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1949-04-09 第5回国会 衆議院 本会議 15号 公式Web版

  1. 昭和二十四年四月九日(土曜日)  議事日程 第十三号     午後一時開議  第一 通信事業特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)  第二 公團等の予算及び決算の暫定措置に関する法律案(内閣提出)  第三 專賣局特別会計等の昭和二十四年度の予算の特例に関する法律案(内閣提出)     ――――――――――――― ●本日の会議に付した事件  日程第一 通信事業特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)  日程第二 公團等の予算及び決算の暫定措置に関する法律案(内閣提出)  日程第三 專賣局特別会計等の昭和二十四年度の予算の特例に関する法律案(内閣提出)  地方財政法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)  松本治一郎君追放に関する緊急質問(田中織之進君提出)  國税徴收方法に関する緊急質問(中西伊之助君提出)  民間企業における賃金不拂に関する緊急質問(前田種男君提出)  賃金未拂問題に関する緊急質問(春日正一君提出)     午後一時十七分開議
  2. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――  第一 通信事業特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)  第二 公團等の予算及び決算の暫定措置に関する法律案(内閣提出)  第三 專賣局特別会計等の昭和二十四年度の予算の特例に関する法律案(内閣提出)
  3. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 日程第一、通信事業特別会計法の一部を改正する法律案、日程第二、公團等の予算及び決算の暫定措置に関する法立案、日程第三、專賣局特別会計等の昭和二十四年度の予算の特例に関する法律案、右三案は同一の委員会に付託された議案でありまするから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大藏委員長川野芳滿君。
  4. 川野芳滿

    ○川野芳滿君 ただいま議題となりました三案につきまして、大藏委員会における審議の経過並びに結果について概略御報告申し上げます。  まず、通信事業特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。  今回改正しようとする点は、通信事業特別会計に新たに郵政勘定及び電氣通信勘定を設けようとするものでありまして、かような改正を必要といたしまする理由は、本年六月におきまして逓信省が郵政省及び電氣通信省に分離いたすことになつておりまして、その場合には、現在の通信事業特別会計が廃止せられ、新たに郵政事業特別会計及び電氣通信事業特別会計が新設せられることになりますので、それまでの間、通信事業特別会計に新たに郵政勘定及び電氣通信勘定を設けましてこれを経理し、新旧会計間の事務の円滑なる引継ぎ並びに該当会計予算及び決算の適正を期することといたそうとするものであります。  次に、公團等の予算及び決算の暫定措置に関する法律案について申し上げます。  まず、この法案目的といたしますところについて申し上げますと、公團、復興金融金庫、庶民金庫、船舶運営会、持株会社整理委員会、閉鎖機関整理委員会及び証券処理調整協議会―― 以下これらを総称して公團等と申し上げることにいたしますが、これらの公團等は、政府関係機関として國務を代行いたしております関係上、その経理の適正明確を期するため、各機関の予算につきまして國会の議決を経させる等の措置を講ずる必要があるものと認められますので、詳細な基準及び手続を確立いたしますまで、とりあえず暫定措置といたしまして、昭和二十四年度から大体國の予算及び決算の例にならひましてこれを実行して行こうとするものであります。  次に、この法案に規定しております主なる点について申し上げますと、次の五点であります。すなわち第一は事業年度に関するものでありまして、昭和二十四年度から、國の会計年度と同樣、毎年四月から翌年三月までを一会計年度といたしております。第二は予算の作成、提出及び議決に関するものでありまして、予算はこれを公團等において作成して、主務大臣を経て大藏大臣に提出し、大藏大臣はこれを檢討し、また必要なる調整を加えまして、閣議に提出し、その決定を経た上、内閣から國会に提出してその議決を経ることといたしております。第三は予算の形式及び内容に関するものでありまして、公團等の性質に適合するように大藏大臣が主務大臣と協議して定める点を除きましては、大体國の予算にならうことといたしております。第四は予算の実行に関するものでありまして、予算は國会において議決された目的以外にこれを使用することができないことといたしておりますが、予算執行上の必要に基きまして、あらかじめ予算をもつて國会の議決を経た場合は、國の予算執行の場合と同樣、一定の制限のもとにその移用、流用ができることといたしております、第五は決算に関するものでありまして、決算報告書はこれを公團等において作成して、主務大臣を経て大藏大臣に提出し、大藏大臣はこれを審査いたしまして内閣に送付し、内閣は会計檢査院の檢査を経た上、國の歳入歳出決算とともに國会に提出してその承認を経ることといたしております。  次に、專賣局特別会計等の昭和二十四年度の予算特例に関する法律案について御説明申し上げます。  本案は、六月一日から日本專賣公社及び日本國有鉄道が設置せられ、また逓信省が郵政省及び電氣通信省に分割せられるに関連し、昭和二十四年度予算の取扱上の特例を設けんとするものであります。  すなわち第一点は、日本專賣公社及び日本國有鉄道の設置に伴い、專賣局及び國有鉄道事業の各特別会計はこれを廃止し、また通信事業特別会計はこれを廃止して郵政事業特別会計及び電氣通信事業特別会計を設置するにあたりましては、昭和二十四年度予算は、專賣局、國有鉄道事業及び通信事業の各特別会計は四月、五月の二箇月分の予算を作成し、六月以降十箇月分は日本專賣公社、日本國有鉄道、郵政事業特別会計及び電氣通信事業特別会計の各予算をそれぞれ作成すべき性質のものでありますのを、予算の作成、提出及び実行の手続上の便宜から、專賣局、國有鉄道事業及び通信事業の各特別会計昭和二十四年度予算と、六月から新設される日本專賣公社、日本國有鉄道、郵政事業特別会計及び電氣通信事業特別会計予算とを作成し、國会に提出することができることにしようというのであります。  第二点は、右によつて成立した專賣局、國有鉄道事業及び通信事業の各特別会計昭和二十四年度予算及び各特別会計昭和二十三年度予算で、二十四年度に繰越し使用できるものについて、五月中に執行されなかつたものについては、そのまま当然それぞれ新設される日本專賣公社、日本國有鉄道郵政省事業特別会計及び電氣通信事業特別会計昭和二十四年度予算となることとしようというのであります。  右三案に関しましては、それぞれ政府委員の説明を聽取したる後、四月八日質疑に入りました。共産党河田委員よりの通信事業特別会計に関する質問に対して、河野政府委員より、郵政及び電氣通信両勘定の施設共用及びその経理分担、繰入に関する説明、及び從來赤字を生じていた郵政勘定については、五月一日より平均四割五分の値上げをもつて收支の均衡を得せしめんとする計画であるとの説明があり、さらに同委員よりの公團その他の人員整理に関する質問について答弁があり、これをもつて質疑を終え、ただちに討論に入りました。  共産党の河田委員より、通信事業特別会計の一部を改正する法律案については、その企図する独立採算性が大衆負担において行わんとする意味において反対である旨、また公團等の予算、決算の暫定措置については、さきの財政法改正におけると同じく、大藏大臣に権限を集中し、官僚機構を強化するがゆえに反対である旨、及び二十四年度予算の特例については、同じく独立採算制のもとに、從業員の苛酷な労働をしいるものなるがゆえに反対であるとの意見が開陳されました。次に、民主自由党の宮幡委員は賛成の意見を述べられました。続いて右三案を採決いたいましたところ、いずれも賛成多数をもつて原案の通り可決されました。  右、御報告申し上げます。
  5. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 別に御発言がなければ、三案を一括して採決いたします。三案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  6. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 起立多数。よつて三案とも委員長報告の通り可決いたしました。      ――――◇―――――  地方財政法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
  7. 今村忠助

    ○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、地方財政法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  8. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  地方財政法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員長中島守利君。
  10. 中島守利

    ○中島守利君 ただいま議題となりました地方財政法の一部を改正する法律案につき、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法律案は、地方財政法の規定により整備することを必要とされておりまする國費、地方費の負担区分に関する法令の規定を整備する期限を本年六月三十日まで三箇月間延長しようとすることを内容とするものであります。  御承知のごとく、地方財政法は第二回國会において制定せられ、いわゆる國費、地方費の負担の区分につきまして原則的規定を設け、地方財政の安固を期した法律でありますが、同法第十條におきまして、國と地方公共團体とが相互に負担する経費について、その種目、算定基準及び國と地方公共團体とが負担すべき割合は法律または政令でこれを規定すべきことを定めているのであります。しかしながら、その規定の円滑な運営と法令の規定を整備するためには技術的に相当の時日を要することを考慮いたしまして、同法附則第三十七條において、從來現実に國と地方公共團体が相互に経費を負担し合つて來たもので、その負担割合等が法律または政令に規定されていないものにつきましては、暫定的に本年三月三十一日までは從來通りとし、同日までにそれぞれ関係法令を整備すべきこととされていたのであります。しかして政府におきましては、右期日までに関係法令の整備を期して参つたのでありますが、御承知のごとく予算編成に意外の日時を費す等の事情が生じましたため、その期限をとりあえず本年六月三十日まで延期して万遺憾なきを期したいというのが、本法律案に対する政府説明の要旨であります。  本法律案は、去る四月一日予備審査のため本委員会に付託となり、さらに同日本付託となりましたので、四月六日委員会を開いて政府より説明を聽取した後、同日及び今四月九日の二回の委員会におきまして、政府当局と委員との間に二、三熱心な質疑應答を行い、続いて討論採決の結果、全会一致でこれを可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上、御報告申し上げます。
  11. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ――――◇―――――  松本治一郎君追放に関する緊急質問(田中織之進君提出)
  13. 今村忠助

    ○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、田中織之進君提出、松本治一郎君追放に関する緊急質問、中西伊之助君提出、國税徴收方法に関する緊急質問、前田種男君提出、民間企業における賃金不拂に関する緊急質問及び春日正一君提出、賃金未拂問題に関する緊急質問を逐次許可されんことを望みます。
  14. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 今村君の動議に御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  松本治一郎君追放に関する緊急質問を許可いたします。田中織之進君。     〔田中織之進君登壇〕
  16. 田中織之進

    ○田中織之進君 私は、日本社会党代表いたしまして、去る一月二十五日突如公職追放の通知を受け、三十日の猶予期間を経過いたしまして、去る二月二十四日追放が確定いたしました、わが日本社会党の常任顧問でありました前参議院副議長松本治一郎氏の追放問題に関しまして、吉田総理並びに殖田法務総裁その他の関係閣僚に対し緊急質問を行わんとするものであります。  この問題は、すでに三月二十六日参議院において取上げられております。しかしながら、参議院における林副総理並びに殖田法務総裁の御答弁は事実と著しく相違をいたしておるのであります。それのみならず、この松本氏の問題を含めたところの、こうした不当なる追放者に対する救済のための訴願委員会がすでに発足いたしまして、今やその活動を強力に進めようとしておるやさきであります。なお本日の新聞紙を拜見いたしますと、雜誌「眞相」に載せられたところの追放問題に関連いたしまして、民自党の多数の國会議員諸君から、この雜誌の編集者に対しまして名誉毀損の告訴がなされるということが報道されております。いずれにいたしましても、この公職追放問題はきわめて厳粛に取扱われなければならない問題でありますから、私は、松本氏の問題に現われたきわめて不明朗なる事実をこの際明確にすることによりまして、訴願委員会の公正なる活動を促進するために、あえてこの質問を行わんとするものでありますから、何とぞ御清聽を願いたいのであります。(拍手)  質問の第一点は、今回松本治一郎氏並びに一月二十四日当選が決定したとたんに追放を発表せられまして議員たり得る資格を失いました田中松月君等の追放問題に対して、政府のとつた処置がきわめて不明朗であり、われわれの納得の行かない点が多々あるのでありますから、この際松本氏等の追放の理由並びに経緯について、政府から率直なる答弁を本議場を通じて行つていただきたいということであります。この問題は、あえて松本治一郎氏個人の問題ではなく、私は、これは実に日本國憲法によつて保障されたところの基本人権民主主義を守るところの重大なる意義があると信じますがゆえに、政府は率直にこの点について明らかにしていただきたいと思うのであります。  政府が今日までに発表いたしました松本治一郎氏らの追放の理由は、昭和二十三年八月十四日、大日本興亞同盟に加盟していた大和報國運動本部が昭和二十一年勅令第百一号の規定に該当する解散團体として指令されたので、その團体の役員であつた松本治一郎氏らを一切の公職から追放するというのであります。私は、ここでまず追放の理由となつておりまする大和報國運動本部というものがどういうものであり、それが松本治一郎氏並びに彼の関係しておつた全國水平社とどういう関係にあつたかということを、一應明らかにしておきたいと思います。  御承知のように水平社運動というものは、いわゆる封建的身分制に基くところの特殊部落の民衆が自覚いたしまして團結し、封建的身分制度の残存せる束縛からみずからを解散しようとするところの民主主義運動であつて、大正十一年に組織されて以來、常に高いヒユーマニズムを指導精神として、身分的偏見による人権の冒涜に対しまして抗議し、人権擁護のために闘つて來た運動でありまして、松本氏はこの運動の最高の指導者であつたのであります。  ところが、この水平社運動の当時におきましても、これに対立するところの反動的な特殊な部落解放運動が行われたのであります。これがすなわち政府の御用團体であります中央融和事業協会でありまして、その経費はすべて國庫補助によつてまかなわれ、部落改善施設あるいは融和教育というようなものを行つて來たのであります。この中央融和事業協会の会長が、先般戰爭犯罪者として処刑せられましたところの平沼騏一郎氏であつたのであります。  ところが、侵略戰爭が始まりまして挙國一致が叫ばれ、大政翼賛会が発足いたしまして、フアツシヨ的な新体制の運動に基いて國家再編成が行われた昭和十五年当時におきまして、この全國水平社と中央融和事業協会に二つを統一して新しく大和報告運動を起し、大政翼賛運動に参加せしめようという計画がなされたのであります。そのころ、あらゆる民主團体は軍閥官僚政府によつて彈圧せられ、次から次へと解散を命ぜられたのであります。  こうしたフアツシヨ的な風潮に抗しかねて、全國水平社の内部からも組織を解散しようという動きが起つたことも事実であります。また、時に松本氏の親戚縁者等の側近の人たちは、彼の身に加わる危險を感じて、しばしば轉向を進めたのでありますけれども、松本氏は、差別問題が解決されない以上全國水平社を解消すべきではないということで、最後までこの水平社運動を続けて参つたことが明らかになつておるのであります。  ところが、こうした風潮の中にも、昭和十五年十一月三日に大和報國運動本部というものが発足したのであります。しかし、当時の記録においても明らかなように、松本氏はこれには参画をしておらなかつたのであります。この間の事情については、大和報國運動本部の常任理事であつたところの山本政夫君が昨年九月に法務総裁にあてて出したところの証言書においてこのように述べておることによつても明らかであります。  大和報國運動は昭和十五年十一月発足した。ところが、それまで協議会に出席しておつた中央融和事業協会代表の常務理事菊山嘉男氏――この人は現在なお生きておりますが、いよいよこの運動が発足したときに不参加態度を明らかにしたのであります。その理由は、平沼氏自身の思想性格等よりして全國水平社らと同一行動をとることを好まなかつたという点にあると思われた。その反面、松本氏は、中央融和事業協会が参加せぬ運動は眞の戰線統一にはならない、無意味であるということで、理事の一員に推されたにもかかわらず、何ら熱意をもつてこれを支持し指導しようとしなかつたということを、その証言において述べておるのであります。  ところが法務廳は、大和報國運動本部から発行いたしましたパンフレツトの中に、理事として松本治一郎氏の名前があるというこの一点から、松本氏を公職追放に指定したと思われるのでありますが、私が今読み上げました山本政夫君の証言書の中にもありますように、松本氏は大和報國運動の理事に就任することを承諾した事実がないということが明らかになつておると思うのであります。このことは、松本治一郎氏の側近にありましたところの、全國水平社の常任中央委員で、大和報國運動の組織にこれまた関與しておつた井元林之君もこれまた同樣の証言をしておるのであります。  さらに、松本氏がこの運動に反対であつたということの有力なる証拠は、昭和十六年五月五日に大阪の中之島公会堂で開かれた会合におきまして、当日傍聽者として行つておりました松本氏が大和報國運動の性格が明確になるや、特に発言を求めて、私は大和報國運動に反対であり、何の関係もない、大和報國運動は全國水平社を解散させるための陰謀である、その証拠には中央融和事業協会が参加を拒否しておるではないか、われわれはだまされてはならない、私は一人になつても全國水平社の旗のもとに闘うということを演説いたしまして、遂に大会は混乱に陥つたということが明らかになつておるのであります。このことは、当時の関係者の証言によつて明らかでもありますし、また当時京都で発行いたしておりました中外日報の昭和十六年六月二十六日あるいは八月二十八日の社説においても明らかに証明せられておるのでありまして、これらの事実から、私は松本氏が大和報國運動本部に無関係であつたということが証明せられると信ずるのであります。  事実また、大和報國運動本部が解散團体として指定された後におきまして、昨年の九月十二日ころに、当時の芦田内閣によつて、当の松本氏あるいは山本‥‥
  17. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 田中君、時間が参りましたから結論をお急ぎください。
  18. 田中織之進

    ○田中織之進君(続) 松本氏等の証言に基きまして、一應松本氏は追放には該当しないという決定をしたということが、翌日の新聞紙に報道せられておるのであります。ところが、内閣がかわりまして、殖田さんが参議院で説明されておりますように、十二月の十日に閣内的には追放が確定したものが、一箇月余も経過した一月二十四日になつて、突如としてそれが発表せられたということは、そこに何らかの別の意図がひそんでおつたのではないかということをわれわれは疑うのでありまして、この点をまず明確にしていただきたいと思うのであります。  なお私がこの際明らかにしてもらいたいと思うことは、大和報國運動本部を興亞同盟の加盟團体だという理由で解散團体に指定したことに重大なる事実の誤謬があると思うのであります。興亞同盟に加盟したのは大和報國運動本部ではなくて、大和報國会であるということは、すでに時間的な経過によつて私は明確になつておると思うのであります。從つて私は、このことについては、あるいは殖田法務総裁が、この問題は芦田内閣時代の決定事項であるとお答えになることと思いますが、私は行政権は継続しておるという建前から、前内閣の決定事項であろうとも、かりにそれに重大なる誤謬があるということであれば、現内閣において、訴願委員会の決定をまつまでもなく、これを取消すことが至当であると考えるのでありまするが、この点の事実を明確にいたしまして、法務総裁はこれを取消す意思はないかどうかという点を伺つておきたいのであります。  この点に関して、林副総理の参議院における答弁におきましても、松本氏の追放は一應非該当と決定しておつたが、新しい事実が出たということを答弁されておるのでありまして、私は、一應非該当と決定しておつたものが追放になる新しい事実が出ておつたといたしまするならば、それをこの際に明確にしていただきたいと思う。あなたの参議院における答弁の中に、そういう事実が記載されておりますので、私はその点をこの機会に明らかにしておいていただきたいと思います。  なお最後に私はもう一点明らかにしておきたいのは、松本氏の追放問題が起りましてから後の閣議におきまして、樋貝國務大臣から(「時間だよ」と呼ぶ者あり)これは重大な問題です。北海道の全國水平社の‥‥
  19. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 田中君、再び御注意申し上げます。
  20. 田中織之進

    ○田中織之進君(続) 北海道のもとの水平社の関係の刺客が二、三人上京した、一人一殺で関係現内閣の閣僚をねらうという情報が入つたということを、某閣僚が閣議の席上で報告せられたために、閣議が一瞬緊張したということを、共同通信の親展情報が傳えておるということを、われわれは聞いておるのでありまするが、北海道には、全國水平社の関係の支部の組織は全然ございません。しかもわれわれは、この松本氏の追放解除の問題のためには、一切の民主團体があげて全國津々浦々で署名運動を行つておるのでありまして、あくまで秩序正しくその民衆の支持を表明したいということを考えて進めておるのでありまするが、全國水平社あるいは現在の部落解放委員会を、そういう暴力團体であるかのごとく考えられておることは、松本氏の追放解除のために政府において骨を折つていただくとしても惡影響がありまするので、私は、そうした事実があつたのかどうか、これは絶対にそういう点はないと確信するのでありまするが、この点を明らかにしてもらいたいと思うのであります。  今日民主主義の世の中とは言いながら、現実になおいまわしき差別事件が起つておるのであります。
  21. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) もう交代の時間が参りましたから‥‥
  22. 田中織之進

    ○田中織之進君(続) 私は、そういう重大なる段階に、ともすればこの追放問題になお封建的な差別観念がひそんでおるのではないかというようなことを疑われるような誤解を一掃する意味におきまして、この際政府当局は松本氏の追放解除のために今後いかなる努力をされるかということをあわせて明らかにしていただくことによりまして、國民のこうした疑惑、ことに部落の民衆に対する誤解を一掃するために、時間を超過いたしましたが、政府当局から懇切丁寧なる御答弁をこの席上において煩わしたいと存ずるのであります。(拍手)     〔國務大臣林讓治君登壇〕
  23. 林讓治

    ○國務大臣(林讓治君) 松本治一郎氏に対しますところの公職追放の措置は、決して不当であり、また不法のものではないのであります。法務廳におきまして、松本治一郎氏の追放の処置についてはきわめて愼重な態度をもつて臨みまして、十分に本人の弁解を聽取したはずであります。また松本氏が、訴願委員会において反証の事実を提出せられて、追放の解除を求められるということが当然のことであろうと考えられるのであります。  なお新事実の問題でありまするが、大和報國運動本部の解散という事実がありましたので、決して法務廳のとりました態度というものは誤謬はないのであります。さよう御了承願いたいと思います。詳しいことは法務総裁の殖田君よりお話申し上げます。     〔國務大臣殖田俊吉君登壇〕
  24. 殖田俊吉

    ○國務大臣(殖田俊吉君) 田中さんのお尋ねにお答えいたします。誤解を避けますために詳細にお答えをいたします。  松本治一郎君は、昭和十六年十月、大政翼賛会福岡縣支部の顧問に就任しております。また、同十七年四月十日施行されました衆議院総選挙にあたりまして、大政翼賛会の推薦候補に推されて当選をしておるのであります。同年六月一日には、衆議院議員として翼賛会に入会されております。次いでまた大日本政治会にも入会せられております。これらは資格審査調査の記録によつて明らかであります。  そういたしまして、右の翼賛選挙において大政翼賛会の推薦を受けた議員候補者であつた者は、当選したといなとにかかわらず、当然昭和二十二年勅令第一号別表第一の規定に該当いたしまして、覚書該当者として指定さるべきものでありまして、現実にこの基準の適用を受けて追放されたものは、当落のいかんにかかわらず、これら推薦候補者のほとんど全員に及びまして、その数は実に四百四十九名の多きに達しておるのであります。松本さんはその一人であります。しかるに、ひとり松本治一郎氏のみは、前記のようないわゆる推薦を受けた事実があるにかかわらず、覚書該当者としての指定を受けず、この間まで参議院議員としておられ、副議長の重職についておられたのであります。  本來勅令第一号は、その性質上ポツダム宣言の趣旨に照し、最も適正に施行されねばならないことは申すまでもないことでありまするが、当時わが政府松本治一郎氏に対して特にかようなる措置に出たのは、けだし次のような政治的考慮によつたものであろうと思われるのであります。すなわち、松本治一郎氏が前記のような大政翼賛会の推薦候補者となつたことは、同氏の経歴上唯一の例外と認めらるべきものであつて、その例外を除けば、松本君は多年にわたつてわが國社会運動の一翼であります部落開放運動に参画し、その有力なる指導者の一人として終始社会正義のために活動されたものとみさなれたからであります。松本治一郎君がかような経歴の持主であることを前提として同人を覚書該当者として追放するよりも、むしろあえて勅令第一号による覚書の該当者としての指定を中止し、同人をして引続き政治活動に從事させることが、終戰後のわが國民主化のため、はるかに好ましいものと考えられたからであろうと思うのであります。  大政翼賛会の推薦を受けた議員候補者であつた者に対する勅令第一号の適用に関して、わが政府がかような政治的考慮を拂うことがはたして適正な措置であつたかについては、いささか檢討を要する問題でありますが、しばらくこれを論外といたしまして、松本治一郎君が稀有の例外として覚書の非該当者としての指定をされておつたということは、少くとも同君の過去の経歴が前途のように民主的なものであつて、他に追放されるような事由がないということを前提とするものであつたのであります。もしこの前提が多少でもくつがえされるような場合におきましては、遺憾ながら、もはや松本君に対しましてこれ以上政治的考慮を加えて追放を免れしめる余地はないものといわねばならぬのであります。  しかるに、昨年八月に至りまして、大和報國運動本部なる團体が昭和二十一年勅令第百一号第一條に該当するものといたしまして解散を指定されたのであります。これは、ただいまもお話がありました通り、芦田内閣の当時、鈴木法務総裁の名においてこの指定を受けたのであります。ところが、意外にも松本治一郎君がこの團体の主要役員として指導的活動をしておつたところの疑いが生じましたので、愼重に調査をいたしました。その結果、以下申し上げますような結論に到達したのであります。つまり、昨年の八月に解散團体に指定されて、ただちに松本君の問題を調べまして、昨年の十二月十一日に至りまして、松本君の追放を確定するほかないという結論に達したのであります。その理由を申し上げます。  大和報國運動本部と申しますのは、昭和十五年十一月三日ごろ、いわゆる翼賛政治体制確立の一翼といたしまして、大東亞新秩序建設及び國防國家体制の完成ということを目的に掲げまして、部落解放運動の有力團体である全國水平社その他の諸國体を統合して結成されたものであります。いわゆる大和一致の運動を通じて右目的を実現し、これによつて水平運動をも大いに発展せしめようと考えられたのでありましよう。講演会の開催その他諸般の活動を展開いたしまして、昭和十六年八月ごろ大和報國会という名前に変更されました。これは今田中君のお話の通りであります。  しかしながら、次いでこの報國会が大日本興亞同盟に参加するに至つたのでありますが、そのときに、大和報國会の名義をもつて参加してはおられません、大和報國運動本部なる名義をもつて参加されておるのであります。しかも、この両会は、本部と申し、あるいは報國会と申しましても、実はまつたく同一のものでありまして、名前が違うだけであります。そうして、十六年十二月ほんとうの戰爭が勃発するに及びまして、この報國運動本部も発展的に解消するという意味でありましよう、翌年の三月に解散をいたしておるのであります。つまり大和報國運動なるものは、部落解放運動を大和一致運動として実践することによつてその目的の実現をはかつた、軍國主義的かつ超國家主義的な團体にほかならないという結論に達したのであります。  これが、昨年の八月に鈴木法務総裁のもとにおきまして解散團体として指定されたゆえんでありまして、その指定は決して違法でもなく不適当でもありません。まことに適当な措置であつたと考えるのであります。從つて、田中さんただいまお話のごとく、この指定を取消す意思はないかというお尋ねに対しましては、取消す意思はないとお答えしなければなりません。  さらに申し上げますが、松本治一郎君は、陸軍中將島本正一及び山本政夫氏らの勧誘に應じまして、大和報國運動本部のその目的承認されながら、同人らとともに、昭和十五年秋ごろ、東京における発起人会にも出席しておられますし、さらに発足大会にも参加しておられます。そうして、これらの結成に協力をしておるのであります。さらにまた、先ほどお話がありましたが、十六年の五月には、大阪中之島公会堂における第一回全國推進委員大会というものがあつたのでありますが、その大会にも出られまして、講演をしておられるのであります。それを訣別の講演である、反対の講演であるということを言われるのでありますが、当時の記録によりますれば、これは激励の説演であるという記録すらもあるのであります。そのほか、全國協議員会等にもたびたび出席しておられます。  こういうわけで、松本さんは主要なる役員となつておられるのでありますが、ただ松本氏御自身及びその他関係者の中には、その事実を今の田中さんと同じように否認されまして、その記録がない、あるいはそれが間違いであるというような弁解をされておるのであります。これをもつて反証といわれるのでありますが、これらの反証を採用してその事実を否定するというほどの値打があるとは考えられないのであります。ただ、松本氏が次第にその会内において消極的態度をたられたという事実はあるようであります。しかしながら、たとい消極的態度をとられたにいたしましても、最初から消極的であつたわけでもなし、すでにこの團体が解散團体として指定されております以上は、その團体の経過の中でどのような態度をとられたにいたしましても、どうもこの團体のわくから逃れるわけには行かないと思うのであります。  大和報國運動本部の関係者の中で、松本氏を初めといたしまして、島本正一、山本政夫、深川武、伊藤末尾、中村至道、田原春次、中西郷市、田中松月及び井元之の十氏は、いずれも勅令第百一号の第五條の三、第一項に規定する役員たりし者に該当するのでありまして、当然これは第二項の規定によつて指定しなければなりません。勅令第一号による覚書該当者として指定を受けたものとみなされるわけになるのであります。なかんずく松本治一郎氏に対しましては、同君が大和報國運動本部の理事であつたことが認められる以上、同君が前述のように消極的な態度をおとりになつたといたしましても、これを理由としてその指定を免除することはできないのであります。ということは、ただいま申し上げた通りであります。のみならず、松本氏の指定について、松本氏が水平運動の有力者である、この有力者を指定することは政治上いろいろな影響があるから、これを考慮する方がいいというお話も各方面からあつたのであります。しかしながら、その人の政治上の背景、そ人の政治上の勢力というものを考えましてこの追放を左右するがごときことになりますれば、國民の中に差別をいたすものでありまして、とうてい公正な追放の適用はできないのでありますから、たといいかなる御勢力がおありになろうとも、断固これを追放するとりはかいたしかたがなかつたのであります。  かようなわけで松本さんが追放されたのは事実でありまして、いかにもお氣の毒な点もございますが、やむを得ざることと御承知を願わなければならぬのであります。また、松本さんは追放を要しない、これは非該当とするというような記事が、昨年の九月の初めに新聞に現われておつた。これは非該当にきまつたのである、こういうお話でありますけれども、それは新聞の記事でありまして、私はその記事に左右されるわけには参りません。私が法務総裁に就任いたしましたのは昨年十一月七日でありましたが、そのときは決して非該当と決定はしておりません。該当と決定するほかなき状態にあつのでありまして、その後十分に調査をいたしまして、関係方面ともよく愼重に協議を遂げました結果、該当せざるを得ないという結論に到達いたしたのであります。それが十二月の十一日でありまして、その日に該当の決定を終結いたしたのであります。ところが、ただちにこれを発表すべきであつたのでありますが、時あたかも総選挙が予想されておりました。そこで、総選挙を予想されておりまする場合に、該当として松本氏を有力なる地位より奪いますことは、社会党の勢力関係に大いなる影響があると考えまして、(発言する者あり)これは総選挙に影響を及ぼすものと考えました結果、特に考慮いたしまして、選挙の終了を待ちまして、選挙が終了した後に発表をいたしたのであります。これが、昨年の決定が延びまして今年の一月二十五日に発表になつたゆえんであります。  それから訴願委員会のお話がございましたが、ただいま松本氏は、訴願委員会に訴願を提起しておられます。訴願委員会は愼重に考慮いたしまして公正なる結論を出すことと思います。もし訴願委員会の結論が正しく出ますならば、政府はむろんその結論に從うにやぶさかなるものではございません。(拍手)
  25. 田中織之進

    ○田中織之進君 簡單ですから自席から――法務総裁の御答弁になりました……
  26. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) まだ許可いたしておりません。――田中君、発言をまだ許可いたしておりません。――あらためて許可いたします。
  27. 田中織之進

    ○田中織之進君 法務総裁の御答弁の根拠は、おそらく法務廳特審局の調書書に基いてのことかと思うのでありまするが、まつたく戰時中の特高檢事の調書と同じような口調をわれわれ拜見いたしまして、きわめて遺憾に存ずるのであります。その点については、参議院におけるあなたの御答弁と法務廳で明らかになつておる事実との間にも時間的な食い違い等があつて、あらためて法務廳においても審査していただかなければならない部分が多々あると思うのであります。從いまして、ただすぐに追放せられておる。当時の特高関係のいろいろな記録等にのみよられてやるということではなくて、現在生き残つておる者は、そうした者も証人等に喚問いたしまして、調査について万遺憾なきを期してもらいたいということを重ねてお願い申し上げまして、私の質問を打切ります。      ――――◇―――――  國税徴收方法に関する緊急質問(中西伊之助君提出)
  28. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 次は國税徴收方法に関する緊急質問を許可いたします。中西伊之助君。     〔中西伊之助君登壇〕
  29. 中西伊之助

    ○中西伊之助君 私は、日本共産党を代表いたしまして、國税徴收方法に関する緊急質問を吉田首相、大藏大臣及び法務総裁にいたしたいと思います。この問題は、今二十三年度の確定、更正決定の國税が強力に徴收されているのであります。その中で、そうした不当なる大衆課税を押しつけられたところの國民大衆は、今塗炭の苦しみをしております。私は、これは單に共産党のみの問題ではなく、その他の各党の同僚諸君も十分に御関心を持たれ、しかもわれわれと意見はおそらく一致することと存じます。  質問の條項といたしまして、時間がございませんので、ほんのアウト・ラインにすぎないのでありまするが、第一に、吉田総理大臣に対して反税という意義を聞いてみたいと思うのであります。最近考査委員会が國会に設置せられましたが、その提案者の説明の中には、盛んに反税という言葉が入つております。また、昨日新聞記者に会見された吉田首相は、やはり共産党の反税闘爭ということを盛んに力説しておられる。  反税とはどういう意味であるか。おそらくこれは、字義の上で解釈いたしますれば税金に反対するという意味のごとくとられるのであります。しかしながら、今この不当なる更正決定に対して異議を申請し、再審査を要求しているところの民衆、納税者は、断じて納税に反対しているのではないのであります。不当なる課税に対して反対しているのである。(拍手)それを、いかにも共産党を中心とするところの、この國民の悩みを取上げて闘つているところの政党に対して、反税闘爭をしている、すなわち國民の義務を怠つて――憲法の條章に從つてわれわれは納税の義務を有することはあたりまえである。ところが、不当なる課税に対しては断固反対しなくてはならないのでありまするが、しかしこれに対して、税金に全面的に反対しているかのごときデマを飛ばしつつあるということは、実に不都合千万であると思うのであります。(拍手)そのために、特に多数をたのんで考査委員会のごとき委員会を通過せしめた反民主主義的なる吉田内閣を、われわれはあくまでも糾彈せざるを得ないのであります。(拍手)  第二に、はなはだしい違法あるいは不当もしくは残忍冷酷なる徴税方法をとつて、実に人道を無視し、民主主義を無視し、人情を無視し、あらゆる惡辣手段を用いて差押え、あるいは税金を取立てておりますが、しかしながら、私はそうした未端の税務官吏にのみ攻撃をもつて行くものではない。そうした不当なるところの大衆課税を課せられ、それをどうしても執行しなければならないという氣の毒なる税務官吏諸君に対しては、滿腔の同情を惜しまないものであります。しかしながら、一方そうした不法なるところの税金の取立てに対しては、われわれは断々固として反対せざるを得ないのであります。その一例として申し上げましよう。  民自党の諸君もここにおいでになりますが、あなた方の大阪市会では、民自党さえも適正課税をしなければならないということを超党派で決議をしております。(「あたりまえじやないか」と呼ぶ者あり)われわれはそれを叫んでいるのである。このことを言つているのである。反税ではないのである。  まずこの確定、更正決定に対して異議を申立てる、すなわち再審査を要求いたしますと、この再審査証書はどこに行つているかと申しますと、末端の税務署のひきだしに入り込んでいて、これを決して再審査しない。そして督促状を盛んに発して、おいて最後には差押えをする。これに対して、むろん末端の税務署を不信として、その上級機関であるところの地方財務局に要求するのでありますが、この納税者の権利を蹂躪し、その末端の税務署において、たな上げにしてしまつている。はなはだしいのに至りますと、警察署へそういうものを持つて行く。何のために持つて行くのか。すなわち税務代理士法違反であります。後に述べますが、税務代理士法違反という不当なる彈圧を加え、そのために、警察へそういうふうなものを持つて行く。むろん憲法違反であります。税務法の違反でもあるのであります。  しかも、その申請再調査をし次第、その間に実に不都合千万なることには、日歩二十銭の高利をとるのであります。遅滞利子をとる。あなた方はやはり納税者の一人で、その有権者の中に悩んでいる人がたくさんあるのでありますが、われわれのこの主張に対して、何人が反対することができますか。日歩二十銭――政府はいつごろから高利貸になつたのでありますか。(拍手)こういうふうにして日歩二十銭をとるために、何万という万台になりますと、二十銭の日歩は莫大なものである。でありますから、更正決定をし、審査をして少しぐらい減額されても、この日歩のためにその方が多くなるという事態がたくさんある。これは要するに審査を拒否するものである。罰金である。苛酷なるところの税の徴收法をやつている。すなわち吉田内閣はそういう苛酷なことをやつているということについて、大藏大臣はいかにその責任を感ずるのでありますか。これに対して税法の改正をしないかどうかということを答えてもらいたい。(拍手)  さらに税務代理士法の違反ということでありまするが、この税務代理士というものを数の上から申しますと、ほとんど納税人口二万五、六千人に対して一人しかいない。これは数がちやんと上つてあるまするが、ひとつこれを答弁してもらいたい。一体税務代理士が全國に何人おるか。農村の方に参りますると、あの更正決定に対するところの申告という文書を見ますると。繁文縟礼で、お百姓なんかわからない。われわれだつてわからない。そういうものを税務署から押し付ける。これはどこに何を書いてよいのかわからない。そういう場合に、税務代理士がいなかの方でどこにおるのかわからないという場合に、その土地の物知り、あるいは政党、あるいはその他の人に、これはどういうふうに書いてやるものかというくらいのことを尋ねるのは、あたりまえのことである。当然である。おそらく民自党の諸君も、こういうことを頼まれておられるに違いない。しかるに、それが税務代理士法違反とは何であるか。大阪のごときは、檢事はめちやくちやなことを言つておる。要するに、もう時間がありませんから省略いたしまするが、二万五千人に一人ぐらいしか税務代理士はいない。でありますから、これを何とかだれかに頼んで読んでもらつて、事務を処理してもらうということは、これはむしろ日本人の人情として当然であります。  また最近の税務署は、一人々々で來い、團体はいかぬと言う。ところが個人でありまするが、近ごろ税務署に参りますると、五十人、百人という納税者が押しかけて來ておる。そこで、税務官吏が一人々々に会見する。そうすると、二、三十分から一時間くらいかかる。百五十人から二百人が毎日押しかけて來る。あるいは、むろん商工業者もありまするし、農民もありまするが、その人たちは仕事ができないので、二日も三日もやつて來ておる。しまいには、電車賃が高いから歩いて來ておる人がある。
  30. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 中西君、時間が來ましたから簡單に願います。
  31. 中西伊之助

    ○中西伊之助君(続) 簡單にやります。――そうしたことに対して大藏大臣の責任を聞きたい、なんとこれに対してお答えになるか。何もかも税務代理士法違反といつて檢挙をされるところの法務総裁にもお答えを願いたい。そうした、実際上われわれ國民大衆の利益を裏切り、人権を蹂躪し、あらゆる残虐な暴圧法をこの國税徴收の手段の上に加えられておるということは、われわれが断じて許し得ないところであります。どうぞ、そういう点について明確なる御答弁を願いたいと存じます。(拍手)     〔政府委員中野武雄君登壇〕
  32. 中野武雄

    政府委員(中野武雄君) 大藏大臣はただいま予算会議に行つておりますので、政務次官がかわりまして答弁いたします。  更正決定につきましては、政府の方針といたしましては、眞に入るところの所得に対しては税金を課するのでありますが、不当なる課税は絶対いたしません。將來も收入の適正をはかつて、その上に公正なる税金を徴收する考えであります。  その次に審査請求については、この審査請求について小さい数字のあやまちだとか、あるいはその重複だとかは、すぐさま変更をいたし決定いたしますが、審査の請求ということに相なりますと、個人の收入については相当あらゆる方面を研究せねば相ならぬので、つい幾分なりとも延長いたしますが、現在の税務署といたしまして、この人員では、とうていすぐさまできませんが、なるべく早く解決いたします。そして税務代理士については、資格のある人にはどしどしと出て來てやつて應対しますが、資格のない人にはこれに應ずることはできません。(拍手)     〔國務大臣殖田俊吉君登壇〕
  33. 殖田俊吉

    ○國務大臣(殖田俊吉君) 中西さんの御質問にお答えいたします。税務代理士法に申しまする税務の相談に應ずることを業とすると申しまするのは、これを反復継続するということをもつて足るのでありまして、あえて営利でやるということを必要としないのであります。從つて、この税務代理士法に違反します場合には、やむを得ず檢挙をいたしておるのであります。      ――――◇―――――  民間企業における賃金不拂に関する緊急質問(前田種男君提出)
  34. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 次には民間企業おける賃金不拂に関する緊急質問を許可いたします。前田種男君。     〔前田種男君登壇〕
  35. 前田種男

    ○前田種男君 私は、日本社会党代表いたしまして、民間企業おける賃金の不拂い、遅拂いに対する政府当局の所信をただしたいと思います。  昨今全國的に賃金の遅拂い、不拂いが蔓延しつつあるのでございます。今日の状態のもとにおきますならば、日本の経済的再建は不可能だと断定せざるを得ない現状に置かれておるのでございます。この原因は、終戰直後におけるところの経済界の建直し、あるいは企業家その他各方面の認識の不足、あるいはその後に來るところのいろいろなよもやまの原因があろうとは考えますが、私は、今そうした原因を論及しようとは考えません。今日現実の問題として、業界におきましても経済界におきましても國民生活を極度に脅かしておりますところの賃金不拂いの問題につき以下申上げまして、総理大臣以下各関係閣僚の親切な御答弁を求めたいと思うものでございます。  まず大藏大臣にお尋ね申し上げたい点は、今日政府の方針から來ておるとはいえ、すでに約束されましたところの炭鉱関係の九十八億の建設融資の打切りの問題のために、今日炭鉱関係におけるところのいろいろな資材、あるいは器具機械類、あるいは坑木、安全燈その他いろいろなものを納めておりましたところの関係企業は、すべて炭鉱の支拂い不能のために今日困つておるのでございます。一体、こうした状態のもとにおいて二十四年度の石炭四千二百万トン目標計画が達成されるかどうかという問題は、さらにあとに論及いたしますが、この問題に対して大藏大臣はいかなる対策を立てられるかという点をお聞きしたいと思います。  さらに、一般金融の非常な圧縮のために、今日市中におきましては資金難に困つております。こうした政策も、今回の九原則から來る原則はわかりますが、この原則をこのまま踏襲いたしますれば、民間企業はつぶされざるを得ないという現状になるのでございます。こうした問題に対する対策を大藏大臣はいかように考えておられるかということとをお聞きしたいと思います。  さらに、大口の発注者でありますところの政府当局のそれぞれの企業、運輸省、逓信省あるいは建設省その他進駐軍関係等でございますが、そうした大口の企業が、政府支拂い遅延のために、今日民間企は業極度に困つておるのでございます。しかも政府当局は、あるいは二十四年度の予算が成立いたしますならば支拂いがスムーズに行くという答弁をされるかわかりませんが、二十四年度の予算が成立することによつて完全に政府支拂いが遅滞なく解消するかどうかという見通しについて明確なる答弁を求める次第でございます。さらに、今日賃金不拂いが相当続いておりますところの企業がございますが、こうした企業に対するところの特別の金融の措置を講ずる意思があるかどうかという点につきましても大藏大臣の答弁を求めておきたいと考えます。  さらにもう一つは、今日賃金の不拂い、遅拂いが行われておりますところのそれぞれの企業に対しまして、税金が第一だということによつて、賃金が拂えないのにもかかわらず、現実に税金を差押えてとるという方法が行われつつあるのでございます。私は、労働大衆の生活を守り、法の上において確保されておりますところの賃金を拂わなくて、税金を第一主義的にとろうとするこの態度に対して反省を求めると同時に、大藏大臣の善処を要望して答弁を求めたいと思います。  その次に商工大臣にお尋ね申したい点は、今申し上げましたような金融的措置から來るところの二十四年度の生産目標は、一般産業の部門においても、石炭四千二百万トンの達成の面から行きましても、はたして確保できるかどうかという点につきまして、産業行政を担当する商工大臣の明確なる答弁を求めておきたいと考えます。これは言うまでもなく、今日四苦八苦して企業を盛り立てて行きますところの全國民が、政府の所信を聞こうとするところの熱望から、特にこの点は行政担当大臣でありますところの商工大臣の所信を承つておきたいと考えます。  さらに私は、労働大臣、法務総裁に対しまして、相関連する問題がございますから、それぞれ両者から答弁を願いたいと思いますことは、賃金の支拂いは今日法の上において確保されておるのでございます。しかし、今日全國的に見まするならば、特に惡質な企業家の中におきましては、賃金の支拂いを故意に延期しておるということも、多く事実の上に現れておるのでございます。さらにまた、今日政府が支拂いをしないから、民間が政府を見習つて賃金の支拂いを遅延してもさしつかえないというような状態のもとに置かれておる所もあるのでございます。私は、法務廳の立場から、労働省の立場から、賃金不拂い、遅拂いに対していかなる処置をとられるかということについて、明確なる答弁を願つておきたいと考えます。  さらに、賃金の遅拂い、不拂いから参りますところの工場、事業場内におけるいろいろな犯罪事件が今日増加しつつあるのでございます。これは私は、今後におけるところの社会問題としてもゆゆしき問題だと考えます。賃金が拂えない、賃金がもらえないということから、いろいろな点で姑息な手段を講じて、心ならずも惡いことをせなくてはならないというこの動向は、今後に及ぼすところの影響が大であろうと私は考えます。こうした問題等に対しましても、労働省、法務廳は一体どういう態度をとられようとしておられるか、その内容を明確に示してもらいたいと考えます。  さらに労働大臣にお尋ね申し上げたい点は、今後生産再建のために、あるいは民主的な日本産業の建直しのために國民的協力をなくさなくてはならないときに、しかも賃金の問題を中心にして労資の紛爭は全國的に蔓延しつつあるのでございます。この問題に対して、労働行政の立場から労資関係の問題をどう処理しようとされるか、この点について、明確に鈴木労働行政の内容を明らかに示してもらいたいと考えます。  最後に、総理大臣が不在でございますから副総理に代表して御答弁を願いたい問題は、今申し上げましたところの問題を総合いたしますならば、今日の社会秩序維持のため、あるいは國民生活が極度に困つておりますところの今日の現状から申しまして、一体國民生活の確保をいかすようにして政府はなそうとされるかという根本的な方針、さらに思想的な見地から、あるいは労資の紛爭がいやが上にも激化しようとするところの今日の現状に対しまして、総理大臣としていかような対策を持つておられるかという点について総括的な御答弁を願つておきたいと考えます。  さらに、もし賃金の不拂いが続くといたしますならば、その不拂いの続きますところの期間内における主食の配給を、前渡しあるいは掛賣り制度において確保してやるという用意があるかどうか。さらに生産保護法を適用してやるところの意思があるかどうかという点についても、あらためてお尋ねしておきたいと考えます。  さらに私が最後に総理大臣にお聞きしたい問題は、今日こうした問題が起つて來ておりますところのこの現状を見まするならば、今までは、きまつたところの日限に支拂いをせないことは、そのメーカーの信用問題になつておつたのでございますが、今日では、支拂いをせないことがあたりまえだというような常識になつて來ておるのでございます。政府に対して右へならえをいたしまして、支拂いをせないことが当然だというような動向になりつつありますところのこの現状において、はたして日本の経済の再建ができるかどうかという点について、根本的な方針を承つておきたいと考えます。労働大衆は、一箇月まともに働いて、きまつた給料を完全に受取ることができましても生活ができ得ないのが、今日の現状でございます。しかも労働大衆は、一箇月皆勤しても給料がもらえない。しかるに吉田総理大臣はどうでございましよう。二月十一日の総理の指名の翌日から三月三十一日まで、一ぺんも國会に出て來ておりません。しかるに歳費はもらえるのでございます。労働大衆は一箇月皆勤しても給料はもらえない。吉田さんは五十日も國会に出て來なくとも歳費がもらえるという今日の現状は、皆さん、世の中はこれでいいのでありましようか。(拍手)これで思想の善導も道義の向上もはたしてできるでありましようか。私は、為政者がもつと今日の深刻な社会情勢を達観して、率先して國民の範になり得るところの行動をとらなくてはならないことを要望するものでございます。  以上をもつて私の質問の結論といたします。(拍手)
  36. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 前田君に対する答弁は、次に質疑せらるべき春日君に対する答弁と一緒に願うことといたします。      ――――◇―――――  賃金未拂問題に関する緊急質問(春日正一君提出)
  37. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 次の質問に移ります。賃金未拂問題に関する緊急質問を許可いたします。春日正一君。     〔春日正一君登壇〕
  38. 春日正一

    ○春日正一君 共産党を代表しまして、賃金の未拂い、俗に遅配といわれておる問題について質問いたします。ただいま前田君から大体のところは質問されたので、なるべく重複しないように質問したいと思います。その点、前田君の質問の條項は私も質問したいところであつたという点を含んで御答弁願いたいと思います。(「そんな緊急質問があるか」と呼ぶ者あり)非常にこの問題は緊急な問題であります。  最近の遅配の状況は月とともにひどくなつて來まして、二月までは何とか五回、六回分割拂いで拂えておつたものが、三月以降見込みなしという状態が非常に多くなつております。特に鉄鋼関係、通信機、あるいは化学、炭鉱、こういう部門にわたつて非常にひどい。どんな状態になつておるかということは、全電工の東京支部に属する三十二の分会について見ましても、遅拂いのないものがたつた三つしかない。遅拂いのない工場を探すのに骨が折れるという状態になつておるのであります。しかも、これに対して資本家に交渉しましても、あるいはいろいろな役所に交渉しましても、まあそのうちにというようなことをやつておるのでありますけれども、労働者にとつては、今晩の飯の問題、あしたの飯の問題、非常に緊急の問題であります。諸君は、幸いこれらの人々の税金によつて、歳費を遅配なしにもらつておりますけれども、どうか眞劍に聞いていただきたいと思います。  そこで、第一にお聞きしたいことは、この遅配というものが昨年の九月ごろからひどくなりまして、十月、十一月――月とともにひどくなつて來ております。これは労働省の発表によりましても、そういう傾向がはつきり出ております。しかし、これに対して基準法十四條による監督というものが、ごく最近までされてなかつたということが事実であります。労働者は、こういう事実の発生に対して、今までなぜ適切な処置をとらなかつたか。この点、労働大臣にただしたいと思います。  第二点、三月十一日になりまして、基準局長は、賃金の遅拂い工場に対しまして、使用者が資金の借入れに努力しなかつた場合、あるいは資金以外のものに先に拂つたような場合、これは摘発するという通牒を出しておりますけれども、しかし実際に事業者の立場に立つて見ますと、いかに資金の借入れに努力しても、大体政府の方針として、資金は締めて貸せないといつておる。いくら資金を借りようとしても借りられない。あるいは、先ほど前田君も言つた通り、政府が未拂いをしておるというために拂い得ないとするならば、こういう場合に労働大臣は、この基準法二十四條は放つておいて、まあしかたがないから労働者泣き寢入りしろ、飯を食わないでもいいというのかどうか、この点を質問したい。  第三の点は、先ほど前田君も言いました税金の問題でありますけれども、こういう事実がある。政府に対して品物を納めて、七百万円拂つてもらえない。從業員に給料を拂うために八百万円きめんして來た。そうしたら税務署の方で、この八百万円は税金によこせといつて、とつてしまつた。政府が七百万円拂えば問題ではないのだ。ところが拂わないでおいて、同じ政府の税務署というものは、片方これをとつて行つてしまうということができておる。これは明らかに政府の内部が分裂し、混乱し、矛盾を起しておるということになる。同じ政府で、片方は拂わないで、片方はとつて行く。そうして、その政府の内部の混乱の犠牲者として、労働者が給料をもらえない。ここへおちついて來るという状態になつておる。こういう場合に、当然政府が拂つてないのだから、給料に拂うべきものを税金として押えるというようなことはやるべきでないと思う。この点、大藏大臣はどう考えられるか、御質問したいと思います。  最後にひとつ聞きたい点は、炭鉱あるいは運輸省、こういう関係の未拂いが非常に多くて、これも遅拂いのおそらく最大の原因になつておると思う。たとえば運輸省関係だけでも、私ども聞いておるところによりますと、車輛ボデー、こういうものだけで二十三年度分三億九千万円、部品を入れると八億七千万円、運輸省関係全部で四十五億、このくらいな未拂いがあると言われておる。こういう未拂いを出しておる。そうして、そのために遅拂いが來ておる。  そこで考えてもらいたいことは、失業者には失業保險法がある。生活の困窮者、無能者には生活保護法がある。そして何とか多少でももらえるのだけれども、まじめに働いておるがために給料がもらえない、配給物も買えないという事実がある。これは非常に矛盾したことだと思う。ばかげた話だと思う。この國会で、先日、炭鉱炭鉱主の責任によらない損害をこうむつたから百四十四億補償してやるというようなことが通つたことを私は覚えておる。それと同じ論法で行くならば、今日通信機檢査規定の改正だとか、あるいは運輸省の未拂いとか、政府金融引締め、こういう政策によつて賃金の未拂いが起る。そのために非常に大きな損害を労働者は受けておる。  先日の労働委員会での答弁を聞きますと、賃金というものは未拂いになつておつても、半年先に行つても拂えば元のようになると言つておるけれども、決して元のようにはならないと思う。半年間物を賣つたり借金をしたりして食いつないで來て、半年先に、かりにまとめて拂つてもらつたとしたところで、借金して頭を下げて來たその屈辱というもの、あるいは賣り拂つたいろいろな家財道具、こういうものは、はたして取返せるかどうか。しかも、そんな悠長な問題では現在ない。非常に廣い範囲に行われておるために、下丸子の近辺を調べたたけでも、あそこの営團の支所長の談によりますと、千四百世帶のうち四十ないし五十世帶は配給物がとれないと言つておる。あの辺の炭屋の状態を聞いて見ると、二月分では、炭の配給は三分の一辞退しておると言つておる。事態がここまで行き詰まつておる。從つて、運輸大臣あるいは商工大臣、そうした関係大臣が、この問題を解決するために現在どういう見通しを持つておるか、今まで何をやつて來たか、これを聞きたい。  同時に、政府の全部の責任者としての副総理にお聞きしたいが、各省に聞いてみますと、労働省でも商工省でも運輸省でも、お互いにおつつけつこしておつて、問題が一つも解決していない。そういう状態にあるからお聞きしたいのだけれども、國民を生かすということは、憲法二十五條により生きる権利をきめられておる以上、その憲法の條文によつてできておる政府である以上、國民を生かす責任があると思う。そうとするならば、現在配給物もとれない状態、悲惨な状態の中に置かれておるこの労働者に対して、この遅拂いの問題に対して――先ほど前田君も言われましたけれども、配給物は金がないから買えないのじやなくて、働いた金は会社に預けてある、会社は政府に預けておる、こういう関係になつておるものは、当然基準局の遅配照明とか、そういうものによつて引取れるような処置を講じてやるべきではないか、この点をお聞きしたい。  以上、質問を終ります。     〔國務大臣林讓治君登壇〕
  39. 林讓治

    ○國務大臣(林讓治君) 前田議員の御質問に対してお答えいたします。  最近民間企業の中には賃金不拂いの事実がありまして、政府といたしましてもまことに遺憾に考えておるのであります。健全金融の建前は、今後といたしましてもやはり堅持して行く方針でありますが、從つて、これに起因いたします金融逼迫に対しましては、民間企業における経営の改善、合理化を推進いたしまして、生活を高めることによつて賃金不拂いの不幸な状態をできるだけ避けるように善処いたしたいと考えておるわけであります。なお政府といたしましては、政府の支拂いの怠つておりますものは、なるべくすみやかに支拂いをいたすようにを処置をいたしたいと考えておるわけであります。  それから、経済安定九原則の励行、特に企業三原則の実行に伴いまして非能率企業が打撃を受けることは予期されるところでありますが、政府といたしましては、企業の大小の別を問いませず、能率のよい、優良製品を生産する優秀なる企業が打撃を受けるがごとき施策は絶対に行わない決意でありますので、賃金の不拂いの打開の道は、主として労資の協力と奮起と期待をいたしたいと考える次第であります。  なお生活保護法の問題につきましては、生活の道のない生活困窮者に限るということは、從前の方針とかわりはないわけであります。  なお掛賣りの問題でありますが、賃金を担保にいたしまして主食の掛賣りをするといたしましたならば、賃金の担保價値を認定しなければならなくなりますが、この認定は不可能なことだろうと思うのであります。もし掛賣りをして賃金が支拂われず、債券の取立てができぬときは、公團の経営を不健全にいたしまして、ひいては財政に惡影響を及ぼすことになりますので、主食の掛賣りは今日いたすという考はないのであります。  それから、第四の賃金不拂いに対しまして、特別融資の道を講ずる意思はないかという意味の御質問でありますが、企業の三原則の趣旨にかんがみまして、不拂いに対しましては今日特別の融資をいたすことは考えておりません。  なお、政府が支拂わぬから会社が支拂わぬというような話でありますが、政府におきましては、政府の支拂いは今後一日も早くこれは遂行いたしますように促進をいたしたいと考えておるわけであります。  以上をもつてお答えといたします。(拍手)     〔國務大臣小澤佐重喜君登壇〕
  40. 小澤佐重喜

    ○國務大臣(小澤佐重喜君) 前田君にお答えいたします。  政府支拂いの遅延がいわゆる産業資金を非常に圧迫いたしまして、ひいて賃金の不拂い等を生じ、これが生産の増強を阻害するということは、まつたく前田君御指摘の通りであります。從つて政府といたしましては、組閣当初より極力この点につきまして十分留意を拂いました。わが逓逓信省といたしましては、大体二十三年度の予算通信機はか数種の物品を約百一億円購買いたしております。それの支拂い方法でありますが、ただいま申し上げましたように、政府が特に嚴重に支拂いを促進するという方向に向かつておりますので、最近におきましては、物品が納入されまして檢收後、その当日もしくは二日目、いくら遅れても三日以上遅延はいたしておりません。從つて、逓信省に関する限り一銭、半里も遅滞がないということを御了承願いたいのであります。(拍手)  ただ、念のために申し上げておきたいのでありますが、つまり初年度におきましては、いわゆる生産者に対しまして、商工省から一つの生産の指定をいたします。ところが、昨年度の生産指定は、ちようど途中で物價の騰貴があり、賃金の上昇がありましたから、この指定額だけの発注はいたさなかつたのであります。これが大よそ逓信省では十三億ありまするがゆえに、生産者側におきましては当然発注があるものと予想して資材を購入し、あるいは生産の準備にかかつたという店がありますので、現実におきましては、会社の生産の内容は非常に困つておると思うのでありますが、これに対しては、特に逓信省といたしまして融資の方途をあつせんいたしまして、相当額関係会社へ融資をいたしておるような現状であります。さらに予算外國庫負担の契約となるべき発注でありますが、これは約六億ございます。この注文品のうちでは若干納入されたものもございます。しかし、これは御承知の通り昭和二十四年度の予算で支拂うということを最初から生産者が承知の上で納入をいたしておりますから、二十四年度の予算が皆さんの御審議を願つて成立をいたしますれば、その日にお支拂いをいたすつもりであります。(拍手)     〔國務大臣鈴木正文君登壇〕
  41. 鈴木正文

    ○國務大臣(鈴木正文君) 前田議員及び春日議員の御質問のうち、労働省に関係のある範囲についてお答え申し上げます。  労働省といたしましては、賃金の債務はあらゆる債務に優先する、労働省諸君の唯一の生活の給源であり、從つてあらゆる債務に優先するところの債務であるという一線は、かたく堅持しておるのであります。この方針は、將來ともかわるはずはないのであります。  それから基準法との関係でありますけれども、この賃金優先の鉄則を破つて他の方に支拂いをしてしまつて、そして賃金が支拂えないとか、あるいは当然なすべき努力を何らなさずして賃金が支拂われないというような場合におきましては、基準法の二十四條違反としてこれを取扱うという方針も、最近通牒によりまして、全國の都道府縣の基準局長にあててその方針を徹底したのであります。この方針によりまして、すでに東京基準局は活動をただちに開始いたしまして――もちろん法をもつてただちに罪人をつくるのが目的ではなく、賃金を支拂わしめるのが目的でありますから、その努力は続けました。その結果は、沖電氣その他大きな数社におきましては、二月までの支拂いは完成した。しかし、あらゆる勧獎をも顧慮せずに、依然として賃金支拂いに対して何らの努力の跡が見られないというような会社に対しましては、最近これを送檢したという事実もあるのであります。今後におきましても、この方針は堅持して行くはずであります。  ただ賃金自体の問題は、先ほどから御質問にも現われましたように、根本的には財政の問題その他の問題とのつながりがありまして、これにつきましては、なお関係の各大臣から後答弁を願いたいと思います。(拍手)     〔國務大臣殖田俊吉君登壇〕
  42. 殖田俊吉

    ○國務大臣(殖田俊吉君) 前田さんのお尋ねにお答えいたします。賃金不拂いの問題に対しましては、先月でありましたが、檢事総長より声明をいたさせまして、労働基準法所定の罰則を嚴重に適用するように全國の檢察廳に対しましても通告をいたしたのであります。右の声明がありました後、企業者におきましては相当の反省をいたしたと見えまして、賃金不拂いの問題はやや漸滅の傾向になつたようであります。もちろん、これを改めません者につきましては、目下労働基準監督官と協力いたしまして、地方檢察廳におきまして鋭意捜査中でございます。またこの方針は、單に賃金不拂いのみにとどまりませず、その他労働基準法所定の各般の規定につきまして同樣に嚴正な態度をもつて臨むつもりであります。(拍手)     〔國務大臣大屋晋三君登壇〕
  43. 大屋晋三

    ○國務大臣(大屋晋三君) 前田、春日両君の御指摘になりました事実は、遺憾ながら運輸省にあるのであります。すなわち、昨二十三年度におきまして、運輸省の買物の総代金が四百二十六億円あるのであります。そのうち車輛だとかあるいは部分品の一般物件が二百七十億円、それからあとの百五十六億円が石炭の買入れの代金であるのであります。しかるに、一般物件二百七十億円の約七%に当りますると二十億円が未拂いになつておるのであります。この未拂いの理由はそれぞれあるのでありますが、ともかくも未拂いであるから、困つておる先に対しましては、ただちに支拂いをいたすことを考えておると同時に、あとの分に対しましても、この四月と五月との二箇月でもつて全部借金を拂う覚悟でございますから、さよう御了承を願います。(拍手)     〔政府委員中野武雄君登壇〕
  44. 中野武雄

    政府委員(中野武雄君) 石炭鉱業に対する復金よりの融資については、第四・四半期においては、経済安本の資金配給計画によつて六十億円を融資いたしたのであります。その実績は計画通りでありまして、政府は今日石炭鉱業の重要なることを知つておりますので、米國の援助資金の活用をはかり、この方向に対する融資については遺憾なきを期したいと思つております。  その次、企業の金詰りは政府支拂いの遅延に原因している点が非常に多いところにかんがみまして、政府は支拂いについてはできるだけ早く支拂うことにする考えでおります。それと同時に、政府の遅拂いの一大原因は法律百七十一号にあるのでありまするがゆえに、これを一日も早く改正して、そして政府は支拂うようにする考えであります。     〔政府委員有田二郎君登壇〕
  45. 有田二郎

    政府委員(有田二郎君) 商工大臣にかわりまして前田種男君、春日正一君の御質問にお答えいたします。  第一点の石炭鉱業について、生産を継続的に維持するためには絶えず新しい生産の準備を続けて行かなければならないのであります。まして増産をはかるためには、その準備を大規模にして行かねばならぬのであります。しかして、このような準備のためには多額の設備資金を必要とするのであります。この資金の調達については、もちろんでき得る限り企業者自身において調達をはからねばならないのでありまするけれども、現状では、その大部分を融資に仰がねばならないと思うのであります。從つて、もし融資が打切られるならば、本年度四千二百万トンの出炭目標達成は困難となつて來るのではないかと思われるのであります。從つて政府としては、このような事情から見て、必要なる最小限度の金額は対日援助資金の見返り勘定よりの融資によつてまかなうことを考え、その具体案を目下檢討中であります。  第二点の、一般企業に対する融資圧縮等による賃金遅拂いについては、経済九原則に基く融資の引締めは、日本経済の安定と自立のためにインフレの收束を早期にはからねばならぬ以上やむを得ぬことと思うのであります。ただ、一月以降の徴税強化の反面、政府支拂が遅延し、企業の金詰まりをさらに深刻にしているのはきわめて遺憾であつて、これが解決にはせつかく努力したいと考えておるのであります。今後金融の引締めによつて、企業の不振、賃金不拂い等の社会、経済的混乱が予想されるが、これについては万全の処置を講じたく、政府支拂いの促進等によつて未拂金を整理し、市中金融を円滑ならしめるよう努力するとともに、復金の存廃問題に関連して長期産業資金の確保には特に留意し、対日援助資金の活用による長期資金の確保について遺憾なきを期したいと存じておるのであります。  なお、企業三原則によつて赤字融資は現在認められないので、從つてこれらの問題を解決するためには企業合理化によるほかないのであります。從つて政府は、極力この点について最善の努力を講ずる覚悟であります。(拍手)
  46. 春日正一

    ○春日正一君 ただいまの御答弁によりまして、いろいろ承りましたけれども、かりに今の答弁がそのままやられたとしましても、早くて二月、三月先の問題であります。現在遅配起つておつて、きようあすの飯に困つている労働者の生活の問題について林副総理にお聞きしたいのですが、その間政府は、これらの労働省に、かつてにしなさいという態度をとるかどうか、この点だけ御答弁願いたい。(拍手)     〔國務大臣林讓治君登壇〕
  47. 林讓治

    ○國務大臣(林讓治君) 先ほど申し上げた通りでありまして、労働省の問題につきましては、とくと考慮いたします。なお、政府の不拂いの問題に対しましては一段と努力をいたしたいと考えます。(拍手)
  48. 幣原喜重郎

    議長幣原喜重郎君) 本日はこれにて散会いたします。     午後三時十五分散会