運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-05-22 第2回国会 衆議院 本会議 48号 公式Web版

  1. 昭和二十三年五月二十二日(土曜日)     午後二時七分開議     ―――――――――――――  議事日程 第四十四号   昭和二十三年五月二十二日(土曜日)     午後一時開議  第一 行政事件訴訟特例法案(内閣提出、参議院回付)  第二 農地開発営國の行う農地開発事業を政府において引き継いだ場合の措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――
  3. 笹口晃

    笹口晃君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、西村久之君提出、本予算案の提出時期に関する緊急質問塚田十一郎君提出、課税問題に関する緊急質問、重宮卓君提出、食糧問題に対する緊急質問、野坂參三君提出、共産党員の公職就職に対する緊急質問、田口助太郎君提出、肥料問題に対する緊急質問和田敏明君提出、戦争機器に関する緊急質問を逐次許可せられんことを望みます。
  4. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  本予算案の提出時期に関する緊急質問許可いたします。西村久之君。     〔西村久之君登壇〕
  6. 西村久之

    ○西村久之君 私は、民主自民党を代表して、本年度予算案提出時期に関連して、特に重要と目される数点について、総理大臣に対し緊急質問をいたさんとするものであります。芦田総理大臣は、あまりにも言を左右にされ、國民は総理の信念を疑い、信をおく能わざるものがあるのであります。(拍手)いやしくも一國の総理である以上、確固たる信念のもとに、一言一句確信のある言論をなさるべきであると信じて疑いません。しかるに本月七日、本会議場において会期延長の件が諮られました際に、総理大臣は、昭和二十三年度予算については本月十五日前後に提出するよう目下政府は力をあげて準備しておると御答弁になつたのであります。にもかかわりませず、二十日を経過する今日、なおかつ提出の運びに至らないのは、議会を愚弄するもまたはなはだしいと論難せざるお得えませ。(拍手)  現内閣は、組閣以来暫定予算を組むことに実に三回、その間政治を空白状態におき、従つて行政能率を阻害し、経済再建を阻む等、少からず損出を國家國民にかけておることを深く銘記すべきであります。(拍手)これはまつたく現内閣予算編成の拙劣性の結果であり、政治力の貧困を雄弁に物語つておりまするが、一体総理は國民待望の予算を何日に提出せんとする用意があるのかを御明答願いしたいのであります。  もちろん、不自然な三党政策協定の基盤に立つ連立内閣であるがゆえに、不明朗な協定のため日時を経過する関係もあるだろうが、大体総理の無信念、無節操が重大なる原因となつておることは、議論の余地はないのであります。(拍手)すなわち、三党政策協定になると称する軍公問題に対する総理の態度、この一事をもつてみましても、いかに総理に信念がなく、節操なく、すなわち壽命をつなぐために孜々たる内閣であることは、國民の深く認識しておるところであります。  軍公問題は、社会党は利拂停止を主張し、民主党は停止すべきのにあらずと主張した案件でありまするが、内閣組閣の際の三党政策協定として、明確を欠いたまま、利拂停止的処理という文句のまま、協定なれりとして現内閣は発足したのでありますが、四月支拂うべき軍公利子予算に計上されたのがきつかけとなりまして、遂に協定の不明朗性を発揮するに至つたのであります。すなわち、当時三党政策協定の任に当つた北村大蔵大臣は、軍公利拂は委員会の設置により処理する、それまでは國の債務であるから支拂をしなければならない旨を述べられてあつたのでありまするが、これが社会党の気に障りまして、利拂前提條件であり、停止後の処理を委員会で審議するものとの反対意見に押されまして、大蔵大臣は中途にして前言を訂正し、利拂停止をする旨を確認されたのであります。総理大臣も、その際予算総会の席上において、大蔵大臣の言明通りで、これは間違いがあれば総理大臣として責任をとると、北村君の言を肯定されておることは、記憶に新たなるところであらうと存じます。(拍手)  しかるに今月十四日夜、閣議決定といたしまして、軍公利拂は停止せぬとして、一箇年利拂延期案を発表されたのでありまするが、これは停止でなく、利拂は認めた案でありまして、一箇年支拂延期の窮余策にほかならないのであります。(拍手)予算総会において利拂停止すると言明されたこととは格段の相違があるのでありまするが、総理大臣に信念あり、節操があるならば、言明通りに軍公利拂停止の案を提案されるべきだと存じますが、これに対する所信いかん。(拍手)総理の良心にお問いになるならば、おのずからその責を痛感し、責任をとるべきであります。これが責任ある政治家のなすべき唯一の途だと信ずるのであります。(拍手)余命を長からしめんがためのインチキ政治は、断じて國民の容認し得ざるところであります。(拍手)かくのごとき問題を絡んで予算案編成が遅れておるといたしますならば、なおさら責の重大性をお感じになるはずだと存じます。  総理は、利拂停止の利子財源は災害費、引揚援護費等に流用する旨を言明されたのでありまするが、いくばくんの財源が残るのか、その額はお示しにならないのであります。預金部等のもつ軍事公債利子は、停止の決定は本予算一般会計から繰入れして補助をしなければならない結果になることを考えまするときに、おそらく残る金は微々たるものでなかろいうか、すなわち百害あつて一利なき御方針になるのでなかろうかということを考えるのであります。すなわち泰山鳴動ねずみ一匹という結果になることを、私はここで固く申し上げてはばからぬものであります。かえつてその結果は、國際信用を害し、今後の債券消化率が鈍り、産業界に及ぼす影響の甚大なることを考えまするときに、常に総理のいわれる外資導入の障壁となることを思いまするときに、総理大臣はいかなる考慮を拂つてかくのごとき処理をなされんとお考えになつておるかを伺いたいのであります。  総理大臣は、日本再建は外資導入によりインフレを克服するにありと主張されておるのでありまするが、外資導入を容易ならしむるために、労働運動の調整。行政の整理、資本の安全性等國内態勢の確立に信念ある施策を遂行すべきが先議でなければならぬのに、いたずらに物償改訂、賃金値上げに力を注ぐ結果は、インフレを高進せしめ、日本経済を破滅的な危機に追いこみ、前片山内閣と同様、生産を萎縮せしめ勤労者を窮地に陥れる政策、高物債政策に基いた結果は、國民を殺す以外に何物もないという結論になるのであります。(拍手)公約された行政整理は労働攻勢に脅えて断行できず、いたずらに財政面の膨脹をはかり、赤字財政を物証改訂で一時糊塗せんとして、余命つなぎに当つておる。すなわち、経費の節約をはかる途を考慮に入れぬ編成方針は最劣等の手腕であり、一掬の涙なきを得ない感を深くいたすのであります。かくのごとき、財政の膨脹をはかり、予算均衡、すなわち数字のつじつまだけを合わせる予算を組もうとなされ、ドレーバー次官の要請された財政均衡予算を裏切らないように総理は固き決心をもつておられるかどうか。この点も重ねてお尋ねを申し上げてみたいのであります。  政府は税制を改正すると称しまして、大衆課税たる取引高税を新設せんと考えておるようでありまするが、この考案は、勤労大衆いじめの、廳能負担の原則に反する、すなわちなだれ税とも称すべき、悪税中の最悪税だと存ずるものであります。これを立案する手腕に対しましては、與党の諸君も唖然とし、必ずや賛意を表せられぬでありましよう。勤労所得税の軽減を計画された労は、私多といたすものでありますけれども、代わり財源に大衆課税を加重せんとする税制改正案につきましては賛成できないのであります。かくのごとき、ろくでもない新税を創設するために予算が遅れるので、今日まで國家の迷惑は少からぬものがあることを御承知おき願いたいのであります。  要約いたしまするのに、現政府の考えておる、すなわち國家財政の均衡を國民大衆の犠牲によつて確立せんとする意図は、改善すべきであり、慎重な考慮を要すべきものであります。もしこれを誤らんか、最低賃金制も、國民生活の安定も、間接税偏向の重圧のために吹き飛ばされてまして、勤労所得税の軽減もぬか喜びとなり、ここにまた欺瞞政策を暴露することと相なるのであります。右のごとき愚策を新設するために予算の編成が今日まで遅延しておると思うておるのでありますが、総理大臣はいかようにお考えに相なつておるか、所信を伺つてみたいと思います。  今申し上げました諸点をかいつまんで申し上げますれば、百害あつて実利の伴わない軍事公債利拂停止の方針は潔く撤回して予算を編成されるお考えはないか。右顧左眄する無信念。無節操な政治責任を総理大臣はいかにお考えになつておられるのか。中央・地方を通ずる間接税轉向の大衆課税に税制改正は愚策なりと信ずるが、これに対する総理の信念を伺つてみたいと考えます。  以上の諸点を伺いまして、私の質問を終りたいと思います。(拍手)     〔國務大臣芦田均君登壇〕
  7. 芦田均

    ○國務大臣(芦田均君) 西村君にお答え申し上げます。予算、殊に昭和二十三年度の本予算の提出は、本月中旬に行う予定をもつて、運営委員会においてもさように申し上げておつたのであります。内情を申しますと、本月初旬に本予算の閣議は一應決定いしたのでありますが、種々打ち合わせをする問題があつたために、最近まで一意その方面の打合せをいたしまして、本日をもつてこの打合せを終了いたしました。従つて、ここ数日中には印刷その他の万般の困難を克服して、國会に提出する予定になつております。  なおこれに附帯して、現内閣がインフレーションの高進に政策をとつているというご意見の表示でありました。内閣に関する限り、深き決意と信念をもつてインフレーションの克服に当つておることは、冷静な統計の数字をごらんになつて、本内閣成立以後はたして昨年度以上にインフレーションが高進したか否かということをごらんになれば、何人にも明白であります。(拍手)  なお税制その他につきましては、近く税制改正案を國会に提案する予定であります。そのときに具体的な説明を試みるとともに、御質疑に対しても答える決心であります。  なお軍事公債の利拂問題につきましては、主管大蔵大臣をもつて答弁いたすことに取計らいます。     〔國務大臣北村徳太郎君登壇〕
  8. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 西村君にお答え申し上げます。軍事公債の利拂に関する処置につきましては、これはいおそらくいろいろの考えようがあると思うのであります。軍事公債そのものを根本的に打切るという議論さえもあるのでありまして、これが利害得失等については、いろいろ研究を要するのでありますけれども、われわれの今回とりました方策は、利拂を延すという程度でございまして、従つて、このことによついて、もし軍事公債そのものに対する不安さえも一般に除去することができるといたしますならば、このことの効果は相当大きいと考えてよろしいのであります。いわんや、そのことから生じた財政上の余裕を、目下最も困難を極めております戦災地の復興復旧もしくはその他引揚者等の諸問題に充てるということによつて効果あらしめることは、このことにおいて相当効果があると私は思います。またそのことから来る弊害も、これを除去することにおいて万全の策を講じておりますから、これで私どもはより大きな不安を除却し得た、かように考える次第であります。(拍手)
  9. 西村久之

    ○西村久之君 簡単でありますから、自席よりお許し願います。  ただいま私の質問に対する総理大臣の答弁並びに大蔵大臣の答弁に対しましては、すこぶる不満であります。過去において述べられております大臣諸公の御言質と、今日進められつつありますその御方針とを、良心に訴えてお考えになりますならば、少くとも血の通うております人であるならば、この問題の、私の申し上げらことが理であるか非であるかはおわかりであろうと思いますから、質疑應答は他の機会に讓つて、私の質疑を打ち切りたいと思います。      ――――◇―――――
  10. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 課税問題に対する緊急質疑を許可します。     〔塚田十一郎君登壇〕
  11. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 私は、民主自由党を代表いたしまして、昭和二十二年度の租税徴収の不当な点につきまして、若干御質問いたしたいと存ずるのであります。  昭和二十二年度の租税徴収の適正化につきましては、去る三月二十七日、本会議の席上において、私より種々お尋ねしたのでありますが、最近財政金融委員会が、各委員手わけをいたしまして、各財務局並びに税務署に参りまして、いろいろと昨年の徴税の実情について調査いたしておるのであります。その一班といたしまして、私も東京財務局管内の調査をいたしました結果、いささか納得しかねる事実を発見いたしましたので、その事実を國民の前に明らかにいたし、併せて、それに対する政府の所信並びに責任を質したいと存ずる次第であります。  過日政府の発表によりますると、四月十五日現在において、昭和二十二年度の税収入は約一千三百五十六おくえんに達し、税収予算に対して一〇〇%を越えたようであります。われわれも同慶に存じる次第であります。右のような徴税状態でありますので、私どもは現地へ調査に参りますときに、漠然と、二十二年度の徴税は大体予定通り終つているもの、こういうふうにごく軽く考えて出かけたのであります。ところが、調査いたしました税務署においては、例外なく、なお相当巨額の未徴収を握つておるということを承知いたしまして、実は意外に感じたのであります。  今、その実例を数字をもつて申し上げますと、新潟縣柏崎税務署は、財務局よりの指示目標額が一億四千九百万円、これに対して、四月三十日現在の既徴収額が一億七千万円、目標に対して一一四・五%の実績であります。それにもかかわらず、なお今後に徴収すべき額が約九千百万円あるという説明であつたのであります。同じく新潟縣の新潟税務署におきましては、目標指示額が九億四千三百万円に対し、目標に対しては一一一・九%であるにもかかわらず、なお約六千百万円の徴収未済があつたのであります。また群馬縣高崎税務署の例によりますと、目標指示額が五億三千二百万円に対し、徴収済額は五億三千九百万円で、目標に対して一〇一・四%であつたにもかかわらず、未徴収額は実に一億五千百万円に上つておつたのであります。藤岡税務署におきましては、目標額の八千四百万円に対し、徴収済額は八千九百万円、その割合は一〇五・七%であつて、未収額一千七百万円余であつたのであります。  以上四つは、われわれの調査いたしました税務署の全部であります。調査した全部の税務署において、全部このような状態があつた。しかして各税務署に共通な現象は、未徴収額のうちの大部分は所得税であり、しかもその所得税中、申告納税による部分であつたということであります。すなわち新潟税務署におきましては、先ほど申し上げました未徴収額六千百万円中、約五千万円は所得税中の申告納税分であります。藤岡税務署におきましては、同様未収一千七百万円中の一千六百万円が、これまた申告納税分であつたのであります。また柏崎税務署におきましては、未徴収額九千百万円中の八千六百万円が、これは所得税の未納分である。また高崎税務署においても、他の税収はおおむね一〇〇%以上の徴収済であり、かつその目標額も大きくないという事実に照らし合わせて考えますときに、この未収額一億五千百万円は大部分所得税中の申告納税分であるということは、察するにかたくない状態であつたのであります。  以上を総合判断いたしまして、昨年度の課税中、所得税、殊に農業者、商工業者、漁業者という人たちの主として納める部分であります。ところの、この申告による納税分に対する各税務署の課税決定は、財務局指示の目標額よりもはるかに過大であつた、こういう結論に到達したのであります。  そこで、このような課税決定が、はたして正確なる所得税の調査の結果に対して所得税法の定める税率が正しく適用された結果生じた合法妥当なものであるかどうかということにつきまして、種々調査をいたしたのでありますが、残念ながら、そのように了解できる説明は、税務署におきましてもまつたく得られなかつたのであります。調査の結果判明しました昨年度の徴税方法は、大体次の通りであるように承知いたしたのであります。  まず第一に、各税務署とも、財務局から示された指示額を徴収すべき責任額として受取つて、その徴収に向つて全力を盡したのだというのが共通の答えであつたのであります。しかもこの目標額の決定が、財務局において何を根拠として定められたものなのか、税務署はまつたくこれを関知しない、財務局の一法的決定によるものであつたということも明らかになつたのであります。この財務局より税務署への指示目標額が決して割当額でないということは、先般来政府が繰返して答弁せられておるところでありますが、これを受取つた税務署は、これを義務額と考え、その額の確保にいかに努力を拂つかということは、次の事実が明らかにこれを物語つておるのであります。  すなわち某税務署の実例によりますと、この指示額が示されます以前は、直税係員はきわめてまじめに、各納税義務者の申告を基礎といたしまして、誤税所得額の査定に努力いたしておりました。ところが、一旦所長が財務局よりの指示額を署員一同に示すや、各係員はそれまでのまじめな調査を一切御破算にして、新たにその額に達することを目標として査定に取りかかつたのだ、こういうぐあいに傳えられておるのであります。  次に、各個人に対する決定に際しては、次のような手段がとられたもののようであります。まず農業所得に対しては、平均反収を想定し、それに公債によつて換算した反収價格というものを定め、その額から必要経費を控除して、これをもつて平均課税所得額をきめまして、その平均に追いつくように、上中下の土地の質によつて段階を設けていたのであります。新潟縣の例を申し上げますと、一反歩の必要経費はわずか一千二百円足らずで、一毛作水田地帯の一反歩の税所得が平均二千七百円、最高三千円に達しておつたのであります。これがいかに苛酷なものであるかということは、先般私が本席において指摘いたした通りであります。しかも、各個人の特殊な事情などはまつたく考慮してくれない。また考慮してくれというて申し出たものに対しても、税務当局の態度がきわめて高圧的かつ不親切であつたということは、ひとしく訴えているところであります。(拍手)  商工業者に対するものは、これは各業種ごとに平均所得額と最高所得額が定めてありまして、これをただ一つの手がかりにいたしまして、総体の収入が予定に合致するように、直接係員が机の上で額の査定をいたしたということが、大体うなずかれるのであります。そうして、個々の業者について調査をしてくれたかどうかということをいろいろ調べたのでありますが、十軒に一軒の割合にも、そういうようなものがどうもないように考えられる実情なのであります。もちろん、各人の確定申告の額を信頼し、もしくはそれを基準として決定したのはきわめて少数の例外であつて、大体は前記の最高平金額を目安に、担当直税係員が、今申し上げたように机上の判断で課税所得額を決定し、税額を決定した、こういう状態に察せられるのであります。  そういうような状態でありますからして、同じ税務署におきましても、扱う係員によつて課税に非常に違いがある。その係員が非常に強い厳格な性格の人であると、その人の扱つたものは全部高い。そうでないものは割りに安かつた。こういうような状態になつております。また地域間の権衝が非常に失われておる実情であります。そうして、総じてその決定は所得の実情を無視した、苛酷なものであつたということは、各税務署管内の住民のひとしく訴えておるところであります。現に柏崎税務署管内におきましては、地元柏崎市が市民大会を開いて、その不当訴えております。また藤岡税務署におきましては、所管の多野郡が郡民大会を開いて、税務当局と折衝をいたしたような事実があるのであります。  私どもは、昨年度に新たに採用せられたる所得税の申告制度が、國民にとつてきわめて理解困難かつ不慣れであり、また税務当局も弱体な陣容をもつて、急激に増加した納税人員を相手として、いかに苦労せられたかということは、十分これを承知し、かつ感謝と同情の念を禁じえないものであります。しかして、このような環境のもとに行われる課税が、多少税務当局の認定にとつて行われる事情は、やむお得ない便法として、必ずしもこれを非難いたすものではありません。しかし、そのような場合においての徴税当局の当然とるべき態度は、予算に定められた税収予定というものを目標として、過大にわたらないように、細心の注意を拂つて徴税を行うということこそ、法律と予算を遵守すべき立場にある税務署当局の当然とるべき態度ではないかと考えるのであります。(拍手)  しかるに、最近某所において開きましたところによりますならば、東京財務局管内におきましては、所得税中申告税の分は、きつとその決定額通りは納付されないだろうことを予期して、あらかじめ大幅に割増課税を行つたのだということがわかつたのであります。その率は、東京都におきましては五〇%くらいの歩留りだろう、東京財務局管内その他の税務署においては五五%程度の歩留りだろうということを予定してかかつた。もしそうだといたしますと、東京都においては、各税務署は財務局指示額の実に倍額、その他においては大体八割二歩増しをもつて課税を行つたということになるのであります。この事実と、前述いたしました申告納税分の巨額な目標額超過の事実と照らし合わせて、このうわさが必ずしも否定されないものがあるということを、私どもはうなずいたのであります。  昨日、日本経済新聞紙上に掲載せられしまた主税局の発表によりますと、このような事実は、これは自然増収の結果からくる、例年の状態であるかのごとく言われておりますが、調査をいたしました各税務署の実情並びに前記の割増率から推算いたしまして、政府の賦課せられた額は、諸得意税中申告税の分のみでも、少なくとも二百億円を下らないのではないかと私どもは想像しているのであります。全國四百五十の税務署として、かりに一税務署が五千万円ずつよけいであつたといたしますれば、優に二百億以上であります。税収予定四百九十億に対して、二百億を下らない自然増収というものは、はたしてあるものかどうか。そういうものは、おそらく常識判断のほかであろうと私どもは考える次第であります。それにもかかわらず、なおかつこの状態をもつて、政府は税法の適正な適用の結果生じた自然増収であり、徴収の時期的ずれがなお残つているのであると、はたして強弁せられるつもりであるかどうか。もし、その非を非として素直にこれを是正せられない限りは、昭和二十三年度、つまり本年度の徴税に重大なる悪影響を及ぼすことは、火を見るよりも明らかでございます。(拍手)  さらにまた、昨年度の徴税におきましては、進駐軍当局がその成果に重大関心を寄せられておつた事実は、國民のひとしく関知しているところであります。このような情勢のもとにおいて、徴税の内容がこのようなものであつたということが明らかになつた場合には、國民をして占領政策というものの眞意を誤解せしめるおそれが甚大であると考えなければなりません。(拍手)この意味においても、また政府の責任は重大であると考えるのであります。  そこで、政府に対してお尋ねいたしたいには、まず第一に、四月三十日現在において、昭和二十二年度の租税の徴収済額、並びに、かりに税務署が更正決定いたしましたとおりに税の徴収ができるといたしました場合に、未徴収額は一体どれくらいになるのか。なおまた二十一年度の租税収入、二十二年度に徴収ずれとなつて徴収してきたものがどれくらいあるのか、それが第一点であります。  第二にお尋ねしたい点は、前述の未徴収金額のうち、申告納税がどれだけあるのかということであります。  第三にお尋ねしたい点は、最近発表せられておる二十三年度の一般会計予算租税収入のうちの二十二年度分の徴収ずれをどれくらい見込んでおられるか。  第四にお尋ねしたい点は、このような不法かつ不当租税の適用によりまして國民の権利を侵害せられた責任を、いかようにしてとられるかという点であります。申告納税分に対する昨年度の税務当局の態度は、もし私どもが承知いたしましたことが事実であるとするならば、ちようど、往年大道のバナナ売りが通りがかりの客に対してとつた態度を彷彿せしめるものであります。(拍手)國民の財産権に重大の関連のある課税問題に対して、政府のとられるこのような態度は、國民を愚弄するもはなはだしいものであつて、わが党の断じてこれを黙過し得ないところであります。(拍手)  第五にお尋ねしたいのは、かかる不当課税の事後処理をどういうぐあいにせられるお考えであるかという点であります。不当な査定通告を受けた者の相当部分は、今なお再審査の請求を提出して更正をまつておるのであります。なおまた、すでに納付済のものといえど、十分なる納得に基かず、やむお得ず納付した者が、二十二年度において相当あるという事実をお考えにならなければなりません。そういうような者には、われわれは当然再審査の上、その一部を返還すべきを妥当と考えますが、その点に対する見解はどうであるか。(拍手)なおまた、現在この際審査要求が相当多数の金額並びに件数に上つておるが、二十三年度の第一次の予定申告を六月に控えて、今の税務陣容でどういうふうにして眞に各人の所得額を捕捉して正確な決定をされる覚悟であるか。これがうまくいかないということになれば、これはまた重大な問題であります。なお、このような状態であるといたしますならば、加算税、追徴税の問題が、なた新しくここで問題になつてくるものであります。これらの今再審査請求のものに対する加算税、追徴税をどうされるお考えであるか。  第六に、お尋ねしたい点は、二十三年度の政府の対策いかんであります。徴税目標を指示される制度は、納税の実際技術上、これをやむを得ないものとわれわれも認めるのであります。その指示があつた場合に、第一線の税務署がこれを一層の努力目標として努力することも、これまたやむを得ないと考えるのであります。しかしながら、この責任額を考えて、さらにその責任を満たすために、そのしりを國民にもつていくというようなようなことは、二十三年度においては断じて繰返されてはならないものと考えておるのであります。このような徴税が行われるようであれば、税法もかりに改正せられて、負担を軽減されようというようなことをされても、実効はまつたくあがらないということになつてしまうのであります。そこで私が、この問題についてお尋ねいたしたいのは、指示額を國民の前に明らかにせられるくふうを二十三年度においてはとられたらどうか。これこそ本当に民主主義政治下の納税のあり方であると私どもは考えるのであります。それを実現いたしますために、私どもは、主税局、財務局並びに税務署の管内に課税の適正化を期する意味の民主的委員会を設置せられることを必要と考えますが、その点について政府の御意見はどうであるか。  以上の六点について、政府の明瞭かつ良心的なる答弁を期待して、本質問を終りたいと思う次第であります。(拍手)     〔國務大臣芦田均君登壇〕
  12. 芦田均

    ○國務大臣(芦田均君) ただいま租税徴収方法等について、詳細な事実をあげての御質疑がありました。政府においても深く参考となることを欣幸といたします。この点については、なお所管の大蔵大臣より改めて詳細な返事をいたします。     〔國務大臣北村徳太郎君登壇〕
  13. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 塚田君にお答え申し上げます。ただいま塚田君から、きわめて具体的な、また非常に御努力いただいた、詳しい資料をいただきまして、これは私どももきわめて厳正な意味でこれに対処いたしたい。まず、そのことを申し上げておきます。必ずこのことに対しては良心的に処理しますということを、まず申し上げておきたいと思います。  それから、ただいまのお話の中にたくさんの具体的な事件がございましたが、まずもつて税政策並びに税行政をどうするかというような根本的な問題が、まずひつかかつてくると思うのであります。私どもは、税政策については、今日までやつてきた通りで、これでよろしいとは決して思つておらないのでありまして、ただいま御指摘になりましたようなことに似た話もずいぶん聞いております。また私自身において相当に調査しておるところもございまして、この点については速やかに改善を要するという部門も少ないのであります。これについては鋭意改善いたしたい。それから、このことを改善するということは、具体的に申しますと、税行政をどうするかという問題でありまして、ただいま塚田君よりお話がございました通りに、まことに現在の税務関係の弱体であるということは率直に認めなければならぬのでありまして、この議場においてたびたび申し上げましたように、ただいま、その方面の強化について具体的ないろいろな案をもつておりますけれども、これは委員会等においてくわしく申し上げたいと思うのであります。たとえば各財務局管内に講習所を設け、あるいは中央にさらに中央の講習所を設けまして、ここにおいて中等学校卒業者あるいは専門学校以上の卒業者等を教育していただきまして、さような点において税行政を十分に強化したいと考えて、そういうような点にも十分な努力をしております。これらの点については、要するに塚田君のただいまのお話に対して、私は申し上げました通り、きわめて厳粛な意味においてこれを伺つたということを申し上げておきたい。  それから御質問の第一点でございますが、これは目下計数を取りまとめておるのでありますから、この正確な数字は後ほど申し上げたいと思います。源泉所得税が予算に対して八十億円、酒税が三十三億円程度の増加となつておつたのであります。増加所得税、入場税等の減収にもかかわらず、結局予算額千三百五十四億円にたいしまして百億円以上の増収となるものと、ただいま考えておるのであります。なお4月末現在の未徴収額は、的確なところは今ちよつとはつきりいたしませんけれども、大体三百億円程度であると考えております。そのうち、申告納税の所得税が二百億円程度と大体推算いたしております。  次に、二十一年度末の収入未済額は約三百億円でございまして、このうち何ほど徴収できたかは、ただいま計算を急いでやらせておりますので、ここで数字を申し上げることはちよつとできません。そのうち増加所得税について申し上げますれば、二十二年度への繰越額八十八億円中の約六三%が徴収できたものと認めておるのであります。最後に、一般会計予算租税収入中に、二十二年度分の徴収ずれを何ほど見込んでおるかというお尋ねでありましたが、これは所得税の未徴収を大体二百億円と推定いたします。その三分の二程度は見込めるものと、かように考えておる次第でございます。  なお第四点は、新国税等に関しまして、ただいま御指摘になつたような、こういう態度ではいけないじやないかという御趣旨であつたと思いますが、これはどこまでも國権の最高権威たる國会の御協賛を経ましたところの所得税法その他の税法等をきわめて正当に適用することは当然でございまして、われわれは今後も十分に調査いたしまして、いやしくも不当な点がございますならば、これを是正するために十分努力したい、かようなことがないようにいたしたい、かように考えておる次第であります。  第五点でございますが、かような不当な課税の事後処理をいつたいどうするかというような御趣旨であつたと思うのであります。これにつきましては、誤診訂正等はできるだけ早くやるように、これは最近たびたび、その末端に至るまで指令を出しておるのでありますが、思うに任せぬところもありまして、その点ははなはだ相済まぬと存じておりますが、急速に訂正できる限りのものは訂正する、また指示納額について完納すべきものは速やかに完納するよう指令を出しております。この点は、なお十分に督励をいたしたいと考えております。  御質問の第六点でございまするが、これは徴税目標を指示する制度はいけないじやないかというようなお説であつたと思うのであります。これは何分にも一應の予算を立ててます場合に、ある税務署管内において大体税収がどのくらいあるかということを見込まなければ、どうも予算が出ませんので、その一應の努力目標というものを出しておつた。ところが、ただいまお話のように、税務署においては、ときにこれを責任額と心得違いをいたしまして、どうも苛酷なことをしたというような例を以前にも聞いたことがありますし、ただいま塚田君より具体的に聴きましたので、この点は今考慮いたしております。かような方法をとることが弊害があり、一面においてかような方法をとらなければならぬ点もございますけれども、この方法が誤解を生じやすいという点において、なお十分にこれを研究いたしたい。さいわいに塚田君も税制改革の懇談会の会員になつていただいておるのでありますから、今後十分に御協議いたしたいと思つております。  御質問の第七点でありますが、これは何か民主的な委員会を設けたらどうかというような点であります。これは以前にございました所得調査委員のような制度があれば、あるいはもう少しよくいくではないかというような考えがございますし、世間では方々でさような御希望があるのでございまして、この点はなお十分に研究したいと考えておる次第であります。  大体、以上の点をもつてお答えを終つたと思うのでありますが、指示額を公表することはどうかという点についても、ただいまお話があつたと思うのであります。この指示額公表の点は、まだ全然研究いたしておりませんので、新しい課題として十分研究いたしたいと存じておる次第であります。  以上をもつて大体の御答弁といたします。(拍手)
  14. 塚田十郎

    ○塚田十郎君 簡単でありますので、自席から発言をお許し願います。  ただいま大蔵大臣の御答弁によりまして、良心的に問題を処理するという御方針でありますので、一應これを了承いたしました。しかし、この水増し割当による不当な課税額の処置については、これは重大問題でありますから、今後の処置をどういうぐあいにせられるかということを十分責任をもつておやりになつて、その結果を本議場を通じて明らかにしていただきたい、こういうことをお願いいたします。(拍手)
  15. 松岡駒吉

    ○議長(松岡駒吉君) 食糧問題に対する緊急質問を許可します。重富卓君。     〔重富卓君登壇〕
  16. 重富卓

    ○重富卓君 私は、民主自由党を代表いたしまして、食糧問題につき緊急質問を総理大臣・法務総裁・農林大臣にいたします。現政府の國民食料に対する見透しは、きわめて楽観的のように思います。しかし私は、さようには考えないのであります。政府筋の放送と思われますが、甘藷は主食からはずすとか、二合八勺を配給するとかいう話が、巷間にはもつぱら傳えられているのであります。十九日の農林委員会においても、農林大臣は、見透しは明るいのではありまするが、増配も考えるなど申されておつたのでありまするが、ほんとうにそうなることでありましたならば、私もこれを祈るものであります。しかし私は、さようなことには当分ならないのではないかと存じます。  総理大臣は、二十二年産米は一〇〇%供出できた、厚く農業者諸君に感謝すると、施政演説で述べておられるのであります。私ども百姓は、思ひ切り頭をなぐられた後で、おまえはかわいい子だと口で賞められたような感じがいたしました。と申しますのは、権力をもつて成しつけ、有無を言わせず、割当量に達するまでは政府がもつてもよろしいと言つたその肯定保有量までも、その全部をさらい出さしてしまつたのであります。しかも現在になりましても、まだ還元配給もしてくれないのであります。つきましては、次の九項目について各大臣にお尋ねをいたします。  その第一点は、「保有米を食いこんで供出されました農家に対しましては、飯用不足量はこれを還元配給することにいたしたのでありまして、政府といたしましても、農家の再生産確保については最善の措置を講じているのであります。」と、四月二日附衆甲第一九号で総理大臣は答えておられるのであります。それからすでに四十日以上も経過いたしております今日、しかも農村は農繁期にはいつておりまする今日、未だに末端には還元配給がないのでありまする。(拍手)ようやく最近一般配給のわくがや廣められ、二合五勺の配給が来たというような次第であります。一日二合五勺で百姓が働けるか、ひとつ大臣諸公も百姓をやつてみていただきたい。賢明な大臣各位は、このくらいのことは百も御承知のことと思います。  ちまたのうわさでは、農林大臣は自分でやみ米を買つて食うておるとか言われたという話であります。しかしこの通り、知能労働といえども、時に二合五勺で一日がやれるか否かは皆様も御承知と思います。いわんや農繁期の農業労働は、1日十時間ないし十二時間、それ以上のことをする場合があります。農繁期でないときでも二合五勺ではやれないのに、まさに農繁期に入ろうといたしますのに、政府は約束された農家の飯用不足数量を未だに還元されておりません。これで百姓をやれというのは、あまりにもあこぎなやり方ではないかと私は思います。  副食物としての魚でもあればまだしものこと、それも月一回あるかないか、またあつても、今日の農家収入をもつてしては、体力を養うだけのものを買うことはできないのであります。自分たち家族が食う量以上につくり、供出できるようになりますと、割当を受け、しかもそれが不当であつたにもかかわらず、割当一〇〇%供出は絶対であるとしても、その不当を修正するどころか、もし出さねば法的処分をすると権力をもつて成しつけ、一方では、還元配給は必ずしてやるから、報奨物資もやるから、とにかく保有米をねこそぎ出せ、そして一〇〇%完遂をやれと、成したり、すかしたりして供出せしめたのが地方末端の実情であります。かくして公定保有量までまんまと農家に出させておいて、さて還元ということになりますと、四論、五論、ちよつとやそつとでは還してくれない。農繁期になつても、まだ還しません。  私に知つておる実例を申しますならば、二月以降は食うべき米をもたなくつた農家に対して、その農家は何回も陳情したにもかかわらず、一般配給さえしてくれなかつた。二箇月以上経つてもしてくれなかつた。その間、村当局は遂にたまりかねて、いわゆる無指令出庫なるものをして、その場をしのいだという実例を知つております。しかし、この問題は、最近一般配給のわくをいただいたので、その面で埋め合わせたという話であります。かような威嚇と甘言と欺瞞とで農業者を取扱いつつ、農業者がほんとうの作付面積を申告しないとか、生産高についてうそを言うとか、役人は二言目には申します。悪農呼ばわりいたすのでありますが、政府みずからの態度こそ悪いのであります。この点は大いに反省してもらわなければならぬのであります。  農漁村が裕福だと盛んに言われたころでも、通貨の五二%を農漁村はもつておつたのにすぎないのであります。農漁村と他の人工比率から申しますれば、特にとりたてて裕福であると言うことはできないと思います。しかるに政府は、これを目の敵のごとく見て、重税をかけたのであります。二十二年十二月末におきましては、すでにその通貨も、農漁村におきましては二九%下がつております。配給の米代も肥料代も拂えない農家が、日に増し激増してまいつております。北海道等においては特にはげしいという話を聞いております。かようになりまして、今日すでに農家は借金が激増しようとする趨勢にあるのであります。かような有様で、はたして一割増産ができると政府はお考えになつておるのでありましようか。私は、まつたくこれはナンセンスだと思います。  廣島縣山縣郡大朝町では、割当不当を鳴らし、二十町歩、数百戸の農家が耕作権を放棄したと新聞は傳えております。これは集團的にやつたたてに、たまたま新聞種になつただけで、このような風潮はいたるところにあるのであります。二十町歩の耕作がなされなかつたならば、二千町歩の一割増産の努力もまつたく水のあわとなることを、政府は御承知と思います。山口縣玖珂郡では、食料調整委員が全員事前割当の不当を鳴らし、総辞職をしようとしたのであります。これはすべて政府の農政上の秕政が生んだ事柄でありまして、まことに嘆かわしいことでありますと同時に、一割増産どころか、かような状態では、何割の減産になるかわからぬと思うのであります。かような事が起りますのも、不当割当の強行と還元配給の不履行から起るものであります。農家が最も多量の食料を必要とする農繁期は目の前に迫つておるのにもかかわらず、今もつて総理大臣の御答弁どおりに末端は動いていないのであります。去年も農民はこの手で欺かれた。本年もまた欺かれようとしております。末端が衆甲第一九号による総理大臣の御答弁通りに動いていないのに対して、総理大臣はいかような手段をおとりになりますか。この点をお尋ねしたいのであります。  第二点は、食料緊急措置令に対し國会が承認を與えましたとき、國会は農家の保有公定量は必ずこれを確保せしめるという條件をつけ、政府もまたこれを承認したと記録されております。また第一回國会でも、農林委員会で政府は、保有量を割る考えはない、もしさような事態が生ずるときは、実収高が明らかになつたら必ず調整すると述べられておるのでありまする。しかるに、これらのことは、すべて忘れたかのごとく、百姓が食えようが食えまいが、そんなことにお構いなしに、一〇〇%供出を強行し、保有量の全部または一部を割つてまで供出せしめたのであるます。これはあきらかに國会という國権の最高機関を無視した、政府の背信行為といわなければなりません。(拍手)かかる政府の背信行為は、國会の威信のためにも断じて許されるべきものではないと思うのであります。國会がもしこれを許したならば、國会の信用はまつたく地に落ち、事制國家の出現となるであろうと思います。この國会に対する政府の背信行為に対し、芦田総理大臣はいかような形で責任をおとりになりまするか。これほど明らかな背信を、よもや背信にあらずと逃げを打たれるほどの、厚顔にして無恥な政府とも思われないのであります。この点について総理大臣の御答弁をお願いします。  第三点は、農家の保有公定量を割つて供出せしめられた行政措置は、明らかに憲法第二十五條違反であります。今日の食糧事情から申して、主要農産物の使用処分をその所有権者に無制限に許すということは、もとより許さるべきことではありません。従つて食管法は、これに制限を加えるのは当然であります。しかし、その制限は、農家の食生活を脅かすものであつてはなりません。すなわち、農家が自己の生命を保持し、生産に従事し得るだけの量につきましては、完全にこれが使用が留保されていなければならないのであります。しかるに、とかくこの線を乗り越え、生命を脅かす専制政治家が出ないとも限らないので、憲法第二十五條は、すべての國民は最低限度の生活を営む権利を有すると定めておるのであります。農業者もまた國民であります。しかるに政府は、何らかの生活の補償と農業者に與えることなく、威嚇と欺瞞でもつて、政府みずからが定めた農家の最低食料の必要量さえ奪つたのであります。  農業者の食生活を保障する法律はないことを、木村榮君に対する三月二十三日附衆甲第一号の答弁書により、明らかにしておられるのであります。すなわち、農家の保有優先確保は実定法上に定めがないと答えられ、また還元配給も法的根拠はないと述べられております。一旦収穫全量を政府に買い上げるといたしましても、特別法その他の法律で農民の食生活を保償する規定がありますれば、公定保有量を一旦供出せしめても、私はあえて憲法違反だとは申しません。しかし、そうした法律はないと、明らかに芦田総理は答弁書で述べておられます。してみれば、公定保有米を強行に供出せしめたことは、憲法第二十五條にある、國民は最低限度の生活を営む権利を有するという、その権利を奪つたものであると申さねばなりません。  食管法と憲法二十五條と衝突するとき、憲法がその上位にあることは申すまでもないことであります。しかるに政府は、保有優先の法的根拠はないとか、あるいは還元配給については法的根拠を欠いておるとか、憲法の存在は全然無視した態度で答弁をなし、農家に保有せしむるもの、また還元するも、まつたく政府の一法的意見でやるのだ、すなわちお情けだという態度をとつておられますのは、はなはだ遺憾に存ずるのであります。政府のこの態度こそ、日本民主化の妨害であり、専制政治であり、完全な封建政治であります。(拍手)農門を完全に奴隷としたものであります。農民開放は口先だけで、ますます農奴たらしめるものであります。しかもその行為は、明らかに憲法第二十五條に違反しております。この点に対しまして、法務総裁の御意見をお尋ねいたします。  第四点は、農林大臣に対してお尋ねいたします。もし、保有米を供出せむることが憲法違反でないと政府の解釈だといたしますれば、衆甲第一号の答弁書と併せ考えまするとき、農家は完全に食生活に関しては何らの保護も法律上うけていないということになりまするが、主務大臣といたしまして、農業者をかかる状態に放置しておいてよいと思われまするか。私は断じて放置すべきではないと存ずるのであります。  食糧を生産するものは、食生活に対する保障なく、米びつの底まではたいて供出せしめられ、しからざる者は、國家から保障を受ける。これでは、たれしも朝に星をいただき、夕に月影を踏んで食糧増産に努める気にはなれません。生産業者側から消費者側に農業者が移行しつつあるのは当然であります。また主要食糧の生産から多作物に移行するのは、眞にやむを得ない生き方となるのであります。それは生きんがための本能がしからしむるのであります。前内閣は、それを食い止めようとして、生産調整法を國会に提出し、農奴制を日本に実現しようとして失敗し、また現内閣は、主要食糧生産供出確保措置法なるものをもつて臨もうとしております。かようなことは、日本の食糧事情をますます悪化せしめ、決して明るい方向に向かわしめるものではありません。何ら國民の食生活に安定をもたらすものでもないのであります。  そこで農林大臣にお尋ねするとは、農家保有を供出せしめたことは、現在では憲法違反でないとすれば、生涯農家の食生活を保障する法律を制定する意思ありや否や、その用意ありや否やをお尋ねします。また政府の見解が憲法違反だとすれば、かかる憲法違反をした主務大臣をして、その責任をいかに償うのか。また末端期間の行き過ぎであつたとすれば、それら末端責任者をいかように処分されるかをお尋ねいたします。  第五点は、農繁期特配及び農業雇傭得配実施を計画中との御答弁があつたのでありまするが、すでに農繁期もまいりますのに、何らの手配も末端に対してはいたしていないようであります。これは一体いかようにされるのか、農林大臣にお尋ねいたします。  第六点は、政府は三千六十二万石の供出ができ、予定より七万石の超過供出であつたと放送しておりますが、國民は政府の発表通りに受取つてよいのでありましようか。この三千六十二万石という数字は、その内容が文字通りに食糧で満たされておるのでありましようか。政府はそのように考えておられる様子でありまするが、私は、この三千六十二万石の内容については、たいへんに不安をもつものであります。それは絵に書いたもちではないかと思います。なぜならば、先ほど申し上げました農家の飯糧を取上げた数字が加わつておるからであります。またやりくり供出、すなわち名目供出とか、借入供出とかいうふうなことが、むりな供出を強いられたところでは行われ、実物なしの供出もあると聞いておるのであります。この農家から取上げられた農家の飯糧は、総理大臣のど答弁にもあります通り、國会に約束されましたように、ただちに農家に還されなければならないのであります。政府がねこばばを決め込むことはできないのであります。農家はこの点で、今までもたびたび出し抜かれたのであつて、非常に警戒をいたしております。その証拠は、すなわち地方にある食糧事務所から出庫命令がありましても、農民はこれを拒否しておるという事実を私は知つております。かようなものは、当然農家に還されなければならない。還しただけの三千六十二万石から差引かなければなりません。話に聞きますと、山口縣は七万石の還元米が必要であつたが、政府に値切られて三万五千石にされたということであります。  そこで全國で還元を要求してまいりました量はいかほどであつたか。それをいかほどに査定し還元米のわくを地方に與えられたか。このことは答弁書において調査中であるというお話でありましたが、この点を農林大臣にお伺いいたします。  第七点は、農家に還元したために生じまする配給引当量の穴は、いかにして埋めるお考えであるか。この穴を埋めない限り、二合八勺はおろか、二合五勺も配給は不可能だと信じます。農林大臣は、この穴をいかにしてお埋になるお考えか、お尋ねします。  第八点は、山口縣の還元米として要求した量は半減されておりまするが、同様なことが各縣ともに行われておると思うのであります。そのため山口縣では、二合五勺の還元しかできないという話を聞いたのであります。もしこれが事実としますならば、不当割当を受けた農家は、何の罪もないのに、農閑期の労働にさえ耐えられないほどの少量の還元より受け得られない。まるで処罰的にさえ考えられるものであります。一方では保有量を完全にもつておる農家が出てきておる。かのようなことをされるから、ますます農村の人情は悪くなり、正直者は生きていられなくなる。従つて生産高をごまかし、作付けをごまかす人々が年年増してまいつて、手がつけられなくなる始末であります。これは決して農業者に罪あるのではない。さきに申し述べましたように政府側の秕政・悪政から生ずることでありますので、國家いを通して國民に約束されたことは、あくまで時期を失しないで実行していただきたいのであります。  子供にうそを言わせまいとすれば、まず親がほんとのことを申さねばなりません。農民のうそを責める前に、政府みずからが、ほんとのことをするようにしていただきたいのでありまする。これが何より増産のポイントであり、供出のポイントであります。しかし、國会に約束されましたことを実行いたされますならば、一層大きな穴が一般配給の面にあくと思いますが、この間の調整処理はいかようにいたされまするか。主食代わりとして、佐藤を盛んに配給しておられるようでありますが、それでは実際上の体力は保てないと思います。  要しまするに、第七点と第八点は、三千六十二万石の一部空虚なものである。その穴を、一部は消費者をごまかし、他面では農業者をごまかして、切り抜けようとされるかに思われますが、このようなことをされますと、國民の体意は著しく低下し、農家の生産意欲は極度に圧縮される結果となり、減産に拍車をかけることになると私は思うのであります。かようなことが起らぬように、政府はこの穴埋めに対してどのような具体案をもつておられるか、お尋ねするものであります。  第九点は、昭和二十三年産主要食糧供出実施要領による事前割当についてであります。この要領の印刷物の前書きを見ますと、「臨時主要食糧生産供出確保措置法の趣旨に準じ」云々とあります。「措置法の趣旨に準じ」とあります。このような法律は、いつ公布されたのでありましよう。私は農林委員をいたしておりますが、かようなものを審議した覚えは、いまだかつてないのであります。「臨時主要食糧生産供出確保措置法の趣旨に準じ」云々と、実施要領は見事に書いてあります。このような法律があるのかのごとくに書いてあるのであります。國家を通過しないでできる法律は、断じてあり得べからざることであります。この実施要領は、明らかに國民を愚弄し、國会を無視した政府の態度を示すものであります。あまりに國民を軽視し、國会を軽んじたやり方であり、断じて許すことができないものであります。  この実施要領の前書は、決して過失ではありません。印刷の過誤でもありません。これは意識して、あえて法として、法案としなかつたものであると私は断じます。と申しますのは、法が案である間は、その趣旨に従つて行政が行なわるべきものではない。もつとも、ある事実を確認するために法律のできる場合もありまするが、しかし本件に関する限りは、その行政行為の内容が財産権の内容の制度を伴うものであります。でありますがゆえに、案と書くことができなかつたと思うのであります。従つて、法と書かねばならなかつた道理でありますがゆえに、私は、この前書きは意識的になされたものと断じます。かりに一歩譲つて、過失によるものとしても、きわめて重大な過失であり、許すべからざる過失であると存ずるのであります。國会を甘く見ることから生じた過失であると存じます。  私は、このことで形式の上からのみ政府を責めるのではありません。あげ足とりのために言うのでもありません。この実施要領が末端で農業者をいかに今苦しめつつあるのかを知つておるがゆえにであります。この要領により、政府の末端機関は言語道断のことをしでかしつつあるのであります。政府のねらいは、あるいはそこにあつたのではあるまいかとも思われるのでありますが、一割増産の説明会の席上に、私は帰國中に臨んでみたのであります。係官の説明は、今度の事前割当は生産命令なたは作付命令であるという意味の説明をいたしておるのであります。あまりにもふしぎなので、他の同様な会議に出た人々に尋ねてみたのでありまするが、同じような意味の説明を聴いたと話しておるのであります。  今回の米の供出事前割当は、作付前にそれを完了してしまおうとしている努力がありありと見得るのであります。何となれば、五月八日附の通牒で、五月十日までに個人割当を完了せよというがごとき指令が末端では出ておるのであります。この個人割当を審議すべき責任者の手にその指令が届いたのが五月十日であります。かような無理をあえてしなくてはならない理由はどこにもないのでありまするが、その無理をあえてしておることは、作付前に割当を完了せしめようとするがためであります。作付前に割当を完了せしめようとするねらいは、米のほかはつくいらせまい、すなわち野菜等の農家収入の多いものに轉作するのを未然に食い止めようというところにあるのは、あまりにも明らかであります。すなわち、第一國会で生産調整法が未審議になつたため、その目的を何とかして果たしたいという我執から出たものと考えられるのであります。、従つて農家は、今回の米の供出事前割当のために、耕地の使用・収益に対する自由を失い、作付の自由を失うはめに追い込まれつつあるのであり、早くも各地で非難の声の上がりつつあることは、先に申した通りであります。  政府がこのような不都合きわまる事前割当の拳に出なくとも、農家はまさに急轉直下、経済的苦境に陥りつつあるのに、政府は米さえ出せばよい、甘藷さえ供出させればよい、農家経済はどのようになつてもよいというがごとき、耕作の自由を持たせない拳に出たのは、まつたく暴挙といわずしてなんでありましよう。その結果たるや、実に恐るべきものが生ずると私は思うのであります。秋の収穫期を思うとき、その混乱を考えるとき、実に憂慮にたえないのでありまする。夫婦喧嘩が起り、部落内の争いが起り、官憲の激しい弾圧が農村に起ると思うのであります。この間事情は御理解いただけないかもしれませんが、農民感情を御理解できる方でありましたらば、今申し上げた私の心配もおわかりくださると思うのであります。私の心配が杞憂であれださいわいであります。  しかし、作付前の事前割当に事実上非常に危険が伴うとともに、これは実質上の作付命令であり、生産命令となるのでありまするがゆえに、先に申し上げたように、作付の自由を制限し田畑の使用収益謙を制限する結果を事実上起しつつあるのであります。このことが政府のねらいであることは、実施要領の前書中の字句からみても、割当を作付前に完了せしめようとしておることから見るも、明らかであります。このことは、憲法第二十九條に明らかに違反しておる。財産権の内容に対する制限であるから、法律をもつて定めなければならぬ。しかるに、一つの行政措置でやつておる。それをいかにも合法的にやつておるかのごとく世間に見せかけるために、措置法という、ありもしない法律があるかのごとく見せかけ、しかも農業者を実質的には苦境に陥れるがごとき行為をあえて、一方では、國権の最高の機関である國会を無視した行動をとつておることは、まつたく政府みずから國権を軽んじ、國法をもてあそぶものであり、國の秩序を乱れるるものと言わざるを得ないのであります。(拍手)  この議会無視の点につきましては、総理大臣の責任ある御答弁をお願いいたすます。憲法第二十九條違反については、法務総裁の御見解をお願いいたします。農業者を窮地に追い込むごとき措置をとつたことについては、また法律にあらざるものを法律として取扱つたことについては、農林大臣の責任ある御答弁と、なお、かかることをあえてした担当者の責任をいかに処理されるかをお尋ねいたします。また、かかる問題となるがごとき作付前の供出割当を一旦御破算にして、作付面積及び作付けされた田地の地方等を調整した後にあらためて割当をする意思ありや否を農林大臣にお尋ねいたします。  以上九点についてお尋ねいたします。明快にして率直な後答弁を、政府と國会の威信のために期待して降壇します。(拍手)     〔國務大臣永江一夫君登壇〕
  17. 永江一夫

    ○國務大臣(永江一夫君) ただいま非常に生産農民の立場を御憂慮になりまして種々御質問の点について、一々お答えをいたすつもりでありますが、非常に廣汎な御質問でございましたから、あるいは若干前後いたすかもしれませんが、御了承願いたい。  第一の点は、本年の供出について非常に政府は督励をし、その際農家の保有米をとつてまで供出せしめている、これについては、還元米をさらに農家に渡す約束がしてあるが、未だにこれが来ていない、こういう点について非常に鋭い御意見がございましたが、実は御指摘のごとくに、本年の國会の当初におきまして芦田総理から申し上げましたように、昨年の産米につきましては、農家の皆様の御協力によりまして、三千五十五万石の一〇〇%の供出を願いましたことは、政府も感謝いたしておるところでございます。しかしながら、この点につきまして地方におきましては、それぞれの事情がありまして、いわゆる裸供出をせられておる所があることも政府は承知しておるのであります。これらについては、いわゆる還元配給を行う方針のもとに、各府縣を通じましてそれぞれ御要求がありました。それらの数量は、その後調査いたしましたところによりますと、各府縣から要求されましたものは、約5〇〇万石を超えたのであります。三千五十五万石の供出数量に対しまして五百万石の還元ということは、事実上不可能でございまして、従つて政府は、この五百万石の還元米の府縣からの要求に対しまして、それぞれ関係方面とも協議いたしました結果、大体百六十万石程度のものを還元米として、各府縣を通じてそれぞれの府縣似お手渡しをしたのでありました。各府縣は、その額に應じまして、適切に地方の農家に還元をせられておると私は承知しておるのであります。  なおその点については、地元から御要求になりました数量が、今申したように相当厖大のものでありまして、要求通りに還元をいたしかねる事情は多々あります。御承知のごとく、一般の消費者は二合五勺の基準配給量におきましても、私がこの席上からしばしば申し上げましたように、この二合五勺を確保いたしまするには、大都市消費地においては、米の中に砂糖その他の雑穀を加えるという状態で二合五勺を維持している今日の状態におきまして、農家に三千五十五万石から五百万石の還元をせられるということは、事実操作の上におきましてもかなり無理がございますので、この点は御了承を願つておきたいと思います。  なお、農村の窮状につきましていろいろなお話がございました際に、本年における農村金融は非常に逼迫をしておる点は、政府も認めておるのでありまして、最近政府は、この肥料を買い、農具を買いまする資金といたしまして、農業手形の制度を実施いたしております。これについては、かなり北海道・東北地方におきまして、相当な効果をあげておると信じておるのであります。  なお第三点につきましては、今日非常に耕作地の放棄があるということでありまして、私もこれは諸所で承つておるところであります。新しい農村民主化の基盤でありまするところの農地改革によりまして、勤労農民が自分の所有する土地をみずから耕作するということを基盤として農村の民主化を指向いたします際に、これらの勤労農民諸君が自己の耕作地を放棄いたしますことは、これは非常に遺憾なことでありまして、そういうことのないように、政府はこれからの諸種の具体的な裏ずけによりまして、これを防止する意思でございます。  なお、農繁期におきまして、還元米以外にいろいろ政府は考えておるということであるが、どういう方針であるかというお尋ねでございました。政府は、農繁期におきましても、特に雇傭労働者に対しましては、一人あたり四合の配給を確保する方針で、これを実施中であります。  なお、本年三千五十五万石を突破して、三千六十二万石と政府は発表しておるが、その内容はインチキがあるのではないか、というご指摘でございましたが、ただいま政府の承知いたしております限りにおいては、この数字は決してインチキではありません。正確なる材料によつてこれを発表いたしたのであります。  なお、四合の農家保有米につきましてお尋ねがございましたが、先ほど申し上げましたように、私どもが今日事前割当をおこない、あるいはそれぞれの農家に供出をお願いいたしておりまする実際の状態から申しますと、今日肥料も農機具も十分でない悪條件に、農家の皆さんに供出に協力していただいたのでありますから、非常に困難な條件を克服してしていただくということをお願いしなければならないのでありまして、従つてこの保有米につきましても、先般政府が閣議を通じまして声明いたしましたように、特別災害があり、あるいわやむを得ない事情のありなする際においては、割当いたしましたものを軽減するのには、やぶさかでわありません。  また最後にお尋ねの、事前割当を撤回する意思があるかどうかという点についていろいろお述べになりました。その中に、政府がこのたび提出いたしたいと思つておりまする食糧確保措置法案の点について、地方に指示をいたしました文書中に、そういう字がこの法案の國会通過前に出ておるというご指摘でありましたが、これは一應調査してみたいと思います。いずれにいたしましても、事前割当というものが生産農家にとつては有利な方法であると信じまして、これを行つたのでありますから、これを撤回する意思は、残念ながらもたないのであります。     〔國務大臣鈴木義男君登壇〕
  18. 鈴木義男

    ○國務大臣(鈴木義男君) 私に対する御質問は、憲法違反であるかないかという問題でありますが、第二十五條の、日本國民は健康で文化的な生活を営む権利を有するという規定に反しないかこれは御承知の通り、立法の理想を述べた規定でありまして、そのことは、第二項に、國はすべての生活部面について、社会福祉、社会保障、公衆衛生に向上及び増進に努力しなければならないというふうに規定してあることから見て明らかであります。われわれは、すべての國民が健康で文化的な生活を営むことができるようにありたいと希望するのでありますが、それは國内物資がすべての國民に公平に分配され、これを可能ならしむる條件を前提としなければならないのでありまして、わが國の現状は、遺憾ながらそれに遠いのであります。これは農業に従事する諸君の生存を保障するだけでなく、商業、工業、その他の職業に従事する諸君の生活を保障しなければならぬのでありますから、若干乏しきに耐えていただかなければならぬということは、やむを得ない現象をと考えておるのであります。  それから、第二十九條は財産権の保障をしておるのに対して、食糧管理法をもつて米、麦等の割当を事前にすることは違法ではないかというお尋ねでありますが、食糧管理法では、別に割当をする時期に付いては規定をしておらないのであります。ただその割当方法につきましては市町村長が、市区町村食糧調整委員会の議決をへて決定するということが規定されておるだけでありして、従つてこの時期について規定がありませんから、事前にいたしますことも決して違法ではないと考えております。かえつて増産上適切な処理であると信じるがゆえに、すでに食糧確保臨時措置法案というものを立案いたしておりますような次第でありまして、その点、御了承願いたいと思うのであります。(拍手)     〔國務大臣芦田均君登壇〕
  19. 芦田均

    ○國務大臣(芦田均君) 重富君より、衆甲第一号を要因してお話がありました。その中に還元配給について國民に約束した言葉がいろいろ出ておる、こういうお話がありましたが、きわめて率直に申しますと、衆甲第一号というものの存在をよく承知いたしておりません。また私自身が還元配給を約束し、かつ憲法上の問題について、だれかに答えたということも、記憶をいたしておりませんが、それはそれでしばらく別といたしまして、その他の問題については、ただいまの法務総裁並びに農林大臣の答弁と全然同一でありますから、さよう御承知願います。(拍手)     〔重富卓君登壇〕
  20. 重富卓

    ○重富卓君 ただいま農林大臣からの御答弁によりますと、調査した結果五百万石を地方で要求しておる、しかし、とうていそれほどのものは還せないから、百六十万石に負けさせた、こういうことでありました。しかし三千六十二万石の中には、決してインチキはないと申されました。三千六十二万石から還元の百六十万石を引きましたならば、はじめの予算の三千五十五万石からはるかに下回るのであります。ところが、三千五十五万石があつてこそ、他の輸入食糧と併せて始めの二合五勺の配給ができるのでありますから、それだけのものが穴があくならば、当然二合五勺の配給はできないと私は思います。それにもかかわらず、食糧は二合八勺にするのだ、こういうふうなことはよく言われております。私は数字の中にインチキがあるとは申しません。今の穴をどうしてお埋になるのかを聞きたいのであります。  また割当をかえるということを言われたのでありますが、今までも何回も、その場では割当は必ずかえると言うておられます。しかし、かつて実行されたことがないのであります。これももつと端的に、はつきりほんとうのことをおつしやつていただきたいと思います。そうした割当等を変えると言いながら、それは常にすそであつたということを、百姓は百も承知、千も承知いたしております。この点につきまして、もつと誠意のある御答弁をお願いしたいのであります。  また総務総裁の御答弁で、第二十五條では云ヶというお話がありましたが、私が申し上げますのは、百姓から一粒の米を残さないで取上げても、なお百姓の命がつなげるかということを申し上げたのであるナス。それでも憲法違反でないかということを申し上げたのであります。お互いに乏しきを分け合うという問題ではないのでありまして、現にこの私が、一粒の米もなく取上げられておるのであります。私がなぜ今までそれで生きてきたかと申しますならば、先ほど申し上げたように、村当局が無指令出荷をいたして、われわれを養つたものであることを御記憶願いたいものであります。一粒も米を残さずに取上げたのが憲法二十五條違反でないとどうしていえるのでありますか。この点をはつきり御答弁願いたいのであります。     〔拍手)  また総理大臣の御答弁も、きわめてあやふやな御答弁でありましたが、私が申しましたことは、食糧緊急処置令を國会が承認いたしましたときに、それに対しては農家の公定保有量は侵してはならない條件がついております。またそれに対して政府は承認したという記録があるのであります。にもかかわらず、國会の條件を無視して保有公定量を出させたのは、これは明らかに國会を無視しておるのではないか、背信行為ではないかということをお尋ねいたしたのであります。(拍手)  以上、お尋ねします。     〔國務大臣永江一夫君登壇〕
  21. 永江一夫

    ○國務大臣(永江一夫君) ただいまお尋ねの二点についてお答えいたします。  第一点の、今後の見透しについて、この数量で、いけるかとでありますが、しばしば申しましたように、本米穀年度、すなわち十月までは、二合五勺は欠配・延配なく政府は配給するという方針であります。  なお第二点でありまする割当の変更につきましては、先般の知事会議の決議に基きまして、六箇條の條件がついておりますが、この六箇條の條件に関する限りは、必ず割当を変更するつもりであります。     〔國務大臣鈴木義男君登壇〕
  22. 鈴木義男

    ○國務大臣(鈴木義男君) 重富君の、一粒の米もなく取上げられたという場合は、もつと具体的に承らないと了解いたしかねるのでありますが、おそらく食料は米だけを考えておりませんから、麦、芋その他を総合的に考えておりますので、まさかその市町村において、そういう没常識な割当をしないと思いますが、もしそれがきわめて不都合でありますならば、憲法の問題でなくて、やはり割当の問題として、市町村長ならばにその地区の食糧調達委員会の問題でありまするから、十分に正当に御主張なすつて差支えないと存じます。憲法の問題ではないということだけをお答え申し上げます。      ――――◇―――――
  23. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 共産党員の公職に関する緊急質問許可します。野坂參三君     〔野坂參三君登壇〕
  24. 野坂參三

    ○野坂參三君 先ほど民主自由党の西村議員より、芦田総理のいろいろ無責任な発言について痛烈なご批判があつたし、この責任も追及されましたが、私は他の点においては一致しないてんが多いが、この点については民主自由党と同感であります。同時に、芦田総理の無責任な於言ということは、もう世間周知のことであり、與党内でもこれには迷惑を感じておられるという漏れ承つております。  私が今総理大臣にお聴きしたいのは、去る二十日、外務委員会で高瀬委員が質問しましたのに関して、総理がこのような意味のことをお答えになつております。これは私が速記録からとつたものでありますが、その意味だけを申しますと、共産党員は公務員として就職することを排除する、こういうことを今考えている、こういうことを考えておる。この問題は、単に一つの共産党だけの問題ではありません。明らかにポツダム宣言憲法の趣旨にも反するものである。のみならず、単に一つの共産党だけの問題ではありません。各政党すべてにこれは共通の重大な問題である。  たとえば、私がこの言葉を見たときに、あのドイツヒトラーのやつたことを思い出さざるを得ない。ヒトラーが民主主義をぶつつぶして、あのファシズム独裁を樹立したときに、まず第一に、ファシズムの徹底的な敵であつた共産党をやつつけた。それから、どこえいつたかといえば、社会民主党について、労働組合協同組合、すべてぶつつぶした。それだけではない。すべての民主主義的なもの一切をぶつつぶした。その先頭は、まず第一に共産党をやつつけておる。これを私が考えたときに、この芦田総理の言葉は、単に一つの共産党だけの問題ではなくして、各政党共通の重大な問題である。第三に私の申し上げたいことは、この言葉は國際的にも重大な影響があると思うのです。おそらく芦田総理は、今内外における反響の反動のあらしに乗つて、これに便乗して言われたことだと思う。しかしながら、この芦田総理の言つておることは、結局政党にしても、今日は共産党禁止する。明日は社会党を禁止するかもしれない。この次は自由党にくるかも知れない。その次はどこへいくのか。今芦田総理は、二言目には外資の導入、受入態勢を言われておる。しかしながら、私の申し上げたいことは、世界は決して反共一色ではない。民主主義勢力は向上しておる。これを考えていただきたい。ところが、芦田総理のこの言葉自体は、明らかに反民主主義的な言葉である。これではたして民主主義的な國際人士が、この芦田総理に対して外資の導入を喜んでやるだろうか。國際的な、平和的な條約を結び得るかどうか。この意味において重大な國際的関係があると思う。私は、できおるだけ簡単に、四つの点について質問したと思うのである。  まず第一にお聴きしたいことは、共産党公務員として就職することを排除する、こういうことをお考えになつておると申されましたが、なぜ共産党だけをこのように差別しなければならないのか、この具体的な理由をお聴きしたいと思う。さらに公務員と申されましたが、公務員法第二條によりますと、こうむいんはひじように廣い範囲になります。上は総理大臣から各省大臣、下の方に行けば地方の町長や村長まであります。これも、もし共産党員ならば、すべて排除しなければならないということを意味するのかどうか。私はこれをはつきりお聴きしたい。  第二には、ポツダム宣言に何と書いてあるか。これは言までもありませんが、ここではつきりしていることは、政治的な自由を保障している。特に一九四五年十月四日の、政治自由に対する制限の撤廃に関する覚書、いわゆるメモランダム、これはすなわち、そのときまで存在した治安維持法その他の反共的ないろいろの法令をすべて撤廃する、こう書いてあります。芦田総理の今考えておられることは、すなわちこのメモランダム精神に完全に違反するものである。共産党だけを差別待遇して、共産党に特別不利な事情をつくり上げようとする。明らかにこのメモランダム違反もことを考えておられる。これをどう考えているか、はつきりしたご返事を得たい。さらに憲法第十四條を見ましても、すべて國民は法の下に平等であつて、信條により、政治的、経済的、または社会関係において差別されないと書いてある、政治的な信念において、共産主義であろうが、社会民主主義であろうが、あるいは修正資本主義であろうが、あるいは自由主義であろうが、これによつて差別しないことを、はつきり憲法に保障しておる。ところが芦田総理の言つていおることは、明らかに共産主義を特別に不利な状態におこうとしている。これについて私は、芦田総理のはつきりしたこれ答を得たいと思います。第三にお聴きしたいのは、芦田総理の御回答は、総理として外務委員会において正式に発表された意見であるから、総理としてはもちろん責任をもつと思いますが、これを閣議の決定として、あるいは閣議において協議されたものとして発表されたものであるかどうか。そして今芦田総理の考慮されておることが、具体的にどういうふうに推進しておるか、準備されているか、これを私は第三としてお聴きしたい。  第四としては、われわれの見解によれば、芦田総理は明らかにポツダム宣言憲法、この精神に違反するような言辞を弄された。もし芦田総理が、ほんとうに良心のある政治家ならば、こういうことは言わないはずであるが、しかし言われたところをみると、これはいかなる責任をとられるのか。そのせいじてきなせきにんをおといしたい。(拍手)  芦田総理は、あの片山内閣ができたとき、外務大臣として就任早々、こういうことを言われた。将来日本に講和会議がある場合には、沖縄あるいわ千島も日本に返してもらう。こうゆうことを考えていると言われた。ところが、まもなくこれが新聞に発表されると、これは新聞誤報であると取り消された。しかるに、ついこの間、この國会においても、労働法規の改善の問題について質問があると、これを改悪する意味のことを言われた。さらにこれを追究されると、いや、ああではなかつたと言われた。私は、政治家として一番重要なることは、自分の発表した意見について責任をもつことであると思う。しかるに、芦田総理の今まで言われたことは、すべての点に対して責任をもたない放言をなされている。先ほど問題になつたように、二合八勺の配給をすると言つておる。これも明らかに放言である。私は、このような今までなされた放言の中でも、民主主義に根本に触れるこの重大なる見解に、芦田総理はいかなる責任をとられるか。この点について芦田総理の良心的な御回答を得たいとおもいます。もし満足できなければ、あくまで私は質問を続ける予定であります。     〔國務大臣芦田均君登壇〕
  25. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) 野坂君から、去る二十日の外務務委員会における私の発現に対し質問がありました。野坂君は、あの速記録をお読みになつたと今言われましたが、私の印象では、あの速記録を読まれた方が、ああいう疑問が出るはずないと思います。     〔徳田球一君「何を言うか、新聞にも載つているじやないか…」と叫び、その他発言する者あり〕
  26. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 徳田君、静粛に願います。     〔発言する者あり〕
  27. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) それほどお聴きになりたくないなら、答弁をいたしません。     〔野坂參三君登壇〕
  28. 野坂參三

    ○野坂參三君 芦田総理が私に質問に対して一言も答弁なされない理由を、理由をもい一つお聴きしたい。  それから芦田総理は、私があの速記録を見ていないのではないか、そう印象を受けると申されましたが、私はちやんと速記録を見てきている。ただ芦田総理の逃げ口上と見られるような点がここにあります。それはこう書いてある。――必ずしも共産党とは限らないのであります。いかなる場合においても、國家並びに社会に不利益な行動をなすものに対しては厳重に取り締まるべきは云々とあります。必ずしも共産党とは限らないとはしておりますが、しかしその前に、共産党としてということが、この回答の中では繰り返し繰り返しあつて、これ全体を見た場合には、何人とも誤らずに、私が先ほど説明したように理解せざるを得ない、もし芦田総理が、あくまでも私の質問に対してお答えを拒否されるならば、私はあくまでこの質問を続けます。     〔國務大臣芦田均君登壇〕
  29. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) ただいまの野坂君の質問にお答えします。私もここに委員会の速記録をちやんと持つております。これを読めばおわかりくださると思う。その全文は読みませんが一部だけ読めば、「政府職員その他の官公吏して、共産党員として国家並びに社会に不利益になる行動をなすごとき場合には、これは必ずしも共産党員とは限らないのでありますが、いかなる場合においてもこれが厳重に取り締まるべき当然のことであります。ただ共産党員なるがゆえに、國家の公務員としてこれを就職せしめない、あるいはこれを排除するという問題は、政府としてもこれらの問題をそれぞれ考慮はいたしておりますが、現在のところは、的確にいかなる処置をとるかということについては、まだ何らの決定に達しておりません。さようご承知を願います。」とあるのであります。     〔坂野参三登壇〕
  30. 坂野参三

    ○坂野参三君 少しもはつきりしておりません。芦田総理の言われたことは共産党員だからといつて公務員につけさせないという、こういう問題は重大であるから、考えいるが、現在のところ、まだ的確な処理をとるということは言つていない。しかしながらここで言われておることは、こういう問題を今考えておるということ、考慮しておるということであります。だから、私のお聴きしたいのは、どういうふうにお考えになつておるか、この具体的内容をお聴きしておるのです。これについては一言も言われない。     〔國務大臣芦田均君登壇〕
  31. 芦田均

    ○國務大臣芦田均君) 野坂君のような博学の方であるから、アメリカイギリスがこれらに問題についてどういう処理をとつたかということはむろん御承知でしよう。しかし、イギリスアメリカ民主主義國である。ソ連ばかりが民主主義國というわけではない。従つて、民主主義政治を行う國においてこれからの問題を研究するということは当然のことであつて、もし政府が考えていなかつたならば、それは職務怠慢だと私は思います。(拍手)      ――――◇―――――
  32. 笹口晃

    笹口晃君 残余の緊急質問及び日程第一は延期されんことを望みます。
  33. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) ご異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。      ――――◇―――――
  35. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 日程第二、農地開発営団の行う農地開発事業を政府において引き継いだ場合の措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長井上良次君     〔井上良次君登壇〕
  36. 井上良次

    ○井上良次君 ただいまより、本日議題となりました、内閣提出、農林委員会付託にかかる、農地開発営団の行う農地開発事業を政府において引き継いだ場合の措置に関する法律の一部改正をする法律案につきまして、その審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  農地開発営団は、さきに閉鎖機関に指定され、目下特殊整理を実施中でありまして、そのため、営団の行つて農地開発事業は政府がこれを引き継いだのであります。この場合に必要な措置に関しましては、第一回団会において、内閣提出の農地開発営団の行う農地開発事業を政府において引き継いだ場合の措置に関する法律案を審議し、これを可決しましたことは、すでに御承知のとおりでございます。すでに、しかるに、この事業を継承し、実施すためにあたりまして、旧営團より引き継いだ職員を國家の資金前渡官吏その他の官吏とする必要が生じ、この際その定員の増加を行いたいといのが、本法律案提出の理由でございます。  農林委員会は、本議案の付帯されましたのを機会に、開拓政策上の各般の問題にわたり詳細に検討を遂げ、疑問の説明に努めてまいりました次第でございますが、以下質疑応答を整理しまして、その重要と思われる要点を御紹介申し上げたいと思います。  まず質疑の第一は、現在開拓関係職員は相当の数に上り、開拓予算昭和二十年以来約五十億円を使用し、二十三年度においても五十億円を予定している、しかるに、開墾・作付けは予定のごとく推進せず、食糧生産に寄與するところも少なく、入植者の状態もきわめて劣悪である、しかるに政府は、緊急五箇計画開拓計画を十箇年に延長し、さらに官吏定員を増加しようとしている、國家財政、食糧事情の悪化せる今日、開拓政策の重点を、端的に効果を発揮しえる土地改良、農業水利、耕地災害復旧等の方向に移行する等、この際徹底的なる検討を行う必要があると思われるが、政府の所見いかん、というのであります。  これに対する政府の答弁は、農林省の行つている公共事業の重点を、地元増反の形における既懇地の土地改良か、あるいは数年先に効果を現わす開拓か、そのいずれかにおくかかということについては大いに問題がある、元来開拓事業の目的は、食糧増産に寄與せしめるという点に存するが、同時に戦争犠牲者を救済せしめるというところにも重要なねらいがあるからである、本法律案は、営團より引き継いだ約二千八百人の職員のうち九百八十人を本官に採用し、嘱託として現に使つている者一部を官吏としてその身分を明らかにすることを目的とするものであつて、別段の予算的措置を伴うものではない、今後の開拓事業は、行政機構を改革して治山治水事業等との調整をはかり、またこれからの新規入植者は厳選して中途で脱落しないようにし、すでに入植している者についても、資金・資材の両面でできるだけ保護を加えてゆきたい、との答弁でございました。  次の質問は、未懇地の買収、山林・原野の開墾はきわめて粗雑な計画のもとに行われ、水源が枯れて良田がつぶれ、地元農民の採草地、薪炭林が欠乏して、入植者と反目するような事態が各所にて起つている、政府の所見いかん、というのであります。  これに対する答弁は、今後山林・原野の解決は慎重に行う、地元と入植者との対立は調停を行う、というであります。  最後に、開墾・開拓の費用は労務費が大きな部分を占めている、國営開墾は人手不足であつて、官吏を増加しても及ぶところではない、むしろ農閉期間を利用する市町村民または民間組合補助開墾を大規模に行つてはどうか、という質問でありました。  これに対して政府からは、基本工事は地方公共團体、直接開墾は入植者が行う建前でいく、補助開墾の拡張については予算を折衝中である、という答弁が行われたのであるます。  質疑応答の概略は、以上の通りでございます。  農林委員会は、昨五月二十一日、本議案に関し審議を行つたのでありますが、本法案そのものの趣旨がごく簡単であり、かつ六月一日を予定とする施行期日の関係もございますので、委員長より、政府に対する質疑を打切り討論に付したる後、ただちに表決に入りたい旨を各派に語つて賛成を得、それより検討に入つたのであります。まず社会党の上野委員より、開拓の実績は十分とは言いがたく、実態につい手に把握も不十分な点は遺憾である、食糧増産、戦争犠牲者の救済といふ開拓の二大目的に鑑み、今後の善処を要望するものである、本法律案は、提案理由もきわめて明瞭であるから、そのままこれを了承することとし、賛意を表すものである、といふ意見が述べられ、次に自由民主党を代表して野原委員より、本法律案に賛成する、但し、開拓は國営事業となつたのであるから、今後の運営に慎重を期し、官吏の増員のため単なる手段に堕しないよう注意せられたい、という意見を開陳をみたのであります。かくて討論を終結し、ただちに裁決に入り、全員一致をもつて本法律案の通り可決すべきものと議決した次第であります。  以上、簡単ながら御報告申し上げます。(拍手)
  37. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案は委員長報告どおり決するにご異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  38. 松岡駒吉

    議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。  次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十一分散会