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1951-10-11 第12回国会 衆議院 運輸委員会 1号 公式Web版

  1. 昭和二十六年十月十一日(木曜日)     午後二時二十五分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 大澤嘉平治君 理事 岡田 五郎君    理事 原   彪君      岡村利右衞門君    尾崎 末吉君       黒澤富次郎君    畠山 鶴吉君       山崎 岩男君    木下  榮君       淺沼稻次郎君    飯田 義茂君       石野 久男君  委員外の出席者         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君         運輸事務官         (自動車局業務         部長)     中村  豊君         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         日本国有鉄道副         総裁      天坊 裕彦君         日本国有鉄道営         業局長     津田 弘孝君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 十月八日  委員川島金次君辞任につき、その補欠として淺  沼稻次郎君が議長の指名で委員に選任された。 十月十日  戦時中政府が買収した鉄道の譲渡に関する法律  案(坪内八郎君外十二名提出、第十回国会衆法  第五六号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国政調査承認要求に関する件  国鉄運賃に関する説明聴取     ―――――――――――――
  2. 前田郁

    ○前田委員長 これより会議を開きます。  まず国有鉄道総裁並びに副総裁より就任のあいさつを求めておりますのでこれを許します。
  3. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 私、長崎惣之助でございます。このたびはからずも国鉄総裁というたいへんなお役目をお引受けいたしたのでございます。私に対しまして、お前は国鉄のエキスパートである、もうすみのすみまで全部知つておるのだというようなお話がございます。これは激励でありますか何でありますかわかりませんが、そういうお言葉をしばしば承るのであります。しかるに私の考えるところによりますと、この日本の態勢というものは、非常なかわり方をしておる。憲法も新しくなつておる。議会も国会となつておる。すべての状態というものは、私は一変しておると考えるのでございます。従いまして、私はなるほど長い間国鉄にごやつかいになりまして、いろいろなことを教えていただき、いろいろなことを経験して参つたのでございますが、それらの経験、体験というものは、今日においてほとんどほご紙同様のものでございます。さような意味合いにおきまして、私はこれから一生懸命勉強して、新しい態勢に順応するように心がけて参るつもりでございますが、何分にもまことに未熟な私でございますので、この新しい態勢において、いろいろ先輩として御経験になられました皆様方は、私に対して厳正なる御批判、厳正なる叱正、御指導、御鞭撻をくださいまして、一日も早くこの国有鉄道というものを一層国民の国有鉄道とし、また国民各位から信頼され、信用されるという程度を深めて参りたい、かように存じております。  はなはだ簡単でございますが、一言ごあいさつ申し上げる次第であります。なおこの機会におきまして、私にごあいさつの機会を与えられました皆さんに対して、深甚なる感謝を申し上げます。(拍手)
  4. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 私、天坊でございます。今回はからずも皆様方の御推挙をいただきまして、国鉄の副総裁を命ぜられました。まことに私の不敏をもつてその任にたえ得るや、自分としては危惧いたしておる次第でございますが、どうか今後も私自身一生懸命やるつもりでありますから、各位の御鞭撻、御指導を賜わりますようにお願いいたす次第でございます。一言ごあいさつをさせていただきます。(拍手)     ―――――――――――――
  5. 前田郁

    ○前田委員長 次に国鉄運賃改正につき、当局より説明を求めます。
  6. 足羽則之

    ○足羽説明員 国有鉄道の旅客、貨物の運賃の改正につきましては、かねて御承知いただいておる次第でございますが、朝鮮事変の勃発に伴いまして、動乱が勃発してから日を重ねるにつれて、資材が非常に値上りをして参つております。また輸送量の増加も、年初に予想しましたよりは非常に多い。いろいろな点で、二十六年度の予算におきましては、これが実情に沿わぬという点が非常にございまして、これの収支を合せてやつて参るためには、どうしても運賃改訂をせざるを得ない、こういう実情に立ち至つたのでございます。国有鉄道では旅客、貨物合せて、平均いずれも三割五分の値上げの案を申請して参つたのでございます。これによつて、平年度年間約五百三十三億の不足を補うという内容でございます。運輸省といたしましては、これを運輸審議会に諮問をいたしまして、運輸審議会ではこれを九月の十二、十三、十四日及び十五日の四日間公聴会を開催いたし、慎重に検討された結果、運輸大臣に答申がございました。答申の内容に従いまして、運輸省としても検討いたしました結果、国有鉄道の運賃法の改正として、目下関係の向きにそれぞれ手続をいたしまして、近く皆さんに御審議をいただく、こういうふうに考えておる次第でございます。  運賃法の改正の内容を概略でございますが申し上げますと、まず旅客でございますが、三等の普通旅客運賃は、百五十キロまで一キロ一円四十五銭でございましたのを一円八十五銭にする。百五十一キロ以上五百キロまでは一円五銭を一円三十銭、五百一キロ以上千キロまでは六十銭でありましたのが七十銭、千一キロ以上は四十銭でありましたのを四十五銭といたしまして、遠距離の旅客については影響するところが大きいのでございますので、値上率を低くいたしまして、総体としては約二割五分の値上げになつております。なお航路の運賃につきましても同様な事情がございますので、これも大体同じようなぐあいにいたしており、定期の旅客運賃につきましては、常にその値上率が低位に押えられておりまして、運送原価を非常に割つておりますので、これをもつとほかの値上率よりも高くして、その点を是正いたしたらどうかという議論もあつたのでございますが、しかしこれは通勤者なり通学者の負担に耐えぬところであるという観点から、普通旅客運賃の値上げに応じて、定期旅客運賃も同様率に値上げするということにいたしまして、その程度の改正にとどめたわけでございます。従つてその割引率は現行同様になります。なお旅客運賃につきましては、旅客の最低運賃は十円とする、それから三等の定期旅客運賃の最低額は、通勤定期を百五十円、通学定期を百円とする。それから従来二等の定期旅客運賃はなかつたのでございますが、これを新しく設定をいたしまして、割引率をおのおの一箇月三割、三箇月三割五分引という、二等の定期をつくることにいたしたわけでございす。なお急行あるいは寝台料金につきましても、お手元に資料が差上げてあるように改正をいたしております。それから従来いわゆる特口と申します特別二等車、この料金は百円いただいておつたのでございますが、これは安いという御意見もかなりあるのでございます。しかしこの料金を上げるということは、現在の法律の建前では少し困難な事情もございまして、百円にいたしておつたのでございますが、新しくその料金をとり得る根拠を法律に求めまして、そして三百キロまでが二百円、六百キロまで三百円、千二百キロまで四百円、千二百キロを越えたものを五百円とするというふうにいたしたいと考えているわけでございます。  次に貨物運賃でございますが、貨物運賃につきましては海陸運賃の調整を考える。さらにまた最近の物価の値上りによつて、貨物にも相当な負担力の余裕がある点を考えまして、値上率を三割に査定をいたしております。なお貨物運賃につきましては、車扱いの賃率は三割の引上げ、それから最低運賃につきましては、従来車をわけて大形、中形、小形それぞれ二千五百円、二千円、千五百円となつておりましたが、大形を三千円、中形を二千五百円、小形を二千円と引上率を低くいたしております。なお小口扱いの賃率は、車扱いの賃率と同じに扱いまして、その最低運賃は八十円といたす。  大体以上の内容でございまして、近く法案として皆様のお手元で見ていただいて、これについていろいろ御審議を願う、こういうことに相なると考えております。  きわめて概略の御説明を申し上げましたが、なお営業局長も国鉄から参つておりますので、御質問に応じて詳しく御説明申し上げたいと思います。
  7. 津田弘孝

    ○津田説明員 私、国有鉄道の営業局長の津田でございます。ただいま国鉄運賃の値上げについての概要並びに経過につきまして、運輸省の鉄道監督局長から御説明がございました。私は国鉄といたしまして、この運賃値上げをお願いいたしたい理由と申しますか、背景につきまして、若干補足的に御説明を申し上げたいと思います。  お手元に運輸省の方から資料も配つてございますが、「国鉄運賃の改正について」というパンフレツトに、国鉄が三割五分の値上げを運輸大臣に申請いたしました当時、各方面に御説明をいたしました材料をいろいろと盛つております。先般の閣議によりまして、旅客は二割五分、貨物は三割というような政府の案がきまつたようでございますが、これにはその三割五分の申請当時のいろいろな資料を盛つてあります。その点はそういう意味でお聞きを願いたいと思うのであります。  国鉄運賃の値上げにつきまして、国有鉄道といたしましては、物価の騰貴に主として起因する赤字を補いますために、一方におきましては運賃の値上げをお願いいたしますと同時に、その前提といたしまして、経営の合理化を何とかして各方面において推進すべきであるというような御意見が非常に多いのでありまして、国鉄といたしましても、その点につきましては戦後いろいろと資金あるいは資材の不自由な中ではございましたが、漸次経営合理化の歩を進めて参りまして、その成果も若干見るべきものがあると思うのであります。  その二、三の例について、数字は省きまして、このパンフレツトの二ページを見ていただきます。鉄道は従業員の数が多いじやないかということを世上非常にいわれるのでございますが、その点につきまして、この職員の数の問題でありますが、われわれはこれを経済の安定いたしました平準の年次として考えております昭和十一年を基準にして、どうなつておるかという点を申し上げますと、その二ページの左の方に従業員の数の絶対数と、それから十一年を標準としての計数が出ておるのでございます。十一年当時二十二万の従業員でありましたものが、終戦後におきましては、二十一年が五十七万、二十二年が六十一万というようにふえておるのであります。二十四年に十万人ほどの従業員の整理をいたしまして、今日におきましては四十七万人にまで下つて来ておるのでございます。指数にいたしまして昭和十一年を一〇〇といたしますと、二〇八ということに相なつております。御承知のように終戦後におきましては、労働基準法の関係でございますとか、あるいは進駐軍の輸送の関係とか、特殊な要務に従事いたします従業員の数も相当にございます。そういう点を差引きますと、従業員の数は絶対数においても減つておると同時に、実際の仕事量に応じてどうなつておるかというよう点――多少国鉄の専門的な用語になりますが、たとえば列車を一万キロ運転するその一万キロ当りの従業員がどうなつておるかという点を、この指数でごらんいただきまして、昭和十一年を一〇〇といたしますと、二十五年は一九五、一時は、昭和二十二年のごときは三四〇くらいになつております。  それからわれわれの輸送の量を、客貨輸送量の人トンキロという数字で表わしております。これが輸送のヴオリユームを表わすのでありますが、昭和十一年当時には百万人トンキロ当り五・四人という人がいたのに対しまして、昭和二十五年度は四・七人ということになつております。先ほど申し上げました労働基準法の関係とか、あるいは進駐軍の輸送の関係等を考えてみますと、従業員の能率と申しますか、労働の生産性も相当上つて来ておるということが言えるのでございます。  その他機関車にたきます石炭の消費節約の点につきましても、数字でごらんの通り、大体戦前の状態にまでもどつて来ておる。あるいは最近貨物の輸送が非常に逼迫しておるのに対しまして、貨車を新造するということも必要でありましようが、現在ある貨車をできるだけ効率よく回転させるということが、新造と同じ効果を生ずるわけであります。そういつた貨車の回転率の点で見ましても、戦前の状態にほとんど返つて来ております。ここに貨車運用効率(修正)という欄がございますが、現在は貨車の足が相当長くなつております。それを昭和十一年当時の貨車の足に換算してみますと、こういうようなことになるというわけでございます。  その他いろいろと経営合理化の歩を進めて来ておるのでありますし、またこういう面はますます積極的に推進をいたさなければならないのでございますが、同時にこの合理化によつてはとてもまかないきれないと申しますことは、最近ことに朝鮮事変以後の物価の騰貴は非常に著しいものがございます。その一、二の例を見ていただきますと、このパンフレツトの五ページに表が出ております。主要資材値上り調べ、ここでこの品名をごらんになりましてもおわかりになりますように、国鉄で使用いたします資材は、時局に必要な戦略物資と申しますか、それだけでなしに、産業に非常に必要な物資と競合いたしますために、その値上り率も非常に高いのでございまして、一例をこの第一番目の軌条にとりましても、昭和二十六年度の予算を編成した当時には、こういつた規格のレールが二万二千円であつたのに対しまして、昭和二十六年四月には四万九千円に上つておる。またレールとレールを継ぎ合せます継目板にいたしましても、ここでごらんになるように、予算編成当時の指数を一〇〇といたしますと、二十六年の五月には二二三、トン二倍以上に上つている。その他各般の物資につきまして、四割から数十割の値上りになつているものもあるのでありまして、こういつた主として物資の値上りに起因いたしまする歳入の欠陷が、平年度におきまして五百三十三億になる。国鉄の年間の平年度の收入が、若干の増収も見込みまして千五百三億でございまするので、この五百三十三億の歳入の欠陷と、千五百三億の現在運賃のもとにおけるところの収入とを比べますと、この赤字を補いまするためには、三割五分の値上げを必要とするというような結論に到達いたしまして、八月の末に国鉄の総裁から運輸大臣に対しまして、三割五分の値上げの要請をいたしましたことは、ただいま鉄道監督局員からお話申し上げました通りでございます。  国鉄といたしまして運賃の値上げをお願いいたします場合に、これは国民の消費生活、経済生活、また国の各般の産業にも及ぼす影響が非常に多いところでありますので、いろいろの面から慎重に検討をいたしたのでございます。国鉄といたしましては、主として三つの点から検討をいたしたのでございます。まず第一には、運送の原価から見て三割五分の値上げが妥当であるかどうかという点でございます。第二番目には、三割五分の値上げをいたしまして、一体利用者であるところの旅客なり、あるいは運賃を負担するところの物資が、その負担にたえ得るかという、負担力の面から検討いたしました。第三番目には、海陸輸送の調整と申しますか、国の持つている交通力を最も有効に国家的に活用するという、輸送調整の点から慎重に研究をいたしたのであります。  以下順を追いまして御説明を申し上げたいと思うのでありますが、まず第一には、輸送原価の点でございます。お手元のパンフレツトの八ページの末尾をごらんいただきたいと思うのでございます。九ページの初めの方に貨物が載つておりますが、この旅客関係からまず申し上げます。  国鉄では一人のお客さんを一キロメートル運ぶに要するところの原価がどのくらいかかつておるか、これを人キロ当りの原価と申しております。またそれに相当する一人のお客さんを一キロ運ぶと得られるところの収入を人キロ当り収入と申しておるのでありますが、それがここでごらんになりますように、二十五年度におきましては一キロ当りの経費が七十八銭でございました。それに対する収入は九十四銭、従いまして収入で支出を割りますると八十四ということで、旅客関係といたしましては、若干の利益を生んでいるということでございます。もちろんこの旅客の中で、後ほど申し上げたいと思いまするが、定期につきましては非常な赤字でございまして、大体収入に対しまして、原価の方の経費が二・三倍もかかつているというような状況ではございますが、ここでは定期と、一枚一枚切符を買いまする定期外のお客さんとをひつくるめにいたしまして、旅客関係では二十五年度は黒字であつた。ところが二十六年度におきましては、先ほど申し上げましたような物価騰貴の非常な増嵩によりまして、一人キロ当りの原価が一円十二銭かかるのでございます。これに対するところの収入が九十二銭、この人キロ当りの収入がちよつと違つておりまするのは、これは輸送距離の関係とかいうことでありまして九十二銭、従いましてその営業経費と申しまするか、支出の方が二割二分よけいにかかるということになります。次に貨物について申し上げますると、これまた一トンの貨物を一キロ運ぶのに要するところの原価と、これに相当するところの収入を対比いたしてみますると、二十五年度にはトンキロ当りの原価が一円九十八銭であつたのに対しまして、収入は一円九十四銭でこれは大体とんとん、多少赤字でありまするが、まあどうやら収支辛うじて合つているので、経費の方がよけいかかつているという程度でございますが、昭和二十六年度になりますると、先ほど申し上げましたような非常な物価騰貴の影響を受けまして、従つて経費増嵩によりまして、一トンキロ当りの原価が二円六十六銭、それに見合うところの収入が一円八十七銭で、これは四割二分の欠損ということに相なります。従いましてこの原価と収入の関係から申しまするならば、旅客は二割二分、貨物は四割二分の値上げをお願いしたいところでございまするが、従来とも国有鉄道といたしましては、国家の低物価政策に協力をするというような関係から申しまして、貨物はどうやら原価を償えばいい。その足らずまいのところは旅客の方で補うというような従来の方針を、今回も踏襲することにいたしまして、旅客、貨物ともに三割五分の値上げをお願いしたような次第でございます。  次に利用者あるいは物資がその負担にたえ得るかどうかという点につきまして、一、二の御説明を申し上げたいと思うのでございます。十一ページをごらんいただきます。官公吏並びに工業勤労者が一月にもらうところの賃金と、またそういつた勤労者あるいは官公吏が一回の旅行に払うところの運賃とが、どんな比率になつているかという点でございますが、工業勤労者の例について申し上げますると、この下から四行目に六千九百二十一円という数字がございますが、これが二十四年当時の工業勤労者の一箇月の平均賃金であつたのであります。その当時、この勤労者が一回の旅行のために払うところの運賃が、平均いたしまして三十七円十四銭ということで、賃金に対する運賃の比率が千分の五・三七というところに相なつております。ところが今日におきましては、その勤労者の賃金ベースは一万九百七十円に上つている。それに対しましてその払う運賃が三十七円九十七銭で、比率は千分の三・四六ということになりますので、この千分の五・三七と千分の三・四六とを比べていただきますと、右の方に算術が出ておりますように一五五%、つまり五割五分程度の定期外の運賃値上げをいたしましても、二十四年当時の比率をくずさないということが言えるのでございます。     〔委員長退席、大澤委員長代理着席〕  さらにこれを定期について同じような見方をいたしますと、同じく十二ページを見ていただきます。工業勤労者の二十四年当時の賃金が同じく六千九百二十一円でありました。その当時その勤労者が払います一箇月の定期運賃が四百六十円ほどで、その比率は千分の六・六五でございます。その勤労者が今日におきましては一万九百七十円の賃金を得ている。彼の一箇月に払いますところの定期運賃は四百七十円でございますので、その比率は四・二八ということになりまして、この千分の六・六五と四・二八を比べましても一五五%ということで、大体五割五分程度の運賃値上げは、この定期運賃についてやりましても、二十四年当時の比率をくずさないということになるわけであります。それを国鉄の申請は、五割五分にあらずして三割五分ということでお願いをいたしましたような次第でございます。  次に貨物について、一、二の例を申し上げたいと思うのであります。十四ページと十五ページを見ていただきますと、主要物資の価格とその物資の価格の中に入つております運賃との比率がここに出ております。一つの例を米について申し上げますると、昭和十一年当時には、米を貨車に一ぱい積んだその一トン当りの価格が二百七円であります。そうしてその当時の運賃は一トン当り二円二十八銭で、この運賃の価格の中に占める割合は百分の一・一ということに相なつております。それが昭和二十六年の四月にどうなつておるかという点を申し上げますると、貨車一トン当りの米の値段が四万三千四百四十六円で、それに対する貨車一トン当りの運賃が三百十七円でございますので、価格の中に占める運賃の比率は百分の〇・七ということに相なりまして、この一・一と〇・七とを比べていただきますと、四割から五割程度の値上げをしても、昭和十一年当時の比率をくずさないということに相なるわけであります。国鉄が運搬いたしますおもなる貨物がここに二十六品目ございますが、それにつきましてずつと平均にウエートをかけて加重平均いたしますと、割合のところだけ見ていただきますれば、昭和十一年当時におきましては、価格と運賃との比率が下の欄のAというところで百分の四・六一ということに相なつております。ところが昭和二十六年の四月には、Cというところで百分の二・六八にまで下つております。この十一年と二十六年とではいろいろな物資の運搬される距離が違いますので、これを概して申しますれば、今日におきましては運送距離が長くなつて来ております。これを昭和十一年当時の距離に引直してみますと、Dの百分の二・〇九ということに相なります。従つてこのA、Dをお比べいただきますと、貨物運賃につきましては倍以上の値上げをいたしましても、昭和十一年当時の比率をくずさないということになるわけでございます。今回の三割五分の値上げをお願いいたしますると、Eのところが百分の三・六三、それから昭和十一年当時の輸送一キロに換算いたしますと、F二・八回ということでありまして、このE、FとAと比べていただきますると、運賃三割五分の値上げというものは、十一年当時と比べまして、無理からぬところであるというような一つの見方があるわけでございます。  なお、物資はひとり鉄道だけでなしに、船舶あるいは自動車によりましても運送されるわけでありますので、鉄道、船舶、自動車との運賃の変遷の様相を十六ページについて見ていただきますると、鉄道と汽船と機帆船とトラツクについて例を掲げてございますが、まず鉄道におきましては、御承知のように鉄道の等級は十一等級ございますが、車扱いの五級、それの二百キロ運搬される場合の運賃率を御参考に掲げたのでございますが、実数は昭和十一年当時のトン当り三円十五銭が二十六年四月には四百十二円、指数にいたしますと、十一年を一〇〇といたしますと、二十六年には一、三〇〇で百三十倍になつているわけでございます。それを汽船についてはどうかと申しますと、これは若松、横浜間の石炭のトン当りで見たのでありますが、実額は省いて指数だけ申し上げますと、汽船におきましては昭和十一年に対して四百十三倍になつている。機帆船においてはどうかと申しますと、これは若松と阪神との石炭の一トン当りを見たのでございますが、これまた昭和十一年に対して二百三十二倍になつている。トラツクの点はどうかと申しますと、これは四トン積みの一日一車の専属制で見たのでありますが、これまた二百六十倍になつておる。汽船の四百十三倍、機帆船の二百三十二倍、トラツクの二百六十倍に対しまして、鉄道の現在の状態は百三十倍にすぎないというような点を、御参考までに見ていただきたいと思うのでございます。  ただいま負担力の点を申し上げたのでございますが、その次に海陸輸送調整という点からの検討をして見たのでございます。パンフレツトの十八ページ、十九ページを見ていただきますと、ここに石炭、木材等々につきまして、汽船、機帆船と鉄道との比較を書いておるのであります。一つの例を石炭にとつてみますと、若松、大阪は六百三十三キロありますが、一トン当りの石炭を鉄道で運びます場合には、運賃と諸掛を含めて一千三十八円、海上輸送になりますと、諸掛も高いのでありますが、一千五百五十四円、その差額は船の方が五百十六円高い。鉄道を一〇〇といたしますと、船の方は一五〇というような指数に相なるわけであります。これを国鉄がお願いしておりますように、国鉄の運賃を三割五分値上げをいたしまして船の方がそのままであるという状態を見ますと、ずつと右の方に繰つていただきまして、一番右の端の欄で鉄道を一〇〇といたしました場合に、船の方は一一五で船の方がまだ高いという状況であります。これはもう一つ下の飯塚、東京というので石炭の例をごらんいただきますると、鉄道を一〇〇とした場合に、現在の運賃ベースならば船の方が一割高い。鉄道が三割五分値上げをいたしますると、船の方は若干安くなりまして、指数が八五になるという次第でございます。その他木材、鉱石等につきましても、同じような現象があるわけであります。  以上三つの点から慎重に研究をいたしました結果、国鉄といたしましては、旅客、貨物ともに三割五分の値上げを運輸大臣に申請いたしたのでございます。それに対しまして運輸大臣は、運輸審議会に諮問されまして、その結果先ほど鉄道監督局長からお話がありましたように、旅客につきましては二割五分、貨物につきましては三割というような査定をなさいました。その答申に基きまして、運輸大臣は先般これを閣議に付議されまして、大体そのような案で政府案がおきまりになつたように承つております。運賃改正の内容につきましては、先ほど鉄道監督局長から御説明がございましたので、特に申し上げる必要はないと思うのでございますが、なお御質問でもございましたらばお答えいたします。
  8. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 次にバスの運賃改訂につき説明を求めます。中村説明員。
  9. 中村豊

    ○中村説明員 それでは私からバス運賃の改訂について御説明申し上げます。現在のバス運賃は昭和二十三年七月に値上げになつたのでありますが、それ以来三年余りというもの、全然値上げがなくてすえ置きのままであつたのであります。ところがその間に運賃を形成する原価の要素にいろいろと変動がございまして、たとえば人件費はもちろんでありますが、大きな部分を占めますところのガソリンについては、ガソリン税が設定されて倍以上になる、あるいはタイヤ、チユーブはこれまた非常に上りまして倍以上になる。また車そのものも非常に上つておるというふうに、根本的な要件に非常な値上りがあつたわけでございます。それでたびたび運賃改訂の申請、希望があつたのでございますが、運輸省としては、できるだけ業界の経営の合理化によつて、これをなるべく値上げをしないようにということで努力を要望して参りまして、たびたびその努力が重ねられたのであります。たとえば従業員に対しましては、一車当り四・六人という人間を四人程度に減すとか、あるいは一日に車の動く距離を七十キロメートルくらいからさらに百キロ以上に延ばすとかいうようなことで、いろいろのくふう、努力が重ねられて来たのでありますけれども、最近の諸物価の変動は、とうていこれを望むことができないことになりましたので、運輸省としましても本格的にこの問題を研究するということになつたわけでございます。  そこで昨年の十二月末に、全国の主要な業者について原価計算をいたしまして、その基礎に基いてさらに種々検討しました結果、一応われわれとして経営を合理化した結果でも、どうしてもこのくらい費用がかかるであろうという数字の基礎を得たのでございます。その数字はお手元に配付いたしました資料の最初の表にございますが、二枚ばかりめくつていただきました次の数字を書いた長い紙でございますが、ここの右の欄の終りの方でありますが、その合計欄を見ていただきますと、五十八円五十四銭三厘という数字が出ました。これは一車が一キロだけを動くに要する経費でございます。それについてここにありますように、原価を形成するいろいろな要素の合計が、その上の小さい計というところにある五十六円八十八銭八厘でありますが、それに一割配当可能額とか、税金としての外形標準税を加算いたしまして、五十八円五十四銭三厘という数字が妥当なものであるという結論を得たのであります。そこでこれから適正運賃はどういうふうに考えるかについてでありますが、これはバス一台を一キロメートル動かすに要する費用でありますが、お客さん一人当りとしては、これは乗車密度――お客さんの乗る密度によつて割る必要がありますので、次の紙にありますように乗車密度を算出いたしまして、これが大体平均十七人六分九厘という数字を得たのであります。そこで総原価を十七人六分九厘で割りまして、それに山間の割増しを控除するとか、あるいは割引の減収率を加算いたしまして、最後に出た結論が、一人一キロメートル乗るには三円三十銭六厘が適当である、こういう結論を得たわけでございます。そこでこれを基礎にいたしまして、バスは御承知のように都会の人口稠密な、乗車人員の多いところを走つておるものもありますが、あるいは山間僻地で、非常にお客さんも少く、また道路も悪くて、いろいろタイヤ、燃料その他の費用がかかるところもありますので、一律に行かないわけであります。現在は全国二円二十五銭という一率の運賃を、全国一様にとつておるのでありますが、今回はこれを全国の地域の事情、地理の事情によりまして、さような原価に対する影響にいろいろの変動があるものでありますから、今申し上げました三円三十銭という運賃を中心にいたしまして、その前後に、非常に経費のかかるところに対しては、上級運賃ともいうべきものを査定したのであります。これがその次にあります運賃率査定とあります等級のA地区でありまして、これは三円九十銭一厘、こういうふうに見たわけであります。それからBの標準箇所を三円三十銭という数字に置きまして、大都市その他経営の楽なところについては、また乗車効率の多いところについては、それよりも下げて二円九十二銭一厘、こういう三つの段階を置くことにしたわけであります。そうしてこれを運輸審議会に諮問すると同時に、物価庁に提出いたしまして、物価庁の承認を求めたのでありますが、ここにありますように物価庁としては、さらにいま一層経営の合理化をする必要がある、その要素を加味して、次のように三円三十銭、三円、二円六十銭という、三つの段階に査定をされたわけでございます。その結果は現行の二円二十五銭に対しまして、A地区においては一倍四割六分六厘、Bにおいては一倍三割三分三厘、Cにおいては一倍一割五分五厘、こういう値上率ということに押えられたわけでございす。  そこでこれを個々の業者に適用するにあたりましては、業者が申請しますところの、提出された原価計算の表を運輸省において厳重に査定しまして、経営の合理化をした場合に適正な原価はどのくらいであるかを、各業者ごとに具体的にこまかく査定をいたしまして、その結果得られたものを、このA、B、Cいずれの地区に該当するか、当てはめたわけでございます。その場合には、そのほかにさらにその地区の模様、あるいは関係の交通機関、たとえば鉄道、軌道の関係であるとかいうこと、あるいは競争関係というか、他の業者の関係等も勘案しまして、全国三百九の業者について格付をいたしたわけでございます。その表が差上げました資料の一番おしまいに表われておる等級別の事業者数調べであります。業者が全国で三百九業者、これに対しましてAの運賃率を適用するものが四十三業者、全体の一四%、Bの適用をするものが、二百四業者で六六%、Cという最も安い運賃率を適用するものが六十二業者の二〇%、こういうことに格付をしたわけでございます。  その模様をさらにもう一つ、現実のお客さんにどういう影響があるかに当てはめてみますと、一つ前にもどつていただきまして、各地区別平均賃率調べというのがございますが、この表でごらんになつていただきますように、今度の値上げは、全国平均にしますと二四・四%の値上げになるだろう、こういうことになつたわけでございます。各陸運局別の値上げの模様は、以下に示されておる通りでございますが、最も利用者の多い東京及び京阪神においてこれを摘出してみますと、東京都区内においては一割六分五厘の値上げ、京阪神地区においては一割八分九厘の値上率になるわけでございます。この程度のことは、しばしば申しましたように経営の合理化を相当要望して、その結果排除すべきむだはすつかり排除して、現在の情勢でやむを得ない数字だけを基礎にして得た結論でありますので、われわれとしてはやむを得ないことであろうと思つておるわけでございます。  なお初めから二枚目の紙のところに、実際の適用のことを言葉で書いてあるわけでございますが、その裏の方にありますように、割増しをどう考えるかでありますけれども、現在は、一キロ当り二円二十五銭に対して、山間地は当然経費がかかりますので、山間地割増しをいたしております。これはある路線の過半数が山であれば、全区間に対して山間地割増しをするというふうで、少し甘過ぎましたので、今回はある路線のうちの山間区間だけを抜き出して、そこだけ割増率を適用するというふうに厳重にいたしたわけであります。  また今回の新しい考え方は、先ほどのような基本賃率に対しまして、社会政策的な見地から、身体障害者福祉法とか児童福祉法による要保護者に対しては五割、学生の定期に対しては三割引、それから常時利用する通勤者のような方には回数券を設定して一割程度の割引ということを、運賃を認可する条件にするということで、割引率をはつきり明示してこれを要望したわけでございます。  なおこまかい問題でありますが、端数処理として、最低運賃は十円ということにしたわけでございます。  大体こういう案でもつて、関係箇所の承認を求めていたのでありますが、おそらく本日ぐらいに承認があることと思います。それが得られ次第、物価庁としては正式の手続をとつて、なるべく近い機会にこの改正率が実施されることになろう、かように思うわけであります。
  10. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 次に国政調査承認要求の件につきお諮りいたします。本国会におきましても、第十国会同様の調査要求をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 御異議なければ委員長においてその手続をいたします。  次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十一分散会