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1952-04-24 第13回国会 衆議院 本会議 34号 公式Web版

  1. 昭和二十七年四月二十四日(木曜日)  議事日程 第三十三号     午後一時開議  第一 公務員等の懲戒免除等に関する法律案(内閣提出)  第二 国立学校設置法の一部を改正する法律案(平島良一君外二十七名提出)  第三 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う郵便法の特例に関する法律案(内閣提出)  第四 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う刑事特別法案(内閣提出)  第五 特許法の一部を改正する法律案(内閣提出)  第六 中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案(内閣提出)  第七 外資に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)  第八 米穀の政府買入価格の特例に関する法律案(松浦東介君外二十三名提出)  第九 十勝沖地震による農林業災害の復旧資金の融通に関する特別措置法案(宇野秀次郎君外三十八名事提出)     ――――――――――――― ○本日の会議に付した事件  広島地方專売公社調停委員会委員委嘱につき国会法第三十九條但書の規定により議決を求めるの件  爆薬漁業等による漁場荒廃取締に関する緊急質問(前田榮之助君提出)  野田建設大臣の鳥取市の火災による災害についての報告  海上保安庁法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)  日程第五 特許法の一部を改正する法律案(内閣提出)  日程第六 中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案(内閣提出)  日程第一 公務員等の懲戒免除等に関する法律案(内閣提出)  日程第二 国立学校設置法の一部を改正する法律案(平島良一君外二十七名提出)  日程第三 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う郵便法の特例に関する法律案(内閣提出)  日程第四 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う刑事特別法案(内閣提出)     午後三時十二分開議
  2. 林讓治

    ○議長(林讓治君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――
  3. 林讓治

    ○議長(林讓治君) お諮りいたします。内閣から、広島地方專売公社調停委員会委員に中原健次君を委嘱するため議決を得たいとの申出がありました右申出の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつてその通り決しました。      ――――◇―――――
  5. 福永健司

    ○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、前田榮之助君提出、爆薬漁業等による漁場荒廃取締に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
  6. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつで日程は追加せられました。  爆薬漁業等による漁場荒廃取締に関する緊急質問を許可いたします。前田榮之助君。     〔前田榮之助君登壇〕     〔「農林大臣はどうした」と呼び、その他発言する者あり〕
  8. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 農林大臣は今委員会で答弁中だそうですから、すぐ参ります。
  9. 前田榮之助

    ○前田榮之助君 ただいま議題となりました爆薬等不法漁業による漁場荒廃の取締りに関し、日本社会党を代表して、関係大臣に対し質問をいたしたいと思います。  近来、わが国の沿岸漁業は不漁になつて参りまして、多数漁民の窮状が漸次深刻化しつつあることは、諸君の御承知の通りであります。しかるに、この漁業の不漁、不景気に一層の拍車を加え、零細漁民を段と苦しめつつあるものは、機械網の惡用と、無謀なるダイナマイトによる不法漁業であります。終戰後の道義の頽廃によるのか、近時爆薬による不法漁業の全国的横行跳梁はことにはなはだしく、ために、かつて優良な漁場であつた地域が、あじろを根底から破壊されて漁場を荒廃せしめ、淳良なる漁民の生活に一大脅威を與えつつあるのであります。特に瀬戸内海のごとき、稚魚・幼魚の育成培養を最も必要とする水域においては、絶対にかかる不法を看過すべきでないことは論をまたざるところであります。  よつて第一にお尋ねしたいことは、現状の取締りでは何ら見るべきものがないのであるが、農林大臣は、内海及び周辺の沿岸漁業の取締り及び保護助成について、いかなる方針を持つておられるのか、またいかなる具体策を立てようとしているのか、まずこの点をお聞かせ願いたいのである。ことに私の申し上げたいのは、瀬戸内海のような水域では、不法なこれらの漁業を取締るのみならず、むしろ魚族の繁殖、その育成、漁場の保護等、一連の養魚政策を推進せねばならぬと思うのであるが、農林大臣は、これらの積極的な方策に対し、いかなる熱意を持つて居られるのか、その方策は具体的にはいかに立てられているか、御明示を願いたいのである。  次にお尋ねいたしたいのは、その取締り方法であります。不法漁業の取締りは、海上保安庁と水産庁との両方で取締つておられるのであるが、現地の方では、そのいずれも不徹底であり、違反者は漸増の状態で、地方漁民の不安ごの上もない状態なのであります。従つて、地方漁民は、当局たよるに足らずとして漁民みずからの力をもつて犯人逮捕という直接行動まで行われ、ある地方では、危險なる火薬を所持する暴漢を相手にするのであるから、自己の危險をも顧みず、みずから船にガソリン・ポンプを積み込んで警戒に当り、多大の犠牲を拂つて自衛行動をとるという騒ぎとなつているのであります。よつて、かかる事態は寸時も放置できない状態であります。  しかして今日の海上保安庁や水産庁がやつている形式的な警戒や取締りでは、成果は上つておらないのである。それは、陸上と違つて海上では、証拠物件を簡單に海中に投入して証拠隠滅をはかるため、尋常一様では取締れないのであります。従つて、非常に積極的に特別な方法を講じなければ無効なのであります。それで、水産の責任大臣である廣川農相に、現在水産庁が持つている漁場取締船では不十分であるが、その補強対策と、その運営の効果的方策はいかがであるかということを御明示願いたいのであります。  次に、海上保安に関する治安の責任大臣である木村法務総裁並びに海上保安庁長官にお尋ねいたしますが、この爆薬漁業は、單に漁業取締りの問題のみならず、治安に関係のある銃砲火薬取締りに関連し、社会不安のためにも重大な関係のある懸案でありまして今日の状態では、今後いかに発展するか予断を許さないのであるが、今後、これら不法に火薬を使用する者はもちろん、その所持する者、特に瀬戸内海島嶼部に散在する旧海軍の放置したもので、民間に隠匿されてあるもの等の取締りはいかにするのか。海上保安庁組織で徹底的に取締りができるのか。また現行法律では、地方民の間には不十分であるとの声もあり、多数淳良な漁民の生活を脅威し、その生命財産を不安に陥れておる重大犯罪であると思うが、現行法で良民の安堵ができると思われるのであるか。取締りの責任が果され得るという自信がおありなのか。具体的にはいかにされようとするのか。その対策を、全国沿岸漁民のために、安心のできるようお示し願いたいのであります。(拍手)  なお本件は、地方海上保安部においても苦心していることは本員も認めますが、聞くところによれば、内海においては航路標識燈の盗難が続出のため、その方に手がとられて漁場取締りには十分手が打たれていない状況にあるとのことであります。かてて加えて警備船の不足もあつて、いかんともいたしかたないという情勢のようであるが、これらに対して、法務総裁並びに海上保安庁長官の責任ある御所見をお伺いいたしたいのであります。  次にお尋ねいたしたいことは、ダイナマイト密漁に使用する火薬は、大部分旧軍部が終戰時海中に投げ捨てた莫大な砲彈等の雷管であつてこれは国有財産であるはずであるが、火薬を含み、真鍮、銅等の価値のある金属であつて、これが乱雑に海中に投入されているのである。これを不況にあえぐ漁師の連中が引揚げて金物は売却し、危險な火薬が各所に転在するに至つたのでありますが、かかる国有財産たるべき物件を、乱雑な処理のまま、いまなお一部放置状態にしてあることは、きわめて無責任であると思うのであります。漁民が、そまつな道具で引揚げて、りつぱに日当になるところを見れば、国費を投じて事なく整理はできるのであつて、一日も早く瀬戸内海のかかる危險物を除去する必要があると思うのである。これは大蔵当局の所管であるとも言えるし、また、これら海中に放棄された、かつての国有財産の処分について、その処置は海上保安庁に移つておるとのことであるが、これをいかにして整理する考えであるか。これらについて明快な御答弁を願いたいのであります。  なお農林大臣にお伺いすることは、この爆薬によつてとつた魚類は、專門家が見れば、つりでとつたか、あるいは網でとつたかの区別は判然するのでありまして、その取引は法律で禁止されてあるはずでございますけれども、これが魚市場で堂々と取引されておる。こういう市場の取引等の取締りが徹底的に行われなければ、この爆薬等による不法漁業の殲滅はおそらくできないものだと思うのであります。こういうような重大な関係がございますので、徹底的に、責任を持つて熱意のある取締りをやつて多数の零細な沿岸漁民を安心させるような方途を、この国会を通してはつきりと御答弁願いたいのであります。  以上で私の質問を終ります。(拍手)     〔国務大臣廣川弘禪君登壇〕
  10. 廣川弘禪

    ○国務大臣(廣川弘禪君) ただいまの御質問は、漁業法第六十八條によつて禁止されておるダイナマイトによる漁業の取締りについてでございますが、終戰以来、瀬戸内海あるいは対馬沖等におきまして、たびたびこの問題が起つておるのであります。たまたま一箇月前に、自衛手段という言葉で当るか当らないかはしりませんが、こうした一つの事件がありましたので、農林省といたしましては、対策を目下嚴重に講じておるようなわけであります。瀬戸内海は、特に稚魚の養成という意味から行きましても非常に重大な場所でありますので、この瀬戸内海の養殖が事完全にできまするように努力をいたしているわけであります。また漁期等についても、十分保護するように考えているわけであります。なお、さようにいたしましてダイナマイト漁業によつてとられた魚が市場に上場されないように、農林省としましては通牒を出すように決定いたしております。また、今までも海上保安庁とも相談いたし、または水産庁の船で監視をいたしたのでありますが、今後このような事態の起きないように十分注意をいたし、万全を期したいと考える次第であります。(拍手)     〔国務大臣木村篤太郎君登壇〕
  11. 木村篤太郎

    ○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。  昭和二十四年六月ごろから、瀬戸内海を中心とする海中におきまして、ダイナマイトその他の爆薬を使用する密漁が次第に増大いたしまして、その弊害は軽視するとこのできない傾向を示しますと同時に、沿岸漁民との紛争が漸次拡大いたしまして治安の面からも相当注目すべき形勢を示すに至つたのであります。この形勢は、昭和二十五年に入るや、いよいよ顯著となりまして、しかも、これがだんだん拡大するに至つたのであります。  右のような事態にかんがみまして、法務府では早急にその取締り態勢を確立する必要を痛感いたしまして、広島高等検察庁に、瀬戸内海を中心とする関係各検察庁及び関係府県の水産部、国警、自警、海上保安庁関係の各係官の合同を催しまして爆薬使用による密漁の実態、沿岸漁業者の紛争の状況等を具体的に検討いたしまして、同時にその取締り対策を協議いたしたのであります。そして右会議の結果に基きましで、この種事犯に対する処理方針を決定いたしまして、同年六月十五日、刑政長官の名をもつて、この種事犯に対しては国家治安の維持並びに水産関係の保護から断固たる処置に出ずべき旨の依命通牒を発した次第であります。  かような次第でありまして、今日まですでに十六件の報告を受けております。その状況は、もうすでに起訴が十二件ありまして、うち体刑を求刑したものが十件、さらにそのうち、すでに体刑の言渡しがあつたものは八件であります。かような次第でありまして、法務府といたしましては、この種の犯罪について徹底的に検挙いたすつもりであります。今後とも、この方針は堅持する次第であります。(拍手)     〔政府委員柳沢米吉君登壇〕
  12. 柳沢米吉

    ○政府委員(柳沢米吉君) 海上保安庁といたしましては、このダイナマイト密漁事件というものは、ただいま法務総裁からお話がありました通り、現地におきまして検察庁、国警、農林省あるいは自治団体等と連絡をいたしまして、極力これが防止を行つておるわけでございます。海上保安庁の船舶の状況は、瀬戸内海方面に巡視船五隻、港内艇二十四隻を配置いたしまして、これを二つにわけまして、晝夜これが警戒に当つておるわけでございます。しかしながら、必ずしもこれをもつて万全とは申せませんが、昭和二十六年中におきまして、第六管区海上保安本部管内、すなわち瀬戸内管内におきまして、九百二十六件の漁業関係法令違反事を検挙しております。これを人数にいたしますと九百八十人という数字になつておるわけでございます。極力これらをやつておりまするが、なおわれわれといたしましては、このほかにも、先ほどお話のありました燈台浮標の盗難等がございますので、これらとかね合せまして、十分なる警戒を晝夜行つておる次第でございます。  なお御質問の引揚げ海沒物資の状況でございまするが、これらの物資につきましては、運輸省令をもつて許可制をしきまして、これが許可を行つたもののみが引揚げできる、それ以外のものは違法であるとして取締りを行つておる状態でございます。(拍手)      ――――◇―――――  鳥取市の火災による災害についての野田国務大臣の報告
  13. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 建設大臣から、鳥取市の火災による災害について発言を求められております。この際これを許します。建設大臣野田卯一君。     〔国務大臣野田卯一君登壇〕
  14. 野田卯一

    ○国務大臣(野田卯一君) 今回の鳥取大火は、御承知のように、四月十七日午後三時ごろ、鳥取市永楽通り動源温泉付近から発火し、極度の乾燥と、風速十五メートルに達する烈風のため、かつまた水道の水圧の低下、道路の狭小等により消火作業が意の、ごとくならなかつた等のため、遂に市の繁華街を中心として市街地の約六割を焼失するという大惨害を生じ、翌十八日午前三時五十分。ごろ鎭火したものであります。  被害の状況につき、とりあえず鳥取県庁等の資料に基いて御報告申し上げますと、まず人的損害につきましては、罹災人員は二万四千百四十三名、このうち死者一名、重傷者二名、軽傷者三百十二名を算しております。物的損害につきましては、被害総額は百九十三億二千万円と見積られ、焼失面積は約五十万坪に達しております。その内訳を申し上げますと、住宅、店舗等の一般民家につきましては、市の総住宅戸数一万二千戸の半数に近い五千二百二十八戸が全焼し、その被害額は、個人財産の損失を含めて、一応百八十二億六千万円程度と見積られております。次に官公衙、学校等公共施設につきましては、鳥取郵便局外十三官公衙、県立盲学校外四校、県立中央病院外四院等が全焼いたしまして、これらの被害額は約五億八千万円となつております。その他銀行、百貨店等につきましても十数箇所が焼失し、その被害額は約四億八千万円と見積られております。  次に、分回の大火に対してとられました応急措置について申し上げます。現地におきましては、鳥取県庁はただちに臨時県会を招集するとともに、災害救助対策本部を設け、災害救助法を発動し、鳥取市その他関係各機関と協力いたしまして迅速な応急措置を講じております。すなわち、災害救助法の発動と同時に、罹災者を小学校、寺院等七箇所に収容するとともに、市内十八箇所でたき出しを行い、罹災世帯に対しては被服、寝具、生活必需品及び学用品の給與を行つたのであります。罹災者の事医療につきましては、市内十箇所に救護所を開設し、伝染病予防及び一般施療に当りました。応急仮設住宅の建設につきましては、旧連隊跡に五百戸の仮小屋寿急速に設けることにいたし、また罹災者中生活困窮者に対しては、生活資金の貸付、失業対策事業の遂行等、救護救済の措置につき、中央と連絡の上、すみやかにこれを進めております。また島根、岡山、京都、兵庫、大阪等隣接各府県よりも、医療班の派遣、救護物資の発送その他救済に当つておりますので、罹災者の応急救助は万全の態勢をもつて推し進められつつあります。  中央における応急措置といたしましては、即日厚生省よりララ救援物資二万一千人分を発送するとともに、総理大臣より、米子警察予備隊に対し救援のため出動を命令し、また、ただちに関係各省より係官を現地に派遣し、災害実情の把握に努め、災害の翌日、四月十八日の朝の開議においては、鳥取大火災害対策本部を総理府に設置すること、鳥取県市の復興事業に対するつなぎ資金として、資金運用部より二億円の融通をなすこと、住宅金融公庫による二億円の特別融資をなすこと等を決定し、ただちに実行に移すことにいたしました。  次に、復興の対策といたしまして緊急な事項は、住宅の建設、学校その他公共施設の復旧及び区画整理事業を中心とする都市復興の事業並びに罹災市民の生活をすみやかに安定させることであります。これがため、政府といたしましては、まず第一に住宅については、ただいま申し上げました住宅金融公庫の二億円の特別融資による住宅建設のほか、公営住宅によりまして、被災住宅約五千戸の二割に相当する一千五百戸の公営住宅を建設したい考えております。  第二に、今回の大火の経験にかんがみ、都市の不燃化を促進する必要が痛感されますので、目下国会において御審議中の耐火建築促進法の成立次第、同法に基き防火建築帶を指定し、該地域内の耐火建築に補助金を與えてこれを助成したいと考えております。また焼失しました学校、図書館等の復旧につきましては、できるだけ不燃構造とし、すみやかに、再建をはかりたいと考えております。なお今回の火災の経験にかんがみ、鳥取市を今後火災に対し強靭性ある都市として復興させるために、罹災面積五十万坪を対象とする区画整理事業を急速に施行させることとし、すでに街路その他の基本を決定、建築線を指示し、現地の測量、焼け跡の整理を促推せしめております。  第三に、被災家屋等の建設資材として木材の入手を容易ならしめるため、鳥取、島根両県の木材協同組合をして早急に供給させるよう目下折衝中であり、また国有材の拂下げについても手続を進めております。  第四に、罹災した市民の生活の安定の問題については、国民金融公庫、商工中央金庫その他一般金融機関を動員し、罹災者の生業の再開に必要な資金の供給をはかりたいと考えております。なお、今回の大火に伴う県及び市の財政上の打撃並びに負担については、これが対策につき、できるだけの考慮を拂いたいと考えております。  顧みますれば、鳥取市は、昭和十八年、地震並びにこれに伴う火災により市の大半を烏有に帰し、次いで昭和二十二年大火災をこうむり、今日また戰後最大の火災に見舞われ、重ね重ねの災難に対し、衷心より同情申し上げるものであります。しかしながら、市民諸君がこの甚大なる災厄にもめげず、決然復興に立ち上つておられることは、まことに心強く、深く敬意を表するところであります。また、県市当局その他現地の諸機関においても、すでに果敢に復興対策に邁進されておりますので、政府といたしましては、これらと十分提携協力し、この救済策、復興策及び復旧策に万全を期し、強力に推進いたしまして、災いを転じて福となすべく念願をいたしておる次第であります。  最後に申し上げたいことは、進駐軍の好意に満ちた救援であります。すなわち、在日兵站司令部南西司令官代理ソムピアス中佐及びストライカー軍医大佐が、去る十九日朝、飛行機で現地を訪れ、県当局の要請する救急物資につき打ち合せの結果、携帯食二十五万箱、毛布一万牧、ミルク五百箱及び注射薬品等を百二十台のトラックをもつて急送され、罹災者の急速な救援に大いに役立ちましたことは、政府といたしましても、まことに感激にたえないところであります。  以上をもちまして私の報告を終わります。(拍手)      ――――◇―――――  海上保安庁法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)
  15. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 参議院から海上保安庁法の一部を改正する法律案が回付せられました。この際議事日程に追加して右回付案を議題となすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  海上保安庁法の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。     ―――――――――――――
  17. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  18. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 起立多数。よつて参議院の修正に同意するに決しました。      ――――◇―――――
  19. 福永健司

    ○福永健司君 議事日程順序変更の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、日程第五及び第六の両案を繰上げ一括上程し、その審議を進められんことを望みます。
  20. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程の順序は変更せられました。  日程第五、特許法の一部を改正する法律案、日程第六、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員会理事小川平二君。     〔小川平二君登壇〕
  22. 小川平二

    ○小川平二君 ただいま議題と相なりました特許法の一部を改正する法律案について、通商産業委員会における審議の経過並びに結果を概略御報告申し上げます。  従来わが国におきまして特許権等を享有できる外国人は、わが国に住所もしくは営業所を持つている者か、あるいは工業所有権保護同盟條約国の国民またはこの條約国の領土内に住所または営業所を持つている者に限られたのでありまして、その他の外国人に対しましては一切特許権等の享有を認めておらなかつたのであります。しかし、今般日本国との平和條約の発効に伴いまして、特許権等の享有に関しまする外国人に対しましての制限を緩和いたしますとともに、また国際民間航空條約の当事国の航空機等に対しまする特許権等の効力の特例を設けるため必要な改正を行おうとするのであります。以上が本改正案の提案理由であります。  次に改正の要点を申し上げますと、今回の日本国との平和條約によりまして、連合国の中で、わが国の国民に特許権等について内国民待遇を與えている国の国民につきましては、わが国も同様に内国民待遇を與えることになつているのであります。また平和條約に参加していない国におきましても、すでにわが国の国民に対しまして無條件に、または相互主義により特許権等の享有について内国民待遇を與えることとしている国が多い現状でありますので、これらの諸国につきましても、前記連合国と同様に、相互主義の原則に基いて特許権等を享有できるよう、外国人の権利能力の制限を緩和いたしたのであります。  次に、平和條約発効と同時に、わが国は、国際民間航空條約加入前といえども、その航空條約の規定を実施することになつておりますので、国際航空に従事する国際民間航空條約の当事国の航空機、その部品等が、特許権等の侵害の理由で差押えその他の請求を受けることがないように、特許権等の効力を除外いたしたのであります。なおこの措置は、わが国が国際民間航空條約に加入するまでの臨時的なものでありまして條約加入後は、現行特許法により同條約が適用されるのであります。  本改正案は、当委員会に四月十五日付託と相なり、四月二十一日政府委員より提案の理由を聽取し、翌二十二日質疑に入りまして、共産党風早八十二君と政府委員との間に質疑応答があつたのであります。その内容については会議録を御参照願います。  引続き、討論を省略し、採決いたしましたところ、多数をもちまして可決した次第であります。  次に中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案について、通商産業委員会における審議の経過並びに結果を概略御報告申し上げます。  まず改正の理由でありますが、本法施行後二年有半の経験にかんがみまして一段と組合の組織及び運営の合理化をはかろうとするのであります。  次に改正の主たる内容を申し上げますと、第一は、組合員たる中小企業者の規模の基準を引上げる等の措置を講じまして組合の組織の安定強化をはかろうとするものであります。第二としまして、いわゆる広地域にわたる協同組合連合会の事業に関する制限を廃止いたしましてその事業活動を促進しようとするものであります。第三は、一定の制限のもとに員外役員の選任を認めまして組合の業務の執行を円滑ならしめようとするものであります。第四として、総代会の権限を拡充いたしまして、大規模組合の運営を容易ならしめようとするものであります。以上が改正案の提出理由並びに改正の要点であります。  本改正案は、三月二十四当委員会に付託せられ、翌二十五日、政府当局より提案理由の説明を聽取、いたしたのであります。越えて四月二十二日質疑に入りましたところ、日本社会党今澄勇君より、信用金庫、国民金融公庫、商工組合中央金庫、相互銀行等、一連の中小企業專門の金融機関が並立されているが、その間一貫した総合的な強力機関が存在しておらず、かつ投下する国家資金の量も少い現状を指摘して、今後の強化対策を要望するとの発言があつたのであります。続いて自由党多武良哲三君より、大企業の長期資金供給機関として近く長期信用銀行が設立せられるに対し、中小企業の長期金融については現行制度をさらに拡大強化する要ある旨の発言があり、私より、事業組合の組合員預金の受入れを認めようとすることは、中小企業等協同組合法制定当初よりの懸案であつたことを指摘して、最近の機会においてこれが実現を要望いたしましたところ、これに対し、中小企業庁小笠長官より深甚な考慮を拂う旨の答弁があり、さらに翌二十三日、共産党風早八十二君及び自由党南好雄君よりそれぞれ同趣旨の質疑がありましたが、詳細は速記録を御参照願うことといたします。  続いて討論に付しましたところ、自由党小川平二君、改進党山手滿男君、社会党加藤鐐造君及び共産党風早八十二君より、それぞれ事業協同組合員の預金の受入れを近き機会において認めるよう強い要望を付しての賛成意見の開陳があり、採決の結果、全会一致をもつて可決した次第であります。  以上御報告を申し上げます。
  23. 林讓治

    ○議長(林讓治君) まず日程第五につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  24. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。  次に日程第六につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ――――◇―――――
  26. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 日程第一、公務員等の懲戒免除等に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。人事委員長田中不破三君。     〔田中不破三君登壇〕
  27. 田中不破三

    ○田中不破三君 ただいま議題となりました公務員等の懲戒免除等に関する法律案につきまして、人事委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  従来、国に慶弔等のことがありました場合には、一方で恩赦が行われると同時に、他方で公務員等の懲戒の免除、弁償責任の免除が行われるのが、おおむね通例となつておるのであります。これらの措置は、旧憲法のもとにありましてはいずれも天皇の大権事項とせられ、従つて勅令により実施せられたのでありますが、新憲法下の今日におきましては、恩赦が恩赦法に基いて行われますように、公務員等の懲戒の免除、弁償責任の減免につきましても、立法措置を講ずる必要を認めまして、本法律案の提出となつたのであります。  本法律案の要旨につきまして簡單に御説明申し上げます。従来の例によりますと、懲戒の免除及び弁償責任の免除は、その実施の都度、国家公務員の懲戒の免除、地方公務員等の懲戒の免除、海技従事者及び水先人の懲戒の免除、公証人、弁護士等の懲戒の免除、出納官吏等の弁償責任の免除というように、それぞれ、別個の勅令によつて行われたのでありますが、本法律案におきましては、これらの措置を一つにまとめ、かつ恒久的な制度として確立いたすべく、その基本的な事項を規定するものでありまして、その考え方は、おおむね従前の例を踏襲しており、実施についての具体的な必要事項は、その都度政令または地方公共団体の條例で定め得ることといたしておるのであります。しかしながら、弁償責任の減免につきましては、従前は弁償債務はすべて一律に全部免除せられるという建前になつておりましたが、これは恒久的な制度として考えますると、必ずしも妥当とは申されない点もありますので、弁償債務の一部免除の場合を含め減免することができるといたしておるのであります。  懲戒の免除の効果につきましては、従来同様に、この免除を受けた日から将来に向つてのみ効果を持つのであり、既成の効果は変更されないことを明確にいたしてあります。また公務員、公証人等は、懲戒の処分によつて免職となりますと、その後一定期間は、再びその職または特定の職につく資格を失うことになつているのでありますが、懲戒の免除により、それらの資格は当然回復する旨を明記いたしておるのであります。最後に、懲戒の処分等に関する訴訟、訴願等不服の申立て等につきましては、懲戒の免除または弁償責任の免除を受けましても影響されないことを明らかにいたしております。  以上が、本法律案の内容のおもなる点であります。  本法律案は、四月八日、本委員会に付託され、越えて十一日、政府より提案理由の説明を聽取し、十五日、十七日、十九日の三回にわたり、委員と政府委員との間に熱心な質疑応答がとりかわされたのでありますが、その詳細はすべて会議録に讓ることといたします。  質疑終了後、討論を省略し、ただちに採決をいたしましたところ、起立多数をもつて原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手)
  28. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。井之口政雄君。     〔井之口政雄君登壇〕
  29. 井之口政雄

    ○井之口政雄君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ここに提出された公務員等の懲戒免除等に関する法律案に対して反対の意を表明するものであります。  政府は、アメリカから押しつけられた單独講和條約の発効で、日本があたかも独立を回復したかのごとき大騒ぎをしております。これを慶賀するためと称して二十八日の調印日には、約百万人からの大赦、特赦、減刑、刑の執行免除、復権を行おうとしております。慶弔のあるたび、ごとに恩赦を行うという恩赦法の趣旨になつておりますが、このたびの單独講和條約の発効というものは、日本国民にとつて、まさに慶事どころか、弔旗を掲げて悲しまねばならぬための恩赦でなければならない。政府のやり方は、まつたく卑劣なデマゴギーといわなければなりません。  ここに提出された公務員等の懲戒免除等の法律案もまたそれに便乗したものでありまして独立したとの幻想を、懲戒免除というえさで中央地方の官公吏に植えつけ、恩惠を施し、アメリカ帝国主義に最も忠実な官吏につくり上げようとする陰謀なんであります。(拍手)直接犯罪を犯した本人で免職になつた者は除くとしても、この法案が成立いたしますならば、監督不行届きで懲戒に処せられた上役たちや、弁償責任を負わされていた上官たちの債務などが減免され、減給処分などが取消されることになるのであります。今でさえ、上役は汚職や腐敗の責任からのがれるのが多い。しかるに、この法案によりまして、そのような上役官吏に厚い恩惠を與えて、ますます官僚勢力を強めるというところに、この法案のねらいどころがあるのです。それのみではありません。従来官吏に対する懲戒の減免事などは、一々の場合について特例をもつて定めて適、不適を判断していたのに、この法案が出れば、官公吏に懲戒減免が適当であろうとなかろうと、大赦、特赦が行われる場合には、いつでも一律に、この特典が官公吏の惡いことをした者どもに與えられるという不合理が起つて来るのであります。  元来、天皇制という圧制政治が行われておりました時代には、政府が人民の怨嗟の的となつておりましたから、元首の慶弔のたび、ことに、人民の憤慈をやわらげるために、監獄にあふれているところの囚人の一部分を、一瞬間だけ釈放したものであります。圧制者というものは、圧制の手をゆるめてやつたというだけでも、人民に恩惠を與えてやつたように考えて、感謝されたがつているものであります。  今、吉田内閣は、売国條約に反対する愛国運動を、こん棒とピストルで撃ちまくつておる。三百万人の組織労働者がゼネストをもつて抗議している、破壊活動防止法案という、かつての治安事維持法にもまさる惡法を制定しようとしておる。先日も、東都の学生諸君が、高らかに反対歌を高唱して国会陳情にやつて来れば、それに対して、こん棒でなぐりつけ、血だらけにしておる。吉田政権は、右手に血だらけなこん棒を握りながら、左手に天皇をかつぎ上げ、恩惠をたれるかのような身ぶりをして、一切をアメリカ帝国主義のために奉仕している。こういうインチキ圧制政治を打倒することが、国民の第一の念願でなければならぬ。(拍手)  恩赦制度は、今日百万人の恩赦を行いまするが、明日は二百万人の投獄者を出すことを妨げておらぬ。この法案は、この天皇の官僚を強めて、アメリカに忠誠を盡そうとするにあるのであります。ごらんなさい。吉田内閣になつてからの官吏の汚職や腐敗は、年々増加の傾向をたどつている。公務員一般職だけでも、二十五年度の四千三百十三名が、二十六年度に五千四百九十五名に増加しておる。大橋国務大臣のごとき、二重煙突をくすぶらせている人が、何らの法的な制裁も受けない、政治的制裁も受けないところでは、下僚の官公吏諸君がこれを見たならば、惡事にますます走るようになるのは必定であります。そうして今それら当然責任をとらねばならぬ上役を、懲戒免除、債務の減免で、ますます腐敗分子に恩惠をかけ、奨励するような結果になつている。中央更生保護委員会恩赦課長の長島敦君でさえ、こうした惡政を、ごまかすための恩赦は、とうてい近代的法治国では許さるべき性質のものでないと言つておる。  日本共産党が、さきに恩赦を行うべき決議案を提出して賛意を表したのは、民主主義的な進歩性を持つた多くの人たちを、被占領下にあつて受けた圧制、無権利な状況から解放するための恩赦でなければならぬということが、その理由の第一である。さらに、多くの愛国者が占領政策によつて投獄されている現状は、独立を失つた日本の地獄絵図である。ただちに、こうした状態から政治犯を釈放して、公然たる愛国運動を起すべきである。三つには、アジアの平和を維持し、戰争の危機を取除くために、隣国朝鮮、中国の在日民族を不逞のやからとして彈圧することを即刻やめて釈放し、善隣の実を示すべきことである。第四に、官公吏でありながら、労働者たる自覚に立ち上り、政治運動、組合運動を行つてレッド・パージにかかつた人々を即刻復職させ、復権させること。こうしてこそ恩赦の意義があるにかかわらず、これと反対に、民主主義者、平和主義者、愛国主義者を丹念に調べ上げて、恩赦から除外し、レッド・パージも取消しを拒絶しているというのがこの法案である。  アメリカ植民地となり下らされた日本では、失業と貧困はますます増大し、食うに食なく、住むに家なく、着るに衣のない勤労大衆はますます増大する一方であります。勤労大衆の大部分を、犯罪者として獄に入るか、警察官になるか、軍人になるよりほかに道のないように追い込んでいる。こうした政治こそ、まつさきに改めなければならない。失業と貧困のゆえに犯罪を犯した人々に対しては、惡政の根本を絶つと同時に、国民大衆としての正しき勤労によつて社会に償いをさせ、メーデーのような真の大衆の慶事を契機に、これを大赦、特赦、減刑し、国家的平和大建設の完了を見た場合などに、これを慶賀して、国民こぞつての喜びのために、大々的な大赦を行うということでなければなりません。  官公吏の汚職腐敗を増進せしめるようなこうした法案に対しては、日本共産党は断固として反対する次第であります。(拍手)
  30. 林讓治

    ○議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  31. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ――――◇―――――
  32. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 日程第二、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。文部委員長竹尾弌君。     〔竹尾弌君登壇〕
  33. 竹尾弌

    ○竹尾弌君 ただいま上程されました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げますとともに、審議の経過及び結果を御報告申し上げます。本法案は、神戸市に昭和二十七年度より新たに商船大学を設置しようとするものでございます。新日本再建の国策といたしまして、自立経済を確立するために海運の充実をはからなければならないことは、あらためて申し上げるまでもありませんが、これを達成いたしまする一応の目標として、昭和三十年度におきまする保有船舶を大よそ三百八十万総トンといたしております。わが国の船舶建造は、終戰後の幾多困難な事情があるにもかかわらず、これを克服いたしまして、昭和二十六年度には、四十一万トンという世界第二の実績を上げるに至つたのであります。しかしながら、これを運航いたしまする船員の養成は、船舶の増強とは異なりまして、相当の長年月を要するものでございます。特に高級船員は、船内統率の資質を備え、今後においてはさらに国民外交の第一線に立つものといたしまして、これに相応するだけの高い教養を身につける必要がございます。加うるに、かねての懸案でありました海難防止等の技術的方面におきましても、新時代に即応いたしまする十分な教育、すなわち大学程度の教育を必要とするのであります。  昭和三十年度以降における船員の需給関係を、過去の実績に基いて計算いたしてみますると、三百八十万総トンに対し約一万名を要することになつておりまするが、そのうち高級船員の毎年の所要数につきまして推算いたしますると、商船大学出身者は約三百名内外を供給しなければならないことになるのでございます。しかるに、現在のところ、商船大学は清水に一校あるだけでありまして、昭和二十八年度から年間約百二、三十名くらいの卒業者を供給するにすぎない状況でございます。従いまして、本年度から少くとも百二十名を収容する商船大学をさらに一校増設しなければならない事情に迫られておるわけであります。この見通しにつきましては、すでに昭和二十三年に、船員教育委員会におきまして、昭和二十六年度に神戸の海抜專門学院を商船大学にすべしという決議が行われておるのでありまして、さらに第六国会では、衆参両院の文部委員会から、できるだけ早い機会に神戸市に商船大学を設置する必要があるという要望が出されております。続いて、さきの第十二国会の本委員会にこの問題が取上げられまして、審議の結果、小委員会を設けて検討することになりましたが、その報告に基き、衆議院議長に対し、神戸市に商船大学を昭和二十七年度に設置することに関する決議文が提出せられたのであります。  特にこれを神戸市に設置することを要望されておりまする理由は、神戸市には、大正九年に官立の神戸高等商船学校が設立されまして、惠まれた立地條件のもとに、優秀なる校風と充実した設備とをもつて幾多の人材を輩出し、海国日本の発展に貢献するところ多大なものがありましたが、戰時中には当分の間ということで運輸省に移管せられ、船員の再教育機関となりまして、今になおよくその光輝ある伝統を保つておりまするので、これを基盤といたしまして商船大学が設立されますることが最も適切な措置であると考られるからでございます。今度の第十三国会におきましてあらためて議題となり、再び小委員会が設けられまして熱心なる審議が行われ、幾多の曲折を経たのでございまするが、遂に運輸省、文部省及び大蔵省はもちろん、地元兵庫県並びに神戸市のきわめて積極的な協力を得ることとなりまして、去る四月十七日に至りまして、ようやく本法案の付託を見たのでございます。  付託後におきましても、文部委員会においてはなお愼重な審議を重ねまして四月二十二日に討論に入つたのでございまするが、共産党を除く各党を代表いたしまして若林義孝君より、海技專門学院が運輸省の再教育施設であることは、応急の臨時措置としては十分な意義のあるものではあるが、本商船大学設置の上は、同大学付設の教育機関たらしめることが、再教育事業のためにも望ましいという希望條件を付して賛成の意見を述べられ、次いで共産党を代表して渡部義通君より反対意見が述べられましたが、採決の結果、起立多数をもちまして、これを原案通り可決すべきものと議決した次第でございます。  以上御報告申し上げます。(拍手)
  34. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  35. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ――――◇―――――
  36. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 日程第三、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う郵便法の特例に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。郵政委員会理事飯塚定輔君。     〔飯塚定輔君登壇〕
  37. 飯塚定輔

    ○飯塚定輔君 ただいま議題となりました日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う郵便法の特例に関する法律案につき、委員会における審議の経過並びに結果を簡単に御報告申し上げます。  先般締結せられました日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の第二十一條によりますれば、合衆国軍隊の構成員等が利用するため、軍事郵便局をその使用する施設及び区域内に設置することが定められてあります。ところが、一方国内法には、郵便法第二條及び第五條に、郵便事業は郵政大臣の管理、する国営事業であること、また国以外の何人も郵便の業務を業とすることはできないことが規定されておりまする関係上、右の行政協定を実施するためには郵便法の特例を設ける必要がありますために、右法案が提出せられたのであります。  四月十日、本案が委員会に付託せられまして以来、愼重審議をいたしました結果、去る二十二日、本案に対する質疑を打切り、討論を省略いたしまして、ただちに採決をいたしました結果、多数をもつて原案通り可決すべきものと決した次第であります。  以上、簡單でありますが、御報告申し上げます。(拍手)
  38. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。田代文久君。     〔田代文久君登壇〕
  39. 田代文久

    ○田代文久君 私は、ただいま上程されました法案に対しまして日本共産党を代表し、並びに日本国民の一人として、はげしい怒りをもつて反対の意を表する次第であります。  と申しますのは、アメリカ合衆国が、本法案によりますと、日本の郵政事業に対しまして特殊の、はつきりした、強力な権利あるいは特権を持つのであり、しかも、それに対しましては何らの義務を負わない。日本だけが一方的に義務を負わされておるのであります。日本のこの国土の中にアメリカの郵便局を設置し、しかもその負担をわれわれ国民の血税でもつて補う。また、そこで使用される労働者諸君は、これまた苛酷な、特殊な労働條件によつて使用されるということは、はつきりした事実であります。そこで、われわれは、大体日本の政府は、アメリカ合衆国並びに軍隊に対して、日本のどこと、どこと、どこに大体郵便局を設置するのであるか、またその費用分担の内容はどうなつておるか、幾ら日本は負担するのであるか、またそこで使用される労働者はいかなる労働條件のもとに保護されるのであるかというようなことを質問するのは当然であります。しかるに、かかるわれわれの真劍な質問に対しまして、政府は何らの答弁をいたさない。政府の答弁によりますと、われわれはアメリカに関することであるがゆえに関知しない、所管事項とは違うのだ、こういうような、ばかげた答弁をいたしておるのであります。  なおまた、ゆゆしい重要なる問題といたしましては、これに盛つておる特権は、御承知のように、アメリカの軍隊の構成員並びに軍属、それからその家族ということになつておりますけれども、單にこれだけではないのであります。はつきり、岡崎・ラスク会談によりまして、アメリカ合衆国の政府。その他の官吏あるいは職員もこれらの特権を有するという、こういう特権を有してもよろしいか、そういう特権を持つんだがいいかということをラスクが言つたのに対しまして、岡崎国務大臣は、御異議ございませんと言つて、大きな頭を、平身低頭いたしておるのであります。まつたくこれは、アメリカ人でありますと、だれといえどもそういう特権を持つていいということが具体的に行われることになることは、はつきりいたしておるのであります。まさにこれは、凶暴なるライオンに対しまして日本の政府が猫のように奉仕しておる、痴呆的な状態のもとにアメリカに奉仕しておるということが言えるのであります。  さらに重大なることは、行政協定の第七條によりまして、日本の郵政事業につきましても優先的に米軍が使用し得るし、第二十四條によりまして、戰争や内乱のような緊急事態が発生いたしました場合におきましては、日本の郵政事業そのものが完全に米軍の軍政下に置かれるという事実であります。戰争中、日本の郵政事業はまつたく混乱し、ほとんどその機能を停止いたしました。郵便物はまつたく軍と警察の検閲を受け、信書の秘密というものはまつたく打破られるという恐るべき状態をわれわれ経験いたしておるのであります。  現在のヒステリックなアメリカの戰争政策と、その尖兵を勤めておるところの売国的吉田政府のもとに、このような米軍の命令によつてつくられた法案というものが、うのみにされました場合、その結果、日本全土が、一九四三年の、あのアツツ島の玉碎――当時逓信従業員の二十六名の勇士が、さんたんたる光景で死なねばならなかつたということは、諸君が御承知の通りであります。われわれ日本国民は、日本を含むアジア諸民族の彈圧と征服をたくらんでおりますところの帝国主義軍隊の郵便物なるものは、たつた一つでも取扱う義務は断じてないのであります。また、そのための軍事郵便局を、わが日本の国土の中に、たつた一つでもつくらせてはならないのであります。  日本共産党は、すでに立ち上つておりますところ全逓労働者を含む全日本国民とともに、このような国を売り国を滅ぼす売国法案に対しまして断固として反対するものであります(拍手)
  40. 林讓治

    ○議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  41. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ――――◇―――――
  42. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 日程第四、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う刑事特別法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長佐瀬昌三君。     〔佐瀬昌三君登壇〕
  43. 佐瀬昌三

    ○佐瀬昌三君 ただいま議題となりました、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う刑事特別法案につき、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法案は、行政協定第十七條等に基き、刑事関係の法令について、若干の特別措置を最小限度に規定せんとするものであります。  その内容を簡單に申し上げますると、第一は、既存の刑罰法令をもつてしては不十分な事項に対し新たなる規定を設けたのであります。すなわち、一、合衆国軍隊が使用する施設または区域の立入り禁止を犯す罪、二、合衆国軍事裁判所の証処を隠滅する等の罪、三、同裁判所における偽証罪、四、合衆国軍隊の軍用物を損壊する等の罪、五、その機密を侵す罪、六、その制服を不当に着用する罪について特に規定を設けたのであります。また、これらの犯罪に対する刑罰については、おおむねわが国現行法令または過去の立法例をも参酌いたしまして、適当なる懲役、罰金刑等を定めておるのであります。  本法案の内容の第二は、刑事手続についての規定であります。すなわち、一、日本国の法令による罪を犯したアメリカ合衆国軍隊の構成員、軍属または家族の逮捕並びに合衆国軍隊への引渡し、二、合衆国軍隊の使用する施設または区域内における逮捕及び差押え、捜索等の執行、三、これらの施設または区域内等において逮捕された者についての日本側の受領、四、合衆国軍事裁判所等の刑事手続に対する日本国側の協力及び合衆国軍事裁判所または軍隊による抑留または拘禁に対する刑事補償法の適用等を規定したものであります。  さて、法務委員会におきましては、四月三日、まず政府より本法案の提案理由を聞き、審議に入つたのであります。御承知のように、外国軍隊がわが国領土内に駐留するということは、歴史上初めて経験するところであります。もとより日本国民はこの駐留米軍の安全に協力すべきでありますが、同時に、駐留米軍の安全確保のゆえに、わが国民の自由を不当に束縛し、あるいは不当な処罰をもつで臨むがごときことは、かえつて日米の協力、信頼に惡影響を及ぼす結果ともなるのであります。そこで委員会におきましては、以上駐留米軍の安全確保と、日本国民の自由、人権の、保障とをいかに調和せしむべきかを苦慮いたし、前後五回にわたつて会議を開き、提案の趣旨及び各條の意義、その適用範囲につき詳細綿密なる質疑応答が重ねられ、愼重な審議が盡されたのであります。  その内容事の詳細は速記録に讓りますが、質疑のおもなもの二、三を御紹介申し上げますと、第一に、本法第一條の規定する日本国内及びその付近に配備せられる合衆国軍隊という場合における「日本国内」、「その附近」の意義いかんとの質疑に対し、政府から、日本国内とは、日本国の領域内であつて、日本の行政権が及ぶ範囲であり、また「その附近」とは、すぐそのそばを指す、従つて、本法の適用上、沖繩、台湾、朝鮮は除かれる旨の答弁があり、第二に、合衆国軍隊、その構成員及び家族の意義いかん、ことに家族についてまで特権を與えるというようなことは、国際慣例上その例を見ないではないかとの質疑に対し、政府から、北大西洋條約及び米英基地協定等に若干その例がある旨の答弁があり、第三に、合衆国軍の施設、区域を侵す罪につき刑法との関係いかんとの質疑に対しては、政府から、刑法の住居侵入罪の一般規定はもちろん適用されるが、そのほか本法を適用しなければならぬ場合がある、なお本法は、立入禁止が日米両国語で公然と明確に表示せられた場合にのみ適用されるので、農民等が不当に処罰されるおそれはない旨の答弁があつたのであります。第四は、最も論議の集中された問題、すなわち合衆国軍隊の機密保持に関するものであります。これに対し、各委員から、これは用語上、旧国防保安法及び旧軍機保護法の復活の観があるのではないか、また「機密」とは何か、「公になつていないもの」とはどういう意味か、また陰謀、教唆、煽動等犯罪実行の事前行為を罰する理由いかん等の質疑があつたのでありますが、これらに対し、政府からは、旧国防保安法等のいわゆる機密の探知、収集、漏洩という用語を本法案にも用いたが、それは軍の安全を害すべき用途に供する目的をもつてとか、または不当な方法で探知したような場合に限り、かつその機密というものも、別表に一々掲げる事項及びこれに関する文書というように限定し、その上、公になつていないものに限るというように、その目的、方法及び物について限定されている、また、いわゆる「公になつていないもの」とは、正式公表のいかんを問わず、あるいは一般に知られるに至つた事由のいかんを問わず、また公にした人がその権限を有していたか否かを問わない、また陰謀、教唆、煽動事等を独立した犯罪とした理由は、元来機密の本質は、あくまでも機密が外部に漏れることを未然に防ぐことにあるからである旨の答弁があり、第五に、合衆国軍隊に属し、かつ軍用に供する物件を損壊する罪等に関して、いわゆるその「軍隊に属し」との意義がどういうものであるかとの質疑に対しましては、政府から、いわゆる「属し」というのは、所有のほかに借用の場合も含むが、いずれにせよ、軍が直接占有管理している場合をいうのであるとの答弁があり、第六に、刑事手続に関する質疑に対し、政府からは、本法案は基本的人権を擁護せんとする刑事訴訟法の精神を排斥するような方向をとるものではなく、行政協定に基き、刑事訴訟法のつなぎに必要なる最小限度の手続規定を設けた趣旨であつて、この趣旨は速記録において特に明瞭にし、また本法運用の衝に当る者に対しては、この趣旨を十分周知徹底せしめるよう万全の措置を講ずる所存である旨の答弁があつたのであります。  かくて委員会は、四月二十二日質疑を終り、討論に入りましたところ、自由党から賛成の、改進党、日本社会党、日本社会党第二十三控室及び共産党から反対の討論があり、多数をもつて政府原案の通り本法案を可決した次第であります。  以上、簡單に御報告申し上げます。(拍手)
  44. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 討論の通告があります。順次これを許します。熊本虎三君。     〔熊本虎三君登壇〕
  45. 熊本虎三

    ○熊本虎三君 私は、日本社会党を代表いたしましてこの法案に対して反対を表明するものでございます。われわれが安保條約並びに行政協定に反対いたしましたゆえんは、それが著しくわれわれの自尊心を傷け、講和が成立したにもかかわらず依然として占領が継続しておるの感を国民に與えることを遺憾としたからであります。(拍手)はたせるかな、ここにその行政協定に基き、最も不愉快なる刑事特別法が提案されるに至つたのであります。この法案の目的とするところは、かの戰時中多くの無事の良民を苦しめましたる軍機保護法、国防保安法の復活であり、再生でありまして国民の基本的人権を、脅すことはなはだしきものがあるのであります。本法案は独立日本の名誉を害するものと信じますので、私どもは反対せざるを得ないのであります。  特に遺憾なることは、本法案が国民の権利自由を拘束制限することの大なるもののある点でございます。ことに第二條、第六條、第七條等をごらんになれば、いかに不愉快なる法律であるかが一目瞭然であります。おおよそ刑罰法規の立案制定にあたりましては、はたしてその制定が必要であるかいな事か、かりに必要でありといたしましても、国民の自由の制限をできるだけ僅少ならしめるように配慮をしなければならないわけであります。しかるに、本法案の立案の趣旨を見まするに、アメリカ軍の安全と軍機の保護のみを唯一最高の使命としてやつておるのでありまして、わが国民の権利自由の尊重擁護というものはほとんど顧られておらないのであります。(拍手)これ、われわれのとうてい賛成できないゆえんであるのでございます。  第三に、本法要六の内容を見るに、既存の刑罰法規をもつて本法の目的とする法益を守り得るにもかかわらず、あえてかくのごとき特別立法をし、国民に多大の不安を與え、また刑法の本法においてすら採用しない範囲にまで罪罰構成要件を拡張し、著しく国民の自由を侵害しておるのであります。この運用を一歩誤りまするならば、戰時中国民がなめた痛苦と不安、萎縮を再現することは、火を見るより明らかな事実であります。われわれ独立の日を待望し、平靜な気持をもつて民主的社会に生きて行くことを楽しみといたしておりましたのに、かかる法案の出現は、再び占領が継続せられるような印象のもとに、重い圧迫を感じつつ生きて行かなければなりません。これは断固としてわが日本社会党が反対するゆえんであります。  われわれは、せめて独立獲得後は、あらゆる方面に憲法の保障する権利と自由を享受いたしまして、伸び伸びとした気持で生活いたしたいと念願していたのであります。しかるに、この法律案といい、また目下、審議の過程にあります破壊活動防止法案といい、いたずらに平地に波瀾を起し、国民に圧迫感と不安をもたらしまして、この期待を裏切ることはなはだしきものがあるのであります。立法者は、立法の当初は決して濫用しないことを誓うのでございますが、一旦制定法となりますれば、それは立案者の意思を離れて独得の暴威をふるまうに至ることは、みなみなしかりであります。ゆえに、われわれは、かかる法律の出現は国民生活を萎縮させるおそれあるものと信じまするがゆえに、ここにまた濫用防止の保障もありませんがゆえに、強く本法案に反対をいたす次第でございます。(拍手)
  46. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 加藤充君。     〔加藤充君登壇〕
  47. 加藤充

    ○加藤充君 日本共産党は、本法案の撤回を求めるものであり、この法案に、絶対反対であります。  第一、この法案は日米行政協定に伴うものであるというが、行政協定の内容は、明らかに日本国憲法にいう條約である。米国では国会の承認は必要でないかもしれないが、わが日本においては国会の承認を要すべきものなのであります。このことは、国家の自主権に関する重大問題であり、国会の承認なき行政協定に根拠を持つた本法案の提出自体が不法きわまつているものであります。  第二、米国の対日講和によつて日本は米国のソ同盟封じ込み政策の前進基地となり、中ソ両国に敵対し、戰争状態を続けさせられたのであります。米軍は日本の安全を保障する、そのために駐留してくださる、だから、この屈辱も、この不自由も甘んずべきであるなどということは、正気のさたの日本人の言葉では断じてありません。講和、安保両條約によつて米国は何らの拘束も義務も課せられない。日本に米軍をとどめておくのは、米国にとつて利益だからである。その上、行政協定には廃棄規定がありません。米軍がオーケーと言わぬ限り、どうにもならないのである。これは明らかに半永久的軍事占領の押しつけであります。米軍が引続きいすわり、至るところが基地となり、その機密のために軍機保護法や国防保安法を制定することは、ポ宣言違反であり、憲法違反でありまして、本法案は断固撤廃されなければならないのであります。  第三、わが日本民族も、その歴史始まつて以来初めて米軍の占領を経験しました。七箇年の圧迫と収奪に苦しんだ日本人は、日本の完全独立と、占領軍の即時撤退を熾烈に希望し、それは国民の声となつております。しかるに、自由党吉田政府は、国民の希望を裏切り、民族の栄誉をどろまみれにいたし、占領政策を継続さすために、戰争と売国の條約に調印し、かつてに行政協定を取結んだのであります。日本国民はこれを恨み、やむにやまれず、各種各様の抵抗、自衛の行動が現われておりますが、この民族独立の闘争こそ、奪うべからざる民族の自衛権であり、名誉ある愛国の行動であります。米国帝国主義者の信頼する吉田政府は、戰争と売国の條約、行政協定を遂行するために、日本国民のこの言論、この行動の彈圧をやらなければならなくなりました。本法案は、破壊活動防止法案とともに、日本の支配者と、その忠実な召使吉田政府を防衛し、日本民族を圧殺せんとする反国民法であります。  第四、外国軍隊が駐在する場合に、その施設や区域の外においては、一般に駐在国が裁判権を持つのが国際的大原則である。もつとも、二、三の例外はある。しかし、日米行政協定にあるように、軍人、軍属の私用中の犯罪や、その家族の犯罪についても米軍の裁判権を承認した。このような屈辱は、まつたく世界史上その例を見ざるものであり、この法案は、この屈辱の具体的表現であります。  第五、法案の内容について一言附加すれば、法案によりますれば、日本の司法検察機関は完全に米軍の下請機関に組み入れられ、日本人もまた刑事訴訟法の保護すらもはずされて、米軍の命令に従わされざるを得ないのであります。米軍の施設や区域、工作物に対する侵入、不退去が処罰される。現在占領軍に徴発されている広大、重要な土地、海面、建物、施設は、ほとんどがそのままに残され、その上、行政協定の実施に伴う土地、建物等の使用収用に関する特別措置によりまして、今後も米軍のために土地、漁場、建物が使用収用され、その通達が来たら最後、ただちに、いかに生活の基礎を失うといえども、文句なしに、さつそく明渡せというのが、この法案のねらいであり、驚くべき日本人の生活破壊法であります。  最後に、いわゆる軍機スパイと軍機漏洩について触れておかなければならないと考えます。法案は、この未遂、陰謀、教唆、煽動までも処罰しようとしておる。日本刑法の原理を破り、教唆を独立犯とし、煽動罪という新しい犯罪の形をつくり出しておる。まつたく日本国民を敵視し、処罰漏れなしの体系である。  一体、米軍の機密とは何であるか。別表に掲げる事項及びこれらの事項にかかる文書、図画もしくは物件で、公になつていないものだと称して、まことしやかに別表を掲げておるのであります。しかし、防衛の方針もしくは計画の内容とは、現に完成したものばかりではなく、策定中のものをも含むというのであります。また機密とは、米軍がさして遠くない将来に敵対関係を生ずる可能性のある外国や、米軍の安全を害する意図を持つものに知られたくない事項だというのである。かくて、何が機密かという問題は、結局米軍の指定、決定に従わねばならなくなることは明らかであります。その上、公になつているのかいないのか、不当な方法とはどんな方法なのか、逆に正当な方法とはどんなものか、これらについては、まことに不明確であります。  また、米軍の安全を害すベき用途に供する目的を持ちさえしなければ処罰されないというが、これこそ危険であります。この目的の有無は、内心の問題であり、認定によつてきめられます。独立回復、戰争反対、駐留軍の即時撤退の実現を期している日本人は、米軍にはいずれも好ましからざる思想であり言動である。何げなく探知するわけはないではないかと押かぶされる危険があります。また、ちよつと注意すればわかるのじやないか、注意が足りなかつたのだとかいつて、かぶされると、過失も故意も区別がなくなります。過失犯は処罰されないなどという規定だけで、断じて安心してはおれません。盗聽器を他人の家の中に無断でしかけて、夫婦の寝物語りまでスパイする。ナチスも顔負けの秘密警察が増強され、横行しております。これが米軍の軍事警察の下請機関となり、その指揮下に動員されるとなれば、まつたくの恐怖軍政である。どこかで見て来たことを家人に話したり、銭湯や井戸端会議でうつかり話をしたりすると、探知したことで十年以下の懲役、他人に漏らしたことで五年以下の懲役と、とんでもない処罰を受けることに相なります。  煽動というのも五年の懲役であります。これは人の心に刺激を與えることであり、刺激を受けた者が、軍機を探知したり、他人に漏らしたりするといなとにかかわらず処罰されます。これでは、米軍に関係ある新聞雑誌の記事やラジオ・ニュースは、一々米軍の許可を受けるか、米軍の提供奬励する記事だけを取扱わねばならなくなつて、日本の新聞、出版印刷は米軍の報道機関とされ、その下請印刷所とならざるを得ないのであります。その上、米軍の好ましくない学問の研究発表も、強い反戰平和の言動もすべてこの煽動罪にかからないという保証はないのである。もし、ここに自由があるというのであるならば、それは彼らのちようちん持ちだけの自由であり、まつたくの奴隷の自由があるだけであります。(拍手)  日米行政協定は、それが米軍の軍機に関するという理由のゆえに、国会の審議にもかけられなかつたのでありませんか。駐留軍のおる限り、国会の論議も自由がない。現在日本は、講和、安保條約の締結により、米国の軍事的植民地として売り渡された事実を、この法案自体が明らかに証明しているところであり、これがいわゆる和解と信頼の講和という事ものの本質であることを、はつきり指摘しなければならないと思うのであります。  現在、世界総人口二十三億八千万、その過半数十五億の人たは、戰争を憎み、平和を求めております。一瞬の間に幾十万の日本広島の市民を殺した原子爆彈や、大試験管五本分あれば全世界の人類をことごとく死滅さすという細菌兵器、この使用は、一九二五年のジユネーヴで調印された国際議定書に反するし、また世界人類過半数の意思と希望を代表するワルシャワの平和擁護大会の決定にも明らかに違反しております。軍機と称して、この世界人類の人間としての意思と幸福を刑罰で押しつぶす権威は、だれにも、またどこの国にも断じて與えられてはおりません。  国会の多数決は、断じてこの法案を適法有効ならしめるものではありません。世界人権宣言も明らかに示す通り、政府の專制と暴圧の結果、国民の基本的権利が剥奪されるときは、全国民は実力をもつてこの犯罪政府を転覆するでありましよう。これは断じて暴力ではありません。名誉ある愛国の闘いであります。民主主義の発展の歴史と、民族解放の歴史は、この行動によつて書きつづられておるのであります。  わが党は、この国民的闘争の先頭に立つて、売国と戰争の吉田政府の犯罪企図粉砕のために、断固闘うものであります。(拍手)
  48. 林讓治

    ○議長(林讓治君) 猪俣浩三君。     〔猪俣浩三君登壇〕
  49. 猪俣浩三

    ○猪俣浩三君 日本社会党第二十三控室を代表いたしまして、本法案に反対をいたします。いろいろ詳細なことは前の反対論者が盡されましたから、なるべく簡單に申し上げたいと存じます。  第一点は、先の討論者からも出ましたことでありますが、本法律案のその基底をなしまするものは行政協定でありまして、この行政協定が憲法の第七十三條に違反するものであることは明白であります。(拍手)憲法第七十三條には、いやしくも條約である以上は国会の承認を得なければならぬことになつておるのでありまするが、この行政協定は、われわれは審議することができませんでした。およそ承認ということは、ある具体的な草案がありまして、それを認めるか認めざるか、さような意義であることは、これは幼稚園の生徒にも明白な論理であります。しかるに、政府は詭弁を弄しまして、遂にこれを国会の審議にかけず、行政協定は成立いたしました。これをわくといたしまして、この法案ができておるのでありまするがゆえに、私は、この法律案それ自体が根拠のないものであり、最高裁判所に訴える際には、違憲の法律として裁判せられるおそれが十二分にあると思う。かような法律に、われわれは賛成するわけには参りません。  この法律案の内容は二大別できまするが、一つは、合衆国の軍隊の安全を保障いたしまするところのいろいろの條項、二は、いわゆる治外法権の具体的な條項であります。この合衆国軍隊の安全を保障する手段といたしまして、第二條には、その施設及び区域に立ち入ることを禁止し、あるいは要求を受けて退去せざる者を、不退去罪として一年以下の懲役、二千円以下の罰金、科料に処するということになつておりまするが、私が委員会におきまして、政府委員に今合衆国の施設として強制収用せられた、土地があり、そこに農民が田畑を経営し、あるいは家屋を持つている際に、その政府の強制収用なり強制処分に反対で、その強制処分取消しの訴訟をやつている最中に、これを立ちのけというような要求を受けた際に、今訴訟中であるから、その判決を待つて立ちのくというような場合でも、この二條の違反になるかという質問をいたしましたところが、それは違反になるのだという答弁で、ありまするから、とにもかくにも、政府の強制処分によりましては、自分の生活権さえ奪われる者が生じて来るという次第に相なるのでありまして、相当われわれの基本的人権を侵害する規定が含まれているわけであります。  なおまた三條、四條のごときは、合衆国軍隊の裁判権を確保するために、偽証あるいは証拠を隠滅することを処罰する。合衆国軍隊の裁判のために日本人が処罰されるという規定でありまして、これもわれわれとしては、はなはだ悲しむべきことであります。  第六條は、問題になりました合衆国軍隊の機密を探知、収集あるいは漏洩する罪であり、第七條は、陰謀あるいは教唆、煽動を処罰するという規定であります。私どもは、日本国憲法第九條によりまして、一切の戰争を放棄し、戰力の保持を禁じておる。されば、軍隊及び戰争に関しまするところの一切の規定というものは、われわれの頭上から取去られた。刑法第八十三條ないし第八十六條は、その趣旨において削除せられました。すなわち、軍隊の機密を探知、収集し、あるいは漏洩し、あるいはこれを外国に通報するがごとき規定は一切削除せられたのであります。なお要塞地帶法、軍機保護法、国防保安法と称する、かような一連の單行法も、ことごく消滅いたしましたわれわれは、やれやれと胸をなでおろしたのでありますが、しかるに、これもつかの間で、現われましたものは、場合によりますとなおそれよりも苛酷、なる條項を含みますところの、この特別法の第六條、第七條であります。これは、われわれにとりましては容易ならざる立法であります。今上程せらておりますところの破壊活動防止法案よりも、あるいは場合によりましては言論の自由に影響を及ぼすところの危険な法律、でありまして、これは実に愼重に審議しなければならぬ大法律だと思うのであります。  ところが、私どもは、この審議につきましても、いささか不満がある。法務委員会を開きましたことは四回か五回であります。旧国防保安法なるものは、昭和十六年の二月一日から審議せられまして当時は軍部、官僚の勢力はなはだ盛んにして、国内は戰時色に塗りつぶされておりましたが、その時分の、この国防保安法なるものの審議状態を、調査いたしてみますると、かような状態のもとにおきましても、当時の国防保安法案特別委員会におきましては、衆議院におきましては前後七回の委員会を開催し、相当活発なる質疑応容が繰返され、なお時の柳川司法大臣は、大体毎回出席しておつた。今度の法務委員会におきましては、法務総裁はただ一回出席したのみである。あとは局長にまかせておくというような始末、かように、われわれの言論に重大なる関係のありまするこの大法律を審査するにつきましては、はなはだ不十分であると私は考えておるのであります。  かような次第で本日上程されておりますが、なお場内は寥々たる人事数であります。このわずかなる人数によりまして、この基本的人権に大侵害を及ぼすような法案が一瞬にして成立するかと思いますと、実に私は感慨無量でございます。こういう意味の法案でありまして、私どもは、賛成するわけに行かない。なお政府は、いろいろこれが言論の自由の束縛にあらざることを説明しておりますけれども、その政府の答弁のいかんにかかわらず、この法律が一旦でき上りますならば、これを施行いたしまするところの下部機関においていかなる行動をとるかは、過去の治安維持法の運用その他においても、われわれは推測できるのでありまして、この点におきまして、アメリカあたりとは非常に差異がある。アメリカあたりにおきましては、相当の、あるいは言論、集会に対する規制の法律がありますけれども、これにつきましては、かの行政庁の最高長官でありまする大統領は、こういう法律につきましては必ず拒否権を行使いたしまして、これに反対の意を表明いたしておるのであります。しかるに、日本の行政官の長官である総理大臣は、先頭に立つて、こういう反動立法、人権を抑圧するような法律案を盛んに出そうといたしておりまするので、天地霄壤の差異がある。されば、その上の行うところ下これにならうで、下の官僚どもが、得たり賢しと、この法律を濫用することは明らかである。  なおまた、アメリカ最高裁判所には、相当の高邁なる判事がおりまして、事いやしくも言論の自由というようなことにつきましては、最高度にこの自由を保持せんとする努力をしておることは明らかであります。明白にして具体的なる差迫つた危險のない場合においては、こういう言論を圧迫するような法律は、ことごとくこれを違憲なりとして裁判所ては解釈しておる。こういうことろにおきましては安心できるかも存じませんが、日本の裁判所あるいは日本の行政官、これはわれわれ安心できない。  そこで、かような心配になるような法律は、これをつくらざるにしかず、かような意味におきまして、私どもはこの濫用を心配し、こういう民主政治の最高の基点でありますところの言論の自由をいやしくも抑圧するような法律案に対しては、賛成するわけには参りません。  なおまた、この治外法権の問題につきましては、いまさら申し上げるまでもなく、明治の初年以来四十数年かかりまして、当時の政治家が苦心さんたん、ようやくかち得ましたところの平等條約、これが今やまた逆転いたしまして、しかもこれは今まで世界に実例を見ないような大きな特権が合衆国軍隊に與えられておる。合衆国の軍人、軍属、その家族までがこの治外法権を持つに至りましては、まことにわれわれは言葉がない。家族が、構成員の一員として、日本国内至るところに治外法権を持つがごときことは、今政府は、いや他に実例があるというような答弁をいたしましたけれども、これはまつたくうそであります。大西洋條約、あるいは米英協定、あるいは米比協定におきましても、いわゆる軍人の家族がこの治外法権を持つがごときことは絶対にありません。軍人に治外法権を持たせることは、あるいは合理的説明もできるかもしれませんが、一体その家族に治外法権を認めるがごときことは、何ら合理的な説明ができないはずであります。  われわれは、かような屈辱的な法律をしいられておる。私どもは、かような意味におきまして独立だ何だといいましても、現われましたるものは実に屈辱的な法律であつて、かようなものに対しましては、私どもは賛成するわけには参りません。かように、このいわゆる刑事特別法の十條以下、はなはだ屈辱的な條項がたくさん規定せられておるのでありまして、かような意味におきまして、私どもは賛成するわけに参りません。  以上申し上げましたような、憲法に違反する協定を根本とする法律、しかもわれわれの基本的人権を侵害するおそれのあることが多々規定されておるこの法律、しかも国辱になるような治外法権を詳細に規定しておるこの法律、かような法律に対しましては、断固としてわれわれは反対するものであることを、ここで論ずる次第であります。
  50. 林讓治

    ○議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。  野党各派から本案の採決につき記名投票の要求がありますから、その投票に入るはずでありますが、この際暫時休憩いたします。     午後五時十三分休憩      ――――◇―――――     〔休憩の後は会議を開くに至らなかつた〕