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1952-05-14 第13回国会 衆議院 労働委員会 12号 公式Web版

  1. 昭和二十七年五月十四日(水曜日)     午前十一時七分開議  出席委員    委員長 島田 末信君    理事 倉石 忠雄君 理事 福永 健司君    理事 船越  弘君 理事 森山 欽司君    理事 前田 種男君       麻生太賀吉君    天野 公義君       金原 舜二君    三浦寅之助君       柳澤 義男君    熊本 虎三君       柄澤登志子君    中原 健次君  出席国務大臣         労 働 大 臣 吉武 惠市君  出席政府委員         労働事務官         (労政局長)  賀來才二郎君         労働基準監督         官         (労働基準局         長)      龜井  光君  委員外の出席者         專  門  員 横大路俊一君     ――――――――――――― 四月二十八日  委員大西正男君辞任につき、その補欠として川  崎秀二君が議長の指名で委員に選任された。 五月二日  委員前田種男君辞任につき、その補欠として鈴  木義男君が議長の指名で委員に選任された。 同月六日  委員鈴木義男君辞任につき、その補欠として前  田種男君が議長の指名で委員に選任された。 同月七日  委員青野武一君辞任につき、その補欠として上  林與市郎君が議長の指名で委員に選任された。 同月十四日  委員稻葉修君辞任につき、その補欠として井出  一太郎君が議長の指名で委員に選任された。 同日  前田種男君が理事に補欠当選した。     ――――――――――――― 五月十日  労働関係調整法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第二二〇号)  労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出  第二二一号)  地方公営企業労働関係法案(内閣提出第二二二  号) 同月一日  失業対策事業労務者賃金の引上げ等に関する請  願(苫米地英俊君紹介)(第二四六〇号) 同月七日  失業対策の確立強化並びに日雇労務者の待遇改  善に関する請願(大村清一君外六名紹介)(第  二五六六号) の審査を本委員会に付託された。 四月二十八日  労働諸法規改正に関する陳情書(佐賀県小城郡  東多久村議会議長木下広)(第一六〇二号)  同(冨山県労働組合評議会議長岡本義久)(第  一六〇三号) 五月七日  労働諸法規改正に関する陳情書(全国町村議会  議長会長齊藤邦雄外一名)(第一六九七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員の補欠選任  公聴会開会承認要求に関する件  労働関係調整法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第二二〇号)  労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出  第二二一号)  地方公営企業労働関係法案(内閣提出第二二二  号)     ―――――――――――――
  2. 島田末信

    ○島田委員長 これより会議を開きます。  日程に入ります前にお諮りいたしますが、去る二日理事前田種男君が一旦委員を辞任されておりますので、ただいま理事及び港湾労働に関する小委員がいずれも一名欠員となつております。この際理事及び小委員の補欠選任を行わねばなりませんが、これは前例により委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島田末信

    ○島田委員長 御異議なしと認めます。それでは前田種男君を再び理事及び港湾労働に関する小委員に指名いたします。     ―――――――――――――
  4. 島田末信

    ○島田委員長 これより本委員会に付託されました労働関係調整法等の一部を改正する法律案、内閣提出第二二〇号、労働基準法の一部を改正する法律案、内閣提出第二二一号、地方公営企業労働関係法案、内閣提出第二二二号を議題として審査に入ります。政府より提案理由の説明を求めます。吉武労働大臣。
  5. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 ただいま議題となりました労働関係調整法等の一部を改正する法律案、地方公営企業労働関係法案及び労働基準法の一部を改正する法律案につきまして、一括してその提案の理由を御説明申し上げます。  終戦以後、占領下においてわが国の労働立法は、労働組合法、労働関係調整法、労働基準法、公共企業体労働関係法等が順次制定整備せられ、戦前に比べまして飛躍的な発展を遂げたのであります。これらの労働立法により労働者の利益は擁護せられ、その福祉は増進し、またわが国の民主化の促進に貢献したことは至大であつたのであります。さらにこのことはわが国の国際的信用を高めまして、日本経済の再建に寄與することもまた甚大であつたのであります。  今日占領が終結して、国民待望の独立を迎えた後でございますが、かかる労働立法の基本原則は、労働行政の根幹としてこれを堅持すべきものであることは申すまでもございません。しかしながら労働法規の具体的内容につきましては、そのときどきの情勢に応じて適切に改善すべきものであることはこれまた当然でございまして「特にこれら労働法規は、すべて連合国最高司令部の強い勧告と指導のもとに立案せられ、かつその施行におきましても常に最高司令部の協力と指導のもとに運営されたものであります。従つてその具体的内容においては、必ずしもわが国の実情に適切でないものも含まれていたことは御承知の通りであります。また特に占領終結後において総司令部の援助と協力がなくなつたときにおいて、産業平和を維持し、労働生産性を高め、もつて日本経済再建のための不可欠の基盤を築く上において、現在の労働法規がはたして十分であるかどうかと申しますと、必ずしも欠くるところなしとも言いがたいのであります。しかも今後わが国が独立国家として国際間に伍して行くためには、経済の自立が何よりも必要でございます。その経済自立のためには、労使双方の自発的、積極的な協力が不可欠なのでございます。かかる点より現行労働法規を見ますならば、そこにはかなり再検討の余地があると考えられるのであります。  すなわち一方においては勤労者大衆が安んじて自発的に経済再建に協力するために、労働者の権利をあとう限り保障し、その福祉増進をはかることが必要でありますと同時に、わが国の実情に即してその労働生産性を発揮し得る態勢を整えることが目下の急務なのであります。また他方において経済自立を妨げるごとき結果を生ずる労使間の紛争はできるだけこれを防止し、万一国民生活に重大な損害を及ぼす大規模な争議行為の勃発するごときことがありますれば、合理的な機関によつて合理的な解決を平和的にはかる方途を講じ、もつて産業平和を確保することが肝要なのであります。  かかる見地よりいたしますならば、現行の労働法規につきましては、これを率直に再検討いたし、改めるべき点についてはすみやかにこれを改めるべきであると考えるのであります。すでに昨年夏、いわゆる政令諮問委員会よりもこの趣旨によりある程度具体的な意見が政府に答申せられ、来労働法規改正の問題について各方面より種々の意見が開陳せられて来たのであります。政府におきましては、これらの意見を率直に受け入れて研究いたすとともに、特に問題の重要性にかんがみ、労働組合法その他の労働関係法規につきましては、特に設けられた労働関係法令審議委員会に、また労働基準法につきましては同法により設けられている労働基準審議会に諮問いたしたのでありまして、これらの委員会は昨年秋以来、約半歳にわたつて鋭意議を練り、本年三月それぞれ改正に関する答申がなされたのであります。政府においては爾来この答申を愼重に検討して参つたのでありますが、労使公益の三者よりなるこれら委員会の民主的な討議の結果は、これをできる限り尊重すべきものでありまして、かつ今回の問題についてはおおむね妥当と考えられますので、労働関係法規については、全員一致を見た答申はほとんど全部これをいれ、また答申されるに至らなかつた事項については、公益委員の意見を尊重して、おおむねこれに沿つて改正を立案するごとといたしたのであります。また労働基準法につきましては、全員一致のもとに答申された事項を全面的に受入れ、これに沿つて改正を立案いたしたものであります。以下各法案の大綱につき順次御説明申し上げます。第一に労働関係調整法等の一部を改正する法律案につき申し上げます。  本法案は労働関係に関する三法律、すなわち労働関係調整法、公共企業体労働関係法、労働組合法の三法の改正案を、内容が相互関連いたしますので便宜一本の法律案にまとめたものであります。  まず労働関係調整法について申し上げますと、公益事業の労働争議またはこれに準ずる大規模もしくは特別の性質の事業に関するものであるために公益に著しい障害を及ぼす労働争議については、これを放置すれば国民生活に重大な損害を及ぼす場合には、労働大臣が緊急調整の決定をなし得ることとし、その間五十日間争議を行うことなく中央労働委員会の調停、実情調査その他の手続により、これが平和的解決をはからんとしたものであります。また公益事業の争議については、従来三十日の冷却期間が定められていたのでありますが、その制度が本来の趣旨を没却せられ、ことに争議権獲得のみのために労働委員会に調停を申請し、そのため冷却期間による平和的解決の実効を上げなかつたきらいがあつたので、今回かかる弊を矯め、冷却期間をしてその本来の趣旨に帰らしめるため、当事者の事前の自主的交渉が著しく不十分のときは、労働委員会は調停の申請を却下できることとし、この場合には冷却期間は進行しないこととし、あわせて冷却期間は従来の三十日を縮めて十五日といたしたのであります。  以上の二点は、労働関係法令審議委員会の公益委員の意見を取入れたものであります。労調法関係では以上のほか、委員会の答申に基いて、労働争議の調停、仲裁を行わせるため特別調整委員制度を設けること、あつせん員と労働委員会の委員の兼職禁止を廃すること、及び労働委員会による労働争議の仲裁は仲裁委員会を設けて行うことを規定いたしております。  次に公共企業体労働関係法につき申上げますと、従来占領下においては、国家公務員は御承知のごとくすべて団体交渉権を認められていなかつたのであります。このことは公務員が国民全体に対する奉仕著たることから当然やむを得ないことではあつたのでありますが、公務員のうちでも郵政その他の現業公務員につきましては、その業務の性格、実態が一般の行政事務とは著しく相違いたし、むしろ国鉄等の公共企業体に近い点もありますので、これらについては例外的に団体交渉権を認めることといたしたのであります。この点については労働関係法令審議委員会の公益委員の意見もありますので、政府としては許される限り労働者の権利を認めたいという立場から、公共企業体労働関係法を改正して、郵政、印刷、造幣、営林、アルコール専売の現業の職員には、今回公共企業体に切りかえられた電通職員とともにこれに同法を適用することとし、これら現業公務員にもおおむね国鉄、専売に準ずる取扱いをいたすように規定したのであります。なお公労法関係につきましては、右のほか行政簡素化の建前から、従来国鉄、専売につき別々にあつた調停委員会を一本の公共企業体等調停委員会に統合し、これに新たにあつせんを行うことを認め、また組合規約、不当労働行為等につき労働組合法との重複を整理し、団体交渉事項の表現を明確化する等、所要の技術的改正を規定しております。  次に労働組合法関係につきましては、労働関係法令審議委員会の答申をほとんど全面的に取入れ、その意見をできるだけ尊重いたしまして、不当労働行為について実体及び手続規定を整備し、労働委員会の証人喚問権を明記し、労働組合の資格審査を実情に適合せしめ、労働協約について成立要件及び期間に関する規定を整備し、及び地方労働委員会の委員の数について事務の繁閑に応じ差異を設けることといたしております。  第二に地方公営企業労働関係法案について申上げます。  本法案は、その趣旨においてはおおむね現業の国家公務員に関する公労法の改正と同様であります。すなわち占領下にあつて昭和二十王年政令第二百一号により団体交渉を許されておりませんでした地方公務員のうち、公営企業に従事する者について、現業国家公務員に対すると同様の趣旨から、これに準じて団体交渉権を認めようとするものであります。従つてその取扱いの内容もおおむね国の現業公務員に準ずるものであります。ただ地方公営企業の場合は、その規模が地方的なものであるために、交渉単位制度はこれをとらないこととし、またあつせん、調停、仲裁は別に特別の機関を設けず、地方労働委員会をしてこれに当らしめることとし、さらに條例、規則と協定との関係を規定していること等が主要なる相違点であります。  第三に労働基準法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。本法案は労働基準審議会における全会一致の答申をその内容において妥当なものと認め、これに全面的によつたものであります。  すなわちその内容につきましては、第一は、手続を簡素化し、あるいはこれを労使の自主的協定にゆだねようとするものであります。  すなわち貯蓄金管理や技能者養成の認可を届出に改め、危険有害でない仮設建設物の設置届を廃止し、また貯蓄金管理、賃金の一部控除あるいは有給休暇の賃金につき、労使協定の制度を取入れたのがこれであります。  第二は、女子の時間外労働の制限並びに深夜禁止に多少の修正を加え、十六歳以上の年少男子につき坑内作業の技能養成を認めることといたしたことであります。前者につきましては、従来法律実施にあたり決算期における業務、エアガールの勤務等につき、実情に即して所要の改正をすることといたしたのであります。また坑内作業にも技能養成を認めることといたしましたのは、世界各国の例にならい、鉱山における労働者の技能の向上と災害の減少をはかろうとするものであります。  第三には、従来労働某準行政は、とかく法律輝反を是正するという消極行政にとどまりがちでありましたが、労働基準法の目的達成のため、国の援助義務を規定し、労使に対してサービス活動を行うことを明文化したのであります。  以上三法案について提案の理由を御説明申し上げた次第でありますが、以上によつても明らかなことく、これら法案はすべて各方面の意見を広く聞き、最も愼重かつ民主的な検討と手続を経て作成、提案いたしたものでありまして、講和後の労働行政上必要不可欠な内容のものであります。またこれにより政府が不当に労働者の権利を制限するのでもないことは申すまでもなく、国家公共の福祉とともに労働者の権利をも十分に尊貢するものであります。何とぞ御審議の上すみやかに可決せられんことをお願い申し上げます。
  6. 島田末信

    ○島田委員長 次に補足説明を求めます。賀來労政局長。
  7. 賀來才二郎

    ○賀來政府委員 私から改正案のおもな内容に従つて、主要な点について御説明を申し上げたいと思います。  この労働関係調整法等の一部を改正する法律案は三條から成つておりまして、その構成は、第一條は労働関係調整法の一部改正、第二條が公共企業体労働関係法の一部改正、第三條が労働組合法の一部改正ということになつております。それに附則として経過規定がついておるのであります。  労働関係調整法の一部を改正いたしまするおもな趣旨は、労働関係調整法については、独立後の経済自立のために不可欠な産業平和の維持及び労使関係の安定のためには、現行の労調法の規定では必ずしも十分ではございませんので、労働関係法令審議委員会の答申及びその公益委員の意見を取入れまして、国民生活に重大な損害を與える労働争議につきまして、合理的な機関により合理的な解決をはかるとともに、公益事業についてその平和的解決を促進する方途を講じまして、かつあつせん、調停、仲裁のための組織、手続等に関して、実情に適した改正を行おうとするものであります。  そのおもな点を申し上げますと、第一は労働争議の調停、仲裁に参與させますために、特別調整委員の制度を労働委員会に置いたこと。第二はあつせん員の補助と労働委員会の委員の兼職禁止を廃したこと。第三は公益について冷却期間を十五日に短縮いたすとともに、調停申請については、当事者間の事前の自主的交渉が不十分でありますときは申請を却下することができることとしたこと。第四は労働委員会によります労働争議の仲裁は、仲裁委員会を設けて行うこととしたこと。第五は公益事業または大規模もしくは特別の性質の事業に関するものでありますために、公益に著しい障害を及ぼす労働争議につきましては、放置すれば国民経済に重大な障害を與えるようなときには、労働大臣が五十日間の緊急調整の決定をなし得ることといたした等であります。この第一、第二、第四は労働関係法令審議委員会の全員一致の答申によつたものでありますが、第三、第五はおおむねその公益委員の意見によつたものであります。  まずおもな條文について逐次申し上げますと、第八條に追加をいたしておりまするが、この要旨は、中央労働委員会及び地方労働委員会に、労働争議の調停または仲裁に参與させるために特別調整委員制度を置きまして、労働委員会の労働争議調整機能の強化をはかつたのであります。従来労働委員会の労働争議の調整につきましては、その労働争議の実情について専門的な知識を有する者が調整に当り、適切かつ迅速な解決を期待されておるのでありますが、現行の調停委員会制度におきましては、労働委員自身が当つておりまして、それがために複雑多岐な各産業についての知識を有する人があまり出ていなかつたために、どうしても現行法において欠点がありましたので、現行法における臨時委員制度の欠陷を補いまして、特別調整委員の制度を置いたのであります。  次に労働委員会におきましては、従来冷却期間三十日とありましたものを十五日に短縮いたしますとともに、従来この冷却期間につきましては、どうも双方の交渉がうまくまとまらない、あるいは煮詰まらない先にとにかく争議権を得ようといたしまして、この冷却期間制度が運用された傾向がございましたので、その欠点を防止いたしますために、まだ双方の交渉が煮詰まつていないときには、却下することができるということいたしますとともに、冷却期間を十五日に縮めたのであります。  次に仲裁委員の制度を設けましたのは、従来の規定によりますと、仲裁委員会は三者の全員によつて構成されておつたのであります。しかしながらこれでは実際に動きがとれませんので、今度は特に全員の中から仲裁委員会を設けることによりまして、その仲裁委員は公益委員の中から選定をされる。これはもちろん両者の意見を聞いて定めるのでありまするが、もし意見が合致しないときは、委員会会長が指名いたしまして、労使の委員はこの仲裁委員会に出て意見を述べることができるというようにいたした点であります。  次には緊急調整の制度を設けたのでありますが、この緊急調整につきましては、労働者が労働争議権を行使するにつきましても、公益の福祉を著しく阻害することは許されないのであります。従つてこの決定によつてある程度労働者の行動が制限されることはやむを得ないところでありますが、いかなる労働争議が国民生活に重大なる損害を與えるものであり、緊急調整の決定をなすべきかの判断は、労働行政の担当の責任者たる労働大臣が具体的な事例について判断するわけでありまして、緊急調整の決定がありましてから公表がなされますと、関係当事者は第三十八條の規定によりまして、公表のあつた日から五十日間争議行為を禁止され、中央労働委員会はあつせん、調停、任意仲裁あるいは事件の調査、その結果の公表あるいは必要と認める措置につきましての勧告等を行うのでありまして、これがためには中央労働委員会は全機能をあげて最大限の努力を盡さなければならないとともに、あらゆる事件について優先取扱いをしなければならないというふうにいたしておるのであります。  大体労調法関係につきましてはこのような点がおもな点でありますが、三十九條、四十條の規定におきまして、従来の罰則を改めておるのであります。公益事業に関する冷却期間中の争議行為の禁止につきましては、三十七條の規定によつて違反する行為に罰則が規定されておりましたが、今度の改正におきましては現行の十万円から各個人に三万円を科することにいたしておるのであります。すなわち争議行為をなした者について三万円を科する。それから緊急調整の決定があつて、その争議行為が禁止されましたときに、これに違反した者については五万円以下の罰金に処することといたしたのであります。その点が従来の規定と異なつて来ている点であります。  次に公共企業体労働関係法について改正されましたおもな点を申し上げますと、公共企業体労働関係法は公共企業体である日本国有鉄道及び日本専売公社の職員に関する労働関係を規律いたしまして、これに団結権、団体交渉権を認める法律でありますが、今回の改正の主要な眼目は、新たに公共企業体となりました日本電信電話公社に関しましても同法を適用することといたしますとともに、国家公務員ではありますが、その従事する業務の内容が、国営の企業である点において公共企業体に一脈相通ずるものがあるというもの、すなわち営林、印刷、造幣、アルコール専売あるいは郵政等に対しまして、その従業員にこれらの法律を適用することといたしたのであります。これらはいわゆる現業公務員と申しましても、もとより国家公務員でありまする関係から、国民全体に対する奉仕の義務を負うておるのでありますが、その業務の内容よりいたしまして、例外的にこれらのものに団体交渉権を認めましても、さほど弊害は予想されないのみならず、むしろ実情に適する点があると考えられますので、今回これらの職員の労働関係につきましては公共企業体労働関係法を改正いたし、法律の名称も公共企業体等労働関係法といたしまして、おおむね公共企業体に準ずる取扱いをいたしたのであります。  なお本條におきましては、右のほかに行政機構簡素化の建前からいたしまして、従来各公共企業体ごとにありました調停委員会を一本に統合いたしまして、公共企業体等調停委員会ということにいたし、労働組合法との関係を調整いたしまして、不当労働行為、組合規約等に関する重複する規定を整理したこと、新たに明文上あつせんの制度を認めたこと、団体交渉の範囲についての規定の表現を明確にしたこと、公共企業体労働関係法の施行に関する法律と本法との関係を整理すること等、その他若干の改正をいたしておるのであります。  次に労働組合法の一部改正でございますが、労働組合法は昭和二十一年から施行せられまして、昭和二十四年に全文改正が行われたのであります。労働関係法規の基本法をなすものでありますが、この規定の細部の点につきましては、占領下の立法であつたゆえもありまして、わが国の実情に沿わない点も若干はあつたのであります。また施行以来今日まで通計七年を経ておりまして、改正いたしましてからもなお三年を経ております。この間の運用の実情から見まして改善すべき点も多々出て参りましたので、本案におきましては、これらの点につき労働関係法令審議委員会の答申に基いて、当面必要とせられる限度の改正を行わんとするものであります。  その具体的な内容は、第一は労働組合の資格審査は調停、あつせん、仲裁の場合についてのみこれを行うべきことにいたしました。第二は不当労働行為の審査または労働争議の調整中の発言等を理由とする不利益取扱いに関する不当労働行為を、労調法から労組法の中に入れて参つたのであります。第三は労働協約は記名押印をもつても成立するものといたしました。第四は労働協約の期間は最長三年とし、期間の定めのない協約の解散については、定の予告期間を置くことにいたしたのであります。第五は不当労働行為の申立期間には一定の制限を付しました。第六は労働委員会の証人喚問権を明記し、証人には費用の弁償をなす等をきめたのであります。このうち第二、第三、第四、第六項につきましては労働関係法令審議委員会の全員一致の答申によるものでありまして、第一及び第五につきましては全員一致の答申には至らなかつたものとして報告された事項でありますが、討議の過程を参酌して取入れたのでございます。  地方公営企業労働関係法案でございますが、この法律の目的とするところは、地方公共団体の経営する企業に従事しますいわゆる現業の地方公務員に対しまして団結権、団体交渉権を認めるとともに、これと地方公共団体及びその経営する企業の公共性とを調和させまして、相まつて地方公共団体の住民の福祉増進に寄與せんとするものであります。これらの企業に従事する職員といえども、もとより地方公務員たるに相違ないのであります。従つてその住民全体に対する奉仕着たる地位にかわりないのでありますが、一面この従事する業務は、いわゆる行政権限とは一応切り離されておりまして、一時行政事務とは異なつたものであつて、国におきまする国鉄、専売等の公共企業体にむしろ近いものであります。従つて一般の地方公務員とこれらの企業職員とはおのずからある程度取扱いにおいて異なることはやむを得ないところであります。現に昭和二十五年に制定されました地方公務員法におきましても、その附則第二十項において、これら地方公営企業については地方公務員法をそのまま適用せず、将来別個の立法がなされることが予定されておつたのであります。本法案は同項の規定を受けまして、すでに今国会に提案せられておりまするところの地方公営企業法案と相まちまして、これら企業の上特殊性に相応いたしまして、かつ住民の福祉に最も貢献するように法上の取扱いを整備せんとするものであります。  本法案の内容は、地方公営企業の職員の労働関係につきましては、原則として労働組合法、労働関係調整法によることといたしまして、組合組織、団体交渉等につきまして若干の特例を設けますとともに、争議行為はこれを禁止することといたしまして、調停及び仲裁の制度を整備して、職員の利益と住民の福祉擁護との調和をはかつているのでありまして、この取扱いはおおむね公共企業体に準ずるものでありまするが、交渉単位制度を設けていないこと、あつせん、調停、仲裁は労働委員会をして行わしめることにして、いること、及び條例、規則と協定との関係を規定していること等が、公共企業体労働関係法等と異なつておる点であります。  以上、主要な点につきまして御説明申し上げた次第であります。
  8. 島田末信

    ○島田委員長 覇井労働基準局長。
  9. 龜井光

    ○龜井政府委員 労働基準法の一部を改正する法律案の内容につきまして御説明申し上げます。全文十六條にわたる改正でございますが、そのいずれも中央労働基準審議会において労使公三者全員一致した結果、労働大臣に提出されました答申をそのまま法文化したものでございます。  まず第十八條は、現行法においては使用者が労働者の貯蓄金を管理します場合には、行政官庁の認可を受けなければならないことになつておるのであります。この問題につきまして、今度の改正法案においては、労使の協定がございました場合におきましては、行政官庁に届出によつてこれを処理することができるように、手続の簡素化をはかつたのであります。しかしながら認可制度を届出制度に改めましたことによつて起ると考えられまするいろいろな弊害を考慮いたしまして、これに対します措置を規定をいたしました。たとえば中止の命令をいたしますとか、あるいはこの貯蓄金に対します利子につきまして、一定の率を下るものにつきましては、それを一定の率まで引上げる。あるいは返還の請求がありました場合には、ただちに返還する義務を使用者に命ずる。あるいはこれらの義務に違反した場合におきまする罰則を設けるというふうな、認可制を届出制にすることによつて起るであろう弊害を除去いたしまして、手続の簡素化に資したわけであります。  第二十四條は、現行法においては賃金の一部を控除し、あるいは現物で賃金を給與する場合においては、法令または労働協約のある場合に限定されるわけであります。ところが労働組合のない場合、あるいは労働組合がありましても、労働協約が結べないというふうな場合においても、賃金の一部控除、たとえば購買組合から物品を購買しまして、その代金を賃金から差引く、あるいは共済組合の掛金を賃金から控除するというふうなことは、事実上必要な場合があるわけであります。そこでこの賃金の一部控除につきましては、労使の協定がありました場合におきましては、これを認めようということにいたしたのでございます。しかしながら現物給與につきましては、労働者の賃金が不当に搾取されたり、あるいは不必要な現物を強制的に押上つけられるというふうな危険がございますので、現物給與につきましては現行法通り、法令または労働協約のある場合にのみ限定することにいたしたのでございます。  次は第三十三條の改正でございます。これは現行法においては、災害その他避けることのできない事由のある場合においては、使用者は労働者を労働時間の延長によつて使用することができる規定になつておりますが、今回の改正においては、労働時間の延長のほかに、休日における労働も認めようとするものでございます。これは風水害、火災、地震、急病人の発生等、公益上または人命保護の上において臨時緊急を要する場合においては、單に労働時間の延長のみならず、休日においても労働させる必要がある場合が生ずるのでございます。この問題は、国際労働條約においても認められておるところでございます。また現に国有鉄道法の第三十三條においても、これらの休日労働を認められておるのであります。従いまして今回これらの点にかんがみまして、非常災害の場合における休日労働も認めようという趣旨の改正でございます。  第三十九條の改正は、年次有給休暇に対して支払われまする賃金の計算につきまして、現行法は平均賃金によつてこれを算定することになつておるのであります。ところが平均賃金の算定方法は、技術的に事務的に非常に複雑な結果になりますので、この手続の簡素化が必要であることは、かねがね要望されていたところでございます。しかも有給休暇に支払われます賃金は、災害補償等の場合と違いまして、損害賠償という意味ではなくして、労働者に対します慰労的な意味でございますので、平均賃金による正確な計算をしなくてもよいのではないか、また国際労働條約におきましても、通常の報酬または団体協約で定める金額というふうな規定もございまして、そういう趣旨からこれを平均賃金または所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金でもよろしい。どちらでも就業規則で定めました場合には、使用者の事務的な便宜のために簡易な方法をとることができるということを認めたのであります。さらに手続の簡素化から申しますと、健康保険法で採用しております標準報酬日額をとつて参りますのが最も簡單でございますが、標準報酬日額は、実際の賃金より下まわる場合があるわけであります。従いましてこの場合におきましては、労使の協定がある場合においては、この最も簡単な標準報酬日額を採用してもよろしいというふうな改正をいたすのでございます。  次は第五十四條でございますが、現行法においては、使用者は、常時十人以上の労働者を就業させる事業、そのほか命令で定める危険な事業または衛生上有害な事業の建設物あるいは設備等につきましては、これを建てます場合には、工事の着手十四日前に行政官庁に届け出なければならないという規定がございます。しかしながらこれらのものでありましても、仮設の建設物または設備でありまして、危険、有害でないもの、たとえば仮の宿営所、仮の倉庫、便所というふうなものにつきましても、一々青寫真をつけまして十四日前までに届出をしますことは、非常に事務の煩項をきわめるわけでございますから、これらの事項につきましては、届出をこの際廃止するという改正でございます。  第五十六條は、現行法においては最低年齢が十五歳でございますが、満十四歳以上の児童でございましても、義務教育の課程を終えた者につきましては、同様に最低年齢の制限を受けないという趣旨の規定がございますが、この満十五歳以下、満十四歳以上という年齢の制限は、六・三制を施行されております現在の義務教育の課程から申しますと、これに合致する兒薫はいないのでございます。従つてこれは従来空文になつていたのでございますが、今回の改正におきましては、條文を整理する意味で、この点の削除をいたす改正をいたしておる次第でございます。  次に第六十條は、同様の趣旨で、五十六條の改正に伴いまする形式的な改正でございます。  次は六十一條の改正でございますが、現在女子の労働時間の延長につきましては、一日について二時間、一週について六時間、一年について百五十時間という制限がございます。この場合において、一週に六時間でございますから、一週間で三日間は時間の延長が認められておるのでございます。ところが決算のような特別に事務の忙しくなります時期におきましては、二時間ずつ三日間の延長では、とうてい事務処理ができない。そうかといつて、年に一回か二回行われます決算期のために、職員を平素から置いておくことも、能率の上から適当でない。またそういう時期に、臨時に職員を雇い入れましても、平素の事務になれておりませんので、これまた能率が上らないという趣旨から、これに対する改正の要望があつたわけでございまして、この点に関する国際條約におきましても、このほかにいろいろの場合に時間延長の例外を認めておりまするので、その点から勘案いたしましても、二週間において十二時間だけ延ばすことは、何ら国際的な労働條件の水準を低下させるものではないという見地から、これを改正することにいたしたのでございます。その結果、二週間の間に六日間は続けて毎日二時間づつの時間延長が認められる。そういたしますと、大体決算期におきます繁忙な事務の処理にはさしつかえないのではなかろうか、またその制限も決算のためというふうな特殊な制限をいたしまして、そのほかの一般的な場合の時間延長は認めないことといたしております。  第六十二條は、女子の深夜業に対するごく特殊な場合の例外措置でございます。女子の業務の中で、たとえばエア・ガール、あるいは女の寄宿舎の寮母と申しますか、そういうもの、あるいは寄宿舎のまかないというようなものは、午後十時過ぎにおきましてもその業務に従事する必要が生ずる場合が多いのでございます。従いましてそういうごく特殊な業種につきまして、例外的に深夜業の業務を認めようという趣旨でございまして、その場合におきましても、中央労働基準審議会の議を経て命令で定める業種にこれを限定いたします。中央労働基準審議会は、御承知のように労働者の代表も出ておりまして、この議を経てというふうにかたくこれを縛りまして、労働者の意見が十分反映されるようにいたしましてその業種の選定をいたしたい、かように思うのでございます。  第七十條は、技能者の養成でございまして、現在の法律におきましては、満十八歳未満の男子は坑内において労働することが禁止されておるのでございます。しかしながら技能者養成の目的のためでございまするならば、年齢をある程度引下げてもよいのではないか。これは一つには従来の実績から見まして、技能養成をしたその経験を経た労働者は、他の労働者に比べまして災害が非常に少いのであります。また生産の能率が非常に上つておるのでございます。また賃金の面から申しましても、非常に有利な條件を持つておるのでございます。これらの事柄から勘案をいたしまして、国際労働條約におきましてもこれらの点は認められております。諸外国の例にならいましても、これらのことは現在行われておる事柄でございますので、今回の改正におきまして満十六歳以上満十八歳未満の技能者養成のための坑内つ作業を認める。しかしながら、これにつきましては、いろいろの弊害の伴うことが考えられます。従いましていかなる條件のもとにおいてこの技能者養成というものを認めて行くかという問題につきましては、近く専門審議会を設置いたしましてそこ抗内におけるいろいろな條件、坑内作業に伴ういろいろな弊害を除去するための條件を定めまして、その條件に合致するもののみを認可制度によつて認めて行こうというふうな、非常な制限のわくをかけましてこれを認めたい、かように思つております。たとえば坑内の作業時間をごく制限する、あるいは高温高潔の坑内における作業を禁止する、あるいは珪肺のおそれのある作業場における作業を禁止するというふうないろいろな條件をつけまして、この問題を取扱いたいと考えておるのでございます。  七十一條は、従来技能者養成は認可制でございましたが、これも手続の簡素化の趣旨からいたしまして、危険有害でない業務についての技能養成につきましては、届出にすることにいたしました。但し認可制を届出制にすることによつて起るであろう弊害を除去するために、中止命令を出し得る素地をつくり、あるいは罰則の規定も設けたのであります。また危険有害な業務についての技能者養成につきましては、従来通り認可制度を引続き存続させる趣旨でございます。  百五條の二は新しく設けられました規定でございまして、従来基準行政が消極的な監督行政一本でございましたのを、積極的なサービス面をこの法律によつて義務づけ、あるいは根拠づけて行こうという趣旨でございまして、労働大臣または都道府県労働基準局長はこの法律の目的を達成するために、労働者及び使用者に対しまして資料の提供その他必要な援助をしなければならないという規定を新たに設けたのであります。  以下百十四條、百十九條、百二十條は事務的な改正あるいは罰則の改正等でございまして、特別御説明はいらないかと思います。     ―――――――――――――
  10. 島田末信

    ○島田委員長 次に三法案の審査のための公聴会開会承認要求の件についてお諮りいたします。  これら三法案につきましては一般的関心が強く、またきわめて重要な法案であると思われますので、各派委員各位におかれましても三案の審査のために公聴会を開くことを希望せられておられるのでありますが、公聴会を開こうとするときは、衆議院規則第七十七條によりまして、あらかじめ議長の承認を得なければならないことになつておりまして、公聴会を開こうとする問題を定めた上で諸般の手続をとる順序になつております。つきましては公聴会開会承認要求書を提出いたさねばなりませんが、公聴会を開こうとする議案につきましては労働関係調整法等の一部を改正する法律案、内閣提出第二二〇号、労働基準法の一部を改正する法律案、内閣提出第二二一号及び地方公営企業労働関係法案、内閣提出第二二二号といたし、意見を聞こうとする問題につきましては労働関係調整法等の一部を改正する法律案、労働基準法の一部を改正する法律案及び地方公営企業労働関係法案についてといたしたいと存じますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 島田末信

    ○島田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  次会は明日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午前十一時五十八分散会