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1951-10-30 第12回国会 衆議院 法務委員会 8号 公式Web版

  1. 昭和二十六年十月三十日(火曜日)     午後一時五十分開議  出席委員    委員長代理 理事 押谷 富三君    理事 北川 定務君 理事 田嶋 好文君       鍛冶 良作君    佐瀬 昌三君       高橋 英吉君    花村 四郎君       牧野 寛索君    松木  弘君       眞鍋  勝君    山口 好一君       小野  孝君    梨木作次郎君       世耕 弘一君  出席政府委員         法制意見長官  佐藤 達夫君         検     事         (法制意見参事         官)      位野木益雄君  委員外の出席者         専  門  員 村  教三君         専  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 十月二十七日  所有権移転仮登記による地方税の徴収阻害防除  に関する陳情書外一件(東京都千代田区平河町  二丁目六番地全国市長会会長金刺不二太郎)(  第二六一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  会社更生法案(内閣提出、第十回国会閣法第一  三九号)  破産法及び和議法の一部を改正する法律案(内  閣提出、第十回国会閣法第一四一号)     ―――――――――――――
  2. 押谷富三

    ○押谷委員長代理 これより会議を開きます。  先日に引続きまして会社更生法案について質疑を続行いたします。山口好一君。
  3. 山口好一

    ○山口(好)委員 それでは第三章以下について質問をいたしたいと思います。  九十四条の管財人の選任の件でありますが、会社更生の成否は、一つは管財人の適否に重大なる関係があると思います。人材を選択する意味から、選任の範囲を広める必要があると思うのでありますが、特に実際の実業界の意見などを聴しまするのに、事業の種類によりましては、同業者のうちのエキスパートをそこに持つて行かなければ成功いたさないということを申しております。そうしますると、この際独占禁止法の役員兼任の制度に関する規定につきまして、例外を認める必要があるのではないかと思うのでありますが、この点を伺いたいと思います。
  4. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 御質問の点はまことにごもつともと存ずるのであります。管財人に適任者を得るということは、この更生手続の成功不成功を決定する最大要素であるというふうに考えられるのであります。しかしながらこの選任のことにつきましては、管財人の職務の公正を要するという点から、やはり利害関係がないということを要件とする必要があると考えられますので、九十四条のような条文にいたしたわけであります。しかしながら業務の運営の点から申しますと、従前の経営者あるいは同業者に管財人になつていただく方が便利であることは、これは十分考えられますので、ここに但書を設けまして、数人の管財人を選任する場合には一人だけはそういう人を選んでもよろしいというふうにいたしたのであります。独禁法の関係でございまするが、独禁法の十三条の会社の役員の中には、会社更生手続における管財人は包含いたさないと考えられます。これは独禁法におきまして第二条の第六号に役員の定義がございまして、それには該当しないものと考えられますので、特に除外例を設ける必要はないのじやないかというふうに考えております。
  5. 山口好一

    ○山口(好)委員 もう一点管財人のことについてお伺いいたします。前回参考人をここへ呼んで意見を徴しましたときに、斎藤参考人から、四十六条の規定に、会社の債務が二千万円以下のときは管財人を置かないこともできる。しかしそれ以上の場合は必ず管財人を選任することとなつているが、このリミツトを廃止してもらいたいというような意見が出たのであります。ただいまのお答えによりまして、独禁法との関係、あるいはその会社の経営者自体も、数人の管財人を選ぶ場合には選ぶこともできるということにはなつておるのでありまするし、また斎藤参考人からは、この二千万円の債務という制限を取払つて、しかもこの会社の経営者を選ぶこともできるというように修正をしてもらいたいという意見も出ましたが、この点はいかがでありましようか、御所見を伺いたいと思います。
  6. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 会社の理事者と申しますか、経営者の立場から申しますと、更生手続が開始されたためにその管理権を一時停止されるということは残念なことで、あまり好ましくないということは考えられますし、また会社の動揺を防止する上からも、理事者と申しますか、事実上の管理者がかわるということはあまり好ましくないという仰せかと思いますが、手続の公正を期する上からは、従前の理事者がそのまま職務をとることは好ましくないということは、やはり考えられるのであります。そうして各地の公聴会と申しますか、懇談会でも意見が出たのでありますが、ほかの観点から言いますと、むしろ常に管財人を置いてもらいたい、従前の理事者をそのまますえ置くということは、非常に弊害を生ずるのではないかというようなことを言う方が相当ありまして、裁判所関係の方にもそういう方がありました。そういう見地と両方考えられるわけでありますが、その間の調整をいかにするかということが問題であると存ずるのであります。現在のところでは、原案の程度が一応の折衷案として妥当ではなかろうかというふうに考えている次第であります。
  7. 山口好一

    ○山口(好)委員 それでは次に第四章の方に入つてお尋ねしたいと思いますが、この第四章の規定のうちの百三条四項の労働協約との関係でありますが、この労働協約というものは、どういう筋囲のものをさしておるのでありましようか、まずそれを伺いたい。
  8. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 これは労働組合法第三章にいわれております労働協約と大体同様のことを考えておるのでございます。
  9. 山口好一

    ○山口(好)委員 前会の梨木君からの御質問に対しましても、この問題は労働法を根拠にして解決をするというお答えでありましたが、われわれ実際にこの事件を扱つてみまして、こうした危殆に瀕しておりまする大きな会社、工場になりますると、会社の現在の理事者ではどうにもならない、給料も払えないというようなところから、この給料支払いを相なるべく確保し、そうして業務を続けて行きたいというような希望から、労働組合に属しまするところの従業員の諸君が、その事業自体を引受けて、かわつて経営しておる、会社との契約によりまして、労働組合の人々が、同じ会社の名義でその仕事は労働組合の人々がかわつてやつておるというような状態を見受けるのでありますが、こうした会社と労働組合との間の契約というものは、やはり労働協約というこの中に包含されましようか、御所見を伺いたい。
  10. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 御質問のような場合は、まあ場合によつて違うかとも存じまするが、労働協約と申しますのは、労働条件に関する使用者と労働者との間の契約でございまするから、そういうものに該当しないというふうに考えられますので、これは労働協約とは言えないのじやないかというふうに一応考えられます。
  11. 山口好一

    ○山口(好)委員 そうしますと、更生計画で労働法のいわゆる労働協約を排除するとか、あるいはその更生手続の開始によつて一方的に労働協約の内容が変更される、いわゆる労働組合の精神が蹂躙されるというような心配はないわけですか。
  12. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 労働協約を更生計画自体によりまして変更するというようなことはできないと考えております。
  13. 山口好一

    ○山口(好)委員 もう一点、第二百三条、これによりますれば、裁判所は更生計画案について労働組合の意見を聞かなければならない、労働組合ができておらない場合にも、使用者の団体の意見を徴さねばならぬということになつておりますが、これはただ意見を聞いて、それに拘束されるというのではないと思いますが、そういたしますと、やはりこの更生計画の円滑に行われるためには、これらの組合の意見を相当尊重しなければならないと思うのであります。この辺の実際の取扱いをどうお考えになつているか伺いたいと思います。
  14. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 会社の更生には会社の使用人の十分なる協力を得る必要があります。もし使用人と意見が合わないで、無理やりに会社の更生手続を強行するということになりますと、これは非常な困難を伴うということが考えられるわけであります。そういうような意味におきまして、必ず労働組合の意見を聞いて、計画を立てなければならないというふうにいたしたのがこの第二百三条であります。しかしながらこの更生計画の手続自体に労働組合を介入させて、その意見によつて更生計画が左右されるというふうなことにいたしますことは、これはまた行き過ぎでございますので、やはり労働組合と会社との間に十分折衝して納得の行つた上で、更生計画を遂行するというようにすべきだと思うのであります。その間の円満なる話合いを期待しているわけでありますが、労働組合といえども、会社がつぶれてしまえばそれまでであります。自分たちも町に放たれるというわけでありまして、その点は十分労働者側といたしましても考えておられることと思うのであります。でありますから、これはこの間の話合いが十分円満に成り立ち得るかというふうに考えておる次第であります。
  15. 山口好一

    ○山口(好)委員 次に関係人集会のことについて御質問いたします。百六十五条の規定で第一回の関係人の集会が行われます。百九十五条、百九十六条によりまして会社今後の管理方針を審理するわけでありまするが、さきの四十六条第二号の規定で、第一回関係人集会の期日は、更生開始決定の日から一月以内でなければならないとしてあります。しかるに四十六条第一号では、更生債権、更生担保権及び株式の届出期間を決定の日から四月以内としております。これによりますると、届出の完了しないうちに関係人集会を開くことになつて、不都合ではないかと思うのでありまするが、つまりいまだ届けない未届者の権利を害すおそれはないか。この点についての政府の考えを伺いたいと思います。
  16. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 御指摘のように、更生債権、更生担保権及び株式の届出の期間の満了しない前に第一回の関係人集会が開かれるという場合があるわけであります。そういう事態はなるべく避けたいと考えるわけでありまして、できれば届出期間後に集会を開くように運用をされると思うのでありまするが、しかしこの規定から申しますと、やむを得ない場合には、届出期間前に第一回の集会が開かれるということがあるわけであります。これはどうしてそういうようなことにいたしたかと申しますと、第一回の関係人集会というのは手続が始まりましたので、取急ぎこの手続開始後の会社の管理をどういうふうにするかという点について、関係人の意見を聞くために開くものであります。それでありますから、なるべく早く開く必要がある、特に一月以内というふうにいたしてありますが、それによつて届出しない人の権利が害されるかと申しますと、なるほど意見はそのときには言えないということになるかもしれませんが、届出期間の公示があるわけでありまするから、それまでに届出をして意見を述べることもできる。それからまたそれに間に合わなければ、後にそういうふうな管理方針についての意見を述べれば、これはその後裁判所は一々その意見をしんしやくして会社の管理、すなわち管財人を置かないとか、あるいはどういう人を管財人に選ぶというふうなことを決定変更し得るわけであります。そういうふうな点は、別に権利を特に侵害するというふうなことはないと考えております。従いまして、これは別にさしつかえないというふうに考えております。
  17. 山口好一

    ○山口(好)委員 なるべく簡単に項目で質問したいと思います。  次に第六章に入りますが、百七十八条の財産の価額の評定の規定におきまして、会社の収支状況の評定――いろいろありまするが、さらに会社の収支状況を評定することが必要と思うのでありますが、この言葉を加える必要がないか。それから百七十九条で、同様に財産目録及び貸借対照表の作成を必要といたしておりますが、そのほかに損益計算書という語を加える必要がないかどうか。この二点をお伺いいたします。
  18. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 第百七十八条は会社の財産の評定のことを考えておるのでありまして、会社の収支関係と申しますか、財産状態を明瞭にする措置の方は、第百七十九条でおのずからまかなわれておる。第百七十九条は財産目録及び貸借対照表をつくるということでありますので、そちらの方でおのずから出るというふうに考えておるわけであります。第百七十八条の方は、単に財産の評定を公平に行うようにということを規定したものにすぎないのでありまして、収支状況の評定ということまで――収支状況の評定といつても、ちよつとこういうふうな方法でやらせるということは必ずしも適当じやないとも考えられますので、この点は不必要ではないかというふうに考えております。それから百七十九条でありまするが、これは損益計算書によつてしてもらつた方が便利な場合もあるかと思いますが、大体貸借対照表の方にもその結果の概略はわかるわけでございますから、特に作成しなくてもさしつかえないというふうに考えて記載しなかつた。もし必要といたしますれば、第百八十三条によりまして、さらにそういうものを規定して作成を命ずるというふうになつておりますので、常に必要なものとして特にここに掲げるまでもないのではないかというふうに考えております。
  19. 山口好一

    ○山口(好)委員 次に百九十一条の、管財人がない場合に裁判所は審査人を選任することができるという規定がありまするが、この人選範囲いかん、具体的にどういう範囲というようなところをお考えになつているかお聞きしたい。これが一点。  それから百九十四条の法律顧問でありますが、これは従前から会社の顧問をしておつた弁護士などでもよいか、またそういう者の報酬の支払いの方はどうなるかというこの二点をお伺いいたします。
  20. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 審査人の人選の範囲でございますが、これは審査人の職務が場合々々によつて異なつておりますので、一概に申すことは困難かと思いますが、たとえばここに掲げております一定の事項の調査の方などは、主として会社の経理状態、財産状態の調査が多いだろうと思いますが、そういう場合には、たとえば公認会計士だとかいうふうなのが適当じやないかと考えております。それからまた更生計画案の作成というようなことでありますれば、これはむしろそういう方面に実業の経験のある方というふうなことが考えられます。それからまた発起人、取締後、監査役、または清算人に対する責任追及ということでありますれば、これは弁護士さんが一番適当じやないかというふうなことが言えると思います。特にこれは職務々々によつてそれぞれの適当な方を選任されるものというふうに考えております。  それから百九十四条の法律顧問に、会社の従前の顧問弁護士を選任してよいかという点でございますが、この法律の規定から申しまして、これは選任してさしつかえないというふうに考えております。ただ管財人と同じように、職務の公正を期するというふうな点から、裁判所が、従前の弁護士さんは特に何らかの関係があるというふうなことであれば、その人選を差控えるというふうなことはあり得るかと考えております。報酬につきましては、通常これは法律顧問と別に区別をすべきことはないというふうに考えております。
  21. 山口好一

    ○山口(好)委員 次に百九十八条の問題でありますが、あまたの更生計画案が同時に裁判所に提出されることが、この規定によりまして予想されるのでありますが、これらは全部計画案審理のための関係人集会に付議されることになるのでありましようか、あるいはその前に裁判所が取捨選択して適当な筋囲にこれをつづめて付議されるのでありましようか、まずこの点をお伺いいたします。
  22. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 更生計画案が提出されました場合には、裁判所はその計画案を見まして、修正を命ずべきものは修正を命ずる。そして修正された結果、適法な、しかも認可に適するようなものであれば、これを決議にかけるというようなことになります。しかし初めから、はしにも棒にもかからないというような案があるわけであります。こういうものは、修正を命ずるにも適しないということが考えられます。そういう場合には、二百七条によりまして「更生計画案が法律の規定に反するか、公正、衡平なものでないか、又は遂行不可能なものであると認めるときは、裁判所は、計画案を関係人集会の審理又は決議に付さないことができる。」というふうになつておりまして、これは決議に付さないで排除するというふうなことになります。しかしながら、それ以外のものは、かりに二案、三案ありましても、一応これは決議に付される。決議に付されると申しましても、同時にこれを可決するとか否決するとかいうふうにいきなり持つて行くのではなしに、一応全部議題に上して利害得失を検討することはできるかと思いますけれども、しかしながら、その後この案はこれは順次決をとられまして、そしてまず可決されたものがありますれば、それが可決された案というふうなことになると考えます。
  23. 山口好一

    ○山口(好)委員 これと二百五条の修正命令との関係でありますが、二百五条によりますれば「裁判所は、利害関係人の申立により又は職権で、更生計画案の提出者に対し計画案を修正すべきことを命ずることができる。」こういうふうになつております。この修正命令は修正点を明示して命令をするのでありますか。それともどういうふうにしてそういうことを示さずにやるのか。  またもう一つ第二項によりますれば、「前項の規定による裁判所の命令があつたときは、計画案の提出者は、裁判所の定める期間に、計画案を修正しなければならない。」こういうふうにはなつておりますが、もし提出者がその期間内に修正しなかつたとき、これは裁判所みずから修正し得るのかどうか、この一項と二項の点をお伺いしたいと思います。
  24. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 修正命令は修正すべき箇所をやはり明示して修正を命ずることになると考えております。  それから第二項の規定によりまして、修正をする義務がある場合に、修正に応じないということでありますれば、これはさらに裁判所がみずから修正するということまでは考えておりません。これは規定にもございません。もちろん、そこまで裁判所が立ち入るということは適当でないと考えますので、そういうふうな規定にはなつていないわけであります。ただ修正を命じない場合には、命じない結果、結局この計画案が公正衡平なものでない、あるいは遂行不可能なものであるというふうなことに大体なると思いますが、そうなりますれば、二百七条によつてその案が排除されることになるというふうに考えております。
  25. 山口好一

    ○山口(好)委員 次に百九十九条の規定でありますが、この規定の内容は清算を内容とする計画案の作成を認めておるのでありますが、これは会社の更生案ではなくて、むしろ清算手続に属すると考えられますので、清算手続に移行すべきものと思うのでありますが、この点いかがでございますか、御所見を伺います。
  26. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 御指摘の点はまことにごもつともな点があると存ずるのであります。清算を内容とするような計画しかできないというふうでありますれば、これはもはや会社の更生はできないわけですから、更生手続には適しないわけであります。従いまして当初から、すなわち更生手続開始前から、清算を内容とする計画案しかできないというふうな会社でございますれば、これに対して更生手続を開始すべきものではありませんので、これは当然開始の申立ては棄却されるというふうなことになるわけであります。しかしながら、開始当時は十分更生の見込みがあつたということで、一旦更生手続が開始せられた会社につきましては、その後事情の急変によりまして、もはや会社の立て直りはむずかしいというふうな事態になる場合がないと申せないと思います。そういうふうな場合に、すでに手続が相当進行しておる、今この手続を廃止してさらにあらためて他の手続、たとえば破産手続あるいは特別清算手続等に移すということになりますと、これはまた相当な費用も要する、手数も要するというふうなことになりまして、当事者はもちろん、国家的にも非常な損失をこうむるということになります。ですからもしできますれば、この手続の内部でこの手続を利用しながら同じ目的を達し得れば、これは一番いいことではないかというふうな考えのもとになされたのが、この第百九十九条の規定であります。ただ開始後の手続があまり違つて、関係人の利害に左右されるということでありますれば、不都合を生ずるのでありますが、この点につきましては、特に担保権者は全員の同意を要するというふうにいたしまして、手当をいたしておりまして、その他の点といたしましては別に不都合な点はないということから、こういうふうな規定にいたしたのであります。
  27. 山口好一

    ○山口(好)委員 次に第七章に入りまして、二百十九条以下の規定でありますが、何と申しましても、更生法の最重要点と申せば、更生に要するところの資金計画、あるいは融資関係、これを確保できるということであると考えるのでありますが、この窮境にありまする会社のために、管財人などが運転資金をいかようにして更生計画面に盛り上げて行くか、こういう点についての規定はどうも明瞭でないように思われますが、当局といたされましては、この法律がほんとうに利用せられ、また成功するというためには、どうしてもその基調となりまする融資の部面を考えなければならないと思うのであります。前回も銀行方面の参考人も参りまして、その点を非常に憂えておつたわけでありますが、更生計画面におきまして実際の問題としてはどういうふうにこれを計画して行くのであるか、当局の考えておりまする実際の考え方をなおお伺いしたいと思うのであります。
  28. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 御指摘のように、会社の更生には、資金の調達ということが非常に重要なことになつて来ると思います。更生計画案におきましては、もちろんそういう点も十分に考慮して計画がなされなければならないと考えるわけでありますけれども、その方法といたしましては、その会社によつて最も適当な方法をとられると存ずるのであります。たとえば従前の株主に少しずつ新しい株を与えるということにして、そのかわりに市価よりも安い払込みをしてもらつてその資金を調達する、あるいは第三者から新株を募集する、あるいは社債を募集するということによつて資金を調達する。あるいはまた従前の会社の財産の一部を、債権の免除なんかを得て浮かしまして、またそれを他に抵当に入れて金を借りるとかというふうな、種々の方法も考えられると思うのであります。これは実際面においてはなかなか困難かと思いまするが、会社の更生が非常に確実であるということでありますれば、そういう点は十分にまかない得るものと考えております。これは日本とは事情が違うので、そのまま例とするわけには参らないかとも思いまするが、アメリカあたりの制度では、たとえばプレミアムがついて株の募集をやるというような事態も珍しくないと聞いております。この点は会社の更生の立案をする人、あるいは従前の債権者、あるいは株主、これは自分の利害に関係することでありますから、そういう人が一緒になつて考えて、最もいい方法が考え出されるということを期待しておるわけであります。
  29. 山口好一

    ○山口(好)委員 この点はなかなかむずかしいことで、相当論議の対象にはなろうと思うのであります。これに関連しまして、今新しい会社をつくつて新株を発行するというような場合を申されましたが、それに関連する二百三十条の規定、新株の発行を見ますと、更生債権者、更生担保権者または株主に新株を割当てる場合を規定しておるのでありますが、従来の株主に無償株としての新株を発行することができるようになつておりますが、この無償株を発行するということは、はたして会社更生のためになるかどうかというような点も考えられますが、こういう方法が会社更生にいかなる意義を持つておるかということを伺いたいのであります。
  30. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 従前の、株主に対しまして無償株を交付するという場合は、これは更生会社の実情におきましては、非常にまれな場合ではないかと思いまするが、あり得ないことはないのであります。たとえば従前の株主は優先株を持つておる。この優先株があるために、会社としては非常に困つた場面もできた。これを普通の株に直したい。それについては、このままでは気の毒であるから、それに対してたとえば一株に一株の割合で、新株、普通株をかわりに割当てるという場合が考えられると思います。
  31. 山口好一

    ○山口(好)委員 次に二百三十七条であります。この二百三十七条は、いわゆる平等の原則の規定でありますが、ここで同じ種類の権利というのは、二百三十六条第一項で分類した権利をさすのか。また更生担保権について第一順位、第二順位などにわけておりますが、これについては差等を設けることが許されるというのでありましようか、この二つの点を伺いたいと思うのであります。
  32. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 二百三十七条の「同じ性質の権利」という意味は、必ずしも二百三十六条の第一項の各号に掲げられておりまする権利の種類とは一致しないわけであります。従いまして更生担保権の中に、さらにたとえば第一順位の担保権、それからもつと弱い第二順位の担保権というふうなものがありまするが、この間に差等を設けるというふうなことは、これは当然考えられるわけでありまして、二百三十六条の第一項の各号に掲げられる権利をさらに細分してはいけないという趣旨ではございません。
  33. 山口好一

    ○山口(好)委員 いま二、三点お伺いいたします。第七章の「更生計画の条項」でありますが、二百二十一条に「債務の期限」という表題で、弁済資金の調達方法を明示しなければならないと規定しておるのでありますが、具体的の明示方法としてどのように予想しておりまするか、この点をまずお伺いします。
  34. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 弁済資金の調達方法といたしましてはいろいろのことがありますが、二百五十六条の第二項に掲げてあります担保というのがございます。これは計画の定めによりまして一定の金額を支払う必要があるようなことが十分予見されている場合、その弁済を確実ならしむるために、特に担保の提供を命じ得るということを規定したのであります。そういうふうな担保を提供したときということでありますれば、これは最も確実なる資金の調達方法の明示でありますが、それ以外におきましても、これは別の方法を明定しておりませんので、たとえば確実にこういうふうな収入があることが予見されるということでありますれば、特に方法は限定されないわけであります。
  35. 山口好一

    ○山口(好)委員 次に二百三十四条の「新会社設立」の規定でありますが、この新会社は多くの場合、更生会社と営業譲渡、営業の賃貸借あるいは委託経営などの関係などを結ぶことを前提として設立されるものと思うのでありますが、そうしますと二百二十五条の「営業又は財産の譲渡等」に関する規定との関係はどうなりましようか、この点をお伺いいたします。
  36. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 御指摘のように旧会社から新会社の方へ事実上営業の譲渡をする、あるいは重要な営業用の固定資産を引継いで、新会社でそれを利用して営業を続けるというふうな場合があるわけでありますが、これは単に新旧両会社の問の営業の譲渡とか、あるいは財産の譲渡とかいうふうな、契約関係の構成をとらないで、更生計画自体におきまして、新会社へはどういうふうな財産を移転するか、そして新会社の株を旧会社の債権者にはどういうふうに与えるかというふうなことを書かせまして、そしてその決議が成立して計画が認可されますと、当然財産なり営業なりが、旧会社から新会社の方へ移転するというふうな構成をとつております。単に新旧両会社間の契約関係というような構成をとつておりません。従いまして二百二十五条はこの場合は適用がないのであります。二百二十五条の方は会社から他の会社の方へ財産ないし営業を譲渡する場合のことを規定しておるのであります。
  37. 山口好一

    ○山口(好)委員 もう一つ、ちよつと前にさかのぼりますが、二百十七条及び二百十八条、この二条につきましてちよつとお伺いをいたしておきたいと思います。  二百十七条は共益債権の弁済の規定でありますが、この共益債権は更生手続によらないで、随時弁済できると規定されてありますが、五十四条の八号で、共益債権の承認は裁判所の許可を要するという規定になつておりますが、この規定との関係はどうなりましようか。  それから二百十八条は、会社財産不足の場合の弁済方法というふうになつておりますが、この場合は当然更生手続が廃止されるものと考えられますが、この規定と手続廃止との関係はどうなるか、また廃止になつた後の共益債権の弁済方法はどうなるか、破産における財団債権となるのであるかどうか、これらの点についてお伺いいたします。
  38. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 二百十七条と五十四条との関係でございますが、更生手続によらないで随時弁済すると申しますのは、通常の更生債権でございますと、その支払い方法を計画に定めまして、その計画が可決され、認可されると、その方法に従つて弁済しなければならないわけであります。これを更生手続によつて弁済するというふうに表現いたしておるのでありますが、共益債権はそういうふうな方法をとることなく、随時、しかも更生債権に先だつて弁済するというふうに規定いたしたのが二百十七条であります。これにつきましてはやはり五十四条の規定が適用になりまして、五十四条の第八号におきまして、共益債権の承認については、一定の金額以下のもので例外のある場合を除いて、原則として裁判所の許可を得なければならない。支出につきましても同様でございます。  次に第二百十八条でありますが、二百十八条のような場合には、これは御指摘のように、とても会社の更生ははかれないような事態でございますので、手続は当然廃止されるようなことになると思うのであります。廃止ということになりますと、第二百九十条の規定によりまして共益債権の弁済をしなければならない。この共益債権の弁済をする場合に、足りなければ二百十八条の規定によりまして、債権額の割合によつて弁済するということになるわけであります。それから廃止後、二十三条第一項または二十七条の規定によりまして、破産の宣告がされたというふうな場合におきましては、なお弁済のされていない共益債権につきましては、これは財団債権になるというふうな規定が第二十四条において定められております。
  39. 山口好一

    ○山口(好)委員 それでは最後に、第八章の更生計画の認否及び遂行につきまして伺いたいのは、二百四十二条不同意の組のある場合の認可でありますが、更生計画案について同意を得られなかつた組のもののために、第一項に掲げるような条項を定めるときは、当然に他の組のものの権利に影響することとなりますが、この場合でも、あらためて他の組の同意を得る必要はないかということであります。その必要がないとすると、きわめて不当な計画になるおそれがあると思うのでありますが、この点はどうお考えになつておりますか、伺いたいと思います。
  40. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 二百四十二条の規定によりまして、計画案が変更されたという場合には、これはあらためてさらにほかの各組の関係人の決議を得るということは要求いたしておりません。これはさらにそういうようなことにいたしますと、ますます混乱いたしまして、手続が非常に複雑になるということから、そういうふうなことはあらためていたさない建前になつております。しかしながら第二百四十一条によりまして、やはり裁判所は更生手続が本条の第一項の各号に掲げる要件を具備しておるかどうかということを確かめた上でなければ、これは認可できないわけであります。でありますから、これはそういうふうなほかの債権者その他の関係人の権利を侵害するというふうな計画はできないことになるわけであります。裁判所といたしましては、これは最後の宝刀として、二百四十二条を発動するという余地を残しておるわけであります。これはよほどのことがない限り事実上困難ではないかと考えております。もしこういうふうな二百四十一条の要件に該当しないということになれば、もちろんそれに対して抗告して争うことができるわけであります。
  41. 山口好一

    ○山口(好)委員 最後にもう一点、二百五十六条の規定でありますが、「裁判所は、第二百四十八条第一項及び前条に掲げる者に対し、更生計画の遂行に関し必要な命令をすることができる。」こうなつております。これは更生計画の遂行に関し必要な命令となつておりまするが、広く解しますると、なかなか重要なことになりますが、大体この必要な命令とは、具体的に何を言うのか、この点を明らかにしておきたいと思います。
  42. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 この規定は、更生手続が円満に運ぶように特に必要な場合に、裁判所が発動し得る権限を認めたのであります。通常更生計画ができますと、管財人ないし会社は、当然計画に従つて遂行に当るわけでありますが、特に裁判所の命令を待つまでもないわけであります。しかしながら場合によりまして、特に管財人のないような場合に、会社が一定の弁済をなすべきにかかわらず、一向弁済をしない、また会社の設立手続というふうな点も、一向に運ばないという場合に、何とも手の施しようがないということでも困りますので、そういう場合には、裁判所がこれに対して計画の遂行を命ずるというふうにいたしたのであります。たとえば債務の履行を命ずる、非常に抽象的でありますが、すみやかに会社の設立手続を行えというふうなことを命じ得るわけであります。これは具体的に明示ができればよろしい。でありますが、ここまで法律で必ずしも言い切れませんので、このような規定になつております。
  43. 山口好一

    ○山口(好)委員 私の質疑はこれで打切ります。
  44. 押谷富三

    ○押谷委員長代理 鍛冶委員から質疑の通告があります。これを許します。鍛冶良作君。
  45. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今山口委員から逐条にわたつて質問しておられますが、私総括的なことをやりますので、実は私も相当勉強したつもりですが、なかなかこれだけの条文は読み切れないのです。しこうしてまたどうもはなはだ難解なものがたくさんありますので、この点恐縮ですが、ひとつ初めから総括的な問題に関して承りたいと思うのであります。  そこでこの法律の提案理由並びに法案の要旨等を見ますれば、立案せられましたる御趣旨はわかりまするが、はたしてこの法律によつて、そういう目的が達せられるかどうかということに、すこぶる疑問を持つて参つたのであります。と申しまするのは、かつては破産法があつた、そこで破産法だけではいかぬというので、和議法が設けられ、それからさらにそれでもいかぬというので、特別清算の手続が設けられた。それから整理法及び特別整理等、次々といろいろなものを考えて出しておられるのであります。さらにまたこのたびもこういうものが必要だというので、出されたわけでありますが、今までのこの経過から見ますると、こういうものを出されましても、また和議法並びに特別清算等のように思われるような効果が出ないで、ただ法が複雑になるだけではなかろうかという憂いを持つておるのでありますが、この点に関して立案者としての確信のほどをまずひとつ承りたいと思うのであります。
  46. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 まさに事態は御指摘の通りであります。破産、和議関係あり、あるいは商法には整理の条項が入つておるというようなわけでございますが、実はこの今までの諸制度の運用によりますと、たとえば和議の関係と申しましても、あるいはまた会社の整理の関係と申しましても、以前は、実に件数が少かつたのであります。少くとも会社に関しましては……。ところが最近になりまして、これが非常に法人関係においてふえて来た傾向がございます。破産の関係で申しますと、法人の破産事件というものが、先日お手元に資料をお配りしたと思いますが、個人にくらべまして、同数ぐらいの程度まで急にふえて来ておるというのが、ひとつの実情になつておる次第でございます。そこでこれらの傾向を見ますと、法人についてそういう事態が非常に逼迫しておるということと、それからもう一つは、この和議の関係、あるいは会社整理の関係、現在の制度を見まして、実は食い足りないところがあるのだけれども、しかしほかに方法がないから、やむを得ずその手段をとつておると見受けられるのもございます。現に、ある二、三の関係の会社から、この新しい会社更生法というようなものができれば、この方に早く乗り移りたいのだがというような希望を表明して、それを待ちかねておる向きもあるように承知いたしております。われわれがこの会社更生法案においてねらいといたしておりますところは、たびたび提案理由等において説明申し上げた通りでありますが、私どもは今日の事態に即応して、ことに株式会社というものを正面からつかまえて、その更生をはかる方法として一番適切なものは何かということを白紙に考えてみますと、結局それは今触れました提案理由等にございましたような数点、これがどうしても適切な一つの施策と考えられると信じておるのであります。従いまして、今申しましたように、ある種の会社が早く更生法に乗り移りたいというふうな希望を持つておるのも、それを立証しておるのではないかと思うわけであります。われわれのおよそ法案を立案いたしますときの考え方といたしましては、一つの目標を定めまして、その目標がいいということになれば、まず既存の法令の手直しということで目標を達することができないだろうか、こういうことが立案当局としては当然の考え方の筋道なんでございます。その場合に、御指摘になりましたたとえば和議の関係とか、あるいは会社の整理というような既存の法令がちやんとある、それを何とか手直しをして、新しいわれわれのねらいを実現できれば、それはまたその一つの方法と考えられるのでございますけれども、これは御承知のように和議というようなものは、本来会社にはふさわしくない。あるいはまた会社の整理というものも、われわれが先ほど申しましたねらつております点を、それを盛り込みますのには、非常に大きな改正を加えて、ほとんど書きおろしと同様の結果になる。そのために、結局非常に厖大な感じの法律案にはなりましたけれども、十分にその意図とするところを盛り込みますためには、こういうかつこうの法律が必要であるということのために、会社更生法案を立案いたしたわけであります。そうかといつて、今まである制度というものを、何もこの際それを廃止してしまう必要はない、おのおのそれがまたそれらの持ち味を持つておりまして、お役に立つ部面を持つておるのであります。そのほかに並んで新しい特効薬を一つ提供しよう、そしてこれによつて一つでも多くの会社がりつぱに更生できるならば、これに越したことはないという確信を持つてこの立案をいたしたわけであります。従いまして、われわれといたしましては、破産に瀕しておる会社を一つでも多く事前に更生せしめるという手段としては、この法律は今までの処方箋と相並んでぜひ必要であるということで、一刻も早く成立せんことを望んでおるわけであります。また先ほどからたびたび申しましたように、実際の要望もわれわれの耳には入つおるのであります。
  47. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 おのおのの法律に対しておのおのの特長のあることは認めまするが、実際において私どもの経験から、また聞いておるところからいたしますると、今指摘しました法律のうち、この法律と非常に関係が深い特別清算、並びに近ごろできました特別整理でしたか、これらはほとんど――全然使われておらぬとは申しませんが、非常に少いものだと聞いておるのですが、これは資料がここにありませんからわかりませんが、少いとすれば、どういうわけでこういうものが活用せられないのか、その点をまず承りたいと思います。
  48. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 ただいま御指摘の制度は、この会社更生法案においてねらつておりますものとは、目的が違うように承知しておりますが、なお詳細な点は位野木政府委員からお答え申し上げます。
  49. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 特別清算の件数でありますが、これはお手元に差上げました統計表にあります。これによりますと、昭和二十三年度が十二件、昭和二十四年度が二十二件、新旧合せまして係属しております。これは昭和二十五年度、二十六年度と、だんだん漸増の傾向にあると存じます。これもこの程度でありまして、非常に盛んに用いられているということは必ずしも申せないかもしれませんが、この程度にいたしましても、十分規定の存在の価値は発揮しているというふうに申せると思うのであります。先ほど佐藤長官からもちよつとお話がありましたが、特別清算は、御承知のように、会社を解散してしまうということなんだけれども、破産にさせるのはどうもぐあいが悪いから、特別清算で行こうというわけでありまして、もはや会社自身はやめてしまうという建前でありますから、これはやめてしまうなら、あまりあわてなくても、そう大したことはないじやないかということで、熱意を持たないということも十分考えられるのであります。でありますから、こういう事態で必ずしもこの法案があまり利用されないということは、ただちに断定し得ないのではないかというふうにも考えておるわけであります。特別整理というお話がありましたが、商法の整理事件の件数でございますが、この件数は、昭和二十三年度におきまして、新受が十件、昭和二十四年度におきまして二十二件となつておりますが、その後はさらに増加しておると考えております。東京地方裁判所の件数のみをちよつと調べたのでありますが、これは昭和二十五年度のみで新受が八件ございます。昭和二十六年度におきましてはさらに六件追加されているようです。これはほかの、たとえば大阪地方裁判所におきましては、昭和二十五年度は六件の整理事件の申立てがあります。だんだん整理事件も増加しておる。また先ほどもちよつと佐藤長官から述べましたが、破産事件の件数がだんだん増加し、しかもそのうち法人の破産申立事件ないし宣告事件というものは、非常に増加しております。戦前におきましては、御承知のように、個人と合せまして、総件数の二割程度が法人に対する破産事件であつたと思いますが、最近におきましては、法人と個人とが、大都会におきましては、ほとんど同数になつておる。たとえば東京地方裁判所におきましては、現在総件数三百九十八件の破産事件が係属いたしておりますが、そのうちの百六十七件が法人に対する破産事件で、個人に対する――会社自身じやなくて、会社の取締役とか、そういうふうなものに対する会社関係の破産事件というものが多いように聞いております。そういうような点から考えまして、更生手続の価値というものは十分存在しておるのではないかというふうに考えております。
  50. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今の数字を見ますと、破産事件の何百件かに対して十何件というに至つては、これはまことに寥々たるものといわざるを得ません。そこへもつて来て、この会社整理の条文を見ますと、商法の三百八十一条に「会計ノ現況其ノ他ノ事情二依リ支払不能又ハ債務超過二陥ルノ虞アリト認ムルトキハ裁判所ハ取締役、監査役、三月前ヨリ引続キ資本ノ十分ノ一以上二当ル株式ヲ有スル株主又ハ資本ノ十分ノ一以上二当ル債権者ノ申立二依リ会社二対シ整理ノ開始ヲ命ズルコトヲ得会社二支払不能又ハ債務超過ノ疑アリト認ムルトキ亦同ジ」こう書いてありまして、ほとんどその目的を一つにしておるようであります。この規定がそれほどに活用されておらぬにもかかわらず、今新たにこれとほとんど目的を同じゆうするこういう新しい法律をつくらなければならぬ理由は、提案理由にはありまするが、もう一ぺん私は承りたい。  それから会社の破産の数が多いと会社のことを言われますが、これは戦時中におけるいわゆるインフレ時代のたけのこのごとく現われたる会社があるのですから、今日整理時代が来ておるので、これは当然のことなのでありますが、問題は一番は会社の整理があつて、この整理がそれほど活用しておらぬにもかかわらずまた新しくこういうものをこしらえて、これでやれば今度はほんとうに活用になるのだという理由か私にはわからないのです。その点をまず承りたい。
  51. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 鍛冶委員仰せの通りに提案理由等にも触れたのでございますが、一口に申しますれば、商法関係の会社の整理の方は、整理自体は任意的なものでありまして、債権者全員の同意によつてのみ整理する、もし全員の同意を得られないような場合には和議に移らざるを得ないというようなことで、その程度にとどまつておるわけであります。今回提案いたしましたこの法律案の方はそれのみにとどまるのではございませんので、たとえば担保権者も参加せしめるということもありまするし、またさらに進んで会社の資本構成そのものも変更する。あるいはまた第二会社の設立によつて会社の債務を整理するというようなことをやる。さらに一般の要望に応じまして租税徴収手続等の調整も加えている。さらに進んで更生手続による債務履行の確保をはかつておる。こういうような点において非常に強いと申しますか、広い部面にわたつての有効なる手段を網羅しておる。その点においては格段の違いがあると確信をいたしております。
  52. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 もう一つ憂えますことは、この間もたれか参考人の口からも出ましたが、和議法のごときはある一部においては借金踏倒し法だと悪口を言つておる。和議法のために会社が更生しました事実も、それはわれわれも認めておりますが、それは大きな基礎のいい会社であつた。あとの泡沫会社の和議に至つては、第一回にきめられたものの履行はやつておりますが、その後においてはしようがありません。われわれはずいぶんしやくにさわるけれども、またあらためて破産し直すというようなことであつたのですが、こういうことになりますると、なるほど会社そのものを助けるという面は、これをつくられることにおいていいかもしれませんが、一面債権者を保護するという意味において、取引の安全を害するという点に憂いがないかどうか、この点に対してどのような御見解をもつて立案をせられたか。
  53. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 御指摘のように、和議法におきましてはほかの欠点もございまするが、最も大なる欠点は債務の履行の確保の措置がとられてない。そのためにもう和議認可決定があつて債務の減額とか便宜を得ると、あとは知らぬ顔をして全然履行しない。これが最も大なる欠点のように言われていたと思います。その点等をもこの法案におきましては十分矯正しなければならないという考え方から、この手続におきましては、和議のように認可決定があればただちに手続が終るというのではなくて、更生計画認可決定がありましても、なお手続を続行いたしまして、計画の履行が完全に終つたか、あるいは終る見込みが十分ついた場合に初めて手続を終結する。それまでは手続を終結しないで、管財人があれば財産を握つている。それでどんどん履行するというふうにいたしまして、計画の確実な遂行をはかるという点に特に重点を置いておりまして、これがこの法案の一つの特長というように考えます。
  54. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今承りますれば、和議法の欠点及び整理法の欠点等を補つてこの法案をつくられた、この点はわれわれいいと思いますけれども、そこで先ほど長官から述べられました立法に関する根本問題でありますが、私は実際はせつかく出て来たがむずかしい。この前の議会からあるから一応目を通さなれればならない、それでわれわれも勉強しておかなければならないと思つて読んでみたのです。ところが私は頭が悪いのかなまけているのか知らぬが、相当読んでみまするがなかなかこれを読み終ることが容易でない。三百条もあるものをよく了解してあとさきの条文との関連をすつかりのみ込んでしまうということは、まずわれわれの今日の忙しい頭の雑駁になつているものには、不可能とまでは申しませんが容易なことではありません。またこれを読んでみますると、破産法や和議法を写して来ているものが相当にある。その意味でわれわれはある程度そういうことの知識がありまするものはまだいいが、これは一般の法律家にあらざるものが読んだら何のことかかんのことかおそらくはわかりはしないだろう、てんでわからぬだろうと思います。さようなことを考えますると、いわゆる法律の民衆化といわれるときに、この破産法及び和議法その他でずいぶん複雑な法律があつて、その上にまたそれを引写してここへ持つて来て、こういうむずかしい法律が出るということになると、国民はこれに従つてこれを利用しようと思つてもできないじやないか、私はこういうことが非常に憂えられる。さように考えてみますると、先ほどからの御説明で行くと和議法で足らぬところがあつたら、その足らぬものをつくつて、整理の方で足らぬものがあつたらこれをつくつてやる。それは特別清算もそうで、あれは清算だけだからさらに生きるところを考えた。こう言われるならばこういうものをみな総合して、まず破産をするならば更生をひとつ先にやつてから、それでいけなかつたら和議法をやつたらいい、それでもどうしてもいかなければ特別清算、それでもいかぬときは破産でやる。その前にはできるならば会社整理をやる。こういうふうに順序を追うて一つにまとめて行かれると、ここに三百条というものはいりつこなく、四、五十条で終りはせぬかと思う。私は新しく法律をつくられるのならば、それが一番いいのにもかかわらず、こういうめんどうな条文を引写してこういうようにやつて、これで足らぬから新しい法律でやる。これはこれだけでなく一切の立法について考えても、これが足らぬからまた新しいもの、こうなると法律はまことに複雑怪奇なものになつて、われわれ自身もこれを理解することはできない。いわんや普通の人、会社そのものも容易にわかるものじやなかろうと思うのでありますが、これらに対してどうお考えになつておりますか、もし速記が何ならやめてお伺いしてもけつこうであります。
  55. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 適切なお尋ねであろうと思います。但し今あります和議法、それから商法にあります会社の整理に関する条文は、確かに御指摘のように条文は少いのです。和議法といえども数十条にとまつている。ただこれはおそらく鍛冶先生ふだんこれをお扱いになれておられてこれでよくおわかりになつているだろうと思いますけれども、私個人のことを申し上げて恐縮でありますけれども、こういう法律にはふだんあまりなじみがないのであります。このたび会社更生法を立案いたしますに際しまして、実は久しぶりに目を通したのでありますが、ところがいかにも簡単で、条文と条文とのつながりがあまりに粗雑過ぎて、われわれのような頭の悪い者には非常にわかりにくい感じがしたのであります。そういうことはおなれになつているものと、ふだん見なれない立場のものとの違いだと思いますが、まあある種の心理の違いだろうと思います。そこで会社更生法は洗いざらい筋道を立てて全部書こう、ほかの立法例でありますれば準用で済しておるが、この準用というものは、これはなかなか見にくいものでありまして、一々元の法典の何条というところをひつくりかえして見なければわかりがにくいというような欠陥を持ちますので、なるべく一通り目を通してわかるようにという建前で、実は正直に立案したものでございますからこれほどの大きな法典になつてしまいました。しかし結果におきましては、これは忍耐力の問題かとも存じますけれども、お目をお通し願えば、私個人の感覚から言えば、今の和議法とかあるいは会社の整理に関する条文よりは、ひとりよがりかもしれませんけれども、すなおに受け取れるのではないか、そういう自信を持つでおるのであります。  それからたくさんのものを一本にまとめたらどうかというお話、これも当然出て来るわけでありますけれども、私どもの考えは、先ほどもちよつと触れましたように、今ある薬をわざわざやめてしまう必要はない。その薬はその薬なりにちやんときき目を持つておるものでありますから、それをつぶす必要もないので、またつぶしますと、つぶしたことによつてその条文の場所等がかわつて来ますので、ごらんになる方もまた御不便を生ずる。またそれについておなれになつている方もありますから、今まであるものはそつとしておいた方が、かえつて便利だという考え方も立法技術的にあり得ると思うのでございます。そういう意味で、全然役に立たぬものならば別でございますけれども、あまり深刻な必要のないものを編纂作業することはどうかというような一面の要請も考えまして、今まで通りのものはそのままに並べておいて、よりどりで御利用を願うということの方がよくはないかというふうに考えた次第でございます。  それから、ちよつとお言葉の先をつかまえて恐縮でございますが、向うからの引写しというようなこともございましたけれども、確かに前の会社法の改正の場合にはそういう場面が相当ございました。ただこの会社更生法に関しましては、もちろんお手本がありますし、相談に乗つた向きもありますけれども、これは私の経験では近来にない自主的な立法であると考えております。そういうことで総合いたしますれば、これが一番適当であるという自信を持つておるわけであります。
  56. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それ以上議論しても何ですが、これはしかし特に御考慮を願つて、われわれはきようほんとうに大きく問題にするとすれば、そういうところからであろうと考えますので、いずれまた御考慮願うことにいたしましよう。それから、総括的なことはまたあとでやりますが、内容について第一に考えますのは、国税徴収法と非常に大きな関係があることです。これはもちろん徴税の筋と御協議の上でやられたものと思いますが、おそらく非常に歓迎せられなかつたと思うのでありますが、こういう方がいいという意見であつたが、その点を聞かしていただきたい。
  57. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 御推察の通りに、徴税の筋ではまた別な考え方を持つておりますが、非常に日本で歓迎せられないというものではございません。われわれはできるだけの努力をいたしましてここまでこぎつけたというのが真相でございます。
  58. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それと対蹠的に考えられるのは、この間参考人からも意見が出たのでありますが、この法律ができますと、一番心配になりますのは、担保権に対して非常に制限が出て来ることです。担保権の特別弁済を受ける効力に非常に影響を与える。かようなことを考えますと、この会社整理という一点から考えればなるほどこういうものが必要でありますが、今後会社を経営して行くという面において、せつかく会社に担保を受けて金を貸しておいても、更生整理を申し立てられて担保権をとつても何にもならぬことになる。何にもならぬと言うと語弊があるかもしれませんが、担保権本来の目的をゆがめられることがある。こういうことになりますと、金を貸すことをやめて、頭から貸さぬのではないですよ。少し借金をよけいしているというようなことになると、もう一度やられるかもしれぬというので手を締めてしまう。そうすると、この法律をつくつたためにやらなくてもよいものを整理しなければならぬという反動的効果がありはせぬかという憂いを抱いておるのでありますが、その点に関してさようなお考えはなかつたですか。
  59. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 会社の更生ということは、経済界はもとより、社会公共のために非常に必要でありかつ利益であるということは申すまでもないのでありますが、そのためにはやはり担保権者の協力ということがあつて初めて完全な目的を達し得るものであろうと信ずるわけであります。御指摘のように、担保権者の協力を求めるということになると、担保権者に多少犠牲がかぶるではないかということにつながるわけでありますし、その点をこの法律案といたしましては十分に考慮いたしまして、担保権者の利益を極力はからう、たとえば担保権者の集会における決議の場合におきましても、普通の場合と違つて特に四分の三以上の決議を要求しているというような点も大きな考慮の現われであろうと存じます。その他申し上げれば、前に申し上げたこともございますが、そういう点は十分考慮いたしておるのでありますから、この法律が出たことそのことによつて担保権に対する信頼感が弱まるような心配はないというふうに考えております。
  60. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 どれだけの決議がいりましようとも、ともかく決議があれば担保権の執行ができる。それから執行中でも申出があればその執行を中止される。これは金融方面にとつては実に脅威ではないかと思いますが、それ以上あとは議論になりますから、われわれはその点を非常に憂えておることだけ申し上げておきます。  それからこの間からずいぶん問題になつておりますが、申立てがあつたら今までの経営者にかわつて管財人が経営することになる。これもこの手続の特徴の一つであろうと推察するのでありますが、一体こういうことで会社のほんとうの更生になるとお思いでしようか。会社というものは、やはり手腕、力量、経験をもとにしてやつておる。しかるにうまく行かなかつたからといつて全然関係のない第三者を入れてかわりにやろうといつても、仕事がうまくやれるとも思えなければ、第三者がそれを信用するということはわれわれに想像できません。先ほどたいへん有利になつて新株にプレミアムがついたというようなことを言われましたが、さようなことは想像にも及ばないのであります。それから第三者が入つて来てやるということになりますと、第三者が入つて来てやるというなら管財人としてやるでしようが、人の仕事をかわつてやつてくれるので、一種の雇人です。そんなことでこういう行き詰まりの会社の経営が成り立つとはわれわれは思わない。資本まで新たにその人がとつて来られてやるならば別です。よその会社へ来てよそのものがうまく盛り立ててやれるとはわれわれには考えられません。その点はそういうことでよいとお思いでしようか。
  61. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 ごもつともな点が多いと思うのでございますが、更生手続開始後の会社の管財をいかにするかという点につきましては、二つの相反した要請があるのであります。一つは、手続の公正を期す、もう一つは、会社の業務の運営をなるべく円満にやるという二つの要請がある。後者の方、すなわち経営の便利というふうな点につきましては、たしかに御指摘の通りでありまして、第三者がいきなり入つて来てやるということは、これは従前の人が引継いでやるよりも非常に不利な条件が多いということは申せると思うのであります。会社がそういう状況になつたという点については、従前の理事者はやはり責任がないとはいえない。債権者とかその他の関係人が、やはり従前の理事者のやり方に危懼の念を抱いているという場合が多いと思うのであります。現に、先ほどもちよつと触れましたが、各地の公聴会なんかでも話が出たのでありますが、常に管財人を置くという要望は非常に強いのです。そこにやはりどの点で妥協といいますか、妥当な解決点を見出すかという苦心があるわけでありまするが、御指摘のような、この人がなければ、この会社は成り立つて行かないというふうな場合は、確かにあるわけであります。そういう場合には、特に例外を認めて、そういう人が引続き営業に従事することを可能にすることを認めておけばそれでいいのじやないかというふうな考え方で、この法案では、そういう場合には数人の管財人を置いて、そのうちに従前の経験者、従前の理事者というものを加えるというふうな建前をとつております。両者のその点の調節、これをいかにすれば最も手続がうまく行くかという点も、もつと何かいいお考えがありますれば、これは御教示願つて、ひとつよいものにしたいというふうに考えております。
  62. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私の質問がまだよく徹底せないようですが、私の言うのは、整理をするだけなら第三者が入つて来てもいいと思う。第三者が入つて来て、この会社をこれからもり立てるのだ、入つて来る人間はその会社のものになつて、自分が資本も出して、そうしておれの仕事だといつてやるならこれもよろしい。そうじやなくて、全然よそにおつて、片手間にこつちに来て、そこへ入つて来て会社がもり立つものだ、これがこの更生手続の特性だと思われるところに根本的な疑問がある。そういうことではいかぬということを私は極論したいくらいです。その点なんです。
  63. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 その点でございますが、これは会社の更生手続が開始してその手続を終るまでは、その間の営業によつて会社をもり立てるということは、ちよつと無理な要求でありまして、その間はいろいろ行動に制肘を受けるわけでありますから、目的とするところは、そういうふうな一時の手術によつて、手術完了後会社が非常に盛大になるようにということを期しておるわけでございます。でありますから、手続中におきましては、従前の営業を大過なく継続すれば、それで大体の目的は達し得るのであります。その後の事態におきまして計画ができれば、会社の債務は全部なくなる――従前の債権者に全部株を持つてもらつたために債務がなくなつた。しかしながら設備とか、従業員の経験、こういうものはそのまま存置しておく。新会社を設立した場合よりも、債務がなくて信用がある、得意はあるということで、非常に会社の業績があがつたということを期待しておるわけであります。その点も一つお教え願いたいと思います。
  64. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 その点はそれ以上申しませんが、私はその点に非常に疑問を持つておることだけを申し上げておきます。その場合もう一つ聞きたいのは、この管財人に銀行とか信託会社とかいう、そのものがあると書いてありますが、これは何かそうしておいた方が便利だというところから考えられただろうが、管財人の仕事というものは、自然人のやる仕事なんです。自然人でなかつたらできないのですが、それを法人そのものがやるということは、どうも私は了解が行かない。そうしてまた法人の中からたれかを指名する。それなら、頭からその会社に相談して、お前の会社からたれか出してくれということで、その会社の指名した自然人がやればいいんだ、法人そのものが実際の仕事をやるということが、私には了解行かないのですが、これはどういうわけですか。
  65. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 その点でございますが、もちろんある銀行の取締役を個人的に管財人に任命することはさしつかえないのでありますが、この管財人の仕事と申しますのは、やはり責任のある仕事でありまして、失敗すれば、破産管財人と同じように、損害賠償の責任を負うというふうな立場になつております。また第三者に対する立場におきましても、取締役個人という場合と、会社の代表者という立場とでは、いろいろな点で実際的な影響が非常に違つて来ると思います。この法案によりまして、銀行とか信託会社を管財人にするという道を設けましたのは、会社のそのような信用あるいは組織力というものを利用いたしまして、管財人の職務を円滑に行い得るようにということを考えた次第でございます。
  66. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 まずそうだろうと思いますが、そういうことは実際にないと思います。私はきようはこの程度にして、あとは留保しておきます。
  67. 押谷富三

    ○押谷委員長代理 他に御質疑がありませんか。――他に御質疑がなければ、本案に対する本日の質疑はこれにて終了いたします。     ―――――――――――――
  68. 押谷富三

    ○押谷委員長代理 引続いて破産法及び和議法の一部を改正する法律案について、政府委員より提案理由の説明を求めます。佐藤法制意見長官。
  69. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 私から破産法及び和議法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由の御説明を申し上げます。  政府は一昨年来、法制審議会に諮問いたしまして、破産制度の改善について調査を進めて参つたのでございますが、このほど免責制度の採用を中心として一応の成案を得ましたので、この法案を提出した次第でございます。  この法案におきましての改正点の最も主要なる点は、破産における免責制度の採用でございます。わが現行法のもとにおきましては、破産者は破産手続終了後におきましても、破産手続において弁済されなかつた残余の債務について、なおその弁済の責に任ずることになつておるのであります。これは一生涯債務の重圧のもとに苦しんで悲惨な一生を過させるというような結果になることが非常に多いのでありまして、このようなことは破産者にとつて不幸でありますばかりでなく、社会的に見ましても、すこぶる好ましくないというふうに存じます。破産者といえども、特に責めるべき行為もなく、忠実に破産者としての義務を果しておるような者に対しましては、破産手続において弁済されなかつた残余の破産債権について、その責任を免除し、その者がすみやかに更生して、社会のために活動することができるようにすることが必要であると存ずるのであります。  従来におきましても、債権者が破産者に対して破産手続終了後残余の破産債権につきその責任を追究するということは、はなはだまれであつたのでありますが、このような免責の制度がとられますと、破産者は免責を得るために誠実に行動する結果、破産財団の確保ができて、かえつて債権者のためにもなることが考えられるのであります。英米等では相当古くからこの制度が行われており、わが国でもかねてから識者によつてその採用が、強く要望されていたのであります。  次にこの案の骨子を申し上げますと、免責は、破産者の申立てによつて行うものとし、この申立てがあると、裁判所は期日を定めて破産者を審尋しまして、利害関係人に異議を述べる機会を与えます。裁判所は、破産者に詐欺破産の罪に当るべき行為があると認めるとき、破産者が虚偽の債権者名簿を裁判所に提出し、または裁判所に対しその財産状態につき虚偽の陳述をしたとき等、一定の事由があるときは、免責不許可の決定をします。裁判所が免責許可の決定をし、その決定が確定しますと、破産者は破産手続による配当を除いて、破産債権者に対する債務の全部についてその責を免れます。ただ例外として租税、破産者が悪意をもつて加えた不法行為に基く損害賠償、雇人の給料の一般の先取特権のある部分等の特殊の債権については、免責されないことになつております。また免責の決定が確定したときは、破産者は当然に復権しまして、詐欺破産につき破産者に対する有罪の判決が確定したとき、または免責が不正の方法によつて得られたときは、裁判所は免責取消しの決定をすることができることになつております。なお免責制度の採用に伴いまして、従前原則として破産債権とならなかつた破産手続開始後の利息の請求権等を、劣後的破産債権とし、強制和議によつて破産手続の終了した破産者も、当然復権することとする等、破産法の他の規定に必要な改正を加えることにいたしました。  次に破産法改正要点の第二は、小破産の金額、破産犯罪に関する罰金の金額等の引上げであります。現在破産法に規定されておりますこれらの金額は、いずれも大正十一年にこの法律が制定されました当時から変更されていないのでありますが、今日におきましては、もはや実情に適しないものとなつておりますことは、申すまでもなく物価その他の経済事情の変動、他の法令の規定との均衡等を考慮して、これを五十倍から百倍までに引上げようとするものであります。  破産法改正要点の第三は、他の法令の改廃に伴う法文の整理であります。すなわち裁判所法の制定または改正に伴い、区裁所が廃止され、裁判所書記及び執達吏の名称が変更される等、他の法令の改廃があつたことに伴い、破産法における関係法文を整理する必要がありますので、このため改正しようとするものであります。  次に和議法の改正要点について申しますと、その第一は罰則における罰金額の増額であり、その第二は破産法の改正に伴う法文の整理でありますが、これらにつきましてはあらためて説明をいたすまでもないと存じます。  以上がこの法案の提案理由の大要であります。何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  70. 押谷富三

    ○押谷委員長代理 提案理由の説明はこれにて終了いたしました。本案について何か御質疑はありませんか。
  71. 北川定務

    ○北川委員 ただいま提案になりました破産法の一部を改正する法律案に対しまして、二、三の点につきまして政府委員に質疑をいたさんとするものであります。  まず破産法に採用せられんとしておりますところの債務の免責制度でありまするが、その効力が一体絶対的であるか相対的であるかという点でございます。民法の消滅片効のように、債務が消滅してから後に、債務者が時効完成後に支払いをした場合には、これは有効であるということになつているならば、相対的消滅の効力であります。これに反しまして、破産法に採用せんとしておる免責制度が絶対的なものでありますならば、免責後の弁済は、民法のいわゆる非債弁済として、債務者は債務者に弁済金額を返還しなければならないということになるのであります。この二つの効力、いずれの効力を有するものと解しておられるか、お伺いいたしたいのであります。
  72. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 免責の効力は、ただいま申されました相対的消滅と申しますか、債務そのものが消滅するというものではございませんので、単にその破産者は、破産財団の限度で責任をとつて、それ以上の部分につきましては責任を免れるという趣旨であります。従いまして債務そのものは、依然として存在しておる、一種の自然債務のようなものであるというふうに考えるのであります。従いまして、破産者が任意債権者に免責された債務について弁済をするという場合におきましては、もちろん非債弁済ということにはならないで、有効なる弁済になるというふうに思います。
  73. 北川定務

    ○北川委員 次に債務の免責は、経済界の実情におきまして、破産者の更生には役立つと思うのであります。借金をしておるところの中小企業者はこれを歓迎すると思うのでありまするが、その反面、商慣習によりまして借りた金は返さなくてもよいとの思想が揺れやすいと思うのであります。この点において興行や信託会社等の、金を貸す方の側の意向は十分に聞いて立案されておるのでありましようか。また経済界の実情では、破産、和議等においては債権者会議がきわめて重要な決定の役目を持つておりまするが、債務免責は債権者会議を通じて行うとの考えは、この条文には現われているのでありましようか。その点についてお答えを願いたいと思います。
  74. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 一応前段の点につきまして私からお答え申し上げます。この免責の制度につきましては、御指摘のように、悪い言葉で言えば踏倒し自由というような感じを与えやしないかという点が一応問題になり得ると存ずるのでございますけれども、今回のこの改正案の意図しておりますところは、先ほどの提案理由でもちよつと触れましたように、善良なる破産者のみを対象としておるのでございます。悪質のものはこれを除外するということでございまして、今お触れになりました債権者集会というものを狩に開きまして、そこに破産者を呼び出して審尋をして、その適格性を調べる、それで債権者の方から提議があれば、その異議を尊重して憤重なる処置をするというような手配はしておるつもりでございます。
  75. 北川定務

    ○北川委員 詐欺破産の問題でありますが、詐欺破産の場合には免責することができないとなつておりますが、これはもとより当然でありまして、債務免責の制度の濫用を防止するためであろうと思うのでありますが、詐欺破産の概念について、一体どういうふうに考えておられるのか。もとより詐欺は刑法と民法とでは違つておることは御承知の通りでありますが、欺罔の手段を用いて相手方の判断を誤らしめることは同様であります。財産を騙取するという点において違つておると思うのでありますが、詐欺破産において財物の騙取とは、具体的にどういうことを考えておられるのか。また詐欺破産という判断は一体たれがするのであるか。債権者も詐欺破産だということを申し立てることができるか。これらの点について御所見を伺いたいと思います。
  76. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 詐欺破産という言葉を用いておりますが、これは民法あるいは刑法に言ういわゆる詐欺罪とは必ずしも直接的な関係はないのでございまして、破産法三百七十四条の罪を詐欺破産の罪と申しております。これは破産法三百七十四条にこれこれしたときは、「詐欺破産ノ罪ト為シ十年以下ノ懲役ニ処ス」ということになつております。詐欺破産の罪というのは法文の字句として現われておりますのを引用したわけでありまして、その認定はだれがするかというわけでありますが、三百六十六条の十五に規定しております免責取消しの決定の場合は、「有罪ノ判決が確定シタルトキハ」とありますので、これは刑事裁判所で有罪の判決が確定したときを言うのであります。しかしながら三百六十六条の九で、「第三百七十四条、第三百七十五条、第三百七十七条又ハ第三百八十二条の罪二該ルベキ行為」云々というのがありますが、この場合の認定は破産裁判所がやるわけであります。債権者がそういうふうな事態が破産者にあると考えます場合には、免責について異議の申立てをいたしまして、その理由としてこういう行為があるということを主張できるわけであります。
  77. 北川定務

    ○北川委員 終ります。
  78. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほどの質問にちよつと関連してですが、免責の不許可の決定をする事由、これを見ますと、今質問にあつたように、詐欺破産の罪に当るべき行為があつたときとは、「破産者ガ虚偽ノ債権者名簿ヲ提出シ又ハ裁判所二対シ其ノ財産状態二付虚偽ノ陳述ヲ為シタルトキ」であると思いますが、こういうふうに限定せられますと、これにはまらぬものはみな免責になるような気がします。一番問題になりますのは、破産者が破産者らしいことをしておらない、ぜいたくさんまいをしておるようなものはどうですか。これから除かれるのですか。これにはまらなければそういうことをしておつても免責になるのですか。
  79. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 ちよつとぜいたくさんまいなことをしておるというのはどういう場合でありますかわからないのですが、破産者の義務に違反しておる場合は不許可の事由になつております。それから過怠破産というのがございます。御承知のように、三百七十五条にぜいたくをしたために、あるいは射倖行為をしたために破産になつたというふうな場合はやはり不許可の事由になつております。宣告後非常にぜいたくをしておるというのは、これまた財産の捕促が足りないとか、あるいは別の事由に基く場合があるであろうと思いますが、それはまたそちらの方の手当で十分防止できると思うのでありまして、本来厳格に手続が進められておりますれば、そういう事態はあり得ないわけであります。そういう事態をもし究明すれば、この三百六十六条の九の各号に該当する事態が出て来るのではないかと思いますが、それは場合によつて、どういう事由でそういうことになつたのかということは調べないとわからないですが、そう不都合はないのじやないかと考えております。
  80. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今言われた破産宣告後の行為がぜいたくざいまいというか、もつと平たく言えば、まじめにやれば相当の破産条件を履行しておられるにもかかわらず、まじめにやらなかつたがために、なつた。そういうものでもこれに入つておらぬからやるということになると、非常に問題になるのではないか。これは実際われわれ取扱つてみて、破産になつたのですが、ああいうことをやつておる、こつちはこういうひどい目にあつて、借金してやつているのに、ああいうことをやつていると債権者から言われますが、こういうふうに列挙しておると、はまらぬように思いますが、はまりますか。
  81. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 破産後の破産管財人の管理の手続が十分に行われるということでありますれば、これは破産者がぜいたくができるということはあり得ないはずであります。おそらくそういうのは、財産をどこかに隠しておつて、それでそういうことができるのではないかというふうに考えるわけであります。この免責を得るにつきましては、破産者は正直に財産状態を裁判所の前にさらけ出さなければいけない。もしそういうことについて疑いがあれば、これは十分債権者がそういう点を指摘して裁判所で審理されるということで、隠れた財産も発見するということが、むしろ免責のためにできるのではないかというふうに考えておるわけでありますが、そういうようなことから、むしろ従前のそういうような隠れた財産を発見して、破産の手続を厳格に行い、そのかわり誠実なる債務者の保護をはかるというふうに意図したのが、この法律であります。結局これは運用にかかる、法律としてはもう現在の法律でもそういう事態はあり得ないことと考えております。運用のよろしきを得れば足りるのじやないかというふうに考えております。
  82. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ちよつとわかりにくいな。私の言うのは、財産が隠れているというのは、それはいいのですよ。わからぬでとにかくやつておるところを見れば、どうも破産者らしいことをしておらぬと、こういうときには、今までのことはわからぬけれども、やり方があんなことじや破産者らしくないじやないか、何かよけいに金をもうけておるのだろうから、そういうものは許可すべきものじやないという理由になるかということなんです。それだけです。
  83. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 その点は、もうそういうあやしい点があれば、徹底的に究明して、その原因がわかれば、これはおそらくこの各号に該当すると思います。そういうことで防止できると考えます。
  84. 押谷富三

    ○押谷委員長代理 本日はこの程度にいたしまして、次会は追つて公報をもつて御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十二分散会