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1950-04-14 第7回国会 衆議院 通商産業委員会 32号 公式Web版

  1. 昭和二十五年四月十四日(金曜日)     午後二時八分開議  出席委員    委員長代理 理事 神田  博君    理事 小金 義照君 理事 澁谷雄太郎君    理事 永井 要造君 理事 村上  勇君    理事 今澄  勇君 理事 有田 喜一君    理事 風早八十二君       阿左美廣治君    岩川 與助君       江田斗米吉君    門脇勝太郎君       首藤 新八君    中村 幸八君       福田 篤泰君    前田 正男君       加藤 鐐造君    田代 文久君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         通商産業事務官         (通商化学局         長)      長村 貞一君  委員外の出席者         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 四月十二日  電気事業分断及び電気料金地域差設定反対に関  する請願(門脇勝太郎君紹介)(第二三三八  号)  同外三件(岡田春夫君紹介)(第二三八二号)  病院用電力基準割当量増加に関する請願(松永  佛骨君紹介)(第二三三九号)  同(伊藤憲一君外一名紹介)(第二四七五号)  九州地方の電力問題に関する請願(淵上房太郎  君紹介)(第二三四〇号)  同(高橋權六君紹介)(第二三四一号)  同(池見茂隆君紹介)(第二三四二号)  同外十三件(瀬戸山三男君紹介)(第二三四三  号)  同外二十六件(渕通義君紹介)(第二三四四  号)  同外九件(村上勇君紹介)(第二四三一号)  自家用電気工作物施設法案に関する請願(岡田  五郎君紹介)(第二三四七号)  かんがい排水用電力料金に関する請願(大村清  一君紹介)(第二三六二号)  電気事業分断反対に関する請願(玉井祐吉君紹  介)(第二三八三号)  測量法による工業技術庁地質調査所の測量予算  増額に関する請願(田渕光一君紹介)(第二四  二五号)  私鉄の電力割当量増加並びに電気事業分断反対  に関する請願(岡田五郎君紹介)(第三四三〇  号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  火薬類取締法案(内閣提出第一二九号)     ―――――――――――――
  2. 神田博

    ○神田委員長代理 これより通商産業委員会を開会いたします。  前会に引続きまして私が委員長の職務を行います。ただいまより火薬類取締法案を議題として討論に付します。討論は通告順によつて順次これを許します。中村幸八君。
  3. 中村幸八

    ○中村幸八君 私は自由党を代表して、本法案に賛成の意を表するものであります。現行銃砲火薬類取締法規は、明治四十三年及び同四十四年に制定公布せられたものでありまして、爾来今日まで星霜を閲することまさに四十年、この間両三回にわたつて修正が加えられてはおりますが、いずれも部分的のものにすぎないのでありまして、これがため全面的改正がつとに要望せられておつたのであります。特にその後における技術的進歩にかんがみ、さらにまた終戰後の新しい政治情勢に即応するため、根本的改正の断行が関係各方面から、ひとしくかつ強く要望せられておつたのであります。  本法案は政府がこれらの要望にこたえるため、まず第一にポ勅との関係上銃砲取締り関係を除外して、火薬類取締り関係だけを分離独立せしめたこと、第二には新憲法下にふさわしい法体系の整備をなしたこと、第三には内務省の解体など行政組織の変革に基く取締り担当機関の明確化をはかつたこと、第四には最近の技術的進歩に即応するよう法の内容を刷新したことなど、現行銃砲火薬類取締法規の根本的改正を断行せんとするものでありまして、まことに時宜を得たものであると考えるのであります。もちろん個々の條文内容をしさいに検討いたしまするときは、部分的には種々考慮を要する点もないではありません。そこで私は以下二、三の問題につきまして、簡單に検討を加えてみたいと存じます。すなわちまず本委員会において問題となりました第四十三條の立入り検査の問題でありますが、これは一見労働運動に干渉を加えるがごとき感なきにしもあらずと思料せられますが、この條文は單に火薬に関する純技術的事項を対象とするものでありまして、ことに第四項の補足規定もありますこととて、われわれは本條をもつてただちに労働運動を不当に彈圧するものであるなどとは思料いたしておりません。また同じく本委員会における質疑の際問題となりました製造、貯蔵、運搬、消費等の許認可に関する技術的基準を、ことごとく省令に委任しておる点につきましても、政府の御答弁によりまして、過日本委員会に提出した技術的基準の骨子に基いて政令の原案を作成し、公聽会を開いて広く関係者の意見を徴し、しかる後決定公布するとの政府の方針が明瞭になりましたので、これまた一応了承し得るのであります。またたとえば第六十二條の両罰規定のうち、惡意のない單なる事務上の過失に対しても、なお行為者と同時に法人を罰するがごとき、あるいは第十二條の保安距離の問題、すなわち当初完全に保安距離を確保して設置した製造工場や火薬庫であるにもかかわらず、その後における工場住宅等の区域内侵入によつて保安距離が短縮せられる結果、貯蔵量の制限、あるいは施設の移転等を余儀なくせられるというがごとき、その他第三十九條、同じく第四十七條の火災あるいは爆発発生時における届出並びに現状変更の指示に関して、関係消防機関を除外せるがごときことなど、大いに考慮を要する点もないではありません。しかしながらこれらはいずれも法の運用よろしきを得ることによりまして、おのずから解決し得る問題でありまして、政府の御答弁によりますと、たとえば保安距離の問題に関しましては、実情に即応するよう市街地建築物法との調整をはかるというがごとく、本法並びに関連法令の運用、そのよろしきを得ることによりまして、実際上支障なきを期するとのことでありますので、私はこれら政府の御答弁に信頼して、本案に賛成の意を表するものであります。
  4. 神田博

    ○神田委員長代理 次は今澄勇君。
  5. 今澄勇

    ○今澄委員 私は日本社会党を代表して、本法案に対する討論を行います。  火薬類は従来より危險物として銃砲火薬取締法によつて、内務省の所管のもとに取締りを受けて来たものでございますが、終戰後は内務省の解体に伴い、警察法の施行と同時に、右の法令に基く事務は商工省に移管せられ、通産省の発足とともにこれに引継がれ、現存に至つておることは、提案理由において明らかなところでございます。しかも旧法は明治四十三年に制定せられ、その後数回にわたり改正せられたのでありますが、戰争を放棄したわが国において、今回このような全面的改正を行つたことは、まさに時宜を得たものであり、関係者一同のこれらの努力に関しては敬意を拂う次第であります。私は本法案と旧法を比較したときに、その内容において、旧法から見れば数段の改良の跡を率直に認めるものでございますが、本法案の重要性にかんがみ、法文上の疑義を一掃し、各種の修正を加える必要を痛感いたしておりますが、われわれの修正希望の全面的受入れは、困難なる客観情勢があるものと認め、ここに日本社会党は以下の理由により、この法律案に反対の意思を表明する次第でございます。  まず第一番に、本法律案を旧法と比較して、政令または省令への委任が少くなつておるとはいいながら、依然としてそれらの省令、政令に負うところが多いこと、第二に、製造、販売の許可及び取消し、または許可基準等を決する條文中に、特定の字句を使い過ぎておると同時に、その字句がきわめてあいまいであること等でございます。すなわち第一の点につきましては、第七條、第九條、第十一條、第十二條、第十八條を初め、各條項にわたつて通産省令で定める技術的基準とか、通産省で定める区分に従つてとか、またはこの政令に定める区分というぐあいに、省令、政令の委任傾向が依然として多いことは遺憾の次第でございます。第二の点につきましては、製造の許可や取消しの基準につきまして、公共の安全の維持に支障を及ぼすおそれがあると認めるときはこれを許可しないとか、災害の発生の防止に支障のないときは許さないとかいつたような重要な條項の基準に、このような不明確な字句をもつて取締るということは、取締法はその権限を十二分に発揮することができるのに反して、取締られる方はきわめて不満である。一たびこの法案が施行された場合、末端機構のこれら重要点の解釈の仕方を考えるときには、何ゆえにこのようにあいまいな字句を用いたのかということを判断に苦しむ次第でございます。第三には、四十三條の立入り検査についてでございます。本條文は政府の方でも相当苦心された点は見受けられますが、なおかつ労働基準法に基く正当なる労働者の立場を圧迫する可能性があると推察せられ得るのであります。その他第三十二條の作業主任者、取扱主任者につきましても、その地位は本法案実施上きわめて重要であることは、いまさら申すまでもないことでございますが、作業主任者、取扱主任者に対する罰則規定の嚴重なるに反して、これら主任者の命令に従わない者に対して何らの罰則を規定し得ない点、輸出の届出制に対して輸入の許可制である点などは、われわれの納得の行かぬ点でございます。  以上のごとく、本法案は旧法に比較して格段の進歩ではあるが、われわれは本法案の運営と、さらに本法案の中の不明瞭な点、さらにこれが将来の末端機構において運用される点等を十分考えるならば、この法律案については、にわかに賛意を表することができません。われわれは以上の理由において、本法律案に反対の意思を表明する次第でございます。
  6. 神田博

    ○神田委員長代理 次は有田喜一君。
  7. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 私は民主党を代表いたしまして、本法案に賛成するものであります。  その理由は、本案は多年の懸案であつた銃砲火薬取締法を全面的に改正して、時代の進展に伴うように近代立法化いたしますとともに、われわれの最も懸念せる正常なる労働運動を阻止制限するものでないことが、明らかとなつたからであります。すなわち労働問題は労働基準法その他の労働関係法規によつて律せられ、本法案には何らこれを企図していないことは明らかであるのであります。しかしながら問題はその運用であります。従いまして私は次のごとく強き條件を付して、本法運用上過誤なきよう嚴重なる警告を発するものであります。  すなわち第一には、本法案は火薬類取締法案となつておりますが、その目的と内容からいつて、あくまで火薬類保安法と解すべきものであります。これは字句の問題でありますから修正は差控えましたが、その運用においては従来見られたごとく、官僚取締りの弊に墮することなきよう関係当局、特に末端下級官吏に嚴重なる注意を常に傾けられたいのであります。  第二には、本法は危害予防のため、火薬やその他火薬類の保管場所などに警察官の立入りを認めておりますが、従来はややともすれば危險防止に名をかりて、正常なる労働運動を彈圧せしむるがごとき例なしとしないのであります。かかることは断じて許し得ないのでありまして、第四十三條第四項の規定、すなわち第一項または第二項の立入り検査は、関係者の正当なる行為を妨害するものであつてはならないということが書いてありますが、この規定は、私の質問に対して政府の言明ありたるごとく、正当なる労働運動を制約するものではないという解釈をあくまでも堅持せられ、かつこれを末端にまで徹底せられまして、いやしくもこの規定を惡用するがごときことは絶対になきよう、十分なる注意を拂われたいのであります。  第三には、火薬販売業者の府県定員制を廃して許可制とされましたが、これが運用を誤れば、販売人の素質低下を来し、また販売業者の濫立は不要の競争を誘発し、ひいては公共の安全、災害予防の上にも惡影響を及ぼすおそれがあるので、この点につきまして、政府は許可の運用上十分なる御注意を拂われたいのであります。  第四には、火薬従業員に対する保安教育の徹底を期せられるとともに、取締官の教養と、火薬知識の向上にも十全を期せられたいのであります。  第五には、手数料について本法明示の金額の範囲内において、政令で具体的の金額を定められることに相なつておりますが、本法明示の金額は、最高限度とはいうものの、相当多額に達するものがあるように見受けられるのであります。政府は政令の制定の際に、よく実情に沿うように適当なる金額を定めるように考慮を拂われたいのであります。  第六には、爆薬の危險性からいつて、取扱い上過誤なきよう峻嚴なる罰則を設けることは、なるほど一つのりくつはありますが、しかしながら、本法はあまりにも罰則が嚴にすぎるきらいがあるのであります。たとえば第六十一條第二項の、單に帳簿上の記載を誤つたというがごとき事務上の過失に対してまで、懲罰規定を適用するがごときことになつておりますが、これはまさに行きすぎと思います。よつて罰則規定の運用については、政府はあくまで実情に沿うよう適切なる注意を拂われたいのであります。ことに従来に見たるがごとき罰則規定を惡用して、末端の不良取締官が不純不正なる動機に基いて、みだりに告発するがごとき規定は、絶対にこれなきよう十分なる注意を拂われたいのであります。  私は以上の六項目の條件を付しまして、本案に賛成いたすのであります。
  8. 小金義照

    ○小金委員長代理 田代文久君。
  9. 田代文久

    ○田代委員 私は日本共産党を代表して本法案に反対いたします。この法案は大局的に見まして、私たちは二点から反対理由をもつのでありますが、第一点といたしましては、いろいろこれは擬裝されておりますが、生産に従事しておりまする労働者に対する体のよい彈圧法的な性格が多分に盛られておるということ、第二の重要な問題は、火薬産業が外国資本に隸属するというような道が開かれておるということ、それはひいてはこれらと関連いたしまして憲法で戰争を放棄し、あくまで世界平和を念願しておりますわれわれが、戰争に知らず知らずの間に巻き込まれ、戰争に参加しなければならないような方向に持つて行かれるという危險性が多分にあるという、この二つの大きな理由によつて私たちは反対するものであります。その内容につきまして少しく述べますと、すでに御承知のように、本案は災害を防止し、公共の安全を確保するということがねらいでありまして、これにはだれも異存はないのでありますが、実質的にどうであるかと申しますと、災害を防止する、また火薬産業につきまして最も危險を感ずるものは、申し上げるまでもなく火薬を出産しておりまする従業員、工場労働者であります。この人たちは、いつ自分の生命あるいは身体が、火薬の爆発によつてけがをするかもしれないという危險に絶えずさらされておるのであります。従つて工場における生産労働者諸君をいかに災害から守るかという、その点が第一番に取上げられなければならないねらいでありますにもかかわらず、その点が明確にされておらないのでありまして、むしろ工場労働者の立場からよりは、生産者、企業者の立場から法案が作成されておるという点が至るところに見えておるのであります。そういう点でこの火薬というものは、第一番にそういう危險物であるということ、それから次にはいつでも戰争用品としてこれが用いられる。委員会などで日本の火薬産業は非常に質が惡くて、戰争用などということは、ほとんど考えられないというようなことを、政府はいろいろ説明されましたけれども、これは非常にあまい危險な考え方であるということを、私たちは確信する次第であります。どんなに質が惡いと言われる爆薬物でありましても、戰争は何も原子爆彈あるいは水素爆彈によつてのみなされるのではないのでありまして、戰争の性質もそういう大きな戰争もあります。あるいは台湾なんかで現在起つておるような内乱的の性質の戰争もあります。そういうような形の戰争がありますから、従つて爆薬自体もいろいろな形に使うことができるのであります。従つてこれは明らかに戰争に使われる危險を持つた物品である。こういう火薬産業の性格から申しましても、こういう生産物に対しましては、利潤本位にもうけるという立場に立つことは非常に危險である。そういう立場がもしねらわれますならば、火薬生産者が戰争を喜んで、戰争が起ればうんと自分の方は黒字になる、もうかる、ますます工場の拡張になるというような考え方にも反対するのでありまして、従つて火薬産業にとりましては、あくまでこれは平和産業以外には絶対に認められないという点を、はつきりさせることが必要でありますが、この点も答弁において、日本の火薬産業は平和産業以外には考えておらないということを言われておりますけれども、この法文の中には明確にそれがされてないという点も見受けられるのであります。そういう性格の火薬産業でありますがゆえに、今申しましたように災害を防止し、公共の安全を確保するということを、実際上において生かしますためには、その絶対必須條件としては、まず第一番に、火薬を生産される労務者諸君の生活條件を、確保することが決定的に必要と思うのであります。ところが実際においては火薬産業に従事しておる現在の労務者諸君は、非常に労働強化になつておる。また、賃金が安いというような條件下におきましては、非常にからだが疲労しております。こういう労働作業に従事することは、それ自体が非常に危險きわまることであります。従つて、こういう点の確保というものが保障されない限り災害の防止あるいは公共の安全ということを企図いたしましても、それは非常に効果が薄いということが言えるのであります。  第二番目には、企業者が十分責任を持たなければならないということ。設備の点から申しましても、あるいは材料の取扱い方、あるいは保管というような面におきまして、経営者が十分その義務を持ち、責任を持つてこれらの設備の整備を充実するという保障が、決定的に重要になつて来るのであります。この点が非常にぼやけておるということが言えるのであります。従つて、私たちはこういう火薬産業に対しましては、統制価格の問題におきましても、あるいは生産の問題におきましても、あくまでも国家的な国民的な立場がとられない限り、災害の防止、あるいは公共の安全保障確保というものも、十分期待することはできないということを主張するものであります。なお決定的に申しますならば、こういう問題はあくまでも国家的な保護あるいは統制管理、それから国営人民管理ということが十分なされなければ、解決しないというふうに考えております。ところがこの法案は、これらの諸点において非常に失敗しておることは、今申しましたいろいろの例にも出ておるのでありますが、きわめてその点が重要であると思うのであります。第二の外国資本の進出という問題。これは銃砲火薬の取締法案の前法律におきましては、明らかに外国の業者、資本家、法人というものは参加することが拒否されておつたのであります。ところが、この法案におきましては、これが明らかに認められておる。すなわちこの点におきまして、私は本法案は明らかに改惡されておるということが、結論として言えると思うのであります。初め私たちが聞いたところによりますと、火薬業者などもいろいろの意味で取締りが強化されるというようなことから、これによつて経営者としては利潤を上げる可能性が多いということで、幾らか賛成されておつたような傾向でありますけれども、外国資本、外国のそういう業者が日本で製造するとか、あるいは販売するとか、日本の業者と同様の資格で登場することになつて来ると、これは問題だというふうに、だんだんこれに対して困惑をし始めたということも聞いておるのであります。まさしくその通りであり、日本の現在の資本構成から申しまして、外国の強大資本と太刀打ちできないことは、これは衆目の見るところでございますし、この日本の、平和産業として当然育成し、発展せしめなければならない重要な生命線的な、そういう産業が特定国へだんだん依存して来るという危險性が多分にあるし、しかもその道がこの法案によつて法のもとにおいて、はつきり切り開かれたということは、実にこれは重大なる意味を持つておるのであります。私はこの点におきましても、徹底的に反対しなければならないし、また改惡されておるということを断言する次第でございます。  そういうことから結局これは現在の世界情勢から見まして、この火薬産業自体の性格、火薬そのものの性格から申しまして、先ほど申しましたように、これが好むと好まざるとにかかわらず、こういう外国の資本家が国内における生産過剩、その火薬を利潤本位にして、外国へさばくという立場で進出して来ます場合において、知らず知らずのうちに日本がその戰争の中に巻き込まれなければならないということになるということも言えますし、私たちが絶えず主張いたしますように日本の軍事基地化、こういう問題もこれと結びつくということになるのであります。たとえばその例といたしまして、これは委員会で私が質問いたしましたときに、政府委員は、そういうことは自分たちはよく知らないというような御答弁でございましたけれども、昨年の十月に台湾から三百トン火薬の引合いがあつたというようなこと、あるいは関東電機にカーリツトが千箱台湾から引合いがあつた。すでに外国の戰争の、現在進行しておりますところの地域から、そういう引合いがあり、そうしてこういうところに輸出をするということになると、われわれ自体がすでに戰争に参加することになるのであります。またもう一つ例を申し上げますと、これは二月二十八日のタス通信によつてであります。テレプレスによると、米国の政府は日本の軍需工業に対して、最新型の軍需品を注文した。三菱コンツエルンも多量の大口径の遠距離砲、対戰車砲、軽兵器の注文を受けておる。日本化薬コンツエルンは火薬爆薬、地雷、化学製品の注文を受けておる。石川島コンツエルンは重軽戰車、裝甲車の生産に当つておるというようなことを、外国の通信社が報道しておるのであります。これらを考えましても、私たちが申しました危險が多分にあるということが言えるのであります。この法案に直接関係しておらないというような甘い考えで、私たちはこの火薬を考えることが、いかに危險であるかということがはつきり言えるのであります。そこで、第一のこの労働者に対する彈圧的な性格を持つておるという点でございますが、これは各條項にも出ておるのでありまして、たとえば四十三條、つまり警察権がこれに参加するというようなこととか、その他至るところにこういう点が出ております。それから先ほどこれはどの委員からも言われましたように、省令あるいは規定というような委任立法的な性格から、ひいては、それは労働者の方に非常に不利になつて来るということは、衆目も認めておるところでありまして、すでにもうたとえば日本化薬とか関東電機におきましては、この法案ができるという見通しから、その生産に従事しておる工場労働者に対しては、すでにより以上にきゆうくつな圧迫が参つておるのであります。火薬産業に従事する労働者諸君は、すでに以前からも一般労働者よりきゆうくつな立場で作業をしておるのであります。たとえば日本化薬におきましては、先日も委員会において発言いたしましたように、工場の門に入る、あるいは門から出て行く場合に、身体検査をすることができるというような協約が成立する、また押しつけられたというようなこととか、あるいは関東電機におきましては、組合の專従者は工場内に立ち入ることができない。立ち入り禁止ということになつておる。こういういろいろな形がすでにもうできておりますことは、いかに民主化をとなえ、一方において労働基準法があるから心配いりませんということを説明されましても、実際上においては、そういうふうになつておるのであります。従いまして公聽会においても工場の代理者が発言されましたように、これに対しまして大反対されておるのであります。私どももまつたくその考えを支持するものであります。  要約いたしますと、これは食糧問題なんかとともに、日本の独立自主、自衛権の根本問題に触れる重要な問題でありまして、憲法に平和條文をうたつておりますけれども、その憲法の精神とこれは非常に矛盾しているということが言えます。また法案の作成にあたりまして、私どもが答弁内容を承つておりますと、明らかにこの法案の作成につきましても自主権が十分ないという点を、私は重大な関心を持つのでありまして、この法案の目的といたしましては、災害を防止し、公共の安全を確保する、それを取締ると言いながら、実際上におきましては、われわれ日本のふところに爆彈を抱いて、いつでも自爆する準備が進められつつある、その道が開かれているということが、結論として言えるのでありまして、そういう立場から私は、自由党の諸君も各党の諸君も、その真相をよく理解していただきまして、徹底的に反対されんことを希望しますし、共産党は断固これに反対する次第であります。
  10. 神田博

    ○神田委員長代理 これにて討論は終局いたしました。  引続き採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  11. 神田博

    ○神田委員長代理 起立多数。よつて本案は可決いたしました。  この際、本案の委員会報告書作成の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 神田博

    ○神田委員長代理 御異議なしと認めます。委員長に御一任をいただいたものと決しました。  次会の開会日時は公報をもつてお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。     午後二時四十二分散会      ――――◇―――――