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1948-12-10 第4回国会 衆議院 本会議 8号 公式Web版

  1. 昭和二十三年十二月十日(金曜日)  議事日程 第七号     午後一時開議  一 國務大臣の演説に対する質疑            (前会の続)     ―――――――――――――  第一 職業安定法第十二條第十一項の規定に基き、職業安定委員会委員の旅費支給額改訂に関し議決を求めるの件     ――――――――――――― ●本日の会議に付した事件  日程第一 職業安定法第十二條第十一項の規定に基き、職業安定委員会委員の旅費支給額改訂に関し議決を求めるの件  廃兵器等の処理に関する法律案(内閣提出)  國務大臣の演説に対する質疑            (前会の続)  議員逮捕許諾要求につき議院運営委員会の態度決定に関する緊急質問(石田一松君提出)     午後三時三十六分開議
  2. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――
  3. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) この際、新たに議席に着かれた議員を紹介いたします。  第二百七十一番、長崎縣第一区選出坪内八郎君。     〔坪内八郎君起立〕     〔拍手〕
  4. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 第二百七十二番、長崎縣第一区選出岡西明貞君。     〔岡西明貞君起立〕     〔拍手〕      ――――◇―――――
  5. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 日程第一、職業安定法第十二條第十一項の規定に基き、職業安定委員会の旅費支給額改訂に関し議決を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。労働委員長綱島正興君。     ―――――――――――――     〔綱島正興君登壇〕
  6. 綱島正興

    ○綱島正興君 政府提出にかかる、職業安定法第十二峰第十一項の規定に基き、職業安定委員会委員の旅費支給額改訂に関し議決を求めるの件の労働委員会並びに衆参両院労働委員会合同審査会の審議及び審査の経過及び結果を御報告いたします。  職業安定法第十二條の規定による職業安定委員会委員の旅費額改訂をなすには、衆参両院の労働委員会合同審査会の議を得て、國会の議決を得なければならぬのであります。労働委員会は、本件を議題といたしまして本年十二月八日開催し、なお同日、衆参両院の労働委員会合同審査会を開き、審議及び審査をいたしました。右労働委員会及び両院合同審査会におきましては、愼重に審議及び審査をいたしまして、全員一致をもつて、いずれも原案を可決いたしました。  元来、職業安定委員会委員の公務上の船車馬賃、日当、宿泊料等の支給額は、相当官吏の当時の船車馬賃、日当、宿泊料等と大体同額くらいに決定してあつたのであります。ところが、経済上の事情の変化の結果、従前所定の支給額は低額に失するに至つたのであります。しかのみならず、職業安定委員会委員の船車馬賃、日当、宿泊料か決定せられましたる以前において官公吏の旅費、日当、宿泊料の支給額が改訂せられましたる結果、その間の支給額の均衡を失するに至りましたから、前述いたしました通り、職業安定委員会委員の船車馬賃、日当、宿泊料等を同等の官吏の支給額に準じて改訂するため、委員会において審議をいたし、本委員会及び衆参両院合同審査会において、原案をいずれも全員一致をもつて可決いたしたのであります。以上をもつて委員会の審査の報告といたします。(拍手)
  7. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本件は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本件は委員長報告の通り可決いたしました。      ――――◇―――――  廃兵器等の処理に関する法律案(内閣提出)
  9. 今村忠助

    ○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、廃兵器等の処理に関する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  10. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  廃兵器等の処理に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。商工委員長本多市郎君。     〔本多市郎君登壇〕
  12. 本多市郎

    ○本多市郎君 ただいま議題となりました廃兵器等の処理に関する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果について簡単に御報告申し上げます。  本案は、去る十二月四日、本委員会に付託されました。その趣旨といたしますところは、商工省の保管しております廃兵器及び運輸省が現に管理し、近く商工省に保管転換をいたす予定になつておりまする物件の管理及び処分について、これを産業復興公團に取扱わしめることといたしたのでありますが、現行法のもとでは時宜に即した処分を期待することが困難でありますので、新たに法律を制定して、同公團の手元で円滑に処理せしめんとするものであります。  本委員会におきましては、七日及び九日の両日にわたつて本案の審査を行つたのでありますが、その業務の内容が経済行為でありますだけに、本案の趣旨は妥当であるとの見地より、本案は全員一致をもつて可決すべきものと議決をいたした次第であります。なお、日本社会党の笹口晃君より動議が提出され、全員一致をもつて次の附帯決議を付することと決定いたしました。ここに、これを朗読いたします。    附帯決議  廃兵器処理に関し、その管理及び処分については、主務大臣は、その処理の状況並びに結果を六箇月毎に國会に報告しなければならない。  以上、簡單ながら委員長の報告といたします。(拍手)
  13. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ――――◇―――――  一 國務大臣の演説に対する質疑             (前会の続)
  15. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 國務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。梅林時雄君。     〔梅林時雄君登壇〕
  16. 梅林時雄

    ○梅林時雄君 私は、民主党を代表いたしまして、吉田首相の施政方針並びに泉山安本長官の経済演説に関しまして、二、三重要なる点につきまして御質疑を申し上げたいと思うものであります。  まず第一点といたしまして、首相の演説を伺いまして、議会政治の否認的な態度を認めざるを得なかつたのであります。そこで、首相の政治的信念をただしてみたいと思うのであります。われわれの印象を一言にして言わしめるならば、民主自由党内閣は國民を愚弄し、國会を侮辱したという一事であります。何ゆえならば、吉田首相の演説は、國会解散を唯一の方針としておるのみでありまして、民主自由党單独内閣としての個性ある政策は何一つ盛られていない施政方針演説であつたからであります。また、泉山安本長官の演説も同様、抽象的な作文に堕し、民主自由党内閣は政権をとつて一体何をしようとするのか、國民にとつては、その眞意が一向わからないのであります。(拍手)これでは吉田首相は、一体議会政治を、いな民主主義政治を何と心得ておられるのか、その根本的態度を疑わざるを得ないのであります。  さきに首相は、臨時國会におきまして、われわれがあれほど要求したにもかかわらず、施政方針演説を頑強に回避せられたのであります。多数議員の意思を蹂躙し、國会における國家公務員法改正法案の審議に重大な支障を見たことは、同僚議員諸君のひとしく遺憾とするところであります。それが通常國会におきまして、ようやくのことで施政演説が行われたかと思えば、その演説は、かつてその例を見ないような不親切きわまるものであつたのであります。  政権を担当する以上、施政演説は、國会を通じて全國民大衆に対しまして、民主自由党内閣は何をなすか、誠意をもつて詳細に述べるのが、國民主権を尊重する民主主義政治の建前であらねばならぬと思うのであります。しかるに、このような方針のない施政演説、内容のない財政経済演説を聞かせておいて、國会を解散し、国民に信を問うなどというがごとき不遜な態度に出られるのは、まことに驚くほかはないのであります。(拍手)おそらく國民の大多数は、首相の施政方針と安本長官の演説を聞いて、ただただ唖然としたことでありましよう。吉田首相は、口に健全なる民主主義政治の確立を唱えながら、國会における言動は、むしろ眞の議会政治、民主政治を後退せしめ、逆行せしめるものであるとの非難を否定し得ないであろうと思うのであります。これすなわち、諸外國が吉田首相の失言に対し、日本ははなはだしく右に旋回したというゆえんも、ここにあるのではないかと思うのであります。(拍手)  政府は、民主自由党としての政策方針をいささかでも具体化しようとせず、ただ少数党内閣であるがゆえに解散論一本に出るのは、まさに党利党略以外の何ものでもないと思うのであります。(拍手)かかる内閣が、何ら自分の信念を持たず、いたずらに政治的空白をつくつて國政の渋滞を來さしめるがごときは、断じて許さるべきではないと思うのであります。まして今日は、内外の情勢は急迫し、日本の自立ができるかどうかの岐路に立つている重大な時期であります。もしも首相にして良心ある政治家であるならば、動揺と苦悶を続ける現下の経済情勢に対して、われわれ日本人がいかにして生くべきか、国民に信頼と希望とを與えるだけの具体的な経済施策を明示するのが当然の責務であることは、言をまたぬところであります。しかるに吉田首相が、選挙第一主義、すなわち在野時代の公約が実行不能のぼろを出さぬうちに早く解散するという党利党略に立ち、まつたく誠意を欠く態度は、まさに議会政治否認にひとしい傍若無人ぶりであると思う。首相のいう健全なる民主主義とは、はたして何を意味するものであるか、首相の所信を伺いたいのであります。  第二点は、補正予算の内容がいかに空疎、無責任なものであるか、公務員給與費、災害復旧費、海外引揚費、終戰処理費、價格調整費増額を含む補正予算案を通読して、まことに意外に思われたことは、内容が不確実で、何ら財政上の見通しと計画性がなく、全体の構成についても一貫した思想と政策が盛られていないことであります。なるほど表面は、経済安定十原則並びに経済三原則による財政收支均衡の建前が、形式的には一應守られているようには見えるが、その財源において重大なる欠陥を藏している点は、嚴密なる検討を加える必要があるのであります。すなわち、言うところの健全性がはたして一貫されているかどうか、これを実行する場合、財政の実質的收支の均衡が得られるかどうか、大いに疑わしいのであります。政府は、いかにも表面は健全予算、収支均衡の原則を守つているかに装つているが、眞劍に健全財政を堅持しようとする熱意も努力も全然見られず、これでは、おそらくインフレをあおる悪質予算に終るといつても決して過言ではないと思うのであります。  その証拠として、ここに水増し歳入予算案の最も適切な例を見出すのであります。すなわち前内閣が、本年度予算において、租税収入中約百六十億の追加増収を見積つているにかかわらず、今回の補正予算案は、その上さらに四百四億という膨大な租税の自然増收を財源の根幹としているのであります。これこそ純然たる水増し予算にほかならないではないか。  先日の大藏委員会における当局の説明によれば、本年度における徴税成績については、第三・四半期七百億円の予定のところ、現在約二割二分がとれているのみである、完全に納入されるかどうか疑問であるとのことである。しかも第四・四半期には、本年度租税総額の四三%に当る千五百五十四億円余を徴収しなければならないということであります。現在の経済情勢から推察して、まことに無謀な、不可能にも近い金額であり、年度末には数百億円の歳入欠陷を生ずることは必至であるといわざるを得ないのであります。もしも、むりな徴收をやろうとすれば、國民への苛斂誅求となり、この経済圧迫は、遂に恐るべき社会不安を醸し出す危険さえ感ぜられるのであります。政府は何ゆえに他に適当な財源の発見に努力を拂わなかつたのか。あるいは在野当時の実行できぬ公約に制約され、またはいわゆる選挙第一主義の政略から國家の大局も忘れたものというべきであります。これは財政の健全性を破る結果となり、この点は厳正に批判さるべきであると思うのであります。せめて水増しによる歳入欠陷を補うためには、源泉課税による追求を避け、インフレ利得者を対象として、完全にこれを捕捉するよう努力するならばよいが、はたして政府にこの自信があるかどうか。  さらに、本補正予算と物價と賃金との関係はどうなるか。もしも均衡財政を堅持しようとするならば、財政と物價と賃金との同時的均衡を得せしめるように努力し、本補正予算の実施が将来において動揺を受けることのないよう極力留意せねばならぬのであつて、この辺の関係を一体どうするつもりであるか。現在行われている補給金制度のごときも、今や再検討を必要とする情勢、に至つているが、これを制限することによつて起る経済界への影響は非常に大きいのである。政府の補給金制度に対する態度も、ただ企業三原則を実行すると言いながら、補正予算案には石炭電産補給金が三十億円も計上されており、政府の眞意がどこにあるか、何ら明らかにされてない。政府はいかなる物價対策をとらんとするのであるか。これでは、官職職員に対し給與改訂は約束したものの、政府はこれをまじめに支拂うつもりであるかどうかわからないと言われてもいたし方あるまい。のみならず、泉山安定本部長官がたびたび言明されている経済十原則の基本たる財政収支の均衡を、政府みずからぶちこわすことになるのであつて、せつかく給與改訂の好意を示したつもりであつても、公務員諸君にしてみれば、その給與袋を手にして、なんと新たなインフレ高進という次の生活苦が同封されていることを発見して驚き入ることであろう。(拍手)これら補正予算に含まれている健全財政方針との矛盾について、所管大臣の見解を一括して伺いたい。  第三点として、一連のインフレ收束策についてお尋ねしたいのであります。國民が、首相の施政方針演説及び泉山大臣の経済演説に期待したのは、民主自由党内閣は、現在のインフレーションの実態をいかに把握し、またこれをいかに阻止し、收束するかについての具体的政策を聞きたかつたのであります。すなわち、財政と國民経済の相関性に立ち、インフレの收束に対する徹底した具体策がない限り、少くとも今日のわが國財政を匡救することはできず、國民経済の向上どころか、お先まつ暗たらざるを得ないのであります。  今日社会不安を除き、日本経済の安定を実現するには、一切の政治力をあげて、インフレーションの收束に集中し、施策を誤まらぬごとがまず肝要であります。しかるに民主自由党は、何らインフレ收束の具体策を持たず、またインフレを收束しようとする、はつきりした決意さえも、われわれに示していないのであります。きわめて安易な、しかも通り一ぺんの生産第一主義というようなごまかしでは、とうていこのインフレーションを阻止できるものではないのであります。すでにインフレの悪循環的進行の終局の原因が財政收支の実質的、時期的不均衡という中に含まれていることは明瞭であります。この点は、補正予算案編成におけるいいかげんなごまかし的な態度によつても、吉田内閣はインフレ收束の良心的努力をなされているかということを疑いたいのでありまして、これについての御所信をお伺いしたいのであります。  しかも増産の美名に隠れ、増産の実効を見る前に、まず信用の拡大、通貨の膨脹が必至であつて、それはまた必然的にやみ物価を引上げ、國民大衆の生活窮迫と生産への障害を来すことは火を見るよりも明らかであります。かくして、安定化への経済の道は再びインフレのうず巻の中に押しもどされるのでありまして、この点は深く反省せねばならぬと思うのであります。  われわれは、インフレの悪循環を断ち切るためには、救援外資によつて消費財の供給増加をはかるとともに、実質賃金を確保することによつて賃金及び物価の悪循環を断ち、経済の段階的安定を待つて、適当の時期には外國からの通貨安定資金の貸與を仰ぎ、しかも為替レートを決定し、同時に國内物価体系を海外物価体系に相照應せしめ、國内の企業が高能率で経営されるように合理化することによりまして、日本経済の実質的世界経済への参加をこいねがつておるのであります。  ことに現下の最も深刻な問題は、わが國の貿易が国際情勢の混沌たる情勢の影響を受けまして不振をきわめ、入超じりが敗戰以來すでに十億ドルに達しており、輸入力強化のためにも、日本経済自立のためにも、はたまた輸出振興のためにも、何らかの積極的対策を講ずることが焦眉の急務であります。しかるに、貿易会計は赤字を増し、貿易金融は梗塞し、しかも貿易廳、貿易公團は本来の機能を発揮せず、せつかくの連合軍当局の好意と同情にもかかわらず、きわめて悪條件下にあることは、皆様御承知の通りであります。政府はいかにしてこの局面を打開する方針であるのか、この点を特に伺いたいのであります。また通貨、為替、貿易、これら一連のインフレ收束、経済危機克服の方策について、政府はいかなる政策をとるのか。  さらにまた、特にこの際、経済復興五箇年計画の実施に関して、泉山安定本部長官の見解をあわせてただしておきたいと思うのであります。すなわち、この五箇年計画は、片山内閣から芦田内閣へと、超党派的性格のもとに檢討されている、わが國の再建意欲を具体的に示す重大なる作業であつたはずであります。しかもこの計画は、明二十四年度をその初年度といたしまして、吉田内閣といたしましても、祗國再建を念願されている以上、これに知らぬ顏をしておられるということはないと思うのであります。しかるに政府は、計画初年度を控えた、いわゆる準備期にある二十三年度末期に当り、具体的に成果をつかもうと努力しておられるようには思われないのであります。  激動する国際情勢下にありまして、この計画成案のきわめて困難なることは、われわれも十分に承知いたしておるのであります。しかも、今や為替レートの一本建を目標とする産業再建のコースが、この計画における初年度の中心課題と相なつておるのであります。為替レートの一本建目標については、民主自由党におかれましても、去る十月の党大会で、緊急政策として、インフレ収束と結びつけた最重要決議として発表されたのでございます。ところが、前にも指摘いたしましたように、現実に政府みずからインフレ高進に努力しているに至つては、五箇年計画をめちやめちやにし、アメリカ援助を要請するための再建の意欲と経済自立体制を遠い彼方に押しやつた現在の状況であります。吉田内閣は日本経済再建の芽ばえをむしりとつたのでありまして、五箇年計画に期待する國民に対して、政府はいかような弁解をされるのか、これもとくと伺いたいと思うのであります。  最後に第四点といたしまして、吉田内閣の存在は今や国民的不幸であるということに私は言及してみたいと思うのであります。  國民は、インフレーシヨンの大深淵を前にいたしまして、これを跳躍せねばならぬ最大の危機が眼前に横たわつているのであります。決して國民は、甘い考えではこの難関を乗り越えることはできないのであります。もちろんわれわれは、対日援助の積極化、外資の導入を心から期待するものではありますけれども、その前提は、あくまでも自力の更生であるべきであります。経済安定復興のために最大の熱意と努力を披瀝した上、初めてこれは得られることと思うのであります。そのために、戰前に劣る生活水準にわれわれは甘んじ、耐乏忍苦いたしまして、この難関を克服しなければならないのであります。今こそ敗戰後の昏迷と無氣力から立ち直りまして、労資の協力をはかり、全國民が結束を固くして、経済の安定、産業の再建に邁進すべき重大なときであります。國民に向つて日本経済の矛盾的実態を示し、インフレの収束と、経済五箇年計画の発足と、日本経済の自立と、國民生活の安定のため、はつきりとした目標と希望とを国民に持たせ、眼前の困難な事態を克服するために、たくましい努力を拂わなければならないと思うのであります。  私は、最近到着いたしました外紙ニューヨーク・ヘラルド・トリピユーン紙において、次のようなことを見たのであります。どの政治家がうまくインフレを克服しようとしているか、國民が簡單に知る方法がある、それは、その政策が効を奏した場合には、百姓も月給取も実業家も銀行家も、苦しむということを警告しているであろうかどうか、すなわち百姓も月給取も実業家も銀行家も皆苦しむということを警告しておるかどうかというのであります。インフレをとめることは、にわか景気をとめることであり、物価を下げることは、景氣、利潤、事業の発展、物の賣れ行き、労働の需要を縮小しなければならないと言い聞かせているであろうか、一方でインフレの恩恵に浴しながら同時に物を安く買おうとすることはできない相談だと警告しているのであろうかどうか、政治家がこれらのことを言つていないとしたら、彼は大衆を欺いているか、彼みずからを欺いているのではないかというのであります。(拍手)  この批評は、われわれをまことに納得せしめるものがあつたのであります。何となれば、わが民主党の掲げている現実政策は、すべてこのような事実の上に立つているからであります。われわれは、政治に対しては、その誠実のすべてをささげ盡さねばなりません。今やここにおいて、一切は明瞭であります。すなわち、今日の時局を担当する政府は、自由かつ責任ある政府といたしまして、外は國際的信用を博するとともに、内、國民の救國的熱情と氣醜と不屈の意思に立脚した政治力を結集し、國民に眞実を訴え、ときには、あえて國民的不人氣を恐れず、断断固として強力な措置を講じなければならないと思うのであります。  わが党は、同胞相食み、國内相剋して、階級鬪争を激発している祖國の不幸な現状にかんがみまして、すみやかに事態を改善して、闘争のない社会を出現せしめ、安定した民心の上に初めて外國の援助を仰ぐ土台ができるものと考えて來たのであります。そのために、各階層が互いに譲り、互いに助け合い、自己の生活原理のみを主張することをやめまして、現実を直視し、互いに理解と愛情を持ち、虚偽の皮を脱ぎ捨て、赤裸々になることが肝要であると存ずるのであります。われわれが、政治休戰、挙國連立の中道政治をもつて正しい救國政治のあり方とするゆえんも、実にここにあるのであります。  しかるに、保守單独政権を固執している吉田首相は、一階級の立場にのみ偏し、階級鬪争を激化し、しかも政権獲得のためには、あつかましいほど國民へのこびを賣り、すでに今まで同僚議員が痛撃した公約の破棄を、あえて平然といたしておるのであります。(拍手)このように、党利党略のために不渡手形を濫発して國民大衆を欺き、愚弄し、羊頭を掲げて狗肉を賣るさまは、まことに天下の醜といわざるを得ないのであります。(拍手)まさに政治道義頽廃の極致と断ぜざるを得ないのであります。  さらに民主自由党單独内閣の存在を否定したいのは、ただ選挙対策一点張りで、ほんとうの政治経済の動向とは相反しておりながら、いかにも氣休めとごま化しを述べ、國民に対して、民主自由党は何となく自由経済政策を今にも実現できる政党であるかのごとき印象を與えておる、この一事であります。目先、目先の安易と楽観によつて國民大衆を迷わし、インフレ狂燥曲に乱舞せしめながら、遂に深淵に突き落そうとする、この危險をわれわれは言うのであります。  しかるに、現実はどうか、企業三原則の実現による行政整理にしても、企業合理化にしても、物價体系の再編成にしても、為替一本レートの設定による経済界の建直しにしても、これを実行するには失業や犠牲や経済出血が起り、國民は相当の覚悟と勇氣とを要するのであります。民主自由党は、インフレをあおるような在野時代の公約を今やとうていやれないということを國民の前に正直に告白し、國民に、きびしい現実の動向と時局の大きな試練を大胆に警告し、國民の覚悟を要請することが、責任ある正直な民主政治家の態度ではないかと思うのであります。  しかるに吉田首相は、時局を甘く考えておられるのか、眞にインフレ牧束の決意と手段をお持ちでないのか、かえつてインフレをあおるかに見える不健全予算をつくり、國会を解散し、政治的空白によつてインフレーションを一層激化し、不労所得を獲得しようとする食欲な人々や、投機者や、やみ屋階層の不まじめな要求に追随し、あるいは中小企業者にインフレ景氣の再現、自由経済の即時実現の幻想を與え、ひたすら投票をかき集めようとしておられるかに見えるのであります。かかる民主自由党内閣の存在は、それ自身國民的不幸であるといわざるを得ないのであります。(拍手)吉田内閣の施政方針が、いかにも内容が空疎であり、多くの矛盾と不合理をはらんでいることは当然のことでありましようけれども、吉田首相のこれに対する率直なる御所見を承りまして、私の質問演説を終りたいと思うのであります。(拍手)     〔國務大臣吉田茂君登壇〕
  17. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) 梅林君にお答えいたします。私の施政演説に関する考え方については、しばしば繰返し述べておるのに、なお御了承がないと見えますみが、私の考え方は、この内閣は諸君の指名を受けましたけれども、これはさらに國民から新たなる指名を受けてこそ政局を担当する地位に立つべきものであつて、それまでは施政の演説はなるべく控え目にいたすべきものである。いやしくも羊頭を掲げて狗肉を賣るがごときことは、私の欲せざるところでありまするから、施政の演説はなるべく簡單にいたしたのであります。     〔國務大臣泉山三六君登壇〕
  18. 泉山三六

    ○國務大臣(泉山三六君) 梅林議員のお尋ねは、おおむね三点にあつたやに伺いました。  第一点、私の財政演説には建設的の方策がないではないか、その財源の捻出にあたつて安易なる水増し政策を講じているではないか、その結果はインフレを高進し、生活不安を増加すると思わるるが、安本長官の所見いかん、たいへん長いお尋ねであります。政府の財政金融政策の基本は、健全財政と健全金融の方針を堅持することはもちろんであります。従いまして政府は、今團の追加予算の編成にあたりましても、歳出をできるだけ圧縮いたしまするとともに、その反面におきまして、財源は確実なる租税上の措置にこれをまつことといたしたのでございまして、今回追加計上いたしました租税の増収のごときは、決して安易なる水増しなどによつてこれをやつたものではないのであります。今日、諸君御承知の通り、財政の均衡につきましては、関係方面との間に、強きわく内に入れられておる現状におきまして、もし水増しのごときものができるということであれば、それこそ非常なる政治手腕であると私は思うのであります。現在の租税徴収の成績は必ずしも十分とは申しかねるのでありまするが、しかしながら、この程度のものは、あえて徴収できないものとは考えてはおらないのであります。政府といたしましては、他方金融面におきましても、強力に富む政策を実施いたしますことによつて財政と金融との調和をはかり、もつて生産の増強、経済の復興に努め、インフレーションの収束と國民生活の安定とを実現いたすべく満身の努力をささげる、かように御了解願いたいのであります。  質問の第二点、インフレ収束は経済再建の根本である、今回の給與改善がインフレ高進の原因となる危險性があるようであるがいそのためには、裏づけ物資の確保、救済物資の導入、為替レートの設定、企業の合理化と、すべての努力をこれに傾注すべきであると思うがいかん。まことにお示しの通りであります。名目賃金の引上げを防止するための給與に対する裏づけ物資の確保につきましては、政府におきましても十分努力を重ねたいと思うのであります。  御質問の第三点は、五箇年計画についてのお尋ねでございましたが、五箇年計画に関しましては、目下政府部内に設けられておりまする経済復興委員会におきまして、昭和二十八年度におきまして日本の経済が安定かつ自主的なる運営を行い得ることをその目標といたしまして、鉱工業、農業、交通、貿易、建設、國民所得及び雇傭等の各部門にわかれまして、それぞれ昭和五年ないし九年の水準と比較いたしまして、今後の計画を検討中であるのであります。現在までの水準とこれを比較しまして、今後の研究――現在までに委員会におきまして決定せられました基本方針は、計画を前期及び後期の二つにわかち、前期におきましてはインフレーションの克服に重点を置き、後期におきましては本格的なる復興をはかろうとするものであります。種々の情勢の変動に即應して、もつて計画自体も有機的にこれに即應する変更を加えて行かなければならないと思うのでありまするが、その詳細につきましては、いずれ申し上ぐべき段階に申し上げたいと思うのであります。以上。
  19. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 田中織之進君。     〔田中織之進君登壇〕
  20. 田中織之進

    ○田中織之進君 私は、日本社会党を代表いたしまして、原彪之助君並びに中崎敏君との重複を避けながら、吉田首相以下関係閣僚に対しまして若干の質疑を行いたいと思うものであります。  まず、吉田総理にお伺いいたすのでありまするが、日本の民主化という問題は、ポツダム宣言によつて、現下日本の政治の中枢的課題であると考えるのでありまするが、これに対する首相の信念をお伺いいたしたいのであります。私がいまさらこの問題を取上げるのは、ほかでもありません。それは、過般極東軍事法廷におきまして、東條以下二十五戰犯者に対しまして厳粛なる判決が下つたのであります。もちろんこの判決は、世界平和を撹乱し、幾百万のわれわれの同胞を犠牲としたかの帝国主義侵略戰争を計画し、またこれを実行したところの東條以下二十五名の戰争指導者に対する、人類平和の名によるところの断罪であることはもちろんでございまするが、これは同時に、一部の例外はありまするけれども、彼ら誤まれる指導者のもとに戰争遂行へ協力いたしましたところの大多数の日本國民に対しまして、平和に対する厳粛なる反省を求めているものである考えるのであります。われわれは、今日この断罪に対しまして、その判決そのものに対しましては批判の自由を許されておりませんけれども、この判決を契機といたしまして、われわれは敗戰の事実をあらためて認識するとともに、ポツダム宣言の忠実なる履行、言葉をかえて申し上げまするならば、日本の政治、経済、社会各般にわたりまするところの民主主義化の完成に対して新たなる決意を固めなければならないと信ずるのであります。  翻つて日本の現状を考えてみまするならば、われわれは、各方面における民主主義化未だしの感を深くするばかりでなく、むしろ最近におきましては、この民主主義に逆行する反動的傾向すら顕著なるものあるを見出すのであります。現内閣の出現にあたつて、幾多の人々が指摘するように、諸外國の新聞の論調が、一齊にこの内閣の保守反動性を指摘し、地下にひそむ右翼勢力がこの内閣の出現を機として擡頭することに対する重大なる警告を発しておる事実は、総理大臣のいかなる強弁にもかかわらず、厳然たる事実であります。  私はこの機会に、吉田首相が希望せられるように、現内閣に対する國際的不信を拂拭する意味からも、日本の民主主義革命の完遂に対するところの総理の確固たる決意を表明することが当然の義務であると考えるのであります。吉田総理は、今日少数党内閣とはいえ、日本の國政を燮理し、ある意味において日本の國民を代表するものである以上、先般の極東軍事裁判の判決に対しましても、以上私が申し述べましたような見地に立つてその所信を明確にすることは、総理としての当然の責務だと考えるのでありますが、この断罪に対する総理の所感をこの際承りたいのであります。  さらに私は、日本の経済のうちで最も封建制の強い農村の民主化に関する現内閣の方針について伺いたいのであります。何となれば、過般の首相の施政演説におきましては、この國民の過半数を占めまするところの農村政策につきまして一言も触れておらないのであります。泉山安本長官は廣汎なる経済演説を行いましたけれども、農村政策の問題に関しましては、わずかに反動的な第三次農地改革等は行わないという一言を述べたにすぎないのでありまして、私は、かくのごとき、少くとも日本の半分以上を占めるこの農民に対し、また農村に対して、現内閣の政策を明確にすることは、いかに暫定的な内閣とはいいながら、当然行わなければならない責務であると考えるのでありまするが、はたして首相ば、現内閣を率いる立場におきまして、農村民主化に対し、日本の農業再建に対して、いかなる所信を持つておられるか、この機会に伺つておきたいのであります。  特來の日本の農業がいかにあるべきか、講和條約成立後、國際的関係に置かれまするところの日本の農業のあり方については、確かに考えるべき幾多の問題がございます。しかしながら、今日國土が半分に狭められ、多数の人口を抱えておる日本におきまして、八千万の國民のその半数以上が農業によつて養われておることは明らかなる事実であります。かかる意味合いにおきまして、農業政策について何ら具体的な方針を持ち合せていないところの現内閣は、現下重大なる危局を乗り切るところの資格なしと断せざるを得ないのであります。(拍手)  ちようど三年前の昨日にあたりまするが、昭和二十年十二月九日、マッカーサー司令部から日本農民解放に関する指令が発せられたことは、吉田総理大臣としては、よもやお忘れになつていないだろうと思うのであります。この指令に基きまして、吉田さんが、現在進行いたしております第二次農地改革を進められたことは、皆さん御承知のところでございます。この昭和二十年十二月九日発せられましたGHQの土地改革に関する覚書には、次のように出ておるのであります。  一、民主化促進上経済的障害を排除し、人権の尊重を全からしめ、かつ数世紀にわたる封建的圧制のもと、日本農民を奴隷化して来た経済的桎梏を打破するため、日本政府はその耕作農民に対し、その労働成果を享受するため、現状より以上の均等の機会を保障すべきことを指令せらる。  二、本指令の目的は、全人口の過半が耕作に従事している国土の農業構造を永きにわたつて病的ならしめていた諸多の根源を蔓除するにある。その病根のおもなるものを掲げれば次のことし。  一、極端なる零細農形態  二、きわめて不利なる小作條件下における小作農の夥多  三、きわめて高率の農村金利のもとにおける農村負担の重圧  四、商工業に対比し格段に農業に不利なる政府の財政政策  五、農民の利害を無視せる農民ないし農村團体に対する政府の権力的統制   日本農民の解放は、このごとき農村の基本的禍根が徹底的に菱除せらるるに至るにあらざれば進行を始めないであろう。と述べております。  この指令に基きまして、前申しましたように吉田内閣が、現在進行いたしております第二次農地改革を計画いたしまして、またこれの実行に着手したのでございます。しかしながら、この第二次農地改革の進行状態を考えてみましても、われわれは今日、これをもつて日本の農地改革が完了したとは断じて考えることはできないのであります。その意味におきまして、以下この日本の農村民主化に対する具体的な政策、すなわち土地改革に関して発せられましたマッカーサー指令の忠実なる履行について、具体的に政府の政策を伺いたいと思うのであります。  まず第一に、農地改革についてお伺いをいたしたいのでございます。  現内閣が成立直後、農地改革に関しまして、現に進行いたしております農地改革の打切り、地主制度の復活を中心といたしましたところの反動的な方針を閣議で内定いたしまして、それが十月六日の読賣新聞その他全國の新聞に掲載せられたのであります。これを見ました全國の農民は憤激をいたしまして、遂にわが党は、第三回國会におきまして、稻村順三君をこの壇上に立たして、農林大臣に対して、この新聞に報道せられた反動的な農地改革打切りに関する方針についてただしたのでありますが、しかし周東農相は、一應これを否定いたしました。しかしながら、先般の民自党辻寛一君に対する農林大臣の答弁等を伺つておりますと、現在進行いたしております農地改革をもつて事足れりとする態度と見受けられるのであります。  私は、多年農林省にあり、また農村民主化を口にするところの農相が、農地改革に対しまして、かくのごとき不徹底なる考えを持つておることは、まことに遺憾とするところでありまして、具体的に申しますれば、今日なお、いわゆる不耕作地主の保有小作地というものは、全國で四十万町歩に達するのであります。また、耕作可能であり、これを開放いたしましても治山治水に影響のない、いわゆる未墾地が、なお百余万町歩に達するのであります。これらの土地に対しまして、現内閣が何ら手を染めようとしないということは、さきに私が読み上げましたところの農村民主化に関するマ司令部の指令に背反するものであると私は考えるのでありますが、われわれが唱えるように第三次農地改革等を唱えなくてもよろしいが、はたして農地改革を徹底的に完遂するということについて、現内閣はいかなる考えを持つておるか、この際明確にしておいていただきたいのであります。ことに、在村地主平均一町歩の保有を認めております関係から、これらの土地をめぐりまして、土地取上げの紛争事件が、農地改革の進行にもかかわらず、二十万件の多きに達しておるという事実を、はたして農林大臣は知つておるかどうかということを、私は伺つておきたいのであります。われわれは、これらの問題に対しましては、どうしても政府の明確なる方針を承らなければならないのであります。  これに関連いたしまして、私は農地委員会に関する追加予算についてお伺いをいたしたいのでございます。農地委員会の経費につきましては、これは第一次吉田内閣で計画いたしたことでございまするが、市町村農地委員会に対しまして一委員会三万三千円、都道府縣農地委員会費として四万三千円、これは当時の千六百円ベースに基いて昭和二十二年度に計上いたしたのでございまするが、本年度分といたしまして、全國農地委員会協議会等から、都道府縣委員会に対しまして九十七万八千円、市町村農地委員会に対して十三万五千八百七十円、全國の農地委員会の総経費といたしまして三十九億余万円の追加予算の計上を要求されたのであります。それにもかかわらず、目下予算委員会において審議中の、現内閣が提出いたしました追加予算には、この農地委員会の重要なる経費が一銭も計上されておらないのでありまするが、はたしてこの農地委員会の継続をどうしてやつて行かれるか、農林大臣から明確に伺つておきたいのであります。     〔「農林大臣はどうした」と呼ぶ者あり〕
  21. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 農林大臣は、ただいま予算委員会に出席中であります。議長は、本会議への出席を求めております。     〔発言する者多し〕
  22. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。――静粛に願います。――田中君、進行してください。
  23. 田中織之進

    ○田中織之進君(続) なお、農地改革に関連いたしまして私は伺つておきたいのは、……、     〔発言する者多し〕
  24. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
  25. 田中織之進

    ○田中織之進君(続) 政府が買い上げました土地を農民に賣り渡すときには、農民は一時現金で支拂うのであります。買い上げた地主に対しては、御承知のように土地証券が交付せられるのでありますが、農民が、現在までの農地改革の進行につれまして、一時拂いの現金として政府に納めたのは、五十八億円に達すると聞いておるのでありまするが、はたしてこの五十八億円の金がいかに運用せられておりますか、私は、この点を明確にいたしておきたいと思うのであります。  次に私は、供出問題についてお伺いいたしたいのでございます。供出割当の問題に関しましては、依然として農民は割り切れない氣持を持つておることは事実でありまするが、現下の日本の食糧事情から見まするならば、一應この供出制度の必要を是認することは、やむを得ないと考えるのであります。しかしながら、その割当内容がいかにも民主的にできておらないということが議会が開かれるたびに論議せられることによつても明らかであります。第一回國会におきましては、院議をもつて供出制度の民主化に関する方針を決定いたしました。前内閣は、完全ではありませんが、一應この割当に際しまして実態調査を行う方法をとつたのであります。しかしながら、この実態調査は官僚によつて行われる結果、きわめて不公平な欠陷が現われておる。今回の事前割当にあたりましても、幾多の紛争が起つていることも痛感せられるのであります、先日民自党の諸君も、この割当につきましては、きわめて非民主的な点があることを指摘せられた通り、確かに問題は残つておる。この残つておる問題を、現内閣はどういうように解決するかということを、私は伺いたいのであります。この実態調査にあたりましては、農民組合等の民主團体を参加せしめることが絶対に必要であると考えるのでありますが、政府として、その点について用意があるかどうかを伺いたいのであります。(拍手)  次に、二十三年度の産米の補正問題についてお伺いいたしたいのでありますが、御承知のように、本年度の割当が決定いたしました以後におきまして、全國各地に災害が相次いで起りまして、そのために相当の減収を来しておるのであります。都道府懸知事から中央に要請いたしておりますところの減収は七百八十一万石、農林省自体の調査によりましても六百万石という数字が現われておるのであります。それにもかかわらず、最終決定は、中央補正において百六十五万石、地方補正七十四万石、合計二百四十万石にすぎないのであります。そのために、和歌山縣その他災害の最も深刻でありましたところの地方では、この政府が決定いたしました補正では、どうしてもやつて行かれない、供出を完了するわけには行かないというところから、強い再補正の要求が出ておりますが、はたして農林当局は、この点についてどういう対策をもつて臨まれようとするか。  私が、なぜにこの点を伺うかと申しまするならば、農林省関係の災害による減収調査が、食糧管理局自体におきましても三つにも四つにもわかれている。食糧事務所の方では全國で六百万石という、作物報告事務所の報告を集計すると二百五十万石、農林省の指導官が実地に各地を調査した数量が三百六十五万石、こういうふうに、農林省自体においても食い違つているのでありますから、私は、二百四十万石の補正では不十分であると考えるのでありますが、再補正についてどういう対策をとられるか、この機会に明確にしていただきたいと思うのであります。  農民の、自然的な條件、災害等に対する闘争を通じまして、たゆまざる努力によりまして、今年の十一月から一般配給が二合七勺に増配せられ、また十月から、労務加配があるいは範囲拡大され、また増量されているのであります。しかしながら、この食糧の生産に従事するところの農民に対する四合の保有の問題は、再補正の問題が実現しないとするならば、この四合の保有を切つて供出しなければならないという事態が起るのであります。ただ單に轉落農家の飯米問題ではなく、供出するときから保有米を持たない農民がいるという事実を十分認識せられまして、補正について積極的な努力を要求いたしたいのであります。同時に私は、供出農民に対する保有四合を引上げることが必要であると考えるのでありますが、農林当局はどういう考えを持つているか。この保有米の引上げについても、明確なる方針を承つておきたいのであります。  第三に、私は農産物價格の問題について伺いたいと思うのであります。昨年十二月十日の第一回の物價改訂にあたりまして、御承知のように昭和九年、十年、十一年の三年を基準といたしまして、一般物價はこの基準年次に対して六十五倍、農産物は六十二・五倍に決定せられましたことは、当時民自党の諸君が大いに攻撃したところであります。かくのごとく、新物價体系におきましても、工産品と農産物との間には大きな價格差があり、負担はすべて農民に轉嫁せられておるのであります。しかしながら、二十三年度の産米の買上げ價格の決定にあたりまして、政府は、われわれ日本社会党並びに農民党、あるいは協同組合方面を代表いたしまするところの國民協同党、農村関係の議員が一致して要求いたしましたところの四千二百円の要求に対しまして、はるかにこれを下まわるところの三千五百九十五円に決定をいたしたのであります。これは、昭和九年、十年、十一年を基準といたしまする指数から申しまするならば、一般工業品に対する百十倍に対して、米價は百三十二倍と、確かに指数の上では有利になつておるのでございますが、私は、それでもなお工業物價と農産物價との間には大きな價格差があると信ずるのであります。何となれば、基準年次の昭和九年、十年、十一年は、日本の農村にとりまして不況のどん底であつたのであります。当時、農産物價格はきわめて低價格であつたというこの價格差を、そのまま今日の米價決定にあたつて、これを再現しておるというような米價決定の方式に対しましては、われわれは納得することができないのであります。(拍手)  あるいは農林大臣は、この米價は前内閣当時にあらかた決定いたしたものを、現内閣の成立によつて引継いで、何らの檢討を加えずに決定したものであると、お答えになるかもしれません。それはまた事実であろう。しかしながら私は、もしも現内閣あるいは民自党の諸君も認めるように、現在の三千五百九十五円が不当であるということを考えたならば、これを勇敢に四千二百円に引上げるところの処置を講ずべきであると考えるのでありまするが、米價を四千二百円に改訂する意思ありやいなや、明確に伺いたいのであります。(発言する者あり)君たちも反対しておつたという事情は、ぼくは率直に認めて、現内閣においてこれを改めてもらうことを要求しておるのである。政府は、今回提出いたしました予算において、石炭その他のいわゆる安定帶物資に、なけなしの財源の中から百十億というところの價格調整金を計上しておるではありませんか。私は、米價そのものの改訂が不可能だといたしましても、少くとも價格差補給金の形において農民の損失を補填してやることが必要であると考えるのでありますが、これら補給金対策についても何らか用意があるかどうか、明確にしておいていただきたいと思うのであります。また米價の決定にあたりまして、第二回國会に院議をもつて決定いたしましたにもかかわらず、依然として、農林当局が物價廳と相談をいたしまして、かつてに米價を決定しておる。私は、財政法第三條を改正いたしまして、米價の決定にあたりましては必ず國会の審議にかけるという原則を確立してもらいたいと思うのでありまするが、米價その他の農産物價格決定にあたりまして、財政法第三條に基いて國会にかける用意があるかどうか、このこともあわせて伺いたいのであります。  農産物價格の実情を静かに考えてみまするならば、私は、農民が損をすれば泣寝入り、一般工業資本家が赤字が出れば補給金という形において、まさに泣きもうけであるといわざるを得ないのであります。一体、こういうような不公平な政治が現実に行われて、はたしていいものでありましようか。この点は、農林大臣でなくても、総理大臣からでも明確にお答え願いたいのである。  この農産物價格の問題と関連いたしまして、米の消費者價格が五千百五十円に決定された。この間、生産者に拂うところの三千五百九十五円との間に約千五百円の開きがある。一体、この消費者價格と生産者價格との開きは、いかなる根拠から出ておるものか、はたしてこの金はどこに使われておるか、明確にしてもらいたいと思うのであります。あるいは行政費の問題、あるいは公團の手数料、あるいは、ただいま民自党の諸君が主張せられておるように、いろいろ問題がある。残つておる問題を、現内閣は勇敢に解決すればいいじやないか。公團の問題につきましても、いろいろの問題が起つておる。あるいは不正事実がほとんど全國にわたつて報ぜられておる実情にあたりまして、これらの公團の経理の監査等に対しましても、現内閣としていかなる対策を持つておるか、あわせて伺つておきたいと思うのであります。  第四に、私は農業課税についてお伺いをいたしたいと思うのであります。農民は、御承知のように一定の面積を耕作して生産物を出しておる。從つて、その生産物の量は、今日のように供出制度が行われでおる以上、明確につかまれておるのであります。しかしながら、工業生産品にいたしまするならば、まず第一に規格が統一されておらない。また現在の機構と官僚の能力では、これらの生産量を的確に押えることは不可能であると私は考えるのであります。そこに、いわば工業経営には彈力性がある。また経済の動きに従つて、不利益であれば、いつでもほかに轉換できるが、農業には、御承知のようにそういう幅はないのであります。米價が引合わないからといつて、農民は別の仕事に轉換することはできない実情にあるのであります。それにもかかわらず、現在の農業課税の実態を考えてみまするならば、営業あるいは事業と同一の感覚をもつて、これに対して課税をいたしておる。  また、昨年度の税金の実績を考えてみまするならば、農民はやみをしておるということを前提として、二割も三割もよけいにぶつかけるような始末をしでかしておるのであります。この点に対しましては、盛んに現在の與党の諸君からも攻撃されたところでありますが、現内閣は、これらの問題に対して、改めようとはしておらない。現に、この國会に提出いたしました追加予算におきまして、農業所得税に対する水増しを相当見込んでおるという事実を、私は指摘しなければならないのであります。やれ官公吏の給與である、やれ災害対策の経費であると、涙ばかりの予算を計上しておるけれども、その財源として四百億からの税金の水増しをいたしまして、農村所得の問題につきましても、先般の予算委員会において明らかにされておりますように、平均いたしまして約六万六千円の所得という算定のもとにこれらの追加予算を編成しておる態度は、納得が行かないのであります。農業所得の算定にあたりまして、いわゆる必要経費の中に、農民の自家労働を一銭も必要経費として認めてやつておらないという事実を、われわれは見のがすわけには行かない。従つて、農業所得税に関する税法の根本的改正と、農業所得税の課税に対する思い切つた軽減をはかつていただきたいと考えるのでありますが、この点に対して、農林大臣としてはたして用意があるかどうか。また大藏大臣は、この財政遂行の見地から、農業課税に対して、もつと思いやりのある態度をとらなければならないと思うのであるが、ただ事務当局から借りて来たものを読み上げるのではなく、泉山三六君自身の信念のあるところの答弁を煩わしたいのであります。  私は、農業課税の問題につきましては、同時にわが党が主張しております、農民が要望いたしておりますように、早場米奨励金、あるいは超過供出に対する全面的な免税を要求いたしたいのであります。超過供出の問題につきまして、超過供出をすることによつて責任供出量を果すことによりまして、農民が借金を負わなければならないというような実情は、かえつて供出を阻害するものだと考えるのであります。この際、超過供出に対しましては免税するのであるという明確なる方針を、この議場を通じて明らかにすることによつて、超過供出をさらに達成するような方向に向つて進んでいただきたいと思うのであります。  またこの機会に、私は、民自党が在野時代から唱えております供出完了後の米の自由販賣の問題につきまして、やれ時期と方法を研究しておるというような無責任な答弁をせずに、できないならできないということをはつきり答えていただきたい。何となれば、超過供出で行くのか、三倍の價格で買い上げるのか、あるいは自由販賣で行くのかが明確でないために、超過供出が足踏み状態にあるという事実をわれわれは見のがすわけには行かないのでありまして……。     〔発言する者多し〕
  26. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
  27. 田中織之進

    ○田中織之進君(続) こういう問題を不明確にしておくことは、私は供出を阻害する結果になると思うから、政府の食糧問題解決に対する根本的な問題として、この際明確にすることを要求するものであります。  私は、税金の問題に関連いたしまして、最後に、あと一点承つておきたい問題があるのであります。それは御承知のように、この十二月は所得税全般に対する年末調整が行われるのでございます。私が全逓本部からいただいたところの資料によりますと、八級の四人家族を持つところの事務官におきまして、かりに十一月、十二月を新賃金ベースによるといたしまして、年収が十二万二千四百十八円に達するのであります。すでにこの中で、從來月給から天引かれたところの税金が一万三千九百八円ございます。ところが年末調整によりますと、これが約二万百円に達するのであります。そこで、差引六千百九十七円をこの十二月に税金として納めなければならないという問題が起つて来ているのであります。現在の賃金ベースから参りますならば、六千百九十七円の年末調整を差引かれるならば、勤労者、ことに官公吏は、家に持つて帰るところの月給は一銭もないというような結果に相なると思うのであります。  この点は、先般吉田総理大臣も、こういうような官公吏の窮状を十分考えておられるということを申されたのでございますが、現在審議中の給與ベースがいかになろうとも、その問題とは別個に、この税金の年末調整の問題について、とりあえずこれをたな上げするところの処置を講じなければならないと思うのでありますが、政府にはたしてその用意があるかどうか。同時に、今日國会に対して毎日のように陳情に参つて來ておりますところの官公労働組合の諸君の要望を聞いてみましても、少くとも一万五千円程度の越年資金を持たないことには……。     〔発言する者多し〕
  28. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
  29. 田中織之進

    ○田中織之進君(続) この年は越せないというような実情に対しまして、政府といたしまして、いろいろ解散を急がれる事情もありますけれども、少くともこの会期中に、これらの問題について適切なる処置を講ずることは、どうしてもやつておいていただかなければならない。党派を超越して、この問題については、現内閣の善処を要望いたしたいのでございます。  それから、この点はあえて私は岩本國務大臣の御答弁を煩わす必要はないのでありますが、先般辻寛一君の質問に対して答えられた岩本國務大臣の行政整理に関する、いわゆる一般会計三割、特別会計二割、公團二割、地方公共團体二割、合計六十万の行政整理、首切り整理は、あなたは一体いかなる根拠に基いてこの議場で説明されたのか。われわれが大野木行政管理廳次長を通じてただしたところによりますと、総理廳の行政管理部においても全然こうした成案を得た事実がないということは明白であり、あなたもまた行政管理廳の長官になられたのは、つい先月二十二日のことであります。わずか十五日やそこらの間に、これだけの調査ができるはずがないと思うのです。あなたもこの壇上で言われておりましたように、この問題は閣議にかけたものでもなく、まさに岩本信行個人の私見であり、こうした堂々たるこの壇上から、あなたは選挙演説をやるというような態度は、きわめて不謹愼な態度といわなければならない。(拍手)六十万の行政整理を断行するならば、一体この六十万の行政整理によつて、どれだけの財政的負担が軽減されるか、また、これらの整理された者に対しての退職手当あるいは失業対策について、十分受入態勢ができておらなければならないと思うのであります。いたずらに國会の壇上から無責任なことを述ることによりまして、公務員に対して不安を與え、動揺を與え、同時に、この神聖なる國会の権威を傷つけるという岩本國務大臣の態度は、われわれは徹底的に糾弾しなければならない。(拍手)  私は、以上申し述べました問題に対しまして、明確に総理大臣以下各閣僚の答弁を要求するものであります。同時に、特に総理大臣にお伺いして念を押しておきたい問題は、ただいまの行政整理に関する岩本國務大臣の本壇上における説明に対して、総理大臣は、いかなる閣内統一者として責任を持たれるか、この際総理大臣からも明確に御答弁を得て置きたいのであります。     〔國務大臣吉田茂君登壇〕
  30. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) 田中君にお答えいたします。  今回の東京裁判、ことに戰犯に対する断罪については、世界に廣くその宣告については非常な興味を持つて見ては、深く注意を持つて見ているところであります。     〔「興味とは何だ」と呼び、その他発言する者多し〕
  31. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
  32. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) (続)かつ日本としては、十分この際戰犯に対する断罪に対して、お話の通り國民といたして厳粛に反省する機会を與えられたということについて、私も御同感であります。私は、この断罪に対して批評する余地はありませんが、しかしながら、この宣告を読んで深く考えますることは、日本の行為が当時各國によつていかに見られたか、またその日本國民及び政府の行為がいかに列国に影響を與えたか、国民の心理にいかに映つたかということは、今後の日本の処する道において、また日本國民として、この断罪の宣告をよく注意して読んで、そうして今後に処する道を與えられたものと考えて、私は最も注意深くこれを読んだのであります。けだしこの点については、諸君も御同感であろうと思いまするが、この戰犯に対する断罪に対して、国民が厳粛な氣持をもつてこれに対することが、すなわち日本の國際的信用を高むるゆえんであると考えるのであります。     〔國務大臣岩本信行君登壇〕
  33. 岩本信行

    ○國務大臣(岩本信行君) お答え申し上げます。行政整理のこの構想は、民主自由党政務調査会多年の研究でありまして、わが党内閣においてこれを実行せんとするものでございます。
  34. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 農林大臣は、先ほど申しました通り、予算委員会に出席中でありまして、議長はたびたび本会議に出席方を求めましたが、いまだ見えません。よつて答弁は適当な機会に求めることにいたします。     〔「行政整理はどうした」「総理に答弁させろ」と呼び、その他発言する者多し〕
  35. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 総理大臣は、ただいま呼びに行つております。     〔発言する者多く、議場騒然〕
  36. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。――静粛に願います。     〔國務大臣周東英雄君登壇〕
  37. 周東英雄

    ○國務大臣(周東英雄君) 田中さんにお答えいたしますが、実は予算総会におりまして、親しく御意見を拝廳することができませんでした。速記録を拜見いたしまして、適当なときに答弁いたしたいと思います。
  38. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 大藏大臣、答弁がありますか。――質問の要旨を聞いた上で後ほど答弁いたすそうであります。     〔「総理大臣を呼べ」と呼び、その他発言する者多し〕
  39. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 総理は、ただいま参ります。     〔出中織之進君登壇〕
  40. 田中織之進

    ○田中織之進君 ただいまの吉田総理大臣の御答弁は、專きわめて厳粛なるべき問題に対する答弁でありまするから、私はこれに対して、とかくの批評はいたしませんが、私の聞こうとしておる意味において、東京裁判の断罪に対する総理の御所信にはなつておらないのでありまして、その点は、私遺憾であります。私の伺わんとするところは、この断罪を契機といたしまして、われわれは、あらためて日本を平和國家、民主國家として建設する決意を固めなければならない。私からの要求を待つて総理大臣がここで発言せられるということではなく、断罪が下ると同時に、少くとも日本の國民を代表して、総理はこの断罪に対する日本の國民的信念を吐露することは当然の責任であるという立場において、私は総理の答弁を要求いたしたのであります。  同時に、私が最後にお伺いいたしましたところの岩本國務大臣が、ただいま民自党の政策であると言われたが、あの過日の行政整理案――民自党の政策を、われわれはこの壇上から聞いておるのではない。現内閣の表看板の一つである行政整理の問題について、閣議で決定したところの方針を聞いておる。閣議で決定したところの方針がないならば、方針がないということを、あなたはお答えになればいい。私は、閣議でも決定しておらない行政整理に関する方針、この問題については、吉田総理大臣、また増田労働大臣も、委員会において、岩本國務大臣の言うような、そういう出血はやらないということを言明しておる建前から、総理大臣の委員会における答弁と、岩本國務大臣のここで言明したこととは、大きく矛盾する。私は、この点について、総理大臣として行政整理の問題についていかなる考えを持つておるか、総理大臣の責任においてお答えを願いたいのであります。  それから、農林大臣並びに大藏大臣に対する私の質問の要旨が、あなた方はおられなかつたから、わからないのはむりもないと思いますけれども、私特に大蔵大臣に伺つたのは、税金の年末調整の問題は……     〔発言する者多し〕
  41. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
  42. 田中織之進

    ○田中織之進君(続) 現在の給與予算がいかになろうとも、これは何らかの処置を講じなければ、官公労働者を初め、勤労者はやつて行かれない、そういう意味において、これについて懸念的にどういう処置を講ずるのか、同時に、かりに政府が本議会に提出しておる給與予算が成立するといたしましても、これが政府の主張しておるように、十一月からの支給を四月にさかのぼつて拂われないということになれば、年末調整によつて差引かれてしまつたならば、正月を越すところの金がない。この越年資金の問題について、別途にいかなる対策をもつて臨まるるか。これは、ただ單に党派根性を捨てて、政権を握つておる現内閣として当然解決しなければならない重大問題である。これを解決せずに、年末、正月をはさんで選挙をやろうものなら、今年の夏のイタリーの選挙以上に日本が混乱するということを、あなた方はお考えになつておられないから、これについて何らの処置を講じないのである。この点を、明確に大藏大臣からお答えを願いたいのであります。  同時に私は、再質問の機会に、もう一点人事委員長にお伺いしておきたい問題があるのであります。國家公務員法の第二十八條との関係におきまして、いわゆる人事委員会の賃金ベースに対する勧告案は、これは政府の提出いたしました案と並行いたしまして、私は國会に提出しなければならない問題であると考えるのであります。政府案をとるか、人事委員会案をとるかは、われわれ國会の決定するところであると私は解釈するのでありますが、人事委員長としてのこの点に対する見解を、この際明確にしておいていただきたいのであります。     〔國務大臣泉山三六君登壇〕
  43. 泉山三六

    ○國務大臣(泉山三六君) 田中さんから、かかる御質問があつたやにも承るのでありますが、私、予算委員会の切なる要請により、そちらに参つておりました関係上、あいにくその要旨を承りかねたのでありまするが、しかしながら、御質問者の方々からは、おおむね前もつて質問の要旨を承るのでありましたが、遺憾ながら田中さんからは、前もつて承ることができなかつたのであります。従いまして、ただいま御質問の要旨は、いずれとくと速記録を拝見いたしまして、これにお答え申し上げる考えであります。     〔政府委員上野陽一君登壇〕
  44. 上野陽一

    ○政府委員(上野陽一君) お答えいたします。人事院の立案いたしました給與法案は、私どもが……。     〔発言する者多し〕
  45. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
  46. 上野陽一

    ○政府委員(上野陽一君) (続)私どもが正式に任命されましたから、早速國会に提出する手続をとつた次第であります。お答えいたします。      ――――◇―――――  議員逮捕許諾要求につき議院運営委員会の態度決定に関する緊急質問(石田一松君提出)
  47. 今村忠助

    ○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、石田一松君提出、議員逮捕許諾要求につき議院運営委員会の態度決定に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
  48. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 異議なしと認めます。よつて、ただいまの緊急質問を許可するに決しました。石田一松君。     〔石田一松君登壇〕
  50. 石田一松

    ○石田一松君 ただいま議院運営委員会におきまして、同僚議員田中角榮君の逮捕許諾を求められた件について協議中でありました。この逮捕許諾を承認すべきかいなか、われわれ運営委員が逮捕の許諾に対しての判断をする資料といたしまして、一應総理大臣の一、二分間の出席を求めて、総理大臣の意向を聞きただしたいと主張いたしましたところ、総理大臣は目下本会議に出席中につき、運営委員会に出席不可能であるとのことで、二度、三度にわたる要請を拒絶されました。総理大臣が本会議をかく重視なさる御態度には、われわれ運営委員も敬服をいたしまして、しからば本会議においでになる総理大臣に、わずかな時間をさいていだだいて、本会議場で緊急質問の形でお尋ねしようということに、今運営委員会で決定をしたのであります。(拍手)私たち議員といたしましては、かかる問題は運営委員会において、まず一應総理大臣から御答弁をいただき、本会議においてかかる緊急質問をすることを好まなかつたのでありますが、遺憾ながら、かかる事態になりました以上、万やむを得ず緊急質問をいたします。  私は総理大臣に、この際はつきりお尋ねいたします。法務総裁も、よく聞いていてください。議院内において、もつぱらうわさの種となつておりますことは、石炭國管案反対運動のための汚職事件に関して、現議員十七名に対する逮捕の許諾要求がなされているといううわさが、もつぱらであります。(拍手)しかも、現閣僚二各に対して、福井検事総長から起訴の稟申がなされているといううわさも、もつぱらであります。このうわさは、たとい単なるうわさとしても、聞きのがすことはできません。これは最も大きなる問題であります。田中角榮君という前法務政務次官が逮捕許諾の要求をなされている現在、もし、かかる十七名の現議員、現閣僚の二名の起訴稟申、これらのものが、解散が目前に追つているからというので、政府がこれを握りつぶしておるということがあつたら、重大問題であります。この点に関して、かかるうわさが事実無根であるかどうか、総理大臣は、この本会議の席上において、また法務総裁もこの席上で、はつきりと責任のある答弁をなされんことを要求するものであります。(拍手)     〔國務大臣吉田茂君登壇〕
  51. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。私は、内閣としては、田中角榮君以外の逮捕要求については何ら承知いたしておりません。     〔國務大臣殖田俊吉君登壇〕
  52. 殖田俊吉

    ○國務大臣(殖田俊吉君) お答えいたします。田中角榮君以外の逮捕状は、ただいまのところ、一件も要求いたしておりません。(拍手)     ―――――――――――――
  53. 今村忠助

    ○今村忠助君 國務大臣の演説に対する残余の質疑はこれを延期し、明十一日定刻より本会議を開きこれを継続することとなし、本日はこれにて散会されんことを望みます。     〔発言する者多く、議場騒然〕
  54. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議あり」と呼び、その他発言する者多し〕
  55. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。――静粛に願います。     〔発言する者多し〕
  56. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 亘君、静粛に願います。  ただいまの動議は撤回するとの申出がありました。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。石田一松君。     〔石田一松君登壇〕
  58. 石田一松

    ○石田一松君 ただいま吉田総理大臣の御答弁並びに法務総裁の御答弁を聞いておりますと、私が質問いたした要点をはずれております。内閣から議院に対して逮捕の許諾の要求がなされていないことは、総理大臣の答弁を聞かなくてもよくわかつております。私の聞きましたのは、檢察廳の福井檢事総長から法務総裁に対してそれがなされておるかどうか、しかもこれが内閣総理大臣の耳に入つておるかどうか、このことを言うので、内閣が逮捕の要求をしているかいないかを聞いたのではありません。この点をはつきりお伺いするのであります。(拍手)     〔國務大臣殖田俊吉君登壇〕
  59. 殖田俊吉

    ○國務大臣(殖田俊吉君) お答えをいたします。誠実にお答えをいたします。検事総長から逮捕の要求をして参つておりません。     ―――――――――――――
  60. 今村忠助

    ○今村忠助君 國務大臣の演説に対する残余の質疑はこれを延期し、明十一日定刻より本会議を開きこれを継続することとなし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
  61. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十一分散会