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1949-05-20 第5回国会 衆議院 厚生委員会 22号 公式Web版

  1. 昭和二十四年五月二十日(金曜日)     午前一時三分開議  出席委員    委員長代理 理事 松永 佛骨君    理事 幡谷仙次郎君 理事 中島 茂喜君    理事 田代 文久君       青柳 一郎君    今泉 貞雄君       田中 重彌君    奈良 治二君       畠山 鶴吉君    丸山 直友君       岡  良一君    堤 ツルヨ君       苅田アサノ君    松谷天光光君  出席政府委員         法務廳事務官         (檢務局長)  高橋 一郎君         厚生政務次官  亘  四郎君         厚生事務官         (保險局長)  宮崎 太一君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      三木 行治君         厚 生 技 官         (医務局長)  東 龍太郎君  委員会以外の出席者         参議院議員   谷口弥三郎君         厚生事務官   小山進次郎君         專  門  員 川井 章知君         專  門  員 引地亮太郎君 五月十九日  委員床次徳二君辞任につき、その補欠として北  村進太郎君が議長の指名で委員に選任された。 同月二十日  理事床次徳二君の補欠として中島茂喜君が理事  に当選した。     ――――――――――――― 五月十八日  健康保險法改正反対に関する請願(砂間一良君  外二名紹介)(第一六七九号)  同(土橋一吉君二名紹介)(第一六八〇号)  同(田代文久君外二名紹介)(第一六八一号)  同外一件(田代文久君外四名紹介)(第一六八  二号)  同(田代文久君外一名紹介)(第一六八三号)  國立療養所増床に関する請願(松木弘君紹介)  (第一六八六号)  遺族援護対策に関する請願(坂口主税君以外一  名紹介)(第一六九六号)  同(坂口主税君外一名紹介)(第一七一号)  國立富士病院及び國立町善通寺病院の運営に関  する請願(畠山鶴吉君紹介)(第一七二三号)  遺族援護対策に関する請願(青柳一郎君紹介)  (第一七二四号)  身体障害者の保護に関する請願(大森玉木君紹  介)(第一七二五号)  都市清掃事務事業に関する請願(中島守利君外  一名紹介)(第一七五三号)  東京同愛記念病院再建に関する請願(天野公義  君紹介)(第一七九八号)  薩南地区を国立公園に指定の請願(床次徳二君  紹介)(第一八〇六号)  療術調査に関する請願(内海安吉君紹介)(第  一八一八号) の審査を本委員会に付託された。 同月十九日  社会保險診療報酬支拂基金金法一部改正の陳情  書(滋賀県医師会長小林清祐)(第五〇一号)  三陸海岸並びに八幡平を國立公園に指定の陳情  書(盛岡市議会長北太郎)(第五四〇号)  遺族の援護対策に関する陳情書(岡山県遺族厚  生連盟会長片山仁外三万千名)(第五四四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  優生保護法の一部を改正する法律案(参議院提出、  参法第二号)  医療制度に関する件   請願  一、健康保險法改正反対に関する請願(砂間一    良君外二名紹介)(第一六七九号)  二 同(土橋一吉君外二名紹介)(第一六八〇    号)  三 同(田代文久君外二名紹介)(第一六八一    号)  四 同外一件(田代文久君四名紹介)(第一六    八二号)  五 同(田代文久君外一名紹介)(第一六八三    号)  六 國立療養所増床に関する請願(松木弘君紹    介)(第一六八六号)  七 遺族援助対策に関する請願(坂口主税君外    一名紹介)(第一六九六号)  八 同(坂口主税外一名紹介)(第一七一一    号)  九 國立富士病院及び國立善通寺病院の運営に    関する請願(畠山鶴吉君紹介)(第一七二    三号) 一〇 遺族援助対策に関する請願(青柳一郎君紹    介)(第一七二四号) 一一 身体障害者の保護に関する請願(大森玉木    君紹介)(第一七二五号) 一二 都市清掃事業に関する請願(中島守利君外    一名紹介)(第一七五三号) 十三 象の輸入に関する請願(神田博君紹介)(    第一七六六号) 十四 東京同愛記念病院再建に関する請願(天野    公義君紹介)(第一七九八号) 十五 薩南地区を國立公園指定の請願(床次徳二    君紹介)(第一八〇六号) 十六 療術調査に関する請願(内海安吉君紹介)    (第一八一八号)     ―――――――――――――
  2. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 これより会議を開きます。まずお断りいたします。昨十九日理事床次徳二郎君が委員を辞任いたしましたので、理事が一名欠員になつております。この補欠選任を行わねばならぬのでありますが、委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 御異議がなければ中島茂喜君を理事に指名いたします。次に優生保護法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引続き質疑を許します。青柳一郎君。
  4. 青柳一郎

    ○青柳委員 私は一昨日本委員会におきましてつい堕胎罪事項として、貧乏人のために堕胎できるという規定を設けていいかどうかということにつきまして、はつきりした法務廰の御意見を承りたいと申し上げてあつたのでありますが、法務廰の方はまだお目見えにならぬのでございますか。法務廰の方が見えますまで私の法務廰に対する質問を保留いたしまして、質問を続けさせていただきます。  まず第一に承りたいのは、この法律案の十三条の第三号に「妊娠の継続又は分娩によつて生活が著しく窮迫するもの」に対しては妊娠中絶を行うことを申請することができる、こうあるのであります。しかしてこの貧乏な人にそういう妊娠中絶を行う際の費用の問題につきまして、先般提案者のお方にお尋ねいたしました。しかるところその費用は社会保險または生活護法によつて負担するであるというお答えでありました。私いろいろ考えたりでありますが、社会保險によつてこれを負担することはどうもできないように思うのでありまして、その点あるいは私の聞き間違いであつたかと思うのでありますが、その点をまず明らかにしていただきたいと存じます。
  5. 谷口弥三郎

    ○谷口参議院議員 生活困窮者に対する手術料などにつきまして、私の申し上げ方が惡かつたためであろうと思うのでありますが、生活困難者と申しまするのは、現に生活保護法によつておる者、また妊娠の継続のためにますますその人の生活状況が惡くなつて、いわゆる生活困難な状態になる者に対してやるのでございまして、この方は生活保護法の方から費用を支出することにお願いをしておる次第であります。
  6. 青柳一郎

    ○青柳委員 ただいまの点はよくわかりました。從いまして問題は、生活保護法の適用に関することと相なるのであります。ただいまもお答えがありましたが、現在の生活保護法を受けておる者は、この第三号の条文によりまして、妊娠中絶を行うことができるということにお考えであります。先般も私申し上げたのでありまするが、この改正法案によりますると「妊娠の継続文は分娩によつて生活が著しく窮迫するもの」こうあります。一方生活保護法の方を見ますと私先般申し上げましたのは前の軍事扶助法について申し上げたので、はなはだ失礼をいたしました。この生活保護法を見ますると、第一条に、この法律は、生活の保護を要する状態にある者の生活を、國が差別的又は優先的な取扱いをなくすことなく平等保護して、社会の福祉を増進することを目的とする。こうあります。從いまして生活保護法におきまして、生活保護を要する状態にある者ということになります。そういたしまするとこの議題になつておりまする条項の「著しく窮迫するもの」というのは、この生活保護法にいわゆる「生活の保護を要する状態にある者」こう解してよろしいと思うのであります。そういう御意図であろうと思いますが。
  7. 谷口弥三郎

    ○谷口参議議員 さようでございます。
  8. 青柳一郎

    ○青柳委員 わかりました。生活保護法の規定を受ける者をこの優生保護法の十三条の適用を受けるといたしますならば、でき得る限り言葉は同じくいたしたいと存じます。そうしなければ取扱いがいろいろまちまちになるおそれがあるのであります。民生員におきましても、実際この証明をする際にも、文句が違つております際には、どつちの解釈をとつていいか非常に迷うおそれがあります。また考え方によりますると、堕胎がむやみに横行する、あるいは現在提案者のねらつておられますような適当な堕胎を行えず、かえつて窮屈に考えてしまうおそれがあります。ただいまのところ私の意見であります。  次にお尋ねいたしたいのは、先ほど提案のお答えの中にもそういう意味が含まれておつたやに拜聽いたしましたが、この十三条の第三号の適用を受けるものは、ひとり生活の保護を要する状態に現にある者以外に、妊娠中絶の手術を行うがために金を要する。それによつて貧乏するという者も含ましめる御意図のように拜聽いたしましたが、さようでございましようか。
  9. 谷口弥三郎

    ○谷口参議院議員 さように存じております。
  10. 青柳一郎

    ○青柳委員 次に生活保護法によりまして、この貧乏な気の毒な人に対する妊娠中絶の費用を出すといたしまする、生活保護法のいかなる条項によつて出すものであるかということを当局にお尋ねいたします。
  11. 小山進次郎

    ○小山説明員 ただいまの問題について御説明を申し上げます。かりに法律でただいま問題になつておりましたような条項がきまりますれば、生活保護法の適用といたしましては、まずそれが生活に必要な限度であるかどうかということを決定いたしますことが第一の問題であります。この点につきましては、もしも法律にそういう条項が入るといたしまするならば、そのような手術を受けるということは生活に必要な限度に入ると考えてよろしいかと思います。  次にそういつた生活に必要な限度に入るといたしましたならば、どのような種類の保護をそれに與えるかということが、第二番目の問題になるわけでありますが、これにつきましては法第十一条の医療に入るものとして取扱うべきものと思つております。それからなおこの点は多少説明の範囲を越えますけれども、先ほど來のお話の中にありましたように、現に生活の保護を受けていない者であつても、当然に優生法の改正によつて許可が出ましたものは、その費用が生活保險法から支出されるかのごとく誤解を起しやすいようなお話があつたのでありますが、この点につきましては、法の適用関係としては必ずしもそうならぬ。この場合においては、生活保護法によつて保護を受ける場合にありましようけれども、またそうでない場合も非常に多くあるということを一言説明としてつけ加えさせていただきたいと思います。
  12. 青柳一郎

    ○青柳委員 ただいまの御説明によりますると、生活保護第十一条の保護の種類の二に医療というのがございます。これよりまして行うというお話であります。普通の観念からいたしました場合に、医療というのは病氣であるいはけがをしたという場合にそれをなおすのが医療であると私は存ずるのでありますが、法律上さような解釈をしておられるかどうかという点につきましてお答えを願います。
  13. 小山進次郎

    ○小山説明員 ただいまの問題はいろいろ見解がある問題ではございますけれども、普通医療という言葉を理解いたします場合に、形式的な意味において理解いたします場合と、実質的な意味において理解いたします場合がございます。ただいま青柳委員がおつしやいました考え方は、医療というものを実質的な意味において理解いたしました場合の考え方でございます。そういう実質的意味において医療を理解いたしますればまさしくおつしやる通りだと思います。形式的な意味において医療を理解いたしました場合に、医師が患者に対して業務として行います一切の行爲は医療に含まれると理解することが一応可能であります。さような意味合いにおきまして、もしも法律で優生手術を行いますことが新たに加わるといたしますれば、適用関係においては医療として行う、こういうことにいたすべきだと考えております。
  14. 青柳一郎

    ○青柳委員 その点もよくわかりました。ただ先ほどの説明員のお答えの中に、いわゆるボーダー・ラインにある人を全面的に生活保護法の適用を受けることについてはいろいろ考えなければならぬというようなお話があつたようでありまするが、その点につきましてもう少し詳しくお話を願いたいと思います。
  15. 小山進次郎

    ○小山説明員 この点は私もいろいろ前提がありまするので、むしろ提案者のお考えをお確かめしないとにはつきり申し上げかねる点があるのでございますが、いかなるものについて承認がなされるかということが第一の問題でございます。おそらくこの承認のなつされます基準を決定いたしますことは非常に困難であろうと思います。しかし一応何らかの前提のもとにおいてそれがきめられて参つたといたしましてもそれだけのことで当然生活保護状態による医療を受けるということにはならないわけであります。生活保護法によりまして医療を行いますためには、まずその人の生活状態を詳細に調査いたしまして、現在の財産の関係、收入の関係を嚴密に調査をいたしまして收入の点から見ましても、財産の点から見ましても、もう最低の生活に行つておるというような状態にあります場合に、初めて生活保護法の適用が問題になるわけであります。ボーダー・ラインのケースで法の適用があります場合には、現在では辛じてその線の上にありまするが、たとえば優生手術を受けまするために二千円なりあるいは三千円なりあるいは三千円の費用が必要だといたしますると、どうしてもその分だけはもうまかなつて行けないという場合だけが生活保護法による医療の適用を受け得ることになるわけであります。言葉ではすごく簡單ですが、実際の適用の事実について申し上げますと、おそらく提案者がお考えになつておりまするケースのほとんど大部分は、実際において生活保護法の適用外に置かざるを得ないという結果になるだろうと思つております。
  16. 青柳一郎

    ○青柳委員 一應その問題はその程度にいたしまして、次に承りたいのは、一昨日床次委員からも質問がございましたが、この人工妊娠中絶を行うために要する費用の問題、何人くらいそれを適用するかという問題であります。先般私がを尋ねいたしましたところによりますと、約二千人、一件四千円で八百円、しかもその他におきまして出生などが少くなるから、八千万円、一億円程度のものが五千万円くらいで済むだろうというようなお話でありました。提案者におかれましてはもう少し、どのくらいの人数を要するかということをお考えを願いたいのであります。私実は昨年の十二月末現在の生活保護法の適用者を調べたのでありますが、それによりますと百八十四万五千という数であります。この半分が女であつて、その三分の一とか四分の一が妊娠ができ得る段階にある者である。そのうち産兒制限でどの程度妊娠しなくて済むものがあるのかというふうな問題につきましてお考えになつたことがあられるかどうかにつきましてお尋ねいたします。
  17. 谷口弥三郎

    ○谷口参議院議員 ただいま御質問になられました生活保護法を受ける者であつて、人工妊娠中絶をしなければならぬような状態におかれる者はどのくらいだろうということについて研究したことがあるかというお話でありますが、実ははつきりしたものが出ません。御承知のように生活保護法を受ける者の中には、いわゆる夫婦関係で認容年齢の者は比較的少くありまして、あるいは独身の方、あるいは子供を持つた未亡人の方、あるいは老年とかいうのが多くて、率が非常に少ないように実は思われたのであります。先刻お話のように、この前申しましたのは、約二万人くらいの者にありはせぬか、二万人くらいの者があればその中で一億円くらいの金がいりはせぬか、しかし一方に出生も減りましたり何かいたしますから、そういうのを差引けば五、六千万円じやなかろうかという計算をその当時いたしたのでありますが、きちんとした何人というのは、生活保護法適用者の統計が今はつきりいたしておりませんので、これを突きとめることができなかつたことをまことに残念に存じております。お答えいたします。
  18. 青柳一郎

    ○青柳委員 厚生当局におかれましては、これらの費用を生活保護制度から出すといたしますれば、相当お考えになつて、どの程度の金額が必要であるということについて御研究をなさらなければ、生活保護法のほかの制度に支障を來すようなことがあるというおそれもあるのであります。その辺につきましての御見解を承りたいと存じます。
  19. 小山進次郎

    ○小山説明員 当局といたしましては、現在の適用人員について一應推定をいたしたことがあるのでありますが、その際の大ざつぱな結論といたしましては、もしも現在の適用者についてだけ考えるといたしますと、助産の件数――子供を産むことに対する保護を行つておりまする助産の件数が、年間およそ一万件程度になつております。從いまして少なくともこの程度の数は予想しなければなるまい、かように考えております。なお一應現在最もこの点から見まして心配しておりまする問題は、ただいまの対象者は先ほど青柳委員からお話のありました通りの人人が多いのでありますが、今後失業が逐次増加して参りまして、これらの失業者が失業保險による保險料の給付等を受けている期間が低下するとか、あるいはその他の道で辛うじて生計をつないでおつたのが続かなくなるというようなことがあるといたしますと、結局最後は生活保護法による保護を受けざるを得なくなるわけであります。これらの人々は、ほとんど例外なく夫婦のそろつておりまする世帶でありまするので、この件数は相当増加するかもしらぬ、かように考えておるわけであります。現在の適用人員についてだけ必要な費用を概算いたしますと、およそ四千万円程度でありまするので、ただいまの予算におきまする医療費の総額がおよそ三十五億円強でありまするから、まあ金の点から見て、現在の段階においてただちに執行困難になるという心配はないかと思つております。
  20. 青柳一郎

    ○青柳委員 ただいまの御返事で今後の見通しについての心配の点、現在の状態そのままで行けば安心の点、両方ともにわかつたのであります。  次に私はこういう法制ができることを一般社会は要求しておるということをよく存じながら、厚生行政とかかる新しい制度との間に、いろいろな矛盾なりわれわれの心配があります。その点につきまして少しずつ意見を申しながら、御当局あるいは提案者の御意図を伺いたいと存じます。  まず第一に、生活保護法は現在國民の生活の最低を保護しておるものであります。ただその基準額が低きに失し、また運用そのよろしきを得ず、この点から大いに改正を要する点があるということは、われわれ厚生委員の方々一同とともに痛切に感じておる点であります。しかしながら、あくまでも制度としては生活保護法こそ貧困者を保護するものであります。貧困者に子供が多ければますます貧困の度を加えることは当然でありまして、從いまして生活保護法による制度をますます厚くして行かなければならないわけであります。家族が多ければ、その家族に対する保護の量を厚くするのが生活保護法の建前であると思うのであります。厚生行政の行き方は、この生活保護法の行き方こそほんとうのものであるというふうな氣がしてならぬのであります。私はこの際、生活保護法の整備を望むことが切でありまして、これによつてやがて社会保障制度への導きの大きい要素となることを樂しみに待ちつつあるのであります。家族が多ければ多いだけ保護の量を増す、これこそ厚生行政の行き方であると私は思うのであります。完備した生活保護制度の姿がそういうものであると思うのであります。この際こそ生活保護制度を完備すべきときであると思うのでありまして、それによりまして、その他母子家庭あるいは未亡人の問題解決への一歩前進ということにも相なるのであります。そういう意味からいたしまして、この新しい法律の十三條の第三号と、生活保護法の立法精神との間に矛盾を感ぜざるを得ないのでありまするが、御当局の御意見を承らしていただきたいと存じます。
  21. 小山進次郎

    ○小山説明員 ただいまの御意見、私ども事務をやつております者として、この問題について深刻に惱んでおりますることをきわめてはつきりと御指摘されたと思うのでございまして、私どもまつたくさように考えております。なお具体的な問題といたしまして生活保護法との関係において、特に私どもが処理に困る問題をひとつ具体的に申し上げたいと思います。先ほどお話がありました通り、現在の生活保護法の適用を受けております世帶には、未亡人の世帶が非常に多いのであります。もしもこの未亡人の人々が何らかの事情によりまして、妊娠をしたというような場合には、先ほど問題になりました條項の適用関係から申しますならば、おそらくこれは当然に優生手術を実施することについて許可が出るべきケースであると考えております。ところが生活保護法の建前におきましては、第二條に左に掲げるものに対しては、生活保護法による保護を行わないという規定定がありまして、その中に「素行不良な者」というのが掲げられておるのであります。優生保護法を改正されまして、ただいま問題になつておりまする條項をお入れになる趣旨から見ますれば、私はただいま取上げましたようなケースに対しては、やはり生活保護法のような方法による保護が與えられなければならぬ実態があるだろうと思うのであります。ところが法の適用関係から申しますと、保護をなさないことができるというのではなくて、保護をなさないというように規定されておりますみので、これに対しては保護ができないだろうと思います。こういつたような具体的の問題について、処理に苦しむことが非常に多いのではなかろうかということを一つ心配しております。
  22. 青柳一郎

    ○青柳委員 次になお私の心配の点を申し上げます。私は人口問題の解決を堕胎に求めることは、現在文化國家が死亡率を減少させようとしておる努力と矛盾するような氣がするのであります。しかも貧しい者だけに犠牲を行わしめることができる。もちろん人間生活の面からのみ見てでありますが、その点について危惧を持つものでありますが、政務次官はどうお考えになりますか。あるいは御当局はどうお考えになりましようか。
  23. 亘四郎

    ○亘政府委員 ただいま私ちよつとうつかりしておりまして……。
  24. 青柳一郎

    ○青柳委員 私が今お尋ねしましたのは、人口問題の解決を堕胎に求めるのは、死亡率を減少しようとしておる各文明國家の努力、日本も文化國家として成立たなくちやならぬのでありますから、その努力と矛盾するような氣がしてならぬのであります。また貧乏人だけ犠牲者たることを許されるということが、精神的には貧乏な人に氣の毒なような氣がするのであります。また先ほども申し上げましたように、生活保護法や、社会保障制度を完成せしめんとする理念に反するような氣がするのであります。またこれも先ほど申し上げました厚生行政の行き道、厚生行政の面から見るときに疑問があるのであります。そういう疑問をたくさん持つておるのでありまするが、それらの疑問につきまして、何か解決していただく面がありますならば承りたいと思うのであります。
  25. 谷口弥三郎

    ○谷口参議院議員 提案者でもよろしうございますか――ただいまの人工妊娠中絶を主としてやるようなことは、今の文化國家としてかなりこれは行き過ぎと申しますか、それ以外の方法があるのではないかというお話でございますが、実は私どもも人工妊娠中絶というのは、なるべく行わずに、予防的に受胎調節をやりたいということを考えまして、またそうでなければならぬというふうに考えております。あるいは先の方のいわゆる優生結婚相談所におきまして、さしあたり適正な受胎調節をやりたいというふうに思つております。そういうことをやりましても、目的を達せずに妊娠をしたという場合に、この人工妊娠中絶が適用されるというように考えております。なおこの点は私どもの考えは少し間違つておるかも存じませんが、実は貧困者に対してのみ人工妊娠中絶をせい、あるいは子供を持たぬようにせいというように聞える点があるかも存じませんけれども、私どもの考えとして提案したのは、俗に申しますように四百四病の中でも貧乏ほど苦しいものはない、その貧乏を妊娠、分娩によつてなおますます貧乏にさせるということは、これはまことに本人を苦しめることであるから、幾らかでもそういう方には人工妊娠中絶をさせて、より深く貧に落ち込むのを助けてあげたいというのが、これが社会的の義務でなかろうか。そういたしますと、子供を持つなというのでなしに、本人並びに配偶者が希望した場合にのみ、これを適用するのでありますからして、この法は実は貧乏人に対して冷たいものではなしに、大いに同情ある法案をつくらねばならぬというような考えから、これを提案しておるような次第でございます。
  26. 青柳一郎

    ○青柳委員 提案者の御趣旨のあるところは私にもよくわかるのであります。私も貧乏な方のための熱意を持つ一人であります。從いましてそういう制度が各方面から檢討せられまして、許さるべき事態でありますならば、私はただちに双手をあげて賛成いたしたいという熱意に燃えておるものであるということを申し上げておきます。  法務廳の方がお見えになつておりまするから、私の先だつて御質問いたしましたことを繰返して質問いたしまして、御答弁を得たいと思います。まず第一に承りたいのは、堕胎罪の成立要件であります。わかり切つたことをお尋ねするというお氣持になられると思うのでありますが、受胎した直後から堕胎罪は成立するものであるかどうか、巷間傳うるところによりますると、二月、三月はまだ人間でない。それをおろしても犯罪は構成せぬのであるというようなうわさが飛んでおるやにも思えるのであります。それらの適用といいますか、運用といいますか、実際上の問題についてでもけつこうでありまするが、数えていただきたいと存じます。
  27. 高橋一郎

    ○高橋政府委員 ただいまの堕胎罪の成立の時期の問題でありますが、これは妊娠の直後から堕胎罪が成立するというように考えております。
  28. 青柳一郎

    ○青柳委員 ごもつともなわかり切つたお答えでありまして、私の質問が非常に実際的でありました点を、そういう実際的なことは法務廳は許し得ないのだという御答弁だというふうに私は解釈いたします。  その次に伺いたいのは、堕胎が刑法上の犯罪である以上、その違法性を阻却する事由といたしましては、生命とか身体とかに害がある場合、すなわち胎兒の生命よりもさらに保護すべき法域の大きい場合、こういう場合が認め得る場合であると存じます。貧乏というものが違法性を阻却することに相なりますると、法一般の緊急批判も起きるのでありますが、理論から見まして非常に危險なものがあると思います。貧乏であるために何を許す、かにを許すということは、私は非常に大きい危險性を持つ大問題であると思うのであります。私は法律が貧乏人と富んでいる者と適用を異にすることは危險であり、できるだけは避けたいと思うのでありまするが、この点につきまして法務廳の御意見を承りたいのであります。
  29. 高橋一郎

    ○高橋政府委員 ただいまのお尋ねの点は、刑事政策的な問題になると思うのでありますが、法律上の理論といたしましては、かりに優生保護法の方で、一定の條件の備わつた場合に、一定の手続で人工妊娠中絶ができるということが規定されますれば、それに從つて人工妊娠中絶をやりますことは、いわゆる刑法三十五條の、法令による行為ということになりまして、堕胎罪としての違法性を阻却する。從つて罰せられないことになるわけであります。從つて優生保護法の方でそういう規定を設けることは、法律上は可能なわけであります。ただ何と申しましても、人工妊娠中絶ということは、いわゆる自然に反することでありまして、できれば避けたい。いろいろな関係から申してない方がよいことは、これはもうその通りだと考えるのであります。しかしながら一方におきまして、現実の必要が非常にある場合、それに目をつぶつてむりにそういう場合を認めないというふうになつておりますと、そこにいろいろないわゆるやみ行爲が出て参りまして、その方の弊害も考えなければならないと思うのであります。從つてこの刑事政策的な見地から申しましても、この問題につきましては、両面の見方がございまして、法務廳といたしましては実は刑事政策上の見地から、どちらがいいというような結論をまだ申し上げるまでには研究を積んでおらないのでございます。
  30. 青柳一郎

    ○青柳委員 ただいまの御答弁、非常によくわかりました。ただしかし結論は、法務廳としてどちらがいいという結論に達していないというお話でありました。次に私は先ほども提案者の方からお話がありまして、何とかこういう方向の法律をつくりたいという氣持から、最後にもう一つだけ伺わせていただきたいと思うのであります。それは最近の社会の模様を見ますると、産兒制限も相当廣く行き渡りつつあります。またかかる法律が出まして妊娠中絶も行われるようになりますると、今後は相当人間の数が減つて行く。もちろんそれをねらつておるのであります。減り過ぎてしまつて、將來の日本の人口を老衰に陥れてしまうようなおそれがあるまいかということも、一点聞きたいのであります。  さらにもう一つは、提案者の意図をくみまして、たとえば人口問題の研究におきまして、今後の日本の人口を考えた際に、一つの家庭では二人あるいは三人程度持つてもらわなければいけないという結論が出ておりまして、それ以上はなくてもいいのだ、しかも貧富の差をつけないで、そういうふうな考え方が、何か研究があるような氣がいたすのであります。研究の結果ができておりますれば、そうじつくりと考える必要はございません。それらの研究につきましてもじつくりと伺つて、この審査に当りたいと存じます。以上をもちまして、ただいま申しました機会をつくつていただきますることを希望いたします。これで私の質問を終ります。
  31. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 なお青柳委員の御質問中に、大藏省関係のことはなかつたですか。今吉岡大藏省主計局課長が見えております。
  32. 青柳一郎

    ○青柳委員 先回の質問におきまして、私、大藏省の方の御出席を願おうと思いました意図は、先ほど厚生省からお答えを得ました生活保護法によつてやるという問題でありました。この問題につきましては、非常に條文を狭く考え、あるいは現在の授産の程度を行うならば十分まかない得る。しかし將來失業者などのたくさんできてくる際にはまた多額を要することになつて、そのときは困るというようなお答えを得たのでありました。その点を大藏省当局の方に聞いておいていただければいいという程度でありました。
  33. 堤ツルヨ

    ○堤委員 議事進行について……。御存じのごとくこの優生保護法の問題につきましては、相当審議も重ねられまして、質疑いたされたのでございます。大体において反対御意見の方の御指摘の点は、お互いに御同感であり、私もこれを了といたします。要するところ、この線に持つて行かなければならないということははつきりいたしておるのでありますし、今日日本の置かれておりまする客観情勢より見ましても、これは私は大切な文化立法であると思うのであります。危惧を抱かれます点につきましては、もう少し修正を加えて、さらに次の國会にあらためてよりよきものを生むというところの但書つきのもとに、ひとつ皆さんで御採択願いたいと思うところの意見を持つておるのでございます。貧困者を救うさしずめの人口改革に寄與する点においては、皆さん御異議はなかろうと思いますので、ひとつこれで質疑をお打切りになつて、議事を進行せられたいと思うのであります。
  34. 青柳一郎

    ○青柳委員 急速にかかる方向への法律をつくらなければならないということは、私もよく存じております。ただ私が先ほど指摘した点から申しましても、法務廳におきましても大事も違法性阻却の問題につきまして、まだ結論を得ておらない点もあるように見受けられまするし、私の心配の点がまだ残つておるのであります。私が先ほど人口問題につきまして、たとえば將來の人口を考えて一つの家庭に二人、三人というものをおけば、將來の日本の人口構成は安心であるというような結論を得まするならば、私そういうことをもちましてまた考え得る道があると思うのであります。私も改正案につきましてとつくり考えております。從いまして、私はこの法案に反対するものでは絶対にありません。かかる方向の法律ができることを私また望むものであります。しかしながら私の危惧は非常に大きい危惧であります。私はあしたでもいい、あさつてでもいい、続いてこの委員会を開かれまして、でき得る限りすみやかなる解決を得たいと存ずるのでありまして、この際ここで今採決するのは早きに失すると存じます。
  35. 苅田アサノ

    ○苅田委員 私は堤委員の議事進行の動議に対しまして賛成いたします。この優生保護法の一部改正の問題につきましては、皆様御存じのように、すでに回を重ねること五回ばかりにもなつておりまして、これくらい愼重に審議をした法律案はないと思うのであります。しかもこれは少数のお方の御提案に基きまして、私どももほとんど異議なく、今日まで自由に一言の質問の打切りというようなこともしないで、実に納得の行くまで審議を続けて参つたのでありまして、こういうような審議をやつたことは、構成委員会としては実に異例に属すると思うのであります。それで今日まだ十分な御考慮が残つておると言うのならばともかく、ただいま青柳委員も言われましたように、十分自分がとつくり考えて、しかもなおあとに疑義が残つておると仰せになるのでありますから、これはあと一日、二日という期間で解決のつく問題ではないと思うのであります。しかも私は昨日皆さんと御一緒に東京都内のモデル保健所を見学いたしました際にも、そこの医者の方からも、どうしても優生保護法は通していただきたい。これに要する費用というものは、一般に傳えられるように多額を要しない。たかだか千円か二千円もあれば中絶の手術が行われるのである。これをやみですれば五千円も八千円もとられて、貧困者の御家庭ではそういう費用が出ないで、依然として非常に不衞生な、それこそ母体に大きな害を與えるような方法で、しかも秘密裡にやつておるのであつて、その方がもつと憂慮すべき状態である。こういうような医者の立場からのお話も聞いておる際でもございますから、現在青柳委員が御心配になつておりますように、これは貧乏人は子供を持つなという法案でもございませんし、また氣の毒なのは妊娠を中絶するということではなく、妊娠を中絶しなければならないような、そういう貧困な生活状態に追い込んだこと自体を私どもはむしろ非常に悲惨なこととして考えなければならないのであつて、そういう結果がある以上、ここには應急の処置として、どうしてもやはりそういう人たちを何とか解決する方法をとられて、もつと民主的な公然とした機会を與えることの方が合理的な解決の道であるし、多くの勤労階級がこの問題では深刻な苦痛を感じておるのでありまして、非常にこの法律のでき上るのを待つておる。こういうような事情もおそらくおわかりだと思うので、この際この法案の審議を打切りまして、どうぞ議事を進行していただきたい、かようにお願いいたす次第でございます。
  36. 青柳一郎

    ○青柳委員 私、重ねて申し上げます。会期がまだ三日もあるのでありまして、厚生委員会に與えられておる仕事はこれだけであります。三日ありますので、私の危惧の点が拂拭し得るならば、あした、あさつてと続いて審議を続けて行つてもさしつかえないと思うのであります。幸いに会期も延長されてまだ三日ありますので、大きい問題につきまして、これは結論だけでよいと思いますから、私はやはり本日おきめにならないでも、その間にきめてきめられないことはないと思うのであります。
  37. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 いかがでございましよう。ただいま堤委員から質疑打切り、採決の動議がありまして、これに対して青柳委員から、なお愼重を期すべきものがあり、本案は参議院においてすでに可決されまして衆議院に回付されましたものでございますから、衆議院一院でこれが可決確定を見るものであります。なお会期は三日を余しておるから、さらに審議を重ねて修正すべき点を修正してという御意見のように承りました。また苅田委員の実感から見たごもつともなご意見もあつたのでありますが、いかがでございましよう、本案は各方面に非常に重大な影響のあるものでございまして、なお会期中愼重審議の必要があるのじやないかと存じますが、本日は田代委員から緊急質問の通告もございますし、他に日程が多数ございますので、これが審議は次会に讓つてはいかがでしようか。
  38. 田代文久

    ○田代委員 青柳委員に御質問いたしますが、本会期中に決議するということに対しては、あなたも主張されるわけですね。
  39. 青柳一郎

    ○青柳委員 私の申し上げましたのは、私の疑点――先ほどの御質問でお聞きとりになつたかと思いますが、その疑点をできるだけ早く結論を得さしていただきまして、できれば本会期中に通したい、こう存じております。
  40. 田代文久

    ○田代委員 これは参議院の方でも愼重に愼重を重ねて御審議をなされまして、可決されたのであります。そしてまたここでも非常に熱心に、微に入り細に入りなされたのでありまして、もう手落ちはないように思いますので、どうしても堤委員の御提案のように持つて行つていただきたいことをお願いいたします。
  41. 堤ツルヨ

    ○堤委員 重ねて青柳委員にお尋ねいたします。青柳委員の御指摘になつております点は、私たちはこれを認めるにやぶさかではございません。同じ意見であります。しかし私たちは二段構えの処置をこの委員会でとつてもよいのではないかということを提案いたしたいのであります。つきましては残る二日の間に、青柳委員の御指摘の二つの大きな問題に対して、最後の断が下せるかどうか。私は下せないと思いますが、青柳委員の常識においては、この二日、三日の間においてこの断が下せるとお思いですか、どうですか。
  42. 青柳一郎

    ○青柳委員 私の申し上げた点に、私は学者ではないのでありますから、結論さえはつきりすれば学者の言うことを信じます。從いまして早く済む場合が十分あり得ると思います。
  43. 堤ツルヨ

    ○堤委員 そうすると青柳委員は、権威者を交えて公聽会のようなものを開いて、できるならばこの会期の終りまでに十分手を盡して、そうしてこれによい結論を出して持つて行きたい、こういう御意見でございますか。
  44. 青柳一郎

    ○青柳委員 私は公聽会のことまで申し上げておるのじやありません。権威のある学者に來ていただきまして、その結論を承れば十分なのであります。
  45. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 この問題は民主自由党においても相当重要視いたしまして、多分明日党の公報で発表して、本問題に対する政務調査会の意見をまとめて、修正すべき点を修正したいということの実は話合いがあるのであります。そういう点をさらに愼重を期したいというのが民主自由党の意見ではないか。青柳委員のご意見もこれを代表されるもののように考えるのでありますが、どうでしよう。
  46. 堤ツルヨ

    ○堤委員 ただいま委員長のおつしやいましたことは委員長としての御答弁としてはふさわしくないと思います。それから私がくれぐれも申しましたように、私は青柳委員にお願いいたしたいと思いますが、さしずめ今苅田さんがおつしやつたように、切迫せるところの、子供を生みたくないところの貧困者があるということを頭の中に御確認いただきまして、よりよきものの誕生は私たちの手によつて次の國会にまた幾らでも出し得るのでありますから、なるべく修正してよいものにして、これを決議するということの努力を私は青柳委員としても惜しみなさるとは思いませんが、ひとつその点御努力願いたいと思います。
  47. 青柳一郎

    ○青柳委員 ただいま御質問の点は、私も同感であります。
  48. 田代文久

    ○田代委員 今ほどの委員長の御発言は、私たちにははなはだ納得が行かないのであります。民主自由党の代議士会を開いて、それによつて決定するまでこの厚生委員会の決定を延ばすとかいう御趣旨のように承りましたが、厚生委員会は民主自由党の厚生委員会でもなければ、また共産党の厚生委員会でもないのであります。ここにおきまして衆目の見るところ討議が盡されたということになれば、政党のいかんに関せず、結論を出すべき義務がある。また責任があるのであります。そういう立場からわれわれは審議いたしておるのでありまして、委員長のそういう発言は、はなはだ私は不謹愼ではないかと考えます。なお堤委員の申されました通りの提案を御採決になるように要望いたします。
  49. 青柳一郎

    ○青柳委員 私は委員長の言葉を、こうとつたのであります。民主自由党といたしましては、現在におきましてこれについてなお愼重を要するものがある、こう考えておるのであります。從いまして愼重にこの結論を早く見出したい。本日きめることについては反対であるという意向のように私はとりました。
  50. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 今田代委員から、委員長の発言は不謹愼であるとのおしかりを受けましたが、私の申し上げたのは、青柳委員の意向はそういう点にあるのじやないかということを推察して申し上げたのでありまして、この問題をきよう何が何でも採決をしなければならないということはない。まだ会期が三日もあるのでありますから、より衆知を集めて、より愼重にしようという形の進み方には私ははなはだ好感を持ち、さよう進みたい、かように考えております。
  51. 田代文久

    ○田代委員 これは厚生委員会の審議に参加いたしております全委員の方が認められたと思うのでありますが、今委員長の御発言と、それから國立病院を特別会計にするという問題、あるいは健康保險の問題の審議ということにあたりましては、共産党、社会党におきましてもまだ十分審議が盡されていない。また十分に質問もいたしたいということをしばしば要望いたしたにもかかわらず、それほど重要な法案の審議にあたりましては、強引にすぐ結論を出すというところまで持つて行かれたのでありますが、本案にのみ、まだ時間があるから十分やれ、民主自由党の意見を十分聞かなければならないということは、はなはだわれわれは納得が行かないのであります。そういう審議方法がとられますならば、われわれは國民に対してどういう責任を負うべきか。私は堤委員の提案の採決をぜひとつていただきたいということを要望いたします。
  52. 松谷天光光

    ○松谷委員 私は青柳委員にちよつとお尋ね申し上げたいですが、先ほどから青柳委員が疑念をお持ちになつておられる重要な点が三点あつたと拜聽いたしました。いわゆる生活保護法第二條との矛盾の問題、あるいはまた法務廰の見解の問題、あるいはまた人口問題、こういう問題に対して一つの疑義を持つということは、あるいはまたその問題に対する解決を十分持たなければならないということは、民自党の方ならずともこれは國民全体がひとしくやはり疑念を持ち、そうしてその問題を一刻も早く解決しなければならない根本的な問題だと思います。しかし今日の現状を見ましたときに、先ほどから堤委員あるいはまた苅田委員が、今日の、ことに貧乏家庭にみごもられておる女性の眞劍な叫び、それによつて一刻も早くこれを國会で成立したいというこの熱烈な御意見というものも私は同感せざるを得ない、せなければならないのがあると思います。それで今回、これは率直に伺うものでありますが、巷間傳わつておるところでは、今議会で問題になつておるこの優生保護法の改正について、民主自由党はこれを流さんとする意図があるというようなもつぱらのうわさでございますが、今ここに二、三日の余裕があるから、あるいはまた委員長の説明によりますると、民自党はこれに対する修正をお考えになるやも知れんというような点がございますが、この二、三日の間にあるいはまたそうした修正というものが、せつかくここに出て参りましたこの本改正案というものに対する通俗に言われるいわゆる骨抜き案というようなものをお考えであるのじやないか。あるいはこれを最後に参りまして、いよいよ期間がないからというようなことで流すようなことをなされる御意思はまつたくないのであるかどうか。先ほど青柳委員が、本法案を成立させるのに自分はやぶさかではないと思うとおつしやつたその言葉に、これはこの法案の意義を十分含めて、そうしてなお本法案をそのまま通過させてもよいという意思がおありになるかどうか、その点をたいへんぶしつけではなはだ失礼とは思いますが、最も疑念とされる点をお伺いいたします。なお先ほど青柳委員が御指摘なされた人口問題その他の三点につきましては、衆参両院で、あるいはまた政府もともに協力されて、そして眞劍にこの問題を解決していかなければならない。私ども特別な研究の方向にまた進んで行かなければならないと考えるのでありますが、この点は先ほど堤委員のおつしやつたいわゆる二段構えで私はやはり進まなければならないのではないか。でき得る限りこの法案はすみやかに決定したいと私も考えております。この二点について伺いたいと思います。
  53. 青柳一郎

    ○青柳委員 どうも私に対する御質問ばかりありますが、私の先ほどの発言に対しましてある程度の御承認を得たようなお言葉がありまして、その点は厚く御礼を申し上げます。ほかの方々のおつしやいましたように、貧乏な人はほんとうに困つておるのだ。一日も早くこれを解決したいという点につきましては、私もよく存じておるのであります。この二つの間に煩悶しておりますのが私なのであります。結論としましては、でき得るだけ早く結果を得たいのでありまして、決して骨抜き案を考えているのではありません。いろいろな難点を解決してのいい案が、できるだけすみやかにできあがることを私は望んでおるのであります。引延し云々というのではなく、いたずらに初めから結論を求めるということを考えるべきではなく、でき得る限り、まだ会期もあるのでありますから、納得が行つてから、解決したい。もちろん改正する場合もありましよう。私は骨抜きにしようと思つておるものではございません。またできるだけ愼重な審議をいたしたいという存念に燃えておるものであります。それだけを申し上げておきます。
  54. 苅田アサノ

    ○苅田委員 私はできるだけ愼重な審議ということは非常に賛成でございまして、その意味でひとつ私は、ここの厚生委員会の慣例としてほんとうの愼重なる審議をしたいという欲望が強い場合には、いつでも今回のような処置がとり得るということをこの委員会の慣例として認められた上で、この問題は会期のうちに解決を見出す。必ず本会期のうちに採決まで行くという條件と、それから今後の審議にあたつては、十分に得心の行くまで、ほかの場合にも――これは民自党に限らず、共産党でも、社会党でも、労農党でも、そういう態度で審議をやつていただくということは非常に賛成なので、こういう二つの條件をつけた上で、私は本会期中に必ず上げる、結論を見出す、こういうことでございましたならば、きよう採決をしないということについて賛成いたします。
  55. 堤ツルヨ

    ○堤委員 これは非常に注視の的になつております。私は厚生委員といたしまして、この國会中に決をとつて、そしてやはりさしずめの人を救つて行くというような手が打てなかつたならば、これは厚生委員としての常識を疑われるとさえ思うのであります。でありますから、たとえば戰爭未亡人を救います場合にも、民主自由党の方々が強調されましたように、言つていても始まらないことはあとまわしにして、さしずめの手を打つて行つて、二段構えで行こうではないかとおつしやつたのでございます。こういう考えのもとにどうか民自党にお帰りになりましたならば、さしずめ窮乏せるところの貧困者を救うという手を打つて、そうして残された問題を檢討してさらによきものを生んで行くというお氣持でもつてお傳え願つて、松谷委員が指摘されましたように民自党がこれを流さんとしているというようなうわさが実現しませんように、ひとつ民自党の方々に正式にお願いしておきたいと思います。
  56. 田代文久

    ○田代委員 本問題はもう質問者もなくなつております。本委員会におきまして何をまだ明日、明後日まで延ばされるか、私は運営上理解ができないのであります。まだ質問の通告があり、また委員の方がこういう点について御質問したいという御要望があれば別ですが、御承知の通り全部の方が質疑されております。もはや結論を下せるようになつております。何ゆえにここ数日を延ばされるか、私たちはそういう点では明らかにこの委員会の権威をはつきり理解しているわけであります。その点ぜひとも本日これに対して結論を出す段階に來ているということは言えるのであります。かようにとりはからつていただくことを要求いたします。
  57. 青柳一郎

    ○青柳委員 私は本委員会の権威のために、人口問題の権威者を呼んでいただいて意見を聞くことを保留しておきます。
  58. 松谷天光光

    ○松谷委員 ただいまの青柳委員の御意見による参考人を呼んで人口問題に対する意見を伺うことになるというのですが、ただ政府委員に出てもらつて人口問題の研究所の方に意見を聞くということをなされば、それで納得行くというふうに解釈してよろしいのでございますか。それが委員会としても今会期中、御承知の通りあと二、三日の間にそれが通りまして、そうして解決して行けるという見通しが委員長にもおありでしようか。
  59. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 私へのお尋ねでありますが、私に先ほど苅田君の御心配になりましたりと反対に、人口問題をも考えましてこの程度のものではまだなまぬるい、もつと拡大強化した大幅なものに修正したいというのが私個人の意見です。私は委員長代理になつていますが、委員長がおられたら私の意見も申し上げる予定でおりましたが、ちようどおられませんので、そこへ持つて行くのに精神的意味の上からも、なるべく貧困者だから子供を産まなくともいいというような感じを持たせないように、もしそういう感じを持つとすれば、その原因を経済的事情、あるいは敗戦の事情からそういうことになつて、食糧とか経済が主で人間が從になる、人間は要らぬという解釈を持たすということも芳ばしくありませんし、もし貧乏人は子供を産まなくもいいというような誤つた解釈をする人があるとするならば、國家のために役に立たない老人や病人は死んでもいいというような昨秋の筆法で行けば、解釈も成立つかも知れませんが、そういうひがみを敗戦國民に與えることにゆゆしきことであり、また経済的事情のみによりまして妊娠調節をやれる、人口問題の処理をするという考え方に全体主義的なイデオロギーでありまして、われわれはナチスの思想をとることには反対である。いろいろな意味からもつと大幅のものにこれを持つて行きたいという考え方をもつて個人的に述べております。この修正の幅を縮める、骨抜きにするという意味でございませんで、もつと大幅のものにしたい、そこにいい文句を皆さんにも生み出していただくというのが私の希望であります。これはあと懇談会にしようではありませんか。
  60. 松谷天光光

    ○松谷委員 ただいまの委員長のお話にも大分各委員とも意見があるようでございましてなおこれは先ほど苅田委員が提案されましたあらゆる法案は愼重審議を期すというのが國会の権威のために絶対必要である、これはどの委員も異議なかろうと思う。この法案のみに限らず、今後ともこの委員会に関しましてやろうじやないかということが一つ、そうして但しこれを今会期中に決定することという條件を付していただきまして、本日はこの程度にして、あとは懇談なりあるいは次会に讓つていただきたいと思います。
  61. 堤ツルヨ

    ○堤委員 私は誤解がないように申し上げておきます。ただいま委員長が個人の意見としてお吐きになつた、より強化拡大されることはたれしも望んでおる。これは民主自由党だけではございません。理想的なものがほしいということは同じ程度御意見をお持ちになつているのでありますから、私の二段構えに御賛成あらんことを切に希望いたします。
  62. 今泉貞雄

    ○今泉委員 採決するかしないかという問題には大分議論があるのでありますが、十三條の三に盛られておりまする案文は、われわれといたしましては大いに修正を加え、また各方面の権威者を呼んで、現に数人子供を産んでおる人が、さらに妊娠するというような漠然たることでなしに、もつとはつきりした案文をつくる必要があるように私たちも考えておるのでありまして、もしここに人員問題の権威者を呼びまして、それらの人々の今までの研究の結果を発表していただき、そうしてわれわれがそれらによつて結論を得ることができまするならば、今回の会期中にこの問題を解決するということも絶対に必要である、かように私は考えるのであります。しかしながらこの問題を一日も早く決定するということは、われわれといたしましても必要であることを痛感いたすものでございますが、もし結論を得るに至らず、この大切なる三日間をこの問題の解決のために努力を拂いまして、結論を得るに至らなかつたならば、次の機会に讓るということもでき得るのでありまして、與えられたる三日間を有効に、十分にこの問題の審議に盡すということはわれわれも努めなければならぬ、かように考えるのであります。
  63. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 それではいろいろ御議論もございますから、田代委員のおつしやる通り、厚生委員会の委員のお氣持をはつきりさせる意味において、この問題を本日質問を打切るか打切らないかということについての動議の採決をいたします。青柳委員の動議、当議案は愼重審議を要するので、まだ会期も三日も残しておりますからこれを続行するという動議に御賛成の方の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  64. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 起立多数。ついで堤委員の、審議は本日をもつて打切り、ただちに討論採決に入るべしという動議に御賛成の方の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  65. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 起立多数。それでは青柳君の動議である審議継続ということに決します。できるだけ早くこの問題に対して審議を続行したいと存じます。なおそれ以前に私個人の考えとしまして、これは党派問題ではございません。懇談会をつくる機会を急速にいたしたいと存じます。どうぞ御了承願います。
  66. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 次に請願日程の審査に入ります。まずお諮りいたします。日程第七、第八及び第一〇、遺族援護対策に関する請願文書表第一六九六号、第一七一一号及び第一七二四号及び日程一一、身体障害者の保護に関する請願、文書表第一七二五号の各請願は、先般当委員会において会議に付するを要しないものと議決した請願と同一趣旨でございますので、今回も同様の決定をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 御異議がなければさよう決定いたします。     ―――――――――――――
  68. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 次に便宜上日程第六、國立療養所増床に関する請願、文書表第一六八六号、日程第九、國立富士病院及び國立善通寺病院の運営に関する請願、文書表第一七二三号、日程第一四、東京同愛記念病院再建に関する請願、文書表第一七九八号、日程第一六、療術調査に関する請願、文書表第一八一八号、以上を一括議題といたします。御発言はございませんか。――  それでは採決いたします。以上の各請願はいずれも会議には付するを要するものとし、採択の上内閣に送付すべきものと議決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 御異議がなければ、そのように決定いたします。     ―――――――――――――
  70. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 次に日程第一二、都市清掃事業に関する請願、文書表第一七五三号を議題といたします。御発言はございませんか。――御発言がなければ、ついで採決いたします。本請願は会議に付するを要するものとし、採択の上内閣に送付すべきものと議決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 御異議がなければ、そのように決定いたします。
  72. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 次に日程第一三、象の輸入に関する請願、文書表第一七六六号を議題といたします。御発言はございませんか。――御発言がなければ、本請願は、会議に付するを要するものとし、採択の上内閣に送付すべきものと議決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 それではさよう決定いたします。     ―――――――――――――
  74. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 次に日程第一五、薩南地区を國立公園に指定の請願、文書表第一八〇六号を議題といたします。御発言ございませんか。――御発言がなければ、前同様採択の上、内閣に送付すべきものと議決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 御異議がなければ、そのように決定いたします。     ―――――――――――――
  76. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 この際、大阪厚生園の患者退院事件に関しまして、田代委員より発言を求められております。これを許します。田代委員。
  77. 田代文久

    ○田代委員 これは前委員会におきましても私が緊急質問いたし、東医務局長から一應の答弁を得たのでありますが、まだ十分納得できないのであります。その後時間の経過とともに、厚生当局といたしましてしかるべく手を打たれたことと存ずるのでありますが、それらの点について質問をいたします。  本事件は、この前も私が質問申し上げましたが、大阪の厚生園におきまして、患者に配給する配給米を病院長あるいは事務長などが不正をやり、またララ物資などの不正をやつた事件でありまして、これは新聞にも書き上げられましたように現在告発されて、病院長、相澤事務長なんかが逮捕されておるような不祥事を起しておるのであります。この際、この問題は一大阪厚生病院に起つた單なる問題のように解釈される向きがあるのでありますが、実はそうではなくて現在の厚生行政、あるいは厚生関係におきましては、これらの不正事件がひんぴんとして起つておるのでありまして、先日私は本会議でも少し触れましたけれども、京都におけるジフテリヤ問題なんかも、單なる部分的な問題ではなくて、現在の厚生行政あるいは官僚機構の全面的な官紀の弛緩、あるいは一部の官僚の腐散堕落、業者等と結託をしておるとか、あるいはまた地方のボスと結託して非常に不明朗なことが行われておるというような、そういう官紀の弛緩が根本になつておるのでありまして、これは單に大阪の一問題ではなくして、あるいは湊病院等におきましても、最近の新聞によりますと、東京都内におきまして、こういう停止関係の役人なんかが不正事件をやつておるというようなことが出ておりまして、國民の税金によつて出されました貴重な金を、世の中で最も生活が貧困をきわめているとか、あるいは最も同情され、社会保障をされねばならぬそういう弱い方々を助けるために使わなければならぬ場合において、こういう不正事件がひんぴんとして起るということは、断じてわれわれとしては黙過できないのでありまして、そういう全体的な大きな観点から、厚生大臣、あるいは次官その他当局者の御答弁をお願いしたいのであります。  第一番に、全体的にララ物資がこういう厚生省関係なんかにも相当入つておりまして、今回の大阪の問題におきましても、ララ物資を不正に病院長あるいは事務長などが收得したというようなことがあるのでございますが、このララ物資の配給方法は、厚生当局はどういうふうな形でなしておられるか。その全体の收支明細に関して御説明を願いたいということが基本であります。それから大阪の厚生園に対しましては、ララ物資がどういう形で流れて行つて、その不正の内容はどういう形をとつておるかという点の御説明を願いまして、引続き今度の大阪の厚生園におきまするこの患者の強制退院の問題は、病院長あるいはこの病院の幹部諸君の不正に端を発しておりまして、從つてこの前も医務局長は自分たちは一應調査した。そうして調査をして患者がこういう不正事件を起したので、命令退院をさせるのは当然であるというふうに自分たちは認めたというような御答弁でありましたが、その後、私は実際に大阪の厚生病院の患者諸君から詳細な調査をいたしたのであります。ところがこれは医務局長の御答弁と非常に食い違つております。そういつたことにつきまして質問をしますが、とりあえずララ物資の今私が申し上げましたような関係について、御当局の御説明をお願いいたします。
  78. 東龍太郎

    ○東(龍)政府委員 ララ物資の配給の方法、收支等全般の問題といたしましては、これは私の所管ではございませんので、全般のお答えをいたしかねますが、厚生園のみに限らず、私どもの所管いたしております療養所等にララ物資の配給せられます場合におきましては、それぞれ受拂簿を正確にいたしておりまして、そうしてその收支を明らかにして、その明細を府縣に報告することになつております。
  79. 田代文久

    ○田代委員 その明細書はいただけますか。
  80. 東龍太郎

    ○東(龍)政府委員 府縣へ報告いたしましたその写しというのでございましようか。――それならば現地から取寄せることはできるのでございます。なおつけ加えておきますが、厚生園に関するララ物資の問題が最初に取上げられて問題になつておりましたが、ララ物資に関します限りは、府縣の方からも調査に参りまして、その間に帳簿の記載の誤り等はございましたが、いわゆる不正ということはないという認定を得たと思つております。
  81. 田代文久

    ○田代委員 それは今私が申し上げましたように、患者に配給する加配米とか、あるいはララ物資とかいうようないろいろな点で、そういう不正事実あるいは明朗を欠くような社会的疑惑の面がたくさん出ておりますので、それをはつきりさせるために、厚生当局におかれましてはその明細なる資料を委員に出していただきたいということを要望いたしまして、次に進みます。  この前医務局長は、自分たちも大阪の厚生園の問題については調査をいたしたというふうにおつしやいましたが、この前も私が申し上げましたように、その調査は非常に一方的な調査のように私たちに印象を受けましたので、なおそれに対して申しますならば、厚生園の患者諸君、それに直接当面されました患者諸君の方々も調査をしていただかないことにははつきりしないと思う。ただ現在告発されておる病院長あるいは事務長というような連中が、告発される前に東京に参りまして、そうして厚生当局に報告したような調査資料というものではわれわれは納得できないのであります。從いまして、この前私が質問いたしましたその後におきまして、厚生当局は本事件に関しまして、そういう患者諸君あるいは実際にそこに参加されました方々の調査をなさつたかどうか。この御答弁をお願いいたします。
  82. 東龍太郎

    ○東(龍)政府委員 私ども厚生省がその調査をいたしたと申し上げましたのは、一方厚生省の本省から係の者が現地へ参りまして調べましたことと、同時に厚生省医務局の出張所が全國の八ブロツクにございますが、その出張所がそのブロツクにおけ病院、療養所の指導監督をいたしておる厚生省の店でありますので、その出張所長からの報告書を私どもは見ておるわけであります。なるほど今御指摘の通り、ララ物資については一應疑いが晴れたのでありますが、その他の加配米等の問題につきましてはなはだ不祥なる事実のあることは、すでに檢察当局の手における取調べによつても一部明らかになつておると思います。その結果として院長、庶務課長等が拘引せられておりまして、そうしてその事情を十分に調査を受けたことと存じます。現在は四月三十日をもちまして一應勾留を解かれて帰つております。しかしながらこの問題につきましては、まことに遺憾でありますが、不正事実のあつたことと私どもも認定いたしております。從つてその結果につきましては、嚴正なる檢察当局の判断を得ました上で、厚生省としての行政上の処分措置等は十分にいたすつもりでおります。その後いかなる調査をしたかというお尋ねでありますが、その後厚生省から現地へは事務官が参つております。しかしながら、ただいま仰せになりましたような患者一人々々についていろいろなことを調査したかという点につきましては、それはいたしておりません。さような不正なことをやる院長の言うことあるいは書いたものには信が置けないじやないかというお話でありますが、私どもといたしましては、院長にしろあるいは出張所長はもちろん、私どもの、言葉は変でありますが部下としております責任者に対しましては、その人たちを私は無條件に信頼しております。しかしながら、その結果かような不正事件の起るような人が出ましたことは、それを信用した私が悪いのでありまして、私はさような飼犬に手をかまれるといいますか、あるいは苦杯をなめさせられることがありますまでに、自分の部下といたしましては、その言動に対しまして全幅の信頼を置いております。信頼を置かずにこれらの責任のある仕事を任せるということは絶対にやつてはならないことと思いますので、私はさようなおそれがあるかないかというようなことは考えませんで、その事実が終えますまでは全幅の信頼を置いておる次第でございます。從つてこれらの人々から私あてに提出いたします公文書につきましては、そのことをありのままに私は読むのでありまして、これに対して疑念があり、もしくは調査の必要がありました場合には、もちろんあらためて当方からも調査いたしますが、そうでない限りはその書類を信頼して、私どもの調査として申し上げた次第であります。なおこれにつきましては、その後医務局の療養課の責任ある課長等が参るひまを持つておりませんので、今日まで参つておりませんが、私は最近の機会に療養課長を大阪に派遣いたしまして、ただいまの御質問にありましたような点についての御懸念の晴れますように、調査を命ずるつもりでおります。
  83. 田代文久

    ○田代委員 こういう加配米あるいはララ物資というような問題で、また地方の大新聞、一般新聞の大問題になつておるような問題で、また刑期なら刑期がはつきりいたさないと手を打てないというような話もないじやないが、こういう問題が起つて、そうしてそれほど輿論がわいておるような問題でありますと、これは当然厚生当局といたしましては、はつきり刑期が決定いたさなくても行政処分をするということは、社会の輿論に対しましてもこたえる道でありまして、私はそういう点でひいきの引倒し、臭いものにはふたをしろというような立場で処置されることはいけないと考えますので、そういうふうに私は十分責任ある態度をとつていただくことを要望いたします。  その次に、この前医務局長が申されたことですが、マイクを使用したから云々、これが三人の患者諸君の強制退院の重要な直接的な原因になつておるようでありますが、私たちが調べたところによりますと、実はこういう病院長あるいは事務長というような連中のやり方というのは、端的にそういう告発され、あるいは豚箱に入れられるというような最後のどたんばに行く前に常に充満しておつたのでありまして、たまたまこのマイクを使用する前日、ララ物資の問題が暴露された。以前にもそういう配給米の問題などがあつて、そのとき当局の説明によりますと、今後こういうような不正があれば、病院はララ物資の問題あるいはその他の問題に対して、倉庫のかぎを患者に渡すというようなことを言われたというのでありまして、そういうことを言いながら、――病院は、この不正事件が起りましたときに、そういう不正がある場合には、患者の意見を十分聞いて倉庫のかぎを渡してもいいと言いながら、今度こういう問題が暴露されることになつたところが、それを受けずに、患者に約束したことを反古にしてしまつた。そこで患者たちが、こういうことをされると、自分たちの食糧に関係するような重要な問題であるから、治療に直接影響し、からだが破壊される。しかも病院の直接の責任者がこういうことをやつていたのでは、自分たちの生命や健康が不安でたまらないというので、そのことを実はマイクを使つて放送したところが、マイクの使用を禁止してあるのにまた使つたということが非常に問題になつたわけであります。しかしマイクを使用したこと自体は何ら理由にならないのでありまして、実はマイクはその前にも自由に使われておつたのでありますが、病院の首脳部の方において臭い問題が起つたので、それを押えるために急にそういう処置がとられたのであります。また一方、衞生的な見地からマイクの使用を禁じたというようなことが言われておるのでありますが、それは單にマイクに限つたことではないのでありまして、電話は依然として使用されているところを見ますと、明らかに不正問題の暴露を恐れてそういう処置をとられたとはつきり言えるということを、患者諸君が言われておりますが、この点に関しましてはいかがでありますか。
  84. 東龍太郎

    ○東(龍)政府委員 この前、次長からお答えをいたしました中に、退所の処置をとつた理由があげれておつたためでありますが、要するに、療養所内の秩序を維持するとか、あるいは患者の療養に関しての方針を定めるというような事柄は、すべて所長の双肩にかかつていることであります。ただいまのお話によりますと、マイクの使用ということに大した問題ではない、それがために何も退所を命ずるほどのことはないではないか、しかもそれは自分たちの痛いところをつかれることを回避するためにやつたことではないかという御判断のようでありますが、私は、本人がどういう氣持でやつたのか、そうでなかつたともそうであつたとも、お答えはいたしかねるのであります。しかし事柄は、マイクの放送があつたから不正の事件が暴露せられるとか、あるいはなかつたから暴露せられないというようなことではないと思います。とにかくその理由のいかんは別といたしましても、一應マイクの使用を禁止するということがきめられたあとで、それをしいて使つた、しかもその場合に、無断で使つたというだけではなく、所の制止をも聞かずして使つたという行動から、結局所長としては、これでは所内の秩序を維持することもできないという判断を下さなければならないような事情になつたものと存ずるのでありまして、このことについてのわれわれの調査が一方的であるという御意見もこうむつておりますが、なるほど所長その他の側に立つての見方に相違ございません。しかしながら、また患者の方から言われることも、やはり患者の側から見られた一方的のお考えたと思うのでありまして、おそらく眞理は中間にあるのではないかと想像いたしております。ただしかしながら、その当時の所長が、退所してもらうのが所の秩序維持のために最良の方法であると信じていたしたことであると思いますが、それが実際に行われましたのは、すでにその所長が所を去つて、所長の職を代理する者が、やはりその所長のとつた処置を正当であると信じて行つたことでありまして、最初の所長の命令の意図が何であつたかはわかりませんが、実際の退所の処分をいたしました後の違つた人の意図とは同じでないことは明らかであります。從つて新しく所長の職をとつておる人が、やはり退所せしむべしという判断のもとに行われたことでありますので、私どもとしてはその処置の報告を受けてこれを是認したわけであります。
  85. 田代文久

    ○田代委員 最後に結論的に御質問いたしますが、その次には、タバコをのんだ、あるいは酒を飲んだ、無断外出をした、そうして所内の秩序を乱して入室禁止の部屋に入つて、暴力を振つてマイクを使用したので退所せしめたということがその理由でありますが、私どもの調査によりますと、入室禁止の部屋というのはマイク室をさすと思うけれども、今申しましたように、これは事件後に入室を禁止されたのであつて、実はその室には菓子屋さんが宿泊しておつて、自由に出入りをしている。入室禁止の部屋でも何でもない。また暴力をもつてと理由書に言われておるけれども、その暴力とは大体どういうことか。実際に結核患者で暴力を振るうことができる余地もなければ、またそういう力もないのであります。実際においては、從業員の方こそ暴力をもつて患者を引きずり出ししたというように、私の調査では出ておりますが、この点はいかがでありますか。
  86. 東龍太郎

    ○東(龍)政府委員 入室を禁じてあつた部屋というのは、おそらく放送室であろうと思います。私の方では、その部屋が入室を禁止してあるような実情でなかつたということは承知いたしておりませんが、ただいまの御調査の結果を伺いまして、なおこの点を明らかにいたしたいと存じます。  暴力を振つた具体的の事実云々ということでありますが、このことにつきましては、私どもの報告書にも、いかなる行動を実際に行つたかという詳しいことは載つておりませんが、私が聞きました記憶にもし間違いがなければ、何か人体以外にほかの物をもつて、その場に立ち会わした者は、それによつて危害を加えられると考えたような状態であつたということを聞いているのでありますが、ただいま田代委員からお聞きいたしました事柄をもとといたしまして、なお一應よく調べてお答えいたしたいと存じます。
  87. 田代文久

    ○田代委員 その次に、強制退所させるときに警察を動員したという事実は私たちは知らない、三名の退所後には適当な処置をとつた、三名がおるために何百人もいる患者諸君が迷惑であるから退所せしめたというようなことが退所理由としてございましたが、私たちの調査によりますと、警察が動員されたことは明らかな事実でありまして、團警本部から三十名近くの私服警官が当日動員されております。それはその場におつた人が立証いたしております。特に地元の警察署の警官で、患者諸君も顏を知つておるのですから、その席上に警官が動員されたことは明らかであります。特にこの退所せしめる際に、二名の患者にそれぞれ警官が一、二名ずつ保護と称して自動車に乗つて負つたことが明らかで、これは医務局長も認められたことであろうと思いますか、退所後の処置につきましても、一名はかの療養所に移されたとおつしやるのでありますが、それはただ預かつただけで、その病院では、命令退院をさせたような患者は入所できないというようなことを言つて、非常に病状が悪化した。一名の方は喀血してから日も浅く、なお血痰を出しつつあるというような患者でありまして、この患者さんは三名ともDクラスの人で、非常に病状が重く、結核菌をどんどんまだ排出しているというような患者でありまして、三人のために何百人もの患者諸君が迷惑であるというような御説明でございましたが、実際現在そこにおられる数百人の患者諸君が、強制退所せられたことは、自分たちも非常に遺憾で、自分たちは反対であつて、ああいうことをなすベきではないということを署名運動を起して、名前を書いたものを私の方に届けておるような実情であります。この点において患者諸君が迷惑されておるということはわれわれは認定できるのであります。この点につきましての御答弁をお願いいたします。
  88. 東龍太郎

    ○東(龍)政府委員 第一の警察官を動員云々の問題につきましてのお尋ねでございますが、これは私どもとしてはお答え申し上げかねることであります。少くとも私どもがこちらの指令で警察官を動かしてもらつて強制退院させよう、さようなことをいたしたのでないことは明白に申し上げておきます。  それから患者の処置につきましては、なるほど私どもの方の規定によりますと、ある療養所で退所を命ぜられたというような人は、その他の療養所においてもおそらくやはり同じような理由でさような不幸の結果になるようなことも予想されるわけでありまして、これは他の療養所もそのまま受入れられないのは当然であります。しかしながらこの患者は、私が聞いておりますところでは、もともとその第二の療養所からこの厚生園の方へ移つて來られた方でありますので、もとの療養所におきましても、それを引受けることに対しては異議がなく、少くとも最近はそれは円満に解決して正規に入所とておられると私は信じております。それから他の二人についても、病状が相当重いのにしいて退院さしたということと、他の患者の大多数の方がこの処置に対して遺憾の意を表しておられるということでありますが、私どもも患者の署名のありました陳情書は受取つております。陳情書には仰せの通り多数の方の署名が中に入つておりますが、しかしながら私はこれだけの陳情書がありましたから私どものとつた処置が全然間違つておつたのだというふうな御判断に対しては、遺憾ながら私は納得いたしかねるのでございまして、この点につきまして患者皆さんのお氣持がどういうふうであるかという事柄は、今度参ります療養課長におきましても十分これを調査いたしておると思います。
  89. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 ちよつと田代委員に申し上げますが、実はこの部屋を正一時から他の委員会が使うことになつておりますので、意見だけ簡單にお願いいたします。
  90. 田代文久

    ○田代委員 なお四月二十八日の午後七時ごろ、山本副院長を先頭に約百名近い從業員が動員されて、そうして三名の部屋に来て、強制退所をせしむるという理由で、うむを言わさず荷づくりをするとか、あるいは三名の重症患者を手取り足取りして退所さした。特にこの三名のうち一名の患者の部屋におきましては、ドアをたたき破つて入り、また裏から窓をはずして進入し、そうして寝ている患者を引きずり起し、窓から突き落す。そして胸ぐらをつかんでひつぱり出して、時間が遅いから待つてくれというのも聞かずして患者さんが報告しております。そうしてこの騒ぎの中で、非常に安静を乱されましたこれに関係のない患者が、この山本副院長に、どうか静かにするようにとりはからつてくれというように申されたにもかかわらず、副院長はそれを拒否した。ためにこの患者さんは翌日死亡いたしております。こういう点を考えますと、医者としての立場を無視して患者に多大の迷惑をかけており、みずから治療生活を踏みにじつたる山本副院長こそが、まつたく人権蹂躙をやつているのじやないかということが言えるのであります。全体のこの患者あるいは付添、あるいは外部の第三者というような人たちが、この事件に関しましては非常に憤慨しておるのであります。その当日從業員は実は酒を飲んだりしておる。あるいは看護婦は当直をしておらず、まつたく所内の秩序は乱されておつたというような実情であるということが、私たちの調査では出ておるのであります。命令退院が大体不当であるという考え方から、患者会は大阪地方裁判所に訴えまして、その第一回の公判が四月二十三日に行われたのでありますが、患者会におきましてはそれによつて黒白がはつきりついたら、その上で善処したいというような譲歩的な意向であり、第二回公判が五月の中旬くらいにあるということになつておつたにもかかわらず、その前の四月二十八日にこういう暴挙があえて行われたのでありまして、人道上から申しましても、また社会の保障、あるいは遺憾的な観点から申しましても、私たちは断じてこれは納得できないのでありまして、医務局長のお話では自分の部下を信頼する、それはもつとものことでありまして、ぜひとも信頼していただかなければなりませんけれども、こういうような事態が起つておることに対しまして、これを信頼されるということは、はなはだ不可解なことになつて来るのであります。從いましてこういうことが起れば、当然厚生当局といたしましては直接に行つて、自分みずからでも行つてこれを詳細に調査されて、ただ一方的に院長なりあるいは医務局長というような人たちの意見ではなくて、なぜ患者側の、むしろそれに当面しておつた人々からの客観的な冷静な判断なるものを聞かれないか。御答弁によりますと、最もわれわれが同情しなければならぬ患者諸君の調査、患者をいかに救わなければならないかという立場から解決策がとられておるようには見えないのであります。実はもうすでに先ほどお話がありましたように、当日は出張所長の藤原九十郎という人もそれに行つておるのであります。そうしてこれは厚生省の出店の長でありますから、端的な責任者であります。それが副院長と一緒の所に行きながら、それを傍観しておつて、そうして何らの手も打つていないというような点は、いかに一方的に不正が行われておるかということを私たちは言わざるを得ないのであります。私はこういう点に対しまして、厚生当局としてはどういうような処置をなさるつもりかということをお尋ねいたします。
  91. 東龍太郎

    ○東(龍)政府委員 ただいまお述べになりましたような事柄は、全部そのまま事実そのものであるのにもかかわらず、なお私がその処置を是認しておるというのであるならば、これははなはだ不可解なことだと存じます。しかしながら私どもが得ております報告に基づきますと、必ずしもさような人権蹂躙と判定されるような行動があつたとは思いません。なるほどその退所の現状は、遺憾ながら静かに何らの騒ぎもなく、それが円満に行われたという状況でなかつたのでありますが、ただいまのお話を拜聽いたしますと、すべてそれは所側のみの非であるかのごとくとれるのでありますが、この点については意見にわたると思いますので、私も言葉を差控えますが、私どもといたしましては、その際に許される限度内において行われた強制退所ということとしては、やむを得ない程度のものであつたと存じておるのであります。從つてこれを一方的なやり方だという立場であるならば、もはや何も申すことはないのでありますが、私どもといたしましても、その実情は十分につかむように努力はいたして参つたつもりでありまして、もしその事柄の中に人権蹂躙というようなことがありましたならば、これはこの前も申し上げましたが、私どもといたしましては、いかなる責任をもとる覚悟でございます。  それから今御指摘の、出張所長がおりながら云々というお話があつたのでありますが、これは私の知つておる限りにおきましては、出張所長は現地に参つていないと信じております。從つて院長、副院長を制止するとか、あるいはまたそれに対して適当な指示を與えるということはいたさなかつたと思いますが、本人は現地には参つていないと、さように承知いたしておるのであります。總括的に申し上げまして、かような事件が療養所で起りますことは、私としてはまことに遺憾でもあり、またまことにつらいのであります。もともと結核の療養のために多数の人々を預かつておりながら、かような事件の起きますことは、これは何としても私としてはあきらめかねることなのでありまして、このことにつきましては、過去二年半以上、何回となく苦しい立場に立つておるのであります。從つて今回の問題につきましても、これを円満に解決しなければならぬということは、当時から考えておりました。しかしながら私自身が現地に参りまして一々の指揮をして、あるいはそれは最良の方法であるかもしれませんが、私も体一つで全國の療養所も多数に持つておりますし、その他の用務も持つておりますので、そう一々参るわけにも参りません。しかしながらこの途中におきましては、一度大阪に参りました。そうして当時はちようどララ物資の事件もやや解決に近づいたときでありまして、その問題までのことは、自分で調査もいたしますし、あるいは処理もいたして参つたのでありますが、それ以後は私は参つておりません。從つて今回は私のかわり、と申すよりも、むしろこういうような問題につきましては、私よりも長い間の療養所運営についての経験のある私の方の尾村療養課長を出張いたさせまして、私みずから私の考え、方針等を十分に授けて、そうして現地の実情を今一應徹底的の調査をいたすつもりでおりますから、さよう御了承願います。
  92. 田代文久

    ○田代委員 本会議も始まつておりますし、一應この点は打切つておきまして、次の機会に總合的な質問をさしていただきたいと思います。
  93. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 なおこの際松谷委員から東医務局長に簡單に発言のお申出がございます。これを許します。
  94. 松谷天光光

    ○松谷委員 本日委員会においてすでに採択されました請願、國立富士病院運営に関する点にも関連いたしておるのでございますが、先ごろ國会を通過いたしました國立病院特別会計側の問題を審議いたしました際、私どもは全員これが國立病院の独立採算制への第一歩ではないのであるということを、十分意見を付し、また当局もそれを了承されたと確信いたしておるのでございますが、この國立富士病院におきまして、この法律案がいまだ國会を通過いたしませんその時期において、すでに國立病院が独立採算制になるのであるという院長の誤認から、すでに病室の入れかえなどが始められようとする計画を立てられた。これは東局長などは十分御承知でおありになるだろうと考えます、事前に厚生省のごあつせんもあつたと聞いておりますが、この問題は無事に解決を見たようではありますが、この富士病院に現われました一つの危險性を私どもは厚生委員会でも再三当局にもただし、われわれもこの危險を何とか防がなければならないと考えておつたのでございます。その矢先具体的な例がここに示されて参りましたので、これはひとりこの病院だけにとどまらずして、また他にもこうした十分な法の解釈というものがなし得られない場合があるのではかいかと懸念いたしますので、これを機会にひとつ医務局長から全國の國立病院にあてまして通達を出していただきたい。少くとも今回の國立病院特別会計制は、独立採算制への第一歩ではないのであるという、その法の解釈の点につきまして、通達を発していただきたいと思いますが、局長はいかがお考えでありますか。
  95. 東龍太郎

    ○東(龍)政府委員 お答えいたします。実は特別会計制の話が世の中に廣まりましたために、施設によりましては、多少早まつた計画を立てたところのあることは私も聞き及んでおります。それで昨日並びに一昨日の二日間、全國の國立病院院長全部を招集いたしまして、いろいろ議題はございましたが、特に特別会計制――と申しましてもまだ國会を通過いたしておりませんが、目下衆議院で審議中ではありますが、これが実施せられるという仮定のもとに病院長といたしまして、今回の國立病院特別会計制というものをどういうぐあいに解釈せらるべきかということについて、十分懇篤な指示をいたしました。そうしてただいま仰せの通り、独立採算制にあらざるものであり、また將來においてもわれわれは独立採算制への第一歩として考えているのではない。これは本質的に独立採算制ならざる特別会計である。從つてこの國立病院の使命の達成に支障のあるようなことまでして收入をあげるというような考えに全然拂拭してもらいたいということ、その他両院におきまするこの特別会計法の審議中に、いろいろと予想される危險、危惧等についての御発言等をも十分参酌いたしまして、院長には間違いなく申したつもりでございます。從つて私たちといたしましては、今通牒等の必要は実際にはないと存じております。それからまたこれはひとり院長のみでは不徹底でありますので、実際に会計経理をいたします庶務会計担当責任者も同様な思想統一を必要といたしますので、これらにつきましても六月にブロツクごとに――おそらくブロツクごとになると思いますが、各ブロツクごとに招集いたしまして、特別会計の事務的な一切を調査いたしますと同時に、その思想的な統一をいたしたい。さように存じますので、御了承を願いたいと思います。
  96. 松永佛骨

    ○松永委員長代理 本日はこれにて散会いたします。次会は公報により御通告申し上げます。     午後一時十一分散会