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1948-11-12 第3回国会 衆議院 本会議 10号 公式Web版

  1. 昭和二十三年十一月十二日(金曜日)  議事日程 第九号     午後一時開議  一 國家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑(前会の続)     ―――――――――――――  第一 内閣総理大臣の施政方針の演説に関する決議案(細川隆元君外六名提出)(委員会審査省略要求事件)     ――――――――――――― ●本日の会議に付した事件  一 國家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑     午後四時二十六分開議
  2. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。  昨日の中曽根康弘君の質疑に対し答弁のため、内閣総理大臣より発言を求められております。これを許します。吉田内閣総理大臣。   〔國務大臣吉田茂君登壇〕
  3. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) 中曽根君の御質問に対して答弁をいたします。  政令二百一号は憲法上有効性ありやいなやという御質問のようでありますが、この政令は、マツカーサー元帥の書簡に基いて、ポツダム政令によつて制定公布せられたものでありまして、今日においても無論有効なのであります。  第二の点は、破壊主義者に対してどうするかという御質問のようでありますが、むろん、一國の秩序を乱すがごとき者に対しては、法の定むるところによつて処断いたす考えでおります。  第三の点は、施政方針の演説はいつするかということでありますが、これはしばしば申し述べました通り、適当な機会においていたすつもりでおります。(拍手)      ――――◇―――――  一 國家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑(前会の続)
  4. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 國家公務員法の一部を改正する法律案の趣旨説明に対する質疑を継続いたします。野本品吉君。   〔野本品吉君登壇〕
  5. 野本品吉

    ○野本品吉君 私は、國民協同党を代表いたしまして、ただいま議題になつておりますところの公務員法の一部を改正する法律案に関しまして、総理大臣及び淺井委員長に対し若干の質問をいたしたいと思うのであります。政府は、当然なさなければならない施政方針の演説さえも、この法案の審議を急ぎまするために、おやりにならないようにお急ぎになつておるのでありますから、質問に対しましても明快率直に内容のある御答弁をくださいまして、審議の進行を政府みずからが停滞せしむることのないように、あらかじめお願いをしておきます。  第一点は、人事院の運営に関しましての所見をただしたいのであります。日本の官僚制度が、学閥に支配され、情実に結ばれ、権勢と結託いたしまして、國民に臨むに権威をもつてし、しかも不親切であり、非能率的であると、いうことにつきましては、幾多論難されて來たところでありまして、公務員法が、かかる官僚制度を根本的に改善することによつて日本における民主的諸制度を成功させようとする意図に出でたものであるといたしまして、われわれは現行公務員法の成立に賛意を表して参つたものであります。しかるに、実施後いまだ幾ばくもならずして、その全部に近い改正を企図する本案が提出されるようになりましたのは、諸般の情勢がしからしめたものと一應は了解することができるのでありますけれども、本改正案における顯著な問題の一つは、人事院の権限が著しく強化され、独立性が強められた点であります。すなわち、他の行政機関に対しまして独立性を持つとともに、財政的にもある程度の独立をし、あるいは人事院が処置する権限を與えられております。行政部門における人事院の決定及び処分は人事院によつてのみ審査され、あるいは相当重大な事案に関しまして、自由に規則を制定し、指令を発する等々であります。これは不偏不党、嚴正公平な人事行政執行のためといわれておるのでありますれども、ここで私どもがあらかじめ注意せねばならぬと思います事柄は、万一その人を選ぶ点において、あるいは運営において一歩を誤りますならば、法によつて保障されておるところの、きわめて強大なる新しき官僚陣、いわば第四官僚ともいうべきものが出現しないとも限らないと思うのであります。この点につきまして、吉田総理及び淺井委員長の所見を伺いたいのであります。  質問の第二点は、公務員を労働三法及び船員法の適用から除外し、團結権、團体交渉権、爭議権等を持たせなくしたことと、公務員の利益擁護の問題であります。公務員が國民全体の奉仕者であり、從つて、怠業・罷業等によつて行政機能を麻痺せしめ、國民に大いなる迷惑をかけるというようなことにつきましては十分考慮せられねばならぬことでありますけれども、問題は、何ゆえに公務員が爭議行為をもあえてせねばならなかつたかというところに根本があると思うのであります。すなわちそれは、公務員に対する給與あるいは利益擁護が不十分であつた必然の結果といたしまして、彼らは生きるために必要な要求を、心ならずも爭議手段によつて貫徹しようとしたのであります。  マツカサーの書簡は、政府職員に対する特別の制限は、政府に対し常に政府職員の福祉並びに利益のために十分な保護の手段を講じなければならない義務を負わしめていることを明らかにしておるのでありますが、これは、あえてマ書簡をまつまでもなく、政府当然の責任として考うべき問題だつたのであります。制限と保護の義務が表裏一体であるべきであるということは、必然的に本法案と公務員給與の問題とが一体として審議さるべきことを意味するのでありまして、これは、さきに労働関係調整法の審議にあたりまして、労働基準法の同時提案が強く要求されましたのと、まつたくその揆を一にすると考えるのであります。わが國民協同党が、他党に先んじまして、公務員法の改正、給與基準の改訂、なお災害対策等の決定を、一連の緊急課題として主張して参りますゆえんのものは、実はこの点にあるのであります。人事委員会は、この間の事情をお考えになつてのことでありましようか、六千三百七円を適当なりとして発表されたのであります。政府は、給與基準についてどのようにお考えになつておるのでありますか、またその予算的措置をいつなされようとしておるのでありますか、責任ある答弁を要求いたす次第であります。  なお昨日、大藏大臣は、これらの問題に関しまして、目下研究中であるとか、あるいは調査中であるとか言われておるのでありますが、かような一時のがれの答弁は、政府みずからが本法案の審議を遅延させるものでありまして、公務員法の審議をなるべく早く進行せしめたいと念願しておりますわれわれといたしましては、実に遺憾の点であります。(拍手)  質問の第三点は、公務員の政治的行為禁止の問題であります。法律案第百二條によりますと、公務員は、選挙権の行使以外、人事院規則に定める政治的行為をしてはならないと規定されておるのでありますが、これは考え方によりましては、日本の民主化を阻止するための規定ではないかとさえ思われるのであります。公務員の政治的行為について鋭く反対論をされましたところの人に、民自党の最高幹部の植原悦二郎氏があり、また現國務大臣の岩本信行氏があることを思いますと、特にこの感を深くせざるを得ないのであります。  そこで、まず第一に明らかにしておきたいと思いますことは、人事院規則において禁止しようとするところの政治的行為とは、いかなるものであるかという点であります。もしも、公務員は沈黙の一票を投ずるだけが許され、その抱懐する政治的意見を第三者に発表することができないというようなことにでもなりましたら、それこそ憲法が保障しておりますところの基本的人権を無視するものであり、わが國の前途を暗くするものであると断ぜざるを得ないのであります。けだしわが國における公務員は、本年度の予算定員によつてこれを調査してみましても、二百七十六万五千二十一人の多数に上つております。しかも、これらの人々は、その教養の度におきましても、知性におきましても、一般国民の水準より高いところにありまして、それらの人たちは、大衆に対しましては、國民の一人として指導的立場と実力とをもつておるのであります。從つて、これら多数を政治の圏外に締め出すのは、一つには公務員を政治的に圧殺することであり、二つには、わが國の民主化と文化の向上とを阻止するものといわざるを得ないのであります。  さらに考うべきことは、公務員の政治に対する深き関心は、國民とともに衣食住の最低生活を満たし得る政治の確立と文化の向上を念願して、血の出るような欲求を持つておるということを忘れてはならないのであります。公務員法は、その第九十八條におきまして、法令及び上司の命令に從うの義務を、しかしてその第百一條におきまして、職務に專念するの義務を課しておるのでありますから、かかる義務に違反し、あるいは非違をあえていたす者に対しましては、具体的事実に基いてこれを監督し、指導し、処断すれば足りるのであります。また政治的行為の限界は、これを明確にすることがきわめて困難であり、取締りの徹底も十分にできないということは、過去における幾多の事実がこれを証明しておるのであります。要するに、公務員を政治的に圧殺し去るがごときは、民主日本、文化日本の前途を暗くする以外の何ものでもないと考えるものであります。(拍手)この点に関しまして所見をお伺いいたしたいと思うのであります。  第四点といたしましては、教育職員に対し單独に立法的措置を講ずる問題について所見をただしたいのであります。マツカーサー書簡は、明らかに、公務員とは國家行政の手段そのものであると言われておりますが、教育は絶体に國家行政の手段であつてはなりませんし、また、かくあらしめてはならないのであります。この考え方は、さきに公布され実施されておりますところの教育基本法を一貫して流れておりますところの思想であるのであります。教育を政治の手段として考えましたところの軍國主義日本のたどつた道を反省いたしますならば、この点は、何人にもおのずから了解がつくものであると思うのであります。  今や教育委員会法は、かかる観点から制定されまして、その委員会は全國都道府縣に設置され、わが國教育は、その運営においてまつたく新しい出発点に立つておるのであります。ここで問題になつて参りますのは、教育委員会は、教員の免許状の交付、任免その他一切の行政的権限をもつておるのでありまして、もし公務員法の適用を教員受けることになりますると、人事院と教育委員会との人事行政の関係はどうなるのであるか。また、教員がまつたく性質と任務を異にいたしますところの國家行政手段としての一般公務員と同一の扱いを受けるという矛盾を生じて來るのではないでありましようか。この点はどうか。かかる観点から、われわれは、教員に対しましては、一般公務員のわくからこれをはずし、特別の地位と任務とに考えまして、單独の立法的措置を講ずる必要があることを認めるのであります。この点に関しましては、当局においては何か腹案があるかのごとく承つておりますが、それは公務員法に從属的なものであるのか、それとも並行しておる單独のものであるか、これらの点につきまして所見と対策とをお伺いいたしたいと思うのであります。  最後に私は、わが國労働運動の現段階に対しまする認識と抱負とにつきましてお伺いいたしたいと思うのであります。新憲法は、國民の基本的権利といたしまして、労働者の権利を保障し、この上にいわゆる労働三法が成立施行せられたのでありますが、これによりまして、極度に押えられておりましたところの、そして窒息状態になつておりましたところの労働者は、蘇生し、復活し、彼らの経済的、社会的地位の向上を目ざしまして活発なる活動を続けて参つたのでありますが、この間、あるいはときに公共の福祉に反するがごときものを見受けないでもないのでありますけれども、ここで考えなければなりませんことは、わが國労働者の大多数は、かかる行動に対しましてきわめて批判的であり、愼重であつたこと、そうしてその現れといたしまして、いわゆる民主化運動なるものが抬頭して参つておりますことを、われわれは見のがしてはならないと思うのであります。  今やわが國労働界は、三箇年の尊い体驗を経まして反省期にあり、そして建設期に入り、成熟期に入ろうとしていることを認めるのであります。かようなときこそ、政治は信を彼らの腹中に置きまして、勤労者のくふう、創意、努力を積極的に祖國の再建にささげしむるように考慮が拂わるべきであると思うのであります。そしてこの中には、実に二百七十万の公務員があるのでありまして、私どもは、公務員法の改正が彼らの納得の線に沿つて行われるかどうかということを、公務員自体の立場よりも、むしろ、公務員法第一條が期待しております職務の遂行にあたり全公務員が最大の能率を発揮することができるようにという國家的な観点から、これを重要視いたしておるのであります。私は、この点に関しまして、当局の認識と今後の抱負とをお伺いいたしたいと思うのであります。以上、私はきわめて簡單に質問の要点を申したのでありますけれども、わが党の見解といたしましては、今次公務員法の改正は、あつものに懲りてなますを吹くというか、あるいは角をためて牛を殺すの類に近い点のあることを認めるのでありまして、從つて修正の案を持つておることをこの際つけ加えまして、私の質問を終る次第であります。(拍手)   〔國務大臣吉田茂君登壇〕
  6. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) 野本君の御質問に対してお答えをいたします。  私は平生、議会政治、政党政治が発達するに從つて、官吏があるいは國家公務員が、その地位が安定しないとか、あるいはまた色がつくというようなことのために、せつかくの官吏がいろいろ非難を受け、もしくは職務執行の場合に躊躇するというようなことはないか、いわゆる國家の公僕としてその官吏としての仕事を遂行するにあたつて何らか支障が生じはしないか、議会政治、政党政治の発達のために、かえつて國家公務員が、その職務を執行する上において忠実ならざる場合がありはしないかということ対して、実はひそかに憂えておりましたが、國家公務員法は、この点については十分の用意があるかに存ぜられるのであります。すなわち、公務員の地位を確保して、その中立性を確保して、國家の公僕としての職務に忠実ならしめるだけの用意がこの法律によつて確立すると考えて、私は、この法律が十分にその効力を発して、今御質問のような角をためて牛を殺すというがごとき極端な場合にならないとともに、法律の目的とする、公務員が忠実にその職務を執行し得るようにいたしたいものと考えるものであります。  その他の点につきましては、主管大大臣からお答えいたします(拍手)   〔政府委員淺井清君登壇〕
  7. 淺井清

    ○政府委員(淺井清君) ただいまの御質疑中私に関連いたしましたる事項についてお答えを申し上げます。  第一点といたしましては、このたびマツカーサー元帥書簡の中に準司法的行政機関と申す言葉によつて表わされました通りに、人事院の権限というものがきわめて強大になりましたる結果といたしまして、この運営の任に当りまする人事官の人選をあやまりましたときには、きわめて憂うべき結果に相なるがどうかという御質疑のように拜聴いたしました。まことに御同感の至りにたえないのでございまするが、この人事官の選任につきましては、この法案第五條にその條件を列挙いたしましたるほかに、私は、この國権の最高機関であり國民の代表であるところの國会の御承認がなければ人事官に選任されないということが、何よりもつてよき人事官を得るゆえんであると確信いたす次第でございます。  第二点といたしましては、第九十八條によりまして官吏の團結権並びに團体行動権を制限いたしまする理由についての御質疑でございましたが、これはすでにしばしば、御引用になりましたるマツカーサー元帥の書簡にきわめて詳細に表われたる通りでございます。その書簡に、同時にまたきわめて明瞭に表われておりまする通りに、官吏の保護を同時にきわめて完全にいたさなければならぬ責任を政府が負うということもきわめて明確でございまして、まつたく御同感の至りでございす。  第三点といたしまして、労働関係法規その他の適用を排除いたしましたことにつきましての御質疑がございましたが、これはマツカーサー元帥の書簡中に、勤労を公務に捧げる者と私企業に盡す者とにおきまして、いわゆる勤労のあり方の相違から出てくるのでございまするけれども、ただ、これらの労働者を保護いたしまするところの法規をはずしつぱなしにするという考えは毛頭持つておりませんので、これにかわるべき措置を講ずることは、もちろんでございます。この法案の附則におきまして、当分その措置ができまする間、労働関係調整法の規定を準用することにいたしておりまするのは、その趣旨と御了承を願いたいと存じます。  第四点といたしまして、本法案第百二條に公務員の政治的行為を制限いたしましたことにつきまして、だんだんと御論議がございましたが、まことにごもつともの点と存じております。しかしながら、これはただいま総理大臣らも申し述べましたように、政治と行政とを切り離し、官吏の中立性を守らせることが必要と考えたことに出ずるものであります。これをわが國の過去に顧みましても、軍人及び官吏が強力に政治面に進出いたしたために、わが國のファツシヨ化を推進いたしましたことは、われわれの記憶にも明らかな通りでございます。しかしながら、この官吏の政治的なる自由をあまりに強く制限いたしますることが、また悪いことであるということも、これまた申すまでもないことでございます。そこで、この法案におきましては、法案自体及び人事院規則をもつて、いかなる政治的行為を禁止するかを明確にいたそうとするものでございます。  なお第五点といたしまして、教育公務員と一般公務員との関係について御質疑がございましたが、國家公務員法及び人事院は教育公務員法とは関係がないということを申し上げたいと存じます。(拍手)
  8. 野本品吉

    ○野本品吉君 自席から重ねてお伺いいたします。淺井人事委員長にお伺いいたしますが、政治的行為…。   〔「登壇々々」と呼ぶ者あり〕
  9. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。   〔野本品吉君登壇〕
  10. 野本品吉

    ○野本品吉君 私のお伺いいたしましたうち、人事院規則によつて規定しようとする政治的行為はいかなる内容を持つておるか、これを明確に御説明願いたいと思います。   〔「委員会でやれ」と呼ぶ者あり〕   〔政府委員淺井清君登壇〕
  11. 淺井清

    ○政府委員(淺井清君) まことにごもつともの御質疑と存ずる次第でございます。この点に関しましては、國会がさだめて御関心を持たれておると存じまして、できるだけすみやかに、その人事院規則の要綱とも申すべきものを委員会へ提出して、ごらんに入れたい心構えであります。
  12. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君)赤松明勅君。   〔赤松明勅君登壇〕
  13. 赤松明勅

    ○赤松明勅君 私は、社会革新党を代表いたしまして、國家公務員法の一部を改正する法律案の審議に関しまして、個々の問題は委員会に移すことにしまして、根本的な大綱問題に関して、総理大臣以下関係各大臣の明快なる御答弁を承りたいと思うのであります。私は、本法案の審議にあたり、根本的態度として、本法案と同一の趣旨であるところの政令第二百一号がすでに芦田前内閣によつて制定せられ、これが施行せられておる今日において、この政令が功罪はたしていずれであつたかということを、第一に論議しなければならないと思うのであります。(拍手)もしこの政令について、労働界に與える影響、あるいはこれが國民生活に及ぼす影響の諸点を勘案して、これがもし欠点がありとするならば、昨日の歴史が誤りであると氣づいたならば、昨日の歴史は勇敢に踏み砕いて、今日の歴史を打ち立てるだけの勇氣をもつて本法案の論議にあたらなければならない。私は、この点に関しまして、すでに同僚各議員よりいろいろと昨日以來質問があり、あるいは答弁があつたわけでございますから、重複する点は避けますが、この政令の功罪論について明らかにしておいてもらいたいという諸点を次に申し述べてみます。  芦田内閣によつて公布せられた、公務員の團体交渉権及び争議権を否定した政令第二百一号は、労働者の存亡にかかわる重大な意義を持つものであるといわなければならない。この政令が憲法違反であるかどうかということは、いまだ解決点を見出さない論議過程にありと言つてもよかろう。政令第二百一号に関する勅令第五百四十二号をめぐつての論議について、鈴木前法務総裁は、違憲にあらずと國民にその見解を明らかにしたけれども、われわれは、これをそのままに信頼することはできない。芦田内閣時代に政府が発表した通り、勅令第五百四十二号が完全に確定した法律として効力ある者と仮定しても、マ書簡が、はたして同勅令の言つておつたような要求であつたかどうかという疑義については、次のごとくに指摘してみれば、よくわかると思うのであります。芦田内閣時代における鈴木法務総裁談によつて、要求であるかいなかは、まだ完全にわかつていない点であるということなんです。書簡の内容を十分検討すると…(「質問は吉田内閣にするんだよ」と呼ぶ者あり)吉田内閣に引継ぎなんだから、皆さんにも責任なしとは言えない。この問題に関して、八月二十八日の特別対日理事会におけるシーボルト議長の言明にかんがみて、われわれはこれを要求であつた、命令であつたということはなかつたと否定しなければならない。かりに要求であつたにしても、政令公布による應急措置をとれとまで要求の内容はなつていたかどうかということが問題なんです。  九月十日報道のワシントンUPによれば、米國関係官は、マツカーサー元帥は占領目的に障害を與える罷業に対しては、極東委員会指令に基きこれを禁止することができる、技術的に見てマツカーサー元帥は現実に罷業禁止の指令を出したわけでなく、ただ芦田首相あて書簡で勧告を行つたにすぎないと、明らかに書簡は勧告であると言明しておる。八月三日の中央労働委員会において、時の官房長官は命令と言い、有田次長は要求だと言い、両者の発言が食い違つており、はたして司令部の意向が命令であるか、要求であるか、実にあいまいで、むしろその間の事情から見て、その措置が時の政府の一方的解釈によるものであつたことが十分にうかがわれるのであります。(拍手)  しかも問題は、これだけにとどまらない。吉田内閣は、芦田前内閣に引続き國家公務員法の改正を企図しておるのであるが、政令による労働者の團結権、團体交渉権、爭議権の否定は、憲法第二十八條の基本的人権の問題と、まつこうから抵触する。また憲法第十二條に、憲法が國民に保障する権利はこれを濫用してはならない、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負うものである、とある。また第十五條には、公務員は國民全体の奉仕者であつて、これを選定し罷免することは國民の固有の権利である、と書かれておるのであります。かかる観点から、公務員の團体交渉権、公共福祉との関係上制限を受けることは当然であるというがごとき見解は、これは大きな誤りであると言わなければならない。  そもそも、憲法第二十八條で保障する基本的人権は、法律をもつてしても、これを禁止することは許されないと言うことが、学会においても通説になつておるはずである。しかし、その濫用を制し秩序を維持するために、法律をもつてその監督規定を設けることは、憲法上もとより許さるべきであるとは思う。たとえば、デモのため交通妨害をしてはならないというような規定を設けることは、いささかも、さしつかえないことであるが、かかる規定をもつてしてデモを禁止するということは許されないということとひとしい。さように正常な組合運動であつても、公務員であるがために不利益な取扱いを受けることは不合理ではないか、公務員の從事する業務であつても、私企業で行われる業務であつても、國民に対する関係はまつたく同じ性質を持つておるものであつて、公共の福祉の観点から、両者の取扱いに差をつけるということは公平の精神に反して妥当でないと思われる。さらに憲法第七十三條にいわゆる事務とは、官吏の服務上の事務の意であつて、かかる根拠から政令を公布し得ないことは明らかであつたはずだ。しかし、すでにこれは公布せられておる。  以上の点よりすれば、本法案は、なおいまだ愼重なる検討の余地を残しておるということは、おそらく吉田総理大臣以下関係閣僚の皆さんも御承知であろうと思う。私はこの際、芦田内閣の與党三派であられた方々も、この政令にもし欠点がありとの結論を得るとするならば、同じく今日の吉田内閣以上の責任を負わなければならないものであると思う。(拍手)もし、その責任を感ずるとするならば、本法案の審議にあたつて、あえて潔くその態度を改めらるべき必要があるかと思う。  また、本法案をかくのごとく上程せざるを得なからしめた理由の一つとして、労働組合を直接権力鬪争の具に供し、過激きわまる煽動を策した一部政党に対しても、断じてこれは許さるべきではないと私は思う。と同時に、本政令を公布したことが原因となり、國鉄各地区に見るがごとき労働界の混乱を來し、現に電産労組に見るがごとき状況にあることは、その根底的な面においてこの政令が、あるいは公務員法改正の問題が、その底流にあるということを、見のがしては断じてならない。この政令が無用の刺戟を與え、多くの犠牲者を出した実態を忘れてはならないはずである。この総論的な結論といたしまして、私は整理して、総理大臣以下の閣僚各位にお尋ねいたしたい。  まず、吉田総理大臣に対する質問の第一点として、現に施行されている政令第二百一号の功罪について、いかにお考えになられておられるか。もし欠陷がありとするならば、本公務員法改正に対しての態度に、おのずからなる見解が生れて來ると思うが、この点、所感いかん。  第二点。吉田総理大臣は、第一次吉田内閣の当時において、最大多数の最大幸福を守ろうとするのが政治理念であると、その理念を述べられてあつたのである。今も、おそらくおかわりではなかろうと思いますが、ここで本公務法がかりに制定せられるとするならば、同じ公務員でありながら、特別職と称する少数の人員が、このいわゆる公務員法によつて制約されるところの多数一般公務員を彈圧するおそれがある。最大多数の最大幸福を意味する政治理念をもたれる方が、この少数独裁を意味する法案に賛成せられるということは、どうもおかしい。この点について、どう考えられるか。  第三点は。わが國の現状よりして、政治のあり方は國際情勢とにらみ合せなければならない。その國際情勢の上で、わが日本に対する主占領國であるところのアメリカにおいてトルーマン大統領が当選した結果、この大統領は、上院、下院に、しかも議員の数を多く持つて、タフト・ハートレー法を廃止すると言明しておる今日において、この公務員法改正を策するということに、國際情勢、特にアメリカの情勢と相反するものであると思うが、この点に対する所感いかん。  第四点。本法案の取扱い上に、あたかも政爭の具に供せられるのではないかというような諸点がうかがわれることは、はなはだ遺憾としなければならない。たとえば、この重大なる法案に対して、十五日までに審議を完了してもらいたいという國会に対する申入れは、その根拠はたしていずれにあられたのかということを承つておきたい。(拍手)  第五点。本法が十五日までに審議せられなかつたとする場合において、吉田総理大臣はいかなる立場をとられようとするのか、ということを承つておきたい。また、その内容について大幅の修正が行われる場合において、吉田内閣はいかなる態度をとられようとするか、この点を承つておきたい。  第六点。マ書簡以外に、何らか重大なる命令あるいは示唆、あるいは勧告、こういうようなものが、吉田内閣になつて後にあつたかどうか。もし許されるならば、許される範囲において承つておきたい。  以上が、吉田総理大臣に対する私の整理した質問の要点であります。  増田労働大臣に対して承りたいのは、政府職員は政府の一部なりとお考えになつておるかどうか。大多数の政府職員は、およそ直接政治とは縁が遠いものであつて、仕事の内容はほとんど私企業とかわりがないと私は考えるが、この点について承りたい。  第二点。かくのごとく私的企業の從業員と同一立場にある政府職員が労働組合を結成することができないという理由を明確にしてもらいたい。  第三点。また大多数の政府職員は、一般会社に雇用された人たちより、雇用関係の性質は根本的にかわるものであるというふうに、同僚議員にお答えになつておつたが、これはその論点からいつて、雇用主たる公共團体に團体交渉権ができないというのは、これは一体どうしたのか、この点を明らかにしておいてもらいたい。  第四点。もし團体交渉が許されないならば、個々の労働者は専制的な官僚主義の圧迫を受けなければならないということになると思うが、これに対する措置をどうせられようとしておるのか。  第五点。政府は、むりやりに法案を通過させようとしておるが、民主主義下の政治は、國民の納得の行く政治でなければならない。官公労二百数十万、それらの家族の運命を決する重要な法案であるから、公聴会は断じて必要であると思うが、労働大臣としては、この点についてどう思われておるか。  大藏大臣に一言承つておきたいのは、いかなる條件がマ書簡の発せられる原因になつたかを考えるときに、給與べースの早急なる解決こそ重大であるといわなければならない。むしろ、この給與ベースが先に解決せられているとするならば、今日の労働界の不安は除去せられ、從つて公務員法はあつてもなくてもいいということになるということすらが考えられる。このときにおいて、大藏大臣は常識として、給與ベースは一体どれだけであればよろしいとお考えになつておるか、あるいはまた、その給與べースを決定するときにあたつての追加予算が必要になるのだが、その財源はいずれに求めようとしていられるかの点を承つておきたい。(拍手)  法務総裁に一言承りたいのですが、憲法第二十八條、勤労者の團結権、團体交渉権の保障並びに極東委員会の労働に関する十六原則中に、直接占領目的に反するときにおいてのみ取締られると書かれておる、この二つの、憲法並びに極東委員会十六原則に抵触するこの公務員法の、いわゆる問題の性質を、法務総裁として、前鈴木法務総裁と同見解のもとに立たれておるのかどうか、この点を承つておきたいのであります。  以上が、私の吉田総理大臣以下関係閣僚皆さんにお伺いする点でございますが、時間もこの通りであります。皆さんの答弁が懇切であり明快であるならば、私は再質問に立ちません。どうか、そのおつもりで明快なる御答弁を願つておきます。(拍手)   〔國務大臣吉田茂君登壇〕
  14. 吉田茂

    ○國務大臣(吉田茂君) 赤松君にお答えをいたします。  本年七月のマツカーサー書簡に書いてありますることが、要求であつたか、命令であつたか、当時の事情は存じませんが、私は書簡の性質から見て、これは日本政府に対する勧告と解するものであります。しかも、その勧告は相当道理のある勧告として、吉田内閣は、芦田内閣に引続いてこの法案をこの國会に提出して、御審議を願つておるわけであります。  また十一月十六日とか十五日とかいう期限を付したゆえんは、なるべく早く審議を了せられんことを切望するあまりに、希望として申し述べたのであります。  從つてまた、この法案が諸君の審議権の結果として改正せられる場合はいかん。むろん諸君の御審議は自由であります。いかなる改正がありましても、その改正については、政府として同意のできるものは、同意いたす考えでおります。  また、アメリカにおけるタフト・ハートレー法の運命いかんは、本問題の審議には全然関係のないことでありまして、本案は日本における労働状況その他から必要と考えて提案いたしたのでありまして、アメリカにおける法案の運命等については何ら顧慮しておらないのであります。  その他の点について主管大臣から申し上げます。(拍手)   〔國務大臣増田甲子七君登壇〕
  15. 増田甲子七

    ○國務大臣(増田甲子七君) 赤松君の御質問にお答え申し上げます。  まず、公務員は政府の一部であるかどうか、この御質問にお答え申し上げます。もとより政府の定義は種々あるのでございまして、狭義の政府とは、内閣総理大臣並びに閣僚をもつて構成されるものでございまして、かかる意味の公務員が政府の一部を構成していないことは、きわめて明瞭でございます。ただしかしながら、非常な廣義の政府、すなわち全官公廳をひつくるめた全官公労二百七十万、上は総理大臣から二百七十万全部を政府というような常識上の定義が許されるならば――これはあくまでも法律上の定義ではありませんが、そういうような常識上の定義によつて一部を構成しておることは、これまたきわめて明瞭でございます。  次に、労働組合の結成ができぬのはいかなる理由であるか、この御質問にお答えいたします。御承知のごとく、これは第三の御質問の團体交渉が許されぬ理由いかん、この両方の御質問に対して一括してお答え申し上げます。すなわち、公務員の勤労の対象は國民全体である、公務員は國民全対の奉仕者であるいう意味におきまして、労資対等の原理に立つておるところの一般勤労者とは関係が違うのであります。すなわち、特別権力、服從関係に立つておる。そういう意味合いにおきまして、労働組合の結成の権利はもちろんございまするが、いわゆる労働組合法にいうところの團結権とは、やや性質が違うのでございます。また團体交渉権も、もとより公務員において許されたる範囲においてはございまするが、昨日も申し上げましたるごとく、團体協約を締結するという意味における團体交渉権は制約されております。その理由は、今申し上げた通りでございます。  次に、そういうような制約されたる團結権あるいは團体交渉権のもとにおいては使用者側から圧迫を受けるおそれはないかという御質問、これに対してお答え申し上げます。御承知のごとく、今回改正されんとする公務員法によりますると、人事院というものが設けられておりまして、人事官の構成その他はきわめて民主的にでき上つておりまして、これらのものが公務員保護あるいは福祉の擁護に十分の努力をされることと期待しておる次第でございます。  次に、公聽会を開く必要があるかどうかという御質問にお答え申し上げます。御承知のごとく、この公務員法案は、芦田内閣のときに、去る九月の半ばごろ、すでにお互い國会議員のあの文書箱の中に入れた法案があるのでございまして、今日提案されたる公務員改正法案、あの法案とは、ほとんど変つておりません。それで、天下にすでに発表されておりまして、輿論の動向等も相当わかつておりまするし、一般公務員等の意向も聞いております。各方面の識者等の御意見をも聞いておりまして、その意見が参酌されて、あの公務員法が提案された次第でございます。從つて、今のところ、われわれは、公聽会を開く必要なし、こういう見解に立つていることを御承知願います。   〔発言する者あり〕
  16. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 徳田君、靜粛に願います。   〔國務大臣泉山三六君登壇〕
  17. 泉山三六

    ○國務大臣(泉山三六君) 赤松議員の私に対しまする御質問は三点であつたように存じます。第一点は新給與ベースははたして何ほどを妥当とするか。第二点は、しからばその新給與に関する予算はいつごろ國会に提出するのか。第三点はその新給與予算の財源は、これを何に求めるか。以上の三点と承つたのであります。しかるに、以上の三点は、その間に緊密なる相関関係がございますので、私は一括して御答弁を申し上げたいと思のであります。  官公吏の給與の改訂の問題は、政府といたしましても、まことに刻下の急務と考えられますので、できるだけすみやかにこれに関連する予算案を提出する方針のもとに、鋭意諸般の準備を急ぎつつあるのであります。ただ新給與の問題は、財政上並びに経済上に及ぼす影響のいかにも甚大なるにかんがみまして、新給與ベースと國家財政並びに國家、國民経済の現実と相調和をとる必要を認めまするので、より廣い視野に立ちまして十分檢討を加え、一日もすみやかにその結論を得たいと考えております。なほ、新給與予算の財源につきましては、新給與以外の財政支出ともにらみ合せまして、総合的に均衡のとれましたものといたしたい所存でございます。   〔國務大臣殖田俊吉君登壇〕
  18. 殖田俊吉

    ○國務大臣(殖田俊吉君) お答えいたします。今回の改正案が違憲ではないか、あるいは憲法……(「自己紹介をやれ」と呼ぶ者あり)私は法務総裁殖田俊吉でございます。   〔発言する者多し〕
  19. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
  20. 殖田俊吉

    ○國務大臣(殖田俊吉君)(続) お答えいたします。マツカーサー元帥の書簡にもあります通り、またわが憲法第十五條の規定にもあります通り、國家公務員は全体の奉仕者でありまして、私企業の使用人とは明らかにその立場を異にするものであります。今回の改正案は、この線によつて立案いたしたのであります。また憲法に違反するではないか、あるいは十六原則に違反するではないかというお話でありましたが、私は、いずれもこれに違反し、または抵触するものではないと考えております。事のこまかい点につきましては、いずれ委員会においてお話をいたします。
  21. 赤松明勅

    ○赤松明勅君 本日の御答弁は不満ではあるけれども、後日の委員会においてやることにしまして、私の質問は、一應これで終ります。     ―――――――――――――
  22. 今村忠助

    ○今村忠助君 國家公務員法の一部を改正する法律案の趣旨説明に対する残余の質疑及び日程第一は延期し、明十三日定刻より本会議を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
  23. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十一分散会