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1952-03-14 第13回国会 衆議院 外務委員会 9号 公式Web版

  1. 昭和二十七年三月十四日(金曜日)     午前十一時三十二分開議  出席委員    委員長 仲内 憲治君    理事 近藤 鶴代君 理事 並木 芳雄君       植原悦二郎君    北澤 直吉君       福田 篤泰君    水田三喜男君       小川 半次君    松本 瀧藏君       山本 利壽君    林  百郎君       羽田野次郎君    黒田 寿男君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡崎 勝男君  出席政府委員         人事院事務総局         法制局長    岡部 史郎君         外務政務次官  石原幹市郎君         外務事務官         (大臣官房長) 大江  晃君  委員外の出席者         専  門  員 佐藤 敏人君         専  門  員 村瀬 忠夫君     ――――――――――――― 三月十四日  並木芳雄君が理事に補欠当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  外務公務員法案(内閣提出第四五号)  国際情勢等に関する件     ―――――――――――――
  2. 仲内憲治

    ○仲内委員長 ただいまより外務委員会を開会いたします。  まず外務公務員法案を議題といたします。本案に関しましては、先ほどの人事委員会との連合審査会における質疑を継続することといたしまして、各章ごとに、一章ずつ質疑を行うことといたします。それでは第一章総則第一條ないし第四條について質疑を許します。御質疑はありませんか。
  3. 北澤直吉

    ○北澤委員 今回の外務公務員法案をつくりました趣旨は、一つは外務公務員というものを、一般公務員とわけで、そうして別個の法律のもとにこれを規定するということと、それから在外公館に勤務する公務員と、それから本省に勤務する公務員のうちで、外交領事事務に関係するものをまとめて一本にしてやる、これが大きなねらいだと思うのであります。先ほども人事委員会との連合審査会におきまして、特に外務公務員法をつくつた理由につきまして、いろいろ質疑があつたのでございますが、これはやはり外務公務員の仕事の特殊の性質等にかんがみまして、一般公務員とこれをわけるということは、国際慣例であります。従いまして私はこの外務公務員法というものをつくつて、外務公務員というものを規律するといういとが適当であろうと思うのでありますが、ただこれについて心配になりますのは、一般公務員と違つた外務公務員法というものをつくる場合におきまして、外務公務員と一般公務員との間の人事の交流について、支障ができはせぬか、もし全部が一般公務員ということになれば、外務省と各省との間の人事の交流も、比較的円満に行くと思うのでありますが、こういうふうに外務公務員という特例をつくると、ともすると外務省だけに立てこもる昔の霞ケ関外交というものができて、各省との人事の交流ということについて、支障が出わせぬかということを、私は心配するのでありますが、その点についてどういう考えを持つておられますか、お伺いいたします。
  4. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 まことにごもつともな御質問と思うのでありますが、しかしこの外務公務員法ができたから特別に支障になるというような点は、私ただいまのところではないのではないかと思います。ことに第十條等には、いろいろ各省からも外務省に入つて来るということもありますし、それから人事院規則によりまして、転職等も自由に行われるのでありますから、要はこの法律の運営といいまするか、外務省人事の将来の運営の問題にかかわる問題ではないかと思うのであります。
  5. 北澤直吉

    ○北澤委員 戦争前におきましても、たとえば外務省の職員を採用する場合には、外交官、領事官試験というものがございまして、一般行政官の試験とは別個の試験制度がありました。それからまた任用についても、そういうふうな一般行政官と違つた任用の仕方があつたのであります。そういうことから、ともすると外務省と各省との間の人間の交流というものが、円満に行かない、従つて外務省の人はずつと外務省におる、従つて国内各方面との連繋という点につきまして欠陥がある。いわゆる霞ケ関外交というような非難もあつたのであります。私はもちろんこの外務公務員法というものをつくるという趣旨には大賛成でありますが、ただその結果、従来ありましたような外務省と各省との人事の交流という点について支障のないように、人事の運営についてお骨折りを願いたいということを申し上げておきます。  次に伺いたいのは第二條であります。第二條の五に「政府代表又は全権委員の代理、顧問及び随員」というものがあるのであります。この随員というのは、ある場合におきましては、ほかの役所の――たとえば大蔵省とか農林省とかの公務員が全権委員の随員になるというような場合もあるのであります。そういう場合におきましては、その随員は一般公務員であると同時に、外務公務員というふうに二重の資格を持つのでありますが、そういう場合におきましては、随員というものは一体外務大臣に属するか、所属の役所の長官に属するか、どつちか。その給与等はどこから出ますか。その点をひとつ……。
  6. 大江晃

    ○大江政府委員 他の官庁の職員が随員になります場合は、随員として行動する場合においてのみ法律の規定を適用するということになりまして、他は全部所属しておる官庁の指揮監督等を受けるのであります。
  7. 北澤直吉

    ○北澤委員 そうしますと、何か命令が二途に出るようなかつこうになると思うのであります。たとえば給与とか身分とかいうような関係については、所属の官庁の監督を受ける、ただ随員という職務の範囲において外務大臣の指揮を受ける、こういうふうなことになるのでありまして、その随員といたしましては、一方においては所属の官庁、一方においては外務大臣、こういうふうな二重の監督を受けるようになると思うのであります。そうしますと、この仕事の点その他におきまして、おもしろくない点も私は出ると思うのでありますが、その点について、どうお考えでございますか。
  8. 大江晃

    ○大江政府委員 たとえば随員になりまして国内あるいは国外で活動いたします場合、これは外務公務員に任命いたしますので、この随員になりました問題に関する限りは、これは外務大臣の指揮監督のもとに動く、こういうことになりますから、この点に関します限りは支障がないのじやないか、こう考えております。
  9. 北澤直吉

    ○北澤委員 これは一つの参考と思うのでありますが、アメリカでフーバー委員会というものができまして、アメリカの行政機構の改革についていろいろの意見を出しておるのでありますが、アメリカの国務省の改正に関する意見の中に、随員とか、こういうものは予備職員にしてはどうか、それからまたその随員の給与などは、おのおのそれらの官庁の予算から国務省に移してはどうかというふうな意見も出ておるのであります。結局問題はこういう随員というものが一面においては所属の官庁、一面においては外務省、両方から身分その他について監督を受けるのは、おもしろくないというのが改正の基礎だと思いますが、外務省においては将来そういうものをお考えになる用意があるかどうか伺いたい。
  10. 大江晃

    ○大江政府委員 たとえば旅費の問題、あるいは給与の問題につきまして、随員が外務公務員であるためには、外務省に一本にしてやるということは、外交の一元化、その他の活動の上に非常に有用だというように考えております。但し現在の段階におきましては、各省の関係その他におきまして、なかなかその方向に参つておりませんが、外務省といたしましては、そういう方向に進みたいというように考えております。
  11. 北澤直吉

    ○北澤委員 次に伺いたい点は、先ほども並木委員から質問があつたのでありますが、いわゆる特使というものが最近よく使われておる。特にアメリカなどでもいわゆる特使という形でいろいろな方が外国に出ておるのでありますが、こういう公の資格を持たない特使が出て行つて、その土地におる大使や公使と別個な行動をすると、いうふうなことは、やはり外交が多元的になるという心配が非常に多いのであります、従いまして将来日本政府において特使を出されるというふうな場合におきましては、その行きまする国の大使あるいは公使というものと、十分なる連繋をとるか、あるいはそこの大使の監督を受けるか、あるいは在外公館の長と十分なる連絡をとらぬと、外交が二つにも三つにもわかれるという心配が非常に多いのであります。従いまして特使というものは私の使節であつて、いわゆる外務公務員に入らないと思うのでありますが、そういうものを将来派遣する場合におきましては、特使の派遣される国におる日本の代表者たる大使、公使と十分連絡をとるか、あるいは大使、公使の監督を受けるというような仕組みにしないとおもしろくない結果が出る、こう思うのでありますが、その点について政府の意見を伺います。
  12. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 在外の大公使と十分連絡をとらなければならぬことはもちろんでありますが、ただ今お話の監督を受けるという点はどういうふうになりますか、これと十分緊密なる連絡のもとに行動をしてもらい、また行動しなければならぬということはお話の通りであろうと思います。
  13. 北澤直吉

    ○北澤委員 それでなくても、従来日本の外交が幾つにもわかれて、いわゆる二重外交とか三重外交とか言われておつたのであります。それは外務省の機関以外にいろいろのものが出まして、各個別々のいろいろな交渉等をするということから、日本の外交について二重、三重というような非難があつたのであります。今回の外務公務員法におきましては、外務職員全部が外務大臣の監督を受けるということで、この点は外交を一元化するという点におきまして、これは非常に前進したわけでありますが、ただいま申し上げましたように、外務公務員でない特使というものがたくさん出て、これが現地の大使、公使とあまり関係なく行動することは、せつかく政府の目的といたしております外交の一元化という問題から申しますと、おもしろくない結果を生じますので、その点については将来十分御留意願いたいと思います。  次に伺いたいのは、第二條の4のところの外務職員の定義ですが、「「外務職員」とは、外務省本省に勤務する一般職の国家公務員のうち外交領事事務」云々と書いてあります。そうしますと、大体政府のお考えになつております外務本省に勤務する一般公務員のうちの外務職員とは一体どういうものであるか、その考えを承りたいと思います。
  14. 大江晃

    ○大江政府委員 本省におります外務職員とは、各局長以下、課長、事務官、これは外交領事事務に直接関連する業務を含む――その括弧にあります「直接関連する業務」というものは、人事、会計等の担当の職員も、直接に外交事務に関係があるというように考えるのでありまして、そういうものまでも入ると思います。それから一般的の補助業務に従事する者、これは庶務を担当しておる職員、これも外務公務員の適用を受ける職員、こういうように考えます。
  15. 北澤直吉

    ○北澤委員 それでは本省に勤務する職員のうちで、外務職員のうちで、外務職員でない者は、大臣、次官、事務次官、そのほか一体どういうものでありますか。
  16. 大江晃

    ○大江政府委員 タイピストであるとか、あるいは運転手、守衛、書記、あるいは特殊の印刷工というものが一般公務員の方に入ります。
  17. 北澤直吉

    ○北澤委員 そうしますと本省に勤務する職員は大部分は外務職員である、外務職員でないものは、大臣、次官、それからタイピスト、そういう技術的なものだけで、あとは全部外務職員に入る、こう了解してよいのでありますか。
  18. 大江晃

    ○大江政府委員 さようであります。
  19. 北澤直吉

    ○北澤委員 それでは私の第一章の質問はこれで終ります。     ―――――――――――――
  20. 仲内憲治

    ○仲内委員長 ただいま岡崎国務大臣が出席されておられますが、時間の都合でお急ぎになられるとのことでありますので、外務公務員法案の質疑を一時中止いたしまして、この際岡崎国務大臣に対する質疑を許すことといたします。  それでは国際情勢等に関する件についての質疑を許します。林百郎君。
  21. 林百郎

    ○林(百)委員 行政協定の細目について少し岡崎国務大臣にお聞きしたいと思います。第十二條の工事または調達物資の供給の業者の選択に関する件でありますが、第十二條の第一項によりますと、選択に関する制限を受けないというのでありますけれども、これはまつたくアメリカの駐留軍の自由にまかされるのであつて、これについては日本の政府の、介入というものはあり得ないのかどうか。もう少し補足しますが、たとえばアメリカの軍隊としては、その工事の請負あるいは物資の調達については、これは軍の機密に属するものということで、アメリカの業者あるいはアメリカ軍と特殊に結びついた日本のほんの一部の業者に限られるというようなことになる。たとえば日本政府が工事や調達を請負わす場合において、公平に入札するという公平な選択の機会がとざされることになると思いますが、この点については岡崎国務大臣はどうお考えになつておるか、まずお聞きしたい。
  22. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは場合によつてはこういうこともできるという規定でありまして、原則としては、日本の法律に従い、日本の慣習に従つて調達その他のことをやるのであります。ただいま林君の言われたように、特に高度の技術を要するとか、あるいは特に必要な他の理由で特殊の場合には、こういうこともできるのだということをここで書いておるのであります。
  23. 林百郎

    ○林(百)委員 それはちよつと岡崎国務大臣は違うと思うのですが、第一項が原則で、原則としてアメリカ軍としてはその選択に関する制限を受けない、しかし二項でもつて日本国の経済に不利な影響を及ぼすおそれがある、あるいは望ましいときはというので、原則はやはりアメリカ軍が業者に対する選択権を持つておるというのであつて、あなたのは逆だと私は思いますが、どうか。そこでその問題は少し抽象的ですから、もう少し具体的に申しますと、実は業者の中からも直接軍との契約という形をとりますと、戦勝国と、敗戦国の業者という形で契約を取結ばなければならないから、非常に不利な條件を忍ばなければならない。従つてこれはあくまで対等の形で契約を締結する必要があるし、たとえば締結の形式についても日本の慣習、それから日本の書式、そういうもので対等の立場で契約を結ふべきだという意見が非常に強く要望されているのでありますが、第十二條の一項によりますと、これはむしろ例外的だということでなくて、これがむしろ原則で、この特需物資の発注についての大きな権限は、やはりアメリカ軍が握つているというのが、この第十二條のすなおな解釈だと思わざるを得ない、この点をもう一度お聞きしておきたい。具体的には業者と契約する場合にはどういうようにさせるか、それをお聞きしておきたい。
  24. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これはここで條文について議論をしても、意見の一致を見ないかもしれませんが、これは一、二、三、四と書いてあるのであつて、どれもこれも同じインポータンスを持つた項目なのであります。一に書いてあるからこれが原則で、二から以下は細則であるとか、特殊な例であるというようなことではないのであります。なおこれはもう事実私が言つたようになりますから、実際にこれが動いたときにごらんになれば、林君も納得が行くと思いますけれども……。
  25. 林百郎

    ○林(百)委員 それを説明してみてください。事実どうなんですか。
  26. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 事実はこれからやるのでありますから、事実で私は証明しようというのであります。事実というのは、ただいま申したように、特殊のものは別であるけれども、普通の発注等は、普通の日本で行われている慣習によつてやる、たとえば競争入札でやるのはやる、あるいは指名でもつて幾つかの業者を選んで、指名入札をさせることもある、そういうような普通の入札手続でやる。
  27. 林百郎

    ○林(百)委員 それは軍が応募者を集めて入札させるのですか、それとも直接調達の形でそれを軍がやるのか、あるいは日本の機関が入つて、いわゆる間接の調達という形で、この競争入札とかあるいは契約を日本の書式で契約するという形で出て来るのでありますか、どつちですか。
  28. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは契約にはすべての場合があるのであつて、第二項でごらんになるように、日本の経済に重要な影響があるときは、まず日本の経済官庁にその全貌を示しまして、その中で必要な場合には、日本の政府の援助を受けてやるものもあり、あるいは日本の政府を通じて調達をするというのもむろん出て来ます。そのほかにまたアメリカ側が、第一項にあるような特殊なものについては自分の方で権利を持つ場合もあるということであります。
  29. 林百郎

    ○林(百)委員 具体的に申しますと、実は昨年の暮れに十四の各自動車会社から、在日米軍用車輌再生修理の直接調達を、ひとつ間接調達の形にして、対等な立場で間接の調達の形式にしてもらいたい。米軍の調達が直接調達の方式によつて行われる場合は、本来自由対等なる商業的基礎によるべき契約が、みずから非対等かつ一方的なものとなる結果、業者は往々にして不利不当な條件をしいられ、ために企業の基礎を脆弱ならしめ、その経営と労務に及ぼす悪影響は、結局業務の円滑なる遂行を危殆に瀕せしむるに至るべきこと、契約の一方の当事者が進駐軍であり、当事者の他方が敗戦国の民間業者であるという現実は、必然的に契約の内容とその実施を一方的、強圧的のものたらしめる、こういうのが出ておりますが、たとえば車輌の発注、再生修理、こういうようなものはどういう形式になりますか。
  30. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 こういうことは、今特別作業班でもだんだんに話をして行くことになつておるし、合同委員会がまた引続きやることになりますが、現在の占領下にある状況を、独立後も継続するのだという考えは払拭して、新しい観点から新しい契約で物事が進むのだとまず原則的にお考え願いたい。従つてもう平和條約ができますれば、敗戦国とか戦勝国とかいう観念はなくなつてしまうのでありまして、進駐軍というものもなくなつてしまう。新しい切りかえられた平等の立場でもつてやることになりますから、いろいろのものがすべてかわつて来ることは当然であります。自動車業についてどうかと言われますが、これは自動車業のみならず、そのほかの業種についても、これから話を始めて行くのでありますから、まだ具体的にそこまで行つておりません。
  31. 林百郎

    ○林(百)委員 大事な点のところに行くと逃げてしまわれるのですが、はつきり申しますと、そうすると大部分は間接調達の形でやる、特殊なものだけは直接の調達にするという意味ですか、あなたの考えは。それともその点もまだはつきりきまらないというのですか。
  32. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 まだきまつておりません。
  33. 林百郎

    ○林(百)委員 ですからそれがきまつてないなら、あなた何も言えないことになるわけですか、とにかく日本の業者がそういう希望を持つておる、そういうことに対して、岡崎国務大臣として将来どういう形をとりたいということでも――政府のそれに対する方針、それが今具体的に予備作業班を通じてどういう形になつておるかということを、率直に私は国会で聞かしてもらいたいわけなんです。これは業者の問題と同時に、業者の背後にある実は労働者の問題にもなりますから、もう少し率直に岡崎国務大臣は、やはり国際問題と別で、非常にこまかに技術的な問題ですからあなたもそう警戒なさらないで、いくら共産党の質問でも、もう少し率直に聞かしていただきたい。これはたくさん請願が来ておりますから、それで聞いておるわけなんですから、たとえば契約の方式だとか、直接軍がやる場合にはこう、直接軍がやらない場合には、日本の政府のどういう機関がどうということを、説明願いたいと思つております。  それでもう一つこれについてお聞きしますが、公認調達機関ですが、この公認調達機関というのは、どういう構成でどういう権能を持つのか。これはアメリカ側が公認調達機関というものを持つのか。あるいは日本の機関で、アメリカが公認したものということを言うのか。この点について、公認調達機関というのは非常に大きな役割を果して来ますから、これをぜひ聞いておきたい。たとえばこれの十一條を見ますと、「合衆国軍隊、合衆国軍隊の公認調達機関」とあるわけなんですが、これは條文から見ますと、アメリカ側の公認調達機関というようにわれわれは解釈せざるを得ないのでありますが、この点をひとつお聞きしておきたい。
  34. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 初めの方の御質問については、私も別に隠すようなことは一つもないのであります。隠したつてだんだんわかつて来るにきまつているのですから。ただ話合いがまだできていないから具体的な話はできない。原則の話をしておるわけなのです。原則の話は、そういう今読み上げられたような変な関係はもうなくなつてしまつて、進駐軍もなくなつてしまう、敗戦国という観念もなくなつてしまうのです。それで普通の関係で行く、こういう御説明をしておる。具体的には、まだあなたの言われる通り、説明できない。  それから公認調達機関というのは、これもまだどういうものが公認調達機関になるかわかりません。この文章で見られるように、合衆国軍隊の機関もあり得ますし、それから合衆国が認めた日本の機関もあり得る。たとえばかり特別調達庁というものが今後ずつと引続きあれば、これを合衆国の機関が公認調達機関と認めれば、これもなり得る。どちらもあり得る。合衆国の方からいえば、調達の係を設けてこれが調達機関だと、こういうこともできる。しかしまだどれをするかということは、きまつておりません。
  35. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると公認調達機関は、ひとつ三つの場合を考えて説明願いたいと思いますが、アメリカ側の公認調達機関というものがある。場合によつては、あなたの言われるように、日本側の調達機関でアメリカが承認したものは、この公認調達機関になり得る。それから日米の合同の公認調達機関というものがあり得るのかどうか。私たちがこの條文で見ますと、大体アメリカ側が決定権を持つて、アメリカ側の調達機関で、日本側のものがアメリカの公認調達機関になるという余地はないようにわれわれには解釈されますが、この三つの場合のどういう場合が一番一般的な場合か、それをお聞きしておきたい。
  36. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 アメリカの機関であるとか、日本の機関はなり得ないとか、そういうふうにすねてお考えにならなくてもいいのであつて、これは今後相談しまして、一番適当と思われるものをするわけであります。日本側も当然アメリカ側と相談しまして、日本の状況に合うような適当なものをつくりますが、これは主として税の免除その他についてやるわけですから、最も公正なものを公認調達機関とするつもりで考えております。
  37. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると公認調達機関というのはたくさんあるのですか。ただ一つの機関がオーソリテイを持つてやるのですか。
  38. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 一つと限りません。それが形においては、中央に一つあつて、それの何といいますか、下部組織といいますか、それが地方にあるという場合もあり得ましようし、それから地方に別にある場合もあり得ます。まだきまつておりませんから、具体的には、一つであるか二つであるかということは言えませんが、どちらの場合もあり得る。
  39. 仲内憲治

    ○仲内委員長 まだ大分ありますか。
  40. 林百郎

    ○林(百)委員 もう二、三点です。  それから第二十五條の国防分担金の使用の問題であります。国防分担金につきまして、一一億五千五百万ドルに相当する額の日本国通貨を合衆国に負担をかけないでその使用に供する」とありますが、これはこの予算を向うの自由の使用にまかせて、支払いだけを日本政府にさせるという意味ですか。それともその予算の使途やいろいろまで、全部日本側が組んで、日本側が支払うという、要するに一定のものを除いた国防分担金は、向うがこれを握つて、支払いだけを日本政府にさせる、何を幾ら買うというようなことは、日本政府ができるのですか、その点を聞いておきたい。
  41. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これはこの協定にありますように、そしてまた分担金という名前が示すように、これはアメリカの軍隊がここにおるための費用であります。ですからその費用はアメリカの軍隊が支払うべき費用でありまして、その一部を日本政府が分担するというのでありますから、これは何といいますか、よく俗にどんぶり勘定と言つておりますが、アメリカの費用の中へその金を入れまして、そして形式的にはアメリカの軍の経理官が全部の費用を持つておつて、それから支払うと、こういうことになります。
  42. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると大体アメリカの国防分担金の一部を日本が負担したのだから、これはアメリカの経理官がこれを掌握して、それから具体的に円で支払う手続だけは日本政府がやると、そういうように解釈していいのですか。
  43. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 さしあたりは日本政府がやるのでありますが、議事録をごらんになるとわかりますが、「ラスク氏は、次のとおり回答した。」と、いつて「私は、この資金の支出が合衆国によつて行われるものと了解する。しかし、前記の支出手続が実施に移される前に、合衆国議会の授権立法が必要とされる。臨時的措置として、これらの資金の支出は日本国の支出官吏によつて行われるが、その支出は貴下の説明された計画手続に従つて行われるものと了解する。」こういう趣旨であります。
  44. 林百郎

    ○林(百)委員 そうしますと、日本の大蔵省側で出しておるジヨイント・アカウント、日米の共同勘定にして、それを日米の具体的な項目、何にどう使うというような項目を、日本側が組んで、その項目の組み方までも日本がこれを握つて、そうしてその支払いは日本側がするという形でない、要するにジヨイント・アカウントの日本の大蔵省側の希望でなくして、大体アメリカ側の必要な一定のものを除いた、五百五十億くらいになりますが、これを日本側から完全に引渡しを受けて支払いを日本側だけにさせる、こういう構想と見ていいわけですか。
  45. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは今申しました通り議事録をごらんになると、今申されたことの中には、こういうことが書いてありますが、十三ページの終りから四行目から三行目にわたつて「2(b)に規定する円資金は、」これが一億五千五百万ドルですが、「日本国政府が四半期ごとに合衆国特別勘定に繰り入れることになる。」ですからこれはそういうことになります。  第二の御質問は、合衆国の議会の授権立法が必要とされるから、それができるまでは大蔵省の官吏がこの支出行為もやる、こういうことになります。
  46. 林百郎

    ○林(百)委員 その次に第十三條に関する問題でありますが、第七條にも関連して来るのでありますが、七條は「公益事業及び公共の役務を利用する権利」これに対して優先権を持つと思います。これは労務の問題でありますが、それから第十二條で、雇用の條件その他は別に相互に合意される場合を除くのほか、日本の立法によるとありますが、ここに「別に相互に合意される場合を除く」という除外例が設けられてをるのでありますが、こういう七條による公共事業に従事する役務、それから一般に向うに提供される役務の調達については、将来どういう形でされるのか、原則として日本政府の、日本の諸立法によるというように書いてありますが、ここでは除外例があり、さらに七條については、公共の役務を優先的に享有する権利というようなことがあつて、非常に大きな例外と非常的な措置が予定されるのでありますが、この労務の調達については将来どういう形式をとられるのか、それをお聞きしておきたいと思うのであります。
  47. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 第七條の規定につきましては、初めのところの條件をごらん願いたい。「日本国政府の各省、各庁に当時適用されている條件よりも不利でない條件」、それで優先的に利用される、こういうことであります。ですから日本の政府の機関が、公共の役務――というのは主として伝染病の予防であるとか、そういうような役務です。消火というか、消防なども公共の役務になつております。伝染病の予防とか、その他水をきれいにする、水の殺菌をやるとか、こういう公共の役務であります。これは日本政府の機関よりは不利益でない條件で満たされる、こういうことであります。  それから第十二條は、ですからそれとは全然別問題でありますが、別に規定されると言いましたかね。
  48. 林百郎

    ○林(百)委員 別に相互に合意される……。
  49. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 別に相互に合意される條件に従つて、これは軍隊のことでありますから、今何もどういう合意が必要であるということは考えてもおりません。向うも何もそういうものは必要であると予想しておりませんけれども、軍隊というものはそういう場合があり得るのでありまして、これは北大西洋條約に基く軍隊の地位に関する協定の中にやはり同様の文句がありまして、それを取入れたのですが、いずれの国もこういうことについてはやつておりますから、こういう文句を入れただけで、日本については今どういう特別の合意が必要であるかということは、われわれの方には全然ありませんが、アメリカ側でも今全然考えておりません。
  50. 林百郎

    ○林(百)委員 公共事業というのは、どうも岡崎国務大臣の解釈よりももつと広範囲に解釈できると思いますが、公共事業というのは、たとえば私鉄の軌道、電力、ガス、水道、こういうものもやはり私は公共事業に入ると思いますが、この公共事業及び公共の役務、これに従つておる役務まで優先的に――日本政府よりも不利でない條件ですから、有利な場合は幾らでもいいわけですから、これを優先的に享有する権利を有する。たとえば第八條で行きますと気象の業務、これは気象の結果の報告だけではなくて、一切の施設から業務まで提供することが約束されておるわけです。  こうなつて来ますと、結局この第七條、第八條、第十二條の、別に相互に合意される場合を除くのほか労働條件は日本の諸立法によるということになりますと、これは大体今の占領下における労働者の労働條件とそうかわりない條件を、向うが要求し得る條文がちやんとあるし、またそういうことも考えられると思いますが、現に昨年の十二月十七日に、富士自動車株式会社の工場では、これは向うの監督官でありますが、この会社に対して、どんな性質のものにしろ、この工場においては政治活動をしてはいけない。政治活動は就業時間中はもちろん、就業時間外、土曜日、日曜日及び祝祭日でも追浜兵器工場では、何どきでも禁止する。合衆国政府の備えつけまたは利用設備が正常に稼働している時間中は、前記のいずれの合衆国政府財産内でも、政治的性格を有する労働組合活動は禁止する。どんな形のものにせよ政治的ないしはその他の組織をつくるための集合はアシスタント・グループ・マネージヤー、または工場監督官の許可を得なければならない。貴社はこの通牒を貴社の日本人従業員全員に周知させるとともに、これを追浜兵器工場地区内の全工場及び建物の掲示板によく目につくように掲示するもの云々というような通達が出て来ております。それから最近東日本重工下丸子工場では、依然として軍関係の指示のもとに、これは日本の労働組合法も何も無視されて、直接向うの監督官の名前で首切りが出て来ておるのであります。こういう占領下におけろ労働者の労働條件が、私は、この行政協定の第七條、第八條、第十二條によつて、もう事業のみではなくして、役務のすべてをも優先的に享有する権利あるいは提供する権利、別に特別の話合いの場合には、日本の労働立法を適用しないというような形で、そういう奴隷的な状態が続くような気がするのでありますが、この点について、一体公共事業というのは、あなたの言われるように狭いものでなくて、電気事業あるいは私鉄の事業、あるいはさらに大きくは電気通信、鉄道、それから第八條の気象の業務というのは、気象の仕事、施設ばかりでなく、労働者の労務をも含めたものというように解釈せざるを得ないと思いますが、これについてどう考えるか、お聞きしておきたいと思います。
  51. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 富士自動車の何とか通達というものは、本会議でも共産党の代表者から伺いました。予算委員会でも数回伺いました。ただいまも伺いまして、もうよく知つております。われわれはそういう占領下の状態から独立国になつて、平等の立場に立ちたいと思うから、平和條約を早く発効させようというのに、林君はそれを反対しておいて、今の占領下の状態が困る困るというのは、どうもりくつがわからないと思います。そういう反対、そういう政治活動はやはりとめた方がいいという御意見も方々にあると思いますが、残念ながら平等の立場に立ちますから、今後は日本の法律で、そういう政治活動も認めるようなことになるわけであります。  それから今私の言うことをよくお聞きくださらぬから、よけいな時間がかかるのですが、私は公共の役務というのはこういうものであると言つて説明したのであつて、公共事業を説明したのではない。(林(百)委員「公益事業を……。」と呼ぶ)公益事業は日本でちやんと観念があるので、電気、ガス、水道、むろんそうであります。鉄道もそうであります。こういうものを、日本の政府の條件よりも不利でない條件というのは、有利な條件という意味ではない。不利にされない條件ということで、これは当然言葉の上で、日本の政府と少くともそれよりも不利でない條件で行くのだということでありますから、何らふしぎがないのであります。  それから第八條について気象業務と言われましたが、これをよくごらんになればわかるのです。「次の気象業務」と書いてある。次の気象業務というのは、(a)(b)(c)(d)と書いてある、これだけをさしておる。  それから先ほどの第十二條については何も奴隷的のことも何もない。NATOでもちやんと書いてある、同じことである。ただどういうものかという内容は何も今いらないかもしれない、こういうことであります。
  52. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると岡崎国務大臣は、公益事業とこの公共の役務とは別と考えられますか。公益事業という中には、それに従事しておる労務は入らないと考えられるのですか。私は明らかにこの公益事業及び公共の役務ということは、事業並びにその事業の中にある労務をも全部ひつくるめてアメリカに提供する、あるいは日本政府より不利でない状態で利用させる、従つて労務者の労務まで入つているというように私は解釈せざるを得ないのであります。それから次の気象業務とありましても、気象観測、気象の資料、それからことに(c)に至りましては、気象情報を報ずる電気通信業務、こういうように明らかに業務までひつくるめて労務者までひつくるめてなし得る。要するにあなたの言うように形式的な施設ばかりでなく、こうした労働者の労務までひつくるめて、アメリカ軍、駐留軍に協力しなければならない。それがさらに第十二條に行きましては、「別に相互に合意される場合を除く外」とあつて、大きな除外例があつて、これがどうにも、この別に合意される場合という除外例によつて、この原則である日本の労働立法によるというようなことの大きな除外例がここにある。こういう点で私はこの行政協定は、日本の労働者の現在の占領下における労働條件を、決して改善しないということがいろいろの根拠から考えられるのであります。また第二十三條、第二十四條の非常時の場合の共同措置の場合にも、もちろん、共同措置という形で保護規定を無視して、日本の現在の占領下における労働條件をそのまま提供し得る根拠はちやんとできているのであります。岡崎国務大臣は、だから独立して対等の立場において日本の労働者の労働條件を改めたいと言いますが、その対等な形で取組んだこの行政協定の中に、日本の労働者の労働條件を改善するという希望はほとんど持ち得ない。あつても大きく除外例が必ずその中には規定されている。こういう巧妙なとりきめのしかた、あなたは御存じでこういうとりきめをしたのか、あるいは向うがあまりに巧みでまるめ込まれたのか、私はよくわかりませんが、別に合意される場合、別に同意する場合を除くと、ほとんどこういう原則が、除外例によつて、どこにもちやんと穴があるような形にしたわけです。ですからあなたは原則ばかり主張しますが、そういう除外例が方々にある。これによつて、日本の労働者の保護規定というものがほとんど実質的には無視されるというようにわれわれは考えざるを得ないのであります。そこでもう一度お聞きしますが、第七條の公益事業という中には、もちろん公益事業に含まれる労働者も入つておる。これを優先的に享有する権利ということになれば、これは明らかに労務の調達、労務の徴用をも含めての公益事業の利用ということに、われわれは解釈せざるを得ないのでありますが、その点もう一度念を押しておきたい。
  53. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 非常に簡単なことを非常に長くおつしやる技術が巧みであつて、聞いているうちにわからなくなつてしまうのですが、もちろん公益事業にしても、公共の役務にしましても、労務が入つていなくてそれができるものではございません。別に労務が入つていないなんと言つたことは全然ない。労務が入つていることはあたりまえなんです。ただ優先的にというのは、たとえば電気なら電気というふうに、日本政府、たとえば国会は電気を優先的に使つておる。ほかの方が停電のときでもこの国会は電気が動いておる。そういうような日本政府の機関が電気を使つておるときには電気というものは、労務者は一定の労働條件で電気を供給しておる仕事をしておるわけです。そのでき上つた公益事業の電気を、日本政府が使うよりも不利でない條件で使うというだけであつて、何もおかしいことはない。それから第八條についても同じこと、それから第十二條の規定は、これはヨーロッパ、アメリカの十四箇国でできております北大西洋條約加盟国において、ただいま批准は全部完了しておりませんが、軍の地位に関する協定の中にもあつて、自由主義国家十四箇国は当然これを認めておる規定であつて、何もおかしいことはない。それから第二十四條でしたか、緊急事態の場合、これはまつたく別でありまして、これはアメリカ軍と共同するとかなんとかいうこともありましようが、それ以外に日本の国が侵略されるという場合に、私は八時間労働だからもうそれ以上は国は防がないのだ、そういうばかげたことはあり得ないのでありました、その第二十四條のような緊急事態のときには、夜も寝ずにやる。これは大風水害あるいは地震でもあれば、夜中だつて八時間労働だからやらぬという、そんなばかなことはない。これは特別な場合に、八時間しか国民が国を防がなければ、お喜びになる方もあるかもしれぬが、そうばかりは行かない。そのほかの問題は今説明した通りです。
  54. 仲内憲治

    ○仲内委員長 林君。もう切りがありません。
  55. 林百郎

    ○林(百)委員 ではこれで打切ります。あなたのお考えは、大体その通りだと私も思つておりましたが、たとえば第二十四條の解釈につきましても、あなたはそういうようなお話をしていますが、明らかに第二十四條がほんとうに日本の国の危機の場合、あなたの言われるように、日本の国家の危急存亡の場合、日本政府の独自な判断でそういうことがなされるならこれはまあ別だ。しかし明らかにわれわれはあなたとラスク氏との間の了解事項の中には、この非常事態の判断の場合は、アメリカが主導権を握つて判断するというような了解事項があるとわれわれは解釈せざるを得ないし、また事実上強力なる陸海空軍を持つて、日本を防衛しているためだといつて厖大な軍隊を持つている以上、この行政協定の主導権はアメリカが握るわけですから、非常事態の場合は、あるいは現在、今日そのものがもう非常事態だということで、共同措置ということで、日本の公共事業や労務者を向うの方で要求する通りに徴用し、これを使うことがいくらでもできる。従つてこの行政協定の内容によつては、どうしても日本の労務者の労働條件というものは、日本の今の占領下の労働條件とそうかわらない状態が続くというように、私は結論せざるを得ない。しかしこの点はこれでもうあなたとこれ以上議論しませんが、また後にもう少し調達の物資の問題やいろいろのときにお聞きしたいと思います。  最後に一つぜひあなたにお聞きしておきたいことは、これは幾度もあなたにお聞きしておるのですが、実はモスクワ行きの旅券の問題です。これは個人的に聞くと、あなたは鼻であしらつていかぬから、委員会ではつきりお聞きしますが、その後旅券の問題はどうなつておるのか。これを明らかに交付する、しないという問題、船が十四、五日に来るということもわれわれ聞いてるのでありますが、この点も政府にどういう通達があつたかどうか知りません。かりに通達がないとしても、四月五日から経済会議が始まるということになると、どうしても十五、六日ごろには出発せざるを得ないのであります。これは各国とも代表を出しております。それからここで何も赤の宣伝をするということでなしに、二つの異なつた体制の中で、お互いに交易をする道があるかどうか、二つの異なつた体制の中で、お互いの人民の生活を向上する道があるかどうかということを話し合うということで、アメリカですら、内心はどうか知りませんが、とにかくアメリカから代表を出すことは、むしろ利益になるだろうというような判断をしています。イギリスでも出します。インドでも出しておるわけです。あなたがそれほど条理を尽し、物のわかつた方なら、せめてその実証として、この旅券をすみやかにお出しになつたらいいと思いますが、一体いつ政府は出されるのか。これはあなたは私の質問が、私が人が悪くて、私がすねたとかなんとか言われますが、あなたこそ悪辣だと思う。調査中だ、調査中だ、ということで、あなたは実際は船に間に合わぬようにしようということが実際の腹でしよう。こんな人の悪いことはないと思うのです。あなたの方が私よりずつと人が悪いと思う。なぜもつと早く、出すとか出すぬとか、それによつていろいろの準備もあるわけですから、それをひとつ、いつあなたははつきり返事を出されるのか。ことにバトル法によつて、アメリカ側の国策やいろいろあるでしようけれども、しかし日本の立場としては、どうしても東南アジアの貿易が困難になつている現在では、中国、ソビエトと貿易するということは、日本の経済からいつても非常に大きな利益をもたらします。また極東における日本の国際的な地位からいつても、何も中国、ソビエトと、向うが伸ばして来た手まで押し払う必要もないと思いますから、この点について、だまされたと思つて馬に乗れという言葉もあるわけです。まさかあなた方のような賢明な日本政府がだまされることもないでしようから、(笑声)せつかくモスクワへ来いというのだから、やつたらいいと思うのですが、その点ははつきり、きようは日も迫つておるわけでして、関係者も真剣に考えておるところでありますから、これは実は笑い事でないので、あなたがさつさの行政協定の問題でそれほど日本の国のことを考え、人情に厚い国務大臣ならば、この問題をもつて実証してもらいたいと思のうです。責任のある答弁をしていただきたいと思います。
  56. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これはたびたび申す通り、第一に今のたくさんの抑留者とか、あるいは北海道地方で連れて行かれてしまつた漁夫などの安否が一体どうなつておるのか。これに戦時国際法からいつても、捕虜等が死んだか、生きているかというような通知は出すべきものである。それを出さないので、日本の軍人の中には、戦犯に問われた人もあるくらいです。ところがそれは全然報知が来ないということ、また連れて行つてしまつた漁夫等についても、何べんも照会を出すけれども、何らの返事も来ていない。こういう状況で、こういう問題をほつておいて、その会議に出して、この問題はどうでもいいのだという印象を与えるべきかどうかということは、よほど考えなければならぬ。また各国のやり方がどうであるか。今、林委員はアメリカも代表を出すということになつた、こういうお話でありますが、そういう点は私はよく調べてみたいと思う。現に昨日の朝、私が入手した、これは相当間違いない情報だと思うものによりますと、アメリカではモスクワ行きの旅券を申請した人は一人もない、たつた一人、この会議ではなくて、行く旅券を申請した人が、ついでに経済会議に出席すると言つておつたけれども、それもやめにしたとの情報を昨日私は入手している。本日はイタリアにおいてだれも行く者はないという報道を、これはまだコンフアームしておりませんが、承知しております。そういうわけで、あなたのおつしやるのと私の考えておるのとは、大分世間の見方も違つておる。そういう問題はやはり調べてみる必要がある。
  57. 林百郎

    ○林(百)委員 はつきりいつまでに調べるか。調査中々々々といつて二箇月もたつている。
  58. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 そこでいつまで調べるかということも、これに二箇月などは調べておりません。しかしこういうふうに、現にあなたの言われることは、アメリカはみんな出している、こう言う、われわれの方で見たのは出していない
  59. 林百郎

    ○林(百)委員 われわれの情報がちやんと入つている。
  60. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 あなたの資料をちやんとよこしてください。とにかくそういうような情報がたくさんある。そうしてみれば十四日に出すとか十五日に出すとか、その期限までに出せるとかいうことはわからない。しかし世の中には飛行機があるから、いつまでに出さなければ行かれないということは、それは別のどこかの国の都合であつて、その都合によつて政府に何月何日までに旅券を出すべしという強制をされる理由はない。今まじめに研究しておりまして、研究中というので、旅券が間に合わないということよりも、はつきりとこれは出せないんだとか、出せるんだということをむしろ政府として言いたい。あなたのようにいろいろ言われますとやつかいですから、できるだけ早く言いたい。こういうふうにわれわれの話とあなた方の話とでは違う。それで調べている。こういうわけであります。
  61. 仲内憲治

    ○仲内委員長 並木君。
  62. 並木芳雄

    ○並木委員 岡崎国務大臣に私は外資の導入のことと対日援助のことについて質問をしておきたいと思います。  マーカツト将軍が帰朝されまして、その報告によりますと、必ずしも外資の導入というものは楽観を許さない。政府の一枚看板と申しますか、二枚看板と申しますか、その重要施策の中にいろいろの外資の導入ということをうたつてあり、期待しておりましたけれども、最近の情勢は悲観的である。こういう点について政府としてどういうふうに考えておられるか。今後これをどういうふうに切り開いて行くつもりであるか。日米経済協力という線に障害を及ぼして来るのではないかというようなことが憂えられますので、この際大臣に御所見をお伺いしておきたいと思います。
  63. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 政府は外資の導入をいたしたいという考えは前から強く持つております。しかしこれは総理もしばしば言われるように、国内の安定が必要である。一般の安定のみならず、ことに政情の安定ということも必要である。それから外資がどういうふうに優遇されて、日本で、たとえば元利の償還がどうなるのかというようなことも、よほど考えなければならぬし、またその事業の目的が正しい公共のために使おれるものであり、償還計画がきちんとしておる、いろいろの條件がいるわけであります。要するに方々世界の各国がアメリカの資本を導入したいと努力しておると思いますが、そのほかの国のやつていることよりも有利な條件でなければ、なかなか外資が日本に向いて来ないのは、これは当然であります。しかしながらそうかといつて、あまり有利な條件を認めると、たちまちまた反対の、アメリカの属国であるというような林君のような意見が出て来ますので、いろいろ考慮しなければならぬ点はあります。私は決して有望でないとは申さないのでありますが、しかしそれにしてもいろいろの点で努力を要することは当然と思います。ただいま各方面のそういう事情を改善することに努めておるような次第であります。
  64. 並木芳雄

    ○並木委員 国際通貨基金への加入というものが急がれておるのですけれども、この点の申込み、その後の経過、見通し、それはどういうふうになつておりますか。
  65. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これも入りたいとはむろん思つていろいろ努力をいたしております。しかしながらこれにもやはり條件があるのであります。われわれの方からいえば、ほんとうの欲張つたことをいえば、分担金はできるだけ少くして、そうしてわくはできるだけ多くほしいというのは、これは自然のことであります。それが反面分担金の方が多くて、わくの方が比較的小さいということでは困るようなわけになりますから、いろいろ話をいたしましておりまして、まだその結論には達していないのであります。しかしこれもそう長くかからずして、何とか結論に到達したいものと思つて、ただいまもいろいろ各方面に当つております。
  66. 並木芳雄

    ○並木委員 一説に通貨基金への加入が否決をされたという報道がありますが、その点はいまだに政府としては公報として入つておりませんかどうか。
  67. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 否決とか何とかいうことはないのであります。たとえば加盟を許すという場合には、向う側ではこういう條件を出すわけであります。お前の方の分担金は幾ら、そうしてお前の方のわくは幾らである。それで承知なら分担金を払つて加盟するわけであります。それが一定の期間加盟期間を明けておきます。その一定の期間に加盟の意思表示がないとその申出は一ぺんドロツプして、また新しい別の機会にまた條件はこれで、わくはこれだというようなことで、これなら加盟してもよかろうという話が出て来るわけであります。ですから拒否するとかなんとかいうことはない、否決されるというようなこともないわけで、ただその條件がどうもこちらの考えと違うというような場合には、その條件では加盟を渋つている間にそのオープンしている期間が過ぎてしまう。こういうような場合はあり得るのであります。
  68. 並木芳雄

    ○並木委員 対日援助費でございますけれども、独立後は従来のような対日援助費というものが期待されなくなつたようであります。そこで日本としては当然借款というものを政府として考えて行くべきであると思います。先般綿花に対する借款が設定されたとも聞いておりますけれども、この対日借款に対して、政府としてはどういうふうに計画を立てておられるか、それをお聞きしたいと思います。
  69. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 借款というと何か非常に誤解をされる場合があるのでありますが、内容からいえば、外資導入というのと同じことと私は思つております。要するにそれが多少長い期間であるか、短かい期間であるかという差はあると思いますが、借款というと何か政治的な意味があつて、政府に金を貸してやるという意味にとられやすいのであります。われわれの考えている意味は、そういう問題は一つもないのであります。いずれも基礎産業の建設に役立つような外資の導入をはかつている。綿花借款と一般に言われますが、これは言葉だけで、実は産業資金の供給にすぎない、こういう意味ではわれわれの方では、基礎産業を建設するに足る資材とか、あるいはそれに必要な技術まで含めまして、これを外資と考えてその導入に努めている。だから電源開発にもいるかもしれませんが、紡績事業の発展のために綿花という材料を入れるというような導入の仕方もあると思います。それには電源の場合にはかなり長期になりましよう。綿花の場合には六箇月とかなんとか短かい期間になりましようが、それは期限の長短があるだけであつて、われわれは基礎産業の建設のための資金と、こう考えてやつている。
  70. 並木芳雄

    ○並木委員 このところ岡崎国務大臣は大分対外折衝に当られたのでありますが、それについてお伺いしたいと思います。  それは今まで過去における二十億ドル余の援助費というものが、はたして日本に与えられたものであるか、あるいは貸されたものであるかということは未解決だと思う。最近まで対外折衝に当られた岡崎国務大臣としては、過去のこの対日援助費がどつちに処理される見込みであるか、見当がつきましたらそれをお伺いしたいと思う。  それともう一つは、よく私の方の芦田さんが、再軍備をやつて自衛力の増強をはかる決意をすれば、アメリカとしては対外援助法というものを発動して、一個師団について二億ドルくらいの援助を与える道も開かれているのだ。日本がそういう決意さえすれば、その道が開かれるのだということを申しているのですけれども、政府としてはそれに対してどういうふうに考えておられるか、その点をあわせてお伺いをしたいと思う。
  71. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 私はまだ対日援助の問題について、先方とお話したことはないのであります。しかしわれわれの常識をもつて判断しておるところでは、対日援助というものは日本の債務であることは当然と考えております。よくあれはもらつたものじやなければ意味がないじやないかといいますが、よそのどこの国だつて、日本のあの食糧難の際に、アメリカ以外に金を出して食糧を供給してやろうという国はなかつたと思います。また実際できなかつたと思います。従つてあのときに、とにかく一時でも金を貸して日本の危機を救つてくれたというのは、非常に大きな援助であります。その大事な金をわれわれが債務と心得ておるのは当然でありまして、また現状におきましては、この債務は当然返還すべきものと思うのも、これまた当然であります。実は国の名誉にかけてもこういうものは返したいと考えておるのであります。しかしながら向う側から見たときに、イタリアの例もあり、またドイツのことはどうなるかはつきりわかりませんが、このうちの一部はもう帳消しにするということもあり得るかもしれません。しかしながらわれわれの方では、こういうものは優先的に債務として考えるべきであつて、むしろ賠償などよりも先の問題であろうかとも思つておるくらいであります。それがどういう運命になるかは、先方と話合いをしてみなければわからないと思いますが、われわれの今の考えは、申した通り一応債務と考え、その意味で取扱つております。  第二の御質問でありますが、芦田さんのいわれるのは伺つております。しかし遺憾ながらこれはアメリカが他国の軍隊の建設もしくは増強に対して援助するものであると私は考えております。日本におきましては軍隊がないのでありますから、この援助法の対象には現在なり得ないと私は思つております。
  72. 並木芳雄

    ○並木委員 今度の日米安全保障條約でも日本が漸増的に自衛力を高めて行くということがありまして、この間岡崎さんはラスクさんともその費用などについて話合いをされたのです。ですからそういう場合に、もし日本が自衛力というものを持つようになつたときに、対外援助法によつて財政的援助が受けられるかどうかというような話合いもあつたのではないかと思うのですが、そういう点についてお知らせ願いたいと思います。
  73. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 この行政協定で話しておりますのは、自衛力がだんだん漸増するについて費用がいるから、分担金の方はなるべく考えてくれ、こういうことであります。自衛力というのは、これからつくるのではありませんで、現にあるのであります。ただそれがあるかなきかの非常に貧弱なものであることは事実でありますけれども、自衛力というものは、たとえば国民が八千万いるということは一つの自衛力であります。しかし将来はこれをだんだん強めて行こうということでありますから、いかにしても、やはりアメリカの法律から申しても、軍隊を持たない日本に対して軍事援助法を適用されるということは、ちよつと考えられないのじやないかと思つております。この話についてはラスクさんと別に問題にしたことはありません。というのは、私どもは初めから日本に軍隊がないと考えておるものですから、ただ分担金と将来の日本の経費の漸増ということについてだけ話をいたしたのであります。
  74. 並木芳雄

    ○並木委員 もう一点伺つておきます。それは通商條約のことでございますけれども、日本としてはポンドが余りドルが不足して、この対策などのためにどしどし通商条約を結んで切り開いて行かなければならないと思うのです。この点について、今まで幾つかの通商航海條約あるいは漁業條約というものが結ばれましたけれども、これは残念ながら私どもの目の前に出て来ておりません。国会の承認を得ておらないのですが、これはいつになつたらそれが解けてくるか。今まで結ばれた通商條約あるいは漁業條約というものは、当然国会の承認を求める段取りが来るのだろうと思うのですけれども、いつになつたらそれが実現するか。それから日米通商條約というものが用意されておりますけれども、これはいつごろでき上る予定でございますか、お伺いしたいと思います。特に今まで通商條約だけが総司部の管理のもとにあつて、私どもの目の前に出て来なかつたというその特殊の理由はどこにあるか、それもお伺いしておきたいと思います。
  75. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 通商航海條約はむろん講和條約発効後に正式にとりまとめられるものであつて、ただいまそのときに間に合うように、できるだけ早く各国と話合いをいたしたい、こう考えてアメリカとも話合いをいたしておるわけであります。それから今までやりました多くのものは、貿易協定とか支払協定とかいう種類のものでありまして、通商航海條約ではないのであります。特殊の貿易のバーターではありませんが、スターリング地域にはどうするかとか、あるいはスエーデンとはどうやろとかいうもので、通商航海條約はかなり広い範囲の一定の條約でありますが、今までやつておるものは支払協定なり貿易協定なりという種類であります。たとえば外資委員会とか、あるいは外国為替委員会等の権限からできる種類のものも支払協定などが大部分であります。通商條約につきましては、国会の承認を受くべきものと考えておりますが、これはいずれ講和條約発効後になると思います。それから先ほどおつしやつた、ポンドがたまるとか、ドルが少くなるとかいうことにつきましては、これは一般的の條約ではなかなか規整はできないのでありまして、むしろそれと別の支払協定というようなもので何とか調整をはからなければならぬ、こういうことになるのであります。
  76. 並木芳雄

    ○並木委員 その支払協定、貿易協定というものが、今まで総司部だけの管理で、国会の承認も求めなかつたという理由はどこなんでしようか。ほかの條約、協定などでは、講和條約が成立しない時分でも、相当国会の承認を求めているものがあるのですけれども、この種のものに限つては総司令部の方で管理しておつたその理由はどこにあつたのか、それを伺いたい。
  77. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 私はよく正確に御説明することができませんから、その係の大蔵省なり外国為替委員会なり、その方で法律的に御説明した方がいいと思いますが、これは国会の承認を得るほどのことでなくして、外為委員会等に権限が与えられまして、ポンドをどうするとか、ドルをどうするとかいう支払協定でありますから、一括してこういうことはできるということになつておると了解しております。
  78. 仲内憲治

    ○仲内委員長 黒田君。
  79. 黒田寿男

    ○黒田委員 私はきよう岡崎国務大臣に行政協定の問題について質問したいと思いますが、ちよつとその前にお伺いしておきたいのは、先日配付を受けました行政協定議事録に「取扱注意」という印が押してありまして、新聞の報道によりますと、たとえば第三條に関する議事録が新聞社に発表されたものにはないというようなことを読みましたので、この「取扱注意」というのはどの程度に注意をしたらよろしいのでしようか。私はきようは第三條に触れて質問したいと思いますので、あらかじめ伺つておくとよいと思います。
  80. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 この議事録とうものは、こつちから進んで発表するものではないというだけの意味でありまして、隠すものではないのであります。
  81. 黒田寿男

    ○黒田委員 私は実は一間一答式にやりたいと思いますけれども、時間がありませんから、一応意見だけ一括的に申し述べさしていただいて、それに対し御答弁をお願いしたいと思います。  この行政協定の内容の中には軍事基地設定協定の内容が含まれているのではないかという疑問が私にはどうしても解けない。行政協定の第二條に「施設及び区域の使用を許す」と明示してあるのでありますけれども、この区域というのは一体何であるか。私はこの区域の使用を許すという協定ができたということは、実質上軍事基地の設定契約になるのではないか、こう思う。ある国が他の国に対して、軍事的目的のために一定の地域を使用させることを同意する。そしてその使用期間が相当長期に及ぶというような場合には、この協定についてどういう名称が用いられましようとも、実質においてはこれは軍事基地設定を目的とする協定の内容を持つのではなかろうか、こういうように考えるのであります。それだけ申し上げましたのでは簡単に過ぎると思いますので、そこでこの協定の内容それ自体を私は検討してみたいと思います。  この公式議事録の第三條を読んでみますと、ラスク氏の陳述といたしまして、「この協定の目的を遂行するのに必要な限度において、特に、次のことを行う権利、権力及び権能を含む」ということになつておりまして、その次にaといたしまして「施設及び区域を構築(しゆんせつ及び埋立を含む。)」云々と表示してあります。それからcを見ますと、「港湾、水路、港門及び投錨地を改善し、及び深くすること並びにこれらの施設及び区域に出入するために必要な道路及び橋りようを構築し、又は維持すること」とあり、またeの頂を見ますと「合衆国が使用する路線に軍事上の目的で必要とされる有線及び無線の通信施設を構築すること。前記には、海底電線及び地中電線、導管並びに鉄道からの引込線を含む。」あるいはfとして「施設又は区域において、いずれの型態のものであるかを問わず、必要とされる又は適当な地上若しくは地下、空中又は水上若しくは水中の設備、兵器、物資、装置、船舶又は車輌を構築し、設備し、維持し、及び使用すること。」云々、こういうように表示されております。そこでこの内容から見ると、いずれも相当の長年月にわたりまして利用せられるところの、地上並びに地下の築造物の構築であるということがわかります。従つてこのような目的のために一定の地域を使用するということになつて参りますと、私どもの常識から申しまして、使用年限も相当に長期のものでなければならぬということが、当然に推定できるのであります。私はこの推定をいたします参考のために申し上げますが、たとえば日本の法律で、われわれが普通に家を建てるために土地を借りるような場合はどうであるか。借地法の第二條を見ますと、堅固な建物の所有を目的とする契約につきましては、六十年、その他の建物の所有を目的とする土地の貸借の場合におきましても、三十年というのが原則であります。これは但し前者について三十年、後者について二十年以上の特約をすれば、その特約も有効であるということになつておりまして、行政協定の場合と借地法との比較はどうかと思いますけれども、いやしくも私どもが個人的な使用を目的といたしましての家屋建設のためにする、個人間の土地の使用の契約をいたします場合にさえ、三十年か六十年という年限が認められることになつております。いわんや私がただいま議事録の第三條に記載せられておりますところを読み上げたその内容からいたしますれば、常識上、区域の使用は、相当長年月にわたるものであるということを、私ども予想しなければなりません。そうしてその使用目的はもちろん軍事的であります。こうなつて来ますとこういうものは軍事基地の設定契約ではないか、こう私どもしろうとは疑問を起さざるを得ないのであります。なるほどこの行政協定では米比軍事基地協定のように九十九年という年限をきめましたり、特に一定の場所を最初から特定したりしてはおりません。しかしながらこの協定におきまして第二條を見ますと、両政府の合意によりまして施設及び区域の使用を協定する。もしこの協定の効力発生の日までに両政府の合意がないときは、合同委員会を通じて両政府が締結するとなつておりまして、ともかく特定の地域が確定せられるということは相違ないのであります。その上に重要なことは、第二條の二項によりますと「新たに施設及び区域を提供することを合意することができる。」こういうようにもなつておるのでありますから、私どもから考えますと、米比軍事基地協定の場合に比しまして、もつと範囲が拡大せられる可能性がある。地域といと概念がここでは固定的でなく、きわめて流動的であります。これを極端に申しますれば――極端にと申しますと岡崎さんのごきげんを損ずるかもしれませんが、理論からいたしまして、また常識から申しまして、極端に言えば、日本国中が使用せられるような可能性が発生し得る、そういう協定だと私は考えます。だから日本の全体が軍事基地となる可能性があるのだというふうにも、私どもは解釈できると思います。だからこれは、ある一国の中のある特定の地点を限つて軍事基地設定契約を結ぶというのではなくて、国全体を軍事基地使用目的のもとに置いて、ただ便宜上そのうちのある地点または他の地点というように、必要に応じて流動的に選択することができる。しかもその個々の選択された地域における使用すら、私が先ほど申しましたような構築物をこれに備えるのでありますから、相当長年月にわたつて利用せられるものであるということになると解釈しなければならぬ。そうしますと私どもには、どうしても軍事基地設定契約の内容を――この協定の全部がそれであるとは言いませんが――この協定は内包しておるというように解釈しなければならないのであります。最後に申し上げておきますが、私は、前国会のときに西村條約局長に、どうも今回の安全保障條約は、これによつて日本の地域の常時の使用ということもでき、米比相互防衛協定と米比軍事基地協定を混合したような性質を持つものになるのではなかろうかというような質問をいたしましたところが、西村條約局長は、断じてそういうものでない、軍事基地設定という内容は含まないというように答えられて、次のように答えられた。「要するに日米安全保障條約のもとにアメリカ軍が日本に駐屯する関係は、」中略いたしまして「軍隊が駐屯する、従つて駐屯地の国の政府がその軍隊に施設、役務を提供してこれに協力する、こういう関係が生ずるにすぎないのであります。」こう言つております。この西村條約局長の答弁の中には、区域ということが抜けているのです。単に施設及び役務を提供する、これだけにすぎないというのでありますならば、私は軍事基地設定契約であるという疑問を起しません。けれども、この今回の行政協定には明らかに施設及び役務のほかに区域ということが書いてある。だから私は西村條約局長の答弁は答弁にはなつていないと思う。区域を含むものである以上は、軍事基地設定の契約の内容を実質上持つのではないか、こういう疑問が起るのであります。これは別に岡崎さんが御心配になるような悪意の宣伝をするために言うのではありません。私ども国会議員の一人としてこういう疑問を起すことは当然だと思うのでありまして、これについて政府の御見解を承りたいと思います。きようは私はこの一点だけお伺いいたします。
  82. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 私はこれが軍事基地であるとかないとかという議論は、まことに空虚なもので、内容が何であるかということで実質を判断されて、それにどういう名前をつけられようかということは別問題だと思います。そこで内容だけを申します。第一にいろいろの施設及び区域、これについては新しいものもできるのじやなかろうか、こう言われますが、これは当然であります。日本を守るために必要な区域及び施設は、われわれの方ではいつでも喜んで提供するのである、そのかわりいらなくなつたものは、いつでも向うは返還する、こういうわけでありますから、現に東京付近でも、これはみなどいてしまうということになれば、どこかに新しい施設が必要になるということもあり得る。新しい施設も当然考えられる。しかし、いらないものはどんどん返してもらう、こういうことになるので、何にもおかしいことはないと思う。それから施設及び区域の中で、いろいろなことができる。また構築物もやる。これは当然なことであります。たとい二年使うにしても、百年も二百年も持つような丈夫なものをつくることは当然考えられる。しかしながらアメリカの軍隊の駐屯期間は、安全保障條約第四條に規定しているようなわけであつて、第四條のようなことができれば、いつでも引きさがるのであつて、それも何にもおかしいことはないのであります。そこでそういうような短かい期間のものかもしれぬところに、非常に丈夫な施設をつくつて、百年も二百年も持つであろうとわれわれが予想しましたから、第四條の第二項に「当該施設及び区域に加えられている改良又はそこに残される建物若しくはその他の工作物について、合衆国にいかなる補償をする義務も負わない。」ということを特に書いてある。合衆国がつくる工作物等は当然非常に長く持つであろうということは予想できます。しかしながらこれをもつて軍事基地だと称せられる議論にはならないと私は思います。期間は非常に短かいかもしれない。しかしそういうことまで予想して第四條をつくつているのであります。
  83. 林百郎

    ○林(百)委員 モスクワ行きの旅券の問題ですが、これはゆゆしい問題になつて来ました。私の方も実は代表部の方に至急問い合せて来たわけなんです。そうすると明十五日ノーリスク号という船が入つて来る。政府が調査しておる間待機しておればいいのですが、一日船が待機しておるということになりますと、非常にたくさんな費用がかかりますので、どうしてもせいぜい一日か二日待機して、十六、七日ごろまでには出帆したいという情報が入つて来ておるわけなんです。それでこれは旅券法で、申請した者には旅券を下付するかしないか決定しなければいかぬのですから、それを調査するというようなことでのがれる余地はないわけですから、その点責任ある答弁をはつきりなさつた方が、国際的にも、日本政府の信義に関するものですから、いいのじやないかと私は思うわけです。どつちにしてもはつきりした返事を出すべきだと思うのです。念のためにお聞きしますが、ソ連の代表部の方から司令部の方にも――生命、身体、財産の件については十分保障するということを、個人にはもちろん、司令部の方にも出して、司令部からたしか日本政府へ通達するということをわれわれは聞いておるのでありますが、この点も承りたいと思います。あなたは先ほど捕虜の問題だとか、それから魚をとる人たちの捕虜の問題について言われましたが、これは詭弁だと思うのです。国際経済会議として各国の代表を招請されるのですから、何も日本の代表だけを捕虜にするということは、岡崎さんにも似合おない詭弁だと思います。そういう詭弁はやめまして、とにかく明十五日は入港し、一日か二日しか待機できないというときに、まだ調査中だということは、どういう点から考えても、政府の態度が不当きわまるものだと思うのです。だからいつはつきりした返事を出すか、これについてあなたの責任ある答弁を聞きたい。おそらく政府の方へも四十八時間以内に通達をするということになつておりますから、あなたの方へもノーリスク号の問題は通達が行つておるはずだと思いますが、この点あなたからこういう公の席で、はつきり責任ある答弁を聞いておきたいと思うのです。
  84. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 林君がソ連のためを思つて……(林(百)委員「ソ連のためじやない、日本政府のためにですよ。」と呼ぶ)あなた方に日本の政府のためを一度も思つていただいたことはないわけですが、しかしソ連の船がいつ入つて来るかということは、ソ連の都合でありまして、日本政府はその船が入つて来て、もうこれしか入つて来ないんだから、そのときまでに旅券を出せとか出さぬとか、日取りまでを注文されて言われることは承服できないのでありまして……(林(百)委員「経済会議のために来ておるのですよ。」と呼ぶ)経済会議のために来るならもつとゆつくり来られてもけつこうだと思います。(林(百)委員「それでは間に合わない。」と呼ぶ)ソ連には何でも飛行機がたくさんあるというお話で、私はよく存じませんが、(林(百)委員「シベリアは鉄道で行かなくちやならぬ、冬飛行機はあぶないんだ。」と呼ぶ)林君は非常によく御存じですが、しかしながら冬アラスカの上をノース・ウエストの飛行機が飛んでおるのであります。何も何日までにソ連の都合があるから旅券を出せとか、準備をせよと言われても、私の方はそうは行かない場合もある。行けば、できるだけ御要望に応ずるようにいたします。
  85. 仲内憲治

    ○仲内委員長 これにて暫時休憩いたします。午後二時より再開することにいたします。     午後一時六分休憩      ――――◇―――――     午後二時二十四分開議
  86. 仲内憲治

    ○仲内委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  まず理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。理事並木芳雄君が去る三月六日一度委員を辞任されましたので、理事が一名欠員となつております。それゆえこの際理事の補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例によりまして委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 仲内憲治

    ○仲内委員長 御異議がなければ、並木芳雄君を理事に指名いたします。     ―――――――――――――
  88. 仲内憲治

    ○仲内委員長 外務公務員法案を議題といたします。質疑を許します。並木芳雄。
  89. 並木芳雄

    ○並木委員 第二章職階制で、第五條「外務職員については、外務大臣が行う。」となつておりますけれども、この点について人事院としてはこれでさしつかえがないかどうか、いかように考えておられますか、お聞きしたいと思います。
  90. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 お答えいたします。第五條の趣旨は、外務職員の職種がどういうものであるか、及びその職級がどういうものであるかということについての決定は、他の一般職の職員の職種、職級と同様に人事院がこれを決定いたすわけであります。決定した職種及び職級につきまして、具体的な官職を当てはめる、これを格付すると申しておりますが、絡付する場合におきまして、これは何十万とある官職を人事院が一々格付できるはずのものではございませんから、各省におきましては、大部分のものはこれを各省に委任してやつていただくのが建前になつておるわけでございます。そういう意味におきまして、第五條の特例がなくても大部分は外務省がやりまして、今の例で行きますと、現在でも十一級職以上の官職についてだけ人事院がみずからやることになつておるわけでありますが、この特例法によりまして、ことに外国にある職員の格付を人事院が行うことは困難であるから、これを外務省の方に委任するという趣旨で、この点におきましてこれと関連いたしまして、本省も同じ扱いをするというだけで、少しその委任の幅を広めるために、また法律でその点をはつきり規定するわけでございます。
  91. 並木芳雄

    ○並木委員 第六條の第二項「外務大臣は、公の便宜のために国際慣行に従い特に必要と認める場合には、外務職員に対し、前項に掲げる公の名称以外の公の名称を用いさせることができる。」これはどんなものが考えられるのですか。
  92. 大江晃

    ○大江政府委員 ここに列記いたしました以外の公の名称としては、たとえば電信官あるいは通訳官、翻訳官、こういうようなものが、公の名称として用いることができます。
  93. 並木芳雄

    ○並木委員 第七條第二項「外務公務員は、前項の規定により外務公務員となることができなくなつたときは、政令で定める場合を除く外、当然失職する。」政令で定める何かの例外があるようにこれで読めますけれども、その例外というのはどういう場合ですか。
  94. 大江晃

    ○大江政府委員 一例をとりますと、外国の婦人を妻にいたします場合、事前に日本の国籍取得というようなことが非常に困難だろう。実際に結婚いたしますと、日本の国籍を取得することができますが、事前にやるようなことはできないというような場合がありますので、そういう特殊の規定を政令で定めるということでございます。
  95. 並木芳雄

    ○並木委員 第八條「大使及び公使の任免は、外務大臣の申出により内閣が行い、天皇がこれを認証する。」とあります。私どもとしては国会の承認を求むべしとする主張でありますけれども、その点に対して政府はどういうふうに考えておられるか。
  96. 大江晃

    ○大江政府委員 大使及び公使は、内閣のもとに外交事務を扱うのでありますが、これはやはり一種の行政官でございまして、現在国会が承認を要する、たとえば人事官、あるいは会計検査官、こういうようなものがございますが、これは内閣から独立していろいろな判定、決定を行い得るというようなものでございます。従いまして大使、公使というような内閣のもとに外交事務をやるという行政官は、外務大臣の申出によつて内閣がこれを行つてさしつかえない、こういうふうに考えております。
  97. 並木芳雄

    ○並木委員 いろいろの審議会とか委員会の委員などで、法律によつて国会の承認を求める場合が往々ございます。そういうものとの振合いから考えても、私どもは大使、公使などの場合には当然国会の承認を経ることが妥当であり、かつ必要であると思うのですけれども、その点について人事院としてはどういうお考えですか。
  98. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 私もただいま大江政府委員から御説明申し上げたように感じるのでありますが、現実の問題といたしましても、審議会、委員会の委員あるいは行政委員会の委員等の任命につきまして、国会またはそのいずれかの院の承認または同意を要することが多いようでございますが、その趣旨を考えてみますと、これらの行政委員会の委員と申しますのは、任命されますと、その権限は政府と独立にこれを行使する色彩の強いものであります。その強さは程度によるわけでありますが、ごく砕いて申しますと、たとえば人事院の人事官というものは、かなり職務上独立性を持つておるわけであります。従いまして職務上独立性を有するものにつきましては、その任命あるいは退任につきまして、国会がこれをコントロールするというのが、この選任についての民主的なやり方として、そういうような方法がとられておると思うのであります。しかし、絶えず行政権の主体である内閣の監督のもとにあり、細大となく指揮監督を受けるものにつきましては、国会が内閣を通じてコントロールできるという意味におきまして、大体その承認という制度がとられていないのではなかろうかと思うのであります。それで大使、公使と申しますのは、非常に地位は高いわけでありますが、その仕事におきましては、一般の行政官とまつたく異ならないという意味におきまして、従来新憲法のもとにおきましても、国会の承認というような制度がとられない建前になつておるのであろうと存ずる次第であります。
  99. 並木芳雄

    ○並木委員 第十五條、「外務大臣は、外務省令で定めるところにより、外務職員に、外務省研修所又は外国を含むその他の場所で研修を受ける機会を与えなければならない。」外国で研修を受ける機会を与えなければならないとなつておりますが、どういう施設で、どういうような研修を与える計画であるか、お伺いします。
  100. 大江晃

    ○大江政府委員 外国におきまして研修を受けさせるということは、従前から外務省がやつておることでございまして、初めて任官いたしました外交官補が、任国に参りまして、一年間そこの土地の大学におりまして、語学その他を勉強する、または場合によつては、その期間を延長いたしまして、留学生というような形で、三箇年ということをやつておつたのでありますが、今後も同様な行き方で、外国において若い者を研修させるということを考えております。
  101. 並木芳雄

    ○並木委員 第十六條の査察について質問しておきます。先ほど大江さんの御答弁では、これは主として行政府の内容に関することについての査察であるから、外務大臣が派遣しても、ちつともさしつかえないのだというような答弁でありました。同じ省内の査察使が行くほかに、国家公務員の場合に、他の省あるいは独立した査察便が行くように例があるかどうか、その点まず人事院の方にお聞きしておきます。
  102. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 実は私の考えによりますと、この査察ということは、一般的な言葉で申しますれば、監察ということであろうと存ずるのであります。行政監察機能ということは、それぞれの省におきまして、大臣が当然持つておられる権能でございまして、自己の部下を使いまして、自己の所属する機関を絶えず監察されるということは当然のことでありますが、それがとかく不十分であるというおそれがありますために監護につきましていろいろな制度くふうがあるわけでありまして、一般的な行政監察の機能といたしましては、総理府の行政管理庁に監察部がございまして、これが一般的な監察の機能をつかさどつておるわけでございます。これは官庁の機能といたしまして、各省通じて行うということになります。また特別な監察の機能、特殊の部門につきましては、またそれぞれの各省が監察の機能を持つておる場合が多かろうと思うのでありますが、事人事行政に関しましては、人事院が監察の機能をそれぞれの条項に基いて持つておるわけであります。ことに第十六條に規定いたしました査察というのは、外務省の特殊性に基きまして、在外公館の事務が適正に行われることを監察するために、特にこの査察あるいは監察ということに重点を置いて、これを強調するという意味にほかならないのでございます。これはまつたく、ここに書いてあろうとなかろうと、外務大臣の当然の職権であるわけでありますが、これをもつぱら強調する、今後これを大いにやつて、外務行政を引締め、それを適正ならしめる措置と理解しておるわけであります。
  103. 並木芳雄

    ○並木委員 そうすると、査察使というのはいかにもいかめしい気がいたしませんか。検非違使という感じをちよつと与えるので、何か査察使という独立のものすごいものがここにでき上る感じを受けるのでありますけれども、これは法律語としてどういう身分の持主なんですか。ただ単に普通の名称としてここに使つたのであるか、あるいは他に適当な言葉を考えなかつたのであるかどうか。
  104. 大江晃

    ○大江政府委員 名前がいかめしいというお話でございますが、先ほども岡部政府委員からお話がありました通り、行政事務の監察という意味におきましてやるわけでございますから、これは場合によりましては、きわめて小範囲の地域を査察する、あるいは在外公館の一館だけを必要に応じてやろというようなこともございますし、また広く欧州なら欧州の地域全般というふうにやる場合もございまして、そのときどきの時宜に適するようなことをやるわけでございます。この名前が非常にいかめしいと申しますが、行政事務を常によく監督するという意味で、この言葉が適当だというふうに考えております。
  105. 並木芳雄

    ○並木委員 査察使の「使」というのは、法制上どういうふうに扱われておりますか。何か「使い」という言葉でなくて、もつと適当な、かつ新しい法律語はないのですか。
  106. 大江晃

    ○大江政府委員 査察使は外務大臣の任命で行われるのでありまして、「使」という字がありますと、何か特殊な使命があるようでありますが、査察官というふうに考えられてもさしつかえないと考えております。
  107. 並木芳雄

    ○並木委員 岡部さんはそれでよろしゆうございますか。
  108. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 まつたく同様に存じております。
  109. 並木芳雄

    ○並木委員 第十七條の、外務職員の勤務條件に関して、外務人事審議会に対して要求しなければならないという規定でございますが、国家公務員法第八十六條の規定にかかわらずそうなつておりますけれども、これは先ほども質問申し上げました通り、勤務條件について、これで十分保障が与えられるかどうか、その点について疑問がありますから、重ねてお伺いしておきたいと思います。
  110. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 それでは私からお答え申し上げますが、御承知の通り国家公務員法第八十六條以下八十八條までは、職員の勤務條件につきまして、苦情があります場合における処置を規定しておるわけであります。この国家公務員法の制度と申しますものは、職員に苦情があつた場合においては、直接これを人事院に訴えることができるという建前にはなつておるわけでありますが、その前に各省各庁におきまして、その職員の苦情を一応引受ける、そして解決することができるものは解決して、その上で解決できないものは、これを人事院に持つて来るということが望ましいということに運用されておるわけであります。ただいま並木さんのお尋ねになりました第十七條の問題につきましては、そういうような運用をこの法律で制度としてきめる。すなわちまず第一次には外務大臣のところに苦情を訴えることがよかろう。そうしてそれを人事審議会において十分審議する。その苦情がもしも満足に聞かれなかつた場合におきましては、当然国家公務員法にもどりまして、人事院に苦情を訴えて来ることができるということになつておりますから、この点につきましては、まつたく国家公務員法第八十六條以下の制度と、その趣旨におきまして相もとるものではなく、むしろこれを適当に調節している制度と存じております。
  111. 並木芳雄

    ○並木委員 私だけ質問していると何ですから、残つたところはまた来週やることにして、このくらいで打切りたいと思いますが、それに関連して、外務人事審議会というものが附則できめられておる。これはちよつと私たちは法の体制上均衡がとれてないと思うのです。何か人事審議会というものが軽く扱われておる感を与えております。なぜこれを本條の中に入れなかつたのか、附則にした理由いかんというのであります。
  112. 大江晃

    ○大江政府委員 附則の第五項におきまして、外務省設置法を改正いたしまして外務人事審議会を追加いたしたのでございまして、外務省設置法を簡単にかえるという意味で附則にこれを記載したわけであります。
  113. 仲内憲治

    ○仲内委員長 林百郎君。
  114. 林百郎

    ○林(百)委員 第十九條の、外務職員が外交機密の漏洩によつて国家の重大な利益を毀損したといつて懲戒処分を受けた場合には、「国家公務員法第九十條の規定にかかわらず、外務大臣に対してしなければならない。」特に外務大臣に対してしなければならないというのは、どういう理由で設けたのですか。
  115. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 これは審議会に出まして、あといろいろ審議されます際に、機密漏洩に関することの審理でありますので、この審理はやはり非公開にしたい。第二十條に出ておりますが、そういう関係からいたしまして、特に外務大臣に対して訴えるという形にしておるのであります。
  116. 林百郎

    ○林(百)委員 国家公務員法の第九十條の中にも、明らかに機密の漏洩によろ不当な懲戒処分についての審査請求の規定があるのでありますが、外父の機密だけを特にこういうふうに取扱わなければならぬというのがわからない。どうしてこういうものを設ける必要があるか。国家の仕事の中で、機密というのは各省に幾らでもある。外務省だけではない。大蔵省にもあるだろうし、郵政省にもあるでしよう。何も外務省の機密だけが特に丁重に扱われなければならないということはないと思う。これでは吉田外務大臣の秘密外交をますます強化することになると思うのであります。
  117. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 これはもう申し上げるまでもないと思うのでありますが、外交機密、ことに重大な外交機密というものは、国家の利益と結びつく度合いが非常に大きいものがあると思うのでありまして、一般の官庁の機密と外交機密というものは、やはりそこに相当の軽重がある場合も多いと私は考えます。
  118. 林百郎

    ○林(百)委員 国家公務員法の第百條にも「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と、どこの公務員だつて差別なく秘密を守るという規定があるのであります。それに基く処分があつた場合には第九十條で請求できるのでございますから、私はこの第十九條を設けることによつて、現在行われている秘密外交を外務職員に不当に義務づけることになり、外務職員の活動を非常に制限することになると思うのでありますが、一般に規定されている国家公務員法の第百條と、この條項の義務との間には軽重があるのですか。たとえば検察庁にしてもそうだ。重大な事件の犯罪捜査というような場合には、機密を守らなければならないこともあるでしよう。そうすると各省至るところに私は機密があると思う。
  119. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 先ほど申し上げましたように、重大な外交機密というものは、国家利益と結びつく度合いが非常に強い場合が、現にあるのであります。それで人事院の予想しております方は、これは公開の口頭審理その他でやるのでありまして、外交機密の漏洩によつて国家の重大な利益に関係があつたという問題をやるわけでありますから、これは第二十條にありますように、そういうようなものは審理も非公開というような特別の取扱いをしなければならない、こういう形からいたしまして、この第十九條、第二十條の形がとられておるのであります。それで外務公務員の単なる機密の漏洩とか、そういう問題はやはり一般法の第百條の適用を受ける場合もあると考えます。
  120. 林百郎

    ○林(百)委員 外交機密といいますが、そうすると、どういうものが機密で、どういうものが機密でないということは、だれがどういう基準できめるのですか。
  121. 大江晃

    ○大江政府委員 外交機密というものは、長い間の慣習によつて大体きまるもので、一種の常識だろうと思います。事項、項目をあげてこれが外交機密であるというようなことはとうていできない。そのときの情勢その他によつて判断されなければならぬものと、こう考えております。
  122. 林百郎

    ○林(百)委員 たとえば国府との條約の問題あるいは日韓條約の問題、あるいはもつと具体的に言いますと、行政協定の第二十四條に基く了解事項、こういうものは当然国会に報告すべきものなんです。こういうものがあるにもかかわらず国会へ報告しないということはむしろ公務員が公僕としての任務を果さないことになります。そういうことに対して、将来日韓間にこういとりきめをしたい、日台間にこういうとりきめをしたい、また行政協定のこういう項目については、こういうことが相互の間に了解されたというようなことを報告した場合に、外務大臣が、自分の言う前に漏らしたからとか、あるいは自分の気に入らない言い方をしたからといつて、これが外交上の機密の漏洩だということになると、外務職員は全然自分の職務の保障というものがなくなつて来るのであります。常に戦戦きようようとして上司の顔色をうかがわなければならないということになりますので、これについて大体の基準とか、省内のとりきめというようなものがなかつたら、外務職員はまつたく職務上の責任をこの第十九條によつて果すことができないことになると思うのです。ことに今の外務大臣は秘密外交のすきな人ですから、なおのことだと思うのです。将来秘密の漏洩に対する責任と、外務職員としての職責を果すという点との調整を、一体どうしてとるつもりなんですか、この点はつきり聞いておきたい。ことに先ほども私どもの方の井之口君から話があつたのでありますが、たとえば日米の共同防衛の問題、日本の軍事基地の問題、こういうような問題が起きて参りますと、アメリカの機密を漏らしたということだけでも、日本人の立場からいつて、これはすみやかに国会に報告し、国会の輿論としてアメリカ側の意見を牽制しなければならないという場合にでも、この條項からそういうことが制限されるような場合が出て来るのでありますが、そういうことについて、将来外務職員として、公務員としてまた公僕としての職責を果すという問題と、外交機密の漏洩という問題の調整とを将来どういうふうにはかつて行くつもりなのか。この点私は基本的な人権の問題からいつても、非常にゆゆしい問題だと思うのでありますが、この点を聞いておきたい。
  123. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 これは午前中にちよつと申し上げたと思うのでありますが、秘密の漏洩によつて日本国家の重大な利益を毀損したということになる場合に、これが問題になるのでありまして、今林委員が言われましたように、言い方が気に入らないとか、言い方が悪かつたからとか、少し早く言つたからどうとかいうことの機密漏洩ではないのであります。従つてるる言われましたような心配はないじやないかと思うのです。それから箇條書に字句を並べて、これは何だという区別はできないと思いますけれども、省内の取扱いといたしまして、これは嚴秘に付すべき事項であるとか取扱いに注意を要するとか、いろいろ役所にはそれぞれの方法があるのであります。そういう厳秘に付されておるような事項を軽々に漏洩したというような場合には、こういう問題に該当して来るのじやないか、それはおのずと役所々々の立場によりまして、このけじめは自然について来ておると思うのであります。
  124. 林百郎

    ○林(百)委員 たとえば第二十七條を見ましても、「秘密を漏らした者及びこれらの項の規定に違反する行為を企て、命じ、故意にこれを容認し、そそのかし、又はそのほう助」とあらゆろ言葉がここに使つてありますが、この第二十七條でなぜこんなにあらゆる言葉を使う必要があるか、こんなことなんか一般の刑法の條文にまかせておけばいいのであつて、一体「そそのかし」と「ほう助」というのとどう違うのか、「企て」と「命じ」とどう違うのか、「故意にこれを容認」と「ほう助」というのとどう違うのか、こんなことになつたら外務省の職員はがんじがらめになつて、何にも仕事ができなくなると思うのです。一体どつからこんな言葉を見つけ出して来たのか、その根拠から聞いて行きたい。
  125. 大江晃

    ○大江政府委員 第二十七條の規定は、特別職の外務公務員に対しまして、いろいろな罰則を規定したものでございます。これは国家公務員法の第百十一條にこれと同じ規定があるのであります。
  126. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、この場合の、たとえば「そそのかし」と「ほう助」、それから「企て」と「命じ」、こういうのは一体どう違うのですか。刑法の一般理論にまかせておいていいと思うのです。
  127. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 それでは私からお答え申し上げます。実は刑法の一般理論では御承知の通り共同正犯につきまして、教唆及び従犯のことを規定しておるのでありますが、国家公務員法におきましては、これらの企てるというような行為、またはそそのかすというような行為、あるいはあおるというような行為を、それぞれ特別独立犯として規定しているということになつておりますが、この法案もそれにのつとつたものと考えます。
  128. 林百郎

    ○林(百)委員 もう少し内容に入つてお聞きしたいのでありますが、たとえば機密の漏洩の問題について具体的な問題を申しますと、アメリカの上院の外交委員会で対日講話の批准の報告にあたつてアメリカ側では、吉田総理は一月十七日、アチソンに手紙を出して、中ソと貿易をしないという約束をしているということをすでに報告になつておる。アメリカ側では公開されているのに、日本ではこれを漏らすと機密漏洩になる。こういうようなことになりますと、これは世界的な外交の常識からいつて、日本の外務職員が職務上の機密の漏洩ということで、まつたく不当に縛られることになるのであります。よその国ですでに発表しておるのにかかわらず、日本ではなお吉田総理個人の考えでこれを機密にしなければならない、これを発表すれば機密漏洩だという点は、一体将来どういうふうに処置して行くつもりか。ある国ではすでに公開になつており、世界的にそれが流布されており、日本だけがそれを秘密にしなければならない。これは不可能だと思うのです。この点をもう一度よく聞いておきたい。
  129. 大江晃

    ○大江政府委員 元来外交上のいろいろな約束をいたします場合に、発表につきましても打合せをいたしてやつております。ところがたまたま相手国においてそれが事前に発表せられたというような場合には、日本といたしましては適当な時期に機密を解除するというようなことも、もちろんとり得るわけであります。先方がそれを先に漏らしたということは、先方の国の問題でありまして、日本の国の問題ではないと考えております。
  130. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、すでに先方が漏らして公になつておつても、日本は国際上の義務があるからといつてそれを守つて行かなければならないのか、国際的にすりでに発表しておるものを外務省の職員がそれを発表した場合、なお外交上の相互の秘密を保持する義務があるからといつて、これは第十九條の規定が適用になるのですか。
  131. 大江晃

    ○大江政府委員 先方が発表した場合には、先ほども申しました通り、適当な時期を見て日本もその秘密を解除する、その前に職員がこれを発表するというようなことは、これはやはり政府が決定する前でありますれば秘密の漏洩で、重大なる国家の利益を阻害したときには問題となる。しかしそういう場合には、おそらくもう重大な利益を毀損するということはないというふうに考えます。
  132. 林百郎

    ○林(百)委員 アメリカ側の問題に対しては、あなた方は秘密を漏洩するとかなんとかいうことで非常に慎重ですが、中国やソビエトに対する反共的な理論は無制限といつていいほどこれを公表し、中には匿名で新聞に投書までして、外務省の人たちが組織的に反共の宣伝をしておるのでありますが、こういうのは一体取締りを受けないのかどうか、アメリカの方の機密だけは非常に守つて、日本側に不利なことは隠している。しかし中国、ソビエトに対する反共宣伝は、あなた方は匿名で各新聞に投書までして宣伝をしている。しかも国家の利益を非常に毀損している、こういう場合は非常に寛大な処置を受けてむしろそういう人はほめられている、奨励されている、こういうことになると外務省の機密というのは、まつたくアメリカの機密を守つて、中国、ソビエトに対しては反共的な総本山に外務省がなるというようになると思いますが、こうした公務員でありながら匿名のもとに新聞などを利用して反共的な宣伝をするというようなことは、第十九條によつて取締りの対象になるのか、ならないのか、こういう点をお聞きしたい。
  133. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 反共の宣伝をするとかどうとかいうことは、別に機密の漏洩とかそういう問題とは何ら関係ないと私は思います。ただそういう行為が非常な政治行為と見られるような場合があるかどうかということによつて、問題によつては一般国家公務員法の問題になるかどうか、こういうことであろうと思います。
  134. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、外務省で特定の職員の人たちが、反共宣伝を新聞へ堂々と投書し、あるいは論文を掲載するということは、あなたの言う公務員法による公務員は政治活動を慎まなければならないという点に該当するとお考えになりますか、ならないとお考えになりますか。またそういうことは絶対にない、あるいはさせないという保証ができるかどうか、この際念のためにお聞きしておきたいと思います。
  135. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 どれをさして言われるのかわかりませんが、われわれが今まで承知しておる範囲では、別に機密漏洩でもなければ、国家公務員法の違反に該当するようなことでもないと思つております。
  136. 林百郎

    ○林(百)委員 その次にお聞きしたいことは第二十五條でありますが、在外公館の長は外国人を採用することができるという規定があるのでありますが、この外国人というのは何か制限があるのかないのか、どこの外国人でも雇えるのか、その点をまずお聞きしておきたい。
  137. 大江晃

    ○大江政府委員 制限はございません。
  138. 林百郎

    ○林(百)委員 たとえば第二十四條にも名誉総領事、名誉領事等を任命することができるとありますが、これは従来もこういう規定があつたのかなかつたのか、また将来名誉総領事、名誉領事に外国人を任命するとすれば、どういうところへどういう人を任命すると大体考えておられるのか。われわれは第二十四條によつて、たとえば日本とアメリカとの現在の状況から言うとかつての満州国における日本人の顧問というような形で、アメリカの政府側の意見を代表するような人を、こういうところへ採用するようなことも必ずしも杞憂でないように思うのでありますが、どういうところへこういう外国人たちを任命するつもりなのか、その点をお聞きしておきたい。それからまた従来も名誉総領事あるいは名誉領事に外国人を任命したという例があるならば、具体的にその説明を聞いておきたい。
  139. 大江晃

    ○大江政府委員 従来は外交及領事官官制の第六條に「領事官ヲ置カサル地ニ於テハ貿易事務官又ハ名誉総領事、名誉領事若ハ名誉副領事ヲ置クコトヲ得」、そのほか「貿易事務官ハ奏任トシ」云々、こういうような規定がございまして、従来も置いておつた例はあるのでございます。大体この名誉総領事あるいは名誉領事という制度は、日本との防疫その他いろいろな面から見まして、そう重要でない、しかも日本の利益を多少代表して、主として貿易の面において利益を代表してもらうという意味におきまして、その土地の日本に対する認識の深い人あるいは日本と関係の深い人に依頼してやつておつたわけでありまして、どこにどういう人がおつたか、私はただいま記憶いたしておりませんが、南米あるいは中東方面にはこういう例が多々あつた、こういうふうに考えております。
  140. 林百郎

    ○林(百)委員 新しくこの外務公務員法に基いて名誉総領事または名誉領事に外国人を任命すると考えられておるところはどこか、今考えておるならその点を説明を聞いておきたい。
  141. 大江晃

    ○大江政府委員 ただいま具体的にどこに置くというような案をまだ考えておりません。元来この名誉総領事あるいは名誉領事というようなものは、むしろ先方の方から置いてくれというような要求がありまして、それに応じてやる方が多いように考えておりますので、今日のところまだそういう具体的な要求にも接しておりません。
  142. 林百郎

    ○林(百)委員 次に外務公務員全体に関する問題ですが、外務公務員は組合の組織をすることはできるのかどうか、この点について説明を聞いておきたい。
  143. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 それはもちろんできると思つております。
  144. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、一般の国家公務員法の規定を受けておる職員のほかに、この外務公務員法で規定されておる外務職員も組合の組織の自由があるのかどうか、この点を聞いておきたい。
  145. 大江晃

    ○大江政府委員 当然あります。
  146. 林百郎

    ○林(百)委員 その次に第五條であります。国家公務員職階制について先ほども質問があつたと思いますが、外務職員について外務大臣が特に職階制を設ける理由がわからないのであります。第十七條の外務人事審議会の制度、こういう制度を通じてこれはやはり外務職員が一般の公務員法とは別個な一つの王国をつくつて、その王国の中に外務大臣が傲然と天皇のように構えるという感じを、どうしてもわれわれは外務公務員法を審議している際に痛感するのであります。一体この職階制までも外務大臣が一般の法律と別個につくる理由がどこにあるのかわからないのでありますが、その点についての説明を聞いておきたい。
  147. 大江晃

    ○大江政府委員 先ほども岡部政府委員から御説明がありました通り、職階制に関しましては人事院がこれをやるのでありまして、その格付を外務大臣が行うというふうに実際の運営はなると思うのであります。この外務公務員法によりまして、外務職員が特権を持つような行き方であるというお話でありますが、むしろ逆でありまして、勤務地が海外にありますし、あるいは外国との交渉その他特殊のいろいろな事情もあるというような関係から、この特例によりまして、外務職員が嚴格ないろいろな規制を受けるという方がむしろ強いのではないか。決して特権のある公務員をつくるというような趣旨ではないというふうに考えております。
  148. 林百郎

    ○林(百)委員 外務職員一般の人に対しては、私は必ずしもこの法律が好條件の法律だとは思わないのでありますが、外務職員を一般の公務員から切り離して、しかもその切り離された外務職員が、まつたく外務大臣の統帥のもとに封建的な従属をしなければならないということはまつたく外務大臣オールマイテイの感じがわれわれにはするのでありまして、一般の公務員法の中に外務職員も入れて、それから人事審議会の審議そのほかの保護も人事院のもとに行われ、職階制、格付、試験等も一般の公務員法で行えばいいと思うのであります。この外務公務員法によりますと、職階制から格付から、機密を漏洩した場合の人事審議から、人事審議会委員の任命から、ほとんど外務大臣オールマイテイだと思いますが、こういうことは旧官僚制度の復活であつて、新しい民主的な制度のもとに公務員が公僕として国民に奉仕するということに逆行するようにわれわれには考えられるのであります。もちろん政府委員の方が、ここでその通りだと思うなんて言えば、すぐ首になると思いますから、そういう答弁はなさらぬと思いますが、これはどうしても外務省の民主化、外務職員が公僕として伸び伸びとした活動をすることをかえつて制限するようにわれわれには考えられます。そういう観点から見ますと、たとえば第十條の問題でありますが、これは人事院の岡部さんにもお伺いしたいのですが、どうしてこれは外務省令で定めるところにより、選考によつて外務職員を任命することができるのか。これもやはり一般の人事院によつて行う公務員試験によつて行えばいいと思うのでありますが、これだけを除外する理由がどこにあるのか。これは人事院と外務省の政府委員から説明を聞きたいと思います。
  149. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 林さんにお答えいたしますが、実は今林さんがおつしやつたほどは、外務公務員法は国家公務員法に対する特例を定めてないのであります。一番最初私が並木さんにお答えいたしましたように、職種、職級についてはほかの公務員と同じように人事院が行うのだ。しかも格付は各省に委任するのだけれども、事実上は人事院規則で行うのをこの際法律ではりつきりするというだけのことで、実情はそうは違わぬということを申し上げたのであります。それから試験のことにつきましてもお話がございましたが、採用試験につきましては、試験機関といたしまして、他の国家公務員と同じように人事院が試験を行うわけでありまして、特に外交官試験というものは、特権的なものではなしに、他の同じような職種と同じように採用試験を行うおけでありまして、さよう御了承いただきたいのであります。それから採用につきましては、試験のほかに選考という方法も認められておるわけでありますが、第十條に規定いたしますのは、特に各省から、あるいは民間から、ここに規定しておりますような専門的な事項につきまして、外交官を迎え入れる、たとえば財務、労働に従事させるために各省から迎え入れるというような場合におきましては、それが普通の原則でございますと、試験によらなければならぬという場合におきましても、それは特殊の技術、特殊の専門的な知識によりまして、他の省あるいは民間から借りて来るわけでありますから、これを選考という方法によつて任命することができるようにするという趣旨の特例であるわけでありまして、必ずしも一般の国家公務員に比較いたしまして、外務職員についてだけ外務大臣が特別の方法をやるというようには考えておりません。
  150. 林百郎

    ○林(百)委員 大分人事院まで共同戦線を張つているようですが、どうも私はそういうように考えられないのであります。たとえば先ほどもちよつと聞かれましたが、査察使も外務大臣が任命する。おそらく側近の人たちを任命するということが考えられるのでありますが、ことに今の吉田外務大臣の性格からいいますと、側近政治が行われている際、公務員として良心的な仕事をしておつても、外務大臣吉田氏の好みに合わない場合にはいろいろの処置をされる、左遷されるとか降職されるということは、十分われわれには考えられるのであります。そこでこの査察使という制度がよその官庁にもあるのかないのか。要するにその主管大臣の任命した査察使が、行政査察あるいは監査をしてそれを報告するという制度があるのかないのか。かりにあるとしても、外務省の場合は、特に外務大臣の性格からいつて、これが非常に側近的な動きを示すようにわれわれには考えられるのでありますが、そうした場合に、査察使の報告されたものに対する弁解あるいは言い開きの道は、どういうように開かれるのか。この点についてこれもやはり外務省令が定めるというのでありますが、一体どういうことを考えているのか、はつきりさせてもらいたいと思います。
  151. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 査察使という名前はただいまのところこれに初めて出て来るわけでありますが、しかし一般行政官庁につきましては、御案内のように行政管理庁というものがありまして、いわゆる行政監査はずつとやつておるわけであります。それから今思い出したのでありますが、特殊の食糧なら食糧について、あるいは増産なら増産についてということで、査察使という言葉がかつてはあつたことはあると思います。あとの問題につきましては大江政府委員からお答えいたします。
  152. 大江晃

    ○大江政府委員 査察の結果報告を受けましたときに、外務大臣がこれに対して措置をする。その措置に不服のある場合、本人の意思に反した場合は、一般の公務員法の規定によつて提訴もできるということになつております。
  153. 林百郎

    ○林(百)委員 私の聞きたいのは行政管理庁という他のいろいろの行政官庁から一応独立した形の官庁が、客観的に監査するということは考えられますが、その省の長である外務大臣が任命した査察便を派遣して査察をあせるという例は、一体あるのかないのか。そういうことになると、これはまつたく外務大臣の鼻息をうかがつて職務をやらなければならないということになると思う。ですから、行政管理庁なら行政管理庁という、そういう行政監察をする特殊な任務を帯びた官庁があつて、そこから行つて客観的な監査をするということは考えられますが、外務大臣が自分で任命した査察使に自分の省の公務員を査察させる、こういう制度が一体あるかないのか、聞いておきたいと思います。
  154. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 これは法制の言葉の上で一般官庁がこういうことをやつておるかどうかという言葉はございませんが。出先機関なり、あるいは下部機構をなしております機関に対して監査に出かけますことは、これはどの役所でも行われておることであります。ただ在外公館につきましては、地域的にも非常に離れておりますし、国際関係も非常に重要でありまして、仕事が局部的でなしに各面にわたりますし、そういうような意味で、特に今回は外務公務員法に査察使の制度を明らかに設けまして、国際外交事務が一段と適正に、うまく行われるようにしよう、こういう趣旨からできておるのであります。
  155. 林百郎

    ○林(百)委員 査察使を派遣して報告を出させ、その報告に基いて必要な措置をとらなければならないなんということを法律にまできめてある、こういうものを私は見たことがない。それは行政官庁でありますから、上司が下僚に対して一応の注意をするということはわかりますが、外務大臣が査察使を派遣して、報告書をとつて、報告書に基いて外務大臣が必要な措置をとらなければならないというので、査察使が来て報告書を書かれたら、その報告書の内容によつては、戦々きようようとしていなければならないということは、これは第十六條で明らかだと私は思うのです。それで、もし不平があるならば、今度は外務人事審議会にかけろといいますが、一体外務人事審議会で、しかもその外務大臣の処置に対して不平を言うその機関の五人のうち三人は外務大臣が任命した者ということで、一体公正な審理ができるかどうか。こういうことがあるから、私は今の人事院が十分な役割を果しているとも何とも思いませんけれども、しかし一応形式的には、公務員の職務あるいはその地位を保障するということで、各行政官庁から独立した人事院が設けられて、ここで公平な審理をするという建前になつて、個々の人事院の審判官の任命というのは、正確にはちよつと忘れておりますが、当該行政官庁の息のかかつた人が人事院の審判官になつているということはあり得ないのであります。ところが第十六條あるいは機密漏洩の問題等で外務大臣の処置に対して不平のあるものが、救済機関として人事審議会へ持つて行けば、その人事審議会は、その不平と考えている処置をした外務大臣が任命した人が三人もいたのでは、十分な救済の道にならないと思います。これではまつたく意味をなさないと思う。ますます外務大臣オールマイテイになると思う。この点について岡部さんと大江さんの意見を聞きたい。
  156. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 それでは私から先に申し上げますが、外務公務員が、たとえば査察便に関連してでも何でもよろしゆうございますが、要するに勤務條件について不服がありました場合におきましては、これは各省とも同じことなのでありますが、要するにその所管の大臣に一応不平、苦情を申し立てる。そうしてそこで普通の場合ですと一応けりがつくわけでありますが、特に外務省の場合におきましては、外務省内に置かれる機関としては、できるだけ公平な人選で構成されている外務人事審議会で一応その不平を聞くことにする。その不平が聞かれなかつた場合におきましては、さらに人事院にいつでも提訴することができるのだ、すなわち国家公務員法第八十六條の原則にもどることができるのだということになつていますから、その点は国家公務員法と同じレベル、同じやり方、それを一層丁寧にしたやり方である。そういう点におきましてはさしつかえないと思つております。それからその不平、苦情がさらに一歩進みまして、不利益な処分を受けました場合におきましても、原則としては、すなわち一応の独立性を持つております人事院に参ります。ただ特別な外交上の機密を漏洩して、それによつて国家の重大な利益を毀損したという、きわめて限定された事由によりまして懲戒処分を受けました場合におきましては、これは国家の重大な機密に関することでありますから、特に外務人事審議会で扱う。これはごくごくの特例の場合であると考えているわけであります。
  157. 大江晃

    ○大江政府委員 一般的のことは、ただいまの岡部委員の御説明の通りでありますが、御指摘の査察使に関しまして、査察使の報告に基いて本人が不利益の処分を受けた場合、これは林さんのお話では、外務人事審議会に行くというふうにお話になりましたが、これは一般の国家公務員法の規定に基いて、不利益処分に対する弁解なり申開きができることになつております。また第十六條のような法律でもつてこの査察使を規定するということはおかしいではないかというお話でございますが、御承知のように、世界全般に在外公館が配置されておりまして、きわめて僻陬の地まであるわけでありまして、中には二、三人、あるいは二人というような、きわめて数が少い公館もあるわけであります。こういうところは、やはりついやすきに流れまして、事務が適切に行われないというようなこともございますので、こういう特殊の事情を考慮いたしまして、外務省といたしましてはここの査察の制度を設けることが必要であろう、また反対の場合、やはり遠隔の地にありまして非常に特殊な勤務をするというような場合におきましても、東京におりましてはなかなか目につかないというようなこともございますので、そういう場合にも、査察便が行つて見るということが一つの大きな役割をなすものではないか、こう考えている次第であります。
  158. 林百郎

    ○林(百)委員 大体私の質問は次に譲りたいと思いますが、もう一つ確かめておきたいと思いますことは、査察便の報告に基いて外務大臣が必要と認める措置をとらなければならない。この必要な措置に不平な場合には、直接人事院に提訴できるということは確認してよいかどうか。  それから第二十二條によりますと、「懲戒処分に関する審査の手続に関し必要な事項は、政令で定める。」とあつて、これによつて特殊な手続が設けられるようにわれわれには考えられるのでありますが、この第二十二條の「懲戒処分に関する審査の手続に関し必要な事項は、政令で定める。」というのは、どういうことなのか。一般的に人事院に提訴するということに対する例外を設けるのかどうか、この点を聞いておきたい。  それからもう一つ、外交の機密漏洩によつて処分を受けた場合、これはさらにその外務人事審議会の処分に不平な者に対しては人事院に提訴できるのかどうか、こういう点をはつきりさしておきたいと思います。
  159. 大江晃

    ○大江政府委員 第一点の査察の点に関しましては、外務人事審議会にはかけずに、国家公務員法の設定によるということになつております。  それから第二点の第二十二條の「懲戒処分に関する審査の手続に関し必要な事項は、政令で定める。」ということは、審査請求書の形式であるとか、あるいは審議会の審理手続、その中に口頭審理の通知であるとか、資料提出の要求、証人の喚問、証人の宣誓、調書の作成、判定書の送達、こういうようなことを考えております。  第三点の外交機密の漏洩による場合の外務大臣の判定は最終でございまして、国家公務員法のようには参りません。
  160. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、機密漏洩による懲戒処分の場合には、外務人事審議会が最終的な決定をするので、人事院への提訴ができないというのは、先ほどの岡部さんの、それでもし不服な場合は人事院に提訴できるという答弁と違つておるのですが、この場合は人事院が関与できなくて、外務人事審議会だけで最終的な懲戒処分をされてしまうわけでしようか。
  161. 大江晃

    ○大江政府委員 外務大臣の判定によるものが最終でございます。
  162. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 私が申し上げましたのは、大江さんが申し上げましたのと趣旨は違わないのでありまして、要するに三つの場合がございますから念のために申し上げますと、第一は公務員法第八十六條による勤務條件に関する行政措置の問題でございます。これは外務人事審議会に一旦行きまして、それで不服がある場合においては人事院にいつでも来れるということでございます。それから今度は公務員法第八十九條以下に規定しております不利益処分に関する審査の請求の場合でございますが、この場合におきましては原則として外務公務員といえども、その不利益処分を受けました場合においては、直接人事院に参ります。但し先ほど申し上げました外交上の機密を漏洩して、それによつて国家の重大な利益を毀損したという理由によつて懲戒免職を受けました場合におきましては、この外務人事審議会にかかるわけでありまして、この場合が特例であります。この場合におきましては人事院にあらためて審査の請求をすることはできません。
  163. 林百郎

    ○林(百)委員 そこが非常に私重要だと思います。おそらく外務職員の場合で一番問題になるのは、この外交機密の漏洩という問題だと思うのですが、そういうところが、これで懲戒処分を受けて、その最終の救済手段である外務人事審議会が、外務大臣が任命した三人の審議員があるということになりますと、これは外交の機密の漏洩かどうかという判断から、処分から、ほとんどもう外務大臣の意向一つできまつてしまつて、この点では一般の公務員の方がいろいろの問題で人事院に提訴できる一つの例外だと思います。この点はやはり外務公務員が一つの職務上、重大な身分保障上における制限を受けておると考えざるを得ない。しかもその制限を受けておる部分が、外務公務員としては最も常日ごろ心配している点だと思います。これに対する救済方法がこれでいいのかどうか、この点を最後に大江政府委員と岡部政府委員とに私は聞いておきたいと思います。
  164. 大江晃

    ○大江政府委員 確かにその点につきまして、外務職員が他の国家公務員よりきびしい制限を受けておりますが、これは外交という国家にとりまして重大な職務を遂行しております職員といたしまして、この機密の漏洩その他によつて国家の重大な利益を毀損したというような場合には、当然受けなければならないものであります。その意味におきまして、こういう規定はなければならぬと私は考えております。
  165. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 ただいま大江政府委員からも御説明申し上げました通り、この第十九條の場合は、一般の職員に比較いたしまして、外務職員が受けます身分保障上における重大な制限であろうと存じます。この点はもちろん慎重に考慮しなければならぬわけでありますから、その場合を非常に制限してあるのだということは申し上げましたが、要するにこの第十九條の場合におきまして、人事院の審査の請求を排除したと申しますことは、人事院の公平審理は口頭で、公開の審理で、ガラス張りの中でやるということを前提といたしておりますので、従いましてこの外交機密を扱う事件については人事院がこれを処理するのには、人事院といたしましても、不適当であろうと実は考えておるわけであります。そういうわけで、この外交機密の漏洩のケースだけは、外務人事審議会が扱うおけでありますが、さらに外務人事審議会の決定に対しましては、これは原則に帰りまして、一般の職員について、人事院の提訴が、決して裁判所に訴えるということを妨げないのと同じように、今度は人事院を通らないで、外務人事審議会の決定に対して司法裁判所に出訴して、その保護を最終的に求めることができることになつているわけであります。その点におきまして、最終的には一般の公務員と身分の保障においては劣らない、こう考えております。
  166. 林百郎

    ○林(百)委員 今のあなたの答弁によると、人事院自身が、外務省だけは特別だというのですが、外務公務員だつてどこの官庁の公務員だつてちつともかわらない。たまたま外務大臣が吉田総理だというだけです。その外務公務員が機密を漏洩したかどうかということについての審理は、秘密であろうと公開であろうと、そんなことはかまおない。人事院がそのことだけは私の方は適当でないという言い方自身が、非常に卑下した言い方ではないか。少くとも外務人事審議会の中に、人事院の職員が三名で――これは構成の問題になりますが、私は何も人事院が完全にわれわれの陣営の人だとは思ておりませんが、しかしそれにしても、少くも客観的に判断のできる人が三人で、あと外務公務員と外務大臣が任命した人が一人ということならわかりますが、人事院が一人だけで、当該不当処分をしたといつて、公務員が不平を言う相手の外務大臣が任命した人が三人いるということは、どうしてもわからないのです。一体外務人事審議会の構成をどうしてこういうようにきめられたのか、その根拠を私はお聞きしたいと思います。少くともそういう事案に対して、外務大臣の処分に対して、不当だといつて外務人事審議会に審理をされている事案を、客観的に判断できる人を三人なら三人、場合によつては人事院の職員をこの中に三人入れる。審理はもちろん秘密にしたつてけつこうです。何も公開、秘密ということは問題じやないのです。それならまだ形式的にも何とか公平にしようという意図がわかりますが、これでは一旦外務大臣にお前は機密を漏洩したということを言われれば、もう浮ぶ瀬は絶対ないという法律になつていると考えられるわけですが、その点について最後に大江政府委員から、あるいは石原次官でもけつこうですが、お聞きしておきたいと思います。
  167. 大江晃

    ○大江政府委員 外務人事審議会は、ただいまもお話のありましたように、外交機密の漏洩問題のときに具体的の審理を行うこともあるのでありますけれども、それよりも、この法律におきまして各所に出ております政令あるいは省令をつくる基準をつくる、そういう面が普通の仕事として非常に多いのであります。そこで一名は外務公務員、一名は人事院の職員、この二人は主としてそういう政令なりあるいは省令なりの基準をつくる事務を扱う、他の三名は学識経験者、広く民間から適当な人を選んで公正な意見を入れる、そういう趣旨におきまして、この五人の構成を考えた次第でございまして、具体的の個々の審理というものは、ごく特定の場合に行われる、平生はこの基準を制定するという点に重点を置いて、この審議会が運営せられるということを考えてこういう構成をいたしたのであります。
  168. 仲内憲治

    ○仲内委員長 黒田寿男君。
  169. 黒田寿男

    ○黒田委員 私はきようは一点だけ質問するにとどめておきます。やはり私もただいま問題になりました外務職員の外交機密の漏洩問題につきまして質問したいと思いますが、私はこう考えますがどうでございましようか。この外務公務員の機密漏洩の場合には二種類ある。一つは一般の公務員が秘密を漏洩いたしました場合、いま一つはその秘密の漏洩が単なる秘密漏洩という一般的な事態の発生でなくて、特に内容上国家の重大な利益を毀損することになるという結果を生ずる場合、こういう二通りの機密漏洩の場合があります。こういうように考えることができると思います。こら考えてよろしいと思いますが、いかがでございましようか。
  170. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 それでよろしいと思います。
  171. 黒田寿男

    ○黒田委員 そこでさらにお尋ねいたしますが、国家の重大な利益を毀損したという場合、抽象的に言つてはどうもはつきりと理解ができないのでありますが、過去において何かかような場合に該当するような事例がありましたかどうか。具体的にはこういう場合を第十九條において国家の重大な利益を毀損する場合と称するのだというように御説明願えますれば、非常に私どもわかりいいのであります。将来のことを予想して申しましたのでは、いろいろと誤解が起りますが、何か過去の事例がございましたら、お教え願いますれば、この重大な利益の毀損ということの理解が非常に容易であると思います。
  172. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 われわれの承知しております範囲では、幸いにして今までこういうことはなかつたようでありますが、御案内のごとく国際関係その他もいよいよ複雑化いておりますし、過去になかつたからといつて、どうといろおけにも参らぬと思いますので、やはりこういう規定が必要ではないかということでつくられた規定であります。
  173. 黒田寿男

    ○黒田委員 過去には例がなかつたとおつしやいますので、これは外務当局御自身がそうおつしやいますれば、それ以上この問題はお聞きしようとは思いません。そこでさらに質問したいと思いますことは、ただいま申しますように外務職員の機密漏洩の場合に二種類ある。その二種類の一つは、国家公務員法第百條の場合と同様な場合であり、それから第二の場合は外務公務員法第十九條に当る場合、こういうように考えます。そこで一体政府は、これは常識上わかり切つたことだと思いますけれども、どちらが情状が重いとお考えになつておりましようか。その点わかり切つたことのように思いますけれども、一応お聞きしておきます。
  174. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 これは申し上げるまでもないと思いますが、外交機密の漏洩で国家の重大な利益を毀損する、こういうことであればこれはもう外交官の資格にも関係して来る問題と思うのでありまして、もちろんこの方を重視しておるわけであります。
  175. 黒田寿男

    ○黒田委員 これは私も常識上そういうふうに考えられると思います。ところがそれに対する罰則から見れば、罰則の点では同じように取扱おれていると思います。第二十七條によりますと、罰則という点から申しますれば、別に差異は設けられていない、ただ審理の方法が違う、この点に差異が設けられていると私は考えますが、私の考えは間違つておりましようかどうでしようか。
  176. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 それもおつしやる通りであります。
  177. 黒田寿男

    ○黒田委員 そこで私は重大な問題が次に起ると思います。基本的人権の抑圧、剥奪という問題が私は起ると思います。ただいまおつしやいましたように、罰則が同等であるということ、それは私どもけつこうなことだと思います。私どもはなるべく国民が罰せられることの少いように、また罰せられる程度ができるだけ軽いようにと考えます。これは人情であります。罰則において差別はありません。そこで両者の間にどういう差別があるかと申しますと、審理の公開非公開の差別がまず第一に定められております。これは事柄が外交上の機密漏洩でありますから、私は非公開で審理するということはこれも一応もつとものことであると考えます。従つて公開非公開の差が両者の間にあるという点につきましては、私は別に異論をさしはさもうとは思いません。しかし重大な人権問題が第十九條並びに第二十條の中に含まれておると考えますのは、この外務職員の外交機密漏洩の場合には、弁護人を審理の過程において付することができないということになつておる。これが私は重要な差異になつていると思います。一般公務員の場合は、私からあえて申すまでもなく、国家公務員法第九十一條に、このような審理の行われます場合には、「すべての口頭審理に出席し、自己の代理人として弁護人を選任し、陳述を行い、証人を出席せしめ、並びに書類、記録その他のあらゆる適切な事実及び資料を提出することができる。」こうなつておる。ところが第二十條によりますと、この場合に該当する條項は第二十條の四号であります。同じような処分を受ける外務職員が、口頭審理を受けます場合について、大体同じような文句が使われておる。ただ外務職員の場合には一点重大な差別が設けられております。それは自己の代理人として弁護人を選任する、この字句が、外務員の場合には第二十條の第四号において欠如しておるのであります。これは私は基本的人権に対する重大なる差別待遇であると考えます。憲法違反だと思います。大体憲法は御承知のように、裁判の公開主義をとつております。この場合は裁判ではありません。いわゆる審理でありますが、審理の公開主義をとつております。すなわち人事院の審理の場合には公開主義をとつておるのであります。次にもう一つ、弁護人依頼権というものを私ども国民は持つております。これは単に裁判の場合だけではありません。私は人事院の審理の場合にも、やはり弁護人依頼権というものを国民は奪われてはならないと考えます。たとえば国防保安法という法律がありました。これは戦争中に設けられた非常に悪い法律であります。これは国家の機密を漏洩するというような場合に、これを処罰する法律でありましたが、この国防保安法のごときは、その刑は死刑まで科し得るような、われわれから見れば非常に悪法でありましたが、その当時の政府から見れば、重大な国家の利益を毀損するものに対処する法律であつたのであります。そういう国防保安法の被告人の場合にすら、もとより審理は非公開ではありましたけれども、弁護人を付するという権利までは奪われておりません。憲法によれば、これは裁判の場合についてでありますけれども、国民は弁護人依頼権を持つておるというだけでなくて、もしみずから依頼することができない場合には、国がこれをつけてやるというような規定まで、設けられておりまして、審理を受ける場合における弁護人の任務というものを非常に重要視しておるのであります。なるほどこの場合はいわゆる裁判ではありませんけれども、一種の審理を受けるのであります。そして一般公務員は先ほど申しましたように、第九十一條によりまして弁護人を選任する権利を有する。私はこれはあたりまえのことだと思う。外務公務員に対してはなぜこの弁護人選任権を奪つたのか、これは非常に重大な問題です。非公開審理の意味はわかりますけれども、弁護人の選任を許さない、弁護人選任條項を削つたということは、私は憲法違反だと思う。私どものように、基本的人権の擁護の任務を全うしなければならぬと考えながら政治に携わつております者から見れば、重大なる憲法違反だと私は思います。これは裁判ではない、単に審理だ、これに不服ならもう一度裁判所に提訴することができるという道が開かれていないことはありません。これは公務員法によつて開かれております。しかし単にそれだけの理由で、外務職員の審理の場合に弁護人を付することを許さないというのは、ただそれだけで重大なる人権蹂躪である、弁護人依頼権の蹂躪である、こう私は考える。どうでありますか、政府はひとつお考えになつて――非公開はよろしい、私ども何心かも公開にしろとは申しません。しかし、弁護人をつけることは認められたらどうでありましよう。私はこれをもし許さないで、あくまで政府が原案のままで押し通そうとされるならば、政府に対して重大な争いをしなければならない。私ども日本人として、私どもは役人ではありませんけれども、役人諸君の立場も絶えず考えております。公務員諸君の立場をも私どもは絶えず考えておるのであります。立法府と行政府とにわかれて仕事をしておりますが、行政府に働いておる日本人同胞の基本的人権につきましても、私ども真剣に考慮を払つておるのであります。私はこの差別があるということは、それは政府はお認めになると思いますが、ひとつ原案を御訂正になつたらどうかと思います。特にこの差別待遇をする理由がどこにあるか、私にはわかりません。おそらく何らかの弁解をなさるでしよう。それをなされても、これは議論になるだけだと思います。私を納得せしめるような御議論にはなるまいと思います。私はその弁解を聞かなくともよろしい。区別があるということをはつきりお認めになつて、政府みずから、自発的に、御訂正になつたらどうですか。これは重大な問題であります。今日はこの一点だけ政府の御意見を承りたい。
  178. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 これはただいまいろいろお述べになつたのでありますが、お話の中にもありましたように、いわゆる裁判でもないということも、一つあるのでありますが、と同時に、これは機密の漏洩によつて国家の重大な利益を毀損したという、国家の重大な利益に関係しておるという事案になるのでありますから、この審理によりまして、さらにまた国家の機密がずつと広く漏洩するということになれば、これは容易ならぬことでありますので、関係者の範囲をなるべく少くしたい。そういう観点からいたしまして、ただいまお話になりましたように、非公開にする、あるいはまたこの審理に関係をする者も極力最小限にするということで、弁護人もない、こういう形になつておるのであります。
  179. 黒田寿男

    ○黒田委員 もう私はあまり議論はいたしませんが、しかしただいまの外務次官のお話では私ども納得できないのであります。私どもこうやつてあなた方と議論をしておりますけれども私はあなた方のことも考えておる。国家公務員のことも考えておる。同じ日本人であるその人たちの基本的人権というものを、私どもは考えておる。先ほど申しましたように、戦争中の国防保安法においてすら、弁護人を付することを認めておるのであります。この場合も外交の機密漏洩でありますが、この場合に限つて、他の公務員諸君の場合と、公開、非公開以外の重大な差別待遇をするということは、私どもにはどうしてもただいま政府の意見として述べられたことが私には承服できないのであります。私はこれは憲法違反だと思う。私はそう確信します。だから私は石原次官は強弁なさらないで、ひとつ御訂正になつたらどうかということを、もう一度特に勧告したいのであります。漏洩ということもなるほど国家の重大な問題であるかもしれませんが、個人としますれば、これは後日になつて裁判に出してみたところで、最初の審理段階において不利益な処分を受けることになれば、これは事典上最終的な裁判になつてしまうのでありますから、個人の基本的人権から見れば、これは重大な問題であります。まあしかしこれ以上申しましても、石原外務次官のただいまのような御答弁を繰返して承るだけだと考えますから、私はもうこれ以上議論はいたしません。しかしぜひ希望としましては、ひとつ政府みずから御訂正になつて、弁護人選任権を認められるということになさつたらどうかと思います。きようはもう時間もありませんから、私はこれだけで私の質問を終了いたします。
  180. 仲内憲治

    ○仲内委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は来る三月十九日午前十時より開会いたします。     午後三時五十九分散会