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1953-06-26 第16回国会 衆議院 予算委員会 11号 公式Web版

  1. 昭和二十八年六月二十六日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 尾崎 末吉君    理事 小峯 柳多君 理事 西村 直己君    理事 西村 久之君 理事 川崎 秀二君    理事 八百板 正君 理事 今澄  勇君    理事 山本 勝市君       相川 勝六君    植木庚子郎君       江藤 夏雄君    倉石 忠雄君       小林 絹治君    迫水 久常君       庄司 一郎君    鈴木 正文君       富田 健治君    中村  清君       灘尾 弘吉君    羽田武嗣郎君       葉梨新五郎君    原 健三郎君       船越  弘君    本間 俊一君       八木 一郎君    山崎  巖君       小山倉之助君    河野 金昇君       河本 敏夫君    櫻内 義雄君       中曽根康弘君    中村三之丞君       古井 喜實君    松浦周太郎君       飛鳥田一雄君    石村 英雄君       伊藤 好道君    上林與市郎君       佐藤觀次郎君    福田 昌子君       武藤運十郎君    八木 一男君       横路 節雄君    和田 博雄君       加藤 鐐造君    小平  忠君       河野  密君    平野 力三君       三宅 正一君    吉川 兼光君       石橋 湛山君    北 れい吉君       河野 一郎君    黒田 寿男君       辻  政信君  出席国務大臣         内閣総理大臣  吉田  茂君         国 務 大 臣 緒方 竹虎君         外 務 大 臣 岡崎 勝男君        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君         厚 生 大 臣 山縣 勝見君         農 林 大 臣 保利  茂君         通商産業大臣  岡野 清豪君         郵 政 大 臣 塚田十一郎君         労 働 大 臣 小坂善太郎君         建 設 大 臣 戸塚九一郎君         国 務 大 臣 安藤 正純君         国 務 大 臣 木村篤太郎君  出席政府委員         法制局長官   佐藤 達夫君         人事院総裁   淺井  清君         大蔵事務官         (大臣官房長) 森永貞一郎君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君  委員外の出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ――――――――――――― 六月二十六日  委員櫻内義雄君、青野武一君、伊藤好道君及び  和田博雄君辞任につき、その補欠として中曽根  康弘君、上林與市郎君、飛鳥田一雄君及び石村  英雄君が議長の指名で委員に選任された。 同日  委員上林與市郎君辞任につき、その補欠として  佐藤觀次郎君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十八年度一般会計予算  昭和二十八年度特別会計予算  昭和二十八年度政府関係機関予算  昭和二十八年度一般会計暫定予算補正(第2  号)  昭和二十八年度特別会計暫定予算補正(特第2  号)  昭和二十八年度政府関係機関暫定予算補正(機  第2号)     ―――――――――――――
  2. 尾崎末吉

    ○尾崎委員長 これより会議を開きます。  昭和二十八年度一般会計予算外二案並びに昭和二十八年度一般会計暫定予算補正(第2号)外二案、以上六件を一括議題として質疑を継続いたします。  この際岡崎外務大臣より発言を求められております。これを許します。岡崎外務大臣。
  3. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 例のMSAの問題につきましては、いろいろわれわれの方にも疑問の点もありまするし、根本的な点をはつきりする必要があると思いまして、一昨日アメリカ大使館を通じて、公文をもつて、四つの点につきましても、アメリカ政府の公式の意見を問い合せました。それに対する回答が本日午前八時に接到いたしました。ただいまそのこちらの問合せの書簡と先方の回答の訳文とを印刷中でありまして、もう十五分ぐらいたてばでき上つて、お手元に配られると考えております。そこでとりあえず私からその問題点につきまして御説明を申しまして、あとで資料が参りましてから御研究を願いたいと思います。  日本側からの問合せ事項は四点でありまして、第一は、相互安全保障計画に基くアメリカの援助の目的は何であるかという点であります。日本政府としてにこの援助によつて国内の治安と防衛を確保することを得るに至れば、相互安全保障計画の基本目的は達成せられると思うがどうであるか、これが第一点の質問であります。  第二点は、相互安全保障計画に基いて日本になさんとする援助は、今申したように、日本の国内の治安と防衛といいますから、つまり防衛努力に対する援助であろうと思うが、そうすれば、日本政府としては、まず日本の経済が安定し、発展することがその先決要件と思うがどうであるか、これが第二点の質問であります。  第三点は、例の相互安全保障法第五百十一条の(a)項に六項目の要件がありまして、その六項目の要件の大部分は、自由諸国の安定をはかるとか経済の発展をはかるとかいう点でありますが、その二項目だけはちよつと問題の点がありますので、これを質問しております。  第一は、第百十一条(a)項の(3)に規定されておりまする軍事的義務の履行という要件であります。日本の場合には、この軍事的義務履行の要件というのは、日米安全保障条約によつて日本がすでに引受けている義務の履行をもつて足りるものである、かように考えるがどうであるか。  それからその次は、やはり同じく同条の(a)の(4)に書いてありまする「自国の防衛力を増進し、かつ、維持すること」という要件があります。この自国の防衛力を増進しかつ維持するという要件は、日本については、国内の一般的経済条件の許容する限度内で、かつ政治的及び経済的な安定を害することなくこれが実現されれば足りるものであると思うがどうであるか。  この四項目の質問を提出いたました。これに対してしアメリカ大使館から、合衆国政府の訓令に基いて次のごとく申し述べるという回答を今朝もたらして参りました。これは少し長くなりますが、先方の回答でありますからここで読み上げてみようと思います。   一、相互安全保障計画に基く合衆国の援助は主として自由世界の安全を維持し、かつ、増進することを目的とするものであり、かつ、この計画に基いて日本が受けることになる援助は、日本をしてその国内の治安を維持し、かつ、平和条約第五条(c)項において保証されている自発的な個別的または集団的自衛の固有の権利を一層有効に行使することを可能ならしめることにより、その計画の主要目的を達成しようとするものである。   二、日本に対する援動計画を策定するに当つて、経済的安定が日本の自衛能力の発展のために考慮されるべき必須の要件である。相互安全保障計画は、各参加国が、経済上の要請に関する自国の分担を安全に引き受けることを前提としているが、もちろん、被援助国はその一般的な経済条件及び能力の許容する限度においてのみ寄与をなすことができるものと諒解される。なお、日本が同計画に参加することを決定した場合には、相互安全保障計画のため必要な物資を合衆国が日本において買付ける可能性は増進するものと期待される。  三、相互安全保障法の下において与えられることのある援助は、相互安全保障法第五百十一条(a)の規定に合致することを条件とするものである。援助を受領するための条件の一つとしての軍事的義務の履行の要件は、日本の場合においては、同国が日米安全保障条約の下にすでに引き受けている義務の履行をもつて足りるものである。相互安全保障計画にも、または合衆国と日本との間に存在するいかなる条約上の義務にも、自衛のため以外に、日本の治安維持の部隊を使用することを要求しているものはない。第五百十一条(a)項(4)は、もちろん日本が「自国の政治的及び経済的安定と両立」し、かつ、「自国の人力、資源、施設及び一般的経済条件が許容する」限度の寄与をなすことだけを要求するものである。こういう回答であります。  最後につけ加えましてこういうことを申しております。   相互安全保障の観念は、自由世界の目的達成のために、合衆国から援助を受ける諸国が、自らを助けること及びそれぞれの間及び合衆国との間において最高度に協力することに、全力を尽す限りにおいてのみ達成されるものであるという認識に基いている。相互安全保障への積極的成果を最大の効果並びに最小の遅滞及び費用をもつて実現せしめるように、援助を受ける諸国の努力を結合する目的のために、合衆国の資源を引き続いて使用しようとすることは、合衆国の確固たる希望である。   千九百五十三年六月二十六日          東京においてアメリカ大使館  この回答は三人称の口上書をもつてお互いに交換しておりますが、ただいま申しました資料はもう間もなくお手元に到着いたしますので、その上で御研究願いたいと考えております。  以上御報告申します。
  4. 尾崎末吉

    ○尾崎委員長 それでは午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午前十時四十分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十九分開議
  5. 尾崎末吉

    ○尾崎委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。午前中の委員会においてMSA援助の問題について岡崎外務大臣より報告がありましたが、理事会の申合せによりまして、まず本問題について質疑を行います。川崎秀二君。
  6. 川崎秀二

    ○川崎委員 午前中の予算委員会においてMSAに関連する外務省の口上書というものに対して、アメリカ合衆国政府の訓令に基いて、東京におけるアメリカ大使館が回答した文書なるものが発表せられたのであります。MSA問題に関しては従来政府は一切の交渉が行われておらなかつたのだから仮定の事実には答えられない、あるいはまたそれが正式の文書をもつて提案されたときに初めてわが国の方針を述べると吉田総理大臣は仰せられたのであります。――仰せられたのであります。(笑声)よつて本日は私はあまり主張は述べませんから、従つて総理大臣の方から十分に納得の行くようにお話を願い、かつ今後の日本の方針を明示してもらいたいと思うのであります。  その前に、われわれとしての考え方で、昨日の予算委員会では時間もありませんでしたし、他の質疑者との関係もあつて、一、二問でやめた問題がございます。これは今後の外交交渉のあり方に対し、国会が問題にした関連において、決してこのまま看過するわけには行かないので、岡崎外務大臣に、MSAの本質問題において、さらに念のために伺つておきたいのでありますが、われわれ改進党あるいは他の野党の各派の態度をきめる前において重大な問題があるのであります。それは申すまでもなく、アメリカ国務省から、従来一切の正式の交渉はなかつたという発表はあつたけれども、すでにして非公式な話合いはした。非公式な話合いがあつたればこそ、外務省が今回MSA問題に対して発した六月二十四日のこの公文に対して、ただちにいわば電撃的にこれだけの返事が寄せられた。今までの外交慣例をひつくり返してみても、一国が重大な質問を提起したのに対して、その翌々日に回答があるなどというようなことは、――これは外交ですから、たとえばわれわれが自由党と交渉するというようなことではないと思うのであつて、いかにスピード時代といいながら、このように早く回答が送られるとは私は思わない。当然これには先般私が申したように、一月の二十四日であるか、伊関国際協力局長はワシントンにおいて国防相と会談をし、あるいはヤング・アメリカ国務省東北アジア局長が日本に来て、話合いをする、それは非公式ではあつたが、意見の交換であつて、予備折衝があつたものとわれわれは断定をしておる。しかしこの際あらためてお伺いをするが、その交渉の経緯をこの際明らかにしてもらうとともに、予備折衝であるのかないのか、これは一切の交渉はないと言えるのかどうか、お答えを願いたいと思います。
  7. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 伊関局長が渡米しましたときも、ヤング局長がこちらへ来ましたときも趣旨は同じでありますが、先方としてはできるだけMSA関係のいろいろの法案その他各国との話合の模様ということを日本側に十分知らせようという努力はなされたのであります。大使館なり外務省としましても、同様にこの問題についてはできるだけの材料を集めて、研究の資料にするのは、これはあたりまえの話でありまして、どこにおいてもやつております。しかし政府として一体これを受入れるために交渉することにするかあるいはもう受入れないというので交渉はしないことにするか、その決定は全然いたしましておりませんから、私としてはアメリカの大使館に対しても、日本の在米大使館に対しても政府の態度を、いやしくも何かコミツトするようなことをせぬように、十分な注意をいたしております。従いまして、そういうあらかじめ政府がきめてもいない態度をコミツトしないような範囲内でのさしつかえない情報は、できるだけ提供しておりますけれども、それ以上のものは何もないのであります。先ほども申した通り、伊関局長にしは、ヤング局長にしろ、そういう意味で先方はできるだけ種々の材料を提供しようとされ、これを受けたのであります。
  8. 川崎秀二

    ○川崎委員 そうするとだんだん答弁が違つて来ましたが、一番初めに一切の事務交渉はないといつておつたのは間違いであつて、資料の交換はあつた、その際に意見をもはさんだと私は思うのであります。意見をはさんだとするならば完全な予備折衝であつて、今まで岡崎外務大臣が言つて来たことは少しずつ小刻みに変化はしておるけれども、われわれは最終点である今のあなたの答えと、一番初めに暫定予算の際においてあなたが言つたように、一切の交渉がなかつた、折衝はなかつたということに対しては、非常な大きな開きを認めるのである。これを食言とみなしていいかどうか、あなたはどうです。
  9. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 全然食言でありません。これは何べんも繰返すように、政府はまだ交渉をするかどうかということは決定ししていないのでありますから、それをあらかじめ先方に交渉するつもりでやつたりするような、つまりいわゆる予備折衝はやらせもしませんし、やるはずもないのであります。要するにこれは、申すまでもありませんけれども、アメリカでたとい日本に直接関係はないものでも、大使館ではいろいろ研究して法案を説明したり材料を送つて来ます。いわんや日本に関係のあることは、MSAについてあらゆる材料を送ることは、これは当然でありまするけれども、材料を収集したり、その意味を確かめたりすることと、交渉とは全然違います。
  10. 川崎秀二

    ○川崎委員 この問題に対する結論は、野党側において自主的に最後にきめて、この問題が食言であるかどうかについては、一切の速記録を調べて、あなたに対する態度はきめますから、もう質問はいたしません。  そこで御質問をいたしたい点は、この新しい段階に立つてひとつ吉田総理大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、MSAに関する合衆国大使館の答弁、回答が出たのでありますから、この際MSAに対する吉田総理大臣の総括的な御意見を御発表いただいて、そうしてこれを受入るもれのか、受入れないものか、受入れるべく準備をしておるとするならばどういう形で進めて行くのだということを、この際お話を願いたいと思うのであります。基本的にお伺いをいたしたいと思います。
  11. 吉田茂

    ○吉田国務大臣 政府は今まで研究の結果について疑問とするところを尋ねて、そうして今日まで参つたわけであります。政府としては閣議に諮つて態度をきめますが、一応見たところでは私はこれを受入れてさしつかえないものではないかと思つております。
  12. 川崎秀二

    ○川崎委員 ただいまMSAの問題については閣議をひらいていろいろ相談をするが、一応受入れてもさしつかえないものであるとするという総理大臣自身の御意見があつたわけでありますが、問題は一歩前進をいたしましたが、しかるといたしまして、このMSA援助を受けるといたしますれば、今までの米国政府と諸外国との慣例から見ましても、当然新たなる相互援助協定というようなものを結ぶ必要に至るのではなかろうか。たとえばアメリカとユーゴスラビアの最近における協定締結の問題、あるいはイラン、インドネシア等いろいろな先例がありまして、今日まで推移をいたして来ておるのでありますが、当然日本との間にも安全保障条約に規定された以外の問題も出て来ると思うのであります。もとよりこの回答を見て行くと、軍事問題については、安全保障条約のもとにおいてすでに引受けている義務の履行で足りるものであると書いてはありますが、その他にもいろいろな問題があると思います。この新しい相互援助協定とも称すべきものは、当然締結をされなければならないと考えておるのでありますが、昨日あたりの御答弁だと、この点が少しくあいまいになつております。外務大臣はずつとそういうことを言つておられますが、総理大臣の御答弁ではこの点が明白になつておりませんので、総理自身のお口から、相互援助協定というものは、このMSAを受入れる場合には必ず締結しなければならない問題であるかどうか、この点をお伺いいたしたいと思うのでございます。
  13. 吉田茂

    ○吉田国務大臣 これはどういう協定になるか、あるいは協定を必要とするか、私は今のところではまだ具体的に考えておりませんが、もしMSA援助を受けるという場合に、米国として新たなる協定を結べと要求するかどうか私にはわかりません。協定か、あるいは条約か、あるいは話合いか、いずれ話合いか交渉をいたす場合には、あるいは始末書というものを――といつてもおかしいが、議事録とかなんとかいうものができて、一層進んで協定になるか、それは今後の状態によりますが、そういう場合があり得ることは想像し得ると思います。
  14. 川崎秀二

    ○川崎委員 その協定が、これから先話合いになつて結ぶかどうかはわからぬが、そういうような場合はあり得るという御答弁でありますが、そうならば、これは当然国民の権利義務にも関運をすることになり、日本国会の承認を要することに相なるわけだと思うのであります。外務大臣もこの点においてはそういう御答弁はされておりますか、この際、このMSAの援助を受ける場合の相互協定を結ばれる場合に、必ず国会の承認を受けられるものかどうか、この点を伺いたいと思うのであります。
  15. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは実際どういう協定の形になるかははつきりしませんか、いずれにしても国際間の約束でありますから、国会に提出して承認を求めることになろうと考えております。
  16. 川崎秀二

    ○川崎委員 本日の回答の文案に関連をして御質問を申し上げます。わが外務省は、アメリカ合衆国政府に対して次の諸点についての質問をいたしております。第一は、「相互安全保障計画によるアメリカ合衆国の諸外国への援助の基本目的は、自由世界の安全を維持し、かつ、増進することにありと承知するが、日本に援助が与えられる場合、日本国政府としてはこの援助により国内の治安と防衛とを確保することを得るに至れば、右基本目的は充分達成されたものと了解するがいかん。」、これがわが外務省の質問でありまするが、それに対する回答は、もしこの条項にただちに回答したとするならば、ことを目的とするものであり、かつ、この計画に基いて日本が受けることになる援助は、日本をしてその国内の治安を維持し、」、ここまでその質問に直接回答されているわけでありますが、「かつ、」と書いて、「かつ、平和条約第五条(c)項において保証されている自発的な個別的または集団的自衛の固有の権利を一層有効に行使することを可能ならしめることにより、その計画の主要目的を達成しようとするものである。」と書いてあるのであります。このことはつまり、この日本側の質問は国内の治安と防衛のことだけで、国の内部におけるところの治安と防衛だけを確保することができればこのMSA援助はいいのではないかという質問に対して、それもそうであるが、なおかつ平和条約第五条(c)項において保証されている自衛権、集団的自衛、こういうものを一層有効に使用するのだということになつて来ますれば、当然間接的または直接的の侵略をも予想して、そのことを防衛することが主要目的であるというふうに解釈をせられるのであります。この解釈に間違いがないか、あるいは政府の見解はそれに違うとするならば、この際明白にしていただきたいと思うのであります。
  17. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 この平和条約の第五条の(c)項と申しますものは、申すまでもなく、日本が主権国として個別的まには集団的自衛の固有の権利を有するということを規定しており、また、日本が集団的安全保障とりきめを自発的に締結することができるということを承認しているわけであります。従いまして、アメリカ側の解釈は、おそらく、このMSAの援助によつて日本が行ういろいろのことは、平和条約に規定されているもの以下ではないのだ、平和条約に規定されているものと少くとも同等だけの権利は当然あるのだということを、念のためにつけ加えたのだと私は考えております。これがただちに集団安全保障条約を結ぶ目的であるとかなんとかいうことではなくして、これは自発的にやり得る日本の権利を認めておるのでありますから、その範囲で、アメリカ側では平和条約の規定に忠実にこう書いたのだと考えております。
  18. 川崎秀二

    ○川崎委員 そういうふうに善意的にあなたは解釈されるかしれませんけれども、この日本側の質問に対して、もしアメリカ側が、直接侵略ということに対してでも有効的な個別的または集団的自衛の権利を一層有効に行使することを可能ならしめることも含めていないとするならば、かような回答をして来るわけがないのでありまして、今度の回答が大体において日米両国現政府間のなれ合いであるにしても、われわれとしてはここがどうしても聞かなければならない点であります。と申しますのは、御承知のように、ただいまお述べになりました平和条約第五条は、確かに今申された通りでありますが、その第五条(c)項の国際連合憲章第五十一条というものは何かといえば、これまた御承知でありましようが、反復をいたしますれば、国際連合憲章第五十一条は、「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当つて加盟国がとつた措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。」この点は関係ありませんが、「また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。」と書いてあり、これは当然外国から侵略があつた場合に対するところの、いわゆる自衛権という問題に対しても関係のある箇条であると思うのであります。従つて、この回答をわざわざよこしたということは、つまり今回MSA援助にあたつては、国内治安の、内部の治安と防衛だけではない。直接侵略に対しても、日本が自衛体制を強化して、そうして、これを防ぐだけの力を持つということが前提で、MSA援助を与えるものだと私は解釈しておるのであります。それが当然だと思う。しかりとすれば、この外務省の質問に対して答えた前段は是認をされても、後半におけるところのものは、私が今申し上げたような趣旨であると思うのでありますが、御解釈はいかがであるか、この際承りたいと思うのであります。
  19. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 おつしやるような点は、さらに具体的に、実際受けるという交渉をなすときには、もつとはつきりすべき性質のものでありますが、しかし、これだけから見ましても、アメリカ側としては、日本が平和条約において持つておる権利というものを、基本的には認めておるのであつて、それをリフアーしておりますが、同時にこの最後の方にあります五百十一条(a)の(4)というころの回答におきますと、「「自国の政治的及び経済的安定と両立」し、かつ」云々というようなことがありまして、その限度でやるということになつておりますから、またこの平和条約の方も、日本が自発的にやる権利があるのだということを言つておるのでありますから、日本としては自発的に考えて、政府が、たとえば今は防衛力を別に漸増する必要なし、あるいは漸増することはできないと、こう決定すれば、それでさしつかえないものと考えております。
  20. 川崎秀二

    ○川崎委員 ただいま岡崎国務大臣は、この箇条における私の質問に対して、ついでにこの第三項を引例されて答弁をされましたが、多分そういうことで逃げられるものと私も思つておつたのであります。そこで伺いたいのであります。これは、先般アリソン公使が日本に来られて、東京の商工会議所でありますか、あるいは工業倶楽部であるか、歓迎会の席上、MSA援助に対して、海外派兵の義務はないということを言明をされ、かつこの今回の回答できわめて明白になつたということは、その点であろうかと思うのであります。そこで、それならばこれは総理大臣にお伺いいたしますが、第三項の、今岡崎外務大臣が答弁をされましたことはこういうことであります。「相互安全保障法の下において与えられることのある援助は、相互安全保障法第五百十一条(a)の規定に合致することを条件とするものである。」そこでずつと書いてありますが、そのあとに「相互安全保障計画にも、または合衆国と日本との間に存在するいかなる条約上の義務にも、自衛のため以外に日本の治安維持の部隊を使用することを要求しているものはない。」こういうことの答えがあるのであります。私はこのことは日本が将来自衛力を非常に強化しても、またMSA援助を受けてそれが強化されても、海外に派遣される義務だけはないということをはつきり規定したものであつて、直接侵略の場合におけるところの自衛態勢というものは強化される、その任務を持つということを言つておるのではないと考えるのであります。従つてこれは海外に――日本国内の自衛のためということは、つまり日本国内の治安だけでなしに、その他の直接侵略に対抗しても自衛を強化しなければならぬということを意味するのであつて、この部分は海外派兵義務はないということを明示したものと解釈しておるのでありますが、間違いでありましようか。少し重複いたしますが……。
  21. 吉田茂

    ○吉田国務大臣 いずれにしても、日本としては海外に保安隊を派遣するものではなし、また直接侵害を受けた場合に、保安隊が手をつかねて見ているということは、これはしばしば保安大臣が言われた通り、かくのごときことは保安隊員のみならず、日本国民がだまつて見ているはずもないのでありまして、直接侵害を受けた場合には、自衛のため、できるだけのことをするということは、当然なことであると思います。
  22. 川崎秀二

    ○川崎委員 直接侵略を受けた場合においては、これを見ているということではない。これに対抗することは当然である。私は先般吉田総理大臣が、安全保障条約の答弁において、将来日本が自衛力を強化して、外国の軍隊が最後には全部撤退するということが理想だ、しかしそれは今日では行われないということを言われたことがあります。また米国においても、このMSAを適用するのは、第一の目的は、ダレス長官によると、米国は日本を無防備に放置し得ない、しかし米国は日本防衛の責任をいつまでも負えないから、従来の保安隊の援助をMSA援助に切りかえ、日本の自衛体制を促進する、しかして日本から米軍の漸次撤退をはかる。独立後に外国軍隊が長く駐屯すると摩擦を起す。最後には米軍は日本から撤退を終了するものである。これが目的であるとするならば、このMSA援助というものは、最後的に日本が外国から侵略を受けた場合、自力だけで一応の防ぎをするということが目的で援助されるものではないでしようか、この点をお伺いしたいと思うのであります。
  23. 吉田茂

    ○吉田国務大臣 いずれにしても、MSAの問題があるなしにかかわらず、独立国である以上は、自国の独立安全は自国の手でもつて守る、その原則はいかなる場合においても、これは日本として放棄のできないところであります。ゆえにMSAの方の目的はいかなるものであつたにしても、日本としては将来は、国力がこれを許すならば自らの手で守るという原則はあくまでも国民としては覚悟して行かなければならぬことと思います。
  24. 川崎秀二

    ○川崎委員 外務大臣はどうですか、ただいまの問題に関して……。
  25. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 私は今の通りだと思います。つまりMSAの援助だけがその目的になるのでなくして、MSAの援助がかりになくても、終局の目的はやはりそこにあるのだと思います。ただ現在におきましては、安全保障条約等がありますので、日本の保安隊等は国内の防衛に当つている、こういうことだと思います。
  26. 川崎秀二

    ○川崎委員 時間がございませんので、これらの点については、野党各派の方々からさらに質問があることと思いますので、私はその他の問題も伺つておきます。  ユーゴスラビアであるとか、あるいはイランその他の相互援助協定を見ますと、一番重大な問題は、こういう点であろうと思うのであります。それはつまりこの協定を結ぶにあたつて、当然被援助国は生産資源を、いかなる国よりもアメリカとの間に優先的に供与しなければならないということになる可能性が多いのであります。こういうようなことになりますと、わが国の経済政策、あるいは産業政策というものも、かなりこれによつて制約され、貿易の体系におきましても、他の国と貿易をした方がより有利だというような物資も、優先的に米国との間に提供しなければならないというような問題が起きて来る可能性があると思うのであります。そういう可能性があるかどうか、もしそういう際においてはどういう立場をとるか、この際その点に対するところの意見を明白にしていただきたいと思うのであります。
  27. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 この点は私も重要と思いまして、質問の第二点、要するにこの援助に関しては日本の経済的安定が先決要件である、こういうことを申して、これで間違いないかということを念を押したわけであります。それに対する返事はこの二にありますが、各参加国が、経済上の要請に関する自国の分担を完全に引受けることを前提としているが、もちろん、被援助国はその一般的な経済条件及び能力の許容する限度においてのみ寄与するのだ、こういうことを言つております。また今お引きになつたいろいろの例を見ますと、鉱物資源等をアメリカに取得させるように努力するようでありますが、現実におきましては、日本においてアメリカに寄与のできるような鉱物資源等はあまりないんじやないかと考えております。
  28. 川崎秀二

    ○川崎委員 私はなおいろいろ伺いたいのでありますが、制限時間一ぱいでありますからこれでやめます。  この外務省から発した第一項並びに第三項の質問に対するアメリカ側の回答を見ておると、どうしてもこれは自衛力の強化を前提とするものであり、自衛力の強化だけではなしに、自然わが国において防衛軍をつくつて、そうしてこれを防ぐだけの責任を持てということを、暗に示唆しておるものと私は思うのであります。米国下院の外交委員会におけるところの証言等を見ましても、日本は今日のこの程度の軍隊を、警察隊とか保安隊とか呼ぶことは決してやましいことではないという一方、あらゆる委員会の議事録に防衛軍という文字が使われており、日本の防衛軍創設のためにはという言葉も、しばしば各委員並びにこれに答えるところのダレス長官以下の権威者の言葉から漏れておるのであります。漏れておるのではなしに、実際に委員会で討議されておる。こういう背景を見ますと、第一項並びに第三項の関連は、やはり日本の自衛力達成、しかしてそれは最後には外国軍隊にかわつて日本を守るだけの力を日本自身に持たせようということが終局の目的として援助というものは与えられる、こういうに解釈せざるを得ないのであります。しかしながらこれについては、今日なお御答弁と私の質問は平行線でありますので、これらの問題は今後の委員会においてさらに明らかにすることにいたしまして、関連質問もあるようでありますから、私はこれで終ります。
  29. 尾崎末吉

    ○尾崎委員長 小山倉之助君、関連質問を許しますが、時間が三分しかございませんからお含みおきを願います。
  30. 小山倉之助

    ○小山委員 私は外務大臣にお尋ねいたしますが、五百十一条の問題が日本の主権を認めたというのは、どちらかというと吉田内閣の政策を裏面から援助しようというので、特にこの文句を入れたんじやないかと疑う点があります。サンスランシスコの会議において、すでに日本は、軍事的にアメリカと協力して日本を守ろうということが約束されてある。そこでこの第三にもあります通り、軍事的義務の履行の要件は、日本の場合においては、同国が日米安全保障条約のもとにすでに引受けている義務だ、こういうことを書いておるのでありまして、とにかく警備隊とか保安隊とかいいましても要するに防衛軍であります。  それからもう一つは、経済的の問題をとやかく申しておりますが、もとより強固なる防衛軍を持つには経済的な力がなければなりません。おそらくはこの当時、日本の協力を得て内地の防備をしようということには相当の関心を持つておつた、しかし経済的に破産を来すようであつては――経済的に大きな害を与えるようであつては困るから、その程度において軍備はやれということをその当時約束したのだと私は思うのです。アリソン大使の言われることも、ことごとく日本の吉田内閣の軍備拡張をやりいいように理由づけた言葉であります。この回答も、吉田内閣のやりいいようにした回答なんです。これはこちらから注文した、むしろなれ合いの申合せではないかというふうに私は疑うのであります。かようなわけ合いでありまして、アメリカはすでにこの問題のためにはアメリカの資源を引続いて使用するように、つまりアメリカの資源を提供して諸外国の自由国家群を助けようという一大決心をしておるのでありますから、最高限度の協力を求めるということがある。向うは法律的にへりくつを言わないで、しかも最高限度の協力を求める。アメリカ合衆国の資源あるいはそのほかの資源も、この自由国家群を強化し、その防衛軍を強化するためにはあらゆる援助を与えるということがここにうたつてあるのでありますから、昨日総理大臣は外国の攻撃を受けるような場合のいわゆる防衛軍じやない、軍事的協約は絶対にしないということを言つておりますのに、須磨君が外務委員会において質問されたろうと思いますが、おそらくはもう十分準備的の交渉はしておつたのであります。ここでどつちか最後の回答を与えなければならぬどん詰まりの場合に来たのです。この際にどうしてもやらなければならぬ、この了解を得ようというのでいろいろ言を左右にしたり、あるいは事にないことをこの議会において証明したりしておりますけれども、この回答によつてすでに明らかであります。もう防衛もやるのだ、防衛軍も準備するのだ。防衛軍を準備する覚悟がなければ実際の協力はできない。私がこの前李承晩のことを申し上げたのは、日本が誠意を示して十分なる、強力なる軍隊を非常の場合に持つていなければ、朝鮮みたような哀れな状態に陥らぬとは限らない。まず決定をしておいて、日本が受入れないだけの要求はあとで交渉してよろしい。まず決意はすべきときではないか。その決意をなすのは今日にありと私は考えますが、それに対する総理大臣、外務大臣の御答弁をお伺いいたします。
  31. 吉田茂

    ○吉田国務大臣 御想像はいかようになすつても御自由でありますが、私の申すことは、先ほどがした通り、一国として独立国である以上、やがては自分の力でもつて独立を守る、安全を守るということは当然のことであります。いまだ国力がそれを許さないからして、今日においても現在の防衛力で行こう、この決意は動かすべからざるものであるということをお答え申し上げておきます。
  32. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 今総理が言われたようなことでありまして、要するにこの中には、私はアメリカの回答を見ても、日本が防衛軍をつくらなければMSAの援助が受けられないとはどうしても解釈できません。つくるつくらないは日本の自発的の決定によるのでありますが、つくらなければMSAを受けられないのだということは、これは書いてないと私は信じております。
  33. 小山倉之助

    ○小山委員 あと一点であります。しかしほかのMSAの条約はみな、すなおに受入れておるのです。こういうことに文句をつけておるのは日本だけ、吉田内閣だけです。だから防衛軍というものを、向うでは防衛軍と言つており、こちらでは防衛軍ではないと言つておる。そういうすなおじやないやり方では、日本はほんとうの主張ができない。ほんとうの主張をするには、やはりすなおに受入れるべきものは受入れ、われわれの主張すべき点は主張するのがほんとうだ。この点についてどう考えますか、最後の御答弁を願いたい。
  34. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 お話のところはよくわかりますが、一体憲法で軍隊を持たないという規定のある国が、世界にはないのであります。ないと言つては語弊がありますが、ほとんどないのであります。従いまして日本の場合がほかの国と違う状況にあるのはやむを得ないと思います。
  35. 尾崎末吉

    ○尾崎委員長 武藤運十郎君。     〔「質問中に打切るというやり方はない」「関運質問じやないか」と呼ぶ者あり〕
  36. 尾崎末吉

    ○尾崎委員長 理事会の申合せを尊重して、一応あとにおまわしを願います。(小山委員「たつた一点」と呼ぶ)皆さんお済みになつたあとで……。(発言する者あり)すでに武藤君に発言を許可しました。武藤君。
  37. 武藤運十郎

    ○武藤委員 私はMSAに関する問題をお聞きする前に、外相と保安庁長官に伺つておきたいと思います。この文書の中に治安という言葉と自衛それから防衛という言葉が至るところに出ておる。治安ということと自衛ないし防衛ということはそれぞれどういう意味を持つておるのか。二つは、どんな違いがあるのか。岡崎外相と木村保安庁長官に伺いたい。
  38. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 治安と防衛というのは、大体これは対句といつてはおかしいのでありますがずつと使われて、ダレス長官も前から使つておる言葉でありまして、たとえば平和を維持するというときもピース・アンド・オーダーと言うのと同じように、常にインターナル・セキユリテイ・アンド・フオース・デイフエンスと言つております。この治安と防衛という意味は、おそらく一般に考えられて普通の治安維持であれば警察で済むのが常識であります。ところが日本には保安隊というものがありまして、大規模な騒擾にこたえておる。従いまして治安の維持と国内の防衛、こういうふうに二つ連ねているのが普通の考え方であります。それから自衛と申しますのは、いろいろの意味がありましようが、われわれの使つておりますのは常に平和条約五条の(c)項にありまする日本の固有の自衛権、ことに平和条約でそういうことは認められておりますので、その意味で使つております。
  39. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 大体今外務大臣からお答えした通りであります。的確な定義ということは、私はないと思つております。要するに普通使われている意味は、治安も防衛も大してかわつた意味ではない。ことに自衛と申しますると自分の国を守つて行くということでありますから、その国内の平和を維持するということが目的である、こう考えております。
  40. 武藤運十郎

    ○武藤委員 これは驚き入つたるお二人のお答えでありまして、日本語の観念から申しますと、私は治安と防衛ないし自衛とは非常に違う、相いれない観念だと思う。続けて対句で使うとか、大体似たようなものだなんというものでは全然ないと思う。これは今まで木村長官が使いわけて来られた例から申しましても、私はそう思う。つまり私ども日本人が考えておる治安と申しますのは、内乱とか騒擾とかいわゆる間接の侵略に対する鎮圧あるいは秩序の維持ということではなかろうかと思うのであります。それから防衛ないし自衛というのは、つまり外敵の直接侵略に対してこれを排除するという方法である、こういうことに考えておるのでありますけれども、こういうふうな考え方は間違つておるでしようか。木村さんに伺います。
  41. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。大体武藤君が仰せになつたような使いわけをしておりますが、あの回答文書が使つておる文句の使い方は、さほど厳重な意味で使つておるのではなかろうと思います。     〔「違う、重大な問題だ」と呼ぶ者あり〕
  42. 武藤運十郎

    ○武藤委員 そのことはだんだん明らかにしてもらいたいと思うのでありますが、私は今度は往復文書についてやや逐条に伺つてみたい。外務省の質問でありますが、MSAの目的は国内の治安と防衛とを確保するということで十分ではないかという質問がございます。それに対しましてアメリカの回答は、これに対応するごとく、国内の治安を維持し、自衛の固有の権利を一層有効に行使することを可能ならしむるものであるというふうに回答されておるのであります。そこでまず吉田さんに伺いたいのでありますが、外国からの侵略に対してこれを排除するのが防衛であり自衛であるというお話を今岡崎さんから伺つたのであります。そして吉田さんは先ほど川崎君の質問に対して、もし外国からの侵略があれば保安隊と限らず国民だれでもこれを排除するようにするのはあたりまえだ、こういうふうにお答えがあつたようでありますが、なるほどそういうことは事実問題としてはありましよう。しかし国家機関として職業的にその侵略の排除の役割を勤めるものは保安隊ではないでしようか。
  43. 吉田茂

    ○吉田国務大臣 重ねて申します通り、直接侵略については安全保障条約によつて国家の防衛をはかる、これが政府の考え方であります。
  44. 武藤運十郎

    ○武藤委員 そうしますと、保安隊というのはただ腕をこまねいて見ておるのでしようか。アメリカ軍とはどういう関係に立つのでしようか。
  45. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私からお答えいたします。常々申しております通り、直接侵略に対してはアメリカ駐留軍の手によつてこれを防衛する。保安隊は国民の平和と秩序を維持するために設けられたものであります。しかし外国からの不当な侵略があつた場合におきましては、もとより国民は手をこまねいてこれを傍観するわけに行かないのであります。そのときには警察でも消防でもむろんこれに対して対抗するであろうと思います。いわんや保安隊は必ずやこれに対して適当な処理を講ずるであろうとわれわれは考えております。
  46. 武藤運十郎

    ○武藤委員 重ねて聞きますが、消防隊や何か出たあとで保安隊が出て行くということでしようか。どつちが先になるのでしようか。
  47. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。そういうときには区別なくおそらく同時的に出て行くと思います。
  48. 武藤運十郎

    ○武藤委員 いやいかぬ。どつちが先ですか。
  49. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 場合によつてその近くにあるものは保安隊であろうが、警察であろうが出て行きます。そのときの情勢いかんによることであります。
  50. 武藤運十郎

    ○武藤委員 そうしますと、この第一の問題を見ますと、もつぱら自衛、防衛という言葉が使われておるのでありまして、MSAの援助というものは、いわゆる経済援助でなくして、もつぱら軍事援助であるというふうに考えられるのでありますけれども、いかがでしようか。
  51. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 この場合の趣旨が、第五百十一条のの方でなくて、(a)の方だろうということだとすれば、私もそうだと思います。しかしそれにつきましては、ここに書いてあります通り、まず経済的の安定ということが先決条件になるのか、こういうことを向うに確かめましたところが、その通りだと言つておりました。そしてさらに、よけいなることかもしれませんが、つけ加えて、アメリカの域外買付もふえるであろうというようなことを言つておりますので、実質的には経済的の問題がかなり入つて来るだろうと思います。
  52. 武藤運十郎

    ○武藤委員 第二の質問と回答について伺いますが、第二に日本の外務省の質問は、MSAは日本の防衛努力の援助であると思う、従つて経済が安定し、発展することこそその先決要件であると考えられがるいかがでしようかというに対しまして、アメリカからは、それはその通りである、経済的安定が日本の自衛能力の発展のために考慮されるべき必須の要件であるということを申しまして、被援助国はその一般的な経済条件及び能力の許容する限度においてのみ寄与をなすことができるというような回答をされております。そうしますと、これは日本におきましては、一度にどつとするのではなくて、アメリカの求めておる、この日本の自衛、防衛の計画というものは、年次的に計画を立てるということに当然なるのであろうと思うのでありますが、年次計画というものを今度のMSAの交渉におきまして必要とするのであろうと思うが、いかがでしようか、これは岡崎さんに伺いたい。
  53. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 MSAというものは一年こつきりのものではなくして、ことし受ければ来年も受け、さ来年も受けることになるのが自然だろうと思います。しかしながらそれについて年次計画をつくらなければならぬというようなことは、こちらでも質問しておりませんが、向うでも別に言つておりません。これはさらに実際日本が受けようとする場合に、交渉の題目にはなりましようと思いますが、今のところそういうものをつくる必要はないであろうと、これからは想像されるのであります。
  54. 武藤運十郎

    ○武藤委員 第三の問題に移りますが、このMSAについては、第五百十一条の(a)の(3)に規定している軍事的義務の履行は、安保条約によつて日本がすでに引受けている義務の履行の範囲でよろしいのではないかという質問に対し、それでよろしい、なお自衛のため以外に、日本の治安維持の部隊を使用することを要求しているものは条約にないというような趣旨の回答が来ておるようであります。そうしますと、ここで岡崎さんに伺いたいのでありますが、安保条約第三条の義務のことをいうのだと思いますけれども、この義務というのは、いわゆるMSAにいう軍事的義務というものでしようか。
  55. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは第一条、第二条、両方だと私は思いますが、つまり日本の国内にアメリカの駐留軍を置くという約束をしております。それから第二条で他国に基地を許与しないとか、国内通過させないというようなことがあります。これは消極的義務であろうということは言えましようが、しかし一種の軍事的義務であることは当然であります。
  56. 武藤運十郎

    ○武藤委員 この回答の中に日本の治安維持の部隊とありますが、日本の治安維持の部隊とは何をさすのでありましようか。
  57. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 私はこれは保安庁に属するいろいろの、保安隊とか警備隊とか、そういうものと考えております。
  58. 武藤運十郎

    ○武藤委員 同じ質問を木村さんにも伺いたいのですが、この中には消防隊も入りますか。
  59. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 それは保安隊、警備隊であろうと解釈しております。
  60. 武藤運十郎

    ○武藤委員 そこで第三問まで進みましたのですが、総括的に考えてみますと、先ほど来指摘されましたように、日本の質問とアメリカの回答とは、まつたくやおちようではないかという印象を深くするのであります。従つてどちらも言葉の語呂が合つておるのでありますが、質問の中にも、第一の質問には「国内の治安と防衛」という言葉を使われておる。(2)の質問には「防衛努力の援助」という言葉を使われておる。(3)の(b)には「防衛力を増進」という言葉を使われておる。回答におきましては、一の回答で「自衛権の行使」云々という言葉が使われておる。二の回答には「自衛能力の発展」という言葉が使われておる。三の回答では、「自衛のため以外」云々という言葉が使われておるのでありまして、この質問と回答とも一貫して流れるものは、いわゆる治安ではなくして、防衛ないし自衛ということに主点が置かれておると私は思うのであります。はたしてそうであるとしますれば、このMSAの援助というものは、すべて自衛、防衛に関するものであり、当然にそれは武力を前提とするものではないかということを、岡崎さんと木村さんに伺いたいと思います。
  61. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは先ほどもお答えしましたように、世界のほとんど全部の国は軍隊を持つております。従いましてMSAの対象となるのはこれらのほとんど全部の国であつて、日本のような軍隊を持つていない国は例外的のものであります。従つて一見してこのMSAの規定というものは、軍隊に対する援助であることは当然であります。ただ日本のように憲法でそういうことを特に規定されている国に対しましては、もし援助を受ける場合に、これは交渉の題目になりますが、日本のような軍隊にあらざるものに対しても援助をよこすのかどうか、これが問題になるわけであります。この点で、一般的にはこれは軍隊に対する援助であることは当然のことでありますが、日本の場合は私はこの回答によつて、軍隊でない保安隊に対しても援助が来得るものであるというふうに考えて行きつつあるのであります。
  62. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 日本が自衛して行くためには、どうしてもやはり経済の自立ということが一番必要であろうと考えております。それにつきましては、MSAの援助におきましても、必ずしも軍事援助と申しましようか、保安隊の増強ばかりを考えておるものではないと考えております。保安隊の増強もその一部であろうことはもちろんであるようにわれわれは考えております。
  63. 武藤運十郎

    ○武藤委員 私もMSAというものが軍隊を持つておる国を対象としておる一般的な規定であることは、岡崎外相の言われた通りだと思います。しかしその一般的な規定を日本に当てはめる、そうしてそれを援助の対象とするということになりますと、その日本の対象とされた主たるものは保安隊でありますけれども、それは憲法に軍隊を持たないという規定があるなしにかかわらず、なくても結局は軍隊的な色彩を、結果において事実上帯びざるを得なくなるのではないかということを私は伺つておるのであつて、名前が軍隊になるかということ、軍備になるかということを聞いているのではありません。実質的にそういうことになつてしまうのではないかということを伺つておるのであります。
  64. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは先方の回答にも、たとえば軍隊を持つている国は多くの場合に相互安全保障条約とか地域的な安全保障の体制に入るとかいろいろのことをやつております。それが必ずそうとは限りませんが、そこで先方の返事の中には、これはわれわれが聞いていないことでありますけれども、いまさつき川崎君が指摘されましたように、相互安全保障計画にも、また合衆国と日本との間に存在するいかなる条約上の義務にも、自衛のため以外に日本の治安維持の部隊を使用することを要求していないということで、これは非常に特殊な、いわば海外派兵なんということはないと言つておるのだというように思いますが、こういう点でも必ずしもおつしやるような意味にはとれないと考えております。
  65. 武藤運十郎

    ○武藤委員 私の伺つておるのは、軍隊という名前になると海外へ派兵するのであり、海外へ出ないものは軍隊ではないという考え方自体が間違いではないかと思うのです。海外へ出なくても外国の武力による侵略に対して実力ないし武力をもつて排撃をするという役割を勤める場合、そしてそれが国家の機関として専門的に従事するたとえば保安隊のようなものがあるとすれば、それはひつきよう名前のいかんにかかわらず軍隊になるのじやないか、こういうふうに考えるのでありますが、木村長官のお考えを伺いたい。
  66. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。もとより対外戦争を目的として設置されたものであれば、これは軍隊と言えるでありましようが、しかし保安隊は前々から申し上げております通り、対外戦争を目的としていないのであります。ただ国内の治安を維持するのを目的としておる以外の何ものでもない、こう思つております。
  67. 武藤運十郎

    ○武藤委員 対外戦争という言葉が私はあいまいだと思うのでありますが、自術ないし防衛というものと、あとはこれに対立する概念としましては侵略ということになるだろうと思うのであります。侵略のための軍隊ということになるだろうと思うのでありますが、世界中に侵略のための軍隊を持つておる国は一つもありません。いずれも自衛のためであり、防衛のためだと言つておるわけです。ですから海外に派兵をしないとか、あるいは外国を侵略する、外敵に対するためでなければ軍隊ではないというのは、言葉の使い方として日本語ではおかしいと思うのでありますが、木村さん、どういうことになるでしようか。
  68. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 もとより対外戦争を目的としておるのでありますから、初めから外国とのいさかい、すなわちこちらから攻めて行くようなことはもちろんないでしようが、直接侵略を当然のこととし、これに対処してあらかじめ戦争を目的として設置されれば、これはあなたのお説のように軍隊であります。
  69. 武藤運十郎

    ○武藤委員 そこでこのMSAの問題が具体化して参りますと、木村さんが先般言われまして、緒方副総理が賛成されたようでありますけれども、自衛のための武力は憲法第九条の戦力ではないという説は傾聴に値するというような言葉によつて、MSAの援助による保安隊の軍隊化が行われると思うのであります。緒方副総理に伺いますけれども、あなたが木村さんのこのような突如とした発言に対して、御賛成の意思を表示されたのはどういうお気持でありますか、伺いたいと思います。
  70. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 お答えをいたしますが、あのときの私の話は、新聞記者の質問に答えたものでありますが、それは全体の問題よりも憲法の点が大きな問題ではないかという質問に対して、いやそれは全体の問題の方がずつと大きい。それに比べてこれは小さいという意味のことを私語つた記憶があります。
  71. 武藤運十郎

    ○武藤委員 最後に伺いたいのですが、岡崎外相に伺いたいのですけれども、日本の安保条約に基く軍事的な義務というのは一条、二条と言われましたが、今御承知の通り新しい基地の問題があちらでもこちらでも非常に反対を受けて問題を起しておる。もしこのMSAを受入れるということになりますと、この一条、二条に基きまして新たなるもつと多くの基地が要求されるようなことがあるかどうか、ひとつ伺いたい。
  72. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは私はMSAとは全然関係ないと思います。ただ安全保障条約に基きまして必要な施設及び区域を提供するようにいたしておりますが、これもできるだけ最小限度にとどめるつもりでおりますし、また今後も非常に新しく大きなものを必要とする事態は今のところはないであろうと考えております。
  73. 尾崎末吉

    ○尾崎委員長 武藤君、よろしゆうございますか。
  74. 武藤運十郎

    ○武藤委員 けつこうです。
  75. 尾崎末吉

    ○尾崎委員長 八百板正君の関連質問を許しまし。八百板君。
  76. 八百板正

    ○八百板委員 岡崎外務大臣にお尋ねいたしますが、日本側で尋ねましたところの軍事的義務履行の要件は、安保条約引受けの義務の履行で足るかという意味の問いでありますが、先ほどもちよつと出ましたように、この軍事的義務というものはMSAを受ける場合に伴う一般的軍事的義務であろうと思うのでありますが、この場合に軍事的義務が一応あるという前提に立つて問いを出したのであるかどうか、この点をまず伺つておきたいと思います。
  77. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これはMSAの五百十一条の(a)の(三)項にアメリカとその受ける国との軍事的義務という文句があるわけであります。そこでいろいろ考えまして、日本としてはこれで十分であると考えるかどうかということを念のために聞いたわけであります。
  78. 八百板正

    ○八百板委員 軍事的義務が日本においてもあるという前提に立つたればこそ、初めて軍事的義務履行の要件を尋ねたものであると私は思うのであります。その要件は各国において違う。日本の場合においては安保条約で引受けてある要件で十分であるかどうか、こういうふうに尋ねたものと思うのでありますが、その場合における安保条約引受けの義務の履行というものは、つまりアメリカの軍隊を日本に置くということ、基地を貸すということ、第三国に対して基地は貸さないということ、そういうふうな点だけであつて、それ以外のいわゆる義務とも称すべきものは全然ないのかどうか、この点を明らかにしていただきたい。
  79. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 安保条約に規定されている以外のものは全然ありません。
  80. 八百板正

    ○八百板委員 安保条約の前文にもありますように、日本の国は自衛権があるけれども、自衛権を行使する有効な手段を持たないからというので、それならばアメリカの軍隊がいてやる、こういうことでアメリカの軍隊がいることになつたわけであります。従つてアメリカの軍隊がいるということは、日本が自衛権を行使する有効な手段を持たない、その有効な手段をアメリカの手によつてやつてやる、こういう趣旨であります。ところが今回の問いに対する答えを見ますと、その「集団的自衛の固有の権利を一層有効に行使することを可能ならしめることにより、その計画の主要目的を達成しようとするものである。」とアメリカ側は答えておるのでありますが、この自衛権を有効に行使する手段というのは明らかに軍隊であつて、その軍隊を持つことを援助するものであるということは、この言葉のあとさきを通じて明らかにされておると思うのでありますが、こういうふうに考えてよろしいかどうか。
  81. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 アメリカ側は、安保条約の前文でもごらんの通り、日本の自衛力の漸増ということを期待しておるのであります。従つて希望はいたしておるでありましよう。しかしわれわれの方の質問は、その点につきまして、たとえば保安隊等の増強ということは、日本の経済的、政治的その他いろいろの条件を満たされなければできないのである、こういうことも確かめて、その通りだと言つておりますから、従つて軍隊とかいうようなことにならないというのがわれわれの考えであります。
  82. 八百板正

    ○八百板委員 そこで安保条約の前文の規定の期待というものと、いわゆる日本の軍事的義務というものを混同して、同一に実質的に扱われるというところに問題があるのでありまして、この点が非常に問題だろうと思うのであります。  次に、MSAを受ける場合において、政治的、経済的安定を害することなく実現すれば足りるものであるかという問いに対しまして、その通りであるというような、いわゆる政治、経済の安定と両立するというふうな答えが出ておりますが、そのあとで注目すべき回答があります。と申しますのは五百十一条(a)項(4)は、もちろん日本が自国の政治的及び経済的安定と両立すると申しておりますが、そのあとできわめて重大な点は、「かつ、「自国の人力、資源、施設及び一般的経済条件が許容する」限度の寄与をなすことだけを要求する」こういうように述べております。すなわちこのことは、日本の条件の許す範囲における寄与すべき要求を述べたものでありますが、これを一つ一つ見て参りますと、日本の資源、施設及び一般的経済条件というものについては、かつてたびたび吉田総理大臣によつても述べられておりますように、おのずから限界があるわけでありますが、日本のいわゆる人的資源と申しましようか、といわれておりますところの人力、そういうものについては、その他の資源、経済力との間に非常な差がありまして、いわば日本の人口は余つているくらい多いのであります。従つてこの点においては無制限に要求されるということが、この中に含まれておるように私は考えるのでありますが、この点についてどういうふうに考えられるか、お答え願いたいと思います。
  83. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これはわれわれの方から言いますと、たとえば政治的、経済条件と両立するというようなことと、一般的経済条件に合致するようにといつておつたのでありますが、向う側からいえば、その通りだといいつつも、やはり安全保障法の五百十一条の(四)項には「自国の人力、資源、施設及び一般的経済状態が許す限り」こういうふうになつておるのでありますから、この項の文句を引いたのでありまして、日本は人口が多いから幾らでも人を増せという意味ではないと考えます。
  84. 八百板正

    ○八百板委員 この言葉を文字通りに受けますと、物や経済力においては足りないが、人間の方は幾らでもあるのであるから、人間は幾らでも出せ、物の方はおれの方で幾分引受けてやる。こういう意味が明らかにこの回答の中に盛り込まれたものであると私は理解するのでありますが、そうでないということをはつきりお考えになりますならば、日本はMSAの援助を受けることによつて、いわゆるその使用の対象と考えられておりますところの保安隊、警備隊を増員するということはないと考えてよろしいかどうか、これは総理大臣からお答え願いたいと思います。
  85. 吉田茂

    ○吉田国務大臣 お答えいたします。まだ何らの交渉が始まつておりませんから、お答えはできません。
  86. 八百板正

    ○八百板委員 MSAの援助を受けることによつて、保安隊の増員が結果において起つて来るか来ないか、この点についてのはつきりした総理大臣の見解を伺いたいと思います。重ねてお答
  87. 吉田茂

    ○吉田国務大臣 ただいまのところは、かねて申します通り、現在の保安隊以上に人員を増すなどということは考えておりません。今後の問題については、まず日本としては従来の方針通りで進みたいと思つておりますが、これは交渉の経過にもよりますけれども、概括的に申せば、私はそういう問題については、いまだ応ずる時期ではないと思います。
  88. 横路節雄

    ○横路委員 関連して。私は岡崎外輪大臣にお尋ねしたいのですが、政府の方では、第五百十一条の(a)項の第(三)項と第(四)項だけの回答を求めておりますが、実際には第(二)項、第(五)項、第(六)項において、今後の経済、軍事援助等から、われわれ相当内政干渉のおそれがあると思う。なぜこの点を除外して第(三)項と第(四)項だけの回答を求めたか。たとえば第(二)項にしても、第(五)項にしても、第(六)項にしても、内政干渉のおそれがあると思うが、その点どうか。  さらに、政府のいわゆる第一の回答を求めた中におけるアメリカの回答においては、先ほどお話がございました平和条約の第五条の(c)項によつて回答されておりますが、これは明らかに今後起り得るであろう太平洋軍事同盟、こういうものに対して、いわゆる締結というか、この地域的な集団安全保障、太平洋軍事同盟に入ることを強要されるような点がある。この平和条約の第五条の(c)項に、いわゆる「日本国が集団安全保障取極を自発的に締結することができることを承認する。」とある点を明らかに認めているのは、この太平洋軍事同盟について、日本の国を強要するおそれがあると思うが、この点はどうか。この二つについて質問いたします。
  89. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 第一の点については、われわれは、日本の国民なり政府がしつかりしておれば、内政干渉のおそれはないと考えております。従つてこの問題は必要なしと考えたのであります。  第二の点につきましては、今あなたがお読みになつた通り、「自発的に」という字があります。自発的にということと強要されるということは矛盾であつて、私どもはあくまで自発的にと考えております。
  90. 横路節雄

    ○横路委員 総理大臣にお尋ねいたしますが、ただいまの平和条約第五条の(c)項によつて強要されることはないということは、その通りだと思いますが、政府としては、自発的に今後いわゆる地域的な集団安全保障、太平洋軍事同盟というような問題が起きた場合においては、これに加入なさる意思があるかどうか、総理大臣から御答弁を承りたいのであります。
  91. 吉田茂

    ○吉田国務大臣 そういう条約がどういう条約であるかわかりませんから、お答えできませんが、とにかくただいまのところは、そういう考えは持つておりません。
  92. 武藤運十郎

    ○武藤委員 私は資料を、参考資料として提出を求める動議を出したいと思います。御承知の通り、先般来予算委員会におきまして、木村保安庁長官が九州方面に参りまして語つたところの、保安庁における警備計画と申しますか、このことについて、その内容の詳細を知らせてもらいたい。それからまた案がありましたら出してもらいたい、ということを再々各委員から請求をいたしましたが、報告もされませんし、出すことも拒絶されている実情であります。しかし委員会の質問の過程から見ますと、明らかに保安庁の保安局においていれを作成して、木村長官の手元にこれを届けて、木村長官がごらんになつて、それを吉田総理大臣の手元まで届けたという案がございます。そこでこれをぜひこの委員会に参考書類として出してもらいたい。こういうことについてお諮りをいただきたいと思うのであります。同時にもう一つ、本年保安庁から、二十八年度の予算獲得について明細な要求をされたと思うのでありますがその書類をあわせて出していただきたい。そういう動議を提出いたします。
  93. 尾崎末吉

    ○尾崎委員長 武藤君に申し上げますが、この問題は過日の理事会でお諮りしまして、その理事会で適当のときまで保留しようという申合せになつておりましたので、この委員会が済みましたあと理事会で重ねて……。     〔「採決々々」と呼びその他発言する者多し〕
  94. 尾崎末吉

    ○尾崎委員長 まげてひとつ……。
  95. 武藤運十郎

    ○武藤委員 せつかく委員長の御意見ではございますが、動議を出したわけでございますから、ひとつお諮りをいただきたいと思います。
  96. 尾崎末吉

    ○尾崎委員長 ちよつと理事諸君…。  ただいまの件は、総理に対する質問が済みましたあとで、この問題を諮ることにいたします。河野密君。
  97. 河野密

    ○河野(密)委員 私は今までの質問者と重複する点を避けまして、要点だけをお尋ね申したいと思います。吉田総理大臣は、今までMSA援助を受けるとも受けないともわからないということを申しておりましたが、本日の川崎君の質問に対する御答弁で、はつきりと、このMSAの援助を受けてもよいではないかと思うと、こういう答弁をせられました、総理大臣がMSAの問題につきまして、はつきりとした態度をお示しになつたのは、これが初めてであります。そこで私は総理大臣にお尋ねするのでありますが、先般総理大臣は私の質問に対して、憲法第九条における従来の解釈は、自分としては少しもかわらない、こういうことを申しておりました、従つてこのMSAの援助に対して、これはまだ内容がわからないからして、自分としては受けるとも受けないとも答えることができないのだ、こういう御答弁でございました。しかるに本日ははつきりと、MSAの援助を受けてもよいのではないかと思うという答弁がございましたが、いかなる根拠においてMSAの援助を受けてもよいというお考えになつたのか。この点を私は第一に承りたいのであります。
  98. 吉田茂

    ○吉田国務大臣 お答えいたします。MSAの日本に対するといいますか援助を受けることによつていかなる義務を生ずるか、あるいは米国政府の考えておるところはどうかということについて、私は確たる何がなかつたものですから、それで受くべきか、受くべからざるかは、アメリカ政府の公式の意向を承知した上でなければ決定できないから、受けるとも受けないとも決定できない。しかしながら、今朝受取つた米国大使館の返事によれば一応これは日本としては受けてもさしつかえないものではないかと思うということを申し述べたのであります。いかなる根拠かと申せば、日本政府の質問に応じて答えられた返事によつて考えてみて、日本として受けてもさしつかえないものではないかという考えを抱いたのであります。
  99. 河野密

    ○河野(密)委員 ただいまの吉田総理大臣の御見解によりますると、MSAの援助を受けても、日本の憲法第九条に違反しないものである、こういう確信あるいは見解にお立ちになつて、その確信あるいは見解の基礎は、ここにわれわれがちようだいをしたアメリカと日本政府との間における往復文書にその根拠があるものである、こういうふうに理解してよろしいでしようか。
  100. 吉田茂

    ○吉田国務大臣 その通りであります。
  101. 河野密

    ○河野(密)委員 そこで私はお尋ねをいたすのでありまするが、この文書に台として、MSA援助に対する交渉をお始めになるという決意と解釈できますか、その点……。
  102. 吉田茂

    ○吉田国務大臣 もし米国政府からして交渉を開始せらるるならば、一応交渉に応じて、問題を研究すべきものである、こう思います。
  103. 河野密

    ○河野(密)委員 MSAの問題については、こちらから交渉を開始するのでなく、アメリカが交渉を提唱した場合においては、これに応ずるのである、こういう御趣旨のようでございますが、その通りでありましようか。
  104. 吉田茂

    ○吉田国務大臣 そう言われると、非常に話が角張りますが、どちらから開始するとしたところが、米国政府と日本政府との間の関係は、そんなに他人行儀ではありませんから、どちらともなく、向うから開始する場合もありましようし、こちらから開始する場合もありましよう。いずれにしても、交渉は開始してよろしいと思うのであります。
  105. 河野密

    ○河野(密)委員 私は不幸にして吉田総理大臣と見解を異にして、日本の憲法第九条が厳然として存する以上は、MSA援助を受けることはできないものである、ことに明確に軍事援助であるということを申しておりまする場合においては、これは援助を受けることがでさないものであると、かように解釈いたします。これはもちろん私一人の解釈でなく、おそらく憲法の条章をすなおに解釈する者は、何人もその結論に到達すると思うのであります。そこでもし国会が、この往復文書に誓いてあるところをもつてしても、MSA援助を受けることは憲法違反なりと考えた場合においては、吉田内閣は、このMSA援助の交渉は国会の意思を尊重してやらないということに相なりますか、この点を承ります。
  106. 吉田茂

    ○吉田国務大臣 むろん国会の意思は尊重いたしますが、決議が成立いたした場合に、政府としては態度をきめたいと思います。
  107. 河野密

    ○河野(密)委員 そこでもう一点承りたいのでありますが、これは岡崎外務大臣でもけつこうです。このMSA援助を受ける場合においては、相互保障協定という協定を結ぶのである、こういうことでございますが、この協定の性格は、憲法第七十三条にいうところの条約であろうと思います。その条約でありまするが、条約の中において、事前に国会の承認を経なければならない条約と、事後において例外として国会の承認を経るものとありまけるが、このMSAの相互援助協定というものがかりにできるといたしまするならば、これは当然国会において事前に承認を経ベきものであると考えますが、外務大臣の所見を伺います。
  108. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これはよく締結と調印ということを混同して議論されることがありまするが、学者の意見はもうほとんど全部一致していると思います。つまり調印によつて国家が拘束を受けるような場合、すなわち調印と同時に効力を発生するような場合には、これは事前に承認を得てから調印する、協定の中に批准をしなければ効力が発生しない条約におきましては、通例国会の承認を求めた上批准をして、それで効力が発生するのであるから、そのときに国会の承認を求めるということになろうかと思います。
  109. 河野密

    ○河野(密)委員 そういう一般的のことをお尋ねしているのではなくして、この協定は当然事前に国会の承認を経べきものである、こういう性質のものだとわれわれは解釈するが、どうお考えになりますか、こう言うのであります。
  110. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 おそらく国会の承認を必要とする協定になると考えます。
  111. 河野密

    ○河野(密)委員 事前にですね。
  112. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 そこが今申し上げた通りで、もし調印と同時に効力を発生する協定であれば、事前に国会の承認を得て調印をいたします。もしそこに批准条項があれば、当然効力発生前に国会にかけて、その承認を得て批准行為が終るのであります。
  113. 河野密

    ○河野(密)委員 先ほど総理大臣が言われました中に、こういうことがございました。このMSA協定というものができる場合に、この交換された質問応答というようなものもその一部としてとじ込んだ記録のような形の協定になるのか、あるいは新しい協定になるのかということはまだわからないが、しかしそういう何らかの協定を結ぶのである、こうお話になつたのでありますが、この交換された文書は、外交上はどういうことになるのでありましようか。
  114. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 こちらの方は政府の質問事項でありますが、先方のはこれに対するアメリカ政府の公式の見解を示したものであります。
  115. 河野密

    ○河野(密)委員 日本政府の質問事項というものは、これは当然日本政府を拘束すると思うのですが、アメリカ政府の回答に対しては、これは日本がいかように解釈するも自由だ、こういう御趣旨でありますか。
  116. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは一応の質問に対する回答でありまして、日本政府として、もしこれなら受けてもいいとか、これでは受けられないとかの判断を下す資料であります。将来この回答が根拠となつて、受ける場合には、交渉をいたしましようけれども、それ以上のものではないと考えます。
  117. 河野密

    ○河野(密)委員 私はごく平たく言つて、日本の憲法の第九条が厳然として存する限りは、MSAの援助、しかもそれは軍事援助であると、はつきり銘を打つたMSAの援助を受けることは、憲法違反であることま、まことに明白である。しかしそこに何らかの逃道がないかということを考えて、政府がこの質問書というものを御提出になつたのではないか、こういうふうに考えるのであります。しかし政府もこれに対しては、このMSAの援助が軍事援助であるということは認めざるを得ない。はつきりと質問の中にも軍事援助と認めると書いてある。軍事援助であるが、しかし軍事援助であるMSAの援助を受けても、これは憲法違反にならないという何らかの方法がないかということを、政府が苦慮してひねり出された考え方が、私はこの往復の文書の中に、ありありと現われておると思うのであります。その一つは、MSAの援助を受けても、安全保障条約で負うておる義務以上のものを負わないのであるからして憲法違反にならないのだ、こういうことを言おうとするのが、私はこの政府のアメリカ政府に対してわざわざ質問をなさつた大きな理由であると思うのでありますが、政府の御見解を承ります。
  118. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは先ほども申しました通り、世界中のほとんど大部分の国は軍隊を持つておるわけであります。従つてアメリカが規定をつくる場合には、軍事援助というような頭でつくるのは、これは自然であります。ところが日本は憲然で軍隊を持たないことになつておるし、しかもこれは世界周知の事実であります。従つて日本の場合は、こういう日本のような国情のもとにおいては、援助を受けるにしても憲法違反にならない範囲で受け得ると思うがどうかということを質問するのは、これは何もさしつかえないと考えて質問いたしたのであります。
  119. 河野密

    ○河野(密)委員 それで政府は、その質問をなさつた結果のこの回答によつて、吉田総理大臣によれば、憲法違反にならないという、そういう回答になつた、こうお考えになりますが、岡崎外務大臣もそうお考えなんですか。
  120. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 実は今朝来たばかりでありまして、そう正確にどこがどうということは、まだ申し上げる十分の研究はできておりませんが、一応これを見ましたところでは、憲法違反のようなことをしなければならぬことはないであろうという結論に達しております。
  121. 河野密

    ○河野(密)委員 私はその点を先ほど総理大臣にも伺つたのは、総理大臣は憲法第九条の解釈を非常に厳格に解釈されておつて、総理大臣は、自衛のための軍隊を持つことであつても日本の憲法には違反であるという、その現憲法制定当時からの見解は毫もかわらないと、先般のこの委員会においても明言されておるのであります。しかるに軍事援助ということを明確にうたつてあるところの援助を受けることが、しかも憲法違反にならないと言うのには、よほどの大きな根拠がなければならないと思うが、われわれの見たところによると、その根拠をこの往復文書の回答は表わしておらないように思うが、当事者である外務大臣はどうお考えになるか、こう言うのであります。
  122. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 第一河野君の誤解のないように申し上げておきますが、軍事援助というのは通称でありまして、別に軍事援助というふうになつておるのではないのであります。ただMSAの法律の中には、軍隊に対する用品であるとか、あるいは軍事的義務であるとかいう字があるのであります。そこでわれわれの今見ましたところでは、この回答は別段そういう点において、われわれの懸念するような何らの義務もないということが、明らかになつたと考えます。
  123. 河野密

    ○河野(密)委員 それでは私は少し内容に立ち入つてお尋ねしたいのでありますが、MSAの五百十一条の(三)に「米国を一方の当事国とする多数国間又は二国間の協定又は条約に基いて自国が受諾した軍事的義務を履行すること。」ということが書いてあります。この軍事的義務というものがさすがに気になつたと見えて、御質問の第三の(a)のところにおいては「「軍事的義務」履行の要件は、日本の場合には、日米安全保障条約によつて日本がすでに引き受けている義務の履行をもつて足りるものである。」とお考えになりますかというように御質問になつております。これは一応御満足行つたように、お考えになるかもしれないと思いますが、われわれの聞知したところによりますと、最初に政府は、この解釈は、米国を一方の事当国とする多数国間又は二国間の協定又は条約というのは、これは日米安全保障条約のようなものをさすのではない、軍事協定をさすのである、安全保障条約は軍事協定でないから、この適用は受けないのだ、こういう見解であつたようでありますが、その後その見解が通らないということをさとられたのか、あるいはどういう根拠に基くかは存じませんが、これを日米安全保障条約を指さすのだということにかえられて、しかもこの軍事的義務は、日米安全保障条約以上の義務を負担するものでないから、これは憲法違反にはならないのだという見解にかわつた、こういうふうにわれわれは承知しておるのでありますが、外務大臣はどうでありますか。
  124. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 私は正直に言いまして、そういうような意見があつたということは聞いておりません。しかしいろいろ議論はたくさんありましたから、その過程において、あるだれかがそういうことを言つたかもしれませんが、いずれにしましても今正式な日本政府の質問に対しまして、アメリカ政府の公式な見解として回答文があるのでありますから、これが一番正しい解釈であると考えてさしつかえないと思います。
  125. 河野密

    ○河野(密)委員 次にお尋ねしたいのは、協定を結ぶ場合に、第五百十一条(a)項にある(一)、(二)、(三)、(四)、(五)、(六)というこの条項は、相互援助協定の協定の中には、当然このままの字句で入るのでございましようか。
  126. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 この趣旨のことは入ると思いますが、協定はいずれの国も一律一体同じものでつくつておりませんから、この精神は入りますが、内容はこの通りになるとは私は考えておりません。しかしこれはわからないのであります。
  127. 河野密

    ○河野(密)委員 政府は安全保障条約の義務以上のものでないとお考えになつておるようであります。ところがこの往復の文書を見ますと、政府の言われていることと、向うの言われていることとの間の食い違つている点が二つあると思うのであります。その一つは何かと申しますと、五百十一条の第四号の問題で、日本の政府は自国の防衛力だけを問題としておりますが、アメリカの方においては「自由世界の防衛力の発展及び維持のために、」こう書いてあるのです。なぜ日本の政府は質問をなさる際に、この四号に限つて「自国の防衛力及び自由世界の防衛力の発展及び維持のために、」という条項を、特に削除してお尋ねになつたのであるか、これと同じことは安全保障条約の持つている義務でありますが、その安全保障条約の義務以上のものは負わせないということは、表面から見ると一応そのように解釈されるのでありますが、その最後のところに、「相互安全保障の観念は、自由世異の目的達成のために、合衆国から援助を受ける諸国が、自らを助けること及びそれぞれの間及び合衆国との間において最高度に協力することに、全力を尽す限りにおいてのみ達成されるものであるという認識に基いている。」こう書いてあるのであります。それでありますから、この全体の安全保障条約の義務以上には義務を負わせないということは、一応日本政府の言うことを認めておるようでありますが、その前には、今私が指摘しましたように、自由世界の防衛力の発展及び維持のためにという問題もあるし、同時にこの目的達成のためにみずから助けること及びそれぞれの間及び合衆国との間において、最高度に協力することに全力を尽す限りにおいてのみという条件が入つておる、これをわれわれは見逃してはならないと思うのであります。これをそのままに解釈するならば、これは安全保障条約の規定を、その通りだというわけには参らないと思うのであります。MSAの規定全体を見て、この問題は当然もつと広い意味の義務を負わせる、軍事的義務というものの中にはそういうものが入つておると解釈せざるを得ないのでありますが、外務大臣の御所見を伺います。
  128. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 MSAはその名の通りお互いに助け合うということが根本趣旨であります。できるだけお互いに助け合つて、平和の維持に貢献しようというのが趣旨でありますから、その限りにおいては、日本もこれに入りますれば、できるだけほかの国に対して援助を与えるわけであります。どういうものであるかということは、具体的に相談して見なければわかりませんが、私の判断する限りでは、今おつしやつたような点についても、日本の経済の許す範囲において、またその他の事情が許す範囲においてやる、やれば十分だというので、私は何もアメリカの回答を一々弁解する必要はないのですが、回答をすらつと読めば、そういうことになると考えております。
  129. 河野密

    ○河野(密)委員 最後に重ねてお尋ねを申し上げますが、総理大臣並びに外務大臣の御説明によりますと、今まではMSAの援助を受けるか受けないかということの腹がきまつておらなかつたから、これは交渉をしなかつたのだというふうに理解をいたされたのであります。しかしこれを土台としていよいよ交渉を始められるのだということを明確に言われたと思うのでありますが、国会がこれを承認するかしないかというのは、これからの問題でありまして、国会が承認しないという場合においては、これは当然政府を拘束するものだと思うのであります。このMSAの援助に対しては、もし国会がこれによつてもなおかつ憲法違反なりという判定を下した場合においては、当然にMSA援助交渉というものはなさるべきにあらず、また現在交渉ありとするならば、これは打切らるべきものであると、こういうふうに理解してさしつかえないと思うのでありますが、この点重ねて総理大臣並びに外務大臣からの明確なる御返事をいただきたいと思います。
  130. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 先ほども総理大臣から言われましたように、国会の意思はもちろん尊重するわけでありますが、具体的にそういうことになつた場合に、政府としては善処する以外に方法はないと考えます。     〔「総理、答弁せい」と呼ぶ者あり〕
  131. 河野密

    ○河野(密)委員 総理大臣の答弁を重ねて……。
  132. 吉田茂

    ○吉田国務大臣 私の答弁は先ほど述べた通りであります。(笑声)
  133. 尾崎末吉

    ○尾崎委員長 石橋湛山君。
  134. 石橋湛山

    ○石橋委員 本日のこの文書を見ますと、二つ問題がある。一つは現在の保安隊ないし警備隊が軍隊であるということを証明していると私は思います。(「その通り」)もう一つは、MSAの援助を受けた場合においては、むろん軍隊を置かねばならぬということが、これに明らかに現われておると思う。そこで第一にお尋ねしたいのは、先ほども武藤君からちよつとありましたが、「この援助により国内の治安と防衛とを確保する」、国内の防衛と言つておるが、一体国内の防衛以外に軍隊がございますか。軍隊というものは、国外の防衛ということは聞いたことがなお。国内の防衛だ。国内の防衛以外に政府は軍隊があるとお考えになりますか、それをお伺いいたします。
  135. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。先刻申し上げました通り、保安隊、警備隊は決して軍隊ではありません。これは対外戦争を目的として設置されたのではないのであります。
  136. 石橋湛山

    ○石橋委員 これは先ほど武藤君からやはり質問があつたのですが、対外戦争というけれども、対外戦争というのは、こつちから出て行く――国内の防衛以外の対外戦争は侵略戦争です。侵略戦争をやる軍隊でなければ軍隊でない、こういう結論になりますが、それでよろしゆうございますか。
  137. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 先ほどもお答えいたしました通り、直接侵略に対してこれを防衛するということを主たる目的にいたしますれば、これはまさしく軍隊と考えております。ただ保安隊はさようなものではないということを申し上げます。     〔発言する者多し〕
  138. 尾崎末吉

    ○尾崎委員長 静粛に願います。
  139. 石橋湛山

    ○石橋委員 どうもいくら質問してもだめなんでありますが、それでは次にお尋ねいたしますが、日本からの質問書の第二項に、「防衛能力が考慮せられるに際しては、日本国政府としては、まず日本の経済が安定し、発展することこそその先決要件であると考えられるがいかん。」こういう質問に対して、アメリカ政府の答えは「日本に対する援助計画を策定するに当つて、経済的安定が」――経済的発展はないのです――「経済的安定が日本の自衛能力の発展」というのは自衛能力の発展です――「経済的安定が日本の自衛能力の発展のために考慮されるべき必要の要件である。」そうすると、これは日本の方の質問は、明らかに軍隊――今の政府の態度の上から、防衛能力のことを考えるのには、それより先に日本の経済が安定し、かつ発展することが先決要件であるから、日本経済が発展しなければ軍隊は置かぬぞという意味の質問でありますが、それに対してアメリカの答えはそうじやなく、経済安定は必要なんだ。だが、その安定なるものは日本の自衛能力の発展のために考慮する。これは全然答えが違うと思うのでありますが、外務大臣はどうですか。
  140. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは別に日本の質問に対してアメリカの答えがこうなければならぬ、ああなければならぬというわけには参らないのでありまして、先ほどしばしば何かなれ合いではないかというお話もありましたが、なれ合いでないからして日本の質問と向うの返事が違つている場合がある。これはしかたがありません。そこでただわれわれが考えるのは、向うの返事でどう判断するかという問題であります。向うの返事を見ますと、日本の防衛能力の発展のためには経済の安定が必須条件である、こう言つております。そしてさらに安定というものに、よけいなことのようですが、つけ加えて、俗に言えばオフ・シヨア・パーチエスといいますか、プロキユアメントといいますか、MSAのためにアメリカが日本で、いろいろなものを買うということも可能性が増すであろうというようなことを言つて、安定だけか、さらにそれに発展までやるか、こういうところではよくわからないようになつておりますが、いずれにいたしましても、安定ということだけは必須条件であるということを向うは言つておるのであります。われわれの質問と必ずしも合いませんが、われわれはその程度でも判断の基礎には十分なると考えております。
  141. 石橋湛山

    ○石橋委員 私はこういう今日本の国会で大問題になつておることに対して、アメリカ政府の答えが、今外務大臣が言われたような、いいかげんなチヤランポンのものではないと思う。これは一々その言葉を検査しておる。だから「経済的安定が日本の自衛能力の発展のために」ということをわざわざ断つてあることは、相当意味があることだと思いますが、それはおきまして、もう一つ、さらに第一項の答えの中に、日本の質問には「国内の治安と防衛とを確保する」こう書いてあるのに対して、アメリカ側からの答えは詳しくなりまして、「日本が受けることになる援助は、日本をしてその国内の治安を維持し、」――日本政府の方は、治安と防衛とを一緒にしておりますが、「その国内の治安を維持し、」それから今度は防衛のところに、詳しい解釈、すなわち平和条約を引用しまして「かつ、平和条約第五条」云々に「保証されている自発的な個別的または集団的自衛の固有の権利を一層有効に行使することを可能ならしめる」と書いてある。ここでひとつはつきりお尋ねしたいのは、一体この平和条約第五条(c)項にあるところの「自発的」でありましても――だからやらなければやらぬでも済むとよく言われるのでありますが、しかしながら精神的にはやることを約束しておる。その「個別的または集団的自衛の固有の権利以外に、一体戦力というものがあるのですか。どこの国に自衛以外の戦力、自衛以外の軍というものを置いておるところがあるか。少くも表向きにおいてはないはずである。日米安全保障条約にあるところの個別的または集団的自衛の固有の権利を日本が有するということは、要するに日本は軍備をするんだということを約束しておるものであるし、さらに今度はこれを「一層」――これは日本語に訳してありますから、「一層」がどこにつくかわかりませんけれども、「一層有効に行使する」ために、今度のMSA援助を与えよう、こういうのでありますから、これは明らかに現在の保安隊が軍隊であるという、あるいは少くともこの保安隊を基幹にしたもので、日本が軍備を持とうという意思のあることを表明すると同時に、MSA援助を受ければ、一層これを有効に行使するということになるのでありますが、それでもなお、MSAの結果でも軍備はしなくていい、そういうことになりますか。
  142. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 自衛の権利があるということは当然でありますが、それには「個別的または集団的自衛」ということになつております。そこで石橋さんのお考えは、個別的、集団的自衛ということは、すなわち軍備だ、こうおつしやいますが、たとえば日米は安全保障条約は、私は集団的な安全保障の――完全なものとは言えますまいが、一つの型であろうと思います。しかしこれは日本に軍備がないということと前提としまして、しかも日本の自衛力の固有の権利を発揮するために、アメリカとの間は条約を結びまして、そして少くとも直接侵略に対してはアメリカの軍隊がこれに当る、そして国内においては日本がやる、こういうことで、自衛を、日本の能力の限度におけることをやつておりますから、必ずしもこの文句は、ただちに軍隊をつくることを意味するのだとはわれわれは考えておりません。
  143. 石橋湛山

    ○石橋委員 ではもう一度くどいようですがお尋ねしますが、この個別的または集団的自衛というもののほかに、世界に軍備とか戦力とかいうものがあるのですか。そういうものが存在し得るかどうか。
  144. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これをすぐに軍備とおつしやるからですが、軍備がなくても個別的、集団的の固有の権利を使うことはできると私は思います。従いまして、これが即軍備であるとは言えないというのが私の意見であります。
  145. 石橋湛山

    ○石橋委員 その問題も困つたものですけれども、もう一つおきまして、次には日本の質問の方の(3)の(a)項には、五百十一条の「「軍事的義務」履行の要件は、日本の場合には、日米安全保障条約によつて日本がすでに引き受けている義務の履行をもつて足りるものである。」こう解釈していいかというのでありますが、今の外務大臣等の答えも、いつもあいまいでありますが、先般私の質問にも申し上げたように、軍備というものは、その規模のいかんによらない。軍隊であるか、戦力であるかということは、大きいか小さいかということではない。そこでここには日本政府は、軍事的義務履行の要件として、今の安保条約により今やつておることでいいかとあるのですから、やはり軍事的義務を引受けられておるのじやないですか、そうなりませんか。
  146. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 つまり安全保障条約におきましては、アメリカの軍隊を日本の国内に置くということ。それから第三国に対して、軍事基地等を供与しはいということ、こういう消極的ではのりまするが、軍事的の義務は負つておるのであつて、軍事的義務を負うということと、日本が軍隊を持つか持たないかということは、これは別問題であります。
  147. 石橋湛山

    ○石橋委員 それから次には(3)の(b)項ですが、「「自国の防衛力を増進し、かつ、維持すること」という要件は、日本については、国内の一般的経済条件の許容する限度内で、かつ、政治的及び経済的安定を害することなく、これが実現されれば足りるものである。」とあります。これの答えはほぼ同じようなことを言つておるわけでありますが、一体集団安全保障というものにおきます軍隊は、各国がその経済等の条件が許す範囲においてその義務を負えばいい。アメリカ側においても、明白にそういうことを言うておる。ですからこれも先ほど申しました軍隊の規模が大きいとか小さいとかいうようなことではなく、日本は日本として、政治的経済的安定を害することなき範囲において負担し得るところの軍事的義務を負えば、すなわちそれが戦力、今の保安隊みたいなものを持つておれば、それが戦力になるのであります。そこでこれはやはり第三項の(b)というものは、集団安全保障の建前の上における戦力、防衛力、軍というものを認めた条項、こういうふうに解釈さるべきものと私は考えますが、いかがですか。
  148. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは安全保障法の五百十一条の四項に、自国の自衛力、これを増進及び維持するという文句がありますから、この文句は日本に関する限りは、経済的、政治的その他の条件が許す範囲でやればいいのではないか。それ以上のものはないはずだがどうかという質問に対して、その通りだという返事が来たわけであります。これをどう判断するかは、おのおのごかつてでありませうが、返事はそういう意味と私は考えております。
  149. 石橋湛山

    ○石橋委員 ここに引用してあります自国の防衛力を増進し、かつ維持するというものは、つまり防衛力という言葉そのものが示しているように、これは言いかえれば戦力とか軍隊とかいうことになるのじやありませんか。
  150. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 われわれがこの質問書にもしばしば使つております防衛努力とか国内の治安及び防衛とか、これはすべて今われわれの頭にあります保安隊を考えておりまして、つまり外国の思想等による大規模な擾乱等に対して、国内の防衛をする、こういう意味の防衛に考えて、この言葉を使つております。
  151. 石橋湛山

    ○石橋委員 今の外務大臣のお答えは、それならば治安だけでいいわけで、あえてこの防衛とか防衛力の増進とか何とかいう必要はないと思うのですが、これはしばらくそうしておきましよう。  次に、アメリカ側の回答の第二項のところに「各参加国が、経済上の要請に関する自国の分担を完全に引き受けることを前提としているが、もちろん、被援助国はその一般的な経済条件及び能力の許容する限度においてのみ寄与をなすことができるものと了解される。」この後段の方の一般的の経済条件云々というのは、前の方にもありますように、現在の保安隊もしくは警備隊の程度において、MSAを受ける場合の軍事上の義務を果すものとみなし得る、こういうのでありますから、私はその意味においてさつきも申したように、現在の保安隊及び警備隊というものが、即軍隊であるということを認めたものと考えますが、同時にこれが示されておることは、経済上の要請に関する自国の分担を完全に引受けることを前提にする、これはさしずめは、日本にそれほどの要求はしないが、とにかく原則としては、完全に分担を引受けることを要求されるものである。それからあとの方の、先ほどどなたか源云々、一般的経済条件の許容する限度、こういうふうに、あるいは全力を尽す限りにおいてのみ云々ということが繰返されておるのでありまして、このMSAの援助を受ける場合においては、なるほどさしずめは保安隊、警備隊の程度で済むかもしれないけれども、多くの諸君が心配するがごとく、やがて大なる軍事的義務の履行を必要とし、それを迫られる場合がある、今の日本の政府のように、経済力がないからできないないというようなことは、許されない事態に、おそらくMSAの援助を受けたらなるということが、ここに文句の上に示されておると私は思う、これを質問しますと、またそうでないと言われるかもしらぬが、とにかく外務大臣の見解を伺つておきます。
  152. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは先ほど申しましたように、お互いに助け合うことを基本としております。相互安全保障でお互いに助け合うのであります。これは相手国の経済的の要請をこちらが満たしてやる場合もあり、相手国がこちらの要請を満たしてくれる場合もある、この場合は経済上の要請を意味しております。たとえば重要な資源がある国は、よその国にもわけてやる、こういう経済上の要請を意味しておりまして、軍事上の要請を意味しておるのじやないので、この経済上の要請についてもいろいろな条件はありますが、その余裕のある限りは完全にお互いにやるのだ、こういうことが精神なのであります。
  153. 石橋湛山

    ○石橋委員 時間がありませんから、まだ伺いたいことがありますが、もう一つだけ伺います。このアメリカの回答文のプリントの、しまいから二枚目の終りのところに、「自衛のため以外に、日本の治安維持の部隊を使用することを要求しているものはない。」云々とあります。これはちよつと見ると、日本の軍隊が相互援助の主義によつて今後海外に派遣されることはないというふうにも理解されます。現在の世界においては、日本の軍隊が、たとえば保安隊が外に出ようと言つても、第一朝鮮でも受付けないでありましようから、出られないし、国内にも反対がもるから、なかなか出られないでありましよう。アメリカの大使等が、そういうふうに日本の軍隊を外で使うつもりはないということを演説では言つておられます。しかしこれは今の話だろうと思う。そこでこの公文書においては、自衛のため以外に日本の治安維持の部隊を使用することはない。それは日本の治安維持の部隊を、そのほかに使わないというのであります。しかしながら、前にもありました国内の防衛ということになりますと、防衛ということは、国内だけに一かたまりになつていたのでは、必ずしもできるものではない。そこで私は、今の朝鮮において、アメリカ軍やそのほかの連合軍が戦つていますが、あれは一体自衛のためなんですか、それとも侵略なんですか、どちらなんですかということを、ちよつと伺いたい。
  154. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 それは広義には自衛のためと言えるかもしれませんが、一般に言われておるのは、国際警察力を行使しておる、こういうふうに言つておるようであります。
  155. 石橋湛山

    ○石橋委員 国際警察力を行使するというのは、つまり自由主義国家群だか連合国だかの自衛のためなんです。言葉は違いますが、自衛のために、やむを得ず朝鮮で戦つておるのです。侵略じやないでしよう。そうすると、軍事的に申して、防禦というものは、決して一かたまりになつてこつちにいてはできない。いわゆる攻勢防禦の場合が非常に多くなる。だから日本の過去の軍隊も、言葉は侵略軍と言つたわけではない。日本を防衛するためには、朝鮮を防衛しなければならない、満州も防衛しなければならない、こういうために、大陸作戦というものも必要になつて来る。そういうように防禦というものは、外に出る必要が起つて来るのであります。だから私は、自衛のため以外に日本の治安維持云々ということは、当面はそんなことも起りますまいけれども、やはり主義としては、日本の軍隊がやがて海外でも戦わなければならぬ時期が来る、安全保障の主義によつて、相助け合つて朝鮮でも戦わなければならない、こういう時期が来ることがある、立たざるを得ないと思うのでありますが、それは必ずないとお考えになるか。ひとつこれは総理大臣にお願いをしたいと思います。
  156. 吉田茂

    ○吉田国務大臣 そういう場合があつても、保安隊は使いません。
  157. 石橋湛山

    ○石橋委員 はなはだすべてのお答えが不満足でまりました。いつかも申し上げましたように、われわれは国会議員の責任として、政府の態度がさようであるならば、やむを得ず重大なる決意をしなければならぬ場合も起るかもしれませんから、そのことだけを申し上げまして、私の質問終ります。
  158. 尾崎末吉

    ○尾崎委員長 黒田寿男君。
  159. 黒田寿男

    ○黒田委員 時間が制限されておりますので、部分的な問題を二、三お尋ねしてみたい。MSA援助を受諾するための条件の一つとしての軍事的義務の履行の要件は、日本が安全保障条約によつてすでに引受けている義務の履行で足る。ここまでは、今日外務省の質問と米国大使館の回答とで明らかになつたと思います。  そこで第二の問題は、岡崎外務大臣の御解釈によりますと、日米安全保障条約によつて日本が米国に対して引受けている義務は、米軍への基地の供与、第三国に対する基地の不供与、こういうきわめて消極的な義務のみである、こういうように解釈しておいでになります。きようはそこまでははつきりした。ところが私がちよつとお尋ねしておきたいと思いますのは、それでよろしいか。日本が米国に対して負担しております軍事的義務はそれだけと解釈してよろしいか。このことについて私は少しまだ明らかにされていない問題があると思います。そこでお尋ねしてみたいと思いますのは、先ほど八百板君もちよつとお触れになりましたが、安全保障条約の前文における期待の問題であります。日本は直接侵略に対する日本の防衛のために、漸次にみずから責任を負うという期待を米国に与えております。私どもは従来この期待は単なる期待であつて、義務ではない、こういうように理解して来ております。しかしここは非常に徴妙な言葉の使い方がされておるのでありまして、わが国の学者の中には、これを単なる道義的義務と解してしまうのは、日本としてあまりにかつて過ぎる、条約上の拘束を受けるようなものと断定すべきものではないと言うてしまうのは、少し行き過ぎではないか、大局的見地からこの言葉の意味を考えてみなければならぬ、この期待という言葉は、両国の事情、国際情勢等をも十分に理解しながら解釈する必要があるので、単なる期待以上の意味があると考えることも、これは一理ないことではないというような意味のことを――無論私が今申しましたその通りの言葉を使つておるのではありませんが、そういう見方を持つておる者もあるのであります。そこで今回MSA援助の受入れと軍事義務の履行ということが問題になつておりますときに、この期待という問題は、非常に微妙な問題となつて来るように思われ、あらためて見直してみなければならぬのではないか、こう私は考えます。安全保障条約を存続させて行くには、この期待に応じなければならぬのであるか、これを外務大臣にお尋ねいたします。逆に申しますと、この期待に応ずることが、安全保障条約の存続の条件となつておるか、それともこの期待に応じなくとも、安全保障条約は続けて行かれるものであるかどうか、この点をちよつと聞いてみたい。それで期待というものの解釈も明らかになるのではないかと思います。
  160. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 期待はあくまでも期待でありまして、義務とは私は言えないと思います。しかしその前文に書いてある以上、日本としても周囲の情勢の許す範囲内においては、漸増したいという気持があるから、この前文に同意したのでありまして、現に保安隊なるものは、装備の点その他において自衛の漸増というかだんだん完備しつつあると私は考えております。
  161. 黒田寿男

    ○黒田委員 そうしますと、これははつきりと義務と言うことはできますまいが、やはりアメリカからいえば、日本が軍備を持つということは、直接侵略に対して責任を負う、すなわち軍備をもつということは、向うから言えば、義務とまでは申しませんが、この期待に応じてもらうということは、広い意味でやはり安全保障条約による日本の軍事義務の履行というように、解釈される可能性はないでありましようか。この点を外務大臣はお確かめになつたのでありましようか。外務大臣のおつしやつたような範囲内での消極的な義務にすぎないということは、アメリカの意向を聞いてみてからの御見解でありましようか。日本の外務省がそういうように考えておるというだけのことでありましようか。それをちよつと念のためにお尋ねいたします。
  162. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これはむろんこの文句はきよう受取つたばかりでありますから、われわれの考えおることは、先ほど申したように、問いの方の意味はその通りであります。返事の方がどうなつておるか、おそらく同じような言葉を使つておるのだから、その通りだという返事だと思いますけれども、黒田君のように疑われるような方においては、もつとこまかくそれを調べてみなければわからないでありましよう。言葉の意味はそれにある通りであります。
  163. 黒田寿男

    ○黒田委員 私はそれで申し上げる。岡崎外務大臣は少しひとりよがりの、日本に都合のよいような解釈をかつてになさつておられるのではなかろうか。私は今申しましたような問題もアメリカに突き詰めて聞いてみなければならぬと思う。そこまで聞いてみて、そして前文の意味は決して軍事的義務というものにはならないのだという意味での回答を得なければ、われわれ日本人としては安心することができません。そういう意味で私は申し上げたのです。再軍備論者はこういうことは問題にしないでよろしい。私どもはこれを問題にする。だから軍事義務履行の問題では、今日私どもに示されました照会と回答の内容では、私は完全ではない、こう思います。この点は私は疑問のままで置いておきます。もう一度御照会なさる必要がある。そうして特にこの点について、日本の国会ではこういう質問があつたが、アメリカはどう考えるかということをひとつ質問してみてください。そうしてはつきりとアメリカの見解として回答を受けたものを私どもにお示し願いたい。  それからもう一つ質問してみたいといますが、政府がアメリカに質問しておりますもう一つの問題は、安全保障法の五百十一条の(a)の(4)に関したものであります。今まで議論されたのは主として(3)に関するものでありましたが、(4)に関することについて私は簡単に質問してみたい。私が政府の照会文を読んで、それからアメリカの大使館の回答文を読んで、そうして安全保障法の条文と照し合せてみて、私はいかにもかつてな質問をし、いいかげんな回答をしていると思う。私はこの(4)の中心点は、政府が質問いたしましたような、そういうところにあるのではない、政府は平たく申しますれば、日本の経済力が許さないことまでもアメリカはやれとは言わぬのだろう、こういうような質問の仕方をしまして、そうだと、こういう答えを得て私どもの前に、子どもだましのように、これを示した。けれども(4)の条文の要点はそういうところにあるのではない。そうではなくて、日本は国力の許す限り一生懸命に自衛力を増進する、そういうことに同意をしろ、ここに私は中心点があると思う。これが安全保障法の(a)の(4)のほんとうのねらいだと思いますから、私はこんな子供だましのようなこと、こう言えば政府は国民を納得させることができるだろうと思えるような部分的な解釈の仕方を持出して、そしてアメリカからそれに応ずるような回答をしてもらつて、それで(4)項の問題はこれで解決するのだというような問題の取扱い方では、私どもは賛成することはできません。これはしかし質問ではなくて私の意見にしておきましよう。私ども国会議員はこういう質問応答の内容では(4)について私どもの持つております疑問の解消にはならぬ、こう申し上げておきます。  そこで私は最後にこの(4)の問題の重点は何であるか、中心点はどこにあるかということを申し上げてみたい。(3)の問題、すなわち軍事義務の履行の問題は、私は現在この援助を受入れるときの問題であると思います。ところがこの(4)の問題は将来の問題であります。この違いがある。これをはつきりと私どもは知つておかなければならぬ。(4)は、日本が将来わが国の自衛力及び自由世界の自衛力を日本の力の及ぶ限り増進し、かつ維持する、そのことに全面的に寄与する、こういうことになつているのでありまして、これは将来わが国が自衛力を増進するとということをアメリカに約束をさせられる、こういうことになるのである。先ほどの安保条約の前文は期待の問題でありましたが、期待論は期待論としておいてよろしい。それは期待にすぎないといたしまして、MSA援助の問題に関して新たに起る問題、すなわち(4)の問題はこれは期待の問題ではなく義務を負担する問題である。安全保障条約の前文の期待という文字をそのまま期待と解釈いたしまして、厳密な義務的のものでないといたしまして、それと、(4)の問題との比較でありますが、前者は期待である。そうするとともに将来の問題ではあるが、(4)は義務の問題である。この相違がある。これをはつきりすることがこの(4)の問題の中心点であると私は思います。そうするとMSA援助を受けるということになつて来れば、きようは(3)の問題がおもに論ぜられましたが、私が今提起するのは(4)の問題である。そこでは被援助国は将来自衛力を増進することに同意することになつている。漸次に増強するというのではありません。はつきりと自分の国力の許す限り増進すると、こう書いてある。だから安全保障条約における漸次に自衛力を増強するという言葉よりも非常に意味が強い。漸次にというような言葉はありません。国力の許す限り自衛力を増進する、こう書いてある。ここに大きな変化がある。私は(4)の重点はここにあると思う。だから私は安全保障法の援助を受けるとすれば、日本は(3)による軍事的義務を安全保障条約に規定されておる義務にすぎないとして(3)の条件は満たされると解釈いたしましても、(4)によつて、将来、必ず、漸増ではなくて、一生懸命に国力の許す限り自衛力を増進するという約束をさせられる。すなわちそういう義務を課せられるということになるのであります。これは、日本としてこういう義務をになうことができるかどうか、これは非常に重要な問題であります。これについて岡崎外務大臣並びに吉田総理大臣はどうお考えになりますか。(3)の問題では切り拔け得るといたしましても、私はこの(4)の問題は切り抜けられないと思います。  なお、時間がありませんからついでに申し上げておきますが、私はこの(4)の資格を満たすということは、ただいま申しますように、日本が将来自衛力を増進する、すなわち軍備を持つということを約束させられる条項である。この条件を引受けなければMSA受諾の条件を満たすことができない、こう考える。そうすると軍備を持つてはならぬという憲法の存在している現在において、将来軍備を持つという義務を負担させられるような条約を締結することは憲法上私は許されないと思う。(4)についてこの二つの点を御答弁願いたいと思います。
  164. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これはMSAの援助を受ける今までの国々は、すべて一定の義務を受けております。従いましてわれわれもMSAの援助を受けようとするならば、それに伴う義務を受けることは当然であろうと考えております。そこでその義務の内容によるるであつて、それをわれわれはこの書簡によつて確かめたのであつて、これは今おつしやつたような自衛力を増強する、またよその国の自衛力の増強にも寄与するということがあるわけでありますから、それについてわれわれは第一項で、この援助は日本に関する限りは日本の国内の治安と防衛を確保すれば目的は達するのであるからという質問をいたしております。これに対しては、そうであると返事をしております。それからさらに他国に対する経済上の要請というのは、いわゆる寄与でありましようが、これに対してもその国の、つまり日本なら日本の国内の経済状態その他が許す限度内ですれば足りるのである。つまり日本の経済上の安定ということが先決要件にならなければならぬのですから、それ以上のことはないのだというのが一応の返答であります。しかしこれは協定文でも何でもありませんから、私はアメリカの回答に対して一生懸命に弁護する気持はないのでありまして、ただわれわれがこれで援助を受ける価値ありと判断すれば、今度はそういう問題について協定をしてはつきり確かめるわけであります。その前提条件として一般的な考え方を質問した、それが回答であるというのであります。
  165. 黒田寿男

    ○黒田委員 それでは私はこれ以上新たに質問いたしませんが、ちよつと最後に私の意見だけ簡単に申し上げておきます。私どもに本日御配付になりました外務省の質問と、これに対する米国大使館の回答では、私どもが日本憲法の存在する今日、MSA軍事援助を受けてはならぬと考えておりましたその私どもの疑問を解消する何らの材料にもならぬと思います。その材料にならぬということの理由を私はただいま申し上げたいのであります。そこで私は時間がありませんから、これ以上質問はいたしませんが、どうかお示しのような問合せと回答とで問題が解消したかのごとく、すなわち難点である憲法等との関連問題が解決したかのごとく御解釈になつて、正式な交渉をお始めになるというようなことのないように希望いたします。私どもは交渉に断固として反対したいと思います。まだまだもつともつと政府は御研究にならなければ、重大問題を起す危険があると思いますから……。  なお岡崎外務大臣の御報告のように、国力の許す限りで、それ以上のものは要求しないだろうというようなことを質問した、そうだと回答したなんというようなことは、私はこれは子供だましだと思う。だれだつて無理を相手にしいる者はありません。できないことまでしろとあなたはおつしやるつもりではありますまい、そうであります。こんなことを国会議員の前で問い合わした、回答があつたというようなことを報告されましても、私どもはそんなことはむしろナンセンスだと思う。さつきから言うておりますようにそういうことが(4)の重点じやないのです。日本は国力の及ぶだけのことは積極的にやれ、この義務は引受けよ、よろしゆうございます、こう言わなければアメリカは問題を進めないと思いますし、それが私は安全保障法の精神であると思います。しかしきようは私の質問はこれで終ります。
  166. 尾崎末吉

    ○尾崎委員長 先ほど武藤君の御要求の問題について、このままにして理事の懇談会を開きます。      ――――◇―――――     〔午後五時十二分懇談会に入る〕     〔午後五時十四分懇談会を終る〕      ――――◇―――――
  167. 尾崎末吉

    ○尾崎委員長 それでは先ほど武藤君提案の動議につきまして採決をいたします。委員外の方でいすについておられる方はないと思いますが、ありましたらほかにおしりぞきを願います。――ないようであります。  武藤君提案の動議のごとく賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  168. 尾崎末吉

    ○尾崎委員長 起立多数。よつて本動議は可決されました。(拍手)  それでは昭和二十八年度総予算と昭和二十八年度暫定予算補正とは一括議題として質疑を行つて参りましたが、昭和二十八年度一般会計暫定予算補正(第2号)、昭和二十八年度特別会計暫定予算補正(特第2号)、及び昭和二十八年度政府関係機関暫定予算補正(機第2号)の三案についてはその質疑を終了することといたします。  なお暫定予算補正三案については明日討論採決を行うことといたします。  この際御報告いたします。公聴会の公述人の選定は委員長に一任されておりましたが、理事諸君と協議の上、次のように決定いたしました。         朝日新聞論説委         員       土屋  清君         東京銀行常務取         締役      堀江 薫雄君         商工組合中央金         庫理事     安田 元七君         全国農民連盟書         記長      中村吉次郎君         法政大学教授 宇佐美誠次郎君         旧軍人関係恩給         復活全国連絡会         会長      永持 源次君         倉敷レーヨン株         式会社社長   大原総一郎君         高橋経済研究所         長       高橋 亀吉君         日本化薬株式会         社社長     原 安三郎君         労働組合総同盟         総主事     古賀  専君         東方貿易株式会         社専務取締役   土岐正直君         東洋綿花株式会社社長長      鈴木重光君  以上十二名であります。御報告いたします。  次会は明二十七日午前十時より開会いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後五時十七分散会