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1950-02-14 第7回国会 衆議院 労働・人事・大蔵委員会連合審査会 5号 公式Web版

  1. 昭和二十五年二月十四日(火曜日)     午後零時四分開議  出席委員   労働委員会    委員長 倉石 忠雄君    理事 大橋 武夫君 理事 篠田 弘作君    理事 福永 健司君 理事 三浦寅之助君    理事 吉武 惠一君 理事 春日 正一君    理事 島田 末信君       麻生太賀吉君    小淵 光平君       金原 舜二君    塚原 俊郎君       船越  弘君    前田 種男君       石田 一松君   人事委員会    理事 高橋 權六君 理事 成田 知巳君   大蔵委員会    理事 小山 長規君       高間 松吉君    田中織之進君  出席国務大臣         法 務 総 裁 殖田 俊吉君         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         労 働 大 臣 鈴木 正文君         国 務 大 臣 増田甲子七君  出席政府委員         法制意見長官  佐藤 達夫君         大蔵事務官         (主計局次長) 東條 猛猪君         大蔵事務官         (日本専売公社         監理官)    冠木 四郎君  委員外の出席者         日本専売公社総         裁       秋山孝之輔君         参  考  人         (全専売労働組         合中央執行委員         長)      平林  剛君         参  考  人         (公共企業体仲         裁委員会委員) 堀木 鎌三君         労働委員会専門         員       横大路俊一君         人事委員会專門         員       安倍 三郎君         人事委員会專門         員       中御門經民君         大蔵委員会専門         員       黒田 久太君         大蔵委員会專門         員       椎木 文也君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に  基き、国会の議決を求めるの件(内閣提出、議  決第二号)     ―――――――――――――
  2. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 ただいまより前会に引続きまして労働委員会、人事委員会、大蔵委員会の連合審査会を開会いたします。  ただちに公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に無き、国会の議決を求めるの件、議決第二号について質議を継続いたします。石田一松君。
  3. 石田一松

    ○石田(一)委員 私は主として法律関係の疑義について質問したいと思つておつたのでありますが、ちようど幸い大蔵大臣が御出席くださいましたので、特に大蔵大臣にお尋ねしたいと思いました、二の点を、簡単にお聞きしたいと思います。これは先般来・合同審査会で常に取上げられて疑問を持たれていた問題でございます。政府が今般本案を国会に提出なさいました提出の理由説明の中に、末尾の方に、「諸般の事情を考慮いたしますと、この際これを認めることはできませんので、」すなわち予算の流用、移用を行わなければ、支出ができない。しかし流用、移用は諸般の事情を考慮いたしますと、この際認めることができません。この「諸般の事情を考慮いたしますと」という、これは先般来私も聞いておりまして、具体的にはつきりわれわれの納得の行くような説明が得られていないのでありますが、この点について大蔵大臣から、この諸般の事情というものを具体的に御説明を願いたい、こういうふうに思います。
  4. 池田勇人

    ○池田国務大臣 公共企業体労働関係法並びに財政法の点を考え、また専売公社の予算関係等いろいろなことを考えて、そういう文句を使つたわけであります。
  5. 石田一松

    ○石田(一)委員 ただいまの大蔵大臣の御答弁によりますと、公労法あるいは財政法あるいは専売局の財政面等を考えてみて、この際これを認めることができぬというのが、諸般の事情を考慮する、こういうことになるのだ、こういうことでございますが、少くともそのあげられた三つの要点の中で、公労法に関しては、私は諸般の事情という中に、公労法がどうして加わるかということは、これは見解の相違かもしれませんが、ほとんど意味をなさないと考えます。そこで問題は残るところの法律関係では財政法の問題でございますが、財政法上法律的見解において諸般の事情を考慮するという財政法のどの点が、諸般の事情に該当するのか、この点をひとつ御説明願いたいと思います。
  6. 池田勇人

    ○池田国務大臣 流用、移用の問題であります。また専売益金繰入れの問題等であります。
  7. 石田一松

    ○石田(一)委員 流用、移用の問題あるいは専売益金等の繰入れの問題、こういうことをおつしやいますと、少くとも繰入れの問題と申しますのは、専売公社の歳入の問題にかかつているのだと私は思います。だといたしますと、歳入のいわゆる減少するかどうかという問題が、少くとも公労法十六條にいうところの予算上、資金上というわくの中には入らないことは、大蔵大臣御自身が、労働組合の人たちに参議院の政府委員室で面会されたときにはつきりと明言されて、これは国会で議決、承認を得た支出予算、歳出予算をさすものであるということは明言されておるのでありますから、そこでただいま流用、移用の問題、繰入れの問題とおつしやいましたが、流用、移用の問題はまず一応おくとして、繰入の問題とおつしやつたことは、少くともこの専売公社の裁定の問題に関しては、諸般の事情の中には入らない、こういうことになります。だといたしますと、流用、移用という問題が、ここに諸般の事情として残るのでありますが、この流用、移用というものをもう少し詳しく御説明くださいまして――諸般の事情を考慮して、この流用、移用ができない、こういうのでありますか、流用、移用の問題だとおつしやつてこれが諸般の事情だ、これでは何だか説明にはならないのじやないか、こういうように思いますが、もう一ぺん具体的にひとつ御親切に御説明願いたい、こういうふうに思います。
  8. 池田勇人

    ○池田国務大臣 どつかで労働組合の人と会つて専売益金の繰入れの問題は、問題外だというふうなことを言つた覚えはございません。こういう問題がある、それがはたして予算の流用、移用の問題と、不可分の問題であるかということについては疑問があるけれども……。こういうように言つておるのでありまして、あなたが前提におつしやつたようなことは、私は言つておりません。しこうして予算の流用も移用というものはやはりいろいろな財法法とか、公共企業体の経理状況を考えまして、また今の繰入れ等も経理状況のうちでありますが、認めるか認めないかということを愼重考慮した結果、十六條第二項の結論に達したわけであるのであります。
  9. 石田一松

    ○石田(一)委員 ただいま私が前提にいたしましたことは、労働組合側から文書によつて提出された資料に基いて申し上げたのでございますが、これは資料としても、それほど権威のあるものと、この際言うことはできないかもしれません。大蔵大臣がただいまおつしやつたことが、大蔵大臣自身がおつしやるのですから、おそらく間違いのないことだろうと思いますが、昨日の水田政務次官の答弁の中にも、一箇所この予算上、資金上というのは、歳出予算をさすのだということを、はつきり答弁なすつております。しかしそれは一応問題外といたしまして、そういたしますと、公労法の十六條にいいますところの、「予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とする」という、この「不可能」ということは、文字通りにわれわれが解しますと、歳出予算あるいは経理面において、これを支出すことがまつたく不可能だと、常識的には考えるのですが、ただいまの大蔵大臣の御説明によりますと、大蔵大臣は流用、移相ということを許可する権限を持つておる、あるいはこれを拒否するところの権限もある。そこで大蔵大臣が、ただいまも例をあげられました諸般の事情を判断して、これは許可することができないと、こう判断なさいましたら、そのことで、ただちに第十六條のいわゆる資金の支出の不可能という、この「不可能」に該当するのかどうか、私はこの点にたいへん疑問を持つておるのであります。そういたしますと、大蔵当局といたしましては、公労法十六條にいうところの「不可能」というのは、大蔵大臣自由裁量によつて決定し得る問題で、大蔵大臣がこれを支出不可能であると決定したならば、これはただちに公労法十六條の「不可能な資金の支出を内容とする」というものに該当するのであるか、そういうふうにお考えになつておるかどうか、この点についてちよつとお伺いいたします。
  10. 池田勇人

    ○池田国務大臣 お話の通り大蔵大臣自由裁量であります。その根拠は十六條第一項にある政府拘束せず、これによつておわかり願えると思います。
  11. 石田一松

    ○石田(一)委員 私はただいまの政府拘束せずということにつきましても、ただいまの大蔵大臣の御答弁にはいささか疑義を持つております。  もう一つ大蔵大臣にお聞きしておきたいことは、昨年末の年末手当と言いますか、臨時に政府職員並びに公社の職員に、ある率によつて手当が支給されておりますが、昨年末にこの専売公社の職員に支給された手当、すなわちこの人件費というものはどこから捻出されて、この手当が支給されたのか、この点についての御説明を願います。
  12. 池田勇人

    ○池田国務大臣 昨年末の年末賞與は、専売公社の部分は九千数百万円だつたと考えております。そのうち六千数百万円は、人件費から出したと記憶いたしております。一部分は物件費に相当するものから出たと考えております。
  13. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 石田君、先ほどのお話で、午後二時から大蔵大臣に対する質疑を続行していただくこととして、法務総裁が見えましたから、法務総裁に対する質疑を先にやつていただきます。
  14. 石田一松

    ○石田(一)委員 大蔵大臣が十二時十五分から関係方面への公務があるそうでございますので、一応これを保留いたしまして、私はこの際法務総裁に、公労法第十六條の点について二、三御質問申し上げたいと思つております。  まず最初に法務総裁にお尋ね申し上げたいことは、公労法第十六條に用いてありますところの、協定という文字であります。この協定と、同じく公労法第八條並びにこの公労法に準用されると規定しておりますところの労働組合法の第十四條以下十七條に規定する労働協約、この労働協約の協約と、公労法十六條にいうところの協定とは、いかなる関係にあつて、またいかなる差異があるのか、この点についてもし法務総裁の御見解がありましたならば、ぜひこの際伺わせていただきたいと思うのであります。
  15. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 協約は協約でありまして、協定協定であります。実質的にはどうか存じませんが、形式が多少異なるのであろうと思います。
  16. 石田一松

    ○石田(一)委員 形式が多少異なるということは、私たちも労働協約にいう協約と、本條に言うところの協定という文字が、ことさらにかわつております点等から、何か立法精神と言いますか、労働協約とは少くともかわつた意味のとりきめを現わすために、協定という文字が使われておる、こういうふうに解釈するのであります。その点につきまして形式上は相当かわつたことがあると総裁もお認めになるのですが、しからばどういう形式的な相違があるとお考えになるか。その点は、今ただちにこういうこまかい問題でございますので、即答ができなければ、後日でもいいのですが、もしどういう点がかわつているという御見解でもあればこの際伺つておきたいと思います。
  17. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 ごらんの通りでありましてこまかいことは私責任を持つて申し上げられませんから、それはよく調べましてまた申し上げます。
  18. 石田一松

    ○石田(一)委員 少くとも私がこの際法務総裁にお聞きしたいのは、公労法十六條にいうところの協定というのは、他の、ただいまあげました同法の八條とか、労働組合法第十四條以下十七條等に用いられておるところのいわゆる労働協約の意味を持つ協約と同じものではないと、この点だけは少くとも法務総裁はお認めになるだろうと思うのですが、この点はいかがでございますか。
  19. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 文字が違いますから、違う点があると思いまするが、その詳細なるところは、ただいまは申し上げかねます。
  20. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 ただいまの問題は、本件審議に相当重要なことでありますので、佐藤法制意見局長官を呼んでおりますからその際にもう少し明確に、当局から御答弁をお願いいたしたいと思います。
  21. 石田一松

    ○石田(一)委員 委員長の時宜に適した発言が、ございましたが、この点は、委員長の発言通りに、この際明確にしておきませんとまた今回のような裁定が実際に下された場合に、協定という文字の解釈があいまいであつては、根本的にこの法律の解釈が間違つて来る、こういうように考えますので、後刻責任のある御答弁をお願いすることとして次に移りたいと思います。  こまかい点ですが。法務総裁にお伺いしたいのは、公労法十六條の第二項に、協定締結後十月以内と期日が切つてあります。それからもう一つ後段の方に、国会が閉会中のときは、召集されて五日以内とあります。この十日以内、五日以内の起算日でありますが、締結をされたその目が起算日になるのか、その翌日から十日を計算するのか、この点について政府のはつきりした見解をお尋ねしたいと思います。
  22. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 それは労働省におきまして、一定の解釈の基準があると用いますから、労働省にお聞きを願えば仕合せでございます。
  23. 石田一松

    ○石田(一)委員 労働省の見解も、また労働大臣にお出席願つてお聞きしたいと思うのでありますが、法務総裁がこうした公式の委員会において、この期日の起算に対する言明をなさいますれば、労働省がいかに考えられましようとも、優先的な解釈として尊重されるのであります。今法務総裁が、労働大臣あるいは労働省方面の関係をおもんぱかつて自分の見解はあつても、これを発表なさらないという気持はよくわかるのですが、しかし私たちとしては、労働省関係の方のそれをお聞きする前に、法務総裁としての殖田さんから、はつきりこの点を言明していただく方が、法律解釈の上において、今後質問を続けるのに好都合であると思いますので、もしおさしつかえなければ、御意見を伺いたいと思います。
  24. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 大体労働法規でありますから、労働法規の執行の任に当ります労働省が解釈をし、運用するのが最も適当でありますので、まず労働省の見解を尊重しなければならぬのであります、しかし法務府といたしまして労働省と相談をした事実はあるのであります。それによりますれば、今の協定成立の日は含まずに、実はその翌日から十日以内と解釈することに、大体意見が一致しておると思います。しかしながら最も責任ある答弁は、労働大臣からお聞きを願いたいと思います。
  25. 石田一松

    ○石田(一)委員 これはたいへん重要な問題でございまして、この締結の日が入るか入らないかという問題は、ただいまの御答弁によりますと、はつきりはわからないが、労働省関係と相談した結果、記憶ではたしか締結した日は入らない、翌日からとおつしやいましたが、公労法の第二項の後段の国会が開会中の場合、さらに召集された国会において、五日以内に議決を求め、国会がこれを承認した場合に、その締結された協定の効力というものは、その文書に記載された日時にさかのぱつて生ずるというように、法律自体認めておるにもかかわらず、締結の日は入れないで翌日から入れるというのは、何か他にこういう法律解釈の実例があり、またそうしたことか法律解釈として当然なことであるならばともかく、これは労働者の権利に非常に影響する問題でありますから、こうした点、厳密な解釈がなされなければならぬと考えるのであります
  26. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 締結の日を入れずに翌日から起算いたしますのは、何か法律に特別の規定があれば別でありますが、そうでないときには、民法の百四十條でありましたかの規定を、こういう場合にも応用いたしまして、その解釈に従つて、かような起算日を定めるのであります。
  27. 石田一松

    ○石田(一)委員 ただいまの特別の定めのない場合には、民法の條文に従つて一応起算するという、民法との関連を法務総裁から説明されたことは、今後の問題にまことに有益である、こういうふうに考えます。一応この起算日の点はとめておきますが、五日あるいは十日という国会に提出する時期に対して一つの線か引かれておるのは、これは私の考えでございますが、協定によつて労働者、職員の得た債権が、他の力によつて荏苒時を過し、その取得が遅れ、あるいはまた債務の履行が遅延する、こういうことを防ごうという保護的な立場で、この期日がきめられておると解釈するのであります。その証拠に、本條の一番末尾に、記載された日附にさかのぱつて効力を生ずるという規定がありますところから見ても、この十六條の期日は、協定締結されたことによつて取得した債権の債務履行が、ある他の関係者の不当な意思によつて、遅延することを防ために設けられたものである、こういうふうに私は考えておるのであります。この点に対して、法務総裁はどういうお考えをお持ちでございましようか。
  28. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 御承知のように、裁定の効力は、ただちに債権債務を生ずるものではないのでありますから、その点は石田さんのお考えと異なりますが、労働者の利益を保護するために設けてあることと考えます。
  29. 石田一松

    ○石田(一)委員 まだ債権債務と言つたのはちよつと早過ぎたかもしれませんか、少くとも労働者の利益を保護するためであるという点については、法務総裁も私たちの考えと一致しておると思います。そこでお尋ねしたいのですが、公労法の、三十五條の但書によりまして、十六條を読む場合にも十六條の協定の文字を裁定というふうに読みかえて読むの、たという御答弁があつた。そこで私がこの前の国鉄の裁定のときに主張いたしましたことは、この十六條によるというのは、十六條の第一項をさすのであつて、第二項をさすということは、解釈上不都合が起きないかということを言つたのですが、それは三十五條の但書中に、十六條によるとあるのであるから十六峰全部を含む、こういう御解釈であつたのであります。そこで私はこの際特にお聞きしたいのは、この十六條の第三項の協定を裁定に読みかえるという場合に、一ぺん法務総裁に、第二項の協定を裁定と読みかえて、参考までに読んでいただきたい。私は何度も読んでみるのですが、うまく読めないのです。ひとつ第二項の協定を裁定と読みかえて、法務総裁に見本的な、これがほんとうの読み方であるという、一つの読み方を教えていただきたいと思います。
  30. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 読んでみましよう。「前項の協定をしたときは、政府は、その締結後十日以内に、これを国会に付議して、その承認を求めなければならない。但し、国会が閉会中のときは、国会召集後五日以内に付議しなければならない。」そこで「前項の裁定があつたときは、政府は、その裁定のあつた日から十日以内に、これを国会に付議して、その承認を求めなければならない。」こう読むべきだと思います。
  31. 石田一松

    ○石田(一)委員 ただいま法務総裁がお読みくださいまして、まことに参考になりましたが、そういたしますと、三十五條の但書によつて十六條によるというときには、その十六條の「協定」という字を「裁定」と読み直すのだ、それで第二項を読むときに、前項の裁定があつたときは、政府は、その裁定後十日以内に云々ということになると、「締結」という文字を「裁定」と読み直し、「協定をしたときは」というのを「裁定があつたときは」と直すことになる。そうすると、これは三十五條の但書によつて十六條を読むときに、「協定」という文字を「裁定」と読みかえるばかりではなくて、裁定にこれを読みかえるときに都合のよいように、この法律を読み面す、そうなりますと、裁定をこれに当てるために、政府の解釈に都合のいいように読む、こういうことですか。
  32. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 それは都合かいいようにお考えになつたかもしれませんが、都合のよしあしではありません。文理解釈の條理がしからしめるのであります。
  33. 石田一松

    ○石田(一)委員 そういたしますと、「前項の協定をしたときは、」というのを「裁定があつたときは」と言いますと、これは第三者が裁定をした、こう解釈するのが――これはただいまの文理解釈という総裁の御説明によつても明らかなように、「裁定があつたときは」というと、政府あるいは専売公社あるいは公共企業体の関係者でなく、全然第三者的な立場にあるだれかが裁定をしたことになるのですか。しかし「前項の協定をしたときは」「政府は、」とすぐ続いているのですが、これをこの際文理解釈上からいうと、政府は何何しなければならないというのは、第三者協定をしたのではない。この「協定をしたときは、」というのは、少くとも政府に関連性のある不可分一体のもの、か協定をしたときはと読まなければならぬ、私はこの点についての総裁の御説明を伺いたい。
  34. 殖田俊吉

    ○殖田国務大臣 今は裁定のお話を申し上げた。裁定のあつたときに、この三十五條の但書によつて十六條が適用されるのであります。従つて裁定の考えでこれを読んでいただけばいい。
  35. 石田一松

    ○石田(一)委員 佐藤政府委員が見えましたから、次にさつき保留しておきました、公労法の第十六條にいうところの協定と、同法の第八條並びにこの公労法で準用される労働組合法の第十四條以下十七條にいうところの労働協約とは、どういう関係にあるか、もしこれが同じものであるならば、その同じである理由、またこれが性質または形式上異なるものがあるならば、どういう点が異なる、どういう性質が異なるという点についての御説明を願いたいと思います。
  36. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 協約という文字と、協定という文字の使いわけについてのお尋ねであると拜承いたしましたが、御承知の通りにこの労働協約につきましては、ただいまたしか御指摘になつたと思いますが、労働組合法に明文が、ございまして、形式的な文書でやるとかいうようなことがはつきり書いてある。ところでこの十六條関係に出て参ります協定という文字は、そういう形式にとらわれないで、実体を押えた言葉でありまして、卑近な言葉で申しますれば、そういう文書の形をとつておらないものでも、実体がアグリーメントであれば、ここに入るという意味に了解しております。
  37. 石田一松

    ○石田(一)委員 そういたしますと、労働協約とはまつたく異なつたアグリーメントである。こういうことだけははつきり言えると思います。そう承つてよろしゆうございますか。
  38. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 異なるという言葉の使い方でございますが、ただいま申しましたように、協定という言葉の方が実体を押えておりますから、違つた言葉で言えば、協約を含んだ広い意味であるというふうに申し上げ得ると思います。
  39. 石田一松

    ○石田(一)委員 これはたいへん異なことを承るのですが、労働協約を含んだアグリーメント、広い意味でこの協定が使つてあるということになりますと、労働協約自体が、ある場合には、この公労法の十六條によつて今回のような問題が起きたときに、くつがえされる、こういうとになると思うのですが、労働協約がこの中に含まれるのですか。ここにいうところの協定に。
  40. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 協約は当然含まれるものとして疑いを持つておりません。
  41. 石田一松

    ○石田(一)委員 そういたしますと、労働協約が、本法に命じ、あるいは組合法に命ずる手続によつて、当事者双方によつて締結され――労働組合法の十四條ですか、文書によつて締結したその目から効力を生ずるのですが、そうすると、締結したその当日から効力が生ずる労働協約も、ある場合には、たとえばその協約の中に、今回の専売公社のようなもし事実があつたといたしますと、予算の実質面においては可能なんだけれども、大蔵大臣がまかりならぬ、流用は不可能なんだからだめだと、そうなると、労働協約締結し、文書に署名したその日から効力が生ずるにもかかわらず、さかのぼつてこの十六條に来たときには、その効力の生じたもの、が無効になりますか。
  42. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 一効力を生ずる時期の問題は別といたしまして、予算上、資金上不可能な支出を内容とする労働協約でありますれば、まさにこの十六條に該当するということになります。
  43. 石田一松

    ○石田(一)委員 だんだん労働者は情ないことになつて来ると、実は困つておるのですが、いかがでございましようか、もちろん権威のある御答弁とは思うのです。何もそれをこの際訂正してくれと私は要求はしませんが、いま少しこれを御検討くださいまして、労働省あたりとも――もちろん隣にいらつしやるから、間違いないことと思いますが、ちよつとそれではあんまり簡單な御答弁ではありませんか。それでいいとあなたがおつしやるのならば万やむを得ません。当局の解釈なんですから、やむを得ませんが、少くともただいまのお言葉は、われわれが尊敬するところの法律家である佐藤さんとしては、ちよつと軽率で、今後大きな問題を起しやせぬかと憂うるだけです。これは意見として申し上げておきます。  ただ私がここで特にお聞きしたいのは、労働協約の場合には第三者の意思が入らないで、労働組合と資本家側、たとえば専売公社であれば専売公社当局とが、第三者の意思が何ら加わらないで、自由な意思によつて契約成立したもの、これが労働協約だと考える。しかるにこの協定という文字には第三者の意思が加わつておるということ、要するに公労法にいうところの調停委員会とか仲裁委員会とかいう、法的に根拠を持つた委員会が、その職責においてなしたところの最後の結論、今回の場合で言えば裁定、あるいはその前にさかのぼれば調停委員会の調停案、この調停あるいは裁定によつて三十五條の前段のこれは最終的な決定で、当事者双方が服従する義務がある。この義務によつて今回の場合ならば専売公社側と労働著側が、この裁定の線に沿つて、裁定を尊重して義務づけられたことによつてただいまの佐藤さんのおつしやるように、文書にはよらなくとも、アグリーメントの形では、その線に沿つてやるという黙契なりあるいは一つの契約成立つた、これがすなわち協定であるそこにいわゆる第三者の合法的な、法律に根拠を有する機関の一つの意思が働いておる。このときにこれが協定である。労働協約というものは第三者の意思が加わらないで、当事者双方のまつたく由なる意思によつて締結されたものだ。こういうふうに解すべきじやないか、私はこう思うが、この協定という文字をそういうふうに解釈することは不当であるかどうか。その点についてひとつ御意見を承りたいと思います。
  44. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 口下手でありますために、冷淡な申し上げようでたいへん恐縮でございますけれども、ただいまの御指摘の点も――要するに十六條というものは、お話に出ましたように、協約等によつて自由にきまつた場合をむしろ正面から予想して、十六條かできておるのでありまして、いまの仲裁裁定等による場合は、三十五條までたどりついて、それから十六條にかえつて来るという形になつております。従いまして形式論から申し上げましても、考え方の順序は、先ほどから私の申し上げた通りであろうと思います。この立法の趣旨云々につきましては、これは申し上げればいろいろありますけれども、われわれ法律屋がそんなことを申し上げるのはおこがましいのでも結局木で鼻をくくつたようなお答えに相なる次第であります。
  45. 石田一松

    ○石田(一)委員 それは権威ある御答弁として一応承つておきますが、そういたしますと、少くとも十六條というものは、ただいまの御説明を了承するとすれば、そうした予算上、資金上不可能な資金の支出を内容とするような労働協約がなされることもあるということを想像して、この協定という文字を広い意味で使つてある。そこでこの十六條の手続を必要として、それを一応政府責任を負わしめないように、また国会の議決を経るようにした。そうだといたしますと、少くともこの十六條には、専売公社ならば、公社の当事者双方が何かの意思表示をして協定した、あるいは協定をしたという事実がなければならぬということは、お認めになりますか。
  46. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 そのはこのアグリーメントに達したという事実が、もちろん前提としての問題であろうと思います。
  47. 石田一松

    ○石田(一)委員 そこで問題になりますのは、これは十六條を生のままで解釈する場合の私は質問なんで、三十五條まで参りまして、今度は仲裁委員会の裁定となりますな。裁定となつて、これが十六條の第一項の内容を含んでおるので十六條にかえつて来るとします。このときにもこの十六條の精神に基いて、その裁定というものが最終的な決定である。その最終的な決定によつて、当事軒双方がその裁定に基いて協定をしていなければならぬ、協定がなされていなければ、本條にただちにこれを当てはめて解釈することは不当じやないか。ただいまの佐藤さんの説明では、十六條本来の姿では、こうした労働協約もある。さらにそれを一応押えるための意思がある法律である。そうであると解釈しますならば、本来の十六條の意思を体得するとすれば、三十五條にいう仲裁委員会がある裁定をした、その裁定によつて三十五條の前段で、要するに当事者双方が義務づけられたところによつて一つの十六條にいうところの協定をした。――その協定という事実があつて、初めて政府がそれに拘束されるものではないのであります。この場合に仲裁委員会の裁定そのものをここへ持つて来て、そうして裁定そのものを国会の審議にかけるなどということは、少くともこの十六條のあまりにも飛躍した解釈であると考えますが、いかがですか。
  48. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 石段を一つずつ上つて行きまして、三十五條にありますただいま御指摘の前段に当る部分でありますが、この裁定が下りました場合には、これは結局協約といいますか、協定といいますか、これにかわるだけの拘束力を持つということが前段にあるわけであります。当事者は従えということが書いてある。そこで書の問題になりまして、階段を一段上るわけであります。但書を見ますと地こういう場合には十六條によれということになつておりますから、それからまたさらに階段をもう一段上りましても十六條にもどりまして、そうしてこの協定云々という言葉を、結局その場合には、裁定というように読みかえて理解すべきものであることは当然でありますが、そこで十六條の問題になるということになります。
  49. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうすると、三十五條にいう仲裁委員会の裁定というものがあつて、その裁定というものは、最終的決定として当事者双方が服従しなければならぬ、こう規定してあるけれども、但書によつて、また一段上つて十六條にかえつて来る。十六條にかえつた場合に、その十六條本来の、要するに少くともそこに協約、協定が当事者双方でなされておるという事実がなければ、この十六條は本来の姿では問題にならないわけです。十六條本来の形では、当事者双方の協約、協定がなければ――協定されたという事実がなければ、本来の姿では十六條は生きて来ないわけであります。それが十六條に飛躍して行くときに、三十五條の但書で、裁定かあつた場合に、その裁定がこういう内容を含んでいたときはというので、ただちに今度飛躍して三十五條から十六條に行つたときに、十六條の二度目の解釈の場合、当事者双方に協定もなく、協約もなくてもいい、裁定だけあればそれでいいと解釈するのは、どうかと思うのです。
  50. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 結局三十五條の但書がなくて、十六條を私の申し上げましたように読むということになると、これは階段なしに一足飛びの結論である、どういうわけだ、という御疑問が出るのは当然だろうと思います。ところが、三十五條に今申しましたような但書がありまして、これこれの場合には十六條でまかなうんだということを、きわめて明瞭に言つておりますので、従いまして十六條において、この協定云々についての條文を、裁定そのものについての條文であると読みかえて行かなければならぬということは、もう法律の解釈の常道であろうというふうに考えます。
  51. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 石田君、委員長からお尋ねするのですが、三十五條の解釈によつて、あなたはあらためて両当事者が協定を結ばなければならない、そうでなければ、十六條にかえつて来ない、こういう御意見で政府委員に尋ねておいでになるわけですね。
  52. 石田一松

    ○石田(一)委員 まあ、そういう意です。
  53. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 私から政府委員にお尋ねしますが、仲裁が下つたという場合には、いわゆる協定というものと同一の解釈をするという政府の御解釈ですか。
  54. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 結局そういうことになります。
  55. 石田一松

    ○石田(一)委員 要するに政府は、裁定が下つた、その裁定がすなわち十六條にいうところの読みかえる協定だというふうな御解釈になるのですが、私はその前に一応冷静に判断した場合に、裁定が下つた、その裁定は当事者を拘束するところの最終的の決定として、三十五條の前段で規定されておる。そのために、当事者はこれを尊重する義務があると考えまして、今回の、ごとく、たとえば専売職員諸君も、この点不満ながらも、とにかく法律を守るという点で一応了承してこれに従うという意思表示をする。また專売当局としても、これを尊重しなければならぬ、これを実行するという意思表示をする。政府に対するあらゆる予算的な流用を申請する手続等をなされる。しかもそののちに専売公社と労働組合側が、たとい文書の交換はなくとも、この裁定の線に沿つてあくまでもわれわれはこれを履行する、また職員側もそれを不満ながらも了承してやる、こういういわゆる先ほどあなたがおつしやつた広い意味のアグリーメントがあるということを前提として、十六條にかえつて来なければならぬ、私はこのことをお伺いしておるのであります。裁定があつて、裁定そのものがただちに十六條にかえつて、裁定を、要するに協定とみなして行くんだというのでは――裁定はあくまでも裁定であつて、できるならばその裁定を、十六條にいうところの協定の意味を持つ範囲にまで解釈した方が、私は妥当じやないかと考えるのです。この点について、ただいま委員長のおつしやつたように、裁定が下つたら、その裁定を十六條に持つて来て、十六條の協定のところを裁定と読み直して、国会にこの手続をとるんだと今御答弁があつたようですが、私はそれよりか、ただいま私が意見でありますけれども申上述べたように、裁定に服従する義務のあるものとして、当事者がこれを尊重するという意味で、当事者同士で黙契といいますか、あらゆる手続をとつておる、しかもそれをあなたが先ほどおつしやつた広い意味のアグリーメント、協定とみなしたならば、初めて十六條にかえつて来て、十六條が生きて解釈できると思います。この点はいかがですか。
  56. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 先ほど申しましたところをさらに補足して申し上げますと、結局仲裁裁定が当事者に及ぼす拘束力は、あたかも労働協約が当事者に及ぼす拘束力に同じであるということは、労調法の三十四條に「仲裁裁定は労働協約と同一の効力を有する。」と書いてあるところを見ても、明瞭であろうと思います。従いまして三十五條の本文に書いてありますこの裁定も、これは結局労働協約と同様に、当事者を拘束するものであるということになります。そうして先ほどの十六條におきましても、その当事者を拘束するところの協定のことを書いておるわけであります。その点においては、ただいま申しましたところによつて、協定であろうと、裁定であろうと、拘束力という関係では、少くとも当事者に対する関係では同じでございまして、結局先ほど私が申し上げたようにおちついて来るのであります。
  57. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 暫時休憩いたします。午後二時より再開いたします。     午後零時五十八分休憩     ―――――――――――――     午後二時三十六分開議
  58. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。石田一松君。
  59. 石田一松

    ○石田(一)委員 先ほど休憩前にいろいろと質問をしたのでありますが、その他の点についてお尋ねしたいと思います。もちろんこれは公労法の十六條に関しての問題でございますが、特にこの際その前提としてお伺いしたいことがございます。それは公労法の十六條の前文といいますか、「資金の追支出に対する国会の承認の要件」といものが付してあるのでございますが、十六條を解釈する上において、この前文を引用して十六條を解釈していいかどうか。ただこれは立法者の意思といいますか、または分類といいますか、その見出しであつて、これそのものが十六條の條文ではないと解すべきか、この点についてちよつとお伺いいたします。
  60. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)委員 われわれの立場としては非常にうれしい御質問だと拝承するわけでありますが、ただいまお話の通りに、そのあとにおつしやいましたように、これは純然たる便宜上の見出し、ちようど法律の表題と同じように、便宜上の見出しということでありまして、條文の実体に対して影響のある言葉ではない、従いまして言葉の足りない場合が相当ございます。
  61. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうしますと、この十六條にいくらかの関連性はある、しかしこれは見出しであつて、これをもつてすぐ十六條を解釈することはできないということはわかつたのですが、少くとも解釈の一応目安というか、参考の程度には供し得るんじやないかと思います一この点いかがでございましようか。
  62. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 お言葉の意味によりますけれども、見出しでありますから、内容と全然違つたことが見出しになつて出て来るはずは、ございません。さような意味におきまして、内容の手がかりになるだろう、この條文にはどういうことが書いてあるかという見出しになるであろうと思います。
  63. 石田一松

    ○石田(一)委員 そこで私はこれを根拠として云々するのでは、ございませんが、今御答弁にありましたように、一応の手がかりとしても、この見出上の手がかりから十六條をまず解釈して参りますと、少くともこの十六條の條文の意思は、予算上、資金上不可能な資金の支出を内容とする協定がここにあつた、それに対して政府はもちろん拘束をされないのであるけれども、政府がこの協定を一応善意に予承して、しかも政府がこれに対して支出をしてやろう、この場合に追加予算、補正予算等の手続をとつてこれを国会に提出をして、その国会の承認を求めた後でなければ、この支出をしてはならない。すなわちこの十六條の意味は、政府が少くとも協定を了承して資金を支出してやりたいのだけれども、その支出の要件としては、十六條の所定の手続をふまなければならぬ。過去においてあつたかどうかしれませんが、政府が独断をもつて国の予算を支出するということを、強くこの十六條で押えているのだ。こういうふうに解したいと思うのでございますが、これは少し行き過ぎた解釈であるかどうか。私はこれは少くとも政府の支拂おうとするときの手続的な規定を含んでいるのだ。こういうふうに解したいのですが、政府としては、これをどういうふうにお考えになりますか。
  64. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 ただいまの石田委員のお言葉によりますと、この見出しから非常に嫋々たる余韻を導き出しておられるように思いますけれども、そこまでは実は文学的な意味を持つておらないと思うので、ございまして、結局この資金の追加を必要とするような協定については、国会の承認がなければ効力を生じないぞということが、この條文に書いてあるだけの意味であるというふうに考えております。
  65. 石田一松

    ○石田(一)委員 実はこれは見解の相違でございますので、ただいまの御説明も、もちろん私たちも十分そういう場合もあり得ると思うのですが、少くとも国鉄の裁定の問題、あるいは今回の専売公社に対するところの政府の取扱い、あるいは態度等からこの十六條を解釈します場合には、十六條は少くとも労働者のためには最も不利なる條文になつて来る、あるいは今回も、国鉄裁定のときのような政府態度でこれを解釈する。しかし私は公共企業体労働関係法というものが立案されたということは、少くとも専売公社、あるいは国鉄などが、公共の福祉に対して重大なる影響を持つものであるので、要するに企業体に従事するところの従業員というものが、他の民間の一般労働組合と同じような、憲法二十八條に定められた争議権を行使することが無制限になされては、一般の福祉に及ぼす影響が大きい。そこでこれに公共企業体労働関係法という特別な一つの法律を制定して、しかも争議権を剥奪するというまことに強い十七條を設け、しかもその十七條で剥奪された争議権は、これこれのものによつて一応補つてやる。こうした立場で労働者の権利を一応圧縮すると同時に、一面にこれをまた保護してやろういとうような精神が多分に含まれているのだ。こういうふうに思うのであります。ただいま御答弁になりました通りに解釈いたしますと、ちつともこれは労働者のためにばならない條文である。こういうふうにわれわれは理解しなければならなくなるのであります。  そこでただここにもう二、三点お伺いしたいと思いますのは、ただいまの御説明によりますと、予算上、資金上不可能な資金の支出を内容とする協定というものは政府拘束しない、しかもただいまの御説明では、国会に提出してその承認を求めるというのでなければ、効力が生じないというふうな十六條の規定だとおつしやるのでございますが、少くともこの十六條では、先ほども申しましたように、政府拘束されるものではございません。拘束されないというのは、支拂わなければならないという義務を負うものではないと、こういうことであつて、支拂う意思と言いますか、少くとも政府が何とかこれを国会の承認を求めて、支拂つてやろうという意思があつて、追加予算的な措置を講じてこれを国会に提出をする。こういうことが予想されてこの十六條に規定があるのである。こういうふうに解釈したいと思う。なぜかならば、もしそうでないといたしますと、第二項に「前項の協定をしたときは、政府は、その締結後十百以内に、これを国会に付議して、その承認を求めなければならない。」という明瞭な字句があるのであつて、ただいま政府当局の御説明のように参りますと、少くともこの條文は、これを国会に付議してその議決を求めなければならないとか、あるいは締結後十日以内に議決を求めなければならない、とあるべきであると私は思うのです。にもかかわらず、明らかに、これを国会に付議して、その承認を求めなければならぬぞと、承認を求めなければ支出をしてはならぬ。こういう規定であるのでありまして、少くともこの承認を求めるという條文から考えましても、政府はかかる場合には予算的措置を講じて、もしこれを国会が許せば、支拂つてやるという意思が政府になければ、この第三項の、その承認を求めなければならぬいう條文が全然解釈できぬ。こういうふうに考えるのですが、この点に対していかがですか。
  66. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 専売公社なり、公共企業体が普通の会社その他のプライベードの企業体と違いますことは、もとより申すまでのこともありませんが、結局そこからこの十六條の問題が出て来ているのであろうと考えます。従いまして先ほど申し上げることを差控えましたけれども、ただいまのお尋ねに触れて申し上げますれば、要するにこの労働関係の当事者とは組合と公共企業体であります。国会はもちろん直接の関係がないことは当然であります。政府第三者であつて、決して当事者ではないということになるわけであります。従いまして一方において、企業体の予算は国会で御審議を願うことになるというような面から、この條文が出ているわけであります。その見地からすべてを押して行かないと、法律的には、一貫した考え方が出て来ないというふうに考えます。従いましてただいま御指摘になりました、政府拘束しないというのも、きわめてあたりまえのことを言つただけで、国会の承認云々と申しましても、この当事者からは政府も全然別個のものであり、国会も別個のものであるということでありますから、国会で御判断を願う。承認していただくか、あるいは不承認であるかは、最高機関であるとこの国会の意思にまつほかはないということで、これまたきわめて冷やかな言い方で申訳ありませんけれども、りくつ一点張りで言えばそういうふうになる。こういう意味であります。
  67. 石田一松

    ○石田(一)委員 今御説明を聞いておりますと、私はどうもふに落ちないところがあるのです。政府第三者であるとおつしやるのですが、この点には私は相当疑問を持つております。この点はここで論議しようとか、質問しようとも思いませんが、ひとつここに具体的にお尋ねしたいのは、二項に「前項の協定をしたときは、政府は、その締結後」と、なつております。その前の一項には「又国会によつて所定の行為がなされるまでは、」とあつて要するにこの際は、もちろん第三者のある横町関で行為が心されるまではということで、はつきりしております。そこですぐそのあとの二項において「前項の協定をしたときは、」とあつて、「協定がなされたときは」とは書いてないのであります。「前項の協定をしたときは、政府は」と書いてある。要するのにこの「政府は」という文字と、「前項の協定をしたときは」とありまして、「協定がなされたときは」と書いてないというところから判断をして、少くともただいま御答弊になりました政府が全然第三者であるというお言葉は、どうも私は首肯しかねるのでありまして、「前項の協定をしたときは、政府は、」とこうなつて、いるのは、少くとも現段階における公共企業体と政府との関係は、一体不可分の関係であるということであります。全然第三者でないということであります。第三者の大蔵大臣が、これは流用、移用ができないからだめだと言うからというので、ただちに専売公社の今回の問題の仲裁委員会の裁定が、予算上、資金上不可能な支出を内容とするものだと判断するには、あまりに第三者の意思が働き過ぎるのであります。そこで私は、ただいまの第三者であると冷たくおつしやることには賛成できないし、むしろ第二項のただいま申しました「前項の協定をなしたときは、政府は、」すなわちこの文字から冷静に判断してみて、少くとも政府は、前の協定に幾分かの――要するに第三者という冷たい立場ではなくて、当事者でないまでも、当事者に相当の関係がある、こういうふうに解釈しなければ、私はあまりに解釈が異なりはしないかと思うのでありますが、これはいかがですか。
  68. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 非常に精密なお言葉になつて参りましたので、お言葉じりをとらえては恐縮でありますが、次のようにお答えせざるを得ないと思います。「したときは」ということに非常に力を入れていらつしやると思いますが、「したときを」と、これを間違えて――恐縮な言葉使いでありますが、かりに読んだといたしましても、政府が「前項の協定をしたときは」と読む以外には、前項の協定をしたという読み方が、意味をなさぬ読み方であるということは、何人が考えても明瞭であろうと思います。従いまして前項の協定というのは、あくまでも企業体と組合、すなわち労働者側と当事者、この二つであることは明瞭でありまして、さようにお答え申し上げるよりほかはないと思います。
  69. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 石田君、官房長官は時間の都合があるそうでありますが、官房長官への御質問を先にやつていただくわけには行きませんか。
  70. 石田一松

    ○石田(一)委員 承知いたしました。それではただいまの点ちよつと保留しておきまして、官房長官はお急ぎになるそうですから、ちよつとお尋ねいたします。  すでに一月七日の閣議で、この仲裁委員会の専売公社の紛争に関する裁定を拒否する。要するにこれは大蔵大臣自由裁量によつて、他の科目、費目から流用、移用はこの際諸般の情勢上できぬので、これを予算上、資金上出不可能なものであるから拒否するという厳然たる態度をもつて、この裁定にお臨みになつていらつしやる政府が、これを国会に付議なさるときに、「公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件」としてお出しになつた。どういう意味で、この議決を求めるの件としてお出しになつたのか。この前の国鉄のときの先例におならいになつたのか。なぜ正直に公共企業体労働関係法第十六條第二項に基いて、この専売公社に関する仲裁委員会の裁定は、政府としてはこれを受入れることができぬ予算上、資金上不可能な支出であつて、しかも何らのこれに講ずる方法がない、だからこれは不承認を求める、不承認の決議をしてくれ、とはつきりおつしやらないか、この点についてひとつ御説明願いたいと思います。
  71. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 石田さんにお答え申し上げます。今石田さんは、裁定を政府が拒否するというふうに、一月七日の閣議決定においてきめたとおつしやいますが、常識上そういう言葉をお使いになることは、決しておさしつかえございませんけれども、われわれは裁定のうち公社の予算上、資金上不可能なる内容を持つておる分は、十六條第一項に該当する、こう認定しただけであります。従つて政府拘束しない結果になるだけでありまして、拒否する、しないということは、われわれ閣議で決定しておりません。結局十六條第一項に該当するという認定は、行政上の認定権である。そこで十六條第一項によつて、第一項に該当する裁定の部分があるといたしますと、第二項によつて所定の手続をとらなければなりません。そこで第二項には承認を求めなければならない。こう書いてございますが、あの法の精神は、国会が承認しようと、不承認しようと、これは国一会の独自の権限権能に属することである。要するに議決を求めて行けばよろしいというわけで、国会に付議をして、議決を求めた次第であります。
  72. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうすると政府は、この仲裁委員会の裁定は、公労法第十六條第一項に該当すると決定をしたのみである。それでこれを法の命ずるところに従つて、第二項によつて国会の承認を求めろと書いてあるけれども、その承認というのは、承認か不承認かは国会の自由だから、どちらかを決議してもらいたいというので、この議決を求めるの件として出したのだ、こうおつしやいますけれども、少くともこれは、先般来のこの委員会における政府当局、あるいは大蔵政務次官あたりの御答弁を聞いておりましても、現段階においてもし国会がこれを承認すれば、政府としてこれを支拂つてやろうなどという意思があるのだと解することは、常識上からも、とうていわれわれにはできません。単に政府は、自分たちの與党というものが絶対過半数を持つておる。であるから政府閣議において、これを予算上、資金上不可能なものだ、しかもその不可能になつたということは、大蔵大臣自由裁量によつて、他の費目から流用ができないと判断をしたから、それでこれが不可能だという、一つの行政長官の主観によつて、この法律の不可能が決定されておる、しかもそれをもつてただいま増田官房長官は、政府がこれを支出をしないとか、するとかいうことを決定したのじやない、これは国会に、公労法の第十六條第一項に該当するから、一応提出して、国会の意思によつて議決を求めるのだという、まことにこれはずるい言い方であると私は思うのです。しかしてあなたが今ここではつきりと、もし国会がこれを承認するならば、われわれはこれを支拂おうとしておるのだということをおつしやられるなら、閣議でも、これは拂つてやりたいのだけれども、大蔵大臣がこう言うから、それでは国会の承認を求めて、もし国会が承認すれば、大蔵大臣が何と言おうとも、これを抑つてやろうじやないかという発言が二言でもあつたというなら、ここで証明してください。私は今のあなたの言葉は、まことにずるい、責任を回避したような、国会に責任を全部なすりつけるような、まことに聞き捨てならぬ言葉だ、こういうふうに思うのですが、どうでしようか。
  73. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 石田さんにお答え申し上げます。政府は軍に議決を求めずに、承認をしてくれとか、あるいは不承認をしてくれとかいうような文章で、意思表示をすべきだという御質問でございますから、前段の御答弁は、それに対する御回答として申し上げたわけです。  そこで今度は、政府の腹はどうかというようなことについての御質問であると解釈いたしまして、御回答申し上げます。まず政府は、どうして十六條一項に該当する裁定の部分があるということを認定したかと申しますと、これは大蔵大臣がかつてにというような御口吻もありましたけれども、そうでは決してございません。要するに十六條第一項に該当すると認めたゆえんのものは、公社の予算上、資金上あるいは裁定書の何か理由等にも書いてございましたが、見方の相違であつて、金はあるのだという見方があるかもしれません。しかしわれわれは、これを議決した国会の意思を尊重して予算の経理旭執行をしなくてはならぬ、こう心得ております。そこで公社の予算を見ますと、一千百九十億円の益金があります。金は確かにある。だからこれをまわせばよいのではないかという議論には、われわれは反対しております。なぜ反対しているかというと、国会の意思を蹂躙することになるから反対しております。すなわち予算でも法律でも、これは国会の意思である、法律を蹂躙してはいかぬと同時に、予算も蹂躙してはいかぬ、益金として一千百九十億円計上してあるものを、金があるから使えばよいじやないかということになりますと、これは国会の意思の蹂躙になると私は考えております。そこで十六條第一項に該当するという見地に立つたわけであります。それから予備費もございますが、予備費はわれわれは給與等に充てることを予見して、議決されたとは思つておりません。不測の事故を予想してたとえば専売局の工場が焼けるとか、あるいは原材料をうんと買わなければならぬとか、そういう事業費関係の予備費と予想されて、皆さんが議決されたというふうに考えております。人件費等を予備費で食つてよろしいという意味で、議決されたというふうにわれわれは考えていないのであります。そこでいつか林君が御指摘のような、塩を買つたのがけしからぬとか、けしかるとかいう問題になりますが、要するに予備費は事業費に充てるのがまず当然のことであると考えます。とにかく予備費も金があります。また益金も金がありますが、いずれもこれは流用すべきものではないと考えております。益金を流用いたしますと、結局実質上は税金を食つてしまふことになります。タバコは生産費の数倍で売つておりますが、本来商品というものは、生産費プラス二割か三割で売るべきものだと心得ております。それ以上で売れば。暴利取締令で処罰すべきものであると考えておりますが、タバコは生産費の数倍で売つております。しかしこれは価格から生産費を引いた残額は、税金に該当するものである。であるから国民の皆様も、がまんしていらつしやると考えております。それが積り積つて一千百九十億になる。これが七千四百億円の歳出を目当とする歳入の重要部分を構成しております。あと五千百隠円の税金、財産収入等をもつて、七千四百億円の歳入になり、歳出とトントンにマッチするわけであります。それがただいまのところでは、事業のあんばいから見まして、歳入欠陥が起きはせぬか。かりに歳入欠陥が起きないといたしましても、一千百九十億円が一億円欠けましても、国会の意思を蹂躙したことになる。予算は国会の意思だから、これはまずいと思います。予備費も従つてその性質から見まして、人件費に充てるのはまずい。こう考えて十六條第一項に該当するという結論になつたのでありまして、單に大蔵大臣の恣意から発して、これが流用を許さぬということになつたのではないのであります。繰返して申すようでありますけれども、国会の意思を尊重する意味から、予算の性質を没却してはいかぬからというので、十六條第一項に該当するときめたのであります。その決定だけは確かにあります。そこで十六條第二項によりまして、手続はとりました。しかしわれわれの心持としては、現在としてはこの公社の予算から見て、国会において不承認の議決をしていただきたいという心持を持つていることは、はつきりと正直に申し上げます。しかしながら、もしわれわれの初志に反しまして、承認があつた場合になりますと、われわれは結局、承認ありたるときは裁定の日にさかのぼつて効力を発生するという條文に従つて、国会の議決にかかる法律でありますから、これを尊重して予算措置をとる必要かある。こう心得ている次第であります。
  74. 石田一松

    ○石田(一)委員 ただいまの国会の意思を尊重して予算を云々の点については、まことにけつこうな御説明で、私はそうありたいと思うものであります。そうだといたしますと、去年の暮の国鉄の裁定問題の際に、初めのうちは裁定そのものが議案となつて提出されておりましたが、途中におきまして、これが訂正という手続で訂正されまして、国鉄裁定の場合の総額四十五億円の中の十五億五百万円は、国鉄の予算の中で他の費目から流用可能であり、それを流用する点は行政権によつてまかなえるのであるから、その点についての議決は必要ではない。残余の二十九億幾らについて国会の議決を求めるということにしたのである。こういう説明でありましたけれども、そうすると国鉄の問題のあの裁定のときには、この十五億五百万円は行政権によつて流用移用が可能であるので、国会の審議決定した予算であつても、これは行政権でそういうふうになさいまして、今度のときのこの益金とか予備金は――もちろん国会の決定したのは、事業費等の性格のものでしようが、しかし流用可能なものであるにかかわらず、この際はこれは国会で決定した予算であり、そういう性質の金ではないから、国会の意思を尊重して国会に出すのだということになりますと、去年の暮から今度の裁定までの間は、一箇月くらいでありますが、ずいぶんわずかの間に政府の意思はかわるものだということになりますが、なぜ国鉄の場合はそうであつて、今度の場合は国会の意思を尊重しなければならぬか、その御説明を願いたい。
  75. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 石田さんの御質問にお答えいたします。私は先ほど、流用はすべてしてはいけないと言つたわけでありません。流用してもよろしいけれども、しかし物件費、人件費それぞれ性質が違つているから、むやみに流用してはいけない。結局物件費を流用するようなことによつて事業量が減り、あるいは生産費が高まり、あるいは生産品が少くなるということになりますと、これはいけないのであります。国鉄関係の十五億五百万円は、あれだけ物件費から倹約して出しましても、事業量も走行キロ程もかわらない、貨物輸送量もかわらないという結論を、大屋運輸大臣が出しまして、結局あの範囲の流用をいたしたわけでございます。流用はもとより行政権の範囲でありますが、予算議決されたときの国会の意思に反するような流用までしてはいけない、こういうふうにわれわれは考えているのであります。
  76. 石田一松

    ○石田(一)委員 そういたしますと先般の国鉄の仲裁問題のときには、大屋運輸大臣が、十五億五百万円の流用をしても走行キロ数もかわらないし、あらゆる設備等においても、全然従前とかわらないという目安をつけて、この流用を決定したので、やつたというのであるが、しからば今回の専売裁定において、専売公社総裁並びに専売当局が、あらゆる節約をし、あらゆる苦心を拂つて、今後の専売公社の経営に何らの支障も来さないという目安のつく予算の流用、あるいは移用を申請した場合には、国鉄公社の場合の仲裁の問題と同じように、政府はこの問題を処理されるかどうか、そのことを一ぺん聞いてみます。
  77. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 お答え申し上げます。国鉄のときは、ただに国鉄総裁の申請だけじやありません。監督大臣であるところの運輸大臣、全政府が、あの範囲の流用をいたしましても、事業量において径庭がない、こういうふうな認定をいたしたからでございます。でありますから、今回公社総裁がどういうような進言をしているか――拂つてほしいという意思は非常に持つていらつしやる、また専売公社労働組合に対する愛情を非常に持つていらつしやるという点は、よく聞いております。いかなる申請をしたか、こまかいことは存じませんが、それだけで、ただちに流用の理由になるとは考えておりません。われわれ政府全体、ことに監督大臣である大蔵大臣、財政を監督する意味の大蔵大臣、こういうような大臣を加えた全政府が認定しなくてはいけない、こう思つております。
  78. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 石田君、まだ時間がかかりますか。
  79. 石田一松

    ○石田(一)委員 では議事の進行上、その点は留保します。
  80. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 田中君。
  81. 田中織之進

    ○田中(織)委員 大蔵大臣にお伺いをいたしたいのでございます。非常に抽象的なお尋ねになるかもしれませんが、この点については大蔵大臣からできるだけ具体的に、懇切に御答弁願いたいということを、まずもつて希望を申し上げておきます。  まず質問の第一点といたしまして、大蔵大臣は、今回の専売裁定に現われました専売公社の職員に対する待遇改善に対しまして、いかなるお考えを持つておるか、伺いたいのであります。もちろん年末議会におきまして、国鉄裁定に対しましては、民自党の方からも、またわれわれ野党の方からも、この裁定を尊重すべしという決議案が出まして、院議でこれを尊重することが決定されておるのであります。しかしながら専売裁定につきましては、いまだこうした院議の決定も見ておらない段階でございますが、当然国鉄裁定と同様に、民主自由党といたしましても、この公労法によつて設けられた仲裁委員会の裁定に対する権威を尊重することは認められておると思うのであります。特に大蔵大臣がこの裁定の実施に深い関係があります上から、この裁定に盛られた待遇改善の必要を認められておるかどうか、この点につきまして伺いたいと思います。
  82. 池田勇人

    ○池田国務大臣 専売裁定は、国鉄裁定と何様に、できるだけ尊重いたしまして、百方予算の流用につきまして頭を悩ましたのでありまするが、私は大蔵大臣として専売公社の監督権を持つておりますと同時に、まあ古い言葉で申しますれば、国庫大臣として予算を預かつおります関係上、いろいろな検討を加えました上、尊重はいたしまするが、予算の流用は不可能という断定に至つたのであります。
  83. 田中織之進

    ○田中(織)委員 仲裁委員会の裁定は尊重されるが、しかしどうしても予算の流用は、ただ單に専売公社の監督権を持つておる大蔵大臣という立場だけでなく、国庫大臣の立場において承認するわけには行わなかつたという御答弁でありますが、私のお伺いしておるのは、この裁定に現われました程度の待遇改善では、われわれから申しますならばこれはきわめて不満足なものでございます。おそらく公社の労働組合の諸君といたしましても、不満足ではあろうとわれわれ推察しておるのであります。しかしながら、公労法という法律に基いて決定されたものであるからということで、不満足ながら公労法上いうものの精神を尊重するという建前から、この裁定に服する決意を、従業員側としてはしたものだと私は思うのでありますが、仲裁委員会が行おうとするこういう待遇改善の必要はないとお考えになつておられるのかどうか。待遇改善の必要を認めらるるのかどうか。その点についてのお尋ねをしておきます。
  84. 池田勇人

    ○池田国務大臣 公共企業体労働関係法の規定から申しまして、裁定の第一に載つております分については、予算上資金上、不可能という断定に立つたのであります。しかし他の裁定部分につきましては、専売公社と労働組合との間におきまして、十分職員の待遇改善に御検討、御努力を願うように私から申し入れておる次第であります。     〔委員長退席、三浦委員長代理着席〕
  85. 田中織之進

    ○田中(織)委員 この程度の待遇改善も、実現したいというお気持はあられるけれども、これを支出するという面について、いろいろの点において障害がある、こういうように大蔵大臣がお考えになつておると了解してよろしいのですか。
  86. 池田勇人

    ○池田国務大臣 国会に御審議を願つておる点につきましては、待遇改善はしたいけれども、予算上不可能であると考えております。
  87. 田中織之進

    ○田中(織)委員 次にお伺いしたいのは、公労法十六條の第一項の前段に、今度の裁定のに特第一項が該当するということを、政府当局の方針としてはお考えになつて、十六條二項に基いて国会に手続をとられたということでございますが、公労法十六條一項の予算上、資金上不可能なる場合という、この予算または資金というものは、これは大蔵大臣としてはすでに国会の議決を経た予算、またはその予算から来る資金計画上不可能な支出だ、こういうはうにお考えになつておられることだろうと思います。この点は官房長官は率直に、そういうように先般提案者として、私伺つたときにお答えになつておりますが、大蔵大臣も、この十六條一項の予算上または資金上不可能なる支出という場合の予算及び資金というものは、既定予算及び既定予算から来る資金上不可能な場合をさすものだとお考えになつておるかどうか。この点について伺いたい。
  88. 池田勇人

    ○池田国務大臣 国会の議決を経ました予算をいつておると考えております。
  89. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そういたしますと、十六條一項の「予算上又は資金上」というのは――二十四年度の専売公社の予算は、これは国会の議決を経ておるのでありますが、その既定予算の上から見まして、今回の場合、これは支出不可能であると政府当局、特に所管大臣としての大蔵大臣が認定をせられました根拠並びに理由について、御説明を願いたいと思います。
  90. 池田勇人

    ○池田国務大臣 原則として国会の議決を経た予算の流用というものは、なるべく行わないのが実は建前になつております。しかし各般の事情をくみまして、大蔵大臣は国会よりある程度の流用の委任は受けておるのであります。しかして今回の場合に、裁定に沿いまして一億二千八百万円を流用によつて出すかどうか、ということを考えた場合におきましては、この国会にお審議を願う提案の理由で申し上げましたように、私としては流用移用は不可能という段階に至つたのであります。なぜそういう段階に至つたかと申しますと、これ以上物件費その他から流用するということは適当でない、不可能だ、こういう段階であるのであります。
  91. 田中織之進

    ○田中(織)委員 それでは予算上または資金上不可能だということを政府の方で認定をせられた根拠と申しますか、理由はきわめて薄弱で、ただいまの大蔵大臣の御答弁では、私は納得ができないのであります。先般の大蔵大臣の提案理由の説明その他から推察いたしますと、問題は流用移用を大蔵大臣が承認するか、しないかというところに、実はこの問題はかかつておつたわけであります。そういう観点から申しますならば、これは大蔵大臣の流用についての承認がありますならば、当然予算上私は可能なものであるということになり得ると思います。ことに先ほど大臣がお答えになりましたように、この十六條一項にいわゆる予算上不可能であるという場合の予算は、既定予算だということから申し上げますならば、公社の総裁から、流用について十二月二十八日付をもつて大蔵大臣に申請されました申請書のあとの財源調べという中には、相当多額の、いわゆる不用または節約し得る財源が示されておるのであります。そういう点から見まして、客観的に判断をいたしますならば、これは予算上または資金上支出は不可能ではなくて可能だということは、これらわれわれ委員に配布されました、十二月二十八日付で公社総裁から大蔵大臣に申請されました書類から推しましても、客観的には可能だ。しかしながらはつきりと大蔵大臣は申されておらない、諸般の情勢と申されておりますけれども、たとえば公務員に対する給與ベースの引上げの問題だとか、あるいは政府賃金政策その他の、むしろ準財政的な、と申しますとちよつと語弊があるかもしれませんけれども、そういう別な政府賃金政策、こういう観点から、客観的には可能であるけれども、出すわけにはいかない、そこで今回政府が、これを十六條一項に該当するというところに、理由を持つて来られた真意があるのではないかと考えます。その点はいかがですか。     〔三浦委員長代理退席、倉石委員長着席〕
  92. 池田勇人

    ○池田国務大臣 御想像はごかつてでありますが、この諸般の情勢ということは、午前中石田君の御質問に答ております。歳出予算に限定するとか、いろいろな御質問があつたようでありますが、私はいろいろ財政法上、蚕業業体労働関係法等の法規から考えまして、またいろいろな流用今までの経験、あるいは今年度どれだけ流用したか、あるいはどういう点で今後流用しなければならぬ点があるか、という百等を考えまして、流用不可能としたのであります。客観的に見て可能であるかどうかという問題につきましては、私の考えでは、これは大蔵大臣自由裁量でやつてさしつかえないものと考えております。
  93. 田中織之進

    ○田中(織)委員 想像の上に立つて、また仮定の上の議論には答えられないということでございますけれども、私はその問題については、われわれが想像をたくましくしておるのではなくして、政府側から提出されておりますいろいろの資料を通じて、われわれは客観的には支出可能なのだ。しかしながら政府の諸般の事情と申しておる中には、主として賃金政策の点、それと、給與べースの全般的な官公吏に対する改訂の問題等の関係から、ことさらにりくつをそこに持つて行つておるということは、ただ單なる、われわれが想像をたくましゆうしての結論ではなくて、これまた一つの客観的な事実判断だと考えるのでありますが、大蔵大臣がそういうようにお答えになりますならば、それ以上私はこの点について大蔵大臣と問答をするつもりはございません。  そこで次にお伺いしたいのでありますが、公労法の十六條一項の後段によりますと、予算上または資金上不可能なる支出につきましては、これは政府拘束しない。従つて国会の所定の行為がなされるまでは、いかなる資金の支出もしてはならないという規定があります。この場合に、十六條一項の後段の、資金支出についての拘束の問題は、国会の所定の行為がなされるまでの間は、資金を支出してはならないという、資金拘束に相なると思うのでありますが、先ほど私がお伺いしたのに対して、大蔵大臣も認められましたように、すでに国会の議決を経た予算のわく内で行われる流用に関する問題でありますならば、別に国会の行為を要しない問題であります。従つて今、大蔵大臣自由裁量によつて、この流用を承認するか、しないかということは、大蔵大臣の権限にあるということをあなたは申されたのでありますから、大蔵大臣のそういう権限内にある事項でありますならば、私は今回の場合は、この十六條一項後段のいわゆる資金支出に対する拘束は、その点から申しますならば、国会の行為との問題、国会の議決との関連性はないものだと解釈するのでありますが、大蔵大臣はその点についていかにお考えになつておられるか。
  94. 池田勇人

    ○池田国務大臣 御質問の点がはつきりわかりませんが、予算上給與の費目になつておるものにつきましては、専売公社の総裁でできます。全体的に申し上げますが、それ以外のものにつきまして――予算上流用を大蔵大臣に申請し、その承認がなければできないものについては、これは専売公社ができないことは御承知の通りであります。しかして今回の一億三千八百万円を出します分は、専売公社の権限にないことであつて大蔵大臣が流用を認めるか、認めないかという裁量をする問題になつておるのであります。しかし大蔵大臣が裁量をする範囲は、項の移用なども大体において認められておりますから、私が出すことが予算上可能なりと断定いたしますれば、国会の承認がなくても出せるのであります。しかしあの件の場合におきましては、私は予算上、資金上流用して出すことは不可能であるという断定に来たのであります。従つて私の断定について、国会の議決を求めておる次第であるのであります。
  95. 前田種男

    ○前田(種)委員 今の点でございますが、予算上、資金上不可能な点は、もちろん十六條で拘束されない。政府、国会は拘束されないので、はつきりしているのです。しかしこの十六條の冒頭に書いてありまするところの、予算上、資金上可能な点は、ここで拘束するという解釈をするのがぼくは正しいと思う。今の大蔵大臣の答弁で、可能であつても流用上承認できない点は、予算上不可能だから、国会の審議を待つというように言われました。これは大蔵大臣の解釈としては成立つかわりませんが、さように法律を解釈するということには、むりがあるのじやないかと私は考えます。この十六條を正しく解釈いたす場合におきましては、予算上または資金上不可能な点は拘束されない。しかしすでに予算に計上されて、議決を経た予算の範囲内で、大蔵大臣の権限において流用することができる場合には、もちろんこれは拘束すると解釈するのが正しい。その上に立つて年末の国鉄裁定のうちの十五億五百万円は、国会の承認を得ることなくして、大蔵大臣運輸大臣責任において流用されたと私は見ております。あるいはその他の年末賞與の各省の財源の流用等も、国会の承認を得ることなく、要するに承認された既定予算の範囲内において、大蔵大臣の権限において流用されたと私は見ておりますから、大蔵大臣の権限ででき得る範囲内は、十六條で拘束しているという解釈が正しいと思いますが、この点に対してお伺いしたい。
  96. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私はあなたと同じ意見で答弁しております。その通りであります。これは前例も示しておりますし、公共企業体労働関係法の十六條の解釈はそれで行くべきだと思います。私どもが予算上、資金土不可能なりということは、私の考えで不可能であるということをきめたのであります。私が不可能であるということをきめました場合におきましては、これは国会の承認がなければできないことになつております。従つて国会に、私の決定についての御意見を承つておる次第であります。
  97. 前田種男

    ○前田(種)委員 その点、大蔵大臣のみの権限で不可能だという結論を出すことは、むりではないかと私は考えます。少くとも既定予算の範囲内で流用するという点は、われわれは完全に拘束しておると思います。拘束しておるにもかかわらず、大蔵大臣が流用できないということから、拘束されない。拘束されないから、十六條の規定によつて国会の承認を得なければならぬという結論に持つて行くことが、むりだというわれわれの見解であるのであつて、これ以上は押問答になると思いますが、私は重ねて、そこは拘束されておるにもかかわらず――要するに流用できないという認定を大蔵大臣がすれば、拘束されないという今の政府態度は、この法をむりな解釈をしているというわれわれの見解であるということを、重ねて申し上げておきます。
  98. 田中織之進

    ○田中(織)委員 今前田君からもこの点について大蔵大臣にお伺いしたのでありますが、前田君の見解とまつたく同じだという大蔵大臣の御答弁から行きますと、これを国会に出して来たことが、おかしくなるのであります。大蔵大臣が流用を認めるか、認めないかということは、これは大蔵大臣の権限内の問題であります。それを国会に持つて来るということは、これは大蔵大臣として少し筋違いじやないかと思うのです。それだから、われわれが先般も本会議において、本案件は仲裁委員会の裁定の理由の三にもありますように、公労法の第十六條第二項には関係のないものだ、そういうことで、これを国会に出して来ることが筋違いだという意味で、撤回の緊急動議を出したのでありますが、多数でこれは否認されましたけれども、そのときにもわれわれの方から申しましたように、大蔵大臣の専決権内の問題を国会に持つて来て、大蔵大臣が不承認するということについての責任を、国会に持ち込み、行政機関としての大蔵大臣の権限内の問題の責任を、立法府である国会に持つて来るということ自体が、これは大蔵大臣立法府行政府の混淆を来しておることになると思いますが、その点大蔵大臣の所見を伺いたい。
  99. 池田勇人

    ○池田国務大臣 大蔵大臣が流用可能であり、予算上、資金上可能であるという場合には、国会の承認はいらないのであります。それで裁定は裁定の口にさかのぼつて効力を発生するのであります。しこうして大蔵大臣が流用不可能として、予算上、資金上不可能だという結論になりました場合におきましては、これは十六條の二項によつて、議会の議決を求めなければならぬことになるのであります。
  100. 田中織之進

    ○田中(織)委員 どうもその点は納得できないのであります。いわゆる行政大臣としての大蔵大臣の権限内の問願を、国会に転嫁して来ている。われわれはどうしても今回の場合は、とにかくそういうふうにしか理解できない。今手元に持つておりませんが、やはり政府部内から出ております政府委員の一人である賀來労政局長の、公労法十六條に関する解釈の問題の場合にも、国会の所定の行為ということにつきましては追加予算の問題、あるいは借入金の限度引上げ、こういつたような予算上の行為、そういうことについては国会はこれを議決しなければならぬと言つている。われわれ立法府予算の編成権を持つておりませんから、当然その限りにおいて国会との関係はできて来るのであります。しかし流用を認めるか、認めないかということは、行政府としての責任上おやりになることである。従つてこの場合に、そういう流用できないという結論に大蔵大臣が達したといたしまするならば、流用できないという理由を付して、そうしてこの点についての追加予算なり、あるいは借入金の限度を引上げるとかもそういうような、いわゆる国会の議決を求めるような案件として、これを国会に出して来ることが私は当然だと思うのです。ところが現にあなた方が国会でわれわれに審議を求められて来ておる案件は、そういうどの点についての議決をやつてくれというのでなく、国会の議決の対象となり得るものでないところの、きわめてあいまい模糊たる形において出されるということは、これは行政府の責任者として、大蔵大臣として手落ちであると思いますが、その点はいかがであります。
  101. 池田勇人

    ○池田国務大臣 十六條第一項並びに第二項をお読みくださればわかると思います。大蔵大臣予算上、資金上又不可能の場合におきましては、十六條の二項によつて国会へ出せということであります。予算をつけて出せとも何とも言つておりません。だから国会の方で、もし裁定を尊重して出すべきものだという議決があつた場合におきましては、政府は政治的な責任を負いますから、追加予算なり何かを出さなければならぬと思うのであります。十六條一項、二項は予算をつけて出せということは何も書いておりません。そこがあなたと私との解釈の違いなのであります。
  102. 田中織之進

    ○田中(織)委員 法文の上では、大蔵大臣が言われるように、予算をつけて出せということはもちろん書いておりません。しかしながらこの問題に関する限り、当然公労法の仲裁裁定に関する問題において国会の関與し得る部分は、予算に関する問題であります。仲裁裁定の履行手続上についての問題で、ことにそれは承認だとか、不承認だとかいう問題ではなしに、あくまで国会の議決の対象になり得る予算に関連した問題以外に、この仲裁裁定の問題で、国会の関與し得る部分のないということはこれは明白であります。従つて政府部内で現に労政局長の立場にありまた公労法の制定の立法者である政府委員の賀來労政局長が、その著述においてはつきりと、この場合国会に出して来るところの問題は、結局予算上の手続に関する問題だということを明示しておる。その点はここに労政局長がおられませんから、水かけ論になるようではありますけれども、同じ政府の中で、現に労政局長という、労働行政にきわめて重要なる役割を持つておる政府委員が、はつきりとその点を認めておるじやないですか。またあなたも、国会に議席を持つ大蔵大臣として、国会がこうした問題について関與し得る部分は、予算に関する部分だということは、十分理解せられておることと私は思うのでありますが、いかがですか。
  103. 池田勇人

    ○池田国務大臣 労政局長の著述にありました意見が、われわれを拘束するものではありません。私の答弁は政府の一員といたしまして、政府の見解を申上述べておるわけであります。
  104. 田中織之進

    ○田中(織)委員 大蔵大臣のような御見解が、政府の一致した意見だということでございますが、私はこの問題は、われわれ国会に議席を持つ、立法府におる者の共通した問題として考えなければならない問題だと思います。労働争議に立法府が関與するという傾向を、政府みずから持つて来ておる。私は立法機関として国会にはそういう権限はないと思う。今回政府がそういう誤つた解釈をされるから、立法府行政上の問題について首をつつ込んで行かなければならぬような結果になつて来ておる。大蔵大臣のような御見解で参りますと、最高裁判所の判決につきましても――私は仲裁委員会の裁定は、最高裁判所の判決と同様の効力があるものだと法律的に理解しておる。そういう建前から見まするならば、最高裁判所の判決も、国会においてそれを再審議するという形になつて、ここにきわめて重要な問題を生じて来ると私は思うのです。われわれ立法府の建前、憲法の建前からいたしまして、行政府として行うべき政府の問題について、国会にその責任を転嫁しようとするような今回の措置に対しては、われわれはあくまで、大蔵大臣のせつかくの御答弁でありますけれども、反対である。その意味において大蔵大臣のただいまの答弁は、きわめて不満であります。  そこで次に私お伺いをいたしたいのでありますが、大蔵大臣は財政法上また国の財政政策の全般的な点から見まして、今回公社の総裁から十二月二十八日付で、流用または移用を認めてくれという承認の申請に対して、これを不承認に決定されたのであります。これを先ほど来大蔵大臣は、大蔵大臣自由裁量だと申されるのであります。ここにおいでになる仲裁委員の堀木さんは、本委員会におきまして、仲裁委員会の委員としての見解は、これは自由裁量の問題じやなくて、あくまで法規裁量の問題である、こういう参考意見を述べられておるのでありますが、大蔵大臣は、この問題についての流用を認めるか認めないかという点は、大蔵大臣としてどの程度の幅のある自由裁量だとお考えになつておるか。また法規裁量との関係については、どういうふうに大蔵大臣はお考えになつて、この点について流用を認めないという結論を下されたか、その根拠について御説明願いたいと思います。
  105. 池田勇人

    ○池田国務大臣 法規裁量であるという説をなす人のことは、私不敏にして知りませんが、十六條第一項の規定から申しまして、大蔵大臣自由裁量と考えておるのであります。どの程度の幅の自由裁量かということになりますと、自由裁量には幅がないと私は思います。
  106. 田中織之進

    ○田中(織)委員 大蔵大臣自由裁量については幅がないと言われておりますけれども、あなたが現に今度吟専売裁定について、公社総裁から申請して参りましたものに対する流用不承認の決定を與えるにつきましては、私はきわめて幅の広い自由裁量に基いてやつておられると思う。これは嚴然たる一つの事実だと思う。そこで私はお尋ねをいたしたいのでありますが、この委員会におきましても、すでにあるいは質問が出たかもしれませんけれども、また先ほど官房長官は、現に公社の方から財源を出して来ておるような問題、ことに予備費の流用の問題については、それが事業費であれば何だが、人件費には出せないということを申されておるのであります。それで専売公社の流用の問題に当然関連して来ると思うのですが、いわゆる輸入塩の関係から参ります十四億五千万円の流用計画に対しまして、大蔵大臣としては現在これを承認するなり、あるいはこれに対してどういう御処置をとられる方針でありますか。この際伺つておきたいと思います。
  107. 池田勇人

    ○池田国務大臣 輸入塩の増加につきましては、流用せざるを得ぬと考えております。自由裁量の幅という、幅の意味でございますが、これはいろいろなことを考えて自由裁量という自由に私がきめるのであります。自由裁量の幅という問題は、定義が違いますと誤解のおそれがあります。自由裁量いたします場合におきましては、いろいろな場合を考えてやるのでありますが、そのこと自体が大蔵大臣の権限にあると私は確信いたしておるのであります。
  108. 田中織之進

    ○田中(織)委員 自由裁量については大蔵大臣の権限にあると言われる。その大蔵大臣の権限にある問題を、国会に持つて来たことは不当じやないかという、私の先ほどの質問裏書きするような答弁を、大蔵大臣はなされておるのであります。この点については結局水かけ論になりますから、私それ以上触れません。ただ第六国会であつたと思いますが、専売公社の経理規定に関する法律改正案が、すでに国会を通つておるのであります。一部はすでに実施されておりますし、聞くところによると、四月一日以後に実施される部分もあるのでありますが、そこでは大蔵大臣の管轄事項に、なつております流用の問題、特に予備費の流用の問題について、大蔵大臣に対する公社総裁からの通知だけで済むということに改正されておることは御存じですか。
  109. 池田勇人

    ○池田国務大臣 こまかい規定は覚えがございませんから、政府委員から答弁いたさせます。
  110. 東條猛猪

    ○東條政府委員 大体御趣旨の通りに相なると思います。
  111. 田中織之進

    ○田中(織)委員 こまかい点と申されるのでありますが、大蔵大臣責任において出されました昭和二十五年度予算の説明書の四十二ページに、はつきりその点が書かれておる。私はこうしたこと――実施期がこの点についでは四月一日となつおる関係か、なかなか、大蔵当局としても研究されておるものだと、実は感心して見ておるのでありますが、しかし私はこれはたとい明年度から、今年の四月一日から実施されるものだといたしましても、公共企業体というものはただ単なる官庁の機構じやない。ここにやはり公社の一つの独自性を認めておるものが現われておると、われわれはこういう意味において、この改正案に対して協賛をして参つておるのであります。私はそういう観点から見ましても、政府は現に――これは実施はされておらないが、四月一日から実施するという中におきましては、予備費の流用等の問題については、大蔵大臣の承認を得ない、承認を得る必要がないということになつている。現に政府から立案されておるそういう立法の趣旨が、今回の場合になぜ適用にならないか。この点について大蔵大臣からお答え願いたい。
  112. 池田勇人

    ○池田国務大臣 田中君の御質問の前提がわかりませんが、今の予備費の流用の問題につきまして、どういう事項についての予備費の使用でございますか。話の様子によりますと、四十三條の二十何項かに、給與総額の範囲内で出し得るということがある。こういう問題の場合に限定せられますると、あなたのお話のようなものとは、違つて来る結果になるのではないかと考えます。初めの御質問は、予備費の使用に大蔵大臣の承認はいらないと、漠然たる御質問であつたので、政府委員に答弁させたのであります。
  113. 田中織之進

    ○田中(織)委員 大蔵大臣の言れる点、これまた私が質問せんとするところでもありますが、予備費の使用の点について、これはたしか公社法の四十三條の四で、四月一日から大蔵大臣の承認を要しないということに、実は法律がすでに改正されておるのです。実施はされておらないことは私も承知しておるのでありますが、そこで大蔵大臣がその場合にも――四十三條の二十一であつたと私も記憶いたすのであります。結局給與総額というものがきめられておる。そのわく内での予備費の流用ということなら可能だと言われる意味だと私は思うのでありますが、給與総額のわく内での予備費の流用というものは必要がない。給與総額というものはきまつておるのです。それだけは絶対にとにかく出せる。
  114. 池田勇人

    ○池田国務大臣 初めの御質問予備費の使用について――四十三條の二十一の問題ならば私はお答えするのですが、何のことかわからぬように、予備費の使用を認めておるじやないかという御質問なので、政府委員の専門家に答弁させたわけであります。そして四十三條二十一の給與総額というものは一応きまりますが、その給與総額で足らぬ場合がある。昇給が多かつたとか、あるいは家族がふえた場合は家族手当を出さなければなりませんし、昇給額が上つたときには給與総額が足らぬときがある。そういう場合におきましては、予備費の使用が可能であるということに間違いありません。しかしあなたのおつしやるように、給與総額をきめたから、予備費の使用は問題はないじやないかと言われても、そうは行かない。昇給額が上つたというときに、給與総額では足らぬ場合においては、予備費の使用ということは可能であります。よろしゆうございますか。そういうわけで予備費の使用は認められるけれども、今度四月一日からの公共企業体の経理関係の改正によりますと、今までは専売公社の総裁が使用の承認を大蔵大臣に持つて来て、大蔵大、臣が承認すれば仲裁裁定につきまして相当の流用によつて出す場合もあります。これは国鉄裁定のような場合であります。それでもう流用不可能だというふうな場合も、今度の専売裁定のようなものがあるのであります。しかし先般の第六国会で改正になりました公共企業体の改正法によりますと、よほどそれがきゆうくつになつて来た。結與総額の範囲内に限られます。しかし例外として特別の場合におきましては、予備費の使用ということがあるのであります。二十一をお読みくださいましたら……。その精神は家族手当とか、あるいは昇給ということに限られていると解釈しておりますが、この点は専門家政府委員に答えさせます。
  115. 東條猛猪

    ○東條政府委員 別途御審議を願つております政府関係機関予算総額総則の五條におきまして、ただいま大蔵大臣から申し上げました趣旨を規定しております。つまり現在の給與準則を実施するために必要が生ずる場合、たとえば昇給がありましたとか、あるいは当初の予想以上に家族数がふえたという場合においては、給與準則がかわりませんでも、予算に定めました給與総額が不足を生ずるということがあり得るわけであります。そういう場合におきましては、この但書で給與総額の変更につきまして、大蔵大臣の承認を経ました場合におきましては、流用等ができるという規定が置いてございます。
  116. 田中織之進

    ○田中(織)委員 別に出ておる政府機関に関する総則の点に、そういう規定のあることは私も承知しておりますが、しかしこれはまだ国会できめられたものではない。従つてもちろん実施期は四月一日からということに、それぞれの條項はなつていると思うのでありますが、現在国会を通つた法規の範囲内におきましては、四十三條の二十一の関係から見ましても私は大体この四十三條の二十一に基いて、今御説明にあつた予算総則の五條でありますか、それが出て参ることになると思うのであります。従つて現在の専売公社法の関係においては、給與総額というものによつて縛られない、少くとも現行のままにおいては、私は縛られて、おらないと思う。ことにこの点については、われわれ大蔵委員会におきまして、四月一日から実施に入りまする四十三條の二十一の審議にあたりましては、私はこれは結局専売公社の従業員に対する、一種の賃金くぎづけ的性格を持つものであるから、この点は削除すべきだという、実は修正案まで用意いたしたのでありますが、関係方面のこの点についての了解を得られなかつたのであります。しかしその場合にも、これは大蔵省政府委員の方から、公労法による仲裁委員会の裁定等の手続により、待遇改善の道が開かれるのであるから――給與総額というものは一応予算で押えられたもので、待遇改善という道は開かれているということを、はつきり答弁されている。これは速記録をお調べになればおわかりになることと思うのでありますが、その場合におきまして、四月一日からかりに給與総額というものが、四十三條二十一によつて縛られて来る場合においても、やはり大蔵当局自体が、公労法の設けている仲裁委員会の制度によりまして、公社の職員の待遇改善が行われるということを、この法案の審議にあつて明白にされているのですから、私はどうも大蔵当局が、今回の場合においても、流用を認めないということの大きな根拠――やがて認められないように非常にきうくつに現に計画しておる。国会に出されているだけのことで、まだきまつておらぬのですが、きゆうくつにしようという計画はあなた方で、お進めになつておられますけれども、その関係から、私は流用に持つて来られることはこれは不当だと思う。
  117. 東條猛猪

    ○東條政府委員 ただいまお話の出ておりまする四十三條の二十一は「この場合において、この給與準則は、これに基く一事業年度の支出が国会の議決を経た当該年度の予算の中で、給與の類として定められた額をこえるものであつてはならない。」というのが法律の條文でございます。従いまして私の方といたしましては、この法律に「当該年度の予算の中で給與の額として定められた額」という言葉がございます以上、予算総額の中で給與総額をあげるというのは、この法律に即しました扱いである。かように存じております。また当時政府委員が、どういう言いまわしをいたしましたかは存じませんがもいやしくも給與の額がはつきり決定いたしました以上、それを越えました団体交渉ないし裁定ということは、私はやはり十六條一項の不可能という場合に該当いたす、従つてその場合におきましてはあらためて国会の議決を求めまして、いかがいたすべきかということで、国会の議決を願わなければならないのでありまして、大蔵省政府委員が、その途中を飛ばしまして、予算の総額を越えた給與の額を支給することが、この法律の関係から可能であるという解釈をいたしたということは、私はないと存じております。
  118. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 大蔵大臣は、予算委員会でさつき四時までということで来られたのですから……
  119. 田中織之進

    ○田中(織)委員 大蔵大臣にもう一点だけお尋ねいたします。この問題は大蔵大臣がお見えになりませんともほかの政府の関係なりからお答え願つても、実ははつきりしない点があるので、何日も大蔵大臣の御出席を待つておつたのでありますが、予算委員会の方も、そちらの主管大臣でありますから、やむを得ないことだと思うのであります。三十一についての審議のときに、大蔵省政府委員が言われた点につきましては、後ほど東條さんとの間に、私ははつきりさせるつもりであります。大蔵大臣にいろいろまだ伺わばなけれならない点がありますが、それではあと一点だけを伺つておきます。  大蔵大信はこういう事実を御存じか。昨年の定員法のときに、附則によりまして専売公社の定員がきめられた。しかしながら現在の専売公社には定員以上の人員がおるということ、これは公社の総裁なり、あるいは参考人として見えておる組合の委員長も認めている。待遇は大体いわゆる定員に盛られておる公社の職員と、ほぼ同じ待遇をしておる。ところが、俗に臨時工といわれておりますそういうような職員の給與というものは、給料及び手当という項目に入るやに説明をされるのでありますけれども、これは厳密に言えば、私は定員法違反だと思います。ことに見習員手当あるいは作業員手当いうものによつて、定員法を越えた従業員に対して給料を支拂つておるという事実があるのでありますが、大蔵大臣はこうした事実を御存じか。
  120. 池田勇人

    ○池田国務大臣 臨時工として、予算上認めた場合があると私は記憶いたしております。定員法の関係につきましては、行政整理の際に経過的にこういうことをやつた場合は、専売公社のみならず、食管の法におきましても、あるいは国税の方におきましても、事務の繁閑によりまして、臨時に雇い入れることもあるわけであります。詳しい問題は政府委員をして答弁いたさせることにいたします。
  121. 田中織之進

    ○田中(織)委員 臨時に雇い入れる場合が生ずることは私も理解できます。今度の二十五年度の予算においても、相当の数を計上いたしておりますが、これは二箇月切りかえでやるように形式はなつております。ところが実際はそうではない。ことに専売公社の関係において、上徳島工場あるいは高崎工場等において、従業員の半数以上がこうした形において行われておる。そこでこれはこの間もこの委員会で問題を取上げたのでありますが、今度の流用を認めないという理由の一つには、益金において五億近いところの穴が明きはせぬか、これは公社の計算においても、そういう数字が出るということをこの間総裁も認められておるのでありますが、しかしそういうような不安定な関係において従業員を持つておる。これは嚴密に申しますならば、公共企業体労働関係法によつて拘束を受けないで、これらの人たちは罷業権を持つておる。そうすれば当然法律上に認められておる罷業権を行使して、これらの工場が罷業に入ることになりますと、いよいよ益金に大きな穴が明いて来るようなことになると思う。そういう点からも、公社の総裁から流用を申請されておることについては――大蔵大臣として専売益金に現在予定しておる四億八千万円程度の問題じやなくして、もつと大きな穴が明くかもしれないような事態が、現在のこうした給與の規定あるいは定員法との関係、政府の施策の欠陷から来て、そういう危機にさらされておるということも、これは大蔵大臣として総合的な見地から、私は判断せられなければならない重大な問題だと思う。この点については大蔵大臣はまだ実情をあまり御存じないようでありますが、すぐお答え願うことがむりでありますれば、公社の総裁もおられることでありますから、実情を調べて再考せられたいということだけを、この機会に申し上げておきます。
  122. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 それでは大蔵大臣は後日御出席を願うことといたします。石田君。
  123. 石田一松

    ○石田(一)委員 私は先ほどの佐藤法制長官質問を継続するのですが、先ほど最後に答弁をいただいた言葉の中に、私はどうも納得が行かないことがあつた。と申しますのは、第十六條第二項を、もし私が言う通りに解釈して「政府が前項の協定をしたときは」と読むとしたならば、そんなことはあり得ないことで、まことにおかしい。こういうことをおつしやつたのですが、なぜそれがおかしいのですか。そういうことはあり得ませんか。私はこういうことがあり得ると思う。要するに專売公社の当局と労働組合とが一つの協定をする、その協定政府が承認する。そうして政府と公共企業体のいわゆる当局とは、いわば実際においては一体不可分のものである。しかも経理の監督等については大蔵省がその全権を握つにおるのだ、こういう形で公共企業体の総裁が、政府の所管大臣に対して、これこれの協定を結んだ、であるからこうしてもらいたいということを政府が了承して政府もよろしいとオー・ケーを與えた、そういう場合に「政府が、前項の協定をしたときは」とこれを解して行く、こういうことがあり得ないとおつしやるのですか。おかしいとおつしやるのですか。先ほどあなたの答弁にはずいぶん不審を抱いたのですが、その点いかがですか。
  124. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 もう一度言葉を少しふやしまして御説明申し上げたいと思います。先ほど「前項の協定があつたときは」と書いてなくて、「したときは」と書いてあるのではないかというところから、石田委員のお話、が始つたわけであります。そこで「したときは」ということは、「あつたときは」というのと同じ意味であるということを、私は頭に置いてお答えするわけでという言葉を、私の頭にあるような考え方と、違つた考え方をして読むとすれば、結局「政府が、前項の協定をしたときは」と読むほかは、読みようはありますまいということを仮定したわけであります。そこでそれを仮定してみますと、大体公共企業体労働関係法は、何をきめているかということが問題になるのでありまして、これは当事者としての公社と、それからその職員との間の労働場関係をきめているものである。それからその公社とはどういうものかと申しますと、これは公社法にありますように、独立法人でありまして、政府とは全然別個の人格を持つたものであります。従いまして関係者というのは、すなわち当事者というのは、公社と組合があくまでもこの公労法で扱つている当事者であります。従つて政府が前項の協定をする、どつか途中から政府が当事者になつて割込むということを想像せざる限りは、今のような読み方はできない。しこうして政府協定の当事者になるということは、とうてい夢にも考えられないことであるということなんであります。
  125. 石田一松

    ○石田(一)委員 夢にも考えられないとおつしやいますけれども、こういう場合に当事一考を説明するときにはいわゆる公社法の規定か何かひつぱり出して来て、全然政府とは別個の法人だ、何ら政府かこれに関與すべきものでないということを言つて説明をして、今度こういつた予算を出すかどうかというときには、政府にこれは監督をおつくりになつたものであつて、実は私はふしぎなように思つているのです。それは後日この機構が発達をして、まつたく何ら政府から財政的な、あるいは予算的な補助とか援助とか、そういうものを得なくても、公共企業体として、独立採算制を保つて行くという段階に至つたときには、それはあなたのおつしやることは正しい。しかし現在の段階は揺籃期でありまして、あなたが他の法律を持つて来て解釈になります通りに、政府は全然専売公社、あるいは国鉄の当局と別個のものであるという観点に立つての御説明は、私ちよつと受取れないと思うのです。だから少くとも現段階においてこれを見ますときに、政府が何だか当事者に入つて来ることはおかしいとおつしやいますけれども、あなたの先ほどの御説明によつても、いわゆるこの協定というのは労働協約も含んでいるが、それよりもう少し広い意味のいわゆるアグリーメントだ、こういうことをおつしやつている。だから協定である以上――労働協約ならば、なるほど当事者同士が協約をする以外にあり得ない。それは常識で考えても夢にも考えられない。しかし協定という文字が、労働協約を含んだ広い意味のアグリーメントである以上は、政府がその当事者になることは、夢にも考えられないほど荒唐無稽なものでないと私は考えているが、いかがでございましようか。
  126. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 その点は私はあくまでも夢にも考えられないことだと思います。先ほどの私の説明にからめて、協定という言葉は広いということに関連して――協定という言葉が広いというところにつけ込んで、突如として政府が出て来て、その当事者になるという意味で、広いということを私は申し上げたのではありません。当事者は当事者で、公共企業体とその使用している労働者なり組合なりという関係が、あくまでも当事者であつて、その二人の当事者の間の話がいかなる形で妥結されようとも、あるいは労働協約という形式で妥結されようとも、あるいは極端なことを言えば、口約束という形で妥結されようとも、いかなる形によろうともという意味であります。
  127. 石田一松

    ○石田(一)委員 先ほどあなたのおつしやつた、政府というものは公共企業体と全然別個のものである。公共企業体は法人だというように、政府というものを全然別な第三者的に考えると申しますが、十六條の一項に「いかなる協定も、政府拘束するものではない」と、とたんに政府が出て来る。公共企業体の労働者と、公共企業体の当局との問題であつて、どういうことをやろうと、政府がこれに拘束されるものでないということが、私が言うよりも、法文に突如として出て来ている。これは先ほどのあなたの説明によると、夢にも考えられないものが出て来ていると考える。要するにこういうことをなされても――「政府拘束するものでない」ということは、少くとも公共企業体の労働者と、公共企業体の当局とがある協定――広い意味の協定を結んだ場合には、ただちにこれが政府拘束する、全然第三者でない関係にあるということが、この法律でもわかるわけであります。結局政府拘束する関係にあるということでは、職員の待遇改善のために費用を出すとか何とか、資金の支出という拘束面が生じて来るといけないから、それで「政府拘束するものではない」という條文が出て来ているのであつて、この條文の文面から察しても、この協定の当事者に政府がなることは、夢にも考えられないというほど、それほどふかしぎな、突如として現われた政府ではない。こういうふうに思う。あなたの今おつしやるのは、一応法律的な厳密な意味でお答えになつているようであるけれども、厳密な意味で考えれば考えるほど、十六條の一項に突如として政府が現われて来ているところを見ましても、公社の労働者と公社当局が、協定あるいは労働協約を結んだことが、ただちに政府責任をここに生じて来る。その責任を生じて来るといけないから、それで「政府拘束するものではない」となつている。結局当局が何か協約あるいは協定をすれば、その資金の支出、また予算内における支出ということについて、必ず政府拘束して来るようになる結果が明らかに想像されているから、そこで「政府拘束するものではない」ということが出て来ている。その点から考えて、第二項で政府協定の当事者になつたからといつて、あなたは夢にもそんなことは考えられないと答弁なさるけれども、そうすれば第一項にどうして「政府拘束するものではない」という條文が必要なのか。その説明がつかぬと思う。これは議論になりますのでよしたいと思いますが、この二項に「前項の協定をしたときは」とあつて、「前項の協定がなされたときは」としていない点から考えて、少くともこの下に続いて、協定した当事者の一方に政府がついている。要するにそれは十六條の第一項から類推して、間違いなくこれは政府が資金的な面において拘束をされるのであるから、すなわちこの第二項の協定をした当事者の一方には、必ず政府が一応関連性を持つている。このことについて私は聞こうとしているのであります。あなたは、そうした当事者は国鉄あるいは専売当局であつて、それに資金的な責任を負う立場として、一種の当事者的な立場に政府は立つということを、どうしてもお考えになりませんか。
  128. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 純粋の法律論からいつて、政府が当事者としてそこに出て来ることは、何としても考えられません。
  129. 石田一松

    ○石田(一)委員 それでは私は労働委員でありますので、また労働委員会が單独に開かれたときに、実はまだまだこの点についてはお尋ねしたいこと、疑義がたくさんあるので、残余の点はそのときに讓りますが、政府はこの公労法によるところの裁定がなされたときには、追加予算を国会に提出をして、これを承認してもらうようにする一つの義務を負わされている。「拘束するものではない」というのは、支出する責任を負わされるものでないという意味に解している。そうするならば、もし国会がこれを承認しなかつたときはどうするか。政府は支出してもらうように承認を求めたが、承認しなかつたときは、どうなるか。承認しなかつたときは、これは憲法六十九條か何かの、要するに内閣に対して国会の不信任案が議決されたと同じような意味になりまして、この際は内閣は十日以内に国会を解散するか、あるいは自分たちの政策が実行されなかつたのであるから、自分たちが総辞職するか、しなければならぬ。それならば、時の仲裁委員会が、わずか三人の力によつて、この三人に何かあつた場合には、不法な裁定をして、時の政府を総辞職させるか、あるいは国会を解散させるところまで、この仲裁委員会で運営できるのではないかという憂いはあつたかもしれない。しかしもしそのおそれがあつたならば、仲裁委員会の事務局というものは、労働省関係の事務官の人たち、が、その事務を扱つておるのでしようから、そこの所管大臣は、仲裁委員会がいかなる裁定を今なしつつあるかいかなる審議をなしつつあるかということを知る義務を負わなくちやならぬ。本法にも定めております通り、二十九條ですかに、各所管大臣あるいは総理大臣などは、この仲裁委員会が不当な裁定をするとか、あるいは仲裁委員として適しないと総理大臣が判断しただけで、ただちに罷免するという、それほどの強力な罷免権を持つておる。にもかかわらず、今度のことでは、内閣総理大臣はこの仲裁委員会に対してやめさせたり、辞職させたりするという、罷免権をも発動しない。これは自分でみずから委嘱したのです。お願いしたいといつて、おまかせして、裁定してもらつて、その裁定が、国鉄の場合にも政府の意思に反した。また今度の場合にも政府の意思に反した。こんな裁定をする不当な委員会であるというなら、なぜ罷免しないか。やはりああいうものをまかせられて、しかもそれが、法律によつて当然になすべき職務を忠実に果した。それが政府の意思に反するというので、ふみにじるということを国会でやろうとするが、それではなぜ、この仲裁委員会を改組するか、罷免して、新たなる委員会を構成しないのか、こういうことです。中小企業庁の蜷川長官が、ちよつと論文を発表しただけで、自分たちの権限にないところの者をも、やめさそうというようなことまでする。それが、自分の意思に反するようなことを決議する仲裁委員を罷免することさえできない。それは仲裁委員会の方に、法理的あるいは純理的に一々理由がある。政府のやつていることがいわゆる政治的で、あるいは財政経済問題の政策面に関することであるから、罷免権を発動することができないのだ、こういうように私は考えるのです。この点については、またまた相当こまかくこれから私は質問したいことがあるのですが、田中委員は労働委員ではいらつしやいませんので、田中委員に譲ります。労働委員会になつたから、ぜひゆつくりお願いしたいと思います。
  130. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 それでは石田君の御雄弁も遂に一段落のようでありますから、田中織之進君。
  131. 田中織之進

    ○田中(織)委員 今日で連合審査会を終るという委員長の御方針のようでありますから、それに協力する意味におきまして残つておる質問をできるだけ簡單にまとめて行くことにいたします。  石田委員の質問に引続いて、佐藤法制意見長官にお伺いしたいのであります。先ほど私は大蔵大臣にもお伺いしたのでありますが、公労法十六條一項の国会所定の行為というものを、一体いかなる意味に法務府として解釈されておるか。この点についての御説明を願いたいと思います。
  132. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 この不可能な資金の支出を内容とする協定についてその支出が可能になるような国会の行為、と読むべきものと考えております。
  133. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そういたしますと、先ほどの大蔵大臣との質疑応答を、佐藤さんもお聞きになつておられたはずでありますから、私はお伺いしたいの、であります。今度の場合の予算上または資金上支出不可能だということは、これは既定予算のわく内での流用を認められないということに、一にかかつて来ておるのでありますが、流用を認めるか、認めないかということは、大蔵大臣の権限内の問題だと思うのであります。この点はただいま佐藤さんが御説明になつた国会所定行為には、当然入らないと私は思いますが、そういうように解釈してよろしゆうございますか。
  134. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 その点は、一言に結論を出すわけには行かないと思います。国会のなさる行為というものは、いろいろな形において発動されるものと思うわけであります。その行為の発動の態様いかんによつては、ひつかかりが方々に出て来るというように考えております。
  135. 田中織之進

    ○田中(織)委員 どうも佐藤さんの説明も、大蔵大臣と同じように政治的な答弁で、理解に苦しむのでありますが、予算上または資金上不可能だ、従つて予算上可能な状態に持つて行くことについての国会の議決というものは、おのずからきまつて来ると私は思う。国会の議決というものは、いろいろの形において行われる。たとえば委員の就任について承認を與える、ということも国会の決議であります。われわれが一週間以上にわたつて休会を行うという、国会の運営自体について行うことも、国会の議決であります。しかし公労法十六條項のいわゆる国会の所定の行為というものは、十六條一項の前段にあります予算上または資金上不可能な支出に関連して行われる行為でありますから、おのずから限定されて来るじやないですか。そこで大蔵大臣の御答弁にありましたように、その点は既定予算のわく内の問題だ、わく内において大蔵大臣が流用を認めるか、認めないかということにかかつて来ているということになれば、国会に関係のない部分じやないですか。その点はいかがですか。
  136. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 それではたびたびになりますが、少し形式論を申し上げましてから、本論に入つた方がいいと思います。結局先ほど大蔵大臣の申したことと同じことでありますけれども、これを少し法律屋らしく申し上げるだけであります。第一に、先ほどのお話にもありましたように、公社の予算上、資金上支出可能な部分とは、公社の総裁限りで即座に出せるお金というものが、可能な部分であります。それ以外の部分は、公社としては不可能であります。先ほどから石田委員に申し上げましたように、当事者としての公社としては、不可能な部分であります。そこでその不可能な部分をさらに分析いたしますと、大蔵大臣なり政府の承認によつて流用されるならば、可能になる部分があり、それから大蔵大臣なり政府なりがさか立ちしてもできない部分もあります。すなわち国会で予算をお組み願わなければ、とうていできない部分が、大きな意味での不可能な部分であります。そこで予算の流用の承認ができるか、できないかということは、もちろん政府拘束するものではありませんから、先ほどからのお話の通りに、政府としては流用しなければならぬという法律上の拘束は、全然受けておりません。しかしながら、一応その部分は、さつき申し上げました広い意味の不可能な部分として、国会の議決を求める、その議決の範囲の中へ入つて、国会に送り込まれているのであります。従つて国会の御批判の対象は、今申した広い意味の不可能な部分が一応国会の対象になる。そして国会の機能の御発動というものも、その部分についてあり得るわけであります。従つて不可能な部分というものは、今申しましたような意味とおとり願つて、お考え願えれば、国会の所定の行為というものの範囲も、今の不可能な部分に関する限り、あるいは予算議決という形で現われることもありましようし、その他の形で出て来ることもあるだろうという含みで、先ほどあいまいな御答弁をしたわけであります。
  137. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私頭が悪いのか、まだ理解できないのでありますが、これ以上その点については追究しません。  そこで私角度をかえてお伺いしたいことがあるのであります。それは先般の国鉄裁定の問題は、佐藤法制意見長官といたしましてこれは国会のいわゆる所定の行為がなされたものとお考えになつているかどうか、その点お伺いします。
  138. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 不可能な部分として、政府から国会の議決をお求めいたしました部分については、国会の御承認がありませんでしたというふうに了承しております。従いまして、所定の行為はその不可能な部分についてはなかつた。
  139. 田中織之進

    ○田中(織)委員 佐藤さんも政府委員として国会へ出て来られているのでありますから……。国鉄裁定の場合につきましては、国会として承認とも、不承認とも態度を決定いたしておりません。その事実はあなたも御存じのはずだと思う。国会として承認がなかつたという、あなたの事実判断の根拠はどこにありますか。
  140. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 衆議院が承認という議決をせられ、参議院もまた承認という議決をせられまして、衆議院と参議院との議決が一致いたしまして、承認ということに相なりますれば国会の御承認があつたということになります。それ以外の場合に国会の承認というものはございませんから、今私の申し上げましたこの前の件につきましては、国会の承認はなかつた――不承認の議決があつたとは申しません。承認という議決はなかつた。それで法律問題としては十分なのであります。
  141. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その場合におきまして、衆議院は承認しないということに議決がなされた。参議院はそれと違う、議決を行つた。従つて申し上げるまでもないのでありますが、この十六條の国会の所定の行為、あるいは十六條二項にありまする国会の承認という問題は、あくまでも衆参両院を一体とした国会という意味にわれわれは理解しておるのであります。     〔委員長退席、三浦委員長代理着席〕 待つて国会として衆参両院の一致の議決に至らなければ、国会の承認があつたとも、なかつたとも、判断ができない事実状態に置かれておるというのか、私は正しいと思う。その意味で、国会の衆参両院のいずれの議決もなかつたものに対して、国会の承認がなかつたという政府の判断は、私らは理解できない。ことにあなたも政府の一員でありますから申し上げるのでありますけれども、国会に求めて来ておるのは、承認を求めるの件として出て来ておるのではない。「公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件」従つて議決が得られなかつたというのが事実ではないですか。その点はいかがですか。あくまであなたが、国会の承認がなかつたという事実認定の上に立たれるとすれば、それはどういう根拠からそういう事実認定をなされたか。嚴然たる事実なのですから、何人といえどもこの事実を私は曲げることはできないと思うのでありますけれども、いかがですか。
  142. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 公労法の十六條でありますが、その第二項に「国会による承認があつたときは、この協定は、それに記載された日附にさかのぼつて効力を発生する」と書いてあります。問題はおよそ十六條の問題といたしましては、承認があつたということになれば、効力が発生します。承認すべきものがない場合百は、効力の問題は生ずる余地がないということが前提になるわけです。そこで政府はもちろん議決を求めるという形で出しましたけれども、公労法上の法律的の効果の問題としては、衆議院で承認、参議院で承認、両院一致して国会としての承認があれば、効力が発生するということで意味がありますけれども、この間の議会の場合におきましては、一院は不承認、また一院は違つた議決をされた、国会としての御意思は結局決定しなかつたということで、会期が切れてしまつておるわけです。従つて政府の出しました「議決を求めるの件」というものについて承認するという議決がないことは、これは何人が見ても疑いのないところであります。先ほどお答え申し上げましたように、十六條の承認があつたときは効力が発生する、承認するという国会の議決はどこを探しても、ございませんから、結局効力を発生しないという結論になるわけであります。
  143. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その国会の議決の問題と、承認の問題とを、そういうように都合よくすりかえられると、これは迷惑なのです。司会に議決を求めて来たが、国会としての議決はない。衆議院の議決、参議院の議決と、それぞれ議決があります。しかし両院一致したものでなければ、国会の議決ということにはならない。その意味において国会の議決ということ、また従つて十六條一項にいわゆる国会による所定の行為というものも、現になかつた。その事実の上に立つて、従つてこれは効力はないものだ、効力を発生してないという法律論は、私はないと思いますが、いかがですか。あなたの何か感違いじやないですか。
  144. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 私の六法全書にミス・プリントがないといたしますれば、どう読みましても、承認があつたときに効力が発生する。田中委員の御説の通り、国会によつて所定の行為がなされるときまでは、一文も支出してはならないというふうになつておりますので、国会の承認ということ、それから国会の所定の行為というものは、まさに田中委員御指摘の通り、両院一致のものでなければならない。それが承認でなければならない。ところが承認するという両院一致の議決が、ございませんから、十六條にとりつく手がかりがないというふうに考えます。
  145. 田中織之進

    ○田中(織)委員 この点は目下東京の地方裁判所に係争中の問題でございますので、私特に佐藤さんにお伺いいたしたのでありますが、ここにちようど仲裁委員の堀木さんもおいでになります。堀木さんたちが苦心をしてつくられた国鉄裁定の問題は、やはり今問題になつておる専売裁定ときわめて深い関係にありますので、年末議会において国鉄裁定問題が、衆参両院一致の議決に至らないままに現在の状態になりましたが、仲裁委員会が下しました裁定の効力について、仲裁委員としていかにお考えになつておるか、この際御意見を聞かしていただきたいと思います。
  146. 堀木鎌三

    ○堀木参考人 私はこの問題は、私ども自身が解釈する前に、まず国会自身がおきめになるのが当然だと考えております。ただ、今佐藤さんのお話を伺つておりまして、問題となりますものは、実はあれは承認を求める件ではなくて不承認を求めるの件というつもりで、お出しになつたのではなかろうかという気がしておるので、いろいろと法文上の解釈はありますが、実際的に見ると、いろいろなことが考えられるということを申し上げるだけであります。
  147. 田中織之進

    ○田中(織)委員 堀木さんの立場もわからないこともないので、それ以上伺いませんが、これ以上佐藤さんとの間に議論を重ねても、どうも平行線になりそうでございますので、政府が国会へ提出して参ります法律案につきましては、佐藤さんは法制局長官という立場におきまして、きわめて深い関係にあることと思うから、国会議員の立場から一言申し上げておきたいのであります。大体「公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件」これでは国会において何を議決しろというのか、さつぱりわからない。こういうあいまいな形の案件を、政府として国会に出されることは、国会議員として非常に迷惑であります。これは承認を求めるのなら、承認を求めるの件として、十六條二項には承認ということがはつきりあるのですから、出されたらいい。これをなぜ、こういうあいまいに出されたかということは、すでに国会の速記録にもはつきり出ておりますが、増田官房長官がたびたび言われておるように、政府のこの案件に対する取扱いの基本的な方針が、ぐらぐらかわつて来ておる。また一方裁定が下つてから十日以内に、十六條一項に該当する場合には、国会に所定の手続をとらなければならないという建前で、公労法違反の形式犯を免れようという気持から、こういうあいまい模糊たる形で出して来た。しかしこういう点は政府立法技術、あなたたちの法律作成の技術を疑わしめるものなのです。この問題について、増田国務大臣が議院運営委員会において述べたことが速記録の上に残つておる。その点から見ますならば、公共企業体仲裁委員会の別紙裁定について公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定により、国会の議決を求めるという、これだけのことであれば、国鉄裁定の場合も、今回の専売裁定も、まつたく同じなんです。すでに第七国会の国鉄裁定が、こういう形で出ておりますならば、これは明らかに一事不再議である。私はこういうあいまいな形で――ことに先ほどから私が御質問を申し上げておるように、この専売裁定をふみにじるということなら大蔵大臣は堂々と責任をとつたらいいじやないですか。何も立法府の国会に、そういう責任を転嫁しなければならなくてもぼくはいいと思う。これは確かにこういう法案作成の技術上にも、政府として十分反省してもらわなければならぬ点があるということを、この際申し上げておきます。  それからもう一点、私佐藤さんにお伺いをしておきたいのであります。これはたしか午前中の、石田委員からの質問に関連するのでありますが、これは佐藤さんとしていかにお考えになつておるかという点であります。それは三十五條の協定を裁定と読みかえるという点に関連した問題でございますが、たしか国鉄の裁定は、三十四條の二号によつて、労働協約に基いて裁定が下されておつたと私記憶するのであります。今回の場合はたしか三十四條の三号でありますか、「調停委員会の委員の過半数の決議により、その委員会において調停中の紛争について仲裁委員会に仲裁の請求がなされたとき」。たしかこの三十四條の三号によつて、この問題が仲裁委員会に提出されて来ておると思うのであります。その点から、三十四條の二号に基いて出された国鉄裁定の問題と、それから三十四條の三号に基いて今この国会に出されておる専売裁定とは、これはさきほどの協定との関係、あるいは協約との関係において、政府の方ではどういうように解釈されておるか。その点についてお答え願いたいと思います。
  148. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 最初に、おしかりを受けたのでありますが、一言申し上げさせていただきます。政府の一人として承りますが、法文の方は私自身の所管事項であるかのようなお言葉でありましたけれども、実は私どもは法律案そのものはつくりますが、この裁定について議決を求めるというようなことは、法務府の所管事項ではございません。しかし政府の一人として考えてみました場合に、この議決を求めるという形は、決して不適当な形式ではないということは確信いたしておりますけれども、法文の方は所管事項でないということだけをちよつとつけ加えさせていただきます。  それから第二点の今の三十四條の関係におきましては、結論は結局三十五條に流れついて来るのでありまして、仲裁委員会が仲裁を行う場合が、三十四條に五つばかりあげております。そのいずれの号から出て来る問題にせよ、最後の仲裁委員会の裁定というものは、みな三十五條の問題となつて来るのでありますから、この場合法律的な問題としては、一号によろうと、二号によろうと、あるいは三号によろうと、いずれも三十五條の問題として考えればよいというように思います。
  149. 田中織之進

    ○田中(織)委員 これは、これから東條さんにお伺いすることに関連して来るのでありますが、りつぱな政府委員として出て来られる人は、やはり政府と一体の原則に基いて出て来られているのでありましてその国会における発言というものは、われわれの発言についてもわれわれが責任を持つと同時に、政府側においても、私は責任を持つてもらわなければいかぬと思います。大蔵大臣のように、大蔵省の他の政府委員がどういうことを言つておろうと、その点はおれの方が正しいのだというような、一見そういうように見られる態度で出て来ると、それは他の政府委員の諸君は、荷が軽くなるかもしれませんけれども、それでは大臣なり総理大臣から答弁を求めなければ、政府としての意思が伝わらない。委員会は大臣が出席しない限り、成立たない、極端に言えばこういうことになると思います。その点は委員長におかれても、政府に対して、つまり政府の答弁の統一の問題については、善処せられるように、委員長から要望していただきたいと思います。  次に、先ほど大蔵大臣が退席される前に問題になりました、公社法の四十一三條の二十一と、仲裁裁定の問題とのことにつきまして伺いたい。これは第一六国会における大蔵委員会の速記録を持つて来れば、はつきりするわけでありますが、われわれ社会党としては、この四十三條二十一の削除の修正を行おうとしたのであります。しかし約七、八項目にわたる修正案について、関係方面の了解が、その点について得られなかつたので、われわれは原案に反対したまま、これは国会を通過したいきさつがあるのであります。そのときに私が、削除を要求する建前から、強く御質問を申し上げた際、名前は記憶いたしておりませんけれども、ある大蔵政府委員より、はつきりと、その点については、公労法による仲裁委員会の裁定による待遇改善の道が講ぜられるのだ、従つてここで一応給與準則というものが定められ、給與総額というものが国会の議決を経なければならない場合があり得るのだという答弁があつたことを、その問題の当事者であつただけに、はつきりと記憶いたしておるのであります。私の方も速記録を調べて見ますが、あなたの方でも速記録をよく調べていただきたいと思います。これでは今後仲裁委員会の裁定という方法による以外、公共企業体の従業員の待遇改善の道がないという結果に相なると思います。日本国鉄道法の場合においても、同様の規定が入つているのです。われわれはこれは、賃金くぎづけの現内閣の方針を端的に入れようとするものであるという意味において、強く反対したのでありますが、先ほどの東條さんのような見解で参りますと、仲裁委員会の裁定が下りました場合にも、あらゆる場合に予算上または資金上不可能な支出ということになると思うのです。そこでやはり一公労法の十六條についても、私、改正を行わなければならぬことになると思うのですが、結局四十三條の二十一の関係で、ことに予算総則の五條でありますが、ああいう関係で参りますと、予算上または資金上可能な場合ということが、仲裁委員会の裁定の場合には、絶対にないということに相なつて来ると私は思うのであります。(「労働大臣はあると言うのだ」と呼ぶ者あり)あると言われるならば、いかなる場合があるか、その点について伺いたいと思います。
  150. 東條猛猪

    ○東條政府委員 これはむしろ労働省側から御答弁願う方が適当な問題かと存じますが私が考えておることを申し上げますと、四十三條の二十一をもちまして先般こういう規定が成立をいたしておりますから、給與準則の改訂をいたし、その給與準則を改訂いたしました結果が、当該年度の予算の中の給與の額の増額を伴うという場合におきましては、第十六條第一項の、予算上または資金上の不可能な支出を内容とする協定ないしは裁定ということに該当して参る。従いまして、当事者間におきまして協定成立いたしました場合におきましては、この四十三條の三十一、それから予算総則に、給與額といたしまして金額をあげました関係上、すべて十六條の方で処理して参らなければならぬ。それに伴いまして、この第十六條をどういうように改正いたしますかどうかという御検討の問題といたしますれば、むしろ労働省側から御答弁願いたいと思います。
  151. 田中織之進

    ○田中(織)委員 それでは東條政府委員の御答弁は、私の予測しておることと同じ事態になると、私には理解できるのでありますが、結局公労法の三十四條に基きまして仲裁委員会の裁定が出たといたしましても、あらゆる場合に十六條一項に該当することになつて、国会の議決を経なければならぬということに相なる。事実上そういう結果になつて来ると私は思うのであります。前の労働大臣予算上、資金上可能な場合もあり得るのだという御答弁と、食い違いが出て来ると思います。
  152. 東條猛猪

    ○東條政府委員 私は協定ないし仲裁の内容が、すべてこの給與準則の改訂を伴い、ないしは予算の給與総額を越えるもののみであるとは存じません。あるいは場合によりましては、その條項の中に、給與準則の改訂ないしは給與の予算額に影響のない事項もあるのではなかろうか、かように存じますが、もしその内容におきまして、この給與準則の変更を来し、その結果、給與額の増額を来しまして、当該年度の予算の中でまかなえないような事項でありますれば、十六條に参る、こういうことを申し上げただけであります。
  153. 田中織之進

    ○田中(織)委員 今度の仲裁委員会の専売公社の裁定の中でも、問題になるのは、一、二、三というような項目がありますが、その一です。われわれ国鉄裁定のときにも論議したことでありますが、こういうようにただ政府にだけ義務を課した裁定だけじやなしに、労働組合側にも義務を課した裁定を下す場合も考えられるのであります。しかし主として仲裁裁定を求めるということは、諸般の経済情勢の変遷等によつて、既定の予算、既定の給與ではとうていやつて行かれないというところに、いわゆる給與をめぐる労働争議が発生するのであります。そこで労働争議が発生した場合に、憲法で、労働者の要求を実現する方法として罷業権というものを認めておる。その罷業権を、公共企業体なるがゆえに、労働者から、取上げるいわば代償として、仲裁委員会の制度が設けられて来ておるのであります。従つて仲裁委員会の裁定の眼目というか、あらゆる場合におきまして、既定の給與予算を越えたところの問題についての裁定が下される。これが仲裁委員会の裁定のあらゆる場合だと断定しても、あえて誤りではないと思うのであります。従つて今後仲裁委員会がこの種の裁定を下す、今度の専売裁定の一項のような裁定を下す場合には、本年の四月一日以降から、ただいま東條さんが説明されるような解釈から参りますならば、これは必ず国会の承認がなければならない。しかも国会の構成か、このままおそらく何年も任期が――あと三年も続きますまいとは思いますけれども、かりに続くといたしますならば、この間において公共企業体の労働者は、民自党の賃金政策に百八十度の転回がなされない限り、せつかく仲裁委員会の裁定が下されても、これを実現する道がない、こういう重大な結果になると思うのであります。そこであなた方が第六国会に提出いたしました専売公社法の面におきまして、予備費の使用の問題については、公社の総裁から主管大臣に通知するだけでいい、また項目の流用についても、大幅な流用を認めて参つたという趣旨は、やはりこうした待遇の問題の場合における流用をも含めておるというのが、当初のあなた方立法者としての改正の趣旨でなかつたか、と私は推察するのです。一方においてそういう規定を設けながら、予算総則に、東條さんが先ほどから説明されるような見解に立つての規定が挿入されております。そういう形で参りますならば、罷業権を奪つた公共企業体の労働者に與えておる権利を、政府みずから死文化せしめるという結果になりまして、そこに起るであろう事態に対する責任は、政府みずから負わなければならぬという重大な事態になると私は思う。この点は大蔵当局として、さらに考慮を願いたいと思うのであります。  それからもう一点だけ、これはえらいとんちんかんになりますけれども、佐藤さんに確かめて、私の政府側に対する質問を終りたいと思うのであります。このままの状態で参りますと、国鉄裁定の場合における参議院の問題と同じような形で――現にあちらの方へは予備審査の形で出されておるのでありますが、この問題の衆議院の審議状況いかんによりますと、これを参議院は議案として受付けないという事態も、政府としては当然考えなければならぬと思うのであります。そういう場合には、政府としていかに対処せられるおつもりでありますか。これを受付けて、異なつた議決が、国鉄の裁定の場合に、現に厳然たる事実として出て来ておるのでありますが、衆議院の審議状況を非常に注目しておる参議院といたしまして、こうした案件は、国会に関係のない部分としてつつ返されると思う。これはただ單なる予想ではないのです。現実にそういう動きがある。その場合に政府としていかに対処されるおつもりであるか、もし佐藤さんからお答えを願えれば幸いだと思います。
  154. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 ちよつと私からお答えをすべき筋でもないと思いますけれども、少くとも私はそういうことは今まで予想しておりません。現に予想しておりません。
  155. 田中織之進

    ○田中(織)委員 これで私、政府側に対する質疑を終りまして、最後に一点参考人の平林全専売労働組合委員長にお伺いをいたしておきたいのであります。本委員会における審議の経過から考えまして、われわれこの裁定の結果について、きわめて遺憾な事態の発生を予想せざるを得ない段階に来ておるのでございます。私の聞くところによりますと、現在の不在専売労組の諸君といたしましては、この仲裁委員会の裁定が下り、不満ながらこれが実現することに大きな期待を寄せられまして、従来からもそうであつたと伺つておりますが、ある意味から申しますと、いわゆる労働基準法の嚴密なる履行というような点につきましても、専売公社が国家財政の上に持つておる役割の重大性を認識せられまして、区々なる労働基準法違反の事実につきましては、これを従来黙過するような態度に出て来ておるように伺つております。政府が、われわれの立場から申しますと、公労法の精神を蹂躙するかのごとき態度に出ておることに対しまして、勢い諸君は、逆に法律を犯すような、非民主的な動きはしないということを私は確信するのでありますが、諸君が、諸君に與えられた法律を最も忠実に履行するという建前で、たとえば労働者保護のために行われておる労働基準法等の遵法運動と申しますか、そういう運動を展開する場合におきまして、今後の労働者側から見た公社の生産の上に、どういう影響が予想せられるか。就業時間前にも、就業開始までには少くとも三十分ぐらいの準備もかかると思う。そういうふうなことにつきましては、労働者諸君は、規定の就業時間三十分前にすでに出勤をいたしまして、そういう準備をする。これに対しては何ら労働の報酬対価が與えられてないにもかかわらず、諸君がやつておるところに、専売益金が予定通りあがるという、国家の財政の上から申しますならば、けつこうな結果が出ておる。かように承知しておるのであります。政府法律を無視するがごとき態度に出た場合に、諸君は、政府と同じように、法律を無視するような態度には、絶対に出ないことと私は確信するのでありますが、その点についての安心が、われわれに與えられるかどうかということが一点。  逆に政府のそういう法律を無視するかのごとき行為に対して、諸君があくまで法律を守り、この際りつぱな遵法運動を展開する場合に、それが公社の生産の上にどう響いて来るか。そこでこれは一昨日もお伺いしたと思いますが、この流用を認めないという根拠には、二十四年度における益金に、五億ちよつと切れる程度の穴が明きはせぬかということも、大きな理由の一つになつておると思います。その点についてほんとうに公社の生産に従事しておる労働組合百側といたしまして、どういう見通しを持つておるか。この際平林参考人から承つておきたいと思うのであります。
  156. 平林剛

    ○平林参考人 私、ここに参考人として連日参りまして、現在までの状況を考えまして、政府の考えておることがよくわかつたのであります。政府の反対をされておる、いわば承認を與えないようにしたいという気持、その理由について明確に知ることができるのでありまして、そのいずれも、私どもの納得できるものでないことは明らかであります。そこで今のような御質問になつたわけでありまして、私はできれば政府並びに政府の與党である民自点の方に、われわれの今までの努力をお聞き願いたいと思つたのでありますが、遺憾ながらそういう機会が得られませんでした。今御質問のように、労働基準法の完全実施の問題が、どのような影響を與えるかということであります。私どもも法律を守るという建前においては、法治国家国民として、また労働者として、当然そうあるべきだと思うのでありますが、この問題を考える前に、まず私は今回の裁定をめぐつて、専売公社の労働者がどのように現在の生産について、特に専売益金と関連のある労働について、国家に寄與しておつたかということを申し上げてから、今の御質問にお答えいたしたいと思うのであります。  私どもには現在の専売益金をあげるための労働について、製造計画が與えられておるのであります。昭和二十年当時から、われわれが国家の専売益金に寄與しておる経過をながめて見ますと、二十年において三百五十七億本のタバコ製造を行つておつた、そうしてそれが二十一年、二年、三年、四年、こう年を経るに従いまして、現在では六百九十五億本、昭和二十五年におきまして、八百億本の製造計画を割当てられておるのであります。御承知のように専売益金については、本年度千百九十億円という財源の捻出が、私ども四万の者どもに與えられておるのでありまして、こうした製造計画の増、それから専売益金の増、こういうところから見ましても、われわれがどのくらい国家の財政に寄與しておるかということは、明瞭であると思うわけであります。特に二十三年、二十四年を比較いたしましても従業員――工場だけの数字を申し上げましても、従業員は二十三年度において一万七千五百八十六名でありまして、二十四年には一万八千六百六十四名になりましたけれども、その間において先ほど申し上げましたように、二十三年は五百三十三億本をつくつておる。ところが本年は六百九十五億本をつくつておる。一人当りにいたしますと、年約七十三万本程度を多く製造しておるのでありまして、定員法の関係その他から、非常に従業員の数が制限をされておる現在、これだけの製造量をやることは、機械設備その他の改善も伴うことが必要でありますが、とにかくわれわれは、こうしたタバコ製造の面においても、一人々々の割当数量の面においても、相当の努力をしておつたと確信を持つておるわけであります。特に昨年の四月から十二月における製造実績の面を見ましても、それぞれの製造部門において、割当てられたパーセンテージをはるかにオーバーしておるような仕事をやつておるのでありまして、給與も低い、そうして待遇も悪い。こういう裁定が下される現在においても、生産能率の方面においては、向上しつつあつたということであります。これは何も私らだけの努力ではないかもしれませんが、組合員の大多数は、こういう意思をもつて現在まで労働に従事して来ておつた、こういうことをひとつぜひお考えを願いたい。われわれ労働者がこういうような考えで働いて来たということを、ひとつ御認識願いたいと思うわけであります。  そこでこういうような状態になつて参りますと、私が第一日に申し上げましたように、少くとも現在の政府の措置は、私どもから言わしめますと、どの例を取上げてみましても、納得することができないものでありまして政府の措置が、もしかりに各委員から指摘されておりますように、政府賃金政策の面それだけで、公企労法の方は目をつぶつてそうして承認をしないという態度なら、これはまた別です。この場合私どもは、公共企業体労働関係法に異議を持つてその撤廃なり、修正なり――もしくは仲裁委員会の裁定というものを、私どもが当てにすることができないならば、そういう機関はもうやめてもらつて、政府と直接交渉ができるように訂正願いたいと思いますし、それでもできない場合は、私どもに罷業権を與えていただきまして、その罷業権のもとにおいて万事を解決することが必要になると考えざるを得ないのであります。しかし、もしそうでない、専売益金に関係することだけだというならば、私どもは今のような状態から見まして、今後の専売益金の確保の面については、一段と努力をいたしたいと考えておりまするし、現在もさような考えを持つておるのであります。特に今問題になつておりまする専売裁定の第一項を、かりに一月だけの債務にいたしますと、わずかに四千万円であります。私どもの現在働いております一時間当りの製造本数を計算いたしますと、三千百三十万本つくつておるのでありますが、これを専売益金に換算いたしますると、六千七百七十一万円になるのであります。要するに現在の場合、ここで論議をされておりまする一月だけの問題、四千万円を考えてみますと、私どものわずか一時間に満たない労働に相当するという数字になつておるのであります。ここに専売益金を真に心配されるならば、われわれの生産に対する価値というものを、もう一度認識願つて、この問題をお考え願いたいと思うわけであります。私どもはそういう建前で、この専売裁定についても関心を持ち、政府のお考えがどうも納得できないと考えておるのであります。  そこで御質問のありました労働基準法の問題であります。これも私は別な意味でお考えを願いたいと思うのであります。私どもは今のような生産についての価値を持つておると自負しておるのでありますが、今までにおきましても、労働基準法に違反するような行為、これは私どもは専売益金を確保するという建前から、そういうことも黙認をしておつたのであります。先日も申し上げましたが、勤務時間が八時から行われる、こういうときでも、その前に参りまして、たとえば十五分前に来て、点呼をとつて、もちろん作業服に着かえておりまして、時間前に工場に入つて、モーターを入れる、こういうような仕事までやつておつたのであります。これは勤務時間の原理からいいますれば、私ども何も八時前に仕事をする必要はなかつたのでありますが、しかし今の作業の実態、それから私どもの給與の改善という建前から、勤務時間前においても仕事をやつておつた。そして休憩時間においても、ただちにモーターをとめることなく、きちつと仕事をやつてから、手を洗つて食事をするようにしておつた。そのために基準法に與えられている四十五分の休憩時間にいたしましても、実質上は三十五分になり、三十分になる、こういうこともやむを得ないものとして、やつて参つたのであります。しかしこういうような状態になりますと――昨年の私どもの機関としての中央委員会においては、労働基準法は完全に実施すべきであるという決議をしたのであります。このように私どもからいたしますればも国家に寄與するという考えでおつたのでありますが、逆の面からいえば、労働者として卑屈な考えであつたようであります。こういう卑屈な考えを持つことなく、労働者は與えられた時間において、與えられた仕事をやる、これがほんとうだから、労働基準法を完全に実施しよう、こういう考え方から、今労働基準法の実施を、下部においては真剣に討議しておるのであります。但し現在においては、生産能率を、そのために落すようなことは考えておりません。私どもは與えられた勤務時間において、自己の能力を発揮して、所定の仕事をするのだ、こういう覚悟でありますが、政府の措置が、逆に法律に対して別な解釈を持たれるようになりますと、労働者の組合といたしましてもやはり人間でありますから、どのような考えを持つかわからないのであります。先ほど説明いたしました金額等から考えましても、専売益金だけの問題であるならば、私どもをして不穏当な考えを抱かせることのないように、国会の議決が得られることを希望するものであります。
  157. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 これにて本連合審査会を打切りまして、来る十七日午前十時より労働委員会を開き、本件に対する審査を進めたいと存じますから、本日御出席の参考人各位は、御足労ながら、来る十七日も午前十時より労働委員会に御出席をお願いいたしたいのであります。右御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時十七分散会