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1952-04-03 第13回国会 衆議院 行政監察特別委員会 17号 公式Web版

  1. 昭和二十七年四月三日(木曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 大泉 寛三君 理事 鍛冶 良作君    理事 高木 松吉君 理事 田渕 光一君    理事 福田 喜東君 理事 小松 勇次君    理事 佐竹 新市君       天野 公義君    押谷 富三君       黒澤富次郎君    志田 義信君       高倉 定助君    藤田 義光君       井上 良二君    竹村奈良一君  委員外の出席者         証     人         (引揚援護庁第         二復員局残務処         理部長)    初見盈五郎君         証     人         (西日本海事工         業株式会社社         長)      武岡  賢君         証     人         (引揚援護庁長         官)      木村忠二郎君         証     人         (大蔵事務次         官)      舟山 正吉君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  沈没戦艦「陸奥」艦体中に眠る英霊二千余柱の  行政処置に関する件     ―――――――――――――
  2. 内藤隆

    ○内藤委員長 会議を開きます。  沈没戦艦陸奥艦体中に眠る英霊二千余柱の行政処置に関する件の取扱いにつきましては、過日の委員会におきまして、委員長に御一任を願つたことになつておりましたが、理事諸君と協議いたしまして、本件に関して本日引揚援護庁第二復員局残務処理部長初見盈五郎君、西日本海事工業株式会社社長武岡賢君、引揚援護庁長官木村忠二郎君、大蔵事務次官舟山正吉君、以上四名の諸君にそれぞれ本委員会に出頭を求める手続をいたしておいたのでありまするが、以上の諸君を本委員会の証人として決定いたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内藤隆

    ○内藤委員長 御異議なきものと認めます。それではさよう決定いたしました。  これより沈没戦艦陸奥の艦体中に眠る英霊二千余柱の行政処置に関する件について、調査を進めます。ただいまお見えになつておる方は初見盈五郎君ですな。
  4. 初見盈五郎

    ○初見証人 さようです。
  5. 内藤隆

    ○内藤委員長 あらかじめ文書をもつて御承知の通り、本日正式の証人として証言を求むることに決定いたしましたから、さよう御了承ください。  これより沈没戦艦陸奥艦体中に眠る英霊二千余柱の行政処置に関する件について証言を求むることになりまするが、証言を求むる前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一応このことを御承知になつていただきたいと思います。  なお証人が公務員として知り得た事実が、職務上の祕密に関するものであるときは、その旨をお申出を願いたいと存じます。  では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人初見盈五郎君朗読〕    宣 誓 書   良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います
  6. 内藤隆

    ○内藤委員長 それでは宣誓書に署名捺印を願います。     〔証人宣誓書に署名捺印〕
  7. 内藤隆

    ○内藤委員長 これより証言を求める  ことになりますが、証言は証言を求められた範囲を超えないこと、また御発言の際にはその都度委員長の許可を得て答えるようお願いいたします。なお  こちらから証言を求めるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人初見盈五郎君は現在第二復員局残務処理部長をしておられますね。
  8. 初見盈五郎

    ○初見証人 しております。
  9. 内藤隆

    ○内藤委員長 いつから現職におつきになりましたか。簡単でよろしゆうございます。
  10. 初見盈五郎

    ○初見証人 二十五年の八月からであります。
  11. 内藤隆

    ○内藤委員長 旧海軍沈没艦船中に、艦船とともにある英霊に関する処理その他の事項は、あなたの所管でありますか。
  12. 初見盈五郎

    ○初見証人 遺体の処理は私の所管であります。
  13. 内藤隆

    ○内藤委員長 艦船の中に眠つておる遺体の処理だけですね。
  14. 初見盈五郎

    ○初見証人 そうです。
  15. 内藤隆

    ○内藤委員長 現に領海中に、または領海外に沈没中の艦船とこれが英霊の推定数、その他について調査したことがありますか。
  16. 初見盈五郎

    ○初見証人 調査したことがあります。
  17. 内藤隆

    ○内藤委員長 それではその調査の結果をお述べを願いたい。
  18. 初見盈五郎

    ○初見証人 引揚げ可能と思われるものは徴用船も合せて約百十隻ございます。その中には二万体近くの遺体が残されておるものと思つております。
  19. 内藤隆

    ○内藤委員長 それは艦船というか御用船、そういうものが加わつておるんですね。
  20. 初見盈五郎

    ○初見証人 御用船で徴用して、実際は国の所有になつておらなかつた船で、沈没して全損補償をしたために国の帰属に属したというものも加えております。
  21. 内藤隆

    ○内藤委員長 推定の英霊は約二万体……。
  22. 初見盈五郎

    ○初見証人 約二万体でございます。
  23. 内藤隆

    ○内藤委員長 英霊の引揚げ及びその慰霊並びにその遺族に対しては、現在どういう処置をとつておられますか。
  24. 初見盈五郎

    ○初見証人 遺体は、これをあくまで収容をしまして遺族に伝達するということは、これは根本の考え方といたしまして丁重にやつて来ておりますが、艦船が沈没しておる場合、一々それをこちらで遺体だけを引揚げてお渡しすることは、なかなか困難な問題でありますので、船体を引揚げるというような作業が行われます際に、すかさず連絡をとりまして、遺体を第一に揚げてもらつて、その氏名のわかります者は遺族に伝達をする。そうして長い間にだれの遺体であるか判別のつかないものは収容して荼毘に付した上、各地方の復員局の残務処理部に保管をさしております。
  25. 内藤隆

    ○内藤委員長 その引揚げました遺体、英霊ですね。大部分は氏名等は判明しますか。
  26. 初見盈五郎

    ○初見証人 非常にこれはむずかしいのでありまして、氏名がわかりますのは特殊の場合だけであります。たとえば糧食庫の中に遺体があつた。それが一体だけという場合には、くつもしくは被服の一部分――海軍においてはみな服その他に各自の氏名、兵籍、番号等を詳細に書かすことになつておりますので、そういうものが残つておりました際には、これはだれそれのだということははつきりわかりますが、そういう場合のほかはまず氏名のわかるという場合は非常に少いことになつております。
  27. 内藤隆

    ○内藤委員長 その引揚げた英霊中、遺族が判明しておる場合は、その遺族に英霊を引渡す、しかし判明せぬ場合には一体それはどうするのですか。
  28. 初見盈五郎

    ○初見証人 判明しない場合には、これは場合によりますと、たれのものであつてもよいから分骨をほしいという遺族に対してはむろん伝達の手続をいたしますけれども、そういう申出がないのに、こちらから積極的にお渡しするということはできませんので、復員局でもつて今保管をさせておるのであります。
  29. 内藤隆

    ○内藤委員長 復員局で保管するというのは、何か復員局でそういう保管する設備がありますか。
  30. 初見盈五郎

    ○初見証人 英霊室というものをみな設備しておりまして、常に焼香し得るようにしております。また私どもが行きましても必ず英霊室にはいつでも御焼香するような設備ができております。
  31. 内藤隆

    ○内藤委員長 本委員会におきまして、先般来旧戦艦陸奥に関する不正事件の調査中、同艦体内にまだ英霊が二千余柱未処理のままであることが判明したのでありますが、これはまことにどうも英霊に対しまして、われわれは何と申しますか、心から申訳ないという気持がわき起りまして、当委員会は期せずしてこの問題を、この国有財産管理事件の問題以外の、一つの派生問題として取上げることになつたのでありますが、あなたはこういう事実を御承知でありますか。
  32. 初見盈五郎

    ○初見証人 二千体まだ残つておるということについては実に意外な感をいたしております。大体陸奥の乗員は千三百人のところへ、ちようど戦争中練習生が学校を卒業するとすぐ艦隊に配乗させるというようなことから、当時二百名の予科練が来たばかりであります。それで大体千五百人おつたわけであります。そのうち生存しました者が三百五十名ございます。戦死の殉職者は艦長以下千百四十四名であります。それで沈没後約一箇月にわたりまして遺体捜索を行いまして、百六十五柱を収容いたしました。それで九百七十九柱の遺体が残されておつたのでありますが、昭和二十四年から昨年の三月までの間に、西日本海事工業株式会社の手で引揚げられた遺体は百八十五柱であります。従つて七百九十四柱の遺体が未収容でありまして、大部分は艦内に残つておるのではないか、こういうふうに考えております。
  33. 内藤隆

    ○内藤委員長 二千余柱ということは、当委員会のある証人がここで述べたところから出ておるので、今あなたのおつしやつた数が確実に近いものではないかと思われまするが、その沈没当時の乗組員の官職、氏名、人員等は、あなたの方で判明しておりますか。
  34. 初見盈五郎

    ○初見証人 殉職者の氏名は全部整理してございます。あとの生存者も大体においてわかると思いますが、殉職者ははつきりわかつております。
  35. 内藤隆

    ○内藤委員長 その官職あるいは氏名等書いたものをそこへお持ちですか。
  36. 初見盈五郎

    ○初見証人 殉職者の方は持つて来ております。
  37. 内藤隆

    ○内藤委員長 これは証人にちよつと願つておきますが、資料としてそれを当委員会に提出してくれませんか。
  38. 初見盈五郎

    ○初見証人 写しでよろしゆうございますか。
  39. 内藤隆

    ○内藤委員長 よろしゆうございます。
  40. 初見盈五郎

    ○初見証人 承知しました。
  41. 内藤隆

    ○内藤委員長 そうすると、殉職されて現在まだ艦底に眠つておられると推定される数が七百四十柱ほどですか。
  42. 初見盈五郎

    ○初見証人 七百九十四柱です。
  43. 内藤隆

    ○内藤委員長 この引揚げました英霊の遺族は判明いたしましたか。
  44. 初見盈五郎

    ○初見証人 名前のわかりますのはありませんので、今地方復員残務処理部でみな保管をさせております。
  45. 内藤隆

    ○内藤委員長 そうすると、引揚げられたのは百六十五柱ですか。
  46. 初見盈五郎

    ○初見証人 百八十五柱です。
  47. 内藤隆

    ○内藤委員長 その他にまた引揚げたもの等を加えまして、ほとんどもう官職あるいは氏名等はわからないのですな。
  48. 初見盈五郎

    ○初見証人 前の百六十五柱というのは、当時沈没後一箇月間にわたつて収容したものでありますから、これはみな伝達済みであります。
  49. 内藤隆

    ○内藤委員長 あとの百八十五柱というものが判明しないのですか。
  50. 初見盈五郎

    ○初見証人 さようです。
  51. 内藤隆

    ○内藤委員長 軍艦陸奥の搭載物件の引揚げについて、所管庁から英霊の処理について何らか照会を受けたことがありますか。たとえば建設省あるいは山口県等からこの搭載物件を引揚げることについて、その軍艦陸奥の中には英霊がある。これに対してどうすればいいのかというような照会でもあつたのですか。
  52. 初見盈五郎

    ○初見証人 この問題は、搭載物件を引揚げるということも全然私どもは承知していなかつたのであります。建設大臣から、陸奥の搭載物件を引揚げるについて日本政府に返還してほしいということを連合軍の最高司令官に願いを出しております。その許可があつた際に、初めてそのことを知りまして、私の方では建設省の方へ、これには遺体があるから、その遺体の処理について丁重にこれを取扱つてほしい、そうして収容したものはこちらにお引渡しを願いたいというような照会をいたしまして、建設省では山口県知事にそのことを言つてやつております。その結果、山口県知事と西日本海事工業株式会社の社長と私どもの方の地方機関であります呉復員残務処理部長と三者でもつて遺骨取扱いに関する協定をつくつた、こういう経過をたどつております。
  53. 内藤隆

    ○内藤委員長 所管庁である建設省または山口県からはそういう照会がなかつたけれども、あなたの方からそういう許可があつたということを聞くなり、この方面に向つて照会をした、こういうわけなんですか。
  54. 初見盈五郎

    ○初見証人 そうであります。あるいはその中間において向うから打合せの照会でもあつたかもしれませんけれども、大筋はただいま申し上げた通りであります。
  55. 内藤隆

    ○内藤委員長 そこであなたの方ではその協定をやつた、こういうことですね。
  56. 初見盈五郎

    ○初見証人 さようです。
  57. 内藤隆

    ○内藤委員長 その協定の内容をここにお持ちでありますか。
  58. 初見盈五郎

    ○初見証人 協定の写しを持つております。
  59. 内藤隆

    ○内藤委員長 読んでください。
  60. 初見盈五郎

    ○初見証人 読みます。   旧軍艦陸奥に搭載の物件引揚作業に伴う遺骸処理について協定覚書  昭和二十三年十一月九日附建設省発第三号を以て建設大臣が極東海軍司令官に申請し許可せられた旧軍艦陸奥に搭載してある物件の引揚に伴う元海軍軍人軍属の遺骸の処理について物件の引揚並びに処分の実施監督者山口県知事(以下山口県という)、作業を直接実施するサルベージ業者西日本海事工業株式会社社長(以下業者という)及び遺骸の処理を担当する引揚援護庁復員局呉地方復員残務処理部長(以下呉処理部という)は以下記載の通り協定し覚書を交換する  一、山口県は業者に本作業に伴う元海軍軍人軍属の遺骸は叮重に収容し呉処理部に引渡たさせる  二、業者は常に呉処理部と密接な連絡を保ち遺骸は次のように処理する   (イ)各遺骸は着衣その他によつて氏名を究明し所在位置等を記    録して遺骸個々の状況を明にする   (ロ) 遺骸は個人別に(全然氏名も判別しないものは合体して差支えない)収容して納棺し現地警察機関の検視をうける   (ハ) 前号の処理終了のものは基地附近の寺院に委託して安置又は仮埋葬しその旨呉処理部へ連絡する   (ニ) 現地に於ける運搬其の他諸便宜を能う限り供与する  三、呉処理部は業者と密接な連絡を保ち次のように処理する   (イ) 遺骸の氏名の究明資料として遭難者の名簿を業者に貸与する   (ロ) 呉処理部は時機を見計い現地に職員を派遣して業者から遺骸を受取り氏名を再確認して夫々荼毘に附し遺骸は横須賀地方復員残務処理部へ移管する   (ハ) 現地で業者の調達した棺代は負担する  右協定する   昭和二十四年六月十七日    山口県知事指定当務者    山口県世話係長 福井 義介    引揚援護庁呉地方復員残務処理部長 鹿江  隆    西日本海事工業株式会社       代表社員 田中 恒治 終ります。
  61. 内藤隆

    ○内藤委員長 その協定によりまして引揚げられた英霊の処置につきまして、何か経費でもあなたの方でお出しになりましたか。
  62. 初見盈五郎

    ○初見証人 出しております。
  63. 内藤隆

    ○内藤委員長 どういうことに出しておりますか。
  64. 初見盈五郎

    ○初見証人 これは最初から業者に対して一体当り幾らというふうな契約はこれにはありません。といいますのは、英霊に対するものですから、丁重に取扱つてしかるべきだという感じを期せずして双方とも持つておつたものと私は認めます。従つて実費が幾らかかつたということに対する考慮はむしろ私の方から払つて、そうして向うに謝礼をするというように取扱うのが遺体に対する取扱いとして最もいい方法であるというような感じから、大体一体引揚げたことに対しましては謝礼という意味で先方に差上げるということで処理して来ております。
  65. 内藤隆

    ○内藤委員長 一体どれほどの謝礼を出されましたか。
  66. 初見盈五郎

    ○初見証人 陸奥は謝礼ばかりではなく、そのほか復員局側で、荼毘に付する費用等を加えまして二十六万九千円、これだけ支出しております。
  67. 内藤隆

    ○内藤委員長 二十五年十月以降も謝礼を出しておりますか。
  68. 初見盈五郎

    ○初見証人 これは資料を持つて参りませんですが、昨年の……。
  69. 内藤隆

    ○内藤委員長 現在の社長は武岡某という人ですが、この人になつてからは謝礼が出ていないようですね。
  70. 初見盈五郎

    ○初見証人 多分出ておらぬと思います。三代社長がかわつておりますから……。
  71. 内藤隆

    ○内藤委員長 陸奥の搭載物件引揚げの際多量な火薬を使用したことを御承知でありますか。
  72. 初見盈五郎

    ○初見証人 搭載物件を引揚げるという目的からは、そういう多量の火薬を使用する必要があるかどうかということについて、私は非常に疑問に思つております。従つて火薬を使つたかどうかということまでは、そう頭にはつきり残つておりません。
  73. 内藤隆

    ○内藤委員長 当委員会で調べました証人の証言で、武岡社長も山口県当局も、約三トンの火薬を出しておる事実が明らかになつた。ところが実際はその程度じやない。十トン、十五トンというような驚くべき多量の火薬を使つておるということが事務局の調査によつて判明しておるのですが、あなたはそういうことを御承知なかつたか。
  74. 初見盈五郎

    ○初見証人 それは知りません。御承知のように軍艦の中は何か物を出すについても、場所が普通の入口からでは遠いですから、その存在場所に近いところに穴を明けて持出し口をつけるため、若干の火薬を使つたであろうということは私は予想しておりましたけれども、さほどの火薬を使うということは夢想だにいたしません。
  75. 内藤隆

    ○内藤委員長 事実はそういう多量の火薬を使用して、搭載物件と称して認可以外のものを引出しておることがもう明らかになつておる。そこであなたはそういうことを想像しなかつたとおつしやるが、ただいま委員長の申し上げたことから出発して、そういう火薬を使用した場合に、英霊に損傷を及ぼしたということを想像できませんか。
  76. 初見盈五郎

    ○初見証人 場所によつては非常に損傷を来したということは想像されます。
  77. 内藤隆

    ○内藤委員長 そこであなたのさいぜんの証言によると、火薬の使用なんということは考えていなかつたから、勢いさような指示、注意等を促したことはないわけですね。
  78. 初見盈五郎

    ○初見証人 これは私の方からはむろんそういう注意はしておりません。またそういう――これは発言は控えましよう。
  79. 内藤隆

    ○内藤委員長 ただいまのあなたの読み上げられた協定書の中にも火薬に関することは一つも書いてないですね。
  80. 初見盈五郎

    ○初見証人 ありません。
  81. 内藤隆

    ○内藤委員長 それから想像しても、あなたの方では火薬を使用してまで搭載物件を出すということを想像していなかつたことがよくわかる。しかしながら事実は多量の火薬を使用して、そこに眠つておられる尊き英霊を損傷しておることは、これはもうわれわれは想像するにかたくないのであります。あなたはそういう協定に基いて、引揚げ作業をやつておる現場へ係官を派遣したことがありますか。
  82. 初見盈五郎

    ○初見証人 係官は、これは呉作業場との連絡、それから遺骸の引取りということは、あの現場方面を管轄しております呉地方復員残務処理部長が責任者になつておりますので、すべて呉をしてやらしておりましたので、呉からは現場へ再三連絡に行つております。
  83. 内藤隆

    ○内藤委員長 そういう報告はあなたの方にありましたか。
  84. 初見盈五郎

    ○初見証人 ありました。
  85. 内藤隆

    ○内藤委員長 現にあなたの証言によりますと、七百九十四柱という英霊がいまだそこに眠つておるという事実がここで発見されましたが、この英霊を一体あなたはいつまでこのままに置くお考えですか。
  86. 初見盈五郎

    ○初見証人 これは全般的の考え方でありますけれども、海底に――これは陸奥ばかりの問題でございませんので、陸奥は大体水深が四十メートルのところでございます。その他も相当深いところにあるわけなんでありますが、そのほか潮流その他の関係もありますし、単独に遺体だけを引揚げるという作業をいたしますことは、非常な莫大な経費を伴うことでありますことは御想像はできると思うのであります。この予算措置をして全部をやるということになりますと、たいへんな金額に上つて参ります。そこでこれは、日本政府が自主的に、鉄くずの利用とかいう方面の見地から、この沈没艦船を引揚げて、それを利用するというような国の方針が決定し、そういう作業を国自体が始めるというような時期に至るまでは、遺骸のみを目標にして引揚げるということはとうてい困難である、常に心に思いながらも、それが実現に対してははなはだ遠いことである、申訳ないことではありますけれども、今ただちにやるというわけには行かないものであるというように考えておりますので、もし国家がその沈没船体の払下げをやるというようなことがあれば、すかさずその契約の条項にも、遺骸処理についてはこういうふうにするという条項をつけ加えてもらつて、そうして遺体の収容を進めて行くという方針で今まで進んで来ておりますので、その七百九十四体の遺体がまだ残つておるからということは承知しておりながら、それをただちに引揚げて処置をするということまでに、私の考えはまだまとまつておりません。
  87. 内藤隆

    ○内藤委員長 ともかくも、考え方によりましては、この沈没艦船はそこに幾柱かの必ず英霊が眠つておられる一種の共同墓地のような感じもするのであります。そういう共同墓地のようなところへ、単に物質がほしいために心なき業者を入れて、そうして墓をあばくような行動、またそういう作業の方針等があるとするならば、これは国民感情の上にまことに私は重大な問題たと考えざるを得ない、こういう意味において、ともかくも引揚げる際には、その引揚げの協定なり契約の中に、まず第一にこの英霊に対する処置がなければならぬ。しかるに山口県、西日本海事との契約書なんかを見ると、英霊に関することはただの一条も書いてない。まことにどうもあの契約書を見るときに、われわれは心から英霊のために涙なきあたわざるものがあつた。この点において、将来あなたは、たとえばこの証言によりますると二万柱、百十隻からの艦船がまだ日本の領海内に沈んでおる。これをいずれは引揚げなければならぬということになるでしようが、さような際には、引揚げ作業条件と申しまするか、契約書と申しまするか、その中には、まずこの英霊の処理を第一に書かなければならぬということを、ひとつあなたの立場においてお考えを願つておきたい。
  88. 初見盈五郎

    ○初見証人 ただいま委員長から御注意がございました点は、まつたく私その通りと存じます。陸奥の遺体引揚げは、沈没艦船のうちで遺体引揚をやりました第二回目でございます。それで陸奥の引揚げの中途においても、遺体の処理につきまして相当ごたごた途中でしたこともありますので、その後におきましては、極東軍総司令部の了解を得まして、沈没艦船の引揚げ解体の場合には、払い下げ契約にこういう条項を入れてもらうことにしております。発見した遺体は丁重に収容して最寄りの復員官署に引渡すことという一条項を加える手続をとりました。これはむろん極東軍司令部には、遺体の収容とかいうようなことは一々許可をと  つてやることになつておりましたが、総括的に契約の条項にこういう一項を差入れるということの措置をとつて、爾今ずつとそれでやつて来ております。ちよつと申し上げておきます。
  89. 内藤隆

    ○内藤委員長 他に御質問はありませんか。
  90. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 軍艦陸奥は、戦争中はこの船がどこで沈んだということを一切発言してはならぬということで、この軍艦陸奥の沈んだ付近の島民は、当時憲兵隊に拉致されて、断じてこの付近で船が沈んだということを言つてはならぬということで口どめをされた。爾来付近の島民は、今日に至つても陸奥のことは言わないということで、これが慣習になつておつたようであります。そこで私の聞きたいことは、この軍艦陸奥が岩国沖において沈没しておる、ということが、復員局にわかつたのはいつごろでありますか。
  91. 初見盈五郎

    ○初見証人 復員局にわかりましたのは、つまりこれは海軍省から引継いで復員省になり、復員庁となり、ただいまの引揚援護庁の第二復員局残務処理部というように、ずつと引継いで来ておりますので、あそこで沈んだということは、現在の復員局といたしましては初めから知つておつたというわけなのであります。
  92. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 そうしますと、この軍艦陸奥から揚つた御遺体を遺族の人に届けたときに、軍艦陸奥はすでに南方の戦闘において沈んでいたということで、御遺骨が遺族の人に届けられておつたというようなことを聞いておるのでありますが、あなたはその事実を知つておりますか。
  93. 初見盈五郎

    ○初見証人 あるいはそういうものがあつたかとも思います。
  94. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 海軍からずつと今日来ておるのであり、陸奥が沈んで、陸奥の乗組員はあなたの方でわかつておつた、そのわかつておるもの、南方の戦闘にも行つていないのに、なぜそういうことで遺骨を届けたのであるか、その点を伺いたい。
  95. 初見盈五郎

    ○初見証人 当時の戦況の影響と思いますが、あの陸奥が沈んだというようなことは、日本の海軍の戦力に非常に大きな影響のあることでありますから、一般国民の戦意を高揚しておる最中に、陸奥が沈んだというようなことを発表いたしますことについての非常な考慮があつたために、南方において戦死したというようなとりはからいを海軍省がした、こういうふうに考えます。
  96. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 いかに当時の日本の海軍の志気に関することとはいいながら、この戦死されたものを、当時の海軍が遺家族に対して、南方において戦闘したということで、虚偽の遺骨を渡しておるということは、これはいかにしても、当時のいわゆる戦争をやつたところの責任者が、こういう御遺体御遺骨の取扱いをしておるということが、他にも多くあつたとするならば、戦死されたあるいは殉職された人の遺家族がどういう気持でおられるか、あなたはどのようにお考えになりますか。
  97. 初見盈五郎

    ○初見証人 陸奥以外については、私は全然存じておりません。なかつたろうと思いますけれども、これは今の御質問のありました通り、遺族の方にとりましては非常に遺憾の考えをお持ちだろうということは、よく想像されますので、私は海軍のあとしまつをしております責任者として、まことに申訳なかつたというように今考えております。
  98. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 そうすると、これは海軍の方から、戦時中に遺族の方に御遺骨を渡したのであるか、それとも終戦後に渡したのであるか。それから大体どのくらい南方の戦闘で死なれたといつて渡したのであるか、あなたおわかりになれば知らしていただきたい。
  99. 初見盈五郎

    ○初見証人 記録によりますと、艦隊司令部付ということで五、大和百九十五、武蔵二百二十九、長門二百七、扶桑二百九十、山城百九十五というような内訳になつております。
  100. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 そうすると、陸奥の戦死者の遺家族に対して、南方の戦闘で死んだというので御遺骨を渡したのは、どのくらいになつておりますか、その数を……。
  101. 初見盈五郎

    ○初見証人 陸奥ということでお渡ししたものは、記録にはないことになつております。
  102. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 そうしますと、西日本海事の社長の証言では、約二千体ぐらい、こう言つておりまするが、あなたの御証言によりますると、七百九十四体、こういうようになつておりますが、海軍の当時からの発表に誤差があつたために、これをいまさら発表することも何か遺族に対して申訳がないということで、そこの数字が違つておるのではないかと思いますが、その点どうですか。
  103. 初見盈五郎

    ○初見証人 数字は違つておらないわけであります。これは前に遺骨をお渡しするということにつきましては、遺骸の揚がらないものに対しては、あるいは船の一片であるとか、あるいは何か残つた物がありましたならばその物をやるということで、つまり英霊をお渡しするという形式をとつておりますので、実骨をお渡しするかどうかというのとは、これは少し内容は違つておる場合がありますので、この数字についての誤差というものは、私はないように思います。
  104. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 それではその点はその程度にしておきまして、次にお尋ねしたいのは、呉の近海におきまして、二、三年前より引揚げておりまするところの軍艦榛名、伊勢、青葉、日向――日向は最近浮き上つたというように発表されておりますが、これらにありましたところの御遺体はどのくらいあつたでありましようか。
  105. 初見盈五郎

    ○初見証人 榛名は九体、それから伊勢も九体、日向は五十七体、青葉が九体でございます。
  106. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 この九体、九体、五十七体、九体というような、各沈没艦の御遺体は、どういう御処理をされておりますか、これを伺いたい。
  107. 初見盈五郎

    ○初見証人 これは数が非常に少い。港内におりましたところを爆撃でやられておりますので、こういう際は陸奥の爆沈というような際と違いまして、いよいよいけないというときは皆退避を命じますから、従つて全部退避をしていますので、戦死者が非常に少いのでございます。大体だれとだれということはわかつておりますので、その分骨を――数が少いものですから分骨を、遺族におわけをしておるわけであります。
  108. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 そうしますと、全部その御遺体の遺家族の人は、届けた氏名がわかつておりますかどうですか。御遺体の氏名がわかつて、その遺家族の方へ皆届けておるのでありますかどうですか。
  109. 初見盈五郎

    ○初見証人 今ここに全部名簿は持つて来ておりませんが、わかつておると私は思つております。その殉職者の氏名はわかつておりますから。
  110. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 その御遺体を遺家族の人にお届けになつたのはどこの何人であるかということを、本委員会に参考までに資料を出していただきたいと思います。
  111. 初見盈五郎

    ○初見証人 承知いたしました。
  112. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 そこで軍艦陸奥のいわゆる殉職者の御遺体がそのままあるのを、海軍が他の遺骨を遺家族に渡しておつた当時の海軍大臣並びにこれの責任者はどういう人であるか、あなたお名前を御存じですか。遺家族に御遺骨をお届けしたその当時の海軍のいわゆる責任者、海軍大臣、これらの責任者の名前を御存じでありますかどうですか。御存じなれば委員長の手元まで御報告願います。
  113. 内藤隆

    ○内藤委員長 記憶があればここで言つてください。
  114. 初見盈五郎

    ○初見証人 記憶がありません。
  115. 内藤隆

    ○内藤委員長 それではお調べの上、委員長あてに出してください。
  116. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 証人に二、三お尋ねしますが、あなたはさつきの証言の中に、あなたの所管事務は遺体のみということをおつしやられましたが、これは海軍の軍人軍属の遺体のみということですか。
  117. 初見盈五郎

    ○初見証人 海軍の軍人軍属という意味であります。
  118. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 そのほかのもの、たとえば軍人軍属にあらざる海軍関係のものは、あなたのところではわからないわけですか。
  119. 初見盈五郎

    ○初見証人 軍人軍属以外のものは、今わからぬと思います。もし何か便乗というようなことでもかりにあつたとすれば、そういうことが記憶に残つておればこれはわかりますけれども……。
  120. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 そういうものの調査はどうなつておりますか。
  121. 初見盈五郎

    ○初見証人 そういう調査は……。
  122. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 ずいぶん多いと思いますが、どこがやつておりましようか。
  123. 初見盈五郎

    ○初見証人 海軍で取扱つたものならば、海軍でわかるはずだと思いますけれども、しかしそういうものはそうたくさんあるかどうか。私は疑問に思つております。
  124. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 それから現に領海中または領海外に沈没中の艦船、これが英霊の推定数その他について、さつき御証言の中に私の聞き違いかもしれませんが、沈んでいる船が十一艘とか言つたのですか……。
  125. 初見盈五郎

    ○初見証人 百十であります。
  126. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 それから二万体という中には、軍人軍属をも含めてですか。
  127. 初見盈五郎

    ○初見証人 全部軍人軍属であります。
  128. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 それから第三番目に、搭載物件についての引揚げの所管官庁のことで、さつき委員長との間の応答につきまして、さらに詳しくお聞きしたいのですけれども、第一点は山口県庁と建設省、それから引揚げに当つたところの業者、それから復員局、その間に協定を結ばれたということでございまするが、沈んでおりまするところの艦船は陸奥のみではないと思います。こういうものの引揚げ、搭載物件のみならず、その他船全体の引揚げでありましても、こういうふうな協定というものは一体普通にやるものでございますか。ただ陸奥の場合に特にこういう契約を結んだのですか。
  129. 初見盈五郎

    ○初見証人 先ほど申し上げましたように、今度は契約書に遺体の処理についての条項を挿入してもらうような手配をしておりますので、陸奥以後の引揚げにつきましては、さらに必要なあとの申合せというか、そういつたものまではつくらずに連絡をとりつつやつておると思います。
  130. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 それでは陸奥のときに初めてこういうような申入れといいますか、申合せをやつたというようなことでありますか。
  131. 初見盈五郎

    ○初見証人 初めてなんであります。艦船引揚げとか、あるいは搭載物件の引揚げというようなことを始めたのは、陸奥が第二回目であります。第一回目は、鹿児島湾にあつた賢洋丸、これは完全に揚つたわけです。実際状況の難易がいろいろありましようけれども、これは完全に揚りました。陸奥のときは、海底が深い、潮流が早いというようなことから、なかなか困難を来したわけであります。それからなかなか数が多くありますので、遺体の処理ということについて、船体を全部引揚げるという作業でなく搭載物件を出すに伴う作業でありましたので、初めての試みでもありまして、こういう協定を結んだのであります。
  132. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 陸奥以後の引揚げの場合でございますが、その場合に船全部をサルベージによつて引揚げるということは、これは問題はないでしようが、その他の場合、結局破壊工作によつてものを取上げる、引揚げるというような場合におきまして、おそらく復員局といたしましては常に何か協定を結んでおる。実際サルベージに当る業者と協定を結ばぬというならば、すでに復員局なり、あるいは地方世話課でも、その引揚げに立会いまして、遺体の処理につきましては特別のお世話なり何なりをしていただいておるだろうか、どうかということを承りたい。
  133. 初見盈五郎

    ○初見証人 お説のように、各県に世話課がございます。あるいは地方復員残務処理部という手近のところに密接な連絡をとらせつつあります。なお爆破というようなことをやります場合には、これは海底の状況、あるいは沈没船の状態等からいろいろ爆破の必要も起るのでありましようが、損傷が軽微な場合には浮揚させる、浮き上らしてとるということが建前になつておりますので、なるべくは船を損傷させないで、そうつと浮き上らして遺体を収容する。これは爆破というような必要はないわけであります。しかしやむを得ない場合、艦体全体が半分に折れておる。そうして後部の半分だけは密閉措置を講ずれば浮揚する、しかし前は全然だめだというときは、それを切り離す作業に爆破をやるという作業があり得るわけであります。それには遺体の収容し得るものは全部収容してから後にやるという注意をし、また話合いを現地で進んでやらしております。
  134. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 これから先法律上きわめて重要なことと思いますが、では協定の内容でございますが、あなたはさつき協定の内容につきましては、死体の英霊の所在の位置とか、それからなるべくその所在を確認し得るような措置を講じて、つまり平たく言うならば、英霊の位置、所在、それから当時の状況というようなものに対して、壊滅損傷の行為をするなということを協定の内容にうたつたと私は解釈いたすのですが、その点間違いございますまい。つまり平たく言うならば、私はこの引揚げ行為それ自身を見て非常に下愉快に思うのは、搭載物件の引揚げというのに急であつて、英霊の扱いは二の次にしておる。英霊それ自身を物と同様に感じて、建設省なり山口県庁なり西日本海事工業も同じような扱いをして、英霊というものは二の次にして非常に軽視しておるというのがこの事件をまき起したもとだと思う。ところがあなたのさつき言われた、こういう協定を結んで、英霊に対する注意を喚起されたということは、われわれは国民を代表して感謝にたえないのですが、その協定の内容に今度は移つて行きますと、所在の位置とか、最後の息を引取つたときの状況とか、その他の事態を確認するような引揚げの方法を講ぜよということを私はこの協定の中にうたつたものと思いますが、間違いございませんか。
  135. 初見盈五郎

    ○初見証人 協定の内容では先ほど読み上げましたように、「各遺骸は着衣その他によつて氏名を究明し所在位置等を記録して遺骸個々の状況を明らかにする」ようにという、これは特に一番初めに協定の内容にうたつてあります。
  136. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 それではその内容の解釈ですが、そういうことが確認できれば、あなたは英霊それ自身に損傷を及ぼすような、たとえば火薬の使用とかその他爆発物の使用というものはやつてもいいというお気持だつたのですか。その点に復員局としては権限を与えた、許可を与えたと見てよろしゆうございますか。これは非常に重要な問題ですよ。
  137. 初見盈五郎

    ○初見証人 私はこの契約を結びます当時には、まだ現在の位置についておりませんので、前任者がやりましたので、その当時の前任者の考えはどうだつたかわかりませんが、私は少くともそういう搭載物件を揚げるのであるから、先ほど申しましたように、そういう大げさな火薬爆破をやるというようなことは自分では全然考えてもおりませんから、あるいはこの協定を私がその当時つくつたとして、はたしてそういう爆破に関する注意事項その他を考えてやつたかどうかということは疑問と思います。
  138. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 そうしますと、これは引揚げの際に火薬を使用する。つまり認識票さえ残つておつて、だれとだれが死んだということがわかつておれば、着衣の一片でも残つておればいい、英霊に損傷を加え、ふつ飛ばしてもかまわぬというようなことはなかつたと私は解釈いたします。つまりこれを裏から言いますれば、火薬類を使つて英霊それ自身に損傷を与えるような行為は暗黙の間に禁止したと見てもよろしゆうございますか。
  139. 初見盈五郎

    ○初見証人 それはどうも、そう私は断言はできません。
  140. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 これは非常に法律的に重要な点だろうと思う。
  141. 初見盈五郎

    ○初見証人 私もその当時の……。
  142. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 この協定の書き方というものは、非常に私は不満だと思います。当時あなたが責任者でなかつたからよく明答はできないと、こういうわけですね。
  143. 初見盈五郎

    ○初見証人 さようでございます。
  144. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 もちろん陸奥の沈没原因であるとか、破壊箇所というものはおたくの方ではわかつておりましようね。
  145. 初見盈五郎

    ○初見証人 破壊箇所ですか、破壊箇所といいますのは……。
  146. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 つまり火薬の爆発でこれは沈んだのでありますが、その点はわかつておりますか。その状況は……。
  147. 初見盈五郎

    ○初見証人 その状況は大よそわかつております。
  148. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 これはあなたにお聞きしてもしようがないですけれども、結局火薬を使用したということは、英霊の立場からいうならば必要があつたかどうか。ことに搭載物件の引揚げにつきましては、必要以上のものを搭載物件と見ておるという点からして、これは非常に法律上重要な問題が発生すると思いますが、まあその点は他の責任者、証人にお聞きするといたしまして、今後艦体の引揚げ等の場合この英霊等の扱いにつきまして、どういう御処置に出るつもりですか、その点を承りたいと思います。
  149. 初見盈五郎

    ○初見証人 先ほど委員長からもこの御質問があつたように私は記憶しておりまするが、これはできるだけ御遺骨を早く収容したいという気持には燃えておるのでありますけれども、その経費の点でもつて、これをどんどんやつて行くというわけには現在の状態ではちよつと行きかねる。いろいろな経費、主として経費の問題が第一番でありますけれども、それでやはり今のところでは、こういう引揚げというようなことがある際に同時に遺体を収容して、こちらにお引渡しを願うというようなかつこうに行かざるを得ないというような感じでございます。
  150. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 これはこの前の委員会の西日本の社長の証言との間に、私は英霊の遺体の引揚げの数について差異があるような気がいたします。この点につきまして、爆発物と申しまするか、火薬を使用して、一柱を二柱に数えたりなんかいだしまして、艦材とかその他英霊の引揚げにつきまして、あなたのところでいろいろ金を支出されておるようでございまするが、数の相違から見まして、艦材その他引揚料について、西日本があなたのところに不当な支出を――一柱について幾らというふうな計算をしておるかどうか、それは私は知りませんが、数の相違が非常に多いところを見ますると、あなたのところに不当なる支出を、英霊の名において請求しているような事実はございますまいか。
  151. 初見盈五郎

    ○初見証人 それは私の今までに承知いたしますところでは、予算はこちらで大蔵省に対して予算措置をして、大体承認を得た額があるわけでありまして、その範囲内で処理をしなければなりませんので……。
  152. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 私の聞いておるのは、そういうことではありません。
  153. 初見盈五郎

    ○初見証人 いや、それはしかし、そのためにこちらから向うの要求に応じて、それの支払いをするという形式は、これは現地でやらしたことでありますけれども、私はおそらくとつておらぬと思います。ですから向うからこれだけくれというような要求はなかつたろうと私は思つております。
  154. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 では二十六万九千円というのは、どういう要求でありますか。これを支払つておる……。
  155. 初見盈五郎

    ○初見証人 ですから、これは……。
  156. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 要求がなくてあなたのところは金を出したのですか。それだつたら違法ではありませんか。
  157. 初見盈五郎

    ○初見証人 いや、それは要求というよりは、先ほど申し上げましたように、これは実費を償う程度にはこちらでお礼を差上げなければならぬということで、謝礼金その他、実際この遺体を引揚げるために会社側で使つた実費程度のものをこちらで算用して、お礼として差上げたというかつこうであると私は思つております。
  158. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 二十六万九千円というような金を謝礼金として出した……。
  159. 初見盈五郎

    ○初見証人 全部謝礼金……、謝礼金の名目で、あるいはこれはそのほかの雑費形式で、支出したこともあると思います。
  160. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 こういうものは一口でなくて、積り積つて二十六万九千円となつておるのですか。
  161. 初見盈五郎

    ○初見証人 そうでございます。
  162. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 それはたとえば英霊の引揚げについて、こういう計算をして、こうなるといつて出したのではなくて、謝礼金として出した、こういうことでございますね。
  163. 初見盈五郎

    ○初見証人 大体謝礼金その他、これまでには、旅費やなんかもかかつておりますから……。呉あたりから現地に行く……。
  164. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 それは向うの請求がなくして出したと、こういうことでございますか。あなたの証言はそうなります。
  165. 初見盈五郎

    ○初見証人 これは呉の地方復員残務処理部に資金前渡官吏がおりますので、これにつきましては資金前渡官吏と会社側との話合いで支出をして来たのだろうと思います。
  166. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 そこはもう少し調べてひとつどういうことになつておるか、委員会の方まで教えていただきたいと思います。委員長。それでは私は終りました。
  167. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 関連して……、委員長にお願いいたしておきますが、証人の方から、南方方面の戦闘で陸奥が沈没したということで、戦死者の遺骨を遺家族の人に渡しておる柱の数が幾らあるかということを参考資料として、委員長の手元まで取寄せていただきたいと思うのであります。同時にさつきも申し上げましたが、かような遺家族に対してはまことにお気の毒な、虚偽の遺骨を渡しておるということになりますれば、本委員会において、この遺体周題が不正事件に関連して重大化し、特に委員長は御遺体の問題について深き深慮を煩わされておるのであります。従つてこの遺家族に対して、当時の海軍がいかにとうとい人命を軽々しく取扱つたかということは、重大な問題でございまするかち、重ねて申し上げますが、当時の海軍大臣、参謀、並びにこの御遺骨を遺家族に引渡すまでの関係における責任者、これの氏名を委員長の手元に取寄せられて、追つてこの問題は本委員会の問題として、委員長から責任を追究していただきたいということを申し添えておきます。
  168. 内藤隆

    ○内藤委員長 ただいまの佐竹委員の要求、わかりましたな。
  169. 初見盈五郎

    ○初見証人 わかりました。
  170. 内藤隆

    ○内藤委員長 それからもうひとつ、さいぜんからいろいろ資料提出の要求がありましたが、重ねて申しておきますが、ただいまのは、陸奥の殉職者を、南方で戦死したとして、遺族に遺体を渡した責任者の官職、名簿。それから第二は、殉職者の官職、氏名一覧表。それはそこにあなたがお持ちになつておられるものの写しでよろしゆうございます。それから第三は、引揚げ可能の百十隻の明細表をひとつお出しを願いたい。
  171. 初見盈五郎

    ○初見証人 明細表と申しますのは、艦船名でありますか。
  172. 内藤隆

    ○内藤委員長 艦船名、それからその沈没地点とか、その中にどれほどの遺体があるかという遺体数、そういうものを明細に当委員会へ御提出願いたい。
  173. 田渕光一

    ○田渕委員 西日本海事の武岡社長のこの前の証言のときにありましたが、事務局の資料にもそうあつたのでありますが、一柱につき五千円の経費を請求して、もらつたというふうに私は伺つたのですが、今証人のお話だと、謝礼として出したということになつております。まことにこれは微に入り細に入るような話でありますが、遺骨を丁重に扱うという精神と、国費を乱費しないといういわゆる物的な方面から伺うのでありますが、たとえば英霊一柱と表現いたします言葉の一柱というのが、その当時艦内でなくなられ、長い間水中におられたのでありますから、私は肉が腐敗し、たとえば腕、足、頭骸骨というものがばらばらになつておると思うのであります。この腕、足あるいは頭骸骨、これを合せて一体というぐあいにあなたの方でとられるのでありますか、あるいはまた、先ほど佐竹委員からお話のありましたようなぐあいに、非常に粗末な、ずさんな扱いをしたのでありますか、これをひとつ伺いたいのであります。
  174. 初見盈五郎

    ○初見証人 ただいまの御質問に対しましては、呉で実際とりはからいましたので、その詳細は私承知しておりませんけれども、おそらく一体分の遺骨はこの程度だということで、目算でやつたのではないか、こういうふうに考えております。
  175. 田渕光一

    ○田渕委員 ただいまお尋ねいたしましたような、常識で一体というぐあいに伺つてよろしゆうございますか。
  176. 初見盈五郎

    ○初見証人 これは現地でよく調査した上でお答えいたします。私はただいま、それでよろしいということはちよつとどうかと思いますので、よく調べてからお答え申し上げることにいたします。
  177. 田渕光一

    ○田渕委員 これがはつきりいたしませんと、百八十五柱を西日本海事が引揚げて、収容してくださつたということに対する数においても、私は得心が行かないのであります。もつとも私はこの戦争に行つておりませんのでわかりませんが、死体の収容方法というのにつきましても、あるいは遺骨の取扱いにおきましても、国際間における一つの方式がありますかどうか。あるいは国内の国情により、あるいは国内の習慣によつてやつているのでありますか。こういうような点を御存じでしたら、お教え願いたい。
  178. 初見盈五郎

    ○初見証人 そういう国際間の慣習とかいうようなことは、私は存じておりません。
  179. 田渕光一

    ○田渕委員 私はこう想像するのであります。西日本海事が引揚げた百八十五柱というものに、謝礼として二十六万九千円出した、こうなると、百八十五柱揚げていただいて、われわれとしてみれば非常にこれは安心をするのでありますが、その百八十五柱という計算が、私がただいま申し上げましたように、頭骸骨、あるいは腕とか、足の骨、こういう遺骨が一応これで一体というようなぐあいにされておればよろしいが、艦内で火薬を使うて、このくらいで一体だといつて持つて来て、これを一柱として荼毘に付したというようなことになれば、取扱いの上において非常に軽卒きわまるものがあると思いますので、これはどういうぐあいにして一柱とみなして収容し、そうしてどういうぐあいにして荼毘に付したかという点も、あとで資料を御提出願いたいのであります。  それからもう一つ伺いたいのは、米軍が朝鮮戦線において戦死者を収容いたしますのに、必ず死体をそのまま収容して内地に持つて参り、これをひつぎに入れて米本国にお送りして、遺家族に対面させているというように伺つておりますが、この事実を御存じでありますかどうか。
  180. 初見盈五郎

    ○初見証人 そういうことはちよつと聞いたことはございます。
  181. 田渕光一

    ○田渕委員 いかに国敗れたりといえども、人の御遺骨あるいは他人の髪、つめをもつて、これを本人の遺骨として遺族に渡したことは、ただいま佐竹委員が言われた通りでありまして、まことに当時の軍の取扱い方法において、われわれはけしからぬ、人道上の問題だと考えるのであります。あなたは復員局の残務処理部長として、この国際連合軍、ことに米軍が朝鮮動乱以来いかなる方法においてやつているかというようなことも、扱われる方として、今日まで聞いているというだけでなく、実際目撃をされ、あるいはこれに対して、日本のやり方がまことにずさん、国貧しきとはいえ、至らなかつたという点を御研究なさらなかつたかということをひとつ伺いたい。
  182. 初見盈五郎

    ○初見証人 お説ごもつともでございます。私はそういう点まで心をいたさずに、研究をしておりません。この点はまことに私はおはずかしく思います。
  183. 田渕光一

    ○田渕委員 私はこれは米軍当局に聞いたわけでもございません。ただ市井の人から伺つたのでありますが、一々朝鮮動乱の戦線から死体を収容されて、これをひつぎに入れて、たとえば呉なら呉まで空輸して来る、そこで腐敗せぬような措置をされて、ただちにこれをアメリカにお送りして、遺族に対面させて埋葬いたしておると伺つております。まことに宗教の相違、あるいは国の習慣、その他いろいろありましようけれども、実に米軍当局の、国家のため、国際平和のため戦つた方に対する遺体の取扱いの懇切丁寧といいましようか、人道を尽した点において、しかりとすれば、私はさすがは文明国だと頭が下るのであります。しかるにいかに戦局が苛烈になり、敗戦の極致に追い込まれたと言いながら、まつたく生存して帰る人のを、これを公報によつて戦死したとし、他人のつめ、あるいは髪をその遺骨だと言つて渡した。まあ過ぎたこととはいえ、こういうような扱いというものは後世あるべきものではありません。またかような戦争は防止しなければならぬが、こういうようなことは、あるいは世相の影響、道義の頽廃から来ておるのであります。これらに向つて復員局はこういう点を私は熱心にやらなければならぬと思う。こういうような点がないから、この戦艦陸奥の引揚げについての契約に対しても、干渉しなかつたということは、十分干渉権があるわけであるにもかかわらず、遺家族に対してこれこれの処置をいたして行かなければならぬというこの取扱い事項を怠つたということは、私はあなた方の責任になると思うのであります。しかるにこれもできなかつた。この非常な莫大なる火薬を使わして船体――私は思うのに、光りものを揚げるためにはところきらわず海底で私は利益のため、物資のためばかりに爆破されておる。そうすると今申し上げた頭蓋骨なり、あるいは手なり足なり遺骨というものが、海底に四散されておると私は思います。想像でありますが、かようなことに対してなぜ契約をするときに、火薬を山口県が渡すときに、あるいは契約書にそう書いてあるのにかかわらず、復員局としてなぜ契約に対して干渉しなかつたか。前任者あるいは現在のあなた方がなぜ山口県に対する忠告なり、あるいはそういうような点ができなかつたのかと思うのでありますが、かようなことが現在の行政上あるいは機構上できなかつたのでありますか。あるいはそれとも復員局はこれをうかつに見のがしたのでありますか、これを伺いたいのであります。
  184. 初見盈五郎

    ○初見証人 私は今おつしやられましたことにつきましては、その当時当事者もさほどまでに考え及ばなかつたことと思つておりますので、現地派遣とかいうようなことは連絡はよくとつておりましたけれども、やはり監督者山口県知事ということになつておるというような点から、こちらから直接干渉するというような点について、英霊の取扱いについての注文なり何かが、もう少し行くべきであつたのを、その当事手が届かなかつたというように考えますので、この点はまつたく申訳ない、こういうふうに考えております。
  185. 内藤隆

    ○内藤委員長 それからもう一つお伺いしますが、これはただいまの田淵委員の質問と関連もあると思うが、引揚げの謝礼金は、田中社長時代に五十柱に対して出ておるというのが、当委員会の事務局の調べなんです。現在の武岡社長時代になつて百三十五柱引揚げておりますけれども、これには謝礼金を出していないということを証人は述べられております。これはなぜ出さないのですか。
  186. 初見盈五郎

    ○初見証人 私はその辺がわかりませんが、よく支出の状況は調査いたしてこちらへまたお送りすることにいたします。  もう一つは先ほど申し上げました二十六万九千円、これにはつまり陸奥の遺体を収容するということに関する経費の支出がこれだけあつたと言いますので、このために旅費を、つまりこちらでもつて呉から現地まで出張する事務官の旅費というものまで含まれておると私は了解しておりますが、ただ西日本に対してどれだけ渡したかという資料も持つておりませんから、その点もなお調べまして御報告することにいたしたいと思います。
  187. 高木松吉

    ○高木(松)委員 証人にお尋ねしたいが、あるいは私あとから来たので多少重複するかもわかりませんが、復員局として、現在艦艇内に遺体が眠つておるのはどれくらいあるか。あなたの手元でわかる程度でどれくらいありますか。
  188. 内藤隆

    ○内藤委員長 それはわかつている。
  189. 高木松吉

    ○高木(松)委員 陸奥だけじやないのです。根本の問題について伺いたいと思う。
  190. 内藤隆

    ○内藤委員長 全体が約二万柱あるということになつている。
  191. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そうすると、復員局として、むろん予算の関係等でできないかもわからないが、事務当局としては、この二万体のいわゆる遺体の引揚げ計画というものが立つておるのですか。
  192. 初見盈五郎

    ○初見証人 今までのところは引揚げ計画は立つておりません。
  193. 高木松吉

    ○高木(松)委員 しかし少くとも二万体の遺体が海底にあるとすれば、予算の関係もありましようが、事務当局としてはこれはどうしても引揚げなければならぬものであるという敬虔な気持において案を立てるのがあたりまえで、しかしその案が予算の関係で実行に移されないかもしれませんが、案だけはお持ちになるのが当然のあなたの方の責任じやないかと思う。今までその案を立てて大蔵省に予算を請求したことはないのですか。
  194. 初見盈五郎

    ○初見証人 遺体引揚げというのは、近ごろのようにサルベージの作業として解体引揚げをするということが行われておりますので、大体本年度内はどのくらいの遺体の収容が同時にできるかというような見通しをつけて、予算は要求しているのであります。それで年々実際はそれに足りなかつたりすると、これは予算的措置は臨時に年度の中途で大蔵省に交渉したりしてやつておりますけれども、全体としてその二万体のものを引揚げるということの計画は、全体をやることはやつておらないのでありまして、これは先ほども申しましたように、実際はもうやりたいのでありますけれども、これは結局遺体を引揚げるということはほとんど船を浮かして引揚げるか、あるいは全然船体をとりこわしつつ揚げるかということになりますので、そういうことになりますと、呉の軍港内でも浅いところに沈んでおります伊勢だつたと思いますが、一艦でもつてそれを引揚げる費用は一億かかつていると聞いております。そういうふうに伊勢の遺体は一億かけて引揚げるということになりますると、結局は国自体が実施いたしまして、それにしても引揚げたものはまた払下げ処分をするということになれば、大蔵省の歳入になり、遺体引揚げに使つた金の相当の部分は回収はできると思いますけれども、そういつた大きな作業になりますると、これは遺体だけを目ざしてということでなく、船そのものを国家の事業としてこれを引揚げる、また遺体も同時に収容するという両方のことで計画を立ててやつて行かなければ事務当局だけではなかなかむずかしいのではないかというのが、これは私のはかない考え方かもしれませんが、そういうふうに考えております。今までそういう全体的の引揚げ計画というものはやつておらない次第でございます。
  195. 高木松吉

    ○高木(松)委員 今証人の証言を聞いて、大体了承できるのですが、しかしむずかしいからといつて、こういう重大な国民的関心を持つものを国家として計画なしにいるということは、気持の上においてはたして遺体に対する敬虔な感謝の気持があるのかないのかというようなことが疑われることになるので、国力がただちにこれを行うことができないにしたところで、事務当局は一歩々々その基本観念に基いて計画を立つべきものであると思うのてす。なお今のお話のように、遺体のみを目的とするということになるとむずかしいことになりましようが、国家政府は一元的なものである。むろん所管々々によつてわかれておつても、これはお互いに話合いの上にできる。国民感情を満足するためにその努力をして、一日も早く遺体を引揚げてねんごろに弔うことがあなた方の仕事じやないかと思う。そういう仕事をこの意味において今までやつておらないように今お話になりましたが、将来はぜひとも可能の部分から、可能の条件の範囲においてあなた方が努力するにあらずんば、二万体の遺体は海底に眠つてまつたくお気の毒の状態にあると思う。少くとも国民感情を満足するような態度を政府としてあなた方にとつてもらいたいと思う。それには直接その事務に携わつているあなた方として立案をして、またあなた方の手元で立案のできないものは上司に諮つて、少くとも国民の満足するような遺体取扱いをしていただきたいと思うので、これに対するあなたの御意見を伺つておきたいと思います。
  196. 初見盈五郎

    ○初見証人 まつたく私もそうであります。そういう点につきましては、私も一般の遺族の方に対してもその氏名のわかるものなんかはできるだけ早くお渡しするようにして、お骨を早く収容したいという気持は、気持ばかり非常に強くありましても、その実行に対しての熱意といいますか、具体性を持たなかつたということはまことに申訳ないわけであります。これと同時に、ただいまもまだ外地にあります遺体、あるいはニューギニアであるとかあるいは南方の島嶼にある遺体の問題も、どういうところにはどういうふうになつているというような調査を今進めております。それと同時にやはり沈没艦船にある御遺骨も考えて行かなければならぬということを今痛切に感じておりまして、今後とも勉強を続けて行きたい、こういうふうに考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  197. 田渕光一

    ○田渕委員 この第二復員局の残務処理部長というお肩書でありますが証人は海軍におられたのでありますか。その官職等もしまだ証言されてなければひとつ伺いたい。
  198. 初見盈五郎

    ○初見証人 私は元海軍の主計大佐初見盈五郎であります。
  199. 田渕光一

    ○田渕委員 これで当時の海軍の官職もわかつたのでありまするが、先ほど証人から、まだ艦艇に浮ばれない遺体が二万体というように伺いましたが、たとえばこれは駆逐艦あるいは戦艦というようないわゆる海軍の艦艇であるか、それともたとえば台湾沖でやられました日本郵船の阿波丸なども入つているのでありますか、これをひとつ伺いたいのであります。
  200. 初見盈五郎

    ○初見証人 それはこの近海にありますもので、海軍の艦船と海軍の徴用船であります。
  201. 田渕光一

    ○田渕委員 行政協定によるところの役務の賠償には、比島沖のあの深海で沈んだ艦船の引揚げ等に対する技術サービスあるいは役務の賠償というようなこともわれわれは論議しているのであります。こういうような場合にも、たとい国際間のそういう領海とか公海その他の規約を受けましても、これらに対しても日本政府が行政協定に基く役務賠償の精神でやる場合に、復員残務処理者として、陸奥のような、つまり常識で判断のできないようなこういう作業をいたさないように注意し、あるいはまたこれらに対する契約作業等に対して、ねんごろな精神をもつて、遺体尊重の精神からいろいろと折衝もし干渉もしているというお心がけがありますか。これは復員局として手が出せないとすればわれわれがどういうような措置をとればいいかということもひとつ参考のために伺いたい。
  202. 初見盈五郎

    ○初見証人 ただいまの御質問に対しましては、これは当然私どももただ無関心でいるわけには行きませんので、いよいよ役務賠償をするというような際には、外務当局を経てその遺体の処理ということについて、フィリピンなり当該国の政府と折衝の上、この英霊をお迎えする措置をどうしてもとらなければならぬと考えております。
  203. 田渕光一

    ○田渕委員 夫体日本の領海にある、あるいはまた陸奥のごとく日本政府の国有財産になつているものはよろしゆうございますが、たとえば戦時中用船いたしておりましたとか、あるいは徴用いたしておりました、一つの例をあげれば日本郵船の阿波丸であります、こういうものは国有財産になつているか、あるいは日本郵船の民間会社のものであるか。国有財産に対する処理に対してはそういうような干渉をして行けるが、民間の、たとえば日本郵船が他のザルベージと契約をして、阿波丸なら阿波丸を引揚げるという場合に、あなたの方は干渉権があるか。日本の艦艇であつて国有財産に帰属するものと、日本郵船のような民間会社のもの、これが現在国有になつているか民間になつているか私は所有権の何はわかりませんが、こういうような二つのものに対しては、復員局としてはどういうような処置に出られますか。これを御参考に伺いたい。
  204. 初見盈五郎

    ○初見証人 これは私が先ほど申しましたのは、たとい徴用した船でも、これはあば返すわけでありますけれども、全然沈んでしまつたというときは全額国家で補償したために、その所有権はむろん国家に帰属したわけなんであります。その関係だけを私は百十艘と、こう申し上げたのです。そのほかの純然たる民船であつて、それが沈んだというような際には、これは私の方には干渉権は全然ありません。ただそこに軍人軍属が沈んでやはり遺骨があるはずだという場合、それを引揚げるというようなときは、こちらで申入れをして、その収容をはかるということは当然のことでございます。
  205. 内藤隆

    ○内藤委員長 他に御発言がなければ初見証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。証人には長時間御苦労さまでありました。  午後は一時半より再開することといたしまして暫時休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ――――◇―――――     午後一時五十二分開議
  206. 内藤隆

    ○内藤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  ただいまお見えになつておられる方は、武岡賢君ですね。
  207. 武岡賢

    ○武岡証人 はい。
  208. 内藤隆

    ○内藤委員長 あらかじめ文書をもつて御承知の通り、本日正式の証人として証言を求めることに決定いたしましたから、さよう御了承願います。  これより、沈没戦艦陸奥艦体内に眠る英霊二千余柱の行政処置に関する件について、証言を求むることになりまするが、証言を求むる前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人武岡賢君朗読〕    宣 誓 書   良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  209. 内藤隆

    ○内藤委員長 それでは、宣誓書に署名捺印を願います。     〔証人宣誓書に署名捺印〕
  210. 内藤隆

    ○内藤委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は証言を求められた範囲を超えないこと、また御発言の際にはその都度委員長の許可を得て答えるようお願いいたします。なおこちらから証言を求めるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  武岡証人は、先般の戦艦陸奥に関する証言の際、艦内より約三百柱の遺体を引揚げたこと、いまだ艦内には二千余柱の英霊のあることを述べておられまするが、この点について証言を求めたいと思います。引揚げた英霊は、全身の整つたものははなはだまれだと思われるが、三百柱というその引揚げた数は、何を標準にして判定しましたか。
  211. 武岡賢

    ○武岡証人 申し上げます。先日の証言のときに私が、引揚げた遺体が三百くらい、いまだに艦内に残つておる遺体が二千くらいと申しましたのは、復員局の方の数字もいろいろ調べましたところ、復員局の数字も二通りありましたので、それを読み上げます。
  212. 内藤隆

    ○内藤委員長 すると、この間あなたが証人として証言したのは、間違いがあつたのですか。
  213. 武岡賢

    ○武岡証人 そうじやありません。それを言いまして、私の方で会社としん調査した数字と全部申し上げます。
  214. 内藤隆

    ○内藤委員長 復員局の方はこちらで調べてありますから、あなたの会社の方で調べたのを述べてください。
  215. 武岡賢

    ○武岡証人 私の方は、復員局の一案二案も調べまして、私の会社としましても、生存者と、沈没当時以前に乗つておられた方に相談しまして出た数字が、乗組員二千二百、別に予科練が五百、その二千七百のうち生存者が二百、当時死骸のわかりましたのが二百程度だと思います。私の方は、はつきりした数字を調べて参りましたが、うちで引揚げた数字が二百十三柱と記憶しております。それでいまだに艦内に残つておる数字が、私の方の調査では、約二千残つておることになつております。
  216. 内藤隆

    ○内藤委員長 それで今あなたの二百十三柱と言われるその数字は、どういうことを標準にして数えたんですか。
  217. 武岡賢

    ○武岡証人 五体全部そろつたのはほんとうにまれでございまして、私どもで一体と申しますか、それは両手、両足あるいは頭蓋骨というものを調べまして、それで一体あるいは一体という判別をつけておるのでございます。
  218. 内藤隆

    ○内藤委員長 頭蓋骨、両手、両足、これをもつて一体として……。
  219. 武岡賢

    ○武岡証人 足も手も頭蓋骨も判然としたものはまれでありまして、このところが頭とか、あるいはここが手とか、あるいはそれが足とか、判定をしたと思います。、
  220. 内藤隆

    ○内藤委員長 それを二百十三柱引揚げた、こういうことですな。
  221. 武岡賢

    ○武岡証人 はあ。
  222. 内藤隆

    ○内藤委員長 それは前の田中社長時代から、あなたが社長になつてからの総計ですな。
  223. 武岡賢

    ○武岡証人 そうです。
  224. 内藤隆

    ○内藤委員長 ここで大きな食い違いが一つ発見されました。要するにあなたの証言と復員局の数字とは、乗組員の数においてもたいへんな相違がある。今証人の申された二千二百と、それから予科練が七百もおつたということですが……。
  225. 武岡賢

    ○武岡証人 予科練は五百です。
  226. 内藤隆

    ○内藤委員長 予科練が五百に乗組員が二千二百、合計二千七百も乗組員がおつた。ところが復員局の調べでは、千五百というのですがね。そうすると、そこにたいへんな食い違いが生じて来ております。あなたの調べたのは、どういう人について調べたのですか。
  227. 武岡賢

    ○武岡証人 初め申したように、生存者と、戦争当初に乗られて、艦を転々とかわられた人に聞いたのです。
  228. 内藤隆

    ○内藤委員長 そこであなたの調べた数字からいうと、まだ二千柱の英霊が艦内にあるということが推定される、こういうわけですね。
  229. 武岡賢

    ○武岡証人 はあ。
  230. 内藤隆

    ○内藤委員長 それから引揚げました遺骨は、艦内のどういうところにありましたか。
  231. 武岡賢

    ○武岡証人 大体私どもの方で引揚げた遺骨と申しますと、島側の第三砲塔の下の爆発しておつた近所が大半でございまして、二箇所、食堂と兵員室を破つて中へ入りましたところ、兵員室には二名、食堂には相当な数字がありました。時間を見ましても、十八年六月八日十二時十二分前、こういうことをいろいろな情報から聞いておりまして、まつたく当時は昼食前後であつたということが推定されております。これからも遺骨を引揚げるということになりますと、そういう食堂とかいうところを全体的に調査する必要があるとぼくは思うのですが、そういう関係で、部屋と申しますと、さつき述べましたような食堂と兵員室だけしか調べておりません。あとは全部艦体がはじけたときの状態のまま上つて来た。機械の中へ入つておりましたのが、機械とともに上つて来たものばかりなのです。
  232. 内藤隆

    ○内藤委員長 沈没した時間が、ちようど十二時前、お昼ごろであつたから、食堂にやはり集団的におつたということが認められるのですね。
  233. 武岡賢

    ○武岡証人 はあ、そうです。
  234. 内藤隆

    ○内藤委員長 そういう引揚げた遺体の姓名等が判明しておつたのは、何名くらいありましたか。
  235. 武岡賢

    ○武岡証人 私どもの今調べている中では、三名でございますが……。
  236. 内藤隆

    ○内藤委員長 あとは姓名等はわからない……。
  237. 武岡賢

    ○武岡証人 たまに靴が出ましても、そのまわりに遺体がなかつた場合もありますし、それではつきりしませんが、これは全部姓名はわからぬものとしております。
  238. 内藤隆

    ○内藤委員長 それでそういう集団的、あるいはぼつぼつと船内の遺骸を引揚げる方法は、どういう方法で引揚げましたか。
  239. 武岡賢

    ○武岡証人 方法といいますと、潜水夫が中に入りまして、搭載物件を引揚げる前に、会社の者を全部集めまして、まず遺体を引揚げて、それから仕事にかかつてくれと、常に私が申しておるような状態で、袋を持つて入りまして、服があると、服の中に遺体を包むようにして、その袋の中に入れまして、その袋を持つて上るようにしております。
  240. 内藤隆

    ○内藤委員長 大きな袋を持つて中に入つて、そして遺体が発見され、服などもまだ破損されずにあつた場合には、それに包んで、そして一体ずつ別別にして揚げたというわけですね。
  241. 武岡賢

    ○武岡証人 大体において一体でしたが、中には一体も三体もあることはあります。
  242. 内藤隆

    ○内藤委員長 そしてその遺骨を袋の中に入れて、潜水夫がそれを揚げて来て、それから陸上に来て火葬にしたのですか。
  243. 武岡賢

    ○武岡証人 はあ、私の方は揚げまして、すぐお寺に持つで参りまして、安置しまして、それを復員局の方にお知らせしまして、それから復員局の方でそれを焼かれるようになつております。
  244. 内藤隆

    ○内藤委員長 引揚げてから、遺体を何か柳井町の何とかいう寺に持つて行つたというのですね。
  245. 武岡賢

    ○武岡証人 柳井町ではない、大島郡の伊保田というところがあります。現場の近くです。そこの浄専寺という寺です。
  246. 内藤隆

    ○内藤委員長 それは何宗の寺ですか。
  247. 武岡賢

    ○武岡証人 あれは真宗だと思います。
  248. 内藤隆

    ○内藤委員長 そこへ遺骸を置けば、そこへ復員局から係の者が来て、引渡しをした、こういうわけですね。
  249. 武岡賢

    ○武岡証人 そうです。
  250. 内藤隆

    ○内藤委員長 その後復員局の手で火葬に付した、処理をしたわけですね。
  251. 武岡賢

    ○武岡証人 はあ。
  252. 内藤隆

    ○内藤委員長 一体そういう管理の費用等はどうなつておりますか。
  253. 武岡賢

    ○武岡証人 保管の費用ですか――保管の費用は全部……。
  254. 内藤隆

    ○内藤委員長 引揚げたり、また浄専寺へ安置して置く費用ですね、そういうものは一体どうしたか。
  255. 武岡賢

    ○武岡証人 私どもが全部やつております。
  256. 内藤隆

    ○内藤委員長 元の田中社長の時代には、二十六万九千円からの、そういう遺体処理、管理に関する経費を謝礼としてもらつておりますな。
  257. 武岡賢

    ○武岡証人 書類を見たところが、そういうことになつていますが、私今まで全然記憶ありません、いただいたことも。
  258. 内藤隆

    ○内藤委員長 そうすると、あなたが社長になつてからは、遺骸を引揚げても、そういう費用は請求したことがない。
  259. 武岡賢

    ○武岡証人 はあ。
  260. 内藤隆

    ○内藤委員長 また復員局からも、さようなものを持つて来たことがない、こういうわけですね。
  261. 武岡賢

    ○武岡証人 はあ。
  262. 内藤隆

    ○内藤委員長 その遺骸を引揚げるについて、あなたの方で潜水夫等に何か特別の責任者を設けましたか。
  263. 武岡賢

    ○武岡証人 はあ、設けました。
  264. 内藤隆

    ○内藤委員長 それは何というもので……。
  265. 武岡賢

    ○武岡証人 大体遺体の責任者と申しますと、うちの幹部の深見一雄という者に全部責任を持たせました。
  266. 内藤隆

    ○内藤委員長 それは潜水夫ですか。
  267. 武岡賢

    ○武岡証人 いや、これは現場の監督と申しますか、責任者でございます。
  268. 内藤隆

    ○内藤委員長 現場の責任者が一切の責任を持つように、あなたの方から命令された、こういうわけですね。
  269. 武岡賢

    ○武岡証人 はあ。
  270. 内藤隆

    ○内藤委員長 その遺骸を潜水夫が発見した場合に、それに対して丁重に扱えという特別な注意をあなたの方で与えているのですね。
  271. 武岡賢

    ○武岡証人 はあ、私も与えておりますが、仕事をする人が非常に縁起をかつぐものでございますので、特に四十メートルの深いところに遺体がありますと、まずそれをやつてでなければ、けがをするとか、あるいは死ぬるとか、縁起をかつぎまして、私どもが特別に言わなくても、本人としましては絶対に……。
  272. 内藤隆

    ○内藤委員長 そういう特別な注意を与えなくても、そういうふうな気持で……。
  273. 武岡賢

    ○武岡証人 会社の方も常にそういうことを言つておりますが、自発的に……。
  274. 内藤隆

    ○内藤委員長 まず遺体を引揚げてから作業にかかる、そういうわけですね。
  275. 武岡賢

    ○武岡証人 そうです。
  276. 内藤隆

    ○内藤委員長 深見という人は現在でもあなたの会社におりますか。
  277. 武岡賢

    ○武岡証人 おります。
  278. 内藤隆

    ○内藤委員長 この間の証言で、あなたは搭載物資を引揚げるときに、火薬も引揚げたという証言をしましたね。―
  279. 武岡賢

    ○武岡証人 いや言つておりません。火薬カンですよ。
  280. 内藤隆

    ○内藤委員長 火薬カンを引揚げた……。
  281. 武岡賢

    ○武岡証人 はあ。
  282. 内藤隆

    ○内藤委員長 それはみなからつぽのものですか。
  283. 武岡賢

    ○武岡証人 そうです。それを引揚げて、あとで火薬カンであつたということを事件になつてから初めて聞いた次第です。
  284. 内藤隆

    ○内藤委員長 その中には火薬がなかつた……。
  285. 武岡賢

    ○武岡証人 ございません。それらが爆発した原因だと思います。
  286. 内藤隆

    ○内藤委員長 爆発すれば、そんなからもないはずだ。
  287. 武岡賢

    ○武岡証人 断片なんかもございます。
  288. 内藤隆

    ○内藤委員長 断片で揚げた……。それはどんなものですか。
  289. 武岡賢

    ○武岡証人 早く言えば、ばけつをぺちやつとつぶしたようなものです。
  290. 内藤隆

    ○内藤委員長 そこであなたは、搭載物資を出すときに艦体の一部を爆破しておるということは、この前の証言で認めていたのだね。
  291. 武岡賢

    ○武岡証人 はあ。
  292. 内藤隆

    ○内藤委員長 その作業をするときに、火薬を使えば遺体に損傷を与えるということを考えなかつたのですか。
  293. 武岡賢

    ○武岡証人 むろんそういうことは考えております。
  294. 内藤隆

    ○内藤委員長 考えたが……。
  295. 武岡賢

    ○武岡証人 遺体には損傷を一つも来しておりません。私のやつた範囲では。
  296. 内藤隆

    ○内藤委員長 どうして君はわかつた……。
  297. 武岡賢

    ○武岡証人 ということは、ちようど家がひつくりかえつたような状態で、全部遺体なんかは物の下になつております。私らがかけた火薬は、遺体が吹き飛ぶようなものをむろんかけたこともないし、またそういう大きな火薬もかけられず、一部的な損傷をする程度、物の下になるくらいの状態で、何も損傷するような状態は絶対ないと思います。
  298. 内藤隆

    ○内藤委員長 火薬は何トン使つたのですか。
  299. 武岡賢

    ○武岡証人 総体でニトン半くらいです。それも一ぺんに使つたのではありません。何箇月という間に使つたのですから、遺体が損傷するというようなことは全然ないと思います。
  300. 内藤隆

    ○内藤委員長 当委員会の事務局は、投書あるいはそういつた中傷等は絶対に信じておりませんが、あなたに関するそういうものが盛んに来ております。
  301. 武岡賢

    ○武岡証人 それはぼくもよく知つております。
  302. 内藤隆

    ○内藤委員長 それを一々読んでみますと、ニトン半くらいな火薬じやない。十トン以上の火薬を使つているというような恐るべき投書も来ておる。
  303. 武岡賢

    ○武岡証人 そんなことはありません。
  304. 内藤隆

    ○内藤委員長 それから引揚げた物資でも、ただいまでも呼んでもらえば、証人に立つて委員会において申し上げたいというような、猛烈なことを書いたものも来ておる。そういうものに対しまして、あなたは今ここで英霊には損傷を一体も与えていないということを断言できますか。
  305. 武岡賢

    ○武岡証人 はあ。私は上つた遺体を見ましてそういう確証を得ます。
  306. 内藤隆

    ○内藤委員長 見ますよりか、もうダイナマイトをかければふつ飛んでしまつておるということは想像できますね。
  307. 武岡賢

    ○武岡証人 私の方の引揚げたところは、全部ふつ飛んだあと引揚げたのです。部屋を破つて揚げたというのは、兵員室とさつき申しました食堂だけで、それ以外に部屋をあけて遺体を出しているものはありません。全部当時魔の轟沈をした爆発のあとから出した遺体ばかりです。
  308. 内藤隆

    ○内藤委員長 しかしその際にわれわれの考えることは、とつさに起つた原因不明の沈没ですから、みなが覚悟していないだけに、それぞれ自分の任務の部署についておつたと思う。そういう場合、その任務についておつた場所を爆破した場合に、そこで倒れておる遺体というものが飛び散ることは想像できます。
  309. 武岡賢

    ○武岡証人 いや、できますが、私の方のやつたところはさつき申したようにこういう部屋をあけたのは、兵員室と食堂しかなくて、ほかの部屋をあけたというところは全然ないのです。それ以外につまり遺体を出したところは一つもありません。全部はじけたところから出したのでございまして………。
  310. 内藤隆

    ○内藤委員長 大体艦体を爆破すれば、その中にあつた二千数百の遺体を損傷しないとは何人も想像できぬでしよう。どうです。爆薬をかけて一箇所なり二箇所なりを爆破した場合に、その爆発が必ず遺体に影響があつたということは想像ができるのです。ところが君はないと言い、われわれは想像できると言つたところで、水かけ論になるが、あなたはどうです、この艦の搭載物資を引揚げるために、もしもそういう爆破作業によつて英霊に影響があつたという場合に、あなた自身の気持からいつて、どういう感じがいたします。
  311. 武岡賢

    ○武岡証人 それはこれを委員長さんに差上げますが、そういうことがありまして、私としては良心がありますので、こういうような処置をとつております。慰霊祭も私の方の会社の費用で全部やり、これを読んでいただけばわかるように、写真も全部とつております。お寺なんかは破格の光栄だというくらいに本願寺の方からこういう小さいお寺にこういう書類が来ております。寺自体は西日本に感謝しております。これはみな私の自費をもつてやつたのです。
  312. 内藤隆

    ○内藤委員長 それを預かりましよう。
  313. 武岡賢

    ○武岡証人 これはお寺から借りたものですから、あとで返してください。
  314. 内藤隆

    ○内藤委員長 証人はそういう遺体に対して損傷をしたというようなことはない。また遺体に対してはあとう限りの丁重な態度をもつてやつた、こういうことですね。その証拠としてこういうものを提出した……。
  315. 武岡賢

    ○武岡証人 はあ。霊祭もたびたびやつておりますし……。
  316. 内藤隆

    ○内藤委員長 しかしその契約をするときに、こういうことを考えなかつたかね。いわば一種の、英霊がそこで眠つておる一つの共同墓地、集団墓地のようなものだ。そこから物を揚げるというときに、これを爆破しなければあなた方のいわゆる契約から見た物資が揚らぬというときに、あなたは物資を揚げたい気持が専心であり、そうしてこの遺体等に対する処置等の考えは、この契約をするときに持つておりましたか。
  317. 武岡賢

    ○武岡証人 持つておりました。
  318. 内藤隆

    ○内藤委員長 それではなぜあの契約の文書の中にこの遺体に対する処置その他についての契約の文言か一項も加わつていないじやないか。
  319. 武岡賢

    ○武岡証人 その点は遺憾と思うところです。私の方の会社としましては、ぼくが社長に就任する前から調査をしまして、契約書には全然ないのですが、それ以外に私の方から進んで復員局に申し出て……。
  320. 内藤隆

    ○内藤委員長 契約書にもなければ、作業計画書にも何も書いてない。まつたくこの軍艦陸奥というものを、一種の物質的な面からのみ、その物資を揚げることに汲々として、英霊等は等閑に付せられておるということは、あの契約書を見れば明らかにわかる。
  321. 武岡賢

    ○武岡証人 それは一概に言えないと思います。当時慰霊祭をやりましたときに、契約した県庁あるいは管財局が来ておりません。むしろ進駐軍の方の何とかいう大尉が、飛行機の上から慰霊に来てくれたというような状態で、私は遺骨のことにいたしましても、当時の契約者の県庁を全然たよらない。当時は県庁としましても、敗戦国家である以上、今艦体から遺骨とか遺体とかいうものを揚げることを考えるということは、占領政策に違反しておるくらいに思つて……。
  322. 内藤隆

    ○内藤委員長 それは最近まで禁止せられておつたから来なかつた。決してこれを無視して来なかつたということではない。
  323. 武岡賢

    ○武岡証人 そういうことですから契約書に書かなかつたのではないでしようか。この案は全部向うから出た案です。
  324. 内藤隆

    ○内藤委員長 県庁そのものがつくつた……。
  325. 武岡賢

    ○武岡証人 そうです。大半が向うの原案を私らが承認したような形なんです。
  326. 内藤隆

    ○内藤委員長 せつかく遠方から来てもらつて、ただいま尋問中に発見されたことは、搭載人員について非常な食い違いがあるということでありますが、これは他の証人も呼んでありますから、いずれまた明らかになると思います。そこであなたは大いに慰霊祭等をやつたという一つの証拠としてここにお持ちになつたが、これは田中社長時代の慰霊祭じやなかつたでしようか。
  327. 武岡賢

    ○武岡証人 いや、私のもあります。
  328. 内藤隆

    ○内藤委員長 あなたが社長になつてから慰霊祭なんか一ぺんもないんじやないか。
  329. 武岡賢

    ○武岡証人 いや、あります。二月の何日か、一番最後の写真なんかみんなそうです。
  330. 内藤隆

    ○内藤委員長 ここへ紋付を着て並んでおられるのは遺族ですか。
  331. 武岡賢

    ○武岡証人 あれは部落の代表の者です。
  332. 内藤隆

    ○内藤委員長 他に御質問ありませんか。
  333. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 証人にお尋ねしますが、火薬をお使いになつておるが、その艦内にある遺体を火薬を使わぬで出せるのであるか、今の陸奥の中にある遺体を、火薬を一つも使わなくて出すことができることになつているかどうか。
  334. 武岡賢

    ○武岡証人 今後は火薬を使わぬで出るところはないと思います。まだ私らの方の捜査が不十分でありましても、わずかだと思います。これから遺体を引揚げるのには、どうしても火薬が必要だと思います。
  335. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 これだけの艦の中の遺体を全部引出すとすれば、およそ今までの経験によつて――証人はどこにどのくらいあると言つているのだが、その遺体を全部引出すにはどのくらいの火薬がいるか。
  336. 武岡賢

    ○武岡証人 私はここに今書類と図面を持つて来ておりませんのです、遺憾ながら検察庁の方に行つておりまして……。今まで二年何箇月の間苦心してつくりました図面の中で、何の部屋にはほぼどれくらいという推定は全部しております。それを見ましたならば、大体の火薬の数量とか、あるいは電気切断機とか、ガス切断機でやればどれくらい揚るという目算は立つと思います。今はつきりした数字は即答はできかねると思います。
  337. 天野公義

    ○天野委員 先ほどの第二復員局の残務処理部長の初見氏から、遺体処理に関して山口県と呉処理部と西日本海事と三者で協定書をつくつた、こういう証言がありましたが、それは御承知ですか。
  338. 武岡賢

    ○武岡証人 協定書と言いましても、私の方から進んでやつた、そのことに対しまして向うの返事くらいではないですか。
  339. 天野公義

    ○天野委員 返事というような簡単なものでなくて、相当具体的に各条項をあげた協定書の書類を先ほど本委員会に資料として提出されております。それをお知りになりませんか。
  340. 武岡賢

    ○武岡証人 ちよつと私は記憶がないのですが、向うからのお礼程度の書類は参つておりますが……。
  341. 内藤隆

    ○内藤委員長 証人に言うが、天野委員の御質問になつておる協定書というものは、今君が提出した参考資料の中に載つておるよ。
  342. 武岡賢

    ○武岡証人 感違いしておりました。あります。協定書はあります。
  343. 天野公義

    ○天野委員 その協定書によりますと、火薬の使用その他については、遺体を損傷させるようなことはおそらくできないように読みとられるわけです。ところが先般の武岡証人の証言によると、船が進水してそれ以後艤装し、載つけたものは搭載物件とみなす、そういうような見解のもとに、搭載物件をとるために多量の火薬を使用してどんどん引揚げを行つておる。そういうような状況から考えますと、どうしても今証人の言つたような遺体の処理について納得が行かないわけです。たとえば食堂とか兵員室、それ以外はあけないというふうな証言をされておるのですが、大体陸奥の中でどの部屋とどの部屋をあけたか、そしてどの部屋にどれくらいの遺体を発見したか、そういうことをひとつお話願いたい。
  344. 武岡賢

    ○武岡証人 今委員長に差上げた参考書類の中にもありますように、細部にわたつてははつきりしたことはわかりませんが、兵員室から出ました遺体は一体、食堂から二十一体、あとは全部当時破れた周囲から出た。
  345. 天野公義

    ○天野委員 そうすると、新しくたとえば小さな部屋を破つた場合、そんなところからは一つも発見されておらないというわけですか。
  346. 武岡賢

    ○武岡証人 はあ。
  347. 天野公義

    ○天野委員 そうすると、そういう発見されない部屋が幾つくらいあるのですか。
  348. 武岡賢

    ○武岡証人 発見されない部屋と申しますと、あとは食糧倉庫とか、倉庫ばかりですから、出ぬのが私らの考えでは当然ではないかと思いますが、食糧倉庫は五つ、六つあけております。
  349. 天野公義

    ○天野委員 そうするとその近辺にも一つも遺体がない……。
  350. 武岡賢

    ○武岡証人 はあ。もつとも先ほど私が申しましたように、捜査不十分であるかもわかりません。視界が暗いから中がはつきり見えませんから、その点御了承を願います。
  351. 天野公義

    ○天野委員 そうすると、そういう暗いところでどうして物件を引揚げるのです。
  352. 武岡賢

    ○武岡証人 それは品物の場合には、大きいものですから非常に目につく。遺体の場合には、人間がそのまま腐らずにあるなら非常に見やすいのですが、ほとんど――全部と言つてもいいくらい骨だけで、肉などついておるものは一つもありません。でありますから、物の下敷きになつたり、あるいは物の間にはさまつたり、あるいはすみの方に寄つてしまつたりしていて、遺体を探すのは非常に困難だと思います。
  353. 天野公義

    ○天野委員 資料として、あけた部屋、それから発見された遺体の場所、そういうことがわかりましたら、わかる程度の資料を出していただきたい。
  354. 武岡賢

    ○武岡証人 はあ。今度お出しします。
  355. 高倉定助

    ○高倉委員 先ほど証人は火薬筒がひつつぶれて出て来たと言われたのです。火薬筒がつぶれるということになつて、爆発したものであるとすれば、跡形もなく原形がないと思うのですが、つぶれたというのは、どういうわけで出て来たのですか。
  356. 武岡賢

    ○武岡証人 大体私の方で揚げました火薬カンというものは、黄色火薬でも黒色火薬でもなくて、専門家の人に聞きますと、主砲を撃つときに火薬カンから一応火薬を出しまして、たまを詰めて、あとから火薬を入れるその火薬で――当時瞬間性の、主砲を撃つ火薬が爆発して軍艦が沈んだという話を聞いておりまして、そのためにそれには火がつかずに、ひつちやけたんじやろうと私は推定しているのですが、いかがでしよう。
  357. 高倉定助

    ○高倉委員 そうすると、その火薬はカンの中からどこかへ行つてしまつたんならば、つぶれてあるだろうけれども、火薬の入つたカンがつぶれてしまうということは、火薬の性質からいつても、爆発するとわれわれは想像するのですが……。
  358. 武岡賢

    ○武岡証人 それだから薬莢と申しますか、たまと一緒についているのは一発もございません。ただ薬莢カンと称するバケツみたいなものだけがありました。それから私らの推定するのには、それは案外火がつかずに、そのまま飛んだものですから、艦体の中でぴしやつとつぶれたのじやろうと想像するような次第です。
  359. 内藤隆

    ○内藤委員長 他に御発言がなければ、武岡証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。証人には御苦労さまでした。     ―――――――――――――
  360. 内藤隆

    ○内藤委員長 引続き木村証人より証言を求めることにいたします。  ただいまお見えになつている方は木村忠二郎君ですね。
  361. 木村忠二郎

    ○木村証人 はい。
  362. 内藤隆

    ○内藤委員長 あらかじめ文書をもつて御承知の通り、本日正式の証人として証言を求めることに決定いたしましたから、さよう御承知願います。  これより沈没戦艦陸奥艦体内に眠る英霊二千余柱の行政処置に関する件について証言を求めることになりますが、証言を求むる前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するときまたはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言も拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつていただきたいと思います。  なお証人が公務員として知り得た事実が職務上の祕密に関するものであるときは、その旨申出を願いたいと存じます。  では法律の定めるところによりまして、証人に宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人木村忠二郎君朗読〕    宣 誓 書   良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います
  363. 内藤隆

    ○内藤委員長 それでは宣誓書に署名捺印を願います。     〔証人宣誓書に署名捺印〕
  364. 内藤隆

    ○内藤委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は証言を求められた範囲を超えないこと、また御発言の際にはその都度委員長の許可を得て答えるようお願いいたします。なおこちらから証言を求めるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人木村忠二郎君は、現在引揚援護庁長官でございますね。
  365. 木村忠二郎

    ○木村証人 さようでございます。
  366. 内藤隆

    ○内藤委員長 いつから現職におつきになりましたか。
  367. 木村忠二郎

    ○木村証人 本年一月十六日でございます。
  368. 内藤隆

    ○内藤委員長 旧陸海軍沈没艦船中に艦とともにある英霊の処理並びにこれが遺族の援護は、あなたの所管でございますね。
  369. 木村忠二郎

    ○木村証人 引揚援護庁におきましては、旧陸海軍の復員並びにこれに関しまする業務を行うことになつております。そういう意味におきまして、遺骨、遺体の処理につきましても、その内容によりまして、援護庁の所管ということになつております。遺族の援護につきましては、現在のところ引揚援護庁の所管にはまだなつておりません。
  370. 内藤隆

    ○内藤委員長 遺族の援護等は所管外だ、こういうわけですな。――未引揚げの英霊遺骨に対して現在どういう管理をしておいでになりますか。
  371. 木村忠二郎

    ○木村証人 未引揚げの遺骨につきましては、できる限りすみやかにこれを遺族の手に引渡し得るような状態に持つて行きますように、各種の手はずを目下考究いたしておる最中でございます。なおこれを引揚げることができますような状態になつているものにつきましては、その措置をいたしまして、それをできるだけすみやかに遺族の方に引渡すようにしております。
  372. 内藤隆

    ○内藤委員長 その英霊の遺族等について目下調査を進めておいでになりますか。
  373. 木村忠二郎

    ○木村証人 現在手に入つておりますもので、その遺族のすでに明らかになつておりますものについては、ただちに遺族の方を探しまして、これを引渡すというふうにいたしております。なお遺骨等によりましては、遺族の明らかでないものもございますので、これについてはその遺骨がだれの遺骨であるかということについて、各般の手を尽しまして、これを明らかにいたすように努めておるのであります。
  374. 内藤隆

    ○内藤委員長 午前中のあなたの方の復員局の部長でしたか、その証言中にありましたが、日本の近海に現在沈没しておる艦船は約百十隻、この艦船内に眠れる英霊は二万柱、こういう証言がありましたが、さようですか。
  375. 木村忠二郎

    ○木村証人 さように聞いております。
  376. 内藤隆

    ○内藤委員長 本委員会において、旧軍艦陸奥に関する不正事件の調査中に、この軍艦陸奥の艦体に英霊が二千柱いまだ未処理のままであることが判明したのでありまして、この点証人は御承知になつておられますか。
  377. 木村忠二郎

    ○木村証人 沈没いたしております戦艦陸奥の中にあります遺体が、まだ未処理のものがありますことは、承知いたしておりますが、それが二千余体あるということは聞いておりません。
  378. 内藤隆

    ○内藤委員長 どれほどあると聞いておられますか。
  379. 木村忠二郎

    ○木村証人 約七百九十四柱遺体が未処理であるということが、一応推測されるというふうに聞いております。
  380. 内藤隆

    ○内藤委員長 ただいま、実際にこの引揚げ作業をやつておつた、西日本海事工業株式会社の社長の証言を得たのですが、この証言によりますると、あなたの方のお調べと、非常な数において食い違いを生じておる。この証人の証言は、相当に調べたと証人は述べておるのですが、それによると、二千七百名の乗員があつた、こう言うのです。それからあなたの方では、千五百名ということになつておりますが、そうするとここに千二百名からの食い違いが生じておるのです。これはどういうわけでしようね。
  381. 木村忠二郎

    ○木村証人 旧海軍の調べによりますれば、その船に乗つておりました者が約千三百名、このほかに土浦の航空隊の予科練習生が約二百名、合計約千五百名の者が乗船しておつたということが明らかになつておるのであります。従いまして、もともと千五百名しか乗つていなかつた船に、そう遺体がたくさんあるというのは、常識上予想されないのであります。もちろん船に乗つておつた者の数が間違つておるということですと、どうかと思いますけれども、これにつきましては、その当時はこれがわからないような状態ではなかつたと思いますし、またその当時殉職しなかつた生存者の方もおられることでございましようから、それらの方からも調べてあることと私は考えます。私といたしましては、おそらく引揚援護庁の第二復員局残務処理部の部長のお答えの方が、正しいのではないかというふうに考えます。
  382. 内藤隆

    ○内藤委員長 一応あなたの方の調査が正しい、こういたしますと、いまだ陸奥の艦体の中に、七百九十四柱の遺骨が残されているということは事実ですね。  そこで搭載物件の引揚げについて所管庁、建設省あるいは山口県知事から英霊の処理について何らかの照会を受けたことがありますか。
  383. 木村忠二郎

    ○木村証人 これは私の在任中の事件ではございませんので、私からはつきり、どういうことがあつたということは言えないのでありますが、私が調査したところによりますと、これにつきましては、これを実際にやられます前に連絡がございまして、第二復員局といたしましては、これについて山口県知事並びに会社の社長と、第二復員局の呉にありますととろの出張所との間におきまして、話合いと申しますか、協定と申しますか、それを結びまして、これの処理について話合いをいたしたということになつております。
  384. 内藤隆

    ○内藤委員長 午前中の証人の証言から見ると、あなたの方で、陸奥から搭載物件を引揚げるという許可がおりたということを聞いて、あなたの方から建設省なり山口県の方に照会した、こういうことを証言になつておりました。向うから来なかつた、こう言つておるのです。
  385. 木村忠二郎

    ○木村証人 その点につきましては、先ほど申し上げましたように、私の現職当時の事件ではございませんでしたので、私の申し上げることよりも、むしろその当時事に当られました方の申されることが正しいと思います。私はただ聞いただけの話でありまして、私の聞いているところによりますと、極東海軍司令部の指令するまでは全然連絡がなくて、同司令部の許可書によつて、その引揚げをすることを知りまして、遺体引揚げについて、建設省にこちらから連絡をいたしまして、作業監、督者の山口県知事と、引揚げ作業、実施者の西日本海事工業株式会社と、呉の第二復員局の出張筋との間で、遺体の引揚げを行う協定というか、話合いをしたということを聞いております。
  386. 内藤隆

    ○内藤委員長 そこで搭載物件の引揚げについては、まず英霊を引揚げ、これの処理が終つてから物件の引揚げをなすべきであつたと考えられますが、その点はどうです。
  387. 木村忠二郎

    ○木村証人 引揚援護庁といたしましては、当然そうあるべきものと考えております。従いまして、こういうものが明らかになつております場合は、すべてそういうふうにいたすように、われわれの方としては指示いたしております。
  388. 内藤隆

    ○内藤委員長 そうすると、この陸奥の場合は、やはりそういう気持から、建設省なりあるいは山口県にそういう協定を申し出た、こういうわけですね。
  389. 木村忠二郎

    ○木村証人 そうです。
  390. 内藤隆

    ○内藤委員長 陸奥の場合、火薬を使用して物件を引揚げておるようですが、このような場合に、火薬を使用すれば英霊を損傷することは想像できなかつたのですか。
  391. 木村忠二郎

    ○木村証人 当然火薬を使用いたします場合には、火薬を使用する場所についての遺体につきましては、これをまずあらかじめ措置いたしました上に、火薬を使うべきものであるというふうに考えております。陸奥の場合におきましては、私存じませんけれども、その当時の情勢といたしまして、引揚げる者もそういうものを使わなくて一応引揚げるべきものであるというふうに考えられるような状態――つまり引揚げ物件がそういうものであるということになつておりましたので、当然そういうものを使わないであろうというふうなことであつたように聞いております。またそうあるべきものであると思います。
  392. 内藤隆

    ○内藤委員長 午前の証人も、火薬を使うとは想像しなかつた、こういう証言でありました。もちろん火薬を使えば、そこにありまする英霊の遺骨に損傷を来すということは、これは想像し得ることであります。なお日本の領海内に沈没船艦が相当にあるのですが、これらの英霊に対しまして、引揚援護庁長官としては、一体今後どういう処置をおとりになるつもりですか。
  393. 木村忠二郎

    ○木村証人 今次の戦争によりまして死没いたしました方々の遺骨、遺体等の処理につきまして、従来からこれがその収容ができますものにつきましては、できる限りその収容をいたすようにいたさなければならぬという考えで参つたのでありまするが、何を申しましても、これを収容でき得るものにつきましても、当初占領軍の管理下にございましたような関係もございまして、これの収容がきわめて困難な部分のみがその中に入つておるような状況であつたようでありまして、これに対しまする措置がきわめて困難であつたのであります。最近引揚援護庁といたしましては、これにつきまして急速に何らかの措置を講じなければならぬというふうに考えておりまして、これは水中にありますものはもちろん、陸上にあります他の地方にありますものを合せまして、どういうふうにするかということにつきまして、今計画を、何と申しまするか、企画中であると申しますか、計画を進めておると申しますか、近くこれにつきましてその計画を決定するようにいたしたいと考えておる次第であります。
  394. 内藤隆

    ○内藤委員長 さいぜんの証人と、少しその点違つておりまするが、さいぜんの部長は、二万柱からあるこの英霊に対する根本的な処置、対策等は、集は予算その他の関係において、いまだ考えていなかつたことはまことに申訳ないと言つて、ここに心から陳謝しておつたようですが、あなたの今の証言を聞くと、これに対する対策を今着々とやつておるということになる。どうですか、その点は。
  395. 木村忠二郎

    ○木村証人 ただいま私が申し上げましたのは、一般に遺骨、遺体をどうするかということで申し上げたのでございまして、艦船中にありますものにつきましては、先ほども前の証人がおそらく申したと思います。またただいま委員長か申されましたように、きわめて困難であるということは事実でございます。従いましてこれにつきましてどうするかというようなことでございますから、これにつきましても、今一般的に遺骨、遺体につきましての処理について計画いたしておりますので、その中に含めまして、可能な範囲内で、これはできるだけすみやかに、引揚げるようにいたさなければならぬ、かように考えまして、これにつきましてはいろいろと研究いたしておるわけであります。これにつきましては、今後いろいろ予算の関係もございますし、その他そういうような艦船の引揚げといつたような問題も、同時に起ると思いますから、これらと合せまして、どういうふうにするかということを企画中でございます。
  396. 内藤隆

    ○内藤委員長 二十七年度の大体そこに計画を何かお持ちでありますか、予算的にひとつ説明してください。
  397. 木村忠二郎

    ○木村証人 御承知の通りにただいま企画中でございますから、予算的措置はいたしておりません。
  398. 内藤隆

    ○内藤委員長 他に御質問ありませんか。
  399. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 証人にお尋ねしますが、西日本海事工業の社長の証言の御遺体の数と、ただいま証人が証言された御遺体の数は、委員長のお聞きの通り、非常に食い違つておるのでありますが、あなたの方で本委員会で御証言になりました千五百という数字は、どういう根拠に基いて出されたのでありまするか、この点をお伺いしておきたいと思うのであります。と申し上げますのは、軍艦陸奥は、当時爆発によつて沈没したということが、秘密に付されておつて、終戦までは、これを一切、付近の島民が知つていても口外ができない。これを品外すれば、憲兵隊がすぐ来てぶち込む、口外しなくてもぶち込むということがありますので、作戦上祕密になつておる乗組員の数は、終戰後にどういうところからあなたの方でお調べになつたのか。またそれより以外に海軍の参謀部あたりで、乗組員は実際にそれ以上おつたが、しかしながらこのものの書類はあるいは焼いた――終戦後にはそういうのがたくさんある、焼いてしまつてわからぬのであるが、この千五百という数字の根拠について、あなた方でこれに間違いないという証言ができますかどうか、その点を……。
  400. 木村忠二郎

    ○木村証人 ただいまの御質問でございますが、御承知の通りに、引揚援護庁そのものは、旧海軍そのものではございませんので、一応現在までわれわれのわかつておるところで申し上げるわけであります。従いまして、旧海軍から引継ぎました仕事の内容の範囲内で、そういうふうに言われておるというだけでございまして、それ以上のことはわれわれとしまして、これが確実間違いないということをこちらで申し上げることは、おそらくできないだろうと思います。
  401. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 そういたしますと、海軍から書類のみを引継いで、その書類で数がこれだけであるということを言つただけであつて、実際の当時の作戦上、どれだけのものを乗せておつたかということはわからない、こういうように証言されたと聞いてよろしゆうございますか。
  402. 木村忠二郎

    ○木村証人 私からはそれははつきり――私自身ははつきりわからないとしか申し上げられないと思います。
  403. 田渕光一

    ○田渕委員 私はこれは海外同胞引揚委員会などでやつておられるだろうと思うが、この引揚援護庁が未帰還者、軍人あるいは軍属の生存者もしくは生死不明者の対策に熱中されて、遺骨の収容対策というものに対しては、私は非常に感度が鈍かつたのじやないかと思います。この未帰還軍人あるいは軍属の生存者もしくは生死不明者の、これに対する対策の事務的進行状態と、この遺骨の収容対策の事務的区別、つまり百あるものとするならば、その中のパーセンテージがどんなぐあいになつておりましようか。
  404. 木村忠二郎

    ○木村証人 引揚援護庁の本来の仕事はどこにあるかと申しますれば、海外から引揚げて参りまするものの引揚げをいたします。向うの港からこちらの港まで来まして、そうしてそれぞれの郷里まで帰ります。この間の援護をいたしますのが、そのできましたときの本来の仕事でございます。後に引揚援護庁が復員局を吸収いたしまして、復員局自身が旧陸海軍の残務の処理をいたしておつたのであります。そういう意味でもつて旧陸海軍の残務の処理として、引揚援護庁の中でその仕事をいたすことになつております。従いまして引揚援護庁といたしまして、まず第一にやらなければなりませんことは、御指摘の通りにやはります生きている方々をすみやかに引揚げさせなければならぬ、こういうことでございます。それは、とにかくこの方々は生きておられるのでございますし、またこれは皆できるだけ早く、一日も早く故国に帰りたいという気持でございますし、また留守家族の方といたしましても、この方々のお帰りは一日千秋の思いで待つておられるのでありますから、これらの点に遺憾の点がないようにいたさなければならぬということが第一の重点になつたことは、御承知の通りでございます。なおそのほかに、遺骨、遺体の収容等につきましては、日本が占領下にあるという特殊の事態もございまして、この仕事を急速にやることはきわめて困難な事情にあるということでございました。それで従来そのものにつきましては、どちらかと申しますれば、事務上としては、きわめてその量が少かつたことは、まことに遺憾のきわみであると申さなければならぬのでありますが、ただこれに当つておりまする旧復員局の方々並びに引揚援護庁の幹部におかれましては、気持といたしましては、この遺骨を何とかしなければならぬという気持は非常にあつたとわれわれは聞いておるのであります。私も先般援護庁長官に就任いたしまして以来、このことにつきましては非常なる関心を持ちまして、鋭意努力いたしておる次第であります。
  405. 田渕光一

    ○田渕委員 事務的に非常に少量であつたということも、これでわかつたのであります。もちろん第二義的にそれをやられたということも、当時の占領下の状態として私はいたし方なかつたと思いますけれども、たとえば沖繩の遺骨の本国帰還、あるいはまた和智大佐の硫黄島における調査などに対して、どういうように連絡され、もしくは援護庁としてこの英霊遺骨の内地引揚げということに対して、当時どういう方法をとられたか、参考までに伺いたいのであります。
  406. 木村忠二郎

    ○木村証人 私の承つておるところによりますると、遺骨の引取方に関しましては、昨年の初めごろから連合軍司令部と折衝いたしておるのであります。その遺骨を引取るについては、事前の調査もいたさなければなりませんので、その調査の実施方にうきまして、いろいろ折衝いたしまして、先般硫黄島につきましては、その調査の承認がございました。また沖繩につきましても、本年の三月に、これらの調査につきまして承認があつたのであります。従いましてその両島につきましては、先般御承知の通り調査をいたしまして、大体その実情が明らかになりました。沖繩島につきましては、現在調査を実施中でございまして、今月の中ごろには調査に参りました者が帰つて来るものと思います。なおその間におきましても、先方から、あるいは連合軍の手をもちまして、あるいは向うから帰つて来ます者の手によりまして、こちらに持ち帰られましたものにつきましても、できるだけの措置を講じておるようなわけであります。なお今後の問題につきましても、ただいま連合軍当局と連絡をとりまして――調査をいたすにつきましては全般的な承認を得ておりますが、具体的な調査の計画につきまして、これから向うの承認を受けるような運びにまで進んでおるわけであります。
  407. 田渕光一

    ○田渕委員 沖繩あるいは硫黄島というような問題になりますと、占領治下であり、ことに司令部の許可を要するのでありますが、戦艦陸奥については、わが領土内であり、ことに呉の近く、山口県のすぐ先であつたというような点で、いろいろ問題が起きて来たのであります。今お話の、事務的に量が非常に少かつたというばかりではなく、援護庁並びに午前中調べましたいわゆる陸海軍の復員残務処理当局の精神的な方面の熱意のないということは、――たとえば先般沖繩の遺骨の慰霊祭が日比谷の公会堂において、日運門下の総決起という名のもとに、厳粛に行われました。そのときに当時の沖繩の司令官であつたという方が、御夫妻で焼香されておつたことを私は目撃いたしておる。ところがこれに対して授護庁からはだれも行つていなかつたように思いますが、だれか参加されましたか、もし御記憶があればひとつ伺いたいと思います。
  408. 木村忠二郎

    ○木村証人 その当日は復員局業務部長が出席いたしております。
  409. 田渕光一

    ○田渕委員 もちろんそうであらねばならぬと思います。私は実は参列いたしましたが、本会議の関係がありましたので、ただ沖繩の司令官御夫妻が、その遺骨を送つてくださいまして、日比谷で引渡されて焼香なさつて、あと実は焼香者をお確かめする時間がなかつたので、今それを伺つたのでありますが、まことにかくあるべきだと思うのであります。そこで精神的にやる方面においては、宗教団体にまかすばかりでなく、援護庁もこれをひとつしつかりやつていただきたい。そうなつて、今度は事務的にそれが進んで来るならば、これに対する対策の実施面の裏づけとして、予算的措置が国会に現われて来なくちやならないのに、二十六年度、二十七年度の予算には何も出ておらないで、目下考究中であると言う。敗戦後すでに七年、旬日を出ずして平和条約が発効して、独立しようというようなときに、まだこの予算的な措置すらもなされないで、裏に隠れたところの約二万体の遺骨をどう処置しようというのであるか。日本の現在の経済、財政状態の許される範囲内で、幾分たりとも手をつけられるところからつけて行かなければならないというものが数字に現われ、計画に現われ、その計画、数字が予算面に現われて来なければならないのに、目下計画中、考究中というようなことを伺います。が、もつとも長官はまだ就任日浅いのでありますから、いたし方ないとしても、下僚の方において、すでに今日までの間にこういうような関心が起らなかつたのであるか。少くとも援護庁の重責にある者が、敗戦後の遺家族に対してせめてもの慰めに、こういうことを国家としてやつておるというような点がなかつたかどうか。そういう点について下僚がやつておつたという計画があれば、率直にこれを伺いたい。
  410. 木村忠二郎

    ○木村証人 こういう仕事をいたします上におきましては、やはりどういうところに艦船が沈んでおるか、その艦船の中に遺体がどれくらいある見込みであるかという調査、またその艦船がどういう状態で沈んでおるかということについての調査を明確にいたさなければ、そういうことの計画はできないのでございます。従いまして、第二復員局及びその後の復員局の残務処理部におきましても、それらの調査につきまして、全力をあげて調査をいたしておつたようでありますが、これにつきましては、船そのものを引揚げるよりも、その調査を復員局がいたしておりましたのは、おそらくこれについてどう処置するかを考えなければならぬという点から、そういう調査をいたしておつたものと考えます。これにつきましては、日本内地近海のみならず、海外の各方面におきましても、こういうような調査をいたしておるようであります。これらにつきましては、従来から十分関心を持つておられたものと私は推察いたしておるのであります。ただこれにつきましては、御案内の通りきわめて多額の経費が必要でございます。現在わが国におきましては、遺族の援護につきましても、ようやく本年初めてわずかの予算がこれに組まれるように相なりまして、その遺族援護もきわめて不十分な予算でやらなければならぬというような財政状態でございます。従いまして、遺骨の引揚げ、遺体の引揚げをしなければならぬことは重々考えながら、これをいたします上におきまして、万一遺漏があつたり、あるいは粗漏の点があつたりいたしましては、かえつて英霊を傷つけることになりはしないかという心配があつたことも考えられるのであります。そういう点を考慮いたしまして、現在まで予算化するに至つていなかつた。なおそのほかに占領ということによるところの各種の制約もあつたと思います。これらの各種の制約によりまして、今日までこれを予算化することができなかつたということであろうと思います。なお今後におきましても――やはりこれにつきましては非常に莫大なる経費がかかるようであります。私が聞くところによりますれば、例の伊勢を引揚げるだけでも、一億以上の金がかかつておる。そうしますと、大部分の艦船は引揚げの困難な場所にあるようでありますから、百十の艦船を引揚げるにつきましては、相当多額の経費がかかるのであります。これらの経費は、現在の財政状態からいたしましてなかなか困難であるということも推測されまして、いろいろ計画等はいたしておつたようでありますが、この予算は実現するに至らなかつた。まことに遺憾でありますが、そういうような点から、われわれといたしましては、今案ういうような方向でもつていろいろ他の官庁との連絡を保ちまして、そうしてどういうふうにすべきかということを、至急に計画しなければならない状況になつていると考えております。
  411. 田渕光一

    ○田渕委員 この遺体、つまり遺骨の収容あるいは英霊に対する対策というものに対して、占領下の今日、あるいは今日までに、たとえば占領軍当局と言いましようか、連合軍総司令部と申しましようか、それらから何か援護庁が制限を受けておるとか、あるいはまたこれについての熱意の一端を示す予算に対して、あるいは予算的措置、あるいは申請等に対して、オーケーその他のぐあいはどんなであつたかということを、さしつかえない範囲でひとつ――連合軍の好意が、今日こういう方面に現われているということの一端を国民に知らせることも私は必要だと思いますし、独立後における連合国との民主陣営、つまり共同防衛の立場におきましても、私は国民感情上必要だと思いますが、こういうような点について、援護庁に対してとつた向うの措置がもしあるならば、ひとつお聞かせを願いたいのであります。
  412. 木村忠二郎

    ○木村証人 私最近援護庁の長官を拝命いたしましたわけでありますが、最近におきましては、これらの問題につきまして占領軍当局との関係はきわめて密接にいたしておりまして、現に太平洋諸島におきますところの遺骨、遺体の引取り等につきましても、至急に日本でもつて引取つてくれるようにということを申されているようなわけでありまして、これにつきましては占領軍との関係は非常に密接でありますが、それ以前のことにつきましては十分に聞いておりませんので、本日私はその点につきまして正確なことを申し上げることができないのは非常に遺憾に存じます。
  413. 田渕光一

    ○田渕委員 たとえば北はアツツあるいは南はガダルカナル、マキン、タラワ、こういうようなところで戦死され、ことに硫黄島などはほんとうにわれわれあの当時泣いても泣き切れなかつた。その当時の状況、現地におる英霊の状況を思い出し、またこれを思うところの遺家族の心情というものを思いまして、非常に胸に迫るものがあるのであります。しかしこの陸上における、つまり遺骨の収容に対しましては、人力と熱意とにおいて、ある程度予算的の措置が少くても、これは連合軍と、あるいは独立後の民主陣営の世界各国の御協力があるならば、非常にうまく行くと思いますが、これと反対に、海のもくずとなつて、つまり魚族のえさとなつた、こういうまことに聞くからにして身の毛のよだつようなこの問題に対しては――陸上の遺体収容ということに対しては、非常に連合軍の御好意もあり、最近の硫黄島の問題についても、和智大佐に対して非常に援助を与えられたということは、われわれ感激いたしておるのでありますが、この海の問題に対しては、何か今日までに援護庁に対してこういうような相談はなかつたのでありますか、たとえば行政協定の中に役務賠償ということがあり――比島沖に沈んでおる艦船の引揚げ、労務、技術その他の役務賠償というようなことがありますときに、この艦船の中に英霊の遺体があるということに対して、どういうぐあいの方法を講じて行こうというような、あるいはまたこれに対する対策、熱意の一端が援護庁にあつたかどうか、これをひとつ伺いたい。
  414. 木村忠二郎

    ○木村証人 援護庁といたしましては、そういう艦船の引揚げ計画があります際におきましては、これを聞きますれば、ただちにこれに対しまして、その中の遺体の引揚げにつきましては、これを優先的にやりますように措置いたしておりますることは御承知の通りでございます。これは先ほども申し上げましたし、また他の証人もそういうことを申したようでございます。その通りにいたしておるわけでございます。ただ、これを実際にやることの許可を求めます場合におきましては、やはり日本といたしまして、総合的な計画を持たずして向うに許可を求めるということは困難でございます。先ほど申しましたようないろいろな状況もございまして、これにつきましての具体的な計画を立てるまでに至つていなかつたために、従来まことに遺憾でありましたが、これらの措置がとられていなかつたということを申し上げざるを得ないのはまことに遺憾でございます。
  415. 田渕光一

    ○田渕委員 実際において作業に従事する日本内地のサルベージ、たとえば岡田サルベージとか、日本サルベージとか、あるいは西日本海事のサルベージ、こういうようなサルベージ会社の、つまり何と申しましようか、エキスパートと申しましようか、そのような業者と、艦船の引揚げを主とせず、この遺体の収容をどういうふうにしたものだろうかというような対策委員会とか、あるいはこれらに対する研究的な会議が催されたということをお聞きでございますか、どうですか。
  416. 木村忠二郎

    ○木村証人 遺体の引揚げ等につきましては、第二復員関係の方におきましては、旧海軍のそういう海事関係の専門家もまだ残つておることでございまして、これにつきましてはどういうふうにしなければいかぬ、どういうふうにしたら、金がかからぬかというようなことにつきましても、一応知つておるようでございまして、またそれらの方面の方々もおそらくいろいろ御協力されておるのではなかろうかと思います。しかしながらこれにつきまして、従来どういうことをやつておりましたかということにつきましては、私その当時のことを存じません。現在はそういうことにつきまして十分検討いたさせておりますけれども、当時のことにつきましては、ただいま証言をいたすだけの材料は持つていないのであります。
  417. 田渕光一

    ○田渕委員 これらの点につきまして後刻資料でけつこうでございますから、たとえばそういう会合あるいは対策会議のようなものが催されたとか、また外務当局に対して行政協定を結ぶ場合においては、役務賠償をこういうぐあいにしてもらいたいという横の連絡、あるいは大蔵省に対してこういうような措置をしたいと思うので、このくらいの予算を、財政の窮乏の折から幾分でも組んでもらいたいという要望事項なり、あるいは書類などがとりかわされておつたとするならば、まことに私は国民感情として遺族の人たちもまず納得するものがあるのではないかと思うのであります。たまたまわれわれは、こういうことをもうとつくに行政当局においてやつておるものだと思いましたところが、本委員会に取上げた陸奥の問題で、重大にこれが浮び上つて来た。全部こういうことが行われておるのではなかろうかということが非常に大きく取上げられ、調査の度が深まつて行つたのでありますが、こういう意味におきまして、過去におけるところの資料は、厖大な資料とは思いませんので、ひとつでき得べくんば御熱意を示していただきまして、これらに関する国民の納得する、国民感情を治めるに足るような資料がありましたら、当委員会にひとつ御提出願いたいということを要望いたしますし、委員長からもひとつ御請求願いたいと思います。  さらに伺いたいのは、遺体のまだ揚らない遺族の中の非常に生活に困難な方の援護や、あるいは遺児、孤児等に対する援護がどういうぐあいになつておりますか。
  418. 木村忠二郎

    ○木村証人 遺骨の揚る揚らない、返る返らないにかかわらず、旧軍人軍属の遺族に対しまする援護につきましては、今日まで特殊な措置が講ぜられておらなかつたということは、すでに皆様方御承知の通りであります。これにつきましては、御承知の通り、ポツダム宣言に伴いますところの勅令が出ております。これは司令部の方の指令に基きまして出ておりまして、旧軍人軍属の遺家族に対しますところの援護の措置がとめられておりました関係上、いまだに何らの措置が講ぜられておらなかつたという実情でございます。先般来国会、各方面の非常なる御熱意もありまして、これに対しまする制限が解除せられまして、そうしてこれにつきまして今回の国会におきまして、きわめて不十分でありまするけれども、一応遺族の援護に関します法律案並びに予算が提出せられまして、本年度からこれを実施することになつておるのであります。従いまして従来何らかの措置が講ぜられておつたかと申しますと、これにつきましては何らの措置も講ぜられておらなかつたと言わざるを得ないのであります。特に復員局におきましては、復員局が遺族の生活状態を調査してとやかくするということにつきましては、表向きはとめられておつたのであります。従いまして復員局におきましては、表向きそういうことをいたすことができなかつたという実情であります。従いまして引揚援護庁そのものは、引揚者並びに引揚者の留守家族というものにつきましては、これについていろいろなことをいたします責任を負わされておるのであります。その他のことにつきましては、引揚援護庁はできないという状況にあつたわけであります。今回の法律の改正によりまして、新たに引揚援護庁が一般遺族の援護についての仕事をすることに相なるように、法律の改正を今お願いいたしておるわけであります。これができましたならば、今後引揚援護庁といたしましては、遺族の援護につきましていろいろ御援助いたさなければならぬと存じておるのであります。なお生活に困つております者につきましては、どういうことになつておるかと申しますれば、終戦後一般に日本国内におりますところの生活困窮者に対しまして、最低生活の維持を保障いたしまするために生活保護法という法律が制定せられまして、これをもちましていかなる原因になりましても、いかなる者でありましても、日本国民でありまする限りにおきましては、生活困難と認められまする者について、最低生活を維持するために援護をいたすという法制的な措置も講ぜられ、これに対しまする予算といたしましても、必要な限り出るような予算というふうになつておりまして、これでもつて現在いたしておりますことは、皆さん御承知のことだろうと思います。
  419. 田渕光一

    ○田渕委員 沈没艦船から引揚げられました英霊遺骨の収容に関しまして、まずその遺族を調べ、遺家族がわかつた場合に通知をいたしまして、たとえば呉なら呉で揚げられて、ねんごろにこれが荼毘に付され、供養を営まれたものを家族に通知をして引取り方を促すような場合には、これに十分なる旅費、日当などを与えてやらなければならぬと思うのでありますが、こういうようなことに対して援護庁は積極的にやつておりますか、どうですか。
  420. 木村忠二郎

    ○木村証人 この引取りに参りますところの経費は、遺族にこれを支給いたしております。
  421. 田渕光一

    ○田渕委員 遺族不明の英霊、いわゆるこれは仏教上から申しますならば、無縁仏であります。私はこれを想起するのであります。六百年前に大元蒙古が攻めて参りまして、当時の博多湾において何十万という何が海のもくずとなられた。敵ではありながらも、当時の為政者はこの博多湾頭に大元蒙古の無縁供養塔というものを建てておるのであります。戦時中に徳王を呼ぶ呼ばぬで、企画院で問題になりましたときに、いろいろ文句もありましたが、ともあれ蒙古を呼ばなかつたことは失敗であつたということで、徳王を呼び寄せたら、徳王は非常に不平不満を並べたが、博多湾頭に連れて行つて、君らの六百年前の先祖がここに攻めて来たときに、こういうような供養塔を建てて、こういうことをしているのだということを見せたときに、徳王は涙を流して感謝したということを私は知つております。六百年前、つまり武家政治時代ですら、それだけのことがあつた。ということは、当時の宗教家が熱心であつた。今日われわれは宗教家の実に力のないことを――あるいはまたいわゆる占領下に置かれて制限を受けたという点もありましようが、あるいはまた寺有財産をとられてしまつたということもありましようが、六百年前のこの供養塔を考えまして、今日これらの団体から大きな問題が起つて来て、海のもくずとなり、魚族のえさとなつた護国の英霊を弔うところの積極的の活動がなかつたことを、私たちは政治家として宗教家に不平を言うのでありますが、ただ宗教家ばかりにまかさずに、事務当局そのものが、これらに向つて宗門のいかんを問わず、超宗教的な無縁仏の供養というようなことに対して、国家的な経費をもつて大々的な大法要、大供養をするというような計画がありますか、どうですか、これをひとつ伺いたいのであります。
  422. 木村忠二郎

    ○木村証人 遺骨につきまして、現在その遺骨の主のわからない者、また遺族の知れない遺骨がありますが、これにつきましては、現在復員局でそれぞれしかるべくおまつりをいたしております。もちろん、これは、あるときが来ましたならば――と申しますのは、結局現在のように講和が成立いたしまして独立の日を迎えましたならば、これに対して適当な措置を講じなければならぬものと考えております。われわれといたしまして、まずそれに先だちまして、全国国をあげて戦没者全般に対しまして、追悼の式典をこの際催さなければならぬのではないかと考えております。それにつきましては、憲法上の問題とか、いろいろな問題があるのでありますが、これらにつきましても、できるだけ早い機会に措置を講じたいというふうに考えておるのであります。目下寄り寄り準備中でございます。なお今後遺骨の引揚げをお迎えするということになりますれば、この中にはたくさん主のわからないものがあるであろうと考えられます。現在でもたくさんあるのでありますから、将来はこれはたくさんあることだろうと思うのであります。これらにつきましては、その取扱いに遺憾のないような措置でもつて、国民の気持に少しでも合いますような方法をもちまして、これに対する慰霊の方法を講ずるようにいたさなければならぬと考えております。幸いにいたしまして、現在、衆参両院の方々、あるいは宗教連盟の方々というような各方面の方々の努力によりまして、これに対しまする国民運動も起ろうとするようなけはいも伺つておるのであります。われわれといたしましては、これらの団体と十分な連絡をいたしまして、遺憾のないような措置をとりたいと思つております。
  423. 田渕光一

    ○田渕委員 もう一点。今日まず宗門のいかんを問わず、キリスト教にしろ、仏教にしろ、あるいはまたいわゆる神仏混淆にしろ、宗教団体あるいは宗教家と称する、つまり公に認められておるものから援護庁に対して、こういう無縁仏の追善供養を営みたい、いわゆる追善供養の方法、あるいはそれらに対する資金的な援助というようなものに対して申込みがございましたか、どうですか。
  424. 木村忠二郎

    ○木村証人 公式に参りましたものは私聞いておりません。しかしながら、非公式にはぼつぼつそういう話わ承つております。ただいまのところ、これに対します資金的な援助ということは、憲法の関係から非常に困難でございます。しかしながら、国といたしましては、そういう宗教的な関係を離れてやりますれば、これに対する措置をいたすことができるであろうということは確信いたしております。これにつきましては、憲法も禁止はしていないであろうと思つております。その件につきまして各方面の権威ある方々から明確なるお答えを得まして、できるだけ遺憾のないようにいたしたいと思います。
  425. 内藤隆

    ○内藤委員長 証人に一点お伺いいたしておきますが、大蔵省や権威あるサルベージ会社の見解では、沈んでいる船を浮揚させることは困難だ、陸奥の場合、特に四十メートルも深海ですから、どうしても水中爆破をしなければならぬという意見になつておると聞いておりますが、そういう際には、一体援護庁といたしましてはどういたしますか。
  426. 木村忠二郎

    ○木村証人 われわれといたしましては、その中に遺体のあります限りにおきましては、その遺体をとりのけましたあとでなければ、爆破すべきものでないと考えております。これらにつきましては、われわれはそう思つておりまするが、国民全体も同じ気持だろうと思つております。
  427. 内藤隆

    ○内藤委員長 他に御発言がなければ木村証人に対する尋問は終了いたしました。  証人には御苦労様でありました。     ―――――――――――――
  428. 内藤隆

    ○内藤委員長 引続き舟山証人より証言を求めることにいたします。ただいまお見えになつておられる方は舟山正吉君ですね。
  429. 舟山正吉

    ○舟山証人 はい。
  430. 内藤隆

    ○内藤委員長 あらかじめ文書をもつて御承知の通り、本日正式の証人として証言を求めることに決定いたしましたからさよう御承知を願います。  これより沈没戦艦陸奥艦体中に眠る英霊二千余柱の行政処置に関する件について証言を求めることになりますが、証言を求むる前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて默祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつていただきたいと思います。  なお証人が公務員として知り得た事実が職務上の祕密に関するものであるときは、その旨をお申出を願いたいと存じます。  では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人舟山正吉君朗読〕    宣 誓 書   良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  431. 内藤隆

    ○内藤委員長 それでは宣誓書に署名捺印を願います。     〔証人宣誓書に署名捺印〕
  432. 内藤隆

    ○内藤委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は証言を求められた範囲を超えないこと、また御発言の際にはその都度委員長の許可を得て答えるようお願いいたします。なおこちらから証言を求めるときはおかけになつていてよろしうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人舟山正吉君は現在大蔵事務次官をやつておいでになりますか。
  433. 舟山正吉

    ○舟山証人 さようでございます。
  434. 内藤隆

    ○内藤委員長 旧陸海軍の沈没艦船で国有財産として大蔵省へ移管されたものはどれほどございますか。
  435. 舟山正吉

    ○舟山証人 旧海軍艦艇は終戦後一応その大部分が司令部に接収せられまして、逐次日本政府に返還されて参りました。その数量はただいま資料を持ち合しておりませんので、的確に申し上げられません。
  436. 内藤隆

    ○内藤委員長 それは相当重要性を持つておりますので、至急調査の上当委員会に出していただきたいと思います。
  437. 舟山正吉

    ○舟山証人 承知いたしました。
  438. 内藤隆

    ○内藤委員長 沈没しておる艦船中には、艦体と運命をともにせられた多数の英霊があることは容易に想像されるのでありますが、この艦船の引揚げあるいは搭載物件の引揚げにあたつて、特に英霊に対し所管庁として一体どういう連絡をおとりになりましたか。
  439. 舟山正吉

    ○舟山証人 英霊の取扱いにつきましては、大蔵省といたしましては、直接の所管庁であります厚生省と緊密な連絡をとりまして、粗略な扱いのないように、各事例につきまして具体的に適切な措置をとるようにいたして参りました。
  440. 内藤隆

    ○内藤委員長 そういう英霊処理に関して、特に関係官庁に通達なり協議をしたこよがありますか。
  441. 舟山正吉

    ○舟山証人 特に書面の形による通達はしてないと記憶しております。
  442. 内藤隆

    ○内藤委員長 艦船中に眠つておる英霊等について、国有財産に移管されたときに何か御調査になつたことがありますか。
  443. 舟山正吉

    ○舟山証人 これらの取扱いの実例につきましては、艦艇の引揚げ等の際に、遺骨の残つております場合は比較的少かつたので、特にこれをまとめて調査した事例はないと承知しております。
  444. 内藤隆

    ○内藤委員長 単に国有財産として物質的な取扱いをしておるにすぎないのですか。
  445. 舟山正吉

    ○舟山証人 英霊に対しての取扱いではございませんで、艦艇自体としての、物としての取扱いの場合が多かつたと考えております。
  446. 内藤隆

    ○内藤委員長 当委員会において、今国有財産管理の問題中に、陸奥の搭載物件引揚げに関する不正事件を取扱つているのですが、この陸奥が国有財産として極東海軍から引継ぎを受けたのはいつでしたか。
  447. 舟山正吉

    ○舟山証人 極東海軍司令部から大蔵省に対しまして戦艦陸奥の船体の引渡しを受けましたのは、昭和三十五年五月二十三日でございます。
  448. 内藤隆

    ○内藤委員長 この国有財産として引継ぎを受けました陸奥の船体の中に、いまた多数の英霊が――本委員会の調べでは七百九十四体といい、あるいは約二千体という食い違いがありますが、ともかくも多数の英霊が引揚げられずにそのままあるということを御承知でありましたか。
  449. 舟山正吉

    ○舟山証人 その点につきましては、陸奥の船体が大蔵省に引継がれます前に、建設省の指示に基きまして山口県が艦内にあります搭載物件、当時いわゆる特殊物件の引揚げをやつておりました際に、遺骨も出て参つたということも聞いておりますし、またその後大蔵省といたしましては、直接に遺骨、英霊の数を確認する資料等はございませんでしたが、厚生省等からの報告、あるいは陸奥の船体の沈没状況の調査をいたしました業者等から、多数の英霊がまだ存置しておるということの報告を受けておるのでございます。
  450. 内藤隆

    ○内藤委員長 大蔵省は昭和二十六年五月十三日から十五日までに潜水調査をしておるようですが、そういう事実は御存じですか。
  451. 舟山正吉

    ○舟山証人 昭和二十六年五月十一日より十六日までの間におきまして、日本サルヴエージ株式会社をして船体調査をいたさせました。
  452. 内藤隆

    ○内藤委員長 そういう際には、潜水して調査をすれば、当然英霊の状況が発見されるはずなのですが、一体大蔵省としては、単に艦内における物件のみの所在数量を中心として調査をして、英霊の調査をしていなかつたというのが事実らしいが、その点はどうですか。
  453. 舟山正吉

    ○舟山証人 英霊につきましては、何分にも艦体奥深い所におられたまま殉職せられた方が多いようでございまして、この詳細なる状況というものは、業者の作業にあたりましてもこれをつかみ得なかつたということを聞いております。
  454. 内藤隆

    ○内藤委員長 英霊のあつた事実をつかみ得なかつた……。
  455. 舟山正吉

    ○舟山証人 英霊がどの程度まだ艦内に残つておるかという的確なる数字をつかみ得なかつたという意味でございます。
  456. 内藤隆

    ○内藤委員長 陸奥が極東海軍の所管の時代、搭載物件の引揚げについて、山口県知事は西日本海事工業株式会社と契約を締結しました。その後引揚げ期間を三回にわたつて延長をしておりますが、その三回目の折は、艦体が国有財産として大蔵省の所管になつていたので、建設省からこの引揚げ期間延長について大蔵省に協議があつたことを御存じですか。
  457. 舟山正吉

    ○舟山証人 この艦体が大蔵省に引継ぎになりました後、昭和二十六年五月末日までこの搭載物件の引揚げを延期することにつきまして、建設省から協議がございました。
  458. 内藤隆

    ○内藤委員長 そうしてその協議に対して大蔵省として同意を与えておるわけですね。
  459. 舟山正吉

    ○舟山証人 さようでございます。その際に若干の条件はつけました。すなわち引揚げを許可された搭載物件以外の物件は、撤去とか搬出とかのないように厳重監視を行うこととか、あるいは艦体は引揚げ期間の延長をいたしますけれども、その満了日でありますところの昭和二十六年五月以前におきましても、売払いを実施することがあるかもしらぬという留保をつけまして、承認いたしておるのであります。
  460. 内藤隆

    ○内藤委員長 建設省からその協議があつた際、艦体の所管が大蔵省になつていたのであるから、艦内の英霊の取扱い等についてもしかるべく指示をするのが本筋だと私たちは考えるが、英霊等については何らか申入れをしましたか。
  461. 舟山正吉

    ○舟山証人 建設省からは物件の引揚げにつきましての協議でございますから、建設省に対しましては、英霊の問題には触れずに回答しておると記憶しております。
  462. 内藤隆

    ○内藤委員長 この搭載物資の引揚げについて多量の火薬を使用しておるという事実を御存じですか。
  463. 舟山正吉

    ○舟山証人 元来が搭載物件の引揚げを承認いたしておるのでありますから、通例、火薬等は使用しないで、積んであります物件を引揚げるという範囲にとどめるべきであると了解しておつた次第でございます。
  464. 内藤隆

    ○内藤委員長 引揚げ契約書等を見ますと、あるいはその契約をした西日本海事の社長等の証言を聞きますと、火薬を使用することは、いわゆる所管官庁が当然これを認めておつたというような不届きな証言をしておるのですが、その点についてあなたはどうですか。
  465. 舟山正吉

    ○舟山証人 この個々の契約案件につきましては、下級の職員に委任してございますので、当時どういうような話合いをしたかというようなことについては、私直接つまびらかにいたしておりません。
  466. 内藤隆

    ○内藤委員長 証人の言うところでは、ニトン半と称しあるいは三トンと言つておりますが、われわれ委員会の事務局の調べでは、事実は十トン以上の火薬を使用しているというようなことも出ているのです。そういう多量の火薬を使用して引揚げるということになりますれば、国有財産の艦体を破損するのは当然であります。ことに、その中にありまする英霊等に対して、これを損傷するおそれがあることは常識で判断できる。しかしながら証言によりますると、英霊等には損傷はなかつたと、いろいろかつてな都合のいいことばかり言つておりますが、これはわれわれの常識から見ましても“火薬を使用さしたということにおいて、もうすでに遺骨に対しては大きな損傷を与えているものだと認めているのであります。あなたはその点下級の方にまかしておるので、詳しいことは御存じないとおつしやるのであれば、しかたがないと思いますが、軍艦陸奥に限らず、沈没艦船には英霊が眠つておられることが予想できる。午前中からの証言によりますると、日本領海内には大体百数十隻の艦船が沈没しており、この中には大体二万柱の英霊があるという推定をされておるのであります。こういう証言をしておるのですが、艦体の解撤や引揚げ、あるいは搭載物資の引揚げの場合には、まず英霊に対して適切なる処置を講ぜねばならぬと思われるが、証人はどうお考えですか。
  467. 舟山正吉

    ○舟山証人 申し上げるまでもなく、英霊に対しては最も敬意を表しまして、これを丁重に扱わなければならぬと考えております。
  468. 内藤隆

    ○内藤委員長 さいぜんの引揚援護庁長官の証言にもありましたが、軍艦陸奥の場合ですが、大蔵省も、日本の権威あるサルベージ会社等の見解でも、これは浮揚することは困難だ、どうしてもこれは水中で爆破しなければならぬという見解をとつているようですけれども、こういう場合に、水中で爆破すれば当然その艦体にある英霊というものがふつ飛んでしまうということはもう明瞭です。国有財産処分の方法としてこれはどうですか。水中爆破の方法をあなたは将来お認めになりますか。
  469. 舟山正吉

    ○舟山証人 陸奥の艦体は、何分相当重いものが深海に沈んでおりますので、これを浮揚せしめることは不可能と思われます。しかして、これを爆破いたしまして、断片として船体を引揚げるということは、英霊に対する損傷を来すことでありますので、これをどう扱うかについてはただいま慎重に研究中でございます。
  470. 内藤隆

    ○内藤委員長 大蔵省といたしましては、単に国有財産を処分するという、いわゆる物質的な方面のみに走つて、そこに尊き英霊が眠つておるという国民感情を刺激するこの問題を、第二義的に考えておられるようにわれわれには思われてならない。この点につきまして、多くの沈没艦船の引揚げ等の国有財産の処分等に関しましては、あなたは将来英霊に対してどういうふうな対策を講ずるお考えですか。
  471. 舟山正吉

    ○舟山証人 英霊に対して丁重に扱わなければならない。これは単に物の引揚げの問題でないということにつきましては、私がそう考えますばかりでなく、関係の職員一同におきましても、日本国民として当然考えておるところでございまして、今後は英霊の引揚げにつきまして、万全の策を講じて参りたい、かように考えております。
  472. 内藤隆

    ○内藤委員長 もちろん大蔵省としては、国庫の収入を確保することもまず考えなくちやならないことだと思いますけれども、しかしながら、それよりもむしろ英霊をどう処理するかということをまずひとつ考え、そうして少くとも国民感情を刺激しないように、将来国有財産の処分としての艦船の取扱い方をされるよう、ひとつ厳重に御注意されるよう希望しておきます。
  473. 大泉寛三

    ○大泉委員 沈没してしまつた艦船には、必ず多くの場合遺体が存在しているということは、先ほど委員長からいろいろ質問された通りでありますが、ただ艦船を物件として引揚げることのみに専念するから、結局それに付随するところの遺体がからまつて来て、そこに私は問題が出て来るのじやないかと思う。沈没している艦船には、乗組員がおつたことであるから、たいていの場合は遺体がある。この遺体、英霊を引揚げるのが先決問題でなければならない。そこで大蔵省として、あくまでも国有財産の管財の立場からのみこれを考慮すれば、今までのようになりますけれども、あくまでもやはり艦船には遺体がある、この遺体を引揚げる行為を主要目的としてやりさえすれば、自然とそこに、遺体引揚げのためには爆破も必要だ、あるいは艦体の粉砕も必要だということが出て来る。これが主従転倒したところに問題が起つて来るのであるから、大蔵省としてはあくまでも、遺体英霊を処理すべき手段として艦体を引揚げるとするならば、私はその点同じ費用で、同じ手段において、より以上の結果がそこに生じて来るだろうと思うのであります。結局は遺体を引揚げるために爆破する、あるいはその他の手段をとる、とにかく、主要目的を、遺体を引揚げるのだという点に置かなければならないと思います。そこに大蔵省の転回が必要だと思います。今まで物件として取扱つた。物件として取扱うから、そういうむずかしい問題がひつからんで来るのだから、今後考え方を転回する意思があるかどうかを、ここに明確に聞いておきたいのであります。
  474. 舟山正吉

    ○舟山証人 従来におきましても、英霊等の残つておりますような場合に、大蔵省として単に物の処分を急ぎますために英霊の方はどうなつてもいいんだというような考えは、毛頭持つておらなかつたということを、御了承願いたいと思うのでございます。今後におきましても、英霊を第一に尊重するという気持で、これを進めて参りたいと考えております。
  475. 大泉寛三

    ○大泉委員 今までの考え方をかえて、物件が主でなく、遺体を引揚げるのを主としてかかれば、自然どうしてもそこに艦体の粉砕あるいは爆破の必要も生じて来るのですから、そこに経済的な物件が付随して来て、結果においては、何ら負担でない、英霊を引揚げるために自然に上つて来るのだという考え方に、これを切りかえてもらう方がいいのじやないかと思うのであります。これに対して今お聞きしたのですが、ただ英霊に対しては決して粗末にしないとか、あるいは国民の感情を刺激するようなことをしないとかいうことでなく、艦体を引揚げるのが主でなく、英霊を引揚げるのを主としてやろうという御意思があるかないかを、私は聞いたのであります。
  476. 舟山正吉

    ○舟山証人 いろいろの場合があると思うのでございまして、英霊が残つておらぬということが確実であるような場合には、従前通りの考えで進んでもさしつかえないかと思います。英霊が含まれておりますことがわかりましたものにつきましては、英霊をまず先に出すんだという気持のもとに作業したらよろしいかと考えております。
  477. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 二、三点お尋ねしたいと思うのでありますが、この軍艦陸奥の引揚げにあたりまして、火薬を使用しておるのであります。遺体を引揚げるについても、火薬を使わなければ揚げられない、こういうことを西日本の社長武岡某は証言しておるのであります。建設省が委任しました山口県がこの火薬の使用を許可しておるのでありますが、大蔵省の見解としてはどういうふうにお考えになつておりましようか、その点をお尋ねしておきます。
  478. 舟山正吉

    ○舟山証人 先ほども申し上げましたのでございますが、これまで搭載物件の引揚げにつきましては、私の考えといたしましては、原則として、火薬はそう使わなくても、これを実行し得たのではないかと考えております。ただごく少量の火薬等を使わなければ、あるいは搭載物件の引揚げができなかつたような場合もあるかと思いますけれども、原則としては、搭載物件でありますから、そういう必要はなかつたのではないかと考えておるような次第でございます。
  479. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 先般本委員会におきまして各証人の証言等、あるいは極東海軍司令部が許可したいわゆる許可証を見ましても、搭載物件と常識上考えられないようなものが、引揚げの許可になつておる。それらを引揚げるということになれば、火薬を使用しなければ引揚げられない。そこで山口県が火薬の許可をしたものと思うのでありますが、いわゆる搭載物件というもののうちには、非鉄金属なんかも搭載物件で、推進器なども搭載物件として入つておりますが、これらに対して大蔵省は、国有財産を管理される立場から、どういうようにお考えになりますか。搭載物件と思われますか、思われませんか。
  480. 舟山正吉

    ○舟山証人 御指摘になりました物件のうち、たとえば推進器のごときは、私どもはこれは艦体と一体をなすもの、従つて搭載物件としては行き過ぎではないかという考えを持つております。
  481. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 そういたしますと、特殊物件からいわゆる国有財産に移管になつて、その移管になつた後も、大蔵省が許可をしておいでになるのであります。建設省が許可をし、二十六年一月五日付で、またこれが再許可になつておりまするが、その当時に大蔵省としては、当然かようなものは国有財産の立場から見るならば、前の特殊物件のときにはそういう許可を与えたかもしれないけれども、一応国有財産になつてから、大蔵省なり建設省にそういう権限があるから、こういうようなものは搭載物件として許可をされないと削除を命ぜられたことがありますかどうか。
  482. 舟山正吉

    ○舟山証人 ただいまお話もありましたような契約更新等の問題につきましては、下級官庁に委任してございますので、その際特に指示をしたかどうか、私これを承知いたしておらないのでございます。その搭載物件以外のものが引揚げられておるといつたような事実につきましては、当局はあるいはこれを知らないで、契約の新たな延長を認めたのではないかと想像せられる次第でございます。
  483. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 艦体は国有財産であつて、搭載物件はまだその当時大蔵省に引継がれておらなかつたでありましようけれども、艦体の中にそういうものがあり、当然火薬を使つて爆破をしなければならないというようなことになつておるとしますと、大蔵省はこれを引継がれて、そうしてさらに再許可をされるときに、こういうものを引揚げてはいかぬということに目を通されたのでありますか通されなかつたのでありますか、目を通されて、いわゆる下級官庁にまかしておいてその通りを承認されたということですか。
  484. 舟山正吉

    ○舟山証人 これは当初の契約にあります搭載物件の引揚げにつきまして、期限を単に延長するということの了解のもとに、この期限延長を認めたものと思うのでございます。何分物体が深海にございまするので、一々現物につきまして調査をすることは不可能であつたことと考えます。
  485. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 あなたの方は、二回にわたつて潜水夫を入れて、問題になつた後から調査しておいでになりまするが、このいわゆる二回にわたつた調査が、前の日サルの方は――私も最近新聞で見ましたが、その当時いわゆる艦尾をなくして、菊の御紋章までももげておつたというふうに、大々的に報道されております。また後の方の調査によりますると、さようなことはない、艦尾もあつたし、それから菊の御紋もあつた、こういうように調査をしておりまするが、大蔵省の方ではこれはどちらが正しいと御判定になつておるのでありますか。
  486. 舟山正吉

    ○舟山証人 その点につきましては遺憾ながら私承知いたしておりません。
  487. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 さらにお尋ねいたしますが、この軍艦陸奥の中には、相当の御遺体があるということをきようの引揚援護庁あるいは西日本海事の証言によつて明らかになつておりまするが、軍艦榛名に九体、伊勢に九体、日向に五十七体、青葉に九体というような御遺体があつたのでありますが、こういう御遺体に対して、やはり相当な爆薬を使つておりまするが、これは大蔵省はどういうようにお考えになりますか。
  488. 舟山正吉

    ○舟山証人 それらの諸艦につきまして引揚げ作業をいたしたのでありますが、英霊に対しては遺憾のないような措置をしておつたと考えております。
  489. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 この軍艦榛名、伊勢日向、これらを引揚げられるときに、私は水産委員をしておりまして当時知つておるのでありまするが、相当な爆薬を使つて、これで付近の漁民が被害を受けておる。大蔵省はこの付近の漁民の損害に対して国庫から補償金を支出したと思いますが、その額はどのくらいであつたか御存じでありますか。
  490. 舟山正吉

    ○舟山証人 補償いたしました金額につきましては、私の承知しておりますのは、国庫からは補償しなかつたのじやないか、あるいは引揚げを請負つた者からお見舞金として支出したのじやないかという記憶がございます。大体三百万円程度ではなかつたかと承知いたしております。
  491. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 大蔵省の方からは出ておりませんか。その点はよくわかりませんか。
  492. 舟山正吉

    ○舟山証人 その点につきましては、ただいま私は確実な事実を承知しておりません。
  493. 田渕光一

    ○田渕委員 陸奥を物件的扱いにしたということの一番はなはだしいのは山口県であります。契約書に英霊あるいは遺骨の問題に対して一字も入つておらないのであります。しかも問題が山口県産業復興のためというような契約でやつておる。もう根本的に物件扱いをし、同時に財産的な措置をしておるのですが、私はもちろん戦後における思想、道義あるいは宗教的な観念の廃頽がこれらに影響したのだろうと思います。ことに官庁事務当局においてこれに対する観念が薄かつたのじやないかと思うのであります。これに対してともあれ、先ほど大泉委員からお話がありましたように、物件として見るか墓地として見るかということであります。私は少くともこの問題に対して言うならば、海中にあつて大きな調査の完全に行われがたい国有財産にして、しかもそこに英霊が遺骨となつているのだから、これは墓地という観念でやつてもらわなければならぬ、こう思うのでありますが、当該下級官庁たる所轄の財務局長などに、そういうような取扱い方式の精神的な、つまり何と言いましようか、指示もしくは通達というようなものを今日までなさつておりましようか。
  494. 舟山正吉

    ○舟山証人 先ほども申し上げましたのですが、書面による指示というようなことはいたさなかつたと記憶しております。しかしお互いの国民常識として、下級官庁といたしましても、その点は十分配意しておつたと確信いたすのであります。
  495. 田渕光一

    ○田渕委員 私はこういう記憶があります。昭和十七年の春ごろでありますが、私が三重県におりますときに、三重県に海軍の航空隊ができたのであります。私のちようど住宅の前であります。そこに大きな墓地があつた。その当時横暴というか、人道を無視したようなあのむちやな海軍のやり方においてすら、そこにある墓地を飛行場として土地収用する前に、その墓地を片づけることがまず先決問題となつた。そこで墓場の石をどこそこの位置に丁重に移すことが第一、第二は墓場の下に埋つている遺骨を日中に掘るのはお日さまに当つてもつたいない。そこで夜これを扱えというので、夜中の十二時から三時ごろまでの間に数人の人夫をして扱わしておつたのを供養に行つたことがあつて覚えております。あれだけ人間の殺し合いをする当時の軍ですら、またあの当時頭に上つてしまつておつた陸軍、海軍の暴虐な連中ですら、民間の墓地を飛行場の基地に土地収用するときには、あれだけ丁重なことをいたしておるのであります。国家のために海底に遺骨となつた、その遺骨の場所が、艦あるいは船であつても、これを墓地化しなければならぬ。墓地というような観念で行くならば、私はこういう事態が起きなかつたと思うのであります。つまりこれに関与した当時の中国財務局長は、私として見るならば、こういう観念がなかつたのであります。今舟山次官が証言されたような御観念がわれわれには見受けられなかつた。これは一罰百戒の目的で、中国財務局長に対しては責任を追究しなければならぬ、こういうような義憤も起きて来たのであります。たとえばこの問題は、陸奥が爆破された。火薬を使わしたことはもちろん悪いことであり、それでなくとも大量の火薬を与えた山口県も山口県なら、一回も見に行かなかつた中国財務局も、あなた方の下僚としてはなはだ遺憾な点があるのであります。陸奥の艦尾についているスクリューが一箇四トンもあるそうです。四箇で十六トン、これは金額にすれば何百万円、あるいは何千万円、解撤して物件を揚げたものが、五千万円のやみで流したともいわれ、あるいは一億円以上にも流されたという調査が上つて来ておるのであります。かような搭載物件でない、スクリューが、現に日立の因島工場で処置されたということが、警察の調べで上つて来ておるのであります。そうしますと、あなたの下僚である中国財務局長の責任は、われわれはもちろん追究して行くのでありますけれども、この国有財産の解撤すべからざるスクリューをこういうふうに売つたことに対して、もちろん請負人の西日本海事に対しては、あなた方の御精神として、中国財務局に命じ、あるいは大蔵省直接でもよろしい、国家としてこれに損害賠償を要求する。今刑事事件になつておりますから、いずれこれもはつきりいたしましよう。そういうような場合には、国有財産の処理違反の問題に対して、どういうふうな措置をとつて行かれるのか、御方針があれば、承つておきたいのであります。
  496. 舟山正吉

    ○舟山証人 従来特殊物件の範囲の解釈につきましては、いろいろ明確を欠く点もありまして、従つて今般の刑事事件も、双方の主張はあるわけだと思いますが、大蔵省といたしましては、解徹すべからざる物を持つて行つたということがはつきりいたしますれば、請負業者に対しまして、当然補償を請求するつもりでおります。
  497. 田渕光一

    ○田渕委員 これは御証言通りそうしていただかなければならぬのでありますが、この間調べた武岡証人は、すべて建設省、大蔵省の命令通り、指示通りやつておるのたから、こういうような引揚げを中止させられた会社の損害を、逆に国家に損害賠償を起して来やせぬかというような危険性が現われたのであります。もちろんいろいろ法的な手続も経なければなりませんけれども、結局責任の帰趨がどこに行くかということは、建設省も建設省なら、当時の大蔵省の管財局としても、当時出先の所管中国財務局長の申達、あるいは指示を仰いで来たことを、事務処理上許容する場合にはやりますというようなことを、この間の大蔵省の管財局長でしたか、管理局長でしたかが証言されたのであります。こういうような事務手続の時間的な問題、緊急の問題においてやむを得ぬ場合もありましようが、少くともこの問題に関する限りは、責任の所在がどこにあるか。最も憎むべきものは山口県だと私個人では考えております。これは山口県を代表する知事に対して、国家はどこまでも損害賠償を要求しなければならぬと考えているのでありますが、業者の方はうまく逃げている。そして業者は、私の方はこれは検収さしておりますというようなぐあいに逃げておりますが、まるで現地に見に行つておらぬということであります。こういうような責任一つを例にとりましても、当委員会が調べて行くことも薄々お気づきになつておりましようが、この責任は一体どこにあるかということを、大蔵事務当局の首脳部におる舟山次官として、欠点がどこにあるかは別として、この責任は、国有財産に移つた後は大蔵省にあるのか、あるいはこの指示をした建設省にあるのか、あるいはまた丁重に取扱わなかつた、そういう墓地というような観念を持たず、山口県がただ物的に考えて、山口県産業復興のために軍艦陸奥をただ一つの物件として、この英霊、遺骨をないがしろにしたのであるか。こういう点については、われわれこれから結論を出さなければなりませんが、率直に言つて、どうでございましよう。あなたの方から見たところ、どこに責任が帰するのか、どこに責任があるだろうかということがおわかりならば、――これは官庁仲間のことでありますから、非常にいろいろな関係もございましようけれども、頭脳明晰な舟山次官あたりから承りたい。私はあなたは各省の間でも正直であり、非常に誠意のある方であると尊敬しておるから、これをほんとうに伺いたい。ずるい次官やその他には私は聞きません。率直に、こういうような責任は、建設省側にあるのか、大蔵省にあるのか、あるいは山口県にあるのか。これは使用すべからざる爆薬を二トンも三トンも使うようなことをやつた。爆薬は使うべきものではないということは、初見証人も――これは海軍の主計大佐をしておつた人で、今日残務処理部長をやつておる人ですが、証言されておる。また引揚援護庁の木村長官もそういうものは使うべきものではないと証言され、また今舟山次官もそう証言されたのでありますが、これは正しい常識だと思います。私もそう思う。この各省関係のうちのどこに責任があるのかということがおわかりでしたら、ひとつ率直にお教え願いたいと思います。
  498. 舟山正吉

    ○舟山証人 国有財産の処理につきましては、全国各地域にまたがつて、その数も多いのであります。事務処理上下級官庁に委任する場合が多いのでございますが、その最終の事務的な責任というものは、首脳部であります私がとらねばならぬということを考えております。各省の責任がどう帰属するかというような問題につきましては、なかなか問題が複雑でもございますし、また各省各方面なすり合いというようなことでも、はなはだ見苦しいことでございますので、ひとつ客観的に御判断願いたいと考えるわけであります。
  499. 内藤隆

    ○内藤委員長 他に御発言がなければ、舟山証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。証人には御苦労さまでありました。  次会は公報をもつて御通知申すこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時十八分散会