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1948-06-18 第2回国会 衆議院 治安及び地方制度委員会 40号 公式Web版

  1. 昭和二十三年六月十八日(金曜日)     午後二時三十四分開議  出席委員    委員長 坂東幸太郎君    理事 小暮藤三郎君 理事 千賀 康治君    理事 松野 頼三君 理事 門司  亮君    理事 矢尾喜三郎君 理事 坂口 主税君    理事 大石ヨシエ君       大内 一郎君    大澤嘉平治君       坂田 道太君    佐藤 通吉君       笠原 貞造君    久保田鶴松君       中島 守利君    松浦  榮君       松澤 兼人君    高橋 長治君       高橋 禎一君    小枝 一雄君       川橋豊治郎君  出席國務大臣         國 務 大 臣 西尾 末廣君  出席政府委員         國家地方警察本         部次長     溝淵 増己君         國家地方警察本         部警視     柏村 信雄君  委員外の出席者         國家地方警察本         部警視     三輪 莨雄君         專門調査員   有松  昇君 六月十七日  鉱業用工作物に対する課税に関する請願(伊藤  卯四郎君紹介)(第一四五七号) の審査を本委員会に付託された。 本日の会議に付した事件  警察官等職務執行法案(内閣提出)(第一二四  号)  世耕事件に関する件     ―――――――――――――
  2. 坂東幸太郎

    ○坂東委員長 これより治安及び地方制度委員会を開会いたします。  本日の日程は風俗営業取締法案、警察官等職務執行法案、市町村立学校職員給與負担法案であります。全部を議題に供しますが、さしあたりこの第二、第三に対しまして質疑をお願いいたします。なお政府の方で補足的な説明があるならば、この際お願いいたします。國家地方警察本部の三輪企画課長から條文に関しまして今詳しい説明がございます。
  3. 三輪莨雄

    ○三輪説明員 お許しを得まして、執行法を逐條的に御説明申上げたいと存じます。  御承知の通り、三月七日から施行いたしました警察法は警察組織法でありまして、そこに掲げました國民の生命、身体、財産の保護であるとか、犯罪の予防、犯人の逮捕であるとか、公安の維持、その他警察官の職責をあげておりまするけれども、これを遂行いたします手段の具体的なものについては何ら触れておりません。そこでこの法律は、警察官あるいは警察吏員が通常警察法に規定いたしましたその職務を執行いたします場合に、通常ぶつかりますいろいろな事例をとらえまして、これに対処する手続の概要をきめたものであります。この法律の目的を第一條に示してございますが、その点を明らかにいたしまして、なおこの二項で、從來ともすると警察官が権限を濫用するということで、非難を受ける場合もありましたので、特にここではこの各條に書いてあります手段を、いやしくも濫用するようなことがないように、嚴重に戒めておるわけであります。  第一條は、その目的並びに乱用の禁止を明らかにしたわけであります。  第二條におきまして質問のことを書いたわけであります。警察官等が警羅あるいは立番中におきまして、異常の挙動その他周囲の事情から合理的に判断いたしまして、そこに通りかかつた者等が何らかの罪を犯し、あるいはこれから罪を犯すという直前にあると判断せられる、たとえば夜間なり、ごく早朝に大きな荷物を担いで、人の目に触れないようにして歩くような者がありますれば、これなどがその適例でありますが、さような者がありましたときには、これを止めて質問することができるわけであります。のみならず犯罪を犯した者でなくても、すでに行われました犯罪につきまして、あるいはその場に居合わせたとか何かで、その犯罪の内容をよく知つていると思われるような者がありましたならば、その者についても停止させて質問することができる。これが第二條の一項に規定されたわけであります。その場合で質問いたしますことが通常でございますけれども、ある場合におきまして、本人に不利であつたり、あるいは白晝道路の眞中で聽くことが交通の妨害となる、あるいはその例も少いと思いますが、たとえば猥褻の罪等の場合に、その被害者の婦人を質問をするようなことがあるとすれば、これを人目につくところで聽くことははなはだ善良な風俗を害する場合もありましようから、そのような場合であるとか、その他公安を乱すおそれがあるような場合におきましては、当該の人に対して附近の警察署なり、派出所なり、駐在所なりに同行してもらうことを求めることができるのであります。これは実力をもつて連行するというのではありませんで、そこに来てもらいたいということを求めるわけであります。しかしながら、この二つの場合におきまして質問を受け、もしくは同行を求められた者が、刑事訴訟に関する法律、これは現在御審議中であります。從いまして旧刑事訴訟法刑事訴訟の應急措置法がこれに含まれますためにこういう書き表わし方をしたのでありますが、この法律によるかもしくはこの法律の第三條の精神錯乱者または泥醉者、意識のない人につきましては、これは警察で保護いたしまするから、そういう場合以外は本人の身柄を拘束したりあるいは來てもらいたいと思つても、いやだという場合には、なおそれでも派出所や駐在所に連行されるとか、あるいは答えることを好まない、その点については答えたくないというにもかかわらず、なお答弁を強要されるというようなことはないのである。刑事訴訟に関する規定では、現行犯逮捕もしくは緊急逮捕、令状による逮捕等とございますが、こういうものに該当いたします場合は別でありまして、この点ここに明記いたしたわけであります。第四項では、これも前申しました刑事訴訟に関する法律によりまして、現行犯逮捕もしくは緊急逮捕、令状によつて逮捕いたしました場合には、その者が凶器等を所持している場合がございまするから、逮捕いたしましたときに、その身体について凶器の有無を調べることができるということを明記いたしたわけであります。これも逮捕いたします場合のみに限るわけであります。  第三條の保護でありますが、警察官等は、これまた異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断をいたしまして、次の一、二と二つあげてありまするが、精神錯乱または泥醉のために放つておきますれば自己の生命を害しまたは他人の生命身体または財産に危害を及ぼすというようなおそれのある者及び迷子、病人、負傷者等で、適当な保護者等を伴わず、應急にこれを救護してやらなければならないと思われる者につきましては、警察署、病院、精神病者收容施設、救護施設あるいは児童相談所というような適当なところでとりあえずの保護をいたすという意味であります。この場合にも、迷子、病人、負傷者等で、本人がそこに行くことを好まないと言えばそれまでのことでありますが、精神錯乱者または泥醉者は、意識が不明瞭でありまして、自分でその意思を述べることができないような場合でありまするから、これはその意にかかわらず保護をするというわけであります。そういう保護をいたしました場合には、警察官等はできるだけ速やかにその家族なり知人なりに通知をしなければならない。そうして引取をしていただくことは当然でありますが、その際家族、知人等が見つからないときは、速やかにその事件を適当な公衆保健もしくは公共福祉のための機関またはこの種の者の処置について法令により責任を負う他の公の機関、たとえば先ほど申しました児童相談所とか、精神病院であるとか、支拂能力があれば普通の病院の場合もありますが、市町村長に引渡したかつこうにして、爾後の療養をさせることもありますが、そういうその後の措置をとるわけであります。第一項の規定で、警察が保護をいたしまするのは二十四時間を越えてはならないというふうに制限を受けております。しかしながら第四項に書いてありまするように、裁判官に請求をいたしまして、裁判官においてやむを得ない事情、たとえて申しまするならば引取先はわかつているが、その迷い子の親に通知したが二十四時間内に渡せないというような場合がありましたならば、最高五日間を越えてはならない限度におきまして、許可状をいただくことができる。そうすれば引続き二十四時間を越えても保護することができるというわけであります。しかもそれが警察に濫用されないように、さらに第五項におきまして、保護をした者の氏名、住所、保護の理由、及び引渡の時日、並びに引渡先を毎週簡易裁判所に通知をいたして、そういう点でも濫用を防ぐように注意をいたしたわけであります。  第四條の避難等の措置につきましては、非常に條文がごたごたしておりますが、人の生命、身体もしくは財産に重大な損害を及ぼすようなおそれのあります、たとえて申しますれば、天災、事変、工作物の損壊、交通事故、危險物の爆発、狂犬、奔馬の類等の出現、極端な雑踏等いろいろ危險な事態をなるベく具体的に書いたわけであります。かような危險な事態がありまする場合において、その場に居合わせた者、その事物の管理者、関係者等に対しまして、必要な警告を発し、特に急を要する場合にありましては、そのままにしておくと危害を受けるおそれがある者に対しまして、その危害を避けさせる限度において引き留め、避難させ、またはその場に居合わせたその管理者、関係者等に対しまして、危害防止のため通常必要と認められる措置をとることを命じ、またはみずからその措置をとることができる。いろいろな場合がございますが、要するに一例をあげますれば、花火見物が極端な雑踏となつて、これ以上橋の上に乘せれば当然橋が落ちて死人が出るというような危険な場合には、そこに行く者に警告を発する、そしてなおはいつて行く者を引き留めるというような事態もあろうかと思います。あるいは狂犬等でありますれば、たまたまやむを得なければその狂犬を撲殺するというような措置をとる場合もあろうかと思いますが、そういういろいろな具体的なものを並べましたわけであります。そのような措置をとりました場合に、警察官等は順序を経まして、所属の公安委員に報告をいたします。公安委員会におきましては、他の公の機関、あるいは市町村でありますとかそういう救護の関係をやつておりますところとか、あるいは應急の復旧等の場合でありますれば、土木出張所でありますとか、そういうような公の機関に対しまして、事後必要な措置につきまして、あるいは勧告をし、情報を提供するとか、そういうような措置をとるわけで認めます。  第五條におきましては、犯罪の予防及び制止を規定したわけであります。犯罪が行われましたならば、これを逮捕するということは当然でありますけれども、でき得べくんばその犯罪の行われないうちにこれを止めることが望ましい場合が多いわけでありまして、未遂を罰する場合でありますれば、その結果が出ない場合でも未遂罪として逮捕いたしますけれども、その他の犯罪につきましては、行われる前に居合わせたならばこれを警告をする。なお、たとえば喧嘩で相手を殴りつけてしまうというような現場に居合わせたならば、これを身をもつて制止をするというようなことができるようにいたしたわけであります。  第六條の立入でありますが、この第一項といたしましては、前二條に申しました非常な危險な事態が発生して、生命、身体、財産に危害が切迫したという場合にありましては、その危害を予防する、あるいは損害の拡大を防ぐ、あるいは被害者を救助するというようなことのために、やむを得ないと認めまするときには、合理的に必要と判断せらるる限度におきまして、他人が管理いたしまする土地、建物、または船車の中に立入ることができるというふうにいたしております。この第二項におきまして、興行場、旅館、料理屋、駅その他多数の客の來集する場所におきましては、近ごろ殊にはなはだしいわけでありますが、非常な犯罪の横行がありますので、そういう所に警察官等は犯罪の予防または生命、身体、財産に対する危害予防というために立入りを要求いたします場合には、正当な理由がない限りこれを拒むことができない旨を規定したわけであります。しかしながら、この前二項の立入につきましても、関係者の正当な業務をみだりに妨害することをしてはならないと規定しております。なお、その立入の場合におきましては、管理者が要求いたします場合には、その理由を告げ、身分を示す証票を呈示するということにいたしておるわけであります。  次に、第七條は武器の使用であります。これはメモランダムによりまして、警察官が武器を携行使用することは許されておりますが、この武器の使用も濫用いたしますと、これは非常な危險な場合でありますからして、武器の使用のあつた場合と、もしくはかりに危害を加えてもよろしい――危害を加えてもよろしいと申しますか、危害を加えてはならないわけでありますが、危害を加えてもやむを得ないと思われる場合を非常に狭く制限をいたしたわけであります。武器の使用は警察官等が犯人逮捕もしくは逃走の防止、自己もしくは他人に対する防護または公務執行に対する抵抗の抑止のために必要であると認められる正当の理由ある場合におきまして、しかも必要の限度において武器を使用することができるわけであります。しかしながら刑法の正当防衛もしくは緊急避難に該当する場合は別といたしまして、それ以外におきましては死刑または無期もしくは長期三年以上の懲役もしくは禁錮にあたる罪を現に犯し、もしくはすでに犯したと疑うに足りる十分な理由のある者が、その者に対する警察官等の職務の執行に対して抵抗し、もしくは逃亡しようとするとき、または第三者が手を貸して抵抗するというような場合に限つたわけであります。第二の場合は逮捕状によつて逮捕するとか、あるいは裁判官の諸種の令状によつて執行する場合に、やはり本人が抵抗し、逃走をする、あるいは第三者がそれに手を貸すという場合に限つたわけであります。  第八條はほんの補足的な規定でありますが、警察官等執行法ということで、警察官の職務執行の手段をきめましたけれども、第七條までは通常行われます必要な場合をあげたわけでありまして、それ以外他の法規の執行は、当然警察官の職務である場合が多いのでありますから、他の法令に警察官の職務として規定いたしましたものは、やはり警察官の職務なのだということで、ただこれだけが警察官の職務ではないと、念のためにこの補足的な規定を加えたわけであります。  以上概略でございましたが、説明を申し上げた次第であります。
  4. 坂東幸太郎

    ○坂東委員長 それでは本案に対しまして質疑をお願いいたします。
  5. 門司亮

    ○門司委員 第四條に「危害防止のため通常必要」と書いてありますが、通常必要というのをもう少し詳しく説明していただきたいと思います。
  6. 三輪莨雄

    ○三輪説明員 これはいろいろな場合があると思いますが、危險物の爆発等という場合であるならばその導火線を切らなければならない場合もありましようし、間に合わなければ附近の川に放りこむ場合もありましよう。その危害を防止いたします上に、そうしなくてもよかつたじやないかと思われるようなことは、もとよりはいらないわけでありますけれども、その場に臨んで、通常人としてそうしなければならなかつたと考えられる場合で、前に書いてあるような事態に應じて、それぞれ場合が違うと思いますが、これは單に警察官が必要であつたという個人的な意見でなく、客観的にだれが見ても通常必要と認められる措置というように考えておる次第であります。
  7. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 警察官等職務執行法という法案について、その適用範囲をお伺いしたいと思いますが、本法案の警察官等という等については、狹義に解釈していいものか、あるいは廣義に解釈すべきであるか。もし廣義に解釈するとすれば、経済警察とかあるいは海上警察、鉄道警察というものは含んだものであるか。もしそれを含んだものでないというならば、経済警察の官吏とかあるいは海上保安廳の官吏とか、そういう者に対しての職務執行法は、別にこれを規定する法律ができるかどうかということについてお伺いしたいと思います。
  8. 溝淵増己

    ○溝淵政府委員 ただいまの御質問でございますが、ここに警察官等と申しましたのは、第一條に規定してあります通り、警察官及び警察吏員でありまして、警察官というのは、國家地方警察の官吏たる警察職員であります。また吏員の方は、自治体の警察吏員を、指しているのでありまして、そのほかに海上事保安官とか、経済査察官、鉄道公安官というようなものは、これは含んでおらないのであります。これらについては、大体経済査察廳法にしても、また海上保安廳の法案にしても、その法案の中にそれぞれの警察に関係する職務の権限等については規定されているように承知しております。
  9. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 経済警察についてお伺いしたいと思うのですが、新警察法によれば、その第二條第二項において、経済法令の違反の犯罪捜査について、警察官吏は責務を有するということがあるようですが、目下経済査察廳の設置について決算委員会で審議中だということを伺つておるのでありますが、決算委員会が経済査察廳の設置について審議しているといことであれば、本委員会と合同審査会を開いて審議を進めた方がいいじやないか、かように考えられますので、これに対して委員長の御意見を伺いたいと思います。
  10. 坂東幸太郎

    ○坂東委員長 合同してやつてもいいと思いますけれども、運営委員会でちやんときめてそのままやつているわけですから、まだ合同してやるという意思は申込んではないのです。
  11. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 そうすると委員長は、これについて決算委員会と合同委員会を開くことは考えておらないというわけですか。
  12. 坂東幸太郎

    ○坂東委員長 まだ正式には考えておりませんが、合同審査会を開く方がいいとなれば、交渉してもいいのです。今は運営委員会できめたままになつて向うでやつているわけです。
  13. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 結局警察官吏に対する法案として、先ほど申しましたように経済法令の違反について警察官がこれを取締る、あるいは捜査に当ることになつているのを、経済査察廳ができて、またこれが経済法令の違反を取締る、また捜査するとなると、重複するのではないかと思うが、この点に対して政府のお考えを伺いたい。
  14. 溝淵増己

    ○溝淵政府委員 警察法におきまして、経済取締りにつきましても、警察官が取締る権限がある。しかるに一方におきまして経済査察官が取締りをすると重複しやしないかという御意見でありますが、経済査察官の方は、われわれ承知いたしておる限りにおきましては、主として経済実態の調査――むろん捜査権はもつているようでありますけれども、全國的な取締りの統制をとるという点に主眼を置くことになるようでありまして、実際取締りをする場合には、警察官を使つて警察官と協同で取締りをする建前になつているように承知いたしておりまして、必ずしも矛盾し、また紛淆を来すことはないように承知いたしております。
  15. 坂田道太

    ○坂田委員 こまかい問題ですが、第六條の船車とあるのはどういう意味ですか。他人の土地、建物または船車の中に立入ることができないというのは……。
  16. 三輪莨雄

    ○三輪説明員 これは船なり車なりが、通常建物と言えませんのでここに並べましたわけで、そういう場合は非常に少いかと思いますが、人の船をつつ切つて向うにいる被害者を救済する場合もございましようし、あるいは車の場合はあまりそういう事例がございますまいが、そういうものにつきましても、必要があれば、しかも合理的に客観的に判断されて、必要があれば、そういうものに立入り、そういうものを通過して向う側の者を救う必要があるからと思つて入れたわけであります。
  17. 松野頼三

    ○松野委員 この法案に、第二條において個人の尋問を許可しているという点がありますが、この場合に、あとの第何條かには、興行場においての臨檢は証票を呈示するという條文があるようでありますが、少くとも個人の自由を束縛し、尋問し、行動を束縛することについて、請求があつた場合に、ここには証票なり、あるいは警察官たるの証明をする條文が見あたりませんが、これはいかなる御見解の上に立たれているか、御質問いたします。
  18. 三輪莨雄

    ○三輪説明員 御質問の通り、もとよりその場でその身分を問われれば身分を告げるものと考えますが、立入り等の場合におきましては、正当な理由がなくして拒むことができないというように、ある程度強制力をもたしているわけでありますが、第二條の場合におきましては、任意に相手の回答を求めるわけでございます。精神的には向うが何かの圧力を感ずるかもしれませんが、法律的に申しまして、これは任意の回答を求める建前ございますので、特にここにはうたいませんでしたけれども、もとよりその質問を受けます者が、身分の証明を求めました場合には、これを告げ、もしくは警察手帳等の証明を見せることは当然のことと考えております。
  19. 松野頼三

    ○松野委員 当然のことではございまするが、ただいまのごとく停止させて質問することができる以上、返答のいかんを問わず、これが一時間にわたるか、半日にわたるか、あるいは五日以内にわたるかもしれないので、相当束縛力をもつたものでありますから、これは当然臨檢以上に、その被質問者に関してはこれは相当なる被害でもあり、質問する以上相当な束縛力をもつのでありますから、もう少しこれは個人的に臨檢以上に鄭重に扱わるべきでないかという観念をもつております。  もう一つ附け加えます。あるいはこの場合はほとんどの場合制服の巡査がやるべきだという観念かもしれませんが、制服官に限りませず、私服の者もありましようし、あるいは往々にしてにせの制服も犯罪として現われておりますから、個人をもう少し尊重する意味において、現在の社会においては、風教上あるいは営業上の臨檢以上に、私はもつと大事に取扱わるべきでないかという観念のもとに、もう一度御質問申し上げます。
  20. 溝淵増己

    ○溝淵政府委員 ただいまの御質問でもつともだと思いますが、実は私どもこの停止というのは、それほど何時間も止めるとか、幾日も留めるということを考えていないのでありまして、街頭でちよつと、ちよつとお尋ねしますが、何を持つておりますかという程度のことを私どもは考えておりますので、現在の法律、行政執行法等がなくなりますると、そのこと自体が相手方から文句を言われると、巡査がへこまなければならぬということになりまするので、この程度のことはという、きわめて軽い意味のことに考えておるので御了承願いたいと思います。
  21. 松野頼三

    ○松野委員 はなはだ軽い意味にもとられますけれども、しかし一度これが行われますると、現在におきましては、これのみが唯一の過去の警察法取締りに匹敵すべきものならば、それ相当な重要さと権力の惡用が考えられますので、一應あとに捜査をされるということが書いてある以上、当然尋問の場合、警察官たる身分を被質問者に対して納得させるだけのものを呈示すべきだ、あとの営業上についてはそれだけの保護をしておきながら、ちよつと、ちつとの方にないということは、片手落ちだと考えるのでありまして、ただいまのように、ちよつと、ちよつとが、一時間の制限ぐらいならよいのでありますが、これでいくと、五日以上にも上る観念をもちますので、もう一度御答弁を煩わしたい。
  22. 溝淵増己

    ○溝淵政府委員 ただいまの五日以内というのは、保護する場合でございます。精神錯乱者とか迷い子の場合でございます。ちよつと止めるのにそういうことは考えておりません。それからこの場合には、あくまでも強要するものでありませんので、相手方が拒めば、しかたなくこつちが出かけるわけなので、その点御了承願いたいと思います。
  23. 千賀康治

    ○千賀委員 西尾長官はきわめて御多忙のようでございますので、私の質問をこの際ちよつと挾ましていただきたいと思います。昨年の七月二十二日でありますから、ほとんど一年になんなんといたしております。当委員会に西尾当時の官房長官を招致いたしまして、私の質問に答えていただいたのでございますが、その内容は西尾官房長官が世耕君その他当時の自由党に属しておつた方々が、隠退 藏物資に現閣僚が関係をしているという言葉に対しまして、当時の総理大臣である片山哲君か、あるいは西尾官房長官か、あるいは閣僚全部か、いずれかにいたしましても名誉毀損訴えを当然起すであろうという新聞記事を見まして、当委員会においてその賛否を質したのでございます。そのときの西尾氏の答弁におきましては、やはりその新聞の記事を全面的に認めまして、今まさに告発しようと研究中である。閣僚全体がやるか、自分の名をもつてやるか、総理大臣の名でやるか、いずれにいたしましても近き將來に告発するであろう。事実無根のことに対して、とかく日本人はかようなことを言うのを慣わしとしておるようだが、その点に関してもわれわれの告発でもつて社会に一つの警告を與える、社会教育の意味でこれを大いにやるのだというような答弁があつたのでございます。私は当時さらに西尾長官に、さような意味で告発をせられることは賛成である。殊にさような事実がないからという前提の上にやるならば、特に私は賛成である。あなた方が敢然として告発をする日を待つであろうという意味のことを追加いたしまして、その應答は終つておるのでございます。爾來今か今かと待つておりましたが、遂に六箇月くらい経ちますと、片山内閣が終焉を告げてしまいました。さらにその後西尾官房長官は副総理として、就任されて現在に及んでおるのでありますが、遂に告発をせられる手続も聞いたことがなければ、また実際告発をしたという事実もないのであります。この点に関しまして、私はまことに今日といたしましては不可解至極であるのであります。この委員会はいやしくも国家の機関であります。閣僚が答弁をせられることは当然事実であり、また閣僚として責任をもつてなすべきことを答弁するのが本來の形であると思います。私の質問に対しましてただ告発をする意思のない者が、告発するのだというようなことを言うだけでは――これは青年会の討論ならよいかもしれませんが、本委員会においては許されざることであり、また國家の機関を運用する上からいきましても、さようなことは許されざるところでございます。今日の結果から見れば、西尾副総理は治安並びに地方制度委員会を通じて、再び世耕君あるいはその他の人々がかような言辞を弄せざるよう、その希望をもつて、一つの恫喝を行つたのだ、こういうこと以外にわれわれは解釈をする方法を知らぬのでございます。もしかさようであるならば、私は断じてこれは許すことのできない言論であると思います。この点に関して西尾副総理はどういう見解をもたれるか。当時からその言説をなし、また今日引続いて閣僚の席にすわつておられるその位置の上に対する責任としても、この放言と申しましようか、答弁に対しまして、いかなる見解をもたれるか、その点まずお伺いをいたしたいのでございます。
  24. 西尾末廣

    ○西尾國務大臣 お尋ねのようなことが昨年にあつたことは、その通りでありますが、その後事件の推移を見ておりますると、山梨縣の警察に拘置されておる某の單なるつくり事であつたのである。すなわち私その他の閣僚が靜岡の砂糖事件に関連して不正を行つたということは、その山梨縣の拘置所におるそれがしという者の捏造のことであつたのであるという事実が明らかになりましたので、その人の言を信じて、むしろその人に世耕君が欺かれておつたんだということが明らかになりましたので、私といたしましてはすでに疑惑をもたれておつたその疑惑も晴れたのでありまするし、これは告訴する必要がない、こう考えまして、これは告訴するに至らなかつたのであります。
  25. 千賀康治

    ○千賀委員 さらにお伺いをいたしますが、最近に至りますると、当時の閣僚ではありませんが、新たに閣僚となられた北村徳太郎君のごときは、すこぶる厖大なる隠退藏物資に関係をしておるということを言われつつあります。言われるくらいではなしに、國会の不当財産委員会の方にも提訴され、盛んにここに論議をされるに至つたのでございます。かような点に対しましても、西尾副総理の主張そのままであるならば、断じてこれを名誉毀損として告発をなさらなければならない。また告発をすることを閣僚全部にもしよう慂されなければならない。また北村君が不当財産に事実関係をしておるから告発ができないというのであるならば、閣僚諸君の中の、こうした不正な立場事にある者とともにいすを並べておるということを、あなたは承認の上でやつておられるということになるか、どちらかになるのであります。もしも眞でなければ、一年前の心境通りただちにかような点を告発しなければならぬ。名誉毀損として北村君のために告発をし、また現内閣のために告発をしなければならぬ。しからざれば、そうした法律上の犯罪をもつておる人が、現内閣の閣僚にすわつており、その人と席を並べておるということにつきまして、あなたは何らかの感想がなければならない。また処置がなければならないと思います。このいずれをお選びになるか、またあなたはどちらをこの場合正当なりとしてお考えになつておるか、この点を、やはり副総理としての御感想を承りたいのであります。
  26. 西尾末廣

    ○西尾國務大臣 北村大藏大臣に関する新聞記事その他においていろいろ取ざたされておることは承知いたしておりますが、これに関して名誉毀損の訴えをするかどうかどうかということについては、北村大藏大臣の判断でなされることでありまして私は特に北村君にしよう慂する考えはもつておりません。またそういう取ざたがかりにあるといたしましても、私は北村大藏大臣の潔白を信じておりまして、これと席を並べることを潔しとしないというような考えはもつておりません。
  27. 千賀康治

    ○千賀委員 御参考にあなたの言葉をここに再び引用いたしますが、「そういうような事実無根のことが國際的にも流布されるということになりますと、これは國家の重要な問題である、とかくわが國におきましては、人の名誉に関することについて無責任に放言するきらいが外國に比べて多かつたのであります。こういう機会においてそういう非民主主義的な無責任な放言をするということについて、だんだん改めていくということのためにも、この際問題を不問に附さないで取上げることがよろしい。とかくこういうことについて日本人流に考えると、そんなことを取上げるのはおとなげないじやないかという考え方が、ますますこの無責任な放言が多くなつてきておるという事実に鑑みまして、この問題は徹底的に糾明したい、こういう意思を私はもつたのであります。そこで司法大臣とも相談した結果、これを調査いたしまして、司法上の問題になし得る條件が具わるならばしたい、その場合には、あるいは名誉毀損をされたときには、人の名前をあげるかもしれませんが、あげた場合には、その人の名前において名誉毀損の訴えを起す、また内閣全体に対する今までの名誉毀損という考へ方はわれわれもつておるのでありますから、場合によれば内閣全体としてこの問題を取上げて告訴する場合がある」云々、かようなわけでありまして、あなたは国際上の名誉のためにも、信義のためにも、また日本人のこうした不用意な、人の名誉にかかわるようなことを放言させないように、一つの教育上と申しましようか、社会指導上の意味まで加えて名誉毀損の告発をなさろうということをここで意思表示をいたしておられます。ただいまの答弁によると、北村君が名誉毀損を感ずるならば、北村君がやるだろうが、北村君が感じなければやらないであろうということを言つておられます。大体名誉毀損の成立というものは、今日あなたが言われるのが正当でありまして、北村君自身が名誉毀損を感じたときに初めて名誉毀損が成立つのであります。しかしながら一年前には、あなたはただいま私があなたの言葉をここで引用した通りに、社会教育的な意味まで含めて強硬に名誉毀損の訴えを起そうとしておるのであります。今日あなたがきわめて消極的な立場になつて、おれは知らぬ。それは北村君がやるかやらぬかは知らない、北村君の問題だというその態度は、まるで豹変して、似ても似つかない態度になつております。去年の積極性に比べまして、ただいまは何という消極性であるか、まことにその違いは大きいのでありまするけれども、これは申しません。申しませんが、私は西尾氏にいま少し去年の言責を重んずるという気持になつていただきたいと思います。去年かようなことを本委員会において放言をし、今日はまことに処女のごとくにこの名誉毀損罪成立の本質に向つて論及をせられております。去年と今年とまるで立場が違うのであります。そうしてみますると、やはり私は去年におきましては、あなたは本委員会を通じまして、一つの恫喝を行つたのだというような考え方をせざるを得ぬのであります。あまり問答をこの点に重ねましても、見解の相違ということになるかも知れませんけれども、私はこの点に関しまして、去年もあなたがこの通りにおつしやつておられるならば、私はおそらくただいまあなたをここに呼んで質問をすることはなかつたであろうと思います。しかし今年の言葉が去年の言葉と全然意義が違うので、そこで質問を再び、三たび重ねなければならないことになつたのであります。この点に関しまして御感想あるや否やお伺いいたします。
  28. 西尾末廣

    ○西尾國務大臣 あの当時は相当的確な証拠でもあるがごとき方法で問題が取上げられ、單に私だけではなく、他の二、三の閣僚もこれに関係しておるごとく、すなわち当時の政府の閣僚の数名がこれに関係しておるような印象を與えましたので、問題きわめて重大である、こう考えたのであります。そういう私が去年考えておつたような一つの考えをもつておるからといつて、いかなる問題においても、いかなる場合においてもこれを取上げなければ、それは前の考え方と変つておる、あるいは矛盾しておるというようなことは必ずしも成立たないのではないか、やはりその問題の取上げ方及びそのときの周囲の環境等をいろいろ考慮した上で、あるときは取上げ、あるときはこれを放任しておくという場合がこういう問題についてはあろうかと考えておるのであります。
  29. 千賀康治

    ○千賀委員 この上は意見の相違になりますから私は終ります。
  30. 松野頼三

    ○松野委員 ただいまのことに関連しての質問でありますが、昨年のお話とともに最近におきましては西尾長官個人の問題として世間を騒がしておりますし、あまり芳しからざることが流布され、あるいは相当論議されたと信じます。この点においてすでに告発までもされておるかと思いますが、この点においてただちにこれが名誉のためにならば、その場合も当然名誉毀損として告発されるだけの信念と準備をされておられるか、もう一度私に対して御言明願いたい。
  31. 西尾末廣

    ○西尾國務大臣 この問題につきましては名誉毀損の訴えをするというよりは、検察廳の調べ、あるいは不当財産取引委員会の審議上の過程を通じて明らかにいたしたいと考えております。
  32. 松野頼三

    ○松野委員 わかりました。
  33. 坂東幸太郎

    ○坂東委員長 ただいまあとから来た委員もありますが、今警察関係の法律の逐條的な説明がありまして、さらに委員諸君から逐條的な質疑の継続中であります。質問がありますればお願いいたします。
  34. 松野頼三

    ○松野委員 先ほど打切りましたが、ちよつとちよつとということでも、なかなか犯罪防止の上に必要なことならば、これを拒否されても、これは警察取締法としての今度の執行において支障を來すのではないかという観念をもつのでありますから、理由があり、またそれだけの根拠があり効果があけられるならば、やるだけの準備と方法をここに挿入して完全にやつていただきたい、先ほどの御答弁によりますと、拒否されたならばしかたがない、質問されても答えなければしかたがないというような御答弁がありましたが、それならばこれだけのものを質問するという規則も死んでしまいます。やるならばやるような理由と身分を示して完全に行つていただきたいとともに、やらなければこういうものは採用する必要はない、その点において私はこの法文を生かすならば、あくまでそれだけの理由を示しておやり願いたいと思います。その点いかがでしようか。
  35. 溝淵増己

    ○溝淵政府委員 ただいまの御質問、やるならば徹底的にやる必要がある。実はそういうことも考えないではありませんけれども、現在の刑事訴訟法の建前ですら、不利な答弁はしなくてもいいというような規定になつております場合におきまして、警察官が街頭でまだ犯罪があるかどうかわからぬというようなものについて、強制力を加えるということは、新憲法の精神から言つても適当ではないと考えておる次第であります。
  36. 中島守利

    ○中島(守)委員 簡單なことを一つお尋ぬしたいと思います。ここにあります天災というのには、水害等も含まれているのか、水害のごときは堤防の決壊によつて天災とも認められるし、あるいは認められないことにもなるわけでありますが、水害の場合には天災という意味も含まれているものであるかどうか、また天災とはどの程度のものであるかということをお伺いいたします。
  37. 三輪莨雄

    ○三輪説明員 ただいまのお尋ねでありますが、ここに天災地変その他を例示いたしましたが、これはそういうことのために國民の生命、身体、財産に非常な危害が切迫するという場合を例示したわけでございまして、この天災という言葉の嚴格な意味におきまして、それがはいるかはいらぬかということよりは、そういう事態の発生ということで考えてまいりたいと思います。そこで水害の場合もはいると存じますが、別に消防法も御審議中のようでありまして、それが成立いたしますれば、その際の現場の問題につきましては、両者の関係を調整しなければならぬと考えております。
  38. 中島守利

    ○中島(守)委員 水害のような場合につきましては、警察官が、ここには単独に関係者とありますが、関係者でなくてもいいわけですが、ただ人命救助目的をもつて処置をするということでは支障がある場合があるのではないか。昨年の例を申しますならばある場所は決壊して水害を受けるのでありますが、しかしその直前に堤防を防いでおらなければならぬというような場合において、警察官避難しろということで極力避難をさせた。もしその堤防が決壊すればその附近の家屋は流失する。そういう場合も考慮せずに、いわゆる避難だけに極力從事したわけでありますが、こういう点に対しては、水防は大体消防署でやると思つておりますが、消防署の方の了解を得てからやるというようなことにしないと、あるいは行き過ぎのようなことができると思うのでありますが、その点についのて御所見を伺いたいと思います。
  39. 溝淵増己

    ○溝淵政府委員 ただいまの御質問ごもつともでありますが、消防法が成立いたしますれば、消防法に從つて、警察の方も仕事をするということにならざるを得ないし、またそうなるのが当然だと思つております。ただわれわれが考えておりますのは、消防が出るとか、あるいは災害救助法を発動するとかいうような程度に至らないものでも、世の中には天災のものがあるのではないか、この警察官が独断で行つた場合に、こういう仕事もしなければならぬということを規定したつもりでございますので、消防法が成立いたしますればその方に從うということになると思います。
  40. 中島守利

    ○中島(守)委員 ただいまの御説明ですと、非常にこの法案が力がないようになるのではないか。私どもはただいま水害だけの問題をここに掲げたのでありますが、この條項の中には各官省との間に問題があるのではないかと思います。そういうわけですから、この條項の中に、担任する官省のある場合においては、その了解を得てからというようなことにしないとこの法令のもとに警察官が行つたことが、かえつて害になるような結果を來した場合に、非常に国民だけ迷惑するわけで、警察官は当然の法令に基いて執行した職務でありますから、心配な点が多いのであります。そういう点に対してどういうふうにお考えになつているか、もう一度御説明を伺いたいと思います。
  41. 三輪莨雄

    ○三輪説明員 ただいま次長からお答えをいたしましたように、これら例示のありました災害救助法、消防法その他第一義的に責任を負う機関が仕事をいたします場合、他の法令に規定してある場合がございます。しかしそういう場合におきましては、もとよりさような法律に経つて行われると考えて、そういう特別法に対する一般法という意味に考えておるわけであります。しかしながら先ほどの御回答にもありましたように、そのような正式な機関と連絡をして処置をするということになりますれば、それらの機関の発動が始まつたわけでありますから、それらの機関に協力をいたしまして、警察官というものは活動するということになるとし思います。具体的に、この條文だけを警察官に流しますと、どうしても警察官の仕事が行き過ぎになる。あるいは処置に迷うというようなこともございましようけれども、これを成立させていただきました上は、警察教養といたしましては、どういう場合には何法によつて何の機関が責任を負う、これに協力をする。それまでの間はこういうことをするという個々の場合に即したこまかいいろいろな具体的なやり方を示してやらなければならないというように考えておるわけであります。
  42. 笠原貞造

    ○笠原委員 この法律案を見ますと、昔行政執行法という法律がありまして、あれに代るべきような内容をもつておると思いますが、かつて行政執行法というものが非常に濫用されまして、警察はほとんどあれを利用いたしまして拘留しておつたのであります。私はむしろこの中に書いてある内容を見ると、大体において警察官が犯人あるいはその他に対処いたします場合において常識的に考えて、あえてこの法律を使わなくてもできるようなものはかりがその内容になつておりますが、あらためてこの法律を立法しなくても、当然にこういうことはやつて差支えないのじやないかと思われるのでございますが、いかがなものであろうか。この点の説明を聽きたいと思います。軽犯罪法道徳法だというようなこと言われまして、ほとんどわれわれが守るべきことを確定したもので、何でもないというようなことを言われて、実は軽犯罪法は通過したのでございますが、地方の実情を見ますと、わずかつまらぬことで軽犯罪法処罰されておるのであります。この法律には罰則がないからいいようなものでございますが、やはり私は大体において警察官が守るべき基準を定めたようなものであり、相当私は濫用されるのじやないかというような考えをもつておりまして、むしろ私はこの法律をつくらぬ万がいいのじやないかと思いますが、その点についての所感を伺いたいと思います。
  43. 溝淵増己

    ○溝淵政府委員 ただいまの御説を伺いますと、警察官が職務を執行するについては、この程度のしことは常識上でもやらなければならぬことであるから、むしろ必要がない。もしつくるという必要があるならば濫用になるという御心配でありますが、実は現在の警察官吏としましては、從來の行政執行法などがかなり濫用されたというようなきつい批判を受けまして今日に至つておるのであります。その行政執行法がなくなり、また古い行政警察規則なども、憲法上効力がどうかと言われておるような今日におきまして、この程度のものは警察官に必要じやないか。要するに、現在の警察官は実はこの程度のことをいたしますについても、心配しながら仕事をするというのが、事実でございますので、それに対しまして法的な根拠を與えて、しかも濫用を戒めて、明るく仕事をさせたい。こういう気持でありまして、この法律の実施にあたりましては、各場合に感じまして、濫用を嚴に戒めておりますこもその趣旨でございます。この法律は警察官がこんな権限をもつておるというよりは、むしろ最小限この程度の仕事はしなければならぬということを規定した規定がかなり多いのでありまして、各條文の内容をごらんをいただけば、そういう趣旨がわかると思いますが、われわれの気持は以上の通りであります。
  44. 松浦榮

    ○松浦(榮)委員 この法律は行政執行法に代るべき法律と認めるのでありますが、行政執行法というのは、制定以來非常に問題のあつた法律でありまして、しばしば、議会でも問題になり、また改正も行われてきたのであります。そういう点について相当注意をしながらこの法律は制定しなければならない、こう思います。第一條におきまして、公安の維持という言葉がありますが、これが従来非常に濫用せられた言葉であります。たとえば思想犯罪者を檢束するというようなこともこれによつて行われ、また労働運動なんかありまして、争議行為の中に少し暴行があつた場合にも、この理由によつて検束するというようなことが行われて、この文句だけが從來非常に問題になつたのでありますが、今度規定されるところの公安の維持ということは、どういう場合を指すのであるか、それを一つ御指示を願いたいと思います。  それから第二條におきまして、質問する場合であります。これは警察官にこういつた権限を與えられたわけでありますが、從來よく問題になりますのは、戸口調査であります。警察官が人の家を訪ねて、よく身許調査をしたり、あるいは人口調査をしたり、いろいろなことをやつておりますが、そういつたことを、どこでどういう規定によつてやらせるか、もし必要があれば、この規定の中に入なければならぬのではないかと思います。従来戸口調査の法規上の権限は、宿泊届その他の件というあの旅館の規定の中に確かにはいつていたと思いますが、ああいう規定をもし規定をもし必要とするならば、この中に入れる必要があるのじやないか、こういうふうに思います。  それから第三條以下のこの條文でありますが、すべて「警察官等は」ということになつております。これは私かつて海上保安廳法案ができるときも言うたのでありますが、一人々々の警察官に対してこういつた重大な権限を與えるということは、非常に問題を起しやすいと思います。これはずいぶん古い話でありますが、富山縣でありましたか、どこかの駐在所の一人の巡査が、火事の際に必要のない家をぶち壊すことを命じたのであります。その際に、その警察官はそういう権限がない、それは警察署長に権限があるのだということをもつて訴えられまして、その結果判決がありまして、その巡査はこの問題について犯罪となつて罰せられたことがあります。そういうようなことが起りやすいのであります。駐在所の巡査にこういつた権限を與えておきますと、必要もないのに隣りの家をぶち壊したり、あるいは人に傷をつけるというようなことが起りやすいのであります。どうしても常識のある、十分訓練を積んだ警察署長というような責任者にその権限を與えて、それ以下の補助機関はその命令下に動く、こういう形を整えなければならぬ。この法文によりますと、一人々々の警察官が何でもできるというような、非常に重大な権限をもつております。これは民間人民の方から見ますると、警察官に対して非常に威力を與え、これではたまらない法規であるという感じがいたします。そういう点についてどういう御見解をもつておられますか。  それから行政執行法によりますと、行政執行法というのは、大体警察官ばかりの仕事ではなくて、あらゆる行政官廳がそれぞれの場合において適当に処置のできる法規であつたのでありますから、先ほど中島さんからお話になりましたように、警察官がやつていけない場合でも、ほかの役所がやれる場合も含まれているのであります。しかしここでは警察官ばかりがやるというようなことになつておりますから、ほかの官廳にもやらせていい場合を規定しなければならぬと思いますが、そういつたことについて何らかの規定ができないか。ほかの官職に連絡するとか、あるいはほかの官廳に譲つてやらせらせるというような規定が必要じやないか、こういう感じがいたします。それから行政執行法には、いくら命令をしても言うことを聽かない場合には、こちらの役所の方が直接その仕事を代行してしまうという規定もあるのであります。そういつた場合も、將來において必要ができるかもしれませんが、この中にその規定がないのであります。それから、言うことを聽かなかつた場合に、それに対する処罰規定も別にないようでありますが、そういつた問題についてはどういうお考えをもつておられますか、一應お聽きしたいと思います。
  45. 溝淵増己

    ○溝淵政府委員 一條の公安の維持という言葉が昔濫用された言葉であるから、非常に心配だというお話でありました。実はこの公安の維持というのは、警察法の文句からとつてきたものであります。従来行政執行法で濫用されましたのは、檢束の場合に、暴行、闘争その他公安を害するような場合には検束ができる、その公安とはいかなることかということの内容がはつきりしていない。それがために檢束が濫用されたようにわれわれ承知しているのでございますが、この場合の公安の維持は、大体この警察法の目的と同じように、この法律の目的を書いただけでありまして必要な処置をすべき事柄は二條以下に書いてあります。具体的の内容によるのでございまして、この内容以外に、公安を保持するという文字を悪用するようなことは、これではできないじやないかと私ども考えている次第であります。公安を維持するために以下各條のことをやるということで、きわめて場合を限定し、またやり方を制限している次第でございます。  それから、次に戸口調査の問題でございますが、実は戸口調査は非常に必要な仕事でありますが、これを強制力を與えてやることはいろいろな面において不都合があるというふうに考えまして、この法律では戸口調査についてはその規定を設けなかつた次第であります。なお警察官一人々々に権限を與えることは適当じやないというお話でございますが、実はこの法律の規定する場合は、街頭に突発的に起る事件がきわめて多いのでございまして、一人一人の警察官がそうした処置をせなければならない場合がたくさんあるのでございます。それがために警察官ということにいたしてありますが、第四條のごとく、結果において相当相手方に迷惑をかけるような処置等につきましては、ただちに順序を経て公安委員に報告して、公安委員がまた他の官廳に対して措置について必要な協力を求めるといつうような注意規定に注意規定につて、警察官の処置について過ちのないようにいたしてあるわけでおります。  なお最後に行政代執行の問題がこの規定にないというお話でありましたが、実は代執行の規定は行政執行を廃止する折に、國会の御承認を得たように承知いたしております。
  46. 松浦榮

    ○松浦(榮)委員 大体了解いたしましたが、戸口調査の問題については、日本人は案外問題にしないので参りまして、巡査が來れば親切に何もかも話してしまうので、別段実際的には問題にならぬのでありますけれども、しかしいやしくも憲法に、日本人たるものは法律によるにあらざれば審問処罰を受けることがないという規定があるにもかかわらず、ただふだんの慣例によつて、默つているからして戸口調査をやるのだというような慣例をつくることはよくない。あくまでも憲法に準拠いたしまして、いやしくも日本人たるものは法律によらなければ何らの拘束を受けないという建前だけは堅持しなければならないと思います。従来戸口調査について、どういう法規に根拠があるかということについては、すいぶん問題があつたようでありますが、ただ慣例に從つてやつたようであります。私はそれが実質的に問題になるとかならぬとかいうことは別にして、実際上條文に入れておつた方が憲法の建前上、また法規の建前上いいのではないかという考えをもつております。  もう一つは、警察官全部一人々々に権限を與えるということは将来非常な問題が起きはせぬかと思います。何でも巡査の気ままにいろいろな場所に立入つたりその他いろいろな場合が起きまして、人権蹂躙を相当にやる場合が起きはせぬかと思いますが、従来よりもよほど民主化いなければならない時代におきまして、従来よりもさらに警察の権限を強大にするような法規はどうかという考えを私はもつているので申し上げた次第であります。
  47. 笠原貞造

    ○笠原委員 先ほど法律の根拠がないので、実はびくびくやつているのだというお話がありましたが、まあびくびくやつているから間違いがないので、これを一應法律の根拠を與えますると、第三條にありまするように、駐在所または派出所に同行することがで記さるのでございますが、非常ににこれが濫用のもとになりはしないかというふうに私は考えるのであります。先刻も例に申しましたように、軽犯罪法は道徳法だと言われまして、大した法律ではないと思つておりますが、街頭で小便をすることは非常に悪いことであります。しかしながらそれによつて法律ができておりまするから、ただちに処罰されるのであります。そうするとやはりこの法律もない方がよくて、できまするとこれが法律的な根拠をもつてまいりまするから、結局濫用されるのじやないかと思うのであります。特にこの第二條の場合等におきましては、もう異常な挙動、周囲の事情から法理的に判断しても、犯罪を犯したような、またそういうような理由が相当わかるのでございますから、もうそのときにおきましては、私は犯罪の捜査権があると思う。刑事訴訟法によりましても犯罪の疑いあるときにおいてはできるのでありますから、何もこの法律に規定しないでも私はできるじやないか、こういうように考えるのでありますが、この点につきましてももう一遍御答弁を願いたいと思います。  なおこの法律を見ておりまして、もしもこの法律を成立させるということになりましたならば、これが濫用された場合におきましては、検察官に対しまするところの処罰規定は何もない。むしろ一般の処罰規定よりも私は非常に濫用される危険があると思いますから、濫用を防止するために、もしも濫用があつた場合におては、警察官に対しまして制裁を加えるところの罰則法規をつくらなければ不備じやないかと考えるのでありますが、その点についてもう一遍御説明願いたい。
  48. 溝淵増己

    ○溝淵政府委員 笠原君の御質問にお答えいたしますが、警察官にこうした規定がなおかつ必要だと考えますのは、要するに、現在の刑事訴訟法でも、捜査に関しましてはきわめて厳格な規定がございます。單に常識的だからいいのだ、その程度でいいのじやないかということでも、やはり警察官としては根拠が必要じやないか、先ほど申し上げましたように、警察官が大体あるものはごの程度でよかろ、あるものは権利なりとしてやれることも、法律上疑問があるということで躊躇しているというようなことがありましては、全体の警察の犯罪検挙の成績もよくならない。実は最近におきまして、犯罪の検挙の成績についてはあまり芳しくないので、申訳なく思つておりますが、せめてこの程度の根拠を與えまして、犯罪捜査について十分力を注ぐことが必要じやないか、かように考えた次第であります。警察官のこれに対する行過ぎが、もしも他の法律に触れまして、刑法の犯罪になりする場合は、むろん問わぬとしても、この場合におきましては國家賠償法によつて賠償せられねばならない場合も出てくると思いますし、大体この法律の目的は街頭の出來事に対する処置でありまして、警察官が單に法規に触れるという程度でなく、もし職権濫用にわたるようなことがある場合におきましては、警察内部におきまする懲戒手続その他によりまして十分目的を達し得ると、かように考えた次第であります。
  49. 笠原貞造

    ○笠原委員 その点につきましてはし私どもはこの法律をつくるために、これを提案されました政府委員とは見解が違うわけでありまして、なるたけ人権蹂躙の起きやすい、濫用のおそれあるような法律はつくらぬ方がいい、万が一もしどうしてもつくらなければならないというならば、これに対しまして、相当警察官を牽制できるような罰則その他の條項を設けてやつていきたいと考えるのでありますが、その点につきましては、もう重ねてやりましても同じことでございますから中止いたしますが、ぜひともそういうふうになるように御考慮願いたいと思います。  第一條の警察吏員というのがありましす。この中には警察におります保険医や、あるいは会計の事務なんかを取扱つておる巡査も、やはり警察吏員の中に含むものかどうか承りたいと思います。
  50. 溝淵増己

    ○溝淵政府委員 この警察吏員と申しますのは、今まで警察官と言つておりましたものを、自治体になつたがために警察吏員と改まつたわけであります。警察官であれば全部含まれております。警察職務執行の権限を持つております吏員、すなわち巡査以上の階級をもつた警察官を指しております。
  51. 笠原貞造

    ○笠原委員 第二條の第三項ですが、「刑事訴訟に関する法律」とありますが、これはどの法律を指すのか、説明を願います。
  52. 三輪莨雄

    ○三輪説明員 これは今御審議願つております刑事訴訟法が成立して、施行されればそれでいいわけでありますけれども、まだ御審議中でありますし、それから通過いたしましたとしても、来年一月一日より施行されるものと存じております。従つてそれまでは現行の刑事訴訟法、これに応急措置法と言われておるのがありますが、そのために二つ合わせるものでありますから、こういう不明瞭な表現になつているわけであります。
  53. 笠原貞造

    ○笠原委員 第三條の第三項の中のこれはしばしば、問題になつておけますが、簡易裁判所の許可状の問題でございます。政府側の言分とすれば、この中に簡易裁判所の許可状がある場合というふうに規定いたしますれば、簡易裁判所とすれば当然許可状を出さねばならぬというふうにお考えでございましようが、実は私疑問に思う点は、最近刑事訴訟法改正案が議会に出てまいりましたので、ややいいのではないかという氣がするのでありますが、憲法によりますと、訴訟の手続とかあるいは弁護士の事項、あるいは裁判所の内規に関する事項は高等裁判所が定められる。そうしますと、裁判官の職務権限というものは高等裁判所が定めるのがほんとうではないか。ただこの法律で規定するよりも、むしろ簡易裁判所の裁判官の職務権限は高等裁判所が定めた法規によつて出てくるのではないかという氣がするのでありますが、これはただ私の思いつきでありますから、その点御所見を伺いたいと思います。
  54. 三輪莨雄

    ○三輪説明員 その点につきましては、私ども立案の際にも考えましたけれども、これは明らかな内容をもち、しかも許可状を出すということだけで、簡単なことでありますので、最高裁判所の事務当局にも御相談をいたしましたが、かような立法ができれば、これは簡易裁判所としてやらざるを得ないのであるというふうな見解で取入れたわけであります。
  55. 笠原貞造

    ○笠原委員 それだけであります。
  56. 佐藤通吉

    ○佐藤(通)委員 この警察官等職務執行法案に大体目を通してみますと、この法案は先ほどからいろいろ、話に出ておりますが、行政執行法と、なお武器使用の点については、古い太政官布告なんかにありました、警察官の武器使用法と申しますか、ああいうような二、三の法律を一緒に集めた、いわゆる焼き直しの法律ではないかと私は考えておるのであります。そういたしますと、その法律によつて非常に効果を表わした点はそのまま存続を認めてよろしいけれども、その法律がここに書いてありますように、非常に公安の保持上支障を来したような場合は、この際これを改めでいかなければならぬじやないかと考えておるのであります。そういう点から申しましてます第一に検束の問題でありますが、こういう点についてももつと検討する必要があるのではないかと考えます。これはあとで結論的に具体的に申し上げたいと思います。それから從來の行政執行法の中で最も効果を表わし、また最も弊害を生んだのは検束の條文でありましたが、最も効果を表わしながらあまり利用されなかつたのは代執行と執行罰のこの二つの條文であつたと思うのであります。ところが、先ほど松浦委員からも指摘されましたが、そういうように効果を表わしてあまり弊害のなかつたような條文が、この警察官等職務執行法案の中に織りこまれていないのはなぜか。そういうようなことは全然必要でないとお考えになるのかどうか。ただ條文の中に一項、だけそれらしいのが出ておるのでありますが、第四條の第一号の末項に「又は自らその措置をとることができる」と書いてある。しかし從來の行政執行法の規定は、行政官廳それ自身がこういうことをすることになつておつたのでありますが、この第四條から見ますと、警察官個人がこれをするということになつております。こういうような條文を置かれると、おそらくこの條文が狙つておる効果を十分に発揮することができないのではないか。こういう点については従来の行政執行法精神を十分に検討されて、修正すべきところは御遠慮なく修正される方が私は妥当じやないかと思うのであります。それから検束の問題についてでありますが、これは人権の尊重という点に非常に考慮が拂われて、具体的な記述がされておるように私は見受けるのであります。しかしながらこの條文をこのまま生かしていくならば、こういうような欠点があるのではないかと思うのであります。これは先ほど申し上げましたことについても多少の関連があるのでありますが、「警察官等は」ということになつております。從來の行政執行法精神から申しますならば、これは行政官聽、いわゆる警察官聽の権限として法律に規定してあつたのでありますが、警察官自身が各個独自の権限に基いてこういうことができるというように、この條文の解釈からはなるのであります。もしそうなるといたしますならば、上司の方と、いわゆる上司にあらざる部下との間に、認定において非常に相違を来すべき場合があるじやないか。そういう場合に部下の職員が勝手な行為をとるということになれば、その弊害もまた少くないものが私はあるだろうと思うのであります。そこでこの検束の問題についでありますが、これは従来非常にやかましく言われましたために、御丁寧にも第三條の第三号において「警察の保護は二十四時間をこえてはならない。」ということになつて、二十四時間を超える場合には簡易裁判所裁判官許可状を得なければならないということになつておるようであります。ところがこの許可状をとるについても、おのおのの警察官が独自の権限において裁判所に出頭してこの許可状をもらうべきものであるかどうか。こういうようなことが非常に疑問になつてくるのであります。それから裁判所許可状をもらつた場合におきましても、もちろん檢束の場合でありますが、「延長に係る期間は通じて五日をこえてはならない。」という規定があります。この「通じて五日をこえてはならない」ということは、さらに五日、さらに五日というように再延長を認めることができないのかどうか。この條文から申しますと、裁判所許可さえあればさらにまた五日、五日という検束の期間の再延長ということが認められるように解し得ると思うのであります。こういう点についてもさらに立法技術の上に考慮を拂う必要があるのではないか。  ぞれから前に戻りまして、第三條の場合でありますが、從來は検束の場合の費用等についても、いろいろ関係法規によつて明文がありましたから、はつきりしておりますが、こういうような場合の費用はだれが負担するのであるか。いわゆる被検束者が負担するのであるか、これは警察官となつておりまするが、もちろん警察官個人がこれを負担するということはないと思いまするがゆえに、おそらく自治体警察やその他所警察官が負担することになると思うのでありますが、こういう点もやはりはつきりと條文の上に現わしておいた方がいいのではないか。  それから小さいところでありますけれども、第三條に「相当な理由のある者を発見したときは、とりあえず警察署病院精神病者収容施設救護施設等の適当な場所において、これを保護しなければならない。」こうなつております。これはいわゆる検束の規定だろうと思うのでありますが、そうすると、同じ條文の第三号に、「第一項の規定による警察の保護は二十四時間をこえてはならない。」とあつて、病院に運んでも二十四時間をこえてはならないというしふうに解すべきかどうか。そういう場合に継続的に五日も十日も二十日も、さらに継続検束を必要とする場合がなきにしもあらずと思うのでありまするが、そういう場合には、おそらくこの第三條の規定によつては救済ができないと思うが、こういう点についてどういうふうにお考えになつておるか、以上の点についてひとつお答えを願いたいと思います。
  57. 溝淵増己

    ○溝淵政府委員 最初に代執行の規定でございますが、これは先ほどお答えしましたように、代執行という必要な規定を法律に書いて、行政執行法廃止の場合に、國会の御承認を得て成立しておるはずでございます。執行罰は第四條の最後にわずかにあるということで、しかもこれが警察官等ということで、警察官個人にその権限が與えられておるということ、それでは不十分であるということでございますが、実はわれわれの考えておりますのは、街頭における小事件、突発事件等を目ざしておるのでございまして、そうしてこれがきわめて重大な事件になりますれば、現場に署長なり幹部なりが飛んで来ることも、これはもう当然のことでありまして、警察の指揮系統に属する一番上の者が責任をとつてやるということは、警察制度の建前から当然でございます。階級によりまして指揮命令の系統をはつきりされておるのでありますから、現場における最高の幹部、もし本署に連行した場合には署長の許可を受けるということは当然のことだと思います。大体におきましては、この法律は街頭における突発事故を目ざしておるのでございますから、その点を御了承をお願いしたいと思います。  それから次に許可状の二十四時間でございます。二十四時間をさらにやむを得ない事情のある場合に延長する許可でございますが、これは五日を限度といたしておりまして、延長は許さないつもりでございます。もし延長を許すということになりますと、弊害を生ずるわけでありますので、特にここに「期間は通じて」という文字を入れた次第でございます。大体五日間もかかれば多少不便な所でも引取人に引渡すことができるのではないか、かように考えておる次第であります。  なお費用の問題でありますが、警察責任において処理する場合におきまして、二十四時間なり五日なり警察責任下において保護する場合におきましては、当然警察費の負担になるわけでありまして、これはこの法律によつて警察の職務とされております以上は当然のことで、特に規定を設ける必要はないじやないか。かように考えた次第であります。病院収容の場合におきましても、警察委託した場合においては警察責任でありますが、しかしもし本人が能力のある場合におきましては、本人から取立てることは当然であろうと思いますし、大体警察署において保護する場合においては当然警察だと思いますが、もし病院その他に入れまして本人に負担能力のある場合には、本人から取立てることが当然ではないかと思います。
  58. 松浦榮

    ○松浦(榮)委員 行政執行法には婦人の身体検査のことが書いてあるようですが、料理屋、飲食店等において賣淫のおそれある場合身体検査の規定があるが、これはここには規定しないで、賣淫法等の規定に入れるつもりで出したわけでありますか。
  59. 溝淵増己

    ○溝淵政府委員 身体検査は非常に重要な問題でありますから、刑事訴訟法によつてやることが建前だと考えております。賣淫法がどういう規定になりますか知りませんが、賣淫法によつてそういう手続が規定されてあるとすれば、それによつてやることになると思います。
  60. 松浦榮

    ○松浦(榮)委員 刑事訴訟法は刑を行つたときに行うのですが、事前に花柳病を予防する意味において、その蔓延を防ぐために行う身体検査というものはどこに規定されるのですか。
  61. 溝淵増己

    ○溝淵政府委員 実は性病手防法その他について十分法文を見ておらぬのですが、私の方はこの法案によつてやる……。
  62. 松浦榮

    ○松浦(榮)委員 性病予防法にあるのですか。
  63. 三輪莨雄

    ○三輪説明員 性病予防法案にあるそうです。
  64. 佐藤通吉

    ○佐藤(通)委員 第二條についてでありますが、第二條は警察官が職務の執行の途中において、停止させて被疑者に対する尋問の権利を與えるところの法的な根拠となるわけでありますが、この条文を見ますと、非常に骨抜きになつているようなまた反対に非常に強い力を附與しておられるような、どつちにもつかない條文じやないか。なぜかなれば、この第二條の中には、御丁寧にも停止をさせて質問をするということがある。歩きながら質問をすることはできないないようにも考えられるのであります。なせこういう文字をお使いになるのですか。もし文句を言うものが、私は停止を肯んじないということになれば、質問はできないことになる。これはちよつとしたことでありますけれども、その場所において質問をすることができないような場合には適当な場所にこれを連れていくことができる。気の弱い者なら警察官のあとからついて行くだろうけれども、おそらく気の強い者は行かないだろうと思う。そういうような場合に、いわゆる警察官の指示命令に従わない者に対して、職権の行使をする手段を考えなければならぬのでありますが、そういうような場合にはどういう方法でこれをやるかという問題です。そういうことが解決されなければ第二條の條文というものは死んでしまうと私は思う。こういう点はどういうふうにお考えになりますか。
  65. 三輪莨雄

    ○三輪説明員 ただいまの御質問でありますが、停止させるというのは、歩きながら質問ができないというほど強い意味ではございません。ちよつと待つてくださいと言つて、賛同をして回答を求める意味でありまして、これは御心配の点はなかろうというように考えておるわけであります。それから、同行を求める場合におきましても、自分はそこに行くことはいやだということを言つたといたしますれば、それ以上に今のところどうにもしかたがないのであります。ただ刑事訴訟法等によりまして、もともと普通の人を全部聽くということではなくて、犯罪を犯した、また犯そうとしている者を聽くわけでありますから、突然物かげから呼び止められたために逃げ出したということでありますれば、刑事訴訟法で、誰何されて逃走したということで準現行犯ということにもなろうと思います。それから刑事訴訟法等の規定によりましても、被疑者を取調べるために呼ぶ場合でも、逮捕の條件に該当しなければ呼ばれた者は行かなくともよいし、行つても途中で帰つてもよい。なお取調べの際には、あらかじめむりに答えなくてもよいというような條文があります点からいたしましても、この場合に警察官にそれ以上の強制権をもたせるということは不可能であろうというふうに考えたわけであリます。
  66. 佐藤通吉

    ○佐藤(通)委員 そういうふうなお話しを聽きますと、一体この条文はどこで生きていくのかということを私は考えるのであります。同行を肯んじなかつた場合には結局それでほつたらかすということになれば 一体この法律が意図しているところの目的というものは、ほとんど達成することができないのじやないかと思うのです。これは私の杞憂かもしれませんけれども。そこでそういう場合には何らかの手を打つような一つの法的な工作をする必要がありはせぬか。私の申し上げるのは、それはしかたがないじやないかというふうにお考えになれば、それまでかもしれませんけれども、それではこの警察官の仕事というものは完全にやつていけないのじやないかと思う。実は私も最近非常に考えている問題は、東京都内でも、あるいは村落僻地でもそうでありましようが、いろいろな犯罪が多い。私はこういうような立法というものは、その時代、時勢というものをよく反映しなければならぬと思うのでありますが、いわゆる強力犯等に対しましては、そういうような犯罪のおそれのあるものだというような認定がつくならば、これに対してもつと強いところの警察権の行使がなければ、おそらく今日のように雨後のたけのこのように続出する犯罪を防止することはできないのじやないか、もつともつと強いところの権力を――もちろん人権の保障ということは大事なことでありますけれども、しかしながら犯罪を犯し、または犯罪を犯そうとする者に対する人権の保護を必要以上ににわれわれはする必要はないのじやないかと考えておるのであります。当然職務執行が完遂できないと思われるような場合には、何らかここに法的にその救済手段を考えておく必要があると思いますがゆえに、私は御質問をしたような次第であります。それに対して、そういう場合にはこういう方法によつてやつていくのだというような当局の御見解があるならば重ねてお答えを願いたいと思います。
  67. 溝淵増己

    ○溝淵政府委員 私どもの立場としましては非常にありがたい御意見でありますが、先ほど説明員から申しあげましたように、現在法律の建前から申しまして、われわれに與えられます法律的な武器としましては、この程度以上のものを法律化することは非常にむずかしいのでございます。しかしこの規定によりましても相当な犯罪予防にはなり得るのじやないかと考えておるのでございまして、先ほどもお話のありましたように、犯罪を犯そうとし、また犯したというようなことが相当認められるような状態にあります場合において、これを停止して質問するのでございますから、もし一歩突き進めば、刑事訴訟法のいわゆる緊急逮捕の場合も出てきましようし、凶器、蔵物等を持つておれば、またその條文によりまして準現行犯として逮捕することもできるであろうと思います。從つてその場合は、それに至る前提と申しますか、これを発見するに努める仕事でございまして、この程度の最小限のものでもありますれば、これが一つの犯罪檢挙の糸口になる。かように考えましてこの法文を設けた次第であります。
  68. 松浦榮

    ○松浦(榮)委員 第四條について質問いたしますが、先ほどの御答弁では、第四條の規定というのは、警察官等がきわめて軽微の処置をするという意味においての規定であるから、それほど重大なる結果をもたらさないというような話でありましたが、私は場合によつては、警察官等に、必要があれば、軽微なものでなくて、もつと大きなこともやつても差支えないのじやないかと思うのであります。たとえば、行政執行法の中に、人体に危檢を及ぼし、あるいは財産に重大な損害を及ぼすというような場合においては、その建物を破壊したり人の所有権を奪つたりするようなことまでも許される規定になつておるのであります。ところが、この條文によりますと、そういうものじやない、しかしながら最後に「通常必要と認められる措置をとることを命じ」とありますが、通常必要と認められる措置というのはどこまで考えてあるのか、それをお聽きしたいのであります。  もう一つは、こういう場合があるのです。この問題と同じ問題ですが、火災の場合でありますが、火事が起きた場合に、人の生命、身体に危檢を及ぼす、または財産に重大な損害を及ぼすために、隣りの家をどうしても破壊しなければならぬ、こういう場合がある。その場合に、警察官等がただちに行つていいのかどうか。ただちにその家を壊していいかどうか。あるいは消防署長とか消防関係者にその権限があるのか。どちらの方にあるのか。その点もお聽きしたいと思います。先ほど話しましたように、かつて駐在所の巡査が署長の指揮を仰がないうちに建物を壊した、あるいは消防署員、警防團員というようなものが家を壊して、問題になりまして、それは遂に、警察署長の指揮を仰がないでやつた單独な行為であるから、権限外の行為であるという意味において犯罪に処せられた問題があるのであります。それでありますから、その点をはつきりしておかねばいけないと思うのであります。かりに、そういうことができるが、もし行つた場合に、その後において公安委員会等に報告しなければならない、從つて公安委員がこれに対して適当な措置をとるというようなことになつておりますけれども、やつてしまつたあとで行うところの措置というものは、警察官に対する責任問題については十分なる措置ができるかもしれませんが、その壊された本人に対する措置というものは、もつと事前に判断して行つてもらわなければ、本人にとつては非常なる損害をこうむるということになるのであります。それでありますから、事後の措置ではなくて、事前において適正なる判断を下し得るという人間に、こういう権限を與えるということが非常に重大な問題であると思うのであります。それから先ほど申しましたように、一人々々の警察官ということでは、現在において、佐藤さんからもお話がありましたが、私はこの点は反対なのであります。どうしても経験の多い、常識のある適当な判断を下し得るところの署長というようなものに権限を與えて、その指揮のもとに消防官でも、警察官でも動くという建前にしておかなければいけないのじやないか、こういうように思います。今一例を火災の場合にとつたのでありますが、その他の場合においても、先ほどの御答弁にあつた趣旨以上の権限を、場合によつては警察官に與えていいと私は思う。いいけれどもその與える場合においては、嚴重なる注意を拂つてやらなければならぬという考えをもつておるのであります。
  69. 溝淵増己

    ○溝淵政府委員 先ほど警察官のこの法律による権限は街頭の小事件が多いということを申し上げたのですが、必ずしも小事件に限らないのでございまして、たとえばお話のような破壊消防という場合もあろうと思いますが、それは從來は警察官もまたその責任をもつたわけでありますけれども、新しい消防法ができますれば、消防の方の権限になるかと存じますが、概して大きな事件になりますれば警察署長も出動いたしましようし、また幹部も出動いたしまして、大きな事件についてはその措置を上司がとるということは当然なことであるのであります。從いましてこの法文に破壊防止のために通常必要と認められる――要するに損害の大きいものは、それによつて受ける被害の大ささと均衡のとれた処置をとる必要があるわけでありまして、お話のように一巡査がやる場合におきましては、それは街頭の小事件である、こういうように考るべきであると存じております。
  70. 坂東幸太郎

    ○坂東委員長 速記の都合もありますので、本日はこの程度でいかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 坂東幸太郎

    ○坂東委員長 それでは残余の日程は延期し、本日はこの程度で散会いたします。     午後四時三十五分散会