていただきたい。きのう、きようの証言では、ますます検察庁に対する信用をなくし、信頼をなくした、こういう結論しか得られなかつたことを、私は最も遺憾に思い、残念に思つて、同僚諸君の質問が控えておりますから、私はこれで遠慮します。
  164. 田中彰治

    ○田中委員長 証人にお尋ねしますが、先ほど猪俣浩三君が発言したあの事件は、もうずつと前から告発してある事件です。しかも吉田さんが今度外遊すれば、十一月まで帰つて来ない。その前にあなたの方でほんとうに法が公平であつて、法の前には平等なものであるなら、それをお取調べになつてから外国へやられたらどうです。あなたの方でその保証はできますか。それともほつておきますか。ほつておくなら、私の知合いがたくさんあなたのところに留置されているから、それを解放しなさい。どうです。
  165. 馬場義續

    ○馬場証人 調べは極力進めますが、はたして吉田首相を調べる段階になるかならないかは、調べてないと今明言はいたしかねます。
  166. 田中彰治

    ○田中委員長 もし十一月まで調べないとすると、もう一年近くになるのですよ。今まで権力のない者、金力のない者が事件を告発されて、あなた方は一年もほつたらかしたことがありますか。
  167. 馬場義續

    ○馬場証人 非常にたくさんの事件が輻輳しておりますので、望ましいことではありませんが、そういう事件は少くありません。
  168. 田中彰治

    ○田中委員長 あなたにお聞きしますが、米の一斗かそこらを子供に食わすために持つて来て上野の駅でとらえられた人が、調べられて罰金をとられたり、自動車事故でちよつとした過失を犯した人、あの安月給の運転手までが、みな近日中に罰金をとられていろいろ処分されておるのですよ。あなたは総理大臣だから調べられないなら調べられないとおつしやい。どうです。
  169. 馬場義續

    ○馬場証人 調べられないとは申しておりません。
  170. 田中彰治

    ○田中委員長 いつ調べますか。
  171. 馬場義續

    ○馬場証人 いろいろ調べの都合で、いつ調べるとはお約束いたしかねます。
  172. 田中彰治

    ○田中委員長 早く調べますか。
  173. 馬場義續

    ○馬場証人 できるだけ早く調べます。
  174. 田中彰治

    ○田中委員長 柴田義男君。
  175. 柴田義男

    ○柴田委員 馬場検事正にお尋ねいたしたいと思いますが、指揮権の発動ということが非常に大きな問題であつたことは、もう各同僚委員からしばしば主張され、それに対する昨日来の佐藤検事総長、それから本日の馬場検事正の証言を私ども承つておりますと、最後に参りますとその証言を拒否される、こういうことで行き詰まるのでありますが、われわれが聞いております範囲で、こういうことだけは御存じの点で率直にお話ができると思いますことは、佐藤幹事長を逮捕してその調査がどんどんと進んで参りますと、吉田内閣はまつたく崩壊に瀕してしまう、こういう状態までこの事件が発展するおそれがある、こういうことはわれわれにも考えられるのでありますが、今までいろいろな角度から調査をされ、そして残念ながら指揮権の発動によつて調査が一頓挫を来した、これだけは認めておられたのだから、こういう一頓挫を来したことによつて吉田内閣は辛うじて命脈を保つて、本日まで経過して来ておる、こういうことであるとわれわれは考えますが、これに対する証人のお考えをまず承りたと思います。
  176. 馬場義續

    ○馬場証人 私どもは、佐藤榮作氏に対する捜査の段階にあつたので、その後のことまはだ捜査の段階になつていないので、その後どうなつてどういうことになるかは、また申し上げるたけの材料を持つておりません。
  177. 柴田義男

    ○柴田委員 しかし本日の同僚委員に対する証言を承つておりますと、これは非常に大きな問題であつたということだけは――概略その事件の全貌をつかんで、この造船あるいは陸運疑獄にとりかかられておる、こういうことだけははつきりと証言されておる。相当大きな範囲ということは、政界、財界にも大きな影響をもたらすものであるということは否定ができないと思うのであります。こういう観点から考えましたならば、佐藤氏を逮捕することによつてこれがどこまで発展するかという見通しは、まつ暗でおやりになつたのかどうか。暗くなぐて計画的であつたといたしますならば、その方向というものはどこまで発展する可能性があつたか、これに対する御見解を伺いたい。
  178. 馬場義續

    ○馬場証人 私どもは、前にも申しましたが、証拠に基いて一歩々々捜査を進めて行きますので、その段階で処置をして行くわけであります。将来どう発展するかというようなことを予断をもつてやるということは極力避けております。
  179. 柴田義男

    ○柴田委員 それでは別の角度から承りたいと思いますが、この指揮権の発動ということは、元次長検事であつた木内弁護士、あるいは元検事長であつた佐藤氏等が池田勇人氏あるいは前幹事長佐藤榮作君に進言をして、いわゆる検察庁法十四条の発動に至らしめたものであると聞いておりますが、そういううわさでもけつこうでございますから、馬場検事正の御承知の範囲で御証言願いたいと思います。
  180. 馬場義續

    ○馬場証人 私はさようなうわさは聞いておりません。
  181. 柴田義男

    ○柴田委員 そういううわさはお聞きにならない。それではもう一つ別の角度からお尋ねいたしたいと思いますが、去る六月十三日かと記憶しておりますが、日にちが間違いますれば別個でありますが、佐藤榮作君を起訴しようとなさいました場合の最後の取調べか、あるいは指揮権の発動される直前かと記憶しておりますが、三宿の研修所で取調べをおやりになつたことがあるのかないのか、この点を承りたいと思います。
  182. 馬場義續

    ○馬場証人 おそらく取調べたことがあると思います。
  183. 柴田義男

    ○柴田委員 その際の検事さんのお名前は何とおつしやいますか、承つておきたいと思います。
  184. 馬場義續

    ○馬場証人 多分河井検事であろうと思います。
  185. 柴田義男

    ○柴田委員 三宿の研修所で取調べを受けました場合に、佐藤前幹事長は、これを徹底的に追究されることであつたならば、自由党の台所はめちやくちやになることはもちろんであるし、日本の保守政党の危機である、しかも日本の政治はまつたく危機に瀕してしまうのだと言つて、涙を流さんばかりにこれに対して陳述をしたということが世間にも流布されておりますが、こういう事実がございましたでしようか。
  186. 馬場義續

    ○馬場証人 さようなことは聞いておりません。
  187. 柴田義男

    ○柴田委員 検事正に対しまして係の検事、いろいろな調査あるいは取調べの過程において何らの報告もないのでございましようか。もう一つは、あるといたしますならばどういう程度まで報告されるのでございましようか。
  188. 馬場義續

    ○馬場証人 事件の捜査の結果を報告するわけですから、そういうことはない云々とうようなことは開いておりませんということです。
  189. 柴田義男

    ○柴田委員 経過の報告を受けるということでございましたならば、こういう重要ないわゆる調査、取調べの状況というものは御報告があつてしかるべきであるし、報告を受けなければならないと思いますが、いかがでございましようか。
  190. 馬場義續

    ○馬場証人 捜査の状況は詳しく報告を受けますが、さような事実があつたというような報告は受けていないのであります。
  191. 柴田義男

    ○柴田委員 どうも徹底を欠くので、一つの実例を私は示して、この取調べの状況はどうかと御質問いたしましても、その報告に対しましてはそらしてましう。こういうことでは、七千七百三十何万円とわれわれは記憶しておりますが、――造船疑獄以外の保全関係の問題も含まれておりまするが、これらに対しまして七千七百何十万円かという莫大な国費をもつてどの程度に検察庁がこの捜査をなさつたものであろうか、こういう疑問が相当生じて参るのでありまするが、もう少し率直に私どもの伺いたいところ、聞かんとするところをお答え願いたいと思うのであります。佐藤前幹事長は「週刊朝日」の誌上におきまして、堂々と検察庁がなまいきだという言葉すらも使つておるのであります。あるいはこれは、政界人としてやることは武士の向うずねの傷にすぎないのだという放言すらもやつておる。吉田総理がああいう放言をやりましたことは、吉田総理の言葉が足らぬのではなくして、これは一貫した自由党の考え方であるとすらわれわれは考えざるを得ない。こういうことに対しましても何ら検察陣が、さらに反省なさるでなしに、このいわゆる吉田放言あるいは佐藤前幹事長が言つた言葉そのものが証明されるような状態にあつては、まつたく世の中はまつ暗やみになつてしまうと思う。政党も官界も腐敗堕落した、頼むに足るのは検察誓われわれは頼んで、ほんとうに明朗な国家が建設されるものであると信頼して、最後に信頼を置いておる検察庁当局にもしもそういうような事実があつたといたしまするならば、まつたく悲しむべき現実であります。もう少し毅然たる態度でお答えを願いたいと思うのであります。  で、伺いたいと思いまするのは、一つ一つの問題でありまするが、たとえば国会議員の有田二郎君以外の小物の逮捕をいたしまする場合には、刑事局長の議運においての説明によりますると、これはほんの氷山の一角だ、これからこそはどしどしとほんとうの問題が起きて来るのだという説明すらも与えておるのであります。こういうように、国会議員五、六名がひつぱられますときにはいとも簡単に、しかも氷山の一角だ、これからこそ本物がひつぱられるのだという意気込みを持つた検察庁が、今日になつて、やはり大きな権力に対しましては屈してしまつたものでないか、世人がこういう非常な疑いの目をもつて見ておるのであります。だから少くもわれわれが伺いますることには率直に御答弁を願いたい、こう思うのであります。具体的に申しまするならば、飯野海運の俣野健輔氏から二百万が佐藤榮作君に渡され、日本船主協会から一千万が佐藤君に渡されたということは、昨日の佐藤検事総長の証言でございましたが、われわれの知つておりまする範囲では、この金以外に、たとえばこの日本船主協会におきましても、昨年の三月に一千万円、九月に一千万円、それから造船工業会では二千万円、こういう献金が行われておるという事実を知つておるのでありまするが、この数字に誤りがございませんでしようか伺いたいと思います。
  192. 馬場義續

    ○馬場証人 昨日検事総長が申し上げたと承つております一千万円と二百万円については、逮捕の処分請求をいたして明らかにした事実があるからこの席で御説明申し上げたのでありますが、その他の捜査の内容につきましては、政治資金規正法違反の公判の段階においておのずから明らかになることでありますし、職務上の秘密でありますから、正規の手続をとつていただかないと私どもからは申し上げられません。
  193. 柴田義男

    ○柴田委員 そういたしますると、一千万円と二百万円だけは取調べをおやりになつて、その他のものは取調べがつかなかつたのであるか、御存じなかつたのであるか、この点を承りたいと存じます。
  194. 馬場義續

    ○馬場証人 できるだけ取調べをしてありまして、そのうち、政治献金のうち、たしか五千五百万円について政治資金規正法違反で起訴された、かように承知しております。
  195. 柴田義男

    ○柴田委員 そういたしますと、こういう事実がございませんでしようか。一千万円佐藤榮作君がどつかの団体から献金を受けた、そのうち二百万円を佐藤榮作君夫人名義の預金をしておつた、二百万円は池田勇人君に渡つておつた。そういたしますと、六百万円というものはどこへ行つておつたかお取調べございましたでしようか。
  196. 馬場義續

    ○馬場証人 その一千万円の問題は、政治資金規正法違反で起訴された分でありますか。
  197. 柴田義男

    ○柴田委員 その一千万円は、たくさん数がございますからわれわれにはわかりません。そういう点をお取調べになつたのでございますならば。
  198. 馬場義續

    ○馬場証人 今……。
  199. 柴田義男

    ○柴田委員 検事正の方がわかると思います。
  200. 馬場義續

    ○馬場証人 今おつしやるようなことは私は承知しておりません。
  201. 柴田義男

    ○柴田委員 佐藤榮作君をお取調べになりまして、一千万円と三百万円だけが問題になつたのでございましようか。
  202. 馬場義續

    ○馬場証人 その金全部で五千万円について政治資金規正法違反で起訴されておりますが、五千五百万円と二百万円が問題になつた、こういうのであります。
  203. 柴田義男

    ○柴田委員 私は法律につきましてはずぶのしろうとで、法律論をあなたと展開しようとは試みておりませんが、しかしリベートに関する考え方を伺いたい。私どもは、リベートは――造船会社が運輸会社に対しまして出しましたところのリベートというものはどういう性質のものであるかという、まずその見解を承りたい。その問題から入りたいと思いますが、リベートとはどういうものであるか、これに対する御認識を承りたいと思います。
  204. 馬場義續

    ○馬場証人 その点は、公判を請求して公判に係属中でございますから、公判においておのずから明らかになることであります。
  205. 柴田義男

    ○柴田委員 リベートに対する法律的見解をここで御発表ができないでございましようか。
  206. 馬場義續

    ○馬場証人 いや、リベートというものの中にも背任罪になるのとならぬのとありますから……。今日起訴してあるものは背任罪の疑いがあるといつて起訴しているわけですが、その背任になる分については――なると検事が考えた分については起訴してありますし、その他の分については犯罪の嫌疑がないとかあるいは起訴に至らないというので取扱つていないのであります。
  207. 柴田義男

    ○柴田委員 私の承つておるのはそういう意味合いじやないのです。私どもの解釈によりますると、造船利子補給という法律がありまして、それによつて造船関係に対する資本の利子は、国民の血税によつてまかなわれる国家のいわゆる財政の中から出しておる金なんです。その財政の中から出した金が、いろいろな形においてそれがめぐつて歩いていおる。こういうことから判断いたしますると、リベートは当然国の金なんだ、こういうことにわれわれは解釈しておるのですが、そういうお考えは持たれないのかどうかということを伺つておるのであります。
  208. 馬場義續

    ○馬場証人 国の金かどうかという――私どもがあの追究をしておりましたのは、御説のように財政資金が流れて来ておるから、これはどこまでも取調べをしなければならぬという観点から捜査を進めて来たわけであります。
  209. 柴田義男

    ○柴田委員 やはりそういうお考えであるといたしまするならばその点で承つておるのであります。そういたしますると、造船工業会にしろあるいは日本船主協会にいたしましても、性格は多少相違がございまするけれども、つくる方の団体と運行する方の船会社とのいわゆる二つの団体が、このリベートに関係を持つことが非常に重大であ潔ります。この両団体献金をいたしましたことがはたして正当化どうか、てこれを論議すべき問題であるのかどうか、こういう問題であります。この点の御所見を承りたいと思います。
  210. 馬場義續

    ○馬場証人 御質問の趣旨がちよつと私のみ込めないのでありますが、その献金をすることが犯罪になるかという御趣旨でございますか。
  211. 柴田義男

    ○柴田委員 それが一点でございます。献金すること自体もうすでに犯罪が校正されておるというわれわれは常識的な考え方を持つ。それを今度はもらつた方はまたもらつたで別な罪名がございましようが、もらつた方はもらつた方でけしからぬと思います。こういう種類の金を、しかも国民の血税からとつた金を政党に献金いたします団体も、受ける方も――単に今五千五百万円の問題で佐藤榮作君が政治資金規正法だけで起訴されて、そして涜職罪にもならなければ収賄罪にもならない、詐欺罪にもならぬ、こういうことであつては、国民は納得いたしがたいのであります。だからその点、こういう団体から寄付された、いゆわるリベートか何か含まれておる金が、政治資金規正法だけに間われておるのかどうかという法律的見解をあなたから承つておるのであります。
  212. 馬場義續

    ○馬場証人 そういう金の動きを明らかにするために、私は政治資金規正法ができているのだと思います。政党が資金を受ける場合に、どこからその資金を受けたかということを明らかにすることが、その政党に対する国民の批判を受けさせる機会を与えるという意味で資金規正法ができているので、その金のやりとりだけですぐ犯罪と言うわけには参らぬと思います。そこでよく政治資金規正法は形式規範だというふうに言われますけれども、罰則から申しましても禁錮がありますし、体刑かありますから、私は決して形式規範ではないというふうに理解しております。
  213. 柴田義男

    ○柴田委員 その議論はまた別にすると仮定いたしまして、政治資金規正法にいたしましても、政党の首領あるいは政党の総裁にやはり最終的な責任があるとわれわれは考える。小さな団体とも会長に責任があるでありましようし、ちつぽけなインチキ会社でも社長に責任があるのでありましよう。そういたしますならば、大自由党といつても、やはり総裁吉田茂君にこの責任があると思う。単に幹事長だけ、あるいはまた橋本某君という青年だけの責任じやないとわれわれは考えるのだが、これに対する見解を承りたいと思います。
  214. 馬場義續

    ○馬場証人 法律的に申しますならば、その事実に関与した者が事実行為者で、その事実を知らない者は、かりに総裁であつても、責任を問うわけには参らぬと思います。
  215. 柴田義男

    ○柴田委員 そういたしますと、団体の責任者であつても、その問題を全然知らないというようなことをつくつておけば、責任がないのでございますか。
  216. 馬場義續

    ○馬場証人 それは調べてみなければわからぬ。つくつておるかつくつておらないか、つくつておる事実がわかつて知つておれば刑事責任が伴いますが、結局証拠の問題で、証拠によつて判断するよりしかたがないと思います。
  217. 柴田義男

    ○柴田委員 それではこの問題に関しまして、やはり責任者であつた吉田茂君を一度でも、三分間でもお調べになつた事実でございますか。
  218. 馬場義續

    ○馬場証人 佐藤幹事長その他の調べによつて吉田総理を調べる必要があれば調べますが、これまでのところでは調べる必要がなかつたので調べておりません。
  219. 柴田義男

    ○柴田委員 これは調べる必要がないという見解でございますが、だから私は冒頭において――佐藤前幹事長が三宿の研修所において取調べをされました場合に、こういう問題をとらえて掘つて行くならば日本の保守党は崩壊瀕するし、日本の現在の政府がひつくり返つてしまう、こういうことを涙を流さんばかりに訴えたということを、この問題取調べのうちで最も重要なポイントになるようなことを、検事正はその係検事から報告を受けないのでございますか。
  220. 馬場義續

    ○馬場証人 私は聞いてお治りません。
  221. 柴田義男

    ○柴田委員 少くもこういう重大な問題に関しまして報告を受けないで、検事正があらゆる検事を指揮される、そして検事がいろいろな事件の調車やつておるということは、事実できそものかどうか。少くも大きな問題であつたならば、あらゆる角度から調査もされ、検事正みずからはいろいろな報告を受ける義務はございませんか。
  222. 馬場義續

    ○馬場証人 今のお尋ねでございますが、そういう事実があつたという前提のもとのお尋ねでございますか。――あつたかなかつたか、私にはわからないのであります。それで聞いていないというわけであります。
  223. 田中彰治

    ○田中委員長 ちよつと証人にお尋ねいたします。ここの代議士諸君で選挙をやつた人がたくさん聞いておられますが、われわれ選挙をやると必ず事務員がその金を授受して来て、陣中見舞にもらつたとか、いろいろな金を出したとかいうことを事務員がやるのです。候補者は選挙で忙しいから飛んで歩いて、実際上は事務員がやつたことを知らない。ところがたまたま政活資金規正法にひつかかりますと、一国の弁護士といえども、事務員だけの取調べでそのままにならない。必ず代議士が出頭して調べられて、少し疑いのある者は留置され、疑いがない者でもほとんど調書くらいとられておりますが、大自由党の幹事長はわれわれが選挙で使う事務員のようなもので、その名義で金をもらつて来る。われわれ選挙をやつてもやはり田中彰治の名義で金をもらつて来る。そしてそれを使う。そのときにここにおる代議士でそういう事件があれば、罪になるならぬ、起訴されるされないは別といたしまして、必ず代議士が取調べを受けておるが、吉田さんの場合だけはあなたの方で――それを一応佐藤さんがどう言おうが、何千万円という金であるから、自由党の名義でもらつた金であるから、総裁をお取調べになることが公平なやり方だと思いますが、それを調べてないというのはおかしいではないですか。
  224. 馬場義續

    ○馬場証人 それは佐藤幹事長の取調べの結果、総理を取調べなければならぬ事情があればもちろん調べますが、佐藤幹事長の行為であるということが証拠上はつきりして、総理が関係ないというわけで、佐藤幹事長を責任者として取調べをしたわけであります。
  225. 田中彰治

    ○田中委員長 それでは聞きますが、佐藤幹事長がほかから金をもらつて来て、自由党の帳面に載せないで使つておつたとしたら、あなたの方は――どこへ幾ら使つたと一銭二厘に至るまで帳面に記載してあれば別として、ただ佐藤幹事長があそこへ幾ら、ここへ幾らというふうにいいかげんなことをしておるということになると、佐藤幹事長は横領罪で起訴されなければならぬが、どうしてそれを政治資金規正法でやられたのですか。
  226. 馬場義續

    ○馬場証人 その点は一応調べがしてある思います。その調べの内容はいずれ政治資金規正法違反事件の公判で明らかになるということであります。
  227. 田中彰治

    ○田中委員長 それではわれわれこれから選挙をするのにちよつと聞いておきます。われわれの選挙の場合に事務員がどこからか金をもらつて来てそれを出しても、その事務員が、いや私がやつたのですと言えば、決して候補者は調べませんね。(笑声)
  228. 馬場義續

    ○馬場証人 その事務員を取調べて候補者が無関係とわかれば、もちろん調べはいたしません。
  229. 田中彰治

    ○田中委員長 しかしちよつとお伺いいたしますが、無関係とわかつていながらあなた方で調べた前例が今までにありますよ。そうして調べて起訴されて、それが無罪てなつた者がたくさんありますが、無関係ということは無罪ということだが、それはどうです。
  230. 馬場義續

    ○馬場証人 全然無関係の者を調べて起訴するということはあり得ないと思います。いろいろの観点から候補者も関係があるという観点で起訴して、場合によつてはその証拠が足りないから無罪だという結果になつておるので、事務員が全然自分の独断でやつたということがはつきりしておるものを候補者を調べるということは、私はあり得ないと思います。
  231. 田中彰治

    ○田中委員長 それではひとつ、あなたが人をお取調べになる常識上の問題を聞いておきますが、百万や二百万や五百万や一千万円くらいまでならば、大自由党であるから、金をもらつて来て帳面にも載せない、総裁にも報告してないでそのままになつておつてもよいでしよう。しかし五千万も七千万もの大きな金を幹事長が持つて来て、帳面にも載せぬでみんな出して、総裁に報告もしておかないということはどういうことですか。そういうことが考えられますか。みんなに聞いてごらんななさい。常識上あなたはそんなことをお考えになりますか。あなたの一年間の月給からお考えになると、何千万という金はあなたの月給の何百年分ですか。おれの月給がこれだけで、おれの年俸の何千倍もこういうことをやりやがつたのだからということで、あなたは取組んでお取調べにならなければならぬはずが、おかしいではないですか。五千万も八千万も鼻でかまれるような財産もお持ちにならぬだろうし、そんな御収入もないだろう、そうすると七千万とか八千万かいう金は、あなたの月給から見て、失礼な話しですが相当大きな金だから、あなたがこの金に対して相当な神経を使われて、たとい罪になつてもならぬでも、総裁までも一度くらい呼んで、あなたが調書をおとりになるのが常識じやないですかよく聞いてください。そんなことであなたよく東京の検事正なんかやつておられますね。常識上お聞きなさい。あなた方が今までいろいろな刑事事件でもお取調べになつたのが、無罪になつたとき、どういうふうな報告をされておりますか。昔の新聞をごらんに入れましようか。それはお産の見舞として昔の金で五千円は大きいと言うのです。その時分に、その調べた検事は、年俸を五千五百円くらいしかもらつていない。おれの一年分の月給をお産見舞いに持つて行つたから、贈賄だとか収賄で調べたという、そういう新聞はたくさんあります。そうするとこの五千万は、あなたの月給の相当に当るわけです。だからこれだけの大きな金を佐藤一人が報告しないで使うということは常識上ないと思う。あなたがこれを一応総裁に聞いておかなければならぬというのは常識じやないですか。
  232. 馬場義續

    ○馬場証人 今のお尋ねでありますが、政治献金自体は別に犯罪になるわけではないので、私どもの捜査の対象ではないのであります。ただ届出をしたかしないかが政治資金規正法で問題になつているのでありまして、その届出若が、自由党の場合は佐藤榮作氏でありましたから佐藤榮作氏を取調べた、こういう事情であります。
  233. 田中彰治

    ○田中委員長 それではあなたに聞きますが、そんな五千万も六千万もの金を持つて来て、佐藤が総裁に届けもしないで、黙つておる道理はないじやないですか。それは総裁に報告して総裁か届けておけよと命令して、それで届けないのなら佐藤君が責任を負わなければならぬが、総裁が届出ないでおけというて届出ないのなら共犯じやありませんか。
  234. 馬場義續

    ○馬場証人 届出者が佐藤氏になつてわりますから、届出るなということを積極的に言われれば総裁も共犯という副題も起ると思いますけれども、佐藤氏の取調べの結果、そういう事情が出しおりませんから、共犯にはならぬと思います。
  235. 田中彰治

    ○田中委員長 私は吉田さんが犯罪者ごは言わないのですが、私は自由党の会計の副部長もしたことがありますからいくらか知つています。そんな大きな金をもらつて来ると、それは必ず総裁に報告してあるのです。そうして総裁が黙つてこれを黙認したら、共犯までは無理かもしれぬけれども、一応あ体たが総裁を呼んでお取調べになるということは、検事局として公平な態度じやないかと思うのです。あなたはこれは総裁だからなさらぬのですけれども、もし普通の者だつたらそういうことをしますか。選挙のときに事務員がほかから金をもらつて来て、届出をするのは事務員の責任です。もし事務員が届出をしなくても、必ずあなたはお取調べになりませんねどうです、ここで言明なさい、みんな選挙に関係のある人たちなのです
  236. 馬場義續

    ○馬場証人 今のお話のように、事務員が全然自分の責任でやつて、候補者に無関係ならこれは調べぬと思います。
  237. 田中彰治

    ○田中委員長 しかし金額を考えてごらんなさい、あなたは常識上そんなことは許せますか。ここにこれだけの人かおりますが、五千万を大金じやないと思われる人はあなた一人くらいでしよう常識で物を考えていただかぬと、そんなことでは通りませんよ。国民は何と言いますか、どうか決算委員云で調べてくれと、私のところへ二百本から投書が来ています。悪いことをした子供を先生がしかると、先生何をおつしやいます、悪いことをしたつて伴い人になれば無罪になります、こういつております。どんな悪いことをしたつていいのですねと先生に質問するじやないか。二百本も来ていますが、のなたに明日の朝送つておげてもいいですよ。あなたはどう思いますか、落度であつたと思われますか。そんなこは当然だと思われますか。もうじき選挙があるだろうけれども、あなたの御解答によつてはたいへんな問題ですよ。
  238. 馬場義續

    ○馬場証人 先ほど来申しましたように、証拠に基いて仕事をするので、証拠によつて嫌疑があれば調べをいたします。証拠がなければ取調べるわけには行かぬと思います。
  239. 田中彰治

    ○田中委員長 私もそれをよく覚えておきますから、あなたもひとつ忘れないようにしてください。
  240. 柴田義男

    ○柴田委員 いろいろな問題で、常識ではどうも判断がつかない問題がたくさんある。たとえばこのたびの問題おきまして、刑事局から報告をわれわれいただいたのです。その報告を承りますると、今度の事件で被疑者として百九十七名を調査されておる。参考人においては八千六百五十八人ある、そうして五十名前後が起訴をされておる。だから八十六百五十八人を少くと二回平均呼ばつたと仮定いたしまするならば、一万七千名の人たちを取調べたことになるのであります。こういうように何百名かの検事諸君が大わらわになつて二百何十日かを費して調査された、その結果として七千万以上の国費を使つたのだ、けれども今の馬場検事正の考えのように、五千万の問題が政治資金規正法の問題として調査をされます場合にも、佐藤前幹事長を調べて、これは総理と何ら関係ないと自分かつてに判断をされて調べるようなことであつたならば、なんでりつぱな調べができるか、われわれは非常に疑わざるを得ない。こういうことであればこそ、今度の造船疑獄にせよ、陸運疑獄にせよ、検察庁は無計画な調査をやつたではないか、方針というものはさらにないではないかという疑いも持たざるを得ないとわれわれは思うのであります。だからほんとうにそうじやないのだ、われわれはこういう角度からこうした調査までやつたのだ、取調べをやつたのだということをもう少し具体的にお示しを願いたい。われわれは経費に関しましても、予備費から二千万以上の金を支出いたしましてまでも、疑獄事件に対しましては徹底的に取調べを進められるように、側面から御協力を申し上げたはずであります。本日の馬場検事正のこの証言に対しまして考えますと、協力的な態度は見受けられない。馬場検事正にあらためて伺いますが、証人として御出席になつて国政調査に対する御協力の意思ありやどうか、この点をまず承りたいと思います。
  241. 馬場義續

    ○馬場証人 これは冒頭にも申し上げましたように、当然協力しなければならないのですが、その協力する過程において私どもは制約を受けておるから、法律上その制約を除く手続をとつていただきたいということを申し上げておるのです。
  242. 柴田義男

    ○柴田委員 もう一つ具体的な問題を承ります。あれだけの大きな問題で承りましたから、佐藤前幹事長の家宅捜索をおやりになつたと思いますが、その場合に数百万もされるようなダイヤモンドがあつたということを聞いておりますが、そういう事実がありましたかどうか。もう一つは莫大な金額の銀行預金の通帳があつたと聞いておりますが、そういう事実があつたかどうか、ちよつとこの点を承つておきたい。
  243. 馬場義續

    ○馬場証人 今私その点正確に記憶しませんから、事務の係の者と相談してよろしいですか。――あれは逮捕請求と同時にやる予定であつたのが、逮捕許諾にならなかつたので、やつておりません。
  244. 柴田義男

    ○柴田委員 それではもう一つ。私の持ち時間が委員長も中に入つたので非常に制限されておりますので急ぎます。池田勇人氏を今度の事件と関連いたしまして取調べをやつたことがあるかどうか、取調べをおやりになつたといたしますならば、何回おやりになつたかを承りたい。内容は私は承ろうといたしておりません。ただ取調べをやつた、何回やつた、この程度でよろしゆうございますから、承つておきた
  245. 馬場義續

    ○馬場証人 数回取調べをしたと思います。
  246. 柴田義男

    ○柴田委員 それからもう一つは、昨年の四月選挙に帝国石油の大株主の菊池寛實氏と南氏と二人で一億円前後の金を献金された、それは自由党に献金されたのか、吉田茂に献金されたのかはわかりませんが、こういう事実をお取調べになつたのかどうか、この点を承りたいと思います。
  247. 馬場義續

    ○馬場証人 今回の事件に関して菊池とか南とかいう名前は聞いたことはございません。
  248. 柴田義男

    ○柴田委員 それではこういうことで承りたいと思いますが、いわゆる船会社の関係でたくさんの人々が取調べを受けましたが、犬養前法務大臣と、それから船会社の飯野海運の社長かと記憶しておりますが、赤坂の料亭中川で飯野海運の社長が逮捕せらるる三日前に会談をしておつた、こういうことが世間にも伝わつておつたのですが、こういう事実は御存じでありましようかどうかを承りたいと思います。
  249. 馬場義續

    ○馬場証人 さような事実は存じません。
  250. 柴田義男

    ○柴田委員 大きな問題になるとお知りにならないのですが、これは一般に世間でだれしもが知つておる範囲でも、検事正はおわかりにならぬのでございましようか。しかも三日後に逮捕せられるという人が法務大臣と会談をしたということが調査線上に浮んで来なかつたのかどうか。調査線上に浮んでおつたといたしまするならば、何のために会合したのかということはやはり御存じでなければならぬと思うが、もう少し冷静にお考えになつてお答え願いたいと思います。
  251. 馬場義續

    ○馬場証人 飯野海運の関係でそういうことは聞いておりません。
  252. 柴田義男

    ○柴田委員 それではこれで終ります。
  253. 田中彰治

    ○田中委員長 杉村沖治郎君。
  254. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 ただいまの柴田委員の聞いたことはきわめて重要な問題でありますから、さらにその点について私が確かめたいと思うのですが、一月の十三日に犬養法相が中川に行つたことは、犬養法相自体も認めておるのであります。しかも犬養法相は山下汽船のいわゆる会計女任者から二十万円の金を受取つておることを認めております。そういうようなことについて、しかも、犬養法相は国会においてそれを供述しておる。それはあなたは知らなかつたと言うけれども、先ほどあなたが河野委員の質問の一番前提にお答えするときに、私も新聞を見ておるということを言つたのだが、そのことは新聞に出ておるのです。三月二十一日の新聞にちやんと出ておる。あなたが新聞に出ておるのです。三月二十一日の新聞にちつやんと出ておる。あなたが新聞を見ておられるならば、――検事はのか。少くとも天下の大きな大新聞が堂々と書いておる。そういうものを犯  罪の資料としてお調べになる気があるかないか。そういう事実はなかつたのですか。お調べになりませんでしたか。
  255. 馬場義續

    ○馬場証人 私の記憶では飯野海運の社長を逮捕しましたのは三月ではなかつたかと思うのでありますが、先ほど飯野海運の社長を逮捕する前に会つたかという御質問でありますから、どうもその話が違うように思うのであります。
  256. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 それは一月十三日ですよ。こういう新聞の発表は三月ですが、そういう事実があつたことは一月十三日です。それでは話をかえて伺いましよう。あなたは赤坂の中川の料亭の責任者をお調べになつたことがありますかありませんか。
  257. 馬場義續

    ○馬場証人 私は調べませんが、係が調べたと思います。
  258. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 この赤坂の中川の料亭をお調べになつたことについて、いわゆる大臣等がここに行つておるというようなことについて、あるいは飯野海運の俣野健輔であるとか、山下太郎であるとか、そういうような者がここに行つて内閣の閣僚と食事をしておるというようなことを聞いたことはありませんか。
  259. 馬場義續

    ○馬場証人 その捜査の内容は私どもとしてはまだ申し上げることはできないのでございます。やはり正式の手続をとつていただきたいと思います。
  260. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 捜査の内容と言うけれども、そんなことは今日どこにも出ているのですよ。あなたはどうしてそんな捜査の内容だとかいうことを言うのか。犬養法相は、赤坂の中川に一月十三日に行つたのはまんじゆうを買いに行つたのだと、国会に来てこういう不謹慎なことを言つておる。町に行つて食べるまんじゆうは菓子屋に売つておるでしよう。そういうばかばかしいことが何で職務上の秘密ですか。
  261. 馬場義續

    ○馬場証人 中川の帳簿の内容は、今回の事件のいろいろな関係のいろいろな証拠になつていることは、それを申し上げることは職務上の秘密だと申している。
  262. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 それではさらに話をかえて伺いましよう。このたびの汚職事件は、何といつても海運関係がきわめて大きいのでありまして、われわれ決算委員がかようにあなたにおいでを願つて調査をいたしまするのも、実に国民の血移九百九十二億一千九百万円というような莫大な金を船会社に貸している、さらに七百億数千万円という莫大な金を町の銀行から借りている。この利息を国民の血税で昭和二十五年にさかのぼつて払つてやる、この利息というものは莫大です。こういう法律をつくるために船会社の連中が莫大なる金を出してやつた、これがいわゆる造船疑獄についても一番大きいのですが、あなたはこの造船疑獄を調べるにつきまして政府の、いわゆる国民の血税をどれくらい船会社に貸しておつて、どれくらい償還があつたか、どれくらいの利息が払われておつたか、町の銀行に借りた金がどれほど払われたかということは、お調べになつたことがあるかないか。
  263. 馬場義續

    ○馬場証人 その点は係検事が調べていると思います。
  264. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 係検事から何もそういう報告を受けたことはありませんか、
  265. 馬場義續

    ○馬場証人 報告は受けておりますが、今数字は記憶しておりません。
  266. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 このたびのこの海運汚職、陸運汚職につきましての最も直接の責任者は石井運輸大臣でありますが、石井運輸大臣をお取調べになつたことはあるかないか、いかがですか。
  267. 馬場義續

    ○馬場証人 調べたか調べないかということを申し上げることも、職務上の秘密でございます。
  268. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 そんなことが何で職務上の秘密です。あなたはどうして職務上の秘密と言うのです。それでは昨日の佐藤検事総長の言うところによれば、もう造船汚職の関係はこれで一段落をしたというのであるが、しからばそれで一段落しているのかいないのかどうです。     〔委員長退席、柴田委員長代理着席〕
  269. 馬場義續

    ○馬場証人 去る七月三十一日で一段落しているが、だれを調べたか調べないかということは全体的に職務上の秘密であるから、ここで一々申し上げる自由を有しておりません。
  270. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 そうすると、この職務上の秘密ということを先ほどからあなたは言つておられるけれども、その職務上の秘密というのは、あなたが自分でこれは職務上の秘密だと言つてきめれば何でも職務上の秘密ですか。ところが先ほど聞いたのでは、佐藤検事総長の発表にかかつていることは職務上の秘密でありますか、秘密でありませんか。
  271. 馬場義續

    ○馬場証人 職務上の秘密に属することもあると思います。それを検事総長は法務大臣の承認を求めて発表している、かように考えております。
  272. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 あなたの言われるのはきわめて遁辞あつて、われわれの質問を避けようとしておるのでありますが、しからばさらに私は伺いますが、あなたは私法上の権利の濫用ということがあることはお認めになつているでありましようか。公法上においても権利の濫用ということがあるかないか、それを承りたい。
  273. 馬場義續

    ○馬場証人 それは具体的の事例でないと、あるかないか私どもは申上げられません。
  274. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 具体的のことを聞いておりません、総括的にあるかないかということで、権利の濫用があるかないか、いかに公法上の法律でありましても、濫用をすればそれは私はいかぬと思うのですが、そういうことはどうですか。
  275. 馬場義續

    ○馬場証人 観念的にはあり得るだろうと思います。
  276. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 しからばその濫用ということは、公法上のいわゆるあなたの法律家としての権利の濫用という法律常識でけつこうですが、どういうことであれば、権利の濫用になりますか、それを伺いたい。
  277. 馬場義續

    ○馬場証人 たとえば検事が部下の検事に対して、法律の罰条に該当しない事実で被疑者を起訴しろというようなことを命令すれば、これは明らかにそうであろうと思います。いわゆる職権濫用の場合なんかはそういう観念に当てはまるかと思います。
  278. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 これをあなたと論争しておると時間がたつから、もうやめますけれども、そういうばかばかしいことを聞いておるのじやない。法律にないことを要求すれば権利の濫用――法律を適用して初めて権利の濫用の場合なのです。たとえば家の所有者にいかに所有権がありましても、いわゆる社会通念に反してその人をどかせようというようなことがある場合においては、たとい借地借家法がなかつたところで、法律の濫用ということがあるのです。それと同様に公法上におきましても――指揮権を一つ例といたしましよう、この指揮権を発動するということがどういう点において重要であるか。これだけ日本中の国民が――国民の血税を取上げたこの政府がどんなふうにそれを使つてしまつたのかわけのわからないどろ沼のような汚職問題があるときに、これを解明することと、あの指揮権を発動してこんなにうやむやにしてしまうということではどちらが重いかというその比重の問題でありますよ。あなたは先ほどから人の名誉を尊重するとかなんとか言いますけれども、その人の名誉を尊重することと、その人の名誉を尊重するために社会が不利益をこうむるその重さと、両方をはかりにかけてみて、社会がこうむる迷惑が大きかつた場合においては、そんな個人の名誉なんか問題じやないのですよ。そんなことは私があなたにここでくだくだ説明することが実はあほらしい。あなたはいやしくも全国における中枢的東京地検の検事正であつて、そんなことを知らぬはずはないのであります。それにもかかわらずさようなことをおつしやられているということは、実に心外千万であるがしかたがない。しからば聞くが、あなたは少くとも第一線の東京地検の検事正として、あの指揮権が発動せられたそのときに、あなたの部下の検事からどんなふうなあなたに対する意思表示がなされたか。少くともあなたは司法の検事正としまして、行政的においてはすべてあなたが一切のその人の行政上の権利を握つておるのであります。したならば部下の状態はあなたは常に知つておらなければならない。この指揮権を発動されたことについて、部下の検事はどんなお気持をあなたに訴えられたか、また会同の席においてどんな意見を述べられたか、それを伺いたい。
  279. 馬場義續

    ○馬場証人 お尋ねの点は、あの当時検事は非常に大きなシヨツクを受けました。私も事の重要性にかんがみまして、各部長に各部の検事の意見を求めさせて、そうして部長全部が集まつて意見を交換し、また造船関係の検事は全部小菅の刑務所の控室に集まり、いろいろ論議したその結果が、冒頭に申しましたように、検察制度というものがああいう形になつており、しかも理由が検事の判断する外の理由になつている、この制度のもとでは涙をのんでこれに服するよりしかたがない、そういう結論に到達したわけであります。
  280. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 しからば日本のほとんど全検事があの指揮権の発励に対しては不満を抱いているということ。あなた方はみな法律家です。日本の検事は全部一騎当千の法律家であります。その法律家があの指揮権の発動は不満である、かように言われ、しかも全国の新聞はみな筆をそろえて不都合を唱え、国民は不満を訴えておるとするならば、この指揮権の発動は少くとも日本の社会情勢において適当ならず、すなわち権利の濫用なりというように考えられないかどうか、
  281. 馬場義續

    ○馬場証人 その点は昌頭から私から繰返し申し上げております。要するに、制度の問題としてああいう形になつておるから、これは国会なり第三者の批判にまつべきことで、検事がこれを批判するわけには行かぬ、こういう考え方であります。
  282. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 あなたはすぐ秘密を言い出すから、それはやめて、今度は先ほど私が言つたところの三月二十一日のこの新聞に出ておりまするところのこの事実、あなた方は世間話、新聞の報道あるいは聞き込み、そういうものを端緒として犯罪を捜査するのであるが、いやしくも日本のこの大新聞に掲げられているこういう事実について、これを犯罪の端緒として捜査する意思があるかないか、その点を伺います
  283. 馬場義續

    ○馬場証人 それは新聞記事ももちろん犯罪捜査の端緒になる場合がありますから、その記事が出ますれば、その真偽を調べて、必要がある場合は捜査を開始いたします。
  284. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 しからば三月二十一日の朝日新聞にたくせんの金の授受関係がある。それは佐藤榮作氏が百五十万円、高橋圓三郎君が百三十万円、郡祐一君が百五十万円、岸信介が百万円、岡崎外務大臣が三十万円、石井運輸大臣が二十万円となつておる、これは当然二千万円の間違いじやないかと思うのですが、犬養前法務大臣が三十万円、それから松野鶴平氏のせがれの松野代議士が八百万円、これは松野鶴平氏に渡してくれといつて、すなわちこれが山下汽船の横田からあつたこういうことですが、あなたはこれだけの犯罪事実をいやしくも日本の大新聞朝日新聞が報道している、これを犯罪捜査の端緒としないというのは私はきわめておかしいと思うが、これを犯罪捜査の端緒としたかしないか。新聞にこういうことが出ておつたということは知らないのですか、いかがですか。
  285. 馬場義續

    ○馬場証人 その当時見たかどうか今下記憶いたしませんが、もし出ておれば、当然あのときにはいろいろリベート関係の金銭の行方を追及しておりましたから、当然参考にはいたしたろうと思います。
  286. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 この発端は、いわゆる三井船舶の一井が聖路加病院に入院しているのをあなた方は行つてお調べになつて、吉田専務と両方を取調べた結果、横田社長並びに吉田専務の秘密日記の中から出たのであるが、あなた方はその事実を知りませんか。
  287. 馬場義續

    ○馬場証人 山下汽船の横田社長その他幹部の家宅捜索の結果、出た物的証拠によつて捜査を開始したことは、前にも御説明申し上げた通りであります。
  288. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 しからばあなたにお約束するが、私は少くともこの朝日新聞の報道記事というものはまんざらでたらめのことではないと思う。しからばこれはあなた方の職務上、当然に私は犯罪捜査の端緒となるべき事実なりと思う。しかも杉村沖治郎がこの国会においてかく申し上げた以上、これは犯罪の端緒となると思うが、これについてあなたは調べる意思があるかどうですか。
  289. 馬場義續

    ○馬場証人 おそらくそのお話の日時にさような記事が出ておるとすれば、捜査中でありますから、当時の参考にして取調べをしておると思います。
  290. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 しからばあなたの捜査の都合のいいように、もう少し事実を申し上げておきましよう、石井運輸大臣は昨年の七月十日に赤坂の中川に行つて、こういう者と一緒に飯を食つておる。池田勇人、石井運輸大臣、保利農林大臣、星島二郎、俣野健輔、一萬田日銀総裁、一井三井船舶の社長、佐藤榮作、このことは本年の二月二十四日の当決算委員会におきまして石井運輸大臣に質問したところが、確かに昨年の七月の十日に仰せのような人たちと一緒に赤坂の中川へ参りました、こう言う。しからばそれはあなたは自分の金で中川に行つて夕飯を食つたかどうかということを聞いたなれば、いやそれはそうではなかつた。それではどうした、招待されて行つたのではないかと私がこの委員会で聞いたところが、招待されて行つた、こう言うから、しからばその招待者はだれかと言つたら、いいの海運の社長俣健輔であるということを、当決算委員会で石井運輸大臣がはつきりと答弁された、これは速記録に明らかに載つておりますから、どうかひとつ、あなたの捜査あるいは石井運輸大臣取調べの資料としてもらいたい。しかもその七月の十日に行つているということは、もう今日公知の事実です。私が今あなたに言つたことは、これは重大問題ではありませんか。しかもそのことは、朝日新聞に山下汽船から金が出ておることを報道しておるではありませんか。これだけのことが朝日新聞に報道されておるのにもかかわず、石井運輸大臣も、その他の者も、池田君もあるいは佐藤君、も、この朝日新聞に向つて抗議すらしておらない。それは実際行つておるから黙つておるのですが、あなたが今まで知らないというなら、これは犯罪のりつぱな捜査の端緒であります。どうかさつそくお取調べを私はあなたに要望しますが、いかがですか、取調べをする意思があるかないか、どうです。
  291. 馬場義續

    ○馬場証人 先ほども申しましたように中川の帳簿は私の方の係の検事が調べておりますから、さような事実があれば、当然捜査の過程においてそれは証拠として検討しておると思います。
  292. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 たいへん長い間のわれわれのあなたに対するお尋ねで、あなたも少し頭が疲れておるでしようが、帳簿のことを言つておらないでしよう。石井運輸大臣や今私が申し上げた人員等について調べる意思があるかないか。犬養、法相も二十万円、石井運輸大臣も三十万円とはつきり書いてあるのですよ。そういうことを書いてあるから、これらの人を調べる意思があるかないか。赤坂の中川よりもこつちの方が大事なんです。
  293. 馬場義續

    ○馬場証人 これまでの捜査で、いろいろ探究検討してやつておりますから、さような事実が新聞に出ておれば、もうこれまでの捜査の過程において十分参考にして捜査をしておると思います。
  294. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 参考にしたかしないかを聞いておるのではない。少くともこれたけ公開の席で私が言うのだ。しかも新聞にもはつきり出ておるのだ。そうしたなれば、これを参考にしたかしないかを聞くのじやないのです。今まで調べてなかつたならば、これから先調べるかどうか、イエスかノーです。お互いがあまりよけいなことを言わなくても、長い間ものを言わなくてもわかるのですよ。調べてなかつたならば調べる意思があるかどうか。
  295. 馬場義續

    ○馬場証人 毎度申しますように、リへートの動きで、先ほど申し上げましたように、政界に流れた金の部分もあります。調べておりますから、これは今までの経過を調べてみて、必要があればもちろん調べなければならぬが、おそらく十分参考にして、もう調べを終つているのではないかという感じを持つております。
  296. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 しからば調べが終つておるとれば、起訴されておらないのであるが、これは不起訴処分になつておるのだ、そうすると、調べてあつたとした場合においては、その取調べ調書を私は出してもらいたいと思うが、この点いかがですか。
  297. 馬場義續

    ○馬場証人 これも毎度申上げますが、調書の内容を申し上げることは職務上できないこともありますから、成規の手続をとつてもらいませんと御返事いたしかねます。
  298. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 あとの質問者がありますから、私は質問がありますが、この程度で留保しておきます。
  299. 大矢省三

    ○大矢委員 私は関連してごく簡潔に二、三お尋ねをいたしたいと思います。先ほど来、また昨日から今日までいついろ応答を拝聴しておりますと、検帯総長の談話の形引をもつて発表したことについては、所管の大臣に許可を持て発表いたしておるんだと今も答弁かあつたのです。そこで私は、昨日来はなはだ遺憾なことは、重大なことになりますと職務の秘密ということでどうも発表にならない。私はなぜこれを言うかと申しますと、おそらく国民全体がこの決算委員会においての直接担当された皆さんの発言というものをきわめて重要視しておる。この重大なわれわれの調査にあたつて証人として出られる前、また心構えとして、いい機会を与えてもらつた、この機会に腰砕けといいますか、あの強権発動によつて不明朗になつた事件を明らかにしよう。こういうことはできなかつたんだ、しかもこういう金をもらつておるけれどもできなかつたということを明らかにすることを国民が期待しておる、またわれわれはそれを聞きたかつた、また検察庁もいい機会をつくつてもらつた、これを機会に明らかにしようということであつてこそ、しばしば質問の中にもありましたように、すなわち検察庁に信頼を置き、今後の検察事務というものに対して私ども国民が心から信頼することになるから、いい機会を与えてもらつたから、これを機会に初めて内容を知らそうと考えたか、あくまでこれを発表しないようにしておくといつたふうな考えでここへ出て来たか、その打合せがあつたように思うが、昨日から今日にかけて重要なところはちつともかわらない。しかもこの委員会で許可を得てもらえば発表しますと言つておる。それなら事前に――検事総長の談話の形で発表したとき、新聞記者との応答の中に、必ずある機会においては全貌を明らかにして、この国民の信頼にこたえるということを言つておりますので、こういう絶好の機会でありますから、本日上司の許可を得てここへ出て来るべきだ。出て来て初めて真相を明らかにして、なるほどそうであつたんだ、賄賂罪はなかなかきめ手がむずかしいものだ、しかもそういう強権の発動があつたからこうだ、こういうことで国民もまた理解できると思う。しかしかんじんなところへ行つてちつともやらない。ここへ呼ばれたことについて、迷惑な話だということでなく、いやこの機会に明らかにする、ただ許可を得ていないからできぬが、明らかにしたいと思つておるかどうか、もしそう思つておるならなぜ事前に許可をとつて来なかつたか。私は昨日からちつとも動かずに拝聴しておりますが、どうも意識的か無意識的か、あるいは打合せがあつたかどうか知りませんが、かわらない。国民も私と同様な考えを持つておると思いますから、私はこの点を聞きたい。
  300. 馬場義續

    ○馬場証人 今度の決算委員会においてどういうことをお尋ねになるかということは、私どもの準備の都合もありましたものですから、それをお尋ねいたしたところが、それは出て来なければ言えないということでありました。そこ私どももいろいろ検討して、できるだけ国政調査に協力しなければならぬのでありますが、冒頭に申し上げたように、私どもは公務員法で縛られて、職務上の秘密を守らなければなりません。だからここで、お尋ねの中で職務上の秘密に該当するものがあればその旨を申し立てますから、委員会で成規の手続をとつてもらえば、私どもは申し上げるにやぶさかではないのであります。
  301. 大矢省三

    ○大矢委員 そのことはわかるのです。何べんも聞いている。職務上の秘密だから言えない。しかしながらある機会に全貌を発表したいとこう言つておる。しかもこの声明は事前に許可を得てしておる。従つて今私はほかのことで聞くことはないのです。重要なことだから、明らかに造船の汚職、疑獄について聞きたいということは、これはよく知つておられると思う。だからこのことについてはこれを機会にできるだけ発表してもらいたい。従つて事前に法務大臣の許可を得て来るべきではなかつたか、あるいはほんとうに積極的に発表するところの意思がなかつたかということは、許可をとつて来なかつたという結果から見てそれをお聞きしておるのであります。しかしそれで言われるならば、あとから許可をとりますからそのときに聞きますが、一番重要なことは、政党の最高幹部の逮捕許諾状を得たときに、それには重大な証言と申しますか、証拠と申しますか、こういう地位の人であるからして逮捕を請求する前には確固たる証拠があるのだ、これはしばしば言われたことだ。私はこの証拠に基いて逮捕できなくても、あるいはその証拠に基いて起訴ができるじやないか、あなたの今の言葉から、きのうからの言葉を聞きますと、相手方が証拠に基いてこれを承認しなければできないように――私はしろうとでありますけれども、おそらく皆さんが、この重要人物といいますか、大政党のそれらの幹部を拘束しまして、なるほどそういう条件でもらいましたとは言いません。きまり切つたことなんだ。現に今までにたくさんな石炭疑獄といい、その他の疑獄においてもその証拠の通りに承認しないのです。しかし承認しないけれども、幾つものあなたたちの言われる確固たる証拠に基いて検察庁はちやんと起訴しているじやありませんか。これだけなぜ起訴しないのか。ことに先ほど証人からも言われた通り、新憲法に基いて黙秘権があるのだ、そういうことになりますと、黙秘権があるからして言わない。言わなかつたらば、いくらりつぱな証拠がたくさんあつて、あの重要な人を拘束する、逮捕する、その根拠が確実にあつたと言いつつも、それを十分生かさない、結局本人はひつぱれなかつたからどうする。本人をひつぱたら言うと思つたのですか。そういう一体、私どもしろとでわかりませんけれども、専門家として、すらすらと誓うような幹事長ではないと私は思うのです     〔柴田委員長代理体積、委員長着席〕 そんなわかり切つたことをするには相当な確固たる証拠があるということを言つているのだから、証拠に基いてなぜ起訴できなかつたか、このことなんです。そこで私は干渉があつたのではなかつたかということを、国民も思つている。私は時間がありませんから多く申し上げませんが、五分しかないということですから、私はまた後日ことにおいでになつたときにいたしまするが、すなわち、くどいようでありますが、あの逮捕によつて確固たる証拠の通りに――これは一人や二人ではない。これだけの大きな事件だからどの会社へもどの会社へもこういう目的をもつて出しました、こう言つているところが私は証拠だと思う。その証拠に基いてどうして起訴できなかつたか。それから、ひつぱつたらすらすらとそういうことは承認すると思つておつたか。そんな甘い検事司の考えなら、これから事件というものは一つもものになりません。私どもそう考えておる。私どもはそういうことはおよそ望めぬと同時に、しかも逮捕状が出なかつたから逮捕できなかつたということに言い訳にはできないと思つておりますが、国民ももちろんそう考えておりますが、これはどうしてそれほどりつぱに逮捕状まで請求した証拠がありながらそれが起訴できなかつたかということは、私はもちろんのことでありますが、国民はこの点が聞きたい。それは不満ですから、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  302. 馬場義續

    ○馬場証人 その点は前にも申し上げた点でありますが、あの状態で逮捕して取調べをする必要を生じたと申しますのは、何も相手方の自由を求めるという意味ではなくて、関係人その他と交通を遮断して調べないと、お互いに口裏を合せられるとかいろいろなこと出されて、十分目的を達することがでさないからやむを得ずそういう処置に出たので、それができなかつたので任意捜査で極力やりましたけれども、結局やはり目的を達しなかつた、こういうわけでございます。
  303. 大矢省三

    ○大矢委員 これをもつて私は終ります。議論になりますからまたあとで……。
  304. 田中彰治

    ○田中委員長 片島君
  305. 片島港

    ○片島委員 馬場証人も非常にお疲れでございましようが、私は簡明に、重複を避けて御証言を願いたいと思います。  さきの質問者の方で少しく私は納得行かない点があるのでありますが、藤幹事長を逮捕の稟請をやられるという場合には、相当の証拠と相当の確証を持たなければ、大政党の幹事長を逮捕の稟請をするということはできないわけであります。それは当然であります。そういたしますと、この慎重審議の上逮捕の申請をされたということは、逮捕、勾留の上捜査をする、取調べをするということになれば、収賄罪を構成する可能性が強いということの相当の確信をもつてこの逮捕の申請をされたかどうか、その点を最初に伺いたい。
  306. 馬場義續

    ○馬場証人 あの当時逮捕して取調べるのに相当な証拠が集まつておりましたから、逮捕をして取調べれば、その可能性は相当あるという考えは持つておりました。
  307. 片島港

    ○片島委員 佐藤幹事長を逮捕勾留の上取調べれば、犯罪を構成する可能性が非常に強いという確信をもつて逮捕の稟請をされたということである。そういたしますと佐藤逮捕が実現したとすれば、さらに政界の他の大物にも波及するであろうという見通しなりあるいは予感があつたでありましようかどうか、その点お伺いしたい。
  308. 馬場義續

    ○馬場証人 捜査はそこに現われた証拠に基いて一歩々々進んで行きますので、初めから次々のことを予想してやるわけではないのであります。その当時の状態では、まず佐藤氏の問題を一応解決することに私どもは全力を注いでおりました。
  309. 片島港

    ○片島委員 池田勇人氏を少くとも二回以上取調べられたことについては、昨日の佐藤検事総長の証言から明確でありますが、池田氏をお取調べになつたのはどういう事件に関連してお取調べになつたものであるか、この点を伺いたい。
  310. 馬場義續

    ○馬場証人 この問題では、昨日検事総長が、所の関係について説明を申し上げたと思います。大体捜査の内容については毎度申しますが、私ども自由に申し上げるわけに参らない点でありよすが、その所の関係は刑事局長がたしか法務委員会に報告いたしております。その点から検事総長ももう秘密の程度が薄くなつているという観点で御説明になつたと思います。所の関係と、それから西郷の関係はやはり予算委員会か法務委員会で刑事局長がある程度述べておる。だからその関係について取調べたということは申し上げられますが、そのほかの点について取調べをしたかどうかということは、やはり成規の手続を経ないと申し上げられないのであります。
  311. 片島港

    ○片島委員 これはどういう事件に関連があつてお取調べになつたのか。私たちが疑惑を持つておるのは、佐藤逮捕の次には池田だという予感を持つておつたのでありますが、しかし私は佐藤逮捕に関係があるということを、あなたから証言をしていただかなくてもいい。昨日保全とか日殖とかいう問題はこの決算委員会の問題ではありませんといつて委員長から、発言の際に注意がしてある。そうしますとやはり造船疑獄、陸運疑獄の事件に関連をした問題でお取調べになつたと思うのでありますが、さよう心得てよろしゆうございますか。
  312. 馬場義續

    ○馬場証人 ちよつと今の御質問、もう一ぺん承りたいと思います。
  313. 片島港

    ○片島委員 佐藤さんのこの収賄問題の次は池田だという予感を私たちは持つておつた。これは一連の関係があるというようにわれわれは考えておつたのでありますが、しかし佐藤に関係があるということには、あなたも人の名前を言うのはなかなか御無理でありましようが、やはり造船疑獄、陸運疑獄に関連したことで。池田氏をお取調べになつた、このように私たちは承知してよろしいか。
  314. 馬場義續

    ○馬場証人 私どもが申し上げられることは、きのう検事総長が申し上げました所の関係と西郷の関係については明らかに取調べをしたということについては申し上げていいと思います。
  315. 片島港

    ○片島委員 造船疑獄と陸運疑獄の関係についてはお取調べにならなかつたのですか。
  316. 馬場義續

    ○馬場証人 所の関係も、山下汽船から所の方に金が入つておる。そういう関係では造船疑獄に関係があると思いますが、陸運疑獄には関係がないと思います。
  317. 片島港

    ○片島委員 昨日佐藤証言を聞いておりますと、またあなたのきようの発言でも、政界に大きな金が流れておる。昨日の佐藤証言では金銭の授受関係があつても犯罪を構成するとは限らない。池田さんを取調べるについては、犯罪を構成するだけの要素がなかつたから、もちろん逮捕状の申請も出されなかつたのでありましようが、犯罪を構成するだけの確証はなくとも、金銭の授受があつたということは、あなたの方ではお考えになりましたかどうか。
  318. 馬場義續

    ○馬場証人 その点が昨日検事総長も職務上の秘密だと申しておつたのでありまして、私もそれに従うほかはないのであります。ただ今まで明らかになつた、所の関係と西郷の関係では、国会の委員会で刑事局長が説明しておりますから、その範囲においては私どもも説明し得る、かように考えます。
  319. 片島港

    ○片島委員 金銭の授受があつたことは、これは必ずしも犯罪を構成するというわけではない。そういうことにはならぬのであります。その金銭の授受関係はあつても。犯罪を校正するだけの証拠がないから、あなたの方では起訴もされないし、逮捕の稟請もされておらぬ。しかしそうではあるが金銭の授受ということはあつた。そういう事実はあなたたちは認めたか、認めないか。
  320. 馬場義續

    ○馬場証人 その事実関係を申し上げる自由を持つていないというわけであります。
  321. 田中彰治

    ○田中委員長 池田氏に一部金を渡したということを昨日検事総長は認めておりましたよ。事件にはならぬけれども……。
  322. 馬場義續

    ○馬場証人 私はその点新聞を見まして、問題になつておりましたから、確かめて来たのであります。そうすると所の関係で、所に山下汽船の横田社長から来ていることがわかつたが、所から池田君に行つておるところの証拠がはつきりしないというふうに証言されたように聞いております。
  323. 片島港

    ○片島委員 金銭の授受関係の中で私たちは犯罪に関係した分を皆さんにお尋ねしようとは思わぬのでありますが、今の自由党の幹部あるいは現閣僚の中にも、非常にその疑惑のある人が、もうすでに公知の事実と、言つてよいくらい、たくさんわれわれの耳には百入つておるのです。でありますが、池田氏を何回もお取調べになつた、こういうことでございますから、この間において、その金銭の授受ということが皆さんの捜査の上において現われて来たかどうかということは御証言できましようか。
  324. 馬場義續

    ○馬場証人 それは遺憾ながら捜査の内容でございますから、私は職務上ここで申し上げるわけに行かぬので、成規の手続をとつていただきたいと思いす
  325. 片島港

    ○片島委員 どうしても口を割られないということならやむを得ません。  この造船疑獄、陸陣疑獄の捜査が始まりまして後に、あなたは池田勇人氏とこの問題に限らず、何回かお会いになつたことがございますか。
  326. 馬場義續

    ○馬場証人 公にも私にも一回もありません。
  327. 片島港

    ○片島委員 公には会わないというのは、あなたが取調べるとかなんとかいうことではもちろんないのでありまして、公ということになりますと、あなたは検事正でありますから、検事正の立場においてはお会いにならなかつたかもしれない。しかし私が尋ねておりますのは、この捜査に関してでなくしてでも、何回か池田勇人氏にお会いになつたことがあるかどうかであります。
  328. 馬場義續

    ○馬場証人 私にも公にもと申しましたのは、公私ともにないということでありまして、断じてありません。
  329. 片島港

    ○片島委員 池田勇人氏をお取調べになるときに、東京地検の検事の方が、銀座め某料亭で持ち伏せをしておつて、それでお取調べになつたということも聞いておりますが、そういう事実はありませんか。
  330. 馬場義續

    ○馬場証人 さような事実は断じてありません
  331. 片島港

    ○片島委員 犬養前法務大臣が一月十三日に中川に行かれた。先ほど杉村委員からお尋ねがあつたのでありますが、これは疑惑がかかるということは当然であります。時の法務大臣といえどもああいう時節に、しかも重大なる被疑者と会つておる。それは本人も告白しておられるのでありますが、犬養氏をこの問題が起きてからお取調べになつたことはありますか。
  332. 馬場義續

    ○馬場証人 先ほど来申し上げましたようにだれを取調べたとか、だれを取調べないということは、全体的に申し上げる自由を有しておりませんから、これもやはり手続を経ていただかないと申し上げられません。
  333. 片島港

    ○片島委員 昨日佐藤証言においては、池田勇人氏を二回以上にわたつて取調べたということがはつきりとわかつたのであります。私はそれまで知らなかつたのです。どうしてあなたは取調べたか取調べないか――私は何回どこでとは言つておりません。法務大臣であるから取調べできないということであるならばやむを得ませんが、取調べたことがあるかないかということは、きのうは二回以上ということまで明確になつたのであります。いかがでありますか。
  334. 馬場義續

    ○馬場証人 検事総長はどういう心境で申し上げられたのか私は存じませんが、おそらく言われたのは池田氏の関係では所の問題で、所を逮捕して調べておりますし、西郷氏の問題も所氏の問題も委員会で俎上に上つて半ば明らかになつたから申されたものだと私はさように了解しております。
  335. 片島港

    ○片島委員 明らかになつておるということはそれはどういう意味ですか。まだ犯罪を構成するにも至らぬし、池田氏を調べたということと犬養氏を調べたということにはどういう違いあるのですか。委員会でどういう話が出ようと、そういうこととは関係がないじやありませんか。
  336. 馬場義續

    ○馬場証人 その点は今も申しましたように、これは解釈の相違かもしれませんが、国会の委員会で俎上に上つて、刑事局長がある程度答弁をしておるから、そう申されたのであろう。これは私の想像であります。しかし私の考えでは先ほど冒頭に申しましたように、刑事訴訟法の原則として関係人の名誉を保持しろということが私どもに課せられておる義務でございます。から、私どもが自発的に申し上げることは職務上の秘密を漏らすことになりますから、やはり正規の手続を経ていただきたい、かように申し上げておる次第でございます。
  337. 片島港

    ○片島委員 造船、陸運関係から非常に多数の人が取調べを受けておるわけでございますが、私はこの取調べられた人の人数はもう公表になつておるからわかつておりますが、この人数のうち国会に席を占むる国会議員の頭数はどういうふうになつておりましようか。
  338. 馬場義續

    ○馬場証人 それも同じであります。
  339. 片島港

    ○片島委員 国会会議員の頭数がどのくらいになつておるかということは、これはどうして秘密でしようか。私は自由党に何人とか、また改進党に何人とか言つておりませんよ。名前も言つておりません。名前も何も伏せて、全体で国会議員の数が何人かということは、これはどうして秘密ですか。あなたはここに出る前にそういうことを打合せて、いろいろとそういうことは証言しないことにしておるのですか。これはだれも秘密にしておる人はおりませんよ。
  340. 馬場義續

    ○馬場証人 いろいろ御解釈の相違はありますけれども、捜査の内容にわたることは職務上の秘密になつておりますから、正規の手続を経ていただければ申し上げる、かように申し上げておるのであります。
  341. 片島港

    ○片島委員 そういうことはもう証言拒否ですよ。国会議委の総数、頭数だけが言えぬということは、それは前もつてからお打合せでありますか。内容とかなんとかいうことじやないでしよう――ではこれはどうしても証言にならなければこれはしようがない。
  342. 田中彰治

    ○田中委員長 どうです、馬場証人、頭数ぐらいはいいじやないですか。言つたところで。そんなことでは国民が承知しませんよ。あそこの電報を見なさい、毎日百通くらい来ていますよ。頭数ぐらい言つたらいいじやないですか。あなたが言つたからといつて……、そのときにはわれわれは守りますよ。
  343. 馬場義續

    ○馬場証人 やはり私はさように考えておりますから、正規の手続をとつていただきたいと思います。
  344. 田中彰治

    ○田中委員長 そうすると証人、あなたは正規な手続をとれば国民に知らしたいのですか、国民に知らしたくないのですか。(「言つてしまえよ」と呼ぶ者あり)自由党の諸君も言つているじやないか。どうです。知らしたいのですか、知らしたくないのですか。
  345. 馬場義續

    ○馬場証人 正規の手続があれば公訴に支障のない限り一向にさしつかえないと思います。
  346. 田中彰治

    ○田中委員長 もう一度おつしやつてください。
  347. 馬場義續

    ○馬場証人 正規の手続があれば公訴の維持と捜査の運営についてはさしつかえない範囲においては申し上げてさしつかえないと思います。
  348. 田中彰治

    ○田中委員長 上の許可があれば知らしてさしつかえないのですか。
  349. 馬場義續

    ○馬場証人 そうです。
  350. 片島港

    ○片島委員 国会議員の頭数くらいのことも証言を拒否されるということになりますと、何もかも言うまいという腹のようですが、それでは昨日の佐縢証言で非常に多額の金銭が、しかも造船問題などについて受理されたというのでありますが、この事件で金銭の授受が行われた人の人数といつたようなものはおわかりになりませんか。どれだけの人にこの金銭の授受が行われたか。これは国会とか、政党とかいうことに関係はありません。一億なら一億の金全部でもよろしいし、それを含めてあなたの言われるような合計二億六千七百万円、この金銭の授受に関係した人の頭数というものは、これはいかがでございますか
  351. 馬場義續

    ○馬場証人 これは二億六千万円の金がいろいろな人の手に渡ているわけですから、詳細に調べなければわかりません。とても今ここで急に調べ上げて申し上げることはできません。
  352. 片島港

    ○片島委員 たくさんの人に渡つてはおりますが、あなたの方で取調べを行つた頭数がわかつておるのです。一人の人に二回行つたり来たりしましても、それは一人であります。この人には金銭の授受の関係にそういう疑いがあつて、あなたの方で何千人かの取調べをされた中で、その何千人かの中の何人というものは金銭授受の関係があつてお取調べになりましたか。
  353. 馬場義續

    ○馬場証人 これはもうリベートの行方をずつと追究をして調べをしたわけですから、非常にたくさんの数で、ちよつと今人数を出せとと言われましても出しかねます。
  354. 片島港

    ○片島委員 この造船収賄事件をめぐつて運輸者の壺井官房課長が逮捕せられた、そうして名村造船関係もやはりあなたの方で捜査をせられた。取調べを受けた人の自供によつて壺井玄剛、有田二郎君を通じた金が石井運輸大臣に百万円、大野国務相に百万円、こういう金が授受されたということを改進党の中曽根君は予算委員会で公表したことがございます。これは相当な確信を持つて政治的責任をかけて私はこの問題を追究するということを言つておる。ところが徴罰に付せられたところが、どういうものか自由党の方からこの徴罰を取下げたのであります。私どもはますます中曽根君が微罰委員会において真実を暴露しはしないかということをおそれて徴罰を取下げたものと考えておるのでありますが、これだけ公の席上においてしかも現に名村関係の被疑者から自供のあつた問題でありますが、この点についてお取調べになりましたかどうか。
  355. 馬場義續

    ○馬場証人 先ほど申し上げましたように、調べたか調べないか、調べの内容はすべて職務上の秘密に属することでございますから、手続を経ていただきたいと思います。
  356. 片島港

    ○片島委員 非常にこれはばかにされたような話で、私は個人のことを言つておるのではない。こういう公の委員会における速記録に基いて私たちははつきりとその事実があるのだが、こういう事件についてたまたまこれは名前が出たからあなたは非常に心配をされておるのかもしれませんが、名村造船関係でこのような事件があつた。この事件につながる者はみなお取調べになつたかどうかそれを聞いておるのです。
  357. 馬場義續

    ○馬場証人 もとより名村造船の幹部を逮捕いたしまして、その関係のものはずつと調べは進めております。
  358. 片島港

    ○片島委員 名村造船関係でその自供に基き逮捕せられたのでありますが、その関係のものを全部お取調べになつたということになれば、当然こちらまではつきりして来ておる。石井運輸大臣や大野国務相にも行つておるわけであります。それをあなたが何ぼ証言を拒否されても、それはその通り調べたということになるじやありませんか。あなたがここでそういう人たちだけは取除いたと言われない限り、今のあなたの証言によつても、石井運輸大臣や大野国務相は含まれておるのでありますが、そういうふうに解釈してよろしいですか。
  359. 馬場義續

    ○馬場証人 私は名村造船関係で追究して、その関係ではできるだけの捜査をいたしました。調べたとか調べないとかは申し上げていないのです。
  360. 片島港

    ○片島委員 きようは時間を山田君と半々にわけて私の時間を使うことになつております。
  361. 山田長司

    ○山田(長)委員 動議を提出いたします。連日にわたつて証言を伺つておりますが、遅々として、思うつぼに発言されておらないわけです。そこでわれわれといたしましては、参考人小原法相も連日出ていただいて――現在の状態では、指揮権以上の妨害がなされているとわれわれは信ずるわけです。そういう点でどうしても証人の言をもう少しはつきりと言える状態にしおかなければ、何ら急所についての発言がなされないと思うのです。そういう点について動議を提出いたしますが、どうかひとつ御採択を願います。
  362. 田中彰治

    ○田中委員長 山田君の動議に対して何か御発言ございませんか。
  363. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は別に反対するわけではないのです。審議をもつと適切にやりたいというその衷情から出ております。そこでただ小原法相をここに呼んで来ておくというだけでは、同じ証言拒否が繰返され、そしてその都度解決するという道は与えられないのではないかと思う。その点は、昨日も小原法相はここへ来ておりました。でありますので、これはやはり何とかあなたの目的を達するように、もう少し内容を明確にしてされることを希望いたします。
  364. 山田長司

    ○山田(長)委員 ただいまの私の発言に要領を得ない点がありましたので、ただいまのような誤解を招いておるわけですが、証人席の隣に小原法相を置いて、それでその都度不明確な点がありましたならば、一々小原法相にそのことの了解を得て、発言をさせてもらいたいと思うのです。そうでなければ証言の進行はなされないと思うのです。
  365. 田中彰治

    ○田中委員長 山田委員に申し上げますが、小原法相をここへ呼んだところで、そういうようなことになると、帰つてからまた考えてやりますとか、また下の者と相談して、とか、あのたぬきおやじは一通りのなわでいくやつでないし、先ほど皆さんとあれしてちやんと書類でこれだけのものは聞きたいから許可しろというのをやつてありますから、これで許可しなければ内閣の声明というところに行くのですから、それでやつたらどうですか。
  366. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 私はただいまの山田君のおつしやられる通り、小原法相をここに出して聞かしておくというのではないのです。もちろんわれわれは正規の手続はしますけれども、一応小原法相をいわゆる主務官庁として出して、われわれは小原法相の意のあるところを聞かなくちやならない。先般の私の質問に対しても、小原法相は、自分であつたならばあの犬養法相の指揮権の発動のようなことはしなかつたということを当決算委員会で述べておる。さらに、しからば将来においてもそういうことがあるかないかというて尋ねたら、将来においてもそういう意思はない、こういうことを言つておるのでありまするから、そんな文書の往復だけで承認を求めてやつてみたところが、文書に承認せぬといつて返つて来たならば何にもならぬ。それであるからここに小原法相を呼び出して――自分であつたならば犬養のごときことをやらなかつた、将来もやる意思はないというのであります。現在の状態では、あの犬養の指揮権発動以上のものであります。それでありますから、あす午後から証人調べをすることにして、午前中一ぱいは朝九時から小原を呼び出して、そうしてわれわれ徹底的にに小原に質問する必要があると思う。山田君の動議の意味も多分この意味だろうと思うのです。
  367. 田中彰治

    ○田中委員長 杉村委員に申し上げますが、あしたはわれわれで一番頼りにしておる河井検事がおいでになる。それで、小原法相をここに置いて、上司がおる前でそう言えるものじやないですよ。もう一つ、証人を呼んでおつて、一々そこで証人のあれをやめて、そうしてやるということは不便だから、もしやるなら小原法相なら小原法相を別に呼んで、聞いて、それから聞くようにしなければぐあいが悪いと思うのです。もう一つ、山田君の動議ですが、証人を調べるときは、証人の上司をここに置かないという動議が出て可決されておるのです。いかがですかどうせこの方は小原の一味のたぬきですから、この方は別として、あしたは少し正義感のある人がおいでになるとこつちは心得ておるのですがね。
  368. 河野一郎

    ○河野(一)委員 馬場さんにちよつとお尋ねしたいのですが、証言を拒否されることについて、これは総括的にわれわれの方から許可を求めるということでよろしいのか、それとも証人としてあなたがきようおいでになつたように、一応ここはおいでになつて、われわれの方から質問をする。この問題は答えられないという具体的事実が生れて、その事実基いてわれわれの方から主務官庁の許可を得て、あらためてあなたにおいでを願つて、そうして質問をしなければいけないのか。そういう順序をとらなければいかぬのか。その点はどういうふうな御見解でございましよう。
  369. 馬場義續

    ○馬場証人 私個人の見解ですけれども、おそらく事項を規定しておる問題じやないかと思います。私どもはこの点は職務上の秘密だという申立てをいたしまして、その点のことについてじやないか、かように考えております。
  370. 河野一郎

    ○河野(一)委員 そういたしますと、あらかじめわれわれの方でこういう事項こういう事項と列挙して、これらについての証言を求めるということで、ことえば河井検事の場合あなたの場合、これは法務大臣の許可を得るということでよろしいかどうか。
  371. 馬場義續

    ○馬場証人 私は多分それでよろしいのじやないかと思いますが、初めてのことでありますから、手続はよくわかりません。個別的じやないかと思います。
  372. 河野一郎

    ○河野(一)委員 くどいようですが、もう一ぺん申し上げますが、そうすると、たとえば河井検事の場合には、浪井検事に一応おいでを願つてここで旦体的に質問しなくても、あらかじめ洞井検事にもあなたにも検事総長にもすべてに適用するように、何々の問題、何々の問題、何々の問題ということで、何々の調書の提出を求めるとか、何々の調書の中のどういう事項ということで事項別に書いて、それの証言を求めることの同意を主務官庁に本委員会から要求するということでよろしいでしようか。
  373. 馬場義續

    ○馬場証人 あれは申立てをしたときは求めなければならないというたしか文言になつておりますから、私どもが申立てをしたことについてこちらから主務官庁に要求される、こういう手締になるだろうと思います。
  374. 河野一郎

    ○河野(一)委員 もう一ぺんお尋ねいたします。申立てをなさるのは、その事件、その事項が他の証人にも適用されるということでしようか。たとえば検事総長が申立てをされた、それが拒否された、それについてこちらは手続をとり、とつたその手続の内容は、たとえばあなたにも河井検事にも適用されるかどうか、他の検事諸君にも適用される、この点はどうでしよう。
  375. 馬場義續

    ○馬場証人 この条文から見ますと申立てをして、質問の内容は個々に違うわけでございましよう。私に場対する質問と検事総長に対する質問と、河井検事に対する質問と違いますから、やはりせつかくおとりになるなら個別的にやるのがいいんじやないかと思います。
  376. 河野一郎

    ○河野(一)委員 そうするとごめんどうでも河井検事その他の検事にこちらで伺う場合には一人々々おいで願つて、一人々々こういうふうにやつて、そうしてそれは職務上の事項でありますから申し上げられませんという速記録をここでつくつて、そうして一人一人こちらから手続をとつて、あらためて、お越しを願つてその内容をお尋ねするということになるのですか。
  377. 馬場義續

    ○馬場証人 多分そうだろうと思います。そういう建前ではないだろうかと思います。
  378. 片島港

    ○片島委員 今の山田君の動議ですが、これは理事会に諮つてからその取扱い方を御協議願いたいと思います。
  379. 田中彰治

    ○田中委員長 承知いたしました。
  380. 山田長司

    ○山田(長)委員 ただいま片島君の発言了承します。一応取下げておきます。
  381. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 本日報道陣の方から私はちよつと聞いたのでありますが、当決算委員会において吉田総理以下を証人に申請したところが、堤議長はそんなものをやつたつて何もならない、自分が握つて出さなければ問題にならない、こういうようなことを言つたそうでありますけれども、私はそんなことはおそらくできないことであろうと思うのでありますが、そういう場合は委員長がすぐに手続をしてくれるだろうと思いますが、その手続がされない場合においては私はぜひ堤議長もここに呼んでもらいたいし、またさらにそういうことになりますなれば本件に関して、われわれは決算書として、造船会社の関係でありますから三井船舶、三菱海運を初め、俣野健輔の何する飯野海運、リベートに関係のある人を全部呼びして、私は調べたい、こういう考えでおりますから、委員長においてもその点を十分お考え願いたい、これだけを議事進行のために申し上げておきます。
  382. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ただいまの、堤議長が吉田総裁以下の証人喚問について、これを押えるだろうかという心配につきましては、これはひとつ即刻最善の措置をとつていただきたいと思います。  それから爾余の証人ですが、この証人の問題につきましては追つて相談することにしたらどうでしよう。各委員の御意見等もありましようから。
  383. 田中彰治

    ○田中委員長 それは、杉村君はもし証人を拒否された場合ということを前提にしておるのですから、証人として申請したわけではないのです。  それではきうはどうします。あしたにしますか。
  384. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あすは馬場検事正は出られぬと思います。私はやはり総括的に、証人が上司の許可を受けて来るという方法によつて、いろいろと聞きたいことがここで陳述し得るというのならそれはいいと思います。しかし今河野君の質問に対しまして、そうではなしに個々の具体的な事実について、一々これは秘密に属しまするといつて証言を拒否した場合に、証人等の法律の五条による監督庁への承認を求める手続が必要でありますという見解でありますから、それならば私はやはりきよう少くとも拒否するだろうというような事柄につきましても、それを含めて少しただしておいた方が審査を進める上においていいのじやないか、私はさように思いまするから、そういう趣旨におきましてもう少しの時間質問をすることにおつき合いを願つたらいかがかと思うのであります。非常に重要な事実につきまして拒否するのなら拒否するで、成規の手続をとつてさらに証言を求める順序を追うて行かなければいけませんので、少くとも私どもはやはり出すか出さぬかにつきましても、また言い得るかいなかにつきましてもただしておかねばならぬ数個の重要な点はあると思うのです。そういう意味におきまして、きよう多少そういうことについてもその辺の運動はしておいた方がいいのじやないかと思います。  議事の進行につきまして発言を許していただきたい。  佐藤前自由党幹事長、池田勇人君、その他検事正がさきに延べておられた政界へのいわゆる一億円のリベート、その流れた対象の人物につきまして不起訴になつた分の人名、金額、授受の状況等の事実を知り得るような書類としてぜひお出し願いたい。出していただけますかいなか確かめたいのであります。
  385. 馬場義續

    ○馬場証人 毎度申しますように、職務上の秘密でございますから、成規の手続を経て……。
  386. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 佐藤前自由党幹事長の政治資金規正法の起訴事実の、受取りました金の行方及び受取りました金の記載をしてある書類、これは自由党の本部の捜索の際に押収されたと思うのですが、この分、これは五千二百万円になつておりますが、その他の分も含めましてこれらの記載のしてあります金銭出納簿等の関係会計簿をひとつ当委員会に出してもらいたいと思うのですが、こてはだせますか。
  387. 馬場義續

    ○馬場証人 これも同じように正規の手続を……
  388. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、およそこの政党、国会関係のリベートによる政治献金及び船会社、造船会社、団体、協会などからする政治献金の名簿、これもあなたの方の捜査によつて押収してあるはずであります。ことに横浜、千原の捜査の際にも押収ができているはずであります。これらも一括してお出し願いたいと思いますが、いかがでしよう。
  389. 馬場義續

    ○馬場証人 吉田委員にちよつと伺いたいのでございますが、自由党以外の政党という意味ですか。
  390. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 自由党の本部の捜査の際の押収関係帳簿のことはさつき述べました。あとに述べましたのは、あなたは一億円が政界に流れておるとおつしやるので、それの流れ先全部、こういうのです。
  391. 馬場義續

    ○馬場証人 それも同じように取扱いたいと思います。
  392. 河野金昇

    ○河野(金)委員 昨日佐藤検事総長が、政界に流れている金は二億六千七百万円と言つたことは、疲れておつて間違いだつたということを、今日新聞で発表しているようであります。実際政界に流れたのは七千数百万円にすぎない、こういう手続をとられておるようであります。先ほど証人は、私の質問に対して一億円ぐらいと言われたと思います。そうすると、聞くたびにこの数字が違つて来るのであります。先ほどの私の質問に対して、あなたは山本特捜部長か何かを至急に役所に帰らして調査をされたはずだと思いますが、一体どれがほんとうなのか、私たちはどれを信用すればいいのか、はつきりしていただきたいのであります。
  393. 馬場義續

    ○馬場証人 私は、私の申し上げたことについて責任を持ちます。一億円ぐらいと思います。
  394. 田中彰治

    ○田中委員長 ちよつと河野委員に申し上げますが、佐藤検事総長からまた訂正したものでは一億円としてあります。
  395. 河野金昇

    ○河野(金)委員 それでは検事総長から書類をもつて申入れがなされておりますから、その一億円というのが正確であるというふうに了承いたします。この新聞は誤報である、こういうように了解しておきます。
  396. 藤田義光

    ○藤田委員 関連して。私は質問する予定でありましたが、委員会全体の議事の運営上、本日の質問は省略いたします。ただ本問題の審議にあたりまして、一つの大きな軸心は指揮権発動の問題であります。昨日来の各委員の質問にかんがみましても、どうもはつきりしない点を私は率直に聞きたい。検事正も簡単に要点だけを答えていただきたい。  指揮権発動は国会審議の状況にかんがみという理由が大前提になつておるが、国会審議の状況にかんがみという認定はだれがするのか、これをお伺いしたい。これによつて指揮権発動に対するあなた方の立場がかわつて来る。
  397. 馬場義續

    ○馬場証人 私は法務大臣であると思います。
  398. 藤田義光

    ○藤田委員 そうしますと、これは釈迦に説法でありますが、検察庁法十四条の規定の存在するゆえんのものは、あなたも先ほど来の質問に答弁されたごとく、行政権と司法権の調整をする大きな規定であります。近代国家の特性としての三権分立の精神からいたしまして、準司法権たる――私は完全司法権とは申しません、準司法権たる検察権と行政権を調整するために、この規定があるのであります。これと対比すべき規定としましては、立法権と司法権を調整するために憲法第五十条がある。国会開会中の議員の逮捕許諾規定があります。これは革命の歴史によつても明らかなごとく、司法権の行き過ぎを是正するためには、こういう規定を厳然と残しておかないと、検察フアツシヨの危険がある、立法権の侵害があるというところから、憲法第五十条と先ほど述べました検察庁法十四条の規定があるのであります。そうしますと、検察庁法十四条の規定に基くいわゆる指揮権の発動は、少くとも国会が認定すべきであります。国会の審議の状況にかんがみというその必要性は国会が認定すべきであります。政党に所属しておるの有無を問わず、吉田内閣の法務大臣が認定すべきではない、行政権が立法権を侵害しておる、非常に重大な問題であります。指揮権が不正なりや不当なりやを認定する一つの大きな根幹をなす問題であります。検事正の意見を伺いたい。
  399. 馬場義續

    ○馬場証人 私も考え方としてはあの場合国会で拒否を決することが一番フエアではないかと思つておりました。しかし、検察庁法の建前で法務大臣は指揮をする権限を与えられておる、そこで指揮をした。その指揮の理由が、検事が判断する以外の事項でやつて来た、それを、検事が自分の責任外のことで批判することは――個人的に批判することは別として、検事としてはその指揮に服するのやむを得ないのが今日の制度である、こういうふうに理解しております。
  400. 藤田義光

    ○藤田委員 そこで聞きたいのでありますが、あなたは国会が判断するのがフエアであると感ぜられておる、しからばあの指揮権は不正でありますか不当でありますか、はつきりしていただきたい。
  401. 馬場義續

    ○馬場証人 不法ではありません。検察庁法では指揮できるようになつておるのでありますから、その点は何ともしかたがない。
  402. 藤田義光

    ○藤田委員 それでは、正当ならざる指揮権であるという御認識であります。
  403. 馬場義續

    ○馬場証人 正当であるかどうかは国会なり輿論で判断することで、私どもは希望としてはそれが一番よいのじやないかと思いますけれども、法務大臣がさようにお考えにならないのですから、法務大臣は国会に対して責任を負つておられるし、また自分で責任を持つてやつていることですから、その点について、私が正当であるとか正当でないと言う限りではないと思います。
  404. 藤田義光

    ○藤田委員 そこだ。あなたは検察庁の第一線の責任者であります。総括責任者は検事一体の原則によりまして検事総長であります。現在、政党に所属する法務大臣が無法なる、あるいは不正なる、あるいは妥当ならざる、あるいはあなたの表現をかりればフェアならざる指揮権を発動した場合、対抗する道はただ一つであります。検事総長が責任を持つて辞職すべきであります。私はあえて戦争前の検事の態度を謳歌するわけではございませんが、あまりに責任を感じない昨今の検察庁に対する国民の批判は、こういう検事総長を上にいただく限りにおいてはどうしても悪評がとまらぬ。あなたはどう感ぜられますか、率直なところをお伺いしておきたい。検事総長が自分の所信を通し得ないなら、対抗すべき手段としてはただ一つ、検事総長が辞職することであります。その最後の抵抗手取も講じなかつた佐藤藤佐検事総長のもとに、あなたは恋々として検事正をしておられる。検事総長がやめなければ、当然あなたは断固として辞表をたたきつけるのが、われわれが法律的にも検察庁の特別の立場を認めた最大のりえんであります。どういう御所見でめりますか、お伺いしたい。
  405. 馬場義續

    ○馬場証人 その点はきよう初めからしばしば申し上げましたように、理由が、検事が判断し得る範囲で非常に違法なことがあるというなら、御説の通りであります。ところがああいう政治上の理由ということになりますと、検事が判断すべき範囲の外なので、法務大臣が責任をもつてやれば、制度上検事はそれに従うのが、あの検察庁法の精神で、私は検事総長のとつた態度はやむを得ないと思つております。
  406. 藤田義光

    ○藤田委員 あなたは法の番人でありましよう。法律一本やりで自分の挙措進退をきめることも必要でありましよう。しかし国民の常識として、今日検察庁に対する信用を回復せずんば、私は第二の蒋介石が日本にでき、国全体が非常に危険になることを憂慮するのであります。  しからばお伺いしたいのでありますが、臓物故買罪という犯罪があります。どろぼうをした品物を買つた場合の犯罪であります。臓物故買罪に関しましては、私が申し上げるまでもなく判例がありまして、臓物を買いました商人は、自己の帳簿に記載せざるも、その記載せざることに関しましては、犯罪は成立しない。佐藤榮作氏に対しましては、あなた方は、最初収賄罪でやられた。この収賄罪の金額たる一千万、二百万をそのまま政治資金規正法に持つて来られた。もしこれが収賄罪というあなた方の確信があれば、帳簿記載の必要はないのであります。臓物故買罪に対する大審院判例はどうしました。法の番人たるあなたが判例を無視した決定をしておる。いつの間にこの収賄罪の容疑を政治資金規正法という形式犯にすりかえられたのか、法の番人たるあなたの良心を私は疑うのでありますが、率直な答弁を伺いたい。
  407. 馬場義續

    ○馬場証人 古物商の問題の判例は、今私つまびらかにいたしませんが、収賄罪の問題とそれから記帳の問題は、被害法益は別個にあつて、両方の犯罪が法理論的には成立し得る、かように考えております。
  408. 藤田義光

    ○藤田委員 一党の幹事長の容疑事実に対し、公訴を提起するかいなかの重大問題に関しまして、判例を調査しないというずさんな今回の疑獄捜査であるということが、ただいまの答弁によつてはつきりいたしました。これは大学を出たての弁護士ですらこういう判例はよく知つておる事実であります。それすら無視して佐藤前幹事長に対する公訴維持提起の問題を論議されたということは、実に言語道断である。大体これは過去の例を見るまでもなく、現役の代議士に対する逮捕請求あるいは逮捕問題は、国会閉会中にやるということが、長年の検察庁の慣例になつておる。これも釈迦に説法であります。しかるにもかかわらず、あなたは午後一時からの質問に対しまして、一月七日から事件を始めたと言われる。民主主義政体下における憲法無視と申しまするか、憲法軽視もはなはだしい態度であります。国会開会中はわざわざ回避して、現役代議士の逮捕をやつておるのが終戦前の常識である。それをあえて一月七日に開始されましたが、その結果はこの通りである。この疑獄に対するあなた方の方針はまつたく支離滅裂ではないかと思うのでありまするが、あなたの御感想をお伺いしておきたい。
  409. 馬場義續

    ○馬場証人 私が古物商法の判例を正確に記憶していないからそう申し上げたので、実は麻薬には今藤田委員の見解と趣旨においては反対の判例がございます。だから判例の検討ももちろんいたしております。ただ古物商問題について、私今その判例を記憶していないものだから、記憶していないと申し上げたのであります。  それから国会会期中にこういう犯罪の捜査をするのはいかぬじやないかという御意見、これはもちろんごもつともな議論です。ところがこれが初めからそういうふうに発展するということになつて、しかも持つことができる事件ならもちろんそのようにいたすのであります。ところが先ほど来申し上げましたように今度の事件は猪俣、志賀の両名を詐欺の事件で逮捕し起訴して、それからその関係から山下汽船の関係が現われて、そうして逮捕捜索した結果、有力な物的証拠が出た。もしそういう場合に国会会期中に国会議員の事件はやらぬということになりますと、捜査をやめるよりしかたがない。この点は非常に世の中でも誤解されておるように思います。私どもも決してそれは望んでいないのでございますよ。こういうときにやることは、私ども捜査上非常に不都合を来して、今回のような問題を起していわゆる不利であることはわかつておりますけれども、事実が、証拠がつかまつて来た、しかもそのままやめずにやつておれば関係者は出てしまう。そうすると事件はまるつきりやれないという結果になるのです。この点はいろいろ御見解があると思いますけれども、私どもはやむを得ずこの時期に捜査を進めざるを得なかつたという事情を御了解願いたいと思います。
  410. 藤田義光

    ○藤田委員 そこだ。そういう長年の政治慣習、検察庁の慣例を破つてやられた根拠としては実に薄弱である。あなたは舌のかわかぬ前に、つい先ほど吉田総理の捜査は今おな軌道に乗らぬような答弁をされておる。どうしてこういうふうに区別されるのか。国民が誤解しておるということを言われたが、ますます誤解は深くなつたじやありませんか。しかも各委員の質問に対しまして、あなたは証拠に基いてやつておると言われるが、私が率直に言えば、これは特別背任罪から今回の疑獄へ入つて参りまして、証拠も何もないのに、まず政界をやろうとねらつたのであります。証拠なしに始めた事件であるから非常に無理をしておる。専門家に言わせれば、きたない事件であります。筋の通らない事件であります。そうはお思いになりませんかどうですか。
  411. 馬場義續

    ○馬場証人 私はさような意味合いの捜査は絶対にいたしておりません。証拠をもつて捜査を進めて行つております。
  412. 藤田義光

    ○藤田委員 いずれ人権蹂躪の問題、自白の強要の問題は、これは当然出て来ます。無理して証拠なしにやつておる幾多の事実を知つておる。今回の事件は、日本の敗戦後の産業再建に一番功労のあつた全国二十数社の造船会社の社長をほとんど全部ひつぱつた。その結果は全部不起訴である。こういう国家の産業再建に功労のあつた人に対するこの仕打ちは、私は具体的な資料をいずれひつさげてあなたに聞きますが、人権蹂躪と言わずして何だ。はつきり証拠を突きつけてあなたの所見を伺いたい。しかし本日は私は関連質問の形式でありますから、これ以上検事正の答弁を要求する時間的余裕がないことを非常に残念に思う。いずれ日をあらためまして、最後の総括において率直なる答弁を資料によつて伺いたいと思いますことを述べまして、私の関連質問を終つておきます。
  413. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 質問に入りまする前に、事務的に検事正にただしておきます。  池田勇人君の取調べの調書を出してもらいたい。  それから続いて申します。七月三十日の検事総長談のうちに、「昭和二十八年四月施行の総選挙を中心として多数の議員候補者に金員を交付している事実、こういうことが書かれております。これはリベート等の金であろうと思いまするので、その多数議員とはどういうものをさすのか、これに渡つた金額、経緯など。それから同じくその公表のうちに、「いわゆるリベートは、飯野海運、東西汽船、日本油槽船、中野汽船等の各海運会社に及んでいることが判明し」、こうなつておりまするので、これらの汽船会社に及んだリベートの数額等の事実、「さらに右海運助成法案、予算案の国会審議をめぐつて、日本船主協会、日本造船工業会幹部と一部国会議員との間に、贈収賄の容疑のあることが発覚した」、こうなつておりまするので、その容疑の事実、以上をお出し願いたいと思います。
  414. 馬場義續

    ○馬場証人 先ほど同様のお取扱いを願いたいと思います。
  415. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それでは私はこれから少しくあなたに尋ねてみたいのですが、その前に言う以来のだんだんの質疑応答によりまして、職務上知つた秘密事項であるというので拒否せられておる例がほとんどになつております。これはこのまま行きますると、議院における証言等の法律によりまして終局内閣の、いわゆる国の利益に重大な不利益を及ぼすというような声明ということになるかもわかりません。しがしながらそういう声明になりましても、その場合にはあなた方によつて証言を得ることはできないのであります。そういたしますると、この疑獄の事実について国会が求めんとするところの幾多の疑惑はやみからやみに葬られてしまう、こういうことになる。これを私ども実に憂慮しております。そこであなたがきようもあなたのお立場を濫用して、ただ秘密に藉口して逃げておるのじやないかということがだんだん質疑になつております。そこで私はあなたにこれらの点について確かめておかなければなりません。  第一に聞きたいことは、証人として国会にお出になる前に、上司つまり法務大臣、検事総長、検事長などとの間にあなたは秘密事項、述べるべき範囲等についての協議でもなさつたのだろうかどうか、その点を聞いておきましよう。
  416. 馬場義續

    ○馬場証人 法律解釈の問題については、初めてのことでございますからお互いに検討いたしました。
  417. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は法律解釈の問いをしておるのじやないのであります。そうじやなしに、述べる証言の範囲は、なるべく述べない、なるべく述べよという一般論的な範囲の問題もあるが、もつと具体的に、これこれの線に触れないようにしようとか、そういうような趣旨の打合せ、協議でもせられて来たのじやないか、かくしてそれはあなたが上司によつて篏口令をしかれておるということになつておるのじやないか、こう思うのですが、いかがですか。
  418. 馬場義續

    ○馬場証人 いやそうではなくて、大前提は結局捜査上の秘密というものは言わないのが原則なのであります。そこで先ほど申しましたように、形式論を申しますと、初めからまず出て来て聞かれて、それから言わなければならぬ、それではまるで何のために出て来たのかわからない。それでどの範囲のことが許されるかということで協議をいたして、その範囲で、たとえば一番今回疑惑を招きました指揮権発動の問題とか、そういうものについてはある程度説明することもやむを得ぬじやないかというような協議をして、その範囲で証言をいたしておるわけなのであります。
  419. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それではどの範囲で証言をするかということについておよそ御相談になつておるらしい。それならばそのどの範囲ということは、要するに秘密事項とは何ぞやということに帰すると思うのです。そこであなたに聞きますが、一体あなたが秘密事項なりとして証言を拒むという場合に、秘密事項という判断、認定はあなた自身が独自にするということでいいのでしようか、それともやはり妥当的な客観性があり、あるいは社会通念によつて、こういつた少くとも客観的妥当性というような線において秘密なりやいなやをきめるべきではないのでしよう万、その点はいかかですか。
  420. 馬場義續

    ○馬場証人 おそらくこの法律の建前から言いますと、やはり記入の考え方が一番だろうと思います。証人の主観と言うと誤弊がありますが、私ども検察官としては、職務上の秘密は述べないことが建前なのである。しかしそれではせつかく国政調査としてやつておられるのにまるで話合いにならないから、私どもの考え、要するに冒頭に申しましたように、国政調査と職務上の秘密を守ることの調和というものをどこに置くかという問題になつて、私どもはこれぐらいはさしつかえないという範囲のことを申し上げて、それから先のことは、やはり法務行政の最終の責任者の法務大臣がきめる問題でございますから、そういうおとりはからいを願いたい、かように申し上げておるわけであります。
  421. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 最終の責任者の法務大臣がきめるということは、それは手続の進展によつてそういう段階に行くかもわからぬ。けれどもきようはあなたは独立した検事正のお立場から、みずから関与なさつたいろいろな事柄について国政調査の対象になる範囲において、これが秘密なりやいなやということを御判断になるのであろうと思う。ところで今の御説明によると、まず述べるものは証人が自分で判断するということが先になるらしい、そういうお考えらしいのであります。そこで私が今聞きたかつたのは、それはそうであるといたしましても、少くともあなたの悪意は許さぬ、あなたの独善は許さぬ、あなたの利害によつてすることは許さぬ、また一党一派の利害を守るというようなことであつてはなおさら許さるべきではない。ここはやはりもつと澄み切つた、純粋な立場においてなされねばいかぬ。だからその意味におきまして社会通念、客観的妥当性というものが求められるのではないか、それはいかがですか。
  422. 馬場義續

    ○馬場証人 そういう意味でとにかく……
  423. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 最後の客観的妥当性だけ御見解を聞けばよろしい。
  424. 馬場義續

    ○馬場証人 だから今申しましたように、客観的妥当性というのは、私ども捜査官として国政調査の限度で私どもが申し上げ得る範囲は最大限に申し上げる、こういう考え方を持ちます。ところが先ほど申しましたように公訴維持の問題とか、あるいは刑事訴訟上の問題とかいろいろありまして、私独断できめかねるから手続をとつていただきたい、かように申し上げておるのであります。
  425. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私はこのたびのきわめて重大な問題について、あなたは最も中心的なる検事の指導、指揮のお立場であつたと見るのであります。でありまするから、この聞くべき事柄について一々法務大臣の最終判定を受けねばならぬというような、そんなことはもう常識上考えられません。あなた一個を責任とあなた一個の見解によつて、これはやはり国会の権限との調整ということはもつともであります。と同時に国会の権限との調整という問題は、やはり社会通念、客観的妥当性という、そこに最も強い線を持つて来なければならぬと思うのであります。でありますので、そういう趣旨においてあなたの秘密の範囲というものはなるべく制限せねばいくまい。少くとも刑事訴訟上における秘密あるいはあなたが刑事訴訟上における検事の捜査上の秘密を守るべき義務というよりも、憲法によつてわれわれは国会といたしまして、国の最高の政治上の機関といたしましての国政調査権に基く調査を今やりつつあるわけなのです。その前にあなたがこれは秘密なりとして述べないというその制限は、それは刑事訴訟法上におけるないしは一個の個人の利害、名誉等におけるその秘密よりも、述べるべき範囲は、つまり述べなければならぬということはよほど制約をされなければならぬと思う。言いかえますると、それこそあなたが国会の国政調査権との間に調整をせなければならぬと言うのはむしろその点なのです。そういたしますると、単に刑事訴訟法上によつて検事の捜査は機密に属するというような、そういう概念で線を引くことは憲法における国会の国政調査権というものをまつたく考えておらぬことである。だからたとえば刑事訴訟法の四十七条によりましても、これは公益の必要炉あるならば、それは提示しなくてはならぬというように但書が入つておるわけであります。でありますから国会において秘密と称して述べない範囲というものは、これは普通よりもよほど制約をされなければならぬということはお考えになりませんか。
  426. 馬場義續

    ○馬場証人 この点の見解は、先ほど申し上げましたように、可能な範囲においてはもとより証言しなければなりませんが、私どもの判断し得る範囲のことは申し上げますけれども、それに逸脱する部分はやはり正規の手続をとつていただかなければ申し上げられない、こういうように考えております。
  427. 田中彰治

    ○田中委員長 証人、もしあなた方が法務大臣に、この範囲がいいかとかあの範囲がいいかとか説明しても、あれだけの複雑した事件の内容を知らない人が、その限界を許可する上においてそういうことがわかりますか。それをひとつ述べてみてください。
  428. 馬場義續

    ○馬場証人 それはわかると思います。
  429. 田中彰治

    ○田中委員長 どうしてわかります。
  430. 馬場義續

    ○馬場証人 報告を聞いておりますから……。
  431. 田中彰治

    ○田中委員長 そんな、この間なられたような人の、あの老いぼれた頭でもつて、こんな複雑した事件の詳しいことがわかりますか。あなた方でもわからぬと言つたじやないですか。記憶がないとか忘れたとか言つたじやないですか。これはどうですか。
  432. 馬場義續

    ○馬場証人 それだから先ほど河野委員がお尋ねのときに、総括的にははつきりしないから、事項を指摘されて具体的に表わさなければいけないだろう、こういつたような意見を申し上げたわけです。
  433. 田中彰治

    ○田中委員長 具体的にいつても、その事件の内容はわかりますか。
  434. 馬場義續

    ○馬場証人 大臣を補佐する次官なり刑事局長は、今までずつとタッチしておりますから、十分わかると思います。
  435. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私の問いに答えていただきたいのです。私の聞きましたのは、あなたは刑事訴訟法あるいは国家公務員法百条等々によつて秘密を守らねばならぬ立場にある、こうおつしやいました。しかしながら憲法によつて、私どもは国政調査の対象といたしましてある事実の究明に当つておるわけであります。あなたはその国政調査権の活動というものとの間に調整しなければならぬとおつしやいますので、従つて刑事訴訟法とか国家公務員法によりまして受ける制約は、憲法上のこの国政調査権というものによつてよほど制約をされねばならぬじやないか。つまり秘密の範囲はもつと狭められなくちやならぬのじやないか、こう言うのであります。この点に対するあなたの見解を聞きます。
  436. 馬場義續

    ○馬場証人 その点も私は今の取扱いといたしまして、委員会に正規の手続をとつていただきたいという点だと思います。私はそういうふうに理解しております。
  437. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その点は、あなたはどうもお述べになりませんのでやむを得ません。それならばこういうことを聞きます。あなたは不起訴になりました事件について、その不起訴になつた人の名前、あるいは金額も述べないとおつしやいました。これは秘密に属する。ところがすでに新聞によりまして、あなたが捜査をされて調べられた人の名前がすいぶん出ている。その人が不起訴になつたということを明らかにいたしますることは、むしろ個人の立場からしましても、それは名誉の回復であります。何を好んでそれを隠さなければならないか。また不起訴になつた事件につきまして、公訴と何の関係もありません。特殊の関係にあるという具体的事実が明示されるなら、それは別です。何の関係もないはずです。これも明らかにしないということはこれはあなたみずから秘密ということに藉口いたしまして、ことさらに秘密と述べなさるというふうに判断せざるを得ないのであります。不起訴の事件についてもそういうふうにお考えになるのでありましようか。
  438. 馬場義續

    ○馬場証人 不起訴の事件につきましても、全体的に見まして、これを明らかにすることはその名誉にも関することでございますから、ここで一々申し上げるという自由を持たないことは、ただいま述べた通りであります。
  439. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 名誉に関すると言われるが、私は今言つたじやありませんか、不起訴になりましたということは青天白日になつたということでありますから、堂々と皆不起訴祝いをいたしますよ。それをあなたの方で調べて、あるいは留置して、かえつて名誉を侵害しているのです。どこが漏洩したか存じませんが、容疑を受けたということは、日本人は非常な不名誉なことだ。不名誉をすすぐということは、むしろ検察庁としては当然だ。いわんや国会が不起訴になつた事件について、検察庁当局に対しまして、それらの事実を明らかにしなさい、金額を明らかにしなさい、なぜ不起訴になつたか、その理由も明らかにしなさいというようなところまでほんとうは詳細に言つて、全部述べなくてはならぬ。あなたは参議院に、大橋武夫君のいわゆる重煙突事収について証人として出席して、そうして大橋君が自動車を売却した金を領得しているというような告訴を受けているその事実等について、詳細にいろいろと述べたじやありませんか。調達庁から返還請求を受けておりましたようなあの事実につきまして、参議院におきまして詳細に述べている。要するにあれも不起訴事件の一つであります。新聞にもずいぶんと報道されました。こういうようなことも述べているのです。不起訴事件についてもそこまで述べた事実が近くにあるじやありませんか、なぜそれとこれとを、あなた自身の判断できめないのです。一々法務大臣に持つて行かないで述べられるはずでありませんか、いかがですか。
  440. 馬場義續

    ○馬場証人 今お話の二重煙突事件は、確かに私参議の決算委員会に行つて申し上げました。ところがあれは御承知のように、先に決算委員会でお取上げになりお調べになつて、もう公になつている事実であるというように考えられたのです。それから決算委員会から取調べてその結果を報告しろという御要求がありましたのでその当時の上司と相談して、これはもう決算委員会で事実の内容、疑惑の内容まで明らかにされて、しかも決算委員会から要求されたのであるから、不起訴事件ではあるけれども秘密性が非常に薄くなつているという点から、証言することは相当であろうというような観点で証言をいたしたのでございます。
  441. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それならば造船疑獄は天下周知の事実であります。世界中が知つている。事実である。国会はもちろんのことであります。概要はほとんどわかつていることなんです。でありますから、参議院の決算委員会がこれを調査して知つているから、これは一般に知れていることである。だから秘密にする必要もないというのならば、造船疑獄についても同様であります。なぜ今ごろこれを隠す必要があります。不起訴になつた事件は全部さらけ出して、国民に、あなたの立場が正当であつたなら正当であつた、間違いがあつたなら間違いがあつた、あやまちがあつたならあやまちがあつた、かくしてそれらの人々の冤もすすぐ、また国費を浪費したこの損害についても、またそれぞれ調査して行くというその資料を国会に出すのは義務ですよ。あなたの方がまいた種ですよ。だんだん質問がありましたが、ともかく人をつかまえて、牢屋へぶち込んで調べるということは、あなた自身の行為ですよ。職権の行使ですよ、その職権の行使なるものがあれだけの大きな波紋をえがいた。あなたの方が手をつけなかつたならば、永久にやみの中に隠れておつたのです。あなたが手をつけたので、新聞も報道しました。世間は騒ぎました。だんだん大きな問題になつたのであります。その始末です。それを不起訴にしましたと言つてほおかむりをして、私は何も言いません、すべて秘密であります。そうして九牛の一毛だけ公判にかかつて、それでやがて明らかになりましようというような、そんなことでは済みません。あなたは協力する態度はありませんよ。だから秘密事項ということについての考え方の根本から是正しなければなりません。協力するという態度につきましても、根本からほんとうに是正するということにしなければいけません。あなたは検事正であります。検事正でありますけれども、検事正の立場においてつかみました事実というものは、ほんとうのところあなただけが知つておるのです。だからこれは最大限度、口だけではなしに、事実におきまして最大限度国会に資料を提供せなければいけません。われわれはあなたの公判を維持しよう、公訴を維持しようというそのほんとうの衷心、そういうものに付する侵害、干犯の意思はごうもございません。検察の自主性、検察行政の独立といつたようなものにつきましては、最大の敬意を払つて進んでおります。同時に私どもの方に対しましても、あなたの方は二重煙突事件のときと同じような心境に立返つて、出すべきものは出さなければなりません。それとも法務大臣が出すなと言つておるならば何をか言わんやということになるのであります。この点も聞いておきましよう。いかがでしようか。
  442. 馬場義續

    ○馬場証人 私どもの考え方は、先ほど二重煙突事件で考え方の一端を申し上げたわけでありますが、秘密性が薄くなつておるということがやはり一つの判断の基準であると思います。それから今申しましたように可能な範囲においてできるだけ証言するというのでありますが、いかんせん先ほど来申し上げましたように、法規でかような制限を設けておりますから、その制限を解く手続をとつていただきますならば、御説明申し上げるという御返事を申し上げるよりしかないわけであります。
  443. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 うしろの方できようは打切つたらというお声がありますから、あすに譲りたいと思います。
  444. 田中彰治

    ○田中委員長 この際委員長より申し上げますが、先ほど十一日吉田茂君、十三日犬養健君、十四日石井光次郎君、十五日池田勇人君を喚問することに決定いたしましたが、出頭の時間はおのおの午前十時といたしますからさよう御了承願います。  明日は午前十時から河井信太郎君を証人として呼んでありますから定刻に御出席を願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時四十二分散会