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1954-02-06 第19回国会 衆議院 外務委員会 5号 公式Web版

  1. 昭和二十九年二月六日(土曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 上塚  司君    理事 福田 篤泰君 理事 並木 芳雄君    理事 穗積 七郎君 理事 戸叶 里子君       麻生太賀吉君    大橋 忠一君       北 れい吉君    中山 マサ君       岡田 勢一君    喜多壯一郎君       須磨彌吉郎君    細迫 兼光君       西尾 末廣君  出席政府委員         外務政務次官  小滝  彬君         外務事務官         (アジア局長) 中川  融君         外務事務官         (欧米局長)  土屋  隼君         外務事務官         (条約局長)  下田 武三君  委員外の出席者         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     山中 一朗君         通商産業事務官         (特許庁総務部         総務課長)   久保 忠雄君         専  門  員 佐藤 敏人君     ――――――――――――― 二月三日  離島大島を駐留軍の艦砲射撃演習場に使用反対  に関する請願三浦一雄君外一名紹介)(第五  一七号)  韓国抑留漁船対策確立に関する請願大野伴睦  君紹介)(第五五六号)  同(田中龍夫君紹介)(第五五七号)  同(山中貞則君紹介)(第五五八号)  坊ヶ峰山頂に米軍施設設置反対に関する請願(  中村幸八君紹介)(第五五九号) 同月四日  国連協定に関する請願(宮原幸三郎君紹介)(  第六六二号)  大津村駐留軍演習場設置反対に関する請願(森  三樹二君外二名紹介)(第六六三号)  日中貿易協定並びに仮契約実行に関する請願(  田中稔男君紹介)(第六七〇号)  大津村駐留軍演習場設置反対に関する請願(森  三樹二君紹介)(第六八四号) 同月五日  用賀旧陸軍衛生材料廠の接収解除に関する請願  (三輪壽莊君紹介)(第七五〇号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  日本国インドネシア共和国との間の沈没船舶  引揚に関する中間賠償協定締結について承認  を求めるの件(条約第二号)  第二次世界大戦の影響を受けた工業所有権の保  護に関する日本国デンマークとの間の協定の  締結について承認を求めるの件(条約第三号)  外交に関する件     ―――――――――――――
  2. 上塚司

    ○上塚委員長 ただいまより会議を開きます。  まず日本国インドネシア共和国との間の沈没船舶引揚に関する中間賠償協定締結について承認を求めるの件、第二次世界大戦の影響を受けた工業所有権保護に関する日本国デンマークとの間の協定締結について承認を求めるの件を一括議題といたします。政府側より提案理由の説明を求めます。小瀧外務政務次官
  3. 小滝彬

    ○小滝政府委員 ただいま議題となりました日本国とインドネシア共和国との間の沈没船舶引揚に関する中間賠償協定の締結について承認を求めるの件について、提案理由を御説明いたします。  わが国のインドネシア共和国に対する賠償に関しましては、昭和二十七年一月にサンフランシスコ平和条約第十四条の規定に基く中間協定案が作成されましたが、この案は、インドネシア本国政府の承認するところとなりませんでした。その後同国政府は、さきに御承認を願いましたフイリピンとの沈船引揚協定と同種の協定の締結を希望して参りましたので、政府といたしましては、インドネシアとの正常な外交関係の樹立を促進し、かつその実現にとつて重大な障害となっております賠償問題の早期解決をはかる見地から、このインドネシアの申出に応ずることといたしまして、昨年十月来朝いたしましたスダルソノ氏一行の賠償調査団との間に交渉を進めましたところ、両国当事者間の意見がまとまりましたので、昨年十二月十六日に東京でこの協定の調印が行われました。  この協定は、第十六国会で御承認を得ましたフィリピンとの沈没船舶引揚に関する中間賠償協定と同一の目的及び意義を有するものでありまして、またその内容も、約六十隻の沈船引揚げに充てられる賠償総額を二十三億四千万円に限りましたことと、紛争解決の手続に関する条項を設けましたことの二点を除きまして、フイリピンとの協定と大差はございません。  よって、慎重御審議の上、なるべくすみやかに御承認あらんことを希望いたします次第であります。  次に第二次世界大戦の影響を受けた工業所有権の保護に関するデンマークとの間の協定について国会の承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  第二次世界大戦とこれに続く日本の適合国による占領のため、約十年間は日本・デンマーク間の通信連絡は異常状態に置かれ、その結果として、右期間におきましては工業所有権関係の出願書類を相手国に郵送したり、また特許料、登録料等を相手国に送金納付することがきわめて困難であり、またときによってはまったく不可能であったこともありました。さらに連合国の占領政策は、一時日本政府が外国人の出願を受理したり、または日本人が外国に出願することを禁止いたしておりました。これらの理由により、日本・デンマーク間においては、互いに相手国民の工業所有権を保護するための措置をとることができなかった状態にありました。  そこでデンマーク政府は一昨年十月にこれらの権利を相互的基礎に立って救済するための協定を締結したい旨の申入れを行い、東京において交渉を行って参りましたところ、両国間に意見が完全に一致いたしましたので、昨年十月二十一日に協定案に署名いたしました。  この協定は、工業所有権の特許または登録のための優先期間の延長、並びに消滅した所有権の回復及び無効となった特許出願または登録出願の効力回復を内容といたしており、第十六回臨時国会において御承認を受けましたドイツ連邦共和国との間の協定及びスイス連邦との間の協定と内容においてほとんど差異がなく、この協定の締結は両国間の友好関係及び技術提携関係を増進させるに役立つものと信じます。  以上の事情を了承せられ、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御承認を与えられんことを切に希望いたします。
  4. 上塚司

    ○上塚委員長 これにて提案理由の説明は終了いたしました。これよりただちに両件について質疑を許します。並木芳雄君。
  5. 並木芳雄

    ○並木委員 賠償につきましては、先日の外務大臣演説においてもまことに遅々として進んでおらないことを感じました。今日インドネシアとの間の沈船引揚げに関する中間賠償協定を見ましても、どうも全面的な賠償の問題と取組んでおる成果は上らないで、そうして部分的に交渉が行われて、難航を示しているということがありありと見えるのであります。  そこでお尋ねいたしますが、インドネシアとの中間賠償協定は、昨年平和条約十四条の規定に基く中間協定案が作成されましたが、インドネシア本国政府の承認するところとならなかったという理由は、一体どこにあるのでありますか。インドネシアはこの協定案によりますと、日本国政府との間で二国間の平和条約をすみやかに締結したいということが言われております。しかし平和条約には調印しているはずであります。ですからあらためて二国間の平和条約を結ぶのではなくして、批准すればいいのでありますけれども、調印しておったことを無視して、今日二国間の条約を別に結びたいという意図はどこにあるか、まずその辺の事情をお尋ねしたいと思います。
  6. 小滝彬

    ○小滝政府委員 インドネシアはサンフランシスコ条約に調印いたしましたけれども、もともと第十四条の賠償条項に対しては、不満を持っておったのであります。またその後政変等があったというようなことも、一つの理由でありますが、もう一つはインドネシアは御承知のように、中立独立政策というようなものを維持するという建前をとっておるのだあります。しかるにサンフランシスコ条約はいわゆる全面講和の形式にならなかった。一部の連合国がこれに加入していない、そこでインドネシアの中立政策の立場から見ておもしろくないというような考え方もございまして、現在では二国間で賠償規定も含んで解決するような平和条約をつくりたいという希望を持つておるようであります。
  7. 並木芳雄

    ○並木委員 その二国間の平和条約の話合いは着々進んでおるのですか。
  8. 小滝彬

    ○小滝政府委員 その点は私から御説明申し上げるまでもなく、まずその前提として賠償問題が解決されなければならない、賠償についての話合いの見通しがつかなければならないのでありますから、両国政府は現在賠償問題について話合いをしておるのであります。まずその前提としてこの中間協定が締結されましたが、その後全般的な問題につきましては、日本側からも倭島公使を先方へ派遣いたしまして、現に折衝いたしておる段階であります。双方の主張に相当の懸隔がございますので、今すぐこれが解決するという段階には至つておりませんけれども、ぜひ早期に解決いたしまして、両国の友好関係を増進するように最善の努力をいたしたいと考えております。
  9. 並木芳雄

    ○並木委員 双方の見解に相当の相違があるということでありますが、それは主として賠償問題ですが、賠償問題以外の点ではどういう点が大きな相違点でありますか。
  10. 小滝彬

    ○小滝政府委員 現在問題として取上げられておるのは、今申しましたように賠償問題でありますので、ほかの点たとえば渡航の問題などに多少の不便はございますけれども、いろいろな経済問題についての協力関係を増進するというような面では、先方も非常に理解のある態度を示しまして、そうした話合いも個別的ではありますけれども進んでおるというような状態であります。従いまして、今両国政府間の問題になつておるのは、賠償問題だけであるといつてさしてつかえないと思います。
  11. 並木芳雄

    ○並木委員 賠償の額でありますけれども、インドネシアの方では、何か総額でこれこれという案を、日本政府の方に示して来ているかどうか、この沈船の賠償額は二十三億何がしということになつております。総額についての話合いはどんなふうになつておりますか。
  12. 小滝彬

    ○小滝政府委員 ずつと以前にインドネシア側は、向うの損害額として大体百七十三億ドルということを申しましたことがございます。しかしこの全部を賠償として取立てようとしておるのではなく、双方が互譲妥協の精神で話合いをしようという考えで進んでおるわけでありますが、もともとスタートした点が相当かけ離れておりますので、まだいわゆる賠償額というような点につきましては、妥結点に達しておらない状態であります。
  13. 並木芳雄

    ○並木委員 沈船引揚げのほかに、インドネシアとしては、日本側に対してどういう種類の賠償を請求して来ておりますか。先般の外務大臣の演説にも役務賠償だけでなく東南アジア諸国とは経済力を強化する意味においても、購買力を増大させる意味においても、資本財によるところの賠償も、考慮して行かなければいけないだろうという発言があつたのです。これは平和条約第十四条による役務賠償に限るという範囲から、明らかに逸脱をしております。従つてそういうところがインドネシアとかフイリピンとかあるいはヴエトナムその他ビルマなどの大きな要望ではないかと思うのです。それで資本財というようなものについて、インドネシアの方からやはり何か要望が来ておるのじやないのですか。
  14. 小滝彬

    ○小滝政府委員 過般外務大臣もたしかこの委員会で申し上げたと記憶いたしますが、アサハン計画というようなものがございまして、これは発電計画でありますが、これに対して日本が賠償という形で努力してもらいたいということを申し出ておるのであります。こういう計画を進めて行くということになりますれば、事実上役務だけを提供して、そうして実行するということは困難でありますからして、役務の提供に附帯するような資本財というものは提供しなければならないのじやないか、そうしなかつたならば、いつまでも役務だけに限るというようなことを申しましても、賠償問題が解決しない、そうなれば両国間の平和条約というものもできない、自然日本と東南アジアの諸国、重要な地位を占めておるインドネシアとの関係が、ほんとうの友好的な基礎の上に置かれないことになります、こうした考え方で、できるだけ先方の意向もくみ入れて、円満な妥結をしたいというのが、私どもの考え方であります。
  15. 並木芳雄

    ○並木委員 資本財ということは、われわれには内容がよくわからないのです。これは明らかに平和条約第十四条を逸脱するものであつて、賠償等の対象となる国々がそろつて役務だけでは満足しないということになれば、結局平和条約を調印し批准をしたということは、結果において国民に対して偽りの条約をつくつたということになるわけなのです。そこで資本財というものをどういう意味で政府は使つておるのか、この中には資本そのものも含まれておるのか、つまり現金による賠償というものも含まれておるのかどうか、そういうところをもう少し詳しく説明願いたいと思います。
  16. 小滝彬

    ○小滝政府委員 まず第一に、こういう考え方をすることが平和条約に反するかのようなお話でありましたが、これはインドネシアも署名したけれども批准しないといつた態度をとつておりますので、理論的に言えば、インドネシアとの賠償というものはこれから離れてやるということは、これは当然向うの主張するところであります。そこで一体資本財というものはどういうものだということになりますと、先ほど申しましたように役務提供にやむを得ず附随したもというようなわれわれの考え方であります。しかしこれは個々の案件について検討しなければならない、どれだけの期間の間に出さなければならないとか、あるいはどういう種類のものであるとか、日本の方でそれが生産できるものであるかないかなどというような点を検討しなければなりませんからして、結局個々の問題について考えるよりほかはないので、抽象的にこれを説明することはむずかしいと存じます。ただ今仰せになりました現金賠償というようなことはいたさない考えでおります。
  17. 並木芳雄

    ○並木委員 同様の資本財による支払いということは、ただにインドネシアだけでなく、フイリピンやビルマなどでも起つておると思います。その状況を知りたいと思うのです。特にビルマについてはすこぶる悲観的の報告でございました。ただその中で、ビルマから調査団が来て、そうして間もなく交渉も開始されるのではないかということが、外相の演説の中にあつたのですけれども、この調査団はどういうような構成でいつごろ来て、そうして主としてやはり役務賠償であるのか、あるいは今言つた資本財、そういうものにも及ぼすのか、その辺のところを答弁願いたいと思います。
  18. 小滝彬

    ○小滝政府委員 ビルマからも調査団をよこすという話は現に出ております。しかしどういう調査団が来るのか、いつ来るのか、そういう点の詳細はまだ決定いたしておりません。おそらくインドネシアからも参りましたし、それでだんだん賠償交渉が進捗しておるにかんがみまして、ビルマの方も同様な措置をとりたいという考えだろうと存じます。日本側と、いたしましては、できるだけ協力いたしまして、こうした交渉が円満に進むようにいたしたいと思います。まだそうした詳細は全然わかつておりません。
  19. 並木芳雄

    ○並木委員 ヴェトナムとの間にも同じような沈船引揚げの協定を交渉しているとのことでありますけれども、その交渉の状況はどうなつておりますか。
  20. 小滝彬

    ○小滝政府委員 ヴエトナムとは、実はこの交渉は事実上完了いたしております。昨年の六月二十五日から東京で沈船引揚協定の交渉を開始いたしまして、九月の十六日に仮調印を了したのであります。その後ヴエトナムの代表はこれを正式に調印するために、日本へ再びやつて来るはずでありましたが――これは先方のことなので、こういうことを言つていいか悪いか存じませんが、向うの国内事情からいたしましてこれが延引して、まだこちらの方へ調印のために参つておりません。しかしこの一月の十三日にヴェトナムの政府はまたかわつたようでありますから、新政府の方で何らかこの進展の策を講ずるのではないかというふうに期待いたしております。
  21. 並木芳雄

    ○並木委員 沈船引揚げについてお尋ねいたします。フイリッピンとの間の協定ができておりますが、この方はうまく進捗しておるのでしようか。なおフイリッピンの場合には七箇年の賠償支払いの計画とかいうものができて、今大野さんが行つて交渉しているそうですが、その状況もあわせて答弁を願いたいと思うのです。先方でもなかなか強硬な態度をとつて、平和条約を批准しないというようなことも伝えられるのですが、お尋ねをしておきたいと思います。
  22. 小滝彬

    ○小滝政府委員 フィリピンとの沈船引揚協定の実施というものは、先方の日本に提供すべき便宜供与とか、あるいは引揚げましたスクラップをどういうように使うとかいう細目についての話合いがありましたのと、気候などの関係において、長引いておりましたが、まず私どもの期待では、来る三月ごろにはいよいよ実施せられるのではないかというふうな状態であります。一般の交渉につきましては、仰せのように、今大野君が向うで非常に苦慮して交渉いたしております。だんだん好転して来るものと私ども考えておりますが、インドネシアと同じように、双方の、主張にもともと相当大きな懸隔がありましたので、まだ双方の意見が合致するというような点には至つておりませんけれども、決して悲観すべき状態ではないということを申し上げまして私の答弁といたします。
  23. 並木芳雄

    ○並木委員 賠償問題は非常にむずかしいのです。日本の政府だけではなかなか手に負えない一面もあるのじやないかと思います。その点についてやはりアメリカなんかのあつせんというか仲介というか、そういうものを通じてやつた方が、円滑に、かつ早く締結されるのではないかと思いますが、そういう手を打つておるかどうか、賠償解決のために打つておる政府の手を説明していただきたい。
  24. 小滝彬

    ○小滝政府委員 政府といたしましては、こういう問題はできるだけ直接交渉によつて、解決いたして行くべきものだと考えまして、御承知のように政府が直接交渉いたしております。ただしかし第三国で好意的にそれに対して自発的に何かあつせんをするようなことがあれば、これは別でありますが、政府としては今依頼いたしているというようなことはございません。
  25. 並木芳雄

    ○並木委員 もう一点、先ほどのビルマの問題ですが、ビルマの話がなかなか進まないという理由はどこにありますか、詳しく答弁を願いたいと思います。
  26. 小滝彬

    ○小滝政府委員 日本側といたしましてはインドネシアも、フイリピンも、インドもできるだけ同時に、できるだけ早く解決したいという態度をとつておりますが、向うの事情もあつたのでありましよう、十分それが進まなかつた。いろいろ準備的な話合いをしましても、返事がおそかつたとかいうようなことから遅れておるのでありまして、特別な理由としては指摘すべき何ものもないと言つて、さしつかえなかろうと存じます。
  27. 並木芳雄

    ○並木委員 日本の方としては各国に賠償の総額というか、アイデアはいずれももう示したのですか、これぐらいにしてほしいという……。
  28. 小滝彬

    ○小滝政府委員 大体のラインは示しておるのであります。これは外務大臣が南方へ旅行せられましたときに、向うの方に日本側の意向というものを伝えておる次第であります。
  29. 並木芳雄

    ○並木委員 それは報告していただけませんか。
  30. 小滝彬

    ○小滝政府委員 御承知のように、フイリピンに申し出ました額は一億五千万ドルという額になつております。他の国との方はまだ正式なそうした話になつておりませんので、ここで申し上げることは差控えたいと思います。
  31. 並木芳雄

    ○並木委員 フイリピンの内容は……。
  32. 小滝彬

    ○小滝政府委員 一億五千万ドルの程度ということになつております。
  33. 並木芳雄

    ○並木委員 そうするとそういう額で先方が不満だ、また他の国もなかなか難航であるということで、従来の役務賠償から今度は資本財の提供というふうにかわつて来たわけなのですか。それで資本財にかわつた場合に、日本としてはどのぐらいの額まで、これを拡張して行く腹なのであるかというようなところを知りたいのです。
  34. 小滝彬

    ○小滝政府委員 総額の問題があつたから、資本財を提供するというふうになつたわけではございません。御承知のように最初いろいろ交渉いたしまして、日本側といたしましてはこの第十四条の規定の趣旨によつて交渉した、先方の方は損害額というものを基礎としているいろの誓いをしようといたしまして、交渉がいわゆるデッド・ロツクの状態にあつて、相当期間を経たわけであります。しかしこういうふうにしてほうつておいてはいけないので、日本側としては個々の話合いをして、積立て方式と申しますか、だんだん総額というようなものにこだわらないで進んで行こうというような交渉をしたせいもございますが、いつまでもこういうような不安状態にあるので、日本側としてはとにかく役務賠償というものがあくまで建前ではあるけれども、それに付随するような資本財と申しますか、これに附随するいろいろな施設のようなものは――この中間協定でもごらんになるとおわかりくださいますように、これに付随したものは提供して、そうして早く賠償問題を解決しようという態度になつたわけであります。ことに総額の問題が出まして総額が幾らというふうになりますと、その際に役務に加えて、この役務の解釈を広げまして、一部そうした資本財も加えるということによつて、合理的な額に到達するようにしよう、こうした考え方から、あまりきゆうくつに役務という文字を解釈しないというだけでありまして、根本の趣旨は、あくまで役務賠償であるという建前をとつておる次第であります。
  35. 上塚司

    ○上塚委員長 並木さん、まだですか。
  36. 並木芳雄

    ○並木委員 もう一つです。財政的に見て非常に大きな負担になりますので、やはり政府に賠償に関する分割払いの計画がなければならないと私は思うのです。そうしてそれが総額において、最大限ぎりぎり決着、ここまでだという線がないと、どこのところで財政的に終止符を打つかというめどがつかないと思うのですが、そういう計画が立つておるはずであります。それを示していただきたいと思います。
  37. 小滝彬

    ○小滝政府委員 お説の通り、そうした日本の賠償能力というものは、われわれとして十分検討しなければならぬ、日本が生きて行ける経済を立てつつ、しかも賠償の義務を負担するということになりますので、そうした面はわれわれもかねがね研究しておるところでありますが、これはいろいろな面から考えなければならない非常に困難な問題でありますから、現にそうした大体の見通しというようなものは、政府部内としては立てておるわけであります。しかしこれは先方との交渉ともにらみ合せて考えなければならないことでありますから、その辺は十分慎重に考えまして、日本経済に重大なる影響がないように、そうした面を十分考慮しつつ交渉いたしたいと考えております。
  38. 上塚司

    ○上塚委員長 ただいまの両件につきましては、次会も引続き質疑を行うことといたします。     ―――――――――――――
  39. 上塚司

    ○上塚委員長 次に外交に関する件について質疑を許します。中山マサ君。
  40. 中山マサ

    ○中山委員 私は調達庁の不動産部長、山中氏にお尋ねをしたいと思うのでございます。それは米軍に接収されております赤十字病院の接収解除の問題でございます。  大阪の赤十字病院は、日本赤十字の博愛主義にのつとりまして、市民の熱意によつて明治四十二年開設しまして爾来というものは、市民の協力によりまして東洋第一という名前を得ておるところの病院でございます。ところが終戦直後米軍の進駐によりまして接収され、やむなく元陸軍兵舎の一部を借り受けまして、これを改造して診療を継続しておるのでありますが、私もこの両者とも見たのでありますが、この兵舎は明治年間に建造されたものでありまして、老朽、実に不潔でございまして、設備なんかもまことに不十分であり、非常に狭いのであります。レントゲン室なんか行つて見ますと、まるで納屋のような感じがいたしまして、まるで道具の置き場というような感覚を与えられておりまして、入院患者の収容に非常に困難を呈しております。そうして昭和二十七年に制定されました日本赤十字社法によりまして、本院は災害救護の重大な責務を負荷されておる現在でありますが、この借りました病院では、とてもその責任を果すことができないようなことになつております。  米軍がこの施設を必要とする理由のおもなるものは、日本において最も完備したところであるということ、それから大阪近郊にこの病院にかわる施設がないということ、第三には傷病兵の戦線より空路搬入の便利な伊丹飛行場が近くにあるということ、米軍みずから病院を建設するに多額の費用を要する、こういうことでございます。しかし現在では大阪に米軍部隊は駐留してないのであります。私もここを見せてもらいましたが、ベッドの中に寝ている人はあまりありません。大体がそのベッドの横にすわりましてマンドリンをひいている人があるかと思えば、雑誌を読んでいる人があるということで、病床におる人はあまりなくて、娯楽場に満員の形であるということを私は見て来たのであります。こういうわけでございまして、朝鮮の、何といいますか、休戦のこの状態、そしてこの政治会議の動向によりまして、この病院がほんとうに必要なものであるかどうかということを、私は今日までずつと見ておりましたが、今日になりますれば遅々としてその成果は上つていないようではございますが、まさかここで再び火ぶたを切るようなことはなかろうかと確信いたしまして、今日は確信をもつてこれを返していただけるときに来ているのではなかろうか。片方ではそんな少数の病人しかおりませんが、片方ではまことに狭い。そして結核の病床にいたしましても、市民の熱意によりまして、篤志家の指定病床、百余床を含んでいるのでありますが、これは寄付者の名におきましても一般の施療患者に開放して、寄付者の篤志を永久に記念すべきものでありまして、この状態はこれらの篤志の希望を蹂躙したことにもなりますので、どうか以上のような状態をとくと御考慮くださいまして――東京の聖路加院病院は一昨年でございましたか一部解除を見たのであります。それで、もうここまで状態が非常に変化をして来ております以上は、何のために調達庁がこれを御解除にならないか、実は私はふしぎに思つているようなことでございます。ぜひひとつ今申し上げました諸点についてのはつきりした御返答をお聞かせいただいて、一日も早くこれを解除していただきたい。私は今の日本側の赤十字病院に行つて参りましたが、実に病人があふれておるのでありまして、始末に負えない状態になつており、部屋も暗うございますし、まことに気の毒に思いまして、私もこれをぜひ一日も早く解除していただきたいということをお願いしたいと思います。
  41. 山中一朗

    ○山中説明員 お答えいたします。ただいま中山委員からお話のように、日赤病院といたしましては大阪と京都が現在米軍に接収中であります。大阪の日赤病院につきましては、調達庁といたしましても軍側の使用状態、並びに所有者であるところの日赤が、現在旧四師団の一部兵舎を使つておる状態が、非常に病院として不適切であり、また庁舎の土台その他が腐つておりまして使用に耐えないのじやないかというようなお話もございまして、昨年の十月六日付をもちまして正式に米軍側に、日米合同委員会を通じまして、接収解除の申請をいたしておるわけであります。爾今口頭あるいは文書をもちまして、その計画の内容あるいはいつ解除できるかというようなことにつきまして、再三こちらの希望を向う側に通じておるのでありますが、現在のところにおきましては、緊急使用と申しますか、利用したいときに利用し得るある程度の施設がないことには、われわれとしては困る、こういうのが向うの言い分でございます。軍並びに外務省が当時計画しましたところによりますと、大体移転の日付は――これは総合的な移転でございますが、一部的な移転は本年の六月ごろにできるのではないか、こういうふうな計画にはなつております。しかし現在のあの移転計画に基くところの建設状態を見ますとはたして六月が完全に引渡しをし得る時制であるかどうかということにつきましては、われわれも若干その計画の齟齬をおそれておるわけでありまして、この点につきましてせつかく計画通りやりたい、こういうようなことで建設省その他と交渉しておるような次第であります。
  42. 中山マサ

    ○中山委員 今向うの人の宿舎に使つておりますところは向うの人はこれを言うと非常にいやがるのでございますけれども、いわゆる結核の病舎でございます。そこを向うの人たちが宿舎としてあの中を使つておりますが、北鮮の側には大きな塹壕を堀つておるとかどうとかいう情報は私も聞いておりますけれども、一応どうにかなろうという今日、使うときに使えるようにという意味は、今ここで火ぶたが開かれるという意味なのでありますか、お尋ねしたいと思います。
  43. 山中一朗

    ○山中説明員 駐留軍の防衛計画につきましては、われわれはその計画に参加いたしておりませんので、はつきりしたことはわかりませんが、向うのこちらからの要永に対する返事は、こういう施設使用し得る状態になければ困る、というのが向う側の公式の返答でございます。従いましてこれが朝鮮事変によるものであるかどうかということは、常識的にいろいろ考えれるのでありますが、私たちといたしましては、何の目的においてこういう施設使用するときに使用し得る状態といつておるのか、はつきりしたところを遺憾ながらつかみがねております。
  44. 中山マサ

    ○中山委員 それは調達庁としては実に無責任態度であると思うのであります。向うのほんとうの意図がわからないのに向うの言うなりになるということは、占領下の時代にはそれでいいかわかりませんが、今日ではもつと押していただいて、あれほどの難儀をしております日赤をぜひ救つてやつていただきたいと思うのであります。風水害の人々もおりまして、いろいろな責任を負わされておりますしいたしまして、ほんとうにまるで小屋みたいな感覚を日赤の方は受ける。しかしあの場所は兵舎であつた関係上、国家財産でございまして、日赤がかつてにそれを建て増すとか、あるいは模様がえをすることはできないのであります。こういうまことに苦しい立場に追い込まれておりますのに、片方はがらんとしてあいておる。そういうことを申しますと、何だか反米みたいな感覚を与えるかもしれませんが、私はそれを早く解除して返して得心させることが親米のやり方であろう、こう考えます。それでどうしても全部返してくれないというならば、なぜ一部でも返してもらうような御運動をなさらないのでございましようか。
  45. 山中一朗

    ○山中説明員 ただいまの委員のお話でございますが、われわれといたしましては、できるなら病院の一体的な運営という意味におきまして、日本政府と軍側の計画によりますところの総合的な移住計画に従いまして早急にこれをやりたい、こういうように考えておるのでありますが、接収解除が全面的にできない以前に、部分的に必要最小限度でもこれを解除することが好ましいことでございますば、われわれといたしましてもそのような趣旨でこれからせつかく努力いたしたいと思つております。
  46. 中山マサ

    ○中山委員 それではなぜ聖路加は一部解除になつたか。どういう点が違うのでございましようか。
  47. 山中一朗

    ○山中説明員 聖路加は道路を隔てました向うの分室を解除したわけでございますが、これは東部におきます軍の移動関係が割合にスムーズに参りまして、若干のものが計画通りに移動できたことが一つと、全体としての使用量が減少し、またここには聖路加病院とか同愛病院とか相当多くございますためであります。従いましてその部分的な解除が可能になつたのでやつたのでございます。
  48. 中山マサ

    ○中山委員 米軍部隊は東京では移動になつたとおつしやいますが、御案内の通り大阪も九州の方へ移動してしまつておるのです。これは同じ状態であろうと私は思う。朝鮮事変が起りましてから、大阪の部隊は全然いなくなつたのでありますから、私はこういう類似の点をもつと強力に推進していただいて、ぜひひとつ一部解除でも始めてもらいたいということを強く要望しておきます。
  49. 上塚司

    ○上塚委員長 次は穗積七郎君。
  50. 穗積七郎

    ○穗積委員 保安庁長官はきようはお見えになりませんか。
  51. 上塚司

    ○上塚委員長 予算一委員会におります。ので、今席をはずすことはできないといつて来ております。
  52. 穗積七郎

    ○穗積委員 それではこの次に呼ぶようにしていただきたいと思います。
  53. 上塚司

    ○上塚委員長 それでは戸叶里子君。
  54. 戸叶里子

    ○戸叶委員 欧米局長は……。
  55. 上塚司

    ○上塚委員長 今すぐ出席されるはずであります。何かほかに外務省関係に御質問なさることがあつたら……。
  56. 戸叶里子

    ○戸叶委員 政務次官が児えておりますから一点伺いたいのですが、この間ソ連、中共地区からの参考人の御意見を開きまして、また日赤の方からの御意見伺いますと、李徳全女史を招待することが、非常に有利であるような表現をされまして、政務次官もそのことにはなるべく骨を折るというようなお話だつたと思います。昨日の引揚委員会での模様を今朝新聞で拝見いたしますと、はたしてそれが引揚げに有利であるかどうかわからない。マイナスになるようなことがあるかもしれないから、これは非常に考慮を要するというような、非常に消極的な御意見のように拝見いたしました。そこで私は非常に疑問に思つたのですが、一体積極的に招待するような方向に持つて行こうとなさるのか、それともまあくしばらく見合せた方がいいというお考えであるか、その点を伺いたいと思います。
  57. 小滝彬

    ○小滝政府委員 昨日引揚委員会で申しましたことは、これまでの外務省で懸念していた点は、こういうところにあるということを申し述べたつもりでございます。また今すぐ即答しろというようなお話もありましたので、そういたしますと否定的なことを申し上げなければならない立場にあるということを申したのであります。しかしこれにつきましては昨日の引揚委員会の意向もあり、また本委員会の意向もありましたので、その皆様の趣旨を体して検討いたしまして、なるべく早く問題を解決いたしたいというように考えておる次第でございます。考えが違つたわけではありません。質問で非常に言い詰められましたので、どうしてもここで即答しなければならないのなら、これまでの考え方はこうだということを申し上げた次第であります。
  58. 戸叶里子

    ○戸叶委員 なるべく早くこの間の要望のように実現していただきたいと思います。  それからもう一つ、話は違うのですけれども、その後ソ連のラストボロフ書記官についての情報が、何か外務省にお入りになりましたか。
  59. 小滝彬

    ○小滝政府委員 何か情報がございましたら何はさておいて、本委員会で発表いたしたいと考えておるのでありますが、その後何にもございませんので、残念ながら報告すべきものはございません。
  60. 戸叶里子

    ○戸叶委員 政務次官がたいへん外務委員会を重要視していらつしやることを伺いまして安心いたしました。今後どうかそれが実現されることを望んでおきます。  それからアメリカのAP通信で、日本の閣僚の中にスパイ綱があるというようなことを報道されたのを私は見たのですけれども、それに対して日本の政府は黙つていらつしやるのでしようか、それに対して何も抗議を申し込もうとなさらないかどうか、伺いたい。もしもその点が事実でないとお認めになるならば、当然それに対して抗議を申し込むなり、取消しなりを要永せらるべきだと思いますが、どうですか。
  61. 小滝彬

    ○小滝政府委員 私も新聞を見ましたが、何もアメリカの政府の方で発表したというものでもないし、新聞情報がいろいろなことを掲げておるというだけでありまして、もともとこの失踪したこと自身、その根本の問題が何らはつきりいたしておらないのでありますから、それに対してすでに問合せは出しておりますので、それ以上のことは……。
  62. 戸叶里子

    ○戸叶委員 問い合せたのですか。
  63. 小滝彬

    ○小滝政府委員 こういう事実が新聞に報ぜられておるやに聞いておるが、こういうことはどうかということは過般の委員会でも申し上げました通り、アメリカの大使館に問い合せておるわけであります。従つてそれに対していろいろ巷間にうわさが飛びましても、それを一々取上げておつたら、政府の方はどんなに人を雇つてもやり切れないというわけであります。
  64. 戸叶里子

    ○戸叶委員 しかしああいう外電を見ますと、国民の中には何か国内にはどうにもならない主権の侵害があるような、そういつた悪い印象を抱かせられております。こういうふうなAP通信の問題も、それはアメリカの政府の発表じやない、新聞が適当に書いたんだという証拠を持たれて、そういうふうな態度をとつておられるのでしようか、その辺のことをはつきり承りたいと思います。
  65. 小滝彬

    ○小滝政府委員 先ほどから再三申しますように、この問題はいろいろ誤解も生ずるであろうと存じまして、新聞に出るや、さつそく東京にある米国大使館にも問合せを出しております。これをもつて私どもの立場を御了承願いたいと存じます。
  66. 戸叶里子

    ○戸叶委員 今のことは日本の閣僚の中にスパイ網があるというふうな報道をした、そのことについてですか。
  67. 小滝彬

    ○小滝政府委員 この問題のみならず、いろいろ新聞の方では閣僚のことを出すとニユースヴアリユーがあると見えましているくなうわさが飛んでおります。しかしそれを一々相手にしてもしようがないので、今正式な回答を待つておる次第でございます。
  68. 上塚司

    ○上塚委員長 欧米局長はもう五分ぐらいで参りますから、参つたらばまた発言を許します。
  69. 中山マサ

    ○中山委員 ちようど関連して、季徳全女史をお招きする、帰してもらつたので感謝する、今後もこれがよくなるだろう、ここに私はふしぎな感覚を抱くのでございます。これはどういう意味で感謝をしなければならないかということが、私は不審をいだく点であります。それはポツダム宣言によりまして全部帰すのだということを打出していただいて、ほかの国ではみな帰した、それなのにソ連、中共はその帰すのが遅れた。遅れた人に感謝をするというならば、今まで帰してくれた国々の首脳部もみな感謝の意味で御招待をした方が私は筋が通ると思うのです。これはいわゆる支那の政権がかわつた、かわつたからこういうことをしてくれた、それで感謝をするという意味でございましようか、その点が私ちよつとふしぎな感じがするのです。いまさら呼んで、遅れた人になぜ感謝せんならぬというのか。私が引揚げの問題で一生懸命に一年余り働き、遂にこれがどうにもならないので、国連の第三委員会にまで提訴して、そして三人委員会を設置してもらつて、一生懸命になつてやつて参りまして、ようやつとのことでこのごろ帰してもらうというような状態では私は個人としては感謝する気持がないのであります。おそ過ぎたという感じがいたしますのに、なぜにこの人をやつさもつさと感謝のために呼ばなければならぬのか、私はどうも合点が行かないのであります。こういうふうな態度ばかりとるから、日本がばかにされるのじやなかろうかと思うのでございますが、外務省はちよつとしつかりして、もらいたいと思います。あの高良とみ女史のときもそうでありました。初めは出さないというておつた旅券を、おしまいに何の十分なる裏づけもなしにふらふらとお出しになつたことに、私は非常に不満を持つたものであります。高良女史が行かなければ、わが同胞を帰さぬという通知が向うからあつた上でもおそくはなかつたろうと思うておりますのに、なぜに外務省がああしてふらふらと初めの言い分をかえてやらなければならなかつたか、私は外務省の態度を――わが党の政府ですから、こういうことを言いたくないのでありますけれども、これは私が言つた方がいいのかもしれませんから……。その感謝せんならぬという気持はどこから生れて来るのか、これを聞いて外務省のこれに対する感覚をひとつ承つておきたい。私は感謝いたしません、おそ過ぎたうらみがあります。
  70. 小滝彬

    ○小滝政府委員 今中山さんがおつしやつたような点は、これまでも政府側から申し述べておる通りであります。また感謝することが、かりに必要であつたら、ほかの形式もあるのじやないかということは外務大臣も述べております。でありますから、関係団体の方では感謝ではない、引揚げ促進であるというように申し述べられております。いずれにいたしましても感謝云々はこつちが言い出したことでなしに、三団体が申し出されたことでありますから、そういうふうに御了承願います。
  71. 並木芳雄

    ○並木委員 私はMSAの問題について質問いたしたいと思います。農産物の協定の方は別個に扱つて、あす、あさつてにも調印の運びになるという報道がありますが、そういうふうになつてますか。
  72. 小滝彬

    ○小滝政府委員 まだ確定はいたしておりません。ただこの小麦の問題は内容が大体話合いがついておるので、そう遠からず調印し得る段階に至つております。
  73. 並木芳雄

    ○並木委員 大体切り離してこの上旬中にでも調印できるわけですね。新聞には八日か九日と出ておりましたが、その見当で間違いありませんか。
  74. 小滝彬

    ○小滝政府委員 理論的にいえば、これは切り離してでもできるわけでありますが、いろいろ考慮しなければならない点もあるので、確定いたした次第ではございません。
  75. 並木芳雄

    ○並木委員 確定したわけではないというのは、切り離すことを確定したわけではないというのですか。
  76. 小滝彬

    ○小滝政府委員 その通りであります。
  77. 並木芳雄

    ○並木委員 あの中で私は非常に疑問を持っておる点が一つあるのです。それは政府がしきりにこれは経済援助である、また経済援助の入口をつくつたものであると言つておりますけれども、五千万ドルの中で四千万ドルは城外買付に充てられることになつており、ます。そうするとその域外買付というものは外国へ出すものですから外貨がとれるわけでしよう。要するにドルにしろポンドにしろ四千万ドル分は外貨が入つて来る。ですから私は逆の方からこれを見ますと、四千万ドルの域外買付を日本が調達して外国へ出す。そうすると外貨が入つて来る。その四千万ドルの外貨でもつてアメリカから小麦を五千万ドル分買つて来る。そのうちの一千万ドルだけが贈与で日本へ与えられる。ですから、額面通り受取つても、三昧はわずかに千万ドル。三十六億円にすぎないという計算が成り立つのですけれども、この点については次官はどういうふうにお考えになりますか。
  78. 小滝彬

    ○小滝政府委員 それは並木君は域外買付というとすぐ台湾やインドシナヘやるものが、域外買付であるという解釈をしておられるから、四千万ドルは結局外貨が入つてもそれを出すから経済援助にならぬじやないかというふうにおつしやるが、しかしこの四千万ドルの中は、もちろんまだ確定はいたしておりませんけれども、必ずしも第三国に出すのを日本でオフシヨア・パーチェスするというのではなしに、日本の保安隊――自衛隊と言わぬと並木さんにしかられますが、今の保安隊とか海上警備隊とかいうものに必要なものをつくつて日本へ提供するということになれば、それだけ円は使つたけれども、外貨を使わずに四千万ドルのうちのさらにまた一千万ドルは日本に入るという関係になりますので、純然たる千万ドルのグランドで来るのだけが経済援助になるという見方は少し誤りであると思います。もう一つはオフシヨア・パーチェスも日本でやらなければほかの国で買うかもわからない。少くともそれだけのものが日本で買われる。そうすればそうした産業を助長ずるのに役立つということになりますので、私は並木君の説は特にその効果を削減して考えられる考え方ではないかというふうに存じます。
  79. 並木芳雄

    ○並木委員 次官の答弁わからぬわけでもございません。しかし千万ドルについては特に日本の防衛力増強に資するということが書いてございます。あとの四千万ドルについては城外買付だというふうにわけてあるのです。ですからそういう言葉を使うならば。四千万ドルは域外買付、日本国内消費を含むというふうに断つてあれば私たちはわかるわけです。それがあたかも日本から外へ出すものに全部充てられるというふうにわれわれに響くのでありますから、今言つた答弁もわからぬわけではないけれども、大体わからないということになつてしまう。  しからばお尋ねしますけれども、四千万ドルの中でどれだけが海外に出され、どれだけが国内の供給に充てられますか。
  80. 小滝彬

    ○小滝政府委員 その点は先ほど申し上げた通りでありまして、今後の交渉によるのでわかつておりません。なおまたかりにほかに出すにいたしましても、この四千万ドルというものは今までの域外買付にプラスになるわけでありますから、それだけ日本は外貨をかせいだと同じことになる。どうせ必要な小麦を外貨で買わなければならぬのを、これを日本でつくることによつてそれだけの外貨をかせぐということになるので、今まであつたものの上にさらに四千万ドル出て来るということになりますから、その意味においても、これは非常に経済援助的意義を持つておるということが言えるわけであります。
  81. 並木芳雄

    ○並木委員 次官がありがたがつておるほど、どうも私にはぴんと来ないわけです。土屋局長も見えましたが、その点の交渉はどうなつていますか。今お尋ねしておるのは、私どもは、四千万ドルという域外買付は、日本でつくつたものを外国に出す、従つて外国から外貨の獲得がある、ですから逆に考えればその四千万ドルという外貨でアメリカから小麦を買つて来る、だから何も岡崎外務大臣が言うように、本来払うべき外貨が五千万ドル助かるんだというふうにありがたがる必要はないと思つていたわけです。しかし今の次官の答弁ですと、国内の自衛隊――保安隊改まつて自衛隊などに供給されるものに使われる分が出て来るから、私の質問は必ずしも当らないという答弁だつた。それならばそれで、じや幾ら国内に向けられて、幾ら域外買付に向けられるのかということをお伺いしたい。
  82. 土屋隼

    ○土屋政府委員 四千万ドルの外貨を払わないで小麦を買えるという利益以外に私考えますのは、日本の円で積み立てます関係上、この円というものはほかのどこの国でも使えませんで国内で使うよりしようがない、その制限は並木さんよく御存じの通りであります。そこでこの域外買付には三つの種類があると思います。一つはアメリカ軍自身が自分で使うために日本で買いつける、もう一つは第三国に援助しておりますものを日本で買いつける、もう一つは日本に与えるものを日本で円で買つて日本に渡すというものがあるわけであります。政務次官はおそらくその最後の点を言われておると思います。私どももそれがより多くなるようにということを主張して、交渉などでは申入れをしておりますし、また幾らかは確かに国内で買われて日本に供与されるものがあるはずであります。ただせつかくのお話でございますが、それじや幾らになるかというお話になりますと、この域外買付は依然としてアメリカの一方的の問題でありまして、日本側からこうしてくれということをとやかく催促できるものではありません。そんな関係上今この四千万ドルのうち、積み立てられた円貨のうち、日本に供与される買付が幾らになるかということは、実は急にはわからないわけであります。従つて残念でございますが、それじや域外買付の中でアメリカか幾ら日本に与えるものをするかという御質問に対しては、今の交渉の段階ではわかりません。交渉の末になりましても、私の考えではアメリカのする城外買付でありまして、大体ごとくらいをしたいというめどがわかれはたかだかで、それも必ずしもそれだけするということにならないわけであります。従つて幾らということは残念ながらお答えできません。
  83. 並木芳雄

    並木委員 局長の今の答弁ですけれども、私はどうもあんまりありがたくないような感じがする。そこでお尋ねしたいのですけれども、アメリカの小麦をMSAの五百五十条で日本が一部買い一部贈与されるということで、カナダとかアルゼンチンとか、麦の生産国が非常な反感を持つておるということであります。国際小麦協定ができておるにかかわらず、なぜこれを利用しないでMSAを利用するんだ、アメリカでは今捨てるほど小麦が余つているじやないか、もともとただのものを恩に着せて日本にやる、今言われた日本における域外買付にしても、アメリカ軍で使うもの、また三国に向けるもの、あるいは日本保安隊に向けるものそういうものを考えても、これは結局アメリカが出さなければならない金なんです。そういうふうにアメリカの方としては上手に円を使う。だから日本としてはなるほど外貨をそれだけ節約できるということはあろうけれども、アメリカの方としては非常に知能犯的で巧妙である、こういうふうに言つて反感を抱いているわけです。従つてわれわれはよほどこれによつて得る利得がなければ、そういう諸外国の反感まで押し切つて食糧品を輸入する必要はないと思う。買付値段なんかどのくらい違うのですか、その点がわかつていましたらお尋ねをしたい。  それから、五百五十条必ずしも動かすべからざるものではないと思うのであります。日本としてはむしろ現在はガソリンとかあるいはほかの重要輸入物資で必要なものはあると思うのです。そういうものにこれを変更する、小麦なんかでないものに転換できるように注文した方がかえつてよいのじやないか、こういうふうにも考えておるのですが、その点お伺いしたいのです。
  84. 土屋隼

    ○土屋政府委員 五百五十条で買う小麦が必ずしも日本の利益にならないで、アメリカの利益が多いのじやないかというお話でありますが、私はやはりアメリカが利益になるからそうするので、そうやるのはアメリカのごかつてで、アメリカの利益になるから何でも日本では反対すべきだという議論は少しおかしいじやないかと思う。われわれとしては日本に利益になるかどうかということを考えればよいので、それが間接にアメリカの利益になつても、アメリカは必ずしも敵国でないのですからかまわない、こういう考えで実は臨んでおるわけであります。私どものそろばんをはじきますと、なるほど小麦の価格は、MSAできまつておりますのでは、国際価格の高い価格の右へならえでありますから、決して安い小麦だとは言えないと思います。ただそのうち約三割が日本に、贈与されるという前提がございますから、つまり価格がほかよりかりに高くても、三割安いということになるわけであります。その二割安くしたときにほかのいろいろな国で小麦を売りたい国がございますが、その国から買うよりは日本に利益があれば、私は決して買つて日本の採算がとれないわけではない、日本はそれで利益を得るということになるのじやないかと考えております。従つて、買付価格はMSAできまつておりますように、国際価格の高い標準によるということになつておりますから、おそらく五百五十条で約束をいたしますアメリカの小麦は、普通の小麦協定で買うより幾らか高い値段であるということが予測できます。しかしそれが、かりに小麦協定で買うよりも二割高くても、買つて日本にちつとも損はない、かえつて得になるということに計算はなると思います。それからほかの物資ということでありますが、五百五十条は余剰農産物を売りさばくための条文でありまして、この条文からほかのものを買うことは少し無理のようであります。アメリカに米が余る、綿が非常に余つておるということになりますと、これもこの条文に入らないわけではないのでありますが、現在の状況は並木さんがおつしやるように小麦が一番余つているので、それはおつしやるように買手がなければ捨てるのじやないかということになるのですが、ほしい国も日本以外にたくさんあるわけでありますから、向うとすればただではないので、売れる小麦だと考えておるのじやないかと思います。従つて、五百五十条からほかの物をすぐ引出すということは、今のところでは無理のようであります。しかし、おつしやる通り小麦だけでなく、ほかのものにも通用できる規定なのでありますから、ほかの農産物の余剰のもので、日本が買つて得があるものがあれば、十分今後交渉して行かなければならないところだと思います。
  85. 中山マサ

    ○中山委員 ちよつと関連して。外務省の方はこの間の夜の街頭録音をお聞きになつたかどうか存じませんけれども、私は聞いておりまして非常に心配になつたのであります。それは東京と大阪で、大阪は大阪駅の前でありますが、街頭録音の交換があつて、これを私聞いておりましたところが、東京も半分以上七割はこのMSAに反対をしております。何かそこに理論上の裏づけがあつて反対をしているのかどうかと思つて私はじつと聞いておつたのでありますが、大した理論の裏づけはないのであります。大阪の方はどうかと思つておりましたところが、大阪は九割がこのMSAに反対であつた。御案内の通り、梅田の駅前というのはいろいろな人が錯綜しているところでありまして、あるいはこれに反対する人が故意にそこに行つてそういう発言をしたということがあるかもしれませんが、全部がそうであるとは私は受取りませんでしたが、こういうふうに街頭録音において聞きますと、日本のいわゆる政治の都市、商業の都市、この代表的の二つの都市におきまして、これほどの反対を大した裏づけもなしにやつておるということは、外務委員を百長らくやつていらつしやいます並木議員ですら、今のようなご発言をなさるのでございますから、一般国民が同様な疑いを持つのは何のふしぎもないと私は思うのであります。それで不必要に国民の感情を荒立つて、今のお話を聞きますと、日本に相当得になるということがわからないで、ただこういうふうな反対の気勢をあげておるということは、まことに私は日本にとつて不利だと思います。こういうものを是正して、ほんとうの実態を周知せしめるような方法を、外務省としてはどういうふうにしておとりになるか。これは実に重要なことであろうと私は思うのであります。ソ連あたりにはタス通信というものがありまして、政府の重要な発表をここでやつております。共産党は肩を持つているいろなことやつておるようでございますが外務省はどうして日本に利益になるんだということを、実態を示して周知せしめようとなさいますか。私これは非常に重大なことであると思いますから、お願いをいたします。
  86. 小滝彬

    ○小滝政府委員 私残念ながらその放送を聞き漏らしましたが、その話は第三者を通じて承知いたしております。これは非常に残念なことだと思います。しかしまず第一に、こういう街頭録音ははたして輿論のすべてを現わしておるか。その場でだれかが大声をあげて反対と言うと、それに附和雷同するというような向きもありますので、はたしてそれほど神経質にならなければならないかどうかも多少疑問の点があります。しかし十分徹底していないとなれば非常に遺憾でありまして、われわれは今後さらに国内の啓発運動をより有効に展開しなければならぬだろうと考えます。この問題が起りますやいなや、もう皆様にもお配りいたしました「MSAとはなにか」というような。パンフレットも非常に多数印刷いたしまして、各方面へも配布いたしておりますし、いろいろ週刊のものとか月刊のものなども出しております。各地の講演会などにもできるだけ、外務省の費用の許す限り、また人員の許す限り、派遣いたしておるような実情であります。私自身も地方をまわつてMSAの説明をして参りました。もちろん一番重要なのは、議会の質疑応答を通じて、国民を啓発することでありましようから、政府委員といたしましては、常にこのMSAの援助がいかなるものであるかという説明に努めておるつもりであります。しかし、報道陣の方では、あるいはその趣味によつて、必ずしも政府の言うところを重視しないで、質問の方がおもしろいので、その方を大きく掲げられることもあるでありましよう。今の日本では言論を束縛するわけには行かない、いわばかつてにやれるのでありますから、私はこの機会を借りまして、せつかくここへ見えております報道陣のお方々が、ぜひ御協力くださいますようにお願いいたしまして、同時に外務省もこれからさらに奮発するということをお誓いする次第でございます。
  87. 岡田勢一

    ○岡田(勢)委員 土屋局長にお伺いしますが、先ほど並木君の質問の中に、MSAで日本の保安隊に供給される兵器その他のものを、日本で注文したものに対して、アメリカが支払つてくれるのでありますが、これを米ドルで払わないで、円貨で払つてくれるというようなお言葉があつたように思うのです。御承知の通り日本は外貨が不足で困つておるのでありますが、アメリカがこの種のものに対して円貨で払うということは、どういうわけでそうなるのか。アメリカ政府の勘定で、日本に余つた円貨があつてお困りになつておるのかどうか知りませんが、その間の事情をちよつと御説明願いたい。  それからもう一つは、ただいま中山マサ委員の御発言になつた問題であります。このMSAの援助を受けることについて、世上いろいろの説があることは御承知の通りでありますが、街頭録音などでやつておられます運動の中には、いろいろな容共団体等もまざつておるやに聞いております。その問題を取上げて政府の宣伝不足あるいは下部の国民に浸透することを激励なさいますことはけつこうでありますが、それを並木委員の質問の不備のようにお結びつけになつて一緒におつしやるということはこれはどうかと思います。われわれ国会議員は、いやしくも自分の疑問とするところが間違つておるうと、間違つていなかろうと、われわれの義務を尽す上に、自分の持つておる疑問を究明いたしますために、当局にお尋ねする自由を持つておると思うのであります。この質問はおかしいではないかということを、同僚の委員から、このような容共団体などがまじつておやりになつておるMSA反対運動に結びつけてこれをおやりになるということは、私はどうかと思いますから、御一考を願いたいと思うのであります。政府の方はどういうふうにお考えになつておりますか。
  88. 土屋隼

    ○土屋政府委員 まず第一に、保安隊に供与される援助物資を日本で円で払うという話だつたということですが、これは私の言葉が足らなかつたかもしれませんが、五百五十条で買いました小麦の対価は日本の政府が円で積み立てるわけで、この積み立てられた四千万ドルに匹敵する円というものは、日本国内で域外買付をされるわけであります。その域外買付の中には、日本の保安隊に使用されるものもアメリカが買うということもありますから、これはすでに一たび小麦を買うというところでドルから円にかわつたものでありますから、またそれにアメリカがドルを払う必要はないので、国内にある円をそのまま使えばよいということで、円貨を使用することになると思うのであります。従つて五百五十条以外でアメリカが日本に援助いたします保安隊の使う鉄砲のたまを、日本に注文して日本に与えるという場合におきましては、アメリカがドル貨を払うことは当然であります。従つてこれは四千万ドルに限られた円の中の域外買付に限つておるので、それ以外のものではございません。  それから先ほど政務次官からお答えのございました啓発その他について、政府が怠つておるというおしかりを受けまして、はなはだ恐縮であります。私ども実は大わらわになりまして、MSAの御了解をいただきたいと努力しておるのでありますが、言論自由の今、統制とか、あるいは政府指導のもとに政府の考え方を国民にしいるということはもちろん慎むべきで、われわれとしてはMSA協定の交渉が昨年六月始まつて以来、交渉の内容と要望につきましては、国会を通じましてかなり全貌を伝えて来たわけであります。先日外務大臣の中間報告にございますところでほとんど――あとで発表になるとわかりますが、MSAについて政府は何ら国民の知らない協定を結んだことでもなければ、知らない交渉をしたのでもないということは、私はおわかりになつていただけるだろうと思います。ただMSAはいろいろの問題から将来の日本の再軍備問題なり、憲法の問題、政治の問題といろいろ関連を持つという点につきましては、論議する点が十分あるわけであります。その点から私は国民の中にそういうものとの間のつながりというものを現在どう考えるかという点について、意見の違いは十分あり得るだろうと思います。しかし私ども事務当局といたしまして考えますことは、そういう根本的な政治との関連というものは、今後日本が援助を受けたあとで、国民が考えてもまだ十分間に合う問題で、まだその時期が来ないのに、そういう点はこういうふうになるのだという可能性から、現在すぐこうなるのだというふうに結論を下して心配するのは、少し行き過ぎではないかと思うのであります。現在世界ではMSAの援助を受けておる国が五十何箇国、その中で軍事援助を受けておるのは三十六箇国に及ぶのであります。三十六箇国どこもが恐れていないこのMSA援助というものを、日本だけが恐れておるというのは、あまりに自信を欠くものではないか。十分に自信を持つて援助を受けましよう。受けたあとでどうきめようということは国民がきめるでしよう。この程度でいいのではないかと思つてあります。
  89. 並木芳雄

    ○並木委員 私どもは、政府の今の説明を聞いておりましても、根本的にはよくわかりますけれども、いろいろ疑問が出て来る。ただいま土屋さんの説明を聞いておりましても、先ほどの私の質問に対して、あたかも、四千万ドル分の円というものは、外貨にはならないのだという答弁でした。最初に小満次官がそう答弁した。ところが今の説明を聞いておると、それは手品だということがわかつた。日本でつくつた品物を海外に出さないで、日本で調達するから外貨にならないのだということは偽りだということが今になつてわかりました。アメリカが日本で米軍用あるいは韓国向け、あるいは日本の保安隊向けに調達するものは、結局その円がなかりせば、ドルで払うという御説明です。さつき次官は、東南アジアへ出すようなことを並木委員は前提として言つておつたが、それは間違いだと言つてておられたけれども、国内で消費するものでも、アメリカがないものの注文を出して城外買付をすれば、本来ならばやはりそれはドルで払うべきものなんでしよう。そうなりませんか。
  90. 土屋隼

    ○土屋政府委員 結論的には並木さんのおつしやることに私も賛成なのであります。ただここでひとつ考えていただきたいのは、出発点において私は並木さんとちよつと違います。この四千万ドルは円になつてしまつたものだから、本来アメリカがドルで払うべきものを円で払うということに、なるのでこれは円とドルとの魔術だという御説明には私反対なのです。その理由は、これはアメリカとの交渉でわかつたことですが、かりにそれではこの四千万ドルの小麦を買いつけなかつたならどうなるかというと、アメリカは日本に発注する、あるいは日本で買いつけする意思がないのです。日本で買う意思がないから、従来のような特需をずつと続けて行きますと――しかしながら、もし小麦を買つてくれればその方に努力して、四千万ドルの円貨で積み立てられたものでさらに域外買付をするというのです。ですから……。   〔並木委員「その説明がなかつた」、   小滝政府委員「議事録を見てくれ、   おれはそれを言ったよ」と呼ぶ〕
  91. 上塚司

    ○上塚委員長 私語をやめてください。
  92. 並木芳雄

    ○並木委員 だから、その点はぼくも速記録を見ます。見ますけれども、要するに、いきなり次官は、それは外貨の獲得にはならないのだと言ったから、あとのこまかいことはぼくの耳に入らなかつた。ぼくには外貨にならぬのだという前提で言ったのですから、今の局長の答弁なら――それがはつきり条文で小麦を買えば、それが初めて日本で優先的に域外買付になり、生きて来る。これならは話が多少違つて来る。それならばわれわれも考え直します。  それからもう一つ。さつきの局長の答弁の中で、二割という一千万ドル分は確かに利益になる。結局国際価格よりも高い小麦で、アメリカ政府が買い上げても、二側分だけは日本はマージンがあるから助かるのだ。つまりその差が二割に達しないだろうという御説明でしたが、これをもう少し価格的に、では幾らですか、はつきり金額を出していただきたいのです。そうしませんと、政府がこれ助かる助かるという一千万ドルが、あるいは七百万ドルになるかもしれないし、六百万ドルになるかもしれない。この計算はできておるはずでございます。お尋ねいたします。
  93. 土屋隼

    ○土屋政府委員 価格の点につきましては、私どももなるたけ安い価格で――二割割引になりますから、さらに安いものになるということで交渉いたしております。実はまだ協定文の話合いをしております段階で、価格につきまして明確にきまつたわけではございません。一、二アメリカから申し出た価格がございまして、それでも二割引けば大体日本の利益になることが明らかになりましたので、協定は進めておりますが、まだ幾らということははつきりいたしません。いずれ協定が調印される時期になりましてはつきりいたしますと、国会にもそういつた意味で御審議を願う参考に提出できると思います。
  94. 並木芳雄

    ○並木委員 小麦を買いつければ、それだけ日本における域外貸付の量が確保されるということになれば、私どもも考え直して、ここに一つの提案があるのです。それは、外務大臣の説明ですと、五百五十条による米軍の予算は一億から一億五千万ドルの間であるということでございました。それならばこの機会に、わずかに五千万ドルでなく、なるべくこの中に食い込んでたくさん額をふやした方がいいと思うのです。ことに予算委員会なんかで問題になつております通り、朝鮮の特需というものは非常な関心が払われておるのでありますから、この際五千万ドルをもつと増額してもらう交渉の余地があるのかないのか、もしあるならばそれをやつてもらいたいと思いますが、いかがでございますか。
  95. 土屋隼

    ○土屋政府委員 大臣から御報告をいたされました二億五千万ドルは、一九五三年から四年にかけてのMS法できまつておりますので、それを申し上げたことだと思います。これが世界各国に対しまして五百五十条を利用し得る大統領の持つた額であります。従つてこの一億五千万ドルを各国にわけるわけであります。日本へは最初アメリカの方から一千万ドル程度でどうだろうという話もあつたのでありますが、池田さんがワシントンに行かれ、さらに政府もそれを支持いたしまして、五千万ドルまでようやく上げて来たというのが、交渉の実態であります。従つてこの五千万ドルをさらに多くするということは、本年度アメリカの予算できめられておるわくの中で、すでに日本は約五分の一を占めることになりますので、これ以上上げるということは無理がと思います。ただ来年度におきましてもアメリカの事情は、余剰農産物に関する限りさしてかわりない、いやさらに余剰農産物が多いだろうという予測もありますので、来年度におきましては、この額を大幅に上げることが、可能のようにという交渉をしたいと考えております。ただ、ことしはこの五千万ドルを引上げることは、ちよつと現実として無理かと思います。
  96. 並木芳雄

    ○並木委員 来年度において増額の見通しがあるならば、その点大いに努力をしていただきたいと思います。そこで期限は一年々々ということでしたけれども、来年度ということになると、二年あるいは三年、この農産物に関する期限は何年になりますか。
  97. 土屋隼

    ○土屋政府委員 アメリカの予算は御承知の通り一年々々で、きまりますのは法案として出ます関係上、来年、再来年ということはちよつと予測ができないわけであります。ただ私が本年度と申しておりますのは、アメリカの会計年度の本年六月三十日をもつて切れる会計年度において、一億五千万ドルという余剰物資を売れる何を大統領が持つておるということであります。ことしの七月一日以降アメリカが来年度の予算に幾ら盛りますか、今後の予算の審議を見ませんとわかりませんが、ただ一億五千万ドルよりはふえるだろうという予測を持つております。従つて日本も、本年度よりはさらに増額したものを、この七月以降受けるように交渉したいと考えております。
  98. 並木芳雄

    ○並木委員 じや期限はさしあたり一年ですか。
  99. 土屋隼

    ○土屋政府委員 そうでございます。ただいま交渉しております五、千万ドルに関しては、アメリカの会計年度、ことしの六月三十自まででございます。七月以降の問題は、あらためてまたアメリカと交渉する必要がございます。
  100. 並木芳雄

    ○並木委員 五千万ドルのうちの一千万ドルが日本にゲラントとして供与される、この使い道は大体日本の防衛力増強ということだそうでありますが、わかつておりましたら、主としてどういう方面に使われるのだということの御説明が願いたいのです。
  101. 土屋隼

    ○土屋政府委員 これは五百五十条から大体積み立てられましたその国の貨幣の使い道のうち、アメリカが援助するものは、投資の形によるかあるいは産業、特に防衛産業に対する援助、こういう形しか残されていないわけであります。その関係上、私どもはなるたけ、日本の産業特に防衛産業に対する支持という意味で、この二割を受けたいと交渉いたしまして、アメリカ側もその趣旨は了承しておりますが、どういう形で日本の産業に援助するかという問題は現在交渉しております。五百五十条から来るいわゆる二本建と称せられるところの日本の産業に対する支持の協定になるわけであります。協定の内容は目下交渉中でございまして、筋書として、アメリカが最後にどういう線で日本側との話合いを妥結するか、ちよつと私にはわかりかねますが、ただ筋といたしましては、日本の防衛産業に買付小麦の二割を支持するという協定の形になると思います。
  102. 並木芳雄

    ○並木委員 防衛産業というものがもう少し何か詳しくわかりませんか。どういう方面の産業であるか、たとえばいろいろございます。このごろ陸上の保安隊用の武器をつくるところ、装備をつくるところ、あるいは海上のもの、あるいは航空用、いろいろありますけれども、主としてどういうところへ向けられるかというところまではわかつておりませんか。
  103. 土屋隼

    ○土屋政府委員 ただいま並木さんのおつしやつたような産業は、全部防衛産業としてこの協定の目的と申しましようか、当てはまることは当然だと思いますが、それ外にどういう形でどういう内容を持つものになりますか、今のところ実ははつきり申し上げられる材料は持つておりません。
  104. 並木芳雄

    ○並木委員 それはもちろん日本の政府が自由にこれからきめて実施できるものであるか、それとも例の顧問団がやつてきて、いろいろこの一千万ドルについては何かアドヴアイスをすることになつておりますか。
  105. 土屋隼

    ○土屋政府委員 これは今後、協定ができ上りませんと、最後的にこう使うということを申し上げかねますか、大体私どもの目下交渉しております、趣旨は、当てられた防衛産業に対するものは日本がきめて、日本で防衛産業を支持するという形で行ぎたいと思つております。
  106. 並木芳雄

    ○並木委員 次にお尋ねをしたいのは今度のMSA協定の中に――その前に土屋さん御存じでしようが、これは分離して大体協定ができて三、四日中にも調印の運びになるということでございますが、大体それでよろしゆうございますか。
  107. 土屋隼

    ○土屋政府委員 実は調印の日取りその他につきましては、これがいろいろそのときどきに浮いて来まして、早く小麦の買付をしてしまおうじやないかというようなことがありまして、早くなるという意見もこの二、三日飛んだこともございます。事務当局といたしましてもそういう考え方で進んで来た事情もあるのですが、諸般の情勢から考えまして、そうこの二、三日中に調印ということは、実現しないのではないかというふうに考えております。MSAの協定は大体本月末までに片づけて、議会の御審議をいただきたいという考えで進んでおりますので、この五百五十条による協定も、大体それに前後するものと御承知いただきたいと思います。
  108. 並木芳雄

    ○並木委員 MSAの協定の中で私も一つ先般来非常に疑問に思つておる点があるのです。それは憲法に違反せずとの一項を入れるということに、今話が行われておるという点なのです。この間も外務大臣にちよつと質問してみたのですが、どうもその後考えて納得ができないので、憲法に違反せずという条文を入れるということは不見識なばかりでなく、誤解を後日に残すのではないかと思うのです。政府は憲法に違反するような条約は結ばないということを、今まではつきり言明しておるのですから、この憲法に違反せずという一項目を入れることは、政府に確信がないということ示すのではないかと思うのです。この条約においてはひよつとすると憲法違反の点が出て来るのはでないかという実態について確信がないために従つて憲法には違反しないのだという一項目を入れるような嘘をまず抱かせられる。それからもう一つはこの前も申し上げましたが、憲法に違反せずというような一項を入れた条約があるのでしようか。これは条約局長にお聞きすることになるのでしようけれども、ある一つの条約に憲法には違反せずと入れると、それが入らない条約というものは、たとい憲法に違反するようなことがあつてもしかたがないのだという逆の解釈が成り立つ、そういう点からもこれは条約の体系からいつても、非常に好ましからざるものであると思うのですが、まずその二点についてお尋ねいたします。
  109. 小滝彬

    ○小滝政府委員 並木君の御説まことにごもつともの点が多いのであります。しかしこれはすでに大臣から説明したはずであります。この点についてはいろいろ議論があるので、条約のかつこうとしてはいかがかとも思うけれども、そうした疑念を一掃する意味では、特にこの項目を挿入したいと思うという趣旨が述べられております。憲法に違反するような条約をつくれば、少くとも国内法的にはそれは無効であるということは言えると思います。これは条約局長から示すかとも思いますが、もちろん条約は憲法の範囲内で定めなければならない。しかしこの場合はずいぶん長く論議もせられましたので、そうした点は絶対にないのだということを、はつきり啓発的な意味も加えてこの条項を入れることにしたということは、大臣が述べた通りであります。
  110. 下田武三

    ○下田政府委員 条約と憲法との関係につきましては、三通りの考え方がございます。つまり条約の方が憲法初め一切の国内法に優位するものであるという考え方と、いやそうでなくて、政府の条約を締結する権限自体が憲法に縛られておるのだから、いかなる条約を結んでも、憲法に違反するようなことは、約束し得ないのだという考え方がございます。そこで日本国憲法の第九十八条に、一切の国際法規及び条約は最高の法規であるという趣旨の規定がございます。日本では学者におきましては国内法優位説と国際法優位説がございますけれども、今までの政府の解釈といたしましては、憲法九十八条は国際法規なり国際条約は、日本が当事国になれば国内法に導入されるのであるという程度の考えでありまして、どちらが優位するのであるということは言わない。言つても実績のない問題だというように考えるわけであります。そこで今度のMSA法で憲法に違反しないというようなことは規定いたしません。この協定の実施は憲法の規定に従つて行われるものとするという考え方であります。これはまた当然のことであります。しかし先日外務大臣もまた政務次官も申されましたように、並木さんはおわかりでございますけれども、国会あるいは言論機関等において、こういう協定を結ぶならば、勢い引きずられて憲法違反のようなところまで踏み出しはしないかというような危惧が、強く表明されたことは御承知の通りであります。そこで憲法の規定に従つて本協定は実施せらるべしという規定を置くことは、それらの危惧を杞憂ならしめる効果があると思うのでございます。
  111. 並木芳雄

    ○並木委員 それは国会議員はそういう危惧を抱くでしようが、政府はやはりそこに確信がなければならないと私は思います。国会議員がどういうふうな危惧を抱いても、条約を結ぶ責任者は政府なのですから、政府としては絶対に憲法の規定に従つて行われるのだ、こういう確信があれば国会議員が何と言おうとも、それを無視したという例は今までいくらでもあるのです。政府はその点いかがでしようか。私は今の問題を議論でなく、裏を返していうと、政府自体にも、このMSAというものは、ひよつとすると将来憲法違反になつて来る点があるのではないか。たとえば国防力というか、防衛力の増強、防衛能力の強化という項目が五百十一条の(a)にあります。あれなんかは安保条約では、自衛力漸増を期待するという期待にすぎなかつたものが、いよいよこのMSAで期待から義務に前進して来る。こうなつて来る点を考えると、行く行くはこの義務に縛られて、憲法にいう戦力を持たなければならなくなるのではないかというような危惧が、政府自身にあるのじやないでしようか。私の聞きたいのはそこなのです。ないならば何もこんな一項目を――こういうものが入つておると、かえつてあぶないという疑問を抱かせるのです。
  112. 下田武三

    ○下田政府委員 政府自身が憲法に違反するようなことをしないことはこれは自明の理であります。しかしながらこの協定を実施してだんだん進んで行くうちには、憲法違反の事態が起らないかということが危惧される向きが現実にあるのであります。国会内にもおられるのでございます。そうしますと、昔のように政府だけの権限で条約が締結せられる脚代でありましたならばよろしゆうございますが、新憲法下におきましては、条約の締結には国会の御承認を得ないとなし得ないのでありますから、現実に国会内にもそういう御意見がおありになるならば、その御危惧が杞憂に終るような措置をとりまして、そうして国会の御承認を得て、なるべく多数の議員各位の御賛成を得るということは、政府としては必要な措置であると思うのであります。昔のように、旧憲法下政府が独自の権限で一切の条約を締結せられた場合にはそういう必要はないかもしれません。しかし今日条約の成立ということは、政府の意思だけではなくて、国会の御承認を必要といたしますから、その国会の中に先ほど申しましたような危惧が現実にある以上は、その御心配をなくすためには、憲法違反ができないような規定を設けるということはきわめて必要であろう。また外国におきましても、立法府においてそういうような御心配がある場合には、その御心配をなくして、そうして国会の御承認を求める措置をとるということは、民主・主義の議会政治下にあります国の当然の措置であろうと思うのであります。
  113. 並木芳雄

    ○並木委員 局長はもつぱらわれわれ国会の立場をそんたくして論じられておりますけれども、しからばお尋ねします。われわれの危惧というものに根拠があると感ぜられるからこそそのそんたくが出て来る、それに全然根拠がないとお考えになれば、それを無視してこういう条項を入れるはずはないのです。ですから、私はお尋ねしたいのですけれども、ただいま申し上げました戦力というような点のほかに、どういう点について憲法違反になるおそれがあるという条項、事柄がございますか。それを具体的に、一つでも三つでも三つでもよろしい、政府自身が、われわれれが危惧しているということを反映して、それがもつともだと思うからこそ入れるのですから、その説明を願いたい。
  114. 下田武三

    ○下田政府委員 政府は無法違反の事態に至らないようにする意思はもちろんございますが、国会その他で出ております議論は、憲法との関係におきましては、自衛力増強の結果、戦力に至るのではないかという問題と、もう一つは、率直に申しますと、海外派兵というような、交戦権を認めないという憲法の規定に抵触するような義務を生じやしないか、その二点だけであると私は思います。そこで、戦力との関係におきましては、現実に自衛力を増強するための協定から直接問題になるのでございますが、交戦権の問題につきましては、MSA協定自体は、火力使用に関する協定ではございません。安保条約とか、相互安全保障条約とかいうように、兵力の使用に関する規定ではないのでありますから、これは実は問題にはならないと思うのであります。しかしながらその点との関係を明らかにいたしますために、憲法の規定に従つて実施されるということのほかに、本協定の規定は、拠金保障条約の以上にいかなる義務も負わせるものではないという点を明確にいたしたわけであります。それはつまり、宏保条約というのは、日本はアメリカに防衛してもらう、しかし日本は平和条約以来認められた自衛権は持つておる、しかしいかなる意味におきましても、日本は安保条約から外に出て行かないということは明らかであります。そこで日本が自発的に外に出て行くことはないという根本的建前を持つております。安全保障条約の規定以上のいかなる義務も負わないという点を明確にいたしたいと思つておるわけでございます。
  115. 並木芳雄

    ○並木委員 海外派兵の問題でございますが、これは憲法上問題がある。今’交戦権ということを局長は言われましたが、この交戦権ということは、戦争する権利というのではないという説明を前に聞いております。交戦権とは、海上で中立国の船を拿捕する権利とか、あるいは俘虜になつたときの権利だとか、ごく附帯的な厭味での交戦権だという説明を聞いております。ただいま局長が言われた交戦権という言葉はどういう意味でお使いになつたか、ちよつとわからないのですけれども、日本の憲法では交戦権を放棄したということは、はつきり出て来ておらないはずであります。いわゆる常識的な戦闘ですか、武力を行使するということは出て来ていない。それは国際間の紛争を解決する手段としては、武力を行使してはいけない、威嚇してはいけないということはありますけれども、この日本の保安隊、自衛隊、あるいは海上自衛隊、こういうものが直接侵略に当る場合になつても、それは政府の解釈によれば戦力に至らないのだから、政府の解釈では憲法の上で何ら違反にはならないのだという根拠が出て来るじやないかと私は思うのです。ですから、憲法の規定に従つてやると、せつかく親心で一箇条入れても、戦力ではないと言っている限りは、自衛隊、海上自衛隊、あるいは航空自衛隊というものが海外派遣をされても、それは憲法には違反しない、こういうふうに考えるのですが、その点いかがでしようか。
  116. 下田武三

    ○下田政府委員 交戦権を持たずして無制限に外に出るということが、いかにしてなし得るかという点は、私は了解し得ないのであります。つまり、憲法で国の交戦権はこれを認めないと言つているわけでありまして、交戦権というものは、申すまでなく、ただ現実にピストルでも何でも撃ち合いをするということ、戦うということではございませんで、これは公海上において中立国船舶が片方の国を幇助するために軍事物資を運ぶとかいうときに、公海でもこれを爆撃し、それを臨検するという権利でありますが、そういうような権利――交戦権は認めないと憲法で規定しているわけであります。だからと申しまして、絶対に戦つてはならないということではないこともまた明らかでありまして、自衛の部隊がいる以上は、直接侵略あるいは関接侵略の場合に、これを使つて戦うということは、憲法に何ら反していないものである、そういうふうにはつきり解釈していいと思います。
  117. 穗積七郎

    ○穗積委員 私はきようは要求大臣がお見えになりませんので、質問は次にしたいと思いましたが、重要な質疑応答がございましたので、関連して、後の討議のためにこの際二、三明らかにしておいていただきたいと思うのです。  まず第一は、土屋さんにお尋ねいたしますが、小麦協定によりましてひもつきになりました金の使い方は、日本の政府の自主的な計画に従つておやりになるということで先ほどお答えがありましたが、それに関連して一言お尋ねしたいのは、その計画は、たとえばMSAの交渉にあたつて、自衛力増強の計画は、日本の自主性によつてやるという御説明であつたと思うし、また小麦協定によります金を償う計画は、日本の自主的にやることであつて、アメリカの干渉は受けないという御答弁でありましたが、その計画はアメリカにお示しになりますか、どうでありますか、その点をまずお尋ねいたします。
  118. 土屋隼

    ○土屋政府委員 ただいまの五百五十条で買い上げました小麦の対価を日本の自由に使うということは、うち二割は日本の防衛産業に対する支持の金額であるというふうに了解して御返事申し上げます。ということは、あとの四千万ドルはアメリカが使うので、日本が使うのではありません。従つて日本は何も関係はございません。前の方の防衛産業につきましては、日本側が防衛計画を立て、これによつて防衛産業を進めて行くことにもなりますので、この金は日本が自主的に使うということでもちろん協定ができるというふうに考えておりますから、日本側だけで考えていいので、アメリカ側の了解を得ることを条件といたしておりませんが、ただ徳義上から申しまして、向うの持つて来た小麦に対価するところのものを円貨で積み立てますから、やはり向うに相談して、向うがよく納得した上で使つた方がよかろうと私は考えるのであります。しかしながら規定の上でそういう規定は出て来ないと思います。
  119. 穗積七郎

    ○穗積委員 それは非常に重要なことでありまして、たとえば今まで日本の保安隊に対してアメリカは条約のとりきめも何もなしに、貸したのかもらつたのかあるいは売つたのか、わけがわからない形で日本の保安隊に武器を与えております。また条約、規定なしに、アメリカの軍人がかつてに日本の保安隊に来て、指揮訓練をいたしておる事実がございます。そこで問題は条約上、法律上はアメリカの承認を決める義務はない、義務はございませんが、事実上その一千万ドルの金を日本のどういう産業へ、どういう援助のためにあるいは買付のためにこれを使うかということを、私は必ず顧問団または大使館その他を通じまして、日本政府の計画に対して干渉することは自明の理だと思うのです。たとえばMSA全体につきまして、防衛計画が日本の自主性によるのだということを説明なさつて、昨年の九月三日の当外務委員会におきましては、もう旬日を出ずして日本の自主的な防衛計画はできるのだというふうに説明なさいましたが、法律上の問題ではない、政治上の事実をもつて見ますと、防衛計画そのものが向うに了承されないために、MSAの交渉は今日延びて来た事実がございます。従つてわれわれが問題にいたしますのは、国民には政治的義務は持たないのだということで、われわれの独立した自主性があるのだということを盛んに説明しながら、事実上はそれに隠れてアメリカの、そういう経済計画自身につきましても非常な干渉またはアドヴアイス――干渉というと語弊があるが、アドヴアイスでも同じことだと思うのですが、アドヴアイスによつて動かざるを得なくなるという事実が出て来ると思う。今私がお尋ねいたしました通り、法律上の義務はないが、政治的徳義上アメリカの了承を得るのはよかろうと思うという御答弁がございましたので、私はその事実を伺つておる。そうでありますならば、この協定を結ばれるに先だつて日本の防衛計画がなければならないと同じように、小麦協定を結ばれます場合に、それをどういう計画でどういうふうにお使いになるか、一体国内においてどういう産業、どういう階級がこれによつて利益するのか、その点を一応計画としてお持ちになつているのが当然だと思います。それはアメリカはのむかもしれませんが、日本の国民に対する政治的徳義はどうなつておるのか、日本国民に対しまする政府の政治的徳義から行きますならば、この小麦協定をMSAから切り離して、とにかく協定を結ぶという場合におきましては、当然これに対する計画がなければならない。そういうようなものなしに、何となしに日本の政府がかつてに使うのだというようなことで国民を納得せしめる、その金はだれが出したかといえば、もとより国民が出した金であります。従つてそのことについて計画がありましたならばお答えをいただきたい。なければいつまでにできて、条約を締結される前に議会にその計画を一応御説明になるのかどうか、その点をお尋ねいたしておきます。
  120. 土屋隼

    ○土屋政府委員 先ほどこちらの方から御答弁申し上げました中に、アメリカ側と話し合うことが徳義上よかろうと申し上げたのは、私はもともと本来から見れば、小麦の対価としてアメリカ側に支払うべき円貨でありますから、日本側がかりに防衛産業に支持を受けるということで日本側に金が渡つたとしても、そういう元のいきさつを考えれば、一応仁義を切つて話してもよかろうというような消極的の意味で申し上げたので相談するというか、徳義的義務が絶対にあつて、それでなければできないというわけではない。これはもちろん御了解だと思いますが、念のために前に申し上げましたところを補足して御答弁申し上げます。そういう意味から申しまして、私はこの防衛産業に対する支持の金の使途につきまして、MSAで今度来るだろうところの顧問団から干渉を受けるということはあり得ないと思います。従つてこちらでこれをどう使うか、あなたの方でもこういう使い方はおもしろいと思いますかというような聞き方はいたしましようが、それ以外に向うの了解なしにこれを使わないということは、日本ではする必要が毛頭ないわけであります。もともと三十六億円という金は、防衛産業の支持として必ずし、も大願だとは申されません。日本の産業自体から申しますと、これはある意味で微々たる金だとも言えると思います。そういう関係から、これについて向う側に一応の話合いをしてみたところで、それが日本の防衛産業への大きな干渉になるということは、日本側の考え過ぎた考え方で、とうていそこまでの支配力なりあるいは干渉力というものは持ち得るものではない。また防衛計画を日本で自主的につくるということについて、いろいろのいきさつがありましたこと、これはおつしやつたように多分にわれわれとしても考えさせられるところがあるわけでありますが、何しろ新しい問題でございますし、いろいろの関係がございましたので、防衛計画が遅れて来たということは確かでありますが、いよいよ予算も本格的になりまして、今後一年間における日本の防衛計画というものが出たわけであります。これによつておそらく通産省なり大蔵省なりあるいは経済審議庁が、日本の産業の今後の育成ということについて一つの案を持つておられるだろうと思います。これはアメリカ側に示す必要は毛頭ございません。防衛計画についても日本側自身が自主的にきめたものを、アメリカとしても了承するという形でありますから、防衛計画に付随するところの防衛産業の育成ということについて、アメリカ側には何ら私どもは諮る必要はないと考えております。ただそういう計画が現実にどの程度あるのか、私もどうもその点を明らかにしておりません。従つて現在のMSAの五百五十条の買付につきまして一防衛産業の支持計画というようなものを日本側から出す要請も受けませんし、今後出す考えも持つておりません。
  121. 穗積七郎

    ○穗積委員 私が第二問としてお尋ねいたしました日本の国民または国会に対する政治的道義上、その使途の計画について、いつ一体そういう計画をおつくりになるのか、それに対するお答えをいただきたいと思います。
  122. 土屋隼

    ○土屋政府委員 間もなくこの五百五十条による協定もできることと思いますが、そのあとで関係方面におきましてこれをいかに使うか、またこれをほかの産業育成の計画にどう結びつけるかということを、おそらく国会にも国民にも示す時期が来るだろうと思います。
  123. 穗積七郎

    ○穗積委員 続いて次の問題についてお尋ねいたしますが、その前に土屋さんに私どもの感じを申し上げておきます。三十六億という金は大した金ではないから、それをどういうふうに使おうと大したことはない、またはそれを通じてアメリカの干渉がたといあつたにしたところが、そのくらいのことで日本の経済計画全体に干渉されることはないというふうな、軽々しく見た御答弁でございましたが、それは私は少しお言葉が過ぎるように思うのです。たとえば今度のMSA予算によりまして、全国の繊維業者がほうはいとして反対運動を起した。その額を幾らかと見ますと、全国の呉服屋、洋品店あるいは洋服屋さん、これは何万という数だと思うのですが、その方々がすべて負担する金が七、八十億の額でございます。それも実は国民大衆にとりましては深刻な金であるので、そこで、立つてこれに猛然と反対をしておられる。私の言いますのは、額がアメリカまたは日本の軍事予算から見れば、三十六億、四十億足らずの金はささたるものだというふうにおつしやるかもしれぬが、とんでもないことだ。われわれの予算の金、軍事費というものは、国定生活の実情とあわせて考えなければなりません。しかもその金の出どころはどこかというならば、もとより貿易によつてわれわれが正当に得た金ではございません。国民が生活物資をそれ以外に買わされないので、つまり独占販売されたアメリカの小麦を国民が買つた金でございます。従つてそういうことははなはだ言葉が不穏当であろうと思いますし、のみならず私がが言いましたのは、三十六億円の金の使途について、アメリカから干渉されるということ、それだけのことを心配しているのではない。それが一つのきつかけなり、次々すべてにそういうふうな干渉が起るから言つておる。しかも、法律上の干渉される義務はございませんけれども、それでは一体何のために今まで日本保安隊――アメリカは明らかにこれを軍隊と計算しておりますが、これの規格、訓練、これらを全部アメリカの軍隊に統一することをだれがきめたのか、そういうことは言うまでもなくアメリカの兵隊が要求した。のみならず一体いかなる権限をもつて日本保安隊を指揮訓練しているのか、これも事実行われておるのでございます。しかもこの前伺いますと、一億ドルになんなんと――あるいはすでにこれをオーバーしておりましようが、そういう武器が何の条約、とりきめもなしに、日本保安隊にどんどん送り込まれておる事実が今まであつたわけです。そういう事実をわれわれは心配してておるので、そこでこの三十六億円が多いとか少いとか言うのではない、あるいはまた三十六億円だけに関して干渉が行われておるということを育つておるのではございません。そういう点でございますから、もう少しお考え直しを願いたい。これは私の希望でございます。  続いて申し上げておきたいのは、先ほど来与党の方々と手放しで、MSAによります経済的利益というものを盛んにこの委員会の問答を通じて宣伝なさいましたが、実はMSAの経済的利害得失というものは――小麦協定によつて得られます域外買付、これは日本の経済に利益になるのだ、利益になるのだというような、ほんの局部だけを顕微鏡にかけて拡大して、経済的利益を宣伝するのはとんでもないので、日本全体の経済貿易の状態からながめまして、MSAを受けることによつて、どれだけマイナスするのか。たとえば五千万ドルの金を域外買付として、国内において利益を得る方がございましよう。しかしそのもとでありますMSAを受けることによつて、失効を増強し、そのために軍事予算を組む、そのために非常な増税となり、あるいはまた国民の生活を圧迫します。経費が削減されておる事実がございます。こういうようなものをとつて見たたときに、MSAによります経済的利害得失というものは、すべてを入れて判断しなければならない。さらにわれわれが再三言いますように、MSAを受けることによりまして、実は不当に大陸貿易が制限されて来るわけでございます。この問題については、自由党の諸君ですら、少くとも良識のある人々、少くとも明日の日本の運命のわかる人々は、どうしても中共貿易を促進しなければいかぬということを言っておられる。そういう経済的な損失というものは何ら言われることなしに、たつた五千万ドルの域外買付ないしはそのうちの一千万ドルの贈与というようなものを経済的な利益だとして宣伝されることは、国民を誤るもはなはだしきものであると私は思います。  そこで次官にお尋ねいたします。中山委員のおかしな御意見に対しまして、さつき善処するということを言われましたが、政府国民の税金である予算を、アメリカ一辺倒の自由党または現内閣政策を宣伝するためにお使いになるつもりなのか。「MSAとはなにか」というようなものにいたしましても、われわれは真実をすべて知らしていないと思うのです。従つてあれに輪をかけたような一方的な宣伝をこれ以上されるつもりであるのかどうか、事のついでにお尋ねいたしておきます。一体どういうことをやられるつもりですか。
  124. 小滝彬

    ○小滝政府委員 穗積委員からるるお話がございましたが、最初の点、われわれが非常に誇張して、穗積さんのおつしやるいわゆる小麦協定の利益を宣伝しておるようにおつしやいますが、しかしこの五千万ドルあるいは四千万ドルが防衛生産方面に使われましても、産業は相互に関連性がありますし、これが日本の景気維持というものに相当の支持を与えるということは、御否定にならないだろうと思います。また当該産業の労務者も相当ありますし、いろいろな関係におきまして、それだけ産業の支持というものが生れて来るということは、認めなければならないと存じます。なおまたMSAの援助を受けるから、それで予算がふえるというのは、考え方が私どもとは非常に違つておるのであります。防衛力の漸増ということはもともと今に始まつたことではない。安保条約を見ても出ておるし、今までの日本の国策であつたわけでございます。(「自由党の政策であつて国策ではない」と呼ぶ者あり)議会の過半数がこれを認めてくれて今の政府というものが成り立つておるわけでありますから、これは国民の意思であると見なければならないわけであります。そしてその政策を遂行する上に、MSAの援助なかりせばもつと予算がいつたであろうものを、それだけの援助を受けるのでありますから、その意味においては予算の額をそれだけ少くしておるというふうに見ることができるだろうと思います。また大陸貿易がこれによつて阻害されるようにおつしやいますけれども、もともと日本は民主国家群、自由国家群との協力、国連との協力という建前で、大陸との貿易を制限して来ておつたのでありまして、MSAの協定ができることによつて、さらにより厳格なる制限をするのではないということは、これまで再三大臣からも述べておる通りであります。(「条文に書くじやないか」と呼ぶ君あり)書くのはこれまでの外国の例もありますし、日本としては現に行つておることを認めるだけでありまして、実質的に新しい義務を負うものではないということは、これまで申し上げた通りであります。  なお、外務省が国費を使つて自由党の宣伝をするのではないか、そういう趣旨のことをお前は応答したのではないかというお言葉に対しましては、私は実は不可解な念にたえないのであります。私が引用いたしました「MSAとはなにか」という冊子をごらんになりましても、また外務省で毎週のように出しておるいろいろな出版物をごらんになりましても、事実を曲げたようなことは絶対にしない、あくまで客観的にこうした問題を取扱うという方針で進んでおりますので、私どもはこうした実態をよくわかつてもらうために、最善の努力をするということを申し上げた次第でございますから、その点は御了承を願いたいと存じます。
  125. 穗積七郎

    ○穗積委員 もう一点関連して申し上げておきたいと思います。それは憲法と条約との関係でございます。それに入る前に一言申し上げておきますが、今小瀧次官は、MSAその他外交問題に対して、客観的事実を報道するだけだとおつしやいました。われわれの言うのは、今の政府のとろうとする政策に有利な国際情勢しか報告しておらぬということである。たとえば、土屋さんはさきに、MSA特にその軍事協定をしておる国々は三十余箇国ある、日本だけが何をびくびくするのかというようなお話でございましたが、実はMSAの援助を受けましたのは、一昨々年になりますか、その後の国際情勢はどんどんかわつて、ご承知の通り各国は武器援助よりは貿易を、という外交政策に転換いたしております。そうして特に欧州における中間勢力が、平和を念願するために、どんな外交政策をとつておるか。アメリカのアイゼンハウアーの政策なんというものは、園内においても、必ずしも国務省によつて支持されておらない。こういう軍人の武力政策がアメリカの国内においてもだんだん孤立化しつつある事実、特に欧州においてはそうだと思います。そのために、西ヨーロッパのイギリスを初めとする自由主義諸国の外交ですらそういう態度でもって、アメリカのアイゼンハウアーの武力政策を孤立化させ、戦争の危機を防いで行こうという努力がなされておる。そのために朝鮮戦争におけるばかばかしいマツカーサーの作戦ものけられた。そういう事実はさつぼり説明されておらないのであります。従つてそういうことを政府が税金で払われた国費を使つて宣伝されることは、とんでもないことであるので、そんなことはどうかやめていただきたい。もつと善意ある一般の報道機関、あるいは評論家の意見をもつて輿論を構成されるように、天くだり的に政府の意見でもって、これは国策できまつたのだから、協力しない者は非国民だ式の言葉をもつて国民をひつぱつて行こうとすることには、われわれはあくまで反対でありますからそのことを申し入れておきます。  最後に条約局長にお尋ねいたしておきたいのは、実はこれは特に責任のある大臣にお尋ねしたいと思つておつたのですが、先ほどお話が出ましたので、一点関連してお尋ねいたしておきますが、憲法の解釈は、もとより日本の国民自身がしなければなりません。ところが条約の上で憲法の範囲内においてこれを行う、もとよりこのことは客観的に申しまして、どのように御説明になりましても、MSAという法律そのものの目的が、武力を強化することを目的として援助を与えるというのでありますから、まつこうから日本の平和憲法とは対立するものであります。法律というものは、あなたは専門家で言いますが、われわれも法案習うときに、法の解釈というものは、法体系全体を貫きます精神によつて、個々の条文、文字というものが解釈されなければならない。そういうことから行きますと、まつ正面から対立しておることは言うまでもありません。従つてMSAの協定を受け、しかもそれを受けておいて、保安庁法を改正して、日本保安隊は外国の軍隊と戦争をするのだという宣言をするようなことは、明らかに憲法違反だとわれわれは考えます。  ところでここでお尋ねいたしたいのは、条約でそういう憲法の解釈について、憲法の範囲内でということになれば、どこが一体憲法の範囲内だ。現在の保安隊そのものが――当時われわれも、ここにわれわれの同僚の細迫さんもおられますが、ともに憲法委員として、憲法制定のときに討議に当りましたが、そのときは吉田内閣であつた。しかも委員長は並木さんの大将の芦田さんであつた。そういう人が一体何といつて説明をしていたか、何という解釈をされていたか。そのときから見るならば明らかに憲法違反だと思う。そこで問題は憲法の範囲内でという言葉は、国民を納得せしめるには役に立つ言葉ではありますが、実はこれほど危険なことはない。なぜかなれば、問題は憲法の解釈が問題なんだ。そこで憲法の解釈について、憲法の範囲内でということになりますと、憲法の解釈はどうだということが内容を規定いたします。その場合に、憲法の範囲内においてこの条約を実行するということを条約の上に書きますと、もしわれわれが憲法をたてにとつて、アメリカとの協定の実行を、協定に従つてアメリカが要求いたします政策または事実を、憲法に違反するからという建前によつてこれを拒否した場合に、その解釈は一体どうなるかということなんです。当然その場合にはアメリカの解釈に従えば、これはまだ憲法違反にならない、憲法の範囲内であるからこのことに協力すべきだというオブリゲーシヨン――義務を向うは要求するでありましよう。条約があれば当然のことであります。従つて本来の建前からいえば、憲法の解釈は日本国民自身以外の何者もしてはいけない。外国の干渉を受ける必要はないわけでありますが、条約の上で憲法の範囲内でこれを許すということになりますと、この憲法の解釈について、ここまでは憲法の範囲内で協力することができる、これ以上は憲法違反であるから協力することができないといつて、条約、協定の実施についてわれわれが拒否した場合に、一体アメリカは、それは憲法の範囲内ではないかということになりますと、その解釈については、アメリカもまた日本の憲法解釈に対して発言権を持つ。そうなりますと、実は憲法の討議で問題になると思いますが、アメリカの解釈、それは言うまでもなく二十一年に吉田内閣が提案されました憲法の原文になりましたアメリカの文書がございます。あの英語の文章によつて、アメリカ人は日本の憲法を解釈しておる。そうなりますと、これはゆゆしき問題であつて、実は憲法を守り、憲法の範囲内においてわれわれはアメリカに義務を負うのだということになつておりますが、実はそのことがあるために、かえつて憲法の解釈を拡大して、そうしてわれわれが当然持ってはならない義務まで、憲法の合法性をかぶせられて、合法性の仮面をかぶつて、どんどんアメリカから強要される。この関係は一体条約上どうなりますか、大事な問題でございますから、これに対する御見解を専門家である条約局長から明らかに伺つておきたい。
  126. 下田武三

    ○下田政府委員 御質問の点の前提となる問題でございますが、MSA協定は、これは武力政策であつて、憲法の審議の当時からの建前に反するという前提から御質問の点も出ておるのでございますが、私どもまずその前提に、非常に御同意できないのでございまして、なるほど平和憲法でございますが、自衛権というものは、これはたびたび申されましたように、どこにも否定していないのであります。独立国家が自国を守るために、当然の自衛権を行使するという点につきましては、憲法にいかなる禁止の規定もございません。MSAの根本目的は、この独立国として当然持つておる自衛権を行使する適当な手段が情ないことには日本にはなかつた。その情ない状態を改善するという当然の自衛力増強の要求から出ておるのでありまして、その根本の建前におきましては、何ら憲法の理念に反するものではないという前提の点を、まずお断り申し上げなければならないと思うのであります。  御質問の要点であります憲法の解釈、たとい協定の上において、この協定は憲法の規定に従つて実施せらるべしと規定したところで、憲法の解釈なるものがぐらぐらしたのでは実益がないではないかという御質問だと思うのであります。そこで、ただいま日本の憲法の解釈について、アメリカ側からどうのこうの言われるというようなお話がございましたが、これはとんでもないことでありまして、日本の憲法の解釈は、これは日本国民自身がいたすのでありまして、アメリカその他一切の外国から、一言といえども容喙さるべき性打のものではございません。これは政府のかたい方針であります。またアメリカが、日本の憲法の解釈は字句がどうのこうのというようなことは一言たりとも言つたことはございません。この点は御安心くださつてけつこうだと思うのであります。そこで国内的の問題しかないわけでありますが、これは民主主義体制におきましては、結局は国民が憲法の解釈をきめるものであるにいたしましても、実際面におきましては、政府の憲法の解釈とあるいは国会の一部の議員の解釈とは違うという場面が出て来ることは、これは私は当然だと思うのであります。そこで政府は、政府の解釈のもとにおいて、この程度なら憲法の違反は生じないという独自の限界をおのずから持つております。その限界に触れないようにするというのが、この協定の実施上政府が負う責任でございまして、その点は国会の一部の議員から、そんな限界は違うのだ、憲法の限界はもつと狭いところの限界であるべきだという御意見があるかもしれませんが、そこは国会の全体の中のどれだけの方が、政府の限界を御承認くださるかという、民主主義の通常の運営のルールに従いまして、国会の多数の御意見に従うところによつて行われるほかない、そう存ずる次第でございます。
  127. 並木芳雄

    ○並木委員 さつきの条約局長との間の質問の続行です。一番の問題はやはり海外派遣の問題で、これは特に若い人が心配してるのです。今たまたま話が出ました憲法の限界内でという問題なんだ。憲法の規定に従つて実施をして行く。ところがその限界内で実際において問題の余地がある。その点を私はもう少し突きとめたい。先ほど私が聞いたことから局長は開聞をそらして、交戦権の問題になつてしまつたのですけれども、政府の解釈によつて戦力に至らざるものが、たとえば朝鮮の動乱のような場合に、警察権の、警察行為として国連協力の線で出動した場合に、これは憲法違反にならないわけですけれども、その点はいかがでしようか。
  128. 下田武三

    ○下田政府委員 これは朝鮮における国連行動が、戦争であるか警察行動であるかという点がわかれ目になつておりますが、国際法上から見ましたならば、これはやはり戦争であると見なければならないと思います。従つて、たとえば捕虜の問題につきましても、これは戦争ではないのでありますが、ジユネーヴの捕虜の待遇に関する条約を準用するということをすべての当事国が同意しております。そういうようなところから見ますと、これはやはり交戦権をフルに行使する敵対行動が、朝鮮に行われておつたと見ることが正しいと思うのであります。つまり当事国は交戦権をフルに発動いたしまして、そうして敵対行動をやつておるのであります。従いまして日本は、交戦権はこれを認めないという憲法を持つておる以上は、交戦権を行使しなければできないような国連行動に参加するというようなことは、これは憲法上不可能なことでございます。
  129. 並木芳雄

    ○並木委員 その点が今まではつきりしておらなかつたのです。この前岡崎外務大臣が話したときには、憲法に違反しない――大臣もきつとよく研究していなかつたのだろうと思うのです。戦力でないのは、その場合に行つても、無法に抵触する規定がないという答弁をしておるのです。今の局長の答弁ならば、憲法九条の交戦権をたてにとつて、絶対に出られない、出ればそれ自体が憲法違反になるという解釈が成り立つのですけれども、その点は大丈夫ですか。たとえば、極端な例かもしれませんけれども、ここに二十人か三十人の人がいます。それが朝鮮へ行つて働く。国連軍の中に入つて一種の、武力行動に協力したという場合でも、それ自体はやはり憲法違反ではないじやないか。それと同じように、自衛隊あるいは海上自衛隊が行つて、たとい今言うような交戦権がなくても、朝鮮の動乱で働く場合に、それだけでは憲法違反にならないような気もするのです。今局長の答弁で、はつきり交戦権というもので、これは憲法違反だということがはつきりしていれば問題ないのですけれども、従来交戦権の論議をここでかわしましたときには、交戦権というのは戦う権利ではない。今言つた中立国の船を拿捕するとか、捕虜のときの待遇の問題だということで、われわれとしては軽く考えたわけです。しかし今のような答弁ですと、この交戦権は絶対的なものであつて、これある以上は、朝鮮へ行くこと自体が憲法違反であるという解釈なのですけれども、その通りでいいのですか。
  130. 下田武三

    ○下田政府委員 仰せの通りでございます。交戦権をお互いに行使して、フルな敵対行動をやつております朝鮮動乱に、日本が国として、あるいは部隊として公の資格において参加するということは、これは憲法違反になると思います。またたとえば安保条約の関係におきましても、これは日本の部隊が外国に出るということは全然予想しておらない。そしてその全然予想しておらない安保条約以上の義務を負うものでないということを、MSA協定にも書こうとしておるのでありまして、外へ出るということは憲法違反でもあり、同時に安保条約の予想しておらないところであります。  それからお話のありました、個人が政府なり国と無関係で行く、新聞記者の方も行かれるでありましようし、あるいは労務を提供しに行く方も――これは朝鮮は今許しませんが、労務を提供したり、雇われて行くということは、個人の自由意思の問題でありまして、憲法との面接の関係はないと思います。
  131. 穗積七郎

    ○穗積委員 ごく簡単に、後の討議のために二点伺つておきたい。一点は土屋さんに、もう一点は条約局長にお願いいたしますが、小麦協定によりまして、こちらで使うものは日本の自主的な計画によつて使い得る、その計画は、協定を結ばれるまでに日本政府の計画はお立てになりますかどうか。いつまでにお立てになるか、その点を一点明らかにしてもらいたい。それからも三つは、条約局長に憲法の問題でお尋ねいたします。これは本来保安庁長官にお尋ねすべきことだと思いますが、今度MSA問題に関連いたしまして、法律上の関連はありませんが政治的な関連がありますが、保安庁法を改正いたしまして、日本の保安隊は、吉田総理の言葉でいえば、外国の軍隊と戦争をしない、国内の治安のためだから警察であつて軍隊でないということを言つて来たのですが、その点が今度は、外国の軍隊と戦争することになる。そのときには、これは憲法の解釈によりますと、いわゆる交戦権を発動した戦争ではございません。しかしながら、自衛のための警察権を発動した事実上の戦闘行為になるわけですね。その場合に、その戦闘行為を行う場所は一体どこだということです。近代戦は言うまでもなく、航空戦が主力になつて来ております。特に日本のような陸続きでない島国におきましては、侵略がもしあつたとする場合には、もとより航空戦闘が先になると思う。その場合に自衛のための戦闘行為でありましても、それを全うするためには、その警察行為の作戦上、当然向うの、たとえば北鮮なら北鮮にあります航空基地をたたかなければ、防衛の目的を達せないということまで参りましよう。それは一体自衛のための警察行為の中に入るのか入らないのか。その場合の警察行為は、どんなことがあつても日本の領海から一歩も外へ出ない、その上空での戦いであり、領土内における戦闘行為に限られるというのか。あるいは自衛のためでありますれば、その向うの侵略の基地であります航空基地もたたくという必要がございましよう、機先を制する必要がありますから。その行為も入るのか入らないのか、その地域的な限界を明らかにしていただきたい。その他のことは次の機会に譲りたいと思いますが、その二点、最初は土屋さんから、あとは条約局長からお願いいたします。
  132. 土屋隼

    ○土屋政府委員 防衛産業に対して支持を受けることに対しての計画でありますが、これはおそらく協定を急いでおります関係上、協定締結の際に間に合うような計画が提出されることは、私はまずなかろうと思います。穗積さんは、少い金じやないといつて、おしかりを受けましたが、私はやはり日本の防衛産業全体からいえば、決して多くない額でありますから、もらつてからこのくらいのものをきめるのは、わけはなかろうと思いますので、もらつてからきめようと思います。
  133. 下田武三

    ○下田政府委員 自衛権行使の地域的限界でございますが、これは実は保安庁からお答え申し上げた方がいいと思うのでありますが、ただ国際法上の見地と、もう一つは、日本国憲法の「国の交戦権は、これを認めない。」という規定の二つの制約から考えますと、これはきわめて厳格に解すべきものだと思います。昔は遠く満州におきまして、日本は自衛権の名のもとにおいて軍事行動に出ましたが、これは許されないことはもちろんでございますが、相手国の領域にまで立ち入つて相手国の飛行基地を爆撃するということは、これはやはり交戦権なくしてはできないことでありまして、そこまで行くことは私はできないことだと思います。ただ実際問題といたしましては、そこまで行くことは、これは日本のやることでなくして、安全保障条約のもとに米軍がやつてくれることであると思うのであります。そういう制約がございますが、また一方これをきわめて小さく解し過ぎるということは、私は不適当だと思うのであります。たとえば敵の飛行機は海洋から三海里の領水内でなければ落せない、三海里の領水線を越して来れはやつと立つて、それを越して逃げればもう追つかけないというのでは、マッカーサーが満州のサンクチユアリーに入れないといつて嘆きましたように、これはまた自衛権の完全な行使ができないのであります。その限界をあまりに狭く解することも、私は不適当であろうと思いますし、かといつて、飛行機は敵の基地から出るのからだといつて、敵の基地まで爆撃するということも私は不当だと思います。結局その事態に応じまして総理大臣がおきめになつて、この無法と国際法上の制約の範囲内におきまして、適当な限界を個々の場合におきめになるほかないものだと思うのであります。
  134. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私は質問する前に一言申し上げたいのは、委員会における委員の発育というものは、その条約に対して反対の考え方であろうとも、賛成の考え方であろうとも、いろいろな角度から質疑をし、そうしてそれをきめて行くものだと思いますので、与党の議員から先ほどこれを押えるような発言がございましたので、そういうようなことがないように、委員会の運営をしていただく、こういうことを委員長にお願いしたいと思います。  そこで私がまず第一に伺いたいことは、MSA法と俗にいわれております法律、MSA法といつた場合に、これは本協定というものと、それから余剰物質の買付協定と、それから円貨使用協定と投資保証協定、そういつた四つのものをいうのであるかどうかを承りたいと思います。
  135. 土屋隼

    ○土屋政府委員 私どもこの問題と取組んでおります間に、いろいろの言葉が出て来まして、実は少々迷つておるのでございますが、MSA法と普通いつておりますのが実は少しおかしいのでありまして、MSAと普通いつておりますのは、アメリカが対外援助をするためにつくりました法律のことをMSAといつているので、MS法というものがあるわけであります。相互援助の法律がございまして、その法律の権限によりまして、大統領が各国と結んでおります、つまりアメリカがMS法によつて各国と結びます条約は、相互防衛援助というのが正しいのではないかと思つております。その相互防御援助はMS法によりますので、私どもは普通これをMSA協定と呼んでおりますが、正しい名前は、相互防衛援助協定というのが正しいかと存じます。この相互防衛援助協定は一つの協定になりまして、これがわれわれが通俗にいう、現在交渉しておりますMSA協定でありまして、小麦の五百五十条は、アメリカのMSAという法律自体の中に五百五十条というのがありましてこれによつて小麦を買いつけるという別の協定を結ぶことになりますので、いわゆるMSA協定ではないわけであります。従つてMSA協定からはみ出まして、正しくいえば相互防衛援助協定からはみ出まして、MSAの五百五十条による買付ということになります。その中でさらに二つにわけまして、四千万ドルと一千万ドルとの使途協定が別につきますから、これはいわば五百五十条から、二つの協定が生れて来ることになるかと思います。それから民間投資保証の方は、これもMS法自体に根拠はもちろんあるのでありますけれども、MSAの協定をすれば当然にそれが来るのではございませんで、これも別途協定を要しますので、これがまた別途の協定をやる、こういうことになる。従つて、観念上は普通MSA協定といつておりますが、小麦の買付の問題、使途の問題、それから民間投資の保証の問題、それにいわゆる本協定といわれております相互防衛援助協定、こういうものが全部羅列されることになります。
  136. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それが羅列されるといいますと、大体本協定と、それからそれに伴つての付属的な協定ということになるわけですか。
  137. 土屋隼

    ○土屋政府委員 これはMS法自体にみんな根拠を置きますものの、それが日本との現実の関係を考えてみますと、かりに五百五十条の小麦の買付でございますが、MSAの中には、MRAの援助を受ける国でなければ貸付ができないとは書いてないわけです。万灯国であれば買付ができるということになります。それから民同投資保証についても同様のことが甘えるわけでふります。ですから、羅列しましてといいますと、MSAに付属してみな来るようでありますが、いわゆる日本が結びます小麦協定とは別の立て方になりますので、必ずしも付属したという言葉は当らないかもしれません。しかし親のMS法が一つでございますから、その意味で分家同士だというふうにお考えになれば、正しい考え方でないかと思います。
  138. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうすると、たとえば分家同士くらいで、親子協定というところまでは行かないわけですね。それほどの関係はないというわけですか。
  139. 土屋隼

    ○土屋政府委員 兄弟で多少順序をつければ順序はつきますが、一応見たりがたく弟たりがたしというところもあるかもしれません。
  140. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうなると、その相関関連が別になくて、MSA法というものはありますけれども、その四つの協定というものは別々のものだ。しいてくつついているといえば、小麦の買付協定と、それから千万ドルのグラントの使途協定、そういうものが関係があるけれども、あとのものはそれぞれ個々のものであるということが言えるのではないかと思いますが。その点はどうなんでしようか
  141. 土屋隼

    ○土屋政府委員 理論的に押して参りますと、受けます日本側から見ますとそういう見方ができるだろうと思います。ただアメリカの方は令部MS法という一つの法から流れ出るいろいろな体系でありますから、向うではこれを一つにして考えているわけであります。
  142. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私がそれを伺いました理由は、たしか英国とは、余剰農産物の、いわゆるMSA五百五十条の場合に、それを別個の協定として結んでアメリカからタバコを買いつけているのでしようか。それとも、これはMSAの中の付属文書として受けているのでしようか、その点を承りたいと思います。
  143. 土屋隼

    ○土屋政府委員 これはMSAの五百五十条に根拠を置きまして別個の協定であります。
  144. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私がその点を伺いましたのは、土屋さんがおつしやいましたように、非常にデリケートな、何かちよつと関係はあるけれども、日本の場合には別々だ。しかし日本の場合において、MSA協定がはつきり軍事協定であるにもかかわらず、政府が初めに経済的な意味も入つているのだということを述べられた点と、それからまた池田さんが向うにいらして、何とか経済的な協定であるということを国民に強く印象づけたいために、こうした小麦協定もMSA協定と付随したものであるという印象を与えるために、この五百五十条の小麦買付協定というものを結びつけて、そうしてMSA協定は経済援助の面がたくさんあるぞというふうに、国会なりあるいは一般国民を説き伏せるために、何かそこに関係をしいてつけられたように考えられるのですけれども、その点は先ほど土屋欧米局長がおつしやいましたように、理論的には、日本側から考えるならばこれはある程度の関係はあるが、一つの独立した協定である、こういうふうに考えていいわけでしようか。
  145. 土屋隼

    ○土屋政府委員 結論的に御返事申し上げますと、そうお考えいただいてよいわけであります。ただ、政府は軍事援助であるにかかわらず、経済援助の面を強調して、それだけに国民に納得させようとしているというお話でございますが、その点で私は戸叶さんにもう一回ひとつ虚心坦懐に考えていただきたいのです。用事援助を受けることが、経済的の効果がないかという問題です。日本が防衛力を増進するということを自分できめて、自分で防御力を増進する限りにおいて、かりに兵器の供与を受けても、それが日本の予算の節約になるのですから、経済的援助というふうに内容としては見られると思う。私はあえてそれを強調いたしません。軍事援助でございます。しかし軍事援助だけでけしからぬ、経済的援助といううまみがないというおしかりを受けるなら、それはないことはないのです。MSAの五百五十条もあります。民間投資も、MSAの援助を受け刷ることになつたときに初めて、日本にやろうという心構えにアメリカがなると思う。独立の協定であるようなものの、アメリカから見れば一つでございます。ですからMSA協定が必要でございます。こう申し上げているので、もしその点に従来私どもの説明の足りぬ点があるといたしますと、はなはだ残念でございまして、池田さんもその点を努力されたと思います。私どももその点は初めから苦心して来たのであります。その苦心のあるところをもう一回お考えいただきたいと思います。
  146. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そういうふうに土屋さんがはつきりしていらつしやるならば、私どもは反対でありましても、わかるのですけれども、岡崎外務大臣はそういう御答弁をしておりませんし、また池田さんの場合にもそうでなかつたのです。ですから、今初めてその四つの協定というものの関係もそういうものかとわかつたわけです。この間岡崎さんにお伺いしましたときには、岡崎さんはこの四つは非常に関係がありまして、何かMSAの本協定があつて、それにつながる子の協定みたいなものである、そういうふうな説明をされました。ところがきようの新聞に、小麦買付協定というようなものが近いうちに、MSA協定が結ばれる前に出て来るというようなことが報道されまして、先ほどその点を並木委員が確かめられましたところが、いや、まだはつきりそれはわからない、前後して出るだろうというようなお話でした。岡崎さんの御説明を了承して行くとするならば、何かしら親協定ができないで、子供だけの入籍をさせるというような、非常に変な形のものになるのですから、その点私わからなかつたわけなんです。そういうふうに土屋さんの御答弁と岡崎外務大臣の御答弁との間には、大きな食い違いがございますから、その点よく統一をしておいていただきませんと、国会でさえも解釈の仕方に苦しむことがございますから、どうぞその点をはつきりさしておいていただきたいと思います。  それからもう一つでございますけれども、二月三日の夕刊によれば、河野さんが質問したときに森永主計局長は、顧問団の行政費は防衛支出金でまかないたい、こうおつしやつておられます。私がここで岡崎外務大臣に伺いましたところが、岡崎外務大臣はそれに対して、まだよくわからない、こうおつしやつた。それから保安庁の方からは、予備費でまかないたい、こういうふうにおつしやいました。土屋欧米局長は、大体この顧問団に要する費用は援助額の一割くらいだ、こういうふうにおつしやいましたが、まだどこから出すかはわからない。よその国の例を伺いましたところが、よその国の例はわかつておりません。こういう御答弁でございましたが、その後おわかりになりましたでしようか、これを承りたいことが一点。  それからもう一つ、そういう顧問団の行政費のようなものは、防衛分担金からは出せる性質のものではないと思います。このMSAの顧問団が大使館並の待遇を受けるということになりますと、当然防衛支出金からは出されるべきものではないと思いますが、その点の外務省の御見解を承りたいと思います。
  147. 土屋隼

    ○土屋政府委員 先日こちらの方でこの問題について論議をされたことは、私も承知しておりますが、今戸叶さんから大体において援助額の一側くらいだというお話を言われましたが、私がよそで申しましたのは、各国の例は発表いたしておりませんからよくわかりませんが、われわれの内査した程度では、一群多いところでも援助額の一割というのが最満額で、もつと少いところを各国が出しているようでございますから、日本もなるべく少く出したいと思いますという見解を実は申し述べたわけであります。  防衛分担金から出してはいけないのではないかというお話ですが、私も防衛分担金と行政費とは性質が違いますので、防衛分担金からまかなうことは、技術上おそらく無理であろうと思います。  それから保安庁の方で予備費から出すというお話でありますが、私もこの行政費は今後交渉を進めておりますと、大体の額がつかめるかと思います。それはわかりませんが、かりにどういう額であつたにいたしましても、予算上の措置は実はまだ何もしておらないというのが事実でございます。先日戸叶さんから、はなはだ怠慢じやないかというおしかりを受けましたが、怠慢をせざるを得ざる理由があるわけであります。ということは、協定自体がまだきまつておりません。国会の承認を経ておりません。国会の承認を経ていないものを急に予算をつくりますと、ますます戸叶さんのおしかりを受けるだろうと思います。おしかりをいくらかでも少くするのには、何もきめておかない方がよかろう、きまつてから考えたらよかろうこういうことでございます。
  148. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私はこの間組んでおかないのはけしからぬと申し上げたのじやございません。ただMSAの協定を近く結ぼうとしていらつしやる政府が、そういうものを当然負担しなければならないのに、出すところもどこだかわからない、こういうような態度に対して、私はあまりにもそれはたよりないということを申し上げたにすぎないのですから、その点をはつきりしておいていただきたい。大体よその国でもどこから出ているかということは、まだお調べになつておりませんですか。
  149. 土屋隼

    ○土屋政府委員 先ほど申し上げましたように、これは各国とも全然発表しておりませんから、正式にはわかりません。ただわれわれが調べた範圏でありますと、今申し上げましたように、自分の国の軍事費から出しておる国もありますし、また見返り資金のように、それを初めから申し合せて、自分の国の貨幣を積み立つておるところもございます。従つてただ内査程度でございまして、正式のことは言えませんが、残念ながら各国の例は一国も発表いたしておりません関係上わかりません。
  150. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私の聞くところによりますと、MSAによつて経済援助を受けておる国が、その見返り資金を積んでおいて、その中から行政費としてまかなつておる国が多い。ところが日本の場合には経済援助ではなく、MSAの本協定が軍事援助だけなので、そういうような本協定による見返り資金というものがないので、これをどこに組んでよいかわからないというような立場に追い込まれておるのじやないかということがまず一点。  もう一つ承りたいのは、五百五十条によつて小麦を買いましたときに、日本円がそこにある。それがアメリカとの話合いで、どうせひもつきの軍事的の方面にしか使われないでしようけれども、そういうものの中から顧問団の行政費に使うというようなことは許されないものかどうか。この点を承りたい。
  151. 土屋隼

    ○土屋政府委員 経済援助を受けておる国で、経済援助を受けたものの中から、見返り資金のような形で行政費を出しておる国が一、二あるのではないかということは、私ども大体そういう見当はつけておりますが、経済援助を受けておる国が、みな経済援助を受けたものの中から見返り資金を出して、これで行政費をまかなつておると断定することは、少し事実に当らないようであります。  それから五百五十条の円貨から出すということは、五百五十条の中の規定自体がその使途を明示しておりまして、今度日本が受けますと、日本産業の振興ということになりますので、その項目をかえて、その顧問団の行政費にかえるということは、MSAの法律上どうしてもできないであろうと思います。
  152. 戸叶里子

    ○戸叶委員 使うことはできませんか。
  153. 土屋隼

    ○土屋政府委員 できません。
  154. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私は一千万ドルのグラントをしてもらつて、非常に援助してもらつた、援助してもらつたと言いながら、顧問団に対しての負担がかえつて重くなつて、たいへんだということにならないことをひたすら願うわけであります。  そこでもう一点承りたいことは、先ほど申しました四つの協定は、大体どこが先に結ばれそうでありますか、この点を承りたい。
  155. 土屋隼

    ○土屋政府委員 実際上難易から申しますと、民間同士サインするというのは、双方その気になればわけがないだろうと思います。次に日本も大体において腹がきまつておりますから、五百五十条の小麦買付ということも結局わけがないのではないかと思います。本難についてはいろいろの問題で残ったものもございますので、一番遅れるという公算が今のところ多いわけであります。しかし多いと申しましても、時日の差は、一週間か二週間というところを出ますまいと思います。
  156. 戸叶里子

    ○戸叶委員 小麦の協定が二、三日中に、締結されるというふうに出ておりましたが、そうでございましようか。
  157. 土屋隼

    ○土屋政府委員 そういうことになるのではないかという見込みも、実は二、三日前にあつたものでありますから、そういう報道があつたと思いますが、現在で申しますと、二、三日中に調印されるという公算はまずなかろうと思います。
  158. 戸叶里子

    ○戸叶委員 小麦協定の内容についていろいろ承りたいことがございますが、先ほど穗積委員も少し触れられましたので、次の機会に譲りたいと思います。
  159. 並木芳雄

    ○並木委員 議事進行について。この際委員長にお願いいたします。実はMSAの問題その他アメリカの事情については、私どもも知りたいので、前大使の新木さんにできるだけ早くこの委員会においでを願つて、われわれから質問を申し上げたい点がございます。たまたま今前カナダ大使、現アメリカ大使の井口さんも日本に来ておりますから、これもあわせておいでを願えればなおけつこうでございますが、さようおとりはからいを願いたいと思います。
  160. 上塚司

    ○上塚委員長 ただいま並木君より御提案の件につきましては、後ほどあるいは後日理事会を開催いたしまして、御相談いたしたいと思います。なおこの際念のために伺つておきますが、新木大使をここに呼ぶという目的の一番重要な点はどこにあるのですか。
  161. 並木芳雄

    ○並木委員 一番の重要な点は、MSAの交渉に関する件であります。そのほか大使として、向うの経済事情、ことにわれわれの関心を持っている外資の導入、開発銀行――、ワールド・バンクその他を通じてのアメリカからの借款の件でございます。
  162. 上塚司

    ○上塚委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十一分散会