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1953-07-15 第16回国会 衆議院 水害地緊急対策特別委員会 10号 公式Web版

  1. 昭和二十八年七月十五日(水曜日)     午後二時二十五分開議  出席委員    委員長 村上  勇君    理事 逢澤  寛君 理事 綱島 正興君    理事 平井 義一君 理事 中島 茂喜君    理事 滝井 義高君 理事 池田 禎治君    理事 加藤常太郎君       江藤 夏雄君    大久保武雄君       熊谷 憲一君    徳安 實藏君       赤澤 正道君    中嶋 太郎君       井手 以誠君    田中 稔男君       受田 新吉君    木下  郁君       辻  文雄君    松前 重義君       中村 英男君  出席国務大臣         農 林 大 臣 保利  茂君         国 務 大 臣 木村篤太郎君  出席政府委員         保安庁保安局長 山田  誠君         文部事務官         (管理局長)  近藤 直人君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         建 設 技 官         (河川局長)  米田 正文君  委員外の出席者         保安庁保安局調         査課長     内海  倫君         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      桜井 志郎君     ――――――――――――― 七月十五日  委員稲富稜人君及び馬場元治君辞任につき、そ  の補欠として木下郁君及び徳安實藏君が議長の  指名で委員に選任された。 七月十五日  理事生田宏一君の補欠として平井義一君が理事  に当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事互選  小委員及び小委員長の補欠選任  西日本の豪雨による被害状況聴取の件  水害地対策に関する件     ―――――――――――――
  2. 村上勇

    ○村上委員長 これより水害地緊急対策特別委員会を開会いたします。  まず、木村国務大臣より、水害地における保安隊の活動状況につきまして説明を聴取いたします。木村国務大臣
  3. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 このたびの西日本水害はまことに御同情にたえませんが、この機会に、その当時保安隊が活動いたしました状況を御報告いたして、お耳に達したいと思います。  まず第一に、部隊の派遣とその措置について申し上げます。去る六月二十六日、久留米地方水害の発生いたしまするや、第四管区総監は、福岡県知事の要請によりまして、保安庁法第六十六条の規定により、保安庁長官に部隊の派遣の命令方を上申いたしまするとともに、ただちに久留米駐屯部隊の隊員約五百名を現地に派遣いたして、救助に努めたのであります。本庁におきましては、水害の拡大に対応し得るよう、第四管区総監にその指揮下の部隊を適宜派遣し得るよう、包括的命令を出し、あわせて他の管区及び警備隊に対しても、派遣準備を指示いたしたのであります。爾後災害が門司、佐賀大分、日田、熊本等に発生するに及びまして、第四管区隷下の部隊の派遣を行わせまするとともに、特に給水塔のための部隊、舟艇部隊、施設部隊等に全力をあげて活動させることといたしたのであります。災害の拡大に伴いまして、六月三十日には第一及び第三管区より施設及び建設部隊を現地に急行せしめる措置をとつたほか、久里浜衛生学校の防疫隊、浜松飛行学校の航空機三機等を急行せしめたのであります。  爾来今日に至るまで現地に活動中の部隊は、左の通りであります。  第四管区内、久留米部隊、久留米普通科学校、福岡部隊、大村部隊、竹松部隊――これは施設部隊であります。熊本部隊、中津部隊――これは通信建設部隊であります。曽根部隊、小月部隊、鹿屋部隊、都城部隊、針尾部隊、九州地区補給廠。第三管区から金沢部隊、これは施設部隊であります。第一管区からは、豊川部隊、勝田部隊、松戸部隊、いずれも施設部隊であります。その他、久里浜衛生学校防疫隊、浜松飛行学校。警備隊につきましては、舞鶴から桑栄丸を物資輸送に従事せしめたほか、徳山、下関、大阪等の各航路啓開隊の船舶が物資輸送に従事いたしました。  災害に派遣せる人員は、六月二十六日以来今日まで、当初は毎日約三千人、爾後災害の拡大に応じまして五千人から七千人と増加いたしました。十三日現在では一万八百一名が現地にあつて活動中であります。今日までの派遣延べ人員は十一万七千五百名に及んでおります。なお以上の人員は現地に派遣した実人員であつて、その後方関係業務を加えますと、その約三割増となり、さらに交代人員を加えますと倍の人員となつている次第であります。  活動中に発生せる事故を申し上げます。災害発生以来隊員の事故はほとんど皆無と言つてよかつたのでありますが、不幸にいたしまして、七月十一日、門司において災害復旧活動中の西田一査がダンプ車両に触れて死亡した事件が発生いたしました。災害救助の活動状況は写真あるいは映画でごらんに供したいと思います。民衆の反響は、多数の感謝文が参つております。非常に感謝されております。佐賀県会におきましては保安隊に対して感謝決議をいたしております。福岡県におきましても、県会の決議をもつて感謝されておる次第であります。  今後の対策及び所見について申し上げます。今後の災害復旧まで極力協力せしめる決意であります。しかし隊員の疲労も非常に増加して参りました。かつまた訓練等の関係もあるのでありまして、現地の状況を勘案いたしまして、適宜引揚げることにいたしたいと考えております。今回の災害において特に施設用装備の活動がよく行われましたが、今後さらに装備品として改善装備すべきものがあれば、十分研究いたしたいと存じます。かような災害保安隊としては初めてのことであり、この経験を将来生かしまして、今後かような大害において活動できるように準備いたしたい、こう存じております。輸送機関の不備によりまして即応し得なかつた点もあつて、まことに遺憾であります。今後ヘリコプター、輸送機等も活用しなければならないと考えております。隊員は終始よくその任務を尽しまして、十分日ごろの訓練の成果をあげてやつておると考えておる次第であります。簡単ながら御報告といたします。
  4. 村上勇

    ○村上委員長 木村国務大臣の説明は終りましたが、質疑の通告がありますので、これを許します。松前重義君。
  5. 松前重義

    ○松前委員 保安隊水害現地における状況について、ただいま大臣から御報告がございましたが、この保安隊の性格として、かつて軍隊の時代においては、橋が存在するために川の両岸があぶない、上流があぶないというような状態になつたときには、ただちに爆破作業をやつたということを聞いております。今回もそのような事例がありまして、熊本市における子飼橋が非常に強い橋でコンクリートのために流れない。そのために、それにたくさんのもの、木材や家屋などが引つかかつてダムを形成したために、その橋の両側に激流がわかれまして、そうして全市があのような状態になつた。このときに現地に行つて聞いたところによりますと、保安隊にその爆破作業をお願いした。爆破作業はかつて工兵隊の存在するときはすぐにやつてくれたが、そのときには遂に間に合わないで、あのような災害が起つた、こういう話を聞いたのであります。聞くところによりますと、保安隊の出動を知事は前日の午後八時に依頼したそうでありますが、そのころ出動していただいておればそう大した惨禍は起らなくても済んだであろうと思われるところを、それが翌日の午前五時になつて出動していただいた。これはすなわち、保安隊内閣総理大臣の指揮命令に従うべきものであるというので、かような非常な際にも、わざわざ東京もてにその指揮命令を受けるべく時間を費した、こういう話を聞いたのであります。もう一つは、大分県におきましては、三日間それがかつて、出動をお願いしてから三日後に出動されて来た。このようなことでありまして、出動後における御努力に対しては、ただいまのような国民のいろいろな意味における感謝もございましようが、しかし災害の際のごときは出動時間が非常に問題でございます。やられてしまつたあとでは跡始末だけの問題になつてしまつて、どうしてもそこに機動的な態勢が現地においてとられるということでなければ、せつかくのあの災害を防止せんとする意図も画餅に帰するおそれがある。さようなわけでありまして、これらの事実について大臣からお伺いしたい。同時に、災害のような一刻を争うようなときの態度についてお伺いしたいと思います。
  6. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 保安庁法第六十六条に明白に規定いたしておるのであります。「天災、地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、部隊の派遣を長官又はその指定する者に要請することができる。」こういうことになつております。必ずしも総理大臣の指揮を仰がなければならぬというわけのものではないのであります。今回の災害におきましても、第四管区総監が、この県知事の要請に基きまして、ただちに出動しておるわけであります。その後のことは終始私に対して連絡をとつてあります。ただいま御報告申し上げましたように、私といたしましては、包括的にすぐさような場合に出動すべきことを指示いたしております。今後の災害にあたりましても、かような処置をとりますれば、万違算がないものと考えておる次第であります。  それから、ただいま仰せになりました熊本のことはまだ聞き及んでおりません。それらの点につきましては十分調査いたしまして、今後の研究課題として十分考慮いたしたいと考えます。
  7. 山田誠

    ○山田政府委員 ただいまの長官の御説明につきまして、若干補足的の御説明をさせていただきたいと思います。私は、長官から御命を受けまして、去る七月一日から六日まで現地の西日本水害対策本部の大野本部長のもとに参つて、いろいろ本部と保安隊との連絡に当つておりましたので、多少ただいま御指摘の点につきまして聞知いたしておるところがございますので、御参考までに申し上げたいと存じます。  ただいま長官から御説明がありました通り、災害派遣につき、ましては、保安庁法六十六条によりまして、総理大臣でなくて、長官からの命令によつて管区総監が随時管下の部隊を派遣し得る、かような建前になつておりまして、第四管区総監に対する包括的な命令が六月二十六日に出ておつたのでございます。従いまして、第四管区総監は、長官の包括的命令を受けた以降におきましては、現地の部隊長の申請によりまして、適宜判断して部隊を災害地に派遣する権能を賦与せられたわけであります。しかしながら、当時いろいろ通信その他の関係で、多少現地の駐屯部隊長と第四管区総監との間に、連絡に手間を取つたというようなことなどがありまして、現地の御要望に対して、多少時間的に派遣方が遅れておつたのではないか、かように見られる節が確かにないでもないようでありまして、さような点は、私が国警本部に参りまして、いろいろ現地の国警本部の意見を聞きましても、多少そういう点について将来保安隊として考えてもらう余地があるのではないか、というような点の御指摘も受けた次第であります。さような点は、私がこちらに帰りましてから、よく増原次長には御報告いたしておいた点でございます。  なお、もう一つの大分県のことは、おそらくあそこの日田、あるいは玖珠、その地方のことではないだろうか、かように考えております。両地方に対しましては、現地の中津部隊がたしか行つたはずでございますが、当時第四管区総監部に入つておつた情報によりますると、当該地帯は全然交通杜絶で、部隊の派遣が不可能であるというような情報が入つておりますために、第四管区において慎重を期して、災害派遣を命ずる前に、斥候と申しまするか、現地の偵察の隊員を出した。その後において行けるという見通しがついたので、無理を押して部隊の派遣を命じ、そこに一日あるいは二日でありましたか、非常に時期が遅れまして、現地の罹災の方々に対してはなはだ申訳ない次第になつたことでございまするが、さように第四管区総監としては慎重を期して出したということを、当時私が災害地に出張しておりまする際に、総管区の幹部の者から聞いた次第でございまして、確かにこの災害派遣につきましては、出動後におきましては非常に感謝を受けたけれども、出動の時期が若干おそい点があつたのではないかというような御指摘の点につきましては、今後とも十分に研究しまして遺憾のないようにいたしたい、かように考えております。
  8. 松前重義

    ○松前委員 今回の災害のようなものは、予測しないとつさの災害でありますので、時間を遅らすということは、全体に対して大きな影響を及ぼし、災害の範囲を広くならしめ、また深刻ならしめる原因をなすのであります。これらの問題については、ただいまの御答弁によつて満足をいたしますが、すみやかなる現地の裁量によつて行動し得るような態勢をおとりになることを要望しておきます。  もう一つは、災害の復旧に対する将来における保安隊態度でありますが、今回の災害の非常に深刻であるのに対しまして、これを復旧するにつきましても、場所によつて性格が非常に違つている。あるところでは水浸しである、あるところは山くずれでやられている、あるところはどろでやられている、このような性格の非常に違つた災害を受けているのであります。この中で、今日もなされているのでありますが、保安隊によつて復旧され得る仕事が相当量存在しておるのであります。たとえば熊本などにおけるどろの除去、あの厖大なる泥土の除去のごとき、しかもこれをすみやかにやらないと商売もできないという、ほとんど死の町と化し、いわゆる経済活動のごときはもつてのほかであるというような現況にあります今日において、政府としては一日も早くこれが除去に対して全力を注ぐべきものであると思うのであります。現地の説明によりますと、このどろの量が非常に厖大な量に上りますために、今のような状態で放置すれば、これはいつのこと、どろが除去できるかわからない。このような絶望的な状態に追い込まれている今日でありますので、これらに対しては、長期にわたつてせつかくお持ちになつている保安隊の実力――いわゆる実力と申しますか、その作業力をこの方面に動員されまして、どろの除去に対して長期にわたり、平常の場合と違うのでありますから、特別に思い切つてこの方面に動員することに対しまして、保安庁長官はどのようなお考えを持つておりますか伺いたい。どろの除去は早急の問題でありますので、これらのいわゆる保安隊協力――ここにいろいろ御報告をいただいておりますが、あのようなどろの問題のごときは大自然との闘いでございますので、人間との闘いよりも大自然との闘いに、思い切つて長期にわたつてこれを動員していただく御意図がありますか、伺いたいと思います。
  9. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 熊本市が火山灰で非常に迷惑されていることは、まことに御同情にたえません。一日も早くこれを除去して平常の生活にもどれるよう努力いたしたいと思います。保安隊といたしましては、本日参りました報告によりますと、熊本市の排土作業は、部隊の連日の作業と、地元学生の休暇によつて意外に進捗しておりまして、まことに喜んでいる次第であります。今後もでき得る限り御協力いたしたいと考えております。  ちよつと速記をとめてお話いたしたいと思います。
  10. 村上勇

    ○村上委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  11. 村上勇

    ○村上委員長 では速記を始めて。
  12. 松前重義

    ○松前委員 ただいま私が申し上げましたのは、排土が完了するまでという意味でありましたが、その点はいかがでありますか。
  13. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 これは一に申しますと、相当研究を要することであろうと思います。一面において、いわゆる普通一般の労務者の仕事を取つたというような非難をまたこうむるおそれもあります。とかくすると、もうすでに、保安隊に対して共産党一派の悪宣伝がやられておるのであります。それともう一つは相当の疲労を感じております。これらの休養の点も考えてやらなければならない。教育の点も考えてやらなければならぬ。人員も限られておるのであります。これを全部引受けてやり得るかどうかということは、十分に検討を要することである。今たやすく、それではしまいまで保安隊をしてこれをやらせるということは、遺憾ながら約束しかねるのである。十分検討いたしたいと思います。
  14. 松前重義

    ○松前委員 いろいろ食糧やその他の生活条件で、協力するのに困難な情勢があるというようなお話もございました。また、ただいま失業者より、あるいはまたその他の労務者からの非難を受けるおそれがある、このようなお話もございますし、あの現地の状況を見ますると、そう長くほうつておけないという現状であるばかりでなく、そのような失業どころでなくて、いくら人手があつても足りないというような状況にあるのであります。付近の村もほとんどやはりどろによつておおわれてしまつたのでありますから、その一メートルないし二メートルにわたる積土を除去するこれらの作業は、決して熊本市内だけの問題ではないのであります。でありまするから、この問題につきましては、保安庁の長官としてでなく、国務大臣の立場から、内閣、ことに政府全体の責任として、すみやかに具体的な案をお立て願いたい。そうして、それによつて計画的な作業をしなければならぬという段階に到達しておると思うのであります。しかし、それにいたしましても、あの商店街だけは早くどろを除去しなければならぬということで、もうだれでもが気持は急いでいることであると思うのであります。これに対しても、労働者の仕事を圧迫しつつあるとか、そのようなことは私は当らないことであると思うのでありますが、これらのただいまの御答弁では、どうも長期にわたつては困る、もうそろそろ引揚げる時期じやないか、このようなお気持のように拝察するのでありますが、ちよつと初めだけ何して、あとはもうこの辺で疲れたからというようなことでは、この現地の困難な情勢を完全に救うことにならない、このように思うのでありまして、ぜひこれは最後に至るまで、現地をしてこの方向に動員せしめていただきたいというように私は思うのでありまするが、もう一ぺん大臣から誠意あるお答えを願いたい。
  15. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ごもつともな御要望でありまするが、なお現地ともよく連絡をとりまして、十分考慮して、できる限りは御要望におこたえいたしたい。しかし、今確定的の私の意見は差控えたいと、こう考えております。今その現地の模様を保安局長から申し上げます。
  16. 山田誠

    ○山田政府委員 本州の方から施設部隊、建設部隊約千数百名の者が行つておりますが、これが災害地に対しては、熊本と門司と両方に重点を置いておる次第で、熊本に最大重点が置かれておりまして、他の個所が引揚げが終了しましても、この熊本には相当長期間施設部隊を残しまして、およその目鼻がつくまでは御協力申し上げたいというのが、事務当局並びに第一幕僚監部の方の大体の心構えでございます。引揚げの時期につきましては、長官の先ほどの御言明がありました通り、十分に考慮されるということで、部下の心構えは、相当長期にあそこには施設部隊を置いて御協力申し上げたい、またそうする態勢を整えております。
  17. 滝井義高

    ○滝井委員 簡単に、今松前委員からいろいろ御質問がありましたので、重複しない点だけ、ちよつと一点お尋ねいたしたいと思います。今度の九州水害に対して、保安庁の保安隊あるいは警備隊が出て非常に活躍されたことについては、心から感謝しなければならぬと思いますが、問題は、警備隊あるいは保安隊がこう二つ出て行つた場合の指揮権の問題でございますが、それはどういうぐあいに調和されておりますか。
  18. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 第四管区総監の指揮のもとにやつております。警備隊はこれは第四管区には入りません。別に第二幕僚長の指揮のもとにやつておるのであります。
  19. 滝井義高

    ○滝井委員 問題は、実はそういうところにあるのです。保安隊の方は第四管区総監、それから警備隊は第二幕僚長、こうしますと、まだほかにも出て行くわけなんでございます。海上保安庁の方のいわゆる海難救助のためにおそらく海上保安隊が出て行く。それから水上署が当然出て行きます。それから市町村における市の消防署が出て行きます。消防団が出て行きます。そうしますと、こういうようないわゆる非常災害のときには、あらゆるものがざあつと出て行く形になります。そうすると、保安隊の方は、この堤防を切らなければならないという認定をします。消防団の方は、そうじやない、これは土嚢を築いて守らなければならぬという認定が出て来るわけなんでございます。こういう調整が、現地において、大体どういう機関においてとられたのかということなのでございます。今度は今私が述べたような、あらゆるものが出て行つて、ばらばらな活動をやつておつたところに、むしろ問題があつたのではないかと思うのでありますが、その点長官から、そういうことはなかつたかどうか、御説明願いたい。
  20. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ただいまの御質問はまことに適切な御質問だと思います。しかし、私の耳に入つておるのでは、摩擦が起つたとは聞き及んでおりません。大体保安隊でやるようなところは、ほかの方で手のつけられないようなところをやつております。橋梁をかけるとか、あるいは大きな決壊作業をやるとか、消防隊やほかの方で手のつけられないような大きな作業をやつておりますから、保安隊に関する限りは、ほかの方と何らの摩擦は起つておりません。  警備隊の方も、主として物資の輸送、それから門司に入港いたしまして、通信をやつております。幸いに警備船には通信用具が、ほかと違いまして、十分性能のいいものがありますので、通信に当らせておる。また海上保安庁あたりとも何らの摩擦は起つておりません。さような次第で、保安隊、警備隊に関する限りは、何らほかとの間にいざこざはないと考えております。
  21. 滝井義高

    ○滝井委員 現実にそういういざこざがなかつたことは幸いであろうと思います。たとえば、湾内で火災が起る。そうしますと、現在の法律は、おそらく二十トン以下ぐらいの船は水上署がやるが、二十トンを越えるような大きな貨物船火災は、海上保安庁の方でやることになつておると思うのです。ところが、火災になると、その法律の二十トンの上下で、これはおれの方のあれじやない、これはおれの方だと区別するわけに行かない。従つて、現在こういうふうに、非常災害のときに、いろいろたくさんなものが出て行つておるが、――基本的に保安隊をどうするかいうことはもちろん問題がありますが、現実にあるものについては、当然非常災害の場合には、これらのものをどつかで握つて、一つの脈絡をもつて指揮統轄するようなものがなくては、出て行つても効果があがらない場合が出て来るのです。将来そういう点まで大臣はお考えになるのかどうか。
  22. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 今度の災害に対しましても、政府はいち早く対策本部をつくりまして、大野国務相が出て行つておりますから、全部その指揮下に入るということは別問題といたしまして、いろいろな方面からの注文がありますと、それは各方面に連絡をとつて適宜にやつた次第であります。今後十分にこの経験を生かしてやりたいと思います。
  23. 滝井義高

    ○滝井委員 十分ひとつ研究してください。私はこれで打切ります。
  24. 中村英男

    ○中村(英)委員 私も一、二点お伺いしたいと思います。  私はこの間二日から各党代表で調査に参つた者の一人でございますが、現地に行つてみまして、保安隊の若い諸君が、災害直後、災害救助あるいはその後における復旧工事を非常に熱心にやつておられる。私どもはまつたく地元民同様非常に感激しております。これはおそらく、あれだけの広汎な災害については、地元の人は、自分たちの家が災害をこうむつておりますから、あれだけの復旧工事はできない。そういう点で、今度の災害では非常に大きな役割を果したものと思つております。しかし、現地に行つていろいろな作業の状態を見ますと、やはり保安隊がこのたびの九州災害に対して非常に仕事をされたというこの問題を通して、保安隊の性格そのものに一つの問題を投げかけておる。これは保安隊自体も、相当今度の問題を通して御研究なさつたと思つておりますが、私たちしろうとで感じたこと、あるいは現地の人々のいろいろな声を総合してみますと、非常に保安隊によつて助かつた。助かりはしたが、今の保安隊が、国会におきまして、軍隊であるかないかいろいろ論議されておるのでございますが、今まで国会から保安隊を視察に行つた人たちの報告では、日本の内地以外の土地で仕事をするような訓練をされておるように私は聞いておつた。そこで、そういう点から考えてみますと、保安隊日本国内におけるそういう非常災害に対して備えて、もう少し日ごろの訓練があつたら、あるいは鉄舟その他の装備が災害に見合つたようなものなら、もう少し今日効果を現わし得たのじやないかということは、私が言うまでもなく、保安隊自体がお考えのことと思いますが、今後保安隊の装備なり訓練を国内におけるそういう非常時に備える点、あるいは保安隊そのものの性格、そういうふうな点を相当私は考究する必要があろうと思う。今の保安隊が軍隊であるとかないとかいうようなことは、やはり国民が、現状における保安隊の性格では、将来いつ外地に行くかもわからぬという不安がございますから、議論になつておる。過去においてそういう災害に対して備えることが性格の中にたくさんあれば、国民は受け入れる観念が大分出て来る。こういう点は一考を要すると思うが、その点についていかにお考えになるかという点が一点。  もう一つは、これは一、二例があつたのですが、今の保安隊の若い諸君五十人ばかりが道路の補修をやつておられる。私どもジープに乗つて通るのに、補修されておる状況からどうも不安な感じがしたから、実はおりてジープだけ通して歩いて、そうして下をのぞいてみた。私はしろうとですが、たまたまたまろうとの方がおつて、どうもこれはしろうとのやつた仕事らしいというので、そのときにおける責任者にいろいろ様子を聞いてみると、机上の勉強はされておるが、やはりそういう不安な補修工事をやつておる。こういう点が一つあるわけです。これを私ども考えるに、たまたまその地点における保安隊が、昔の工兵隊的なものでなかつたかもしれないが、つまり熟練者がいなかつたという点一つある。かりに熟練者がいなくても、県には熟練者がおるはずですから、そういう県の熟練者と保安隊の人たちを組み合して、そういう工事をやるということも、今後に残された問題だと思う。  それから、今木村大臣が言われたように、私ども心配しておるのは若い諸君の食糧の問題です。従来、いろいろ聞いてみますと、さばのカン詰で昼も晩もやつておる。まつたく新鮮な野菜が補給されていない。これでは若い者でなくても栄養失調に陥ると思う。これは保安隊内における予算の問題があるというふうな御指摘でしたが、特にこれから暑くなるのですから、あれだけの作業をやつておると非常に栄養失調に陥ると思う。さばのカン詰だけ与えて新鮮な野菜を与えていない。さらに長官の方から、現地では調達しちやいかぬ、こういうことですから、若い諸君はそれを厳重に守つております。若い諸君が栄養失調に陥らないように、十分御検討なさる必要があると思うのですが、その点について伺いたい。
  25. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 保安隊の性格は、いつも私が申し上げますように、わが国の平和と秩序を維持し、人命、財産を保護するために活動する部隊であります。国内の治安が乱れた場合に、それを鎮静に導いて活動するのも保安隊の一つの大きな役割であると同時に、またかような災害のときに出動することも一面の大きな役目であります。いずれも国内の平和と治安を維持する目的にほかならぬのであります。今後とも、今度の災害の経験を生かしまして、改善すべきは十分改善したいと思います。特に今仰せになりました鉄舟とかその他の器材につきましては、われわれは十分に考慮いたしたいと考えております。訓練の方も、施設部隊におきましてはこの経験を生かして、万万一不幸にしてかような災害が再びあつた際には、万違算のないようにやりたい、こう考えております。  それから食糧の問題ですが、これも、私は、若い青年を預かつておるのでありますから、かりそめにも栄養失調などに陥らせるようなことがあつては、父兄の方にも申訳ないのでありまして、できるだけのことをやりたいと考えておるのでありますが、これはなかなか容易ならぬ問題であります。これは実は私終始頭を痛めておりますが、どうかこの点についても何分の御配慮をお願いしたいと考えております     ―――――――――――――
  26. 村上勇

    ○村上委員長 次に水害地対策に関する件を議題として、質疑を継続いたします。  ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  27. 村上勇

    ○村上委員長 それでは速記を入れてください。
  28. 井手以誠

    ○井手委員 河川局長にお伺いいたしたいと思います。先日来、熊本の白川のことでいろいろと要望もあり、従つて、建設省においても、これを直轄河川にする用意があるという意味の御答弁があつたのであります。非常に力強く感じたのでありますが、同様に佐賀県におきまする嘉瀬川並びに松浦川についても、あの特殊な水系のために、また二十三年、二十四年のあの大水害にかんがみまして、ぜひ直轄河川にしてもらいたいという熱望をかねて地元よりいたしておつたのでありまするが、不幸にしてこのたびのあの大豪雨によりまして、ずたずたに堤防が切れ、一帯どろ海と化したことは、すでに河川局長も御報告を得ておられるごとと思うのであります。従つて、地元からも、ぜひこの際直轄河川にしてもらいたいという要望もあります。おそらく知事からも今回陳情があつたことだと思いますが、この両河川に対して建設省は直轄河川として――あの困難な、地方ではやりがたい水系の両河川に対して、直轄河川として復旧されるお考えがあるかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  29. 米田正文

    ○米田政府委員 お答えいたします。今建設省といたしましては、応急の手当、すなわち災害復旧、しかもそのうちの応急工事に全力を注いでおります。この応急復旧と同時に、次の問題は恒久対策としての問題を引続き今研究を始めたのであります。そこで、これをやるには、私どもの方では現地の調査ということが非常に重要な問題であります。それで、現地に出かけて参りまして、数箇月かかつて現地で完全な調査をいたしまして、それを持つて帰つて恒久対策を立てるのであります。それができた上で、たとえば白川のごとき、直轄河川としてやる規模のものなりやいなやということを、書類上ではつきり決定をいたしたい。嘉瀬川、松浦川についても、御承知のように両河川とも中小河川で、いわゆる県の河川として現在まで実施をいたしております。嘉瀬川は災害の助成河川として実施いたしております。直轄河川についての採択をするかしないかは、いろいろ採択の条件がございます。大きく申しますると、一府県の範囲にとどまらないで、二府県あるいは三府県というような広範囲にわたる河川というものが、直轄河川にする第一の条件であります。そのほか、特にこの工事費が非常に多額であつてかつ工事が非常に至難だというような問題については、特別に取上げるという規定になつておるのであります。今のところの川の規模あるいは災害の程度等も考えまして、白川は従前の例からいつて直轄河川に一度取上げようとしたことがある程度ですから、われわれの目途といたしましては、直轄河川におそらく採択ができ得る条件だと思いますが、佐賀の二河川については、まだそこまではつきりした結論を持つておりません。なお、今後よく調査した上でお答え申し上げます。
  30. 井手以誠

    ○井手委員 直轄河川になる条件については大体私も承知しておるのでありますが、よその県ではもつと小規模のものが入つておるという事実も知つております。しかし、その点には触れません。ただあの両河川、特に松浦川はむずかしい河川であるにかかわらず、経済的な価値が少いということで、たとえば渓谷にあつて受益面積が少いというようなことも考えられまして、非常に地元の負担が高いという困難性もあります。毎水害に大きな被害を受けるということも、おそらく建設省においては御承知のことと思うのであります。今度ずたずたに切られたあの堤防の状態を見ましても、また将来のことも考えますると、どうしても地方だけの負担でなくて、国で直接にやつていただかなければ復旧できない、安心して仕事をすることができないという状態にあります。特にその点はひとつ御考慮をお願いしたいと思います。
  31. 村上勇

    ○村上委員長 この際暫時休憩いたします。     午後三時二十四分休憩      ――――◇―――――     午後三時五十二分開議
  32. 村上勇

    ○村上委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  理事の辞任についてお諮りいたします。生田宏一君より理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 村上勇

    ○村上委員長 御異議なしと認めます。よつてさように決定いたしました。  次に、ただいま辞任を許可されました理事の補欠選任を行いたいのでありますが、これは先例によりまして委員長において御指名いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 村上勇

    ○村上委員長 御異議なしと認めます。それでは、委員長におきましては平井義一君を理事に指名いたします。     〔委員長退席、平井委員長代理着席〕
  35. 平井義一

    ○平井委員長代理 農林大臣がお見えになりましたので、農林関係について質疑を許します。綱島正興君。
  36. 綱島正興

    ○綱島委員 このたびの災害は、六月上旬の災害及び七月の災害を合せまして、ほとんど空前と言えるほどの災害と相なつたのでありまして、これについては特殊なる御処置を願わなければならぬと存じておりますが、農林大臣においては大体どういうような構想で御処置をするつもりでありますか、ごく簡単に構想をお述べ願いたいと思います。
  37. 保利茂

    ○保利国務大臣 二号台風の対策検討の途上におきまして、六月下旬の大水害はお話のようにまつたく空前の激甚な被害を起しております。農林省としましては、大野現地対策本部長のもとに、塩見農業改良局長を主任といたしまして、各局から職員を現地に派しまして、とりあえず、一番大事なことは、被害地域に渡る食糧をいかにして不安なからしめるかということが第一であります。第二は、田の植付時期に際会していたやさき、相当広汎な地帯にわたつて植えつけました稲の流失、苗しろの流失があり、従つてその処置を誤りますれば、植付不能の状態をかもし出すということをおそれまして、まず何をおいても食糧に不安なからしめることと、植付を可能なる限りやり終えるようにというこの二つを、特に改良局長に、多少の規則や何かはあろうけれども、現地において必要なる手段を広汎に講ずるようにという特別の旨を含めて、大野本部長協力をせしめました結果、現地県知事以下の御協力と相まつて、食糧の面及び植付の状態におきましては、ある県のごとき、今日の状態でまだ五割の植付を終つていないというような状態にも置かれておりますけれども、この数日中にはよほど進捗をして参るのではないか。およそその状況からいたしますれば、第一に、今回の冠水地帯が非常に広汎で、約二十万町歩からに及んでおる。流失、埋没したものがおおむね二万町歩くらいに達しておる。その二万町歩のうちに、耕地の埋没、流失等によつて、おそらくこの一作を犠牲にするほかないと見込まざるを得ないものが七、八千町歩あるのではないか。あるいはまた、水路破壊等の関係で、稲の植付をすることはできないけれども、陸稲その他の作物に転換して行けるものが三、四千町歩出るのではないか。これらにつきましては、種もみ、あるいはその他の転換作物の種子の確保をはかつております。  大体今当面しております被害実情は、むろん正確なことは申し上げられませんけれども、大まかな見込みとしてはその程度であります。従つて、それに対して措置を誤らないようにということは、応急対策として講じておるところでございます。各県ともにその応急対策はかなり円滑に進めていただいておるようでございます。しかしながら、何と申しましても、農地及び農業施設の復旧ということは、当面しておる問題であります。あるいはまた農業用水路破壊等によりまして、せつかく植えつけても今度は水がないというところは一体どうするか。むろん水路の復旧ということも急いでおりますけれども、それでもどうしても特別の措置をとらなければいかぬ、そういうものに対しましては、今回排水ポンプ等も相当手当しておるわけでありますし、その排水ポンプを逆に灌漑用に用いるというような臨機の処置を講じつつ、根本の対策としましては、むろん農地を初め農業施設の復旧を大急ぎでやらなければならぬ。そこへ持つて来て、二号台風で麦その他の農作物に大なる被害を受けて、その上に持つて来て、今度の元も子もなくなるような大災害でございますから、従つて、営農資金の対策、これも中央の立法措置等を講じておればおそくなりますから、できるだけ県当局において英断をもつて営農資金を融通しておいて、それを国の方から裏打ちをするという措置をとるようにということでやつておるわけであります。その他、被害状況の次第によりまして、国会側の御協力を得て、万全を期して参りたいと考えておる次第でございます。
  38. 綱島正興

    ○綱島委員 ただいま緊急対策のうちの食糧対策、苗しろ補整及びその他の植付に関する臨時措置のことは大体承りましたが、ただいま承つたうちに、流失町歩大体二万町歩のうち、七、八千町歩まで今年の作付が困難じやないか。なお三、四千町歩は水稲から陸稲に転換することができるように思えるというようなお話がございましたが、大体流失地域の水田が今年の出に間に合うというようなことはほとんど想像されないことのように思えますし、かりに間に合つても、この地域は作柄がほとんど問題にならないだろう。第一番に、おそらくは病虫害が起るでありましようし、またもう一つ予想されますことは、苗しろの間に土をかぶつておる稲等を植えましたものは途中が弱くなつて、深植えをいたすか、しからざれば浅植えをいたしますと、腰折れをいたします等によつて、病害はほとんど必然だ。そこで、これらについての臨時処置とあわせて、恒久的建設と申しますか、たとえば筑後川流域とか、あるいは熊本平野でありますとか、ほとんどあらためての開墾地に近いような状況にある、こういうようなところについては、農林省としては特別な御処置をいただかなければならぬと思うのですが、それらに対しての御構想を一応伺いたい。
  39. 保利茂

    ○保利国務大臣 まつたくごもつともてございまして私も全然同感であります。いずれにいたしましても、流失、埋没をしておりますもの、的確にはわかりませんけれども、七、八千町歩のところ、つまりこれはどうしても復旧しなければならぬ。その復旧のやり方は、現状を親しくごらんいただいておる皆さん方でありますから、申し上げるまでもないと思いますけれども、いわば新たに開拓をやるような状態に置かれておると思います。住居等につきましても相当の被害を受けておる。すつかり砂をかぶつておる。あるいは流れてしまつておる。表土も何も持つて行かれておる。それを新たに復旧いたしますということは、通常観念の復旧とはよほどかわつた考えを持たないといけません。でございますから、一面全体的に開拓をやるというような気持でなければ、またそういう取扱いをしなければならぬのじやないかということで考えておりますが、同時に今綱島さんのお話の三千町歩ほどの、水路破壊等によつて水稲の植付不能と見られるところ、そういうところは水路の復旧を急がなければならぬということは申し上げるまでもありませんが、急がせましてもこの作には間に合わぬだろう。それで適地適作で、あるいは陸稲をやる、あるいはばれいしよをやるというようなことで、とにかくそのための種子等につきましては努力をして確保いたしております。ただそういう残しました七、八千町歩のところは、この作を犠牲にして復旧ヘ急ぐか、あるいはここで何か畑作物をつくつておいて、そうして次の冬作を犠牲にするか、どつちにしても一作の犠牲は免れ得ない。その上に立つてこの対策を考えて行かなければならぬじやないか。私はできるだけこの災害を早く復旧して行くということに重点を置いて考えて行くべきであろうと思う。  もう一つ、ただいまお話のように、苗しろに砂をかぶつた、従つて腰弱の苗を現に植えておるようでございます。そういうものをも植えておるようでございますけれども、はたしてこれがものになるかどうかという不安のうちに植えておられるようです。しかし、一方においてまたかわり苗しろを急造しまして、それによつて相当補い得る道もありますし、一応植えつけたけれども、かわり苗があればそれにまた植え足しをするという措置も適宜とつて行かなければならぬと思います。同時に、御指摘のそういう状態のもとであるから、病虫害の発生した場合にはたいへんなことになるじやないか。ごもつともであります。私は、これらの被害農村の方々に、肥料も十分に来なかつた、農薬も十分に来なかつたというようなことで、失望を感ぜしめることがないようにということで、心配をして手配をいたしておるのであります。
  40. 綱島正興

    ○綱島委員 これから二つにわけて御質問を申し上げたいと思うのでありますが、二号台風のことについて一応先にお尋ねをいたしておきます。  御承知の通り、二号台風によりましてこうむりました被害も、このたびの被害に比べれば手浅くございますけれども、それでも二号台風の水害は従来の水害とは比較にならぬほどのものでありまして、これに対しても特別の御処置を願わなければ相なるまい、こういうことで各党の間でそれこそ甚大なる関心を持つて進めて来られたのでございますけれども、国家が許す限りの財政的処置ということが条件になりますと、各党においても深甚の考慮をされまして、大体非常に希望を集約されて参つたのであります。ただ問題は、御承知の通り、裸麦は九州の今度の災害地区がおもでございますが、これがほとんど流失をいたしておる。種を求めるといつても、非常に高い種でなければ手に入らない。そういうような事情から、表面上はいろいろな補助を受けても、実質上は非常な負担をしなければ、この次の作付ができないのであります。その他、いわゆる十万円の対象に及ばないような地域の被害、もしくは全然個人の耕作地だけがこうむつておる被害等のようなものについても相当の考慮をいたさなければ、この際農村の更生はよほど困難になると考えられますので、これらの点についても特に御考慮を願えるでございましようか。この前凍霜害対策というものが行われたのでありますが、あのときよりはちよつときずが深いように存じますので、それらの点についても一応御考慮を伺つておきたいと思います。
  41. 保利茂

    ○保利国務大臣 二号台風の被害は、国会でも御心配をいただいておりますように、凍霜害に劣らざる被害であると思います。しかしながら、今回の六月末から七月の水害というものは、これはまさに天災的水害というものでございますから、この今回の北九州の大水害に対しましては、どうしても政府においても国会と御協力して特別の措置をとらなければならぬ。その際に、たとえば現在十万円までとなつておりますような耕地の復旧等の制限も特別の考慮を要する。お話のような趣意において、私はこれはぜひ考慮してもらわなければならぬと考えておるわけであります。二号台風の対策につきましては、本委員会においても御心配をいただいておるわけでありますが、私どもの方としても、むろん災害でございますから――今度の北九州災害と申しましても、厳密に精査すればそこに程度の差はありますけれども、凍霜害と二号台風の災害、これはみな局地局地によつて異なるとは存じますけれども、一応凍霜害の災害に準じて考えることが妥当ではないかということで、農林省としては凍霜害に準じまして、しかもできるだけ実情に合致するようにという趣旨も含めて対策を立てまして、大蔵当局と交渉をいたしておる最中でございます。
  42. 綱島正興

    ○綱島委員 特に御考慮願いたいと存じますことは、御承知の通り食糧上の油、油脂源であります。これが日本食糧に非常に欠乏いたしておる等のことから、菜種の奨励はこのごろだんだん重点を置いて来ておつたのでありますが、二号台風においては、菜種等は全面的に失われたのが多いのであります。麦が失われたというのは、実は六月の一日、二日が降りまして、三日が天気であつた。それで三日に取急いで取入れようとして、しかし非常な広汎な地域であるから、ただ刈りつぱなしにした。そうしたら四日の豪雨で全部流してしまつたという実情であります。このことは菜種においてもある。ところが、菜種は、麦と違いまして、多少無理しても取入れることができませなんだために、一日、二日等に取入れた麦等は被害を免れておりますが、菜種の場合は全面的に取入れが困難になつたために、ほとんど収穫ができていないというところの事情を御考慮をお願いいたしますことと、今後の食糧源ということについて菜種が主要な立場を持つという、肥料源から見ましてもいろいろな面から見ても、菜種は農作上今後注意をしなければならぬ作物であるという事柄等も御考慮になりまして、菜種の損失に対する御考慮においては、特に一段と注意深きお考え方を賜わりたいと存ずる次第でございます。  それからなお、あとに起りました六月下旬の大災害についてお尋ねをいたします。実はほとんど開墾に近いような状態に置かれております地域、これらの地域を従来のごとく団体営の農地土地改良等におまかせくださいますと、事実上は欠損が非常に多くなると私は存じます。どうしてもこれは、大体の部分は国家の直営をなさらぬ限りは――実は決して府県を信用しないとか農村団体を信用しないとかいう意味ではございませんけれども、農村、府県等が非常に財源に枯渇いたしておりますから、従来の実情を見ますと、国家の補助金を大体の対象にして、それに平衡交付金を加えた分でやつてしまう。そのために、設計書から見れば不十分なものができてしまう。また災害の原因になる。これは、ただいまの農村の実情としては、どうしてもやむを得ぬと存じます。そこで、このたびは、この主要なる部分についてはどうしても国営的な御処置を願わぬ限りは、いわゆる直轄的な工事を願わぬ限りは、私は耕地を回復することは困難だと存じますので、この点に対する御構想を一応承つておきたいと存じます。
  43. 保利茂

    ○保利国務大臣 実際の実情をよくごらんになつておられる御意見でございますから、そういう節もあろうかとは存じますけれども、実際はそういうことをやられては困るわけなんで、こういう今度の場合は特に非常災害でございまして、県当局及び各地元におきましても、非常な事変に際会したという気持があふれてやつていただくという空気が盛り上つておりますから、むろん財政逼迫の実情は無視することはできませんけれども、大体今度の耕地復旧のおもなる主体は県において十分ではないか。しかし非常に広範な集団的な地域があるわけでございます。場合によれば、お話のようにあるいは直轄というようなことを考えなければならぬと思いますけれども、よく実情と合いました処置をさしていただきたいと思います。
  44. 綱島正興

    ○綱島委員 実は、地域的に申し上げますと、熊本平野のごとき、もしくは小地域でございますけれども、大臣もよく御存じと思いますが、佐賀県から長崎県にかけての特殊な地すべり地帯、こういうところは農地ともつかねば、これには運輸省も関係がございますし、農林省も関係がございますが、実に見るもさんたんたる実情でございますので、これらの復旧等は、従来の予定されております農林省の規定だとか、あるいは農林省の中でも林野庁、農地局おのおのなわ張りが違います。これらを総合してやつていただくよりほかには、とうてい救済の道はない。それから熊本平野は、ほとんど三尺に余る有害な土砂を排除するわけでありますから、これは国営でもつて、特に進んだ機械で十分なる配慮をなすつて、二度と災いの起らぬような処置をしていだかなければ、地方的に漏れ聞くところによりますと、あの土砂を捨てる谷がどこにあるとか、ここにあるとかいうようなよりよりの報告を受けております。そういうことをやつておりますと、また災害が起る。そこで、これはどうしても大きな見地から、農林省でも非常に御迷惑かもしれませんが、ひとつぜひ御努力を願つてやつていただかぬ限りは、これを局部におまかせいただくと、金は林野庁の予算にも出れば、建設省の予算にも出た、農地局の予算にも出た、土地改良の方の予算にも出たというようなことではいけない。どうしても予算も復旧工事も一つの総合した線でやつていただかぬ限りは、費用多くして実効が少い。そして非常に広大なために、私どもは懸念にたえないわけであります。どうぞその点は特に御留意を賜わりたいと存ずるわけであります。
  45. 中村英男

    ○中村(英)委員 農林大臣に質問いたします。このたびの九州災害は、それぞれの地域で災害の様相が違うのです。そこで、それらの違つたケースに対する農業対策についてお伺いしたいわけですが、たとえば筑後川、あるいは熊本周辺の広大な平原地帯は、一、二を除いては大体営農資金で立ち上り得るというケースだろうと思う。ところが、筑後川の上流の玖珠森、あるいは日田、その他長崎佐賀、それぞれの山岳地帯における災害大分様相がかわつておると思う。これは、御承知のように、河床が全然かわつて、表土も心土も全部一挙に持つて逃げた、こういう非常に傷の深い災害です。これは、おそらく営農資金では農民は立ち上り得ない、こういうふうに私どもは現地に行つて見たわけですが、おそらくそういう方面の農民は、家を半分こわされ、一町の耕作田を、あるいは五反あるいは全部、表土、心土とも持つて逃げられている。そういう状態が非常に多いのです。これはおそらく農林省としては対策は考えておられると思うのですが、私の見るところでは、営農資金では立ち上り得ないんじやないか、そういう農民に対してどういうふうにお考えになつているか、対策をお持ちになつているかという点をお伺いしたい。
  46. 保利茂

    ○保利国務大臣 耕地の荒廃を前にして、しかもたいへんな災害を受けられ、収入の道も杜絶をしている、こういう実情に当面せられているところが相当あると思います。農林省だけでこれをどうするというわけにはむろん参りませんけれども、私どもの考えは、そういうところは、耕地の復旧とかあるいは農業用施設の復旧とかいう公共事業の面において、できるだけ現地の被害農村の方々に現金収入の道を優先的に開いてもらうということが、根本的に一番大事だと私は思つております。同時に、各省でやられております、たとえば労働省失業対策事業等、活用できる限りのものを集中して、これらの被害農村の生活をささえて行く処置を講じて参らなければならぬ、そういう面につきまして私の考え得る限りは、各省にも御相談を申し上げておるところでございます。中心はそういうふうにしてかみ合せて行つて、現金収入の道をはかつて耕作のできるところには営農資金の融通ということがお話のように大切だと思いますが、そういう処置も講じて行かなければならぬというように考えております。
  47. 中村英男

    ○中村(英)委員 それから、佐賀県の非常に低い地帯、つまり干拓地帯を見てまわつたのですが、これは非常に陰惨な状態を起しております。私どもの見るところでは、おそらく麦は全部――前の災害で裸麦はいかれた。今度の災害で小麦も水浸しになつた。ある部落のごときは、玄米の保有米をぬれたまま置きますと保存しにくいから、どぶの申につつ込んでおく。そのどぶも、メタン・ガスのわいているような、そういうどぶヘかますをつけて、それを出して三べんも四へんも洗つてたいて、ほしいにして保存する、そういう処置をとつているようです。これは一つの場所ですが、今度の災害では範囲が広いのですから、おそらく農民が自分の食糧もなくした、そういう状態が相当あろうと思う。これは前の二号台風のときにも私どもは強く主張しておつたわけですが、手持ち食糧をなくした農民に対する食糧を現物貸与しておられるかどうか、あるいは将来その点をどう考えておられるか。
  48. 保利茂

    ○保利国務大臣 これは保有農家につきましても、ただいまお話のように、すでに食べられなくなつているとか、要するに飯米に事欠くというようなところに対しましては、事実上のこれは貸付でございますけれども、保有農家に対しては、米三合に麦一合、四合を代金延納でお渡しするという処置を――これは先ほど申しますように、大野本部長が出かけられるときに、実情に即したところでやつてもらいたいということを申し上げておきました。現地の実情からいたしまして、これで十分と申しておるわけでは決してございませんけれども、とにかく農家の食糧だけはそういう措置で参りたい。これを代金延納にいたしますか、現物貸与という形で行きますか、実質は同じでございますけれども、多少関係当局と折衝の面もあるものでございますから、そういう措置をただいまとつております。
  49. 中村英男

    ○中村(英)委員 山岳地帯に非常に今度は小団地の災害がたくさんある。これは地元へ行つてみますると、十万円以下では対象にならぬ、従つて申告しない、そういうふうな状態がたくさんあるわけです。そこで、そういう災害に対して、十万円を五万円にしてもらいたいとか、そういうふうなものさしをなくしてもらいたいという要望が非常に強い。これは私の一つの試案ですが、きのう大臣かどなたかお答えになりましたが、今全国どんなところへ行きましても、積寒地帯ができ、あるいは急傾斜地帯ができ、湿田地帯ができて、土地改良区ができていると思うのです。だから私は、そういう土地改良区を工事の対象として行くことも、一つの方法じやないかと思つているのです。十万円を五万円にされることも一つの方法でしようし、そういうことが事務上非常にやつかいであれば、土地改良区を工事の対象としてやることも一つの方法じやないかと思うのですが、ひとつその点を御検討願いたいと思うのであります。
  50. 保利茂

    ○保利国務大臣 今回の災害は非常に広い地域にまたがつて大きい災害が起きておりますのと同時に、小さい局部的な災害が無数に出ておるというのが実情だと思います。それに対して、十万円以上でなければ補助の対象にしないというような現行制度では、実情に合わぬじやないか。ごもつともだと思つております。ところが、これをこまかくいたしまして、こまかいところまで――すでに今日でも、公共事業につきましてはかなりルーズになつている、行政監察を強くやらなければならぬという強い非難も、一方においては出ておるときでございますから、私は趣意においては全然同感でございますが、やり方におきましては、あるいはそういう三万円とか五万円とかいうようなところは、県にひとつやつてもらつて、そして県に対して補助助成をして行くというのも、一つの道でないかと研究いたしております。
  51. 中村英男

    ○中村(英)委員 極度の災害で、御承知のように、おそらくことしは九州の方面あるいは山陰、その他災害を受けた方面では相当な減収が予想されます。それに、御承知のように、きようこそ少し夏らしい天気になりましたが、大体涼しい。冷害でもあるのではないか。こういう状況なんです。おそらく、九州災害に加えてまた冷害でもあれば、日本食糧はきわめて重大な問題になる。すでに九州におきましても、本州におきましても、やみ米が非常に上昇して来ております。現地におきましても大分高くなつている。あるいはやみ米を計画的に買いだめする状況がたくさんあろうと思う。これは、ことしの端境期まではまだ相当期間もございまするから、そういう九州災害なり、今後米の減収を予想して来ると、私は、日本の経済あるいは社会的な状態心に、非常に大きな問題を投げかけると思う。こういう点につきまして、この端境期まで日本食糧は大丈夫かどうか、そういう点をひとつ大まかに……。
  52. 保利茂

    ○保利国務大臣 こまかい資料を今持つておりませんけれども、今年の作況がどういうふうに推移いたしますか、今日までの状態は必ずしも好条件ではない。特に九州佐賀、熊本――筑後平野、肥後平野及び大分県の穀倉地帯と申すべきところが相当の減収を予想しなければならない。そういう上から行きましても、例を九州にとりましても、相当需給上心配な点はございますけれども、もつとも今後の天候の推移がどういうふうになりますか、どうかよかれと祈つております。しかし、ただいまの食糧需給の状況は、そういう悪条件もありますけれども、少しも懸念のない、かなり豊富な手持ちを持つておるわけでございます。特に、九州につきましては、農家の飯米に対する処置を抜きにいたしますれば、事実十月まで何ら不安のない配給確保の量は今日あるわけでございまして、今回の災害におきましても、比較的政府所有米麦の被害が少うございました。その点は少しも心配ないわけでございます。ただ、農家の飯米に対する処置を要しまするために、あるいは本土から相当の移動をしなければならぬということはございますけれども、全体といたしましては、この端境期を迎えまするのに何ら不安のない実情になつておりますから、その点は御安心を願いたいと思います。
  53. 中村英男

    ○中村(英)委員 この質問は、実は副総理に質問するのが妥当かと思いますが、農林大臣にもひとつお尋ねしたいと思うのです。今度の災害は、長雨のところへ、六月の二十五日に九州災害を起し、二十八日に山口、愛媛をも含めた災害、それからまた四、五日梅雨前線がずつてから山陰を襲つておるわけです。私どもが考えるには、日にちのずれはございまするが、あるいは災害の大小はあるが、同じケースだ、こういうふうに考える。そういう点を大臣はどうお考えになりますか。
  54. 保利茂

    ○保利国務大臣 お話のような地帯にも、梅雨前線による降雨によりまして相当な被害が出ておる。これはまつたく同じことだと思いますが、ただ被害の度合いがどうであるか。同じ降り方でも、抵抗力の弱いところは被害が大きくなるわけですが、これは災害としては同じことであると思います。雨が少くても、非常な災害を起しているところもございます。
  55. 中村英男

    ○中村(英)委員 そこで、もう一点つなぎ融資の問題でお聞きしたいのですけれども、大蔵省はおいでになつておりませんか。
  56. 平井義一

    ○平井委員長代理 きようは来ておりませんので、明日呼ぶことにいたします。
  57. 中村英男

    ○中村(英)委員 それではきようはこれで終ります。
  58. 井手以誠

    ○井手委員 ちよつと関連して大臣に一点だけお尋ねしておきたい。ただいま中村委員の質問に対して、大臣は、小地域の耕地復旧については、県に対する補助の考えで行きたいという御答弁でございましたが、大臣も地方財政が非常にきゆうくつになつておることは御存じの通りであります。また同時に、そういう小地域の災害復旧が非常に重大なことであることは御存じであろうと思う。農村は、以前のインフレの時代と違つてデフレの傾向にありますし、二十三年以来の相次ぐ水害で打ちのめされておるのでありまして、そういうことを考えますと、貧乏な県へ耕地の損害に対して補助金でやつて行くということでは、とうてい実効を収めることは困難であります。あの大災害の実情を考え、地方の要望を聞きますときに、どうしても国が直接に補助の対象金額を引下げ、あるいは高率の補助を行つて早急に復旧することがきわめて必要だと思う。そのことについては、綱島委員からも中村委員からも熱烈な御要望があつたのでありますが、それについて再考の御用意があるかどうか、その点を承つておきたいと思います。
  59. 保利茂

    ○保利国務大臣 ごもつともでございまして、実情をつぶさに、ごらんいただいて来ました井手委員のお話のように、十万円以下のものを今日まで顧みなかつたということは、今回の災害の実情からいつて決して妥当ではないというので、考え方は私は全然同感でございます。ただ事業主体、つまりその工事に対しての責任を明らかにいたして参ります上から行きますと、県でやつていただいた方が妥当じやないか。それに対して特別の補助率を考える等も一つの方法ではないか、というように考えておる程度でございまして、委員会の皆様の御意見等も十分伺つて善処したいと考えております。
  60. 大久保武雄

    ○大久保委員 私の質問も、ただいま綱島委員その他の方々が開陳されました点と同じでありますが、今回の災害のきわめて大きな要素は、農地に対して徹底的な破壊がされていることであります。この点は、地方の団体あるいは府県、町村のとうていよくするところではない。そこで、この点に関しましては、どうしても国が出て行かれて解決に乗り出すということ以外に、農地の復旧の見通しはなかろうと思うのであります。県にいたしましても、相当大きな税収の減が見込まれておる次第であります。私は、この点に関しまして、今後農林当局におかれましても、国が国営として実施するという見地から、できるだけ御研究を願い、その方途を御検討願いたいと考える次第でありますが、この点に関して全然見込みのないものであるか、あるいは農林大臣として御研究くださるものであるか、この点について御質問申し上げたいと思います。
  61. 保利茂

    ○保利国務大臣 ごもつともな御懸念でございまして、先ほども申しますように、大体は県営をもつてこの非常災害に処するという県民の気持を盛り上げて、すみやかな復旧を願つておるわわけでございますが、第一に、熊本の非常な広い地域にわたつておりまする耕地の復旧につきましては、あるいは農地事務局地方建設局の研究機関の意見も十分聞きまして、場合によればこれは考えなければならぬと存じておるわけであります。
  62. 大久保武雄

    ○大久保委員 ただいま農林大臣の非常に力強いお言葉を承りまして、私非常に感激いたしておりますが、農地事務局におきましても、そこの建設部長が一家全滅して水害の犠牲になられましたことは、私は深甚の哀悼の意を表しておる次第でありまして、かくのごとき大犠牲を払つた農地事務局が耕地の復興のために立ち上つておられることは、私はきわめて尊敬をいたしておる次第であります。農地事務局の意向を徴しますと、国営としてやらなくてはいかぬだろうという空気が相当濃厚でございます。私自身、幹部の方にもあるいは下の方にも直接お会いいたしまして、その真摯な御努力にまことに感激しておる次第であります。どうか国土を復興するという意味において、この建設部長一家の全滅の被害を乗り越えて、この災害に対しては国の力によつて復興を願いたいと存ずる次第でありまして、農林大臣のこの上ともの御尽力をお願いしたいと思います。  次に、これは農林大臣でなくてもよろしいのですが、お尋ね申し上げたいと思いますことは、農林水産施設の復旧額調という資料をいただいております。この中に畜産関係の復旧額が計上されておりませんが、これはどういうわけでございましようか、お尋ね申し上げます。
  63. 桜井志郎

    ○桜井説明員 今お手元に差上げました資料は、施設関係の復旧、つまり従来公共事業費をもつてやつております分だけを集めて差上げたのでありまして、従つて、畜産関係のものは含んでおらないということを御了承願いたいと思います。
  64. 大久保武雄

    ○大久保委員 あるいは私の不明のいたすところかもしれませんが、牧道等はどういう部門に入つておりますか。
  65. 桜井志郎

    ○桜井説明員 牧道とおつしやいますと、用途的には牧道というものがあるかもしれませんが、おそらくは農道として扱つておるものか、あるいは林道か、もしくは普通の町村道か、その三者のいずれかと思います。
  66. 大久保武雄

    ○大久保委員 最近阿蘇の被害状況がもたらされましたが、現地の人の話によりましても、熊本県の阿蘇の被害は判明しなかつたのであります。現に私が大野国務大臣の一行とともに熊本に入りました七月の三日、三日、ごろにおきましても、阿蘇の被害は全然わかつていなかつた。熊本県でもやつと最近阿蘇の方に係官が行つて調査を進めておるそうでありますが、聞くところによりますと、阿蘇の牧場に一大断層が起りまして、牧場に行く道が断たれておる。そこで家畜を放牧してあるものを収集することができない。たくさんの牛馬がその断崖の向うに取残されておる。こういつた牧場の往復の道その他の復旧の点は、どういう方面に計上されておりますか。
  67. 桜井志郎

    ○桜井説明員 実情をよく調査しなければ、はつきりしたことは申し上げかねるかと思います。もしその道路が牧場経営者の私道でありますならば、今の規定からいいますと、災害復旧の補助の道がないかと思います。しかし、その近傍に農耕地がありますとか、あるいは林業経営のために使われておる林道であるという場合におきましては、林野の施設もしくは農地関係の公共施設として、その補助の対象になると思います。
  68. 大久保武雄

    ○大久保委員 この点はきわめて最近のニュースでございますから、なおわれわれの方も調査いたしまして、質問は後日に譲ることにいたします。
  69. 平井義一

    ○平井委員長代理 関連質問として、江藤夏雄君、
  70. 江藤夏雄

    ○江藤委員 農林大臣がお見えになつておりますので、二、三のことにつきまして簡単にお尋ねいたしたいと思います。  前にすでに質問されたことにも関連いたすのでありますが、第一は、中村委員の御質問でございます。佐賀県の干拓地帯あたりに参りますと、被害のために非常に生活に困つておる農家がある。そして飯米もなくなつておる。そういう非常に甚大な被害を受けた生活困窮者に対して、米を貸すということをやつておられますが、そうではなくして、こういう人々は一年間や二年間で立ち上れないかもしれませんから、額としてもそう大したものじやないと思いますが、この際むしろ思い切つていわゆる政治の恩恵を現わして行くという意味において、飯米の無償交付をやられるお考えはございませんか。
  71. 保利茂

    ○保利国務大臣 実情はそういうところまで考えなければいかぬのじやないかというように思いますけれども、これはいわゆる災害救助法の発動をいたしてさような措置をとることになつております。ただ、私としましては、先ほど中村委員の御質問中にお答えいたしましたが、耕地の荒廃等がありまして公共事業が起されるところは、そういう現金収入等の公共事業とかみ合してできる。ただ、水をかぶつて、耕地は実際はいたんでいない、しかしながら食べるものもつくるものもないというようなところの対策をどう講ずべきであるか、その実情は私も想像いたしております。そういう前例もございますが、ただ、無償交付の措置は、今日としては実際問題としてなかなか取扱いにくい、御懸念の点は、同様のことを私も心配いたしておりますから、ひとつ十分研究さしていただきたいと思います。
  72. 江藤夏雄

    ○江藤委員 農林大臣から非常に御理解の深い御答弁がありましたが、何とぞひとつ非常に困つておる罹災農家のためにお考えいただきまして、この上とも切に善処せられんことをお願いいたします。  次に、これは現に各県においても実施いたしておるところが相当あると思いますが、水稲の苗しろの再仕立て、これを水害を受けましたためにやつておるわけであります。それは、本年の秋の収穫を確保するためには、どうしてもしなければならぬのでやつておるわけでございます。その苗しろの再仕立てのための種もみ代、委託苗しろ設置に要する費用並びに稲の苗を輸送するために要した費用、そういうようなもりに対して国庫補助をやるというようなお考えはございませんか。
  73. 保利茂

    ○保利国務大臣 ただいまだんだん御指摘をいただきましたことにつきましては、当然これは国庫補助の必要がある、こういうふうに考えております。
  74. 江藤夏雄

    ○江藤委員 どうもありがとうございました。どうぞそういうぐあいにひとつ御考慮願いたいと思います。  それから、これは先ほど農林大臣のお話にもございましたが、いわゆる水稲をつくるということはちよつと困難ではあるが、しかし代替作物というものはできる、そういうものが三、四千円歩はあるというお話でございましたか、そういう代作用の種子、こういうものを確保するために要する種子代、保管料、それから輸送費等に対する国庫補助というようなことについては、側かお考えはありませんか、お伺いいにします。
  75. 保利茂

    ○保利国務大臣 これも先ほどの問題と同様に、今種子の手配はかなりいたしております。そういう含みを持つていたしておるわけであります。
  76. 江藤夏雄

    ○江藤委員 どうもありがとうございました。  次に、最後にちよつと水産対策のことについてお話を伺いたいと思いますが、この水産、特に漁船、漁具等、そういうものも第二号台風並びに今回の大水害によりまして非常な損害を受けており、それから有明海沿岸等におきましては、養殖用の貝類、あさり、はまぐり、そういうものがすつかりやられておる。そういうものに対する国庫補助、これはどういうふうにお考えでありますか、ちよつとお伺いいたします。
  77. 保利茂

    ○保利国務大臣 その点につきましても、二号台風以来国でもつて補助、助成をしなければならぬということで考えを進めております。これがまた非常に災害をひどく受けておりますから、その上にまた考えてみなければならぬ、こういうふうに考えております。
  78. 受田新吉

    ○受田委員 筑後川の上流に九州電力がつくつておる夜明ダムのとびらをとざしておつたために水が溢れて、筑後川の両岸を洗い、――福岡県の浮羽郡一帯の農民は、そのために農地を流失せしめられたというので、このダムの問題については強力に抗議を申入れしてあるのを、大臣は御承知だろうと思います。こうした農民にとつての重大な危害を加えた行為をなしたものに対する責任の所在は、どういうふうに今回の災害を通じて政府としてはお考えになつておられるか、お伺いしたいと思います。
  79. 保利茂

    ○保利国務大臣 私はつぶさに事情を存じませんけれども、大体今度の水害は御存じのように今の――こういうことを申したらあるいはどうかと思いますけれども、大体三百ミリから四百ミリくらいの降雨量であれば、そこにいろいろ責任とかなんとかいうことが起きて来るだろうと思いますけれども、八百、九百というような、ほとんど空前の降雨量に対しては、ちよつと手の施しようもない状態ではなかつたかと思うのであります。もとよりダム建設につきましても、ただこれは水の利用でございますから、水の利用が電気を起すことのみを考えてやられたんじや、たまつたもんじやございませんし、だから、水の利用は総合的に研究をされて、多方面から検討の上建設をせられて行くべきだろう。おそらくこのダムとてもそうだろうと思いますけれども、しかし、実際の事情は私はつまびらかにいたしておりませんから、これについては何とも申し上げかねるわけでございます。
  80. 受田新吉

    ○受田委員 調査の上、しかるべき回答を求めることを要求をいたしておきます。  次は、このたびの強力なる雨の結果、土地の流失などで根底からくつがえされたものがあつて、再起不能の農地が相当数に上つております。ここで働きつつあつた農民は、村を捨ててどこへか行かなければならないというような現状であります。その面積は非常に広範囲に及んでおることは、あなたも御承知だろうと思いますが、復旧の見込みがないまでに荒れ果てているこの農地を、農林省としてはどういう対策をもつて復旧させようとするか。その期間中におけるこれら土地の所有者を、いかなる方法をもつて生活をさせるか。この離村、離農まで決意している農民たちに対する政府の基本的な対策をお伺いしたいと思います。
  81. 保利茂

    ○保利国務大臣 お答えいたしますが。今度の災害が非常に深刻である。しかも広汎に来ている。従つて、この復旧は新たに開拓するとかあるいは干拓をするとかというような、いわば無から有をつくり上げるというくらいの気持でなければでき得ないのじやないかという面もございます。同時に、私はまた、今日までの日本のどの地帯におきましても、農村の方々が驚くべき土地に対する愛着と申しますか、これに注がれておるところの農民精神というものに多くの期待もまたかける。ひとつやつていただきたい、それには国も相呼応してやつて行くという気持でやりたい。災害直後におきましては、おそらく、実際私も関係地の者でございますが、もうやめたというような気持になられる。これはもう今度のような災害の場合には当然起る気持でありますけれども、同時にまた、そこに足を踏みすえて、いかなる困苦にも耐えて立ち直るという旺盛な農民精神がわいておるということに私は多くの期待をかける。しかし、それのみに期待をかけているというわけには参りませんから、これを呼応して国の施策を誤らないようにやつて行かなければならない。それで先ほどから、具体的には、熊本等の耕地の大被害地等に対して、はたして県にまかしておいて十分に達せられるかというような点につきましても、現地機関の十分意見を聞きましてできるだけ早く復旧をして、再び営農にいそしんでいただくようにしなければならぬと考えております。
  82. 受田新吉

    ○受田委員 お急ぎであるから急ぎます。もう一つ、河川が変更されているところが多数あるわけですが、つまり水路が変更されて、前の川よりもかわつたところに川ができておる。従つて、これは自然にさからつたところの河川工事の無理の結果、本流に自然に水が流れるようになつたところが相当にあります。私視察しましても、こういうところは川幅を広くするとか、あるいは河川の変更をするとかというように工事をしなければならぬと思うのでありますが、このために没収せられる農地等に対する代替的な措置はどういうふうな対策を用意されておるか、お伺いしたいと思います。
  83. 桜井志郎

    ○桜井説明員 このたびのそうした問題にどうするかという具体案は現在は持つておりませんが、しかし、過去の例を申し上げますと、そうしたことによつて農地を取上げられまして、将来その経営面積が非常に狭くなつて、経営に困難を来すという場合には、新しい開拓地をできるだけ近くに求めてこれを与える、あるいはその一部の人に移住していただくということによつて、農地が少くなつた人にもう少し広い農地を与え、別な人は新しい開拓地に移住していただく、そういうようなやり方で処理をした例は相当ございます。御参考までに申し上げます。
  84. 受田新吉

    ○受田委員 その例はありましても、今度はそういう例が非常に多くなつて、九州の大半に及んでいる。西日本一帯に及んでいるという現状からして、並々ならぬ努力を要すると思うのであります。しかも工場その他によつて農地はどんどん減少され、保安隊演習地とかに取上げられている今日、開拓地などを広げようと思つて、そのためにかえつて山を切つたために災害を大いに促進したようなところもあるので、この点はいいかげんな開拓地を与えるなどということでは、かえつてこれは将来に禍根を残すと思うのでありまして、この点、開墾干拓についての基本的な農林省の政策を、次の段階までに御用意していただきたいと思います。  もう一つは、今農林大臣のお説のように、農民の営みは容易ならぬものがあつて、農地を再建しようとする意欲のたくましさを私も現地で見て、頭の下る思いがいたしました。この点について当局としては徹底的に、農民のたゆまざる営みに対する愛情を注ぐ対策を用意しなければならぬ。この点について、農林省としての所管の、いろいろなつなぎ資金とか国庫補助金というようないろいろな問題があると思うのであります。本年度予算がもう数日うちに衆議院を通過しようという段階に、まだ現地の査定などでもさもさしているようななまぬるいことでなくて、国としてこのくらいの熱意を持つているのだというような誠意をひとつ大急ぎで示してもらつて、補正予算なりあるいは追加修正の措置をとるとかなんとかして、この大災害に対しての国家としての大責任貫遂の努力を私はしてもらいたいと思うのでありますか、農林大臣として早急にその政府の赤誠を示すところの用意ありやいなや、お伺いしたいのであります。
  85. 保利茂

    ○保利国務大臣 その強い御意見は私は全然同感でございます。従いまして、今度の予算修正等の意見が出ております際に、私は、とにかく今日もし節約し得る面があるならば、この場合災害対策費に持つて行くというようなことが、私個人としては一番適切だと思つて、そういう主張もいたして参りましたけれども、いずれにいたしましても、復旧、復興がそのためにおろそかになるというようなことは、これはもう国として責任上許すことのできないことでございます。ただ、今日も親しく事情を聞いてみますと、現に熊本県等におきましては、県庁職員の出動中すら三割、あとみな罹災で出勤もできないというような状態でございまして、まだ適切なる調査も届いていないというような状態にございますので、大づかみでとにかくここで取るというわけにも行かないのでしようが、しかし、御趣旨の点は全然私も同感でありよすので、そのために遅滞を起さないように十分努力して参りたいと思います。
  86. 受田新吉

    ○受田委員 他の関係省、建設省その他とも連絡され、大蔵大臣とも大急ぎで連絡折衝なさつて、この問題の早急解決に当つていただき、できれば今国会のうちに災害復旧関係の予算が出されるように要望しておきます。  もう一つ、食糧関係でありますが、このたびは広汎な面積に及んで罹災を受けた関係上、出来秋における収穫は相当減少することは覚悟しなければならぬと思います。こういうことについて、食糧の対策は、当面の応急対策でなくて、今次災害を通じての減少見積額及びこれに対する対応策といつたようなものを十分用意しておかないといけない。罹災民は非常に憂慮しておりますので、この点のお答えを願いたい。もう一つは、西日本災害対策本部は非常に功績をあげたわけでありますが、これはただ連絡調整の機関としての性格が中心になつておるのですか、あるいはこの対策本部は、現地における専管事項があつて、独断専行をやるほどの権能を持つているのか、そのいずれであるかをお尋ねして、なおまた国務大臣としての農林大臣でありまするから、国務全般における立場から、西日本災害対策本部の設置はなお当分続ける腹か、近いうちに引揚げる腹か、それもお伺いしたいのであります。
  87. 保利茂

    ○保利国務大臣 先ほども申しましたように、被害地の食糧事情のみならず、来るべき端境期における食糧事情は、今日何も心配することはないということを申し上げておりますが、七月一日の政府米の現在高は、九州、山口を含めまして二十六万六千トンほどでございます。それが来る十月までの正規の所要量は二十一万六千トンほどになります。これをもつてみましても、罹災地における食糧に御懸念はまつたくないという状態にございますから、この点は御安心願いたいと思います。  なお、西日本災害対策本部につきましては、いろいろ各省の関係官が出て行かれましたけれども、私の所管に関します限りは、前の確保、種もみの確保及び食糧の点につきまして、現地において制度上許される限りの臨機の措置をとつてもらいたいということで、食糧の一時やみ値の暴騰がありましたが、それで繰上げ配給等の措置も現地で適切に行つてくれました結果、今日ではやみ価格等も非常なおちつき方を示しております。今日福岡あるいは長崎等はいまだ高いようでありますけれども、熊本であるとか、佐賀であるとか、久留米であるとかいう地帯はそうではなく、また福岡長崎等も一時よりずつとはるかにおちついて参つておるという状態でございます。  それから、西日本災害対策本部をどうするかということでございますが、私は当面現地でもつて裁量してやらなければならぬ仕事が相当あると思うのであります。それが一段落いたしますまでは、対策本部を持つておいてもらいたいということを、やはり閣議においても要望しておるわけであります。
  88. 受田新吉

    ○受田委員 時間がありませんので、私はこの程度にしておきます。
  89. 松前重義

    ○松前委員 簡単に一つ質問いたします。いろいろ前置きを申し上げることは省略いたします。問題は、治山の問題であります。すなわち、このような災害の原因がどこにあつたか。雨量が多過ぎたから起つたと言えばそれまでですが、雨量が多過ぎても、治山よろしきを得ておれば、あれほどの土砂の崩壊その他は起らなかつたということは確実に言えるのであります。こういう意味からいたしまして、従来の農林大臣がとつて来られたところの林野政策について根本的な変革を必要とすると私どもは思うのですが、どのような御所見をお持ちでありますか。
  90. 保利茂

    ○保利国務大臣 これはもり御意見の通りであると思います。それは、むろん今日の治水施設をもつてしては耐えないほどの降雨量があつたから、こんな災害になつたのだというようなことで済ましておく問題ではない。同時にまた、お言葉を返すわけではございませんが、たとえば阿蘇の今度の山くずれ、それが下流一帯にわたつてあれだけの災害を起した。これはほとんど不可抗力的なもの――私は現地を見ておりませんからよくわかりませんが、しかし、いずれにいたしましても、今回の水害のみならず、今日まで年々歳々繰返しております災害は、戦時中の濫伐、そしてまた戦後の占領当時のもろもろの改革あるいは山林法の問題等から、戦争が終つたあとも、またそういう特殊な理由のもとに濫伐が行われ、それに対して植林が手遅れになつておるというようなところから来ておるのではないか。荒廃林と申しますか、濫伐によつてどうしても再造林をしなければならないものが、農林行政当局の計算では、終戦後は百五十万町歩くらいに上つておつた。ところが、今日では、これは目に見えないものでありますから、どこにどうということは申せませんけれども、大急ぎでやらなければならないものが八十八万町歩くらい残つておる。それまでこぎつけて参つたのですが、いずれにいたしましても、松前さんお話のように、国土計画といいますか、林野計画といいますか、非常にここに手遅れを来しておるという実情は認めざるを得ない。そういう上に立つて林野政策を考えて行かなければならぬと思うのであります。
  91. 松前重義

    ○松前委員 問題は、今度の災害に限らず、今日まで災害が多い理由は、濫伐に基因することが多いということは確実であります。従つて、この濫伐に対処する道、すなわち抜木等が今日まで自由放任の形であつたのですが、それに何らかの制限を加え、あるいは林野を養うような態勢に向つての根本的な林野政策の変革をお考えになつておられるかどうか、これを伺いたい。
  92. 保利茂

    ○保利国務大臣 ただいまの御趣意につきましては、森林法で伐採制限を実施して、山をそこなわないようにという森林法の目的に沿うて行政を行つておりますけれども、現実に切つておるところを見ていただきましたら、民有林等におきましては必ずしもその通りには行つていないところがあろうと思います。森林法は大体御趣意の線に沿うて制定せられておりますから、この線に沿うて、一面からは伐採制限等を実施して無用の荒廃を防いで行く。また、二面からは、もちろん造林、植林を急がなければならぬということは申すまでもないことと考えております。
  93. 松前重義

    ○松前委員 そうすると、政策的変更は必要なし、今まででけつこうだということでございますね。
  94. 保利茂

    ○保利国務大臣 どうしてこういうふうに濫伐したかといえば、結局需要が戦時中は戦争のために、戦後復興のために、あるいは山林を持つておつても、これはどうなるかわからぬというようなことで切つた面が相当あると思います。いずれにいたしましても、需給の関係から、どうしても森林法所期の目的が侵されがちである。従つて、需給の緩和をはかつて行くことを一面に考えなければならぬ。それがアメリカ側の好意と協力で、アラスカ森林開発等を日本参加によつて開発をして、そうして日本の木材の需給の緩和に資したいということで、この方にも刀を入れてやつていただいておるわけであります。
  95. 松前重義

    ○松前委員 これは申し上げても並行線になりますから、もう質問じやございませんが、需給だけの問題であつてはならないということは、十分大臣も側承知で答弁なさつていられると思います。長くなりまするので、これは並行線であるということを明らかにして、質問を終ります。
  96. 平井義一

    ○平井委員長代理 井手以誠君。――ごく簡単に。
  97. 井手以誠

    ○井手委員 この復旧額調べによりますと、農地の復旧総額が農林省の要求棚では百六十九億になつております。一方、知事の方では、長崎県を除いて二百三十九億、これは見方の相違もあるかもしれませんけれども、各県においても相当信用ある調査をしたことと思うのでありますが、非常な開きがあることはどこにあるのか、農林省でこれが正しいという確信がおありになるか、それが第一点。次に、この同じ表で国庫補助の査定額が九十七億円農地関係で計上せられてありますが、それに対して本年度はわずかに三十億になつておるようであります。九月の台風期を控えて早く応急工事をしなければならぬ、あの災害の実情にかんがみて、相当大きな応急工事をしなければならぬのに、九十七億に対して三割にも達しない三十億でよろしいというお考えであるか。この二点をお尋ねいたしたい。
  98. 桜井志郎

    ○桜井説明員 私からで申訳ありません。府県知事の報告が二百三十七億、それからここに一応出しております査定が百六十五億でございます。この査定といいますのは、これは現地査定ではございません。災害の知事報告に対しまして、従来査定した査定率が大よそここにあげておりまする七〇%、その過去の平均をかけまして、見込みで出したのがこの面定額、こういうのでございます。  この知事の報告に対して信頼性どうこうという問題でございますが、現在の知事の報告もまだ経過的な報告でございまして、もう少したたないと実際に踏査した数字が参らぬのであります。これがふえますか、減りますか、私ども今のところちよつと予測がつきませんけれども、確かな数字が出ました上で、一定率以上の現地査定をやつて、正規の査定となつて、その上で正確な予算要求をする、こういう順序になるわけであります。そういう意味でひとつこの数字をお含みいただきたいと思います。  なお、緊急要求額として、そうして机上査定額で出した九十五億のちようど三〇%というものをここに計上をしておりますのが二十八億幾ら、入植施設を入れて約三十億となつているのであります。これが多いか少いかという問題でありますが、御承知のように、農地の復旧は政府補助をずつと先走つて復旧している。ところが補助金の方は、現在の姿はおおむね五年かかつてようやく災害補助金を完遂しております。現在の姿で申し上げますと、二十三年度に起りました災害補助金がいまだに残つているという状態でございます。こういうようにあまりにもおそいので、過般の一昨年のルース台風のときから言われております三割、五割、二割、せめてここまでこぎつけて行きたいということでいたしております。数字はこの三割が約三十億ということでございます。
  99. 井手以誠

    ○井手委員 そこで大臣にお伺いいたしますが、あの大きな被害につきまして従来のような考えではいけないと思います。また補助率においても、従来三割だつたから三割以内というようなことでは、今後大蔵省との折衝の場合においてもぐあいが悪いと思うのです。もつと農林省は強い線で出していただきたい。補助率も、本年度の緊急施行の金額においても少い。この点についてはもつと大きくしろとは申しません。ないものを大きくしろとは申しませんけれども、もつとあの被害の実情にかんがみて、本年度施行の率を高めるとか、あるいは災害の査定率を高めるというようなことについては、もつと熱意を持つていただきたいということを、この際要望いたしておおきたいと思います。
  100. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 農林大臣にちよつとお伺いいたしますが、今度の予算案に農林省の要求したものがもしなかつた場合には、補正予算なり、追加予算を、農林関係のものを提出するというお考えがありますか。
  101. 保利茂

    ○保利国務大臣 これはただいま御審議いただいております予算成立しますれば、百億の災害予備費があります。その災害予備費をもつてまかない得ざる状態に立ち至れば、そういう処置をとらなければならないことは当然のことだと思います。
  102. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 ただいま井手君あるいは受田君からも申されましたが、そこは前例はこうなつているということをよく申されますが、今回の災害は異常なものでありますから、前例を打破つても臨機応変の措置を講ずる考えがあるかどうか、農林大臣の所見をお伺いいたした、
  103. 保利茂

    ○保利国務大臣 その点は、事務当局におきましても今度の災害の深刻さをよく認識いたしておりますから、そういう事務当局においても、御懸念はなく、この災害には特別の措置を講じなければならぬ。特に昨日帰つて参りました塩見局長は、長い間現地におりましたわけですが、一応中間報告に帰りましたその報告に基く意見によりましても、特別の措置を講じなければならぬという考えを持つて来ておりますから、そういう考えでやつて行くつもりでおります。
  104. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 これをもつて一応打切ります。     ―――――――――――――
  105. 平井義一

    ○平井委員長代理 質疑はこれにとどめ、次に小委員の補欠選任についてお諮りいたします。委員異動の結果小委員に欠員がありますので、これら小委員の補欠選任を行いたいと思いますが、これは先例によりまして委員長より指名いたすに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 平井義一

    ○平井委員長代理 御異議なしと認めます。それでは、委員長におきまして、西日本水害地対策小委員足立篤郎君の補欠に江藤夏雄君を、稲富稜人君の補欠には木下郁君を、北九州水害厚生対策小委員林信雄君の補欠には田中龍夫君を、同じく通商産業対策小委員馬場元治君の補欠には熊谷憲一君を、同じく農林対策小委員山本友一君の補欠には、徳安實藏君をそれぞれ指名いたします。  また厚生対策小委員池田禎治君及び通商産業対策小委員辻文雄君より、それぞれ小委員を辞任し、交代をいたしたい旨の申出がありますので、これを許可するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 平井義一

    ○平井委員長代理 御異議なしと認めます。それでは、委員長におきまして、厚生対策小委員には辻文雄君、通商産業対策小委員には池田禎治君をそれぞれ指名いたします。  次に、小委員長の補欠選任についてお諮りいたします。本日の委員異動の結果、小委員長二名が欠員となりましたので、これら小委員長の補欠選任も先例によりまして委員長より御指名いたすに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 平井義一

    ○平井委員長代理 御異議なしと認めます。それでは、委員長において、西日本水害地対策小委員長には木下郁君を、北九州水害地通商産業対策小委員長には熊谷憲一君をそれぞれ御指名いたします。  本日はこの程度にとどめ、次会は明十六日午前十一時より開会することといたします。なお、午前九時半より通商産業対策小委員会、十時より西日本水害地対策小委員会、十時半より厚生対策小委員会を開会いたしますから御出席願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十三分散会