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1953-01-26 第15回国会 衆議院 法務委員会 18号 公式Web版

  1. 昭和二十八年一月二十六日(月曜日)     午後一時二十七分開議  出席委員    委員長 田嶋 好文君    理事 松岡 松平君 理事 小畑虎之助君    理事 石川金次郎君 理事 猪俣 浩三君       佐治 誠吉君    福井 盛太君       松永  東君    大川 光三君       後藤 義隆君    木下  郁君       田万 廣文君    古屋 貞雄君       風見  章君  出席国務大臣         法 務 大 臣 犬養  健君  出席政府委員         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         検     事         (刑事局長)  岡原 昌男君         外務事務官         (欧米局長)  土屋  隼君  委員外の出席者         専  門  員 村  教三君         専  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  人権擁護に関する件(鹿地亘君関係事件)     ―――――――――――――
  2. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 これより会議を開きます。  人権擁護に関する件のうち、鹿地亘君関係事件について調査を進めます。本件につきましては、昨年十二月以来慎重調査を進めて参つたのでありますが、本日は、その後における関係当局の調査の経過を聴取し、その見解をただした上で本件の取扱いにつきまして協議をいたしたいと存じます。  それでは各関係当局より調査の経過並びにその見解について説明を聴取いたします。まず法務大臣より調査の経過並びに見解をお伺いいたすことにいたします。犬養法務大臣。
  3. 犬養健

    ○犬養国務大臣 いわゆる三橋事件と鹿地事件に関しまして、昨年来きわめて慎重な態度で取調べをいたし、判断をいたしているのでありますが、詳しくは国警側及び法務省の事務当局より報告をいたさせたいと存じますが、大体におきまして、鹿地氏本人から相当の説明を要すべき段階に来ていると思います。と申しますのは、私自身が関係書類を読みました限りにおきましては、三橋氏はもとより、鹿地氏に関しても相当の疑惑を実は持つに至つていることを率直に申し述べなければならないと存じます。但しこれに対して、鹿地氏がいかなる弁明をするか、何分にも御当人が病気でありまして、喀血をしたというような話も、これは新聞を通じてでありますが承知しております。今まであまり当人の健康にさわらぬようにというので控えまして、取調べは延ばしていたのであります。しかし本人の話を聞いてみた上で、最後の判断をいたしたいと思つております。その瞬間までは、鹿地氏にも当然みずから擁護すべき人権のあることでございますから、軽々に結論を申すことは控えなければなりません。率直に申しまして、今の段階においてはとくと当人の弁明、説明を聞くことを要するほど、相当の容疑も持つに至つておるのであります。はなはだこのことは遺憾に存じております。詳しいことは、国警側及び法務省の事務当局から御説明並びに御報告をいたしたいと思います。以上。
  4. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 岡原刑事局長。
  5. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 鹿地事件につきましては、すでに当委員会におきまして相当事件が明らかになつて参つたのでございますが、その後国警当局におきまして相当程度調べを進行され、さらに必要な件につきましては、アメリカ側にそれらの点に関する回答を求めたりなどいたしまして年が越えたわけでございます。たしか一月の十三日に東京地検におきましてこの事件の引継ぎを受け、目下捜査中でございますが、何分にもその監禁を受けましたという鹿地氏の病状が思わしくなく、いまだこれに直接当つて調べる段階に至つておりません。そこでただいまといたしましては單に従来三橋事件に現われました鹿地氏の関係、あるいはアメリカ側から渡されたいわゆる書面その他を中心といたしまして検討を続けておるという段階でございます。鹿地氏の病状が漸次好転するに伴いまして、逮捕監禁を受けるに至りました当時の事情を詳細に聴取し、それに基いてさらに捜査を進展さして行きたいというのが、検察庁の目下の態度なのでございます。一応簡單でございますが、御報告申し上げます。
  6. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 本件について、その後の捜査経過等を国警長官にお話願いたいと思います。齋藤政府委員。
  7. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 ただいま岡原政府委員から御説明がありました通りでありまして、私からさらに詳しいことを申し上げる点はないのでございます。不法監禁事件につきましてはただいま岡原局長からも御説明がありましたように、日本側の証人として事情を聞き得る方々につきましては、警視庁が中心になりまして事情を全部聞き、それに基きましてかくかくの事実があるように思えるが、これについてアメリカ側の調査はどうなつておるか、その回答をもらいたいということで外務省にもお願いをいたしておつたのであります。このことは前の委員会においても御説明を申し上げておいた通りであります。われわれの方といたしましては、その回答によりまして、さらに今後調査すべき点があれば調査をいたしたいと、その回答の来るのを待つておるのでございます。外務省とアメリカ側との間におきまして、この回答がもう今にも来たのではないかと私は考えておりますが、それらの点は、外務省の方から御説明があるのであろうと存じます。その回答の内容をよく検討いたしました上で、今後さらに警察として調査する点があるかどうかを研究いたしたいと思います。検察庁におきましても、警察で調べました事実を検察庁にも一応報告をいたしまして、この点を警察と一緒になつてさらに調べて参りたい、こういう段階にあるのであります。鹿地氏の三橋との関係における被疑事件は――三橋正雄はすでに起訴に相なりました。しかしながらただいま大臣から御説明がありましたように、鹿地氏に関係をいたしまする分は、できるだけ近い機会に本人に当つてさらに取調べを進めたい。今さような段階にあるのであります。
  8. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 なお齋藤国警長官には、先般の当委員会におきまして委員長より特に、鹿地氏のスパイに関する自白的な手記というようなものがあるということでこれが提出方をお願いいたしておきましたが、本日はこの関係について後刻お願いしたいと思つておりますので、その点をあらかじめ御協議おきを願いたいと思います。  次いで外務省政府委員から意見を聴取することにいたします。本日は岡崎外務大臣が出席することになつておりましたが、ただいま連絡がございまして、急に外国側節との会見が行われることになつたようでございまして、少し時間が遅れるようであります。しかし土屋欧米局長がその担当責任者となつて本日出席されておりますので、土屋欧米局長から一応ただいままでの経過を御報告願うことにいたします。さきの本委員会におきまして、本件につきましてはアメリカ側に要望した事項があります。この事項について、外務省よりその後の交渉経過をお話願いたいと思います。なおただいま齋藤国警長官からお話がございましたように、折衝に対してその最終的回答が外務省に届いておるのではないかという点でございますが、これが届いておりましたなれば、その点も本日の委員会において明らかに願いたいと思います。
  9. 土屋隼

    ○土屋政府委員 ただいま国警長官からお話がございましたアメリカ側との交渉でございますが、これは昨年の本委員会におきまして、当時担当いたしておりました伊関国協局長から当時までのいきさつは申し上げてあると思います。私はその後伊関国協局長から本件を受継ぎまして、国警側で調査いたしました資料に基きまして、特にアメリカ側の調査を必要とする事項と思われる点を国警側から御提出をいただきまして、これを昨年十二月二十六日付の手紙にいたしまして、アメリカ大使館にその回答を求めたのであります。本日までアメリカ大使館からの回答はなかつたのでありますが、本日午前十一時に、十二月二十六日の問合せに対しまする回答を受取つたのであります。ただいまここに原文を持つておりますが、委員会の皆様の御都合もございますので、もうしばらくいたしますと、日本語になりましたものが届くはずでございますから、それをごひろう申し上げますので、いさいはそれによつて御検討をいただきたいと思うのであります。今のところ、アメリカ大使館といたしましての返事によりますと、大分アメリカ側としても努力して調べてあるようであります。いさいは、原文の翻訳が参りますので、それを配付いたしました後にごらんをいただきたいと思います。
  10. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 それでは原文の日本文の翻訳ができ次第、これを審議することにいたします。  先ほど齋藤国警長官にお願いをいたしておきましたが、鹿地氏の自由調書というものが国警の方の手に入り、結局鹿地氏自体もこの点を認めているわけでありますが、これを本日の委員会に御提出をお願いいたしたいと思います。  その前にちよつと猪俣委員にお伺いいたしておきますが、先般鹿地亘君が証人として当委員会に出頭されました節、委員長より鹿地君の監禁中の自白的なものは縦書き、横書き二通ではないかという質問に対しまして、縦書きだけだ、横書きのものはないということになつておりました。その点について、その後委員長も調査を進めて参つたのでございますが、実は横書きのものもあるということが、ある程度はつきりしたのでございます。本日鹿地君がこの委員会に出頭されて、その点を明らかにするのが順序かとも思うのでありますが、病状その他から不可能と思います。そこで特に鹿地君を代表していらつしやると考えます猪俣委員に、この点について何かはつきりした御回答が得られるなれば幸いだと思うのでありますが、どうでしよう、鹿地君自体は、本日まだなお横書きのものは否認しておるのでしようか。
  11. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 答弁をいたします。実は昨年の十二月二十三日の法務委員会で、委員長の質問の際に、相当首をかしげておりましたが、ないという答弁でした。ところがその晩――その当時まだ私のうちにおりました。どうも自分はちよつと考え違いをしておつたが、委員長の質問がよくわからなかつた。自白調書というものは一通かと聞かれたもので、一通だというふうに言うた。ところがよく考えてみると、鹿地君を主として取調べましたガルシエーという大佐が、長い間鹿地君といろいろな問題につい一問一答をやつておるのを、まとめて一つの部厚な記録つづり、書物みたいなものにして、そこへ書き込んであるから、あのスパイをやつたという自白のところだけもう一度書いてみてくれ、こう言われた。そこで自分が忘れちやつたので、光田という軍曹から前に出した自白調書を借り受けて、その通りに書いて出したものがあるが、それが横書きのものでなかつたかと思う。しかしそれは自分の自白調書というものとは思つておらぬので、同じものを出したので、答弁できなかつたが、その意味ならば、横書きのものも縦書きのものも、つまり二通あることになる。こういうふうに訂正しまして、その後それをなお私は法務委員会へ出すから、手紙に書いてよこしてくれろと言うておきましたが、手紙が来ておるのです。今整理して、あとで委員長の手元までそれを提出いたします。そういう事情でございます。
  12. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 一応認めてさしつかえないのですね。
  13. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 横書きですか――それはガルシエーに、同じものをメモとして書いて出してくれ、ぼくの記録にするから書いて出してくれと言われたので、出したということを認めております。
  14. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 それでは齋藤国警長官にお願いいたしますが、一応お出しになる前に、その自白調書なるもののスパイに関する関係がまだ当委員会では明確になつておりませんので、その点国警長官の方でお取調べになつた範囲を、ここで御発表できるだけの点を御発表願いたいと思います。
  15. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 ただいま委員長のお話になりました自白調書と申しますか、手記と申しますか、私は手記というのが当つておるのじやないかと考えますが、この原本は今検察庁に参つておりまして、検察庁の方は重要な証拠関係でありますから、裁判の済むまではかんべんをしてもらいたいということでありますので、後刻秘密委員会でも開いていただけるならばその写真をお目にかけたいと思いますから、この点をお願い申し上げておきます。  この手記は二通りございまして、いわゆる縦書きの分は二十六年十二月二十八日に提出せられたものということになつております。五十八ページに及んだ原稿用紙に書かれたものでございます。この表題は帰国と帰国後の経過という題になつております。十一節ございまして、第一節は帰国当時の事情、第二節は誤解をただしておきたいこと、第三節は陳誠将軍のこと、私の政治的態度の決定について、それから第四節は戰争中に組織したPOWについて、POWというのは、プリズナー・オブ・ウオー、いわゆる捕虜だと思います。五節は帰国後一九四八年まで、その間に自分はどういうような団体、あるいは文化関係の会等に関係したかということ、六節は神戸、大阪朝鮮人学校事件とアジア民族文化祭、七節は発病、入院、手術より退院に至るまで、八節が中国防衛の運動、九節が女学運動について、十節がソビエト人との関係、十一節が私の行動の思想的根拠について、という五十八ページからなつておりまして、相当長いものでございます。ただいま御指摘の事件に直接関係のあると見られますものは、十節のいわゆるソビエト人との関係という部分でございます。他の点につきましてはいろいろな方々の名前や何かが出て参りますので、差控えさしてもらいたいと思いますが、その十節の点は事件と直接関係する部分でありますから、若干委員長の御要求に従いまして申し上げたいと存じます。これはソビエト人と自分はどうして関係を持つようになつたか。それから三橋とどういう関係で、どういうことをやつたかというあらましが書いてあるのであります。それによりますと、一九四八年の秋以来、まる二年半の病気療養でまつたく社会から隔離されてしまうと、非常にさびしさでいらだつものであるという書出しで始まり、自分が病後の散歩をしておつたときに、一九五一年六月ごろ鵠沼海岸の二三六号道路から江ノ島寄りの砂丘に立つてアメリカ軍の演習見物をしていた。そのときにソフトをかぶつた背の高い一人の外国人が私の近くにやつて来て、彼も演習を見ていた。付近にはだれもいなかつた。この外国人は、ふと親しげに、まずい日本語で、私にたいへんはげしい演習です、いつもこんなですかと尋ねかけた。何気なく私は英語でイエス・オールウエイズと答えた。外国人は私が英語がわかると知つて喜んで、英語でまた話しかけた。土地の住民は困るでしようというので、私はことに住民が困つていること、みんな戦争の不安を感じていることを話した。これがきつかけになつて私たちの会話が始まつた。話は自然朝鮮の話になつたが、続いて彼は、日本人間で平和運動は進展しているかと尋ねた。さらに続いて、彼は平和運動に対して私自身はどういう意見を持つているかと尋ねた。そこで私は、過去長い間戰争と軍国主義に反対をして闘つて来た。そのために外国に亡命をしたこともあると答えた。この外国人は非常に驚いて、私の名を尋ねたので、私は戦争の間中国に行つていた鹿地という者です、今は数年来の病気でここに来て療養をしていますと答えた。このときに彼は、自分はソビエトの者です、あなたが中国に亡命したときのことは、ソビエトの新聞でもたいへん評判だつたからよく記憶しています、私たちは友だちになりましようと言つた。実は会話が始まつたとき以来、私は彼の英語がまずいので、英国民ではないのを感じていた。その上アメリカ人のように、しなやかな体格でなくて、彼はいかつい肩幅の、ややねこ背のがんじような体格をしていた、予想通り彼はソビエト人であつた、そのとき彼は自分の名を私に告げたと思うが、よく聞きとれなかつた、もう一度尋ねるのも失礼に思われるので自然に機会の来るのを待つつもりで、私はそれ以上尋ねなかつた、というのが最初の会つたときの状況の記述で、それから後にずつと詳しく記述しておりますが、三回ばかり会い、七月の末にそのソビエト人のサンマー・ハウスに招待をされて、そこでいろいろ話が始まつております。その条項のところは多分鎌倉市内と思われる別荘風の建物に私は家の中に案内された、そのとき私の友人はひどく警戒して、だれにも会わないように建物の廊下に人のいないすきをうかがつて私をひそかに部屋に導き入れた、部屋にはもう小さい宴会の用意が整つていた、あとで申しまするが、横書きの手記はこの部屋の中の状況がもつと詳しく記述されております。その夜彼は私に次のような話をした。自分たちは互いに平和の問題について完全に意思が一致した、ソビエトはアジア民族と日本人民の独立解放を援助している。あなたは私たちに協力してくれないか、これに対して具体的にどんな協力かわからなかつたが、原則的には私は同意をした、ついで彼はアメリカはアジア諸国を攻撃するため、また反ソビエト戦争を準備するために日本を軍事基地化しようとしている、すでに一九四八年ごろから、そのために日本と単独講和をする陰謀を進めている、これは日本の完全な植民地化である、これをどう思うかと尋ねた。私はその意見に同意した。すると彼はこれに対して、単独講和とともに彼らは駐日ソビエト機関を追い出して日本を独占的に支配するだろう、ソビエトとしてはそんな場合は備えて日本における情報を知り、不断にアメリカの戰争準備を監視するために秘密の情報グループをつくりたいと思う、あなたは私たちにぜひ協力してもらいたい。実を言えば、問題の性質がはつきりするとともに、私はたいへん当惑をした。しかし今さらひつ込むのも卑怯に思われたので、自分はからだが悪いから急にいろいろ活動することはできないと答えた。療養はどれぐらいの期間がかかるだろうかと尋ねるので、私は少くとも東京あたりまで行くことができるのは来年になつてからだろうと答えた。彼はそれでよい、来年から少しずつ活動を始めてくれ、あなたは国際人だからアメリカ人にも交際することができる、自分たちはあなたが彼らと交際して、よい友人をつくつてくれることを期待している、あなたは自分たちにとつて非常な活動をすることができると述べた。結局私も追い詰められた形になつて承諾せざるを得なかつた。彼は私の療養の間に定期に連絡をとつて、そのような活動を始める準備につい、今後私にいろいろ助言をすることになつたと言つて、その辺の状況を記述しているのであります。それから後数回会つて、八月の末に会つたときに、自分たちの仲間にもう一人の日本人を加えるから、私にその人を紹介しようと言つた。紹介する日本人というのはラジオの技師で、帝国電波株式会社に勤めている三橋という人物であるといつて、彼は私にその写真を見せてくれた。私の友人はこう言つた。あなたと三橋が会うのは日本人同士であるから目立たない。自分が彼と会うのは目立ちやすい。だから今後私が彼に渡す電文をあなたの仲介によることにしたいというのであつた。つまり彼は療養中の私なら世間の注意を引かないから、定期に会見していろいろの報告を聞き、同時に人目につきにくい病人を介して、ラジオ技師に連絡してやるという魂胆らしかつた。私は自分のからだに無理を感じたが、しかたがないので承諾をした。それから三橋と初めて会うのでありますが、そのときの状況を合言葉その他を記述をいたしております。それから三橋とは某所、某所、某所、大体この三箇所で毎月三回ずつ会つておつたというふうに書いております。なおソビエト人の友人の忠告によつて私は三橋に自分の名前も関係も一切話していない。私は彼の傾向をいつも注意しておくように言い渡された。三橋という者の素性は、ソビエト人からよく知らされ、また三橋についても、いろいろ三橋という人物を注意をし観察をしているようにという注意を受けたが、自分の名前、自分は鹿地であるということは三橋には言つてはならないということで、自分は全然三橋には自分の関係のことは話をしない。ただ初めて会つて、それから彼と連絡をしておつたというふうに書いております。それでこの項の終りのところに、第一に、私が彼からサンマー・ハウスに招待を受けるまで、私たちは二、三回会談したが、この期間は彼が私の見解や意思をそれとなくテストしていたものらしい。彼の私に対する意見がはつきりきまつて、仕事の相談のため私を招待した。第二に、彼が私に期待したことは、辻堂付近の演習がおもなことではなかつたと思われる。必ずしも彼は私から直接の軍事情報を期待したのではないと思う。むしろ私が国際的な接触を持つ可能性があることに期待していたのだから、おそらく将来私が健康になつたとき、外交的な情報を得ることに期待したのであろう。むろんそれは軍事と無関係ではないが、こうして期待された仕事は、まだ準備以前に挫折したのではなく、思いがけない深入りをすることになつた。私は今日かえつてほつとした気持になつている。自分は逮捕されて、この関係が切れたのでほつとした感じをしている、そう書いておるのであります。  次に、私の行動の思想的な根拠についてというところに、どういうわけでどういう仕事に携わるようになつたかということも若干触れておりますが、それと関係がありませんから省略させていただきます。  それから横書といいます分は、これは二十七年の十月十五日に提出されたものとなつております。これはただいま申しましたソビエト人との関係という部分とほとんど大同小異であります。若干詳しいところもあれば、また若干省略しておるところもあります。概要は大体似ておりますから省略をいたしておきます。
  16. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 鹿地亘君が拉致されたといいますか、逮捕されたといいますか、どつちかになると思いますが、子のときの状況は、その手記の中に書かれておりませんか、おりましたらそれを少しお答えを願いたいと思います。
  17. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 この手記の中には、どこにも逮捕されたときの状況は書いてございません。おそらく逮捕されたとき、アメリカ関係の人が逮捕した事情を知つておるから、そのことは触れなかつたのはろうと思いますが、その手記には何も書いてございません。
  18. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 それでは国警長官より、先ほど鹿地自白手記なるものは秘密会においてこれを示したいという要求がございました。これは後刻秘密会を開いてこの自白手記なるものをお示し願うことにいたしまして、次は、発言の通告がありますから、順次許すことにいたします。大川光三君。
  19. 大川光三

    ○大川委員 最初に法務大臣に簡単にお尋ねいたします。新聞紙の報ずるところによりますと、いわゆる三橋正雄の電波法違反事件と並行して、別に鹿地亘氏の不法監禁事件を取上げて、現在東京地方検察庁でお取調べを開始されておるということになつておりますが、間違いございませんか。
  20. 犬養健

    ○犬養国務大臣 お話の通りでありますが、但し先ほど申し上げましたように鹿地氏自身が病気でありまして、まだ鹿地氏当人には一度も取調べをしておりません。従つて鹿地氏の手記、三橋氏の手記、これをともどもに読んで研究して、鹿地氏当人に対する取調べの方針の基礎を定めておる、こういう段階にあるのであります。
  21. 大川光三

    ○大川委員 そういたしまするといわゆる三橋の電波法違反事件のほかに鹿地亘の不法監禁事件というものを別個に立件されて検察庁にお調べになつておるのでありましようか。
  22. 犬養健

    ○犬養国務大臣 さようでございます。但し大川氏も御推察の通り、この二つの事件については接触面があるとの容疑もまだ断定をしておりません。その容疑をただしたいという意味において鹿地氏の病気回復を待つていろいろ尋ねたいことがある、こういう段階にあるのであります。
  23. 大川光三

    ○大川委員 ただいまお話の鹿地亘氏の不法監禁事件というものは、これはあるいは本人告訴であり、あるいは職権による訴追であるということになると思いますが、そのねらいは――ねらいと申しますか、事件の被疑者と目される者はだれでございまするか。
  24. 犬養健

    ○犬養国務大臣 三橋氏に関連しました関係の鹿地氏の容疑の問題は、鹿地氏の人権に関係いたしますので、鹿地氏自身の弁明、説明を受ける前に、こういう種類のものであると私が法務大臣として断定することは差控えたい、こう一応思つております。不法監禁事件の相手は、御推察の通りアメリカ当局でありますが、どれもアメリカ側の回答並びに鹿地氏自身のそれに対する説明、弁明を聞きませんことには、アメリカ側のどこであるのか、またはたして不法と称せられるものであるか、あるいは遺憾であるという言葉をもつて足りるのか、足りないのか、まだ結論が出ておらぬ次第でございます。
  25. 大川光三

    ○大川委員 齋藤国警長官にお尋ねしたいと思います。まず、先ほどの縦書きの自白の手記の中で、鹿地は、三橋正雄という名前をはつきりうたつておるかどうか。またその後、国警でお調べの結果、三橋正雄という人間が実在いたしておるという確信をお持ちになつておるかどうか。それから鎌倉の別荘で招待されて鹿地がソ連の関係人と会つたときに、何か報酬に関する話合いはなかつたか。この点をまず伺いたい。
  26. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 鹿地氏の自供書の中には、三橋正雄という名前を明示いたしておりますし、それから先ほど申しましたように、すでに電波法違反で起訴になりました者は三橋正雄でありまして、これは戸籍面もその通りであり、彼の経歴その他一切の調査をいたしておりますから、その通りの実在の人物で、間違いはございません。  それから鎌倉において鹿地氏が某国人と話をしたという点については、報酬の点は何らこの手記の中に触れておりません。
  27. 大川光三

    ○大川委員 それに関連して伺いますが、ただいまのお話で三橋正雄は実在をいたしておる、戸籍謄本その他でこれが確認できるということでございますけれども、その三橋電波法違反事件のお調べ中で、鹿地亘氏がレポをやつたときに、十数通のみずから鹿地が書いた文書を三橋に渡して、そのレポ文書が現在証拠としてあげられておるというように伺うのでありますが、はたしてさようでございましようか。
  28. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 鹿地氏が三橋に渡しましたのは数字にした暗号の電文であります。これは鹿地氏自身が書いたものか、あるいは某国人から書いて渡されたものか、ただいまのところはつきりいたしておりません。その暗号を入れるために、あるときにはタバコの中、あるときは人形の中というぐあいにして渡されております。それと同時に鹿地氏から金を渡されております。
  29. 大川光三

    ○大川委員 鹿地氏から三橋に渡された金というのは幾らほどでありますか。
  30. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 三月間くらいの間であつたと思いますが、大体三万何千円を月々、月に一度か二度くらいにわけて渡されていたと思います。
  31. 大川光三

    ○大川委員 それは月に三万数千円ですか、三月間の分として三万数千円ですか。
  32. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 総額です。
  33. 大川光三

    ○大川委員 三橋正雄は最後まで鹿地亘という名前を知らずにおつたのでしようか、あるいは三橋は、その名前を知つておつたでしようか。
  34. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 十二月六日か七日の東京新聞で、多分山田氏の証言が載つたときだつたかと思いますが、あれが鹿地という人であつたのだということを電車の中で見て驚いた、それには写真が出ておつたので、それと事件の内容を見て、そのとき初めて鹿地亘という名前であつたということを知つた。それは鹿地亘氏の出て参ります前日であります。
  35. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 猪俣浩三君。
  36. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 法務大臣にお尋ねいたします。当委員会で取上げましたのは、鹿地亘氏の不法監禁事件でありますが、どうも本日の委員会の空気を見ていると、スパイ事件が中心になつておる。鹿地亘事件のその後の経過についてという委員長の質問に対して法務大臣は、スパイ事件と三橋との関係において重大なる容疑があるということで答弁を終つておる。そうして不法監禁事件については岡原局長をして答弁させており、実にデリケートな使いわけをなさつておられる。御両人とも政府関係者であるからさしつかえないかも存じませんが、何か使いわけをなさつたように私は印象を受けました。そこであなたに質問をいたしたい。一体日本の現行法において、スパイを犯罪なりとする規定がありやいなや。これが第一点であります。
  37. 犬養健

    ○犬養国務大臣 猪俣委員にお答えをいたします。不法監禁事件というものは、お話に出ましたスパイ事件と同様、あるいはそれ以上の日本国民にとつて大切な事件であることは、私はたびたびの委員会で申し上げております。今日はあなたにそういう印象を与えたことは、私の不徳であります。但しなぜ私が省きましたかと申しますと、この不法監禁事件については、重点はアメリカ側の外務省に対する回答でありまして、その回答については外務省が答弁をいたすということことを事前に聞いておりましたので、私としてはそれを私自身から外務省より先に述べることを遠慮をいたしたのであります。なるほどおつしやられれば私の話は片手落ちのような感じを与えたようだと思いますが、その点については他意のないことを御了解願いたいと思います。私が避けて岡原政府委員に述べさせるような心持は毛頭ございません。そのような卑怯なやり方を私はきらう人間であります。但しあなたにそういう印象を与えたことは、私の手落ちでありましよう。これは御了承願いたいと思います。  第二の問題点、これが御質問の重点と存じますが、現行法ではスパイを処罰する規定はございません。
  38. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 先ほどの大臣の答弁の中に、日本民族にとつては逮捕監禁問題はスパイ問題と同等か、あるいはそれ以上だという説明がありました。私はそれに対して不可解なんです。一体スパイ罪なるものが存在しない場合に、外務大臣ならいざ知らず、法務大臣がさようなことに対してなぜそれを重視するのか。不法監禁問題こそ、わが刑法も厳としてこれを犯罪として処罰している問題である。そうして当委員会はその問題について調査しておる。ところがあなた方の頭というものは、それはスパイ罪と同等の問題とお考えになつているところに疑点があるのであります。スパイ罪は犯罪じやない。法務大臣が外交上のこともそれは閣僚としてお考えになるかしらぬが、不法監禁事件について調査をする当法務委員会におきまして、ぼくらさような御答弁は適当じやないと思う。不法監禁事件の方が重大でありまして、スパイをしたか、しないかなんということは犯罪にもならぬことであります。これは外交上の問題でございましよう。法務大臣としてはさようなことに御興味を持ちなさると不公平に相なる。それでありますから、最初から私はそういう印象を受けたのであるが、スパイ事件は不法監禁事件同等か、それ以上だ、そういう比較はぼくは不適当だと思う。スパイなるものを処罰する法規がない。そこであなたにお尋ねいたしますが、鹿地を呼んで三橋との問題について関連性があるところを聞かなければならぬというのは、これは参考人としてお聞きになるという意味であるか、何らかの犯罪の嫌疑として召喚、取調べををするという御意思でありますか、それをお尋ねいたしたい。
  39. 犬養健

    ○犬養国務大臣 猪俣委員のお言葉でございますが、スパイを処罰する法律はありません。しかし処罰する法律がないからと申しまして、いわゆるスパイではないかという容疑に関する事件は、私は日本国にとつてすこぶる重大なものであると考えているのであります。これはどうも御意見の相違か存じませんが、私はそれを確信いたしております。しかしこれまでのすべての委員会で申し上げて御了承を得たのでありますが、私は鹿地君について、最後まで、スパイであるというような、あるいはスパイの容疑ありという言葉は使つたことはありません。本日もその言葉を避けつつ答弁を申し上げておる次第であります。何となれば、今おしかりを受けましたその当の問題の人権というものが何ものにもかえがたい大切なものである。これは人の職業、階級で差別のないものである。鹿地氏から話を聞いて結論が出るまで、その瞬間の前の前までは鹿地氏をスパイ容疑と言いたくない、これが人権の人権たるところである、かように考えておるのであります。しかしさればといつてわが国の国情がスパイ行為によつていろいろ探られておるかのごとき容疑のあつた場合は、私はこれはすこぶる重大な事件だと考えておるのであります。このように御了承いただきたいと思います。
  40. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 鹿地が昭和二十六年ごろ暗号電報の取次をしたことがあるならばこれは重大事件だと考える。これは政治問題としては考慮できましようけれども、検察行政の長官としてあなたがさように考えられるということは、私は今後の取調べについてはなはだ疑惑を持つものであります。犯罪ならざるものについて、検察行政の長官がさような重大問題としてこれを徹底的に取調べるとは何ごとであるか。しからばお尋ねする。スパイがもしいけないならばソ連のスパイもいけないでありましよう。アメリカのスパイもいけないと思う。私どもは中立的立場から考えるならば、この対立しておる二大国家いずれのスパイもしてもらいたくない。わが民族の中にさような混乱を起させたくない。しかるにアメリカ軍のために情報を提供しておる機関の活動について、あなたは今言つたような重大問題なりとしてこれをお取調べになつたことがあるか、今後またお取調べになる考えがあるか、それをお聞かせ願いたい。
  41. 犬養健

    ○犬養国務大臣 一言お断り申し上げますが、これは猪俣さんすでに御承知のことで、言葉が足りなかつたと思いますが、スパイそのものを罰する法律はございませんが、スパイ以外にも鹿地氏に関しては法律違反の容疑がある。それは電波法違反なのであります。スパイに関する法律の規定がないからといつて全然無実の者を取調べるという態度をとつておるのではありません。また鹿地氏の答弁いかんによりましては、アメリカ軍の機密に関係した問題がかりにありといたしますれば、これは刑事特別法違反になります。その法にもかかわりがあるかないかそれはこれから調べたいと存ずるわけであります。この意味で当局の態度を御了承願いたいと思います。
  42. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 法務大臣は行政協定に伴う刑事特別法の問題を出されたが、これは何かの誤解ではないかと思う。鹿地が逮捕せられましたのは昭和二十六年十一月二十五日であります。行政協定に伴う刑事特別法なるものは第十三国会にできたものであります。ところが法の不遡及の原則ということを否認なさるならば、この適用があるということになよりましう。しかし法が不遡及の原則を持つ以上は、法のないときの行為についてあとでできた法律によつて処罰されることがありようはずがない。そうすると法務大臣は特別法のできざる前の鹿地の行為についてこの刑事特別法を適用なさる御意思であるか、それを承りたい。
  43. 犬養健

    ○犬養国務大臣 そういう意思はございませんが、それは鹿地氏当人にどのくらいの期間にわたつていかなることが行われていたか、質問の末、そういう問題が起り得る場合もあるということを申し上げたのであります。
  44. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 刑事特別法などを引出されたのはあなたのお間違いだと思うのですが、私はそれはあまり追究いたしません。法律の専門家でない法務大臣ですからその点は了承いたします。  なお、現実の問題として、あなたが責任者として、電波法違反の容疑があるという言明がありました。そこで私は、法務大臣にお答え願う前に、国警長官にこの問題についてだけお伺いしたいと思う。先般鹿地亘に対して、国警の都本部から、召喚状だか何だか、私現物をまだ見ておりませんが、出頭を命ぜられたそうであるが、これはいかなる法の根拠に基いて出頭を命ぜられたのであるか。あるいは容疑者として刑事訴訟法の手続によつて召喚したのであるか、参考人としてただその事実を調査するために呼び出したのであるか、もし召喚したのだとするならば、法務省と打合せの上やつたものであるかどうか、その点をまずお聞かせ願いたい。
  45. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 国家地方警察の東市都本部におきまして、東京地方検察庁と十分打合せ上の任意出頭方を求めたのであります。逮捕令状をとつて参つたわけでないということだけは申し上げられます。被疑者としてであるか、あるいは参考人としてであるか、その点はただいまの段階では申し上げない方がよかろうかと思います。場合によつては刑事訴訟法の手続によつて処置をとりたいと考えております。
  46. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 なお確かめますが、先般出された呼出状は逮捕令状でないことは明かでありますが、被疑事件として呼び出したものであるか、参考人として呼び出したものであるか、その点については明白にしないで、とにかく呼出状だけに出した、こう承つてよろしいのですか。
  47. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 召喚状にどう書いてありましたか、私ちよつと召喚状を見なかつたのでわかりませんが、実質的にはどちらであるか言えとおつしやれば、申し上げないこともありませんけれども、はつきり呼出状に書いてなかつたのならば、どちらであるかということまではいかがであろうかと私は申し上げるわけです。
  48. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そこで私は法務大臣にお尋ねいたします。今齋藤長官の答弁によりますならば、被疑事案として呼んだかどうか、そこはまだ明白でないわけでありまして、将来あるいは刑事訴訟法の規定に従つて逮捕なり召喚なりするようになるかもしれぬという見通しをお持ちになつておるようであるが、法務大臣の先ほどの御説明によれば、親しく事案を検討なされ、そこでスパイは犯罪にあらず――先ほどの説明のように、行政協定に基く刑事特別法の適用があり得ようはずがない――電波法違反というものがあるのだというような御説明であります。そこであなたがお考えになつて御検討をなされた現在において、鹿地は電波法のいかなる条項に違反したことになるのであるかを明らかにしていただきたいと思うのです。
  49. 犬養健

    ○犬養国務大臣 お答え申し上げます。そういうことをこれから鹿地氏本人に親しく聞いてみたい。三橋氏の手記によれば、相当鹿地氏に尋ねてみたいことがあります。しかし三橋がこう書いているから、鹿地君、君はこうだろうということは人権の尊重になりません。あくまでも鹿地氏の答弁を聞いてから、それは電波法からなり――第一それも疑いがかけられ得るという程度で、電波法違反と断定している者はだれもない、そのように御承知願いたいと思います。
  50. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 これは公の席上で、国警長官たる責任者からまだ説明を聞いておりませんが、新聞には始終出ている。電波法の第百十条違反の共同正犯である、鹿地の立場をかように説明していることが新聞によく出る。きようは逮捕される、いやあすは逮捕されると毎日、新聞に出ている。そこで、あなたは、鹿地の人権は大いに擁護しなければならぬというさきの御説明でありますが、これは岡原局長でもよいのですが、齋藤国警長官は昨年の十二月二十三日に、百十条第一号違反の疑いがある旨を言われた、百十条第一号の共同正犯と思われる節があるというように言われたのであるが、そこで仮定でありますが今齋藤長官の発表された鹿地の手記そのものが真実なりとして、これが一体電波法の百十条第一号の違反になるかどうか。たとえば暗号電報を無線局を持つておるところの三橋に鹿地が渡したということを仮定いたしまして、それは一体電波法のいかなる条項に違反するというのであるか、御答弁を願いたい。
  51. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 ただいま猪俣さんのおつしやいますような条文でございまして、許可を得ずして無線局を運用したという条文に当てはまる場合があり得るということでございます。理論的には、事実が若干仮定の上に立ちますので、今ただちに断定するのはいかがかと思うのでございますが、ただいろいろな場合を想像してみますと、そういう無電の機械を操作することが当然予期せられる。しかもそれ以外のルートを通つてはそういう無電を発射しないであろうというようないろいろな状況が確定されました場合には、ある場合には共同正犯となる、功の程度が薄い場合には幇加というような軽い場合もあり得るのではなかろうか。これは事実を若干確定した上できめるのが相当ではなかろうかというのが、私どもの法律的な見解でございます。
  52. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 私がこの質問をいたしますゆえんのものは、鹿地に対して国警側は逮捕状を出すという新聞報道がしきりにされておるから質問するのであります。一体電波法第四条違反の共同正犯なりとする論拠は、法律学的に見て不法であります。さような理由であなた方が起訴してごらんなさい、必ず裁判所は無罪の判決を言い渡す。共同正犯なんということはあり得ようはずがない。百十条第一号は、第四条第一項の規定による免許がないのに、無線局を運用した者とある。一体レポをやつたということが無線局を運用した者の共同正犯になるなんということは牽強附会な説であります。こんなものは、鹿地の処置そのものを真実なりとしても、電波法の共同正犯なんということは成り立たない。しかるにさような説を流布して、そうしてこれを逮捕する。また電波法百十条第一号の幇助というようなことにかりになつたとしても、そんな犯罪のために、逃げ隠れもできない病人を逮捕するとは何事であるか。そこで今日あなた方に言明していただきたい。一体この電波法違反なんというのは、最悪の場合でも懲役一年罰金五万円の事件である。しかも電波法違反なんというのは町に氾濫しておる。それはみなおしかり置くの程度で済ましておる。しかも最悪の場合でも電波法違反の幇助にすぎないという鹿地亘の行為について逮捕状を出す。重罪犯人のごとき宣伝をやつておる。国警長官に質問すれば、私らは言うた覚えはない、と言われるが、あなたの部下に言うた者があるに違いない。言わぬことを新聞社が書きはしませんよ。さようなことは厳に取締つていただきたい。鹿地の名誉を毀損するもはなはだしいものであるのみならず、先般も言うた通り相当の脅迫状も舞い込んでおる。そのために戦々きようきようとしておる。日本人の心的盲点をおつきになつてこういうスパイ問題を持ち上げたのであります。でありますから、今お聞きいたしますれば、まだ事案が確定しなければ電波法違反になるかならぬかもわからぬ。たといなるとしても、それは電波法第百十条第一号の幇助にすぎない。最悪の場合でもこれは共同正犯なんということは絶対に成り立ちません。さような事案について、まるでこれを重罪犯人のごとき印象を与える言動を、長官自身がおやりにならぬなら部下に厳重に慎むように言つていただきたい。これは非常な問題を起します。そこで私はその点を要望しておきます。  なお今度は外務省の政府委員にお尋ねいたします。本日回答が来たそうでありますが、それが明らかにならないということでありますので、回答が明らかになつた上でもいいのですが、大体要領はあなたは原文を読んでおわかりになつたと思うのです。不法監禁の事実を一体認めたのか認めないのか。
  53. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 猪俣君にお諮りいたしますが、印刷が間に合いませんので、翻訳だけが来たそうです。その前に発表願いましようか。読み上げた後の質問の方がいいのでしよう。
  54. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 その方がいいと思います。
  55. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 それでは外務省の欧米局長土屋政府委員より、翻訳が届いたそうでございますからアメリカ側の回答書を読み上げていただくことにいたします。
  56. 土屋隼

    ○土屋政府委員 本日届きましたアメリカ大使館からの回答は、覚書の形式をとつておりまして、覚書の最初のページに一応の回答をし、さらにそれに別添書類といたしまして、十二月二十六日に当方から提出しました「特に調査を要する事項」というものに対する回答を与えております。従つてこの別添書類とともにアメリカ大使館からの覚書を一応読ませていただきます。    覚書   「捜査結果の概要」と題する国家地方警察当局の「鹿地事件」報告書写し及び「特に調査を要する事項」と題する質問書写しを同封した一九五二年十二月二十六日付外務省覚書参照。同覚書は、本事件の現況にかんがみ、アメリカ大使館が外務省に対し「特に調査を要する事項」に掲げられている質問に対し回答を与えることを要求している。   外務省の要求に従い、アメリカ大使館は「外務省の提出した質問に対する回答」と題する別添書類を準備した。本件に関連し、一九五二年十二月十五日付、アメリカ大使館の本件覚書をあわせ参照ありたい。   大使館は、この機会において、存し得べき一切の誤解を一掃し、また一切の疑点を明らかにするために、本件についてでき得る限りの助力を惜しまないという大使館側念願の従前の確約を再確認するものである。大使館は、本事件により、鹿地に対する援助は日本の裁判権及び国権に影響を与えたとの懸念を一部の人々に起さしめたかもしれないことは不幸なことと考える。しかしながら、別添書類が明示するごとく、大使館はかかる懸念は何らの根拠も、また理由もないものと思考する次第である。  別添書類といたしまして添えてありますのを読みますと、   刑添書類一九五三年一月二十五日   東京アメリカ大使館  外務省の提出した質問に対する回答  一、(質問)鹿地亘が一九五二年三月上旬から十二月七日まで、おおむね東京地区の一箇所または数箇所に滞在した旨を関係人は述べているが、この点に関してのアメリカの大使館の調査はどうか。  (答) アメリカ関係当局は大使館に対し、鹿地が右期間中おおむね東京地区の一箇所ないし数箇所に滞在していた旨を通報している。  二、(質問) 鹿地は右期間中前記の場所において監禁されていたと関係人は言つている。右証拠として、前述の場所においては監禁の場所の出入口にかぎがかけられてあつたこと、右のかぎは鹿地が入つてから取付けられたこと、三入の監視がつけられていたこと、監禁人が寝ているときは鹿地はかぎがかけられてある部屋に閉じ込められていたことを述べている。アメリカ大使館の調査はどうであるか。  (答) いかなるときいかなる場所においても鹿地がアメリカ官憲により、日本の法律及び裁判権を侵害し、当人の意思に反して足どめされ、その他拘留されたる事実がないこと、並びに何人も当人の意思に反して拘留の目的で鹿地を監視した事実がないことは大使館の受けた通報が明瞭に示すところである。出入口にかぎがかけられている事実または人が眠つているときに部屋にかぎがかけられていた事実は、身の安全を守るというその人の願望にまつたく一致するものである。  三、(質問) 鹿地が監禁されたと称する期間の監視として光田(ビル・田中)川田、ブロビオ、ジヤツク・高橋の名が掲げられているが、該当の者(本名の外別名、類似名を含めて)がいるか。  (答)いわゆる鹿地の監禁期間中における監視の該当岩については、何人も当人の意思に反して拘留の目的で鹿地を監視したことはないという前掲二中の陳述を参照されたい。  四、(質問) 監禁中の取調べを行つた者としてガルシヤ(音読み)大佐及びワトスン大尉の名があげられているが、該当の者(本名のほか別名、類似名の者を含む)がいるか。  (答)前記三の質問に対する答を参照されたい。  五、(質問) もし鹿地が本人の希望により保護されていたとするならば、(a)いつ、いかなる場所で、いかなる関係者との間に保護についてのとりきめがなされたか、保護が与えられたとき及び現在における関係者の氏名及び地位が何であるか。  (答) 大使館の受けた通報によれば、鹿地は同人及び同人の健康状態を熟知する関係人に対し保護と援助を求めたものである。すでに明らかになつたごとく、鹿地は共産主義者の間諜として活動をしたことを認めたものであるから、大使館としては本件に関係した人々の安全を害することなしに保護及び援助の許与に関する詳細を提供できない明白な理由を有する次第である。  (質問) (b) 本人の要求により保護することになつてからあととその以前との処遇上いかなる差異があつたか。  (答) 鹿地が援助を要求した後、同人に与えられた処遇は、同人が自分の手で一身上の措置ができるように健康を回復するまでの間、保護、宿舎、医療を提供するように計画されたものであるとの通報を大使館は受けている。対日平和条約発効以前、鹿地が逮捕状態にあつた期間に鹿地に与えられた処遇については大使館は何らの情報も持ち合せていない。  (質問) (c) 鹿地は、その家族または友人との接触に対し制限を加えられていたか。しかりとすればその理由いかん。  (答) 大使館は鹿地はその家族及び友人との接触について制限を受けていなかつたとの通報を受けている。  (質問) (d) 平和条約発効後、日本人が保護を受けている旨、日本当局に通告がなかつたが、その理由。  (答) 大使館としては、右の措置が日本当局に通告されなかつたのは一私人としての鹿地に与えられたる援助は当時何ら政府の関心のあるところとは思われず、人道的性質のものであつたからであるとの通告に接している。従つてその当時、日本政府が特に本件に関心を有すると想像される何らの理由もなかつたのである。しかし鹿地に援助を与える措置が行われた当時において、前述のごとく日本の裁判権及び国権についての根拠なき関心が起り得ることがわかつていたならば、本件状況を関係当局に通報するための適当な方法が当時講じられ得たことと信ぜられる。  六、(質問) 鹿地は沖繩へ飛行機で連行されたと主張している。アメリカ大使館の調査いかん。  (答) 自白した共産党間諜としての鹿地が同人の個人的安全及び便宜のため転々と居場所をかえたということはあり得ることであるとの通報を大使館は受けている。しかしながら同人の移動に使用された輸送手段の詳細は鹿地に対し助力と援助を与えた関係人の身元を保議するという明白な理由により、これを提例することはできない。  以上が、本日アメリカ大使館から受取りました覚書並びにその付属書類であります。
  57. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 これは岡崎外務大臣に聞かなければならぬ問題ですが、あなたは政府委員として出ておられるから、一応御見意を承りたい。一体そのアメリカ大使館の回答によつて事案が明らかになつたと思われますか、さつぱりわからぬと思われますか、お答えを願いたい。
  58. 土屋隼

    ○土屋政府委員 鹿地事件に対しまして、私がこの材料に基きましていや応の判定をすべき立場にないと思いますが、私といたしましては、このアメリカ側の回答自体はアメリカの主張であると思います。従つて鹿地さんが従来議会で証言されたこと、その他の事実は鹿地さんの言い分である、これはアメリカの言い分である、こう見ております。
  59. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 私があなたにお尋ねしているのは、この鹿地の不法監禁事件――委員会の問題ではない、日本側の相当詳細な証言を得られた、それを日本の外務省を通じてアメリカ大使館にその事実の真偽をお尋ねになつたはずである、その回答がそれなんである。そこで日本の外務省は、この回答によつて、事案が明らかになつたとせられるのであるかどうか。向う側の見解であるかどうか、あなたがおつしやらぬでも、あたりまえだ、向うの答弁書である。そんなことを聞いているのではないのです。そういう答弁書によつて、あなた方が目的を達しようとした、すなわち鹿地事件の不法監禁事実がありやいなやということについて明白になつたと考えられますか、また明白ならず、今後もなお外交交渉を続けるという御意思でありますか、これをお尋ねしているのです。
  60. 土屋隼

    ○土屋政府委員 むずかしい御注文をいただきますが、私は検察当局でもなければ警察当局でもございませんことは御存じの通りであります。従つてこの受けましたアメリカの回答を日本側の関係当局と御相談をいたしまして、そのあとに結論を得なければならない性質のものだと思います。
  61. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 欧米局長にこれ以上は御無理かと考えますから、法務大臣に御答弁を願いたい。法務大臣は、この不法監禁事件は重大問題であるということを当初から声明なさつた。そうして、先ほどの御説明にも、日本側の主張を明らかにし、今度はアメリカ側のそれに対する主張を外務省を通じて調査しているのだという御答弁がありました。そうして今アメリカ大使館の回答書をお聞きになつていると思います。そこでこの回答書によつて、鹿地の不法監禁事件は明らかになつたとあなたはお考えになりますか、なお明らかにならぬと考えますか。明らかにならぬ際には今後いかなる態度をおとりになるか。しかもこれは不法監禁で、それこそ日本の刑法違反の犯罪事実であります。スパイみたいな犯罪事実がないものではない、違う、同等ではありません。これは日本の刑法違反の犯罪事実であります。これについて、それこそ検察行政の最高峯であるあなたが、今の回答文で満足されますかされませんか、されないとすればいかなる態度をおとりになるか、それを伺いたい。
  62. 犬養健

    ○犬養国務大臣 お答え申し上げます。率直に申し上げまして、ただいま聞いていた限りにおきましては、鹿地氏が頼んだ部分があるようなふうの回答のところもある。これは鹿地氏にも聞いてみなければならぬし、もう一度この文章を――どうも、英文から訳した日本文で、意味のよくわからないところもありますから、とくと読み直してみたいと思います。今受けました感じにおきましては、アメリカ側の回答では、鹿地氏が危険だからこうしてくれと言つたんでこうやつたというような点がところどころ出ております。それがほんとうであるかどうか、あるいは十のうちそういう場合があつたのかもしれないという感じを――こう言うと非常にかどが立つようでありますが、率直にもちまして、私の印象がほんとうであるかどうかは、この文章をもう一度よく整理した写しでもつて読み直して、そうして判断してみたいと思います。いずれにしてもこのアメリカ側の回答の文意にうかがわれるように、事情のいかんにかかわらず、講和発効後日本政府に、一日本人の鹿地なる者がかくかくたる理由ででもつてこつちにとめ置いてあるということの通告のなかつたことは遺憾に思つております。
  63. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 この回答書をよく熟読なされてお考えになるということはもつともだと存じますからそれ以上は申し上げませんが、私どもははなはだ侮辱せられた感じを持ちます。一体最初、もしスパイ容疑で占領期間中逮捕したならば、いつ逮捕したか、また釈放したならば、いつ釈放したか、その後鹿地が保護を頼んだとするならば、いつから保護を頼んで、一体どこへ住まわされておつたか、保護を頼んだ相手は何人であるか、それがどういう事情で釈放せられて、向うの言い分で言えば、もう保護をしてもらわないでもよろしいと断つて出ただろうと思いますが、その期間の事情は何もわからない。また沖繩へ連れて行かれたことも否定しておらぬようでありますが、どういう輸送の方法をとつたかは一切言わぬ。一体検察行政に当る方々がこんな事情で起訴状が書けますか。こんな事実で事柄が明らかになつたと言えるでしようか。今聞いただけでも常識上判断できる。しかし法務大臣として責任ある御答弁を今なされないのももつともだと存じまするので、ただお願いをいたしますることは、しつかりと腰をすえてかかつていただきたい。私は妙なうやうむな状態で、鹿地のみが悪者にせられて結末をつけられるということは忍びません。また民族の誇りにおいて忍びません。もう少し背骨のあるところを見せねばいかぬと存じます。その意味において、ことに私は法務大臣の奮起を促したい。外務大臣にはちつとも私どもは期待はかけません。あなたに日本人の人権擁護のために奮起願いたいのです。  なお一点聞きますが、講和後日本人の保護を日本政府に無断で、外国の軍人その他の機関が、かりに鹿地の依頼、によつて保護したとした場合に、これは一体どういう法律関係になりますか。さようなことがいいことかどうか。日本人であります、日本人の身の危険に対して、外国の公の機関が日本人の要請によつて保護するというようなことが、これは外交関係として妥当であるかどうか。この点についての御見解を法務大臣あるいは外務省の政府委員に承りたいと存じます。もちろん向うの答弁は個人だというふうに言われておるようでありますが、こんなことは問題にならぬ。これは軍人であつたことは隠れもない事実であります。そこでこれが軍人であつた場合に、鹿地が保護を求めたとかりにいたしまして、さようなことが外交上許されるかどうか。これを承りたいと存じます。
  64. 犬養健

    ○犬養国務大臣 先ほども申し上げましたように事情のいかんにかかわらず講和後日本政府にかくかくの日本人をかくかくの理由をもつてこちらで保護しておる、とめ置いておるという通告がなかつたことは遺憾に思つております。但しそれが違法であるかどうか、これは今後鹿地氏を取調べ、ほかの客観情勢あるいは証拠品として今国警並びに検察当局に保存せられておるものを検討の上でなくては、軽々に御返答ができないと思います。しかし遺憾である、こう思つております。
  65. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 齋藤国警長官にお尋ねしたいと思います。三橋の電波法違反について、三橋が十二月九日に身の保護を頼んで国警に出頭したと御説明に相なつておりますが、昭和二十八年の一月十八日付の朝日新聞の記事に、三橋が身の保護を頼んで国警に出頭する以前に、アメリカの機関と打合せして出たのであるということが書いてある。しかもその出所は、国警内部のある人たちがさように言つていると出ておるのでありますが、その事実がありますかどうか。さようなことについて三橋にお尋ねになつたことがあるかどうか、それを一つ御説明願いたい。
  66. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 日本側に保護を申し出る前に、アメリカ側に保護を申し出したかどうかということを三橋から聞いているかどうかというお尋ねでございますが、三橋にそのことを聞いたという報告は受けておりません。私は事実は存じておりません。そのことを国警当局が三橋に聞いているかどうか、私確かめておりません。
  67. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 八日に三橋と向う側と十二分なる打合せをして、そして九日に国警へ現われたということを朝日新聞は報じておる。三橋の自供によれば、自分はそんなつもりはなかつたが、アメリカ側からひとつ出てくれと頼まれて出たのだと言つているということが、十八日の朝日新聞に出ているのです。これは重大な問題なのです。その点については気がおつきにならないとしても、新聞に出ているのです。その問題に対して三橋に何かお尋ねにならないのですかどうか、重ねてお尋ねいたします。
  68. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 当初三橋が身の保護を求め、自首をして参りましたときの調書は、私目を通しました。そのときの、自分の身が非常に危険に思つたので、保護を頼みに来たという調書は私は知つております。その後こういうことが新聞に出ているが、検察当局は聞いたのか聞かないのかということでありますが、私は確かめておりませんので、事実かどうか知りません。
  69. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 実にあなた方の態度というものはおかしいと思うのです。これは根底的な大問題ではありませんか。三橋にさような行為が事前にあつて国警へ出たかどうか。なぜならば鹿地の自供書というものは、あなた方が三橋の相手方と断定する非常に重大な証拠になつておる。鹿地はこれを否認しています。無理に書かされたのだと言つておる。これは今まで明らかではありませんか。そうするとあなた方はほんとうに事案を公平に捜査なさる意思があるならば、何をおいてもそれを聞かなければならぬ。新聞にこういうことが出ていてもそれは聞いていないとおつしやる。私は実に不可解千万なんだ。初めかなこの事件については、あなた方の態度というものは実に奇怪しごくなんだ。私はこれは実に奇怪だと思う。だから聞いていないとおつしやるのをどうしようもないのでありますが、これをひとつお調べ願つておきたい。新聞にこう出ておるのですから、もちろんお調べになつておると思うのだが、正式に要求します。一体三橋が国警に出るまでの間にいかなる工作があつたか。これをひとつこの次の法務委員会までの間に明らかにしていただきたい。  それからなおあなたにお尋ねしたいことは、この鹿地の自供書なるものは、鹿地の供述によるならば、拘禁せられたアメリカの諜報機関に強要せられて、書いて彼らに渡してあるものということは明らかである。それがあなた方の手元にあるとするならば、必ず彼らから入手されたに違いない。そこでアメリカのいかなる機関――いかなる個人でもよい。どこからあなたが入手せられたのであるか、それをお聞かせ願いたい。
  70. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 前の委員会でも申し上げたように、アメリカの機関は何と申しますか、いろいろ秘密事項がありまして、日本には、どういう機関あつて、それの責任者はだれで、どうだということは秘密事項になつております。従つて私はどの機関のだれからこれを受け取つたかということを申し上げる自由を持ち合せておらぬのであります。その点は御了承を願います。
  71. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 ちよつと齋藤国警長官にお伺い申し上げますが、三橋は今どこにおるのですか。それから猪俣委員からも発言があつたのですが、これはやはり今発表された文書の内容と三橋とが関連性を持ちますので、できれば当委員会に三橋が出て来ていただくと、はつきりして来るのではないかと思いますが、その点についてはどうでございますか。
  72. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 ただいま三橋は起訴後の拘留ということになつておりまして、身柄は八王子地区署に預かつております。  それからこの委員会に三橋を出頭せしめることについてはどうかというお尋ねでありますが、検察当局ともよく打合せたいと思います。起訴後勾留中の人間でありますし、すでに警察側から検察側に移つておりますので、さような扱いにつきましては、国警当局としてはお答えいたしかねます。
  73. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 なおさつきの続きでありますが、そういう公にできないようなアメリカの秘密の機関から、国警長官が重要な書類をじかにお受取りになる。さような両者間に取引と申してはおかしいが、さような関係が、一体あり得るか、外務省を通じるか、政府を通ずるかしないで、端的に、向うの名前も発表できないようなそういう秘密機関と、国警がさような打合せをし、書類を受取る。あなたはそれを内閣なりあるいは法務大臣なり、外務大臣にただちに通報なさいますか。
  74. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 ただちに御報告を申し上げております。
  75. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 しからば犬養法務大臣にお聞きいたします。あなたはその通報をいつ、いかなるところでお受けになりましたか。
  76. 犬養健

    ○犬養国務大臣 日を正確に覚えておりませんで相済みません。十二月の初め――国警長官の記憶によると十二月十日ごろと申しておりますが、通報を受けました。
  77. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 これはかような場合においてただ通報だけ受ければいいので、その承認とか同意とか事前の打合せとかなしに、向うの秘密機関と日本の国家警察がじか取引をやることは妥当であろうか。それに対して法務大臣の御見解を承りたい。
  78. 犬養健

    ○犬養国務大臣 国警はかねてから職権上あちらの当局と打合せがあります。実は私は証拠々々というが、鹿地の供述書なるものをアメリカ側だけが保存しているというのでは困る。こちらがそれを受取つて冷静に検討する必要があると申した一人でございます。幾ばくもなくその書類は受取つた、こういう通報を受けたのであります。従来の関係上そういうものを直接受取つたものと存じます。
  79. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 そうすると日本の国家警察は、名前を公表できないようなアメリカの諜報機関とじかに交渉し、じかにある行動をやつているというふうに理解してよろしゆうございますか。
  80. 犬養健

    ○犬養国務大臣 これは事柄によりけりでありまして、事柄によつては外務省を通じなければ筋が立たないこともあり、また法務大臣に事前に、きようこういう所に行つてこういう人に会つて連絡をし、文書を受取つてよろしゆうございますかということを要する場合もあると思います。この場合の御批判はいかがかと思いますが、単に証拠書類をとつて来てもらうということでありますので、外務省も通ぜず、また法務大臣も通じないでやつたものと思います。
  81. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 私どもがこの質問をいたしますのは、これは齋藤長官のためにもいろいろなデマが飛んで、日本の国家警察の公正なる運用を疑わしめるようなデマが飛んでいるためです。私どもはそれを信用するわけではありません。ありませんけれども、これはよほど御注意していただかないと――今二大国家の対立からソ連側においてもアメリカ側においてもいろいろな諜報機関が存在する。そしてこれが秘密だと称している。そして活動している。私どもはこれらに巻き込まれたくない。だからスパイなるもの――犯罪ではありませんが、私はいやであります。してもらいたくありません。その点については鹿地氏がやつたといたしますならば私どもはこれに同情を持ちません。しかしそれはソ連についてもアメリカについても同じであります。先ほど大臣に申しましたような、昔の軍人である服部機関とか下村機関とかいうものが存在している。これが目黒の柿ノ木坂に大きなハウスを持つて、そこを根拠とする数百人の人間が全国的にアメリカの諜報機関として活動しているというようなニュースも入つている。これは平穏なるべきわが国をしてあるいは紛乱の中に巻き込ませる端緒になる。それを処罰する明白な刑法の規定もないようでございまするけれども、これは検察行政としては非常に注意していただきたいと思う。そうしてそれはまたソ連の諜報機関であろうが、アメリカの諜報機関であろうが、わが国警がそういう人たちの手先になつて活動するようなことは――手先といえばはなはだ語弊があるかもしらぬが、何か秘密裡に会見したり、書類の授受をやつたりして、外務省に通知もせず、あるいは法務大臣にも通ぜずして、警察同士がそういうようにやるというようなこと、今事案によつてはというようにわけてお考えになつておりますけれども、私どもは今言つたような世界における諜報機関の跳梁に対しまして、わが国の利益を保護する意味において、民間人もそういうことに加担してはいけないし、いわんや国家警察その他の機関が一方的な行動をおとりになるということは実に私は危険だと思います。その意味において公の機関を通じ、公に行動なさるのはいいけれども、秘密裡に名前をあげられないような向うの機関と御交渉なさるということはいかがなものであろうかと私どもは老婆心ながら考えるものであります。御注意あつてしかるべきものじやないかと考えるのであります。  そこで今不法監禁事件につきましては、なお念のために法務大臣の御決意もお聞きいたしたいのですが、これはスパイ事件の容疑にかかわらず、この不法監禁の事実ありやいなやについては、検察庁としては徹底的にお取調べを願う覚悟がありますか、最後に承りたいと思います。
  82. 犬養健

    ○犬養国務大臣 これまでもしばしばこの委員会で申し上げましたように、この問題は重大に考えております。また事務当局におきましてもきわめて良心的にこの問題を扱つていることを御報告いたします。  なお先ほど猪俣さんからお話のありましたときどき新聞に、鹿地氏がこの問題について、あすにも捕縛されるようなことが出るが、国警長官はこれをどう考えるかというようなお尋ねでございますが、実は国警長官を庇護するようにも見えますが、そのたびに私も気にかけまして、こういう記事が出るのはけしからぬじやないかという話をいたしましたところ、国警長官も同様に非常に気をもみまして、その都度部下に戒告をいたしておつたようであります。今後も同様の事件が起りましたときには、でき得る限り決定的なごとき記事が出ないように気をつけたいと思つております。蛇足でありますが、先ほどお答えをする機会を失しましたので、この際申し上げておきたいと思います。
  83. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 松岡松平君。
  84. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 きよう外務大臣がおいででしたらたいへんよかつたのですが、法務大臣にもこれをお聞き願いたいと思いますし、外務当局の方もお聞き願いたいのですが、今さきお読上げになりました覚書と、それから別の書類を読みまして、先ほど猪俣委員からも非常に侮辱されているという言葉をお使いになりましたが、アメリカ大使館はこの覚書の本文の中にまことにりつぱなことをおつしやつておられるのです。「一切の誤解を一掃し、また一切の疑点を明らかにするために、本件についてできる限りの助力を惜しまないという大使館側念願の従前の確約を確認する」実に堂々たるお言葉です。ところがその中を見ると一向に一切の疑惑を一掃するどころか私はますます疑惑が濃くなります。一体どうしてこの答えが出て来たかということが私は、わからぬ、なぜかならば、こちらが問うておるところの、たとえばジヤツク・高橋にしても、川田にしてもあるいは大佐にしても中尉にしても、何もかにもおらないと言つておる。何もかにもおらなければ一体何によつてこれを調べた、その調べた人間も明らかにしないし、軍当局であるかシヴィリアンであるかということも内容を明らかにぜずして、よくこの答えが書けたものだ、これがたけだけしいという言葉がありますので、その前は申し上げません。実にこれはばかげきつた答弁で、日本人をさるかそれとも国家なき何か無人島の人間でも扱うつもりで書いておられるのじやないかと私は思うのです。しかもこういうことを言つているのです。「従つてその当時、日本政府が特に本件に関心を有すると想像される何らの理由もなかつたのである。しかし鹿地に援助を与える措置が行われた当時において、前述のごとく日本の裁判権及び国権についての根拠なき関心が起り得るととがわかつていたならば、本件状況を関係当局に通報するための適当な方法が当時講じられ得たことと信ぜられる。」何を言つておられるかこれはわからぬです。これが文明国アメリカを代表する大使館の回答などと言うに至つては、私は受取られない、これはよろしく法務大臣におかれても外務大臣とよく協議せられて、こういうばかばかしいものを発表するなんということはできない、こういうものは大使館の面子にかけて撤回されてやり直されたらいい。こういうことを一体日本国民が信頼できますか。この関係したかしないかということは、人間が関係したかしないかということで、その人間が軍人であるかシヴィリアンであるかということはこれは別問題です。その事実を何によつて得たか。その得た人間も明示せず、調査した方法も明らかにしないで、こういう回答文を書いて来て、これで日本国民が了解するだろうと考えるのは、日本を独立国家と考えていない証拠だと思う。これでは外務当局が折衝した、交渉したと言つても通りません。よろしくふんどしを締め直してお考えなすつた方がよい。少くとも日本人が監禁されたか、されないかということは事重大です。結局日本人に独立性があるか、ないかということです。先ほど法務大臣がおつしやつたように、事が重大であるかどうかということは、日本が独立しているかいないか、実質上においてそれだけの待遇が与えられるかどうかということですから、この問題はひとつよろしくやつていただきたい。本件については、猪俣委員からは反対論が出るかもしれないが、私は講和条約発効以後の問題にあると思つておる。発効と同時に、この人間が監禁されておつたか、あるいはこの人間がどういう処置をされておつたということ――以前の事柄は占領軍として権限のあつことですから、その前の態度については、私はここで意見を申し上げたくはない。講和条約の発効した以後においては、いやしくも日本の法律によらずして日本国民が逮捕、監禁される理由はない。それをアメリカ当局が保護の名において持つていたにしても、外務当局に連絡して、すみやかに手続を了さなければならないのに、それをしておらぬ。またこの回答の中身を見ても、外務当局がこの点に重点を置いておられないのがおかしい。これが重点です。なぜ講和条約が発効したときに、外務当局がかかることをどつとつけば一つも問題はなかつた。こういうような態度で大使館がおつたならば、アメリカの回答というものを待つて結論を出すなんというのはおかしいくらいである。こうなつて来ると結局私ども考えるのに、不法監禁があつたかないかということは関係者の供述を聞いて結論を出す以外にない。そこで問題になることは、何ゆえにさようなことが起つたかということ。鹿地がスパイであるとか、電波法規違反であるとかいうことが問題になるというのは、これは一応の事情である。しかしこの事情は、私はそう軽視を許さないと思う。一方に不法監禁の問題が重大であると同時に、不法監禁のよつて発生した事情というものをやはり明確に調べなければならぬ。こういう意味において委員長が先ほどお話になつたように、三橋を当委員会にぜひとも喚問をしていただきたい。いかに刑事事件が起訴になつておつても、当委員会に呼び出せないという理由はありません。電波法違反でお調べになり、それが裁判になつていることと、当委員会が聞きたいことは何も別に関係はありません。当委員会としては不法監禁せられた鹿地亘がスパイであるかいなかというその事情を聞きたいのです。これは大いに協力していただきたいと思うのであります。われわれがここで結論を出せとおつしやつても、この事実に対する一つの見解を把握するにあらずんば、やはり私は結論は出ないと思う。物は偶然に生れ出るものでなく、  一つの事情があつて生れ出たとするならば、やはり物は公平に妥当に観察しなければならない。とするならば、この事情に対する把握をしなければならぬと私は思う。この意味において三橋を当委員会に喚問して、鹿地亘氏との関係を聞いて結論に到達すべきである。アメリカの回答はおそらく何回折衝せられても、このような状態ではますます疑問が深くなるだけで、私は明らかにはならないと思う。そしておそらく日本国民がこの全文を読んだならば失望します。アメリカが日常われわれ日本国民に叫んでおられる人道的な言葉などというものは、全部抹殺せられてしまう。これはもう話にならない。外務当局ももう少し腹を締めて、外務大臣々々々々と言われるが、あなた方も外務当局の幹部なのであるから、しつかりやつていただきたいと私は思う。これは重大なる問題ですよ。これを読んで日本を文明国、法治国と扱つているのでしようか。私は疑問だと思う。ほんとうに疑問だ。不法監禁という事実とスパイということとは違います、違いますが、その関係は私はあると思う。事情として関係があると私どもは考えているのである。これは猪俣さんとは見解を異にするかもしれませんが、しかし不法監禁という一つの事実に対する結論を当委員長が導き出すためには、どうしてもその点を究明する必要がある。ですから国警当局も検察当局もひとつ虚心坦懐に三橋を当委員会に出すことに御協力を願いたい。あまりごたごたといろいろなことをお考えにならないで、こういう問題はさつと一刀両断に明瞭にした方がよろしい。結局あまりにアメリカのことを考え、また人によつてはソ連のことを考える人もあるでしよう。しかしそういうことが問題を複雑怪奇にするのであつて、やはり私は日本だけのことをお考えになればよろしいと思うのであります。この私への答弁はおのずから考えていただければよろしい。ここで何も御返事をいただかなくてもよろしいでしよう。
  85. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 ただいまの発言中動議らしき点もありますが、動議として提出するわけですね。
  86. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 ええ、そうです。
  87. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 ただいま松岡君から三橋を当委員会に出頭さすべきであるという動議が出ましたが、これは後ほど国警の御意見、検察庁の意見も聞きまして、秘密会もあることですから、その席上できめることにいたします。
  88. 大川光三

    ○大川委員 関連して……。土屋欧米局長に伺いますが、先ほど朗読されました別添書類については一九二五年の三月上旬以降のことがうたわれているのでありますが、鹿地亘氏が逮捕されたというのは一九五一年の十一月二十五日であります。従いまして一九五一年十一月二十五日以降一九五二年三月上旬までのことについては何ら回答はないのでございましようか。またこれに関する照会はなかつたのでございましようか。お伺いいたします。
  89. 土屋隼

    ○土屋政府委員 今回のアメリカからの覚書にはおつしやつた通り一九五二年三月上旬以前のことについては何ら触れておりません。従つてこの点についてはわれわれ承知してないわけであります。それから当時の事情については、すでに十二月当時鹿地氏が出て来られて新聞に問題がありました節、詳しい当時の事情についてはアメリカ大使館に詳細な報告をほしいという要求を口頭をもつていたしておりますが、その後その期間のことについては何ら返事をいただいておりません。
  90. 大川光三

    ○大川委員 そういたしますと、一九五一年十二月ごろまで米軍が鹿地氏を逮捕監禁取調べをしたことがあるという事実は、すでに発表された通り了承してよろしいのでしようか。
  91. 土屋隼

    ○土屋政府委員 昨年十二月八日当時の在日米軍司令部が発表した発表文がございますが、これによりますと一九五一年の暮れから短期間尋問の目的をもつて逮捕し留置したということは、アメリカの当局も認めているわけであります。
  92. 大川光三

    ○大川委員 そういたしますと、ただいまの別添書類では、一九五一年の十二月から一九五二年の十二月から一九五二年の三月上旬までの間は実はブランクになるのでありますが、その点に関する照会があれば伺いたい。もし照会がなければいわゆる一九五一年十二月後何がために本人を監禁いたしておつたか。これは本人の意見に基く監禁かあるいは米軍当局のいわゆる職権による監禁かということを明らかに当局としてされることを望みたいのであります。それに関する御照会があつたのですか。ないのですか。
  93. 土屋隼

    ○土屋政府委員 当時関係しておりました国協局長から私が聞いたところでは、今ちよつとよく記憶がございませんが、伊関局長からアメリカ大使館に、その期間につきましても詳しい事情を知らしてほしいという要望を出してあつたと思います。但し今までのところ詳細な回答に接していないことは事実であります。この点についてはあらためてアメリカ側の意向を聞いてみるつもりであります。
  94. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 ちよつと岡原政府委員と土屋欧米局長に法律上の見解並びに国際礼儀上の見解をただしておきたいと思いますが、独立後の国家において日本の国民が一身上の都合で外国機関に対して保護を求める、これを外国機関が聞き入れて保護することは違法であるか違法でないか。これは岡原刑事局長にお尋ねをいたします。  それからそうした場合に、国際礼儀上、これを默つてとめておくことは許されるべきものであるかどうか。これは土屋欧米局長に伺いたいと思います。
  95. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 ただいまの御質問はおそらく逮捕監禁等の犯罪が成立するかどうかという問題と関連を持つて来るのだと存じますが、大体逮捕監禁罪が成立しますためにはそれが当人の意思に反してなされることが要件とされております。従いまして自分の意思でそういうふうな事態が発生しました場合には、少くとも刑法上の問題は出て参らないわけでございます。ただ事実問題といたしましてさような身体の保護等には、日本の警察その他の機関があるわけでございます。これをさしおいて向う側に行くということは、はなはだわれわれとしては残念しごくな話でございますので、もしさような場合がございましても、それはそれだけのものでありまして、法律的には、少くとも刑事法的には問題が発生しないというふうなことを御了承願いたいと思います。
  96. 土屋隼

    ○土屋政府委員 国際関係と申しましようか、国際慣行上から見まして、他国の機関に自国にありながら保護を求めるという場合は、かりに日本の政権にあきたらずして、他国の政権の庇護になりたいということがたまに国際上ありまして、その際国内における他国の大公使館に逃げ込んで、いわゆる政治的な保護を求めたという例はあるわけでございますが、それ以外に何らか自分の方から願い出て、相手方の機関から保護をされるという事例はほとんど聞いておりません。かりにあるという前提のもとに立ちまして、国際法上から見ますと、それが外国人のおります国の法権を侵さない限りにおいては、法律上の問題は起らないと思います。ただ、ただいまも法務省から御見解がございましたように、およそ友好国であるとすれば、その国にかりにそういう事態が発生したにしても、自国民が外国の人に保護を求めるということはおかしな話なんで、外務省としても好まないことは事実であり、またその事実があつたとすれば、好まないということを通報することはあり得る。しかしそれはともに法律上の問題ではありませんが、そういうこともあり得るということになります。
  97. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 そこでもう一つお尋ねしますが、法律上は違法でないといたしまして、そうしたことが慣例として許されるということになりますと、日本国家としては非常に迷惑をするのではないか。迷惑するかしないか、この点。これが慣例として許されましたときに、政府としてこうしたことをつくらないという意思があるかどうか。実例をつくらないという意思があるかどうか。意思があるとすれば、この鹿地亘氏の行為が、アメリカの回答のように用意ありということを肯定いたすといたしましても、この点に対して政治犯でない鹿地氏がかかる要求をして、アメリカがこれをいれて保護したということに対して、今後かかる先例をつくらないように、国内にこうした事件が起らないように、厳重な抗議をする価値がありと認めて抗議をする意思があるかどうか。これは外務大臣にお聞きするのがほんとうであるかもしれませんが、欧米局長に承つておきたい。
  98. 土屋隼

    ○土屋政府委員 私は事務当局としての見解を申し述べるわけでありますが、そういう先例をつくることが好ましくないということは今申し上げた通りで、違法であるとないとの問題にかかわらず、自国民を保護する場合には、自国の官憲により、他国にたよることはあらゆる場合においておもしろくない。従つてそういう先例をつくるということは考えられない、こうお答え申し上げます。  第二に、そうした場合において、厳重な抗議を申し出るかという問額でありますが、もし外国の機関が日本の法権を排除するとか、あるいは外国の機関が日本にある際に、その機関の使命を持つておるわけでありますが、その使命を脱逸した行為によつて保護を加えるという事実があるとすれば、当然日本政府から抗議を申し入れるべき性質のものだと思います。  それからもう一つは、この回答にもございますように、かりに両者において善意であり、何ら悪意はなかつた、こういう考え方から行きましても、外国人であるがゆえに、こういう点についてはいろいろの誤解、疑念等も起るわけであります。願わくは今後こういう問題については、諸外国の機関が日本の当局とよく緊密な連絡の上に、誤解を起すような措置をとらないようにすべきものだと考えております。
  99. 古屋貞雄

    ○古屋委員 本件に関する法務大臣の御答弁は、猪俣委員のお話のように、非常にあいまいになりまして、ややともすると三橋事件を持ち出して来て、結論を得ないような不明確な答弁であると思います。本日問題になつておりますのは、鹿地君の人権擁護の問題です。これは単なる鹿地一人の問題でなくして、日本人自身が日本の国内において安心して生活ができるかできないかという、重要な憲法上保障された国民の権利の擁護の問題なのであります。従いましてこの問題は、まず第一に人権擁護の事実の調査が問題になると思う。委員長から本日の委員会の主題は、調査の経過並びに見解ということになつておる。従いまして調査は調査としての事実で御報告を願いたい。見解はただいま結論が出ませんので、三橋事件の関連があるというので、御見解は言えないというのでありましようが、調査された事実に基いて、どういう事実があつたか。鹿地事件で鹿地などが供述をして訴えておりますように、また山田並びにその他の参考人が供述しておりますように、鹿地自身が第一に一昨年の十一月二十五日に、本郷の切通しの岩崎邸に拉致された事実があつたかなかつたか、事実でけつこうです。第二に川崎市の新丸子の東銀クラブに鹿地が監禁されておつた事実があつたかどうか。そこにおいて自殺未遂をした事実があつたかどうか。第三には茅ケ崎の菱沼海岸のC三一号の家屋に鹿地が監禁されておつた事実があつたかどうか。第四に代官山に鹿地が監禁されておつた事実があつたかどうか。そしてさらに琉球に飛行機に乗せて行かれて、再びこちらに帰つてから後に、釈放されたという事実があつたかなかつたか。これらの御調査の事実の御報告を願いたい。見解はけつこうでございます。さような事実が今まで法務省の調査に基いてあつたかなかつたか。なければどういう理由でなかつたか、この点の御答弁を願いたい。
  100. 犬養健

    ○犬養国務大臣 法務大臣として最終的にお答えするということは、検察庁の取調べをまたなければ軽々に申し上げられません。しかしそういう事実があつたとすれば、日本国民の権利としてゆゆしきことであるという観念のもとに調べております。同時にそういう監禁事件がなぜ起つたか、これを掘り下げることもまた法務省の義務であると考えております。
  101. 古屋貞雄

    ○古屋委員 掘り下げる点もけつこうでありますが、現在の過程において、鹿地がそういうところに監禁されておつた事実があつたかなかつたかはどうです。
  102. 犬養健

    ○犬養国務大臣 それにつきまして一つの根拠になりますのは、アメリカ側の回答を求めて得るということでありますが、回答についてはただいま私、ここで外務当局が読み上げるのを聞いていた限りにおいては、まだ何とも申し上げられません。しかし責任をもつて古屋さんの今のお尋ねの点は明らかにして、答弁のできるように努力いたしたいと思います。私もまたそれを希望しております。
  103. 古屋貞雄

    ○古屋委員 私はさようなことを聞いておるのではなくて、現在まで調べられました調査の経過はどうであるかを聞きたい。たとえば岩崎邸に監禁された事実についてはどういう調査をされたか。調査をされたならば、その調査の経過がどうなつておるか。私のただいま申し上げた第一から第五までについて御答弁願いたい。結論を得なくてもいい、今までの経過です。本日委員長から当委員会に対する議題は調査の経過でございます。どういう経過を経て調査事実を調査したのだということだけ御報告願いたい。
  104. 犬養健

    ○犬養国務大臣 これは鹿地氏自身の当委員会における陳述あるいはそれに接触面を持つた三橋の陳述その他から判断しておるのでありまして、最終的に法務当局が責任を持つて結論をつけるのは、御承知のように、検察当局が鹿地氏を調べましてから後のことになつております。ただいま私どもが承知しております最も重要なる部分は、鹿地氏の当委員会における陳述でございます。
  105. 古屋貞雄

    ○古屋委員 さようなあいまいな御答弁であればもつとつつ込んでお尋ねいたします。たとえば第一の岩崎邸に鹿地氏が換致されて数日監禁されておつたという関係について検証したかどうか、当時そこにおりました関係者の当法務委員会において明らかになつておりまする証人も検察庁が当然に調べなければならぬと私は思う。今までの法律上の捜査の経過から考えましても、当法務委員会で明らかになつております山田のことさ、あるいは齋藤老人のごときを検証いたしまして、さような事実があるかないかの御判断の資料としての捜査が行われなければ、忠実な捜査であるとは私は言えないと思う。これはただいま申し上げましたように鹿地個人の問題ではないのです。日本人八千万同胞の安全、生活保障の問題なんです。その意味で当委員会で取上げられておる問題だと信じておる。単なる鹿地の問題ではない。ただ猪俣君が申しましたように、アメリカがこの追究を受けると、相当責任を負わなければならぬという結果になるために、三橋という人間をほとんど逆に利用して、本件の国民感情を変なところに持つて行こうというような計画をやつておるかどうかというような疑いが本件にはあるのです。本件につきましては、われわれが国民の輿論を聞きますると、何だかまゆつばもののような事件だということをしばしば耳にいたします。先刻大川委員からも質問がありましたように、はたして現在逮捕中の三橋が三橋本人であるかどうか。ソ連から帰つて来た第二の三橋があるのじやないかというような疑惑を新聞において相当国民の中に与えておる。従いまして私は本件の捜査にあたりましては、三橋事件と関連はございますけれども、主として日本人の人権の擁護の問題の調査を、国民が納得の行くような調査をしなければ、これは大問題だと私は思う。法務大臣の御心情はよくわかります。真心からよくやろうという御心情はよくわかりますが、しかしながら先刻猪俣委員から申し上げましたように、あとで国警長官に質問いたしますけれども、その証拠として出ておりまする証拠の入手方法について、あるいは入手された時期について、非常に国民は疑惑を持つております。さような点がありますので、法務委員会に対しまして、今日までの明確な具体的な調査の御報告を承りたいのであります。重ねて質問いたします。
  106. 犬養健

    ○犬養国務大臣 こまかい報告は、国警当局並びに法務省の政府委員から御説明をいたさせます。  一言申し上げますが、古屋さんの御心配のような点は、私どももこれは心からその通りに感じまして、そういうことのないように気をつけているものでございます。三橋という者が現われたら、それはすぐ本物である、三橋の言つていることは頭から本気にしよう、そういう態度は毛頭とつておりません。この点はひとつ御了承を願いたいと思います。詳しいことは国警当局から御報告を申し上げます。
  107. 古屋貞雄

    ○古屋委員 法務大臣は詳しい捜査の関係を御存じないようですから、岡原政府委員にお尋ねいたしますが、検察庁は実検されてお調べになつておつたということとでありますが、どの程度具体的にお調べになつておりますか、検察庁の具体的な調査の御報告を願いたいと思います。
  108. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 先ほども御報告申し上げました通り、たしか一月の十三日であつたと思いますが、事件を国警の方から引継ぎました。何分にも関係の書類が若干ございますし、検討すべき証拠物も相当ございますので、その事前の、捜査の準備と申しますか、これにひまどつておりましたが、まず第一に、かような事件は被害者たる鹿地氏本人についてその当時の事情を調べるのが捜査の第一の順序でございます。これをほかの面からの、言わば鹿地氏に反対の立場から資料をもとにして捜査を始めるというのは、この種の事件の態度としてはちよつと困りますので、一応本人の被害者としての立場を明らかにした上で、その材料に基いて諸般の証拠を検討したいというのが検察庁の態度でありました。従つてなるべく早く鹿地氏本人に事情を聞きたい。その上でそれらの事情を具体的な資料と照らし合せて、どこが合つておるかどこが合つていないかということを明らかにして判断をして行きたいというのが考え方の順序でございます。ところで先ほど申し上げました通り、本人が病気でなかなか調べに入れませんので、目下検察庁は本人の健康回復を待つておる。但し具体的にはいろいろな資料を相当精密に検討しておるという程度の状況になつております。
  109. 古屋貞雄

    ○古屋委員 しからば承りますが、形式的に本人を調べて、検察庁が調書をとらなければ捜査を始めないのか、本法務委員会における関係者のこまかい点の参考証言並びに供述、こういうものを証拠として捜査をするわけにいかぬかどうかという点が一つ。  それから、本日のアメリカ側から参りました本件に対する回答に対して、あの程度のもので、それを待つてからでなければ捜査ができないのか、ただいま申し上げました第一、第二、第三、第四、第五の事実については、相手の回答を待たなければ調査ができないのか。私どもの承知しております従来の刑事訴訟法から申しますならば、検証もできるし証人調べもできますし、しかも本法務委員会において宣誓の上供述した供述調書を証拠にして捜査ができるはずだと私は思う。それを検察当局におきましては、どうしても鹿地という病人の一応の形式的な調書をとらなければ捜査ができないというのかどうか、この点について岡原刑事局長の御答弁を願います。
  110. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 法律的にできる、できないという問題ではないのでございまして、ただ検察庁としてはそういう態度をもつてこの事件に臨んでおるということを申し上げた次でございます。本件について最も問題になりますのは、四月二十八日以前の事件は米軍側の力に基く行動と認められる節がございますので、さような点は当時の占領関係ということからしてわが国の裁判権から除外されておる。従つてわれわれといたしましてはこれに対する捜査ということは、いたしても――実際はいたす権限がないということになるのでございましようが、ただ後に続く逮捕の継続というあるいは監禁の継続という事実の前提としての事情としては、やはり調べなければいかぬのであろうという程度のことになるのかと存じます。従いまして、この最初の逮捕の件につきまして捜査の重点を置くということは、われわれとしてはとらざるところでございまして、現場検証その他もおのずからその面の制約が出て来るわけでございます。但しただいまお話の、それでは本人を最初に調べなければ、事案というものは進行しないのかというお尋ねがございますと、それは必ずしもそうではないのであります。一番手取り早いのはやはり本人の供述を聞いてから、その事件に入るの順序であろう、これは捜査の常道でございますが、同時にその病状が思わしくない、近い将来に引出すことが不可能であるという場合にはもとよりほかの資料をもちまして、この事実を究明して参る、さようなことに相なろうかと存じます。
  111. 古屋貞雄

    ○古屋委員 なおただいま申し上げた、米国側の回答がなければ、――また現在のような回答の程度において、ただいま申し上げたような事実の捜査が可能であるかどうか、やる意思があるのかどうか。
  112. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 先ほど大臣からも答弁がありました通り、この回答書はかなり抽象的な面もございまして、私どもそばで聞いておりましてもちよつとわかりかねる点もございますので、いずれこれを詳細に検討いたしました上で、おそらくこの回答、メモランダムの中に不明な点が出ると思いますので、さらにそれを明らかにするという措置も考えられるのじやないかと考えておるのであります。
  113. 古屋貞雄

    ○古屋委員 私どもの方から申し上げたいのは、相当日時も経過しておりますし、それから本委員会において事実が相当明細に記録に残つておりますので、これを中心に、至急に御捜査を願わなければ、国民の疑惑はますます拡大するばかりでございます。一体法務委員会が火をつけて、法務委員会においてある程度の事実が明らかになりつつあるのでありますから、これに対する裏づけなり、これに対する結論の参考資料なりを検察当局におきましては、至急にこれは結論を得まして、提出を願わなければならぬ筋合いだと思うのであります。ただいま申し上げましたようなことで私がしつこく申し上げますのは、非常に疑惑があるわけでございます。ことに私どもばかりでなくて、これは三橋事件を持ち出してうやむやにしてしまうんだというような懸念を国民は相当持つております。その点につきまして十分御者憾を賜わりまして、法務大臣が申されたように真心から捜査をしていただきたい。なお三橋事件とこれを関連いたしまして御捜査を願うというようなことは、私は筋が通らぬと思う。一応鹿地事件の問題だけは結論づける、参考に三橋事件がなりましようけれども、事実だけの調査は別個に明確にしなければならぬ。これが法務当局に対する私の希望であります。  次は齋藤国警長官にお尋ねしたいのでありますが、前委員会におきまして、私が、鹿地の手記というものが国警長官のお手元に届いたのはいつかというお尋ねをいたしましたところが、十二月の十日の夕方届いておる、かように御答弁を賜わりましたが、ただいまお示しになりました横書きの文と縦書きの文と両方御一緒にお手元に届いたのであるかどうか、それとも別々に届いたものであつたかどうか、この点をお尋ね申し上げます。
  114. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 一緒であつたと記憶をいたしております。
  115. 古屋貞雄

    ○古屋委員 三橋正雄が身の保護を申し出て、並びに自首をいたしましたのが九日の夕方、そしてお手元に届きました書類が十日の夕方、時間の経過から申しましてまことにスピーディでありまして、私ども納得が行かないのでありますが、先刻猪俣委員から申されたように、あらかじめ国警長官におきましては、本件の鹿地の不法監禁については御承知を願つておつたのじやないかと思うのであります。そうして秘密にして、発表の出ないアメリカの機関との間に過去において連絡があつたという事実があつたかなかつたか、その点納得の行く御説明を願いたいのであります。時間的に、九日の夕方三橋が自首して出て、翌日には外国の機関からこれに対する証拠書類がお手元に届くというようなことはわれわれには考えられないのであります。その点に対する明細な御報告を願いたいのであります。たとえば、どういう経過において、どういう関係において長官の手に十日の夕刻入つたか、その点の御答弁を願いたいと思います。
  116. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 三橋が自首して参りまして、鹿地氏がこういう事件で監禁をされていた――監禁というか、一時逮捕をされて、その後十二月の六日、七日、新聞に、山田善二郎氏の手記といいますか、そういうものが出まして、三橋が、これでは自分の身辺も危険だというわけで自首して参つたのでありますが、自首して参りましてその状況を話をいたしましたので、それでは鹿地氏を逮捕当時取調べたものがありはしないかということで私は聞き合せました。それについてこういう話があるということを通告をしてくれたわけであります。そういう関係であります。
  117. 古屋貞雄

    ○古屋委員 非常に頭のいい長官らしいですが、三橋が出て来ると、すぐ鹿地が関係あるだろうというような直感らしいのですが、一体私ども疑いまするのは、秘密機関というものと国警との間に連絡があり、いろいろと深い交渉が行われている。そういうようなことから考えまして、ただいまの長官の御説明は私は納得が行かないのです。三橋が申し出たから鹿地が何か関係があるだろう――相手方のアメリカの機関に問合せをするというポイントはどこにあるのですか、それを承りたい。
  118. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 三橋が自首をして参りまして、自分が昨年――今から言えば一昨年当時でありますが、昨年十一月二十五日に鵠沼で連絡をしているときに鹿地さんがつかまつて、そうして逮捕をされていた。自分が、鵠沼である人と連絡しておるということをアメリカ側に連絡しておつたために連絡の現場を当日つかまえられた。そのために鹿地さんが逮捕をされた。その鹿地さんがいよいよ出て来たということになつたので、自分は鹿地さんと一緒にソ連のスパイの一翼を買つておつたことがいよいよばれました、だから身の保護をしてもらいたいということを申し立てたわけであります。それによりまして、それが事実であるかどうかということを確かめるのが先決でありまするから、さような事実で鹿地氏を逮捕したのだとすればその当時の書類はあるだろうということを聞き合せたわけであります。
  119. 古屋貞雄

    ○古屋委員 齋藤長官は一番最初に当法務委員会におきまして、鹿地の監禁事件を知つておるかと言うと、知らないと言われた。十一月十二日に藤沢の警察に捜査願いが出ておつたけれども、その後自分の方では捜査の方法がないからというような御答弁がこちらであつたはずであります。私の今承りたいのは、アメリカの機関にあなたの方から問合せをすればわかるというようなポイントは、どこからわいたかということを聞きたいのであります。全然今まで鹿地の問題について知らなかつたあなたが、たとい三橋がさようなことを申し出ても、お手元にある証拠はアメリカの機関と鹿地以外には知つていないはずであります。それをそういう機関にあるだろうというような勘があなたの頭から生れて来たのは、どういう理由で生れて来たかということ、その点を聞きたいのであります。
  120. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 そういう書類があるだろうということを感づきましたのは、三橋がさような自供をしたからそれによつて私はただちに問合せしたわけであります。鹿地氏が出て来られまして、その次に三橋が自首して来ましてそのことを申し出ましたから、それならば確実なものがあるに違いないということを私は判断したわけであります。
  121. 古屋貞雄

    ○古屋委員 三橋自身は鹿地がそういうものをつくつたということを存じておるということの御判断があなたはつきますか。われわれ今まで調査した中では、三橋と鹿地は顔も知らない、会つてみれば鹿地だつたろうというようなことは、これは新聞に出された報道で承つたのでありますが、三橋自身がアメリカの機関に鹿地がとらわれたという証拠物件があるということを知つておるという理由はどこにあるのですか。
  122. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 古屋君にちよつと御注意しますが、よく政府委員の御答弁をお聞きになつて、御質問を願いたいと思います。
  123. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 たびたび申しておりますように、三橋が自首をして来ました際に、私が鹿地さんと鵠沼で連絡をしておる、その際にアメリカ側が鹿地さんを逮捕して行つたのだ。このことが、鹿地さんが出て来られて、私はソ連と一緒にやつておつた、しかもそれをアメリカ側に通じておつたということが暴露されると、私の身辺があぶない、こう申し立てたわけであります。そこでそれが事実であるかどうかということを確かめたわけであります。三橋がこう言つておるけれども、はたして三橋が鹿地氏と連絡をしているときに、お前の側で鹿地氏を逮捕した、こういう事実があるのか、あるとすればそういつたような一連の関係書類はあるだろう、それを見せてもらいたいということを連絡したのであります。
  124. 古屋貞雄

    ○古屋委員 私は一つもぼけて質問しておりません。その点は、あるだろう、ないだろうという問題は、三橋がしやべつたといたしましても、二人で連絡をしているところを鹿地がひつぱられて行つた、こういう点までは明確になつておるのでしよう。ところが鹿地が調書をとられておるということは三橋は知らない。ところがただいま長官の御答弁によりますと、そういう事実があつたから、その機関に問合せをしたのだ、こういう御答弁のように私は承つた。だから調書があるかないかということのポイントは、それだけの意味であるかどうか。  それからもう一つは、その時間があまりに早過ぎる。三橋が一片のべらべらしやべつたようなことを裏づけもせずにやたら外国の機関に照会し、問い合せるというような軽率なことを一体今まで国警長官はやつておつたかどうか。ところが鹿地に対する監禁事件のごときはほとんど不問に付しておきながら、三橋の申出を疾風迅雷のごとく向うの機関に問合せをするということをわれわれははたして納得できるものかどうかということを承りたいのであります。
  125. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 私は調書があるだろうと言つて聞き合したわけではありません。これに関係する資料があるだろうということを連絡したわけであります。従いまして向うからそのとき受けましたのは、こういうものがある、ああいうものがあるという話を聞きました。その中の最も関係の深いものをまず先にもらつたというわけでございます。  あまり早過ぎるということは、この前の委員会でもお話がございましたが、三橋が自首して参りまして、聞いてみると、電波法違反の事実がある。これは早く証拠づけなければならない。警察で留置していいのは四十八時間しかない。あとは検察庁に送らなければならないということがありまするから、そういうものはできるだけ早くやるという必要がある、以前に十分内偵をし、捜査をし、それからいよいよ本人を喚問したという事件とは違います。従つてその際におきましては非常に早かつたというお感じはあるかもしれませんが、私らの捜査の面といたしましては、四十八時間以内に検察庁に送らなければならないということがありまするので、非常に急いだわけであります。
  126. 古屋貞雄

    ○古屋委員 鹿地の捜査願に対する監禁事件についてはさように敏速におやりになつたのでしようか。向うの機関、はつきり申しまするならば、アメリカの機関に照会した事実があつたかどうか。
  127. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 申しますると、鹿地氏の奥さんから捜査願が出まして、これは藤沢の市警に出たわけであります。藤沢の市警はいろいろ調べてみましたが、よく事情がわからない。鹿地さんの奥さんにも警察から参りましたが、はつきりしたことがわからない。むしろ何だか捜査を進めるのがいいのかわからぬような印象を受けて非常に困つておりました。アメリカ側に監禁あるいは保護されているという状況は当時わからなかつたのであります。従いまして当時捜査願が出ました際には、私はさような感覚はなかつたのであります。鹿地氏が出て来られまする数日前に、実のところを申し上げますると、猪俣委員が非常に心配しておられるということを聞きまして、相当の事実を持つておられるらしいということも聞きました。それだけの事実があれば、あるいはアメリカ側に保護されているかもしれないという感じを私は受けたのであります。その際に私は即刻アメリカ側に連絡いたし、かくかくの事実があるやのようであるが、どうであるかということとをその当時聞きました。十二月の初めであつたと思います。アメリカ側におきましては、自分の方で保護を加えている、しかし本人は非常に満足しているという話でありましたから、これだけの問題になつている際にどうするかということを聞きましたところが、自分の方は、鹿地氏がよろしいと同意をするならば、すぐ出したい、こう思つているということを十二月の二、三日ころでありましたか、アメリカ側から私は実は聞いたのであります。ただ出たならば、本人の身辺を保護してもらいたい。それで私はもし出れば、身辺の保護だけは十分しなければなるまいという感じを持つておりました。私はこの点は今まで当委員会においても申し上げておりませんでしたが、アメリカ側において保護なりあるいは留置をしているということの発表があるまでは、アメリカ側が鹿地氏が承認するならば出したいのだと言つているわけでありますから、私は言うべきでないと思つて、公の席では申し上げませんでしたが、そういういきさつがあつたことを申し上げておきます。
  128. 古屋貞雄

    ○古屋委員 その点を聞きたかつたのであります。その点を長官は言わない。そうすると、十二月の初めころということは、いつころか存じませんが、鹿地がアメリカ側に監禁されているあるいは保護されているという事実は、長官は御存じだつた。それを法務大臣並びに外務大臣とに連絡した事実があつたかどうか、さような方面に報告をした事実があつたかどうか、この点をお聞きいたします。
  129. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 私は鹿地氏が出て来るまでは、これはアメリカの機密であると考えておりました。しかしながら法務大臣、外務大臣にはそのときにどうもアメリカ側に留置をされておるらしいということは申し上げておつたわけであります。
  130. 古屋貞雄

    ○古屋委員 今、齋藤長官が言われたことは間違いないですね。そういたしますと、本委員会において十二月の八日に法務大臣、外務大臣が鹿地の事件を初めて知つたのだ。これはでたらめな、うそなのですね。これはあなたの証言が一番正しいのですね。
  131. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 私はいるらしい公算が大であるということに申し上げておきました。確かにいるとは私は申し上げておりません。
  132. 古屋貞雄

    ○古屋委員 その点は会議録にはつきりありますから、もうこれ以上追究いたしませんが、齋藤長官のただいまの御答弁によると、法務大臣、外務大臣は法務委員会でうそを言つたということになる。この点は記録にはつきりしております。従いまして、私はなお承りまするが、どうも齋藤長官の機密機関といいますか、アメリカの機関と密接な関係をお持ちになつておることがここで明らかになりました。そうすると、われわれが非常に懸念いたしました、日本に戦争前にあつたような特務機関が齋藤長官と外国との間に結成されておるということの印象をただいま私は受けましたのですが、今、猪俣委員から質問に対して、その機関をどうしても言えない、そうなると特別な特務機関が外国と日本の警察の間に結成されておるというような印象を深く私は受けたのですが、こういう事実はありますか、ありませんか。いわゆる両方から申し合せて、外部には言わぬようにしよう。しかしながら内部で、外国の機関と国警の機関との間にただいま御答弁があつたような密接な関係があるこういうような機関が、こういうような会合が持たれておるという事実はありますか、ありませんか。
  133. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 大臣あるいは政府に隠れて特別な関係を結んでおるというさような機関は全然ございません。はつきり申し上げておきます。
  134. 古屋貞雄

    ○古屋委員 事実は向うの秘密なものとあなたの方と連絡があつたということがきよう明白になつたわけです。ただいまの長官のいわゆる十二月の初めごろに、どうも鹿地が保護されておるらしいというような連絡があつて、もしあとから鹿地の身辺を保護してくれるならば、帰してもいいというアメリカ側の交渉があつた。この点は明確にしておきますが、さような関係は現在もあるのでしようか、なお今後も継続をするような考えが長官にあるかどうか。
  135. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 日本側で身辺を保護するならば出してもよろしいと言つたというのは、これは間違いで、私はさように申し上げたのではありません。本人が希望するならば、自分の方としては出してもいいと思つているのだ、しかし出たならば身辺があぶないから注意をしてほしい、保護を加えてほしいという話があつたというように申し上げたのでありまして、その通りでありまするから、その点は誤解のないように願いたいと思います。だからといつて別に機密で何かを取引しているというようにお考えになるかもしれませんが、この問題は私は猪俣氏が非常に心配をしておられるということを聞き、私は人権の保護上重大な問題であると考えましたので、さような事実ありやなしやということを確かめて、私がその点について、今申し上げましたような結果を得たわけであります。この点は私が今申し上げました通りでありまするが、それだからといつて、別に政府あるいはその他に隠すような機密な機関があるとか、連絡をしておるとかいう点は毛頭ございません。社会問題になり、猪俣委員が非常に心配をしておられるということでもありましたので、私は公の資格か、個人の資格かわかりませんが、事いやしくも人権に関する事柄であるというので、私の心当りを尋ねて、そうして知つたというのが十二月の初め五日か六日ごろ、直前でございます。
  136. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 ちよつと古屋君に御注意しますが、事は非常に重大な段階に入つておると思うので、あなたの御質問の趣旨をよく自分で把握して御質問願いたいと思います。事柄を断定して政府にこういう重大な問題を聞くということは、委員の質問としてはどうかと思う。だから事実についてお確かめ願つて、なお質問については言葉を慎んで……。
  137. 古屋貞雄

    ○古屋委員 どうもあなたは私が申し上げると、しよつちゆう注意しますが、この前の委員会でも私が通告しておるのに、私をすつぽかしてほかの人にやらした……。
  138. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 御注意を申し上げます。公平を期したいと思うから御注意申し上げるわけです。事は非常に重大でありますから、委員長から特に注意します。私はあなたを忌避するわけではありませんが、国内に機密機関があるとかないとかいうことは非常に重大です。そうした発言はよく言葉の上で御注意願つて御発言願いたい、こういうことを言つておる。
  139. 古屋貞雄

    ○古屋委員 これは占領治下にあつたときに、ずいぶん日本人が向うと結託して、こういう機関で日本人を苦しめた事実があるのです。
  140. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 委員長はよくその事実がわかつておるから、あなたに御注意申し上げる。あなたの質問が断定的になつておるから委員長は注意するのです。――質問を許します。古屋君。
  141. 古屋貞雄

    ○古屋委員 なお、私は齋藤長官でも法務大臣でも、岡原局長でもよいのですが、ただいまのような大きな重要な書類を受取るときは、かつてに向うから直接受取つてしまつて、そうして今度は事実調査ということになると、形式的に外務省を通じて米国から回答を求める、こういうような二重な区別をする取扱いがいいのか悪いのか。これは猪俣委員からも先刻質問いたしましたが、証拠物件というものは、捜査あるいは事実の回答を求めるよりも重要な問題なんです。それは直接外務省を通ぜずに、法務大臣と関係なく国警長官が受取つてしまつた。今度はあとの捜査の問題になると、形式的に書類でもつて回答を求めて、本日今ごろになつて、どなたにも納得の行かないような、でたらめな侮辱的な回答が来るという始末である。日本の政府はこういうような取扱いを区々にしておつていいのか悪いのか。私どもから申しますならば、一本にまとめて正式にきちんとやつていただきたい。この点について法務大臣並びに土屋欧米局長ですか、外務省はこれでいいのか悪いのか、今後ともこういうようなことをやるのかやらぬのか、その点を明確に御答弁願いたい。
  142. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 一言私から申し上げておきたいと思いまするが、われわれ犯罪捜査に関係をいたしましては、互いに協力をするということになつております。従いまして、犯罪捜査に必要な資料をわれわれ捜査に直接関係しているものが向うに向つて要求をする。そういう資料ならここにあるから利用したらよかろうということは、これは通常の方法としてやつておるのであります。しかしながら、これこれはわれわれの判断ではやれないのだ、あるいはこれ以上はおれの方はお前にものを言えないという場合には、外交交渉によらざるを得ません。おのずからそこに段階があるわけであります。従いまして、事の種類、大小、またそういうようないろいろな事情によりまして、外交交渉によらなければならない、外交交渉によらなくても、通常の、日常のとりきめで互いに協力できるものというものがおのずからあるわけであります。この点は御了承をいただきたいと思います。
  143. 犬養健

    ○犬養国務大臣 ただいまの御質問に対してお答えをいたします。先ほど猪俣さんからもお話のありましたときに感じましたので、この際あわせて御報告をいたしたいと思います。三橋氏が自首しましたときに、まことに意外なことを言いました。全部がほんとうとは当時立場上考えませんでしたが、ともかくも早急に問い合せる必要がある。三橋の供述の根拠となりました問合せをいたしましたところ、書類がない。こういう関係におきまして、国警を通じてかねてから犯罪捜査によつて協力をしているこちらの機関に連絡をいたしたわけであります。  その次の外務省を通じた問題は事、人権に関係することでありまして、日本国民の人権に関する事柄を国警が外国の外交代表機関に問い合せることは、これは私は妥当でないと今も信じているのでございます。しかし先ほど猪俣さんからもお話があり、あなたからもお話がありまして考えましたが、国警が何かある特定の外国の手先になつているような感じを、少くも国会議員の一部の相当有力な方がお持ちになりかけているということでありますならば、外国の所要機関との文書のやりとりはガラス箱に入れたように明確にいたしたいと思います。過去においてそういう手続をいたしましたのは、申し上げたような事情でありますけれども、今後は非常な急を要しない限りできるだけひとつその手続のとりきめをきめてみたいと思つております。そのように考えておることを御報告いたしたいと思います。
  144. 古屋貞雄

    ○古屋委員 了承いたします。
  145. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 田万好文君。
  146. 田万廣文

    ○田万委員 たいへん鹿地亘氏の問題は議論を盛んにいたしまして、全国の国民大衆も、これに対する結論がどう出て参るかということを非常に注目しておるわけでございます。私は率直に申し上げるならば、不法監禁というものと、いわゆるスパイ問題というものとはこれは截然と区別をいたして考えなければならない問題だと思います。ここにいろいろ議論がかわされておるゆえんのものは区別がなされないところ、すなわち言いかえたならば、不法監禁というものがスパイ問題という煙幕によつて消されてしまう、との点を委員の皆さん方は非常に御心配なさつておると私は考える。のみならずそれはわれわれ委員だけでなくて、国民大衆というものがこういう懸念をしておるということは否定しがたい事実だと思います。私はこの際やはり本委員会に取上げました最初の目的は、不法監禁の事実ありやいなやという点であつたことにかんがみまして、その点をこの委員会で結論をつけていただきたい。スパイ問題なりやいなやということにつきましては、これは法務関係あるいは国警関係でよく調べていただけばけつこうであります。私はこの点に関連をして申し上げたいのは、この前の委員会でございましたか、岡崎外務大臣に対しまして、行政協定の前文、あるいはその内容における――何条でございましたかただいまちよつと忘れましたが、その条文を読み上げまして、本件のような問題については、アメリカ側においても当委員会に出席して、その関係者は十分なる供述をなすべき性質のものではないか。そういうことがわれわれ日本独立国としては要求できる当然の権利があるのではないかということを御質問いたしまして岡崎大臣の所見を伺いましたところ、岡崎大臣の御答弁は、ただいま十分わからない、追つて研究いたした結果を申し上げるというままになつているわけでございます。本日幸いにして外務大臣ではございませんけれども、土屋欧米局長が見えられておりますので、この点に対する御見解をおわかりであるならばまずお答えを願いたいと思うのでございます。
  147. 土屋隼

    ○土屋政府委員 この問題は大臣から当時外務省の法律関係に明るい条約局の方に問合せがあつたことは承知しておりますが、申訳ありませんがまだきようは答弁を得ておりません。この次の機会に政府委員なりあるいは大臣から条約関係の専門家の意見を御返答できると思います。
  148. 田万廣文

    ○田万委員 非常に調査が遅れておるということにつきましては、私は残念に思います。こういう問題について、やはり外務省としてはすみやかにその見解をまとめられて、そうして当然この委員会に出席を求められる範囲内の、アメリカ側の証人的な方々をこの委員会に出すべきである。それがないために非常に事件が紛糾して参つておるのであります。この点を私は土屋さんを通じまして外務大臣はすみやかにその明快なる法律的な関係の答えを出されて、もしそれが当然日本側として関係者をこの委員会に出席せしめ得ることができるという結論に達したならば、その手続を早急にとつていただきたいと思うのであります。なおさらに外務関係に対して要求したいことは、ただいま土屋さんからお読み上げになりましたアメリカ側の覚書であります。その覚書の内容をずつと聞いておりますと、松岡委員も申され、あるいは同僚の猪俣委員からも申されておりますように、何かわかつたようなわからないようなきつねにつままれたような覚書、この一つの事実を、私はここで聞いたままを申し上げるが、もし聞違いなければその通りとお聞取りを願いたい。聞違いであれば御訂正を願いたいと思いますが、錠をおろしたということ、施錠、これは本人の希望に一致するというような文書であつたように思います。その通り間違いございませんか。
  149. 土屋隼

    ○土屋政府委員 おわかりにくかつたと思いますので、当時読みました答えだけをもう一回読んで、私がこれをどう解釈したかということを御説明申し上げましよう。  答えとしては、「いかなるとき、いかなる場所においても鹿地がアメリカ官憲により、日本の法律及び裁判権を侵害し、当人の意思に反して足どめされ、その他拘留されたる事実がないこと、並びに何人も当人の意思に反して拘留の目的で鹿地を監視した事実がないことは大使館の受けた通報が明瞭に示すところである。出入口にかぎがかけられている事実または人が眠つておるときに部屋にかぎがかけられていた事実は、身の安全を守るというその人の願望にまつたく一致するものである。」これは英文の趣旨の方がはつきりしますが、英文の趣旨は当事者である当人が希望して自分の安全を守つてくれというから、その安全を守るためにこういう措置をしたのである、こういうのであります。
  150. 田万廣文

    ○田万委員 その錠の問題ですが、これはどこの家庭でも、特にアメリカなどは錠を非常に厳重にやる。本人の希望に一致をするというならば、内側から錠をかけておらなければならないものだと私は思うが、外側から錠をかける錠に対して本人が希望することと一致するものということは、これは非常識きわまるものと思う。従つて本人の希望に一致するということは外見的には一致するかしれない、実質的には保護されるべき人間が自分の身を保護されるということは第三者ではなくて、自分の力で錠をするということ、これで身の安全を保てたというようなところに私は意味があると思う。にもかかわらず私どもが今まで調査した結果によれば、その錠のかけ方を外からやつている、内部からでないということ自身を端的に取上げてこの覚書を判断する際に、私は多大の疑問を国民的感情において抱かざるを得ない。こういう点において、またその他いろいろ覚書の内容を具体的によく研究しなければわかりませんが、受けた感じは松岡君が言つたのとまつたく同感です。これはあながち松岡君や私のみならず国民的感情だと思うのですが、その覚書そのものは今後大きな国際関係における問題になつて来ると私は考える。しかもさらに私は外務省にお願いしたいのは、このお読上げになりました文書の前文において大使館はこの機会においてなし得べき一切の誤解を一掃し、凌た一切の疑点を明らかにするために、本件についてできる限りの助力を惜しまないという大使館側念願の従前の確約を再確認するものであるということが明記されてあります。この助力という点は、私どもは助力というようなものでなくむしろ一歩進んで義務的なものであると思うのでありますが、向う側の文章通り受取つて助力という点から考えましても、本委員会にその関係者を出席せしめるという助力をアメリカ側に要請する当然の権利があると私は思うのであります。従いましてさような一片の覚書によつてわれわれは納得するものではない。いろいろな疑問を含んでいるという点において再回答の要求を外務省側においてなされることが必要であると思うのでありますが、これに対して土屋欧米局長の御所見を承りたいと思います。
  151. 土屋隼

    ○土屋政府委員 この覚書は私ども本日午前十一時に受取りまして、本委員会の開催されることを承知しましたので、この委員会にごひろう申し上げることをまず第一義と考えました。しかしながらお話のように私どもも内容をさらに検討いたします。外務省並びに国警との相談も進めたいと思います。その結果ただいま御質問のような御趣旨でわれわれとしてアメリカ側に要求をすべきであるか、またすることができるかということも研究の上善処したいと考えます。
  152. 田万廣文

    ○田万委員 最後に一点申し上げたいと思いますが、現在の岡崎外交と申しますか、日本のアメリカに対する外交は非常に弱くなつているという感じを国民は持つております。これはいなみがたい事実だと思います。従いましてこの覚書に対する外務省の出方をわれわれは細心の注意を持つて見守り、国民が見守つておると思うのであります。変な態度をもつて媚態外交に終始することがあつたならば、おそらく委員会あげて、国民あげて大きな問題が起こつて来るるということをわれわれはおそれるのであります。従いましてその点をよくよく外務大臣にお伝えくださいまして、善処せられんことを最後に希望いたしておきます。
  153. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 ちよつと今の問題に関連して……。今田万委員の御意見のように、スパイ事件と不法監禁事件はまつたく別個なものであります。これがからんで参りましたために、非常な混濁した印象を世人に与え、私ども遺憾であります。そこでこれは不法監禁せられた被害者と、した者と両方調べるということが当然要求せられることでありますし、その方針でまた当委員会でもやつて来たのでありますが、今田万君も要求せられたように、アメリカ側の関係者が当法務委員会に出席して証言するような取扱いが外務省においてできるかできないか、その御意見を承つて、それが不可能であるということになりますと、われわれ公平に判断したいと思いましても、相手が協力しないとすればやむを得ません。さればというて、この問題を結論を出さぬでうやむやにするというようなことは国会の権威にかけてできない。そこでやむを得ないという立場になるならば、私はもう結論を出さなければならぬ時期だと思います。先ほど三橋を喚問せよという御要求もありました。私どももこれは反対ではございませんが、このスパイ事件というものを私ども決して不問に付したいと思わない。のみならず、私はこれは独立したテーマとして徹底的に当委員会において調べてもらいたいと思うことが多々ある。しかも巷間のデマ文書に現われた事実のみならず、裁判所の公判廷に現われた事実でも、奇怪な事実が多々ある。私どもは今調査いたしております。これは後ほど岡原さんにも――後ほどと言わず今お願いしてもいいのだが、一九五二年、昨年の十月大阪裁判所の法廷で密輸事件の審理が行われた。この事件の被告に澁澤榮太郎という人物でありますが、この公判廷に現われました証人の人名及び証言を私はお調べいただきたいと思う。法務大臣は相当スパイ事件を重大視しておられるようであるが、このキヤナン機関その他につきましては、大阪の裁判所にも明らかになつておる。私どもの手では困難でありますが、法務省の手でこの記録を見ていただきたい。これは有力な傍証になると思います。さような意味におきましても、われわれはアメリカの強力なしにでもある程度の全貌はわかるはずでありますから、検察庁としてお調べいただくと同時に、当法務委員会といたしましてはもう結論を出していただきたい。私どもは昨年四月二十八日以前も不法だと思いますけれども、今松岡委員の御意見もありましたように、これは占領期間中のことでありますのでそれはそれといたしまして、日本が独立した以後もまお抑留しておつた。これはきようアメリカから回答が出たような事情でないことは明らかで、これは当委員会の各所の調査においてももう明白になつていると思う。ただ公平を維持せんとして私どもも今まで結論を出さぬように慎重にして来たのですけれども、もうその機が熟しておるので、私は三橋の喚問は、これはスパイ事件の一つとして、そのほかのいろいろの事件とともに三橋、鹿地のスパイ事件は独立なテーマとして調査していただいて、不法監禁事件はこの程度で結論を出して国民にこたえていただく、そうしないと非常に混迷を来しておると思うのであります。私はその結論をこの程度で出していただきたいということを動議として提出をいたします。
  154. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 今猪俣氏からの御意見がありましたが、この結論を出す前に、私ども先ほど提案しました三橋の喚問のことと、あわせて猪俣氏からも主張しておられるように、アメリカ側から講和条約以後これを保護しておつたその責任者はおるのですし、これは大使館においてはつきりしておるわけですから、これを委員会として正式に外務当局に伝えて、アメリカ大使館からその責任者を当法務委員会に出席してもらつて、その事情を一片の文書でなく、責任者として保護を託されて保護しておつたということを主張されるならば、それを明らかにしていただきたい。結論を出す前に私はそれを一ぺんなすべきではなかろうかと思つてそれに賛成いたします。
  155. 後藤義隆

    ○後藤委員 本法務委員会におきましてしばしば議論が繰返されたのですが、これは鹿地に対する不法監禁があつたかどうかということが問題であつて、鹿地の電波法違反があつたかどうかということは全然問題外でありますから、そこで鹿地が電波法違反として三橋と共同正犯であるか、あるいは幇助であるかというようなことはわかりませんが、もし正犯であつても、または幇助であつても、そういうものがあつたならば、この法務委員会がそれは関係なく別個の事件として御処理を願つてさしつかえないと私は思つております。この事件にはちつとも関係を持つ必要はないし、考慮の外に置いていただきたい、こういうふうに考えております。  それからこれは国警長官にお伺いいたしますが、昨年の十二月の初旬ということでありますが、そのときに鹿地を保護しておるということを、国警長官に伝えたアメリカの――アメリカ側という言葉を使つたのですが、そのアメリカ側と、それから十二月十日に鹿地の横書きの手記を国警長官に渡されたところのアメリカ側とは同一のものであるかもしくは別箇のものであるか。
  156. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 十二月の初旬に発表をしましたのも、あとも全部同一でございます。ただだれの責任で、どこでどうしているかということは、私はそのときも聞いておりませんからそれは申し上げられません。私の相手方は同一人です。
  157. 後藤義隆

    ○後藤委員 それではさつきいろいろ秘密機関だとか何とかいうような言葉も飛び出しておつたが、どんなものか性質もよくわかりませんが、一個人ですか、それとも公の機関ですか。
  158. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 公の機関でございます。
  159. 後藤義隆

    ○後藤委員 それから鹿地の横書きの手記は、日付は昭和二十七年の十月何日でしようか。
  160. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 十月十五日に提出されたものだという説明でございます。手記自身には日付は入つておりません。
  161. 後藤義隆

    ○後藤委員 そうすると手記自身には日付は入つておらないが、アメリカの機関の言うところによると、二十七年十月十五日に提出されたものだ、こう言つておるのですね。
  162. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 さようでございます。念のために申し上げておきますが、保護かあるいは監禁か存じませんが、向うの言葉によると、そういうことをやつておつた責任者がだれであるか、その責任者と同一人であるかどうか、これは私は存じません。ただ私の交渉相手は同一人であるということだけであります。
  163. 後藤義隆

    ○後藤委員 ただ保護されておつたということになれば、保護の期間中である昨年の十月の十五日に、保護されておる相手方が被保護者に対してその犯罪の自白みたようなことを書かせるというのは、ちよつとおかしくはないですか。
  164. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 それはだれが書かせたのか存じませんがただ筆跡を見て鹿地氏の筆跡だなということを考えただけであります。
  165. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 猪俣浩三君からの動議、松岡松平君からの動議が出たわけでございますが、この取扱いは、先ほどの松岡松下君の動議に対する取扱いと同様に、秘密会においてゆつくりと懇談をいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 ではさようとりはからいます。では齊藤国警長官よりの文章提出の関係上、本委員会はこれより秘密会といたします。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 それでは議員、政府委員及び関係職員以外の方は御退席を願います。  なお衆議院規則第六十三条によりまして、秘密会の記録として特に秘密を要すると委員会で決議をいたしました分につきましては、これを公表しないことになつておりますので、この点につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 御異議なしと認めます。御一任願うことに決しました。  ただいまから秘密会を開きます。      ――――◇―――――     〔午後四時五十六分秘密会に入る〕
  169. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕     〔委員長退席、松岡(松)委員長代理   着席〕     〔速記中止〕     〔松岡(松)委員長代理退席、委員長   着席〕     〔速記中止〕
  170. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 速記を始めてください。  松岡君から出た動議ですが、三橋を呼ぶか呼ばないかという点ですが、どうですか。
  171. 大川光三

    ○大川委員 大体今までの調査で、監禁の事実があつたということは、これは明らかだろうと思うのであります。しかもその期間が、二十六年の十一月二十五日ごろから昨年の十二月七日ごろまでということも、各種の証拠によつてこれは認定できると思うのでありますが、ただ監禁の外形が明らかになつても、それがはたして不法監禁であるかあるいは鹿地氏の意思に基く保護監禁であるかということが問題の焦点かと思います。アメリカ側の回答によりますと、本人の意思に基く保護である、かように申しておる。鹿地氏の今日までの主張は、自分の意思によらない不法の監禁であるということで、まつたく対立をいたしておるのであります。私どもはかような場合に、監禁の外形、事実があり、しかも被害者が不法監禁だと主張しておる場合においては、むしろこれが保護なりと主張する側が、その保護であることの事実を立証しなければならぬ。言いかえますと、私は、アメリカ側に、保護の事実を立証すべき責任があろうかとかように考えるのであります。そこで問題は、いかにしてそれではアメリカ側の立証を求めるかといいますと、第一には、先ほど国警長官のお話もありましたが、相手も保護したんだと言うておるのでありますから、その保護したと称する人間を当委員会に呼んで調査をするということも一つの方法でありまするし、また、もし相手方の保護した者が当委員会に出られないという場合においては、一応こちらから最後通牒的に、保護したというのならば、いつどこで、どういう方法で、しかも保護を依頼されたということについての証拠があるのかどうかというようなことを照会して、それでその満足な返答がないという場合に結論を出してよかろう、かよに考えるのでありまして、従いまして私は、保護責任者を一応当委員会に呼ぶということと、それに関連いたしまして三橋正雄の当委員会における取調べも、これはぜひ必要かと思うのであります。スパイ事件とはまつたく関係はないのでありますけれども、監禁がいわゆる違法性を阻却するような原因があつたかどうかということは、ぜひきわめなければならぬのでありまして、もし、三橋正雄が今日まで警察等で申しておりますように、スパイに対する、あるいは電波法違反事件の共同正犯に見られるような事案があるということでありますれば、これは結局アメリカ側がこれを逮捕監禁したということについての正当なる理由がある、いわゆる違法性を阻却する原因があるということにもなりまするので、一応その監禁が正当行為であるかどうかを判断しまする材料といたしましては、やはり三橋正雄の取調べは必要かと私はかように考えるのであります。従いまして、三橋正雄の取調べを了し、できれば相手方の保護いたしたという立証を待つた上で最後的な結論を出したい、かように考えるのであります。
  172. 木下郁

    ○木下(郁)委員 私は、このスパイ事件と人権蹂躙事件は別個のものだと思う。これはもうだれでも言わぬでもわかつておると思う。ただ先ほど刑事局長も、占領中の逮捕監禁はこれはしかたがないのだと初めからシヤツポを脱いでいるようでありますけれども、これに対してはやはり批判はなすべきものだと思います。しかしそれを一向にしないで、四月二十八日以前と以後とをわけてやることはいいか。何ぼ占領中だつて、盲めつぽうにやるというようなばかげたことを、批判も何もしないでその点は触れませんというようなタブーで行くというようなばかなことはないと思います。さような点と、三橋を呼ぶという問題。三橋の電波法違反はなかなかややこしい嫌疑があるらしいが、それが濃厚だ、あるいは鹿地がそれに共犯としてかかるかどうかというようなことは、この委員会で触れなくていいんです。ただアメリカが逮捕するのに、アメリカの当時の占領軍としての立場で、逮捕するに値するだけの嫌疑をかける材料があつたかなかつたと点については、これは調べる必要がある。その意味で私は、三橋を呼ぶことは、以前から各委員も同様でありましよがう、逮捕の事実が、東京駅の前に立つておつて、三万人の人間の中からつかまえて三分間市長にするというような意味でやつた逮捕ではない。あの十一月二十五日の午後七時というような暗やみでひよつこりつかまえた。そこにねこのように来ることを期待するような気があつたのかどうかというような点は、やはりわれわれとしては知る必要があると思う。アメリカ側からの回答というものは、愚弄しているか、木で鼻をくくつたような回答で、あんなものであれば、これは信憑力があるかないかの問題になります。しかしアメリカに対する親切、及びアメリカの言い分にほんとうに根拠があるかどうかというようなことを知るためには、きよう出た回答だけで、すぐ、もうアメリカは答えてくれないのだ、協力はしてくれないのだとこつちがきめて、きようで打切つてこの次に結論を出すというようなことをしないで、アメリカのためにももう一度立場を明らかにする機会を与える。それから監禁したというならば、ほんとうに人権を擁護する気持があるならば、だれかわかりませんけれども、アメリカ側におればおるでその人から個人的な声明を発表する機会を与える。さような意味で、もう一ぺんだけは委員会を延ばして、委員会はさような意味で延ばすのだ、アメリカのその関係者が日本におつて、その人をここへ連れて来て協力させるということができなければできないでこれはしかたがありませんけれども、その人間がアメリカの国内にいるかどこにおるか知りませんが、どこかにおることはわかつている。その人間が個人的にやる勇気があるかどうかというようなことも、われわれとしては政治的に機会だけを与えるのだということでしたい。なおきようの声明に対しては、日本国民が納得しないのはもちろんのこと、アメリカの国内及び世界の各国もこんなばかげた声明でオーライというようなことはないと思う。必ずアメリカの国内においても、あるいはイギリス、フランス等においても、これに対する相当辛辣批判があると思う。そういう声も聞くだけのゆとりを与えれど、またこちらの外務省あたりからアメリカに対して、きようの回答では日本国民は満足ができないという空気もありのままに伝えれば、やはり協力してくれると思うのです。さような意味で三橋も呼ぶがよかろうし、もう一度もつと具体的な証拠を示し得るなら示してもらいたいということを外務当局からアメリカに要求してもらいたい。そしてこの委員会の結論としては、スパイ事件と人権蹂躙事件とははつきり区別して、項目をわけて委員会の結論を出すがよろしいが、しかしそのスパイ事件にしましても、もう大体見当はつくし、早い話が、一昨年の十一月二十五日に逮捕して四月二十八日までおつた。その間逮捕の原因については、理由はあつたものだろうと思われるなら思われるというような意味の意見を出すことは、われわれとしてはちつともさつかえない。それで人権蹂躙をごまかすというようなことではない。人権蹂躙だけの結論というふうに限らないで、事柄は別にしますけれども、もう両方に関連した委員会の意見は出し得ると思う。その意見の出し方は別にして、人権蹂躙というのが主題になつて意見を出すべきものである。それはきよう結審しないで、やはり三橋も呼んで、それからアメリカの方に対しても、日本国民のみならず、世界の公平な人たちが納得行くような弁解をする機会を与えてやる必要がありはせぬかというふうに思つております。さような意味で、これでやめて、きよう出た回答とか何とかで意見をきめるということでなくて、もう一ぺんだけ念を入れてもらいたいと考えます。
  173. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 私も三橋を呼ぶことには反対でありません。ただそれは別なテーマでやりたい。と申しますのは、今実は私の方でも相当調査しておるのです。そこで、アメリカのやり方等についてこの全貌はわからぬ、この真相はわかりません。諸君が三橋の言うことを聞き、それで結論が出ると思うと、これは真実と違つた結論が出ると思う。私はそれをおそれるのです。スパイ事件についても、ほんとうのことを明らかにしたいならば、これは徹底的に調査しなければならない。というのは、私ども今まで調査した中間的な感じですけれども、スパイの嫌疑をかけてこれを留置して、それが何かの都合の悪い場合の用意はちやんとしておいて、そうしてお前はのがれられないのだ、ここに証拠があるのだというと、そうなると軍法会議で銃殺されるだろう。銃殺されるか、自分の方の味方になるかということでスパイに使う。三橋がその手にひつかかつたのではないかと思われる。それから自殺した佐々木という大佐もそうであろうと想像される。他にまだあるのです。名前は出しませんけれども。そういう全貌が明らかにならぬで、そうして不法監禁事件についてアメリカ側の証人がない、こちらだけということになつて、そういうこちら側の調査によればということになるし、スパイ事件だけは、アメリカと両方の調査の結果こうだということになりますと、非常にぼくは不公平な判断が生れて来ると思う。そこで三橋を調べることによつてこのスパイ事件の全貌がわかるという御確信があるならば、それは私は反対はしないのですが、それでは真相は出ないのです。ですから、これは別問題として、もつとわれわれも周到な調査をして、そうしてこのアメリカの諜報機関――これはソ連にもアメリカにもあることで、当然なことだと思うのです。それ自体は悪でも善でもないが、これが今までどういう活動をやつて、どういうふうな日本の人たちがそれに使われておつたかということがだんだん出て来るのです。その全貌が、全部でなくても、ある程度の輪郭がわからぬと、この鹿地事件の真相というものは出て来ないと思う。単に今三橋だけを調べる、単に鹿地の自供書だけを頭に置いて判断するとなると、これは非常に不公平な判断が出て来ると思う。そこでそのアメリカ側で逮捕した理由は、スパイの嫌疑をかけて逮捕したということは、アメリカ側でも認めているのです。鹿地もまたスパイの嫌疑によつて監禁せられたと言つているのであるから、逮捕の理由については明らかになつておる。彼がほんとうにスパイをしたのか、しないのかという問題が残つておるだけで、スパイの嫌疑をかけて逮捕した。何もしない者を逮捕したのではないということは明らかなんです。ほんとうに彼がスパイをやつたかどうかという問題になつて来るが、それは今言つたようになかなか全貌はわからない。そういう意味におきまして、私は不法監禁事件の報告を書くにしても、何のために彼らが逮捕したかという向うの言い分は認めてもさしつかえない。スパイの嫌疑があつて逮捕した。それがスパイがあるか、ないかは後の問題だけれども、そういう嫌疑だけで逮捕して、不法に、ただでたらめに逮逮したのではないということは認めてよい。けれども、ほんとうに鹿地がスパイをしたということは出て来ません。もつと全般的のアメリカのやり口を研究しないと、私は出て来てないと思う。三橋を今逮捕監禁せられた。三橋を監禁していることに対しても私は問題があると思う。三橋が保護的意味で留置されているならあれですが、電波法違反事件のごときことで起訴後の勾留を続けていることについて、私は疑問があると思うが、聞くところによれば、三橋は一切の弁護人を断つているということであります。そうして、でき得るならただちに簡易の裁判でもつてけりをつけたいような考えを三橋自身が持つているということを、ある情報で聞いている。それはそれといたしましても、それだけによつて真相をつかもうというお考えであると、少し無理があるのではないか。だからこれは先の問題にしておいていただいて、不法監禁事件だけにしてもこの辺で結論を出すべきではないか。なぜならば、私どもは初めからアメリカ側の証人を出してくれということを法務委員会のたびに外務省にも言つて今日まで来た。しかるに今日発表されましたような答弁をしておるアメリカ側が、証人を出すなんということは考えられません。それをわれわれのほほんと待つているということは、ますます私どもはばかにせられることになる。アメリカ側も責任をもつてそういう回答をして来たのでしようから、それはそれとして、われわれの調べた範囲においての結論、われわれの調べによればこうだという結論を出して、もしこれに不服であるならば反認を出してくれという態度をとるべき時期ではないかと思う。検察当局にしても、外務当局にしても、とにかく衆議院の法務委員会ではこういう結論を出している。違うなら、あなた方から違う証拠を出してもらわなければ困るというふうに交渉しやすいと思う。われわれはその時期に来ていると思う。そこでそういう意味におきまして、三橋の喚問――これは三橋を呼んでみたところが、興味をそそるだけの問題で、真相は出て来ない。これはまだ裁判前のことであります。そしてなるべくならば鹿地と対決をしていただかぬと真相は出て来ない。ところが鹿地は、きのう警察と結核療養所の青木博士立会いでもつて診断しましたが、向う一箇月間は絶対安静を要するという診断になつておるのであります。そこで鹿地の方の取調べが困難になつて来ているのであります。三橋の方だけ調べる、そうして結論に入られるということは、私としては不服であります。さようなことは、アメリカ政府が故意かどうか知らぬが、そして日本の国警が、これも故意かどうかわからぬが、とにかくスパイ事件、非国民という印象を与えるような報道を今までやつておられる。鹿地は当委員会に対してその点についての釈明を徹底的にやる用意をしておりまして、今調査をしております。きよう私が申し上げました大阪裁判所の事実も私は調査したのですが、徹底的にこれは当委員会に明らかにしていただきたい。これは将来にわたりまして、大切なことだと思つて調査しているのですが、今鹿地の調べができずに、一方的に三橋だけをここに呼んで、そうしてあの自供書をつきつけて調べられて、はたして公正なことが出るか、どうか。私はそうい意味におきましても、これは真実といたすべきにあらずと思う。三橋が出る際に、最も興味あることは、これはアメリカの諜報機関との打合せの上で出たということが、先ごろ朝日新聞にも出ておりました。それはある事実も私どもはわかつております。これは私どもは信用しませんけれども、国警長官もその会合に出ておつたという報告があるのです。こんなことを私は信用しませんし、先ほどもだから申しませんでした。さような点がもし明らかにできるならば、これは実に有利だと思いますけれども、おそらく三橋なる者は完全にアメリカのスパイになつておる人物であると思う。そういうようなことは委員会に出ても言わぬと考えますし、また言わしめないように取巻きがやると思います。その意味において、結局へんぱな印象を皆さんに与えたまま結論を出すことがあると思います。私はそういう意味において賛成いたしかねるので、この程度でもう決心をして、各党の意見を徴して、結論の草案にかかるべきものじやないかと思う。
  174. 木下郁

    ○木下(郁)委員 私が三橋を呼べと言うのは、鹿地にスパイの事実があつたかなかつたかを三橋にはつきりさせることが主じやないのです。鹿地氏はここに出ていまして、あの一昨年の十一月二十五日の七時ころ、自分の療養の日課としての散歩をしておつた。それでたまたまつかまつたと言つておる。それが今日出た自供調書その他からすると、散歩でなくして、レポであつたのじやないかと思われる節がある。だからその点については、アメリカの方を調べる必要はなくて、関係者の一番かんじんな人の三橋が手近かにおり、これを調べることもそうやつかいなことじやない。身柄もつかまえておるのですから、その点をはつきりさせれば、委員各位の判断で鹿地氏の過日の主張に信憑力ありやいなやが明らかになる。そういう点がかんじんなんです。さような意味で私は三橋を呼ぶべきだと思う。電波法違反で有罪なりというような結論は、この委員会において出す必要は毛頭ある筋でも何でもないのです。そんなことは私は希望しておりません。ただアメリカに最初に逮捕を受けて、占領中だらそれは仕方がないのだと頭からシャッポを脱ぐ必要はない。それにも相当の根拠があつたものなりやいなやということを判断する。四月二十八日以後に――これは私の私見ですが、アメリカの黒星です。そのときちよつと手続しておけば何でもなかつたのを、助平根性があつて、鹿地氏をまた自分の方の陣営に使おうかというようなばかな考えがあり、鹿地氏もまたそこで応ずるがごとくして身の安全をはかつたのじやないか。これはもう私の感じです。さようなことを突き詰めて、そこで鹿地氏がこうだということを結論を出すのではありません。ただ逮捕について、相当アメリカの方で逮捕する気持になる根拠があつたかどうかということと、鹿地氏の供述を信憑するのは非常にはつきりした問題が一つ出ておる。それは逮捕当時の状況です。この点は、その当時から病人であばら骨の七本も切つているという人が、夜は一番用心しなければならぬのに、そのときたまたま散歩しておつて、そしてぽつとつかまつた。これは酔いどれのアメリカのLPがつかまえたというのなら問題はありませんが、相当の人数が逮捕監禁したということもわかつておる。だから私はその監禁の事実については疑いを持つておりません。私ばかりでなく、皆さんもそうではないかと思います。しかしそのいきさつについて、三橋を呼べばすぐはつきりすることなんだから、ぜひ三橋を呼んでもらいたい。それとさつき申しましたように、アメリカに対していわば反省を与える。言葉はちよつと強過ぎるかもしれませんが、実際はそうです。アメリカの立場を明らかにし、日本の民主化をほんとうにアメリカが助けるつもりなら、これにこそ協力しなければならぬ。またアメリカの民衆も、アメリカの言論機関も、きよう発表されたような回答で、それで日本に対しては、あいさつが済んだというような気持があるかどうかということを私は知りたい。知つた上で結論を出したいという気持があるからであります。
  175. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 今の木下君の御意見は、私は非常に重大だと思う。はつきりした証人がある、それが目の前にあるから、それを調べろとおつしやる。私どもは鹿地の自供書なり三橋なり、これに対して疑いを持つておるのです。こういうロボットを置いてかかつたのじやないかということです。これはほかの調査からも出て来ている。あなたに三橋を呼べばそこがわかるという自信がおありなら、それはお呼びになつてもいい。それはわかりませんよ。三橋が出て来て言うことはきまつている。もうすでに国警に対しても、検察庁に対しても言つている。しかしそのことを、これはもう証人が目の先にいるというような頭でお調べになつて、しかもそれで鹿地の信憑力を確かめるということになれば、もし三橋の言うことを真実なり――あのときは鹿地のほかにはだれもいない。自分は散歩中につかまつた。しかしレポの最中につかまつた、こう三橋が言つて、それが正しいということになつたら、不法監禁せられたと称することも、これはもうみな疑うということになつて来ます。そうすると保護を受けたか。少くとも六月十日までは山田なる者がいましたが、それ以後はだれもいない。鹿地の言を信ずるかどうかということにかかつて来ておる。しかるにそのつかまつた当時、レポをやつている最中につかまつたかどうかということは、徹底的な、根本的な問題です。それを調べることによつて鹿地の信静力を考えるなんという意気込みで調べるならば、私ははなはだ遺憾千万だ。その点は、ほかのことを言うのじやない、その点だけだとあなたは言うが、その点がこの際ポイントなんです。鹿地がレポをやつておるのかどうか。そのレポをやつておつた際につかまつたのかどうかということが中心的なんです。それを三橋を引出すことによつて、それに対する真否をお確かめになろうとすれば、私はここに非常に危険性が出て来ると思う。不公平になつて来ると思う。鹿地は対決できない状態にある。そしてわれわれから言うならば、この男は国家警察あるいはアメリカの機関のロボットです。こういう男をこの委員会へ呼んで来て、そうしてアメリカさんやあるいは国警のお好みのような証言をさせることによつて、はたしてわれわれが真理を発見したとして結論に入つていいのかどうか、私はそこにはなはだ疑問が出て来る。そうしてしかも最も大事なポイントについても、信憑力を確かめるのだということになつて、もし三橋の言うことが正しいというような――そういう自供書もありますし、それに合せるような三橋の証言が出て、それが合せて一本になつて鹿地の言うことはうそだということになつたら、不法監禁問題はみなくずれます。私はそういう考えはいかぬと思う。それで真実をどうしても発見するには、スパイについては、もつとアメリカの特務機関のやり方、そうしてこの鹿地のような事案というものに対して、もつと広くあらゆる方面の調査をしてからからなければいかぬ。私どもは人権事件調査会というものを、日本弁護士連合会初め、自由人権協会、あるいは文化人の会、そういう団体の代表者をもつてつくりまして、これには人権擁護議員連盟の方々も参加していただいている。そして広く人権事件について今調査しておりますから、そういう材料が出たときに広くこれを検討すると、鹿地の言うことが正しいのであるか、アメリカ側の言うのが正しいのであるかという、大体のアウトラインがつかめるのじやないか。ただ、今この自供書を中心にして、それを裏書きしているような三橋をつかまえて来て、そしてどうだ、こういうことだけで、この鹿地の言の信憑力を考えるというような立場でおやりになるということは、私としては忍びないことです。このスパイ問題は、さようなことで真実を発見できる状態じやありません。もつとかすに時日をもつてしなければいけないです。国警長官が鹿地が関係したということを発表するのが早過ぎたと言つておるのも、そこから来ておるのです。私は今三橋を調べることによつて真相がわかるとは絶対思つておりません。もう少しかすに時日をもつてし、いろいろ材料が出て来たときに、総合的に判断しないと出て来ません。それで結論はなかなか簡単に出て来ないのですから、これは後ほどの研究問題として、この際は一応不法監禁事件だけの結論を出されてはどうかという主張と私はしているわけです。
  176. 木下郁

    ○木下(郁)委員 私自身は、三橋の言うことは全部信ずべきものだなどということは毛頭考えておりません。相当信じられない男だと考えております。またアメリカの監禁の点も、あわてまわつて沖繩まで連れて行つて、また連れて来る、その事実だけを見ても、われわれの常識で、大体アメリカが頼まれて連れて行つたのであつて、やましいところがなければ、そんなばかなことをするはずはないというぐらいな見当はつきます。委員はそのくらいのことは十分事実の真相を見抜くだけの経験と識見を持つておる。ただ先ほど言うた、散歩であつたか、レポであつたか。それからきようの発表の中にも、いかにも三橋がその当時逮捕されたことを鹿地氏が知つておつたかのようにも、自供調書に出ている。その自供調書も、この通り書けと言われて、ただ引写しをしたというのなら、これは問題は別です。しかし戦争中に反戦同盟を結成してあれだけの仕事をやつた人、あれだけの過去の経歴を持つておる人が、なんぼ何でも自供調書のあれだけの長いものを書いておる。それは言われるがままに書いたものだということは、私は信じ得ないのであります。さような意味で自分だけが監禁されたと、この前のときには自供しておる。ところがきようの調書を見れば、自分たちという言葉がある。いずれ三橋と一緒だろうと思う。そういうような事実、三橋が来たということも、私は全部信用してかかつてはおりません。諜報機関なんかのやることはどの程度のものか、たいてい見当はつきます。けれども、三橋がここにおるのです。アメリカの大使館に頼んで来てもらうというならやつかいだけれども、三橋がおるのだから、ひとつ呼んで、三橋の証言の中に信ずべきものがあればとるし、なんぼ本人が言つても、信憑力のないものならば、はね返せばいいのです。ただわれわれの判断する材料を一つ加えるという意味で三橋を呼んでもらいたいということを私は言うのであります。
  177. 後藤義隆

    ○後藤委員 これは三橋の刑事事件全部を調べなければはつきりしたことはわかりませんが、ただこの事件でこういうことがちよつと感じられるのです。前回調べた鹿地の言つておるところによりますと、三橋正雄という者は知らないといういうなことを鹿地は言つておつた。ところが本日出しました縦書きの中に、三橋と云々というようなことが書いてあつて、そして三橋というものが現在実在しておつて、戸籍謄本なんか見ても間違いがないというのですから、これはやはり私たちが今まで刑事事件を取扱つた感じからいたしますと、三橋と鹿地とは何らかの関連があつたものであるということだけは、私は推測ができる、こういうふうに考えておる。しかしそれと同時に、今度は木下委員の言われるように、いや病気療養のために散歩中に逮捕されたのでなしに、三橋との間に連絡をとつておるときに、レポ中に逮捕されたのだということに、かりになつても、あとの不法監禁というものが全部うそだという結論にはならないと思う。逮捕された当時のことがかりに間違つておつて、うそがあつたとしても、あとの不法監禁というのとは全然別個なものだというふうに考えるから、私はしいて三橋を――調べれば調べてもいいけれども、調べなくても、この程度でいいのじやないかと思いますことと、それから猪俣委員の言われるのには、現在の状態でもつて、もうすぐ結論を出せというお話ですが、しかしそうは行かない。やはりアメリカの大使館から参りましたあの回答は、私たちまだ十分に了解のできないものがあるから、それであれについていま少し私たちが考えて、委員長なりあるいは理事の人たちが、外務省にまかせずに、今度は法務委員会として、こういう点を調べてもらいたい、回答を求めたいということを、こちらの方から案をつくつて、外務省の方に提出して、外務省を経て回答を求めたらどうか、こういうふうに考えます。
  178. 大川光三

    ○大川委員 猪俣さんのお話もございますが、私は大体木下さんと同じような意見を持つておるのでありまして、本日出ました自白手記というものと、今日までの鹿地氏の当委員会における証言とは、まつたく相反しておる。そこでこの自白手記は、自分意思に基かないものである、意識薄弱の間に無理やりに書かされた、従つてそれには責任は負えないのだというその鹿地氏の言を全部信用してしまつて、自白手記というものを証拠の上から抹殺するかるどうかということについては、そう軽々は判断できない。木下氏も言われましたが、この五十八ページにもわた手記というものが、全然本人の意思に基いてないのだ、なかんずく重点である、いわゆるスパイのレポをやつたかどうかというその点も、この文書全体を考えてみますと、相当本人の自由意思によつて書かれたというような考えも起りますので、私どもはこの自白手記に責任が持てないという鹿地氏の当委員会における証言を信ずるかどうかという点では、相当ジレンマに陥らざるを得ないのでございまして、こういう意味からいたしましても、われわれは将来呼ばれるであろうこの三橋正雄の証言というものは、全面的に信用するとかしないとかいうものじやなくして、この手記を認められるか認められないかという心証の上からも、三橋をお呼び願う必要があろうか、かように私は考えておるのであります。
  179. 後藤義隆

    ○後藤委員 くどいようですが、私はこういうふうに考えます。手記の中には、信ずべきところもあれば、信じられないところもあると思います。そこでもつて手記はまだ詳細には見ておりませんが、手記の中に、自分はアメリカの方に保護を頼んだんだということが明らかに書いてある。そしてアメリカの方が自分を保護してくれて非常に感謝しておるというふうな意味のことが書いてある。そこまで調べる必要がある。しかしそうでなくて、スパイをやつたかどうかということが手記の中では重点ですが――スパイをやつてもやらなくても、私は大した問題ではないと思う。私の感じからいたしますと、スパイに全然関係がないというふうにはちよつと考えられない。幾らか関係があつたのじやないかというふうに考えられるのですけれども、これは非常に、余談ですが、スパイの嫌疑があつたとしても、しかしこれはさつきから申しますように、不法監禁というものとは全然関係がないのだから、そういうふうに考えます。
  180. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 ちよつと速記をやめて。     〔速記中止〕
  181. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 これは速記をとつてください。
  182. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 向う側の証人が、外務省のあつせんによつて呼ばれるものかどうか。それからこれは田方君からも意見が出ているが、呼ばれるならばそれを呼んでから私は結論を出していただきたい。  それからいま一つは、これは後藤委員の意見で私も賛成したのですが、それが呼ばれないならば、当法務委員会から向うの大使館に対して質問書を出す。これを外務省があつせんして、当法務委員会に対して、向うから答弁をしてもらえるかどうか。これは外務省の意見もお聞きくださつて、それができたならば、それの後に結論を出していただいてもいいのじやないか。
  183. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 猪俣さんの意見も、松岡さんの動議も同種類のものとして一括いたします。  今の松岡、猪俣両君の動議に対して、法規上当委員会において証人を喚問することができるかどうか、なお当委員会にそれができないとすれば、当委員会から回答を求めるための質問書を、外務省を通じて相手国に出すことを提起した場合は、これを外務省は取次いでやつてくれることができるかどうか、この発問をいたしまして、それに対して欧米局長から、法規の点は条約局長と協議して追つて回答する、それから取次については、これは正式に国会の委員会から出れば外務省は取次ぐことにやぶさかでない、この答えでありました。ただいまの動議に対しましては土屋欧米局長から今のような御答弁がございましたので、委員会といたしましては外務省に意見を聞いた上で、この動議の採決をいたすことにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 ではさようはからいます。  他に発言がありませんか。――発言がなければこれにて秘密会を閉じます。     〔午後六時十六分秘密会を終る〕      ――――◇―――――
  185. 田嶋好文

    ○田嶋委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は追つて公報をもつてお知らせいたします。     午後六時十七分散会