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1954-09-06 第19回国会 衆議院 決算委員会 44号 公式Web版

  1. 昭和二十九年九月六日(月曜日)     午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 押谷 富三君 理事 鍛冶 良作君    理事 田中 角榮君 理事 松山 義雄君    理事 河野 金昇君 理事 柴田 義男君    理事 杉村沖治郎君       天野 公義君    大橋 武夫君       大上  司君    高橋 英吉君       三和 精一君    安井 大吉君       藤田 義光君    村瀬 宣親君       猪俣 浩三君    古屋 貞雄君       大矢 省三君    吉田 賢一君       河野 一郎君  出席国務大臣         法 務 大 臣 小原  直君  委員外の出席者         証     人         (検事総長)  佐藤 藤佐君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ――――――――――――― 九月二日  委員並木芳雄君及び松田竹千代君辞任につき、  その補欠として村瀬宣親君及び河野一郎君が議  長の指名で委員に選任された。 同月六日  委員青木正君、大上司君、徳安實藏君、牧野寛  索君、片島港君及び山田長司君辞任につき、そ  の補欠として鍛冶良作君、田中角榮君、大橋武  夫君、押谷富三君、猪俣浩三君及び古屋貞雄君  が議長の指名で委員に選任された。 同日  委員三和精一君辞任につき、その補欠として大  上司君が議長の指名で委員に選任された。 同日  委員大上司君辞任につき、その補欠として三和  精一君が議長の指名で委員に選任された。 同日  理事天野公義君、大上司君、安井大吉君及び藤  田義光君の補欠として押谷富三君、田中角榮君、  鍛冶良作君及び河野金昇君が理事に当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  政府関係機関の収支(日本開発銀行造船融  資)に関する件     ―――――――――――――
  2. 田中彰治

    ○田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。  この際お諮りいたします。理事松山義雄君、天野公義君、安井大吉君、藤田義光君より理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中彰治

    ○田中委員長 御異議なしと認め辞任を許可するに決しました。  なお理事上司君が委員を辞任されましたので、理事が五名欠員であります。この際その補欠を選任いたしたいと存じますが、これは先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田中彰治

    ○田中委員長 御異議なしと認め、委員長は    押谷 富三君  鍛冶 良作君    田中 角榮君  高橋 英吉君    河野 金昇君を理事に指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 田中彰治

    ○田中委員長 いま一つお諮りいたしますが、自由党から委員会を開く前に理事会を開いてくれという申込みがあります。時間がそうかからなければ理事会を開きたいと思いますが、いかがですか。(「必要なし」と呼ぶ者あり)質問を始める前に理事会をどうですか短時間開いたら……。(「必要なし」と呼ぶ者あり)
  6. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それはぜひ開いてもらわぬと、きようはおそらく呼んである証人をお調べになることと思いますが、そのお調べになる質問の順序及び持時間並びに申出に対してのことをそこで順序よくきめておかなくては、とうてい円満に行くわけはないと思います。どこの委員会に行つたつて委員会を開く前に理事会を開くのは当然であります。なおかつ念のためにやることですから、ぜひとも開いてもらわなければならない。
  7. 柴田義男

    ○柴田委員 この問題は非常に重要な問題ではございますが、過日理事会を開いてもうこの方針を決定しておつたのであります。しかも本日は単に順序によつて証人の喚問が行われる。その証人に対しまする発言ということはもちろんでありまするが、この発言の順序の問題も通告にございまするように――われわれは今度は非常に重要な問題でもございまするので、各党にその持時間を按分いたしまして公平に発言を与えてもらいたい。私は社会党右派に四十分、社会党左派に四十分、改進党に四十分、日本自由党に三十分、自由党に四十分、こういう割合で発言の順序を与えてもらいたいということを動議といたして提出いたすものであります。
  8. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 さようなことはここで動議でやるべきことではなくて、円満にやり得ることなのです。ここでそんなものを、賛成せぬとかするとかもんでおる時間があつたら、理事会はすぐ開ける。それから理事会は委員長の権限で――しかも諮問機関なんてすから、委員長の権限をもつてやられることを望みます。そうでないとかえつて紛糾すると思いますから、委員長の善処をお願いいたします。     〔「採決々々」と呼ぶ者あり〕
  9. 柴田義男

    ○柴田委員 採決を願います。
  10. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいま鍛冶委員から理事会の要求が出ております。柴田委員からは発言に関する各党の持時間等の具体的な申出が出ております。私はこの一つ一つにつきまして、この際時間の節約をはかる意味におきまして、委員長においてただちに採決をされんことを望みます。
  11. 田中角榮

    ○田中(角)委員 ただいま鍛冶理事から理事会の開会を要求されており、かつ野党委員諸君から、時間のために理事会を開く必要なしと言われるのでありますが、私はここで一言委員長に申し上げておきたいのは、この委員会は委員長が開会頭総括質問をやられると思うのであります。不当財産取引調査特別委員会当時から、この種の委員会に対しては、例として委員長が各党を代表して証人に対して質問をするわけであります。その原則といたしましては、理事会を開いて各党理事に対して質問の条項を示し、各党の理事異議がない場合に、その質問条項に基いて委員長が各委員にかわつて質問をするというのが前提であります。その意味において私は、理事会は決定機関でありませんので、表決などはとうていないのであつて、最後には委員長の考えにおいて決定をせられるのでありますから、私は国会ルールを守り、委員会を将来とも正しく運営して行くためには、多少の時間をさけば済むのでありますから、理事会を開かれて、委員長が総括質問を行われるということも各党に諮られることが、私は正しい行き方であるというために、短かい時間でもけつこうでありますから、理事会を開かれるように要望いたします。
  12. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 今鍛冶君の理事会を開くことの賛成意見が述べられたのでありまするが、お述べになつておるところを聞いておりますと、質問要旨を各党から持ち寄つて、そして異議のないところで質問要旨をきめて行こう、こういうようなことも理事会が諮りたいというような御趣旨でありますが、これはやはり私ども幾たびかのこの造船を中心といたしました融資の問題におきまして相当つつ込んだ、党の利害関係もあるような辺まで質疑が行くことは、これは常識上明らかでありますので、そういつたことに時間をとることはこの際一切省きまして、すみやかに議場にお諮り願つて、採決によつてその問題をきめられるよう、私も柴田君の動議にあわせてお諮りを願いたいと存じます。
  13. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 とんでもない。私は、人の質問の要旨なんか吟味せよ、そんなばかなことは言いましません。順序をきめる、持時間をきめる、そういうことを前もつてきめておかなくちや円満に行くわけがありません。この委員会だけでない。どの委員会だつてすべてやつておることです。そのやつておるあたりまえのルールに従つてやろうじやないか、それを無理にルールをこわしてやろうという発言には、委員長は耳をかす必要はない。これは何も決定事項でもない、これは委員長が諮問するだけですから、ぜひとも委員長の善処を望みます。
  14. 田中彰治

    ○田中委員長 田中角榮君に申し上げますが、委員長が先に質問するのはこれは前例でありますから、これは理事会において云々されるものではありません。しかし理事会を時間をきめて開くということに対しては、委員長も反対ないから、三十分ぐらいどうでしよう。     〔「賛成々々」と呼び、その他発言する者多し〕
  15. 柴田義男

    ○柴田委員 私の動議に多数の賛成者がありますので、与党の人々からは相反する意見でございますので、この問題に多くの時間をとることは必要ないと思います。採決をされたいと思います。     〔「委員長の権限じやないか」と呼び、その他発言する者多し〕
  16. 古屋貞雄

    ○古屋(貞)委員 今二つの意見がございますが、柴田君からは動議を出しているわけなんです。理事会を開いてそういうルールをきめるということになりますと、時間が本日はございませんから、本件の証人調べというものは国民の非常な関心の高い重大な問題なんです。だから理事会を開く前に今こちらで柴田君の出した動議について採決をしていただけば、順序と時間がはつきりきまるのであります。そういうぐあいにひとつお願いしたいと思います。
  17. 押谷富三

    ○押谷委員 理事会の開会は、常に他の常任委員会におきましても委員長の職権によつてやられておることでありまして、委員長が三十分間くらいを限つて開こうじやないかというお話は、これは委員長の職権で当然それに従つて委員会理事会を開くべきものであると信じますから、採決などをせられずに、ただちに理事会を開かれんことを望みます。     〔「動議採決」と呼び、その他発言する者多し〕
  18. 藤田義光

    ○藤田委員 先ほど来の発言によつて、自由党及び野党各派の意見はまつたく対立しております。同僚柴田委員から動議として、この問題を採決すべしという意見が出ております。国会法衆議院規則を見るまでもなく、動議は何ものにも先議すべき事項でありますので、ただちに動議を採決せられんことを望みます。
  19. 田中角榮

    ○田中(角)委員 これは野党の委員諸君にもちよつと私は静かに考えていただきたいのは、この委員会に対してだけ申し上げておるのではなく、いわみる委員長が総括質問をやることは前例によつて認められておると言われておりますが、明らかに前例によつて認められておるのではありません。各党が理事会において承認をする場合、委員長が発言ができるようになつております。いわゆる衆議院規則四十九条において「委員長が自ら討論しようとするときは、理事をして又は委員の中から代理者を指名し、委員長席に着かせなければならない。」というのが原則であります。にもかかわらず、不当財産の委員会当時、この問題は各党がばらばらに質問をすることになれば、名誉を傷つけたり、また逸脱する質問等があつてはいけないので、各党が理事会において承認を行つた場合、委員長が代表質問をするという前例が開われておるわけであります。にもかかわらず、このたびの委員長の発言に対しては、理事会をまつたく開かれておるのではなく、しかも委員長の発言に対しては各与野党を通じての委員に対する論議も全然行われておらないのであります。私はその意味において、当然民主国会のルールを守るためにも理事会は開くべし、こういうのでありまして、時間的に何もかかるわけでないのでありますから、これはお互い委員長の発言せられておる通り、十分でも十五分でも理事会を開かれることが、将来この種委員会の運営をうまくやるためにも私はとるべき手段だと考えるのでありまして(「採決々々」と呼ぶ者あり)ただいま動議の採決の要求でありますが、その動議の前に自由党側から理事会開会の要求が出ておるわけでありますから、この要求の結論が出ないうちに動議を出したということは違法だと考えて間違いでないと思います。
  20. 田中彰治

    ○田中委員長 お諮りいたします。――委員諸君にお諮りいたします。今田中角榮君から、委員長の質問に対して、委員会が承認しなければ委員長が先に質問できない、こういうことでありますし、前例を認めないということでありますから、委員長が先に質疑してよいか悪いかの採決をいたします。(発言する者多し)委員長の質問こ対して――委員長が先に質問することに対して賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  21. 田中彰治

    ○田中委員長 起立多数。決定いたしました。(拍手)  次に理事会の問題です。――私は今委員長が先に質疑することについて田中角榮君から反対がありましたから、ただいまの採決によつて委員長が先に質問を行います。  次に理事会についてお諮りいたします。どういたしますか。     〔「採決々々」と呼び、その他発言する者多し〕
  22. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 これはそれほどやかましい問題でなくて委員長が諮問するだけのことですから、そんな委員会の動議によつて委員長を拘束すべきものではありません。だから委員長において円満にやられることに私は希望いたします。採決によつてきめるものでありません。     〔発言する者あり〕
  23. 田中彰治

    ○田中委員長 委員諸君、御安心ください。裏でそんなことを言つても聞く委員長でありません。
  24. 柴田義男

    ○柴田委員 先ほどの私の動議を採決していただきたい。
  25. 田中彰治

    ○田中委員長 どうです、三十分という時間をきめて理事会を開いたら…。     〔「反対」と呼び、その他発言する者多し」〕
  26. 河野金昇

    ○河野(金)委員 先ほど来の議論を聞いておつても、これはなかなか話合いではまとまらないと思います。話合いでまとまらないときは、議会とういものは数で解決するということになつております。(発言する者多し)従つて私は理事会を開く必要なし。自由党は開けと言つておりますが、われわれ野党は開く必要はないと思いますから、これまた採決によつてきめなれんことを希望いたします。
  27. 河野一郎

    ○河野(一)委員 だんだん御発言のようでありますが、ただいまの動議は、理事会で相談をする問題の結論が動議として出ております。質問の順序、持時間等を動議によつて決定しようということであります。この決定さえ見れば理事会の必要はないと思います。なおまた質問の内容等についても田中角榮君からいろいろ御意見もございましたけれども、これは私は必ずしも前例によることは賛成でありません。これは重要な委員会でございますし、なおまた証人に対する質問の立場もそれぞれ違うのでございますから、これはみだりに理事会で統制されるということには反対であります。従つてただいまの動議を採決なされば理事会の必要は一切ないのであります。すみやかに採決されんことを望みます。
  28. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そういうことを言うたら、何のために理事会があるのですか。そういうことをきめるために理事というものはきまつているんですよ。その理事会を抜きにしてここで一々採決するということになつたら、理事会というものはいらないことになる。従つて理事会を開くか開かぬかは、委員の要求によつて開くんじやない。委員長の諮問なんだから、委員長が必要ありとしてやられた以上は、たといここで動議できめたところが、委員長が理事会を開きますと言えば、それで開かなければならぬのである。そんなのは委員会の決議事項じやありませんから、委員長は善処せられたい。そうでなかつたら、理事会というものはいらぬことになりますよ。そんなことを一一やつておつたら……。何のための理事であるか。私は何のために理事になつたかわからぬ。
  29. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 きようこれは初めてのことじやない。現下の大問題として理事会も数回お開きになつておると思う。そこで検事総長初め、きようの証人はお忙しい方が出ておるのであります。ここできめられないことは理事会を開いたつてだめだ。それは例のないことです。だから理事会を開いて何をやるというのだ。結局質問の順序や持時間をきめることでしよう。それならここできめてしまえばいい。何も理事会をわざわざ開く必要はありません。もし開く必要があるならば、もう前に開いておらなければならぬはずであります。今になつて自由党の諸君は、何がゆえにそういうことを言うのであるか、われわれはその意図がわからない。おそらくはそういうことを持ち出して何から何まで紛糾せしめて、そうしてこれを流そうという計画じやないかと思う。そこにも真意がある。そんなことではこの委員会が権威を落しますから、委員長、びしやつときめてください。そういう法律上の根拠は一つもない。決定してください。
  30. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 鍛冶君やその他の自由党の理事諸君から理事会を開けということを申されておるのでありますが、この開会については委員長から理事の更迭を宣言されたのであります。もうこの問題につきましては、自由党の理事諸君は今日まで数回われわれとひざをつき合せて協議して来た事件であります。しかるにもかかわらず自由党は今日この重大なるときにあたつて、突如として鍛冶良作君を初め、その他の理事諸君を全部交代されまして、前の理事諸君がここにおられるにもかかわらず、こういう交代をして来て、そうして理事会を開こうというのはいささか私はふに落ちないのであります。さような無謀といつてははなはだ失礼かもしれませんけれども、いかにも計画的なということの考えがしてならないのでありますから、どうか柴田君の動議をすみやかに採決せられんことを希望いたします。
  31. 田中彰治

    ○田中委員長 自由党の諸君にお諮りいたしますが、もし委員長が委員長の権限においてこの理事会を承諾したら、二十分ということでよろしゆうございますか。     〔「よろしいです」と呼ぶ者あり〕
  32. 田中彰治

    ○田中委員長 それ以上延ばしませんよ。どんなに混乱しても委員会を開きますよ。それでは二十分と時間を切つて理事会を開きます。     〔「動議はどうした」と呼ぶ者あり〕
  33. 田中彰治

    ○田中委員長 動議はそれから採決いたします。  それでは二十分間休憩いたします。     午前十時四十三分休憩      ――――◇―――――     午前十一時十分開議
  34. 田中彰治

    ○田中委員長 休憩前に引続き開会いたします。  柴田義男君
  35. 柴田義男

    ○柴田委員 先ほど動議を提出いたしておきましたか、今まで理事会を開きまして、与党に対する持時間あるいは野党に対する持時間等も理事会で決定を見ましたので、私の動議を取消したいと思います。
  36. 田中彰治

    ○田中委員長 今理事会の事項を作成していますから、報告する前にちよつと委員諸君にお諮りいたします。われわれの同志であつた大上君が理事をやめられたので、二分間だけ切つてあいさつさしてくれと言いますがいかがでしようか。委員もやめられた……。     〔発言する者多し〕
  37. 田中彰治

    ○田中委員長 柴田義男君より動議が撤回されまして、質疑の時間と順序について理事会で協議いたした結果、各派の質疑時間は、答弁も合せまして、自由党が九十分、改進党、社会党両派各四十五分、日本自由党が二十分と決定いたしました。質疑の順序は野党、与党の順で交互にこれを行うことに申合せが決定いたしましたので、さよう御了承願います。  われわれの同僚であつた大上君が今委員を交代されまして二分間だけあいさつをしたいと言われますので、議事進行の形式で二分間だけ発言を許します。大上司君。
  38. 大上司

    ○大上司君 本決算委員会の委員長初め各委員の御了解を得まして、議事進行の名目をもつて、一、二分ごあいさつさしていただきます。私の理事在任中は何かといろいろお世話になりました。(笑声)  さて、このたび本委員会に本問題が取上げられるにつきまして、発言を中止したい、あるいは私としてその職責の任にあらず、このように考えて来ましたが、一面いわゆる国民の代表として、どこまでもただすべきはただすべきだ、このように考えております。ところが私は不幸にいたしまして、本年この造船疑獄について、播磨造船横尾龍と同時に新聞に取上げられた事実がございます。そこで私の不徳のいたすところは万々反省いたしておりまするが、この決算委員会は野党、与党の理事の諸君を問わず、いわゆる超党派的であつて、断じて与党、野党の攻撃場所でないということは、各野党の理事諸君が御了承のことでございます。ところが先般来新聞紙等を見ますると、これは信憑性あるなしは別といたしまして、われわれの了解に苦しむ点が多多出ておる。そこで私は皆さんにお願いですが、私自体がいわゆるあのような結果になりましたので、このたび私は各方面の決算委員に対して、告発を受けた者、または現在告発を受けて取調べ中の者、あるいは起訴になつた者、あるいは取調べをせられた者、あるいは新聞等によつて誤解を招いた者等は本委員会から決然として立つて行くべきであろうと思います。ただその中において、私は本日の毎日新聞を見て、まつたく同僚藤田君には申訳ない、これも間違いであろうと思いまするが、その記事の中に自白を強要された云々という言葉がありまして、もしもそのような、いわゆる私心をもつて委員会を冒涜するようなことは断じてないけれども、往々にして間違いを起したら、われわれの国会の権威というものを失墜しますから、私はいさぎよく理事並びに委員を去つて行くのでございますので、皆さんにおはからい申し上げますと同時に、御了解を得まして、長年の御懇情に厚く御礼申し上げる次第であります。
  39. 藤田義光

    ○藤田委員 委員長。     〔「かわるな、かかわるな」と呼び、その他発言する者あり〕
  40. 藤田義光

    ○藤田委員 では質問時間にやります。
  41. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 議事進行に関して。
  42. 田中彰治

    ○田中委員長 今理事会できめたのだから、いいじやないですか。
  43. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そのほかのことで、特別のことで、私はこの委員会に対する根本の疑念を持つておりますので、その点に関して……。     〔「やめろ」と呼ぶ者あり〕
  44. 田中彰治

    ○田中委員長 なぜ理事会でやらないか。採決しますよ。やめたらいいじやないですか。
  45. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 質問に入つたら――質問に入る前に……。
  46. 田中彰治

    ○田中委員長 前回本委員会においてあらかじめ通告いたしておきました通り、政府関係機関の収支のうち造船融資に関する件を議題として調査を進めます。
  47. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 議事進行。
  48. 田中彰治

    ○田中委員長 一旦きめたらそんなことはやめたらいいじやないですか。――だれの議事進行でも許しますよ。一旦理事会できめた順序でやつたらいいじやないですか。――それではだれの議事進行でも許しますよ。そんなことはいかない、そんなことはいかない。
  49. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 議事進行。
  50. 田中彰治

    ○田中委員長 それではみな許しますから、何でも議事進行なら許します。それならよろしい、そのかわり全部許す。そういうことならよろしい。それではなぜ柴田君の動議を理事会でしたのか。だめじやないか、やめなさい。そういうことは今理事会できめたのだからやめなさい。柴田君さえ動議を取消したじやないですか。
  51. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それとこれとは違う。
  52. 田中彰治

    ○田中委員長 違つても、あとにしてください。
  53. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 しかし議事進行の発言を求めたら委員長は許さないといけない。     〔「進行々々」と呼び、その他発言する者あり〕
  54. 田中彰治

    ○田中委員長 そういうことをやつたら、みんな認めますよ。  委員諸君にお諮りいたしますが、議事進行を認めますから、そのかわりあなたの方の議事進行も動議も全部採決いたします。それならよろしい、何でも許します。議事進行でも何でも許す。何でも採決する。鍛冶良作君。
  55. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私はこの委員会を開くに至りますまでの経過からして、疑問を持つておる点をここで委員長から明瞭にしていただきたいのであります。  去る八月十六日の証人喚問を決定いたしましたときのこの速記録を読んでみますると……(「早くやれと呼び、その他発言する者多し)それはつまりこういうことすで。この速記録によりますると、最初に吉田委員から議事進行に関して証人を喚問するとの発言がありました。そのときわが党の安井委員並びに改進党の藤田委員からそれは理事会に諮つてやるべきものだ、こういう発言があつて、委員長はその通り理事会に諮つてこれを決定しますと、一応この速記録に載つております。その速記録に載つた決定があるにかかわらず、さらに杉村委員から緊急動議としてこれが出て、それがきよう決定になつておる。私は同じ事件に対して、前に決定のあるものを、それと同じものをこの動議でやつてはたしてこれが有効であるかどうかの疑問がありますから、これは明瞭にしておかなくてはならぬ問題であります。これに対してまず委員長の御見解を伺いたい。
  56. 田中彰治

    ○田中委員長 吉田委員から議事進行でそういうことが出たことは事実であり、理事会できめると言つたことも事実であります。しかし杉村委員がそれに対して不服であるというので動議を出された。議事進行に対しては採決してありません。動議はあとで出されたものでありますから、前にきめたこともあるので皆さんにお諮りしたところが、皆さんが、杉村委員の動議を認めて、動議の採決をして多数できめたのだからいまさらそういうことを言われる必要はありません。それからその後に理事会を開き、また委員会を開いて、証人をだれだれ呼ぶということにして――速記録に一応それが残つております。しかもそういう手続は全部委員長にまかすということになつておりますから、そんな昔のかびのはえたようなことを言われてもそれはだめです。
  57. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私ははなはだ今の御答弁に満足できません。委員長の決定に不服があるからといつて――いやしくも委員長が決定したんですよ。速記録に載つておるんですよ。その決定に不服があるからといつて――決定したら決定なんです。それがどうしてさようなことになるのでしよう。私は今後これを進める上において必ずこれが問題になると思いますから、その点を明瞭にしておきたい。
  58. 田中彰治

    ○田中委員長 委員長がいかにそれを決定しても、委員長は委員会秩序を守つて多数で決したことには従つて行くより以上はありませんから、吉田さんが申し出た当時は理事会でそういうくあいにきめようじやないか――一応きめましても、あとで動議が出て、起立採決して、それが多数で決した以上は委員長はそれに従わなければなりません。そういう決定権はありません。委員長もそれは正しいと認めております。
  59. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 正しいと言われるならば議論しなければならぬが、私はその前の決定がどうなつた、委員長が決定したのだから……(「議事進行でそれは困るな」と呼ぶ者あり)私はその点に対してそれでは満足いたしませんし、いずれ機会もあろうと思いますが、その次に私はこの委員会の経過を見ておりますると、この委員会から政府に対してもしくは検察庁に対して、不起訴もしくはまだ未決定になつている記録の要求をしたり、起訴状の取寄せ要求が正式に出ております。かようなことはまことに重大なことであつて、それはどこできまつたのか、その点を探してみますが、速記録においては見出すことができません。それはどういう権限から、どういう方法でやられたことでありますか、重大なことでありますから御答弁願いたい。
  60. 田中彰治

    ○田中委員長 鍛冶委員に申し上げます。十九回国会において、二十八年十二月十一日の国会において、委員長に全部これが一任されておりますから、どうか速記録をごらんなさい。そういういろいろ重要な書類を役所から取寄せる、そういうことについては委員長に一任されております。
  61. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そういう権限のあるということに言われぬでもわかつておる。けれども現にだれだれの記録を見せてくれ、だれだれの起訴状を見せてくれ、これは実に重大なことです。私は、委員会の決定を待たずしてさようなことをやられるということになると、将来に対して重大なることがあると思うから、私はただここで議事進行のついでに、さようなことはなすべからざるものと思うが、その点はいかがですか。
  62. 田中彰治

    ○田中委員長 あなたも委員長をやられたことがありましようが、委員会の運営を円滑ならしめる上において、こういう事件を調べるについては、役所からいろいろな書類も取寄せなければならない、あるいは皆さんが口頭で言われたことも、一々委員長が必要と認めるものはそれに従つて取寄せなければならぬ。それには委員会承認を得なければならぬ。そこで委員会において、十九国会の初めにこの造船融資の問題をやるについてはいろいろの書類が必要だから、その書類を取寄せたりいろいろすることは委員長に一任するからやつてくれということで速記録となつて載つておりますから、委員長はそれに従うことに何の異議はございません。もう一つ、あなたも法律を御存じでしようが、たとい委員会からそういうものを申し出ても向うに断るだけの権限もあれば、断つたからといつて処罰する罰則もございませんから自由でございます。議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によつて取寄せるならば、あなたが何と言われてもちやんと取寄せられるではありませんか。
  63. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 これはまことに重大なことで……。
  64. 田中彰治

    ○田中委員長 もう議事進行はそれで発言を打切ります。
  65. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 重大なことだ、私はあなたをいじめようというのではない。
  66. 田中彰治

    ○田中委員長 いじめなさい、いじめてもけつこうです。河野一郎君。
  67. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私は河野君のあとでまた続けてやります。
  68. 河野一郎

    ○河野(一)委員 私は本委員会の円満な運営のために、先ほど動議が提出されまして、その動議の採決があることと思つておりましたが、幸い理事会におきまして非常に円満に発言の順位等も決定いたしました。これは前国会の自粛の申合せ以来非常に当を得たものと私は御共鳴申し上げます。しかるに議事進行ということで、いろいろ順位をかえて発言をされますると、証人もすでに出席しておられる際に、なかなか運営がうまく参りません。やむを得ませんから、われわれは民主的運営の原則に基きまして、これは数によつて御決定を願いたい。前会動議が提出されました通り、それを私はあらためてここでお諮りを願つて、そうして柴田君の動議通りに御決定されんことを委員長にお願いいたします。  あわせてつけ加えておきます。これもあとで混淆いたしますからこの動議につけ加えて、この質問の終了までは一切の関連質問もしくは議事進行、これらをやめて証人質問をやり、そうしてもし発言の必要があれば、自党の持ち合せておりまする時間に、お互いに自粛して発言するということにして参りますることは、一番運営が円滑に行くと思いますから。その点をあわせてつけ加えて、委員長に御採決願いたいということを動議として提出いたします。
  69. 田中彰治

    ○田中委員長 お諮りいたします。先ほどの理事会において決定したことは、理事会は決定権を持つておりません。しかも途中で議事進行の名目のもとにいろいろな発言がされるということは私は実に心外だと思います。それで河野君の動議を採決いたします。河野君の動議に賛成の方の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  70. 田中彰治

    ○田中委員長 起立多数。決定いたしました。  本件につきましては過般本委員会において指名決定しました通り、検事総長佐藤藤佐君、検事正馬場義続君、検事河井信太郎君、法務省刑事局長井本台吉君を、順次一日一名、本六日から九日まで連日証人として出頭を求めることとし、議長を通じてそれぞれ手続を終了し、本日はここに検事総長佐藤藤佐君の出頭を得た次第であります。  それではこれより本問題に関する件につき証人から証言を求めることにいたします。  まずここに出頭されております証人佐藤藤佐君に相違ありませんか。――相違なきものと認めます。  証人にはあらかじめ文書通知いたしておきました通り、造船融資に関する件について証言を求めたいと存じますが、証言を求める前にあらかじめ注意を申し上げます。すなわち昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言をなす前に宣誓をしなければならないのであります。  証人がこの宣誓を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人後見人または証人後見を受ける者の刑事上の訴追または処刑を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師薬剤師、薬種商、産婆、弁護士弁理士弁護人公証人宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三個月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。  証人は以上のことを承知しておいていただきたいのであります。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。全員起立。  証人宣誓書の朗読を願います。     〔証人佐藤藤佐君朗読〕    宣 誓 書  良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
  71. 田中彰治

    ○田中委員長 それでは宣誓書に署名捺印願います。     〔証人宣誓書に署名捺印〕
  72. 田中彰治

    ○田中委員長 これより証人に証言を求めますが、順序として委員長からまず概括的に尋問を行い、続いて委員各位から証言を求めることになります。御了承願います。  なお各委員に申し上げておきますが、なるべく相互に尋問事項の重複を避けられて、簡潔に行い、議事の進行を円滑にいたされますよう、特にお願いする次第であります。また証人が証言応答する場合には、その都度必ず委員長の許可を求めること、及び証言はその求められた範囲に限ることになつておりますから御了承願います。それでは委員長から証人にお尋ねいたします。国は日本開発銀行を通じて莫大な融資を計画造船のために船会社に出したのであるが、これらの融資には多額のリベートを船価に含まして融資を受け、かつこの融資に対して利子補給さえ受けた状況であります。その多額に上るリベートは政界官界に贈収賄され、一部は饗応、一部は遊興の費用にも消費され、融資の本旨に反していたずらに国損を生ぜしめた事実は、さきに証人が検事総長談として明示されておるのであるが、いやしくも血税の使途についてかくのごときはごうも許さるべきものでないにもかかわらず、これに牽連して汚職問題まで引起し、検察陣の捜査対象となり、国民はひとしくその糾明に多大の期待をかけていたのであるが、突如としていわゆる指揮権の発動により検察陣の捜査が龍頭蛇尾に終り、国民の期待を裏切り、いやしくも公益の代表者である検察官の威信を失い、国民をして権力者ないし有名人の不正行為はこれを見のがすという印象を与えたことはぬぐうべくもないが、検察最高責任者である証人はこれでよいと思いますか、その所信を披瀝されたい。  なおいま一点、融資をめぐるかくのごとき国損はやみからやみに葬られ、血税は濫費した君が勝ちであるという悪い印象を多分に残した。これは指揮権の発動に基因するところが大きい。証人は、この指揮権発動行使は妥当であると考えたのかどうか、あるいは徹底的に捜査糾明して是非曲直を明らかにしなければならなかつたが、至上命令であるからというので捜査を打切つたのか、率直にこの事実を述べられたい。
  73. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 ただいまお尋ねの点についてお答えいたします。いわゆる造船関係の事件について捜査を進め、大体七月三十日の決定をもつて一段落いたしたのであります。その当時事件の発端から経過並びに処分の結果につきまして、大体総長談をもつて公にいたしたのであります。業者のリベートが、そのうち政界に流れておるという事実は、刑事事件の捜査にあたつてある程度究明することができたのであります。そのうちに公訴を維持するに足る十分な証拠の整つたものは起訴いたして、目下公判に係続中であります。また証拠が十分に整わないもの、あるいは証拠は整つたけれども、諸般の情状をしんしやくして起訴を猶予するということで、不起訴処分になつたものも数多いのでありまして、それらをすべて総合いたしまして、どのくらいのリベートがあつたか、またはリベートのうちどれくらい政界に流れておるかという詳細な点については、今のところ記憶はいたしておりませんが、それを詳細にするということは、これは職務上の機密に属する場合も出て来るかと思うのであります。  それから第二点の、検察庁法第十四条但書のいわゆる指揮権の発動によつて今回の事件の捜査が龍頭蛇尾に終つたのではないかという御質問でございます。捜査がだんだん進展たしまして、いよいよ予定の通り捜査を進めて行こうというそのとたんに、指揮権の発動によつて予定通りの捜査方法、すなわち逮捕して勾留し、そうして取調べを進めて行こうというその予定が実現することはできなかつたので、やむなく任意捜査によつて捜査を続けて行つたのであります。その揮握権の発動によつて捜査に非常な支障を来したということはいなみがたいのであります。しからば、そういう指揮権の発動がなかつたならば、捜査は思う通りな成果を得たであろうかということになりますると、これは申すまでもなく捜査は証拠に従つて、その証拠を追うて進展して行くのでありまして、逮捕勾留して、そうして調べを進めるということは、やむを得ずそういう方法でやらなければ事案の真相を究明することができない、こういう判断のもとに逮捕請求をいたしたのでありますから、逮捕勾留ができなかつたことによつて支障は来しましたけれども、しからば逮捕勾留して思う通りな成果を得たか、あるいは事実をどこまでも究明することが得たであろうかということは、それは捜査を進めて行かなければ即断はできないのであります。  その程度にしてまた御質問によつてお答えします。
  74. 田中彰治

    ○田中委員長 証人にお尋ねいたしますが、証人は良心的にお考えになり、あるいはまた今までこういう問題をたくさんお取扱いになつておる関係上、この捜査及び処分に対して国民に恥じないだけの徹底した調べあるいは公平な処分がしてあるとお考えですか、その点についてお答え願います。
  75. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 事件の捜査の過程において逮捕勾留して事案の真相をきわめ、また所期の証拠を収集して、そうして事件の処分をしたいという期待は十分に持つておつたのであります。捜査を進める上においてはどこまでも証拠をたどつて捜査を進めるのでありまして、そういう期待のもとに逮捕請求をいたしたのでありますけれども、それができなかつたということによつて捜査の上に非常な支障を来したことは、これは言うまでもないことであります。そこで私どもは法律に許された範囲において強制捜査はできなかつたが、任意捜査において万全の努力を尽したのであります、最善の努力を尽し、そうしてああいう処分の結果を見るに至つたのでありまして、私どもとしては法律の許されたる範囲内において最善の努力を尽して、そうして適切な処置をしたと確信いたしております。
  76. 田中彰治

    ○田中委員長 二の質問をいたしますが、本委員会においては政府機関関係である日本開発銀行の造船融資に関する件について、第十九回国会当初、すなわち本年二月五日国損問題として審議の対象となりました。その際たまたまこれに関連して造船疑獄問題が起り、本委員会ではその計数面から関連性があるので、ともに調査の一環に加えたのでありますが、たまたま同日、本委員会に出席された当時の法務大臣犬養健君は、造船に関する疑獄事件は法務当局において鋭意捜査中であるから、この問題について当委員会が調査を続行されることになると、この検察当局の断固たる決意のもとにおける事件の糾明にもさわつて来るので、本委員会における調査は捜査が終るまで猶予願いたいという意思を表明されたのであります。これは法務当局最高責任者である大臣の表明であり、もちろん証人においても検事総長として十分御承知のことと思います。この点承知されているかいないか。  いま一つ、本委員会としてはかかる要望に何らの制肘を受けるものではないが、国損の究明、不正行為の是正という点については、立場は異なるとしても目的は同一であるので、本委員会としても一応協力すべきであると考え、かつまた大臣は捜査機密にさわつてかえつて検察当局が国民の期待にそむくことがあつてはならないからとたつての要請であつたので、本委員会としては一応調査を留保したのであるが、結果において、証人の統率する検察陣の本問題に対する捜査が、本委員会に確約されたように、断固たる決意のもとに国民が納得の行く事件の糾明がなされていないと考えるが、これに対してお答え願いたい。  なお検察庁は事件をいたずらに拡大しただけで何ら国損を明らかにするに至らなかつたのみか、むしろ本委員会は大臣の要請に災いされて調査を阻害され、国損の発見を困難ならしめるに至つたのであるが、この点についてその責任はだれが負うべきか、所信を述べられたいのであります。
  77. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 前国会において前法務大臣がどのような言明をされましたか、しかと記憶はいたしておりませんが、おそらく事件が終了したならば法律の許す範囲においてその全貌を明らかにしたいとという御希望、御意思を表明したものではなかろうかと思つております。  それからなお本事件の終結決定に対して国民の期待に沿うものではないという批判のあることは私も新聞雑誌その他によつて伺つております。しかしながらその国民の期待というものが、もし捜査に着手した以上はすべて必ず起訴しなければならぬものだというようなお考えのもとに期待をかけられておつたこととするならば、その期待は私どもの実際の仕事、またわれわれの努力というものについて、十分な御理解がなかつたためにそういう期待が起きているのだと思うのであります。先ほど申し上げましたように、指揮権発動によつて捜査に重大な支障を来しましたけれども、これは法律上、制度上やむを得ないこととして、私どもはその他の方法において法律によつて許されたる範囲において最善の努力を尽して、そうしてああいう決定を見るに至つたのであります。その点においてはこの国民の期待のいかんによつて、その期待に沿わなかつたという結果になつたかもしれません。またもし国民の期待が検察の活動に対して、あるいはその決定によつて政界の粛正というものが幾らかでも達せられるのではなかろうかという期待をお持ちになつたといたしまするならば、その点も検察の本来の使命というものについて十分な御理解を願えなかつたのではないかと思うのであります。これは申すまでもなく、私どもは刑事事件を追うて証拠に基いてどこまでも事案を糾明し、事実の真相を糾明して、そして証拠を収集し、その証拠の収集のぐあいでこれは起訴をし、または公訴を維持するに足る証拠が十分であると思えば、これは起訴いたすのでありまして、どうもその点において十分に証拠が集まらないという場合には起訴ができないのであります。この点においてあるいは御期待に沿うことができなかつたかもしませれんが、私どもととしてはどこまでも、最善の努力を尽したのであります。
  78. 田中彰治

    ○田中委員長 証人にお尋ねしますが、私が今あなたにお尋ねしたのは、起訴しなかつたというのではなくて、国民の血税が非常に濫費されておるのに、あなた方の方でこれは必ず取調べて、それはどういうわけで無罪になつたのか、どういうわけでこれは起訴されなかつたのか、どういうわけでこれは起訴したか、あれならなるほどよくやつてくれたという納得の行くような調べ方がされておらないが、証人はそれはおれの方でよくやつたからこれ以上しかたがないのだとおつしやるのですか。やはり指揮権の発動によつてそれはできなかつたので、国民にまことに済まなかつたという意思をもつておつしやるのか。当然だと思つていらつしやるのか。その点をひとつお聞きしたい。
  79. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 その点につきましては、ただいま申し上げましたように、捜査が指揮権の発動によつて非常に支障は来したが、しかし法律に許されたる範囲においてわれわれはあくまでも最善の努力を払つた……。     〔発言する者多し〕
  80. 田中彰治

    ○田中委員長 静粛に願います。
  81. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 そういうことを繰返して申し上げる次等でございます。
  82. 田中彰治

    ○田中委員長 証人に第三の質問を最後にお尋ねしますが、証人は検事総長の談話として、その中に、公職選挙法違反関係において海運界の幹部がリベートの中から一昨年及び昨年の選挙に際し、多数の現職国会議員を含む候補者に対し、陣中見舞の名義のもとに金員を寄付している事実を認めておりながら、公職選挙法が短期時効制度を認めた法意に照し今さらこれを違反の罰に問うことはその妥当を欠くと述べられたが、融資すなわち血税の一部がリベート化し不正に使用消費された国損を証人は認めながらこれを不問に付することはむしろ妥当を欠くのではないでしようか。かくのごときは単なる政治資金規正法で論ずべきでなく涜職罪を構成するものとさえ考えられるが、かようにしてあらゆる角度から追究して国損の発見に努めることをなさらなかつたが、血税がいかに浪費され不正に使用されようとも法令に正面から該当しなければ不問に付してよいという考え方は公益の代表者のとるべきことでないと考えますが、この点について証人はどう考えておられますか、御答弁願います。
  83. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 検察当局の調べによりまして、造船会社から出たリベートが海運会社に渡り、またその海運会社で受取つたリベートのうち若干政界に流れたというその事実は究明いたしたのでありまして、明らかになつているのであります。その金銭の授受は明らかになりましても、その事件々々によりまして、たとえば公職選挙法違反の容疑で調べた場合におきましても、それは自分の選挙に関して授受されれのであるか、また他人の選挙に関して授受されたのであるかというようなことを、やはりどこまでも究明しなければならぬのでありまして、それが証拠によつて明らかになるのであります。またその授受は明らかになりましても、その金をどういうふうに使つたろうということによつて自己の選挙運動の費用の一部として受取つたかどうかというその趣旨がまたかわつて来ることもあるのであります。さようにいろいろな場合が具体的事件によつて、その事件の刑事上の責任ということになりますと、各場合々々によつて違つて来るのであります。さように証拠に基いてしこうして事実を確定するのでありますが、証拠が整いました場合でも、今回の公職選挙法違反の事件につきましては、選挙が済んでから相当の年月を経ておりますし、公職選挙法において短期時効を認めたその趣旨からも考え、また授受された金額の多い少い、またその受取つた金をどういうふうに使つたか、いろいろ諸般の情状をしんしやくいたしまして、今回は起訴猶予処分にする方が妥当であろう、こういうふうに考えて、ああいう決定になつたのであります。
  84. 田中彰治

    ○田中委員長 もう時間もありませんから、簡単に最後に一点お尋ねしますが、証人と一緒においでになつている小原法務大臣は、これは証人の監督官であります。そこで小原さんの任命権を持たれた総理大臣が、あの造船疑獄は流言飛語であると言われた。しかもその法務大臣がそれに対して国民に何らの声明も出さなければ弁明もなされない。そこでこれはいいといたしまして、証人はこの流言飛語であると言われたことについて、第一陣の任務を勤められて起訴されたり、あるいは留置されたりする、証人としてこれに対してどういうふうな考えを持つておられますか。それは流言飛語はほんとうであつたのか、とんでもないことを言つたのか、どう考えておられますか、これは率直に証人から御答弁を願いたいと思います。
  85. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 先ほど来申し上げましたように、私どもは証拠に基いて犯罪の嫌疑をかけ、さらに証拠に基いてその捜査を進展するのでありまして、単なる流言飛語あるいはうわさに基いて捜査を始めるとかあるいは捜査を進めるというようなことは全然ないのでありまして、そういう流言飛語というような批判があるとすれば、これはまつたくわれわれの仕事を理解しない人の言葉でありまして、とんでもない誹謗のことと感ずるのでございます。(拍手)
  86. 田中彰治

    ○田中委員長 委員長より証人に対する調べはこれで終りました。委員の発言を許します。杉村沖次郎君。
  87. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 私は時間がわずかでありまして、質問の都合上証人に尋問のメモを渡して質問いたしたいと思います。本来であれば一問一答しいたのでありますが、時間がありませんから、このメモを渡して私が時間節約の意味において質問をいたしたいと思いますが、どうぞよろしく願います。
  88. 田中彰治

    ○田中委員長 委員諸君どうですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 田中彰治

    ○田中委員長 それでは異議ないと認めます。
  90. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 まず質問に入るに先立ちまして、簡単にわれわれが質問をいたしますることの根本の趣旨を明らかにしておきたいと思うのであります。私ども決算委員が検事総長以下検察陣各位に質問をいたしますのは、申し上げるまでもなく政府並びに政府機関が国民の血税を予算執行において正しく使つておるかどうかということを調べて、それを承認するかいなかのためであつて、昨年来日本開発銀行の融資について調査したところ、三井船舶、三菱海運、飯野海運、山下汽船等の会社その他五十数社の船会社に対し、国民の血税を昭和二十四年から今日まで九百九十二億一千九百万円貸しておるのであります。これらの船会社はこのほかに町の銀行から七百億数千万円の融資を受けておるのでありますが、この債務に対して元金はもとより利息すら満足に支払つておらないことがわかつたのであります。それにもかかわらず第十六国会におきまして、この船会社が借金をしたその利息を昭和二十五年にさかのぼつて国民の血税で支払つてやるという外航船舶建造利子補給損害補償法というものができまして、いろいろと調べて行きますると、きわめて不正と認められる点が多々ありますので、これを明確にするためにはどうしても検察庁のお調べになつたことについてお尋ねをしなければ結論が出せないので、お尋ねをする次第であります。  第一点として、この点はただいま委員長が質問されたこととあるいは重複のきらいもないではありませが、きわめて重要な点でありますから私からも御質問申し上げますが、御存じでありましよう。吉田総理大臣が先日公開の席上におきまして、海運、陸運等の汚職事件に対してあれは流言飛語によるものであると述べられたのであります。     〔発言する者多し〕
  91. 田中彰治

    ○田中委員長 御静粛に願います。
  92. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 この大汚職事件について、総理大臣の口からこのようなことが述べられたことはきわめて不可解でありますが、総理の言でありますから一応考察を要するのであります。これにつきましてはいずれ私どもは吉田総理に証人として出ていただいて十分お聞きしたいと思つておりまするが、そのことはあとにいたしまして、検事総長は多数の検事を動員して大捜査陣を編成され、国民の血税一億に近いところの費用と、二百数十日の間日夜をわかたないで捜査をされたのでありますが、これが流言飛語に基いてなされたとは私どもはどうしても承服することができないのであります。これについてほんとうに具体的にこうこうこうであるという信念をひとつ披瀝していただきたいのであります。  第二点、検察庁は自由党の幹事長であつた佐藤榮作氏及び自由党の政務調査会長であつた池田勇人氏の両名について今年の四月十七日及び十九日ごろ検事総長以下の合同会議において、佐藤榮作氏が飯野海運の社長である船舶協会総務委員長俣野健輔外一名から金二千万円、日本造船工業会会長丹羽周夫から金一千万円、石炭鉱業会から二千万円及びその他から莫大な金を収賄したことと、池田勇人氏が飯野海運、三井船舶、大阪商船等から佐藤氏と同様に莫大な収賄をしたということについて、両名を逮捕するの必要ありと評議が一致して、まず佐藤幹事長を先に逮捕の許諾を求めることとなり、検事総長名をもつて、犬養法務大臣に逮捕許諾の稟請書を提出せられるに至つたのでありまするが、この評議の一致及びこの稟請書を提出するについては相当の根拠と確信があつてなされたものであるかどうか、その根拠、確信をお示しが願いたのであります。  第三点は、佐藤榮作氏の逮捕許諾の稟議書は、検察庁法第十四条によつて拒否されたのであるが、検事総長は犬養法務大臣に対して、この稟請が拒否されたのでは捜査上影響を来すかどうかということについて何らかの進言をなされたかどうか、これが伺いたのであります。  第四点、指揮権の発動によつて検察庁は汚職事件の捜査に支障を生じたというのであるが、いかなる支障を生じたか、具体的にお示しが願いたいのであります。この点は先ほど伺つたのでありますが、きわめて抽象的でありまして、われわれには十分わかりませんから、この支障の具体的の事実をお示しが願いたのであります。  第五点は、逮捕許諾の稟請をした佐藤榮作氏に対し、犬養法務大臣の後任であつたところの加藤法務大臣から指揮権の解除がされたのでありまするが、佐藤榮作氏を何ゆえ指揮権が解除されておるのにもかかわらず逮捕して取調べをなされなかつたのか。さきには国会の開会中であるにもかかわらずこれを要求しておる。その指揮権が解除されておるのですから、すみやかに自己の所信に向つてこれを逮捕取調べをなすべきであろうと思うのでありますが、何ゆえにこれを逮捕取調べをなされなかつたか。  第六点、佐藤栄作氏を政治資金規正法をもつて起訴しておるのでありまするが、国会開会中におきまして、ただいま申しましたような、稟請をしておるのでありますが、これは一体どういういうことであるのか。これを明らかにしていただきたい。  第七点、佐藤榮作氏を政治資金規正法違反として起訴しておるのでありまするが、自由党の総裁は吉田総理大臣であります。自由党の責任者は吉田茂君であるが、この自由党の責任者吉田茂君を取調べになつたことがあるかどうか。なおこの点については告発をせられておる方がありますが、この告発をいかに扱つておるか、これが伺いたいのであります。  第八点は、吉田総理大臣は池田勇人氏を通じて大阪造船所社長、南俊二氏及び日本炭鉱株式会社社長、菊池寛治氏の両名から金一億円を収受して、昭和二十八年四月の衆議院議員総選挙の際に、自由党の候補者に対して、外務大臣の公舎において、池田勇人氏、麻生太賀吉氏その他二、三の立会いのもとに、公認料としてそれぞれ分配交付したことについて、池田勇人氏を取調べた際に、この点について取調べをなされたかどうか。この点を伺いたいのであります。一応これまでとしてひとつお答えを願います。     〔発言する者あり〕
  93. 田中彰治

    ○田中委員長 小林君、御静粛に願います。あなた委員ですか。委員でなかつたらあとへ下つてください。
  94. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 お答えいたします。ただいまお尋ねの第一点は流言飛語に基いて捜査を進めたのであるかどうかというお問いに帰着すると思いますが、先ほど来申し上げましたように、私ども検察当局といたしましては確たる証拠によつて犯罪の嫌疑をかけ、また次から次と証拠に基いて捜査を進めて行くのでありまして、単なる流言飛語、あるいはうわさ等によつて嫌疑をかけたり、捜査を進めて行くことは毛頭ないのでありまして、この点はどうぞそういう流言飛語にかかわらず、私どもの検察庁の態度、また方針というものを十分御理解願いたいと存じます。  それから第二点は、佐藤榮作氏に関する収賄罪の容疑のもとに逮捕請求をなされたが、その容疑事実はこういう事実ではないかということの、その事実を述べられたのでありますが、私が承知いたしておる事実とは大分違つておるようでありますが、収賄容疑のもとに逮捕請求の稟請をいたし、またその稟請が重要法案の通過にかんがみて、しばらく逮捕を差しとめよ、逮捕するなという指示、いわゆる指揮権発動を見たことは皆様御承知の通りと存じます。その逮捕請求を稟請するにつきましては、これは一般事件も同様でありますが、逮捕あるいは勾留を裁判所に請求するにつきましては、それ相当な理由と、その必要性を疏明しなければ裁判所で令状を発布いたさないのであります。ことに本件につきましては国会の開会中でもあり、また被疑者が政界における有力者でありまするので普通の事件よりもむしろ念を入れて慎重に、この時期において逮捕請求をしなければ予期しておつた証拠も集めることができないし、また事案の真相をきわめるということもとうてい困難だという結論に達しまして、具体的な疏明資料を整え、そうして法務大臣に逮捕請求の稟請をいたしたのであります。  それからその次に池田勇人氏に対する収賄容疑事実についても逮捕請求をする運びになつておつたのではないかというお問いのようでありますが、そういう段階にはまだ来ておらなかつたのでありまして、あの際は佐藤幹事長についてのみ逮捕請求の稟請をいたしたのであります。  それから池田勇人氏にこういう収賄の容疑があつたのではないかというお問いでありますが、こういう事実は私はまだ聞いておりません。  それから第三点は指揮権の発動、すなわち検察庁法第十四条但書の指揮権の発動によつて捜査に影響を及ぼすということについて、その当時の法務大臣に何らかの進言をしたかというようなお問いでありますが、その点は稟請書を正式に出す前、数目前から法務当局を通じ、また直接法務大臣にお会いしまして、事実に基いて、こういう証拠によつてこういう嫌疑がある。贈賄者と目せられるものが今勾留せられておる、そうして勾留の満期がもう間近いから、どうしても収賄者を今のうちに逮捕勾留をして、そうして取調べを進めなければ事案の真相を究明することができない、一刻も猶予ならないということを詳しく説明いたしまして、最初は法務大臣の御了解を十分願えたのであります。四月十九日に突然重要法案の審議の経過にかんがみて、何とか逮捕勾留を延ばすわけにはいかないかしばらくとりやめることはできないかというお話があつたのであります。その逮捕せざるを得ない理由、必要性等については、十分御説明申し上げ、御承知のように、数日にわたつて折衝いたしたのがこの点であります。  それから第四点は、指揮権発動によつて検察庁は汚職事件の捜査に支障を生じなかつたか、これは先ほど来申し上げましたように、非常な支障を来したということははつきり申し上げることができます。(「それを具体的に」と呼ぶ者あり)具体的にどういう点に支障を来したかということは、これは具体的にはなかなか説明いたしかねるのでありまして、捜査はその進展ぐあいでだんだんその証拠に基いてかわつて行くのでありますから、どういう点に支障を来したかということは、これはなかなか言いにくいことであります。  それからその次は、加藤法務大臣から国会が閉会になつたから、逮捕さしとめの前の指示は解除されたものと了解してくれという書面を受取つたのでありますが、その当時世間で相当疑惑をこうむつておりましたので、私の方から今解除されても、もう適当な時期を失してしまつたので、今さら逮捕しても所期の目的を達することが困難であるからという、逮捕しないという理由をあの当時説明いたしたのであります。それを簡単に申し上げますと、贈収賄のような涜職事件につきましては、物的証拠というものは非常に少いのであります。ところが物的証拠なりまた傍証によりまして金銭が授受されたという事実は、これは割合にその真相をつかむことができるのでありまするが、その金銭が授受されたときの両者の心持、つまり金銭を授受するに至つたその趣旨というものは、これは当事者の心理的なものでありまして、当事者を直接調べなければ、なかなかその真相を究明することができないのであります。そこでまず贈賄容疑者の方を逮捕勾留して、調べておりました。で、国会の方はだんだん法案の審議等で非常にお忙しいように思いましたけれども、しかし贈賄者が釈放される前に、同時に収賄容疑者を逮捕して、そうしてお互いに交通、談合、連絡等のできない状態において、いわゆる純粋な立場において、贈賄容疑者及び収賄容疑者を同時に調べないと、事案の真相を究明するということはむずかしいのでありまして、あの時期をおいて逮捕勾留するということは意味がなくなつたのであります。指揮権の発動以来、任意捜査によつて極力捜査を進めましたけれども、とうとう事案の真相を徹底的にきわめるというところまではできなかつたのであります。  第六点は、この第六点の御質問によりますると、いかにも政治資金規正法違反としての容疑者たる佐藤榮作氏に逮捕請求をしたのであるかのごとく誤解されておるような御質問でございます。新聞などで見ますると、一部の方はそういうふうに誤解している点もあるようでありますが、政治資金規正法違反の容疑のもとに逮捕請求をしたというようなことは全然ないのでありまして、先ほど以来申し上げましたように、収賄容疑のもとに逮捕請求をいたしたので、指揮権の発動があり、そうしてその本筋の捜査が思うように進展しない、その間に、その後において政治資金規正法違反の容疑が発見されましたので、それから任意捜査によつて政治資金規正法違反の容疑事実を取調べいたしたのであります。政治資金規正法違反の容疑で逮捕請求したということはございません。それからその点ももちろん流言飛語あるいはうわさによつて捜査を進めたのではないのであります。物的な証拠あるいはその他の確たる証拠に基いて捜査を進め、そうして処分決定をいたしたのであります。  第七点は、政治資金規正法違反の容疑者として自由党総裁を取調べたことがあるかということございますが、こういうことは私の方では第一線から聞いておりません。おそらくそういうことはないだろうと思います。  第八点は、吉田総理大臣が池田勇人氏を経て多額の金員を収受し、それを外務大臣公舎で公認料として衆議院議員総選挙に際し、自由党の候補者に交付したということであるが、この点について池田勇人氏を取調べたかということでありますが、こういう点について取調べたということは私は聞いておりません。
  95. 田中彰治

    ○田中委員長 杉村委員、こちらに答弁するようなのを渡しておいても、あなたのようにあまり長く何点も何点もやると答弁する人も困るし、聞いている人もわかりませんから、一つ一つに答えを言うように簡潔にやつてください。
  96. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 まだあとたくさんあるのであります。たくさんあるでのすが、ただいま委員長も言われる通り他の委員の質問もあるでありましようから、私はこれから先の質問事項は他日に留保しまして、今までのことについて、ただいまの御答弁についてさらに再質問をいたしておきたいと思うのであります。  私が第四点におきまして、指揮権の発動によつて捜査にいかなる支障を来したか具体的に説明をしてもらいたい、こう申したところが、具体的の説明はきわめて困難である、こういうお答えであつたのであります。ところがその次の第五点、第六点において、逮捕許諾の稟請書を出すについては相当の根拠に基いてやつたのか、こういうようなことを含めて申したところが、物的の根拠もあつたのだということを今述べられておる。しからば何ゆえに、いわゆる指揮権が解除されたればその物的の証拠に基いて佐藤を逮捕、取調べをなさらなかつたのか。すなわち第四点の指揮権の発動によつて、遂にこの汚職事件のほんとうの中枢的人物であるところの佐藤榮作氏を取調べることができなかつたということが、検察陣のいわゆる具体的事実ではないのか。これがためにこのたびのこの大汚職事件というものが遂にうやむやに、ほとんどつまらない下の方の者だけを検挙するというふうに至つて、大物は全部のがしてしまつた、こういうことになるのではありませんか。私は具体的にいかなる支障を来したかということを伺いたいのであります。いま一度この点について、ひとつ明らかにお答えが願いたい。
  97. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 先ほど物的証拠に基いてというのは、その次の政治資金規正法違反として起訴したあの事件については物的証拠があるということを申し上げたのでありますが、逮捕請求の稟請の際にはもちろん確たる証拠、現実の証拠に基いて逮捕請求の理由があり、また必要があるということを大臣に詳しく説明いたしまして、最初は御了解を得たつもりでいるのであります。
  98. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 最後に、これは検事総長自体について所信をひとつ伺つておきたいのであります。私どもは決して巷間の風説などを信用するものではございません。しかしながらいろいろな風説がありまして、検事総長は、近く最高裁判所の裁判官に一人の欠員ができるということがあるので、この最高裁判所の裁判官に横すべりをするについて政府当局と何らかの話合いがあつたとかなかつたとか、そうして佐藤検事総長の後任には岸本次長検事が昇格するというような流説があるのでありますが、私の信ずるところ検事総長はそのようなことのないことは私は信じておるのであります。検事総長は、こうした重大問題に直面しておまりしてきわめて重職にあるのでありまするが、この汚職事件はまだこれで完結とは私どもに認めておりませんが、検事総長のこれらに対するところの将来の所信を伺いたいのでございます。
  99. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 ただいまの御質問にお答えいたしますが、近く最高裁判所に欠員を生じた場合に最高裁判所に横すべりするのではないかというようなおうわさがあるとすれば、それはおそらく何らの根拠に基かないうわさであると存ずる次第であります。私は全然関知いたしておりません。  なおこの際に私の所信をつけ加えて申し上げまするならば、今回の事件の取扱いにつきまして相当世間から批判もございます。また部内におきましてもこの捜査の進展の途中において、また処分結果についての批判によりまして、相当みな不安な気持を持つておるのでございます。私がこの検事総長の席を汚した以上は部内の不安を除き、また国民の検察に対する理解をどこまでも深めたい。この仕事をしなければ、私は去ろうというような考えは毛頭持つておりません。
  100. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 質問ではありません。ただいま私の質問したうちには新聞報道に根拠を置く点もありまするが、この点を明らかにいたしておきます。私の質問は他日に留保しておきます。     〔吉田(賢)委員「委員長」と呼ぶ〕     〔「許してあるのか」と呼び、その他発言する者、離席する者多し〕
  101. 田中彰治

    ○田中委員長 御静粛に願います。席に着きなさい。まだ許してありません。席に着きなさい。あなた方が理事会できめたことを破つて議事の進行を言うから、こういうことになるのじやないか。自由党が悪いのじやないか。そういう発言の問題でも、席に着いておつしやい。委員長が整理します。何ですか、子供でもないのにそんなところに立つていつて。……(拍手)  吉田さん、理事会で一旦きめたので、鍛冶氏も途中で議事進行を下げておりますから、またあとで許しますから理事会できめた通りやりましよう。     〔「そうは行かぬ」と呼ぶ者あり〕
  102. 田中彰治

    ○田中委員長 河野君に申し上げますが、自由党の方もやり過ぎたということを心でどうも思つておるらしいから、あなたの先ほどの動議をひとつ取消されて…。     〔「そんなことはできません」と呼ぶ者あり〕
  103. 河野一郎

    ○河野(一)委員 ぼくは先ほど動議を出しまして、それを皆さんで御決定になつたのでございます。採決までなすつたのでございますから、この善後処置は、自由党の方が今後議事の運営にみだりに議事進行とかその他のことはなさらぬということであれば、私は理事会の決定でけつこうでございます。けつこうでございますが、委員長がお集めになつて、それであらためて先ほどの決議取消し理事会の決定通りやるということのちやんとルールをきめておやりになるなら異議はございませんが、ただそういうふうにおやりになると乱用のもとになるから、はつきりおやりなさい
  104. 田中彰治

    ○田中委員長 それでは十分間理事会を開きます。  ここで暫時休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ――――◇―――――     午後零時四十七分開議
  105. 田中彰治

    ○田中委員長 休憩前に引続きまして開会いたします。  田中角榮君。     〔「そんなことはだめだ」「委員長   横暴」と呼び、その他発言する者多し〕
  106. 田中彰治

    ○田中委員長 委員長が許したら黙つてください。
  107. 田中角榮

    ○田中(角)委員 発言順序につきまして委員長に一言申し上げます。本委員会開会劈頭の考えは非常に委員会が荒れるのではないかと予測をされておつたわけでありますが、私たち与党議員といたしましても国政調査権という大きな命題のもとに進められたものでありますので、特にこの委員会が与野党の修羅場になるということがごときは断じて排さなければならないという考えに基きまして、大体の委員会においては与党野党交互に発言する場合でも、与党から先の発言であつたのでありますが、この問題に限つては特に野党与党交互の発言に私の方も賛成をいたしまして、委員長のもとに円満に理事会の結論を見たわけであります。その意味におきまして先ほど多少いざこざのために動議もありましたが、将来の国会運営のルールを確立するためにも、自由党委員といたしましもても特に政争の具にしたいというようなことは断じて考えておらないのであつて、委員長が公正に行われるこの委員会の審議に対してはもとより協力しておるのでありますから、先ほどの理事会の決定通りできるだけ――野党も発言されたのでありますから、与党と交互に発言を許されることによつてこの種委員会の将来のルールが確立せられるようにひとつお願い申し上げます。
  108. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 ただいま田中君は、理事会の決定に基いて野党質問されたというふうに申されておりましたが、私は決して理事会の決定に基いて質問いたしたのではありません。先ほどの河野君の動議に基いてその動議の成立の順位によつて私は質問いたしたわけでありますから、さようお含みを願いたいと思います。
  109. 田中彰治

    ○田中委員長 動議の発言者の河野委員にお諮りいたしますが、とにかく一応こういうぐあいに自由党からも弁明しておるのでありますし、鍛冶君もさつき発言されましたから、三十分ときつちり時間を切つて発言を自由党に許しますから、これで納めていただきたいと思います。     〔発言する者多し〕
  110. 田中彰治

    ○田中委員長 御静粛にお願います。
  111. 古屋貞雄

    ○古屋(貞)委員 もし委員長の御発言のように取運ぶなら、いま一回、先ほどの動議はもう決議されておりますから、決議に基いて今進行したので、ただいまの杉村君の発言は、河野君の動議の決議に基いての発言と私どもは信じております。従つてその変更をいたそうというなら、全員の御了承を得なければならぬと私は思う。全員が了承されるかされないか、そのことを明確に委員長から諮つていただきたい。
  112. 田中彰治

    ○田中委員長 どうですか。     〔「反対」と呼ぶ者あり〕
  113. 押谷富三

    ○押谷委員 先ほど河野委員からの動議で、ある決議があつたことは認めますが、しかしかりにそういう決議があつたところで、委員会における発言の順序というものは、これは委員長の権限においてお進めになつてしかるべきだと考えます。河野委員が言われた通りでありましても、ただちに右派の吉田君がここで発言をせられるという順序にはならぬと私は考えます。従つてこれからの発言の順序は、もし理事会の決議が無視されるようなことがあつたといたしましても、あとの順序は委員長においてしかるべくお進めをお願いしたい。     〔「そんな権限は委員長にはない。」と呼び、その他発言する者多し〕
  114. 柴田義男

    ○柴田委員 今の御発言は奇怪の発言だと私は考えております。少くとも委員長にそういう権限を与えておりませんし、委員会の多数の意見で決定いたしましたその多数の意見に従うのが、委員長の使命であります。こういうことでありますので、先ほど確定いたしました方針によつてやつていただきたい。
  115. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 鍛冶君の先ほど議事進行の発言か理事会の申合せを破つたというように野党はとられておるようですが、私はさように思つておりません。御承知のように、理事会は発言者の順序とか時間とかそういうものを申合せをしたのでありまして、発言に対するとりきめはありません。これは当然ルールの示すところ、規則の示すところ、法律の示すところによつて運営さるべきものであつたのであります。但しお互いに誤解があつて、そういう議事進行の発言があるのをやらないで、ただちに質問に入るというふうに野党側では御了解になつておつたといたしますならば、そこにお互いに誤解があつたと思います。われわれも鍛冶君が突然発言することについては、何ら連絡がありませんでした。だから私どももこの際見合した方がいいのではないかということを一、二申したのでありますけれども、許可を得たものでありますから、鍛冶君が発言したようなことでありまして、決して故意に、悪意に議事妨害の態度に出ておるのではありません。議事妨害に出るのだつたら、もつと断固たるわれわれにはきめ手があります。そういうのではありません。ほんとうにスムーズに、円滑にこの委員会を運営して行きたいので、われわれも最大の譲歩をしておるのでありますから、話がわかりました以上、お互いに誤解が解けました以上は……。(「誤解が解けない」と呼ぶ者あり)ことに私どもはあの動議に対してもし先ほど申されたような動議の提出であつたら、何かもつと異議の申立ての方法があつた。あの際発言台に行かれなかつたものだから、われわれはさように考えていなかつた。理事会の決定通りやるのであつて、その他の発言を禁ずるというふうな動議であつたというふうに考えましたから、あえて弁明しなかつたのであります。あのいざこざの間でありますから……(発言する者多し)委員長の御常識に基いて御決裁願いたいと思います。動議の取消しの弁明をされておるのでありますから、ひとつ適当に……。
  116. 田中彰治

    ○田中委員長 高橋君にお諮りしますが、一応鍛冶委員は決して悪意でやつたのではないが、理事会でこれをスムースに行こうやというのでやつたときに、あの議事進行をされた誤解された。そこで動議が出て、その河野さんの動議を採決した以上は、動議の撤回がないと違法になりますから、承諾すればいいですが、承諾がないと、やはり委員長の越権行為になりますから、そこは話合いしてもらいたいな。
  117. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 ただいま委員長のお言葉を聞いておれば、河野君が動議の撤回をどうとかこうとかいうことを申されておりますけれども、なるほど河野君の動議がまだ決定されないうちであるならば、撤回はこれまた別問題でありまするが、これが一度議場に諮られて決定した以上は、うつかり動議を出したのでありましたとしても、撤回する権利などありません。これを委員長も個人で変更するというような権限はありません。
  118. 田中彰治

    ○田中委員長 動議がそこで発言されて、そうしてここで採決して決定したものは、どうしても委員諸君全部の承諾がなければ、これは変更することはできないですよ。そこでどうするかという問題だ。     〔「その通り進行したらいい」と呼ぶ者あり〕
  119. 田中彰治

    ○田中委員長 それは委員長として理事会でやつた動議は、そういうわけには行かないですよ。そんなら杉村君の動議をけつてやればよかつたが、それが理事会でそう行かなかつた……。     〔「速記録を読んでみろ、一切の議事進行の動議は禁止するという決定になつておる。」と呼び、その他発言する者離席する者多し〕
  120. 田中彰治

    ○田中委員長 それではお諮りいたします。杉村沖治郎君の先ほどの発言は、河野君の動議によつての発言であります。これから新たに社会党の右派の発言から順序を新たにやることにしてそれで皆さん御了承願います。     〔杉村委員「そうではない」と呼ぶ〕
  121. 田中彰治

    ○田中委員長 それでいいじやないですか。四十分もやつたのですから。     〔杉村委員「そういうことはできない」と呼ぶ〕
  122. 田中彰治

    ○田中委員長 委員長がこれだけとりはからつておるので……。     〔杉村委員「そういうことには応じられない」と呼ぶ〕
  123. 田中彰治

    ○田中委員長 これだけ君に公平にやつたじやないですか、四十分やつたらいいじやないですか。
  124. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 委員長が公平にやるということをここでおつしやられることは、委員長の非常にマイナスになります。委員長が公平にやることは当然のことであります。
  125. 田中彰治

    ○田中委員長 公平ではありません。あなた方に有利にしているではありませんか。     〔杉村委員「それでありますから、私話合いであれば別でありますけれども……」と呼ぶ〕
  126. 田中彰治

    ○田中委員長 話合いをしているじやありませんか。
  127. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 そういうことをすると国会権威がなくなります。自由党の諸君は廊下で会期を延長した。そういうようなことではわれわれは承服できません。
  128. 田中彰治

    ○田中委員長 しかし杉村委員、あなた少し考えてもらわないと、今までのあなたの発言は四十五分許しておるのです。     〔杉村委員「私個人ではありません。私は社会党の……と呼ぶ〕
  129. 田中彰治

    ○田中委員長 それでいいじやないですか。     〔高橋(英)委員「委員長々々々」と呼ぶ〕
  130. 田中彰治

    ○田中委員長 高橋委員、何を言つても動議でそうすることはできないのですから……。
  131. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 私は何でもかでもしやにむに自我を通そうというのではない。国会権威のためにやりたいのであります。(「わかつた」と呼ぶ者あり)まあ聞いてからやつてください。かつて自由党は廊下で国会を延長した。そういうようにいつも考えておつたのでは、まことにこの資本家の子供はわがまま過ぎる。今日はこの問題につきましては採決されておるのでありますけれども、一応先ほど委員長が言つたように、私の社会党の右の質問は、河野君の動議に基いてなすということによつて、吉田委員の質問が終つてからあとは、いかよにうしようとも、その場合は自由党からの御協議に私も乗ることにいたします。
  132. 田中彰治

    ○田中委員長 どうですか、そういうことを言わないで、吉田委員の動議を理事会の初めにきめたあれにして、そうして吉田委員の発言はこれをスムーズにして行こうじやないですか。
  133. 古屋貞雄

    ○古屋(貞)委員 今、委員長のおつしやられたことく了解がつくならけつかうと思いますが、それなら自由党の諸君が協力するということを一応お約束してもらわなければいけません。
  134. 田中角榮

    ○田中(角)委員 ごたごたしている委員会が自由党の発言によつて協力をするということであれば、理事会の決定通りに運営できるというのでありますから、もちろん自由党は協力することを惜みません。惜しみませんというよりも委員としてみんな協力態勢を整えておるわけであります。先ほどの理事会におきましても、委員一人十分というのを野党に対しては特別委員長の発言もあつて、十五分を認め、与党は十分ということで妥協しておるのでありますから、この事例にかんがみましても大いに協力しておるのであります。将来も協力いたしますから、どうぞわれわれの発言通りお進め願いたいと思います。
  135. 田中彰治

    ○田中委員長 この際お諮りいたします。先ほど自由党より議事進行の発言がありましたので、理事会の申合せにそむくということで河野君より新たに質疑順序等に関する動関が提出され、これが可決されたのであります。最初に委員長より報告いたしました理事会の決定通り議事を進めることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 田中彰治

    ○田中委員長 御異議なしと認めます。  なお杉村君の発言は河野君の動議に基いたものでありますから、これは割当外のこととして取扱うことにいたします。  吉田 賢一君。
  137. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 検事総長に少し伺いたいのですが……     〔発言する者多し〕
  138. 田中彰治

    ○田中委員長 御静粛に願います。
  139. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 第一点は去る七月三十日に、このたびの造船疑獄等の事件の結末をされたというので談話の発表がありました。この点について質疑応答もあつたのでありますけれども、私からなお別の角度から伺つてみたいのであります。  第一は、あの新聞発表の談話は何を目的にしてなさつたのでありましようが、たとえばあれをずつと通読してみますと、ほとんどが、この事件について多数の贈収賄被疑事件が不起訴に終つておるという点についての検事総長としての弁解に終始しておるような感がするのであります。そこでこれはまことに重大な検察庁の御意向として国民は注視したのでありますが、何の目的であれは御発表になつたのでありましようか。
  140. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 この造船関係、陸運関係等の事件が発生いたしまして、長い間  新聞紙上等において相当問題にされて、世間の関心を呼んでおつたのであります。そこでこの事件の発端から経過また処分の結果について、できるだけ全貌を明らかにして、国民の輿望に沿いたいというつもりで発表いたしたのであります。
  141. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ところで、できるだけ事件の全貌を明らかにするというその御意図は、私もしごく同感なのであります。ところで実際はこの御発表になつている趣意を通読いたしてみまして、事件の全貌は明らかになつておらぬと思われるのであります。私の最も知りたいと思いました点は、一つはこのリベートというものの正体である。だんだん質疑応答があつて明らかになつておりますが、申しあげるまでもなくルベートというものは、本来出した人個人のポケットから出た金ではありません。国民の血税であります。だからそういうものの総額がどうなつたか、どこへ流れて行つたものであろうかということが、検察の跡始末の御発表の際に最も大きな関心事であつたろうと思います。でありますから、私どもはリベートというものが一本どうなつたか、その点についてできるだけ事件の全貌を国民の納得し得る程度に、納得し得る範囲のものを提供するということが国民に対するあなたの立場ではなかつたのであるか、こういうふうに思うのでありますが、いかがでございましよう。
  142. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 検察当局の調べによりまして、どれくらいなリベートが授受され、またそのリベートのうちどれくらいが政界に流れたかというその事実が明らかになつたのでありますが、そのうちすでに起訴されてまだ公判の開延のない部分もございますし、起訴されたほかにまた不起訴になつた部分もあります。起訴になつた部分につきましても、起訴猶予になつたこともあるし、また大部分が起訴猶予になつておりますので、それらの金銭の流れになりその額を詳細にいたすということはどうしても職務上機密に触れるおそれがありますので、あの当時といたしましてはあの程度の発表で御推察願うよりほかはなかつたのであります。
  143. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 職務上の秘密とおつしやるのですが、これはまことに重大な御発言であります。私どもはやはり国会の立場といたしましては、国民が首を長くしまして事件の真相を知りたがつておるときに、これにこたえることは公益のため必要なことであろうと思います。国会の権限からいたしましても国費の使途を明らかにするということは当然の権限であります。だから国政調査権の対象といたしまして、検察行政を行つれあとのその妥当性を検討して行くという上におきまして、リベートの授受が明らかにされない、その性格が明らかにされない、授受しておつた人間が高位高官、政党の領袖等で、どれほどの金額が行つたかということについて明らかにされないということで、一体それで国会は国政調査の目的を達することができるのでありましようか。またこの国会に対して、検事総長のお立場といたしまして、それでほんとうの回答になるのですか。私は、やはりきようは、あなたが通常常識で、これは捜査の秘密である、これは検察の秘密であるというようなことで終つてもらうわけには参りません。やはり国政調査の対象としての検察行政の適否が、きようのお尋ねする趣意でありますから、従つてそれは、この場で全部をおつしやつていただこうとは思いません。思いませんが、その内容は検察の秘密に属するということで逃げることは、少くとも国政調査に対する御協力のない態度とわれわれは考えざるを得ません。ぜひともそれは明らかにしてもらわねばなりません。われわれは、たとえば将来予備費の問題を論議するときが参りますが、そういうときにおきましても、当然何のために四千七百万円の予備費をあと追加して使つたのであるかということも追究して参ります。当然これは国会においては明確にしていただかねばならぬ一つの重点であります。重ねてぜひとも御答弁願いたい。
  144. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 私がこの委員会の喚問に証人として参りましたのは、もちろん国政調査にできるだけの御協力を申し上げたいという気持で参つたのでありますが、しかし皆様方の御質問によりましては、具体的な問題になりますと、この間どうしても職務上秘匿すべき事項に触れるおそれがあるのでありまして、あらかじめ御了承を願うために、私がこれから述べることでありましても、職務上の秘密に属する事項でありますならば、その旨を皆様に申し上げて、そうして法務大臣の承認を得なければ詳細述べられない手続になつておるのでありますから、その点は御了承願いたいと思います。
  145. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 職務上の秘密とおつしやいますけれども、私は起訴されておる事件の公判の準備、証拠等に悪い影響をするような、そういう問題を明らかにしていただきたいと申すのではないのであります。あなたの方は、この起訴状全体を通じて見ましても、ほとんど贈収賄事件というものは役人の末端の人が少数ひつかかつているだけであります。国民の関心は贈収賄にありまして、またあなたの方に法務次官から検事総長あてで予備費の執行についていろいろな文書が出ております。これによつて見ましても、いわゆる造船関係の事犯というものが重点に置かれておる。造船関係の事犯というものは、申すまでもなく、リベートの贈収賄事件であります。ところが重要な使途につきましては、この起訴状によりますと、政治資金規正法にほとんど限局されておる。でありますので、問題はすでに不起訴事件として御処分になつたもの、不起訴事件として処分になりました重要な高官あるいは元大臣――現職の大臣も入つておると思います。あるいは政党の領袖、そういうようなところにリベートが流れて行つたのを、これを職務上の秘密としてここで証言することを拒みなさるということは、これは証言の拒否権の濫用ではないかと思います。(「その通り」)重ねてひとつ御意見を聞きます。
  146. 田中彰治

    ○田中委員長 証人に御注意申し上げますが、先ほど杉村委員から言われましたように、大審院の横すべりだとか、またあなたのここでの発言のいかんによつてはあなたに詰め腹を切らせるとかの評判が散らばつておりますが、これだけの国民があなたを守つておりますから、法務大臣の前でも遠慮しなくていいから、御遠慮なくどんどん言つてください。吉田の子分の法務大臣だから、遠慮せぬでもいい。
  147. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 起訴になつた事件につきましては、その将来の立証上どうしても調べの内容を秘匿しなければならぬという事項を含んでおります。また不起訴になつた事件につきましても、調べた内容を全部公表することは将来の検察の運営に支障を来すおそれもありますので、お問いのいかんによつてはどうしても職務上秘匿すべき事項に触れて来るのではないかと思いましてあらかじめ御了承を願つたのであります。
  148. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私はこの不起訴事件のすべてを述べてもらおうとするのではないのであります。それは第一、時間の関係、お互いの労力の関係で不可能なことであります。但し社会全体が注目の焦点にいたしておりますのは、現職の大臣が、リベートを何億円とふところに入れた会社の重役から、相当莫大な金を入手されているという事実であります。また政党の領袖が同様に莫大な金を入手しているという事実であります。そういつた重点を述べてもらえばよいのでありまして、すべてを末端に至りますまで何事も聞こうというのではないのであります。しかし重点的なものを、国会におきまして、不起訴になつたにかかわらず、なお検察の秘密なりとして証言を拒否なさることは、少くとも議院における証人等に関する法律の趣意から見ましてもこれは許さるべきでないと思います。でありますので、そういう趣旨におきまして、あなたもその秘密に触れることをおそれなさつてあらかじめ断つたという御趣旨であればわかります。  そこでつつ込んで具体的に聞いてみますが、たとえば犬養元法務大臣、岡崎現外務大臣、あるいは石井現運輸大臣、あるいは佐藤前幹事長、あるいは大野前国務大臣、そういうような人々が何十万円ないし何百万円というものを、すでに起訴されておりまする飯野海運の社長の俣野氏、山下汽船の社長横田氏などから受取つているという事実があろうと思います。こういう事実につきましては、これはやはり国会の立場上、最も緊切した、最も緊要な一つの疑惑の問題でありますので、こういうものの解明すらできないということでありましたならば、われわれは何の行政の調査ができましようかと思いまするので、ぜひそういつた人々につきまして、リベートの流れた額、趣意などにつきましてひとつ御答弁を願つておきたい思うのであります。
  149. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 ただいま御質問の事項に対して答弁いたしますことは、どうしても職務上秘匿すべき事項に属すると思いまするので、法務大臣承認がなければ答弁をいたしかます。
  150. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 何ゆえ職務上の秘密に属するのでしようか。それならば、法務大臣が幸い出席しておられますから伺います。法務大臣は、この議院における証人証言等に関す法律第五条によりまして、これに対して承認をしていただきたいと思います。やはり申し上げるまでもなく、国会といたしまして最も緊切いたしました、最も重大な疑惑を与えられた問題でありまするので、ぜひ解明しなくちやなりませんから、あなたに要求いたします。
  151. 田中彰治

    ○田中委員長 吉田委員、証人のときどうです。こつちの委員から聞いてよいのですか。
  152. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 もし許したらすぐ続いてそれをやれるのですか。
  153. 田中彰治

    ○田中委員長 途中でやると証人尋問が消えますよ。
  154. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それでは今のは取消しまして、引続いてやりましよう。それではなおあなたに伺いますが、現職の大臣といえどもこれは、たとえば運輸大臣ならば海運行政の主管の長官であります。法務大臣検察行政指揮監督権者であります。また国務大臣といたしまして内閣連帯責任があります。これらの人々がリベートをとつただろうかういう問題が何ゆえ検察秘密に属するのでしようか――何ゆえ属するのでしようかということについてあなたの御所見を伺つておきたい。
  155. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 検察庁で取扱いました事件について、たといその事件が、一応起訴不起訴の処分がきまりました上でも、調べの内容を公表するということは、検察庁として、職務上秘匿すべき事項ではないかと存じております。なぜ秘匿しなければならぬかと申し上げますと、将来の公訴維持にも支障を来すことがありましようし、また将来の検察運営上いろいろな支障を来すおそれがありますので、大体において調べの内容に公表するということは、どうも秘匿すべき事項の範囲に属しておるものと私は解釈いたしております。
  156. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 現職の大臣が何十万円、何百万円という金を、被疑者ないしは起訴されました涜職あるいは商法違反によつて起訴されておるリベートをとつた人から受取つたという事実は、事実があれば、やはりこれは当人の名誉のためにも、私は国会においては御答弁になつてしかるべきだと思う。世間には、あなたはそうむずかしくおつしやるけれども、すでにこまかい数字が出ております。また起訴状によりましても、佐藤氏の入手しました金額はみな明らかになつておるのであります。でありますから、およそ公知に近い事実になつておるのです。しかも今日は、事件不起訴になつておるのです。何を好んでそれをあなたの方の検察秘密として、将来の公判に悪い影響を与えないだろうかという心配をする必要があるのでしようか。将来の公判がどうあろうとこうあろうと、それはそれです。これは独立した不起訴事件ですから、その不起訴事件について現職の大臣行政上の責任を問い得る立場にわれわれはあるのです。一般の公表ではありません。公開ではありません。どうぞその点は勘違いしないようにしてもらいたい。国政調査の対象といたしまして、事実を取上げてあなたに証言を求めているのですから、世間に発表するのと事実は違うのであります。性質が違うのであります。世間に発表をするときは十のものでありましても、われわれの場合にはそれ以上のものを発表になるべき義務があると思うのです。でありますから、そこはほんとうに虚心坦懐、その人々らの名誉のためにも、国政調査の権限に対しまして答えてほしいのです。
  157. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 お答えいたします。先ほど申し上げましたように、国政調査に関する証人証言に関する法律にもございますように、職務上の秘密に関する事項については上司承認がなければならぬという制度になつておりまするので、承認を得た上でなければ発表できかねると思います。
  158. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこであなたに伺いまするが、このたびの、四月二十日に犬養法務大臣があなたの方の仕事を押えたいわゆる指揮権の行使というものは、私は広い意味におきまして司法権の大きな危機を招来したものだと思う。あなたもここで非常に重大に捜査が支障を来したとおつしやつておる。非常に重大な支障を来したということは、これはあなたも新聞発表しておりまするごとくに初めての例だ。初めての例で、そうして非常に重大な捜査上の支障を来した、こういう事実であります。もし検察庁検察事務が一々この指揮権の発動によりまして食いとめられるということでありましたならば、いくら公正な裁判権が存在いたしておりましても、裁判権の完全な行使というものは、その前提におきまして、捜査官におきまして打切られてしまうのであります。それは行政責任者の大臣のあごの前に検察官が駆使せられるという結果になるということを国民はおそれるのであります。これは広い意味におきまして一種の司法権危機を招来しておると思う。検察権の危機であります。検察権の危機司法権危機という前に、検事総長といたしまして、全国の検察行政の最高にあるあなたの立場といたしましては、実に重大な問題に私は当面しておると思うのであります。(「その通り」)これをあなたが守り抜くことができませなんだら、昔の明治時代児島惟謙のごとく、司法権のそれを守るために生命を賭して進んで行くという気魂と信念がなかつたら、この難局を切り抜けることはできません。続々として何ぼでも疑獄、汚職が起つて来る現在であります。あなたらの最高の首長までも、理解があるのかどうか存じませんけれども、司法権を否定するような言をあえてしてはばからないような時代であるのです。この時代に処して、断固としてあなたの立場を守つてもらわなければ、どうして一体検察の神聖を守つて行くことができましようか。あなたの信念を伺いたい。(拍手)
  159. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 先ほども申し上げましたように、ああいう指揮権の発動を見まして、捜査に支障を来し、また一時は全国の検察の志気にも影響を及ぼしましたので、私はあの指揮権の発動はまことに遺憾なことと存じております。
  160. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 すでに全国の検事を指揮統率しておる検事総長から、犬養法務大臣検察庁法第十四条の指揮権の行使が実に遺憾なことだという発言がありました。これは私は検察行政上最も重大な御発言とこの際承つておきます。そこでそのような場合に、一体あなたはなおその指揮権に服従して行く義務があるのでしようか。そういうふうな見方からしまするならば、違法の指揮権行使というものもわれわれは考え得られます。違法の行使、違法に近い指揮権の行使という前に、なお検事総長はこれを諾し、服従して行かねばならぬのでありましようか。違法の指揮権行使ならば敢然としてそれに対処して行くということが、これがほんとうの意味における憲法の精神を守り、また正義を守り、検察を守つて行くあなたの立場ではないでしようか。いろいろと手を打つたかのような、あるいはその前日まで法務大臣は了解しておつたかのような言葉が述べられましたけれども、私はこれは最も重大なことであると思います。法務大臣責任であるのか、あなたの責任であるか、それは議論もあろうと思いますけれども、そのような不都合な指揮権の行使に対しましては、なぜ断固としてこれに対処する方法をあなたはおとりにならなかつたのだろうか。たとえばあなたは職を賭しても諌言すべきではないでしようか。さらに事理を尽しましてその撤回を要求すべきじやないでしようか。そういうことが一体できないのでありましようか。この問題の責任の所在というもの――指揮権行使に対しましてあなたはこれを非難なさる発言がありましたが、その指揮権行使というものは捜査に重大な支障を来しておるので、一体その責任法務大臣にあるのであろうか、どこにあるのであろうか、この一点を伺つておきます。
  161. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 問題になつておりまする指揮権の発動は、御承知のように検察庁法第十四条但書の規定に基いたものであるということを、当時の犬養法務大臣も説明いたしておるのであります。この検察庁法第十四条の規定がある現在の制度のもとにおきましては、指揮権を発動するということ自体は私どもは違法とは考えておらないのであります。(「その通り」「あたりまえだよ」と呼ぶ者あり)しかしながら今指揮権を発動されるということは、これは妥当でないと言つて極力進言いたしたのでありまするけれども、とうとう押し切られたのであります。
  162. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 指揮権の発動が非常に間違つておる、違法ではないけれども妥当ではなかつた、不当であるということもそれは言えましよう。違法のほかに不当もあり、あるいは妥当でない、正しくなかつたというそれもありましよう、程度の違いか存じませんけれども。その場合にあなたといたしましては、その妥当でないところの不当な、違法ではなくても不当な、そういう指揮権の行使に対しまして、これを了解してくれということをおつしやるということもわかりますけれども、なおそれでも服従をせねばならぬのですかということを私に聞いておるのです。服従をしないで行くということはできないのですかというのです。法律的な解釈はいろいろある思いますけれども、少くともあなたの立場は、一つの政党の力によりまして、権力のある人、前歴のある者、高位高官か有名な者は縛ることができないけれども、しかしながらそこらの労働者、百姓などは一升の米でも縛られて行くということでは、法の前に人は平等であるという憲法の保障する原則が蹂躙されておるのでありますから、こういうような場合にあなたとしまして――諌言することはそれはわかる。それはわかるけれども、服従をしなければならぬのですかということを聞いておるのです。
  163. 田中彰治

    ○田中委員長 吉田委員、初め三十分ずつにしますから、あと二、三分しかありません。
  164. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 先ほど申し上げましたように、検察庁法第十四条の規定が現行法上できておるのでありまして、現在の制度のもとにおきましては、法に基いて指揮権が発動された以上は、制度上は私どもはそれに従わざるを得ないのであります。
  165. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 法務大臣の指揮権の処置当を得ない、これは明確になつておる。まことに国家のために情ない現象と私どもは思います。  そこでさらに八月十日に及びまして、あなたらの最高の行政の首長である内閣の総理大臣が、公の席上におきましてこれまた検察行政の無能を叫んだ。佐藤を逮捕することができなければ調べがつかぬような者は能力を疑うという趣旨の発言がある。検察行政の無能を叫んでおる。またその最高の首長が、あなたらのやつておる仕事は流言飛語である、新聞はおもしろがつて流言飛語を飛ばしておるのだというようなことを述べておる。これに対してあなたは遺憾と思つておられるであろう。そういう趣旨の新聞発表をあなたはしておられる。しかしながら、私が聞きたいことは、こういうような――あるいはそれは吉田首相が無能なのかもわからない。法律に無知なのかもわからぬ。あるいは常識がないのかもわからぬ。しかしながら私の言いたいことは、およそ日本の今日の現状におきまして、政党の幹部が重大な疑惑の火がついておるときに、進んでこれを逮捕せしむるとか、公正な純粋な立場において捜査官に渡すというような態度に出ずして、なおこれを誹謗する、法律を否定するというような、そういうような思想の持主が総理大臣としてあるというときに、検察行政が正しく行われるであろうか。それは総理大臣が法務大臣に向つて命令監督することはできます。法務大臣はあなたに向つて指揮権発動で仕事を押えることができる。一体そういうような無能非常識な総理大臣のもとで日本の検察行政を正しく完全に行うことができるのでしようか。これに対するあなたのお考えを聞いておきたい。
  166. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 あの当時新聞紙上に吉田総理大臣の発言として報ぜられたところを見まして、私どもは非常に驚き、かつあの記事を見て憤慨いたしたのであります。しかしながら、あの記事が総理大臣の真意を伝えておるものであるかどうかということもつまびらかにいたしません。もしあれが真意を伝えておつたものとするならば、総理大臣において何らかの誤解を抱いておられるのではないかということを怪しんだのであります。そこで私どもは、監督官庁たる法務大臣を通じて、総理大臣の真意はどこにあられるのか、また誤解の点があるならば検察のために十分誤解を解いていただきたいということをお願いいたした次第であります。
  167. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 総長の御発言として私は実に軽卒だと思います。あの発言は新聞に録音が明らかに翻訳されて、転載されております。従つて、その言葉は全部明朗に公にされておるのであります。詳しくしない、つまびらかにしないということは、私はもつてのほかだと思う。全国の検察庁、また全国の司法に頼らんとする善良な国民は、この暴言に対しましては、実に切歯扼腕しておるのです。なぜあなたは事実を明瞭におつかみにならなかつたのか。またこれによりますれば、逮捕しなければ証拠が集まらぬというようなことでは、われわれは当局の能力を疑わざるを得ない、新聞その他でおもしろ半分に流説をしておるものがあるが、政府としてはこんな流言飛語を考慮しない、こういうような重大な二点があるのです。あなたの方としましては、実に一億に前後するところの経費を使い、全国でまれなる捜査陣を形成し、そしてまた昼夜をわかたず、自殺者すら出、あるいはまた死人も出る等々いたしまするような、それほど重大なことに真剣に取組まれたはずなんです。でありまするので、こういうような重大なあなたらの首長の総理大臣の暴言がありといたしますならば、全国の検察官の名誉のためにも、また全国の検察官が検察権を保持せんとするところのその意味におきましても、何らかの対策がなければならぬ。実に遺憾だ、けしからぬというのでは、犬がそこらでほえておるというほどにも今の総理には響きません。蚊の声ほどにも響かぬのであります。私は相当明確に、検察行政の独立のために、司法権の擁護のために、しかるべき態度を表明せねばならぬと思う。聞けば、検事長会議もあつたらしい。いろいろな会合も逐次行われたらしい。ところがこれに対しまして、積極的にあなたらの態度が国民の納得するような強い線をもつて出て来ておらぬ。何らかこれに対してされてはいかがですか。あなたの名誉のためにも、国権を保護するためにも、司法権、検察権を保護するためにも、じつと泣寝入りしておるということでは国民は納得しません。今のあなたらのお立場は検察庁当局の最高部といたしまして、国民の疑惑を解くということにつきましても、重大な御責任があろうと思うのであります。あなたはこれに対しまして相当対策を講じて行かれることが当然であろうと思いますが、いかがでありしようか。
  168. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 ただいま申し上げましたように、あの当時の新聞を見まして非常に驚いて、さつそく法務大臣に、首相の真意がどこにあるのか、また、何らかその間誤解に基く発言ではなかろうかということを、その間の事情を聞いていただくということをお願いいたしたのであります。ところがその後法務大臣に総理の方で、あの新聞に報道されているところは十分自分の真意を尽していない、はなはだ遺憾であるという遺憾の意思を表明されたそうであります。なおその後法務大臣に、あの発言は、検察を誹謗したり、また法律を無視するような気持は毛頭なかつたのだということを釈明されたというお言葉を聞いたのであります。法務大臣のお言葉を信用して私どもは了承いたしたのであります。
  169. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私の答えになつておらぬ……。
  170. 田中彰治

    ○田中委員長 吉田君、もう一点ですよ。時間が来ておりますから。
  171. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたに伺おうというのは、真意がどうであろうとかこうとかということを法務大臣に聞いてもらおうというような、そういう生ぬるい問題ではないのであります。真意は何ぼでも、弁解の方法と道と詭弁はあります。現われた表現ですよ。あなたも検事総長でありますので、――真意のいかんにかかわらず、形におきまして、表現法におきまして、検察当局の無能をそしり、あるいはまた流言飛語なりと言つておるというその表現、形自体におきまして、国民に、重大な検察当局に対する疑惑を与えておるのであります。でありますから、真意はかりに第二、第三にいたしまして、その形に対しましてしかるべき対策をおとりにならねばならぬと思うのであります。これがあなたに求めるところの問いなんです。これに対して答えてもらいたい。これで終ります。     〔発言する者あり〕
  172. 田中彰治

    ○田中委員長 御静粛に願います。あのね、証人、もし総理が言われたことをあなたは疑惑を持たれるならば、テープ・レコーダーをかけさせましようか、できておりますよ。
  173. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 御質問の、対策として別に講じたことはありませんが、ただいま申し上げた経過になつておるのであります。
  174. 田中彰治

    ○田中委員長 証人、々々、佐藤証人、あなたは、総理のお言葉がもしおわかりならぬならばテープ・レコーダーをかけさしてもよいですよ。わかつておりますか。――それならばよろしい。鍛冶良作君。
  175. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私は、先ほど来佐藤検事総長の証言を承つて大体了解はいたしましたが、もう一つ念を押して……。     〔発言する者あり〕
  176. 田中彰治

    ○田中委員長 御静粛に願います。
  177. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 一番聞きたい点は、先ほどの質問の点に対して、職務上の秘密だ――職務上の秘密であるということになれば証言できないことになるのは当然でありますが、先ほどだれかからも質問がありましたように、国政調査の面と、あなた方の方の秘密を保持する面と、それらの点を考えた上でなおかつそれが証言できないほどの重大なるものであるのか。これは法律に基きましてどういうところからやむを得ないか、この点をひとつ明瞭にしていただきたい。
  178. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 国政調査の証人等に関する法律によりますと、職務上の秘密の事項に関しては、その旨を述べて、そうして監督官庁の承認を得なければならぬという制度になつておるのでありまするから、私の方の考えといたしまして、質問事項あるいは答弁せんとするその内容が、職務上の秘匿すべき事項に属するという場合には、法務大臣の承認がなければここで発言はできないものと解釈いたしておるのであります。法務大臣がその承認をする際に、ただいま鍛冶委員の申されましたように、国政調査という公の立場、あるいは個人の名誉に関するような事項であるならば、その個人の名誉と比較検討いたされまして承認をなされるなら、それは証人として証言いたします。また依然として承認ができなけれ制度上証言ができないことになつておるように私は解釈いたしておるのであります。
  179. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 くどいようですが、もう一点その点を承りたい。もちろん職務上の秒密であれば一応そうでありまするが、あなた方としても国政調査の面並びに先ほど来質問がありましたように、国民の疑惑を解けるものならば解こうという熱意のあるものと考えられます。それらの点を考えて、なおかつどうしてもここで言われぬものだ、こういう御判断でございまするか、いかがでしよう。
  180. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 先ほど来私が申し述べましたのは、質問の事項なり答弁の事項が職務上秘匿すべき事項に属するから、承認がなければ言えないということを申し上げたのであります。
  181. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほど、これは委員外の発言でありまするからこだわる必要はありませんが、あなたは何かこの事件を取調べたならば、たとい不起訴になろうとも事件の全貌を明らかにして国民の疑惑を解こう、こういう言明をせられたという新聞記事を見たのであります。先ほども言うたじやないかという不規則発言がありましたが、私は実は驚いたのであります。よもやあなたはさようなことはおつしやるまい、これは新聞の誤伝である、こう思つて、今までその機会を見はからつておつたが、質問しておりませんのできよう承りますが、私は先ほど来のあなたの御答弁から考えまして、さようなお言葉はあろうはずはないと心得ますが、ありましたかどうですか、もしあつたとすればどういう意味であるか、この際明瞭にしておいていただきたいと思います。
  182. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 お尋ねの新聞記事を私は見ておりませんが、おそらく新聞記者との問答の際に、事件が済んだならば、適当な時期に適当な方法で全貌が明らかになることもあるだろうということくらいは述べたろうと私は思つております。それが新聞にどういう文句で伝わつておりますか、その点は私は存じません。
  183. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ただその職務上の秘密であると言われればわかるようですが、この際私は法律的にもう一ぺん聞いておきたいのです。刑事訴訟法のどういう規定に基いて秘密と考えられますか、また職務の遂行の上において、そういうことを言うたならばどういう支障があると考えられるのか、その点おさしつかえない限り明瞭にしていただきたいと思います。
  184. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 抽象的になるかも存じませんが、私どもが職務上秘匿すべき事項というのは、いろいろ関係人を取調べまするので、その関係人の名誉に関することも一つの秘匿すべき事項と思います。また捜査が終了いたして、その後公訴を提起するのでありまするから、その公訴を維持する上において、どうしても証拠内容を公判の開廷前に発表するならば公訴維持に支障を来すというようなこともあるだろうと思います。さような場合にはやはり職務上秘匿すべき事項と思います。また捜査を完結してすでに不起訴処分になつたというような事件でありましても、捜査中取調べた内容を明らかに公表するということによつて、将来検察権の運用について非常に支障を来すという場合も多々あるだろうと思うのでありまして、さような場合には職務上秘匿すべき事項と考えております。
  185. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほど来いわゆる流言飛語なる言葉がたいへん問題になつたようでありますが、先ほど来からの質問を聞いておりますと、本件に関し検察当局が着手せられましたのは、流言飛語やうわさによつてやつたのではあるまい、しかるに流言飛語に躍らされたというような説をなす者があるが、これはどうだ、こういう質問がありましたら、あなたはさようなことがあるならばまことに憤慨にたえない、こういうお言葉でありました。これは私はごもつともだ、いやしくもこれだけの大がかりの捜査をせられ、しこうしてまたこれが政治上重大なる影響のあることもあなた方の方で十分御承知の上でやつておられるものと思う。その上において流言飛語などでやられるとは考えません、相当の確信あつてやられたものに間違いなかろうと思いますが、今一度念のために承りたいと思います。
  186. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 この事件の発端がどこにあつたのか、またどういう経露をたどつて捜査が進展したのであるかということは、これは大体先般の捜査終結に際しての私の談話で明らかにしておるのであります。詐欺事件を調べておる間に被害者の方から業務上横領の事件が現われ、その横領事件を調べておるとそこにリベートの問題が現われ、リベートの問題を調べておるとそれが一部政界に流れておるという事実がだんだんわかつて来たのであります。一つ一つ証拠に基いて捜捜査を進めて行つたのでありまして、先ほど来繰返し申し上げましたにように、流言飛語あるいはうわさに基いて捜査を始めたあるいは捜査を進めたというようなことは毛頭ございません。
  187. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今の御答弁のようなことであるにかかわらず、先ほどからの質問を聞いておりますと、吉田総理大臣は流言飛語だと言つておる、これに対してあなた方はどう考えておるという質問でございました。私は吉田総理のあの発言の速記録を持つておりますが、もちろん流言飛語という言葉は使われております、使われておりますが、あなた方は流言飛語に躍らされたとは言つておらないのであります。こういう事情で指揮権の発動があつたのだ、それをいかにもそうでないような流言飛語があるから、さようなことに惑わされぬように諸君が県民諸君に十分お話を願いたい、こう言つておるのであります。私はその意味において、流言飛語という言葉は穏当であるか不穏当であるかは別問題といたしまして、あなた方が流言飛語に踊らされておるのだと主張しておらないということだけは断言できます。その断言できることを前提にしてあなた方に質問されて、あなた方の答弁がありましたので、私はその点ははなはだ食い違いがあると思いますが、私はその言葉の穏当、不穏当は別問題といたしまして、あなた方の取調べは流言飛語でないということを主張するが、あなたもさように御認識あるかどうかを承りたい。
  188. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 その点は先ほども申しましたように、法務大臣が吉田総理大臣にお尋ねをいたしましたところが、あれは自分の真意を十分伝えておらないということを申されて遺憾の意を表されたそうでありますから、あるいは鍛冶委員の申されるように、新聞の伝えるところが鍛冶委員の申された事実とは違うのかもしれません。
  189. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 その次は、先ほど来問題になつているのですが、指揮権の発動であります。世上指揮権の発動は事件をもみ消すためだ、事件をつぶすためだと言われております。(「その通り」と呼ぶ者あり)私はその点をその通りだと言うから一層明瞭にしていただきたいのでありますが、逮捕の要求に対して、逮捕をしないで任意の捜査をやることを勧められたものであつて、決して捜査を打切れと言うたのでないことは明瞭であります。しかるにかように言われるのでありますから、私は検事総長の口からその点はどうであるかを、まず明瞭にしていただきたいと思います。
  190. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 逮捕請求の稟請を書面でいたしましたのは、いよいよ政府の方で強権を発動して逮捕請求を認めないという気持がほぼ察知せられてから、正式な書面になつたのでありますが、その書面になる前に数日折衝いたしました。その折衝しておる際に私の方から法務大臣に対して、どうしても今逮捕請求しなければならないというその理由と必要性を具体的に御説明申し上げたのでありまして、その点については法務大臣何ら異存はなかつたのであります。その指示は重要法案の審議の状態にかんがみて、お話し申し上げておる際には重要法案の通るまでという趣旨のように了解したのでありますが、重要法案の審議にかんがみて逮捕請求をとりやめろ――とりやめろという言葉でありましたか、国会の終るまで延ばされたいという趣旨でありましたか、とにかく打切れという文句ではなかつたのであります。重要法案の審議があるから逮捕請求をその法案の通るまでは待て、こういう趣旨に了解いたしました。
  191. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私は先ほど来の答弁を承つておりまして、逮捕の必要ありとあなた方は信じて稟請されたのでありますから、そのあなた方の信念に反したごとに対しては遺憾の意を表されるのも当然でございましよう。それから逮捕して調べるのと逮捕しないで調べるのと、逮捕した方が便宜であるということもわかつておりますが、逮捕しなかつたがために捜査に支障があると、あなた方の言われることも当然のことと私は考えます。しかしながら私はその前に現刑事訴訟法並びに憲法の精神から、原則として逮捕をしないで、任意捜査をせよということが刑事訴訟法の本心であると考えます。それでもなおかつやらなければならぬということがあるならば、これはやむを得なかつたかもしれませんが、逮捕をしなかつたら捜査ができないということはあり得ないものと考える。あらゆる方法をもつてやるべきものではないかと私は考えます。ことにいわんや国会議員に対しましては、憲法五十条によつて身分を保障し、かつまた国会開会中における審議権尊重ということを明記いたしておるのであります。この点から考えまして、よく一般人と特別の取扱いをしたという非難をする人はありますが、国会開会中において国会議員の身柄を拘束しようというときには、一段の慎重さを要するものと私は考えておるのでありますが、この点はあなた方及び検察当局の見解はいかがなものでございましよう。
  192. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 刑事訴訟法の建前として、捜査は任意捜査が原則であつて、特別に必要な場合には強制捜査もやむを得ないという方針をとつておることはごもつともでありまして、すべての捜査が任意捜査で足れり、強制捜査はしなくとも捜査はやれるのだということは法制上はとつておらないと思います。憲法においても刑事訴訟法においてもやむを得ない特別な必要のある場合には、逮捕やむなしという方針をとつておるものと了解しております。
  193. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私の言うのは、その点はわかりますが、よく憲法上国民は平等である。何ゆえにあれだけにそういうことをやつた、あれだけというか、国会議員は特別にやるのはどうかと言われるから、私は国会議員に対しては憲法五十条の明文があるというのであります。身分の保障があるのと、国会開会中における審議権尊重という特別の考慮を要すべき規定がある。この意味において国会議員の身柄拘束に対しては、特別の慎重さを要するものでないか、この点だけであります。
  194. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 憲法において開会中の国会議員を逮捕するにあたつては、国会の院の許諾がなければならぬという制度を設けたのは、お説のように国政審議の上に支障を来さないようにという配慮から出たものと思いますが、また学者によつてはそうではなく、単に逮捕に理由があるか、必要があるかということだけを審議するのだ、という狭い解釈をしておる方もありますが、いずれにいたしましても国会開会中の議員を逮捕するという場合には、それを逮捕することによつて国政審議に影響がないかどうか、さしつかえがないかどうかということを皆様にお諮りするようにという慎重を期するために、ああいう制度ができたものと思つております。
  195. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 さらに承りたいのは、捜査上において人権尊重並びに人の名誉を尊重すべきことは言うまでもないと考えるのであります。ところが本件捜査の過程において関係者で二名の自殺者も出たと聞いております。これらの点から考えましてあなた方には熱心のあまり、何とかしてものにしようというあまり、かようなことの結果が生じたのではなかろうかという国民の疑惑も生じておると思いますから、さようなことはなかつたかどうか、正当にやつて、そして正当に尽すべき手段は十分尽されたものであるかどうか、この点をこの機会に明瞭にしておいていただきたいと思います。
  196. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 事件の捜査中に、二人まで自殺者を出したという事故の発生につきましては、はなはだ遺憾に存じております。捜査当局といたしましては、厚く哀悼の意を表しておる次第であります。さつそく第一線の検事を呼びましてその取調べにあたつて、ただいまお尋ねのような、何らか苛酷なことがなかつたかどうかということを深く追究いたしたのでありますが、調べたところによりますれば、両名ともあわゆる任意捜査によつて調べたのでいりまして、任意に出頭してもらつて数時間調べて、そして帰宅をさせたという関係になつておるのであります。その調べ方も別に苛察にわたつたというようなことも毛頭ありません。検察当局の手落ちは少しもなかつたということがわかつておるのであります。
  197. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 かようにこれまで聞いて参りますと、指揮権発動によつて捜査に支障を来したことは、これはあなた方としてそう考えられるのは当然でありますが、しかしそれがなくても任意捜査を十分やつて、また人権侵犯というようなこともなく、あなた方として尽すべき手段を尽して、その結果を十分得たるものとここで公言できますか、いかがでございましよう。
  198. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 その点は先ほど来たびたび申し上げましたように、指揮権発動によつて第一線の捜査に非常な支障を来したということはいなみがたいのでありますが、強制捜査によらず、その後は任意捜査に切りかえて全力を尽して処分の決定を見た次第であります。
  199. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 これも当然のこととは思いますが、世上いろいろの流説がありますから明瞭にしておきたいのは、佐藤榮作君に対して政治資金規正法起訴せられました。ところが、これは本来ならば涜職罪でやられるものを、ことさらに涜職罪を隠蔽して、世上を何といいますか、欺瞞すると申しますか、カムフラージユするために政治資金規正法を使つたのではないか、こういう流説をしておる者がおります。われわれは法律家としてかようなことは絶対にないと心得ますが、この点はこの機会に検事総長として国民の前に明瞭にしていただきたい一点だと思いますから、明瞭にお答えを願います。
  200. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 申すまでもなく収賄罪と政治資金規正法違反とは、それぞれ犯罪構成要件が違いますので、収集した証拠のぐあいで収賄罪が成立することもあります。また政治資金規正法違反が成立することもあるのであります。本件につきましては御承知のように涜職罪としての公訴を維持するだけの証拠が十分でなかつたのであります。その点は起訴になりましたが、他面政治資金規正法違反の事実については、証拠が十分収集できましたので起訴いたした次第であります。
  201. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 最後に同じようなことですが、もう一度承りますが、ただいま問題になつておりまするこの事件に対して、質問があつたことに対して、職務上の秘密と言われるが、このたびの本件に関して職務上の秘密であるが、ほかの場合ならば職務上の秘密でないということが出るか出ないか。かようなものは涜職罪であろうが、政治犯罪であろうが、何であろうが、すべてあなた方の方で検察庁の原則として職務の秘密として厳守しておらるる点であるかどうか、この点をひとつ承りたい。
  202. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 一般的に申し上げますると、先ほど抽象的な言葉で職務上の秘密の内容を申し上げたのでありますが、それが具体的な問題になりまして、それを公表すべきかどうかということになりますと、職務上の秘密の範囲が時によつてかわることがあります。今秘密であつても将来はそれは秘匿しなくてもいいということになれば、もう職務上の秘密の範囲からは抜けてしまうのではないかという考えをしております。また同じような具体的な問題でありましても、ある場合にはその関係人の名誉のために、どうしても職務上の秘密を守らなければならないという場合もありましようし、かえつて逆にその関係者の不名誉をそそぐためにこれを公表する方がよろしいという判断を下される場合もあるだろうと思うのであります。かような場合は職務上の秘密、秘匿すべき事項からもう離れていいものと考えております。
  203. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あまり時間もありませんから私はこれで一応打切ろうと思います。
  204. 田中彰治

    ○田中委員長 それではまだ十分ありますから、田中角榮君に発言を許します。
  205. 田中角榮

    ○田中(角)委員 検事総長国会の国政調査の要求のために国会においでになられて、捜査の範囲内で証言を求められるというようなことは初めてであります。私たちは原則的に申し上げて、国政調査権というものに対しては、おのずからの範囲があるのであつて、少くとも行政司法に対して権限干犯を行つてはいかぬという考えを持つているのでありますが、戦後新しい憲法をつくり、国会の機能が非常に大きくなりましたために、ややともすると国政調査権の発動いかんによりましては行政府に対する干犯になり、特に司法権に対してこれも非常に大きな干渉を行うというようなこともあり得るわけであります。その意味におきましてきようの検事総長の、国会決算委員会に対する証人としての出頭は非常に大きな意義があり、また将来の国会運営に対する一つのケースとなるものと考えるわけであります。私はこの委員会が非常に良識的に運用せられておりますし、特に検事総長法律に基いて証言をしておられますので、今までの証言の状況におきましては、特にわれわれが考えなければならないというような重大な事件にぶつかつて参らないよのでありますが、明日、明後日といううなこの種の証人喚問につきまして、私は非常に大きな事件的な立場に国会自体が立つていると考えているわけであります。その意味におきまして私は具体的な事例をあげて総長の証言を請いたい、こういうふうに考えているわけであります。ただ総長に証人としておいで願い、この委員会が究明したいというものに対してのみ個々のケースによつて証言を求めんとするものではなく、この状態にいわゆる国会行政府国会検察権、司法権との問題に対しても明確な結論を得ておきたいという、国会議員としては当然尽さなければならない職責に対してただしたいと考えるわけであります。総長はただいままでの各委員の質問に対して職務上知り得た事実に対しては、基本人権の尊重その他憲法の命ずる大権にのつとられて、なおかつ国会証言及び新刑事訴訟法の真意も十分くまれて証言のできがたい点をある程度明確にせられたわけであります。先ほど総長の証言にもあつた通りこれは一つの事件事件でどこまでが職務上の秘密であり、どこまでが秘密でないかという問題に対してはいろいろその人、その時によつて違うということを言われているのでありまして、もちろんこの解釈は非常にデリケートであると思います。私は国会の運営が将来どうあるべきか、しかも国政調査権というものが、少くとも国民から支持せられなければならないという原則を打立てるためにも、ひとつお聞きしておきたいと思うのは、このような国政調査権の発動によつて、各事犯の内容がもし大臣の承諾が得られて、全部御証言ができ得るという場合に、一つのケースがここにはつきり打立てられるわけでありますから、将来この種の案件に対しては起訴不起訴をされた事犯以外に、現在捜査進行中の事犯に対しても、これは当然証言をしなければならないというふうになると私は思います。私は、その意味においては、少くとも国会委員会は良識を持つておるのでありますから、そのような極端なことまで要求はしないのでありますが、特に私は、先ほどから委員の一人としてこの委員会を静かに聞いておりますと、この事件が非常に国民の耳目を聳動しております。そうして国会法とか、憲法とか、刑事訴訟法とか、いわゆる証言法とかのいろいろな面から制約を受けているにもかかわらず、国民の前にすべてを明らかにしなければいけない、よいとか悪いとかは将来の問題であつて、国民が聞きたいことは、国政調査権の発動によつて明らかにしなければならないということだけが優先しておるように思えてならないのであります。  少くとも現在の日本において新しい憲法をつくり、戦後メモランダム・ケースによつていろいろな、まつたく日本に向かない法律がたくさんつくられております。そしてまた直訳的な法律もつくられており、たくさんの盲点があります。盲点がありますが、少くとも法治国民である日本人は、ただ大衆に阿談迎合するような気持だけで、法律を無視しても飛躍的な証言をしなければならないとか、また国会国政調査権の発動範囲をそこまで伸ばしてもよろしいということは許されないと私は考えておるのであります。私はそういう意味において、特にこの問題が、この事件の解明とか国民の聞きたいことを教えるとかいうことではなくて、将来の新しいケースとして非常に慎重に、特にまたこれらの問題に対しても一つの指針を明確に出さなければならない、それで漁船、陸連、日殖、保全というような一連のこの問題に対しては国民も聞きたがつておりますし、私自身も聞きたいと思つております。許されるならば私ははつきり総長からこの事件の内容に対して全部お聞きをしたいのであります。  まず総長がいわゆる証言法により証言をできるかできないかということに対しまして、先ほど個々のケースによらなければどうもわからないというようなお話がありましたが、私はその意味でこんなことは、この程度まではお漏らし願えますかということだけ、総長にお聞きしたいのであります。造船、陸運の両事件につきましては特に政府融資をめぐる案件でありまして、これは国会国政調査権という意味から非常に大きな問題で、その金銭が一部リベートとなり業者間に渡り、また政界官界に贈賄されたのでありますから、それが真相の究明は国民の一大関心事であります。金がどういうふうに融資され、どういう条件でだれに、いつ、どこで、何ほど渡されたか、または渡された金について個々の案件について証言ができるかどうか。なおこれと同じく世上耳目を聳動した日殖、保全の問題も、当然別の委員会事件になつておるわけでありますが、もちろんこれは立法の問題が中にからんでおります。特に両件に対しましては上手に立ちまわつたいわゆる詐欺事犯ではないかとさえ、一部には説をなしておる者があります。しかもその中に国会議員が関与しておると言われておるのでありますから、これは今の国会議員の立場からすると、当然明確にできるものならば総長の証言を求めたいのであります。しかも零細なる国民の金を引上げて、その金が大半政界、官界に散布をされたというのであります。特に社会党関係がどうだとか、改進党関係に別の名前でもつて献金をせられておるとか、自由覧の幹事長、政調会長が関係し、別の名前をもつて献金を受けておるとか、いろいろ世上流布をせられておるのでありますが、この問題の解決というものは、総長もしくは係検察官――一線の検察官証言を求めなければ、この事実の公表はできないのである。特に私は個人的な名前を申し上げることははばかりますが、たくさんの顧問の諸君の顧問料というものと、国会に対する立法権という問題と請託収賄という問題がどうなつたかというようないろいろの問題も当然究明をしたいのであります。特に改進党及び自由党幹部の名が、新聞紙上に堂堂と発表せられておることは、私が言わなくともおわかりの通りであります。これらの人たちをどこで何回調べたのかというようなことは――ある人は調べられたとも言うし、ある人は調べられないと本人は打消しております。このようなことが世上流布せられるここによつて、政党政治、民主政治発達というものに対して、これが永久に解明せられないということになりますと、これはなかなかむずかしい問題を残しておるわけであります。私はその結果、だれがどこでどういう金をもらつたか、どういうわけで起訴できないのだ、それは公訴維持の見込みがないのか、そういう個々のケースによつて  この人たちはまず起訴ができたから発表したけれども、この人たちは起訴ができない、特に政治資金規正法違反というようなある意味においては刑事事犯とも言われる事犯に対しまして、まず最初は百万円以上、五十万円以上、二十万円以上、十万円以上というようないろいろの説が流布せられておるのでありますが、中には二十万円で逮捕請求をされ、現在起訴せられておる人があります。にもかかわらずただその金というものが公訴維持ができるかどうかというような専門的論拠は別として、二十万円でも起訴を受けておるのに、二百万円でも起訴をしないのだというような世間一般のしろうと論が大半を制するために、どうもそこが不明朗になる。大物は逮捕せられずして、小さなものだけをやつているのだ、私たちはそういうふうには考えません。もちろん証拠の明白なものはたとい十万円であつても公訴提起ができるのであつて、二百万円、千万円といえどもこれについて公訴維持ができないというような問題、なおお取調べになつた結果、法律的に違反をしないという場合には、当然その事実を公表されなければ、われわれのこの思いは解明せらないのであります。
  206. 田中彰治

    ○田中委員長 田中君、時間が来ておりますから……。
  207. 田中角榮

    ○田中(角)委員 私はその意味におきまして、このようなものに対し特にいろいろなケースがありましようが、国民の聞こうとしておるものは、私が今申し上げておるこの個々のケースに対して明らかにしたいと考えておると思うのでありますが、私は先ほど鍛冶君が申された通り、国政調査権の発動というものは確かに大事でありますが、あなたは今、職務権限で知り得たのは、公訴提起権の確保と公判維持と裁判の公正のためには言えないものは言えないのだと言われておる。この二つの板ばさみになつて――われわれも国民代表であります、当然ただすべきものはただし、言つていただけるものは言つていただきたいのでありますが、私がただいま申し上げましたような個々のケースに対して、どの程度証言ができるのか。私が申し上げたことはほとんど全部職務上の機密に関し、証言ができないのか、いずれか明確なる御答弁を煩わしたいと思います。
  208. 田中彰治

    ○田中委員長 証人に御注意申し上げますが、保全の事件と日殖の事件は、これは会社のことであつて国費を使つておりませんので決算委員会に関係はありませんから、ここでその答弁は許しません。造船汚職に対しては、調査しておるのでありますから、どうぞ御遠慮なく。
  209. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 ただいま御質問の中で造船関係の事件についてでありますが、この造船関係の事件は一応捜査は終了いたしました。先般一部起訴、他は不起訴の処分が決定して発表になつたのであります。かようにその事件の一部がすでに起訴されております関係上、決定された事件についても、その公訴を提起された事件との関係上、場合によつては秘匿しなければならぬ事情もあるだろうと思うのでありまして、どこまで秘匿するか、どこまで発表するかということは、これは個々のは具体的な御質問なり、また私どもの答弁しようというその内容によつて、職務上秘匿すべき事項に触れて来るかどうかということが判断されるのでありまして、あらかじめこれこれは言えない、これこれは言えるというような線はなかなか引きにくいのであります。
  210. 田中彰治

    ○田中委員長 時間も相当経過いたしておりますので、暫時休憩し、午後三時半から再開いたすことにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 田中彰治

    ○田中委員長 それでは三時半定刻に始めますから、証人もどうぞ定刻にいらつしやつてください。  これで暫時休憩いたします。     午後二時三十二分休憩      ――――◇―――――     午後三時三十九分開議
  212. 田中彰治

    ○田中委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  佐藤証人に対する尋問を続行いたします。猪俣浩三君。
  213. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 指揮権発動に関しまして一つお尋ねいたします。本年の二月二十七日に衆議院の法務委員会におきまして、検察庁法第十四条のいわゆる指揮権発動につきまして、犬養法務大臣にその所見を私はただしました。犬養さんは、自分は指揮、命令というようなことは絶対にいやだ。検事とひざをつき合せて、納得の上ですべて検察行政を進めて行きたいと思うという答弁をなさり、四月六日、さらに私は具体的仮定の事実をひつさげまして、もし自由党の大物が逮捕せられるような場合において、検察の首脳部が一致して、どうしても逮捕しなければこの犯罪容疑が明らかにならぬという稟請をした場合においてあなたはどうするかという、仮定でありまするが、具体的事実をあげて質問をいたしました。そのときにも犬養時の法務大臣は、断然私はさようなことはしないという明言をしておりました。これは衆議院の速記録に明らかであります。しかるに私が質問いたしました四月六日から二週間たたぬうちに、あの指揮権の発動が行われた。そこで私は非常に意外に感ずるのであります。そこでこれを前提にいたしましてあなたの所見を伺いたのであります。それは、あなた方が二日間もかかつて首脳部会議をお開きになつて、そして佐藤榮作逮捕の稟請をなさる瞬間において法務大臣が指揮権を発動し、これを拒否するがごときけはいがあつたのであるかないのであるか、その点についてお答えください。
  214. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 お尋ねの本事件の経過におきまして、犬養元法務大臣が国会において御質問のような趣旨の言明をされたことは、新聞紙の報ずるところで承知いたしております。そのほか捜査の初めから進展の途中におきましても、常に私の方から随時報告をし、またその捜査の進展の方向等について逐一御相談いたして、御了解を得ておつたのでありまして、先般申し上げましたように、十八日に突然あのような指揮権発動の意向を示されたことは、まつたく意外であつたのであります。その前には全然さようなけはいは見えなかつたのであります。
  215. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると、私に対する犬養法務大臣の答弁といい、あなたの今のお答えによつて察知いたしますると、犬養氏は指揮権発動のような意思がなかつたと思われますが、突然十八日になつてああいうような大問題を引起す指揮権発動を見るに至つたのであるが、その間の事情につきまして、これは犬養法務大臣の意思にあらず、吉田総理大臣がかような処置を犬養に命じたので犬養は泣く泣くそれに従つたのである、かような説がありますが、さようなことに対してお聞きになつたことがあるかどうかお尋ねいたします。
  216. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 お尋ねのような趣旨の事情につきましては、私は全然承知いたしておりません。
  217. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 これはりくつになりますし、あなたとしては非常に答弁しにくいことであるが、しからば吉田なる名前を出さぬでもいいが、その犬養氏のあなた方に接せられる平素の態度及び法務委員会におきまする私の質問、及びそれに対する犬養氏の答弁、そういうことから考えて、犬養氏には何らかの権力が加わつて、突然君子豹変したものなりという認定をあなたがなさつておるかどうか、それだけをお聞きいたしましよう。
  218. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 四月十八日にその御意向がわかるまでは、非常によく私ども検察官の態度なり職務の遂行について十分に御理解を願えておりましたので、十八日にその突然の御意向を示されて、まつたく驚いたのでありまするが、どういう事情によつて、どういうお考えから急にそういうふうにおかわりになつたのか、その点の事情はどうも今もつて私はわからないのであります。
  219. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 法務大臣の豹変するのもはなはだ奇怪しごくでありますが、なお一面検事総長の御答弁に対しましても理解いたしかねる点があります。それほど十分な法務大臣の理解のもとにこの捜査を進められ、あなた方が稟請する瞬間までは、あのような拒否権が出るとは思つておらなかつたということになるならば、これは何らかの政治約圧力が犬養さんに加わつたものなりと断定して、あなたは検察の実務の最高指揮官として、それに対する毅然たる態度をとるべきであつたと私は考える。これがために検察庁法第二十五条においては検察官の身分の保障があるのであります。もしかようなるところの場合を除いて、検察庁法の第二十五条はいかなる場合に発動するのですか。第二十五条の検察官の身分保障こそは、かようなる政治圧力によつて検察官の活動を鈍らしてはいけないという、いわゆる検察権は準司法権という国の意思から、この検察官に対する身分保障ができておると私は存ずるのであるが、しからずして、いかなる理由に基いてかような検察官だけ身分保障があるのか、検察庁法第二十五条の立法趣意をあなたにお伺いいたします。
  220. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 検察官の職務は司法に準ずるものでありまして、どこまでも公正なる職務の遂行を保障する意味において、検察庁法であのような特別な身分保障がいたされたものと解しております。
  221. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうするとあなたにお尋ねします。今のあなたの検察庁法第二十五条の身分保障の立法趣意と、今回突然君子豹変的態度において、犬養法務大臣が何らかの力においてあのような指揮権発動をされたことは、常識ある者は察知できる。その場合において、あなたはこの検察庁法第二十五条の趣意において、敢然としてこれと闘わなかつた理由はどこにあるのですか。
  222. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 四月十八日に突然従来の方針をかえられて、場合によつては指揮権の発動をするかもしれぬという意向が見えましたので、私どもは極力その翻意を懇請いたしたのであります。それは捜査の実際から見て、またその当時の本事件の捜査の過程から見て、あの時期にどうしても逮捕請求をせざるを得ないという、その理由なり必要性を十分に御説明申し上げて、再三翻意を懇請いたしたのであります。二日間にわたつていろいろ折衝いたしましたけれども、なかなか初志を翻すことができなかつたのであります。なおその際に、そういう政治的な理由でどうしても逮捕請求を今やつてはいけない、重要法案の通るまで延ばせという御趣旨ならば、法案は目下国会の審議中の法案であるから、逮捕請求許諾をすべきかどうかということを、国会の審議におまかせした方がよろしいではないかということまで私の方ではつつ込んで進言いたしたのでありまするけれども、とうとう私どもの思うようにならなかつたのであります。さような経過をたどつて、指揮権発動により御承知のような指示を受けたのでありまするが、指示を受けた以上は、これは現在の制度上やむを得ない。その際には、一部にはあの指揮権発動による指示があつても、その指示に従うべきものではなかろう、これはつつ返すべきではないかというような批判もござましたが、私どもといたしましては、十分慎重に考慮した上で、この際は隠忍自重してこの指示に従わざるを得ない、あとは法律上許された範囲においてできるだけの努力をして、事件の終結まで努力しなければならぬということを決心いたしたのであります。
  223. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 この問題は、私はあなたの態度に対しましては多大の反問があるのであります。犬養法務大臣の指揮権の発動のごときは、まつたく権限の濫用であることは明らかでありまして、検察庁法十四条はああいう場合に発動すべきものでないことは、法律学者としてあなたははつきりわかつておるわけであります。今その議論をすると私の持ち時間がなくなりますから略しますけれども、そういう上司の権限の濫用に対しては、下僚が拒否いたしましても何らの法律的責任はありません。いわんや身分の保障がある司法官においてはなおさらであります。これは幾多の判例があつて、あなたは御存じでありましよう。上司の権利の濫用に対してはそれに従わぬでも違法じやない、これは明らかです。その意味においてあなたの態度は遺憾でありますが、そのあなたの態度を国民の前にある程度ざんげなさる方法は、当時のあなたの知り得ましたあらゆることをざつくばらんに国民の前に明らかにすることであります。これが幾多の疑惑を持たれた検察の威信を保つ唯一絶対の道である。これを官僚式に、職務の秘密であるというようなことによつてなおあなたが糊塗なさるならば、いよいよもつてあなたというものを、検察庁の最高責任者として私どもは糾弾しなければならぬと思う。さような意味において、具体的に私どもお聞きいたしますから、官僚式な職務の秘密というようなことを濫用なさらずに、国民の代表である本国会に、しかもこれは国政調査権に基いてやるのであつて一般大衆に公表するのではありませんから、なるべく具体的に真実に近いことを証言していただきたい。  八月二十日に全国の検事長会同が開かれた際、小原法務大臣から、八月十日の自由党支部長会議における総理大臣のあの話は、少し意を尽さない点があつたのであるということの説明があつたようにさつき聞いておるのでありますが、その際における小原大臣の説明は、そういう検事長会同に対する釈明事項を吉田さんは書面をもつて通達したというのか、口頭をもつて小原さんにそというふうに通達があつたというのか、さようなことについて小原さんから何か説明されたのかどうか、お尋ねいたします。
  224. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 お尋ねの吉田首相の発言について、吉田首相から小原法務大臣に対して、あの発言は真意を十分伝えていない、自分は決して職務に健闘しておる検察を誹謗する意思もなかつたし、また既存の法律を無視するような意思は毛頭なかつたという遺憾の意を表する書面であつたように私は伝え聞きしております。
  225. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 なお念のためにお聞きいたしますが、書面でそういう通達が来たということを、小原法務大臣がその席上で明言されたのかどうか。
  226. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 八月の検事長会同の席上で、小原法務大臣から、吉田首相の発言問題についてのいきさつを詳しく御報告に相なつたのでありますが、その検事長会同の一日か二日前に、すでに私は大臣からその間の経過をお聞きいたしておりますので、書面でそういうお返事があつたということを、私が直接大臣にお会いしたときに聞いたのか、あるいは検事長会同のときにさように言明されたのか、その点はちよつと今記憶がはつきりいたしません。ただそういうことを聞いたことは間違いありません。とにかく書面でそういうお言葉を総理から通達せられたということを聞いております。
  227. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 この点は小原さんにあとでお尋ねいたします。われわれの情報とははなはだ違つておる。はたして小原さんがさようなことを言つたとするならば、これは私ども問題だと思うのであります。だけれども、これは小原さんにお聞きすることにいたします。  なおお尋ねいたしますことは、池田勇人氏は何らかの犯罪嫌疑があつて検出察庁に調べられたことがあるかないか、あつたとするならば池田勇人氏を主として調べたのはいかなる検事であるか、一名なら一名、二名なら二名、池田勇人氏を取調べましたる検事の名前をお示し願いたい。
  228. 田中彰治

    ○田中委員長 ちよつと証人に御注意しますが、どうも証人の御答弁を聞いていると、非常におざなりの隠し立てした答弁のように聞えるのです。これは私の方はかまいませんが、国民はこれだけ疑惑を持つているのですから、いま少し納得の行く親切な御回答を願いたいと思います。
  229. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 池田勇人氏を取調べた検事がだれであるかというお問いでありますが、この点は私ははつきりいたしておりません。たしか前に調べた方とあとで調べた方と違つておるようにも聞いておりますけれども、その点はどうもはつきりいたしておりませんから、ほかの証人から答えていただきたいと思います。
  230. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると今の答弁でも、池田氏を調べたことはあることを肯定なさつておるように見えるが、その係は何検事であるか今わからない、前の検事とあとの検事がかわつたように思うという御説明でありますが、前の検事はおわかりになりますか、あとの検事はおわかりになりますか。それもおわかりにならないとするならば、これは何人に聞けばいいのであるか。何人にお尋ねすればそういうことがはつきりするのであるかをお答え願いたい。
  231. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 そういうことは東京地検の検事正が一番よく承知しておることと思います。
  232. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 東京地検の馬場検事正に対しまして、何人が池田勇人を調べたか、検事の名前を言えという要求をわれわれがした際に、あなたは上司であるが、職務上の秘密としてその発言を禁止する意向ありやいなや、それをお尋ねします。
  233. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 東京地検の検事正の監督宮は、高等検察庁の花井検事長でござすいまから、まず東京高検の検事長の意向によつてそれを許可するかどうかがきまると思います。またさらにその上の監督官として私がすわつておるのであります。具体的にそういう問題が起きた場合に、十分考慮いたしたいと思います。
  234. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 非常に具体的なんだ。あなたにお尋ねしたけれどもわからないというから、そこで係のだれに聞けばいいか、検事正に聞けばいい。その事項は池田勇人を調べたことがあるかないか。調べたとすれば、いかなる検事が取調べに当つたかということです。それ以外に何もありません。だから今あなたの意思を発表されて何らさしつかえない。それ以外のことを私は何も言うのではない。それを馬場検事正に聞いても、あなたはこれを許可されるかどうか花井さんは花井さんで別であるが、そのまた上であるという、あなたがこれに対して許可するとかしないという権限があるとするならば、あなたの御意思を承りたいと思う。
  235. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 こういう具体的な問題になりますれば、そのときに十分考慮してお答えいたしたい。
  236. 田中彰治

    ○田中委員長 証人にお尋ねしますが、事件の内容ではなくて、取調べた検事の名前まで隠さなければならぬということは、少しおかいしいじやないですか。そんなばかなことがありますか。取調べた検事の名前を隠すということがありますか。(「委員長、よけなことを言うな」と呼ぶ者あり)よけいなことじやない。
  237. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 馬場検事正に対しまして、私どもが池田氏を調べた検事の名前を聞こうとすることに対しまして、あなたはこれを拒否なさるかどうかという具体的な事実でありますが、この私の質問には、お答えなされないのですか。答えないということになりますか。
  238. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 ただいまのお尋ねでありますが、検事正からそういう問題が起きた場合に相談があれば、私の方で十分その相談に応じます。
  239. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 私はそういう相談があつたときのあなたの意思を聞いているのだが、それは答弁できない。――よろしゆうございます。  それから池田勇人氏に対しまする嫌疑の内容、たとえば飯野海運の俣野健輔氏からギフト・チエツク百万円を受取つておるというような事実があつたかないか。池田を調べられたことに対しまして、そういつたような報告を検事総長として受けておられるかどうか、これをお尋ねいたします。
  240. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 お尋ねのような取調べの内容につきましては、職務上の秘匿すべき事項と考えます。
  241. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 なお参議院議員の西郷という人をお調べになつたことがあるかないか。及びこの西郷氏に日立造船の松原社長が、池田勇人氏に渡してくれろと言つて五百万円の金を渡した。それが渡されたかどうかということに対してお調べになつたことがあるかないか。お調べになつたとすればそれはどういう実情になつたか、それをお尋ねいたします。
  242. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 そのお尋ねの点も前同様、やはり取調べの内容については職務上秘匿すべき事項かと考えます。
  243. 田中彰治

    ○田中委員長 証人、たいていのことは私もかまいませんが、そういつてあなたが全部拒否されると、あなたの方でほかの国民を調べられたときに、証言において拒否してもあなたは処罰されますまいね。もう少し具体的におつしやつたらうどうですか。だれが聞いてもおかしいじやないですか。検事の名前も言えない、何も言えない、おかしいじやないですか。
  244. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 なお飯野海運の俣野社長、これは逮捕なされたことは明らかなことでありますが、この俣野社長の供述の内容には、自由党の佐藤榮作氏に献金をしたのは贈賄の意味でしたのであるという陳述があつた。検察庁はそれをよりがかりとして佐藤榮作氏を逮捕せんとした。これが政治資金規正法にあらずして収賄罪として逮捕せんとした理由であると承るのであるが、さような意味があつたかどうか。
  245. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 その点は佐藤榮作氏に対する逮捕請求の稟請書に掲げてある事項でありまして、もはや秘匿すべきことではないと思いますから答弁いたしますが、その事実を調べたことはございます。
  246. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 祕匿すべき大した事実でなければ、もう少し詳細にお話願いたい。俣野健輔氏はどのくらいの金額を、いかなる意思のもとに、いつごろ佐藤氏に渡されたと陳述しておりますか、御答弁願いたい。
  247. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 そういう詳細な取調べの内容は、私も今のところ記憶いたしておりません。そういう具体的な詳細なことは、他の証人にでもお聞き及びくだされば、おわかりになると思います。
  248. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 私は検事総長の言としては奇怪だと存ずる。検察庁においては二日間も首脳部会議をお開きなさつておる。これだけ一党の幹事長逮捕するという重大問題、何らかのよりどころがあつてやつたのであろうことはこれば論をまたない。それに対してあなた方は脳漿をしぼられたはずである。しかもその後、天下にこれくらい物情をかもした事件は近来まれなんです。その内容についてあなたは忘れてしもうたとか、よく知らぬということは無責任もはなはだしいと思う。よく思い出していつていだきたい。一体佐藤榮作にどういう収賄の嫌疑があつてかような逮捕の稟請をなされたのであるか。それがあなたわからぬ道理はない。それについてあなたは、(「職務の祕密だよ」と呼ぶ者あり)秘密じやないと言つているじやないか。何も君らに聞いているんじやない。これはもう公になつていいといつてしやべつているんだから。そこでもう公表の時期であるといつてあなたはそれをおしやべりになつたから、もう少し具体的に言つていただきたい。秘密であるとあなたは拒んでいるのではない、忘れたということであるから、よく思い出してもう一度御答弁願いたい。
  249. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 先ほども申し上げましたように、逮捕稟請書に掲げられているその被疑事実については、もはや秘匿すべき事項の範囲外になつたと思いますから、先ほど答弁いたしたのでありますが、その取調べの際に、贈賄容疑者がどういう内容の供述をしたか、あるいは収賄容疑者がどういう内容の供述をしたかということになりますと、それは取調べの内容について、職務上の秘密を秘匿しなければならぬ事項に入ると思つております。
  250. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 なお所敬之という人を逮捕、調べられたことがありますか。その所敬之が池田勇人にある金を渡したという事実があるかないか、これをお尋ねいたします。
  251. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 お尋ねの所敬之から池田勇人氏になにがしかの金が渡つたというその事実については、取調べの結果どうも証拠が十分でないという報告を受けております。
  252. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうするとこの件は証拠薄弱ということで、検察庁では不起訴にしたということになるわけですか。
  253. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 その点は証拠不十分ということで、不起訴処分になつたと記憶しております。
  254. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 なお私まだたくさんありますけれども、もう時間が来てしまつたような気がいたしますので、なお念のためにもう一点お尋ねいたします。  佐藤榮作氏逮捕請求に関します問題は、流言飛語でもないし、新聞の扇動に乗つたのでもない。あなた方は総理大臣の言明に対しては非常に憤懣を持つておるということは、先ほどお聞きいたしましたが、またさもあらんことであろうと考えるのであります。検察の首脳部が二日間もかかつて、衆知を集めて討議なさるのに、何らの証拠もなしにそういうことをする道理がない。そこで今その中の証拠としては、俣野健輔の証言というものがあることがわかつたのでありますが、そのほかにまだいかなる証拠がありましたか御説明願いたい。
  255. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 ただいま申し上げましたように、その取調べの証拠の内容についてはここに供述をするわけには参りませんが、逮捕請求についてのその必要性、理由については具体的な証拠が掲げられておるのであります。
  256. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 なお佐藤榮作君の逮捕許諾に関する検事よりの法務大臣に対する稟請書、この写しかなんかを当委員会へ出す意思はおありであるか、ありませんか。
  257. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 今のところさような書面を出そうとは考えておりませんが、その内容について言えるだけのことは御説明申し上げます。
  258. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 その内容について言えるだけのことは説明していただくんだが、じやそれを説明願いたい。
  259. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 佐藤榮作氏に対する逮捕処分請求書に掲げられております被疑事実の梗概を申し上げますと、日本船主協会から職務に関して一千万円の供与を自由党に対して受けたという事実、請託を受けてこの賄賂を収受せしめたということが一つであります。それから第二には、俣野氏より二百万円を職務に関して収受したという収賄の事実、この二つの容疑事実のもとに逮捕処分の請求がなされておるのであります。  それから逮捕請求の理由としては、証拠隠滅のおそれがあるということがおもなものであります。
  260. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 その一千万円を収受したというのは、佐藤榮作個人でありますか、自由党代表という意味になつておりますか。
  261. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 自由党のために一千万円を収受した、つまり第三者収賄の容疑を持つたのであります。
  262. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 それは自由党の帳簿にちやんと入金になつておりましようか。
  263. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 その後調べによりまして、自由党にその一千万円が入つて、そうして成規の手続をふんでいなかつたということがわかりましたので、政治資金規正法違反によつて起訴いたしたのであります。
  264. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 その一千万円は自由党へ入つておらない、内六百万円は吉田総理大臣の手元に渡つておるといううわさがあるのですが、さようなことをお調べになつたかどうか。
  265. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 さようなうわさがあるといたしましても、私はその事実の報告を受けておりません。
  266. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 まだ時間はありますか。
  267. 田中彰治

    ○田中委員長 ありません。
  268. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 最後にたつた一点だけ。それはわが党で、自由党総裁としての吉田総理大臣及び幹事長の佐藤榮作氏を政治資金規正法並びに公職選挙法違反で本年の二月十九日正式に東京地方検察庁告発をいたしておる。これは国と深い関係にあり、利害関係に立ちますところの日本損害保険協会から五百万円を昭和二十八年三月二十日に自由党は受取つておる。都市銀行地方銀行信託銀行の有志代表から四月十一日に七百万円を受取つておる。これはいずれも国と特別の関係があり、利益を伴う契約をなした当事者であつて、政治資金規正法の二十二条に違反しておるのであります。これを告発しておりますが、いまだに告発代表である私は一ぺんもお取調べになつていないのですが、これは一体放任しておかれるのか、どういう処置をされたのであるかを御答弁願いたい。     〔「当委員会には関係がない」と呼び、その他発言する者多く〕
  269. 田中彰治

    ○田中委員長 御静粛に願います。
  270. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 お尋ねのような告発があつたということを聞いておりますが、その告発事件については今なお東京地方検察庁において捜査中でございます。
  271. 田中彰治

    ○田中委員長 押谷君。
  272. 押谷富三

    ○押谷委員 午前、午後にわたりまして六名の委員からいろいろ御質問があり、検事総長より詳細にお答えがありましたから、大体の事実は明らかになつたのでありますが、なお二、三の点を私より確かめたいと存じます。  何分にも天下の耳目を聳動いたしました造船疑獄あるいは陸運疑獄、特に委員長からきついさしとめを受けております保全、日殖の疑獄、かような政界、官界、財界に及ぶ大きな疑獄事件について、検察庁はずいぶん長い間大勢の人が非常な努力をせられました。この御労苦に対しては感謝主並びに敬意を表する次第であります。こういう大事件捜査に当られましたのは、聞けばたいへん大きな陣容で当られたようでありますが、この捜査に当られた検察官の陣容、検察事務官の陣容はどんなものであつたか、承りたいと思います。
  273. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 造船関係の事件と陸運関係の事件を含めて申し上げまするが、これに要した検事の総数は百五十人、副検事が二十九名、検察事務官が三百三十九人、その他の職員が総数八十四人という合計数になつております。
  274. 押谷富三

    ○押谷委員 造船、陸運についてはただいま約六百名ぐらいな陣容をもつて捜査に当られたことが明らかになりましたが、こういう大勢の検察陣容によりまして長期にわたつてお調べになつたのですから、さぞたくさんな被疑者を調べられ、証人あるいは参考人を調べられたと思いますが、この間においてお調べになりました被疑者の数、証人参考人の数をでき得るならば造船、陸運、保全、日殖という、この分類において承れたらけつこうだと存じます。
  275. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 造船関係と陸運関係を含めまして、取調べられました被疑者の総数は百九十七名でございます。それから参考人として取調べましたものは八千六百五十八名という計算に相なつております。
  276. 押谷富三

    ○押谷委員 指揮権の関係についてお尋ねをいたします。指揮権の発動によりまして、この疑獄事件捜査に支障を来したということは検事総長のお言葉で明らかになつたのでありますが、その支障の内容であります。指揮権の発動があつたために、検事総長検察陣容があらゆる手段を講じて、許された範囲において任意の捜査を持続して万全を期したということに承つておりますが、そういうような捜査のために――真実を追究してこの事件刑事訴追その他の処分をせられたと思いますが、この指揮権が発動されたために真実の発見追究、これに対する処分ということに影響があるような指揮権の発動であつたかどうか、支障を来したというのは最後の結論に影響のあるような支障を来したのか、最後の真実発見追究、そしてその処分には少しも影響がなかつたとお考えになつているか、その支障、影響の程度を伺いたいと思います。
  277. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 指揮権の発動によりまして思うように捜査が十分できなかつた、つまり捜査に非常に支障を来したということを先ほど来申し上げたのであります。そのために真実の発見について、事実の究明に影響があつたかどうかというお尋ねでありますが、これは相当影響があつたということを否定することはできないのであります。
  278. 押谷富三

    ○押谷委員 私はこういうことを考えるのであります。この事件について調べられました被疑者の数は百九十七名、関係者の数が八千六百五十八名という非常な広汎にわたつて、自由な立場で、検察庁がさような指揮権の発動等の制限を受けない状況において全部の周囲の証拠を固め得る関係に置かれておつて、ただひとり指揮権の発動があり、これには任意捜査で進まなければならぬというので真実の発見、真相の追究に重大な影響があつて、結果にまで影響しているというがごときはちよつと受取れないと思うのです。もしその点について、検事総長のお考えではつきりするものがあれば、どういうような点で、こういう周囲の人全部を自由に調べ得るにかかわらず、その一人だけを逮捕できなかつたというので結果にも影響したというのか、これはゆゆしき捜査上の問題だと思うのですが、ひとつお聞かせ願いたい。
  279. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 任意捜査というものにはおのずから限度があるのであります。もしすべて任意捜査ででき得るものならば、憲法において、刑事訴訟法において、人権の侵害これよりはなはだしいものはないそういう人権侵害の方向まで捜査を進めることを法律上認めておるのは、任意捜査には限度があるから、必要やむを得ない場合には逮捕もやむを得ないというので、現在の制度ができ上つておることと思うのであります。これは何も日本ばかりではなく世界各国において認められておる制度なのであります。本件の場合におきまして、逮捕請求を中止せしめられました人は一人でありまするが、しかしながらそれによつて、逮捕できなかつたということによつて、真実発見にどれだけ影響があつたかということになりますると、事案の真相を究明する上において、相当影響をこうむつたということを率直に申し上げるを得ないのであります。
  280. 押谷富三

    ○押谷委員 この点については一応この程度にいたしておきまして、先ほど鍛冶君からお尋ねがあつて、検事総長よりお答えになつておりましたが、それはこの疑獄事件捜査の途上において、この事件がある時期に到達するならば調べられた被疑者の名前であるとか、あるいは授受された金額を発表して世間の疑惑に答えるというような談話があつたことを私も承知いたしておるのですが、これは多少新聞記事と総長の御意見との間には食い違いがあるようであります。しかしこういう考えをお持ちになつたことがあるか、またあるならば今日でもある時期が来たならば調べられた人の名前を、あるいはその授受された金額を発表するという考えをお持ちですか、重ねてお伺いをしたいと思います。
  281. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 私は従来、検察というものもやはり国民の納得の行く検察でなければならぬ、それがためにはなるべく検察というものを国民に理解していただいて、その上で仕事をして行くことが一番検察国民の信頼を得るゆえんではないか、こういうふうに考えておりまするので、できるだけ検察のあり方なり使命、また具体的な事件についての取扱い方について十分理解していただくように、機会があれば法律の許す範囲内において明らかにする方がいいのではないかというように平素考えておるのであります。そこでこの事件捜査の途中において、どこの新聞記者に語つたかよく記憶いたしておりませんが、おそらくその気持が、適当な機会に適当な方法で全貌が明らかにされることがあるたろうということを申し上げたのではないかと思つております。その趣旨によりまして、先般も事件の終結にあたりまして、あるいは御不満であつたかもしれませんが、全貌を明らかにしたつもりであります。また当委員会に参りますのにも、できるだけ皆様の国政調査に協力したいという気持で参つたのでありますから、できる限りのことは申し上げたいと思つております。なおこの事件については一部すでに起訴されておりますから、公判の上においてもこれも相当明らになるだろうと思います。
  282. 押谷富三

    ○押谷委員 国民の納得する検察庁態度ということは、これはもつともなことでありまして、先般の全貌の発表等につきましても、われわれは満足も不満も持つておりません。あれでたいへんけつこうだと思つておりますが、しかし今この全貌を発表せられるというこういう気持から、あるいは納得せしめるというような考え方から、被疑者の名前を発表したりあるは金額を発表するというようなことがかりにあるとすれば、これは申すまでもなく、刑事訴訟法百九十六条に被疑者その他の者の名誉を害してはならないということが明らかになつているのであつて、捜査の妨げになつてはいけない。また調べられた人の名誉は大切にしてやらなければいかぬということが検察庁の建前でなければならぬ。だれがいつ調べられたかということだけでその人の名誉には重大なろい影響がある。金額何ぼど受取つたというようなことがわかれば、もちろん名誉には重大な影響があります。人の名誉を害するということは刑事訴訟法上とめられているのです。納得の行く検察庁事務、これはもちろんけつこうです。納得の行く事務はけつこうでありますが、刑事訴訟法に、明らかに被疑者の名誉は害してはならないぞとある以上、検察庁もこの刑事訴訟法の建前は尊重せらるべきである、私はこう考えているのですが、これについて総長の御意見を伺います。
  283. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 お尋ねの御趣旨は十分了承いたしました。そういう意味合いにおいて個人の、つまり取調べられた関係人の名誉というものをどこまでも考慮しなければなりませんので、そこで職務上秘匿すべき事項かどうかというその範囲をきめる上において、その点が重大な基準になるのではないかというふうに考えております。
  284. 押谷富三

    ○押谷委員 先ほど猪俣君の質問と総長のお答えとを聞いておりますと、猪俣君が巧みに証言を引出したという感じが深いのでありますが、何某が調べられた、その担当検事はだれか、こういうことに総長はお答えになつておりました。もし衆議院副議長を調べた検事の名前はだれか、こう尋ねられたときにそれにお答えになり、あるいはある政党国会対策委員長を調べた検事はだれか、政策審議会の会長を調べた検事の名前を言うてくれ、かように言うならばその一つ一つ検事を言うことによつて、その人はすでに調べられたという証言が引出されているのです、何某が調へられたということは新聞にかりに書かれたところで、それは新聞記者の六感で出しているのである。権威ある検事総長の口から出て来たのと違うのです。ここをよく検事総長は考えるべきである。私はもしそういうことが許されたならば、今後もわれわれはお尋ねする内容がたくさんあるのですが、そういうことは尋ねらればお答えになるお考えであるかどうか。個人の名前を言つて担当検事はだれかと言うたときに、それにお答えになる検察庁の方針であるかどうかをまず伺いたいと思います。
  285. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 先ほどの猪俣委員からの御質問は、所敬之の関係をお尋ねになつたのでありまして、所にはすでに逮捕勾留状が裁判所から出ておるのでありますから、その範囲内においては、もうすでに秘匿すべき事項の範囲からはずれておるのではないかというように考えましたので、私は、池田勇人を調べたことがあるということが言外にわかるような説明をいたしたかもしれませんが、そういう事実関係でなく、単にだれを調べたか、だれを調べないか、こういうふうにお尋ねになりますと、調べた調べないということは、やはりこれは職務上秘匿すべき事項と思いますので、抽象的に申し上げますると、そういうことはやはり職務上の秘密に属する事項と思います。
  286. 押谷富三

    ○押谷委員 職務上の秘密ということについての検事総長の御意見わかりました。秘密であるから拒否する、なぜ拒否せなければならぬか、個人の名誉も尊重せなければならぬ、いま一つ将来の検察庁捜査の関係において悪影響を及ぼすからという意見が先ほどあつたのですが、私は納得できます。検察庁捜査に一般国民協力する場合におきましては、いかなることを言うても検察庁秘密を守つてもらえるのだ、こういうことを建前に国民協力しているのです。それを国会の国政調査の証言その他において全部あばかれるというならば、国民の考え方も非常に違つて来る、これは捜査に影響がある、こういう意味において検事総長の考え方に私は共鳴いたします。そういう意味に承つてよろしいか重ねて承つておきます。
  287. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 お尋ねの御趣旨は十分了解いたしました。
  288. 田中彰治

    ○田中委員長 村瀬宣親君。
  289. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 証人にお尋ねいたしますが、昭和二十三年の末に、第二次吉田内閣ができましたときに、吉田総理大臣はみずから法務総裁を兼務いたしまして、検察首脳をお集めになつて訓辞をなさつております。その要点は検察陣の健在は一内閣の運命よりも重大であるという御趣旨を述べられたのでありまするが、証人はその席においでになりましたかどうか。  それから今回この造船汚職の問題が発展をいたしますについて、証人並びに田中次席検事は大磯または目黒の官邸に呼ばれたことがありまするかどうか、伺いたいのであります。
  290. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 第一のお尋ねの吉田総理大臣が一時法務総裁を兼任しておられた当初に、法務庁に参りまして私ども一同に対して訓辞を賜わつたことがあります。その際にお尋ねのような趣旨のお言葉がありましたので、庁員一同敬意を表して拝聴いたしたことがあります。     ―――――――――――――
  291. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 第二の質問に何でしたか。
  292. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 証人がわからなかつたようでありますから申しますが、造船汚職の問題が発展をいたしまして、相当急迫の事態に立ち至りましたときに、証人並びに田中次席等は、大磯または目黒の官邸に呼ばれて、吉田さんにいろいろ事情を聞かれたことがありますか。
  293. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 ただいまお尋ねのような事実は聞いておりません。
  294. 田中彰治

    ○田中委員長 証人、私の方は、決してあなたの方に御無理や何かしているのじやないのですから……。検察庁の信望を落さないように私の方は守つておるのですから、どうか誤解ないようにしてください。
  295. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 もう一度はつきり申しますが、聞いておる、おらぬの問題ではない、あなたはこの造船汚職の問題で、直接吉田総理とお会いになつたことはありませんか。
  296. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 ございません。
  297. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 宣誓をして証言をしておるのでありますから、私はこれはあとでいたしますが、指揮権の発動については証人は、たびたび犬養法務大臣は十八日まで指揮権の発動はしないということに大体了解し得べき情勢にあつたとおつしやておる。ところがそれが突如として気がかわつたのか、こういうことになつてはなはだ面くらつたとおつしやるのでありますが、それは、犬養法相個人の気がかわつたとあなたはそばにおつてお考えになるのであるか、あるいは他の圧力のためにあなたがそれほど諌言したにもかかわらず、今ごろかような指揮権を発動することは妥当でないと最後まであなたは諌言をしたとおつしやるのでありますが、十八日までそういうことはしないとあなたにもわかるような態度をとつておられた法相が、何ゆえ一夜にしてそういうことになつたかということは、あなたはそばにおつたのでありますから、その間の事情がおわかりかと思いますが、それを国民の前に明らかにしていただきたい。
  298. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 その点は、先ほど来たびたび申し上げましたが、突然のお言葉で非常に意外でありました。どういう事情でそういうふうにかわつたのかということは、今もつて私には不可解でございます。
  299. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 あなたは先ほどから指揮権の発動が、佐藤榮作氏に関係をする問題の調査にあたつてはなはだしく支障があつたとたびたびおつしやつておるのであります。そうしてこの逮捕許諾を請求するにあたつては、決して流言飛語ではなかつたと何度も言われておる。また、すべて検察庁の仕事は、確たる証拠を追つて捜査を進めて行くのだ、こうおつしやつておられるのであります。そうしてその内容も、日本船主協会から一千万円の供与を受けたとか、俣野健輔氏より二百万円を受けたというようなちやんと稟申書も御発表になり、さらにこれを逮捕するのには証拠隠滅のおそれありということであつたことも御発表になつたのでありまするが、ここに言われる指揮権の発動によつて支障があつたというのは、その証拠隠滅をされたという意味でございますか。
  300. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 指揮権の発動によつて捜査が思うように進捗しなかつた、つまり事案の真相をなかなか究明することができなかつたという結果になつたのであります。
  301. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 それは先ほどからそういう表現をなさつておるのでありまするが、支障の内容を私は聞いておる。証拠の隠滅に指揮権の発動がきわめて役立つたというのか、そうではないとおつしやるのか、それからお伺いしておるのであります。
  302. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 捜査を進めるにあたりまして、十分な証拠を備え、その証拠に基いて捜査を進めて行くのでありまするが、だんだん捜査が進展して参りますると、初めの証拠がそのまま保全されることもありますし、なるべくそれを保全するように私どもは努めなければならぬのでありまするが、時日の経過によつてその証拠力がだんだんだんずれて来る場合もあり得るのでありまして、さようなぐあいで、また逮捕しなければこういう事実の真相はどうもきわめがたいという場合に、逮捕しなければやはりその事案の真相がきわめられないこともあり得るのであります。いろいろな場合がありますが、本件につきましても、逮捕ができなかつたために、ある事案の真相がどこまでもこれが真相だというところがつかめないような結果になつた例もあるのであります。
  303. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 あなたは言葉を横の方にまわしてしまわれますが、捜査に支障があつたということをあなたはたびたびおつしやつている。その支障の一つの例として結局証拠を隠滅されてしまつたということがあるのか、ないのかを聞いておるのであります。
  304. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 予定の逮捕ができなかつたために証拠をどういう変化を来したか、また捜査の上においてどれだけの証拠が結局集まつたのかというようなその内容に入りますと、職務上の機密事項にかかりますので、具体的な説明は差控えたいと思います。
  305. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 あなたは、吉田総理が流言飛語によつて検察庁が動いた。  これはいろいろ不規則発言がこちらにありますが、そう言つたか言わないかは、ここで録音でもかけてみればすぐわかりますが、そういう言葉に対して憤然となさつた、そうしてこれはどうしても真偽をたださねばならないというので、小原法相に怒つて行つたとあなたはおつしやつている。ところが今ここで私の尋問に対してあなたがあいまいなことを御返事になるならば、結局流言飛語ではなくても、不確かなものによつて逮捕を要求したというふうに、国民はこのマイクを通じて聞いているかもしれない。それには指揮権の発動がこれほど実質的にこの捜査に支障を来したということを一つか二つはあなたはおあげになることはできませんか。そうでなければ、吉田さんにあれだけの暴言を言われても、あなたは黙つておらねばならぬかもしれません。何か証拠隠滅の上にこの指揮権の発動が影響があつたとお考えになりませんか。
  306. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 逮捕請求の稟請をするに際しまして、具体的な証拠に基いてどうしてもこの機会に逮捕する必要がある、また逮捕しなければならぬ理由がこういうふうに整つているということで、疏明資料を十分に説明して最初のうちは納得を得たのでありまして、その逮捕ができなかつたためにどういう具体的な影響があつたかということをお尋ねになりますと、その点は調べの内容について具体的に説明しなければ納得が行かないと思いますか、その点はどうも職務上の秘匿すべき事項に触れますので、上司承認がなければ発表いたしかねるのであります。
  307. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私はしからば証人に伺いますが、われわれはいまさらおとなげないことを申し上げますけれども、憲法第六十二条によつてここにこの調査を始めておるのであります。そこであなたはいよいよとなると、職務上の秘密とか、刑訴法のだ四十七条とかいうものに隠れることになるのでありますが、一体それでは憲法第六十二条というのは死文でありますか。これが公開の街頭等で発表せよというのではないのであります。そこにわれわれのこの基本的な憲法に基いた権利――もしあなたが不当証言を拒むならば、あなたは憲法違反を犯すことになるのであるが、一体こういうふうな場所に出て、宣誓までして証言をする場合と、一般に発表するというような場合と、どういうふうな差があるとあなたはお考えでありますか。
  308. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 私は国会国政調査権を重んじまして、できるだけの御協力を申し上げたいと思つて参つたのであります。その国政調査権を皆様が遂行せられる上におきまして、すでに成立している証人等に関する法律がございます。その法律によつて、職務上の秘密に関する事項ならば、その旨を申し立てて、監督官庁承認を得てから言え、こういう手続になつておりますので、私はその法律に従つて申し上げておるのであります。
  309. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 それは証人法の五条のことをおつしやるのだが、しかし先ほどからのあなたの御答弁を聞いているとたとえばリベートの額が幾らであつたということも職務上の秘密かのごとくおつしやる。国の国税を使つてそれがリベートに返つておる額が幾らかということが、何で職務上の秘密でありますか。これはどうしても私は答えてもらいたい。さらにそのリベートの額のうち、どれだけ政党に流れたかということも明らかになつておるが、その内容の詳細なことは秘密だとおつしやつておるが、詳細でなくてよろしい、その総額は幾らでありますか。これが何で秘密に属する事項であるか、われわれは承服できない。ひとつ御答弁を願いたい。
  310. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 お尋ねの総額を申し上げますが、その総額の出る根拠をやはり説明しなければ御納得が行かないだろうと思うのであります。そうするとどうしても調べの内容に触れて来ますので、全体の総額についても今申し上げかねる、こう申し上げたのであります。
  311. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私はしからばその出所、総額のどういうふうに積み上つたかということは秘密というなら聞きません。総額だけでけつこうであります。総額だけをおつしやつていただきたい。
  312. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 ただいまお尋ねの総額の点については記憶が正確でありませんので、記録によつて申し上げますが、リベートとして会社が受取つた中から政界に流れておる分、その分は刑事事件として取扱つた分だけでございます。あるいは刑事事件にならない分もあるかもしれませんが、すでに刑事事件として取扱つたリベートの総額は、約二億六千七百万円という総額に上つております。
  313. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 刑事事件になつたものが二億六千七百万円ということになつておるようでありますが、たとえば刑事事件でないものが相当自由党などにはあるはずであります。それも当然お調べになつておると思うのであります。その小さい内容は、あなたが秘密だと言えば、あえて要求いたしませんが、刑事事件以外の総額をお示し願いたい。
  314. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 ただいま申し上げましたのは、その刑事事件のうちでも造船並びに陸運関係の部分でありまして、そのほかに刑事事件になつておる分もありますが、それは除外いたしたのであります。なお刑事事件になつていないリベートの金額というものは、おそらく第一線の検事もそこまで十分きわめておるかどうか報告を受けておりませとん。従つて金額は承知いたしておりません。
  315. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 先ほど御発表になりました佐藤榮作氏の逮捕を必要とするという稟請書の内容に関連をしてお尋ねをいたしますが、造船利子補給法が昭和二十八年の八月に公布せられた直後、船主協会で船主を集めた席上で、佐藤自由党幹事長から一千万円献金の要請があつたといわれ、その要請を受入れる旨の決議が行われたと伝えられておるのでありますが、この決議並びにこれが各船会社へ郵送された書類は押収されていると思いますが、押収されておりますか。
  316. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 はなはだ恐縮でありますが、そういう調べの内容は私は職務上秘匿すべき事項と考えておりますので、答弁を差控えたいと思つております。
  317. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 職務上の秘密に逃げ隠れてしまわれるのでありますが、しかしこういうことをお調べになつた以上は、やはり国民に真相を明らかにする必要があるのでありますから、それが何か人権を侵害したり、名誉を毀損したり、これらの公訴継続の上に影響がなければ、私はそう何もかも職務上の秘密々々というのはあまりにそれを濫用なさると思います。  もう一つお尋ねいたしますが、船主協会から佐藤氏に贈られた無届献金のうち、一千万円は昭和二十八年四月の選挙の際に自由党が借りた金の穴埋めに使われたということをお調べになつたということを私は聞いておる。そうしてその支払先は麻生鉱業で、自由党麻生鉱業から数千万円の政治資金を借りていたといわれるのでありますが、そういう事実があつたかどうか。これは私は秘密として守る必要はないと思います。麻生鉱業というのは吉田総理の女婿、麻生太賀吉氏の経営する会社であつて、開発銀行から四十億円の融資を受けて、あるいは元金、利子の支払いも滞つておるといわれておるのでありますが、この麻生鉱業から自由党への献金または貸金は、開発銀行の融資をそのまま一時振り向けたものでないかといわれております。そういうことをお聞きでありますかどうか。
  318. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 さような事実は取調べの内容でございまして、たびたび申し上げるように、職務上秘匿すべき事項に属しておりますので、答弁を差控えたいと思います。
  319. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 先ほど大上委員の議事進行の発言中にもございましたが、横尾龍氏が二回にわたつて逮捕されたことは、これは何もお隠しになる必要はないと思うのであります。この第一回はリベートの問題であつたと思うのでありますが、第二回はやはりリベートの問題でありましたかどうか。二度の逮捕という一つの異なつた事例につきお尋ねいたします。
  320. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 横尾氏の関係は当時地方検察庁の所管で調べておつたのでありますが、横尾氏に対する逮捕勾留の被疑事実はたしか横領のように記憶いたしております。
  321. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 二回目の逮捕のときには金額の九百五十万円が吉田総理のところへ行つたということもいわれておるのでございますが、今回のこの造船汚職に対しまして、むろん総理大臣をお調べになるというのは容易なことではないでしようが、これらの関係が明らかになる資料が、家宅捜索もずいぶんなさつたのでありますから、そういう資料の報告をあなたがお受けになつたことはございませんか。
  322. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 横尾氏の被疑事件について、家宅捜索の結果、吉田首相に関係のある証拠書類が出て来たという報告は受けておりません。
  323. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 国民の知りたい事件の内容に触れますると、あなたは職務秘密に隠れて一向御答弁にならない。私は今日ほど検察の威信が地を払つたことはないと思うのであります。あなたらはあるいは前田検事のごときは奥さんの死に目にも会わないで調査をしたと言われておるのに、なんでこれほど国民からこの検察陣全体が非難を受けるような立場に追い込まれるのか。私はこの委員会こそあなたたち検事一体の原則によつてこの汚名をそそぐ絶好の機会であるにもかかわらず、あなたはただ職務の秘密に隠れて、証言に関する法律の五条に隠れて、一向国民に真相を明らかにすることをなさらない。いずれこれは当然重大なる国家の利益に反するというような政府声明をお出しになる覚悟なのかもしれないが、この造船汚職を秘匿することが、何が国家の重大な利益なのでありまするか。これはもつと進んで行けばそういうことへあなた方は追い込まれるのでありますから、今これ以上申しません。  そこで私はあなたの御答弁のできる範囲のところへ返りましてなお確かめておきたいと思うのでございますが、他の委員も言われました通りはなはだしく検察陣全体が侮辱を受けるような言葉が八月十日の自由党の支部長会議で一応発表された、これはもうラジオその他録音にも残つておる。ところがそれに対しあなたは一応了承をした形になつておるのであるが、どの点を了承なさつておるのであるか。国民に対してあれほど日本の検察は無能だという印象を与えておきながら、なるほど新聞協会に対する吉田さんの弁明書も発表にはなりました。あるいは自由党の各支部長に対する一つの疎明書のようなものも発表にはなつております。しかしあの自由党の支部長に対する説明書のごときはあたかも検察庁が政治資金規制法で逮捕をしようとするのはけしからぬというような、内容をすりかえた説明になつてしまつておる。これを何であなたは黙つて聞いておるのでありますか。最後に小金国会対策委員長から小原法相を通じて、あれは真意でなかつたというふうな伝言があつたから、それであなたは了承したかのごとく受け取れるのでありますが、それくらいで、あの検察陣全体に対する一つの侮辱というか、その無能ぶりを公表されておきながら黙つておる、あなた方に対する国民の感情というものはまだ解けておらないのであります。一体どこをあなたは得心が行つたのでありまするか。どういう点であれほどのことを言われながら黙つて聞いておるのでありまするか。いわゆる検事全体を代表してあなたの心境を伺いたいのであります。
  324. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 その点につきましても先ほど申し上げましたように、法務大臣から吉田総理大臣からの言葉として、あの新聞に現われておる発言は自分の真意を伝えておるものはでない、はなはだ遺憾である、自分はどこまでも検察の行動を非難したり、また法律を無視するような気持はごうもなかつたということを法務大臣に釈明された、そうしてて法務大臣がその点を御了解になつたということを伝え聞きまして、私どもは了承いたしたのであります。
  325. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 法務大臣はそれで了承したかもしれません。法務大臣は何しろ年を取られて大臣に――もう私は大臣などはそうほしくないのではないかと思うのでありますが、やはり人間は年を取つても大臣というものはいいのかもしれない。それで大臣に恋々としておられる人でありますから、それは少し言われれば了承できるでありましよう。あなたはかりにも何百何千の検事を率いて、そうしてその先頭に立つておられる、そのあなたが法務大臣が了承したからそれでよいというようなことで、ほんとうに検察陣の健在が確められるでありましようか。私は質問の最初に聞いておる。およそ検察陣の健在は内閣の運命よりも重大なりという訓示を吉田さんが与えたかと言つたら、与えた、春々服腐したとあなたは最初答弁なさつておる。そういう立場におる限り、あなたがたたあれは真意でなかつた、そう言われて、そういう伝言を受けて、そんなことを吉田さんが言つたのやら、中途の人が言つたのかわからぬが、そうして御老体の法務大臣が了承したからといつて、あなたはもつと国民のほんとうに納得の行く態度を当然おとりになるべきであつたと思うが、あなたはさようお考えになりませんか。
  326. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 重ねて申し上げますが、ただいま答弁した通りでございます。
  327. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 最後に私は、まだあしたから数日間この委員会は続けられるのでございまするが、あなたは先ほどから言われる通り、急所に触れると、それは職務上の秘密だと言つて逃げ込んでしまわれる、その態度はこれから国民の前に開かれようとする当委員会の眼目をそらしてしまうことになるのでございまするが、あなたはきようたびたび同僚委員から聞かれた点につきまして、上司の許可をとつて、そうしてこれから当委員会で御答弁をなさるおつもりであるかどうか、それをきめておかなければ、明日からの当委員会の運営にもわれわれの方でいろいろ考えがあるのでございます。その点あなたの真意を伺つておきたい。     〔「証人はそういうものじやない」「意見を求めるべきではない」と呼び、その他発言する者多し〕
  328. 田中彰治

    ○田中委員長 御静粛に願います。
  329. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 証人に関する法律の規定によりますると、職務上の秘密に関する事項は、上司の承認を得なければならぬという制度になつております。しからばその承認はだれが監督官庁の承認を得るかということになりまするが、私はあの証言に関する法律の規定の文言解釈からいたしましても、またその以前からできておりまする訴訟法の規定から見ましても、証言を求める方の側で承認を得べきではないかというふうに解釈いたします。
  330. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 議事進行について――先ほどから検事総長の証言を聞いておりますると、すぐに職務上のことを言つて、答弁をされないのである。幸いここに小原法相が、その長官がここにおるのでありますから、この小原法相が、職務上どの範囲まではしやべつてもいいとか悪いとか、職務上の秘密の範囲はどの範囲であるかということを、私はこの際小原法相が定めて、それからでないと幾ら聞いても益はないと思いますから、小原法相にこのことを聞きたいと思いますが、いかがですか。
  331. 田中彰治

    ○田中委員長 杉村委員に申し上げます。これは証人の取調べ中はそれができません。よく規則をお調べください。終つてからまとめてやつてください。証言中はできません。高橋英吉君。
  332. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 私は自由党として総締めくくりと言いますか、真打ちの質問ということになりまするけれども、しかし能力足らずして時間を余しますならば、ほかの同僚よりも質問があろうと思います。一応時間一ぱいやらしていただきたいと思います。  第一に、指揮権発動でどの程度捜査に支障を来したかということについてお尋ねいたしたいと思います。すなわち私どもは非常ににこの点について不可解なんですが、いろいろな言説によりますると、この指揮権の発動によつてあたかもすべての疑獄事件がつぶされてしまつたというふうな感じを受けるような、そういうような言説が横行しております。新聞、雑誌その他すべての言説に、何か造船疑獄ばかりではない、陸運も保全も日殖も日平も、すべてこの政界に関係のある疑獄事件と言いまするか、汚職事件的なものは、これは全部つぶされてしまつた、そういり感じを与えておるというふうに考えおりまするが、私どもはこれは非常に不可解だと思つております。すなわちこの指揮権発動は佐藤事件のみに発動されたものでありまして、佐藤事件以外には何ら影響がないはずであります。これによつて陸運事件は何か影響を受けたでありましようか。保全経済の事件はこれによつて何か影響を受けたでありましようか。日殖事件はこれによつて何か影響を受けたでありましようか。日平事件はこれによつて何か影響を受けたでありましようか。なるほど全体の検事の志気に関係するというふうな御証言もあつたようでありまするけれども、そういう漠たるものでなくして、捜査というものはもつと科学的なものであり、合理的なものであるとわれわれは信じております。すなわち佐藤事件に関して指揮権が発動せられました関係上、その結果は佐藤事件には相当重大なる影響を及ぼしたかもしれません。この点は私は異論があります。大して影響がないと思つておりますけれども、しかし見解の相違で、あるいは佐藤事件に対してのみは相当の影響があつたかもしれません。しかし佐藤事件以外の大部分の今申し上げた事件はほとんど無関係であります。従つてこういう事件に対してどのぐらいな影響を及ぼしておるか、こういう事件の捜査にどのくらいの支障を来しておるかどうか、これをお伺いいたしたいと思います。
  333. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 先ほど委員長から、本委員会の議題は造船関係並びに陸運関係、この事件に限るということでございましたから、その範囲で申し上げますが、いわゆる指揮権の発動によつて捜査に非常な支障を来し、また事案の真相をきわめる上においても相当な不利益を来したということをたびたび申し上げたのでありますが、どういう事件にどんな影響があつたかという具体的なことになりますと、なかなか御了解を願えるような説明をするためには、相当捜査の内容に入つて御説明しなければならぬことになるのでありまして、この点は証言を差控えたいと思うのであります。
  334. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 私の質問で議題外のごとであるというような御証言でありますが、私はさように思つておりません。たとえばあなたの方で御提出になつております日殖とか保全経済、陸運、こういうふうな関係の捜査費用の総額であります。これは一億円ぐらいになつておりますけれども、この一億円の中に、保全と日殖との捜査費用が約五千六百万円であります。造船の方の捜査費用はそれに比較しますと、半額以下の二千四百万円であります。天下を聳動したる政界汚職事件というものに対する重点は、捜査費用の面から見ますと、保全、日殖の問題、これが重要な部分を占めておるのであつて、造船疑獄は保全日殖などから見ると、その比重が軽いというふうなことになつております。しかも今回検事総長にわざわざ証人として出ていただきましたゆえんのものは、なるほど造船融資の問題に端を発しておりますけれども、直接の動機というものは、吉田暴言というふうなものに端を発しておるのであつて、その吉田暴言は、すなわち造言飛語によつてつくられたところの空中楼閣的な汚職事件に対して、いわゆる血税と言いますか、そういう国民の貴重な税金を使つた、そういう点についてはたしてそういう事件があつたかなかつたかという点から、直接の出発点になつておるのであります。従つてこれは無関係ではありません。関連しておるのでありますから、これは日殖、保全の問題についても、明快なる御証言をお願いしたいと思います。
  335. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 なるほど皆様の御承認を得ました予備費は、造船、陸運関係の事件のほかに保全、日殖の関係の予備費も含まれております。その合計は約八千万円でございますが、そのうち造船、陸運関係の支出は二千四百万円でございまして、保全、日殖関係に支出した経費は約五千六百万円で、いわゆる三対七の割合になつております。どうして保全、日殖関係の費用が多く、造船、陸運関係の費用が少いかと申し上げますと、造船、陸運関係の事件は、主として東京地方検察庁が全員を動員して、全国の応援を求めながら処理をいたしたのでありまして、そうして関係者は大体東京におられるのでありまして、その意味において案外費用は少かつたのであります。ところが保全、日殖関係の事件になりますると、被害者が――つまりあの会社の支店、支部、支所と言いますか、ああいうブランチが全国にわたつておりまするので、被害者が非常に多数で、しかも全国津々浦々にわたつておるのでございます。その関係で調べに要する経費が保全、日殖の方が比較的多額を要した次第であります。
  336. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 要するに指揮権発動はそれらの事件にもどういう影響を及ぼしたかということをお聞きしておるのであります。
  337. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 保全、日殖の関係の事件はいまなお捜査継続中でありまして、ときどき新聞にも現われておりますように追起訴が随時行われており、まだ捜査が完了しておりませんので、どの程度保全、日殖にも影響があつたかということは申しかねるのであります。
  338. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 これは異なことを承ります。指揮権発動がこういう事件に対してどのくらいの影響を及ぼしたかということは、現在の段階において証言できないことはないと思うのです。要するにこの指揮権発動によつて日殖や保全経済の事件の捜査の上に非常に重大なる影響を及ぼしたかどうか。現在日殖とか保全経済の問題についても龍頭蛇尾とか泰山鳴動ねずみ一匹ということもいわれておるのですが、それはすなわち指揮権発動に基いてそういうことになつたのかどうか。そこまでこの指揮権発動の責任を負わさなければならぬかどうかということをお尋ねいたすわけです。
  339. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 いわゆる指揮権の発動によりまして、保全、日殖関係の捜査に重大な支障を来しておるとは考えておりません。
  340. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 これははつきりわかりました。しからば造船関係について、佐藤、池田関係以外の造船関係の事件について、指揮権発動はどのくらいの影響を及ぼしたか、その点について御説明を願いたいと思います。
  341. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 いわゆる指揮権の発動によりまして、佐藤氏の事件並びにその他の事件に相当な影響を及ぼしたということは申し上げることができるのでありますが、どの事件にどのような影響があつたかという具体的な説明はちよつと申しかねます。
  342. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 それではちよつと具体的に例をあげてみますが、陸運関係には全然関係ないでしような。これは荒木君は国会の承認が得られなかつたので起訴にならなかつたのか、逮捕にならなかつたのか、これはよくわかりませんが、荒木君の問題初め、そのほかわが党からも、また改進党の方からも、それから社会党の人で、新聞紙上に散見するところによるとお金をもらつた方があるようであります。不起訴になつた方もあるようでありますが、起訴になつた方もあります。従つて陸運関係については、おそらく私は指揮権発動とは何らの関係がない、すなわち指揮権発動の関係になりましたところの逮捕請求は、二百万円と千万円の造船関係者からの献金ということになつております。この収受ということになつております。従つて陸運関係については指揮権発動の影響がなかつたものと思いまするがいかがでしようか。
  343. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 ただいまお尋ねの点でございますが、いわゆる指揮権発動が他の事件にどの程度影響を及ぼしたか、Aの事件には影響を及ぼさない、Bの事件には影響を及ぼしたというような、そういう具体的な内容になりますると、どうも説明いたしかねるのです。
  344. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 村瀬君の質問ではないのですが、私の質問の急所になりますと、どうもはつきりした御証言が得られないので、私もはなはだ残念と思いまするが、とにかく佐藤氏を逮捕した上で何かそれ以上に波及するところのたくさんの事件とか、また人々があつたということになるのでありましようか。私どもの知つておる範囲においては、いろいろ捜査もされ、強制手段も講ぜられて、最後に佐藤前自由党幹事長と池田勇人氏との二人の問題になつて来た。この二人を逮捕できなかつたということで、反対党の人々なんか、一部の人々は非常にくやしがり、残念がつておるようでありまするが、結局この二人だけが目標ではなかつたか。結局いろいろ捜査した結果この二人だけになつたとするならば、指揮権の発動はこの二人だけに影響を及ぼしたにすぎないのじやないか、それだけにすぎないのじやないか。すなわち他の事件には絶対に私は影響を及ぼしていない、絶対に責任をとるべきでないというふうに考えておる。私は佐藤前幹事長一人だというふうに訂正してもよろしい。この点について御証言願いたいのであります。
  345. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 先ほど以来申し上げておりまするように、捜査証拠を追うて進展して行くのでありまして、佐藤氏の事件捜査によつて、捜査がそれで完了するか、あるいはさらに進展して行くかということは、これは前もつてわからないのであります。調べてみなければわからないということが普通の捜査の常識でございます。そうしてその指揮権発動によつて捜査なりあるいは事案の真相をきわめる上において相当な影響をこうむつたということは、これはしばしば申し上げまするように検察当局の率直な感じであります。
  346. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 たびたび今の御意見は拝聴しております。従つて私どもはその点に疑問があるのであります。そうすれば、佐藤氏を逮捕した上は他に多数波及するような可能性とか見通しかあつたのかどうか。この点についてひとつ明快なる御証言が願いたいと思います。もしその見通しがないにもかかわらず重大なる支障があつたというふうな御証言はにこれは行き過ぎじやないかと思うのであります。確固たる見通しがあり――確固たるというほどのものでなくとも、相当の見通しがあつて、佐藤氏以外にも多数波及する事件の発展性があるというい見通しがあつた上で、しかも佐藤氏の不逮捕によつてそれが中断されたということになるならば、一応その見通しがあつたならば、その言葉もいいと思いまするが、その見通しがないといふうな、調べてみなければわからないというふうなことになりますると、重大なる影響があつたという御断定は私は軽卒じないかと思いますが、いかがでしよう。
  347. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 捜査を進めますには証拠に基いて一歩々々築き上げて進んで行くのでありまして、それを調べて見なければ確固たることは言い得ないのでありまするけれども、一つの証拠を調べる上において、その証拠がこういうふうに解明して来れば、さらにどういうふうに行くだろうという大体の方向は、これは目安はつくのでありまするが、ここに具体的にどういう方法、どういう目安で逮捕請求をしたのかということになりますると、調べの内容に触れるのでありまして、この点は差控えたいと思います。
  348. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 調べの内容にまで私は論及するのじやないのであります。大体われわれの常識からいいますと、一つの事件について逮捕状を出した場合においては、その事件のみしか調べることができないといと思いますし、また事件以外に関連性がないものと思うにかかわらず、この佐藤逮捕の問題のみに対しまして、全体にあたかも影響を及ぼしたごとく報道され、放送されるというふうな面があるのでありますから、この点を機密に属しない程度に明確に願いたい。具体的に言いますならば、造船疑獄について佐藤氏以外の佐藤氏と何らの関連のない人々の事件もあつたはずであります。それらの事件に対してどういう悪影響を及ぼしたか。造船陸運事件の原副議長にどういう悪影響を及ぼし、日平産業の、鈴木委員長の関係においてどういう悪影響を及ぼしたか、もしくはその他の大麻氏、三木氏さらに重光総裁に対してどういう悪影響を及ぼしたか、こういうことをお聞きしたいのです。一々あげますればたくさんありますが、私はそういうどろ試合はいたしくない。そういうことまでに指揮権の発動は責任を負わなければならないのかどうか、この点を明確に御証言願いたいと思います。
  349. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 たびたび申し上げましたことを繰返すようになりますが、いわゆる指揮権の発動によつて他にも相当の影響を及ぼしたということは、はつきり申し上げられるでありますが、だれにどういうふうな影響を及ぼしたかという点になりますと、どうも捜査の内容に触れますので、その点は差控えたいと思います。
  350. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 しつこいようでありますが、要するに同じ造船疑獄でも、佐藤氏が全然関連のない事件もあつたと思いますが、そういうものに対してまでも影響があつたかどうか、それまで責任を負わなければいかぬかどうか、この点を明確にしたいのです。
  351. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 仮定的な御質問のようでありますが、全然関係のない人に影響はないのではないかというお問いでございます。それは事件にどういう関係があつた人に影響があるのか、あるいは事件には関係なかつたか、相当影響を受けておるのかだれにどういうふうに影響があつたということは、これはどうも具体的に申し上げかねるのであります。
  352. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 それなら質問をちよつとほかへ転換してお尋ねいたしたいのですが、かりに佐藤事件に対して相当重大な影響があつたといたしましても、それはどういう影響でありましようか。われわれの良識から判断しますと、佐藤君を逮捕して、佐藤君を隔離して、精神的の苦痛を与えて自白を強要する以外の何物でもなかつた。佐藤君の自白以外のものについては、すでにすべての資料が出尽している。また佐藤君を逮捕しなくとも、その他の材料はすべて収集でき得る状態にあつたと思われるのでありますが、その点はどうでありましようか。すなわち私の質問は、佐藤氏を逮捕しなくとも、佐藤氏の逮捕によつて生ずるところの証拠以外、すなわち自白みたいなもの以外については、すべての証拠資料が収集できるという状態であつたかどうかということと、それから逮捕した結果は、単に自白を強要する――強要という言葉が悪いといたしますならば、自白を期待するという以外にはなかつたのではないか、この点を御証言願いたいと思います。
  353. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 佐藤氏の逮捕の問題に限りませんが、すべて逮捕勾留して取調べをするということは、逮捕勾留によつて自白を強要するというようなことを目標にいたしておるのではないのであります。他と交通連絡のできないような状態において、事の真相を糾明しようというのが目的であります。
  354. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 先ほど村瀬君の質問、すなわち指揮権発動の結果は、証拠隠滅の結論を生じたのじやないかという質問があつたのでありますが、私はさようなことはないと信じております。もしそういう事実があつたら、証拠隠滅罪ですでに検挙され、起訴されておると思うが、その点についてはどうでしよう。
  355. 田中彰治

    ○田中委員長 高橋君、時間ですから……。
  356. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 お尋ねの逮捕請求につきましては、証拠隠滅の理由をもつて逮捕請求いたしたのでありますが、その理由なり必要を釈明するためには、具体的な証拠資料に基かなければなりませんので、十分な疏明資料は備えておつたのであります。
  357. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 先ほどの御証言中、リベートの総額みたいものが二億数千万円というふうな御証言がありましたが、これは船会社に対して造船会社から流れているものでありますか。それとも政界へ流れたものがその額であるのか。その額が政界に流れたものであるとするならば、それは各党に、自由党のみならず改進党社会党、日自党、そういうふうな各党にどのくらいな割合で流れているか、こういうことも明らかにできるならばしていただきたいと思います。
  358. 佐藤藤佐

    ○佐藤証人 先ほど、リベートのうちから政界へ流れている金、しかもそれは刑事事件として現われた金額の総計に二億六千七百万円と、これは概数でございますが申し上げました。そのうちだれにどのくらい流れたか、あるいはどの党にどれだけ流れたかというその詳細は、差控えたいと思います。
  359. 田中彰治

    ○田中委員長 高橋君、時間が来ました。古屋君。
  360. 古屋貞雄

    ○古屋(貞)委員 証人証言が相当おそくなると思いますので、私はおそくなる前に、この際動議を提出したいと思います。ただいま佐藤証言を承つておりますと、ある程度まで真相を突こうといたしますると、これは職務上の秘密であるということによつて押えられております。おそらくこれは内閣において声明書を出すことによつて、お茶をにごされてしまう。しかし本件のごとき問題は、国民の血税をリベートによつて盗まれ、それが、ただいまの佐藤証言によると政界に二億円以上流れている。この真相をはつきりいたさなければならないのが、われわれ決算委員会の使命であると思います。従いまして私はこの際、ただいま許可になつております証人以外の証人のお取調べを願いたいことを申し出るものであります。その証人犬養健君、石井光次郎君、佐藤栄作君、池田勇人君、吉田茂君であります。この証人を、ただいま許可になつております証人の終りましたあとで、お取調べを願いたいと思います。以上提案いたします。(拍手)     〔発言する者多し〕
  361. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほどから言われているように、証人調べ中なんだから、証人が済んでならばいざ知らず、さようなことをやつたらどうします。始末をつけてください。
  362. 田中彰治

    ○田中委員長 河野委員にお諮りいたしますが、この次あなたの発言ですが、今の動議をあなたの発言前にしてよろしいですか。
  363. 河野一郎

    ○河野(一)委員 賛成いたします。
  364. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 これをこの際即時に採決せられるということは、おそらく公平な委員長じやないと思う。こういう新しい事態に対しましては、理事会というものがあるのだから、理事会でお互いに論議した上で、そして円滑な運営を期待しておるのであります。そういうふうな慣例になつておるのでありまするし、ことに質問証人調べが完了しない間は大体において新たなる動議はこれは差控えるという暗黙的な了解がついて――明示な了解ができておると思うのであります。さらに先ほどの河野一郎氏の動議によつては、質問終了まではすべての動議はしないということで……(「取消されておる」と呼び、その他発言する者多し)これが取消されておるといたしましたならば、われわれはまた別な作戦をしなければならない。私はその点に対して取消された点は、時間の点と順序の点だと考えておりましたが、この動議提出の点すらも取消しせられて自由に動議が提出できるならば、いま一応理事会によつてこの点をお互いに忌憚なく協議して結論を得たいと思います。すなわち慣例に従つて、ルールに従つて、公平なる運営をしていただきたいと思います。
  365. 大矢省三

    ○大矢委員 今聞いておりますると、自由党の方々は、今の動議に反対のようであます。われわれは午前、午後を通じて当委員会の内容を聞いておりますると、ことごとくいわゆる秘密の内容であるということで避けておるのであります。われわれが聞こうとする完全なところが聞かれればこういう必要はなかつた。これは各人ともみなそうであると思う。そこで私はただちにこれを採決してきめていただきたい。特に緒方さんが抜けております。これは重要な関係がありますから追加いたします。なおその際にせんだつての自由党の総会において発言された総理の録音をぜひ持つて来て、そうして十分真偽をただしたいと思いますから、それを持に条件として賛成いたします。
  366. 田中彰治

    ○田中委員長 委員諸君にお諮りいたしますが、今の大矢委員の言われたことですが、今までずつと調べたのを見ると、緒方さんの名前が出ておらない。それで今それを追加されることをおやめになることと、もう一つ佐藤君は起訴されておるのだから、これは公判前であるから、これも先ほどの動議から抜いてもらつた方がいい。(「留保と呼ぶ者あり)留保して、それからどうですか、理事会にこれを諮つて……。     〔「採決しろ」「そんなことはない」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
  367. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 証人の決定だけで――いつたれを呼ぶかというようなことは理事会でもよろしいが、たれとたれとを呼ぶかは採決していただきたい。     〔「採決々々」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
  368. 田中彰治

    ○田中委員長 それでは、お諮りいたします。これを委員長が理事会にかけてやりたいと思いますが、もしあなた方がそれに反対であるならば、理事会にかけることが反対か賛成かの採決をいたします。     〔「反対」と呼び、その他発言する者多し〕
  369. 田中彰治

    ○田中委員長 古屋君の動議を理事会にかけることに反対の委員の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  370. 田中彰治

    ○田中委員長 起立多数。決定いたしました。     〔「そんなばかな運営はない」「動議は採決された」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
  371. 田中彰治

    ○田中委員長 お諮りいたします。委員長に対して不信任案が出ましたから説明を求めます。     〔[不信任案反対」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
  372. 田中彰治

    ○田中委員長 古屋君の動議に対して賛成の諸君の起立を求めます――賛成の方の起立を求めます。     〔賛成者起立〕     〔「そんなばかなことはない」「不信任案が出されたのだから委員長は交代しなければならない」「動議が先に出ておる」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然、聴取不能〕
  373. 田中彰治

    ○田中委員長 委員諸君に申し上げます。委員長に対して不信任案が出ておりますから、委員長は理事杉村沖治郎君を指名いたしまして、委員長はさがりますから、不信任案の採決を行います。     〔「さつきの動議をどうするのだ」と呼び、その他発言する者、離席する者多し〕     〔委員長退席、杉村委員長代理着席〕
  374. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 ただいまお聞きのように、私が委員長から仮議長の指名受けましたから、委員長不信任案に対する問題を採決いたします。委員長不信任に対するところの動議は……。     〔「趣旨弁明をやらせろ」「討論をやらせろ」「それではだめだよ、なぜ討論をさせないのだ」と呼びその他発言する者、離席する者多し〕
  375. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 討論をさせないとは言わない。     〔「さつきの採決が不可能だからあれを片づけなけれび議事が進められない」「採決々々」と呼び、その他発言する者、離席する者多し〕
  376. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 委員の諸君は席にお着きください。     〔発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
  377. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 お帰りください。席に着いてください、委員の方は……。     〔「話合いをする以外にないよ」「採決採決」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
  378. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 皆さんが席に着かなければ議事を進行することはできません。私は、とにかく委員長の不信任案が出たのでありますから、一応委員長に一身上の弁明を……。     〔「そんなことはできない」「そんなばかなことがあるか」「その前にすることがある」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
  379. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 それでは五分間休憩して、ただちに理事会を開きます。     午後六時十二分休憩      ――――◇―――――     午後六時三十九分開議
  380. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 休憩前に引続いてこれより開会いたします。     〔「あの事実をどうする」「不法だ」「そんなばかなことがあるか」「何を言うのだ」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
  381. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 不信任案の動議につき……。     〔「採決を取消せ」「不法な決議をやつてはだめだ」と呼び、その発言する者、離席する者多く、議場騒然、聴取不能〕
  382. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 不信任の動議が……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)趣旨弁明がなければ討論に入ります。     〔拍手、発言する者多く、議場騒然〕
  383. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 動議の趣旨弁明はありませんか――趣旨弁明がなければ討論を許します。(発言する者多く、議場騒然)討論を許します。     〔「そんなことをされてたまるか」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
  384. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 着席してください。趣旨弁明を許します。     〔発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
  385. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 趣旨弁明の申出はないのですか。     〔「あるよあるよ」、「そんなことはない」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
  386. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 趣旨弁明がなければ討論、討論……。(発言する者多く、議場騒然)討論省略、よろしいですか。     〔発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
  387. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 討論省略。不信任案に反対の方は挙手……。     〔発言する者、離席する者多く、議場騒然、聴取不能〕
  388. 杉村沖治郎

    ○杉村委員長代理 ……委員長の不信任案は反対の方……。(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)否決いたしました。     〔「今のは何をやつたのだ」、「採決に加わつていない」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕     〔杉村委員長代理退席、委員長着席〕
  389. 田中彰治

    ○田中委員長 河野君の発言を許します。     〔「何を言つているのか、」「河野さん、ここで質問するといつても、これが解決しなければできませんよ」、「もつと静かにしてやれ」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
  390. 河野一郎

    ○河野(一)委員 おれの公務の執行を妨害するのか。     〔「何が公務執行妨害か」、「委員長の不信任案はどうしたのか」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
  391. 田中彰治

    ○田中委員長 委員長の不信任案は否決になりました。(「そんなばかなことがあるか、君は委員長じやない」と呼び、その他発言する者多し)委員長の不信任案は否決になりましたから委員長の職務を行います。     〔「君は宣言する権能はありませんよ」、杉村委員「私が宣言をしております」、と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
  392. 田中彰治

    ○田中委員長 動議が出て、採決したものを君たちがけるというのは……。     〔「採決に加つていない」「目下休憩中だ」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議長騒然〕
  393. 田中彰治

    ○田中委員長 会議を続行いたします。  古屋君の先ほどの動議を再確認いたします。  これで散会いたします。  証人には御苦労さまでございました。  明日は午後一時、定時に会議を開きます。     午後八時二十七分散会