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1953-12-04 第18回国会 衆議院 運輸委員会 3号 公式Web版

  1. 昭和二十八年十二月四日(金曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 岡田 五郎君 理事 關谷 勝利君    理事 松井 豊吉君 理事 原   彪君    理事 楯 兼次郎君       岡本 忠雄君    木村 俊夫君       徳安 實藏君    有田 喜一君       岡部 得三君    正木  清君       松原喜之次君    山口丈太郎君       館  俊三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君  委員外の出席者         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  運輸行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 關内正一

    ○關内委員長 これより開会いたします。  運輸行政に関し質疑を続行いたします。館俊三君。
  3. 館俊三

    ○館委員 御質問を申し上げますが、すでに各回僚委員からいろいろの点にわたつて質問が続けられておりますので、それと重複するかもしれませんし、あるいは別な話になるかもしれませんが、総裁がいらしておるので、ちよつとお尋ねをいたします。  それは、国鉄労働組合が一日、三日、三日にわたつて、いまだかつてなかつたような争議状態に入つた。二十四年定員法以来、そういうことが今まで見られなかつたのですが、こういう抵抗といいますか、総裁に対する抵抗なのか、あるいは政府に対する抵抗なのか、これは私は言いませんが、とにかくそういう姿が現われまして、いろいろな意味において世間がこれを見ておる。労働組合大衆諸君の見方はまた見方である、一般大衆諸君の見方もまたある、いろいろ階層に従つてその見方は多少異なつておるでありましようが、しかしこういうことがあつてはならないということは期せずして一致している。これは労働組合としてもこういうことはしたくなかつたでありましよう。また世間一般の鉄道を利用しておる立場に立つ人としても、その上に立つてのまた批評の仕方もあり、また非難の仕方もあつて、これは単に批評でなくて、これがいろいろの階層階層について、おのおのの反省というものもあるだろうと私は見ておる。単に批評だけでは済まされないので、これに何かの原因がある、あるいはまたわれわれとしても考えなくちやならぬ立場があるというようなわけで、各階層ごとにそれぞれ反省をする必要があるのではないかと私は思う。そこでこういう事態に対して総裁、当局側としては、管理上の立場からいろいろとおつしやつておられるのだが、そればかりではやはり事態が収まらないので、自分たちの管理的な立場から見て、相当の深い内省がなければならないと思う。もしそういうものがおありでしたら、ざつくばらんにひとつ承つておきたいと私は考えております。お互いに持ちつ持たれつの世の中ですから、単に相手を非難し、あるいは批評するだけでは、総合的な調整ができない。そこでやはりみずからの立場において、みずからを深く反省をしなければならない点が必要だろうと思う。そういう点で、何か御反省なさるようなことがお気づきになつておられるかどうか、また反省をしておられるのかどうかという点について承つておきたいと、思うのであります。
  4. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 一つの事柄が起きました際に、それは必ず相手方もあり、二つ以上の単位のものが必ず存在するだろうと思います。そうするとその場合に、その二つ以上のものがお互いの立場に立つて、そういう争いと申しますか、事柄と申しますかが起きるのでありますから、それらを起した原因等については、その立場々々によつて見るところがあつて、そこにそういうものが起るということになると思います。従いましてその立場々々に立つてみて、事柄の前提条件というものがはたしてどういうものであつたかということを、まず反省する必要があるのではないかと私は思う。それと、むろん今度のような場合においては、第三者的な立場にある人、あるいは直接鉄道を御利用になる方々というような、いろいろな立物の方たがございまして、その立場の方々が、やはり立場々々に応じて、今お話の通り御批判をなさるのでありますが、同時に、やはりこれは相手の立場にも立つてみて、そして自分たちの立場というものを振り返つてみることが非常に必要だと思います。そういう意味合いにおきまして、私どもも大いに反省しなけれぱならぬ点があると思いますが、私のただいま持つております考えでは、何と申しましても、国有鉄道の復興と申しますか、復旧と申しますか、そういう点で経営的に非常にきゆうくつな立場に置かれてあるということが、私はどうしても一つの大きな原因でないかと思うのであります。しからばそれはどういうところから来ているかと申しますと、これもいろいろな原因から参つております。日本の終戦後の経済状況、社会情勢というようなものから、根本的には根ざして来ているのじやないかと思います。たとえて申しますと、国有鉄道運賃というものは、何と申しましても一般物価水準その他から見まして、著しく低位に置かれていることは事実でございます。しかし私はそれが悪いというのじやありません。これは国家の財政経済、あるいは社会情勢全般から見まして、そういう地位に置かれなければならないというふうなことも、これまたやむを得ないことだと思います。しかしながら同時に、あまりにも低位に押えられる、しかもそれに対して何らの救済方策も講ぜられてないということは、これはどうしても片手落ちであつて、何かそこにお考えを願わなくてはならない点があるのではないかと思います。  第二の点では、国鉄はとかく独占事業だと申されますけれども、しかしそれは過去の夢でありまして、今日ではトラック、バスに非常に蚕食されております。しかるにトラック、バスというものは、なるほど乗物は自分で持つておつて、その乗物の修繕あるいは改良ということは、その所有者がやつております。しかし道路というものは、全然トラック、バスの業者の行うとろではございません。しかるに私どものところは、かつての独占の結果だろうと思いますが、それがそのままに行われておりまして、今日においても線路、橋梁、トンネルというようなものの改良、維持、修結はじきじき行わなければならぬ。今度の大水害の道路の復興までいきいきでやらなければならぬということも、一般的慣例と申しますか、慣習と申しますか、そういうことがございます。それらにつきましても将来においては何らかの別の方法をお考えくださるわけに行かないものかということで、私は目下考え中であります。この問題などはヨーロツパの鉄道においても大きな問題になつておりまして、多くの国においては少くとも戦災による復興については、国家がある程度の負担をしております。また運賃等の社会政策的な割引を国家が命じました場合においては、その補償を国がやつておるところもあります。それから建設線でありますが、新線の建設ということは、これはいかなる見地から考えましても、また実際のケースに当つてみましても、全部赤字線でございます。ただいま実行されております三十本の線ができますと、年間四十億ないし五十億の赤字になるのであります。これが十年、二十年の後にはたして黒字の線にかわるかと申しますと、これはなかなか黒字の線にはかわらないと思います。二十年たちますと約千億の欠損になりますから、これは国鉄の前途にとつてゆゆしき問題であると思います。それでは新線はやつてはいかぬのかと申しますと、私はそうは思いません。日本国の全体の状況から見ましたならば、電源開発あるいは国土開発というような面で、ぜひ鉄道を敷く必要があるというところは、まだまだたくさんあると思います。その際に電源開発をし国土を開発しますれば、今まで出て来なかつた物費が出て来て、それが活動をいたしますから、必ず国家全体には利益であると思います。しかるに国鉄だけは非常に不利益になるという点で、この利益の公正なる分配と申しますか、そういう面で考えなければならぬ、そんなような点をいろいろと私は考えております。そしてそれを一つ一つ片づけて行く、整理をして行くということは、まず労使間の問題の解決にあたりましても、経営の基礎と財政の基礎がはつきりしておらなければ、どうしてもむずかしい問題がしよつちゆう起る、かように考えております。
  5. 館俊三

    ○館委員 今の総裁の御意見は、先月の連合審査会でも総裁が非常な抱負をもつてお話になつたのであります。私も大体においてそれには同感なのであります。そこで総裁が独立採算制の国鉄を預けられて、それだけの抱負と経論を持つていらつしやるのに、なぜそれができないのか、その法規上の制約ですね。これについて苦痛をお考えに、なつていらつしやるのがどうかということなんですが、どうでしよう、身にしみて感じていらつしやるのではないかと私は思うのですが……。
  6. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 私実は就任いたしまして、もはや三年になりますが、その点についてほんとうに腹を割つて申し上げますと、御承知の通り終戦後五、六年にわたつて、全然国鉄とか鉄道とかいうものに触れておりませんでしたので、戦後の鉄道に対する私の考えがまとまつておらなかつたのであります。漸次いろいろの観点から考えまして、ただいま申し上げたような一つの意見がようやくできた。それにはやはり国外の鉄道の例証も見出さなければならなかつたのですが、幸いにして今年の一月にヨーロッパやアメリカの鉄道を見る機会に接しまして、それらの鉄道を拝見いたしますと、私が考えておつたことは先進国においてはもうすでに着々と実行されておるということを見まして――むろん日本の国有鉄道は、ヨーロッパやアメリカの鉄道とは事情を異にしております。同時にこれら先進国が歩んで来た轍を踏まないように、今日から考えなければならぬということを痛感いたしまして、ようやく最近になつて今申し上げたような考え方を持つようになりましたから、今後はこれを皆さんにごひろういたしまして、できるだけ皆さんの御参考に供して、何らかの方法でこれを解決しなければ、悔いを百年の後に残すのではないか、かように考える次第であります。
  7. 館俊三

    ○館委員 そういう心がけで行つてもらいたいと思うのですが、今国有鉄道の諸般の問題、もちろん労働問題をも含めて諸般の問題の根本の原因を除去するための抱負をお述べになつたのでありますが、その際にやはり企業内の財政の問題が出て来ている。私は今どういうふうに制約されるかという法規上の問題についてお聞きしたのですが、財政の面に触れられたので、私も言いますが、これは国有鉄道の財政の範囲内で解決ができるのではなくて、一番の問題は今日の国家全体の財政が制約しているんだというふうに考えざるを得ない。そこで国全体の財政がどういうふうなために、企業内にも制約を加えて来るかということについて、どうお考えになつていらつしやるのですか。
  8. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 私は財政の専門家でありませんので、一国の財政の状態がどういうふうになつておるかということをつまびらかにいたしません。これはわが田に水を引くようではなはだ恐縮でありますが、たとえば電源開発をなさる、それは非常にけつこうであります。しかし電源開発をなさるにあたつては、天龍の場合吉をとつてみましても、只見川の場合をとつてみましても、必ず鉄道の敷設ということが先決条件になる。ところが鉄道の吸殻については、ほとんど電源開発の方では計画をしてない。たまたま今度の天龍川につきましては、電源開発会社とわれわれとの間に水没区間の問題、輸送力増強の問題等について、一部というよりもほとんど全部に近い改良建設の資金を向うが負担をする。そのかわり将来事業が終つた場合には、相当の値段によつて国鉄がそれを引継ぐということが実行し得たら、電源開発が進むのでありますが、国としましては当初から電源開発の予算なり国鉄の予算に組むべきである、私の方で見なければ電源開発の方で見るべきである。国土開発等についてはおそらくは鉄道の敷設ということまでは考え及ばなくて、鉄道の敷設は当然国鉄が負担するであろうという前提のもとに行われておるのじやないかということを私は非常の憂えるのであります。どうもそうらしいのであります。これらの点は予算の調整と申しますか、そういうことを十分にお考えになる必要があるのじやないか。一例を申しますと、私どもはそういうようなことがあるのであります。どうも国鉄は先ほど申しましたように独占事業である、国家の卒業である、であるから当然なすべきである、掛をしようがしまいがそんなことはおれらの知つたことではない。まあそこまでお考えになつておればまだよい方ですが、お考えになつていないのであります。これは結果的には先ほど申しましたように五十億も年々赤字が出る。それが二十年になれは千億の赤字になる。千億の借金を国鉄が背負つたら相当なものだと私は思うのです。ですからここにおいて、これらの問題はぜひ何とか貝鼻をつけなければならぬ。これは非常に思いつきでありますけれども、こういう新線の開発によつて利益を受けるのは国全体でありまして、通過町村はむろん受けますし、そのほか実際森林を持つておつたり、鉱山を狩つておる方は必ずもうかるはずです。そこで少くともこの三者は、われわれの損失の全体とは言いませんが、ある部分は御負担になつてもさしつかえないのではないか。そのほかのある部分は、これは国鉄の経営合理化によつて埋める、そういう方向へこの公共企業体である国鉄を持つて行かないと、何でもかんでも全部お前が背負つてしまえということは、今日ではとうてい耐えられない。その原因は何かと申しますと、私は独占の夢が破れたというところにあると思います。
  9. 館俊三

    ○館委員 今の長崎総裁の話もその通りなんです。今までの委員でよく当局の話をその通りだと言つておるのは私一人なんです。鉄道の経営をやる場合には、国全体の総合開発とマッチさせ、あるいはこれを総合的に調整する。こういう能力は、単に国鉄問題ばかりでなく、政府当局にはない。こうやく張り的な手当をのみやつておるということを、長崎総裁みずからが自分の事業経営の上に立つて、今嘆かれたことであると私は見ております。さらにまた国全体の財政が国鉄というところへしわ寄せされて、国鉄の開発といいますか、計画といいますか、長崎さんの大抱負が実現できないということですが、その国全体の財政の最も大きな主眼としておる軍事予算の問題については、この間から聞いておるのに、どなたも触れておる人がないが、これが十きなこぶになつてしまいまして、金科玉条というと言葉もおかしいのですが、動かすべからざる予算として確保されておる。そのために国鉄に対しても十分なる手当ができない。長崎さんのような頭を持つていらつしやる方は政府当局にもいる。おそらく長崎さんばかりじやないのだと思う。そういう経綸抱負が国全体に行われないのは、経綸がないのではなくて、そういうこぶが大きくのしかかつておるからだと私は見ておるのであります。これは私の意見ですからここまでにしまして、今いろいろの制約が長崎総裁にかぶさつておるようでありますが、たとえば一番最初に申しました一日、三日、三日に起きた争議を調整する、あるいはまた起させないというような事柄について、その制約がある限定内でどのように御努力をなさつたかということをお聞きしたいために、まず公労法に基く中央調停委員会の結論が発表された町分に、これをお受けになつたのか、拒絶されたのか。拒絶されたとすると、その拒絶された理由についてまずお聞きしたいと思つております。
  10. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 調停委員会の調停案が出ましたときには、私どもの見解といたしましては、金額については諸般の事情を勘案しますと、おおむね妥当であろうと思われる。しかしながらこれが実行の面になりますと、財政その他の点から容易でないから、これをこのままお受けするわけには行かない、こういうお答えをいたしたわけであります。
  11. 館俊三

    ○館委員 その財政の面からいうととても引受けられないということは、企業内の財政面の上に立つて引受けられないというふうにお考えになつてお断りになつたわけですね。
  12. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 さようであります。
  13. 館俊三

    ○館委員 その次に仲裁裁定が発表せられた。その時分にはどうしても法律上拘束されるのでありますが、その際にどういう態度をとられたかということは、すでにほかの同僚委員からしばしば聞かれておるので、私も大体認識しておるのでありますが、そのときの御処置として、一つの企業としての補正予算をこさえられて、企業体から見た企業を補正する予算、これをお出しになつたのでありますが、その内容についてあらためてお聞きしておきたい。
  14. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 その補正予算は災害と合せまして、裁定の完全実施ができるように案を出したのであります。但し財源不足でありますから、六十数億に上る新しい借金をするということになります。
  15. 館俊三

    ○館委員 その財源がないという建前でこさえられた補正予算でありますから、その財源をどういうふうに求められた上で補正予算を御提出になつたのですか。
  16. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 六十数億の借入れをする上であります。
  17. 館俊三

    ○館委員 この裁定で決定された額を履行するために必要なる予算は、全部借入れによつておやりになるつもりでありますか。
  18. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 この資金の方はどれがどれに当るということでなしに、全体でもつて、裁定の実施に要するものは九十数億、それから今度の災害で本年度にやらなければならぬのは八十九億、その百八十数億というものに対していろいろの財源をかき集めて、結局足らないものは六十何億ということでございます。
  19. 館俊三

    ○館委員 そこで総裁にお尋ねしたいのですが、その財源を求める際に、労働組合といたしましては、企業内のいろいろな諸経費の節減によつてある程度生み出せるのだ、こういうような、組合は組合なりの計算をしながら要求しておつたのであります。その当時においてはどれくらいの経費が生み出せるというお考えがあつたのですか。
  20. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 当時においては節約額がたしか十五億ぐらいだつたと思います。
  21. 館俊三

    ○館委員 わかりました。それではもう一つお聞きしたいのです。最初補正予算を総裁として政府に出さなければならない、こういうふうにお考えになつたことは、公労法のどういう規定に基いてお考えになつたのですか。あるいはまたそうでなく、単に裁定の制約を受けるから、これを出さねばならぬというわけでお出しになつたのですか。
  22. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 裁定は当事者を拘束しますから、実行する責任があります。それによつて財源の補正を要求いたしたわけであります。
  23. 館俊三

    ○館委員 公労法の十六条の第三項によりますと、これは公聴会に公述人として来られた方がすべて一致した愚見でありますが、予算をつけて国会に出さねばならぬということになつておる。そういう建前で長崎さんも運輸大臣に対して、補正予算をこしらえてお出しになつたのかどうかということなのです。
  24. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 そういうような規定の趣旨もございますから出したのですが、十六条の二の方は政府の問題であろうと思います。私どもとしましては、当事者の立場から裁定の実行の責任がございますから、予算をつくつて政府に向つて、こういう予算でやつてくれないかという要求をしたわけであります。
  25. 館俊三

    ○館委員 裁定によつて拘束されるのは国鉄の総裁であつて、政府が拘束されるのではないという考えでいらつしやるのですか。
  26. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 公労法の解釈の問、題は私がなし得るものではございませんで、労働大臣でございますか、運輸大臣でございますか存じませんが、そういうものじやないかと思います。私どもはただ公労法の正当な解釈に従つて行けばいいのであつて、それから見ますと、この三十五条でございますかは、当事者を拘束するということになつておりまして、われわれは裁定の当事者である、組合と公社とは両方とも裁定に拘束される、最終的決定であるこういうことになるわけであります。
  27. 館俊三

    ○館委員 運輸大臣がいらつしやつたのでお開きしたいのですが、十六条の二項は、必ず予算をつけて政府が国会に提出するのがほんとうである。国会はその予算をつけて提出されたものを否決する場合もあろうし、あるいはその通り通す場合もあろうが、しかし十六条の二項というものは、予算をつけて国会に提出するのが正しいのだ、これは公聴会において各公述人が期せずして一致して言つておられることでありますが、その点については運輸大臣はどうお考えになりますか。
  28. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 この問題は昨年から繰返し繰返し話が出る問題でありますが、十六条の二項の規定は、何も予算をつけて出すということをきめてはないと私どもは了解しておるのであります。しかも事由も付することを要求されてない。事由を付してということでありまして、これは予算上資金上今度の場合のようにして提出をいたす、その間に予算のどれだけのものがこれにやれるかという問題を研究いたしまして、これを追いかけて実際上は出して行く。そしてあわせて審議していただいているというのが、今までの行き方でございます。というのは、これは協約締結後十日以内、議会がないときは議会が始まつて五日以内とするということになつておりますので、その間に予算をつくることも無理だという場合も想定して、これはこしらえてあると思うのであります。できるだけ早い機会に予算を出し、審議していただくのは当然なことだと思うのでありますが、第二項は予算をつけなければならないというはつきりしたものではないと了解しております。
  29. 館俊三

    ○館委員 こういう問題は押問答をしたところで、両方の解釈の仕方が遵うのですから、いかんともしがたいのでありますが、公労法の研究を専一にやつておられる人がそういうふうな建前をとつていらつしやるので、この点は私の考えるところでは、政府それ自身の立場から引出した法律の解釈であると考えざるを得ないのであります。事由を付してということは、公聴会では要するに予算を付して出すべきものであるというような解釈をしなければ、公労法の建前がつぶれるというのが、通例のそういう学者連中の常識であるというふうに私は了承しておるのであります。しかし見解の相違でありますから、ここで繰返してもしようがありません。  そこで話をかえてお尋ねしたいことは、この一日、二日、三日の始まる前に、長崎総裁から国鉄に向つて団体交渉を持ちかけて、二回か三回おやりになつたのですが、その持ちかけられた意図はどこにあつたかということをお聞きしたいのであります。もちろん一日、二日、三日のことを予想して、その前に当局に何か意図があつて、団体交渉を当局の方から持ちかけられたのかと思うのですが、それを承りたい。
  30. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 私ども見ましても、遵法闘争以来、何か組合側が考えているのではないかということを察しましたので、できるだけ事を穏便に、円満に運んで行きたい。遵法闘争と申しましても、とかく行き過ぎができたりして、違法だという問題を起すおそれがありますから、そういう問題が起らないように、労使ともに十分なる注意と心構えが必要であると者えましたので、私どもは何とかしてそれをやめてもらいたい、あるいは延期してもらいたい、そうして冷静に国会の御審議におまかせして、自分たちの要求を貫徹するようにしてもらいたいという意味合いにおいて、そういうことはできないかどうかということ、さらにできないといたしましても、違法の行為といわれるようなことがないようにしてもらいたいという意味合いにおいて、団体交渉をいたしたのであります。
  31. 館俊三

    ○館委員 団体交渉の場というものは、一価から言うと、どぎつい言い方ですけれども、商品の書取引揚なんです。その商品の取引場へ臨まれる総裁としては、取引の条件を打つてやられなければ、とうてい落着をしないのです。から手でお出になつたのでは問題が円満に行く道理がないのですが、何も持たずにお出になつたのですか。何か取引する品物があつて、その取引の市場へお出になつたのですか。
  32. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 館委員のおつしやる品物とは、何をさしているかわかりませんが、おそらくこんなことではないかと思いますが、目下の状態で団体交渉の中で一番大きな問題は、年末手当の問題であります。この年末手当の問題につきましては、目下国会において御審議中でございまして、われわれがとやこう言うべき筋合いのものではないと思います。そういうことではあるいはおしかりを受けるかもわかりませんが、ただいまのところでは年末手当は、予算上政府の案では一箇月ということになつておりまして、一方公務員の方は一・二五箇月ということになつておりますので、それらの点もにらみ合せまして、私は自分の単独な考え方、また全般の空気その他を察し欲して、われわれの方としましても、これはもうすでに運輸委員にもしばしば申し上げたわけでありますが、公務員とわれわれの従業員との間の均衡ということはお考えを願いたい。そういうような意味合いからいたしまして、できるだけ公務員諸君の年末手当の線に近つけるように努力をするつもりである。しかしこれは自分だけの努力だけではいけない。組合員諸君の絶大なる努力もいる、そういう意味合いでそういう努力もしつつ、どうしたらそういう線に近づけて行けるか。これは現在の補正予算の範囲では非常にきゆうくつでありますから、容易なわざではないと私は考えますが、そういうようなこともあるし、裁定については国会において目下審議中でもあるから、そういうラインを、二つのラインを見きわめつつ、またお互いに話し合いつつ、今のようにやつて行つたらいいじやないか、行き過ぎのおそれのあるようなことをやることはしばらく延ばしたらどうか。まあ私はやめたらどうか、やめることはできないといいますから、ではもう一日、二日待つてみたらどうか。しかしそれもできない、どうしても自分らは仲裁裁定の完全履行を要求するのであるから、全然そんなことでは話にならぬということでありましたので、やむを得ませんから、なるべく違法にならないようにしてもらいたいということで、団交の話合いはわかれたのであります。爾後一、二日の模様を見ました結果、だんだんと違法に行つておるのじやないかというようなおそれのあることもありましたので、さらに重ねて申入れをしまして、反省を促した次第であります。
  33. 館俊三

    ○館委員 そういう団体交渉をやつておられる最中にも、長崎総裁は、総裁みずからの働き得る限界というものについて、非常に自家横着を感じられておることであろうと私は思うのですが、そういう点はどうですか。たとえば総裁はすでにしつかりわかつておられる通り、組合は裁定の実施を要求しておるのであります。しかも公労法ができて以来三回、四回にわたつて、これが完全に実施されておらぬ。そこで組合としては、とにもかくにも政府は公労法を実行しないのだ、そういう憤懣が、金高の問題よりも、まず第一に政治に対する不信頼感が組合内に非常にみなぎつておる。その感情を言つておりますけれども、そういうことがまず根底に横わつておる。これをとらなければ団体交渉もうまく行かない。それは総裁もよくわかつていらつしやることだろうと思う。年末手当の問題ではない。そういう仲裁裁定の完全実施ということは、組合側からすれば、三回、四回にわたつて履行されておらぬ、そして憲法で定められておるストライキ権は、資本主義社会においては当然あるべき姿である。それがとられておる。そういう憤懣が組合内に非常に彌漫しておる。正常な位置に返してくれろという憤懣が彌漫して来ておる。これが二十四年の首切り以来静かにやつて来た組合が、今日立ち上る根本的原因をなしておる。これは総裁よくおわかりたと思う。それをわかつておりながら、しかも責任者として、手ぶらで団交を申し込まねばならないようなはめに、そういう位置においでになる総裁としては、実に自家撞着な考えを持つておられるのではないかと、私は総裁の心情を考えるのですが、そういう矛盾を心の中にお考えになつたことはございませんか。
  34. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 その点は私昨日来、矛盾だとか自家撞着というようなことは何もないのでありまして、仲裁裁定が下りますれば、当事者の双方はその裁定に拘束されるのでありますから、何ら矛盾はございません。しかし政府自体はこれに拘束されないのでありますから、政府としていかなる判定をいたすか、また国の全般の財政なり経済なり諸般の事情を勘案して、どういう手勢を――われわれの要求した予算に対して査定を加えるかというところになるのではないかと私は思うのであります。ちつともその点は……。だからといつて、館さんのおつしやることをもう少し砕いて言うと、私自身の口から、裁定をこのくらいで適当に区切つてのんだらどうかということは言われないのですから……。ちつとも横着でも何でもないのであります。仲裁裁定の内容について、私自身が批判を加えることはできないのです。
  35. 館俊三

    ○館委員 仲裁裁定の内容について批判を加えることができないということなんですが、私の今心情を聞いているのは、公的な総裁でなく、総裁個人の、私的な総裁として、客観的に総裁自身が、総裁自身の矛盾というものを感じておられないかどうかということを聞いておるわけです。そこで一体組合は非常に情ないと思うのですが、国鉄法の四十四条というものが追加されたのは、最初から追加されたものではございません。一十三年の暮れの国会で、当時の占領軍から無理やりに日鉄法と公共企業体等労働関係法が追加されたと、私は現実にその時分議員でありましたから覚えておる。その当時は日鉄法の四十四条というものはたしかなかつたはずだ。そうして第一回の調停をやつた時分、調停の結論を出した。その前の国会で四十四条が追加されたかと私は考えておるのですが、間違つておるかもしれません。そういたしますとその四十四条で、すでに総裁は当初きめられた人件費を上まわつた人件費を給与してはならないという一項目が入つたために、総裁はそこでうんと縛られてしまつておる。そういう総裁が、団体交渉の一方の当事者にさせられておるということは、非常に矛肩があると私は思うのですが、その点はどうお考えになつていますか。
  36. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 なるほど予算上は給与準則で縛られますが、しかし弾力条項というようなものもございまするし、予算補正の道もございますから、そういう面だけで、現在の補正のない予算のままで云々ということは非常にむずかしい、これはよくわかります。予算がある以上、この給与準則の問題ばかりでなしに、運営の全般にわたつて、国の予算というものに縛られる。自主的な運営というものが必ずしも完全に行くわけにはいかない。これは何も給与とばかりに限つたわけではございません。修繕の問題にしましても、あるいは運転の問題にしましても、石炭費というようなものは限定されておりますれば、これはかりに自主流用はできるといたしましても、およそ限度がある。全体の予算のわくにおいて縛られることは、これはとうてい免れることはできないというの、ありまして、そこは完全な自主独立的な普通の会社企業と公企業というものの相違ではないかと私は思います。これをそれでは普通の私の会社のように、予算というもので縛られなかつたらどうなるかということを考えてみますと、やはりこれは、何といいますか、硬軟いろいろございましようが、ある程度やはり予算というものに縛られるということは、公企業である、公共の福祉に重大なる関係がある国民各位の鉄道である、国民各位がこれを利用する鉄道であるというような意味合いにおきまして、私はやはりある程度の財政上の拘束というものはあることは免れないと思います。全然普通の私の企業のようなわけにはいかない。これはまた私の企業のようなぐあいでありますれば、館委員のおつしやるような矛盾性は何もなくなつて、自分でかつてに何でもできる、金さえあれば何でもできる、こういうことになりますれば、これは私は非常に行き過ぎじやないかと思います。給与準則ではややかたく縛つておりますが、経営の全体にわたつて予算というものがあつて、国会の協賛を受けなければならぬ、政府の監督を受けなければならぬという面におきまして、これは拘束のあることはもちろんでありますが、それもあえて矛盾というなら、幾らでも矛盾があると思うのです。これは私一人の個人じやなくて、企業全体としてそういうことがあると思います。
  37. 館俊三

    ○館委員 団体交渉の起るのは、当然給与の面について起るわけであります。それでちよつと断つておきますが、たとえば長ぐつだとかいうことも、貸与費、給与費の問題についてありますが、それは主眼ではありません。給与の問題について団体交渉が起きるのであります。その相手方の給与支払いを要求せられる方の当事者は、最初きめられた人件費を上まわつて給与してはならないという一項目に縛られておるのであります。ほかの項目が少し浮かすことができるという場合であつても、これができないことになつておる。もちろん国会の審議を要するのでありますけれども、その前に団体交渉というのが行われるのでありまして、団体交渉で要求をする側の要求が、総裁が納得できる要求であつた場合であつても、よろしいと言うことのできない立場に総裁が置かれておると私には見える。それでは団体交渉の成立する理由がない。総裁の方から見ても、これは当然な要求であるという場合がもしかりにあつたといたしましても、承諾を与えられない法律上の立場になつておる。ただ一つ、現在与えられておる給与よりも下まわつた給与でよろしいという要求があつたときだけは、承知しましたと言うことができることになつておる。この間大蔵省のお役人が来て、そういう場合もあるというので大笑いになりましたが、団体交渉というものは下まわつた要求をする道理がない。必ず給与を上まわつた要求をして来るに違いない。そして給与総額を越した場合には、いつも総裁はこれに承諾を与えられない法律的な拘束を受けていらつしやると私は解釈する。そこで団体交渉の一方の当事者がそうでありますから、そういう団体交渉をいかに親切丁寧に総裁が弁解されたり何をされたところで、実質的には成り立たない、こう私は汚えるのですが、どういうものでしようか。
  38. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 非常にものを厳格に考えるとそういうことになりましようが、しかしわれわれの話し合つた団体交渉の結果が、それは的確にきめられないかもしれませんが、大体こういうような空気になつておるという場合において、私は補正予算のようなものを御要求申し上げる際においては、政府の御賛同も得られるでありましようし、また国会の御賛同も得られましよう。全然きゆうくつさがないというわけじやありませんが、そう厳格に何もできないんだというものでもないと私は思います。
  39. 館俊三

    ○館委員 そこで団体交渉をやりながら、これは当然だとお考えになるような要求が提出された場合には、総裁はこれを承諾してやりたいということをお考えになつたと仮定いたしますと、その団体交渉の最中に、運輸大臣なりあるいは大蔵大臣に、推移あるいは内容を話して、そうしてそれでは承諾しようと言うことができるような制度に現在なつておるのですかどうですか。
  40. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 実際の状況は今までは大体そういうことになつて来ておるのです。それで何とかつじつまが合つて、間に合つて来ておるというのが今までの状態であります。
  41. 館俊三

    ○館委員 そういう努力をなさつたということを、今まで私は聞いたことがないのであります。過去の数回の経験によりますと、必ず団体交渉は決裂する、そして一方の当事者が調停委員会へ持ち込む、こういう形になる。調停委員会でも、また四十四条に拘束されて、これが両方とも承諾できないというようなことになりまして、決裂をして仲裁へ打つて行つておるというのが今までのあり方なんです。この公労法の趣旨は、言うまでもなく団体交渉というものを与えるから、ストライキをやめなさいという建前である。それでストライキ権をとる以上は、その制定当時の公務員あるいはそのあとにできた公企体の職員に対しては、十分なるめんどうを見るからという建前でできた。しかも調停へ持つて行く、仲裁へ持つて行くということがこの公労法の建前でなくて、まず団体交渉で円満に妥結するということでなければならないのに、その団体交渉の一方の当事者が、あとからとしらえた四十四条に縛られて身動きもできない、自主的な動きもできない。大蔵省なりあるいは運輸大臣に団体交渉の結末を報告するということになつておりますけれども、そういうことは法規の建前をやかましく言われる政府にとつてはあつたかもしれませんけれども、表面的に浮かんで来たのを私は見たことがない。そういうことでは公労法というものは根底からもう役に立たない法律であるということを私は感じないわけには行かない。そういう法律を熱心に墨守せられて、その当面の役目を勤めなければならない長崎総裁の立場というものは、非常に矛盾撞着に満ちたものであると私は認めざるを得ない。労働組合もその点を十分に考えておるの百であります。こういう法律がこれからも続行されて行きましようが、ある以上は労働承議の円満解決あるいは短期解決というものはとうてい不可能になつて参りまして、だれかの話ではないのですけれども、円満解決するために設けられた公労法でありますが、その法規に従つて調停委員が結論を出せば、騒ぎが大きくなる。仲裁が結論を出せはますます騒ぎが大きくなつて、紛争をますます拡大し、長期にわたらせる結果になる。こういうことを従来からずつと続けて来ておるのであります。こういう矛盾を背負いながら立つておられる長崎総裁は、一体それで総裁としての任務が果せるかどうかということに、御自身矛盾を感じられないのかどうかということを私は気の毒に思いながら尋ねる。
  42. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 それは矛盾とかいろいろなことは今までもずいぶんたくさんありますので、それを一々気にしておつたのでは何もできない場合が相当あるじやないか。やはり一定の法律なり規則なり監督なりのもとにおいて、私どもは仕事をしなければならない。完全無欠な自由、矛盾なしの世界というものは、想像することもできないと思いますから、この法律のもとに――改正されれば別でありますが、改正されない以上はやつて行かなければならぬと思います。
  43. 館俊三

    ○館委員 四十四条の項目は私は設けなくてもよかつた、これをはずしてしまつたら長崎総裁のお話のように、あまり野放しになるというようなことのお話でありましようが、四十四条がなくても、第十六条で、皆さんがお考えになつておる解釈によれば、国会の承認を求めるという制約が一つある。それにもかかわらず、さらに最初なかつた四十四条を突如加えるということは、ますます公労法の運用をめんどうにして、ますます総裁の任に当る人間の自主性を奪つてしまうことになる。そういうものを前列に並べておいて、労働行政ができる道理がないのです。企業内の労働行政は、どこまでも長崎総裁が相手にならなければならない話なのに、不満をいよいよ政府に爆発させておるという形になつておるのは、総裁の地位をそういうふうに法律で縛り上げてあるという形から来ておる。その形からして公労法というものがかえつて紛争を拡大強化するという形になつている矛盾を、私はここで長々と述べておるのでありますから、十分な考えを持つていただきたいと思います。  それから聞くところによりますと、一日、二日、三日の前の団体交渉では、そういう手ふらでお話になりますばかりでなく、何か組合として当局の考え方と違つた考え方をやる場合には、私たちも考えておかねばならぬという言葉があつたのでありますが、そういうことをお話になつたのか、どうか、お伺いいたします。
  44. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 それは逆のことを言つているのでありまして、とかく従来の例によりましても、法に触れるようなことが起るおそれがあるから、そういうことは十分に気をつけてやつてくたさい、こういうことを申しておるのであります。
  45. 館俊三

    ○館委員 ちようどそうした時分に緒方副総理が、半面している組合を全部集めて、やはりそういうような声明を発表され、期せずして国鉄の当局としてもそういうような話を申し入れたいということを聞いて、私はこういう感じをしたのであります。それは今長々と前から言つておつた公労法の矛盾というものをそつちのけにしておいて、あるいはまた国家財政の圧力で出せないということをそつちのけにしておいて、政治の貧困をそつちのけにしておいて、お前たちがもし何かやつた場合には、こういうことを当局としてもとらざるを得ないというようなことをにおわせたものだと組合をして感ぜしめたということは、いい労働行政のやり方ではないと私は思うのであります。  もう一つ私は皮肉に考えたのですが、官僚の諸君というものは、そういう事態が趣きる前に何かひとつ手を打つておかなければ、何もやらなかつたではないかと言われたのでは、あとから世間様に対して品があかない。それで一つそういうことをやつておかなければ、自分自身の保身術としてうまくない。世間に対する防衛対策を立てるためにも、自分を守るためにも、私たちはこういう注意を与えておいたのだが、やつてしまつたのでしかたがない、私たちの責任ではない、言うことを聞かなかつたのだという言い訳ができるという建前で、これは皮肉な、悪い推察の仕方かしれませんが、そういうことをやつた。それを言うたところで物事が収まるのではないということは、公労法の矛盾を少くとも自覚されている当局にとり、あるいは国家財政の圧迫でどうすることもできないということがわかつており、それを収める場合には仲裁裁定の完全実施をしなければならないということも十分にわかつておられる立場であつて、しかも何かしなければならない、何かしておかないと、注意も何も与えなかつたじやないかというお小言を世間から食うのではないか、それでは手落ちになる、そういう一つの保身術でよくそういうことをやる場合があると私は従来見ておるのですが、そういうことではならぬ、きわめて消極的で、きわめて不誠実なそういうものの考え方からの団交申入れ、あるいは緒方副総理の、当面する組合に対する申渡し、そういうものでなかつたかと私は考えておりますが、どうですか。
  46. 關内正一

    ○關内委員長 館君、なるべく意見や感想は省略を願います。
  47. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 経営の衝に当つております者のとりました態度について、どうもそれは官僚的保身術じやないかという批評がありましたが、私どもは決してそういう意味、あるいは世間体をつくろうためにという意味ではございません。真に日本国有鉄道の使命の重大さ、これが国民経済あるいは国民生活の全般に及ぼす影響等を勘案いたしまして、法に触れるようなことがあつては、またともに働く部下、同僚の諸君、それらの方々の上をも考えまして何とかして解決の方法がないものかと苦慮いたした結果、一応とにかくそういう反省、納得ということも一つの方法ではないかと考えてやつたのでありまして、私ども自身の保身術あるいは世間体、そういうことでは決してございません。そうして国鉄全体において国民の生活経済、そういうもの全般を考えまして、これに及ぼす影響が大きくなりはせぬかというような憂いからでございます。
  48. 館俊三

    ○館委員 これは失礼なことを申し上げて――長崎総裁御自身がそういうお考えを持つていることに全然ないと感じておるのですが、よく下僚の中にはそういうのがあるのです。たとえば今でも年に三百六十先人の職務上の死亡者が国鉄に出るのです。そういう場合によく現場長は、おれの言うことを聞かなかつた、だからこれは公務死傷でないと言い訳をする例がよくある。そういうくせが抜け切つておらないような気持がするので、そういうことを注意していただきたいためにこの話を私はちよつとしたのでありますが、注意していただきたいと私は思うのであります。  そういうことで、私の質問を大体打切りたいと思うのですが、根本的には争議の解決は公労法の矛盾にある。それから政府の、国家全体の財政のしわ寄せが、公務員やあるいはまた公企体の上にのしかかつておるのだ。それはかりでなく、長崎総裁のしばしば述べられる国鉄の経営を発展させる大抱負、経綸には賛成でありますが、それも全体的には国家の基本的財政の建方、MSA、再軍備に、来年度あたりはふえておそらく二千数百億のものが固まると思う。そういうことがこういうものに影響して、押えられて来るということを私は痛切に考える。長崎総裁の経綸、抱負を実行してもらいたい。そのとき大きな障害になる問題はその問題である。とうていこれは不可能である。従つて公企体内における労働行政もうまく行かない。今の状態が続くのではないかということを考えますと、非常に寒心にたえないのであります。私はまだ言いたいことがありますけれども、またこの次の機会に譲りまして、もう十二時ですから私の質問を打切りたいと思います。
  49. 關内正一

    ○關内委員長 正木清君。
  50. 正木清

    ○正木委員 私は大臣に御質問申し上げたいと思います。新聞等で拝見いたしておりますと、政府は鉄道の運賃値上げをするのであるというようなことが出ております。そしてまた大臣は委員会等においても、運賃の値上げをいたさなければならないというような趣旨の発言をされておるようでございますが、運質的上げというものに対して、すでに政府としては方針を決定されておるのかどうか、まずその点をお伺いいたします。
  51. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 運賃値上げの問題は、まだ政府としては取上げていないのであります。
  52. 正木清

    ○正木委員 そこで運輸大臣としてのあなたにお伺いいたしますが、運輸所管大臣としてのあなたは、現在の運賃に対して、上げるというようなお考えを持つて、すでに所管の鉄等に対して何か指示を与えたようなことがあるかどうか、その点をお伺いいたします。
  53. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 来年度の予算を編成するにあたりまして、ことしのベース・アップが来年は平年の計算にもなる。これだけではありませんが、いろいろな仕事の上の収支をにらみ合す上において、どういうふうにやつて行つたら計算が合うかという意味において、全般的に今考究はいたさせております。しかしベース・アツプがあつたからすぐ運賃をどうという、そういう安易な考え方でやることは、これはならない問題でございます。     〔委員長退席、松井(豊)委員長代理着席〕 また一番先に私ども考える問題は、国鉄そのものの、簡単な言葉で言えば経常の合理化であります。経営の節約、収入の増というものをはかつて、そうしてなおかつ足りないことがあるということであれば、運賃値上げという問題に入らなければならない。そういう場合には、これは最小限であることが望ましいのは当然であります。そしてその最小限のものをどういうふうに振り当てるかというような問題がその次に起ると思いますが、またそこまでは至つておりませんが、十分研究するように、今申しましたような運賃値上げ一本に行くだけでなく、そのほかの問題が主になつて、あわせて研究するようには言つてあります。
  54. 正木清

    ○正木委員 そこで私は使いわけをするわけではございませんが、当然大蔵大臣の出席を求めて質問すべき事柄ではございまするが、今日まで政府が議会を通じて国民に明らかにして来た点で、非常に大切な点は、現在のインフレを押えるためには、通貨の安定策をまず講じなければならない、これが実はしばしばいわれて来ておるわけです。通貨の安定は即物価の安定でなければならない。通貨と物価の両面からよろしきを得た施策が講じられない限り、インフレというものは押えることができないのだ、これはもう議論の余地がないと思います。ところが政府のとつておりまする施策というものは、通貨の安定という言葉に名をかりて、極端なる金融引締めには力を尽しまするけれども、一方物価政策の方においては非常にずさんな施策が現実に行われて来たのではないか。具体的な一つの例をあげますと、直接物価に至大な関係を持ちまする鉄道運賃の問題においてもしかりでございます。これはぜひ運愉大臣とし、また国務大臣として、あなたにお伺いしておかなければならないのですが、現実の問題を取上げて申し上げますと、前回の進賃値上げのとき、政府のこの国鉄の特別会計による国鉄の経営の一切をおまかせを願つておる国鉄当局としては、国鉄をして真実に国民の納得するところの経常を行うためには、何としても二割五分上げてもらわなければならぬ。ところが当時、政府特に所管大臣であるあなたは、物価に与える影響が非常に大きいということを理由にして、一割でそれを押えた。ところが同じ公共企業体であり、同じ政府のもとにある他の公共企業体の料金値上げは一体どうであつたか。国鉄とは逆に他の公社関係においては、公社が政府に要求したその案をそのまま議会に出して来た。しかし議会はそれをある程度修正を加えておりますけれども、その公社というその精神において何らかわりのない他の公社に対しては、そういう処置をとられた。これが現実の政府の行つている実際の施策の姿であります。従つてたとえば現実に今度問題になつておりまする公社関係の裁定の問題にしても、国鉄と他の公社とのその予算の内容の数字を具体的に突き合せて見て来ると、その数字上の結果から申し上げると、どういう形になつて現われているかというと、一番困難なのは国鉄です。それが同じ政府のもとに行われておる。従つて私が運愉大臣にお開きしたいことは、そういう具体的な事実が閣議等において論議される場合に、一体所管大臣は国鉄の現在の姿、今後のあり方等について、どういうようなお考えと信念を持つて今日までお話合いをされて来たのか。もしこの公社というものが、他の公共企業体と同一精神のもとにおいて、そして各法律の条項によつて国鉄当局が運営され、監督されるというのであるならば、政府の方針が運賃の値上げにおいて、二割五分が日本の物価及び国民生活に与える影響甚大であるとして一割に押えるならば、他の公社関係の企業等においても、企業別内容に特殊の事情はあろうけれども、大体において政府の方針というものは一貫されておいてしかるべきものだ、こう聾は考えまするが、これに対する大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  55. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 国鉄の運賃値上げの国民生活その他に及ぼす影響というものが、ほかの同じような公共企業体の、たとえば郵便代だとかあるいは電信料金というようなものの及ぼす影響とは、おのずから大きな差があることは、正木君も御了承願えることだと思うのであります。今までずつと物価の上り方を見ますと、ここに一つはがきの例をとりましても、その上つて来た倍数と、運賃の上つて来た倍数とを比べると、はるかに運賃は少く上つておるということは、国鉄当局からもよく説明材料として出るわけでありますが、その主眼点は、政府の仕事または政府の把握する公共企業体というものの上げ方が、かりに鉄道が一割なら、そのほかのものも一割でなくちやならぬというように、一律には行かぬものだと思います。どれだけ国民生活に影響するかという点を主眼に置いて考うべきものであると思うのであります。私は運輸行政を預かつておる立場といたしまして、鉄道進賃の国民生活に及ぼす影響の重大なることを切に感ずるものでありますから、昨年国鉄から二割五分値上げの要求がありまして、これはその当時ほかのことが影響ないならば、二割五分上げたかつたのであります。これはそういたしましたならば、いろいろ国鉄のやつておりまする仕事が、修復、改善というようなもの等も非常にスムーズに行くであろうということは、はつきりわかる数字であつたのでありますけれども、急に二割五分も上げましたならば、非常にほかの物価にも及ぼす影響が大きいというので、一割にとめたわけであります。結果といたしまして、国鉄の経営が非常に思う存分とまで行かぬでも、計画しておるものが十分進行できないというような点はありまするが、そういうものは徐々に改善の実を上げて行くというようなことを考えて来ておつたわけであります。
  56. 正木清

    ○正木委員 さらに私は重ねてお伺いをするわけですが、大臣の言われるように、国鉄と他の公社との関係を一律に議論することは、間違いであるという説には私は同感なのでございます。但し、そこで私は重ねて大臣にお尋ねをしなければならないのは、大臣も今はつきりとおつしやつたように、国鉄当局が二割五分値上げを申請した。その申請した根拠が一応正しいとお認めになられた。但し、政府の立場からすれば、国民経済に与える影響が甚大であるという理由、これは一面政府としての政策の立場からという理由で、それを一割に押えられた限りにおいては、その一割で押えられたあとの一割五分の国鉄の犠牲に対して、政府は具体的に何らかの処置を講じて、そして国鉄当局が、国から委託を受けた事業を安心して経営をし、監督の立場に立つ運輸省もまた監督庁として、十分監督できる具体的な政策が政府を通じて行われることが、筋の近つた政治ではないか。政府は政策として、当然あらゆる観点から見て、二割五分が妥当だと肯定しておきながら、それを政策として一割で押えて、あとの一割五分は政府としては全然考えない。今の政府の国鉄に対するやり方は、何も考えてやらない。お前たちはどんな苦しい事情があろうとも、この苦しい中で独立採算という言葉によつてこれを経営して行けるというのが、今の政府のとつておる国鉄に対する処置ではないか、こう考えますが、大臣のお考えはいかがですか。
  57. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 三割五分が適当であるというのは、今ただちに二割五分なければ、国鉄は物と人との運搬の任に当つておるその責務を果し得ないというのではないのであります。二割五分迎賃が上ることができますれば、さつき申しました修復、改善が非常に早まる。そしてみんなより愉快なる旅行ができ、より大きな輸送の道が開けるということでありますが、それが少しくだんだんと延びて行くことになるわけであります。また一方政府といたしましては、財政資金を投ぜられるものは投じて、国鉄の機能をよけい果すような方向にも進めておるのは事実でございます。二割五分が一割になつたというので、残りの一割充分を完全に無視したということは決してないのでございます。
  58. 正木清

    ○正木委員 運輸省の中務出局にお尋ねいたしますが、今の大臣のお言葉では、国としては国の財政が許す限り、国鉄に国家資金を投入しておるというお答えがあつたわけですが、一体二十八年度において、国が国家投資というものを財政面からどれくらいしたのか、それを具体的に数字をあげて御答弁を願いたい。
  59. 植田純一

    ○植田説明員 ただいま大臣からお話がありましたように、いわゆる復旧資金と申しまするか、工事勘定の資金に間接に影響するわけでありますが、その面におきましては、御承知の通り二十八年度におきましては借入金百三十五億、それから公債の発行が八十五億、これはもちろん要求に対しましては十分ではございません。しかし国の財政の許す範囲内におきまして、これもいろいろ折衝の末、そういうふうにきまつたわけであります。そのほかにいわゆる収益勘定におきましては、運賃値上げが思う通りにならないために、前年度におきましては収益勘定におきまして、収支が合わないということで、三十億の借入金を特別に収益勘定の方に認め、これによつていわゆる収支のつじつまの合わないところをまかなつた、こういうかつこうになつておるのであります。
  60. 正木清

    ○正木委員 重ねて事務当局にお尋ねをいたしますが、今局長が御答弁になりました事柄は、国鉄として政府の財政資金を一時、しかも短期に借り入れた、そして非常に困難な国鉄の経営と建設面を一時つじつまを合したといえば極端になるかもしれませんが、それによつて一時補う、こういうふうに私は実は理解しておるわけですが、重ねてその点を明らかにしたいと思いますので、御答弁を願いたいと思います。
  61. 植田純一

    ○植田説明員 実は値上げが国鉄の要求通りでありますならば、そういうことは必要はなかつた。ところが国鉄の要求通り参りませんものでありますので、いわゆる収益勘定におきましてそれだけ収入が足りない。もちろんそういう場合に極力支出を切り詰めるということも考えますが、なおその差額の三十億というものはどうしても足りないということで、これは昨年度のいわゆる国鉄の経営を切り抜けるために三十億というものを特に融通された、こういうことになつておるわけであります。
  62. 正木清

    ○正木委員 そこで私は重ねて大臣にお尋ねをいたすわけですが、国が当然国策として、政府の政策として、国民生活に与える影響甚大として、当然突施すべき事柄を実施しない。そのしわ寄せをあげて国鉄の犠牲において負担させるというこの行き方は、決して筋の通つた政治のやり方ではない、私はこういうように考えます。そこでしからば一体いかにすべきかという具体的な問題が出て来なければなりません。このことは、当委員会において、われわれ委員と大臣の間では完全に意見の一致を見ておる事柄でございまして、これは繰返す要はないわけなのです。たとえば当委員会において非常に議論になつたのは、この非常に困難なるべき国鉄の経理内容状態から見て、たとえば工事費勘定のうちの新線に投入さるべきこの資金は、議論の上から行けは当然国が出資することが正しいのではないか。それがどうしても現在の状態でできないのであるとするならば、それの利子補給については当然国の一般会計が負担すべきではないのか。あなたはしばしばこの委員会においてこのことを肯定され、しかも利子補給については自分としては努力するということすら言明されておる。ところが現実にはそれが実際に実行となつて現われて来ておらない。私はこれは一つの例をあげたにしかすぎませんが、従つて私は政府としてはこうした困難なるべき国鉄の経営の状態から見て、思い切つた政策を実施する段階に来ておるのではないか。現状のままで行けば、いかに国民が反対しようとも何しようとも、金の準備がないから運賃の値上げと、こう来ざるを得ない。運賃の値上げは他の物価に与える影響が大きいというので、これがまた問題になる。だとすれば何らかここで手を打つべき段階に来ておるのではないか、こういうように考えられまするが、所管大臣として何かこの点についてお考えになつておられるかどうか、その点を承つておきたいと思います。
  63. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 今のお話のうちで、新線の建設資金の利子の問題が出ました。これは昨年から私ども問題にいたし、諸君と心持を同じゆうしておる問題でございます。鉄道建設審議会でも、新線についての利子補給はやるべきものであるという決議をされております。私どもそれが当然のことだというふうに言われて、そのまま引継いだのでありまするが、私もこれは国康から出してもらいたいということで、去年も予算編成のとき話を持ち出したのでありますが、結論として遂にこれは不成功に終りました。先ごろ新線問題につきまして鉄道建設審議会の集まりがありましたときにも、この問題に触れまして、新線をどんどんきめられるだけでは困る。次の利子補給問題につきましても、各党各派の代表の方がみなここにおられるのだから、みんながはつきりとした心持を持つてもらいたいという意味のことも、その意味でお話したのでありまして、私といたしましても、これは何とかしてもらわないと国鉄としては、気の毒という言葉が当るかどうかしりませんが、少し国鉄に対して無理ではないかという、一つの例として私は考えておるのであります。来年度の予算にはたしてその通りのことが盛り得るやいなやということは、はつきりしたことは申し上げられませんが、その心持でいろいろ話はしているつもりで今もやつております。
  64. 正木清

    ○正木委員 私は問題をはつきりするために、参考までに長崎総裁にお尋ねをいたしたいのですが、現在新線の関係に国鉄として必要とする予算関係は一体どれくらいになるのか。それからもう一つは、それに支払うべき利子の総額は一体どれくらいになるのか。またそれから生ずる一箇年間国鉄として負担すべき費用はどれくらいになるのか。今後一体何十箇年くらい経過すればその新線というものが平常な経営状態にもどるのか、この点を総裁でなければ、他の政府委員からでもけつこうですからお答えを願いたい。  それからもう一点は、これも非常に大切なことですから、重ねて私は明確にしておきたいと思うのでございますが、現在の国鉄の経営いたしておりまする二百三十余線のうち、ほんとうに収支のとれている路線というものは、しばしば当委員会において明らかにされたことですが、一割程度しかないのだ、こういうことを言われておるわけですが、その一割程度しかないというその理由の中には、一体国鉄としての経営の上において何か欠陥があるのか、何か欠陥があつてそのような状態になつておるのか。それとも現に新線建設も事が国鉄の実際の経画面において、非常に大きな重圧が加わつておるのと同じような形によるこの過去の結果に基いて、この一割程度で食いとめられておるのかどうか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
  65. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 ごく大ざつぱな数字でございますが申し上げます。まず最初に新線の話でございますが、新線はただいま計画いたしております三十線、延長キロ数は八百八十一キロ、これに要しまする建設費は総額約四百十億であります。この四百十億に対しまして今年度予算は大体九十億、これを順次進めて参りますためには来年百十億いります。しかし今年二十八年度は災害その他の関係がございまして、九十億のうち十九億、約二十億近い繰延べをいたします。しかしながら今年度手をつけると言つておる計画には変更はございません。でありますから来年度この繰延べました二十億ばかりのものを全部やるとしますと、来年度の予算は百二十八億、約百三十億になります。利息ということになりますと、ただいま預金部から大分五厘の利息で借りておりますから、かりに六分六厘で行くと考えますと、総額四百億でありますから、完成のあかつきには三十六億くらいの利息を使うことになります。  この三十線ができましたときにどうなるかといいますと、これもたびたび申し上げておりますように、国鉄財政の上には約四十億ないし五十億の赤字となつて現われます。しかしこれもたびたび申し上げておりますが、国家全体としては必ずしも四十億ないし五十億という赤字にはなるまいということであります。それ以上の利益が国家全般、あるいは経過町村、あるいは直接の受益者の利益となつて大きな働きをするのではないか、今まで開発できぬものが開発されまして、それが大いに働いて、日本の復興のために貢献するのではないかと考えます。さようなわけでありまして、新線の問題はどうしてもひとり利息ばかりでなしに、やはり新しく開発されます利益の公平なる分配という一点に帰するのではないかと思います。  なお新線がいつごろになつたら一体経済線になるか、こういうお尋ねでございますが、昔私どもが鉄道へ入りました当時は、新しい線路は少くも十年かかる、こうよく申されておりました。けれども今日の線路で十年をもつて経済線になるのがあるとは考えられません。おそらく二十年以上を要するのではないかと私は想像しております。まつたくの想像でございますが、別段にこまかい計算をいたしましても、やはり想像は加わりますので、大づかみの方がむしろ当るかもしれません。既設線が二百数十線ございますが、どれだけの線路が利益を生んでおるかということについては、いろいろな考え方もあるようでございますが、大体一割から三制、いいところで一側三、三分くらいのところじやないか、それ以外のものは、ことごとく常業計数が百以上、こういうことになつております。それらの事態にかんがみましても、どうも新線は相当の年月たたなければ収支償うようにならない、こういうことになるのではないかと思います。これはどうしてそうなるかということになりますと、やはり種々なる見方があると思います。国鉄があまりにもお役所式な千編一律的な、幹線も地方ローカル線も同じような経営をするのがよくない、もつと簡単な設備で、もつと簡単な経営をやつたらいいのではないかというような御議論もあると思います。ところが一方においては、地方の方々にしますと、そういう差別的運用をされるのは困る、おれのところだつて同じ運賃を払つておるんだから、もつとりつぱな汽車を走らせろ、もつとりつぱなサービスをしろ、こういう御要求もあるのであります。これは一面においてはごもつともなことであると思います。このローカル線の経営問題につきましては、私は何としても見のがすことのできない問題は、やはり先ほどこれも申し上げましたが、日本国有鉄道というものは、もはや独占ではない。バス、トラックに非常に食われておるということが大きな問題じやないかと思います。地方線になりますと、――幹線ごもややそういう形が見られますが、ラッシュ・アワー以外はもはや国鉄などを利用する必要は場ないのでありまして、バス、トラックを利用すれば十分に間に合う、こういうところに私は大きな問題が横たわつておるのではないか。そこで顧みてみますと、バス、トラックというものは、道路の修理、改良については責任がないのであります。国鉄はそうでなく、車両だけ持つておつたのではどうにもならないので、駅舎から線路からトンネルから橋梁まで、全部自分でやらなければならぬ。風水害その他の災害がありますと、とりあえずすぐそれを修復しなければならぬ。しかもそれが自分の負担でやらなければならぬ。道路の方は予算をもらつてゆつくりというわけでもありませんが、ややそういう傾きがある。そういうところを比較いたしますと、これも私どもの経営がいいとは申しません。まだ改善すべきところはあります。しかしここにもやはりデイーセル・カーのような簡単なものを入れまして、せつかく鉄道というりつぱな道路がありますから、それを利用することにして行きたい。そうしてフリークエント・サービスと申しますか、頻繁にサービスをしますれば、少くとも今のマイナスを少くすることができる。ところがそれに対する投資が非常にたいへんですから、資金の調達ができない。何とかその資金を調達したいというのが現在の姿であります。電化はもうかります。もうかりますが、やはり資金がいるということでございます。先ほど正木委員と大臣との間に意見の交換がありました一割五分の値上げということで、その資金は可能であると存じましたけれども、国家全般の経済、あるいは社会情勢にはばまれまして、思うように行かないというふうな状況でございます。それにつきましては、何らかもう少し新しく案をつくつて完成したいと思つております。今日のところはほんの粗案でございますが、できるだけ取急いで新しい考え方で案をつくつて、運輸省と御相談をし、それが固まりましたならは皆さんの前にお見せ申し上げまして、御賛同を得てそういう方向に進んで行きたい。何とかしなければ日本国有鉄道は、だんだん悪くなる一方ではないかというふうに非常に心配される次第であります。
  66. 正木清

    ○正木委員 そこで私は大臣にお尋ねするわけですが、総裁は国家全体の立場から国鉄というものを議論されたわけですが、私は総裁の御答弁の中には、大臣が答弁される部分が非常に多かつたと思うのです。新線建設というものは国家全体の上に立つて、一つの政策として行われる。それから受ける国民全体の利益、特にその新線建設によるその地方の開発、従つて地方住民の福祉の増進、経済の開発、従つて経済上のもの、これは国の一つの政策という大きな問題として議論され、しかもその観点から今新線建設が行われておるわけです。このことには当然大臣として御異論があろうはずがないのです。しかし国全体として行うべきその政策の一切の犠牲を、この国からお預かりしておる苦しい国鉄だけが負わなければならないという政治が、一体大臣としては正しいとお考えになられるのかどうか。私の個人の意見を申し上げれば、それは決して正しい政治のあり方ではなくて、こうした国全体の立場の上に立つて行う政策のその負担というものは、国鉄自身にのみ負わせるべきものではなくして、国全体として負うべきものであると考える。従つて大臣は主管大臣として、その点について今日までどのように政府部内において一体折衝をされて来たのか、あなたの御仁念に基いて一体どういうふうな政治を行われんとしておるのか、その点をひとつここで明らかにしてもらいたい。
  67. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 新しい線路のようなもうからない仕事であるが、国策的には必要だというものは国家でやるベきだという意味のお尋ねであります。国家的な仕事で国家的な立場から、新線が考えられておりますこともその通りでございます。但し国有鉄道というものが独立をいたしまして、そうして国有鉄道が鉄道全体の経世の任に当るという際に、一つ考えに必ず入つておることと私が思うのは、これは私の企業でなく公共企業であり、国家的見地からいろいろ経営の任に当るということも当然考えられた問題でありまして、そのためにはあるいはただちにもうからない線でありましても、これが国家的立場上必要だということ、日本の交通政策上必要だというものには、これは手を触れて行き、その建設にも当り、その運営にも当るのが当然だ、れがこの公共企業体の性質だと思うのであります。独立採算制というものが片一方につきまとつておりますので、その点からしますると、もうからない仕事をやるのは実につまらない話であつて、もうかるような状態にして行つて、そしてそのサービスをよくするということも考えられるのでありまするけれども、これは国全体の交通網の中枢の鉄道を預かる立場としては、そうばかりも言えないのでございます。それで新線を設ける場合に、これは国家的の問題だから、どんどん政府が金を出してこしらえてやらしたらよかろう、損したら、その損は国家的なもので、鉄道そのものは別に損をしてやりたくもないことであるから、それに対する損失はすべて国家が負担するということになりますと、この国有鉄道のあり方そのものに疑問が通るのではないでしようか。そこまで入つて行くのではないでしようか。私有にするか、国有にするかというような線にならぬと、いつも私この公共企業体の鉄道という問題になると、非常にそこらに自分自身にもはつきりしないような心持の場合もときどきあるのであります。私は現在の場合といたしましては、新線もこれは必要だということであり、国鉄がそんなものは将来とも、また日本の経済の復興のためにもむだなんだということでありますれば、これは国鉄の側としても委員もちやんと出ておりまするから、反対もいたしまするし、そこらの全体的の計算から見れは、これはいい線であつて、それがあまりにひどく鉄道の資金繰りに、また経営に影響しない範囲であるならば、賛成して行つて、新線をだんだんふやして行くということで、できるだけ自分の方の責任においてやつて行くということが、国鉄として今までやつて来ている筋なんでございます。そうだと私は思うのであります。そこで一番困るのは、新線がだんだんふえますと、そのためにする利子とか、特に建設中などというものは全然収入がない。金は出て行くばかりです。最低それぐらいのものは国家が持つべきではないかということで、私は利子補給という一般の問題とはまた限度を置いた意味で認めて、そういう線で私は今後も話をしたいと思つておるわけであります。御後援を願いたいと思いますが、私はそういうふうな考えであります。
  68. 正木清

    ○正木委員 しばしば当委員会において、大臣と私などとも考え方の上においては意見の一致を見るわけで、大臣の御苦心のほどもわれわれにはわかるわけです。今大臣が仰せになつたように、現在の公共企業体としての国鉄のあり方等の根本の問題ということになると、問題は非常に大きいので、私自身ここで私見を申し上げることを避けます。大臣としてもその点については非常にお考えのようでございまするが、せんじ詰めると、せめて今大臣がおつしやつたことでも現実の政治の上に具体的に現われて参りますと、非常に困難な状態に置かれている国鉄の経理内容にどれくらいプラスになるか。私はこれを考える。大臣もまた考えておられる。大臣の考えておられる大臣の考えておられるそのことについて、これは正直に私申し上げますが、やはり閣内で相当強硬に進めて、今あなたがおつしやつたくらいなことは近してもらいたい。これはぜひあなたにがんばつていただく以外に道はないのです。通していただきたい。これはりくつから行けば議会できめればいいじやないかという議論が当然成り立ちますけれども、現実の日本の諸般の状態はそう簡単には行かない。問題はやはり所管大臣が閣内でがんばつていただいて、その正当なるべき主張を通していただいて、それが現実に国鉄の経営面に具体的に現われるような措置をとられることが必要ではないか。このことが私はあなたに心から実は強く要喫したいところです。ところがそのことがなされておりません。これはおそらく大臣も閣内で非常にお骨折りを願つたと思うのでございますが、今度の災害復旧に対して一体政府のとつた措置はどうかという具体的な問題に入つてみますと、もちろん他の公共企業体も、その企業のわくの中で災害復旧費を出していることには間違いがございませんが、実は今政府のとつた措置というものは、一律に線を引いてしまつているのです。国鉄なり他の公社の企業内の経理内容が一体どうなつておるのかという、そうした具体的な内容の基礎の上に立たないで、一律に線を引いて、国鉄はこれだけの復旧費が必要なんであるけれども、政府としてはめんどうを見るわけには行かない。だからお前の独立採算の二十八年度の予算のわくの中で復旧費を捻出しろ、これが今度とつた政府の措置ではありませんか。そうなると一体どういう結果になつて現われて来るか。しいて政府がめんどうを見たというものが、あなたのお言葉の中に何があるかというと、ただ一つございます。それは三十億の借入金の償運を暫時延期したというだけである。これだけしかございません。今の国鉄の経理内容の状態で、この厖大な災害復旧費を政府は預金資金がらも新しくは金を貸してくれない。これで一体やつて行けますか。一体こういう政治というものはあり得ない。あるべきものでもない。品を開けは、国家財政々々々々と大蔵大臣は言つておるけれども、この雨天なるべき国鉄が、他の一般土木事業のようにほつておかれたら一体どういう結果になるか。私は総裁以下国鉄の職員があの犠牲を払つて、あの献身的な努力によつてみごとに復旧をさせ、そうして国民に全然心配も迷惑もかけなかつたというこの事実を、一体政府はどう見ているのか。これは所管大臣としてのあなたは相当な決意を持つて、政府部内で強硬な態度をとつ臨てんでほしい。今あなたの私に対する答弁に、おそらくどの委員といえども反対される委員はないと私は思う。心から叫んでいると思う。残念ながらそれが具体的に政治の上に現われて来ないところに、今の国鉄の経営内容に大きなマイナスになつて現われて来ていると私は思うのですが、一体いかがでしよう。私はほんとうに大臣は腹をきめて閣内において、この事柄が二十九年度から、しかも現実の問題として具体的に現われて来るような御努力があつてしかるべきだと思いますが、重ねて大臣のこれに対するお考え方を聞いておきたいと思います。
  69. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 さつきも申し上げた通りでありますが、当然私としては努力いたします。それから災害の問題であります。きのうたれかに返事した通りでありまして、本年度八十数億の災害復旧をいたしますが、これは今お話の政府からの借入金を延期してもらうなどのことがあり、それから新線建設の資金に借りておるものを一部まわすというもの、それから日本全国御承知のように細長いところでありますから、年々何らかの災害を受けます。そのための予備費というものを計上いたしております。その中から三十数億のものを出す。新線の繰延べで十九億出すということで八十億のつじつまが――そこからそうたというわけではございません。全体の経理でありますけれども、つじつまが合うように出しておるわけでございます。公共事業のものはみんな日本政府の一般予算でやるのじやないか、鉄道だけがこれを負担するのは、さらでだに苦しいところへもつて来て、ますます成り立ちにくくなるのじやないかという御心配でございます。これがどうにもこうにもならないものであるならば、何とかまた別な方法も講じなければならぬでありましようが、復旧だけはぜひしなくらやならないのでありますから、その財源といたしまして、今のような方法下やつて行きましたので、一般予算の力におきまして非常にきゆうくつになつておることは御承知の通りでありますから、国鉄といたしましては、この程度においてことしの災害費をまかなうということに了承したようなわけでございます。来年度の予算についてどういう覚悟かというお話につきましては、さつき申し上げましたようないらいろな点も考えられるのでありますが、何とかして予算に組むことができればと思うものも、幾つかあります。そういう問題について折衝いたして行きたいと思います。ただ来年は本年よりも苦しい予算状況になる傾向を持つておる。たとえば災害復旧費も来年度は五〇%というものが出るというようなこと等を考えますと、新規のものは一切認めないというような声をあげておる際でありますから、どこまでやれるかわかりませんが、あなたの言われる趣旨と私どもの考えておるところに、隔たりはあまりないようでございますので、努力をいたすつもりであります。
  70. 正木清

    ○正木委員 災害復旧の問題についての大臣のただいまの答弁は、あなたは事務当局から何かお聞きになつて、そのお気持で答弁されておるのじやないか。実は昨日もあなたの不在中に、私は運輸省の政府委員にこの点で質疑をしたわけですが、今度の災害復旧の財源というものは、国鉄全体には、わかりやすく言うとさして迷惑をかけておらないのだ。たとえば動力費の節約であるとか、建設費の繰延べとか、借入金の返済であるとか、予備費の減で、この財源を出しておるのだ、こういうように私は聞えてならない。私は議論がここにあると思う。国鉄全体として、予算全体としてものを考えるべきであつて、こういうように八十億を突破する災害の経費の捻出は、動力費から出して来るのだ、建設費の繰延べから出して来るのだ、借入金の返済から出して来るのだ、予備費の減から出して、これの合計がどうだから、国鉄全体の経営には何らの支障を来さないのだというものの考え方は、私は承服できない。それを具体的に私は指摘してもさしつかえないと思うのですが、今度新しくかわつた日鉄法の精神から行けは、大臣もおそらく気がついておられると思うのでございますが、一体三十九条の弾力条項というものはどういう精神なのか、まずこれが一つ議論にならざるを得ない。  それからその次に申し上げたいことは、この四十四条の二項で「前項後段の規定は、能率の向上により、収入が予定より増加し、又は経費を予定より節減したときは、その収入の増額加又は経費の節減額の一部に相当する金額を、予算の定めるところにより、運輸大臣の認可を受けて、特別の給与として支給するときは、適用しない。」こうなつておるのです。おそらくあなたは、事務当局の方から、こういう質問をされたときには、財源はここから出ておるのであつて、国鉄の経理全体には何ら影響がないのた、こういうように報告を受けておるから、あなたはそういう答弁をなさるのではないか。私はそういう考え方には大きな疑問がございます。たとえば予備費の減で、今あなたが指摘されたように、三十数億をこちらにまわしておりますが、この弾力性の条項から見て、予備費の中から災害復旧の経費として出すことには議論はありませんけれども、それだから一切はさしつかえないのだという議論は成り立たない。また動力費の節約は、経済事情の変動によつて、当初予定された予算炭価より安く買い入れたという理由もございましようが、機関車に乗つておる乗務員がいかに犠牲を払つて、石炭を節約するのに努力しておるか。これは実は今委員長席についておられる同僚も、超党派的に、過日東京の管理局に行つて、われわれは蒸気機関車に乗せてもらつたのでありますが、私は本式のことはよくわかりませんが、とりあえず箱根を越したことだけは間違いないのです。各党の有志の議員があの機関車に乗つて、七つか八つのトンネルを通つて、口も目もまつ黒になつて一日を賢したわけですが、その中で機関車の区長及び運輸当局の責任者から開かされた第一線に立つておる職員の人々の献身的な努力は、現実にその機関車に乗つてわれわれが初めて知り得た事柄です。従つてこの動力費の節約ということは――昨日総裁は予算炭価が経済の変動によつて安くなつたというたくみな答弁技術に逃げておるけれども、もちろんそれには大きな理由もあろうけれども、第一線に立つておるこれら乗務員のこの努力と犠牲というものを、無視するわけには行かない。これは総裁に聞いてもらわなければならぬ。もしあなた方が、そんな犠牲というものは全然今考られておらないのだ、当初の予算炭価から経済の変動によつて安くなつただけが、ここに表わした数字であるというのであるならば、これは重大な問題が起きて来ますよ。現実に国鉄では今日まで行つて来ているではありませんか。職員の努力と犠牲によつて出たその予卯の中から、国鉄は今日までどういう処置をとつて来ましたか。このことをも考え合して、第一線に立つている職員の諸君は、今言つたような犠牲を払つておる。しかも運輸当局側と国鉄当局側の第一線の幹部から、われわれの聞かされた言葉は何であつたか。大臣、これはよく聞いてもらわなくちやならぬ。結論から申し上げますと、実は現に病気のために休んでおる岩、入院しておる者のその具体的な資料を、私どもは頂戴して来ております。その資料を見ますと、胸部疾患患者が圧倒的に多い。その胸部疾患患者のうちで、一体どういう病種が一番多いかというと、喉頭結核です。その次には何だ。目です。私はこの第一線に立つている国鉄当局の機関長が、具体的な資料としてわれわれに提示した資料を見て、ほんとうに考えないわけには行かなかつたのです。これは一つの例ですよ。そういうものを全部ここへ持つて来て、これがすなわち水害対策のかわり財源であるというように、もし大臣がお考えになつておられるのであるならば、私はこれは考え直していただかなければならぬ。私はせめて、当然予備費を使うこともけつこう、場合によつては建設の繰延べもけつこうではあるが、建設費の繰延べは現実にやつたとしても、人件費はどうしますか。こまかいことを言うようですが、利子はどうしてくれますか。物件費をどうしてくれますか。消粍的なものはどうか。私はそういうこまかいことは書いたくない。従つて政府がどうしても一般会計から出すことがかりにできないという情勢であるならば、せめてこの復旧費に対して国鉄が捻出し得ない他の部分は、これはやはり預金部資金から借り入れて、そしてこの災害復旧費に振り向けることが妥当ではないか。それくらいの努力は大臣は閣内で努力してくださつてさしつかえないことではないか。やつてくれるべきことではないか。これを私は大臣に期待をし、強く要望もしておつた。そのことがなされておらない。従つて現実の状態で行くというと、ますます国鉄の経理内容というものは苦しい一途をたどらざるを得ない。そのことがひいて現在仲裁裁定を根幹とするこの国鉄の大きな労使間の争いとなつている一つの理由にもなつている、私はこう考えます。従つて大臣はどうか事務当局と打合せの上で、これらの問題に対する答弁をさらにはつきりしておいていただきたい、こう考えます。
  71. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 別に事務当局と打合せてきのう答弁したわけでなく、どなたかへの答弁で私は申し上げたのですが、先ほど申し上げましたように、あなたの今のお話は非常に動力費問題の節約を言うたのですが、これは私は全然申したことはないのです。動力費のただいまあなたのおつしやるようなこともあり、また今日まで来たところで国鉄の一般的な炭価が下るということもあります。また同時に今申されたような苦労によつて節約したものもあると思います。しかしこれをそのまま災害復旧費の見返りというのではなく――全体としてはもちろん見るでしようが、見返りになるものはさつきも申し上げましたように、大体政府に返すものの三十億と、それから新線の事業繰延べの九十億、それから予備費から三十数億、これが災害費に充てる費用、合せて八十数億にちようど見返る。それでほかの問題、今あなたのおつしやつたような、そういう費用をただ漫然とこういうものにまわしたというのではないのであります。きのう私が申し上げたのは、そういう問題に全然触れなかつたのですから、前段が違つておると思います。しかしいずれにいたしましても、あなたのおつしやる労務者の苦労、努力というものは、私ども当然わかつていることでありますし、またそういう人たちの待遇をよくするということに努めることも、当然のことだということは一致するわけであります。
  72. 正木清

    ○正木委員 私は、大臣と私の間でことさらに意見の違いがあるわけでありませんから、重ねてこういう問題で議論をしようとは思つていませんが、政府から出ております昭和二十八年度予算補正第二号の説明、第四の政府関係機関の中のこの国鉄関係では、こういうように説明を付して予算が出ているのです。「損益勘定においては、職員の給与改善、六―八月水害、十三号台風による災害復旧、輸送量の増加等のための経費の増加を、輸送量増加に伴う増収、動力費の節約等経費の減少、資金運用部特別会計借入金償還の繰延べおよび予備費の使用等により賄つている。」こういう説明苦がついているのです。ですから私がことさらに動力費の問題に触れたことは、こういう点をおもんはかつて実は申し上げたんだということを、まず大臣は御理解置きを願つて、今後ほんとうに私は努力をしていたたかなければならぬ、こういうように考えます。  時間がないそうでございますので、結論に入りたいと思います。大臣に簡潔にお聞きしたいと思いますが、今朝の新聞を見ますと、大臣は非常に心配をされて、現在の国鉄当局と労働組合関係のこの紛争を何か急速に御解決をなさるために、関係閣僚の会議を持たれるというように新聞に出ておりまして、今朝九時からそういう会議が持たれたということを聞きましたが、そういう会議を持たれたのかどうか。持たれたとすれば、大臣の非常に御心配になつておられることであるし、また総裁の心配になつておられることであるので、政府は具体的に何らか解決の方途を見出されたのではないかと思いますので、この点ひとつお伺いいたします。
  73. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 きよう会合いたしました経済関係の閣僚のお集まりにおきまして、いろいろ話合いをしたんだが、結論というものは別にないのでございます。政府は今までの方針通り、予算案に伴うて政府が提出しておりますもの、それからその線に沿うて予算と仲裁裁定の国会の承認というものが速急に行われることを念願し、同時に国鉄当局と労務者との間に手当の問題において、団交をだんだん進めるというような方法によつて、何者の話を歩み寄らしていただきたいというような話合いをきよういたしたのでございます。
  74. 正木清

    ○正木委員 そうすると本日の関係経済閣僚の懇談会では、従来政府が堅持して来た方針と別段新しい変化は来してない、こういうように御答弁くださつたと思うのでございますが、そこでお尋ねをしたいと思いますことは、今日の問題をながめておりますと、非常に根本的に実は調整いたさなければならない点があるのではないか。たとえば国鉄労働組合からいうと、公労法の精神をみずから忠実に守つておる。心でどんな不平があろうとも、仲裁裁定委員会が下したその委員会の裁定に従う。それからしばしば当委員会でも明らかになつたことですが、これは国鉄当局の責任者である長崎総裁も、その裁定委員会の下した裁定に従うのだという。ところが一たびこれが政府並びに国会に移つて参りますと、政府は国家の財政の上から見て、その裁定委員会が下した裁定、労使双方がのんだ裁定を、そのまま現実に移して行くわけにはいかない。そこで不完全な裁定の実施、明年一月からこれを実施するのだ、こういうことでございます。従つてその最後の決定権は国会にあるんだ、こういうことでございます。ところが国家の財政が許さないんだという理由すら、実は明確になつておらない。しいて政府が言わんとするものは、明確になつておるのではないか、その予算を議員たちが見たらわかるじやないか、こういう結論が出て来ると思いますが、そうではない。実は議運においても非常に大きな問題になり、すでに郵政委員会においては実施できないという理由書を付して出すということすら、明らかになつて来ておるわけであります。当然そうあるべきことがほんとうなんです。一片の予算書ではわからない。ところが従来は、これも私どもは議運等において実は非常に議論をしたことですが、この一枚の紙の説明によつて尽きておつたわけです。大臣が当委員会において説明されたことも、この一枚の紙でもつて説明された。公労法というものが現に存置され、それによつて生きておるこの事実については、決して正しいことではない。その理由というものが、お互いに十分理解されるような処置がとらるべきであるかかわらず、それがとられていないということが一点。しかも現在の国鉄の企業の経営の実態の内容等からいつて、当然大臣が、ここであなた自身の口からお認めになつたように、政府としてなすべきいろいろな事柄が現実にはなされておらないというところから、国鉄経営の財源の点において非常に無理があるという点、しかも政府としては団体交渉によつて一切話をつけなければならない、こう言つておられるが、その団体交渉の基礎をなすものは何かといえば、二十八年度の当初予算と政府が現に出されておるこの補正予算との関係を無視しては、国鉄の総裁である長崎さんは思い切つて腹を割つて相手方と交渉することができない。ここに今国鉄労働組合と国鉄当局側の団交が、混乱と暗礁に乗り上つておる根本の原因があるのではないか。従つて今双方当事者がお互いに立場を尊重しながら、団交を通じてこの困難な状態を乗り切ろうとして必死の努力を払つておるにかかわらず、政府はこれに対して具体的にこれを処理しようとするところの努力が欠けておるように見られてなりません。特に私は所管大原であるあなたに強く心から要望したいことは、この際大臣みずから陣頭に立つて、国鉄総裁の長崎さんと打合せをしながら話合いをするくらいの意気込みを持たれてしかるべきではないか。しかもそこにどういう困難があるのか、どういう難点があるのか、そのことが十分に理解され、事柄がわかつたならば、その困難とそれからむすかしい点を打開するための努力が、大臣としてあなたにあつてしかるべきではないか。もちろんあなたは御心配をされ、努力はされておると思うのですが、私は現在のこのままの状態で推移するならば、それは政府がなんぼおどかしてもだめです。長崎さんがなんぼおどかしても聞きません。あなた自身が公労法をお認めになつて裁定を承認されておるのですから。職員側も不服であつてもその裁定を承認して、これを実施していただきたいと強い要請をしておるのです。今あなた方が遵法闘争は法律上見て違法であるから弾圧を加えるとか、いろいろなことを言つておつても、職員側から見れば、違法でもなければ何でもないわけです。正しいことを正しいと主張し、これを行わない政府に欠陥がありとして、政府の責任を追及しておるわけですから。従つて政府がその処置をとらないところに、政府の欠陥があるとして考えておるのが、労働組合側の現在の考え方なんですから、これを打開して行かない限り、この困難な問題の解決の見通しは立つて来ない。どうしてもこれを解決させなければならない。解決されるためには団交もけつこうでしようが、私は大臣みずから陣頭に立つて、この困難な問題を解決するために努力されることを強く要請いたしまして、私の質問を終ります。
  75. 松井豊吉

    ○松井(豊)委員長代理 本日の委員会はこれにて散会いたします。     午後一時十九分散会