運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-02-11 第13回国会 衆議院 予算委員会公聴会 1号 公式Web版

  1. 昭和二十七年二月十一日(月曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 塚田十一郎君    理事 上林山榮吉君 理事 苫米地英俊君    理事 西村 久之君 理事 井出一太郎君       井手 光治君    江花  靜君       小川原政信君    角田 幸吉君       甲木  保君    川端 佳夫君       栗山長次郎君    志田 義信君       庄司 一郎君    田口長治郎君       田中 角榮君    玉置  實君       永井 要造君    中村 幸八君       今井  耕君    川崎 秀二君       早川  崇君    藤田 義光君       西村 榮一君    水谷長三郎君       風早八十二君    山口 武秀君       横田甚太郎君    成田 知巳君       世耕 弘一君    石野 久男君  出席公述人         第一通商株式会         社社長     岡本  忠君         経済団体連合会         理事興国人絹パ         ルプ株式会社社         長       金井 滋直君         全国指導農業協         同組合連合会専         務理事     武正総一郎君         評  論  家 神近 市子君         日本企業組合連         盟専務理事   杉山 慈郎君         全国銀行従業員         組合連合会副委         員長      田部  健君  委員外の出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ――――――――――――― 本日の公聴会で意見を聞いた事件  昭和二十七年度総予算について     ―――――――――――――
  2. 塚田十一郎

    ○塚田委員長 これより昭和二十七年度総予算について公聴会を開会いたします。  開会にあたりまして、御出席の公述人各位にごあいさを申し上げます。御多忙中のところ御出席をいただきまして、委員長としてあつく御礼申し上げます。  申し上げるまでもなく、目下本委員会において審査中の昭和二十七年度総予算案は、今期国会中における最も重要なる案件であります。よつて本委員会におきましては、広く各界各層の御意見を聞き、本案の審査に資せんとするものであります。各位の貴重なる御意見を承ることができますれば、本委員会の今後の審査に多大の参考になるものと期待いたす次第であります。各位におかれましてはその立場々々より、腹蔵のない御意見の開陳をお願いいたします。  なお議事の順序を申し上げますと、公述人の発言の時間は大体一人二十分程度といたし、その後において委員より質疑もあることと存じますが、これに対しても、おさしつかえのない限り、忌憚なくお答えをお願いいたしたいのであります。  なお念のために申し上げておきますが、衆議院規則の定めるところによりまして、発言の際は委員長の許可を受けることになつております。また発言の内容は、意見を聞こうとする案件の範囲を越えてはならないことになつております。また委員は公述人に質疑することはできますが、公述人は委員に対して質疑することはできませんから、さよう御了承願います。なお発言の劈頭に、職業と氏名を御紹介願います。  それではまず岡本忠君より御意見をお述べ願います。岡本君。
  3. 岡本忠

    ○岡本公述人 ただいま御紹介にあずかりました第一通商株式会社社長岡本忠であります。公述人として御指名がありましたので、昭和二十七年度予算に関しまして、私の所見並びに日本貿易会その他を通じて得ました業界の意見も取入れて、申し上げたいと存じます。  わが国が独立国として再出発する第一年度の予算が、講和関係諸費用の負担、国民生活水準の維持及び増税回避という三原則のもとに、あくまで均衡予算の方針を堅持し、総額八千五百二十七億円の予算案を決定されましたことは、現在わが国が、対外関係において過渡期にあつて、複雑な地位に置かれておる点等を考慮いたしますとき、当局者の苦心に対し、一応敬意を表する次第であります。しかしながら何分にも終戦後産業、経済界の回復が十分でない現段階において、インフレ要因ともなるべき講和関係費という非生産的財政支出が、実に二千億円を越えて計上されておりますことは、日本経済全般に与える重圧の少からざるを思わしめるものがありまして、経済回復の遅延が憂慮されるものであります。この予算案によつて前述の三原則が円滑に行われるためには、これに関連する諸般の施策が、それぞれ適切に実施されることが必要なことは当然でありますが、海外依存度の高い日本経済の特殊性よりいたしまして、貿易政策の当否がきわめて重大な影響を持つのであります。すなわち貿易促進を通じて拡大再生産を実現する以外に、わが国経済の発展は期待し得ないと信ずるのであります。このような立場から本予算案を見ますと、率直に申しまして、貿易に関しましても相当な考慮が払われていることは認めますが、まだまだ遺憾な点も少くありません。以下これらの点につきまして申し述べたいと存じます。  まず外国為替資金特別会計等へのインヴエントリー・ファイナンスでありますが、もともとインヴエントリー・ファイナンスの資金は、むしろ生産方面等へ充当すべきで、外国為替資金のごとき運転資金は、日銀の資金操作にまかせるべきものであるという意見が、相当有力であつたのであります。しかしインヴエントリー・ファイナンスは、元来財政資金によるインフレ抑制の作用を持つクツシヨンであるといわれておりまして、本予算で、これを大幅に減らして、一部非生産面にも充当せねばならなかつたと思われる点は、結局予算の弾力性がそれだけ少くなつたとも考えられるのであります。  次に貿易金融に関連することでありますが、御承知の通り対外貿易上最も重要なことは、保有外貨をどう効率的に運用するかという点でありまして、現在なお不十分な面が多々あると思われます。端的に申しまして、せつかく輸出や特需で蓄積された外貨も、一方輸入に必要な円資金が不円滑のために、輸入不振を来しまして、現在約九億ドルといわれる外貨を擁しながら、いたずらに苦慮するという有様であるのであります。この外貨は、一日も早くわが国に必要な原材料の輸入に充当いたしまして、再び加工輸出ができるように運営されねばならぬのでありますが、ただいま申し上げました通り、実際には輸入円資金の調達が不円滑たため、うまく行つていないのであります。なるほど貿手金融制度というものがありまして、一応優遇はされているのでありますが、実際は一般金融面の影響を常に強く受けまして、はなはだきゆうくつな状態にあります。この傾向は、日銀ユーザンス改正後ますます強くなつて参つた次第で、このため国内円金融をつけんがために、好ましからざる輸出をしたり、あるいは輸入の好機をとらえながら、いたずらに見送るという現状でありまして、これは日日、有形無形の損失を重ねているわけであります。ぜひともこの際円金融の問題を解決して、確固たる貿易金融政策を確立し、有効なる外貨の運用を促進するよう、考慮されるべきだと考えるのであります。  次に輸出銀行の問題でありますが、予算案におきましては、これを輸出入銀行に改組し、輸入金融の一部をも取扱うようになつておりますことは、一段の進歩としてまことにけつこうな次第でありますが、今後東南アジア開発ということが、わが国にとつて最も重要な問題の一つとなりました以上、これが資金面を担当する当銀行の飛躍的拡充は、この際ぜひとも必要ではないかと思うのであります。そうして現在その融資対象となつておりますプラント輸出並びに重機械類の輸出は、その価格の点で問題がある。しかも有力なる競争相手である欧米からの引合いには、相当長期のクレジツトが供与されて、その金利も著しく低率である現状にかんがみまして、日本輸出銀行もその貸付金利を少くとも国際水準にまで引下げるとともに、長期のクレジットを供与できるよう、資金源についても必要なる予算的措置がとられることが、望ましいと思うのであります。なお輸入金融におきましても、実際には対象となる品目がきわめて少数に限定されているばかりでなく、その上東南アジア開発に関連するものという条件が、付せられておるように仄聞するのでありますが、これでは輸入金融を取扱うとはいえ、従来の輸出銀行と大差はないと思われます。私どもといたしましては、この際その資金源を大幅に拡大いたしまして、一般主要原材料の輸入確保にまで寄与せしむることに、いたすべきではなかろうかと思うのであります。  次に貿易振興対策費の問題でありますが、まず来年度予算案におきまして、輸出信用保険特別会計に二十六年度と同様十億円の繰入れを行い、保険制度の拡大を考慮されていることは、まことにけつこうでありますが、現段階において、この制度の活用が、いかにわが国貿易の発展に必要であるかをさらに御考慮願いまして、できますならば、現在英国のやつております程度にまで近づけるのが理想でありますが、さしあたり、たとえば後にも申し述べます通り、ダラー・ドライヴ制度に関連して、輸出新市場の開拓等に国家の十分な援助と保証を与えられるようにすべきで、現在わが国の業者にとつては、これに要する資金と危険の負担が困難なるため、この種の国家的措置が強く望まれるのであります。  次に緊要物資輸入基金特別会計は、現在二十五億円の基金で運用されていますが、今後の国際情勢の推移により、国際協定または国際会議の決定による割当物資や、外国における輸出統制物資等の増大も予想されますので、これに応じ得るよう増額することが必要かと思われます。なおその他海外見本市参加補助金、海外市場調査会補助金、海外広報宣伝費等の予算が貿易振興のために計上されておりますが、長い間国際市場から隔離されておりましたわが国業界にとりまして、最も効果的であると思われますので、さらにこれも積極的に推進されんことを希望するものであります。  以上をもちまして、本年度の予算案面に現われておりまする貿易関係事項に対する所見を、概略申し上げたのでありますが、この機会をかりまして、現在日本貿易の当面しておる諸問題のうち、主要なるものを取上げまして、これに対する業界一般の要望を申し述べて、御審議の参考に供したいと存じます。  まず第一はドル輸出振興の問題であります。ここにあらためて申し上げるまでもなく、わが国の国際収支を見ますと、特需、新特需その他の収入がかなりありますので、現在においてはドル収支は何とかバランスしておりますが、正常貿易の面では依然として逆調を続けておるのであります。これは重要原材料を主としてドル圏に仰ぎ、輸出を主としてポンド圏に向けるという日本貿易の特殊性から、一応やむを得ない現象でありますが、各国において多かれ少かれ貿易管理を実施しておる現状においては、等閑に付し得ない問題であります。もちろん政府当局も、この問題の重要性に着眼して、種々対策に腐心されているのでありまして、先刻申し述べました輸出信用保険制度をさらに拡充し、ドル圏向け重要輸出品の見込み生産に対して、一定割合の政府保証を与える計画輸出保険制度や、輸出促進のための宣伝広告費等の一定割合を政府が保証する輸出促進費用保険制度、その他海外よりのキャンセルによる輸出前貸金の回収未済に対し、政府が金融保証をなす輸出金融保険制度、これら一連の輸出信用保険制度を立案中のようでありますが、業者としては、これらの政策が一日も早く実現されることを願う次第であります。なおドル輸出振興対策といたしまして、最近唱えられておる輸出入リンク制も、その運営さえ誤りなければ、業者のドル輸出意欲を十分に高揚せしめるものでありまして、さらに研究の上実施されますことを望む次第であります。さらにドル輸出振興のためには、報償措置をとることも有効と思われます。たとえば輸出振興外貨資金制度の拡充、貿手融資期間の延長、倉庫証券担保融資の適用拡大等でありますが、このほかに外国で行われておる方法で、特に実効があると言われておりますものに、輸出実績に応じて法人税を引下げるという措置があります。この措置は、後刻申し述べます商社の資本蓄積促進の面からも、十分に考慮に値すると考えるのであります。  第二には、ポンド輸入促進の問題であります。もともと最近やかましく言われておりますポンド累積問題は、先刻申し述べました日本貿易の特殊性から来る問題でありまして、元来ドルとポンドとの非交換性と、ポンド価値の過重評価、すなわちオーバー・ヴアリユーということに基因するのであります。従つて現在日本の当面しておるポンド累積問題は、世界貿易の均衡という広い立場からでなければ、根本的には解決し得ないと存じます。従つてわが国といたしましては、対外的交渉によつて、相当思い切つた手を打つ必要があるのじやないかと考えます。しかしながらこのような根本方法と同時に、当点の対策としてまず第一に考えられますことは、ポンド輸入を促進するということであります。このポンド輸入促進対策につきましては、政府当局も業界においても、熱心に討議研究されておりますが、今日まで貿易管理方式の面で若干の簡素化が行われただけで、いまだ実効のある強力な措置がとられていないように考えられますことは、はなはだ遺憾であります。よつてポンド地域からの輸入に対しましては、特に輸入金融を優遇するとか、報償制を厚くするとか、価格補償をする等の対策が至急にとらるべきだと考えます。  なおここで業界として特に申し上げておきたいことは、ポンド対策に関しできるだけ輸出抑制を避けていただきたいということであります。ポンドの累積を訂正する方法として、ポンド輸出の制限が一部に論ぜられておりますが、これはわが国の貿易規模を縮小させるばかりでなく、国内輸出産業を動揺させるものでありまして、特別の事情のない限り避くべきであると考えます。  次に為替リスク負担の問題でありますが、現在行われている為替予約制度では、期限の制限等があり、まことに不十分なため、著しく輸出が阻害されております。元来為替リスクは、とうてい貿易業者の耐え得るものではないのでありまして、特に現在の管理貿易下においては、当然政府または政府機関において適当な予算措置により、これがリスクを肩がわりせらるべきであると考えます。  最後に一言、貿易商社の資本蓄積の問題に関連してでありますが、戦後主流貿易商社が解体された上に、元来貿易業者は他の生産事業と異なり、固定資産を多く有しないため、戦後インフレによる資本の弱小化をまつこうに受け、その蓄積資本の大部分を喪失したのでありまして、現在の貿易商社の資本形成の形は、自己資本に比し借入れ資本の比率は、戦前想像も及ばぬ程度に達しております。今後進展して行くわが国貿易を担当する上において、著しく不安を感ぜしめるものであります。業者が自己資本の形成に努力すべきは当然でありますが、政府におかれましても、特に法人税その他の税制上のとりはからいにおいても、この点考慮されるよう要望する次第であります。  以上をもちまして私の公述を終りたいと存じます。
  4. 塚田十一郎

    ○塚田委員長 ただいまの公述人の御意見に対して質疑はありませんか。
  5. 成田知巳

    ○成田委員 貿易業務の第一線に活躍しておられる岡本さんにお尋ねしたいと思いますが、中国貿易の問題であります。今御承知のように政府は禁止的な制限を中国貿易に加えております。これに対しまして吉田総理は、日本の中国貿易というものは戦前においても六%くらいだ、あまり過大評価する必要はないと、こういうことを言つておられますが、これは満州との貿易を無視されている議論で問題にならないと思います。さらに今度台湾政府の限定承認という問題におきましても、中国貿易もますます困難になつて来る。この中国貿易の重要性、さらに現在政府のとつている中国貿易政策に対しまして、業者の立場としてどういうお考えを持つておられますか。
  6. 岡本忠

    ○岡本公述人 お答えいたします。中国貿易がわが国にとりまして非常に重要である。ということは、異論のないところでありますが、これは現在わが国が置かれております国際情勢下におきまして、非常に慎重に考えなければならぬ問題でありまして、わが国としてやれればけつこうでありますが、政治関係上やれないということであれば、これにかわるものを求めて行かなければならぬと私は考えるのであります。御質問のピントにちよつとはずれるかもわかりませんが、少くとも現在では、中国貿易はどんどんやれないという状態にあるのでありますから、これにとつてかわる市場を開拓して行かなければならぬ。そこでそれにはどうしても東南アジア方面を開拓して行くよりほかにないのであります。幸いにアメリカも日米経済協力の線を強く出して来て、東南アジア方面の開発をやりながら、日本の要する原材料をこの方面からとり、日本の製品をそちらに向けるという方向に向つておるのであります。将来中国貿易ができますようになりますまでは、その線を押し進めて行く以外にないのではないかと思います。
  7. 上林山榮吉

    ○上林山委員 いろいろ貴重な御意見を伺いましたが、結論としてお尋ねいたしたいことは、貿易に関する限り、政治が先行すべきか、貿易が先行すべきかという非常な議論が、今日日本に行われておるのでありますが、実際家としてのあなたは、これに対してどちらが先行すべきものであるかということについて、どんなお考えを持つておられますか、簡単にお伺いできれば幸いと思います。
  8. 岡本忠

    ○岡本公述人 一国の貿易政策、特に貿易を盛んにやつております国の貿易政策というものと、政治というものとは常に緊密な関連があるのでありまして、政治だけ別個に走り、貿易だけ別個に走るということは、私はあり得ないと思うのでありまして、政治あつての貿易であるのであります。貿易に携わつております私たちといたしましては、貿易がやりたい、輸入がやりたい、輸出がやりたい、貿易のやりやすい、輸出のやりやすい、輸入のやりやすい先とやりたいのは、これはもうやまやまであります。しかしながら国を頭に置きます場合に、政治を離れてわれわれの望ましいことだけを考えて行くということは、これは考えるべきではない。貿易業者といえども貿易をやつています間には、常に国家という観念を頭に置いて行かなければなりません。そうなりますと、政治を離れて貿易はないという気持を私は持つております。
  9. 水谷長三郎

    ○水谷(長)委員 ちよつとお尋ねいたしますが、さきの成田君の質問の中共貿易と関連いたしますが、今度の台湾貿易といいますか、日本と台湾の貿易というものが、あなた方業者の立場から見て、どの程度にプラスになるかということを、ざつくばらんにひとつ伺つておきたいと思います。
  10. 岡本忠

    ○岡本公述人 台湾貿易は、最近までは非常な変調な面も出て来ておりまして、御承知の通り昨年の日英支払協定の結果、香港がドル圏よりポンド・ブロツクに入りましたために、非常な勢いで香港に品物が出て行つた。そうしてその品物が一部は中共地区にも入つたと思いますが、多くの部分が他のオープン・アカウントの地区、たとえばタイあるいはインドネシア、こういう方面へ流れたのであります。これは先ほど申し上げましたポンドの問題に来るのでありますが、ポンドが二割から二割五分程度公定を割つたやみ相場があります。御承知の通り香港は自由市場でありますので、このやみポンドを利用して日本から品物を入れ、これをタイあるいはインドネシアへ中継で売る。この商売が非常に成り立つたのであります。ポンドがデイスカウントしているためにこの商売はできたのでありますが、そのために、わが国といたしましては、タイあるいはインドネシアへ直接売ればドルで売れるものを、香港が介在いたしましたために、その商売が減つて、香港経由のポンド商売が行けたという、すこぶるおもしろくない現象が出て参つたのであります。これはやはり台湾にも行つておりまして、立地的に申しますとすこぶるおかしなことで、香港まで品物が行つて、香港からまた台湾へ入るというような、運賃関係から申しましても非常に不利な商売でありますが、これが相当に行われて来たのであります。御質問のポイントにこれもまたはずれた御説明をいたしましたが、さようなことであります。今度いよいよ台湾との協定ができますと、それに並行いたしまして、今のポンド対策の問題、香港をどうするかという問題も、早急に解決しなければならぬ問題であります。台湾との講和条約ができまして、貿易通商協定もできますと、その問題は解決されまして、台湾との商売が相当盛んになるのではないかと考えます。しかしながら何といたしましても、台湾の輸出品、それから日本品に対する需要というものは、限られているものでありますから、非常な大を期待するわけには行かないと考えます。しかしながらだんだん台湾の治安もよくなつて、あそこの産業も栄えて来れば、輸出入ともに相当な期待はできると思います。
  11. 成田知巳

    ○成田委員 先ほど上林山委員の質問に対して、政治と貿易というものは切り離すことはできない、こう言われましたが、これはごもつともだと思います。しかし問題は政治のあり方だろうと思うのです。今水谷委員から、台湾貿易によつて実際どれだけのプラスがあるかということを、具体的に言つてもらいたい、こういう質問があつたのですが、今岡本さん御自身も台湾の市場の狭隘性、あるいは台湾から日本に持つて来る品物が足りないからあまり期待できない。私たちしろうとの考えからしましたら、バナナと砂糖ぐらいしか日本に来ないのではないか、こういう台湾政府を承認いたしましては、広大な市場と、また日本に対してたくさんの必需物資を持つております中国貿易というものを、ますます困難にする。今度の台湾政府承認の方向というものは、政治として、特に貿易業者の立場からお考えになつても、あまり好ましい方向ではない、こう考えるのでありますが、率直な御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  12. 岡本忠

    ○岡本公述人 はなはだむずかしい問題でございまして、私は商売をやつておりますものでありますから、政治の方は政治の専門家のお方々が、いろいろ御判断をなさつておきめになつたことでございますので、われわれ業者といたしましては、国のきめた方向に向つて進む以外にないと考えます。
  13. 西村榮一

    ○西村(榮)委員 一つお伺いしたいのですが、朝鮮の問題が起きてから日本の輸入を非常に促進したのですが、その結果原材料は値が下つておるわけです。大体あの当時に関連を持つておる輸入品の値下りによる損失というようなものは、どの程度見込んでおつたらいいですか。どこにも統計がないのですが、あなたの方の目の子算でいいですが、お伺いしたい。
  14. 岡本忠

    ○岡本公述人 これはまた非常にむずかしい問題でございまして、最近も紡績会社、繊維の貿易商社、及び銀行と三者三すくみという記事が、昨日でしたか新聞に出ておりました。その中でも言つておりますように、貿易商社といたしましては、今お話の損失あるいは輸入物資の焦げつき金融がまだ処分されませんで、銀行のやつかいになつております金融、こういう面が一体どれくらいあるかということを、もつとはつきり持つて来れば話に乗れるが、という紡績の方のお話があつたように――これは新聞で私拝見したのですから、実情は知りませんが、そういう面がありますが、貿易商社の方はあまり何もかも明るみになつてしまつた日には、姿が悪くなるという面も十分想像されますので、なかなか実際の損失高というものは判定が困難で、われわれ自体として大体これくらいじやないかという勘は持つておりますけれども、勘はなかなか危險なものでありますから、その数字は申し上げない方が、私は全般的にいいじやないかと考えます。
  15. 西村榮一

    ○西村(榮)委員 あなたがさつきお述べになつた中で、ドルが通常勘定で赤字になつてポンドがふえる、これは世界経済の観点の中でなければ片づかないというお話ですが、これはごもつともなことだと思います。そこで問題は、私ども政治に携わつておるものがこの問題を解決するのに、業者としての一専門家としてのあなた方はどういうふうな方策でやればいいのか、ひとつお教えを願いたい。  それからもう一つは、先ほどあなたがお話になりましたアメリカの東南アジア開発計画と関連して、中共貿易の失う面はその方面でとりもどさなければならない。中共貿易がどうこうということは、実業家であるあなたはお答えしにくいと思います。そこで私があなたに教えていただきたいことは、かりに東南アジア開発の計画資金を、日本がアメリカから外資導入という形で受取つて来て、そして民族的あるいは人情、風俗、習慣、それから日本の技術が低廉であるとか、ぴつたりからだに合うとか、身たけに合うというふうな観点から、アメリカの資本が東南アジア開発に直接向わずに、日本を中継ぎにして行つたとするような場合が生じて来たときに、その資本に対する取扱いは一体どうするのか。たとえば向うの開発なんかやる。そうすると、日本が一旦アメリカから資本を借りて向うへ出す。しかし東南アジアの政情というものはなかなか不安定なのであつて、政権がかわつたならば、一流国家と違つて前契約を踏襲するということがなかなか困難な動揺期にある。そういうときに、日本が一応アメリカ資本に対する保証の地位に立つて向うにやる。そして義務だけを負う。しかも東南アジアの開発というものは、世界戦略経済という立場から来るというふうなことで、日本の経済としてもその点は慎重に考えなければいかぬだろうと思う。そういうような点は、どういうふうに取扱つたらいいのか。お答えしにくければいいですけれども、われわれ政治をやるものがそれを取扱うことに将来直面しておるので、どういうふうに取扱つたらいいのかという、専門家の教えを受けておきたいと思います。
  16. 岡本忠

    ○岡本公述人 最初の、ポンドの問題をどう手を打つて行つたらいいかという御質問でございますが、実際面といたしましては、ポンドの手持をなるべく早く使う。ポンド圏から輸入を促進するという、先ほども申し上げましたそういう票、いろいろな手を打てば相当に効力があると考えます。たとえばこれはポンドに限らず、ドル圏からの輸入もさようでありますが、最近輸入がどうも振わない。昨年の輸入に懲りて輸入が振わないという面が出ておりますが、この最も大きな原因は、先ほども申し上げました通り、輸入しても国内の円金融が続かない、こういうことが大きな原因であるのであります。ただポンド圏からの輸入につきましては、ドル圏とちよつと違いまして、ポンドが安いためにポンド圏の物価というものは高くなつております。ポンドが公定を約二割五分くらい割つておりますのに対しまして、ものによつて違いますが、おしなべて物価が約一割から一割五分高。要するにポンドのデイスカウントというものを物価が織り込んでおるわけです。そこでドル圏から輸入するよりもポンド圏から輸入する方が困難だ。国内金融の問題を離れまして、ポンド圏から輸入することは困難だという面が出ております。その面で、いわゆるコマーシヤル・ベースに乗りかえるという現象が出ておるのです。しかしいずれにしましても、輸入してもその先の国内金融がどうも続かないということが、大きな原因でありますから、この面を解決することによつて、ポンド圏からの輸入というものは、私は相当に伸びるのではないかと思います。その一つといたしまして、円資金を楽にすることによつてインフレ要因――円の資金をふやすということは、インフレ要因が非常にふえるという見方をする向きが非常に多いのでありますが、私は必ずしもそうではない。品物と金とがきつちりつながつておれば、これは一つもインフレの要因ではないと考えます。しかしいろいろな議論が出まして、円の流通のふえることは、形はいかにも悪くてインフレのごとくに見えますので、この面にタツチしないで、ポンドそのままを業者なりあるいは生産業者なりに、いずれでもいいのですが貸して、円の心配をしない。そうしてこれが製品になつて換金できますときに、円でポンドを支払わせるということを考えれば、円資金を離れて、ポンド圏からの輸入というものは、相当促進されるのではないかと考えます。  もう一つは、日英支払協定によりまして、今数万ポンドばかりたまつておるわけでありますが、できますことならばイギリスと日本政府と話合いをされまして、イギリスのポンドだけにしないで、われわれは濠州から小麦を買い、羊毛を買い、その他いろいろな品物を買つております。濠州から輸入するものがいろいろ数がございます。またビルマ――最近までは米を出してくれませんので買つていませんが、ぽつぽつビルマも日本に米を売ろうという機運にありますので、ビルマあるいはインドパキスタン――インドの紡績、石炭、パキスタンの綿、そういうようなものもありますので、たまつておりますポンドを濠州ポンドあるいはビルマの金、インドのルーピーというようなところの金にかえてもらつておく。ただぼんやりイングリツシユ・ポンドという形でなしに、各国もポンド・ブロツクがないものですからかえてもらつておいて、必要なときにはその金を使つて、各国から輸入するというような方法を、強力にイギリスとお話合いを願えれば、非常に解決するのではないか。根本的にはこれはイギリスがポンドが使えなくて困つておる。各国もポンドを手持ちして困つておる状態であります。そこに持つて来て、これ以上たまつては困るから、ある程度ドル決済しようという話合い、その限度の問題がありまして、両者の立場が話合いがつかないと、非常にむずかしい問題でありますが、その根本的な話合い以外に、ポンド圏内の各国への通貨に切りかえてもらつておくということは、イギリスとしても私はあまり異論のない問題だと思う。これは形からいえば当然そうやつてくれなければならぬ問題であります。あるいは現在のポンドの状態から、それも困るという話が出るかもしれませんが、これはただちにやつていただきたい。どうせ濠州からは小麦、綿、羊毛を買わなければなりません。パキスタン綿も安ければ買う。マレー等からはゴム、錫を買うのだから、そういうところに早くその国の貨幣にしてもらうということが、一つのやりやすい交渉の要点ではないかと考えます。
  17. 上林山榮吉

    ○上林山委員 大分込み入つた話でありましたが、私がここでもう一言伺つておきたいことは、いよいよこれは独立国の予算となると思うのでありますが、その予算を検討する上において重要なポイントは、ドル輸出に対する政府の見込み、それからポンド輸入に対するところの政府の見込み、これはいろいろの障害のあることを承つておるのでありますが、ただいまあなたの御意見もあつたのでありますけれども、大体これは二つとも見通しとしては大きな差はない、こういうふうにごらんになるか、それとも相当の差がある、開きがある、こういうふうに見通しとしてはごらんになつておるか。この点は予算を検討する上において最も重要な点である、こう思いますので、簡単でけつこうでありますから、御意見を承つておきたいと思います。
  18. 岡本忠

    ○岡本公述人 ただいまの御質問は、現在より両方とも大差はないかという御質問かと思いますが、私は両者とも、ドル圏への輸出、ポンド圏からの輸入ということは、官民ともに気をつけて大いにやらなければならぬ問題でありますが、非常な大差はないと私は見ます。  それから先ほどの御質問の最後を漏らしたと思いますが、もう一度お願いいたしたいと思います。
  19. 西村榮一

    ○西村(榮)委員 東南アジア開発に、日本を経由してアメリカの外資が向うへ出て行くというふうな場合には、向うとの間においてどう取扱つたらいいか。東南アジア地域との間においてそういう場合が生じた場合……。
  20. 岡本忠

    ○岡本公述人 これも非常にむずかしい問題でありますが、私の考えといたしましては、東南アジア開発においては、現在そういう方向に向つておるようでありますが、どうしてもアメリカから日本へ金を貸してもらいまして、その金を持つて技術を携えて、日本が東南アジアの開発に行くということは、いろいろな面で一番好ましい、また一番実現性が多いと考えておるのでありますが、さてお話のように、アメリカヘは借金になるが、相手の方へは貸金にならぬかもしれぬという御心配はごもつともであります。これはその都度よく気をつけまして、両国間に最善の手を打つて行くよりほかはないと思います。その点の心配があまりに大になる場合は、われわれは南方へ開発に乗り出すわけにも行かないのであります。またやり方にもいろいろあろうかと思いますが、そういう危険がないと私はお答えはいたしませんが、それをあまり心配していたのでは開発はできない。そのときそれぞれの最善を尽しながら、危険を防止しながら、とにかく早く南方開発には協力をするということでなければいかぬと思います。
  21. 小川原政信

    ○小川原委員 一つお尋ねいたしたいのですが、中共貿易というものは、これはなかなかむずかしい問題で、ちよつと即刻に行かぬのでありますが、しかし現在香港貿易をいたしておりまして、御承知の通りポンドが手持ちになつていることが、日本の貿易の上においても痛手であります。そこで特需の物は、これは貿易をすることはできないが、中共では何をほしがつておるかというと、雑貨を非常に好んでいる。その雑貨を輸出する。こういうことになりまして、そこで代価をどうするかということであります。われわれの考えます点では、雑貨というものに対して、その支払いというものが金でできれはいいができない。そこでバーター制にして、向うの方であるいは石炭であるとか、あるいは長蘆塩であるとか、あるいは飼料であるとか、あるいは皮革であるとか、ずいぶん向うの方にも手持ちで困つている物もあるのですから、そういう物とバーター制をして、この貿易を香港なら香港で限つてやる。こういうふうに限つた貿易をするということは、やがて全面的の貿易に進んで行く結果になるのじやないかと思うのですが、そういう点はどういうことになるか、あなたのお考えをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  22. 岡本忠

    ○岡本公述人 現在でも、日本から品物を全然出してはいけないという形はないのであります。戦略物資でない物は出してもいいのであります。ただ今のお話のように、代金がとれるかとれないかわからないという心配がありますので、なかなかその相談にも応じられないのでありますが、先方からわれわれの欲している物をこちらへ持つて来ていただいて、それの身がわりに戦略物資でない、ただいまお話の雑貨のような物を出すということは、一向さしつかえないことで、現在でも許されておる形であります。ただ向うから先に払つて来るか、こちらから先に持つて行くかという問題に帰着するので、われわれといたしましては、向うから品物を先に日本に持つて来ていただいて、その身がわりに物を持つて行くという形をとりたいと考えております。
  23. 井出一太郎

    ○井出委員 先ほどの御公述の中で、戦後貿易商社が解体されて、それが資本的その他に非常に不利不便である、こういうお話でございます。最近集中排除なり独占禁止なりが、緩和ないし停止をするというような方向にあるわけでありましようが、かつての三井物資なり、三菱商事なりの復活というふうなこともとりざたされております。それで岡本さんの立場として、やはり戦前のような、あの壮大な物産、商事のような機構を再建しなければ、日本の貿易というものは、どうもうまく行かないのかどうか。こういう点をいかにお考えになつておられますか。同時に今そういう方向は、一体どの程度に進捗をしておるのか、こういう点を承りたい。
  24. 岡本忠

    ○岡本公述人 貿易面で強力な会社ができることの望ましいことは、これは問題ないのであります。ちよつと例を引きますと、三井物産が解体されましたときの資本金が一億円、その前に三億三千万円という時代もありましたが、一億円でありました。ところがそのころに比べまして、物価は今大体百倍になつております。百億円の資本金であればいいわけなんでありますが、貿易界を見ますと、多いところで三億、四億程度のものであります。物価は百倍になつておりますので、取扱う金額は百倍の金額になつておるにもかかわらず、商社の資本金は、三井物産を例にとりましても、三倍とか四倍とかいうような形であるのでありまして、その間に非常に不自然な面が出て来ておるわけであります。そこで私は非常に資力の大きな貿易商社ができることは、国家としてこれは望ましいことであり、やらなければならぬことだと考えます。ただ昔の三井物産、あるいは三菱商事というような形のものがいいか悪いかということは、これは非常に議論の余地がありますので、私はかりに昔の三井物産と同じようなものがいいといたしましても、今日の日本の情勢から見まして、ああいうものは決してできるものではない。強力な会社は望ましいが、民主化された会社でなければいけない、そういう方向に進んでおると考えます。そこで現実にどういうことになつておるかというお話でありますが、一度に一億の会社が十億の会社や二十億の会社になるわけには行かないので、これはやはり徐々に大きくなつて行かなければならぬ。三井物産系、三菱系その他の商社にしましても、だんだんに合併その他の方向によりまして、大きくなつて行くような機運にございます。
  25. 石野久男

    ○石野委員 私、公述を聞いておりませんので、あるいは前に質問した方と重複するような点があるかもしれないが、二、三の点について質問したいと思います。  先ほど中共貿易の問題について、現状では向うが先に物を持つて来れば、仕事ははかどるだろうというお話でございます。ところが向うが物を持つて来ればということは、なかなか現在の実情では困難でございましようから、おのずから中共貿易については、望みを嘱することは困難ということになるでございましようが、この場合、政策とかあるいは政治の面からではなしに、皆さんが通商貿易業者の立場に立つて、日本の国民経済の立場からいたしまして、中共貿易というものの日本の独立後の経済に及ぼす影響と申しますか、重要度というものについてのお考えは、どういうようなものでございましようか、一応お聞かせ願いたいと思います。
  26. 岡本忠

    ○岡本公述人 中共貿易ができるかできないか、できることはわが国にとりまして非常に重要だということは、これは先ほどもお答えいたしたのでありますが、講和後もすぐ急にこれがふえるとも考えられませんので、政治情勢次第で、できることが望ましいことは望ましいと私は考えます。これは政治情勢いかんによりまして、できなければ、先ほど申し上げました東南アジア方面の開発と関連して、そちらに力を伸ばしたい。いずれにしましても、東南アジア開発の方は、やらなければいかぬのであります。かりに中共貿易が開けて来ましたら、さらにプラスになると考えます。
  27. 塚田十一郎

    ○塚田委員長 まだお長うございますか。
  28. 石野久男

    ○石野委員 もう一問、いろいろと御答弁をいただきにくい点があると思うのでございますが、中共貿易は望ましいけれども、現状では困難だ、そこで東南アジアの方向へできるだけ伸ばしたい、こういうお話でございます。中共貿易ができないために、明らかに日本の貿易から来る国際収支の面への損失がはつきりと出ておると、私たちは思つておるのでございますが、そういう問題が独立後において、講和条約が発効後において、中共貿易が行われないために起つておるであろう損失を、東南アジア開発とかあるいはその他の領域における貿易によつて、十分にカバーでき得る可能性の見通しにつきまして、特に国民経済の立場から、どういうふうなお考えでございますか。
  29. 岡本忠

    ○岡本公述人 私は多少事実の問題は考慮しなければなりませんが、東南アジア開発、東南アジア方面の民度の向上によりまして、日本品の需要というようなものは非常に増加すると思います。東南アジア開発が軌道に乗りますならば、輸出の面にも輸入の面にも、中共を失つたものをカバーするに十分だと考えます。
  30. 石野久男

    ○石野委員 そこで先ほどポンド圏内におきます貿易の問題について、非常にポンドの手持ちが多くなつているにもかかわらず、輸入の促進が困難である。その困難の原因が国内におけるところの円金融がなかなかしにくいという点、ポンド領域におけるところの物価が、ポンド安のために割高になつておる、そういうような二つのことが言われております。その打開策についての国内政治上における、円資金をふやすということの要望は、今年度の予算の中で、必ずしも十分満たされていないと私ども思うのでございますけれども、そういうことになりますと、結局東南アジア領域におきます貿易というものは、あなたが期待するようには伸びないということになるのじやなかろうかと思いますが、どうでございますか。
  31. 岡本忠

    ○岡本公述人 すべてはなかなかすぐ転換は困難でありまして今年度中にどんどん輸出入がふえるようになるかどうかということは、お答えしにくいと思います。しかし置かれておりますいろいろな困難な状態は、これはいつの世にも来る問題でありまして、その困難をいろいろな角度からみんなで検討して、困難な面を切り開いて行けば、私は将来に対する不安は持つておりません。
  32. 塚田十一郎

    ○塚田委員長 なお質疑がおありのようでありますけれども、時間の都合もありますので、次に移ります。金井滋直君。
  33. 金井滋直

    ○金井公述人 私は経団連の理事と、興国人絹の社長をやつております金井滋直と申します。今日この席で公述人としての発言の機会を得ましたことは、私にとりまして、非常に光栄に感ずるわけであります。  発言時間が二十分だそうでありますが、ちよつと二十分では不足なんでありますけれども、非常に貴重な時間でありますから、その二十分を尊重いたしまして、できるだけ私の考え方を申し上げたいと思います。  私は予算の数字を拝見いたしまして、まず第一に気がつきましたことは、法人税の見積りが少し大き過ぎるのではないかという感じがいたしたのであります。もちろん税制はかわつておりません。自然増収を期待しての数字だとも思いますが、自然増収ということは、企業の景気がよくなるということを期待しておるのだと思います。ところが、はたして本年の景気がよくなるかどうかということに対して、私どもは常に考えておる一人であります。私は産業界全体の見通しとしましては、大体二十六年度より二十七年度の生産は上ると思うのであります。その生産の上る大きな理由は、御承知の通り日米経済協力の線によつて上つて来ると思うのでありますが、その日米協力の点について、値段の点において大きなわくがはめられておることは、御承知の通りであります。すなわち国際コマーシヤル・ベースというものによつて、日本の品物をできるだけ買うけれども、その値段は国際価格だということをはつきり言われております。しかしてアメリカの物価は、来年度の見通しは大体二%上昇というふうに、アメリカの統計協会では発表しております。そういう点から考えまして、二十六年度の法人税その他が非常な増収でありましたのは、たまたま朝鮮事変を契機といたしまして、日本の物価が国際コマーシヤル・ベースを無視して、無法に暴騰した影響でありまして、そのあとを受けた二十七年が、きわめておちついたコマーシヤル・ベース、しかも国際的なコマーシヤル・ベースということになりますると、私は二十七年の財界の見通しというものは、生産は上るけれども価格は上らないというふうに考えておくのが、至当ではないかと思うのであります。しかも前年度の物価の上昇が無軌道であつたのでありますから、それを参考にして、それよりさらに今年法人税がふえるという考え方には、私どもは賛成できないのであります。そういう見方からしますと、最初大蔵省が発表されました国民所得の数字は、多分五兆を越えておつたと思うのでありますが、この表を拝見しますと、四兆九千百八十億になつております。前年に比べて一〇%増でありますが、もちろんこれも少しく甘過ぎることになると思うのであります。従つて法人税以外のあらゆる税の増収見込みそのものが、いまだ甘いということになりまして、歳入の面において、私どもは非常に不安を感じておるのであります。この通り参りますれば非常にけつこうでありますけれども、もしこれがこの通り参りませんと、支出の面におきましては、御承知の通りほとんど継続的の支出が、しかも大きな項目でずらずら出て参りました形を見まして、これでいいのかということに対して、一応の不安があるのであります。増税はしないということを宿に大蔵大臣は申しておられますが、はたして永久にこの言葉が真実であるかどうかに対して、財界では心配しておると私は思うのであります。  大体私の気づいた点だけを申し上げまして、あとは御質問に応じてお答えしたいと思いますが、歳出の中で一、二感じたことを申し上げてみたいと思います。今産業界で一番悩みの種になつておるのは設備資金であります。むろん運転資金もきゆうくつでありますが、設備資金であります。設備資金に対しましては、従来からありますところの興銀、勧銀、北拓などに期待するのでありますが、去年新しく出発しました開発銀行に対しましても、私どもは大きな期待をかけておる。ところが開発銀行に対して、予算面から出す資金の供給というものは、見返り資金を合算いたしますと百七十億であります。これは去年とちつとも違つておらない。せつかく開発銀行をつくつてもらいましても、これだけで終つてしまうということは、ちよつと私どもには不満で、財界の一年間叫び続けた声が、ちつとも予算の上に現われておらぬという気持がするのでありますが、その後議会で大蔵大臣の御答弁を承りますと、投資銀行の構想があるようであります。これはむろん予算にはまだ出ておりませんが、いずれ何らかの形で予算が組まれると思いますが、いずれにしましても、政府御当局が長期資金に対して重大関心を持つておるということは、われわれもようやく明らかになつたのであります。投資銀行をつくつてみたいという考え方それ自体が、私どもの考え方と、長期資金を供給するという面において一致するわけでありますが、これはまだ一つのヒントでありまして、方法論としてはまだ議論の余地は十分あると思う。投資銀行を新たにつくるべきか、あるいは既設の長期金融機関を、拡張充実すべきかというふうな方法論につきましては、新聞紙上でごらんのように、財界にもまだ一致した意見はありません。目下検討中であります。しかし私個人をして言わしむるならば、先ほど岡本君の話にもございましたように、今財界は一つのパニツクに襲われておる。そのときに悠々と投資銀行をここでつくつてやつて行くという構想は、はたしてタイミングが合つておるかどうかというところに問題があると思う。やはり既設のものを充実して、それに十分の手腕を振わす方が、財界としては歓迎さるべきじやないか。もしそれでもなお投資銀行を必要とするのでありますならば、それはゆつくりと次の臨時議会、あるいはまた次の通常議会に考えられても、おそくはないというふうに私個人としては考えております。  もう一つ私が気がつきましたことは、私どもの今関係しておりますパルプの原料である木材増産に関する予算であります。これは造林、林道、治山を通じまして、わずかに七億四千万しかふえておりません。どうも木材のことを論じますと、すぐパルプ会社が自分の都合のいいような意見を述べるというふうに、錯覚を起す方が多いのでありますが、現在におきましても、パルプ会社の使う木材というものは、全消費量の六%を出ません。二億二千万石に対してパルプ会社の使用量は六%であります。その五〇%以上は燃料であります。薪炭その他でありまして、世界を通じまして木材を燃料にそんなにたくさん使つている国は、まず日本以外にはないのであります。アメリカでは大体一六%ぐらいしか木材を燃料に使つておりません。そういうふうな考え方それ自体が、木材というものは過去の木材であつて、過去の経済価値しか持つておらぬ原料である、こういうふうに考えておる錯覚に基くと思うのでありますが、どうも大蔵当局の編成されましたこの予算案におきましても、同様の考え方がいたすのであります。一体日本は繊維国だということをみなは熟知しておると思う。おととしの輸出を見ましても、貿易の五二%は繊維であります。昨年度におきましてもおそらく四八%以上は繊維でありましよう。ところがこの繊維の盛んな時代はいつまで続くのだということを、私どもはしつかり考えておかなければならぬと思う。現に繊維がますます有望だというので、綿紡を戦後三百万錘から六百四十万錘に拡張いたしました。しかし輸入の綿が来ませんために、これはおそらく八〇%ぐらいしか動かぬであろうということであります。そうすると約百五十万鈍というものが遊んでしまうわけであります。せつかくつくつたものが遊んでしまうわけであります。これは大体今年だけの状態であるのかということを考えます場合に、私はこれは今年だけの状態ではないと思う。今後当分続く、あるいはまたさらに悪化する状態ではないかと思うのであります。何とならばアメリカのようなああいうふうな天然繊維資源を持つている国でさえも、綿をどんどん駆逐して化学繊維が発達しておる。その化学繊維の発進はすさまじいものである。ところが日本のように、また日本を取巻く東洋市場のように、天然資源を持たない国が集まつておるところにおいて、ただ輸入原料だけを当てにしてものを考えるということは、私はとんでもないことだと思うのであります。やはりだんだん世界の情勢に従いまして、日本も化学繊維の国になるし、またなるべきだというふうに考えられるのであります。もちろん化学繊維の中にはいろいろな種類の繊維がありまして、木材だけがその中心原料ではございませんけれども、木材を原料とした、つまり専門的に申すならば、木材ヴイスコースを原料とした繊維が中心にならなければ、化学繊維の将来というものはあり得ない。化学繊維の増産及びその品質の向上があり、そうして価格が適正であるならば、日本の化学繊維工業というものは、少くとも数段の進歩をこの数年間にすると私は見ておる。これによつてこそ日本の紡績業というものが浮ばれて来るのではないかと思う。そういうふうに大きな日本の繊維工業の転換期に際会しておりますにもかかわらず、わずかにお情けのような数字がここに出ておるということは、私どもにとりましてはきわめて残念なことだと思うのであります。これをもう少し東洋のあり方及び日本の繊維工業の見通しを十分つけて、将来に備えて行かなければならぬと思う。一方もちろん四大産業と申しまして、船舶、電力、石炭、製鉄、これを重点に今年は育成しようという構想があり、これに資金を集中しようという考え方もあります。一応うなずかれるところであると思いますが、私は産業というものはそんなに片寄つてものを考えるべきではないと思う。小川の水車がわずかの動力で実に円滑に回転しておるということは、水車自体がきわめて均整のとれた構造になつておるからであります。産業も回転度が重大であることは申すまでもない。船舶をつくるにしても、ただちに木材がそれだけいるのであります。みなおのおの関連がある。それだのに四大産業だけをしつかりやれば、それで日本の経済が浮ばれるという考え方は、私どもはとらないのであります。もし四大産業を育成しなければならぬというなら、それと均整をとりながら、他の産業におきましても十分な検討を進めて、その結論を見出すべきであるのにかかわらず、四大産業というとみながそれにくつついて行つてしまう。遺憾なことでありますが、政府当局までもこれにくつついてしま外ということはおもしろくない。産業は均整のとれたものでなければならぬということを、私はこの機会にひとつ御了解を願つておきたいというふうに考えるのであります。従いまして産業には常に政治を超越した面がなければならぬ。先ほど岡本さんは、政治か経済かという御質問に対して、両方一緒に置けばいいということを申されました。私は一緒に置くというよりは、日本のようなたくさんな人口を持ちまして、これに食わせる資源のない国民は、日本の政治外交というものは経済がひつぱつて行くべきものだと思う。これは過去において、英帝国がもう数世紀にわたつてとつて来た政策でありますが、私どもはそれよりも経済中心の経済外交政策を打立てるべきだ、というふうに考えておりますのに対しては、この予算の編成は少しく私どもにとりましては、ふに落ちないのであります。  それから緊急の問題としましては、先ほど岡本さんもちよつとその問題に触れましたし、また御質問もそれに触れたお尋ねがあつたようでありますが、二、三月の経済危機という問題であります。これはこの委員会で私が申し上げることは、ちよつと適切ではないかもしらぬと思いますが、いかにも問題が重大であり、緊急を要しますために、皆さんにもお願いしておきたいのであります。三月危機はあるかないかの問題は、もう私は過ぎておると思う。現にあると思うのです。ただこれを弥縫し尽せるかどうかということに問題があると思う。今一番困つているのは中小企業であります。中小企業は今まで問屋なりあるいは大きな商社から、原料とか資金を借りて、それで運転を続けておつたのでありますが、これらが今度の値下りのために、ほとんど資金が出ません。従つて中小企業というものは、運転がとまつておるという状態であります。それゆえに私は商社とか問屋というものを、この機会に何とかして一時救済して、それでさらに恒久対策としては、これらの充実強化の方針を立てて行くべきだと考えております。従いまして方法論としては、商工中金あたりを通じてやることも一つの方法でありましようが、これらに対してもどうか、私どももしつかり今特別委員をつくつてやつておりますが、国会におかれましても、この点を適当な機会に十分掘り下げて研究して、早く手を打つていただくことを、特に私からお願い申すのであります。この点は、むろん予算編成当時には、今のような深刻なる様相がなかつたことと、また予算そのものに対しては、そういうものも計上すべきものであるかどうかはわかりませんが、とにかくこれは別個の問題として、しかも緊急重大な問題として、皆さんにも特に御配慮を願いたいというふうに考えるわけであります。時間も大体一ぱいになつたようですから、一応これで私の公述を終ります。御清聴ありがとうございました。
  34. 塚田十一郎

    ○塚田委員長 ただいまの公述人の御意見に対して質疑はございませんか。
  35. 水谷長三郎

    ○水谷(長)委員 ちよつと金井さんにお尋ねいたします。あなたは一番最初、法人税の見積りがちよつと多過ぎるとおつしやつたと思いますが、二十七年度は千八百七十九億で、二十六年度が大体千四百九十四億ですが、どの程度法人税の見積りが多いというように、業界ではごらんになつておりますか。あなたはおそらく興国人絹パルプの社長としてよりも、経団連の理事としての御発言だと思つておりますが、経団連として、大体法人税は二十七年度においてどの程度に高く見積つておるか、適正な法人税はどの程度かということをお聞かせ願いたいと思います。
  36. 金井滋直

    ○金井公述人 資料を持つておりませんから、はつきりと何百億というようなことは申し上げかねますが、私は、三百八十億ふえておりますが、それはちよつと多過ぎるのじやないかと思います。ですから多過ぎるという角度で、もう一度そろばんを入れてみると、出て来ると思います。それだけのことを私は御注意申し上げます。
  37. 水谷長三郎

    ○水谷(長)委員 それはあなた個人の意見ですか、経団連の意見ですか。
  38. 金井滋直

    ○金井公述人 個人の意見です。個人の意見と申しましても、そういう見方をしている者も相当あります。
  39. 井出一太郎

    ○井出委員 ちよつと別な問題になりますが、ただいま金井さんは、御商売柄パルプ産業の点に触れられましたが、昨年成立した森林法がこの一月一日からようやく実施過程に入るわけであります。この法規によつてパルプ産業というようなものが、相当の規制を受けますかどうか、こういうお見通しを伺いたいと思います。
  40. 金井滋直

    ○金井公述人 その影響につきましては、今われわれ業者でこまかく検討しておるのでありまして、はつきりしたことは申し上げられませんが、とりあえずの問題は、伐採年限が長過ぎる。成長三十箇年以上でなければ、伐採してはならぬことになつておると思うのでありますが、三十箇年ではちよつと長過ぎるというふうな気がいたします。その他いろいろこまかい影響もあるようでありますが、現在の状況では、森林法が一月一日から施行されるということを見込んで、昨年度の間に少しよけい山を切つておるという特殊な事情がありますので、影響は適切ではありません。従いましてこの見込み伐採の消費が済んだあと、初めて具体的なものが出て来るのではないかというふうに考えております。
  41. 風早八十二

    ○風早委員 金井さんにちよつとお教え願いたいのですが、行政協定の問題が今非常にやかましいわけです。そこで経団連として、アメリカ駐留軍が日本の国内で物資並びにサービスの調達について、いろいろ日本の業界と問題があるように思いますが、これに対して経団連としての御方針のようなもの、あるいは御要望、こういうふうなものをひとつお聞かせ願いたい。これは予算の審議の上でも非常に大事な点だと思いますから……。
  42. 金井滋直

    ○金井公述人 ただいまの問題は非常に大きな問題でありまして、行政協定に対しては経団連としても一応の要望書を出しております。行政協定と関連して日米通商条約につきましても、同じような注意が必要だと思うのであります。これに対しても経団連は、目下特別委員会を結成しまして検討中であります。私どもはアメリカ人に物を売る場合に、特に高く売る必要もなければ安く売る必要もない。しかも日本内地に来て、日本人と同じように東京なら東京、大阪なら大阪というようなところで買つてくれるのでありますから、特別の差別をつける必要は私はちつともないと思います。ただ私どもが注意しなければならぬことは、占領政策中は何かしらん一種の威力のもとに商売をしておりました。まずいものを納めると、えらいお目玉を頂戴する。間違えば軍法会議にもまわされるというふうな考え方で、商売をした連中があつたでありましようけれども、今後はそういうことはない。その国民の精神の弛緩が行政協定の場合に、また物を売るような場合に、どういうふうに出て来るか、それが私は大きな関心事だと思う。日本人ももう少しその点をしつかり考えて、ほんとうの独立国家の国民である自覚のもとにやつて行く場合には、行政協定によるこまかい事柄というものは、自然のところにおちつくのではなかろうかというふうに、私は考えております。こまかい点は、いずれ委員会ができておりますから、それによつてまとめてお知らせすることができようと思います。
  43. 成田知巳

    ○成田委員 経団連の理事の金井さんとしてお伺いしたいのですが、団体等規正法とか、ゼネスト禁止法の関係について、昨年の末だつたと思いますが、大阪で関西の経団連の理事会があつたときに、団体等規正法、ゼネスト禁止法反対という決議がなされたように新聞紙上で承つておりますが、その後本部としてはどういう御意見を持つていらつしやいますか。
  44. 金井滋直

    ○金井公述人 この問題は日本経営者連盟の問題ではないかと思います。御承知のように経営者団体としましては、日本経営者連盟、それから今私が理事としてここに立ちました経済団体連合会と二つある。多分今の御質問は日経連の発表ではないかと思います。
  45. 成田知巳

    ○成田委員 それでは日経連の問題と切り離しまして、金井さんの御意見として伺いたい。
  46. 金井滋直

    ○金井公述人 私はまだそれを詳細によくわかつておりません。
  47. 成田知巳

    ○成田委員 詳細でなくともよろしいのですが、大体新聞、雑誌等で発表されている団体等規正法、ゼネスト禁止法等に対しまして、金井さんは大体の方向としてはどういう御意見を持つていうつしやいますか。
  48. 金井滋直

    ○金井公述人 私はこれに対して実は研究しておらないものですから、どうぞこの辺で御了承願います。
  49. 石野久男

    ○石野委員 金井さんにお尋ねしますが、お話の中に、この予算の中には四大産業を中心にして、現在の全体の産業に対する均勢のとれた予算ではないというお話でございましたが、特に産業が政治によつて押えられるよりも、むしろ政治を誘導すべきである、こういうお話でございました。岡本さんのお話に対して、特にそういう対立的にお話があつたわけなんですが、最近吉田内閣のもとに講和が成立して、その後における政治を誘導しなければならぬというような着想でごらんになる金井さんの、現在の予算の中に出ておるものに対する不平といいますか、御意見がどういう点から出ておるのか、特にまた金井さん自身のお考えに、こういうふうにしたらいいだろうというようなお考えがあるのでしたら、ひとつお聞かせ願いたい。
  50. 金井滋直

    ○金井公述人 私は日本の八千五百万の人間が、憲法で保障された文化的生活を営むようにするのが、われわれの任務じやないかと思う。一方いろいろな事情から中共貿易はしてはならぬという線を、連合国側が出しておるというのでありますならば、これにとつてかわるべき処置を要求すべきじやないか。むろんアメリカは、それに対して、直接日本から物を買うという線を強化するような手を打つでありましよう。また間接的には東南アジア開発で、日本を助けようと思うでありましようし、また英国あたりに対しては、アメリカから売つた鉄を逆に日本から取寄せて、ポンドで一応まかなつて行こうという構想もありましよう。それとそのほかにまた貿易外の収入としましては、サービス収入――これは非常に今年はふえると見ておるのでありますが、私はそうい見地から、決してポンドだけ余つてドルが不足するという事態には、今年はならぬと思う。ドルも同時に非常に私は余ると思う。つまり海外の外貨の受取勘定というものは、日本としては、おそらく第一次世界大戦に次いだ外貨受取超過になるのではないかと私は思う。そういうふうな見通しがはつきりしておるならば、私は中共と貿易すべからずという線は堅持してもいいと思う。しかしその代案がなくて、ただ食えなくとも中共との貿易は、相ならぬという要求に対して、もつともでありますと頭を下げることは、私は不賛成なのであります。
  51. 藤田義光

    ○藤田委員 簡単に……。公述された中で一、二点お伺いしたいと思いますが、財界は現在すでにパニツクに襲われておる。こういう際に投資銀行を設立することは、不適当であるというような意味の証言がございましたが、その根拠をいま少しく詳細にお伺いいたしたいと思います。  それからもう一つは、今度のこの予算の中にも、税制の一部改正をやつております。経団連は地方税、国税を通じて常に剴切なる示唆をわれわれに与えてくださつておりますが、この際簡単に、国税だけに関してでも、税制改正の方向に関しまして、金井さんは何か御方針があると思いますから、お示し願えれば非常に好都合じやないかと思います。
  52. 金井滋直

    ○金井公述人 それは非常に大きな問題ですな。投資銀行の構想に対して、その根本理念としては決して反対ではありません。そこまで政府当局が長期資金に対して気がついたことは、私は満腔の敬意を表するものであります。ただ問題はタイミングが合わぬのじやないかということなんであります。そんなのんきなことを言つているよりは、とりあえずまず既設のものをしつかり運用してもらつて、そうして投資銀行というものは、日本がどうせこういう状態だと、まだ日本経済も発展させなければならぬし、また発展するチヤンスに来たのであるから、大きな構想を練つてやつたらいいじやないか。しかも御承知のように国際連合の復興開発銀行あたりとの関連もつくでありましようし、アメリカの輸出輸入銀行との関連もつくかもしれませんから、そういう点を見合つて、投資銀行の構想を練るべきであつて、ただ長期資金が足らぬようだから、ここで投資銀行をつくろうというふうな、ちよつとした思いつきのような投資銀行というものは、この講和後の日本としては少し慎重を欠くのではないかというようなきらいがある。しかも財界としては、それはのどから手の出るような金でありますけれども、先ほど申し上げました開発銀行、興銀とか勧銀、北拓、そういうものをしつかり運営してもらえば、十分間に合つて行くのではないか。恒久的なものは、もう少ししつかり国際情勢を考えて立案されるのが、適当だというふうに考えます。  それから税制の問題につきましては、これは私どもは具体的にどういうふうな方法があるかということにつきましては、御承知でもありましようが、財界には税制研究会というものがございます。その方面で今熱心に研究しておりますので、やがて成案が出ると思う。ただこの機会に皆さんに、法人がどのぐらい税を負担しておるかということについて、ちよつと申し上げておきたいのでありますが、ただいま一つの会社が負担する税金は、法人税で四二%、それから法人税割、これは地方税でありますが、これが四二%の一二・五%でありますから五・二五%であります。それから事業税というものがありまして、これが法人税のまた一二%でありますから、結局五・〇四%、その他固定資産税、自動車税、電気ガス税というようないろいろな雑税を加えますと、法人の負担というものは六〇%以上になるということであります。そういうふうに大きく取上げられますから、法人の経理状況というものは、最近あまりよくなつておらぬ。戦前よりはぐつと状態が悪くなつております。固定資産償却が足りませんものですから、各会社の資産構成の比率におきまして、十一年の上半期は、固定資産と流動資産の比率が、パーセンテージにしますと固定資産が五八%、流動資産が四二%であります。それが二十五年度下半期になりますと、固定資産が三一%、流動資産が六九%であります。こういうふうに資本の蓄積が落ちてしまつた。これを十一年の上半期、戦前のような健全な状態にもどすためには、まず三倍にしなければならぬということになるのであります。これに対してはむろんわれわれ自信の考え方もありますけれども、税制に対して重大関心を持たなければならぬ理由が、この辺からも出て来ておると思うのであります。しかもだんだん講和後の日本の経済というものは、国際競争のまつただ中に打つて出て行かなければならぬ事情に追い込まれておる。占領軍の庇護はもうありません。そういうことを考えまして、少し手遅れでありますけれども、官民ともに考うべき大きな問題だと私は考えております。
  53. 風早八十二

    ○風早委員 もう一つ金井さんにお尋ねしますが、今中日貿易の禁止によつて非常な原料のコスト高、そして生産に非常に大きな影響を与えておるのでありますが、それにかわるべき措置というものが、今度の予算案には盛られておらないということを、われわれはついておるわけです。それに対して、結局そのかわるべき措置がないという場合に、経団連とされてはその経済的な力で、経済的な条件からどういうふうに政治の方へこれを影響させて行くか。こういう点でその抱負をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  54. 金井滋直

    ○金井公述人 これに対して明快な答弁ができますようでしたら、私も大臣候補じやないかと思うのですが、(笑声)非常に大きな問題であります。遠慮なく申し上げますれば、どんどんアメリカへ注文をつけたらいいと思う。食えないから金を貸してくれ。そういつても、われわれは何もなまけようと思つておるわけではありません。労働基準法などはある程度改訂したらいいと思う。日本人が生きられる程度に改訂したらいい。これはここにおいでになる方の中には反対の方もおりましようが、私はそう思います。それでうんと働いて、それで足らぬのは、やはりアメリカに頼んで、ひとつ助けてくれ、長いことは言わぬ、ここ二、三年だというふうに言うことも一つの方法だと思う。そこのところを私どもは踏み切つていただきたいと思うわけであります。
  55. 風早八十二

    ○風早委員 そこで大体その措置というものの内容、あなた方がどういう措置だということは一応わかりましたが、やはりそこで政治と経済という関係か――先ほどの岡本さんのお話は私はよく伺いませんでしたが、出て来るわけです。これはアメリカに注文つけられる場合、中共との貿易は、日本の経済ではどうしても不可欠であるということを、つかれる意思はないわけですか。
  56. 金井滋直

    ○金井公述人 中共貿易ということに非常に皆さん期待を持つておいでになるようですが、あんなに貧乏してしまつて貿易ができるのですか。
  57. 風早八十二

    ○風早委員 そうすると、中共貿易は問題にしないのですか。
  58. 金井滋直

    ○金井公述人 しばらく私は問題にしなくてもいいのではないか、こういうふうに思うのです。
  59. 今井耕

    ○今井委員 金井さんに一点だけお伺いしますが、先ほどのお話に、法人税の自然増収が多過ぎるという観点からいたしまして、生産は、日米経済協力の関係から相当ふえるだろう、しかし物価は、アメリカが二%ほどしかしらぬからというようなことでありましたが、経団連としては、生産はどのくらいふえる見込みを立てておられるか、また物価はどういうふうになると見ておられるかという点の御意見を、拝聴したいと思います。
  60. 金井滋直

    ○金井公述人 安本長官の答弁に属するんじやないかと思うのですが、私の感じを申しますと、先ほど申し上げた通りなんでありまして、物価は上らないとかいうことじやなしに、上げてはいかぬということなんです。物価を上げたら、貿易はそれだけ引込んでしまう。貿易はある程度やらなければいけません。輸出をしなければなりませんから、その輸出をするために、われわれは物価を上げてはいかぬというふうに考えるのであります。生産が上るということは、もうはつきりしておるのです。どの業種をつかまえましても生産はふえる。これは鉄をお考えになつても、石炭をお考えになつても、電力を考えても、造船所を考えましても、また繊維を考えましても、生産が減るというものがどこにあるかというふうに、逆に私はお尋ねしたいと思う。そういうわけで、生産方面はおまかせいただいてよいと思う。値段の問題は、これは高くしたら売れないという現実に立脚して、私は意見を述べているのであります。
  61. 石野久男

    ○石野委員 二つほどお聞きしたいのですが、先ほどの問題に関連して、中共貿易は相手にしなくてもよいというお話があつたのですが、そう簡単にきめられるかどうか、私どもは非常に疑問に思うのであります。たとえば鉄鉱石とか、粘結炭というものは、中共と取引する方が貿易がずつと楽になるのではなかろうかというふうに、私どもは思つておりますけれども、金井さんはそういう点は、あまり考えなくてもよいということなんでございましようか。
  62. 金井滋直

    ○金井公述人 ほかに影響がなければけつこうでしようね。やはりものはつり合いで考えなければならぬのですから、ほかのいろいろな影響を考えて、そのものにぶら下つて行く必要はないと私は考える。それをあまりやかましく言いますといろいろな影響ありますから、そういう意味であります。
  63. 石野久男

    ○石野委員 その問題については、あまり論争のようなことになつても困るから、ただお聞きだけしておきますが、いま一つ、先ほど中小企業金融の問題について、非常に考慮が足りないというお話がございました。事実上私どもも中小企業に対する考慮が、非常に粗末なものだと思つている。金井さんのお考えでは、大体中小企業に対しては、少くとも資金的なわくではどれくらい必要なんだろうか、そういう点について、おおよそのところでよろしゆうございますが、ひとつ御意見を伺いたい。
  64. 金井滋直

    ○金井公述人 一体今度のパニツクが、日本の経済界にどれだけの損害を与えたかということは、だれもはつきり数字を押えているものはないわけです。ただ私どもがこの間経団連特別委員会において、損害をこうむつた業種と思われるものだけ集まつて相談した結果、大体損害の概算は、三百億ないし五百億ということに考えるのが、適当であろうという結論になりました。そのうちで中小企業はおそらく五十億ではないか。五十億あれば、中小企業というものが一応立ち上るのではないかという意見もありました。これは意見でありまして、資料を合算して見出した数字ではありません。そういう意見がありましたことをごひろう申し上げておきます。
  65. 石野久男

    ○石野委員 今の五十億というのは、この前のパニツクによるものだけですか。全体の中小企業を意味するのですか。ただ非常にお困りになつたところだけの意味ですか。どちらなんですか。
  66. 金井滋直

    ○金井公述人 もし御必要がありましたら、それは商工中金の理事長でもお呼びになつてお尋ねになれば、はつきりすると思います。(笑声)
  67. 風早八十二

    ○風早委員 私、決して議論するつもりではない。ただあなたにちよつとこの席をかりて私は注文をつけたい。経団連として、中共貿易の問題でこれにかわるべき措置を望んでおられる、こうあなたは言われたのでありますが、後にはまつたく逆転して、結局中共貿易は大したことはないのだと言われた。これは日本の産業界、特にまた中小企業者、こういう人たちの困難をまつたく無視した態度ではないかと思う。あなたは、政治に対して経済の力でこれを押すのだということを先ほどは言われたのですが、これははなはだわが意を得ておるわけですから、それならば、経済力を最も結集しておられるあなたの団体で、それをやられたらいいと思う。結局それをやらない。そのために今度は、中共貿易は大したことはないのだ、こういうふうな考え方では、日本はやつて行かれません。これを経団連としては根本的にその態度を考えてもらいたい、こういうことを私は要望したいと思う。
  68. 塚田十一郎

    ○塚田委員長 午前の公聴会はこの程度にとどめたいと存じます。なお午前の予定の公述人が一人残りましたので、午後は正一時十分より公聴会を再開することといたします。これにて休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十分開議
  69. 塚田十一郎

    ○塚田委員長 休憩前に引続きましてこれより公聴会を開会いたします。  武正総一郎君より御意見をお述べ願います。
  70. 武正総一郎

    ○武正公述人 ただいま紹介いただきました武正でございますが、素朴な農業者の公述としてお聞き願えれば幸いだと思います。  昭和二十七年度の予算案に対する意見といたしましては、何と申しましても終戦後の国家予算のうちで最も重要な予算であるとわれわれは見ておるわけなのです。それは私が申し上げるまでもなく、講和後の自立日本の国政の方向を裏づけておる。従つてこの予算のいかんが国民生活に直接、間接を問わず大きな影響を与える、こういう点からわれわれはこの予算を特に重要に考えておるわけであります。今回の予算の特徴は、これまた申し上げるまでもなく予算の膨脹傾向という、非常に思わしくない方向を暗示しておると思うわけであります。予算総額の八千五百二十七億円は、二十六年度予算総額七千九百三十七億円に対して五百九十億円の膨脹であるわけであります。二十四年度以降縮小傾向に置かれました財政規模は、昨年秋の本年度予算の補正からその膨脹の傾向がうかがわれておつたわけでありますが、二十七年度の予算案によつてこれが本格化したようにわれわれは見受けるわけであります。明年度の推定国民所得は、先ほどもお話がありましたように約五兆億円と見積られておるわけでありますが、予算の比率は一七%で、ほぼ二十六年度と同様であるようであります。しかし満州事変直前の昭和五、六年当時と比較いたしますと、その当時は一四・五%でありましたから、これは重いとわれわれは考えるわけであります。さらに歳入の面あるいは歳出について若干考えてみますと、歳入の点につきましては、歳入の中心であるものが租税予び印紙収入の六千三百八十一億円となつておりまして、本年度よりも一四%増になつておるわけであります。さらに国民所得を比較いたしますならば、国民の負担がやはり増大するということを示しておるように思われるわけであります。歳出については、善悪は別といたしまして、軍事費的な性格が持たれておるということを多くの方が言われておりますが、まつたくその点は同感だと考えるわけであります。予算膨脹の最大の原因であります防衛費を含みました講和関係費、これは二千三百七十八億円でありますが、本年度の一千三百六十五億円に対しまして約一千億近い増加であるわけであります。明年度一般会計歳出の二七%に当つておるように見受けられます。しかもこのうちで純防衛費というようなものを取上げてみますと、一般会計歳出の二一%強となつておるようでありますので、この点は中日事変以前のわが国の軍事費が一般会計歳出の三〇%前後であつたのに比較いたしますと、現在の状況から見ますとなかなか大きな部分を占めておるように考えるわけであります。従つてこの傾向は今後相当膨脹いたしますと、当然内政費の問題に移るのではないかと思うわけであります。講和関係費の膨脹が内政費を圧縮するということは、現在の状況では当然ではないかと思うのであります。講和関係諸費の膨脹によりまして、内政費は本年度の六千五百七十二億円に対し、明年度は六千二百四十八億円であり、三百二十四億円の圧縮となつておるようであります。これらの講和関係諸費の膨脹、それから内政費の圧縮は――政府は国民生活水準の確保に対しましてはいろいろと御努力をいただいておるようでございますか、何といたしましても、産業経済費なり民生関係費なりを圧縮することを意味いたしますし、さらに直接、間接を問わず、租税負担の増加というものが、どうも暗示されるようなんであります。従つてインフレ再燃が懸念されるわけであります。インフレ再燃ということになりますと、これはなかなか大きい問題に考えるわけであります。特に今までの予算の全体の編成を見ますと、非生産的な支出の増加が必然的にどうしても多くのインフレ要素を含んでおるのではないかと考えるわけであります。このこまかい点につきましては、すでにいろいろな方からお話があり、また皆さんも十分御了承のことでありますので、省略いたしますが、全体といたしますと非常に困難な状況ではありますが、総合均衡予算の建前とされて一般会計の歳入や歳出の総額を八千五百二十七億円に押えられましたこと、さらに直接税といたしましての増税を控え、そうしてこういう予算を編成されましたということは技術的には一応われわれは了承いたすわけであります。しかしながら技術的に予算の編成が行われ、それらを了承いたすといたしましても、これをいかに運用するかが問題でありまして、その運用いかんによりましては、先ほど公述の方が申されましたような点を、われわれといたしましては危惧するわけであります。  全体といたしましての意見はこの辺にとどめまして、予算案と農業との関係について若干触れてみたいと思うわけであります。このたびの国会開会の冒頭におきまして吉田首相の施政演説の中に、国内食糧の増産を高めることは農業政策の大本である。政府は来年度においては、食糧増産につき格段の予算措置を講ずると述べられておるわけであります。その御苦心は非常にうれしく思うのでありますが、さてそれがこの予算において十分反映をしておるかというと、私たちはそれが満足な形で盛られておることはあまり見受けられないわけであります。講和後の自立経済達成の基盤は、国内食糧自給度の向上を中核とする農業生産力の増強にあるということは、今日私が申し上げるまでもなく、すでに国民の常識であります。二十六年度におきます輸入食糧予定量は、約三百二十六万トンでありまして、これに要する外貨は一千五百七十億円、価格差補給金は二百八十億円であつたわけでありますが、二十七年度におきましては一千四百九十九億円、価格差補給金二百七十億円を計上しておるわけであります。二十六年度は、またガリオアによる援助輸入が七十万トンあつたため、二億九十万ドルにとまりましたが、昨年七月から援助が打切られているため、今後は全部民資にようなければならず、その総額は四億四千万ドルに上るといわれておるわけであります。最近問題となつておりますドル不足の傾向からも、さらに工業原料の輸入による貿易振興の面からも、これだけの外貨を獲得するということは相当困難であるわけであります。また複雑な国際情勢に対処いたしましても、国内食糧自給度の向上をはかることは、全国民があげて考えなければならない緊急な問題であると考えるわけであります。さらに毎年二百万人以上の人口が増加しておりますが、農村はこの過剰人口をかかえて、経営はますます零細化しておるわけであります。また毎年頻発する災害によりまして、最大の犠牲は農業と農民にかかつておるわけであります。食糧自給度を高め、かつ多くの人口を包蔵し、わが国経済自立の基盤をなす農業に対して、国家が財政資金を投資したり、あるいはまた支出することによつてその健全な発展をはかるということは、絶対に必要である問題であります。ところで昭和二十七年度の予算案によりますと、食糧増産経費は三百九十九億円でありまして、昨年度よりも三〇%の増額をみたわけであります。そのお力は感謝いたすわけでありますが、内政費総額の圧縮と、明年度予算実行上における物価の上昇から、絶対事業分量がふえるかというと、そうふえないと考えるわけであります。従つてもつと積極的にこの食糧増産を考えるならば、さらに多くの経費を必要とするのではないかと考えておるわけであります。農林漁業資金は、二十六年度の百二十億円に対しまして、二十七年度は一般会計六十億円、運用部資金百十億円、見返り資金三十億円、計二百億円となつたが、脆弱な農林漁業を維持するためには、われわれの計算ではさらに六百億円からの融資が必要ではないかと思うのであります。また金利の点も十分考慮する必要があるわけであります。現在の貸付状況は、一月二十日現在で申請額が百十五億円に上つており、貸付決定額は七十一億円を越え、前月同日に比べてそれぞれ二十億円以上の増加を示している状況であります。また食糧管理特別会計は明年度は五千八百七億円でありまして、本年度の六千三百八十九億円に比しまして五百八十一億円の圧縮であります。これは外国食糧買入費と価格差補給金の大幅な削減にあるのでありまして、二十七年産米麦の政府買入価格は――これは生産者価格でありますが、米は石当り七千二百十四円、大麦は四十五キロ一俵で一千二百四十六円、裸麦は六十キロ一俵で二千十一円、小麦も同じく六十キロ一俵で一千八百六十五円という買入れ価格と推定しておりますが、この買入れ価格の基礎になります二十七年五月から九月までのパリテイ指数をいずれも二五五として、物価水準が横ばいを続けるものと推定しておられるのでありますが、パリテイ指数がこの通りになるかどうか、すなわち現在よりも二ないし三パーセントの物価上昇で済むかどうか、ここらの物価水準に対する政府の見通しは甘いように考えるわけであります。零細な農業経営で過剰な人口をかかえ、農業生産力の増進と農民の経済的、社会的地位の向上をはかるためにつくられております農業協同組合でありますが、その農業協同組合の経営不振な組合に対しましては、昨年の通常国会において農林漁業組合再建整備法が制定せられたわけであります。その趣旨にのつとりまして全国の不振な協同組合は着々再建整備に努力いたしておりますが、おかげさまをもちまして、現在におきましては相当の成果をあげておるわけであります。たとえばその実績におきましては、再建の連合会ではその再建のために必要な自己資本不足額の初年度におきます目標額をはるかに突破いたしておりまして、協同組合は再建の意欲に燃えておるという状況で現在進んでおるわけであります。  以上は、二十七年度予算に対しまして、農業関係の立場におる者として大体の観点から意見を申し上げたのでありますが、さらに当面する大きな問題といたしまして、二、三つけ加えさせていただきたいと思うわけであります。  それは本年度の予算にも掲げておりますが、米麦統制解除の問題、あるいは統制撤廃いかんに関せず、いわゆる農業者の受入れ態勢というものを整備しなければならない問題があるわけであります。特に物質的な大きな問題といたしましては、農業倉庫の拡充整備ということがとなえられているわけであります。この点につきましては、本二十七年度の予算におきましては十二億の融資をきめられまして、融資によつて農業倉庫の整備をはかるようにお考えおき願つているわけでありますが、われわれといたしましては、融資ばかりでなく積極的にこの農業倉庫の助成にもつと乗り出していただかなければ、国民の食糧に対しましても、農業経営に対しましても、遺憾な点が多多出るのではないかと考えるわけであります。農業倉庫は元来農家の共同利用施設といたしまして、農産物の自主的な貯蔵、販売を計画的に実行する、そういう意味で日本においては農業倉庫がつくられて参つたわけであります。政府は特にこの問題につきましては、昔からこの非営利的な性格にかんがみまして、たとえば大正六年におきましては農業倉庫業法を制定いたしまして、そうして農業倉庫を建設いたします場合には半額の国庫助成を行つて参つたわけであります。しかしこれは昭和十二年に至りまして、日華事変が勃発いたしたために、これが廃止となつたわけであります。さらに昭和十六年からは戦時態勢の確立とともに、米麦もまた国家管理となりまして、そうしてその米麦を保管いたしますところの農業倉庫は、生産者の供出施設ばかりでなく、政府買上食糧の貯蔵保管施設として重要な役割を示したわけであります。しかるにその後この農業倉庫に対しましては、十分なる補修なり手入れが行われないまま放置してありますので、今日におきましては約二千万俵の倉庫の収容力の不足を招来しておるわけであります。こういうような問題が解決されないで、昨年は米の統制撤廃等の問題が突如として起きたのでありまして、われわれといたしましては、米麦の、農産物の価格の安定も一つの条件といたしましたが、さらにその自由販売になりましたときの農業倉庫というようなものの設備の拡充なり、改善も一つの条件としてお願い申し上げたわけであります。ただいまも申し上げましたように、現在においてもその収容力がきわめて不足している。そういう点からこの予算を拝見いたしますと、単にわずかなる融資によつて農業倉庫を建設する方策をとられておりますが、日本農業の構造上から、あるいはいろいろの点からの特殊性をかんがみられまして、農業倉庫の建設に対しては、むしろ助成をするという線を出していただかなければならないのではないかと思うわけであります。この問題につきましては、さらに申し上げたいことがございますが、時間の関係もありますので、打切ります。次の問題といたしましては、農村におきます農業協同組合の問題であります。農業協同組合は、終戦後新しい近代的な性格をもつて生れたのでありますが、その農業協同組合は、現在全国に一般組合と申しまして、町村を単位とする総合的な事業を行う一般組合が一万三千三百あるわけでありますが、さらに非出資の農業協同組合が一万数千を数えております。全体を合せますと三万余の協同組合を持つておりますが、その協同組合は農業協同組合法に規定されておりますように、最大の奉仕をいたしまして、営利を目的としないということで、その事業を遂行しているわけであります。そういう団体が依然として、たとえば現在においては法人税なり事業税を課せられているわけであります。一方においては法律的に規制されておりまして、営利的な事業を行わないで、ほんとうに奉仕をもつてその事業を遂行するという性格を持つ農業協同組合が、依然として課税の対象となつているわけであります。零細な農民によつて構成せられております農業協同組合をさらに育成強化いたしまして、それを通じて日本の食糧の自給度を高める必要があるならば、この際農協に対する非課税原則を十分おくみとりくださいまして、そうして農業協同組合の育成を心からはかつていただきたいと思うわけであります。これは理念的にもそうでありますが、たとえば実際にそうすることによりまして、どのくらい国の税収入が減るかと申しますと、現在それに該当する協同組合の全体の法人税なり事業税というものは、金額といたしましてはわずかなものであります。法人税にありましてはわれわれは大体大きく見積つても五億円であると考えるわけであります。事業税においても一億以上に出ないと考えるのであります。そういうわずかな問題でありますが、この協同組合を構成いたしまする農民がきわめて零細な農業者であるという点から、しかも農業協同組合は非営利的な経済団体であるという点から、十分その特徴を生かしてサービスをするためには、農協に対する非課税原則をお立て願いたいと考えるわけであります。  さらに最後にもう一つ申し述べさしていただきたいことは、本年度二十七年度の予算につきましては、相当補助金であるとかあるいは農業関係の施設、さらに土地改良、耕土培養等につきまして予算をおとりくだすつたのでありまして、その点はわれわれとしては十分感謝をいたすのでありますが、この運用に関しまして、一言お願い申し上げてみたいと思うのであります。補助金を政府が出す場合に、ともいたしますると、それによつて農民なり、あるいは農業団体が持つておりますところの民主的な自主性というものが阻害されるおそれがあるわけであります。補助金というものは、できるだけその自主性を阻害しないように出していただくという問題が一つと、さらに政府においていろいろな事業なり指導をされる場合に、民間の自主性と民主性を十分尊重いたしまして、民間自体の力で十分動けるような形に育成して行くことが必要ではないかと思うのであります。協同組合の立場から申し上げますならば、協同組合の連合会がその会員である協同組合を指導する場合、そういつた場合にできるだけそういう機能を持つている団体があるならば、政府はそれを十分うまく利用することによつて、直接手を出さないで、間接に農民なりそういう団体を指導するという形をとることが必要ではないかと思うのであります。現在農業者の立場からいろいろな問題を取上げますと、なかなか解決されない問題が多々あるようであります。私も一村民といたしまして、村の行政なり国の農政を伺つていますと、たとえば一つの問題、農業生産力を向上させるために技術の指導を行う、そういつた場合に農業改良普及事業によりますところのエージエントの技術指導があり、さらに共済組合の線を通つて来るところの技術指導があり、あるいはまた県の農産課なり農務課直接にいたす技術指導もあり、あるいは畜産関係その他の各分掌されている各課の技術指導があり、そういうものが農村においてはあちらからもこちらからもやつて来る問題があるわけであります。しかも一方町村におきます農業協同組合は、経済団体としてそういう技術の一元化の上にその技術指導が伸ばされなければならないのでありますが、そういう点がきわめて支離滅裂である。たとえば畜産の問題が行われます場合、現在今度の予算において有畜農家創設維持法が取上げられ、早急に家畜の奨励を行われるようでありますが、そういう場合に、県においては畜産課の技術指導があり、さらに一方においては馬喰商等の形から出て来るところの技術指導があり、そういう点で町村農協としてはどれを受入れて行つたらいいのかという点に戸惑いするわけであります。そうしてその資金を一応確保した場合に、時期が遅れましてそのチヤンスを失うようなことが多々あるわけであります。麦が安くなれば、たちどころに豚の子が高くなるというようなことを直接町村においては経験する。麦が安くなると、農民は安いことをむしろがまんいたしまして、安い飼料で飼える豚の子をあさろうとするから豚の子が高くなる。そうなりますと、その一歩手前にいわゆる馬喰あるいはそういう畜産業者がその豚の子を買いあさつておきまして、そうして値段をつり上げる。こういう形で、農民は常に浮ばれないわけであります。一つの技術的な体系におきましても、十分そういうものを一元化いたしていただきまして、政府なり県なりにおいてやれる範囲においては強力な技術指導なりあるいは一般に対する農業政策を浸透していただきたいのであります。しかも実際の面に携わる場合には、できるだけ農業者なりあるいは民間団体を利用するという形をとらなければ、いかに国において予算をつくりましてもその予算が実際に農民の力となりあるいは肉となることはできないのではないかと思うわけであります。従つて私たちが申し上げますのは、予算の内容はもちろんそうでありますが、その予算をいかに効果的に利用するか、いかに効果的に使用するかという点については、皆様の格別なるお力をお願い申し上げたいと思います。いろいろ申し上げたいことがありますが、時間が経過いたしておりますので、この辺で終りたいと思います。
  71. 塚田十一郎

    ○塚田委員長 ただいまの武正公述人の御意見に対して、質疑はございませんか。
  72. 上林山榮吉

    ○上林山委員 ただいまの公述人の御意見の中に、数字の基礎が間違つているのじやないだろうかと思われる点があるので、その基礎を承つて、それから、二、三質疑をいたしてみたいと思うのであります。  まず第一点は、講和関係費が内政費に三百何億か食い込むという基礎でございますが、私どもの見たところでは、本年度の内政費は六千三百五十九億、来年度の内政費は六千四百九十四億、よつて来年度百三十五億の内政費のプラスである、こういうふうに見るのでありますが、公述人のこれに対する基礎はどういうところからとつたのであるかという点が一点、これを伺つてから、二、三農業関係の問題について伺つてみたいのであります。
  73. 武正総一郎

    ○武正公述人 ただいま数字が若干違うではないか、こういうお話であります。はなはだ失礼でありますが、私、拙張の途中の汽車の中で、政府からいただいた予算案その他を取入れまして数字を出したので、そういつた点、もし間違いがあれば御了承を願いたい、さように考えております。
  74. 上林山榮吉

    ○上林山委員 確かに間違いだと思いますので、お改めを願いたいと思いま次にお伺いいたしたいことは、農業協同組合は新しい構想によつてできたのである、産業組合を改組して、新しい近代的な組織という意味においてでき上つたのである、こういう御見解でありますが、私どもは、内容においては往年の産業組合の内容と大して違つていない。ただイデオロギーとか形式的な組織とかいう点から行きますと、おつしやるように協同組合は新しい構想のように見られる、こういうふうに考えておるのであります。そこで私は、その点は別としてお伺いいたしたいのは、政府が再建整備法案を出して、そうして国民から吸い上げた税金によつて農業協同組合の再建整備をやつた。これは農業経営を健全にし、農業協同組合の運動を健全にして行くという点から、われわれは喜んでこれに協力をしたのではありますけれども、これをよく吟味してみると、農業協同組合自体、特にその全国組織であるところの上部の協同組合、ことにあなた方が担当しておられるところの指導農業協同組合、こうした方面の指導というか、反省というか、そういうものが不十分じやなかつたのか。もちろん経済は非常に動いておりまして、不なれな方々がこの事業をやるのでありますから、そこには、われわれも一歩下つてこれを理解する態度を持たなければならぬけれども、私としては、どうも産業組合時代と比較しまして、相かわらず官僚的な経営といいますか、そうしたような要素が、多分に農業協同組合の経営の中に今日まで浸透しておる、こういうふうに考えるのであります。たとえば、あなた方は商人をある意味においては排撃をしますけれども、商人には相当学ぶべき点がある。というのは、商機を逸しない、むやみな仕入れをしない、売れないような品物をあまり買わない、こういうふうに、商機、見通しというものに対して熱心であります。こういう長所は、農業協同組合等においてもすなおに取入れて経営をして行かなければ、結局、協同組合のやり損じた跡を、いつも国家がこれをしりぬぐいをして行かなければならぬという行き方は、私どもは一面、納税者に対する考え方として反省しなければならぬ、こう思うのであります。まず、この点についてどういうお考えを持つておるか、伺いたいと思います。
  75. 武正総一郎

    ○武正公述人 最初の御質問にお答え申し上げます。昔の産業組合と現在の農業協同組合は、名前は違うけれども内容は同じだ、こういうお話でありますが、私はそうは考えておらないわけであります。と申しますのは、産業組合にいたしましても、明治なりあるいは大正なり昭和にかけて、その産業組合史を考えるならば、やはりその時代の資本運動というか経済運動に即応しで、その内容もかわつて来ております。それは別といたしまして、終戦後の農業協同組合は、そうしてまたその全国団体等を取上げてみた場合に、その農業協同組合の中には、二つの大きな問題を含んでおります。一つは、昔は産業組合と農会という二つの団体がありまして、産業組合は経済的な団体であり、農会は指導団体である。そうして指導団体には産業組合の指導を行いますところの中央会があり、また中央には農会を統卒いたしますところの帝国農会がある。今全国の指導連を取上げます場合には、その全国指導連というものは、帝国農会と産業組合中央会の二つの機能を持つておる形をなしておるのであります。と申しますのは、日本の農業の性格なり構造からいいまして、いわゆる産業組合のときにおきましても、組合の利益代表機関、農民の利益代表機関というものにはつきりわかれており、しかもそれは統一した形で運用されることを最善としておつたわけでありまするが、終戦後におきましては、特に協同組合は、生産過程において十分力をいたすところの協同組合でなければならない。流通事業だけを取扱うところの協同組合は、単に中間利潤を排除するという消極的な点だけにとどまりまして、自営農民をさらに協同化のもとに伸ばして行くためには、生産的なそういう事業もあわせ行うところの協同組合でなければ、真に積極的な組合運動はできない、こういう点から、協同組合には、流通事業ばかりでなく、生産過程の指導ないし啓蒙によつて、逆に流通事業を伸ばして行くという構想が盛られたわけであります。ところがそういう構想が盛られて参りますと、協同組合は単に組合の利益代表というばかりでなく、個々の農民の利益をもやはり代表しなければならない、そういう面が出て参つたわけであります。  さらに次の御質問にお答えいたしますが、なるほど現在の協同組合はきわめて運営がまずく、そうして農業協同組合は多くの忌まわしい汚職事件であるとか、あるいはいろいろな問題が出ております。しかし一方考えてみますると、この協同組合ぐらい大きな組織と組合員を持つておるものはない。三万数千の組合を持ち、八百万の組合員を持つておる。そうして一組合に十五名の理事がおるとすれば、それは厖大な数字に上るわけであります。そういう点から、数的にきわめて多くの不祥事も出ておりますが、全体としてみると割合に少いのではないか。しかし少くともそういう汚職ができるものは、やはりこの際としてはそれを殲滅しなければならない。ところが問題は、協同組合自体の反省も必要でありますが、協同組合ばかりでなく、農民の社会的な訓練なり教養を高めるような、そういう運動を政府においても十分伸ばして行かなければならないのではないか。でないと、いわゆる農業委員会ができ、あるいはいろいろな形でもつて代表者が選ばれましても、その代表者が社会人という面を忘れて、単に農業者の利益だけ追求する、こういう面が出て来ることも実はわれわれとしてはおそれるわけであります。そういつた点については全体の教育を十分伸ばして行かなければならない。それこそやはり政府なり国の事業ではないかと考えるわけであります。しかしお話の通り十分そういつた点は気をつけて、われわれとしては指導もし、お互いに反省もして行きたいと考えておるわけであります。
  76. 塚田十一郎

    ○塚田委員長 御質疑も御答弁もなるべく簡潔にお願い申し上げます。
  77. 上林山榮吉

    ○上林山委員 簡潔に申し上げますが、私はこの農業協同組合の沿革史ないしはイデオロギーないしは組織の問題について、公述人と何も問答しようと思つているのじやないのでありまして、その問題はしばらくたな上げをいたしますが、私どもの見たところでは、われわれ健全な農業協同組合の発展ということについては、積極的にこれは協力しなければならぬ、こういう観点に立つているのであります。今申し上げた通り、協同組合自体はもちろんでありますが、その上部の協同組合あるいは指導協同組合というような方面が、もう少し指導を加えて行かなければいかぬ。そうしないというと、あなたは汚職事件の問題だけを取上げられたけれども、私ども再建整備のあの数字を検討して見たときに、これにはやむを得ざる事情のあつた点もあつたけれども、仕入れ等において商機を非常に逸した、あるいははなはだしきは情実による買取りをやつておつた、こういうようなことがありまして、そのしりぬぐいを国家がしたわけでありますから、これは相当反省をしなければならぬ段階に来ているのではないか、こういう意味で申し上げたのでありますから、御答弁はいりません。  さらに私、見解を伺いたいのは、ただいまの公述人のお話の中に、食糧を自由販売にするための前提処置としていろいろな点が述べられましたが、われわれも慎重なる準備をして、やるべき場合はこれを断行しなければならぬ、こういうふうに考えるのでありますが、その中で生産者から消費者へ直接渡る間の協同組合のマージンというか手数料というか、主食に対してどれくらいのパーセンテージを占めておるか。これは説によると、統制を撤廃したならば、農業協同組合は手数料が入らないからほとんどその種類の協同組合は壊滅するであろうというくらいに世間では宣伝をいたしておりますが、この中間搾取ではありますまいが、中間の手数料はどの程度になつておるか、これが第一点。  第二点は、商人が買いあさりをする、ひいて農家に対してはなはだしく安い価格を押しつける、だから統制は農家のためにとつてもはずすのは反対である、こういうような一部の説もないではないのでありまするが、これに対してどういう考えを持つておるか。われわれの考えるところでは、農業協同組合がこれに資金を融通されてこれを買いとるならば、そういうような心配はない、こういうふうに考えておるのでありますが、これに対してどういう考えを持つておられるか、この点を伺つておきたい。
  78. 武正総一郎

    ○武正公述人 この問題は、全国販売連合会が担当でありまして、その点についてはよくわからないのでありますが、しかし私たち数字を出しまして、いろいろ調べた結果は、その全販連なり、あるいは県販連を通してのマージンというものは絶対に多くはない、こういうことになるのです。その点については、あとでまた的確な資料を出してお目にかけたいと考えております。
  79. 藤田義光

    ○藤田委員 私は公述を途中から拝聴いたしまして、あるいは重複するかもしれませんが、二点だけお伺いいたします。  まず第一点は、農林漁業資金融通特別会計の問題でございますが、この資金の借入れに関しまして、いわゆる県信連を通じて借りる方法と、市中金融機関を通じて農林中金に書類を出す方法と二つあります。この二つの道が開かれておるために、非常に混乱しております。直接の需要者の手に渡るまでの時期があまりに幅があり過ぎまして、非常な迷惑をこうむつておる。何とかこれを一元化して能率を向上させることが必要ではないかと思いますが、この点に関しまして、あなたの御意見をこの際お伺いしておきたいと思います。
  80. 武正総一郎

    ○武正公述人 まことにその通りであります。私たちもそれをどうしたらば農民のためになるか、それをいろいろ研究会をつくり研究しておるのでありますが、率直なところは、県信連を通して十分系統利用というものを徹底させて行くということが、協同組合の大きな原則でもあります。そういう二つの問題はありますけれども、われわれといたしましては、協同組合運動を続けるために、系統組織を完全に利用する、県信連を利用する。県信連を利用するために、どうしたらば農民のために利便が与えられるか、そういう実務的なことを考えておるのでありますが、欲を申しますならば、その二つの方法というよりも、一つにきめて政府でも指導していただければ幸いだと、そういうふうに考えるわけであります。
  81. 藤田義光

    ○藤田委員 先ほどの公述の中で、農協の非課税原則の確立の問題に言及されまして、まつたくわれわれも賛成でございますが、その中で事業税が約一億ばかり課税されておるという公述がございましたが、これはわれわれの地方行政委員会で、昨年の三月関係方面と折衝しまして、新聞事業とともに非課税にしたと思いますが、公述人の御記憶違いじやないかと思います。国税に関してはそのままになつておりますが、地方税に関しては非課税措置をとつたと思います。これはもし御意見がありましたら、お伺いしておきます。  それから昭和二十四年以来団体への土地改良費が全然出なくなつておりましたが、二十七年度から団体への土地改良費が相当大幅に支出されることになりました。この団体への土地改良は、御存じの通り組合をつくつてやります。農業協同組合とは別個の組合になつておりますが、こういう公企業的なものはあくまでも農業協同組合の副業としておやりになつた方が、農協育成のためにも非常に強い地盤ができるのじやないかというふうに私は考えておりますが、この際関係法規の一部の改正をやりまして、そういう道を開くことが必要ではないかということを農林省の農地局方面とはわれわれ相談はいたしておりますが、この点に関しまして何かお考えがありましたならば、この際お伺いしておきたい。
  82. 武正総一郎

    ○武正公述人 その点については、協同組合としても大いに重点を置かなければならない。たとえば単作地帯におきます小規模の土地改良事業を一体だれが推進しているかというのを最近私の方で調査いたしましたところが、農業協同組合が自主的にそのほとんど多くを受持つておる、こういう形が出ておるわけであります。そういう点から考えますならば、その土地改良事業を農業協同組合が推進させるために、きわめて適切な性格を農協が持つております。たとえば耕地整理等が、大体御了承だと思いますが、秋、稲を刈りましたあととりかかり、春、水が入る前に片づく。農村においては農閑期における仕事であり、しかも協同組合といたしましては、資金とかさらに固定した事務所を持つておるという点から、関係官庁なりあるいは農民と十分連絡をとるために都合のいい立場にある。それから一方、昨年でありますが、われわれが調べたところによりますと、単協の不振の原因が、六・三制のために町村にこつそり金を貸したり、あるいは町村の耕地整理組合が農協に金を貸してくれ、これはなかなか拒むことができないので相当貸す、ところがそれがやはり長期固定化するということで、農協の資金を流動化さないという大きな問題があつたわけであります。ところがそれが国の金によつてその土地改良が行われるならば、それを肩がわりして、そうして協同組合がそのあつせんの労をとる、こういうことで、むしろ土地改良事業を農協が推進させることによりまして、この農協自体の健全な運営も考えられますし、土地改良事業も促進するのではないか。そういうわけでわれわれといたしましては、今後さらに農協が行うところの土地改良事業を推進いたしたい。ただここで一つ問題になりますのは、土地改良法に規定されております土地改良事業を施行する主体というものが、土地改良区と農業協同組合であります。ところがこの土地改良区の方は、これは全員賛成しなくても事業を行えるのでありますが、農業協同組合の方では全部が賛成しなければ事業を行えないような、そういう問題があるわけであります。それらを法律改正によりまして、少くとも農業協同組合の事業区域におきます小規模の土地改良等は、農業協同組合でできるという線を打出すことが必要ではないか、さように考えております。
  83. 藤田義光

    ○藤田委員 税金の方はどうですか。
  84. 武正総一郎

    ○武正公述人 税金はたしかそうだつたと思います。
  85. 井出一太郎

    ○井出委員 武正さんは今回見えます公述人の中では唯一の農村代表でございます。その意味において伺いたい点は、この二十七年度予算の基礎をなしております米価の問題であります。ことに二十七年度の生産者価格をパリテイ二五五、七千二百十四円、こう押えて、この予算が組み立てられておりますが、これはおそらく本年の秋の米価であつて、今から予測することは困難ではございましようが、一体こういう程度の価格で本年の秋納まるものかどうか、そういうお見通し、ないしは指導連としては、こういうふうな価格パリテイの方式でいいのか、あるいは生産費計算を取入れたいと思つているのか、そういうふうなことにも関連して御意見を伺えれば仕合せでございます。
  86. 武正総一郎

    ○武正公述人 それは、私は先ほど申しましたように、見通しは甘い、甘い数字である、これは非常に遺憾であるというふうに考えるわけであります。それから生産費の問題でありますが、これは協同組合全体というのはおこがましいのでありまして、私自身の考えといたしましては、やはり原単位生産費計算とか、あるいは生産費計算でやつた方が至当ではないか、私の方で二十六年度の米価につきまして推定生産費を昨年の秋行つたわけでありますが、その場合に出ました生産費は、一万円前後という数字が出ているわけであります。そういう点から考えますと、現在の米の価格というものはきわめて安いというふうに感ずるわけであります。それでは、安いならば経営ができないではないか、これは私が申し上げるまでもなく、農民の労賃という点において犠牲をしているというふうに考えるわけであります。
  87. 風早八十二

    ○風早委員 武正さんは農協の専務理事であられますから、あるいはその扱つておられますお仕事とは多少ずれるかもしれませんが、今回のこの公述人の中で、ただ一人の農業関係の代表者で、かつ先ほどのお話の中にも個々の農民の面の利益をやはり代表するというようなお話もありましたので、この農民の立場からの問題について一点だけお答え願いたいと思います。それはほかでもありません。今までも進駐軍による基地ないしは演習地というような名目で盛んに土地が取上げられております。これは土地を取上げられるならば、もう農業の指導も何もないのでありまして、その根本がなくなつてしまう。従つてこれに対しては、これは農協の指導者としてのみならず、農民の立場からどういうふうなお考えでありますか。衆議院の農林委員会におきましても、これは自由党も含めて全会一致で今後駐留軍による農地の取上げということに対しては反対である、但し――但書がついております――但し万やむを得ない場合においては、少くとも十分なる補償をなすべし、こういうような要望を決議しておるような状態であります。この点で、あなたは農民の代表としてどういうお考えであり、今後どうしたらよろしいかというような点についてお答え願えればありがたいと思います。
  88. 武正総一郎

    ○武正公述人 私は農民の代表というより農民の利益代表をする機能も連合会が持つておる、こういうわけであります。ですから個別的な農民の代表というものは、ちよつと私としては資格がないようでありますが、基地の問題は、これはどうも私ここで御即答ができないわけであります。しかし即答はできないけれども、きわめて重要な、相当研究して解決しなければならない問題かと考えます。ただそれよりも、さらに私たちは全体の問題といたしましては、農業経営の規模が今かわりつつある。農地改革後土地が一切解放されたのでありますが、その当時の労働力がだんだんかわつて来ております。労働力と経営面積が十分マツチしたときに農業経営が成立する。五反であつても、そこに少い家族労働力が完全に燃焼すれば農業経営ができる。ところが現在においてはその農業経営というものは、合理的にやろうといたしましても、農地というものがその経営にマツチしないような点も出て来ておるのであります。基地の問題は相当考えなければなりませんが、農業経営全般といたしますと、いわゆる解放された農地と、そうして今の農家との経営上から、実際はたして成立するような形にあるかどうか、こういう問題も大きな問題でありまして、問題をそらしたようでありますが、実はそういつた点については、さらに皆様の御研究をいただきたいと考えております。
  89. 風早八十二

    ○風早委員 マツカーサー元帥の農地改革というものが、いよいよこれで総決算の時期に達していると思うのであります。今あなたの最後に指摘せられた点は、非常に大事なことだと思います。たしかに仰せの通り、農業経営そのものの一つの変革が問題になつておるのであります。しかし私が先ほどお尋ねしているのは、この土地の取上げが開拓民に集中しているという問題があるわけです、またそれも習志野なんかの例を見ますと、もう政府と県の開拓課と開拓民と三者がちやんとはつきりきめて、そうして登録したその土地までがいろいろ文句をつけられて取上げられておるという事実もあるように承つておるのでありますが、こういう問題については、やはり農業会の代表とされて、一応原則的にこれに対してはどういうお考えであるか。これだけはひとつ承つておきたいのですが、もしお答え願えればありがたいと思います。
  90. 武正総一郎

    ○武正公述人 きわめて抽象的なお答えになりますが、農民がつくつております協同組合は、やり農民の利益を十分伸ばすような形で行かなければならぬ。従つて協同組合はその場その場に応じまして、それが農民の利益のためになるなら、やはり相当つつぱつて考えて行かなければならぬ。具体的には私わかりませんので、お答えしかねます。
  91. 石野久男

    ○石野委員 一点だけお尋ねいたします。武正さんは公述の冒頭に、この予算は講和独立後の日本の方向を規定する重要な意義を持つておる、こういうふうに言われました。まさにその通りであると存ずるのであります。そこで一点だけお尋ねいたしますが、この予算日本農村経済の上にどういうような影響をもたらして来るであろうかということ、このことについて武正さんのお考えをひとつ簡単でよろしゆうございますから、端的にお述べ願いたいと思います。
  92. 武正総一郎

    ○武正公述人 均衡予算が今までとられておるわけでありますが、今度の予算においては、相当下生産的な支出が計上されておる。農民の立場から行きますと、これは現状においては、これだけの予算を組まれることは並たいていでないということはわかるのでありますが、そういう傾向から見ると、農業の生産的な面に関する支出がやはり少くなつて来るのではないか。しかもそれは現在のところ危惧であればいい、こういうふうに考えておるわけであります。この予算の特徴は先ほど申し上げましたように、そういう面がにおわされるので、その点を十分警戒して、この予算を執行される場合には、十分お考えおきを願いたい、こういうことであります。
  93. 石野久男

    ○石野委員 予算を運営される場合には、というのではなくて、これは武正さんがお感じになつたことでよろしゆうございますが、私たちこの予算を審議するにあたりまして、やはり農民の立場からどういうふうに予算が見られておるかということは非常に重要なんでございます。そういう意味で、こういう予算が成立いたしました結果、日本の農業経営が行く方向に対するわれわれの見方をしつかり把握しておきたい、こういうように考えてお尋ねするのでございますので、どうかひとつ端的でよろしゆうございますから、この予算ができましたら、日本の農村は案外楽にやつて行けるのだろうか、それとももつとどういう面に注意しなければならないのだということを、利益代表としての立場からひとつお答え願いたいと思います。
  94. 武正総一郎

    ○武正公述人 それは先ほど私が申し上げたことで御了承願いたいと思います。ただ個々の農民は、今度の予算には相当農林予算が組まれたというふうに思つております。
  95. 成田知巳

    ○成田委員 遅れて参りましたので、もし質問されておりましたら、省略していただいてけつこうです。  先ほどの御答弁の中に、農業規模の問題が出ておつたと思いますが、その問題で、農業財産の相続の問題であります。新民法で均等相続となり、農地改革の結果相当零細化した土地がさらに細分化されるという傾向にあると思う。国会でも問題になりまして、政府はそれについては、特別措置を考えたいという答弁をしておりますが、まだ具体的な方法が示されていない。それについてどういう御意見を持つておるか。また現下農村においてどういう実情になつておるかお尋ねいたします。
  96. 武正総一郎

    ○武正公述人 これもまたなかなかむずかしいわけであります。昨日も私の家に参りまして、一町二反ばかりやつておる百姓が十五万円相続税を出さなければならない。これには四反ばかり土地をやみ売りしなければならぬ。こういつたことを言うて参つたわけであります。そのように、非常に重要な問題であるわけでありますが、現在それに対してそれではどうするかということは、相続税をずつと安くしてくれ、こういうふうわれわれとしては常にお頼みしているわけであります。それともう一つ、均分相続ということになりますと、農地の零細化、農業経営の細分化が行われるのでありまして、この点についてはいろいろ意見は持つておりますが、長くなりますので、省略さしていただきたいと思います。実情はむしろ長子相続のかつこうで、そのほかは棄権しておるわけです。みずから放棄しておるわけです。そういう形をとつております。そのかわり次男、三男には大学なり、専門学校にやる。長男はそういうことを保証する、おやじが保証する。そういうかつこうでありますので、農家においては案外次男、三男が専門学校等に就学して独立の生計を立てるような形で出ておるじやないか、そう考えるわけであります。
  97. 塚田十一郎

    ○塚田委員長 質疑も大体終つたものと認められますので、次に移ります。神近市子君。
  98. 神近市子

    ○神近公述人 私は週間婦人タイムズを経営しております神近市子でございます。  今度は急な御用命でございまして、私は婦人団体あるいはそのほかにも連絡というようなことを試みませんで参りましたものですから、今日の意見は私自身の個人の意見としてお聞きを願います。ただ始終接触しております婦人会とか、あるいは婦人団体とか、女子の組合とか、そういうふうなところには始終関連を持つておりますので、私の意見は大体において一般の日本の今の婦人たちの、地方も都会も含めて、あまりずれはないつもりでございます。  最初に申し上げたいことは、この間から始終問題になつております遺家族傷痍者の問題でございます。偶然この五日に街頭録音が行われまして、それを私聞いたのでございますが、大体において遺家族傷痍者のお話は、この援護を受けられる人たちの御意見だと思われますので、私がここに意見を申し上げますことについての背景をなすものでございますから、その意見をちよつとお聞及びを願いたいと思います。この録音には遺家族の方が二十六名、傷痍者が十名出ておられましたようで、それをアナウンスしておつたようでございます。大体これは感情的なことになりますけれども、この間吉田さんが大磯で遺家族を置去りになさつたこと、それから池田大蔵大臣がお燈明代とか、お燈料とかとおつしやつたことについてたいへん憤激のことを申した方がございました。それから前の厚生大臣の橋本さんに対してたいへん感謝感激のような言葉がございましたけれど、これは感情的なことでございますから、ここではただ御参考までにお聞きおきを願います。この予算の問題自身といたしましては、金額が非常に少な過ぎるということが第一に出ております。  それから第二には、画一的でない方がいいのではないかということが、遺家族の方から出ております。困つた者には多少の足しにはなるけれども、あり余つている者に少しばかりの金が一体どういうふうにわけられるか、その上に援護を受けているというようなことを言われることは、あまり望ましくないのではないかという意見でございます。  第三は、十八歳未満という年齢は低過ぎる、これはあとで私の意見を添えて申し上げようと思います。  大体私もこの意見はほんとうではないかと思うのでございます。計算してみますと、母親と子供が三人おりまして、大体三千円になると思います。これは非常に貧困の、たとえばどこかの母子寮にいるとか、あるいはどこかの保育園で庇護を受けているというような非常に貧困な人たちには、多少の手助けになると思いますけれども、それよりちよつと上の、どうやら内職をするとか、あるいは親戚の仕送りによつて暮しているとかいうようなところには、与える効果は非常に薄いのじやないか。どういうわけかと申しますと、これまでのようにまるまる援護がないということになりますと、まあ世間に甘えるということもできるわけでございます。たとえば町会費を免除してあげますとか、あるいは水道料を免除してあげますとかいうように、国家がなすべき義務をやつていないということになりますと、はたが気をつけます。それから肉親なんかでも、かわいそうだというので何となしに気をつけてやりますけれども、援護を一応いただくということになると、あそこは援護が行つているからというわけで、町会の費用も、ごみの掃除代とかあるいはどぶさらいとか、井戸さらいというので割当をされるようなことが起りはしないか、これは容易に想像できることでございます。  実例を一つ申し上げますと、私の近くに一人女の老人がおります。それが戦争でたつた一人持つておりました男の子を――たいへんいい子だつたそうですけれども、その子をなくされまして、犬小屋のような焼け跡に今入つておられます。多分電燈はなかつたと思いますが、大体今千五、六百円もらつていらつしやるようです。水道代も払わないし、電燈もないというような状態ですけれども、配給のお米と麦だけはどうしてももらわなくちやならない。それが大体七百五十円になります。それからほかにガスも電気も使わないとなると、木炭が唯一の燃料でございます。それだとすると、一俵半どうしてもいるだろうと思います。この一俵半はほとんど炊事に使われまして、あとは、寒いときはふとんの中に寝ているという状態らしいのですけれども、これが五百七十円、これでもうすでに千三百二十円になりますから、このうち副食費をかりに一日二十円といたします。まあこれで何か買えるというよりか、みそをなめるとかそこらのことになると思うのですけれども、これを二十円としますと、月に六百円で、もうここに三百二十円の赤字が出て来ておるのです。これに電燈をつけてやつて、多少栄養のある食物をとらして、げたや足袋をはかせる、そうしてせんたくをさせるために、せつけんも買わなくちやならないということになりますと、私、自分で世帯を持つておりますので、いろいろの費用を計算してみますと、どうしても一人ぐらしで四千五百円は必要じやないか。ふつとそのときに気がつきましたことは、すなわち二倍半にあたる比率が出たときに、ひよつと考えましたことは、橋本さんが厚生省におられたときに、援護費として算出されたものがちようど五百五十億でございました。それがやはり今度の援護費のちようど二倍半になつているということで、結局その比率が大体そういうことにおいて、前のお考えがたいへん実情に沿うていたのではないかということを考えたわけでございます。  次に、第二はちよつとあとに延ばしまして、第三の年齢の問題でございます。援護費が十八歳未満というのも少し低過ぎるということは、これはお子様をお持ちの方は大体お考えが出るだろうと思います。育英資金があとに出ておりますが、遺家族の子供は全部育英資金の恩恵にあずかるということができれば別でございますけれども、もしそうでないなら、十八歳で職業につくということは、まず女中奉公をするとか、あるいはそこらのお茶くみのような事務勤めをするとかのほか、これに職業教育を与えるということは、ちよつとこの年齢では私不可能だと思います。ちよつとラジオがその点よく聞こえませんで、どういうところに障害があるかということは、私は聞き取れなかつたのでございますけれども、これは大体想像ができると思います。  第二番目に、金のある人にも、ない人にも、非常に困つている人にも、大して困つていない人にも画一的にやることはない、余裕のある生活をしている人たちには、その名誉と感謝とを適当な方法で表わした方がいい、そしてやはり貧困な人たちに厚くしろというようなことでございました。これは遺族あるいは傷演者の救護を社会保障制度に近づける考え方で、人によりましては、いろいろフイリピンその他の国国についての賠償の問題等からにらみ合せまして、遺家族援護、傷痕者援護あるいは戦争犠牲者援護というよりは、もう世界各国が着手してどんどん成功しておりますところの社会保障制度にこれを含ませるべきではないかという意見があるのは私も存じております。けれども遺家族自身の中から、それに近づけるような考え方が出たということを、私はたいへん珍しいものと思つて聞いておつたわけでございます。なぜこの方に私が賛成するかと申しますと、戦費犠牲者というものは、遺族、傷痍軍人、軍属以外にもたくさんあるのでございます。広島、長崎の原子爆弾の記事が続々と出ておりますので、あれをごらんになると、どれだけの人がいためられているか、親を失い、夫を死なせ、あるいは子供にはぐれて残つているか、そうして今困つた生活をしているかということがおわかりだと思います。そのほかに徴用工があるのでございます。徴用されていて、そこの工場で夫が死んでしまつた、あるいは息子が死んでしまつた、それから同じように罹災して働き手をなくして困つている家族、そういう人たちをやはりある程度私どもはめんどうを見る義務がある、必ずしも軍人軍属だけが戦争の犠牲者ではない。こういうふうなことを考えてみますと、この人たちをどういうふうな網の目ですくい上げて、これを救護したら公平であるかというと、やはりさつきの社会保障制度の範囲をもう少し広げて、そして遺家族の問題もこの中に含めてあげた方が妥当ではないかというふうに考えるのでございます。ひよつとしたらこの考え方には遺家族の方々から反対の意見が出るかもしれないと思います。と申しますのは、この前未亡人会連合会の会場でやはり同じ問題が出まして、遺家族の問題と一般未亡人の問題とを一緒に統合した方がいい、まあそういう社会保障制度というようなことであつたのではないかと思うのですけれども、そういう話が出ましたときに、遺家族の方々が反対なさつたというようなことを開いたことかございます。しかしこれはやはり街頭録音の会のときに六十二歳になるおばあさんが出て参りまして、そしてこれはもうたいへんお話が聞きとりにくいほど泣いてお話なさいまして、私も子供を戦争でとられて、そしてよその物置きに入つておつて、仕立物をして生活しておりますけれども、私はまだこの生活でよろしい、私はまだここ二年や三年この仕立物で食つて行けます、ですから私のようなものはほうつておいてよろしいから――そのときに盲目とか、手、片足をなくした傷痍者が出ておつたものですから、そういう方々にお助けを早くたつぷりしていただきたい、私はいいと、この六十二になるおばあさんがおつしやつたのですけれども、私はこの精神をみんなが考えるならば、遺家族の方々もその精神をお学びになるならば、自分たちが先立つてということは、まず冷静にお考えになれば言わなくてもいいのではないか。特になお今まで遺家族援護がこんな遅れて来たが、アメリカの考えによつてこれが今まで手をつけられなかつたというような理由をよく理解なさるならば、これはかえつて社会保障制度によつた方がいいのではないかというふうに考えます。特に自主的に申しまして、さつき申し上げたように賠償の問題がございます。フイリピンのような国は、非常にまだ日本のあの戦争当時の態度についてああいうふうな反感を示しております。その賠償が今問題になつているときに、遺家族、傷痍軍人援護が追いかけて行われるということは、海外、そういう国々に対して間接に効果が悪かろうということが考えられるのであります。  もう一つ同じ公共の福祉に関する問題で、私どもから見て非常に手落ちじやないかというふうに考えられることは、住宅金融公庫の金が三十一億でございましたか、たいへん減つているのでございます。この間外国から帰つて来た方々が、イギリスでも、西ドイツでも、もつと財政的に窮乏しているのに、市民の住宅だけは非常にりつぱなものができておる。たとえばイギリスのイースト・エンドというところは、昔は貧民窟のように思われていたのですが、今日はそこにそういう人たちの非常にりつぱな住宅ができている。ところが日本はどういうふうな状態でございますかというと、三分の一が今はまだ住むに困るということでございます。私のところに十五人おりますけれども、三分の一が住宅がない者、三分の一はどうやらいる所はあるけれども、非常に高い権利金を払つておる。相当の家賃を払わなければならない。金融公庫というものがみな家のない人たちのたつた一つの希望の光になつておるのが、これが非常に減額されるということは悲しいことである。実情はどうかということは、このごろは新聞に頻頻と赤ん坊が親の乳の下で押し殺されておる。理由を聞いてみると、狭いところに大勢寝ておる関係上、一昨晩もやはり赤ん坊が死んでおりますけれども、それに書いてございましたのは、三畳に住んでいて、五人寝ていたので赤ん坊が押しつぶされてしまつた。また四畳半くらいのところに若い夫婦が住んでおる、そこに妹とか、弟とかが同居しておる。あるいは少しよくても六畳に夫婦と子供三人が住んでおる。こういうような状態でございまして、たとえば子供が非常に早熟になるとか、あるいは子供たちがパンパン遊びをやるというようなことが始終問題になつておつて、子供に対するいろいろ手当を考えられていますけれども、寝室、これは大体日本の建築のせいでもございますけれども、こういう住宅の問題に少しも理由を求めないということも、一つは手落ちじやないかと思います。国民福祉というようなこういう方面に、育英事業まで入れまして、大体七百二十五億でございます。育英費にこの社会福祉的な意味を持たせましても七百二十五億であります。片方に再軍備に使われるものが二千三十四億、こういう非常に大きなアンバランスと申しますか、そういうものが、この予算を一言にして批評しろとおつしやれば、私はこれは国民の不幸というものがまざまざと予算の面に現れてているのだということが言えると思います。大体この予算が出たときに女はびつくりしたのでございます。とにかくこの予算を読んでみて、泣くにも泣けない気持がすると言つたお母さんがあつたのです。これはどういう人かと申しますと、子供をやはり戦争でなくして、そしていつも私の子供だけが犠牲になつたことによつてあとから生れて来る子供たちが助かるのだ、同じ運命に陥ることを救つたのだということに今まで慰めを与えられて来たけれども、また戦争だ。硫黄島だの、フイリピンの太平洋諸島の中にあんなに白骨が積んであるのを新聞や雑誌でまざまざと見せてもらつていて、また私どもが戦争をしなくちやならない。このことはどうしたらよいだろうという絶望の感じをもつて話されたことを私はお伝えしたいと思います。いなかに行きますと、私は戦争で三人子供をなくしまして、あと四人男の子がございますけれども、もうこんりんざい私の子供は兵隊にはいたしませんという話をした人がございました。大体この女の人たちの気持は、特に親類とか縁者の中にそういう子供をなくしたあるいは親戚の青年をなくした人たちの女の今の気持は、もう兵隊には出すまい、もしそれがどうしても出さなくちやならないときにはどうするかということで、非常に憂鬱だ、子供が丈夫で育つようにと小さいときから願つて来て、ここで丈夫に育つて来たということが、非常に悲しい不幸のもとになるということを嘆いておるのでございます。これは母性というものを毒されないで、そして素直に女に持たれている場合、女は全部戦争には反対で、そのためにこの再軍備には反対だということを私は御記憶願いたいと思います。大体今の防衛費と申しますか、これは私どもは昨年くらいまでは大体千億円の終戦処理費でまかなわれるというように聞いて来たのでございます。それが倍額以上が今出て来ておりますので、このことによつて国民が受けている衝撃は決して小さくないということをお考え願いたいと思います。これはいろいろ議会のことを新聞で読んでみますと、やあ軍備ではない防衛費だ、あるいは兵隊ではない保安隊だというような、非常に、私どもから見ますと、あれは不愉快な論議でございます。昔あの馬をしかと――しかを馬と言わせた、どつちだつたか知りませんが、(笑声)そういう悪い政治家がおつたということを私ども承つておりますが、ちよつとその点は、いかに政治というもの、議会政治というものが、国民をばかにして行われておるかという実例を示されたようで、あれはなるべく早くおやめになつていただきたいと考えます。結局これだけの御準備をなさろうというのは、日本に革命が起るだろうということをたいへん恐れておいでになる結果だと思うのです。それなら私、これは革命が起るかもしれない、あるいは内乱、侵略が起るかもしれないから、早くこの内乱に備えてなどというようなことでしたら、この手当は全部あべこべな手当をしておいでになるのではないかというふうに考えます。ちようどやぶ医者が、肺が悪いのに胃腸の手当をしたような、ちよつと的をそれておるのではないかというふうに考えるのです。もしも革命を恐れるならば、もう日本には革命の要因があり余るほど出ていると思います。ちようど私がまだ若いころ非常にロシヤの文学を読んだのです。その時分に帝政末期のロシヤの腐敗堕落――もうこんな国に生れなくてよかつたと思つて、私は日本の国に生れたことをどんなにありがたいとその時分考えていたことでしよう。それはまだ明治の改革のあとでございまして、まだ侍の持つておるところの――侍は非常に悪い面も持つておりますけれども、いい面もございまして、たとえばおまわりさんでも毅然とした人格を持つていた、貧に甘んずる考え方を持つていた。そのことが私には非常にいい印象を与えた。二十円か二十五円のおまわりさんでも、ちやんと威厳を持つて、村ではこれを尊敬しておまわりさん、巡査様というように思つておつたので、それで腐敗する余地はなかつただろうとその時分は思いました。今は存じません。
  99. 塚田十一郎

    ○塚田委員長 公述人に申し上げますが、約十分ほど時間が超過いたしておりますから、そろそろ結論をおつけ願いたいと思います。
  100. 神近市子

    ○神近公述人 はあ、そうですが。もうほんの五分くらいでございます。  どういうことが革命の要因になるかと申しますと、失業者がうんと出ております。それから収税は今いろいろこまかいお話が出ておりましたけれども、これは苛斂誅求に類する収税だと思います。それから官吏の腐敗、これはさつきロシヤのお話をいたしましたけれども、この官吏の腐敗の今出ておりますところは、氷山の一角でございまして、その底はおそらく太平洋の一番深いところまでも至るほどの深さがあるのではないか、こういうこと、それから政治人の貧困、委員の方を前にして、たいへん相済まぬわけでございますけれども、大体において政治とこれは私言えると思うのです。まあ政治人がいけなければ、政治の貧困というようなことに私は直します。ただどうしてこれが爆発しないかというと、国民がまだ自分たちが国の主人だということを自覚していない。それでじつとしておるのでございますけれども、もしこのまま――この五、六年の民主主義の教育というものは、ほとんど日本の国民の質をかえつつございますから、このまま置いておきますなら、五年か十年のうちには必ず自然爆発点に来るということ、こういう危機をはらんでおる社会だということが私は言えると思うのです。そこに武器を持つた一団をわれわれの仲間の中につくるということは、これはよほどお考えにならなくてはならないことだと思うのです。もう封建時代のことは申しません。しかし五・一五とか二・二六でございましたか、ああいうふうな武器を持つている同族の集団に私ども脅された経験があるのでございますから、ギボンのローマ史をごらんになれば、あの武器を持つた一団というものが、次々に支配階級を追い払つたり、首を切つたりして混乱を起しておる。外に向けるための兵力が内に向つて来ることがある。こういうふうなことを考えますと、この際何をあわてて武器を持つた一団をわれわれの仲間の中におつくりになるか、これは私はよほど御研究とお覚悟とがいるので、特に社会情勢が非常に悪いままにほつておいて、これを御用意なさるということは危険であるというふうに私は考えるのであります。革命に対する療法というものは、もう国帑の許す範囲内で社会保障をするのに限るのでございます。これは何もロシヤのことを申さなくてもよろしいので、われわれの教師であるアメリカが、そうしてその上をイギリスがすでに行つておるのでありまして、資本主義国家が爆発的な革命を避けようとするならば、社会保障制度をする以外に道はないのでございます。さすがにイギリスの政治家は長い年数を経ておりますので、私は賢明だと思います。あの程度の思い切つた施設をしたということ、それによつて、私どもが今新聞や何かで頻りにデマられているような危険を感ずることなしにイギリスはやつているのだということを、私どもはよく学ばなくてはならないと思います。 でこの予算面で申しますと、たとえばこれはかりに申し上げますと、まあ予備隊と海上保安隊を残すといたしましても、これをふやすということ――今年は二百六十億の増加でございます。この増加分を私は消してもいいと思うのです。それからもう一つ、アメリカに対してもう少し私どもは要求を強力に持ち出していい、たとえば防衛支出金、それから安全保障諸費と出ております、この二つを合せますと、これが千二百十億になります。これはたとえば私どもがアメリカの要請によつて軍備をするのであつたらば、アメリカに負担を願うようにするのがほんとうではないかというようなことを、昨晩私は寝ながらいろいろ考えておりましたところが、今日ちようどここへ出ておりますけれども、毎日新聞の一面に「防衛分担金は千八百二十億」というので、解説が出ております。これによりますと、フランスに対しても、イギリスに対しても、アメリカの軍備による援助は非常に多いのでございます。そしてはつきりとそのことには触れてございませんけれども、日本に対する援助が非常に少いという。これはもう一度ごらんを願えると、ここにちよつと要約したところを筋を引いておきましたけれども、時間がございませんから、私はこれは申しません。この両方のお金を合せますと、千四百七十億になるのでございます。これだけをわれわれがもし社会保障制度にまわすことができるならおそらく皆さんがお望みになり、そしてアメリカがお望みになるように、私どもはこの内包するところの以上の問題に対する最良の防壁となりまして、そして革命とか内乱とかいうような脅威にさらされないで済むのではないか、私どもはさように考えるのでございます。この国に安心して生活して、そうして老年を迎えることができることがきまるならば、どうして自分の国を愛しない者がございましよう。そうして自分の国を他国に売るというような愚かな人は私はないと思います。これならば相当安全が保障されて行ける。鉄砲だの原子爆弾だのというようなものを考える前に、私どもがこの国土を安泰にさせるためには、これよりほかに方法がないのではないかということを私は考えるのでございます。たいへん話がまとまらなかつたかと思うのですけれども、時間の都合がございますから、一応私の話はこれだけで終りたいと思います。(拍手)
  101. 塚田十一郎

    ○塚田委員長 ただいまの神近公述人の御意見に対して御質疑はありませんか。
  102. 成田知巳

    ○成田委員 ただいま遺族援護の問題とか、住宅問題につきまして、あまりに予算が少い。一方再軍備に二千二百億円というものを使つているというのはこれは非常な矛盾だ、こう言われましたわけですが、先生は単刀直入に再軍備とはつきり言われたのですが、ただいまの御公述にあつたように、政府は再軍備とは言つておらないのです。博学聰明の先生だからはつきり再軍備と言われたと思いますが、婦人会などにおきまして、婦人方と接触されまして、現在問題になつておる防衛力の漸増とかいうことを、婦人の方々が再軍備と言われておるかどうかということを先生の御経験から伺いたいと思います。
  103. 神近市子

    ○神近公述人 私はちよつと言葉を費して先に再軍備ということを申し上げる理由を申し上げたいと思つたのですけれども、大体国民はみな再軍備と言うておりますから、何も国会だからといつて遠慮する必要はなかろうと思つたわけでございます。私どもの間ではみな再軍備――たとえばリツトル・アーミー、アーマメントというような言葉をアメリカの雑誌ではみな使つておるのだそうですから、私どもはそれを再軍備というふうに言つて、ちつとも臆さなくてもいいというふうに考えております。
  104. 塚田十一郎

    ○塚田委員長 それでは御質疑もないようでありますから次に移ります。  杉山慈郎君の御意見を伺います。
  105. 杉山慈郎

    ○杉山公述人 所属団体が日本企業連盟になつておりますが、実は企業組合連盟の杉山でございます。きようこの委員会に出席を要請されましたのは、大体全国の中小企業者が昭和二十七年度の予算案につきまして、何を感じあるいはどう考えておるかということを述べようということだろうと考えております。なお私は中小企業等協同組合法に基きますところの企業組合制度の普及と発展のために努力いたしております。御承知のように企業組合制度と申しますのは、中小企業者の中のさらに低い部分、小零細企業者の組織化をはかりまして、社会的、経済的地位の向上をはかり、健全な社会活動を促進して、これらの業者を国民経済の再建のために寄与させよう、こういう意図を持つております。この小零細業者と申しますものは、従来政府の施策のらち外にありまして、極論いたしますと、政府が小零細業者に与えておりますのは競輪あるいは富くじだけではなかろうかといつてよいほどと私たちは考えております。従いまして、小零細業者の国家の施策に対しまする関心も熱望も、非常に大きなものがありますので、小零細業者の要望こそ、全般的な中小企業者の要望を代表しておるものと考えてさしつかえないかと思います。  さて昭和二十七年度の予算案についてでありますが、全体の問題といたしますと、相当重要な問題もあるかと思われますが、これらにつきましては、それぞれ専門の方あるいは有識者の方から、これまでるる述べられておりますので、私は昭和二十七年度の予算を通じて、国家が中小企業者のために何を考え、何をしようとしておるか、しかもそれらのことが実際はどの程度の効果を現わすかというような問題について、現在調べたり話し合つたりしておりますことを述べたいと思います。  最初に項目を申し上げますと、政府が直接行いますもの、すなわち中小企業庁を通じて行う仕事におきましては、協同組合の共同施設の補助金の問題がございます。なお地方の中小企業相談所に対する補助金の問題がございます。大きな項目の第二は政府が特別会計を通じて中小企業者のために行う問題といたしましては、中小企業信用保険基金増額の問題がございます。さらに対日援助見返り資金からの中小企業に対する投資の問題がございます。大きな項目の第四に、政府関係機関、すなわち国民金融公庫を通じまして、政府は中小企業者に投資をしようという問題、最後に特殊金融機関といたしまして、商工中金の資本金の問題、以上四項目にわたりまして、大体政府が昭和二十七年度の予算を通じて、何を中小企業者のために行うか、あるいは行つた際、それが中小企業者のために、どの程度役に立つであろうかということを私は申し上げたいと思います。  まず協同組合の共同施設の補助金の問題でございますが、協同組合の共同施設の補助金と申しますのは、たとえば長野県の魚屋さんの協同組合が魚を販売しますのに、冷凍装置がないとどうしても腐りが早い。従つてある場合には安く売らなければならないとか、あるいはある場合には適切な時期に売れないというようなことで、共同施設として大きな冷凍の施設を持ちたいという場合に、政府がその共同施設に対してある条件、一定の比率で補助金を出そうというようなことでございます。これが企業の合理化とか改善に非常に役立つておりますので、国民のこれに対する要望は相当強く、政府も本年度も昨年度と同様、大体二億円の支出を考えておられますが、これは私ども非常に喜ばしく感じておるわけであります。ただこの制度に対しましても国民の要望が非常に強いので、この程度のことではたして十分間に合つておるだろうかということになりますと、これははなはだ問題があるところでございます。たとえば昭和二十六年度の実績を申し上げますと、申込み組合数、千組合、金額にして十一億でございます。実際に政府が補助金を許可いたしましたのは四百六十組合で、金額は御承知の通り約二億円でございます。なお組合数にいたしまして現在中小企業等協同組合法によるところの協同組合は、全国で二万六千ございます。これに許可されました組合の数を比較いたしますならば、この制度の恩恵の及ぶ程度というものは、十分御承知願えるだろうと思います。中小企業庁の行います第二の問題で、地方の中小企業相談所に対する補助の問題がございます。中小企業相談所が中小企業の経営の健全化あるいは合理化のためにいたします役割については、ことさらに申し上げるまでもないのであります。最近また海外市場では、日本製品の安かろう悪かろうという評判が大分高くなつて来ておりますが、これらはおそらく大半が中小企業者の生産にかかつておるものと思われます。中小企業自体といたしましては、共同経営による品質の向上とか、研究とか、情報、あるいは税務、金融の問題、こういう問題につきまして、みずからがこれを打開するというようなことは、なかなか困難な問題でございます。ところが中小企業相談所のように経営力のある団体が、こういう施設をもつて中小企業者のために相談にあずかるということは、非常に大切なことに考えられておるのであります。政府はこれに対しまして昨年度と同様今年度も一千万円の補助金の支出を計上しております。ところが一千万円でありますが、現在全国には中小企業相談所が約五百箇所ございます。これらは県、市あるいは商工会議所の経営にかかるものがありますが、そのうち約七五%が商工会議所の経営にかかつております。一千万円をこれら五百箇所に割当てますと一箇所平均大体二万円です。二万円という金がどう使われるかということになりますと、たいへんな問題ですが、とにかくたつた二万円でございます。ただ政府部内の関係者も中小企業相談所が持つておりますところの中小企業に対する重要な意義にかんがみまして、どの程度補助をしたらいいかという計画を立てておるのでありますが、大体一相談所一箇年の経費を百万円と見ましてそのうちの四分の一、二十五万田程度は何とか出したいという政府部内関係者の強い要望であります。これに対しまして政府が出そうというのが一箇所二万円にすぎない。これが中小企業庁を通じまして政府が昭和二十七年度の中小企業者のために、一応やつてやろうという考え方のようでございます。  第二に特別会計を通じての問題でありますが、その一つに中小企業信用保険基金の増額の問題がございます。この制度ができましたとき、私どもは非常にこれは画期的な制度でございますので、中小企業者も喜びますし、私どももこれによつていわゆる金融難の打開に、非常に役に立つだろうということを考えたわけであります。それで昭和二十七年度も大体五億円の資金の増額を政府は考えておられます。この程度でいいのかどうかの問題でありますが、これも実績を申し上げてみたいと思います。それは昭和二十五年度の第四・四半期、すなわち昭和二十六年の一月から行われて来ておるのでありますが、昭和二十六年一月から二十六年十二月までの取扱い件数が二千六百六十八件、保険額にして三十三億三千万円ございます。ところが政府がこの期間に予定いたしました金額は百四十四億でございます。利用率にいたしますと、わずかに二四%でございます。これにはいろいろ理由がございまして、貸出し財源が指定機関にないので、たとえば十億円という基金も特別会計法に基きまして国庫に保留されておつて、直接財源として活用されていない。あるいは保険料が過重である、あるいはしいて言えば、保険金額が七五%までであるとか、あるいは事故発生後六箇月過ぎなければ保険金額の請求ができないというようなことがあるにはありましても、ともかく私ども考えた信用保険制度がわずかに二四%しか利用されていないということは、昭和二十七年度も同様と考えられる。大きなことになりますが、この五億円の昭和二十七年の基金の増額は、これは地方の要望が非常に強かつたが、地方の信用保証協会が保険金の再保険をしようじやないかということで増額されたのでありますが、これについても問題があるのでございます。たとえば政府はこの五億円の基金の増額をいたしまして、信用保証協会の再保険をしよう、それによつて百億程度の保険額を予想しておるようでありますから、これも地方の信用保証協会が保証いたしました保証料の半額を政府に保険料として払うというようなことで、とてもこれは消化が望み得ないじやないかということは関係者のたれもが言つておることでございます。それで実は最近の傾向といたしますと、保険をかければ金が借りられるということから、最近では保険をかけなければ金が借りられないというようにさらにきつい問題が出て参りましたし、また保険の手続が非常に複雑になつたために、かえつて国家の有効な制度に対する中小企業者の熱意を奪うというような状態でございます。  次に特別会計からの第二の問題といたしまして、対日援助見返り資金の中小企業への投資について申し上げます。昭和二十七年度も政府はこの特別会計から約二十億円程度中小企業に投資したいというお考えのようであります。これは御承知のように資本の蓄積率が低いところの中小企業にとりましては、長期の設備資金を貸し出していただけますので、非常な期待を持つておるわけでございます。ところがこれにつきましても昭和二十六年度の実績を申し上げますと、昭和二十六年度は政府はこの会計から約四十億円を中小企業のために投資しようというお考えでありましたが、昭和二十六年の十一月末でわずかに十五億円貸し出されておるにすぎません。年度一ぱいといたしましても二十億を多少上まわる、従つて予定額の五〇%ちよつと上まわる程度のものが消化されるにすぎないということになるのではないかと思われます。これも中小企業者がこの制度の利用に不熱心であるとか、いやいらないのだという意味では絶対にないのでありまして、この制度が十分利用できない原因といたしましては、同じように貸出し財源がなくて、やはり会計法に基いて二十億が国庫に保留されておるとか、あるいは長期資金、協調融資、すなわち援助資金から五、それから市中銀行から五、場合によつては七対三というようなわけで、従つて一般の中小企業者の新規の申込者にはとうてい応じ切れない。応ずることができないというような状態になつております。昭和二十七年度は昭和二十六年度の実績に応じているかどうかしれませんが、大体貸出しのわくが半減されております。半減されればなお利用度も半減するだろうということは予想にかたくないところでございます。  次に政府関係機関といたしまして国民金融公庫の増資の問題について申し上げます。国民金融年庫は御承知のように商工業者、中小企業者の中のさらに低い部分に対しまして、長期の運転資金あるいは設備資金を融資いたします唯一の金融機関でございます。従つて国民のこれに対する期待とか希望というものは非常に大きいのでありますが、実情を多少申し上げたいと思います。政府は昭和二十六年度と同様に昭和二十七年度におきましても政府直接の出資は三十億円、資金運用部資金を二十億円貸出しをする。昭和二十七年度において大体五十億円財源を確保しておられるようであります。ただこの五十億円で昭和二十七年度が十分まかない得るかどうかということになると、非常な疑問が出て参るのでございます。たとえば実績を見てみますと、初年度以降昭和二十六年十二月末まで申込み金額が約四百二十六億ございます。そうして実際に貸し付けられました金額は百二十五億、大体比率を申し上げますと、二八%程度が借りられておるという状態であります。この申込み金額のうち、貸付金額、すなわちこの申込みはどこから見ても公正妥当だ、あるいは金融公庫の当事者がこれには貸したいと思うものが、大体五〇%と踏み得るわけであります。これを見ますと貸付適格といたしますものが二百十三億になるわけですが、実際に貸しました百二十五億を二百十三億から引きますと大体八十八億程度、いわゆる昭和二十六年度末までで結局資金が不足であつた、国民金融から貸したい、また国民もぜひ貸してほしいといつても、八十八億の金がないために、これらの希望を踏みにじつて来たということが言い得るだろうと思います。さらに昭和二十七年度どういう状況になるだろうかということについて、大体貸出し予定についてでありますが、昭和二十六年度の四―十二月平均三割増だろう。これは昭和二十六年十二月から金融公庫の貸出しのわくを百万円から二百万円に引上げておりますこととか、さらに公庫の支所を十箇所程度増置いたしておりますこと等から考えますと、決して高い率ではないのでありますが、この率で見ますと、大体三百五十三億程度の見込みがあるだろうということを、ほぼ推定できるわけであります。しかもそういたしまして、先ほど申し上げましたように、このうち五〇%程度はどうしても貸してやりたいということになりますと、その要します資金は百七十六億になります。これに対しまして財源はどうかと申し上げますと、先ほど申し上げました昭和二十七年度政府が直接三十億を出資いたしました。それから資金運用部資金から二十億貸し出します。なお貸付金の回収は、これは予算案の説明書にはありますが、大体六十六億、計百十六億の財源になります。これを百七十六億から引きますと、約六十億の不足になる。さきに申し上げました約九十億とこの六十億を足しますと、昭和二十七年度の年度末では百五十億程度の資金の不足が考えられるわけであります。国民金融公庫に対します国民の期待と要望が非常に盛んでありますので、私どもはこの百五十億という資金不足に対しまして、非常な関心を持つているわけであります。  最後に、これは先ほど申し上げました特殊金融機関といたしましての商工組合中央金庫の問題でありますが、昭和二十七年度の予算案の中では、商工組合中央金庫の問題は姿を現わしておりません。現われてないからこれは問題がないので、問題は実は非常にあり過ぎるわけです。御承知のように商工組合中央金庫は、中小企業の協同組合の機関として、中小企業が協同組合をつくりました際、その円滑なかつ健全な発展のために特に法律で設けられました金融機関であります。最近の自由党の中小企業に対する政策の中にも、中小企業の協同組合化ということは盛んに言つておられます。従いまして協同組合活動を促進されるにつきましては、商工組合中央金庫の機能を十分に発揮せしむることができるよう、その措置を講ぜられなければならないことは言うまでもないだろうと思います。政府部内の関係者もこの点非常に留意いたしまして、昭和二十七年度には政府から約十億の出資をしようじやないかという努力を盛んにされたようでありますが、はなはだ残念ながら、予算案にはゼロになつて、すなわち姿を全然現わさなかつたわけであります。これでは商工組合中央金庫が現状でいわゆる課せられた使命を果し、機能を十分に発揮できるのかどうかと申し上げますと、これもまたはなはだ心細い状態であります。たとえば昭和二十七年度二―三月で、一応こまかい数字は省きますが新規の資金需要増二十億と見込んでおります。なおこの間に政府の指定預金十五億円が引揚げられます。その他県資金の預託金が引揚げられるというような事情がありまして、二―三月で約三十億の資金不足ということが一応見込まれているわけであります。この三十億が大体昭和二十七年度に持ち越される。しかも昭和二十七年度について申し上げますと、経済情勢その他から考えまして、大体月間資金需要純増が十億円、年間百二十億円の資金需要増があるのではないかと言われておりますが、これに対する資金源はどうかと申しますと、預金増が大体十二億円、商工債券の年間消化が四十八億円、計六十億円。まあ六十億円不足になつているわけであります。これを全部政府で見てくれということも言えないだろうとは思いますけれども、昨年度は資金運用部資金から商工債券を約三十億円引受けております。本年度はこれすらも、現在の状況では行われないという状態であります。少くとも私どもは資金運用部資金の金融債の引受けを実現されまして、大体百億円程度の商工債券の引受けがなかつたならば、商工組合中央金庫は法律によつて課せられましたところの機能あるいは役割を十分果し得ないだろうと考えております。  大体私は昭和二十七年度において政府が予算を通じて中小企業者のためにやつてやろうというようなことの計画と、おそらく実情はこうなるだろうというようなことを、一応見通しを申し上げたのでありますが、中小企業者の立場からいたしますと、政府は一応少しは並べておられますけれども、中小企業者の大半にとつては、これは絵に描いたもちである。あるいは最近事ごとに中小企業者の対策を声を大にして言われているところから見ますと、まさに羊頭を掲げて狗肉を売るというようなことではないかと切に感ずるわけであります。大体政府は予算案をつくられる際に、国民経済の中で果しますところの中小企業の役割というものを十分承知されているのかどうか。それすら疑いたくなるこの程度のことで中小企業の対策が成り立つているということならば、はなはだしく怠慢ではないかと私たちは考えるわけでありまして、私ども中小企業が失業者のプールになるということに対しては、非常に反対ではありますが、実質的には常にそうでありますので、できるならば健全な形で失業者のプールにするならばしてもらいたい。たとえば政府は昭和二十七年度も失業対策応急事業費として約七十六億出される予定でありますが、これによつて――もちろんこの額が多いというわけではございませんが、おそらくこれを増すとも減らせないだろうということ、しかもこういう事業が非常に必要だろうということは異論のないところでありますが、これによつて吸収されます雇用失業者の状態あるいは雇用のあり方等は、もう私がるる申し上げるまでもなくはなはだ不安定であり、不完全であるということも事実でございます。それで私どもは中小企業が失業者のプールになることに対しては、非常に防がなければならないとは思いますが、できるならばなぜ中小企業を振興して、これが失業者の雇用力を増し、健全な経済活動あるいは経済活動を通じて失業者を救済するということをお考えにならないのか。どうも私どもの不審とするところでございます。  大体昭和二十七年度は中小企業者にとつては非常にたいへんな年だろうと考えられておりますが、ことに零細業者にとりましては、あるいは健全な市民の生活から放り出されることすら予想されるというような考えをひとしく持つているわけであります。この重要な年、昭和二十七年度の予算案に盛られた政府の中小企業対策の実態が、今私が述べたようなことだということになると、中小企業者の失望とか不満というものは大きなものではないか。事があれば中小企業対策、中小企業対策と言われておりますだけに、非常に深い関心を持たざるを得ないわけであります。  はなはだ簡単ではございましたが、昭和二十七年度の予算案に盛られました中小企業対策について、私たちの感じていることを申し述べさせていただきました。
  106. 塚田十一郎

    ○塚田委員長 ただいまの杉山公述人の御意見に対して御質疑はありませんか。
  107. 田口長治郎

    ○田口委員 杉山さんに一点だけお伺いいたします。ただいま公述されましたうちに中小企業信用保険法の問題がございましたが、杉山さんの御説明の通りに、私らはあの法律ができました際は、中小企業振興の最も重大な問題として、これで中小企業金融の打開がつくのだ、こういうふうに考えておつたのでございますが、実際に実行してみますと、ただいまお話の通りなかなかうまく行つておりません。しかし中小企業の金融措置といたしましては、あの法案はやはり非常によいと考えているのであります。私らから申しますと、日本企業組合などはあの法律をいかにうまく運用するか、この研究が最も重大な問題と思うのでございますが、今うまく行つていないということについて、るる理由を御説明になりましたが、私らのいろいろ調べたところによりますと、地方銀行が自分で集めた資金はあの法律によつて貸し出す、こういうことを好まないで、自分のすきなところにやはり使う、こういうことが最も大きな支障になつているように考えるのでございますが、この点について杉山さんなどが御調果の結果、そういうようなことが重大なポイントになつているかどうか御意見を承りたいと思います。
  108. 杉山慈郎

    ○杉山公述人 結局借りたい人が非常に多いのですが、金融機関といたしましては、別段保険をかけてまで金を貸さなければならぬ必要もないわけなんで、新しい申込みに対して喜んで貸したいという雰囲気を幾分でもつくつてやらなければ、いつまでたつても、こういう制度の利用が十分にはならないと考えられます。これにつきましては、法律の内部にまで立ち入つて調べてみませんでしたのでわからないのですが、もうすでに昭和二十七年度の予算で、二十億の基金があるわけなんですが、これは聞くところによりますと、中小企業信用保険特別会計法に基いて国庫に留保されたままであるそうですから、これが一部取扱い金融機関に貸出し資金として流れて行くようなことがありましたならば、多少はこの制度も活発になるのではないか、こう考えております。
  109. 石野久男

    ○石野委員 杉山さんにお尋ねいたしますが、公述の際に、この予算では中小企業に対する施策がほとんど出ていない、羊頭を掲げて狗肉を売るたぐいだというお話があつたのであります。そのあとで、失業救済事業の七十六億というものか出されまして――私あるいは聞き誤りしたのかもわかりませんけれども、あなたの御意見では、むしろ失業救済に金を出すよりは、中小企業にそれだけの金を出してくれたらどうだ、こういうことですか。ちよつと私十分に聞きとれなかつたものですから……。
  110. 杉山慈郎

    ○杉山公述人 それはとんでもない誤解でありまして、現在の経済情勢から行きまして、この七十六億でも不足だろう、こうはつきり申し上げたつもりでございます。ただ公述の中でも申し上げましたように、政府は中小企業が国民経済の中で果している役割を十分評価しているかどうか、この問題を強調する一例として、さつぱり中小企業のためにやらないものですから、常にああいう不健全な形で失業者を雇用して行かなければならないということを、申し上げたつもりでございます。
  111. 石野久男

    ○石野委員 これは杉山さんの公述ではございませんが、それ以前の多くの公述人の方々の意見でも、本年度の予算は相当に再軍備的傾向のある経費をたくさん持つているということが言われているのであります。そういうような再軍備的な経費の支出が、中小企業にどういうふうに影響するかということについて、杉山さんの御意見はどのようでございますか。
  112. 杉山慈郎

    ○杉山公述人 それは率直に申し上げますと、中小企業というものは、ことに小零細企業者は、その日の生活にも追われておりますから、商売が繁昌するということを第一義的に考えやすいので、再軍備という大きな問題はともかくといたしまして――中小企業者が私と同様全部そう考えているというふうにとられては困るのですが、個人の意見といたしましては、とにかくインフレになれば、とどのつまり一番最後にしりを持つて来られるのは中小企業、小零細業者であるということだけは、事実として申し述べられるだろうと思います。
  113. 塚田十一郎

    ○塚田委員長 ほかに御質疑もなければ次に移ります。  次は田部建吾君より御意見を伺います。
  114. 田部健

    ○田部公述人 全国銀行従業員組合連合会の副委員長をやつております田部であります。きようは二十七年度の一般予算案について意見を述べろということでございますが、私は一般勤労階級の立場から二、三意見を述べさしていただきたいと思います。  大蔵大臣は今後の財政方針といたしまして、自衛力の漸増と、国民生活の水準の維持、それから増税の回避、この三つを原則としてお出しになりました。それによつてこの予算を組まれたというふうに新聞で見ております。しかしこの三つの原則と申しますのは、考えてみればこれは常識でございますが、はたして現存の日本の状態で一致して行つているかどうか。もし日本が非常に蓄積も進んでおりまして、生産も続々と拡大して行くような時期におきましては、あるいはこの相矛盾する原則が一緒になつて、同じように向上して行くことがあり得ると思うのでありますが、現在の日本の経済の状態において、そういうことが非常に困難であるということは常識であると思います。日本の実態の中においてそういう三つの原則が同時に満されるということでありますならば、国民生活を安定させ、同時に国家としての独立を保つて行くような長期的な計画が、その根底にあるはずだというふうに、私どもは期待したわけでございます。しかしながらこの予算を見ますと、そういう総合計画も発表されておりませんで、ただ何となくこの三つの要素が一緒にされているというだけで、その三つがともに満されるというふうな予算では、決してないと考えるわけであります。あらためて申し上げるまでもなく、この予算ははつきりとインフレをさし示しております。この二千三十億、全体の予算のうちの二十何パーセントに当るこの平和回復に伴う経費という非生産的なものが、日本の再生産の中からはずれて行くということは、それだけでもはつきりとインフレの道をさし示しておると思うのであります。しかも先ほどの公述人の方がおつしやいましたように、終戦処理費にございました援助物資の裏づけも、もちろんなく、これに見合うべき物資は輸入して行かなければならない。そういうふうな中におきますこの金額は、日本の経済にとつてインフレだということは私が申し上げるまでもないと思います。しかもそういうインフレに対しまして、政府はそれを抑制して、ほんとうに生活水準を安定せしめるような政策を何ら出しておらないということ。この前資本蓄積が必要だということで、無記名預金というものを復活いたしましたけれども、ほんとうに根底からそういうふうな問題を解決するような政策は何ら出ておりません。のみならずこの予算の中におきましては、従来相当にとつてありましたインヴエントリーのものも、外為の四百五十億を初めとして、実に五百八十七億を減じておるというふうなことは、これまたインフレを抑制するふたを全然とつてしまいまして、手放しでインフレになつて行く道を示しておるというふうに思います。ここにさつそく、先ほどの大蔵大臣の公約でありまする生活水準の維持がはたしてできるかどうか、われわれ勤労階級にとつて非常に重大な問題が現われて来るわけであります。しかもこのようなインフレヘの道は、同時に総合的な資金計画などを見ますと、まつたく金融にしわ寄せされておるというふうなことが指摘できると思います。財政と金融が一緒であるべきか、あるいは別であるべきかということは、いろいろむずかしいことがあると思いますが、総合的な資金計画につきましては、一般の市中の資金計画は八百五億の引締めになつておる。それから大蔵大臣は、民間産業に対する産業投資は確保してあるというふうな演説をしておられますが、民間産業向けの投資は百五億円を減少しておる。そうして民間における金詰まりはますます激化するということは、火を見るより明らかだと思います。しかも一方におきまして、こういうインフレの中において、さらに資金に対する需要というものは、ますますふえておるということは、日々の新聞でわれわれが見る通りでありますが、そういうふえた需要に対して、きわめて制約された市中の資金、こういうものがまず日本の今の行き方で参りますると、日米経済協力に伴いますところの電力、石炭、造船、鉄鋼というふうな基幹産業にすべて投入されて来る。そうして先ほど中小企業の代表の方がおつしやいましたように、中小企業に対する金融は、ますます逼迫して来ることは必然の理であると思います。もちろん資金の蓄積あるいは資本の蓄積というものは、経済の再建にとつて必要だということは申すまでもないわけでございます。しかしその投資の仕方なりの方法というようなものが非常に重大なわけでありまして、もし拡大された電力あるいは造船というようなものが、ほんとうに日本の民生安定のために循環を始めて来るということであれば、まことにけつこうなことだと思うのでありますが、そこにまた非常な問題がありまして、必ずしもそうではないというふうに、私どもは認識しておるわけであります。  昨年の秋でありましたか、電力事情が非常に逼迫をいたしまして、中小企業の工場が電力不足のためにばたばたと倒産をした。「アサヒカメラ」などにもそういう事情が写真付で載つておりますが、そういうようなことが、そういう金融面からも今後ますます激しくなるのではないかというふうに思われるわけであります。現に十二月末の大阪における下渡り手形のうち、わずか十万円以下というふうな不渡りが、実に八〇%を占めております。現在の貨幣価値で行きまして、十万円というものがどのくらいのものを意味するかということは申し上げるまでもないと思いますが、そういうふうな十万円の手形による不渡りが八〇%、三十万円以下で実に九四%を占めておる。そうしてただ一路この不渡りはふえておるというようなことは、現在のこのような財政金融の政策によつては決して救われない。二月危機はすでに去つたとか、あるいは前の考えは楽観にかわつたというようなことを言われますけれども、その底においては非常に多くの倒産が続いておるということを、特に指摘申し上げたいと思うわけであります。しかも政府はこういうふうな平和産業あるいは中小企業に対しまする金融の面からの圧迫に手を触れないばかりでなく、すでに御承知の日銀法あるいは金利調整法、それから銀行法の改正を企てまして、そういう金融統制に関する権限を、すべて大蔵省に集中しようという態度に出ておるわけであります。これは行政の制度論といたしまして、責任をだれが負うか云々というようなことはあると思いますけれども、現在のように非常に金融の必要度と申しますか、金融の地位というものが重要となつて参りました際に、ただ昔に返るというような意味で、政策委員会を廃止し、大蔵大臣にそういう強大な権限をすべて集中するというようなことは、きわめて危険であるというふうに私どもは考えます。金融の問題がいろいろと論ぜられるわけでありますが、こういうふうなものも、その基本にはまずほんとうに民主的な経済再建計画というものを持ちまして、その上にほんとうに民主的な労働者を含め、農民代表を含め、中小企業代表を含めましたそういう政策委員会をつくりまして、金融の民主化をはかつて行かなければならない、こういうふうに考えるわけでありますが、そういう面から行きましても、この予算が非常に逆行的であり、そうしてインフレを促進するということの中において、日本の経済の歪みをますます増大して破壊して行く、そういうふうな性格の予算であるというふうに思うわけであります。こういう経済的な面からばかりでなく、この予算のおしまいの方にあります職員給与、これは一万円ということは聞いておりましたけれども、ざつとそろばんをはじいてみましても、一万二千円くらいしか計上してない。つまりこういう予算の裏には、こういうふうな非常に低い賃金が隠されておるというようなことに気づくわけであります。一体現在の一万二千円、税を引いたら、あるいは月々のものを引きますと、一万円でありましよう。そういうもので何人の家族が現在暮して行けるかというようなことを振り返つて考えていただきたいと思います。官公労の諸君も、この問題については、当然立ち上つて闘うだろうと思うわけでありますが、まずこういうふうな低賃金政策というふうなものを、その根底において持つておる予算だということが認識できるわけであります。大分話は旧聞になりますけれども、すでに日米経済協力で最初に出ましたのは日立でございますが、あそこの四十八セントのものは換算してわずかにベースにして七千円、そういうふうなことで、ほんとうに一番国の再建をになつて立つべき勤労者を低賃金の中に閉じ込めておるという政策が、依然として続いておるのだというふうに考えます。私どもの銀行の組合におきましても、大蔵省は何らの法的根拠なくして、賃金統制をやろうとしておる。これもまたこういうふうな低賃金政策というふうなものと一貫したものだというふうに、われわれは認織いたしております。  次にこれに関連しまして、税金の問題があります。現存の勤労所得税というふうなものが、いかに苛酷なものであるかということは、私申し上げるまでもないと思うのであります。しかもわれわれは天引で税金を払つておる。一方には無記名定期を許すような、脱税が残つておる。そういうふうなところに、もう少し政府は、親切に勤労者のことを考えなければいけない、むしろ現在大幅にこれを減税をして、そうして脱税をやめるような徴税を強行すれば、かりに同じ税収を上げなければならないとしても、同じ税収が上げ得るのではないかというふうにすら考えられるわけであります。この点は、聞くところによりますと、いろいろ営業所得その他の査定におきまして、大体見込みをつけた八掛だとか、六掛だとかいうふうなことで所得税の課税をして、しかもそれが徴収してみるともつと少いのだというふうな話をよく聞くわけであります。われわれは毎月の給料からすべてこれを天引されて、税金として納めておるわけであります。そういう一番とりいい面で、しかも一番弱いところから一番とるというふうな形になつておるわけであります。従つて、これは単に税金の税率の問題ではないというふうに、私どもは指摘したいと思います。  次に社会保障の問題でございますが、この予算を見ますと、なるほど生活保護費から失業対策費に至るまで、六十二億ばかりの増加になつております。詳しい内容につきましては、私この説明書しか見ておりませんが、この説明書に現われておるところでは、わずかに生活保護費の一部が、単位を引上げられたほかは、すべて前年の事務費の値上りに追いついたというだけでありまして、事業に対する拡張であるとかいうふうな意図は、まつたくないように見受けられます。すでに社会保障制度審議会では二回にわたつて答申をしまして、しかもこの中において、すぐにやるということは不可能であろうが、年次計画を立てて、徐々に実行すべきだということを答申しておるわけであります。しかもこういうふうな審議の、われわれにとつてもなまぬるいと思われるような案に対しましても、一顧の価値も与えていないというふうに考えられます。それから特に従来も組合関係その他からも申して参りました保険料の基礎控除の問題、こういうふうなものも全然取上げられておりませんが、すでに生命保険、こういうふうなものについては四千円までですか、基礎控除が許されておる。こういうふうなところにも非常に大きな穴が、たくさん残つておるわけであります。その点、一般の民生費用と申しますか、そういう点につきましては、すでに教員組合の諸君がやつております教育費の国庫負担の問題、現在の地方財政が非常に逼迫しておるというふうなことは、私どもよく聞いておるわけでございますが、そういうところの中で、ほんとうに政府が言いますような文化国家にし、そうして日本の何とか美辞麗句をたくさん並べますが、そういうふうなことがやつて行けるかどうか、そういう面からも、こういう問題が早く十分に取上げられなければならない。同じように地方財政と関係いたします国立病院の地方移管の問題、そういうふうなことも、われわれとしては同じ勤労階級の立場に立ちまして、われわれはまた非常に重大な関心を持つて、これを注目しておるものであります。こういうものはすみやかに国庫において十分の予算をとつて、ほんとうに言われる通りの国民生活水準の維持と向上とに努力していただきたいと思うわけであります。  こういうふうに見て参りますと、この予算は結局一時的につじつまを合わせた予算のように思われるのでありまして、しかもその根底において、この平和回復に伴う経費、特に防衛支出金、警察予備隊あるいは海上保安庁の費用、安全保障諸費、こういうふうなものに非常にわれわれは疑問を持つておるわけであります。警察予備隊のことは先ほどもお話がありましたが、軍隊ではないというふうなことは、私ども国民は、白昼われわれが欺かれておるのではないかというふうな感じを持たざるを得ません。もし政府が言いますように、ほんとうに国内治安のための増員――今後毎年五万人ずつふやすといいますが、そういうふうなことでありますならば、政府はわれわれ同胞をバズーカ砲や高射砲で殺そうとしているのだというふうな気持さえするのであります。われわれが望んでおります予算なり政策なりというものは、こういうでたらめな、ただうわべだけの日本の独立とか、そういうふうなものをつくる政策でも予算でもないわけであります。われわれは、ほんとうに国内の購買力を増大して、そうして国内の平和的な産業がどんどんと力を得て、いろいろ不利になりました中においても、日本がほんとうに自立し得るようなそういう政策を望んでおり、そういう予算をわれわれは期待しておつたわけであります。それにもかかわらず、こういうふうな形で出るということは、大分久しい前からわれわれの前に見せられておる団規法その他の治安三法の弾圧政策あるいは労働三法による労働強化あるいは低賃金政策というふうなものと一貫して、こういうふうなものが考えられ、つくられておるのだというふうに認識しておるわけであります。われわれはこういうふうな圧迫にもかかわからず、こういうやり方に対して深い不信と危惧を持つて見つめておるというふうなことを申し上げたいと思います。私は別に再軍備の是非を云々をしているのではなくて、もしほんとうに再軍備が必要な状態であるならば、なぜそれを国民の前にほんとうに語り尽す努力をしないか。私どもは戦争が済みましてから、民主化だというふうなことで、盛んにやつて来たわけであります。そうしてまたほんとうに民主化が大事だというふうなことを、非常に強く痛感したわけでありますが、いろいろその後の変化を見ますと、あらゆる面についてそういうものがすべて消えて行つて、残つておるものはこういうふうな軍事的な、警察的な国家にしようという、そういう政策だけが残つておるというふうに感ぜられるわけであります。どうか国会におかれましては、こういうきわめて非民主的な予算につきまして、徹底的にこの真相を国民の前に明らかにしていただきたい、そういうふうにお願いするわけであります。非常に雑駁で、簡単でありますが、私の公述を終ります。
  115. 塚田十一郎

    ○塚田委員長 ただいまの田部公述人の御意見に対して御質疑はございませんか。――井出君。
  116. 井出一太郎

    ○井出委員 ただいま述べられました御意見は、池田財政とまつこうから対立をしたという意味で、いろいろ批判を浴びせられました、一種の予算返上論を伺つたような感じもいたすわけであります。  それはそれとして二、三点お尋ねをしたいことは、ただいまの公述の中にございましたいわゆる二月ないし三月危機という問題でありますが、午前中の岡本、金井両公述人の口からも、立場はむろん違いましようが、そういうふうな示唆を与える意味の発言がございました。あなたは金融機関の従業者というお立場において、この現象をどのようにごらんになりますか。一種の、金融恐慌と行かないまでも信用恐慌というような事態が、手形の不渡り等にも現われて参つておりますから、この点の御認識を伺いたいと思います。
  117. 田部健

    ○田部公述人 私現在の金詰まりの深さ、そういうものがいわゆる金融恐慌というような形で表面化するかどうかという点につきましては、よく知識がございません。しかしながら、現在まで歩いて参りました日本の金融その他の政策から見まして、だんだん転落して行く中小企業が救われる道は、あるいは救われる要因は一つもないと考えております。
  118. 井出一太郎

    ○井出委員 無記名定期に対しまして、これは脱税を奨励するような風が見える、こういうお話がございましたが、一方資本蓄積の方途としては、残された一つの方法は確かに無記名定期にあるんだ、私どもはこういう考え方を持つておるものでございますが、あなたのお立場では、これはあまり好ましからざるものだ、こうごらんになりますかどうか伺いたいと思います。
  119. 田部健

    ○田部公述人 まつ正面のりくつからいえば、明らかに好ましくないことであろうとは思います。しかし全然否定しないと申しますのは、現在のやり方で行きますと、ああいうふうなこと以外には、資本の蓄積の道はないのではないかと、一応思われるわけであります。しかしながら、むしろわれわれが根底的にこういう脱税の道をふさいで、そうしてしつかりと税収の道を確保し、大きな所得者がそういう逃道をつくつて行かないようにすることが、大前提であろうというふうに思います。
  120. 井出一太郎

    ○井出委員 給与のお話が出まして、公務員のベースが非常に低いという御指摘でありまして、これはまさしく同感であります。ただ私ども仄聞すると、金融機関の従業者の方々が相当に高いベースでいらつしやるように聞くのですが、ただいまの平均ベースはどのくらいになつておりますか、その数字を伺いたい。と同時にこの委員会において池田大蔵大臣の口から、金融機関の給与は非常によろしい、あるいはよ過ぎる、従つてこれに対しては、ブレーキをかけるような方向において、何か皆さんの組合でありますかどうか、蔵相から何らかの意思表示が伝えられた、こういうことがあつたかどうか、これを伺いたいと思います。
  121. 田部健

    ○田部公述人 今のあとの点はどこから意思が伝えられたとおつしやるのですか。
  122. 井出一太郎

    ○井出委員 大蔵大臣がやはりこの委員会で、ブレーキをかけるという意思表示をされて、あわせてそのことを、皆さんの団体であるかどうか知らぬが、金融機関に対してそういう意思表示をした、こう言われておるのです。
  123. 田部健

    ○田部公述人 第一点から申し上げます。大体現在全国の銀行のべースと申しますと、一万二千円くらいから一万六千円くらいであります。巷間金融機関の給与が非常に高い、でたらめだというようなことをよく言う方がありますけれども、高いということの中には、絶対的な高さと相対的な高さがあると思う。私どもいろいろ計算をいたしましても、一万六千円がどこから見ても、憲法に定める人間らしい生活から見ても高いものであるというふうには考えられませんし、また一方低い方を見ますと、先ほど申しましたようにこの予算のうしろに一万一千円ですか、労働省の統計などが出ております。こういう統計の基礎になつておりますのは、大体三十人以上の職場におけるすべての業種の平均賃金だと思いますが、そういうものと相対的に比較しますときに、元来賃金は労働に対する対価だから、すべて同じ賃金でいいというりくつから行けば、これは話にはなりませんが、一応現在の状態において企業の大きさといいますか、そういうふうなものにおいて比較した方がよくわかるということであれば、銀行のそういう一万六千円というべースは、決して高い方ではなくて、業種の中では大体三、四番目あたりではないかと思います。銀行の給与が高いという話がよくあるわけですが、これは全然誤解であろうというふうに思います。相対的にも絶対的にもそういうことはないと思います。  それから大蔵大臣が賃金の統制をやるというふうなことは、従来ともやられております。それは法的根拠はまつたくないと思いますし、また大蔵省としても法的根拠を持つていないというふうなことを言いますけれども、われわれは意見を言うのだということで、実際上は経営者に対しまして干渉をしておるという実態でございます。それが単なる意見とかいうふうなことでたいということは、地方の銀行に対しましては、地方銀行協会を通じまして、この前の越年資金を例にとりますと、今度の越年資金は月収の五五%でいいということを協会を通じて指示をいたしております。五五%というのがさつきの高いということと関連して、どういうものであるかということを御認識願いたいと思うわけでありますが、和どもはかりにいろいろと政策がかわり、またやり方がかわりまして、賃金を統制しなければいけないということになりました場合には、それは労働省などがやることではないかと考えます。大蔵省がそういう、労使間の自由な決定にまつべきものに口を出すことは、きわめてふしぎなおかしなことであると考えております。
  124. 風早八十二

    ○風早委員 三つばかりまとめて御質問いたしたいと思います。二十七年度の産業資金の需要の大体の見通しでありますとか、産業資金計画、こういうものを検討いたし、さらにその中でこれに対して融資せられる国家資金の出どころ、つまりこれは開発銀行でありますとか、あるいはまた資金運用部資金でありますとか、また今までの見返り資金でありますとか、こういうふうな国家資金がどこへ出るかということを一々費目を追究しますと、今回は最も露骨に軍需生産の面に、融資が集中せられておるように見受けるのでありまして、こういう点は具体的には実際そうなのかどうか、こういうこともひとつお教え願いたいと思います。  第二は融資条件としまして、首切りの問題が出て来ておるのではないか。と申しますのは、今申しました特に集中的に融資される軍需生産の部門におきましても、たとえば八大造船といわれて、その他の造船工場は抜きにして、この八大経営にだけ集中して造船融資をやると言われる。その八大造船の一つである東日本重工業のたとえば横浜工場、こういうふうなところで、大量の首切りが行われておるというような実情もあると思うのでありますが、融資の条件としてそういう首切りというようなことが、実際出ておるのかどうかということが一つ。  それから第三には、この銀行融資の方針につきましては、あなたは特に全銀連の代表でありますから、全銀連として有効な発言権があるのか。特に平和産業や中小企業に対する融資について、そういつたような発言権が何らかの形ではあるのか、まつたくそういうことはないのか、こういう点もひとつ伺いたいと思う。
  125. 田部健

    ○田部公述人 今度の産業投資というふうなものが、全部軍需産業ではないかというふうな御質問でございますが、開発銀行あるいはその他のそういう輸出入銀行に対します出資が、全部軍需だというふうなことは――何と申しますか、開発銀行に行つた金は、すべて軍需であるというふうには認識はできないのではないかというふうに思います。私先ほど申し上げましたように、非常に正面切つたりくつになりますけれども、資本の蓄積ということは当然必要である。しかしその蓄積のされ方なり、蓄積の仕方、方法というものが、非常に問題なのだということでございますので、非常にこれは仮定になりますけれども、日本がほんとうに平和的に日本経済をつくり上げて、そうして狭い国土に集まりました人口が食つて行くというふうなためには、こういう電源開発その他をやらなければならぬというふうなことは、一応成り立つわけだと思います。しかし問題は、そういう開発銀行に出た金がどうだということではなくて、やはり現在の基本的な経済政策が、何に結ばれておるかということにあると思います。たとえば電源開発というふうなものが、どういうふうな目標のもとに取上げられて、そこに資金が集中されているかというふうなことが問題であろうと思います。  それから二番目の八大造船で首切りが実際出ているかという御質問でございますが……。
  126. 風早八十二

    ○風早委員 融資の条件として、首切りというようなことがあるか。
  127. 田部健

    ○田部公述人 その点私よく存じておりません。首切りが出たということは知つておりますが、それが融資条件になつていたかどうかというふうなことは、申訳ありませんが、よく存じません。  それから融資方針について、全銀連が発言権があるかということでございますが、これはそういうものは現在遺憾ながらございません。どこの組合にも、そういう何と申しますか、いわゆるほんとうに経営参加をしてしまつて、実際融資問題について口を出すというふうなことはやつておりません。これはなおよけいなことでございますけれども、金融というものはコマーシヤル・べースに乗らぬとか何とかいうものはやれないというふうな受動的な立場にあるというふうな点で、われわれはすべてのそういうふうな問題を取上げるというところまでは、現在考えておりません。
  128. 風早八十二

    ○風早委員 産業資金の問題につきましては、大体私はあなたの今のお答えと同様に考えております。その持つて行き方だとか、全部が全部そのままいわゆる軍需だということを言つたわけではないのです。ただ根本的に非常にそこへ集中されているのじやないかということを言つたわけです。たとえば開発銀行にしましても、これは見返り資金のあと、肩がわりとして、こういうものが出て来て、その政府出資の半額までが、自家発電に使われておる。その自家発電は、これはたとえば機械産業などで、結局利潤から生み出すというようなものは、自分で自家発電をやつております。この政府出資の場合には、主としてやはりアルミでありますとか、特別な特殊鋼でありますとか、特殊のところへ、やはりこれが流れて行くというようなことがあるように見受けるのであります。そういう意味で今申したわけであります。あなたの御意見と大体かわらないのでございます。  もう一点だけ伺いたいのは、今日の公述人の方々の中の唯一の労働組合代表としてお尋ねするのでありますが、先ほどもちよつと出ておりました団体等親正法、これがこの国会には必ず上程せられると予想せられているわけであります。この団体等規正法は申すまでもなく労働者の団結権――言論、集会、結社などの憲法で認めた自由に対する重大な制限――おそらくこれは憲法違反の法規であると考えられるのでありますが、団体等親正法に対しては全銀連として、及び日本の労働者としてどういう判断をしておられ、かつどういう決意をこれに対して持つておられるか、その点を一つお答え願いたい。
  129. 田部健

    ○田部公述人 団規法については先ほど私申し上げましたように、また今おつしやいますように、きわめてこの二十世紀にあるまじい法律であろうと思います。いろいろと暴力行為だとか何とかいうふうなりくつをつけてございますけれども、かりにそういうふうな暴力行為を取締る必要があれば、刑法でやればけつこうなはずであります。それをいろいろな行政処分によつて、そういうふうなものをやるということは、明らかに新憲法の趣旨に反し、違憲の行為であるというふうに考えるわけであります。組合としてはすでに一昨年レツド・パージというふうな問題がありまして、それがいわゆる表向きの看板として組合に対する弾圧として、非常に使われたわけであります。そういう意味で、こういうものを橋頭堡として次々に昔の治安維持法に返り、その他の非常なはげしい天皇制時代の弾圧体制に入つて行くというふうな認識は、十分に持つておるわけであります。今夏の国会に出るかどうか――出るというお話でございますが、組織労働者としては、このためには全力をあげて闘うというふうな現在気持に燃えておるわけであります。
  130. 世耕弘一

    ○世耕委員 ちよつと二、三点簡単にお伺いいたしますが、銀行の中に不良貸しというのがよく問題になる。その不良貸しのおもなる原因は、金融業者が賄賂をとる、こういうことが主になつて来るように思うのですが、あなた方の立場から見て、そういうことはどういうふうに感じておるか、その点を伺いたい。
  131. 田部健

    ○田部公述人 御質問の御趣旨よくわかりませんが、当然不良貸しして賄賂をとるというようなことは、新聞に載つていたこともありますし、ございましようと思います。もちろんわれわれはこんなものに賛成しているわけではございません。非常にけしからぬことだと思うわけであります。
  132. 世耕弘一

    ○世耕委員 不良貸しの原因はどこから発生するかということを、業者のあなた方から御説明を願いたい、こういうわけであります。
  133. 田部健

    ○田部公述人 いつもそういうふうな不良貸しというふうなこと、それから官吏の賄賂をとるというふうなこと、そういうようなものは、どういう時代にも今まであつたと思います。そういうふうなことがただ非常に最近問題になり、あるいは官吏の汚職が問題になるといいますのは、結局先ほど申し上げましたように、金融の問題が非常に国民の注視を浴びて来た、そういうところで非常に表に出て来たんだと想います。また官僚の問題は、これはもつとほかにも原因があるかと思いますが、やはり相当にそういうものが注目され、また非常に表に出るようになつたというようなことだと思つております。
  134. 世耕弘一

    ○世耕委員 私のお尋ねしたかつたのは不良貸しの原因という問題。たとえば一千万円借りようとしても一千万円貸してくれない。そこで運動費を使う。それが金融業者に支払われる。だから一千万円借りてもひどいのは六百万円だけしか入らないということは通説である。そんなからくりはどんなところから出て来るのかという、そういう点を実はあなた方、業者として発言権はなくても、実際仕事に携わつておれば、あそこがくさいとか、ここが正しいというような御判断があろうと思うので、それを承りたかつたのだが、おさしつかえあればお尋ねいたしません。もう一つお尋ねしたいのは、この間糸へんがかなり破産いたしましたが、糸へんの破産した原因はどこにあるか、金融界から見た立場からひとつ。それからもう一つは、政府はデフレをやる、ところが銀行屋さんの方はインフレをやる、これは日銀の問題もすでにいろいろ論議されておるわけでありますが、この行き違いはどういうところから出て来たのか、これを一つ。
  135. 田部健

    ○田部公述人 私は金融界の代表じやございませんから申し上げかねますが、ただお前はどう思うかということであればございます。繊維の倒産ということは、新聞に出た通りで、別にかわつたことはないと思います。ただその前に、日本の外貨予算の扱い方が、非常にその時期を失したというようなことが、やはり間接的に影響しておつたのじやないか、これは組合の立場じやなくして、よけいなことでありますが、そういうふうに思うわけてす。それから大蔵省がデフレをやるときに銀行がインフレをやるということは、よくわからぬわけでありますが、これはどういう意味でございますか。
  136. 世耕弘一

    ○世耕委員 私の質問の意味を間違えたかもわかりませんが、政府は金融の引締めをやる、予算を緊縮するという方針に出ているときに、金融業界は逆に資金を放出するということが、現に私ども東京などで見ましても実際に出ておる。そういうようなことは、どういうところから出て来るかということが聞きたかつたのでありますが、あなたの立場じや無理だ、こうおつしやるなら私はけつこうでございます。なおまたあなたにお尋ねしたかつたのは、実は金融の実権を握つておるのじやないから、幾ら賄賂をとるかわからないと言われますけれども、実際の事務を処理なさるのはあなた方ですから、実はあなたから見た説明を聞きたかつた。それが私のねらいだつたわけでありますが、これもぐあいが悪ければよろしゆうございます。なおまた、糸へんがなぜ破産したかということで、あなたは今何か外貨獲得の問題に触れたのでありますが、実はそこにくさみがある、そのからくりをあなたから聞こうと思つたけれども、遠慮なさつたから聞かないことにいたします。とにかく私は金融はあくまで公正でなければならない、ことに中小工業に対する金融のごときは、あくまでもその線で行かなければならない、ただ政治的な動きやら、あるいは口銭をよけいもらうというようなことをやり過ぎると、金融王国というような伏魔殿が出て来て、のろいの的になりはしないか。そういう点に対して、あなた方がひとつ監督してくれなければ、ほんとうのことができないのじやないか。発言権がないと言うけれども、発言権を獲得すればよい、それが私のねらいだつたのだが、その点はどうです。
  137. 田部健

    ○田部公述人 何か私が知つておつて言いにくいというふうに、おとりになつたようでございますが、私ども組合として、決して銀行のやり方がいいとか何とか言つておるわけではございません。私どもそういう点については、常に批判的に見ておるわけであります。たとえば新聞にも出ましたように、大きな産業に対して、向うがいらぬというほど金を貸すとか、そういうふうなことは非常にけしからぬことだと思います。ただ銀行というものは非常にコマーシヤル・べースといわれるものによつてやらなければならぬ、そういうことから飛び出しまして、現在中小企業が非常にあぶないから、そこにこうしなければいかぬというふうな倫理で直接やるというふうな機能のものではないというふうに考えるわけであります。いろいろ何かからくりがあつて、伏魔殿みたいな感じを持つておられるようでございますが、われわれが見ておりまして、何と言いますか、インチキがあるというふうなことはないと思います。ただ先ほども申し上げましたように、金融の問題が非常に前面に出て来て、みなの、特に中小企業というようなものから注目され、また怨嗟の的になつておる、そういう感じを持つておられるというふうなところから、御質問もそれに関連して出たのだろうと思いますが、われわれ組合として、銀行のやう方がすべていいとか、そういうふうな態度を持つておるわけではございません。
  138. 世耕弘一

    ○世耕委員 実はそれをお尋ねするのは、この予算委員会で質問するために材料を集めておつたのだが、こり機会に申し上げますが、実は復金の問題であります。あの問題は、とにかく私が調べた資料によりますと、約五百億の不良貸し、これを償却という形で、その債権がやみからやみへ葬られるそうだ。償却ということは利子も払わず、元金も払わない、呼び出しを受けても出て行かない、押えに行けば何にもないということになるそうだ。私は政府に確かめようと思つておるのですが、さような問題は、あなた方が扱つていたら、必ず何かくさいところが出て来たろうと思う。偶然にお尋ねしたのじやない。どうぞそういう点も考慮に入れておいていただきたいということだけで、私の質問を終ります。
  139. 石野久男

    ○石野委員 田部さんにお伺いしたいのですが、あなたは経営者の側ではないので、従業員の立場でお答え願いたいと思います。今年の金融の傾向の見通しでございますが、私たちが手元にいただいておる数字を見ますと、昨年九月現在で大体全国の貸出件数のうち、口数にして二一%が一千万円以上、それの金額が全体として四八・九%というような数字をいただいておるのです。それほど大口融資が行われておつて、そのために中小企業が金融に苦しんでおるということが、はつきりするわけでございますが、今年の予算の実体から見まして、こういう傾向は是正されて行くというふうに見られますかどうか。
  140. 田部健

    ○田部公述人 先ほど申し上げましたように、現在の総合資金計画というようなものを見ますと、ますます前途はよくないと思うほかはございません。つまり非常に少い資金量がある一箇所に集中して行くということは否定できないと思います。
  141. 石野久男

    ○石野委員 そうしますと、それは結局相当大きな予算額にはなつておるけれども、金融の面ではますますやはり中小企業が苦しくなるということでございますか。
  142. 田部健

    ○田部公述人 おつしやる通りです。
  143. 塚田十一郎

    ○塚田委員長 本日の公述人の意見の御開陳は終了いたしました。  この際公述人諸君に一言申し上げます。本日は御多忙中のところ御出席くださいまして、長時間にわたり、貴重な御意見をお述べくだされ、本委員会の今後の審査に多大の参考になりましたことを、厚く感謝いたします。本日の公聴会はこの程度にとどめまして、明日は午前十時より引続き公聴会を開催することといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十分散会