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1948-12-22 第4回国会 衆議院 予算委員会 15号 公式Web版

  1. 昭和二十三年十二月二十二日(水曜日)     午前一時二十一分開議  出席委員    委員長代理 理事 苫米地英俊君    理事 若松 虎雄君 理事 稻村 順三君    理事 竹谷源太郎君 理事 小坂善太郎君    理事 田中源三郎君 理事 今井  耕君    理事 大原 博夫君       青木 孝義君    大内 一郎君       大上  司君    尾崎 末吉君      小野瀬忠兵衞君    千賀 康治君       田口助太郎君    仲内 憲治君       西村 久之君    本間 俊一君       前田  郁君    松本 一郎君       宮幡  靖君    山本 猛夫君       勝間田清一君    川島 金次君       鈴木茂三郎君    田中織之進君       田淵 実夫君    野上 健次君       林  大作君    松永 義雄君       松原喜之次君    山崎 道子君       秋田 大助君    荒木萬壽夫君       梅林 時雄君    押川 定秋君       川崎 秀二君    中曽根康弘君      長野重右ヱ門君    長野 長廣君       井出一太郎君    河野 金昇君       小枝 一雄君    叶   凸君       中原 健次君    世耕 弘一君       河口 陽一君    織田 正信君       野坂 參三君  出席國務大臣         内閣総理大臣  吉田  茂君         大藏大臣臨時代         理         商 工 大 臣 大屋 晋三君         文 部 大 臣 下條 康麿君         厚 生 大 臣 林  讓治君         農 林 大 臣 周東 英雄君         運 輸 大 臣 小澤佐重喜君         逓 信 大 臣 降旗 徳弥君         労 働 大 臣 増田甲子七君         建 設 大 臣 益谷 秀次君         國 務 大 臣 岩本 信行君         國 務 大 臣 森 幸太郎君         國 務 大 臣 工藤 鐵男君  出席政府委員         内閣官房長官  佐藤 榮作君         大藏政務次官  塚田十一郎君         大藏事務官   河野 一之君         大藏事務官   平田敬一郎君  委員外の出席者         專  門  員 小竹 豊治君     ――――――――――――― 十二月二十二日  委員田中織之進君辞任につき、その補欠として  田淵実夫君が議長の指名で委員に選任された。 同日  委員鈴木里一郎君、川合彰武君、金野定吉君、  田淵実夫君、藤原繁太郎君、細川隆元君、森戸  辰男君、五坪茂雄君、橘直治君及び石田一松君  辞任につき、その補欠として松本一郎君、菊川  忠雄君、勝間田清一君、田中織之進君、松永義  雄君、川島金次君、山崎道子君、長野重右ヱ門  君、長野長廣君及び井出一太郎君が議長の指名  で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十三年度一般会計予算補正(第二号)  昭和二十三年度特別会計予算補正(特第二号)     ―――――――――――――     午前一時二十一分開議
  2. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 会議を開きます。
  3. 小坂善太郎

    ○小坂委員 上林山委員長が事故のため欠席せられており、苫米地理事が委員長代理として委員長席につかれましたので、この際発言を求めます。  私は昨晩まことに奇怪なるできごとに遭遇いたしたのであります。最近において國会の信威というものが次第に失墜しつつあり、もしくは國民からその信頼感を喪失せられてもやむを得ないようなできごとが起きつつあるということは、私ども國会議員として、まことに遺憾にたえないところであります。われわれといたしましては、かかる風潮を一刻も早く是正して、明朗にして健全なる國会、眞に國民の付託にこたえ得るような國会を早くつくり上げなければならない。これはわれわれの共同の責務であると痛感いたしておるのであります。民主自由党の総裁であるところの吉田首相は、政界に明確なるルールを確立して、そのルールに從つて行動することが、最も憲政の常道を打立てるゆえんであるということを、常に口にされておる次第でありまするが、この根本は、お互い國会議員が信義を尊重するということでなければならないと、固く信じておるのであります。昨夜予算委員会において行動せられました上林山予算委員長の態度は、この点にかんがみまして、まことに遺憾至極にたえないところであります。これはわれわれ在野各政党の一致したるところの意見であり、われわれの憤激おくあたわざるところなのであります。この際本委員会に付託せられておりまする予算案というものは、同僚各議員からもあらゆる機会において述べられましたるごとく、まことにずさんなるものと言うべく、はなはだ早々の際につくられた体裁のものでありますけれども、われわれはその内容の緊急性にかんがみまして、すなわち官公労職員の困窮時における生活給の増額が主たる問題であるという点にかんがみまして、この審議の促進にきわめて眞摯なる努力を傾倒して來たことは、われわれともにひとしく痛感しておるところであります。われわれはこの観点からいたしまして、昨夜すでに、十二時近くまで審議が続けられたのでありまするが、この予算の中の一つの重要な部門を構成しており、ただいま大藏委員会に付託せられておりまする一般会計から特別会計に繰入れる、すなわち特別会計の赤字補填のためにする法律案、この法律案の審議がいまだ結了しておらない現在において、この予算の討論を終結して採決をいたすということは、不適当な点がありはしないか。この点についていまだ党議が決定しておらないところもあるので、しばらく休憩をしようではないかと理事会として決定いたしておつたのであります。このことは委員長である上林山君はだれよりもよく承知しておることでありまして、上林山君といたしましては、國会議員としての信義を重んずるというこの原則を承知している以上、当然私からの先刻の動議を採択せられなければならないはずであつたのであります。ことに私といたしましては、各党ができ得る限り、その審議に対する態度をこの委員会において述べる機会を持つことが適当であると考えまして、時間の許す限り討論を続けておつたのであります。私は十二時五分前になりまして、私の動議は二分もあればできることなのでありますから、ぎりぎりのところまで討論をしておいて、そうしてこの動議を出さんといたしましたるところ、私がここに立ち上つて大声を発して委員長を連呼したにかかわらず、委員長はこの私の動議を認めずして、協定に違反しまして一方的に打切りを宣したのであります。私はかかる不信義なる委員長のもとにこの重要なる予算案を審議するということを、はなはだ不愉快に感ずるのであります。これは在野各党、同僚各位の一致したるところの意見なのでありまして、私はここに在野各党を代表いたしまして、予算委員長に対する不信任の動議を提出するものであります。
  4. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 ただいまの小坂委員の御提案よく了承いたしましたが、私といたしましても、委員長を補佐して、完全にその任務を遂げさせるべき地位にありながら、それができなかつたということにつきましては、私自身も大いに責任を感ずる次第でございます。從いましてまことにごもつともなお説とは存じますけれども、しばらく休憩を……。
  5. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 ちよつと私野党の皆さんに対して発言さしていただきます。ただいま民主党の小坂さんの御発言に対しまして、まことに私どもも申訳なく思つておるのであります。と申しますのは、この重大予算の審議にあたりまして、非常な御熱意を示していただいて、審議の途中に先刻のようなことができましたことは、まことに申訳なく思つておるのでありますが、これは決してそういうことではありません。これはああいうごらんのごときごたついておつた際でありまして、そのためにああいう不都合が起つたのであります。決しておつしやるような謀略などということは毛頭ないのであります。どうぞひとつそういう点をよく御了承くださいまして、どうかこの予算の審議に支障のないように、できるだけ御寛大におとりはからい願いたいと思うのであります。私の方からごあいさつを申し上げます。
  6. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 やむを得ません、動議は成立しております。採決いたします。不信任案に賛成の方は御起立を願います。
  7. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 起立多数。よつて不信任案は可決されました。
  8. 小坂善太郎

    ○小坂委員 この際午前十一時まで休憩せられんことを望みます。
  9. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 動議に御異議ありませんか。
  10. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 私は先刻小坂君からお申し述べになりましたことに対しましては、眞心からおわびの言葉を申し上げたのでありますが、その事柄と、この緊急なる予算を急いで審議するということは、別個の問題であります。発言中であります。なぜかと申しますならば、上林山君のことにつきましては一個の問題であります。しかるにしばしば皆樣がお述べになりましたように、官吏がこの給與を待ちわびておるという切々たる情は御承知の通りであります。ひとり官吏だけではありません。さらにまた災害地の人々にいたしましても、その他の方面の人人にいたしましても、この予算について首を長くいたして待ちわびておるのであります。從いましてこれらのことを考えますならば、この一個のさき申し述べました感情の問題と、この待ちわびておるところの問題とを混同されるということに対しましては、私は絶対に反対であります。今日のこの窮迫せる國情に対しまして、御認識できない皆樣方ではないと思うのであります。從いましてこの問題はさきの問題とは別でありまして、予算案の審議を続行せられんことを希望するものであります。
  11. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 採決いたします。
  12. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 採決をいたします。
  13. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 靜粛に願います。小坂君の動議に賛成の方は御起立を願います。
  14. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 賛成者多数。よつて本日の午前十一時まで休憩いたします。     午前一時三十四分休憩      ――――◇―――――     午後一時四十分開議
  15. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  これより昭和二十三年度一般会計予算補正第二号及び同じく特別会計予算補正特第二号の両案の討議を継続いたします。竹谷源太郎君。
  16. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本予算案に対する討論をいたします。  本予算案は官公職員の新給與費及び災害復旧費を中心とするものであつて、重要かつ急を要するものであるのにかんがみまして、われわれは連日質疑を続行し、審議に当つたのである。しかるにその間政府当局の出席きわめて惡く、あまつさえその答弁は不誠意、ふまじめなものがあつて、審議の進行を阻害したこと甚大であります。のみならず、上林山委員長は委員会運営の常例を破つて、議事の運営をつかさどるべき理事会の議を経ないことが多い。そうして独裁的議事運営をあえていたしたのであります。たまたま理事会を開いて議事運営の方針を決定した場合、昨夜のごとく理事会のとりきめを破つて、委員の発言中散会を宣告し、暴力的に議事を委員長みずから妨害するような事態を惹起いたしましたことは、まことに遺憾にたえないのであります。なおわれわれが精魂を盡して半箇月にわたつて審議をした予算案が、その基礎となつておる官公職員給與額の変更によつて、その審議を徒労に終らしめた政府の責任はまことに重大であります。  さて本予算案は、五千三百三十円ベースの基礎の上に、下から積み上げてでき上つたものであるから、給與の基本額の変更された以上、当然に組みかえ再提出すべきものでありまするので、野党各派連合して去る十六日政府当局に対し、ただちに組みかえ提出すべきことを要求しましたにかかわらず、その措置を講じないのであります。しかして総額において給與費は同じである。二百六十二億円のわくであるから、組みかえの必要はないと言明している。しかしながら総額が同じであれば、細目はどうでもよいということになりますならば、各部各款、各項の区分もいらないことになるのであります。これは財政法の規定、予算の精神を無視した、あるまじき暴言と言わなければなりません。また実際問題として、予算編成の基礎となつた給與法政府原案の五千三百三十円よりも、修正の六千三百七円ベースは、一率平等に引上げたのではなくて、上に薄く下に厚く給與率が引上げられたのであります。たとえば下級の一級一号俸は四割増でありまするが、十二級一号俸というような課長辺のものは二三・五%しか引上げになつていない。從つて大部分の職員が高級者であるところの裁判所においては、厖大な給與剰余を生ずるのでありまするが、反面において女の職員が四六%を占めると言われております厚生省のごときは、おそらく二月ごろからは給與がなくなつてしまうという結果に相なるのであります。このことについては大藏大臣はこれを率直に認め、三月には補正予算によつて是正をする必要があると断言をしております。すでに明らかに修正を予見せられて、いなむしろ必ず修正を要するずさんな誤つた見積りの予算を、われわれの審議に付しているのであります。  なお價格調整費百十億円計上のうち、五十九億円という巨額の金が使途不明である。そうして予備費だと政府は言つておるのであります。予備費は予期すべからざる避くべからざる支出に充つるための金額を別途計上してあるのであります。その他の費目において、過去の軍閥、警察政治において存在した機密費というような、使途の不明な予算の計上は許されない。各款項は人件費、物件費その他それぞれの具体的需要の基礎をもつて下から積上げて編成せらるべきものであつて、一括して計上するというようなことは、封建的、独裁的財政であつて、財政法に背反し、國会の財政審議権を無視するものと言うべきであります。右の二点、すなわち誤つたずさんな予算である点、及び一括計上しておる点は、予算編成及び國会審議に対して惡例を残すもので、断じて許すべからざる問題であります。  次に地方團体貸付金三十五億円の歳入計上は、契約によつて二十四、二十五両年度に返還すべきものであつて、二十三年度においては、地方團体は償還の義務を負担しないのであります。地方財政の現状から見て、繰上げ償還は不可能であります。從つてこの歳入は不確実というよりも不存在の收入である。幽霊歳入にすぎないのであります。経済九原則の第一である予算の眞の均衡、財政の健全化の鉄則に背反するものと言わなければなりません。  次に三百七十億に上るところの所得税の水増しを含む四百九十億の巨額なる租税増收の見積りは、大衆にその負担の重圧がのしかかつて來るのであります。所得税の自然増は何ら具体的の根拠も基礎も有しない、すなわち見立割課税であつて、その中でも米價が上つたからという單純な理由で、農林水産業所得税について八十四億円という厖大な増收見積りをしたことは、米の現在の生産者價格と関連して考えてみましても、不当きわまるものであります。これは商工業等営業所得税四十四億円の自然増の倍額という不均衡さでありまして、これは農民に対する苛斂誅求となつて現われてくることは必定であります。われわれはかくのごとき歳入ではなく、たとえば法人税、不正物資摘発による收入増、あるいは法人及び個人の大やみ所得の捕捉を強化してこれの増收をはかるとか、すでに衆議院を通過した軍公利拂い延期によるとか、こういうような確実な歳入によつてまかなうべきであると確信します。  歳出の面については、官公職員の給與に関しては、七月から六千六百円ベースが必要であるということの信念に現在もかわりはないのでありますが、少くとも年末補給金等を計上して、これらの窮状を救うべきであろうと思う。  さらに現に行われつつある日本産業再建の根幹をなすところの石炭、電氣、船舶、纎維等の重要産業に関する労働爭議の解決に資すべき予算が不十分であります。総司令部のヘプラー労働課長のあつせんとか、組合側の愛國的精神とによりまして、組合側はストに対して愼重な態度を持するということになつた旨新聞は報道しておりますが、これはまことに喜びにたえません。しかしながら本予算は政府の労働問題に関する熱意の欠如を裏書するものであつて、はなはだ遺憾千万であります。  なお農地委員会その他農地改革に関する経費の要求は三十九億一千万円に上つておるのでありますが、これらがこの追加予算に計上は見当らなかつたのであります。しかるところ昨日配付された資料によりまして、予備費四十五億円の中から四億一千八百万円を支出することとなつておることは明白と相なりました。しかしながらこんな一割程度の少額では、農地改革の進行を阻害することはなはだしいものでありまして、これは重大な問題であります。  以上のほか数々の不当きわまる内容を包藏するところのこの惡い予算に対しましては、断固反対し、組みかえのため返上すべきが良心的であると思うのであります。しかしながら官公職員の給與引上げに要する経費とか、あるいはこれに準ずるところの重要産業労働者の賃金に関連のある経費も含んでおる。なおまた災害復旧補助費、こういうような緊急不可欠の内容を含んでおりまするがゆえに、あえて反対せず、忍びがたきを忍んで賛成するものでありまするが、われわれが本委員会において指摘し、非難した事項は、政府は誠意をもつて是正し、実行し、また予算の是正を要するものについては、すみやかなる機会において補正の処置を講じ、予算の適正にして適法なる執行に任ずべきことを警告して討論を終る次第であります。
  17. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 中原健次君。
  18. 中原健次

    ○中原委員 私はここに議題となつておりまする昭和二十三年度追加予算第二号並びに特第二号に対して、労働者農民党を代表し、予算返上の意見を述べる次第であります。  政府はこの提案理由として、政府職員の給與水準引上げ、災害復旧費等、本予算成立後の情勢変化に対應するため云々と説明されておるのであります。しかるに実際は追加予算総額七百三億余のうち、三百八十一億余を便乘せしめて表看板といたしまして、そうして表題である二つの費目はその半ばにも足らない三百二十二億余にすぎないのであります。すなわち看板に偽りありというわけであります。そればかりか、予算編成の構想はきわめてずさんそのものであつて、財政経済の見通し計画と何らの関連もなく、ただ漠然と計画しておる。これまつたく、日かせぎの無定見と言うほかないのであります。このような構想のためにか、まず目立つものに予備費四十五億円がある。これは当初予算における予備費二十億に対しまして二・二五倍に当り、かつきわめて大つかみのものでありまして、しかも最終日になつてようやくその内訳説明をして、場当りのつじつまを合わしたにすぎない状態である。財政法二十四條にいう予見しがたい予算の不足に充つるものとしては、その額あまりにも過大であつたことを指摘しなければならないのであります。なお全般を見渡しまして、歳入歳出ともに積算の基礎が不明瞭であつて、ここに要望されておる予算民主化の精神に反すること、はなはだしいものと言わなければならないのであります。かかるずさんきわまる予算案のためにか、もはやすでに続いて追加予算が予定されなければならないという実情にあるのでありまして、これまことに統一性なき場当り的、完全性に欠けた予算編成の方式であると言わなければならぬのであります。また見のがすことのできぬものに、歳入の大部分を大衆課税に求めておるということであります。これこそ予算の不健全性をみずから暴露するものであります。かかる予算の実施を見ることがあるならば、たちまち労働者農民、中小業者等全勤労大衆の生活は、そうしてまたその業務は、混乱と破綻に追いやられて行くでありましよう。國家財政負担の加重と業務の行き詰まりと、低賃金とは、失業による飢餓状態を現出いたしまして、中産階級を含む全勤労人民大衆の生活恐慌が、ここに出現しなければならない機運に遭遇するであろうことを思うものであります。かかる状態の中において、政府の声明したごとき行政整理が予想され、あるいは企業整備もからみ合いまして、大量の失業者はみじめにも、寒風の吹きすさむ街頭に投げ出されることが予想されるのであります。それにもかかわらず、失業対策としては何一つをも持たぬ無定見さは、そうしてまた無責任さは一体何としたのでありましよう。ここに吉田民自党内閣の正体があり、反動性の本質が露呈されておるわけでありまして、同時にひたすら金融資本中心の経済再建を促進せんとするものにほかならないものであると言わなければならぬのであります。  しからば歳出面においてもまた、この金融資本の独裁制覇をなし逐げんとする企図による大衆犠牲の方策を一層強化せんとするものを、私どもは発見せなければなりません。まず價格調整費百十億を見れば、わが國生産の成績は、今や昨年末のそれに対しまして六三%の増を示し、これはまた事変前のそれに比しましても六五%と相なるわけであります。ことに天井を知らぬ物價高と賃金安の強行と、それにもかかわらず上昇する生産増加との関連から考えまするならば、生産コストはおのずから安くなつており、採算歩どまりは好調を呈しておるはずなのであります。それであつて特殊企業に対しては、大衆犠牲による國家財政の負担によつて、かくのごとき特別援助の制度がなおかつ繰返されているということは、あまりにも資本家に偏重した協力体制と言わなければならぬのであります。  また船舶運営会補助金は二十五億となつておるが、これまた前段の價格調整費とひとしく、常に何らのしんしやくもなき船舶資本家への奉仕というべきのみでありまして、かくのごとき補助金を交付する前に、経営の合理的調整を先にし、たとえば船主傭船料金の撤廃の措置等、独立採算確立のために、あらゆる方途が講ぜられなければならないのであります。ただ当面やむなきものとして、私どもはここに給與に関係あるものを見落すことができない。從いまして、その中の一部だけは緊急措置として、これを認めることを肯定するものでありまするが、その他の大部分に関する部分は、これを再檢討し、そうしてあくまでかくのごとき補助金は停止すべきものであるということを主張する次第であります。  次に災害復旧費六十億がありまするが、これは必要額の一五%にしか当らぬ額でありまして、被害なおなまなましい幾多の惨害にこたえるものといたしましては、あまりにも配慮乏しいものと言わなければならないのであります。ことに農林関係といたしましては、最低必要額七十四億に対しまして、わずかに十八億を充当せんとしておるにすぎない状態であります。  さらに農村関係費の主要なるものに、第二次農地改革徹底に要する経費が考えられまするが、これを十分計上しなければならないのにもかかわらず、その考慮きわめて薄く、農村民主化の基本問題でありまする農地改革の問題をむしろ中絶せしめて、保守反動勢力の温存に努めるの傾向さえ見出すことは、日本民主化を促進すべき、いわゆるポツダム宣言の忠実なる履行に、逆行するものと言わなければならないのであります。それのみではない。勤労農民の日々に追い込まれて行く農業経営の困窮に目をおおい、わけてもその主要生産物たる米價は三千五百九十五円買上げ價格で押え、農民の勤労報酬は二千八百円ベースという低賃金計算でしかない状態に陷つておるのであります。その上消費價格は五千三百円を上まわり、消費者の肩にその差金のマージンを負いかぶせている。かくのごとくいたしまして、大資本企業には補給金などの、あるいは補助金などの國家協力を與えながら、農民や消費者大衆に対しては、かくのごとき措置をもつて臨んでおるということを、私どもは遺憾ながら指摘しなければならないのであります。  なおここに國債費二十四億中の二十二億は、軍事公債利拂いに振り当てられるものでありますが、國家財政の窮乏を口にする政府は、このごとき主として金融資本を対象とする利拂い計算については、きわめて忠実なる態度を示し、これを実行せんと努めておるのであるが、私は特に予算の実情から考えて、このような費目は、これをただちに打切るべきものであるということを強く主張するものであります。  これに比べて給與改善費二百六十二億余は、その初め政府が物價高の現実を無視して、五千三百三十円ベースを勤労者に押しつけんとしたその支拂い総額であるが、その数字の適当ならざることおおい切れず、今回六千三百七円ベースにこつそり修正をいたしたのでありますが、しかしそのわくは増額されず、從つて実質手取りは大差なく、依然として必要生計費を割る飢餓線下の状態と言わなければならないのであります。このごとき状態のもとでは、公務員の職務能率を上げることは期待されないばかりか、優秀者はどしどし逃げ出して行くでありましようし、いよいよ不正と腐敗の助長を余儀なくするのほかなき状態に陷ることを、私どもはまた指摘しなければならないのであります。かねて全官公労組の要求しております七千三百円手取りベースは、あくまで科学的根拠に立つものであつて、政府はあらゆる努力を傾けて、これにこたえなければならぬ責任があると考えるのであります。いわんやさきに國家公務員法改正を強行し、今また公共企業体労働関係法を、勤労大衆初め一般識者等の強力なる反対を押し切つて成立せしめました今日、この問題に関連のある、すなわちさきのマ書簡にいわゆる、これらの立法に先行して勤労者の生活確保の道を講ずべき旨の勧告を、ここにあらためて想起すべきであります。  歳入面について、まず租税自然増收四百十億を見積つておりまするが、そのうち源泉課税百八十五億はまことに不当であり、文字通りの苛斂誅求であると考えるものであります。給與水準の引上げに伴うて、勤労所得税の免税点引上げその他の税軽減の措置を講じ、給與引上げを実質的に有効ならしめ、眞に労働力の再生産に役立たしめなければ、給與改善とはならないのであります。從つて直接には公務員給與改善による四十七億はね返り課税見積りのごとき、まつたく言語道断といわなければならないのであります。  その他諸税收に、砂糖消費税、織物消費税その他数税目が数えられますが、これらまた大衆負担の加重を約束せしめるものでありまして、私どもは何ゆえに政府は、戰後の大やみ利得あるいは不当大利得の捕捉対策を放任するのであるか、政府の発表する國民所得二兆四千億のうち、予算における税対象なるものは九千億を持つて來ておるようでありまするが、その九千億を除く残分一兆五千億は、一体だれのふところに隠されていると考えておいでになるのであるか。この際一大英断をもつて、巨大所得に集中課税の徴收方策を立てなければならないことを、ここに強く主張しておく次第であります。  なお地方貸付金回收三十五億が計上されておりまするが、地方財政窮迫せる現状にかんがみまして、配付税からの天引はやめなければならない。この還付天引は、地方公務員全般の給與改善をはばむものであると同時に、地方自治体を財政危機に陷れ、眞に自治体の確立を可能ならしめることに大いなる阻害となる次第であります。  以上きわめて大ざつぱに予算の檢討を加えた次第でありまするが、かくのごとき予算編成の構想は、そしてこれが実施の結果は、労働者、農民、中小商工業者、その他一般勤労人民大衆の生活不安を激甚ならしめるばかりでありまして、全人民大衆の経済破綻から、ひいては政府の一大謬見であるインフレーシヨン処理の措置は断じて講ぜられないでありましよう。敗戰日本の経済再建はかくのごとき状態をもつていたしましては、夢にも期待できないことと言わなければならぬ。いわんや國民生活の安定など、言うべくして、かくのごとき状態をもつてしては、とうてい行われ得ないのであります。かくのごとき過程に突入して行くわが日本國の経済は、遂にこのようにして破滅の方向に押しやられて行くのほかはないと言わなければならない。  以上の理由からいたしまして、私は労働者農民党を代表し、本補正追加予算に賛成できないことを遺憾とする。從いまして本予算はあくまで政府が、以上申し述べましたような理由をしんしやくして、しかるべくこれを再編成すべきものであると考えるのでありまして、ここに予算返上の討論を試みた次第であります。
  19. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 大原博夫君。
  20. 大原博夫

    ○大原委員 私は社会革新党を代表して討論を行わんとするものであります。  このたびの追加予算は、その中心をなすものは新給與に関する一連の予算及び災害復旧費である。労働運動の中には、日本の現状を無視して、常軌を逸した行動のあることを認めます。同時に公務員法の改正案がやや過当な束縛であることも認めざるを得ないのであります。この改正案が不当な束縛であればあるほど、公務員に最低生活の保障を與えなければならぬことは言うまでもないのであります。しかるに政府原案が、政府みずから最低の生活を保障し得ないようなものを提出しておつたことは、まことに遺憾とするところであります。この新給與が檢討に檢討を重ね、野党が修正案を決定し、政府もまた遂に修正案を提出するに至つたのでありますが、同時に勤労階級の面においても、現下の情勢においては、この程度においてやむを得ないものとして、一應納得するに至つたことは、日本のためにまことに仕合せであつたと思うのであります。これは新給與がもみにもまれたいい結果であつたと思うのであります。しかるに新給與法案審議の遅れるのは、野党の責任であるなどと総理が言われたことは、まことに思慮の浅い、かつ不謹愼な言辞であつたといわなければなりません。わが党は新給與、災害復旧費、生活保護費などにおいても、決してこの追加予算に満足するものではありません。歳出の面において不満足である以上に、歳入の面において一層不満足であります。租税の自然増收、新給與のはね返り等、税收によるものが四百五十七億円に上つておる。現在の税法によればこの数字はもちろん出て來るのでありましよう。しかし今の税法はその基礎控除、扶養控除の面から見ても、インフレの現状から見て不適当のものである。またその算定基準が苛酷である。それゆえに國民は重税に苦しんでおるのであります。特に申告納税の中核をなす中小企業や農民が重税をとられて、再生産の元手がなくて困窮しておるのであります。ここに今回の重税が課せられるのであります。從つてその徴税ははなはだ不確実であるといわなければなりません。また地方貸付金償還金も、にわかに財源とするにははなはだ不適当であります。從つてこれを初めから交付金から差引けばともかくでありますが、償還金も歳入不確実であります。その他滯貨の処分、味の素の放出のごとき歳入も、年度末までの收入は必ずしも確実でないのであります。從つて歳入赤字となり、超過支拂いとなることは明らかと思う。この点においてわれわれは責任を持てないのであります。卒直に言いますならば、この追加予算には反対であります。しかし他に適当な財源もなく、またこの修正方法も現情勢においては簡單にないのみならず、また一面におきまして、予算の通過を手をあげて待つておる者も多いのでありますから、全体を客観いたしまして、ことここに至ればやむを得ないものとして、本案を認めるものであります。
  21. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 世耕弘一君。
  22. 世耕弘一

    ○世耕委員 私はただいま上程されております諸案に対しまして、新自由党を代表して討論し、かつ賛成の意を表したいと思うのであります。  さて本予算案の内容を通覽いたしますのに、おおむね消費的予算であつて、生産増強方面に直接使用される予算が、はなはだ僅少であることを遺憾に思うのであります。また緊急を要する災害復旧予算が、はなはだ少額であることは、災害地の民情を軽視した処置だと考えざるを得ない。  次に、政府は財政の三原則を唱えながら、從來同樣復金の融資等嚴重に整理することなく、また價格補給金あるいは補助金等の名目のもとに、なお巨額の支出が計上されておることは、健全財政の建前に相反するものであることを強く指摘するものであります。思うに、政府が赤字金融の弊害を、そのまま放置しておるものと認むるほかないのであります。この際政府は民力の涵養と同時に、國家財政の健全性にきわめて愼重なる態度をもつて臨むことを要望するものであります。  次に政府職員等の給與ベースに伴う経費の関係は、理論的にも実際的にもなお十分檢討の必要を感ずるのでありますが、この際事態の緊急性にかんがみ、一應承認したわけであります。  さらに租税負担について、農村地方と都会地との間に幾多の問題が残されておるのであります。ことに中小商工業者の窮状は、寒心にたえないものがあるのであります。政府はこの点につき、何らの施策を持たぬのは、不都合であると断じたいのであります。この点再認識を要求する次第であります。  なおまた予算の歳入の面において、税收入に過大の見積りをしていることは、將來國家財政の堅実味を失うものであります。よつてかくのごとき態度は、すみやかに更改すべきであるということを注意を喚起したいと思います。元來政府は民情に即せず、ただ税收に安易を求むるの弊風があつたのでありますが、これは現下の國情に即し、税制政策の上に十分留意すべきことを要求いたします。  私はこの際政府に勧告したいことは、税務体制の確立とこれが科学的進歩をはかり、もつて國家財政の基本を樹立し、もつて國庫收入とその運営を公正ならしめる意味において、また他面國民負担の公平を期するという意味におきまして、税務廳というような独立官廳を設置するよう要望したいと思うのであります。  さらに本予算の本質を通観するに、概して社会主義的理念に基き組み立てられており、しかも官僚統制主義の体制にのつとつて予算を編成しておることが明白であります。この点吉田内閣の存在の意義は失われており、國民の深く失望するところであろうと思うのであります。  なおまた吉田内閣が國民に公約した政策が、予算の上に片鱗も現われていないことであります。この点は適当な機会を得て、國民にこれが明瞭になるように努力されたいということを望む次第であります。  最後に注意を促したいのは、政府は價格の決定に際しまして、品質と價格の点に関して認識が欠けておるという点を指摘したいと思うのであります。そもそも商品と價格は不可分であり、これが実施にあたつては、價格と品質の両面に十分の取締りが肝要であるが、その点組織を持つていないのであります。要するに價格維持は品質維持が重要であることを、特に政府に強く注意を喚起したいと思います。すなわち價格統制の失敗は、ことごとく品質の統制強化をしなかつた結果、現在のやみ取引が現われたということを、深く認識すべきであるということを注意を喚起したいと思うのであります。思うに價格は品質によつて区別され、品質と價格は不可分のことに属するということを認識すべきであります。  なお政府職員の給與ベースは、ただちに民間企業に重大な関係を持つものでありますから、これが今後更改にあたつて愼重な取扱いをすることを要望したいのであります。  なお政府職員に準ずる勤務者にして、なお給與案に漏れたるものが相当あると思われます。これが対策に緊急善処しない場合には、大きな問題が発生するであろうということを、ここに指摘する次第であります。  また從來の政府の態度は、ストライキ発生後賃金ベース等の改正にとりかかる弊害があり、賃金値上げを要求されて、初めてこれが対策を立てるというような、どろなわ式の処置が多く行われたのでありますが、かくのごとき弊を改めて、すみやかに労働界に惡弊の起らないように、事前に円満に労資の間を是正し、また政府といたしましてもこの点に深い注意を喚起されんことを特に要望して、本案に賛成の意を表したいと思うのであります。
  23. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 織田正信君。
  24. 織田正信

    ○織田委員 第一議員倶樂部を代表いたしまして、今回提出されました補正予算に対して反対いたします。  その反対の理由といたしますところの第一は、財源の問題でありますが、財源の大半を租税自然増收に求めているという点であります。この点に関して政府は、賃金と物價の生産指数の上昇をもつてその根拠としているようでありまするが、十一月二十日の閣議内定では、租税の自然増收見積りは二百二十億であつたのが、急に四百十億に変更したという事実は、むしろ歳入の要請から不当な見積りをしたとしか考えられないのであります。旅客運賃、通信料金、タバコ等の値上げはしなくても、すなわち間接税が直接税にかわつただけであります。今日の日本國民は、長期の戰爭の負担のため重税に苦しめられて來ましたが、敗戰後もその結果が集中的に表現されて、インフレと物資不足に苦しめられております。しかるに政治は依然として惡政が続けられているという現状であります。世の識者は、今日の状態を目撃して、清朝末期の状態のようであると申しております。惡税に苦しめられる國民、國民の汗とあぶらの税金で生活する者が増大する一方であり、しかもこれらの人々の腐敗堕落ぶりは、心ある人の義憤の的となつている状態であります。しかもなおこの状態から百八十度の轉換をせんとする努力なくして、旧態依然たる状態を継続するために、法律の濫発による権力統制と刑務所の増設をもつてしている現状は、まさに惡逆無道の政治と断ぜざるを得ないと思います。総司令部の労働課長ヘプラー氏も、今日の日本人民の租税負担はあまりにも重いのであつて、この上の加重は到底実行不可能であると毎日新聞紙上で声明をしております。まさに今日の政治の急務は、財政支出を徹底的に削減することにあり、これがためには政府事業、すなわち官僚資本の賣却と、國民の汗とあぶらの税金で生活する人人を必要最小限度にするということであると信じます。このことはマ書簡にも明示されているところであり、吉田内閣、民主自由党としても強調している点でありますが、しかし今回の予算の内容をながめて見ますときに戰時中から戰後歴代内閣を通じて、一貫してかわらざる組み方であると考える次第であります。重ねて申しますが、直接税たると間接税たるとを問わず、財源を重税のみにたよることなくして、厖大化している官僚資本を民間に賣却し、國民の汗とあぶらの税金で生活する人々を必要最小限度にして、支出を抑制し、國民を富ます政治こそ、今日とらるべき措置であると信ずるのであります。  反対の第二の理由は、支出の引締めが急務であるにもかかわらず、今回出されました予算の組み方を見ましても、大綱のみを示して、支出の適正が十分審議できるだけの資料を提出しておらないということであります。このことは前芦田内閣のときに、予算に対して民主自由党自身が強く攻撃したところでありますが、依然として今回の内容を見ましても、前車の轍を踏んでいるにしかすぎない、國民はあまりにもだまされ通しで來ております。すでに今日政治に対して信頼を失つている現状でありますが、今回出された予算のその片鱗においても、日本の政治家の言うことと、行うこととが少しでも一致するように努力する面が現われるということが、國民に希望を持たす点であると思いますが、この旧態依然たる予算の出し方に対して反対する次第であります。  第三は、今回出されました予算は、給與と災害復旧費のために出された追加予算でありまするが、これに便乘いたしまして、終戰処理費等大半の額が含まれております。これらの理由を物價騰貴のためと説明しておりまするが、物價騰貴のためであれば、何も終戰処理費等にのみ限ることなくして、米價その他全般にわたる問題であると信じます。しかるにこれら終戰処理費等一部のもののみを追加をするということは、これらの價格を上げられなかつた他の方面に対して、より多くの犠牲をしいるものでありまして、これを第三の反対の理由といたします。
  25. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 野坂參三君。
  26. 野坂參三

    ○野坂委員 私は日本共産党を代表して、当予算案の本質が勤労大衆を犠牲にするものであり、しかも日本の再建に役立たないものであるから、これを政府に返上して、組みかえを要求するものであります。これについて理由として十の点を申し上げたいと思います。  第一に、官公吏の給與は、手取り七千三百円を八月にさかのぼつて支給し、十一月以降はさらに物價水準にスライドさせるべきである。また政府が四月から三箇月間給與改訂を故意に遅らしたために生じた赤字補給金として、二・八箇月分を即時支拂うべきである。  第二点、しかるに今回の六千三百七円案は約一時間半の労働時間延長、ひいては首切りを前提とし、さらに現物給與を差引いている。その他超過勤務手当などの既得権を奪い、労働基準法以下の賃金切下げを企てる奴隷的賃金案である。從來の基準に換算すれば、現物の差引をおいて問わぬとしても、五千二百円にしかすぎない。  第三点、手取り七千三百円支給に必要な経費、並びに窮乏せる地方財政を救済するに必要な全額國庫負担を合計すれば、約一千三百億円である。この財源は第一に大資本家救済費を根本的に削り、第二に大口脱税を徹底的に徴期することによつてまかなうことができる。  第四、農民に対しては政府は何らの対策を講ぜず、米價を生産費以下にすえ置き、さらに人員不足のため、ほとんど機能を停止せんとしておる農地委員会の経費をまつたく計上せず、実質上農地改革の打切りにひとしい政策をとつておる。  第五点、中小商工業者に対しても何ら救済策をとらず、反対に為替レートをてことして、倒産と企業整備に拍車をかけようとしておる。  第六点、勤労者、農民、中小業者に対する重税は、大衆の生活破綻をまつたく無視し、生活費にまで食い込む不当課税である。直接、間接、地方税を含む税負担は、当初予算だけでも收入の約七〇%に及んでおる。しかるに今回の補正予算では、所得税の源泉分は当初に比し六一%増、申告分は一三%増のさらに重い課税を行おうとしておる。また勤労所得税は歳入の四八%を占め、農民、中小業者に対する天くだり更正決定は、いよいよ強化されようとしておる反面、約数千億に達する大口脱税がまつたく徴收されていない。  第七点、窮乏その極に達しておる地方財政から、三十五億円の償還金を取立て、本來全額國庫負担とすべき六・三制その他の経費を、依然として地方に押しつけており、ことに六・三制施設費はまつたく予算を計上していない。  第八点、以上の人民の收奪に引かえ、大資本に対しては一貫して、補給金その他の大規模の救済補強政策をとつておる。價格補給金一つとつてみても、約六百六十億の巨額に上り、全予算は直接、間接に大資本の救済に充てられ、あるいはその食い物化し、腐敗の一大温床となつている。さらに巨大な不生産的消費とともに、大資本はますます國家権力を通じて強化されている。かくして総計一兆六百億円の厖大インフレ予算ができ上つている。  第九点、以上の人民收奪政策は、逆にますます國内市場の狹隘化をもたらし、ここに再び大資本のための人為的購買力の創設、言いかえれば厖大インフレ予算は必至となり、増大する不生産的消費と相まち、インフレの惡化は不可避である。  最後に日本共産党は、人民の生活安定と自主再建のために、まず大資本と國家権力との結合を断ち切り、予算の一大削減を断行し、他方勤労所得税、取引高税、その他の大衆課税を即時廃止し、大口脱税の徹底的徴收とともに、大所得者に高率累進税を課し、金融機関と重要産業の國営人民管理によつて、積極的に人民の生活擁護を中心とする財政経済政策を断行すべきことを主張する。  以上の理由によつてこの予算案を返上して組みかえを要求するものであります。
  27. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 討論は終局いたしました。これより予算両案の採決をいたします。  まず中原健次君及び野坂參三君より発議せられました予算両案の編成がえのため政府に返付すべしとの動議について採決いたします。賛成の諸君の起立を願います。
  28. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 起立少数。よつて返付すべしとの動議は否決せられました。  次に原案について採決いたします。両案を一括して原案に賛成の諸君の起立を願います。
  29. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 起立多数。よつて両案とも原案の通り可決いたしました。  なお報告書の作成については委員長に御一任願いたいと思いますが御異議ありませんか。
  30. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員長代理 それではさよう決定いたします。  これにて議事は全部終了いたしました。本日はこれにて散会いたします。     午後二時三十七分散会